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特表2024-507721増殖および生体内保存のための改変NKT細胞、並びに腫瘍細胞を制御するための使用法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】増殖および生体内保存のための改変NKT細胞、並びに腫瘍細胞を制御するための使用法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240214BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240214BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240214BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240214BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240214BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240214BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240214BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z
C12N15/09 Z
A61K48/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547340
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022015525
(87)【国際公開番号】W WO2022170210
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,693
(32)【優先日】2021-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メテリッサ,レオニド エス.
(72)【発明者】
【氏名】ンガイ,ホ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC021
4C084ZC022
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC02
(57)【要約】
本開示は、Wntシグナル経路の活性化因子をコードする発現コンストラクトを有するように改変されたナチュラルキラーT細胞に関連している、方法および組成物に関する。Wntシグナル伝達活性化因子の発現または外因性活性化因子の添加による活性化は、インビトロにおいて、複数回の腫瘍細胞暴露の間にNKT増殖を促進し、長期の腫瘍制御を改善する。本開示は、治療用途の、キメラ抗原受容体(CAR)と組み合わされたWntシグナル伝達の外来性活性化因子を発現するように改変されたNKT細胞、NKT細胞集団、およびそれらを作製する方法をさらに包含する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む、遺伝子改変ナチュラルキラーT(NKT)細胞。
【請求項2】
前記転写活性化因子が、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、およびTLEファミリーメンバー1転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)からなる群から選択される、請求項1に記載の遺伝子改変NKT細胞。
【請求項3】
前記LEF1が、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、請求項2に記載の遺伝子改変NKT細胞。
【請求項4】
キメラ抗原受容体(CAR)のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトをさらに含む、請求項1に記載の遺伝子改変NKT細胞。
【請求項5】
前記キメラ抗原受容体(CAR)ががん抗原を認識する抗原認識ドメインを含む、請求項4に記載の遺伝子改変NKT細胞。
【請求項6】
前記がん抗原がCD19、GD2、およびGPC3からなる群から選択される、請求項5に記載の遺伝子改変NKT細胞。
【請求項7】
Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む複数の遺伝子改変NKT細胞を含む細胞集団。
【請求項8】
I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、または非改変細胞を含む細胞をさらに含む、請求項7に記載の細胞集団。
【請求項9】
前記複数の遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団の10%超である、請求項7に記載の細胞集団。
【請求項10】
前記複数の遺伝子改変NKT細胞がCD62L(+)NKT細胞を少なくとも50%含む、請求項7に記載の細胞集団。
【請求項11】
前記複数の遺伝子改変NKT細胞の少なくとも30パーセントがLEF1を発現する、請求項7に記載の細胞集団。
【請求項12】
治療有効量の、請求項7に記載の細胞集団。
【請求項13】
(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む、キメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項14】
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子が、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、またはTLEファミリーメンバー1、転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含む、請求項13に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項15】
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子がLEF1である、請求項13に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項16】
前記抗原認識ドメインがCD19、GD2、またはGPC3から選択される抗原に結合する、請求項13に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項17】
口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列またはFMDV 2A関連シス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)配列によって隔てられた追加のタンパク質のインフレームコード配列をさらに含む、請求項13に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項18】
前記抗原認識ドメインがCD19特異的抗体FMC-63由来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む、請求項16に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項19】
抗原認識ドメインがGD2特異的抗体14G2a由来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む、請求項16に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項20】
前記細胞内ドメインがCD3-ζ鎖にインフレーム融合された4-1BBというシグナル配列を含む、請求項13に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
【請求項21】
請求項13に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクトを含む、遺伝子改変NKT細胞。
【請求項22】
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程;および
前記改変NKT細胞を培養することで、持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程、
を含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法。
【請求項23】
前記改変が、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、前記NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することを含む、請求項22に記載のNKT細胞の増殖能を維持する方法。
【請求項24】
前記CARがCD19、GD2、またはGPC3から選択される抗原に結合する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子がリンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、またはTLEファミリーメンバー1、転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記Wntシグナル経路の転写活性化因子が参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程;および
前記改変NKT細胞を培養することで、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程、
を含む、NKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
【請求項28】
前記改変が、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、前記NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することを含む、請求項27に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
【請求項29】
前記Wntシグナル経路の転写活性化因子が参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である、請求項27に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年2月7日に出願された米国仮特許出願第63/146,693号に基づく優先権を主張するものであり、当該仮特許出願の全内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所により与えられたCA116548を基に、政府援助を得てなされたものである。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
配列表の組み込み
2022年2月7日に記録された、98,856バイト(MS-Windowsオペレーティングシステムで測定)の、「P35049WO00_ST25」という名前のファイルに含まれた配列表が、本明細書と共に出願されており、参照によって本明細書に援用される。
【0004】
本開示は、抗原暴露によって生体外で培養増殖する細胞の能力を保存するように、および、NKT細胞のセントラルメモリー遺伝子発現シグネチャーを保存するように、NKT細胞を改変することに関する。さらに、本開示は、がん治療における生体内残留性のためにNKT細胞を改変することに関する。
【背景技術】
【0005】
I型NKT細胞(NKT)は、インバリアントなTCRα鎖Vα24-Jαl8を発現し、単形性HLAクラスI様分子CD1d(Gene ID 912)によって提示された自己由来または微生物由来の糖脂質に対し反応する、進化的に保存された自然リンパ球サブセットである(Porcelli et al. Analysis of T cell antigen receptor (TCR) expression by human peripheral blood CD4-8- alpha/beta T cells demonstrates preferential use of several V beta genes and an invariant TCR alpha chain. J.Exp.Med.1993;178(1):1-16);Lantz and Bendelac, “An invariant T cell receptor alpha chain is used by a unique subset of major histocompatibility complex class I-specific CD4+ and CD4-8- T cells in mice and humans,” J. Exp. Med. 1994; 180(3): 1097- 1106;Bendelac A, Lantz O, Quimby ME, Yewdell JW, Bennink JR, Brutkiewicz RR. CD1 recognition by mouse NK1+ T lymphocytes. Science 1995;268(5212):863-865.;Kim EY, Lynch L, Brennan PJ, Cohen NR, Brenner MB. The transcriptional programs of iNKT cells. Semin. Immunol. 2015;27(l):26-32)。
【0006】
世界的な転写プロファイリング研究により、NKTは、T細胞およびNK細胞と特性を共有しているが、別個のリンパ球集団であることが明らかになっている(Cohen et al., 2013)。マウスおよびヒトの両方で、NKTは、CD4+CD8+(ダブルポジティブ、DP)胸腺細胞(CD8、Gene ID 925)の段階にある通常のT細胞から分岐する。胸腺上皮細胞による正の選択を受ける通常のT細胞とは異なり、NKTは、CD1d発現DP胸腺細胞による選択を受ける(Gapin L, Matsuda JL, Surh CD, Kronenberg M. NKT cells derive from double-positive thymocytes that are positively selected by CDld. Nat. Immunol. 2001;2(10):971-978)。正の選択の直後に前骨髄球性白血病Znフィンガー転写因子(PLZF)が発現されることで、NKTの胸腺内の増殖と、エフェクター/メモリー様の分化が可能となる(Savage AK, et al. The transcription factor PLZF directs the effector program of the NKT cell lineage. Immunity. 2008;29(3):391-403)。
【0007】
末梢NKTは寿命が長いリンパ球であり、その胸腺後の維持は、IL-15を介した緩慢なホメオスタティック増殖に大部分依存する(Matsuda JL, et al. Homeostasis of V alpha 14i NKT cells. Nat. Immunol. 2002;3(10):966-974; Baev DV, et al. Distinct homeostatic requirements of CD4+ (Gene ID 920) and CD4- subsets of Valpha24-invariant natural killer T cells in humans. Blood 2004;104(13):4150-4156)。ヒト末梢血中で、NKTはCD4発現に基づいて2つの主要な機能的サブセットに分化する:CD4+およびCD4-(ほとんどがCD8/CD4-ダブルネガティブ、DN)(Lee et al., Distinct functional lineages of human V(alpha)24 natural killer T cells. J. Exp. Med. 2002;195(5):637-641)。CD4+サブセットは、新生児NKTにおいて高度に濃縮されており、成人においては、CD4-サブセットと比較してホメオスタティックな分裂が少なく(Baev et al. 2004、上記)、このことは、CD4+NKTが、ある特定の条件下における養子移入された治療用NKTの長期間残留性に寄与している可能性があることを示唆している。しかし、抗原刺激に応答した、例えばα-ガラクトシルセラミド(αGalCer)による、ヒトNKTの生体外増殖では、同様の数のCD4+NKTおよびDN NKTが生成される。NKTはNK様のリニアな(linear)分化も示し、CD161発現を獲得し、その後CD56発現を獲得する。通常のT細胞と同様に、CD56の発現は、最終分化および増殖ポテンシャルの喪失と関連している(Loza et al., NKT and T cells: coordinate regulation of NK-Iike phenotype and cytokine production. Eur. J. Immunol. 2002;32(12):3453-3462)。
【0008】
瘍免疫および免疫療法においてのNKTの潜在的重要性が、マウスにおける複数のがんモデルと、がん患者における初期臨床試験とおいて明らかにされている(McEwen-Smith et al., The regulatory role of invariant NKT cells in tumor immunity. Cancer Immunol. Res. 2015;3(5):425-435; Dhodapkar MV. Harnessing human CD Id restricted T cells for tumor immunity: progress and challenges. Front Biosci. 2009;14:796-807; ExleyMA, Nakayama T. NKT-cell-based immunotherapies in clinical trials. Clin. Immunol. 201 1;140(2): 117-118; Motohashi S, Okamoto Y, Yoshino I, Nakayama T. Anti-tumor immune responses induced by iNKT cell-based immunotherapy for lung cancer and head and neck cancer. Clin. Immunol. 2011;140(2):167-176; Yamasaki K, et al. Induction of NKT cell-specific immune responses in cancer tissues after NKT cell-targeted adoptive immunotherapy. Clin. Immunol. 2011;138(3):255-265; Taniguchi et al., Discovery of NKT cells and development of NKT cell-targeted anti-tumor immunotherapy. Proc. Jpn. Acad. Ser. B Phys. Bio. Sci. 2015;91(7):292-304)。通常のT細胞とは対照的に、NKTは腫瘍部位に効果的に輸送され、腫瘍を支援するマクロファージの阻害である、CDld+腫瘍細胞の直接的な死滅、または、NK細胞のトランス活性化のいずれかを介して、抗腫瘍反応を仲介することができる(Metelitsa LS. Anti-tumor potential of type I NKT cells against CD ld-positive and CD ld-negative tumors in humans. Clin. Immunol. 2011; 140(2): 119- 129)。
【0009】
いくつかの研究により、多様な腫瘍型を有する患者において、腫瘍浸潤性または循環性NKTの数と、疾患転帰の改善との間に、強い正の相関があることが明らかにされている(Dhodapkar, supra; Metelitsa LS, et al. Natural killer T cells infiltrate neuroblastomas expressing the chemokine CCL2. J. Exp. Med. 2004;199(9):1213-1221; Tachibana T, et al. Increased intratumor Valpha24-positive natural killer T cells: a prognostic factor for primary colorectal carcinomas. Clin. Cancer Res. 2005;ll(20):7322-7327; Moiling JW, et al. Low levels of circulating invariant natural killer T cells predict poor clinical outcome in patients with head and neck squamous cell carcinoma. J. Clin. Onco. 2007 ;25(7):862-868; Cariani E, et al. Immunological and molecular correlates of disease recurrence after liver resection for hepatocellular carcinoma. PLoS.One. 2012;7(3):e32493.)。逆に、腫瘍進行は、NKTの細胞数もしくは機能活性(16)の減少、または、悪性細胞上のCD1d発現のダウンレギュレーションを伴う場合が多い(Dhodapkar MV, et al. A Reversible Defect in Natural Killer T Cell Function Characterizes the Progression of Premalignant to Malignant Multiple Myeloma. J. Exp. Med. 2003;197(12):1667-76.)。これらの腫瘍エスケープ機構に対抗するために、初代ヒトNKTを生体外で臨床スケールまで増殖させ、キメラ抗原受容体(CAR)のトランスジェニック発現を介してその細胞毒性を腫瘍細胞に対して向け直す方法が解発された(Heczey et al., Invariant NKT cells with chimeric antigen receptor provide a novel platform for safe and effective cancer immunotherapy. Blood 124(18):2824-2833 (2014))。CAR T細胞臨床試験で報告された知見と同様に(Kalos and June, 2013; Dotti G et al., Design and development of therapies using chimeric antigen receptor-expressing T cells. Immunol. Rev. 2014;257(1):107-126)、異種間腫瘍モデルにおけるCAR NKT細胞産物の抗腫瘍活性と生体内残留性との間には強い相関がある(Heczey et al., 2014)。しかし、ヒトNKTの、生体外増殖と後の生体内残留性とを支配する機構は、大部分が不明のままであり、NKT細胞をベースとするがん免疫療法の合理的設計の妨げとなっている。
【0010】
CD62L+(セレクチンL、Gene ID 6402)セントラルメモリー通常T細胞が、幹細胞の特性を有し、細胞治療産物の中でより優れた治療活性を有することが、報告により明らかにされており(Graef P, et al. Serial transfer of single-cell-derived immunocompetence reveals sternness of CDS(+)central memory T cells. Immunity. 2014;41(1): 116-126 ; Wang X, et al. Phenotypic and functional attributes of lentivirus -modified CD19-specific human COB+ central memory T cells manufactured at clinical scale. J. Immunother. 2012;35(9):689-701; Sommermeyer D, et al. Chimeric antigen receptor-modified T cells derived from defined COB and CD4 (Gene subsets confer superior antitumor reactivity in vivo. Leukemia 2015)、生体外培養におけるCD62L+NKT細胞の試験がその後に行われた。
【0011】
2016年10月27日に公表された国際公開第2016/172372号は、NKT細胞のCD62L+サブセットが、NKT細胞の生体外増殖と生体内残留性とに必要であることを明らかにした。さらに、CD19特異的CAR(CAR.CD19)を発現するように操作した場合、CD62L+CAR.CD19 NKTは、NSGマウスのB細胞リンパ腫モデルにおいて持続的な腫瘍退縮をもたらしたが、CD62L- CAR.CD19 NKTはもたらさなかった。CD62L+NKTは、例えばがん患者において優れた治療活性を有するNKTやCAR-NKTを作製するために使用できる共刺激性人工抗原提示細胞(aAPC)などの特定の共刺激性リガンドを与えると、生体外増殖中に維持することができた。これらの進歩により、生体外で初代ヒトNKTを臨床スケールに増殖し、キメラ抗原受容体のトランスジェニック発現を介し腫瘍細胞に対し細胞傷害性を向け直すための、頑健性のある方法が提供されたが、課題も残っている。生体外における増殖法の改善が引き続き必要である。さらなる課題は、CAR NKT細胞を治療的に使用する場合に、生体内残留性を保持することに関するものである。
【0012】
ここでは、CD62L+ NKT細胞がセントラルメモリーCD4+通常T細胞と同様の遺伝子発現を共有していることが示されている。また、Wntシグナル伝達が、NKT細胞におけるCD62L+発現の駆動および維持の両方において決定的な役割を果たしており、これらの知見を活用することで、治療薬としてNKT細胞を開発する際の多くの問題が解決されることが示されている。以下に示すように、生体外での培養および増殖中にWntシグナル伝達の活性化因子を発現させると、CD62L+の発現が増加する。Wntシグナル伝達が活性化された改変NKT細胞は、疲弊の低減を示し、複数回の増殖を行うことが可能である。Wntシグナル伝達が活性化された改変NKT細胞は、さらに、抗原暴露後もセントラルメモリー細胞発現プロファイルを保存する。重要なこととして、Wntシグナル伝達が活性化された改変NKT細胞は、生体内残留性と臨床効果の改善をもたらす。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現コンストラクトを含む、遺伝子改変NKT細胞、およびその集団を提供し、包含する。
【0014】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む、複数の遺伝子改変NKT細胞を含む細胞集団を提供し、包含する。
【0015】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程;および、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程を提供し、包含する。
【0016】
本開示は、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)コード配列、並びに(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列、を発現するようにNKT細胞を改変することを提供し、包含する。
【0017】
本開示はまた、培養したNKT細胞に、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質発現コンストラクトをトランスフェクトまたは形質導入する工程;および、その改変NKT細胞を培養することで、持続的な発現能を有するNKT細胞集団を作製する工程を含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法を提供し、包含する。
【0018】
また、キメラ抗原受容体コード配列と、Wntシグナル経路における転写活性化因子 コード配列と、を含むキメラ抗原受容体発現コンストラクトが、本開示によって包含され、提供される。
【0019】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と その改変NKT細胞を培養することで、NKT細胞の疲弊が低減されたNKT細胞集団を作製する工程と、を含む、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法をさらに提供し、包含する。
【0020】
本開示は、さらに、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、培養したNKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入する工程を含む、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法を提供し、包含する。
【0021】
本開示は、さらに、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質発現コンストラクトで、培養したセントラルメモリーNKT細胞を改変する工程と;前記改変されたセントラルメモリーNKT細胞を培養することで、抗原暴露後の減少に対する耐性を有する改変セントラルメモリーNKT細胞を作製する工程と、を含む、セントラルメモリーNKT細胞を抗原暴露後の減少から維持する方法を提供し、包含する。
【0022】
本開示は、さらに、Wntシグナル経路の転写活性化因子であるタンパク質をコードする配列を発現するように、発現コンストラクトでNKT細胞を改変する工程と その改変NKT細胞を培養することで前記転写活性化因子を発現させる工程と、反復的な暴露後にセントラルメモリーNKT細胞の特性である増殖能および細胞毒性を保持する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法を提供し、包含する。
【0023】
本開示は、さらに、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトでNKT細胞を改変する工程と、反復的な暴露後にセントラルメモリーNKT細胞の特性である増殖能および細胞毒性を保持する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法を提供し、包含する。
【0024】
本開示は、さらに、生体外培養用のNKT細胞を得ることと、前記NKT細胞を、αGalCerパルスPBMCまたはαGalCer担持aAPCと、Wntリガンド、GSK3β阻害剤、IL-21、TWS119、Wnt経路の小分子活性化因子、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、添加されたWntシグナル経路活性化因子と、の存在下で培養することと、を含む、治療用のCD62L(+)NKT細胞を作製する方法を提供し、包含する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面を参照しながら本開示を開示する。
【0026】
図1図1は、CD62L+NKTにパーティションされた、セントラルメモリーCD4+T細胞シグネチャー(Abbas et al., 2009)の濃縮を示す遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)プロットを示しており、CD62L+NKTがセントラルメモリー様RNA発現プロファイルを有することを示している((Abbas et al., 2009)。
【0027】
図2図2は、7人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および、全ドナーのLEF1+細胞の割合の平均±SEM(b)(n=7、***P<0.001、対応のあるスチューデントt検定)であり、発現デコンボリューション法から得られた重要な発見を検証している。
【0028】
図3図3は、生体外で増殖させたNKTにおいてLEF1およびTCF1の共発現を示す3人のドナーからの細胞内フローサイトメトリーの代表的なプロットである。NKTがCD62L-(a)集団とCD62L+(b)集団にゲーティングされている。
【0029】
図4図4は、細胞をCD62L-LEF1-集団、CD62L+LEF1-集団、およびCD62L+LEF1+集団(a)にゲーティングしている、あるドナーの細胞内フローサイトメトリーの代表的なドットプロットであり、TIM-3発現の7人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラムが(b)に示されており、全てのドナーのTIM-3 MFIの平均値±SEMが(c)に示されている(n=7、P<0.05、ns:有意差なし、一元配置分散分析とシダックの事後検定)。
【0030】
図5図5は、磁気ソートされたCD62L+サブセットおよびCD62L-サブセットの、定量PCRで測定され、ddCt法で算出された、Wnt標的遺伝子の発現に関する4人のドナーの結果のまとめである。Axin2(a)、Myc(b)、およびTCF7(c)。
【0031】
図6図6は、生体外刺激後12日目の、7-TGCレポーター(a)を形質導入されたNKT細胞における形質導入およびWnt活性を示す、細胞内フローサイトメトリーの代表的なドットプロットである。非形質導入NKT(b)、7-TGC形質導入NKT(c)、および10μM Wnt活性化因子TWS119で一晩処理した7-TGC形質導入NKT(c)の各ドットプロットが示されている。
【0032】
図7図7は、4人のドナーのうちの1人からの、GFP-サブセットとGFP+サブセットにゲーティングされた、mCherry+NKTにおけるCD62L発現の代表的なヒストグラムであり(a)、全てのドナーの平均的なCD62L+パーセンテージ(b)(n=4、**P<0.01、スチューデントt検定)が示されている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。
【0033】
図8図8は、生体外で10日間増殖させられ、定量的RT-PCRで測定された、NKTにおけるmRNA発現の遺伝子発現の、個々のドナーをそれぞれ含む、3つの独立した実験の要約の要約のプロットである。GAPDH(Gene ID 2597)およびCD19(Gene ID 930)は、それぞれ、ポジティブ発現およびネガティブ発現を示している。GAPDHおよびCD19の範囲内のCt値を有する遺伝子を、有意に発現されていると見なした。Wnt受容体(FRZ1~FRZ10、(a)、補助受容体(LRP5、6)、およびリガンド(Wnt1、Wnt2、Wnt3a、Wnt6、およびWnt8a)が示されている。
【0034】
図9図9は、RNAをK562ベースのaAPCから単離し、定量PCRを行った、3つの独立した実験の要約の要約のプロットであり、Wntリガンド発現(Wnt1、Wnt2、Wnt3a、Wnt6、およびWnt8a)が検出されていないことを示している。GAPDHおよびCD19は、それぞれ、ポジティブ発現およびネガティブ発現を示している。
【0035】
図10図10は、3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーのCD62L+割合の平均(b)(n=3、*P<0.05、スチューデントt検定)であり、0日目に開始して3日間、αGalCerパルス自己PBMCによる刺激後に3μMのWnt阻害剤ICG-001で処理したNKTを示している。CD62L発現は抗原刺激後12日目に調べている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。
【0036】
図11図11は、3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーのCD62L+割合の平均(b)(n=3、P<0.05、スチューデントt検定)であり、図10に示されているように刺激されたが、抗原刺激後0日目、3日目、および7日目に与えられた、PBSまたは500ng/mLのWnt3aの3回の別々の投与により処理された、NKTを示している。CD62L発現は抗原刺激後12日目にフローサイトメトリーにより調べている。
【0037】
図12図12は、6人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーのCD62L+割合の平均(b)(n=6、**P<0.01、スチューデントt検定)であり、図10に示されているように刺激されたが、抗原刺激後7日目に、DMSOまたは5μMのTWS119の1回の投与により処理された、NKTを示している。CD62L発現は抗原刺激後12日目にフローサイトメトリーにより調べている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。
【0038】
図13図13は、αGalCerパルス自己PBMCで刺激され、増殖初期(0日目、1日目、2日目)、増殖後期(6日目、7日目、8日目)、または増殖の全体を通じた(0日目、3日目、8日目)、PBSまたは500ng/mlのWnt3aの3回の投与により処理された、CD62L(+)NKTの頻度を示す、代表的なヒストグラムである。CD62L発現は抗原刺激後12日目にフローサイトメトリーにより調べている。
【0039】
図14図14は、一次刺激後に12日間のIL-2またはIL-2/IL-21との増殖および培養が終わったときのNKT細胞のフローサイトメトリーの結果を示す、3人のドナーのうちの1人の代表的なヒストグラムである。各群で、PBS処理または500ng/mlのWnt3a処理は、抗原刺激後0日目、1日目、および2日目に行われている。
【0040】
図15図15は、図14に示されているように培養され、抗原刺激後7日目にDMSOまたは5μMのTWS119でさらに処理された、NKT細胞のCD62L発現についての、フローサイトメトリーの結果を示す、3人のドナーのうちの1人の代表的なヒストグラムである。
【0041】
図16図16は、NKTに、生体外増殖の10日目にLEF1を標的とするガイドRNAを有するまたは有さないCas9をエレクトロポレートした場合の、3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーのCD62L+割合の平均±SEM(b)(n=3、**P<0.01、ns:有意差なし、スチューデントt検定)である。CRISPR/Cas9を介したLEF1のKOを、エレクトロポレーション後3日目の細胞内フローサイトメトリーにより評価している。NKTをCD62L-集団およびCD62L+集団にゲーティングし、LEF1発現を解析している。
【0042】
図17図17は、エレクトロポレーション後7日目の抗原刺激前の、エレクトロポレート後NKTにおける、3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーのCD62L+割合の平均±SEM(b)(n=3、**P<0.01;ns:有意差なし、対応のあるスチューデントt検定)である。
【0043】
図18図18は、抗原刺激後10日目の、図17に示されているようなエレクトロポレート後NKTにおける、3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーのCD62L+割合の平均±SEM(b)(n=3、**P<0.01;ns:有意差なし、対応のあるスチューデントt検定)である。
【0044】
図19図19は、αGalCerパルスaAPCを用いた二次刺激の2日後に、LEF1のロング型アイソフォーム(Ref SEQ ID:NM_016269.5)を過剰発現するガンマレトロウイルスコンストラクト(GFP.LEF1)、またはGFP.FFLucコンストラクトを形質導入した、3人のドナーのうちの1人からの、代表的なドットプロットである。増殖の12日目に、GFP発現をフローサイトメトリーで評価し、LEF1発現は別に細胞内フローサイトメトリーにより解析した。
【0045】
図20図20は、図19に示されているようなGFP.FFLuc形質導入NKTおよびGFP.LEF1形質導入NKTにおける、MitoTracker染色およびフローサイトメトリーにより解析された、2人のドナーのうちの1人からの、代表的なヒストグラムである。
【0046】
図21図21は、基礎条件下の、並びにオリゴマイシン、FCCP、並びにロテノンおよびアンチマイシンA(Rot/Ant)に応答した、シーホースアッセイにより測定された、GFP.FFLuc形質導入NKTおよびGFP.LEF1形質導入NKTの酸素消費速度(OCR)のグラフである。結果は、試験された2人のドナーのうちの1人からの代表的なものである。
【0047】
図22図22は、3日毎の1:1比のCD1d+J32白血病細胞による反復暴露後の、GFP.FFLucおよびGFP.LEF1を形質導入されたNKTの、NKT細胞数の変化倍率を示すグラフである。サイクル毎に増殖の変化倍率を示している。
【0048】
図23図23は、図22に示されているような反復的キリングアッセイの7サイクル目の結果を示すグラフであり、NKTが1:50比のJ32細胞に3日間暴露されている。腫瘍細胞数が、カウントビーズおよびフローサイトメトリーを用いて求められている。腫瘍減少率が示されている。
【0049】
図24図24は、図22のような反復的キリングアッセイの5サイクル目の結果を示すグラフである。NKTは抗原刺激から分離し、計6日間休ませる。GFPと相関したTIM-3発現を、フローサイトメトリーで調べている。4人のドナーのうちの1人からの代表的なドットプロット(a)、および全ドナーの平均TIM-3 MFI(b)(n=4、***P<0.001、ns:有意差なし、一元配置分散分析およびシダック事後検定(Sidak’s post-test))が示されている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。
【0050】
図25図25は、4人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(a)、および全ドナーの平均CD62L割合(b)(n=4、P=0.07、一元配置分散分析およびシダック事後検定)を示している。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。
【0051】
図26図26は、図22に記載されているように反復暴露されたNKTのフローサイトメトリーを用いた、GFP発現によりモニターされた、形質導入細胞の濃縮のグラフである。
【0052】
図27図27は、本開示の実施形態における例示的なキメラ抗原受容体の図を示している。
【0053】
図28図28は、LEF1の共発現をコードする例示的なCARコンストラクトの図を示している。表示されているように、LEF1コード配列が、CD28(Gene ID 940)もしくは4-1BB細胞内ドメインの下流、またはIL-15の下流に、2A配列の後に挿入されている。
【0054】
図29図29は、αGalCerパルスaAPCによる二次刺激の2日後の、親CAR.GD2コンストラクトまたはLEF1含有CAR.GD2コンストラクトを形質導入されたNKT、並びに、増殖の12日目における、フローサイトメトリーにより測定された、CAR.GD2の細胞表面発現およびLEF1の細胞内発現のドットプロットを示している。代表的なドットプロットが、2人のドナーのうち1人からの、CAR発現に対するLEF1発現を示している。
【0055】
図30図30は、1:1の細胞対細胞比のJ32腫瘍細胞による1回、2回、または7回の暴露後の、親発現コンストラクトまたはLEF1含有発現コンストラクトを形質導入したNKTの、代表的な結果のドットプロットを示している。LEF1含有NKT細胞は7サイクル後も高レベルで残存しており、一方で、対照親NKT細胞により、過剰発現を超えるLEF1(LEF1 over overexpression)が反復的な腫瘍細胞死滅後の後期NKT増殖を促進するものであることが示されている。
【0056】
図31図31は、1:50のエフェクター対ターゲット比を用いた腫瘍細胞死滅暴露の実験計画を示している。
【0057】
図32図32は、図31に示されているようなNKTを腫瘍細胞に1:50比で暴露した後の、NKT増殖の、代表的な結果を示している。LEF1を発現するNKT細胞は、増殖能と、腫瘍細胞を死滅させる能力を保持している。対照的に、GFP発現対照細胞は、増殖できておらず、腫瘍細胞減少を示していない。
【0058】
図33図33は、図32に示された結果のグラフ表示を示している。
【0059】
図34A図34Aおよび図34Bは、二次刺激の10日後の遺伝子発現解析の代表的な結果を示している。目的の発現変動遺伝子(DEG)は、共通の表現型/機能によって分類している。図34Aのパネルaは、NKTにおける、LEF1過剰発現を介した、遺伝子発現変動を示している。結果が以下の表4に示されている。図34Aのパネルbは、発現の変化倍率(LEF1/FFLuc)を示す遺伝子発現の結果をヒートマップとして示している。図35Bのパネルcは、Jeffrey et al., “Positive regulation of immune cell function and inflammatory responses by phosphatase PAC-1 ,” Nat. Immunol. 7)3_:274-283 (2006)の方法による、セントラルメモリーT細胞シグネチャーを示すGSEAプロットを示している。図35Bのパネルdは、Duraiswamy et al., “Phenotype, function, and gene expression profiles of programmed death-1(hi) CD8 T cells in healthy human adults,” J. Immunol. 186(7):4200-4212 (2011) in LEF1-overexpressing NKTsの方法による、CD8T細胞シグネチャーの濃縮が疲弊レベルの低下を伴うことを示す、GSEAプロットを示している。
図34B】同上
【0060】
図35A図35A図35Dのパネルa~gは、CAR-LEF1コンストラクトの設計、およびトランスフェクト後のドナーNKT細胞のキャラクタリゼーションを示している。図35Aのパネルaは、抗GD2 14g2aのscFv、CD8のヒンジおよび膜貫通ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、並びにCD3のζドメインを含有し、2A配列に続きLEF1を伴う(CAR-LEF1)、または伴わない(CAR)、CAR LEF1コンストラクトの例示的な設計の模式図を示している。図35Aのパネルbは、2人のドナーのうちの1人からの、CAR発現に対するLEF1発現を示す代表的なドットプロットを示している。図35Aのパネルcは、トリパンブルー色素排除アッセイにより求められたNKT細胞数を示し、LEF1の組み込みがCAR-NKTの数的増加を改善することを示す、グラフを示している。図35Bのパネルdは、10日間の増殖後のCD62L発現の頻度の代表的なヒストグラムを示しており、6人の代表的なドナーの平均を示している。図35Bのパネルeは、増殖後のTIM-3陽性細胞の頻度の代表的なヒストグラムを示しており、6人の代表的なドナーの平均を示している。図35Cのパネルfは、CAR-NKTの短期的な細胞毒性のグラフ解析を示している。ルシフェラーゼ形質導入GD2+CHLA-255細胞を、CARまたはCAR-LEF1 NKTと共培養させている。代表的なドナーの結果が示されている。図35Cのパネルgは、CAR-NKTからのエフェクターサイトカインの産生のグラフ解析を示している。2人のドナーのうちの1人の代表的な結果が示されている。
図35B】同上
図35C】同上
図35D】同上
【0061】
図36A図36Aおよび図36Bは、インビボのマウスにおける腫瘍の制御で、CAR-LEF1 NKTがより優れた効果を有するという結果を示している。図36Aは、非形質導入(NT)対照群、CAR.GD2形質導入細胞(CAR)、またはCAR.GD2-LEF1形質導入細胞(CAR-LEF1)からの、増殖後NKTの生物発光画像法を示している。腫瘍成長は、生物発光画像法を用いて週1回モニターされている。図36Bは、カプラン・マイヤー法を用いて作製された、試験マウスの生存率のグラフ表示である。
図36B】同上
【0062】
対応する参照文字は、いくつかの図面を通して、対応する部分を示している。本明細書に記載された例は、本開示の1または複数の実施形態の例示であるが、いかなる意味においても本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本願は、遺伝子改変ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)を対象とする。NKT細胞は、T細胞およびNK細胞の両方のいくつかの特徴を共有しているが、通常のT細胞とも、またNK細胞とも異なる、別個の細胞型である。NKT細胞は、通常のT細胞およびNK細胞から多岐にわたる発生をし、ユニークな転写制御因子セットにより駆動される様々な機能を有する。Kronenberg M, Gapin L. The unconventional lifestyle of NKT cells. Nat.Rev. Immunol. 2002;2(8):557-568; Godfrey, JCI, 2004, Cohen NR, et al. Shared and distinct transcriptional programs underlie the hybrid nature of iNKT cells. Natdmmunol. 2013;14(l):90-99.)を参照されたい。Godfrey et al.は、NKT細胞の発生に選択的に影響を与え、NKT細胞系統に付随するユニークなプログラム化を反映している、転写因子、シグナル伝達因子、細胞表面分子、サイトカインなどの因子を特定している。その全体が参照によって本明細書に援用される、(Godfrey et al., “Raising the NKT cell family,” Nat. Immunol., 11(3):197-206 (2010)(“Godfrey et al.”)。また、Engel and Kronenberg, “Transcriptional control of the development and function of Vα4i NKT cells,” Current Topics in Microbiology and Immunology, Volume 381, 2014)も参照されたい。胸腺におけるNKT細胞の分化に影響を与える多くの転写因子およびシグナル伝達分子が、そこで発生する他の通常のT細胞集団には影響を及ぼさない。本開示中で使用される場合、「T細胞」という語は、NKT細胞と区別可能な通常のT細胞に限定される。これらの違いが、刺激に対する反応の違いや、改変による遺伝子発現の増減といった遺伝的変化に繋がり、これが、非NKT細胞での結果を予測不可能なものにしている。
【0064】
NKT細胞は、全ゲノム転写解析に基づいて識別可能であり、通常の系統およびNK細胞系統から等距離にある。上記のCohen et al.を参照されたい。通常のT細胞とは、Tリンパ球としても知られており、病原体と闘い、免疫応答を制御するという機能を有する重要な細胞型である。これらの細胞の2つの顕著な特徴として、細胞分化中に再編成されることで無数の受容体を形成するDNAセグメントによってコードされた抗原受容体の発現がある。多くの細胞が、この包括的定義のT細胞に包含され、例えば、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)(サブタイプTH1、TH2、TH3、TH17、TFHを含む);細胞傷害性T細胞(大部分はCD8+細胞、CTLとも称される);メモリーT細胞(セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、およびレジデントメモリーT細胞を含む);制御性T細胞、および粘膜関連インバリアントT細胞などがある。T細胞の細胞表面マーカーとしては、T細胞受容体およびCD3が挙げられる。通常、T細胞はCD56を発現しない(すなわちCD56ネガティブである)。
【0065】
NK細胞およびNKT細胞はCD56+である。ヒトにおいて、NK細胞は通常、細胞表面マーカーのCD56、CD161、CD11b、NKp46、NKp44、CD158、およびIL-12Rを発現する。NK細胞が発現する受容体はレパートリーが限定されており、全体的に構造が異なり、そのうちのいくつかはNKT細胞上にも存在する。ヒトとげっ歯類を比較したとき、ほとんどのNK受容体は高度な保存がなされていない。NK細胞は、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)ファミリーのメンバーを発現しており、これらは活性化性であることも阻害性であることもあり、また、NKG2DおよびCD94NKG2A/Cなどのタンパク質のレクチン(炭水化物結合)ファミリーのメンバーである受容体を発現している。KIRはNKT細胞上には発現されない。NK細胞は、ヒトにおいてはKIR、あるいはマウスにおいてはLy49、ナチュラルサイトトキシック受容体(natural cytotoxic receptor)(NCR)、NKG2D、およびCD94:NKG2ヘテロ二量体などの、多くの細胞表面受容体によって活性化される。加えて、IL-12、IL-15、IL-18、IL-2、およびCCLSなどのサイトカインおよびケモカインが、NK細胞の活性化において重要な役割を果たす。
【0066】
NKT細胞は、通常、CD3+CD56+細胞として同定でき、T細胞受容体を発現する。NKT細胞は、T細胞のように、T細胞受容体およびCD3の各鎖を発現しているが、NK細胞のようにCD56およびCD161などのマーカーも有している。とはいえ、現在では、NKT細胞が別個の細胞系統であるということが、専門家に一般に認められていることである。すなわち、NKT細胞は他のT細胞とは全く異なるものであり、その挙動と特性は他のT細胞の解析からも、またNK細胞の解析からも、予測できない。NKT細胞は、通常のT細胞やNK細胞とは完全に異なる細胞である。NKT細胞系統の特性が独特であるため、T細胞、NK細胞、およびB細胞などの他のリンパ球集団でなされた知見では、NKT細胞活性化の機能的影響を予測できないことがある。
【0067】
NKT細胞は、細胞表面マーカーの発現に基づいて、CD4T細胞、CD8T細胞、制御性T細胞、γδT細胞、B細胞、NK細胞、単球、および樹状細胞を含む他の細胞型と識別することができる。Park et al., “OMIP-069: Forty-Color Full Spectrum Flow Cytometry Panel for Deep Immunophenotyping of Major Cell Subsets in Human Peripheral Blood,” Cytometry Part A 97A:1044-1051 (2020); Hertoghs et al., OMIP-064: A 27-Color Flow Cytometry Panel to Detect and Characterize Human NK Cells and Other Innate Lymphoid Cell Subsets, MAIT Cells, and γδ T Cells, Cytometry Part A 97A:1019-1023 (2020); Sahir et al., Development of a 43 color panel for the characterization of conventional and unconventional T-cell subsets, B cells, NK cells, monocytes, dendritic cells, and innate lymphoid cells using spectral flow cytometry, Cytometry 2020:1-7を参照されたい。
【0068】
NKT細胞は、I型およびII型という2つの主要なタイプに分けられる。I型NKT細胞またはインバリアントNKT細胞(「iNKT」)として知られている、NKT細胞の最も重要な形態は、インバリアントT細胞受容体α鎖(マウスではVα4iまたはヒトではVα24i)を有する。I型NKT(iNKT)細胞は、αGalCer類似体を搭載したCD1dベースの四量体の結合により容易に検出できる。抗原受容体の形態は、不変のα鎖が比較的少数のβ鎖のうちの1つと対をなすことから、レパートリーが限定されている。阻害、または治療用途。このインバリアントな受容体に認識される抗原は糖脂質であり、例えば細菌細胞に存在するものなどである。このインバリアントな受容体は、元は海洋性海綿動物由来の糖脂質であるα-ガラクトシルセラミド(a-GalCer)を認識する。この化合物は微生物の糖脂質に類似しており、現在では、前記海綿動物と関連した微生物共生体に由来すると一般に考えられている。NKT細胞はCD1d分子上に提示された抗原を必要とする。
【0069】
II型NKT細胞も、CD1dからの抗原提示を必要とするが、多様化しながらも限定されたTCRレパトアを有する。II型NKT細胞は、低レベルの転写因子PLZFを発現する。I型NKT細胞がα-GalCerのみを認識する一方で、II型NKT細胞は、スルファチド、リゾスルファチド、リゾPC、およびリゾGL1を認識する。II型NKT細胞は、ヒトで多く見られるが、マウスでは少なくなる。Dhodpkar and Kumar, “Type II NKT Cells and Their Emerging Role in Health and Disease,” J. Immunol. 198(3):1015-1021 (2017)を参照されたい。
【0070】
NKT細胞の活性化には2つの経路が知られている。NKT細胞は、CD1d分子上に提示された抗原を介し、NKT細胞のT細胞受容体を通して、刺激に応答する。これは、TCRシグナルを発生させるCD4やCD8といった補助受容体の関与に依存しておらず、これらの細胞の反応の、共刺激シグナルに対する依存度はいくらか低い。さらに、抗原がT細胞受容体と結合しない場合も、IL-12およびIL-18などの自然炎症性刺激を介した、NKT細胞が活性化するための機構が存在する。活性化されると、T細胞は末梢血中に見出される。同様に、NK細胞も末梢血中に見出される。対照的に、NKT細胞の大部分は組織に見出され、例えばCCR2およびCCR6が関与する2段階プロセスを介して、末梢血から腫瘍部位へと移動する。この移動に関与する機構はNKT細胞に特有のものであり、他のリンパ球にも当てはまる一般的機構ではない。
【0071】
iNKT細胞は、他のT細胞型と容易に識別できる。表1を参照されたい。増殖させたT細胞のほんの一部しか(CD4 T細胞サブセット)、T細胞受容体(TCR)を介した活性化後に腫瘍保護的なTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13、IL-10)を産生できない。T細胞の大部分(全てのCD8+T細胞を含む)および全てのNK細胞は、抗腫瘍性Th1サイトカイン(すなわち、IFN-γ、GM-CSF、TNF-α)しか産生しない。対照的に、NKT細胞は、Th1サイトカインとTh2サイトカインを同時に産生する。T細胞受容体(TCR)活性化後に産生されたThlサイトカインとTh2サイトカインのバランスに応じて、NKT細胞は免疫応答を活性化または抑制し得る。このように、NKT細胞は、免疫活性化と免疫抑制という、興味深い逆説的な二重機能を有している。対照的に、他の免疫細胞は、例えば病原体と闘うなど、通常は1つの主要な機能を有し、その一方で、他の細胞サブセットが免疫応答の制御に専念する。
【表1】
【0072】
NKT細胞も胸腺で発生するが、I型NKT細胞のポジティブセレクションはCD1d陽性胸腺細胞によって媒介される。NKT細胞は樹状細胞によるネガティブセレクションも受ける。胸腺におけるT細胞およびNKT細胞の発生と成熟をまとめている、Godfrey et al.の図2を参照されたい。
【0073】
特に記載がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本発明で使用される多くの用語の一般的な定義を技術の1つ(one of skill)に提供している:Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cam bridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991);およびHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書で使用される場合、以下の語は、特に指定がない限り、以下でそれらに付与される意味を有する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「約」という語は、±10%を指す。
【0075】
「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含すること(including)」、「有すること(having)」という語、およびこれらの複合表現は、「含むがこれに限定はされない」を意味する。
【0076】
「からなる(consisting of)」という語は、「含んでこれに限定される」を意味する。
【0077】
「から実質的になる(consisting essentially of)」という語は、追加の成分、工程、および/または部分が、特許請求された組成物、方法、または構造の基本的な新規の特徴を実質的に変えない場合に限り、組成物、方法、または構造が、追加の成分、工程、および/または部分を含んでいてもよいことを意味する。
【0078】
本明細書で使用される場合、文脈によって特に明示されていない限り、「a」、「an」、および「the」という単数形は複数形を包含する。例えば、「細胞(a cell)」または「少なくとも1つの細胞(at least one cell)」という語は、その混合物を含む、複数の細胞を含んでよい。
【0079】
「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」という語は、米国特許法でそれらに付与されている最も広い意味を有することが意図され、「包含する(includes)」、「包含すること(including)」などを意味することがある。
【0080】
「増加する(increase)」は、少なくとも5%、正に変化することを意味する。変化は、5%、10%、25%、30%、50%、75%であってよく、さらには100%であってもよい。
【0081】
本願を通じて、本開示の種々の実施形態が、範囲形式で示されている場合がある。範囲形式の記述は単なる便宜と簡潔さのためのものであり、本開示の範囲に対する変更を許さない限定と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能性のある部分範囲の全てを具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1、2、3、4、5、および6などの、その範囲内の個々の数値だけでなく、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲も具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅を問わない。
【0082】
本明細書に数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内に挙げられるいかなる数字も(分数も整数も)含むことが意図される。第1指示数字と第2指示数字と「の間の範囲」および第1指示数字「から」第2指示数字「までの範囲」という表現は、本明細書では同義的に使用され、第1および第2の指示数字と、それらの間にある全ての分数および整数を含むことが意図される。
【0083】
本明細書で使用される場合、「方法」という語は、所与の課題を達成するためのやり方、手段、手法、および手順を指し、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の実施者に公知であるか、または、それらによって既知の方法、手段、手法、および手順から容易に開発される、やり方、手段、手法、および手順を含むが、これらに限定はされない。
【0084】
本明細書で使用される場合、「治療」は、治療を受けている個体または細胞の疾病経過を変化させるための臨床的介入を指し、予防のために実施することもできるし、臨床病理の過程で実施することもできる。治療効果としては、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理的帰結の低減、転移の予防、疾患増悪速度の減少、病状の改善または軽減、および寛解または予後の改善が挙げられるが、これらに限定はされない。疾患または障害の進行を妨げることで、治療は、罹患したもしくは診断された対象または障害を有する疑いのある対象における障害による悪化を防ぐことができるが、治療はまた、障害のリスクがある、または障害を有する疑いがある対象における障害または障害の症状の発症も防ぐこともある。
【0085】
本明細書で使用される場合、「遺伝子改変ナチュラルキラーT(NKT)」とは、非ネイティブプロモーターの下流に外因性タンパク質または内因性タンパク質をコードする少なくとも1つの組み換え核酸を含む、NKT細胞である。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、キメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸を含む。また、キメラ抗原受容体をコードする組み換え核酸とWntシグナル経路の転写因子のタンパク質配列をコードする組み換え核酸を含むNKT細胞も提供され、包含されるが、これらの2つのタンパク質コード配列は別々の組み換え核酸構築体中に提供され得る。
【0086】
「内因性」とは、核酸分子またはポリペプチドが、通常は細胞または組織で発現されるものであることを意味する。
【0087】
「外因性」とは、核酸分子またはポリペプチドが、細胞に内因的に存在しないか、過剰発現された場合に得られる機能的効果を達成するのに十分なレベルで存在しないことを意味する。したがって、「外因性」という語は、外来性、異種性、過剰発現された核酸分子およびポリペプチドなどの、細胞において発現されたあらゆる組み換え核酸分子やポリペプチドを包含する。
【0088】
「単離細胞」とは、当該細胞に天然に同伴する分子成分および/または細胞成分から分離された細胞を意味する。
【0089】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」という語は、本明細書で使用される場合、免疫エフェクター細胞上に発現され、抗原と特異的に結合するように改変された、人工的なT細胞受容体を指す。一般的なCARの図を図27aに示す。各態様において、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。ある態様において、CARが、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含んで細胞内ドメインを含まないことがあるが、本出願のより多くのCARが細胞内ドメインを含み、細胞内シグナル伝達をもたらす。
【0090】
「受容体」とは、1または複数のリガンドと選択的に結合する、細胞膜上に存在するポリペプチドまたはその一部を意味する。
【0091】
本明細書で使用される場合、「細胞外ドメイン」という語は、CARの細胞外部分を指し、シグナルペプチド、抗原認識ドメイン、および抗原認識ドメインを膜貫通ドメインに連結するスペーサーまたはヒンジ領域を含む。発現されると、シグナルペプチドは取り除かれる場合がある。
【0092】
本明細書で使用される場合、「抗原認識ドメイン」は、通常、特定のがん抗原に特異的な単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む。いくつかの態様において、同一細胞に2つ以上のCARが存在する場合、第2のCARは別の特定の抗原に特異的なscFvを含んでよい。
【0093】
本明細書で使用される場合、「単鎖可変領域フラグメント」または「scFv」という語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するように共有結合した、免疫グロブリンの重鎖の可変領域(VH)および軽鎖の可変領域(VL)の融合タンパク質である。重鎖(VH)と軽鎖(VL)とは、直接繋がっているか、または、VHのN末端をVLのC末端と連結する、もしくはVHのC末端をVLのN末端と連結する、ペプチドをコードするリンカー(例えば、10、15、20、25アミノ酸)によって繋げられている。リンカーは、通常、可動性のためにグリシンリッチであり、また、溶解性のためにセリンまたはスレオニンリッチである。定常領域が除去され、リンカーが導入されているのにもかかわらず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持している。Huston, et al.(Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883, 1988)に記載されているように、VHコード配列およびVLコード配列を含む核酸から、一本鎖Fvポリペプチド抗体を発現させることができる。米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号、および同第4,956,778号;並びに米国特許出願公開第20050196754号および同第20050196754号も参照されたい。
【0094】
本明細書で使用される場合、「スペーサー」または「ヒンジ領域」は、組換えタンパク質の所望により存在するリンカー部分であり、さらには、膜貫通ドメインと抗体認識ドメインとの間の短ペプチド断片である。スペーサーまたはヒンジ領域は1~20アミノ酸であり得る。細胞外ドメイン用のヒンジ領域の例としては、免疫グロブリンのCH2CH3領域、IgG1由来のヒンジ領域、およびCD3の一部が挙げられる。
【0095】
本明細書で使用される場合、「膜貫通ドメイン」は、タンパク質が発現された際に、二重層を少なくとも1回通過する、主に非極性アミノ酸残基である、領域である。一般的に、膜貫通ドメインは、18~21個のアミノ酸残基によってコードされ、αヘリックス立体構造をとる。本明細書で使用される場合、膜貫通ドメインは、当該技術分野において公知のいかなる種類のものであってもよい。各態様において、膜貫通ドメインは、いくつかの例においてであるが、CD28である。他の供給源として、CD3-C、CD4、またはCD8が挙げられる。細胞外ドメインの例示的な組み合わせを図27bに示す。他の好適な膜貫通領域を、CD16、NKp44、NKp46、およびNKG2dから得ることができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「細胞内ドメイン」という語は、細胞内のシグナル伝達を可能にするCARの細胞内ドメインを指す。一般に、細胞内ドメインは、刺激ドメインと、所望により共刺激ドメインの、2つの部分にさらに分けることができる。共刺激ドメインは、図27aでは刺激ドメインのアミノ末端側に配置するように示されているが、本明細書は、アミノ末端側に刺激ドメインがあり、共刺激ドメインが存在する場合はそれに続くものも提供する。最もよく使用される細胞内ドメイン成分は、3つのITAMを含有し、抗原が結合した後に活性化シグナルをNKT細胞に伝達する、CD3-ζである。他の好適な刺激ドメインは、2B4(CD244)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー9(Gene ID 3604、例えば、4-1BBまたはCD137)、インターロイキン21(IL-21、Gene ID 59067)、造血細胞シグナルトランスデューサー(hematopoietic cell signal transducer)(HCST、Gene ID 10870、例えば、DAP10)、および膜貫通型免疫シグナル伝達アダプター(transmembrane immune signaling adaptor)(TYROBP、Gene ID 7305;DAP12)から得ることができる。
【0097】
「腫瘍抗原」という語は、本明細書で使用される場合、正常細胞や非新生細胞と比較して、腫瘍細胞上で独自に発現する、または発現に差がある、抗原(例えば、ポリペプチド、糖タンパク質、または糖脂質)を指す。本発明に関連して、腫瘍抗原とは、抗原認識受容体(例えば、CD19、Muc-1)が認識可能である、または受容体-リガンド結合(例えば、CD47、PD-L1/L2、87.112)を介して免疫応答を抑制することが可能である、腫瘍によって発現されるあらゆるポリペプチドを含む。
【0098】
「組織抗原」とは、腫瘍細胞と比較して、正常または非腫瘍性の細胞または組織上に独自に発現される、または発現差がある、抗原(例えば、ポリペプチドまたは糖タンパク質もしくは糖脂質)を意味する。
【0099】
本明細書で使用される場合、「マーカーの発現が陽性」という語は、イムノアッセイ、PCR、またはqPCRにより、当該マーカーの発現が検出されたことを言う。個々の発現細胞を検出可能であることから、イムノアッセイによる検出が好ましい。発現は、「高」発現または「低」発現とさらに区別できる。
【0100】
本発明の方法において有用な核酸分子としては、本発明のポリペプチドまたはその断片をコードするあらゆる核酸分子が挙げられる。このような核酸分子は、内在性核酸配列と100%同一である必要はないが、通常は実質的な同一性を示すこととなる。
【0101】
「実質的に同一な」とは、ポリペプチド分子または核酸分子が、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)または参照核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のうちのいずれか1つ)に対し少なくとも50%の同一性を示すことを意味する。このような配列は、比較に使用された配列に対して、アミノ酸レベルで、または核酸において、少なくとも60%同一であることが好ましく、80%または85%同一であることがより好ましく、90%、95%、さらには99%同一であることがより好ましい。内在性配列に対し「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的に、挙げられた核酸配列と少なくとも80%の同一性を共有する。いくつかの態様において、ポリペプチドをコードするコドンの重複性の観点から、同一性を下げることが可能である。1つの態様において、本願の核酸は、本明細書のポリペプチドに対し90%以上の同一性を有するポリペプチドをコードする。
【0102】
配列同一性は、典型的には、当該技術分野において広く利用できる配列解析ソフトウェアを用いて測定される。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、および/または他の改変に対し、相同性の程度を割り当てることで、同一または類似の配列同士を一致させる。保存的置換としては、典型的には、以下の群に含まれる置換が挙げられる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を求める例示的なアプローチでは、BLASTプログラムが使用されることがあり、e-3~e-100の確率スコアは、密接に関連した配列であることを示す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「NKT細胞の疲弊」とは、感染または疾患の結果として起こる場合がある、NKT細胞機能の喪失を指す。NKT細胞の疲弊は、PD-1、TIM-3、およびLAG-3の発現増加、アポトーシス、並びにサイトカイン分泌の減少と関連している。本明細書で使用される場合、「疲弊が低減された」NKT細胞は、複数回の増殖を行うことができることによって特徴付けられる。一般に、疲弊が低減されたNKT細胞は、マーカーであるLAG-3、TIM-3、およびPD-1を発現しないか、または、それらのマーカーを低レベルに発現する。さらに、NKT細胞機能を保持し、NKT細胞の疲弊を示さない、細胞の例としては、CD62L(+)細胞が挙げられるが、これらに限定はされない。本明細書において提供されているように、Wntシグナル経路における外来性転写活性化因子を発現する細胞は、NKT細胞の疲弊が低減された細胞である。
【0104】
「対象」、「個体」、および「患者」という語は、本明細書では同義的に使用され、哺乳類を含むがこれに限定はされないあらゆる脊椎動物対象を指し、ヒトなどの霊長類が好ましく、マウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などの非ヒト霊長類も包含され;この語は特定の年齢を表すものではない。すなわち、成体および新生児(仔)の個体の両方が包含されることが意図される。
【0105】
「有効量」とは、治療効果を有するのに十分な量を意味する。1つの実施形態では、「有効量」は、新形成の持続的な増殖、成長、または転移(例えば、浸潤、または移動)を、停止する、改善する、または阻害するのに十分な量である。
【0106】
「異種核酸分子またはポリペプチド」とは、細胞または細胞から得られた試料に通常は存在しない、核酸分子(例えば、cDNA分子、DNA分子、またはRNA分子)またはポリペプチドを意味する。この核酸は、別の生物からのものであってもよく、あるいは、例えば、細胞または試料において通常は発現されないmRNA分子であってもよい。
【0107】
「免疫応答細胞」とは、免疫応答において機能する細胞、またはその前駆細胞、もしくは子孫を意味する。
【0108】
「単離された」、「純化された」、または「生物学的に純粋な」という語は、物質が、その天然状態で存在する場合に、通常その物質と共に存在する成分を、様々な程度に、含んでいないこと、を言う。「単離する」とは、元の供給源または環境からのある程度の分離を表す。「純化する」とは、単離よりも程度の高い分離を表す。「純化された」または「生物学的に純化された」タンパク質は、いかなる不純物も当該タンパク質の生物学的特性に実質的に影響しないように、または他の有害事象を引き起こさないように、他の物質を十分に含まないものである。すなわち、本発明の核酸またはペプチドは、組換えDNA技術で作製された場合は、細胞性物質、ウイルス性物質、および培地を実質的に含まないならば、純化されており、あるいは、化学合成された場合は、化学的前駆物質および他の化学物質を含まないならば、純化されている。純度および均一性は、典型的には、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを用いて求められる。「純化された」という語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルで本質的に一本のバンド生じることを表すものであることがある。リン酸化やグリコシル化などの修飾を受ける可能性があるタンパク質の場合、修飾の違いにより、異なる単離タンパク質が生じることがあり、それらは別々に純化することができる。
【0109】
「薬剤を得ること」などにおける「得ること」という語は、薬剤(または表示された物質または材料)を購入すること、合成すること、または他の方法で獲得することを包含することが意図される。
【0110】
「改変する」とは、正または負に変化することを意味する。例示的な改変としては、1%、2%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%の変化が挙げられる。
【0111】
「新形成」とは、細胞または組織の病的増殖と、その後に起こる他の組織または臓器への移動または浸潤によって特徴付けられる疾患を意味する。新形成の成長は、典型的には制御されず進行性であり、正常細胞の増殖を誘発しないであろう条件下でも、正常細胞の増殖停止を引き起こすであろう条件下でも起きる。新形成は、膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、神経膠、食道、ファロピウス管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖路、尿管、尿道、子宮、および腟からなる群から選択される臓器、またはその組織もしくは細胞型を含むがこれらに限定はされない、種々の細胞型、組織、または臓器に影響を及ぼす可能性がある。新形成は、肉腫、癌腫、または形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)などのがんを含む。本発明を使用できる例示的な新生物としては、限定はされないが、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキンスリンパ腫)、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、重鎖病、並びに、肉腫および癌腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌(nile duct carcinoma)、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫(oligodenroglioma)、シュワン細胞腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)が挙げられる。
【0112】
「機能的に連結された」とは、本明細書で使用される場合、2つ以上の生体分子が、当該生体分子に結び付けられた生物学的な機能、活性、および/または構造が少なくとも保持されるように連結されていることを意味する。ポリペプチドに関しての場合、上記の語は、2つ以上のポリペプチドの連結によって、各ポリペプチド成分の個々の活性のうちのいくつかを少なくとも保持する融合ポリペプチドが得られることを意味する。これらの2つ以上のポリペプチドは、直接連結されてもよいし、リンカーを介して連結されてもよい。核酸に関しての場合、上記の語は、適切な分子(例えば、転写活性化因子タンパク質)が第2ポリヌクレオチドに結合した際に第1ポリヌクレオチドの転写を指示する第2ポリヌクレオチドに隣接して第1ポリヌクレオチドが配置されていることを意味する。
【0113】
本明細書で使用される場合、「細胞集団」とは、複数の細胞を指し、均一(homogenous)集団だけでなく、異なる細胞型の混合物をさらに含んでよい。本明細書で使用される場合、均一(homogenous)集団は、
【0114】
「減少する」とは、少なくとも5%、負に変化することを意味する。変化は、5%、10%、25%、30%、50%、75%であってよく、さらには100%であってもよい。
【0115】
「認識する」とは、選択的に標的と結合することを意味する。ある細胞を認識するNKT細胞は、典型的には、その細胞によって発現された抗原と結合する受容体を発現している。
【0116】
「参照」または「対照」とは、比較の標準を意味する。例えば、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、CAR、またはこれらの組み合わせを発現する細胞の免疫応答が、CAR単独を発現する対応する非改変細胞の免疫応答と比較され得る。
【0117】
「類似体」とは、参照ポリペプチドまたは参照核酸分子の機能を有する構造的な関連性があるポリペプチドまたは核酸分子を意味する。
【0118】
「疾患」とは、細胞、組織、または臓器の正常な機能にダメージを与える、またはそれを妨げる、あらゆる状態または障害を意味する。疾患の例としては、新形成または細胞の病原体感染が挙げられる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「自律的リボソーム内自己プロセシングペプチド」は、ポリタンパク質を処理して別々のタンパク質にするためのプロテアーゼの必要がない、18アミノ酸の小ペプチドである。口蹄疫ウイルスで最初に発見され、2つのタンパク質の間のリンカーとして導入された場合、これらのペプチドは、ポリタンパク質の自律的リボソーム内自己プロセシングを可能にする。同様の配列が、ピコルナウイルス科(pircornaviradae)の他のメンバーで同定されている。de Felipe, “Skipping the co-expression problem: the new 2A ‘CHYSEL’ technology,” Genetic Vaccines and Therapy 2:13 (2004)を参照されたい。
【0120】
本明細書で使用される場合、「IRES」は、第2シストロンを翻訳するためのリボソームの内部進入を可能にする配列(約0.5kb)である配列内リボソーム進入部位(IRES)である を指す。それぞれのシストロンは、異なる翻訳開始イベントから翻訳される。
【0121】
本明細書で使用される場合、「セントラルメモリーNKT細胞の特性」という語は、幹細胞の特性を有し、増殖が可能であり、抗原提示細胞に対する細胞毒性を保持する、NKT細胞を指す。セントラルメモリー様RNA発現プロファイルの代表的なサンプルが、CD62L+iNKT細胞の場合で、図1に示されている。図1は、セントラルメモリーCD4+T細胞シグネチャーを有する細胞で見られる遺伝子の濃縮を示している(Abbas et al., 2009)。セントラルメモリーNKT細胞の特性を有する細胞としては、CD62L+iNKT細胞が挙げられるが、必ずしもこれに限定はされない。セントラルメモリーNKT細胞集団は、抗原提示細胞による複数回の暴露後も、増殖能(図22)と細胞毒性(図23)を保持する。本明細書に示されているように、Wntシグナル経路の活性化は、セントラルメモリーNKT表現型を維持する。対照的に、初期培養を含む、NKT細胞 培養中に、CD62L+iNKT細胞は、セントラルメモリー特性を喪失し、反復的な暴露後に増殖能と細胞毒性を喪失する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「操作する」という語は、1または複数の外来性核酸配列を導入するための細胞の遺伝子改変を指す。操作によって導入された外来性核酸配列が、転写および翻訳されることでタンパク質を発現することが好ましい。外来性核酸配列の導入は、形質転換、トランスフェクション、および形質導入を含む、当該技術分野において公知の方法を用いて行うことができる。
【0123】
本明細書で使用される場合、「Wntシグナル経路における転写活性化因子」という語は、通常、細胞において外因的に発現された場合に、Wnt/β-カテニンシグナル経路の下流の遺伝子を活性化するタンパク質を指す。例えば、図11に示されるようなWntリガンドの添加は、Wnt経路を活性化させ、セントラルメモリー特性を有するNKT細胞の一例であるCD62L+である細胞の頻度を増加させる。Wntシグナル経路における転写活性化因子は、LEF1などのWntシグナル伝達の正の制御因子の発現(例えば、実施例6および実施例7、並びに図19図20図27などに示される)と、GSK3βなどの負の制御因子の阻害(実施例3、図12 とを含む。また、Wntシグナル伝達の転写活性化因子に含まれるものとして、Blagodatski et al., “Small Molecule Wnt Pathway Modulators from Natural Sources: History, State of the Art and Perspectives,” Cells 9:589 (2020) and Verkaar et al., “Discovery of Novel Small Molecule Activators of β-catenin Signaling,” PLoS ONE 6(4): e19185 (2011)に記載されているものを含むがこれらに限定はされない小分子活性化因子もあり、TWS119などのWntシグナル伝達の負の制御因子の阻害剤(実施例3、図12)も含まれる(Ding et al., Synthetic small molecules that control stem cell fate,” PNAS 100(13):7632-7 (2003)を参照)。
【0124】
本明細書で使用される場合、「増殖因子を発現する」という表現は、1または複数の増殖因子の、通常は異種プロモーターの制御下の、さらには、CHYSEL配列の下流のポリタンパク質の一部としてである場合が多い、外因的発現を指す。
【0125】
本明細書は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を発現するように改変された遺伝子改変NKT細胞を提供し、包含する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、タンパク質配列CARをコードする発現コンストラクトをさらに含む。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、2つの発現コンストラクトを含み、1つ目はCARの発現をコードするものであり、2つ目はWntシグナル経路における転写活性化因子の発現をコードするものである。また、Wntシグナル経路における転写活性化因子と、最大3つの追加のタンパク質配列と、をコードするタンパク質を発現する発現コンストラクトが提供される。各態様において、発現コンストラクトは、CARと、Wntシグナル経路における転写活性化因子と、を含むポリタンパク質をコードする。CARとWntシグナル経路における転写活性化因子とを含むポリタンパク質をコードする発現コンストラクトは、追加のコード配列(例えば、シストロン)をさらに含んでいてよい。各態様において、ポリタンパク質をコードする発現コンストラクトは、CARと、Wntシグナル経路における転写活性化因子と、増殖因子と、を含む。
【0126】
本明細書において提供されているように、各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、I型NKT細胞である。1つの態様において、I型NKT細胞は、CD62L陽性(CD62L+)NKT細胞である。通常、本開示のNKT細胞は、ヒト末梢血から単離され、遺伝子改変NKT細胞を作製するために遺伝子コンストラクトを導入する前に、20日間未満の培養を経ている。
【0127】
各態様において、本開示の遺伝子改変NKT細胞は、細胞マーカーCD4、CD28、4-1BB、CD45RO(Gene ID5788)、OX40、CCR7、およびこれらの組み合わせの発現によってさらに特徴付けられる。これらのマーカーの発現は、NKT細胞が抗腫瘍反応を媒介できる腫瘍部位にNKT細胞を輸送することと密接に結び付いている。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、S1PR1、IL-7Ra、IL21Rなどであるが、これらに限定はされない、NKT細胞の生存および記憶のマーカーを発現する。各態様において、本開示の遺伝子改変NKT細胞は、疲弊マーカーであるTIM-3、LAG3、およびPD-1を低レベルで発現する。
【0128】
1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞における発現コンストラクトは、Wntシグナル経路における転写活性化因子および最大3つの追加のタンパク質コード配列のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む。追加のタンパク質コード配列は、それぞれ、それ自身のプロモーターから発現させることができ、または、ある態様では、単一のプロモーターから発現させることができ、また、追加のコード配列の発現は、コードされたタンパク質毎に、配列内リボソーム進入配列(internal ribosomal entry sequence)(IRES)によって駆動される。
【0129】
1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞における発現コンストラクトは、ポリタンパク質の一部としての、Wntシグナル経路における転写活性化因子および最大3つの追加のタンパク質コード配列のタンパク質配列をコードし、各タンパク質コード配列は、自律的リボソーム内自己プロセシングペプチドによって互いに隔てられている。1つの態様において、自律的リボソーム内自己プロセシングペプチドは、口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列または関連のシス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)である。
【0130】
本明細書は、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、およびTLEファミリーメンバー1、転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含むがこれらに限定はされない、Wntシグナル経路における転写活性化因子を発現するように改変された遺伝子改変NKT細胞を提供し、包含する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0131】
また、Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードしており、キメラ抗原受容体(CAR)のタンパク質配列をコードしている、発現コンストラクトを含む遺伝子改変NKT細胞が、本開示によって包含され、提供される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、Wntシグナル経路タンパク質およびキメラ抗原受容体(CAR)をコードする別々の発現コンストラクトを含む。他の態様において、遺伝子改変NKT細胞は、Wntシグナル経路タンパク質およびキメラ抗原受容体(CAR)をコードする単一の発現コンストラクトを含む。さらなる態様において、Wntシグナル経路タンパク質およびキメラ抗原受容体(CAR)は、CHYSEL配列によって隔てられた単一のポリタンパク質として、またはIRES配列によって隔てられた別々のシストロンとして、コードさせることができる。さらなる態様において、Wntシグナル経路タンパク質およびキメラ抗原受容体(CAR)をコードする発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、およびIL-7から選択される増殖因子の配列をコードする第3のタンパク質をさらに含むことができる。
【0132】
本開示は、がん抗原を認識する抗体認識ドメインを含むCARタンパク質を提供し、包含する。各態様において、CARは、がん抗原に対する抗体認識ドメインと、スペーサーまたはヒンジ領域と、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインと、を含む。1つの態様において、抗体認識ドメインは、単鎖可変領域フラグメント(scFv)である。ある態様では、抗体認識ドメインは、例えば、目的の抗原を発現するがん細胞の細胞表面上のがん抗原に対するものである。各態様において、細胞内ドメインは、T細胞受容体z鎖(z-chain)に由来するものなどの、刺激ドメインを含む。他の態様において、本明細書の刺激ドメインとしては、CD27、CD28、4-IBB、およびOX40などの共起刺激分子からの細胞内ドメイン、またはIL7およびIL15などのサイトカイン受容体のシグナル伝達成分が挙げられるが、これらに限定はされない。各態様において、共起刺激分子は、抗原結合後にCARによって生産されたNKT細胞の活性化、増殖、および細胞毒性を増強するために用いられる。特定の態様において、共起刺激分子はCD28、OX40、または4-1BBである。
【0133】
ある態様において、遺伝子改変NKT細胞は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせてCARを少なくとも含むように改変される。特定の態様において、特定のNKT細胞は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、2つ以上のCARの発現を含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン(CTNNB1)、Smad3、およびTLE1からなる群から選択される、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現コンストラクトを含む。ある態様において、転写活性化因子は、1または複数のCARと組み合わせた、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、NP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である。
【0134】
メラノーマ関連抗原(MAGE)、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、またはCD44v6などのがん抗原が、本開示によって包含され、提供される。1つの態様において、がん抗原は、CD19、GD2、およびGPC3からなる群から選択される。別の態様において、がん抗原はCD19である。1つの態様において、がん抗原はGD2である。さらに別の態様において、がん抗原はGPC3である。
【0135】
また、MAGE、PRAME、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、およびCD44v6からなる群から選択されるがん抗原を認識する2つ以上のCAR分子を含む遺伝子改変NKT細胞細胞が、本開示によって包含され、提供される。2つ以上のCAR分子を含む遺伝子改変NKT細胞は、Wntシグナル経路タンパク質を発現するためのコンストラクトをさらに含み、また、IL-2、IL-4、IL-7、IL-15、およびIL-21から選択される増殖因子を発現するための組換え配列をさらに含んでいてよい。発現コンストラクトは別々に作製することもできるが、CHYSEL配列を有する1または複数のポリタンパク質発現コンストラクトとして作製することがより好都合である。
【0136】
通常、CARの細胞外ドメインは、シグナルペプチド、抗原認識ドメイン、および抗原認識ドメインを膜貫通ドメインに繋げるスペーサーを含む。抗原認識ドメインは、通常、特定のがん抗原に特異的な単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含むものである。しかし、同一細胞に2つ以上のCARが存在する場合、第2のCARは別の特定の抗原に特異的なscFvを含む場合がある。がん抗原の例としては、上記の抗原が挙げられる。
【0137】
ポリタンパク質をコードする発現コンストラクトの具体例を図29のa~lに挙げているが、これらに限定されない。図示されているように、発現コンストラクトは、Wnt転写因子であるLEF1と組み合わせて、がん抗原であるCD19、GD2、またはGPC3を認識する抗体認識ドメインを含む。また、増殖因子IL-15をさらにコードする発現コンストラクトが図示されている。
【0138】
細胞外ドメイン用のヒンジ領域の例としては、免疫グロブリンのCH2CH3領域、IgGl由来のヒンジ領域、およびCD3の一部が挙げられる。膜貫通領域は、いかなる種類のものであってもよいが、いくつかの場合ではCD28である。
【0139】
通常、本開示のCARの細胞内ドメインは、抗原認識および受容体同士のクラスター後の細胞内のシグナル伝達のために利用される。最もよく使用される細胞内ドメイン成分は、3つのITAMを含有し、抗原が結合した後に活性化シグナルをT細胞に伝達する、CD3-ζである。いくつかの実施形態において、CD3-ζと、CD28、4-IBB、および/またはOX40との組み合わせなどの、追加の共刺激シグナル伝達が利用される。
【0140】
各タンパク質を特定の順番で発現する場合の発現コンストラクトが示されているが、本開示はそれに限定はされない。例えば、図28cのコンストラクトは、IL-15と、それに連結したCARと、それに連結したLEF1を発現するように構成することもでき、LEF1と、それに連結したIL-15と、それに連結したCARを発現するように構成することもできる。さらに、scFV配列(CD19特異的抗体FMC-63、GD2特異的抗体14G2a、またはGD3特異的抗体Y035)を、上述のがん抗原の抗体配列と置き換えることができることは、当業者には明らかであろう。同様に、LEF1配列は、Wntシグナル経路タンパク質であるβカテニン(CTNNB1)、Smad3、またはTLE1と置き換えることができ、同様に、IL-15配列は、IL-2、IL-4、IL-7、およびIL-21のうちのいずれか1つと置き換えることができる。本明細書において提供されているように、Wntシグナル経路タンパク質を発現する遺伝子改変NKT細胞は、培養中のNKT細胞の疲弊を抑制し、CD1+J32白血病細胞などによる複数回の暴露後に持続的な発現能を提供する。
【0141】
本開示は、遺伝子改変NKT細胞細胞集団を提供し、包含する。いくつかの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、純化された遺伝子改変NKT細胞集団とすることができる。一般的に、NKT細胞は、低レベルにではあるが、PBMC中に存在しており、それから入手可能である。NKT細胞を、ポジティブセレクション法またはネガティブセレクション法で単離し、増殖させ、本開示のベクターをトランスフェクションまたは形質導入することで、遺伝子改変NKT細胞を作製することができる。本開示の遺伝子改変NKT細胞集団は、任意の数の細胞を含むことができるが、通常、少なくとも100,000個またはそれ以上の細胞の集団である。各態様において、前記集団は、10~1010個の細胞である場合がある。遺伝子改変NKT細胞が亜集団である混合集団も包含され、提供される。
【0142】
他の態様において、遺伝子改変NKT細胞は、細胞亜集団である。NKT細胞は、あるいは、前記NKT細胞は、B細胞および/または他の末梢血細胞などの異なる種類の細胞による集団の形態である場合がある。NKT細胞は、CD4+T細胞などのT細胞サブセットの純化集団である場合があり、または、T細胞サブセット内のNKT細胞集団である場合がある。本発明の別の実施形態においては、T細胞は、長期間培養下で維持されたT細胞クローンである。T細胞クローンは、様々な程度にトランスフェクションまたは形質導入される場合がある。特定の実施形態において、T細胞は、培養下で無限に増殖するT細胞クローンである。
【0143】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む、複数の遺伝子改変NKT細胞を含む細胞集団を提供し、包含する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞集団は、非改変I型NKT細胞、非改変II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、または他の非改変細胞をさらに含む混合集団である。各態様において、遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団のうちの10%超を構成する。別の態様において、遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団のうちの25~30%である。
【0144】
ある態様において、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞は、総細胞集団の、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する。ある態様において、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞は、総細胞集団の約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約10%~約55%、約10%~約60%、約10%~約65%、約10%~約70%、約10%~約75%、約10%~約80%、約10%~約85%、約10%~約90%、約10%~約95%、約10%~100%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約15%~約55%、約15%~約60%、約15%~約65%、約15%~約70%、約15%~約75%、約15%~約80%、約15%~約85%、約15%~約90%、約15%~約95%、約15%~100%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約20%~約55%、約20%~約60%、約20%~約65%、約20%~約70%、約20%~約75%、約20%~約80%、約20%~約85%、約20%~約90%、約20%~約95%、約20%~100%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約25%~約55%、約25%~約60%、約25%~約65%、約25%~約70%、約25%~約75%、約25%~約80%、約25%~約85%、約25%~約90%、約25%~約95%、約25%~100%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約30%~約55%、約30%~約60%、約30%~約65%、約30%~約70%、約30%~約75%、約30%~約80%、約30%~約85%、約30%~約90%、約30%~約95%、約30%~100%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約35%~約55%、約35%~約60%、約35%~約65%、約35%~約70%、約35%~約75%、約35%~約80%、約35%~約85%、約35%~約90%、約35%~約95%、約35%~100%、約40%~約45%、約40%~約50%、約40%~約55%、約40%~約60%、約40%~約65%、約40%~約70%、約40%~約75%、約40%~約80%、約40%~約85%、約40%~約90%、約40%~約95%、約40%~100%、約45%~約50%、約45%~約55%、約45%~約60%、約45%~約65%、約45%~約70%、約45%~約75%、約45%~約80%、約45%~約85%、約45%~約90%、約45%~約95%、約45%~100%、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約50%~約95%、約50%~100%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約55%~約95%、約55%~100%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約60%~約95%、約60%~100%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約65%~約95%、約65%~100%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約70%~約95%、約70%~100%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~100%、約80%~約85%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~100%、約85%~約90%、約85%~約95%、約85%~100%、約90%~約95%、約90%~100%、または約95%~100%を構成する。ある態様において、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞は、総細胞集団の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%を構成する。
【0145】
本開示は、複数の遺伝子改変NKT細胞がCD62L(+)NKT細胞を少なくとも50%含む、遺伝子改変NKT細胞を提供し、包含する。
【0146】
ある態様において、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞は、CD62L(+)NKT細胞を、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%含む。ある態様において、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞は、CD62L(+)NKT細胞を、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約50%~約95%、約50%~100%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約55%~約95%、約55%~100%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約60%~約95%、約60%~100%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約65%~約95%、約65%~100%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約70%~約95%、約70%~100%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~100%、約80%~約85%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~100%、約85%~約90%、約85%~約95%、約85%~100%、約90%~約95%、約90%~100%、または約95%~100%含む。
【0147】
ある態様において、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞は、CD62L(+)NKT細胞を、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%含む。
【0148】
本開示は、前記複数の遺伝子改変NKT細胞がLEF1を発現する、遺伝子改変NKT細胞を提供し、包含する。1つの態様においては、少なくとも30パーセントの複数の遺伝子改変NKT細胞がLEF1を発現する。ある態様においては、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞のうちの、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、LEF1を発現する。ある態様においては、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞のうちの、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約30%~約55%、約30%~約60%、約30%~約65%、約30%~約70%、約30%~約75%、約30%~約80%、約30%~約85%、約30%~約90%、約30%~約95%、約30%~100%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約35%~約55%、約35%~約60%、約35%~約65%、約35%~約70%、約35%~約75%、約35%~約80%、約35%~約85%、約35%~約90%、約35%~約95%、約35%~100%、約40%~約45%、約40%~約50%、約40%~約55%、約40%~約60%、約40%~約65%、約40%~約70%、約40%~約75%、約40%~約80%、約40%~約85%、約40%~約90%、約40%~約95%、約40%~100%、約45%~約50%、約45%~約55%、約45%~約60%、約45%~約65%、約45%~約70%、約45%~約75%、約45%~約80%、約45%~約85%、約45%~約90%、約45%~約95%、約45%~100%、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約50%~約95%、約50%~100%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約55%~約95%、約55%~100%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約60%~約95%、約60%~100%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約65%~約95%、約65%~100%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約70%~約95%、約70%~100%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~100%、約80%~約85%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~100%、約85%~約90%、約85%~約95%、約85%~100%、約90%~約95%、約90%~100%、または約95%~100%が、LEF1を発現する。ある態様においては、前記複数の本開示の遺伝子改変NKT細胞のうちの、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%が、LEF1を発現する。
【0149】
本開示はまた、本明細書により説明されたような細胞の集団の治療有効量を提供する。
【0150】
本開示は、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質コード配列と、を含むキメラ抗原受容体発現コンストラクトを提供する。
【0151】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクトまたはキメラ抗原受容体発現コンストラクトは、インターロイキン(IL)のタンパク質コード配列をさらに含む。ある態様において、タンパク質コード配列は、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、またはこれらの組み合わせをコードする。ある態様において、タンパク質コード配列は、IL-2、IL-4、およびIL-7、IL-15、またはこれらの組み合わせをコードする。一つの態様において、タンパク質コード配列はIL-2をコードする。一つの態様において、タンパク質コード配列はIL-4をコードする。一つの態様において、タンパク質コード配列はIL-7をコードする。一つの態様において、タンパク質コード配列はIL-15をコードする。一つの態様において、インターロイキン配列はヒト由来である。別の態様において、インターロイキン配列は外来性である。1つの特定の態様において、発現コンストラクトは、ヒトIL-15のタンパク質コード配列を含む。
【0152】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクトまたはキメラ抗原受容体発現コンストラクトは、誘導性自殺遺伝子をさらに含む。誘導性自殺遺伝子の非限定例として、誘導性カスパーゼ-9自殺遺伝子およびチミジンキナーゼ(sr39 TK)が挙げられる。一つの態様において、発現コンストラクト内の誘導性カスパーゼ-9自殺遺伝子は、AP20187、API903、またはこれらの混合物によって活性化される。別の態様において、一つの態様において、発現コンストラクト内のチミジンキナーゼは、ガンシクロビルによって活性化される。一つの態様において、本開示の方法は、誘導性カスパーゼ-9自殺遺伝子を活性化するために、AP20187、API903、またはこれらの混合物を対象に投与することを含んでよい。別の態様において、本開示の方法は、チミジンキナーゼを活性化するために、ガンシクロビルを対象に投与することを含んでよい。
【0153】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクトまたはキメラ抗原受容体発現コンストラクトは、CD34タグのタンパク質コード配列をさらに含む。
【0154】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクトまたはキメラ抗原受容体発現コンストラクトは、追加成分のタンパク質コード配列をさらに含む。
【0155】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクトは、ポリタンパク質の自律的リボソーム内自己プロセシングを可能にするために、タンパク質コード配列の間に1または複数のリンカーを含む。リンカー配列の非限定例としては、口蹄疫ウイルス(FMDV)由来の「2A」配列ペプチド、および関連のシス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)由来の「2A」配列ペプチドが挙げられる。一つの態様において、発現コンストラクトは、CARコード配列と、Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質コード配列との間に、第1リンカー配列を含む。別の態様において、発現コンストラクトは、インターロイキン タンパク質コード配列、誘導性自殺遺伝子などの発現コンストラクトの各成分を隔てる、第2、第3、第4、またはそれ以上のリンカー配列を含む。
【0156】
一つの態様において、CARコード配列およびWntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質コード配列は、本開示の発現コンストラクト内でインフレームである。別の態様において、CARコード配列、Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質コード配列、およびインターロイキンのタンパク質コード配列は、インフレームである。さらなる態様において、CARコード配列、Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質コード配列、インターロイキンのタンパク質コード配列、および1または複数の追加のタンパク質コード配列は、インフレームである。
【0157】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクト内のWntシグナル経路における転写活性化因子は、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1)である。別の態様において、転写活性化因子は、βカテニン(CTNNB1)、Smad3、またはTLE1である。一つの態様において、LEF1配列はヒト由来である。
【0158】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクト内の細胞外ドメイン配列は、抗原認識ドメインと、抗原認識ドメインを膜貫通ドメインに連結するスペーサー/ヒンジドメインと、を含む。別の態様において、細胞外ドメイン配列は、シグナルペプチドをさらに含む。細胞外ドメインのヒンジ領域の非限定例としては、免疫グロブリンのCH2CH3領域、IgGlからのヒンジ領域、およびCD3の一部が挙げられる。一つの態様において、細胞外ドメインのヒンジ領域は、CH8Hを含む。
【0159】
特定の態様において、抗原認識ドメインは、単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む。特定の態様において、抗原認識ドメインは、キャンセル細胞(cancel cell)の細胞表面上のがん抗原を認識する。がん抗原の非限定例としては、メラノーマ関連抗原(MAGE)、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、CD19、CD20、CD22、κ-軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体α2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、NKG2Dリガンド、またはCD44v6のうちのいずれか1つが挙げられる。いくつかの場合において、抗原認識ドメインは、CD19、CD22、CD30、GD2、GPC3、CSPG4、HER2、CEA、またはメソテリンを認識する。1つの特定の態様において、抗原認識ドメインは、CD19特異的抗体FMC-63由来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む。別の特定の態様において、抗原認識ドメインは、GD2特異的抗体14G2a由来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む。
【0160】
一つの態様において、本開示の発現コンストラクト内の細胞内ドメインは、抗原認識ドメインが標的抗原と結合した後にNKT細胞増殖およびエフェクター機能のための刺激シグナルを生成するために、T細胞受容体ζ-鎖由来のものなどの、細胞質内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内ドメインの非限定例としては、CD27、CD28、4-IBB、およびOX40などの共起刺激分子からの細胞内ドメイン、または、IL7およびIL15などのサイトカイン受容体のシグナル伝達成分が挙げられる。ある態様において、共起刺激分子は、抗原結合後にNKT細胞の活性化、増殖、および細胞毒性を増強するために用いられる。特定の態様において、共起刺激分子はCD28、OX40、および4-1BBである。一つの態様において、本開示のCARの細胞内ドメインは、抗原認識および受容体同士のクラスター後の細胞内のシグナル伝達のために利用される。一つの態様において、細胞内ドメイン成分は、3つのITAMを含有し、抗原が結合した後に活性化シグナルをNKT細胞に伝達する、CD3-ζである。ある態様において、CD3-ζと、CD28、4-IBB、および/またはOX40との組み合わせなどの、追加の共刺激シグナル伝達が利用される。1つの特定の態様において、細胞内ドメインは、CD3-ζ鎖にインフレーム融合された4-1BBのシグナル配列を含む。
【0161】
膜貫通ドメインは、いかなる種類のものであってもよい。一つの態様において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通ドメインを含む。別の態様において、膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメインを含む。
【0162】
1つの特定の態様において、CAR.CD19コンストラクトおよびCAR.GD2コンストラクトは、以前の報告の通りに作製され(Heczey et al., 2014; Pule et al., A chimeric T cell antigen receptor that augments cytokine release and supports clonal expansion of primary human T cells. Mol.Ther. 2005;12(5):933-941)、CD19特異的抗体FMC-63またはGD2特異的抗体14G2aに由来するscFvを含有し、それが、IgGlヒンジ領域由来の短いスペーサーを介して、CD8a由来の膜貫通ドメインに連結されており、その後に、ζ鎖と融合した4-1BBのシグナル伝達細胞内ドメインが続く。
【0163】
本開示の発現コンストラクトは、このコンストラクトを含有する宿主細胞の選別を可能にする少なくとも1つのマーカーが存在し得る、1または複数のDNA分子またはコンストラクトとして細胞に導入することができる。このコンストラクトは、遺伝子および調節領域が単離され、必要に応じてライゲーションされ、適切なクローニング用宿主においてクローニングされ、制限または配列決定などの好都合な手段によって解析され得る、従来の方法で作製することができる。コンストラクトは、完成し適切な配列を有することが示されたら、任意の好都合な手段によってCTLに導入されてよい。コンストラクトは、レトロウイルスベクターを含む、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、または単純ヘルペスウイルス(HSV)などのような、非複製性の欠損ウイルスゲノムに、インテグレーションおよびパッケージングし、細胞への感染または形質導入を行ってもよい。コンストラクトは、所望により、トランスフェクションのためのウイルス配列を含んでもよい。あるいは、コンストラクトは、融合、エレクトロポレーション、微粒子銃、トランスフェクション、リポフェクションなどによって導入されてもよい。宿主細胞を培養液中で成長および増殖させた後にコンストラクトを導入し、その後に、コンストラクトの導入およびコンストラクトの組み込みのための適切な処理を行ってもよい。その後、この細胞を増殖させ、コンストラクト内に存在するマーカーに基づいてスクリーニングする。首尾よく使用され得る各種マーカーとしては、HPRT、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシン耐性などが挙げられる。
【0164】
本開示はまた、本開示のキメラ抗原受容体発現コンストラクトを含む遺伝子改変NKT細胞を提供する。
【0165】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法を提供し、包含する。1つの態様において、前記方法は、ドナーからPBMCを単離する工程、PBMCからNKT細胞を分離する工程、並びに、前記分離されたNKT細胞を少なくともαGalCer、IL-2、およびIL-21の存在下で少なくとも1日間増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程、をさらに提供する。その後、これらの細胞に、本明細書に記載の発現ベクターをトランスフェクションまたは形質導入し、培養することで、増殖能が保存されたNKT細胞を作製する。
【0166】
各態様において、前記方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現を提供し、Wntシグナル経路における転写活性化因子としては、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、およびTLE1(Gene ID 7088)が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0167】
ある態様においては、本開示の方法によって分離されたNKT細胞を、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する。ある態様においては、本開示の方法によって分離されたNKT細胞を、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で、約1~2日間、約1~3日間、約1~4日間、約1~5日間、約1~6日間、約1~7日間、約1~8日間、約1~9日間、約1~10日間、約1~11日間、約1~12日間、約1~13日間、約1~14日間、約1~15日間、約1~16日間、約1~17日間、約1~18日間、約1~19日間、約1~20日間、約2~3日間、約2~4日間、約2~5日間、約2~6日間、約2~7日間、約2~8日間、約2~9日間、約2~10日間、約2~11日間、約2~12日間、約2~13日間、約2~14日間、約2~15日間、約2~16日間、約2~17日間、約2~18日間、約2~19日間、約2~20日間、約3~4日間、約3~5日間、約3~6日間、約3~7日間、約3~8日間、約3~9日間、約3~10日間、約3~11日間、約3~12日間、約3~13日間、約3~14日間、約3~15日間、約3~16日間、約3~17日間、約3~18日間、約3~19日間、約3~20日間、約4~5日間、約4~6、約4~7、約4~8、約4~9、約4~10、約4~11、約4~12、約4~13日間、約4~14日間、約4~15日間、約4~16日間、約4~17日間、約4~18日間、約4~19日間、約4~20日間、約5~6日間、約5~7日間、約5~8日間、約5~9日間、約5~10日間、約5~11日間、約5~12日間、約5~13日間、約5~14日間、約5~15日間、約5~16日間、約5~17日間、約5~18日間、約5~19日間、約5~20日間、約6~7日間、約6~8日間、約6~9日間、約6~10日間、約6~11日間、約6~12日間、約6~13日間、約6~14日間、約6~15日間、約6~16日間、約6~17日間、約6~18日間、約6~19日間、約6~20日間、約7~8日間、約7~9日間、約7~10日間、約7~11日間、約7~12日間、約7~13、約7~14、約7~15、約7~16、約7~17、約7~18、約7~19日間、約7~20日間、約8~9日間、約8~10日間、約8~11日間、約8~12日間、約8~13日間、約8~14日間、約8~15、日間 約8~16日間、約8~17日間、約8~18日間、約8~19日間、約8~20日間、約9~10日間、約9~11日間、約9~12日間、約9~13日間、約9~14日間、約9~15、日間 約9~16日間、約9~17日間、約9~18日間、約9~19日間、約9~20日間、約10~11日間、約10~12日間、約10~13日間、約10~14日間、約10~15日間、約10~16日間、約10~17日間、約10~18日間、約10~19日間、約10~20日間、約11~12日間、約11~13日間、約11~14日間、約11~15日間、約11~16日間、約11~17日間、約11~18日間、約11~19日間、約11~20日間、約12~13日間、約12~14日間、約12~15日間、約12~16日間、約12~17日間、約12~18日間、約12~19日間、約12~20日間、約13~14日間、約13~15日間、約13~16日間、約13~17日間、約13~18日間、約13~19日間、約13~20日間、約14~15日間、約14~16日間、約14~17日間、約14~18日間、約14~19日間、約14~20日間、約15~16日間、約15~17日間、約15~18日間、約15~19日間、約15~20日間、約16~17日間、約16~18日間、約16~19日間、約16~20日間、約17~18日間、約17~19日間、約17~20日間、約18~19日間、約18~20日間、または約19~20日間、増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する。ある態様においては、本開示の方法によって分離されたNKT細胞を、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、または約20日間、増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する。
【0168】
また、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することで、遺伝子改変NKT細胞を作製することを含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法が、本開示に包含され、提供される。
【0169】
各態様において、前記方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現を提供し、Wntシグナル経路における転写活性化因子としては、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、およびTLE1(Gene ID 7088)が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0170】
ある態様において、NKT細胞の増殖能を維持する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、少なくともCARを含むように、NKT細胞を遺伝子改変することを含む。特定の態様において、NKT細胞は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、2つ以上のCARを発現するように、操作される。1つの態様において、NKT細胞の遺伝子改変は、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン(CTNNB1)、Smad3、およびTLE1からなる群から選択される、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現コンストラクトを導入することを含む。ある態様において、転写活性化因子は、1または複数のCARと組み合わせた、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、NP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である。
【0171】
メラノーマ関連抗原(MAGE)、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、CD19、CD20、CD22、κ-軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体α2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、またはCD44v6などのがん抗原を認識するCARの発現が、NKT細胞の増殖能を維持する方法によって包含され、提供される。1つの態様において、NKT細胞を遺伝子改変するために導入されるがん抗原は、CD19、GD2、およびGPC3からなる群から選択される。別の態様において、CARの抗体認識ドメインは、がん抗原CD19を認識するものであった。1つの態様において、抗体認識ドメインによって認識されるがん抗原はGD2である。さらに別の態様において、抗体認識ドメインによって認識されるがん抗原 GPC3。発現コンストラクトを導入する方法は当該技術分野において公知である。態様または本開示において、遺伝子改変は、レトロウイルスまたはレンチウイルスを介した方法を用いて、本開示のコンストラクトを導入することを包含し、提供する。
【0172】
また、MAGE、PRAME、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、およびCD44v6からなる群から選択される2種以上のがん抗原を認識する抗体認識ドメインを有する2つ以上のCAR分子を発現するように、NKT細胞細胞を遺伝子改変する方法が、本開示によって包含され提供される。2つ以上のCAR分子を有するNKT細胞の遺伝子改変は、Wntシグナル経路タンパク質を発現するためのコンストラクトをさらに含み、IL-2、IL-4、IL-7、IL-15、およびIL-21から選択される増殖因子を発現するための配列をさらに含んでよい。発現コンストラクトは別々に作製することもできるが、上記のようなCHYSEL配列を有する1または複数のポリタンパク質発現コンストラクトとして作製することがより好都合である。NKT細胞に本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することを含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法は、本開示の発現コンストラクトを導入することに先立ち、対象からPMBCを単離することと、NKT細胞を単離することと、NKT細胞を、増殖因子の存在下、αGalCerパルスaAPCでの刺激による培養によって、1~3日間増殖させることと、をさらに含んでよい。ある態様においては、本開示の方法によって分離されたNKT細胞を、好適な刺激物質(例えば、aGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する。
【0173】
NKT細胞に本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することを含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法は、対象からPMBCを単離することと、NKT細胞を単離することと、NKT細胞を好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下での培養によって、1~20日間、2~20日間、3~20日間、4~20日間、5~20日間、6~20日間、7~20日間、8~20日間、9~20日間、10~20日間、11~20日間、12~20日間、13~20日間、または14~20日間増殖させることと、をさらに含んでよい。ある態様において、本開示の方法によって分離されたNKT細胞は、本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することに先立ち、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下の培養で、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、または約12日間、増殖させられる。
【0174】
NKT細胞の増殖能を維持する方法の1つの態様において、CAR細胞外ドメイン配列は、抗体認識ドメインおよびスペーサードメインを含む。
【0175】
さらなる態様において、得られた遺伝子改変NKT細胞は、CD1+J32白血病細胞の存在下で培養することで増殖させられる。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、集団の一部であり、その集団中の総細胞数が求められ、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と一緒に培養され、10:1~1:10の比で提供される。1つの態様において、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞は、遺伝子改変NKT細胞集団中の総細胞数に対し、1:1の比で提供され得る。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、暴露前に単離される。他の態様において、遺伝子改変NKT細胞は、混合集団の一部として培養される。1つの態様において、混合集団は、少なくとも10%の遺伝子改変NKT細胞を含む。
【0176】
本明細書で提供されるように、遺伝子改変NKT細胞は、各サイクルが一定期間を置いて実行される、3回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、3~20回の培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、4回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、5回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、6回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、7回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、8回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、9回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。
【0177】
本開示が提供しているように、遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも1日の培養期間の後に、繰り返し増殖させることができる。各態様において、増殖は、1~3日の期間を置いてから実行される。ある態様において、遺伝子改変NKT細胞は、CD1+J32白血病細胞または他の抗原提示細胞との培養によるサイクルを繰り返す前に、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、または少なくとも7日間、増殖させられる。
【0178】
本開示は、遺伝子改変NKT細胞を複数含む細胞集団に対して、1または複数の選別を行うことを、さらに提供する。本明細書で提供されているように、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、遺伝子改変NKT細胞および非改変NKT細胞の両方に対する選別とすることができ、選別された集団はさらなる培養および増殖に使用される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、非改変NKT細胞および他の細胞型、通常はリンパ球、の両方を含む、混合細胞集団からの遺伝子改変NKT細胞の選別である。選別された集団は、さらなる培養と増殖回数の追加のために、使用される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞の選別および増殖は、複数回、最大で20回、行うことができる。本開示の方法は、これにより、100万倍を超える遺伝子改変NKT細胞の増殖を提供する。各態様において、上記方法は、少なくとも3回の選別および増殖を提供する。本開示はさらに、少なくとも4回、少なくとも5回、および少なくとも6回の選別および増殖を提供し、包含する。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも7回選別および増殖される。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、8回、9回、またはそれ以上の回数、選別および増殖される。
【0179】
本開示は、遺伝子改変NKT細胞を複数含む細胞集団に対して、1または複数の選別を行うことを、さらに提供する。本明細書において提供されているように、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、持続的な発現能を有するI型NKT細胞の選別と、それに続く増殖であり得る。
【0180】
本明細書中で提供された各態様において、選別されたI型遺伝子改変NKT細胞集団は、さらなる培養と増殖回数の追加のために、使用される。各態様において、I型遺伝子改変NKT細胞の選別および増殖は、複数回、最大で20回、行うことができる。本開示の方法は、これにより、100万倍を超えるI型遺伝子改変NKT細胞の増殖を提供する。各態様において、上記方法は、少なくとも3回の選別および増殖を提供する。本開示はさらに、少なくとも4回、少なくとも5回、および少なくとも6回の選別および増殖を提供し、包含する。さらなる態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも7回選別および増殖される。さらなる態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、8回、9回、またはそれ以上の回数、選別および増殖される。
【0181】
また、I型遺伝子改変NKT細胞の増殖により、総細胞集団の少なくとも20%を構成する集団を生成することが、提供され、包含される。1つの態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも2回の増殖後に総細胞集団の少なくとも20%を構成する。
【0182】
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、その結果、前記遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団のうちの10%超を構成する細胞集団を生成する、NKT細胞の増殖能を維持する方法が、本開示において提供され、本開示に包含される。各態様において、10%超の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、I型NKT細胞を含む。各態様において、総集団は、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0183】
ある態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団の、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する。ある態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~98%、10%~99%、および最大100%を構成し、非改変NKT細胞は、総集団のうちの99.9%未満を構成する。各態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団のうちの、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する。ある態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~98%、50%~99%、および最大100%を構成し、非改変NKT細胞は、総集団のうちの99.9%未満を構成する。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0184】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、その結果、前記遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団のうちCD62L(+)NKT細胞を10%超含む細胞集団を生成する、NKT細胞の増殖能を維持する方法を提供し、包含する。各態様において、10%超の持続的な発現能を有する遺伝子改変CD62L(+)NKT細胞集団は、I型NKT細胞を含む。各態様において、総集団は、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む。各態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0185】
ある態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%含む。ある態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約50%~約95%、約50%~100%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約55%~約95%、約55%~100%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約60%~約95%、約60%~100%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約65%~約95%、約65%~100%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約70%~約95%、約70%~100%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~100%、約80%~約85%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~100%、約85%~約90%、約85%~約95%、約85%~100%、約90%~約95%、約90%~100%、または約95%~100%含む。ある態様において、本開示の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%含む。各態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0186】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、前記改変NKT細胞がある期間培養される、NKT細胞の増殖能を維持する方法を提供し、包含する。1つの態様においては、培養期間を、約1~2日間、約1~3日間、約1~4日間、約1~5日間、約1~6日間、約1~7日間、約1~8日間、約1~9日間、約1~10日間、約1~11日間、約1~12日間、約1~13日間、約1~14日間、約1~15日間、約1~16日間、約1~17日間、約1~18日間、約1~19日間、約1~20日間、約2~3日間、約2~4日間、約2~5日間、約2~6日間、約2~7日間、約2~8日間、約2~9日間、約2~10日間、約2~11日間、約2~12日間、約2~13日間、約2~14日間、約2~15日間、約2~16日間、約2~17日間、約2~18日間、約2~19日間、約2~20日間、約3~4日間、約3~5日間、約3~6日間、約3~7日間、約3~8日間、約3~9日間、約3~10日間、約3~11日間、約3~12日間、約3~13日間、約3~14日間、約3~15日間、約3~16日間、約3~17日間、約3~18日間、約3~19日間、約3~20日間、約4~5日間、約4~6、約4~7、約4~8、約4~9、約4~10、約4~11、約4~12、約4~13日間、約4~14日間、約4~15日間、約4~16日間、約4~17日間、約4~18日間、約4~19日間、約4~20日間、約5~6日間、約5~7日間、約5~8日間、約5~9日間、約5~10日間、約5~11日間、約5~12日間、約5~13日間、約5~14日間、約5~15日間、約5~16日間、約5~17日間、約5~18日間、約5~19日間、約5~20日間、約6~7日間、約6~8日間、約6~9日間、約6~10日間、約6~11日間、約6~12日間、約6~13日間、約6~14日間、約6~15日間、約6~16日間、約6~17日間、約6~18日間、約6~19日間、約6~20日間、約7~8日間、約7~9日間、約7~10日間、約7~11日間、約7~12日間、約7~13、約7~14、約7~15、約7~16、約7~17、約7~18、約7~19日間、約7~20日間、約8~9日間、約8~10日間、約8~11日間、約8~12日間、約8~13日間、約8~14日間、約8~15、日間 約8~16日間、約8~17日間、約8~18日間、約8~19日間、約8~20日間、約9~10日間、約9~11日間、約9~12日間、約9~13日間、約9~14日間、約9~15、日間 約9~16日間、約9~17日間、約9~18日間、約9~19日間、約9~20日間、約10~11日間、約10~12日間、約10~13日間、約10~14日間、約10~15日間、約10~16日間、約10~17日間、約10~18日間、約10~19日間、約10~20日間、約11~12日間、約11~13日間、約11~14日間、約11~15日間、約11~16日間、約11~17日間、約11~18日間、約11~19日間、約11~20日間、約12~13日間、約12~14日間、約12~15日間、約12~16日間、約12~17日間、約12~18日間、約12~19日間、約12~20日間、約13~14日間、約13~15日間、約13~16日間、約13~17日間、約13~18日間、約13~19日間、約13~20日間、約14~15日間、約14~16日間、約14~17日間、約14~18日間、約14~19日間、約14~20日間、約15~16日間、約15~17日間、約15~18日間、約15~19日間、約15~20日間、約16~17日間、約16~18日間、約16~19日間、約16~20日間、約17~18日間、約17~19日間、約17~20日間、約18~19日間、約18~20日間、または約19~20日間とすることで、持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0187】
各態様において、NKT細胞を改変する工程を含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法は、持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団から所望の細胞を分離することをさらに含む。1つの態様において、前記方法は、CD62Lの発現により改変NKT細胞を分離することで、選別されたCD62L(+)遺伝子改変NKT細胞集団を生成することをさらに含む。1つの態様において、前記方法は、4-1BBの発現により改変NKT細胞を分離することで、選別された4-1BB(+)遺伝子改変NKT細胞集団を生成することをさらに含む。
【0188】
本開示は、ドナーから新鮮PBMCを単離する工程、培養に先立ちPBMCからNKT細胞を分離する工程、少なくともαGalCer、および増殖因子の存在下で、少なくとも1日間、前記分離NKT細胞を増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程を含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法を提供し、包含する。1つの態様において、増殖因子は、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、TNF-α、またはこれらの組み合わせを含む。1つの態様において、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程は、抗NKTミクロビーズを用いてPBMCからNKT細胞を分離することをさらに含む。
【0189】
本開示のNKT細胞の増殖能を維持する方法は、抗原提示細胞による暴露で少なくとも2倍にさらに増殖させることができる、遺伝子改変細胞集団を作製すること、を提供し、包含する。1つの態様において、抗原提示細胞は、CD1d+J32白血病細胞である。各態様において、抗原提示細胞は、10:1比~1:10比の割合で与えられる。1つの態様において、抗原提示細胞による暴露は、1:1の比で行われる。各態様において、抗原提示細胞は、CD1d+J32白血病細胞である。
【0190】
本開示のNKT細胞の増殖能を維持する方法は、ヒト化NSGマウスにおける神経芽細胞腫(neuroblastorna)異種移植片内への浸潤物として生体内残留性を示す、持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を提供し、包含する。
【0191】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含む、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法を提供し、包含する。1つの態様において、前記方法は、ドナーからPBMCを単離する工程、PBMCからNKT細胞を分離する工程、並びに、前記分離されたNKT細胞を少なくともαGalCer、IL-2、およびIL-21の存在下で少なくとも1日間増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程、をさらに提供する。その後、これらの細胞に、本明細書に記載の発現ベクターをトランスフェクションまたは形質導入し、培養することで、NKT細胞の疲弊が低減されたNKT細胞を作製する。
【0192】
各態様において、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現を提供し、Wntシグナル経路における転写活性化因子としては、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、およびTLE1(Gene ID 7088)が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0193】
ある態様において、本開示の方法によって分離されたNKT細胞は、本明細書において提供されたように、好適な刺激物質(例えば、aGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で1~20日間増殖させられる。
【0194】
また、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することで、遺伝子改変NKT細胞を作製することを含む、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法、本開示に包含され、提供される。
【0195】
各態様において、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現を提供し、Wntシグナル経路における転写活性化因子としては、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、およびTLE1(Gene ID 7088)が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0196】
ある態様において、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、少なくともCARを含むように、NKT細胞を遺伝子改変することを含む。特定の態様において、NKT細胞は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、2つ以上のCARを発現するように、操作される。1つの態様において、NKT細胞の遺伝子改変は、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン(CTNNB1)、Smad3、およびTLE1からなる群から選択される、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現コンストラクトを導入することを含む。ある態様において、転写活性化因子は、1または複数のCARと組み合わせた、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、NP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である。
【0197】
メラノーマ関連抗原(MAGE)、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、またはCD44v6などのがん抗原を認識するCARの発現が、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法によって包含され、提供される。1つの態様において、NKT細胞を遺伝子改変するために導入されるがん抗原は、CD19、GD2、およびGPC3からなる群から選択される。別の態様において、CARの抗体認識ドメインは、がん抗原CD19を認識するものであった。1つの態様において、抗体認識ドメインによって認識されるがん抗原はGD2である。さらに別の態様において、抗体認識ドメインによって認識されるがん抗原 GPC3。発現コンストラクトを導入する方法は当該技術分野において公知である。態様または本開示において、遺伝子改変は、レトロウイルスまたはレンチウイルスを介した方法を用いて、本開示のコンストラクトを導入することを包含し、提供する。
【0198】
また、MAGE、PRAME、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、およびCD44v6からなる群から選択される2種以上のがん抗原を認識する抗体認識ドメインを有する2つ以上のCAR分子を発現するように、NKT細胞細胞を遺伝子改変する方法が、本開示によって包含され提供される。2つ以上のCAR分子を有するNKT細胞の遺伝子改変は、Wntシグナル経路タンパク質を発現するためのコンストラクトをさらに含み、IL-2、IL-4、IL-7、IL-15、およびIL-21から選択される増殖因子を発現するための配列をさらに含んでよい。発現コンストラクトは別々に作製することもできるが、上記のようなCHYSEL配列を有する1または複数のポリタンパク質発現コンストラクトとして作製することがより好都合である。NKT細胞に本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することを含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法は、本開示の発現コンストラクトを導入することに先立ち、対象からPMBCを単離することと、NKT細胞を単離することと、NKT細胞を、増殖因子の存在下、αGalCerパルスaAPCでの刺激による培養によって、1~3日間増殖させることと、をさらに含んでよい。ある態様においては、本開示の方法によって分離されたNKT細胞を、好適な刺激物質(例えば、aGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する。
【0199】
NKT細胞に本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することを含む、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法は、対象からPMBCを単離することと、NKT細胞を単離することと、NKT細胞を好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下での培養によって、1~20日間、2~20日間、3~20日間、4~20日間、5~20日間、6~20日間、7~20日間、8~20日間、9~20日間、10~20日間、11~20日間、12~20日間、13~20日間、または14~20日間増殖させることと、をさらに含んでよい。ある態様において、本開示の方法によって分離されたNKT細胞は、本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することに先立ち、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下の培養で、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、または約12日間、増殖させられる。
【0200】
NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法の1つの態様において、CAR細胞外ドメイン配列は、抗体認識ドメインおよびスペーサードメインを含む。
【0201】
さらなる態様において、NKT細胞の疲弊が低減された、得られた遺伝子改変NKT細胞集団は、CD1+J32白血病細胞またはaAPCなどの抗原提示細胞の存在下での培養により、増殖させられ得る。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、集団の一部であり、その集団中の総細胞数が求められ、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と一緒に培養され、10:1~1:10の比で提供される。1つの態様において、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞は、遺伝子改変NKT細胞集団中の総細胞数に対し、1:1の比で提供され得る。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、暴露前に単離される。他の態様において、遺伝子改変NKT細胞は、混合集団の一部として培養される。1つの態様において、混合集団は、少なくとも10%の遺伝子改変NKT細胞を含む。
【0202】
本明細書で提供されるように、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、各サイクルが一定期間を置いて実行される、3回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、3~20回の培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、4回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、5回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、6回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、7回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、8回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、9回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。
【0203】
本開示が提供しているように、遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも1日の培養期間の後に、繰り返し増殖させることができる。各態様において、増殖は、1~3日の期間を置いてから実行される。ある態様において、遺伝子改変NKT細胞は、CD1+J32白血病細胞または他の抗原提示細胞との培養によるサイクルを繰り返す前に、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、または少なくとも7日間、増殖させられる。
【0204】
本開示は、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞を複数含む細胞集団に対して、1または複数の選別を行うことを、さらに提供する。本明細書で提供されているように、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、遺伝子改変NKT細胞および非改変NKT細胞の両方に対する選別とすることができ、選別された集団はさらなる培養および増殖に使用される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、非改変NKT細胞および他の細胞型、通常はリンパ球、の両方を含む、混合細胞集団からの遺伝子改変NKT細胞の選別である。選別された集団は、さらなる培養と増殖回数の追加のために、使用される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞の選別および増殖は、複数回、最大で20回、行うことができる。本開示の方法は、これにより、100万倍を超える遺伝子改変NKT細胞の増殖を提供する。各態様において、上記方法は、少なくとも3回の選別および増殖を提供する。本開示はさらに、少なくとも4回、少なくとも5回、および少なくとも6回の選別および増殖を提供し、包含する。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも7回選別および増殖される。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、8回、9回、またはそれ以上の回数、選別および増殖される。
【0205】
本開示は、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞を複数含む細胞集団に対して、1または複数の選別を行うことを、さらに提供する。本明細書において提供されているように、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、NKT細胞の疲弊が低減されたI型NKT細胞の選別と、それに続く増殖であり得る。
【0206】
本明細書中で提供された各態様において、選別されたI型遺伝子改変NKT細胞集団は、さらなる培養と増殖回数の追加のために、使用される。各態様において、I型遺伝子改変NKT細胞の選別および増殖は、複数回、最大で20回、行うことができる。本開示の方法は、これにより、100万倍を超えるI型遺伝子改変NKT細胞の増殖を提供する。各態様において、上記方法は、少なくとも3回の選別および増殖を提供する。本開示はさらに、少なくとも4回、少なくとも5回、および少なくとも6回の選別および増殖を提供し、包含する。さらなる態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも7回選別および増殖される。さらなる態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、8回、9回、またはそれ以上の回数、選別および増殖される。
【0207】
また、I型遺伝子改変NKT細胞の増殖により、総細胞集団の少なくとも20%を構成する集団を生成することが、提供され、包含される。1つの態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも2回の増殖後に総細胞集団の少なくとも20%を構成する。
【0208】
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製し、それにより遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団の10%超を構成する細胞集団を生成する工程と、を含む、NKT細胞集団におけるNKT細胞の疲弊を低減する方法が、本開示において提供され、包含される。各態様において、10%超の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、I型NKT細胞を含む。各態様において、総集団は、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0209】
ある態様において、本開示のNKT細胞集団内でNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団の、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する。ある態様において、本開示のNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団の約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約10%~約55%、約10%~約60%、約10%~約65%、約10%~約70%、約10%~約75%、約10%~約80%、約10%~約85%、約10%~約90%、約10%~約95%、約10%~100%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%、約15%~約55%、約15%~約60%、約15%~約65%、約15%~約70%、約15%~約75%、約15%~約80%、約15%~約85%、約15%~約90%、約15%~約95%、約15%~100%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約20%~約55%、約20%~約60%、約20%~約65%、約20%~約70%、約20%~約75%、約20%~約80%、約20%~約85%、約20%~約90%、約20%~約95%、約20%~100%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約25%~約55%、約25%~約60%、約25%~約65%、約25%~約70%、約25%~約75%、約25%~約80%、約25%~約85%、約25%~約90%、約25%~約95%、約25%~100%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約30%~約55%、約30%~約60%、約30%~約65%、約30%~約70%、約30%~約75%、約30%~約80%、約30%~約85%、約30%~約90%、約30%~約95%、約30%~100%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約35%~約55%、約35%~約60%、約35%~約65%、約35%~約70%、約35%~約75%、約35%~約80%、約35%~約85%、約35%~約90%、約35%~約95%、約35%~100%、約40%~約45%、約40%~約50%、約40%~約55%、約40%~約60%、約40%~約65%、約40%~約70%、約40%~約75%、約40%~約80%、約40%~約85%、約40%~約90%、約40%~約95%、約40%~100%、約45%~約50%、約45%~約55%、約45%~約60%、約45%~約65%、約45%~約70%、約45%~約75%、約45%~約80%、約45%~約85%、約45%~約90%、約45%~約95%、約45%~100%、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約50%~約95%、約50%~100%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約55%~約95%、約55%~100%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約60%~約95%、約60%~100%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約65%~約95%、約65%~100%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約70%~約95%、約70%~100%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~100%、約80%~約85%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~100%、約85%~約90%、約85%~約95%、約85%~100%、約90%~約95%、約90%~100%、または約95%~100%を構成する。ある態様において、本開示のNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、総細胞集団の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%を構成する。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0210】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、その結果、前記遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団のうちCD62L(+)NKT細胞を10%超含む細胞集団を生成する、NKT細胞の疲弊を低減する方法を提供し、包含する。各態様において、10%超の持続的な発現能を有する遺伝子改変CD62L(+)NKT細胞集団は、I型NKT細胞を含む。各態様において、総集団は、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む。各態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0211】
ある態様において、本開示のNKT細胞集団内でNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%含む。ある態様において、本開示のNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約50%~約90%、約50%~約95%、約50%~100%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約55%~約90%、約55%~約95%、約55%~100%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約60%~約90%、約60%~約95%、約60%~100%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約65%~約90%、約65%~約95%、約65%~100%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約70%~約90%、約70%~約95%、約70%~100%、約75%~約80%、約75%~約85%、約75%~約90%、約75%~約95%、約75%~100%、約80%~約85%、約80%~約90%、約80%~約95%、約80%~100%、約85%~約90%、約85%~約95%、約85%~100%、約90%~約95%、約90%~100%、または約95%~100%含む。ある態様において、本開示のNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%含む。各態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0212】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することでNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、前記改変NKT細胞がある期間培養される、NKT細胞集団内のNKT細胞の疲弊を低減する方法を提供し、包含する。1つの態様においては、培養期間を、約1~2日間、約1~3日間、約1~4日間、約1~5日間、約1~6日間、約1~7日間、約1~8日間、約1~9日間、約1~10日間、約1~11日間、約1~12日間、約1~13日間、約1~14日間、約1~15日間、約1~16日間、約1~17日間、約1~18日間、約1~19日間、約1~20日間、約2~3日間、約2~4日間、約2~5日間、約2~6日間、約2~7日間、約2~8日間、約2~9日間、約2~10日間、約2~11日間、約2~12日間、約2~13日間、約2~14日間、約2~15日間、約2~16日間、約2~17日間、約2~18日間、約2~19日間、約2~20日間、約3~4日間、約3~5日間、約3~6日間、約3~7日間、約3~8日間、約3~9日間、約3~10日間、約3~11日間、約3~12日間、約3~13日間、約3~14日間、約3~15日間、約3~16日間、約3~17日間、約3~18日間、約3~19日間、約3~20日間、約4~5日間、約4~6、約4~7、約4~8、約4~9、約4~10、約4~11、約4~12、約4~13日間、約4~14日間、約4~15日間、約4~16日間、約4~17日間、約4~18日間、約4~19日間、約4~20日間、約5~6日間、約5~7日間、約5~8日間、約5~9日間、約5~10日間、約5~11日間、約5~12日間、約5~13日間、約5~14日間、約5~15日間、約5~16日間、約5~17日間、約5~18日間、約5~19日間、約5~20日間、約6~7日間、約6~8日間、約6~9日間、約6~10日間、約6~11日間、約6~12日間、約6~13日間、約6~14日間、約6~15日間、約6~16日間、約6~17日間、約6~18日間、約6~19日間、約6~20日間、約7~8日間、約7~9日間、約7~10日間、約7~11日間、約7~12日間、約7~13、約7~14、約7~15、約7~16、約7~17、約7~18、約7~19日間、約7~20日間、約8~9日間、約8~10日間、約8~11日間、約8~12日間、約8~13日間、約8~14日間、約8~15、日間 約8~16日間、約8~17日間、約8~18日間、約8~19日間、約8~20日間、約9~10日間、約9~11日間、約9~12日間、約9~13日間、約9~14日間、約9~15、日間 約9~16日間、約9~17日間、約9~18日間、約9~19日間、約9~20日間、約10~11日間、約10~12日間、約10~13日間、約10~14日間、約10~15日間、約10~16日間、約10~17日間、約10~18日間、約10~19日間、約10~20日間、約11~12日間、約11~13日間、約11~14日間、約11~15日間、約11~16日間、約11~17日間、約11~18日間、約11~19日間、約11~20日間、約12~13日間、約12~14日間、約12~15日間、約12~16日間、約12~17日間、約12~18日間、約12~19日間、約12~20日間、約13~14日間、約13~15日間、約13~16日間、約13~17日間、約13~18日間、約13~19日間、約13~20日間、約14~15日間、約14~16日間、約14~17日間、約14~18日間、約14~19日間、約14~20日間、約15~16日間、約15~17日間、約15~18日間、約15~19日間、約15~20日間、約16~17日間、約16~18日間、約16~19日間、約16~20日間、約17~18日間、約17~19日間、約17~20日間、約18~19日間、約18~20日間、または約19~20日間とすることで、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団を作製する。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0213】
各態様において、NKT細胞を改変する工程を含む、NKT細胞集団内のNKT細胞の疲弊を低減する方法は、遺伝子改変NKT細胞集団から所望の細胞を分離することをさらに含む。1つの態様において、前記方法は、CD62Lの発現により改変NKT細胞を分離することで、選別されたCD62L(+)遺伝子改変NKT細胞集団を生成することをさらに含む。1つの態様において、前記方法は、4-1BBの発現により改変NKT細胞を分離することで、選別された4-1BB(+)遺伝子改変NKT細胞集団を生成することをさらに含む。
【0214】
本開示は、ドナーから新鮮PBMCを単離する工程、培養に先立ちPBMCからNKT細胞を分離する工程、少なくともαGalCer、および増殖因子の存在下で、少なくとも1日間、前記分離NKT細胞を増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程を含む、NKT細胞集団内のNKT細胞の疲弊を低減する方法を提供し、包含する。1つの態様において、増殖因子は、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、TNF-α、またはこれらの組み合わせを含む。1つの態様において、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程は、抗NKTミクロビーズを用いてPBMCからNKT細胞を分離することをさらに含む。
【0215】
本開示のNKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞を作製する方法は、抗原提示細胞による暴露で少なくとも2倍にさらに増殖させることができる、遺伝子改変細胞集団を作製すること、を提供し、包含する。1つの態様において、抗原提示細胞は、CD1d+J32白血病細胞である。各態様において、抗原提示細胞は、10:1比~1:10比の割合で与えられる。1つの態様において、抗原提示細胞による暴露は、1:1の比で行われる。各態様において、抗原提示細胞は、CD1d+J32白血病細胞である。
【0216】
本開示のNKT細胞の疲弊を低減する方法は、ヒト化NSGマウスにおける神経芽細胞腫異種移植片内への浸潤物としての生体内残留性を示す、NKT細胞の疲弊が低減された、遺伝子改変NKT細胞集団を提供し、包含する。
【0217】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、改変NKT細胞を培養することで、セントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法を提供し、包含する。1つの態様において、前記方法は、ドナーからPBMCを単離する工程と、PBMCからNKT細胞を分離する工程と、分離NKT細胞を、少なくともαGalCer、IL-2、およびIL-21の存在下で、少なくとも1日間増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程と、をさらに提供する。その後、これらの細胞に、本明細書に記載の発現ベクターをトランスフェクションまたは形質導入し、培養することで、セントラルメモリー特性を有するNKT細胞が作製される。
【0218】
各態様において、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現を提供し、Wntシグナル経路における転写活性化因子としては、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、およびTLE1(Gene ID 7088)が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0219】
ある態様において、本開示の方法によって分離されたNKT細胞は、本明細書において提供されたように、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で1~20日間増殖させられる。
【0220】
また、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することで、遺伝子改変NKT細胞を作製することを含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法が、本開示に包含され、提供される。
【0221】
各態様において、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現を提供し、Wntシグナル経路における転写活性化因子としては、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、およびTLE1(Gene ID 7088)が挙げられるが、これらに限定はされない。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、LEF1をコードする発現コンストラクトを含む。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、LEF1および増殖因子を発現する。1つの態様において、発現コンストラクトは、IL-15、IL-2、IL-4、IL-7、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される増殖因子をさらにコードする。
【0222】
ある態様において、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、少なくともCARを含むように、NKT細胞を遺伝子改変することを含む。特定の態様において、NKT細胞は、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現と組み合わせて、2つ以上のCARを発現するように、操作される。1つの態様において、NKT細胞の遺伝子改変は、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン(CTNNB1)、Smad3、およびTLE1からなる群から選択される、Wntシグナル経路における転写活性化因子の発現コンストラクトを導入することを含む。ある態様において、転写活性化因子は、1または複数のCARと組み合わせた、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、NP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である。
【0223】
メラノーマ関連抗原(MAGE)、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、またはCD44v6などのがん抗原を認識するCARの発現が、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法によって包含され、提供される。1つの態様において、NKT細胞を遺伝子改変するために導入されるがん抗原は、CD19、GD2、およびGPC3からなる群から選択される。別の態様において、CARの抗体認識ドメインは、がん抗原CD19を認識するものであった。1つの態様において、抗体認識ドメインによって認識されるがん抗原はGD2である。さらに別の態様において、抗体認識ドメインによって認識されるがん抗原 GPC3。発現コンストラクトを導入する方法は当該技術分野において公知である。態様または本開示において、遺伝子改変は、レトロウイルスまたはレンチウイルスを介した方法を用いて、本開示のコンストラクトを導入することを包含し、提供する。
【0224】
また、MAGE、PRAME、CD19、CD20、CD22、κ軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、RORl、ErbB2、ErbB3/4、EGFr vIII、癌胎児抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-α、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児型AchR、およびCD44v6からなる群から選択される2種以上のがん抗原を認識する抗体認識ドメインを有する2つ以上のCAR分子を発現するように、NKT細胞細胞を遺伝子改変する方法が、本開示によって包含され提供される。2つ以上のCAR分子を有するNKT細胞の遺伝子改変は、Wntシグナル経路タンパク質を発現するためのコンストラクトをさらに含み、IL-2、IL-4、IL-7、IL-15、およびIL-21から選択される増殖因子を発現するための配列をさらに含んでよい。発現コンストラクトは別々に作製することもできるが、上記のようなCHYSEL配列を有する1または複数のポリタンパク質発現コンストラクトとして作製することがより好都合である。NKT細胞に本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することを含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法は、本開示の発現コンストラクトを導入することに先立ち、対象からPMBCを単離することと、NKT細胞を単離することと、NKT細胞を、増殖因子の存在下、αGalCerパルスaAPCでの刺激による培養によって、1~3日間増殖させることと、をさらに含んでよい。ある態様においては、本開示の方法によって分離されたNKT細胞を、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下で、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、または少なくとも20日間、増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する。
【0225】
NKT細胞に本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することを含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法は、対象からPMBCを単離することと、NKT細胞を単離することと、NKT細胞を好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下での培養によって、1~20日間、2~20日間、3~20日間、4~20日間、5~20日間、6~20日間、7~20日間、8~20日間、9~20日間、10~20日間、11~20日間、12~20日間、13~20日間、または14~20日間増殖させることと、をさらに含んでよい。ある態様において、本開示の方法によって分離されたNKT細胞は、本明細書に記載の発現コンストラクトを導入することに先立ち、好適な刺激物質(例えば、αGalCer、IL-2、およびIL-21)の存在下の培養で、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、または約12日間、増殖させられる。
【0226】
NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法の1つの態様において、CAR細胞外ドメイン配列は、抗体認識ドメインおよびスペーサードメインを含む。
【0227】
さらなる態様において、セントラルメモリー特性を有する、得られた遺伝子改変NKT細胞集団は、CD1+J32白血病細胞またはaAPCなどの抗原提示細胞の存在下での培養により、増殖させられ得る。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、集団の一部であり、その集団中の総細胞数が求められ、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と一緒に培養され、10:1~1:10の比で提供される。1つの態様において、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞は、遺伝子改変NKT細胞集団中の総細胞数に対し、1:1の比で提供され得る。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、暴露前に単離される。他の態様において、遺伝子改変NKT細胞は、混合集団の一部として培養される。1つの態様において、混合集団は、少なくとも10%の遺伝子改変NKT細胞を含む。
【0228】
本明細書で提供されるように、セントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、各サイクルが一定期間を置いて実行される、3回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。各態様において、遺伝子改変NKT細胞は、3~20回の培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、4回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、5回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、6回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、7回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、8回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。1つの態様において、遺伝子改変NKT細胞は、9回を超える培養サイクルに亘り、CD1+J32白血病細胞などの抗原提示細胞と培養した後に、少なくとも2倍に増殖する能力を保持する。
【0229】
本開示が提供しているように、遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも1日の培養期間の後に、繰り返し増殖させることができる。各態様において、増殖は、1~3日の期間を置いてから実行される。ある態様において、遺伝子改変NKT細胞は、CD1+J32白血病細胞または他の抗原提示細胞との培養によるサイクルを繰り返す前に、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、または少なくとも7日間、増殖させられる。
【0230】
本開示は、セントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞を複数含む細胞集団に対して、1または複数の選別を行うことを、さらに提供する。本明細書で提供されているように、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、遺伝子改変NKT細胞および非改変NKT細胞の両方に対する選別とすることができ、選別された集団はさらなる培養および増殖に使用される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、非改変NKT細胞および他の細胞型、通常はリンパ球、の両方を含む、混合細胞集団からの遺伝子改変NKT細胞の選別である。選別された集団は、さらなる培養と増殖回数の追加のために、使用される。各態様において、遺伝子改変NKT細胞の選別および増殖は、複数回、最大で20回、行うことができる。本開示の方法は、これにより、100万倍を超える遺伝子改変NKT細胞の増殖を提供する。各態様において、上記方法は、少なくとも3回の選別および増殖を提供する。本開示はさらに、少なくとも4回、少なくとも5回、および少なくとも6回の選別および増殖を提供し、包含する。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも7回選別および増殖される。さらなる態様において、遺伝子改変NKT細胞は、8回、9回、またはそれ以上の回数、選別および増殖される。
【0231】
本開示は、セントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞を複数含む細胞集団に対して、1または複数の選別を行うことを、さらに提供する。本明細書において提供されているように、遺伝子改変NKT細胞細胞の選別は、セントラルメモリー特性を有するI型NKT細胞の選別と、それに続く増殖であり得る。
【0232】
本明細書中で提供された各態様において、選別されたI型遺伝子改変NKT細胞集団は、さらなる培養と増殖回数の追加のために、使用される。各態様において、I型遺伝子改変NKT細胞の選別および増殖は、複数回、最大で20回、行うことができる。本開示の方法は、これにより、100万倍を超えるI型遺伝子改変NKT細胞の増殖を提供する。各態様において、上記方法は、少なくとも3回の選別および増殖を提供する。本開示はさらに、少なくとも4回、少なくとも5回、および少なくとも6回の選別および増殖を提供し、包含する。さらなる態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも7回選別および増殖される。さらなる態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、8回、9回、またはそれ以上の回数、選別および増殖される。
【0233】
また、I型遺伝子改変NKT細胞の増殖により、総細胞集団の少なくとも20%を構成する集団を生成することが、提供され、包含される。1つの態様において、I型遺伝子改変NKT細胞は、少なくとも2回の増殖後に総細胞集団の少なくとも20%を構成する。
【0234】
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製し、それにより遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団の10%超を構成する細胞集団を生成する工程と、を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法が、本開示において提供され、包含される。各態様において、10%超の持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、I型NKT細胞を含む。各態様において、総集団は、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0235】
ある態様において、本開示のNKT細胞集団内のセントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~98%、10%~99%、および最大100%を構成し、非改変NKT細胞は総集団のうちの99.9%未満を構成する。各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0236】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することで持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、その結果、前記遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団のうちCD62L(+)NKT細胞を10%超含む細胞集団を生成する、NKT細胞の疲弊を低減する方法を提供し、包含する。各態様において、10%超の持続的な発現能を有する遺伝子改変CD62L(+)NKT細胞集団は、I型NKT細胞を含む。各態様において、総集団は、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む。各態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0237】
ある態様において、本開示のNKT細胞集団内のセントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、CD62L(+)NKT細胞を、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%含む。ある態様において、本開示のセントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞集団は、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~98%、50%~99%、および最大100%を構成し、非改変NKT細胞は、総集団のうちの99.9%未満を構成する 各態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変CD62L(+)NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0238】
本開示は、Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と、その改変NKT細胞を培養することでセントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、を含み、前記改変NKT細胞がある期間培養される、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法を提供し、包含する。1つの態様において、培養期間は1~20日間である。各態様において、培養期間は、1~2日間、1~3日間、1~4日間、1~5日間、1~6日間、1~7日間、1~8日間、1~9日間、1~10日間、1~11日間、および1~12日間である 各態様において、改変NKT細胞は、CARをさらに発現する。他の態様において、改変NKT細胞は、CARおよび外来性増殖因子を発現する。
【0239】
各態様において、NKT細胞を改変する工程を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法は、遺伝子改変NKT細胞集団から所望の細胞を分離することをさらに含む。1つの態様において、前記方法は、CD62Lの発現により改変NKT細胞を分離することで、選別されたCD62L(+)遺伝子改変NKT細胞集団を生成することをさらに含む。1つの態様において、前記方法は、4-1BBの発現により改変NKT細胞を分離することで、選別された4-1BB(+)遺伝子改変NKT細胞集団を生成することをさらに含む。
【0240】
本開示は、ドナーから新鮮PBMCを単離する工程、培養に先立ちPBMCからNKT細胞を分離する工程と、少なくともαGalCer、および増殖因子の存在下で、少なくとも1日間、前記分離NKT細胞を増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程と、を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法を提供し、包含する。1つの態様において、増殖因子は、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、TNF-α、またはこれらの組み合わせを含む。1つの態様において、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程は、抗NKTミクロビーズを用いてPBMCからNKT細胞を分離することをさらに含む。
【0241】
本開示のセントラルメモリー特性を有する遺伝子改変NKT細胞を作製する方法は、抗原提示細胞による暴露で少なくとも2倍にさらに増殖させることができる、遺伝子改変細胞集団を作製すること、を提供し、包含する。1つの態様において、抗原提示細胞は、CD1d+J32白血病細胞である。各態様において、抗原提示細胞は、10:1比~1:10比の割合で与えられる。1つの態様において、抗原提示細胞による暴露は、1:1の比で行われる。各態様において、抗原提示細胞は、CD1d+J32白血病細胞である。
【0242】
本開示のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法は、ヒト化NSGマウスにおける神経芽細胞腫異種移植片内への浸潤物としての生体内残留性を示す、セントラルメモリー特性 遺伝子改変NKT細胞集団を提供し、包含する。


実施形態
実施形態1
Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む、遺伝子改変ナチュラルキラーT(NKT)細胞。
実施形態2
前記発現コンストラクトが、前記Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列と、最大3つの追加のタンパク質コード配列と、を含むポリタンパク質をコードする、実施形態1に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態3
前記NKT細胞がI型NKT細胞である、実施形態1または実施形態2に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態4
CD62L陽性(CD62L+)細胞である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態5
CD4、CD28、4-1BB、CD45RO、CCR7、OX40、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるマーカーの発現が陽性である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態6
TIM-3、LAG-3、およびPD-1の発現レベルが低い、実施形態1~5のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態7
CD161、CD56、CD244、TIM-3、LAG-3、TCF1、およびPD-1の発現が陽性である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態8
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列と、最大3つの追加のタンパク質コード配列とが、自律的リボソーム内自己プロセシングペプチドによって隔てられている、実施形態1~7のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態9
前記自律的リボソーム内自己プロセシングが口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列または関連のシス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)である、実施形態8に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態10
前記転写活性化因子が、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、およびTLEファミリーメンバー1転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)からなる群から選択される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態11
前記LEF1が、参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択される、実施形態10の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態12
キメラ抗原受容体(CAR)のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトをさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態13
前記キメラ抗原受容体(CAR)ががん抗原を認識する抗原認識ドメインを含む、実施形態12に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態14
前記がん抗原がCD19、GD2、およびGPC3からなる群から選択される、実施形態13の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態15
前記ポリタンパク質のタンパク質配列がキメラ抗原受容体(CAR)のタンパク質コード配列をさらに含む、実施形態2に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態16
前記ポリタンパク質のタンパク質配列が増殖因子のタンパク質コード配列を少なくとも1つさらに含む、実施形態15に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態17
前記増殖因子がIL-2、IL-4、IL-7、IL-15、IL-21、またはこれらの組み合わせである、実施形態16に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態18
前記増殖因子がインターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-21(IL-21)、およびインターロイキン-15(IL-15)からなる群から選択される、実施形態16に記載の遺伝子改変NKT細胞。
実施形態19
Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする発現コンストラクトを含む複数の遺伝子改変NKT細胞を含む細胞集団。
実施形態20
I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、または非改変細胞を含む細胞をさらに含む、実施形態19に記載の細胞集団。
実施形態21
前記複数の遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団の10%超である、実施形態19または実施形態20に記載の細胞集団。
実施形態22
前記複数の遺伝子改変NKT細胞が総細胞集団の25%~30%である、実施形態21に記載の細胞集団。
実施形態23
前記複数の遺伝子改変NKT細胞がCD62L(+)NKT細胞を少なくとも50%含む、実施形態19~22のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態24
前記複数の遺伝子改変NKT細胞の少なくとも30パーセントがLEF1を発現する、実施形態19~23のいずれか1つに記載の細胞集団。[図3b]
実施形態25
治療有効量の、実施形態19~24のいずれか1つに記載の細胞集団。
実施形態26
(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む、キメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態27
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子が、リンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、またはTLEファミリーメンバー1、もしくは転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含む、実施形態26に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態28
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子がLEF1である、実施形態26に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態29
前記CARコード配列および前記転写活性化因子配列がインフレームであり、前記CARと前記LEF1コード配列との間に口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列またはFMDV2A関連シス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)配列をさらに含む、実施形態26~28のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態30
前記CARコード配列および前記LEF1コード配列がインフレームであり、前記CARと前記LEF1コード配列との間に口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列またはFMDV2A関連シス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)配列をさらに含む、実施形態28に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態31
口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列またはFMDV 2A関連シス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)配列によって隔てられたインフレームのインターロイキン-15(IL-15)コード配列をさらに含む、実施形態26~30のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態32
第2の口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列またはFMDV 2A関連シス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)配列をさらに含む、実施形態31に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態33
前記細胞外ドメイン配列が抗原認識ドメインおよびスペーサードメインを含む、実施形態26~32のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態34
前記抗原認識ドメインがCD19、GD2、またはGPC3から選択される抗原に結合する、実施形態33に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態35
口蹄疫ウイルス(FMDV)2A配列またはFMDV 2A関連シス作用性ヒドロラーゼエレメント(CHYSEL)配列によって隔てられた追加のタンパク質のインフレームコード配列をさらに含む、実施形態26~34のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態36
前記抗原認識ドメインがCD19特異的抗体FMC-63由来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む、実施形態34に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態37
前記抗原認識ドメインがGD2特異的抗体14G2a由来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)を含む、実施形態34に記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態38
前記細胞内ドメインがCD3-ζ鎖にインフレーム融合された4-1BBというシグナル配列を含む、実施形態26~37のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクト。
実施形態39
実施形態26~38のいずれか1つに記載のキメラ抗原受容体発現コンストラクトを含む、遺伝子改変NKT細胞。
実施形態40
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程と;
前記改変NKT細胞を培養することで、持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程と、
を含む、NKT細胞の増殖能を維持する方法。
実施形態41
前記改変が、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、前記NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することを含む、実施形態40に記載のNKT細胞の増殖能を維持する方法。
実施形態42
前記細胞外ドメイン配列が抗原認識ドメインおよびスペーサードメインを含む、実施形態41に記載の方法。
実施形態43
前記抗原認識ドメインがCD19、GD2、またはGPC3から選択される抗原に結合する、実施形態42に記載の方法。
実施形態44
前記改変がレトロウイルスまたはレンチウイルスを用いて前記タンパク質発現コンストラクトを形質導入することを含む、実施形態40~43のいずれか1つに記載の方法。
実施形態45
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子がリンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、またはTLEファミリーメンバー1、転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含む、実施形態40~44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46
前記Wntシグナル経路の転写活性化因子が参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である、実施形態41に記載の方法。
実施形態47
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を、1:1比のCD1+J32白血病細胞による1回目の暴露によって少なくとも2倍に増殖させることをさらに含む、実施形態40~46のいずれか1つに記載の方法。
実施形態48
前記増殖が、ある期間を置いて、1:1比のCD1+J32白血病細胞による1または複数のさらなる暴露によって繰り返される、実施形態47に記載の方法。
実施形態49
前記期間が1日毎~3日毎である、実施形態48に記載の方法。
実施形態50
前記増殖がさらに2~9回繰り返され、前記遺伝子改変NKT細胞集団が持続的な発現能を有するNKT細胞集団である、実施形態48に記載の方法。
実施形態51
前記遺伝子改変NKT細胞集団に対し選別を行って、分離された遺伝子改変NKT細胞集団を作製することをさらに含む、実施形態40~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52
前記分離された遺伝子改変NKT細胞集団がI型NKT細胞である、実施形態51に記載の方法。
実施形態53
前記I型NKT細胞が総細胞集団の少なくとも20%を構成する、実施形態52に記載の方法。
実施形態54
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が総細胞集団の10%超を構成する、実施形態40~53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む、実施形態40~54のいずれか1つに記載の方法。
実施形態56
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が総細胞集団の50%超を構成する、実施形態40~55のいずれか1つに記載の方法。
実施形態57
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団がCD62L(+)NKT細胞を少なくとも10%含む、実施形態40~56のいずれか1つに記載の方法。
実施形態58
CD62Lの発現によって前記改変NKT細胞を分離することをさらに含む、実施形態40~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59
4-1BBの発現によって前記改変NKT細胞を分離することをさらに含む、実施形態40~58のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が、ヒト化NSGマウスにおける神経芽細胞腫異種移植片内への浸潤物として生体内残留性を示す、実施形態40~59のいずれか1つに記載の方法。
実施形態61
a.ドナーからPBMCを単離する工程;
b.前記PBMCからNKT細胞を分離する工程;並びに
c.前記分離されたNKT細胞を少なくともαGalCer、IL-2、およびIL-21の存在下で少なくとも1日間増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程、
をさらに含む、実施形態40~60のいずれか1つに記載のNKT細胞の増殖能を維持する方法。
実施形態62
前記増殖後の集団が培養12~14日目に得られる、実施形態61に記載の方法。
実施形態63
前記増殖後の遺伝子改変NKT細胞集団を、1:1比のCD1d+J32白血病細胞による暴露によって少なくとも2倍にさらに増殖させることができる、実施形態61および実施形態62のいずれか1つに記載の方法。
実施形態64
前記分離されたNKT細胞を、IL-7、IL-15、IL-12、TNF-α、またはこれらの組み合わせをさらに含む培地中で増殖させること、実施形態61~63のいずれか1つに記載の方法。
実施形態65
抗NKTミクロビーズを用いて、前記NKT細胞が前記PBMCから分離される、実施形態61~64のいずれか1つに記載の方法。
実施形態66
前記細胞を改変前に3日間増殖させる、実施形態61~65のいずれか1つに記載の方法。
実施形態67
前記NKT細胞を10~20日間増殖させる、実施形態61~66のいずれか1つに記載の方法。
実施形態68
前記分離されたNKT細胞および前記改変NKT細胞の前記合計培養時間が20日間未満である、実施形態61~67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態69
Wntシグナル経路における転写活性化因子を含むタンパク質コード配列を少なくとも発現するようにNKT細胞を改変する工程;および
前記改変NKT細胞を培養することで、NKT細胞の疲弊が低減された遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程、
を含む、NKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態70
前記改変が、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、前記NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することを含む、実施形態69に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態71
前記細胞外ドメイン配列が抗原認識ドメインおよびスペーサードメインを含む、実施形態70に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態72
前記抗原認識ドメインがCD19、GD2、またはGPC3から選択される抗原に結合する、実施形態71に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態73
前記改変がレトロウイルスまたはレンチウイルスを用いて前記タンパク質発現コンストラクトを形質導入することを含む、実施形態69~72のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態74
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子がリンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、またはTLEファミリーメンバー1、転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含む、実施形態69~73のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態75
前記Wntシグナル経路の転写活性化因子が参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である、実施形態69~74のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態76
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を、1:1比のCD1+J32白血病細胞による1回目の暴露によって少なくとも2倍に増殖させることをさらに含む、実施形態69~75のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態77
前記増殖が、ある期間を置いて、1:1比のCD1+J32白血病細胞による1または複数のさらなる暴露によって繰り返される、実施形態76に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態78
前記期間が1日毎~3日毎である、実施形態77に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態79
前記増殖がさらに2~9回繰り返され、前記遺伝子改変NKT細胞集団が持続的な発現能を有するNKT細胞集団である、実施形態77に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態80
前記遺伝子改変NKT細胞集団に対し選別を行って、分離された遺伝子改変NKT細胞集団を作製することをさらに含む、実施形態69~79のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態81
前記分離された遺伝子改変NKT細胞集団がI型NKT細胞である、実施形態80に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態82
前記I型NKT細胞が総細胞集団の少なくとも20%を構成する、実施形態81に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態83
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が総細胞集団の10%超を構成する、実施形態69~82のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態84
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む、実施形態69~83のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態85
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が総細胞集団の50%超を構成する、実施形態69~84のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態86
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団がCD62L(+)NKT細胞を少なくとも10%含む、実施形態69~85のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態87
CD62Lの発現によって前記改変NKT細胞を分離することをさらに含む、実施形態69~86のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態88
4-1BBの発現によって前記改変NKT細胞を分離することをさらに含む、実施形態69~87のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態89
a.ドナーからPBMCを単離する工程;
b.前記PBMCからNKT細胞を分離する工程;並びに
c.前記分離されたNKT細胞を少なくともαGalCer、IL-2、およびIL-21の存在下で少なくとも1日間増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程、
をさらに含む、実施形態69~88のいずれか1つに記載の方法。
実施形態90
前記増殖後の集団が培養12~14日目に得られる、実施形態89に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態91
抗NKTミクロビーズを用いて、前記NKT細胞が前記PBMCから分離される、実施形態89または実施形態90に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態92
前記分離されたNKT細胞を、IL-7、IL-15、IL-12、IL-21、TNF-α、またはこれらの組み合わせをさらに含む培地中で増殖させること、実施形態89~91のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態93
前記細胞を改変前に3日間増殖させる、実施形態89~92のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態94
前記NKT細胞を10~20日間増殖させる、実施形態89~93のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態95
前記分離されたNKT細胞および前記改変NKT細胞の前記合計培養時間が20日間未満である、実施形態94に記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態96
Wntシグナル経路の転写活性化因子であるタンパク質をコードする配列を発現するように、発現コンストラクトでNKT細胞を改変する工程;
前記改変NKT細胞を培養することで、前記転写活性化因子を発現させる工程;並びに
反復的な暴露後にセントラルメモリーNKT細胞の特性である増殖能および細胞毒性を保持する遺伝子改変NKT細胞集団を作製する工程、
を含む、NKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態97
前記発現コンストラクトがキメラ抗原受容体(CAR)をコードする配列をさらに含み、前記CARが細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含む、実施形態96に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態98
前記細胞外ドメイン配列が抗原認識ドメインおよびスペーサードメインを含む、実施形態97に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態99
前記抗原認識ドメインがCD19、GD2、またはGPC3から選択される抗原に結合する、実施形態98に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態100
前記改変がレトロウイルスまたはレンチウイルスを用いて前記タンパク質発現コンストラクトを形質導入することを含む、実施形態96~99のいずれか1つに記載のNKT細胞集団中のNKT細胞の疲弊を低減する方法。
実施形態101
前記Wntシグナル経路における転写活性化因子がリンパ系エンハンサー結合因子1(LEF1、Gene ID 51176)、βカテニン((CTNNB1、Gene ID 1499))、Smad3(Gene ID 4088)、HNF1ホメオボックスA(HNF1A、Gene ID:6927(別名TCF1)、転写因子7(TCF7、Gene ID:6932(別名TCF1)、またはTLEファミリーメンバー1、転写コリプレッサー(TLE1、Gene ID 7088)を含む、実施形態96~100のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態102
前記Wntシグナル経路の転写活性化因子が参照配列(RefSeq)ID番号:NP_057353.1、NP_001124185.1、およびNP_001124186.1からなる群から選択されるLEF1である、実施形態101に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態103
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団を、1:1比のCD1+J32白血病細胞による1回目の暴露によって少なくとも2倍に増殖させることをさらに含む、実施形態96~102のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態104
前記増殖が、ある期間を置いて、1:1比のCD1+J32白血病細胞による1または複数のさらなる暴露によって繰り返される、実施形態103に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態105
前記期間が1日毎~3日毎である、実施形態104に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態106
前記増殖がさらに2~9回繰り返され、前記遺伝子改変NKT細胞集団が持続的な発現能を有するNKT細胞集団である、実施形態105に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態107
前記遺伝子改変NKT細胞集団に対し選別を行って、分離された遺伝子改変NKT細胞集団を作製することをさらに含む、実施形態96~106のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態108
前記分離された遺伝子改変NKT細胞集団がI型NKT細胞である、実施形態107に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態109
前記I型NKT細胞が総細胞集団の少なくとも20%を構成する、実施形態108に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態110
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が総細胞集団の10%超を構成する、実施形態96~109のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態111
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が、I型NKT細胞、II型NKT細胞、照射PBMC細胞、非NKT細胞、および非改変細胞を含む、実施形態96~110のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態112
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団が総細胞集団の50%超を構成する、実施形態96~111のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態113
前記持続的な発現能を有する遺伝子改変NKT細胞集団がCD62L(+)NKT細胞を少なくとも10%含む、実施形態96~112のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態114
CD62Lの発現によって前記改変NKT細胞を分離することをさらに含む、実施形態96~113のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態115
4-1BBの発現によって前記改変NKT細胞を分離することをさらに含む、実施形態96~114のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態116
前記改変が、(a)細胞外ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、および細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)コード配列と、(b)Wntシグナル経路における転写活性化因子のタンパク質配列をコードする配列と、を含む発現コンストラクトを、前記NKT細胞にトランスフェクトまたは形質導入することを含む、実施形態96~115のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態117
a.ドナーからPBMCを単離する工程;
b.前記PBMCからNKT細胞を分離する工程;並びに
c.前記分離されたNKT細胞を少なくともαGalCer、IL-2、およびIL-21の存在下で少なくとも1日間増殖させることで、遺伝子改変用のNKT細胞を準備する工程、
をさらに含む、実施形態96~116のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態118
前記増殖後の集団が培養12~14日目に得られる、実施形態117に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態119
前記分離されたNKT細胞を、IL-7、IL-15、IL-12、IL-21、TNF-α、またはこれらの組み合わせをさらに含む培地中で増殖させること、実施形態117または実施形態118に記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態120
前記細胞を改変前に3日間増殖させる、実施形態117~119のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態121
前記NKT細胞を10~20日間増殖させる、実施形態117~120のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態122
前記分離されたNKT細胞および前記改変NKT細胞の前記合計培養時間が20日間未満である、実施形態117~121のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。
実施形態123
抗NKTミクロビーズを用いて、前記NKT細胞が前記PBMCから分離される、実施形態117~122のいずれか1つに記載のNKT細胞におけるセントラルメモリー特性を維持する方法。

【0243】
ある特定の実施形態を参照しながら本開示を説明してきたが、本開示の範囲から逸脱しないように、特定の状況に適合するように、種々の変更を行ってよく、均等物をその要素と置き換えてよいことは、当業者には理解されことである。したがって、本開示は、本開示を実施するために企図された最良の形態として、開示された特定の実施形態に限定されず、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲および精神に含まれる全ての実施形態を包含することが、意図される。
【0244】
本明細書で引用された全ての参考文献は、それらの全体が参照によって本明細書に援用される。
【実施例
【0245】
実施例1:材料および方法
細胞株
K562細胞、Daudi細胞、Raji細胞、Ramos細胞、および293T細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(マナッサス、バージニア州)から購入されている。CD1d+J32白血病細胞という細胞株は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(マナッサス、バージニア州)から購入されている。全ての株は、RPMI(ハイクローン社(HyClone)、ローガン、ユタ州)中で培養されている。培地は、10%FBS(ライフテクノロジーズ社、カールズバッド、カリフォルニア州)および2mMのGlutaMAX(商標)-I(ギブコ社、ウォルサム、マサチューセッツ州)を添加されている。廃棄臍帯血NKT細胞は、MDアンダーソンがんセンター臍帯血バンクから入手されており、MDアンダーソンがんセンターおよびベイラー医科大学の治験審査委員会によって承認されたプロトコルに従って使用されている。
【0246】
K562細胞株のB-8-2クローンは、以前に我々の研究室で得られたものである(Tian et al., “CD62L+ NKT cells have prolonged persistence and antitumor activity in vivo,” J Clin Invest 126, 2341-2355 (2016))。CHLA-255細胞株およびJurkat J32細胞株は前述の通りのものである(Seeger et al., “Morphology, growth, chromosomal pattern and fibrinolytic activity of two new human neuroblastoma cell lines,” Cancer Res 37, 1364-1371 (1977)およびMakni et al., “Reconstitution of an active surface CD2 by DNA transfer in CD2-CD3+ Jurkat cells facilitates CD3-T cell receptor-mediated IL-2 production,” J Immunol 146, 2522-2529 (1991))。CHLA-255および293TはIMDM(ハイクローン社)中で培養され、他の全ての株はRPMI1640(ハイクローン社)中で維持された。20%FBSで培養が行われたCHLA-255培地を除いて、細胞培地は2mMのGlutaMAX-I(ライフテクノロジーズ社)および10%FBS(ハイクローン社)を添加された。
レトロウイルスコンストラクトおよびレトロウイルス生成
【0247】
CAR.CD19コンストラクトおよびCAR.GD2コンストラクトを、以前の報告のように作製する(Heczey et al., (2014); Pule et al., 2005; and Xu et al., “NKT Cells Coexpressing a GD2-Specific Chimeric Antigen Receptor and IL15 Show Enhanced In Vivo Persistence and Antitumor Activity against Neuroblastoma,” Clin Cancer Res 25, 7126-7138 (2019))。これらのコンストラクトは、CD19特異的抗体FMC-63またはGD2特異的抗体14G2a由来のscFvを含有し、それが、IgGlヒンジ領域由来の短スペーサーを介して、CD8a由来の膜貫通ドメインに連結され、その後に、CD3ζシグナル伝達鎖と融合した4-1BBのシグナル伝達細胞内ドメインが続くものであった。追加のコンストラクトを図27に示すが、これらは、口蹄疫ウイルス由来の2A配列ペプチドを用いてヒトLEF1のロング型アイソフォームをコードする配列に連結された表示の遺伝子をさらに含む。図27a~dはCAR.GD2 LEF1コンストラクトを図示している。
【0248】
以前の報告のように、293T細胞に、キメラ抗原を含有するプラスミド、RD114エンベロープをコードするRDFプラスミド、およびMoMLV Gag-PolをコードするPegPam3プラスミドの組み合わせをトランスフェクトすることによりレトロウイルス上清を作製する(Vera et al., “T lymphocytes redirected against the kappa light chain of human immunoglobulin efficiently kill mature B lymphocyte-derived malignant cells,” Blood 108(12):3890-3897 (2006))。
【0249】
表示されているように、CAR.GD2コンストラクトは、LEF1を、CD3ζの下流に、p2A配列に隔てられて、含む。非CARレトロウイルスコンストラクトは、GFP.ホタルルシフェラーゼ(GFP.FFLuc)およびGFP.LEF1を含み、これは、形質導入マーカーとしてのGFPと、p2A配列によってそれと隔てられた過剰発現標的タンパク質とからなる。7-TGC Wntレポーターコンストラクトをコードするレンチウイルスコンストラクトは、J.Rosen博士およびK.Roarty博士(ベイラー医科大学(BCM))からの好意による贈与品であり、エンベローププラスミドpMD2.Gおよびパッキングプラスミドδ8.2は、K.Scott博士およびY.-H.Tsang博士(BCM)からの好意による贈与品である。レンチウイルス上清を、関連のレンチウイルスコンストラクトであるpMD2.Gおよびδ8.2でトランスフェクトした293T細胞から作製する。導入効率を高めるため、製造業者のプロトコルに従ってRetro-X Concentrator(タカラ・バイオ社(Takara Bio))を用いて、レンチウイルス上清を濃縮する。
NKT細胞の単離、形質導入、増殖、および選別
【0250】
健常ドナー(少なくとも18歳)のPBMCは、メキシコ湾地域血液センター(Gulf Coast Regional Blood Center)から購入したバフィーコートから勾配遠心分離により単離される。NKTは、抗iNKTミクロビーズ(ミルテニーバイオテク社(Miltenyi Biotec))によって純化される。ネガティブPBMC画分は、照射(40Gy)され、分注される。NKTは、100ng/niLのαGalCer(協和発酵キリン社)でパルスされた一定分量の自己PBMCで刺激される。組換えIL-2(200U/ml、国立がん研究所、フレデリック)が、完全RPMI(ハイクローン社製RPMI1640、10%熱不活化ウシ胎児血清および2mM GlutaMAX)中で、一日おきに加えられる。NKTは、10日間培養された後、自己PBMC(40Gyを照射)か、または、表示されている場合はaAPCとしてのRamos細胞(100Gyを照射)で、再刺激される。再刺激後3日目に、24ウェル非組織培養プレートをRetroNectin(タカラバイオ社)でコートし、洗浄後、図27に示される上述のコンストラクトを含有する1mlのレトロウイルス上清を摂取し、4600Gで60分間スピンする。その後、ウイルス上清を除去し、完全培地+200U/ml rhIL-2中の刺激後NKTを各ウェルに添加する。48時間後に細胞をプレートから取り出し、洗浄し、完全RPMI+200U/ml IL-2中に10細胞/mlの濃度に再懸濁し、播種し、継続的な増殖を行う。NKT細胞数はトリパンブルー(ライフテクノロジーズ社)計数で求める。表示されている場合、NKTまたはCAR-NKTは、製造業者の説明書に従って、CD62L-PE mAb(GREG-56、BDバイオサイエンス社)および抗PEミクロビーズ(ミルテニー社)で標識後、CD62L+サブセットとCD62L-サブセットに磁気選別される。選別後細胞の表現型はFACSにより求めた。
増殖アッセイおよびアポトーシスアッセイ
【0251】
NKTは、CellTrace Violet(CTV;サーモ・フィッシャー社、ウォルサム、マサチューセッツ州)で標識し、αGalCerパルスB-8-2細胞で刺激する。細胞増殖は、6日目に、フローサイトメトリーを用いてCTV希釈を測定することにより調べる。初期および後期のアポトーシスは、NKT刺激後3日目に、それぞれアネキシンV染色および7-AAD(BDバイオサイエンス社、フランクリン・レイクス、ニュージャージー州)染色後に、フローサイトメトリーを行うことにより、測定する。
【0252】
マルチプレックスサイトカイン定量化アッセイ CD19-CAR-NKTを、1:1のエフェクター:ターゲット(E:T)比の、Daudiリンパ腫細胞またはCHLA-255神経芽細胞腫細胞によって、24時間刺激する。上清を回収し、製造業者のプロトコルに従って、MILLIPLEX MAPヒトサイトカイン/ケモカインイムノアッセイパネル(ミリポア社)を用いて分析し、Luminex(登録商標)解析を行う。
フローサイトメトリー
【0253】
免疫表現型検査は、以下のmAbを用いて行う:HLA-C EMR8-5、CD Id CDld42、CD86 2331、4-1BBL C65-485、OX40L ik-1、CD3 OKT、Va24-Jal8 6B11、CD4 SK3、CD62L DREG-56、CD134 ACT35、CD137 4B4-1、PD-1 EH12.1、GATA3 L50-823(BDバイオサイエンス社)、LAG-3ポリクローナル、TEVI-3 344823(R&Dシステム社)、およびウサギ抗LEFl EP2030Y mAb(アブカム社)。BDまたはR&Dに提案された蛍光色素一致Abおよびアイソタイプ一致Abを、陰性対照として用いる。NKT上のCAR.CD19の発現は、抗Id(クローン136.20.1)CD19-CAR特異的mAb(Torikai H, et al. Toward eliminating HLA class I expression to generate universal cells from allogeneic donors. fi/oo<i.2013;122(8):1341-1349)およびヤギ抗マウスIgG(BDバイオサイエンス社)を用いて求める。
NKT細胞表現型分析
【0254】
NKT細胞表現型は、以下に対する各モノクローナル抗体(mAb)を用いて評価する:CD3(UCHT1)、Vα24-Jα18(6B11)、CD4(RPA-T4)、グランザイムB(GB11)、CD62L(DREG-56;BDバイオサイエンス社、サンノゼ、カリフォルニア州)、Vβ11(C21;ベックマン・コールター、ブレア、カリフォルニア州)、およびIL-21R(17A12;バイオレジェンド社(BioLegend)、サンディエゴ、カリフォルニア州、およびBDバイオサイエンス社)。形質導入後NKTによるCD19-CAR発現は、B.Jena博士(MDアンダーソンがんセンター、ヒューストン、テキサス州)からの贈与品である、抗Id mAb(14G2a抗イディオタイプ1A7 mAb、クローン136.20.1)(25)を用いて検出する。細胞内染色は、Bcl2 mAb(N46-467;BDバイオサイエンス社)およびBIM mAb(Y36;アブカム社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を含む固定/透過処理液キット(BDバイオサイエンス社)と、その後のヤギ抗ウサギIgG-AF488二次mAb(アブカム社)による染色を用いて、行う。Phosflow染色は、Stat3 mAb(pY705;クローン4;BDバイオサイエンス社)を含む、Cytofix緩衝液(BDバイオサイエンス社)およびPerm緩衝液III(BDバイオサイエンス社)を用いて、行う。Stat3リン酸化の検出は、IL-21処理の15分後に行う。BDバイオサイエンス社またはR&Dシステムズ社に提案された蛍光色素一致抗体およびアイソタイプ一致抗体を、陰性対照として用いる。
【0255】
ミトコンドリア質量は、製造業者のプロトコルに従って、25nM MitoTracker Deep RedまたはMitoTracker Green(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いて測定する。転写因子染色は、LEF1のロング型アイソフォームに対するmAb(C12A5)、TCF1のロング型アイソフォームに対するmAb(C63D9;セル・シグナリング・テクノロジー社(Cell Signaling Technology))、およびLEF1の全アイソフォームに対するmAb(EP2030Y、アブカム社)を含む、eBioscience Foxp3/Transcription Factor Staining Buffer Set(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いて、行う。BDバイオサイエンス社、セル・シグナリング・テクノロジー社、またはR&Dシステムズ社に提案された、蛍光色素一致mAbおよびアイソタイプ一致mAbを、陰性対照として用いる。LSR II 5レーザーフローサイトメーター(BDバイオサイエンス社)で、BD FACSDivaソフトウェアのバージョン6.0およびFlowJo10.7(ツリー・スター社(Tree Star))を用いて、解析を行う。
【0256】
LSR II 5レーザーフローサイトメーター(BDバイオサイエンス社)で、BD FACSDivaソフトウェアのバージョン6.0およびFlowJo10.1(ツリー・スター社、アシュランド、オハイオ州)を用いて、解析を行う。
インビトロ細胞毒性アッセイ
【0257】
親NKTおよびCD19-CAR-NKTのそれぞれRamos細胞およびRaji細胞に対する細胞毒性は、以前の報告(13)の通りに、4時間ルシフェラーゼアッセイを用いて評価する。CAR.GD2-NKTのCHLA-255細胞に対するCAR媒介性細胞毒性は、以前の報告(Heczey et al., “Invariant NKT cells with chimeric antigen receptor provide a novel platform for safe and effective cancer immunotherapy,” Blood 124, 2824-2833 (2014))の通りに、4時間ルシフェラーゼアッセイを用いて評価する。
インビトロにおける反復的キリングアッセイ
【0258】
J32白血病細胞を、αGalCer(100ng/mL)で一晩パルス後、CellTrace Violet(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)染色する。標識後J32細胞を、IL-2(50U/mL)の存在下で、表示のE:T比のGFP.LEF1またはGFP.FFLucを形質導入されたNKTと共培養する。3日後、腫瘍の死滅とNKTの細胞増殖を、CountBright Absolute Counting Beads(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いて、フローサイトメトリーによって測定する。前記E:T比を再び確立させるためのNKT細胞数に基づいて、新鮮αGalCerパルスJ32細胞を培養液に加える。この工程を共培養の3日毎に繰り返す。NKT細胞の疲弊/メモリー表現型は、J32刺激から6日間の休止後に、抗PD-1 mAb、抗TIM-3 mAb、および抗CD62L mAbを用いるフローサイトメトリーによって、評価する。
シーホースアッセイ
【0259】
細胞外酸性化速度(ECAR)および酸素消費速度(OCR)を、製造業者の取扱説明書に従ってAgilent Seahorse XFe96 Analyzer(アジレント社)を用いて測定する。GFP.FFLuc-NKTおよびGFP.LEF1-NKTを、二次刺激後12日目に、形質導入率の正規化後に評価する。
遺伝子発現解析
【0260】
Direct-zol(商標)RNA MiniPrep Kit(ザイモ・リサーチ社(Zymo Research)、アービン、カリフォルニア州)を用いて全RNAを収集する。遺伝子発現解析は、ベイラー医科大学(BCM)のGenomic and RNA Profiling Coreによって、Immunology Panelバージョン2(ナノストリング社(NanoString)、シアトル、ワシントン州)とnCounter Analysis Systemを用いて行われる。nSolver3.0ソフトウェア(ナノストリング社)を用いてデータを解析する。2つの培養条件における、CD62L+サブセットとCD62L-サブセットとの間の遺伝子発現レベルの差異を、Linear Models for Microarray Data(Limma)解析パッケージの対応のある調整t統計量を用いて評価する(26)。
リアルタイム定量PCR
【0261】
Wntシグナル伝達成分および下流の遺伝子発現を、NKTにおいて、特異的プライマーを用いるqPCRによって測定する。簡潔に説明すると、RNeasy Plus Mini Kit(キアゲン社)を用いて、未選別NKTまたはCD62L+/-選別NKTからRNAを抽出する。次に、単離したRNAを、Power SYBR Green RNA-to-CT 1-Step Kit(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いた逆転写およびqPCR反応にかける。CD62L-NKTと比較したCD62L+NKTにおけるWnt標的遺伝子の相対的発現を、GAPDHをハウスキーピング遺伝子としたΔΔCt法を用いて、求める。NKTおよびK562人工抗原提示細胞(aAPC)上のWnt受容体、補助受容体、およびリガンドの発現を検出するために、標的遺伝子発現のCt値を、ポジティブコントロール(GAPDH)およびネガティブコントロール(CD19)のCt値と比較する。GAPDHおよびCD19の範囲内のCt値は、有意に発現されていると見なす。プライマーを表2に挙げる。
【表2-1】

【表2-2】

インビボ実験
【0262】
NSGマウスはジャクソン研究所から入手し、BCMの動物飼育施設で維持する。マウスに2×10個のルシフェラーゼ形質導入Daudiリンパ腫細胞を静脈内(IV)注射することで、腫瘍成長を開始させる。3日目に、マウスに、4×10×10個CD19-CAR-NKTをIV注射し、その後、IL-2(1,000U/マウス)単独またはIL-2(1,000U/マウス)およびIL-21(50ng/マウス)の組み合わせを1日おきに2週間腹腔内(IP)注射する。CAR.GD2-NKTの抗神経芽細胞腫効果を試験するため、マウスに、1x10個のルシフェラーゼ形質導入CHLA-255神経芽細胞腫細胞を静脈内注射して、腫瘍成長を開始させる。7日目に、マウスに、4x10個のCAR.GD2-NKTを静脈内注射し、その後、IL-2(2000U/マウス)を1日おきに2週間腹腔内注射する。腫瘍成長は生物発光イメージング(Small Animal Imaging Core Facility、テキサス・チルドレンズ・ホスピタル)で週1回評価する。
統計
【0263】
連続変数の正規性を評価するために、シャピロ-ウィルク検定が使用される。P値が0.05未満である場合、正規性は棄却される。正規分布していないデータについては、2群間の連続変数の差を評価するために、マン・ホイットニーのU検定が使用される。連続変数の差を評価するために、2群間の比較には両側性の対のあるスチューデントt検定が用いられ、3群以上の比較には一元配置分散分析と検定後のボンフェローニ補正が用いられ、2×2の設定での比較には2元配置分散分析とシダックの事後検定が用いられる。生存率は、2群の比較にKaplan-Meier法とログランク(Mantel-Cox)検定を用いて解析を行う。統計はGraphPad Prism 7(グラフパッド・ソフトウェア社(GraphPad Software)、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて計算される。P値が0.05未満の場合に、差は有意とみなされる。実施例2:WNTシグナル伝達はCD62L+細胞で上昇しており、WNTシグナル経路の活性化は疲弊を抑制する
【0264】
遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)プロットにより、CD62L+NKTにおけるセントラルメモリーCD4+T細胞シグネチャー(Abbas et al., 2009)の濃縮が示される。図1を参照されたい。
【0265】
CD62L+NKTは、CD62L-NKTと比較して、Wnt転写活性化因子LEF1の発現レベルが上昇している。αGalCerパルス自己PBMCによる抗原刺激後12日目に、生体外で増殖させた初代NKTにおけるLEF1発現を細胞内フローサイトメトリーにより解析する。NKTをCD62L+集団とCD62L-集団とにゲーティングし、各群のLEF1発現を測定する。7人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(左)および全ドナーのLEF1+割合の平均±SEM(n=7、右)が示されている。***P<0.001、対応のあるスチューデントt検定。図2を参照されたい。図2bに示すように、LEF1は、CD62L-細胞と比較して、CD62L+細胞において発現レベルが上昇している。
【0266】
LEF1発現はCD62L+NKTとCD62L-NKTの区別になるが、TCF1発現はならない。生体外で増殖させたNKTにおけるLEF1とTCF1の共発現を、細胞内フローサイトメトリーにより解析する。NKTをCD62L-(左)集団とCD62L+(右)集団にゲーティングする。プロットは、3人のドナーの代表からのものである(図2)。
【0267】
LEF1+NKTは、LEF1-NKTよりも疲弊が少ない表現型である。NKTをCD62L-LEF1-集団、CD62L+LEF1-集団、およびCD62L+LEF1+集団にゲーティングし(図4a)、各群のTIM-3発現を測定する。7人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(図4b)および全ドナーのTIM-3 MFIの平均±SEM(n=7、図4c)が示されている。P<0.05、ns:有意差なし、一元配置分散分析とシダックの事後検定(post-test)。示されているように、疲弊のマーカーであるTIM-3発現がLEF1発現細胞で減少している。
【0268】
CD62L+NKTでは、CD62L-NKTと比較して、基底Wnt/β-カテニンシグナル伝達が上昇している。NKTをCD62L+サブセットとCD62L-サブセットとに磁気ソーティングした後、RNAを単離する。Wnt標的遺伝子の発現を定量PCRにより測定し、ddCt法により計算する。4人のドナーの要約を示す(図5)。P<0.05、スチューデントt検定。
【0269】
図5は、磁気ソートされたCD62L+サブセットおよびCD62L-サブセットの、定量PCRで測定され、ddCt法で算出された、Wnt標的遺伝子の発現に関する4人のドナーの結果のまとめである。Axin2(a)、Myc(b)、およびTCF7(c)。
【0270】
CD62L+NKTでは、CD62L-NKTと比較して、基底Wnt/β-カテニンシグナル伝達が上昇している。NKTをCD62L+サブセットとCD62L-サブセットとに磁気ソーティングした後、RNAを単離する。Wnt標的遺伝子の発現を定量PCRにより測定し、ddCt法により計算する。4人のドナーの要約を示す(図5:Axin2(a)、Myc(b)、およびTCF7(c))。P<0.05、スチューデントt検定。
【0271】
Wnt/β-カテニンシグナル伝達活性は、7-TGCレポーターを形質導入したNKTにおいて検出することができる。Wntシグナル伝達活性をモニターするために、生体外刺激後の12日目に、NKTに7-TGCレポーターを形質導入する(図6)。形質導入およびWnt活性は、それぞれmCherryおよびGFPを検出することにより測定される。非形質導入NKT(図6a)、7-TGC形質導入NKT(図6b)、および10μM Wnt活性化因子TWS119で一晩処理した7-TGC形質導入NKT(図6c)の各ドットプロットが示されている。
【0272】
CD62L+NKTが、Wnt活性を有するサブセットにおいて濃縮される。mCherry+NKTを、GFP-サブセットとGFP+サブセットとにゲーティングし、各群のCD62L発現を測定する(図7)。4人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(図7a)および全ドナーの平均CD62L+割合(n=4、図7b)が示されている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。**P<0.01、スチューデントt検定。
【0273】
NKTは、Wnt/β-カテニンシグナル伝達を駆動するために必要な成分を発現する。NKTを生体外で10日間増殖させた後、RNAを単離する。Wnt受容体、補助受容体、およびリガンドmRNA発現を定量PCRにより測定する。ポジティブ発現およびネガティブ発現を示すために、それぞれGAPDHおよびCD19を用いる。GAPDHおよびCD19の範囲内のCt値を有する遺伝子を、有意に発現されていると見なす。個別のドナーをそれぞれ用いる、3つの独立した実験の要約を、図8に示す。
【0274】
K562ベースの人工抗原提示細胞(aAPC)は、Wnt/β-カテニンシグナル伝達を駆動するためのWntリガンドを発現しない。上記および図8に示されているように、K562ベースのaAPCからRNAを単離した後、定量PCRを行ってWntリガンド発現を検出する。3つの独立した実験の要約を示す。
【0275】
基底Wntシグナル伝達は、生体外におけるCD62L+NKTの発生に重要である。NKTを、αGalCerパルス自己PBMCによる刺激後、0日目に開始して3日間、3μMのWnt阻害剤ICG-001で処理する。CD62L発現を抗原刺激後12日目に調べる。3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(左)および全ドナーのCD62L+割合の平均(n=3、右)を図10に示す。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。P<0.05、スチューデントt検定。
実施例3:WNTシグナル伝達の活性化はCD62L+NKT細胞の発生を促進する
【0276】
組み換えWnt3aによるWntシグナル伝達の活性化はCD62L+NKTの発生を促進する。NKTを、実施例2に記載されているように刺激するが、抗原刺激後の0日目、3日目、および7日目に与えられるPBSまたは500ng/mL Wnt3aの3回の別々の投与により処理を行う。抗原刺激後12日目にフローサイトメトリーによりCD62L発現を調べる。3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(左)および全ドナーのCD62L+割合の平均(n=3、右)が示されている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。P<0.05、スチューデントt検定。図11は、Wntリガンドを介したWntシグナル伝達の活性化が、CD62L+である細胞の頻度を増加させることを示している。
【0277】
GSK3β阻害を介したWntシグナル伝達の活性化はCD62L+NKTの発生を促進する。NKTを、実施例2に記載されているように刺激するが、抗原刺激後の7日目にDMSOまたは5μMのGSK3β阻害剤TWS119の1回投与により処理を行う。抗原刺激後12日目にフローサイトメトリーによりCD62L発現を調べる。6人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(左)および全ドナーのCD62L+割合の平均(n=6、右)を図12に示す。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。**P<0.01、スチューデントt検定。図12に示すように、Wntシグナル経路阻害剤GSK3bの阻害は、CD62L+NKT細胞の増加をもたらす。Wu and Pan (2010)を参照されたい。すなわち、Wnt経路の阻害の阻害はCD62L+NKT細胞の頻度を増加させる。
【0278】
Wntシグナル伝達がTCR刺激の初期の間に作用すると、CD62L+NKTの発生が促進される。NKTを、αGalCerパルス自己PBMCで刺激し、増殖初期(0日目、1日目、2日目)、増殖後期(6日目、7日目、8日目)、または増殖の全体を通じた(0日目、3日目、8日目)、PBSまたは500ng/mlのWnt3aの3回の投与により処理する。抗原刺激後12日目にフローサイトメトリーによりCD62L発現を調べ、結果を図13に示す。
実施例4:WNTシグナル伝達および増殖因子シグナル伝達が相加的に作用することで、CD62L+NKT細胞の発生が促進される
【0279】
Wnt3aがIL-21と相加的に働くことで、CD62L頻度が増加する。一次刺激後、NKTをIL-2またはIL-2/IL-21と共に12日間培養する。各群では、抗原刺激後の0日目、1日目、および2日目に、PBS処理または500ng/mlのWnt3a処理を行う。増殖の終わりに、CD62L発現をフローサイトメトリーにより解析する。3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラムを図14に示す。
実施例5:WNTシグナル伝達の喪失はCD62L+NKT細胞の頻度を減少させる
【0280】
CRISPR/Cas9を介したLEF1ノックアウト(KO)はCD62L+NKTの頻度を減少させる。NKTに、生体外増殖の10日目に、LEF1を標的とするガイドRNAを有するまたは有さないCas9をエレクトロポレートする。エレクトロポレーション後の3日目に、CRISPR/Cas9を介したLEF1のKOを細胞内フローサイトメトリーにより評価する。NKTをCD62L-集団およびCD62L+集団にゲーティングし、LEF1発現を解析する。3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(図15a)および全ドナーのCD62L+割合の平均±SEM(n=3、図15b)が示されている。**P<0.01、ns:有意差なし、スチューデントt検定。LEF1のノックダウンによるCD62L+細胞の頻度減少は、Wntシグナル伝達がCD62L+NKT細胞の生成に櫃ようであることを示している。
【0281】
LEF1のKOは、抗原刺激後のCD62L+サブセットの発生にのみ影響を与える。(エレクトロポレーション後の7日目、図17a)の前の、エレクトロポレーション済みNKTにおけるCD62L発現を、フローサイトメトリーで解析する。示されているように、LEF1発現の減少は、刺激前のCD62L+NKT細胞頻度に有意な効果を持たない。対照的に、抗原再刺激の10日後(二次刺激後の10日目、図18)、LEF1の喪失は、CD62L+NKT細胞の有意な減少をもたらす。3人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(図17a、図18a)および全ドナーのCD62L+割合の平均±SEM(n=3、図17bおよび図18b)が示されている。**P<0.01;ns:有意差なし、対応のあるスチューデントt検定。これらの結果は、Wntシグナル伝達の活性化が、抗原刺激後のCD62L+サブセットに必要であることを示している。
実施例6:WNTシグナル伝達の活性化はNKT増殖能を維持し、NKT細胞の疲弊を軽減する
【0282】
NKTにおけるLEF1過剰発現は、ガンマレトロウイルスを用いたアプローチにより達成することができる。LEF1のロング型アイソフォームを過剰発現するガンマレトロウイルスコンストラクトをNKTにおける発現用に作製する(図19、上段、GFP.LEF1)。NKTに、αGalCerパルスaAPCを用いた二次刺激の2日後に、GFP.FFLucコンストラクトまたはGFP.LEF1コンストラクトを形質導入する。増殖の12日目に、GFP発現をフローサイトメトリーで評価し(図19a)、LEF1発現は別に細胞内フローサイトメトリーにより解析する(図19b)。3人のドナーのうちの1人からの代表的なドットプロットが示される。
【0283】
LEF1過剰発現はNKTにおけるミトコンドリア質量を増加する。上記で作製されたGFP.FFLuc形質導入NKTおよびGFP.LEF1形質導入NKTのミトコンドリア質量を、MitoTracker染色およびフローサイトメトリーにより解析する。NKTを非形質導入(GFP-)集団と形質導入(GFP+)集団とにゲーティングし、MitoTracker DeepRed染色を比較する。2人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラムを図20に示す。
【0284】
LEF1過剰発現はNKTにおけるミトコンドリア容量(mitochondrial capacity)を増加する。基礎条件下の、並びにオリゴマイシン、FCCP、並びにロテノンおよびアンチマイシンA(Rot/Ant)に応答した、上記で作製されたGFP.FFLuc形質導入NKTおよびGFP.LEF1形質導入NKTの酸素消費速度(OCR)を、シーホースアッセイにより測定する。図21を参照されたい。結果は、試験された2人のドナーのうちの1人からの代表的なものである。
【0285】
LEF1過剰発現は反復的抗原暴露後にNKT細胞増殖能を維持する。GFP.FFLuc形質導入NKTおよびGFP.LEF1形質導入NKTを、1:1比のCD1d+J32白血病細胞で3日毎に反復暴露する(図22の上段に模式図を示す)。サイクル毎にカウントビーズおよびフローサイトメトリーを用いてNKTを計数する。サイクル毎の増殖における変化倍率を図22の下段に示す。
【0286】
LEF1過剰発現は、反復的抗原暴露後にNKTによる腫瘍量の効果的な制御を促進する。上記および図22における7サイクル目の反復的キリングアッセイの後、NKTを3日間1:50比のJ32細胞に暴露する。腫瘍細胞数を、カウントビーズおよびフローサイトメトリーを用いて求める。腫瘍減少率を図23に示す。
【0287】
LEF1過剰発現は反復的抗原暴露後にNKT細胞の疲弊を軽減する。図22における5サイクル目の反復的キリングアッセイの後に、NKTを抗原刺激から離し、計6日間休める。その後、GFPと相関したTIM-3発現をフローサイトメトリーで調べる。4人のドナーのうちの1人からの代表的なドットプロット(図24a)および全ドナーの平均TIM-3 MFI(n=4、図24b)が示されている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。***P<0.001、ns:有意差なし、一元配置分散分析とシダック事後検定(post-test)。結果を表3に示す。
【表3】

【0288】
LEF1過剰発現は反復的抗原暴露後にCD62L+セントラルメモリーNKTを維持する。上記のように、および図24に示されているようにNKTを休めた後、GFP-TIM-3hi集団、GFP+TIM-3hi集団、およびGFP+TIM-3lo集団にゲーティングする。各群のCD62L発現をフローサイトメトリーで評価する。4人のドナーのうちの1人からの代表的なヒストグラム(図25a)および全ドナーの平均CD62L割合(n=4、図25b)が示されている。それぞれのシンボルは個々のドナーを表す。一元配置分散分析とシダックの事後検定(post-test)。
【0289】
(y)LEF1を過剰発現するNKTは、反復的抗原暴露の間に、GFP.FFluc対照細胞に優る選択的有意性を示す。NKTに、上記および図22に示されているような反復的暴露を行う。フローサイトメトリーを用いて、形質導入細胞の濃縮をGFP発現によりモニターする(図26)。4人のドナーのうちの1人からの代表的な結果が示される。
実施例7:LEF1の共発現をコードするCARコンストラクト
【0290】
LEF1の共発現をコードするCAR.GD2コンストラクトを図27に図示する。LEF1のロング型アイソフォーム(NM_016269.5)を、CD28もしくは4-1BB細胞内ドメインの下流、または存在する場合はIL-15の下流に、2A配列後に挿入した。
【0291】
各種LEF1含有コンストラクトを形質導入したNKTはLEF1とCAR.GD2の両方を発現する。αGalCerパルスaAPCによる二次刺激の2日後、NKTに、親またはLEF1含有CAR.GD2コンストラクトを形質導入する。増殖の12日目に、CAR.GD2の細胞表面発現およびLEF1の細胞内発現をフローサイトメトリーで測定する。代表的なドットプロットが、2人のドナーのうち1人からの、CAR発現に対するLEF1発現を示している。
実施例8:LEF1過剰発現は腫瘍細胞死滅後の後期のNKT増殖を促進する
【0292】
CD1D NKT細胞を上記のように単離し、1×10個の細胞を1:1比のJ32腫瘍細胞に3日毎(例えば、サイクル)に暴露する。3日後、増殖させたNKT細胞を単離し、J32腫瘍細胞による暴露を再開する。結果はFACSでソーティングしたものであり、プロットが示されている。示されているように、7サイクル目に、LEF1発現NKT細胞は増殖能を保持している。図30を参照されたい。
【0293】
増殖させたNKT細胞は7サイクル後も有効な腫瘍細胞死滅を保持する。7サイクル後、増殖させたNKT細胞を単離し、図31に示されているように1:50比の腫瘍細胞に暴露する。図32は、GFP.FFLUCまたはGFP.LEF1を形質導入したNKTのドットプロットを示している。図32のパネルaに示すように、LEF1発現細胞は増殖能を保持する。図32のパネルbに示すように、LEF1発現細胞は腫瘍を死滅させる能力を保持しているが、対照NKT細胞は保持していない。図33は、図32の結果のグラフ表示である。
実施例9:LEF1 CRISPR-CAS9遺伝子編集
【0294】
LEF1遺伝子に対する2つのガイドRNA(gRNA)(配列番号45 CCCGGAATAACTCGAGTAGG、および配列番号46 GTCACTGTAAGTGATGAGGG)を、CRISPRscanアルゴリズムおよびCOSMIDアルゴリズムを用いて設計する(Moreno-Mateos et al., “CRISPRscan: designing highly efficient sgRNAs for CRISPR-Cas9 targeting in vivo,” Nat Methods 12, 982-988 (2015)およびCradick et al., “COSMID: A Web-based Tool for Identifying and Validating CRISPR/Cas Off-target Sites,” Mol Ther Nucleic Acids 3, e214 (2014)。公表されたプロトコルに従ってNKTにおけるLEF1遺伝子をゲノム的に破壊する(Gundry et al., “Highly Efficient Genome Editing of Murine and Human Hematopoietic Progenitor Cells by CRISPR/Cas9,” Cell Rep 17, 1453-1461 (2016)。簡潔には、特定の遺伝子座に相補的な20ntの配列をオリゴヌクレオチドプライマーに組み込み、それを用いて、PX458プラスミド(Feng Zhangから贈与;Addgene 48138)からgRNA足場を増幅させる。製造業者の取扱説明書に従って、High-Yield RNA Synthesis Kit(ニュー・イングランド・バイオラボ社)を用いたインビトロ転写を通じて、gRNAを鋳型DNAから作製し、RNA Clean & Concentrator-25キット(ザイモ・リサーチ社)を用いて精製する。Neon Transfection System(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いて、5μgのgRNAおよび10μgのCas9タンパク質(PNAバイオ社)を、100μLのBuffer R中の2×10個の活性化NKTに、1600V、10ミリ秒の3回のパルスでエレクトロポレートする。エレクトロポレーション後、NKTを、10%ウシ胎児血清を添加した完全RPMI中で一晩インキュベートする。NKTを次に、200U/mLのIL-2を添加した培地中で増殖させる。
実施例10:LEF1過剰発現はセントラルメモリー遺伝子を誘導し、疲弊およびエフェクター表現型に関連した各遺伝子を抑制する
【0295】
GFP.FFluc NKT細胞およびGFP.LEF1 NKT細胞を二次刺激の10日後に回収し、GFP陽性細胞をFACSで選別する。選別した細胞から単離したRNAをバルクRNAシーケンス解析用に加工する。目的の発現変動遺伝子(DEG)は、共通の表現型/機能によって分類される。結果を図34Aのパネルaにプロットする。ヒートマップは、LEF1-GFP+細胞およびFFLuc-GFP+細胞における発現の変化倍率(LEF1/FFLuc)を示しており、誤発見率(FDR)は0.05未満である(PDCD1の場合、FDR<0.20)(図34A、パネルb)。6人のドナーについての、共有されている表現型および機能によって分類した結果を、表3に示す。
【0296】
図34Bのパネルcに示すように、LEF1の過剰発現は、セントラルメモリー様トランスクリプトームシグネチャーを誘導し、図34Bのパネルdに示すように、疲弊が低減されたトランスクリプトームシグネチャーを誘導する。図34Bのパネルcは、LEF1を過剰発現しているNKTにおけるセントラルメモリーT細胞シグネチャーの濃縮(Jeffrey et al., 2006)を示す、GSEAプロットを示している。LEF1を過剰発現しているNKTにおける、疲弊レベルが低く、CD8 T細胞シグネチャーの濃縮を示すGSEAプロット(Duraiswamy et al.、 2011)が、図34Bのパネルdに示されている。
【表4】

実施例11:CAR-LEF1コンストラクトの設計および発現
【0297】
CAR LEF1コンストラクトの例示的な設計の模式図を、図35Aのパネルaに示す。CARコンストラクトは、抗GD2 14g2aのscFv、CD8のヒンジおよび膜貫通ドメイン、4-1BBの共刺激ドメイン、並びにCD3のζドメインを含有し、2A配列に続きLEF1を伴う(CAR-LEF1)、または伴わない(CAR)。
【0298】
CARおよびLEF1の共発現を測定する。αGalCerパルスaAPCによる二次刺激の2日後に、NKTに、親またはLEF1含有CAR.GD2コンストラクトを形質導入する。10日間の増殖後、表面のCAR発現および細胞内のLEF1発現をフローサイトメトリーで測定する。図35のパネルbの、代表的なドットプロットが、2人のドナーのうち1人からの、CAR発現に対するLEF1発現を示している。
【0299】
LEF1の組み込みはCAR-NKTの数的増殖を改善する。NKT細胞数をトリパンブルー色素排除アッセイにより求める。両方の群について、刺激の2日後と10日後との間の、細胞数の変化倍率を算出する。CAR群に対する平均変化倍率±SEM(n=8人のドナー)が示される。**P<0.01、対応のあるスチューデントt検定。結果を図35Aのパネルcに示す。
【0300】
LEF1の組み込みはCAR-NKTのCD62L発現を改善する。10日間の増殖後、CAR+にゲーティングされたNKTにおいて、フローサイトメトリーにより、CD62L発現を評価する。代表的なヒストグラムおよびCD62L割合の平均±SEM(n=6人のドナー)が示される(図35Bのパネルd)。P<0.05、対応のあるスチューデントt検定。
【0301】
LEF1の組み込みはCAR-NKTのTIM-3発現を減少する。10日間の増殖後、CAR+にゲーティングされたNKTにおいて、フローサイトメトリーにより、TIM-3発現を評価する。代表的なヒストグラムおよびCAR群に対する平均変化倍率±SEM(n=6人のドナー)が示される(図35Bのパネルe)。***P<0.001、対応のあるスチューデントt検定。
【0302】
LEF1の組み込みはCAR-NKTの短期細胞毒性を低減する。ルシフェラーゼ形質導入GD2+CHLA-255細胞を、CAR NKTまたはCAR-LEF1 NKTと共に4時間共培養する。非形質導入(NT)NKTを対照として用い、発光強度から細胞毒性を算出する。1人の被験ドナーからの結果を図35Cのパネルfに示す。
【0303】
LEF1の組み込みはCAR-NKTからのエフェクターサイトカインの産生を低減する。CAR NKTおよびCAR-LEF1 NKTを、CHLA-255細胞で刺激し、24時間後に上清を回収する。GM-CSF、IFNγ、TNFα、およびIL-4のレベルをLuminexアッセイで測定する。同様の結果を有する2人の被験ドナーのうちの1人からの結果(図35Cおよび図35Dのパネルg)。***P<0.001、****P<0.0001、対応のないスチューデントt検定。
実施例12:CAR-LEF1 NKTはインビボでより優れた腫瘍制御を媒介する
【0304】
NKTをIL-2と共に増殖させ、CAR.GD2(CAR)またはCAR.GD2-LEF1(CAR-LEF1)を形質導入し、非形質導入(NT)対照群を含む。0日目に、NSGマウス(1群当たりn=8匹のマウス)に、1×10個のルシフェラーゼ形質導入CHLA-255細胞を静脈内注射する。7日目に、マウスに、NT、CAR、またはCAR-LEF1 NKT調製物(マウス当たり4×10個のCAR+細胞)を静脈内注射する。NKT注射の2週間後、IL-2を週3回腹腔内注射する。腫瘍成長を、生物発光画像法を用いて週1回モニターする。結果を図36Aに示す。
【0305】
試験マウスの生存率を、カプラン・マイヤー法を用いて作製する。生存確率の差を、ログランク検定を用いて比較する。***P<0.001。結果を図36Bと、下記の表5に示す。表6は平均とT検定による統計解析を示している。
【表5】

【表6】
図1
図2
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図34A
図34B
図35A
図35B
図35C
図35D
図36A
図36B
【配列表】
2024507721000001.app
【国際調査報告】