(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】手術顕微鏡診療システム
(51)【国際特許分類】
A61B 90/20 20160101AFI20240214BHJP
G02B 21/22 20060101ALI20240214BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61B90/20
G02B21/22
G02B21/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547528
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2022072540
(87)【国際公開番号】W WO2022170927
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202110185546.9
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519341142
【氏名又は名称】ズーマックス メディカル コーポレーション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 吉龍
(72)【発明者】
【氏名】ナドー ボビー
(72)【発明者】
【氏名】李 剣月
(72)【発明者】
【氏名】黄 彬
(72)【発明者】
【氏名】杜 雷
(72)【発明者】
【氏名】何 進
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AB19
2H052AB26
2H052AD04
2H052AF21
2H052AF22
(57)【要約】
【課題】本発明は手術顕微鏡診療システムを提供する。
【解決手段】前記手術顕微鏡診療システムは、顕微鏡観察モジュール、記憶モジュール及び増強情報画像入力モジュールを含む。前記顕微鏡観察モジュールは観察待機目標対象の観察に用いられる。前記記憶モジュールには目標対象の放射イメージング型3次元構造デジタル画像が記憶されている。前記増強情報画像入力モジュールは前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像を光学画像として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野に投影し、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させることにより重畳光学画像を形成する。本発明の手術顕微鏡診療システムは投影方法により手術顕微鏡の顕微鏡下の光学画像に付加情報画像を重畳させる。それにより、医者が手術をするとき、目標対象を容易に観察し、手術に関するいろいろなデータを迅速に閲覧することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡観察モジュール、記憶モジュール及び増強情報画像入力モジュールを含み、
前記顕微鏡観察モジュールは観察待機目標対象の観察に用いられ、
前記記憶モジュールには目標対象の放射イメージング型3次元構造デジタル画像が記憶されており、
前記増強情報画像入力モジュールは前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像を光学画像として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野に投影し、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させることにより重畳光学画像を形成することを特徴とする手術顕微鏡診療システム。
【請求項2】
前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像に対してスイッチ制御をすることにより、使用者は需要により目標対象の分層二次元画像または3D画像を選択することができることを特徴とする請求項1に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項3】
前記手術顕微鏡診療システムは3D画像形成モジュールと画像認識処理モジュールを更に含み、前記3D画像形成モジュールは、顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を随時採集し、かつ採集した前記顕微鏡下の光学画像を3Dデジタル画像に変換し、
前記画像認識処理モジュールは、前記3Dデジタル画像中の生物学的特徴を認識し、かつ生物学的特徴を比較することにより、前記3Dデジタル画像にマッチングされる放射イメージング型3次元構造デジタル画像を前記増強情報画像入力モジュールに出力し、かつ前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定区域に投影することを特徴とする請求項2に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項4】
前記手術顕微鏡診療システムは検出モジュールを更に含み、前記検出モジュール内には焦点距離調節可能な大型対物レンズとズームシステムが取り付けられ、前記検出モジュールは前記焦点距離調節可能な大型対物レンズのフォーカス位置と前記ズームシステムの倍率をそれぞれ検出し、前記画像認識処理モジュールは前記検出モジュールが検出した前記焦点距離調節可能な大型対物レンズのフォーカス位置により前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像の深さの位置を確定し、前記画像認識処理モジュールは前記検出モジュールが検出した前記ズームシステムの倍率により前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像が表示している現在表示層の区域の深さの範囲を確定することを特徴とする請求項3に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項5】
前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野中の辺縁位置に投影するか或いは、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させて表示することにより、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像の透明度を調節することを特徴とする請求項3に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項6】
前記手術顕微鏡診療システムは位置決めナビゲーション検出モジュールを更に含み、前記位置決めナビゲーション検出モジュールは手術器具に取り付けられ、前記位置決めナビゲーション検出モジュールは前記手術器具の深さと空間内位置データを随時検出し、前記画像認識処理モジュールは、前記位置決めナビゲーション検出モジュールが検出した前記手術器具の深さ及び空間内位置データと3Dデジタル画像中の生物学的特徴を比較することにより、前記手術器具と目標対象との間のリアルタイム相対的位置データを取得し、かつ獲得したリアルタイム相対的位置データを前記増強情報画像入力モジュールに入力した後、それを前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影することを特徴とする請求項5に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項7】
前記手術器具の深さ及び空間内位置データと前記手術器具の状態データを前記記憶モジュールに随時記憶し、前記手術器具の状態データは前記増強情報画像入力モジュールに入力され、かつ前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に投影されることを特徴とする請求項6に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項8】
前記記憶モジュールには患者情報データ、根管長測定具のデータ、口腔走査装置のデータ、歯周電子プローブのデータ及び歯髄活力データが更に記憶されており、各データに表示スイッチが設置されていることにより使用者は各データの表示をそれぞれ制御することができ、使用者は前記増強情報画像入力モジュールにより前記データを前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影することができることを特徴とする請求項1に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項9】
各データは、文字符号、データ表、2次元曲線または3次元地形図等として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に投影され、各データは前記顕微鏡観察モジュールの観察視野内のサブ表示パネルに表示されるか或いは1つの表示ウィンドウにそれぞれ表示されることができ、各データの透明度、各データの表示ウィンドウのサイズ及び位置を調節することができることを特徴とする請求項8に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項10】
前記手術顕微鏡診療システムはAI補助分析モジュールを更に含み、前記AI補助分析モジュールはスイッチ制御をし、使用者は需要によりAI補助機能の開閉を制御することができ、前記AI補助分析モジュールは、前記3D画像形成モジュールが採集した3Dデジタル画像を分析することにより目標対象の病変状況を認識し、病変がある目標対称に標識をつけることにより病変状況を使用者に知らせることができ、かつ前記記憶モジュールに記憶されているいろいろなデータを分析することによりAI補助情報を形成し、使用者は前記増強情報画像入力モジュールにより前記AI補助情報を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に投影することができることを特徴とする請求項9に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項11】
前記手術顕微鏡診療システムは撮影モジュールを更に含み、前記撮影モジュールにより患者の表情画像データを随時獲得することができ、前記AI補助分析モジュールは前記撮影モジュールが採集した表情画像データを分析することにより使用者は患者の快適性を把握し、かつ前記増強情報画像入力モジュールにより表情画像データの分析結果を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に随時投影することができることを特徴とする請求項10に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項12】
前記手術顕微鏡診療システムは手術顕微鏡を含み、前記増強情報画像入力モジュールは投影装置(6)を含み、前記投影装置(6)は付加情報含有光線(94)を投影し、前記付加情報含有光線(94)と前記手術顕微鏡内の1つまたは2つの入射光線と重畳した後前記手術顕微鏡内の双眼鏡(5)に入射することにより重畳光学画像が形成されることを特徴とする請求項1に記載の手術顕微鏡診療システム。
【請求項13】
前記投影装置(6)は投影表示部品(61)とイメージングレンズ群(62)を含み、前記投影表示部品(61)は付加光学画像(93)を投影し、前記付加光学画像(93)は前記イメージングレンズ群(62)により平行光線に変換されることにより前記付加情報含有光線(94)が形成されることを特徴とする請求項12に記載の手術顕微鏡診療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診断に関する技術分野に属し、特に、手術顕微鏡診療システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外科顕微鏡を歯髄と根管の検査と治療に用いることができる。外科顕微鏡により根管の開口の位置、根管の内壁の形状、根管内の歯髄の除去状況を明確に観察することができ、外科顕微鏡を根管の用意及び充填、根管内の切断器具の除去と根尖周の手術等に使用することもできる。口腔手術顕微鏡は充分な照明を具備しかつ拡大後の解像度が高いとの利点を有しているので、口腔手術顕微鏡を使用することにより、経験と触覚により操作をする従来の診断方法を代替し、かつ根管の治療、根管の金属閉塞物の除去、根管階段の形成、根尖のオフセット、髄腔の穿孔を実施する成功率を大幅に向上させることができる。
【0003】
一方、医者が検査と治療をするとき患者の姿勢に合わせる必要があるため、医者は快適性がよい姿勢で立つことができない。手術をながくするとき、肩、首、背中の筋肉の疲労と痛みをもたらすおそれがある。長時間の疲労により深刻な関節の問題を招き、医者の職業の寿命にも影響を与えるおそれがある。手術顕微鏡を発明したことにより、前記問題を解決し、医者が検査と治療をするとき快適性がよい姿勢で立つことができる。それにより、医者の肩、首、背中の疲労を解消し、診断と治療の効率と品質を効率的に向上させることができる。
【0004】
しかし、従来の手術顕微鏡により組織の外層の構造を観察することができるが、組織の内層の構造を確定することはできない。したがって、手術をするとき、組織の内層の構造を複数回検出する必要があるので、時間が多くかかり、根管の遺漏と健康な歯組織の過度な除去をもたらすおそれがある。歯は三次元構造と多層の組織を有している。手術顕微鏡は組織の外層の構造を観察することができるが、組織の内層の構造を確定することはできない。
【0005】
歯の中間の中空部分には歯髄と呼ばれる軟組織が含まれている。中空部分の上部は広く、その箇所は歯髄腔と呼ばれる。中空部分の下部には管状の根管が形成され、根管は歯神経と栄養神経の血管に繋がっている。歯髄の感染により歯髄の痛みと顎骨の感染を招き、歯は歯の神経死によって脆弱にされるおそれがある。
【0006】
例えば、根管の治療をするとき、医者は髄腔を徹底的に開き、すべての根管を見つけて処理する必要がある。人間の歯には通常1~4本の根管があり、後部の歯に根管が最も多い。年齢の増加や修復性歯根の堆積、歯髄結石の堆積、髄腔の石灰化や根管状態の変化により根管の開口を容易に見つけることができないとき、歯の三次元断面図を用いることにより、歯髄腔の解剖形態を各方向と位置から観察し、把握する必要がある。また、多角度の投影方法で撮影したX線写真により、歯根と根管の数量、形状、位置、方向及び曲率、歯根と歯冠の関係、歯根と根管断面形態の様々な可能性のある異変等を把握する必要がある。一部の歯の根管の数は4本に達することができるため、側枝根管、サブ根管、先端分岐、先端分岐などの複雑な状況が存在する可能性があり、拡大して観察しても根管を見落とすおそれがある。したがって、根管の可能な位置を推定し、ボールドリルを使用することにより根管が存在する可能性がある発育槽から少量の歯の本質を除去する必要がある。つぎに、鋭いプローブを使用することにより石灰化領域を穿刺し、歯首部(cervical)が除去された根管の開口のダンティン首輪(Dentin collar)を検出することにより露出している根管の開口を検出する。つまり、根管の開口に石灰化があれば、医者は石灰化の可能性がある位置を検出する必要がある。それにより健康な歯組織を過度に除去するおそれがある。
【0007】
現在、医者は手術をする前に歯の写真を観察することにより根管の数量と形状を確定する。その場合、医者が歯冠の形状を記憶する必要があるので、医者の負担が大幅増加する。手術中に手術を一時停止して歯の写真を再び観察する場合もある。また、歯の写真は2次元平面画像であるため、根管の3次元形状を正確に反映することができない。実際の応用において、根管はいろいろな方向に曲がるおそれがあるため、歯の写真により根管の位置を正確に決めすることができない。
【0008】
CBCT等の立体画像は、複雑であり、記憶しにくいとの欠点を有している。医者は歯の構造の3次元形状を頭に覚え、手術中に顕微鏡下の歯と実際の歯を比較し、重畳させ、融合する必要がある。それにより医者の負担が大幅増加するので、治療の正確性を確保することができない。
【0009】
従来の技術の問題を解決するため、新しい技術的事項を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術の問題を解決するため、本発明は下記手術顕微鏡診療システムを提供する。
本発明の手術顕微鏡診療システムは、顕微鏡観察モジュール、記憶モジュール及び増強情報画像入力モジュールを含み、前記顕微鏡観察モジュールは観察待機目標対象の観察に用いられる。前記記憶モジュールには目標対象の放射イメージング型3次元構造デジタル画像が記憶されている。前記増強情報画像入力モジュールは前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像を光学画像として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野に投影し、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させることにより重畳光学画像を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像に対してスイッチ制御をすることにより、使用者は需要により目標対象の分層二次元画像または3D画像を選択することができる。
【0012】
本発明の手術顕微鏡診療システムは3D画像形成モジュールと画像認識処理モジュールを更に含み、前記3D画像形成モジュールは、顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を随時採集し、かつ採集した前記顕微鏡下の光学画像を3Dデジタル画像に変換する。前記画像認識処理モジュールは、前記3Dデジタル画像中の生物学的特徴を認識し、かつ生物学的特徴を比較することにより、前記3Dデジタル画像にマッチングされる放射イメージング型3次元構造デジタル画像を前記増強情報画像入力モジュールに出力し、かつ前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定区域に投影する。
【0013】
本発明の手術顕微鏡診療システムは検出モジュールを更に含み、前記検出モジュール内には焦点距離調節可能な大型対物レンズとズームシステムが取り付けられ、前記検出モジュールは前記焦点距離調節可能な大型対物レンズのフォーカス位置と前記ズームシステムの倍率をそれぞれ検出する。前記画像認識処理モジュールは前記検出モジュールが検出した前記焦点距離調節可能な大型対物レンズのフォーカス位置により前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像の深さの位置を確定し、前記画像認識処理モジュールは前記検出モジュールが検出した前記ズームシステムの倍率により前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像が表示している現在表示層の区域の深さの範囲を確定する。
【0014】
前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野中の辺縁位置に投影するか或いは、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させて表示することにより、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像の透明度を調節する。
【0015】
本発明の手術顕微鏡診療システムは位置決めナビゲーション検出モジュールを更に含み、前記位置決めナビゲーション検出モジュールは手術器具に取り付けられ、前記位置決めナビゲーション検出モジュールは前記手術器具の深さと空間内位置データを随時検出し、前記画像認識処理モジュールは、前記位置決めナビゲーション検出モジュールが検出した前記手術器具の深さ及び空間内位置データと3Dデジタル画像中の生物学的特徴を比較することにより、前記手術器具と目標対象との間のリアルタイム相対的位置データを取得し、かつ獲得したリアルタイム相対的位置データを前記増強情報画像入力モジュールに入力した後、それを前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影する。
【0016】
前記手術器具の深さ及び空間内位置データと前記手術器具の状態データを前記記憶モジュールに随時記憶することができる。前記手術器具の状態データは前記増強情報画像入力モジュールに入力され、かつ前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に投影される。
【0017】
前記記憶モジュールには患者情報データ、根管長測定具のデータ、口腔走査装置のデータ、歯周電子プローブのデータ及び歯髄活力データが更に記憶されている。各データに表示スイッチが設置されていることにより使用者は各データの表示をそれぞれ制御することができ、使用者は前記増強情報画像入力モジュールにより前記データを前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影することができる。
【0018】
各データは、文字符号、データ表、2次元曲線または3次元地形図等として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に投影され、各データは前記顕微鏡観察モジュールの観察視野内のサブ表示パネルに表示されるか或いは1つの表示ウィンドウにそれぞれ表示されることができ、各データの透明度、各データの表示ウィンドウのサイズ及び位置を調節することができる。
【0019】
本発明の手術顕微鏡診療システムはAI補助分析モジュールを更に含み、前記AI補助分析モジュールはスイッチ制御をし、使用者は需要によりAI補助機能の開閉を制御することができる。前記AI補助分析モジュールは、前記3D画像形成モジュールが採集した3Dデジタル画像を分析することにより目標対象の病変状況を認識し、病変がある目標対称に標識をつけることにより病変状況を使用者に知らせることができ、かつ前記記憶モジュールに記憶されているいろいろなデータを分析することによりAI補助情報を形成し、使用者は前記増強情報画像入力モジュールにより前記AI補助情報を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に投影することができる。
【0020】
本発明の手術顕微鏡診療システムは撮影モジュールを更に含み、前記撮影モジュールにより患者の表情画像データを随時獲得することができ、前記AI補助分析モジュールは前記撮影モジュールが採集した表情画像データを分析することにより使用者は患者の快適性を把握し、かつ前記増強情報画像入力モジュールにより表情画像データの分析結果を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の設定位置に随時投影することができる。
【0021】
本発明の手術顕微鏡診療システムは手術顕微鏡を含み、前記増強情報画像入力モジュールは投影装置を含み、前記投影装置は付加情報含有光線を投影し、前記付加情報含有光線と前記手術顕微鏡内の1つまたは2つの入射光線と重畳した後前記手術顕微鏡内の双眼鏡に入射することにより重畳光学画像が形成される。
【0022】
前記投影装置は投影表示部品とイメージングレンズ群を含み、前記投影表示部品は付加光学画像を投影し、前記付加光学画像は前記イメージングレンズ群により平行光線に変換されることにより前記付加情報含有光線が形成される。
【発明の効果】
【0023】
従来の技術と比較してみると、本発明の手術顕微鏡診療システムにより下記1つまたは複数の発明の効果を奏することができる。
(1)本発明の手術顕微鏡診療システムの増強情報画像入力モジュールにより一部の補助付加情報画像と顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させることができる。それにより、医者が手術をするとき手術に関するいろいろなデータを迅速に閲覧することができる。
(2)本発明の手術顕微鏡診療システムにおいて、放射イメージング型3次元構造デジタル画像に対してスイッチ制御をすることができる。それにより、使用者は目標対象に対応する3D画像を容易に入手し、各分層の画像を観察することにより組織の内部の構造を容易に観察することができる。
(3)本発明の手術顕微鏡診療システムには画像認識処理モジュールが取り付けられている。画像認識処理モジュールにより放射イメージング型3次元構造デジタル画像中の生物学的特徴を認識し、かつ放射イメージング型3次元構造デジタル画像と顕微鏡下の光学画像の3Dデジタル画像を自動的に比較するとともにマッチングさせることができる。
(4)本発明の手術顕微鏡診療システムにおいて、放射イメージング型3次元構造デジタル画像と顕微鏡下の光学画像を重畳させて表示することができる。また、手術器具に位置決めナビゲーション検出モジュールが取り付けられることにより、手術の位置を正確に案内し、医者の操作を支援し、手術の効率を向上させることができる。
(5)本発明の手術顕微鏡診療システムにおいて、顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に患者情報データ、根管長測定具のデータ、口腔走査装置のデータ、歯周電子プローブのデータ及び歯髄活力データ等を表示することにより医者に参考値を提供することができる。
(6)本発明の手術顕微鏡診療システム内にAI補助モジュールが取り付けられていることによりAI補助診断をするとともにその結果を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例1に係る手術顕微鏡の構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図3】本発明の実施例2に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図4】本発明の実施例3に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図5】本発明の実施例4に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図6】本発明の実施例5に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図7】本発明の実施例6に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図8】本発明の実施例7に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図9】本発明の実施例8に係る手術顕微鏡の光路の重畳を示す図である。
【
図10】本発明の実施例に係る手術顕微鏡の画像が重畳したことを示す図である。
【
図11】本発明の実施例9に係る手術顕微鏡診療システムの構造を示す概略図である。
【
図12】本発明の実施例10に係る手術顕微鏡診療システムの構造を示す概略図である。
【
図13】本発明の実施例11に係る手術顕微鏡診療システムの構造を示す概略図である。
【
図14】本発明の実施例12に係る手術顕微鏡診療システムの構造を示す概略図である。
【
図15】本発明の実施例13に係る手術顕微鏡診療システムの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の事前設定目的を達成しようとする技術的手段と発明の効果をより詳細に説明するため、以下、図面と好適な実施例により本発明の具体的な実施形態、構造、特徴及び発明の効果を詳細に説明する。
【0026】
図1に示すとおり、本発明の実施例に係る手術顕微鏡は、顕微鏡本体1と、前記顕微鏡本体1内に取り付けられるズームレンズ群(Zoom lens group)2及び重畳レンズ群(Overlay lens group)3と、前記顕微鏡本体1に連結される大型対物レンズ群(Large objective lens group)4、双眼鏡(binoculars)5及び投影装置6とを含む。前記手術顕微鏡は双眼構造を有しており、前記ズームレンズ群2は第一ズームレンズ群と第二ズームレンズ群を含む。第一入射光線91は大型対物レンズ群4と第一ズームレンズ群により前記双眼鏡5に入射し、第二入射光線92は大型対物レンズ群4と第二ズームレンズ群により前記双眼鏡5に入射する。前記投影装置6は付加情報含有光線94を投影する。前記付加情報含有光線94は前記重畳レンズ群3により前記第一入射光線91及び/或いは第二入射光線と重畳した後前記双眼鏡5に入射する。前記投影装置6は投影表示部品61とイメージングレンズ群(Imaging lens group)62を含み、前記投影表示部品61は付加光学画像(Additional optical images)93を投影する。前記付加光学画像93はイメージングレンズ群62により平行光線に変換されることにより前記付加情報含有光線94が形成される。前記投影表示部品61としてマイクロプロジェクタ(micro-projector)を採用することが好ましい。
【0027】
<実施例1>
図1に示すとおり、本実施例の前記投影装置は前記顕微鏡本体1の後側に取り付けられる。前記投影表示部品61とイメージングレンズ群62は前記投影装置6のケース64内に取り付けられる。前記投影表示部品61とイメージングレンズ群62は付加部品として前記顕微鏡本体1と双眼鏡5との間に取り付けられる。
【0028】
図2に示すとおり、前記重畳レンズ群3は第一縦方向ダイクロイックプリズム(Dichroic prism)301を含む。前記投影表示部品61は付加光学画像93を前記顕微鏡本体1の後側に入射させる。注意すべきことは、前記投影表示部品61の投射光路と前記第一縦方向ダイクロイックプリズム301の投射光路はずれている。具体的な実施例において、前記イメージングレンズ群62内にトランジションレンズ群(Transition lens group)63が更に取り付けられることにより、前記投影表示部品61が投射した付加光学画像93はイメージングレンズ群62により変換されることにより前記付加情報含有光線94が形成され、変換された前記付加情報含有光線94は前記第一縦方向ダイクロイックプリズム301内に入射する。
図2中のトランジションレンズ群63は2つの直角プリズム(right-angle prism)で構成されている。具体的な実施例において、2つの直角プリズムの代わりにひし形プリズム(Rhombic Prism)、平面鏡(Plane mirror)等を使用することができる。前記付加情報含有光線94は前記第一縦方向ダイクロイックプリズム301を通過した後前記第一入射光線91と重畳することにより第一重畳光線95が形成され、前記第一重畳光線95は前記双眼鏡5を通過することにより所定の画像が形成される。操作者は接眼レンズと付加情報が付加したレンズにより光学画像を視聴することができる。
【0029】
<実施例2>
本実施例において、重畳レンズ群3は第二入射光線92の光路に取り付けられる第一横方向ダイクロイックプリズム302を更に含む。
図3に示すとおり、前記第二ズームレンズ群を通過した前記第二入射光線92は前記第一横方向ダイクロイックプリズム302により側部の分光が形成される。その場合、一部の第二入射光線92は元の光路により前記双眼鏡5に入射し、他の一部の第二入射光線92が撮影装置7に入射することにより前記撮影装置7は所定の画像を形成することができる。前記撮影装置7は例えば、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、補助装置等であることができる。
【0030】
<実施例3>
本実施例において、重畳レンズ群3はイメージングレンズ群62と第一縦方向ダイクロイックプリズム301との間に取り付けられる第二横方向ダイクロイックプリズム303を更に含み、第二入射光線92の光路には第二縦方向ダイクロイックプリズム305が更に取り付けられ、前記第二横方向ダイクロイックプリズム303と第二縦方向ダイクロイックプリズム305の側部には第一反射鏡304が取り付けられている。
図4に示すとおり、前記付加情報含有光線94は前記第二横方向ダイクロイックプリズム303により側部の分光が形成される。その場合、一部の付加情報含有光線94は元の光路により前記第一縦方向ダイクロイックプリズム301に入射し、第一縦方向ダイクロイックプリズム301に入射した光線は第一入射光線91と重畳することにより第一重畳光線95が形成される。他の一部の付加情報含有光線94は90°曲がった後前記第一反射鏡304により反射され、第一反射鏡304の反射により第二縦方向ダイクロイックプリズム305に入射した光線は第二入射光線92と重畳することにより第二重畳光線96が形成される。前記第一重畳光線95と第二重畳光線96は前記双眼鏡5により所定の画像に変換され、操作者は接眼レンズによりその画像を視聴することができる。本実施例において、前記双眼鏡5に入射する光線はいずれも重畳光線である。
【0031】
<実施例4>
本実施例において、前記第一縦方向ダイクロイックプリズム301と第二縦方向ダイクロイックプリズム305と対応する前記顕微鏡本体1の位置には側部光線通路が更に形成されている。
図5に示すとおり、前記第一重畳光線95は前記第一縦方向ダイクロイックプリズム301により側部の分光が形成される。その場合、一部の第一重畳光線95は前記双眼鏡5に入射し、他の一部の第一重畳光線95は所定の側部光線通路により外部に射出し、前記第二重畳光線96は前記第二縦方向ダイクロイックプリズム305により側部の分光が形成される。つぎに、一部の第二重畳光線96は前記双眼鏡5に入射し、他の一部の第二重畳光線96は所定の側部光線通路により外部に射出し、前記側部光線通路から射出した第一重畳光線95は第二重畳光線96と重畳した後撮影装置7に入射する。それにより前記撮影装置7は所定の画像を形成することができる。前記撮影装置7は例えば、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、補助装置等であることができる。その場合、前記撮影装置7が獲得した画像は重畳画像である。
【0032】
<実施例5>
本実施例において、前記投影装置は前記顕微鏡本体1の左側または右側に取り付けられる。前記投影表示部品61は付加光学画像93を前記顕微鏡本体1の左側または右側から入射させる。
図6に示すとおり、前記重畳レンズ群3は第三縦方向ダイクロイックプリズム306を含み、前記第三縦方向ダイクロイックプリズム306は前記顕微鏡本体1内において駆動装置の駆動により前記顕微鏡本体1の左右方向に移動することができる。前記付加情報含有光線94は前記第三縦方向ダイクロイックプリズム306を通過した後前記第一入射光線91または第二入射光線92と重畳することにより第三重畳光線97が形成され、前記第三重畳光線97は前記双眼鏡5を通過することにより所定の画像が形成される。前記第三縦方向ダイクロイックプリズム306が平行に移動するように取り付けられることにより、付加光学画像93と手術顕微鏡のいずれかの光路の画像を重畳させることができる。
【0033】
<実施例6>
本実施例において、前記第三縦方向ダイクロイックプリズム306と対応する前記顕微鏡本体1の位置には側部光線通路が更に形成されている。
図7に示すとおり、前記第三重畳光線97は前記第三縦方向ダイクロイックプリズム306により側部の分光が形成される。その場合、一部の第三重畳光線97は前記双眼鏡5に入射し、他の一部の第三重畳光線97は所定の側部光線通路により外部に射出し、所定の側部光線通路から射出した前記第三重畳光線97は撮影装置7に入射する。それにより前記撮影装置7は所定の画像を形成することができる。前記撮影装置7は例えば、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、補助装置等であることができる。その場合、前記撮影装置7が獲得した画像は重畳画像である。
【0034】
<実施例7>
本実施例において、前記投影装置は前記顕微鏡本体1の下側または内部に取り付けられる。前記重畳レンズ群3は、第二反射鏡307、第三反射鏡308、第四縦方向ダイクロイックプリズム309及び第三横方向ダイクロイックプリズム310を含む。
図8に示すとおり、前記付加情報含有光線94は前記第二反射鏡307に反射されることにより前記顕微鏡本体1の後側から前記第四縦方向ダイクロイックプリズム309に入射する。前記第四縦方向ダイクロイックプリズム309を通過した前記付加情報含有光線94は前記第一入射光線91と重畳することにより第四重畳光線98が形成され、形成された前記第四重畳光線98は前記双眼鏡5を通過することにより所定の画像が形成される。前記第二ズームレンズ群を通過した前記第二入射光線92は前記第三横方向ダイクロイックプリズム310により側部の分光が形成される。その場合、一部の第二入射光線92は元の光路により前記双眼鏡5に入射し、他の一部の第二入射光線92は前記第三反射鏡308に反射されることにより下部に射出する。下部に射出した他の一部の第二入射光線92が撮影装置7に入射することにより、前記撮影装置7は所定の画像を形成することができる。
【0035】
<実施例8>
本実施例において、前記重畳レンズ群3は、前記第二反射鏡307と第四縦方向ダイクロイックプリズム309との間に取り付けられる第四横方向ダイクロイックプリズム311を更に含み、かつ前記第三横方向ダイクロイックプリズム310と第三反射鏡308及び第四横方向ダイクロイックプリズム311との間に取り付けられる第五横方向ダイクロイックプリズム312を更に含む。
図9に示すとおり、前記第二反射鏡307に反射された前記付加情報含有光線94は前記第四横方向ダイクロイックプリズム311により側部の分光が形成される。その場合、一部の付加情報含有光線94は元の光路により前記第四縦方向ダイクロイックプリズム309に入射し、他の一部の付加情報含有光線94は90°曲がった後前記第五横方向ダイクロイックプリズム312に入射する。前記第三横方向ダイクロイックプリズム310によって側部の分光にされた一部の前記第二入射光線92は前記第五横方向ダイクロイックプリズム312に入射し、前記第五横方向ダイクロイックプリズム312に入射した前記第二入射光線92は前記付加情報含有光線94と重畳することにより第五重畳光線99が形成される。前記第五重畳光線99は前記第三反射鏡308に反射されることにより下部に射出する。下部に射出した第五重畳光線99が撮影装置7に入射することにより前記撮影装置7は所定の画像を形成することができる。その場合、前記撮影装置7が獲得した画像は重畳画像である。
【0036】
注意すべきことは、前記実施例において、前記イメージングレンズ群62内に光学ズームシステムを更に取り付けることができる。前記光学ズームシステムを制御することにより、前記付加情報含有光線94によって形成された画像のサイズを制御することができる。
【0037】
また、前記重畳レンズ群3と双眼鏡5との間にフィルタ装置8を更に取り付けることができる。前記フィルタ装置8は、付加情報画像の輝度を調節することにより前記手術顕微鏡の光学画像の輝度を適当に調節し、観察の快適性を向上させることができる。本発明の手術顕微鏡に光学フィルタを更に取り付けることもできる。その場合、前記光学フィルタにより肉眼に影響を与えるスペクトルを濾過するか或いは低減することができる。例えば、肉眼に影響を与える青色光を減少させることができる。本発明の手術顕微鏡に偏光フィルタ(polarizing filter)または空間フィルタ装置(Spatial filtering device)を更に取り付けることもできる。例えば、直径が異なっている複数の光線通過孔を具備している開口(aperture)等を取り付けることもできる。複数のフィルタ装置8が取り付けられているとき、回転式選択装置または引き出し式選択装置により所定のフィルタ装置8を選択することができる。
【0038】
以上、手術顕微鏡診療システムの手術顕微鏡の構造の例示を説明してきた。以下、手術顕微鏡診療システムの具体的な実施例を詳細に説明する。
【0039】
<実施例9>
本実施例の手術顕微鏡診療システムは、顕微鏡観察モジュール、記憶モジュール及び増強情報画像入力モジュール(Enhanced information image injection module)を含む。前記顕微鏡観察モジュールは観察待機目標対象の観察に用いられる。前記顕微鏡観察モジュールは前記実施例のいずれかの手術顕微鏡であることができる。外部から入力するか或いは引用することにより目標対象の放射イメージング型3次元構造デジタル画像を前記記憶モジュールに導入する。前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像はCBCTデジタル画像であることが好ましい。下記実施例において、CBCTデジタル画像を例として本発明の技術的事項を説明する。
図10に示すとおり、前記増強情報画像入力モジュールは前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像を光学画像として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野中の辺縁位置に投影し、前記放射イメージング型3次元構造デジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させることにより重畳光学画像を形成する。それにより使用者が重畳光学画像を参照するように提供し、システムの流れは
図11に示すとおりである。前記増強情報画像入力モジュールは前記実施例の投影装置6であることができる。前記増強情報画像入力モジュールは、付加の必要があるディジタルデータを整合した後、有線HDMI(登録商標)、SDI、ネットワークインタフェース、無線WiFi、Bluetooth等により整合後のディジタルデータを前記投影表示部品61に入力し、前記投影表示部品61は整合後のディジタルデータを光学画像に変換して出力することができる。
【0040】
前記CBCTデジタル画像に対してスイッチ制御をすることができる。すなわち、使用者は需要により目標対象の分層二次元画像または3D画像を選択することができる。使用者は具体的な分層二次元画像を観察することにより顕微鏡下の組織の内部構造を確定することができる。本実施例において、使用者はCBCTデジタル画像と前記顕微鏡下の光学画像を人工的に比較してマッチングする必要がある。
【0041】
<実施例10>
本実施例の手術顕微鏡診療システムは3D画像形成モジュールと画像認識処理モジュールを更に含む。前記3D画像形成モジュールは、顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を随時採集し、かつ採集した前記顕微鏡下の光学画像を3Dデジタル画像に変換する。前記画像認識処理モジュールは、前記3Dデジタル画像中の生物学的特徴を認識し、かつ前記生物学的特徴を比較することにより、CBCTデジタル画像と前記3Dデジタル画像を自動的に比較するとともにマッチングさせる。つぎに、前記3Dデジタル画像にマッチングされるCBCTデジタル画像を前記増強情報画像入力モジュールに出力し、かつ前記顕微鏡観察モジュールの観察視野に投影する。システムの流れは
図12に示すとおりである。
【0042】
本実施例の手術顕微鏡診療システムは検出モジュールを更に含むことができる。前記検出モジュールは前記手術顕微鏡の焦点距離調節可能な大型対物レンズ(すなわち大型対物レンズ群4)のフォーカス位置(focused position)とズームシステム(すなわちズームレンズ群2)の倍率をそれぞれ検出することができる。前記検出モジュールとして位置センサーを採用することが好ましい。すなわち、手術顕微鏡の焦点距離調節可能な大型対物レンズとズームシステムが取り付けられる箇所に位置センサーをそれぞれ取り付けることが好ましい。前記画像認識処理モジュールは前記検出モジュールが検出した前記焦点距離調節可能な大型対物レンズのフォーカス位置により前記CBCTデジタル画像の深さの位置を確定し、前記画像認識処理モジュールは前記検出モジュールが検出した前記ズームシステムの倍率により前記CBCTデジタル画像が表示している現在表示層の区域の深さの範囲を確定する。手術顕微鏡のフォーカス位置とCBCT分層は自動にマッチングされる。すなわち、使用者が顕微鏡下の所定の平面構造を観察するとき、CBCTデジタル画像は現在表示層(または現在表示層の区域)のCTデジタル画像を自動に表示する。
【0043】
<実施例11>
本実施例の手術顕微鏡診療システムは前記CBCTデジタル画像と前記顕微鏡観察モジュールの観察視野における顕微鏡下の光学画像を重畳させて表示する。前記CBCTデジタル画像の透明度を調節することができる。
【0044】
本実施例の手術顕微鏡診療システムは位置決めナビゲーション検出モジュール(Positioning navigation detection module)を更に含み、前記位置決めナビゲーション検出モジュールは手術器具に取り付けられる。前記手術器具は例えば歯科用ハンドヘルド(Dental Handpiece)であることができる。前記位置決めナビゲーション検出モジュールは前記手術器具の深さと空間内位置データ(Spatial location data)を随時検出し、前記画像認識処理モジュールは、前記位置決めナビゲーション検出モジュールが検出した前記手術器具の深さ及び空間内位置データと3Dデジタル画像中の生物学的特徴を比較する。前記生物学的特徴、例えば、根管開口の位置、形状、根管の深さ、方向等の組織特徴により前記手術器具と目標対象との間のリアルタイム相対的位置データを取得する。つぎに、獲得したリアルタイム相対的位置データを前記増強情報画像入力モジュールに入力し、かつ前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影する。システムの流れは
図13に示すとおりである。また、手術器具の状態データ、例えばハンドヘルドの回転速度、トルク値(Torque values)等を更に引用し、前記増強情報画像入力モジュールによりそれらを前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影することができる。焦点距離調節可能な大型対物レンズとズームシステムに取り付けられる位置センサーが位置の変化を検出するとき、前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に前記手術器具のリアルタイムデータを自動に投影することにより、医者の操作を支援し、操作の効率を向上させることができる。前記手術器具の深さ及び空間内位置データと前記手術器具の状態データを前記記憶モジュールに随時記憶することができる。
【0045】
<実施例12>
本実施例の手術顕微鏡診療システムは他のデータ、例えば、患者情報データ、根管長測定具のデータ、口腔走査装置のデータ、歯周電子プローブのデータ及び歯髄活力データ等のいろいろなデータを更に引用することができる。外部から入力するか或いは引用することにより前記データを前記記憶モジュールに記憶することができる。各データに表示スイッチが設置されていることにより各データの表示をそれぞれ制御することができる。使用者は前記増強情報画像入力モジュールにより所定のデータを前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影することができる。システムの流れは
図14に示すとおりである。
【0046】
各データは、文字符号、データ表、2次元曲線または3次元地形図等として前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影されることができる。各データは、前記顕微鏡観察モジュールの観察視野内のサブ表示パネルに表示されるか或いは1つの表示ウィンドウにそれぞれ表示されることができる。各データの透明度、各データの表示ウィンドウのサイズ及び位置を調節することができる。
【0047】
患者情報データは、患者の基本情報(Basic information)、禁忌情報だけでなく、モニタ情報、血圧、血液酸素飽和度(oxygen saturation of blood)等を含むことができる。
【0048】
根管長測定具のデータ:根管の作動長を正確に測定することは根管の治療の基本的条件である。診断によると、いろいろな状況を有している患歯の根管予備と充填の終点位置は異なっているので、±0.5mmの誤差範囲を確保する必要がある。したがって、根管長測定具により測定を行い、そのデータを選択的に表示することにより、参照値を提供することができる。
【0049】
口腔走査装置のデータ:高解像度の口腔構造の3次元形態を形成する。
【0050】
歯周電子プローブのデータ:口腔の健康な歯周は国際口腔医学界で争う必要もない事実である。歯周の診断は口腔の基本的診断の重要な方法である。歯周プローブを使用することにより歯周ポケット(Periodontal Pocket)の深さと付着レベルを測定することは現在の臨床で歯周の損傷を評価する主要な方法であり、歯周状況の変化を判断する臨床的根拠である。Floridaプローブシステムは医療関係者の操作により患者の歯周ポケットの深さ、付着レベル、付着歯肉の幅を自動的に測定し、完全な口腔歯列、歯活動度、歯肉出血と化膿、分岐欠損、プラーク分布などの歯周病の程度と予後を反映できる指標を記録することができる。システムに内蔵されたリスク要因評価機能は、患者の病状リスクを効果的に評価し、医者が患者のために適当な治療計画を客観的に立てるのを支援することができる。
【0051】
歯髄活力データ:歯髄は、歯本質で構成される歯髄腔内に位置し、狭い根尖孔により根尖周組織とつながっているので、歯髄を直接に観察することができない。したがって、臨床において歯髄の具体的な状態を直感的に判断することができない。歯髄内には豊富な神経が分布し、外部の刺激を感知することができる。臨床において、温度と電気で歯髄中の神経繊維を刺激することにより歯髄の活力を確定することができる。歯髄の活力により、医者は壊死した歯髄を完全に除去するか或いは切断手術に健康な部分を保存するかを判断することができる。
【0052】
<実施例13>
本実施例の手術顕微鏡診療システムはAI補助分析モジュールを更に含むことによりAI補助診断と表示を実施することができる。前記AI補助分析モジュールはスイッチ制御をすることができる。前記スイッチはメインスイッチであるか或いはそれぞれ制御するスイッチであることができる。したがって、使用者は需要によりAI補助機能の開閉を制御することができる。前記AI補助分析モジュールは、前記3D画像形成モジュールが採集した3Dデジタル画像を分析することにより目標対象の病変状況を認識し、病変がある目標対称に標識をつけることにより病変状況を使用者に知らせることができる。また、前記記憶モジュールに記憶されているいろいろなデータを分析することによりAI補助情報を形成し、使用者は前記増強情報画像入力モジュールにより前記AI補助情報を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に投影することができる。システムの流れは
図15に示すとおりである。
【0053】
前記3D画像形成モジュールが採集した3Dデジタル画像を分析する。
【0054】
通常の白色光の照明下で顕微デジタル画像を分析することにより口腔と歯の病変を検出する。例えば、虫歯、隠裂、プラーク、変色、口腔癌などを検出するとともに標識をつけることができる。標識をつける方法は、いろいろな色を有している文字、枠線、エッジ線、矢印、シェーディングなどにおいていずれか1つの標識をつけるか或いは複数の標識をつけるものであることができる。需要の場合、プロンプト音を用いることもできる。さらに検査する必要がある疑似病変に標識を自動的につけ、所定の作動モードを切り替える必要があることを使用者に知らせる。例えば、いろいろな波長に対応する蛍光検出モード、偏光動作モードまたはいろいろな濾過モード等の対応する検査をするように知らせる。いろいろな動作モードを切り替えることによりいろいろな検査をする必要がある場合、AIモジュールは顕微鏡がモードの切替を自動的に行うように制御し、各モードに対応する画像を分析することができる。モードを切り替える具体的な方法は中国特許第CN 21174108 U号を参照することができるので、ここで再び説明しない。
【0055】
同時に、他の導入データをまとめて分析する。患者の情報(年齢、性別、血圧、血液酸素飽和度、病気既往歴等)、CBCT、歯根測定器、歯周電子プローブ(probe)、歯髄活力データ等の情報を総合的に分析する。専用システムに基づいて、歯の状況を評価し、実行可能な治療計画とステップを提案する。手術器具の空間内位置と深さの情報を用いることにより、予備歯の大きさ、深さ、回転速度等を知らせ、操作の規範性を高めることができる。
【0056】
本実施例の手術顕微鏡診療システムに撮影モジュール、例えばビデオカメラ等を更に取り付けることにより、使用者は患者の表情画像データを随時獲得することができる。前記AI補助分析モジュールは前記撮影モジュールが採集した表情画像データを分析することにより使用者は患者の快適性を把握し、かつ前記増強情報画像入力モジュールにより表情画像データの分析結果を前記顕微鏡観察モジュールの観察視野の所定の位置に随時投影することにより使用者は患者の状況を随時把握することができる。
【0057】
注意すべきことは、本明細書中の「含む」、「具備する」等の用語は開放性用語である。すなわち、一連の要素を含む事項は、明確に記載されている要素だけでなく、記載されていない他の要素を更に含むことができる。
【0058】
この明細書において、前、後、上、下等の方向性用語は、図面中の部品が図面に位置している位置と部品が他の部品に相対している位置を定義するものであり、本発明の技術的事項を詳細に説明するために用いるものである。注意すべきことは、この明細書において方向性用語を用いることにより本発明を限定する意図はない。
【0059】
矛盾が生じない場合、本発明の実施例または実施例中の特徴を楽に組み合わせることができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施例を説明してきたが、前記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は前記実施例の構成にのみ限定されるものでない。この技術分野の技術者は本発明の要旨を逸脱しない範囲において設計の変更、代替、改良等をすることができ、そのような設計の変更、代替、改良等があっても本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 顕微鏡本体
2 ズームレンズ群
3 重畳レンズ群
301 第一縦方向ダイクロイックプリズム
302 第一横方向ダイクロイックプリズム
303 第二横方向ダイクロイックプリズム
304 第一反射鏡
305 第二縦方向ダイクロイックプリズム
306 第三縦方向ダイクロイックプリズム
307 第二反射鏡
308 第三反射鏡
309 第四縦方向ダイクロイックプリズム
310 第三横方向ダイクロイックプリズム
311 第四横方向ダイクロイックプリズム
312 第五横方向ダイクロイックプリズム
4 大型対物レンズ群
5 双眼鏡
51 接眼レンズ
6 投影装置
61 投影表示部品
62 イメージングレンズ群
63 トランジションレンズ群
64 ケース
7 撮影装置
8 フィルタ装置
91 第一入射光線
92 第二入射光線
93 付加光学画像
94 付加情報含有光線
95 第一重畳光線
96 第二重畳光線
97 第三重畳光線
98 第四重畳光線
99 第五重畳光線
【国際調査報告】