(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】エネルギ貯蔵デバイスの充電とグリッドの安定性の分散型コントロール
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240214BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240214BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240214BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240214BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 180
H02J3/00 130
H02J13/00 311R
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547551
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022015310
(87)【国際公開番号】W WO2022170095
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】317014932
【氏名又は名称】ランディス+ギア テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】カールガード,マット
(72)【発明者】
【氏名】ビバンコ,ダヤナ パラシオス
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC03
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB13
5G064DA03
5G066AA02
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
(57)【要約】
エッジコンピューティングデバイスは、負荷デバイスとDER(分散型エネルギ資源)デバイスを制御し得る。エッジコンピューティングデバイスは、敷地に設置された電気メータまたは二次変電所に設置された配電変圧器と関連付けられ得る。負荷デバイスおよびDERデバイスの制御は、配電設備の機器の定格、環境条件、発生および負荷の履歴パターン、およびユーザ入力などの要因を考慮した予測価格情報に一部基づいて行われ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷地に関連するエッジコンピューティングデバイスを含む電気メータであって、
該電気メータは該敷地に関連する第1の負荷デバイスを制御するように構成され、
該敷地は配電変圧器の下流に位置し、
前記電気メータは、
前記配電変圧器の下流に位置する複数の下流エッジコンピューティングデバイス、及び、前記配電変圧器に関連する変圧器エッジコンピューティングデバイスと通信するための通信モジュールと、
前記第1の負荷デバイスを電気メータに接続するための第1のポートと、
前記エッジコンピューティングデバイスと
を含み、
前記エッジコンピューティングデバイスは、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を格納するためのメモリと
を含み、
前記プロセッサにより実行されると、前記コンピュータ可読命令は、
前記通信モジュールを介して、前記第1の負荷デバイス及び少なくとも1つの第2の負荷デバイスに対する負荷予測情報を、前記変圧器エッジコンピューティングデバイスに送信することと、
前記通信モジュールを介して、前記変圧器エッジコンピューティングデバイスから価格間隔データを受信することであって、該価格間隔データは、複数の今後の時間間隔の各々についての予測価格を提供するものである、受信することと、
前記価格間隔データに基づいて、前記第1の負荷デバイスを制御することであって、前記第1の負荷デバイスを制御することにより、
前記価格間隔データが低コストの時間間隔を含む場合、前記第1の負荷デバイスが電力を消費し、今後の時間間隔の間に1つ以上の通常の動作パラメータを使用して動作することができること、及び、
前記価格間隔データが高コストの時間間隔を含む場合、前記第1の負荷デバイスが制御されて、今後の時間間隔の間に1つ以上の省エネルギ動作パラメータを使用して動作すること
を前記第1の負荷デバイスが行う、前記第1の負荷デバイスを制御することと
を、行うように前記エッジコンピューティングデバイスを構成する、
電気メータ。
【請求項2】
前記第1の負荷デバイスが電気自動車(EV)充電器であり、
今後の時間間隔の間に1つ以上の省エネルギパラメータを使用して動作するように前記第1の負荷デバイスを制御することは、今後の時間間隔の間に電気自動車充電器の充電率を現在の充電率から減少させることを含む、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項3】
前記エッジコンピューティングデバイスは、更に、敷地に関連する第2の負荷デバイスを電気メータに接続するための第2のポートを含み、
前記電気メータは、更に、
第2の負荷デバイスを制御するための命令を提供するユーザコマンドを受信することと、
前記価格間隔データと前記ユーザコマンドに基づいて、前記第2の負荷デバイスを制御することであって、前記第2の負荷デバイスを制御することにより、
前記価格間隔データが高コストの時間間隔を含み且つ前記ユーザコマンドによって前記第2の負荷デバイスの通常の動作が許される場合、前記第2の負荷デバイスは今後の時間間隔の間に1つ以上の通常の動作パラメータを使用して動作できる、記第2の負荷デバイスを制御することと
を行うように構成されている、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項4】
前記エッジコンピューティングデバイスは、更に、敷地に関連する第2の負荷デバイスを電気メータに接続するための第2のポートを含み、
電気メータは、更に、
前記変圧器エッジコンピューティングデバイスから価格間隔データを受信した後、将来の価格データを決定することであって、将来の価格データは、今後の時間間隔の後の複数の時間間隔に対応する、将来の価格データを決定することと、
将来の価格データに基づいて、第2の負荷デバイスを制御することと
を行うように構成されている、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項5】
前記エッジコンピューティングデバイスは、更に、敷地に関連する分散型エネルギ資源(DER)デバイスを電気メータに接続するための第2のポートを含み、
電気メータは、更に、
価格間隔データが高コストの時間間隔を含む場合、電力を電力網に出力するようにDERデバイスを制御すること
を行うように構成されている、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項6】
前記エッジコンピューティングデバイスは、更に、
配電変圧器の下流の他の電気メータに、前記第1の負荷デバイスを制御することに関する情報を、送信するように構成されている、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項7】
前記エッジコンピューティングデバイスは、更に、前記第1の負荷デバイスを制御するために前記変圧器エッジコンピューティングデバイスからの通信を受信するように構成されている、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項8】
前記価格間隔データが、前記配電変圧器の定格に部分的に基づいている、
請求項1に記載の電気メータ。
【請求項9】
少なくとも1つの負荷デバイス及び少なくとも1つの分散型エネルギ資源(DER)デバイスを制御する方法であって、
電力網と敷地に接続された電気メータに関連するエッジコンピューティングデバイスにて、価格間隔データを受信することであって、価格間隔データは、今後の複数の時間間隔の夫々についての予測価格を提供する、価格間隔データを受信することと、
前記エッジコンピューティングデバイスによって、将来の価格データを決定することであって、将来の価格データは、今後の時間間隔の後の複数の時間間隔に対応する、将来の価格データを決定することと、
前記価格間隔データと前記将来の価格データに基づいて、前記電気メータに関連する複数の負荷デバイスを制御することであって、前記電気メータに関連する負荷デバイスは少なくとも1つの負荷デバイスと少なくとも1つのDERデバイスを含むものであり、前記電気メータに関連する複数の負荷デバイスを制御することにより、
前記価格間隔データと前記将来の価格データの両方が低コストの時間間隔を含む場合、少なくとも1つの負荷デバイスが電力を消費して、1つ以上の通常の動作パラメータを使用して動作できること、
前記価格間隔データと前記将来の価格データの両方が高コスト時間間隔を含む場合、少なくとも1つのDERデバイスを制御して電力網に電力を出力すること、及び、
前記価格間隔データが高コスト時間間隔を含み且つ前記将来の価格データが低コスト時間間隔を含む場合、少なくとも1つの負荷デバイスを制御して、今後の時間間隔の間に1つ以上の省エネルギ動作パラメータを使用して動作し且つ今後の時間間隔の後に1つ以上の通常の動作パラメータを使用して動作するように、動作を変更すること
を前記電気メータに関連する複数の負荷デバイスが行う、前記電気メータに関連する複数の負荷デバイスを制御することと
を含む、方法。
【請求項10】
少なくとも1つのDERデバイスが充電モードを有し、
更に、
前記価格間隔データと前記将来の価格データの両方が低コストの時間間隔を含む場合、少なくとも1つの前記DERデバイスが電力を消費して、充電モードで動作することができること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
更に、
前記エッジコンピューティングデバイスにて、少なくとも1つの負荷デバイスのためのユーザコマンドを受信することと、
少なくとも1つの負荷デバイスを制御することであって、少なくとも1つの負荷デバイスを制御することにより、
前記価格間隔データと前記将来の価格データの両方が高コストの時間間隔を含む場合、少なくとも1つの負荷デバイスが電力を消費して、1つ以上の通常の動作パラメータを使用して動作できること
を行う、少なくとも1つの負荷デバイスを制御することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの負荷デバイスが電気自動車(EV)充電器であり、
今後の時間間隔の間に1つ以上の省エネルギ動作パラメータを使用して動作を変更するように少なくとも1つの負荷デバイスを制御することが、今後の時間間隔の間に電気自動車充電器の充電率を現在の充電率から減少させることを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記価格間隔データと前記将来の価格データが別々に決定され、前記将来の価格データはメータ固有のデータに基づく、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記エッジコンピューティングデバイスにて、少なくとも1つの負荷デバイスを制御するための変圧器エッジコンピューティングデバイスからの通信を受信することであって、前記電気メータは、前記変圧器エッジコンピューティングデバイスに関連する配電変圧器の下流に位置する、通信を受信すること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
複数の充電器を制御する方法において、
各充電器がメータおよび敷地に関連付けられており、
前記方法は、
配電変圧器に関連するエッジコンピューティングデバイスを提供することであって、配電変圧器は敷地の各々に電力を供給する、エッジコンピューティングデバイスを提供することと、
エッジコンピューティングデバイスにより、配電変圧器に関連する予測負荷を予測することと、
エッジコンピューティングデバイスにより、敷地の各々に対する個々の敷地の予測負荷を予測することと、
エッジコンピューティングデバイスによって予測される、予測負荷と、個々の敷地の予測負荷とに基づいて、充電器を制御することであって、充電器を制御することにより、
予測負荷が閾値を超える場合、充電器の少なくとも1つを制御して充電器の少なくとも1つの充電率を低下させることであって、充電器の少なくとも1つは、充電器の少なくとも1つに関連する敷地に対する個々の敷地の予測負荷に基づいて選択される、充電器の少なくとも1つを制御して充電器の少なくとも1つの充電率を低下させること、及び、
予測負荷が閾値を超えない場合、充電器を充電させること
を行う、充電器を制御することと
を含む、方法。
【請求項16】
更に、
前記エッジコンピューティングデバイスにより、充電器に関連する各メータからの負荷データを受信することと、
個々の敷地の予測荷重を予測するための荷重データを使用することと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
更に、
予測負荷が閾値を超える場合、充電器の少なくとも1つを制御して充電器の少なくとも1つの充電率を低下させた後に、充電器の第2のものが第2の充電率を維持できるようにすること
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
更に、
価格間隔データを生成することであって、価格間隔データは、今後の複数の時間間隔の各々に対する予測価格を提供する、価格間隔データを生成することと、
充電器に関連するメータに価格間隔データを通信することと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
充電器の少なくとも1つを制御して、充電器の少なくとも1つの充電率を低下させることが、複数の充電器を制御して、複数の充電器の各々の充電率を低下させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
充電器の第1のものの充電率の低下と、充電器の第2のものの充電率の低下とが異なる、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2021年2月4日に出願された米国特許出願第63/145660号に対する優先権を主張しており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は一般的にグリッド制御システムに関連している。より具体的には、本開示は、グリッドの安定性を維持するための電気自動車およびエネルギ貯蔵デバイスの充電の分散型コントロールに関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景
電力を供給する電力網などの資源配分システムでは、メータを使用して顧客の敷地での消費量を測定および制御する。メータには、消費電力特性を測定し監視するための測定モジュールと、ヘッドエンドシステムなどの中央システムと通信するための通信モジュール、およびその他のモジュールやコンポーネントを含めることができる。
【0004】
ソーラパネルアレイ、風力タービン、水車、バッテリ、電気自動車(EV)充電器、電気自動車、エネルギ貯蔵デバイス、発電機などの分散型エネルギ資源(DER)デバイスが顧客の敷地にある場合、DERデバイスによって発電または貯蔵された電力は、敷地で使用されたり、電力網に出力されたりすることがある。さらに、電気自動車充電器、電気自動車、およびエネルギ貯蔵デバイスは、後で貯蔵および使用するために電力網から電力を受け取ることもある。システムによっては、DERデバイスをグリッドに接続するために、別のメータとメータソケットが必要になる。これらの個別のデバイスでは、ヘッドエンドシステムなどの中央システムがDERデバイスのグリッドへの接続を制御できない場合がある。他のシステムでは、統合デバイスがDERデバイスと敷地メータの両方をグリッドに接続する場合がある。ただし、これらの統合デバイスは、DERデバイスの最適な制御を提供しない場合がある。そのため、敷地のDERデバイスを制御し、通信するシステムの改善が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
1つ以上のエッジコンピューティングデバイスを使用して負荷デバイスおよびDER(分散型エネルギ資源)デバイスを制御するためのシステムおよび方法の態様と例が開示されている。電気メータには、エッジコンピューティングデバイス、通信モジュール、および第1の負荷デバイスに接続するためのポートを含めることができる。メータのエッジコンピューティングデバイスは、負荷予測情報を配電変圧器に関連付けられるエッジコンピューティングデバイスに送信することができる。変圧器のエッジコンピューティングデバイスは、負荷予測情報に基づいて価格間隔データを生成し、メータに送信することができる。メータのエッジコンピューティングデバイスは、価格間隔データに基づいて負荷デバイスを制御し、価格間隔データに低コストの時間間隔が含まれる場合は通常の動作パラメータを使用して動作させ、価格間隔データに高コストの時間間隔が含まれる場合は省エネルギの動作パラメータを使用して動作させる。電気メータのエッジコンピューティングデバイスは、価格間隔データに高コストの時間間隔が含まれている場合に電力を電力網に出力するようにDERデバイスを制御することもできる。
【0006】
いくつかの例では、電気メータのエッジコンピューティングデバイスが将来の価格データを生成する。将来の価格データは、価格間隔データに含まれる時間間隔の後の時間間隔に対応しており、メータ固有のデータに基づき得る。
【0007】
いくつかの例では、エッジコンピューティングデバイスは配電変圧器に関連付けられ、配電変圧器の下流の敷地でEV充電などの充電器を制御する。エッジコンピューティングデバイスは、変圧器の予測負荷と敷地の予測負荷を決定し、その予測を使用して充電器を制御する。エッジコンピューティングデバイスは、充電器の充電速度を制御したり、充電器がいつ充電されるかを制御したりすることができる。
【0008】
これらの例示的な態様と特徴は、現下説明する発明の趣旨を制限または定義するためではなく、このアプリケーションで説明されている概念の理解を助ける例を提供するために言及されている。現下説明する発明の趣旨の他の態様、利点、および特徴は、出願全体の精査後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、配電網、メータ、敷地に配置されたパネル、および複数のDERデバイス間の例示的な電力接続を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、メータ、複数のDERデバイス、および複数の負荷に接続されたパネルの例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、ヘッドエンドシステム、メータ、および複数のDERデバイス間の通信のための例示的な通信ネットワークの一部を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3の通信ネットワークのための例示的な通信ネットワークトポロジの一部を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ヘッドエンドシステム、ゲートウェイデバイス、メータ、および複数のDERデバイス間の通信のための例示的な通信ネットワークの一部を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、ヘッドエンドシステム、独立したシステムオペレータ、メータ、およびメータによって計測される複数のDERおよび負荷デバイス間の通信のための例示的な通信および制御ネットワークの一部を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、配電網における負荷デバイスまたはDERデバイスの制御方法の一例を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、配電網、メータ、敷地に配置されたパネル、および1つ以上のDERデバイス間の例示的な電力および通信接続を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、配電網とDERデバイスを含む複数の敷地との間の例示的な電力および通信接続を示すブロック図である。
【
図10A】
図10Aは、アグリゲータと制御デバイスの動作例を示すブロック図である。
【
図10B】
図10Bは、アグリゲータと制御デバイスを使用してグリッド上の電圧を調整するために使用される例示的なシステムのブロック図である。
【
図11】
図11は、ソーラインバータに電気的に結合されたマルチポートメータの例示的な配置を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、ソーラパネル用のインバータ、バッテリ貯蔵、またはその両方に電気的に結合されたマルチポートメータの例示的な配置を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、電気自動車充電器に電気的に結合されたマルチポートメータの例示的な配置を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、例示的な機械学習モデルのトレーニングと検証を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、エッジコンピューティングデバイス間およびエッジコンピューティングデバイス間の通信をサポートするシステムと、負荷デバイスおよびDER(分散型エネルギ資源)デバイスを制御するヘッドエンドシステムを提供する。DERデバイスには、電力網または敷地にエネルギを供給できるデバイスが含まれる。エネルギは、ソーラパネルなどのデバイスによって生成され得、又は、バッテリなどのデバイスによって貯蔵され得る。バッテリなどの一部のDERデバイスは、エネルギの供給と消費の両方の機能を備えていることがある。DERおよび負荷デバイスは、少なくとも部分的に予測価格情報に基づいて制御され得る。予測価格情報には、配電変圧器などの配電設備の機器の定格、現在および予測される気象条件、発生と負荷の履歴パターン、およびユーザ入力などの多くの要因が含まれるが、これらに限定されない。デバイスの制御には、通常の動作パラメータを使用してデバイスを動作させること、省エネルギ動作パラメータを使用するようにデバイスの動作を変更すること、またはデバイスを切断することが含まれ得る。DERデバイスの制御には、DERデバイスをグリッドに接続するコマンド、DERデバイスをグリッドから切断するコマンド、DERデバイスを敷地に接続または切断するコマンド、DERデバイスのパラメータを調整するコマンドが含まれ得る。
【0011】
図1は、配電網またはグリッド102、敷地104、メータ106、パネル108、および複数のDERデバイス110a、110b、・・・110nの間の例示的な電力接続を示している。この例では、少なくとも3つのDERデバイスが同じ敷地に配置されている。
【0012】
メータ106は、グリッドと敷地の間の電力を測定し制御する。メータは、測定モジュール122、通信モジュール132、切断スイッチ142、およびその他のコンポーネントを含み得る。測定モジュールは電気エネルギの消費を測定し、収益グレードの計測と負荷プロファイリングを提供し得る。通信モジュールは、通信ネットワーク(図示せず)を介して中央システムまたはヘッドエンドシステムと通信する。測定モジュールと通信モジュールは、別々のモジュールであっても、単一のモジュールに結合されていてもよい。切断スイッチは、グリッドからメータを通って敷地への電力の流れを制御する。
【0013】
図1において、各DERデバイス110a、110b、110nは、パネル108を介してグリッドおよび敷地に接続され得る。各DERデバイスには、測定モジュール120a、120b、120n、通信モジュール130a、130b、130n、および制御デバイス140a、140b、140n(インバータや切断スイッチなど)を含めることができる。制御デバイスのパラメータや状態は、コントローラで制御することができる。測定モジュールは、DERデバイスによって生成された電力を測定する。これは、DERデバイスによって敷地またはグリッドに提供されるエネルギの量と、エネルギが提供される時間を測定する。測定モジュールによる測定は、収益レベルの請求を提供するのに十分な精度を持ち得る。または、測定モジュールは、収益グレード以外の請求の測定値またはデータを提供し得る。測定モジュールは、関連する規制当局によって要求される適切な間隔長(例:1分間隔、5分間隔、15分間隔)を使用することができる負荷プロファイリングを提供することができる。また、生成された電力を監視し、電力品質や力率データなどの電力データを提供することもある。一部のシステムでは、測定モジュールは、メータオンチップ(MOC)モジュールなどの単一のモジュールによって提供される。通信モジュールは、通信ネットワーク(図示せず)を介して中央システムと通信する。測定モジュールと通信モジュールは、別々のモジュールであっても、単一のモジュールに結合されていてもよい。コントロールデバイスは、DERデバイスの出力のパネルへの接続を制御する。
【0014】
図1は、DERデバイス110a、110b、110nがパネル108に接続されていることを示しているが、代替構成が可能であり、DERデバイス内の測定モジュール120a、120b、120nおよび通信モジュール130a、130b、130nによってサポートされ得る。代替手段としては、1つ以上のDERデバイスをマルチポートメータに接続する方法や、DERデバイスをグリッドに直接接続する方法がある。このような例では、測定モジュール120a、120b、120nは、DERデバイス110a、110b、110nの個々の負荷を測定できるメータ106の一部を形成し得る。
【0015】
DERデバイスの通信モジュールは、DERデバイスとの低遅延双方向通信を可能にする。これらの通信は、DERデバイスの動作に関する情報をよりタイムリーに提供し得、現在利用可能なよりも優れたDERデバイスの制御を可能にし得る。
【0016】
測定モジュールと通信モジュールは、DERデバイスが
図1のシステムで動作できるようにするために、任意の種類のDERデバイスに追加することができる。これらのモジュール(結合されている場合は、単体モジュール)は、DERデバイスのハードウェア設計に統合することができる。モジュールの追加に対応するために、DERデバイスのPCB(プリント基板)に設計されたパッドまたはコネクタがあってもよい。一部の実装では、DERデバイスはサードパーティによって生産され、モジュールはメータを提供する同じパーティによって提供される。モジュールは、PCB上にはんだ付けされるか、コネクタまたはワイヤハーネスを使用して接続される。DERデバイス内の測定モジュールと通信モジュールは、有線接続、無線接続、またはそれらの組み合わせを介して、DERデバイスの他のコンポーネントと通信できる。
【0017】
メータ106は、パネル108を介して敷地とグリッドを接続する。パネルには、敷地のメータへの接続を制御する主回路ブレーカだけでなく、敷地にあるDERデバイスや負荷のための追加の回路ブレーカを含めることができる。
図2は、主回路ブレーカ202、各DERデバイス204a、204b、204nの回路ブレーカ、および敷地負荷206a、206b、206nの回路ブレーカを備えたパネル208の例を示している。
【0018】
メータを使用する通信
【0019】
図1と
図2に示す電力接続に加えて、メータとDERデバイスが1つ以上の通信ネットワークを介して接続されている。
図3は、1つの例示的な通信ネットワークの一部を示している。通信ネットワークには、メータ106とDERデバイス110a、110b、110n間の通信チャネルが含まれる。DERデバイス内の各通信モジュールは、メータ内の通信モジュールと通信する。通信チャネルは有線または無線で、プロプライエタリまたは非プロプライエタリプロトコルを含む任意の種類の通信プロトコルを使用できる。その一例がZigbee通信プロトコルである。DERデバイス内の通信モジュールは、グリッドに生成または供給されるエネルギに関する情報と、デバイスのステータスに関する情報を通信し得る。
【0020】
メータ内の通信モジュールは、ヘッドエンドシステム302から送信されたコマンドまたは制御命令を受信し、そのコマンドを適切なDERデバイスにルーティングし得る。また、DERデバイスからの通信を受信し、その通信をヘッドエンドシステムに送信することもできる。
【0021】
ヘッドエンドシステムとDERデバイス間の通信のルーティングに加えて、またはその代替として、メータはコマンドを生成し、それらをDERデバイス内の1つ以上の通信モジュールに送信し得る。また、メータはDERデバイスから情報を受信し得る。この情報は、ヘッドエンドシステムに提供され得、又は、メータによって使用され得る。
【0022】
図3では、DERデバイスと別のデバイス間のすべての通信は、同じ敷地のメータを介してルーティングされる。メータは、DERデバイスおよび通信ネットワーク上の他のデバイスと同じネットワークプロトコルを使用して通信することも、1つのネットワークプロトコルを使用してDERデバイスと通信し、別のネットワークプロトコルを使用して通信ネットワーク上の他のデバイスと通信することもできる。
【0023】
一部の実装では、メータはDERデバイスから情報を受信し、情報を集計してから、集計した情報をヘッドエンドシステムに送信する。他の実装では、メータは単にDERデバイスから受信した情報を集約せずにヘッドエンドシステムにルーティングする。
【0024】
図3に示すように、メータを通過するDERデバイスとヘッドエンドシステム間の通信の代替として、1つ以上のDERデバイスを、ヘッドエンドシステムとDERデバイス間の通信がメータ以外のノードを通過するように構成することができる。例えば、ヘッドエンドシステム302とDERデバイス110aの間の通信は、同じ敷地のメータ106以外のネットワーク上のデバイスを介してルーティングされ得る。
【0025】
これらの例のいずれかで、ネットワーク上の他のデバイスの通信は、メータ106を介してルーティングされる場合がある。
図4に示すように、メータはメータと他のデバイスのネットワークに接続され、ヘッドエンドシステム402とメータ106の間の通信は、1つ以上のネットワークを介して複数のデバイス間で通信され得る。
【0026】
一部のネットワークでは、メータおよび/またはDERデバイスの通信モジュールが、エッジコンピューティングサービスを提供するデバイスと通信し得る。エッジコンピューティングサービスまたはエッジコンピューティングデバイス410は、通信ネットワーク上のDERデバイスにトポロジ的に近い場所に配置されているため、低遅延の通信と制御を提供することができる。
【0027】
ゲートウェイデバイスを使用する通信
【0028】
図5は、別の例示的な通信ネットワークを示している。
図5において、DERデバイス110a、110b、110n内の通信モジュールは、ゲートウェイデバイス504と通信する。ゲートウェイデバイスとの通信では、プロプライエタリまたは非プロプライエタリプロトコルを含む、任意の種類の通信プロトコルを使用できる。たとえば、Zigbee、Wi-Sun、またはWiFi通信プロトコルなどがある。DERデバイス内の通信モジュールは、生成される、またはグリッドに提供されるエネルギに関する情報と、デバイスのステータスに関する情報を通信し得る。
【0029】
メータとヘッドエンドシステム間の通信は、ゲートウェイデバイスを介してルーティングされ得ない。代わりに、メータは
図3に示すようにヘッドエンドシステムと通信してもよいし、PLCネットワークを介してヘッドエンドシステムと通信してもよい。または、メータがゲートウェイデバイスを介して通信し得る。
【0030】
ゲートウェイデバイスは、敷地またはその近くに設置され得る。ゲートウェイデバイスは、1つ以上のネットワークを介してヘッドエンドシステム502と通信する。通信機能に加えて、ゲートウェイデバイスは、DERデバイスの計測と制御をサポートするサービスなどのエッジコンピューティングサービスを提供するエッジコンピューティングデバイスであってもよい。ヘッドエンドシステムは、ゲートウェイデバイスを介してルーティングされた通信を介してDERデバイスと通信し得る。
【0031】
一部の例では、ゲートウェイデバイス504は、敷地ゲートウェイデバイスやホームゲートウェイデバイスなどの敷地にある。敷地ゲートウェイデバイス504との通信では、独自または非独自のプロトコルを含む、あらゆる種類の通信プロトコルを使用できる。たとえば、Zigbee、Wi-Sun、またはWiFi通信プロトコルなどがある。DERデバイス内の通信モジュールは、生成される、またはグリッドに提供されるエネルギに関する情報と、デバイスのステータスに関する情報を通信し得る。
【0032】
敷地ゲートウェイデバイスは、敷地に設置され得る。たとえば、ホームゲートウェイデバイスは、敷地にある建物の内部または外部に配置され得る。ホームゲートウェイデバイスは、1つ以上のネットワークを介してヘッドエンドシステムと通信する。通信機能に加えて、敷地ゲートウェイデバイスは、DERデバイスの計測と制御を含むエッジコンピューティングサービスを提供することもできる。
【0033】
追加の例では、ゲートウェイデバイス504は、セルラーネットワークを介してメータおよびDERデバイスと通信するセルラー基地局であってもよい。セルラーネットワークには、パブリックまたはプライベートのセルラーネットワークがある。DERデバイス内の通信モジュールは、生成される、またはグリッドに提供されるエネルギに関する情報と、デバイスのステータスに関する情報を通信し得る。
【0034】
ヘッドエンドシステム502は、セルラー基地局ゲートウェイデバイス504を介して、メータおよびDERデバイスと通信する。
図5には示されていないが、セルラー基地局とヘッドエンドシステムとの間の通信は、追加のネットワークおよびネットワークデバイスを使用し得る。セルラー基地局を介して通信するメータの通信モジュールの代替として、メータは、DERデバイスで使用されるものとは異なるネットワークを使用してヘッドエンドシステムと通信することができる。
【0035】
負荷およびDERデバイスを制御するためのエッジコンピューティングデバイス
【0036】
図6は、ヘッドエンドシステム602、独立システムオペレータ(ISO)604、メータ106、およびメータ106によって計測される複数のDERおよび負荷デバイス間の通信のための例示的な通信および制御ネットワークの一部を示すブロック図である。
図6に示されたコンポーネント間の通信は、
図1から
図5に関して前述したいずれかの技術を使用して実行することができる。図に示されているように、電気メータ106は、電気的に結合するための複数のポート、通信的に結合するためのポート、または電気メータ106をDERおよび負荷デバイスに電気的および通信的に結合するための複数のポートを含む。例えば、電気メータ106は、バッテリ貯蔵デバイス610a、ソーラパネルに接続するインバータ610b、電気自動車に接続された電気自動車(EV)充電器610c、ウォッシャ/ドライヤ612、HVACシステム614、家庭内ディスプレイまたはスマートサーモスタット616、コンセントのデバイスに接続されたスマートスイッチ618、またはその他の住宅用負荷デバイス622のポートを含むことができる。一例では、電気メータ106は、結合された各デバイスを監視し、グリッド102へのデバイスの接続を制御する制御コマンドを提供することができる。
図6には1つの電気メータ106が含まれているが、二次変電所に関連する配電変圧器に接続された複数の電気メータがあってもよく、各メータはそれぞれの負荷のセットに結合されている。
【0037】
例えば、二次変電所コントローラ606に関連する配電変圧器は、配電変圧器の下流にある複数の電気自動車充電器610cが同時に充電を開始すると、過負荷になる可能性がある。配電変圧器の過負荷を防止するために、エッジコンピューティングデバイス410によって生成され、ネットワーク化されたデバイスに配信されるコマンドなどの分散型インテリジェンスを使用して、電気自動車充電器610cまたはバッテリ貯蔵デバイス610aに供給される電力のデューティサイクルを削減するか、個々の電気自動車またはバッテリ貯蔵デバイス610aの充電レベルを削減して全体的な需要を管理することによって、複数の電気自動車またはその他のバッテリ貯蔵デバイス610aの充電を管理することができる。
【0038】
同じ二次変電所の下流にエッジコンピューティングデバイスが接続された複数のメータがある場合、各メータに接続されたデバイスを管理するために、エッジコンピューティングデバイス間で通信と調整が行われ得る。1つのオプションは、エッジコンピューティングデバイスの1つをマスターデバイスとして動作させることである。もう1つのオプションは、各エッジコンピューティングデバイスに独自の決定を行わせ、その決定を他のエッジコンピューティングデバイスに伝達することで、エッジコンピューティングデバイスが自身の行動を決定する際に、他のエッジコンピューティングデバイスによって行われた、または行われるべき行動を考慮できるようにすることである。
【0039】
いくつかの例では、配電変圧器の需要は、メータ106にあるエッジコンピューティングデバイス410または二次変電所606やヘッドエンドシステム602などのリモートシステムで実行される機械学習アルゴリズムによって予測され得る。たとえば、機械学習アルゴリズムは、過負荷になる可能性のある配電変圧器を含む二次変電所コントローラ606から下流にあるデバイスの電力消費傾向を時間の経過とともに学習し得る。機械学習アルゴリズムへの入力には、現在および過去のエネルギ需要、時刻、曜日、月日、地理的位置、現在および予測される気象条件、下流のDERデバイスによる過去の生成、変圧器および機器の定格、配電システムのモデルまたは配電変圧器を含む配電システムの一部、および柔軟な負荷係数が含まれ得るが、これらに限定されない。柔軟な負荷係数は、排出される可能性のある負荷または排出されると予測される負荷に関連する。電力消費の傾向が学習されると、エッジコンピューティングデバイス410は、配電変圧器にストレスを与える可能性のある時間帯にデバイスの制御コマンドを生成し得る。一例では、制御コマンドは、電気自動車充電器610cまたはバッテリ貯蔵デバイス610aの充電率の制御、または電気自動車、バッテリ貯蔵デバイス610a、およびインバータ610bからグリッド102への電力供給の制御を含むことができる。その他の制御コマンドを実装して、重要でない負荷のオンまたはオフの制御、貯蔵デバイス(例:蓄電デバイスや電気自動車)の放電、または柔軟な負荷(例:蓄電デバイスや電気自動車)のエネルギ消費の増加によって、配電変圧器から下流のエネルギ消費を削減または増加させることもできる。たとえば、制御コマンドには、
図2に関して前述したように、DERデバイスをグリッド102またはその他のオンプレミス負荷と電気的に分離または結合するために、回路ブレーカを開閉するコマンドが含まれ得る。
【0040】
一例では、電気自動車充電器610cと他のDERデバイス(例えば、ソーラパネルに接続されたバッテリ貯蔵610aとインバータ610b)は、グリッド102によって提供される多相電力システムに重大な位相不均衡をもたらす可能性がある。例えば、電気自動車の数台が一度に充電を開始した場合や、ソーラデバイスの出力がピーク時にピークに達した場合などである。分散型インテリジェンスは、DERデバイス610a-610cの充電と放電のタイミングを支援して、フェーズ間の負荷にバランス効果を与えることができる。一例として、機械学習技術は、位相不均衡をもたらす二次変電所コントローラ606の下流にあるデバイスの電力消費傾向を時間の経過とともに学習し得る。例えば、電力位相不均衡傾向が学習されると、エッジコンピューティングデバイス410は、位相不均衡が予想される予測期間中に、グリッド102の様々な位相で動作するデバイスの制御コマンドを生成することができる。一例として、制御コマンドは、電気自動車またはバッテリ貯蔵デバイス610aの充電率の制御、またはバッテリ貯蔵デバイス610a、インバータ610b、または電気自動車からグリッドへの電力の供給の制御を含むことができる。配電変圧器から下流のフェーズの負荷をバランスさせるために、他の制御コマンドを実装することもできる。
【0041】
機械学習技術は負荷要求に基づく自動意思決定を可能にするため、非効率や不正確さをもたらすユーザの関与を避けることができる。さらに、機械学習技術は、配電変圧器の過負荷など、グリッドへの悪影響を回避するための予測と予防の推奨事項を提供し得る。
【0042】
追加の例では、グリッド102の需要曲線と、インバータ610bからの太陽光発電の供給曲線やその他の要因を組み合わせると、必要なエネルギ生成に大きなばらつきが生じる可能性がある。分散型インテリジェンスとコントロールを使用すると、需要と供給の曲線を滑らかにするメカニズムが提供され、全体的なエネルギ生産コストを削減できる可能性がある。需要曲線と供給曲線は、領域全体からマイクログリッドまで、任意のサイズの領域に関連し得る。ISO604またはエッジコンピューティングデバイス410は、一定期間のエネルギ生産コストを予測し得る。エネルギ生産コストは、期間中にグリッド102が経験する負荷需要に基づき得る。一例として、電気自動車とバッテリ貯蔵610aを充電するなど、低コストの時間帯に低いエネルギコストを利用する動作を実行し、更に、たとえば、ビークルツーグリッドシステムを使用して電気自動車とバッテリ貯蔵610aを放電してエネルギをグリッド102に販売し、更に、他のDERデバイスから他の利用可能な電力をグリッド102に販売するなど、高コストの時間帯に消費を削減することで、需要と供給の曲線を平滑化することができる。いくつかの例では、エネルギ生産コストを予測することで、生産可能な太陽光発電の利用を最大化することで、非再生可能エネルギの使用を最小限に抑えることができる。
【0043】
このような技術は、一般的に全体的なエネルギコストと炭素排出量の増加をもたらす、最終消費者によるエネルギの非効率的な使用に対処することができる。この技術は、エネルギ生産の真のコストに沿って、(例えば、高コストの時間帯に)グリッド102で必要とされるときにエネルギを販売し、(例えば、低コストの時間帯に)グリッド102にとって最適なタイミングでエネルギを消費するインセンティブを顧客に提供する可能性がある。この技術は、同じ目的のためにエネルギ使用を直接制御するオプションを電力会社に提供することもできる。
【0044】
いくつかの例では、DERデバイスは、グリッド102の電圧を調整することによって、非常に反応性の高い負荷と発電機の影響にも対処できる。たとえば、非常に反応性の高い負荷がグリッド102から電力を消費し始めると、エッジコンピューティングデバイス410は、グリッド102の電圧が望ましいレベルに維持されるように放電するために、メータ106を介してグリッド102に結合されたDERデバイスにコマンドを提供することができる。エッジコンピューティングデバイスは、無効電力消費または全高調波歪を監視することによって、非常に無効な負荷の存在を検出することができる。例として、十分な電荷を持つ電気自動車が充電ステーションに電気的に結合されている場合、いくつかの電気自動車充電ステーションが電圧調整のソースとして集約され得る。
【0045】
さらに、これらのデバイス制御システムは、スマートホーム需要管理のためのインテリジェンスを提供して、(例えば、高コストの時間帯に需要を減らすことで)過剰な需要料金を防止し、リアルタイムの負荷監視を提供し、エネルギと請求書の予測を提供し、電力消費と関連コストに関連するアラートを提供することができる。いくつかの例では、エッジコンピューティングデバイス410は、過負荷状態が予想される場合に、動作を停止したり動作を変更したりするための制御コマンドを個々のデバイスに自動的に提供することができる。例えば、ウォッシャ/ドライヤ612、HVACシステム614、スマートサーモスタット616、スマートスイッチ618、負荷制御デバイス620はそれぞれ、ピーク需要時間帯の運転を防止または制限する制御コマンドを受信することができる。いくつかの例では、消費電力の全体的な単位コストを下げる代わりに、お客様がさまざまな家庭用デバイスのこの直接制御に同意し得る。
【0046】
負荷またはDERデバイスを制御するための技術の例
【0047】
上記のように、通信モジュールをDERデバイスおよびその他の負荷デバイスに組み込み、DERデバイスおよびその他の負荷デバイスを通信ネットワークに接続することで、デバイスの制御と接続の改善をサポートする。
【0048】
電気自動車やエネルギ貯蔵デバイスなどのDERデバイスや負荷を制御する代表的な方法700を
図7に示す。ブロック702で、方法700は、ISO604、電力会社のヘッドエンドシステム602、またはエネルギアグリゲータが、予測される間隔のエネルギの販売価格と購入価格を決定することを含む。ISO604、ヘッドエンドシステム602、またはエネルギアグリゲータは、機械学習技術を使用して、過去の需要サイクル、気象条件、およびエネルギ生成コストに寄与するその他の要因を学習し、それらの過去の要因を活用して予測間隔のエネルギ価格を設定し得る。機械学習アルゴリズムへの入力には、現在および過去のエネルギ需要、時刻、曜日、月日、地理的位置、および施設がエネルギを消費する方法に関連するその他の要因が含まれ得る。いくつかの例では、間隔は間隔の境界で価格が変化する5分間のブロックとして設定され得る。より短い間隔またはより長い間隔を使用することもできる。価格は予測可能であり、若しくは、期間を延長して設定可能でもある。例えば、1日、数日、数週間などの価格を予測して、エッジコンピューティングデバイス410に、グリッド102に結合された負荷デバイスの費用対効果の高い使用をマッピングする機能を提供することができる。
【0049】
ブロック704において、方法700は、エッジコンピューティングデバイス410がISO604またはヘッドエンドシステム602から価格予測を受け取ることを含む。他のデバイスやユーザも価格予測を受け取る可能性がある。例えば、消費者、電気自動車の充電器、太陽光発電インバータ、蓄電池システムなど、価格予測に応じて制御可能な機器も価格予測を受け取ることができる。
【0050】
ブロック706で、方法700は、負荷で受け取るエネルギを増加または減少させるか、または電気自動車、バッテリ貯蔵システム、太陽光発電インバータ、太陽光発電バッテリ貯蔵システム、風力タービンなどのエネルギ貯蔵および発電デバイスからエネルギを販売する決定を行うエッジコンピューティングデバイス410を含む。また、エッジコンピューティングデバイス410は、気象、歴史的負荷、時刻、曜日などの要因に基づいて、エッジコンピューティングデバイス410に関連する敷地の負荷を予測することができ、エッジコンピューティングデバイスは、特定の期間の負荷予測を生成することができる。エッジコンピューティングデバイスによって使用される期間は、ブロック704で使用される間隔と同じであってもよいが、同じである必要はない。さらに、エッジコンピューティングデバイス410は、過去の価格傾向を使用して、ISO604、ユーティリティヘッドエンドシステム602、またはエネルギアグリゲータによって生成された予測金額を超える将来の価格を予測することができる。あるいは、エッジコンピューティングデバイスは、受信した価格予測に基づいて独自の価格予測を生成することもできる。
【0051】
いくつかの例では、エッジコンピューティングデバイス410は、価格と負荷の予測に基づいて負荷デバイスに制御コマンドを送信する。例えば、低コストの時間間隔で、エッジコンピューティングデバイス410は、充電を開始するために、制御コマンドを電気自動車の充電器およびバッテリシステムの充電器に送信することができる。高コストの時間間隔で、エッジコンピューティングデバイス410は、制御コマンドを電気自動車の充電器とバッテリシステムの充電器に送信して、車両対グリッドシステムを使用してエネルギをグリッド102に売り戻すか、電気自動車とバッテリシステムに関連する敷地にエネルギを供給することができる。さらに、エッジコンピューティングデバイス410は、プールポンプ、洗濯機、HVACシステムなどのデマンドレスポンスデバイスを制御して、低コストの時間間隔では通常の動作パラメータを使用して正常に動作し、高コストの時間間隔では省エネルギの動作パラメータを使用して低減された方法で動作させることができる。エッジコンピューティングデバイスは、負荷デバイスを制御する際にユーザ入力またはコマンドを考慮し得る。ユーザは、特定の時間帯にデバイスの電力を維持するか、特定の時間までにデバイスを特定のレベルまで充電するかを指定できる。ユーザは、特定のデバイスの高コスト時間間隔の間での、又は特定の条件下での、消費を容認することもできる。
【0052】
エッジコンピューティングデバイス410は、上記のアクションと、負荷の合計に影響を与え、グリッドにエネルギを戻すその他のアクションを直接制御する機能を含むことができる。これらのアクションは、システムのピーク需要、電圧調整、システムのバランス調整などに影響を与える可能性がある。いくつかの例では、制御コマンドは、ユーティリティのヘッドエンドシステム602または二次変電所コントローラ606などのローカルコントローラから直接入力できる。階層型システムの例では、ヘッドエンドシステムは、削減する必要がある、又は、利用可能である、エネルギ量を指定するコマンドを二次変電所に送信し得る。二次変電所は、ヘッドエンドシステムから受信したコマンドに加えて、使用可能なエネルギ、瞬時電力、グリッドトポロジなどの他の要因に基づいて、変電所の下流にあるエッジ制御デバイスに他のコマンドを送信し得る。エッジ制御デバイスは、変電所から受け取ったコマンドやその他の要因に基づいて負荷を制御し得る。さらに、ユーザ、ユーティリティ、またはその両方が、エッジコンピューティングデバイス410が負荷を制御する方法を変更またはオーバーライドする機能を備え得る。さらに、メータ106は、より正確な負荷予測を可能にし、負荷制御のためのより効率的な粒度を提供する負荷分散を含むことができる。制御コマンドがエッジコンピューティングデバイス410によって提供されると、方法700は、追加の時間間隔のさらなる価格予測のためにブロック702に戻ることができる。
【0053】
追加の例では、ユーティリティまたはエネルギアグリゲータなどの制御グループは、ISO604によって生成された価格に基づいて負荷デバイスを制御するために消費者と契約を締結することができる。ISO604は、5分間隔またはその他の時間間隔長の価格を設定することができる。コントロールグループは、ISO604の価格に基づいて、利用可能なエネルギ量とエネルギを販売または使用するための最適な時間を決定することができる。この決定に基づいて、制御グループは、エネルギの可用性と設定価格に基づいて、特定の時間間隔で一定量のエネルギを入札できる。制御グループは、個々のエネルギ貯蔵デバイスからのエネルギフローを可能にするコマンドを、エネルギ入札に基づいて必要な時間にグリッド102に送り返す。一部の例では、制御グループは入札に基づいて、プールポンプやHVACシステムなどの遅延負荷のコマンドを送信することもある。
【0054】
電気自動車やバッテリ貯蔵システムなどのDER負荷の監視と制御により、電力会社にサービスを提供して、DER負荷による充電やその他のエネルギ消費を管理し、負荷を時間とともに分散させて、比較的平坦な負荷曲線を確保することができる。例えば、複数の電気自動車が最速の充電速度で充電している地域では、負荷曲線にスパイクが生じ、地域の変電所に過負荷がかかる可能性がある。充電を遅くしたり、同時に充電する電気自動車の数を減らしたりするなど、電気自動車の充電を管理することで、変電所から許容負荷レベルを引き出すことができる。
【0055】
複数のエッジコンピューティングデバイスを使用した負荷およびDERデバイスの制御
【0056】
図8は、配電網、メータ、敷地に配置されたパネル、および1つ以上のDERデバイス間の例示的な電力および通信接続を示すブロック図である。図に示すように、グリッド102は配電変圧器804、電気メータ106、電気パネル108を介して敷地802に電気を供給する。配電変圧器は、
図6の二次変電所コントローラ606と同様の方法で動作する。通信は、ユーティリティヘッドエンドシステム302から、配電変圧器804のエッジコンピューティングデバイス806、および電気メータ106のエッジコンピューティングデバイス410に提供され得る。
【0057】
いくつかの例では、価格予測は、配電変圧器804のエッジコンピューティングデバイス806で機械学習技術を使用して決定され、電気メータ106でエッジコンピューティングデバイス410に提供され得る。例えば、エッジコンピューティングデバイス410は、配電変圧器のエッジコンピューティングデバイスから受け取った価格予測に基づいて、電気自動車810の電気自動車充電器808などのDERデバイスを制御することができる。いくつかの例では、エッジコンピューティングデバイス806は、電気メータに接続されたDERデバイスと直接通信し、制御することができる。その場合、電気メータは独自のエッジコンピューティングデバイスを必要としないこともある。
【0058】
追加の例では、配電変圧器804のエッジコンピューティングデバイス806を取り外すことができる。このような例では、電気メータ106のエッジコンピューティングデバイス410は、配電変圧器804で従前に実行された動作を実行することができる。さらに、電気メータ106が電気自動車充電器808によって消費または出力されるエネルギを直接測定できるマルチポートメータである例では、電気パネル108は電気自動車充電器808によってバイパスされ得る。
【0059】
さらに、ヘッドエンドシステム302と電気自動車充電器808の両方がデータネットワークに通信的に結合されている例では、ヘッドエンドシステム302から電気自動車充電器808に直接通信を提供することができる。一部の例では、電気メータ106とヘッドエンドシステム302の両方が電気自動車充電器808と直接通信することができる。
図8は電気自動車充電器808と電気自動車810を示しているが、他の例としてはバッテリ貯蔵に結合されたインバータを含むことができる。一部の例では、インバータ、バッテリストレージ、またはその両方が敷地のソーラパネルに接続され得る。
【0060】
図9は、配電網とDERデバイスを含む複数の敷地との間の例示的な電力および通信接続を示すブロック図である。いくつかの例では、エッジコンピューティングデバイス806は、動的ピーク価格設定(すなわち、配電変圧器に関連するエッジコンピューティングデバイスによって決定される価格予測情報)などの一般的情報を各施設902、904および906に提供することができる。エッジコンピューティングデバイス410a、410b、および410cは、一般的情報を使用して、敷地902、904および906でより詳細なコマンドを決定することができる。例えば、エッジコンピューティングデバイス410a、410b、及び410cは、配電変圧器のエッジコンピューティングデバイス806から受信した動的ピーク価格表示に基づいて、電気自動車充電器808a、808b、および808cの制御コマンドを生成することができる。
【0061】
一例では、配電変圧器804または電力会社のヘッドエンドシステム302のエッジコンピューティングデバイス806などの制御デバイスも、配電変圧器804の負荷を監視することができる。充電に大量の電流を必要とする電気自動車810の普及に伴い、配電変圧器804の下で各敷地902、904、906に電気自動車810a、810b、810cを同時に充電することは、その配電変圧器の過負荷を引き起こす可能性がある。制御デバイスは過負荷を防止するため、電気自動車充電器808a、808b、808cの負荷を含む全体負荷と個々の敷地負荷を、マルチポートメータ106a、106b、106c、電気自動車充電器との直接通信、または敷地の負荷分散によって監視する。制御デバイスは、天候、過去の負荷と生成データ、時刻、曜日、地理的位置、その他の要素を使用して負荷を予測できる。予測が指定された閾値(例:配電変圧器の容量の80%)を超える場合、コントローラは、メータ106a、106b、および106cなどの一部またはすべてのエンドデバイスにコマンドを送信し、それらのエンドデバイスが遮断コマンド、充電率を下げるコマンド、または充電の開始を防ぐコマンドなどの直接制御によって電気自動車の充電器808a、808b、および808cを制御することができる。エンドデバイスからの直接制御により、電気自動車810a、810b、810cまたは電気自動車充電器808a、808b、808cの充電率を特定の充電率レベル(例えば、10%、50%、90%など)以下に低下させたり、電気自動車810a、810b、810cの充電を停止したりすることができる。
【0062】
制御デバイスは、予測負荷を使用して電気自動車810a、810b、および810cを制御することに加えて、瞬間的な需要の値を使用して、電気自動車に必要な制御のレベルを決定することもできる。これにより、配電変圧器804が限界に近づいたり、限界を超えたりした場合に、制御デバイスが対応できるようになる。
【0063】
追加の例では、配電変圧器804のエッジコンピューティングデバイス806を取り外すことができる。このような例では、各住宅902、904、906のエッジコンピューティングデバイス410a、410b、410cは、配電変圧器804で従前に実行された動作を実行することができる。さらに、電気メータ106a、106b、106cが電気自動車充電器808a、808b、808cによって消費または出力されるエネルギを直接測定できるマルチポートメータである例では、電気パネル108a、108b、108cが電気自動車充電器808a、808b、808cによってバイパスされ得る。エッジコンピューティングデバイス806が取り外された例では、ヘッドエンドシステム302が一般的情報を生成し、エッジコンピューティングデバイス410a、410b、410cに提供することができる。
【0064】
さらに、ヘッドエンドシステム302と電気自動車充電器808a、808b、808cがデータネットワークに通信的に結合されている例では、ヘッドエンドシステム302から電気自動車充電器808a、808b、808cに直接通信を提供することができる。さらに、
図9は電気自動車充電器808a、808b、808cと電気自動車810a、810b、810cを示しているが、他の例としてはバッテリ貯蔵システムに結合されたインバータを含むことができる。いくつかの例では、インバータ、バッテリ貯蔵システム、またはその両方が敷地のソーラパネルに結合されることがある。
【0065】
アグリゲータと制御デバイスを使用した電力品質の制御
【0066】
図10A及び
図10Bは、エッジ制御デバイスが電力品質を制御する方法を示す。
図10 Bは、エッジソフトウェアを含むアグリゲータと制御デバイス1002を使用して、グリッド上の重要な配電点1004で負荷制御と価格設定を規制するために使用されるシステム1000のブロック図である。臨界配電点は、二次変電所または配電変圧器に相当し得る。アグリゲータと制御デバイスは、負荷と分散型エネルギ資源の集約を制御して、さまざまな出力を最適化する。ソフトウェアとして実装された場合、アグリゲータと制御デバイス1002は人工知能と機械学習を利用し、天気、時刻、日付、歴史的需要とエネルギ生産、地理的位置と制御の出力を価格変更または直接制御の形で入力する。出力は臨界分布点の下流の電気メータに送られる。アグリゲータおよび制御デバイス1002は、グリッドと電力品質メータ1006の間に位置する配電変圧器などの重要な配電点1004における電圧安定性などの電力品質を監視することもできる。アグリゲータおよび制御デバイスは、電力品質メータ1006の一部であってもよい。
【0067】
一例では、アグリゲータおよび制御デバイス1002は、天候、履歴負荷および発電データ、時刻、曜日、地理的位置、実効電力および無効電力(PQ)メータ1006によるグリッド102のリアルタイム電力品質計測、およびその他の要因を使用して、有効電力および無効電力および電圧を含む負荷および電力品質を予測し、それに応じて電圧を調整することができる。アグリゲータおよび制御デバイス1002がグリッドの電力品質の調整が望ましいと判断した場合、アグリゲータおよび制御デバイス1002は、電気自動車充電ステーション808a、808b、808c、および808dと通信しているメータ106などのエンドデバイスに、特定のレベル(例えば、10%、50%、90%など)以下に充電を減らすため、充電を停止するため、グリッドにエネルギを供給し始めるため、または電圧を調整するために必要な実効電力および無効電力を制御するためのコマンドを送信することができる。アグリゲータおよび制御デバイス1002は、電気自動車充電ステーション808a、808b、808c、および808dによってグリッド102に注入された実効電力P、および電気自動車充電ステーション808a、808b、808c、および808dによってグリッド102から吸収された無効電力Qの表示を受け取ることができる。
【0068】
図10Aは、電力品質の問題に対処するためにEV充電ステーションを制御する方法を示している。電力品質メータ1006は、電力品質の問題を検出し、アグリゲータや制御デバイス1002などの、制御デバイスに問題を伝えることができる。アグリゲータと制御デバイスは、充電ステーションに制御信号を送信してEV充電ステーション808a-808dを制御し、電力品質の問題に対処するための調整を行う。制御信号の受信に応じて、各EV充電ステーションは接続されたEVバッテリを充電または放電することができる。EV充電ステーションに送られる制御信号は、EV充電器によって異なる動作を要求し得る。アグリゲータと制御デバイスはEV充電器からの出力を組み合わせ、出力をグリッドに送り、グリッドノードでの実効電力と無効電力を制御する。
【0069】
機械学習モデルの例
【0070】
上記のシステムでは、複数の機械学習モデルが動作し得る。モデルには、ヘッドエンドシステムまたは二次変電所で動作する価格間隔データを生成するモデル、電気メータで動作する将来の価格データを生成するモデル、およびメータで動作する負荷およびDERデバイスを制御するモデルが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0071】
価格データを生成するモデルはエネルギ価格を予測し、回帰モデルを使用して実装することができる。線形回帰モデルと非線形回帰モデルの両方を使用できる。各回帰モデルは、データセットを使用してトレーニングおよび検証され得る。データセットは、さまざまな条件、日付、時刻にわたって過去の期間から収集された価格設定データに基づいている。条件、日付、時刻を使用してモデル入力を定義し、過去の価格を使用してモデル出力を定義できる。電気メータで動作するモデルに使用されるデータセットは、ヘッドエンドシステムまたは二次変電所で動作するモデルに使用されるデータセットとは異なり得る。電気メータで動作するモデルのデータには、メータ固有のデータが含まれ得る。メータ固有のデータには、より広い地理的領域の温度情報ではなく、メータまたは敷地に関連する温度情報が含まれ得る。
【0072】
データセットは、トレーニングデータセットと検証データセットに分けられる。トレーニングデータセットは回帰モデルのトレーニングに使用され、検証データセットはトレーニングされたモデルの検証に使用される。トレーニングと検証の間、モデルで使用される重みは、モデルが許容できるレベルの精度を提供するまで調整される。モデルの精度を測定するオプションには、モデルが価格を正しく予測する間隔の割合、またはモデルが許容範囲内の価格を予測する間隔の割合を決定することが含まれる。モデルが検証されると、エッジコンピューティングデバイスに展開され得る。展開されたモデルのパフォーマンスが監視され、追加のデータが収集されるため、必要に応じて新しいデータセットを使用してモデルを再トレーニングできる。再トレーニングされたモデルは、元のモデルを置き換えるために展開できる。
【0073】
負荷とDERデバイスを制御するモデルは、価格を予測するモデルで使用されるデータとは異なる種類のデータを含むトレーニングセットを使用することがある。データセットは、様々な条件、日時にわたって過去の期間から収集された制御データに基づくことができる。データには、特定の種類の負荷またはDERデバイスに関連するデータが含まれ得るが、これに限定されない。
【0074】
図14は、価格間隔データまたは将来の価格設定データを生成するために使用できる価格設定を予測するための線形回帰モデルをトレーニングおよび検証するための模範的な方法を示した。データセット1402には、トレーニングデータセット1404と検証データセット1406が含まれる。トレーニングデータセットは、線形回帰モデル1410のトレーニングに使用される。トレーニング済みモデル1412が利用可能になると、検証データセットを使用してトレーニング済みモデルが検証される。モデルのトレーニングと検証のプロセスには、トレーニングと検証の両方で価格出力の精度を向上させるためにモデルで使用される重みを調整するなど、
図14に示されていない多くの追加ステップが含まれている。モデルの検証が完了したら、モデルを展開できる。
【0075】
エッジコンピューティングデバイスとマルチポートメータ
【0076】
図11は、ソーラインバータ1104に電気的に結合されたマルチポートメータ1102の配置を示すブロック図である。ソーラインバータ1104は、太陽光発電ソーラパネル1106から直流電力を受ける。ソーラインバータ1104は直流電力を変換して交流電力を発生させ、マルチポートメータ1102に供給する。マルチポートメータ1102は、ソーラインバータ1104からの交流電力をグリッド102または敷地104に供給することができる。一例では、マルチポートメータ1102は、必要に応じて、例えば、ソーラインバータ1104からのエネルギ生産を排出するように、エッジコンピューティングデバイス1108から指示を受けることができる。ソーラインバータ1104の計測は、マルチポートメータ1102を介して行うことができる。さらに、エッジコンピューティングデバイス1108をマルチポートメータ1102に配置して、ソーラインバータ1104を介してマルチポートメータ1102で電気的に結合されているソーラパネル1106などの分散型エネルギ資源デバイスの制御に関するエッジ決定を行うこともできる。
【0077】
図12は、ソーラパネル1206、バッテリ貯蔵1208、またはその両方のインバータ1204に電気的に結合されたマルチポートメータ1102の配置を示すブロック図である。インバータ1204は、太陽光発電ソーラパネル1206またはバッテリ貯蔵システム1208から直流電力を受ける。インバータ1204は直流電力を変換して交流電力を発生させ、マルチポートメータ1102に供給する。マルチポートメータ1102は、インバータ1204からの交流電力をグリッド102または敷地104に供給することができる。一例では、マルチポートメータ1102は、必要に応じて、例えば、インバータ1204からのエネルギ生産を放出するように、エッジコンピューティングデバイス1108から指示を受けることができる。このような例では、ソーラパネル1206によって生成されたエネルギは、将来の使用のためにバッテリ貯蔵システム1208に貯蔵され得る。インバータ1204の計測は、マルチポートメータ1102を介して行われ得る。さらに、エッジコンピューティングデバイス1108は、インバータ1204を介してマルチポートメータ1102に電気的に結合されているソーラパネル1206およびバッテリ貯蔵システム1208などの分散型エネルギ資源デバイスの制御に関するエッジ決定を行うために、マルチポートメータ1102に配置することができる。
【0078】
図13は、電気自動車充電器1304に電気的に結合されたマルチポートメータ1102の配置を示すブロック図である。電気自動車充電器1304の計測は、マルチポートメータ1102を通して行うことができる。電気自動車充電器1304は、グリッド102からマルチポートメータ1102で受け取った交流主電力を整流し、整流された直流電力を電気自動車1306に充電するために適用することができる。いくつかの例では、電気自動車充電器1304は、グリッド102または敷地104で使用するために得られる交流電力の提供を可能にする方法で、電気自動車1306からの直流電力を変換することもできる。一例では、エッジコンピューティングデバイス1108は、電気自動車充電器1304に対して、電気自動車1306のバッテリを適切なタイミングで充電または放電するよう指示を与えることができる。例えば、エッジコンピューティングデバイス1108は、予測されたエネルギ価格に基づいて、またはマルチポートメータ1102の敷地104に関連する配電変圧器の予測された過負荷に基づいて、電気自動車1306の充電または放電レベルまたは電圧を制御するように電気自動車充電器1304に指示することができる。
【0079】
本明細書に記載のヘッドエンドシステム、ゲートウェイデバイス、計測モジュール、電気メータ、エッジコンピューティングデバイス、アグリゲータおよび制御デバイス、および通信モジュールの動作は、任意の適切なコンピュータシステムによって実行することができる。コンピューティングシステムは、メモリデバイスに格納されたコンピュータ実行可能プログラムコードを実行する1つ以上の処理要素を含むことができる。メモリデバイスは、プログラムコードおよびデータを格納するための任意の適切なコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピューティングシステムは、プログラムコードを実行し、本明細書で説明する1つ以上の動作を実行するように処理要素を構成することができる。コンピューティングシステムには、ネットワークへの接続を確立し、ネットワーク上で通信するための1つ以上のネットワークインターフェイスデバイスや、ディスプレイデバイスなどの入出力デバイスなど、他のコンポーネントを含めることができる。
【0080】
本発明の趣旨は、その特定の態様に関して詳細に説明されているが、当業者は、前述の理解を得ると、そのような態様に対する変更、バリエーション、および同等のものを容易に作成できることが認められる。したがって、本開示は、限定ではなく例示を目的として提示されたものであり、当業者であれば容易に理解できるような、本発明の趣旨に対する修正、変形、および/または追加を含めることを妨げるものではないことが、理解されるべきである。
【国際調査報告】