(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】リテーナおよび対応する摩耗部材
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547690
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 US2022013633
(87)【国際公開番号】W WO2022173585
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュラ、ジェイソン グラント
(72)【発明者】
【氏名】シン、エリック ティ.
(72)【発明者】
【氏名】セルリエ、ダグラス シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ、コーリー マイケル
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015JA03
(57)【要約】
【課題】リテーナおよび対応する摩耗部材を提供する。
【解決手段】リテーナ(900)は、駆動部分外径を画定する駆動部分(902)と、ラグ受容部分を部分的に貫通して延び、第1側壁、第2側壁、および第1側壁を第2側壁に接続する捕捉面を形成するラグ受容スロット(914)を画定するスカート(904)を備えたラグ受容部分とを含む。スカート(904)はまた、駆動部分外径よりも大きいスカート外径を画定する。また、駆動部分(902)は、駆動部分(902)から延びて、スカート(904)から最小距離だけ離間したフックタブ(908)を有す
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リテーナ(900)であって、
駆動部分外径(OD902)を画定する駆動部分(902)と、
ラグ受容部分(912)と、を含み、前記ラグ受容部分(912)は、
前記ラグ受容部分(912)を部分的に貫通して延びて、第1側壁(916)、第2側壁(918)、および前記第1側壁(916)を前記第2側壁(918)に接続する捕捉面(920)を形成するラグ受容スロット(914)を画定し、
前記第1側壁(916)、前記第2側壁(918)、および前記捕捉面(920)を少なくとも部分的に画定し、前記駆動部分外径(OD902)よりも大きいスカート外径(OD904)を画定するスカート(904)を含み、
前記駆動部分(902)は、前記駆動部分(902)から延びて、前記スカート(904)から最小距離(922)だけ離間したフックタブ(908)をさらに含む、リテーナ(900)。
【請求項2】
前記駆動部分(902)は、回転軸(704)と、前記回転軸(704)に垂直な径方向(706)と、前記回転軸(704)の周りの周方向(708)とを画定する駆動部分弓形面(924)を含み、前記スカート(904)は、前記回転軸(704)を中心とするスカート弓形面(926)を含む、請求項1に記載のリテーナ(900)。
【請求項3】
前記フックタブ(908)は、前記スカート外径(OD904)の半分よりも小さい径方向寸法(930)だけ前記回転軸(704)から径方向に離間したフック径方向先端(928)を画定する、請求項2に記載のリテーナ(900)。
【請求項4】
前記最小距離(922)は軸方向に測定され、少なくとも1.0mmであり、前記フックタブ(908)はフック軸方向厚さ(T908)を画定し、フック軸方向距離(T908)が前記最小距離(922)以上である、請求項2に記載のリテーナ(900)。
【請求項5】
前記スカート(904)は、前記フックタブ(908)の下に軸方向に配置された第1戻り止め凹部(934)を画定し、
前記フックタブ(908)は、前記駆動部分弓形面(924)から延びる第1直線面(940)と、前記駆動部分弓形面(924)から延びる第2直線面(942)と、前記周方向(708)に正接し、前記第1直線面(940)を前記第2直線面(942)に接続する第3直線面(944)と、前記駆動部分弓形面(924)から延び、前記第1直線面(940)、前記第2直線面(942)および前記第3直線面を接続する平坦底面(946)とを含む、請求項2に記載のリテーナ(900)。
【請求項6】
摩耗部材(800)であって、
本体を含み、前記本体は、
キャビティ(806)を画定する前方閉鎖部分(802)および後方開口部分(804)と、
外面(808)と、
前記キャビティ(806)を画定する内面(810)と、
前記内面(810)によって画定される内側部分(814)、前記外面(816)によって画定される外側部分(808)、および前記内側部分(810)を前記外側部分(816)から分離するリング(818)を含む保持機構受容開口(812)と、を含む、摩耗部材(800)。
【請求項7】
前記外側部分(808)は、第1外径(D840)、径方向(706)、回転軸(704)、および周方向(708)を画定する弓形面(840)を有する駆動部分受容開口(838)と、前記第1外径(D840)よりも大きい第2外径(D828)を画定するフックタブ受容スロット(828)と、前記第2外径(D828)から径方向内向きに延びるリング(818)と、第1周方向停止面(830)と、前記第1周方向停止面(830)から160.0度~200.0度の範囲の所定の角度(842)だけ周方向に離間した第2周方向停止面(832)と、を含む、請求項6に記載の摩耗部材(800)。
【請求項8】
前記リング(818)は、前記保持機構受容開口(812)の前記内側部分(814)および前記外側部分(816)と連通する貫通スロット(822)を画定する、請求項7に記載の摩耗部材(800)。
【請求項9】
前記リング(818)は、前記第1外径(D840)と同心でかつ前記第2外径(D828)よりも小さい内径(826)を画定し、前記第2外径(D828)は前記内径(826)と同心であり、前記貫通スロット(822)は、前記第1周方向停止面(830)と前記貫通スロット(822)との間にリング部分(818a)が配置された状態で、前記第1周方向停止面(830)から周方向に離間している、請求項8に記載の摩耗部材(800)。
【請求項10】
前記貫通スロット(822)から前記第1周方向停止面(830)に向かって周方向に延びる、前記外面(808)に面する前記リング(818)上のランプ(833)をさらに含み、前記保持機構受容開口(812)の前記内側部分(814)は、互いに径方向に対して角度をなして、前記回転軸(704)に沿ってアンダーカットを形成する一対の面(830、832)と、前記保持機構受容開口(812)の前記内側部分から前記外面(808)に延びるラグ受容溝(837)と、を含む、請求項9に記載の摩耗部材(800)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業工具アセンブリのアダプタにチップを取り付けるために、土木、鉱山、建設機械などによって使用されるバケットアセンブリなどの作業工具アセンブリに採用される保持機構に関する。より具体的には、本開示は、保持機構のリテーナをロック構成またはロック解除構成で保持するためにリテーナスリーブを使用する保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ、掘削機などの機械は、土、岩石、砂などの材料に対する作業を助けるために、歯やチップが取り付けられているバケットアセンブリ、熊手、ハサミなどを含む作業工具アセンブリを採用する。例えば、歯やチップは、バケットアセンブリが地面を貫通するのを助け、バケットなどへの土の掬い上げを容易にするために、バケットアセンブリに接続され得る。アダプタは、通常、バケットまたは他の作業工具の作業端(例えば、底端、側端など)に取り付けられており、異なる形式の歯やチップが作業工具に取り付けられるようになっている。また、チップや歯は、チップをアダプタ上に選択的に保持するため、またはチップをアダプタから取り外せるようにするために使用される保持機構を設けることによって、摩耗したときに容易に交換することができる
【0003】
これらの保持機構は、チップにリテーナを保持するプラスチック製のリテーナスリーブを含んでもよい。リテーナスリーブはまた、チップの交換を可能にするために、リテーナをロック位置またはロック解除位置に保持する特徴を有していてもよい。リテーナスリーブは、様々な条件や操作方法で動作する。極端な動作条件や方法では、より頑丈なスリーブが必要になる場合がある。また、リテーナが傾いて、保持機構が動かなくなったり、所望どおりに動作しなくなったりする可能性がある。
【0004】
このような保持機構は、米国特許第7,762,015号に示されており、ロック位置からチップなどをアダプタから取り外し可能なロック解除位置まで180度回転するタブを有するリテーナを含む。新しいチップまたは修復されたチップを再びアダプタに取り付ける場合、このプロセスを逆にすることができる。リテーナのロックとロック解除の間に、リテーナが望ましくないように反り返ったり傾いたりすることがある。
【0005】
同様に、米国特許第10,024,036号には、摩耗部材をベースに固定するように構成されたロックを含む摩耗アセンブリ用の摩耗部材が開示されており、ロックは、2つの係合位置、すなわち、(a)ロックを摩耗部材に固定する第1位置と、(b)摩耗部材をベースに固定する第2位置とを有する。ロックはさらに、2段階でラッチを外し、摩耗部材から取り外されるように構成され、最初にラッチ機構が後退し、その後、ロック自体が回転して摩耗部材から取り外される。しかしながら、この特許はリテーナスリーブを提供しておらず、このようなスリーブを使用する場合にロックの転倒を防止する方法も教示していない。
【0006】
したがって、1つ以上の転倒防止手段を有する保持機構は、リテーナスリーブと共に使用されることを確保する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態に係るリテーナは、駆動部分外径を画定する駆動部分と、ラグ受容部分と、を含み、ラグ受容部分は、ラグ受容部分を部分的に貫通して延びて、第1側壁、第2側壁、および第1側壁を第2側壁に接続する捕捉面を形成するラグ受容スロットを画定する。スカートは、第1側壁、第2側壁、および捕捉面を少なくとも部分的に画定してもよい。スカートは、駆動部分外径よりも大きいスカート外径を画定してもよい。また、駆動部分は、駆動部分から延びて、スカートから最小距離だけ離間したフックタブをさらに含んでもよい。
【0008】
本開示の実施形態に係る摩耗部材は、本体を含み、本体は、キャビティを画定する前方閉鎖部分および後方開口部分と、外面と、キャビティを画定する内面と、内面によって画定される内側部分、外面によって画定される外側部分、および内側部分を外側部分から分離するリングを含む保持機構受容開口と、を含んでもよい。
【0009】
本開示の実施形態による摩耗部材アセンブリは、キャビティを画定する前方閉鎖部分および後方開口部分と、外面と、キャビティを画定する内面とを含む本体を有する摩耗部材を含んでもよい。内面によって画定された内側部分、外面によって画定された外側部分、および内側部分を外側部分から分離するリングを含む保持機構受容開口も提供されてもよい。
【0010】
回転軸、径方向および周方向を画定する少なくとも部分的に環状構成を含む本体を含むリテーナスリーブも提供されてもよい。リテーナスリーブは、径方向内開口部を画定する径方向内側環状面を含んでもよく、リテーナスリーブは、保持機構受容開口の内側部分に配置され、リングは、リテーナスリーブの本体から径方向に突出し、かつ、190.0度より大きい角度で周方向に延びてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の様々な実施形態に従って構成された部品を備えた、チップ、アダプタ、および保持機構を使用するバケットアセンブリのような作業工具アセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の作業工具アセンブリから分離して示されている、
図1のチップおよびアダプタサブアセンブリの斜視図である。
【
図3】
図1のチップの側面断面図である。本開示の一実施形態による回転防止および保持手段を備えたリテーナと、ロック構成のリテーナスリーブとを含む保持機構およびその部品が示されている。
【
図4】ロック構成からロック解除構成へのリテーナの回転を示す、
図2のチップの側面図である。
【
図5】本開示の様々な実施形態による、チップの保持機構受容開口に組み立てられた、回転防止および保持手段を備えたリテーナおよびリテーナスリーブを含む保持機構およびその部品を示す、
図2の部分後方断面図である。リテーナはロック解除構成で示されている。
【
図6】明瞭度を高めるためにチップから取り除かれた、
図3から
図5に採用されたリテーナおよびリテーナスリーブアセンブリの上部方向斜視図である。
【
図7】
図6のリテーナスリーブの底部方向斜視図を別途示した図である。
【
図8】
図9の断面線を有する
図6のリテーナおよびリテーナスリーブアセンブリの平面図である。
【
図9】
図8のリテーナおよびリテーナスリーブアセンブリの線9-9に沿った平面断面図である。
【
図10】
図11の断面線を有する
図6のリテーナおよびリテーナスリーブアセンブリの平面図である。
【
図11】
図10のリテーナおよびリテーナスリーブアセンブリの線11-11に沿った底部断面図である。
【
図12】本開示の様々な原理による、リテーナおよび外部リブを備えたリテーナスリーブを含む保持機構の別の実施形態を示す、アダプタのないチップの側面図である。保持機構は、ロック構成で示されている。
【
図13】第1回転防止手段に係合するリテーナを示す、
図12のチップおよび保持機構の上部断面図である。
【
図14】単独で示す
図12のリテーナスリーブの背面図である。
【
図15】リテーナの回転中に、リテーナスリーブが第1回転防止手段の局所領域内で径方向外向きに移動することを可能にするように構成された外周面上のノッチを示す、
図14のリテーナスリーブの斜視図である。
【
図16】
図3~
図11に存在する回転防止手段と類似または同一の回転防止手段の存在を示す、
図15のリテーナスリーブの別の斜視図である。
【
図17】本開示のさらに別の実施形態による、ポケット内に配置された転倒防止手段を備えた保持機構を含むチップ形状の摩耗部材アセンブリの側面図である。転倒防止手段は、組立時にリテーナ(またはロック)のためのフックタブを受容するためのギャップを備えたチップのポケット内リングを含む。
【
図18】
図17に示す保持機構がロック位置にある場合の拡大図である。
【
図19】ロック解除位置に回転した
図18の保持機構を示す図である。
【
図20】
図17の線20-20に沿った摩耗部材アセンブリの断面図であり、リテーナスリーブによってチップのポケット内に保持されるリテーナを示している。
【
図21】明瞭度を高めるためにリテーナが取り除かれた
図20の摩耗アセンブリの内部斜視図である。
【
図22】
図21のリテーナスリーブへのリテーナの挿入を示す、分解組立図である。この組み立てステップでは、フックタブポケットのリングのギャップを通過して、
図20の摩耗部材アセンブリを形成する。
【
図23】リテーナスリーブおよびリテーナが取り外された
図18の摩耗アセンブリの外部斜視図である。チップのポケットのリングの下部リング部分の傾斜はっきりと示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、図面において、同一の参照番号を使用して同一または類似の部品を示す。いくつかの場合において、参照番号は本明細書で示されており、図面は、参照番号を、その後に英文字が続くように、例えば100a、100bのような形で示し、または、その後にプライムインジケータが続くように、例えば100'、100''のような形で示す。参照番号の直後に文字または素数を使用することは、例えば幾何学的形状が対称平面鏡像を囲む場合によく見られるように、これらの特徴が類似した形状および類似した機能を有することを示すことを理解されたい。本明細書において、説明を容易にするために、英文字またはプライムは通常含まれないが、本明細書で説明されるフィーチャの重複を示すために図面に示され得る。
【0013】
次に、本開示の様々な実施形態によるチップを使用する作業工具アセンブリについて説明する。
【0014】
図1から始めると、作業工具アセンブリ100は、ホイールローダによって使用され、実質的に閉じられた内部と連通する開口部102を画定する筐体101を含むバケットアセンブリ100'の形態をとってもよい。
図1に示すように、バケットアセンブリ100の後部から始めて、バケットアセンブリ100は、シェル104の上端の後壁106に取り付けられた湾曲したハウジング輪郭104を含む。シェルの他端は、アセンブリ100の底板108に取り付けられている。後壁106の上端には天板110が取り付けられている。天板110は、材料をバケツの内部に注ぎ込み、材料がバケツからこぼれ出るのを防ぐように設計された流出ガード112に移行する。天板110および流出ガード112に取り付けられて強度を補強する補強リブ119が設けられる。流出ガード112、天板110、後壁106、底板108、およびシェル104の側縁には、2つの実質的に平坦な端板114が取り付けられている。
【0015】
側縁アセンブリ115は各端板114に取り付けられ、前縁アセンブリ116はバケットアセンブリ100の底板108の前縁に取り付けられる。前縁アセンブリ116は、底板108に取り付けられたベース縁117と、ベース縁117に取り付けられた複数の中央アダプタ118と、複数のチップ200(工具、歯などとも呼ぶこともある。)とを含む。そして、複数のチップ200の各々が複数のセンターアダプタ118の1つに取り付けられている。また、2つのコーナーアダプタ120もバケットアセンブリ100’の底縁および側縁122に接続されている。チップ200は、コーナーアダプタ120に取り付けてもよい。
【0016】
さらに、複数のベース縁プロテクタ124も設けられており、ベース縁プロテクタ124の各々は、センターアダプタ120間、およびセンターアダプタ120とコーナーアダプタ120との間に位置する。コーナーアダプタ120の側縁122に近接して取り付けられる側縁プロテクタ126も提供される。
【0017】
作業工具アセンブリは、レーキアセンブリ、シャーアセンブリなどを含むバケットアセンブリ以外の他の形態をとってもよいことが理解されるべきである。加えて、掘削機で使用することが意図されている異なる構成のバケットは、本明細書で議論されるチップ、保持機構、アダプタ、ばね、ばね荷重リテーナ、チップアセンブリ、および、チップおよびアダプタアセンブリのような様々な実施形態を使用することもできる。
【0018】
図2~5に示すように、チップ200は、長手方向軸204と、長手方向軸204に垂直な垂直軸206と、垂直軸206に垂直な横軸208とを画定する本体202を含んでもよい。本体202は、閉鎖端212を含む長手方向軸204に沿って配置された前方作業部分210と、開放端216を含む長手方向軸204に沿って配置された後部取付部分214とを含んでもよい。
【0019】
後部取付部分214は、外面218と、開放端216から長手方向に延びるアダプタノーズ受容ポケット220と、アダプタノーズ受容ポケット220と外面218とに連通する保持機構受容開口222とを画成する。アダプタノーズラグ受容溝224は、開放端216から保持機構受容開口222まで長手方向に延びてもよい。少なくともリテーナスリーブ受容スロット226は、保持機構受容開口222およびアダプタノーズ受容ポケット220と連通してもよい。
【0020】
図3~6を見ると、本開示の実施形態によるリテーナおよびリテーナスリーブアセンブリ300について説明する。アセンブリ300は、駆動部分304と、ラグ受容部分306を部分的に貫通して延びて、第1側壁310、第2側壁312、および第1側壁310を第2側壁312に接続する捕捉面314を形成するラグ受容スロット308を画定するラグ受容部分306とを含むリテーナ302を含んでもよい。スカート316は、第1側壁310、第2側壁312、および第1側壁310と交差するランプ318で終わる捕捉面314とを少なくとも部分的に画定する(
図3および
図6で最もよく見られる)。本開示の他の実施形態では、第2側壁312の近傍に別のランプを設けることができるが、必ずしもそうではない。
【0021】
図3では、リテーナおよびリテーナスリーブアセンブリ300によって捕捉されるラグ128の輪郭が示されている。チップ200がアダプタのノーズの上に挿入されたとき、リテーナ302の向きは、
図5に示されるようになることを理解すべきである。ラグ128は、まず、アダプタノーズラグ受容溝224を通過し、次に、ラグ受容スロット308に入り、3つの側面において第1側壁310、第2側壁312および捕捉面314に囲まれるようになる。次に、
図3に示すように、リテーナ302を180度回転させて、リテーナ300とリテーナスリーブ400とでラグ128を全ての側面で捕捉する。チップはアダプタの上に保持される。チップをアダプタから取り外すためには、このプロセスを逆にしてもよい。
【0022】
図3~6を引き続き参照すると、本開示の様々な実施形態によるリテーナスリーブ400についてより詳細に説明する。リテーナスリーブ400は、回転軸404、径方向402、および周方向406を画定する少なくとも部分的に環状構成(例えば、少なくとも部分的に円筒形、少なくとも部分的に円錐形など)を含む本体402を含んでもよい(
図6に最もよく見られる)。回転軸404が回転軸404と呼ばれるのは、2つの理由の一方または両方からである。第1に、リテーナスリーブ400の幾何学形状の少なくとも一部は、幾何学断面形状を回転軸404の周りで回転させることによって(およびリテーナ302を示唆することによって)モデル化されてもよい。第2に、リテーナ302は、この回転軸404の周りで回転するように構成されてもよい。本開示の他の実施形態では、他の構成が可能である。
【0023】
図6および
図7に最もよく見られるように、径方向内側環状面410は、径方向内側開口413を画定してもよく、径方向内側環状面410から径方向内向きに延びる第1回転防止手段412を含んでもよい。第1回転防止手段412は、リテーナ302のスカート316のランプ318と係合するように少なくとも部分的に相補的に形成されたロック面416(
図7も参照)を有する傾斜棚414を含んでもよい。このロック面416は、平面状であってもよく、僅かに弧状であってもよい。
【0024】
図7に焦点を当てると、リテーナスリーブ400は、径方向内側環状面410から径方向内向きに延びるリブ418を含む戻り止め手段をさらに含んでもよい。リブ418は、第1回転防止手段412から所定距離420だけ周方向に離間していてもよい。所定距離420は、リップ422と径方向内側環状面410との交差点においてリブ418から第1回転防止手段412まで(例えば、ロック面まで)のアーク長として測定される。様々な実施形態において、リブ418は、円筒形、円錐形、または他の弓形の構成を有してもよい。他の実施形態では、径方向406に平行な平面内で、尖った形状、多角形などを有してもよい。
【0025】
本体402は、ポリウレタン材料を成形(例えば、熱可塑性射出成形、鋳造、硬化など)することにより形成されてもよい。成形時に、ボイド424(
図3、
図5、
図6、
図9、および
図11参照)は、より均一な肉厚を提供し、製造プロセスに起因してボイド、窪み、気孔などが本体402に形成されるのを防止するのに役立つように設計されてもよい。本体402の材料、構造、またはその両方は、本体402が変形して反発できるように、本体402の弾性に寄与することができる。これは、リテーナ302をロックおよびロック解除するとき、およびリテーナスリーブ400をチップ200のリテーナスリーブ受容スロット226に挿入するときに望ましい(
図5参照)。
【0026】
そのために、径方向406と回転軸404とを含む平面内で回転軸404と平行な方向に異なるドラフト角度428、428’を形成する一対の径方向外方角度付き面426、426’が形成されている(
図5参照)。これらのドラフト角度428、428’は、リテーナスリーブ400をスロット226に挿入することが、それを取り外すよりも容易になるように調整してもよい。これにより、リテーナスリーブ400をスロット226内に保持することが容易になり、その結果、スロット226はリテーナ302をチップ200内に保持する。
【0027】
図6および
図7において、リテーナスリーブ400は、周方向408に沿って配置された第1周方向端部430と、周方向408に沿って配置された第2周方向端部430’とを画定する。リブ418は、第1周方向端部430の近傍に配置されてもよい。第2リブ418’は、第2周方向端部430’の近傍に配置されてもよいが、必ずしもそうではない(
図9および
図11参照)。本開示の様々な実施形態では、第2リブ418’は、他のリブ418と同様に、同一に、または異なって構成されてもよい。また、第1周方向端部に近接した1つの回転防止手段のみが示されているが、本開示の他の実施形態では、同様に、同一、または異なるように構成された別の回転防止手段が第2周方向端部の近くに設けられてもよいことが考えられる。
【0028】
図6および
図7を参照すると、リップ422は、リブ418および第1回転防止手段412を越えて径方向および周方向に延び、リブ418および第1回転防止手段412から完全に張り出している。これは、本開示の他の実施形態では、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。
【0029】
より具体的には、リップ422は、第1周方向端部430から第2周方向端部430’まで延びており、径方向内側環状面410とリップ422との交差点において、第1周方向端部430から第2周方向端部430’まで測定されたリップアーク長432を画定している。
【0030】
特定の実施形態では、所定距離420に対するリップアーク長432の比は、12.0~16.0の範囲であってもよく、所定距離420は、3.0mm~9.0mmの範囲であってもよい。
【0031】
同様に、第1回転防止手段412は、径方向内側環状面410とリップ422との交差点におけるアーク長として測定される最大円周寸法434を画定してもよい。リップアーク長432と最大周方向寸法434との比は3.5~4.5の範囲であってもよく、最大周方向寸法は15.0mm~45.0mmの範囲であってもよい。
【0032】
これらの比または寸法の範囲のいずれも、本開示の他の実施形態で具体的に言及された範囲とは異なってもよい。
【0033】
次に、交換部品として提供され得る、本開示の様々な実施形態によるリテーナスリーブ400について説明する。
【0034】
図7を見ると、リテーナスリーブは、回転軸404、径方向406、および周方向408を画定する(本明細書で先に述べたように)少なくとも部分的に環状構成を含む本体402を有していてもよい。径方向内側環状面410は、径方向内側開口413を画定してもよい。第1回転防止手段412は径方向内側環状面410から径方向内向きに延びてもよく、径方向内側環状面410は、周方向408に少なくとも部分的に対向し、回転軸404に平行な方向に沿って、径方向406に垂直な平面内で回転軸404に平行な方向に対して傾斜角436を形成するロック面416を有する傾斜棚414を含む。
【0035】
特定の実施形態では、傾斜角436は、50度~80度の範囲であってもよく、本明細書で前述したように、リテーナ302(
図6参照)のランプ318の角度と少なくとも部分的に一致してもよい。また、本体402は、プラスチック、ゴム、エラストマー、網目構造(例えば、空隙を有する)、および発泡体のうちの少なくとも1つを含んでもよい。これは、本明細書で前述したように、本体402が組み立て、ロック、およびロック解除のプロセス中に変形および反発できるように、本体402に弾性を与えるのに役立つ可能性がある。
【0036】
図7を引き続き参照すると、第1回転防止手段412は、ロック面416から径方向内向きかつ周方向に延びるカム面438(第1移行面とも呼ばれる)をさらに含んでもよい。カム面438から径方向内側環状面412まで周方向に延びるランプ440を設けることもできる。ロック面416、カム面438およびランプ440の構成の結果として、カム面438は三角形の形状(例えば、三角形の外周438a)を有してもよく、ランプ440は弓形面442を含んでもよい。本開示の他の実施形態では、これらの手段の他の構成が可能である。第1回転防止手段412のこれらの異なる手段の機能については、本明細書で後述する。
【0037】
図6および
図7を見ると、本体402の少なくとも部分的に環状構成は、回転軸404の周りの角度範囲444と、回転軸404に沿って配置された第1軸方向端部446と、回転軸404に沿って配置された第2軸方向端部448とを画定する。本体402は、角度範囲444全体に沿って延びる第1軸方向端部446に配置されたリップ422を有してもよい。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。
【0038】
本明細書で前述したように、リップ422は、第1回転防止手段412を越えて径方向に延びてもよい。また、第1回転防止手段412は、リップ422から軸方向に離れて第2軸方向端部448に向かって延びて、第1回転防止手段412の最大軸方向寸法450を画定してもよい。同様に、第1回転防止手段412はまた、径方向内側環状面410から第1回転防止手段412の径方向先端まで径方向に測定された最大径方向寸法452を画定する。さらに、径方向内側開口413は、内径454(
図11参照)と、リップ422から第2軸方向端部448まで軸方向に測定された径方向内側開口の軸方向深さ456(
図7参照)とを画定してもよい。
【0039】
特定の実施形態では、径方向内側開口413の径方向内側開口の軸方向深さ456と第1回転防止手段412の最大軸方向寸法450との比は1.5~2.5の範囲であり、径方向内側開口413の内径454と第1回転防止手段の最大径方向寸法452との比は10.0~15.0の範囲であってもよい。このような実施形態では、最大軸方向寸法450は7.0mm~16.0mmの範囲であり、最大径方向寸法452は2.0mm~5.0mmの範囲であってもよい。
【0040】
本開示の別の実施形態による別のリテーナスリーブ400については、
図7を参照して以下に説明し得る。
【0041】
リテーナスリーブ400は、回転軸404と、径方向406と、周方向408と、回転軸404に沿って配置された第1軸方向端部446と、回転軸404に沿って配置された第2軸方向端部448とを画定する少なくとも部分的に環状構成を含む本体402を含んでもよい。
【0042】
径方向内側環状面412は、径方向内側開口413と、径方向内側環状面412から径方向内向きに延びるリブ418を含む戻り止め手段とを画定してもよい。リブ418は、リブ径方向高さ458(
図9も参照)と、第1軸方向端部446に配置され、リブ418を越えて径方向および周方向に延びるリップ422とを画定してもよい。リブ418は、リップ422から第2軸方向端部448に向かって軸方向に延びて、リブ軸方向長さ460を画定してもよい。また、径方向内側環状面410は、本明細書ですぐ上に述べたように、内径454’(
図11参照)と、径方向内側開口の軸方向深さ456とを画定してもよい。
【0043】
特定の実施形態では、径方向内側開口の軸方向深さ456とリブ軸方向長さ460との比は1.5~1.0の範囲であり、内径454’とリブ径方向高さ458との比は22.0~30.0の範囲であってもよい。このような実施形態では、リブ軸方向長さ460は15.0mm~32.0mmの範囲であり、リブ径方向高さ458は1.0mm~3.0mmの範囲であってもよい。
【0044】
同様に、本体402は、弾性体となるように、プラスチック、ゴム、エラストマー、網目構造(例えば、ハニカム状構造)、および発泡体の少なくとも1つを含むことができる。
【0045】
次に、
図12~
図16を参照して、リテーナおよびリテーナスリーブアセンブリ500の別の実施形態について説明する。など、以下の可能な相違点を除いて、アセンブリおよびその部品は、
図3~11を参照して本明細書で上述したアセンブリおよびその部品として同様にまたは同一に構成されてもよい。リテーナスリーブ600の本体602は、外周面662と、外周面662から径方向外向きに延びる複数の外部リブ664のアレイとを含んでもよく、第1回転防止手段612と径方向に整列したノッチ666を画定することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図15に最もよく見られるように、複数の外部リブ664’のうちの少なくとも1つは、ノッチ666の上方に軸方向に配置され、ノッチ666の手前で軸方向に終わってもよい。このノッチ666は、組み立ての間に、チップのスロット(本明細書で前述の保持機構受容開口とも呼ばれる)にリテーナをロックまたはロック解除するときに、リテーナスリーブ600が第1回転防止手段612の局所領域内で径方向外向きに移動することを可能にするように形成されてもよい。外部リブ664’は、第1回転防止手段612の近傍でのロックおよびロック解除動作中に、リテーナスリーブ600とこのポケットの壁との間に位置する隙間518の量を減少させることによって、リテーナスリーブ600に若干の剛性を与えてもよい(
図13参照)。これはポケットが大きい場合などに便利である。
【0047】
図14に最もよく見られるように、複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、第1周方向端部630および/または第2周方向端部630’の近傍に配置されてもよい。このような場合、第1周方向端部630および/または第2周方向端部630’の近傍に配置された少なくとも1つの外部リブ664は、第1軸方向端部646から第2軸方向端部648まで延びてもよい(すなわち、
図13に最もよく見られるように、スリーブの軸方向高さの少なくとも90%を維持する)。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。
【0048】
図13を引き続き参照すると、複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、一対の角度付き面626、626’からオフセットされた接触面676を画定し、先端が切り取られたり縮小されたりしなくてもよい頂点668を有するV字形構成を生成する。いくつかの実施形態では、必要に応じて、外部リブ664のV字形構成は、上部と下部との間にギャップを設けることにより、上部と下部とに分割してもよい。
【0049】
図14~
図16に焦点を当てると、交換部品として提供され得る、本開示の別の実施形態によるリテーナスリーブ600について説明する。本明細書で述べたように、外周面662は、第1回転防止手段612と少なくとも部分的に径方向に整列したノッチ666を画定してもよい。なお、外周面662は、図示とは異なる構成であってもよい。これにより、外周面662は、単一の円筒面、単一の円錐面などを構成してもよい。本開示の特定の実施形態では、ノッチ666は、1.0mm~5.0mmの範囲の径方向ノッチ深さ670(
図14参照)および周方向ノッチ幅672を有してもよい。外部リブ664は、ノッチ666の各周側面674上に(例えば、ノッチを挟んで)あってもよいが、必ずしもそうではない。換言すれば、複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、ノッチに隣接して周方向に配置されていてもよい。本開示の他の実施形態では、ノッチは完全に省略されてもよい。
【0050】
少なくとも1つの外部リブ664’は、ノッチ666の軸方向上方に配置された外周面から延びてもよい。複数の外部リブ664のアレイは、回転軸604の周りに周方向に配置されてもよい。本開示の他の実施形態では、外部リブ664、664’の1つまたはすべてが省略されてもよい。
【0051】
このような外部リブ664が設けられる場合、外部リブ664は第1周方向端部630の近傍に配置されてもよく、別の外部リブ664は第2周方向端部630’の近傍に配置されてもよい。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。また、複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、戻り止め手段として機能する内部リブ618と径方向に整列してもよい。本開示の他の実施形態では、そうでない場合がある。
【0052】
本明細書で前述したように、外周面662は、一対の角度付き面626、626’を含んでもよく、複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、一対の角度付き面626、626’のうちの少なくとも1つから1.0mm~3.0mmの範囲のオフセット距離678だけオフセットされた接触面676を含む(
図13参照)。複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、回転軸604と径方向606とを含む平面内にV字形構成を有する。複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、第1軸方向端部646から第2軸方向端部648まで延びているが、必ずしもそうではない。また、いくつかの実施形態では、複数の外部リブ664のうちの少なくとも1つは、0.5mm~3.0mmの範囲のリブ厚さ680(径方向606に垂直な方向に沿って測定された最小寸法、
図14参照)を画定する。
【0053】
また、なお、様々な手段の比率、寸法、角度、表面積、および/または構成の範囲のいずれも、本明細書で具体的に言及されていないものも含め、所望または必要に応じて変更してもよい。特に説明されていないが、フィレットなどのブレンドがさまざまなサーフェスを接続することが示されている。これらは他の実施形態では省略されることがあり、特に明記しない限り、本明細書を読む際にはそれらの存在が無視される場合があることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
実際には、機械、作業工具アセンブリ、チップアセンブリまたは摩耗部材アセンブリ、チップおよびアダプタアセンブリ、リテーナスリーブ、リテーナおよびリテーナスリーブアセンブリ、および/またはこれらのさまざまなアセンブリおよび部品の任意の組合せは、アフターマーケット環境で機械または作業工具アセンブリを現場で改造するために製造、購入、または販売することができ、あるいは代替的に相手先商標製品製造業者(OEM)環境で製造、購入、販売またはその他の方法で入手してもよい。
【0055】
上記の部品は、鉄、ねずみ鋳鉄、鋼、プラスチック、ゴム、発泡体などを含む任意の適切な材料から製造されてもよい。
【0056】
本明細書で前述したようなリテーナスリーブおよびリテーナの手段は、堅牢なロック構成およびそれほど堅牢でないロック解除構成を容易にするために次のように動作することができる。
【0057】
まず、(
図5を参照すると最もよく理解される)、リテーナ302およびリテーナスリーブ400は、リテーナスリーブ受容スロット226および保持機構受容開口222にスナップ嵌めされる。リテーナスリーブ400の構造は、リテーナスリーブ受容スロット226にスナップ嵌めできるように局所的および/または全体的に変形するのに十分な弾性を有し、スロット226内に留まるのに十分な剛性を有する。リテーナスリーブ400のリップ422は、リテーナ302を軸方向の位置に保持する。リップ422は、リテーナスリーブ400の外周全体に延びており、保持機構受容開口222内でリテーナ302を軸方向に強固に保持することができる。
【0058】
図3、
図6、
図7、
図9、および
図11から分かるように、戻り止め手段のリブ418は、リテーナ302をロック位置および/またはロック解除位置に保持するためのわずかな保持力を提供する。この僅かな保持力は、工具をリテーナ302の駆動部分304に挿入することで容易に克服することができる。第1回転防止手段412は、戻り止め手段よりも強固な保持力を提供する。したがって、当業者は、第1回転防止手段412を、リテーナ302の回転を防止するための一次装置と呼ぶことができ、一方、戻り止め手段は、リテーナ302がロック構成からロック解除構成へ回転するのを防止するための二次装置と呼ぶことができる。
【0059】
図7を参照して最もよく理解されるように、第1回転防止手段412は、カム面438およびロック面416よりも大きな周方向範囲を有するランプ440を含む。これにより、リテーナ302をロック解除構成からロック構成に回転させるのに要する力は、リテーナ302のロック解除に要する力よりも小さくなる。
【0060】
より具体的には、ランプ440がリテーナ302のスカート316に接触すると、ランプ440によって提供されるくさびまたはカム効果は、リテーナスリーブ400をチップ202とリテーナスリーブ400との間の隙間(226の一部)に展開する(および局所的な変形を提供する)ことができ、これは、このプロセスを逆にしてロック解除構成を達成する場合よりも容易である。
【0061】
リテーナ302がロック位置からロック解除位置へ回転するとき、ロック面416の傾斜角436は、リテーナスリーブ400を広げるためのより小さなくさびまたはカム効果を提供する。十分な力が加えられると、リテーナ302のスカート316は最終的にカム面438に接触し、主としてカム面438は第1回転防止手段412をボイド424内に径方向外向きに偏向させる。これにより、リテーナ302をより容易に回転させて、ロック解除構成を実現することができる。これにより、ロック構成からロック解除構成へのリテーナ302の望ましくない回転の可能性を低減することができる。
【0062】
いくつかの用途では、保持機構を受容するポケットが大きすぎることがある。このような場合、
図12~
図16を参照して本明細書で図示および説明したリテーナスリーブ600を採用することができる。このために、外部リブの数およびサイズは、リテーナスリーブとポケット壁との間の傾斜または隙間の一部または全部を除去しつつ、スリーブの適切な量の剛性を提供するように適合されてもよい。ポケットが小さい用途では、外部リブは変形してポケットに収まってもよい。また、外部リブは、ポケットなどでのセンタリング機能なども提供する。
【0063】
同様または他の用途では、リテーナの回転中に、リテーナスリーブが第1回転防止手段に近いチップのポケット内で局部的に曲がることを可能にするノッチを設けることが望ましい場合がある。
【0064】
本明細書で前述したように、先端または他の摩耗部材のポケット内でリテーナを傾けたり、コックしたりする傾向がより少ない実施形態を有することが望ましい場合がある。これらの実施形態は、
図17~
図24を示しているが、これらに限定されるものではない。
図17~24に示される任意の実施形態およびその特徴は、本明細書で前述した実施形態の特徴に追加されてもよいし、その逆も同様であることが理解されるべきである。本明細書で説明される全ての実施形態を製造するために、類似または同一の材料および製造プロセスを使用してもよい。
【0065】
図17~21を見ると、このように構築された摩耗部材アセンブリ700は、前方閉鎖部分802と、キャビティ806を画定する後方開口部分804と、外面808と、キャビティ806を画定する内面810とを含む本体を有する摩耗部材800自体を含んでもよい。摩耗部材は、任意の適切な形状および形態をとってもよく、地面などの作業材料上で作業を行うためにバケットなどの作業工具に取り付け可能なチップまたは他の作業工具部材を含む。代替的にまたは追加的に、摩耗部材は、シュラウド、ベース縁プロテクタなどの形態、または摩耗から作業工具を保護するように設計されているが、地面などの作業材料上で作業を行うとは限らない他の任意の部材の形態を採用してもよい。これにより、後方開口部分のキャビティは、外周が閉じられていてもよく、横方向の貫通スロットなどであってもよい。
【0066】
摩耗部材800はまた、内面810によって画定される内側部分814(
図20参照)と、外面808によって画定される外側部分816とを含む保持機構受容開口812を画定してもよい。リング818(「リブ」、「棚」などとも呼ばれる。)は、内側部分814を外側部分816から少なくとも部分的に分離する。
【0067】
図20および
図21に最もよく見られるように、本明細書で論じたリテーナスリーブのいずれの実施形態にも一致するように構成されたリテーナスリーブ702が提供されてもよい。 したがって、リテーナスリーブ702は、回転軸704(この形状は、本明細書で前述したようにリテーナの回転を可能にするためにこのように呼ばれる)、径方向706、および周方向708を画定する少なくとも部分的に環状構成を有する本体を含んでもよい。
【0068】
具体的には、この環状構成は、径方向内側開口712を画定する径方向内側環状面710(例えば、円錐面、円筒面、多角形面など)によって少なくとも部分的に画定されてもよい。リテーナスリーブ702は、リング818がリテーナスリーブ702の本体から径方向に突出した状態で、保持機構受容開口812の内側部分814に配置されてもよい。リング818は、回転軸704の周りに190.0度より大きい角度820で周方向に延びてもよい(
図18を参照)。より具体的には、角度820は270.0度よりも大きくてもよく、または345.0度~355.0度の範囲(公称値は350.0度)であってもよい。これらの手段および角度は、本開示の他の実施形態では異なる場合がある。したがって、リテーナが存在する場合、増加したリングによってリテーナに対する追加の案内が提供され、使用中にリテーナが傾いたりコッキングしたりするのを防ぐことができる。
【0069】
図21において、リング818は、保持機構受容開口812の内側部分814および外側部分816(
図17~20参照)に連通する貫通スロット822を画定していることが分かる。
図21に見られるように、貫通スロット822は、リテーナスリーブ702の径方向内側環状面710の手前で半径方向外向きに延びる。本開示の他の実施形態では、そうでない場合がある。また、貫通スロット822は、回転軸704に垂直な平面上に投影された多角形の外周824(例えば、長方形の外周など)を少なくとも部分的に画定してもよい。本開示の他の実施形態では、他の構成が可能である。
図20に見られるように、リング818は、リテーナスリーブ702の径方向内側環状面710と同心の内径826を画定してもよい。
【0070】
ここで
図18および
図19を参照すると、貫通スロット822は、保持機構受容開口812の外側部分816のフックタブ受容スロット828と連通してもよい。フックタブ受容スロット828は、第1停止面830および第2停止面832によって周方向に画定されてもよい(これは、フックタブ908が当接している間、リテーナ900の回転がこれらの面によって制限されるため、そう呼ばれる)。貫通スロット822は、第1停止面830と貫通スロット822との間にリング部分818aが配置された状態で、第1停止面830から周方向に離間してもよい。この手段は、本開示の他の実施形態では省略されてもよい。
【0071】
さらに、ランプ833は、貫通スロット822から第1停止面830に向かって周方向に延びる外面816に面するリング部分818a上に位置してもよい。このランプは、リテーナが回転するときにリテーナおよびリテーナスリーブを着座させるのに役立ち、それらを軸方向に外側に向けて押す。このランプは、本開示の他の実施形態では省略されてもよい。さらに別の実施形態では、ランプは、貫通スロットと第2停止面などとの間に周方向に配置されてもよい。
【0072】
図20は、保持機構受容開口812の内側部分814が、回転軸704に沿ってアンダーカットを形成する互いに鈍角836を形成する一対の径方向角度付き面834、834aを含むことを示している。この手段は、本明細書で前述した方法でリテーナおよびリテーナスリーブを適切な位置に保持するのに役立つ。このために、リテーナスリーブは、保持機構受容開口の内側部分の径方向に角度付き面に対して相補的に形成された一対の径方向外面を含む。
【0073】
また、ラグ受容溝837(
図21も参照)は、組み立て中にアダプタのラグを受容するために、本明細書で前述した方法で、保持機構受容開口812の内側部分814から外面まで延びてもよい。本開示の他の実施形態では、これらの手段は、異なるように構成されてもよく、または完全に省略されてもよい。
【0074】
図20を引き続き参照すると、リテーナ900は、アセンブリ700の一部であってもよい。リテーナ900は、摩耗部材800のリング818を越えて外面808に向かって軸方向に延びる駆動部分902を有していてもよい。リテーナ900はまた、摩耗部材800のリング818とリテーナスリーブ702のリップ714との間に軸方向に介在するスカート904をさらに含んでもよい。摩耗部材800のリング818は、スカート904の頂部環状面906においてスカート904と軸方向に接触するように構成されてもよい。
【0075】
図17~
図19、
図22、
図24を見ると、リテーナ900は、駆動部分902から径方向状に延びるフックタブ908をさらに含み、フックタブ908とスカート904との間に周方向に延びる通路910が形成されていることが分かる(
図24参照)。
【0076】
図2に示される組み立て中、
図22に示されるように、リテーナ900は、フックタブ908が摩耗部材800のリング818の貫通スロット822と位置合わせされた状態で、リテーナスリーブ702にスナップ嵌めされるフックタブが貫通スロットを軸方向に通過すると、
図18~20に関連して理解されるように、摩耗部材800のリング818が通路910内に径方向に配置されている間、リテーナ900は回転することができる。本明細書で先に言及した追加のガイドのために、保持機構(例えば、リテーナ)が傾いたり反り返ったりする可能性は低くなり得る。
【0077】
図24に焦点を当てると、次に、交換部品として提供され得るリテーナ900についてより詳細に説明する。
【0078】
リテーナ900は、駆動部分外径OD902を画定する駆動部分902と、ラグ受容部分912を部分的に貫通して延びて、第1側壁916、第2側壁918、および第1側壁916を第2側壁918に接続する捕捉面920を形成するラグ受容スロット914を画定するラグ受容部分912(
図20を参照)を含んでもよい。
【0079】
より具体的には、第1側壁916、第2側壁918、および捕捉面920を少なくとも部分的に画定するスカート904が提供される。スカート904は、駆動部分外径OD902よりも大きいスカート外径OD904を画定することができる(
図24参照)。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。また、フックタブ908は、駆動部分902から径方向に延びてもよく、スカート904から最小距離922(例えば、
図24を参照)だけ離間して、通路910を形成してもよい。言い換えれば、フックタブ908は、最小距離922以上のフック軸方向厚さT908を画定してもよい。本開示の他の実施形態では、他の構成および寸法も可能である。
【0080】
駆動部分902は、回転軸(
図20に示すように組み立てられると、704と一致してもよい)、回転軸に垂直な径方向(
図20に示すように組み立てられると、706と一致してもよい)、および回転軸の周りの周方向(
図18に示すように組み立てられると、708と一致してもよい)を画定する、駆動部分弓形面924(例えば、円錐形、円筒形などであってもよい)を含んでもよい。本開示の他の実施形態では、他の構成が可能である。
【0081】
図20および
図24では、スカート904はまた、回転軸を中心とするスカート弓形面926を有してもよい。
図24では、フックタブ908は、スカート外径OD904(スカート径方向寸法932に等しい)の半分よりも小さい径方向寸法930だけ回転軸から径方向に離間したフック径方向先端928を画定する。
【0082】
図24において、スカートは、フックタブ908の下に軸方向に配置された第1戻り止め凹部934を画定していることが分かる。本開示の他の実施形態では、そうでない場合がある。図示のように、第1戻り止め凹部934は、スカート弓形面926上でスカート904を完全に貫通して軸方向に延びる第1溝936の形態をとってもよい(必ずしもそうではない)。また、本開示の様々な実施形態では、スカート904は第2溝936aを画定してもよく、第2溝936aは、スカート弓形面926上でスカート904を完全に貫通して延び、160.0度から200.0度までの範囲の角度範囲938だけ第1溝936から周方向に離間している。同様に、これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない可能性がある。
【0083】
フックタブ908は、摩耗部材の貫通スロットに相補的に形成されてもよい。そこで、
図19および
図24において、フックタブ908は、駆動部分弓形面924から延びる第1直線面940と、駆動部分弓形面924から延びる第2直線面942と、周方向に正接し、第1側直線面940を第2直線面942に接続してフック径方向先端928を形成する第3直線面944とを含んでもよい。
【0084】
図24に見られるように、平坦底面946は、駆動部分弓形面924から延び、第1直線面940、第2直線面942、および第3直線面944を接続してもよい。従って、このような構成は、摩耗部材のリングを受容するための通路910と、摩耗部材のリングの貫通スロットの外周と一致する多角形の外周とを画定する。本開示の他の実施形態では、他の構成が可能である。
【0085】
次に、
図17~
図19および
図23から、交換部品として提供され得る摩耗部材800のさらなる詳細について説明する。
【0086】
このような摩耗部材800は、本明細書で前述したように、前方閉鎖部分802と、キャビティ806を画定する後方開口部分804と、外面808と、キャビティ806を画定する内面810とを含む本体を含んでもよい。
【0087】
摩耗部材800の本体はまた、内面810によって画定される内側部分814と、外面816によって画定される外側部分816と、内側部分814を外側部分816から分割または分離するリング818とを含む保持機構受容開口812を画定することもできる。
【0088】
図23に焦点を当てると、保持機構受容開口812の外側部分816は、第1外径D840(例えば、円筒形、円錐形、多角形などであってもよい)を画定する弓形面840を有する駆動部分受容開口838(リテーナの駆動部分と一致するため、そう呼ばれる)を含んでもよい。フックタブ受容スロット828は、第1外径D840よりも大きい第2外径D828を画定してもよい。リング818は、第2外径D828から径方向内向きに延びてフックタブ受容スロット828の底部を形成してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、第1周方向停止面(例えば、830参照)は、第2周方向停止面(例えば、830参照)から、160.0度~200.0度の範囲の所定の角度842だけ周方向に離間している。本開示の他の実施形態では、他の構成および寸法も可能である。
【0089】
本明細書で前述したように、リング818は、保持機構受容開口812の内側部分814および外側部分816と連通する貫通スロット822を画定する。
【0090】
加えて、リング818は、第1外径D840と同心(図示のように同一の広がりを有し得る)であって、第2外径D828よりも小さい内径826を画定してもよい。第2外径D828は、内径826と同心であってもよく、貫通スロット822は、第1周方向停止面と貫通スロット822との間にリング部分818aが配置された状態で、第1周方向停止面から周方向に離間していてもよい(例えば、830参照)。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。存在する場合、リング818の残りの部分は、貫通スロット822から他の停止面まで周方向に延びてもよい(例えば、832を参照)。
【0091】
リング818上の前述のランプ833は、摩耗部材800の外面816に向けて軸方向外向きに面してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、ランプ833は、貫通スロット822から第1周方向停止面(例えば、830を参照)に向かって周方向に延び、その手前で停止してもよい。
【0092】
また、保持機構受容開口812の内側部分814は、回転軸704に沿ってアンダーカットを形成する、互いに角度をなす1対の径方向角度付き面834、834aを含んでもよい。本開示の他の実施形態では、保持機構を摩耗部材内に保持するための他の保持方法を採用することができる。
図24に見られるように、前述したラグ受容溝837は、保持機構受容開口の内部から摩耗部材の外面に向かって延びていてもよい。
【0093】
前述の説明は、開示されたアセンブリおよび技術の例を提供することを理解されたい。しかしながら、本開示の他の実施態様は、細部で前述の例と異なり得ることが予想される。本開示またはその例へのすべての参照は、その点で説明されている特定の例を参照することを意図しており、本開示の範囲のより一般的ないかなる制限を示唆することを意図していない。ある特定のフィーチャに関する区別および非難のすべての言語は、これらのフィーチャに対する選好の欠如を示すことを意図しているが、別段の記載がない限り、本開示の範囲から完全に除外されるものではない。
【0094】
本明細書で別段の指示がない限り、本明細書における値の範囲の記述は、範囲内に入っている個々の値を個別に参照するための簡潔な方法としてのみ意図されており、個々の値は、本明細書で個別に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0095】
本明細書で使用される場合、冠詞「1つ(a)」および「1つ(an)」は、1つまたは複数の項目を含むことが意図されており、「1つまたは複数」と交換して使用され得る。1つの項目のみを使用することが意図されている場合は、用語「1つの」または類似の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」などの用語は、無制限の用語であることを意図しているさらに、「に基づいて」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味することを意図している。
【0096】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で論じた装置および組立方法の実施形態に様々な修正および変更を加えることができる。本明細書に開示された様々な実施形態の仕様および実践を考慮することによって、本開示の他の実施形態は当業者にとって明らかである。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構成および機能を有してもよく、いずれかの方法のある特定のステップは、省略されてもよく、既に具体的に言及されたものとは異なる順序で実行されてもよく、場合によっては同時にまたはサブステップで実行されてもよい。さらに、様々な実施形態の特定の態様またはフィーチャは、さらなる実施形態を作成するために変更または修正されてもよく、様々な実施形態のフィーチャおよび態様は、さらにさらなる実施形態を提供するために、他の実施形態の他のフィーチャまたは態様に追加され、またはそれらの代わりになってもよい。
【0097】
したがって、本開示は、適用法によって許容される場合には、添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正および均など物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変更における上記の要素の任意の組み合わせは、本開示に含まれる。
【国際調査報告】