(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】高屈曲性PHAシートの製造のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/04 20060101AFI20240214BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20240214BHJP
C08L 31/04 20060101ALI20240214BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20240214BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C08L67/04
C08K5/10
C08L31/04 S
C08L101/16
C08J5/18 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547802
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021051263
(87)【国際公開番号】W WO2022173465
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521067751
【氏名又は名称】ニューライト テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ウォラック,スコット,ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4F071AA28
4F071AA43
4F071AC10
4F071AE22
4F071AF13Y
4F071AF15Y
4F071AF20Y
4F071AF21Y
4F071AF61Y
4F071AG28
4F071BA01
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4J002BB06X
4J002BB22X
4J002CF18W
4J002EH036
4J002EH086
4J002FD026
4J002GC00
4J002GK00
4J002GN00
4J200AA04
4J200BA12
4J200BA13
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA16
4J200CA01
4J200EA04
4J200EA07
4J200EA11
4J200EA21
(57)【要約】
本明細書は、一般に、脂肪族ポリエステル材料、および前記脂肪族ポリエステル材料を人工皮革基材として使用するのが好ましい織物に変換するための方法に関する。本発明は、(i)ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)または同様の官能基性のそのような材料、およびクエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性のそのような材料を含む新規の脂肪族ポリエステル組成物;並びに(ii)新規の脂肪族ポリエステル組成物を織物に変換するための本発明の方法であって、(a)脂肪族ポリエステル材料を脂肪族ポリエステルシートに溶融押出する工程;(b)前記シートを加熱する工程;および(c)前記シートを長手方向に一軸延伸または二軸延伸させ、次いで横方向に延伸させる工程;および/または一軸延伸または二軸延伸させたシートを、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂成分およびエチレン‐酢酸ビニル樹脂成分の両方のTg以上であるが、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度で加熱する工程を含む方法、を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヒドロキシアルカノエート、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂、およびクエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料を含む、一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物であって、前記ポリヒドロキシアルカノエートおよび前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂が単一のTgを示す、脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、約10重量%~約90重量%のPHA、約10重量%~約90重量%のEVA、および約1重量%~約25重量%の前記クエン酸エステル可塑剤である、請求項1に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、約20重量%~約80重量%のPHA、約20重量%~約80重量%のEVA、および約2重量%~約20重量%の前記クエン酸エステル可塑剤である、請求項2に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニール処理された脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、約30重量%~約70重量%のPHA、約30重量%~約70重量%のEVA、および約3重量%~約20重量%の前記クエン酸エステル可塑剤である、請求項3に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、51重量%のPHA、35重量%のEVA、および前記14重量%のクエン酸エステル可塑剤である、請求項4に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
クエン酸エステル可塑剤がバイオ由来である、請求項5に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリヒドロキシアルカノエートが、約100,000~1,000,000Daの分子量を有する、請求項1に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項8】
前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂が、50~90重量%の酢酸ビニル含有量を含む、請求項1に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項9】
前記ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート)、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート)、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート)、およびポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4‐ヒドロキシブチレート)またはそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項10】
分岐剤と共剤とを更に含み、分岐剤の濃度が、組成物の総量100重量部に対して0.005重量%~1重量%である、請求項1に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項11】
前記分岐剤の前記共剤に対する重量比が30~70重量%である、請求項10に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項12】
核剤を更に含み、前記核剤が5μm未満の粒子サイズを有する、請求項1に記載の一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
【請求項13】
ポリヒドロキシアルカノエート樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、およびクエン酸エステルまたは同様の官能基性材料を含む樹脂組成物。
【請求項14】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、約10重量%~約90重量%のPHA、約10重量%~約90重量%のEVA、および約1重量%~約25重量%の前記クエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料である、請求項13に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、約20重量%~約80重量%のPHA、約20重量%~約80重量%のEVA、および約2重量%~約20重量%の前記クエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料である、請求項14に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
前記ポリヒドロキシアルカノエートの前記エチレン‐酢酸ビニル共重合体に対する重量比が、約30重量%~約70重量%のPHA、約30重量%~約70重量%のEVA、および約3重量%~約20重量%の前記クエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料である、請求項15に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
前記ポリヒドロキシアルカノエートが約100,000~1,000,000Daの分子量を有する、請求項14に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
ポリヒドロキシアルカノエート、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂または同様の官能基性材料、およびクエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料を含む脂肪族ポリエステル樹脂組成物を溶融押出すること、
前記溶融押出されたシートを50~170℃でアニールすること、
前記アニールされたシートを、長手方向に延伸した後に横方向に延伸すること、横方向に延伸した後に長手方向に延伸すること、長手方向に延伸すること、または横方向に延伸すること、および
前記ポリヒドロキシアルカノエートおよび前記エチレン‐酢酸ビニル樹脂の両方のTgよりも高いが、前記ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満での延伸時に、一軸延伸または二軸延伸されたシートをアニールすること
を含む、一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物を製造する方法。
【請求項19】
前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、長手方向および横方向の両方向に50%を超えて延伸させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールすることにより、シシ‐ケバブ結晶配向が得られ、長手方向または横方向の分子鎖配向が少なくなり、長手方向または横方向の異方性が小さくなる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記溶融押出されたシートが0.1mm~3.2mmの厚さを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記溶融押出されたシートが、靭性、疲労寿命および可撓性が増した熱可塑性ポリマーシートを得るために、更に一軸延伸または二軸延伸される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記溶融押出されたシートが0.1mm~3.2mmの厚さを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記溶融押出されたシートをアニールすることが、50~170℃で5~600分間維持される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
溶融押出した脂肪族ポリエステル樹脂シートを50~170℃で5~600分間アニールすること、
前記アニールされたシートを、第1に長手方向または横方向のいずれかに延伸し、任意に第2に長手方向または横方向のいずれかに延伸して、一軸延伸または二軸延伸されたシートを形成すること、および
前記ポリヒドロキシアルカノエートおよび前記エチレン‐酢酸ビニル樹脂の両方のTgよりも高いが、前記ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満での延伸時に、前記一軸延伸または二軸延伸されたシートをアニールすること
を含み、
前記溶融押出した脂肪族ポリエステル樹脂シートが、ポリヒドロキシアルカノエート、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂または同様の官能基性材料、およびクエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料を含む、一軸延伸、二軸延伸、および/またはアニールされた脂肪族ポリエステル樹脂組成物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権および参照による援用)
本出願は、発明の名称「COMPOSITION AND METHOD FOR PRODUCTION OF A HIGHLY FLEXIBLE PHA SHEET」の、2021年2月9日に出願された米国仮出願第63/147697号の優先権を主張し、参照により援用する。
【0002】
本明細書は、一般に、脂肪族ポリエステル材料、および前記脂肪族ポリエステル材料を人工皮革基材として使用するのが好ましい織物に変換するための方法に関する。本発明は、(i)ポリヒドロキシアルカノエート(本明細書中においてPHAと略記する)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(本明細書中においてEVAと略記する)およびクエン酸エステル可塑剤を含む新規脂肪族ポリエステル組成物、並びに(ii)(a)脂肪族ポリエステル材料を脂肪族ポリエステルシートに溶融押出すること、(b)前記シートを加熱すること、(c)前記シートを長手方向に二軸延伸させ、次いで横方向に延伸させること、および(d)二軸延伸させたシートを、ポリヒドロキシアルカノエートおよびエチレン‐酢酸ビニル樹脂成分の両方のTgよりも高いが、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度で、張力下で加熱することによって、新規脂肪族ポリエステル組成物を織物に変換する方法を開示する。得られた織物は、皮革に類似したしなやかさを有し、1~300MPaの範囲、好ましくは20~100MPaの範囲、特に70MPa未満のヤング率(E)(ISO527に準拠して測定)および100,000サイクル以上に達する曲げ疲労(ISO5402に準拠して測定)を示す。この織物は、家具や自動車の室内装飾用生地、アパレルなどとして利用することができる。製造される特定の織物も本発明の範囲内で企図される。
【背景技術】
【0003】
皮革は、おそらく人類が使用した最も古い織物であり、今日、皮革は数十億ドルの世界的産業を構成し、世界で最も汚染された産業の一つである。しかしながら、皮革製品の需要が増加し続けるにつれて、皮革産業に対する環境的および倫理的な批判も高まり、持続可能な代替物に対する強い関心を駆り立てている。
【0004】
動物虐待にまつわる倫理的リスクを考慮するまでもなく、バッグや靴、あるいは革で作られた他のアイテムを購入することを選択した場合、深刻な環境リスクももたらすものを購入することになる。皮革産業の汚染は、家畜を飼育する必要性と皮革製造の方法自体の2つの要因によって引き起こされる。1つ目の家畜の飼育は、気候変動に拍車をかける最も重要な要因とみなされている。国連食糧農業機関の推計によれば、毎年約38億頭の牛やその他の畜産動物が皮革生産に使用されており、これは地球上の2人に1頭の割合である。畜産は温室効果ガスの18%を排出していると推定されている。家畜はアメリカでは水の80%~90%を消費し、地球全体の土地の約45%を占め、砂漠化を先導している。一方、皮革の主な原料である牛などの家畜のために、世界中で広大な土地が伐採されている。Wageningen University and Research Centreによれば、「農業は世界の森林減少の約80%を直接的に引き起こしていると推定されている」。これは動物の生息地が破壊され、地球上に残された野生の場所が少なくなっていることを意味する。
【0005】
第2の要因である皮革製造・加工または鞣しは、有毒で有害な化学物質を含む固形廃棄物および廃水流出物の両方の形成につながる。鞣しは、皮革加工において最も有毒な段階であり、生産の90%がクロム鞣しを使用している。皮革の分解を止め、しなやかで色落ちしにくい革を作るため、皮革は水、クロム塩、鞣し液の入ったドラムに浸される。これにより、発ガン性のあるクロム(IV)を含む化学物質やガスが発生する。これは非常に有害であるため、厳しい規制によってアメリカやヨーロッパの皮革工場は閉鎖を余儀なくされている。アフリカ、インド、バングラデシュ、中国、ラテンアメリカなどの発展途上国では、世界の皮革原料の半分以上を生産しているが、クロム、鉛、ヒ素、酸を含む可能性のある未処理の排水は、しばしば地元の水路に直接流れ込んでいる。最近の試算では、鞣し革900キログラムにつき300キログラムの化学薬品が使用され、わずか1キログラムの革を生産するのに17,000リットルの水が必要とされている。これらの発展途上国では、こうした有害な副産物の廃棄に関する規制がまったくないか、あったとしても有毒化学物質が責任を持って廃棄されていることを確認するのに必要な管理体制が整っていないことが多い。しかし、あまりにも多くの場合、最寄りの水路は、水生生物に有毒であり、呼吸器障害、感染症、不妊症、先天性欠損症など、人間に深刻なリスクをもたらす鞣し加工廃液を排出する汚染業者のゴミ捨て場となっている。
【0006】
皮鞣し工場での労働は、特に職場の保護がほとんどないか存在しない場所では、非常に危険である。多くの場所で、国によっては10歳の子供も含む労働者は、重機によるけがだけでなく、保護具や衣服がないためにこれらの有毒化学物質にさらされることによる深刻な副作用の危険もある。急性影響には、口、気道、目への刺激、皮膚反応、消化器系の問題、腎臓や肝臓の損傷、長期的な癌や生殖に関する問題などがある。
【0007】
皮革に代わる合成繊維は何十年も前から存在し、動物の皮革と外観や性質が似ている。これらの織物は、ビーガンレザーまたは「フェイクレザー」と呼ばれることもあり、多くの場合、マイクロファイバー、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)およびその他の合成材料から作られる生地である。合成代替素材は、Higg指数では皮革よりも優れており、地球温暖化や汚染に対する得点が低い一方で、PUやPVCの廃棄は独自の環境問題を引き起こす。
【0008】
近年、プラスチック廃棄物が地球環境に与える負荷の大きさに起因する、生態系への悪影響、燃焼時の有害ガスの発生、燃焼による多量の発熱による地球温暖化などの問題を解決できる材料として、温室効果ガスを利用した生物育成材料が盛んに開発されている。特に、排出されるメタンや二酸化炭素などの温室効果ガスは、もともと大気中に存在するもの、あるいは大気中の一部となるものを原料として利用することができる。従って、温室効果ガス由来の物質を燃焼させても、大気中の二酸化炭素換算量は増加しない。これは「カーボンニュートラル」と呼ばれ、二酸化炭素排出量の削減目標を定めた京都議定書でも重要視されている。そのため、温室効果ガス由来の素材を積極的に使用することが望まれる。更に驚くべきことに、メタンは放出後20年間で、二酸化炭素の84倍もの温室効果を発揮し、二酸化炭素に比べて熱を効率よく吸収するため、気候に対してはるかに破壊的な影響を与える。その結果、メタン由来の材料は、そこから生産される製品の二酸化炭素排出量(carbon footprint)をニュートラル以下に削減することが可能であり、大気中に二酸化炭素相当量を追加するのではなく、大気から二酸化炭素相当量を除去するという正味の効果がある。
【0009】
近年、化学汚染、カーボンニュートラル、カーボンネガティブの観点から、サステイナブル材料として脂肪族ポリエステル系樹脂が注目されている。特に、ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと略記することがある)系樹脂が注目されている。PHA系樹脂の中でも、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート)ホモポリマー樹脂(以下、P3HBと略記することがある)、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート)コポリマー樹脂(以下、P3HB3HVと略記することがある、) ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート)共重合体樹脂(以下、P3HB3HHと略記することがある)、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4‐ヒドロキシブチレート)共重合体樹脂、ポリ乳酸などが注目されている。
【0010】
しかし、PHA系、特にPHB系は硬い素材であるのに対し、皮革は非常に柔らかく、ドレープ性があり、使い込むほどにしなやかになる素材であることが知られている。一般的には、硬い樹脂に柔軟性を付与するために可塑剤が添加される。しかし、この場合、多量の可塑剤を使用するためにブリードが発生するという問題がある。
【0011】
従って、家具、自動車、アパレル、履物およびアクセサリーに使用される持続可能なカーボンネガティブ材料から、使用するにつれて柔らかくなり、よりしなやかになる革のような特性を有するPHAベースの製品を製造するための、より持続可能な解決策に対する必要性が存在し、それにより、大気から温室効果ガスを除去するか、または他の方法で大気の一部とならないようにすることによって、環境上の利益を生み出す。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、アパレル、履物およびアクセサリーに使用される、持続可能なカーボンネガティブ材料に由来する、皮革およびスエードの高級代替材料を製造する必要性に対処し、それにより、大気から温室効果ガスを除去することによって環境上の利益を生み出すものである。
【0013】
本発明は更に、脂肪族ポリエステル材料、および前記脂肪族ポリエステル材料を皮革基材として使用するのが好ましい織物に変換するための方法を提供する。
【0014】
本発明は、概して環境的に持続可能な組成物であって、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、および可塑剤を含む脂肪族ポリエステル組成物を記載する。
【0015】
新規な脂肪族ポリエステル組成物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、およびクエン酸エステル可塑剤を含む。好ましくは、カーボンネガティブである本発明の組成物は、約10重量%~約90重量%のPHA、約10重量%~約90重量%のEVA、および約2重量%~約25重量%の可塑剤を含む。
【0016】
また、本明細書には、(a)ポリヒドロキシアルカノエート、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂、およびクエン酸エステル可塑剤を含む脂肪族ポリエステル組成物を製造すること、(b)脂肪族ポリエステル材料を溶融押出して脂肪族ポリエステルシートにすること、(c)前記シートを加熱すること、(d)前記シートを、長手方向に延伸させた後に横方向に延伸させることを含む一軸延伸または二軸延伸させること、および(e)前記一軸延伸または二軸延伸させたシートを、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂成分およびエチレン‐酢酸ビニル樹脂成分の両方のTgよりも高いが、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度で加熱することを含む織物を製造する方法が提供される。
【0017】
本発明の新規脂肪族ポリエステル組成物は、商業的に有用な織物、例えば、これらに限定されないが、皮革に類似したしなやかさを有し、1~300MPaの範囲、好ましくは20~100MPaの範囲、特に70MPa未満の(ISO527に従って測定された)ヤング率(E)および100,000サイクル以上に達する(ISO5402に従って測定された)曲げ疲労を示すフィルムまたはシートに加工することが可能である。
【0018】
本発明の新規脂肪族ポリエステル組成物は、商業的に有用な物品、例えば、これらに限定されないが、多層構造体、繊維、モノフィラメント、熱成形品、ブロー成形品、射出成形品、射出延伸ブロー成形品などに加工することが可能である。
【0019】
任意に、添加剤を新規脂肪族ポリエステル組成物に添加してもよい。このような添加剤は、脂肪族ポリエステル材料を形成するための成分の処理中の適切な時期に混合してもよい。1つ以上の添加剤が脂肪族ポリエステル材料に含まれるのは、脂肪族ポリエステル材料およびそれから製造された任意の物品に1つ以上の選択された機能特性を付与するためである。本発明に含まれ得る添加剤の例としては、これらに限定されないが、熱安定剤、加工安定剤、光安定剤、酸化防止剤、スリップ/アンチブロック剤、顔料、UV吸収剤、充填剤、潤滑剤、顔料、染料、着色剤、流動促進剤、可塑剤、加工助剤、分岐剤、強化剤、核剤(以下で更に詳しく説明する)、タルク、ワックス、炭酸カルシウム、ラジカル捕捉剤、難燃剤、または前述の機能性添加剤の1つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0020】
正味負の炭素値を有する製造物品は、PHAがPHB、PHBV、PHHx、または任意の他のPHAであるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)または同様の官能基性材料、およびクエン酸エステル可塑剤または同様の官能基性材料を含んでもよく、PHAが負の炭素値を有する。
【0021】
追加の実施形態および特徴は、以下の説明に記載されており、一部は、本明細書を検討することにより当業者に明らかになるか、または開示された実施形態の実施により知ることができる。開示された実施形態の特徴および利点は、本明細書中に記載された器具、組み合わせ、および方法によって実現および達成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
開示された実施形態の性質および利点の更なる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって実現されてもよい。
【
図1】本発明によって記載される、処理なしの新規脂肪族ポリエステル組成物と処理後の新規脂肪族ポリエステル組成物とを比較するヤング率棒グラフである。
【
図2】本発明によって記載される、処理なしの新規脂肪族ポリエステル組成物と処理後の新規脂肪族ポリエステル組成物とを比較する曲げ疲労棒グラフである。
【
図3】本発明により記載される新規脂肪族ポリエステル組成物の処理後の温度を変化させたときの収縮率を示すグラフである。
【0023】
添付の図において、同様の成分および/または特徴は、同じ参照ラベルを有することがある。更に、同じ種類の様々な成分は、参照ラベルの後にダッシュを付し、同様の成分間を区別する第2のラベルを付すことによって区別することができる。第1の参照ラベルのみが明細書に記載されている場合、その説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のいずれにも適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書は、概して、脂肪族ポリエステル組成物および前記脂肪族ポリエステル組成物を人工皮革基材として使用するのが好ましい織物に変換するための方法に関する。本発明は、(i)ポリヒドロキシアルカノエート(本明細書中においてPHAと略記する)、エチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(本明細書中においてEVAと略記する)およびクエン酸エステル可塑剤を含む新規脂肪族ポリエステル組成物、並びに(ii)(a)脂肪族ポリエステル材料を脂肪族ポリエステルシートに溶融押出すること、(b)前記シートを加熱すること、(c)前記シートを、長手方向に延伸させた後に横方向に延伸させることを含む一軸延伸または二軸延伸させること、および(d)二軸延伸させたシートを、ポリヒドロキシアルカノエートおよびエチレン‐酢酸ビニル樹脂成分の両方のTg以上であるが、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度で加熱することによって、新規脂肪族ポリエステル組成物を織物に変換する方法を開示する。
得られた織物は、皮革に類似したしなやかさを有し、1~300MPaの範囲、好ましくは20~100MPaの範囲、特に70MPa未満の(ISO527に従って測定した)ヤング率(E)および100,000サイクル以上に達する(ISO5402に従って測定した)曲げ疲労を示す。
【0025】
本明細書を通じて、PHAが言及される場合、この用語は、ホモポリマー、ランダム共重合体、衝撃共重合体、およびそれらのブレンドを含むことが意図されていると解されるべきである。本明細書中では、「機能性」や「機能特性」という用語は、通常の意味を持ち、PHAや他の材料を含む材料の仕様、特徴、品質、特性、または属性を指すものとする。PHAの機能特性には、これらに限定されないが、分子量、多分散性および/または多分散性指数、メルトフローおよび/またはメルトインデックス、モノマー組成、共重合体構造、メルトインデックス、非PHA材料濃度、純度、衝撃強度、密度、比粘度、耐粘度性、耐酸性、機械的せん断強度、曲げ弾性率、破断伸度、凍結融解安定性、加工条件耐性、貯蔵寿命/安定性、吸湿性、色などが挙げられる。本明細書中において、用語「多分散性指数」(またはPDI)は、その通常の意味を与えられ、所定のポリマー試料の分子量分布の尺度(重量平均分子量を数平均分子量で割ったものとして計算される)とみなされるものとする。
【0026】
ポリヒドロキシアルカノエートは、広範な天然および遺伝子操作された微生物および微生物酵素並びに遺伝子操作された植物作物によって合成される生物学的ポリエステルである(Brauneggら、1998、J. Biotechnology 65:127‐161;MadisonおよびHuisman、1999、Microbiology and Molecular Biology Reviews、63:21-53;Poirier、2002、Progress in Lipid Research 41:131-155)。これらのポリマーは生分解性の熱可塑性材料であり、再生可能な資源から生産することができ、広範な工業的用途に使用できる可能性がある(Williams & Peoples、 CHEMTECH 26:38-44 (1996))。PHAを生産するための有用な微生物株には、Cupriavidus necator(旧名Wautersia eutropha、Alcaligenes eutrophus(Ralstonia eutrophaと改名))、Alcaligenes talus、Aeromonas、Comamonas、Bacillus megaterium、Bacillus cereus SP、Bacillus cereus SPV、Sinorhizobiummeliloti、Azotobacter spp、Pseudomonas spp、およびMethylosinus spp、Metylobacterium spp、およびMethylococcus spp、並びに上記の微生物の遺伝子操作生物が挙げられる。
【0027】
一般的に、PHAは、1つ以上のモノマーユニットの酵素重合によって形成される。PHAポリマーには、100種類以上のモノマーが組み込まれている(Steinbuchel and Valentin, FEMS Microbiol. Lett.,128:219-228 (1995)。PHAに組み込まれるモノマーユニットの例としては、2-ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、3‐ヒドロキシブチレート(以下、3HBと略記する)、3‐ヒドロキシプロピオネート(以下、3HPと略記する)、3‐ヒドロキシバレレート(以下3HVと略記する)、3‐ヒドロキシヘキサン酸エステル(以下3HHと略記する)、3‐ヒドロキシヘプタン酸エステル(以下3HHepと略記する)、3‐ヒドロキシオクタン酸エステル(以下3HOと略記する)、3‐ヒドロキシノナノエート(以下3HNと略記する)、3‐ヒドロキシデカノエート(以下3HDと略記する)、3‐ヒドロキシドデカノエート(以下3HDdと略記する)、4‐ヒドロキシブチレート(以下4HBと略記する)、4‐ヒドロキシバレレート(以下4HVと略記する)、5‐ヒドロキシバレレート(以下5HVと略記する)、6-ヒドロキシヘキサノエート(以下6HHと略記する)。PHAに組み込まれる3‐ヒドロキシ酸モノマーは、キラル中心を持たない3HPを除き、(D)または(R)の3‐ヒドロキシ酸異性体である。
【0028】
本明細書中で使用する「PHA」、「PHAs」、「ポリヒドロキシアルカノエート」という用語は、通常の意味を有するものとし、微生物または微生物の酵素によって生成されるポリマー;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの石油化学系プラスチックの代替品として使用できる生分解性および/または生体適合性ポリマー;糖、脂質、ガスの細菌発酵によって生成されるポリマー;微生物または微生物由来の酵素に由来する熱可塑性またはエラストマー材料;および/または微生物細胞壁の内部ではない化学反応によって生成されるポリマーを含むが、これらに限定されない。PHAとしては、以下に詳細に説明するように、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシブチレート-コバレレート(PHBV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHHx)およびそれらのブレンド、並びに短鎖長(SCL)、中鎖長(MCL)および長鎖長(LCL)の両方のPHAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、PHAはホモポリマー(全てのモノマー単位が同じ)である。PHAホモポリマーの例としては、ポリ3‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ3‐ヒドロキシプロピオネート(以下、P3HPと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート(以下、PHBと略記する)およびポリ3‐ヒドロキシバレレート)、ポリ4‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ4‐ヒドロキシブチレート(以下、P4HBと略記する)、ポリ4‐ヒドロキシバレレート(以下、P4HVと略記する))、ポリ5‐ヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ5‐ヒドロキシバレレート(以下、P5HVと略記する))が挙げられる。
【0030】
いくらかの実施形態では、出発PHAは、異なるモノマーがポリマー鎖中にランダムに分布しているコポリマー(2つ以上の異なるモノマー単位を含む)である。PHAコポリマーの例としては、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシプロピオネート(以下、PHB3HPと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4‐ヒドロキシブチレート(以下、PHB4HBと略記する、)ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4‐ヒドロキシバレレート(以下、PHB4HVと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート(以下、PHB3HVと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート(以下、PHB3HHと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐3‐ヒドロキシバレレート‐co‐3‐ヒドロキシヘキサノエート(以下、PHB3HV3HHと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐4‐ヒドロキシバレレート(以下、PHB4HVと略記する)、ポリ3‐ヒドロキシブチレート‐co‐5‐ヒドロキシバレレート(以下、PHB5HVと略記する)が挙げられる。
【0031】
モノマーの種類を選択し、所定のPHAコポリマー中のモノマーユニットの比を制御することにより、広範囲の材料特性を達成することができる。2つの異なるモノマー単位を有するPHAコポリマーの例が提供されているが、PHAは2つ以上の異なるモノマー単位(例えば、3つの異なるモノマー単位、4つの異なるモノマー単位、5つの異なるモノマー単位、6つの異なるモノマー単位)を有することができる。4つの異なるモノマー単位を有するPHAの例は、PHB‐co‐3HH‐co‐3HO‐co‐3HDまたはPHB‐co‐3-HO‐co‐3HD‐co‐3HDd(これらのタイプのPHAコポリマーは、以下、PHB3HXと略記する)である。典型的には、PHB3HXが3つ以上のモノマー単位を有する場合、3HBモノマーは全モノマーの少なくとも70重量%、好ましくは全モノマーの85重量%、最も好ましくは全モノマーの90重量%以上であり、例えばコポリマーの92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%であり、HXは3HH、3HO、3HD、3HDdから選択される1つ以上のモノマーを含む。
【0032】
3‐ヒドロキシブチレートおよび少なくとも1つの他のモノマーを含む、ホモポリマー(全てのモノマー単位が同一である)PHBと、3‐ヒドロキシブチレートとのコポリマー(PHB3HP、PHB4HB、PHB3HV、PHB4HV、PHB5HV、PHB3HHP、以下PHBコポリマーと略記する)は、商業的生産および用途において特に興味深い。これらのコポリマーを、その材料特性を参照して説明することは、以下のように有用である。タイプ1のPHBコポリマーは、典型的には、6℃~-10℃の範囲のガラス転移温度(Tg)と、80℃~180℃の溶融温度(TM)とを有する。タイプ2のPHBコポリマーは、典型的には、-20℃~-50℃のTgおよび55℃~90℃のTMを有し、15%を超える4HB、SHV、6HH含有量を有するPHB4HB、PHB5HVポリマーまたはそれらのブレンドをベースとする。いくらかの実施形態において、タイプ2コポリマーは、-15℃~-45℃のTgを有し、TMを有さない相成分を有する。
【0033】
本発明で使用されるように、PHAの分子量は、約5,000,000ダルトン~約2,500,000ダルトン、約2,500,000ダルトン~約1,000,000ダルトン、約1,000,000ダルトン~約750,000ダルトン、約750,000ダルトン~約500,000ダルトン、約500,000ダルトン~約250,000ダルトン、約250,000ダルトン~約100,000ダルトン、約100,000ダルトン~約50,000ダルトン、約50,000ダルトン~約10,000ダルトン、およびそれらの重複範囲である。
【0034】
分子量の測定には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの技術を用いてもよい。この方法では、ポリスチレン標準物質が利用される。PHAは、少なくとも500、少なくとも10,000、または少なくとも50,000、および/または2,000,000未満、1,000,000未満、1,500,000未満、および800,000未満のポリスチレン換算重量平均分子量(ダルトン単位;Da)を有してもよい。いくらかの実施形態において、好ましくは、PHAは、一般に、100,000~700,000の範囲の重量平均分子量を有する。例えば、本願で使用するためのPHBおよびタイプ1のPHBコポリマーの分子量範囲は、GPC法によって決定される200,000ダルトン~1,500,000ダルトンの範囲であり、本願で使用するためのタイプ2のPHBコポリマーの分子量範囲は、20,000ダルトン~1,500,000ダルトンである。
【0035】
いくらかの実施形態において、以下に更に詳細に説明するように、分岐PHAは、約150,000ダルトン~約500,000ダルトンの直鎖等価重量平均分子量、および約1.0~約8.0の多分散性指数を有してもよい。本明細書中で使用する重量平均分子量および直鎖等価重量平均分子量は、例えば、PHA試料の溶離液および希釈剤としてクロロホルムを使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。分子量を決定するための検量線は、分子量標準として線状ポリスチレンを使用し、「log MW‐溶出量」較正方法を用いて作成する。
【0036】
本発明に記載の方法および組成物において使用するためのPHAは、
PHB;
PHBとタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、PHAブレンド中のPHAの重量によるPHB含有量が、PHAブレンド中のPHAの5重量%~95重量%の範囲であるPHAブレンド;
PHBとタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、PHAブレンド中のPHAの重量によるPHB含有量が、PHAブレンド中のPHAの5重量%~95重量%の範囲にあるPHAブレンド;
タイプ1のPHBコポリマーと異なるタイプ1のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、第1のタイプ1のPHBコポリマーの含有量が、PHAブレンド中のPHAの5重量%~95重量%の範囲にあるPHAブレンド;
タイプ1のPHBコポリマーとタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、タイプ1のPHBコポリマーの含有量が、PHAブレンド中のPHAの30重量%~95重量%の範囲にあるPHAブレンド;
PHBと、タイプ1のPHBコポリマーおよびタイプ2のPHBコポリマーとのPHAブレンドであって、PHBの含有量がPHAブレンド中のPHAの10重量%~90重量%の範囲にあり、タイプ1のPHBコポリマーの含有量がPHAブレンド中のPHAの5重量%~90重量%の範囲にあり、タイプ2のPHBコポリマーの含有量がPHAブレンド中のPHAの5重量%~90重量%の範囲にあるPHAブレンド;から選択される。
【0037】
本発明で使用されるエチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)は、延性および相溶性を含む最終材料の所望の特性に適した酢酸ビニル含有量を有する。1つの実施形態では、65重量%~95重量%、より好ましくは70重量%~90重量%の酢酸ビニル含有量を有する。1つの実施形態では、35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%の酢酸ビニル含有量を有する。1つの実施形態では、5重量%~95重量%、より好ましくは50重量%の酢酸ビニル含有量を有する。1つの実施形態では、5重量%~35重量%、より好ましくは10重量%~20重量%の酢酸ビニル含有量を有する。1つの実施形態において、酢酸ビニル含有量は、延性を高めるために65重量%を超える。1つの実施形態では、酢酸ビニル含有量は、延性を高めるために95重量%未満である。
【0038】
EVAの具体例としては、LANXESS社製の「Levapren 650HV」(VA含有量65重量%のEVA)、LANXESS社製の「Levapren 700HV」(VA含有量70重量%のEVA)、LANXESS社製の「Levapren 800HV」(VA含有量80重量%のEVA)、LANXESS社製の「Levapren 900HV」(VA含有量90重量%のEVA)、LANXESS社製「Levapren 700XL」(部分架橋EVA、VA含有量70重量%)、LANXESS社製「Levapren 800XL」(部分架橋EVA、VA含有量80重量%)、LANXESS社製「Levamelt 700」(EVA、VA含有量70重量%)、LANXESS社製「Levamelt 800」(EVA、VA含有量80重量%)、Nippon Synthetic Chemical Industry社製「Soarblen DH」(VA含有量70重量%のEVA)などが挙げられる。上記参考例の少なくとも1つを用いることができる。
【0039】
本発明において有用なクエン酸エステル可塑剤は、好ましくは、クエン酸トリエチル、クエン酸n‐トリブチル(TBC)、クエン酸n‐ヘキシルなどのこれらのエステルのバイオ誘導アルキル誘導体、およびクエン酸アセチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルn‐トリブチル、クエン酸アセチルn‐トリヘキシルなどのこれらのエステルのアセチル化誘導体である。可塑剤の含有量は、好ましくは、含有されるPHAおよびEVAの総重量量100重量部に対して、0.1重量%~30重量%の範囲にあり、より好ましくは1重量%~20重量%の範囲にある。
【0040】
動物皮革由来の皮革の代用品として機能するように有利に加工することができ、それにもかかわらず上記で規定した機械的特性を示す脂肪族ポリエステル樹脂組成物を提供するために、本出願人は、PHAをEVAおよびクエン酸エステル可塑剤とブレンドし、それに応じて加工すると、皮革に類似したしなやかさを有し、1~300MPaの範囲、好ましくは20~100MPaの範囲、特に70MPa未満の(ISO527に従って測定した)ヤング率(E)を示し、100,000サイクル以上に達する(ISO5402に従って測定した)曲げ疲労を示す織物が得られることを見出した。
【0041】
添加剤
いくらかの実施形態では、脂肪族ポリエステル樹脂組成物に種々の添加剤が添加される。このような添加剤は、組成物を形成するための成分の混合時の適切な時期に混合することができる。1つ以上の添加剤は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれから製造される任意の物品に1つ以上の選択された特性を付与するために脂肪族ポリエステル樹脂組成物に含まれる。本発明に含まれてもよい添加剤の例としては、熱安定剤、方法安定剤、光安定剤、酸化防止剤、スリップ/アンチブロック剤、顔料、UV吸収剤、充填剤、滑剤、顔料、染料、着色剤、流動促進剤、可塑剤、核剤(以下で更に詳細に説明する)、タルク、ワックス、炭酸カルシウム、ラジカル捕捉剤、または前述の添加剤の1つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な充填剤の例としては、ガラス繊維、および沈殿炭酸カルシウム、粉砕炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、アルミナ三水和物などの鉱物、木粉、粉砕したクルミ殻、ココナッツ殻、籾殻などが挙げられるが、これらに限定されない、
【0042】
任意に、添加剤は、全組成物の約0.05~約20重量%の濃度で本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物に含まれる。例えば、いくらかの実施形態における範囲は、全組成物の約0.05~約5%である。添加剤は、熱可塑性プラスチックの製造に有用であることが当業者に知られている任意の化合物である。例示的な添加剤としては、例えば、可塑剤(例えば、熱可塑性プラスチック組成物の柔軟性を高めるため)、酸化防止剤(例えば、熱可塑性プラスチック組成物をオゾンまたは酸素による劣化から保護するため)、紫外線安定剤(例えば、風化から保護するため)、潤滑剤(例えば、摩擦を低減するため)、顔料(例えば、熱可塑性プラスチック組成物に色を加えるため)、難燃剤、充填剤、補強剤、離型剤、および帯電防止剤が挙げられる。添加剤を本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物に含有させるべきかどうか、含有させる場合にはどのような添加剤をどの程度の量を組成物に添加すべきかを決定することは、当業者の能力の範囲内である。
【0043】
添加剤は、例えば、PHAまたはPHAブレンドに添加してマスターバッチとして調製することもできる。マスターバッチでは、添加剤(単数または複数)の濃度は、最終化合物または組成物中の添加剤の比例混合を可能にするため、および/または混合性の増加、分岐の増加、均質性の増加、および処理時間の増加などの付加的な利点を可能にするために、製品の最終量よりも高い。いくらかの実施形態では、EVAは、最終化合物に添加する前に、PHAとマスターバッチ化することができる。特定の他の実施形態において、EVAは、化合物に添加する前に、核剤とマスターバッチ化されてもよい。いくらかの実施形態において、可塑剤は、化合物に添加する前に、PHAとマスターバッチ化されてもよい。いくらかの実施形態において、可塑剤は、化合物への添加の前に、EVAとマスターバッチ化されてもよい。いくらかの実施形態において、可塑剤は、化合物に添加する前に、PHAおよびEVAとマスターバッチ化されてもよい。いくらかの実施形態において、核剤は、コンパウンドに添加する前に、PHAとマスターバッチ化されてもよい。いくらかの実施形態において、分岐剤および/または架橋剤は、化合物に添加する前に、PHA、EVA、または可塑剤とマスターバッチ化されてもよい。
【0044】
いくらかの実施形態において、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物および方法は、1種以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、一般に、脱塵、潤滑、表面張力の低下、および/または緻密化のために使用される。界面活性剤の例としては、鉱油、ひまし油、および大豆油が挙げられるが、これらに限定されない。鉱油系界面活性剤としては、Penreco社(米国テキサス州Dickinson)から入手可能なDRAKEOL(登録商標)34界面活性剤がある。MAXSPERSE(登録商標)W-6000界面活性剤およびW-3000固体界面活性剤は、Chemax Polymer Additives社(米国サウスカロライナ州Piedmont)から入手可能である。HLB値が約2~約16の範囲の非イオン性界面活性剤を使用することができ、その例としては、TWEEN‐20界面活性剤、TWEEN‐65界面活性剤、Span‐40界面活性剤およびSpan85界面活性剤が挙げられる。
【0045】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族カルボン酸;上記脂肪族カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩などの脂肪酸石鹸;N‐アシル‐N‐メチルグリシン塩、N‐アシル‐N‐メチル‐β‐アラニン塩、N‐アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩‐ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸塩‐ホルマリン重縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、(α‐オレフムスルホン酸塩、N‐アシルメチルタウリン塩、ジメチル5‐スルホイソフタル酸ナトリウム、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシ硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリ硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミンオキシドビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルアミングアニジンポリオキシエタノール、スルホコハク酸エトキシ化アルコールハーフエステル二ナトリウム、スルホコハク酸エトキシ化ノニルフェノールハーフエステル二ナトリウム、スルホコハク酸イソデシル二ナトリウム、N‐オクタデシルスルホコハク酸アミド二ナトリウム、N‐(1,2‐ジカルボキシエチル)‐N‐オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、モノまたはジドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸二ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、およびナフタレンスルホン酸ナトリウムからの中和縮合物が挙げられる。
【0046】
本発明の組成物および方法には、1種以上の滑剤を添加してもよい。潤滑剤は通常、加工中の高温金属表面への付着を低減するために使用され、金属ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)と組み合わせたポリエチレン、パラフィン油、およびパラフィンワックスを含んでもよい。その他の潤滑剤としては、ステアリン酸、アミドワックス、エステルワックス、金属カルボン酸塩、カルボン酸などが挙げられる。滑剤は通常、ポリマーに対して、約0.1重量%~約1重量%、一般的には化合物の約0.7重量%~約0.8重量%の範囲で添加される。固体潤滑剤は、ブレンドの加工前または加工中に温められ、溶融される。
【0047】
本発明の組成物および方法には、1種以上の抗微生物剤を添加してもよい。抗微生物剤とは、細菌、真菌、または原生動物などの微生物を死滅させるか、またはその増殖を阻害する物質であり、またウイルスを破壊する物質でもある。抗菌薬は、微生物を死滅させるか(殺微生物性)、微生物の増殖を防ぐ(静微生物性)。抗菌剤としては、有機酸、エッセンシャルオイル、カチオン、元素(コロイド銀など)など、さまざまな化学物質や天然化合物が使用されるが、これらに限定されるものではない。商業的な例としては、PolySept(登録商標)Z microbial、UDAおよびAGION(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
PolySept(登録商標)Z microbial(PolyChem Alloy社から入手可能)は、有機塩ベースの非移行性抗菌剤である。「UDA」はUrtica dioica agglutininである。AGION(登録商標)抗菌剤は銀化合物である。AMICAL(登録商標)48銀は、ジヨードメチルp‐トリルスルホンである。
【0049】
分岐ポリヒドロキシアルカノエート
「分岐PHA」という用語は、分子鎖の分岐および/または2つ以上の分子鎖の架橋を有するPHAを指す。側鎖の分岐も考えられる。分岐は、様々な方法で行うことができる。前述したPHAは、ポリマーのフリーラジカル誘起架橋による分岐剤によって分岐させることができる。いくらかの実施形態において、PHAは、方法における組み合わせの前に分岐される。他の実施形態では、PHAは、本発明の方法において、過酸化物、フリーラジカル、架橋剤、または他の分岐剤と反応される。分岐は、ポリマーの溶融強度を増加させる。PHAは、米国特許第6,620,869号、7,208,535号、6,201,083号、6,156,852号、6,248,862号、6,201,083号および6,096,810号に記載されている方法のいずれかで分岐させることができ、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
【0050】
本発明のポリマーはまた、2010年1月21日に英語で公開され、米国を指定した国際公開第2010/008447号「Methods For Branching PHA Using Thermolysis」または国際公開第2010/008445号「Branched PHA Compositions, Methods for Their Production, and Use in Applications」に開示された方法のいずれかに従って分岐させることもできる。これらの出願は、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
【0051】
分岐剤
1つの実施形態では、本明細書中に記載の組成物および方法において使用するための、フリーラジカル開始剤とも呼ばれる分岐剤には、有機過酸化物が含まれる。分岐剤は、過酸化物、アゾ脱保護剤(例えば、アゾニトリル)、過酸エステル(perester)、およびペルオキシカーボネートなどの、当該分野で公知の任意の好適な開始剤から選択される。本発明で使用するのに適した過酸化物としては、これらに限定されないが、有機過酸化物、例えば2,5-ジメチル-2,5-ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ビス(t‐ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社からTRIGANOX 101として入手可能)、2,5-ジメチル-ジ(t‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ‐t‐アミルペルオキシド、t‐アミルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート(TAEC)、t‐ブチルクミルペルオキシド、n-ブチル-4,4‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)バレレート、1,1‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)-3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン(CPK)、1,1‐ジ(t‐ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1‐ジ(t‐アミルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブタン、エチル-3,3-ジ(t‐ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t‐アミルペルオキシ)プロパン、エチル‐3,3‐ジ(t‐アミルペルオキシ)ブチレート、ジ‐(tert‐ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(VulCup(登録商標))、t‐ブチルペルオキシアセテート、t‐アミルペルオキシアセテート、t‐ブチルペルオキシベンゾエート、t‐アミルペルオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルジペルオキシフタレートなどのジアルキル有機過酸化物が挙げられる。過酸化物の組み合わせおよび混合物もまた使用されてもよい。フリーラジカル開始剤の例としては、本明細書中に記載されているもの、および例えば、Polymer Handbook, 3rd Ed.,J. Brandrup & E.H. Immergut, John Wiley and Sons,1989,Ch.2に記載されているものが挙げられる。照射(例えば、電子ビーム照射またはガンマ線照射)もまた、PHAの分岐を生成するために使用することができる。
【0052】
1つの実施形態では、ポリマーの分岐および架橋の効率は、分岐および架橋効率を高めるために、反応性不飽和二重結合のような反応性官能基を含む重合性(すなわち、反応性)可塑剤などの架橋剤中に有機過酸化物を分散させることによっても高めることができる。
【0053】
架橋剤
1つの実施形態において、共剤とも呼ばれる架橋剤は、本発明の方法および組成物において使用され、エポキシドまたは二重結合のような2つ以上の反応性官能基を含む架橋剤である。1つの実施形態では、架橋剤はポリマーの特性を改変する。これらの特性には、溶融強度または靭性が含まれるが、これらに限定されない。架橋剤の好適なタイプは、2つ以上の二重結合を有する薬剤である。1つの実施形態では、2つ以上の二重結合を有する架橋剤は、PHAを架橋する。例えば、ジアリルフタレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビス(2‐メタクリロキシエチル)ホスフェートなどである。末端エポキシドを有する化合物および末端エポキシドを有しない化合物を優先的に使用することができる。末端基数が比較的少ない化合物および多い化合物を使用することができる。分子量に対して末端基の数が多い化合物(例えば、Joncryl(登録商標)樹脂は3000~4000g/molの範囲である)を使用することができ、分子量に対して末端基の数が少ない化合物(例えば、Omnova製品は100,000~800,000g/molの範囲の分子量を有する)も、所望の末端特性に応じて優先的に使用することができる。
【0054】
好適なタイプの架橋剤としては、分岐、例えば前述のような末端分岐によってポリヒドロキシアルカノエートポリマーの溶融強度を増加させることができる2つ以上のエポキシド基を有する化合物を含む「エポキシ官能性化合物」が挙げられる。1つの実施形態において、エポキシ官能性化合物は、開示された方法において架橋剤として使用され、ここで、分岐剤もまた使用されてもよい。本発明の1つの実施形態は、出発PHAを分岐させる方法である。本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させ、次いでこの反応させたPHAを可塑剤と更にブレンドすることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させ、この反応させたPHAを可塑剤および酢酸ビニルを含む共重合体樹脂と更にブレンドすることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させ、次いでこの反応させたPHAを、可塑剤および酢酸ビニルまたは同様の官能性材料を含むコポリマー樹脂と更にブレンドすることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させ、このPHAをエチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂およびクエン酸エステルまたは同様の官能性材料と更にブレンドすることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。本発明の1つの実施形態は、出発PHAをエポキシ官能性化合物と反応させ、次いでこの反応させたPHAを、可塑剤および酢酸ビニルまたは同様の官能性材料を含むコポリマー樹脂と更にブレンドすることを含む、出発PHAを分岐させる方法である。あるいは、本発明は、出発PHA、分岐剤およびエポキシ官能性化合物を反応させ、次いでこのPHAをエチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂およびクエン酸エステルと更にブレンドすることを含む、出発ポリヒドロキシアルカノエートポリマーを分岐させる方法である。あるいは、本発明は、分岐剤の非存在下で、出発PHAおよびエポキシ官能性化合物を反応させ、次いでこのPHAをエチレン‐酢酸ビニル共重合体樹脂およびクエン酸エステルと更にブレンドすることを含む出発ポリヒドロキシアルカノエートポリマーを分岐させる方法である。このようなエポキシ官能性化合物としては、エポキシ官能性スチレン‐アクリルポリマー(例えば、これらに限定されないが、MP‐40(Kaneka社製)などが挙げられる)、側鎖として組み込まれたグリシジル基を含むアクリルおよび/またはポリオレフィンコポリマーおよびオリゴマー(ポリ(エチレン‐グリシジルメタクリレート‐co‐メタクリレート))、並びにエポキシ化油(例えば、これらに限定されないが、エポキシ化大豆油、オリーブ油、亜麻仁油、パーム油、落花生油、ヤシ油、海藻油、タラ肝油、またはそれらの混合物、例えば、Merginat(登録商標)ESBO(独国HamburgのHobum社)およびEDENOL(登録商標)B 316(独国DusseldorfのCognis社))が挙げられる。
【0055】
例えば、反応性アクリルまたは官能性アクリル架橋剤は、本明細書中に記載の分岐ポリマー組成物中のポリマーの分子量を増加させるために使用される。このような架橋剤は市販されている。そのような化合物の1つはMP‐40(Kaneka社)であり、更に別のものはHoneywell社からのPetra lineであり、例えば、米国特許第5,723,730号明細書を参照されたい。このようなポリマーは、プラスチックリサイクル(例えば、ポリエチレンテレフタレートのリサイクル)において、リサイクルされるポリマーの分子量を増加させる(または分子量の増加を模倣する)ためにしばしば使用される。
【0056】
E.I.du Pont de Nemours & Companyは、アクリレートコポリマーなどのエチレンコポリマー、エラストマーターポリマーおよび他のコポリマーなどの複数の反応性化合物を販売している。Omnova社は同様の化合物を「SX64053」、「SX64055」、「SX64056」という商品名で販売している。また、他の企業もこのような化合物を商業的に供給している。
【0057】
反応性エポキシ官能基を有する特定の多官能性ポリマー化合物は、スチレン‐アクリル共重合体である。これらの材料は、側鎖としてグリシジル基が組み込まれたスチレンおよびアクリレート構成ブロックを有するオリゴマーをベースとする。オリゴマー鎖あたりのエポキシ基の数は多く、例えば5個、10個以上、20個以上のものが使用される。これらのポリマー材料は一般に分子量が3000以上、具体的には4000以上、より具体的には6000以上である。複数のエポキシ基を有する他のタイプの多官能性ポリマー材料は、側鎖として組み込まれたグリシジル基を含むアクリルおよび/またはポリオレフィンコポリマーおよびオリゴマーである。これらの材料は更に、グリシジルではないメタクリレート単位を含んでもよい。このタイプの例は、ポリ(エチレン‐グリシジルメタクリレート‐co‐メタクリレート)である。
【0058】
エポキシ基を含有する(エポキシ化された)脂肪酸エステルまたは天然に存在する油も使用してもよい。天然に存在する油の例は、オリーブ油、アマニ油、大豆油、パーム油、ピーナッツ油、ヤシ油、海藻油、タラ肝油、またはこれらの化合物の混合物である。特に好ましくは、エポキシ化大豆油(例えば、独国HamburgのHobum社製のMerginat(登録商標)ESBO、または独国DusseldorfのCognis社製のEDENOL(登録商標)B 316)であるが、他のものを使用してもよい。
【0059】
核剤
脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、その結晶化を助けるために任意の核剤が添加される。各種ポリマーの核剤としては、単純物質、複合酸化物を含む金属化合物、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、合成ケイ酸およびその塩、シリカ、亜鉛華、クレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉、珪藻土、ドロマイト粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、有機リン酸塩の金属塩、および窒化ホウ素;カルボン酸金属基を有する低分子有機化合物、例えば、オクチル酸、トルイル酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、安息香酸、p‐tert‐ブチル安息香酸、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸、イソフタル酸モノメチルエステルなどの金属塩;カルボン酸金属基を有する高分子有機化合物、例えば、ポリエチレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリエチレン;ポリプロピレンの酸化によって得られるカルボキシル基含有ポリプロピレン;エチレン、プロピレン、ブテン‐1などのオレフィンとアクリル酸またはメタクリル酸とのコポリマー;スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸とのコポリマー;オレフィンと無水マレイン酸とのコポリマー;およびスチレンと無水マレイン酸との共重合体などの金属塩;高分子有機化合物、例えば、3,3‐ジメチルブテン‐1、3‐メチルブテン‐1、3‐メチルペンテン‐1、3-メチルヘキセン‐1、および3,5,5‐トリメチルヘキセン‐1などの3位炭素原子で分岐し、5個以下の炭素原子を有するα-オレフィン;ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、およびビニルノルボルナンなどのビニルシクロアルカンのポリマー;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリ(グリコール酸);セルロース;セルロースエステル;およびセルロースエーテル;シアヌル酸;リン酸または亜リン酸およびその金属塩、例えばジフェニルホスフェート、ジフェニルホスファイト、ビス(4‐tert‐ブチルフェニル)ホスフェートの金属塩、およびメチレンビス‐(2,4‐tert‐ブチルフェニル)ホスフェート;ビス(p‐メチルベンジリデン)ソルビトールおよびビス(p‐エチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール誘導体;並びにチオグリコール酸無水物、p‐トルエンスルホン酸およびその金属塩である。上記の核剤は、単独でまたは互いに組み合わせて使用してもよい。いくらかの実施形態において、核剤はまた、別のポリマー(例えば、PHBなどのポリマー核剤)であってもよい。
【0060】
種々の実施形態において、核剤が液体キャリア中に分散される場合、液体キャリアは、可塑剤、例えば、クエン酸化合物またはアジピン酸化合物、例えば、アセチルシトレートトリブチレート((CITROFLEX(登録商標)A4)可塑剤、ノースカロライナ州High PointのVertellus社)、またはDBEEA(ジブトキシエトキシエチルアジペート)、界面活性剤、例えばTriton X‐100界面活性剤、TWEEN‐20界面活性剤、TWEEN‐65界面活性剤、Span‐40界面活性剤、またはSpan 85界面活性剤、潤滑剤、揮発性液体、例えばクロロホルム、ヘプタン、またはペンタン、有機液体、または水である。
【0061】
他の実施形態において、核剤はアルミニウムヒドロキシジホスフェートまたは窒素含有複素芳香族コアを含む化合物である。窒素含有複素芳香族コアは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、またはイミダゾールである。
【0062】
特別の実施形態において、核剤は、アルミニウムヒドロキシジホスフェートまたは窒素含有複素芳香族コアを含む化合物を含んでもよい。窒素含有複素芳香族コアは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、またはイミダゾールである。
【0063】
核剤は、米国特許出願公開第2005/0209377号明細書、および国際公開第2009/129499号に記載されているような核剤であってもよく、これらは参照によりその全体が本明細書中に援用される。
【0064】
好適な熱安定剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス‐(2,6‐ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス‐(混合モノ‐およびジ‐ノニルフェニル)ホスファイトなどの有機ホスファイト類;ジメチルベンゼンホスホネートなどのホスホネート類、トリメチルホスフェートなどのホスフェート類、または前述の熱安定剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。熱安定剤は、一般に、充填剤を除いた全組成物の重量100重量部を基準として0.01~0.5重量部の量で使用される。
【0065】
好適な酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどの有機ホスファイト類;アルキル化モノフェノール類またはポリフェノール類;テトラキス[メチレン(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンなどのポリフェノール類とジエン類とのアルキル化反応生成物;p‐クレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン類;ヒドロキシ化チオジフェニルエーテル類;アルキリデンビスフェノール類;ベンジル化合物;β‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル;β‐(5‐tert‐ブチル4‐ヒドロキシ3‐メチルフェニル)‐プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル;ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、オクタデシル‐3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのチオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル類;β‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオン酸などのアミド、または前述の酸化防止剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。酸化防止剤は、一般に、充填剤を除いた組成物の全重量100重量部を基準として、0.01~0.5重量部の量で使用される。
【0066】
好適な光安定剤としては、例えば、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐tert‐オクチルフェニル)‐ベンゾトリアゾールおよび2‐ヒドロキシ‐4‐n‐オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾトリアゾール、または前述の光安定剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。光安定剤は、一般に、充填剤を除いた組成物の全重量100重量部を基準として、0.1~1.0重量部の量で使用される。
【0067】
好適な帯電防止剤としては、例えば、グリセロールモノステアレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等、または前述の帯電防止剤の組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、または前述の組み合わせのいずれかを、化学帯電防止剤を含有する高分子樹脂に使用して、組成物を静電散逸性にしてもよい。
【0068】
好適な離型剤としては、例えば、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸ステアリル、四ステアリン酸ペンタエリスリトール、蜜蝋、モンタンワックス、パラフィンワックスなど、または前述の離型剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。離型剤は、一般に、充填剤を除いた全組成物100重量部を基準として、0.1~1.0重量部の量で使用される。
【0069】
好適な紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン類;ヒドロキシベンゾトリアゾール類;ヒドロキシベンゾトリアジン類;シアノアクリレート類;オキサニリド類;ベンゾオキサジノン類;2‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)‐フェノール(CYASORB(登録商標)5411);2‐ヒドロキシ‐4‐n‐オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(登録商標)531);2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐(オクチルオキシ)‐フェノール(CYASORB(登録商標)1164);2,2'‐(1,4‐フェニレン)ビス(4H‐3,1‐ベンゾオキサジン‐4‐オン)(CYASORB(登録商標)UV‐3638);1,3‐ビス[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]‐2,2‐ビス[[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL(登録商標)3030);2,2'‐(1,4‐フェニレン)ビス(4H‐3,1‐ベンゾオキサジン‐4‐オン);1,3‐ビス[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]‐2,2‐ビス[[(2‐シアノ‐3,3‐ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などのナノサイズの無機材料(いずれも粒子サイズ100ナノメートル未満);など、または前述の紫外線吸収剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。UV吸収剤は、一般に、充填剤を除く組成物の全重量100重量部を基準として、0.01~3.0重量部の量で使用される。
【0070】
好適な顔料としては、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物および混合金属酸化物などの無機顔料;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;スルホケイ酸ナトリウム;硫酸塩およびクロム酸塩;カーボンブラック;亜鉛フェライト;ウルトラマリンブルー;ピグメントブラウン24;ピグメントレッド101;ピグメントイエロー119;アゾ、ジアゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバンスロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、アントロン、ジオキサジン、フタロシアニン、アゾレーキなどの有機顔料;ピグメントブルー60、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット29、ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー147およびピグメントイエロー150、または前述の顔料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。顔料は一般に、充填剤を除いた全組成物100重量部を基準として、1~10重量部の量で使用される。
【0071】
好適な染料としては、例えば、クマリン460(青)、クマリン6(緑)、ナイルレッドなどの有機染料;ランタニド錯体;炭化水素および置換炭化水素染料;多環芳香族炭化水素;シンチレーション染料(scintillation dye)(好ましくは、オキサゾールおよびオキサジアゾール);アリール‐またはヘテロアリール‐置換ポリ(2-8オレフィン);カルボシアニン染料;フタロシアニン染料および顔料;オキサジン染料;カーボンブラック;活性炭;カルボスチリル染料;ポルフィリン染料;アクリジン染料;アントラキノン染料;アリールメタン染料;アゾ染料;ジアゾニウム染料;ニトロ染料;キノンイミン染料;テトラゾリウム染料;チアゾール染料;ペリレン染料、ペリノン染料;ビス‐ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT);およびキサンテン染料;近赤外波長で吸収し、可視波長で発光するアンチストークスシフト染料(anti-stokes shift dye)などの蛍光色素など;7‐アミノ‐4‐メチルカルボスチリル;7‐アミノ‐4‐メチルクマリン;3‐(2'‐ベンズイミダゾリル)‐7‐N,N‐ジエチルアミノクマリン;3‐(2'‐ベンゾチアゾリル)‐7‐ジエチルアミノクマリン;2‐(4‐ビフェニル)‐5‐(4‐t‐ブチルフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール;2‐(4‐ビフェニル)‐6‐フェニルベンゾオキサゾール‐1,3;2,5‐ビス‐(4‐ビフェニル)‐1)‐1,3,4‐オキサジアゾール;2,5‐ビス‐(4‐ビフェニル)‐オキサゾール;4,4'‐ビス‐(2‐ブチルオクチルオキシ)‐p‐クアテルフェニル;p‐ビス(o‐メチルスチリル)‐ベンゼン;5,9‐ジアミノベンゾ(a)フェノキサゾニウムペルクロレート;4‐ジシアノメチレン‐2‐メチル‐6‐(p‐ジメチルアミノスチリル)‐4H‐ピラン;1,1'‐ジエチル‐2,2'‐カルボシアニンヨージド;3,3'‐ジエチル‐4,4',5,5'‐ジベンゾチカルボシアニンヨージド;7‐ジエチルアミノ‐4‐メチルクマリン;7‐ジエチルアミノ‐4‐トリフルオロメチルクマリン;2,2'‐ジメチル‐p‐クオーターフェニル;2,2‐ジメチル‐p‐ターフェニル;7‐エチルアミノ‐6‐メチル‐4‐トリフルオロメチルクマリン;7‐エチルアミノ‐4‐トリフルオロメチルクマリン;ナイルレッド;ローダミン 700;オキサジン 750;ローダミン800;IR125;IR144;IR140;IR132;IR26;IRS;ジフェニルヘキサトリエン;ジフェニルブタジエン;テトラフェニルブタジエン;ナフタレン;アントラセン;9,10‐ジフェニルアントラセン;ピレン;クリセン;ルブレン;コロネン;フェナントレンなど、または前述の染料の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。染料は、一般に、充填剤を除く組成物の全重量100重量部を基準として、0.1~5重量部の量で使用される。
【0072】
好適な着色剤としては、例えば、二酸化チタン、アントラキノン類、ペリレン類、ペリノン類、インダントロン類、キナクリドン類、キサンテン類、オキサジン類、オキサゾリン類、チオキサンテン類、インジゴイド類、チオインジゴイド類、ナフタルイミド類、シアニン類、キサンテン類、メチン類、ラクトン類、クマリン類、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)類、ナフタレンテトラカルボン酸誘導体、モノアゾおよびジアゾ顔料、トリアリールおよびジアゾ顔料が挙げられる、クマリン、ビス‐ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)、ナフタレンテトラカルボン酸誘導体、モノアゾおよびジアゾ顔料、トリアリールメタン、アミノケトン、ビス(スチリル)ビフェニル誘導体など、および前述の着色剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。着色剤は、一般に、充填剤を除く組成物の全重量100重量部を基準として、0.1~5重量部の量で使用される。
【0073】
好適な発泡剤としては、例えば、低沸点ハロ炭化水素および二酸化炭素を発生するものが挙げられる;室温で固体であり、その分解温度より高い温度に加熱されると、窒素、二酸化炭素、アンモニアガスなどのガスを発生する発泡剤、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、4,4'オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウムなど、または前述の発泡剤の少なくとも1つを含む組み合わせ。発泡剤は、一般に、充填剤を除く全組成物100重量部を基準として、1~20重量部の量で使用される。
【0074】
更に、低分子量炭化水素樹脂のような、流動性および他の特性を改善するための材料を組成物に添加してもよい。特に有用なクラスの低分子量炭化水素樹脂は、石油分解から得られる不飽和C5~C9モノマーから誘導される石油C5~C9原料から誘導されるものである。非限定的な例としては、オレフィン、例えばペンテン、ヘキセン、ヘプテンなど;ジオレフィン、例えばペンタジエン、ヘキサジエンなど;環状オレフィンおよびジオレフィン、例えばシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエンなど;環状ジオレフィンジエン、例えば、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン二量体など;および芳香族炭化水素、例えばビニルトルエン、インデン、メチルインデンなどである。樹脂は更に、部分的または完全に水素化してもよい。
【0075】
脂肪族ポリエステル樹脂組成物の適用
本明細書中に提供されるのは、一軸延伸または二軸延伸脂肪族ポリエステル樹脂組成物を形成する方法である。この方法は、PHA、EVA、およびクエン酸のエステル、または同様の官能基性で共同相溶性のある材料を、ほぼ均質な組成物を形成するのに十分な条件下で混合すること;それによって、PHAおよびEVAのTgが1つのTgピークに組み合わされることを含む、所望の物理的および機械的特性を有するフィルムまたはシートを形成することができる脂肪族ポリエステル樹脂組成物を形成すること、を含む。シートの厚さは、好ましくは0.1~3.2mmの範囲、より好ましくは0.2~2mmの範囲、特に2mm未満である。
【0076】
1つの実施形態では、以下の工程:
(a)予備二軸延伸シートを、50~170℃、40~175℃、60~160℃、70~150℃および80~140℃で5~600分間アニールとして、より均一で一貫した延伸を可能にする、アニールする工程;
(b)アニールされたシートを長手方向に延伸させ、次いで、横方向に延伸させて、シシ‐ケバブ(shish-kebab)結晶配向となり、長手方向の分子鎖配向が少なくなり、横方向の異方性が小さくなる、延伸工程;アニールされたシートを横方向に延伸させ、次いで、長手方向に延伸させることにより、シシ‐ケバブ結晶配向となり、長手方向および/または横方向の分子鎖配向が少なくなり、長手方向および/または横方向の異方性が小さくなる、延伸工程;アニールされたシートを横方向に延伸させる工程;または、アニールされたシートを長手方向に延伸させる工程;
(c)ポリヒドロキシアルカノエートおよびエチレン‐酢酸ビニル樹脂の両方のTg温度以上であるが、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満での延伸時に、一軸延伸または二軸延伸されたシートを加熱することを含み、それにより、ポリマー鎖の延伸コンフォメーションへの緩和を可能にする、延伸時に一軸延伸または二軸延伸されたシートをアニールする工程
を含む、PHA、EVAおよびクエン酸のエステルを含む溶融押出し脂肪族ポリエステル樹脂シートの機能特性を改善するための方法が提供される。
【0077】
いくらかの実施形態において、脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、均質な混合物を製造するために個々の成分を溶融混合することによって製造される。次いで、この混合物は、シートまたは溶融押出、繊維押出、キャストフィルム押出、およびブローフィルム押出により、加工部品に変換するために使用される。フィルム用途の場合、本発明の組成物は、完全なフィルムであっても、多層共押出複合構造における1つ以上の層であってもよい。あるいは、脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、共押出ラミネート内で異なる層を形成してもよく、各層はわずかに異なる組成を有する。
【0078】
更に、本明細書中において提供されるのは、脂肪族ポリエステル樹脂ペレットを形成する方法であって、該方法は、PHA、EVAおよびクエン酸エステル成分または同様の官能基性材料を組み合わせることを含み、ここで、該組成物は、適切な条件下で溶融成形され、その後、ブローおよびキャストされた自立フィルムに加工可能な樹脂ペレットを形成する。
【0079】
本明細書中に記載される組成物、方法、工程、または物品のいずれにおいても、PHA、EVA、およびクエン酸エステル成分は、微粒子サイズの粉末、ペレット、または顆粒の形態であり、混合またはブレンドによって組み合わせることができ、同様の官能基性材料で置換することが可能である。
【0080】
シート製造
本発明の更なる実施態様において、PHAを含む材料のシートを製造する方法が提供される。この方法は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、好ましくはPHAの形態で溶融加工すること;溶融物を、例えば、円形ダイを通して気泡を吹き込むことによって、またはコートハンガーダイ、T字型フラットダイなどのダイを通して冷却ロール上にキャストすることによって、シートに成形すること;シートを室温以上の温度に付してポリマー鎖の緩和またはアニーリングの程度を誘導すること、次いで、段階的または連続的な一軸または二軸延伸によってシートを延伸させることを含む。本明細書中に記載の組成物は、好ましくは、ポリヒドロキシアルカノエートおよびエチレン‐酢酸ビニル樹脂成分の両方のTgよりも高いが、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度で処理される。加熱可塑化した状態で、脂肪族ポリエステル樹脂組成物をシートに加工する。このような加工は、溶融押出、ブロー成形(例えば、ブローフィルム、発泡体のブロー成形)、カレンダー加工など、当該技術分野で知られている任意の技術を用いて行われるが、これらに限定されるものではない。フィルム中のPHAのMwは、GPCによって決定されるように、50,000、100,000、250,000、300,000、400,000、500,000、または750,000Daより大きい。核剤は、PHAの球晶サイズを小さくする傾向があるため、PHAフィルムの製造にも一般的に使用されるが、本出願人は、驚くべきことに、5~20マイクロメートルを超える粒子サイズは、本質的にシート全体に弱点を生じさせることを発見した。その結果、核剤の粒子サイズ(または粒径;particle size)を20、10、5マイクロメートル未満にすることで、最終製品のさまざまな特性が向上することがわかった。粒子サイズを小さくすることで、表面積が増加するため、同じ効率で必要な核剤が少なくて済むようになった。核剤の装填量と粒子サイズの両方が減少したことで、本発明の繊維の疲労寿命がより再現性よく増加することが可能となった。
【0081】
本発明のPHAフィルム組成物は、機械的特性を最大にするために、好ましくは一軸延伸または二軸延伸される。二軸延伸とは、長手方向と呼ばれるフィルムの進行方向に沿って延伸し、横方向と呼ばれるフィルムの平面内で長手方向に対して90℃の方向に延伸し、それによってフィルムの長さおよび幅を初期寸法よりも大きくすることを意味する。二軸延伸には、同時延伸と逐次延伸がある。一軸延伸は、長手方向または横方向のいずれか一方に延伸することを指すが、必ずしも両方に延伸する必要はない。本発明のPHAフィルム組成物は、延伸前は約20~150ミクロン、10~350ミクロン、および5~500ミクロンの範囲の均一な厚さのフィルムに形成され、延伸後はそれぞれ約5~100ミクロン、2~200ミクロン、および1~300ミクロンの範囲のフィルムに形成される。
【0082】
1つの実施形態では、シートは、逐次二軸延伸法に従って二軸延伸してもよい。このような方法では、フィルムは、まず、50~170℃、50~180℃、60~170℃、60~180℃、50~150℃、100~165℃、または125~165℃の範囲の温度でアニールされる。1つの実施形態では、アニーリング後、シートは、ロール技術または任意の他の適切な技術によって長手方向(機械方向、または「MD」と呼ばれることもある)に延伸される。これは、上流側ローラーよりも速い速度で回転する1つ以上の下流側ローラーによってシートを延伸することを含む。一方向に延伸されたフィルムは、次に、例えばテンター法または他の任意の適切な技術によって横方向(「TD」または交差方向)に延伸される。フィルムはTD延伸後にヒートセットしてもよい。1つの実施形態では、フィルムは、従来の技術によって、長手方向および横方向に同時に二軸延伸してもよい。別の実施形態では、アニーリングは、各延伸ステップの前、後、またはその間に実施してもよい。別の実施形態では、材料は、MDに延伸される前にTDに延伸されてもよい。別の実施形態では、材料は、TDおよびMDの両方において、ほぼ同じ時間でまたは様々な間隔で40~175℃の範囲の温度での保持時間を含む、互いに対して規定された速度で延伸されてもよい。
【0083】
長手方向の延伸および横方向の延伸は、それぞれ好ましくは約1.5~16倍である。望ましいフィルム強度および厚さの均一性を得るために、延伸は、より好ましくは、長手方向および横方向にそれぞれ少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、9倍、12倍、または16倍である。好ましくは、長手方向および横方向の延伸倍率を乗じて得られる面積延伸倍率は約6.8~36倍である。
【0084】
連続二軸延伸の場合、長手延伸温度は好ましくは50~1500℃であり、横延伸温度は好ましくは50~150℃である。同時二軸延伸の場合、延伸温度は好ましくは50~1500℃である。面積延伸倍率および延伸温度が前記範囲内でないと、フィルムの厚さが過度に変動する傾向がある。
【0085】
本発明のPHAフィルム組成物は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ポリマーフィルムに一般的に含まれる多くの添加剤または他の成分を含んでもよいことは、当業者には理解される。これらには、例えば、染料、充填剤、安定剤、変性剤、ブロッキング防止添加剤、帯電防止剤等が含まれる。
【0086】
本発明のPHAフィルム組成物は、織物を含む多くの用途に有用である。このフィルムは、アパレル、靴、家具、自動車用アクセサリーの製造に特に適している。
【0087】
このような多くの制限を克服した更なる実施形態では、PHAフィルムの製造方法が提供される。以前は、ブローおよびキャストされた自立型PHAフィルムの製造のための連続方法は、材料の溶融強度が低いこともあり、開発が困難であった。この方法は、PHAを、好ましくは本発明のPHAペレットの形態で溶融加工し、溶融物を、例えば円形のダイを通して気泡を吹き込むか、T字型の平らなダイを通して冷却ロール上にキャストすることによってフィルムに成形し、連続一軸または二軸延伸によってフィルムを延伸する。フィルム中のPHAのMwは、出発材料のMwに大きく依存するが、材料の最終的な所望の特性に応じて、100,000ダルトン、200,000ダルトン、300,000ダルトン、400,000ダルトン、500,000ダルトンより大きいことが好ましく、特に100,000または300,000ダルトンである。シートの製造に使用されるペレット中のPHAのMwは、PHA熱安定剤が存在するかどうかに依存する。何も存在しない場合、ペレット中のPHAは、好ましくは約300,000を超える分子量を有する。本発明に従ってPHA熱安定剤が存在する場合、ペレット中のPHAのMwは50,000~250,000の範囲とすることができるが、所望のMwが約300,000を超えるPHAを含むシートを製造するのに適している。
【0088】
以下の実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能することを本発明者が発見した技術を表すものであり、従って、その実施のための好ましい態様の例を構成するものと考えることができることを、当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示されている具体的な実施形態において多くの変更を加えることができ、それでもなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、類似または同様の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0089】
いくつかの実施形態を開示したが、開示した実施形態の精神から逸脱することなく、様々な修正、代替構造、および等価物を使用することができることは、当業者には認識されるであろう。更に、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために、多数の周知の方法および要素については記載していない。従って、上記の記載は、本発明の範囲を限定するものとして捉えられるべきではない。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
ポリ‐3‐ヒドロキシブチレートホモポリマー、酢酸ビニルモノマー含有量が65~85重量%のエチレンビニルアセテート、およびアセチルクエン酸トリブチルを核剤と予備混合した。この予備混合物を押出溶融混練機に加え、バイオベースの熱可塑性エラストマー材料を得た。この材料を、溶融押出される前に乾燥して、0.1mm~1.5mm、好ましくは0.1mm~0.6mm、より好ましくは0.5mm~0.8mmの範囲の厚さのキャストフィルムとした。このフィルムを、次いで、約120~165℃の範囲の温度でアニールした。フィルムを長手方向に延伸させる前に冷却した。次いで、フィルムを長手方向に延伸し、次いで横方向に延伸し、各方向は元の長さの1~10倍に達した。フィルムを12時間エージングした後、引張試験と弾性試験を行った。以下の表1に示す引張データをASTM D638に従って収集し、ヤング率を
図1に示した。
【0091】
【0092】
曲げ疲労抵抗はASTMD4158に準拠したBally's flexometerで計算し、そのデータを表2に示し、
図2に示した。
【0093】
【0094】
(実施例2)
ポリ‐3‐ヒドロキシブチレートホモポリマー、アセテートモノマー含有量が65~85重量%のエチレンビニルアセテート、アセチルクエン酸トリブチル、および粒子サイズが5μm未満の核剤を押出溶融混練機に添加して、熱可塑性エラストマー材料を得た。この材料を、0.1mm~1.5mm、好ましくは0.1mm~0.6mm、より好ましくは0.5mm~0.8mmの範囲の厚さのキャストフィルムに溶融押出した。次いで、このフィルムを、ポリヒドロキシアルカノエートとエチレン‐酢酸ビニル樹脂の両成分のTg以上、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度でアニールした。次に、このフィルムを長手方向に元の長さの3倍に延伸し、ポリヒドロキシアルカノエートおよびエチレン‐酢酸ビニル樹脂成分の両方のTgを上回り、ポリヒドロキシアルカノエート成分の融点未満の温度で、張力下でヒートソーク(heat soak)を行った。収縮率データのために、さまざまな時間長さと高温で測定を行った(表3および
図3を参照)。
【0095】
【0096】
値の範囲が提供される場合、文脈上明らかにそうでないと指示されない限り、その範囲の上限と下限の間に、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されていると理解される。ある範囲に含まれる任意の規定値または介在値と、その範囲に含まれる他の規定値または介在値との間の、より小さい範囲もそれぞれ包含される。これらの小さい範囲の上限値および下限値は、それぞれ独立して、範囲に含まれることも除外されることもあり、小さい範囲にどちらか、どちらも、または両方の上限値が含まれる各範囲も、記載された範囲内の特に除外された上限値に従って、本発明に包含される。記載された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除いた範囲も含まれる。
【0097】
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照語を含む。従って、例えば、「a process(工程)」は、複数のそのような工程を含み、「the dielectric material(誘電体材料)」は、当業者に公知の1つまたは複数の誘電体材料およびその等価物などを含む。また、本明細書中および以下の特許請求の範囲で使用される場合、「comprise」、「comprising」、「include」、「including」、「includes」(~を含む)という語は、記載された特徴、整数、構成要素、またはステップの存在を特定することを意図しているが、1つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為、またはグループの存在または追加を排除するものではない。
【国際調査報告】