(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】高角度照明出射を伴う単一ファイバ照明レーザプローブ
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61F9/008 120B
A61F9/008
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547860
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2022051424
(87)【国際公開番号】W WO2022180486
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】チェンコアン テャオ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ティー.スミス
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ ミースパッシ
(57)【要約】
本開示は、ファイバと、ファイバを収納するプローブチップを備えたレーザプローブ組立体とに関する。特定の態様において、ファイバは、コアと、コアを囲む外側クラッドと、ファイバの基端部及び/又は先端部における端面とを含む。コアがレーザ光ビームを伝送するように構成される一方で、コア及び外側クラッドは両方とも照明光を伝送するように構成される。特定の態様において、少なくとも外側クラッドの断面に相当する端面の表面領域は、ファイバの照明光出射角度を調整するために粗面化又は研磨工程で処理される。広角照明光のみならずレーザ光ビームを伝送するように構成されたファイバを使用することで、よりコンパクトなファイバ及びプローブチップが可能となり、より幅が狭いプローブを必要とする医療処置が可能となる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより把持されるための形状及び大きさにされたプローブ本体と、
基端面及び前記基端面と反対側の先端面を有するファイバを収容するプローブチップとを含む、レーザプローブ組立体であって、前記ファイバは更に、
レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成されたコアと、
前記コアを周方向に囲み、前記照明光を伝送するように構成された外側クラッドであって、前記外側クラッドに相当する前記基端面又は前記先端面の少なくとも表面領域が粗面化されている、前記外側クラッドと、
前記外側クラッドを周方向に囲むコーティングと
を含む、レーザプローブ組立体。
【請求項2】
前記粗面領域は、前記ファイバの前記基端面又は前記先端面の全領域の少なくとも50%を占める、請求項1に記載のレーザプローブ組立体。
【請求項3】
前記粗面領域は、前記ファイバの前記基端面又は前記先端面の全領域の少なくとも80%を占める、請求項2に記載のレーザプローブ組立体。
【請求項4】
前記外側クラッドに相当する前記基端面及び前記先端面の各々の前記表面領域は、粗面化されている、請求項1に記載のレーザプローブ組立体。
【請求項5】
前記基端面の前記粗面領域は、前記先端面の前記粗面領域と異なる粗さレベルを有する、請求項4に記載のレーザプローブ組立体。
【請求項6】
前記ファイバは、前記コアと前記外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、請求項1に記載のレーザプローブ組立体。
【請求項7】
前記コアに相当する前記基端面及び前記先端面の表面領域は、粗面化されない、請求項1に記載のレーザプローブ組立体。
【請求項8】
ファイバであって、
前記ファイバの基端部における基端面と、
前記ファイバの先端部における先端面と、
レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成されたコアと、
前記コアを周方向に囲み、前記照明光を伝送するように構成された外側クラッドであって、前記外側クラッドに相当する前記基端面又は前記先端面の少なくとも表面領域が粗面化されている、前記外側クラッドと、
前記外側クラッドを周方向に囲むコーティングと
を含む、ファイバ。
【請求項9】
前記粗面領域は、前記ファイバの前記基端面又は前記先端面の全領域の少なくとも50%を占める、請求項8に記載のファイバ。
【請求項10】
前記粗面領域は、前記ファイバの前記基端面又は前記先端面の全領域の少なくとも80%を占める、請求項9に記載のファイバ。
【請求項11】
前記外側クラッドに相当する前記基端面及び前記先端面の各々の前記表面領域は、粗面化される、請求項8に記載のファイバ。
【請求項12】
前記基端面の前記粗面領域は、前記先端面の前記粗面領域と異なる粗さレベルを有する、請求項11に記載のファイバ。
【請求項13】
前記ファイバは、前記コアと前記外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、請求項8に記載のファイバ。
【請求項14】
前記コアに相当する前記基端面及び前記先端面の表面領域は、粗面化されない、請求項8に記載のファイバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年2月23日に出願された「SINGLE FIBER ILLUMINATED LASER PROBE WITH HIGH-ANGLE ILLUMINATION OUTPUT」という表題の米国仮特許出願第63/152,412号明細書の優先権の利益を主張するものであり、その発明者らはChenguang Diao、Ronald T、Smith及びAlireza Mirsepassiであり、その全体が、十分且つ完全に本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、手術処置用の小さなゲージの器具に関し、より具体的には、眼科手術処置中に照明光とレーザ光ビームの両方を伝送するための光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
多様な医療処置において、処置の補助及び患者の生体構造の治療のためにレーザ光が使用される。例えば、レーザ光凝固術において、レーザプローブが網膜上野血管を焼灼するために使用される。いくつかのレーザプローブは、レーザ光を手術部位へ送達するための1つのファイバと、眼の手術処置、例えば両手で行う手術中に照明光を同時に送達するための別個のファイバとを含む光ファイバケーブルを含む。そのような場合、2つのファイバの一方は、レーザビームを送達するためにレーザ源に接続され、他方のファイバは、照明光用の照明源に接続される。次いで、2つのファイバは、光ファイバケーブルの大きさを、ひいては光ファイバケーブルが配置されるプローブチップの大きさを最小限に抑えるために、組み合わされて光ファイバケーブルのチューブ内に密に詰め込まれる。より小さなゲージサイズのプローブチップを使用することは、眼への切込みの大きさの最小化を容易にし(例えば低侵襲の眼の手術)、患者の手術後の回復を早めるのに役立つため有利である。
【0004】
しかしながら、レーザファイバ及び照明ファイバを含む光ファイバケーブルは、照明ファイバ及びレーザファイバの両方がチューブ内に並んで配置される空間がなければならないため、非常に幅の狭いものにしかなり得ない。2つのファイバ自体の幅を狭めることは、医療処置を行うには低いレーザ結合効率及び不十分な照明をもたらす。更に、2つの別個のファイバ(一方のファイバはレーザビームのためであり、他方のファイバは照明光のためである)を一体化するためのプローブの製造は複雑であり、プローブを製造するコストは高い。加えて、プローブの熱堅牢性は、照明光のために使用されるプラスチック製ファイバ、及びプローブの先端部でファイバを一緒に接合するために使用される接着剤を原因として、高いレーザ出力においては問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、当技術分野では、高いレーザ結合効率を維持しながら高角度照明出射をもたらす改良された単一ファイバ照明レーザプローブが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態によれば、ユーザにより把持されるような形状及び大きさにされたプローブ本体と、基端面及び基端面と反対側の先端面を有するファイバを収容するプローブチップとを含む、レーザプローブ組立体が提供される。ファイバは、コアと、コアを周方向に囲む外側クラッドと、外側クラッドを周方向に囲むコーティングとを更に含む。コアは、レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成される。外側クラッドは照明光を伝送するように構成される。外側クラッドに相当するファイバの基端面又は先端面の少なくとも表面領域は、粗面化される。
【0007】
特定の実施形態によれば、ファイバの基端部における基端面と、ファイバの先端部における先端面とを含む、ファイバが提供される。ファイバは、コアと、コアを周方向に囲む外側クラッドと、外側クラッドを周方向に囲むコーティングとを更に含む。コアは、レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成される。外側クラッドは照明光を伝送するように構成される。外側クラッドに相当するファイバの基端面又は先端面の少なくとも表面領域は、粗面化される。
【0008】
上記で記載した本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、そのいくつかを添付図面に示す。しかしながら、添付図面は、例示的実施形態を示すにすぎないため、その範囲を限定するとみなされるべきではなく、他の同様に効果的な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の特定の実施形態による、手術標的に送達するためのレーザ光ビーム及び照明光ビームを発生させるシステムの平面図を示す。
【
図1B】本開示の特定の実施形態による、手術用レーザシステムの概略平面図を示す。
【
図2】本開示の特定の実施形態による、プローブの平面図を示す。
【
図3A】本開示の特定の実施形態による、ファイバの異なる図を示す。
【
図3B】本開示の特定の実施形態による、ファイバの異なる図を示す。
【
図4】本開示の特定の実施形態による、ファイバ端面の正面断面図を示す。
【
図5】本開示の特定の実施形態による、内側クラッドを備えたファイバ端面の正面断面図を示す。
【
図6】本開示の特定の実施形態による、プローブチップ及びファイバの部分断面図を示す。
【
図7】本開示の特定の実施形態による、ファイバ端面の正面断面図を示す。
【
図8】本開示の特定の実施形態による、内側クラッドを備えたファイバ端面の正面断面図を示す。
【
図9A】本開示の特定の実施形態による、ファイバの概略断面図を示す。
【
図9B】本開示の特定の実施形態による、ファイバの概略断面図を示す。
【
図9C】本開示の特定の実施形態による、ファイバの概略断面図を示す。
【
図10】本開示の特定の実施形態による、ファイバを形成する方法のフロー図を示す。
【
図11A】本開示の特定の実施形態による、
図10の方法の異なる動作に対応するファイバの異なる状態を示す。
【
図11B】本開示の特定の実施形態による、
図10の方法の異なる動作に対応するファイバの異なる状態を示す。
【
図11C】本開示の特定の実施形態による、
図10の方法の異なる動作に対応するファイバの異なる状態を示す。
【
図12A】本開示の特定の実施形態による、ファイバの異なる図を示す。
【
図12B】本開示の特定の実施形態による、ファイバの異なる図を示す。
【
図13】本開示の特定の実施形態による、内側クラッドを備えたファイバの側断面図を示す。
【
図14】本開示の特定の実施形態による、ファイバを形成する方法のフロー図を示す。
【
図15A】本開示の特定の実施形態による、
図14の方法の異なる動作におけるファイバの異なる状態を示す。
【
図15B】本開示の特定の実施形態による、
図14の方法の異なる動作におけるファイバの異なる状態を示す。
【
図15C】本開示の特定の実施形態による、
図14の方法の異なる動作におけるファイバの異なる状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にする目的で、可能な場合、複数の図面で共通の同一の要素を示すために同一の参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0011】
以下の説明では、開示する主題の理解を容易にするために、詳細が例として記載される。しかしながら、開示する実装形態が例であり、全ての可能な実装形態を網羅するものではないことは、当業者に明らかであるはずである。したがって、説明する例への言及は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。説明するデバイス、器具、方法に対する任意の変更形態及び更なる修正形態並びに本開示の原理の更なる任意の応用形態は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうことが完全に想定される。特に、1つの実装形態に関して説明する特徴、コンポーネント及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明する特徴、コンポーネント及び/又はステップと組み合わされ得ることが完全に想定される。
【0012】
本開示の実施形態は、概して、手術処置用のファイバ及びレーザプローブ組立体に関する。ファイバは、レーザ光ビームを伝送するコアと、照明光を伝送するコア及びコアを囲む外側クラッドとを含む。レーザプローブ組立体はファイバを含み、レーザプローブ組立体は、ユーザがレーザ光ビーム及び照明光を単一のファイバ内において導くことを可能にする。更に、ファイバの1つ又は複数の端面(例えば、表面)は、ファイバの照明出射(例えば、広がり)角度を増大させるために処理され得る。概して、端面は、かかる効果を達成するために2つの方法の少なくとも一方で処理され得る。特定の例において、ファイバの1つ又は複数の端面は、処理済み端面の照明光散乱特性を向上させるために粗面化工程で処理される。特定の例において、1つ又は複数の端面は、処理済み端面の照明光散乱特性を向上させるために研磨工程により角度が付けられる。端面処理は、粗面化すること及び/又は角度を付けることを含むかどうかにかかわらず、外側クラッドに相当する1つ又は複数の端面の表面領域に限定され、したがって、ファイバからの照明光の伝搬にのみ影響を及ぼし得る。よって、ファイバの照明出射角度を増大させ得る一方で、レーザビーム効率及びレーザビームスポットサイズは、光凝固性能を維持するために影響を受けないままである。処理済み端面を有する同じファイバ内でのレーザ光及び照明光の伝送の組合せにより、より小さなゲージのプローブを必要とする医療処置中に視認性を高めることを可能にする、照明が改善されたよりコンパクトな光ファイバケーブルが得られる。本開示の実施形態は、限定されるものではないが、レーザ光と広角照明光の両方を伝送できるファイバに特に有用であり得る。
【0013】
本明細書で使用する際、「約」という用語は、公称値からの±10%の変動を指し得る。このような変動は、本明細書で提供するいずれの値にも含まれ得ることを理解されたい。
【0014】
図1Aは、本開示の特定の実施形態による、手術標的への送達のための照明ビーム及びレーザ光ビームを発生させるためのシステム100の平面図を示す。図示のように、システム100は手術用レーザシステム102とプローブ108とを含む。システム100は、例えば、患者の眼125の網膜120に送達される照明ビーム150及びレーザ光ビーム113を生成する。
【0015】
手術用レーザシステム102は、眼科処置中に使用できるレーザ光ビームを発生させるためのいくつかのレーザ光源(例えば1つ又は複数のレーザ光源)を含む。よって、手術用レーザシステム102は、レーザ光ビーム113(例えば外科治療ビーム)を発生させるように構成された眼科手術用レーザシステムであり得る。ユーザ、例えば外科医又は他の医療従事者は、患者の生体構造を治療する、例えば光凝固術を実施するためにレーザ光ビーム113を発射するように、(例えば、フットスイッチ、音声命令、手術用コンソールなどを用いて)手術用レーザシステム102を制御することができる。場合により、手術用レーザシステム102はポートを含み、照明ビーム150及びレーザ光ビーム113は手術用レーザシステム102においてポートを通じて放射され得る。
【0016】
システム100は、光ファイバケーブル110に含まれるファイバを介してポートからプローブ108にレーザ光ビーム113及び照明光150を送達することができ、光ファイバケーブル110の基端部は、ポートアダプタ114を介して手術用レーザシステム102のポートに結合する。図示のように、プローブ108は、プローブ本体112と、プローブチップ140と、プローブチップの先端部145とを含む。動作中、手術用レーザシステム102のレーザ光源がレーザ光ビーム113を発生させる一方で、照明光源は照明光150を発生させる。手術用レーザシステム102は、レーザ光ビーム113及び照明光150を多重ビーム152へと多重化する。多重ビーム152は、多重ビームがファイバの長さ全体に沿って伝送されるように、多重ビームを光ファイバケーブル110内のファイバの基端部のインターフェイス平面上に集束させるように手術用レーザシステム102のレンズへ導かれる。ファイバの基端部のインターフェイス平面は、ポートアダプタ114であって光ファイバケーブル110が手術用レーザシステム102につながるポートアダプタ114に挿入されたフェルールにより露出される。
【0017】
多重ビーム152は、光ファイバケーブル110の先端部に配置されたプローブ108にファイバにより伝送される。多重ビーム152は、プローブチップ140から出て、網膜120上に投射される。したがって、手術用レーザシステム102は、光ファイバケーブル110のファイバを通じて多重ビーム152を網膜120に送達するように構成される。多重ビーム152は、手術処置のためのレーザ光ビーム113と処置中にユーザを支援するための照明光150の両方を含むが、レーザ光ビーム113と関連するビームはより幅が狭い。
【0018】
本明細書において、コンポーネントの先端部は患者の身体により近い端部、又はレーザ光ビーム113がレーザプローブ112から放射される場所を指すことに留意されたい。他方、コンポーネントの基端部は、患者の身体から離れる方を向く、例えば手術用レーザ源102に近接する端部を指す。
【0019】
図1Bは、本開示の特定の実施形態による、手術用レーザシステム102の平面図を示す。図示のように、手術用レーザシステム102は、第1のレンズ104(例えばコリメーティングレンズ)と、ビームスプリッタ107と、光ファイバケーブル110と、第2のレンズ105(例えば集束レンズ)と、照明光源103と、レーザ光源109とを含む。ビームスプリッタ107は第1のレンズ104から下流にあり、第2のレンズ105はビームスプリッタ107から下流にあり、光ファイバケーブル110は第2のレンズ105から下流にある。
【0020】
照明光源103は照明光150を放射する。照明光150は、限定されるものではないが、可視光線又は白色光を含む任意のスペクトルの光とすることができる。照明光源103は、発光ダイオード(LED)、広帯域レーザ、又はキセノン若しくはハロゲン光源などのインコヒーレント光源とすることができる。図示のように、照明光150が平行な光線を含む光ビームに変換されるように、照明光150は、第1のレンズ104によりコリメートされる。第1のレンズ104は、平凸又は両凸のレンズを含む任意のレンズとすることができる。ビームスプリッタ107は、僅かな光がビームスプリッタに反射した状態で、照明光150がビームスプリッタ107を通過することを可能にする。次いで、照明光150は、図示のように、第2のレンズ105により集束される。第2のレンズ105は、平凸又は両凸のレンズを含む、光を集束させるために使用される任意のレンズとすることができる。照明光150及びレーザ光ビーム113は、多重ビーム152として光ファイバケーブル110で集束されるとともに入射し、これは以下でより詳細に説明される。
【0021】
第2のレンズ105は、光ファイバケーブル110内に含まれるファイバの基端部のインターフェイス平面内に多重ビーム152を集束させる。図示のように、光ファイバケーブル110は、ポートアダプタ114を通じて手術用レーザシステム102に結合され、ポートアダプタ114は、光ファイバケーブル110内に含まれるファイバの基端部のインターフェイス平面を露出させるフェルール115を受ける。より具体的には、ファイバの基端部のインターフェイス平面はフェルール115の開口部117を通じて露出される。第2のレンズ105は、ケーブル110に結合された手術用プローブ(例えば
図1のプローブ108)の先端部へファイバを通して多重ビームを伝搬させるように、多重ビーム152をファイバの基端部のインターフェイス平面上に集束させる。
【0022】
光ファイバケーブル110は、いくつかの実施形態では、コアと外側クラッドとを有するファイバ(例えばファイバ300であって、その一部分311が
図4に示されているファイバ300)と、コーティングとを含み得る。そのような実施形態において、第2のレンズ105は、照明光150をコア及び外側クラッドの両方に集束させるように構成され、この場合、外側クラッド及びコアは両方とも照明光150を伝送する。
【0023】
なおいくつかの他の実施形態において、光ファイバケーブル110は、コアと、内側クラッドと、外側クラッドと、コーティングとを有するファイバ(例えばファイバ500であって、その一部分511が
図5に示されているファイバ500)を含み得る。そのような実施形態において、照明光150はコア、内側クラッド、及び外側クラッドに集束され、この場合、コア、内側クラッド、及び外側クラッド全てが照明光150を伝送する。
【0024】
レーザ光源109はレーザ光ビーム113を放射する。レーザ光ビーム113は、約532nm(ナノメートル)~約635nmなどの、任意の所望の波長を有することができる。レーザ光源109は、ユーザが望む様々な波長を放射することができる。レーザ光ビーム113は、ビームスプリッタ107により集束レンズ105へ反射される。次いで、レーザ光ビーム113は、第2のレンズ105により、多重ビーム152の一部として、光ファイバケーブル110の基端部のインターフェイス平面上に集束される。レーザ光ビーム113は、光ファイバケーブル110のコアにより伝送される。手術用レーザシステム102は、照明光150とレーザ光ビーム113の両方を多重ビーム152として光ファイバケーブル110へ提供する。したがって、コアと外側クラッドとを含む光ファイバケーブル110における単一のファイバは、レーザ光ビーム113(コアを通じて)と照明光150(外側クラッド及びコアを通じて)の両方を同じファイバにおいて伝送することができる。
【0025】
図2は、本開示の特定の実施形態による、プローブ108の平面図を示す。上述のように、プローブ108は、ユーザにより把持されるような形状及び大きさにされたハンドピース又はプローブ本体112を含む。プローブ本体112から延在するのは、先端部145を備えたプローブチップ140である。光ファイバケーブル110は典型的には、操作中にファイバを保護するためのポリ塩化ビニル(PVC)チューブに囲まれたファイバ(例えば
図3のファイバ300、
図5のファイバ500など)を含む。ファイバは、プローブ本体112を貫通してプローブチップ140内に延在する。多重ビーム152(
図1Aに示す)は、ファイバの先端部から、それによりプローブチップ140の先端部145から網膜上へと発散する。いくつかの実施形態において、プローブチップ140は、第1の直線部分250と第2の曲線部分251とを含む。第1の直線部分250は、プローブチップのスリーブを含み、第2の曲線部分251は、ファイバを囲むチューブを含む。
図2の実施形態は単に例として示されている。他の例では、プローブチップは、第1の直線部分250と、第2の曲線部分251とを含み得るが、スリーブを含まない。当業者が認め得るように、様々な他の構成もまた可能であり得るとともに本開示の範囲から外れない。
【0026】
図3A~
図3Bは、本開示の特定の実施形態による、ファイバ300を示す。図示のように、ファイバ300は、コア302と、外側クラッド304と、コーティング306(例えば、低屈折率のクラッド)と、バッファ308とを含む。バッファ308は、プラスチック、例えばエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を含むことができる。バッファ308は、ファイバ300の基端部310をフェルールに挿入できるように、ファイバ300の基端部310で剥ぎ取られる。いくつかの実施形態によれば、バッファはまた、ファイバ300の先端部312をプローブチップ140に挿入できるように、ファイバ300の先端部312で剥ぎ取られる。
【0027】
図4は、本開示の特定の実施形態による、ファイバ300の端面311の正面断面図を示す。端面311は、例えば、基端部310又は先端部312のいずれかに位置する、ファイバ300の基端面又は先端面であり得る。端面311は、外側クラッド304内に配置されたコア302を含み、外側クラッド304は、溶融シリカを含み得る材料を含む。しかしながら、端面311は、バッファ308が端部310、312の周りから剥ぎ取られているため、バッファ308を含まないことに留意されたい。手術用レーザシステム102のレーザ光源により提供されたレーザ光ビーム113(
図1Aに示す)は、ファイバ300のコア302内へ導かれる。したがって、コア302は、レーザ光ビーム113をファイバ300の長さに沿って導く。コア302及び外側クラッド304は両方とも、溶融シリカを含み得る。しかしながら、コア302は、コア302の屈折率を上昇させるドーパントでドープされる。それゆえ、コア302に沿って移動するレーザ光ビーム113がコア302内に含まれるとともにコア302から外側クラッド304内へと漏れるのを防ぐように、コア302の屈折率は、外側クラッド304の屈折率よりも大きい。一例において、ドーパントは、ゲルマニウム(Ge)を含むことができる。コア302及び外側クラッド304は、手術用レーザシステム102から照明光150(
図1Aに示す)を伝送する。したがって、コア302及び外側クラッド304を含む単一のファイバは、レーザ光ビーム113(コア302を通じて)及び照明光150(外側クラッド304及びコア302を通じて)の両方を同時に伝送することができる。加えて、
図3のファイバ300又は
図5のファイバ500などにおいて照明光150を伝送するために溶融シリカを使用することは、従来のプラスチックで作られた従来の照明ファイバと比べてより熱的に安定的なファイバをもたらし、2つのファイバを接合するために接着剤を使用する必要はなく、このことはファイバをより熱的に堅牢にする。
【0028】
外側クラッド304の上にはコーティング306が形成される。コーティング306は、クラッド306と呼ばれることもあることに留意されたい。場合により、コーティング306は硬質ポリマーコーティングである。別の例において、コーティング306は、他の材料、例えばアクリレートから形成される。外側クラッド304に沿って移動する照明光150が外側クラッド304内に含まれるとともに外側クラッド304からコーティング306内へ漏れることを防ぐように、コーティング306の屈折率は、外側クラッド304の屈折率よりも小さい。特定の実施形態において、いくつかの手術例において必要とされる幅広い照明を提供するために、外側クラッド304とコーティング306との間の開口数(NA)は約0.5よりも大きい。
【0029】
図5は、本開示の特定の実施形態による、内側クラッド503を備えた別のファイバ500の端面511の正面断面図を示す。端面511は、ファイバのバッファが剥ぎ取られているファイバ500の基端部又は先端部のいずれかに位置し得る。
図5では、内側クラッド503はコア502を囲み、外側クラッド304は内側クラッド503を囲む。いくつかの実施形態によれば、内側クラッド503は、ドーパントでドープされた溶融シリカを含み得、ドーパントは、フッ素、塩素、ホウ素、又は上記の任意の組合せを含む。ドーパントは、内側クラッド503の光学特性、例えば屈折率を変える。特定の実施形態において、コア502と内側クラッド503との間のNAは、約0.20~約0.30、例えば約0.22である。内側クラッド503は、レーザ光ビーム113の部分又は全内部反射を引き起こすことにより、レーザ光ビーム113が外側クラッド304に入らないようにし、したがってレーザ光ビーム113をコア502内に保つ。上述のように、
図5の例において、照明光150が手術用レーザシステムによりコア502、内側クラッド503及び外側クラッド304に集束される一方で、レーザ光ビーム113はコア502に集束される。
【0030】
図4及び
図5を参照すると、特定の実施形態において、コア302、502の直径は約70μm~約80μmであり、外側クラッド304の外径は約290μm~約300μmであり、コーティング306の外径は約320μm~約330μmである。一実施形態によれば、コア302、502の中心302c、502cの位置は、外側クラッド304の中心304cとおよそ同じ位置である。
【0031】
図6は、本開示の特定の実施形態による、プローブチップ140の部分断面図を示す。ファイバ、例えばファイバ500の先端部512は、チューブ602により部分的に囲まれ、チューブは、プローブチップ140のスリーブ624により囲まれる。チューブ602は、任意の適切な材料、例えば、ニチノール、ニッケルチタン、ステンレス鋼、MP35N(例えば、ニッケル-コバルト基合金)、又は他の合金を含むことができる。スリーブ624は、例えばステンレス鋼を含むことができる。
図6の例において、ファイバの先端部512及びファイバを囲むチューブ602の先端部は、プローブチップ140のスリーブ624の先端部を越えて延在する。したがって、プローブチップ140の第1の直線部分250がスリーブ624を含む一方で、プローブチップの第2の曲線部分251はスリーブを含まないが、先端部512は、依然として第2の曲線部分においてチューブ602により囲まれる。他の実施形態において、スリーブ624は、プローブチップ140全体にわたって先端部512全体を覆うように延在する。他の実施形態において、プローブチップ140はチューブ602を含み、スリーブ624は含まれない。
図6に示す先端部512は内側クラッド503を含むが、光ファイバケーブルは代わりに、一般性の喪失なしに、
図4の実施形態(この実施形態は内側クラッドを含まない)に類似することができる。上述のように、
図6の実施形態は単に例として示されている。当業者は、本開示の範囲から外れない異なる構成(例えば完全に真っ直ぐなプローブチップ、又は先端部がファイバ500の先端部及びチューブ602と同一平面にあるプローブチップ)を備えた他の実施形態も認め得る。
【0032】
図7は、本開示の特定の実施形態による、ファイバの端面711の正面断面図を示す。端面711は、ファイバ300の先端面及び/又は基端面であり得、端面711の一部は、ファイバの照明光出射角度を増大させるために端面粗面化処理にさらされる。端面711は、
図4に示す端面311と同様に、外側クラッド304により周方向に囲まれたコア302と、コーティング306により周方向に囲まれた外側クラッド304とを含む。図示のように、外側クラッド304及び/又はコーティング306の断面に相当する端面711の表面領域は、少なくとも部分的に粗面化又は粗化される(ハッチマーク720で表す)一方で、少なくともコア302の断面に相当する端面711の表面領域は、実質的に平滑である。粗面領域は、端面711が、以下でより詳細に説明する、粒子研磨処理に選択的にさらされる製造工程中に形成され得る。粒子研磨処理により、光散乱特性を向上させた表面領域が作り出される。しかしながら、平滑な(例えば、平坦)な表面領域は、略均一な表面を確保し、したがって、表面領域の光透過特性を維持するために、前述の製造工程の間、未処理のままである。特定の実施形態において、平滑な又は未処理の表面領域は、コア302の直径とほぼ同じか又はそれよりも僅かに大きな直径を有する。
【0033】
上述のように、レーザ光ビーム113などの、レーザ光は、コア302内を伝搬する一方で、照明光ビーム150などの、照明光は、コア302内と外側クラッド304内の両方を伝搬する。よって、外側クラッド304及び/又はコーティング306の断面に相当する端面711の表面領域を粗面化することにより、端面711での照明光の角度広がりを増大又は拡大させ、したがって、ファイバの全体的な照明光出射角度を増大させる。特定の実施形態において、少なくとも1つの処理済み端面711を有するファイバの照明光出射角度は、両端面が未処理のままであるファイバと比較して、約0.05NA~約0.25NAの間、例えば約0.1~約0.2NAの間で増大させる。更に、コア302の断面に相当する端面711の表面領域を実質的に平滑なままにすることにより、コア302を通してのみ伝搬させる、レーザ光ビーム113のレーザビーム効率及びスポットサイズは影響を受けないままであり、したがって、照明光の広がり角度が改善される一方で光凝固効率が維持される。
【0034】
図8は、本開示の特定の実施形態による、ファイバの照明光出射角度を改善するために一部が端面粗面化処理にさらされた別のファイバの端面811の正面図を示す。端面811は、ファイバ500の先端面又は基端面であり得、コア502を周方向に囲む内側クラッド503と、内側クラッド503を周方向に囲む外側クラッド304と、外側クラッド304を周方向に囲むコーティング306とを含む。図示のように、外側クラッド304及び/又はコーティング306の断面に相当する端面811の表面領域は、ファイバの照明光角度広がりを増大させるために粗面化処理にさらされる(ハッチマーク720で表す)。しかしながら、少なくともコア502及び内側クラッド503の断面に相当する端面811の表面領域は、コア502内を伝搬するレーザ光ビーム113のレーザビーム効率及びスポットサイズを維持するために、実質的に平滑なまま又は未処理のままである。特定の実施形態において、平滑な又は未処理の表面領域の直径は、内側クラッド503の直径と実質的に同じか又はそれよりも大きい。
【0035】
特定の実施形態において、端面711、811の粗面領域は、約1.5μm~約6μmの深さ又は振幅を有する特徴を含む。特定の実施形態において、粗面領域は、端面711、811の全表面領域の少なくとも約50%、例えば全表面領域の少なくとも約80%、例えば全表面領域の少なくとも約90%を占める。
【0036】
更に明確にするために、
図9A~
図9Cは、上述のファイバ300及び500と同様の、いくつかのファイバの基端面911A及び先端面911Bを通って伝搬する照明光及びレーザ光の概略断面図を示す。
図9Aは、基端面911Aも先端面911Bも粗面化されていないファイバ900を示す。図示のように、レーザ光線113aは、基端面911Aにおいてコア302に入り、最小入射角度Lを有してコア302内で反射し、ファイバの中心軸線に対して出射角度αで先端面911Bにおいてコア302から出る。同時に、照明光線150aは、基端面911Aにおいて外側クラッド304に入り、最小入射角度I1を有して外側クラッド304内で反射し、ファイバの中心軸線に対して出射角度φ1で先端面911Bにおいて外側クラッド304から出る。
【0037】
図9Bは、外側クラッド304の断面に相当する基端面911Aの表面領域が粗面化されており(鋸歯状縁部920で表す)、表面領域を通過してファイバに入る照明光線150aの拡散散乱(例えば、角度広がりの増大)を生じさせるファイバ901を示す。拡散散乱した照明光線150aは、角度I1よりも小さな最小入射角度I2を外側クラッド304内で有し、したがって、出射角度φ1よりも大きな出射角度φ2で外側クラッド304から出る。しかしながら、コア302に入りコア302を通って伝搬するレーザ光線113aは、最小入射角度Lを維持し、ひいては出射角度αも維持し、その結果、レーザビームの品質が保たれる。
【0038】
図9Cは、外側クラッド304の断面に相当する先端面911Bの表面領域が粗面化されている(鋸歯状縁部920で表す)ファイバ902を示す。よって、外側クラッド304内で反射する照明光線150aは、
図9Aと同じ最小入射角度I1を有するが、照明光線150aは、粗面により生じる拡散散乱の結果として出射角度φ1よりも大きな出射角度φ3で先端面911Bにおいて外側クラッド304から出る。
図9Bと同様に、コア302を通って伝搬するレーザ光線113aは、コア302に相当する先端面911B又は基端面911Aのいずれの表面領域も粗面化されていないので、最小入射角度L及び出射角度αを維持する。よって、
図9Bと同様に、ファイバ902の先端面911Bにおける照明光線150aの角度広がりを増大させる一方で、レーザビームのスポットサイズ及び効率は維持される。
【0039】
しかしながら、
図9B及び
図9Cの各々では、ファイバの一方の端面のみが粗面化されているが、特定の実施形態では、ファイバの所望の照明光出射角度を達成するために、ファイバの両端面が粗面化され得ることに留意すべきである。更に、ファイバの各端面は、異なる粗さレベル又は粗さ度合いに粗面化され得る。端面間の粗さレベルの差又は差異は、粗面化された単一の端面を有する場合又は同様の粗さレベルを有する2つの端面を有する場合と比較して、照明光のより大きな角度広がりを容易にし得る。特定の例において、先端面は、先端面のみの粗面化と比較して空気及び塩水媒体中でのより大きな出射角度広がりのために基端面よりも著しく粗面化される一方で、基端面のみの粗面化と同様の照明光スループットも維持する。
【0040】
図10は、本開示の特定の実施形態による、ファイバの端面を処理してファイバの照明光出射角度を増大させるための方法1000のフロー図を示す。
図11A~
図11Cは、
図10に示す方法1100の異なる段階におけるファイバの端面1111の正面図を概略的に示す。それゆえ、
図10及び
図11A~
図11Cは、本明細書では、明瞭にするために一緒に説明される。
【0041】
方法1000は、上述の端面711、811を形成するために利用され得る。特定の実施形態において、ファイバの先端面又は基端面の一方のみが、本明細書で説明する方法に従って処理される。特定の他の実施形態において、ファイバの先端面と基端面の両方が処理される。概して、方法1000は、動作1010及び
図11Aで開始し、マスク1130が、少なくともコア(
図11Cにはコア502が示されている)の断面に相当する端面1111の表面領域に、特定の実施形態では、ファイバの内側クラッド(例えば、内側クラッド503)に適用される。例えば、マスク1130は、コア302又は内側クラッド503の直径と実質的に同じ又はそれよりも大きな直径を有し得る。特定の実施形態において、マスク1130は、マスク1130を紫外線に露光することにより端面1111への塗布時に硬化させる、UV接着剤又はエポキシなどの、接着剤を含む。マスク1130の適用に先立って、端面1111は、マスク1130のより良好な接着を容易にし及び/又はコア502への若しくはコア502からのレーザ光ビーム113の最適な伝搬のためのより鏡面性の高い表面を形成するために平坦研磨され得る。
【0042】
動作1020及び
図11Bにおいて、マスクした端面1111は、約10μm~約20μm、例えば12μmの直径を有する酸化アルミニウム(AlO2)粒子を利用するサンドブラスト工程などの、粒子研磨工程にさらされる。その結果、端面1111の露出した表面領域、例えば、ファイバの外側クラッド(例えば、外側クラッド304)及びコーティング(例えば、コーティング306)の断面に相当する端面1111の表面領域は、粒子研磨工程により少なくとも部分的に粗面化又は粗化される(
図11Bにハッチマーク1120として表す)一方で、マスク1130により保護された表面領域、例えばファイバのコアの断面に相当する表面領域は影響を受けない。端面1111により生じる照明光散乱量は、端面1111の粗さレベル又は度合いと相関関係がある。したがって、粒子研磨工程にさらされる時間を増加させるか、又は端面1111を研磨する粒子の速度を増加させることにより、端面1111により生じる照明光散乱量が増加し得る。前述のように、ファイバの先端面と基端面の両方が処理される実施形態では、基端部及び先端部の各々について粗さ度合いを変えてもよい。例えば、基端部は、先端部が比較的著しく粗面化される一方で、比較的軽度に粗面化され得るか、又はその逆も然りである。端面間の粗さレベルの差は、粗面化された単一の端面を有する場合又は同様の粗さレベルを有する2つの端面を有する場合と比較して、照明光のより大きな角度広がりを容易にし得る。
【0043】
粒子研磨工程の後に、マスク1130が除去され、動作1030及び
図11Cで端面1111が洗浄される。例えば、端面1111は、マスク1130を除去して端面1111を洗浄するためにアルコール溶液を利用する超音波洗浄工程にさらされる。結果として得られる端面1111は、ファイバの少なくともコアの断面に相当する略平面領域と、少なくとも外側クラッドの断面に相当する粗面領域(
図11Cにハッチマーク1120として表す)とを含む。
【0044】
既に述べたように、ファイバの端面は、光ファイバケーブルの照明出射角度を増大させる2つの方法の少なくとも一方で処理され得る。
図7~
図11Cを参照して説明したように粗面化工程にさらされることに加えて、ファイバの1つ又は複数の端面は、光ファイバの照明光散乱特性を向上させるために研磨工程により角度が付けられるか又は面取りされ得る。
【0045】
図12A及び
図12Bは、本開示の特定の実施形態による、略円錐台形端面1211を有するファイバの面取り端部1212の斜視図及び部分断面図をそれぞれ示す。端部1212は、ファイバ300の先端部又は基端部であり得、この先端部又は基端部は、ファイバの照明光出射角度を増大させるために斜め研磨工程にさらされる。端部1212は、
図4に示す部分311と同様に、外側クラッド304により周方向に囲まれたコア302を含み、外側クラッド304は、コーティング306により周方向に囲まれる。少なくともコア302の断面に相当する端面1211の表面領域1214は、平面であり、端部1212の中心軸線1240に対して実質的に直交する。特定の実施形態において、端部1212の平面領域1214は、コア302の断面全体と、外側クラッド304の断面の一部分とに相当する。例えば、端部1212の平面領域1214は、コア302の直径よりも約20%~約40%大きな直径などの、コア302の直径と実質的に同じか又はそれよりも大きな直径を有し得る。
【0046】
その一方で、外側クラッド304の断面に相当する端面1211の表面領域1216は、平面領域1214に対して角度が付けられる。傾斜面領域1216は、平面領域1214に対して角度θをなして配置される。特定の実施形態において、角度θは、平面領域1214に対して約0°~約20°である。特定の実施形態において、角度θは、平面領域1214に対して約60°~約80°である。他の角度も考慮される(例えば、角度θは、表面領域1314に対して約20°~約60°であり得る)。平面領域1214と傾斜面領域1216とは一緒になって、端面1211の円錐台形状を形成する。
【0047】
端部1212の面取り構造は、
図7~
図11Cを参照して上述した粗面領域と同様に機能し、ファイバの照明光出射角度を増大させる。上述のように、レーザ光ビーム113などの、レーザ光は、端面1211の平面領域1214を通してコア302内に又はコア302の外に伝送され、したがって、端部1212の面取り構造による影響を受けないままである。しかしながら、照明光ビーム150などの、照明光は、コア302内と外側クラッド304内の両方に又はコア302の外と外側クラッド304の外の両方に伝送される。したがって、外側クラッド304を通過する照明光は、平面状端面表面と比較して端面1211における照明光の角度広がりを増大させる、傾斜面領域1216により屈折される。端面1211における照明光の角度広がりの増大により、ファイバの全体的な照明光出射角度の増大がもたらされる。よって、ファイバの照明光出射角度は、レーザビームの品質を保持しながら、表面領域1214に対する表面領域1216の角度を増加又は減少させることにより調整することができる。特定の実施形態において、少なくとも1つの面取り端部1212を有するファイバの照明光出射角度は、2つの平面状の(例えば、完全に平坦な)端面を有するファイバと比較して、約0.05NA~約0.25NAの間、例えば約0.1NA~約0.2NAの間で増大させることができる。
【0048】
図13は、本開示の特定の実施形態による、ファイバの照明出射角度を増大させるための傾斜端面1311を有するファイバの別の面取り端部1312の部分断面図を示す。端面1311は、
図5に示すファイバ500の先端面又は基端面であり得、コア502を周方向に囲む内側クラッド503と、内側クラッド503を周方向に囲む外側クラッド304と、外側クラッド304を周方向に囲むコーティング306とを含む。少なくともコア502及び内側クラッド503の断面に相当する端面1311の表面領域1314は、平面であり、端部1312の中心軸線1340に対して実質的に直交する。特定の実施形態において、端部1312の平面領域1314は、コア502及び内側クラッド503の断面全体と、外側クラッド304の断面の一部分とに相当する。例えば、平面領域1314は、内側クラッド503の直径と実質的に同じ又はそれよりも大きな直径、内側クラッド503の直径よりも約20%~約40%大きな直径などを有し得る。
【0049】
外側クラッド304及び/又はコーティング306の断面に相当する端面1311の表面領域1316は、表面領域1314に対して角度θをなして配置される。特定の実施形態において、角度θは、表面領域1314に対して約0°~約20°である。特定の実施形態において、角度θは、表面領域1314に対して約60°~約80°である。他の角度も考慮される(例えば、角度θは、表面領域1314に対して約20°~約60°であり得る)。表面領域1316の角度は、表面領域1316を通過する照明光150の角度広がりを調整するように機能する。
【0050】
傾斜面領域1216及び1316は、
図12A~
図13では鏡面として示されているが、特定の実施形態では、傾斜面領域1216及び1316を通過する照明光150の角度広がりを更に増大させるために(例えば、上述の技術を使用して)粗面化される。特定の実施形態において、傾斜面領域1216及び1316は、切断部が非線形である(例えば、面取り端面1211及び1311の断面は、表面領域1216及び1316の非線形縁部を含む)。例えば、特定の実施形態において、傾斜面領域1216、1316は、傾斜面領域1216、1316を通過する照明光150のより大きな角度広がりのために、波状の形態であるか又は起伏のある形態である。
【0051】
図14は、本開示の特定の実施形態による、ファイバの端部を研磨して面取り端面を形成しファイバの照明光出射角度を増大させるための方法1400のフロー図を示す。
図15A~
図15Cは、
図14に示す方法1400の異なる段階におけるファイバの端部1512の断面図を概略的に示す。それゆえ、
図14及び
図15A~
図15Cは、本明細書では、明瞭にするために一緒に説明される。
【0052】
方法1400は、上述の端面1211、1311を有する端部1212、1312を形成するために利用され得る。特定の実施形態において、ファイバの先端面又は基端面の一方のみが、本明細書で説明する方法に従って研磨される。特定の他の実施形態において、ファイバの先端面と基端面の両方が研磨される。概して、方法1400は、動作1410及び
図15Aで開始し、
図15Aでは、バッファ308などのジャケット1508がファイバから剥ぎ取られている(
図15Aには、ファイバの端部1512が示されている)。特定の例では、ジャケット1508は、ETFEなどの、プラスチックで形成される。
【0053】
動作1420及び
図15Bでは、端部1512は、傾斜面領域1516を形成するように端面1511の周縁部に沿って研磨される。動作1420での研磨工程は、1つ又は複数の所望の角度で行われ、平面状上面領域1514に対して少なくとも角度θを有する傾斜面領域1516を形成する。平面領域1514と傾斜面領域1516とは一緒になって、端面1511の面取り形状を形成し得る。特定の実施形態において、研磨工程は、上述のように、非線形テーパを有する傾斜面領域1516を形成するように複数の所望の角度で行われる。傾斜面領域1516の非線形性を向上させることで、非線形性により生じる照明光散乱量が増加し得るので、端面1511における角度広がりの度合いは、表面領域1516の直線性(例えば、表面領域1514に対する角の数)を修正することにより調整され得る。
【0054】
いくつかの例において、傾斜面領域1516は、平面領域1514に対して約0°~約20°の角度θを有するように研磨される。いくつかの例において、傾斜面領域1516は、平面領域1514に対して約60°~約80°の角度θを有するように研磨される。他の角度も考慮される(例えば、角度θは、平面領域1514に対して約20°~約60°であり得る)。ファイバの先端部と基端部の両方が面取りされる実施形態では、基端部及び先端部の各々について角の数及び角度を変えてもよい。端部間の面取りの違いは、ファイバにより放射される照明光の更に大きな角度広がりを容易にし得る。
【0055】
傾斜面領域1516の形成時に、動作1430及び
図15Cでは、平坦研磨工程を使用して、端部1512の平面領域1514が研磨され洗浄される。平坦研磨工程は、平面領域1514の鏡面性を確保し、更に、平面領域1514がコア302の少なくとも断面全体を覆い、したがって、そこから放射されるレーザ光ビーム113の品質を保つことを確実にする。概して、動作1430での研磨工程は、研磨定盤又は研磨板を有する機械式ファイバ研磨装置などの、動作1420で使用されるものと同じ研磨システムを利用して行われ得る。結果として得られる端面1511は、ファイバの少なくともコア302の断面に相当する略平面領域1514と、少なくとも外側クラッド304の断面に相当する傾斜面領域1516とを含む。
【0056】
上述のように、光ファイバケーブルは、コアを通じてレーザ光ビームを、並びにコア及び外側クラッドを通じて照明光を伝送することができる。光ファイバケーブルは、照明光及びレーザ光ビームのための2つの別個のファイバを有さず、むしろ、レーザ光ビームを伝送するためのコアと、照明光を伝送するためのコア及び外側クラッドとを含む1つのファイバを有する。光ファイバケーブルは、医療処置のためのシステムにおいて使用することができ、システムは、焼灼する又は焼くためのレーザ光ビームと、処置の実施中にユーザを支援するための照明光の両方を提供する。
【0057】
レーザ光ビームと照明光の両方を伝送するための組み合わされたコア及び外側クラッドの使用は、よりコンパクトなファイバをもたらし、2つのファイバを互いに接着する必要がなくなる。より幅の狭いファイバは、より薄いプローブチップを必要とする医療処置のために有用である。加えて、光ファイバケーブルは、熱的に不安定な接着剤がないことを原因として、従来の光ファイバケーブルよりも熱的に安定的である。光ファイバケーブルにおいて単一のファイバを使用することは、2つのコネクタ(各ファイバに1つずつ)の必要性をなくし、したがってコネクタが1つのみ必要であり、これにより、2つのファイバの組立体を取り扱う必要がないため製造及び労働コストが削減される。
【0058】
更に、ファイバの一方又は両方の端面における外側クラッドに相当する表面領域を処理することにより、ファイバのレーザビーム性能を維持する一方で大きな照明出射角度を有するコンパクトなファイバが実現される。ファイバの一方又は両方の端面は、コアの周囲に粗面又は傾斜面を形成するように粗面化又は研磨工程により処理される。粗面又は傾斜面は、コアへの又はコアからのレーザ光ビームの伝送に影響を及ぼすことなく、粗面又は傾斜面を通して伝送される照明光の角度広がりを増大させ、したがって、レーザ効率を損なうことなくファイバの照明出射角度の増大をもたらす。したがって、単一のコンパクトなファイバは、より大きな照明広がり角度を必要とする医療処置に利用され得る。
【0059】
例示的実施形態
実施形態1:手術用レーザシステムであって、集束レンズに照明光を放射するように構成された照明光源と、集束レンズにレーザ光ビームを放射するように構成されたレーザ光源と、手術用レーザシステムに結合されたファイバのコア及び外側クラッドに照明光を集束させるとともにファイバのコアにレーザ光ビームを集束させるように構成された集束レンズであって、ファイバは集束レンズよりも下流にある、集束レンズとを含み、ファイバは、ファイバの基端部における基端面であって、基端部は手術用レーザシステムに結合される、基端面と、ファイバの先端部における先端面であって、先端部はレーザプローブ組立体に結合される、先端面と、照明光及びレーザ光ビームを伝送するように構成されたコアと、コアを周方向に囲み、照明光を伝送するように構成された外側クラッドであって、外側クラッドに相当する基端面又は先端面の少なくとも表面領域は粗面化される、外側クラッドとを含む、手術用レーザシステム。
【0060】
実施形態2:粗面領域は、ファイバの基端面又は先端面の全領域の少なくとも50%を占める、上述の実施形態1に記載の手術用レーザシステム。
【0061】
実施形態3:粗面領域は、ファイバの基端面又は先端面の全領域の少なくとも80%を占める、上述の実施形態2に記載の手術用レーザシステム。
【0062】
実施形態4:外側クラッドに相当する基端面及び先端面の各々の表面領域は、粗面化される、上述の実施形態1に記載の手術用レーザシステム。
【0063】
実施形態5:基端面の粗面領域は、先端面の粗面領域と異なる粗さレベルを有する、上述の実施形態4に記載の手術用レーザシステム。
【0064】
実施形態6:ファイバは、コアと外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、上述の実施形態1に記載の手術用レーザシステム。
【0065】
実施形態7:コアに相当する基端面及び先端面の表面領域は、粗面化されない、上述の実施形態1に記載の手術用レーザシステム。
【0066】
実施形態8:ユーザにより把持されるような形状及び大きさにされたプローブ本体と、基端面及び基端面と反対側の先端面を有するファイバを収容するプローブチップとを含む、レーザプローブ組立体であって、ファイバは、レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成されたコアと、コアを周方向に囲み、照明光を伝送するように構成された外側クラッドであって、外側クラッドに相当する基端面又は先端面の少なくとも表面領域は、コアに相当する平面領域に対して角度が付けられる、外側クラッドと、外側クラッドを周方向に囲むコーティングとを更に含む、レーザプローブ組立体。
【0067】
実施形態9:傾斜面領域は、平面領域に対して約0°~約30°の角度をなして配置される、上述の実施形態8に記載のレーザプローブ組立体。
【0068】
実施形態10:傾斜面領域は、平面領域に対して約30°~約60°の角度をなして配置される、上述の実施形態8に記載のレーザプローブ組立体。
【0069】
実施形態11:傾斜面領域は、平面領域に対して約60°~約90°の角度をなして配置される、上述の実施形態8に記載のレーザプローブ組立体。
【0070】
実施形態12:傾斜面領域は、非線形テーパを含む、上述の実施形態8に記載のレーザプローブ組立体。
【0071】
実施形態13:傾斜面領域は更に、粗面化される、上述の実施形態8に記載のレーザプローブ組立体。
【0072】
実施形態14:ファイバは、コアと外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、上述の実施形態8に記載のレーザプローブ組立体。
【0073】
実施形態15:ファイバの基端部における基端面と、ファイバの先端部における先端面と、レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成されたコアと、コアを周方向に囲み、照明光を伝送するように構成された外側クラッドであって、外側クラッドに相当する基端面又は先端面の少なくとも表面領域は、コアに相当する平面領域に対して角度が付けられる、外側クラッドと、外側クラッドを周方向に囲むコーティングとを含む、ファイバ。
【0074】
実施形態16:傾斜面領域は、平面領域に対して約0°~約30°の角度をなして配置される、上述の実施形態15に記載のファイバ。
【0075】
実施形態17:傾斜面領域は、平面領域に対して約30°~約60°の角度をなして配置される、上述の実施形態15に記載のファイバ。
【0076】
実施形態18:傾斜面領域は、平面領域に対して約60°~約90°の角度をなして配置される、上述の実施形態15に記載のファイバ。
【0077】
実施形態19:傾斜面領域は、非線形テーパを含む、上述の実施形態15に記載のファイバ。
【0078】
実施形態20:傾斜面領域は更に、粗面化される、上述の実施形態15に記載のファイバ。
【0079】
実施形態21:ファイバは、コアと外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、上述の実施形態15に記載のファイバ。
【0080】
実施形態22:手術用レーザシステムであって、集束レンズに照明光を放射するように構成された照明光源と、集束レンズにレーザ光ビームを放射するように構成されたレーザ光源と、手術用レーザシステムに結合されたファイバのコア及び外側クラッドに照明光を集束させるとともにファイバのコアにレーザ光ビームを集束させるように構成された集束レンズであって、ファイバは集束レンズよりも下流にある、集束レンズとを含み、ファイバは、ファイバの基端部における基端面であって、基端部は手術用レーザシステムに結合される、基端面と、ファイバの先端部における先端面であって、先端部はレーザプローブ組立体に結合される、先端面と、照明光及びレーザ光ビームを伝送するように構成されたコアと、コアを周方向に囲み、照明光を伝送するように構成された外側クラッドであって、外側クラッドに相当する基端面又は先端面の少なくとも表面領域は、コアに相当する平面領域に対して角度が付けられる、外側クラッドとを含む、手術用レーザシステム。
【0081】
実施形態23:傾斜面領域は、平面領域に対して約0°~約30°の角度をなして配置される、上述の実施形態22に記載の手術用レーザシステム。
【0082】
実施形態24:傾斜面領域は、平面領域に対して約30°~約60°の角度をなして配置される、上述の実施形態22に記載の手術用レーザシステム。
【0083】
実施形態25:傾斜面領域は、平面領域に対して約60°~約90°の角度をなして配置される、上述の実施形態22に記載の手術用レーザシステム。
【0084】
実施形態26:傾斜面領域は、非線形テーパを含む、上述の実施形態22に記載の手術用レーザシステム。
【0085】
実施形態27:傾斜面領域は更に、粗面化される、上述の実施形態22に記載の手術用レーザシステム。
【0086】
実施形態28:ファイバは、コアと外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、上述の実施形態22に記載の手術用レーザシステム。
【0087】
実施形態29:光ファイバを形成する方法であって、光ファイバは、ファイバの基端部における基端面と、ファイバの先端部における先端面と、レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成されたコアと、コアを周方向に囲み、照明光を伝送するように構成された外側クラッドと、外側クラッドを周方向に囲むコーティングとを含み、方法は、コアに相当するファイバの基端面又は先端面の表面領域にマスクを適用することと、マスクした端面を粒子研磨工程にさらして、外側クラッドに相当するマスクした端面の少なくとも表面領域を粗面化することと、マスクした端面を洗浄してマスクを除去することとを含む、方法。
【0088】
実施形態30:粗面領域は、ファイバの基端面又は先端面の全領域の少なくとも50%を占める、上述の実施形態29に記載の方法。
【0089】
実施形態31:粗面領域は、ファイバの基端面又は先端面の全領域の少なくとも80%を占める、上述の実施形態30に記載の方法。
【0090】
実施形態32:外側クラッドに相当する基端面及び先端面の各々の表面領域は、粗面化される、上述の実施形態29に記載の方法。
【0091】
実施形態33:基端面の粗面領域は、先端面の粗面領域と異なる粗さレベルを有する、上述の実施形態32に記載の方法。
【0092】
実施形態34:ファイバは、コアと外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、上述の実施形態29に記載の方法。
【0093】
実施形態35:コアに相当する基端面及び先端面の表面領域は、粗面化されない、上述の実施形態29に記載の方法。
【0094】
実施形態36:光ファイバを形成する方法であって、光ファイバは、ファイバの基端部における基端面と、ファイバの先端部における先端面と、レーザ光ビーム及び照明光を伝送するように構成されたコアと、コアを周方向に囲み、照明光を伝送するように構成された外側クラッドと、外側クラッドを周方向に囲むコーティングとを含み、方法は、基端面又は先端面の周縁部を斜め研磨工程にさらして、コアに相当する平面領域に対して角度が付けられた、外側クラッドに相当する表面領域を形成することと、平面領域を平坦研磨工程にさらすこととを含む、方法。
【0095】
実施形態37:傾斜面領域は、平面領域に対して約0°~約30°の角度をなして配置される、上述の実施形態36に記載の方法。
【0096】
実施形態38:傾斜面領域は、平面領域に対して約30°~約60°の角度をなして配置される、上述の実施形態36に記載の方法。
【0097】
実施形態39:傾斜面領域は、平面領域に対して約60°~約90°の角度をなして配置される、上述の実施形態36に記載の方法。
【0098】
実施形態40:傾斜面領域は、非線形テーパを含む、上述の実施形態36に記載の方法。
【0099】
実施形態41:傾斜面領域は更に、粗面化される、上述の実施形態36に記載の方法。
【0100】
実施形態42:ファイバは、コアと外側クラッドとの間に配置された内側クラッドを更に含む、上述の実施形態36に記載の方法。
【0101】
上記で開示した主題は限定的ではなく例示的なものとみなされ、添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正形態、改良形態、及び本開示の趣旨及び範囲に該当する他の実施形態に及ぶことが意図される。したがって、法律で認められる最大限の範囲で、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広い許容可能な解釈によって決定され、上述の詳細な説明によって制限又は限定されないものとする。
【国際調査報告】