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特表2024-507761動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法
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  • 特表-動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法 図1
  • 特表-動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法 図2A
  • 特表-動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法 図2B
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  • 特表-動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法 図5A
  • 特表-動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法 図5B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/2285 20240101AFI20240214BHJP
   G05D 1/644 20240101ALI20240214BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240214BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20240214BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240214BHJP
   G05D 1/228 20240101ALI20240214BHJP
【FI】
G05D1/2285
G05D1/644
G01C21/34
G08G1/0968
G08G1/16 C
G05D1/228
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548570
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 IB2022050344
(87)【国際公開番号】W WO2022175758
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202111006672
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523302027
【氏名又は名称】アブリッド テクノロジーズ,インク
【氏名又は名称原語表記】AVRIDH TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】355 Bryant St, Unit 403 San Francisco, CA 94107 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アロック
(72)【発明者】
【氏名】ターパル,ピューシュ
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB22
2F129BB26
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD19
2F129DD21
2F129DD39
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF15
2F129FF32
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF65
2F129FF71
2F129GG03
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH33
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL08
5H181LL09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD05
5H301GG05
(57)【要約】

動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムを開示する。システムは、ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定するように構成されたヒューリスティック学習部と、好ましい経路、好ましい位置、好ましい方向、またはロボットに関連する以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、動的環境におけるロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを、ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成するように構成されたナビゲーション制御部と、を備える。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムであって、
前記ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、前記ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定するように構成されたヒューリスティック学習部と、
前記ヒューリスティック学習部に作用可能に結合され、前記好ましい経路、前記好ましい位置、前記好ましい方向、または前記ロボットに関連付けられた以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、前記動的環境における前記ロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを、前記ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成するように構成されたナビゲーション制御部と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記ナビゲーション制御部に作用可能に結合され、前記ロボットを前記最適経路に沿って前記最適位置および前記最適方向でナビゲートするように構成された駆動部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記駆動部が、力によるフィードバックを認識し、前記ロボットをナビゲートするためにユーザが印加した力の方向に前記ロボットを駆動させることによって、前記HRIに基づき前記ロボットをナビゲートするようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記動的環境における前記ロボットの前記ナビゲーション中の、前記ロボットの経路、位置および方向のうち少なくとも1つを検知し、前記経路、前記位置および前記方向を前記ヒューリスティック学習部に送信するための、前記ロボットに関連付けられた複数のセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記以前のナビゲーションデータが、前記動的環境内の複数位置に対応する、前記ロボットの、少なくとも、以前の経路、以前の位置および以前の方向を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ナビゲーション制御部が、
1)前記動的環境に関連付けられたセルをオープンリストに配置する工程と、
2)貪欲法による経路探索アルゴリズムで、前記セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算する工程と、
3)前記セルが好ましいセルのリストにあるか判断する工程と、
4)前記セルが前記好ましいセルのリストにある場合に、好適経路係数および好適ヒューリスティック係数を前記セルのコストおよびヒューリスティックに乗算する工程と、
5)前記セルが前記好ましいセルのリストにない場合に、前記セルを前記オープンリストから削除してクローズドリストに配置し、最低コストに関連付けられた前記セルのインデックスを保存する工程と、
6)前記セルがゴールセルであるか判断する工程と、
7)前記セルがゴールセルである場合に、前記アルゴリズムを終了し、インデックスのポインタを使用して、前記ロボットの、最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを決定する工程と、
8)前記セルが前記ゴールセルに存在しない場合に、前記クローズドリストに存在しない、前記セルの後継の複数のセルを検出する工程と、
9)前記セルの後継の複数のセルのうち、各セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算し、工程3)から9)を繰り返す工程と、
を実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御する方法であって、
ヒューリスティック学習部によって、前記ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、前記ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定することと、
ナビゲーション制御部によって、前記好ましい経路、前記好ましい位置、前記好ましい方向、または前記ロボットに関連付けられた以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、前記動的環境における前記ロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを、前記ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成することと、
駆動部によって、前記動的環境において、前記ロボットを前記最適経路に沿って前記最適位置および前記最適方向でナビゲートすることと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記最適経路、前記最適位置および前記最適方向を生成することが、
1)前記動的環境に関連付けられたセルをオープンリストに配置することと、
2)貪欲法による経路探索アルゴリズムで、前記セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算することと、
3)前記セルが好ましいセルのリストにあるか判断することと、
4)前記セルが前記好ましいセルのリストにある場合に、好適経路係数および好適ヒューリスティック係数を前記セルのコストおよびヒューリスティックに乗算することと、
5)前記セルが前記好ましいセルのリストにない場合に、前記セルを前記オープンリストから削除してクローズドリストに配置し、最低コストに関連付けられた前記セルのインデックスを保存することと、
6)前記セルがゴールセルであるか判断することと、
7)前記セルがゴールセルである場合に、前記アルゴリズムを終了し、インデックスのポインタを使用して、前記ロボットの、少なくとも、前記最適経路、前記最適位置および前記最適方向のうちの1つを決定することと、
8)前記セルが前記ゴールセルに存在しない場合に、前記クローズドリストに存在しない、前記セルの後継の複数のセルを検出することと、
9)前記セルの後継の複数のセルの中から各セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算し、工程3)から9)を繰り返すことと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ロボットをナビゲートすることが、力によるフィードバックを認識し、前記ロボットをナビゲートするためにユーザが印加した力の方向に前記ロボットを駆動させることによって、前記HRIに基づき前記ロボットをナビゲートすることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記以前のナビゲーションデータが、前記動的環境内の複数位置に対応する、前記ロボットの、少なくとも、以前の経路、以前の位置および以前の方向を含む、請求項7に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ロボットナビゲーションシステムに関し、特に、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マッピングされた環境におけるロボットのナビゲーションでは、ロボットがたどるべき特定の経路を決定する必要がある。現在、マッピングされた環境におけるロボットのナビゲーションのために、例えば、A探索アルゴリズム、ダイクストラ、重み付きA、Dなどの、いくつかの既知の経路計画手法が用いられている。A探索アルゴリズムをより高速に実行するために、定数係数がヒューリスティックに乗算され、それに対応する手法は重み付きAとして知られている。ダイクストラ・アルゴリズムは複雑性が低く、ほぼ線形である。
【0003】
しかしながら、A探索アルゴリズムは、ヒューリスティックまたは近似に大きく依存して経路を計算するため、常に最短経路を生成するわけではない。また、Aアルゴリズムは、固定されたヒューリスティックを考慮して、グラフの2つのノード間の経路を見つける。さらに、負の重みを持つグラフを扱う場合、ダイクストラ・アルゴリズムは適切に働くことができない。そのうえ、ヒューリスティックの百分率誤差が大きい場合、重み付きA経路探索手法は失敗する可能性がある。他のいくつかの既知のナビゲーション手法は、事前に計算されたヒューリスティックまたは距離に基づくヒューリスティックを使用または抽出して、ロボットをナビゲートするための最終ゴールを決定する。しかし、事前に計算されたヒューリスティックまたは距離に基づくヒューリスティックを用いている間は、経路が再計画されるたびに環境の変化が経路計画において考慮されないため、極めて動的な環境において、最適な経路計画を行うことは依然として困難な問題である。また、ロボットが周辺を進む際、常に同じ正確な姿勢をとるとは限らないため、高解像度マップにおいてける正確な姿勢を学習することは面倒な課題である。
【0004】
したがって、前述の議論の観点から、動的環境におけるロボットのナビゲーションを制御するための既存の手法に関連する前述の欠点を克服する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するシステム及び方法を提供することを追求する。本開示は、いくつかの環境変化を考慮することと、動的環境におけるナビゲーション中の、高解像度マップにおけるロボットの正確な姿勢を学習することとによって、動的環境における最適な経路計画の既存の問題に対する解決策を提供することを追求する。
【0006】
本開示は、ロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御することによって、動的環境におけるロボットの従来のナビゲーション手法の既存の問題に対する解決策を提供することを追求する。
【0007】
本開示の目的は、実施形態の説明において提供される解決策によって達成される。本開示の有利な実装形態は、実施形態の説明においてさらに定義される。
【0008】
一態様において、本開示は、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するためのシステムを提供し、前記システムは、
ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定するように構成されたヒューリスティック学習部と、
ヒューリスティック学習部に作用可能に結合され、前記好ましい経路、前記好ましい位置、前記好ましい方向、またはロボットに関連する以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、前記動的環境における前記ロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうち少なくとも1つを、ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成するように構成されたナビゲーション制御部と、
を備える。
【0009】
本開示のシステムは、ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、動的環境におけるロボットの好ましい経路、好ましい方向、および好ましい位置を生成するヒューリスティック学習部を備える。本明細書において、「ヒューマン・ロボット・インタラクション」という用語は、例えば、ロボットを好ましい経路に沿って移動させるための人間からの押力を受けること、例えば遠隔操作、人間の押力などの力によるフィードバックを認識すること、ロボットをナビゲートするために人間が印加する力の方向にロボットを駆動させることを含む、人間(ユーザ)とロボットとの間の任意の相互作用を指す。本明細書において、「経路スケーリング係数」とは、ロボットのナビゲーションのための好ましい経路の幅を定義する係数を指す。ヒューリスティック学習部は、動的環境におけるロボットの過去の軌跡(例えば、HRIに基づくナビゲーション)をたどるとともに、周辺データ(例えば、環境に関するユーザの知識など)を、ユーザより明示的に好ましい経路として受け入れる。システムは、ヒューリスティック学習部に作用可能に結合されたナビゲーション制御部をさらに備え、このナビゲーション制御部は、過去の軌跡および好ましい経路を使用して、動的環境におけるロボットの最適経路、最適位置および最適方向を生成する。過去のデータ/軌跡およびユーザからの周辺データを経路計画に含めることで、動的環境におけるナビゲーション中に、動的環境におけるいかなる変化も考慮してロボットのナビゲーション経路をリアルタイムに決定し、動的に変化するいかなる空間においても効率的かつリアルタイムにシステムを動作させることができる。システムは、以前のナビゲーションデータに基づく学習、好ましい経路に関するユーザの知識を組み込み、また、好ましくない領域に関するユーザからの入力を受け入れ、それによって、経路の再計画のたびに、経路計画において環境変化を考慮しながら最適経路を容易に生成することができる。また、システムは、動的環境に関連付けられた高解像度マップにおけるロボットの正確な姿勢(例えば、任意の位置に対応する方向)を、経路スケーリング係数に基づきヒューリスティックな学習をすることも可能にする。システムは、経路スケーリング係数に基づき、ナビゲーション中のロボットの好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を生成する。また、本システムにより、ユーザは、目的地への経路を計画する際に、ロボットがたどることのできる好ましい経路を提供または編集することができる。さらに、システムは、ロボットが動的環境内で十分な回数の周回を行い、以前のナビゲーションデータ(例えば、過去の位置データおよび過去の方向データ)を用いて学習し、その後、以前のナビゲーションデータを経路計画に使用できるようにする。また、本システムは、他の既知の手法と比較して、割り当てられた課題を完了させる全体的な処理能力が良好である。システムは、ロボットのナビゲーションマップを、主に混雑している区域と主に空いている区域とに容易に分類することができるため、倉庫または製造ラインなどの適用エリアにおける生産性を向上させるのに役立つ。
【0010】
一実施形態によれば、システムは、ロボットを最適経路に沿って最適位置および最適方向でナビゲートするための駆動部を備える。
【0011】
一実施形態によれば、駆動部は、力によるフィードバックを認識し、ロボットをナビゲートするためにユーザが印加する力の方向にロボットを駆動させることによって、HRIに基づきロボットをナビゲートするようにさらに構成される。
【0012】
一実施形態によれば、システムは、動的環境におけるロボットのナビゲーション中に、ロボットの経路、位置および方向の少なくとも1つを検知し、前記経路、前記位置および前記方向を前記ヒューリスティック学習部に送信するための、前記ロボットに関連付けられた複数のセンサを備える。
【0013】
一実施形態によれば、以前のナビゲーションデータは、動的環境内の複数位置に対応する、ロボットの、少なくとも、以前の経路、以前の位置および以前の方向を含む。
【0014】
一実施形態によれば、ナビゲーション制御部は、
1)前記動的環境に関連付けられたセルをオープンリストに配置する工程と、
2)貪欲法による経路探索アルゴリズムで、前記セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算する工程と、
3)セルが好ましいセルのリストにあるか判断する工程と、
4)セルが好ましいセルのリストにある場合に、好適経路係数および好適ヒューリスティック係数をセルのコストおよびヒューリスティックに乗算する工程と、
5)セルが好ましいセルのリストにない場合に、セルをオープンリストから削除してクローズドリストに配置し、最低コストに関連付けられたセルのインデックスを保存する工程と、
6)セルがゴールセルであるか判断する工程と、
7)セルがゴールセルである場合に、アルゴリズムを終了し、インデックスのポインタを使用して、ロボットの、最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを決定する工程と、
8)セルがゴールセルに存在しない場合に、クローズドリストに存在しない、セルの後継の複数のセルを検出する工程と、
9)セルの後継の複数のセルの中から各セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算し、工程3)から9)を繰り返す工程と、を実行するように構成される。
【0015】
別の態様において、本開示は、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御する方法を提供し、前記方法は、
ヒューリスティック学習部によって、ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定することと、
ナビゲーション制御部によって、少なくとも、前記好ましい経路、前記好ましい位置、前記好ましい方向、またはロボットに関連する以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、前記動的環境における前記ロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを、ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成することと、
駆動部によって、前記動的環境において、前記最適経路に沿って前記最適位置および前記最適方向でロボットをナビゲートすることと、を含む。
【0016】
本開示の方法は、ヒューリスティック学習部によって、ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定することを含む。さらに、本方法は、ナビゲーション制御部によって、好ましい経路、好ましい位置、好ましい方向、またはロボットに関連する以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、動的環境におけるロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを、ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成することを含む。さらに、本方法は、駆動部によって、動的環境において、最適経路に沿って最適位置および最適方向でロボットをナビゲートすることを含む。本方法は、動的環境におけるロボットの過去の軌跡をたどることを可能にし、ナビゲーションにおける経路計画中に、過去の軌跡を使用する。本方法は、周辺データ(例えば、動的環境の知識)を、ユーザより明示的に好ましい経路として受け入れ、動的環境におけるロボットのナビゲーションのための最適経路および方向を生成する。経路計画に過去のデータ/軌跡およびユーザの環境の知識を含めることで、動的環境におけるロボットのナビゲーション中に、動的環境のいかなる変化も考慮してロボットのナビゲーション経路をリアルタイムに決定することができるため、本方法は動的に変化するいかなる空間においても効率的に動作し、ロボットのナビゲーションのための最適経路を決定することができる。本方法は、過去のデータに基づく学習、好みの経路に関するユーザの知識を組み込み、また、好ましくないエリアに関するユーザからの入力を受け入れることにより、経路が再計画されるたびに、環境の変化を経路計画において考慮しながら最適経路を容易に生成することができる。本方法は、ナビゲーション中に、経路スケーリング係数と、学習したロボットの正確な位置および方向とを用いることにより、高解像度マップにおけるロボットの正確な姿勢(例えば、任意の位置に対応する方向)の学習も可能にする。また、本方法により、ユーザは、目的地への経路をリアルタイムで計画しながら、ロボットがたどることのできる好ましい経路を、ロボットのナビゲーション中にいつでもHRIを介して提供/編集することができる。さらに、本方法は、ロボットが動的環境内で十分な回数の周回を行い、以前のナビゲーションデータ(過去の位置データおよび過去の方向データなど)を用いて学習し、その後、以前のナビゲーションデータを経路計画に使用することを可能にする。また、本方法は、他の既知の手法と比較して、割り当てられた課題を完了させる全体的な処理能力が良好である。本方法によって、ロボットのナビゲーションマップを、主に混雑している区域と主に空いている区域とに容易に分類することができ、最終的には、倉庫または製造ラインなどの適用エリアにおける生産性をさらに向上させるのに役立つ。
【0017】
一実施形態によれば、最適経路、最適位置、及び最適方向を生成することは、
1)前記動的環境に関連付けられたセルをオープンリストに配置することと、
2)貪欲法による経路探索アルゴリズムで、前記セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算することと、
3)セルが好ましいセルのリストにあるか判断することと、
4)セルが好ましいセルのリストにある場合に、好適経路係数および好適ヒューリスティック係数をセルのコストおよびヒューリスティックに乗算することと、
5)セルが好ましいセルのリストにない場合に、セルをオープンリストから削除してクローズドリストに配置し、最低コストに関連付けられたセルのインデックスを保存することと、
6)セルがゴールセルであるか判断することと、
7)セルがゴールセルである場合に、アルゴリズムを終了し、インデックスのポインタを使用して、ロボットの、最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを決定することと、
8)セルがゴールセルに存在しない場合に、クローズドリストに存在しない、セルの後継の複数のセルを検出することと、
9)セルの後継の複数のセルの中から各セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算し、工程3)から9)を繰り返すことと、を含む。
【0018】
一実施形態によれば、ナビゲーションには、力によるフィードバックを認識し、前記ロボットをナビゲートするためにユーザが印加した力の方向に前記ロボットを駆動させることによって、HRIに基づきナビゲートすることをさらに含む。
【0019】
一実施形態によれば、以前のナビゲーションデータは、動的環境内の複数の位置に対応する、ロボットの、少なくとも、以前の経路、以前の位置および以前の方向を含む。
【0020】
本出願に記載された全ての機器、要素、回路機構、構成単位および手段は、ソフトウェア要素もしくはハードウェア要素、またはそれらの任意の種類の組み合わせで実装され得ることに留意しなければならない。本出願に記載の様々な実体によって実行される全ての工程、および様々な実体によって実行されるように記載された機能性は、それぞれの実体がそれぞれの工程および機能性を実行するように適合されているか、または構成されていることを意味することを意図している。以下の特定の実施形態の記載において、外部の実体によって実行されるべき特定の機能性または工程が、その特定の工程または機能性を実行するその実体の特定の詳細な要素の記載に反映されていない場合でも、これらの方法および機能性は、それぞれのソフトウェア要素もしくはハードウェア要素、またはそれらの任意の種類の組み合わせで実装され得ることは、当業者にとって明らかであるべきである。本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み合わされ得ることが理解されよう。
【0021】
本開示の追加の態様、利点、特徴および目的は、図面および以下に続く添付の特許請求の範囲と併せて解釈される例示的な実施態様の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上記の概要および以下の例示的な実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より理解することができる。本開示を説明する目的で、本開示の例示的な構造を図面に示す。しかしながら、本開示は、本明細書に開示される特定の方法および手段に限定されるものではない。さらに、当業者であれば、図面は縮尺通りではないことを理解するであろう。可能な限り、同様の要素は同じ番号で示されている。
【0023】
ここで、以下の図を参照して、本開示の実施形態を例示目的においてのみ説明する。
【0024】
図1図1は、本開示の一実施形態による、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するためのシステムのブロック図である。
図2図2Aから図2Eは、本開示の一実施形態による、本開示のシステムによって、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御する、例示的な概略を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による、ロボットのナビゲーション経路の、経路スケーリング係数による効果的な変更を例示的に示す。
図4図4は、本開示の一実施形態による、動的環境におけるロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御する方法の工程を示す。
図5図5Aおよび図5Bは、本開示の一実施形態による、最適経路、最適位置および最適方向を生成する方法の工程を示す。
【0025】
添付の図面において、下線を付した番号は、下線を付した番号がその上に位置している要素、または下線を付した番号が隣接する要素を表すために採用される。下線のない番号は、下線のない番号と要素とを結ぶ線によって識別される要素に関係する。番号に下線がなく、関連する矢印を伴う場合、下線のない番号は、矢印が指す一般的な要素を識別するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明は、本開示の実施形態およびそれらが実装され得る方法について示す。本開示を実施するいくつかの様態を開示してきたが、当業者であれば、本開示を実施および実践するための他の様態もまた可能であることを認識するであろう。
【0027】
本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、いかなる順序、量、または重要性も示すものではなく、むしろ、1つの要素を他の要素と区別するために用いられることに留意すべきである。さらに、本明細書における「a」および「an」の用語は、限定を示すものではない。
【0028】
本開示のさらなる態様、利点、特徴および目的は、図面および以下に続く添付の特許請求の範囲と併せて解釈される例示的な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0029】
本開示の特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせで組み合わされ得ることが理解されるであろう。
【0030】
図1を参照すると、動的環境においてロボットのナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御するためのシステム100のブロック図が示されている。図に示す通り、システム100は、ヒューリスティック学習部102、ナビゲーション制御部104、駆動部106および複数のセンサ108を備える。本明細書において、「動的環境」という用語は、動的な経時変化を受ける可能性のある任意のナビゲーション空間を指し、例えば、倉庫又は製造工場空間などを含む。
【0031】
システム100は、ロボットのナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、ロボットの、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向を決定するように構成された、ヒューリスティック学習部102を備える。本明細書において、「ヒューマン・ロボット・インタラクション」という用語は、例えば、ロボットを好ましい経路に沿って移動させるための人間からの押力を受けること、力によるフィードバック(遠隔操作、人間の押力など)を認識すること、ロボットをナビゲートするために人間が印加する力の方向にロボットを駆動させることを含む、人間(ユーザ)とロボットとの間の任意の相互作用を指す。本明細書において、「経路スケーリング係数」という用語は、ロボットのナビゲーションのための好ましい経路の幅を定義する係数を指す。典型的には、ロボットが経路を学習する際、ロボットは、経路上にある一連の姿勢(ロボットの方向など)を学習する。これらの姿勢は全体として、ロボットの動きを制限する線状の経路を作成し、正確な経路をたどることを困難にする。経路スケーリング係数は、経路の幅を定義することによって、好ましい経路に沿ったロボットのナビゲーションに追加的な自由度を与える。経路の実際の姿勢のコストは最も低くなり、幅方向の両端のセルのコストは最も高くなる(好ましいコストの最大値は自由セルのコストと等しい)。
【0032】
ヒューリスティック学習部102は、ナビゲーション中に、経路スケーリング係数と、学習したロボットの正確な位置および方向とを用いることによって、高解像度マップにおけるロボットの正確な姿勢(例えば、任意の位置に対応する方向)の学習を可能にする。ヒューリスティック学習部102は、動的環境におけるロボットの過去の軌跡(例えば、HRIに基づくナビゲーション)をたどるとともに、周辺データ(例えば、環境に関するユーザの知識など)をユーザより明示的に好ましい経路として受け入れる。さらに、ヒューリスティック学習部102により、ユーザは、目的地への経路を計画する際に、ロボットがたどることのできる好ましい経路を(例えばHRIによって)いつでも提供/編集することができる。
【0033】
ヒューリスティック学習部102は、動的環境に関連付けられた高解像度マップにおけるロボットの正確な姿勢(例えば、任意の位置に対応する方向)の、経路スケーリング係数に基づく学習を可能にする。ヒューリスティック学習部102は、以前のナビゲーションデータに基づく学習、好ましい経路に関するユーザの知識を組み込み、また、好ましくない領域に関するユーザ(例えば、HRIによって)からの入力を受け入れることにより、経路が再計画されるたびに、環境の変化を経路計画において考慮しながら最適経路を容易に生成することができる。さらに、過去のデータ/軌跡およびユーザからの周辺データを経路計画に含めることで、動的環境におけるナビゲーション中に、動的環境の変化を考慮してロボットのナビゲーション経路をリアルタイムに決定することによって、動的に変化するいかなる空間においても効率的かつリアルタイムにシステム100を動作させることができる。
【0034】
システム100は、ヒューリスティック学習部102に作用可能に結合されたナビゲーション制御部104を備え、この制御部104は、好ましい経路、好ましい位置、好ましい方向、またはロボットに関連する以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、動的環境におけるロボットのナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを、ロボットのナビゲーション中にリアルタイムで生成する。以前のナビゲーションデータには、動的環境内の複数位置に対応するロボットの、少なくとも、以前の経路、以前の位置および以前の方向が含まれる。ナビゲーション制御部104は、過去の軌跡とHRIとを保持するヒューリスティック学習部102から、ロボットの過去の軌跡に関連する以前のナビゲーションデータを取得する。
【0035】
一実施形態において、ナビゲーション制御部104は、
1)動的環境に関連付けられたセルをオープンリストに配置する工程と、
2)貪欲法による経路探索アルゴリズムを用いて、セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算する工程と、
3)セルが好ましいセルのリストにあるか判断する工程と、
4)セルが好ましいセルのリストにある場合に、好適経路係数および好適ヒューリスティック係数をセルのコストおよびヒューリスティックに乗算する工程と、
5)セルが好ましいセルのリストにない場合に、セルをオープンリストから削除してクローズドリストに配置し、最低コストに関連付けられたセルのインデックスを保存する工程と、
6)セルがゴールセルであるか判断する工程と、
7)セルがゴールセルである場合に、アルゴリズムを終了し、インデックスのポインタを使用して、ロボットの、最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つを決定する工程と、
8)セルがゴールセルに存在しない場合に、クローズドリストに存在しない、セルの後継の複数のセルを検出する工程と、
9)セルの後継の複数のセルの中から各セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算し、工程3)から9)を繰り返す工程と、を実行する。本明細書において、「貪欲法による経路探索アルゴリズム」という用語は、各段階において局所的に最適な選択をする問題解決ヒューリスティックに従う、任意のアルゴリズムを指す。貪欲ヒューリスティックは、合理的時間内に、大域最適解に近似した局所最適解を生み出し得る。例えば、巡回セールスマン問題(計算複雑性が高い)のための貪欲な戦略は以下のヒューリスティックである:「行程の各段階において、まだ訪れていない最も近い都市を訪れる」。本明細書において、「好適経路係数」という用語は、セルのコストに影響する係数を指し、コストが低いほどセルは好ましくなる。また、「好適ヒューリスティック係数」という用語は、計画者によるヒューリスティックに基づいて隣接セルの選択を決定する係数を指す。本明細書において、「セル」という用語は、経路計画のためにナビゲーション空間(動的環境)を離散化させたそれぞれの個別単位を指す。ナビゲーション空間は、セルの格子へと離散化または変形され、それらのセルの格子は経路計画計算に用いられる。
【0036】
ナビゲーション制御部104は、動的環境におけるロボットの過去の軌跡の把握を可能にし、ナビゲーション中の経路計画の間、過去の軌跡を使用し、動的環境におけるロボットのナビゲーションのための最適経路および方向を生成する。過去のデータ/軌跡およびユーザからの周辺データを経路計画に含めることで、動的環境におけるロボットのナビゲーション中に、動的環境の変化を考慮してロボットのナビゲーション経路をリアルタイムに決定する。ナビゲーション制御部104によって、動的に変化するいかなる空間においても、ロボットのナビゲーションのための最適経路を効率的に決定できるようになる。
【0037】
システム100は、ナビゲーション制御部104に作用可能に結合され、ロボットを最適経路に沿って最適位置および最適方向でナビゲートするように構成された駆動部106をさらに備える。駆動部106は、遠隔操作または人間の押力などの力によるフィードバックを認識し、ロボットをナビゲートするためにユーザが印加する力の方向にロボットを駆動させることによって、HRIに基づきロボットをナビゲートするようにさらに構成される。
【0038】
システム100は、動的環境におけるロボットのナビゲーション中の、ロボットの経路、位置および方向のうち少なくとも1つを検知し、その経路、位置および方向をヒューリスティック学習部102に送信するための、ロボットに関連付けられた複数のセンサ108をさらに備える。複数のセンサ108によって、ヒューリスティック学習部102は動的環境におけるロボットの過去の軌跡をたどることができ、また、ユーザより好ましい経路をHRIを介して受信できる。複数のセンサ108の例としては、カメラ、ライダ、慣性測定ユニット(IMU)、超音波センサなどが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施様態では、ヒューリスティック学習部102、ナビゲーション制御部104および駆動部106は、ソフトウェア構成要素として、またはソフトウェアと回路機構との組み合わせとして実施される可能性がある。
【0039】
図2Aから図2Eは、本開示の一実施形態による、本開示のシステム100によって動的環境204におけるロボット202のナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御する、例示的な概略を示す。図2Aを参照すると、図2Aは、2つの柱(または障害物)206aおよび206bを備えた動的環境204を示す。例示的な概略において、ロボット202をゴール208へナビゲートするためには、障害物206aおよび206bとの衝突を回避しながら、最も低コストの経路に沿ってロボット202をナビゲートし、ゴール208に到達することが望ましい。ロボット202の好ましい経路210を点線で示し、好ましい方向を矢印212a~212cで示す。例示的な概略によれば、図2Bから図2Dに示す通り、ユーザ(人間)214は、好ましい経路210に沿って、212a~212cの好ましい方向(向き)にロボット202を押すことによって、ロボット202の好ましい道順および方向を提供する。図2Bから図2Dは、好ましい経路210に沿った、ロボット202を伴うユーザ214の移動を示す。ロボット202は、ユーザ214により誘導されるナビゲーションに基づき、好ましい経路210および好ましい方向212a~212cを学習し、好ましい経路210および好ましい方向212a~212cならびに経路スケーリング係数に基づき、動的環境204における任意の後続のナビゲーションのために、ゴール208に到達するための最適経路、最適位置および最適方向を決定する。図2Eは、その後、最適経路216に沿って最適方向218a~218bに進み、ゴール208に到達するロボット202を示す。
【0040】
図3は、本開示の一実施形態による、ロボット202のナビゲーション経路の、経路スケーリング係数による効果的な変更を例示的に示す。図3に示す通り、第1のナビゲーション経路302は、既知の手法によって経路スケーリング係数を用いることなく得られる、ロボット202のナビゲーション経路に対応し、第2のナビゲーション経路304は、経路スケーリング係数および本技術のシステム100を用いて得られる、ロボットのナビゲーション経路に対応する。図3に示す通り、第2のナビゲーション経路304は、好ましい経路に沿ってロボット202をナビゲートするために許容される、追加的な自由度に対応した、追加的な幅(点部で示す)を含む。本システム100は、経路スケーリング係数を採用することにより、好ましい経路の幅(すなわち、第2のナビゲーション経路304)を定義することによって、好ましい経路に沿ったロボット202のナビゲーションに追加的な自由度を与える。第2のナビゲーション経路304に沿った実際の姿勢(例えば、ロボット202の方向)のコストは最も低くなり、第2のナビゲーション経路304の幅方向の両端のセルのコストは最も高くなる(好ましいコストの最大値は自由セルのコストと等しい)。
【0041】
図4は、本開示の一実施形態による、動的環境204におけるロボット202のナビゲーションをヒューリスティックな学習に基づき制御する方法の工程を示す。工程402では、ヒューリスティック学習部102によって、ロボット202のナビゲーション中のヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)および経路スケーリング係数に基づき、ロボット202の、少なくとも、好ましい経路、好ましい位置および好ましい方向が決定される。工程404では、ナビゲーション制御部104によって、好ましい経路、好ましい位置、好ましい方向、またはロボット202に関連する以前のナビゲーションデータのうち少なくとも1つに基づき、動的環境204におけるロボット202のナビゲーションのための最適経路、最適位置および最適方向のうちの少なくとも1つが、ロボット202のナビゲーション中にリアルタイムで生成される。工程406では、駆動部106によって、動的環境204において、ロボット202が最適経路に沿って最適位置および最適方向でナビゲートされる。
【0042】
図5Aおよび図5Bは、本開示の一実施形態による、最適経路、最適位置および最適方向を生成する方法の工程を示す。工程502では、動的環境204に関連付けられた自由セルがオープンリストに配置される。工程504では、貪欲法による経路探索アルゴリズム、セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックが計算される。工程506では、セルが好ましいセルのリストにあるか判断される。工程508では、セルが好ましいセルのリストにある場合、好適経路係数および好適ヒューリスティック係数が、セルのコストおよびヒューリスティックに乗算される。工程510では、セルが好ましいセルのリストにない場合、セルはオープンリストから削除され、クローズトリストに配置され、最低コストに関連付けられたセルのインデックスが保存される。工程512では、セルがゴールセルであるか判断される。工程514では、セルがゴールセルである場合に、アルゴリズムが終了され、インデックスのポインタを用いて、ロボットの、少なくとも、最適経路、最適位置および最適方向が決定される。工程516では、セルがゴールセルに存在しない場合に、クローズトリストに存在しない、セルの後継の複数のセルが検出される。工程518では、セルの後継の複数のセルの中から各セルに対してポテンシャルおよびヒューリスティックを計算し、工程506から518を繰り返す。工程502から518は、システム100のナビゲーション制御部104によって実行される。
【0043】
本技術の様々な実施形態は、例えば、倉庫管理、製造ラインなどの動的環境におけるロボットのナビゲーション制御を必要とする様々な用途に用いることができる。本技術は、動的環境に関連付けられたナビゲーションマップを、主に混雑している区域と主に空いている区域とに分類するために使用することができ、最終的には、倉庫または製造ラインなどの適用分野における生産性をさらに向上させるのに役立つ。
【0044】
本明細書の実施形態は、ハードウェア要素およびソフトウェア要素の両方を含むことができる。ソフトウェアで実行される実施形態には、ファームウェア、常駐ソフト、マイクロコードなどが含まれるが、これらに限定されない。さらに、本明細書の実施形態は、コンピュータまたは任意の命令実行システムによって、あるいはコンピュータに関連して使用されるプログラムコードを提供する、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。本説明の目的上、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置または機器によって、またはそれに関連して使用されるプログラムを構成、格納、通信、伝搬または移送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、もしくは半導体のシステム(または装置もしくは機器)、または伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例としては、半導体または固体記憶装置、磁気テープ、脱着式コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、硬質磁気ディスクおよび光ディスクが挙げられる。光ディスクの現在の例としては、コンパクトディスク-読み出し専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-読出/書込(CD-R/W)およびDVDが挙げられる。
【0045】
プログラムコードを格納および/または実行するために好適なデータ処理システムは、システムバスを通じてメモリ要素に直接的または間接的に連結された少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行時に採用されるローカルメモリ、大容量記憶装置、加入者識別モジュール(SIM)カード、および、実行中に大容量記憶装置からコードを取得する必要回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的な記憶域を提供するキャッシュメモリを含み得る。入力/出力(I/O)機器(キーボード、ディスプレイ、位置指示装置、遠隔操作、カメラ、マイク、温度センサ、加速度計、ジャイロスコープなどを含むがこれらに限定されない)は、直接的に、または介在するI/O制御器を通じて、システムに連結させることができる。
【0046】
本出願に記載するシステム、方法、コンピュータプログラム製品および伝搬信号は、当然、例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、システムオンチップ(SOC)または他の任意のプログラム可能な装置内で、またはそれに連結して、ハードウェアで具現化してもよい。また、このシステム、方法、コンピュータプログラム製品および伝搬信号は、例えば、ソフトウェアを格納するために構成されたコンピュータで使用可能(例えば、コンピュータ可読)な媒体の中に配置されたソフトウェア(例えば、ソース言語、オブジェクト言語、機械言語などの任意の形式で配置されたコンピュータ可読コード、プログラムコード、命令および/またはデータ)で具現化してもよい。このようなソフトウェアによって、本明細書に記載の装置および工程の機能、作製、モデリング、シミュレーション、説明および/または試験が可能となる。
【0047】
このようなソフトウェアは、半導体、磁気ディスク、光ディスク(例えば、CD-ROM、DVD-ROMなど)を含む任意の既知のコンピュータ使用可能媒体内に、また、コンピュータ使用可能(例えば、コンピュータ可読)伝送媒体(例えば、搬送波、またはデジタル、光学もしくはアナログベースの媒体を含む任意の他の媒体)に具現化されたコンピュータデータ信号として配置することができる。このように、ソフトウェアは、インターネットおよびイントラネットを含む通信網を介して伝送することができる。ソフトウェアに具現化されたシステム、方法、コンピュータプログラム製品および伝搬信号は、(例えばHDLに具現化された)半導体IPコアに包含されて、集積回路の製造においてハードウェアに変換されてもよい。さらに、本明細書に記載のシステム、方法、コンピュータプログラム製品および伝搬信号は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとして具現化してもよい。
【0048】
本発明の実施形態の目的のための「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、システムまたは機器によって、またはそれに関連して使用するためのプログラムを収容、格納、通信、伝搬または移送することのできるいかなる媒体であってもよい。コンピュータ可読媒体は、例示として、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線または半導体のシステム、装置、システム、機器、伝搬媒体、またはコンピュータメモリとすることができるが、これらに限定されない。
【0049】
「プロセッサ」または「処理」には、データ、信号または他の情報を処理する、任意の人間、ハードウェアおよび/もしくはソフトウェアシステム、機構または構成要素が含まれる。プロセッサは、汎用性のある中央処理装置、複数の処理部、機能を達成するための専用回路機構などを備えたシステムを含み得る。処理には、地理的な場所を制限する必要はなく、時間的な制限も必要ない。例えば、プロセッサは、「リアルタイム」で、「オフライン」で、「バッチモード」などで、その機能を実行することができる。処理の一部は、異なる時間に、異なる場所で、異なる(または同じ)処理システムによって実行することができる。
【0050】
前述の本開示の実施形態に対する変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本開示を説明および請求するために用いられる、「含む」、「備える」、「組み込む」、「有する」、「である」などの表現は、非排他的に解釈されることを意図しており、すなわち、明示的に記載されていない項目、構成要素または要素も存在することを許容している。単数形への言及は、複数形にも関連すると解釈される。明確にするために、別々の実施形態の文脈で記載されている本開示の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴も、別々に、または任意の好適な組み合わせで、あるいは本開示の他の記載された実施形態において好適に提供されてもよい。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】