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特表2024-507781熱圧着における金属接合部の変形を防止するための仮接合及び剥離プロセス
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  • 特表-熱圧着における金属接合部の変形を防止するための仮接合及び剥離プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】熱圧着における金属接合部の変形を防止するための仮接合及び剥離プロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240214BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240214BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240214BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20240214BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/02 B
H01L21/304 621B
H01L21/304 631
H01L25/08 C
C09J7/30
C09J201/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548828
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 US2022016459
(87)【国際公開番号】W WO2022174191
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/149,535
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500499508
【氏名又は名称】ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】リー, チア-シン
(72)【発明者】
【氏名】ゲレロ, アリス
(72)【発明者】
【氏名】サザード, アーサー オー.
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チェン-ユウ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シャオ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F057
【Fターム(参考)】
4J004AB05
4J040NA20
5F057AA11
5F057CA14
5F057DA03
5F057DA11
5F057EC02
5F057FA15
(57)【要約】
2.5D及び3D集積回路、チップ対ウェハ、チップ対基板、又はウェハ対ウェハ接合のための均一かつ異種の集積化を達成することは、不可欠な技術である。ランディングウェハ又は基板は、ランディングウェハを所望の厚さに薄くする前に、仮接合材料を使用してキャリアと接合される。再配線層形成、Cuパッド形成、又は他の裏面処理が完了すると、成形及び個片化の前に、シリコン貫通電極を有するダイ又はウェハがランディング基板上に積層される。ランディングウェハは、通常、接合ライン内に相互接続金属を有し、それらの相互接続金属は、典型的には鉛フリーはんだ合金から作られるので、熱圧着中のそれらのはんだ合金の変形は、製造業者にとって問題となる。この問題に対処するために、所望の強度を有するポリマー材料をデバイスウェハ上にコーティングして、はんだ合金の上にコンフォーマル保護層を形成し、したがって、仮接合及び剥離プロセスを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面及び表面を備える第1の基板であって、前記表面がはんだボールを備える、第1の基板と、
前記表面及び前記はんだボール上の組成物のコンフォーマル層と、
第1の面を有する第2の基板と、
前記第1の面上の接合層であって、前記接合層が前記コンフォーマル層と接触する、接合層と、
を備える、スタックを提供することと、
前記第1及び第2の基板を分離することと、
を含む、仮の方法。
【請求項2】
前記組成物が熱可塑性組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンフォーマル層が、約0.1μm~約20μmの平均厚さを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記はんだボールが、Sn、Ag、Ni、Cu、Ti、W、Au、Pb、Bi、Zn、Cd、又はInのうちの1つ又は複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記はんだボールが、取り付け点を介して前記表面に接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記取り付け点が、ピラー、ポスト、パッド、シリコン貫通電極、及び導電層から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記表面が複数のはんだボールを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記表面が、はんだボールを含まない領域を提示し、
前記はんだボールが、それぞれの外面を含み、
前記コンフォーマル層が、はんだボールを含まない前記領域をコンフォーマルにコーティングし、前記それぞれの外面をコンフォーマルにコーティングする、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記提供することが、前記表面及びはんだボール上に前記コンフォーマル層を形成することと、次いで前記接合層を前記コンフォーマル層に接合することとを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接合することが、前記接合層とコンフォーマル層とが互いに接着するように、熱及び圧力下で前記第1及び第2の基板を互いに押圧することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱が約25℃~約200℃の温度であり、前記圧力が約1N~約5,000Nであり、熱及び圧力下での前記押圧が約10秒~約10分の期間実行される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記はんだボールが、前記接合中に変形又はシフトをしない、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の基板が、
1つ又は複数のチップ、
1つ又は複数のチップレット、又は
デバイスウェハ
のうちの1つを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、
環状オレフィン、エポキシ、シロキサン、若しくはそれらの混合物から選択されるポリマー若しくはオリゴマー、又は
ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、若しくはそれらの混合物のうちの1つ若しくは複数から選択されるポリマー
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コンフォーマル層が、少なくとも約200℃のガラス転移温度を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の基板を分離する前に、前記スタックを、裏面研削、化学機械研磨、エッチング、メタライジング、誘電体堆積、パターニング、不動態化、アニーリング、及び再配線層形成のうちの1つ又は複数から選択される処理に供することをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の基板を分離する前に、
(a)薄くされた裏面を形成するために前記第1の基板の前記裏面を薄くすることと、
(b)第1のチップ又は第1のチップレットを前記薄くされた裏面に接合することと、
(c)任意で、第2のチップ又は第2のチップレットを前記第1のチップ又は第1のチップレットに接合することと、
(d)任意で、(c)を1回又は複数回繰り返してスタック構造を作製することと、
をさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
裏面及び表面を備える第1の基板であって、前記表面がはんだボールを備える、第1の基板と、
前記表面及び前記はんだボール上の熱可塑性組成物のコンフォーマル層と、
前記コンフォーマル層と接触している接合層と、
第1の面を有する第2の基板であって、前記接合層が前記第1の面に隣接している、第2の基板と、
を備える、マイクロ電子構造体。
【請求項19】
前記コンフォーマル層が、約0.1μm~約20μmの平均厚さを有する、請求項18に記載の構造体。
【請求項20】
前記コンフォーマル層が、少なくとも約200℃のガラス転移温度を有する、請求項18から19のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項21】
前記はんだボールが、Sn、Ag、Ni、Cu、Ti、W、Au、Pb、Bi、Zn、Cd、又はInのうちの1つ又は複数を含む、請求項18から20に記載の構造体。
【請求項22】
前記はんだボールが、取り付け点を介して前記表面に接続されている、請求項18から22のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項23】
前記取り付け点が、ピラー、ポスト、パッド、シリコン貫通電極、及び導電層から選択される、請求項22に記載の構造体。
【請求項24】
前記表面が複数のはんだボールを備える、請求項18から23のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項25】
前記表面が、はんだボールを含まない領域を提示し、
前記はんだボールが、それぞれの外面を備え、
前記コンフォーマル層が、前記はんだボールを含まない領域をコンフォーマルにコーティングし、前記それぞれの外面をコンフォーマルにコーティングしている、
請求項24に記載の構造体。
【請求項26】
前記第1の基板が、
1つ又は複数のチップ、
1つ又は複数のチップレット、又は
デバイスウェハ
のうちの1つを備える、請求項18から25のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項27】
(a)前記第1の基板の前記裏面上の第1のチップ又は第1のチップレットと、
(b)任意で、前記第1のチップ又は第1のチップレット上の第2のチップ又は第2のチップレットと、
(c)任意で、スタック構造を作製するために互いに順次積層された1つ又は複数のさらなるチップ又はチップレットと、
をさらに備える、請求項18から26のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項28】
第1の基板の表面であって、はんだボールを備える前記表面上に熱可塑性組成物のコンフォーマル層を形成して、コンフォーマルにコーティングされた第1の基板を形成することと、
前記コンフォーマルにコーティングされた第1の基板を、第1の面を有し、前記第1の面上に接合層を有する第2の基板に接合することであって、前記接合することが、前記接合層と前記コンフォーマル層とを接触させることを含む、接合することと、
を含む、接合方法。
【請求項29】
前記コンフォーマル層が、約0.1μm~約20μmの平均厚さを有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記はんだボールが、Sn、Ag、Ni、Cu、Ti、W、Au、Pb、Bi、Zn、Cd、又はInのうちの1つ又は複数を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記はんだボールが、取り付け点を介して前記表面に接続される、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記取り付け点が、ピラー、ポスト、パッド、シリコン貫通電極、及び導電層から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記表面が複数のはんだボールを備える、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記表面が、はんだボールを含まない領域を提示し、
前記はんだボールが、それぞれの外面を含み、
前記コンフォーマル層が、はんだボールを含まない前記領域をコンフォーマルにコーティングし、前記それぞれの外面をコンフォーマルにコーティングする、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記接合することが、前記接合層とコンフォーマル層とが互いに接着するように、熱及び圧力下で前記第1及び第2の基板を互いに押圧することを含む、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記熱が約25℃~約200℃の温度であり、前記圧力が約1N~約5,000Nであり、熱及び圧力下での前記押圧が約10秒~約10分の期間実行される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記はんだボールが、前記接合中に変形又はシフトをしない、請求項28から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の基板が、
1つ又は複数のチップ、
1つ又は複数のチップレット、又は
デバイスウェハ
のうちの1つを備える、請求項28から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、
環状オレフィン、エポキシ、シロキサン、若しくはそれらの混合物から選択されるポリマー若しくはオリゴマー、又は
ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、若しくはそれらの混合物のうちの1つ若しくは複数から選択されるポリマー
のうちの1つ又は複数を含む、請求項28から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記コンフォーマル層が、少なくとも約200℃のガラス転移温度を有する、請求項28から39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年2月15日に出願された、「TEMPORARY BONDING AND DEBONDING PROCESS TO PREVENT DEFORMATION OF METAL CONNECTION IN THERMOCOMPRESSION BONDING」と題する米国仮特許出願第63/149,535号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、仮接合材料及び方法、すなわち、半導体及びマイクロエレクトロニクス製造中に関する。
【背景技術】
【0003】
仮ウェハ接合(「TWB」)は、通常、デバイスウェハすなわちマイクロ電子基板を、ポリマー接合材料によってキャリアウェハすなわち基板に取り付けるためのプロセスを指す。接合後、デバイスウェハは薄くされ(典型的には50μm未満まで)、次いで、その裏面にシリコン貫通電極(「TSV」)、再配線層、ボンドパッド、及び他の回路フィーチャを形成するよう処理される。キャリアウェハは、裏面処理中に脆弱なデバイスウェハを支持する。裏面処理は、周囲温度と高温(250℃超)との間の反復サイクル、ウェハのハンドリング及び移送工程の機械的衝撃、及びデバイスウェハを薄くするために使用されるウェハ裏面研削プロセス中に課されるものなどの強い機械的力を伴い得る。裏面処理のすべてが完了すると、デバイスウェハは通常、フィルムフレームに取り付けられ、その後、キャリアウェハから分離又は剥離され、さらなる動作が行われる前に洗浄される。
【0004】
ほとんどのTWBプロセスは、デバイスウェハとキャリアウェハとの間に1つ又は2つの層のいずれかを使用する。2層システムの場合、各層は、基板及び/又はフィーチャのサイズと比較して比較的厚い傾向がある。第1の層は、平面(すなわち、これは、トポグラフィを伴わずに平面又は平坦な接合面を作製するように存在する任意のフィーチャ/トポグラフィを網羅する)ポリマー接合材料である。これは、本質的に熱可塑性、熱硬化性、又は光硬化性であり得る。第2の層は、本質的にポリマーであっても、又はポリマーでなくてもよく、また平面であり、2つの層の間の界面で構造を剥離するために弱い機械的力を加えることによって接合ウェハ対を分離することを可能にする。いくつかの例では、第2の層は、レーザ又は他の光源からの放射に応答し、接合の完全性を構造内で失わせ、機械的な力をほとんど又は全く加えないでウェハを分離させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかのTWBプロセスでは、デバイスウェハの表面は、はんだボールを含む。典型的な熱圧着プロセスの間、接合中の圧力と熱の組み合わせは、はんだボールを変形及び/又はシフトさせる可能性があり、裏面処理後にはんだボールを介して接続を行おうとするときに位置ずれ及び他の処理困難をもたらす。高温でのボンドヘッドオンチップからランディングウェハへの強い下向きの力のために、故障モードはバンプ高さの低減及び/又はボールシフトをもたらす。接合中にはんだボールが変形及び/又はシフトしない熱圧着方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、広くは第1の基板、組成物のコンフォーマル層、第2の基板、及び接合層を含むスタックを提供することを含む仮の方法に関する。第1の基板は、裏面(back surface)及び表面(front surface)を有し、表面ははんだボールを含む。組成物のコンフォーマル層は、表面及びはんだボール上にある。第2の基板は第1の面を有し、接合層はその第1の面上にあり、コンフォーマル層と接触している。第1及び第2の基板は分離される。
【0007】
本開示はまた、第1の基板、熱可塑性組成物のコンフォーマル層、接合層、及び第2の基板を含むマイクロ電子構造体を提供する。第1の基板は、裏面及び表面を有し、表面ははんだボールを含む。熱可塑性組成物のコンフォーマル層は、表面及びはんだボール上にある。接合層は、コンフォーマル層と接触している。第2の基板は第1の面を有し、接合層はその第1の面に隣接する。
【0008】
さらなる実施形態では、本開示は、熱可塑性組成物のコンフォーマル層を第1の基板の表面に形成して、コンフォーマルコーティングされた第1の基板を形成することを含む接合方法を提供し、表面は、はんだボールを含む。コンフォーマルコーティングされた第1の基板は、接合層とコンフォーマル層とを接触させることによって、前述の第1の面上に接合層を有する第1の面を有する第2の基板に接合される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】はんだボールのシフト及び/又は変形を回避する接合方法の実施形態の概略図(縮尺通りではない)である。
図2】さらなる詳細を示すために拡大された、図1のフィーチャの1つを有する部分図である。
図3】さらなる詳細を示すために拡大された、図1のフィーチャのうちの2つを有する部分図である。
図4】開示された方法の2つの代替的な実施形態の概略図(縮尺通りではない)である。
図5】はんだボール上の材料のコンフォーマルコーティングを示す走査型電子顕微鏡(「SEM」)画像である(実施例1)。
図6図5のはんだボール上の薄いコンフォーマル保護コーティングを示すテストデバイスウェハの断面のSEM画像である。
図7】実施例2の第1の接合ウェハ対の走査音響顕微鏡(「SAM」)画像である。
図8】実施例2の第2の接合ウェハ対のSAM画像である。
図9】350℃及び400℃のそれぞれで30分間熱安定性の評価後の接合ウェハ対のSAM画像を示す(実施例3)。
図10(A)】実施例4に記載されるように、表面平坦化を評価するために追従される走査パターンを示す。
図10(B)】実施例4に記載されるように、形状測定による熱圧着後の表面平坦化を示すグラフである。
図11(A)】高T及び低Tの仮接合材を用いた熱圧着中のボンドヘッド温度及び力対時間のグラフである(実施例4)。
図11(B)】図11(A)と併せて観察されるべきであり、熱圧着中のボンドヘッド高さを高T及び低Tの仮接合材料と比較するグラフを提供する(実施例4)。
図12(A)】二重層システムを用いた熱圧着中のボンドヘッド温度及び力対時間のグラフである(実施例4)。
図12(B)】図12(A)と併せて観察されるべきものであり、熱圧着中のボンドヘッド高さを二重層システムと比較したグラフである(実施例4)。
図13】接合、熱圧着、剥離、及び洗浄前の、銅ピラー上にはんだキャップでコーティングされた熱可塑性接合材料を示すSEM画像である(実施例5)。
図14】実施例5に記載されるように、わずかな損傷(左)及び損傷なし(右)で、接合、熱圧着、剥離、及び洗浄後にはんだキャップで銅ピラー上にコーティングされた熱可塑性接合材料を示すSEM画像を提供する。
図15】実施例5に記載されるように、はんだキャップ(右)上への第2の熱可塑性接合材料のコーティング(左)及び上部コーティングの後に銅ピラー上にコーティングされた熱可塑性保護材料を示すSEM画像を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、熱圧着中のはんだボールのシフト及び/又は変形を回避する方法を提供することによって業界のニーズに対処する。
【0011】
より詳細には、図1(A)(縮尺通りではない)を参照すると、前駆体構造10が概略断面図で示されている。構造10は、表面14及び裏面16を有する第1の基板12を含む。基板12は、任意の形状とすることができるが、典型的には、円形、長方形、又は楕円形の形状である。一実施形態では、基板12は、チップ対基板(chip-to-substrate)用途に使用されるガラスパネル基板などのシリコン又はガラスウェハとすることができる。別の実施形態では、基板12はデバイスウェハであり、表面14は、好ましくは、複数のフィーチャ18及びそれらの間の領域19を含むデバイス表面である。図示の実施形態はフィーチャ18のみを示しているが、デバイス表面は、集積回路、MEMS、マイクロセンサ、パワー半導体、発光ダイオード、フォトニック回路、インターポーザ、埋め込み受動デバイス、ならびに/或いはシリコン及びシリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、リン化アルミニウムインジウムガリウム、及びリン化インジウムガリウムなどの他の半導体材料上又はそれらから製造された他のマイクロデバイスから選択されたものなどのデバイスのアレイを含むことができることが理解されよう。これらのデバイス表面は、一般に、シリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、窒化(酸化)シリコン、金属(例えば、銅、アルミニウム、金、タングステン、タンタル)、低k誘電体、ポリマー誘電体、ならびに様々な金属窒化物及びケイ化物のうちの1つ又は複数から形成された構造体を含むことができる。そのようなデバイス表面はまた、はんだバンプ、金属ポスト、金属ピラー、ならびにシリコン、ポリシリコン、二酸化シリコン、窒化(酸化)シリコン、金属、低k誘電体、ポリマー誘電体、金属窒化物、及び金属ケイ化物からなる群から選択される材料から形成される構造体のうちの1つ又は複数から選択される構造体を含むことができる。
【0012】
図示の実施形態では、フィーチャ18はそれぞれ、金属ピラー20と、はんだバンプ又はボール22とを備える。図2は、フィーチャ18の拡大図を示す。各金属ピラー20は、上面14から延在し、それぞれの側壁24及びそれぞれの上面26を有する。それぞれのはんだボール22は、上面26に位置付けられる。各はんだボール22は、金属ピラーの上面26に接触する接触面28を有する。さらに、各はんだボール22は、上面26と接触していない湾曲した外面30(図示の実施形態では「上方」湾曲面)を有する。金属ピラー20は、銅、金、及び/又はアルミニウムを含む、任意の従来使用されている材料で形成することができる。
【0013】
はんだバンプ又はボール22は、特定の用途、設計、及び他の必要性に応じて、任意の数の材料で作ることができることが理解されよう。バンプ(例えば、ピラーの上部の半球)又はボール22は、典型的には、1つ又は複数の金属或いは金属合金を含む。例えば、バンプ又はボール22は、合金若しくは非合金の形態のSn、Ag、Ni、Cu、Ti、W、Au、Pb、Bi、Zn、Cd、或いはInのうちの1つ又は複数から形成されてもよい。使用される典型的な合金には、SnAg、SnPb、SnInAg、或いはAuSnの1つ又は複数から選択されるものが含まれる。いくつかの例では、はんだバンプ又はボールは、第1の材料(例えば、ポリマー、金属、金属合金)のコアと、コアを取り囲む同じ又は異なる金属及び/又は金属合金の1つ又は複数の層とを含むことができる。
【0014】
はんだバンプ又はボール22は、特定の用途及び最終用途の必要性に応じて、広範囲のサイズを有することができるが、典型的な寸法は、約10μm~約120μm、好ましくは約20μm~約90μm、より好ましくは約30μm~約50μmである。これらの寸法は、使用前のはんだボールの直径(すなわち、「購入されたままの状態」)又は適用後のはんだボール又はバンプによって提示される最大表面間寸法のいずれかを指すことができる。図2の「D」は、図示の実施形態のはんだバンプ22の最大寸法を示し、一方、「H」は、はんだボール22の高さとピラー20の高さとを組み合わせた合計を指す。
【0015】
図1(B)を参照すると、保護組成物が基板12の表面14に塗布されてコンフォーマル層32を形成する。保護組成物は、好ましくは、本明細書に記載の特性を有する様々な市販の組成物から選択される流動性組成物である。典型的なそのような組成物は、好ましくは有機であり、好ましくは溶媒系に溶解又は分散したポリマー(複数可)及び/又はオリゴマー(複数可)を含む。
【0016】
保護組成物は、好ましくは熱可塑性組成物である。すなわち、組成物中のいずれの成分も架橋性でないことが好ましい。一実施形態では、保護組成物は架橋剤を本質的に含まない。すなわち、組成物の総重量を100重量%とした場合に、約0.5%未満、好ましくは約0.1%未満、より好ましくは約0重量%の架橋剤を含む。
【0017】
ポリマー又はオリゴマーは、典型的には、環状オレフィン(例えば、環状オレフィンコポリマー(「COC」)、環状オレフィンポリマー(「COP」))、エポキシ、又はシロキサンのうちの1つ又は複数のポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを含む)、及びオリゴマーからなる群から選択される。典型的なポリマーには、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、ポリエーテルエーテルケトン、又はポリエーテルイミドのうちの1つ又は複数から選択されるものも含まれる。
【0018】
適切なポリマー及び/又はオリゴマーは、約300ダルトン~約10万ダルトン、好ましくは約500ダルトン~約5万ダルトン、より好ましくは約2,000ダルトン~約2万ダルトンの重量平均分子量を有する。M/M(多分散性、すなわちPDI)は、好ましくは約1.5~約2.5、より好ましくは約1.7~約2.3、さらにより好ましくは約1.7~約2.3である。
【0019】
溶媒系は、有機溶媒、無機溶媒、及び/又は水を含むことができる。組成物の典型的な固形分は、組成物の総重量を100重量%として、約1重量%~約60重量%、好ましくは約3重量%~約40重量%の範囲であり、組成物の残部は溶媒(複数可)である。
【0020】
保護組成物は、接合中(以下でさらに論じる)に使用される温度よりも高い(好ましくは少なくとも約5℃高い、より好ましくは少なくとも約30℃高い、さらにより好ましくは少なくとも約50℃高い)それぞれのガラス転移温度(T)を有するオリゴマー(複数可)及び/又はポリマー(複数可)を含む。一実施形態では、保護組成物中のオリゴマー(複数可)及び/又はポリマー(複数可)は、少なくとも約200℃、より好ましくは約250℃~約500℃、さらにより好ましくは約300℃~約400℃、最も好ましくは約300℃~約350℃のそれぞれのTを有する。Tは、示差走査熱量測定によって求められる。
【0021】
さらに、保護組成物は、好ましくは、約250℃の温度で少なくとも約0.5GPa、好ましくは少なくとも約1GPa、より好ましくは少なくとも約2GPaの貯蔵弾性率を有する。貯蔵弾性率は、温度勾配における1Hzの振動周波数での動的測定によって求められる。
【0022】
コンフォーマル層32の形成に使用するためのいくつかの適切な組成物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,268,449号、第7,935,780号、及び第8,092,628号に記載されている。
【0023】
選択される保護組成物にかかわらず、それは、スピンコーティング、スロットダイコーティング、又はスプレーコーティングなどの任意の既知の塗布方法によって塗布することができる。好ましい方法は、約500rpm~約3,000rpmの速度で、好ましくは約1,000rpm~約1,500rpmの速度で、約20秒~約60秒の期間、好ましくは約30秒~約40秒の期間、組成物をスピンコーティングすることを含む。代替で、組成物は、スプレーコーティング、噴射、又はスクリーン印刷を含む他の方法によって塗布することができる。組成物が塗布された後、組成物は、好ましくは約40℃~約250℃の温度、より好ましくは約60℃~約220℃の温度まで、約1秒~約6分の期間、より好ましくは約60秒~約4分の期間加熱され、コンフォーマル層32を形成する。いくつかの実施形態では、利用される組成物に応じて、層を多段ベークプロセスに供することが好ましい。それにもかかわらず、コンフォーマル層32は、このプロセス中に架橋を受けないことが好ましい。
【0024】
形成されたコンフォーマル層32は、好ましくは、熱重量分析スペクトルの変曲点を検査することによって決定される、少なくとも約200℃、好ましくは約220℃~約400℃、より好ましくは約250℃~約350℃の軟化点を有する。さらに、形成されたコンフォーマル層32は、接合中に使用される温度(以下でさらに論じる)よりも高い(好ましくは少なくとも約5℃高い、より好ましくは少なくとも約30℃高い、さらにより好ましくは少なくとも約50℃高い)Tを有する。一実施形態では、形成されたコンフォーマル層32は、少なくとも約200℃、より好ましくは約250℃~約500℃、さらにより好ましくは約300℃~約400℃、最も好ましくは約300℃~約350℃のTを有する。さらに、形成されたコンフォーマル層32は、好ましくは、約250℃の温度で少なくとも約0.5GPa、好ましくは少なくとも約1GPa、より好ましくは少なくとも約2GPaの貯蔵弾性率を有する。
【0025】
追加で、図1(B)に示すように、コンフォーマル層32は、第1の基板12の表面14(フィーチャ18及び/又ははんだボール22を含まない領域19に)、金属ピラー20の側壁24、及びはんだボール22の湾曲面30上に連続的な硬質コーティングを形成し、好ましくは、コンフォーマル層32と表面14、側壁24、又は湾曲面30との間に介在層又は他の材料がない。
【0026】
コンフォーマル(conformal)は、層32がその下にあるトポグラフィに概ね従う(すなわち、平坦な面を形成するためにフィーチャ/トポグラフィにわたって平坦化していない)という事実を指すことを広く意図している。この層が平面又は平坦な表面を形成せず(すなわち、表面トポロジーを除去せず)、代わりにそのトポグラフィの輪郭に概ね従うことを条件として、コンフォーマルと見なされる層には大きな程度の厚み変動があり得る。
【0027】
厚み変動の程度は、実施形態に応じて変化する。一実施形態では、コンフォーマル層32は、約0.1μm~約20μm、0.2μm~約10μm、好ましくは約0.5μm~約5μmの平均厚さ(5箇所で測定)を有することができる。本明細書で使用される厚さは、任意の膜厚測定ツールを使用して測定することができ、1つの好ましいツールは、SUSS Microtec又はFoothillによって販売されているものなどの赤外線干渉計である。
【0028】
一実施形態では、コンフォーマル層32は、図3に概略的に示すように、表面14の領域19上及びそれにわたり、ならびにフィーチャ18の側壁24及び湾曲面30上及びそれにわたり実質的に厚さが均一であり得、したがって、基礎となるトポグラフィに「適合する」。すなわち、本実施形態では、コンフォーマル層32は、好ましくは、総厚み変動(「TTV」)が比較的低く、これは、コンフォーマル層32の最も厚い点と最も薄い点とが互いに劇的に異ならないことを意味する。好ましくは、コンフォーマル層32のTTVは、総平均厚さの約90%未満、より好ましくは総平均厚さの約60%未満、さらにより好ましくは総平均厚さの約40%未満、最も好ましくは総平均厚さの約20%未満である。すなわち、接合スタックの平均厚さが約10μmである場合、約20%未満のTTVは約2μmになる。
【0029】
TTVは、好ましくは、コンフォーマル層32上のいくつかの点又は位置で、好ましくは約50点で、より好ましくは約100点で、さらにより好ましくは約1,000点で厚さを測定することによって計算される。これらの点で得られた最も高い厚さ測定値と最も低い厚さ測定値との差は、その特定のコンフォーマル層32のTTV測定値と呼ばれる。いくつかのTTV測定値の例では、縁部除外又は外れ値を計算から除去することができる。これらの場合、含まれる測定値の数はパーセンテージによって示され、すなわち、TTVが97%を含むと考慮すると、最高測定値及び最低測定値のうちの3%が除外され、3%が最高と最低との間で等しく分割される(すなわち、それぞれ1.5%)。好ましくは、上記のTTVの範囲には、測定値の約95%~約100%、より好ましくは測定値の約97%~約100%、さらにより好ましくは測定値の約100%を使用して到達する。
【0030】
一実施形態では、コンフォーマル層32は、その下にあるトポグラフィに概ね従う(すなわち、平坦な面を形成するためにフィーチャ/トポグラフィにわたって平坦化しない)という点で依然としてコンフォーマルであるが、コンフォーマル層32のTTVは、前述の実施形態よりもはるかに緩和されている。しかしながら、コンフォーマル層32は、緩和されているにもかかわらず、平坦化層ではない。これらの例では、コンフォーマル層32は、その最も薄い点でのコンフォーマル層32の厚さよりも約2~約15倍、好ましくは約2~約10倍、より好ましくは約3~約8倍厚い厚さをその最も厚い点で有することができる。これらの実施形態では、コンフォーマル層32のより厚い部分は、一般に、領域19(すなわち、ピラー、はんだバンプ、及び/又は他のフィーチャ又は構造の間の領域)に見られ、一方、より薄い部分は、一般に、ピラー、はんだバンプ、及び/又は他のフィーチャ(例えば、湾曲面30上及び/又は側壁24上)の上部及び/又は側面に見られる。
【0031】
実施形態にかかわらず、コンフォーマル層32は、好ましくはその全体にわたって連続している。すなわち、コンフォーマル層32のすべてが、添付の図に示されるように、中断されずに(すなわち、コンフォーマル層32のコーティングに「破損」がない)フィーチャ/トポグラフィにわたって続くことが好ましい。
【0032】
図1(C)を参照すると、第2の前駆体構造34が概略断面図においても示されている。第2の前駆体構造34は、第2の基板36を有する。本実施形態では、第2の基板36はキャリアウェハであり、第1又はキャリア表面38及び裏面40を有する。第2の基板36は任意の形状とすることができるが、典型的には円形であり、第1の基板12と同様のサイズである。第2の基板36がキャリアウェハである実施形態では、好ましいそのようなキャリアウェハは、シリコン、サファイア、石英、金属(例えば、アルミニウム、銅、鋼)、又は様々なガラス及びセラミック基板/ウェハを含む。適切なキャリアは、好ましくは、第1の基板12と同様の熱膨張係数(CTE)を有する。
【0033】
第2の基板36の第1の面38には、表面上に形成された接合層42が含まれる。接合層42は、第2の基板36から遠隔の接合面44を有する。好ましくは、接合層42は、表面38上に直接形成される(すなわち、接合層42と第2の基板36との間に中間層がない)。
【0034】
接合層42は、典型的な塗布方法を使用して任意の従来の接合組成物から形成することができ、組成物の配合及び塗布方法は、接合層が熱可塑性であるか熱硬化性であるかに依存する。
【0035】
1.熱可塑性接合層42
熱可塑性接合組成物が接合層42を形成するために使用される場合、1つの好ましい方法は、約300rpm~約3,000rpm、好ましくは約750rpm~約1,500rpmの速度で、約30秒~約240秒、好ましくは約60秒~約180秒の期間、接合組成物をスピンコートすることを含む。代替で、組成物は、積層、スプレーコーティング、噴射、又はスクリーン印刷を含む他の方法によって塗布することができる。次いで、塗布された組成物は、好ましくは約50℃~約250℃、より好ましくは約60℃~約200℃の温度まで、約1秒~約6分間、好ましくは約60秒~約4分の期間加熱される。いくつかの実施形態では、利用される組成物に応じて、層を多段ベークプロセスに供することが好ましい。形成された熱可塑性接合層42は、少なくとも約-50℃、好ましくは約-20℃~約100℃、より好ましくは約0℃~約50℃の軟化点を有する。形成される熱可塑性接合層42の厚さは、好ましくは約5μm~約200μm、より好ましくは約10μm~約120μmである。
【0036】
熱可塑性接合層42は、上記の特性を有する層に形成することができる任意の市販の接合組成物から形成することができる。典型的なそのような組成物は有機であり、好ましくは溶媒系に溶解又は分散したポリマー(複数可)及び/又はオリゴマー(複数可)を含む。溶媒系は、有機溶媒、無機溶媒、又は水である1つ又は複数の溶媒を含むことができる。ポリマー又はオリゴマーは、典型的には、環状オレフィン(例えば、環状オレフィンコポリマー(「COC」)、環状オレフィンポリマー(「COP」))、エポキシ、アクリル、シロキサン、スチレン、ハロゲン化ビニル、又はビニルエステルの1つ又は複数のポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを含む)、及びオリゴマーからなる群から選択される。典型的なポリマーには、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリアミドエステル、ポリイミドエステル、又はポリアセタールの1つ又は複数から選択されるものも含まれる。
【0037】
熱可塑性接合組成物の典型的な固形分は、組成物の総重量を100重量%とした場合に、約1重量%~約60重量%、好ましくは約3重量%~約40重量%の範囲である。いくつかの適切な組成物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,496,164号、第10,103,048号、及び第10,968,348号に記載されている任意の熱可塑性組成物を含む。最後に、接合層42を形成するために使用される熱可塑性接合組成物は、好ましくは、約250℃の温度で約1GPa未満、より好ましくは約100MPa未満、さらにより好ましくは約10MPa未満の貯蔵弾性率を有する。
【0038】
2.熱硬化性接合層42
熱硬化性接合組成物が接合層42を形成するために使用される場合、1つの好ましい方法は、約300rpm~約5,000rpm、好ましくは約500rpm~約2,000rpmの速度で、約30秒~約240秒、好ましくは約60秒~約180秒の期間、接合組成物をスピンコートすることを含む。代替で、組成物は、積層、スプレーコーティング、噴射、又はスクリーン印刷を含む他の方法によって塗布することができる。組成物が塗布された後、組成物は、好ましくは約60℃~約200℃、より好ましくは約80℃~約150℃の温度まで、約60秒~約3分、好ましくは約90秒~約2分の期間加熱される。いくつかの実施形態では、利用される組成物に応じて、層を多段ベークプロセスに供することが好ましい。このベークは、材料の硬化を開始するのに十分な高い温度であるべきではない。熱硬化性接合層42は、少なくとも約40℃、好ましくは約50℃~約200℃、より好ましくは約60℃~約150℃の軟化点を有する。形成された熱硬化性接合層42の厚さは、好ましくは約5μm~約200μm、より好ましくは約10μm~約120μm、最も好ましくは約20μm~約60μmである。
【0039】
本実施形態で使用するための好ましい接合組成物は、熱、光、又は他の手段によって化学的に架橋することができる。すなわち、これらの組成物は、光及び熱硬化性樹脂及びポリマー含有組成物、好ましくは硬化時に揮発性副生成物をほとんど又は全く生成しない種類を含む。これらには、少なくとも2つの反応性エポキシ、アクリレート、ベンゾオキサジン、マレイミド、ベンゾシクロブテン、及び/又はシアネートエステル部分を含む樹脂及びポリマー組成物が含まれる。反応性部分はまた、カルコン、スチルベン、及び/又は他の光二量体化可能な官能基を含むことができる。光酸発生剤(「PAG」)又は熱酸発生剤(「TAG」)を用いて硬化されるエポキシ樹脂含有組成物は、本実施形態を実施するのに特に有用である。接合プロセスの前に熱硬化性組成物を塗布及び乾燥させるためのプロセスは、接合プロセス中に流動性のままであり、空隙のない接合線を形成することを可能にするように、組成物を架橋させることを最小限に抑えるべきであり、好ましくは避けるべきである。いくつかの適切な組成物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0234993号及び第2021/0033975号ならびに米国特許第9,496,164号、第10,103,048号、及び第10,968,348号に記載されている任意の熱硬化性組成物を含む。
【0040】
3.接合プロセス
図1(D)を参照すると、前駆体構造10は、底部チャック46上に支持され、一方、ボンドヘッド48は、第1の基板12の裏面16に対して下向きの圧力50を加え、構造10及び34を面対面関係で互いに押し付ける。したがって、接合層42の接合面44は、第1の基板12の表面14(領域19及びフィーチャ18を含む)と接触している。押圧中、接合スタック52を形成するため2つの構造10及び34の互いの接合が達成されるように十分な圧力及び熱が十分な時間にわたって加えられる。コンフォーマル層32及び接合層42は、それぞれ第1の基板12及び第2の基板36と強固な接着接合を形成することができなければならない。追加で、コンフォーマル層32と接合層42との間に、連続的で空隙のない接合界面が形成されるべきである。これは、コンフォーマル層32、接合層42、又はその両方を形成するために使用される組成物の選択によって達成することができる。
【0041】
接合パラメータは、接合層42が形成される組成物の種類に応じて変化するが、典型的な接合温度は、約25℃~約200℃、好ましくは約25℃~約100℃の範囲であり、典型的な圧力は、圧力なし(すなわち、ボンダによって追加の力を加えずに単に重力接合を使用する)から、約1N~約5,000N、好ましくは約100N~約3,000Nのレベルで、約10秒~約10分、より好ましくは約1分~約3分の期間、ボンダによって加えられる圧力までの範囲である。接合層42が熱硬化性組成物から形成される場合、接合圧力及び温度は、硬化する前のその組成物の早い流れを補償するためを低下させることができる。熱硬化性接合組成物は、適用される接合温度及び期間に応じて、接合プロセス中に硬化し始めることができる。必要に応じて、接合後硬化ベークを適用して、接合層42の硬化プロセスを完了することができる。接合後硬化ベークは、典型的には、約100℃~約250℃、好ましくは約150℃~200℃で約1秒~約60分間、より好ましくは約5分~約30分間実行される。
【0042】
この段階で、第1の基板は安全に取り扱われ、第2の基板36に接合されていなければ第1の基板12の表面14及び/又はフィーチャ18を損傷させた可能性があるさらなるプロセスに供され得る。したがって、構造10(スタック52の一部として)は、基板12及び36の分離を生じることなく、かつこれらの後続の処理工程中に遭遇する化学物質の浸透なしに、裏面研削、再配線層(RDL)形成、パッド形成、化学機械研磨(「CMP」)、エッチング、メタライジング、誘電体堆積、パターニング(例えば、フォトリソグラフィ、ビアエッチング)、不動態化、及び/又はアニーリングなどの裏面処理に安全に供することができる。コンフォーマル層32及び接合層42は、これらのプロセスに耐えることができるだけでなく、最大約400℃、好ましくは約25℃~約350℃、より好ましくは約100℃~約300℃の処理温度に耐えることもできる。
【0043】
上記の裏面処理は、ウェハツーウェハ接合を伴った。代替的な実施形態では、開示された概念は、チップツーウェハ接合ならびにチップスタッキングに適用することができる。同様の番号が同様の部品を表す図4を参照すると、図1に関して説明したプロセスを繰り返すことができるが、代わりにシリコン貫通電極(「TSV」)54を含む第1の基板12のフィーチャ18を有する。TSV54は、第1の端部56及び第2の端部58を有し、典型的には、ピラー20に関して上述したような金属である。さらに、第1の基板12(すなわち、「下」のコンフォーマル層32)のはんだバンプ又はボール22が存在し、第1の端部56でTSV54と接触している。本実施形態では、第1の基板12は裏面薄化されており、チップを接合できるランディングウェハとして機能している。
【0044】
次に、キャリア基板64上に支持された1つ又は複数のチップ62(このような2つのチップ62を図4(A)に示す)を含むチップ構造60がプロセスに導入される。チップ62はまた、第1の端部68及び第2の端部70と、第1の端部68にはんだボール71とを有するそれぞれのTSV66を含む。チップ構造60は、チップ構造60のTSV66に取り付けられたそのはんだボール71が位置合わせしてTSV54の第2の端部58に接触するように位置付けられ、そうして接続を完了する。ボンドヘッド48は、前述の条件に従ってキャリア基板64を介してチップ構造60に熱及び圧力を加える。代替で、以下のパラメータ、約150℃又は約100℃未満の接合ヘッド温度、接合時間約1秒、接合力約10N、及び底部チャック温度約80℃を使用することができる。
【0045】
この段階で、成形材料は、従来の塗布方法に従って保護のために塗布することができ、得られた構造は、特定の最終用途のために必要に応じて処理することができる。代替で、この段階で成形材料を塗布する代わりに、複数のそのようなチップ構造60(例えば、4、8、12)を、上述のように、かつ成形材料を塗布する前にうまく積層することができる(図4(B)参照)。さらに、そのような各チップ構造は、同じ、異なる、及び/又はチップレットであり得る。この例では、理想的には、最後のチップ構造60が取り付けられた後に接合後ステップが適用される。接合後の条件は、典型的には、約260℃~約400℃のボンドヘッド温度、約20N~約50Nの接合力、約10秒未満の接合時間、及び約150℃以上の底部チャック温度である。
【0046】
処理が完了すると、基板12及び36は、接合層42を形成するために使用される特定の接合組成物に適していることが知られている任意の数の分離方法によって分離することができる。どの手段が利用されるかにかかわらず、基板12及び36を完全に分離するために低機械的力(例えば、指圧、穏やかなウェッジング)を加えることができる。分離後、コンフォーマル層32が形成される特定の材料を溶解することができる溶媒によって、基板12の表面14から残りのコンフォーマル層32を除去することができる。同様に、接合層42は、接合層42が形成される特定の材料を溶解することができる溶媒によって第2の基板36の第1の面38から除去されてもよく、したがって、第2の基板36の再利用を可能にする。
【0047】
有利には、前述の方法にかかわらず、コンフォーマル層32は、はんだボール22、銅ピラー、及び基板12上の、ならびにコンフォーマル層32によって覆われたデバイス又は構造体が、第1の基板12の熱圧着及びその後の裏面処理中に変形、シフト、バンプ高さの変化、及び/又は他の損傷を受けることを減少させるか、或いは完全に防止し、より良好な3DIC集積化を可能にする。この改善は、視覚的に(例えば、SEM)又は音響的に(例えばSAM)、ならびにデバイス故障の減少などの性能改善を通じて観察することができる。さらに、本方法は、約5μm~約160μm、好ましくは約10μm~約30μmを含む広範囲のピッチで機能する。
【0048】
前述の開示に対していくつかの変形を行うことができることが理解されよう。例えば、上記の実施形態では、はんだボール22はピラー又はTSVに取り付けられているが、はんだボールは、金属ポスト、金属パッド、及び導電層を含む任意の従来の取り付け点又は機構を介して取り付けることができる。様々な取り付け機構は、典型的にはアンダバンプメタル(under-bump metal)(「UBM」)の使用を必要とすることが理解されよう。
【0049】
接合層42の形成中に別の変形が起こり得る。図示の実施形態では、接合層42は、第2の基板36の表面38上に形成された。代替で、接合層42は、代わりにコンフォーマル層32上に形成することができる。この実施形態では、次に、第2の基板36は、上記と同じ接合プロセスに従って、形成された接合層42に接合される。
【0050】
様々な実施形態のさらなる利点は、本明細書の開示及び以下の実施例を検討すれば、当業者には明らかであろう。本明細書に記載の様々な実施形態は、本明細書に別段の指示がない限り、必ずしも相互に排他的ではないことが理解されよう。例えば、一実施形態で説明又は図示された特徴は、他の実施形態に含まれてもよいが、必ずしも含まれるわけではない。したがって、本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態の様々な組み合わせ及び/又は統合を包含する。
【0051】
本明細書で使用される場合、2つ以上の項目の列挙で使用される場合の「及び/又は、」という語句は、列挙された項目のいずれか1つが単独で使用され得るか、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせが使用され得ることを意味する。例えば、組成物が成分A、B及び/又はCを含有又は除外すると記載されている場合、組成物はA単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、又はA、B及びCの組み合わせを含有又は除外することができる。
【0052】
本明細書はまた、様々な実施形態に関する特定のパラメータを定量化するために数値範囲を使用する。数値範囲が提供される場合、そのような範囲は、範囲の下限値のみを列挙する請求項の限定ならびに範囲の上限値のみを列挙する請求項の限定に対する文字通りの支持を提供すると解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、約10~約100の開示された数値範囲は、「約10より大きい」と記載している請求項(上限なし)及び「約100未満」と記載している請求項(下限なし)を文字通り支持する。
【実施例
【0053】
以下の実施例は、本開示による方法を示す。しかしながら、これらの例は例示として提供されており、その中のいかなるものも、全体的な範囲に対する限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0054】
実施例1
鉛フリーはんだボールを有するデバイス上の保護層コーティング
バンプ高さ80μm、ピッチ160μmのSnAgはんだボールを用いて200mmシリコンデバイスウェハを作製した。高T(300℃超)熱可塑性組成物(BrewerBOND(登録商標)T1107材料、Brewer Science,Inc.、ミズーリ州ローラ)を、スピンコータ(Cost Effective Equipment,LLC、ミズーリ州ローラから入手)上で1,000rpm、1,000rpm/秒のランプで45秒間スピンコートすることによって、鉛フリーはんだボールを用いてデバイスウェハ上に約3μmの厚さにコンフォーマルにコーティングした。ウェハを60℃のホットプレート上で1分間及び220℃で4分間ベークした。ベーク後、保護コーティングのTTVが低い前述の実施形態の一例を示す図5及び図6に示すように、走査型電子顕微鏡を用いてコートの均一性を確認した。
【0055】
実施例2
接合性能評価
熱硬化性接合組成物(BrewerBOND(登録商標)C1301材料、Brewer Science,Inc.、ミズーリ州ローラ)を、スピンコータベークプレートの組み合わせツール(Cee(登録商標)200CB、Cost Effective Equipment,LLC、ミズーリ州ローラ)上で1,000rpm、3,000rpm/秒のランプで30秒間スピンコートすることによって、2つの200mmシリコンキャリアウェハ上に約50μmまでコーティングした。BrewerBOND(登録商標)T1107材料を、1,000rpm、500rpm/秒のランプで90秒間のスピンコートによって、他の2つの200mmシリコンキャリアウェハ上に約3μmまでコーティングした。次いで、1つのキャリアウェハ及び1つのデバイスウェハを室温で互いに接合し、180℃のホットプレート上で5分間、続いて220℃で5分間ベークして、第1の接合対を形成した。第2の接合対は、第2のキャリアウェハ及び第2のデバイスウェハと同じステップに従って形成された。接合後、図7及び図8に示すように、走査型音響顕微鏡(「SAM」、Sonix(商標),Inc.、バージニア州スプリングフィールドから入手)を用いて、接合された各対について、2つの接合組成物間の空隙を確認した。
【0056】
実施例3
研削、熱評価及び機械的剥離
キャリアウェハに接合しながら、実施例2からの模擬デバイスウェハを、自動グラインダ/ポリッシャ(DGP8761,DISCO,カリフォルニア州から入手可能)を使用して50μmまで研磨した。接合対を、2.8mbarの真空を有する処理チャンバ内に、一方の対については350℃で30分間、他方の対については400℃で30分間配置することによって、熱安定性について評価した。熱評価後、各接合対を、走査型音響顕微鏡を使用して、2つの接合組成物間の接合ラインにおける空隙についてチェックした(図9参照)。
【0057】
実施例4
薄化シリコン接合対の熱圧着
模擬シリコンデバイス及びシリコンキャリアウェハを、実施例2に記載されているように材料及びプロセスでコーティング及び接合した。2層接合システムの組み合わされた厚さは52μmであった。次いで、模擬デバイスウェハを、実施例3に記載されているように50μmの厚さに薄くした。熱圧着(「TCB」)を使用して、薄化デバイスウェハのキャリアウェハから遠い側にダミーシリコンダイ(5mm×5mm)を配置した。各ダイのプレースメントフォースは、表1に示すように、6秒間で5KgF~14.5KgFの範囲であった。この実施例4では、ダイ上に接合材料を使用しなかった。したがって、薄化ウェハのポストボンド検査のためにダイを除去することができる。さらに、TCBプロセスは、同じ位置でマルチダイ積層をシミュレートするために同じ位置で複数回繰り返すことができる。したがって、1~8TCBサイクル後の薄化ウェハに対する応力及び熱的影響を評価することができた。
【0058】
【表1】
【0059】
薄化シリコンウェハ上のTCB後に取得された最初の測定値は、表面平坦性分析を含んでいた。図10(A)は、KLA-Tencor Wafersight(商標)Pattern Wafer Geometry systemによって測定された薄化シリコンの表面にわたるラインスキャンパターンを示し、図10(B)は対応するグラフを示す。ラインスキャンの位置は、表1のDOEによって定義された異なるTCB配置条件に従うようにした。結果は、同じ位置で8回(8X)繰り返される6秒間の14.5KgFの最も極端なTCB条件では、生成された最大永久変形が10nm未満であったことを示している。したがって、50μmのシリコンランディングウェハは、2つの仮接合材料によって支持されるだけでなく、デバイス表面に永久的な損傷を引き起こさない。したがって、基板に取り付けられた隣接するチップの配置又は平坦化に対する影響は最小限と予想される。
【0060】
次に、薄化シリコンウェハに対するTCBの影響を、TCBサイクル中のボンドライン圧縮の指標として仮z軸変形を追跡することによって測定した。換言すれば、シリコンの変形の大きさをリアルタイムで判定する実験を行った。この実験では、比較目的のために基準(対照と同様)を作製した。基準は、処理されていない、別のウェハと接合されていない、又は他の方法で修正されていないシリコンウェハであった。2つの熱可塑性材料、環状オレフィンポリマーを含有する低T(80℃未満)材料であるTBM1と、ポリエーテルスルホンを含有する高T(220℃超)材料であるTBM2とを試験した。
【0061】
図11(A)は、実験のTCB条件の力及び温度対時間を示す。図11(B)は、異なるガラス転移温度(すなわち、TBM1及びTBM2)を有する接合材料によって支持された薄化シリコンに対して実行されたTCBプロセスについて得られたボンドヘッド位置対時間を示す。基準のZ高さ位置は、熱膨張に起因して9秒のサイクルにわたって増加したことが分かる。低T材料(TBM1)のZ高さ位置は、基礎となる材料の軟化のためにTCBサイクルにわたって減少した。最後に、高T材料(TBM2)のZ高さ位置は基準に厳密に従っており、低T材料よりも良好に薄くされたシリコン支持を提供したことを示している。この比較は、接合温度より高いTを有する熱可塑性材料で最小の仮変形が観察されることを示した。したがって、より高いT材料は、ボンドラインに埋め込まれたはんだバンプを有する薄化デバイスウェハを支持するためのボンド材料に必要な特性であることが実証された。これにより、TCB処理中の基礎となるはんだバンプへの応力及び損傷が回避される。
【0062】
この結論のさらなる確認として、今度は薄化シリコンを支持する二重層システム(すなわち、BrewerBOND(登録商標)T1107及びBrewerBOND(登録商標)C1301材料)で同じ実験を繰り返した。基準又は対照は、処理されていない、別のウェハと接合されていない、又は他の方法で修正されていない石英ウェハに切り替えられた。図12(A)は、実験のTCB条件の力及び温度対時間を示し、図12(B)は、TCBプロセスの結果のボンドヘッド位置対時間を示す。二重層システムの結果は、280℃で12秒間の5KgFの接合力の下での基準と二重層システムとの間の一致する傾きを示す。TCBプロセス中の最大2.5μmの仮変形(すなわち、Z高さの差)は、石英基板及び仮接合材料の基本的な圧縮性に起因する可能性がある。しかしながら、0.5秒後の並列応答は、基準とシミュレートされた二重層システム接合との間の永久変形がほとんどないことを意味すると考えられる。並列応答はまた、加えられる一定の力に起因する仮接合材料の圧縮性の程度を示すことができる。それにもかかわらず、この変形の程度は、埋め込まれたはんだバンプ又はボール、それらの形状、及びデバイスウェハに対するそれらの電気的完全性を保護するのに十分であると予想される。
【0063】
実施例5
銅ピラーを有するウェハの試験
45μmの銅ピラー、15μmのSnAgはんだキャップ、及び200μmピッチを有するデバイスウェハを、より高いポリマー固体及び320℃のTを有する異なる溶媒比(Brewer Science、ミズーリ州ローラから入手可能)を有するBrewerBOND(登録商標)T1107熱可塑性接合材料の実験版でコーティングした。熱可塑性接合材料を使用して、より急峻な形状を有するデバイスをコーティングした。熱可塑性接合材料を、5μmコンフォーマルコート用のCee(登録商標)スピンコータで1,250rpm、1,000rpm/秒のランプで30秒間コーティングした。次いで、コーティングされたデバイスウェハを120℃のホットプレート上で5分間、続いて220℃で5分間ベークした。はんだキャップを有するコーティングされた銅ピラーは、図13に示すように走査型電子顕微鏡によって撮像され、これは、保護コーティングがコンフォーマル(すなわち、平坦化しない)であるが、そのTTVがはるかに緩和されている(すなわち、フィーチャ/構造間の厚さは、それらのフィーチャ/構造の上部又は側面のコーティングの厚さよりもはるかに大きい(約10倍)前述の実施形態を示す。
【0064】
4インチガラスキャリアウェハを、BrewerBOND(登録商標)C1301-120材料で、800rpm、500rpm/sのランプで90秒間、Cee(登録商標)スピナで材料をスピンコートすることによりコーティングして、約100μmの厚さのコーティングを得た。
【0065】
これらのデバイスウェハ及びキャリアウェハを、ボンダ(Cost Effective Equipment,LLC、ミズーリ州ローラから入手可能なApogee(商標)、Bonder)で25℃、0ニュートンにて3分間接合した。次いで、接合スタックを180℃で5分間及び220℃で5分間熱硬化させた。接合スタックを硬化すると、熱圧着シミュレーションのためにスタックをボンダに戻した。ボンダの上部プラテンを300℃に設定し、下部プラテンは100℃に設定した。ガラスウェハを底部プラテンに接触させた状態で、接合スタックを底部プラテン上に配置した。次いで、接合スタックを、1,650Nの力を用いて15秒間圧縮した。次いで、接合スタックを剥離し、デバイスウェハを洗浄して、すべての熱可塑性接合材料を除去した。分離洗浄したデバイスウェハを、図14に示すように走査型電子顕微鏡で撮像した。図15は、この同じ試験セットからの別のサンプルを示し、左側は銅ピラー上のコーティングを示し、右側は熱可塑性接合層の存在を示す。この実施例5は、材料が処理中のSnAgはんだキャップへの損傷を効果的に軽減することをさらに実証している。
図1
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【国際調査報告】