(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】有機金属化合物とポリシロキサン共重合体とを含む感光性組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 77/48 20060101AFI20240214BHJP
C08G 77/14 20060101ALI20240214BHJP
C08G 79/14 20060101ALI20240214BHJP
C08G 79/12 20060101ALI20240214BHJP
C08G 79/10 20060101ALI20240214BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20240214BHJP
G03F 7/032 20060101ALI20240214BHJP
G03F 7/023 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C08G77/48
C08G77/14
C08G79/14
C08G79/12
C08G79/10
G03F7/075 521
G03F7/032
G03F7/023
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549069
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 KR2022002381
(87)【国際公開番号】W WO2022177332
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0021710
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522167205
【氏名又は名称】ヒューネットプラス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヒョク チン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウン チャン
(72)【発明者】
【氏名】キム、クン ソ
【テーマコード(参考)】
2H225
4J030
4J246
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AD10
2H225AF02P
2H225AM61P
2H225AM85P
2H225AN33P
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2H225BA05P
2H225BA32P
2H225CA21
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC03
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2H225CC21
4J030CB03
4J030CC05
4J030CC10
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4J030CG06
4J246AA03
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4J246BA12X
4J246BA16X
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4J246FB081
4J246FB101
4J246GA01
4J246HA15
(57)【要約】
本発明は、ディスプレイ又は半導体用の感光性物質に使用されうる、有機金属化合物とポリシロキサンとの共重合体を含む感光性組成物、及びその製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1の構造を有する共重合体を含む感光性組成物。
【化1】
(式中、
R
1及びR
2はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;
Xはケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;
Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO
2-)、ホスホリル基(-PO
3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;
mは1~100の整数であり;
nは1~100の整数である。)
【請求項2】
前記共重合体が、下記一般式2の構造及び下記一般式3の構造を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【化2】
(式中、
R
1及びR
2はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;
Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO
2-)、ホスホリル基(-PO
3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;
mは1~100の整数であり;
nは1~100の整数である。)
【化3】
(式中、
R
3及びR
4はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;
Zはチタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;
Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO
2-)、ホスホリル基(-PO
3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;
mは1~100の整数であり;
nは1~100の整数である。)
【請求項3】
前記共重合体が、下記一般式4又は一般式5の構造を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【化4】
(式中、
R
1はC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、又はヒドロキシ基(-OH)であり;
Xはシリコン(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;
Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO
2-)、ホスホリル基(-PO
3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;
mは1~100の整数であり;
nは1~100の整数である。)
【化5】
(式中、
Xはシリコン(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり、Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO
2-)、リン酸基(-PO
3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;
mは1~100の整数であり;
nは1~100の整数である。)
【請求項4】
前記共重合体が、下記一般式6の構造を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【化6】
(式中、
R
1はC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;
mは1~100の整数であり;
nは1~100の整数である。)
【請求項5】
一般式2と一般式3との重量比が1:9~9.9:0.1である、請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記感光性組成物が、前記共重合体100重量部に対して、1重量部~10重量部の光増感剤、30重量部~50重量部の溶媒、0.1重量部~1重量部の接着助剤、及び0.1重量部~1重量部の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の感光性組成物を調製する方法であって、
下記一般式7の構造を有するモノマーを重合溶媒に添加混合してモノマー混合物を作製する工程:
【化7】
(式中、
R
1及びR
2はそれぞれ、C1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;
Xは、ケイ素(Si)、チタニウム(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)である);
共重合モノマーを前記モノマー混合物と混合し、酸触媒を滴下して共重合体を作製する工程;及び
前記共重合体100重量部に対して1重量部~10重量部の光増感剤、30重量部~50重量部の溶媒、0.1重量部~1重量部の接着助剤、及び0.1重量部~1重量部の界面活性剤を混合して前記感光性組成物を作製する工程
を含み、
ここで、前記共重合モノマーはカルボニル基、スルホニル基、又はホスホリル基を含む化合物であり、
前記酸触媒はシュウ酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びトルエンスルホン酸から選択される一種以上である、
方法。
【請求項8】
前記一般式7の構造を有するモノマーが、2種以上のモノマーの混合物の状態にある、請求項7に記載の感光性組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機金属化合物とポリシロキサン共重合体とを含む感光性組成物及びその製造方法に関し、より詳細には、ディスプレイ又は半導体用感光性材料に使用され得る有機金属化合物とポリシロキサンとの共重合体を含む感光性組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ、発光ダイオード、太陽電池などの光学素子において、新しい光の利用効率を向上させ、エネルギーを節約するための様々な提案がなされている。例えば、液晶ディスプレイにおいて、TFT素子上に透明な平坦化膜を塗布形成し、平坦化膜上に画素電極を形成することにより、ディスプレイの開口率を高める方法が知られている。また、基板上に形成された透明画素電極上に発光層を成膜し、基板側から発光を取り出す方法(ボトムエミッション)から、TFT要素上に塗布された平坦化膜上に透明画素電極を形成し、その上に発光層を形成し、TFT要素とは反対側から発光を取り出す方法(トップエミッション)まで、有機EL要素の構成と同様に開口率を向上させる方法が提案されている。
【0003】
また、ディスプレイの高解像度化/大型化、高画質化/3Dディスプレイ化等に伴い、配線上の信号遅延が問題となっている。TFTへの入力信号は画像情報の書き換え速度(フレーム周波数)の高速化により短くなってきているが、高解像度化の要求により、配線幅を広げて配線抵抗を低くするには限界がある。このため、配線厚を厚くすることで信号遅延の問題を解決することが提案されている。
【0004】
このようなTFT基板用平坦化膜の材料として、アクリレート樹脂とキノンジアジド化合物との複合材料が知られている。しかし、これらの材料は200℃以上の高温で材料特性を急激に劣化させることはないが、230℃以上で徐々に分解が始まり、膜厚の減少や基板の高温処理によって透明フィルムが着色し、透過率が低下するという問題がある。特に、PE-CVD等の装置を用いて透明膜材料上に高温で膜を形成する工程には、使用することができない。また、分解生成物は有機EL素子においても発光効率や寿命に悪影響を及ぼすため、アクリル系材料は高温プロセスや不純物の影響を受ける素子に最適な材料とは言えない。また、耐熱性が付与されたアクリル系材料は、一般に誘電率が高い。このため、絶縁膜の寄生容量が大きくなると、消費電力が大きくなったり、液晶素子駆動信号が遅くなったりするなどして、画質に問題を生じさせる。例えば、誘電率の大きい絶縁材料であっても、膜厚を大きくすることで容量を小さくすることができるが、一般的には大型のガラス基板上にスリットコート法等により、例えば5ミクロン以上の膜厚の均一な塗膜を形成することは困難であり、また、材料の使用量も多くなるため、膜厚を大きくすることは好ましくない。
【0005】
ポリシロキサンは、耐熱性が高く、透明性の高い材料として知られている。ポリシロキサンは三官能性シロキサン構造単位(RSiO1.5)からなる重合体であり、無機シリカ(SiO2)と有機ケイ素(R2SiO)との中間の化学構造体(chemical structure intermediate)であるが、有機溶媒に可溶であり、硬化物として無機シリカに特徴的な高耐熱性を示す具体的な化合物である。また、シロキサン骨格を有する高分子は一般に、有機高分子に比べて誘電率が低く、低誘電性透明絶縁膜の材料として期待されている。
【0006】
一方、有機EL(electro-luminescence)装置、量子ドットディスプレイ、TFT(thin film transistor)アレイ、薄膜太陽電池などの光学デバイスの製造においてパターンを実現する方法の一つとして、インクジェットヘッドを用いてドットを用いて発光層などの有機層を形成するインクジェット(IJ)法が用いられている。
【0007】
インクジェット(IJ)方式は基板を使用しない印刷方式であるため、基板の製造コストを低減でき、また、必要な部品に必要な量だけ材料を使用するため、材料コストを低減できるという利点がある。
【0008】
このインクジェット法では、有機層材料を含むインクを隔壁で囲まれた区画(以下、「開口部」ともいう)に注入し、乾燥及び/又は加熱することにより、所望のパターンのドットを形成する。
【0009】
インクジェット方式でパターンを印刷する場合、隣り合うドット間のインクの混合を防止し、ドット形成時にインクを均一に塗布するためには、ドットの輪郭に沿って形成された隔壁の上面に撥インク性が必要となる。このために、撥インク剤を含有する感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法により、ドットのパターンに対応する隔壁を形成する。
【0010】
また、ポリシロキサンは、耐熱性、透明性、化学的安定性等に優れるため、プリント基板材料、窓カバーフィルム材料、感光性材料等に適用される。特に、感光性材料としてのポリシロキサンは、柔軟性、透明性、感光性、耐久性等において優れた物性を示す。しかしながら、このようなポリシロキサンを含む塗布液でパターンを形成する場合、基板表面に対して高いテーパ角と急傾斜角が現れるため、OLED材料の隔壁材料(画素画定層)等に必要な低いテーパ角と緩やかな丸い傾斜角を実現することは困難である。また、ブラックカラムスペーサ等のパターンを形成する際に、異なる高さを必要とする工程に適用するには限界がある。
【0011】
[先行技術文献]
[特許文献]
(特許文献0001)韓国特許第10-0143859号
(特許文献0002)韓国特許第10-0655945号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、ディスプレイ又は半導体用感光性物質に使用され得る、有機金属化合物とポリシロキサンとの共重合体を含む感光性組成物、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明は、下記一般式1の構造を有する共重合体を含む感光性組成物を提供する。
【0014】
【0015】
式中、R1及びR2はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Xはケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0016】
一実施形態において、前記共重合体は、下記一般式2の構造及び下記一般式3の構造を含みうる。
【0017】
【0018】
式中、R1及びR2はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0019】
【0020】
式中、R3及びR4はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Zはチタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0021】
一実施形態において、前記共重合体は、下記一般式4又は一般式5の構造を含みうる。
【0022】
【0023】
式中、R1はC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、又はヒドロキシ基(-OH)であり;Xはシリコン(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0024】
【0025】
式中、Xはシリコン(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり、Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、リン酸基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0026】
一実施形態において、前記共重合体は、下記一般式6の構造を含みうる。
【0027】
【0028】
式中、R1はC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0029】
一実施形態において、一般式2と一般式3との重量比は、1:9~9.9:0.1でありうる。
【0030】
一実施形態において、前記感光性組成物は、前記共重合体100重量部に対して、1~10重量部の光増感剤、30~50重量部の溶媒、0.1~1重量部の接着助剤、及び0.1~1重量部の界面活性剤をさらに含みうる。
【0031】
本発明はまた、前記感光性組成物を調製する方法を提供し、当該方法は、
下記一般式7の構造を有するモノマーを重合溶媒に添加混合してモノマー混合物を作製する工程:
【0032】
【0033】
(式中、R1及びR2はそれぞれ、C1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Xは、ケイ素(Si)、チタニウム(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)である);
共重合モノマーを前記モノマー混合物と混合し、酸触媒を滴下して共重合体を作製する工程;及び
前記共重合体100重量部に対して1~10重量部の光増感剤、30~50重量部の溶媒、0.1~1重量部の接着助剤、及び0.1~1重量部の界面活性剤を混合して前記感光性組成物を作製する工程
を含み、
ここで、前記共重合モノマーはカルボニル基、スルホニル基、又はホスホリル基を含む化合物であり、前記酸触媒はシュウ酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びトルエンスルホン酸から選択される一種以上である。
【0034】
一実施形態において、一般式7の構造を有するモノマーは、2種以上のモノマーの混合物の状態(in admixture of)にある。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る有機金属化合物及びポリシロキサン共重合体を含む感光性組成物並びにその製造方法は、耐熱性、柔軟性及び透明性に優れ、保存安定性に優れ、特に非シラン系共重合体モノマーの含有量に応じてパターン形状を制御しうる。具体的には、本発明に係るポリシロキサン共重合体はシラン系官能基を基本構造としながら、非シラン系共重合体モノマーの含有量に応じてテーパ角を制御し、直線型(垂直直線型)や横型(緩やかな丸型)などの形状を表すパターンを実現することができる。
【0036】
また、本発明の場合、ポリシロキサン共重合体がポリシロキサン共重合体と同様の構造を有する有機金属化合物を含むことにより、優れた耐熱性及び耐薬品性を有しつつ、既存のポリシロキサン系重合体と同等以上の高感度及び高解像度を実現することができる。そのため、OLEDやQLEDなどのディスプレイに用いられる材料だけでなく、EUV半導体などの半導体製造分野においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態に係る感光性組成物からなるパターンのSEM写真である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る感光性組成物からなるパターンのSEM写真である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る感光性組成物からなるパターンのSEM写真である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る感光性組成物からなるパターンのSEM写真である。
【
図5】本発明の一実施形態による1H-NMR分析結果のグラフである。
【
図6】本発明の一実施形態によるFR-IR分析結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。本明細書全体を通して、単数表現は文脈が別途明確に指示しない限り、複数の表現を含むものとして理解されるべきであり、「含む(comprise)」、「有する(have)」などの用語は説明された特徴、数、ステップ、動作、要素、部分、又はそれらの組み合わせがあることを示すことが意図され、これらの用語は1つ又は複数の他の特徴、数、ステップ、動作、要素、部分、又はそれらの組み合わせの存在又は追加の可能性を事前に排除しないことが理解されるべきである。さらに、前記方法又は前記製造方法を実施する際に、特定の順序が文脈において明確に記載されていない限り、前記方法を構成する各プロセスは、特定の順序とは異なる順序で起こり得る。すなわち、各プロセスは指定された順序と同じ順序で行われてもよいし、実質的に同時に行われてもよいし、逆の順序で行われてもよい。
【0039】
本発明には様々な変形が可能であり、本発明は様々な実施形態を有することができるので、詳細な説明において特定の実施形態を図示し、詳細に説明する。ただし、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨及び技術的範囲に含まれる全ての変形、均等物、及び代替物を含むことを理解されたい。
【0040】
本明細書に開示される技術は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではなく、他の形態で実施されてもよい。しかし、ここで紹介された実施形態は、開示された内容が完全であり、本技術の技術的思想が当業者に十分に伝達されるように提供されたものである。また、各装置の要素を図面で明確に表現するために、要素の幅、厚さ等の寸法を多少拡大して示している。なお、図面の説明においては全体として観察者の立場から説明したが、他の要素上にある要素が位置すると言及した場合には、他の要素にある要素が直接位置していてもよいし、当該要素間に追加の要素が介在していてもよいという意味も含む。また、当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、他の様々な形態で本発明の趣旨を実施することができる。また、複数の図面において同一である参照番号は、互いに実質的に同一である要素を指す。
【0041】
本明細書において、「及び/又は」という用語は、複数の列挙された項目の組み合わせ、又は複数の列挙された項目のいずれかを含む。本明細書において、「A又はB」は、「A」、「B」、又は「AとBの両方」を含みうる。
【0042】
本発明は、下記一般式1の構造を有する共重合体を含む感光性組成物に関する。
【0043】
【0044】
式中、R1及びR2は、それぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Xはケイ素(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0045】
本発明の一般式1の共重合体は、シロキサン系化合物又は前記シロキサン系化合物と類似の構造を有する有機金属化合物と、Yで表される非シラン系モノマーとから構成されてもよい。この場合、一般式1のXがケイ素(Si)である場合、一般式1はポリシロキサン系共重合体から構成され得、Xが金属原子である場合、有機化合物系共重合体から構成されうる。
【0046】
既存のシロキサン系重合体の場合、重合体の主骨格にシロキサンのみを用いているため、かかるポリシロキサンを含む塗布液でパターンを形成する際に、基材表面に対して高度のテーパ角と急傾斜角が現れるため、OLED材料の隔壁材料(画素画定層)等に必要な低いテーパ角と緩やかな丸い傾斜角を実現することが困難である。また、ブラックカラムスペーサ等のパターンを形成する際に、異なる高さを必要とする工程に適用するには限界がある。
【0047】
しかし、本発明の場合、シロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物と非シラン系モノマーとが共重合され、この場合、非シラン系モノマーの割合に応じてパターン形状を制御しうる。具体的には、本発明に係る共重合体は、シロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物官能基を基本構造として有しながら、非シラン系共重合体モノマーの含有量に応じてテーパ角を制御し、直線型(垂直直線型)や横型(緩やかな丸型)などの形状を表すパターンを実現することができる。
【0048】
この場合、mが1であると、シロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物と非シラン系モノマーとが1:1の比で共重合され、基板表面に対するテーパ角が小さくなるため、パターンを実現する際に、水平に近い形状のパターンを実現することができる。mが大きくなると、共重合体中のシロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物の割合が多くなり、この場合、テーパ角を大きくしてパターンの傾斜角を制御することができる。また、mが100の場合、非シラン系モノマーによる影響がほとんどないため、垂直に近い直線型パターンを実現することができる。したがって、mは、1~100の整数であり得る。mが1未満であると、共重合体を形成することが困難になる場合があり、100を超えると、非シラン系化合物の効果が現れないため、既存のポリシロキサンと差がない場合がある。
【0049】
上記のR2及びR2はケイ素(Si)又は金属原子に結合した官能基を指し、シロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と類似の構造を有する有機金属化合物の中心原子であり、具体的には、C1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり得る。
【0050】
特に、R1及びR2がヒドロキシ基である場合、隣り合うシロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構成を有する有機金属化合物と結合していてもよい。この場合、ヒドロキシ基は脱水により縮合してエーテル基を形成してもよい。このようなエーテル基の生成はR1及びR2の両方で起こり得るが、R1及びR2のうちいずれか1つにのみでも起こり得る。また、エーテル基は上記のようにヒドロキシ基から誘導されていてもよいが、他の炭化水素又はエーテル基を含む炭化水素の縮合反応によって形成されてもよい。また、上記の縮合反応において、R1及びR2は同一のシロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物と結合してもよいが、他のシロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物とそれぞれ結合して分岐構造又は網目構造を形成してもよい。
【0051】
上記のR1及びR2は、ヒドロキシ基又はエーテル基R1及びR2に加えて、様々な炭化水素と結合しうる。R1及びR2は、重合に用いられるシロキサン系化合物又は該シロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物から誘導されたものであってもよく、シロキサン系化合物又は該シロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物を用いて共重合体を形成する場合には、R1及びR2が分子中で等しく結合していてもよい。しかし、シロキサン系化合物又はシロキサン系化合物と同様の構造を有する有機金属化合物を2種以上混合して用いる場合、同一の共重合体分子内であっても、それぞれの点に異なった官能基(R1及びR2)が結合しうる。これにより、共重合体の粘度、軟化点、融点、硬度、弾性等の物性を制御することができる。
【0052】
ヒドロキシ基又はエーテル基を除いたR1及びR2としては、C1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、又はエーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素を用いることができる。
【0053】
C1~C20の脂肪族炭化水素の例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、C11~C20の炭化水素、C1~C20の脂肪族炭化水素の異性体、C1~C20の脂肪族炭化水素の誘導体などが挙げられる。また、C1~C20の脂肪族炭化水素の場合は主骨格は単結合を有するが、二重結合又は三重結合を1~10個有するC1~C20の脂肪族炭化水素を用いてもよい。
【0054】
「C3~C20の芳香族炭化水素」とは、C1~C20の脂肪族炭化水素の両端が結合している環状構造を有する炭化水素をいい、単結合からなる芳香族炭化水素に加えて、1~10個の二重結合又は三重結合を有する芳香族炭化水素を用いることができ、ベンゼンのようないくつかの二重結合を共有する芳香族炭化水素を用いることもできる。また、芳香族炭化水素は1つの環状炭化水素を形成していてもよいが、ナフタレン等の2つ以上の環が結合した芳香族炭化水素であってもよく、2つ以上の環が独立して存在していてもよい。また、C3~C20の芳香族炭化水素は、脂肪族炭化水素と同様に異性体及び誘導体を含んでもよい。
【0055】
また、芳香族炭化水素の場合、1個以上の炭素原子がN、O、S、Fで置換されていてもよい。芳香族炭化水素の場合、環状の炭素骨格が形成されうるが、これらの炭素の一部の原子が置換されていても、上記のような環状分子が形成されうる。したがって、本発明の場合、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含有するC4~C20の芳香族炭化水素を使用することができる。
【0056】
また、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素は、共重合体の中心原子に直接結合してシロキサン又は有機金属化合物を形成してもよいし、エーテル基を用いて結合してもよい。すなわち、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素がヒドロキシ基を有する場合、縮合重合によりシロキサン又は有機金属化合物と結合してもよく、この場合、酸素原子が介在するエーテル結合を形成してもよい。さらに、2つ以上の脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素がエーテル結合を形成し、次いで結合した分子がシロキサン又は有機金属化合物に結合していてもよい。
【0057】
R1及びR2の具体例としては、-Me、-CH2Ph、-CH2NHPh、-n-Pr、-(CH2)2(CF2)nCF3、-(CH2)2-c-C6H11、-(CH2)2Ph、-(CH2)2CF3、-(CH2)2C6F5、-(CH2)2C6H4-4-CH2Cl、-(CH2)2C6H4-4-Br、-(CH2)2OSiMe2Cl、-(CH2)2SiMe2OMe、-(CH2)2SiMe(OMe)2、-(CH2)2Si(OMe)、-(CH2)3、Ph、-(CH2)3、NH2、-(CH2)3NHC(dO)(CH2)2CO2H、-i-Bu、-(CH2)3、Cp、-(CH2)3、C6H4-4-OMe、-(CH2)3N[CH2CH(OH)CH2OH]2、-(CH2)3、OH、-(CH2)3、OCH2CH(O)CH2、-(CH2)3OC(=O)CBr(CH2Br)Me、-(CH2)3、SH、-(CH2)3、Cl、-(CH2)3、I、-Cy、-C6H4NO2、-C6H4NH、-C6H4NHC(=O)CMe2Br、-C6H4SO3 -C6H4PO(OH)OPh、-C6H4Br、-OSiMe2H、-OSiMe、-OSiMe2(CH2)2Ph、-OSiMe2(CH2)2C6H4-3-C(CF3)2OH、-OSiMe2(CH2)2C6H4-4-OH、-OSiMe2(CH2)2C6H4-4-CH2COMe、-OSiMe2(CH2)2C6H4-4-OAc、-OSiMe2(CH2)2C6H4-4-Cl、-OSiMe2(CH2)2C6H4-4-Br、-OSiMe2(CH2)2SiMe(OMe)2、-OSiMe2(CH2)3C6H4-2-OH、-OSiMe2(CH2)3OH、-OSiMe2(CH2)3OC(=O)-C6H4-4-NH2、-OSiMe2(CH2)3OCH2CH2OC(dO)-C6H4-4-NH2、-OSiMe2CH2CHMe-C6H4-4-CMe2NCO、-OSiMe2(CH2)3OCH2CH(O)CH2、-OSiMe2(CH2)3O(CH2)2[O(CH2)2]nOH、-OSiMe2(CH2)3O(CH2)2[O(CH2)2]nMe、-OSiMe2(CH2)3OCF2CHFCF3、-OSiMe3-n(OEt)n、-OSiMe2OSiMe2H、-OSnMe3、-(CH2)3NH2、-(CH2)3NHCH2CH(OH)CH2OPh、-(CH2)3N[CH2CH(OH)CH2OPh]2、-(CH2)3N[CH2CH(OH)CH2OPh]{(CH2)2N[CH2CH(OH)CH2OPh]2}、-(CH2)3OCH2CH(O)CH2、-(CH2)3SH、-(CH2)3Cl、-(CH2)2CHMe2、-(CH2)2CMe2CO2Me、-(CH2)2(CH2)3CF3、-n-C6H13、-CH2CH(Et)(CH2)3Me、-n-Oct、-(CH2)2(CF2)5CF3、-c-C5H9、-Ph、-C6H4-2-Me、-C6H4-3-Me、-C6H4-4-Me、-C6H4-4-Cl、-C6H4-2-Et、-C6H4-2-NHNHPh、又は-(i-Oct)6[(CH2)3NH2]が挙げられる。R1及びR2において、Meはメチル基を指し、Etはエチル基を指し、Buはブチル基を指し、Prはプロピル基を指し、Phはフェノール基を指し、Cyはシクロヘキシル基を指し、Acはアセチル基を指し、nは0~7の整数である。
【0058】
また、前記共重合体中のR1又はR2がエーテル基である場合、前記共重合体は、以下の一般式4又は一般式5の化合物であってもよい。
【0059】
【0060】
式中、R1はC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、又はヒドロキシ基(-OH)であり;Xはシリコン(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0061】
【0062】
式中、Xはシリコン(Si)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり、Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、リン酸基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0063】
一般式4又は一般式5の構造を有する場合、前記共重合体は直鎖状分子構造を有すしうる。
【0064】
共重合体は、中心原子がSiであるシロキサン化合物と、中心原子が金属である有機金属化合物との混合物として使用することができる。すなわち、前記共重合体は、下記一般式2の構造及び下記一般式3の構造を含みうる。
【0065】
【0066】
式中、R1及びR2はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0067】
【0068】
式中、R3及びR4はそれぞれC1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Zはチタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)であり;Yはカルボニル基(-COO-)、スルホニル基(-SO2-)、ホスホリル基(-PO3-)、又は隣接するシラノールに結合したエーテル基であり;mは1~100の整数であり;nは1~100の整数である。
【0069】
一般に、シロキサン化合物は熱を受けやすいことが知られており、高温プロセスでの使用が困難であることが知られている。しかしながら、本発明では、シロキサン系化合物との混合において、耐熱性の高い有機金属化合物を用いることにより、物性の変化を最小限に抑えつつ、高い耐熱性を有することができる。この場合、一般式2の化合物はシロキサン系化合物に相当し、一般式3の化合物は有機金属化合物に相当する。
【0070】
一般式2及び一般式3の重量比は、1:9~9.9:0.1、好ましくは3:7~9.9:0.1、より好ましくは5:5~9.9:0.1であり得る。一般式2の化合物と一般式3の化合物の重量比は、初期合成時に混合されるシロキサン系化合物と有機金属化合物の重量比によって決定することができる。この場合、有機金属化合物の割合を増やすと、耐熱性、耐薬品性は向上するが、透明性が低下するため、適度な割合で混和して使用することが好ましい。
【0071】
前記感光性組成物は、有機金属化合物を含むポリシロキサン共重合体の他に、光増感剤、溶媒、接着助剤、及び界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0072】
光増感剤は供給された光によって共重合体を光重合する光重合開始剤であり、一般的な感光性ポリシロキサン系化合物に用いられる光増感剤を用いることができる。具体的には、光増感剤としては、特に限定されないが、トリアジン系化合物、ビイミダゾール系化合物、アセトフェノン系化合物、O-アシルオキシム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ホスフィンオキシド系化合物、クマリン系化合物からなる群より選択される1種以上を用いることができる。
【0073】
非限定的な例として、光増感剤としては、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシフェニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピフロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(3’,4’-ジメトキシフェニル)-6-トリアジン、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロパン酸、2,4-トリクロロメチル-(4’-エチルビフェニル)-6-トリアジン、及び2,4-トリクロロメチル-(4’-メチルビフェニル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等のビイミダゾール化合物;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、 1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ)プロピルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン(Irgacure-907)、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン(Irgacure-369) などのアセトフェノン系化合物; Ciba Geigy社のIrgacure OXE01及びIrgacure OXE02などのO-アシルオキシム系化合物;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、及びビス (2,6-ジクロロベンゾイル)プロピルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;3,3’-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、及び10,10’-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-Cl]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物;並びに4-ナフトキノンジアジドスルホン酸及び5-ナフトキノンジアジドスルホン酸などのキノン系化合物などを、単独で又は2つ以上を混合して用いることができる。
【0074】
光増感剤は、前記共重合体100重量部に対して1~10重量部で含まれうる。光増感剤が1重量部未満であると、光開始が起こらないか又は感光性組成物の感度が低下することがあり、10重量部を超えると、感光性組成物の物性が低下することがある。
【0075】
溶媒は、前記感光性組成物を溶解して流動性が備わるように添加され、前記感光性組成物溶液を調製することができる溶媒である限り限定されない。溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート、及びγ-ブチロラクトンからなる群より選択される1つ又は複数が挙げられる。
【0076】
溶媒は、前記共重合体100重量部に対して、30~50重量部で使用することができる。溶剤を30重量部未満で混合すると、感光性組成物の粘度が高くなり、平滑なパターンを形成することが困難になる場合があり、50重量部を超えると、感光性組成物に流動性が生じ、望ましくない部分にまでパターンが形成される場合がある。
【0077】
また、共重合体の基材への接着を助ける接着助剤と、共重合体に均一なパターンを形成させる界面活性剤とを混合して用いてもよい。この場合、前記共重合体100重量部に対して、接着助剤0.1~1重量部及び界面活性剤0.1~1重量部を使用することができる。上記範囲内であれば、滑らかにパターンを形成することができるが、上記範囲外であれば、パターンの形成が不完全であったり、パターンと基板との界面が剥離したりするおそれがある。
【0078】
以下、感光性組成物の製造方法を通じて、本発明を詳細に説明する。
【0079】
本発明はさらに、前記感光性組成物を調製する方法を提供し、当該方法は、
下記一般式7の構造を有するモノマーを重合溶媒に添加混合してモノマー混合物を作製する工程:
【0080】
【0081】
(式中、R1及びR2はそれぞれ、C1~C20の脂肪族炭化水素、C3~C20の芳香族炭化水素、N、O、S及びFから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含むC4~C20の芳香族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の脂肪族炭化水素、エーテル基を含むC1~C8の芳香族炭化水素、ヒドロキシ基(-OH)、又はエーテル基(-O-)であり;Xは、ケイ素(Si)、チタニウム(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、又はアルミニウム(Al)である。);
共重合モノマーを前記モノマー混合物と混合し、酸触媒を滴下して共重合体を作製する工程;及び
前記共重合体100重量部に対して1~10重量部の光増感剤、30~50重量部の溶媒、0.1~1重量部の接着助剤、及び0.1~1重量部の界面活性剤を混合して前記感光性組成物を作製する工程
を含み、
ここで、前記共重合モノマーはカルボニル基、スルホニル基、又はホスホリル基を含む化合物であり、前記酸触媒はシュウ酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びトルエンスルホン酸から選択される一種以上である。
【0082】
前記モノマーは一般式7の構造を有するモノマーであり、上述したように、Xがケイ素(Si)である場合にはシラン系モノマーであり得、Xが金属原子である場合には有機金属モノマーでありうる。非シラン系モノマーであるY化合物を、一般式7の構造を有する化合物と混合して共重合することにより、本発明の一般式1の構造を有する共重合体を形成することができる。
【0083】
シラン系モノマーとしては例えば、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン、トリエチルブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレート及びビニルトリプロポキシシランからなる群より選択される1つ又は複数を使用することができる。
【0084】
また、有機金属モノマーとしては例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタン-tert-ブトキシド、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムイソプロポキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウム-tert-ブトキシド、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウム-tert-ブトキシド、スズメトキシド、スズエトキシド、スズイソプロポキシド、スズブトキシド、スズ-tert-ブトキシド、鉛メトキシド、鉛イソプロポキシド、鉛ブトキシド及び鉛-tert-ブトキシドなどの金属アルコキシ系化合物を使用することができる。
【0085】
なお、シラン系モノマー及び有機金属モノマーの場合、1成分であってもよいが、好ましくは2種以上のモノマーを混合して用いてもよい。単成分モノマーを用いると、ある種の物性(透明性、流動性、接着性等)に優れうるが、パターン形成に汎用される材料として使用することが難しい場合がある。従って、2種以上、好ましくは3種以上のモノマーを混合して使用する場合には、高い物性を示しながら汎用できるように組み合わせることが好ましい。特に、シラン系モノマーと有機金属モノマーとを上記のように適切な割合で併用することにより、耐熱性、耐薬品性が高く、透明性も高いパターンを形成することができる。
【0086】
上記のようにしてモノマーを調製した後、重合溶媒と混合しうる。重合溶媒は、モノマーの重合が可能な溶媒であれば特に限定されないが、感光性組成物の製造に用いられる溶媒と同じ溶媒を用いることが好ましい。これにより、感光性組成物の調製時における重合溶媒の分離に要するコストを最小限に抑えることができ、また、残留重合溶媒による物性の低下を最小限に抑えることができる。
【0087】
上記のように重合溶媒とモノマーとの混合が完了した後、共重合体を混合しうる。上記のように、共重合体モノマーは、非シラン系モノマーを構成する部分として酢酸、硫酸又はリン酸を用いてもよく、酢酸塩(acetate)、硫酸塩(sulfate)又はリン酸塩(phosphate)を用いてもよい。
【0088】
上記のように、重合されるモノマーの混合比によって共重合体のパターン形状を制御することができるので、共重合モノマーは、モノマー(シラン系モノマー又は有機金属モノマー)1モルに対して0.01~1モルの割合で混合されうる。重合モノマーを0.01モル未満の割合で混合すると、重合モノマーの共重合によるパターン形状の変化の効果が現れず、1モルを超える割合で混合すると、発生するパターンのテーパ角が低下し、正常なパターン形成が困難となる場合がある。
【0089】
上記のようにモノマーと重合モノマーとの混合が完了した後、酸触媒を滴下して共重合反応を行いうる。この場合、酸触媒は共重合反応の触媒としての役割を果たすと同時に、反応中のpHを維持する役割を果たしうる。また、酸触媒は急速な反応による副反応を抑制するために、70℃以下、好ましくは50℃以下の温度で、30~120分間かけて滴下されうる。上記範囲内であれば、適切な共重合反応が行われ得るが、上記範囲外であると、副反応が行われ物性を低下させるおそれがある。
【0090】
また、酸触媒の場合、重合モノマーと同様の化合物を用いてもよい。すなわち、重合モノマーとしてリン酸を用いる場合、リン酸は重合モノマーと同様に酸触媒として作用することができ、この場合、重合モノマーの供給と酸触媒の滴下とを同時に行って、重合モノマー混合工程及び滴下工程を省略することも可能である。これは硫酸に対しても同様に適用することができる。しかしながら、重合モノマーとして酢酸を用いる場合や、重合モノマーとして酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩を用いる場合は、上記のような滴下により反応に必要なpHを維持することができないため、重合モノマーを混合した後に追加の酸触媒を滴下して共重合反応を行いうる。
【0091】
前記共重合が完了した後、前記共重合体100重量部に対して、光増感剤1~10重量部、溶媒30~50重量部、接着助剤0.1~1重量部、及び界面活性剤0.1~1重量部を混合して、前記感光性組成物を製造することができる。
【0092】
なお、本発明の感光性組成物は、ポジ型又はネガ型の光増感に用いることができる。すなわち、前記感光性組成物は、ポジティブモード及びネガティブモードで使用することができる。
【実施例】
【0093】
以下、本発明の好ましい実施例について、当業者が添付の図面を参照して容易に実施できるように説明する。なお、本発明の説明において、関連する既知の機能又は既知の構成の具体的な説明が本発明の要旨を不必要に不明瞭にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。加えて、図面に提示される特定の特徴は説明を容易にするために拡大、縮小、又は簡略化されており、図面及び構成要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。しかしながら、当業者は、これらの詳細を容易に理解するであろう。
【0094】
実施例1
シラン系化合物及び有機金属化合物の効果を確認するための実験を行った。
シラン系化合物及び有機金属化合物を、下記表1に示すように、窒素雰囲気下で200mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含む1Lのジャケット反応器に添加し、混合した。
【0095】
【0096】
表1において、各成分は重量(g)基準で添加され、PTMSはフェニルトリメトキシシランを指し、MTMSはメチルトリメトキシシランを指し、TEOSはテトラエトキシシランを指し、ETMSはエチルトリメトキシシランを指し、TPOSはテトラプロポキシシランを指し、TEOTiはテトラエトキシチタンを指し、TEOGeはテトラエトキシゲルマニウムを指し、TEOZrはテトラエトキシジルコニウムを指し、TPOTiはテトラプロポキシチタンを指し、TBOTiはテトラブトキシチタンを指す。
【0097】
混合溶液を10分間撹拌した後、脱イオン水に0.5%で溶解した85%リン酸水溶液(共重合モノマー及び酸触媒)160gを、50℃以下の反応温度で約1時間かけて徐々に滴下して反応させた。その後、反応液を10分間撹拌し、80℃に加熱した後、8時間撹拌し、シロキサン系共重合体を重合させた。
【0098】
実験例1
上記実施例1の比率で合成した共重合体の重量平均分子量及びADR(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液2.38%)をそれぞれ測定した。
【0099】
【0100】
上記表2に示すように、本発明の実施例1-1~1-13は共重合体を形成することが確認でき、また、シロキサンで形成された実施例1-1と同様の物性を有することから、感光性組成物に用いることができることが分かった。
【0101】
さらに、実施例1-4の構造及び成分を確認するための実験を行った。実施例4で調製した化合物を用いて、1H-NMR及びFT-IR解析を行った。
【0102】
図5に示すように、
1H-NMR解析により、本発明で使用されたPTMS及びMTMSのフェニル基及びメチル基が観察された。しかしながら、TEOSは加水分解時に水素(H)を発生しないため、NMR分析結果には現れず、本発明は溶媒と混合して調製されるため、溶媒として使用するPGMEAのピークが大きいと考えられることが確認できた。
【0103】
FT-IR解析では、
図6に示すように、中心原子であるSiに結合した各官能基のピークを確認することができ、一般式1の構造を有すること(PGMEAによる1000~2000cm
-1の間の他のピーク)が確認できた。
【0104】
実施例2
実施例1で調製したポリシロキサン共重合体5.5g(バインダー樹脂)、SR399(sartomer)1.65g(架橋性化合物)、TPM-P07(タコマテクノロジー株式会社)0.5g(光重合開始剤)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)7.5g(有機溶媒)、KBM403(信越化学株式会社)0.03g(接着助剤)、及びFZ-2122(ダウケミカル社)0.08g(界面活性剤)を反応器に入れ、室温で3時間撹拌した後、5.0μmフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物(固形分25%)を調製した。
【0105】
実験例2
上記実施例2で作製した感光性樹脂について、感度(mJ/cm2)、現像後の保持率(%)、ポストベーク(PB)後の保持率(%)、耐熱性(℃)、透過率(%)をそれぞれ試験した。各実験方法は以下の通りである。
【0106】
(1)感度
感光性樹脂組成物をスピンコート法によりガラス基板上に塗布した後、110℃で90秒間熱処理(ホットプレート)を行い、厚さ2μmの薄膜を形成した。形成された薄膜の厚さは、スタイラスプロフィロメーター(Veeco Instruments Inc;DEKTAK150)を用いて測定した。その後、マスクを介して高圧水銀ランプに露光し、2.38%TMAH現像液でスプレー現像してパターンを得た。
【0107】
(2)現像後の保持率
感光性樹脂組成物をスピンコート法によりガラス基板上に塗布した後、110℃で90秒間熱処理(ホットプレート)を行い、厚さ2μmの薄膜を形成した。次に、フォトリソグラフィー工程を行った後、スタイラスプロフィロメーター(DEKTAK6M; Veeco Instruments Inc.,米国)を用いて、現像前後の厚み変化を測定し、現像後の保持率を求めた。
【0108】
(3)ポストベーク後の保持率(PB)
感光性樹脂組成物をスピンコート法によりガラス基板上に塗布した後、110℃で90秒間熱処理(ホットプレート)を行い、厚さ2μmの薄膜を形成した。次に、フォトリソグラフィー工程を行った後、スタイラスプロフィロメーター(DEKTAK6M;Veeco Instruments Inc.,米国)を用いて、現像後の厚さ及び250℃/60分でのポストベーク後の厚さの変化を測定し、保持率を求めた。
【0109】
(4)耐熱性
感光性樹脂組成物をスピンコート法によりガラス基板上に塗布した後、110℃で90秒間熱処理(ホットプレート)を行い、厚さ2μmの薄膜を形成した。その後、250℃/60分のポストベークにより硬化膜を得て、得られた硬化膜の5%分解温度をTGA分析装置により測定した。
【0110】
(5)透過率
感光性樹脂組成物をスピンコート法によりガラス基板上に塗布した後、110℃で90秒間熱処理(ホットプレート)を行い、厚さ2μmの薄膜を形成した。その後、250℃/60分のポストベークにより硬化膜を得て、得られた硬化膜の波長400~800nmの光に対する平均透過率をUV分光計を用いて測定した。
【0111】
各実験の結果を以下の表3に示す。
【0112】
【0113】
表3に示すように、本発明の実施例2-1~2-6は、物性が高度であり、感光性組成物として用いることができることが確認された。また、有機金属化合物を用いた実施例2-7~2-13では、透過率が若干低下したものの、耐熱性が向上したことが確認できた。
【0114】
実施例3
実施例1で調製したポリシロキサン共重合体20g(バインダー樹脂)、ジアゾナフトキノン化合物1g(光増感剤)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)8g(有機溶媒)、KBM403(信越(株))0.1g(接着助剤)、FZ-2122(DOW Chemical Company)0.14g(界面活性剤)を反応器に投入し、室温で3時間攪拌した後、5.0μmフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物(固形分25%)を調製した。
【0115】
実験例3
上記実施例2で作製した感光性樹脂について、感度(mJ/cm2)、現像後の保持率(%)、ポストベーク(PB)後の保持率(%)、耐熱性(℃)、透過率(%)をそれぞれ試験した。各実験方法は実験例2と同様に実施し、その結果を下記表4に示す。
【0116】
【0117】
表4に示すように、本発明の実施例3-1~3-6は、物性が高度であり、感光性組成物として用いることができることが確認された。また、有機金属化合物を用いた実施例3-7~3-13では、透過率が若干低下ものの、耐熱性が向上したことが確認できた。
【0118】
実施例4
上記実施例1の製造過程における共重合モノマー及び酸触媒の変化による効果を確認するために、共重合モノマー及び酸触媒の種類及び含有量を変えて、実施例1-4のモノマーを用いて同様に共重合体を製造した。この場合の共重合モノマーと酸触媒の使用割合を下記表5に示す。
【0119】
【0120】
実施例5
上記実施例4で調製したポリシロキサン共重合体5.5g(バインダー樹脂)、SR399(サルタマー)1.65g(架橋性化合物)、TPM-P07(タコマテクノロジー株式会社)0.5g(光重合開始剤)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)7.5g(有機溶媒)、KBM403(信越化学株式会社)0.03g(接着助剤)、及びFZ-2122(DOWケミカル社)0.08g(界面活性剤)を反応器に入れ、室温で3時間撹拌した後、5.0μmフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物(固形分25%)を調製した。
【0121】
実験例4
上記実施例5の共重合体を用いて、感度(mJ/cm2)、現像後の保持率(%)、ポストベーク(PB)後の保持率(%)、耐熱性(℃)、透過率(%)をそれぞれ試験し、以下のようにして基材上にパターンを形成し、観察することにより、テーパ角(°)を測定した。
【0122】
(6)テーパ角測定
感光性樹脂組成物をスピンコート法によりガラス基板上に塗布した後、90~110℃で90秒間熱処理(ホットプレート)を行い、厚さ2μmの薄膜を形成した。その後、マスクを介して高圧水銀ランプに露光し、2.38%TMAH現像液でスプレー現像してパターンを得た。その後、250℃/60分のポストベークで得られたパターンのテーパ角をFE-SEMで測定した。
【0123】
各実験の結果を以下の表6に示す。
【0124】
【0125】
表6及び
図1に示すように、本発明の実施例5-1及び5-2は、適切な物性及びテーパ角を有することが分かった。しかしながら、酸触媒として弱酸である酢酸を用いた実施例5-3は、酸触媒でpHを維持することが困難であったため重合せず、酸触媒を塩酸に変更した実施例5-4は正常に合成されたことが確認された。また、共重合モノマーとしてリン酸を用い、酸触媒として塩酸を用いた実施例5-5では、共重合が行われたことが確認された(
図2)。
【0126】
また、酸触媒の使用を抑制した実施例5-6は、反応時に共重合モノマーとして添加されるリン酸の減少によりテーパ角が先鋭化し、物性の低下も示すことが確認された(
図3)。
【0127】
用いた共重合モノマーが少量であった実施例5-7は、上記表5に示すように、テーパ角が大きくなっていることが確認され(
図4)、過剰の共重合モノマーを用いた実施例5-8は、テーパ角が小さくなっていることが確認できた。したがって、共重合モノマーの混合比を調整することにより、パターンのテーパ角を制御することができる。
【0128】
実施例6
上記実施例4で作製したポリシロキサン共重合体20g(バインダー樹脂)、ジアゾナフトキノン化合物1g(光増感剤)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)8g(有機溶媒)、KBM403(信越(株))0.1g(接着助剤)、及びFZ-2122(ダウケミカル社)0.14g(界面活性剤)を反応器に投入し、室温で3時間撹拌した後、5.0μmフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物(固形分25%)を調製した。
【0129】
実験例5
上記実施例6の共重合体を用いて、実験例4と同様に、感度(mJ/cm2)、現像後の保持率(%)、ポストベーク(PB)後の保持率(%)、耐熱性(℃)、透過率(%)、テーパ角(°)を試験した。各実験の結果を以下の表7に示す。
【0130】
【0131】
上記実施例5とほぼ同様の結果が得られ、テーパ角も制御可能であることが確認できた。
【0132】
比較例1
実施例1のポリシロキサン共重合体の代わりに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の存在下、ベンジルメタクリレート30重量%、メチルメタクリレート10重量%、メタクリル酸10重量%を重合して得られたアクリル樹脂(重量平均分子量13,000)を固形分30%のバインダー樹脂として用いた以外は、実施例と同様にして感光性樹脂組成物を調製した。
【0133】
比較例2
比較例1で用いたアクリル樹脂5.5g、ジアゾナフトキノン化合物1g(光増感剤)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)8g、KBM4030.1g(接着助剤)、及びFZ-21220.14g(界面活性剤)を反応器に投入し、室温で3時間撹拌した後、5.0μmフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物(固形分25%)を調製した。
【0134】
比較実験例1
上記比較例1、2で作製した感光性樹脂組成物を用いて、感度(mJ/cm2)、現像後の保持率(%)、ポストベーク(PB)後の保持率(%)、耐熱性(℃)、透過率(%)、テーパ角をそれぞれ測定し、以下の表8に示す。
【0135】
【0136】
表8に示すように、従来法と同様の樹脂を用いた比較例では、感度が低下し、テーパ角も小さいことが確認できた。また、本発明の実施例と比較して、耐熱性の点で温度が低いことが確認でき、本発明の実施例は高い耐熱性を示す。
【0137】
以上、本発明の特定の部分について詳細に説明したが、これらの特定の説明は好ましい実施形態に過ぎず、本発明の範囲はこれによって限定されるものではないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることが意図される。
【国際調査報告】