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特表2024-507812相互運用可能なポンプのスマートバーコードID
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】相互運用可能なポンプのスマートバーコードID
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/40 20180101AFI20240214BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20240214BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G16H40/40
A61M5/145
A61M5/142 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549882
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022016843
(87)【国際公開番号】W WO2022178161
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,004
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.イーサネット
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワークマン、マイケル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】グェン、ドゥク エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066QQ24
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ83
4C066QQ84
4C066QQ85
4C066QQ92
5L099AA01
(57)【要約】
輸液システムは、輸液装置、ネットワークデータトランシーバ、及び輸液装置において輸液装置が準備完了状態にあるときを判定するように構成されたプロセッサを備える。輸液装置が準備完了状態にあると判定したことに応答して、及びその間、プロセッサは、輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子を提示するように構成され、輸液装置を注入順序と関連付けるために、輸液装置の固有の識別子はスキャナでスキャンされたというインジケーションを待つように構成される。プロセッサは、注入順序と関連付けられた設定情報を受信するように構成され、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように輸液装置を自動的に設定するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液システムであって、
輸液装置と、
ネットワークデータトランシーバと、
プロセッサであって、
前記輸液装置において前記輸液装置が準備完了状態にあるときを判定し、
前記輸液装置が前記準備完了状態にあると判定したことに応答して、及びその間、
前記輸液装置のディスプレイ上に前記輸液装置の固有の識別子を提示し、
前記輸液装置を注入順序と関連付けるために、前記輸液装置の前記固有の識別子がスキャナによってスキャンされたというインジケーションを待ち、
前記インジケーションの受信に応答して、前記輸液装置において前記注入順序と関連付けられた設定情報を受信し、
前記受信した設定情報によって提供される前記注入順序のパラメータに基づいて、前記注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように前記輸液装置を自動的に設定し、
前記輸液装置が前記準備完了状態にないと判定したことに応答して、前記輸液装置の前記ディスプレイから前記固有の識別子を除去する
ように構成されたプロセッサと
を備える、輸液システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記輸液装置のネットワークパラメータを調整するように更に構成され、前記ネットワークパラメータが、前記輸液装置が前記準備完了状態にないと判定したことに応答して、リクエスト中断、転送プロトコル、認証情報、又はネットワークアダプタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の輸液システム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記輸液装置が前記準備完了状態にないと判定したことに応答して、前記固有の識別子を接続エラーと関連付けられた知覚可能なインジケータに置き換えるように更に構成される、請求項1又は2に記載の輸液システム。
【請求項4】
前記準備完了状態には、注入ポンプフリート管理サーバへ有効に接続できること、前記輸液装置は動作状態にあること、前記輸液装置と関連付けられたセキュリティ証明書は有効期限切れでないことが含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の輸液システム。
【請求項5】
前記輸液装置とデータ通信する注入モジュールを更に備え、前記プロセッサが、前記注入モジュールが準備完了状態にあるかどうかを判定するように更に構成され、前記固有の識別子が、前記注入モジュールが前記準備完了状態にある場合に提示される、請求項1~4のいずれか一項に記載の輸液システム。
【請求項6】
前記輸液装置が、容積式注入ポンプ又はシリンジ注入ポンプのうちの1つを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の輸液システム。
【請求項7】
輸液装置が注入をプログラムすること及びプログラムされた注入を実行することと関連付けられた工程を実施する準備完了状態にあることを保証する方法であって、
前記輸液装置において前記輸液装置が前記準備完了状態にあるときを判定するステップと、
前記輸液装置が準備完了状態にあると判定したことに応答して、及びその間、
前記輸液装置のディスプレイ上に前記輸液装置の固有の識別子を提示するステップと、
前記輸液装置を前記注入順序と関連付けるために、前記輸液装置の前記固有の識別子がスキャナによってスキャンされたというインジケーションを待つステップと、
前記インジケーションの受信に応答して、前記輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信するステップと、
前記受信した設定情報によって提供される前記注入順序のパラメータに基づいて、前記注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように前記輸液装置を自動的に設定するステップと、
前記輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、前記輸液装置の前記ディスプレイから前記固有の識別子を除去するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記輸液装置が前記準備完了状態にあると判定するステップは、前記輸液装置が調整エンジン、輸液システムサーバ、及びオンライン薬剤ライブラリとデータ通信していると判定するステップを
更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記輸液装置が前記輸液装置と前記データネットワークシステムとの間のデータ接続を欠いていると判定したことに応答して、前記輸液装置に前記データネットワークシステムへのデータ接続を確立させるための入力用プロンプトを、前記輸液装置のユーザインターフェースに表示するステップを
更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記輸液装置の動作状態を判定するステップを更に含み、前記輸液装置の動作状態は、前記注入順序を実施するための前記輸液装置の利用可能性を示す、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
動作状態が、前記輸液装置が動作可能であり、前記輸液装置がプログラミング中ではなく、ボーラス注入又は二次注入を実行していないことを示す場合、前記固有の識別子は提示される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記輸液装置の前記固有の識別子が、前記輸液装置の液晶ディスプレイ(LCD)に表示される二次元バーコードを含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記輸液装置が複数の注入ポンプを備え、前記輸液装置の前記固有の識別子が前記注入順序を受信するために利用可能な前記複数の注入ポンプのうちの選択された1つと関連付けられる、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記輸液装置の前記ディスプレイ上に前記複数の注入ポンプのうちの前記選択された1つと関連付けられた前記輸液装置の前記固有の識別子を提示するステップの前に、
前記複数の注入ポンプのうちの前記選択された1つに隣接するソフトキーの隣にバーコードアイコンを表示するステップと、前記ソフトキーの選択を受信するステップと、前記ソフトキーの前記選択の受信に応答して、自動プログラミングリクエストを開始するステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電子医療記録保管検索システムが、前記注入順序を受信し、前記輸液装置の前記固有の識別子に含まれる情報を受信すると、自動プログラミングリクエストを前記データネットワークシステム内の調整エンジンに送信する、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記調整エンジン、ケア施設内部ネットワークに配備された薬剤ライブラリ、及び輸液システムサーバがデータ通信中である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記データネットワークシステム内の輸液システムサーバと前記データネットワークシステム内の調整エンジンとの間のデータ接続と関連付けられたセキュリティ証明書は無効であるという判定に従って、前記スキャナによるスキャンのために、前記輸液装置の前記固有の識別子が前記輸液装置の前記ディスプレイ上に提示されないことを指摘する警告を生成するステップを更に含む、請求項7~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記輸液装置のネットワークパラメータを調整するステップを更に含み、前記ネットワークパラメータが、前記輸液装置が前記準備完了状態にないと判定したことに応答して、リクエストタイムアウト、トランスポートプロトコル、認証情報、又はネットワークアダプタのうちの少なくとも1つを含む、請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記輸液装置が前記準備完了状態にないと判定したことに応答して、前記固有の識別子を接続エラーと関連付けられた知覚可能なインジケータと置き換えるステップを更に含む、請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記準備完了状態には、注入ポンプフリート管理サーバへ有効に接続できること、前記輸液装置は動作状態にあること、及び前記輸液装置と関連付けられたセキュリティ証明書は有効期限切れでないことが含まれる、請求項7~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、準備完了していない輸液装置を用いて注入プロセスを正しく開始できない場合の予防手段に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液装置などの医療装置は、患者に医療用流体を注入するために用いられる。注入順序は、電子医療記録保管検索システムから、患者に医療用流体を注入するために使用される輸液装置に送信され得る。注入ポンプは、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施するために、準備完了状態にあるべきである。例えば、介護施設における輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続がなければ、輸液装置は、電子医療記録保管検索システムから注入順序を受信することができない可能性があり、注入順序と関連付けられた注入プロセスを開始しようとする試みは失敗する。臨床現場では、注入プロセスを開始することは生命に関わることであり、特定の動作環境では制限される可能性のある貴重なリソース(例えば、時間、ネットワーク帯域幅、デバイスのプロセッササイクル、ユーザインターフェース空間など)を消費する。
【発明の概要】
【0003】
介護者は、輸液装置が注入を開始する準備ができていないことに気付かない場合がある。例えば、介護者は、介護施設における輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続がまだ確立されていないか、又は停止していることに気付かない場合がある。このような状況下で注入プロセスを開始しようとする介護者は、輸液装置がこのようなデータを受信できないことに気付かずに、電子医療記録保管検索システムから輸液装置に注入順序が送信されるのをただ無為に待つだけの場合がある。このタイプの失敗は、非生産的な待ち時間やユーザのフラストレーションを招き、一刻を争う輸液を患者に適時に投与しなければならない場合には、患者の安全性を損なう可能性がある。実際、介護者は、データネットワークシステムと輸液装置との間のデータ接続を再確立するための是正措置をとる必要があることさえ認識していない可能性がある。場合によっては、試行により、注入を開始するためのメッセージを収集、準備、及び送信するためのリソースが消費される。これらのリソースは、他の輸液装置又は輸液装置の他のプロセスと共有される場合がある。臨床現場では、リソースの利用可能性は、状況の変化に応じて装置を迅速に調整して患者の安全を確保する上で極めて重要である。
【0004】
したがって、輸液装置が注入プロセスを開始するために準備が完了していることを保証するのに役立つシステム、装置、及び方法が必要とされている。準備は、輸液装置の状態を特徴付ける基準を使用して評価し得る。例えば、輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続の状態を表現する基準は、輸液装置が注入プロセスの開始を可能にするかどうかを判定するために使用され得る。
【0005】
注入準備プロセスの一部は、電子医療記録保管検索システムに記録された注入順序を、(1)患者、(2)注入される薬剤のバッグ、及び(3)注入ポンプを制御する輸液装置と関連付けることを含み得る。注入順序の関連付けは、例えば、患者のリストバンド上の固有の識別子をスキャンすることによって、患者と関連付けられた固有の識別子をスキャンするためにスキャナを使用することを含み得る。患者のリストバンド上の固有の識別子は、二次元(2D)バーコードであってもよい。注入用の薬剤バッグはまた、それに貼付された固有の識別子又はバーコード(例えば、2Dバーコード)を有してもよい。
【0006】
輸液装置の固有の識別子が恒久的に表示される場合(例えば、物理的バーコードラベルとして輸液装置に貼り付けられ、バーコードとして輸液装置に恒久的に表示される場合)、介護者は、輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続ができていないことを知らせる表示灯又はアイコンに気付かない場合がある。注入プロセスを開始しようとすると、電子医療記録保管検索システムが注入順序情報を送信するのを待つという無駄な時間が生じる可能性があるが、接続がないために送信することができない。
【0007】
開示された装置、システム、及び方法は、固有の識別子又はそれに応答して送信される情報を処理するために必要な前提条件に基づいて、スキャナによるスキャンのために輸液装置の固有の識別子を表示するステップなど、注入ポンプを動的に制御する。輸液装置のディスプレイに固有の識別子を提示しないことにより、注入ポンプは、接続性の問題又は他の前提条件が解決されない限り、注入プロセスが進行しないようにする。
【0008】
開示される主題は、また、ポンプが自動プログラミングリクエストを提出するように構成可能になる前に、特定の前提条件が整っていることを保証する方法に関する。条件が満たされている場合、ポンプは、自動プログラミングスキャンを開始するためのサインを表示する。全ての前提条件が満たされていない場合、ポンプは、スキャンを示すサインを表示する前に、条件が満たされるように調整又は待機する。本方法は、輸液装置が注入をプログラムすること及びプログラムされた注入を実行することと関連付けられた工程を実施する準備完了状態にあるときを輸液装置において決定するステップと、輸液装置が準備完了状態にある間、及びその判定に応答して、輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子を提示するステップと、輸液装置を注入順序と関連付けるために、輸液装置の固有の識別子がスキャナによってスキャンされたというインジケーションを待つステップと、そのインジケーションの受信に応答して、輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信するステップとを含む。本方法は、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように輸液装置を自動的に設定するステップと、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のディスプレイから固有の識別子を除去するステップとを含む。本方法は、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに本明細書に説明の方法のステップを実施させる命令を含むメモリとを含むシステムを使用して実装し得る。
【0009】
他の態様には、対応する装置、並びに対応するシステム及びその特徴を実装するためのコンピュータプログラム製品が含まれる。
【0010】
主題技術の他の構成は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになることが理解され、ここで主題技術の様々な構成は例示として示され説明される。理解されるように、主題技術は、他の及び異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て主題技術の範囲から逸脱することなく、他の様々な点で修正が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【0011】
様々な説明された実装形態のより良い理解のために、以下の図面と併せて以下の説明を参照されたい。類似の参照番号は、図面及び説明の全体を通して、対応する部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】主題技術の態様による、医療組織の施設内患者ケアシステムの一例を示す。
図2A】主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要なステップを実行するために、輸液装置が準備完了状態にあることを保証するためのシステムの一例を示す。
図2B】主題技術の態様による、輸液装置とデータネットワークシステムとの間にデータ接続がないため、輸液装置が自動プログラミングの準備ができていない場合の図2Aに示すシステムを示す。
図3】主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施するために、輸液装置が準備完了状態にあることを保証するためのシステムの例示的なユーザインターフェースを示す。
図4A】主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施するために、輸液装置が準備完了状態にあることを保証するための例示的な方法を示す。
図4B】主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施するために、輸液装置が準備完了状態にあることを保証するための例示的なワークフローを示す。
図5】主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施するために、輸液装置が準備完了状態にあることを保証するための例示的な電子システムを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、実装形態を参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明では、説明がなされた様々な実装形態を理解するために、多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、説明がなされた様々な実装形態は、これらの具体的な詳細がなくても実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の事例では、実装形態の態様を必要以上にあいまいにしないように、周知の方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークについては詳細に説明していない。
【0014】
図1は、主題技術の態様による、医療組織の施設内患者ケアシステム100の一例を示す。図1において、患者ケア装置(又は一般に「医療装置」)12は、病院ネットワーク10に接続されている。患者ケア装置(又は「PCD」)という用語は、患者ケアユニット(又は「PCU」)という用語と区別なく使用される場合があり、注入ポンプ、バイタルサインモニタ、薬剤調剤装置(例えば、キャビネット、トート)、薬剤調製装置、自動調剤装置、前述のいずれかと結合されたモジュール(例えば、注入ポンプに取り付けるように構成されたシリンジポンプモジュール)、又は他の類似の装置など、様々な補助医療装置を含み得る。各患者ケア装置12は、送信チャネル31によって内部ヘルスケアネットワーク10に接続される。送信チャネル31は、任意の有線又は無線送信チャネル、例えば802.11無線ローカルエリアネットワーク(LAN)である。いくつかの実装形態では、ネットワーク10は、また、病院全体の様々な部門に設置されたコンピュータシステムも含む。例えば、図1のネットワーク10は、任意選択的に、入院部門、請求部門、生物医学工学部門、臨床検査室、中央供給部門、1つ又は複数のユニットステーションコンピュータ及び/又は医療判定サポートシステムと関連付けられたコンピュータシステムを含む。以下で更に説明するように、ネットワーク10は、個別のサブネットワークを含む場合がある。図示の例では、ネットワーク10は、患者ケア装置12(及び他の装置)が通常の動作に従って通信する装置ネットワーク41を含む。
【0015】
更に、施設内患者ケアシステム100は、別個の情報システムサーバ130を組み込むことができ、その機能については以下でより詳細に説明する。更に、情報システムサーバ130は別個のサーバとして示されているが、情報システムサーバ130の機能及びプログラミングについては、施設の情報システムの設計エンジニアが望むのであれば、別のコンピュータに組み込んでもよい。施設内患者ケアシステム100は、情報システムサーバ130と接続し通信するための1つ又は複数のデバイス端末132を更に含んでもよい。デバイス端末132は、パーソナルコンピュータ、パーソナルデータアシスタンス、ラップトップ、モバイルデバイス、例えば、タブレットコンピュータ、拡張現実デバイス、又はスマートフォンなどを含んでもよく、ネットワーク10を介して情報システムサーバ130と通信するためのソフトウェアで構成される。
【0016】
患者ケア装置12は、その目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Eggersらにより説明されているものなど、患者ケアを提供するためのシステムを備える。患者ケア装置12は、ポンプ、生理モニタ(例えば、心拍数、血圧、ECG、EEG、パルスオキシメータ、及び他の患者モニタ)、治療装置、並びに、本明細書に記載の教示に従って利用され得る他の薬剤送達装置を含むか又は組み込むことができる。図示の例では、患者ケア装置12は、1つ又は複数の機能モジュール116、118、120、122に接続された、インターフェースユニット14とも呼ばれる制御モジュール14を備える。インターフェースユニット14は、メモリ、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)58に接続された中央処理装置(CPU)50と、追加のモジュール又はデバイスと通信するためのユーザインターフェース装置54、符号化データ入力装置60、ネットワーク接続部52、及び補助インターフェース62などの1つ又は複数のインターフェース装置とを含む。インターフェースユニット14はまた、必ずしもそうである必要はないが、ソフトウェア及びデータを記憶するためのハードディスクドライブ又は不揮発性フラッシュメモリなどの主不揮発性記憶ユニット56と、上述の要素を相互接続するための1つ又は複数の内部バス64とを含む。
【0017】
様々な実装形態では、ユーザインターフェース装置54は、ユーザに情報を表示し、ユーザが画面の規定領域に触れることによって情報を入力することを可能にするためのタッチスクリーンである。これに加えて、又はこれに代えて、ユーザインターフェース装置54は、モニタ、プリンタ、キーボード、ソフトキー、マウス、トラックボール、及び/又はライトペンなど、情報を表示及び入力するための任意の手段を含むことができる。データ入力装置60は、バーコード又はクイックリードコードなどのグラフィック形式で印刷又は表示されたデータをスキャン及び解釈することができる光学コードリーダであってもよい。追加的又は代替的に、データ入力装置60は、コード化されたデジタルデータをコンピュータに入力するための任意の装置とすることができ、例えば、磁気ストリップを読み取る装置、RFIDタグ又はスマートラベル(以下に定義する)にエンコードされたデジタルデータが電波を介して読取り装置60によって取り込まれるRFID(Radio-Frequency Identification)装置、PCMCIAスマートカード、無線周波数カード、メモリスティック、CD、DVD、又は任意のその他のアナログ若しくはデジタル記憶媒体などが挙げられる。データ入力装置60の他の例としては、音声起動装置若しくは認識装置又は携帯情報端末(PDA)などがある。使用されるインターフェース装置のタイプに応じて、ユーザインターフェース装置54及びデータ入力装置60は同じ装置であってもよい。データ入力装置60は、インターフェースユニット14内に配置されるように図1に示されているが、データ入力装置60は、薬局システム34内に一体化されてもよく、又は外部に配置され、RS-232シリアルインターフェース又は任意の他の適切な通信手段を介して薬局システム34と通信してもよいことが認識される。補助インターフェース62は、RS-232通信インターフェースであってもよいが、主題技術から逸脱することなく、プリンタ、患者モニタ、注入ポンプ、又は他の医療機器などの周辺機器と通信するための任意の他の手段を使用してもよい。更に、データ入力装置60は、モジュール116、118、120、及び122などの別個の機能モジュールであってもよく、適切なプログラミング及び通信プロトコルを使用して、コントローラ14又はネットワーク上の任意の他のシステムと通信するように構成されてもよい。
【0018】
ネットワーク接続部52は、イーサネット、WiFi、BLUETOOTH(登録商標)、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)接続、デジタル加入者回線(DSL)モデム、又はケーブルモデムなどによる有線又は無線接続であってもよい。電話モデム、MIBシステム、RS232インターフェース、補助インターフェース、光リンク、赤外線リンク、無線周波数リンク、マイクロ波リンク若しくはWLANS接続、又は他の無線接続を含むがこれらに限定されない、任意の直接又は間接のネットワーク接続を使用してもよい。
【0019】
機能モジュール116、118、120、122は、患者にケアを提供するための、又は患者の状態を監視するための任意の装置である。図1に示すように、機能モジュール116、118、120、122の少なくとも1つは、薬剤又は他の流体を患者に送達するための静脈内注入ポンプなどの注入ポンプモジュールであってもよい。この議論のために、機能モジュール116は注入ポンプモジュールである。機能モジュール118、120、122のそれぞれは、注入ポンプ、シリンジポンプ、PCAポンプ、硬膜外ポンプ、経腸ポンプ、血圧モニタ、パルスオキシメータ、EKGモニタ、EEGモニタ、心拍数モニタ又は頭蓋内圧モニタなどを含むがこれらに限定されない任意の患者治療又は監視装置であってもよい。機能モジュール118、120及び/又は122は、プリンタ、スキャナ、バーコードリーダ、又は任意の他の周辺入力、出力、又は入出力デバイスであってもよい。
【0020】
各機能モジュール116、118、120、122は、インターフェースユニット14と直接的又は間接的に通信し、インターフェースユニット14は、装置12の全体的な監視及び制御を提供する。機能モジュール116、118、120、122は、図1に示すように、又はEggersらに詳述されているように、インターフェースユニット14の一端又は両端に、物理的かつ電子的に直列に接続することができる。しかしながら、主題技術から逸脱することなく利用し得る機能モジュールとインターフェースユニットとを接続するための他の手段があることが認識される。十分なプログラム可能性及び接続性を提供するポンプ又は患者監視装置などの装置は、スタンドアロン装置として動作可能であり、別個のインターフェースユニットや制御ユニット14を介して接続されることなくネットワークと直接通信することができることも理解されよう。上述したように、追加の医療装置又は周辺装置は、1つ又は複数の補助インターフェース62を介して患者ケア装置12に接続し得る。
【0021】
各機能モジュール116、118、120、122は、モジュール固有の構成要素76、マイクロプロセッサ70、情報を記憶するための揮発性メモリ72及び不揮発性メモリ74を含み得る。図1には4つの機能モジュールが示されているが、任意の数の装置がコントローラユニット14に直接的又は間接的に接続されてもよいことに留意されたい。本明細書に説明されている機能モジュールの数及びタイプは例示を意図しており、決して主題技術の範囲を限定するものではない。モジュール固有の構成要素76は、注入ポンプモジュール116のポンピングメカニズムなど、特定のモジュールの動作に必要な任意の構成要素を含む。
【0022】
各機能モジュールは、少なくともある程度の独立した動作が可能であってもよいが、インターフェースユニット14は、装置12の全体的な動作を監視し制御する。例えば、以下でより詳細に説明するように、インターフェースユニット14は、プログラミング命令を機能モジュール116、118、120、122に提供し、各モジュールの状態を監視する。プログラミング命令は、説明された特徴の少なくともいくつかを使用して検出された体積又は流量に基づき得る。
【0023】
患者ケア装置12は、いくつかの異なるモード又はパーソナリティで動作することができ、各パーソナリティは構成データベースによって定義される。構成データベースは、患者ケア装置の内部のデータベース56、又は外部のデータベース37であってもよい。特定の構成データベースは、患者の居場所、年齢、身体的特性、又は医療特性などの患者固有の情報に少なくとも部分的に基づいて選択される。医療特性には、患者の診断、治療処方、病歴、医療記録、患者ケア提供者の識別、生理学的特性又は心理学的特性が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、患者固有の情報はまた、介護提供者情報(例えば、医師の識別)又は病院若しくは病院のコンピュータネットワーク内の患者ケア装置10の位置を含む。患者ケア情報は、インターフェース装置52、54、60又は62を介して入力し得て、例えば、薬局サーバ、入院サーバ、検査室サーバなど、ネットワーク10内のどこからでも発信し得る。
【0024】
主題技術の態様を組み込んだ医療装置は、ネットワークインターフェースモジュール(NIM)を装備し得て、医療装置がネットワーク内のノードとして参加することを可能にする。明確にするために、主題技術は、インターネットプロトコル(IP)を使用するイーサネットネットワーク環境で動作するものとして説明されるが、主題技術の概念は、無線ローカルエリアネットワーク又は広域セルラネットワークなどの他のネットワーク環境にも等しく適用可能であり、そのような環境は、主題技術の範囲内にあることを意図していることが理解されている。
【0025】
様々なデータソースを行き来するデータは、既存の技術を用いてネットワーク互換データに変換することができ、医療装置とネットワークとの間の情報の移動は、様々な手段によって達成することができる。例えば、患者ケア装置12及びネットワーク10は、自動対話、手動対話、又は自動対話と手動対話の両方の組合せを介して通信し得る。自動対話は、連続的又は断続的であってもよく、(図1に示すような)直接ネットワーク接続54を介して、又はRS232リンク、MIBシステム、BLUETOOTH(登録商標)などのRFリンク、IRリンク、WLANS、デジタルケーブルシステム、電話モデム、又は他の有線若しくは無線通信手段を介して行われ得る。患者ケア装置12とネットワーク10との間の手動対話は、例えば、ユーザインターフェース装置54、符号化データ入力装置60、バーコード、コンピュータディスク、携帯型データ支援装置、メモリカード、又はデータを記憶するための任意の他の媒体を使用して、システム間でデータを物理的に、断続的又は周期的に転送することを含む。様々な態様における通信手段は、分散データソースの可能な限り多くの地点からデータにアクセスする双方向性である。意思決定は、ネットワーク10内の様々な場所で行うことができる。例えば、限定するものではないが、決定は、健康情報サーバ(HIS)30、決定サポート48、リモートデータサーバ49、病院部門若しくはユニットステーション46、又は患者ケア装置12自体の中で行うことができる。
【0026】
主題技術に従ってネットワーク上で動作する医療装置との直接通信は、リモートデータサーバ(RDS)としても知られる情報システムサーバ30を介して実施され得る。主題技術の態様によれば、例えば注入ポンプ又はバイタルサイン測定装置などの医療装置に組み込まれたネットワークインターフェースモジュールは、認証されたRDSから生じたものでない全てのネットワークトラフィックを無視する。主題技術のRDSの主な責任は、NIMを有する全てのネットワーク化された医療装置の位置及び状態を追跡し、オープンな通信を維持することである。
【0027】
図2Aは、主題技術の態様による、輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続を保証するためのシステムの一例を示す。システム200は、輸液装置204によって制御される注入ポンプ202を含む。輸液装置204は、注入ポンプ202に加えて追加の注入ポンプを制御することができる。いくつかの実装形態では、輸液装置204は、通信モジュール206(例えば、無線通信モジュール、有線通信モジュール)を含む。
【0028】
システム200は、データネットワークシステム208と輸液装置204との間のデータ接続を確立することによって相互運用を可能にする。データネットワークシステム208は、電子医療記録保管検索システム210、調整エンジン212、オンライン薬剤ライブラリ214、及び輸液システムサーバ216を含み得る。いくつかの実装形態では、調整エンジン212は、輸液アダプタ218を含む。輸液アダプタ218は、テンプレートを調整エンジン212に提供して、輸液装置204の異なる注入専用アプリケーションのために異なる事前設定された内部メッセージングプロトコルを構築できるようにする。
【0029】
電子医療記録保管検索システム210(以下、「EMRシステム210」)には、特定の患者について、注入順序及び医師がその特定の患者に処方した他の薬剤が記憶される。更に、EMRシステム210はまた、特定の注入順序用として注入ポンプ202をプログラムするために、輸液装置204に配信する自動プログラミングリクエスト(APR)メッセージを作成し得る。
【0030】
いくつかの実装形態では、輸液装置に送信されるAPRメッセージは、調整エンジン212及び輸液システムサーバ216を介してルーティングされる。いくつかの実装形態では、調整エンジン212は、輸液アダプタ218を介して輸液装置204と相互作用する。輸液アダプタ218は、輸液装置204と調整エンジン212との間をインターフェースするアプリケーションである。調整エンジン212は、EMRシステム210から輸液装置204に送信されるAPRメッセージ内の順序情報が完全であり、必要なフィールドが欠落していないか、又は無効なデータ値を含んでいないことをチェックすることを含む、様々な機能を実施し得る。
【0031】
いくつかの実装形態では、注入プロセスは、医療従事者(例えば、医師)が患者に薬剤の注入順序を処方するときに開始される。次いで、同じ医療従事者又は異なる医療従事者(例えば、薬剤師、看護師)は注入順序を確認することができ、その順序はEMRシステム210内の患者の医療記録に追加される。
【0032】
患者が輸液を受ける場所の介護者(例えば、看護師)は、介護者のワークステーション又は輸液装置から患者の医療記録にアクセスすることができ、保留中の注入順序がいつ患者に提供されるかを通知することができる。次いで、介護者は、薬局又は薬剤貯蔵部から注入順序の中で指定された薬剤バッグを取り出し、注入の準備をすることができる
【0033】
いくつかの実装形態では、EMRシステム210は、介護者のワークステーションに、又は輸液装置204内にインストール又は配備される関連のソフトウェアプログラムを有する。ソフトウェアは、ワークステーション又は輸液装置204に(例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy、wi-fi、近距離無線通信(NFC)、ZigBeeなどを介して)通信可能に結合されたスキャナから通信データを受信して処理する。スキャナは、(EMRシステム210から受信した)注入順序を、(1)特定の患者、(2)注入用の薬剤バッグ、及び(3)注入ポンプ202(又はモジュール)と関連付けられ得る。
【0034】
スキャナを使用して、バーコード又は他の固有の識別子を含んだ患者のリストバンドをスキャンすることによって、患者をシステムに識別させ得る。また、注入用の薬剤バッグは、それに貼付された固有の識別子又はバーコードを有する場合があり、これもまたスキャナでスキャンし得る。例えば、スキャナは、輸液装置204上で、又は介護者のワークステーション上で動作するソフトウェアによって制御されて、第1のスキャンで、患者のリストバンド上の固有の識別子を期待することができる。情報がスキャナから輸液装置又はワークステーションに送信されると、データシステム208は、患者の身元を確認し、患者の保留中の注入順序がシステムに入力されたことを認識し得る。次いで、スキャナは、第2のスキャンを介して、薬剤バッグに貼り付けられた固有の識別子を収集するように制御され得る。薬剤バッグに関する情報がスキャナからデータシステム208に送信された後、スキャナは、第3のスキャンを介して、輸液装置204と関連付けられた固有の識別子を収集するように制御され得る。
【0035】
固有の識別子は、輸液装置204に含まれるディスプレイなどを介して輸液装置204によって提示され得る。固有の識別子は、輸液装置204又は輸液装置に取り付けられたモジュールと関連付けられてもよい。固有の識別子の提示は、輸液を実施するための輸液装置204(又はそれに取り付けられたモジュール)の準備完了状況に基づいて、条件付きであってもよい。準備完了状況は、輸液装置204によって、1つ又は複数の基準を使用して評価され得る。その基準は、輸液装置204によってアクセス可能なメモリに記憶され得る。基準は、電力レベル、無線信号強度、警告やアラート状態などの特定の動作パラメータ範囲又は値を含み得る。次いで、輸液装置204は、適用可能な動作パラメータを検出又は測定し、測定値を基準と比較し得る。輸液装置204は、測定値と基準との間の対応関係に基づいて、自動プログラミングの準備ができているかどうかを判定し得る。
【0036】
例えば、いくつかの実装形態では、EMRシステム210が正しい順序パラメータ(例えば、流体流量、注入時間、注入量など)を輸液装置204(又は注入ポンプ202)に送信して正しい患者の注入プロセスを開始するために、通信モジュール206とデータネットワークシステム208との間のデータ接続が最初に確立される。輸液装置の固有の識別子が恒久的に表示される(例えば、物理的バーコードラベルとして輸液装置の表面に貼り付けられ、輸液装置の一部にバーコードとして恒久的に表示され、輸液装置のディスプレイの一部にバーコードとして恒久的に表示される)システムでは、輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続ができていないことを示す表示灯又はアイコンは、容易に認識されない可能性がある。データ接続の中断中に、輸液装置が動作を実施しようとすることによる不必要な遅延やリソース利用を回避し、通信モジュール206がデータネットワークシステム208へのデータ接続を維持することを保証するために、輸液装置204と関連付けられた固有の識別子220は、データ接続が確立されない限り(即ち、自動プログラミングの接続基準が満たされない限り)、輸液装置204のディスプレイ222に表示されないことがある。
【0037】
様々な実装形態によれば、EMRシステム210から輸液装置204へのAPRメッセージは、輸液装置204の特定の注入ポンプ202に向けられる。輸液装置は、その特定の注入ポンプ202で注入を開始するために開始ボタンをトリガすることができる。注入ポンプ202の固有の識別子が恒久的に表示される(例えば、物理的バーコードラベルとして注入ポンプの表面に貼り付けられ、輸液装置の一部にバーコードとして恒久的に表示され、注入ポンプと関連付けられた輸液装置のディスプレイの一部にバーコードとして恒久的に表示される)システムの場合、特定の注入ポンプとデータネットワークシステムとの間のデータ接続ができていないことを知らせる表示灯又はアイコンは、容易に認識され得ない。より直感的で迅速な視覚フィードバックを提供し、自動プログラミングリクエスト又は順序を処理するために必要なポンプリソースを節約するために、特定の注入ポンプ202の固有の識別子220は、注入ポンプ202が注入順序を受信して注入プロセスを開始する準備ができているときにのみ表示される。例えば、輸液装置204及び/又は注入ポンプ202と関連付けられた動作状態は、少なくとも1つの注入ポンプ202が、新しい注入順序を、又は着信する注入順序を受信する準備ができているかどうかを示す。注入ポンプ202又は輸液装置204の動作状態は、輸液装置204がプログラミング中であるとき、又は特定の注入ポンプ202が現在進行中の注入で既に使用されているとき、又は注入ポンプ202が、現在、ボーラス注入又は二次注入を実行しているときに、利用不可能と表示され得る。いくつかの実装形態では、通信及びメッセージのセキュリティ用の、通信モジュール206と関連付けられたセキュリティ証明書が有効期限切れになった場合、注入ポンプ202又は輸液装置204と関連付けられた固有の識別子は提示されないか、又は削除される。代わりに、セキュリティ証明書を更新する必要があることを示すために、輸液装置204のディスプレイ222又はワークステーションのいずれかにエラーメッセージが提供される。
【0038】
輸液装置は、システム208に接続されているときにのみ遠隔でプログラムされ得るので、輸液装置がネットワークに接続されていないときに注入ポンプのプログラミングを開始するために固有の識別子220をスキャンすることは、貴重な時間を浪費することになる。これに関して、輸液装置は、接続されていないためプログラムできないという警告を出すようにプログラムし得る。様々な実施形態によれば、輸液装置204とデータネットワークシステム208との間にデータ接続が確立されていないときに固有の識別子220を表示しないことによって、介護者にデータ接続ができていないことについて迅速に警告することができる。注入プロセスは、注入順序が患者、薬剤バッグ、及び注入ポンプ202と関連付けられた後にのみ開始され得る。その結果、患者に医療用流体を注入するように輸液装置を自動的に設定する成功率が高くなり得る。
【0039】
いくつかの実装形態では、データ接続性の欠如をトラブルシューティングするために、輸液装置204のディスプレイ222上に固有の識別子220が存在していないことによって、より迅速な視覚的フィードバックが得られる。EMRからのAPRメッセージは、輸液装置の固有の識別子がスキャンされた後にのみ輸液装置204に配信され得る。したがって、固有の識別子220が存在していないことにより、スキャナによるスキャンのために輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子が提示されないという警告が出される。いくつかの実装形態では、ディスプレイ222に固有の識別子220を表示しないことに加えて、エラーメッセージがディスプレイ222に表示され、輸液装置204とデータネットワークシステムとの間のデータ接続を再確立するように介護者に指示する。いくつかの実装形態では、ディスプレイ222に固有の識別子220を表示しないことに加えて、介護者のワークステーションにエラーメッセージが更に表示される。エラーメッセージは、EMRシステム210と関連付けられたワークステーション上のソフトウェアプログラムで提供され得る。
【0040】
固有の識別子220をディスプレイ222に表示しないことにより、実際には注入ポンプ202とデータネットワークシステム208との間のデータ接続が確立されていない場合、システム200は、介護者が注入ポンプ202に送信される注入順序を待つように勘違いする可能性を低減する(例えば、回避する)。実験的な実装形態では、注入ポンプ202がデータネットワークシステム208と通信していないために、EMRシステム210から送信される自動プログラミングリクエスト(APR)の約5%が失敗する可能性がある。システム200を使用して、スキャナによって固有の識別子220がスキャンされないと注入ポンプ202の関連付けが完了できないため、EMRシステム210と注入ポンプ202との間のデータ接続の欠如を認識できないことは、ほぼゼロに低減され得る。
【0041】
患者が注入用の薬剤バッグ及び輸液装置の特定の注入ポンプ202と関連付けられた固有の識別子に首尾よく関連付けられると、輸液装置は、輸液装置204上のユーザインターフェースの一部をトリガして、EMRシステム210に注入順序を注入ポンプ202に送信するようにリクエストすることができる。
【0042】
EMRシステム210は、輸液装置204からそのコマンドを受信し、スキャナによってスキャンされた固有の識別子220(例えば、注入ポンプ202のシリアル番号)及び薬剤師によって入力された薬剤情報を使用して、自動プログラミングリクエスト(APR)メッセージを作成する。APRメッセージは、調整エンジン212に送信される。調整エンジン212によって受信されたメッセージは、追跡データベースに記憶され得る。順序情報が完全であり、EMRシステム210と関連付けられたシステム時刻が調整エンジン212と関連付けられたシステム時刻と同期している(例えば、±15秒以内)と調整エンジンが判定すると、APRメッセージが受理され、確認メッセージがEMRシステム210に送り返され得る。いくつかの実装形態では、ワークステーション上の注入管理確認画面は、APRメッセージのプロセスのこの段階で第1の確認を表示する。不完全なフィールド又は無効なデータ(例えば、シリアル番号フィールドの桁数が間違っている)がある場合、又はシステム時刻が同期されていない場合、エラーメッセージがEMRシステム210に送信され、エラーメッセージが提供され得る。
【0043】
調整エンジンによって受信された情報は、輸液システムサーバ216に更に中継される。輸液システムサーバ216は、特定の注入ポンプ202について輸液装置シリアル番号を照会することができる。いくつかの実装形態では、輸液システムサーバ216は、輸液装置204が輸液システムサーバ216へのデータ接続を有するかどうかをチェックすることもできる。輸液装置204が輸液システムサーバ216においてオフラインである場合、エラーメッセージ(例えば、否定応答メッセージ)が生成され、輸液システムサーバ216が輸液装置204に到達できないことを介護者に通知する。
【0044】
輸液装置204が輸液システムサーバ216と有効に通信する場合、注入順序情報は輸液システムサーバ216から輸液装置204に送信される。いくつかの実装形態では、輸液装置204は、注入順序と関連付けられたデータを一連の手動ボタンの押下として解釈する。注入順序が受信されると、輸液装置204は、注入順序の中に含まれる薬剤がオンライン薬剤ライブラリ214に存在すること、及び投与パラメータが正しい/有効であることをチェックする。
【0045】
EMRシステム210から輸液装置204にAPRメッセージによって配信された注入順序の詳細を確認した後、輸液装置は、開始ボタンをトリガして注入を開始することを可能にする。
【0046】
いくつかの実装形態では、特定の注入ポンプ202と関連付けられた固有の識別子220は、注入ポンプが自動プログラミングリクエストを受信する準備ができており、しかも、(1)輸液装置204と輸液システムサーバ216との間の有効なデータ接続、(2)輸液アダプタ218にアドオンがインストールされた調整エンジン212への有効なデータ接続、(3)オンライン薬剤ライブラリ214への有効なデータ接続であり、薬剤ライブラリが輸液システムサーバ216に配備されているという条件が満たされている場合に表示される。
【0047】
更に、注入順序を受信する輸液装置204及び注入ポンプ202は、その電源がオンである場合を除き、動作中(故障しておらず、警告を表示していない)である場合を除き、現在プログラミング中でない限り、現在ボーラス注入又は二次注入ステップを実行中ではない限り、注入を実行する注入ポンプ202は別のタスクでビジー状態ではない限り、しかも薬剤ライブラリ及びケア領域は輸液装置204及び注入ポンプ202で有効である場合を除き、固有の識別子220は表示されない。いくつかの実装形態では、輸液装置204はスリープモードであってもよい。いくつかの実装形態では、固有の識別子220は、スリープモードにある間に表示され、APRを受信したときにシステムがウェイクアップできるようにする。
【0048】
表1は、自動プログラミング準備完了基準の8つの異なる例を表にしている。基準は、接続タイプ、構成タイプ、又は使用タイプ基準として分類することができる。接続タイプ基準には、注入ポンプフリート管理サーバ(IFMS)への有効な接続の存在、EMR又は他の医療情報サーバ(HIS)への有効な接続の存在、及びシステム上に有効期限切れでないセキュリティ証明書(例えば、通信及びメッセージのセキュリティ用)の存在が含まれる。構成タイプ基準には、IFMSが適切に設定されているかどうか、例えば、適切な薬剤ライブラリが接続されているかどうか、及び薬剤ライブラリとケア領域がPCU上で及びモジュールに対して有効になっているかどうかなどが含まれる。使用タイプ基準には、PCUとモジュールが動作可能であり、故障や警告が発生していないか、及びモジュールが現在別のタスクでビジー状態になっていないかなどが含まれる。自動プログラミング準備完了基準が満たされているかどうかに関する情報源は、システムマネージャ(SM)又はPCU若しくはモジュールからのものであり得る。基準はまた、動的又は安定的のいずれかであり得る。安定した特性を有する基準は、注入プロセスの開始中又は注入プロセス中に変化しない可能性がある。動的な特性を有する基準は、注入プロセスの開始中又は注入プロセス中の変化の影響をより受けやすく、より頻繁に監視する必要があり得る。
【表1】
【0049】
いくつかの実装形態では、輸液装置204によって制御される各注入ポンプ202は、システム200内の他の構成要素と通信するためにそれ自体の独立した通信モジュール206を有する。注入ポンプ202は、それ自体の通信モジュール206を制御し、輸液装置204からの制御信号を受信し得る。いくつかの実装形態では、通信モジュール206は、輸液装置204によって集中制御され、1つ又は複数の注入ポンプ202との間の送受信など通信を調整する。
【0050】
いくつかの実装形態では、システム200は、輸液装置204とデータ通信する注入モジュール(例えば、データネットワークシステム208、調整エンジン212、輸液システムサーバ216、及びオンライン薬剤ライブラリ214)を更に含む。システム200のプロセッサは、注入モジュールが準備完了状態にあるかどうかに基づいて固有の識別子が提示されるように、注入モジュールが準備完了状態にあるかどうかを判定するように構成される。例えば、固有の識別子は、注入モジュールが準備完了状態にある場合に提示され得る。いくつかの実装形態では、輸液装置204は、容積式注入ポンプ又はシリンジ注入ポンプである。
【0051】
図2Bは、主題技術の態様による、輸液装置とデータネットワークシステムとの間にデータ接続がないために輸液装置が自動プログラミングの準備ができていない場合の図2Aに示すシステムを示す。輸液装置204がデータネットワークシステム208内のEMRシステム210、調整エンジン212、オンライン薬剤ライブラリ214、又は輸液システムサーバ216のいずれにもデータ接続されていない場合、又は輸液アダプタ218が調整エンジン212にインストールされていない場合、固有の識別子220(例えば、図2Aを参照)は、輸液装置のディスプレイ222には表示されない。固有の識別子220がないと、注入順序、患者、注入用の薬剤バッグ、及び注入ポンプを関連付ける開始プロセスは中断される。いくつかの実装形態では、輸液装置204は、満たされなかった準備完了の複数又は1つの基準を識別し、準備が整うように輸液装置204を自動的に調整し得る。例えば、ネットワーク接続が確立されていない場合、輸液装置204は、接続の確立を再試行するか、代替アクセスポイントを介して、又は代替接続パラメータ(例えば、リクエストタイムアウト、トランスポートプロトコル、認証情報、ネットワークアダプタなど)を使用して接続の確立を試み得る。いくつかの実装形態では、輸液装置204を調整することは、データ接続性又は電源の問題などの検出エラーを修正するためのプロンプト又は他の是正アラートを提示することを含み得る。
【0052】
図3は、主題技術の態様による、輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続を保証するためのシステムの例示的なユーザインターフェースを示す。ユーザインターフェース300は、LCDディスプレイを有さない輸液装置での使用に適している。バーコードアイコン306は、注入ポンプ202の識別子の隣の輸液装置204のメインディスプレイ上に示されている。
【0053】
いくつかの実装形態では、EMRシステム210からの自動プログラミングリクエスト(APR)がポンプチャネルBに対応する注入ポンプ202に送信される場合、輸液装置メインページのユーザインターフェース300は、ポンプチャネルBの隣にバーコードアイコン306を表示する。チャネルBのバーコードアイコンの隣のソフトキー304は、APRを開始するために選択され得る。ソフトキー302は、ポンプチャネルAに対応する注入ポンプに対応する。輸液装置204は、ソフトキー304が選択された後、チャネルBのバーコードラベルを表示する。次いで、チャネルBの注入ポンプの固有の識別子(例えば、バーコード)をスキャンし得る。
【0054】
図4Aは、主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施するために、輸液装置が準備完了状態にあることを保証するための例示的な方法を示す。説明の目的のために、例示的な方法400の様々なブロックを、図4A並びに本明細書に説明される構成要素及び/又はプロセスを参照して本明細書で説明する。方法400のブロックのうちの1つ又は複数は、例えば、上述のような1つ又は複数のコンピューティングデバイスによって実施することができる。いくつかの実装形態では、1つ又は複数のブロックは、他のブロックとは別に、1つ又は複数の異なるプロセッサ又は装置によって実装し得る。更に説明のために、例示的な方法400のブロックは、連続して、又は直線的に存在するものとして説明する。しかしながら、例示的な方法400の複数のブロックは、並行して存在してもよい。更に、例示的な方法400のブロックは、示された順序で実施される必要はなく、及び/又は例示的な方法400のブロックの1つ又は複数は実施される必要はない。
【0055】
図示の例では、輸液装置は、輸液装置が注入をプログラムすること及びプログラムされた注入を実行することと関連付けられた工程を実施する準備完了状態にあるときを判定する(402)。輸液装置が準備完了状態にあることを判定したことに応答して、及びその間、輸液装置の固有の識別子が輸液装置のディスプレイ上に提示され、輸液装置を注入順序と関連付けるために輸液装置の固有の識別子がスキャナでスキャンされたというインジケーションを待ち、そのインジケーションを受信することに応答して、輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信する(404)。輸液装置は、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように自動的に設定される(406)。輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のディスプレイから固有の識別子を除去する(408)。
【0056】
いくつかの実装形態では、輸液システムは、輸液装置と、ネットワークデータトランシーバと、プロセッサであって、輸液装置において輸液装置が準備完了状態にあるときを判定し、輸液装置が準備状態にあることを判定することに応答して、及びその間、輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子を提示し、輸液装置を注入順序と関連付けるために、輸液装置の固有の識別子がスキャナでスキャンされたというインジケーションを待ち、インジケーションを受信することに応答して、輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信し、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように輸液装置を自動的に設定し、輸液装置が準備状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のディスプレイから固有の識別子を除去するように構成されたプロセッサとを含む。
【0057】
いくつかの実装形態では、プロセッサは、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のネットワークパラメータを調整するように更に構成され、ネットワークパラメータは、リクエストタイムアウト、トランスポートプロトコル、認証情報、又はネットワークアダプタのうちの少なくとも1つを含む。プロセッサは、更に、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、固有の識別子を接続エラーと関連付けられた知覚可能なインジケータと置き換えるように構成される。準備完了状態には、注入ポンプフリート管理サーバへ有効に接続できること、輸液装置は動作状態にあること、輸液装置と関連付けられたセキュリティ証明書は有効期限切れでないことが含まれる。
【0058】
いくつかの実装形態では、輸液装置を確実に準備完了状態にして、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要な工程を実施する方法であって、本方法は、輸液装置において輸液装置が準備完了状態にあるときを判定するステップを含む。輸液装置が準備完了状態にあると判定したことに応答して、及びその間、本方法は、輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子を提示するステップと、輸液装置を注入順序と関連付けるために、輸液装置の固有の識別子がスキャナによってスキャンされたというインジケーションを待つステップと、インジケーションの受信に応答して、輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信するステップとを含む。本方法は、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように輸液装置を自動的に設定するステップを含む。輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のディスプレイから固有の識別子を除去する。
【0059】
いくつかの実装形態では、本方法は、輸液装置が準備完了状態にあると判定するステップを更に含み、輸液装置が調整エンジン、輸液システムサーバ、及びオンライン薬剤ライブラリと通信中であると判定するステップを更に含む。
【0060】
いくつかの実装形態では、本方法は、輸液装置が輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続を欠いていると判定したことに応答して、輸液装置にデータネットワークシステムへのデータ接続を確立させるための入力を促すプロンプトを、輸液装置のユーザインターフェースに表示するステップを更に含む。
【0061】
いくつかの実装形態では、輸液装置が電子医療記録保管検索システムと通信中であると判定することは、輸液装置の動作状態を判定することを更に含み、ここで輸液装置の動作状態は、注入順序を実施するための輸液装置の利用可能性を示す。
【0062】
いくつかの実装形態では、動作状態により、輸液装置が動作可能であり、輸液装置がプログラミング中ではなく、ボーラス注入又は二次注入を実行していないことが示されるとき、固有の識別子が提示される。いくつかの実装形態では、輸液装置の固有の識別子は、輸液装置のディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))に表示される二次元バーコードを含む。
【0063】
いくつかの実装形態では、輸液装置は複数の注入ポンプを含み、輸液装置の固有の識別子は、注入順序を受信するために利用可能な複数の注入ポンプのうちの選択された1つと関連付けられる。
【0064】
いくつかの実装形態では、複数の注入ポンプのうちの選択された1つと関連付けられた輸液装置の固有の識別子を輸液装置のディスプレイ上に提示する前に、複数の注入ポンプのうちの選択された1つに隣接するソフトキーの隣にバーコードアイコンを表示し、ソフトキーの選択を受信し、ソフトキーの選択を受信することに応答して、自動プログラミングリクエストを開始する。
【0065】
いくつかの実装形態では、電子医療記録保管検索システムは、医療提供者から注入順序を受信し、輸液装置の固有の識別子に含まれる情報を受信すると、自動プログラミングリクエストをデータネットワークシステム内の調整エンジンに送信する。
【0066】
いくつかの実装形態では、輸液装置は、輸液装置を収容するケア施設のサーバシステムを介して電子医療記録保管検索システムに通信可能に接続される。
【0067】
いくつかの実装形態では、電子医療記録保管検索システムは、ケア施設内部ネットワーク、調整エンジン、ケア施設内部ネットワークに配備された薬剤ライブラリ、及び輸液システムサーバに通信可能に結合される。
【0068】
いくつかの実装形態では、データネットワークシステム内の輸液システムサーバとデータネットワークシステム内の調整エンジンとの間のデータ接続と関連付けられたセキュリティ証明書が無効であるという判定に従って、スキャナでスキャンするために輸液装置の固有の識別子は輸液装置のディスプレイ上に提示されないことを示すアラートを生成する。
【0069】
いくつかの実装形態では、本方法は、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のネットワークパラメータを調整するステップを更に含み、ネットワークパラメータは、リクエストタイムアウト、トランスポートプロトコル、認証情報、又はネットワークアダプタのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
いくつかの実装形態では、本方法は、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、固有の識別子を接続エラーと関連付けられた知覚可能なインジケータと置き換えるステップを更に含む。
【0071】
いくつかの実装形態では、準備完了状態には、注入ポンプフリート管理サーバへ有効に接続できること、輸液装置が動作状態にあること、輸液装置と関連付けられたセキュリティ証明書が有効期限切れでないことが含まれる。いくつかの実装形態では、準備完了状態には、輸液装置に機能を提供するセンサ又は他の付属品(例えば、バーコードスキャナ、エアインラインセンサ、患者監視装置など)の状態(例えば、取り付けられた、給電された、データへの接続性、有効な検出、エラーが検出された、警告状態の識別など)が含まれ得る。
【0072】
図4Bは、主題技術の態様による、注入をプログラムし、プログラムされた注入を実行するために必要なステップを実施するために輸液装置が準備完了した状態にあることを保証する例示的なワークフローを示す図である。例示的なワークフロー420は、輸液装置にユーザインターフェースを表示するステップ(422)を含む。次に、輸液装置内のプロセッサは、注入のプログラミングを開始するために輸液装置が準備完了状態にあるか否かのインジケーションを受信する(424)。プロセッサは、例えば、表1に記載されているように自動プログラミング準備完了基準を識別し(426)、輸液装置が自動プログラミングの準備ができているかどうかを判定する(428)。装置の準備ができていないという判定に従って、輸液装置は、装置が準備完了基準を満たすように調整又は待機する(430)。装置の準備ができているという判定に従って、輸液装置は、自動プログラミングスキャン可能コードを表示し(432)、自動プログラミングパラメータを受信する(434)。次いで、輸液装置は、受信したパラメータに基づいて注入を開始する(436)。
【0073】
図5は、主題技術の態様による、注入プロセス中に故障状態を判定するための例示的な電子システムを示す概念図である。電子システム500は、プロセスのうち1つ又は複数の部分若しくはステップと関連付けられた、又は、サーバ130、患者ケア装置12内のコンピューティングハードウェア、端末装置132、又は輸液装置204を含むがこれらに限定されない図1図4Bによって提供された構成要素及びプロセスと関連付けられたソフトウェアを実行するためのコンピューティングデバイスであってもよい。電子システム500は、図1図4Bに関する開示と組み合わせて代表されるものであってもよい。この点に関して、電子システム500は、パーソナルコンピュータ、又はスマートフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップ、PDA、拡張現実デバイス、腕時計若しくはバンド若しくは眼鏡などのウェアラブル、又はその組合せなどのモバイルデバイス、又は、埋め込まれた又は結合された1つ若しくは複数のプロセッサを有する他のタッチスクリーン若しくはテレビ、又はネットワーク接続を有する任意の他の種類のコンピュータ関連電子デバイスであってもよい。
【0074】
電子システム500は、様々なタイプのコンピュータ可読媒体、及び様々な他のタイプのコンピュータ可読媒体用のインターフェースを含み得る。図示の例では、電子システム500は、バス508、処理ユニット512、システムメモリ504、読み出し専用メモリ(ROM)510、永久記憶装置502、入力装置インターフェース514、出力装置インターフェース506、1つ又は複数のネットワークインターフェース516を含む。いくつかの実装形態では、電子システム500は、前述の様々な構成要素及びプロセスの動作のための他のコンピューティングデバイス又は回路を含むか、又はこれに統合されてもよい。
【0075】
バス508は、電子システム500の多数の内部デバイスを通信可能に接続する全てのシステム、周辺機器、及びチップセットバスをまとめて表す。例えば、バス508は、処理ユニット512をROM510、システムメモリ504、及び永久記憶装置502と通信可能に接続する。
【0076】
これらの様々なメモリユニットから、処理ユニット512は、主題開示のプロセスを実行するために、実行するための命令及び処理するためのデータを取り出す。処理ユニットは、異なる実装形態では、シングルプロセッサ又はマルチコアプロセッサであり得る。
【0077】
ROM510は、処理ユニット512及び電子システムの他のモジュールによって必要とされる、静的データ及び命令を記憶する。一方、永久記憶装置502は、読み書き可能な記憶装置である。この装置は、電子システム500が停止しているときであっても命令及びデータを記憶する不揮発性メモリユニットである。主題開示のいくつかの実装形態は、永久記憶装置502として、大容量記憶装置(磁気又は光ディスク及びその対応するディスクドライブなど)を使用する。
【0078】
他の実装形態は、永久記憶装置502として、取外し可能記憶装置(例えば、フロッピーディスク、フラッシュドライブ、及びその対応するディスクドライブ)を使用する。永久記憶装置502と同様に、システムメモリ504は、読み書き可能なメモリデバイスである。しかしながら、記憶装置502とは異なり、システムメモリ504は、ランダムアクセスメモリなどの揮発性読み書きメモリである。システムメモリ504は、プロセッサが実行時に必要とする命令及びデータの一部を記憶する。いくつかの実装形態では、主題開示のプロセスは、システムメモリ504、永久記憶装置502、及び/又はROM510に記憶される。これらの様々なメモリユニットから、処理ユニット512は、いくつかの実装形態のプロセスを実行するために、実行するための命令及び処理するためのデータを取り出す。
【0079】
バス508はまた、入力及び出力デバイスインターフェース514及び506に接続する。入力装置インターフェース514は、ユーザが情報を伝達すること、及び電子システムへのコマンドを選択することを可能にする。入力装置インターフェース514と共に使用される入力装置は、例えば、英数字キーボード及びポインティングデバイス(「カーソル制御装置」とも呼ばれる)を含む。出力装置インターフェース506は、例えば、電子システム500によって生成された画像の表示を可能にする。出力装置インターフェース506と共に使用される出力装置は、例えば、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などのプリンタ及びディスプレイ装置を含む。いくつかの実装形態は、入力装置及び出力装置の両方として機能するタッチスクリーンなどの装置を含む。
【0080】
また、図5に示すように、バス508はまた、ネットワークインターフェース516を介して電子システム500をネットワーク(図示せず)に結合する。ネットワークインターフェース516は、例えば、無線アクセスポイント(例えば、Bluetooth(登録商標)若しくはWiFi)又は無線アクセスポイントに接続するための無線回路(例えば、送受信機、アンテナ、増幅器)を含み得る。また、ネットワークインターフェース516は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、無線LAN、パーソナルエリアネットワーク(「PAN」)、若しくはイントラネット、又はインターネットなど複数のネットワークのうちの1つのネットワークなどの、コンピュータのネットワークの一部にコンピュータを接続するためのハードウェア(例えば、イーサネットハードウェア)を含み得る。電子システム500の任意の又は全ての構成要素は、主題の開示と併せて使用することができる。
【0081】
上述したこれらの機能は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで実現することができる。これらの技法は、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を使用して実施することができる。プログラム可能なプロセッサ及びコンピュータは、モバイルデバイスに含まれ得るか、又はモバイルデバイスとしてパッケージ化することができる。プロセス及び論理フローは、1つ又は複数のプログラム可能プロセッサ及び1つ又は複数のプログラム可能論理回路によって実施することができる。説明した注入機能用に特別に構成された汎用及び専用コンピューティングデバイス及び記憶デバイスは、通信ネットワークを介して相互接続することができる。
【0082】
いくつかの実装形態は、機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体(コンピュータ可読記憶媒体、機械可読媒体、又は機械可読記憶媒体とも呼ばれる。)にコンピュータプログラム命令を記憶する、マイクロプロセッサ、記憶装置及びメモリなどの、電子構成要素を含む。このようなコンピュータ可読媒体のいくつかの例は、RAM、ROM、読取り専用コンパクトディスク(CD-ROM)、記録可能コンパクトディスク(CD-R)、書換え可能コンパクトディスク(CD-RW)、読取り専用デジタル多用途ディスク(例えば、DVD-ROM、二重層DVD-ROM)、様々な記録可能/書換え可能DVD(例えば、DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWなど)、フラッシュメモリ(例えば、SDカード、ミニSDカード、マイクロSDカードなど)、磁気及び/又はソリッドステートハードドライブ、読取り専用及び記録可能Blu-Ray(登録商標)ディスク、超高密度光ディスク、任意の他の光又は磁気媒体、及びフロッピーディスクを含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能であり、様々な動作を実施するための命令セットを含むコンピュータプログラムを記憶することができる。コンピュータプログラム又はコンピュータコードの例には、コンパイラによって生成されるような機械語、及びインタプリタを使用してコンピュータ、電子構成要素、又はマイクロプロセッサによって実行される高水準コードを含むファイルが含まれる。
【0083】
上記の議論は、主に、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサ又はマルチコアプロセッサに言及しているが、いくつかの実装形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ又は複数の集積回路によって実行される。いくつかの実装形態では、このような集積回路は、回路自体に記憶された命令を実行する。
【0084】
本出願の明細書及びいずれかの請求項において使用されるように、「コンピュータ」、「サーバ」、「プロセッサ」、及び「メモリ」という用語は全て、電子的又は他の技術的デバイスを指す。これらの用語は、人々又は人々のグループを除外する。本明細書のために、表示する又は表示することという用語は、電子デバイス上に表示することを意味する。本出願の本明細書及びいずれかの請求項において使用されるように、「コンピュータ可読媒体(computer readable medium)」及び「コンピュータ可読媒体(computer readable media)」という用語は、コンピュータが読み取り可能な形式で情報を記憶する有形の物理的なオブジェクトに完全に限定される。これらの用語は、任意の無線信号、有線のダウンロード信号、及び任意の他の一過性の信号を除外する。
【0085】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に説明の主題の実装形態は、情報をユーザに表示するためのディスプレイ装置、例えばCRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザがコンピュータに入力することができるキーボードやポインティングデバイス、例えばマウス又はトラックボールと、を有するコンピュータ上で実装することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を提供することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形式の感覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形式で受け取ることができる。更に、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信すること、デバイスから文書を受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信したリクエストに応答して、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと対話することができる。
【0086】
本明細書で説明される主題の実装形態は、例えば、データサーバとしてのバックエンド構成要素を含む、又は、例えば、アプリケーションサーバとしてのミドルウェア構成要素を含む、又は、フロントエンド構成要素、例えば、ユーザが本明細書で説明される主題の実装形態と対話することができるグラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含む、具体的に構成されたコンピューティングシステムで、又は、1つ又は複数のこのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンド構成要素の任意の組合せで、実施することができる。システムの構成要素は、例えば、通信ネットワークなどの、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信によって相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、ネットワーク間(例えば、インターネット)、並びにピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)が含まれる。
【0087】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に、互いに隔たれており、通信ネットワークを介して対話することができる。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作し、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実装形態では、サーバは、(例えば、クライアントデバイスと対話するユーザにデータを表示し、ユーザからユーザ入力を受信するために)クライアントデバイスにデータ(例えば、HTMLページ)を送信する。クライアント装置で生成されたデータ(例えば、ユーザ対話の結果)は、サーバで、クライアント装置から受信することができる。
【0088】
当業者は、本明細書に記載の様々な例示的なブロック、モジュール、要素、構成要素、方法、及びアルゴリズムが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組合せとして実施され得ることを認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアは、このように入替え可能であることを示すために、様々な例示的なブロック、モジュール、要素、構成要素、方法、及びアルゴリズムが、その機能の観点から全体的に上記で説明されてきた。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定の用途及び設計制約に依存する。説明された機能は、各特定のアプリケーションごとに様々な方法で実装され得る。様々な構成要素及びブロックは、主題技術の範囲から逸脱することなく、異なるように(例えば、別の順序で配置されたり、別の方法で区画されたりして)配置されてもよい。
【0089】
開示されたプロセスにおけるステップの固有の順序又は階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。設計上の選好に基づいて、プロセスにおけるステップの固有の順序又は階層が再配置され得ることが理解される。ステップのいくつかは、同時に実施されてもよい。添付の方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプル順序で提示し、提示された固有の順序又は階層に限定されることを意味しない。
【0090】
条項としての主題技術の例示
本開示の態様の様々な例は、便宜上、番号付きの条項(1、2、3など)として記載される。これらは例として提供されており、主題技術を限定するものではない。図面及び参照番号の識別は、単に例として、例示のために以下で提供され、条項はこれらの識別によって限定されない。
【0091】
条項1.輸液システムであって、輸液装置と、ネットワークデータトランシーバと、プロセッサであって、輸液装置において輸液装置が準備完了状態にあるときを判定し、輸液装置が準備完了状態にあると判定したことに応答して、及びその間、輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子を提示し、輸液装置を注入順序と関連付けるために、輸液装置の固有の識別子がスキャナによってスキャンされたというインジケーションを待ち、インジケーションの受信に応答して、輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信し、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように輸液装置を自動的に設定し、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のディスプレイから固有の識別子を除去するように構成されたプロセッサとを備える、輸液システム。
【0092】
条項2.プロセッサが、輸液装置のネットワークパラメータを調整するように更に構成され、ネットワークパラメータが、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、リクエスト中断、転送プロトコル、認証情報、又はネットワークアダプタのうちの少なくとも1つを含む、条項1に記載の輸液システム。
【0093】
条項3.プロセッサが、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、固有の識別子を接続エラーと関連付けられた知覚可能なインジケータに置き換えるように更に構成される、条項1又は2に記載の輸液システム。
【0094】
条項4.準備完了状態には、注入ポンプフリート管理サーバへ有効に接続できること、輸液装置は動作状態にあること、輸液装置と関連付けられたセキュリティ証明書は有効期限切れでないことが含まれる、条項1~3のいずれか一項に記載の輸液システム。
【0095】
条項5.輸液装置とデータ通信する注入モジュールを更に備え、プロセッサが、注入モジュールが準備完了状態にあるかどうかを判定するように更に構成され、固有の識別子が、注入モジュールが準備完了状態にある場合に提示される、条項1~4のいずれか一項に記載の輸液システム。
【0096】
条項6.輸液装置が、容積式注入ポンプ又はシリンジ注入ポンプのうちの1つを備える、条項1~5のいずれか一項に記載の輸液システム。
【0097】
条項7.輸液装置が注入をプログラムすること及びプログラムされた注入を実行することと関連付けられた工程を実施する準備完了状態にあることを保証する方法であって、輸液装置において輸液装置が準備完了状態にあるときを判定するステップと、輸液装置が準備完了状態にあると判定したことに応答して、及びその間、輸液装置のディスプレイ上に輸液装置の固有の識別子を提示するステップと、輸液装置を注入順序と関連付けるために、輸液装置の固有の識別子がスキャナによってスキャンされたというインジケーションを待つステップと、インジケーションの受信に応答して、輸液装置において注入順序と関連付けられた設定情報を受信するステップと、受信した設定情報によって提供される注入順序のパラメータに基づいて、注入順序の中で指定された医療用流体の注入を行わせるように輸液装置を自動的に設定するステップと、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、輸液装置のディスプレイから固有の識別子を除去するステップとを含む、方法。
【0098】
条項8.輸液装置が準備完了状態にあると判定するステップは、輸液装置が調整エンジン、輸液システムサーバ、及びオンライン薬剤ライブラリとデータ通信していると判定するステップを更に含む、条項7に記載の方法。
【0099】
条項9.輸液装置が輸液装置とデータネットワークシステムとの間のデータ接続を欠いていると判定したことに応答して、輸液装置にデータネットワークシステムへのデータ接続を確立させるための入力用プロンプトを、輸液装置のユーザインターフェースに表示するステップを更に含む、条項7又は8に記載の方法。
【0100】
条項10.輸液装置の動作状態を判定するステップを更に含み、輸液装置の動作状態は、注入順序を実施するための輸液装置の利用可能性を示す、条項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
条項11.動作状態が、輸液装置が動作可能であり、輸液装置がプログラミング中ではなく、ボーラス注入又は二次注入を実行していないことを示す場合、固有の識別子は提示される、条項10に記載の方法。
【0102】
条項12.輸液装置の固有の識別子が、輸液装置の液晶ディスプレイ(LCD)に表示される二次元バーコードを含む、条項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
条項13.輸液装置が複数の注入ポンプを備え、輸液装置の固有の識別子が注入順序を受信するために利用可能な複数の注入ポンプのうちの選択された1つと関連付けられる、条項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
条項14.輸液装置のディスプレイ上に複数の注入ポンプのうちの選択された1つと関連付けられた輸液装置の固有の識別子を提示するステップの前に、複数の注入ポンプのうちの選択された1つに隣接するソフトキーの隣にバーコードアイコンを表示するステップと、ソフトキーの選択を受信するステップと、ソフトキーの選択の受信に応答して、自動プログラミングリクエストを開始するステップとを含む、条項13に記載の方法。
【0105】
条項15.電子医療記録保管検索システムが、注入順序を受信し、輸液装置の固有の識別子に含まれる情報を受信すると、自動プログラミングリクエストをデータネットワークシステム内の調整エンジンに送信する、条項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
条項16.調整エンジン、ケア施設内部ネットワークに配備された薬剤ライブラリ、及び輸液システムサーバがデータ通信中である、条項15に記載の方法。
【0107】
条項17.データネットワークシステム内の輸液システムサーバとデータネットワークシステム内の調整エンジンとの間のデータ接続と関連付けられたセキュリティ証明書は無効であるという判定に従って、スキャナによるスキャンのために、輸液装置の固有の識別子が輸液装置のディスプレイ上に提示されないことを指摘する警告を生成するステップを更に含む、条項7~16のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
条項18.輸液装置のネットワークパラメータを調整するステップを更に含み、ネットワークパラメータが、輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、リクエストタイムアウト、トランスポートプロトコル、認証情報、又はネットワークアダプタのうちの少なくとも1つを含む、条項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
条項19.輸液装置が準備完了状態にないと判定したことに応答して、固有の識別子を接続エラーと関連付けられた知覚可能なインジケータと置き換えるステップを更に含む、条項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
条項20.準備完了状態には、注入ポンプフリート管理サーバへ有効に接続できること、輸液装置は動作状態にあること、及び輸液装置と関連付けられたセキュリティ証明書は有効期限切れでないことを含む、条項7~19のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
更なる考慮
開示されたプロセスにおけるステップの固有の順序又は階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。設計上の選好に基づいて、プロセスにおけるステップの固有の順序又は階層が再配置され得ることが理解される。ステップのいくつかは、同時に実施されてもよい。添付の方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプル順序で提示し、提示された固有の順序又は階層に限定されることを意味しない。
【0112】
前の説明は、本明細書に記載の様々な態様を、どんな当業者でも実践できるようにするために提供される。前の説明は主題技術の様々な例を提供しており、主題技術はこれらの例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、本明細書で定義される包括的な原理は、他の態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書で示された態様に限定されることを意図したものではなく、言語の請求項と一致した全範囲を与えるべきものであり、単数形での要素への言及は、具体的にそのように述べられない限り、「1つ及びただ1つ」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つ又は複数」を意味することを意図している。具体的に述べられない限り、「いくつか」という用語は、1つ又は複数を指す。男性の代名詞(例えば、彼の)には、女性及び中性の性別(例えば、彼女の及びその)が含まれ、逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは便宜上使用されているにすぎず、本明細書に説明の本発明を限定するものではない。
【0113】
本明細書で使用されるようなウェブサイトという用語は、1つ又は複数のウェブページ、ウェブ関連コンテンツをホスト又は記憶するために使用される1つ又は複数のサーバなどを含む、ウェブサイトのいずれかの態様を含むことができる。したがって、ウェブサイトという用語は、ウェブページ及びサーバという用語と区別なく使用され得る。「ように構成された」、「ように動作可能な」、及び「ようにプログラムされた」という述語は、対象の任意の特定の有形又は無形の修正を示唆するのではなく、むしろ、区別なく使用されることを意図している。例えば、動作又は構成要素を監視及び制御するように構成されたプロセッサは、また、動作を監視及び制御するようにプログラムされたプロセッサ、又は動作を監視及び制御するように動作可能なプロセッサであることを意味し得る。同様に、コードを実行するように構成されたプロセッサは、コードを実行するようにプログラムされたプロセッサ、又はコードを実行するように動作可能なプロセッサとして解釈することができる。
【0114】
本明細書で使用されるような、自動的という用語は、例えば、コンピュータ若しくは機械又は他の開始メカニズムによる述語行為に応答する命令によって、ユーザ介入のないコンピュータ又は機械による実施を含むことができる。「例」という用語は、本明細書では「例又は例示としての役割を果たす」ことを意味するように使用される。本明細書で「例」として説明される態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有用であると解釈されるものではない。
【0115】
「態様」などの句は、このような態様が主題技術に必須であることも、このような態様が主題技術の全ての構成に適用されることも示唆しない。態様に関する開示は、全ての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用し得る。態様は、1つ又は複数の例を提供することができる。1つの態様などの句は、1つ又は複数の態様を指すことができ、その逆も同様である。「実施形態」などの句は、このような実装形態が主題技術に必須であることも、このような実施形態が主題技術の全ての構成に適用されることも示唆しない。一実装形態に関する開示は、全ての実装形態又は1つ若しくは複数の実装形態に適用することができる。実装形態は、1つ又は複数の例を提供することができる。「実装形態」などの句は、1つ又は複数の実装形態を指すことができ、その逆も同様である。「構成」などの句は、このような構成が主題技術に必須であることも、このような構成が主題技術の全ての構成に適用されることも示唆しない。構成に関する開示は、全ての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用され得る。構成は、1つ又は複数の例を提供することができる。「構成」などの句は、1つ又は複数の構成を指すことができ、その逆も同様である。
【0116】
本明細書で使用されるように、「判定する」又は「判定すること」という用語は、多種多様な行為を包含する。例えば、「判定すること」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、計算すること、コンピュータ計算すること、処理すること、導出すること、生成すること、取得すること、調べること(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造を調べること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定すること」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。「判定すること」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介し解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含むことができる。
【0117】
本明細書で使用されるように、「提供する」又は「提供すること」という用語は、多種多様な行為を包含する。例えば、「提供すること」は、後続の取り出しのために記憶装置のある位置に値を記憶すること、少なくとも1つの有線又は無線通信媒体を介して値を受信者に直接送信すること、値への参照を送信又は記憶することなどを含むことができる。「提供する」は、また、ハードウェア要素を介して、符号化、復号、暗号化、解読、有効化、検証などを含むことができる。
【0118】
本明細書で使用されるように、「メッセージ」という用語は、情報を伝達するため(例えば、送信又は受信するため)の多種多様なフォーマットを包含する。メッセージは、XML文書、固定フィールドメッセージ、コンマ区切りメッセージ、JSON、カスタムプロトコルなどの情報の機械可読集合体を含むことができる。メッセージは、いくつかの実装形態では、情報の1つ又は複数の表現を送信するために利用される信号を含むことができる。単数形で記載されているが、メッセージは、複数の部分で構成、送信、記憶、受信などされ得ることが理解されよう。
【0119】
本明細書で使用される場合、「対応する」又は「対応する」という用語は、2つ以上の物体、データセット、情報などの間の構造的、機能的、定量的及び/又は定性的な相関又は関係を包含し、好ましくは、対応又は関係を使用して、2つ以上の物体、データセット、情報などのうちの1つ以上を同じ又は等しく見えるように翻訳することができる。対応関係は、閾値、値域、ファジー論理、パターンマッチング、機械学習評価モデル、又はそれらの組合せのうちの1つ又は複数を使用して評価することができる。
【0120】
任意の実装形態では、生成又は検出されたデータは、「遠隔」のデバイス又は場所に転送することができ、ここで、「遠隔」とは、プログラムが実行される場所又はデバイス以外の、場所又はデバイスを意味する。例えば、遠隔地は、同じ都市内の別の場所(例えば、オフィス、ラボなど)、異なる都市内の別の場所、異なる州内の別の場所、異なる国内の別の場所などであり得る。したがって、ある品物が別の品物から「遠隔」であると示される場合、意味することは、2つの品物が同じ部屋にあるが分離されているか、又は少なくとも異なる部屋若しくは異なる建物にある可能性があり、少なくとも1マイル、10マイル、又は少なくとも100マイル離れている可能性がある、ということである。情報を「通信すること」は、その情報を表すデータを適切な通信チャネル(例えば、プライベートネットワーク又はパブリックネットワーク)を介して電気信号として送信することを指す。アイテムを「転送すること」は、そのアイテムを物理的に輸送するか、又は別の方法で(可能な場合)輸送するかにかかわらず、そのアイテムをある場所から次の場所に移動させる任意の手段を指し、少なくともデータの場合、データを搬送する媒体を物理的に輸送することか、データを通信することを含む。通信媒体の例は、無線又は赤外線送信チャネル、並びに別のコンピュータ若しくはネットワーク化デバイスへのネットワーク接続、及びインターネット又はセルラネットワークを含む。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】