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特表2024-507819拡張現実感環境又は仮想現実感環境において使用するのに適しているシミュレーションデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】拡張現実感環境又は仮想現実感環境において使用するのに適しているシミュレーションデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0346 20130101AFI20240214BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240214BHJP
   G09B 19/00 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
G06F3/0346 422
G06F3/0346 425
G06F3/01 560
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549990
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 ES2022070086
(87)【国際公開番号】W WO2022175583
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P202130127
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523046408
【氏名又は名称】シーベリー・ソルシオネス・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】SEABERY SOLUCIONES SL
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マルキネス トレシラ,ペドロ ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】チカ バルレラ,フアン ホセ
(72)【発明者】
【氏名】カルボ ペレス,ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】バローゾ デ ラ ローサ,ダビド
(72)【発明者】
【氏名】ロペス マルケス,ビクトル
(72)【発明者】
【氏名】サクリスタン ガルシア,マリア
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AA07
5B087AB02
5E555AA08
5E555AA63
5E555BA22
5E555BB22
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB21
5E555CB66
5E555DA24
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
本発明は、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境での使用に適しているシミュレーションデバイスに関し、そのシミュレーションデバイスは、ロッド(1)と、ロッド(1)に配置されている1つ又は複数のマーカ(3)と、ロッド(1)に配置されているタッチアクチュエータ(2)と、を含む。当該デバイスは、アクチュエータ(2)が、ロッド(1)に沿って長手方向に、当該デバイスのユーザの手の少なくとも1つの指の動きを符号化する符号化手段を含むということを特徴とする。当該デバイスは、溶接材料、工業用塗料、及び/又は、外科的及び/又は歯科的処置の堆積及び/又は除去の技術をシミュレーションするのに有用である。拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境と相互作用するための方法は、ロッド(1)にある手の2つの指を使用してはさむ動きを含み、ロッド(1)に沿って長手方向にそれらの2つの指を動かし、その目的のために、アクチュエータ(2)を起動させるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境において使用するのに適しているシミュレーションデバイスであって、
- ロッド(1)と、
- 前記ロッド(1)に配置され、第1の光学的取得手段(4)による認識のために適合されて、前記拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境における前記ロッド(1)の場所及び方向を決定する空間的位置手段と、
- 前記ロッド(1)に配置されているタッチアクチュエータ(2)と、を含み、
当該シミュレーションデバイスは、前記タッチアクチュエータ(2)が、前記ロッド(1)に沿って、実質的に長手方向に、当該シミュレーションデバイスのユーザの手の少なくとも1つの指の動きを符号化する符号化手段を含むことを特徴とする、
デバイス。
【請求項2】
前記ロッド(1)の前記空間的位置手段は、前記ロッドに配置されているとともに、第1の光学的取得手段(4)による認識に適するように光情報によって符号化されているマーカ(3)と、前記ロッド(1)の中に収容されているか又は前記ロッド(1)に取り付けられている第2の光学的画像取得手段(8)と、電磁センサ及び/又は赤外線センサと、のうちの1つ又は複数の識別要素を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
1つ又は複数の非光センサをさらに含み、前記非光センサは、慣性センサ、3軸傾斜計、触覚センサ、熱センサ、機械センサ、又は電磁センサのうちの1つ又は複数を含む、請求項1及び2のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記タッチアクチュエータ(2)は、一体となるように前記ロッド(1)に取り付けられ、接触センサ(10)を含む、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記タッチアクチュエータ(2)は、前記ロッド(1)に対して移動可能である要素(5)を含む、請求項2及び3のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
反動要素(7)をさらに含み、前記反動要素(7)は、移動可能である要素(5)に接続されて、前記ロッド(1)に沿った基準位置に前記移動可能である要素(5)を位置決めするように適合される、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ロッド(1)は、該ロッド(1)に沿って前記基準位置を定義する止め具(9)を含む、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記反動要素(7)は、前記ロッド(1)及び前記移動可能である要素(5)に接続される、請求項6及び7のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記反動要素(7)は、ばね又は弾性要素を含む、請求項6乃至8のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記移動可能である要素は、少なくとも部分的に、前記ロッド(1)に沿って前記反動要素(7)に配置され、部分的又は完全に外部から前記反動要素(7)を隠す、請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記符号化手段は、前記移動可能である要素(5)に接続される、請求項5乃至10のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記移動可能である要素(5)は、前記ロッド(1)に沿って前記移動可能である要素(5)の移動のためのガイドをさらに含む、請求項5乃至11のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記符号化手段は、前記移動可能である要素(5)及び/又は前記反動要素(7)に接続される、請求項6乃至10のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ロッド(1)に沿って前記移動可能である要素(5)の待機位置(1)を調整するための調整手段をさらに含む、請求項5乃至13のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記タッチアクチュエータ(2)が生成する情報を符号化するための処理手段(6)及び/又は送信手段(11)をさらに含む、請求項1乃至14のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記情報処理手段(6)及び/又は前記送信手段(11)は、前記ロッド(1)の本体の外部に配置され、ケーブル(17)及び対応するコネクタ(18)によって当該シミュレーションデバイスに接続される、請求項1乃至15のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記送信手段(11)は、無線タイプである、請求項15及び16のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記タッチアクチュエータ(2)は、フレキシブルプリント回路基板、線形又は角度ポテンショメータ、容量性又は抵抗性センサ、ホール効果センサ、又は、ロータリーエンコーダのうちの少なくとも1つの要素を含む、請求項1乃至17のうちのいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
拡張現実感及び/又は仮想現実感システムであって、
- 請求項1乃至18のうちのいずれか1項に記載のデバイスと、
- 拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境を表すシミュレータと、
- 第1の光学的画像取得手段(4)と、
- 選択的に、第2の光学的画像取得手段(8)と、
- 前記第1の光学的画像取得手段(4)が取得する画像、選択的に、前記第2の光学的画像取得手段(8)が取得する画像、及び/又は、前記タッチアクチュエータ(2)が提供する相互作用に関する情報によって取得される画像に基づいて、前記拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境と前記ユーザとの間での相互作用を表すように構成される表示手段と、
- 前記タッチアクチュエータ(2)が前記表示手段に提供する情報をリアルタイムで記録し、処理し、又は送信するように構成されるソフトウェア手段/ハードウェア手段を含む情報記憶及び/又は処理ユニットと、を含む、
システム。
【請求項20】
請求項1乃至18のうちのいずれか1項に記載のデバイスによって又は請求項19に記載のシステムによって、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境とユーザとの間での相互作用のための方法であって、当該方法は、前記ロッド(1)に対して手の2つの指を使用するはさむ動きを含み、前記ロッド(1)に沿って実質的に長手方向にそれらの2つの指を移動させ、その目的のために、それらの2つの指のうちの少なくとも1つを使用して前記タッチアクチュエータ(2)を起動するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張現実感環境(augmented reality environment)及び/又は仮想現実感環境(virtual reality environment)において、1つ又は複数の対象とユーザが制御するデバイス(又は、ツール)との間の相互作用をシミュレーションする技術の分野の中に含まれる。より具体的には、本発明は、タッチデバイスに関し、そのタッチデバイスは、ユーザが、対象と相互作用して、その対象の中の材料の堆積又は除去をシミュレーションすることを可能とし、特に、溶接技術及び溶接操作をシミュレーションするとともに、溶接技術及び溶接操作を学習させ又は完成させる際に利点を有する。
【背景技術】
【0002】
現時点において、熟練した溶接工になるための訓練は、環境負荷の高い排出物及び廃棄物の生成のみならず、(溶接材料、部品等の)多量の材料の高額な出費を伴う。これらの問題を克服するために、スペインの特許ES 2 438 440 B1は、遠隔で更新することが可能である拡張現実感に基づく溶接の訓練のための先進的なデバイスを提供し、その先進的なデバイスは、既知の工業的な溶接技術のすべての訓練を提供することを可能とする。上記のスペインの特許への言及に加えて、また、Seabery Augmented Technology SLが市場に提供している"はんだ付けの(Soldamatic)"技術、及び、米国特許US 10,460,621 B2の複数の実施形態が知られており、それらの技術及びその米国特許は、さまざまな溶接演習の拡張現実感(AR)によるシミュレーションのための複数の異なる解決方法を実装して、技術的なスキル及び専門的なスキルの訓練及び開発を可能にすることにより、上記の経済的な損害及び環境的な損害を回避する。
【0003】
溶接技術訓練プロセスにおける拡張現実感(augmented reality (AR))及び仮想現実感(virtual reality (VR))の適用から得られる利点にもかかわらず、技術水準では、主として、タングステン不活性ガス(tungsten inert gas (TIG))溶接技術等によって、複数のロッドを使用して溶接材料を堆積する操作を高い類似度でシミュレーションすることを可能とするアクセサリは、依然として存在していない。既知の用途の場合には、溶接演習は、通常は、(TIG充填ロッド(TIG filler rod)を複製する)炭素繊維ロッドを目標に接近させ又はその目標から遠ざけることによって実行されるが、この動きは、現実に行われる動きと完全には対応せず、AR/VR環境におけるこれらの技術の完成度を制限する。
【0004】
溶接シミュレーションにおける材料の堆積のための動きを容易にするために提案されている他の設計は、特許文献CN 111085757 Aの中で開示されている。同文献は、TIGアルガンアーク溶接のための溶接ワイヤ供給デバイスを説明し、その溶接ワイヤ供給デバイスは、(TIG-PENとしてよりよく知られている)ペン状のワイヤ供給体(pen-like wire feeding body)、セラミックノズル、ガイドチューブ、逆流防止の減衰デバイス(non-return damping device)、及び第2のガイドチューブを含む。その本体は、中空構造であり、端部にアセンブリ穴を有する。
【0005】
したがって、本発明の技術の最先端の分野において、(溶接等の)取り付け操作のシミュレーションの際に、正確な方式によって且つ現実的な方式によって、(例えば溶接者等の)ユーザが行う動きを再現するという問題を解決することが可能であるデバイスを取得する必要性が生じている。本発明は、AR/VRシミュレーションの際に、TIG溶接又は他の同様の操作のために、タッチによる材料の堆積をシミュレーションすることを可能とするデバイスによって、上記の必要性に対する解決方法を提供する。以下の説明から理解することができるように、その開発されているデバイスは、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境においてシミュレーションされている溶接の用途のみに限定して使用されるのではなく、むしろ、他のタイプのシミュレーションされている操作のために使用されてもよく、それらのシミュレーションされている溶接及び他のタイプのシミュレーションされている操作の場合には、差動可能であるロッド型のツール(actuatable rod-type tool)によって、それらのVR/AR環境との間でのユーザの相互作用に関する人間工学的な解決方法(ergonomic solution)を必要とする。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、拡張現実感(augmented reality (AR))システム又は仮想現実感(virtual reality (VR))システムにおけるツールと対象との間での相互作用のシステムの中に含まれ、先端技術における上記の限界を克服することを可能とする。AR/VRが属する技術分野と密接に関連しているこのデバイスの主要な関心は、ユーザが手動の溶接技術を訓練し及び学習するのを支援することである。利点として、そのデバイスは、ユーザが、(他の既知のシステムにおけるように、ロッドを接近させ又は遠ざけるにすぎないのではなく、むしろ、実際の状況への近接性をより制限する)シミュレーションされている方法によって、且つ、ユーザにとって安全に、実際のTIG溶接ロッドを使用して一般的に実行される動きの練習を再現することを可能とする。
【0007】
本発明の主要な目的は、理解することができるように、TIG-PENタイプのデバイスを超える複数の利点を有する。TIG-PENタイプのデバイスが、実際の方法で、支持体の内部を通ってロッドを移動させるのに対し、この出願の請求項に記載されているデバイスは、そのロッドを移動させることなく、したがって、そのロッドを実際に"破壊する(consuming)"ことなく、同じ動きを実行して、溶接技術を学習することを可能とする。好ましくは、そのデバイスは、TIG溶接における材料の堆積のためのセンサをシミュレーションする。このデバイスは、上記の"はんだ付けの(Soldamatic)"機器と互換性があるのみならず、特許文献US 10,460,621 B2の中で開示されている実施形態と互換性があり、一般的に、AR/VR環境における任意の溶接シミュレーションシステムと互換性がある。
【0008】
より具体的には、本発明の第1の目的は、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境(AR/VR)において使用するのに適しているシミュレーションデバイス又はシミュレーションツールに関し、そのシミュレーションデバイス又はシミュレーションツールは、少なくとも、ロッド(rod)、第1の光学的取得手段(first optical acquisition)による認識(recognition)のために適合されて、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境におけるそのロッドの場所(position)及び方向(orientation)を決定する空間的位置手段(spatial location means)、及び、また、そのロッドに配置されている(arranged on the rod)タッチアクチュエータ(touch actuator)又は指紋アクチュエータ(fingerprint actuator)の要素を含む。本発明の範囲の中で、タッチアクチュエータは、指を使用して操作することが可能であるとともに、ユーザが指を使用して行う動きに基づいて、電気機械的手段及び/又は電子的手段によってデバイスに情報の入力を生成することを可能とする任意のタイプのアクチュエータであるとして理解される必要がある。
【0009】
本発明の複数の好ましい実施形態において、ロッドの空間的位置手段は、(天然の又は人工の)マーカ(markers)であって、それらのマーカは、そのロッドに配置されている(arranged on the rod)とともに、(例えば、第1の光学的取得手段は、デバイスの外部にある複数の受動カメラ(passive cameras)又は溶接マスクの中に配置されている(placed in a welding mask)複数の受動カメラを含んでもよいといったように)その第1の光学的取得手段による光情報の取得に適するように光情報によって符号化されている(encoded with optical information)、マーカと、そのロッドの中に収容されている(housed in the rod)か又はそのロッドに取り付けられている(attached to the rod)第2の光学的画像取得手段(second optical image acquisition means)と、(三角測量(triangulation)によってロッドの場所(the position of the rod)を取得することを可能とする)電磁センサ及び/又は赤外線センサと、の識別要素のうちの1つ又は複数を含む。
【0010】
複数の特定の実施形態において、第1の光学的取得手段は、(携帯電話、タブレット等の)スマートデバイスの中に一体化されているカメラを含んでもよい。このように、空間的位置手段の結果として、ロッドは、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境の中で(例えば、3次元空間の中のその座標、その方向等を取得するといったように)位置決めされ(located)てもよい。
【0011】
利点として、本発明のデバイスにおいて、タッチアクチュエータは、ロッドに沿って実質的に長手方向に、少なくとも、そのデバイスのユーザの手の指のうちの1つによって行われる動きを符号化する(encoding the movement)符号化手段を含む。そのアクチュエータは、本発明の複数の異なる実施形態において、アナログであるかディジタルであるかにかかわらず、その動きを表す信号を生成する。利点として、このことは、ユーザのためのデバイスの人間工学的な且つ単純な使用を可能とする。さらに、AR/VR環境における相互作用のためのツールとしてそのデバイスを使用するときに、そのデバイスは、(例えば、AR/VR環境の中に配置されている対象に特定の量の材料を塗布し又は除去するといったように)高い精度で広い範囲の操作を実行することを可能とする。
【0012】
そのデバイスのマーカは、好ましくは、LED、QRコード(登録商標)、バーコード、逆反射球、及び/又は印刷されているマーカ等の人工的なマーカのみならず、(例えば、特徴点として、デバイスの本体の角、ギャップ、又は輪郭を使用することが可能であるといったように)対象及び/又はシミュレーションされているツールの特徴点等の天然のマーカを含む。この意味で、"符号化されている情報(encoded information)"は、自然な方式によって対象と関連するか又はその対象に含まれているか、或いは、その対象に付加されている任意の光情報を意味し、光学的取得手段によってピックアップされるとともに、処理ユニットによって分析されてもよいと理解される必要がある。
【0013】
デバイスのある1つの好ましい実施形態において、デバイスのタッチアクチュエータは、そのロッドに一体的に取り付けられ、そのセンサが容量性タッチセンサ、圧電抵抗センサ、又は圧電センサ等であるか否かにかかわらず、接触センサを含む。このように、タッチアクチュエータは、その使用の時点において、そのロッドに一体化され、タッチアクチュエータは、そのロッドの中に一体化されているアクチュエータであってもよく、又は、そのロッドの外側に一体化されているアクチュエータであってもよい。複数の特定の実施形態において、そのアクチュエータは、非永久的であり、且つ、(クリップ、ステープル、ネジ等による取り付けの有無にかかわらず)抵抗性の方式によってロッドに取り付けられて、シミュレーションされている溶接操作を実行するために強固な取り付けを引き起こす。
【0014】
前の実施形態に対する代替案であるある1つの実施形態において、そのデバイスのアクチュエータは、ロッドに対して移動可能である要素(an element that is movable with respect to the rod)を含む。好ましくは、この実施形態において、デバイスは、反動要素(recoil element)をさらに含み、その反動要素は、移動可能である要素に接続されて、ロッドに沿った基準位置(reference position)にその移動可能である要素(movable element)を位置決めする(position)ように適合される。この反動要素は、ユーザによって容易に操作されてもよく、解放されると、その反動要素は、ユーザが自身の指を使用してそのデバイスに対して操作を実行するときの基準位置に戻る(when released, it returns to a reference position when the user performs an operation on the device with his/her fingers)。さらに好ましい実施形態のうちのいくつかにおいて、ロッドは、そのロッドに沿った上記の基準位置を定義する止め具を含む。複数の特定の実施形態において、反動要素は、ロッド及び移動可能である要素に接続される。利点として、複数の特定の実施形態において、反動要素は、ばね又は弾性要素を含む。
【0015】
本発明の複数の他の好ましい実施形態において、移動可能である要素は、少なくとも部分的に、ロッドに沿って反動要素に配置され(at least partially arranged on the recoil element along the rod)、部分的又は完全に外部から反動要素を隠す。その反動要素は、それにより、保護され、その反動要素の耐久性を増加させ、取り扱い中に破損する危険性を排除する。
【0016】
本発明の複数の他の好ましい実施形態において、利点として、移動可能である要素の待機位置(standby position)は、対応する調整手段によって調整されてもよい。この調整の結果として、マーカと待機位置におけるその移動可能である要素との間の相対的な距離を小さくすることが可能である。本発明のデバイスの機能は、それにより、各々のユーザの手のサイズ及び指の長さの測定に合わせて調整されてもよく、より良い人間工学につながる。
【0017】
デバイスの複数の他の有利な実施形態において、符号化手段は、移動可能である要素に接続される。代替的に、複数の他の実施形態において、符号化手段は、移動可能である要素及び/又は反動要素に接続される。双方の場合において、移動可能である要素は、ロッドに沿ってその移動可能である要素の移動のためのガイドをさらに含んでもよい。
【0018】
デバイスの複数の好ましい実施形態において、ロッドは、炭素繊維から製造される。ロッドは、それにより、非常に軽量であり且つ抵抗性があり、デバイスに不必要な重量を加えることを防止するとともに、そのデバイスに本物感及び安定性を提供する。さらに、このようにして、操作の困難さを減少させる。代替的な実装において、シミュレーションされている操作に応じて、ステンレス鋼及び熱可塑性ポリマー等の他の材料を使用してもよい。
【0019】
複数の特定の実施形態のうちのいくつかにおいて、デバイスは、タッチアクチュエータが生成する情報を符号化するための処理手段及び/又は送信手段をさらに含む。その実施形態において、情報処理手段及び/又は送信手段は、ロッドの本体の外部に配置され、ケーブル及び対応するコネクタによってデバイスに接続される。代替的な方式又は相補的な方式によって、送信手段は、無線タイプであってもよい。
【0020】
デバイスのある1つの好ましい実施形態において、そのデバイスは、そのデバイスの中に収容されているか又はロッドに取り付けられている(housed therein or attached to the rod)第2の光学的画像取得手段を含む。利点として、システムが第2の光学的手段を含むときに、その手段は、本発明のデバイスを能動的に位置決めすることを可能とするカメラとなり、このことは、システムの外部にある第1の光学的手段を使用する場合よりもより高い精度で、(例えば、画像の中で一連の光マーカを追跡することによって、天然であるか人工であるかにかかわらず)能動的にそのデバイス自体を位置決めすることが可能であるということを意味する。対照的に、第1の光情報取得手段は、デバイスを検出する受動カメラを含む。システムは、それにより、特に、本発明のデバイスを使用すると、他の対象と相互作用するようにシミュレーションされる状況のために最適化される。
【0021】
デバイスのある1つのさらに好ましい実施形態において、第2の光学的画像取得手段は、内視鏡型カメラを含む。内視鏡型カメラの利点は、その内視鏡型カメラが、極めてコンパクトであるとともに、あらゆるタイプのツール、特に、円筒形形状のツールに容易に成形されるということである。複数の他の好ましい実施形態において、デバイスは、他のタイプの小型化されている、好ましくは、(例えば、高さ及び/又は幅が720/1080ピクセルのCCD又はCMOSセンサ等の)高解像度のカメラを含む。デバイスの代替的な実施形態において、このことは、好ましくは、慣性センサ、3軸傾斜計、触覚センサ、熱センサ、機械センサ、又は電磁センサ等のそれらの精度及び頑健性を改善するための1つ又は複数の非光センサをさらに含む。さらに、これらの追加的なセンサは、ユーザがデバイスを扱うのに採用する(ある特定の操作を実行する際の傾斜角、速度等を意味すると理解される)スキルを定量的な方式によって評価することを可能とするとともに、ユーザが相互作用をする仮想現実感環境/拡張現実感環境の中に追加的な情報を入力することを可能とする。
【0022】
デバイスの複数の実施形態のうちのいくつかにおいて、タッチアクチュエータは、フレキシブルプリント回路基板、線形又は角度ポテンショメータ、容量性、抵抗性、又は磁気センサ、ホール効果センサ、圧力センサ、或いは、ロータリーエンコーダのうちの1つ又は複数を含む。
【0023】
第1の光学的手段は、現実的であるか(この場合には、第1の光学的手段は、拡張現実感システムとなるであろう)又は仮想的であるか(そのような場合には、第1の光学的手段は、仮想現実感システムとなるであろう)にかかわらず、ユーザがある対象に対して実行する特定の操作の画像を取得する。
【0024】
本発明のある1つの好ましい実施形態において、第1の光学的手段は、溶接マスクの中に収容され、一方で、(第2の光学的手段が中に一体化されているかいないかにかかわらず)デバイスは、溶接トーチ及び/又は材料を堆積するための要素をシミュレーションする。材料を堆積するためのその要素は、好ましくは、溶接ロッド又は溶接電極を含む。さらに、対象は、溶接消耗品の適用をシミュレーションする部分を含む。
【0025】
本発明の複数の他の実施形態において、上記で言及されている複数の異なる好ましい実施形態のうちのいくつかの要素及び利点が組み合わされる。
【0026】
本発明の第2の目的は、
- 上記で説明されている複数の実施形態のうちのいずれかにしたがったデバイス;
- 拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境を表すシミュレータであって、それらの環境において、本発明のデバイスは、ある対象と相互作用する(例えば、溶接電極等の)ツールをシミュレーションし、したがって、そのシミュレータは、それらの環境の中で部品及びツールを位置決めする(locate the part and the tool within the environment)ように構成される、シミュレータ;
- (例えば、そのデバイスの外部にある受動カメラ等の)第1の光学的画像取得手段;
- 選択的に、(例えば、デバイスそれ自体のロッドの中に配置され又はロッドに取り付けられている能動カメラ等の)第2の光学的画像取得手段;
- 第1の光学手段が取得する画像、選択的に、第2の光学手段が取得する画像、及び/又は、アクチュエータが提供する相互作用に関する情報によって取得される画像に基づいて、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境とユーザとの間での相互作用を表すように構成される(例えば、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイ等の)表示手段であって、それらの表示手段は、また、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境の中でのロッドの場所(position)及び方向(orientation)を表す、表示手段;
- アクチュエータが表示手段に提供する情報をリアルタイムで記録し、処理し、又は送信するように構成されるソフトウェア手段/ハードウェア手段を含む情報記憶及び/又は処理ユニットであって、例えば、アクチュエータが取得する情報は、AR/VR環境の中で対象に堆積される材料の量を表してもよく、ソフトウェア手段/ハードウェア手段は、コンピュータ処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、クラウドの中の記憶手段等を含み、その手段は、アクチュエータに関する情報をピックアップし、必要な情報をディジタル化し、情報を表すように、(ディスプレイ等の)リモートデバイスに(ローカルネットワーク又はインターネット等の)ネットワークを通じて送信するように構成される、情報記憶及び/又は処理ユニット;
を含む拡張現実感及び/又は仮想現実感システムに関する。
【0027】
本発明のシステムの複数の特定の実施形態において、そのシステムは、上記で説明されている1つよりも多くのシミュレーションデバイスを含む。それらの複数の実施形態において、システムは、複数のデバイスのうちの各々のための一義的な識別手段を含み、その一義的な識別手段は、本発明にしたがった複数のシミュレーションデバイスのうちのいくつかが同じ拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境の中で相互作用することを可能とする。
【0028】
本発明の他の部分は、上記で説明されているデバイスを操作するための方法であり、それによって、ユーザは、そのデバイスによって拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境と相互作用する。その方法は、特徴として、ロッドに対して手の2つの指を使用する挟む動き(pincer movement)を含み、ロッドに沿って実質的に長手方向にそれらの2つの指を移動させ、その目的のために、それらの2つの指のうちの少なくとも1つを使用してアクチュエータを起動する。
【0029】
一般的に、上記で説明されているデバイス、方法、及びシステムは、溶接材料、工業用塗料の堆積及び/又は除去、及び/又は、外科的及び/又は歯科的処置の技術をシミュレーションする際の拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境の表現に使用するのに適している。
【0030】
本発明の好ましい使用は、現実的な方式によって、上記で説明されているデバイスと(例えば、溶接電極をシミュレーションするときの)対象との間での相互作用をシミュレーションする必要があるAR/VRシミュレータである。このタイプのシミュレータは、(例えば、材料費の節約、無制限の練習を可能とすること、学習プロセスのゲーム化、ユーザの火傷のリスクなしで学習するための安全な環境を可能とすること等の)AR/VRの対応する利点を有する手動スキルを必要とする練習及び学習プロセスを可能にするので、このタイプのシミュレータは、特に、学術分野で有用である。利点として、そのデバイスは、溶接消耗品の塗布、及び、特定の量の材料がどのようにして対象に堆積され又は移されるかをシミュレーションすることが可能である。そのような方法によって、タッチアクチュエータを選択し、それによって、選択されているタッチアクチュエータは、シミュレーションされている特定の溶接プロセスが要求するように、十分な感度を有するであろう。特に、本発明のデバイスは、溶接材料の堆積及び/又は除去の技術をシミュレーションする際に使用されてもよく、シミュレーションデバイスは、タングステン不活性ガス(tungsten inert gas (TIG))溶接のための充填ロッドの挙動をシミュレーションする。利点として、タッチセンサとの相互作用は、上記で説明されているように、信頼できる方式によって、ユーザが指のうちの少なくとも1つの指を使用して行う挟みの動き(pincer movement)にしたがって、溶接者が実際の溶接の際に行うであろう動きを模倣する(emulates)。
【0031】
この出願の明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、"含む"の語及びその変形は、他の技術的特徴、添加物、構成要素、又はステップを除外することを意図してはいない。当業者にとっては、本発明の他の目的、利点、及び特徴は、部分的には、明細書から推測され、部分的には、本発明の実施から推測されるであろう。
【0032】
さらに、本発明の範囲の中で、"光学的"という意味で言及されるときに、その言及は、"可視的な"電磁スペクトラムに限定されることを意図してはおらず、むしろ、(紫外線、赤外線等の)電磁スペクトラムの任意の部分を使用してもよい。"光情報"の概念は、また、光学的認識手段が読み取り又は取得することが可能である符号化されている情報を含む任意の要素を意味すると理解されるであろう。したがって、その光情報は、(例えば、カメラ等の)光学的手段によって、その光情報の認識又は読み取りを実行することが可能である限り、(それらのうちで、QRコード(登録商標)、LED、画像、文字、バーコード、逆反射球、プリントマーカ等の)複数の物理的な支持物の中に符号化されてもよい。さらに、"カメラ"に言及するときに、上記の語は限定されず、それによって、その語は、画像及び/又はビデオ形式によって情報を取得することが可能である任意のデバイスと同等となるであろう。最後に、"実質的に"の語を使用するときに、その語は、±10度の許容差を有する角度を指す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の記載は、本発明の以下の説明を補足するのに使用される複数の図のうちの各々の簡単な説明を提供する。それらの図は、本発明の非限定的な例として提供される本発明の技術水準又は好ましい実施形態を指す。
【0034】
図1】以降で、"第1の実施形態"と称される本発明のある1つの特定の実施形態を図示し、その実施形態においては、タッチアクチュエータは、はさみの動き(pincer movement)を使用して操作されて、TIG溶接の際に溶接者が行う動きを模倣する。
図2A】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2B】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2C】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2D】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2E】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2F】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2G】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2H】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2I】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。
図2J】(例えば、溶接者等の)ユーザが第1の実施形態のデバイスを操作するために行う複数の異なる手の動きの画像を示す。 具体的には、図2A乃至図2Bは、第1のはさみの動き(first pincer movement)に対応し、図2C乃至図2Dは、第2のはさみの動き(second pincer movement)に対応し、図2E乃至図2Fは、第3のはさみの動き(third pincer movement)に対応し、図2G乃至図2Hは、第4のはさみの動き(fourth pincer movement)に対応し、図2I乃至図2Jは、第5のはさみの動き(fifth pincer movement)に対応する。これらの好ましい動きは、特に、溶接シミュレーションにおいて有用であり、実際の溶接操作において行われる動きに対応する。
図3A】伸長位置(extended position)における第1の実施形態の他の変形例に対応し、反動要素(recoil element)は、伸縮要素(elastic element)又はばね(spring)を含み、そのばねの圧縮は、伸縮ロッド(telescopic rod)の変位を符号化するのに使用される。
図3B】圧縮位置(compressed position)における第1の実施形態の他の変形例に対応し、反動要素(recoil element)は、伸縮要素(elastic element)又はばね(spring)を含み、そのばねの圧縮は、伸縮ロッド(telescopic rod)の変位を符号化するのに使用される。
図4】以降で、"第2の実施形態"と称される本発明の他の特定の実施形態を表し、その第2の実施形態において、タッチアクチュエータは、タッチアクチュエータの上で1つ又は複数の指をスライドさせることによってユーザによって操作される。
図5A】溶接者が第2の実施形態のデバイスを操作するために行う手の動きを図示し、好ましくは、アクチュエータのタッチ領域の上での指のスライドからなる。
図5B】溶接者が第2の実施形態のデバイスを操作するために行う手の動きを図示し、好ましくは、アクチュエータのタッチ領域の上での指のスライドからなる。
図6図4で説明されている第2の実施形態のタッチアクチュエータの一部であるプリント回路基板(PCB)の(左側に位置している)平面図及び(右側に位置している)下面図を示す。そのPCBは、タッチ領域及び電子部品ケースを含む。
図7】第2の実施形態の背面図であり、第2の実施形態においては、ロッドにタッチアクチュエータを結合するためのガイドが示されていることがわかる。
図8】拡張現実感環境又は仮想現実感環境における溶接シミュレーションアプリケーションのためのシステム全体の図を表している。
図9A】"第3の実施形態"と称されるデバイスのある1つの実施形態において本発明にしたがったデバイスの移動可能である要素の2つの場所(two positions)に対応するそれぞれの図を示し、移動可能である要素は、ロッドに沿って少なくとも部分的に反動要素に配置され(arranged at least partially on the recoil element)、部分的に又は完全に反動要素を外部から隠し、反動要素は、ユーザからは見えない。
図9B】"第3の実施形態"と称されるデバイスのある1つの実施形態において本発明にしたがったデバイスの移動可能である要素の2つの場所(two positions)に対応するそれぞれの図を示し、移動可能である要素は、ロッドに沿って少なくとも部分的に反動要素に配置され(arranged at least partially on the recoil element)、部分的に又は完全に反動要素を外部から隠し、反動要素は、ユーザからは見えない。
図10A】"第4の実施形態"と称されるデバイスのある1つの実施形態において本発明にしたがったデバイスの移動可能である要素の2つの場所(two positions)に対応するそれぞれの図を示し、情報処理手段及び送信手段は、ロッドの本体の外側に配置され、対応するケーブル及びコネクタによってデバイスに接続される。
図10B】"第4の実施形態"と称されるデバイスのある1つの実施形態において本発明にしたがったデバイスの移動可能である要素の2つの場所(two positions)に対応するそれぞれの図を示し、情報処理手段及び送信手段は、ロッドの本体の外側に配置され、対応するケーブル及びコネクタによってデバイスに接続される。
【0035】
図の中の参照番号の説明:
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0036】
上記で説明されているとともに図1乃至図10に示されているように、本発明の主要な目的は、拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境において使用するのに適しているシミュレーションデバイスに関し、そのシミュレーションデバイスは、
- ロッド(1)、
- 拡張現実感環境及び/又は仮想現実感環境におけるロッド(1)の場所(position)及び方向(orientation)を決定するように構成される空間的位置手段(spatial location means)、及び、
- ロッド(1)に配置されている(arranged on the rod (1))タッチアクチュエータ(2)、を含み、
タッチアクチュエータ(2)は、ロッド(1)に沿って実質的に長手方向に、デバイスのユーザの手の少なくとも1つの指の動きを符号化するための符号化手段を含む。
【0037】
複数の特定の実施形態において、空間的位置手段は、ロッド(1)に配置されている1つ又は複数のマーカ(3)を含み、それらのマーカ(3)は、(例えば、その第1の光学的取得手段(4)は、デバイスの外部にある受動カメラを含んでもよいといったように)第1の光学的取得手段(4)による取得に適するように光情報によって符号化されることが望ましい。同様に、本発明の範囲の中では、タッチアクチュエータ(2)は、任意のタイプのアクチュエータを意味すると理解される必要があり、その任意のタイプのアクチュエータは、指によって操作されてもよく、ユーザがそれらの指を使用して行う動きから、電気機械的手段及び/又は電子的手段によってデバイスへの情報の入力を生成することを可能とする。
【0038】
複数の特定の実施形態として、請求項に記載されている発明の範囲を全く限定しない方式によって、以下の記載は、TIG溶接の際に使用するデバイスに関して、本発明のデバイスの複数の可能な実装の4つの例を説明する。しかしながら、それらの4つの例の各々において説明されている技術的要素は、選択的な方式によって互いに組み合わせられてもよく、本発明の複数の追加的な実施形態をもたらす。
【0039】
第1の実施形態
【0040】
図1に示されているこの好ましい実施形態は、溶接者が使用するTIGロッド(1)を堆積させるための技術に関する動きを電気機械的に再現する。それらの動きは、図2A乃至2Jに図示されているように、TIGロッド(1)を直線的に変位させるように指を使用してTIGロッド(1)をつまむことに基づいている。具体的には、それらの図2A乃至2Jは、第1の実施形態を機能させ、それにより、溶接材料の堆積をシミュレーションするための複数の好ましいはさみの動き(pincer movements)を含む。本発明の場合には、ユーザは、タッチアクチュエータ(2)の移動可能である要素(5)をはさみ、その移動可能である要素(5)を直線的に移動させるであろう。指の上記で説明されている動きは、図2A乃至図2Jに図示されている実施形態において詳細に再現されているが、それらの動きは、また、一般的に、本明細書において説明されている本発明の複数の実施形態のうちのいずれにも適用可能である。
【0041】
本発明においては利点として、移動可能である要素(5)の直線的な動きは、静止したままのロッド(1)に沿って行われ、その動きは、処理手段(6)によって、特に、電気機械的測定システム及び/又は電子線形測定システムによって検出され及び測定される。その変位は、好ましくは、拡張現実感を使用するTIG溶接のためのシミュレーションによって、その変位に比例する材料の移動に変換されるであろう。さらに、ユーザが複数回にわたってジェスチャを反復することが可能となるように、本発明のデバイスは、ユーザが移動可能である要素(5)を離すときに、その移動可能である要素(5)が初期位置に戻り、新たな測定のために移動可能である要素(5)を準備する反動要素(recoil element)(7)を組み込んでいる。同様に、本発明のいずれの実施形態においても、移動可能である要素(5)の待機位置は、有利に、対応する調整手段によって調整されてもよい。この調整の結果として、その待機位置におけるマーカ(3)と移動可能である要素(5)との間の相対距離を減少させることが可能である。それにより、各々のユーザの手の大きさ及び指の長さの測定値に合わせて、本発明のデバイスの機能を調整することが可能であり、より良い人間工学を実現することにつながる。
【0042】
次に、ロッド(1)は、主として、TIG材料を堆積するためのセンサの剛体で固定された部分(rigid and stationary part)を含む。この要素の主要な機能は、ユーザのグリップ点として機能することに加えて、移動可能である要素(5)の直線的な動きのガイドとして機能することである。この実施形態において又は本発明の他の実施形態において、ロッド(1)は、5[mm]の最大直径を有し、長さは可変である。ロッド(1)は、中空であってもよく、又は、代替的に、固体であってもよい。ロッド(1)が中空であるときに、ロッド(1)は、ロッド(1)の中に第2の光学的画像取得手段(8)を収容してもよい。追加的に、ロッド(1)の長さに沿って、不均一に、ロッド(1)の重量を調整してもよく、ユーザの手の中でロッド(1)のバランスをとる場所を調整してもよい。
【0043】
上記で言及されているように、移動可能である要素(5)は、ユーザが自身の指を使用してはさんで、材料を堆積するジェスチャを実行するデバイスの部分である。この目的のために、移動可能である要素(5)は、好ましくは、ロッド(1)に沿って移動可能である要素(5)をスライドさせることが可能である(円筒形形状又は概ね円筒形形状を有する)開口部又はギャップを有する。最も一般的な形状は、長さ5[cm]のチューブであるが、他の実施形態において、指を使用してグリップすることをより人間工学的にするように他の寸法を採用してもよい。
【0044】
ユーザが堆積ジェスチャーを完了すると、すなわち、ユーザが移動可能である要素(5)を離すときに、反動要素(7)は、移動可能である要素(5)が初期位置に戻るようにする役割を担う。この反動要素(7)は、ロッド(1)及び移動可能である要素(5)に接続され、例えば、バネ又は弾性要素であってもよい。移動可能である要素(5)が常に同じ初期基準点(すなわち、待機位置)に戻るということを保証するために、ロッド(1)に、追加的に、その初期基準点を定義する止め具(9)を配置してもよい。
【0045】
本発明のある1つの好ましい実施形態において、処理手段(6)は、電気機械的線形測定システムを含み、その電気機械的線形測定システムは、移動可能である要素(5)を介して堆積ジェスチャーの動きを測定し、USB等のコンピュータと互換性を有する通信プロトコルによって堆積ジェスチャーの動きを送信する役割を担う。ユーザの1つ又は複数の指の動き(変位)の測定は、タッチアクチュエータ(2)によって実行されてもよく、タッチアクチュエータ(2)は、1つ又は複数の接触センサ(10)を含み、その1つ又は複数の接触センサ(10)は、次に、線形又は角度ポテンショメータ、容量性又は抵抗性の線形センサ、ホール効果センサ(又は、他の磁気センサ)、圧力センサ、又はロータリーエンコーダのうちの少なくとも1つを含む。この接触センサ(10)は、シャフト、テンソル又はケーブルによって移動可能である要素(5)に接続される。接触センサ(10)は、例えば、情報送信手段(11)によって送信される電気信号をディジタル情報に変換するとともに、AR/VR環境のシミュレータへの通信プロトコルを変換する役割を担うマイクロコントローラ又はCPU(コンピュータ処理ユニット)等の処理手段(6)に電子的に接続され、それらの情報は、シミュレーションを更新するための情報源として使用される。
【0046】
この実施形態の他の変形は、図3A及び3Bに示され、反動要素(7)は、ばねを含み、そのばねの圧縮は、伸縮ロッド(telescopic rod)(1)の変位を符号化するのに使用される。特に、図3Aは、ロッド(1)の中に位置するばねの伸長位置(extended position)(又は、待機位置(standby position))に対応し、図3Bは、そのばねの圧縮位置(compressed position)に対応する。その圧縮は、上記で説明されているように、タッチアクチュエータ(2)によって測定され、タッチアクチュエータ(2)の中に組み込まれているセンサ(10)のうちのいずれかによって、ユーザが実行する変位の読み取り値に変換される(次いで、堆積される材料の量として符号化されるであろう)。
【0047】
第2の実施形態
【0048】
この実施形態は、図4に示されている。この実施形態のTIG溶接のためのデバイスのタッチアクチュエータ(2)は、フレキシブルプリント基板(PCB)、具体的には、容量性電子基板を含み、タッチアクチュエータ(2)の上のユーザの指のスライドを検出する接触センサ(10)及びそのスライドをVR/AR環境の中でシミュレーションされている量の材料の堆積に変換する処理手段(6)を含む。PCBは、ロッド(1)にタッチアクチュエータ(2)を固定することを可能とする人間工学的な支持体に配置される。
【0049】
ユーザは、(図5A及び図5Bに示されているように、そのタッチ領域(12)の上で指をスライドさせることによって)静止したままのタッチ領域(12)の中の基板に対して直線的な動きを実行する。その動きは、接触センサ(10)によって検出され、TIG溶接のための拡張現実感を使用するシミュレーションへの情報入力として使用するために、処理手段(6)によって、記録された変位に比例する材料の特定の堆積へと変換される。フレキシブル材料によって構成されるPCBは、機械的な支持体に結合され、その機械的な支持体は、これまで溶接作業をシミュレーションするのに使用されている炭素繊維ロッド(1)にPCBを固定することを可能とし、人間工学的で現実的な解決方法を導き出すであろう。
【0050】
提案された容量性センサは、ロッド(1)のためのアセンブリ支持体の中に配置され、そのアセンブリ支持体は、特定の入力開口部を有しておらず、ロッド(1)に沿った長手方向の変位の2つの方向のうちのいずれかに配置されてもよく、ユーザエクスペリエンスを容易にする。
【0051】
この実施形態において、タッチアクチュエータ(2)の主要な構成要素は、黒色の2層のPCB電子基板を含み、そのPCB電子基板は、幅15[mm]、長さ80[mm]のおおよその寸法を有するとともに、柔軟な材料によって構成され、約0.2[mm]の厚さを有する。図6に図示されているように、PCBの上部(広い領域)の中には、(マイクロコントローラ、抵抗、コンデンサ、電圧調整器等の)電子構成要素を含むケース(13)又は筐体が存在する。さらに、ユーザに露出したPCBの部分、すなわち、材料の堆積をシミュレーションするために指を移動させるタッチ領域(12)は、(構成要素がなく、白線で区切られた狭い領域である)下部に位置する。
【0052】
この電子基板の操作原理は、複数のコンデンサと関連して、回路への指の近接を容量的な方式によってに検出する2つのタッチ領域(12)又はパッドの作成から構成される。これらの2つのタッチ領域(12)に沿った指紋の位置にしたがって、タッチアクチュエータ(2)は、情報をピックアップし、そして、その次に、処理手段(6)は、指の正確な位置をマークするデータ又は信号へと、その情報を変換する。
【0053】
このPCBは、好ましくは、(例えば、5[V]等の)連続的な低電圧源によって給電され、この場合には、例えば、USBケーブルを含む情報送信手段(11)によって、指の位置に関するデータを送信するであろう。そのケーブルは、好ましくは、PCB回路基板が切断されないように、PCB回路基板に直接的に溶接される。
【0054】
PCBを組み立てるために、人間工学的な支持体(ergonomic support)を使用することが可能であり、その人間工学的な支持体は、(図5A乃至5Bに示されているように)さまざまな方法によってデバイスを保持することを可能とするとともに、デバイスを操作することを可能とし、それらの方法のすべては、実際の溶接技術を学ぶのに有用であり、材料を堆積するときユーザの嗜好に応じて、各々のユーザのニーズに適応される。この筐体(13)は、好ましくは、有用な領域を示す環状フレーム(while frame)によって囲まれているタッチ領域(12)を除き、PCB全体を覆う。支持体は、他のいかなる方法によっても電子基板をねじ込む必要がなく、電子基板を接着し又は固定する必要なく、PCBの上に電子基板を組み立てることを可能とする。タッチ領域(12’)は、円筒状のロッド(1)を長手方向に沿って囲む曲面の上にあり、筐体の中に配置されているガイド(14)の結果として全周に固定される。カバーは、電子部品ケース(13)を覆い、USBケーブルに圧力を加えることによってUSBケーブルを固定する。
【0055】
以下の記載は、製造及び組立プロセスを詳細に説明する。最初に、構成要素のすべてを有する組み立てられているPCB回路基板を受け取り、PCB回路基板にUSBケーブルを溶接する。双方が取り付けられると、図7に示されているように、PCBは、筐体(13)の上部領域から下部領域へと導入され、その目的のために配置されているガイド(14)によって縦方向にわずかに曲げられているタッチ領域(12)を慎重に移動させる。筐体に接着される必要があるカバーを有するアセンブリが閉じられる。最後に、ロッド(1)は、デバイスの背面領域を通じて導入される。追加的に、ロッド(1)は、ロッド(1)の中に、第2の光学手段(8)、特に、内視鏡型カメラを配置するためのギャップを含む。
【0056】
図8は、本発明にしたがった好ましい例示的なシステムに対応し、その例示的なシステムは、仮想現実感シミュレーション又は拡張現実感シミュレーションの際に使用する目的で装備され、上記で説明されている少なくとも1つのシミュレーションデバイスを含む。この場合には、第1の光学手段(4)の1つ又は複数の受動カメラは、溶接マスク(15)の中に配置され、その溶接マスク(15)は、仮想現実感環境又は拡張現実感環境の中でシミュレーションされている溶接操作を適用する部分(16)に対して操作を行うためにユーザが着用する。溶接マスク(15)は、仮想現実感環境又は拡張現実感環境を表示するためのグラフィック表現手段を含む。ユーザは、上記で説明されている複数の実施形態のうちのいずれかにしたがった本発明のデバイスによってシミュレーションされている操作を実行する。複数の代替的な実施形態において、任意の仮想現実感環境又は拡張現実感環境の中で、本発明にしたがった少なくとも1つのデバイスを含むシステムを使用して、(例えば、材料の添加等の)相互作用をシミュレーションしてもよい。
【0057】
第3の実施形態
【0058】
図9A乃至図9Bは、それぞれ、本発明にしたがったデバイスのある1つの実施形態にしたがった図を示し、それらの図の中では、移動可能である要素(5)がロッド(1)に沿って少なくとも部分的に反動要素(7)に配置され(arranged at least partially on the recoil element (7))(反動要素(7)は、移動可能である要素(5)の内部に配置されているため示されていない)、したがって、部分的又は完全に反動要素(7)を隠し、反動要素(7)は、ユーザから見えないようになっている。
【0059】
第4の実施形態
【0060】
図10A乃至図10Bは、それぞれ、本発明にしたがったデバイスのある1つの実施形態にしたがった図を示し、それらの図の中では、情報処理手段(6)及び/又は送信手段(11)は、ロッド(1)の本体の外側に配置され、(また、図9A乃至図9Bに示されている)ケーブル(17)及び対応するコネクタ(18)によってロッド(1)に接続されている。
【0061】
他の好ましい実施形態
【0062】
代替的に、USB通信は、ブルートゥース(登録商標)、又は、一般的には、任意の他の無線通信プロトコルに置き換えられてもよい。
【0063】
デバイスの複数の他の代替的な実施形態は、ロッド(1)の不安定化又はロッド(1)の任意の望ましくない回転を防止するために、USBケーブルが通過する(例えば、ユーザの手首に取り付けられているベルクロ(登録商標)ストラップ等の)固定要素を含む。
【0064】
本発明の他の実施形態は、第1の実施形態の変形であり、例えば、内視鏡型カメラ等の第2の光学手段(8)を収容するための中空ロッド(1)をさらに含む。
【0065】
本発明のさらなる追加的な実施形態において、(傾斜計等の)非光センサは、材料の堆積又は除去よりもより複雑であるVR/AR環境の相互作用における符号化を可能とする(デバイスが使用中の速度、向き等の)追加的な情報を提供する。
【0066】
本発明の複数の代替的な実施形態において、タッチアクチュエータ(4)及びロッド(1)は、一体化される。例えば、そのような実施形態において、プリント回路基板は、剛性であってもよく、又は、好ましくは、柔軟であってもよく、囲むように配置されるロッド(1)の形状に適応可能であってもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】