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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】B群髄膜炎菌組換えワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/095 20060101AFI20240214BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240214BHJP
   C07K 14/22 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K39/095 ZNA
A61P31/04
C07K14/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550019
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2022016894
(87)【国際公開番号】W WO2022178196
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21305211.1
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/172,885
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】517055195
【氏名又は名称】サノフィ パスツール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ナデージュ・アルノー-バルベ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィノッド・バルハラ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエラ・イアントマージ
(72)【発明者】
【氏名】マリー-ピエール・カゼック-デュレ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリーヌ・マクラスキー
(72)【発明者】
【氏名】ロランス・ケミナー
(72)【発明者】
【氏名】バチュラ・ロクビ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シバー
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA03
4C085BA16
4C085BB11
4C085CC21
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA11
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA31
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む髄膜炎菌抗原の組合せを含む免疫原性組成物に関する。髄膜炎菌抗原は、髄膜炎菌血清群Bに由来し得る。抗原の組合せは、細菌株の広範囲のカバー範囲をもたらした。さらに、本開示は、免疫応答を誘発するための方法における免疫原性組成物の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B抗原の組合せを含む免疫原性組成物であって、前記組合せは、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む、組成物。
【請求項2】
fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bタンパク質は、脂質化されていない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
fHBP Aタンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質であり、および/または、fHBP Bタンパク質は、配列番号3と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、もしくは配列番号2を含むかもしくはそれからなり、ならびに/または、fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換;b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換;c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換;d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換;およびe)アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、もしくは配列番号4を含むかもしくはそれからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の範囲の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
NadAタンパク質は、NadA1タンパク質であるか、または配列番号5と少なくとも約85%の同一性を含むか、または配列番号5を含むかもしくはそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
NadAタンパク質は、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約50μg/用量の範囲の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
dOMVは、ポーリンA(PorA)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
dOMVは、約5μg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の範囲の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アジュバント、特にアルミニウムベースのアジュバント、特に水酸化アルミニウムアジュバント、リン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ、およびそれらの混合物を含む群において選択されるアルミニウムベースのアジュバントをさらに含み、特にリン酸アルミニウムアジュバントである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
配列番号2からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる25~100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の20~150μg/用量のdOMV、100~600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYのうちの1つまたはそれ以上に由来するコンジュゲートされた莢膜糖を少なくともさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を含むワクチン。
【請求項14】
髄膜炎菌感染症に対する防御に使用するための、または髄膜炎菌に対する免疫応答の誘導に使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物または請求項13に記載のワクチン。
【請求項15】
配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質をコードするmRNA、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質をコードするmRNA、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質をコードするmRNA、およびPorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなる組成物。
【請求項16】
髄膜炎菌血清群B抗原の組合せを含む免疫原性組成物であって、前記組合せは、配列番号1と少なくとも約85%の同一性を含む少なくとも1つの非脂質化H因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質を含み、配列番号6の番号付けに基づく少なくともアミノ酸置換G220S、少なくとも1つの非脂質化fHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む、組成物。
【請求項17】
非脂質化fHBP Bタンパク質は、配列番号3と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
非脂質化fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換H248Lを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
非脂質化fHBP Aタンパク質は、配列番号4を含むかまたはそれからなる、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
非脂質化fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換L130RおよびG133Dをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
非脂質化fHBP Aタンパク質は、配列番号2を含むかまたはそれからなる、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
NadAタンパク質は、NadA1タンパク質であるか、または配列番号5と少なくとも約85%の同一性を含むか、または配列番号5を含むかもしくはそれからなる、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
dOMVは、PorA VR2サブタイプを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
dOMVは、PorA VR2 P1.2を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
アジュバント、特にアルミニウムベースのアジュバント、特に水酸化アルミニウムアジュバント、リン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ、およびそれらの混合物を含む群において選択されるアルミニウムベースのアジュバントをさらに含み、特にリン酸アルミニウムアジュバントである、請求項16に記載の組成物。
【請求項26】
fHBP Aタンパク質および/もしくはfHBP Bは、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の範囲の量で存在し、NadAタンパク質は、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約50μg/用量の範囲の量で存在し、およびdOMVは、約5μg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の範囲の量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項27】
配列番号2からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる25~100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の20~150μg/用量のdOMV、100~600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなる、請求項16に記載の組成物。
【請求項28】
髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYのうちの1つまたはそれ以上に由来するコンジュゲートされた莢膜糖を少なくともさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項29】
請求項16に記載の組成物を含むワクチン。
【請求項30】
請求項27に記載の組成物を含むワクチン。
【請求項31】
髄膜炎菌感染症に対する防御のための、または髄膜炎菌に対する免疫応答を誘導するための処置の方法であって、それを必要とする個体に、配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質をコードするmRNA、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質をコードするmRNA、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質をコードするmRNA、およびPorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなる組成物を投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年2月19日に出願された欧州特許出願第21305211.1号、および2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/172,885号の優先権を主張するものであり、これらの開示の全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本開示は、ワクチン分野に関する。本開示は、髄膜炎菌感染、例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)(N.meningitidisまたはNm)血清群B(MenB)感染を予防するための免疫原性組成物およびワクチンに関する。
【背景技術】
【0003】
髄膜炎菌は、ヒトを唯一の既知の自然宿主とするグラム陰性双球菌である。髄膜炎菌は、ヒトの鼻咽頭および口腔咽頭に頻繁に定着するが、身体の他の領域、例えば、肛門粘膜、結膜および尿生殖路にも見出される(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。
【0004】
少なくとも12種類の髄膜炎菌血清群が、莢膜多糖(PS)の免疫化学的性質に基づいて分類されている。一部の株は他の株よりも感染を引き起こす可能性が高い。世界的に見て、髄膜炎菌性疾患のほとんどの症例は、血清群A、B、C、W、X、およびYによって引き起こされる。血清群Bは、地方病および一部のアウトブレイクの原因である(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。
【0005】
髄膜炎菌血清群Bは、環境中では生存できない呼吸器伝播細菌であり(飛沫を介する)、効果的な伝播のためには、密接かつ長期の接触、または直接的な物理的接触(例えば、キス)を必要とする。5歳未満の小児の2%未満、ならびに青年および若年成人の20~25%に存在する無症候性キャリアーが、流行期であっても、自然界での病原体伝播経路およびその維持において主要な要素である(非特許文献9;非特許文献3)。
【0006】
一般に、保菌率が最も高い年齢層は青年および若年成人であり、保菌および侵襲性髄膜炎菌性疾患(IMD)の最終的な出現の危険因子として認識されている行動にかかわる傾向がある(非特許文献9;非特許文献2;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。したがって、これらの年齢層のワクチン接種は、他の年齢層におけるIMDの発生率に影響を及ぼす可能性があり、このことは、血清群Cコンジュゲートワクチンによるワクチン接種キャンペーンが、ワクチン接種を受けていない年齢層における集団保護につながっているいくつかのヨーロッパ諸国で実証されている(非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)。
【0007】
侵襲性髄膜炎菌性疾患(IMD)は、髄膜炎菌(髄膜炎菌血清群Bを含む)によって引き起こされる重篤な疾患であり、症状には、激しい頭痛、発熱、悪心、嘔吐、羞明、項部硬直、嗜眠、筋肉痛、特徴的な点状皮疹が含まれる(非特許文献4)。IMDは、髄膜炎菌性髄膜脳炎および髄膜炎菌血症を引き起こす可能性がある。髄膜炎菌血症はおそらく、ヒトにとって最も急速に致死的な感染症であり、死亡の約90%が入院後最初の2日間以内に報告されている。炎症性症候群はIMD患者の6~15%に発生することがあり、これは主に莢膜多糖、特異的免疫グロブリンおよび補体画分C3からなる抗原抗体複合体の沈着によるものである。これらの反応は一般に発症4~12日後に起こり、ほとんどが単関節性(患者の7~14%)である関節炎、皮膚血管炎、虹彩炎、上強膜炎、胸膜炎および心膜炎が含まれる。同時に、発熱、白血球増多および血清C反応性タンパク質の増加が起こることがある。IMD患者に起こりうる他の合併症には、単純ヘルペス感染の活性化、対称性遠位壊死、血管炎トポグラフィー上の広範な潰瘍形成、消化管出血、硬膜下滲出液、心筋炎、横紋筋融解症、成人呼吸促迫症候群、酸塩基および水電解質異常、脳梗塞ならびに頭蓋内化膿が含まれる。
【0008】
IMD生存者には続発症が発生することがある。神経学的続発症の発生リスクは7~12%(肺炎球菌性髄膜炎よりも低い)であり、主に乳児に発生する。難聴(持続性または一過性)は最も一般的な合併症であり、症例の約4%に発生する。他の続発症には、視覚障害、水頭症、運動失調、失語症、運動障害、発達遅滞、関節症、痙性、痙攣、腎不全、骨壊死、萎縮性瘢痕、四肢の一部の喪失、学習障害、および行動障害が含まれる(非特許文献3;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)。
【0009】
血清群Bは、地方病の重要な原因であり、キューバ(非特許文献19)、ノルウェー(非特許文献20)およびニュージーランド(非特許文献21;非特許文献22)を含むいくつかの先進国で複数の長期流行の原因となっている(非特許文献23)。単一株によるより小規模なアウトブレイクは、フランス(2000~2003年)(非特許文献24;非特許文献25)および米国(2013~2017年)のような他の国でも報告されており、その一部は大学と関連している(非特許文献26;非特許文献27)。
【0010】
髄膜炎菌B群を標的とする防御範囲の広い2種類のタンパク質ベースのワクチンが最近認可された:1)4成分MenBタンパク質ワクチン(4 CMeNB;GlaxoSmithKline社[GSK]のBEXSERO(登録商標)ワクチン)は、米国(US)では10~25歳の個人に対して2回投与スケジュールとして認可され、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダおよび南米の一部の国では生後2か月から50歳までの個人への使用が認可されている;2)二価組換えfHBPタンパク質ベース(rLP2086)ワクチン(Pfizer社のTRUMENBA(登録商標)ワクチン)は、米国およびヨーロッパで10~25歳の個人に対して2回または3回投与スケジュールとして認可されている。
【0011】
これらの両方の認可ワクチンを用いた臨床試験で、発熱が小児集団にとって特に懸念される有害事象であることが明らかになった。38℃を超える発熱が、通常のワクチンとともにBEXSEROワクチンを投与された乳児の最大70%で報告され(6~12%に39℃を超える発熱)、BEXSEROワクチンの接種時(および接種後24時間以内)にパラセタモールの予防的使用を推奨することにつながった。小児集団におけるTRUMENBAワクチンの第I/IIb相試験では、20μgまたは60μgのrLP2086を投与された参加者のそれぞれ64%および90%で発熱(ほとんどが39.0℃未満)が報告され、試験は早期に中止された(非特許文献28)。
【0012】
これらのワクチンによる免疫接種を受けたヒトは、補体媒介性血清殺菌抗体(SBA)反応を生じる。しかし、TRUMENBAおよびBEXSEROワクチンについては、いくつかのMenB株に対して、特に幼児および乳児において、fHBP関連のSBA活性およびカバー範囲が低下することが示された(非特許文献29;非特許文献30)。ワクチン抗原への宿主分子の結合が、重要なエピトープを覆うこと、またはワクチンの取込みを減少させることによって免疫原性を低下させ、それが抗原のプロセシングと提示の低下につながることが示された(非特許文献31)。前臨床試験で、野生型組換えfHBP抗原へのH因子(fH)の結合により、ヒトfHトランスジェニックマウスおよび乳児アカゲザルにおける防御的な血清抗fHBP抗体反応が障害されることが示されている(非特許文献32;非特許文献33)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Rouphaelら、Methods Mol Biol.2012年;799:1~20頁
【非特許文献2】Stephens、Vaccine.2009年;27 Suppl 2:B71~7頁
【非特許文献3】Batistaら、Asian Pac J Trop Med.2017年;10(11):1019~29頁
【非特許文献4】Harrisonら、[編]Orenstein WA,Offit PA,Edwards KM Plotkin SA、「Vaccines.7」、Philadelphia(PA):Elsevier;2018年、619~43頁
【非特許文献5】Borrowら、Expert Rev Vaccines.2017年;16(4):313~28頁
【非特許文献6】Harrisonら、Emerg Infect Dis.2013年;19(4):566~73頁
【非特許文献7】Pollard、Pediatr Infect Dis J.2004年;23(12 Suppl):S274~9頁
【非特許文献8】Kvalsvigら、J Clin Pathol.2003年;56(6):417~22頁
【非特許文献9】Christensenら、Lancet Infect Dis.2010年;10(12):853~61頁
【非特許文献10】Bruceら、JAMA.2001年;286(6):688~93頁
【非特許文献11】Germinarioら、Hum Vaccin.2010年;6(12):1025~7頁
【非特許文献12】MacLennanら、Emerg Infect Dis.2006年;12(6):950~7頁
【非特許文献13】Maidenら、J Infect Dis.2008年;197(5):737~43頁
【非特許文献14】Trotterら、Lancet.2004年;364(9431):365~7頁
【非特許文献15】Bijlsmaら、Clin Infect Dis.2014年;59(9):1216~21頁
【非特許文献16】Stephensら、「Neisseria meningitidis」、[編]J.E.Bennett,R.Dolin and M.J.Blaser.Philadelphia:Elsevier Saunders;2015年、2425~45頁
【非特許文献17】Campsallら、Crit Care Clin.2013年;29(3):393~409頁
【非特許文献18】Paceら、Vaccine.2012年;30 Suppl 2:B3~9頁)
【非特許文献19】Rodriguezら、Mem Inst Oswaldo Cruz、1999年;94(4):433~40頁
【非特許文献20】Fredriksenら、NIPH Ann.1991年;14(2):67~79頁;考察80頁
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【非特許文献23】Vuocoloら、Hum Vaccin Immunother.2018年;14(5):1203~15頁
【非特許文献24】Grodetら、Microbiol Infect.2004年;10(9):845~8頁
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【非特許文献33】Granoffら、Clin Vaccine Immunol.2013年;20(8):1099~107頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、細菌株に関してカバー範囲の大きい、髄膜炎菌、例えば、MenBに対する免疫原性組成物、例えば、ワクチンに対しては、依然として需要があると思われる。
【0015】
BEXSEROまたはTRUMENBAよりも広範囲のMenB株をカバー範囲とする免疫原性組成物に対しても需要がある。
【0016】
また、良好な反応原性プロファイルを有する免疫原性組成物に対しても需要がある。
【0017】
幼児および小児での使用に関して良好な反応原性および安全性プロファイルを有する免疫原性組成物に対しては需要がある。
【0018】
さらに、TRUMENBAと比較して改善された反応性プロファイルを有する免疫原性組成物に対しても需要がある。
【0019】
BEXSEROと比較して改善された反応性プロファイルを有する免疫原性組成物に対しても需要がある。
【0020】
また、他の抗原と容易に組み合わせることができるMenBに対する免疫原性組成物、例えば、髄膜炎菌ACWY抗原、例えば、ACWY多糖をジフテリアまたは破傷風トキソイドとコンジュゲートさせたものに対しても需要がある。
【0021】
本開示は、これらの需要のすべてまたは一部に応えることを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
一態様では、少なくとも4つの抗原を含み、髄膜炎菌感染症、例えば、MenBによって引き起こされる侵襲的髄膜炎菌性疾患(IMD)に対して広範囲の防御を提供することを目的とし、乳児適応に関して許容可能な安全性プロファイルを有する、多成分髄膜炎菌免疫原性組成物が開示される。これは、髄膜炎菌の病態形成における重要な働き、ならびに同種および異種MenB株に対する血清中殺菌抗体(SBA)を誘導する力に基づいて選択された3つの主要な表面露出組換えナイセリア属タンパク質(Pizzaら、Science.2000;287(5459):1816-20)、すなわち、AおよびBサブファミリー由来の2つの非脂質化H因子結合タンパク質(fHBP)ならびにナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質で構成される。多成分MenBワクチンの免疫原性および潜在的な株カバー範囲を改善するために、界面活性剤抽出によって得られた外膜小胞(OMV)(界面活性剤抽出OMV、dOMV、外膜タンパク質複合体(OMPC)とも呼ばれる)を製剤に添加した。dOMVは、MenB株、例えば、PorAタンパク質、例えば、PorA VR2 P1.2を発現する株に由来した。dOMVの効能は、細菌の表面に非常に豊富に存在する同種PorAを主な対象とする殺菌抗体に関連している。
【0023】
予想外のことに、本発明者らは、本明細書に開示される免疫原性組成物におけるMenB抗原の組合せが、免疫応答を誘発し得るMenB株に対する幅広いカバー範囲を組成物に付与する一方で、これが誘導する反応原性および炎症誘発効果は低いことを観察した。
【0024】
実際に、実施例の項に示すように、本開示の免疫原性組成物、例えば、ワクチンは、TRUMENBAまたはBXSEROよりも幅広いMenB株のカバー範囲に到達することを可能にした。注目すべきことに、本明細書に開示される免疫原性組成物は、BXSEROによってはカバーされない6つのMenB株に対して防御免疫応答を誘発した。
【0025】
有利なことに、本明細書に開示される免疫原性組成物の抗原は、流行性IMD起因性MenB株の間に交差防御をもたらす。
【0026】
有利なことに、本明細書に開示される免疫原性組成物は、2つの非脂質化fHBP組換え抗原、A05(Pfizer社の分類による、Novartis社の命名法による別名はバリアント3.45、またはPubMLSTの命名法によればペプチドID45)およびB01(Pfizer社の分類による、Novartis社の命名法による別名はバリアント1.55、またはPubMLSTの命名法によればペプチドID55)を含み、これらはfHBPの2つの遺伝的および免疫学的に多様なサブファミリーのそれぞれに由来する1つのバリアント抗原であり、すべてのMenB株に対する幅広い防御を確実にし、生後6週以後の乳児への適応を可能にする。
【0027】
さらなる利点として、本明細書に開示される免疫原性組成物は、同種PorAを発現する株、例えば、PorA VR2株、および例えば、PorA VR2 P1.2株に対する特異的防御応答、ならびに異種株に対する防御的交差反応性を誘導し得るdOMVを含む。
【0028】
本明細書に開示される免疫原性組成物のさらなる利点は、それらが、ST-41/44、ST-32、ST-269、ST-213、ST-35、ST-461、ST-11およびST-461クローナルコンプレックス由来のMenB株に対する免疫応答を誘導することである。別の利点は、本明細書に開示される免疫原性組成物が、新興の高毒性クローナルコンプレックスであるST-11クローナルコンプレックスに対する免疫応答を誘導することである。
【0029】
さらに、実施例の項に示すように、本明細書に開示される免疫原性組成物は、TRUMENBAと比較して改善されている(すなわち、反応原性がより少ない)BEXSEROのものに匹敵し、全体的には反応原性がより少ない反応原性プロファイルを示す。注目すべきことに、開示される免疫原性組成物は、TRUMENBAよりも弱い炎症誘発性サイトカイン応答を示す。さらに、それらは、細胞生存率に対してごくわずかな影響しか及ぼさない。
【0030】
その態様の1つによれば、本開示は、髄膜炎菌抗原の組合せを含む免疫原性組成物であって、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む前記組合せに関する。抗原は、免疫学的有効量で存在する。
【0031】
一実施形態では、髄膜炎菌抗原は、髄膜炎菌血清群B由来であり得る。
【0032】
その態様の別のものによれば、本開示は、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む髄膜炎菌血清群B抗原の組合せを含む免疫原性組成物に関する。fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bタンパク質は、脂質化されていない。
【0033】
別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、脂質化または非脂質化タンパク質であってよく、例えば、非脂質化タンパク質である。
【0034】
別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、脂質化または非脂質化タンパク質であってよく、例えば、非脂質化タンパク質である。
【0035】
別の実施形態では、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bタンパク質は、脂質化されていない。一実施形態では、fHBP Aタンパク質およびfHBP Bタンパク質の両方が、脂質化されていない。
【0036】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、天然に存在しないfHBPであり得る。
【0037】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、天然に存在しないfHBPであり得る。
【0038】
一実施形態では、fHBP Aおよび/またはfHBP Bタンパク質は、天然に存在しないfHBPであり得る。
【0039】
一実施形態では、fHBP Aおよび/またはfHBP Bタンパク質は、変異fHBPであり得る。一実施形態では、fHBP Aおよび/またはfHBP Bタンパク質は、変異した非脂質化fHBPであり得る。
【0040】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含む変異タンパク質であり得る。
【0041】
別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。
【0042】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異タンパク質であり得る。
【0043】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換G220Sを少なくとも含み得る。fHBP Aタンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換G220Sを少なくとも含む非脂質化タンパク質であり得る。
【0044】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも3つのアミノ酸置換を含み得る。別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dの3つのアミノ酸置換のみを含み得る。fHBP Aタンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも3つのアミノ酸置換、またはそれらのみを含む変異タンパク質であり得る。
【0045】
別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号2を含むか、またはそれからなることができる。
【0046】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含む変異タンパク質であり得る。
【0047】
別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換、b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換、c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換、d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換、およびe)アミノ酸248でのヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。
【0048】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換;b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換;c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換;d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換;およびe)アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異タンパク質であり得る。
【0049】
別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換H248Lを少なくとも含み得る。別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換H248Lのみを含み得る。fHBP Bタンパク質は、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、少なくともアミノ酸置換H248L、またはそれのみを含む変異タンパク質であり得る。
【0050】
別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号4を含むか、またはそれからなることができる。
【0051】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の範囲の量で存在し得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「用量」という用語は、個体に投与される組成物の総量または総容量を指す。用量は、約0.1ml~約1ml、例えば、約0.2ml~約0.8ml、約0.4ml~約0.6mlの範囲であり得るか、または約0.5mlであり得る。
【0053】
一実施形態では、NadAタンパク質は、NadA1タンパク質であり得る。
【0054】
別の実施形態では、NadAタンパク質は、配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み得る。別の実施形態では、NadAタンパク質は、配列番号5を含むか、またはそれからなることができる。
【0055】
一実施形態では、NadAタンパク質は、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の範囲の量で存在し得る。一実施形態では、NadAタンパク質は、約50μg/用量の量で存在し得る。
【0056】
一実施形態では、dOMVは、外膜タンパク質ポーリンA(PorA)を含み得る。一実施形態では、dOMVは、外膜タンパク質ポーリンB(PorB)を含み得る。別の実施形態では、dOMVは、外膜タンパク質ポーリンA(PorA)および外膜タンパク質ポーリンB(PorB)を含み得る。
【0057】
別の実施形態では、dOMVは、外膜タンパク質ポーリンA(PorA)および/または外膜タンパク質ポーリンB(PorB)を含み得る。dOMVは、ポーリンA(血清型PorA VR2 P1.2)、ポーリンB(血清型PorB P2.2a)、および場合により、免疫型LOS L3,7を含み得る。PorAおよびPorBは、dOMVのタンパク質の約50%に相当し得る。
【0058】
PorAは、前記dOMV中に存在する総タンパク質に比して約3%~約15%の範囲の量、または約5%~約9%もしくは約10%の量で存在し得る。PorBは、dOMV中に存在する総タンパク質に比して約30%~約70%、または約35%~約65%、または約38%~約58%の範囲の量で存在し得る。
【0059】
一実施形態では、dOMVは、ポーリンA(PorA)を含み得る。一実施形態では、PorAは、VR2ファミリーのPorAであり得る。一実施形態では、dOMVは、PorA VR2 P1.2サブタイプを含み得る。
【0060】
一実施形態では、dOMVは、PorA VR2、P1.2を発現するMenB株99Mから得ることができる。
【0061】
一実施形態では、dOMVは、PorA VR2 P1.2およびPorB P2.2aを含み得る。
【0062】
一実施形態では、dOMVは、少なくともデオキシコール酸処理の工程を使用する界面活性剤抽出法によって得ることができる。
【0063】
一実施形態では、dOMVは、約5μg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の範囲の量で存在し得る。
【0064】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、アジュバントをさらに含み得る。一実施形態では、アジュバントは、アルミニウムベースのアジュバントであり得る。一実施形態では、アルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント、リン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ、およびそれらの混合物を含む群において選択されるアルミニウムベースのアジュバントであり得る。一実施形態では、アジュバントは、リン酸アルミニウムアジュバントであり得る。
【0065】
別の実施形態では、本明細書に開示する組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
【0066】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、緩衝液をさらに含み得る。一実施形態では、緩衝液は、Tris緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、またはヒスチジン緩衝液を含む群において選択される。一実施形態では、緩衝液は、酢酸緩衝液であり得る。一実施形態では、酢酸緩衝液は、酢酸ナトリウム緩衝液であり得る。一実施形態では、酢酸ナトリウム緩衝液は、約10mM~約300mMの範囲、もしくは約10mM~約250mMの範囲、もしくは約20mM~約250mMの範囲、もしくは約20mM~約150mMの範囲、もしくは約20mM~約130mM、もしくは約30mM~約120mM、もしくは約40mM~約100mM、もしくは約50mM~約80mM、もしくは約50mM~約60mMの濃度で、または例えば、約50mMの濃度で存在し得る。
【0067】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、塩、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、またはマグネシウム塩をさらに含み得る。ナトリウム塩は、例えば、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウムを含む群において選択されるナトリウム塩であり得る。一実施形態では、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムであり得る。カルシウム塩は、塩化カルシウム塩であり得る。マグネシウム塩は、塩化マグネシウム塩であり得る。一実施形態では、ナトリウム塩は、約10mM~約300mM、もしくは約30mM~約280mM、もしくは約50mM~約250mM、もしくは約60mM~約220mM、もしくは約80mM~約200mM、もしくは約100mM~約180mM、もしくは約120mM~約160mMの範囲の濃度で存在することができ、または例えば、約150mMの濃度で存在し得る。カルシウム塩またはマグネシウム塩は、約1mM~約15mM、または約5mM~約10mMの範囲の量で存在し得る。
【0068】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、約4.0~約9.0の範囲のpHを有し得る。一実施形態では、本明細書に開示される組成物のpHは、約4.5~約8.5、もしくは約4.8~約8.2、もしくは約5.0~約8.0、もしくは約5.2~約7.5、もしくは約5.4~約7.0、もしくは約5.5~約6.8、もしくは約5.7~約6.5、もしくは約5.8~約6.2の範囲であり得るか、または約6.0であり得る。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2を含むかまたはそれからなる非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4を含むかまたはそれからなる非脂質化fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、およびPorAタンパク質を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。組成物において、NadAはNadA1であってもよく、もしくは配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、もしくは約100%のアミノ酸配列同一性を含んでもよく、もしくは配列番号5からなってもよく、ならびに/またはdOMVは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2、および必要に応じてPorB P2.2aを含んでもよく、もしくはMenB株99Mから得ることもできる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0069】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含む非脂質化変異fHBP Aタンパク質、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質、PorAタンパク質を発現するMenB由来のNadAタンパク質、およびdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。組成物において、NadAは、NadA1であってもよく、もしくは配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、もしくは約100%のアミノ酸配列同一性を含んでもよく、または配列番号5からなってもよく、ならびに/またはdOMVは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2、および必要に応じてPorB P2.2aを含んでもよく、もしくはMenB株99Mから得ることもできる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0070】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む非脂質化変異fHBP Aタンパク質、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換;b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換;c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換;d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換;およびe)248位のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、ならびにPorAタンパク質を発現するMenB由来のdOMVを含み得る。組成物において、NadAは、NadA1であってもよく、もしくは配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含んでもよく、もしくは配列番号5からなってもよく、ならびに/またはdOMVは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2、および必要に応じてPorB P2.2aを含んでもよく、もしくはMenB株99Mから得ることもできる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0071】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む非脂質化変異fHBP Aタンパク質、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、アミノ酸置換H248Lを少なくとも含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、ならびにPorAタンパク質を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。組成物において、NadAは、NadA1であってもよく、もしくは配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、もしくは約100%のアミノ酸配列同一性を含んでもよく、もしくは配列番号5からなってもよく、ならびに/またはdOMVは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2、および必要に応じてPorB P2.2aを含んでもよく、もしくはMenB株99Mから得ることもできる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0072】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも3つのアミノ酸置換を含む非脂質化変異fHBP Aタンパク質、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、少なくともアミノ酸置換H248Lを含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、ならびにPorAタンパク質を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。組成物において、NadAは、NadA1であってもよく、もしくは配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、もしくは約100%のアミノ酸配列同一性を含んでもよく、もしくは配列番号5からなってもよく、ならびに/またはdOMVは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2、および必要に応じてPorB P2.2aを含んでもよく、もしくはMenB株99Mから得ることもできる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0073】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号1と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される3つのアミノ酸置換のみを含む非脂質化変異fHBP Aタンパク質、配列番号3と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、アミノ酸置換H248Lのみを含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、ならびにPorAタンパク質を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。組成物において、NadAは、NadA1であってもよく、もしくは配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも99%、少なくとも約99.5%、もしくは約100%のアミノ酸配列同一性を含んでもよく、もしくは配列番号5からなってもよく、ならびに/またはdOMVは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2、および必要に応じてPorB P2.2aを含んでもよく、もしくはMenB株99Mから得ることもできる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0074】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2を含むかまたはそれからなる非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4を含むかまたはそれからなる非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5を含むかまたはそれからなるNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2および必要に応じてPorB P2.2aを発現するMenB由来の、またはMenB株99Mから得られるdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。本明細書に開示される組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0075】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなるNadAタンパク質、ならびにPorA VR2 P1.2および必要に応じてPorB P2.2aを発現するMenB由来の、またはMenB株99Mから得られるdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。本明細書に開示される組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。
【0076】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなるNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2および必要に応じてPorB P2.2aを発現するMenB由来の、またはMenB株99Mから得られるdOMV、リン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0077】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質をコードするmRNA、配列番号4と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質をコードするmRNA、配列番号5と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質をコードするmRNA、およびPorAを発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。PorAは、PorA VR2サブタイプもしくはPorA VR2 P1.2であり得る。
【0078】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2を含む約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4を含む約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5を含む約25~約100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約20~約150μg/用量のdOMV、約100~約600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはこれらからなることができる。
【0079】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約25~約100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約20~約150μg/用量のdOMV、約100~約600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはこれらからなることができる。
【0080】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される組成物を含むワクチンに関する。
【0081】
別の態様では、本開示は、医薬品として、特にワクチンとして、本明細書に開示される組成物に関する。
【0082】
別の態様では、本開示は、髄膜炎菌感染症に対する、および例示的な一実施形態では髄膜炎菌血清群B感染症に対する防御に使用するための、本明細書に開示される組成物に関する。
【0083】
別の態様では、本開示は、髄膜炎菌に対する、および例示的な一実施形態では髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答の誘導に使用するための、本明細書に開示される組成物に関する。
【0084】
別の態様では、本開示は、ST-41/44、ST-32、ST-269、ST-213、ST-35、ST-461、ST-11および/またはST-461クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答の誘導に使用するための、本明細書に開示される組成物に関する。
【0085】
別の態様では、本開示は、ST-11クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答の誘導に使用するための、本明細書に開示される組成物に関する。
【0086】
別の態様では、本開示は、髄膜炎菌感染症に対して、および例示的な一実施形態では髄膜炎菌血清群B感染症に対して個体を防御するための方法であって、本明細書に開示される免疫原性組成物、または本明細書に開示されるワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0087】
別の態様では、本開示は、個体における髄膜炎菌感染症、および例示的な一実施形態では髄膜炎菌血清群B感染によって引き起こされる侵襲性髄膜炎菌性疾患の発生のリスクを低下させる方法であって、本明細書に開示される免疫原性組成物、または本明細書に開示されるワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0088】
別の態様では、本開示は、個体において髄膜炎菌に対する、および例示的な一実施形態では髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答を誘発させるための方法であって、本明細書に開示される免疫原性組成物、または本明細書に開示されるワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0089】
別の態様では、本開示は、ST-41/44、ST-32、ST-269、ST-213、ST-35、ST-461、ST-11および/またはST-461クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答を誘発させるための方法であって、本明細書に開示される免疫原性組成物、または本明細書に開示されるワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0090】
別の態様では、本開示は、ST-11クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答を誘発させるための方法であって、本明細書に開示される免疫原性組成物、または本明細書に開示されるワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0091】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される免疫原性組成物または本明細書に開示されるワクチンを調製するための方法であって、髄膜炎菌抗原と、必要に応じてアルミニウム塩とを混合する工程を少なくとも含み、該抗原は、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む、方法に関する。
【0092】
一実施形態では、混合の工程は、場合によりAlPO上に吸着された少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質の、および場合によりAlPO塩上に吸着された少なくとも1つのfHBP Bタンパク質の第1の混合物を、場合によりAlPO上に吸着された少なくとも1つのNadAタンパク質の、およびdOMVの第2の混合物と混ぜ合わせることを含み得る。
【0093】
一実施形態では、混合の工程は、AlPO上に吸着された少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質の、およびAlPO塩上に吸着された少なくとも1つのfHBP Bタンパク質の第1の混合物を、AlPO上に吸着された少なくとも1つのNadAタンパク質の、およびdOMVの第2の混合物と混ぜ合わせることを含み得る。
【0094】
別の実施形態では、本明細書に開示される調製のための方法に使用するための抗原およびアルミニウム塩は、緩衝液中にあってよい。
【0095】
別の態様では、本開示は、複数の容器を含む部品キットであって、容器の各々が、少なくとも1つの髄膜炎菌抗原または少なくとも2つの髄膜炎菌抗原の組合せを含み、前記抗原が、fHBP Aタンパク質、fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、および界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む群から選択される、部品キットに関する。
【0096】
一実施形態では、部品キットの抗原の少なくとも1つは、乾燥形態であり得る。一実施形態では、抗原の少なくとも1つは、凍結乾燥形態または乾燥マイクロペレット形態であり得る。一実施形態では、キットは、生理学的に注射可能なビヒクルを含む容器を、場合により含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1A】0日目、28日目および56日目にTRUMENBAまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギから0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)に採取された血清における、ELISAによって測定された特定の抗A05tmN(図1A)または抗B01smN(図1B)IgG力価を示す図である(LLOQは定量下限を意味する)。
図1B】0日目、28日目および56日目にTRUMENBAまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギから0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)に採取された血清における、ELISAによって測定された特定の抗A05tmN(図1A)または抗B01smN(図1B)IgG力価を示す図である(LLOQは定量下限を意味する)。
図2A】0日目および28日目にBEXSEROまたは製剤F1~F5およびMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギから0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)に採取された血清における、ELISAによって測定された特定の抗NadA IgG力価を示す図である。
図2B】0日目、28日目および56日目に製剤F1~F5およびMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギから0日目および42日目に採取された血清における、ELISAによって測定された特定の抗dOMV IgGを示す図である。
図3】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、近縁MenB B44株(株番号3)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図4】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、異種MenB B24株(株番号4)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図5】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、異種MenB B24株(株番号18)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図6】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、近縁MenB A56株(株番号1)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図7】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、異種MenB A22株(株番号2)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図8】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、MenB NadA1株(株番号6)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図9】0日目、28日目および56日目にTRUMENBA、BEXSEROまたは製剤F1~F6またはMENQUADFIと同時投与されたF1を用いて免疫化されたウサギからの0日目(白抜き/白色記号)および42日目(塗りつぶされた/黒色記号)の精製IgGにおける、MenB OMV PorA 1.2株(株番号5)に対して測定されたhSBAを示す図である。
図10】異なる用量のBEXSEROおよびTRUMENBAで処置された成人PTE由来樹状細胞(DC)のサイトカイン産生(IL-6、TNFα、MIP-1βおよびIL-1b)を示す図である:PTEからの培養上清は、処置48時間後に回収され、マルチプレックスアレイを使用してサイトカイン分泌について評価された。グラフは、樹状細胞(DC)におけるIL-6、TNFα、IL-1β、およびMIP-1βのサイトカイン産生の幾何平均値(GMV)を示す。ヒト用量(n=20ドナー)の10倍希釈液での処置であった。N/Aは、抗原なしのmock対照である。
図11】異なる用量のBEXSEROおよびTRUMENBAで処置された新生児PTE由来DCのサイトカイン産生(IL-6、TNFα、MIP-1βおよびIL-1β)を示す図である:PTEからの培養上清は、処置48時間後に回収され、マルチプレックスアレイを使用してサイトカイン分泌について評価された。グラフは、DCにおけるIL-6、TNFα、IL-1β、およびMIP-1βのサイトカイン産生のGMVを示す。ヒト用量(n=20ドナー)の10倍希釈液での処置であった。
図12A】1:10000の希釈でTRUMENBAと比べた、成人および新生児PTEにおいてBEXSEROによって引き起こされたサイトカイン分泌の95%信頼区間での幾何平均値の比のフォレストプロットを示す図である。点線は1の値に設定され、1より下の値および区間の信頼度は、BEXSEROがTRUMENBAより劣っていることを意味し、値および区間が1より上ならば、BEXSEROはTRUMENBAより優れている。
図12B】1:10000の希釈でTRUMENBAと比べた、成人および新生児PTEにおいてBEXSEROによって引き起こされたサイトカイン分泌の95%信頼区間での幾何平均値の比のフォレストプロットを示す図である。点線は1の値に設定され、1より下の値および区間の信頼度は、BEXSEROがTRUMENBAより劣っていることを意味し、値および区間が1より上ならば、BEXSEROはTRUMENBAより優れている。
図13-1】成人PTEモジュールでF1~F5製剤によって誘導されたサイトカイン(IL-6、TNFα、MIP-1βおよびIL-1β)分泌を示す図である。MIMIC成人PTEは、異なる用量のF1~F5製剤および対照(BEXSERO)で処置された。その後、培養上清が採取され、マルチプレックスアレイによりサイトカインの分泌について評価された。IL-6、TNFα、IL-1β、およびMIP-1βの平均値±95%CI;n=16~24。
図13-2】図13-1の続き。
図13-3】図13-2の続き。
図13-4】図13-3の続き。
図14図14A、14Bおよび14Cは、1:10000の希釈の成人PTEにおける製剤F1、F2、F3、F4、およびF5と比べた、BEXSEROによって誘導されたサイトカイン分泌の95%信頼区間での幾何平均の比のフォレストプロットを示す図である。点線は1の値に設定され、1より下の値および区間の信頼度は、BEXSEROが処置より劣っていることを意味し、値および区間が1より上ならば、BEXSEROは処置より優れている。図14Aは、F2およびF3製剤で得られた結果を示し、図14Bおよび図14Cは、F1、F4およびF5製剤で得られた結果を示す。
図15】成人MIMIC PTEにおけるF1~F5製剤、およびBEXSEROで処置後の免疫細胞傷害性(すなわち処置後の生細胞のパーセンテージ)を示す図である。
図16-1】新生児PTEモジュールでBEXSEROと比較したF1~F5製剤のサイトカイン(IL-6、TNFα、MIP-1βおよびIL-1β)分泌レベルの増加を示す図である。MIMIC新生児PTEは、異なる用量のF1~F5製剤および対照(BEXSERO)で処置された。その後、培養上清が採取され、マルチプレックスアレイによりサイトカインの分泌について評価された。IL-6、TNFα、IL-1β、およびMIP-1β(n=16~24)の平均±95%CI。N/Aは、抗原なしのmock対照である。
図16-2】図16-1の続き。
図16-3】図16-2の続き。
図16-4】図16-3の続き。
図17図17Aおよび17Bは、1:10000の希釈の新生児PTEにおける製剤F1、F2、F3、F4、およびF5と比べた、BEXSEROによって誘導されたサイトカイン分泌の95%信頼区間での幾何平均の比のフォレストプロットを示す図である。点線は1の値に設定され、1より下の値および区間の信頼度は、Bexsero(登録商標)が処置より劣っていることを意味し、値および区間がより上ならば、Bexsero(登録商標)は処置より優れている。図17Aは、F2およびF3製剤で得られた結果を示し、図17Bは、F1、F4およびF5製剤で得られた結果を示す。
図18】新生児MIMIC PTEにおけるF1~F5製剤、およびBEXSEROで処置後の免疫細胞傷害性(すなわち処置後の生細胞のパーセンテージ)を示す図である。
図19】種々のクローナルコンプレックス由来の18種類のMenB株においてテストした種々の製剤:F3、TRUMENBAおよびBEXSEROによってカバーされるまたはカバーされない種々のクローナルコンプレックスを例示するhSBA結果の概要を示す図である。黒い円弧:BEXSERO。点々の円弧:TRUMENBA。グレーの円弧:F3製剤。円弧内の数字は、1クローナルコンプレックスあたりのテストしたMenB株の合計数のうち、製剤によってカバーされるMenB株の数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
配列の説明
配列番号1は、脂質化の原因となるシグナルペプチドを有しないfHBP A05野生型配列を表す。
【0099】
CSSGSGSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTFKVGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
【0100】
配列番号2は、脂質化の原因となるシグナルペプチドを有さず、変異G220S、L130R、G133Dを有する変異fHBP A05配列を表す(番号付けは、配列番号6(fHBP B24)を基準にして決定される)。
【0101】
CSSGSGSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTFKVGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFRVSDLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKSTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
【0102】
配列番号3は、脂質化の原因となるシグナルペプチドを有しないfHBP B01野生型配列を表す。
【0103】
CSSGGGGSGGGGVTADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQEQDPEHSEKMVAKRRFRIGDIAGEHTSFDKLPKDVMATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKSPELNVDLAVAYIKPDEKHHAVISGSVLYNQDEKGSYSLGIFGEKAQEVAGSAEVETANGIHHIGLAAKQ
【0104】
配列番号4は、脂質化の原因となるシグナルペプチドを有さず、変異H248Lを有する変異fHBP B01配列を表す(番号付けは、配列番号6(fHBP B24)を基準にして決定される)。
【0105】
CSSGGGGSGGGGVTADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQEQDPEHSEKMVAKRRFRIGDIAGEHTSFDKLPKDVMATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKSPELNVDLAVAYIKPDEKHHAVISGSVLYNQDEKGSYSLGIFGEKAQEVAGSAEVETANGIHLIGLAAKQ
【0106】
配列番号5は、N末端のシグナルペプチドの23アミノ酸およびC末端の最後の55アミノ酸が欠失しているMenB MC58株由来のNadA1配列を表す。
【0107】
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【0108】
配列番号6は、fHBP B24野生型配列を表し、A05およびB01における変異の位置の番号付けはこれに基づいて決定される。
【0109】
CSSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKGLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQVYKQSHSALTAFQTEQIQDSEHSGKMVAKRQFRIGDIAGEHTSFDKLPEGGRATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGNGKIEHLKSPELNVDLAAADIKPDGKRHAVISGSVLYNQAEKGSYSLGIFGGKAQEVAGSAEVKTVNGIRHIGLAAKQ
【0110】
配列番号7は、MenB MC58株由来の野生型NadA1配列を表す。
【0111】
MKHFPSKVLTTAILATFCSGALAATSDDDVKKAATVAIVAAYNNGQEINGFKAGETIYDIGEDGTITQKDATAADVEADDFKGLGLKKVVTNLTKTVNENKQNVDAKVKAAESEIEKLTTKLADTDAALADTDAALDETTNALNKLGENITTFAEETKTNIVKIDEKLEAVADTVDKHAEAFNDIADSLDETNTKADEAVKTANEAKQTAEETKQNVDAKVKAAETAAGKAEAAAGTANTAADKAEAVAAKVTDIKADIATNKADIAKNSARIDSLDKNVANLRKETRQGLAEQAALSGLFQPYNVGRFNVTAAVGGYKSESAVAIGTGFRFTENFAAKAGVAVGTSSGSSAAYHVGVNYEW
【0112】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの抗原」への言及は、複数のそのような抗原を含み、「そのタンパク質」への言及は、1つまたはそれ以上のタンパク質への言及を含み、そのほかも同様である。
【0113】
本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、この技術分野の当業者に容易に知られている各々の値に対する通常の誤差範囲を指す。本明細書における値またはパラメーターの「約」への言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(および説明する)。一部の実施形態では、「約」という用語は、所与の値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%を指す。しかし、当該の値が、分割不可能な物体、例えば、ひとたび細分されるとその実体を失う分子または他の物体を指す場合には常に、「約」は、分割不可能な物体の±1を指す。
【0114】
「抗原」という用語は、免疫応答を誘発させる、および/または免疫応答の対象となる少なくとも1つのエピトープを含む、任意の分子、例えば、ペプチド、タンパク質、多糖、または複合糖質を含む。例えば、抗原は、場合によりプロセシング後に、免疫応答を誘発させる分子であり、この免疫応答は、例えば、抗原または抗原を発現する細胞に対して特異的である。プロセシングの後に、抗原は、MHC分子によって提示されて、Tリンパ球(T細胞)と特異的に反応することができる。したがって、抗原またはその断片は、T細胞受容体によって認識可能でなければならず、適切な共刺激シグナルの存在下で、その抗原または断片を特異的に認識するT細胞受容体を保有するT細胞のクローン増殖を誘導して、その結果、抗原または抗原を発現する細胞に対する免疫応答をもたらさなければならない。本開示によれば、免疫応答の候補となる任意の好適な抗原を想定することができる。抗原は、天然に存在する抗原に対応してもよく、またはそれに由来してもよい。
【0115】
本明細書に記載される本開示の態様および実施形態は、「有する」、「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」態様および実施形態を含むことが理解されよう。「有する」および「含む」という語、または変形物、例えば、「有する」、「有する」、「からなる」、もしくは「からなる」は、記載された要素(例えば、物質の組成物または方法工程)を含むものの、他の任意の要素の除外を意味しないことが理解されよう。「からなる」という用語は、記載された要素を含み、追加の要素を除外することを意味する。「から本質的になる」という用語は、記載された要素を含み、他の要素が開示の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない場合には、他の要素も含み得ることを意味する。「からなる」という用語または同等物を使用する本開示のさまざまな実施形態は、この用語が「からなる」または「から本質的になる」に置き換えられる実施形態を適用範囲に含むことが理解されよう。
【0116】
「髄膜炎菌の株によって引き起こされる疾患」という語句は、髄膜炎菌によるヒトの感染に存在するあらゆる臨床症状または臨床症状の組合せを範囲に含む。これらの症状としては、上気道(例えば、鼻咽頭および扁桃腺の粘膜)への髄膜炎菌の病原性株の定着、粘膜および粘膜下血管床への細菌の浸透、敗血症、敗血症性ショック、炎症、出血性皮膚病変、線維素溶解および血液凝固の活性化、臓器機能不全、例えば、腎臓、肺、および心不全、副腎出血および筋肉梗塞、毛細血管漏出、浮腫、末梢肢虚血、呼吸窮迫症候群、心膜炎ならびに髄膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本明細書で使用される場合、「個体」または「対象」または「患者」という用語は、互換的に使用され、哺乳動物を指すことを意図する。哺乳動物としては、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギ、および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の例示的な実施形態では、個体または対象は、ヒトである。
【0118】
本開示の文脈において、「薬学的に許容される担体」という表現は、本明細書に開示される免疫原性組成物の生理的活性、すなわち、低い反応原作用で免疫応答を誘発させるその能力を保ちながら、哺乳動物、例えば、ヒトへの投与について生理的に許容される担体またはビヒクルを指す。
【0119】
本明細書中で使用される場合、疾患または障害に関して、「予防する」、「予防する」または「進行を遅延させる」という用語(およびそれら文法上の変形物)は、例えば、疾患を有することが疑われる個体、または疾患を発症するリスクがある個体における、疾患または障害の予防的処置に関する。予防には、疾患の発症もしくは進行を予防もしくは遅延させること、および/または疾患もしくは障害の1つもしくはそれ以上の症状を所望のレベルまたは病的には至らないレベルで維持することが含まれるが、これらに限定されない。「予防する」という用語は、事象の発生の可能性または見込みの100%の排除を必要としない。そうではなくて、それは、事象の発生の可能性が本明細書中に記載される組成物または方法の存在下で低下したことを示す。
【0120】
「防御免疫」という用語は、哺乳動物に投与されるワクチンまたは免疫処置スケジュールが、髄膜炎菌によって引き起こされる疾患を予防するか、その発症を遅延させるか、もしくはその重症度を低下させるか、またはその疾患の症状を弱めるか、もしくは完全に消失させる免疫応答を誘導することを意味する。防御免疫は、殺菌抗体の産生を伴うことがある。髄膜炎菌に対する殺菌抗体の産生は、ヒトにおけるワクチンの防御効果を予測させるものとして当技術分野で認められていることに留意すべきである(Goldschneiderら(1969年)J.Exp.Med.129:1307頁)。
【0121】
本開示において、変化に関して使用される「有意に」という用語は、観察された変化が顕著であること、および/またはそれが統計的な意味を有することを意味することを意図する。
【0122】
本開示において、本開示の特徴に関連して使用される「実質的に」という用語は、この特徴に概ね類似しているが、完全には類似していない、この特徴に関連する実施形態のセットを規定することを意図している。所与の特徴に関連する実施形態のセットと所与の特徴との間の差異は、その実施形態のセットにおいて、所与の特徴の性質および機能が実質的に影響を受けないようなものである。
【0123】
抗原または抗原とアジュバントの組合せに関して使用される「免疫応答を誘発するのに十分な量で」または「免疫学的有効量」という語句は、対象に投与された場合に、抗原に対する免疫応答を誘発するのに有効な量を指すことを意図する。この量は、さまざまな因子、例えば、対象の健康または身体的状態、その年齢、抗体を産生する対象の免疫系の能力、所望の防御の程度、抗原を含有する組成物の処方、処置を行う医師による医学的状況の評価に依存して異なり得る。この量は、当業者に公知の慣行的な方法によって決定することができる。免疫応答の指標には、アッセイ、例えば、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)、殺菌アッセイ、フローサイトメトリー、免疫沈降、オクタロニー免疫拡散;例えば、スポット、ウェスタンブロットまたは抗原アレイの結合検出アッセイ;細胞傷害性アッセイなどによって検出される抗体の力価または特異性が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
本明細書で使用される場合、免疫応答誘発の文脈において、「処置する」、「処置」、「療法」などの用語は、疾患または障害、状態の症状を治癒する、癒す、軽減する、緩和する、変更する、治療する、回復させる、改善する、もしくは影響を与える目的で、または症状、合併症の発症を予防もしくは遅延させる目的で、または別様に、統計的に有意な様式で障害のさらなる進行を停止させるかもしくは阻害する目的での、本明細書に開示される組成物の投与または消費を指す。また、本明細書で使用される場合、本開示の文脈において、「処置する」、「処置」などの用語は、髄膜炎菌感染によって媒介される病理学的プロセスの軽減または緩和を指す。本開示の文脈において、本明細書中に記載される他の状態のいずれかに関する限り、用語「処置する」、「処置」などは、そのような状態に関連する1つまたはそれ以上の症状を緩和または軽減することを指す。
【0125】
本明細書で使用される場合、「ワクチン」という用語は、病原体によって引き起こされる疾患から対象を防御または処置することを意図して、免疫応答を誘発させるために対象に投与される、病原体を対象とする免疫原性組成物を意味することを意図する。本明細書に開示されるワクチンは、初期(および/または再発性)感染を予防するか、またはその発生の見込みを低下させることを意図して、感染の前に対象に投与するための予防的(予防処置的)ワクチンとしての使用が意図される。
【0126】
本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA」または「mRNA」という用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。本明細書で使用される場合、mRNAは、修飾RNAおよび非修飾RNAの両方を範囲に含む。mRNAは、1つまたはそれ以上のコード領域および非コード領域を含み得る。コード領域は、オープンリーディングフレーム(ORF)とも代替的に呼ばれる。mRNAにおける非コード領域には、5’キャップ、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、およびポリ(A)尾部が含まれる。mRNAは、天然の供給源から精製して、組換え発現系(例えば、インビトロ転写)を使用して産生させて、場合により精製することができ、または化学合成することができる。
【0127】
本明細書に開示されるmRNAは、修飾性でも非修飾性でもよい。一部の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの化学修飾を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるmRNAは、典型的にはRNA安定性を強化する1つまたはそれ以上の修飾を含み得る。例示的な修飾には、骨格修飾、糖修飾、または塩基修飾が含まれる。一部の実施形態では、開示されるmRNAは、プリン(アデニン(A)およびグアニン(G))またはピリミジン(チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U))を含むがこれらに限定されない、天然に存在するヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成することができる。一部の実施形態では、開示されるmRNAは、プリンおよびピリミジンの修飾されたヌクレオチド類似体または誘導体、例えば、1-メチル-アデニン、2-メチル-アデニン、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニル-アデニン、N6-メチル-アデニン、N6-イソペンテニル-アデニン、2-チオ-シトシン、3-メチル-シトシン、4-アセチル-シトシン、5-メチル-シトシン、2,6-ジアミノプリン、1-メチル-グアニン、2-メチル-グアニン、2,2-ジメチル-グアニン、7-メチル-グアニン、イノシン、1-メチル-イノシン、プソイドウラシル(5-ウラシル)、ジヒドロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウラシル、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-メチル-2-チオ-ウラシル、5-メチル-ウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチルアミノメチル-ウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5’-メトキシカルボニルメチル-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、1-メチル-プソイドウラシル、キューオシン、β-D-マンノシル-キューオシン、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート、ペプチドヌクレオチド、メチルホスホネート、7-デアザグアノシン、5-メチルシトシン、およびイノシンから合成することができる。
【0128】
一部の実施形態では、開示されるmRNAは、プソイドウリジン、N1-メチルプソイドウリジン、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロプソイドウリジン、5-メチルウリジン、5-メチルウリジン、5-メトキシウリジン、および2’-O-メチルウリジンを含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの化学修飾を含み得る。
【0129】
明確にするために別々の実施形態の文脈で記載されている本発明のある特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることは理解されよう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されている本発明のさまざまな特徴を、別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0130】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ただし、本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験において使用することができる。本明細書に記載されたすべての刊行物は、その刊行物が引用される方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0131】
以下に記載される供給源、成分、および構成要素のリストは、それらの組合せおよび混合物も想定されていて、本明細書の範囲内にあるように列挙される。
【0132】
本明細書を通じて与えられるすべての最大数値限定は、そのようなより低い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのより低い数値限定を含むことが理解されるべきである。本明細書を通じて与えられるすべての最小数値限定は、そのようなより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのより高い数値限定を含む。本明細書を通じて与えられるすべての数値範囲は、そのようなより狭い数値範囲がすべて本明細書に明示的に記載されているかのように、そのようなより広い数値範囲内に入るすべてのより狭い数値範囲を含む。
【0133】
例えば、成分のリストのような項目のすべてのリストは、マーカッシュ群として解釈されることが意図され、そう解釈されるべきである。したがって、すべてのリストは、項目のリスト「ならびにそれらの組合せおよび混合物」「からなる群から選択される」項目として読まれて、解釈される。
【0134】
本明細書において参照されるのは、本開示で利用されるさまざまな成分を含む構成要素の商標名であり得る。本発明者らは、本明細書において、任意の特定の商標名の材料によって限定されることを意図しない。商標名によって参照されるものと同等の材料(例えば、異なる名称または参照番号の異なる供給源から得られるもの)が、本明細書の説明において代用し、利用することができる。
【0135】
抗原
本明細書に開示される免疫原性組成物は、髄膜炎菌抗原の少なくとも1つの組合せを含む。抗原の組合せは、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含み得る。
【0136】
一実施形態では、髄膜炎菌抗原は、髄膜炎菌血清群Bに由来し得る。
【0137】
fHBP
当技術分野においてリポタンパク質2086(LP2086)、ORF2086、ゲノム由来ナイセリア属抗原(GNA)1870、または「741」とも称される髄膜炎菌fHBPは、ほぼすべての侵入性髄膜炎菌分離株の細菌表面で発現されるリポタンパク質である。fHBPは、補体第二経路の負の調節因子であるヒト補体H因子(fH)に結合することから、重要な病原性因子である(Seibら、Expert Rev Vaccines.2015年;14(6):841~59頁)。fHBPのヒトfHへの結合により、病原体が宿主の自然免疫系による補体第二経路媒介性死滅から逃れて、ヒトの血清および血液中で生存することが可能になる。
【0138】
3つの主要な遺伝的および免疫学的fHBPバリアントが記載されている:サブファミリーBに対応するバリアント1、ならびにサブファミリーAに分類されるバリアント2および3である(Seibら、Expert Rev Vaccines.2015年;14(6):841~59頁)。Pfizer社(fHBP AおよびB)およびNovartis社(バリアント1、2および3)によって提供される命名法に加えて、fHBPはPubMLSTデータベースにおいて固有のID番号で同定される。fHBPサブファミリーAとBの間には顕著な抗原多様性があるものの、サブファミリー内のタンパク質配列は高度に保存されており、異なる株の間の配列同一性は86%を上回る。髄膜炎菌に見出されるそれぞれの固有のfHBPは、neisseria.orgまたはpubmlst.org/neisseria/fHBP/websiteに従ってfHBPペプチドIDも割り当てられている。バリアント2(v.2)fHBPタンパク質(8047株由来、fHBP ID 77)およびバリアント3(v.3)fHBP(M1239株由来、fHBP ID 28)の長さには、MC58(fHBP ID 1)の長さとそれぞれ-1および+7アミノ酸残基の違いがあるため、v.2およびv.3 fHBPタンパク質の残基を参照するために使用される番号付けは、これらのタンパク質の実際のアミノ酸配列に基づく番号付けとは異なる。したがって、例えば、v.2またはv.3 fHBP配列の166位のロイシン残基(L)への参照は、v.2タンパク質の165位およびv.3タンパク質の173位の残基を参照している。バリアント1、2および3のメンバーは、侵襲性疾患を引き起こすMenB臨床分離株のそれぞれ約65%、25%および10%に存在する。MenB株の全世界の集団において頻度の高いfHBPのバリアント上位10を合計すると、米国およびヨーロッパにおける侵襲性疾患起因菌株のおよそ80%に相当する(Bambiniら、Vaccine.2009年;27(21):2794~803頁;Chang、J Infect 2019年;S0163-4453(19):30272~5頁;Lucidarme、Clin Vaccine Immunol 2010;17(6):919~29頁;およびMurphyら、The Journal of infectious diseases.2009年;200(3):379~89頁;Wangら、Vaccine.2011年;29(29-30):4739~44頁)。
【0139】
本開示に従って使用されるfHBPは、野生型(または天然に存在する)ポリペプチドであってもよく、またはアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失(天然には存在しない)によって改変されてもよいが、ただし、そのポリペプチドが免疫応答を誘発し得ることを条件とする。
【0140】
本開示に従って使用されるfHBPは、脂質化fHBPまたは非脂質化fHBPであり得る。脂質化タンパク質は、通常、そのN末端配列中に、脂質化のための特異的ペプチド配列を含む。この配列は、タンパク質の成熟段階の間に切断される。これらの脂質化シグナルペプチドは、それぞれの種類のタンパク質およびタンパク質を産生する宿主の細胞に対して特異的である。
【0141】
ORF2086ポリペプチドは、髄膜炎菌において、リポタンパク質シグナルモチーフを有する前駆体タンパク質として発現される。プロセシングの間にモチーフは切断されてN末端システイン残基が残り、これはタンパク質をナイセリア属外膜に係留する脂質アンカーによって共翻訳的に修飾される(McNeilら、(2013年)MMBR 77(2):234~252頁)。
【0142】
組換えタンパク質の脂質化を回避するために、当技術分野で公知の種々の技術を使用することができる。例えば、脂質化ペプチドシグナルを欠失させるか、または脂質化ペプチドシグナルを、タンパク質が産生される細胞によっては認識されない別のペプチドシグナルに置き換えることが可能である。米国特許第10,300,122 B2号は、ORF 2086に対するこの手法の使用を記載している。
【0143】
N末端システインをコードするコドンを別のアミノ酸をコードするコドンに置き換えるか、またはN末端システインをコードするコドンを除去することも可能である。例えば、fHBPに関して、米国特許第10,300,122 B2号は、成熟ポリペプチドをコードするORF2086の第2の5’末端コドンにATG(メチオニン)コドンを直接融合させ、システイン脂質化部位の欠失をもたらす(またはシステインをメチオニンによって置き換える)ことを記載している。また、例えば、米国特許第9,724,402 B2号または米国特許第11,077,180 B2号は、N末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換された非脂質化fHBPを得ることを開示している。
【0144】
本開示に従って使用されるfHBPは、天然に存在するタンパク質であってもよく、または天然に存在しないタンパク質であってもよい。天然に存在しないタンパク質は、「人工タンパク質」を指し、天然に存在するタンパク質とは反対に、天然には見出されない異種成分を有するfHBPを含む。天然に存在しないタンパク質は、キメラタンパク質または変異タンパク質であり得る。本開示の文脈における「キメラタンパク質」は、それぞれが異なるfHBP(例えば、バリアント1、2、または3)に由来する2つまたはそれ以上の異なる構成要素を含むタンパク質を指すことを意図する。変異タンパク質における変異は、アミノ酸置換、挿入、または欠失を含み得る。一実施形態では、変異はアミノ酸置換である。
【0145】
本明細書に開示される免疫原性組成物に好適な天然に存在しないfHBPは、依然としてfHBPに対する免疫応答を誘発させることができる。一実施形態では、本開示に従って使用される天然に存在しないfHBPは、変異fHBPであり得る。変異、例えば、アミノ酸置換を、個体の血液中に通常存在する凝固H因子(fH)へのfHBP抗原の結合を減少させるかまたは抑制するために導入することもできる。このため、本開示の免疫原性組成物中に使用されるfHBP抗原へのfHの結合の防止により、免疫系に到達可能な抗原の量を増加させて、これらの抗原に対する免疫応答の効能および効率を改善することができる。有利なことに、変異fHBPは、fH結合部位内のfHBPエピトープを対象とする抗fHBP抗体レパートリーを誘導することができ、その結果、fH結合部位の外側のfHBPエピトープを標的とする野生型(WT)fHBP抗原によって誘発される抗体よりも大きな防御的補体沈着活性をもたらした。
【0146】
本明細書に開示される免疫原性組成物について考慮される天然に存在しないfHBPは、対応する天然に存在するfHBPと比較して、fHに対する低下した親和性、または改善された熱安定性を示すことができる。fHタンパク質に対する親和性および熱安定性は、WO 2016/014719 A1に開示されるように(本文書の実施例1または3におけるように)測定することができる。
【0147】
便宜および明確さのために、特に断りのない限り、配列番号6のfHBP B24(または髄膜炎菌株MC58のfHBP ID 1もしくはv.1 fHBP)のネイティブ性のまたは天然に存在するアミノ酸配列を、本明細書におけるすべての天然に存在するおよび天然に存在しないfHBPアミノ酸配列についての参照配列として選択する。したがって、fHBP中のアミノ酸残基位置を参照する場合、本明細書で使用される位置番号は、配列番号6(fHBP B24)のアミノ酸残基番号に対応する。その結果として、位置番号1は、配列番号6に示される最初のアミノ酸残基であり、これはシステインである。これは、このシステインの前に、配列番号6のN末端にさらなるアミノ酸が付加される場合にも成り立つ。
【0148】
一実施形態では、本開示において使用されるfHBP AまたはB抗原に導入される変異、例えば、アミノ酸置換は、WO 2011/126863 A1、WO 2015/017817 A1、またはWO 2016/014719 A1に開示されている通りであり得る。
【0149】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、野生型髄膜炎菌fHBPとのアミノ酸配列の違いが、1~10アミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸)、10アミノ酸~15アミノ酸、15アミノ酸~20アミノ酸、20アミノ酸~30アミノ酸、30アミノ酸~40アミノ酸、または40アミノ酸~50アミノ酸である、天然に存在しないfHBPを含み得る。
【0150】
一部の実施形態では、fHBPは、参照fHBP配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0151】
同一性(例えば、パーセント相同性)は、さまざまな公知の配列比較ツール、例えば、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center of Biotechnology Information)(NCBI)のBlastソフトウェアを含む、ペアワイズ配列アラインメントを計算する任意の相同性比較ソフトウェアを使用して、例えば、デフォルトパラメーターを使用することによって決定することができる。この同一性は、グローバル同一性、すなわち、アミノ酸配列または核酸配列の一部分ではなく全体にわたる同一性である。ペアワイズグローバルアラインメントは、Needlemanら、Journal of Molecular Biology、1970年、443~53頁、第48巻によって定義されている。例えば、ポリペプチド配列から出発して、他のポリペプチド配列と比較する場合、EMBOSS-6.0.1 Needleman-Wunschアルゴリズム(http://emboss.sourceforge.net/apps/cvs/emboss/apps/needle.html)から入手可能)を使用して、2つの配列の全長に沿った最適なアラインメント(「グローバルアラインメント」)を見出すことができる。
【0152】
本明細書に開示される免疫原性組成物において使用されるfHBP抗原は、WO 2016/014719 A1に開示されている通りに入手可能である。fHBPは、産生のために宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)株にトランスフェクトされた組換え発現ベクター(または構築物)からの組換えタンパク質として入手することができる。fHBPをコードする核酸を移入および発現するために好適なベクターは、組成がさまざまであり得る。組込みベクターは、条件的複製プラスミドまたは自殺プラスミド、バクテリオファージなどであり得る。
【0153】
構築物は、例えば、プロモーター、選択用遺伝子マーカー(例えば、抗生物質(例えば、カナマイシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、またはゲンタマイシン)に対する耐性を付与する遺伝子)、複製起点(宿主細胞、例えば、細菌宿主細胞における複製を促進するため)などを含む、種々のエレメントを含み得る。ベクターの選択は、種々の因子、例えば、増殖が所望される細胞のタイプおよび増殖の目的に依存すると考えられる。ある特定のベクターは、所望のDNA配列を増幅し、大量に作製するために有用である。他のベクターは、培養中の細胞における発現に好適である。適切なベクターの選択は、十分に当業者の技能の範囲内にある。多くのそのようなベクターが市販されている。
【0154】
1つの例では、ベクターは、異なる宿主細胞(例えば、大腸菌および髄膜炎菌の両方)における自律複製をもたらす選択用薬物耐性マーカーおよびエレメントを含むエピソームプラスミドに基づく発現ベクターであり得る。そのような「シャトルベクター」の一例は、プラスミドpFPIOである(Pagottoら(2000年)Gene 244:13~19頁)。ベクターは、宿主細胞における染色体外維持をもたらすことができ、または宿主細胞ゲノムへの組込みをもたらすことができる。ベクターは、例えば、「Short Protocols in Molecular Biology」(1999年)、F.Ausubelら編、Wiley&Sonsを含む、当業者に周知の多数の刊行物に十分に記載されている。ベクターは、対象fHBPをコードする核酸の発現をもたらしてもよく、対象核酸の増殖をもたらしてもよく、またはその両方をもたらしてもよい。
【0155】
使用可能であるベクターの例には、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNAに由来するものが含まれるが、これらに限定されない。例えば、プラスミドベクター、例えば、pBR322、pUC 19/18、pUC 118、119およびM13 mpシリーズのベクターを使用することができる。pET21も、使用し得る発現ベクターである。バクテリオファージベクターには、λgtl0、λgtl、λgtl8-23、λzAp/RおよびEMBLシリーズのバクテリオファージベクターが含まれる。利用可能なさらなるベクターには、pJB8、pCV 103、pCV 107、pCV 108、pTM、pMCS、pNNL、pHSG274、COS202、COS203、pWE15、pWE16およびcharomid 9シリーズのベクターが含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
組換え発現ベクターは、転写制御エレメント、例えば、プロモーターに作動可能に連結されたfHBPをコードするヌクレオチド配列を含み得る。プロモーターは、恒常的または誘導性であり得る。プロモーターは、原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞における使用のために適合させることができる。
【0157】
発現ベクターは、転写および翻訳調節配列をもたらし、誘導性または恒常的発現をもたらすことができ、ここでコード領域は、転写開始領域ならびに転写および翻訳終結領域の転写制御下で作動可能に連結されている。これらの調節領域は、対象fHBPが由来するfHBPに対してネイティブ性であってもよく、または外因性供給源に由来してもよい。一般に、転写および翻訳調節配列には、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列が含まれるが、これらに限定されない。プロモーターは、恒常的または誘導性のいずれかであることができ、強力な恒常的プロモーター(例えば、T7など)であり得る。
【0158】
発現ベクターは、一般に、目的のタンパク質をコードする核酸配列の挿入をもたらすために、プロモーター配列の近くに位置する好都合な制限部位を有する。構築物(組換えベクター)は、例えば、目的のポリヌクレオチドを、構築物の骨格内に、典型的には、ベクター中の切断された制限酵素部位へのDNAリガーゼ結び付けによって挿入することによって調製することができる。あるいは、所望のヌクレオチド配列を、相同組換えまたは部位特異的組換えによって挿入することもできる。典型的には、相同組換えは、所望のヌクレオチド配列の側面にあるベクターに相同領域を結び付けることによって達成することができ、一方、部位特異的組換えは、部位特異的組換えを促進する配列(例えば、cre-lox、att部位など)の使用を通じて達成することができる。そのような配列を含む核酸は、例えば、オリゴヌクレオチドの連結によって、または相同領域および所望のヌクレオチド配列の一部の両方を含むプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって付加することができる。
【0159】
さらに、発現構築物は、さらなるエレメントを含み得る。例えば、発現ベクターは、1つまたは2つの複製系を有することができ、そうすることで、発現のために、例えば、哺乳動物細胞または昆虫細胞において、ならびにクローニングおよび増幅のために原核生物宿主において、生物中で維持されることが可能になる。さらに、発現構築物は、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするために、選択マーカー遺伝子を含み得る。選択遺伝子は当技術分野において周知であり、使用される宿主細胞によってさまざまである。
【0160】
アミノ酸置換は、当技術分野で公知の任意の技術によって、fHBPヌクレオチド配列に導入することができる。例えば、アミノ酸置換を、WO 2011/126863 A1、WO 2015/017817 A1、またはWO 2016/014719 A1に開示されている通りに得ることができる。他の例示的実施形態では、アミノ酸置換は、WO 2015/128480、WO 2010/046715、WO 2016/008960、WO 2020/030782、またはWO 2011/051893に開示されている通りに得ることができる。
【0161】
組換えfHBPは、例えば、実施例の項に記載されているように、当技術分野で公知の任意の精製方法によって、培養物から精製形態で得ることができる。
【0162】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、本明細書に開示される免疫原性組成物中に、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量の量で存在し得る。一実施形態では、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の量で存在し得る。
【0163】
fHBP A
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、少なくとも1つのfHBP Aバリアント抗原を含み得る。少なくとも1つのfHBP Aタンパク質は、脂質化タンパク質または非脂質化タンパク質であり得る。例示的な一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、非脂質化タンパク質であり得る。
【0164】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、天然に存在するfHBPであってもよく、または天然に存在しないfHBPであってもよい。一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、天然に存在するfHBPであり得る。別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、天然に存在しないfHBPであり得る。
【0165】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号1に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または約100%のアミノ酸配列同一性を含むタンパク質であり得る。少なくとも1つのfHBP Aタンパク質は、脂質化もしくは非脂質化タンパク質であってよく、および/または天然に存在するかもしくは天然に存在しないfHBPであってよい(天然に存在しないfHBP A05タンパク質は、fHBP A05または配列番号1に対して100%同一ではない)。
【0166】
天然に存在しないfHBP Aタンパク質は、WO 2011/126863 A1もしくはWO 2015/017817 A1に開示されている通りのキメラタンパク質、またはWO 2016/014719 A1、WO 2011/051893、WO 2016/008960もしくはWO 2015/128480に開示されている通りの変異fHBP Aタンパク質であり得る。例示的な一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、変異タンパク質であり得る。
【0167】
例示的な一実施形態では、天然に存在しないfHBP Aタンパク質は、変異タンパク質であり得る。天然に存在しないfHBP Aタンパク質は、非脂質化タンパク質であり得る。例示的な一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、天然に存在しない、例えば、変異した非脂質化fHBP Aタンパク質であり得る。
【0168】
一実施形態では、天然に存在しないfHBP Aタンパク質は、野生型髄膜炎菌fHBP Aタンパク質、例えば、fHBP A05とのアミノ酸配列の違いが、1~10アミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸)、10アミノ酸~15アミノ酸、15アミノ酸~20アミノ酸、20アミノ酸~30アミノ酸、30アミノ酸~40アミノ酸、または40アミノ酸~50アミノ酸であり得る。
【0169】
一実施形態では、非天然fHBP Aタンパク質は、配列番号1に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含む変異タンパク質であり得る。非天然fHBP A05タンパク質は、fHBP A05または配列番号1に対して100%同一ではない。
【0170】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。
【0171】
別の実施形態では、天然に存在しない、またはした変異fHBP Aタンパク質は、WO 2011/051893(fHBP A19の成熟リポタンパク質形態)において配列番号5として同定されるfHBP配列の番号付けに関してWO 2011/051893に開示されている以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸の欠失または置換を含み得る:D37、K45、T56、E83、E95、E112、S122、I124、R127、T139、F141、N142、Q143、L197、D210、R212、K218、N43、N116、K119、T220および/または240。一実施形態では、アミノ酸の欠失または置換は、WO 2011/051893に開示されているとおりである。
【0172】
別の実施形態では、天然に存在しないか、または変異したfHBP Aタンパク質は、WO 2016/008960において配列番号17として同定されているfHBP配列(A124またはバリアント3.28またはID28)の番号付けに関してWO 2016/008960に開示されているように、以下の位置のいずれか1つに少なくとも1つのアミノ酸の欠失または置換を含み得る:S32、L126および/またはE243。1つ、2つまたは3つの残基が欠失してもよい。あるいは、それらを異なるアミノ酸によって置換してもよい。例えば、Leu-126を、他の19種の天然に存在するアミノ酸のいずれかによって置換してもよい。置換が行われる場合、一部の実施形態における置換アミノ酸は、単純なアミノ酸、例えば、グリシンまたはアラニンであり得る。他の実施形態では、置換アミノ酸は保存的置換であり、例えば、以下の4つのグループ内で行われる:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。他の実施形態では、置換は非保存的である。一実施形態では、特定の残基における置換は、以下の通りである:S32V;L126R;および/またはE243A。
【0173】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Aタンパク質は、WO 2016/008960において配列番号5として同定されているfHBP配列(成熟リポタンパク質形態)の番号付けに関してWO 2016/008960に開示されているように、以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸の欠失または置換を含み得る:S32、L123および/またはE240。1つ、2つまたは3つの残基が欠失してもよい。あるいは、それらを異なるアミノ酸によって置換してもよい。例えば、Leu-123を、他の19種の天然に存在するアミノ酸のいずれかによって置換してもよい。置換が行われる場合、一部の実施形態における置換アミノ酸は、単純なアミノ酸、例えば、グリシンまたはアラニンであり得る。他の例では、置換アミノ酸は保存的置換であり、例えば、以下の4つのグループ内で行われる:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。他の実施形態では、置換は非保存的である。一実施形態では、特定の残基における置換は、以下の通りであり得る:S32V;L123R;および/またはE240A。
【0174】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Aタンパク質は、WO 2015/128480において配列番号5として同定されているfHBP配列(fHBP A19またはv2.16またはID16)の番号付けに関してWO 2015/128480に開示されているように、以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸の欠失または置換を含み得る:S32、V33、L39、L41、F69、V100、1113、F122、L123、V124、S125、G126、L127、G128、S151、H239、および/またはE240。一実施形態では、変異のための残基は、S32、V100、L123、V124、S125、G126、L127、G128、H239、および/またはE240であり得る。これらの残基での変異は、野生型fHBP Aと比較して良好な安定性を有するタンパク質を生じさせる。一実施形態では、変異のための残基は、S32、L123、V124、S125、G126、L127、および/またはG128であり得る。一実施形態では、変異のための残基は、S32、L123、V124、S125、G126、L127、および/またはG128であり得る。別の実施形態では、残基S32および/またはL123が変異してもよく、例えば、S32Vおよび/またはL123であってもよい。V100、S125、および/またはG126のうちの1つまたはそれ以上が変異している場合、この3つ組の外側の残基に変異を導入してもよい。
【0175】
指定された残基が欠失してもよいが、好ましくは、それは異なるアミノ酸によって置換される。例えば、Ser-32を、他の19種の天然に存在するアミノ酸のいずれかによって置換してもよい。置換が行われる場合、一部の実施形態における置換アミノ酸は、単純なアミノ酸、例えば、グリシンまたはアラニンであり得る。他の実施形態では、置換アミノ酸は保存的置換であり、例えば、それは以下の4つのグループ内で行われる:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。他の実施形態では、置換は非保存的である。一部の実施形態では、置換にはアラニンを使用しない。
【0176】
例えば、指定された残基での置換は、以下の通りであり得る:S32V;V33C;L39C;L41C;F69C;V100T;I113S;F122C;L123R;V124I;S125GまたはS125T;G126D;L127I;G128A;S151C;H239R;またはE240H。
【0177】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Aタンパク質は、WO 2015/128480において配列番号17として同定されているfHBP配列(A124またはバリアント3.28またはID28)の番号付けに関してWO 2015/128480に開示されているように、以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸の欠失または置換を含み得る:S32、V33、L39、L41、F72、V103、T116、F125、L126、V127、S128、G129、L130、G131、S154、H242、および/またはE243。一実施形態では、変異のための残基は、S32、V103、L126、V127、S128、G129、L130、G131、H242、および/またはE243であり得る。一実施形態では、変異のための残基は、S32、L126、V127、S128、G129、L130、および/またはG131であり得る。別の実施形態では、残基S32、L126、V127、S128、G129、L130、および/またはG131、例えば、残基S32および/またはL126を、例えば、S32Vおよび/またはL126Rに変異させることができる。
【0178】
指定された残基が欠失してもよいが、好ましくは、それは異なるアミノ酸によって置換される。例えば、Ser-32を、他の19種の天然に存在するアミノ酸のいずれかによって置換してもよい。置換が行われる場合、一部の実施形態における置換アミノ酸は、グリシンまたはアラニンのような単純なアミノ酸であり得る。他の実施形態では、置換アミノ酸は保存的置換であり、例えば、それは以下の4つのグループ内で行われる:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。他の実施形態では、置換は非保存的である。一部の実施形態では、置換にはアラニンを使用しない。
【0179】
例えば、特定された残基での置換は、以下の通りであり得る:S32V;I33C;L39C;L41C;F72C;V103T;T116S;F125C;L126R;V127I;S128GまたはS128T;G129D;L130I;G131A;S154C;H242R;E243H。
【0180】
アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換は、N115I置換(I:イソロイシン)であり得る。非極性の、正荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、バリン、ロイシン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、場合によっては、fHBPは、N115V置換、N115L置換、N115K置換、N115R置換、N115H置換、N115F置換、N115Y置換、またはN115W置換を含み得る。
【0181】
アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換は、D121G置換(G:グリシン)であり得る。非極性の、正荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPバリアントは、D121L置換、D121I置換、D121V置換、D121K置換、D121R置換、D121H置換、D121F置換、D121Y置換、またはD121W置換を含み得る。
【0182】
アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換は、S128T置換(T:トレオニン)であり得る。極性の、荷電性の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPバリアントは、S128M置換、S128N置換、S128D置換、S128E置換、S128K置換、S128R置換、S128H置換、S128F置換、S128Y置換、またはS128W置換を含み得る。
【0183】
fHBP Aは、アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換を含み得る。アミノ酸130でのロイシン(L130)のアミノ酸置換は、L130R置換(R:アルギニン)であり得る。
【0184】
fHBP Aは、アミノ酸131のバリン(V131)のアミノ酸置換を含み得る。荷電性の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPは、V131E置換、V131K置換、V131R置換、V131H置換、V131F置換、V131Y置換、またはV131W置換を含み得る。
【0185】
fHBP Aは、アミノ酸133のグリシン(G133)のアミノ酸置換を含み得る。アミノ酸133のグリシン(G133)のアミノ酸置換は、G133D置換(D:アスパラギン酸)であり得る。
【0186】
fHBP Aは、219位のリジン(K219)のアミノ酸置換を含み得る。極性の、負荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPは、K219Q置換、K219D置換、K219E置換、K219F置換、K219Y置換、またはK219W置換を含み得る。
【0187】
アミノ酸220のグリシン酸(G220)のアミノ酸置換は、G220S置換(S:セリン)であり得る。極性の、荷電性の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPは、G220N置換、G220Q置換、G220D置換、G220E置換、G220K置換、G220R置換、G220H置換、G220F置換、G220Y置換、またはG220W置換を含み得る。
【0188】
例示的な一実施形態では、アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換は、L130R置換(R:アルギニン)であり得る。
【0189】
例示的な一実施形態では、アミノ酸133のグリシン(G133)のアミノ酸置換は、G133D置換(D:アスパラギン酸)であり得る。
【0190】
例示的な一実施形態では、220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換は、G220S置換(S:セリン)であり得る。
【0191】
別の実施形態では、天然に存在しないか、または変異したfHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。別の実施形態では、天然に存在しないfHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも3つのアミノ酸置換を含み得る。別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dの3つのアミノ酸置換のみを含み得る。
【0192】
一実施形態では、天然に存在しない(または変異した)fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換からなる群において選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む、非脂質化変異fHBP Aタンパク質であり得る。
【0193】
別の実施形態では、天然に存在しない(または変異した)fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、N115I置換、N115V置換、N115L置換、N115K置換、N115R置換、N115H置換、N115F置換、N115Y置換、N115W置換、D121G置換、D121L置換、D121I置換、D121V置換、D121K置換、D121R置換、D121H置換、D121F置換、D121Y置換、D121W置換、S128T置換、S128M置換、S128N置換、S128D置換、S128E置換、S128K置換、S128R置換、S128H置換、S128F置換、S128Y置換、S128W置換、L130R置換、V131E置換、V131K置換、V131R置換、V131H置換、V131F置換、V131Y置換、V131W置換、G133D置換、K219Q置換、K219D置換、K219E置換、K219F置換、K219Y置換、K219W置換、G220S置換、G220N置換、G220Q置換、G220D置換、G220E置換、G220K置換、G220R置換、G220H置換、G220F置換、G220Y置換、またはG220W置換からなる群において選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む、非脂質化変異fHBP Aタンパク質であり得る。
【0194】
例示的な一実施形態では、天然に存在しない(または変異した)fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む、非脂質化変異fHBP Aタンパク質であり得る。別の実施形態では、天然に存在しない、または変異した非脂質化fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも3つのアミノ酸置換を含み得る。別の例示的実施形態では、非脂質化変異fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dの3つのアミノ酸置換のみを含み得る。
【0195】
例示的な一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号1に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む、非脂質化変異タンパク質であり得る。変異した非脂質化fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、G220S、L130R、およびG133Dからなる群において選択される少なくとも3つのアミノ酸置換を含み得る。別の例示的な実施形態では、非脂質化変異fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、3つのアミノ酸置換G220S、L130R、およびG133Dのみを含み得る。
【0196】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含み得る。
【0197】
別の実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号2を含むか、またはそれからなることができる。
【0198】
別の実施形態は、配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質をコードするmRNAを対象とする。mRNAは、配列番号1を含むかもしくはそれからなるfHBP Aタンパク質をコードするか、または配列番号2を含むかもしくはそれからなるfHBP Aタンパク質をコードすることができる。
【0199】
アミノ酸置換は、当技術分野で公知の任意の手法によってfHBP Aヌクレオチド配列に導入することができる。例えば、アミノ酸置換を、WO 2016/014719 A1に開示されている通りに得ることができる。
【0200】
一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、本明細書に開示される免疫原性組成物中に、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量の量で存在し得る。一実施形態では、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の量で存在し得る。
【0201】
fHBP B
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、少なくとも1つのfHBP Bバリアント抗原を含み得る。少なくとも1つのfHBP Bタンパク質は、脂質化タンパク質または非脂質化タンパク質であり得る。例示的な一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、非脂質化タンパク質であり得る。
【0202】
一実施形態では、fHBP AおよびfHBP Bタンパク質は、脂質化していてもよい。一実施形態では、fHBP AおよびfHBP Bタンパク質は、脂質化していなくてもよい。あるいは、fHBP Aタンパク質は脂質化していて、fHBP Bタンパク質は脂質化していなくてもよい。さらにまた、fHBP Aタンパク質は脂質化しておらず、fHBP Bタンパク質は脂質化していてもよい。
【0203】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、天然に存在するfHBPであってもよく、または天然に存在しないfHBPであってもよい。一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、天然に存在するfHBPであり得る。別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、天然に存在しないfHBPであり得る。
【0204】
一実施形態では、fHBP AおよびfHBP Bタンパク質は、天然に存在するfHBPであり得る。一実施形態では、fHBP AおよびfHBP Bタンパク質は、天然に存在しないfHBPであり得る。あるいは、fHBP Aタンパク質は天然に存在するfHBPであって、fHBP Bタンパク質は天然に存在しないfHBPであってもよい。さらにまた、fHBP Aタンパク質は天然に存在しないfHBPであって、fHBP Bタンパク質は天然に存在するfHBPであってもよい。
【0205】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号3に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または約100%のアミノ酸配列同一性を含むタンパク質であり得る。少なくとも1つのfHBP Bタンパク質は、脂質化もしくは非脂質化タンパク質であってよく、および/または天然に存在するかもしくは天然に存在しないfHBPであってよい(天然に存在しないfHBP B01タンパク質は、fHBP B01または配列番号3に対して100%同一ではない)。
【0206】
天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、WO 2011/126863 A1もしくはWO 2015/017817 A1に開示されている通りのキメラタンパク質であってもよく、またはWO 2016/014719 A1、WO 2011/051893、もしくはWO 2020/030782に開示されている通りの変異fHBP Bタンパク質であってもよい。例示的な一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、変異タンパク質であり得る。
【0207】
例示的な一実施形態では、天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、変異タンパク質であり得る。天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、非脂質化タンパク質であり得る。例示的な一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、天然に存在しない、例えば、変異した非脂質化fHBP Bタンパク質であり得る。
【0208】
一実施形態では、天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、野生型髄膜炎菌fHBP Bタンパク質、例えば、fHBP B01とのアミノ酸配列の違いが、1~10アミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸)、10アミノ酸~15アミノ酸、15アミノ酸~20アミノ酸、20アミノ酸~30アミノ酸、30アミノ酸~40アミノ酸、または40アミノ酸~50アミノ酸であり得る。
【0209】
一実施形態では、天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、配列番号3に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含む変異タンパク質であり得る。天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、fHBP B01または配列番号3に対して100%同一ではない。
【0210】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換、b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換、c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換、d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換、およびe)アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。
【0211】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、WO 2011/051893において配列番号4として同定されているfHBP配列(fHBP B24の成熟リポタンパク質形態)の番号付けに関してWO 2011/051893に開示されている以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸の欠失または置換を含み得る:D37、K45、T56、E83、E95、E112、K122、V124、R127、T139、F141、D142、K143、I198、S211、L213、K219、N43、D116、H119、S221およびK241。
【0212】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、WO 2020/030782において配列番号2として同定されているfHBP配列(fHBP B09の成熟リポタンパク質形態)の番号付けに関してWO 2020/030782に開示されている通りに、以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る:E211、S216またはE232。
【0213】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、WO 2020/030782において配列番号2として同定されているfHBP配列(fHBP B09の成熟リポタンパク質形態)の番号付けに関してWO 2020/030782に開示されている通りに、以下の位置のいずれか1つに、以下のアミノ酸置換の少なくとも1つを含み得る:E211A、S216RまたはE232A。
【0214】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、WO 2020/030782において配列番号6として同定されているfHBP配列(成熟リポタンパク質形態のfHBP B44)の番号付けに関してWO 2020/030782に開示されている通りに、以下の位置のいずれか1つに、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る:E214、S219またはE235。
【0215】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、WO 2020/030782において配列番号2として同定されているfHBP配列(fHBP B44の成熟リポタンパク質形態)の番号付けに関してWO 2020/030782に開示されている通りに、以下の位置のいずれか1つに、以下のアミノ酸置換の少なくとも1つを含み得る:E214A、S219RまたはE235A。
【0216】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、WO2010046715において配列番号1として同定されているfHBP配列(fHBP24の成熟リポタンパク質形態)の番号付けに関してWO2010046715に開示されている通りに、以下の位置のいずれか1つに、以下のアミノ酸置換の少なくとも1つを含み得る:、103、106、107、108、109、145、147、149、150、154、156、157、180、181、182、183、184、185、191、193、194、195、196、199、262、264、266、267、268、272、274、283、285、286、288、289、302、304、306、311および313。一実施形態では、H因子結合タンパク質において変化し得る1つまたはそれ以上のアミノ酸は、WO2010046715において配列番号1として同定されているfHBP配列の番号付けに関して、アミノ酸番号103、106、107、108、180、181、183、184、185、191、193、195、262、264、266、272、274、283、286、304および306を含む群から選択することができる。
【0217】
アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換は、Q38R置換(R:アルギニン)であり得る。正荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、場合によっては、fHBPは、Q38K置換、Q38H置換、Q38F置換、Q38Y置換、またはQ38W置換を含み得る。
【0218】
アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換は、E92K置換であり得る。正荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPバリアントは、E92R置換、E92H置換、E92F置換、E92Y置換、またはE92W置換を含み得る。
【0219】
アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換は、R130G置換(G:グリシン)であり得る。負荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンもまた、R130で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPバリアントは、R130D置換、R130E置換、R130F置換、R130Y置換、またはR130W置換を含み得る。
【0220】
アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換は、S223R置換(R:アルギニン)であり得る。正荷電の、または芳香族側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、この位置で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHbpバリアントは、S223K置換、S223H置換、S223F置換、S223Y置換、またはS223W置換を含む。
【0221】
例示的な一実施形態では、アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換は、H248L置換(L:ロイシン)であり得る。非極性の、負荷電の、または芳香族の側鎖を有する他のアミノ酸、例えば、イソロイシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンもまた、H248で置換可能である。したがって、例えば、場合によっては、fHBPは、H248I置換、H248V置換、H248D置換、H248E置換、H248F置換、H248Y置換、またはH248W置換を含み得る。
【0222】
別の実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、少なくともH248Lのアミノ酸置換を含み得る。別の実施形態では、天然に存在しないfHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、H248Lのアミノ酸置換のみを含み得る。
【0223】
一実施形態では、天然に存在しない(または変異した)fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換;b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換;c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換;d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換;およびe)アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換からなる群において選択されるアミノ酸置換のうちの少なくとも1つを含む、非脂質化変異fHBP Bタンパク質であり得る。
【0224】
別の実施形態では、天然に存在しない(または変異した)fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、Q38R置換、Q38K置換、Q38H置換、Q38F置換、Q38Y置換、Q38W置換、E92K置換、E92R置換、E92H置換、E92F置換、E92Y置換、E92W置換、R130G置換、R130D置換、R130E置換、R130F置換、R130Y置換、R130W置換、S223R置換、S223K置換、S223H置換、S223F置換、S223Y置換、S223W置換、H248L置換、H248I置換、H248V置換、H248D置換、H248E置換、H248F置換、H248Y置換、またはH248W置換からなる群において選択されるアミノ酸置換の少なくとも1つを含む、非脂質化変異fHBP Bタンパク質であり得る。
【0225】
別の例示的実施形態では、天然に存在しない、または変異したfHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、少なくともアミノ酸置換H248Lを含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質であり得る。別の例示的実施形態では、非脂質化変異fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、アミノ酸置換H248Lのみを含む非脂質化変異fHBP Bタンパク質であり得る。
【0226】
例示的な一実施形態では、fHBP Aタンパク質は、配列番号3に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を含み、かつ、配列番号6の番号付けに基づく、少なくともアミノ酸置換H248Lを含む、非脂質化変異タンパク質であり得る。非脂質化変異fHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく、アミノ酸置換H248Lのみを含み得る。
【0227】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含み得る。
【0228】
別の実施形態では、fHBP Bタンパク質は、配列番号4を含むか、またはそれからなることができる。
【0229】
別の実施形態は、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質をコードするmRNAを対象とする。mRNAは、配列番号3を含むかもしくはそれからなるfHBP Bタンパク質をコードするか、または配列番号4を含むかもしくはそれからなるfHBP Aタンパク質をコードすることができる。
【0230】
アミノ酸置換は、当技術分野で公知の任意の手法によってfHBP Bヌクレオチド配列に導入することができる。例えば、アミノ酸置換を、WO 2016/014719 A1に開示されている通りに得ることができる。
【0231】
一実施形態では、fHBP Bタンパク質は、本明細書に開示される免疫原性組成物中に、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量の量で存在し得る。一実施形態では、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の量で存在し得る。
【0232】
NadA
ナイセリア属アドヘシンA(NadA、以前はGNA1994として知られた)は、膜貫通ドメインを介して外膜に係留されたオリゴマーを形成する表面露出三量体タンパク質であり、上皮細胞への接着および浸潤に重要な役割を果たす(Capecchiら、Mol.Microbiol.2005年;55:(687~98頁))。多くの株由来のNadA抗原の配列が公開されており、ナイセリア属アドヘシンとしてのタンパク質の活性が十分に立証されている。NadA遺伝子は髄膜炎菌分離株の約50%に存在する。NadAは増殖期依存性の発現を示し、定常増殖期に最高レベルを示す。
【0233】
NadA抗原は、遺伝子NMB1994(GenBank受託番号GI:7227256)として、髄膜炎菌血清群B株MC58の公開ゲノム配列に含められた。
【0234】
本開示に従って使用するためのNadAポリペプチドは、野生型ポリペプチドであってもよく、またはアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失によって改変されてもよいが、ただし、そのポリペプチドがNadAに対する免疫応答を誘発し得ることを条件とする。
【0235】
一部の実施形態では、使用されるNadAタンパク質は、例えば、参照文献WO 01/64920;WO 01/64922;またはWO 03/020756に開示されている通りにアミノ酸欠失または挿入を含む、N末端および/またはC末端が切断されたNadAまたはNadAタンパク質であり得る。
【0236】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物において使用される組換えNadAタンパク質は、NadA1バリアントであり得る。実施例に示されるように、NadA1は強いhSBA応答を誘導することが示された。
【0237】
NadA1は、MenB MC58株のNadA配列から得ることができる。
【0238】
一実施形態では、NadAタンパク質は、配列配列番号7を含むか、またはそれからなることができる。
【0239】
一部の実施形態では、NadAタンパク質は、配列番号7からの少なくとも190個の連続したアミノ酸、例えば、配列番号7からの200個もしくはそれ以上、210個もしくはそれ以上、220個もしくはそれ以上、230個もしくはそれ以上、240個もしくはそれ以上、250個もしくはそれ以上の連続したアミノ酸、例えば、配列番号7からの260個もしくはそれ以上、270個もしくはそれ以上、280個もしくはそれ以上、290個もしくはそれ以上、300個もしくはそれ以上、310個もしくはそれ以上、320個もしくはそれ以上、330個もしくはそれ以上、340個もしくはそれ以上、350個もしくはそれ以上、または360個もしくはそれ以上のアミノ酸を含み得る。
【0240】
一部の実施形態では、NadAタンパク質は、例えば、配列番号7のC末端および/またはN末端から、5~10アミノ酸、または10~15アミノ酸、または15~20アミノ酸、または25、または30、または35、または40、または45、または50、または55アミノ酸を欠いてもよい。N末端残基が欠失している場合、そのような欠失は、ヒト上皮細胞に付着するNadAの能力を除去すべきではない。
【0241】
一実施形態では、NadAタンパク質は、N末端にシグナルペプチドを欠いてもよい。例えば、NadAタンパク質は、例えば、配列番号7のN末端の23アミノ酸を欠いてもよい。
【0242】
一実施形態では、NadAタンパク質は、C末端に膜アンカーペプチドを欠いてもよく、例えば、NadAタンパク質は、例えば、配列番号7のC末端の55アミノ酸を欠いてもよい。
【0243】
NadAは、単量体またはオリゴマーの形態、例えば、三量体の形態で使用することができる。
【0244】
例えば、NadAタンパク質は、そのC末端膜アンカーを有していなくてもよく(例えば、MC58株(配列番号7)について残基308~362の欠失)、大腸菌におけるその膜アンカードメインを有しないNadAの発現は、23アミノ酸のシグナルペプチドの同時除去(例えば、配列番号7の残基2~24が欠失して、284アミノ酸のタンパク質-配列番号5が残る)を伴う、培養上清へのタンパク質の分泌をもたらし得る。
【0245】
一実施形態では、NadAタンパク質は、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含み得る。別の実施形態では、NadAタンパク質は、配列番号5を含むか、またはそれからなることができる。
【0246】
別の実施形態は、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質をコードするmRNAを対象とする。mRNAは、配列番号5を含むかまたはそれからなるNadAタンパク質をコードすることができる。
【0247】
本明細書に開示される免疫原性組成物において使用されるNadAタンパク質は、例えば、一般に上記に開示されているような、当技術分野で公知の任意の組換え手法に従って得ることができる。NadAタンパク質は、産生のために宿主細胞、例えば、大腸菌株にトランスフェクトされた組換え発現ベクター(または構築物)からの組換えタンパク質として入手することができる。組換えNadAは、例えば、実施例の項に記載されているように、当技術分野で公知の任意の精製方法によって、培養物から精製形態で得ることができる。
【0248】
一実施形態では、NadAタンパク質は、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量の範囲の量で存在し得る。一実施形態では、NadAタンパク質は、約50μg/用量の量で存在し得る。
【0249】
dOMV
本明細書に開示される免疫原性組成物は、外膜タンパク質複合体(OMPC)とも称される、界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む。通常、界面活性剤抽出外膜小胞は、抗原として使用される場合、dOMVまたはOMVと称される。タンパク質担体として使用される場合、それらはOMPCと称される。
【0250】
OMPCは、ポリリボシルリビトールリン酸(PRP)結合型ワクチンPedvaxHIB(インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型ワクチン)(Einhornら、Lancet(London、England).1986年;2(8502):299~302頁;Moroら、The Journal of pediatrics.2015年;166(4):992~7頁)およびVAXELIS(ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、B型肝炎およびインフルエンザ菌b型ワクチン)(Syed、Paediatric drugs.2017年;19(1):69~80頁)の担体タンパク質プラットフォームとして使用された。
【0251】
dOMVは、細菌の外膜に見られる外膜内在タンパク質と残留リポオリゴ糖(LOS)とを含む大きなプロテオリピド小胞である(Helting、Acta Pathol Microbiol Scand C、1981年;89(2):69~78頁)。300種を上回るタンパク質がdOMV中に同定される可能性がある。dOMVの総タンパク質含有量の75%は、存在量の多い10種のタンパク質によって占められ、これには、総タンパク質の最大50%を占める外膜タンパク質であるポーリンA(PorA)およびポーリンB(PorB)が含まれる。
【0252】
髄膜炎菌ポーリンタンパク質(Por)は、血清型判定の抗原決定基である。ポーリンの2つのクラスであるPorAおよびPorB、ならびに表面に露出したループをコードするpor遺伝子可変領域(VR)における配列多様性から生じる各クラス内の抗原性の異なるバリアントが同定されている。
【0253】
本明細書に開示される免疫原性組成物のために好適なdOMVは、さまざまなMenB株から得ることができる。dOMVを、MenB株の界面活性剤抽出物から単離してもよい。好適なMenB株は、野生型MenB株、または、ポーリンタンパク質、例えば、PorAもしくはPorBタンパク質、例えば、PorAタンパク質を過剰発現するように操作されたMenB株であり得る。
【0254】
一実施形態では、dOMVは、PorAタンパク質を発現するMenB株から得ることができる。
【0255】
一実施形態では、dOMVは、PorA VR2サブタイプを発現するMenB株から得ることができる。PorA VR2サブタイプは、PorA VR2型P1.2、P1.4、P1.7、P1.10、またはP1.13タンパク質であり得る。
【0256】
一実施形態では、dOMVは、PorA VR2型P1.2タンパク質を発現するMenB株から得ることができる。
【0257】
一実施形態では、dOMVは、PorA VR2サブタイプおよびPorB P2.2aを発現するMenB株から得ることができる。dOMVは、PorA VR2 P1.2およびPorB P2.2aを発現するMenB株から得ることができる。
【0258】
一実施形態では、dOMVは、PorA VR2サブタイプおよびPorB P2.2aを含み得る。dOMVは、PorA VR2 P1.2およびPorB P2.2aを含み得る。
【0259】
別の実施形態では、dOMVは、PorA VR2 P1.2およびPorB P2.2aならびに免疫型LOS L3,7を含み得る。PorAおよびPorBは、dOMVのタンパク質の約50%を占め得る。
【0260】
一部の実施形態では、dOMVは、単一のMenB株から、または複数の異なるMenB株から得ることができる。後者の場合、MenB株は、PorAタンパク質の同じサブタイプ、または異なるPorAタンパク質サブタイプ、または異なるタイプのPorタンパク質、例えば、PorAおよびPorBタンパク質を発現することができる。
【0261】
求めるポーリンタンパク質を提示するdOMVの由来となる使用可能なMenB株は、例えば、PubMLSTデータベース(https://pubmlst.org/)から同定することができる。例えば、好適なMenB株は、流行アウトブレイク由来のMenB株をそのようなデータベース中で選択し、続いてそのようなサブセット内で、目的のポーリンタンパク質、例えば、PorA VR2 P1.2タンパク質をコードする遺伝子を有するMenB株を選択することによって得ることができる。続いて、選択された株が目的のポーリンタンパク質を効果的に発現するかどうかを、当技術分野で公知の手法を用いて評価することができる。
【0262】
本発明に従ってdOMVを得るために好適なMenB株の例としては、以下のものを挙げることができる:NG H36、BZ 232、DK 353、B6116/77、BZ 163、0085/00、NG P20、0046/02、M11 40123、M12 240069、N5/99、99M、またはM07 240677。
【0263】
例示的な一実施形態では、MenB株は、PorA VR2 P1.2タンパク質サブタイプを発現するMenB株99Mであり得る。
【0264】
一実施形態では、dOMVは、ポーリンA(PorA)VR2サブタイプP1.2を含み得る。
【0265】
別の実施形態では、dOMVは、外膜タンパク質ポーリンA(PorA)および/または外膜タンパク質ポーリンB(PorB)を含み得る。PorAは、前記dOMV中に存在する総タンパク質に比して、約3%~約15%の範囲の量で、もしくは約5%~約9%または10%の量で存在し得る。PorBは、dOMV中に存在する総タンパク質に比して、約30%~約70%、または約35%~約65%、または約38%~約58%の範囲の量で存在し得る。
【0266】
一実施形態では、dOMVは、少なくともデオキシコール酸処理の工程を使用する界面活性剤抽出法によって得ることができる。
【0267】
dOMVを得るための好適な方法は、Heltingら(Acta Pathol Microbiol Scand C.1981年4月;89(2):69~78頁)または米国特許第4,695,624号の実施例2に開示されている通りのものであり得る。例えば、細菌培養物を遠心分離してペレットを得て、続いてそれを界面活性剤、例えば、デオキシコール酸またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて、加熱下、例えば、約50℃~約60℃、または約56℃で、約10分間~約20分間の範囲の時間、または約15分間かけて抽出することができる。続いて、得られた材料を遠心分離し、当技術分野で公知の任意の方法に従ってペレットをさらに懸濁させて精製することができる。
【0268】
一実施形態では、dOMVは、約5μg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量の範囲の量で存在し得る。一実施形態では、dOMVは、約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の量で存在し得る。
【0269】
さらなる抗原
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、本明細書に開示される髄膜炎菌抗原の組合せに比べて、少なくとも1つのさらなる抗原を含み得る。
【0270】
例示的な一実施形態では、さらなる抗原は、担体タンパク質にコンジュゲートされた髄膜炎菌血清群A、C、W135、Yおよび/またはX由来の糖質抗原であり得る。一実施形態では、さらなる抗原は、MenA、MenC、MenW-135およびMenY莢膜多糖の担体タンパク質へのコンジュゲートの組合せであり得る。
【0271】
例示的な一実施形態では、さらなる抗原は、担体タンパク質にコンジュゲートされた髄膜炎菌血清群A、C、W135、および/またはY由来の糖質抗原であり得る。一実施形態では、さらなる抗原は、MenA、MenC、MenW-135、およびMenY莢膜多糖の担体タンパク質へのコンジュゲートの組合せであり得る。
【0272】
異なる莢膜多糖に対する担体タンパク質は、異なってもよく、または同じでもよい。担体タンパク質としては、不活化細菌毒素、例えば、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌LT、大腸菌ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素Aを挙げることができる。細菌外膜タンパク質、例えば、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、ニューモリシン(pneumolysis)、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、または肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)も使用可能である。他のタンパク質、例えば、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)または精製ツベルクリン(PPD)も、担体タンパク質として使用することができる。担体タンパク質は、CRM197タンパク質、破傷風トキソイドまたはジフテリアトキソイドであり得る。一実施形態では、担体タンパク質は破傷風トキソイドである。
【0273】
コンジュゲートは、700kDa~1400kDaまたは800kDa~1300kDaの範囲の分子量を有する分子を含む集団であり得る。
【0274】
各用量内で、個々の糖類抗原の量は、糖類の質量としての測定で1~50μgであり得る。例えば、1回の用量当たり合計40μgの糖類を投与することができる。例えば、10μgの各多糖類およびおよそ55μgの担体タンパク質、例えば、破傷風トキソイドタンパク質を投与することができる。
【0275】
一実施形態では、さらなる抗原は、それぞれが破傷風トキソイド担体タンパク質にコンジュゲートされたMenA、MenC、MenW-135およびMenY莢膜多糖の組合せであってよく、ここでMenA多糖は、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーを介して破傷風トキソイド担体にコンジュゲートされており、一方、MenC、MenW-135およびMenY多糖はそれぞれ破傷風トキソイド担体(TT)に直接コンジュゲートされている。
【0276】
一実施形態では、さらなる抗原は、MenA、MenC、MenW-135およびMenY莢膜多糖の破傷風トキソイド担体タンパク質へのコンジュゲートの組合せであり得る。例示的な一実施形態では、髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはY由来のコンジュゲートされた糖質抗原は、WO 2018/045286 A1またはWO 2002/058737 A2に開示される通りであり得る。
【0277】
一実施形態では、さらなる抗原は、市販のMenACYW-TT結合型ワクチンMENQUADFI(登録商標)のものである。
【0278】
アジュバント
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、アジュバントをさらに含み得る。
【0279】
一実施形態では、アジュバントは、アルミニウムベースのアジュバント(またはアルミニウム塩)であり得る。アルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(例えば、アルミニウムオキシヒドロキシド-AlOOH)、リン酸アルミニウムアジュバント(例えば、ヒドロキシリン酸アルミニウム-Al(OH)PO-またはオルトリン酸アルミニウム-AlPO)、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ(Imject(登録商標)Alumとして市販されている)、またはそれらの混合物であり得る。一実施形態では、アルミニウムベースのアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(例えば、アルミニウムオキシヒドロキシド-AlOOH)、リン酸アルミニウムアジュバント(例えば、ヒドロキシリン酸アルミニウム-Al(OH)PO-またはオルトリン酸アルミニウム-AlPO)、またはそれらの混合物であり得る。一実施形態では、アルミニウムベースのアジュバントは、リン酸アルミニウムアジュバント(例えば、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)PO)またはオルトリン酸アルミニウム-(AlPO))であり得る。アジュバントは、任意の適切な形態、例えば、ゲル、結晶、非晶質をとり得る。一実施形態では、アルミニウムベースのアジュバントは、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウム塩であり得る。一実施形態では、アルミニウムベースのアジュバントは、オルトリン酸アルミニウム塩であり得る。別の実施形態では、アルミニウムベースのアジュバントは、結晶性アルミニウムオキシヒドロキシド塩(ベーマイト)であり得る。
【0280】
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントまたはオルトリン酸アルミニウムアジュバントは、リン酸の存在下におけるアルミニウムオキシヒドロキシドの沈殿によって得ることができる。沈殿反応中の反応条件および反応物濃度は、塩におけるリン酸のヒドロキシルへの置換の程度に影響を及ぼす。
【0281】
ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントまたはオルトリン酸アルミニウムアジュバントは、0.3~0.99のPO/Alモル比、例えば、0.8~0.95の比(例えば、0.88+0.05)を有し得る。
【0282】
ヒドロキシリン酸アルミニウム[[Al(OH)x(PO)y]アジュバント、式中、各アニオンの原子価とそのモル分率の合計は-3である]は、ヒドロキシル基の存在によってAlPOと区別することができる。例えば、3146cm-1のIRスペクトルバンド(例えば、200℃に加熱された場合)は、構造的ヒドロキシルの存在を示す。
【0283】
アルミニウムオキシヒドロキシド[AIO(OH)]は、IR分光法、特に1070 cm-1の吸収帯および3090~3100cm-1における強力なショルダーの存在によって、Al(OH)3と区別することができる。
【0284】
異なるアルミニウムベースのアジュバントの混合物も使用することができる。
【0285】
一実施形態では、アジュバントは、リン酸アルミニウムアジュバントであり得る。
【0286】
例示的な実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、単一のアルミニウムベースのアジュバントを含んでもよく、すなわち、組成物中に存在するアルミニウムアジュバントが90%超、99%超、またはさらに99.9%超を占めてもよい。アルミニウムベースのアジュバントは、Al3+の濃度が約0.5mg/mL~約1.5mg/mLのAl3+、または約0.8~約1.2mg/mLのAl3+、または約1.00mg/mLのAl3+となるように存在し得る。
【0287】
アルミニウムベースのアジュバント、例えば、リン酸アルミニウムアジュバントは、本明細書に開示される組成物中に、約100μg/用量~約1000μg/用量、または約150μg/用量~約900μg/用量、または約200μg/用量~約800μg/用量、または約250μg/用量~約700μg/用量、または約300μg/用量~約600μg/用量、または約350μg/用量~約550μg/用量、または約400μg/用量~約500μg/用量、または約400μg/用量~約800μg/用量、または約400μg/用量、または約800μg/用量の範囲の量で存在し得る。
【0288】
組成物は、アルミニウムベースのアジュバントに加えて(またはその代わりに)他のアジュバントを含み得る。
【0289】
好適なアジュバントとしては、リン酸カルシウムアジュバント、MF59(4.3% w/vスクアレン、0.5% w/v Tween 80(商標)、0.5% w/v Span 85)、CpG含有核酸(シトシンはメチル化されていない)、QS21、MPL、3DMPL、Aquillaからの抽出物、ISCOMS、LT/CT変異体、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLG)微粒子、Quil A、インターロイキンなどが挙げられるが、これらに限定されない。実験動物については、フロイントアジュバント(不完全フロイントアジュバント;完全フロイントアジュバント)、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、ノル-MDPと称される)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリロキシ)-エチルアミン(CGP 19835A、MTP-PEと称される)、およびRIBIを使用することができ、このうちRIBIは、細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を、2%スクアレン/Tween 80エマルジョン中に含む。アジュバントの有効性は、免疫原性抗原またはその抗原エピトープを対象とする抗体の量を測定することによって決定し得る。
【0290】
組成物の有効性を強化するためのさらなる例示的アジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)水中油型エマルジョン製剤(他の特異的免疫刺激剤、例えば、ムラミルペプチド(以下を参照)または細菌細胞壁の構成要素を伴うかまたは伴わない)、例えば、(a)5%スクアレン、0.5% Tween 80、および0.5% SPAN 85(場合によりMTP-PEを含む)を含み、マイクロフルイダイザーを使用してミクロン以下の粒子に製剤化されたMF59(WO 90/14837)、(b)10%スクアラン、0.4% Tween 80、5%プルロニックブロックドポリマーL121、およびthr-MDPを含み、マイクロフルイダイズ処理によってミクロン以下のエマルジョンとなるか、またはボルテックス処理によってより大きな粒径のエマルジョンを生じたSAF、ならびに(c)2%スクアレン、0.2% Tween 80、および1つまたはそれ以上の細菌細胞壁成分、例えば、モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、例えば、MPL+CWS(Detox(商標))を含む、RIBIアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem,Hamilton,Mont.)、(2)サポニンアジュバント、例えば、QS21またはStimulon(商標)(Cambridge Bioscience,Worcester,Mass.)を使用してもよく、またはそれらから生成された粒子、例えば、ISCOM(免疫刺激複合体)、ISCOMはさらなる界面活性剤を欠いてもよい、例えば、WO 00/07621;(3)完全フロイントアジュバント(CFA)または不完全フロイントアジュバント(IFA);(4)サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12(W099/44636)など)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など;(5)モノホスホリルリピドA(MPL)または3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)、例えば、GB-2220221、EP-A-0689454、場合により肺炎球菌サッカリドとともに使用される場合には実質的にミョウバンの非存在下で、例えば、WO 00/56358;(6)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組合せ、例えば、EP-A-0835318、EP-A-0735898、EP-A-0761231;(7)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(例えば、WO 98/52581を参照)、例えば、シトシンがメチル化されていない少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド;(8)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO 99/52549を参照);(9)オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO 01/21207)または少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤、例えば、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルもしくはエステル界面活性剤(WO 01/21152);(10)サポニンおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(WO 00/62800);(11)免疫刺激剤および金属塩の微粒子、例えば、WO 00/23105;(12)サポニンおよび水中油型エマルジョン、例えば、WO 99/11241;(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IM2(場合により+ステロール)、例えば、WO 98/57659;(14)組成物の効能を強化する免疫刺激剤として作用する他の物質。ムラミルペプチドには、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-25アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(nor-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタリニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミンMTP-PEなどが含まれる。
【0291】
ヒトへの投与に好適なアジュバントは、アルミニウム塩アジュバント(例えば、リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)であり得る。
【0292】
免疫原性組成物
本明細書に開示される免疫原性組成物は、髄膜炎菌抗原の組合せであって、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む前記組合せを含み得る。
【0293】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、髄膜炎菌血清群B抗原の組合せであって、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む前記組合せを含み得る。fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bタンパク質は、脂質化されていない。
【0294】
fHBP Aタンパク質は、配列番号1と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質であってよく、および/またはfHBP Bタンパク質は、配列番号3と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質であってよい。
【0295】
fHBP Aタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(N115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシン(L130)のアミノ酸置換;e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができ、もしくは配列番号2を含むかもしくはそれからなり、ならびに/またはfHBP Bタンパク質は、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換;b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換;c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換;d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換;およびe)アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むことができ、もしくは配列番号4を含むかもしくはそれからなる。
【0296】
fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bは、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の範囲の量で存在し得る。
【0297】
NadAタンパク質は、NadA1タンパク質であってよく、または配列番号5と少なくとも約85%の同一性を含んでもよく、または配列番号5を含むかもしくはそれからなる。
【0298】
NadAタンパク質は、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約50μg/用量の範囲の量で存在し得る。
【0299】
dOMVは、ポーリンA(PorA)を含み得る。
【0300】
dOMVは、約5μg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の範囲の量で存在し得る。
【0301】
組成物は、アジュバント、例えば、アルミニウムベースのアジュバント、例えば、水酸化アルミニウムアジュバント、リン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ、およびそれらの混合物を含む群において選択されるアルミニウムベースのアジュバントを含んでもよく、それは例えば、リン酸アルミニウムアジュバントである。
【0302】
組成物は、配列番号2を含むかまたはそれからなる約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4を含むかまたはそれからなる約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5を含むかまたはそれからなる約25~約100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約20~約150μg/用量のdOMV、約100~約600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0303】
組成物はさらに、髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYのうちの1つまたはそれ以上に由来する結合莢膜糖を少なくとも含み得る。
【0304】
本明細書に記載される組成物を含むワクチンも開示される。
【0305】
本明細書に開示される組成物またはワクチンは、髄膜炎菌感染症に対する防御における使用のためであってもよく、または髄膜炎菌に対する免疫応答の誘導における使用のためであってもよい。
【0306】
配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質をコードするmRNA、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質をコードするmRNA、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質をコードするmRNA、およびPorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなる組成物が、さらに開示される。
【0307】
製剤
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される組成物を含むワクチンに関する。
【0308】
本明細書に開示される免疫原性組成物またはワクチン組成物は、固体、半固体、液体の形態にある調製物、例えば、錠剤、カプセル、粉末、エアロゾル、溶液、懸濁液、またはエマルジョンとして製剤化することができる。そのような組成物を投与する典型的な経路には、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、鼻腔内が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、皮内、胸骨内注射または注入の手法を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるワクチン組成物は、経皮、皮下、皮内または筋肉内経路によって投与することができる。本開示の組成物は、送達の様式に基づいて製剤化され、これには例えば、非経口的送達、例えば、筋肉内、皮内、または皮下注射を介した送達のために製剤化された組成物が含まれる。
【0309】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、任意の適切な経路、例えば、粘膜投与(例えば、鼻腔内または舌下)、非経口投与(例えば、筋肉内、皮下、経皮、または皮内経路)、または経口投与を介して投与することができる。当業者には理解されるであろうが、免疫原性組成物は、意図した投与経路に適合するように好適に製剤化することができる。一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、筋肉内経路、皮内経路、または皮下経路を介して投与されるように製剤化することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、筋肉内経路を介して投与されるように製剤化することができる。
【0310】
本明細書に開示される組成物は、組成物を対象に投与した場合に、その中に含まれる活性成分が生物学的に利用可能であるように製剤化される。
【0311】
そのような投薬形態を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、または明らかである;例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、第20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000年)を参照のこと。
【0312】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、任意の薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化することができる。組成物は、少なくとも1つの不活性な希釈剤または担体を含み得る。1つの例示的な薬学的に許容されるビヒクルは、生理食塩水緩衝液である。他の生理学的に許容されるビヒクルは、当業者に公知であり、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(第18版)、A.Gennaro編、1990年、Mack Publishing Company,Easton,Paに記載されている。本明細書に記載される免疫原性組成物は、場合により、生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤および緩衝剤、張性調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ヒト血清アルブミン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、L-アルギニン塩酸塩、サッカロース、D-トレハロース脱水物、ソルビトール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび/または尿素を含み得る。さらに、ワクチン組成物は、場合により、薬学的に許容される添加剤、例えば、希釈剤、結合剤、安定剤、および防腐剤を含み得る。
【0313】
一実施形態では、組成物は、液体の形態、例えば、溶液、エマルジョンまたは懸濁液であり得る。液体は、注射による送達のためであり得る。注射によって投与されることを意図した組成物は、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝液、安定剤および等張剤のうちの少なくとも1つを含み得る。本明細書に開示される液体組成物は、滅菌希釈剤、例えば、注射用蒸留水、食塩液、例えば、生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒または懸濁媒体として機能し得る合成モノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、たとえば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および張性の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース;凍結防御剤として作用する薬剤、例えば、スクロースまたはトレハロースのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0314】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、約4.0~約9.0の範囲のpHを有し得る。
【0315】
本明細書に開示される免疫原性組成物のpHは、約4.5~約8.5、または約4.8~約8.2、または約5.0~約8.0、または約5.2~約7.5、または約5.4~約7.0、または約5.5~約6.8、または約5.7~約6.5、または約5.8~約6.2の範囲であり得る。一実施形態では、本明細書に開示される組成物のpHは、約6.0であり得る。安定なpHは、緩衝液の使用によって維持され得る。
【0316】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、緩衝液をさらに含み得る。可能性のある使用可能な緩衝液としては、Tris緩衝液、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、HEPES緩衝液、またはヒスチジン緩衝液を挙げることができる。
【0317】
例示的な一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、酢酸ナトリウム緩衝液を含み得る。酢酸ナトリウム緩衝液は、約10mM~約300mMの範囲、または約10mM~約250mMの範囲、または約20mM~約250mMの範囲、または約20mM~約150mMの範囲、または約20mM~約130mMの範囲、または約30mM~約120mMの範囲、または約40mM~約100mMの範囲、または約50mM~約80mMの範囲、または約50mM~約60mMの範囲の濃度、または例えば、約50mMの濃度で存在し得る。
【0318】
免疫原性組成物は、哺乳動物、例えば、ヒトに対して等張であり得る。
【0319】
免疫原性組成物はまた、1つまたは複数のさらなる塩、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、またはマグネシウム塩も含み得る。一実施形態では、ナトリウム塩は、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウムを含む群において選択することができる。一実施形態では、ナトリウム塩は、塩化ナトリウムであり得る。カルシウム塩は、塩化カルシウム塩であり得る。マグネシウム塩は、塩化マグネシウム塩であり得る。一実施形態では、ナトリウム塩は、約10mM~約300mM、もしくは約30mM~約280mM、もしくは約50mM~約250mM、もしくは約60mM~約220mM、もしくは約80mM~約200mM、もしくは約100mM~約180mM、もしくは約120mM~約160mMの範囲の濃度で存在し得るか、または例えば、約150mMの濃度で存在し得る。カルシウムまたはマグネシウムは、約1mM~約15mM、または約5mM~約10mMの範囲の量で存在し得る。
【0320】
非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与バイアルに封入することができる。注射可能な組成物は、例えば、無菌性である。
【0321】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、従来の滅菌手法によって、例えば、UVまたはγ線を用いて滅菌してもよく、または滅菌濾過してもよい。本明細書に開示される液体免疫原性組成物の滅菌濾過の結果として得られる組成物は、液体形態でパッケージ化および保存してもよく、または凍結乾燥してもよい。凍結乾燥された組成物は、投与前に無菌の水性担体で再構成することができる。乾燥組成物は、安定剤、例えば、マンニトール、スクロース、またはドデシルマルトシド、ならびにそれらの混合物、例えば、ラクトース/スクロース混合物、スクロース/マンニトール混合物などを含み得る。
【0322】
本明細書に開示される組成物は、治療有効量で投与され、これは、使用される特定の治療剤の活性;治療剤の代謝安定性および作用の長さ;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別、および食事;投与の様式および時間;排泄の速度;薬物の組合せ;特定の障害または状態の重症度;ならびに療法を受ける対象を含む種々の因子に応じて異なると考えられる。
【0323】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2を含むかまたはそれからなる非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4を含むかまたはそれからなる非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5を含むかまたはそれからなるNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなることができる。組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含み得る。組成物は、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含み得る。
【0324】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなるNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMV、リン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0325】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約25~約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約25~約100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約20~約150μg/用量のdOMV、約100~約800μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0326】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約25μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約25μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約25μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約25μg/用量のdOMV、約100μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0327】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約25μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約25μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約50μg/用量のdOMV、約400μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0328】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約25μg/用量のdOMV、約400μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0329】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約50μg/用量のdOMV、約400μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0330】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約125μg/用量のdOMV、約400μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0331】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約50μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約50μg/用量のdOMV、約200μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0332】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約75μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約75μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約75μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約75μg/用量のdOMV、約300μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0333】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約125μg/用量のdOMV、約400μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0334】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約50μg/用量のdOMV、約400μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0335】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、配列番号2からなる約100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約50μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約50μg/用量のdOMV、リン酸アルミニウムアジュバント約800μg/用量、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなることができる。
【0336】
一実施形態では、本開示は、本明細書に開示される組成物を含む容器に関する。容器は、髄膜炎菌抗原の組合せを含む免疫原性組成物であって、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む前記組合せを含み得る。
【0337】
さらに、容器は、配列番号2からなる約25~100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる約25~100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる約25~100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の約20~150μg/用量のdOMV、約100~800μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH 6.0を含むか、またはそれらからなる組成物を含み得る。
【0338】
容器はバイアルであり得る。バイアルは、複数回投与用バイアルまたは単回投与用バイアルであり得る。適切なバイアルは、最適な栓およびシールで密封された小さなガラス製またはプラスチック製容器であり得る。
【0339】
あるいは、容器は、プレフィルドシリンジであり得る。プレフィルドシリンジは、本明細書に開示される液体組成物を貯蔵するシリンジバレルを含み得る。ガスケットおよびプランジャーがシリンジバレルに挿入される。ガスケットは、液体薬物の漏出を防止するためにシリンジバレルを液密に封止し、プランジャーはガスケットをスライドさせる。例えば、米国特許第10,625,025号またはWO 2013/046855に記載されているように、さまざまなタイプのプレフィルドシリンジが当技術分野で公知である。
【0340】
本明細書に開示される組成物が、別のワクチン組成物、例えば、四価のMenACWYコンジュゲート組成物と混合されて注射される場合、両方の組成物は、単一のバイアルもしくはプレフィルドシリンジである容器内に、または二重チャンバーシリンジ内にパッケージ化することができる。連続シリンジまたはバイパスシリンジとしても知られる二重チャンバーシリンジは、隔膜によって近位および遠位の2つの区画に分離された単一のバレルを含み得る。シリンジのプランジャーの押し下げにより、遠位区画内の2つのワクチン組成物の混合が強制される。例えば、米国特許第10,695,505号に記載されているように、さまざまなタイプの二重チャンバーシリンジが当技術分野で公知である。二重チャンバーシリンジは、ワクチン組成物が凍結乾燥形態のような乾燥形態で製剤化され、再構成のために液体ビヒクルとともに保存される場合にも使用することができる。そのような場合、乾燥ワクチンは1つのチャンバー内に貯蔵され、再構成および注射のための液体は第2のチャンバー内に貯蔵される。
【0341】
製造方法
本明細書に開示される組成物は、薬学分野において周知の方法によって調製することができる。
【0342】
一実施形態では、本開示は、本明細書に開示される免疫原性組成物または本明細書に開示されるワクチンを調製するための方法であって、髄膜炎菌抗原と、場合によりアルミニウム塩とを混合する少なくとも1つの工程を含み、前記抗原が、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む、方法に関する。
【0343】
一実施形態では、混合の工程は、場合によりAlPO上に吸着された少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質の、および場合によりAlPO塩上に吸着された少なくとも1つのfHBP Bタンパク質の第1の混合物を、場合によりAlPO上に吸着された少なくとも1つのNadAタンパク質の、および少なくとも1つのdOMVの第2の混合物と混ぜ合わせることを含み得る。
【0344】
一実施形態では、混合の工程は、AlPO上に吸着された少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質の、およびAlPO塩上に吸着された少なくとも1つのfHBP Bタンパク質の第1の混合物を、AlPO上に吸着された少なくとも1つのNadAタンパク質の、および少なくとも1つのdOMVの第2の混合物と混ぜ合わせることを含み得る。
【0345】
抗原fHBP AおよびBならびにNadAを、まずアルミニウムベースのアジュバント、例えば、AlPOに吸着させて、続いて一緒にdOMVと混合することができる。混合は任意の順序で行うことができる。あるいは、アルミニウムベースのアジュバント上に吸着されたfHBP AおよびBを、適切な緩衝液中で一緒に混合することもできる。アルミニウムベースのアジュバント上に吸着されたNadAとdOMVとを、適切な緩衝液中で一緒に混合することができる。続いて、2つの混合物を混ぜ合わせて、本明細書に開示される免疫原性組成物を得ることができる。
【0346】
続いて、さらなる抗原、例えば、コンジュゲートされたMenACWY多糖組成物を、本明細書に開示される組成物と混合することができる。さらなる抗原組成物、例えば、コンジュゲートされたMenACWY多糖組成物を、患者への投与の直前に、場合により、投与の前に2つの組成物を一緒に混合する二重チャンバーシリンジを介して、本明細書に開示される免疫原性組成物と一緒に混ぜ合わせることができる。
【0347】
別の実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物またはワクチンを、コンジュゲートされたMenACWY多糖体免疫原性組成物またはワクチンと共投与する。本明細書に開示される免疫原性組成物またはワクチンと共投与することができるコンジュゲートされたMenACWY多糖体免疫原性組成物またはワクチンは、それぞれが破傷風トキソイド担体タンパク質にコンジュゲートされたMenA、MenC、MenW-135およびMenY莢膜多糖体であってよく、場合によりMenA多糖体はアジピン酸ジヒドラジド(ADH)リンカーを介して破傷風トキソイド担体にコンジュゲートされ、MenC、MenW-135およびMenY多糖体はそれぞれ破傷風トキソイド担体に直接コンジュゲートされる。共投与されるコンジュゲートされたMenACWY多糖体免疫原性組成物またはワクチンは、WO 2018/045286 A1またはWO 2002/058737 A2に開示されている通りのものであり得る。共投与されるコンジュゲートされたMenACWY多糖体免疫原性組成物またはワクチンは、市販のMenACYW-TT結合ワクチンMENQUADFI(登録商標)であり得る。
【0348】
別の実施形態では、本明細書に開示される調製方法において使用するための抗原およびアルミニウム塩は、緩衝液中にあってもよい。
【0349】
本明細書に開示される組成物は、液体または固体、例えば、凍結乾燥された形態で製造することができる。
【0350】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、乾燥形態、例えば、凍結乾燥組成物で、またはWO 2009/109550に記載されているようなプリリングプロセスを介して得られたマイクロペレットとして、パッケージ化および貯蔵することができる。一実施形態では、組成物の異なる成分、例えば、MenB抗原、およびおそらくさらなる抗原が、すべて同一のマイクロペレット中に存在し得る。別の実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物の構成要素は、それぞれ別個のマイクロペレット中にあってもよく、すなわち、マイクロペレット当たり1つの構成要素であってもよく、またはすべての構成要素もしくはそれらの一部であってもよく、その場合、他の1つまたは複数の構成要素は、それぞれ別個のマイクロペレット中にあってもよく、同じマイクロペレット内で二つ組または三つ組(二価または三価の製剤)として組み合わせてもよい(fHBP A+BおよびNadA+dOMV、fHBP A+NadAおよびfHBP B+dOMV、fHBP B+NadAおよびfHBP A+dOMV、fHBP A+NadA+fHBP BおよびdOMV、またはfHBP A+dOMV+fHBP BおよびNadAなど)。そのような実施形態では、別個に異なる成分を含む、または異なる成分の少なくとも2つの任意の組合せを含む異なるマイクロペレットを、対象への投与の前に混合することができる。一実施形態では、それらを、液体担体中での再構成の前に混合することができる。別の実施形態では、それらを、1容量の液体担体中に添加することによって、液体担体中での再構成の時点で混合してもよい。別の実施形態では、それらをまず、それぞれ別個の容量の液体担体に別々に添加し、次いで、異なる容量の液体担体を一緒に混合して、対象に投与される最終液体組成物を得ることができる。
【0351】
一実施形態では、4つの抗原およびAlPOは、同じ容器内にある。
【0352】
別の実施形態では、アジュバントおよび抗原を、少なくとも2つの別個の組成物中に調製することができる。続いて、別個の組成物を、患者への投与の直前に、場合により、投与の前に2つの組成物を一緒に混合する二重チャンバーシリンジを介して、一緒に混ぜ合わせることができる。別の実施形態では、別個の組成物を、別々に投与することができ、すなわち、同時に(実際には、数秒間または数分間、例えば、5分間未満を隔てて)投与されるが、少なくとも2つの別個の投与部位、例えば、少なくとも2つの別個の注射部位を介して投与される。別の実施形態では、別個の組成物は、逐次的に、すなわち、少なくとも2つの別個の時点、例えば、少なくとも5分間隔、または数時間もしくは1日もしくは2日間隔で投与することができる。そのような実施形態では、別個の組成物は、同じ投与部位、例えば、同じ注射部位に、または異なる投与部位、例えば、異なる注射部位に投与することができる。そのような実施形態では、本明細書に開示される組成物の異なる成分のうちの少なくとも1つは、部品キットとして別々に提供することができる。
【0353】
部品キット
一実施形態では、本開示は、複数の容器を含む部品キットであって、容器のそれぞれが、少なくとも1つまたは少なくとも2つの髄膜炎菌抗原の組合せを含み、前記抗原が、fHBP Aタンパク質、fHBP Bタンパク質、NadAタンパク質、および界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む群から選択される、部品キットに関する。
【0354】
一実施形態では、部品キットの抗原の少なくとも1つは、乾燥形態であり得る。一実施形態では、抗原の少なくとも1つは、凍結乾燥または乾燥マイクロペレット形態であり得る。一実施形態では、キットは、場合により、生理的に注射可能なビヒクルを含む容器を含み得る。
【0355】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物の異なる抗原を、別々の容器またはバイアルに調製して貯蔵することができる。続いて、それらを、個体への投与時に混合することができる。
【0356】
一実施形態では、抗原fHBP A、fHBP B、NadAおよびdOMVのそれぞれを、1つの容器に貯蔵することができる。別の実施形態では、抗原は、対またはトリプレット(二価または三価の製剤)によって組合せることができる。fHBP A+BおよびNadA+dOMV、fHBP A+NadAおよびfHBP B+dOMV、fHBP A+NadAおよびfHBP A+dOMV、fHBP A+NadA+fHBP BおよびdOMV、またはfHBP A+dOMV+fHBP BおよびNadAなど、あらゆる種類の組合せを想定し得る。
【0357】
一実施形態では、fHBP AおよびB抗原を第1の容器に貯蔵し、NadA抗原を第2の容器に貯蔵し、dOMV抗原を第3の容器に貯蔵することができる。別の実施形態では、fHBP AおよびB抗原を第1の容器に貯蔵し、NadA抗原およびdOMV抗原の両方を第2の容器に貯蔵することができる。
【0358】
抗原は、液体製剤または乾燥形態で貯蔵することができる。乾燥形態で製剤化される場合、補助容器に、異なる抗原を再懸濁および混合するために使用される注射可能な液体担体を添加して含有させることができる。好適な注射可能な液体担体は、緩衝液を含み得る。さらに、それは上記のようなアジュバントを含み得る。アジュバントは、アルミニウムベースのアジュバント、例えば、AlPOであり得る。
【0359】
場合により、部品キットは、少なくとも1つのさらなる抗原または複数のさらなる抗原について、少なくとも1つのさらなる容器または複数のさらなる容器を含み得る。一実施形態では、さらなる抗原は、コンジュゲートされたMenACWY多糖であり得る。
【0360】
一実施形態では、部品キットは、本明細書に開示される免疫原性組成物を含む第1の容器、およびコンジュゲートされたMenACWY多糖類を含む第2の容器を含み得る。
【0361】
使用および処置の方法
1つの実施形態では、本開示は、医薬品として、特にワクチンとして使用するための本明細書に開示の組成物に関する。
【0362】
別の態様では、本開示は、髄膜炎菌感染症に対する、および1つの例示的な実施形態では髄膜炎菌血清群B感染症に対する防御に使用するための本明細書に開示の組成物に関する。
【0363】
別の態様では、本開示は、髄膜炎菌に対する、および1つの例示的な実施形態では髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答の誘導に使用するための本明細書に開示の組成物に関する。
【0364】
別の態様では、本開示は、ST-41/44、ST-32、ST-269、ST-213、ST-35、ST-461、ST-11および/またはST-461クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答の誘導に使用するための本明細書に開示の組成物に関する。
【0365】
別の態様では、本開示は、ST-11クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答の誘導に使用するための本明細書に開示の組成物に関する。
【0366】
別の態様では、本開示は、髄膜炎菌感染症に対して、および1つの例示的な実施形態では髄膜炎菌血清群B感染症に対して個体を防御するための方法であって、本明細書に開示の免疫原性組成物、または本明細書に開示のワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0367】
別の態様では、本開示は、個体における髄膜炎菌感染症に起因する、および1つの例示的な実施形態では髄膜炎菌血清群B感染症に起因する侵襲性髄膜炎菌性疾患の発生リスクを低減する方法であって、本明細書に開示の免疫原性組成物、または本明細書に開示のワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0368】
別の態様では、本開示は、個体における髄膜炎菌に対する、および1つの例示的な実施形態では髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答を誘発する方法であって、本明細書に開示の免疫原性組成物、または本明細書に開示のワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0369】
別の態様では、本開示は、ST-41/44、ST-32、ST-269、ST-213、ST-35、ST-461、ST-11および/またはST-461クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答を誘発する方法であって、本明細書に開示の免疫原性組成物、または本明細書に開示のワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0370】
別の態様では、本開示は、ST-11クローナルコンプレックス由来の髄膜炎菌血清群B細菌に対する免疫応答を誘発する方法であって、本明細書に開示の免疫原性組成物、または本明細書に開示のワクチンを個体に投与する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0371】
1つの実施形態では、本明細書に開示の免疫原性組成物は、髄膜炎菌血清群Bに対する免疫応答を個体において誘発するのに使用するためであってもよい。該当する個体は、哺乳動物、例えばヒト、例えば乳児、幼児、小児、ティーンエイジャー、若年成人、成人、および高齢者であってもよい。1つの実施形態では、個体は、生後6週間もしくはそれ以上、生後2カ月もしくはそれ以上、または10歳もしくはそれ以上であってもよい。例示的な実施形態として、個体は、生後6週間~55歳もしくはそれ以上、例えば生後2カ月~55歳もしくはそれ以上、または例えば10~55歳もしくはそれ以上であってもよい。
【0372】
方法は一般的に、それを必要とする個体に対象免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。治療的使用に有効な量は、例えば、抗原性組成物、投与方法、患者の体重および健康の全般的状態、ならびに処方する医師の判断に依存するであろう。抗原性組成物の単回または複数回投与は、患者に必要とされ、許容される投与量および頻度、ならびに投与経路に応じて投与される。
【0373】
本明細書に開示の免疫原性組成物は、2、3、2+1、または3+1回投与レジメンで投与される。
【0374】
1つの実施形態では、本明細書に開示された免疫原性組成物は、2回または3回で投与される。その後の投与は、前回の投与から約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約13カ月、約14カ月、約15カ月、約16カ月、約17カ月、約18カ月、約19カ月または約20カ月離して投与される。1つの実施形態では、その後の投与は、前回の投与から約1カ月、約2カ月、約5カ月、約6カ月、約8カ月、約10カ月、約12カ月、約14カ月または約16カ月離して投与される。1つの実施形態では、その後の投与は、前回の投与から約1カ月、約2カ月、約5カ月、約6カ月、または約8カ月離して投与される。1つの実施形態では、その後の投与は、前回の投与から約30日、約60日、または約180日離して投与される。
【0375】
2回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約1カ月後、または第1回投与の約2カ月後、または第1回投与の約6カ月後に投与される。あるいは、2回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約30日後、または第1回投与の約60日後、または第1回投与の約180日後に投与される。そのような2回投与レジメンは、成人および/または青少年にとって適している場合がある。
【0376】
2回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約2カ月後に投与される。あるいは、2回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約60日後に投与される。そのような2回投与レジメンは、幼児にとって適している場合がある。
【0377】
3回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約1カ月後に投与され、第3回投与は第1回投与の約6カ月後に投与される。あるいは、3回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約30日後に投与され、第3回投与は第1回投与の約180日後に投与される。そのような3回投与レジメンは、成人および/または青少年にとって適している場合がある。
【0378】
3回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約2カ月後に投与され、第3回投与は第1回投与の約10カ月後に投与される。あるいは、3回投与レジメンでは、第2回投与は第1回投与の約60日後に投与され、第3回投与は生後約12カ月時点で投与される。そのような3回投与レジメンは、乳児にとって適している場合がある。
【0379】
1つの実施形態では、2回または3回投与に加えて、第3回または第4回が投与される。このその後の投与は、2回または3回投与の最後の回の少なくとも1年後、例えば最後の回の16カ月後に投与される。そのようなレジメンでは、最初の2回または3回投与はプライム投与として適しており、その後の1回(+1回)投与はブースト投与として適している。
【0380】
1つの実施形態では、例えば生後6週間または生後2カ月~2歳の乳児および幼児は、2+1または3+1回投与レジメンを受けてもよい。別の実施形態では、例えば2~10歳の小児は、2回投与レジメンを受けもよい。別の実施形態では、例えば10~55歳のティーンエイジャーおよび成人は、2+1回投与レジメンを受けてもよい。
【0381】
本明細書に開示の免疫原性組成物は、任意の適切な経路によって投与される。例えば、筋肉内経路による投与が考えられる。
【0382】
本発明は、以下の項および実施形態によりさらに記載される。
【0383】
実施形態1によれば、本発明は、髄膜炎菌血清群B抗原の組合せを含む免疫原性組成物であって、前記組合せが、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む、組成物に関する。
【0384】
実施形態2によれば、本発明は、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bタンパク質が脂質化されていない実施形態1に記載の組成物に関する。
【0385】
実施形態3によれば、本発明は、fHBP Aタンパク質が、配列番号1と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質であり、および/またはfHBP Bタンパク質が、配列番号3と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質である、実施形態1または2に記載の組成物に関する。
【0386】
実施形態4によれば、本発明は、fHBP Aタンパク質が、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸115のアスパラギン(Ν115)のアミノ酸置換;b)アミノ酸121のアスパラギン酸(D121)のアミノ酸置換;c)アミノ酸128のセリン(S128)のアミノ酸置換;d)アミノ酸130のロイシンのアミノ酸置換(L130);e)131位のバリン(V131)のアミノ酸置換;f)133位のグリシン(G133)のアミノ酸置換;g)219位のリジン(K219)のアミノ酸置換;およびh)220位のグリシン(G220)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、もしくは配列番号2を含むかもしくはそれからなり、ならびに/または、fHBP Bタンパク質が、配列番号6の番号付けに基づく:a)アミノ酸38のグルタミン(Q38)のアミノ酸置換;b)アミノ酸92のグルタミン酸(E92)のアミノ酸置換;c)アミノ酸130のアルギニン(R130)のアミノ酸置換;d)アミノ酸223のセリン(S223)のアミノ酸置換;およびe)アミノ酸248のヒスチジン(H248)のアミノ酸置換のうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むか、もしくは配列番号4を含むかもしくはそれからなる、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0387】
実施形態5によれば、本発明は、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bが、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の量で存在する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0388】
実施形態6によれば、本発明は、NadAタンパク質が、NadA1タンパク質であるか、または配列番号5と少なくとも約85%の同一性を含むか、または配列番号5を含むかもしくはそれからなる、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0389】
実施形態7によれば、本発明は、NadAタンパク質が、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約50μg/用量の量で存在する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0390】
実施形態8によれば、本発明は、dOMVがポーリンA(PorA)を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0391】
実施形態9によれば、本発明は、dOMVが、約5μmg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の量で存在する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0392】
実施形態10によれば、本発明は、アジュバント、場合により、水酸化アルミニウムアジュバント、リン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から場合により選択されるアルミニウムベースのアジュバントをさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0393】
実施形態11によれば、本発明は、配列番号2からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる25~100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の20~150μg/用量のdOMV、100~600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH6.0を含むか、またはそれらからなる、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0394】
実施形態12によれば、本発明は、髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYのうちの1つまたはそれ以上に由来するコンジュゲートされた莢膜糖を少なくともさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0395】
実施形態13によれば、本発明は、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組成物を含むワクチンに関する。
【0396】
実施形態14によれば、本発明は、髄膜炎菌感染症に対する防御に使用するための、または髄膜炎菌に対する免疫応答の誘導に使用するための実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物または実施形態12に記載のワクチンに関する。
【0397】
実施形態15によれば、本発明は、配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質をコードするmRNA、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質をコードするmRNA、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質をコードするmRNA、およびPorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなる組成物に関する。
【0398】
実施形態16によれば、本発明は、髄膜炎菌血清群B抗原の組合せを含む免疫原性組成物であって、前記組合せは、配列番号1と少なくとも約85%の同一性を含む少なくとも1つの非脂質化H因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質を含み、配列番号6の番号付けに基づく少なくともアミノ酸置換 G220S、少なくとも1つの非脂質化fHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む、組成物に関する。
【0399】
実施形態17によれば、本発明は、非脂質化fHBP Bタンパク質が、配列番号3と少なくとも約85%の同一性を含む変異タンパク質である、実施形態16に記載の組成物に関する。
【0400】
実施形態18によれば、本発明は、非脂質化fHBP Bタンパク質が、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換H248Lを含む、実施形態16または17に記載の組成物に関する。
【0401】
実施形態19によれば、本発明は、非脂質化fHBP Aタンパク質が、配列番号4を含むかまたはそれからなる、実施形態16~18のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0402】
実施形態20によれば、本発明は、非脂質化fHBP Aタンパク質が、配列番号6の番号付けに基づくアミノ酸置換L130RおよびG133Dをさらに含む、実施形態16~19のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0403】
実施形態21によれば、本発明は、非脂質化fHBP Aタンパク質が、配列番号2を含むかまたはそれからなる、実施形態16~20のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0404】
実施形態22によれば、本発明は、NadAタンパク質が、NadA1タンパク質であるか、または配列番号5と少なくとも約85%の同一性を含むか、または配列番号5を含むかもしくはそれからなる、実施形態16~21のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0405】
実施形態23によれば、本発明は、dOMVがPorA VR2サブタイプを含む、実施形態16~22のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0406】
実施形態24によれば、本発明は、dOMVがPorA VR2 P1.2を含む、実施形態16~23のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0407】
実施形態25によれば、本発明は、アジュバント、場合により、水酸化アルミニウムアジュバント、リン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウム塩アジュバント、硫酸ヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバント、硫酸アルミニウムカリウムアジュバント、ヒドロキシ炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの組合せ、およびそれらの混合物からなる群から場合により選択されるアルミニウムベースのアジュバントをさらに含む、実施形態16~24のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0408】
実施形態26によれば、本発明は、fHBP Aタンパク質および/またはfHBP Bが、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約100μg/用量の量で存在し、NadAタンパク質が、約20μg/用量~約200μg/用量、または約25μg/用量~約180μg/用量、または約40μg/用量~約140μg/用量、または約50μg/用量~約120μg/用量、または約75μg/用量~約100μg/用量、または約50μg/用量の量で存在し、dOMVが、約5μg/用量~約400μg/用量、または約10μg/用量~約300μg/用量、または約25μg/用量~約250μg/用量、または約35μg/用量~約225μg/用量、または約50μg/用量~約200μg/用量、または約75μg/用量~約180μg/用量、または約100μg/用量~約150μg/用量、または約110μg/用量~約125μg/用量、または約25μg/用量、または約50μg/用量、または約125μg/用量の量で存在する、実施形態16~25のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0409】
実施形態27によれば、本発明は、配列番号2からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Aタンパク質、配列番号4からなる25~100μg/用量の非脂質化fHBP Bタンパク質、配列番号5からなる25~100μg/用量のNadAタンパク質、PorA VR2 P1.2を発現するMenB株由来の20~150μg/用量のdOMV、100~600μg/用量のリン酸アルミニウムアジュバント、50mM酢酸緩衝液およびpH6.0を含むか、またはそれらからなる、実施形態16~26のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0410】
実施形態28によれば、本発明は、1つまたはそれ以上の髄膜炎菌血清群A、C、W135および/またはYのうちの1つまたはそれ以上に由来するコンジュゲートされた莢膜糖を少なくともさらに含む、実施形態16~27のいずれか1つに記載の組成物に関する。
【0411】
実施形態29によれば、本発明は、実施形態16~28のいずれか1つに記載の組成物を含むワクチンに関する。
【0412】
実施形態30によれば、本発明は、髄膜炎菌感染症を処置する、または髄膜炎菌に対する免疫応答を誘導する方法であって、それを必要とする個体に、配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Aタンパク質、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むfHBP Bタンパク質、配列番号5に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または約100%のアミノ酸配列同一性を含むNadAタンパク質、およびPorA VR2 P1.2を発現するMenB由来のdOMVを含むか、またはそれらからなる組成物を投与することを含む方法に関する。
【0413】
列挙されたクレームの少なくとも1つからの少なくとも1つの限定、構成要素、項の記述用語等は、特に指示のない限り、または矛盾または不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、同じ基本クレーム(または、関連する場合、任意の他のクレーム)に依存して別のクレームに導入される変形、組合せ、および並べ換えの全てを、本開示は包含すると理解されるべきである。構成要素が、例えば、マーカッシュ群または同様の形式でリストとして提示される場合、構成要素の各下位群もまた開示されており、いずれの構成要素も群から取り除くことができると理解されるべきである。一般に、本開示、または本開示の態様が、特定の構成要素、機能等を含むといわれる場合、それらは、そのような構成要素からなる、または本質的になる実施形態も包含すると理解されるべきである。簡潔にする目的で、それらの実施形態は、本明細書ではあらゆる場合においてはっきりと具体的に記載されていない。特定の排除が本明細書に記載されているかどうかに関わらず、本開示のいずれの実施形態または態様もクレームから明示的に排除できることも理解されるべきである。本開示の背景を説明するために、およびその実施に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照された刊行物および他の参照資料は、参照によって本明細書に組み入れる。
【0414】
本明細書に開示された配列は参照としての役目を果たす。同じ配列は、特許事項の目的のための標準的な要件に従ってフォーマットされた配列表にも示されている。いずれかの配列が標準的な配列表と食い違う場合、本明細書に記載された配列を参照配列とする。
【実施例
【0415】
本開示を限定することなく、本開示の多くの実施形態が例示の目的で以下に記載される。
【実施例1】
【0416】
抗原製造および免疫原性組成物
1.MenB抗原の製造および精製
1.非脂質化変異fHBP A05(A05tmN)
非脂質化A05tmNを製造するために、3点変異(G220S、L130RおよびG133D、配列番号6に関する番号付け) を野生型fHBP A05配列に導入し、非脂質化タンパク質を得るために、N末端で脂質部分を固定する第1のシステイン残基をメチオニン(非脂質化A05tmN:配列番号2)に置き換えた。A05tmNのDNA配列を合成し、次いでプラスミド構築物を製造するのに使用した。手短に言えば、Xba1およびXho1部位のDNA配列をA05tmN配列の両末端に付加した。発現プラスミドを作出するために、Xba1/Xho1含有プラスミドを消化し、得られたDNA断片をXba1/Xho1消化pET28a(+)にライゲートし、Top10コンピテント細胞に形質転換した。陽性クローンをXba I/Xho I消化によって確認した。A05tmNプラスミドを大腸菌に形質転換し、3回のコロニー精製後に細胞バンクを製造した。
【0417】
A05tmNで形質転換した大腸菌株を37℃で攪拌下、半合成培地で増幅した(pH6.8-溶存酸素:20%)。抗原の発現を、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して誘導した。
【0418】
培養物を未処理バルクとして回収し、細菌バイオマスを遠心分離により培地から分離した。得られた細胞ペレットを緩衝液(20mM Tris-HCl、pH8.5)に再懸濁した。再懸濁したペレットをホモジナイザーにより処理して細胞ホモジネートを作製した。その後、ホモジネートを遠心分離してペレット画分を採取した。ホモジネートペレットを緩衝液(20mM Tris-HCl、pH8.5)に再懸濁し、pHショック処置に供した(pH12、室温で1時間、混合しながら)。pHを85%リン酸で8.5に戻した。pHショック材料の上清画分を遠心分離後に採取し、次いで濾過して濾過上清を得た。
【0419】
上清をpH8.5および<5.0mS/cm電気伝導度に調整し、捕捉カラム、GigaCap Q-650Mに充填した。溶出プールを0.9M硫酸アンモニウム(AmS)に調整し、次いで中圧クロマトグラフィー、Toyopearl Phenyl 600Mでさらに精製した。疎水性相互作用クロマトグラフィー後、溶出プールをpH8.5および<8.0mS/cm電気伝導度に調整し、Nuvia aPrime 4Aクロマトグラフィーによりさらに精製した。この後、5kDa再生セルロース接線流濾過(TFF)膜を使用した最終限外濾過および透析濾過、ならびに0.2μm濾過を行った。
【0420】
A05tmNを、酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)中AlPO4 1.00mg Al/mLに規定したAlPOに吸着させた。
【0421】
2.非脂質化変異fHBP B01(B01smN)
非脂質化B01smNを製造するために、単一点変異を野生型fHBP B01配列に導入し、非脂質化タンパク質を得るために、N末端で脂質部分を固定する第1のシステイン残基をメチオニン(非脂質化B01smN:配列番号4)に置き換えた。B01smNの DNA配列を合成し、次いでプラスミド構築物を製造するのに使用した。手短に言えば、Xba1およびXho1部位のDNA配列をB01smN配列の両末端に付加した。発現プラスミドを作出するために、Xba1/Xho1含有プラスミドを消化し、得られたDNA断片をXba1/Xho1消化pET28a(+)にライゲートし、Top10コンピテント細胞に形質転換した。陽性クローンをXba I/Xho I消化によって確認した。B01smNプラスミドを大腸菌に形質転換し、3回のコロニー精製後に細胞バンクを製造した。
【0422】
B01smNで形質転換した大腸菌株を37℃で攪拌下、半合成培地で増幅した(pH6.8-溶存酸素:20%)。抗原の発現を、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して誘導した。
【0423】
培養物を未処理バルクとして回収し、細菌バイオマスを遠心分離により培地から分離した。得られた細胞ペレットを緩衝液(20mM Tris-HCl、pH8.5)に再懸濁した。再懸濁したペレットをホモジナイザーにより処理して細胞ホモジネートを作製した。その後、ホモジネートを遠心分離して上清画分を採取した。次いで、上清画分を濾過した。
【0424】
濾過した上清をpH8.5および<5.0mS/cm電気伝導度に調整し、クロマトグラフィーCaptoQ ImpResに充填し、結合および溶出モードで精製した。次いで、第2のクロマトグラフィー、Phenyl Sepharose HPに充填するために、CaptoQ ImpRes溶出プールを1.8M AmSに調整した。溶出後、材料を濃縮し、5kDa Ultracel TFF膜を使用して酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)に透析濾過し、次いで0.2μm濾過した。
【0425】
B01smNを、酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)中AlPO4 1.00mg Al/mLに規定したAlPOに吸着させた。
【0426】
3.NadA
切断型のNadAをNadA_MC58から製造した。切断型NadAは、除去したNadA_MC58のリーダー配列(残基1~23)およびアンカードメイン(残基308~362)を有した(切断型NadA:配列番号5)。NadA_MC58の切断配列では、リーダー配列後の最初のアミノ酸はアラニンであり、アラニンはメチオニンに置き換えられた。NadAのDNA配列を合成し、次いでプラスミド構築物を製造するのに使用した。Xba1およびXho1部位のDNA配列をNadA配列の両末端に付加した。発現プラスミドを作出するために、Xba1/Xho1含有プラスミドを消化し、得られたDNA断片をXba1/Xho1消化pET28a(+)にライゲートし、Top10コンピテント細胞に形質転換した。陽性クローンをXba I/Xho I消化によって確認した。NadAプラスミドを大腸菌に形質転換し、3回のコロニー精製後に細胞バンクを製造した。
【0427】
NadA1で形質転換した大腸菌株を37℃で攪拌下、半合成培地で増幅した(pH6.8-溶存酸素:20%)。抗原の発現を、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加して誘導した。
【0428】
培養物を未処理バルクとして回収し、細菌バイオマスを遠心分離により培地から分離した。得られた細胞ペレットを緩衝液(20mM Tris-HCl、pH8.5)に再懸濁した。再懸濁したペレットをホモジナイザーにより処理して細胞ホモジネートを作製した。その後、ホモジネートを遠心分離して上清画分を採取した。次いで、上清画分を濾過した。
【0429】
上清画分をCapto DEAEカラムに充填した。Capto DEAE溶出画分を、500mM AmSの濃度が得られるまでAmS末で調整した。調整したCapto DEAE溶出画分をToyopearl Butyl-650Mカラムに充填した。Toyopearl Butyl-650M溶出画分をCHT Type I 40μmカラムに充填し、30kDa再生セルロースTFF膜を使用してCHT溶出画分を濃縮し、その後、50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0に透析濾過した。TFF後、産物を0.2μm濾過してNadA抗原を作製した。
【0430】
NadAを、酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)中AlPO4 1.00mg Al/mLに規定したAlPOに吸着させた。
【0431】
4.dOMV
dOMVを、Walter Reed Army Institute of Research(WRAIR)によって提供された野生型髄膜炎菌血清型B、株99Mから精製した。
【0432】
Nm B 99Mを、1g/Lの酵母エキス、およびHepes 1Mの存在下、37℃、CO 5%でFuら(Biotechnology(N Y).1995年2月;13(2):170~4頁)およびUS 5,494,808に記載された合成培地で培養した。
【0433】
湿潤細菌ペレットを回収するために、熱処理懸濁液(55℃、2時間)の低速遠心分離を使用して培養物回収を実行した。界面活性剤(デオキシコール酸ナトリウム)からなる抽出緩衝液を用いて2連続界面活性剤媒介抽出工程(56℃、15分間)を行って、細菌外膜からdOMVを抽出し、リポオリゴ糖を枯渇させた(Heltingら、Acta Pathol Microbiol Scand C.1981 Apr;89(2):69~78頁に記載されているように)。デオキシコール酸ナトリウムおよびEDTAは細菌外膜を可溶化し、次いで細菌外膜は自身をdOMV(小胞および微粒子)に再編成する。再懸濁は、抽出緩衝液に懸濁したペレットをUltra-Turrax(ローター-ステーター装置)を使用してホモジナイズすることによって完了した。dOMV上清をプールし、その後、MgCl2の存在下でベンゾナーゼ処置を行った(37℃、15分間)。
【0434】
dOMV抽出後、300kDaの修飾ポリエーテルスルホン(mPES)の中空糸を使用してdOMVの濃縮を行った。いくつかの超遠心分離工程を使用して、核酸、細胞質タンパク質、抽出したリポ多糖または緩衝液成分などの「可溶性」内容物からdOMVを分離した。次いで、得られたペレットを、Ultra-Turrax(ローター-ステーター装置)を最低速度で数秒間使用して抽出緩衝液に再懸濁した。最初の再懸濁後、高圧ホモジナイズを使用してdOMVを抽出緩衝液に完全に再懸濁し、dOMV表面への界面活性剤の接近しやすさを増大させた。
【0435】
次いで、遠心分離を行った後、上清を0.45/0.2μm酢酸セルロースフィルターで最終濾過した。
【0436】
5.抗原の組合せ
多成分免疫原性組成物中のMenB抗原は、精製された非脂質化変異A05 fHBP(A05tmN)、非脂質化変異fHBP(B01smN)、NadAおよびdOMVである。A05tmN、B01smNおよびNadA抗原をリン酸アルミニウム(AlPO)に吸着させた。
【0437】
溶媒は酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)およびAlPO(1.00mg AL3+/mL)からなった。
【0438】
最終免疫原性組成物を製剤化するために、製剤、AlPO、AlPOに吸着されたB01smN、AlPOに吸着されたA05tmN、および酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)を混ぜ合わせて、標的抗原およびアルミニウム濃縮液を得た(B01smNについては250μg/mL、A05tmNについては250μg/mL、およびAlPO 1.00mg Al/mL)。dOMVを酢酸緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl、pH6.0)およびAlPOに吸着されたNadAと混合して、以下のテストした種々の製剤の抗原の種々の濃縮液(F1~F5)を得ることによって、種々のNadA-dOMV組成物を製剤化した。fHBPのみの製剤を担体で希釈して製剤F6を得た。
【0439】
2.TRUMENBA(登録商標)
TRUMENBA(登録商標)は、10mMヒスチジン緩衝液pH6.0、塩化ナトリウム(NaCl)、およびリン酸アルミニウム(AlPO)としての0.5mg/mLアルミニウム中60μg/mL/サブファミリーで製剤化されたfHBPサブファミリーA(A05)およびB(B01)タンパク質、ならびにポリソルベート80(PS80)からなる滅菌液体懸濁液のMenB二価組換え脂質化fHBP(rLP2086)組成物である。
【0440】
3.BEXSERO(登録商標)
BEXSERO(登録商標)は、ヒスチジン0.776mg/0.5mL用量、3.125μg/0.5mL用量の塩化ナトリウム、スクロース10mg/0.5mL用量、および水を含む緩衝液に3つの組換えタンパク質:50μg/0.5mL用量のrp287-953(NHBAキメラ)、rp936-741(非脂質化B24とのfHBPキメラ、50μg/0.5mL用量)、および50μg/0.5mL用量のrp961c(NadA);25μg/0.5mL用量のdOMV、および1.5mg/0.5mL用量のAlOOH(例えば、Al 0.5mg)を含有する。
【0441】
4.MENQUADFI(登録商標)
MENQUADFI(登録商標)は、WO 2018/045286 A1に開示の、得られたACWY多糖体抗原を含み、破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートされた市販のワクチンである。製剤は、破傷風トキソイドタンパク質に別々にコンジュゲートされた、血清群A、C、Y、およびW135由来の髄膜炎菌莢膜糖を含む。標的活性成分濃度は、0.5mL用量あたり、各多糖体10μgおよび破傷風トキソイドタンパク質約55μgである。抗原を、30mM酢酸ナトリウム緩衝液(1.23mg/用量)および塩化ナトリウム(0.67%、3.35mg/用量)を含有する滅菌水溶液で製剤化した。
【0442】
5.テスト組成物
以下の試験では、本明細書に開示のMenB多成分ワクチンの6つの製剤(F1~F5、およびMENQUADFIと同時投与されたF1)をテストし、基準組成物BEXSERO、TRUMENBAおよび比較二価(fHBP AおよびfHBP B)組成物(F6)と比較した。テスト組成物の異なる量の種々の抗原を、下の表1にまとめる。F1、F2、F4-F6およびMENQUADFIと同時投与されたF1は、用量あたり0.4mg AlPOを含み、一方F3は用量あたり0.8mg AlPOを含んだ。
【0443】
【表1】
【0444】
実施例2の投与には、1製剤あたり以下の容量を使用した:
【0445】
F1:400μL
【0446】
F2:400μL
【0447】
F3:800μL
【0448】
F4:400μL
【0449】
F5:400μL
【0450】
F6:400μL
【0451】
F1+MENQUADFI:動物は、0日目、28日目および56日目にF1 400μLを受けた。0日目に動物は反対の大腿にMENQUADFI 500μlも受けた。
【0452】
TRUMENBA:500μL
【0453】
BEXSERO:500μL
【実施例2】
【0454】
MenBワクチン免疫原性の前臨床評価:ウサギ免疫原性試験
1.材料および方法
1.試験デザイン
7匹のウサギ(New-Zealand KBL-メス-8週齢)の9つの群は、0日目、28日目および56日目にIM経路によって与えられる7つの製剤-実施例1の表1でF1~F6およびF1+MENQUADFIと称される-、または認可を受けた基準ワクチンTRUMENBAおよびBEXSERO(実施例1参照)のそれぞれ1つの3回の免疫化を受けた。製剤F1は、MENQUADFIとの同時投与でもテストした。初回注射は右大腿、第2回注射は左大腿、最後の注射は右大腿に、IM経路により組成物を投与した。F1+MENQUADFIを受ける群については、動物に、0日目にIM経路によって与えられるMENQUADFIを反対の大腿に同時投与した。
【0455】
臨床徴候および体温を、免疫化4、24および48時間後に測定した。血液サンプルを、0日目および第2回免疫化の2週間後(42日目)、および63日目に凝固活性剤および血清分離剤を含有するチューブ(BD Vacutainer SST II 8.5mL、参照番号366468A)に採取した。血液細胞から血清を分離するために、チューブを3500rpmで15分間遠心分離した。血清を4.5mL NUNCチューブに移し、+56℃で30分間熱不活性化した。血清は、ELISA、精製および殺菌アッセイに使用するまで-20℃で保存した。
【0456】
第2回投与後、抗体応答のプラトーに既に達しており、そのため免疫原性は第2回投与後に分析した。
【0457】
テスト組成物の免疫原性は、ELISAによって測定された抗原(Ag)特異的IgG応答、および7種類または18種類のMenB株のパネルに対する機能的血清殺菌抗体活性(hSBA)を評価して、42日目に測定した。応答者は、0日目から42日目の間にhSBAの少なくとも4倍の増加を示した。
【0458】
陽性応答の陽性閾値は、次のように定義した:
【0459】
前(0日目):hSBA<8-後(42日目):hSBAが>8ならば、血清は陽性である
【0460】
前(0日目):hSBA≧8-後(42日目):0日目と比べてhSBAが≧4倍の増加ならば、血清は陽性である。
【0461】
血清が特異的hSBAを誘導できた免疫化動物の数は、観察された応答者の70%を超えていた(すなわち、1製剤あたり5/7匹)。
【0462】
2.ELISAによるIgG抗体価の決定
各抗原に対して産生された特異的IgG応答を、0日目および42日目にウサギ血清から測定した。ELISA分析を、各免疫化群から採取した個々の血清から行った。
【0463】
簡単には、96ウェルマイクロプレートを、炭酸緩衝液コーティング溶液中、1ウェルあたり100μLの特異的抗原1μg/mLでコーティングし、一晩、+4℃で維持した。プレートを反転してコーティング溶液を除去し、その後ペーパータオル上でプレートを軽く叩いた。不含部位を緩衝液1(PBS/Tween20 0.05%/脱脂乳1%)150μLでブロックし、+37℃で60分のインキュベーション期間後、プレートを空にした。血清を、マイクロプレート中100μLの容量(12回)で緩衝液1に段階希釈した。プレートを+37℃で90分間インキュベートし、次いで緩衝液2(PBS/Tween20 0.05%)で洗浄した。次いで、希釈した抗ウサギIgG 100μLを各ウェルに添加した。+37℃で90分インキュベーション後、プレートを緩衝液2で洗浄した。テトラメチルベンジジン基質溶液100μLを各ウェルに添加して反応を展開した。室温で30分後、HCl(1N)を用いて反応を化学的に停止し、分光光度計(Versamaxリーダーp248、Molecular Devices)で450~650nmの吸光度を測定した。結果は、ロボットELISAのCODUNITプログラムを使用して、OD=1に対応する希釈の逆数による任意ELISA単位/mLで表した。
【0464】
3.hSBA検査用のウサギ血清のIgG精製
0日目、42日目にウサギ血清によって誘導される非特異的殺菌を避けるために、IgGの精製が必要であった。ウサギ血清の精製は、RPROTEIN A GRAVTITRAP(商標)カラム(GE healthcare GE28-9852-54)およびAb緩衝液キット(GE Healthycare 参照番号28-9030-59)を使用して行った。結合緩衝液(リン酸ナトリウム20mM pH=7)によるカラムの平衡化の最初の工程後、結合緩衝液(V/V)で中性pHに調整した血清(2mL)をカラムに添加してIgG結合を行なった。カラムを結合緩衝液で洗浄し、溶出緩衝液(グリシンHCl 0.1M pH2.7)で溶出してIgGを採取した。IgGの活性を保存するために、中和緩衝液(Tris-HCl 1M、pH9.0)を溶出画分に添加してほぼ中性の最終pHを得た。各サンプルの透析を、Slide-A-Lyser G2透析カセット(Thermo Scientific 87730)を使用して行って、PBS緩衝液中のサンプルを交換した。IgG濃度の定量化をNANODROPによって行なった。
【0465】
4.hSBA検査
補体源としてヒト補体を使用する血清殺菌性抗体の測定は、髄膜炎菌性疾患に対する防御の代理マーカーとして広く受け入れられている(Borrowら、Vaccine.2005;23(17-18):2222~7頁;Borrowら、Vaccine.2006;24(24):5093~107頁;Fraschら、Vaccine.2009;27 Suppl 2:B112~6頁;Goldschneiderら、J Exp Med.1969;129(6):1307~26頁)。
【0466】
SBAアッセイは、補体の存在下で細菌を溶解し、死滅させる抗体の能力を意味する。補体の供給源は、ヒト補体であった(Pel Freez IgG/IgM枯渇バッチ #13441)。簡単には、血清を+56℃で30分熱不活性化し、次いでIgG精製を行った。その後、精製IgGを、96ウェルマイクロプレートでCa++およびMg++)+0.2%ゼラチンを含有するダルベッコPBS緩衝液(希釈緩衝液)に段階的に2倍希釈した(9回)。
【0467】
細菌の前培養を、ミュラーヒントン寒天(ペトリ皿)で+37℃、5%CO、18時間行ってコンフルエントな細菌増殖を得た。その後、細菌を、BHI懸濁液でλ600nm、約0.20の初期ODで+37℃、2時間30分振盪しながら(100rpm)増殖させた。インキュベーション後、細菌を5倍希釈して1.4.104CFU/mLを得た。作業細菌懸濁液25μL、前希釈血清50μL、および希釈したヒト補体25μL(15%最終濃度)を96ウェルマイクロプレートに沈着させ、+37℃で1時間、振盪しながら(100rpm)インキュベートした。Zephyrロボットアプリケーションは、ミュラーヒントン寒天を含む角皿(40×40)上の各ウェル40μLを自動的に沈着させた。寒天プレートを+37℃、5%CO2で10~12時間インキュベートした。インキュベーション後、1ウェルあたりのコロニー数をMicrovision社製のCybele Softwareを使用してカウントした。
【0468】
殺菌力価は、補体対照ウェルと比較して、細菌1mLあたりのコロニー形成単位(CFU)の50%減少をもたらす血清希釈として定義した。SBA力価は、プレート計画に適合するユーザー定義プロトコールにより、4パラメーター曲線をSoft Max Pro v6.5.1 GxPでモデル化して計算した。モデル化が4パラメーター曲線に適合しない場合、次いでK50前後のトレンド機能および手動読み取りを適用した;殺菌力価は、少なくとも50%の減少をもたらす最終逆数血清希釈として定義した。
【0469】
陽性応答の陽性閾値は、次のように定義した:
【0470】
前(0日目):hSBA<8-後(42日目):hSBAが>8ならば、血清は陽性である
【0471】
前(0日目):hSBA≧8-後(42日目):0日目と比べてhSBAが≧4倍の増加ならば、血清は陽性である。
【0472】
血清が特異的hSBAを誘導できた免疫化動物の数は、観察された応答者の70%を超えていた(すなわち、1製剤あたり5/7匹)。
【0473】
5.MenB株
異なる単離日に、地理的に異なる場所から単離され、多様なMLSTクローナルコンプレックスを代表する、18種類の野生型血清群B髄膜炎菌分離株(大部分は最近の臨床分離株)のセットを選択した。免疫原性組成物の各成分の免疫原性を評価し、カバー範囲の幅を評価するためにMenB株を選択した。組成物の他の抗原のいずれともマッチしないが、組成物の抗原のうちの1つに対する抗体によって選択的に認識されるMenB株を使用して、免疫原性をSBAにより測定した。さらに、いくつかの選択株が、AおよびBサブファミリーの両方の十分に記載されているfHBP配列の多様性および分布を確実に代表するように選択を行った。クローナルコンプレックス(CC)分布、地理的起源、抗原出現率および多様性などの疫学的特徴を代表するMenB株を使用して、カバー範囲の幅を評価した。
【0474】
選択された株の主な特徴を表2にリストする。
【0475】
【表2】
【0476】
クローナルコンプレックス分布、クローナルコンプレックスの出現率および高毒性、地理的起源、抗原出現率ならびに多様性などの疫学的特徴に基づき18株を選択し、抗原分布に関して次のように特徴付けた:
【0477】
-11株はfHBPサブファミリーAを発現し(fHBP A05抗原に近い2株-番号1および8-ならびにfHBP A05抗原から離れた9株-番号2、5、7、9、10、11、12、13、14)、
【0478】
-7株はfHBPサブファミリーBを発現する(fHBP B01抗原に近い1株-番号3-およびfHBP B01抗原から離れた6株-番号4、6、15、16、17、18)。
【0479】
-14株はNadAを発現せず(遺伝子が欠如しているかまたはフレームシフトNadA4/5オフ)、4株は同種NadA1バリアント(3株)かまたは異種NadA2/3バリアント(1株)のいずれかを発現し;
【0480】
-2株は、低レベルのfHBP Aを発現する、一致するdOMVのPorA VR2 P1.2を発現する(1株はNadAタンパク質を発現せず(番号5)、1株は異種NadAタンパク質を発現する(番号13))。
【0481】
2.結果
1.ELISA結果
全IgG抗体を、様々な製剤(F)、TRUMENBAまたはBEXSEROで免疫化したウサギから採取したプール血清から0日目(グレー)、および個々の血清から42日目(青)にELISAによって定量化した。
【0482】
どのようなELISA応答であれ、結果は群内で均一であった(全p値≧0.061)。外れ値の動物は検出されなかった。
【0483】
fHBP特異的IgG応答については図1Aおよび1B、ならびにNadA特異的IgG応答およびdOMV特異的IgG応答については図2Aおよび2Bに示すように、ELISA結果は、F1~F5製剤およびMENQUADFIと同時投与されたF1製剤の全てが、4.05~4.99 Log10のAg特異的IgG力価の抗体応答を誘発したことを示している。
【0484】
さらに、図1AおよびBならびに図2Aおよび2Bに示すように、どんな製剤が使用されようと、AlPOと組み合わせて製剤化した4つのMenB抗原のそれぞれの注射は、fHBP A05 tmN、fHBP B01 smN、NadAタンパク質およびdOMVに対する中程度~高力価の抗体の産生を100%の動物で可能にした。A05tmNおよびB01smN fHBP Ag 50μgを用いて製造した製剤(F1+/-MENQUADFI、F4、F5およびF6)は、それぞれ4.28 Log10~4.59 Log10および4.05 Log10~4.52 Log10の平均力価のfHBP特異的IgG応答を誘導した。NadA50μgを用いて製造した製剤(F1~F5)は、4.42 Log10~4.81 Log10の平均力価のNadA特異的IgG応答を誘導した。dOMV 50μgを用いて製造した製剤(F1~F3)は、4.77 Log10~4.99 Log10の平均力価のdOMV特異的IgG応答を誘導した。最後に、様々な用量のfHBPタンパク質(F2、25μgおよびF3、100μg)またはdOMV(F4、25μgおよびF5、125μg)に関して、同様の平均力価が全て投与量で測定された。
【0485】
TRUMENBAは、fHBP A05 tmN抗原、fHBP B01 smN抗原に対して、それぞれ5.16および5.15 Log10の平均力価の特異的IgGを誘導することができた。
【0486】
BEXSEROは、NadAバリアント1抗原に対して、4.34 Log10の平均力価の特異的IgGを誘導することができた。
【0487】
2.7種類のMenB株(番号1~6および18)に対する種々の組成物F1~F6またはF1+MENQUADFI、TRUMENBAおよびBEXSEROで得られたhSBA結果
実験の第1セットでは、種々の組成物F1~F6またはF1+MENQUADFI、TRUMENBAおよびBEXSEROを7種類のMenB株(番号1~6および18)に対してアッセイした。
【0488】
hSBA結果は、6つの製剤F1~F5およびMENQUADFIと同時投与されたF1が、ウサギにおいて免疫原性であったことを示している。応答者のパーセンテージは、血清を免疫化後対免疫化前に基づき測定し、hSBA GMTの4倍の増加を示した動物のパーセンテージであり、防御の代用を実証するものである。
【0489】
図3に示すように、どんな免疫化用量が使用されようと(25μg F2、50μg F1、F4、F5、F6および100μg F3)、変異非脂質化fHBP A05 tmN+NadA+dOMVと組み合わせた変異非脂質化fHBP B01 smNは、近縁fHBP B44バリアント株に対して42日目に100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTは443~1147であった。
【0490】
TRUMENBAおよびBEXSEROは、近縁fHBP B44バリアントを発現するMenB株に対して100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、5773および646であった。
【0491】
図4および5に示すように、変異非脂質化fHBP A05tmN+NadA+dOMVと組み合わせた変異非脂質化fHBP B01 smNは、異なるfHBP B24バリアントを発現する第1のMenB株に対して43~86%の動物で(図4)、およびテストした第2の異なるfHBPB24バリアント株に対して86~100%の動物で(図5)殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、5~18および28~219であった。
【0492】
興味深いことに、第1の異種B24バリアント株に対して、製剤F3中の変異非脂質化fHBP B01smNのみがhSBA応答を86%の動物で誘導し、GMTは18であった。
【0493】
TRUMENBAは、2種類のB24株に対して100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、44および143であった。BEXSEROは、2種類のB24株に対して100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、2274および2587であった。
【0494】
さらに、25~100μg B01 smN fHBP用量に有意な用量効果は示されなかった(全p値≧0.056)。
【0495】
最後に、MENQUADFIを製剤F1と同時投与した場合、変異非脂質化B01 smN応答に有意差は示されなかった(全MenB Ag、50μg、全p値≧0.339)。
【0496】
図6および7に示すように、どんな免疫化用量が使用されようと(25μg F2、50μg F1、F4、F5、F6および100 μg F3)、変異非脂質化fHBP B01smN+NadA+dOMVと組み合わせた変異非脂質化fHBP A05 tmNは、近縁fHBP A56バリアント発現株(図6)および異なるfHBP A22バリアント発現株(図7)に対して、100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、幾何平均力価(GMT)はそれぞれ、226~382および45~108であった。
【0497】
TRUMENBAは、fHBP A56およびfHBP A22バリアント発現株に対して100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、2058および463であった。BEXSEROは、fHBP A56バリアント発現株に対しては57%の動物で、およびfHBP A22バリアント発現株に対しては100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、7および331であった。
【0498】
さらに、25~100μgの変異非脂質化A05 tmN fHBP用量に有意な用量効果は示されなかった(全p値≧0.066)。
【0499】
最後に、MENQUADFIを製剤F1と同時投与した場合、A56株に対する変異非脂質化A05 tmN応答に有意差は示されなかった(p値=0.281)。fHBP A22発現株に対するhSBAに関して、F1+MENQUADFIで得られた力価は、F1単独で得られた力価より有意に低かった(p=0.020)が、生物学的関連性を持たない2.4倍の減少を示した。
【0500】
図8に示すように、NadA 50μgを用いて製造した製剤(F1~F5)は、同種NadAバリアント1株に対して100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTは217~696であった。
【0501】
TRUMENBAおよびBEXSEROは、同種NadAバリアント1株に対して86%および100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTはそれぞれ、118および1191であった。
【0502】
最後に、MENQUADFIを多成分MenBワクチンと同時投与した場合、NadA応答に有意差は示されなかった(p値=0.688)。
【0503】
図9に示すように、dOMVを用いて製造した製剤(25μg F4、50μg F1、F2、F3および125μg F5)が何であれ、同種PorA_1.2株に対して100%の動物で殺菌活性を誘導することができ、GMTは350~1324であった。
【0504】
TRUMENBAおよびBEXSEROは、このdOMV株に対する殺菌活性を誘導することはできなかった。
【0505】
さらに、有意なdOMVの用量効果は示されなかった(全p値≧0.637)。
【0506】
fHBP AまたはB応答に対するNadAおよびdOMV抗原の有意な影響は観察されなかった(全p値≧0.208)。
【0507】
NadA/dOMV抗原と組み合わせたfHBP抗原の用量の唯一の有意な影響は、F1(50μg)とF3(100μg)製剤の間のNadA特異的hSBA応答に関してであった。図8Aに示すように、F3製剤で得られた力価は、F1製剤で得られた力価より高かった(p=0.004、3.2倍の増加)。porA/dOMV特異的hSBA応答に関して、全ての製剤間で有意差は示されなかった。
【0508】
この試験は、AlPOを用いて製剤化した4つの選択された各MenB抗原、変異非脂質化fHBPs A05 tmLおよびB01 smL、NadAおよびdOMVの組合せによる免疫原性を実証した。
【0509】
新たなワクチン製剤に含まれる全ての抗原は、Ag特異的MenB株に対するhSBAにより測定したAg特異的殺菌抗体応答を高めることができた。ウサギモデルでは、fHBPに関して有意な用量効果は観察されなかった。同様に、dOMVに関して有意な用量効果は観察されず、最低用量(25μg)のdOMVは、強力なhSBA応答をもたらした。興味深いことに、製剤F3(すなわち、100μg/用量のfHBP、5μg/用量のNadAおよび50μg/用量のdOMVを含有する)は、テストした全ての株に対して最も高いhSBA応答をもたらし、71%を超える動物で陽性応答を誘導する傾向があった。さらに、MenB特異的hSBA応答に対するMenQuadfi同時投与の影響は観察されなかった。全てのテスト製剤中のfHBP A05tmNワクチンAgは、近縁A56バリアント株および異種A22バリアント株に対して100%の動物でhSBA応答を誘導し、幾何平均力価(GMT)はそれぞれ、226~382および45~108であった。全てのテスト製剤中のfHBP B01smNワクチンAgは、近縁B44バリアント株に対して100%の動物でhSBA応答を誘導し、GMTは443~1147であった。第1の異種H44/76 B24バリアント株に対するhSBA応答をテストすると、製剤F3中のfHBP B01smNのみが、86%の動物で陽性hSBA応答を誘導し、GMTは18であったのに対し、全ての他のテスト製剤は、わずか29~57%の動物でhSBA応答を誘導し、GMTは5~10であった。対照的に、第2の異種B24株である株03S-0291を使用した場合、全てのテスト製剤中のfHBP B01smNは、86~100%の動物でhSBAを誘導し、GMTは28~219であった。
【0510】
テストした全ての製剤中のNadAワクチンAgは、NadA1バリアント株に対して100%の動物でhSBAを誘導し、GMTは217~696であった。
【0511】
テストした全ての製剤中のdOMVは、PorAサブタイプVR2 P1.2株に対して100%の動物でhSBAを誘導し、GMTは350~1324であった。
【0512】
全体として、免疫原性結果は、本明細書に開示された免疫原性組成物の6つの製剤がウサギにおいて免疫原性であったことを示している。新たなワクチンに含まれる全ての抗原は、Ag特異的MenB株に対するhSBAにより測定したAg特異的殺菌抗体応答を高めることができた。ウサギモデルでは、fHBP 100μgを用いて製造した製剤は最も高いhSBA応答をもたらす傾向があり、また、テストした全ての株に対して70%を超える動物で応答を誘導したとしても、fHBPに関して有意な用量効果は観察されなかった。同様に、dOMVに関して有意な用量効果は観察されず、最も低いdOMV用量(25μg)は強力なhSBA応答を誘導するのに十分であった。興味深いことに、MenB特異的hSBA応答に対するMENQUADFI同時投与の影響は観察されなかった。
【0513】
注目すべきことに、体温上昇も主要な初見(紅斑…などの)も動物では試験を通して観察されなかった。
【0514】
結論として、免疫原性結果は、開示された免疫原性組成物の6つの製剤が、ウサギにおいて免疫原性であったことを示している。MenB多成分ワクチンに含まれる全ての抗原は、Ag特異的MenB株に対するhSBAにより測定したAg特異的殺菌抗体応答を高めることができた。
【0515】
3.17種類のMenB株(番号1~17)に対する組成物F1、F3、TRUMENBAおよびBEXSEROで得られたhSBA結果
実験の第2のセットでは、先行する実験で組成物F1、F3、TRUMENBAおよびBEXSEROによる免疫化後に得られた血清を、11種類の追加のMenB株に対して(上でテストした6種類の株を含む、合計17種類のMenB株に関して)アッセイした。
【0516】
全体的な結果を、選択されたMenB株のパネルに対する種々のテスト組成物の効能を示す下の表3にまとめる。
【0517】
【表3】
【0518】
結果は、株番号4および5がTRUMENBAによってほとんどカバーされない(<71%応答者)か、またはカバーされない(0%応答者)ことを示した。一方、これらの株は、F1およびF3製剤によって大部分または完全にカバーされた。
【0519】
また、結果は、株番号1、5、7、8、9、および11はBEXSEROによってほとんどカバーされないか、またはカバーされないが、それらはF1およびF3製剤によって十分にまたは完全にカバーされる傾向があることを示した。
【0520】
注目すべきことに、株番号5は、TRUMENBAまたはBEXSEROによって全くカバーされない。
【0521】
表3は、MenB株の17種類のうち16種類、および17種類のうち17種類がF1およびF3組成物によってカバーされたことを示している。対照的に、TRUMENBAは、MenB株の17種類のうち15種類をカバーするようであり、BEXSEROはMenB株の17種類のうち11種類しかカバーしないようであった。
【0522】
図19に示すように、テスト製剤F3は、種々のクローナルコンプレックス、ST-41/44、ST-32、ST-269、ST-213、ST-35、ST-461、ST-11およびST-461由来の種々のMenB株全てに対する防御を誘導することができた。対照的に、TRUMENBAおよびBEXSEROによって誘導されるカバー範囲はいくつかの空白を呈する。
【0523】
データの結論として、本開示のMenB多成分免疫原性組成物が、fHBP低発現体および異なる株に対してさえ優れた株カバー範囲を提供することは注目される。F3製剤は、17/17 MenB株を>71%応答者でカバーし、F1製剤は、16/17 MenB株を>71%応答者でカバーした。
【0524】
TRUMENBAは、15/17 MenB株をカバーした。カバーされない株(0%応答者)は、fHBP A10発現についてはゼロであり、ST-11クローナルコンプレックスに属した。ほとんどカバーされない株(71%応答者)は、B24発現株であった。
【0525】
BEXSEROは、11/17 MenB株をカバーした。ほとんどカバーされないかまたはカバーされない6種類の株(0~57%応答者)は、fHBP Aバリアントを発現した。それらは、循環MenB株の最大29%に相当する場合があり、よく見られるまたは高毒性のクローナルコンプレックス:ST-213;ST-11;ST-35;およびST-461に属した。
【0526】
新たに開発されたワクチン組成物は、現在のMenB分子疫学を代表する18種類の株;すなわち、最もよく見られ、高毒性のクローナルコンプレックス(CC)由来の株、および最もよく見られる抗原バリアント由来の株に対する防御の幅の増大を示す。
【実施例3】
【0527】
MIMIC PTEアッセイ
1.材料および方法
1.テスト組成物および実験デザイン
第1の試験では、市販のワクチンBEXSEROおよびTRUMENBAを、それぞれ20名のドナーを使用してMIMIC成人および新生児末梢組織等価物(Peripheral Tissue Equivalent)(PTE)培養物(以下参照)で比較した。TRUMENBAおよびBEXSEROワクチン組成物は、実施例1に開示されている通りであった。
【0528】
第2の試験では、MIMIC PTE培養物(以下参照)を、ヒト用量の10倍希釈に基づく1:100~1:1000000の用量範囲曲線において、5つのワクチン候補製剤-F1、F2、F3;F4およびF5(製剤は、実施例1の表1に示されている通りであった)-で処置した。F1は、50μg/用量の各成分および標準的な用量(0.4mg/用量)のAlPO4を含有することから、標準的な製剤とみなされた;F2製剤は、0.4mg/用量AlPO中、低用量fHBP(25μg/用量)および標準的な用量のNadAおよびdOMV(50μg/用量)の組合せであった;F3製剤は、高用量fHBP(100μg/用量)、標準的な用量のNadAおよびdOMV(50μg/用量)、ならびに高用のAlPO4(0.8mg/用量)の組合せであった;F4製剤は、標準的な用量のfHBPおよびNadA(各50μg/用量)、低用量のdOMV(25μg/用量)、ならびに標準的な用量のAlPO4を組み合わせた;ならびにF5製剤は、標準的な用量のfHBPおよびNadA(50μg/用量)、高用量のdOMV(125μg/用量)、ならびに標準的な用量のAlPOの組合せを含んだ。この試験では、dOMVベースのMenBワクチン、BEXSEROを、基準参照対照として使用した。
【0529】
mockまたは対照組成物は、無血清培養培地のみを含有する無処置対照であった。
【0530】
2.成人および新生児MIMIC PTEアッセイ
MIMIC PTE構築物(Higbeeら、Altern Lab Anim.2009年9月;37 Suppl 1:19~27頁)は、Maら(Immunology、2010、130:374~87頁)に教示された方法を使用してロボットラインで構築した。
【0531】
簡単には、内皮細胞をコラーゲン基質(Advanced Biomatrix、San Diego、CA)上でコンフルエンスまで増殖させた。その後、凍結ストックから製造したドナーPBMC(成人MIMIC PTE)またはドナー臍帯血(新生児MIMIC PTE) をアッセイウェルに適用した。90分(成人バージョン)または3時間(臍帯血バージョン)のインキュベーション後、非遊走細胞を洗い流した後、最終インキュベーション工程で様々な処置(実施例1の表1)を48時間添加した。100ng/mL LPS(緑膿菌由来、カタログ番号L8643、Millipore Sigma、Burlington、MA)および10μg/mL R848(カタログ番号TLRL-R848、InvivoGen、San Diego、CA)の混合物を、これらのアッセイの陽性対照(アッセイ対照)として使用した。逆遊走細胞(Reverse-migrated cell)を48時間の処置期間後に回収し、フローサイトメトリーを使用して細胞生存率のための表現型を決定する一方、同じ時点で回収した培養上清をマルチプレックスアッセイによりサイトカイン/ケモカインについて分析した。
【0532】
実験の第1シリーズでは、BEXSEROおよびTRUMENBAを一緒に比較した。実験の第2のシリーズでは、本開示の免疫原性組成物F1、F2、F3、F4およびF5を本開示と比較した。
【0533】
48時間の処置期間後に培養物上清を回収し、マルチプレックスアッセイによりサイトカイン/ケモカインについて分析した。同時に回収した細胞を、フローサイトメトリーを使用して細胞生存率のための表現型を決定した。
【0534】
3.サイトカイン/ケモカイン分析
MIMIC培養上清を、Milliplexヒト12-プレックスマルチ-サイトカイン検出システム(Millipore)を使用して分析した。キットにはIL-1β、IL-6、MIP-1βおよびTNFαが含まれた。分析物濃度を、適切な検量線に基づきBio-Plexマネージャーソフトウェア(Lunaら PloS One vol.13,6 e0197478.2018年6月6日)を使用して算出した。
【0535】
ランの判定基準に関して、各分析物の定量下限(LLOQ)および定量上限(ULOQ)を、基準値の5パラメーターロジスティック(5PL)曲線フィットに対する各時点の回収率(観察値/推定値×100)に基づき確立した。80%~120%の範囲に入る値が検量線の下限および上限を規定するように、80%~120%の回収率を許容可能とみなした。生データファイルをビーズ数について検討した;1領域あたり最少35ビーズがカウントされた場合、データ点を妥当とみなした。
【0536】
4.フローサイトメトリー
MIMIC(登録商標)PTE由来細胞をPBSで洗浄し、氷上でLive-Dead Aqua(InvitroGen、Carlsbad、CA)を用いて20分間染色して、細胞生存率を評価した。データ分析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star、Ashland、OR)を使用して行った。フローゲーティングにはシングレットと、それに続いて生細胞を選択した。
【0537】
5.データ分析およびグラフプロット
グラフ作成のために、データをGraphPad Prism(GraphPad Software、San Diego、CA、USA)にエクスポートした。サイトカインデータは、エクセルデータベースにエクスポートした。範囲外高(>OOR)値(曲線の最上部より高い値)はULOQに置き換えた;範囲外低(<OOR)値はLLOQ(定量下限)1/2に置き換えた。
【0538】
6.統計解析
統計解析は、非劣性モデルを使用して行った。細胞生存率、CD86、IL-6、IL-1b、TNF-a、およびMIP-1bを含むパラメーターをこの解析の評価項目として使用した。種々の抗原製剤vs Bexsero(登録商標)ワクチンの幾何平均(GM)を比較し、δ=2/3を非劣性の尺度として使用した。本明細書に記載された解析はSA手順、PROC TTESTを使用して行い、既刊文献で推奨されているGMおよび95%CI範囲を示すドットプロットグラフで表した。
【0539】
2.結果
1.成人および新生児MIMIC PTEにおけるBEXSEROおよびTRUMENBA
未処置および処置成人および新生児MIMIC PTE培養物からの培養上清を48時間後に回収し、Milliporeカスタムマルチプレックスアレイを使用してサイトカイン/ケモカイン分泌について分析した。生来のケモカイン/サイトカインIL-6、TNFα、MIP-1βおよびIL-1βは自然免疫活性に極め重要であり、免疫-細胞傷害性も駆動することができるため、それらをこの分析に含めた。
【0540】
得られた結果(図10)は、TRUMENBAが成人MIMIC PTEにおいてBEXSEROより強い炎症誘発性サイトカインプロファイルを示すことを示した。また、TRUMENBAは、新生児MIMIC PTEにおいてもBEXSEROより強い炎症誘発性サイトカインプロファイルを示した(図11)。
【0541】
図12に提示される統計解析は、ほとんどのサイトカインに関して、TRUMENBAは成人および新生児プラットフォームでBEXSEROより強い応答を生成するという観察を裏付けた。実際、TRUMENBAと比べた、成人および新生児PTEにおいてBEXSEROによって引き起こされたサイトカイン分泌の95%信頼区間での幾何平均の比のフォレストプロットによって示されるように、BEXSEROはTRUMENBAより劣っている。
【0542】
2.成人および新生児MIMIC PTEにおけるF1、F2、F3、F4、F5およびBEXSERO
未処置および処置成人および新生児MIMIC PTE培養物からの培養上清を48時間後に回収し、Milliporeカスタムマルチプレックスアレイを使用してサイトカイン/ケモカイン分泌について分析した。生来のケモカイン/サイトカインIL-6、TNFα、MIP-1βおよびIL-1βは自然免疫活性に極め重要であり、免疫-細胞傷害性も駆動することができるため、それらをこの分析に含めた。
【0543】
成人MIMIC PTE系(図13参照)では、テスト製剤は全て、最も高い処置用量(1:100、1:1000、1:10000)でmock対照(すなわち、抗原のない)より約1log高いサイトカイン分泌をもたらした。ほぼ全てのケースで製剤は、BEXSEROに等しいかまたはBEXSEROよりわずかに低い結果をたどった。
【0544】
図14A、14Bおよび14Cにおいて統計解析は、成人MIMIC PTEではF1、F2、F4、およびF5製剤が、報告されたサイトカインの全てに関してBEXSEROより少ない炎症性応答を生成することを示した。F3製剤は、成人MIMIC PTE系においてBexseroと同様の(TNF-αまたはIL-1β)またはBexseroより少ない(IL6またはMIP-1b)炎症誘発性サイトカインの分泌を誘導した。
【0545】
さらに、成人PTEモデルでは全ての製剤が、用量依存的におよびBEXSEROと同様の範囲の免疫細胞傷害性を示した。実際、図15に示したように、いくつかのテスト条件において細胞生存率は、最も低い処置用量(1:100000および1:00000希釈)ではほとんど影響を受けず、最も高用量(1:100希釈)で最大約50%低下した。
【0546】
また、新生児MIMIC PTEでは、F1、F2、F3、F4、およびF5製剤は、BEXSEROと一致した炎症誘発性サイトカインプロファイルを示した(図16)。全ての製剤は、mock条件と比べて約4倍~1log高いサイトカイン分泌をもたらした。F1、F2、F3、およびF4製剤は、BEXSEROと同様かまたはBEXSEROより少ないIL-6およびTNF-α分泌を誘導した。F5製剤は、BEXSEROよりわずかに高い炎症誘発性サイトカイン分泌を誘導した。
【0547】
図17Aおよび17Bにおいて統計解析は、全体として、F1、F2およびF3製剤が、新生児MIMIC PTEにおけるBEXSEROに匹敵する炎症性応答を生成することを示した。F5製剤は、新生児MIMIC PTEにおいてBEXSEROよりわずかに高い炎症性応答を生成する傾向があったが、F4製剤は、新生児MIMIC PTEにおいてBEXSEROより弱い応答を生成する傾向があった。
【0548】
成人MIMIC PTE系と同様に、全ての製剤がBEXSEROと同様の免疫細胞傷害性プロファイルを示した。実際、図18に示すように、MIMIC新生児PTEのいくつかのテスト条件において細胞生存率は、最も低い処置用量(1:100000および1000000希釈)ではほとんど影響を受けず、最も高用量(1:100希釈)で最大約50%低下した。
【0549】
3.結論
TRUMENBAは、MIMIC PTEの成人および新生児バージョンの両方でBEXSEROより強い炎症誘発性サイトカイン応答を誘導した。
【0550】
F1、F2、F3、F4、およびF5製剤は、成人MIMIC PTE構築物においてBEXSEROと同様かまたはBEXSEROより少ない炎症誘発性サイトカインの分泌を生成した。
【0551】
全体として、F5製剤は、新生児MIMIC PTEにおいてBEXSEROより多くの炎症誘発性サイトカインを誘導したが、F1、F2、F3およびF4製剤は、同様かまたはより低いサイトカイン応答を誘導した。
【0552】
F1、F2、F3、F4およびF5製剤は、細胞生存率に対する効果が最小であり(いくつかの製剤が細胞生存率の約40%の低下を誘導した1:100の希釈を除いて)、BEXSEROと同様の傾向を示した。
【実施例4】
【0553】
一般的結論
上に示した結果から、少なくとも1つのH因子結合タンパク質(fHBP)Aタンパク質、少なくとも1つのfHBP Bタンパク質、少なくとも1つのナイセリア属アドヘシンA(NadA)タンパク質、および少なくとも1つの界面活性剤抽出外膜小胞(dOMV)を含む髄膜炎菌抗原の組合せを含む開示された免疫原性組成物は、hSBA結果によって証明されるように免疫原性防御応答を誘導できると結論することができる。これは、ワクチンとしておよび髄膜炎菌感染症に対する免疫原性防御応答を誘導するための、それらの組成物の有用性を裏付けるものである。
【0554】
さらに、データは、よく見られるおよび高毒性のMenB株カバー範囲の幅が、TRUMENBAおよびBEXSEROのカバー範囲の幅より大きいこと、ならびにそれら2つのワクチンによって残されたいくつかの空白を埋められるようにすることを示している。
【0555】
最後に、データは、それらの組成物が、優れた安全性プロファイルを呈し、TRUMENBAより既に少ない反応原性のBEXSEROと同様かまたはBEXSEROより少ない反応原性プロファイルを呈することを示している。
【0556】
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図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図13-4】
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図16-3】
図16-4】
図17
図18
図19
【配列表】
2024507828000001.app
【国際調査報告】