(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】人工インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/12 20060101AFI20240214BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/14 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/06 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/04 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/40 20060101ALI20240214BHJP
A61L 27/34 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61F2/12
A61L27/18
A61L27/16
A61L27/14
A61L27/06
A61L27/04
A61L27/50
A61L27/40
A61L27/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550024
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 KR2022002068
(87)【国際公開番号】W WO2022177234
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0022536
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517128064
【氏名又は名称】オステムインプラント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OSSTEMIMPLANT CO., LTD
【住所又は居所原語表記】(Magok-dong) 3, Magokjungang 12-ro Gangseo-gu Seoul 07789 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シム,ユン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン フィ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン キョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジュ ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,イル ソク
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB31
4C081AB38
4C081BB07
4C081BB08
4C081CA041
4C081CA042
4C081CA061
4C081CA062
4C081CA081
4C081CA082
4C081CA161
4C081CA162
4C081CA171
4C081CA172
4C081CA181
4C081CA182
4C081CA211
4C081CA212
4C081CA231
4C081CA232
4C081CA271
4C081CA272
4C081CC01
4C081CD021
4C081CD022
4C081CD041
4C081CD042
4C081CD091
4C081CD092
4C081CD151
4C081CD152
4C081CG02
4C081CG03
4C081CG07
4C081DA02
4C081DA05
4C081DA06
4C081DC04
4C097AA19
4C097BB01
4C097CC02
4C097DD05
4C097DD09
4C097DD12
4C097EE08
4C097EE09
4C097FF15
(57)【要約】
シリコンシェル及び前記シェルの内部に充填された充填物を含み、前記シェルの少なくとも一部は、2層以上のシリコン層とその間に介在された1層以上の補強材層を含む破裂防止部である、人工インプラントが開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルの内部に充填された充填物を含み、
前記シェルの少なくとも一部は、2層以上のシリコン層とその間に介在された1層以上の補強材層を含む破裂防止部であることを特徴とする、人工インプラント。
【請求項2】
前記シェルにおいて前記破裂防止部ではない部分の厚さは、0.40~0.80mmであり、前記破裂防止部の厚さは、0.40~1.20mmであることを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項3】
前記シェルは、遮断膜層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項4】
前記破裂防止部が側面部に具備されたことを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項5】
前記補強材層は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、ナイロン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ[(ラクティク-co-(グリコール酸))]、ポリジオキサノン、ポリ[(L-ラクタイド)-co-(カプロラクトン)]、ポリ(エステルウレタン)、ポリ[(L-(ラクタイド)-co-(D-ラクタイド))、ポリ[エチレン-co-(ビニルアルコール)]、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルジネート、カラギナン、キトサン、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、シリコン、ゴム、ポリアクリルアセテート、チタン、チタン合金、ジルコニア、アルミナ、ニクロム、コクロム及び金のうち選択された少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項6】
前記補強材層は、メッシュ、織布、不織布及びシートのうち選択された少なくとも一つの構造であることを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項7】
前記破裂防止部は、シリコン及び補強材が55~95:5~45の重量比で構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項8】
前記破裂防止部は、引張強度が25N以上であることを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【請求項9】
前記破裂防止部は、伸び率が300~500%であることを特徴とする、請求項1に記載の人工インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
人工乳房インプラント(Breast implant)は、インプラントの外被を形成するシリコンシェルの内部に適切な粘度のゲル又は食塩水が充填された形態の4等級医療機器であって、生体内で格別な安定性が要求される。インプラント業界では、シリコンシェルの厚さを調節するか充填物の成分を変更するなどの方法で医療機器において要求される物性を確保してきており、一般的に、充填物の物性を調節して自然な形態を有するように研究開発が進行されている。
【0003】
しかし、人工インプラントは相変らず移植後の副作用に対する潜在的な危険性を有する。特に、シリコンシェルの折畳み発生によるリップリング(Rippling)現象が頻繁に発生している。リップリング現象とは、インプラントの表面上に形成されたシワが胸の皮膚表面に波模様で現われる副作用であって、使用者の審美的満足感を低下させるだけでなく、インプラントの外被部であるシリコンシェルの特定部位の折畳みが持続的に発生することによって当該位置の耐久性が低下してインプラントの破裂を誘発し得る。
【0004】
このように、人工インプラントが破裂すると、インプラントの内部に存在する充填物が外部に漏出し得る。前記充填物が漏出することによって人体内部に炎症反応が発生し得、ひいては過敏した免疫反応により使用者に激しい苦痛を発生させ得る組織壊死、バクテリア感染、被膜拘縮(capsular contracture)、乳房インプラント連関未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant-Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma、BIA-ALCL)などを誘発し得る。特に、被膜拘縮が発生した使用者は、必ず再手術をしなければならず、BIA-ALCLが発生した使用者は死亡に至る危険に瀕することがある。
【0005】
上述したような従来の人工インプラントの問題点を解決するためには、インプラントの破裂をあらかじめ防止することが最も重要である。特に、リップリング現象は、インプラントの外被部であるシリコンシェルの特定部位にのみ持続的に発生して耐久性が低下するので、当該部位に機械的物性を付与し得る人工インプラント及びその製造方法の研究開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
破裂抵抗性が改善された人工インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面によると、シリコンシェル;及び前記シェルの内部に充填された充填物を含み、前記シェルの少なくとも一部は、2層以上のシリコン層とその間に介在された1層以上の補強材層を含む破裂防止部である、人工インプラントが提供される。
【0008】
一実施例において、前記シェルで破裂防止部ではない部分の厚さは、0.40~0.80mmであり、前記破裂防止部の厚さは、0.40~1.20mmであってもよい。
【0009】
一実施例において、前記シェルは、遮断膜層をさらに含むことができる。
【0010】
一実施例において、前記破裂防止部が側面部に具備され得る。
【0011】
一実施例において、前記補強材は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、ナイロン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ[(ラクティク-co-(グリコール酸))]、ポリジオキサノン、ポリ[(L-ラクタイド)-co-(カプロラクトン)]、ポリ(エステルウレタン)、ポリ[(L-(ラクタイド)-co-(D-ラクタイド))、ポリ[エチレン-co-(ビニルアルコール)]、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルジネート、カラギナン、キトサン、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、シリコン、ゴム、ポリアクリルアセテート、チタン、チタン合金、ジルコニア、アルミナ、ニクロム、コクロム及び金のうち選択された少なくとも一つであってもよい。
【0012】
一実施例において、前記補強材層は、メッシュ、織布、不織布及びシートのうち選択された少なくとも一つの構造であってもよい。
【0013】
一実施例において、前記破裂防止部は、シリコン及び補強材が55~95:5~45の重量比で構成され得る。
【0014】
一実施例において、前記破裂防止部は、引張強度が25N以上であってもよい。
【0015】
一実施例において、前記破裂防止部は、伸び率が300~500%であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
一側面によると、人工インプラントの破裂抵抗性を改善することができる。
【0017】
本明細書の一側面の効果は、上述した効果に限定されるものではなく、本明細書の詳細な説明又は請求の範囲に記載された構成から推論可能な全ての効果を含むものと理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本明細書の一実施例による人工インプラントの縦断面図である。
【
図2】
図2は、本明細書の一実施例による破裂防止部が側面部に具備された人工インプラントの縦断面図である。
【
図3】
図3は、本明細書の一実施例による側面部の厚さが相異なる人工インプラントの縦断面図である。
【
図4】
図4は、本明細書の一実施例による人工インプラントの破裂防止部に対する一例示を示した図である。
【
図5】
図5は、本明細書の一実施例による人工インプラントの破裂防止部に対する他の一例示を示した図である。
【
図6】
図6は、本明細書の一実施例による人工インプラントの破裂防止部に係わる試験片の引張強度の測定結果である。
【
図7】
図7は、本明細書の一実施例による人工インプラントの破裂防止部に係わる試験片の伸び率の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付した図面を参照して本明細書の一側面を説明する。しかしながら、本明細書の記載事項は種々の異なる形態で具現することができる。したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。また、図面において明細書の一側面を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似する部分に対しては類似する図面符号を付与した。
【0020】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとの用語は、「直接的に連結」されている場合だけでなく、それらの間に他の部材を介在して「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」との用語は、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0021】
本明細書で数値的値の範囲が記載されたとき、これの具体的な範囲が異に記述されない限り、その値は有効数字に対する化学での標準規則によって提供された有効数字の精密度を有する。例えば、10は、5.0~14.9の範囲を含み、数字10.0は、9.50~10.49の範囲を含む。
【0022】
以下、添付した図面を参考して本明細書の一実施例を詳しく説明する。
【0023】
人工インプラント100
一側面による人工インプラント100は、シリコンシェル110;及び前記シリコンシェル110の内部に充填された充填物120を含み、前記シリコンシェル110の少なくとも一部は、2層以上のシリコン層111、113、115とその間に介在された1層以上の補強材層112、114を含む破裂防止部であってもよい。
【0024】
前記人工インプラントは、挿入部位又は施術の目的によって形態を異にすることができ、例えば、乳房、鼻、臀部、額など多くの身体部位に挿入され得るが、その形態が特に制限されるものではない。
【0025】
非制限的な一例として、前記人工インプラント100は、前記シリコンシェル110の内部に充填物120を注入して体内でインプラントの役目を行うことができる。前記充填物120は、シリコンゲルであってもよく、一例として、前記シリコンゲルは、有機シロキサン高分子(polyorganosiloxane)であってもよい。前記有機シロキサン高分子は、ジメチルシロキサン(dimethylsiloxane)、メチルハイドロジェンシロキサン(methylhydrogensiloxane)、メチルフェニルシロキサン(methylphenylsiloxane)、ジフェニルシロキサン(diphenylsiloxane)、ジメチルビニルシロキサン(dimethylvinylsiloxane)、トリフルオロプロピルシロキサン(tri-fluoropropylsiloxane)及びこれらのうち2以上の混合物からなる群より選択された一つであってもよいが、人工インプラントの機能的特性が具現できる限り、その種類は特に制限されるものではない。
【0026】
前記人工インプラント100が人工乳房インプラントである場合、その断面形状は、円形、楕円形(oval)、涙の滴形(teardrop)のうち選択された一つであってもよいが、これに限定されるものではない。一般的に、使用者の乳房の形、形態などは、使用者ごとに相異に形成されているので、元の形態及び使用者が所望する形状、形、サイズなどの嗜好度を考慮して前記人工インプラントの形状を選択することができる。
【0027】
図1~
図3は、一実施例による人工インプラント100の断面図である。
図1を参照すると、人工インプラント100は、充填物120とこれを取り囲むシリコンシェル110を含むことができる。前記シリコンシェル110は、複数のシリコン層11、113、115の間に補強材層112、114が介在された破裂防止部を含むことができる。
【0028】
前記人工インプラント100は、上部101、下部102及び側面部103で構成され得、前記破裂防止部は、前記シリコンシェル110のうち少なくとも一部、例えば、インプラントの上部101、下部102又は側面部103のうち少なくとも一つに具備され得る。
図2は、破裂防止部が側面部103にのみ具備された一例を示した図である。
【0029】
前記シリコンシェル110は、厚さが0.40~0.80mm、例えば、0.40mm、0.45mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよい。前記シリコンシェル110のうち破裂防止部は、厚さが他の部分と同一であるか相対的に厚いことがあり、厚さが0.40~l.1.20mm、例えば、0.40mm、0.45mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mm、1.00mm、1.05mm、1.10mm、1.15mm、1.20mm又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよい。前記シリコンシェル110と破裂防止部の厚さが0.40mm未満であると、機械的物性が不十分で人工インプラント100の破損及び審美的副作用が容易に発生し得る。前記シリコンシェル110の厚さが0.80mm超過であるか、破裂防止部の厚さが1.20mm超過であると、人工インプラント100の移植を受けた使用者が異物感などの不便さを感じることがある。
【0030】
図3は、厚さが補強された人工インプラント100の一例であって、上部101及び下部102に比べて側面部103の厚さが厚いことが確認できる。
【0031】
人工乳房インプラントのリップリング現象は、一般的に、インプラントの側面部103から多数発生するので、破裂防止部を一部にのみ適用するか、側面部103の厚さを異にすることによって人工インプラント100の折畳みと破裂を防止すると同時に使用者の便宜性、審美性、触感などの低下を最小化することができる。
【0032】
図4及び
図5は、前記破裂防止部の例示を示した図である。
図4を参照すると、二つの層のシリコン層111、113の間に介在された補強材層112の形態を確認することができる。
図5は、それと総厚さは同一であると共にそれぞれの層の厚さが薄膜化して三つの層がシリコン層11、113、115の間に介在された補強材層112、114を確認することができるが、前記破裂防止部がこれに限定されるもではない。例えば、前記シリコン層は、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層、10層又はそれ以上の多層で構成され得、前記補強材層は、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層又はそれ以上の多層で構成され得る。
【0033】
前記シリコンシェル110は、遮断膜層をさらに含むことができる。例えば、前記シリコンシェル110は、一般シリコン層と遮断膜層で構成され得る。前記遮断膜層は、人工インプラント100の内部の充填物120のうち低分子量のシリコン成分が外部に流出されることを防止することができる。一例として、前記破裂防止部のうち充填物120に近接した最下層は、遮断膜層であってもよく、遮断膜層、補強材層及びシリコン層が順に積層された構造であってもよい。
【0034】
前記補強材は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルクロリド、ナイロン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ[(ラクティク-co-(グリコール酸))]、ポリジオキサノン、ポリ[(L-ラクタイド)-co-(カプロラクトン)]、ポリ(エステルウレタン)、ポリ[(L-(ラクタイド)-co-(D-ラクタイド))、ポリ[エチレン-co-(ビニルアルコール)]、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルジネート、カラギナン、キトサン、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、シリコン、ゴム、ポリアクリルアセテート、チタン、チタン合金、ジルコニア、アルミナ、ニクロム、コクロム及び金のうち選択された少なくとも一つであってもよいが、これに限定されるものではない。前記補強材は、弾性と復元率に優れ、生体適合性に優れて人体に無害な素材であれば、その種類に制限されない。
【0035】
前記補強材層は、メッシュ(mesh)、織布(woven fabric)、不織布(non-woven fabric)及びシート(sheet)のうち選択された少なくとも一つの構造であってもよい。メッシュは、篩の目のような網目構造を意味し、織布は、繊維相構造が一定の法則によって交差して織造された形態であり、不織布は、繊維相構造が一定の法則なしに配列して結合した形態であり、シートは、板状構造であってもよい。このような補強材層の構造は、前記補強材の素材によって自由に選択され得る。例えば、チタンなどの金属メッシュ、ナイロン織布、ポリエステル不織布、ゴムシートなどであってもよいが、これに限定されない。
【0036】
前記破裂防止部は、シリコン及び補強材が55~95:5~45の重量比で構成され得る。例えば、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、95:5又はこれらのうち二つの割合の間の範囲であってもよい。前記範囲を脱すれば、人工インプラント100が過度に硬化するか、機械的物性が低下し得る。
【0037】
前記破裂防止部は、引張強度が25N以上であってもよい。例えば、25N、26N、27N、28N、29N、30N、31N、32N、33N、34N、35N、36N、37N、38N、39N、40N、41N、42N、43N、44N、45N、46N、47N、48N、49N又は50Nであってもよいが、これに限定されるものではない。前記人工インプラント100の外被を成す前記シリコンシェル110のうち破裂防止部により耐久性及び破裂抵抗性が強化され得る。
【0038】
前記破裂防止部は、伸び率が300~500%、例えば、300%、310%、320%、330%、340%、350%、360%、370%、380%、390%、400%、410%、420%、430%、440%、450%、460%、470%、480%、490%、500%又はこれらのうち二つの値の間の範囲であってもよい。伸び率が前記範囲を脱すれば、人工インプラント100に対する使用者の異物感が増加するか、必要な機械的物性を具現しない場合がある。
【0039】
一例として、前記人工インプラント100は、所定の形状を有するモールドをシリコン溶液に浸漬、乾燥及び硬化させてシリコンシェル110を形成し、前記シリコンシェル110の表面のうち目的とする領域に補強材を塗布又は合紙した後に乾燥及び硬化させる方法などで補強材層を形成し、補強材層の表面にシリコン層を形成する段階を繰り返した後、シリコンシェル110の内部に充填物120を注入して製造され得るが、これに限定されるものではない。
【0040】
以下、本明細書の実施例に関してより詳しく説明する。ただし、以下の実験結果は、前記実施例のうち代表的な実験結果のみを記載したものであり、実施例などによって本明細書の範囲と内容を縮小又は制限して解釈してはならない。下で明示的に提示しない本明細書の多くの具現例のそれぞれの効果は、該当部分で具体的に記載する。
【0041】
比較例
シリコン単一素材からなったシェル試験片を製造した。
【0042】
実施例1
図4のように、シリコン層の中間にポリエステル補強材層が導入されたシェル試験片を製造した。シリコンと補強材は、重量比で9:1となるように用いた。
【0043】
実施例2
図4のように、シリコン層の中間にポリエステル補強材層が導入されたシェル試験片を製造した。シリコンと補強材は、重量比で8:2となるように用いた。
【0044】
実施例3
図4のように、シリコン層の中間にポリエステル補強材層が導入されたシェル試験片を製造した。シリコンと補強材は、重量比で7:3となるように用いた。
【0045】
実施例4
図5のように、シリコン層の中間にポリエステル補強材層が導入されたシェル試験片を製造した。シリコンと補強材は、重量比で9:1となるように用いた。
【0046】
実施例5
図5のように、シリコン層の中間にポリエステル補強材層が導入されたシェル試験片を製造した。シリコンと補強材は、重量比で8:2となるように用いた。
【0047】
実施例6
図5のように、シリコン層の中間にポリエステル補強材層が導入されたシェル試験片を製造した。シリコンと補強材は、重量比で7:3となるように用いた。
【0048】
比較例と実施例1~実施例6の試験片は、全て同一の厚さで製造し、これに用いられたシリコンと補強材の重量割合は、下記表1の通りである。
【0049】
【0050】
実験例1
前記比較例及実施例1~実施例6で製造された試験片の引張強度及び伸び率を測定して下記表2、
図6及び
図7に示した。それぞれの試験片は、ISO 37 3号規格によって亜鈴状に裁断して用い、万能材料試験機(Universal Test Machine)を利用して試験片の切断時の引張強度及び伸び率を測定した。
【0051】
【0052】
前述した本明細書の説明は例示のためのものに過ぎず、本明細書の一側面が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本明細書に記載された技術的思想や必須的な特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変更が可能なことが理解できるであろう。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散して実施することもでき、同様に、分散されたものとして説明されている構成要素を結合された形態で実施することもできる。
【0053】
本明細書の範囲は、後述する特許請求の範囲により示されるが、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態は、本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0054】
100:人工インプラント
101:人工インプラント上部
102:人工インプラント下部
103:人工インプラント側面部
110:シリコンシェル
111、113、115:シリコン層
112、114:補強材層
120:充填物
【国際調査報告】