(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】インプラント送達デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20240214BHJP
【FI】
A61F2/966
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550026
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2022015867
(87)【国際公開番号】W WO2022177793
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】レイノフ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】プーア,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ハン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA49
4C267AA54
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB18
4C267BB19
4C267CC08
4C267GG02
4C267HH06
(57)【要約】
患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するための装置を組み立てる方法は、インプラント係合部材を管状構造のルーメン内に少なくとも部分的に配置するステップであって、管状構造が、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有する、ステップと、インプラント係合部材を加熱するステップと、管状構造の側壁の少なくとも一部を、インプラント係合部材の表面に半径方向内向きに押し込み、それにより側壁のワイヤまたはストラットを表面に貫入させて、対応する凹部を表面に形成するステップと、インプラント係合部材の表面に凹部を形成した後、インプラント係合部材を硬化させるステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するための装置を組み立てる方法であって、
インプラント係合部材を管状構造のルーメン内に少なくとも部分的に配置するステップであって、前記管状構造が、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有する、ステップと、
前記インプラント係合部材を加熱するステップと、
前記管状構造の側壁の少なくとも一部を、前記インプラント係合部材の表面に半径方向内向きに押し込み、それにより前記側壁のワイヤまたはストラットを前記表面に貫入させて、対応する凹部を前記表面に形成するステップと、
前記インプラント係合部材の表面に凹部を形成した後、前記インプラント係合部材を硬化させるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記インプラント係合部材を加熱する前に、前記インプラント係合部材が管状構造のルーメン内に配置されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記インプラント係合部材が、前記管状構造のルーメン内に配置される前に、細長いコア部材の遠位端部分に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記管状構造のワイヤまたはストラットが、前記管状構造を軸方向に引き伸ばすことにより、前記インプラント係合部材の表面に押し込まれることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記管状構造のワイヤまたはストラットが前記インプラント係合部材の表面に形成された凹部内に少なくとも部分的に位置したまま、前記インプラント係合部材が硬化されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記インプラント係合部材の表面に形成された凹部が、前記管状構造の少なくとも一部のワイヤまたはストラットのパターンの実質的に鏡像を構成することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記インプラント係合部材が、少なくとも25Aの硬度に硬化されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記管状構造が、インプラントであり、前記ワイヤまたはストラットが、編組ワイヤを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記管状構造が、インプラントであり、前記ワイヤまたはストラットが、チューブをレーザカットして形成されたストラットを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記管状構造が、インプラントとは別個の構造体であり、前記ワイヤまたはストラットのパターンが、インプラントのワイヤまたはストラットのパターンと実質的に同一であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記インプラント係合部材を硬化させる前に、前記管状構造を前記インプラント係合部材から分離するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
前記インプラント係合部材から前記管状構造を分離するステップと、前記インプラントの少なくとも一部のワイヤまたはストラットが前記インプラント係合部材の表面に形成されたそれぞれの凹部内に位置するように、前記インプラントの少なくとも一部を前記インプラント係合部材上に配置するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
前記インプラント係合部材が、滅菌熱源を使用して加熱されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
前記凹部の少なくとも1つが、前記インプラント係合部材の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度ではない角度を形成する溝を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
加熱する工程が、押し込む工程の前に行われることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
加熱する工程が、押し込む工程の後に行われることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、
前記インプラント係合部材および前記管状構造を導入シース内に配置して製品の少なくとも一部を形成するステップをさらに含み、加熱する工程が前記製品の少なくとも一部に対して行われることを特徴とする方法。
【請求項18】
患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するためのシステムであって、
管状インプラントが、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有し、当該システムが、
細長いコア部材と、
前記細長いコア部材の遠位端部分に結合されたインプラント係合部材とを備え、前記インプラント係合部材が、複数の凹部が形成された表面を含み、前記凹部が、前記管状インプラントの対応する側壁部分のワイヤまたはストラットを受け入れて収容し、前記インプラント係合部材の表面に形成された凹部が、前記管状インプラントの対応する側壁部分のワイヤまたはストラットのパターンの実質的な鏡像を構成することを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記管状インプラントのワイヤまたはストラットが、編組ワイヤを含むことを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記管状インプラントのワイヤまたはストラットが、チューブをレーザカットすることにより形成されたストラットを含むことを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記インプラント係合部材が、少なくとも25Aの硬度を有することを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記管状インプラントのマーカーの少なくとも一部を収容するように構成されたインプラント係合部材の表面の追加の凹部をさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項18に記載のシステムにおいて、
送達カテーテルをさらに含み、
前記細長いコア部材、前記インプラント係合部材および前記管状インプラントが、少なくとも部分的に、前記送達カテーテルのルーメン内に配置され、かつ前記送達カテーテルに対してスライド可能であり、
前記細長いコア部材が前記送達カテーテルのルーメンを通ってルーメン内を移動する際に、前記インプラント係合部材および前記送達カテーテルが、互いに協働して前記管状インプラントを把持するように構成され、
前記管状インプラントは、前記送達カテーテル内に閉じ込められなくなると、前記インプラント係合部材のワイヤまたはストラットに凹部が及ぼす摩擦力よりも十分に大きい拡張力により、圧縮された送達構成から拡張された展開構成に変化するように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、医療デバイスに関し、より具体的には、インプラントを送達するための送達カテーテルなどの送達デバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療および/または診断目的のために、様々なインプラントが患者の体内に送達される場合がある。インプラントの1つのタイプはステントであり、患者の脈管構造内に送達されるように構成されている。
【0003】
ステントを送達するために、送達チューブ内に配置されたプッシャを利用して、ステントを送達チューブに対して遠位方向に前進させることができる。プッシャは、ステントと送達チューブの壁の内面との間の摩擦力に打ち勝つ力で、ステントを前進させることができる必要がある。場合によっては、プッシャとステントとの間の結合力が大き過ぎると、ステントが送達チューブの外に展開された後、ステントが一時的にプッシャに「くっついて」しまい、ステントがプッシャから効率良く即座に切り離されない可能性がある。
【0004】
ステントなどのインプラントを送達するための新しい送達デバイスおよび技術、並びに、そのような送達デバイスの新しい製造方法が本明細書に記載されている。
【発明の概要】
【0005】
患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するための装置を組み立てる方法は、インプラント係合部材を管状構造のルーメン内に少なくとも部分的に配置するステップであって、管状構造が、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有する、ステップと、インプラント係合部材を加熱するステップと、管状構造の側壁の少なくとも一部を、インプラント係合部材の表面に半径方向内向きに押し込み、それにより側壁のワイヤまたはストラットを表面に貫入させて、対応する凹部を表面に形成するステップと、インプラント係合部材の表面に凹部を形成した後、インプラント係合部材を硬化させるステップとを含む。
【0006】
任意選択的には、インプラント係合部材は、インプラント係合部材を加熱する前に、管状構造のルーメン内に配置される。
【0007】
任意選択的には、インプラント係合部材は、管状構造のルーメン内に配置される前に、細長いコア部材の遠位端部分に取り付けられる。
【0008】
任意選択的には、管状構造のワイヤまたはストラットは、管状構造を軸方向に伸張させることによってインプラント係合部材の表面に押し込まれる。
【0009】
任意選択的には、インプラント係合部材は、管状構造のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に形成された凹部内に少なくとも部分的に位置したまま、硬化される。
【0010】
任意選択的には、インプラント係合部材の表面に形成された凹部は、管状構造の少なくとも一部のワイヤまたはストラットのパターンの実質的に鏡像を構成する。
【0011】
任意選択的には、インプラント係合部材は、少なくとも25Aの硬度に硬化される。
【0012】
任意選択的には、管状構造はインプラントであり、ワイヤまたはストラットは編組ワイヤを含む。
【0013】
任意選択的には、管状構造はインプラントであり、ワイヤまたはストラットは、チューブをレーザカットすることによって形成されたストラットを含む。
【0014】
任意選択的には、管状構造はインプラントとは別個の構造体であり、ワイヤまたはストラットのパターンは、インプラントのワイヤまたはストラットのパターンと実質的に同一である。
【0015】
任意選択的には、本方法は、インプラント係合部材を硬化させる前に、管状構造をインプラント係合部材から分離するステップをさらに含む。
【0016】
任意選択的には、本方法は、インプラント係合部材から管状構造を分離するステップと、インプラントの少なくとも一部のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に形成されたそれぞれの凹部内に位置するように、インプラントの少なくとも一部をインプラント係合部材上に配置するステップとをさらに含む。
【0017】
任意選択的には、インプラント係合部材は、滅菌熱源を使用して加熱される。
【0018】
任意選択的には、凹部の少なくとも1つは、インプラント係合部材の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度ではない角度を形成する溝を含む。
【0019】
任意選択的には、加熱する工程は、押し込む工程の前に行われる。
【0020】
任意選択的には、加熱する工程は、押し込む工程の後に行われる。
【0021】
任意選択的には、本方法は、インプラント係合部材および管状構造を導入シース内に配置して製品の少なくとも一部を形成するステップをさらに含み、加熱する工程が製品の少なくとも一部に対して行われる。
【0022】
管状インプラントが、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有するものとして、患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するためのシステムは、細長いコア部材と、この細長いコア部材の遠位端部分に結合されたインプラント係合部材とを備え、インプラント係合部材が、複数の凹部が形成された表面を含み、凹部が、管状インプラントの対応する側壁部分のワイヤまたはストラットを受け入れて収容し、インプラント係合部材の表面に形成された凹部が、管状インプラントの対応する側壁部分のワイヤまたはストラットのパターンの実質的な鏡像を構成する。
【0023】
任意選択的には、管状インプラントのワイヤまたはストラットは、編組ワイヤを含む。
【0024】
任意選択的には、管状インプラントのワイヤまたはストラットは、チューブをレーザカットすることにより形成されたストラットを含む。
【0025】
任意選択的には、インプラント係合部材は、少なくとも25Aの硬度を有する。
【0026】
任意選択的には、本システムは、管状インプラントのマーカーの少なくとも一部を収容するように構成されたインプラント係合部材の表面に設けられた追加の凹部をさらに含む。
【0027】
任意選択的には、本システムは、送達カテーテルをさらに含み、細長いコア部材、インプラント係合部材および管状インプラントが、少なくとも部分的に、送達カテーテルのルーメン内に配置され、かつ送達カテーテルに対してスライド可能であり、細長いコア部材が送達カテーテルのルーメンを通ってルーメン内を移動する際に、インプラント係合部材および送達カテーテルが、互いに協働して管状インプラントを把持するように構成され、管状インプラントは、送達カテーテル内に閉じ込められなくなると、インプラント係合部材のワイヤまたはストラットに凹部が及ぼす摩擦力よりも十分に大きい拡張力により、圧縮された送達構成から拡張された展開構成に変化するように構成されている。
【0028】
他のおよび更なる態様および特徴は、以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は、実施形態の設計および有用性を示すものであり、それら図面において、同様の要素には共通の符号が付されている。それら図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。上述したおよび他の利点および目的が如何にして得られるのかをよりよく理解するために、添付の図面に示されている実施形態のより具体的な説明を行う。それら図面は、単なる例示的な実施形態を示しているに過ぎず、よって、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0030】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態に係る、インプラントを送達するように構成された医療デバイスを示している。
【
図2】
図2は、
図1の医療デバイスを示し、特に、インプラントの一部がカテーテルの外に送達されている様子を示している。
【
図3】
図3は、
図1の医療デバイスを示し、特に、インプラントの全体がカテーテルの外に送達された様子を示している。
【
図4】
図4Aは、いくつかの実施形態に係るインプラントと係合しているインプラント係合部材を示している。
図4Bは、
図4Aのインプラントと係合しているインプラント係合部材の断面図を示している。
【
図5】
図5Aは、
図4Aのインプラントを示し、特に、インプラントがインプラント係合部材から切り離される様子を示している。
図5Bは、
図5Aのインプラント係合部材の断面図を示している。
【
図6】
図6A~
図6Dは、いくつかの実施形態に係る医療デバイスを製造するためのシステムおよび技術を示している。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係る医療デバイスのインプラント係合部材および対応するインプラントを示している。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態に係る医療デバイスを製造する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、様々な実施形態を説明する。なお、図面は縮尺通りに描かれておらず、同様の構造または機能の要素には図面全体にわたって同じ符号が付されていることに留意されたい。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図していることに留意されたい。それらは、本発明の網羅的な説明または本発明の範囲の限定を意図したものではない。さらに、図示の実施形態は、示したすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態と関連して説明された態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、たとえそのように図示されていなくても、またはそのように明示的に記載されていなくても、他の任意の実施形態でも実施することができる。
【0032】
図1は、いくつかの実施形態に係る、インプラントを送達するように構成された医療デバイス100を示している。この医療デバイス100は、遠位端104および近位端106を有する細長い構造(例えば、細長いコア部材)102と、細長い構造の遠位端104(例えば、遠位端部分)に結合されたインプラント係合部材110と、細長い構造102の近位端106に結合されたハンドル120とを含む。また、医療デバイス100は、シース130も含み、このシースが、シース遠位端132と、シース近位端134と、シース遠位端132とシース近位端134との間に延びるシース本体136とを有する。シース130は、患者の体内に送達されるインプラント140を収容するためのルーメン138を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、シース130がカテーテル(例えば、マイクロカテーテル)の一部であってもよい。他の実施形態では、シース130が、インプラント140を包装および収容するように構成されたチューブであってもよい。そのような場合、カテーテルの遠位先端が患者の体内の所望の位置に配置された後に、医療処置中に、インプラント140を、インプラント係合部材110および細長い構造102とともに、シース130からカテーテル(例えば、マイクロカテーテル)内に移すことができる。カテーテルを通って前進した後、インプラント140はカテーテルの遠位端の外に展開される。
【0034】
図1に示すように、インプラント係合部材110は、シース130のルーメン138内に配置され、シース130に対するハンドル120の相対的な動きに応じて、細長い部材102の長手方向軸に沿ってシース130に対して相対的に移動可能(例えば、平行移動可能)である。代替的または追加的には、シース130を、ハンドル120に対して相対的に移動(例えば、平行移動)させることができ、それにより、インプラント係合部材110とシース130との間の相対的な動きを生じさせることができる。
【0035】
インプラント係合部材110およびシース130は、互いに協働して、インプラント140を把持および解放するように構成されている。特に、
図1に示すように、インプラント140がシース130のルーメン138に収容されている間、インプラント140の近位端144はインプラント係合部材110と係合し、インプラント係合部材110とシース130の壁の内面との間で「把持」された状態となっている。
【0036】
図示のように、インプラント係合部材110は、インプラント140がシース130内に収容されているときに、インプラント140の内面と係合するように構成されている。図示の実施形態では、インプラント係合部材110が、表面と、インプラント係合部材110の表面に設けられた複数の溝(例えば、
図4~
図5に示す溝502)とを備え、それら溝が、インプラント140の編組パターンの少なくとも一部と一致するパターンを形成している。この特徴は、インプラント140の近位端144をインプラント係合部材110の表面の溝と嵌合係合させることができるため有利である。その結果、インプラント140の近位端144は、インプラント係合部材110の表面の溝を介してインプラント係合部材110に取り外し可能に固定される。いくつかの実施形態では、インプラント140が、編組パターンを形成する編組を含むことができる。そのような場合、インプラント係合部材110の表面の溝は、インプラント140の編組パターンと一致するパターンを形成する。これにより、インプラント140の編組のいくつかの少なくとも一部(例えば、近位端144の編組の部分)が、インプラント係合部材110のそれぞれの溝に収容されることが可能になる。インプラント係合部材110の溝については、以下でさらに詳細に説明する。
【0037】
図2に示すように、シース130のシース遠位端132が患者の体内の標的位置に望ましく配置された後、インプラント140の少なくとも一部(例えば、遠位端142-
図1に示されている)をシース130の外に展開することができる。これは、ハンドル120をシース130に対して遠位方向に移動させること、および/またはシース130をハンドル120に対して近位方向に移動させることによって達成することができる。ハンドル120の遠位方向の動きおよび/またはシース130の近位方向の動きにより、インプラント係合部材110がシース130の遠位端132に向かって移動する。インプラント係合部材110がシース130に対して遠位方向に移動すると、インプラント係合部材110はインプラント140を一緒に運び、それによってインプラント140がシース130に対して遠位方向に移動する。インプラント係合部材110によるインプラント140の運びは、インプラント140のインプラントコンポーネント(例えば、編組)の一部が、インプラント係合部材110のそれぞれの溝(例えば、
図4~
図5に示される溝502)内に少なくとも部分的に配置されているという事実による。インプラント140の一部がシース130のルーメン138の外に展開されると、インプラント140の一部が、その送達構成から、
図2に示されるような展開構成に移行する。
【0038】
インプラント140(またはインプラント140の一部)の送達構成は、インプラント140(またはインプラント140の一部)の展開構成の断面寸法よりも小さい断面寸法を有する。例えば、
図2に示すように、インプラント140の大部分はシース130の外側に展開されているが、インプラント140の近位端144はシース130のルーメン138の内部に留まっている。近位端144は、シース130とインプラント係合部材110との間に把持され、シース130の内部にある間、その送達構成を有する。インプラント140の近位端144の、シース130のルーメン138の内部での送達構成における断面寸法は、シース130のルーメン138の外側に送達されたインプラント140の他の1または複数の部分の断面寸法よりも小さい。
【0039】
場合によっては、医師が、部分的に展開されたインプラント140の位置を変更すること、および/または展開されたインプラント140の構成を調整することを望む場合、医師はハンドル120をシース130に対して近位方向に移動させることができる。これにより、インプラント係合部材110がシース130に対して近位方向に移動する。インプラント140の近位端144は、インプラント係合部材110の表面の溝と嵌合係合しているため、インプラント140の近位端144は、インプラント係合部材110の表面の溝を介してインプラント係合部材110に固定されている。その結果、シース130に対するインプラント係合部材110の近位方向への移動により、インプラント140の展開された部分がシース130のルーメン138内に引き戻され、それにより、インプラント140の上記部分がシース130の内部で送達構成をとることになる。場合によっては、インプラント140の以前に展開された1または複数の部分がすべて、シース130のルーメン138内に引き戻されることもある。その後、医師は、インプラント140の一部を再展開するために、シース130の位置を変更して、シース130の遠位端132を異なる位置に配置することができる。
【0040】
場合によっては、インプラント140の全体をシース130のルーメン138の外に展開することもできる。
図3は、
図1の医療デバイスを示し、特に、インプラント140の全体がシース130の外に送達されている状態を示している。
図3に示すように、インプラント140の近位端144がインプラント係合部材110によってシース130のルーメン138から押し出されるとすぐに、インプラント140の近位端144は半径方向外向きに飛び出して、その送達構成から展開構成に移行する。展開構成にあるとき、インプラント140は、インプラント140が送達構成にあるときよりも大きい断面寸法を有する。
【0041】
図4Aは、インプラント400に係合しているインプラント係合部材110を示している。インプラント400は
図1のインプラント140の一例であってもよい。
図4Aでは、分かりやすくするためにシース130は示されていない。図示のように、インプラントは複数のインプラントコンポーネント402を有する。図示の実施形態では、インプラントが編組インプラントであり、インプラントコンポーネント402が編組要素(例えば、フィラメント、ワイヤ、ストランド、繊維など)である。他の実施形態では、インプラント400が他のタイプのインプラントであってもよく、インプラントコンポーネント402が他のタイプのインプラント用のコンポーネントであってもよい。図示の例では、インプラント400が、インプラント係合部材110と係合しかつシース130(図示せず)内に収容されている間、送達構成にある。
図4Bは、インプラント400と係合した状態のインプラント係合部材110の断面を示している。インプラント係合部材110は、複数の溝502を有する表面500を含む。溝502は、インプラント400のそれぞれのインプラントコンポーネント402(例えば、編組要素)を収容するように構成されている。図示の実施形態では、溝502が、インプラント140のインプラントコンポーネント402のパターン(例えば、編組パターン)の少なくとも一部と一致するパターンを形成している。
【0042】
図4Bに示すように、インプラント140は、外部断面寸法を有する(インプラントコンポーネント402によって形成される)管状構造を含む。インプラント係合部材110の断面寸法は、インプラント140の管状構造の外部断面寸法よりも小さい。また、インプラント140の(インプラントコンポーネント402によって形成される)管状構造は、内部断面寸法も有する。インプラントコンポーネント402は、係合部材110の溝502内に少なくとも部分的に収まっているため、インプラント140の管状構造の内部断面寸法(すなわち、インプラント140がインプラント係合部材110と周方向に係合しているとき)は、インプラント係合部材110の最大断面寸法よりも小さい。
【0043】
また、
図4Bに示すように、インプラントコンポーネント402は、インプラント係合部材110のそれぞれの溝502内に部分的に配置されている。いくつかの実施形態では、各溝502の深さが、インプラントコンポーネント402の最大厚さの少なくとも5%である。例えば、インプラント140が編組要素を有する場合(例えば、単一の編組繊維または編組繊維のグループが細長い部材に形成される場合)、各溝502の深さは、インプラントの編組要素の厚さの少なくとも5%である。他の実施形態では、各溝502の深さを、インプラントコンポーネント402の厚さの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%(例えば、100%)とすることができる。
【0044】
さらに、いくつかの実施形態では、溝502の幅(長手方向軸に垂直な方向で測定)が、インプラントコンポーネント(例えば、編組要素)の幅よりも小さくてもよい。他の実施形態では、溝502の幅が、インプラントコンポーネントの幅と同じであってもよい。更なる実施形態では、溝502の幅が、インプラントコンポーネントの幅よりも大きくてもよい。
【0045】
図5Aは、
図4Aのインプラント400を示し、特にインプラント400がインプラント係合部材110から係合解除された状態を示している。これは、インプラント400に結合しているインプラント係合部材110がシース130のルーメン138から出るときに起こる。これにより、インプラント400はシース130とインプラント係合部材110との間にもはや把持されなくなる。図示のように、インプラント400がその展開構成に拡張しているため、インプラントコンポーネント402は、インプラント係合部材110の表面500の溝502のパターンともはや一致しないパターンを形成する。
図5Bは、
図5Aのインプラント係合部材110の断面図を示し、特に、溝502の中にそれぞれのインプラントコンポーネント402が配置されていない状態を示している。
【0046】
図示の実施形態では、インプラント係合部材110が、インプラント係合部材110に十分な硬度を提供する材料から作られており、インプラント400のインプラントコンポーネント402(例えば、編組要素)がインプラント係合部材110の溝502に「くっついて」インプラント400の近位端144がインプラント係合部材110から切り離されるのを一時的に妨げることのないようになっている。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント係合部材110が、少なくとも25A、少なくとも30A、少なくとも40A、少なくとも50A、少なくとも60A、少なくとも70A、少なくとも80A、またはそれよりも高い硬度を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、インプラント140は、インプラント係合部材110の溝502がインプラント140に及ぼす摩擦力よりも大きい拡張力により、送達構成から展開構成に変化するように構成されている。拡張力は、インプラント140の近位端144がシース130によって拘束されていないときに、インプラント140の近位端144が直ちに勢いよく開いて展開構成をとることを可能にする十分な大きさだけ、把持力よりも大きくすることができる。一実施態様では、インプラント係合部材110を、変形可能で柔軟な材料から作製することができ、これにより、インプラント係合部材110の表面は、それに押し付けられるツールによって凹むことができる。ツールは、インプラント係合部材110の表面に形成される溝のパターンを有することもできる。インプラント係合部材110の表面を凹ませて溝を形成した後、インプラント係合部材110を温度処理して、窪み(溝)を恒久的に固定することができる。例えば、インプラント係合部材110を最初に加熱してインプラント係合部材110を軟化させ、それにより、溝をより容易に形成できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、インプラント係合部材110および/またはインプラント140を滅菌するための熱を加えるために、滅菌熱源を利用することができる。そのような場合、滅菌のための熱を使用して、滅菌プロセス中にインプラント係合部材110を軟化させることができる。他の実施形態では、インプラント係合部材110を加熱するために別の熱源を利用することもできる。溝を形成した後、インプラント係合部材110を冷却して、溝を有するインプラント係合部材110を硬化させることができる。他の実施形態では、窪みを固定して恒久的な溝を形成するために、温度処理する代わりに、またはそれに加えて、インプラント係合部材110を、化学的に処理すること、レーザ処理すること、または光学的に処理することができ、または時間を経過させることによって単に硬化させることができる。いくつかの実施形態では、インプラント係合部材110を、熱可塑性ポリマーなどのポリマーから作ることができる。他の実施形態では、インプラント係合部材110を他の材料から作ることもできる。本明細書で使用される場合、「恒久的に固定する」という用語または他の同様の用語は、窪み/溝が、その行為が実行される前よりも恒久的な(例えば、窪み/溝を有する物体をより硬くするような)形態または特性をとるようにするあらゆる行為を指している。同様に、「恒久的な溝」という用語は、溝を有する物体をより硬くする前と比較して、より恒久的な形態を有する溝を指している。
【0048】
また、他の実施形態では、インプラント係合部材110を、設計により恒久的な溝を有するように3D印刷することができる。3D印刷ファイルの溝パターンは、事前に形成された係合部材のスキャン(例えば、高解像度3Dスキャン)によって取得するようにしてもよい。例えば、事前に形成された係合部材は、本明細書で述べるように、インプラント係合部材110の表面を窪ませて、温度処理することにより形成することができる。
【0049】
図示の実施形態では、溝502の少なくとも1つが、細長い構造102の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度より大きい角度を形成する。他の実施形態では、溝502の1つが、細長い構造102の長手方向軸に平行な仮想線に対して第1の角度を形成し、溝の別の1つが、細長い構造102の長手方向軸に平行な仮想線に対して第2の角度を形成することができる。第1の角度と第2の角度は同じであってもよい。代替的には、第1の角度と第2の角度は互いに異なっていてもよい。また、いくつかの実施形態では、インプラント係合部材110の溝502のパターンが、十字パターンも含むことができる。他の実施形態では、インプラント係合部材110の表面500の溝502が、他のパターン、例えば、螺旋パターン、格子パターン、ジグザグパターン、ユーザ定義パターン、対称パターン、非対称パターンなどを形成することができる。
【0050】
インプラント係合部材110に溝502を設けること(ここで、溝502の少なくとも1つが、細長い構造102の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度よりも大きい角度を形成すること)は、インプラント係合部材110がインプラント140の近位端144をシース130に対して遠位方向または近位方向により効率的に移動させることを可能にするため、有利であることに留意されたい。これは、溝502のすべてが細長い構造102の長手方向軸に平行であり、かつインプラントコンポーネントのすべても長手方向軸に平行である場合、細長い構造102の長手方向軸の方向に加えられる軸方向の力が、溝502の延長線に平行になるからである。そのような場合、インプラント140の近位端144がインプラント係合部材110によって動かされるためには、デバイス100は、インプラント140のインプラントコンポーネントとインプラント係合部材110との間のすべての摩擦力に依存する必要がある。一方、溝502の少なくとも1つとインプラントコンポーネントの少なくとも対応する1つとが細長い構造102の長手方向軸に平行でない場合、細長い構造102の長手方向軸の方向に加えられる軸方向の力は、インプラントコンポーネントに対して「押す」少なくともいくらかの力成分を有し、その結果、インプラント140をより効率的に(インプラント140とインプラント係合部材110との間のより小さい摩擦力で)移動させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、インプラント140が患者の脈管構造内に送達されるように構成されたステントであってもよい。他の実施形態では、インプラント140が動脈瘤内に配置されるように構成された血管閉塞デバイスであってもよい。そのような場合、インプラント140の展開時にインプラント140がその長手方向軸から半径方向に勢いよく開くことに加えて、インプラント140は弾性的に(例えば、曲げまたは屈曲作用によって)三次元構成もとる。例えば、いくつかの実施形態では、インプラント140が、シース130内に収容されたときにシース130の曲率に沿うプロファイルを有する編組管状細長部材であってもよい。インプラント140がシース130の外に展開された後、編組管状細長部材は、編組管状細長部材の長手方向軸から半径方向に離れるように拡張するとともに、編組管状細長部材は、一連のループ(例えば、開ループおよび/または閉ループ)を形成するように曲がって、弛緩した三次元構成もとる。インプラント140によって形成される弛緩した三次元構成は、動脈瘤内部の空間を少なくとも部分的に満たすように構成される。更なる実施形態では、インプラント140が他のタイプのインプラントであってもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、インプラントの「弛緩した三次元構成」という用語は、インプラントが送達チューブ(例えば、シース130)内に閉じ込められていないときのインプラントの三次元構成を指している。例えば、インプラントの弛緩した三次元構成は、インプラントが患者の体内に送達されたときのインプラントの構成であってもよいし、インプラントが患者の体外の表面上に自由に置かれているときのインプラントの構成であってもよい。
【0053】
図6A~
図6Dは、いくつかの実施形態に係る医療デバイスを製造するためのシステム550および技術を示している。システム550は、インプラント係合部材110として形成される物体600を含む。また、システム550は、編組パターンを有する管状構造602も含む。いくつかの実施形態では、管状構造602が、インプラント(例えば、インプラント140)と同じ特性を有することができ、あるいは管状構造602がそれ自体インプラントであってもよい。図示の実施形態では、管状構造602が、複数の編組要素から作られた編組管状構造であってもよい。溝502を有するインプラント係合部材110を作製するために、先ず、溝502のない物体600を管状構造602のルーメン内に配置する(
図6A)。管状構造602は、物体600と係合するように半径方向内向きに潰れるように伸張させるようにしてもよい(
図6B)。代替的または追加的には、管状構造602を、シース(例えば、シース130)内に挿入することができる。シースの内壁は、管状構造602に向けて力を加え、それにより管状構造を内側に押圧して物体600と係合させる。物体600は、管状構造602のコンポーネント(例えば、編組要素)が物体600の表面を凹ませることを可能にする軟質および/または変形可能な特性を有することができる。物体600の表面に窪みを形成した後、物体600を(例えば、冷却源610によって)温度処理して窪みを恒久的に固定し、物体600の表面に溝を形成するようにしてもよい。代替的または追加的には、物体600を、1または複数の化学物質によって化学的に処理することができ、レーザデバイスによってレーザ処理することができ、または時間の経過によって単に硬化させることができ、それにより物体600の表面の溝を固定することができる。
【0054】
他の実施形態では、物体600が、最初は比較的硬い特性を有することができる。物体600は、マンドレルによる支持のためにマンドレル上に配置され得る。その後、管状構造602が物体600の上に配置される。管状構造602は、管状構造602を物体600に向けて付勢するために伸張および/または圧縮することができる。代替的または追加的には、管状構造602を物体600に向けて押し付けるために、管状構造602の上にチューブ(例えば、熱収縮チューブ)を配置するようにしてもよい。物体600に熱が加えられると、物体600は柔らかくなり(硬度が低下し)、それによって管状構造602の構造コンポーネントが物体600の表面をより容易に窪ませることが可能になる。窪み(溝)を形成した後、物体600を冷却して溝を固定する。
【0055】
次に、管状構造602を物体600から取り外す(
図6C)。図示のように、物体600の表面には溝620が形成されている。溝620は、管状構造602の編組パターンと一致するパターンを有する。その後、溝620を有する物体600を、(例えば、機械的カッタ、レーザカッタなどによって)係合部材110の断片にカットする(
図6D)。
【0056】
上記の実施形態では、物体600が細長い構成を有し、これにより複数の係合部材110に同時に溝を形成することができる。他の実施形態では、物体600が、より短い構成を有することができる。例えば、他の実施形態では、物体600が、1つの係合部材110のみを形成するのに十分な長さを有するものであってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、物体600に溝620を形成するのに使用される管状構造602が、形成された係合部材110のいずれかによって送達されるインプラントではない。むしろ、管状構造602は、物体600上に溝620を形成するための製造プロセス中にのみ使用される。一実施態様では、管状構造602が、本来は移植目的で製造されるインプラントであってもよいが、その後、インプラント係合部材110に溝を形成するための製造プロセスで代わりに使用される。そのような場合、管状構造602はインプラントと同一の特徴を有する。他の実施形態では、管状構造602が、インプラントと同一でなくてもよいが、インプラントの特徴と同一の特定の特徴を有するものであってもよい。例えば、他の実施形態では、管状構造602が、(インプラントが、形成されるインプラント係合部材110と当接した状態で潰れた構成または送達構成である場合に)インプラントのものと同じである編組パターンまたは表面テクスチャを有することができる。
【0058】
他の実施態様では、物体600に溝620を形成するために使用される管状構造602が、形成されるインプラント係合部材110に結合されるインプラントであってもよい。一実施態様では、管状構造602(この例ではインプラント140)が、物体600の上に配置される。物体600は、この例では、1つの係合部材110を形成するように構成され、よって、形成されるインプラント係合部材110の長さに対応する長さを有する。インプラント140は、物体600と係合するように半径方向内側に潰れるように引き伸ばすようにしてもよい。代替的または追加的には、インプラント140をシース(例えば、シース130)内に挿入して、インプラント140にその送達構成をとらせ、インプラント140の近位端144を半径方向内側に押して物体600と係合させるようにしてもよい。物体600は、インプラント140のインプラントコンポーネント(例えば、編組要素)が物体600の表面を凹ませることができるように、軟質および/または変形可能な特性を有することができる。代替的には、物体600を加熱して物体600を軟化させ、物体600の表面に窪みを形成できるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、物体600および/またはインプラント140に熱を加える熱源を使用して、物体600および/またはインプラント140を滅菌することができる。そのような場合、物体600の表面に窪みを形成するために、滅菌プロセスからの熱を利用して、物体600を軟化させることができる。また、いくつかの実施形態では、インプラント140が物体600(係合部材)に結合されて導入シース内にある完成品構成で、物体600の加熱を実行するようにしてもよい。代替的には、滅菌熱源を使用する代わりに、別の熱源を利用して物体600に熱を加えることができる。物体600の表面に窪みを形成した後、物体600を処理して窪みを恒久的に固定し、(インプラント係合部材110となる)物体600の表面に溝を形成するようにしてもよい。
【0059】
なお、インプラント係合部材110の表面に溝502のパターンを形成して、そのパターンがインプラント400のインプラントコンポーネント402(例えば、編組要素)のパターンと一致するように、管状構造602における(物体600に窪みを形成するための)窪み要素のパターンは、インプラント400がその潰れた(送達)送達構成にあるとき(例えば、インプラント係合部材110と係合するように潰れたとき)に、インプラント400のインプラントコンポーネント402のパターンと同じである必要がある。
【0060】
図6に示す実施形態では、管状構造602が格子パターンを有している。他の実施形態では、管状構造602が他の構成を有することができる。例えば、他の実施形態では、構造602が、螺旋パターン、格子パターン、ジグザグパターン、ユーザ定義パターン、対称パターン、非対称パターンなどを有することができる。いくつかの実施形態では、そのようなパターンのいずれかが、インプラント400のインプラントコンポーネント402によって形成されるパターンの少なくとも一部に対応することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、インプラント係合部材110が溝を有するものとして説明してきた。しかしながら、インプラント係合部材110の特徴は溝に限定されるものではない。他の実施形態では、インプラント係合部材110が任意の窪みまたは凹みを有することができ、窪みまたは凹みが任意のサイズおよび/または形状を有することができる。
図7は、他の実施形態に係るインプラント係合部材110および対応するインプラント140の別の例を示している。図示のように、インプラント140は、一端に設けられた複数のマーカー702と、ステント本体から延びてマーカー702と連結する複数のストラット704とを有するステントである。インプラント係合部材110は、インプラント140のそれぞれのコンポーネントを受け入れるように構成された凹部(例えば、窪みまたは凹み)502を有する。凹部502は、インプラントのそれぞれのコンポーネントに対応するそれぞれの幾何学的形状(例えば、サイズ、形状、位置またはそれらの任意の組合せ)を有する。凹部502は、インプラント140のそれぞれのマーカー702を受け入れるように構成された窪み712と、インプラント140のそれぞれのストラット704を受け入れるように構成された窪み714とを含む。図示のように、窪み712は、マーカー702の形状およびサイズに対応する形状およびサイズを有する。同様に、窪み714は、ストラット704の形状およびサイズに対応する形状およびサイズを有する。また、窪み712、714は、マーカーおよびストラット704のパターンに一致するパターンを形成する。これにより、インプラント係合部材110は、嵌合構成でインプラント140を受け入れることができる。なお、溝、窪みおよび凹みはすべて、「凹部」の例であることに留意されたい。
【0062】
図8は、いくつかの実施形態に係る医療デバイスを製造する方法800を示している。図示の実施形態では、医療デバイスが、細長い構造と、この細長い構造の遠位端部分に結合されたインプラント係合部材とを有する。医療デバイスは、任意選択的に、インプラント係合部材および細長い構造を取り囲むシース、および/または細長い構造の近位端に結合されたハンドルをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、医療デバイスが、
図1のデバイス100、またはデバイス100の任意のコンポーネント若しくはコンポーネントの組合せであってもよい。この方法800は、インプラント係合部材を管状構造のルーメン内に少なくとも部分的に配置するステップであって、管状構造が、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有する、ステップ(項目802)と、インプラント係合部材を加熱するステップ(項目804)と、管状構造の側壁の少なくとも一部を、インプラント係合部材の表面に半径方向内向きに押し込み、それにより側壁のワイヤまたはストラットを表面に貫入させて、対応する凹部を表面に形成するステップ(項目806)と、凹部をインプラント係合部材の表面に形成した後、インプラント係合部材を硬化させるステップ(項目808)とを含む。物体の硬化は、冷却処理、化学処理、レーザ処理、または時間の経過によって、達成することができる。
【0063】
任意選択的には、方法800において、インプラント係合部材が、インプラント係合部材を加熱する前に、管状構造のルーメン内に配置される。
【0064】
任意選択的には、方法800において、インプラント係合部材が、管状構造のルーメン内に配置される前に、細長いコア部材の遠位端部分に取り付けられる。
【0065】
任意選択的には、方法800において、管状構造を軸方向に引き伸ばすことによって、管状構造のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に押し込まれる。
【0066】
任意選択的には、方法800において、管状構造のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に形成された凹部内に少なくとも部分的に位置したまま、インプラント係合部材が硬化される。
【0067】
任意選択的には、方法800において、インプラント係合部材の表面に形成された凹部が、管状構造の少なくとも一部のワイヤまたはストラットのパターンの実質的に鏡像を構成する。
【0068】
任意選択的には、方法800において、インプラント係合部材が少なくとも25Aの硬度に硬化される。
【0069】
任意選択的には、方法800において、管状構造がインプラントであり、ワイヤまたはストラットが編組ワイヤを含む。
【0070】
任意選択的には、方法800において、管状構造がインプラントであり、ワイヤまたはストラットが、チューブをレーザカットすることによって形成されたストラットを含む。
【0071】
任意選択的には、方法800において、管状構造がインプラントとは別個の構造であり、ワイヤまたはストラットのパターンが、インプラントのワイヤまたはストラットのパターンと実質的に同一である。
【0072】
任意選択的には、方法800が、インプラント係合部材を硬化させる前に、管状構造をインプラント係合部材から分離するステップをさらに含む。
【0073】
任意選択的には、方法800が、インプラント係合部材から管状構造を分離するステップと、インプラントの少なくとも一部のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に形成されたそれぞれの凹部内に位置するように、インプラントの少なくとも一部をインプラント係合部材上に配置するステップとをさらに含む。
【0074】
任意選択的には、方法800において、インプラント係合部材が滅菌熱源を使用して加熱される。
【0075】
任意選択的には、方法800において、凹部の少なくとも1つが、インプラント係合部材の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度ではない角度を形成する溝を含む。
【0076】
任意選択的には、方法800において、加熱する工程が押し込む工程の前または後に行われる。
【0077】
任意選択的には、方法800が、インプラント係合部材および管状構造を導入シース内に配置して製品の少なくとも一部を形成するステップをさらに含み、加熱する工程が製品の少なくとも一部に対して行われる。
【0078】
任意選択的には、方法800において、管状構造が、物体の表面に凹部を形成するインプラントであり、医療デバイスによって送達されるようにも構成されている。
【0079】
任意選択的には、方法800において、医療デバイスがインプラントを送達するように構成され、管状構造とインプラントが別個のデバイスである。
【0080】
任意選択的には、方法800において、インプラント係合部材の表面に凹部を形成するための管状構造が、螺旋パターン、格子パターン、ジグザグパターン、ユーザ定義パターン、対称パターン、非対称パターンなどを有することができる。いくつかの実施形態では、そのようなパターンのいずれかが、インプラントのインプラントコンポーネントによって形成されるパターンの少なくとも一部に対応することができる。
【0081】
任意選択的には、方法800において、作られた凹部が、インプラントのそれぞれのコンポーネント(部分)に対応するそれぞれの幾何学的形状を含む。いくつかの実施形態では、インプラントのコンポーネントが、インプラントの編組のストランドであってもよい。他の実施形態では、インプラントのコンポーネントが、インプラントのマーカーであってもよい。更なる実施形態では、インプラントのコンポーネントが、ステントのストラットであってもよい。更なる実施形態では、インプラントが、ステントの端部に周方向に配置された複数のマーカー(例えば、3つのマーカー)を有するステントであってもよい。そのような場合、本方法で作られた凹部は、マーカーに対応するそれぞれの幾何学的形状を有する。例えば、凹部の1つは、ステントのマーカーの1つの形状、サイズおよび/または位置に対応する形状、サイズおよび/または位置を有することができる。
【0082】
上記の実施形態では、デバイス100が、シース130、インプラント係合部材110および細長い構造102を有するものとして説明してきた。他の実施形態では、デバイス100はそれらコンポーネントのすべてを含まなくてもよい。例えば、他の実施形態では、デバイス100がシース130を含まなくてもよい。更なる実施形態では、デバイス100が細長い構造102を含まなくてもよい。よって、「デバイス」という用語は、必ずしも完全な製品に限定されるものではなく、製品の1または複数の部分、または設計の1または複数の部分を指す場合がある。
【0083】
本明細書で説明する1または複数の実施形態では、デバイス100が、任意選択的に、シース130の内面に配置された層をさらに含むことができる。この層は、テフロン、またはインプラント140が「滑らかに動く」ことを可能にする滑らかで摩擦の少ない表面を提供する他の材料から作られるものであってもよい。場合によっては、この層がシース130の一部と見なされることもある。
【0084】
また、本明細書に記載の1または複数の実施形態では、デバイス100が、任意選択的に、シース130の遠位端132を操縦するための操縦可能な機構をさらに含むことができる。例えば、デバイス100は、シース130の壁内に含まれる1または複数の操縦ワイヤを含むことができる。1または複数の操縦ワイヤの1または複数の遠位端は、シース130の遠位端132に結合される。使用中、1または複数の操縦ワイヤの1または複数の近位端は、ハンドル120に配置された手動制御によって引っ張られ、それによってシース130の遠位端132を曲げることができる。場合によっては、デバイス100が複数の操縦ワイヤを有する場合、操縦ワイヤのうちの1または複数が、シース130の遠位端132を所望の方向に操縦するために選択的に引っ張られるようにしてもよい。シース130の操向性により、シース130の遠位端132を、標的位置に到達させるために、曲がりくねった血管などの患者の体内の1または複数の曲線通路を介して操縦することができる。他の実施形態では、デバイス100が操縦ワイヤを含まなくてもよい。
【0085】
さらに、いくつかの実施形態では、インプラント係合部材110の溝502の少なくとも1つを、インプラントのマーカーの少なくとも一部と嵌合するように構成することができる。特に、いくつかの実施形態では、インプラント140の近位端144がマーカーを含むことができる。そのような場合、インプラント係合部材110に溝502を形成する際に、溝502の1つを、インプラント140のマーカーの少なくとも一部を収容するために形成することができる。
【0086】
以下の項目は、本明細書に記載の実施形態の例示的な特徴である。各項目は、実施形態自体であっても、実施形態の一部分であってもよい。以下に記載の1または複数の項目は、一実施形態において、他の1または複数の項目と組み合わせることができる。
【0087】
項目1:患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するための装置を組み立てる方法は、インプラント係合部材を管状構造のルーメン内に少なくとも部分的に配置するステップであって、管状構造が、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有する、ステップと、インプラント係合部材を加熱するステップと、管状構造の側壁の少なくとも一部を、インプラント係合部材の表面に半径方向内向きに押し込み、それにより側壁のワイヤまたはストラットを表面に貫入させて、対応する凹部を表面に形成するステップと、インプラント係合部材の表面に凹部を形成した後、インプラント係合部材を硬化させるステップとを含む。
【0088】
項目2:本方法において、インプラント係合部材は、インプラント係合部材を加熱する前に、管状構造のルーメン内に配置される。
【0089】
項目3:本方法において、インプラント係合部材は、管状構造のルーメン内に配置される前に、細長いコア部材の遠位端部分に取り付けられる。
【0090】
項目4:本方法において、管状構造のワイヤまたはストラットは、管状構造を軸方向に伸張させることにより、インプラント係合部材の表面に押し込まれる。
【0091】
項目5:本方法において、管状構造のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に形成された凹部内に少なくとも部分的に位置したまま、インプラント係合部材が硬化される。
【0092】
項目6:本方法において、インプラント係合部材の表面に形成された凹部は、管状構造の少なくとも一部のワイヤまたはストラットのパターンの実質的に鏡像を構成する。
【0093】
項目7:本方法において、インプラント係合部材は、少なくとも25Aの硬度に硬化される。
【0094】
項目8:本方法において、管状構造はインプラントであり、ワイヤまたはストラットは編組ワイヤを含む。
【0095】
項目9:本方法において、管状構造はインプラントであり、ワイヤまたはストラットは、チューブをレーザカットすることによって形成されたストラットを含む。
【0096】
項目10:本方法において、管状構造は、インプラントとは別個の構造体であり、ワイヤまたはストラットのパターンは、インプラントのワイヤまたはストラットのパターンと実質的に同一である。
【0097】
項目11:本方法は、インプラント係合部材を硬化させる前に、管状構造をインプラント係合部材から分離するステップをさらに含む。
【0098】
項目12:本方法において、本方法は、インプラント係合部材から管状構造を分離するステップと、インプラントの少なくとも一部のワイヤまたはストラットがインプラント係合部材の表面に形成されたそれぞれの凹部内に位置するように、インプラントの少なくとも一部をインプラント係合部材上に配置するステップとをさらに含む。
【0099】
項目13:本方法において、インプラント係合部材は、滅菌熱源を使用して加熱される。
【0100】
項目14:本方法において、凹部の少なくとも1つは、インプラント係合部材の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度ではない角度を形成する溝を含む。
【0101】
項目15:本方法において、加熱する工程は、押し込む工程の前に行われる。
【0102】
項目16:本方法において、加熱する工程は、押し込む工程の後に行われる。
【0103】
項目17:本方法は、インプラント係合部材および管状構造を導入シース内に配置して製品の少なくとも一部を形成するステップをさらに含み、加熱する工程が製品の少なくとも一部に対して行われる。
【0104】
項目18:患者の脈管構造内の展開部位にインプラントを送達するためのシステムは、管状インプラントが、ワイヤまたはストラットのパターンを含む側壁を有するものとして、細長いコア部材と、この細長いコア部材の遠位端部分に結合されたインプラント係合部材とを備え、インプラント係合部材が、複数の凹部が形成された表面を含み、凹部が、管状インプラントの対応する側壁部分のワイヤまたはストラットを受け入れて収容し、インプラント係合部材の表面に形成された凹部が、管状インプラントの対応する側壁部分のワイヤまたはストラットのパターンの実質的な鏡像を構成する。
【0105】
項目19:本システムにおいて、管状インプラントのワイヤまたはストラットは、編組ワイヤを含む。
【0106】
項目20:本システムにおいて、管状インプラントのワイヤまたはストラットは、チューブをレーザカットすることにより形成されたストラットを含む。
【0107】
項目21:本システムにおいて、インプラント係合部材は、少なくとも25Aの硬度を有する。
【0108】
項目22:本システムは、管状インプラントのマーカーの少なくとも一部を収容するように構成されたインプラント係合部材の表面に設けられた追加の凹部をさらに含む。
【0109】
項目23:本システムは、送達カテーテルをさらに含み、細長いコア部材、インプラント係合部材および管状インプラントが、少なくとも部分的に、送達カテーテルのルーメン内に配置され、かつ送達カテーテルに対してスライド可能であり、細長いコア部材が送達カテーテルのルーメンを通ってルーメン内を移動する際に、インプラント係合部材および送達カテーテルが、互いに協働して管状インプラントを把持するように構成され、管状インプラントは、送達カテーテル内に閉じ込められなくなると、インプラント係合部材のワイヤまたはストラットに凹部が及ぼす摩擦力よりも十分に大きい拡張力により、圧縮された送達構成から拡張された展開構成に変化するように構成されている。
【0110】
項目24:インプラントを送達するための医療デバイスは、遠位端および近位端を有する細長い構造と、この細長い構造の遠位端に結合されたインプラント係合部材とを含み、インプラント係合部材が、複数の溝を有する表面を備え、それら溝が、インプラントの編組パターンの少なくとも一部に一致するパターンを形成する。
【0111】
項目25:医療デバイスにおいて、溝の少なくとも1つは、細長い構造の長手方向軸に平行な仮想線に対して0度より大きい角度を形成する。
【0112】
項目26:医療デバイスにおいて、インプラント係合部材の溝のパターンは、十字パターンを含む。
【0113】
項目27:医療デバイスにおいて、インプラント係合部材は、少なくとも25Aの硬度を有する。
【0114】
項目28:医療デバイスにおいて、インプラント係合部材は、溝がインプラントの編組要素を収容している間、インプラントの内面と係合するように構成されている。
【0115】
項目29:医療デバイスにおいて、インプラント係合部材の溝の1つは、インプラントマーカーの少なくとも一部を収容するように構成されている。
【0116】
項目30:医療デバイスにおいて、溝は、永続的な窪みを含む。
【0117】
項目31:医療デバイスにおいて、インプラントは、外部断面寸法を有する管状構造を含み、インプラント係合部材の断面寸法は、管状構造の外部断面寸法よりも小さい。
【0118】
項目32:医療デバイスは、ルーメンを有するシースをさらに含み、インプラント係合部材は、シースのルーメン内に配置される。
【0119】
項目33:医療デバイスにおいて、インプラント係合部材およびシースは、互いに協働してインプラントを把持および解放するように構成されている。
【0120】
項目34:医療デバイスは、インプラントをさらに含み、インプラントは、シースのルーメン内に閉じ込められているときの送達構成と、シースのルーメンの外側にあるときの展開構成とを有する。
【0121】
項目35:医療デバイスにおいて、インプラントは、溝がインプラントに及ぼす摩擦力よりも大きい拡張力により、送達構成から展開構成に変化するように構成されている。
【0122】
項目36:医療デバイスにおいて、インプラントがシースによって拘束されていないときに、インプラントが直ちに勢いよく開いて展開構成をとることを可能にする十分な大きさだけ、上記拡張力は、把持力よりも大きい。
【0123】
項目37:細長い構造と、この細長い構造の遠位端部分に結合されたインプラント係合部材とを有する医療デバイスを製造する方法は、インプラント係合部材として形成される物体を保持するステップと、物体の上に管状構造を配置するか、または物体を管状構造の中に挿入するステップであって、管状構造が編組パターンを有する、ステップと、管状構造を物体に向けて半径方向内向きに押圧して、物体の表面に溝を形成するステップであって、形成された溝が、管状構造の編組パターンの少なくとも一部と一致するパターンを形成する、ステップと、物体の表面に溝を形成した後に、物体を硬化させるステップとを含む。
【0124】
項目38:本方法において、管状構造は、インプラントである。
【0125】
項目39:本方法において、インプラントは、物体の表面に溝を形成するためのものであり、医療デバイスによって送達されるようにも構成されている。
【0126】
項目40:本方法において、医療デバイスは、インプラントを送達するように構成され、管状構造およびインプラントは、別個のデバイスである。
【0127】
項目41:本方法において、物体は、少なくとも25Aの硬度を有する。
【0128】
項目42:本方法は、滅菌熱源、または滅菌熱源とは異なる別個の熱源を使用して、物体を加熱するステップをさらに含む。
【0129】
項目43:細長い構造と、この細長い構造の遠位端部分に結合されたインプラント係合部材とを有する医療デバイスを作製するためのシステムは、インプラント係合部材として形成される物体と、編組パターンを有する管状構造とを備え、管状構造が、物体に押し付けられて物体の表面に溝を形成するように構成され、溝が、管状構造の編組パターンに対応するパターンを形成する。
【0130】
項目44:本システムにおいて、管状構造は、インプラントである。
【0131】
項目45:本システムにおいて、管状構造は、インプラントとは異なる。
【0132】
本明細書で使用される場合、「表面」という用語は、実表面または仮想表面を指す場合があり、実/仮想表面は、曲面または直線的な表面であってもよい。また、「表面」という用語は、連続する曲線または直線的な平面アイテムに限定されるものではなく、表面を定義する点または表面に位置する点を有する任意のアイテムを指すことができる。
【0133】
また、本明細書で使用される場合、「凹部」という用語は、表面の一部を凹ませるかまたは窪ませることによって形成される表面の凹みまたは窪みを指す場合があり、または成形、3D印刷などに限定されるものではないが、それらを含む他の技術のいずれかによって形成される表面上の凹みまたは窪みを指す場合がある。例えば、金型を使用して凹部を有するように物体を形成することも、3D印刷によって凹部を有する物体を作成することもできる。また、「凹部」という用語は、溝(例えば、チャネル)のような細長い凹みまたは窪みを指す場合、あるいは任意のサイズおよび/または形状を有する凹みまたは窪みを指す場合がある。
【0134】
さらに、本明細書で使用される場合、「装置」、「デバイス」、「システム」という用語は、製品、1または複数のコンポーネント、製品の一部またはコンポーネントの一部を指す場合がある。場合によっては、それら用語のいずれかが、互いに結合され、かつ/または互いに対して機能的および/または位置的関係を有する2以上のコンポーネントを指す場合がある。また、場合によっては、それら用語は互いに同義である。
【0135】
さらに、本明細書で使用される場合、アイテム(例えば、細長い構造、細長いコア部材など)の「遠位端」という用語は、アイテムの遠位先端から測定してアイテムの全長の1/3以内にある、そのようなアイテムの任意の部分を指す場合がある。同様に、アイテム(例えば、細長い構造、細長いコア部材など)の「近位端」という用語は、そのようなアイテムの近位先端から測定してアイテムの全長の1/3以内にある、そのような物品の任意の部分を指す場合がある。アイテムの「遠位端部分」という用語は、アイテムの遠位端の任意の部分を指す場合がある。
【0136】
特定の実施形態を開示および説明してきたが、特許請求の範囲に記載の発明を好ましい実施形態に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正を加えることができることは、当業者に明らかであろう。このため、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味としてみなされるべきである。特許請求の範囲に記載の発明は、代替物、修正物および均等物を網羅するものとする。
【国際調査報告】