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特表2024-507834コヒーレントイジングマシンを用いたL0正則化ベース圧縮検知システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コヒーレントイジングマシンを用いたL0正則化ベース圧縮検知システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/60 20220101AFI20240214BHJP
   G06N 99/00 20190101ALI20240214BHJP
【FI】
G06N10/60
G06N99/00 180
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550034
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022016861
(87)【国際公開番号】W WO2022178173
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,441
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523112138
【氏名又は名称】エヌティーティー リサーチ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】青西 亨
(72)【発明者】
【氏名】三村 和史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真人
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜久
(57)【要約】
L0正則化ベース圧縮検知(CS)のためのシステムおよび方法は、コヒーレントイジングマシン(CIM)および古典的デジタルプロセッサ(CDP)からなる量子古典的ハイブリッドシステムを使用することができる。CIMおよびCDPはそれぞれ、L0正則化ベース圧縮検知(CS)のための交互最小化を実施する。切断ウィグナー確率微分方程式(W-SDE)は、縮退光パラメトリック発振器のネットワークの密度演算子についてマスター方程式から得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース信号のL0正則化ベース圧縮検知のためのハイブリッドシステムであって、
コスト関数を最小化するために、前記ソース信号に関連する第1のパラメータを最適化するように構成された量子マシンと、
前記コスト関数を最小化するために、前記ソース信号に関連する第2のパラメータを最適化するように構成された古典的マシンと
を備える、ハイブリッドシステム。
【請求項2】
前記ソース信号はN次元ソース信号を含み、
前記第1のパラメータは前記N次元ソース信号の実数値を含み、
前記第2のパラメータは前記N次元ソース信号に関連するサポートベクトルを含む、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項3】
前記量子マシンおよび前記古典的マシンは、前記量子マシンおよび前記古典的マシンの対応する最適化を2者択一的に実施するように構成され、
前記量子マシンが前記第1のパラメータを最適化するとき、前記古典的マシンは、前記第2のパラメータを一定に維持するように構成され、
前記古典的マシンが前記第2のパラメータを最適化するとき、前記量子マシンは、前記第1のパラメータを一定に維持するように構成される、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項4】
前記コスト関数はハミルトニアンコスト関数を含む、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項5】
前記量子マシンは、コヒーレントイジングマシンを備える、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項6】
前記古典的マシンは、デジタルプロセッサまたはフィールドプログラマブルゲートアレイを備える、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項7】
前記ソース信号は磁気共鳴画像信号を含む、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項8】
ソース信号のL0正則化ベース圧縮検知の方法であって、
コスト関数を最小化するために、前記ソース信号に関連する第1のパラメータを量子マシンによって最適化することと、
前記コスト関数を最小化するために、前記ソース信号に関連する第2のパラメータを古典的マシンによって最適化することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記ソース信号はN次元ソース信号を含み、
前記第1のパラメータは前記N次元ソース信号の実数値を含み、
前記第2のパラメータは前記N次元ソース信号に関連するサポートベクトルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記量子マシンおよび前記古典的マシンは、前記量子マシンおよび前記古典的マシンの対応する最適化を2者択一的に実施し、
前記量子マシンが前記第1のパラメータを最適化するとき、前記古典的マシンは、前記第2のパラメータを一定に維持し、
前記古典的マシンが前記第2のパラメータを最適化するとき、前記量子マシンは、前記第1のパラメータを一定に維持する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記コスト関数はハミルトニアンコスト関数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記量子マシンは、コヒーレントイジングマシンを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記古典的マシンは、デジタルプロセッサまたはフィールドプログラマブルゲートアレイを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ソース信号は磁気共鳴画像信号を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
L0正則化ベース圧縮検知を実施する方法であって、
出力カプラーおよび入力カプラーを有するファイバーリングキャビティ内に形成された光パラメトリック発振器を有するコヒーレントイジングマシン光パラメトリック発振器内に複数のポンプパルスを注入することを含み、前記出力カプラーは、ホモダイン検出出力および第2高調波発生(SHG)結晶と通信する、方法。
【請求項16】
前記ファイバーリングキャビティ上の出力カプラーによって、前記ファイバーリングキャビティから前記複数のポンプパルスの各ポンプパルスの一部を引き出すことと、
光ホモダイン検出器を使用して前記引き出されたパルスを測定することと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フィードバック信号をフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によって計算し、前記計算結果を強度変調器(IM)および位相変調器(PM)に提供し、それにより、前記ファイバーリングキャビティ上の入力カプラーを通して前記光パラメトリック発振器(OPO)パルスのそれぞれに対する注入フィールドを生成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
線形同時方程式を前記古典的デジタルプロセッサによって解き、前記解をバッファによって前記コヒーレントイジングマシンに転送することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記古典的デジタルプロセッサからの前記解を使用して、フィードバックパルスを前記ファイバーリング入力カプラーに提供することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
サポートベクトルを前記コヒーレントイジングマシンによって推定することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年2月19日に出願された米国仮出願第63/151,441号に対する優先権を主張し、その出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
付録
付録A(7ページ)は、本明細書の一部を形成し、参照により本明細書に組み込まれる補足資料および図を含む。
【0003】
付録B(10ページ)は、本明細書において種々の計算のために使用される方法をリストアップし、この付録は、本明細書の一部を形成し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本開示は、コヒーレントイジングマシンを使用する検知を圧縮するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0005】
現在、量子デバイスまたはマシンを使用してシミュレーションおよび最適化プロセスを実施するための種々の技法が存在する。これらの量子デバイスまたはマシンは、非常に複雑でかつ構築するのが難しい/費用がかかる。量子マシンの例は、Googleの量子コンピュータおよびIBMの量子コンピュータならびにD-WAVEの量子アニーラーを含む。これらの量子マシンは全て、非常に高価でかつ構築し運用するのが難しい。
【0006】
最小絶対収縮および選択演算子(LASSO:least absolute shrinkage and selection operator)は、探査地球物理学、磁気共鳴画像、ブラックホール観測、およびマテリアルズインフォマティクスにおいて、種々のスパース信号再構成問題を解くことに対する非常に効率的なアプローチである。LASSO演算子は、
【数1】
(1)
として定式化され、ここで、xはN次元ソース信号であり、yはM次元観測信号であり、AはM×N観測行列であり、λは正則化パラメータである。
【0007】
LASSOを含むL1正則化ベース圧縮検知(CS:compressed sensing)は、凸最適化問題として定式化され得、その問題について、多くの効率的な発見的アルゴリズムが利用可能である。上記方程式(1)は、極限(limit)λ→+0において、L1最小化ベースCS(y=Axとなるように||x||1を最小化する)に漸近的に等しく、したがって、この極限において、LASSOは、xの非ゼロ要素の数とNとの比、すなわち、スパースネスaが、臨界値ac(acは測定圧縮比α(α=M/Nとして規定される)より小さい)より小さい限り、無限小誤差を持ってスパースソース信号を再構成することができる。
【0008】
一方、L0正則化ベースCSは、L1ノルムの代わりに以下のL0ノルムを用いて定式化され得る:
【数2】
(2)
【0009】
L0正則化ベースCSが、L1正則化ベースCSをしのぐ場合があることが示唆されてきた。これはなぜなら、L1正則化が、或る閾値を超える変数に対して収縮を課す(ソフト閾値処理(soft-thresholding))が、L0正則化はそのような収縮を課さない(ハード閾値処理)からである。さらに、方程式(2)は、極限λ→+0において、L0最小化ベースCS(y=Axとなるように||x||0を最小化する)に漸近的に等しく、したがって、この極限において、L0正則化ベースCSは、aが、臨界値ac=αより小さい限り、無限小誤差を持ってxを再構成すると予想され得る。xの非ゼロ要素の数が、線形方程式のシステムの有効ランクであり、したがって、システムが、a>αであるとき、単一の一意解を持たないため、いずれのシステムも性能限界を超えることが不可能であることに留意されたい。
【0010】
方程式(2)で規定されるL0正則化ベースCSは、2段階最適化問題(two-fold optimization problem)として、等価的に再定式化され得る:
【数3】
(3)
【0011】
ここで、r内の要素riは、N次元ソース信号におけるi番目の要素の実数値を示す。ベクトルσは、N次元ソース信号の非ゼロ要素の場所を示すサポートベクトルと呼ばれる。σ内の要素σiは、ソース信号のi番目の要素がゼロであるか、非ゼロであるかを示すために0または1をとる。シンボル°は、ハダマール積を示す。方程式(3)の要素ごとの表現から、L0正則化ベースCSのハミルトニアン(Hまたはコスト関数)は、
【数4】
(4)
として与えられ、ここで、
【数5】
はM×N観測行列A内の要素であり、yuは、M次元観測信号における要素である。
【0012】
サポートベクトルσの1の数が、M以下であるという仮定の下で、rに関して方程式(3)から得られる同時線形方程式のセットは、サポートベクトルσが与えられる場合、ソース信号における非ゼロ要素についての解を与える。一方、σに関するHの最小化は、rが与えられる場合、イジングハミルトニアンを最小化することと同一である。相互作用
【数6】
が、スピンσiの間にフラストレーションを誘起するため、ハミルトニアンは、多数の極小値を有する場合がある。そのため、L0正則化ベースCSは、凸最適化として定式化されることができない。
【0013】
サポートベクトルを推定する困難さなしで、L0正則化ベース圧縮検知を実施するためのシステムおよび方法を提供することが望ましく、本開示が対象とするのはこの目的のためである。
【発明の概要】
【0014】
本明細書のシステムおよび方法は、量子マシンおよび古典的デジタルプロセッサ(CDP:classical digital processor)で構成される量子古典的ハイブリッドシステムを使用するL0正則化ベース圧縮検知のために使用され得る。
【0015】
一実施形態において、ソース信号のL0正則化ベース圧縮検知のためのハイブリッドシステムが提供される。システムは、コスト関数を最小化するために、ソース信号に関連する第1のパラメータを最適化するように構成された量子マシンと、コスト関数を最小化するために、ソース信号に関連する第2のパラメータを最適化するように構成された古典的マシンとを含むことができる。
【0016】
別の実施形態において、ソース信号のL0正則化ベース圧縮検知の方法が提供され得る。方法は、コスト関数を最小化するために、ソース信号に関連する第1のパラメータを量子マシンによって最適化することと、コスト関数を最小化するために、ソース信号に関連する第2のパラメータを古典的マシンによって最適化することとを含むことができる。
【0017】
さらに別の実施形態において、L0正則化ベース圧縮検知を実施する方法が提供され得る。方法は、出力カプラーおよび入力カプラーを有するファイバーリングキャビティ内に形成される光パラメトリック発振器を有するコヒーレントイジングマシン光パラメトリック発振器内に複数のポンプパルスを注入することを含むことができ、出力カプラーは、ホモダイン検出出力および第2高調波発生(SHG:second harmonic generation)結晶と通信する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】L0正則化ベース圧縮検知を実行することができる量子マシンおよび古典的デジタルプロセッサ(CDP)で構成された一般的な量子古典的ハイブリッドシステムを示す図である。
図1B】L0正則化ベース圧縮検知を実行することができるコヒーレントイジングマシン(CIM:coherent Ising machine)およびCDPで構成された量子古典的ハイブリッドシステムを示す図である。
図2a-2b】L0正則化ベース圧縮検知のための方法の解を比較する図である。
図3】種々の場合についてのL0正則化ベース圧縮検知およびLASSOの位相ダイヤグラムである。
図4】初期閾値に依存するL0正則化ベース圧縮検知のための引力圏(basin of attraction)を示す図である。
図5】半ガウシアンソース信号についてのL0正則化ベース圧縮検知およびLASSOのための2乗平均平方根誤差(RMSE:root mean square error)値を示す図である。
図6】ガウシアンソース信号についてのL0正則化ベース圧縮検知およびLASSOのための2乗平均平方根誤差(RMSE)値を示す図である。
図7】例示的なデータに関するL0正則化ベース圧縮検知の性能を示す図である。
図8】数値実験においてソース信号を発生するために使用される4つの種類の確率密度関数を示す図である。
図9A】L0正則化ベース圧縮検知のための方法のフローチャートおよびより詳細な擬似コードである。
図9B】L0正則化ベース圧縮検知のための方法のフローチャートおよびより詳細な擬似コードである。
図10】L0正則化ベース圧縮検知のための方法のフローチャートおよびより詳細な擬似コードである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、量子マシンおよび古典的デジタルプロセッサ(CDP)で構成された量子古典的ハイブリッドシステムを使用するL0正則化ベース圧縮検知のためのシステムおよび方法に特に適用可能である。コヒーレントイジングマシン(CIM)は、このシステムのための適切な量子マシンである。なぜなら、この最適化問題が、密に接続されたネットワークによってのみ解かれ得るからである。本開示が説明されることになるのは、この文脈においてである。しかしながら、システムおよび方法が他の方法で実行され得ることが認識されるであろう。さらに、例示的なデータは医療データであるが、L0正則化ベース圧縮検知のためのシステムおよび方法は、任意のタイプのデータのために使用され得、任意の特定のタイプのデータに限定されない。
【0020】
L0正則化ベース圧縮検知のためのシステムおよび方法において、上記で説明したサポートベクトルを推定する困難さの技術的問題は、量子マシンおよびCDPを有するハイブリッドシステムである技術的解決策によって対処される。図1Aは、L0正則化ベース圧縮検知を実行することができる、コヒーレントイジングマシン(CIM)およびCDPから構成された量子古典的ハイブリッドシステムを示す。このシステムは、2つの最小化プロセス;(i)量子マシンが、rが固定される条件下でHを最小化するためにσを最適化する、および、(ii)CDPが、σが固定される条件下でHを最小化するためにrを最適化する、を交互に実施することによって、2段階最適化問題を解く。
【0021】
量子アニーラー、量子近似最適化アルゴリズム、CIM等のような幾つかの量子マシンは、σを最適化するためにおそらくは使用され得る。これらの候補の比較は、測定フィードバック(MFB:measurement-feedback)CIMが、この目的のために最も適切なマシンのうちの1つであることを明らかにする。実際には、MFB-CIMは、縮退光パラメトリック発振器(OPO:optical parametric oscillator)から構成される任意の密に接続されたネットワークを構築することができる。なぜなら、MFB-CIMが、時分割多重化スキームおよびMFBを使用するからである。対照的に、QAおよびほとんど全ての他のマシンは、キメラグラフを含むローカルグラフをサポートすることができるだけであり、したがって、σを最適化するための密に接続されたネットワークは、Lechner-Hauke-Zollerスキームを使用することによって固定ハードウェアローカルグラフに埋め込まれなければならず、それは、さらなる物理的スピンを必要とする。さらに、MFB CIMが、2つの問題セット(1の問題は完全に接続されたSherrington-Kirkpatrickモデルであり、他の問題は密グラフMAX-CUTである)に関して量子アニーラーを実験的にしのいだことが報告されている。量子アニーラーについてのexp(O(N2))に比例する指数関数的計算時間と対照的に、CIMは、exp(
【数7】
)(Nは問題サイズである)に比例する指数関数的計算時間を有する。
【0022】
図1Bは、L0正則化ベース圧縮検知システムおよび方法が、一実施形態において、CIM102および古典的デジタルプロセッサ(CDP)104で構成された量子古典的ハイブリッドシステム100を使用して実行され得ることを示す。このシステム100は、2つの最小化プロセス;(i)CIM102が、ソース信号の所与の実数値rを用いてハミルトニアンコスト関数Hを最小化するためにσを最適化する、および、(ii)CDP104が、所与のサポートベクトルσを用いてHを最小化するためにrを最適化する、を交互に実施する。システムを使用して、ネットワークの密度演算子についてのマスター方程式からの切断ウィグナー確率微分方程式(W-SDE:Wigner stochastic differential equation)はOPOからなる。システムおよび方法は、自己矛盾のない信号対雑音解析(SCSNA:self-consistent signal-to-noise analysis)に基づく統計力学的方法を実行し、そこから、全体システムについての巨視的方程式が導出され得る。以下で詳細に論じるように、開示されるシステムおよび方法の性能は、L0最小化ベース圧縮検知(CS)の理論的限界に近づき、おそらくは、知られているLASSO技法の理論的限界を超える。
【0023】
図1Bに示すより詳細において、システム100のCIM102は、第2高調波発生(SHG)結晶を通して、ファイバーリングキャビティ内に形成された光パラメトリック発振器(OPO)に注入されるポンプパルスを有する。周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN:periodically poled lithium niobate)導波路デバイスは、信号パルスの位相感受性縮退光パラメトリック増幅を誘起し、OPOパルスのそれぞれは、発振閾値を超えて、0位相状態(アップスピンに対応する)またはπ位相状態(ダウンスピンに対応する)をとる。各パルスの一部は、出力カプラーによって主キャビティから引き出され、光ホモダイン検出器によって測定される。フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)は、フィードバック信号を計算し、フィードバック信号は、その後、強度変調器(IM:intensity modulator)および位相変調器(PM:phase modulator)に提供されて、入力カプラーを通してOPOパルスのそれぞれに対して、以下の方程式(5)で説明する注入フィールドを生成する。H(Xi)は、CDP104に転送されるサポート推定量である、i番目のOPOパルスの同位相振幅の2値化された値、0または1である。CDP104は、線形同時方程式(以下で論じた方程式(7))を解き、解riは、図1Bに示すようにCIM102に転送される。
【0024】
CIMおよびCDPの役割
【0025】
図1BのCIM-CDPハイブリッドシステム100は、上記方程式(3)および(4)で説明したL0正則化ベースCSを実行する。このシステムは、以下の2つの最小化プロセスを交互に実施することによって最適化を達成する。CIM102は、所与のrを用いてHを最小化するためにσを最適化し、その後、σをCDP104に転送する。CDP104は、所与のσを用いてHを最小化するためにrを最適化し、その後、rをCIM102に転送する。以下でより詳細に論じる図9A、9B、および10は、2つの交互最小化プロセスを使用する方法の詳細を示す。図9A、9B、および10に示す方法900において、引力圏を幅広化するために、交互最小化が進むにつれて、閾値ηがηinitからηendまで線形に低下する発見的に線形な閾値低減が導入される。
【0026】
CIM102は、サポートベクトルσ、すなわち、ソース信号の非ゼロ要素の場所を推定する。所与のrを用いてH(ハミルトニアン/コスト関数)を最小化するためσを最適化するために、CIM102は、測定フィードバック回路を使用して、強度変調器(IM)および位相変調器(PM)を制御し、両方の変調器は、ターゲット(i番目の)OPOパルスに対して光注入フィールドを生成する:
【数8】
(5)
ここで、Kはフィードバック回路の利得であり、ηは閾値である。ηは、
【数9】
による方程式(3)および(4)における正則化パラメータに関連し、hiは、以下で説明するローカルフィールドである。方法は、ソース信号に従って、ローカルフィールドについて2つの異なる関数F+(h)およびF±(h)を使用する。F+(h)はアイデンティティ関数である:F+(h)は、非負ソース信号について使用される。F±(h)は絶対値関数である:F±(h)は符号付き(signed)ソース信号について使用される。
【0027】
CIM上でサポートベクトルを推定するためのローカルフィールドは、
【数10】
(6)
として設定され、ここで、Xjは、ホモダイン検出器によって測定されるj番目のOPOパルスの同位相振幅(一般化座標)である。ローカルフィールドにおいて、H(X)は、X≦0の場合に0を、または、X>0の場合に+1をとるヘヴィサイド階段関数(Heaviside step function)である。rjは、CDP104によって与えられる解である。CIM102上でのサポートベクトル推定中に、全てのrjが固定される。そのため、第1項は相互作用項であり、第2項はゼーマン項(Zeeman term)に対応する。
【0028】
CDP104は、rに関するHの最小化条件から線形同時方程式の解を得る。一般性を失うことなく、riの未知値に関する同時方程式の要素ごとの表現は、
【数11】
(7)
(8)
として書き換えられ得る。不定性を排除するために、riは、H(Xi)がゼロであるとき、ゼロに設定される。ここで、方程式(8)のhiは、CIM102上でのサポート推定の場合のローカルフィールド(方程式(6))と同じである。Xjは、CIM102によって与えられる解である。CDP104上での信号推定中に、全てのH(Xj)が固定される。同時方程式(方程式(7))の解は、
r=(diag[ATA]+SATAS-diag[SATAS])-1SAT
S=diag(H(X1),H(X2),・・・,H(XN))
である。
【0029】
CIMについてのウィグナー確率微分方程式の導出
図1Bに示すように、ポンプパルスは、第2高調波発生(SHG)結晶を通して主リングキャビティに注入される。周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路は、光パラメトリック発振器用の非常に効率的な非線形媒体である。主キャビティ内への注入ポンプフィールドの振幅がεであり、信号フィールドとポンプフィールドとの間のPPLN導波路のパラメトリックカップリング定数がκであると仮定する。すると、ポンピングハミルトニアンは
【数12】
であり、パラメトリック相互作用ハミルトニアンは
【数13】
である。ここで、
【数14】
および
【数15】
は、キャビティ内ポンプおよび信号フィールドについての消滅演算子である。リングキャビティのラウンドトリップ時間が、ポンプパルス間隔のN倍に正しく調整される場合、N個の独立しかつ同一のOPOパルスがキャビティの内部で同時に生成され得る。j番目のOPO信号パルスについての光子消滅および生成演算子は、
【数16】
および
【数17】
によって示される。キャビティ内ポンプフィールドおよび信号フィールドは、損失率γpおよびγsをそれぞれ有する。γp>>γsである場合、ポンプフィールドは、隷従原理によって排除され得る:単独のj番目のOPO信号パルスについての密度演算子の以下のマスター方程式は、ポンプモードの断熱排除によって得られる:
【数18】
ここで、S=εκ/γpおよびB=κ2/(2γp)は、それぞれ、線形パラメトリック利得係数および2光子吸収(またはバックコンバージョン)レートである。
【数19】
は、ボソニックコミュテータを示す。
【0030】
図1Bに示す測定フィードバック回路は、反射係数Rex=jexΔtおよびRin=jinΔtを有する抽出および注入カプラーによって主キャビティに接続され、ここで、jexおよびjinは、粗視化アウトカップリングおよびインカップリング定数であり、Δtはキャビティラウンドトリップ時間である。B/γS<1であり、真空変動が、抽出および注入カプラーの開口ポートに入射する条件下で、測定フィードバック回路は、ガウシアン量子モデルを用いて記述され得る。マスター方程式は、線形損失項、測定誘起状態低減項、およびコヒーレントフィードバック信号注入項からなる。
【0031】
フォッカープランク(Fokker-Planck)方程式は、マスター方程式内の密度演算子
【数20】
のウィグナーW(α)表現を使用することによって導出され、以下の切断ウィグナー確率微分方程式(W-SDE)は、伊藤のルール(Ito‘s rule)を適用することによって達成され得る:
【数21】
ここで、j=jex+jinであり、αiは複素ウィグナー振幅であり、νiは、
〈vi(t)〉=0,〈vi *(t)vj(t’)〉=2δijδ(t-t’)
を満たすcナンバー雑音振幅(c-number noise amplitude)である。
【0032】
その後、
【数22】
による飽和パラメータAsを導入し、以下のスケール変換
【数23】
および
【数24】
を適用することによって、
【数25】
が得られ、ここで、ciおよびsiは、i番目のOPOパルスの同位相および直交位相正規化振幅である。方程式(18*)の上方程式内のR.H.S.の第2項は、同位相コンポーネントのみを有する光注入フィールドである。pは正規化ポンプレートである。p=1は、相互カップリングなしの単独のOPOの発振閾値に対応する。pが発振閾値を超える(p>1)場合、OPOパルスのそれぞれは、0位相状態またはπ位相状態にある。OPOパルスの0位相は、イジングスピン上向き状態(up-state)に割り当てられ、一方、π位相は下向き状態(down-state)に割り当てられる。方程式(18*)の上と下の両方の方程式の最後の項は、外部リザーバから注入される真空変動および利得飽和によってOPOシステム内にカップリングされるポンプ変動を表現する。Wi,1およびWi,2は、〈Wi,k(t)〉=0,〈Wi,k(t)Wj,l(t’)〉=δijδklδ(t-t’)を満たす独立した実数ガウシアン雑音プロセスである。飽和パラメータAsは、OPO閾値における光子数の非線形増加(急激な上昇)を決定する。最後に、ガウシアン近似がないMFB-CIMのより一般的な量子モデルは、離散時間モデルと連続時間モデルの両方について導出された。
【0033】
量子古典的ハイブリッドシステムのための巨視的方程式
【0034】
量子古典的ハイブリッドシステムのための巨視的方程式を解くために、上記方程式18*が解かれ、同時方程式(7)が、以下で説明する統計力学を適用する前提条件下で統計力学を用いて解かれ得、W-SDE(18*)および同時方程式(7)は、同じローカルフィールド(方程式(6)および(8))を共有し、そのローカルフィールドは、観測モデル(15)を
【数26】
(9)
として置換することによって書き換えられ得、ここで、[x1、...、xNTはN次元ソース信号であり、[ξ1、...、ξNTはサポートベクトルである。[n1、...、nMTは、〈nu〉=0、〈nuν〉=β2δを満たすM次元観測雑音である。β2は観測雑音の分散である。
【0035】
こうして、CIM102およびCDP104は、定常状態の単一ミーンeldシステム(single mean eld system)に統一され得る。i番目のOPOについてのW-SDEが自己状態およびローカルフィールドhiに依存するだけであるため、hiからH(ci)へのフォーマル伝達関数Xが、導入され得る:
H(ci)=X(hi
フォーマル伝達関数Xを方程式(7)に代入して、また、
【数27】
であるため、hiからriへのフォーマル伝達関数Gは、
i=X(hi)hi=G(hi
によって与えられる。したがって、ローカルフィールドは、次のように、フォーマル伝達関数Gを通して自己矛盾のない方法で規定され得る:
【数28】
(10)
SCSNAのレシピに従って、ローカルフィールドhiは、熱力学的限界において、自己状態H(ci)riに独立な純粋なローカルフィールド
【数29】
および有効自己カップリング項ΓH(ci)ri(オンサーガー反応項(ORT:onsager reaction term)と呼ばれる)に分離される:
【数30】
(11)
【数31】
およびΓは、自己矛盾のない方法で決定される。
【数32】
に関して再規定されたXは、そのようなミーンフィールドシステムの自己平均化特性を使用することによって、その平均値〈H(ci)〉(以下の引力圏の節参照)を用いて安全に置換され得る。最後に、以下の巨視的方程式は、自己矛盾のないローカルフィールドを使用して得られる:
【数33】
(12)
ここで、R、Q、およびUは、それぞれ、オーバーラップ、ミーンスクエア(mean square)磁化、および感受性と呼ばれる巨視的パラメータである。〈.〉x,ξは、xおよびξに関する平均を示し、
【数34】
である。Gc(z;xξ)およびGs(z;xξ)は、以下の方程式から自己矛盾なく決定され得る:
【数35】
飽和パラメータAs(上記で規定した)は、注入ポンプフィールドの振幅の無限極限(infinite limit)に発散するε→+∞。極限As→+∞において、以下の簡略化された巨視的方程式が得られ得る:
【数36】
(13)
ここで、
【数37】
は、
【数38】
によって与えられる、マクスウェルのルールから得られる有効出力関数である。
【0036】
巨視的方程式の精度およびβ=0であるときのLASSOとの比較
【0037】
巨視的方程式の精度を確認するために、上記解は、アルゴリズム1によって与えられる解と巨視的方程式に対して比較される(以下でより詳細に論じられる図9A~10)。図2aおよび2bは、L0正則化ベース圧縮検知のための方法の解を比較し、閾値ηおよび圧縮率α(赤および緑ソリッドライン)の種々の値について、
【数39】
(方程式(12))を用いた巨視的方程式に対する解および極限
【数40】
(方程式(13))における巨視的方程式に対する解の2乗平均平方根(RMSE)を示す。図は、
【数41】
および
【数42】
を用いてアルゴリズム1を使用して得られる解のRMSE(エラーバーを有する円)も示す。
【数43】
が、実験的で現実的なCIMにおける
【数44】
と同じオーダーであることに留意されたい。図2a、2bの結果は、観測雑音が存在せず(すなわち、β=0)、ソース信号が、半ガウシアン(+)またはガウシアン(±)からのものである場合についてのものである。アルゴリズム1が、巨視的方程式によって得られるほぼゼロのRMSE状態に対応する解を見出すことを確認するため、rは、上記で説明した交互最小化プロセスにおける真の信号値、すなわち、x°ξとして初期化された。しかしながら、この状況においてさえも、c振幅は、交互最小化プロセスにおけるサポート推定の初期段階においてc=0として常に初期化された。
【0038】
半ガウシアン(+)の場合、非ゼロRMSE(赤ソリッドライン)およびほぼゼロRMSE(緑ソリッドライン)を有する2つの巨視的状態は、CIM実行式CDMAマルチユーザ検出器の場合のように共存する。一方、ガウシアン(±)の場合、ほぼゼロRMSE(赤ソリッドライン)を有する単一巨視的状態が見出された。図2bのシミュレーション結果と比較すると、巨視的方程式(13)を用いて得られる理論的結果は、
【数45】
を用いたアルゴリズム1の結果と十分に一致した。半ガウシアン(+)の場合とガウシアン(±)の場合の両方において、巨視的方程式(13)のほぼゼロRMSE状態(図2bの赤ソリッドライン)は、
【数46】
を用いたアルゴリズム1のほぼゼロRMSE状態(図2bのエラーバーを有する円)に整合し、巨視的方程式(13)によって与えられる位相転移ポイントはアルゴリズム1の位相転移ポイントに一致した。これらの条件下、ηが0.01まで下がったため、RMSEは単調減少し、ほぼゼロRMSE状態からの位相転移ポイントacは単調増加した。一方、
【数47】
を用いた巨視的方程式(12)から得られる理論的結果(図2aの左の赤ソリッドライン)は、半ガウシアン(+)の場合、
【数48】
を用いたアルゴリズム1の結果(図2aの左のエラーバーを有する円)と十分に一致し、一方、巨視的方程式(12)によって与えられる位相転移ポイントは、アルゴリズム1の位相転移ポイントより低くなる。なぜなら、ηが、図2aの右に示すように、ガウシアン(±)の場合、小さくなるからである。
【0039】
さらに、CIM L0正則化ベースCSおよびLASSOの能力を比較するために、CIM L0正則化ベースCSと同じ閾値を用いた巨視的方程式(37)を使用するLASSOのRMSEプロファイルが計算され、これらのプロファイルが、図2上に重ね合わされる(青ソリッドライン)。極限
【数49】
におけるCIM L0正則化ベースCSのRMSE(図2bの赤ソリッドライン)は、同じ圧縮率αおよびスパースネスaにおけるLASSOのRMSE(青ソリッドライン)より低く、CIM L0正則化ベースCSの1次位相転移ポイントは、LASSOの1次位相転移ポイントより高かった。一方、η=0.1および0.05であるとき、
【数50】
を用いたCIM L0正則化ベースCSのRMSE(図2aの赤ソリッドラインおよびエラーバーを有する円)は、LASSOのRMSE(青ソリッドライン)より低かったが、η=0.01であるとき、CIM L0正則化ベースCSのRMSEはLASSOのRMSEより高かった。
【0040】
β=0であるときの、CIM L0正則化ベースCSおよびLASSOの位相ダイヤグラム
【0041】
閾値ηの種々の値についてのCIM L0正則化ベースCSの位相ダイヤグラムは、観測雑音が存在しなかった(すなわち、β=0)ときに準備された。図3aは、半ガウシアン(+)の場合およびガウシアン(±)の場合のほぼゼロRMSE状態からの1次位相転移ライン(赤ライン)を示す。図3aの位相転移ラインは、極限
【数51】
の場合のものである。
【0042】
図3aで立証されたように、極限
【数52】
において、CIM L0正則化ベースCSのほぼゼロRMSE状態からの位相転移ラインは、ηが減少するにつれて、黒ソリッドラインa=αに漸近し、一方、CIM L0正則化ベースCSのほぼゼロRMSE状態のRMSEはゼロまで減少する(図2bの赤ライン)。図3aの黒ソリッドラインa=αは、非負の場合と符号付きの場合の両方について誤差なしで、L0最小化ベースCSがソース信号を完全に再構成できるか否かの境界を示す臨界ラインである。そのため、CIM L0正則化ベースCSのほぼゼロRMSE解は、ηが減少するにつれて、L0最小化ベースCSの完全再構成解に漸近する。
【0043】
CIM L0正則化ベースCSの特性をLASSOの特性と比較するために、図3bは、LASSOの位相ダイヤグラムを示す:青ラインは、種々のηについてのほぼゼロRMSE状態からの1次位相転移ラインである。ηが減少するにつれて、半ガウシアン(+)およびガウシアン(±)についてのLASSOにおけるほぼゼロRMSE状態からの位相転移ラインは、2つの黒ドットラインに漸近し、一方、LASSOのほぼゼロRMSE状態のRMSEは、ゼロまで減少する(図2の青ライン)。図3の黒ドットラインは、それぞれ、非負の場合と符号付きの場合について誤差なしで、L1最小化ベースCSがソース信号を完全に再構成できるか否かの境界を示す臨界ラインである。そのため、LASSOのほぼゼロRMSE解は、ηが減少するにつれて、L1最小化ベースCSの完全再構成解に漸近する。
【0044】
CIM L0正則化ベースCSおよびLASSOは、ガンマ(+)および両側性ガンマ(±)からのソース信号の場合でも、これらの漸近特性を有する。CIM L0正則化ベースCSのこの漸近特性が、極限η→+0において、巨視的方程式(13)に摂動展開を適用することによって、ソース信号の確率分布の差に対して不変であることが理論的に証明されたことに留意されたい。そのため、この理論的結果が数値で確認された。
【0045】
一方、
【数53】
であるとき、CIM L0正則化ベースCSの1次位相転移ラインは、黒ソリッドラインa=αに漸近しない。η=0.1の周りで、位相転移ラインはa=αに最も近い。
【0046】
図3aの黒ドットダッシュラインは、極限
【数54】
におけるCIM L0正則化ベースCSの1次位相転移ラインの下限を示す。下限ラインは、圧縮率αが低いとき、L1最小化ベースCSの臨界ライン(黒ドットライン)より上にある。図3aの下限特性は、ガンマ(+)および両側性ガンマ(±)からのソース信号の場合でも、満たされる。一方、
【数55】
であるとき、そのような下限は存在しない。
【0047】
β=0であるときの引力圏
【0048】
CIM L0正則化ベースCSの実用性をチェックするために、アルゴリズム1の引力圏が検証され得る。引力圏を幅広化するために、方法は、線形閾値減衰を発見的に導入することができ、最小化プロセスが交互に行われたときに、閾値がηinitからηendまで線形に下がった(図9A~10のアルゴリズム1参照)。最初に、数値実験が、観測雑音がない(すなわち、β=0)場合に、固定されたηend=0.01について初期閾値ηinitの種々の値についての引力圏のサイズを検証するために実施された。図4aに示すように、引力圏は、ηendより高い初期閾値ηinitを選択することによって、幅広化される傾向があった。圧縮率αが減少するにつれて、この傾向は、特にガウシアン(±)の場合に、より顕著になった。
【0049】
次に、種々のηinitについて初期状態r=0から開始すると、巨視的方程式(13)によって与えられるほぼゼロRMSE状態にアルゴリズム1がどれほどうまく収束したかが確認された(図4b)。図4bで立証されたように、スパースネスaが、1次位相転移ポイントの下限(図3aの黒ドットダッシュライン)より低かったとき、ηinit=0.6を有するアルゴリズム1は、巨視的方程式(13)の解(赤ライン)に収束し、一方、アルゴリズム1は、ηinitの他の値について解に収束することができなかった。図4bのLASSOのRMSEプロファイルと比較すると、アルゴリズム1は、LASSOが小さい誤差を有する条件のほぼ全ての下でLASSOの推定精度を超えた。
【0050】
図4に示す特性は、ソース信号がガンマ(+)および両側性ガンマ(±)からのものであるときでも満たされる。
【0051】
【数56】
であるときのCIM L0正則化ベースCSおよびLASSOの性能
【0052】
さらに、CIM L0正則化ベースCSの実用性をチェックするために、CIM L0正則化ベースCSの精度および収束が、観測雑音の存在下(すなわち、
【数57】
)で検証された。CIM L0正則化ベースCSの最小RMSEおよびLASSOの最小RMSE(図5aおよび6a)を与えることになる最適閾値は、β=0.01、0.05、および0.1であるときに各方法についての最適閾値下でそれらの最小RMSE(図5bおよび6b)の間の差を計算するために見出された。最小RMSEは、各ポイント(a、α)において範囲0.002≦η≦0.5内で巨視的方程式(13)および(37)に対する解のセットに関するグリッドサーチ(grid search)を行うことによって得られた。これらの図は、半ガウシアン(+)およびガウシアン(±)ソース信号の場合を示す。図5aおよび6aに示すように、βが減少するにつれて、最適閾値下のCIM L0正則化ベースCSにおけるほぼゼロRMSE状態からの位相転移ラインは、L0最小化ベースCSの臨界ライン(黒ソリッドライン)に近づき、最適閾値下のCIM L0正則化ベースCSのRMSEは減少する。図5bおよび6bに示すように、LASSOのRMSEは、LASSOが0.2より小さい誤差を有する条件のほぼ全ての下でCIM L0正則化ベースCSのRMSEより高く、したがって、CIM L0正則化ベースCSは、各方法について最適閾値下でLASSOの推定精度を超える。
【0053】
次に、観測雑音の場合について、アルゴリズム1の出力は、初期状態r=0およびηinit=0.6から開始するときの巨視的方程式(13)に対する解に収束した
【数58】
を用いて決定された。図5cおよび6cに示すように、位相転移ポイントの近くでまたは位相転移ポイントで、アルゴリズム1は、巨視的方程式(13)の解に収束した。
【0054】
図5および6に示す特性は、ガンマ(+)および両側性ガンマ(±)からのソース信号について同様であった。
【0055】
現実的なデータに関するCIM L0正則化ベースCSの性能
【0056】
CIM L0正則化ベースCSおよび他の方法の性能が現実的なデータに関して評価された。評価のために、高速MRIセータセットから得られた磁気共鳴画像(MRI:magnetic resonance imaging)データが使用された。ハールウェーブレット変換(HWT:Haar-wavelet transform)が、データに適用され、HWT係数の79%が、0.21のスパースネスを有するハール基底関数(Haar basis function)によってスパンされる信号を生成するためにゼロに設定された(図7aの左パネル)。図7aの中央パネルに示すk空間データは、図7aの左パネルの信号から離散的フーリエ変換(DFT:discrete Fourier transform)を計算することによって得られ、k空間データの40%が、0.4の圧縮率を有する観測信号を生成するために、図7aの中央パネル内のランダム赤ポイントにおいてアンダーサンプリングされた。図7aの右パネルは、ランダムにアンダーサンプリングされたk空間データからのゼロフィリングフーリエ再構成によって得られたインコヒーレントアーチファクトを有する画像を示す。
【0057】
アンダーサンプリングされた信号からより高い再構成精度を達成するために、CIMに関する実行可能な最適化問題が、L0およびL2ノルムを用いて定式化された:
【数59】
(14)
ここで、xはソース信号であり、yはk空間アンダーサンプリング信号であり、FはDFT行列であり、Sはアンダーサンプリング行列であり、ΨはHWT行列であり、Δは2次導関数行列であり、γおよびλは正則化パラメータである。変数変換r=Ψxの下で、CIM L0正則化ベースCSについてのローカルフィールドベクトルおよび相互作用行列は、
h=-Jr°H(X)+SFΨTy,
J=ΨFTTSFΨT+γΨΔTΔΨT
として設定され得る。さらに、
【数60】
を最小化するLASSOの性能および
【数61】
を最小化するL1最小化ベースCSの性能が評価された。
【0058】
図7bは、CIM L0正則化ベースCS(図7bの左パネル)、LASSO(図7bの中央パネル)、およびCVXにおいて実行されたL1最小化ベースCS(図7bの右パネル)から再構成された画像(およびRMSE)を示す。これらのパネルにおいて赤丸で囲まれる画像内に示すように、CIM L0正則化ベースCSは、最も正確な再構成を与えた。
【0059】
閾値ηの関数としての3つの方法のRMSEが評価された。図7cに示すように、エラーバーを有する青ラインは、10回のトライアルから得られたCIM L0正則化ベースCSのRMSEであり、赤ラインは、LASSOのRMSEであり、円は、L1最小化ベースCSのRMSEであり、L1最小化ベースCSのRMSEは、図3cにおいて立証したように、極限η→0においてLASSOと同一である。小さい非ゼロ要素を検出することと、閾値処理によってインコヒーレントアーチファクトを排除することとの間のトレードオフのせいで、CIM L0正則化ベースCSとLASSOの両方のRMSEを最小化するための最適値が存在する。CIM L0正則化ベースCSのRMSEは、ηの広い範囲内で他の方法のRMSEより低かった。
【0060】
図9A~9Bおよび10は、L0正則化ベース圧縮検知のための方法900のフローチャートおよびより詳細な擬似コードである。一実施形態において、図1Bに示すCIMおよびCDPは、方法を実施するために使用され得るが、他の装置が使用され得る。さらに、図10の擬似コードは、実施される正確なプロセスに関してより詳細であり、方法の好ましい実行形態を示すが、方法は、図10の擬似コードから変動し、本開示の範囲内にある可能性がある。一実施形態において、方法900は、コンピュータシステムであって、プロセッサおよびメモリ、ならびに、方法900を実施するために、メモリに記憶されコンピュータシステムのプロセッサによって実行されるコンピュータコード/命令の複数のラインを有する、コンピュータシステムによって実施され得、コンピュータシステムは、図1BにおけるシステムのCIMおよびCDPに連結される。代替的に、図1BのFPGAおよび/またはCDPは、方法900を実行するために、FPGAまたはCDPに記憶されFPGAまたはCDPによって実行されるコンピュータコード/命令の複数のラインを有することができる。
【0061】
図9Aに示すように、方法900は、M×N観測行列A、M次元信号y、N次元サポートベクトルσ、およびN次元信号ベクトルrを使用することができる。方法は、変数を初期化する(902)ことができる。図10に示す一実施形態において、変数はrおよび閾値η=ηinitとすることができる。擬似コードにおいてまた後でフローチャートにおいて示すように、方法は、閾値ηを減少させるためのループを実施することができ、ループの各ループは、2つの最小化および閾値ηの減少を実施する。
【0062】
図9Aに示すループ中に、方法は、サポートベクトルに関してコスト関数(好ましい実施形態において擬似コードに示すH)を最小化する(904)ことができる。方法は、この最小化を実施するためにCIM102を使用することができる。擬似コードに示すように、好ましい実施形態において、このプロセス904は、
【数62】
であるとき光子寿命の5倍の間、または、
【数63】
であるとき光子寿命の200倍の間、正規化ポンプレートを0~1.5まで増加させながら、σ=CIMsupport_estimation(r,η)に設定し、c振幅をc=0として初期化し、W-SDEを数値的に積分することができる。
【0063】
図9Aに示すループ中に、方法は、信号ソースの実数値(r)に関してコスト関数(好ましい実施形態において擬似コードに示すH)を最小化する(906)ことができる。方法は、この最小化を実施するためにCDP104を使用することができる。擬似コードに示すように、好ましい実施形態において、このプロセス906は、S=diag(σ)およびr=(diag[ATA]+SATAS-diag[SATAS])-1SATyに設定することができる。
【0064】
図9Bに示すように、方法は、閾値(好ましい実施形態においてη)を減分する(908)ことができる。擬似コードに示すように、好ましい実施形態において、このプロセス909は、ηを減分することができる:
【数64】
方法は、その後、反復の全てが終了したか否かを判定する(910)ことができる。一実施形態において、ループ(および2つの最小化)の反復の回数は、図10に示すように50とすることができる。より多くの反復が存在する場合、方法は、最小化の次のセットを実施するために、プロセス904にループバックする。プロセスが終了する(そして、反復の全てが実施される)場合、方法は、rおよびσとすることができる2つの結果を返す(912)。
【0065】
サポート推定におけるCIMの有効性
図9A、9B、および10に示すアルゴリズム1において、c振幅は、rが真の信号値、すなわち、x°ξに初期化されるときでも、サポート推定の初期段階においてc=0として常に初期化される。この状況において、アルゴリズム1の解は、図2および補足的図1Bで立証したように、巨視的方程式のほぼゼロRMSE状態に非常にうまく整合し、したがって、シミュレートされたCIMは、サポートベクトルを理論的限界まで再構成することができる。極限
【数65】
における巨視的方程式(方程式(13))が、ゼロ温度を有するイジングスピンシステムから得られる巨視的方程式と同等であることに留意されたい。したがって、シミュレートされたCIMは、rが固定されるときにσに関してHを最小化するために基底状態(ground state)に達することができる。
【0066】
仮定の正しさ
【0067】
巨視的方程式(12)を導出するために、量子雑音のパワーの2次係数内の状態変数を、状態変数の平均値で置換することによって、各OPOパルスの〈H(ci)〉についての近似値が導出された(方程式(19)参照)。図2b、5c、および6cに示すように、この近似下で導出された巨視的方程式は、CIMの実際の機器で使用される
【数66】
の値において良好な精度を有する。しかしながら、図2aに示すように、巨視的方程式の一部の解は、
【数67】
のより小さい値についてアルゴリズム1の数値解に整合しなかった。そのため、この近似は、c振幅が成長した定常状態において、相互注入フィールドが雑音よりずっと大きい場合に可能である。
【0068】
引力圏および閾値に対するその依存性
【0069】
アルゴリズム1の引力圏を幅広化するために、交互最小化が進むにつれて閾値が線形に減少する線形閾値減衰が発見的に導入された。より高い初期閾値ηinitからより低い終端閾値ηendまで下がる結果として引力圏が幅広になることが確認された(図4参照)。
【0070】
方程式(5)における各OPOパルスについての注入フィールドの規定に従って、閾値ηは、OPOパルスが下向き状態をとるために負バイアスを与える外部フィールドとして働く。大きい負の外部フィールドを最初に与えることによって、OPOパルスのほぼ全てが、π位相状態をとり、したがって、{H(Xj)}j=1、...、Nのほぼ全てが、交互最小化プロセスの初期段階においてゼロをとる。初期段階において、システムは、強い負バイアス下で基底状態に容易に達することができる。なぜなら、少数の上向き状態OPOパルスからなる位相空間が単純であるからである。その後、交互最小化プロセスを通して、システムは、負の外部フィールドを徐々にはき出すことによって、上向き状態OPOパルスの数の増分的増加による基底状態の徐々の変化を追跡する。最後に、システムは、終端閾値ηendにおいて基底状態を達成する。これは、閾値を線形に下げることによって、アルゴリズム1の引力圏を幅広化するメカニズムの定性的解釈である。
【0071】
しかしながら、図4bで立証したように、観測雑音が存在しないとき、システムは、1次位相転移ポイントの下限ラインを超えてほぼゼロRMSE解に収束することができなかった。スピングラス位相の場合と同様に、下限ラインを超える条件において多くの擬似定常状態が存在する場合があり、したがって、システムは、擬似定常状態の1つに捕捉される場合がある。
【0072】
一方、観測雑音が存在する場合、図5cおよび6cで立証したように、システムは、実際の初期条件r=0から開始すると、位相転移ラインの近くでさえもほぼゼロRMSE解に収束した。システムの対称性が擬似定常状態の生成を可能にすることが示唆された。観測雑音は、擬似定常状態についての対称性を破る可能性がある。
【0073】
結論
【0074】
上記説明は、説明のために、特定の実施形態を参照した。しかしながら、上記例証的な議論は、網羅的であること、または、開示される正確な形式に本開示を限定することを意図されない。多くの修正および変形が、上記教示を考慮して可能である。実施形態は、本開示の原理およびその実用的なアプリケーションを最もよく説明するために選択され説明され、それにより、当業者が、本開示および種々の修正を有する種々の実施形態を、企図される特定の使用に適するように最もよく利用することを可能にした。
【0075】
本明細書で開示されるシステムおよび方法は、1つまたは複数のコンポーネント、システム、サーバ、アプリケーション、他のサブコンポーネントによって実行され得る、または、そのような要素間で分配され得る。システムとして実行されると、そのようなシステムは、とりわけ、汎用コンピュータに見出される、ソフトウェアモジュール、汎用CPU、RAM等のようなコンポーネントを含むおよび/または必要とすることができる。革新がサーバ上に存在する実行形態において、そのようなサーバは、汎用コンピュータに見出されるような、CPU、RAM等のようなコンポーネントを含むおよび/または必要とすることができる。
【0076】
さらに、本明細書のシステムおよび方法は、上記で述べたものを超える、異種のまたは完全に異なるソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェアコンポーネントを用いた実行形態によって達成され得る。例えば、本発明に関連するか本発明を具現化する、そのような他のコンポーネント(例えば、ソフトウェア、処理コンポーネント等)および/またはコンピュータ可読媒体に関して、本明細書の革新の態様は、多数の汎用または専用コンピューティングシステムまたは構成に矛盾せず実行され得る。本明細書の革新と共に使用するのに適するとすることができる種々の例示的なコンピューティングシステム、環境、および/または構成は、ルーティング/コネクティビティコンポーネント、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、セットトップボックス、消費者電子デバイス、ネットワークPC、他の既存のコンピュータプラットフォーム、上記システムまたはデバイスの1つまたは複数を含む分散コンピューティング環境等の、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはサーバコンピューティングデバイス内のまたはその上で具現化されるソフトウェアまたは他のコンポーネントを含むことができるが、それに限定されない。
【0077】
幾つかの事例において、システムおよび方法の態様は、例えば、そのようなコンポーネントまたは回路部に関連して実行されるプログラムモジュールを含むロジックおよび/またはロジック命令によって達成または実施され得る。一般に、プログラムモジュールは、本明細書で特定のタスクを実施するかまたは特定の命令を実行する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造を含むことができる。本発明は、回路部が、通信バス、回路部、またはリンクによって接続される、分散型ソフトウェア、コンピュータ、または回路設定の状況で同様に実施され得る。分散型設定において、コントロール/命令は、メモリ記憶媒体を含むローカルとリモートの両方のコンピュータ記憶媒体から生じることができる。
【0078】
本明細書のソフトウェア、回路部、およびコンポーネントは、1つまたは複数のタイプのコンピュータ可読媒体を含むおよび/または利用することもできる。コンピュータ可読媒体は、そのような回路および/またはコンピューティングコンポーネント上に存在する、それに関連する、またはそれによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体とすることができる。制限としてではなく例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を備えることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報の記憶のための任意の方法または技術で実行される、揮発性および不揮発性媒体、取り外し可能および取り外し不能媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、または他の光ストレージ、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気記憶デバイス、あるいは、任意の他の媒体であって、所望の情報を記憶するために使用され得、コンピューティングコンポーネントによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を含むが、それに限定されない。通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および/または他のコンポーネントを含むことができる。さらに、通信媒体は、有線ネットワークまたは有線直結接続(direct-wired connection)等の有線媒体を含むことができる、しかしながら、本明細書の任意のそのようなタイプのいずれの媒体も、一時的媒体を含まない。上記の内の任意のものの組み合わせは、コンピュータ可読媒体の範囲内に同様に含まれる。
【0079】
本説明において、用語、コンポーネント、モジュール、デバイス等は、種々の方法で実行され得る、任意のタイプの論理(logical)または機能ソフトウェア要素、回路、ブロック、および/またはプロセスを指すことができる。例えば、種々の回路および/またはブロックの機能は、任意の他の数のモジュールになるように互いに組み合わされ得る。各モジュールは、本明細書の革新の機能を実行するために、中央処理ユニットによって読み取られる有形メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、CD-ROMメモリ、ハードディスクドライブ等)上に記憶されたソフトウェアプログラムとしてさらに実行され得る。または、モジュールは、通信搬送波によって汎用コンピュータにまたは処理/グラフィクスハードウェアに送信されるプログラミング命令を含むことができる。同様に、モジュールは、本明細書の革新によって包含される機能を実行するハードウェアロジック回路部として実行され得る。最後に、モジュールは、専用命令(SIMD命令)、フィールドプログラマブルロジックアレイ、または、所望のレベルの性能およびコストを提供するその任意の混合物を使用して実行され得る。
【0080】
本明細書で論じるように、本開示に矛盾しない特徴は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアによって実行され得る。例えば、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、例えば、データベース、デジタル電子回路部、ファームウェア、ソフトウェアを同様に含むコンピュータ等のデータプロセッサを含む種々の形式でまたはそれらの組み合わせで具現化され得る。さらに、開示される実行形態の一部は、特定のハードウェアコンポーネントを説明するが、本明細書の革新に矛盾しないシステムおよび方法は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組み合わせを用いて実行され得る。さらに、上記で述べた特徴ならびに本明細書の革新の他の態様および原理は、種々の環境で実行され得る。そのような環境および関連するアプリケーションは、本発明に従って種々のルーチン、プロセス、および/または操作を実施するために特に構築され得、または、必要な機能を提供するコードによって選択的に作動または再構成された汎用コンピュータまたはコンピューティングプラットフォームを含むことができる。本明細書で開示されるプロセスは、任意の特定のコンピュータ、ネットワーク、アーキテクチャ、環境、または他の装置に本質的に関連せず、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの適切な組み合わせによって実行され得る。例えば、種々の汎用マシンは、本発明の教示に従って書かれたプログラムと共に使用され得る、または、必要とされる方法および技法を実施するために専用装置またはシステムを構築することがより好都合である場合がある。
【0081】
ロジック等の本明細書で説明する方法およびシステムの態様は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイス(PLD:programmable logic device)、プログラマブルアレイロジック(PAL:programmable array logic)デバイス、電子的にプログラム可能なロジックおよびメモリデバイス、および標準的なセルベースデバイス、ならびに、特定用途向け集積回路を含む種々の回路部のうちの任意の回路部内にプログラムされる機能として、同様に実行され得る。態様を実行するための幾つかの他の可能性は、メモリデバイス、メモリ(EEPROM等)を有するマイクロコントローラ、埋め込み型マイクロプロセッサ、ファームウェア、ソフトウェア等を含む。さらに、態様は、ソフトウェアベース回路エミュレーション、ディスクリートロジック(シーケンシャルのおよび組み合わせの)、カスタムデバイス、ファジー(ニューラル)ロジック、量子デバイス、および上記デバイスタイプの任意のデバイスタイプのハイブリッドを有するマイクロプロセッサで具現化され得る。基礎のデバイス技術は、種々のコンポーネントタイプ、例えば、相補的金属酸化物半導体(CMOS:complementary metal-oxide semiconductor)のような金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide semiconductor field-effect transistor)技術、エミッタ結合ロジック(ECL:emitter-coupled logic)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造)、アナログデジタル混合等で提供され得る。
【0082】
本明細書で開示される種々のロジックおよび/または機能が、それらの挙動、レジスタ転送、ロジックコンポーネント、および/または他の特性に関して、ハードウェア、ファームウェアの任意の数の組み合わせを使用して、および/または、種々のマシン可読またはコンピュータ可読媒体で具現化されるデータおよび/または命令として、可能にされ得ることも留意されるべきである。フォーマットされたそのようなデータおよび/または命令がそこで具現化され得るコンピュータ可読媒体は、限定はしないが、種々の形式の不揮発性記憶媒体(例えば、光、磁気、または半導体記憶媒体)を含むが、やはり、一時的媒体を含まない。別段に文脈が明確に要求しない限り、説明全体を通して、語「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、および同様なものは、排他的または網羅的意味と対照的に包含的意味で;すなわち、「を含むが、それに限定されない(including, but not limited to)」という意味で解釈される。単数または複数を使用する語も、それぞれ複数または単数を含む。さらに、語「本明細書において(herein)」、「本明細書に基づき(hereunder)」、「上(above)」、「下(below)」および類似の意味の語は、本出願を全体として参照し、本出願の任意の特定の部分を参照しない。語「または(or)」が2つ以上の物品のリストを参照して使用されるとき、その語は、語の以下の解釈の全て:リスト内の物品の任意の物品、リスト内の物品の全ての物品、およびリスト内の物品の任意の組み合わせをカバーする。
【0083】
本発明の現在のところ好ましい特定の実行形態が本明細書で特に説明されたが、本明細書で示され説明される種々の実行形態の変形および修正が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得ることが、本発明が関係する当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明が、適用可能な法規範によって要求される範囲にのみ限定されることが意図される。
【0084】
上記は、本開示の特定の実施形態に関してのものであったが、この実施形態の変更が、本開示の原理および趣旨から逸脱することなく行われ得、本開示の範囲が添付クレームによって規定されることが当業者によって認識されるであろう。
図1A
図1B
図2
図2-1】
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース信号のL0正則化ベース圧縮検知のためのハイブリッドシステムであって、
コスト関数を最小化するために、前記ソース信号中の非ゼロ要素の場所を示すサポートベクトルを含む、ソース信号の第1のパラメータを最適化するように構成された量子マシンと、
前記コスト関数を最小化するために、前記ソース信号中の実数値を含む、ソース信号の第2のパラメータを最適化するように構成された古典的マシンと
を備える、ハイブリッドシステム。
【請求項2】
前記ソース信号はN次元ソース信号を含む、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項3】
前記量子マシンおよび前記古典的マシンは、前記量子マシンおよび前記古典的マシンの対応する最適化を2者択一的に実施するように構成され、
前記量子マシンが前記第1のパラメータを最適化するとき、前記古典的マシンは、前記第2のパラメータを一定に維持するように構成され、
前記古典的マシンが前記第2のパラメータを最適化するとき、前記量子マシンは、前記第1のパラメータを一定に維持するように構成される、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項4】
前記コスト関数はハミルトニアンコスト関数を含む、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項5】
前記量子マシンは、コヒーレントイジングマシンである、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項6】
前記古典的マシンは、デジタルプロセッサまたはフィールドプログラマブルゲートアレイを備える、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項7】
前記ソース信号は磁気共鳴画像信号である、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項8】
ソース信号のL0正則化ベース圧縮検知の方法であって、
コスト関数を最小化するために、前記ソース信号中の非ゼロ要素の場所を示すサポートベクトルを含む、ソース信号の第1のパラメータを量子マシンによって最適化することと、
前記コスト関数を最小化するために、前記ソース信号中の実数値を含む、ソース信号の第2のパラメータを古典的マシンによって最適化することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記ソース信号はN次元ソース信号を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記量子マシンおよび前記古典的マシンは、前記量子マシンおよび前記古典的マシンの対応する最適化を2者択一的に実施し、
前記量子マシンが前記第1のパラメータを最適化するとき、前記古典的マシンは、前記第2のパラメータを一定に維持し、
前記古典的マシンが前記第2のパラメータを最適化するとき、前記量子マシンは、前記第1のパラメータを一定に維持する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記コスト関数はハミルトニアンコスト関数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記量子マシンは、コヒーレントイジングマシンである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記古典的マシンは、デジタルプロセッサまたはフィールドプログラマブルゲートアレイを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ソース信号は磁気共鳴画像信号である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
L0正則化ベース圧縮検知を実施する方法であって、
出力カプラーおよび入力カプラーを有するファイバーリングキャビティ内に形成された光パラメトリック発振器を有するコヒーレントイジングマシン光パラメトリック発振器内に複数のポンプパルスを注入することであって、前記出力カプラーは、ホモダイン検出出力および第2高調波発生(SHG)結晶と通信する、注入することと、
前記複数のポンプパルスを増幅し、前記複数のポンプパルスのそれぞれが0位相状態またはπ位相状態をとり、ソース信号中の非ゼロ要素の場所を示すサポートベクトルをモデル化するようにすることと、
コスト関数を最小化するように前記サポートベクトルを最適化することと、を含む方法。
【請求項16】
前記ファイバーリングキャビティ上の前記出力カプラーによって、前記ファイバーリングキャビティから前記複数のポンプパルスの各ポンプパルスの一部を引き出すことと、
光ホモダイン検出器を使用して前記引き出されたパルスを測定することと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フィードバック信号を古典的デジタルプロセッサまたは光ディレイラインシステムによって計算し、前記計算結果を強度変調器(IM)および位相変調器(PM)に提供し、それにより、前記ファイバーリングキャビティ上の前記入力カプラーを通して複数の光パラメトリック発振器(OPO)パルスのそれぞれに対する注入フィールドを生成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
線形同時方程式の解を古典的マシンによって生成し、前記解をバッファによって前記コヒーレントイジングマシンに転送することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記古典的デジタルプロセッサからの前記解を使用して、フィードバックパルスを前記ファイバーリングキャビティの前記入力カプラーに提供することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【国際調査報告】