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特表2024-507838機械的性能が高められた細いピペット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】機械的性能が高められた細いピペット
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/02 20060101AFI20240214BHJP
   B29C 49/12 20060101ALI20240214BHJP
   B01L 3/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B29C49/02
B29C49/12
B01L3/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550066
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016909
(87)【国際公開番号】W WO2022182583
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/154,291
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】バビー,シン
(72)【発明者】
【氏名】ホートフ,ダニエル ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,マイケル カート
(72)【発明者】
【氏名】セイベル,マーク ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】セイモア,ジェイムズ マーク
【テーマコード(参考)】
4F208
4G057
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AG21
4F208AH63
4F208AR12
4F208LA02
4F208LA08
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG13
4F208LG33
4F208LG38
4F208LH06
4F208LH18
4F208LN23
4G057AB11
(57)【要約】
先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を含む延伸ブロー成形したピペットを提供する。先端領域は、管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有し、本体領域は、0.032インチ(in)(約0.081cm)未満の平均側面厚さ、および、少なくとも15ポンドフィート(lbf)(約67N)のフープ強度を有するものであるピペット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸ブロー成形したピペットにおいて、
先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を
含み、
前記先端領域は、前記管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有し、
前記本体領域は、0.032インチ(in)(約0.081cm)未満の平均側面厚さ、および、少なくとも15ポンドフィート(lbf)(約67N)のフープ強度を有するものであるピペット。
【請求項2】
前記本体領域の前記平均側面厚さは、少なくとも約0.0098in(約0.0249cm)である、請求項1に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項3】
前記本体領域の前記平均側面厚さは、約0.010in(約0.025cm)から約0.030in(約0.076cm)、約0.010in(約0.025cm)から約0.025in(約0.064cm)、または、約0.015in(約0.038cm)から約0.020in(約0.051cm)の範囲である、請求項1または2に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項4】
前記本体領域の平均外径は、約0.300in(約0.762cm)から約0.400in(約1.016cm)、約0.340in(約0.864cm)から約0.360in(約0.914cm)、または、約0.340in(約0.864cm)から約0.350in(約0.889cm)の範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項5】
前記本体領域の平均内径は、約0.310in(約0.787cm)から約0.320in(約0.813cm)、または、約0.310in(約0.787cm)から約0.315in(約0.800cm)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項6】
前記本体領域の平均断面積は、約0.010in(約0.065cm)から約0.025in(約0.161cm)、約0.012in(約0.077cm)から約0.018in(約0.116cm)、または、約0.016in(約0.103cm)から約0.018in(約0.116cm)である、請求項1から5のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項7】
前記本体領域におけるフープ強度の側面厚さに対する比は、約1300lbf/in(約147N・m)から約1800lbf/in(約203N・m)である、請求項1から6のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項8】
前記本体領域におけるフープ強度の外径に対する比は、約60lbf/in(約7N・m)から約90lbf/in(約10N・m)である、請求項1から7のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項9】
前記本体領域におけるフープ強度の断面積に対する比は、約1300lbf/in(約9.0MPa)から約1700lbf/in(約11.7MPa)である、請求項1から8のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項10】
(i)前記管状本体と前記先端領域の間、および、(ii)該管状本体と前記マウスピース領域の間に接合部を有さない、請求項1から9のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項11】
前記マウスピース領域は、前記管状本体の前記側面厚さより厚い平均側面厚さを有するものである、請求項1から10のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項12】
(i)前記マウスピース領域は、前記管状本体の内径より小さい内径を有するものであるか、
(ii)前記マウスピース領域は、前記管状本体の外径より小さい外径を有するものであるか
の少なくとも一方の特徴を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項13】
前記管状本体、前記先端領域、および、前記マウスピース領域は、熱可塑性材料を含むものである、請求項1から12のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項14】
前記管状本体は、二軸配向の熱可塑性材料を含むものである、請求項1から13のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【請求項15】
前記管状本体は、0.25mmから0.6mmの範囲の側面厚さを有するものである、請求項1から14のいずれか1項に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2021年2月26日出願の米国仮特許出願第63/154,291号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、一体型測定ピペット、並びに、例えば、延伸ブロー成形による形成システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ピペットは、良く知られた管状装置であり、通常、両端に開口部を有して、測定した量の液体を分注するように設計される。ピペットは、流体を正確に測定して送出する必要がある多くの産業、特に、医療、実験室での検査分析分野で広範囲に使用されてきた。測定ピペットは、典型的には、ガラスまたはプラスチックの直管で、一方に先細の端部を有して具現化されて、様々な量の液体を同じピペットを用いて測定しうるように、小さく分割した目盛りが付与されている。測定ピペットは、(目盛りが、先端近くで先細になり始める前に終わる)モールピペット、および、(目盛りが、先端近くの先細の領域まで続く)血清用ピペットを含み、どちらも、開口した先端部および開口したマウスピース部を含む。
【0004】
ピペットを製作するための多数の異なる方法があり、(i)予め製作されたマウスピース部と先端部を、中空管に溶着する方法と、(ii)厚い管を再加熱し、次に、管を外気中で下方に向かって引き出してから、ピペットを一方または両方の端部で切り整えて、先端部およびマウスピース部を形成する方法と、(iii)圧力差を与えた成形方法であって、真空形成およびブロー成形を含む方法とを含む。次に詳述するように、これらの各方法は、コスト、品質、性能、および/または、処理工程について、トレードオフを伴う。
【0005】
上記方法(i)により、予め製作されたマウスピース部と先端部を中空管に溶着する方法は、溶着継ぎ目を形成して、結果的に得られたピペットで、望ましくない残留物または微粒子を生じ、更に、隆起部または隆起線も生成して、流体および汚染物質がピペットの中に蓄積したり、ピペットの中の液体の測定正確さに影響を与えたりしうる。図1Aは、溶着されたピペット10の側断面を示す概略図であり、マウスピース領域12と先端領域16の間に配列された管状本体領域14を含み、空洞である内部18を有する。溶着接合部13、15は、各々、マウスピース領域12と管状本体領域14の間、および、管状本体領域14と先端領域16の間に備えられて、超音波溶着によって製作されうる。先端領域16は、隣接した溶着接合部15と先端開口部17の間で、幅が先細である。任意で、マウスピース領域12は、管状本体領域14の内径および外径寸法より小さい内径および外径寸法を有し、更に、マウスピース領域12は、隣接した溶着接合部13とマウスピース開口部11の間に配置されたフィルタ19を含む。図示したように、マウスピース領域12、管状本体領域14、先端領域16の側面厚さは略同じでありうる。マウスピース領域12、管状本体領域14、および、先端領域16の間に、溶着接合部13、15を製作可能にするには、溶着されたピペットの側面厚さの典型的な最小値は、約0.6mmである。
【0006】
図1Bは、図1Aの溶着されたピペットの製作方法20の工程の概略を示すフローチャートである。第1の工程21は、管状本体を形成するのに用いる管を押し出し、冷却し、切断する工程を含む。第2の工程22は、仕掛りワーク(「WIP」)管を処理する(例えば、移動および保管する)工程を含む。第3の工程23は、溶着処理の準備で、WIP管を向ける工程を含む。第4の工程24は、第1の工程21で製作した管と接続するのに適したピペットマウスピース部を成形する工程を含む。第5の工程25は、WIPピペットマウスピース部を扱う工程を含む。第6の工程26は、第1の工程21で製作した管と接続するのに適したピペット先端部を成形する工程を含む。第7の工程27は、WIPピペット先端部を扱う工程を含む。第8および第9の工程28、29は、各々、マウスピース部を対向する管の一方の端部に溶着する工程と、先端部を対向する管の他方の端部に溶着する工程とを含む。第10の工程30は、溶着されたピペットの外面に目盛りを印刷する工程を含み、第11の工程31は、ピペットのマウスピース部にフィルタを挿入する工程を含む。図1Bから分かるように、方法20は、多数の処理工程を含む。
【0007】
上記方法(ii)により、厚い管を再加熱し、次に、管を下に引き出してから、ピペットを一方または両方の端部で切り整えて、先端部およびマウスピース部を形成する方法は、先端開口部およびマウスピース開口部の大きな変動、先端領域、本体領域、および、マウスピース領域の間で形状が移行する際のばらつき、および、全体としての品質のばらつきを伴う。更に、先端領域およびマウスピース領域の側面厚さは、最初の管の厚さによって決定され、結果的に得られるピペット本体部分は、実質的に必要以上に厚くなり、その結果、材料コストが高くなりすぎる。図2Aは、引き出されたピペット40の側断面を示す概略図であり、マウスピース領域42と先端領域46の間に配列された管状本体領域44を含み、空洞である内部48を有する。移行領域43、45は、各々、マウスピース領域42と管状本体領域44の間、および、管状本体領域44と先端領域46の間に備えられる。管状本体領域44は、マウスピース領域42および先端領域46の側面厚さより厚い側面厚さを有する。各移行領域43、45は、変化する側面厚さを有して、管状本体領域44から離れるほど薄くなる。先端開口部47は、先端領域46の端部に備えられる。マウスピース領域42は、隣接した移行領域43とマウスピース開口部41の間に配置されたフィルタ49を含む。ドロー処理に特有の変動性により、先端領域46、マウスピース領域42、および、移行領域43、45の位置および寸法は、ピペット毎に異なりうる。
【0008】
図2Bは、図2Aの引き出されたピペットの製作方法50の工程の概略を示すフローチャートである。第1の工程51は、本体前駆体として用いられる厚い管を押し出し、冷却し、切断する工程を含む。第2の工程52は、WIP管を扱う(例えば、移動および保管する)工程を含む。第3の工程53は、加熱およびドロー工程の準備で、WIP管を向ける工程を含む。第4の工程54は、管を加熱して、先端領域を引き出す工程を含む。第5の工程55は、(第4の工程54から冷却されない場合に)管を加熱して、マウスピース領域を引き出して、引き出されたピペットを形成する工程を含む。第6の工程56は、引き出されたピペットの外面に目盛りを印刷する工程を含み、第7の工程57は、フィルタを、ピペットのマウスピース部に挿入する工程を含む。図2Bから分かるように、方法50は、多数の処理工程を含む。
【0009】
上記方法(iii)により圧力差を与えて成形する方法は、溶着継ぎ目のない高品質のピペットを製造可能であるが、そのような方法は、典型的には、縦方向に離間して隆起した円周方向の環形状またはリブ(つまり、軟化した材料が気体漏れ路に侵入して生じた証拠である特徴物)を、管状のピペット本体の外面に沿って形成し、そのような環状の証拠特徴物は、本体の外側に印刷された目盛り線を不明瞭にして、読みにくくする傾向がある。(上記方法(iii)により)圧力差を与えて成形することによって製造しうる例示的なピペット60を、図3に示し、その図は、Corning Incorporatedに譲渡された「Unitary Serological Pipette and Methods of Producing the Same」という名称の特許文献1の図1と実質的に同じである。マウス領域62、本体領域64、および、先端領域66は、空間を囲む湾曲した内面71を有し、各々、対応する直径(つまり、マウス直径72、本体直径74、および、先端直径76)を有する。ピペット60は、縦軸に沿って位置合わせされたマウス73および先端75を含み、マウス73に近接したフィルタ79を有する。任意で、ピペット60は、マウス領域62と本体領域64の間に、マウスから本体への移行領域63、および、本体領域64と先端領域66の間に、本体から先端への移行領域65を有しうる。ピペット60が、(例えば、先端領域66、本体領域64、および、マウスピース領域62の間の)溶着接合部を形成せずに、連続した材料から成形される場合には、実質的に平滑な内面69が移行領域63、65に備えられて、それにより、流体、および/または、微粒子材料が留まる可能性を削減しうる。ピペット60は、(少なくとも)本体領域64の外面68に沿って印刷された(または、刻印された)一連の目盛り体積マーク77も含み、ピペット60の中の空間78に収容された液体の体積を示すようにしうる。ピペット60は、(例えば、1mL、2mL、5mL、10mL、25mL、50mL、100mL、または、他の望ましい体積など)特定の体積の液体を保持する大きさでありうる。任意で、本体領域64の直径74は、マウス領域62の直径72、または、先端領域66の直径76のいずれかより大きいものでありうる。ピペット60を、ガラスまたはポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、または、ポリプロピレン)など、任意の適切な材料で製造しうる。
【0010】
圧力差を与えて成形することでピペット60を製作する方法は、加熱したパリソン(例えば、典型的には、均一な中空筒状である管またはプリフォーム)を金型の中に供給する工程と、パリソンの中と外の間で圧力差を生じさせて、パリソンを膨張させ、金型空洞部に合うようにする工程とを含みうる。この圧力差を、加圧気体(例えば、0.05から1.5MPaの圧縮空気)をパリソンの中に供給するか、大気圧より低い圧力条件(真空条件としても知られる、例えば、0.01から0.09MPaの圧力)を、金型空洞部を画定する面に沿って生成するかのいずれかによって生成しうる。どちらの場合も、パリソンの外側と空洞部の間で気体が漏れるのを可能にして、加熱されたパリソンを膨張可能にするために、金型の表面に通路を必要とする。典型的には、金型の湾曲した表面に(例えば、対応する金型の半分づつに)円周方向溝を形成して、成形動作中の気体漏れ路として機能させうる。湾曲した内面に沿って位置合わせされた横方向の窪んだ溝部分を画定する金型の両半分を用いてピペットを製造した後に、結果的に得られたピペットは、縦方向に離間して隆起した円周方向の環(つまり、円周方向の証拠特徴物)を、管状のピペット本体の外面に沿って示す。これらの円周方向の証拠特徴物は、望ましくないことに、目盛体積マークの印刷を妨げ、更に、ユーザが、目盛り体積マークを用いて、流体体積を速く正確に読むことも妨げうる。膨張した(ここでは、ピペットで具現化された)材料を十分に冷却した後に、金型を開いて、ピペットを排出し、金型は他の加熱したパリソンを受け付けて、処理を繰り返しうる。
【0011】
上記証拠特徴物に追加で、(加圧気体をパリソンの中に供給するか、大気圧より低い圧力条件を金型空洞部を画定する面に沿って生成するかのいずれであろうと)圧力差を与えることは、加熱したパリソンが膨張することで、更なる悪影響を有しうる。加熱したパリソンが膨張する時に、パリソンの材料が延伸するのと同時に、側面厚さが薄くなる。側面厚さが薄くなることは、所定のピペットサイズのために用いる原材料を削減しうる点で望ましいものでありうるが、側面厚さが薄くなることで、機械的強度を犠牲にする。薄く、機械的に弱くなったピペットは、移動または使用中に破損し易くなりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2017/091540号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、このような欠点のないピペットが必要であり、ピペットの製造システムおよび方法も改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において、延伸ブロー成形によって形成された一体型測定ピペット(例えば、血清学ピペット)、および、一体型測定ピペットを、延伸ブロー成形によって形成するシステムおよび方法を提供する。延伸ブロー成形は、予め製作されたプリフォームを延伸させる工程と、金型空洞部の中で、延伸したプリフォームにブロー処理を行う工程とを含む。プリフォームは、材料を望ましいに位置に分布させる輪郭を有し、その結果、ピペットが精密な本体厚さを有するようにしうる。延伸ブロー成形したピペットは、先端領域とマウスピース領域の間に管状本体を含む。先端領域は、管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有し、このピペットは、溶着されたピペットにおいて、管状本体と先端領域の間、および、管状本体とマウスピース領域の間に存在しうるような接合部(例えば、溶着接合部)を有さない。延伸ブロー成形したピペットは、二軸配向熱可塑性材料などの熱可塑性材料を含みうる。延伸ブロー成形方法は、プリフォームを(例えば、成形によって)製作する工程と、プリフォームを軟化点まで加熱する工程と、延伸させて、加熱されたプリフォームの少なくとも一部を細長くする工程と、金型空洞部の中で、細長いプリフォームに加圧流体(例えば、空気などの気体)を吹き込んで、加熱されたプリフォームを膨張させ成形面と接触させて、ピペット形状を示すようにする工程と、ブロー処理された細長いプリフォームを冷却する工程とを含む。ある実施形態において、延伸工程を、プリフォームが金型空洞部の外に位置する間に行い、その後に、(金型空洞部を画定する)金型の両半分を、延伸したプリフォームを囲んで閉じるようにしうる。ある実施形態において、コアピンがプリフォーム金型空洞部の中で回転してポリマー鎖を半径方向に向ける間に成形することによって、プリフォームを製作しうる。延伸ブロー成形したピペットを製作するシステムは、プリフォーム金型空洞部を画定する第1の金型と、中空プリフォームを成形する間に(プリフォーム金型空洞部の中に配置しうる)コアピンと第1の金型の間で相対的回転を実現するように構成された回転駆動部とを含む。システムは、更に、延伸ロッドをプリフォームの中で移動して、細長いプリフォームを形成するように構成された延伸ロッド駆動部と、成形面を画定する第2の金型と、加圧流体が細長いプリフォームの中に供給された時に、膨張した細長いプリフォームを収容するブロー成形空洞部とを含む。
【0015】
本開示のある態様によれば、先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を含む延伸ブロー成形したピペットを提供する。先端領域は、管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有し、延伸ブロー成形したピペットは、(i)管状本体と先端領域の間、および、(ii)管状本体とマウスピース領域の間の接合部がない。本体領域は、約0.020インチ(約0.051cm)以下の平均側面厚さを有し、フープ破壊荷重は、少なくとも約15lbf(約67N)である。いくつかの態様において、フープ破壊荷重は、少なくとも約20lbf(約89N)、少なくとも約25lbf(約111N)、少なくとも約30lbf(約133N)か、それ以上、または、約15lbf(約67N)から約35lbf(約156N)の範囲である。
【0016】
本開示の更なる態様によれば、先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を含むピペットの製作方法を提供する。方法は、中空の管状形状を含むプリフォームを製作する(成形する)工程を含む。方法は、更に、プリフォームを、プリフォーム材料の軟化点以内の温度まで加熱する工程を含む。方法は、更に、加熱されたプリフォームの少なくとも一部を延伸させて、細長いプリフォームを形成する工程を含む。方法は、更に、加圧流体を加熱されたプリフォームの中に加えることによって、金型空洞部の中で、細長いプリフォームの少なくとも一部にブロー処理を行って、加熱されたプリフォームを膨張させて成形面と接触させる工程を含む。更に、方法の工程は、ブロー処理された細長いプリフォームを冷却する工程を含む。
【0017】
本開示の更なる態様によれば、先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を含むピペットを、延伸ブロー成形処理によって製作するシステムを提供する。システムは、中空プリフォームをその中に成形可能に構成されたプリフォーム金型空洞部を画定する第1の金型を含む。システムは、更に、中空プリフォームの内部に配置可能な延伸ロッドであって、延伸ロッドを中空プリフォームの中で移動して、細長いプリフォームを形成するように構成された延伸ロッド駆動部と連結された延伸ロッドを含むプリフォーム延伸装置を含む。システムは、更に、加圧流体が細長いプリフォームの内部に供給されて、細長いプリフォームが半径方向に膨張して第2の金型の成形面と接触させる間に、細長いプリフォームの少なくとも一部を収容するように構成されたブロー成形空洞部を画定する第2の金型を含む。
【0018】
本開示の主題の更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から明らかであるか、または、次の詳細な記載、請求項、および、添付の図面を含む本明細書に記載の本開示の主題を実施することで分かるだろう。
【0019】
ここまでの概略的記載、および、次の詳細な記載の両方が、本開示の主題の実施形態を提供し、請求した本開示の主題の本質および特徴を理解するための概観および枠組みを提供することを意図すると理解すべきである。添付の図面は、本開示の主題の更なる理解のために含められ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、本開示の主題の様々な実施形態を示し、その記載と共に、本開示の主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【0020】
次に、添付の図面を説明する。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、明瞭で簡潔に示すために、ある特徴および図を、寸法を誇張して示したり、概略を示したりしている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】溶着されたピペットの側断面を示す概略図である。
図1B図1Aの溶着されたピペットの製作方法の工程を示すフローチャートである。
図2A】引き出されたピペットの側断面を示す概略図である。
図2B図2Aの引き出されたピペットの製作方法の工程を示すフローチャートである。
図3】圧力差を与えて成形すること(例えば、ブロー成形または真空形成)によって製作されたピペットを示す斜視図である。
図4A】本開示の一実施形態により延伸ブロー成形によって製作されたピペットを示す横からの立面図である。
図4B図4Aの少なくとも1つの延伸ブロー成形したピペットの製作方法の工程を示すフローチャートである。
図5A】回転自在コアピンが中に配列されたプリフォーム金型を示す断面図であり、回転自在コアピンに連結された回転駆動部を概略的に示している。
図5B図5Aに示したプリフォーム金型および回転自在コアピンを用いて製造しうるプリフォームを示す横からの立面図である。
図5C】赤外線加熱装置の中に配列されて、プリフォームを加熱する赤外線を受光する図5Bのプリフォームを示す横からの立面図である。
図5D】延伸ロッドを細長い加熱されたプリフォームの中で平行移動することによって延伸動作に曝された後の細長い加熱されたプリフォームを示すプリフォーム延伸装置の横からの断面を示す概略図であり、延伸ロッドの平行移動は、延伸ロッド駆動部によって駆動されたものである。
図5E】加圧流体を細長いプリフォームの中に供給して、細長いプリフォームを半径方向に膨張させて、金型の成形面に接触させる前のブロー成形空洞部の中に配置された図5Dの細長いプリフォームおよび延伸ロッドの横からの断面を示す概略図である。
図5F図5A~5Eに示したプリフォームおよび装置を用いて取得しうる延伸ブロー成形したピペットの断面を示す概略図である。
図6】Corning Incorporated(Corning、New York、USA)から商業的に入手可能な従来のCostar(登録商標)溶着されたピペットと同じ管状本体側面厚さ寸法を有する4つの異なる体積の延伸ブロー成形したピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用せずに製造するのに有用なプリフォーム外径、プリフォーム内径、プリフォーム長さ、フープ比、軸比、および、ブローアップ比の計算した値範囲を示す表である。
図7】従来の「Costar」溶着されたピペットより50%少ない材料を用いながら、5つの異なる体積のピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用せずに製造するのに有用なプリフォーム外径、プリフォーム内径、プリフォーム長さ、フープ比、軸比、および、ブローアップ比の計算した値範囲を示す表である。
図8】従来の「Costar」溶着されたピペットと同じ管状本体側面厚さ寸法を有する5つの異なる体積の延伸ブロー成形したピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用して製造するのに有用なプリフォーム外径、プリフォーム内径、プリフォーム長さ、フープ比、軸比、および、ブローアップ比の計算した値範囲を示す表である。
図9】従来の「Costar」溶着されたピペットより50%少ない材料を用いながら、5つの異なる体積のピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用して製造するのに有用なプリフォーム外径、プリフォーム内径、プリフォーム長さ、フープ比、軸比、および、ブローアップ比の計算した値範囲を示す表である。
図10】本開示の一実施形態によるピペットを示す横からの立面図であり、断面積、外径、および、側面厚さを示すピペットの一部の断面を示す拡大斜視図を含む。
図11】本開示の実施形態によるフープ破壊荷重を検査するのに用いる実験装置の写真である。
図12】本開示の実施形態によるピペットの(図11の装置を用いて測定した)フープ破壊荷重、側面厚さ、外径、内径、および、断面積の測定値を、従来のピペットと比較して示す表である。
図13】本開示の実施形態によるピペットについての実験データを基に計算したフープ強度の側面厚さ、外径、および、断面積に対する比を、従来のピペットと比較して示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、一体型測定ピペット(例えば、血清学ピペット)、並びに、一体型測定ピペットを延伸ブロー成形によって形成する方法および装置に関する。延伸ブロー成形は、予め製作されたプリフォームを延伸させる工程と、金型空洞部の中で、延伸したプリフォームにブロー処理を行う工程とを含む。プリフォームは、材料を望ましいに位置に分布させる輪郭を有し、その結果、ピペットが精密な本体厚さを有するようにしうる。プリフォームを予め製作(例えば、成形)することによって、先端領域およびマウスピース領域を延伸工程前に形成し、それにより、結果的に得られるピペットにおいて、これらの領域の精密で再現性のある形成を可能にして、更に、これらの領域が、管状本体と比べて厚くなるのを可能にしうる。予め製作された先端およびマウスピース領域を有するプリフォームを用いることで、引き出されたか、溶着されたピペットの場合に、典型的に要求される切断処理を行う必要もなくなる。
【0023】
延伸ブロー成形方法を用いて、二軸配向ポリマー材料のピペットを製造しうる。次に、二軸配向の理解を可能にするために、ポリマー配向原理を簡単に説明する。
【0024】
ポリマーが機械的荷重に耐えることができるかは、共有結合の強度、および、分子間力に応じたものである。非晶質系において、機械的荷重の大部分は、ファンデルワールス相互作用、および、鎖間のランダムコイル絡み合いによって支えられる。しかしながら、ポリマー鎖のかなりの部分を、荷重を支える方向に整列させた(つまり、配向させた)場合は、次に、荷重のより大きい部分を主鎖共有結合に伝達しうる。非晶質系においては、鎖配向のみを生じるが、半結晶ポリマーにおいては、鎖と結晶領域の両方を整列させうる。非晶質系と半結晶系の両方において、ポリマー鎖の配向は、配向方向の強度を高めることにつながる。一軸配向された材料は、典型的には、ポリマー鎖配向に垂直な向きに低い強度を示す。
【0025】
ポリマー鎖は、溶融、または、ほぼ溶融状態で伸び歪み(流れ)に曝されることによって配向される。ポリマー材料の二軸配向は、材料に、高温で2つの方向に(例えば、半径方向と長さ方向に)歪みを与えて、更に、歪みを与えながら、材料を冷却させることによって実現しうる。配向しないか、一軸配向のポリマーと比べて、二軸配向は、より薄く、高い機械的および光学特性を有するフィルム、容器および物品の製造を可能にする。
【0026】
二軸配向は、高温のプリフォームの寸法を、半径方向に(例えば、ブロー処理によって)膨張させ、縦軸方向に(例えば、延伸処理によって)膨張させて、それにより、歪みを生じる延伸ブロー成形によって取得しうる。プリフォームと完成したピペットの相対的な寸法の違いによっては、ブロー処理に起因する半径方向の膨張程度は、延伸ブロー成形したピペットにおいてポリマー鎖の半径方向に大きな配向を与えるには不十分でありうる。これを解決するために、ある実施形態において、プリフォーム成形処理中にプリフォームの成形材料と接触するスピニングコアを用いて、プリフォーム材料を半径方向に剪断変形させて、ポリマー鎖の半径方向の配向を高めうる。プリフォームにおけるポリマー鎖の最初の半径方向の配向は、軸方向の延伸中に得られた軸方向の配向によって補われた時に、完成したピペットにおいて、ポリマー鎖の二軸配向を生じるものとなる。
【0027】
ある実施形態において、プリフォーム、および、結果的に得られる(管状本体領域、先端領域、および、マウスピース領域を含む)ピペットは、二軸配向でありうる熱可塑性材料を含みうる。ある実施形態において、熱可塑性材料は、結晶性ポリスチレン、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、これらのポリマーの任意の2つ以上のコポリマー、または、これらのポリマーの任意の1つ以上のリサイクル流を含みうる。
【0028】
図4Aは、本開示の一実施形態により延伸ブロー成形によって製作されたピペット80を示している。ピペット80は、マウスピース領域82と先端領域86の間に配列された管状本体領域84を含み、中空内部90を有する。第1の急峻な移行領域83は、マウスピース領域82と管状本体領域84の間に備えられ、第2の急峻な移行領域85は、管状本体領域84と先端領域86の間に備えられる。それでも、そのような移行領域83、85は、溶着接合部を有さずに、連続した均一な材料を具現化している。先端領域86の外径は、先端開口部87に近づくにつれて、幅が細くなる。しかしながら、任意で、先端領域86は、略一定の内径を有する穴88を含む。そのような先端領域86の特徴は、プリフォーム成形動作中に製作されうる。ある実施形態において、先端領域86は、一定ではない内径を有しうる。任意で、マウスピース領域82は、管状本体領域84の内径および外径寸法より小さい内径および外径寸法を有し、マウスピース領域82は、更に、開口したマウスピース端部81と管状本体領域84の間に配列されたフィルタ89を中に含む。管状本体領域84は、更に、外面に沿って印刷された(刻印された)目盛り体積マーク91を含み、中空内部90に収容された液体の体積を示す。図示したように、先端領域86の平均側面厚さは、管状本体領域84の側面厚さより厚く、マウスピース領域82は、管状本体領域84の側面厚さより厚い平均側面厚さを有する。更に、ピペット80で最大の側面厚さを有する領域は、先端領域86の中、および/または、先端領域86と管状本体領域84の間の移行部85である。
【0029】
図4Bは、図4Aの延伸ブロー成形したピペットの製作方法94の工程を示すフローチャートである。第1の工程95は、プリフォームを製作して(例えば、成形して)、プリフォームをプリフォーム延伸装置またはプリフォーム延伸機に搬送する工程を含む。ある実施形態において、プリフォームを成形する工程は、中空プリフォームをその中に成形可能に構成されたプリフォーム金型空洞部を画定する第1の金型で、プリフォームを注入成形または圧縮成形する工程を含みうる。任意で、第1の金型は、コアピンをプリフォーム金型空洞部の中に受け付けるように構成され、回転駆動部を用いて、第1の金型の中で中空プリフォームを成形する間に、コアピンと第1の金型の間で相対回転を実現しうる。そのような回転は、第1の金型を静止させながら、コアピンを回転させること、または、コアピンを静止させながら、第1の金型を回転させることを含みうる。プリフォームの成形を完了するために、プリフォームを冷却する。第2の工程96は、プリフォームに延伸およびブロー処理を行う準備で、プリフォームを、プリフォーム材料の軟化点まで加熱する工程を含む。ある実施形態において、少なくとも1つの赤外線加熱要素を用いて、プリフォームを加熱しうる。第3の工程97は、ブロー処理中にピペットの外面にマークを与えるために、ブロー動作の前に、インクを成形面上に塗布するか、プリフォームにブロー処理を行うのに用いる金型空洞部の中にラベルを挿入する工程を含みうる。第4の工程98は、プリフォームを延伸させて、細長いプリフォームを形成する工程と、細長いプリフォームにブロー処理を行って、その少なくとも一部の半径方向の膨張を促進させる工程と、延伸し、ブロー処理を行った材料を冷却して、ピペットを形成する工程と、ピペットを、(例えば、組み合わされた金型の半分同士を分離することによって)金型のブロー成形空洞部から取り外す工程とを含む。第5の工程99は、フィルタを、結果的に得られたピペットのマウスピース領域の中に(例えば、フィルタ詰め機構を用いて)挿入する工程を含む。その後、ピペットを、更なる処理のために、殺菌、および/または、梱包ステーションに搬送しうる。ある実施形態において、延伸ブロー製造工程を、無菌の(例えば、クリーンルーム)環境で行って、それにより、製造工程完了後の殺菌を不要にしうる。
【0030】
ある実施形態において、プリフォーム成形中に、超音波励起を、注入スクリュー、および/または、金型空洞部に加えて、プリフォームの中のポリマー鎖のランダム配向の取得を促進して、スピニングコアを不要にしうる。
【0031】
ある実施形態において、中空プリフォームの少なくとも一部の中に配置可能な延伸ロッドを用いて、プリフォームの延伸を実現して、細長いプリフォームを形成しうる。延伸ロッドは、延伸ロッドをプリフォームの内部で(例えば、平行移動によって)移動するように構成された延伸ロッド駆動部と連結されうる。ある実施形態において、延伸ロッドは、ピペットの先端領域と管状本体の間の移行領域の内側先細部と合う形状を有する先細の領域を含む。ある実施形態において、延伸ロッドをプリフォームの内部で移動して細長いプリフォームを形成する間に、チャックまたはクランプを用いて、プリフォームのマウスピース端部を固定しうる。ある実施形態において、プリフォーム延伸動作を、成形空洞部を有する金型の外側で(例えば、第2の金型の開口部分に近接したプリフォーム延伸装置を用いて)行って、プリフォームを延伸させた後に、細長いプリフォームをブロー成形空洞部に(例えば、金型空洞部の両半分を細長いプリフォームを囲んで閉じることによって)転送し、その後、細長いプリフォームを半径方向に膨張させうる。
【0032】
図5Aは、回転自在コアピン106が金型空洞部104中に配列されたプリフォーム金型100を示し、回転駆動部108が回転自在コアピン106に連結されている。プリフォーム金型100は、分離可能な半分101と半分102から形成されて、プリフォームを製作した後に、プリフォームを取外し可能にしうる。金型空洞部104は、マウスピース空洞部分104A、管状本体空洞部分104B、および、先端空洞部分104Cを含み、各々、異なる寸法を有する。回転自在コアピン106は、先端空洞部分104Cの中に配置された先細の端部分107を含みうる。図示したように、管状本体空洞部分104Bは、金型空洞部104のうち、最も長い部分を含み、マウスピース空洞部分104Aおよび管状本体空洞部分104Bは、互いに異なるが、一定の外径を有し(マウスピース空洞部分104Aは、金型空洞部104のうち、最小の外径を有し)、先端空洞部分104Cは、変化する外径を有する。プリフォーム金型100を用いる時に、分離可能な半分101と半分102を閉じて、溶融した熱可塑性材料を、金型空洞部104に供給(例えば、注入)して、熱可塑性材料が金型空洞部104において冷却して固まる間に、コアピン106を回転駆動部108の動作によって回転しうる。その後、金型100の分離可能な半分101と半分102を互いに分離して、プリフォームを、プリフォームを下方に引っ張ることによって、コアピン106から外して、加熱ステーションに搬送しうる。
【0033】
図5Bは、図5Aに示したプリフォーム金型100および回転自在コアピン106を用いて製造しうるプリフォーム110を示す横からの立面図である。プリフォーム110は、マウスピース前駆体部分112と先端前駆体部分116の間に配列された管状本体前駆体部分114を含み、それらの全てが、マウスピース端部111と先端端部117の間に延伸する中空内部118を囲んでいる。
【0034】
プリフォーム110を製作した後に、プリフォーム110を、プリフォーム材料の軟化点まで加熱して、プリフォーム110を延伸して、ブロー処理を行ってピペットを形成するための準備をしうる。ある実施形態において、そのような加熱を、プリフォーム110を、赤外線加熱装置の中か、それに近接して配置することによって実現しうる。図5Cは、赤外線加熱要素119A、119Bを含む赤外線加熱装置の中に配列された図5Bのプリフォーム100を示し、赤外線がプリフォーム110に入射するのを示している。
【0035】
図5Dは、プリフォーム延伸装置120の横からの断面を示す概略図であり、延伸ロッド122を細長い加熱されたプリフォーム110’の内部118’中で平行移動することによって延伸動作に曝された後の(例えば、加熱された状態のままの)細長いプリフォーム110’を示している。延伸ロッド122は、任意で、コア123およびクラッディング124を含み、更に、先細の端部125を含む。任意で、コア123を、クラッディング124の内側のネジ山付き表面に沿って回転するように配列して、延伸ロッド122を平行移動させうる。ある実施形態において、先細の端部125は、細長いプリフォーム110’の先端部分116’の内側の先細形状に対応する、および/または、先端部分116’と管状本体部分114’の間の移行領域の内側の先細形状に対応する形状を有し、それにより、細長いプリフォーム110’の内部を、ブロー処理のために塞ぐことが可能になる。細長いプリフォーム110’は、更に、管状本体部分114’、および、マウスピース部分112’を含む。延伸ロッド122の平行移動は、延伸ロッド駆動部128によって駆動される。チャックまたはクランプ126を備えて、延伸動作中に延伸ロッド122が平行移動する時に、マウスピース部分112’を固定しうる。
【0036】
図5Eは、金型130のブロー成形空洞部134の中に配置された図5Dの細長い加熱されたプリフォーム110’(マウスピース部分112’、管状本体部分114’、および、先端部分116’を含む)、および、延伸ロッド122の横からの断面を示す概略図である。金型130は、分離可能で、成形面135を画定する第1の金型半分131と第2の金型半分132から構成される。雄型受付け特徴部139がブロー成形空洞部134の底部に備えられて、細長いプリフォーム110’の内部を閉じるのを補助しうる。図示したように、細長い加熱されたプリフォーム110’は、その内部に加圧流体を(例えば、延伸ロッド122を通して)供給して細長いプリフォーム110’を半径方向に膨張させて金型130の成形面135と接触させる工程を含むブロー処理の前の状態である。ブロー動作を完了した後に、金型半分131と金型半分132を分離することによって金型130を開いて、結果的に得られたピペットを、延伸ロッド122から取り外しうる。
【0037】
図5Fは、図5A~5Eに示したプリフォームおよび装置を用いて、延伸およびブロー処理動作、並びに、ピペット140を金型130から取り外す動作の後に取得しうる延伸ブロー成形したピペット140の断面を示す概略図である。ピペット140は、マウスピース領域142と先端領域146の間に配列された管状本体領域144を含み、中空内部150を有する。第1の急峻な移行領域143は、マウスピース領域142と管状本体領域144の間に備えられ、第2の急峻な移行領域145は、管状本体領域144と先端領域146の間に備えられる。それでも、そのような移行領域143、145は、溶着接合部を有さずに、連続した均一な材料を具現化している。先端領域146の外径および内側の穴148の両方は、先端開口部147に近づくにつれて細くなる幅を有する。図示したように、先端領域146は、管状本体領域144の側面厚さを超える平均側面厚さを含み、マウスピース領域142は、管状本体領域144の外径より小さい外径を含む。マウスピース領域142は、更に、その中に、開口したマウスピース端部141と管状本体領域144の間に配列されたフィルタ149を含む。マウスピース領域142を、管状本体領域144と同じ内径を有するものとして示しているが、ある実施形態において、マウスピース領域142は、管状本体領域144の内径より小さい内径を有しうる。
【0038】
図6~9は、多数の異なる体積の延伸ブロー成形したピペットを製造するのに有用なプリフォーム外径、プリフォーム内径、プリフォーム長さ、フープ比、軸比、および、ブローアップ比の計算した値範囲を提供する表であり、直径および長さの値をインチで表している。フープ比は、延伸ブロー成形したピペットの管状本体領域の外径の対応するプリフォームの管状本体領域の外径に対する比である。軸比は、延伸ブロー成形したピペットの長さの対応するプリフォームの長さに対する比である。ブローアップ比は、フープ比と軸比を掛けた値である。
【0039】
図6は、Corning Incorporated(Corning、New York、USA)から商業的に入手可能な従来の「Costar」溶着されたピペットと同じ管状本体側面厚さ寸法を有する4つの異なる体積の延伸ブロー成形したピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用せずに製造するのに有用な計算した値範囲を示している。二軸配向のピペット材料を実現するのにプリフォーム成形中にスピニングコアの使用を必要とせずに、ブロー処理中にポリマー鎖の配向を半径方向にするのを可能にする最大外径を計算した。
【0040】
図7は、従来の「Costar」溶着されたピペットより50%少ない材料を用いながら、5つの異なる体積のピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用せずに製造するのに有用な計算した値範囲を示している。図6の場合と同様に、二軸配向のピペット材料を実現するのにプリフォーム成形中にスピニングコアの使用を必要とせずに、ブロー処理中にポリマー鎖の配向を半径方向にするのを可能にする最大外径を計算した。図6と比べて、図7は、必要な材料が少ないピペットの延伸ブロー成形は、図7のフープ比、軸比、および、ブローアップ比の拡大した範囲から明らかなように、プリフォームを製作するための設計範囲を広げる可能性があることを示している。
【0041】
図8は、従来の「Costar」溶着されたピペットと同じ管状本体側面厚さ寸法を有する5つの異なる体積の延伸ブロー成形したピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用して製造するのに有用な計算した値範囲を示している。図8図6と比べると、図8のブローアップ比の拡大した範囲から明らかなように、スピニングコアを用いることで、より大きい寸法範囲の成形したプリフォームを可能にすることが明らかである。
【0042】
図9は、従来の「Costar」溶着されたピペットより50%少ない材料を用いながら、5つの異なる体積のピペットを、プリフォーム製作工程中にスピニングコアピンを使用して製造するのに有用な値範囲を示している。図9図7および8と比べると、図9のフープ比、軸比、および、ブローアップ比が図7および8より拡大した範囲であることから明らかなように、スピニングコアの使用を、必要な材料が少ないピペットの延伸ブロー成形と組合せることで、これらのいずれか1つの条件のみの場合より、更に大きい寸法範囲の成形したプリフォームを可能にすることが明らかである。
【0043】
本開示の実施形態によれば、より薄い側面厚さを有るピペットは、現実の使用での困難な要求にも適した機械的特性も有しうる。より薄い側面のピペットは、より厚い側面のピペットと比べて、機械的弾性を犠牲にしうるが、本開示の実施形態は、これまでの機械的に適切なピペットの厚さ以下の薄い側面厚さで、適切な機械的性能を実現可能にする。特に、本開示の実施形態は、本体領域で最小フープ強度を維持しながら、本体領域で特に薄い側面を有するピペットを含む。
【0044】
本明細書で用いるように、フープ強度は、ピペットの円筒部分またはフープに破壊または可塑性変形を生じるのに要するピペットの円筒部分またはフープに加わる半径方向荷重の大きさを称するものである。フープ強度自体が、ピペットの機械的物性に関する重要な測定値であるが、フープ強度をピペットの他の物理的特性または寸法との関係でも検討しうる。このように、ピペットの物性、例えば、フープ強度および本体の側面厚さなどの特性を組み合わせることは利点を有すると考えることが可能である。図10は、マウス領域202、本体領域204、および、先端領域206を有するピペット200を示している。図10のボックスAから、本体領域204の円筒部分を拡大して斜視図に示して、そこの外径210、本体側面厚さ212、および、断面積214を示している。断面積214は、図10の円筒部分の露出した断面の表面積である。
【0045】
本明細書に記載のピペットのフープ強度を検査するために、ピペットフープ強度検査手順を、ロードセル260を有するフープ検査設備250を用いて考案した。(図11に示した)フープ検査設備250は、支持枠252、(例えば、McMaster-Carr、Durometer95Aによって提供される耐摩耗ポリウレタンラバーシートによる)パッド付きの底板254(2’’(約5cm)×2’’(約5cm))、および、(例えば、McMaster-Carr、Durometer95Aによって提供される耐摩耗ポリウレタンラバーシートによる)パッド付きの上板256(2’’(約5cm)の直径)を含む。用いたロードセル260は、500Nだったが、ピペットサイズに応じて調節しうる。
【0046】
図12は、本発明の実施形態による4つのピペットの実験結果を示す表であり、各々、本明細書に記載の実施形態により形成された10mLピペット(Exp40Run03、Exp40Run3a、Exp41Run10、および、Exp41Run11)であり、更に、Corning Incorporated(Corning、New York、USA)から商業的に入手可能な従来の10mL「Costar」押出ピペットについても示している。「Costar」ピペットは、69.79lbf(約310.44N)から80.77lbf(約359.28N)の範囲のフープ破壊強度を有し、平均は、73.29lbf(約326.01N)である。本開示の実施形態によるピペットは、15.45lbf(約68.73N)から26.60lbf(約118.32N)の範囲の下限フープ破壊荷重、28.32lbf(約125.97N)から33.32lbf(約148.21N)の範囲の上限フープ破壊荷重、および、21.18lbf(約94.21N)から30.00lbf(約133.45N)の範囲の平均フープ破壊荷重を有する。しかしながら、本開示の実施形態によるピペットは、本体領域において、「Costar」ピペット(0.032in(約0.081cm))と比べて薄い0.016in(約0.041cm)から0.018in(約0.046cm)の範囲の平均本体側面厚さ(WT)を有し、「Costar」ピペット(0.375in(約0.953cm))と比べて小さい0.346(約0.879cm)から0.347in(約0.881cm)範囲の平均本体外径(OD)を有し、「Costar」ピペット(0.312in(約0.792cm))と同様の0.311(約0.790cm)から0.315in(約0.800cm)の範囲の本体内径(ID)を有し、「Costar」ピペット(0.034in(約0.219cm))と比べて小さい0.016in(約0.103cm)から0.018in(約0.116cm)の範囲の断面積(CSA)を有する。平均本体側面厚さは、本体領域204における側面厚さの算術平均を称する。
【0047】
図13は、フープ強度の(i)平均本体側面厚さ(WT)、(ii)本体外径(OD)、および、(iii)本体断面積(CSA)に対する比を示す表である。例えば、これらの比を、次のように定義する:
【0048】
【数1】
【0049】
図13において、フープ強度のWTに対する比は、1363lbf/in(約154N・m)から1752lbf/in(約198N・m)の範囲である。フープ強度のODに対する比は、61lbf/in(約7N・m)から87lbf/in(約10N・m)の範囲である。フープ強度のCSAに対する比は、1313lbf/in(約9.1MPa)から1693lbf/in(約11.6MPa)の範囲である。
【0050】
本開示の更なる態様において、特に、本明細書に開示した任意の2つ以上の態様、実施形態、または、特徴を、更なる利点のために組み合わせうることを企図している。
【0051】
例示的な実施態様
次に、開示した主題を実施する様々な態様を記載する。各態様は、開示した主題の
1つ以上の様々な特徴物、特徴、または、利点を含みうる。これらの実施態様は、開示した主題のいくつかの態様を例示することを意図したものであり、いかなる場合でも、包括的とも排他的とも解釈されるべきではない。
【0052】
態様1は、延伸ブロー成形したピペットに関し、それは、先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を含み、先端領域は、管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有し、本体領域は、0.032インチ(in)(約0.081cm)未満の平均側面厚さ、および、少なくとも15ポンドフィート(lbf)(約67N)のフープ強度を有するものである。
【0053】
態様2は、態様1の延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域の平均側面厚さは、少なくとも約0.0098in(約0.0249cm)である。
【0054】
態様3は、態様1または2の延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域の平均側面厚さは、約0.010in(約0.025cm)から約0.030in(約0.076cm)、約0.010in(約0.025cm)から約0.025in(約0.064cm)、または、約0.015in(約0.038cm)から約0.020in(約0.051cm)の範囲である。
【0055】
態様4は、態様1から3のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域の平均外径は、約0.300in(約0.762cm)から約0.400in(約1.016cm)、約0.340in(約0.864cm)から約0.360in(約0.914cm)、または、約0.340in(約0.864cm)から約0.350in(約0.889cm)の範囲である。
【0056】
態様5は、態様1から4のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域の平均内径は、約0.310in(約0.787cm)から約0.320in(約0.813cm)、または、約0.310in(約0.787cm)から約0.315in(約0.800cm)である。
【0057】
態様6は、態様1から5のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域の平均断面積は、約0.010in(約0.065cm)から約0.025in(約0.161cm)、約0.012in(約0.077cm)から約0.018in(約0.116cm)、または、約0.016in(約0.103cm)から約0.018in(約0.116cm)である。
【0058】
態様7は、態様1から6のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域におけるフープ強度の側面厚さに対する比は、約1300lbf/in(約147N・m)から約1800lbf/in(約203N・m)である。
【0059】
態様8は、態様1から7のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域におけるフープ強度の外径に対する比は、約60lbf/in(約7N・m)から約90lbf/in(約10N・m)である。
【0060】
態様9は、態様1から8のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、本体領域におけるフープ強度の断面積に対する比は、約1300lbf/in(約9.0MPa)から約1700lbf/in(約11.7MPa)である。
【0061】
態様10は、態様1から9のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、(i)管状本体と先端領域の間、および、(ii)管状本体とマウスピース領域の間に接合部を有さない。
【0062】
態様11は、態様1から10のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、先端領域は、略一定の内径を有する開口部を含むものである。
【0063】
態様12は、態様1から11のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、マウスピース領域は、管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有するものである。
【0064】
態様13は、態様1から12のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、(i)マウスピース領域は、管状本体の内径より小さい内径を有するものであるか、(ii)マウスピース領域は、管状本体の外径より小さい外径を有するものであるかの少なくとも一方の特徴を含む。
【0065】
態様14は、態様1から13のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、管状本体、先端領域、および、マウスピース領域は、熱可塑性材料を含むものである。
【0066】
態様15は、態様1から14のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、管状本体は、二軸配向の熱可塑性材料を含むものである。
【0067】
態様16は、態様14または15の延伸ブロー成形したピペットに関し、管状本体、先端領域、および、マウスピース領域は、結晶性ポリスチレン、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、これらのポリマーの任意の2つ以上のコポリマー、または、ポリマーの任意の1つ以上のリサイクル流を含むものである。
【0068】
態様17は、態様1から16のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、管状本体は、0.25mmから0.6mmの範囲の側面厚さを有するものである。
【0069】
態様18は、態様1から17のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、先端領域は、略一定の内径、および、管状本体に近づくにつれて増加する外径を有するものである。
【0070】
態様19は、態様1から18のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、先端領域は、一定ではない内径を有するものである。
【0071】
態様20は、態様1から19のいずれか1つの延伸ブロー成形したピペットに関し、延伸ブロー成形したピペットで最大の側面厚さを有する領域は、先端領域の中、先端領域と管状本体の間の移行部、または、移行部に近接した領域である。
【0072】
本明細書の英語の原文で用いる不定冠詞および単数での定冠詞は、そうでないことが文脈から明らかでない限りは、複数の物も含む。したがって、例えば、不定冠詞を付して記載された「切欠き部」は、そうでないことが文脈から明らかでない限りは、そのような「切欠き部」を2つ以上有する例を含む。
【0073】
「含む」または「含み」という用語は、含有することを意味し、限定するものではなく、つまり、包含するものであり、排他的意味ではない。
【0074】
「任意の」または「任意で」という用語は、次に記載するイベント、状況、または、構成要素は、生じうること、または、生じないものでありうることを意味し、記載は、それらのイベント、状況、または、構成要素が生じる場合、および、それらが生じない場合を含む。
【0075】
本明細書において、範囲を、「約」1つの特定の値から、および/または、「約」他の特定の値までと表しうる。そのような範囲を表した場合、その1つの特定の値から、および/または、他の特定の値までという例を含む。同様に、「約」を付して、値を概数で表し場合、その特定の値が他の態様を構成すると理解されよう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係でと、他方の端点とは独立にとの両方で重要であることも理解されよう。
【0076】
別段に明示しない限りは、本明細書に示した、いずれの方法も、工程が特定の順序で行われることを要すると解釈されることを全く意図しない。したがって、方法の請求項が、工程の順序を実際に記載しないか、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されると具体的に記載しない限りは、任意の特定の順序が推測されることを全く意図しない。任意の1つの請求項に記載の任意の単一または多数の特徴または態様を、任意の他の請求項に記載の任意の他の特徴または態様と組み合わせうる。
【0077】
更に、本明細書の記載で、構成要素が「構成される」、または、特定の形態で機能するように「適合される」と記載する。この点について、そのような記載は、意図した使用を記載するのと異なり、構造的記載であり、そのような構成要素は、「構成されるか」または「適合されて」特定の特徴または機能を、特定の形態で具現化する。より具体的には、本明細書において、構成要素が「構成された」または「適合された」と記載した場合、構成要素の既存の物理的条件を記載したものであり、したがって、構成要素の構造的特徴を記載したと理解すべきである。
【0078】
特定の実施形態の様々な特徴、要素または工程を、「含む」という移行句を用いて開示しうるが、その代わりに、「からなる」または「から実質的になる」という移行句を用いて記載しうる実施形態も含意すると理解すべきである。
【0079】
当業者には、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、本発明の技術に様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。当業者は、本発明の精神および実質を組み込んで、そのような本開示の変更、組合せ、部分組合せ、および、変形を行いうるので、本発明技術は、添付の請求項および等価物の範囲の全てを含むと解釈すべきである。
【0080】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0081】
実施形態1
延伸ブロー成形したピペットにおいて、
先端領域とマウスピース領域の間に配列された管状本体を
含み、
前記先端領域は、前記管状本体の側面厚さより厚い平均側面厚さを有し、
前記本体領域は、0.032インチ(in)(約0.081cm)未満の平均側面厚さ、および、少なくとも15ポンドフィート(lbf)(約67N)のフープ強度を有するものであるピペット。
【0082】
実施形態2
前記本体領域の前記平均側面厚さは、少なくとも約0.0098in(約0.0249cm)である、実施形態1に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0083】
実施形態3
前記本体領域の前記平均側面厚さは、約0.010in(約0.025cm)から約0.030in(約0.076cm)、約0.010in(約0.025cm)から約0.025in(約0.064cm)、または、約0.015in(約0.038cm)から約0.020in(約0.051cm)の範囲である、実施形態1または2に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0084】
実施形態4
前記本体領域の平均外径は、約0.300in(約0.762cm)から約0.400in(約1.016cm)、約0.340in(約0.864cm)から約0.360in(約0.914cm)、または、約0.340in(約0.864cm)から約0.350in(約0.889cm)の範囲である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0085】
実施形態5
前記本体領域の平均内径は、約0.310in(約0.787cm)から約0.320in(約0.813cm)、または、約0.310in(約0.787cm)から約0.315in(約0.800cm)である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0086】
実施形態6
前記本体領域の平均断面積は、約0.010in(約0.065cm)から約0.025in(約0.161cm)、約0.012in(約0.077cm)から約0.018in(約0.116cm)、または、約0.016in(約0.103cm)から約0.018in(約0.116cm)である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0087】
実施形態7
前記本体領域におけるフープ強度の側面厚さに対する比は、約1300lbf/in(約147N・m)から約1800lbf/in(約203N・m)である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0088】
実施形態8
前記本体領域におけるフープ強度の外径に対する比は、約60lbf/in(約7N・m)から約90lbf/in(約10N・m)である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0089】
実施形態9
前記本体領域におけるフープ強度の断面積に対する比は、約1300lbf/in(約9.0MPa)から約1700lbf/in(約11.7MPa)である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0090】
実施形態10
(i)前記管状本体と前記先端領域の間、および、(ii)該管状本体と前記マウスピース領域の間に接合部を有さない、実施形態1から9のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0091】
実施形態11
前記先端領域は、略一定の内径を有する開口部を含むものである、実施形態1から10のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0092】
実施形態12
前記マウスピース領域は、前記管状本体の前記側面厚さより厚い平均側面厚さを有するものである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0093】
実施形態13
(i)前記マウスピース領域は、前記管状本体の内径より小さい内径を有するものであるか、
(ii)前記マウスピース領域は、前記管状本体の外径より小さい外径を有するものであるか
の少なくとも一方の特徴を含む、実施形態1から12のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0094】
実施形態14
前記管状本体、前記先端領域、および、前記マウスピース領域は、熱可塑性材料を含むものである、実施形態1から13のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0095】
実施形態15
前記管状本体は、二軸配向の熱可塑性材料を含むものである、実施形態1から14のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0096】
実施形態16
前記管状本体、前記先端領域、および、前記マウスピース領域は、結晶性ポリスチレン、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、これらのポリマーの任意の2つ以上のコポリマー、または、該ポリマーの任意の1つ以上のリサイクル流を含むものである、実施形態14または15に記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0097】
実施形態17
前記管状本体は、0.25mmから0.6mmの範囲の側面厚さを有するものである、実施形態1から16のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0098】
実施形態18
前記先端領域は、略一定の内径、および、前記管状本体に近づくにつれて増加する外径を有するものである、実施形態1から17のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0099】
実施形態19
前記先端領域は、一定ではない内径を有するものである、実施形態1から8のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【0100】
実施形態20
前記延伸ブロー成形したピペットで最大の側面厚さを有する領域は、前記先端領域の中、該先端領域と前記管状本体の間の移行部、または、該移行部に近接した領域である、実施形態1から19のいずれか1つに記載の延伸ブロー成形したピペット。
【符号の説明】
【0101】
82 マウスピース領域
83、85 移行領域
84 筒状本体領域
86 先端領域
87 先端開口部
89 フィルタ
100 プリフォーム金型
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】