(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定し使用するための方法、コンピュータプログラムおよび装置
(51)【国際特許分類】
H04W 4/02 20180101AFI20240214BHJP
H04W 16/22 20090101ALI20240214BHJP
【FI】
H04W4/02
H04W16/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550532
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2022054060
(87)【国際公開番号】W WO2022175441
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プファードラー
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ジョルノ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH22
(57)【要約】
本実施形態は、基地局もしくはモバイル送受信機などの送受信機と、モバイル送受信機との間の無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定し、使用するための方法、コンピュータプログラム、および装置に関する。送受信機(100)とモバイル送受信機(200)との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための方法は、モバイル送受信機の位置に関する情報および移動に関する情報を取得するステップ(110)を含む。本方法は、モバイル送受信機の位置に基づいて、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力を決定するステップ(120)を含む。本方法は、モバイル送受信機の位置および移動に基づいて、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合を決定するステップ(130)を含む。本方法は、予測される受信電力に基づいて、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいて、無線通信リンクの予測されるスループットを決定するステップ(160)を含む。本方法は、無線通信リンクの予測されるスループットに基づいて、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定するステップ(170)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信機(100)とモバイル送受信機(200)との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための方法であって、
前記方法は、
前記モバイル送受信機の位置に関する情報および移動に関する情報を取得するステップ(110)と、
前記モバイル送受信機の位置に基づいて、前記モバイル送受信機における前記無線通信リンクの予測される受信電力を決定するステップ(120)と、
前記モバイル送受信機の位置および移動に基づいて、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合を決定するステップ(130)と、
前記予測される受信電力に基づいて、かつ前記理想的な時間-周波数-グリッド構成と前記無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の前記予測される不整合に基づいて、前記無線通信リンクの予測されるスループットを決定するステップ(160)と、
前記無線通信リンクの前記予測されるスループットに基づいて、前記無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定するステップ(170)と、
を含んでいる、方法。
【請求項2】
前記理想的な時間-周波数-グリッド構成と前記無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の前記予測される不整合は、前記無線通信リンクの予測される遅延-ドップラー拡散に基づいている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記予測される遅延-ドップラー拡散のドップラー成分は、前記モバイル送受信機の移動速度に基づいており、かつ/または前記予測される遅延-ドップラー拡散の遅延成分は、前記モバイル送受信機の位置に基づいている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記遅延-ドップラー拡散のドップラー成分および遅延成分のうちの少なくとも一方は、前記モバイル送受信機の移動および/または位置に基づいてデータベースからそれぞれの情報を検索することによって決定される、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記モバイル送受信機における前記無線通信リンクの前記予測される受信電力は、前記送受信機の無線環境のカバレッジマップに基づいて決定される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記無線通信リンク上で予測される干渉を決定するステップ(140)を含み、前記無線通信リンクの前記予測されるスループットは、さらに前記無線通信リンク上で予測される干渉に基づいて決定される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記モバイル送受信機における予測される受信機雑音電力を決定するステップ(150)を含み、前記無線通信リンクの前記予測されるスループットは、さらに前記モバイル送受信機における前記予測される受信機雑音電力に基づいて決定される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記無線通信リンクの前記予測されるスループットは、予測される信号対干渉雑音比に基づいて、前記予測される受信電力に基づいて、前記理想的な時間-周波数-グリッド構成と前記無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の前記予測される不整合に基づいて、前記無線通信リンク上で予測される干渉に基づいて、および前記モバイル送受信機における前記予測される受信機雑音電力に基づいて決定される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記無線通信リンクの前記予測されるスループットは、前記予測される信号対干渉雑音比に基づいて選択される変調方式に基づいて決定される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記送受信機(100)は、基地局(100)であり、前記無線通信リンクの前記予測されるスループットは、さらに前記基地局における無線リソースの利用可能性に基づいて決定される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記無線通信リンクは、マルチキャリア伝送ベースの無線通信システムに基づいており、かつ/または前記無線通信リンクは、直交周波数分割多重ベースの無線通信システム、直交時間周波数空間ベースの無線通信システム、およびフィルタバンクマルチキャリアベースの無線通信システムのうちの1つに基づいており、かつ/または前記無線通信リンクの前記予測されるスループットは、前記無線通信リンクに使用されるマルチキャリア伝送ベースの無線通信システムに基づいて決定される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記無線通信リンクの前記予測される将来的サービス品質に関する情報を前記モバイル送受信機(200)に提供するステップ(180)を含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
モバイル送受信機(200)のための方法であって、
前記方法は、
送受信機(100)から、前記モバイル送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報を受信するステップ(210)を含み、
前記無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報は、前記モバイル送受信機における前記無線通信リンクの予測される受信電力に基づいており、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいている、
方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラマブルハードウェアコンポーネント上で実行されるときに、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法または請求項13記載の方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
装置(10;20)であって、
前記装置(10;20)は、
モバイル通信システムにおいて通信するための1つまたは複数のインターフェース(12;22)と、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法または請求項13記載の方法のうちの1つを実行するように構成された制御モジュール(14;24)とを備える、装置(10;20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定し使用するための方法、コンピュータプログラム、および装置に関する。
【0002】
将来的車両通信システムでは、様々な移動条件下で高い信頼性と効率とが要求され得る。一方、通信システムは、多くの場合、それらの性能においてばらつきがあるが、通信品質は予測される場合がある。
【0003】
ただし、サービス品質(PQoS)を予測するための多くの方法は、主に無線マップ(カバレッジマップ)に基づいている。これらの方法は、通常、ユーザーの移動性は考慮されていない。
【0004】
欧州特許第2995127号明細書は、支援情報に基づいて達成可能なリンクスループットを推定するための方法および装置に関する。この特許は、利用可能な帯域幅を推定するために、チャネル品質インジケータ(CQI)またはノイズプラス干渉に対するパイロットエネルギーの比率などの支援情報を使用する。しかしながら、ユーザー機器(UE)の移動性は、非常に大まかなレベルでのみ、すなわちUEが異なるセル間を移動する場合に生じるハンドオーバー手順に関してのみ考慮される。
【0005】
米国特許出願公開第2011/0273997号明細書は、無線通信システム、スケジューリング方法、無線基地局デバイス、および無線端末に関する。米国特許出願公開第2016/0285683号明細書は、無線ネットワークスキャン動作のための端末デバイスおよび方法に関する。しかしながら、サービス品質が予測されている前述の出願では、無線端末の移動は考慮されていない。
【0006】
そこで、基地局とモバイル送受信機との間の無線通信リンクのサービス品質を予測するための改善された方法を提供する要望が考えられる。
【0007】
この課題は、独立請求項の対象によって対応される。
【0008】
本開示の様々な態様は、車両のようなモバイル送受信機の移動が、無線通信リンクのために使用される時間-周波数-グリッドと、モバイル送受信機の移動に適合化された理想的な時間-周波数-グリッドとの間の結果として生じる不整合のために、モバイル送受信機と基地局との間の無線通信リンクの性能低下につながり得るという発見に基づいている。この不整合は、無線通信リンクのスペクトル効率、したがって、無線通信リンクで可能なスループットに影響を与える可能性がある。スループットは、無線通信リンクのサービス品質を予測するために使用され、サービス品質のより正確な予測を提供する。
【0009】
本実施形態は、基地局もしくはモバイル送受信機などの送受信機と、モバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための方法を提供する。本方法は、モバイル送受信機の位置に関する情報および移動に関する情報を取得するステップを含む。本方法は、モバイル送受信機の位置に基づいて、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力を決定するステップを含む。本方法は、モバイル送受信機の位置および移動に基づいて、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合を決定するステップを含む。本方法は、予測される受信電力に基づいて、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいて、無線通信リンクの予測されるスループットを決定するステップを含む。本方法は、無線通信リンクの予測されるスループットに基づいて、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定するステップを含む。理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合を考慮することにより、車両などの高速移動モバイル送受信機の無線通信リンクについてのスループット予測の精度が向上される場合があり、送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクのサービス品質を予測するための改善された方法に結び付く可能性がある。
【0010】
一般に、送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクについてどのグリッド構成が最適であるかは、モバイル送受信機の移動および無線環境に依存し、特に、無線通信リンクの遅延-ドップラー拡散に依存する。例えば、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合は、無線通信リンクの予測される遅延-ドップラー拡散に基づいていてよい。
【0011】
特に、予測される遅延-ドップラー拡散のドップラー成分は、モバイル送受信機の移動速度に基づいていてよい。予測される遅延-ドップラー拡散の遅延成分は、モバイル送受信機の位置に基づいていてよい。両方の成分は、モバイル送受信機の位置および移動に関する情報に基づいて決定されていてよい。
【0012】
例えば、遅延-ドップラー拡散のドップラー成分および遅延成分のうちの少なくとも一方は、モバイル送受信機の移動および/または位置に基づいてデータベースからそれぞれの情報を検索することによって決定されていてよい。例えば、ドップラー成分の予測は、送受信機とモバイル送受信機との間の相対速度に基づいてデータベースから検索されてよい。付加的または代替的に、遅延成分の予測は、モバイル送受信機の位置に基づいてデータベースから取得されてよい。
【0013】
いくつかのケースでは、受信電力がカバレッジマップ上でモバイル送受信機の位置にリンクする場合があるため、カバレッジマップは、予測される受信電力を決定するために使用されてよい。例えば、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力は、送受信機の無線環境のカバレッジマップに基づいて決定されてよい。
【0014】
いくつかの例では、スループットを決定する場合、1つまたは複数のさらなる要因を考慮してよい。例えば、本方法は、無線通信リンク上で予測される干渉を決定するステップを含むことができる。無線通信リンクの予測されるスループットは、さらに無線通信リンク上で予測される干渉に基づいて決定されてよい。付加的または代替的に、本方法は、モバイル送受信機における予測される受信機雑音電力を決定するステップを含むことができる。無線通信リンクの予測されるスループットは、さらにモバイル送受信機における予測される受信機雑音電力に基づいて決定されてよい。予測される干渉および予測される受信機雑音電力の両方を、スループットの予測精度を高めるために考慮してよい。
【0015】
例えば、無線通信リンクの予測されるスループットは、予測される信号対干渉雑音比(SINR;Signal-to-Interference-and-Noise-Ratio)に基づいて、予測される受信電力に基づいて、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいて、無線通信リンク上で予測される干渉に基づいて、およびモバイル送受信機における予測される受信機雑音電力に基づいて決定されてよい。SINRは、前述の要因のすべてに基づいて、またはサブセットに基づいて決定されてよい。
【0016】
いくつかのケースでは、スペクトル効率が考慮されてよく、これは、一般に、SINRおよびそれぞれのSINRにおいて使用される変調/符号化方式に基づいている。換言すれば、無線通信リンクの予測されるスループットは、予測される信号対干渉雑音比に基づいて選択される変調方式に基づいて決定されてよい。
【0017】
別の潜在的な要因は、送受信機における無線リソースの利用可能性であり、例えば、送受信機が基地局である場合には、基地局における無線リソースの利用可能性であり、より多くのモバイル送受信機が同時に基地局と通信すればするほど、モバイル送受信機に利用可能な無線リソースは少なくなる可能性がある。したがって、送受信機は基地局であってよい。無線通信リンクの予測スループットは、基地局における無線リソースの利用可能性に基づいてさらに決定されてよい。
【0018】
一般に、提案された構想は、多数のシナリオで使用されてよい。例えば、無線通信リンクは、マルチキャリア伝送ベースの無線通信システムに基づいてよい。無線通信リンクは、直交周波数分割多重(OFDM)ベースの無線通信システム、直交時間周波数空間(OTFS)ベースの無線通信システム、およびフィルタバンクマルチキャリア(FBMC)ベースの無線通信システムのうちの1つに基づいてよい。これらの無線通信システムは、マルチキャリア伝送ベースの無線通信システムである。無線通信リンクの予測されるスループットは、無線通信リンクに使用されるマルチキャリア伝送ベースの無線通信システムに基づいて決定されてよい。例えば、無線通信リンクに使用されるマルチキャリア伝送ベースの無線通信システムは、使用される信号形状に関する結果、および使用される変調/符号化に関する結果を有し、スループットに影響を及ぼす可能性がある。
【0019】
様々な例において、本方法は、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に関する情報をモバイル送受信機に提供するステップを含む。例えば、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に関する情報は、無線通信リンクを介した通信を適合化させるためにモバイル送受信機によって使用されてよい。
【0020】
本開示の様々な態様は、コンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラマブルハードウェアコンポーネント上で実行されるときに、上記の方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムに関する。
【0021】
本開示の様々な態様は、モバイル通信システムにおいて通信するための1つまたは複数のインターフェースと、上記方法を実行するように構成された制御モジュールとを含む装置に関する。
【0022】
本開示の様々な態様は、モバイル送受信機のための方法に関する。本方法は、別のモバイル送受信機または基地局などの送受信機から、モバイル送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報を受信するステップを含む。無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報は、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力に基づいており、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用されている時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいている。例えば、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に関する情報は、無線通信リンクを介した通信を適合化させるためにモバイル送受信機によって使用されてよい。
【0023】
本開示の様々な態様は、コンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラマブルハードウェアコンポーネント上で実行されるときに、上記の方法を実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムに関する。
【0024】
本開示の様々な態様は、モバイル通信システムにおいて通信するための1つまたは複数のインターフェースと、上記方法を実行するように構成された制御モジュールとを含む装置に関する。
【0025】
以下では、いくつかの他の特徴または態様を、例としてのみの装置または方法またはコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の非限定的な実施形態を使用して添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための方法の例を示したフローチャートである。
【
図1b】送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための方法の例を示したフローチャートである。
【
図1c】送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための装置の例を示したブロック図である。
【
図2a】モバイル送受信機のための方法の一例を示したフローチャートである。
【
図2b】モバイル送受信機のための装置の一例を示したブロック図である。
【
図2c】
図2cは、モバイル送受信機のための装置を含んだ車両を示した概略図である。
【
図3a】5G NRについての構成の例を示した図である。
【
図3b】チャネル遅延とドップラーシフトに依存する通信のためのマルチキャリアガボールパルス設計ルールを示した図である。
【
図3c】異なるSINRにおけるスペクトル効率を示したグラフである。
【
図3d】提案されるスループット予測のための可能な入力を示した図である。
【0027】
次に、様々な実施例を、いくつかの実施例が示されている添付の図面を参照してより完全に説明する。これらの図面では、線の太さ、層もしくは領域の大きさは、明瞭化のために誇張されている場合がある。任意選択的なコンポーネントは、切れ線、破線または点線を使用して示される場合もある。
【0028】
したがって、これらの実施例は、様々な変更および代替的形態が可能であるが、それらの実施形態は、図面において例として示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、これらの実施例を開示された特定の形態に限定する意図はなく、それどころか、これらの実施例は、本発明の範囲内に入るすべての変更、等価物、および代替物を対象にするものであることが理解されるべきである。同様の番号は、図面の説明全体を通して、同種または類似の要素を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、別段の指示がない限り、非排他的な「または」を指す(例えば、「~かそうでなければ~」あるいは「~か代替的に~」)。さらに、本明細書で使用される場合、要素間の関係を説明するために使用される語は、別段の指示がない限り、直接的な関係または介在要素の存在を含むように広く解釈されるべきである。例えば、ある要素が他の要素に「接続」または「結合」されていると言及される場合、その要素は他の要素に直接接続または結合されていてもよいし、介在要素が存在していてもよい。対照的に、ある要素が他の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と言及される場合、介在要素は存在しない。同様に、「との間」、「隣接する」などの単語も同様に解釈されるべきである。
【0030】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とするものであり、実施例の限定を意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上特に明記しない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含んでいる」、「含有する」または「含有している」は、記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0031】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、実施例が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、用語、例えば、一般的に使用される辞書で定義される用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのようには定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されるであろう。
【0032】
図1aおよび
図1bは、(
図1cに示されている)送受信機100とモバイル送受信機200との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための方法の例のフローチャートを示す。以下では、送受信機100を基地局100として説明する。しかしながら、送受信機100は、代替的に別のモバイル送受信機100であってもよい。本方法は、モバイル送受信機の位置に関する情報および移動に関する情報を取得するステップ110を含む。本方法は、モバイル送受信機の位置に基づいて、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力を決定するステップ120を含む。本方法は、モバイル送受信機の位置および移動に基づいて、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合を決定するステップ130を含む。本方法は、予測される受信電力に基づいて、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいて、無線通信リンクの予測されるスループットを決定するステップ160を含む。本方法は、無線通信リンクの予測されるスループットに基づいて、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定するステップ170を含む。
【0033】
図1cは、送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質を予測するための対応する装置10の例のブロック図を示す。本装置10は、モバイル通信システムにおいて通信するための1つまたは複数のインターフェース12を含む。本装置は、
図1aおよび/または
図1bに関連して説明した方法を実行するように構成された制御モジュール14を含む。例えば、1つまたは複数のインターフェースは、モバイル送受信機100と通信するために使用されてよく、制御モジュールは、計算を実行するために使用されてよい。一般に、本装置10の機能は、通信に関して1つまたは複数のインターフェース12と連携する制御モジュール14によって提供される。1つまたは複数のインターフェース12は、制御モジュール14と結合されている。
図1cはさらに、本装置10を含む送受信機/基地局100を示す。
図1cはさらに、(本装置10を備えた)送受信機/基地局100とモバイル送受信機200とを含んでいるシステムを示す。
【0034】
以下の説明は、
図1aおよび/または
図1bの方法、
図1cの対応する装置10および基地局100、ならびに対応するコンピュータプログラムに関する。
【0035】
本開示の実施形態は、送受信機/基地局およびモバイル通信デバイスなどの無線通信デバイス、ならびに対応する方法、装置およびコンピュータプログラムに関する。以下では、2つの無線通信デバイス、基地局およびモバイル送受信機は、相互に通信していると見なされてよい。この通信は、通常、(無線)チャネルを介して2つの無線通信デバイス間で交換される無線伝送を使用して実行される。少なくともいくつかの実施形態では、チャネルは、2重分散チャネルであると見なされてよい。この通信は、さらにより小さな単位に細分化される場合がある。一般に、無線通信では、フレームまたはデータフレームは、複数のシンボルを含むかまたは表すコヒーレントな単位であると見なされる。例えば、フレームは、1つまたは複数のタイムスロットを含む(またはそれらからなる)周期的に繰り返されるデータブロックとして定義されてよい。これらのタイムスロットにおいて、データは、複数の異なるキャリア周波数を介して伝送されてよい。例えば、実施形態において、各フレームは、複数のキャリア周波数を介して伝送される複数のタイムスロットを含む。それに応じて、データフレームは、時間-周波数平面内で伝送されると考えることができ、ここで、タイムスロットは、時間-周波数平面の時間次元にまたがり、ここで、キャリア周波数は、時間-周波数平面の周波数次元にまたがる。この時間周波数平面は、時間次元と周波数次元とにまたがる(論理的な)グリッドをモデル化するために使用できる。これは論理的な構成であり、データフレームの伝送中に、タイムスロットとキャリア周波数とにマッピングされる。一般に、時間-周波数平面内のこのグリッドは、データフレームの伝送に使用される帯域幅範囲と、フレームの伝送に使用される時間とによって区切られる(この時間は1つまたは複数のタイムスロットに細分化される)。したがって、実施形態において、各データフレームは、時間次元の分解能と周波数次元の分解能とを有している時間-周波数平面内の2次元グリッドに基づいている。
【0036】
(時間-周波数平面内および遅延-ドップラー平面内の)グリッドが信号を表現するために使用される場合がある。マルチキャリア伝送ベースの無線通信システムでは、計算上実現可能な等化器は、時間-周波数グリッドの不整合にわずらわされる可能性がある。パリティは、ガボール合成および分析パルスを、チャネルの遅延およびドップラー拡散と完全にグリッド整合させることで達成される場合がある。しかしながら、これは、ユーザーの移動性が変化し、それに応じてチャネルも変化するため、実際には達成できない場合もある。このことは、性能低下(エラー率の上昇)につながる可能性がある。OTFS、OFDMおよびFBMCなどのマルチキャリア伝送ベースの無線通信システムの理論的研究では完璧なグリッド整合が想定されているため、多くの場合、これはグリッドの不整合によって引き起こされる可能性がある。例えば、無線通信リンクの予測されるスループットは、無線通信リンクに使用されるマルチキャリア伝送ベースの無線通信システムに基づいて決定されてよい。例えば、無線通信リンクは、マルチキャリア伝送ベースの無線通信システムに基づいてよい。例えば、無線通信リンクは、OFDMベースの無線通信システム、OTFSベースの無線通信システム、およびFBMCベースの無線通信システムのうちの1つに基づいてよい。残念なことに、グリッド不整合は、性能の著しい低下を引き起こす可能性がある。
【0037】
本開示の様々な実施形態は、このグリッド、またはむしろグリッド不整合、例えば使用されるグリッドが無線通信リンクのための理想的な時間-周波数グリッドと異なっていることに起因する性能低下が、無線通信リンクのスループットに大きな影響を及ぼし、したがって、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質にも影響を及ぼすという知見に基づいている。
【0038】
改善された性能を得るために、無線通信デバイス間の通信に使用されるチャネルに整合する、時間-周波数平面におけるグリッドのための時間分解能および周波数分解能が選択されてよい。送受信機/基地局およびモバイル送受信機などの無線通信デバイス間の通信に使用されるチャネルに整合する、時間-周波数平面内のグリッドのためのそのような時間分解能および周波数分解能は、無線通信リンクを介した通信のための理想的な時間-周波数-グリッド構成を意味する場合がある。換言すれば、理想的な時間-周波数-グリッド構成は、無線通信デバイス間の通信に使用されるチャネルに整合するものである。例えば、異なるシナリオでは、チャネルを介して伝送される信号は、異なる量の遅延拡散およびドップラー拡散を被り得る。そのような異なるチャネルを考慮するために、グリッドは、チャネルのそれぞれの特性が考慮されるように選択されてよい。より低い相対速度の場合、時間領域での分解能はあまり必要とされず、より大きな遅延が発生する場合は、周波数領域でのより高い分解能が望まれる場合がある。例えば、より高い相対速度の場合には、時間領域でのより高い分解能(すなわち、より多くの点)を有するグリッドが(より高いドップラー拡散を可能にするために)有利となる場合があり、一方、より低い相対速度の場合には、周波数領域でのより高い分解能(すなわち、より多くの点)を有するグリッドが有利となる場合がある。
【0039】
理論的には、各通信のために「完璧な」グリッドを選択することが可能な場合がある。しかしながら、実際には、無線通信デバイスの実装の複雑さを低減するために、グリッド構成(または通信モード)の数を制限することがより有用な場合がある。グリッド構成は、時間-周波数平面における2次元グリッドの周波数次元の分解能と時間次元の分解能との組み合わせを定義する。
【0040】
一般に、モバイル送受信機の位置および移動は、グリッド不整合を決定するために使用してよい。したがって、本方法は、モバイル送受信機の位置に関する情報および移動に関する情報を取得する(例えば受信する)ステップ110を含む。そのような情報は、例えば、送受信機/基地局がビーム形成および/またはハンドオーバー目的のためにモバイル送受信機を追跡するように、送受信機/基地局で利用可能であってもよく、あるいは、モバイル送受信機の位置に関する情報および/または移動に関する情報は、モバイル送受信機から受信されてもよい。例えば、モバイル送受信機の位置に関する情報は、モバイル送受信機の座標、または送受信機/基地局を取り囲むカバレッジマップ上のモバイル送受信機の位置を含むことができる。この情報は、無線通信リンクの遅延拡散、したがって時間-周波数-グリッドの時間成分の「理想的な」構成を予測するために使用されてよい。モバイル送受信機の移動に関する情報は、送受信機/基地局に相対するモバイル送受信機の速度に関する情報、モバイル送受信機の移動ベクトルに関する情報、および/またはモバイル送受信機の過去の経路および/または将来的経路に関する情報を含むことができる。この情報は、送受信機/基地局に相対するモバイル送受信機の速度を決定し、この速度に基づいて無線通信リンクのドップラー拡散を予測し、したがって時間-周波数-グリッドの周波数成分の「理想的」な構成を決定するのに十分であり得る。
【0041】
本方法は、モバイル送受信機の位置および移動に基づいて、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合を決定するステップ130を含む。この文脈において、「理想的な時間-周波数-グリッド構成」という用語を文字通りに解釈してはならない。なぜなら、理想的な時間-周波数-グリッド構成もまた時間と場所との変動があり、したがって、モバイル送受信機の進行に依存して変化するからである。その代わりに、「理想的な時間-周波数-グリッド構成」は、予め定義された複数のグリッド構成の中で、例えば所与の時間における無線通信リンクの予測される遅延-ドップラー拡散に最も密接に整合する構成であってよい。換言すれば、「理想的な時間-周波数-グリッド構成」は、モバイル送受信機の進行のどの時点においても理想的であるとは見なされないかもしれないが、無線通信リンクの予測される遅延-ドップラー拡散に関して、複数の事前定義されたグリッド構成の中で最良であろう。例えば、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合は、無線通信リンクの予測される遅延-ドップラー拡散に基づいてよい。上記で指摘したように、予測される遅延ドップラー拡散のドップラー成分は、モバイル送受信機の移動速度に基づいてよい。予測される遅延ドップラー拡散の遅延成分は、モバイル送受信機の位置に基づいてよい。計算を簡略化するために、予測される遅延-ドップラー拡散は、送受信機/基地局の周囲の様々な位置およびモバイル送受信機の様々な速度について事前に計算された値に基づいて決定されてよい。例えば、データベースは、モバイル送受信機の所与の位置および/または移動に対する遅延拡散および/またはドップラー拡散に関する値を格納するために使用されてよい。例えば、遅延拡散および/またはドップラー拡散に関する値は、送受信機の無線チャネルの2次統計量に基づくか、またはそれを含んでいてよい。例えば、遅延-ドップラー拡散のドップラー成分および遅延成分のうちの少なくとも一方は、モバイル送受信機の移動および/または位置に基づいてデータベースからそれぞれの情報を検索することによって、かつ/または機械学習に基づいてよいデータ駆動アルゴリズムを使用して決定されてよい。例えば、機械学習モデルは、モバイル送受信機の位置および/または移動に基づいて、遅延-ドップラー拡散のドップラー成分および遅延成分のうちの少なくとも一方を出力するようにトレーニングされてよい。例えば、機械学習モデルは、トレーニングデータとして、遅延成分および/またはドップラー成分と、対応する位置および/または移動とに関する履歴データを使用してトレーニングされてよい。例えば、教師あり学習アルゴリズムが機械学習モデルのトレーニングに使用されてよい。
【0042】
予測されるグリッド不整合に加えて、無線通信リンクの予測される受信電力がスループットの予測に使用される。したがって、本方法は、モバイル送受信機の位置に基づいて、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力を決定するステップ120を含む。重ねて、無線通信リンクの予測される受信電力は、モバイル送受信機の位置に基づいて、データベース、例えばカバレッジマップから取得することができる。換言すれば、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力は、送受信機/基地局の無線環境のカバレッジマップに基づいて決定してよい。例えば、データベースおよび/またはカバレッジマップは、送受信機/基地局のカバレッジエリアについて、モバイル送受信機の位置に基づいて取得され得る予測される受信電力について事前計算された値を含むことができる。例えば、送受信機/基地局、および/または送受信機/基地局用の装置10は、基地局および/またはカバレッジマップを含むことができる。
【0043】
本方法は、予測される受信電力に基づいて、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいて、無線通信リンクの予測されるスループットを決定するステップ160、例えば、計算するステップを含む。例えば、予測される受信電力は、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の不整合の影響の電力によって除算されてよい。この比率は、その後、これらの条件下で実行可能な変調/符号化方式を決定するために使用されてよく、これは、順次、スループットを予測するために使用されてもよい。
【0044】
スループットを予測する場合に考慮されてよい他の要因も複数存在する。例えば、上記の比率は、無線通信リンクを介した送受信機/基地局の無線伝送をモバイル送受信機が(またはその逆が)どの程度受信できるかを表す比率である。受信電力およびグリッド不整合に起因する電力損失に加えて、無線通信リンク上の干渉および/または受信機における雑音を、例えば信号対干渉雑音比を計算するために考慮してよい。したがって、本方法は、無線通信リンク上で(例えば1つまたは複数の他のモバイル送受信機によって)予測される干渉を決定するステップ140を含むことができる。本方法は、モバイル送受信機における予測される受信機雑音電力を決定するステップ150を含むことができる(これは帯域幅に基づいていてもよい)。どちらの要因も、モバイル通信システム内で一般的に計算されるものであり、例えば、送受信機/基地局に向けたモバイル送受信機のチャネル品質報告などがある。これらの3つまたは4つのコンポーネントに基づいて、スループットが予測されてよい。例えば、無線通信リンクの予測されるスループットは、さらに無線通信リンク上の予測される干渉に基づいて、かつ/またはさらにモバイル送受信機における予測される受信機雑音電力に基づいて決定されてよい。
【0045】
例えば、無線通信リンクの予測されるスループットは、予測される信号対干渉雑音比に基づいて決定されてよい。例えば、このSINRは、予測される受信電力(P)に基づいていてよく、理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合(Pgrid mismatch)に基づいていてもよく、無線通信リンク上の予測される干渉(Pinterference)に基づいていてもよく、さらにモバイル送受信機における予測される受信機雑音電力(σ2)に基づいていてもよい。例えば、SINRを決定するために、以下の式
SINR=P/(σ2+Pgrid mismatch+Pinterference)
または類似の式が使用されてよい。
【0046】
予測されるスループットは、SINRから導出されてもよい。例えば、
図3cに示されているように、SINRに応じて、異なる変調方式/符号化方式が送受信機/基地局によって使用されていてもよく、これによって到達可能なスループットが定義または制限される。例えば、スループットは、使用される変調方式(例えば、QPSK、16QAM、64QAM)と使用される符号化率との組み合わせに基づいていてもよい。さらに、スループットはMIMO(Multiple Input, Multiple Output)の使用状況に基づいていてもよい。例えば、無線通信リンクの予測スループットは、予測される信号対干渉雑音比に基づいて選択された変調方式(および符号化率)に基づいて決定されていてもよい。例えば、SINRが高いほど、使用される変調方式および/または符号化方式はより複雑になり、より高いスペクトル効率、したがってスループットに結び付く可能性がある。
【0047】
予測されるスループットの決定における別の要因は、送受信機/基地局がどの程度ビジーであるかである。他の送受信機によって引き起こされるトラフィックの量に依存して、例えば、モバイル送受信機が送受信機/基地局で利用可能な無線リソースを他のモバイル送受信機と共有しなければならない場合があるため、先に決定された(理論上の)スループットの一部のみがモバイル送受信機のために利用可能である場合がある。例えば、無線通信リンクの予測されるスループットは、さらに送受信機/基地局における無線リソースの利用可能性に基づいて決定されていてよい。例えば、SINRに基づいて予測される理論上のスループットは、理論上の最大値であってよく、送受信機/基地局における無線リソースの利用可能性に基づいて低減されていてもよい。例えば、利用可能な無線リソースは、送受信機/基地局において利用可能な時間リソース、周波数リソース、符号化リソース、および空間リソースのうちの1つまたは複数に基づいていてよい。
【0048】
本方法は、無線通信リンクの予測されるスループットに基づいて、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質を決定するステップ170を含む。予測される将来的サービス品質は、モバイル送受信機に通信されるか、または送受信機/基地局によって無線リンクを介して伝送されるコンテンツの品質が適合化されてよい。換言すれば、本方法は、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に基づいて、無線通信リンクを介した送受信機/基地局の現在の通信または将来的通信を適合化するステップを含むことができる。付加的または代替的に、本方法は、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に関する情報をモバイル送受信機200に提供するステップ180を含むことができる。
【0049】
例えば、予測される将来的サービス品質は、将来の時点または時間間隔についての無線通信リンクの予測される最小のスループット、平均のスループット、または最大のスループットを定義することができる。換言すれば、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に関する情報は、無線リンクの予測されるスループットに関する情報、例えば無線リンクの予測される最小のスループット、平均のスループット、および/または最大のスループットに関する情報を含むことができる。付加的に、予測される将来的サービス品質は、将来の時点または時間間隔についての無線通信リンクの予測される最小の待ち時間、平均の待ち時間、または最大の待ち時間を定義してもよい。換言すれば、無線通信リンクの予測される将来的サービス品質に関する情報は、無線リンクの予測される待ち時間に関する情報、例えば、無線リンクの予測される最小の待ち時間、平均の待ち時間、および/または最大の待ち時間に関する情報を含むことができる。
【0050】
送受信機/基地局100およびモバイル送受信機200、または
図1cの装置10および
図2bの装置20は、モバイル通信システムを介して通信することができる。モバイル通信システムは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)標準化モバイル通信ネットワークのうちの1つに対応することができ、ここで、モバイル通信システムという用語は、モバイル通信ネットワークと同義に使用されている。したがって、メッセージ(入力データ、測定データ、制御情報)は、複数のネットワークノード(例えばインターネット、ルータ、スイッチなど)およびモバイル通信システムを介して通信されていてよく、これにより、実施形態において考慮される遅延または待ち時間が発生する。
【0051】
モバイル通信システムまたは無線通信システムは、第5世代のモバイル通信システム(5GまたはNew Radio)に対応することができ、mm波技術を使用することができる。モバイル通信システムは、例えば、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-アドバンス(LTE-A)、ハイスピードパケットアクセス(HSPA)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム(UMTS)、またはUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)、evolved-UTRAN(e-UTRAN)、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)もしくはGSMエボリューション(EDGE)ネットワーク用拡張データーレート、GSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)、または異なる標準規格を用いたモバイル通信ネットワーク、例えば、Worldwide Inter-operability for Microwave Access(WIMAX)ネットワークIEEE 802.16もしくは無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)IEEE 802.11、一般に直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、広帯域CDMA(WCDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、空間分割多元接続(SDMA)ネットワークなどに対応するか、またはこれらを含むことができる。
【0052】
サービス提供は、基地局100などのネットワークコンポーネントによって実行されてよい。基地局は、1つまたは複数のアクティブなモバイル送受信機/車両と通信するように動作可能または構成可能であり、ある基地局は、別の基地局、例えばマクロセル基地局もしくはスモールセル基地局のカバレッジエリア内かまたはカバレッジエリアに隣接して配置することができる。したがって、これらの実施形態は、モバイル送受信機/車両200と基地局100とを含んだモバイル通信システムを提供することができ、ここで、基地局は、例えばピコセル、メトロセル、またはフェムトセルとして、マクロセルもしくはスモールセルを確立することができる。モバイル送受信機もしくはUEは、スマートフォン、携帯電話、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ユニバーサルシリアルバス(USB)スティック、自動車、車両、道路利用者、交通エンティティ、交通インフラストラクチャなどに対応することができる。モバイル送受信機は、3GPPの用語に合わせてユーザー機器(UE)またはモバイルと称される場合もある。
【0053】
基地局は、ネットワークまたはシステムの固定部分または定常部分に配置することができる。基地局は、リモート無線ヘッド、伝送ポイント、アクセスポイント、マクロセル、スモールセル、マイクロセル、フェムトセル、メトロセルなどであるか、またはこれらに対応していてよい。基地局は、UEもしくはモバイル送受信機への無線信号の伝送を可能にする有線ネットワークの無線インターフェースであり得る。そのような無線信号は、例えば、3GPPによって標準化された無線信号、または一般に、上記で挙げられたシステムの1つまたは複数に合わせた無線信号に準拠することができる。したがって、基地局は、NodeB、eNodeB、gNodeB、ベーストランシーバー基地局(BTS)、アクセスポイント、リモート無線ヘッド、中継局、伝送ポイントなどに対応することができ、さらにリモートユニットおよびセントラルユニットに細分化される場合がある。
【0054】
モバイル送受信機または車両200は、基地局100などの基地局もしくはセルに関連付けることができる。セルという用語は、基地局、例えば、NodeB(NB)、eNodeB(eNB)、gNodeB、リモート無線ヘッド、伝送ポイントなどによって提供される無線サービスのカバレッジエリアを指す。基地局は、1つまたは複数の周波数レイヤ上で1つまたは複数のセルを動作させることができ、いくつかの実施形態では、セルは、セクタに対応することができる。例えば、セクタは、リモートユニットもしくは基地局の周囲の角度区間をカバーするための特性を提供するセクタアンテナを使用して実現することができる。いくつかの実施形態では、基地局は、例えば、それぞれ120°(3セルの場合)のセクタをカバーする3セル、または60°(6セルの場合)のセクタをカバーする6セルを動作させることができる。基地局は、複数のセクタ化されたアンテナを動作させることができる。以下では、セルは、そのセルを生成する対応する基地局を表す場合もあり、同様に、基地局は、その基地局が生成するセルを表す場合もある。
【0055】
装置10は、実施形態において、サーバ、基地局、NodeB、中継局、モバイル送受信機、または任意のサービス調整ネットワークエンティティに含まれていてもよい。ネットワークコンポーネントという用語には、基地局、サーバなどの複数のサブコンポーネントが含まれ得ることに留意されたい。
【0056】
実施形態において、1つまたは複数のインターフェース12は、アナログもしくはデジタル信号または情報を取得、受信、伝送もしくは提供するための任意の手段、例えば、信号または情報を提供もしくは取得できる任意のコネクタ、接点、ピン、レジスタ、入力ポート、出力ポート、導体、レーンなどに対応することができる。インターフェースは、無線もしくは有線であってよく、内部もしくは外部のさらなるコンポーネントと通信、すなわち信号や情報を送信または受信するように構成されていてもよい。1つまたは複数のインターフェース12は、モバイル通信システムにおいて対応する通信を可能にするためのさらなるコンポーネントを含むことができ、そのようなコンポーネントは、1つまたは複数の低雑音増幅器(LNA)、1つまたは複数の電力増幅器(PA)、1つまたは複数のデュプレクサ、1つまたは複数のダイプレクサ、1つまたは複数のフィルタもしくはフィルタ回路、1つまたは複数のコンバータ、1つまたは複数のミキサ、相応に適合化された無線周波数コンポーネントなどの送受信機(送信機および/または受信機)コンポーネントを含むことができる。1つまたは複数のインターフェース12は、ホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどの任意の送信および/または受信アンテナに対応し得る1つまたは複数のアンテナに結合されていてよい。これらのアンテナは、一様アレイ、線形アレイ、円形アレイ、三角形アレイ、一様フィールドアンテナ、フィールドアレイ、それらの組み合わせなど、定義された幾何学的設定で配置されていてよい。いくつかの例では、1つまたは複数のインターフェース12は、情報、入力データ、制御情報、さらなる情報メッセージなどのような情報を送信または受信する目的に、あるいは送信および受信の両方の目的に使うことができる。
【0057】
図1cに示されているように、それぞれの1つまたは複数のインターフェース12は、装置10においてそれぞれの制御モジュール14に結合されている。実施形態において、制御モジュール14は、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数の処理デバイス、プロセッサ、コンピュータ、もしくは相応に適合化されたソフトウェアを用いて操作可能であるプログラミング可能なハードウェアコンポーネントなどの任意の処理手段を使用して実装されてよい。換言すれば、制御モジュール14の説明された機能は、同様にソフトウェアで実装されていてもよく、次いで、その機能は、1つまたは複数のプログラミング可能なハードウェアコンポーネント上で実行される。そのようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含むことができる。
【0058】
実施形態において、1つまたは複数のインターフェース12は、モバイル通信システムでは無線通信するように構成することができる。そのようにするために、無線リソースでは、例えば、周波数リソース、時間リソース、コードリソース、および/または空間リソースが使用され、それらは、モバイル送受信機との無線通信に使用されてよい。無線リソースの割り当ては、基地局によって制御される場合がある。ここおよび以下では、各コンポーネントの無線リソースは、無線キャリア上で考えられる任意の無線リソースに対応することができ、それらは、各キャリア上で同じもしくは異なる粒状性を使用することができる。無線リソースは、リソースブロック(LTE/LTE-A/LTE-アンライセンス(LTE-U)におけるRB)、1つまたは複数のキャリア、サブキャリア、1つまたは複数の無線フレーム、無線サブフレーム、無線スロット、それぞれの拡散要因を潜在的に有する1つまたは複数の符号シーケンス、空間サブチャネル、空間プリコーディングベクトルなどの1つまたは複数の空間リソース、それらの任意の組み合わせなどに対応することができる。
【0059】
送受信機/基地局100、装置10、および対応する方法のさらなる詳細および態様は、提案された構想または上述もしくは後述の1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、
図2a~
図3d)。送受信機/基地局100、装置10、および対応する方法は、提案された構想または上述もしくは後述の1つまたは複数の例の1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意選択的な付加的特徴を含むことができる。
【0060】
図2aは、モバイル送受信機200のための方法の一例のフローチャートを示す。本方法は、基地局100もしくはさらなるモバイル送受信機100などの送受信機100から、モバイル送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報を受信するステップ210を含む。
図1A~
図1Cに関連して指摘したように、送受信機100は、基地局100として導入されている。しかしながら、代替的に、送受信機100は、さらなるモバイル送受信機100であってもよい。無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報は、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力に基づいており、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいている。
【0061】
図2Bは、モバイル送受信機に対応する装置20の例のブロック図を示す。本装置20は、モバイル通信システムで通信するための1つまたは複数のインターフェース22を含む。本装置は、
図2aに関連して説明した方法を実行するように構成された制御モジュール24を含む。例えば、1つまたは複数のインターフェースは、送受信機/基地局100と通信するために使用されてよく、制御モジュールは、計算を実行するために使用されてよい。一般に、装置20の機能は、通信に関して1つまたは複数のインターフェース22と連携する制御モジュール24によって提供されている。1つまたは複数のインターフェース22は、制御モジュール24と結合されている。
図2Bではさらに、装置20を含んでいるモバイル送受信機が示されている。例えば、モバイル送受信機は、スマートフォンなどのモバイルデバイスであってもよいし、車両であってもよい。
図2cは、装置20を含んでいる車両200を示す。
図2bではさらに、送受信機/基地局100と、(装置20を有する)モバイル送受信機200とを含んでいるシステムが示されている。
【0062】
以下の説明は、
図2aの方法、
図2bの対応する装置20およびモバイル送受信機200、および対応するコンピュータプログラムに関する。
【0063】
本方法は、送受信機/基地局100から、モバイル送受信機とモバイル送受信機との間の無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報を受信するステップ210を含む。例えば、無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報は、
図1a~
図1cに関連して説明したように実施されてよい。特に、無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報は、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力に基づいており、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいている。例えば、無線通信リンクの将来的サービス品質に関する情報は、モバイル送受信機における無線通信リンクの予測される受信電力に基づいて予測され、かつ理想的な時間-周波数-グリッド構成と無線通信リンクに使用される時間-周波数-グリッド構成との間の予測される不整合に基づいて予測される無線リンクの予測されるスループットに基づいていてよい。例えば、予測されるスループット、したがって予測される将来的サービス品質は、さらに、無線通信リンク上の予測される干渉、モバイル送受信機における予測される受信機雑音電力、予測される信号対干渉雑音比に基づいて選択される変調方式、および送受信機/基地局における無線リソースの利用可能性のうちの1つまたは複数に基づいていてよい。
【0064】
予測される将来的サービス品質に基づいて、結果は、無線通信リンク上で実行される通信を調整するために使用されてよい。換言すれば、本方法は、予測される将来的サービス品質に従って、例えば、無線通信リンクの予測されるさらなるサービス品質に基づいて、無線通信リンク上で伝送されるコンテンツの1つまたは複数のパラメータを調整することによって、無線通信リンク上で通信を行うステップ220を含むことができる。例えば、本方法は、コンテンツのデータ伝送レート、コンテンツ内に提供される冗長性の量、実行されるバッファリングの量、コンテンツのパケットサイズなどのうちの少なくとも1つを調整するステップを含むことができる。代替的または付加的に、結果は、将来的サービス品質が低下すると推定される場合、例えばプラツーン内の車間距離の増加などによる車両用途への適合化のために使用されてよい。
【0065】
実施形態において、1つまたは複数のインターフェース22は、アナログもしくはデジタル信号または情報を取得、受信、伝送もしくは提供するための任意の手段、例えば、信号または情報を提供もしくは取得できる任意のコネクタ、接点、ピン、レジスタ、入力ポート、出力ポート、導体、レーンなどに対応することができる。インターフェースは無線もしくは有線であってよく、内部もしくは外部のさらなるコンポーネントと通信、すなわち信号や情報を伝送もしくは受信するように構成されていてもよい。1つまたは複数のインターフェース22は、モバイル通信システムにおいて対応する通信を可能にするためのさらなるコンポーネントを含むことができ、そのようなコンポーネントは、1つまたは複数の低雑音増幅器(LNA)、1つまたは複数の電力増幅器(PA)、1つまたは複数のデュプレクサ、1つまたは複数のダイプレクサ、1つまたは複数のフィルタもしくはフィルタ回路、1つまたは複数のコンバータ、1つまたは複数のミキサ、相応に適合化された無線周波数コンポーネントなどの送受信機(送信機および/または受信機)コンポーネントを含むことができる。1つまたは複数のインターフェース22は、ホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどの任意の送信および/または受信アンテナに対応し得る1つまたは複数のアンテナに結合されていてよい。これらのアンテナは、一様アレイ、線形アレイ、円形アレイ、三角形アレイ、一様フィールドアンテナ、フィールドアレイ、それらの組み合わせなど、定義された幾何学的設定で配置されていてよい。いくつかの例では、1つまたは複数のインターフェース22は、情報、入力データ、制御情報、さらなる情報メッセージなどのような情報を、送信または受信する目的に、あるいは送信および受信の両方の目的に使うことができる。
【0066】
図1cに示されているように、それぞれの1つまたは複数のインターフェース22は、装置20においてそれぞれの制御モジュール24に結合されている。実施形態において、制御モジュール24は、1つまたは複数の処理ユニット、1つまたは複数の処理デバイス、プロセッサ、コンピュータ、または相応に適合化されたソフトウェアを用いて操作可能であるプログラム可能なハードウェアコンポーネントなどの任意の処理手段を使用して実装されてよい。換言すれば、制御モジュール24の説明された機能は、同様にソフトウェアで実装されてもよく、次いでその機能は、1つまたは複数のプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行される。そのようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを含むことができる。実施形態において、1つまたは複数のインターフェース22は、モバイル通信システムにおいて無線通信するように構成することができる。
【0067】
モバイル送受信機/車両200、装置20、および対応する方法のさらなる詳細および態様は、提案された構想または上述もしくは後述の1つまたは複数の例に関連して言及されている(例えば、
図1a~
図1c~
図3a~
図3d)。モバイル送受信機/車両200、装置20、および対応する方法は、提案された構想または上述もしくは後述の1つまたは複数の例の1つまたは複数の態様に対応する1つまたは複数の任意選択的な付加的特徴を含むことができる。
【0068】
本開示の様々な態様は、マルチキャリア伝送システムにおける高度な性能予測のための方法に関する。
【0069】
将来的車両通信システムでは、様々な移動条件下で高い信頼性と効率とが要求される。通信システムは、それらの性能にばらつきがあるが、通信品質は予測される場合がある。よく知られたアプローチは、無線マップに基づいてスループットを予測することである。そのような無線マップは、カバレッジマップとも呼ばれる。スループットは、推定される受信電力に基づいて予測される。しかしながら、グリッド不整合に起因する性能低下は考慮されていない。
【0070】
受信電力に加えて、パルスとグリッドの構成はビット誤り率(BER)に大きな影響を与える。マルチキャリアシステムのグリッドは、タイムシフトの長さTと周波数シフトの長さFとによって定義される。換言すれば、TおよびFは、それぞれ、1つのタイムシンボルおよびサブキャリア間隔の長さである。5G NR(5th generation mobile communication system New Radio)の場合、時間-周波数領域から時間領域で波形を得るために矩形パルスが使用される。そのような変換は、単純なフーリエ変換またはガボールフィルタバンクによって実施されてよい。
【0071】
しかしながら、この態様は、これまでのスループット予測については考察されてこなかった。5G NRは、ミニスロットおよびスケーリング可能なサブキャリア間隔(SCS;scalable subcarrier spacing)などの複数の構成オプションを提供する。
図3Aは、5G NRについての(異なる)構成の例を示している。例えば、1つのサブフレームは、1msの持続時間を有することができる。15kHzでは、サブフレームは、14個のシンボルを有する1つのスロットを含むことができる。30kHzでは、サブフレームは、各々14個のシンボルを有する2つのスロットを含むことができる。60kHzでは、サブフレームは、各々14個のシンボルを有する4つのスロットを含むことができる。120kHzでは、サブフレームは、各々14個のシンボルを有する8つのスロットを含むことができる。
【0072】
ここでは、チャネル特性、すなわち遅延拡散およびドップラー拡散が整合するようにグリッドを構成することが望まれる。P.JungおよびG.Wunderらによる文献「WSSUS pulse design problem in multicarrier transmission」から引用した以下の式、
1<const.=TF;T/F=σ
t/σ
f=τ
max/2v
max
および
図3bは、高い性能を得るためにグリッドおよびパルスが、理論的な観点からどのようにチャネル実現に整合されるべきかを表している。この式およびτ
max/2v
maxが示された
図3bは、チャネル遅延およびドップラーシフトに依存した効率的な通信のためのマルチキャリアガボールパルス設計規則を与える。
【0073】
以下の方法:
受信電力(P)を推定するためにカバレッジマップが使用されてよい
方法のうちの1つまたは複数の動作は、送受信機/基地局において実行されてよい。
【0074】
遅延拡散およびドップラー拡散によって引き起こされて被られるグリッド不整合は、P
grid mismatchの決定のために、ユーザー機器(UE、モバイル送受信機も含む)の速度と、UEの位置および経路に基づく遅延データベースとに依存して予測されてよい。このグリッド不整合は、グリッド構成に、すなわち5G NR用に構成可能なサブキャリア間隔およびタイムシンボル長に依存する(
図3a参照)。
【0075】
他のBSおよびUEによって引き起こされる干渉が予測されてもよい(Pinterference)。これは、UEの位置と将来的経路、ならびにそれらの間の伝送構成(周波数、グリッドなど)を使用して行ってよい。
【0076】
受信機雑音電力σ2は、帯域幅Bに依存して予測されてよい。
【0077】
1つまたは複数の先行の予測結果は、例えば以下の式:
SINR=P/(σ2+Pgrid mismatch+Pinterference)
を使用して、信号対干渉雑音比(SINR)を予測するために使用してよい。
【0078】
さらに、どの波形が使用されているか、すなわちOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)、OTFS(Orthogonal Time Frequency Space)などが使用されているかを考慮してもよく、これらは、異なるBER性能に結び付く可能性がある。
【0079】
可能なスループットは、モバイル通信システム(MCS)の構成に基づいているSINRを用いて、スペクトル効率にリンクして予測されてよい。
図3cは、異なるSINRにおけるスペクトル効率を表したグラフを示し、ここではX軸にSINRがdBで示され、スペクトル効率はビット/s/Hzで示されている。
図3cから見てとれるように、SINRが高いほど、変調方式/符号化が複雑になり、スペクトル効率が高くなることに結び付いている可能性がある。
図3cは、変調QPSK(Quadrature Phase-Shift Keying)310、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)320、および64QAMについてのサブグラフと、理論的なシャノン限界340とを示している。
【0080】
さらに、対応するセルのリソース割り当てが考慮されてよく、すなわち、いくつのリソースが1つのUEに利用可能になり得るかなどである。
【0081】
図3dは、提案されたスループット予測のための可能な入力を示す。例えば、スループット350は、1つまたは複数のUEの情報351(速度、位置、将来的経路)、無線マップ352、変調および符号化353、グリッド不整合予測354、リソース割り当て355、および干渉予測356に基づいて予測されてよい。
【0082】
既に述べたように、実施形態において、それぞれの方法は、それぞれのハードウェア上で実行可能なコンピュータプログラムまたはコードとして実装されてよい。したがって、別の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ、プロセッサ、またはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行されるときに、上記の方法の少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。さらなる実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、またはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行されるときに、本明細書に記載の方法のうちの1つをコンピュータに実施させる命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【0083】
当業者であれば、上述した様々な方法のステップが、プログラミングされたコンピュータによって実行され得ること、例えばスロットの位置が決定または計算されてよいことは容易に認識するであろう。本明細書では、いくつかの実施形態は、機械またはコンピュータ可読であり、本明細書に記載される方法のステップの一部または全部を実行する命令の機械実行可能なプログラムまたはコンピュータ実行可能なプログラムを符号化するプログラム記憶デバイス、例えばデジタルデータ記憶媒体も対象にすることを意図している。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、または光学的に可読なデジタルデータ記憶媒体であってよい。実施形態は、本明細書に記載された方法の前記ステップを実行するようにプログラミングされたコンピュータ、または前述した方法の前記ステップを実行するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブルロジックアレイ((F)PLA)もしくは(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA)を対象にすることも意図している。
【0084】
本明細書および図面は、本発明の原理を単に表すものにすぎない。したがって、当業者であれば、本明細書で明示的に説明または図示されていないものの、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な配列を考案できることが分かるであろう。さらに、本明細書に列挙されるすべての例は、主に、本発明の原理および当該分野のさらなる発展に本発明者が貢献している構想についての読者による理解を助ける教育的目的のためだけを明示的に意図したものであり、そのような特定の例挙された例および条件に限定されるものではないものと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての記述は、それらの等価物を包含することを意図している。プロセッサによって提供される場合、それらの機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、あるいはその一部が共有されてよい複数の個別プロセッサによって提供されてよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語の明示的な使用は、専らソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すものと解釈されるべきではなく、限定されることなく、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗黙的に含むことができる。その他のハードウェア(従来型またはカスタム型)が含まれていてもよい。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通じて、専用ロジックを通じて、プログラム制御と専用ロジックの相互作用を通じて実行されてもよいし、あるいは手動でさえも実行されてよく、特定の技術は、文脈からより明確に理解されるように実装者によって選択可能である。
【0085】
当業者であれば本明細書における任意のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路の概念図を表すものであることは理解されるはずである。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、実質的にコンピュータ可読媒体で表されてよく、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行されてよい様々なプロセスを表していることが分かるであろう。
【0086】
さらに、以下の特許請求の範囲は、本明細書ではより詳細な説明に組み込まれ、ここで各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成立し得る。各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成立し得るのに対し、従属請求項は、特許請求の範囲において、1つまたは複数の他の請求項との特定の組み合わせに言及し得るが、他の実施形態は、従属請求項と他の各従属請求項の対象との組み合わせも含み得ることに留意されたい。特定の組み合わせが意図されていないとの記述がない限り、そのような組み合わせは本明細書で提案される。さらに、請求項が独立請求項に直接従属しない場合であっても、請求項の特徴を任意の他の独立請求項に含めることを意図している。
【0087】
さらに、本明細書または特許請求の範囲に開示された方法は、これらの方法のそれぞれのステップの各々を実行するための手段を有するデバイスによって実装されてよいことに留意されたい。
【符号の説明】
【0088】
10 装置
12 インターフェース
14 制御モジュール
20 装置
22 インターフェース
24 制御モジュール
100 送受信機/基地局
110 位置および移動に関する情報を取得する
120 予測される受信電力を決定する
130 予測されるグリッド不整合を決定する
140 予測される干渉を決定する
150 予測される受信雑音電力を決定する
160 予測されるスループットを決定する
170 将来的サービス品質を決定する
180 将来的サービス品質に関する情報をモバイル送受信機に提供する
200 モバイル送受信機、車両
210 送受信機/基地局から、将来的サービス品質に関する情報を取得する
220 通信を行う
310 QPSK
320 16QAM
330 64QAM
340 シャノン限界
350 予測されるスループット
351 UEの情報
352 無線マップ
353 変調および符号化
354 グリッド不整合予測
355 リソース割り当て
356 干渉予測
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
米国特許出願公開第2011/0273997号明細書は、無線通信システム、スケジューリング方法、無線基地局デバイス、および無線端末に関する。米国特許出願公開第2016/0285683号明細書は、無線ネットワークスキャン動作のための端末デバイスおよび方法に関する。しかしながら、サービス品質が予測されている前述の出願では、無線端末の移動は考慮されていない。
米国特許出願公開第2020/0045559号明細書は、無線通信システムにおけるQoS予測に関連する信号を送受信するための方法に関する。当該出願では、QoS予測に関連する信号の送信について説明されているが、予測の実行に使用される要因の詳細については省略されている。Fodorらによる文献「5G New Radio for Automotive, Rail, and Air Transport」では、5G NR(New Radio)に関する異なる予測水平線の影響について説明し、その性能を比較している。
【国際調査報告】