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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バッテリ、無線タグ及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/46 20060101AFI20240214BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240214BHJP
   H01M 6/40 20060101ALI20240214BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
H01M6/46
G06K19/07 020
H01M6/40
H01M50/528
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550544
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022053395
(87)【国際公開番号】W WO2022179865
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21158807.4
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】522251984
【氏名又は名称】エルメリック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ラング サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】クレープス マルティン
(72)【発明者】
【氏名】フィンク ヴェルナー
【テーマコード(参考)】
5H025
5H043
【Fターム(参考)】
5H025AA10
5H025BB05
5H025CC05
5H025CC26
5H025CC34
5H025CC39
5H043AA05
5H043FA11
5H043FA22
5H043FA26
5H043HA32F
5H043JA15F
5H043KA11F
(57)【要約】
無線タグ(119)に電力を供給するのに適したバッテリ(100)は、層スタックとして形成された第1の単セル及び第2の単セル(114、115)を含み、それそれの単セルは、負電極(107b、107c)及び正電極(108b、108c)と、正電極と負電極との間に配列されたセパレータ(117b、117c)と、複数の別々の電気導体(101、102、103)であって、このうち、第1の単セル(114)の電極のうちの1つ(107b)と電気的に接触する第1の導体(101)、第1の導体(101)が接触していない第1の単セル(114)の電極(108b)を、第2の単セル(115)の、反対の極性を有する電極(107c)に電気接続して、直列接続を形成する第2の導体(102)、及び第2の導体(102)が接触していない第2の単セル(115)の電極(108c)と電気的に接触する第3の導体(103)と、単セル(114、115)及び導体(101、102、103)がその間に配列される第1の基板及び第2の基板(109a、109b)と、を有する。第1の導体及び第3の導体(101、103)は、第1の基板(109a)上に互いに間隔をおいて配置され、一方、第2の導体(102)は、第2の基板(109b)上に配置されている。第1の単セル及び第2の単セル(114、115)の電気接続された電極(108b、107a)は、第2の基板(109b)上に層の形態で並んで配置され、それぞれが第2の導体(102)の部分領域を覆い、すき間(110)によって互いに分離されている。第2の導体(102)を介して互いに接続されていない電極(107b、108a)は、第1の基板(109a)上に層の形態で配置され、第1の導体(101)と電気接触する電極(107b)は、第1の導体(101)の少なくとも一部分を覆い、第3の導体(103)と電気接触する電極(108c)は、第3の導体(103)の少なくとも一部分を覆っている。やはり層の形態をしている単セル(114、115)のセパレータ(117b、117c)がそれぞれ、それらの片方の面が、電気接続された電極(108b、107c)のうちの1つと表面接触し、それらのもう片方の面が、電気接続されていない電極(107b、108c)のうちの1つと表面接触している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグ(119)の送信機及び/又は受信機ユニット(120)に、ピークにおいて400mA以上の電流を供給するのに特に役立つバッテリ(100)であって、以下の特徴、すなわち、
a.層スタックとして形成された第1の単セル及び第2の単セル(114、115)であって、それぞれが、
●負電極(107b、107c)と、
●正電極(108b、108c)と、
●前記正電極(108b、108c)と前記負電極(107b、107c)との間に配列されたセパレータ(117;117a、117b)と、
を有する第1の単セル及び第2の単セル(114、115)を含む、という特徴、
b.複数の別々の電気導体(101、102、103)を含み、そのうち、
●第1の導体(101)が、前記第1の単セル(114)の前記電極のうちの1つ(107b)と電気的に接触し、
●第2の導体(102)が、直列接続を形成する目的で、前記第1の導体(101)が接触していない前記第1の単セル(114)の前記電極(108b)を、反対極性の前記第2の単セル(115)の電極(107c)に電気接続し、
●第3の導体(103)が、前記第2の導体(102)が接触していない前記第2の単セル(115)の前記電極(108c)と電気的に接触する、という特徴、及び
c.第1の基板及び第2の基板(109a、109b)を含み、それらの間に前記単セル(114、115)及び前記電気導体(101、102、103)が配置される、という特徴、
d.前記第1の導体及び前記第3の導体(101、103)が、前記第1の基板(109a)の、前記第2の基板(109b)の方を向いている表面上に互いに距離を置いて配列され、前記第2の導体(102)が、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている表面上に配列される、という特徴、
e.前記第1の単セル及び前記第2の単セル(114、115)の前記電気接続された電極(108b、107c)が、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている前記表面上に層の形態で並んで配置され、それぞれが前記第2の導体(102)の部分領域を覆い、すき間(110)によって互いに分離されている、という特徴、
f.前記第2の導体(102)を介して互いに接続されていない前記電極(107b、108c)が、前記第1の基板(109a)の、前記第2の基板(109b)の方を向いている前記表面上に層の形態で配置され、前記第1の導体(101)と電気接触する前記電極(107b)が、前記第1の導体(101)の少なくとも部分領域を覆い、前記第3の導体(103)と電気接触する前記電極(108c)が、前記第3の導体(103)の少なくとも部分領域を覆っている、という特徴、及び
g.やはり層の形態をしている前記単セル(114、115)の前記セパレータ(117;117b、117c)がそれぞれ、それらの片方の面が、前記電気接続された電極(108b、107c)のうちの1つと表面接触し、それらのもう片方の面が、前記電気接続されていない電極(107b、108c)のうちの1つと表面接触している、という特徴、
を有するバッテリ(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記第1の単セル及び前記第2の単セル(114、115)に加えて、負電極(107d)と、正電極(108d)と、前記負電極(107d)と前記正電極(108d)との間に配列されたセパレータ(117;117d)と、を有する追加の第3の単セル(116)を含む、という特徴
b.前記3つの単セル(114、115、116)が、それらの電圧が加算されるように直列に接続される、という特徴
c.この目的のために、前記第3の導体(103)が前記第3の単セル(116)の電極(107d)と電気接触しており、この導体(103)によって電気接続された前記電極(108c、107d)が反対極性を有する、という特徴
d.前記第3の導体(103)が接触していない前記第3の単セル(116)の前記電極(108d)と電気的に接触する第4の電気導体(104)を含む、という特徴
を有するバッテリ(100)。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記第4の導体(104)が、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている前記表面上に前記第2の導体(102)から間隔をおいて配列されているという特徴
b.前記第3の導体(103)と電気接触している前記第3の単セル(116)の前記電極(107d)が、前記第1の基板(109a)上に層の形態で配置され、前記第3の導体(103)の部分領域を覆い、前記導体(103)上に配置されたさらなる前記電極(108c)からすき間(110)によって分離されているという特徴
c.前記第3の導体(103)と電気接触していない前記第3の単セル(116)の前記電極(108d)が、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている前記表面上に層の形態で配置され、前記第4の導体(104)の少なくとも部分領域を覆っているという特徴
d.やはり層の形態をしている前記第3の単セル(116)の前記セパレータ(117;117d)が、その片方の面が、前記第4の導体(104)上に配置された前記第3の単セル(116)の前記電極(108d)と表面接触し、そのもう片方の面が、前記第3の導体(103)上に配置された前記第3の単セル(116)の前記電極(107d)と表面接触しているという特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記第1の単セル及び前記第2の単セル及び前記第3の単セル(114、115、116)に加えて、負電極(107a)と、正電極(108a)と、前記負電極(107a)と前記正電極(108a)との間に配列された前記セパレータ(117;117a)と、を有する追加の第4の単セル(113)を含む、という特徴
b.前記4つの単セル(113、114、115、116)が、それらの電圧が加算されるように直列に接続される、という特徴
c.前記第3の導体(103)が、前記第3の単セル(116)の電極(107d)と電気的に接触しており、この導体(103)によって電気接続された前記電極(108c、107d)が反対極性を有し、前記第1の導体(101)が、前記第4の単セル(113)の電極(108a)と電気的に接触しており、この導体(101)によって電気接続された前記電極(108a、107b)もまた反対極性を有する、という特徴
d.前記第4の単セル(113)の残りの前記電極(107a)と電気的に接触する第5の電気導体(105)を含む、という特徴
を有するバッテリ(100)。
【請求項5】
請求項4に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記第5の導体(105)が、層の形態で配置されるとともに、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている前記表面上に前記第2の導体(102)及び前記第4の導体(104)から間隔を置いて配列されている、という特徴
b.前記第3の導体(103)と接触している前記第3の単セル(116)の前記電極(107d)が、前記第1の基板(109a)上に層の形態で配置され、前記第3の導体(103)の部分領域を覆い、前記第3の導体(103)上に配置されたさらなる前記電極(108c)からすき間(110)によって分離されている、という特徴
c.前記第4の導体(104)と接触している前記第3の単セル(116)の前記電極(108d)が、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている前記表面上に層の形態で配置され、前記第4の導体(104)の少なくとも部分領域を覆っている、という特徴
d.前記第1の導体(101)と接触している前記第4の単セル(113)の前記電極(108a)が、前記第1の基板(109a)上に層の形態で配置され、前記第1の導体(101)の部分領域を覆い、前記第1の導体(101)上に配置されたさらなる前記電極(107b)からすき間(110)によって分離されている、という特徴
e.前記第1の導体(101)と電気的に接触していない前記第4の単セル(113)の前記電極(107a)が、前記第2の基板(109b)の、前記第1の基板(109a)の方を向いている前記表面上に層の形態で配置され、前記第5の導体(105)の少なくとも部分領域を覆っている、という特徴
f.やはり層の形態をしている前記第3の単セル(116)の前記セパレータ(117;117d)が、その片方の面が、前記第4の導体(104)上に配置された前記第3の単セル(116)の前記電極(108d)と表面接触し、そのもう片方の面が、前記第3の導体(103)上に配置された前記第3の単セル(116)の前記電極(107d)と表面接触している、という特徴
g.やはり層として形成された前記第4の単セル(113)の前記セパレータ(117;117a)が、その片方の面が、前記第1の導体(101)上に配置された前記第4の単セル(113)の前記電極(108a)と表面接触し、そのもう片方の面が、前記第5の導体(105)上に配置された前記第4の単セル(113)の前記電極(107a)と表面接触する、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.2つの電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)を電気接続する前記電気導体(101、102、103)が、前記表面上で前記電気接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)が占める領域よりも大きいそれぞれの前記基板(109a、109b)の前記表面上に、導電性領域を形成している、という特徴
b.この導電性領域及びその上方に前記電気接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)が、重なり合い領域Bにおいて、前記電極及び前記導体に垂直な視野方向において重なり合い、前記重なり合い領域Bが、前記電気接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)の前記領域の少なくとも80%であることが好ましく、少なくとも90%、特に100%であることが特に好ましい、という特徴
c.それぞれの前記基板(109a、109b)上の前記導電性領域が、前記重なり合い領域Bに含まれない少なくとも1つの領域を含み、前記接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)との重なり合いがない、という特徴
d.前記重なり合い領域に包含されない前記領域が、前記接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)を分離する前記すき間(110)にわたって広がる、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記電極(108d、107a)のうちの1つのみと電気接触し、それを逆極性の電極に接続しない前記電気導体(104、105)が、前記電気接触された電極(108d、107a)が前記表面上で占める前記領域よりも大きいそれぞれの前記基板(109b)の前記表面上に、導電性領域を形成している、という特徴
b.これらの導体(104、105)及び接触された前記電極(108d、107a)がそれぞれ、重なり合い領域Cにおいて、前記電極及び前記導体に垂直な前記視野の方向において重なり合い、前記重なり合い領域Cが、前記電極(108d、107a)の前記領域の少なくとも80%であることが好ましく、少なくとも90%、特に100%であることが特に好ましい、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.2つの電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)を電気接続する前記電気導体(101、102、103)が、自身がそれぞれの前記基板(109a、109b)上で占める少なくとも一部の領域において、好ましくは、前記領域全体にわたって連続した導電性の層として形成される、という特徴
を有するバッテリ(100)。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.2つの電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)を互いに電気接続する前記電気導体(101、102、103)が、少なくとも局部的に、好ましくは、自身がそれぞれの前記基板(109a、109b)上で占める前記領域全体にわたって、平行及び/又は交差した配置で位置合わせすることが可能なライン及び/又はトラックから形成され、前記それぞれの電気導体が占めるそれぞれの前記基板の前記領域の、好ましくは、少なくとも10%且つ好ましくは最大でも90%、さらに好ましくは、最大でも75%、さらに好ましくは、最大でも50%、特に好ましくは、最大でも25%が、前記ライン及び/又はトラックによって覆われている、という特徴
を有するバッテリ(100)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記電極(107a、108a、107b、108b、107c、108c、107d及び108d)が矩形であるか、又はストリップの形態をしている、という特徴
b.電気接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)間の前記すき間(110)が、実質的に一定の幅を有する、という特徴
c.前記単セル(113、114、115、116)の、反対極性を有する電極が、前記基板(109a、109b)上で同じ面積をそれぞれ占める、という特徴
d.前記電気接続された電極(108a及び107b、108b及び107c、108c及び107d)、及び/又は前記電気接続されていない電極(107a、108d)がそれぞれ、互いに平行に位置合わせされている、という特徴
e.前記単セル(113、114、115、116)の極性が等しい電極(107a~d及び108a~d)が、本質的に同一の寸法を有する、という特徴
f.前記電極(107a~d及び108a~d)が、
-1cm~25の、好ましくは5cm~20cmの範囲の長さ、及び
-0.5cm~10cmの、好ましくは1cm~5cmの範囲の幅を有する、という特徴
g.前記すき間(110)が、
-1cm~25の、好ましくは5cm~20cmの範囲の長さ、及び
-0.1cm~2cmの、好ましくは0.2cm~1cmの範囲の幅を有する、という特徴
h.前記電気導体が、5μm~250μmの、好ましくは10μm~100μmの範囲の厚さを有する、という特徴
i.前記電極(107a~d及び108a~d)が、10μm~350μmの範囲の厚さを有する、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記単セル(113、114、115、116)を取り囲むハウジング(118)であって、第1のハウジング内側面及び第2のハウジング内側面を含むハウジング(118)を含み、前記第1の基板(109a)及び前記第2の基板(109b)が前記ハウジング(118)の一部であるとともに、前記第1のハウジング内側面が前記第1の基板(109a)の表面であり、前記第2のハウジング内側面が前記第2の基板(109b)の表面である、という特徴
b.前記第1の基板(109a)及び前記第2の基板(109b)が、フィルム又はフィルムの構成要素である、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記電極(107a~d及び108a~d)が印刷プロセスによって形成される、という特徴
b.前記電気導体(101、102、103、104、105)が印刷プロセスによって形成される、という特徴
c.前記セパレータ(117、117a、117b、117c、117d)が印刷プロセスによって形成される、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のバッテリ(100)であって、以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記単セル(113、114、115、116)の前記負電極(107a、107b、107c、107d)が、粒状金属亜鉛又は粒状金属亜鉛合金を前記電極の活物質として含む、という特徴
b.前記単セル(113、114、115、116)の前記正電極(108a、108b、108c、107d)が、粒状金属酸化物を前記電極の活物質として含む、という特徴
のうちの少なくとも1つを有するバッテリ(100)。
【請求項14】
無線タグ(119)であって、無線信号を送信及び/又は受信するための送信機及び/又は受信機ユニット(120)と、前記送信機及び/又は受信機ユニット(120)に電流を供給するためのバッテリ(100)と、を含み、前記バッテリ(100)が請求項1~13のいずれか一項に従って形成される無線タグ(119)。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のバッテリ(100)を製造する方法であって、直後に記載されている以下のステップa.~e.、すなわち、
a.第1の電気導体(101)及び第3の電気導体(103)を第1の非導電性基板(109a)に設け、第2の電気導体(102)を第2の非導電性基板(109b)に設けるステップ、
b.層状の第1の負電極(107b)を前記第1の電気導体(101)に直接設け、層状の第1の正電極(108c)を前記第3の電気導体(103)に直接設けるステップ、
c.前記第2の電極(107c、108b)がすき間(110)によって互いに分離されるように、層状の第2の負電極(107c)及び層状の第2の正電極(108b)を前記第2の電気導体(102)に直接設けるステップ、
d.層状のセパレータ(117;117b)を前記第1の負電極(107b)又は前記第2の正電極(108b)に設け、層状のセパレータ(117;117c)を前記第2の負電極(107c)又は前記第1の正電極(108c)に設けるステップ、
e.2つの層スタックを以下の順序、すなわち、
-第1の負電極(107b)/セパレータ(117;117b)/第2の正電極(108b)、
及び
-第2の負電極(107c)/セパレータ(117;117c)/第1の正電極(108c)の順序で形成するステップ、
によって特徴付けされる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願の分野及び先行技術
以下に記載する本発明は、バッテリ、及びバッテリから電流が供給される無線タグに関する。さらに、本発明は、バッテリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線タグは、あらゆる種類の製品、例えば、医薬品及び農作物保護製品を追跡するために使用することができる。このような無線タグは、例えば、国際公開第2019/145224A1号パンフレットに記載されている。それらは、通常、電源ユニット、少なくとも1つのセンサ、制御ユニット、一意の製品識別子が格納されているデータメモリ、並びに送信機及び/又は受信機ユニットを含む。このセンサを使用して、製品に関する状態情報、例えば、その包装の開封状態に関する情報を判断することができる。制御ユニットは、次いで、送信機及び/又は受信機ユニットに、状態情報及び製品識別子をデータ受信機に送信させることができる。理想的には、電源ユニットは、数ヶ月にわたってこれに必要な電力を供給することができ、この期間にわたって少なくとも50の受信データ及び送信データの送信が可能でなければならない。
【0003】
送信機及び/又は受信機ユニットは、基本的に任意のデータ送信デバイスとすることができ、例えば、Wi-Fi規格(IEEE 802.11)及びBluetooth規格(IEEE 802.15.1)に準拠したデータ送信が可能である。しかしながら、製品の世界的な追跡を確実にするためには、セルラーネットワーク、又はその他の既存の無線ネットワークをデータ送信に使用することが適切である。
【0004】
今日、セルラーネットワークは、人の住んでいる世界の大きな部分をカバーしているので、製品を世界的に追跡するのに特によく適している。しかしながら、モバイル通信チップは、エネルギー消費面での要件がまだ高い。これは、LTE規格(LTE=Long Term Evolution)に準拠して送信する新世代モバイル通信チップにもまた当てはまる。選択される無線プロトコルに応じて、少なくとも短い時間ウインドウの間、最大400mAのピーク電流が利用可能でなければならない。
【0005】
汎用的に使用するためには、無線タグ、ひいては、それらの電源ユニットもまた、可能な限り省スペースで、製造費用が安価でなければならない。加えて、環境適合性及び安全性は、大量使用のすべての製品にとって重要なパラメータである。これらの理由のため、とりわけ、印刷バッテリ(printed batteries)は国際公開第2019/145224A1号パンフレットではエネルギー供給ユニットと見なされている。
【0006】
しかしながら、これまでに知られている印刷バッテリは、上記で概説した要件を満たしていないか、せいぜい部分的にしか満たしていない。例えば、米国特許出願公開第2010/081049A1号明細書に記載されているバッテリは、記載されている程度のピーク電流を送達することができない。インピーダンスが高すぎるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、無線タグの送信機及び/又は受信機ユニットに電流を供給するために最適化された電源ユニット、特にLTE規格に準拠して動作する送信機及び/又は受信機ユニット用にも最適化された電源ユニットを提供するという目的を基礎とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題を解決するために、本発明は、請求項1に記載されている特徴を有するバッテリを提案する。請求項14に記載の特徴を有する無線タグ、及び請求項15に記載の方法もまた、本発明の主題である。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
「バッテリ」という用語は、元々は、直列に接続された複数の電気化学セルを意味するものであった。本出願の文脈においてもまた、このように使用されている。本発明によるバッテリは、少なくとも2つの電気化学セル(単セル)を常に含み、これらは、電圧が加算されるように電気的に直列に接続される。
【0010】
目的及び解決策
本発明の基礎となる課題に従って、本発明によるバッテリは、ピークにおいて400mA以上の電流を送信機及び/又は受信機ユニットに供給するのに役立つことが好ましい。したがって、とりわけ、LTE規格に準拠して動作するモバイル通信チップに電気エネルギーを供給することができる。しかしながら、原則として、本発明によるバッテリは他の用途にもまた適している。
【0011】
バッテリは、直後に記載されている以下の特徴a.からg.を常に有する。
a.バッテリは、層スタックとして形成された第1の単セル及び第2の単セルを含み、それぞれが、
-負電極と、
-正電極と、
-正電極と負電極との間に置かれたセパレータと、を有し、
b.バッテリは、複数の別々の電気導体を含み、それらのうち、
-第1の導体は、第1の単セルの電極のうちの1つと電気的に接触し、
-第2の導体は、第1の導体が接触していない第1の単セルの電極を、第2の単セルの、反対の極性を有する電極に電気接続して、直列接続を確立し、
-第3の導体は、第2の導体が接触していない第2の単セルの電極と電気的に接触し、
c.バッテリは、第1の基板及び第2の基板を含み、それらの間に単セル及び電気導体が配置される
【0012】
とともに、
d.第1の導体及び第3の導体は、第1の基板の、第2の基板の方を向いている表面上に互いに距離を置いて配列され、第2の導体が、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に配列され、
e.第1の単セル及び第2の単セルの電気接続された電極は、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に層の形態で並んで配置され、それぞれが第2の導体の部分領域を覆い、すき間によって互いに分離されており、
f.第2の導体を介して互いに接続されていない電極は、第1の基板の、第2の基板の方を向いている表面上に層の形態で配置され、第1の導体と電気接触している電極は、第1の導体の少なくとも部分領域を覆い、第3の導体と電気接触している電極は、第3の導体の少なくとも部分領域を覆い、
g.やはり層の形態をしている単セルのセパレータはそれぞれ、それらの片方の面が、電気接続された電極のうちの1つと表面接触し、それらのもう片方の面が、電気接続されていない電極のうちの1つと表面接触している。
【0013】
このように、バッテリは、直列に接続された少なくとも2つの単セル、すなわち、第1の単セル及び第2の単セルを含む。いくつかの好適な実施形態では、バッテリは、直列に接続された厳密に2つの単セルを含み、これにより、第1の導体及び第3の導体を介して電気負荷に接続することができる。このように、バッテリは、第1の単セル及び第2の単セルの電圧を加算することによって得られる公称電圧を有することが好ましい。電極材料でコーティングされていない第1の電気導体及び第3の電気導体の領域は、2つの単セルが直列に接続されたバッテリの極としての役割を果たすことができる。
【0014】
第1の、特に好適な一実施形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.~d.の組み合わせによって特徴付けされる。
a.第1の単セル及び第2の単セルに加えて、バッテリは、負電極と、正電極と、負電極と正電極との間に配列されたセパレータと、を有する追加の第3の単セルを含み、
b.3つの単セルは、それらのセルの電圧が加算されるように直列に接続されており、
c.第3の電気導体は、第3の単セルの電極と電気接触しており、この導体によって電気接続された電極は反対極性を有し、
d.バッテリは、第3の電気導体が接触していない第3の単セルの電極と電気的に接触する第4の電気導体を含む。
【0015】
この実施形態では、バッテリはこのように、少なくとも3つの単セル、すなわち、第1の単セル、第2の単セル、及び第3の単セルを含む。いくつかの好適な実施形態では、バッテリは、直列に接続された厳密に3つの単セルを含み、バッテリは、第1の導体及び第4の導体を介して電気負荷に接続できることが好ましい。このように、バッテリは、第1の単セル、第2の単セル、及び第3の単セルの電圧を加算することによって得られる公称電圧を有することが好ましい。電極材料でコーティングされていない第1の電気導体及び第4の電気導体の領域は、3つの単セルが直列に接続されたバッテリの極としての役割を果たすことができる。
【0016】
第1の、特に好適な実施形態のさらなる一発展形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.第4の電気導体は、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に第2の導体から離間して配列されている。
b.第3の電気導体と接触する第3の単セルの電極は、第1の基板上に層の形態で配置され、第3の導体の部分領域を覆い、すき間によって、導体上に配置されたさらなる電極から分離されている。
c.第3の電気導体と電気接触していない第3の単セルの電極は、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に層の形態で配置され、第4の電気導体の少なくとも部分領域を覆う。
d.やはり層の形態をしている第3の単セルのセパレータは、その片方の面が、第4の電気導体上に配置された第3の単セルの電極と表面接触し、そのもう片方の面が、第3の電気導体上に配置された第3の単セルの電極と表面接触している。
直前に記載されている特徴a.~d.は、互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0017】
第2の、特に好適な一実施形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.~d.の組み合わせによって特徴付けされる。
a.バッテリは、第1の単セル、第2の単セル、及び第3の単セルに加えて、負電極と、正電極と、負電極と正電極との間に配列されたセパレータと、を有する追加の第4の単セルを含む。
b.4つの単セルは、それらのセルの電圧が加算されるように直列に接続されている。
c.第3の電気導体は、第3の単セルの電極と電気的に接触しており、この導体によって電気接続された電極は反対極性を有し、第1の電気導体は、第4の単セルの電極と電気的に接触しており、この導体によって電気接続された電極もまた、反対極性を有する。
d.バッテリは、第4の単セルの残りの電極と電気的に接触する第5の電気導体を含む。
【0018】
この実施形態では、バッテリはこのように、少なくとも4つの単セル、すなわち、第1の単セル、第2の単セル、第3の単セル、及び第4の単セルを含む。いくつかの好適な実施形態では、バッテリは、直列に接続された厳密に4つの単セルを含み、バッテリは、第4の導体及び第5の導体を介して電気負荷に接続できることが好ましい。このように、バッテリは、第1の単セル、第2の単セル、第3の単セル、及び第4の単セルの電圧を加算することによって得られる公称電圧を有することが好ましい。電極材料でコーティングされていない第4の電気導体及び第5の電気導体の領域は、4つの単セルが直列に接続されたバッテリの極としての役割を果たすことができる。
【0019】
第2の、特に好適な実施形態のさらなる一発展形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.~g.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.第5の電気導体は、層の形態で配置され、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に第2の電気導体及び第4の電気導体から離間して配列されている。
b.第3の電気導体と接触する第3の単セルの電極は、第1の基板上に層の形態で配置され、第3の導体の部分領域を覆い、すき間によって、第3の電気導体上に配置されたさらなる電極から分離されている。
c.第4の電気導体と接触している第3の単セルの電極は、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に層の形態で配置され、第4の電気導体の少なくとも部分領域を覆う。
d.第1の電気導体と接触する第4の単セルの電極は、第1の基板上に層の形態で配置され、第1の導体の部分領域を覆い、すき間によって、第1の電気導体上に配置されたさらなる電極から分離されている。
e.第1の電気導体と電気的に接触していない第4の単セルの電極は、第2の基板の、第1の基板の方を向いている表面上に層の形態で配置され、第5の電気導体の少なくとも部分領域を覆う。
f.やはり層の形態をしている第3の単セルのセパレータは、その片方の面が、第4の電気導体上に配置された第3の単セルの電極と表面接触し、そのもう片方の面が、第3の電気導体上に配置された第3の単セルの電極と表面接触している。
g.やはり層の形態をしている第4の単セルのセパレータは、その片方の面が、第1の電気導体上に配置された第4の単セルの電極と表面接触し、そのもう片方の面が、第5の電気導体上に配置された第4の単セルの電極と表面接触している。
特に好適であるのは、直前に記載されている特徴a.~g.が、互いに組み合わせられて実現されることである。
【0020】
第3の、特に好適な一実施形態では、バッテリは、第1~第4の単セルと直列に接続されたn個のさらなる単セルを含み、この場合、nは1から100までの範囲の整数であることが好ましい。バッテリは、このように、第1~第4の単セルの電圧とn個のさらなる単セルの電圧とを加算することによって得られる公称電圧を有することが好ましい。
【0021】
n個のさらなる単セルは、第1~第4の単セルと同様に設計されることが好ましい。これらはそれぞれ、層状の電極及び層状のセパレータを有し、セパレータの片方の面は、それぞれの第n番目の単セルの電極のうちの一方と表面接触し、もう片方の面は、もう一方の電極と表面接触している。
【0022】
追加の単セルごとに、バッテリは、追加の単セルの電極の1つと接触する別の電気導体を含むことが好ましい。層スタックとして形成されたバッテリの単セルはそれぞれ、同じ公称電圧及び同じ公称容量を有することが好適である。
【0023】
上記より、本発明によるバッテリの単セルはそれぞれ、層状の電極及び層状のセパレータのスタックを含むことになる。セパレータの片方の面は、それぞれの単セルの正電極への第1の接触面を有し、それに平行なもう片方の面は、負電極への第2の接触面を有する。接触面は、セパレータに垂直な直線が両方の接触面と交差する重なり合い領域Aにおいて、それぞれのセパレータに垂直な視野の方向において互いに重なり合うことが好ましい。
【0024】
反対の極性を有する電極の面積寸法が同一で、スタック内の正電極及び負電極が非千鳥配置である場合、重なり合い領域Aのサイズは、電極のサイズに厳密に一致することが好ましい。
【0025】
電極及びセパレータの積み重ね配置は、米国特許公開第2010/081049A1号明細書に記載されているセルの電極の事例のような共面配置よりも優れていることが判明している。充電及び放電プロセス中に電極間を行き来するイオンは、平均してかなり短い距離をカバーしなければならないため、電極が積み重ねられたセルの通電容量は著しく高くなる。重ね合せ領域Aでは、電極間の最短距離は、正電極と負電極との間に配置されたセパレータの厚さにほぼ一致する場合が多い。
【0026】
第2の導体を介して電気接続され、第2の又は第3の特に好適な実施形態の場合には、第2の基板上に配置されたさらなる導体もまた介して電気接続された電極は、それらの、第2の基板の方を向いている面が、それぞれの導体と全面的に接触していることが特に好適である。電極の、第2の基板の方を向いている面は、第2の基板上に配置された導体を介して電気接続されているため、この導体と直接接触しない領域がないことが好ましい。
【0027】
第2の、又は第3の特に好適な実施形態の場合、第1の基板上に配置された第1の導体、及び/又は第3の導体、及び/又は、電極がそれらを介して電気接続される他の導体を介して配置された導体にもまた、同じことが当てはまる。電極の、第1の基板の方を向いている面は、第1の基板上に配置された導体を介して電気接続されているため、この導体と直接接触しない領域がないことが好ましい。
【0028】
すべての実施形態において好適な一変形形態では、本発明によるバッテリのセルスタックは、2つの電極、すなわち、正電極及び負電極を含み、これらの電極は、電気導体を介して隣接する単セルの電極に電気接続されておらず、これらの電極を介してバッテリの総電圧をタップすることができる。第2の、特に好適な実施形態の場合、これは、例えば、第3の単セルの電極のうちの1つ、及び第4の単セルの電極のうちの1つであり、これらの電極は、第4の導体、及び第5の導体と電気接触している。
【0029】
第1の基板又は第2の基板上の導体と電気接触しているが、この導体を介して逆極性の電極と電気接触していないこのような電極は、その表面全体にわたってこの導体と接触することが特に好適である。これらの電極の、それぞれの基板の方を向いている面は、このように、この導体と直接接触しない領域がないことが好ましい。
【0030】
しかしながら、原則として、電気接続されていない電極を、複数の電気導体を介して他の電極に接触させることが可能である。例えば、第2の、特に好適な実施形態の場合であれば、第5の電気導体は、それぞれの基板上に互いに隣り合って配置される2つ以上の別々のサブ領域に分割することができる。この場合、全領域の接触という目標にできるだけ近づけるために、2つ以上の別々のサブ領域によって、それぞれの電極ができるだけ広い領域にわたって接触されていれば、好適であろう。部分領域を介してタップされた電流は、部分領域間の対応する電気接続によって再結合することができる。
【0031】
第1の基板又は第2の基板上の導体と電気接触するが、この導体を介して逆極性の電極と電気接触しない電極が、それぞれの単セルのセパレータと、それらの、それぞれの基板とは反対の方を向いている面が、それらの表面全体にわたって接触することもまた、特に好適である。電極の、それぞれの基板とは反対の方を向いている面は、したがって、それぞれのセパレータと直接接触しない領域がないことが好ましい。
【0032】
本発明の好適なさらなる実施形態形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.2つの電極を電気接続する電気導体は、電気接続された電極が表面上で占める領域よりも大きいそれぞれの基板の表面上に、導電性領域を形成する。
b.この導電性領域及びその上方に電気接続された電極は、重なり合い領域Bにおいて、電極及び導体に垂直な視野の方向において重なり合い、重なり合い領域Bは、電気接続された電極の領域の少なくとも80%であることが好ましく、少なくとも90%、とりわけ100%であることが特に好ましい。
c.それぞれの基板上の導電性領域は、重なり合い領域Bに含まれない少なくとも1つの領域を含み、この領域には、接続された電極との重なり合いがない。
d.重なり合い領域に包含されない領域は、接続された電極を分離するすき間にわたって広がる。
直前に記載されている特徴a.及びb.だけでなく、特徴c.及びd.もまた、互いに組み合わせて実現されることが好ましい。特徴a.~d.は、互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0033】
例えば、第2の、特に好適な実施形態の場合、直前に記載されている特徴a.~d.による導体は、第1の導体、第2の導体、及び第3の導体である。
【0034】
ここでの重なり合い領域Bとは、電極に垂直な直線が電極及び電気接続する導体の両方と交差する領域を指す。導体を介して電気接続された電極は、このように、表面全体にわたってこの電気導体と接触していることが特に好ましい。
【0035】
2つの電気接続された電極の縁部は、電極がそれぞれの基板上で占める領域を画定する。2つの電気接続された電極ごとに、それぞれの縁部の少なくとも部分的な区分は、対応する反対の極性を有する電極に面している。この文脈では、電極の縁部の「反対の極性を有する電極の方を向いている」区分は、縁部が、反対の極性を有する電極の縁部に、電極の縁部と交差せずに直線で接続可能な電極の縁部の区分として理解されるものとする。縁部のこれらの部分が、電極間のすき間もまた画定することが好適である。より正確には、2つの電極が分離されるすき間は、電極材料で覆われていないそれぞれの基板上で、2つの電極の縁部を縁部のいずれにも交差せずに接続する縁部間の直線で取り囲むことが可能な、可能な最大の領域として画定されることが好ましい。
【0036】
本発明のさらなる好適な実施形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.電気導体は、電極のうちの1つのみと電気接触しており、それを逆極性の電極に接続せず、電気的に接触した電極が表面上で占める領域よりも大きいそれぞれの基板の表面上に、導電性領域を形成する。
b.これらの導体及び接触された電極はそれぞれ、重なり合い領域Cにおいて、電極及び導体に垂直な視野の方向において重なり合い、重なり合い領域Cは、電極の領域の少なくとも80%であることが好ましく、少なくとも90%、とりわけ100%であることが特に好ましい。
直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0037】
例えば、第2の、特に好適な実施形態の場合、これらの導体は、第4の導体及び第5の導体である。2つの単セルしかない場合には、第2の導体だけをこのように設計することができる。
【0038】
ここでの重なり合い領域Cとは、電極に垂直な直線が電極及び電気接続する導体の両方と交差する領域を指す。導体を介して電気接続された電極は、このように、表面全体にわたってこの電気導体と接触していることが特に好ましい。
【0039】
例えば、上述したように、1つ又は複数の導体が2つ以上の別々のサブ領域に分割されている場合、電極と導体との重なり合いが100%にならないことが生じ得る。
【0040】
本発明の特に好適なさらなる発展形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の特徴aによって特徴付けされる。
a.2つの電極を互いに電気的に接続する電気導体は、自身がそれぞれの基板上で占める少なくとも一部の領域において、好ましくは領域全体にわたって、連続した導電性の層として形成される。
【0041】
これは、重なり合い領域Bにおいて、電気導体を介して電気接続された電極と重なり合う電気導体の領域、及び接続された電極間のすき間のどちらにも当てはまることが好ましい。
【0042】
第2の、特に好適な実施形態に関して、これは、第1の電気導体、第2の電気導体、及び第3の電気導体はそれぞれ、連続した導電性の層として形成されることが好ましいことを意味する。電極は、このように、自身が配置される基板上のどこにも接触しないことが好ましい。代わりに、電極は、それぞれの電気導体の上に直接置かれていることが好ましい。
【0043】
さらなる、特に好適な本発明のさらなる発展形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の特徴aによって特徴付けされる。
a.2つの電極を互いに電気接続する電気導体は、自身がそれぞれの基板上で占める少なくとも一部の領域において、好ましくは領域全体にわたってライン及び/又はトラックから形成され、この場合、それぞれの電気導体が占めるそれぞれの基板の領域の、好ましくは少なくとも10%且つ好ましくは最大でも90%、さらに好ましくは、最大でも75%、さらに好ましくは、最大でも50%、特に好ましくは、最大でも25%が、ライン及び/又はトラックによって覆われている。
【0044】
ここでもまた、これは、重なり合い領域Bにおいて、電気導体を介して電気接続された電極と重なり合う電気導体の領域、及び接続された電極間のすき間のどちらにも当てはまることが好ましい。ライン及び/又はトラックは、平行及び/又は交差した配置で位置合わせされることが好ましい。
【0045】
電気接続された電極間で、導体が配置されているそれぞれの基板は、その表面全体にわたって、それぞれの電気導体によって覆われていることが好ましい。これは、すき間内の電気導体の断面積が確実にできるだけ大きくなるようにするのに役立ち、このことがひいては、本発明によるバッテリのインピーダンスに対してプラスの効果を及ぼす。
【0046】
当然ながら、本発明によるバッテリの実施形態は、2つの電極を互いに電気接続する電気導体の一方が、自身がそれぞれの基板上で占める少なくとも一部の領域において、好ましくは、領域全体にわたって、連続した導電性の層として形成され、その一方で、2つの電極を互いに電気接続する電気導体のもう一方が、自身がそれぞれの基板上で占める少なくとも一部の領域において、好ましくは、領域全体にわたって形成され、好ましくは、自身がそれぞれの基板上で占める領域全体にわたって、記載した平行及び/又は交差した配置で位置合わせすることが可能なライン及び/又はトラックから形成されている場合にも実現することができ、それぞれの電気導体が占めるそれぞれの基板の領域の、好ましくは少なくとも10%且つ好ましくは最大でも90%、さらに好ましくは、最大でも75%、さらに好ましくは、最大でも50%、特に好ましくは、最大でも25%が、導体によって覆われている。
【0047】
本発明によるバッテリが直後に記載されている以下の追加の特徴a.~i.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされることが、特に好適である。
a.電極は、矩形であるか、又はストリップの形態をしている。
b.電気接続された電極間のすき間は、実質的に一定の幅を有する。
c.単セルの反対の極性を有する電極は、基板上で同じ面積を占める。
d.電気接続された電極及び電気接続されていない電極は、互いに平行に位置合わせされている。
e.単セルの極性が等しい電極は、本質的に同一の寸法を有する。
f.電極は、
-1cm~25の、好ましくは5cm~20cmの範囲の長さ、及び
-0.5cm~10cmの、好ましくは1cm~5cmの範囲の幅を有する。
g.すき間は、
-1cm~25の、好ましくは5cm~20cmの範囲の長さ、及び
-0.1cm~2cmの、好ましくは0.2cm~1cmの範囲の幅を有する。
h.電気導体は、2μm~250μmの、好ましくは2μm~100μmの、特に好ましくは2μm~25μmの、より好ましくは5μm~10μmの範囲の厚さを有する。
i.電極は、10μm~350μmの範囲の厚さを有する。
直前に記載されている特徴a.~i.は、互いに組み合わせて実現されることが好ましい。
【0048】
正電極及び負電極はそれぞれ、10μm~250μmの範囲の特に好適な厚さを有する。正電極は負電極よりもやや厚い場合が多い。というのは、負電極の方が、エネルギー密度が高い場合が多いからである。したがって、いくつかの用途では、30μm~150μmの厚さを有する層として負電極を形成し、180μm~350μmの厚さを有する層として正電極を形成することが好適な場合がある。厚さを調節することによって、正電極及び負電極の静電容量は、バランスをとることができる。この点に関して、正電極の方が負電極に比べて大きなサイズであることが好適である。
【0049】
さらに、本発明によるバッテリが直後に記載されている以下の追加の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされることが、特に好適である。
a.本発明によるバッテリは、単セルを取り囲むハウジングであって、第1のハウジング内側及び第2のハウジング内側を含むハウジングを含み、第1の基板及び第2の基板がハウジングの一部であるとともに、第1のハウジング内側が第1の基板の表面であり、第2のハウジング内側が第2の基板の表面である。
b.第1の基板及び第2の基板は、フィルム又はフィルムの構成要素である。
ここでもまた、直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現されることが好ましい。
【0050】
本発明によるバッテリは、ハウジングを含め、数ミリメートルの範囲の、特に好ましくは0.5mm~5mmの範囲の、より好ましくは1mm~3mmの範囲の最大厚さを有することが好適である。その他の寸法は、電気接続された単セルの数、及びそれらの寸法によって決まる。例えば、4つの直列に接続された単セルを有するバッテリは、5cm~20cmの長さ及び4cm~18cmの幅を有することができる。
【0051】
いくつかの特に好適な実施形態では、本発明によるバッテリは、印刷バッテリである。本文脈において、印刷バッテリとは、少なくとも電極、任意選択的に電気導体も、いくつかの好適な実施形態ではさらにセパレータも、及び任意選択的にさらなる機能部品が、キャリア上に印刷ペーストを印刷することによって、特にスクリーン印刷プロセスを用いて形成されたバッテリとして理解されるものとする。電極及び電気導体、特に第1の電気導体及び第2の電気導体が印刷されることが好ましい。
【0052】
それに応じて、本発明によるバッテリは、以下の特徴a.~c.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされることが好ましい。
a.単セルの電極は、印刷プロセスによって形成される。
b.電気導体は、印刷プロセスによって形成される。
c.単セルのセパレータは、印刷プロセスによって形成される。
直前に記載されている特徴a.~c.は、互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0053】
電気化学の観点から、本発明は限定されていない。単セルは、有機電解質を有するセル、例えば、リチウムイオンセル、又は水性電解質を有するセルとすることができる。
【0054】
本発明によるバッテリの単セルは、以下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされることが特に好ましい。
a.単セルの負電極は、粒状金属亜鉛又は粒状金属亜鉛合金を電極の活物質として含む。
b.単セルの正電極は、粒状金属酸化物、特に粒状酸化マンガンを電極の活物質として含む。
【0055】
したがって、本発明によるバッテリの単セルは、亜鉛酸化マンガンセルであることが好ましい。
【0056】
代替的な好適な一実施形態では、本発明によるバッテリの単セルは、亜鉛酸化銀セルである。それらの負電極は、粒状金属亜鉛又は粒状金属亜鉛合金を電極の活物質として含み、一方、それらの正電極は、粒状酸化銀を電極の活物質として含む。
【0057】
すべての場合において、単セルの負電極中に存在する粒状金属亜鉛又は粒状金属亜鉛合金は、負電極の固体成分の総重量に基づいて、重量で40%から99%の、特に、重量で40%から80%の範囲の割合であることが好ましい。
【0058】
亜鉛系負電極を有する電気化学システムを選択する理由は、主として安全性要件による。亜鉛系負電極を有するシステムには水性電解質が必要であり、したがって不燃性である。加えて、亜鉛は環境適合性があり、安価である。
【0059】
必要な通電容量を有する亜鉛を含有する負電極を有する単セルを有する本発明によるバッテリを提供するためには、直後に記載されている以下の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つを実装することが有利である。
a.単セルの正電極は、好ましくは均一混合物中に、電極の活物質に加えて、正電極の導電性を最適化するための少なくとも1つの導電添加剤、及び/又は弾性結合剤、若しくは結合剤の混合物を含んでいる。
b.粒状金属酸化物は、正電極の固体成分の総重量に基づいて、重量で10%~90%の割合で正電極中に存在することが好ましい。
c.単セルの正電極は、正電極の固体成分の総重量に基づいて、1重量%~25重量%の割合で弾性結合剤、又は結合剤の混合物を含んでいる。
d.単セルの正電極は、正電極の固体成分の総重量に基づいて、1重量%~85重量%の割合で、少なくとも1つの導電添加剤を含んでいる。
直前に記載されている特徴a.~d.は、互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0060】
正電極中の弾性結合剤、又は結合剤の混合物の割合は、重量で少なくとも1%であることが当然好ましいが、これは、含まれている金属酸化物粒子を互いに対して固定すると同時に、正電極にある特定の柔軟性を与えることを意図しているためである。ただし、この割合は、上述の最大の割合を超過しないものとする。さもないと、金属酸化物粒子が、少なくとも部分的に、互いに接触しなくなる危険性があるからである。上述の範囲内では、1重量%~15重量%の、特に好ましくは、5重量%~15重量%の範囲の割合がさらに好適である。
【0061】
粒状金属酸化物の上述の範囲内では、50重量%~90重量%の範囲の割合がさらに好適である。少なくとも1つの導電添加剤の上述の範囲内では、重量で2.5%~35%の範囲の割合がさらに好適である。
【0062】
正電極中の金属酸化物の割合が高いと、バッテリの容量が大きくなる。しかしながら、通電容量については、少なくとも1つの導電添加剤の割合が、金属酸化物の総割合よりももっと重要である。
【0063】
原則として、本出願における電極中の成分の重量パーセントはすべて、それぞれの電極の固体成分の総重量を指す。関連する成分の重量分率をそれぞれ加算すると、重量で合計100%になる。それらを決定する前に、電極に含まれている湿気をすべて除去しなければならない。
【0064】
亜鉛を含有する負電極を有する単セルを有するバッテリの場合、単セルの負電極もまた、粒状金属亜鉛又は粒状金属亜鉛合金に加えて、好ましくは均一混合物中に、弾性結合剤、又は結合剤の混合物を含んでいることがさらに好適である。適切な導電添加剤の選択に関して、2つの特に好適な変形形態が、本発明の範囲内で利用可能である。
【0065】
第1の特に好適な変形例では、バッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.正電極は、活性炭素、活性炭素繊維、炭化物由来炭素、カーボンエアロゲル、グラファイト、グラフェン、及びカーボンナノチューブ(CNT)からなる群から特に選択される少なくとも1つの炭素系材料を、導電添加剤として含有する。
b.正電極は、重量で25%~35%の範囲の量で少なくとも1つの炭素系材料(上記参照)を含有する。
バッテリの特に好適な実施形態では、直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現される。
【0066】
この変形形態では、特定の導電添加剤は、正電極の導電性を高めるだけでなく、ファラデー容量性に加えて、二重層容量性を正電極にもたらすこともまた可能である、という事実を活用する。これは、非常に大きな電流を短い間利用可能にし得ることを意味する。
【0067】
意外なことに、正電極の製造中に、正電極が乾燥しているときに結晶化することが可能な電極ペーストを介して導電性塩を正電極に添加することによって、同様のプラスの効果が実現し得ることがわかっている。後で電極に電解質を含浸させるとき、結晶導電性塩は、非常に迅速に湿潤させることができ、イオン伝導性液体の電極への浸透の向上につながる。
【0068】
それに応じて、第2の特に好適な実施形態では、バッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.正電極は、少なくとも1つの水溶性塩を導電添加剤として含有する。
b.正電極は、少なくとも1つの水溶性塩を1重量%~25重量%の範囲の量で含有する。
バッテリの特に好適な実施形態では、直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現される。
【0069】
水溶性塩として、導電性を向上させる目的で、特にハロゲン化物、好ましくは塩化物、とりわけ塩化亜鉛及び/又は塩化アンモニウムを正電極に添加することができる。
【0070】
いくつかの好適な実施形態では、列挙されている変形例を組み合わせてもまたよい。これらの場合では、バッテリは、直後に記載されている以下の特徴a.及びb.の組み合わせによって特徴付けされる。
a.正電極は、活性炭素、活性炭素繊維、炭化物由来炭素、カーボンエアロゲル、グラファイト、グラフェン、及びカーボンナノチューブ(CNT)からなる群から特に選択される少なくとも1つの炭素系材料を、第1の導電添加剤として含む。
b.正電極は、少なくとも1つの水溶性塩を第2の導電添加剤として含有する。
【0071】
必要ならば、単セルの負電極もまた、ある特定の割合の導電添加剤を含有することができる。しかしながら、負電極の活物質はそれ自体すでに導電性であるので、これは絶対に必要というわけではない。適切な結合剤又は結合剤の混合物の選択に関してもまた、いくつかの変形形態は、本発明の範囲内であることが特に好適である。
【0072】
好適な実施形態では、バッテリは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.単セルの負電極は、セルロース及びその誘導体、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリレート(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、及び上記材料の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの構成材を、弾性結合剤又は結合剤の混合物として含有する。
b.単セルの正電極は、セルロース及びその誘導体、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリレート(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、及び上記材料の混合物を含む群から選択される少なくとも1つの構成材を、弾性結合剤又は結合剤の混合物として含有する。
バッテリの特に好適な実施形態では、直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現される。
【0073】
正電極及び負電極の両方が、電極結合剤として適切な多糖、特に、セルロース誘導体と、SBRとの組み合わせを、結合剤又は結合剤の混合物として含有することが特に好ましい。例えば、正電極及び負電極は、重量で0.5%~2.5%のカルボキシメチルセルロース及び/又はキトサンと、重量で5%~10%のSBRと、を含有することができる。セルロース誘導体及び/又はキトサンは、この場合、乳化剤としての役割もまた果たす。それらは、弾性結合剤(SBR)をペースト中に分散させるのに役立つ。
【0074】
本発明によるバッテリの単セルの正電極及び負電極は、それらの固体成分の総重量に基づいて、好ましくは、重量で1%~25%の割合で、弾性結合剤又は結合剤の混合物を含有する。
【0075】
本発明によるバッテリの単セルは、セパレータ及び電極に含浸させる液体電解質を含むことが好ましい。亜鉛又は亜鉛合金粒子を負電極中に有する単セルの場合、これは水性電解質である。
【0076】
多くの実施形態では、アルカリ性電解質、例えば、水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液がよく適している。しかしながら、pHが中性範囲である水性電解質は、バッテリに機械的損傷が生じた場合、危険が少ないという利点を有する。
【0077】
本発明の特に好適な実施形態では、本発明によるバッテリの単セルは、直後に記載されている以下の追加の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされることが好ましい。
a.それらは、塩化物系導電性塩を含有する水性電解質を含み、
b.正電極と負電極との間に置かれたセパレータには電解質が含浸されている。
バッテリの特に好適な実施形態では、直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現される。
【0078】
塩化亜鉛及び塩化アンモニウムは、塩化物系導電性塩として特に適切である。水性電解質のpHは、中性範囲又はわずかに酸性寄りの範囲であることが好適である。
【0079】
いくつかの好適な実施形態では、本発明によるバッテリの単セルのセパレータは印刷可能であることはすでに言及した。この目的のために適したペーストは、例えば、欧州特許第2561564B1号明細書に見出すことができる。
【0080】
しかしながら、さらなる実施形態では、セパレータはまた、多孔質シート材料、例えば、多孔質フィルム又は不織布とすることができ、それらは電極間に配置される。好適なシート材料及び対応する手順は、欧州特許出願公開第3477727A1号明細書に記載されている。
【0081】
60~120μmの範囲の厚さ及び35~60%の範囲の多孔率(全体積に対する空隙体積の割合)を有する不織布又は微多孔質プラスチックフィルムは、多孔質シートとして特に好適である。不織布又はフィルムは、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンで作られていることが好ましい。
【0082】
特に、前述のフィルム及び不織布などの多孔質シート構造がセパレータとして使用される場合、本発明によるバッテリの単セルは共通のセパレータを有することが好適な場合がある。例えば、本発明によるバッテリの第2の、特に好適な実施形態の場合、多孔質フィルムは、互いに分離された4つの領域を有することができ、これらを介して、4つの層スタックの反対の極性を有する電極が接続される。2つの単セルを有する実施形態では、多孔質フィルムは、互いに分離された2つの領域を有することができ、これらを通して、4つの層スタックの反対の極性を有する電極が通信状態にある。これは、本発明によるバッテリの生産を大幅に簡素化することができる。
【0083】
上述したようなセパレータと液体電解質の組み合わせの代わりに、原則として、例えば、欧州特許第2960967B1号明細書に好適な一実施形態に記載されているように、固体電解質もまた、電極間に配置することができる。しかしながら、多くの場合では、液体電解質が使用される変形形態が好適である。
【0084】
いくつかの特に好適な実施形態では、水性電解質は、粘度を高めるための添加剤(アクチュエータ)及び/又は無機充填剤粒子を、特に電解質がペースト状の粘稠性を有するような量で含む。このような電解質は、以下では電解質ペーストとも呼ばれる。
【0085】
二酸化ケイ素は、作動剤として特に適している。しかしながら、カルボキシメチルセルロースのような結合物質もまた、粘度を高めるために使用することができる。
【0086】
適切な無機充填剤粒子は、セラミック固体、水にほぼ不溶性又は完全に不溶性の塩、ガラス及び玄武岩、並びに炭素を含む。「セラミック固体」という用語は、ケイ酸アルミニウムのようなケイ酸塩材料、ガラス及び粘土鉱物、二酸化ケイ素、二酸化チタン及び酸化アルミニウムのような酸化物原材料、並びに、炭化ケイ素又は窒化ケイ素のような非酸化物材料を含むセラミック製品を製造するために使用し得るすべての固体を範囲に含むことを意図している。無機充填剤粒子は、電気絶縁特性を示すことが好ましい。
【0087】
本出願の文脈において、「実質的に不溶性又は完全に不溶性」という用語は、室温における水中での可溶性が、多い場合でも低く、好ましくは、まったく溶けないことを意味する。この目的のために、無機充填剤粒子の可溶性、特に上述した水中で実質的に不溶性又は完全に不溶性である塩の可溶性は、理想的には、室温における水中での炭酸カルシウムの可溶性を超えないものとする。因みに、炭酸カルシウムは、電解質ペーストに粒状充填剤成分として含むことができる無機固体の特に好適な一例である。
【0088】
特に好適な実施形態では、電解質ペーストは、以下の組成を有する。
-塩化物系導電性塩 30~40重量%
-浮遊剤(例えば、SiOx粉末) 2~4重量%
-無機粒子(例えば、CaCO) 10~20重量%
-溶媒(好ましくは水) 40~55重量%
塩化亜鉛及び/又は塩化アンモニウムもまた、ここでは塩化物系導電性塩として使用されることが好ましい。
【0089】
いくつかの特に好適な実施形態では、本発明によるバッテリのインピーダンス特性に関して、セパレータと、単セルの電極のうちの少なくとも1つとの間にペースト状の粘稠性を有するこのような電解質の層(要するに電解質層)を配置すること、好ましくは、セパレータの両面と、単セルの電極の間に、それぞれこの電解質の層を配置することが有利であることが判明している。このような電解質の層がセパレータの片面又は両面に設けられる場合、水及び水に溶けている電解質の成分はセパレータに浸透していくが、その一方で、懸濁化剤及び/又は無機充填粒子はセパレータの片面、又は両面上に層として残る。ペースト状の粘稠性を有する電解質が電極に設けられる場合、同じことが当てはまる。
【0090】
電解質層は、無機充填剤粒子を含有することによって正電極及び負電極を互いに電気絶縁することに役立つので、それらは、セパレータの任意選択の構成要素と見なすことができる。好適な実施形態では、このように単セルのセパレータもまた、1つ又は2つのこのような電解質層を含む。
【0091】
本発明によるバッテリの電気導体は、例えば、溶液からの堆積によって、気体相からの(例えば、スパッタリングのようなPVDプロセスによる)堆積によって、又は印刷プロセスによって形成される金属性の構造とすることができる。マスキングされていない領域で金属層が除去されるエッチングプロセスによって、閉じた金属層から導体を形成することもまた可能である。
【0092】
特に好適な実施形態では、バッテリは、以下の追加の特徴aによって特徴付けされる。
a.バッテリは、金属粒子、特に銀粒子、又は銀合金からなる粒子からなる導体を電気導体として含む。
【0093】
このような導電路は、印刷プロセスを使用して容易に生産することができる。電気導体を生産するための銀粒子を用いた印刷可能な導電性ペーストは、最新の技術であり、市場で自由に入手可能である。
【0094】
特に好適な実施形態では、本発明によるバッテリは、直後に記載されている以下の特徴によって特徴付けされる。
a.電気導体は、導電性金属層を含む。
b.電気導体は、少なくとも一部の領域において、導電性の炭素の層を含み、この層は、金属層と電極との間に配置されるとともに、金属層が液体電解質と直接接触することを困難にするか、又は直接接触させないようにさえする。
【0095】
導電性の炭素の層は、電気導体を保護するのに役立つ。特に、導体が銀粒子を含む場合には、銀が電解質中で溶け、導電路が弱体化し、さらには破壊されてしまう危険性がある。炭素層は、銀からなる導体が電解質と直接接触することから保護することができる。
【0096】
導電性の炭素の層は、5μm~30μmの範囲の、特に、10μm~20μmの範囲の厚さを有することが好ましい。
【0097】
いくつかの好適な実施形態では、炭素層は、設けられた後に熱処理され、これにより、その不浸透性を高める。
【0098】
上述したようなバッテリを製造する方法は、直後に記載されているステップa.~e.によって特徴付けされることが好ましい。
a.第1の電気導体及び第3の電気導体を第1の非導電性基板に設け、第2の電気導体を第2の非導電性基板に設けること。
b.層状の第1の負電極を第1の電気導体に直接設け、層状の第1の正電極を第3の電気導体に直接設けること。
c.第2の電極がすき間によって互いに分離されるように、層状の第2の負電極及び層状の第2の正電極を第2の電気導体に直接設けること。
d.層状のセパレータを第1の負電極又は第2の正電極に設け、層状のセパレータを第2の負電極又は第1の正電極に設けること。
e.以下の順序、すなわち、
-第1の負電極/セパレータ/第2の正電極、及び
-第2の負電極/セパレータ/第1の正電極
を有する2つの層スタックを形成すること。
【0099】
可能な導体及び電極の設計については、本発明によるバッテリに関連してすでに論じた。対応する説明をここでは参照されたい。
【0100】
導体及び電極を設けることは、印刷プロセスを用いて、特に、スクリーン印刷によって行われることが好ましい。上述したように、セパレータもまた、印刷プロセスによって設けることができる。しかしながら、不織布セパレータ又はフィルムセパレータが、層スタックの電極間に配置されることが好ましい。
【0101】
層スタックを動作可能な電気化学セルに変換するためには、電極及びセパレータに上述した液体電解質を含浸させることが通常必要である。セパレータを設ける前及び/又は後にこれを行うことができる。
【0102】
さらなる一発展形態では、上述したペースト状の粘稠性を有する電解質の層が、セパレータと電極との間に配置されることが好適である。この目的のために、電解質は、層スタックが形成される前に、例えば、電極上に印刷することができる。
【0103】
第1の代替的な、特に好適な一実施形態では、方法は、直後に記載されている以下のステップa.~d.によって特徴付けされる。
a.第1の負電極又は第2の正電極のいずれかにセパレータを設ける前に、第1の電解質ペーストの層が、特に30~70μmの厚さで選択された電極上に印刷される。
b.第2の負電極又は第1の正電極のいずれかにセパレータを設ける前に、第2の電解質ペーストの層が、特に30~70μmの厚さで選択された電極上に印刷される。
c.セパレータは、第1の電解質ペーストの層及び第2の電解質ペーストの層に設けられる。
d.セパレータが設けられた後に、第2の電解質ペーストの層が、特に30~70μmの厚さで各セパレータ上に印刷される。
【0104】
第2の代替的な、特に好適な一実施形態では、方法は、以下の特徴によって特徴付けされる。
a.第1の負電極又は第2の正電極のいずれかにセパレータを設ける前に、第1の電解質ペーストの層が、特に30~70μmの厚さで各電極上に印刷される。
b.第2の負電極又は第1の正電極のいずれかにセパレータを設ける前に、第2の電解質ペーストの層が、特に30~70μmの厚さで各電極上に印刷される。
c.セパレータは、第1の電解質ペーストの層又は第2の電解質ペーストの層のいずれかに設けられる。
d.層スタックは、セパレータの片方の面には第1の電解質の層があり、セパレータのもう片方の面には第2の電解質の層があるように形成される。
【0105】
このようにして生み出された層スタックでは、電解質ペーストの層のうちの一方が常に、電極とセパレータとの間に配置される。すなわち言いかえれば、このようにして生み出された層スタックのセパレータはそれぞれ、両面に電解質ペーストの層を含む。
【0106】
本発明によるバッテリに関連してすでに説明したように、本発明によるバッテリの2つ以上の単セルが共通のセパレータを有することが好適な場合がある。説明したプロセスの文脈において、第1の負電極若しくは第2の正電極、又は第2の負電極若しくは第1の正電極に任意選択的に設けられるセパレータは、このような場合、上述したような相互に分離された多孔質シート構造の領域、例えば、相互に分離された微多孔質ポリオレフィンフィルムの領域である。
【0107】
その結果、このような場合、第1の代替的な、特に好適な実施形態の電解質ペーストは、複数の分離されたセパレータにではなく、同じシートの分離された領域に設けられる。
【0108】
液体電解質を含浸させる前に、及び/又はペースト状の粘稠性を有する電解質を第1の基板及び第2の基板に設ける前に、複数の封止フレームを形成又は配置して、電極を取り囲むことが好ましい。これらの封止フレームは、電極に設けられた液体が絶対に基板上を流れることがないようにする。封止フレームの可能な実施形態及びその形成の変形例が、欧州特許出願公開第3477727A1号明細書から知られている。
【0109】
封止フレームは、印刷プロセスによって設けることが可能な粘着性物質から形成されることが好ましい。原則として、使用される電解質に対する耐性を有し、基板への十分な結合を形成することが可能な任意の接着剤を使用することができる。特に、封止フレームは、溶解ポリマー組成物から形成することもまた可能であり、ポリマー組成物を固体化させるために、ポリマー組成物に含まれている溶媒を除去しなければならない。
【0110】
熱活性化可能なフィルム、特に可融性フィルム、又は糊付きフィルムから封止フレームを形成することもまた可能である。
【0111】
それぞれの固体成分に加えて、電極及び導体の製造に使用可能な印刷ペーストもまた、揮発性溶媒又は懸濁化剤を含んでいることが好ましい。理想的には、これは、水である。印刷中の問題を避けるために、印刷ペーストは、粒径が50μm以下の粒状成分をすべて含んでいることが好ましい。
【0112】
上述したように、電気導体は、導体を電解質との直接接触から保護するために、電極が設けられる前に、導電性の炭素の層でコーティングされることが好ましい。炭素の層の上にも印刷することができる。
【0113】
特に好適な特徴の組み合わせ
LTEメッセージを送信するために、まず走査が行われる。このプロセスの間、タグは、データ送信のために可能な周波数を検索する。このプロセスは、平均2秒かかり、50mAが必要である。周波数が見つかると、いわゆるTXパルスが送られる。このようなパルスは、約150ミリ秒間続き、約200mAの電流パルスが必要である。長さが150ミリ秒のパルスは、4Hzの周波数にほぼ相当する。それに応じて、本発明によるバッテリの4Hzでのインピーダンスは、このようなパルスの送信には重要である。
【0114】
本発明によるバッテリの印刷単セルの場合、電極の組成だけでなく電解質の組成もまた、上手く調和させれば、この文脈において特に良好な結果を実現することができる。以下のペースト組成を組み合わせて使用して、本発明によるバッテリの電極及び電解質層を生産することが特に好ましい。
負電極のためのペースト:
-亜鉛粉末(無水銀):65~79重量%
-乳化剤(例えば、CMC) 1~5重量%
-結合剤、弾性(例えば、SBR) 5~10重量%
-溶媒(例えば、水) 15~20重量%
正電極のためのペースト:
-二酸化マンガン 50~70重量%
-導電材料(例えば、グラファイト、カーボンブラック) 5~8重量%
-乳化剤(例えば、CMC) 2~8重量%
-結合剤、弾性(例えば、SBR) 8~15重量%
-溶媒(例えば、水) 20~30重量%
電解質ペースト
-導電性塩 塩化亜鉛 30~40重量%
-浮遊剤(例えば、酸化ケイ素粉末) 2~4重量%
-無機粒子(例えば、CaCO) 10~20重量%
-溶媒(例えば、水) 40~55重量%
【0115】
ペースト中の個々の成分の割合をそれぞれ加算すると、重量で合計100%になることが好適である。電極中の非揮発性成分の割合は、ペーストの対応する百分率から計算することができる。例えば、上記のペーストから調製される負電極中の亜鉛及び弾性結合剤の百分率は、81.25重量%~92.94重量%(亜鉛)及び5.62重量%~13.16重量%(弾性結合剤)の範囲である。上記のペーストから調製される正電極中の二酸化マンガン及び弾性結合剤の割合は、61.72重量%~82.35重量%(二酸化マンガン)及び8.51重量%と20.83重量%(弾性結合剤)の範囲である。
【0116】
電解質ペーストは、60~120μmの範囲の厚さ及び35~60%の多孔率を有する微多孔質ポリオレフィンフィルム(例えば、PE)と組み合わせて使用されることが好ましい。上記の第1の又は第2の代替的な、特に好適な実施形態によれば、電解質ペーストの層は、電極及び/又はセパレータ上に、特に指定範囲の厚さで、特に好ましくは、それぞれが約50μmの厚さで形成されることが好ましい。アノードは、30μm~150μmの厚さ、特に70μmの厚さを有する層として印刷されることが好ましい。正電極は、180~350μmの厚さ、特に280μmの厚さを有する層として印刷されることが好ましい。
【0117】
方法のさらなる好適な一実施形態では、方法は、直後に記載されている以下の追加の特徴及び/又はステップa.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けされる。
a.第1の基板及び第2の基板は、同じ基板の異なる領域である。
b.層スタックを形成するために、キャリアは、第1の負電極が第1のセパレータ及び第2の正電極の上に重なり、第2の負電極が第2のセパレータ及び第1の正電極の上に重なるように折り重ねられ、折り重ねた後に溶接及び/又はボンディングにより密閉容器を形成し、その中に層スタックが配置される。
方法の特に好適な実施形態では、直前に記載されている特徴a.及びb.は、互いに組み合わせて実現される。
【0118】
すでに言及したように、本発明によるプロセスでは、層スタックは負電極/セパレータ/正電極の順序で形成される。これは、互いに隣り合う、すなわち、共面配置であるセルの電極をキャリア上に印刷し、各単セルの電極及び関連付けされたセパレータが重ね合わせられるように、キャリアを折り重ねるか、又は折り曲げることによって、実現できることが好ましい。折り重ねた後に、キャリアは、得られた層スタックを少なくとも3面から取り囲む。密閉容器は、残されている面を溶接及び/又はボンディングすることにより形成することができる。アノード及びカソードが、前述の粘着性フレームによって前もって取り囲まれている場合にも、ボンディングが特に適している。この場合、封止フレームがボンディングをもたらすことができる。
【0119】
本明細書に記載のプロセスは、直列に電気接続された2つの単セルを有する本発明によるバッテリに直接通じている。3つ、又は4つ以上の単セルが直列に電気接続されたバッテリの生産には、追加の電極、セパレータ及び導体を提供することが必要であるが、これらの場合では、プロセスには追加のステップは必要ではない。例えば、電気導体はすべて、それらの数に関係なく1つのプロセスステップにおいて印刷することができる。同じことは、電極及び電解質層に当てはまる。
【0120】
上述した実施形態の場合、4つの単セルを有する第2の、特に好適な実施形態は、2つの追加の単セルを形成するために、第2の基板上に追加の第4の電気導体及び第5の電気導体と、2つの追加の正電極及び負電極と、をほぼ必要とする。
【0121】
本発明による無線タグは、無線信号を送信及び/又は受信するための送信機及び/又は受信機ユニットと、送信機及び/又は受信機ユニットに電流を供給するためのバッテリと、を含み、バッテリは上記の実施形態に従って形成される。送信機及び/又は受信機ユニット、並びにバッテリは、キャリア上に配置されることが好ましい。バッテリは、ピークにおいて400mA以上の電流を送信機及び/又は受信機ユニットに供給するように設計されていることが好ましい。
【0122】
無線タグに関連付けされたバッテリは、上述した第2の、とりわけ好適な実施形態に従って設計されていること、すなわち、バッテリは4つの単セルが直列に接続されていることが特に好ましい。これらは、亜鉛酸化マンガンセルであることが好ましい。
【0123】
バッテリによって送達可能なピーク電流を測定するために、バッテリのインピーダンスを電気化学インピーダンススペクトル(EIS:electrochemical impedance spectrum)から導出することが好適である。この測定方法では、インピーダンスZは、測定周波数fの関数として求められ、Z=Z(f)である。インピーダンス値Z(0.5Hz)は、長さが1秒のパルス電流によって生じる負荷に最も良く対応する。これは、オームの法則に従って、電子印加の開放回路電圧と閉鎖回路電圧との間の電圧差を用いて計算される。
ピーク電流i=電圧差△U/Z(0.5Hz)
【0124】
好適な実施形態では、バッテリの単セルは、基板上に直接形成することができる。上記で説明したように、第1の基板及び第2の基板は、まったく同一のキャリア上の領域とすることができ、これにより、次に、キャリア上に本発明によるバッテリの電気導体及び電極を共面配置で設け、セルの負電極及び正電極がそれぞれセパレータと重ね合わせられ、層スタックとして形成された本発明によるバッテリの単セルが形成されるように、キャリアを裏返すことが可能になる。裏返した後、キャリアは、得られた層スタックを少なくとも3面から取り囲む。密閉容器は、残されている面を溶接及び/又はボンディングすることにより形成することができる。
【0125】
しかしながら、バッテリを別々に製造し、それを例えば接着剤によって、キャリアに固定することもまた、好適な場合がある。
【0126】
無線タグの可能な好適な実施形態に関しては、ここでは国際公開第2019/145224A1号パンフレットを参照されたい。この文献では、例えば、センサシステムが詳細に説明されているが、センサシステムは無線タグの一部とすることができ、これを用いて、無線タグが付された製品に関する状態情報を求めることができる。
【0127】
本明細書に記載の本発明の文脈では、キャリア、並びに、送信機及び/又は受信機ユニットは、特に重要である。後者は、冒頭で述べたようなモバイル通信チップ、特に、LTE規格に準拠したデータ送信が可能なチップであることが好ましい。
【0128】
キャリアは、ほぼどんな設計のものであってもよい。表面が導電特性を有していなければ、これにより本発明によるバッテリの導体がキャリア上に直接印刷される場合に、短絡又は漏れ電流を排除することができるようになり、理想的である。例えば、キャリアはプラスチック系のラベルとすることができる。例えば、ポリオレフィン又はポリエチレンテレフタレートで作られたフィルムで、片方の面に粘着性の表面を有し、製品に固定することができるものであれば適切であろう。バッテリの電気導体及びバッテリのその他の機能部品は、もう片方の面に設けることができる。
【0129】
特に好適な実施形態では、無線タグは、無線タグの周囲の環境から電気エネルギーを得るように構成することができる。この目的のために、無線タグには、環境からのエネルギーを電気エネルギーに変換可能なエネルギー変換器を装備することができる。例えば、圧電効果、熱電効果又は光電効果を変換のために使用することができる。環境からのエネルギーは、例えば、光、電界、磁界、電磁界、運動、圧力及び/又は熱の形態、及び/又は他の形態のエネルギーで供給することができ、エネルギー変換器を用いて使用、又は「取り入れ」することができる。
【0130】
好適な実施形態では、エネルギー変換器は、エネルギー変換器を充電することができるように、本発明によるバッテリに結合されている。なるほど、亜鉛酸化マンガンセル又は亜鉛酸化銀セルは、基本的には再充電用に意図されていない、いわゆる一次電池に属するのはその通りである。しかしながら、限られた範囲内で、再充電はこのようなセルにも機能する。
【0131】
本発明のさらなる特徴及び本発明から得られる利点は、以下の実施形態及び図面から明らかになり、これらを用いて、本発明を説明することにする。以下に記載する実施形態は、単に本発明を説明し、より良く理解できるようにするための役割を果たすものであり、いかなる点においても限定するものとして理解されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図面では、以下の図を概略的に示している。
図1】本発明によるバッテリを製造するためのプロセスの好適な一実施形態の図
図2図1に図示されているプロセスに従って形成されたバッテリの断面図
図3図1に図示されているプロセスに従って形成されたバッテリの代替的な一実施形態の断面図
図4図2に示されているバッテリを有する無線タグ(上から見た上面図)
図5】サイズの異なる重なり合い領域を有する、本発明によるバッテリの層スタックの2つの例(上から垂直に見た上面図)
図6】本発明によるバッテリを用いたパルス試験の結果
【発明を実施するための形態】
【0133】
図1を参照して、4つの単セルが直列に電気接続された、本発明によるバッテリ100の好適な一実施形態の製造及び構造を説明することができる。製造方法は、以下のステップを含む。
【0134】
(1)電流導体構造が、厚さが200μmであるPETフィルム106上にスクリーン印刷によって印刷され、これが基板としての役割を果たす。PETフィルム106は、線109によって2つの領域109a及び109bに分けられ、そのうちの領域109aは第1の基板としての役割を果たし、領域109bは第2の基板としての役割を果たす。電流導体構造は、第1の電気導体101と、第2の電気導体102と、第3の電気導体103と、第4の電気導体104と、第5の電気導体105と、を含む。第1の導体101及び第3の導体103は、この場合、第1の基板109a上に印刷されている。導体102、104及び105は、第2の基板109b上に印刷されている。ここで使用されている印刷ペーストは、市販の銀の導電性ペーストである。電気導体105~101の領域では、PETフィルム106は、それぞれ表面全体にわたってペーストでコーティングされ、その結果、導体はそれぞれ、連続した導電性の表面を形成している。電気導体はすべて、10μmμm~100μmの範囲の厚さの層として形成されることが好ましい。このステップの結果は図1Aに示されており、図面に示されているすべての層が、図面の平面に平行に配置されていることに留意されたい。これは、導体上に堆積された炭素層、電極層及び電解質層にも同様に当てはまる。
【0135】
(2)さらなるステップにおいて、電流導体構造は炭素粒子の薄層で覆われる。炭素粒子の層は、12μmの厚さで形成されることが好ましい。ここで使用される印刷ペーストは、導電性の層及び電子機器における接続部を形成するために使用されるタイプの一般的な炭素ペーストである。このステップの結果は図1Bに示されている。炭素粒子の層による電流導体構造の被覆を最適化するために、形成された層に熱処理を施すことが好ましい場合がある。適用することが可能な温度は、主としてPETフィルムの熱的安定性によって決まり、適宜選択しなければならない。
【0136】
(3)次に、負電極107a、107b、107c及び107d、並びに正電極108a、108b、108c及び108dが電流導体構造上に印刷される。この目的のために、第1の電気導体101は、領域内で、亜鉛ペーストで重ね刷りされて負電極107bを形成し、領域内で、酸化マンガンペーストで重ね刷りされて正電極108aを形成する。第2の電気導体102は、負電極107cを形成する間には、一部の領域内で、亜鉛ペーストで重ね刷りされ、正電極108bを形成する間には、一部の領域内で、酸化マンガンペーストで重ね刷りされる。第3の電気導体103は、一部の領域内で、亜鉛ペーストで重ね刷りされて負電極107dを形成し、一部の領域内で、酸化マンガンペーストで重ね刷りされて正電極108cを形成する。第4の電気導体104は、領域内で、酸化マンガンペーストで重ね刷りされて正電極108dを形成する。第5の電気導体105は、亜鉛ペーストで局部的に重ね刷りされて負電極107aを形成する。ペーストは、以下の組成を有する。
亜鉛ペースト:
-亜鉛粒子 70重量%
-CMC 2重量%
-SBR 6重量%
-溶媒(水) 22重量%
酸化マンガンペースト:
-酸化マンガン 60重量%
-グラファイト 6重量%
-塩化亜鉛 2重量%
-CMC 2重量%
-SBR 5重量%
-溶媒(水) 25重量%
このステップの結果は図1Cに示されている。負電極107a~107d及び正電極108a~108dはそれぞれ、長さ11cm及び幅2cmの矩形のストリップとして形成される。負電極107a~107dは、ここでは、厚さ70μmの層として形成されることが好ましい。正電極108a~108dは、厚さ280μmの層として形成されることが好ましい。正電極108a~108dを形成するためには、複数の印刷プロセスが必要な場合がある。
【0137】
2つの電極が、第1の導体101、第2の導体102、及び第3の導体103を介して互いに電気接続されている。導体101は、正電極108aを負電極107bに接続し、導体102は正電極108bを負電極107cに接続し、導体103は正電極108cを負電極107dに接続する。これらの電気接続は、4つの単セルの所望される直列接続の基本原理である。それぞれが2つの電極を互いに電気接続している導体101、102、及び103は、電気接続された電極108a及び107b、108b及び107c、並びに108c及び107dが表面上で占める領域よりも大きいそれぞれの基板109a及び109bの表面上に、導電性領域をそれぞれ形成する。一態様では、導電性領域はそれぞれ、電極によって覆われた領域を含む。次に、電極を互いに分離するために、電気接続された電極のそれぞれの間にすき間110が形成される。導電性の表面もまた、このすき間110にわたって広がっており、その結果、導体の断面積は電極間のすき間では減少していない。これはすべて、本発明によるバッテリ100のインピーダンス値に対してプラスの効果を及ぼす。電極同士の接触領域、また特に、すき間110を介しての接続領域も大きいことにより、確実に電極が最適に電気接続されるようにし、電気抵抗を最小限に抑えるようにする。同様に、第4の導体104及び第5の導体105は、電極107a及び108dのみと電気接触しているが、それらは、それぞれの電気的に接触した電極が表面上で占める領域よりも大きいそれぞれの基板の表面上に、導電性領域を形成する。一態様では、導電性領域はそれぞれ、電極によって覆われた領域を含む。他方では、導電性の表面はそれぞれ、電極材料によって覆われていない領域を含む。これらの領域は、バッテリ100の極として、バッテリの直列に接続された4つの単セルの加算電圧をタップする役割を果たす場合がある。
【0138】
(5)さらなる後続のステップにおいて、負電極107a~107d及び正電極108a~108dは、塩化亜鉛ペーストで印刷される。電解質層111a~111hが形成され、それらはそれぞれ厚さが、例えば、およそ50μmである。このステップの結果は図1Dに示されている。このステップでは、以下の組成を有する電解質ペーストを使用することが好ましい。
-塩化亜鉛 35重量%
-浮遊剤(二酸化ケイ素) 3重量%
-無機、不水溶性粒子 15重量%
-溶媒(水) 47重量%
アクチュエータ及び不水溶性粒子は、電気絶縁効果を有する。ペーストが個々の電極の周囲に印刷される前に、封止フレーム112が、例えば粘着性化合物によって形成され、それが電極を取り囲むのであれば、特に有利である。市販のはんだレジストは、例えば、封止フレーム112を形成するための出発原料としての役割を果たすことができる。電極107a及び108aを取り囲む2つの封止フレーム112が、例として示されている。プロセスを適切に行うのであれば、電極をすべて封止フレームで取り囲むことが好都合である。
【0139】
(6)次に、電解質層111a~111hは、電解質層が乾き切ってしまわないように、好ましくは電解質層を印刷した直後に、1つ又は複数のセパレータで覆われる。次に、PETフィルム106を線109に沿って折り畳み、
●負電極107aが、セパレータ又は複数のセパレータのうちの1つ、及び正電極108aと第1の層スタックを形成し、
●負電極107bが、セパレータ又は複数のセパレータのうちの1つ、及び正電極108bと第2の層スタックを形成し、
●負電極107cが、セパレータ又は複数のセパレータのうちの1つ、及び正電極108cと第3の層スタックを形成し、且つ
●負電極107dが、セパレータ又は複数のセパレータのうちの1つ、及び正電極108dと第4の層スタックを形成するように、折り重ねられる。
ラッピングし、最終溶接及び/又はボンディングすることによって、層スタックが中に配置された閉じたハウジングを形成することができる。このステップの結果は図2及び図3に示されている。例えば、市販の不織布セパレータ又は微多孔質ポリオレフィンフィルムをセパレータ又は複数のセパレータとして使用することができる。60~120μmの範囲の厚さ及び35~60%の多孔率(全体積に対する空隙体積の割合)を有する微多孔質ポリオレフィンフィルムを使用することが好ましい。
【0140】
図2に断面図で示されているバッテリ100は、層スタックとして形成された4つの単セル113、114、115及び116を含む。示されているバッテリは、図1に図示されている手順に従って製造することができ、この手順により、合計4つの、層として形成されたセパレータ117a~117dが単セルを形成するために使用される。セパレータ117a~117dに加えて、層スタック113~116はそれぞれ、負電極107a~107dのうちの1つと、正電極108a~108dのうちの1つと、を含む。詳細には、
【0141】
層スタック113は電気導体101及び105を含むが、これらの電気導体は、電解質との接触から電気導体を保護する炭素粒子の層101a及び105aを含む。正電極108aは、層101a上に直接堆積され、負電極107aは、層105a上に直接堆積されている。電極107aと電極108aとの間には、セパレータ117aがあり、これは電解質層111a及び111bによる枠で囲まれている。電解質層111a及び111bは、非導電性成分を含有することによって正電極108a及び負電極107aを互いに電気絶縁することに役立つので、それらは、セパレータ117aの構成要素と見なすことができる。
【0142】
層スタック114は電気導体101及び102を含むが、これらの電気導体は、電解質との接触から電気導体を保護する炭素粒子の層101a及び102aを含む。正電極108bは、層102a上に直接堆積され、負電極107bは、層101a上に直接堆積されている。電極107bと電極108bとの間には、セパレータ117bがあり、これは電解質層111c及び111dによる枠で囲まれている。電解質層111c及び111dは、非導電性成分の割合により正電極108b及び負電極107bを互いに電気絶縁することに役立つので、それらは、セパレータ117bの構成要素と見なすことができる。
【0143】
層スタック115は電気導体102及び103を含むが、これらの電気導体は、電解質との接触から電気導体を保護する炭素粒子の層102a及び103aを含む。正電極108cは、層103a上に直接堆積され、負電極107cは、層102a上に直接堆積されている。電極107cと電極108cとの間には、セパレータ117cがあり、これは電解質層111e及び111fによる枠で囲まれている。電解質層111e及び111fは、非導電性成分を含有することにより正電極108c及び負電極107cを互いに電気絶縁することに役立つので、それらは、セパレータ117cの構成要素と見なすことができる。
【0144】
層スタック116は電気導体103及び104を含むが、これらの電気導体は、電解質との接触から電気導体を保護する炭素粒子の層103a及び104aを含む。正電極108dは、層104a上に直接堆積され、負電極107dは、層103a上に直接堆積されている。電極107dと電極108dとの間には、セパレータ117dがあり、これは電解質層111g及び111hによる枠で囲まれている。電解質層111g及び111hは、非導電性成分を含有することにより正電極108d及び負電極107dを互いに電気絶縁することに役立つので、それらは、セパレータ117dの構成要素と見なすことができる。
【0145】
第1の導体101及び第3の導体103は、第1の基板109aの、第2の基板109bの方を向いている表面上に互いに離間して(objectionably)配列され、一方、第2の導体102、第4の導体104及び第5の導体105は、第2の基板109bの、第1の基板109aの方を向いている表面上に互いに離間して配列されている。
【0146】
4つの単セル113、114、115及び116は、それらの電圧が加算されるように、直列に電気接続されている。この目的のために、単セルの反対極性の電極が、第1の導体101、第2の導体102及び第3の導体103を介して互いに電気接続されている。導体電極は反対極性を有し、第1の導体は、第4の単セルの電極と電気的に接触し、この導体によって電気接続される電極もまた反対極性を有している。上記で言及したように、電極材料によって覆われていない導体104及び105の領域は、バッテリ100の端子として、バッテリの直列に接続された4つの単セル113~116の加算電圧をタップする役割を果たすことができる。
【0147】
本明細書に記載の単セル113~116は、電気化学システムとして亜鉛二酸化マンガンをベースにしているので、セルはそれぞれ、約1.5ボルトの公称電圧を供給する。したがって、バッテリ100は、約6ボルトの公称電圧を供給することができる。
【0148】
前述のラッピング、並びに線117に沿った最終溶接及び/又はボンディングの結果として、本発明によるバッテリ110は、層スタック113~116が中に配置された閉じたハウジング118を有する。電極材料によって覆われていない導体104及び105の領域は、バッテリ100の電圧を外部からタップすることができるように、ハウジングからリード線を引き出すことができる。
【0149】
本発明によるバッテリ100のインピーダンス特性の場合、単セル113~116の層状の構成要素は、層スタック内で直接接触しているが、これらの構成要素ができるだけ広い領域にわたって互いに接触していることが不可欠である。これを単セル113に関連して説明する。
【0150】
まず、インピーダンスを最適化するために、電極107a及び108aと、電気導体101及び105との間の接触を、できるだけ広い領域にわたって提供することが必要である。上記で説明したように、導体101及び105は、図1A及び図1Bに示されているように、基板109a及び109b上にそれぞれ連続した導電性の表面を形成する。導体101及びその上に堆積された電極108aによって形成される導電性の表面は、電極108aに垂直な直線が、電極及び導体101の両方と交差する重なり合い領域において、電極108a及び導体101に垂直な視野の方向においてほぼ重なり合う。特定の場合では、この重なり合い領域は、厳密に電極108aの領域である。したがって、電極108aは電気導体101と全面的に接触している。電極107aと導体105との間の接触の場合、同じことが同様に当てはまる。ここでもまた、全面的に接触している。
【0151】
また、電極107a及び108aのセパレータ117aへの接続も重要である。上記で説明したように、セパレータ117aは電解質層111a及び111bを介して電極107a及び108aと接触しており、これにより、本例では、電解質層111a及び111bは、セパレータ117aの一部と見なされる。セパレータの片方の面は、正電極108aへの第1の接触面を有し、それに平行なもう片方の面は、負電極107aへの第2の接触面を有する。接触面は、両方の接触面と交差しているセパレータに垂直な直線によって画定される重なり合い領域において、セパレータに垂直な視野の方向において互いに重なり合うことが好ましい。
【0152】
電極107a及び108aは、同一の表面寸法を有し、且つ、スタック内で互いにずらして配置されていないので、この重なり合い領域のサイズは、電極107a及び108aのサイズに厳密に一致する。電極107a及び108aは、このように、導体101及び105と全面的に接触しているだけでなく、セパレータ又は、セパレータの電解質層111a及び111bとも全面的に接触している。
【0153】
図3に示されているバッテリ100は、本発明によるバッテリの単セル113~116が、複数のセパレータの代わりに多孔質シート117を共通のセパレータとして有している点だけが、図2に示されているバッテリ100とは異なっている。
【0154】
多孔質シート117は、互いに分離された4つの領域を有し、それらを介して4つの層スタックからなる反対の極性を有する電極が接触している。これらのうちの第1の領域は、電極107a及び108aへの接触面によって、第2の領域は、電極107b及び108bへの接触面によって、第3の領域は、電極107c及び108cへの接触面によって、及び第4の領域は、電極107d及び108dへの接触面によって画定されている。共通のセパレータ117の使用により、本発明によるバッテリ100の生産を大幅に簡素化することができる。
【0155】
バッテリ100に加えて、図4に示されている無線タグ119は、無線信号を送信及び/又は受信するための送信機及び/又は受信機ユニット120と、センサシステム121と、送信機及び/又は受信機ユニット120に結合されたアンテナ122と、を含む。無線タグの構成要素は導体構造を介して接続されている。接着剤層(図示せず)は、タグ119の下側に配置することができ、これによって、無線タグ119を製品に固定することができる。
【0156】
図5を参照して、本出願で使用される重なり合い領域の概念を説明する。図5は、層として形成されたセパレータ117が、層として形成された負電極107と、層として形成された正電極108との間に配列されている、層スタックの例を示す。負電極107及び正電極108はそれぞれ、矩形として形成され、それぞれがセパレータ117上で同じ面積を覆っている。図面では、すべての層が図面の平面に平行に配置されている。負電極107によって覆われたセパレータ117の領域は、上記説明における第1の接触領域として画定される。正電極108によって覆われたセパレータ117の領域は、上記説明における第2の接触領域として画定される。
【0157】
図5(1)では、第1の接触領域及び第2の接触領域が、図面の平面に垂直な、したがってセパレータ117に垂直な視野方向において、互いに部分的にのみ重なり合うように、負電極107及び正電極108は互いにずらして配置されている。したがって、重なり合い領域Aは、セパレータ117上の、負電極107及び正電極108によって覆われた領域よりも小さい。
【0158】
しかしながら、図5(2)では、負電極107及び正電極108は、完全に重なり合っている。したがって、重なり合い領域Aのサイズは、負電極107及び正電極108の領域に厳密に一致する。
【0159】
図6に示されているパルス試験の結果は、直列に電気接続された、図2に示されているように設計された4つの単セルを含むバッテリを用いて行われた結果である。4つのセルの電極はそれぞれ、それぞれの基板上でおよそ22cmの面積にわたって広がっている。単セルは、直列に電気接続され、6Vの公称電圧を供給した。実際、開放回路電圧は、約6.4ボルトであり、放電終期電圧は、約3.1ボルトであった。測定に先立って、バッテリは、経年変化を人工的にシミュレートするために45°で1か月間保管された。それにもかかわらず、バッテリは、合計118のTXパルスを送達した。新品のバッテリは、負荷試験において400を超えるTxパルスを送達し、したがってLTEチップへの電力供給に理想的に適している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】