(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】PD-1阻害剤を投与することにより肺がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240214BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240214BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240214BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240214BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240214BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P11/00
A61P35/04
A61K39/395 U
A61K45/00
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550567
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2022017247
(87)【国際公開番号】W WO2022182632
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ・リーチェル
(72)【発明者】
【氏名】イスラエル・ローウィー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA16
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害するための方法を提供し、本方法は、それを必要とする肺がんおよび脳転移を有する患者を選択すること、ならびに、治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤(例えば、セミプリマブまたはそれの生物学的同等物)を患者に投与することを含む。ある特定の実施形態では、肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)であり、PD-L1は腫瘍細胞の≧50%で発現する。ある特定の実施形態では、本方法は、機能および生活の質の改善をもたらす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害する方法であって、
(a)肺がんおよび脳転移を有する患者を選択すること;ならびに
(b)治療有効量のプログラム死-1(PD-1)阻害剤を患者に投与すること
を含み、
PD-1阻害剤は、
PD-1に特異的に結合し、
配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)に含有される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)に含有される3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む抗体、またはそれの生物学的同等物である、
方法。
【請求項2】
肺がんは非小細胞肺がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
肺がんは、局所進行性または転移性の非小細胞肺がんである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
肺がんは局所進行性非小細胞肺がんである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
患者は外科的切除または根治的化学放射線療法の候補ではない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
肺がんは転移性である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
患者は扁平上皮肺がんまたは非扁平上皮肺がんを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
患者の腫瘍組織が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
脳転移は処置を受けた、安定した脳転移である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
患者はEGFR、ALKまたはROS1の異常を有しない、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
抗PD-1抗体は、
配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するHCDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するHCDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するLCDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCDR3
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
抗PD-1抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
抗PD-1抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
抗PD-1抗体は、配列番号1/2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖、および軽鎖を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
抗PD-1抗体は、重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
抗PD-1抗体は、
配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
抗PD-1抗体はセミプリマブである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
PD-1阻害剤は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するHCVRを含む抗PD-1抗体である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
PD-1阻害剤は、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するLCVRを含む抗PD-1抗体である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
PD-1阻害剤は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するHCVR、および配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するLCVR
を含む抗PD-1抗体である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
方法は、患者において腫瘍退行を促進し、腫瘍細胞量を減少させ、腫瘍負荷を減少させ、および/または腫瘍再発を防止する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
方法は、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏功、部分奏功、および安定疾患から選択される少なくとも1つの効果をもたらす、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
方法は、化学療法と比較して、無増悪生存、全生存、および客観的奏効率のうちの少なくとも1つにおいて向上をもたらす、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
方法は、化学療法単独で処置を受けた患者と比較して、EORTC QLQ-C30およびQLQ-LC13によって評価して、患者の機能および生活の質の改善をもたらす、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
方法は、化学療法単独で処置を受けた患者と比較して、EORTC QLQ-C30およびQLQ-LC13によって評価して、
患者のGHS/QoLにおいて回復が見られない悪化までの時間を遅延させる、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
手術、放射線、抗ウイルス療法、光線力学的療法、プログラム死リガンド1(PD-L1)阻害剤、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニスト、T細胞免疫グロブリンおよびムチン含有-3(TIM3)阻害剤、B-およびT-リンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgドメインおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、別のT細胞共阻害剤またはリガンドのアンタゴニスト、CD20阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、CD28活性化剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、共刺激受容体に対するアゴニスト、腫瘍特異的抗原に対する抗体、ワクチン、抗原提示を高めるアジュバント、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤、プラチナベースの化学療法、チロシンキナーゼ阻害剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、抗体薬物複合体(ADC)、キメラ抗原受容体T細胞、抗炎症薬、ならびに栄養補助食品のうちの1つまたはそれ以上から選択されるさらなる治療剤または療法を患者に投与することをさらに含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
PD-1阻害剤は1回またはそれ以上の用量として投与され、
各用量は直前の用量の2週間後、3週間後、4週間後、5週間後または6週間後に投与される、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
PD-1阻害剤は2回以上の用量として投与され、
各用量は直前の用量の3週間後に投与される、
請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
PD-1阻害剤は5mg~800mgの用量で投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
PD-1阻害剤は、200mg、250mg、または350mgの用量で投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg~20mgの用量で投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mgまたは10mgの用量で投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
PD-1阻害剤は静脈内にまたは皮下に投与される、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害する方法における使用のためのプログラム死1(PD-1)阻害剤であって、方法は:
(a)肺がんおよび脳転移を有する患者を選択すること;ならびに
(b)治療有効量のプログラム死-1(PD-1)阻害剤を患者に投与すること
を含み、
PD-1阻害剤は、
PD-1に特異的に結合し、
配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)に含有される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)に含有される3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む抗体、またはそれの生物学的同等物である、
PD-1阻害剤。
【請求項36】
キットであって、
肺がんおよび脳転移を有する患者において腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害するために、治療有効量のPD-1阻害剤の使用のための書面での取扱説明書との組合せでプログラム死1(PD-1)阻害剤
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害する方法であって、それを必要とする肺がんを有する患者を選択することおよび治療有効量のプログラム死1(PD-1)阻害剤(例えば、セミプリマブまたはそれの生物学的同等物)を、脳転移を有する患者に投与することを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺がんは、最も一般的に診断されるがんの1つであるとともに世界中でがん関連死の主な原因である(Siegel 2016)。2020年では、米国では肺がんの新規症例推定で228,820人が診断されることになり、135,720の人々が本疾患により死亡したと推定された(American Cancer Society 2020)。非小細胞肺がん(NSCLC)は全肺がんのうちの80%~85%を占め、いくつかの病理組織学的サブタイプから構成されるが、これらのうち最も一般的なものは、腺癌(40%~60%)および扁平上皮細胞癌(30%)である。NSCLCを有する患者の大部分は、診断時に進行性のがんを有することがしばしば見受けられる。
【0003】
維持療法の有無にかかわらず、プラチナベースのダブレットレジメンを用いる全身療法は最近まで、患者の腫瘍が上皮増殖因子受容体(EGFR)突然変異、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)突然変異、または、c-rosがん遺伝子1受容体チロシンキナーゼ(ROS1)融合を有しない、進行性のNSCLCを有する患者向けの標準第一選択治療であった(Besse 2014、Ettinger 2016、Reck 2014)。この全身療法はなおも、免疫チェックポイント阻害剤による療法が承認されていないかまたは利用できない国々では患者向けの標準治療である。転移性NSCLCに対する化学療法は根治的ではなく、最適な処置でありながら、患者は、全生存(OS)中央値 概8~12か月および5年生存率 概18%を有する(Siegel、2016)。したがって、肺がん、特に進行性NSCLCを有する患者において長期生存および生活の質(QOL)を改善することになる、より新規な療法のアプローチが必要とされている。
【0004】
がん細胞と宿主免疫系との間には、腫瘍増殖を阻害することも増強することもできる複雑なクロストークが存在すると、理解されている(Vinay 2015)。がんは、腫瘍内での免疫抑制環境の形成を含めて、いくつかのメカニズムを通して宿主の免疫応答をモジュレートするとともに回避する。プログラム細胞死-1(PD-1)は、免疫抑制を媒介する活性化T細胞の表面上で発現される重要な共受容体である。そのリガンド、プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)またはプログラム細胞死リガンド-2(PD-L2)のうちの1つへPD-1が結合すると、細胞傷害性T細胞応答の阻害がもたらされる。腫瘍微小環境でのPD-L1の発現が増大すると、免疫監視メカニズム(T細胞誘導性抗腫瘍活性)からの回避が容易となる。対照的に、免疫チェックポイント阻害剤を使用することによるこういった相互作用の遮断によって、抗腫瘍活性を有するT細胞応答の増強がもたらされる。
【0005】
脳転移は、多くのタイプのがんにおいてよくある合併症であり、肺がん患者のうちにとりわけ認められる。肺がん患者の40%ほどが脳腫瘍を発生し、その他のタイプのがんよりも多くの脳転移が肺腫瘍として始まる。脳転移は、新たに診断されたNSCLCを有する患者の概10%に、およびステージIVのNSCLCを有する患者の26%に見られる(Waqar.2018)。NSCLCおよび脳転移を有する患者について、予後は一般に不良で、全生存(OS)中央値 7.8か月である(Ali、2013)。全脳放射線療法のような局所療法が、NSCLCを有する患者の脳転移向けの処置の頼みの綱となってきた(Chamberlain、2017)。たとえ放射線療法が良好な局所制御に関連付けられるとしても、その応答は恒久性ではない。大量の全身性疾患を有する多くの患者は、局所療法を受けるための全身療法の遅延を忍容することができない(Goldberg、2020;Goldberg、2016)。したがって、NSCLCのような肺がんおよび脳転移を有する患者を処置するための安全かつ効果的な療法に対する重大なニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、開示される技術は、腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害する方法であって:(a)肺がんおよび脳転移を有する患者を選択すること;ならびに(b)治療有効量のプログラム死-1(PD-1)阻害剤を患者に投与することを含み、PD-1阻害剤は、PD-1に特異的に結合し、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)に含有される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)に含有される3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む抗体、またはそれの生物学的同等物である、方法に関する。一部の実施形態では、肺がんは非小細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、局所進行性または転移性の非小細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは局所進行性非小細胞肺がんである。一部の実施形態では、患者は外科的切除または根治的化学放射線療法の候補ではない。一部の実施形態では、肺がんは転移性である。一部の実施形態では、患者は扁平上皮肺がんまたは非扁平上皮肺がんを有する。一部の実施形態では、患者の腫瘍組織は、腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する。一部の実施形態では、脳転移は処置を受けた、安定した脳転移である。一部の実施形態では、患者はEGFR、ALKまたはROS1の異常を有しない。
【0007】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するHCDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するHCDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するLCDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号1/2のHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖、および軽鎖を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体はセミプリマブである。
【0008】
一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するHCVRを含む抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するLCVRを含む抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するHCVR、および配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するLCVRを含む抗PD-1抗体である。
【0009】
一部の実施形態では、方法は、患者において腫瘍退行を促進し、腫瘍細胞量を減少させ、腫瘍負荷を減少させ、および/または腫瘍再発を防止する。一部の実施形態では、方法は、無増悪生存の延長、全生存の延長、完全奏功、部分奏功、および安定疾患から選択される少なくとも1つの効果をもたらす。一部の実施形態では、方法は、化学療法単独で処置を受けた患者と比較して、EORTC QLQ-C30によって評価して、患者の機能および生活の質の改善をもたらす。一部の実施形態では、方法は、化学療法単独で処置を受けた患者と比較して、EORTC QLQ-C30およびQLQ-LC13によって評価して、患者のGHS/QoLにおいて回復が見られない悪化までの時間を遅延させる。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、手術、放射線、抗ウイルス療法、光線力学的療法、プログラム死リガンド1(PD-L1)阻害剤、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニスト、T細胞免疫グロブリンおよびムチン含有-3(TIM3)阻害剤、B-およびT-リンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgドメインおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、別のT細胞共阻害剤またはリガンドのアンタゴニスト、CD20阻害剤、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、CD28活性化剤、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、共刺激受容体に対するアゴニスト、腫瘍特異的抗原に対する抗体、ワクチン、抗原提示を高めるアジュバント、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤、プラチナベースの化学療法、チロシンキナーゼ阻害剤、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、サイトカイン、抗体薬物複合体(ADC)、キメラ抗原受容体T細胞、抗炎症薬、および栄養補助食品のうちの1つまたはそれ以上から選択されるさらなる治療剤または療法を患者に投与することをさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、PD-1阻害剤は1回またはそれ以上の用量として投与され、各用量は直前の用量の2週間後、3週間後、4週間後、5週間後または6週間後に投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は2回以上の用量として投与され、各用量は直前の用量の3週間後に投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、5mg~800mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、200mg、250mg、または350mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg~20mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、患者の体重1kg当たり1mg、3mgまたは10mgの用量で投与される。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は静脈内にまたは皮下に投与される。
【0012】
別の態様では、本開示の技術は、腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害する方法における使用のためのプログラム死1(PD-1)阻害剤であって、方法は:(a)肺がんおよび脳転移を有する患者を選択すること;ならびに(b)治療有効量のプログラム死-1(PD-1)阻害剤を患者に投与することを含み、PD-1阻害剤は、PD-1に特異的に結合し、配列番号1の重鎖可変領域(HCVR)に含有される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号2の軽鎖可変領域(LCVR)に含有される3つの軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む抗体、またはそれの生物学的同等物である、PD-1阻害剤に関する。
【0013】
別の態様では、本開示の技術は、キットであって、肺がんおよび脳転移を有する患者において腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害するために、治療有効量のPD-1阻害剤の使用のための書面での取扱説明書との組合せでプログラム死1(PD-1)阻害剤を含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例2に記載のEmpower-Lung1の研究計画の概略図である。
図1で使用される略語は、CNS、中枢神経系;ECOG、Eastern Cooperative Oncology Group;HIV、ヒト免疫不全ウイルス;HRQoL、健康関連の生活の質;ITT、治療企図;IV、静脈内;PD、進行性疾患;Q3W、3週間ごと;R、無作為割り当て;およびROW、その他の地域、を含む。
【
図2】実施例2に記載の試験に組み込まれた患者の全生存を示すカプラン-マイヤー曲線の図である。
【
図3】実施例2に記載の試験に組み込まれた患者の無増悪生存を示すカプラン-マイヤー曲線の図である。
【
図4】実施例2に記載の試験に組み込まれた患者の脳転移無増悪生存を示すカプラン-マイヤー曲線の図である。
【
図5A】実施例3に記載の試験に組み込まれた患者について、複数の時点にわたるベースラインからの全体の最小二乗(LS)平均変化の混合モデル反復測定(MMRM)解析を示すグラフの図である。
図5Aは、QLQ-C30機能スケールに関連する;
図5BはQLQ-C30症状スケールに関連する;
図5CはQLQ-LC13に関連する。
【
図5B】実施例3に記載の試験に組み込まれた患者について、複数の時点にわたるベースラインからの全体の最小二乗(LS)平均変化の混合モデル反復測定(MMRM)解析を示すグラフの図である。
図5Aは、QLQ-C30機能スケールに関連する;
図5BはQLQ-C30症状スケールに関連する;
図5CはQLQ-LC13に関連する。
【
図5C】実施例3に記載の試験に組み込まれた患者について、複数の時点にわたるベースラインからの全体の最小二乗(LS)平均変化の混合モデル反復測定(MMRM)解析を示すグラフの図である。
図5Aは、QLQ-C30機能スケールに関連する;
図5BはQLQ-C30症状スケールに関連する;
図5CはQLQ-LC13に関連する。
【
図6】実施例3に記載の試験に組み込まれた患者について、処置効果の全体的な差異のMMRM解析を示す概略図である。
【
図7】実施例3に記載の試験に組み込まれた患者について、各サイクルにてのEORTC QLQ-C30 GHS/QoLのベースラインからの変化のMMRM解析を示すグラフの図である。
【
図8-1】実施例3に記載の試験に組み込まれた患者について、研究期間にわたる回復が見られない悪化についてハザード比を示す概略図である。
【
図9】実施例5に記載の試験に組み込まれた患者の全生存(OS)を示すグラフの図である。
*名目上のP値。
【
図10】実施例5に記載の試験に組み込まれた患者の無増悪生存(PFS)を示すグラフの図である。
*名目上のP値。
【
図11】実施例5に記載の試験に組み込まれた患者のカプラン-マイヤー推定奏功期間(DOR)を示すグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、記載される特定の方法および実験条件に制限されず、なぜなら、そのような方法および条件は変動し得るからであることを理解されたい。本明細書で使用される術語は特定の実施形態のみを説明することを目的とし、制限を意図したものではないこと、および本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることも理解されたい。別段規定されない限り、本出願で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または等価の任意の方法および材料を本開示の実施または試験で使用することができるが、好ましい方法および材料についてこれから記載する。そうでないことが言明されない限りにおいて、本明細書で言及されるすべての刊行物を、それらの全体において本明細書に参照によって組み入れる。
【0016】
肺がんの増殖を処置するかまたは阻害する方法
一般に、脳転移を発生した肺がん患者は、治験から除外されることが多い過小評価された亜集団を構成する。これは、かかる患者は、彼らのさらなる腫瘍負荷を前提とすると抗腫瘍療法に応答する傾向がないからである。しかし、本開示は、肺がんおよび脳転移を有する患者を選択すること、およびそれを必要とする患者にセミプリマブまたはそれの生物学的同等物のようなPD-1阻害剤を投与することを含む、腫瘍の増殖を処置するかまたは阻害するための有効な方法を含む。ある特定の実施形態では、脳転移は肺がんから発生したものである。ある特定の実施形態では、患者は処置を受けた、安定した脳転移を有する。例えば、脳転移は十分に処置を受けており、患者は脳転移処置に関連する残留徴候または症状を除いてベースラインに神経学的に戻っていた。ある特定の実施形態では、患者は、PD-L1が腫瘍細胞の≧50%で発現する、肺がん(例えばNSCLC)を有する。一部の実施形態では、肺がん患者はEGFR、ALKまたはROS1の異常を有しない(すなわち、患者の腫瘍は、検査で、EGFR遺伝子突然変異、ALK遺伝子転座、およびROS1融合の陰性反応が出る)。一部の実施形態では、肺がんは、局所進行性または転移性のNSCLCである。一部の実施形態では、肺がんは局所進行性NSCLCである。一部の実施形態では、肺がんは局所進行性NSCLCであり、患者は外科的切除または根治的化学放射線療法(例えば、根治的同時放射線化学療法)の候補ではない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「肺がん」とは、非小細胞肺がん(NSCLC)(例えば、進行性NSCLC、ステージIIIB、ステージIIICもしくはステージIVの扁平上皮NSCLCもしくは非扁平上皮NSCLC、腺癌、扁平上皮細胞癌、または大細胞癌)、腺扁平上皮癌、および肉腫様癌のような、肺のがんを指す。一部の実施形態では、肺がんは非小細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは扁平上皮非小細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、非扁平上皮非小細胞肺がんである。一部の実施形態では、肺がんは、局所進行性、再発性または転移性の肺がんである。一部の実施形態では、患者は、腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する肺がんを有する。一部の実施形態では、患者は、腫瘍が腫瘍細胞の≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、または≧90%でPD-L1を発現する肺がん(例えば、非小細胞肺がん)を有する。一部の実施形態では、患者は、肺がんの処置(例えば、化学療法、放射線、またはそれらの組合せのような抗腫瘍療法)で以前に処置を受けている。
【0018】
本明細書で使用される場合、「処置すること」、「処置する」等の用語は、少なくとも1つの症状もしくは徴候の重症度を緩和するもしくは軽減すること、一時的もしくは永続的いずれかのベースで症状の因果関連を排除すること、腫瘍の増殖を遅延させるかもしくは阻害すること、腫瘍細胞量もしくは腫瘍負荷を減少させること、腫瘍退縮を促進すること、腫瘍の縮小、壊死および/もしくは消失を引き起こすこと、腫瘍再発を防止すること、転移を防止するかもしくは阻害すること、転移性腫瘍の増殖を阻害すること、手術に対する必要性を排除すること、ならびに/または対象の生存期間を延長することを意味する。多くの実施形態では、「腫瘍」、「病変」、「腫瘍病変」、「がん」、および「悪性腫瘍」という各用語は、互換的に使用され、1つまたはそれ以上のがん性増殖を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「再発性」という用語は、患者における肺がんの、頻回の診断もしくは繰り返される診断、または、以前の腫瘍の再発を意味することができる原発腫瘍および/もしくは新たな腫瘍のような、個々の腫瘍の頻回の発生もしくは繰り返される発生を指す。ある特定の実施形態では、PD-1阻害剤の投与によって、患者において肺がん腫瘍の再発が阻害される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象」という表現は、脳転移を含めて、肺がんの1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候を呈する、および/もしくは肺がんと診断されているとともにそれのための処置を必要とする、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を意味する。多くの実施形態では、「対象」および「患者」という用語は互換的に使用される。上記表現には、原発腫瘍、定着腫瘍、または再発性腫瘍(進行性悪性腫瘍)を有する対象が含まれる。ある特定の実施形態では、上記表現には、局所進行性または転移性肺がんの処置を有するおよび/または必要とするヒト対象が含まれる。ある特定の実施形態では、上記表現には、先行療法(例えば、手術、化学療法、放射線、セミプリマブ以外の抗がん剤もしくはそれの生物学的同等物、またはそれらの組合せによる処置)に対して耐性もしくは不応性であるか、または先行治療による制御が不十分である、固形腫瘍を有する患者が含まれる。ある特定の実施形態では、上記表現には、外科的切除または根治的化学放射線療法の候補ではない肺がんを有する対象が含まれる。ある特定の実施形態では、上記表現には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)またはそれの組合せのような、ウイルスによって引き起こされる慢性ウイルス感染を有する肺がんを有する対象が含まれるが、この場合、ウイルス感染は制御されたウイルス感染であるおよび/または患者は安定した抗ウイルスレジメン中にある。
【0021】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、固形腫瘍を有する対象を処置するために使用される。本明細書で使用される場合、「固形腫瘍」という用語は、嚢胞または液体領域を通常には含有しない組織の異常な塊を指す。固形腫瘍は、良性(がんではない)である場合があり悪性(がん)である場合もある。本開示の目的において、「固形腫瘍」という用語は、悪性固形腫瘍を意味する。本用語には、それを形成する細胞タイプに名前が由来する様々なタイプの固形腫瘍、すなわち、肉腫、癌腫および芽腫が含まれる。
【0022】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブ(cemplimab)またはそれの生物学的同等物)をさらなる治療剤または療法と組み合わせて投与することを含む。さらなる治療剤または療法は、抗腫瘍効能を高めるために、1つもしくはそれ以上の療法の毒性効果を減ずるために、および/または1つもしくはそれ以上の療法の投薬量を減少させるために投与することができる。種々の実施形態では、さらなる治療剤または療法には、以下のうちの1種またはそれ以上が含まれる:手術、放射線、抗ウイルス療法(例えば、シドフォビル)、光線力学的療法、プログラム死リガンド-1(PD-L1)阻害剤(例えば、US2015/0203580に開示の抗PD-L1抗体またはアテゾリズマブ)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)阻害剤(例えば、抗LAG3抗体)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤(例えば、イピリムマブ)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、T細胞免疫グロブリンおよびムチン含有-3(TIM3)阻害剤、B-およびT-リンパ球アテニュエータ(BTLA)阻害剤、IgドメインおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)阻害剤、CD38阻害剤、CD47阻害剤、別のT細胞共阻害剤またはリガンドのアンタゴニスト(例えば、CD-28、2B4、LY108、LAIR1、ICOS、CD160またはVISTAに対する各抗体)、CD20阻害剤(例えば、抗CD20抗体、または二重特異性CD3/CD20抗体)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、CD28活性化因子、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト(例えば、US7087411に記載のアフリベルセプトもしくは他のVEGF阻害融合タンパク質のような「VEGF-トラップ」、または抗VEGF抗体もしくはそれの抗原結合断片)(例えば、ベバシズマブ、もしくはラニビズマブ)またはVEGF受容体の小分子キナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、もしくはラムシルマブ))、アンジオポエチン-2(Ang2)阻害剤、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤(例えば、エルロチニブ、セツキシマブ)、共刺激受容体に対するアゴニスト(例えば、CD28、4-1BB、またはOX40に対するアゴニスト)、腫瘍特異的抗原に対する抗体(例えば、CA9、CA125、黒色腫関連抗原3(MAGE3)、癌胎児性抗原(CEA)、ビメンチン、腫瘍M2-PK、前立腺特異抗原(PSA)、ムチン-1、MART-1、およびCA19-9)、ワクチン(例えば、カルメットゲラン桿菌またはがんワクチン)、抗原提示を増加させるアジュバント(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、腫瘍溶解性ウイルス、細胞毒素、化学療法剤(例えば、ペメトレキセド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、トポテカン、イリノテカン、ビノレルビン、およびビンクリスチン)、プラチナベースの化学療法(例えば、プラチナダブレット化学療法)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、レンバチニブ、レゴラフェニブ、およびカボザンチニブ)、IL-6R阻害剤、IL-4R阻害剤、IL-10阻害剤、IL-2、IL-7、IL-12、IL-21およびIL-15のようなサイトカイン、抗体薬物複合体(ADC)(例えば、抗CD19-DM4 ADCおよび抗DS6-DM4 ADC)、キメラ抗原受容体T細胞(例えば、CD19標的T細胞)、コルチコステロイドのような抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ならびに抗酸化剤のような栄養補助食品。
【0023】
本明細書で使用される場合、「抗ウイルス療法」という用語は、それらに限定されないが:ジドブジン、ラミブジン、アバカビル、リバビリン、ロピナビル、エファビレンツ、コビシスタット、テノホビル、リルピビリン、鎮痛薬、コルチコステロイド、およびそれらの組合せを含めて、宿主対象におけるウイルス感染を処置する、防止する、または軽快させるのに使用される任意の薬剤、薬物または療法を指す。
【0024】
ある特定の実施形態では、肺がんおよび脳転移を有する対象に治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)を投与すると、処置を受けた対象において腫瘍増殖の阻害の向上がもたらされる。一部の実施形態では、開示された方法によって、肺がんおよび脳転移の両方に関して腫瘍増殖の阻害(例えば、腫瘍退縮)がもたらされる。ある特定の実施形態では、肺がんおよび脳転移を有する対象に治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)を投与すると、肺がんに関してまたは肺がんおよび脳転移の両方に関して、腫瘍退縮、腫瘍縮小および/または消失の向上がもたらされる。
【0025】
ある特定の実施形態では、PD-1阻害剤の投与によって、以下のうちの1つまたはそれ以上がもたらされる:(i)腫瘍の増殖および発達の遅延、例えば、処置を受けていない対象または化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、処置を受けた対象では、約3日だけ、3日を超えて、約7日だけ、7日を超えて、15日を超えて、1か月を超えて、3か月を超えて、6か月を超えて、1年を超えて、2年を超えて、または3年を超えて、腫瘍の増殖を遅延させることができる;(ii)処置を受けていない対象または化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、処置の日から腫瘍の再発または死亡までの無病生存(DFS)の延長;ならびに(iii)処置を受けていない対象または化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、全奏効率、完全奏効、または部分奏効の改善。ある特定の実施形態では、肺がんを有する対象に治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)を投与すると、腫瘍の再発が防止されおよび/または対象の生存期間が延長される、例えば、処置を受けていない対象または化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、15日を超えて、1か月を超えて、3か月を超えて、6か月を超えて、12か月を超えて、18か月を超えて、24か月を超えて、36か月を超えて、もしくは48か月を超えて、生存期間が延長される。
【0026】
ある特定の実施形態では、肺がんを有する対象に治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)を投与すると、化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、対象の全生存(OS)または無増悪生存(PFS)の延長がもたらされる。ある特定の実施形態では、PFSは、化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、少なくとも1か月だけ、少なくとも2か月だけ、少なくとも3か月だけ、少なくとも4か月だけ、少なくとも5か月だけ、少なくとも6か月だけ、少なくとも7か月だけ、少なくとも8か月だけ、少なくとも9か月だけ、少なくとも10か月だけ、少なくとも11か月だけ、少なくとも1年だけ、少なくとも2年だけまたは少なくとも3年だけ延長する。ある特定の実施形態では、OSは、化学療法単独で処置を受けた対象と比較して、少なくとも1か月だけ、少なくとも2か月だけ、少なくとも3か月だけ、少なくとも4か月だけ、少なくとも5か月だけ、少なくとも6か月だけ、少なくとも7か月だけ、少なくとも8か月だけ、少なくとも9か月だけ、少なくとも10か月だけ、少なくとも11か月だけ、少なくとも1年だけ、少なくとも2年だけまたは少なくとも3年だけ延長する。
【0027】
PD-1阻害剤
本明細書に開示の方法は、治療有効量のPD-1阻害剤を投与することを含み、この場合、PD-1阻害剤は、セミプリマブ(REGN2810としても知られる;LIBTAYO(登録商標))またはそれの生物学的同等物である。本明細書で使用される場合、「生物学的同等物」という用語は、抗PD-1抗体もしくはPD-1結合タンパク質またはそれらの断片を指すが、これらは、医薬同等物または医薬代替物であって、単回用量であれ複数回用量であれ、同じモル用量で類似の実験条件下で投与される場合に、その吸収の速度および/または範囲がセミプリマブの吸収の速度および/または範囲と有意な差違を示さない、医薬同等物または医薬代替物である。本開示の文脈では、「生物学的同等物」という用語には、PD-1に結合し、安全性、純度、および/または効力に関して、セミプリマブと臨床的に意義のある差違を有さない抗原結合タンパク質が含まれる。
【0028】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、ジスルフィド結合により相互接続された、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖である、4つのポリペプチド鎖を含む免疫グロブリン分子(すなわち、「完全抗体分子」)ならびにそれの多量体(例えば、IgM)またはそれらの抗原結合断片を指すことを意図する。各重鎖は、重鎖可変領域(「HCVR」または「VH」)と、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3の各ドメインを含む)とを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(「LCVR」または「VL」)と、軽鎖定常領域(CL)とを含む。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存的である領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域へと、さらに細分することができる。各VHおよび各VLは、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDRと4つのFRとから構成される。ある特定の実施形態では、抗体(またはそれの抗原結合断片)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一である場合もあり、天然でまたは人工的に改変されている場合もある。アミノ酸のコンセンサス配列は、2以上のCDRについての比較対照解析に基づき、定義することができる。本明細書で使用される「抗体」という用語にはまた、完全抗体分子の抗原結合断片も含まれる。
【0029】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合断片」、抗体の「抗原結合部分」等の用語には、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、天然に存在するか酵素的に入手可能か合成によるかまたは遺伝子操作された任意のポリペプチドまたは糖タンパク質が含まれる。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質分解消化、または抗体の可変ドメインと場合により定常ドメインとをコードするDNAのマニピュレーションおよび発現を伴う組換え遺伝子操作技法のような、適切な任意の標準技法を使用して、完全抗体分子から導出することができる。このようなDNAは、既知であり、かつ/または、例えば、市販の供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含めて)から容易に入手可能であるか、または合成することができる。DNAを、配列決定しかつ化学的にまたは分子生物学的技法を使用することによりマニピュレートして、例えば、1つもしくはそれ以上の可変ドメインおよび/もしくは定常ドメインを適切な立体配置へと構成することができる、または、コドンを導入する、システイン残基を作り出す、アミノ酸を修飾すること、付加することもしくは欠失させること等、ができる。
【0030】
抗原結合断片の非限定例としては、以下が挙げられる:(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基から構成される最小認識単位(例えば、CDR3ペプチドのような、単離相補性決定領域(CDR))、または拘束FR3-CDR3-FR4ペプチド。ドメイン特異性抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、ミニボディー、ナノボディー(例えば、一価ナノボディー、二価ナノボディー等)、小モジュール免疫薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインのような、他の操作された分子もまた、本明細書で使用される、「抗原結合断片」という表現の内に包含される。
【0031】
抗体の抗原結合断片は通常、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成とすることができ、一般に、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列と隣接するまたはこれとインフレームである、少なくとも1つのCDRを含むことになる。VLドメインと会合したVHドメインを有する抗原結合断片では、VHドメインとVLドメインを、適切な任意の配置で互いに対して適合させることができる。例えば、可変領域は、二量体とすることができ、VH-VH、VH-VLまたはVL-VLの各二量体を含有することができる。代替的に、抗体の抗原結合断片は、単量体のVHドメインを含有する場合があり、単量体のVLドメインを含有する場合もある。
【0032】
ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインへと、共有結合で連結された少なくとも1つの可変ドメインを含有することができる。本開示の抗体の抗原結合断片内で見いだすことができる、可変ドメインおよび定常ドメインの、非限定で例示的立体配置には以下が含まれる:(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;および(xiv)VL-CL。上で列挙の例示的立体配置のうちのいずれかを含めて、可変ドメインおよび定常ドメインの任意の立体配置では、可変ドメインと定常ドメインは、互いに直接連結することができるか、または、完全もしくは部分的なヒンジもしくはリンカー領域によって連結することができる。ヒンジ領域は、単一ポリペプチド分子中の隣接する可変および/または定常ドメインの間に可撓性または半可撓性リンケージをもたらす、少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個またはそれ超)のアミノ酸から構成することができる。さらに、本開示の抗体の抗原結合断片には、互いとおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体のVHドメインもしくはVLドメインと非共有結合的に会合している(例えば、ジスルフィド結合による)、上で列挙の可変ドメインおよび定常ドメインの立体配置のうちのいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)が含まれる場合もある。
【0033】
本明細書で開示の方法で使用される抗体は、ヒト抗体とすることができる。本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を指す。それにもかかわらず、本開示のヒト抗体は、例えば、CDRに、特にCDR3に、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム突然変異誘発もしくは部位特異性突然変異誘発によって、またはin vivo体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含む。しかし、本明細書で使用される、「ヒト抗体」という用語は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列へと移植されたような抗体を含むことは意図されない。
【0034】
本明細書で開示の方法で使用される抗体は、組換えヒト抗体とすることができる。本明細書で使用される場合、「組換えヒト抗体」という用語には、組換え手段によって調製される、発現される、生み出されるまたは単離される、以下のようなヒト抗体すべてが含まれる:宿主細胞へとトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(下でさらに記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体(下でさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287~6295頁を参照されたい)、または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う、他の任意の手段により調製される、発現される、生み出されるもしくは単離される抗体。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。ある特定の実施形態では、しかし、このような組換えヒト抗体を、in vitro突然変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を使用する場合、in vivo体細胞突然変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列とは、ヒト生殖系列のVH配列およびVL配列に由来するとともにこれらに関連はあるが、in vivoでのヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然では存在することができない、配列である。
【0035】
ある特定の実施形態によれば、PD-1阻害剤は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)と、を含む抗PD-1抗体(例えば、セミプリマブ)である。ある特定の実施形態によれば、抗PD-1抗体(例えば、セミプリマブ)は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)ならびに3つのLCDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、この場合、HCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;LCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体(例えば、セミプリマブ)は、配列番号1を含むHCVR、および配列番号2を含むLCVRを含む。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体(例えば、セミプリマブ)は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0036】
ある特定の実施形態によれば、セミプリマブの生物学的同等物は、配列番号1と少なくとも90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するHCVRを含む、抗PD-1抗体である。ある特定の実施形態によれば、セミプリマブの生物学的同等物は、配列番号2と少なくとも90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するLCVRを含む、抗PD-1抗体である。ある特定の実施形態によれば、セミプリマブの生物学的同等物は、配列番号1と少なくとも90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するHCVRと、配列番号2と少なくとも90%、95%、98%または99%の配列同一性を有するLCVRと、を含む、抗PD-1抗体である。配列同一性は、当技術分野で既知の方法(例えば、GAP、BESTFITおよびBLAST)によって測定することができる。
【0037】
ある特定の実施形態によれば、セミプリマブの生物学的同等物は、1~15以上のアミノ酸置換を有する配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRを含む抗PD-1抗体である。ある特定の実施形態によれば、セミプリマブの生物学的同等物は、1~10以上のアミノ酸置換を有する配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む抗PD-1抗体である。ある特定の実施形態によれば、セミプリマブの生物学的同等物は、1~15以上のアミノ酸置換を有する配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRと、1~10以上のアミノ酸置換を有する配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRと、を含む抗PD-1抗体である。
【0038】
医薬組成物および投与
本開示は、本明細書で開示のPD-1阻害剤を含む、治療用医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、適切な移行、送達、忍容性等をもたらす、適切な医薬的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、およびその他の薬剤と共に製剤化することができる。すべての薬剤師に知られている処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、に多数の適当な製剤を見いだすことができる。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、蝋、油、脂質、小胞を含有する脂質(カチオン性またはアニオン性)(LIPOFECTIN(商標)のような)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックス含有半固体混合物が含まれる。また、Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA、J Pharm Sci Technol 52:238~311頁(1998)も参照されたい。
【0039】
PD-1阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)の用量は、投与される対象の年齢および体格、標的の疾患、状態、投与経路等に応じて様々である。本開示のPD-1阻害剤が、肺がんの増殖を処置するかもしくは阻害する場合、PD-1阻害剤を、体重1kg当たり約0.1~約100mgの単回用量で投与することが有利とすることができる。状態の重症度に応じて、処置の頻度および期間を調整することができる。ある特定の実施形態では、本開示のPD-1阻害剤は、少なくとも約0.1mg~約800mg、約1~約600mg、約5~約500mg、または約10~約400mgの初回用量として投与することができる。ある特定の実施形態では、初回用量はこれに続いて、PD-1阻害剤の、第2の用量または複数回の後続する用量を、ほぼ初回用量の量以下とすることができる量で、投与することができるが、この場合、後続の用量は、少なくとも1日間~3日間;少なくとも1週間、少なくとも2週間;少なくとも3週間;少なくとも4週間;少なくとも5週間;少なくとも6週間;少なくとも7週間;少なくとも8週間;少なくとも9週間;少なくとも10週間;少なくとも12週間;または少なくとも14週間だけ、隔てられる。
【0040】
種々の送達系、例えば、リポソーム内、マイクロ粒子内、マイクロカプセル内の封入、突然変異体ウイルスを発現させることができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wuら(1987)J.Biol.Chem.262:4429~4432頁を参照されたい)が既知であり、本開示の医薬組成物を投与するのに使用することができる。導入の方法には、それらに限定されないが、皮内経路、経皮経路、筋内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、硬膜外経路および経口経路が含まれる。組成物は、好都合な任意の経路により、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または皮膚粘膜の裏層(例えば、経口粘膜、直腸内粘膜および腸粘膜等)を通した吸収により投与してもよく、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与してもよい。医薬組成物はまた、小胞、特に、リポソームによっても送達することができる(例えば、Langer(1990)、Science、249:1527~1533頁を参照されたい)。
【0041】
本開示のPD-1阻害剤を送達するためのナノ粒子の使用もまた本明細書では企図される。抗体コンジュゲートナノ粒子は、治療用適用および診断用適用の両方に使用することができる。抗体コンジュゲートナノ粒子ならびに製造法および使用法については、Arrueboら、2009、「Antibody-conjugated nanoparticles for biomedical applications」、J.Nanomat.、第2009巻、論文ID 439389、24頁により、詳細に記載されている。ナノ粒子を開発し、医薬組成物中に含有される抗体へとコンジュゲートさせて、標的である細胞に送り込むことができる。薬物送達用のナノ粒子についてもまた、例えば、US8257740またはUS8246995において記載されている。
【0042】
ある特定の状況では、医薬組成物は制御放出系で送達する場合がある。一実施形態では、ポンプを使用することができる。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施形態では、制御放出系を組成物の標的の近傍に置いてもよく、したがって、全身用量のうちのほんの一部だけしか要しない。
【0043】
注射用調製物には、静脈内注射、皮下注射、頭蓋内注射、および筋内注射、点滴注入等用の剤形が含まれる。こういった注射用調製物は、一般に公知の方法により製造することができる。
【0044】
本開示の医薬組成物は、標準的な注射針およびシリンジにより、皮下で送達してもよく、静脈内で送達してもよい。加えて、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスは、本開示の医薬組成物を送達する上で容易に適用される。このようなペン型送達デバイスは、再使用可能であっても、ディスポーザブルであってもよい。再使用可能ペン型送達デバイスは一般に、医薬組成物を含有する交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内の医薬組成物のすべてが投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジは、容易に廃棄し、当該医薬組成物を含有する新たなカートリッジで交換することができる。次いで、ペン型送達デバイスを再使用することができる。ディスポーザブルのペン型送達デバイスでは、交換可能なカートリッジが存在しない。正確に言うと、ディスポーザブルのペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバーに保持された医薬組成物をあらかじめ充填される。リザーバーの医薬組成物が空になったら、デバイス全体が廃棄される。
【0045】
有利には、上で記載の経口使用または非経口使用向けの医薬組成物は、有効成分の用量に適合するように、適切な単位用量の剤形へと製造される。単位用量でのこのような剤形には、例えば、錠剤、丸薬、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が含まれる。一部の実施形態では、含有される抗体の量は一般には、単位用量での剤形当たり、約5~約350mgまたは約10~約300mgのような、約5~約600mgである。
【0046】
ある特定の実施形態では、本開示は、治療量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物または製剤を提供する。本開示の文脈で使用することができる本明細書で提供の抗PD-1抗体を含む医薬組成物の非限定例が、US2019/0040137で開示されている。
【0047】
本開示はまた、本明細書で記載の治療用途向けのPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)を含むキットも提供する。キットは典型的には、キットの内容物の意図される使用を表示するラベルおよび使用のための取扱説明書を含む。本明細書で使用される場合、「ラベル」という用語には、任意の書面、またはキット上で、キット内にもしくはキットと共に供給されるか、もしくはキットに付随するその他の記録素材が含まれる。したがって、本開示は、肺がんおよび脳転移に罹患した患者を処置するためのキットであって:(a)治療有効投薬量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物);および、(b)本明細書で開示の方法のうちのいずれかにおいて、PD-1阻害剤を使用するための取扱説明書を含むキットを提供する。
【0048】
投与レジメン
ある特定の実施形態では、本明細書で開示の方法は、複数回用量での、例えば具体的な治療用投薬レジメンの一部としての、治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セミプリマブまたはそれの生物学的同等物)を、それを必要とする対象の腫瘍へと投与すること含む。例えば、治療用投薬レジメンは、PD-1阻害剤の1回もしくはそれ以上の用量を、対象に、以下の頻度で:1日約1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、6日ごとに1回、1週間に1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、6週間ごとに1回、8週間ごとに1回、12週間ごとに1回、1か月間に1回、2か月間ごとに1回、3か月間ごとに1回、4か月間ごとに1回、1日2回、2日ごとに2回、3日ごとに2回、4日ごとに2回、5日ごとに2回、6日ごとに2回、1週間に2回、2週間ごとに2回、3週間ごとに2回、4週間ごとに2回、5週間ごとに2回、6週間ごとに2回、8週間ごとに2回、12週間ごとに2回、1か月間に2回、2か月間ごとに2回、3か月間ごとに2回、4か月間ごとに2回、1日3回、2日ごとに3回、3日ごとに3回、4日ごとに3回、5日ごとに3回、6日ごとに3回、1週間に3回、2週間ごとに3回、3週間ごとに3回、4週間ごとに3回、5週間ごとに3回、6週間ごとに3回、8週間ごとに3回、12週間ごとに3回、1か月間に3回、2か月間ごとに3回、3か月間ごとに3回、4か月間ごとに3回の頻度でもしくはこれよりも頻度少なく、または治療応答が達成される限りで必要に応じて、投与することを含むごとができる。
【0049】
ある特定の実施形態では、1回またはそれ以上の用量は、少なくとも1つの処置サイクル、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回の処置サイクルで投与される。ある特定の実施形態では、PD-1阻害剤の各用量には、患者の体重1kg当たり0.1、1、0.3、3、4、5、6、7、8、9または10mgが含まれる。ある特定の実施形態では、各用量には、約5~800mgのPD-1阻害剤、例えば約5、10、15、20、25、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750mgまたはこれ超のPD-1阻害剤が含まれる。
【0050】
投薬量
本明細書に開示の方法に従って対象に投与されるPD-1阻害剤(例えば、セミプリマブまたはそれの生物学的同等物)の量は全体として治療有効量である。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、処置を受けていない対象もしくは化学療法単独で処置を受けた対象とそれぞれ比較して、以下のうちの1つまたはそれ以上をもたらす、肺がんを処置するために患者に投与されるPD-1阻害剤の量を意味する:(a)腫瘍の増殖の阻害、または腫瘍壊死、腫瘍縮小および/もしくは腫瘍消失の向上;(b)肺がんの症状または徴候、例えば腫瘍病変の重症度の軽減または持続期間の短縮;(c)腫瘍の増殖および発生の遅延;(d)腫瘍転移の阻害;(e)腫瘍増殖の再発の防止;(f)肺がんを有する対象の生存の延長;ならびに/または(g)手術の遅延。
【0051】
ある特定の実施形態では、治療有効量のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはその生物学的同等物)は、約0.05mgから約800mgまで、約1mgから約600mgまで、約10mgから約550mgまで、約50mgから約400mgまで、約75mgから約350mgまで、約100mgから約300mgの抗体とすることができる。例えば、種々の実施形態では、PD-1阻害剤の量は、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、約600mg、約610mg、約620mg、約630mg、約640mg、約650mg、約660mg、約670mg、約680mg、約690mg、約700mg、約710mg、約720mg、約730mg、約740mg、約750mg、約760mg、約770mg、約780mg、約790mg、または約800mgである。
【0052】
個々の用量内に含有されるPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)の量は、対象の体重1キログラム当たりの抗体ミリグラム(すなわち、mg/kg)を用いて表すことができる。ある特定の実施形態では、本明細書で開示の方法において使用されるPD-1阻害剤は、対象に、対象の体重1kg当たり約0.0001~約100mgの用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、患者の体重1kg当たり約0.1mg~約20mgの用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、患者の体重1kg当たり約1mg~3mg、1mg~5mg、1mg~10mg、1mg、3mg、5mg、または10mgの用量にての、PD-1阻害剤(例えば、坑PD-1抗体)の投与を含む。
【0053】
ある特定の実施形態では、患者に投与されるPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)の個別用量の量は、治療有効量未満、すなわち、治療有効量を下回る用量であってもよい。例えば、PD-1阻害剤の治療有効量が3mg/kgを含む場合、治療有効量を下回る用量は、3mg/kg未満の量、例えば、2mg/kg、1.5mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kgまたは0.3mg/kgを含む。本明細書で定義される通り、「治療有効量を下回る用量」とは、それ自体では治療効果をもたらさない、PD-1阻害剤の量を指す。しかし、ある特定の実施形態では、PD-1阻害剤の治療有効量を下回る用量の複数回を投与して、対象において治療効果を全体として達成する。
【0054】
ある特定の実施形態では、各用量は、対象の体重に対して0.1~10mg/kg(例えば、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kg)のPD-1阻害剤(例えば、セムプリマブまたはそれの生物学的同等物)を含む。ある特定の他の実施形態では、各用量は、PD-1阻害剤の5~600mg、例えば、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、45mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、または500mgを含む。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本開示の方法および組成物を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために記載されるものであり、本発明者らが、彼らの発明であると位置づけるものの範囲を限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態にまったく限定されるものではない。実際、本明細書を読み解くことで、当業者であれば、実施形態の改変形態および変形形態が明らかであり、その精神および範囲から逸脱することなくこれらを行うことができる。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して、精度を確保するように努めてきたが、ある程度の実験上の誤差および偏差を考慮に入れるべきである。そうではないと指示されていない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、室温は約25℃であり、圧力は、大気圧であるかまたはこれの近傍である。
【実施例1】
【0056】
進行性または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の処置のためのセミプリマブの治験
本実施例では、進行性もしくは転移性、扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLCを有する患者であって、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現するとともに患者は患者の進行性疾患に対して先行する全身処置をまったく受けていない患者における、標準治療、プラチナベースのダブレット化学療法と対比してセミプリマブ単剤療法のランダム化、グローバル、非盲検、第3相試験について記載する。本試験の全体的な目標は、患者の腫瘍がPD-L1を高度に発現している進行性または転移性NSCLCを有する患者において第一選択治療としてのセミプリマブの安全性および効能を評価することである。本試験の主な目的は、このような患者集団において、セミプリマブが標準治療のプラチナダブレット化学療法に勝ってOSおよび/またはPFSを改善するかどうかを判定することである。さらなる目的には、腫瘍応答、患者報告の転帰、安全性、および薬物動態(PK)のさらなる特性評価が含まれる。
【0057】
目的:本試験の主要な目的は、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する進行性または転移性NSCLCを有する患者の第一選択治療において、標準治療のプラチナベースの化学療法と対比してセミプリマブのOSを比較することである。全生存とは、無作為化治験における抗悪性腫瘍療法の利点を実証するための黄金律として認められてきたものである。本試験の別の主要な目的は、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する進行性または転移性NSCLCを有する患者の第一選択治療において、標準治療のプラチナベースの化学療法と対比してセミプリマブのPFSを比較することである。無増悪生存、腫瘍進行までの時間(Response Evaluation Criteria in Solid Tumorsバージョン1.1[RECIST1.1]基準[Eisenhauer 2009]に基づく)または死亡を、PFSは臨床的有用性のマーカーとして認識されているので、主要評価項目として選択する。別のPD-1抗体に関して公開されたデータに基づくと、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現するNSCLCを有する患者では、PFSは延長されることが期待されるであろう。疾患進行は、RECIST1.1基準(Eisenhauer 2009)に基づいて決定することになる。第1のX線撮影の腫瘍評価は、試験処置の9週間後に、その後は9週間ごとに行うことになる。研究の第2の目的には、プラチナベースの化学療法と対比してセミプリマブのORRを比較することが含まれる。
【0058】
評価される効能応答には、処置に対するORRおよびDORの評価が含まれる。患者の視点から、QOLの維持は重要である:したがって、QOLを2つの検証済み問診票、EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-LC13の使用を通して評価する(Bergman 1994、Bjordal 2000)。
【0059】
本試験が、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する進行性または転移性NSCLCを有する患者の第一選択治療において、セミプリマブは、標準治療のプラチナベースの化学療法と比較してOSを延長すること;ならびに、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する進行性または転移性NSCLCを有する患者の第一選択治療において、セミプリマブは、標準治療のプラチナベースの化学療法と比較してPFSを延長すること、を示すことになることが期待される。
【0060】
理論的根拠:本試験に組み入れるために選択された集団は、第一選択の標準治療の処置選択肢が化学療法である、新たに診断された進行性肺がんを有する患者の大部分を代表する。有効な療法にもかかわらず、疾患は多くの場合進行する。その後の処置選択肢は限られ、わずかな見かけ上の治癒という状態で5年生存は低い。NSCLC腫瘍はPD-L1を発現し、予備データが示唆するところは、単剤療法としてまたは化学療法との組合せでのいずれかで第一選択治療においてPD-1/PD-L1阻害剤を使用すると、患者の腫瘍が高レベルのPD-L1を発現する患者に好影響を与えることができること(PD-L1を発現しないかまたは低レベルのPD-L1を発現する患者と比較して);したがって、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する患者のみを組み入れることに焦点を合わせること、である。本試験は非盲検とする。これは、最長2年間で与えると予定されるセミプリマブと比較して、化学療法は限られた時間枠の間で投与されるからである。二重盲検法を課すことは、化学療法処置群の患者に疾患が進行する時間までプラセボを受けることを要求すると思われるが、このことは疾患の性質を考慮すると許容できるとは考えられなかった。PD-1阻害剤の使用は、今やNSCLCの第二選択治療の標準治療であることを考慮して(Ettinger 2016)、化学療法処置群の患者に、疾患進行時にセミプリマブ単剤療法にクロスオーバーする選択肢を与えることになる。
【0061】
比較対照薬としての標準治療化学療法の理論的根拠に関して、プラチナベースのダブレット化学療法は、進行性または転移性NSCLCの第一選択治療として現在のところ推奨されており(Reck 2014、Ettinger 2016)、したがって、本試験では活性比較対照薬として利用する。扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLCに対する単一の「最善の」プラチナベースのダブレット標準化学療法はない。種々のレジメンを比較した無作為化試験では、生存に差はまったく示されなかった(Fossella 2003、Scagliotti 2002、Schiller 2002)。ペメトレキセドベースのダブレットは、非扁平上皮NSCLCに限定されている(ALIMTA(登録商標)US PI、ALIMTA European Union Summary of Product Characteristics)。
【0062】
シスプラチンとカルボプラチンの両方が使用されるが、カルボプラチンはより少ない副作用と関連する可能性がある。ステージIVの疾患および良好なパフォーマンスステータスを有する患者に関する無作為化対照研究が示したところは、シスプラチンベースの化学療法が生存を改善し、疾患関連症状を緩和することである(Weick 1991)。4サイクルの化学療法の投与が標準であるが、処置を忍容している非進行性の患者では最大6サイクル与えてもよい。本試験の場合、患者の忍容性と疾患の評価に応じて、患者には少なくとも4サイクルおよび最大6サイクルの間化学療法を投与する。
【0063】
主要評価項目:主要評価項目は、OSおよびPFS(RECIST 1.1、Eisenhauer 2009に従った)である。全生存は、無作為割り当てから死亡日までの時間として定義する。死亡していない患者は、接触の最終確認日で打ち切る。無増悪生存は、無作為割り当てから、何らかの原因による、最初に記録された腫瘍進行または死亡の日までの時間として定義する。患者は以下のルールに準じて打ち切る:(1)記録された腫瘍進行または死亡を有しない患者は、彼らの最終評価可能な腫瘍評価の日に打ち切る;(2)新しい抗腫瘍療法の開始前に記録された腫瘍進行または死亡を有しない患者は、新しい抗腫瘍療法の前の彼らの最終の評価可能な腫瘍評価の日にまたは新しい抗腫瘍療法の日に打ち切る;(3)任意の試験処置を受ける前に同意を撤回し、その結果、ベースライン後の腫瘍評価を有しない患者は、無作為割り当ての日に打ち切る;(4)無作為割り当ての後に評価可能な腫瘍評価をまったく有せず、死亡していない患者は、無作為割り当ての日に打ち切る。
【0064】
副次的評価項目:本試験での重要副次的評価項目はORRである。客観的奏効率は、確認されたCRまたはPRの最善の総合効果(BOR)を有する患者の数を効能解析セット内の患者の数で割ったものとして定義する。最善の総合効果は、無作為割り当ての日と最初に客観的に記録された進行の日またはその後の抗がん剤療法の日のいずれか早い方の日との間の最善の総合効果(RECIST 1.1に従った)として定義する。他の二次評価項目には、DORおよびQOLが含まれる。奏効期間は、最初の奏効(CRまたはPR)の日から最初に記録された腫瘍進行(RECIST 1.1に従った)の日または何らかの原因による死亡の日までの間の時間として定義する。生活の質は、EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-LC13によって評価する。さらなる副次評価項目には、セミプリマブの安全性および忍容性も含まれる。プラチナベースの化学療法と対比してセミプリマブの安全性と忍容性を評価するために、安全性および忍容性をAE、重篤な有害事象(SAE)、死亡、および臨床検査異常の発生率によって測定し、セミプリマブに対する免疫原性(ADA/Nab)ならびに薬物の濃度、効能および安全性との任意の関係を評価する。
【0065】
研究計画:本試験は、ステージIIIBもしくはIIIC、またはステージIVの扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLCを有する患者であって、患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現するとともに患者は患者の進行性疾患に対して先行する全身処置をまったく受けていない患者における、プラチナベースのダブレット化学療法と対比した、セミプリマブ単剤療法の無作為化、多施設共同、非盲検、ピボタル第III相試験である。本試験は、以下の3つの期間:スクリーニング、処置、およびフォローアップを含む。
【0066】
スクリーニング:患者は、無作為割り当ての前の28日以内にスクリーニング評価を受けて彼らの適格性を判定する。腫瘍組織(収集された保管のまたは最近入手の生検)におけるPD-L1発現は、50%の陽性率を報告する検証済みのPD-L1 IHCアッセイを使用して評価する。患者の腫瘍が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する患者は、スクリーニングを継続する。患者の腫瘍が腫瘍細胞の<50%でPD-L1を発現する患者は試験から除外される。腫瘍組織はまた、上皮増殖因子受容体(EGFR)および未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の突然変異についても、および鳥肉腫ウイルスUR2(ROS1)融合の形質転換遺伝子v-rosのヒト相同体についても検査する。ベースラインのX線撮影の腫瘍評価も、無作為割り当ての前の28日以内に実行する。
【0067】
処置:適格患者は、表1に要約したように、以下の2つの処置群のうちの1つに無作為に割り当てられる:(i)セミプリマブ350mgの単剤療法;または(ii)標準治療の化学療法。
【0068】
【0069】
無作為割り当ては、組織学(非扁平上皮と扁平上皮の対比)および地理的地域(ヨーロッパ、アジア、またはその他の地域[ROW])によって層別化される。処置は無作為割り当ての3日以内に開始する。処置レジメンの詳細につては下に提供する。化学療法へと無作為割り当てされたNSCLCを有する患者は、以下のレジメンのうちの1つを受けることができる:(i)パクリタキセル+シスプラチンもしくはカルボプラチン;(ii)ゲムシタビン+シスプラチンもしくはカルボプラチン;または(iii)ペメトレキセド+シスプラチンもしくはカルボプラチン、これに続いて、場合によるペメトレキセド維持(扁平上皮NSCLCを有する患者はペメトレキセド含有レジメンを受けないことが強く推奨される)。本試験の目的の場合、処置サイクルは21日または3週間と規定する。
【0070】
セミプリマブを受けている患者におけるOSの実証された改善に基づいて、プラチナベースの化学療法を受けるように無作為割り当てされた患者全員が、疾患進行の前に最長でさらなる108週間(36サイクル)セミプリマブ350mg Q3Wによる処置を受けるためにクロスオーバーすることは許可される。セミプリマブにクロスオーバーするのに適格な患者には以下が含まれる:(i)化学療法による処置を積極的に受けている患者;(ii)化学療法を完了しフォローアップ中であるが、患者の疾患がまだ進行していない患者;(iii)化学療法を中止し、進行はしていたが、何らかの理由でまだセミプリマブにクロスオーバーしていない患者。他の患者全員は、彼らの疾患が進行するかまたは彼らがセミプリマブによる108週間の処置を完了するまで、試験処置を継続する。
【0071】
処置期間 - セミプリマブ患者:セミプリマブ処置群に割り当てられた患者は、最長108週間かまたはRECIST 1.1定義の進行性疾患、許容できない毒性、死亡または同意の撤回まで、処置サイクルごとの1日目にIV点滴としてセミプリマブ350mgを受ける。X線撮影の腫瘍評価は、患者全員において、9週目(63日目±5日)に始まり、疾患進行、フォローアップ不能、同意の撤回、死亡、または別の抗がん処置の開始まで、3サイクルごとに取得する。RECIST 1.1定義の進行性疾患は、PFS、ORR、およびDOR評価項目の目的の進行を宣言するために、そしてセミプリマブに加えて化学療法の延長処置を受ける目的で、必要である。安全性は、TEAEの発生、バイタルサインの評価、身体検査および検査室分析を通して評価する。血液サンプルを、セミプリマブおよびADAおよびNAb力価の血清濃度を測定するために収集する。疾患関連症状を評価するために、患者は指定された時点でQOL問診票に記入するように求められる。
【0072】
処置期間 - 化学療法患者:化学療法に割り当てられた患者は、4~6サイクルの間かまたはRECIST 1.1定義の進行性疾患、許容できない毒性、死亡、もしくは同意の撤回まで、プラチナダブレット化学療法処置の選択肢のうちの1つを受ける。ある場合には、ペメトレキセドおよびシスプラチンまたはカルボプラチンで処置を受けた非扁平上皮NSCLCを有する患者は、疾患進行までペメトレキセド維持療法を受けることができる。X線撮影の腫瘍評価は、患者全員において、9週目(63日目±5日)に始まり、疾患進行、フォローアップ不能、同意の撤回、死亡、または別の抗がん処置の開始まで、3サイクルごとに取得する。疾患進行は、RECIST 1.1基準を使用して定義する。疾患進行およびBORを評価項目の評価に使用する。安全性は、TEAEの発生、バイタルサイン評価、身体検査および検査室分析を通して評価する。疾患関連症状を評価するために、患者は指定された時点でQOL問診票に記入するように求められる。患者全員が、疾患進行の前に最長でさらなる108週間セミプリマブ350mg Q3Wを受けるためにクロスオーバーすることは許可される。
【0073】
最善の総合効果(BOR)とは、確認のためのあらゆる要件を考慮する、処置の開始から処置の終了までに記録された最善の効果である。患者の最善の効果割り当ては、表2にまとめられているように、標的疾患と非標的疾患の両方の所見次第であり、新たな病変の出現についても考慮することになる。
【0074】
【0075】
フォローアップ:患者は、概6か月間は6週間ごとに、次いで、処置の最後の用量の9か月後および12か月後にフォローアップ受診を有する。本試験は、生存解析が完了する場合、終了する。最後の患者の最後の受診は、最後の患者の登録から48か月である。各患者の研究期間は概48か月である。
【0076】
フォローアップ期間 - セミプリマブ患者:セミプリマブ処置群の患者は、108週間の処置期間の終了の後かまたはセミプリマブ療法を中止する決定がなされる場合にフォローアップ期間に入る。CRまたはPRが理由でセミプリマブ処置を早期に中止したが、フォローアップ中の間に疾患進行を次いで有する患者は、場合により最長108週間でセミプリマブ350mg Q3Wによる再処置を開始することができる。セミプリマブ処置群に割り当てられた患者は、PKおよびADAの検査用に血液サンプルを採取する。
【0077】
フォローアップ期間 - 化学療法患者:化学療法処置群の患者は、4~6サイクルの終了の後に、療法中の間に初期のRECIST 1.1定義の進行性疾患の時点で、または早期終了の時点で、フォローアップに入る。患者全員が、疾患進行の前に最長でさらなる108週間セミプリマブ350mg Q3Wを受けるためにクロスオーバーすることは許可される。化学療法以外にセミプリマブを始めとする抗がん処置で処置を受けることを選択する患者は、すべてのフォローアップ評価を完了することが期待される。
【0078】
フォローアップ期間 - 化学療法クロスオーバー患者:化学療法中の間かまたは化学療法終了後にRECIST 1.1定義の進行性疾患を経験する患者には、彼らがセミプリマブ療法の基準を満たす場合に限り、最長で108週間セミプリマブ350mg Q3Wを受ける、進行の時点での選択肢を提供する。最長108週間セミプリマブ350mg Q3Wを受けるためにクロスオーバーする患者は、最長108週間の処置の完了後か、療法中の間で進行の時点か、または早期終了の時点で、フォローアップに入る。患者全員が、疾患進行の前に最長でさらなる108週間(36サイクル)セミプリマブ350mg Q3Wを受けるためにクロスオーバーすることは許可される。
【0079】
延長処置 - セミプリマブ継続+化学療法の患者:セミプリマブを受けるよう当初に割り当てられた患者で、療法中にRECIST 1.1定義の進行性疾患を経験する患者は、彼らが特定の基準を満たしている限り、4サイクルの組織型特異的化学療法の追加とともに、最長でさらなる108週間セミプリマブ350mg Q3Wによる処置を継続することができるが、上記患者は上記108週間の処置期間を完了していなかった。代替的に、これらの患者は新たな抗がん処置を開始することを選択することができる。組織型特異的化学療法は、扁平上皮細胞NSCLCについてはパクリタキセル+シスプラチンまたはカルボプラチン、および、非扁平上皮NSCLCについてはペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチンとこれに続く場合によるペメトレキセド維持として定義する。進行性疾患の初期判定を超えてセミプリマブ+組織型特異的化学療法による処置を受ける患者は、最長でさらなる108週間の処置の完了後か、療法中の間でのさらなる進行の時点か、または早期終了の時点で、フォローアップに入る。
【0080】
研究患者集団:本試験に組み込まれる患者は、ステージIIIBもしくはIIICもしくはステージIVの扁平上皮NSCLCもしくは非扁平上皮NSCLCと診断された年齢≧18歳の男性および女性であるが、彼らは根治的化学療法および放射線の候補ではなく、彼らの腫瘍は腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現し(PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用)、彼らは彼らの進行した疾患に対して先行する全身処置をまったく受けていない。研究集団は以前のおよび現在の喫煙者に限定される。作用し得る突然変異を有する患者は除外される。
【0081】
選択基準:患者は、本試験への組み入れに適格であるために以下の基準を満たさなければならない:(1)年齢≧18歳の男性および女性;(2)ステージIIIBもしくはステージIIICの疾患の組織学的もしくは細胞学的に記録された扁平上皮または非扁平上皮NSCLCを有する患者であって、根治的同時放射線化学療法による処置の候補ではない患者、または、処置を受けていないステージIV疾患を有する患者であって、再発性もしくは転移性NSCLCに対する先行する全身処置をまったく受けなかった患者。アジュバントまたはネオアジュバントプラチナダブレット化学療法(手術および/または放射線療法後)を受け、治療終了して6か月を超えた後に再発性または転移性疾患を発生した患者は適格である;(3)過去に放射線照射を受けていない、転移性/再発性部位由来の保管のまたは新たに取得したホルマリン固定腫瘍組織。組織は、原発部位が所定の位置にまだ存在しかつその他の転移部位が利用できないか(すなわち、脳)、使用することができないか(すなわち、骨)、または生検が患者を過度の危険に置くと思われる場合には、原発部位から採取してもよい。保管の生検を使用する場合、これは5か月未満のものでなければならない;(4)中央検査室によって実行されたIHCにより、腫瘍細胞が腫瘍細胞の≧50%でPD-L1を発現する;(5)RECIST 1.1基準に従った、コンピューター断層撮影(CT)または磁気共鳴イメージング(MRI)によるX線撮影で測定可能な少なくとも1つの病変;標的病変は、当該部位で記録された(X線撮影の)疾患進行がある場合、以前に照射された領域に位置していてもよい;(6)ECOGパフォーマンスステータス ≦1;(7)少なくとも3か月の予想される余命;(8)以下のように定義した適度な臓器および骨髄機能:(a)ヘモグロビン≧9.0g/dL;(b)好中球絶対数≧1.5×109/L;(c)血小板数≧100,000/mm3;(d)糸球体濾過速度(GFR)>30mL/分/1.73m2;(e)総ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN)(肝臓転移の場合、≦3×ULN)、臨床的に確認されたジルベール症候群と診断された患者を除く;(f)アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)およびアラニンアミノ基転移酵素(ALT)≦3×ULNまたは肝臓転移の場合≦5×ULN;(g)アルカリホスファターゼ≦2.5×ULN(または肝臓もしくは骨転移の場合、≦5.0×ULN);(h)Hyの法則について基準を満たさない(ALT>3×ULNおよびビリルビン>2×ULN);(9)通院および研究関連手順に従う意思がありかつ従うことができる;(10);署名したインフォームドコンセントを提出する;ならびに(11)試験関連問診票を理解しこれに記入することができる。
【0082】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす患者は本試験から除外される:(1)喫煙歴のない患者、生涯にタバコ≦100本の喫煙と定義;(2)活動性または未処置の脳転移または脊髄圧迫。中枢神経系(CNS)転移が十分に処置を受けており、患者が無作為割り当ての前に少なくとも2週間ベースラインに神経学的に戻っていた場合(CNS処置に関連する残留徴候または症状を除く)、患者は適格である。患者は、(免疫抑制用量の)コルチコステロイド療法を中止していなければならない;(3)EGFR遺伝子突然変異、ALK遺伝子転座、またはROS1融合について検査陽性の腫瘍を有する患者。患者全員が、中央検査室により確認されたEGFR遺伝子突然変異、ALK再構成、およびROS1融合について腫瘍評価を有する必要がある。(4)無作為割り当ての前の1年のうちで脳炎、髄膜炎、または制御不能な発作;(5)間質性肺疾患(例えば、特発性肺線維症、器質化肺炎)、管理を補助するために免疫抑制用量のグルココルチコイドを必要とした活動性非感染性肺臓炎(pneumonitis)の既往歴。肺臓炎が無作為割り当ての前の≧6か月に回復していた限り、照射野における放射線肺臓炎の病歴は許可される;(6)過去2年間に全身療法を必要とした活動性、既知の、または疑われる自己免疫疾患を有する患者。白斑症、I型真性糖尿病、およびホルモン補充のみ必要とする甲状腺機能低下症(自己免疫性甲状腺炎に起因する甲状腺機能低下症を含む)を有する患者は無作為割り当てすることを許可される。(7)無作為割り当ての14日以内にコルチコステロイド療法(>10mgプレドニゾン/日または等価物)を必要とする状態を有する患者。生理的補充用量は、免疫抑制意図で投与されていない限り、たとえプレドニゾン>10mg/日または等価物であっても、許可される。吸入または局所ステロイドは、許可されるが、ただし自己免疫障害の処置のためのものではない。(8)進行中であるかまたは処置を必要とする別の悪性腫瘍、ただし以下を例外とする:可能性のある根治療法を受けた非黒色腫性皮膚がん、または処置を受けている上皮内子宮頸癌もしくは他の任意の腫瘍、無作為割り当ての前の少なくとも2年間完全寛解にあるとみなされる患者、ならびに試験期間の間さらなる療法を必要としない;(9)B型肝炎もしくはC型肝炎もしくはヒト免疫不全ウイルスによる制御不能な感染;または免疫不全の診断。(a)感染を制御した(検出限界未満である血清B型肝炎ウイルスDNA PCRおよびB型肝炎に対する抗ウイルス療法を受けていること)B型肝炎(HepBsAg+)を有する患者は許可される。(b)感染を制御した(自発的に、または抗HCV療法の成功した以前のコースに応答して、のいずれかで、PCRによって検出不能なHCV RNA)C型肝炎ウイルス抗体陽性(HCV Ab+)である患者は許可される。(c)感染を制御したHIV(自発的に、または安定した抗ウイルスレジメンで、のいずれかで、検出不能なウイルス量および350を超えるCD4カウント)を有する患者は許可される;(10)無作為割り当ての前の14日以内に全身療法を必要とする活動性感染;(11)抗PD-1または抗PD-L1による先行療法。抗細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)抗体のような他の免疫調節療法またはワクチン療法への先行曝露は許可されるが、このような抗体の最後の用量は試験薬の初回用量の少なくとも3か月前であったことが必要である。(12)試験療法を用いた処置の開始の少なくとも3か月前にベースラインまで回復しなかった、免疫調節剤(それらに限定されないが、抗PD1/PD-L1 mAb、抗CTLA4 mAb、およびホスホイノシトール3-キナーゼ[PI 3-K]-δ阻害剤が挙げられる)からの処置関連免疫媒介性AE。発症の時期にかかわらず、グレード3もしくは4の重症度でありかつ/または薬剤の中止を必要とした、PD-1/PD-L1経路の遮断薬を用いた先行処置に関連した免疫媒介性AEを経験した場合、患者はセミプリマブを用いた処置から除外される;(13)スクリーニングの30日以内または治験薬の5半減期以内(どちらが長い方)に治験薬またはデバイスを受けたこと;(14)試験投薬の計画された開始の30日以内に生ワクチンを受けたこと;(15)初回用量の前4週間以内の大手術または重篤な外傷;(16)抗体処置に起因する、記録されたアレルギー性または急性の過敏症反応;(17)任意の違法薬物の現行使用を含めて、本試験の要件に従う参加を妨げると思われる既知の精神障害または薬物乱用障害;(18)妊娠中または授乳中の女性;(19)最初の用量前/初回処置の開始前、試験中、および最後の用量後少なくとも6か月間、高度に効果的な避妊法を実践することを望まない、出産の可能性がある女性または男性。高度に効果的な避妊法には以下が含まれる:スクリーニング前の2周期以上の月経周期に開始された、排卵の阻害に関連する組合せ(エストロゲンおよびプロゲストゲン含有)ホルモン避妊(経口、膣内、経皮)またはプロゲストゲンのみのホルモン避妊(経口、注射、埋め込み)の安定した使用;子宮内デバイス(IUD);子宮内ホルモン放出システム(IUS);両側卵管結紮;精管切除パートナー(パートナーがWOCBP患者の唯一の性的パートナーであること、および、精管切除されたパートナーが外科的成功の医学的評価を受けていることを条件とする);ならびに/または性的禁欲。出産の可能性のある女性は、恒久的に不妊でない限り、初潮後および閉経後になるまで出生力のある女性と定義される。永久避妊法には、子宮摘出術、両側卵管切除術および両側卵巣摘出術が含まれる。閉経後の状態は、別の医学的要因無しで12か月間の無月経と定義される。閉経後の範囲で卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルが高いことを使用して、ホルモン避妊薬またはホルモン補充療法を使用していない女性の閉経後の状態を確認することができる。しかし、12か月間無月経がない場合、単一のFSH測定では不十分である。妊娠検査および避妊は、記録された子宮摘出術または卵管結紮術を有する女性に対して不要である;(20)司法または行政当局のいずれかによって発行された命令によって施設に収容されている患者;(21)イデラリシブによる先行処置;(22)事前の承認がない限り、臨床現場試験チームのメンバーおよび/またはその近親者;(23)臓器移植のレシピエント;(24)活動性または潜在性結核。高リスクの個体では精製タンパク質誘導体(PPD)/QuantiFERON検査により潜伏は除外される必要がある。
【0083】
試験処置:セミプリマブ(REGN2810)は、滅菌の使い捨てバイアルに含まれる液体として供給される。各バイアルは、50mg/mLの濃度にてのセミプリマブを含有する。セミプリマブは外来患者において30分(±10分)のIV点滴としての設定で投与される。試験処置(セミプリマブまたは化学療法)は、以下の処置レジメンの1つを受けるように無作為割り当てされた患者に投与される:IV点滴としての350mgにてのセミプリマブまたはプラチナベースダブレット化学療法(維持療法の有無にかかわらず)。セミプリマブは、最長108週間か、または疾患進行、許容できない毒性、死亡、もしくは同意の撤回まで、Q3W(3週間ごと)で投与される。表3にまとめたように、化学療法は4~6サイクルの間か、または疾患進行、許容できない毒性、死亡、もしくは同意の撤回まで投与されることになり、化学療法の選択肢は選択された1つのレジメンとなる。
【0084】
【0085】
併用薬および手順:インフォームドコンセントの時点から最後の試験処置(セミプリマブまたは化学療法)の90日後までに実行された任意の手順または投与された任意の処置を、併用薬とする。これには、投与が試験の前に開始された薬および試験過程で継続している薬、ならびに、試験薬関連AEを処置するためにフォローアップ期間中に開始された任意の療法が含まれる。
【0086】
禁止薬:本試験に参加している間、患者は、単剤療法としてのセミプリマブまたは本試験で指定された化学療法レジメン以外の腫瘍の処置のためのいかなる治験薬剤をも受けることはできない。ベバシズマブまたはネシツムマブによる処置は、プロトコル既定の処置選択肢の1つではない。患者の福祉に必要と考慮され、セミプリマブの評価を妨げると予想されない他の任意の薬は、治験責任医師の裁量で与えることができる。
【0087】
許可された薬および手順:生命を脅かす緊急事態および/またはirAEを処置する場合を除き、試験期間を通していかなる時点にても、患者がヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、またはデキサメタゾンのような併用全身性コルチコステロイドを受けないことが推奨された。プレドニゾン等価物>10mg/日の場合でも、全身性コルチコステロイドの生理学的補充用量は許可される。予防(例えば、造影剤アレルギー)のためのまたは非自己免疫状態(例えば、接触アレルゲンによって引き起こされる遅延型過敏症反応)の処置のためのコルチコステロイドの短期コースは許可される。骨転移の処置(ビスホスホネート、デノスマブ)は許容される。ペメトレキセド維持療法は非扁平上皮NSCLCに対して許可される。緩和目的の放射線療法は許可される。
【0088】
試験手順 - スクリーニング:PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用するPD-L1評価用の腫瘍組織の収集の場合、腫瘍サンプル(保管のまたは最近の)のホルマリン固定の、パラフィン包埋組織ブロックまたは未染色スライドを使用する。生検は、解析用に適量の組織を確保する(切除または切開)のに十分なサイズである必要がある。中央検査室にてEGFRおよびALKの突然変異についてもおよびROS1融合についても、腫瘍組織も検査した。無作為割り当ては組織学の局所的確認をベースとする。スクリーニング手順はまた、以下を含む:CTもしくはMRIによる胸部、腹部、骨盤、および疾患に関する他のすべての既知のまたは疑われる部位のベースラインX線撮影腫瘍評価;胸部X線PA/側面;第1の試験処置の投与の施行前の72時間以内に、出産の可能性がある女性における血清妊娠検査;ならびに精製タンパク質誘導体(PPD)/QuantiFERON検査を使用する高リスク個体のTB検査。
【0089】
試験手順 - 効能:X線撮影の腫瘍評価の場合、造影剤を用いる高解像度CTおよび造影MRIが、X線撮影の腫瘍応答を評価するための好ましいイメージングモダリティである。造影剤が固く禁忌である患者では、非造影スキャンで十分とされよう。胸部、腹部および骨盤を、疾患に関する他の既知のもしくは疑われる部位と共に画像化する。複数のイメージングモダリティがスクリーニングで使用される場合、データを記録する際には、RECIST 1.1に準拠した最も正確なイメージングモダリティを使用する必要がある。スクリーニングにて使用されたのと同じイメージングモダリティを、その後のすべての評価に使用する必要がある。X線撮影の腫瘍評価は、患者全員において、3サイクルごと、9週目(63日目±5日)に、およびその後は疾患進行、フォローアップ不能、同意の撤回、死亡、または別の抗がん処置の開始まで、9週間ごとに取得する。腫瘍測定は、RECIST 1.1基準(Eisenhauer 2009)に従ってなされる。生活の質についての問診票の場合、患者報告転帰は、以下の検証済み患者自己記入式問診票:EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-LC13(Bergman 1994、Bjordal 2000)を使用して評価される。患者は、任意の試験手順が所定の試験来院(試験中/処置中およびフォローアップ期間の間)時に実行される前に、これらの問診票に記入するように求められる。
【実施例2】
【0090】
PD-L1≧50%である進行性NSCLCからの脳転移を有する患者のセミプリマブ単剤療法に関する治験の結果
EMPOWER-Lung 1(NCT03088540)第III相試験では、第一選択のセミプリマブ単剤療法は、優れたOS中央値および無増悪生存(PFS)を実証し、進行性NSCLCおよびPD-リガンド1(PD-L1)≧50%を有する患者において、治験責任医師選択の化学療法と対比して、より高い客観的奏効率(ORR)およびより長い奏効期間(DOR)を生み出した(NCCN、2021)。EMPOWER-Lung 1には、注目すべき割合の脳転移を有する患者が含まれていた(PD-L1≧50%の集団中、およそ12%)。
【0091】
本実施例では、プログラム細胞死リガンド(PD-L1)≧50%である進行性NSCLCからの脳転移を有する患者の第一選択(1L)治療としてのセミプリマブ単剤療法のEMPOWER-Lung 1試験から結果を提供する。
【0092】
背景:第3相EMPOWER-Lung 1試験では、セミプリマブ単剤療法によって、進行性NSCLCを有するとともにPD-L1が腫瘍細胞の≧50%で発現した患者における化学療法と比較して、有意な延命効果およびより良好な安全性プロファイルがもたらされた。EMPOWER-Lung 1には、第一選択のプログラム細胞死-1(PD-1)/PD-L1阻害剤の治験において通常には過小評価される、ベースライン時に脳転移を有する患者が含まれていた。本試験により、EMPOWER-Lung 1からの脳転移を有する患者のサブグループ解析を提示する。
【0093】
方法:本試験の計画を
図1に例示する。患者を、3週間ごとのセミプリマブ350mgのIVまたは治験責任医師選択の化学療法に1:1で無作為割り当てをした(NCT03088540)。処置を受け臨床的に安定した脳転移を有する患者(放射線学的安定性は必要ない)は、登録するのに適格であったが、EMPOWER-Lung 1試験のPD-L1≧50%集団(n=563)からの本サブグループ解析の焦点である。
【0094】
療法への腫瘍応答は、CTまたはMRIによって測定され、RECIST 1.1に準じて評価した。X線撮影の腫瘍評価は、3サイクルごと、9週目に、その後は疾患進行まで9週間ごとに行った。本サブグループ解析では、PD-L1≧50%集団からの脳転移を有する患者に焦点を当てる。患者全員は局所療法を受けており、治験に参加する前に神経学的に安定であることを必要とした。ベースライン時に処置を受けた脳転移の既知の病歴を有する患者では、(禁忌でない限り)造影剤を用いた脳のCTまたはMRIをスクリーニング時に実行した(スクリーニング前60日以内に実行された場合を除く)。既知の疾患のさらなる部位(CNSを含む)もスクリーニング時に画像化した。処置およびフォローアップ期間の間、脳の監視イメージングを、1年目の間は18週間ごと、2年目の間は24週間ごとか、または臨床的に必要とされる場合はより早く、実行した。
【0095】
結果:無作為割り当ての時点で、563例中合計68例(12.1%)が処置を受けた安定した脳転移を有した。患者は、フォローアップの期間の類似の中央値をもって、セミプリマブ(n=34)と化学療法(n=34)との間で均等に分散していた。ベースライン背景(表4)は全体として類似しており;それぞれ、化学療法と比較してセミプリマブとの間で;年齢中央値(範囲):62.0歳(48~77歳)と比較して60.0歳(45~76歳);男性:85.3%と比較して97.1%;非扁平組織型:76.5%と比較して85.3%であった。腫瘍応答は、化学療法と対比してセミプリマブで優れていた(表5)。独立審査委員会によると、全生存中央値(OS、11.7か月と比較して18.7か月)、無増悪生存中央値(PFS、5.3か月と比較して10.4か月)、および客観的奏効率(ORR、8.8%と比較して41.2%)は、化学療法と比較してセミプリマブで優れていた(表5、
図2~3)。ベースライン後、中枢神経系(CNS)の頭蓋内疾患進行が、化学療法による患者4人(11.8%)と比較して、セミプリマブによる患者2人(5.9%)で発生した。新たな腫瘍に起因する頭蓋内疾患進行が、化学療法による患者4人(11.8%)と対比してセミプリマブによる患者1人(2.9%)で発生した。既存の腫瘍に起因する頭蓋内疾患進行が、化学療法による患者1人(2.9%)に対してセミプリマブによる患者2人(5.9%)で発生した。CNS以外の疾患進行が、化学療法による患者15人(44.1%)と比較してセミプリマブによる患者9人(26.5%)で発生した。脳転移PFSのKM推定の中央値は、化学療法と対比してセミプリマブで優れていた(
図4)。
【0096】
【0097】
【0098】
患者報告転帰(PRO):ポストホック探索的解析を実行して、ベースライン時にPD-L1≧50%および臨床的に安定した処置を受けている脳転移を有するaNSCLC患者の本サブグループにおけるPROを評価した。PROは、ベースライン時におよび第1の6サイクルの間は各処置サイクルの1日目に次いで、第3のサイクルごとの1日目に、EORTC QLQ-C30およびQLQ-LC13問診票を使用して評価した。スコアが高いほど、より良好な機能、全般的健康状態(GHS)/生活の質(QoL)、またはより悪い症状の重症度を示す。反復測定解析の混合モデルを実行して2つの処置アーム間のベースラインスコアからの全体的な変化を比較し、一方、ベースライン背景を制御した。セミプリマブアームのベースラインPROスコアは、化学療法アームとおおまかに類似していた。化学療法と対比してセミプリマブを支持する、GHS/QoLのベースラインからの統計学的に有意な全体的な変化(9.35;95%CI、2.24、16.45;p=0.0110)が観察された。セミプリマブはまた、役割機能(8.59;95%CI、0.16、17.01;p=0.0459)、感情的機能(7.27;95%CI、1.86、12.69;p=0.0095)および疲労の症状(-8.19;95%CI、-15.40、-0.98;p=0.0268)および食欲不振(-7.43;95%CI、-14.48、-0.38;p=0.0393)でのベースラインからの全体的な変化において統計学的に有意で順調な差異をもたらした。アーム間で比較する場合、QLQ-C30またはQLQ-LC13のスケールのいずれについても、化学療法を支持する統計学的に有意なPRO結果が得られた解析はなかった。
【0099】
結論:1Lセミプリマブ単剤療法によって、ベースライン時に臨床的に安定した脳転移を有していた、PD-L1≧50%である進行性NSCLCを有する患者において、化学療法と比較してOS、PFS、およびORRが改善された。セミプリマブ単剤療法は、本サブグループの患者にとって驚くほど効果的な治療選択肢である。加えて、セミプリマブによって、本サブグループの患者において、化学療法と比較して、GHS/QoL、役割と感情的機能、および疲労と食欲不振の症状において、ベースラインから有意に順調な全体的な変化がもたらされた。PROの結果がさらに裏付けるところは、PD-L1≧50%であり臨床的に安定した脳転移を有する進行性NSCLCにおいて、化学療法と対比して第一選択のセミプリマブの順調なベネフィット・リスクプロファイルである。
【実施例3】
【0100】
PD-L1≧50%である進行性NSCLCの処置のためのセミプリマブ単剤療法の治験の結果
本実施例では、腫瘍細胞の≧50%でPD-L1が発現している進行性NSCLCの第一選択治療としてセミプリマブ単剤療法で処置を受けた患者における、患者報告の症状、機能、および生活の質(QoL)を含めて、EMPOWER-Lung 1試験からの結果を提供する。
【0101】
背景:PD-1阻害剤であるセミプリマブによって、EMPOWER-Lung 1第3相試験(NCT03088540)において、進行性NSCLCを有しPD-L1発現が≧50%である患者において、プラチナダブレット化学療法(chemo)と比較して、生存および無増悪生存が改善された。本試験の一目的は、NSCLCを有する患者の症状負担、機能、およびQoLに対するセミプリマブの効果を評価することであった。進行性NSCLCを有する患者はQoLおよび機能に悪影響を与える高度の症状負担を有するので、これらの転帰を本治験の副次評価項目として評価した。患者にとって重要な疾患関連症状には、息切れ、咳、疲労、および痛みが含まれ、化学療法関連症状には、神経障害および口腔内痛が含まれる。
【0102】
方法:EMPOWER-Lung 1とは、以下を有する成人(≧18歳)におけるセミプリマブの多施設共同、非盲検、無作為化、対照、第III相、ピボタル治験であった:(i)組織学的もしくは細胞学的に確認されたステージIIIB/IIICもしくはステージIVの扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLC、この場合、腫瘍細胞の≧50%でPD-L1が発現;(ii)ECOGパフォーマンスステータス≦1;(iii)十分な臓器および骨髄機能;および(iv)十分に処置を受けた臨床的に安定した脳転移(治験では病歴的に過小評価される)は登録が許容された。
【0103】
合計710人の患者を、最大36処置サイクルの間のIVセミプリマブ350mg Q3W(n=356)に、または4~6処置サイクルの間の無作為割り当ての前に決定したプラチナダブレット化学療法に(n=354)無作為に割り当てた。ベースライン(BL)時におよび第1の6サイクルの間の各処置サイクルの1日目(C)に、次いで、C15まで3サイクルごとの1日目に、患者にEORTCコア問診票(QLQ-C30)およびその肺がん特定のモジュール(QLQ-LC13)を施行して、症状、機能、および全般的健康状態(GHS)/QoLを評価した。治療企図の集団では、混合効果反復測定モデル(混合モデル反復測定、MMRM)を使用して、すべてのスケールでBLからの最小二乗(LS)平均変化を推定した。フォローアップ評価は、患者が中止した場合には最後の試験処置の施行の14~30日後に、または患者が処置を完了した場合には最後のサイクルの受診の14~30日(±7日)後に実行した。
【0104】
QLQ-C30によって、患者報告のGHS/QoLスケールを評価し、がん患者集団のうちで過去1週間にわたって、機能(身体的、役割、認知的、感情的、および社会的)ならびに症状(疲労、痛み、吐き気/嘔吐、呼吸困難、不眠症、食欲不振、便秘、下痢および財政的困難性)にまたがって評価する。スコアは0から100までである;機能ドメインに関する高スコアおよび症状に関する低スコアは、より良好な転帰を反映する。QLQ-LC13は、過去1週間の肺がん疾患の特異的症状および肺がん処置特異的症状を評価する、患者報告の評価基準である。スコアは0から100までである;スコアが高いほど症状レベルが高いことを反映する。QLQ-C30スコアおよびQLQ-LC13スコアのベースラインからの絶対値少なくとも10ポイントの変化は、臨床的に意義があると考慮した。MMRM解析を使用して、ベースラインおよび少なくとも1つのベースライン後のスコアを有する患者のうちですべてのスケールに関してベースラインからのLS平均変化を推定した。
【0105】
解析には、アーム当たり少なくとも10人の患者が利用可能であった場合にはすべてのサイクルが組み込まれた。解析をC15で打ち切った。これは、アーム当たり<10人の患者が利用可能であったからである。試験期間にわたるカプラン-マイヤー(KM)生存解析によって回復が見られない悪化までの時間を推定したが、これは、その後のすべての時点で観察されたベースラインからの臨床的に意義のある悪化(すなわち、≧10ポイント)としてまたは悪化後の患者撤退として定義した。95%信頼区間(95%CI)と共にハザード比(HR)を生存解析から導出して、回復が見られない悪化の可能性を判定した。解析は、無作為割り当て患者全員から構成される治療企図(ITT)集団に基づいた。解析は修正ITT集団(mITT)でも実行したが、この集団は、製造業者の使用のための取扱説明書に従って、アッセイごとにPD-L1≧50%である患者を含むように事前指定されたものである。
【0106】
結果:ITT集団のベースライン患者背景は、処置群間で類似していた(表6)。患者の大多数(84%)は転移性疾患を有した。mITT集団(n=563)のベースライン背景は、ITT集団のベースライン背景と類似していた。
【0107】
【0108】
QLQ-C30に関するベースラインスコアが示したところは、ITTおよびmITTの両集団において中程度~高レベルの機能および低い症状負担である。疲労および咳について最も高い症状負担が報告された。セミプリマブ処置を受けた患者では、化学療法と比較して、呼吸困難、咳、胸痛、体の他の部分の痛み、疲労、吐き気/嘔吐、食欲不振、便秘および下痢の主要症状に関して回復が見られない悪化の可能性がより低かった(すべてP<.05)。末梢神経障害および脱毛症の処置関連症状では、化学療法と比較してセミプリマブによる回復が見られない悪化の可能性がより低かった(両方ともP<.05)。セミプリマブによって、化学療法と比較して、GHS/QoLおよびすべての機能スケールに関して有意により大きな改善がもたらされ、HR<1で表示されるように、回復が見込まれない悪化の可能性が統計学的に有意な程度まで減少した(表7)。
【0109】
【0110】
図5A、5B、5C、および
図6に示すように、MMRM解析が示したところは、処置の第1の年にまたがるベースラインからの全体的な変化は、化学療法と対比して、GHS/QoL、機能(5つのスケールすべて)および以下の主要症状について、有意な改善を伴うセミプリマブを一貫して支持したことである:重要症状には、疲労および体の他の部分の痛みの疾患関連症状、ならびに脱毛症、食欲不振、便秘、吐き気/嘔吐、末梢神経障害、および口腔内痛の処置関連症状が含まれる。同様の結果がmITT集団において観察された。
【0111】
MMRM解析が示したところは、化学療法と対比してセミプリマブによるGHS/QoLの統計学的に有意な改善が早くもC2で観察され、C15まで維持されたこと、である(
図7)。すべての時点にまたがるベースラインからのLS平均変化(SE)は、化学療法についての1.7(1.2)と比較して、セミプリマブについて7.1(1.0)であった(P<.0001)。
【0112】
セミプリマブは、GHS/QoLおよびすべての機能スケールにおける回復が見られない悪化のリスクを減少させたが、GHS/QoLは統計学的有意性を収めなかった(
図8)。ほとんどの症状について、回復が見られない悪化までの時間の中央値に達してなかったが、セミプリマブ処置を受けた患者は、化学療法と対比して試験期間にわたって、呼吸困難、咳、胸の痛み、他の体の部分の痛み、疲労、吐き気/嘔吐、食欲不振、便秘および下痢の主要症状に関して、回復が見られない悪化のリスクが有意により低かった(すべてP<0.05)(
図8)。末梢神経障害および脱毛症の処置関連症状も、化学療法と対比してセミプリマブにより回復が見られない悪化のリスクがより低かった(両方ともP<0.05)。
【0113】
これらの結果が示すところは、セミプリマブが、GHS/QoL、機能、および主要症状の回復が見られない悪化までの時間を遅延させたことである。影響に関し類似の傾向と大きさがmITT集団でも観察された。
【0114】
結論:進行性NSCLCを有しPD-L1発現が≧50%である患者では、セミプリマブがもたらしたものは、EORTC QLQ-C30およびQLC-LC13によって評価して、処置の第1の年にわたって、化学療法と比較して、GHS/QoL、機能、およびほとんどの症状における統計学的に有意な改善である。試験期間にわたりこれらの転帰における回復する見込みのない悪化の可能性がより低いことから示されるように、セミプリマブによって、重要肺がん関連症状および処置関連症状、機能、およびGHS/QoLの悪化が遅延された。したがって、セミプリマブ単剤療法によって、進行性NSCLCを有しPD-L1発現≧50%である患者にとって驚くほど優れた治療選択肢が提供された。
【実施例4】
【0115】
局所進行性NSCLCを有する患者における第一選択のセミプリマブの結果
本実施例では、セミプリマブで処置を受けたlaNSCLCを有する患者のサブグループのEMPOWER-Lung 1試験からの結果を提供する。
【0116】
背景:根治的同時化学放射線療法の候補ではないlaNSCLCを有する患者では、抗PD-1剤の使用を調査する前向きの臨床データが不足している。第3相EMPOWER-Lung 1試験(NCT03088540)では、抗PD-1抗体であるセミプリマブが実証したところは、プラチナダブレット化学療法と対比して、進行性NSCLC有しPD-L1≧50%である患者における全生存(OS)および無増悪生存(PFS)の改善である。本試験により、転移性疾患を有する患者に加えてlaNSCLCを有する患者の登録が許容されたが、このことにより、本患者集団において第一選択(1L)抗PD-1単剤療法の前向き無作為化の最大の証拠がもたらされた。本実施例では、EMPOWER-Lung 1のPD-L1≧50%集団からのlaNSCLCを有する患者のサブグループ解析について記載する。
【0117】
方法:EMPOWER-Lung 1では、患者を、3週間ごとのセミプリマブ350mgの静脈内かまたは治験責任医師の選択によるプラチナダブレット化学療法に1:1で無作為割り当てをした。局所進行性非小細胞肺がん(laNSCLC)を有する患者は、根治的同時化学放射線療法の候補ではないステージIIIB/IIIC疾患を有する患者であった。
【0118】
結果:EMPOWER-Lung 1のPD-L1≧50%集団(n=563)では、87人(15.5%)の患者がlaNSCLCを有した;セミプリマブ(n=45)および化学療法(n=42)。laNSCLC集団全体(n=87)では、年齢の中央値(範囲)は63.0(31.0~81.0);男性:86.2%。非扁平上皮組織型:36.8%;ステージIIIBがん:79.3%;およびステージIIICがん:20.7%。フォローアップ中央値の11.6か月(四分位範囲7.2~18.2か月)で、セミプリマブは化学療法と対比して有意に良好なPFSをもたらした(表8を参照されたい)。OSの結果はまた改善されたが、統計学的有意性に届かなかった。客観的奏効率(ORR)およびカプラン-マイヤー推定奏効期間中央値(DOR)も、化学療法と対比してセミプリマブにより数値的に改善した。
【0119】
【0120】
結論:laNSCLCを有しPD-L1≧50%である患者では、1Lセミプリマブ単剤療法が実証したところは、化学療法と対比して、PFSの有意な改善、数値的により長いOS、ならびにORRおよびDORの改善である。これらの結果が裏付けるところは、PD-L1≧50%であるlaNSCLCを有する患者に対するセミプリマブ1L単剤療法によってもたらされる臨床的有用性である。
【実施例5】
【0121】
laNSCLCの患者サブグループにおける第一選択セミプリマブの臨床的有用性
本実施例では、laNSCLCを有しPD-L1≧50%であり、EGFR、ALKまたはROS1のドライバーの突然変異を有しない、患者のサブグループのEMPOWER-Lung 1試験(NCT03088540)からの結果を提供する。
【0122】
試験計画:主要適格基準には以下が含まれた:(i)処置ナイーブの進行性NSCLC;(ii)PD-L1≧50%;(iii)EGFR、ALKまたはROS1の突然変異がない;(iv)ECOG PS 0または1;および(v)処置を受け、臨床的に安定したCNS転移および制御したB型肝炎もしくC型肝炎、またはHIVは許容された。層別化因子には以下が含まれた:組織学(扁平上皮対非扁平上皮)および地域(ヨーロッパ、アジア、またはROW)。主要評価項目:OSおよびPFS。副次評価項目:ORR(重要)、DOR、HRQoL、および安全性。患者は、根治的同時化学放射線療法による処置の候補ではないかまたは同時化学放射線療法による初回処置後に再発した、ステージIIIB/IIIC疾患を有する患者を含めて、局所進行性NSCLCを有した。
【0123】
アームAの患者は、セミプリマブ単剤療法IV、350mg Q3Wを受け、進行性疾患(PD)または108週まで処置を受けた;PDの場合、4サイクルの化学療法と組合せでセミプリマブの場合による継続。アームBの患者は、4~6サイクルの治験責任医師選択の化学療法を受けた;PDの場合、セミプリマブ単剤療法への場合によるクロスオーバー。PD-L1≧50%集団(N=563):セミプリマブ(n=283)、化学療法(n=280)。22C3アッセイによるPD-L1検査を実行した。患者の人口統計およびベースライン背景を表9に提供する。EMPOWER-Lung 1のPD-L1≧50%集団(n=563)では、87人(15.5%)の患者が局所進行性NSCLCを有した:セミプリマブ(n=45)および化学療法(n=42)。
【0124】
【0125】
処置に対する患者の曝露およびフォローアップ期間を表10に示す。
【0126】
【0127】
図9に示すように、セミプリマブ患者の場合ではOS中央値にまだ届いていなかったが、一方、化学療法患者の場合ではOS中央値は15.5か月であった。加えて、化学療法患者の57.8%と比較して、セミプリマブ患者の78.5%について12か月のOSが得られた。セミプリマブが実証したところは、数値的により長い全生存であり、このことにより、ハザード比0.48という結果であった。したがって、セミプリマブ処置により、化学療法と比較して、全生存の実質的改善がもたらされた。
【0128】
図10に示すように、化学療法と比較して、セミプリマブに関連して統計学的に有意な改善があった。具体的には、セミプリマブ患者についてPFS中央値は8.4か月であり、一方、化学療法患者についてPFS中央値は6.2か月であった。ハザード比は0.49であった。加えて、化学療法患者の5.8%と比較して、セミプリマブ患者の38.5%に対して12か月のPFSが得られた。したがって、セミプリマブ処置により、化学療法と比較して、無増悪生存の実質的改善がもたらされた。
【0129】
奏功期間も、セミプリマブにより数値的により長かった。
図11に示すように、KM推定DOR中央値はセミプリマブ患者の場合で12.5か月であり、一方、化学療法の患者の場合で、DOR中央値は6.2か月であった。したがって、セミプリマブ処置により、化学療法と比較して、奏効期間の実質的改善がもたらされた。
【0130】
客観的奏効率は、化学療法(31%)と対比してセミプリマブ(44%)により数値的により高かった;そしてより多くの患者が、セミプリマブにより最善の総合効果として部分奏効を経験した(表11)。
【0131】
【0132】
結論:EMPOWER Lung-1からの本ポストホックサブグループ解析では、局所進行性NSCLCを有しPD-L1≧50%である患者が実証したところは、化学療法と比較した、第一選択のセミプリマブ単剤療法による延命効果の改善である:これとしては、化学療法と対比してセミプリマブによる疾患進行のリスクの51%の減少での有意に改善されたPFS(HR、0.49;95%CI、0.27~0.88;*P=0.02);数値的により長いOS(12か月OS率:セミプリマブと化学療法の対比について78.5%対57.8%);およびセミプリマブと化学療法の対比について、数値的により良好なORR(44.4%対31.0%)とより長いDOR(中央値12.5対6.2か月)、が挙げられる。これらの結果が実証するところは、根治的同時化学放射線療法の候補ではない患者であって、局所進行性NSCLCを有しPD-L1≧50%であり、EGFR、ALKまたはROS1のドライバーの突然変異を有しない、患者に対してセミプリマブ第一選択単剤療法によってもたらされる有意な効果である。
【実施例6】
【0133】
進行性NSCLCを有する患者における入院および支持療法薬の利用
本実施例では、EMPOWER-Lung 1試験(NCT03088540)からの結果を提供し、全生存(ハザード比、0.57;95%信頼区間、0.42、0.77;P=0.0002)および無増悪生存(ハザード比、0.54、95%信頼区間、0.43、0.68、P<0.0001)、ならびに、進行性NSCLC(aNSCLC)を有しPD-L1≧50%である患者における、治験責任医師選択のプラチナダブレット化学療法と対比してセミプリマブ単剤療法による順調な患者報告の転帰において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示す。入院および支持療法薬(SCM)の利用について評価したが、一方、EMPOWER-Lung 1では、セミプリマブまたは化学療法試験治療下の期間を考慮に入れた。
【0134】
方法:EMPOWER-Lung 1安全性集団(患者がセミプリマブまたは化学療法を受けている間)では、セミプリマブ処置患者と化学療法処置患者の間で以下を比較した:重篤な有害事象(SAE)関連入院率(患者100人年当たり)、≧1の血小板/赤血球(PRBC)輸血を有する患者の数、および11タイプのSCM(アヘン剤、制吐剤/吐き気止め、下痢止め、食欲増進剤、骨疾患治療剤、抗貧血剤、免疫賦活剤、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤およびコルチコステロイド)利用率(各SCMタイプ/試験治療下の期間の合計期間、1000日で)。
【0135】
結果:EMPOWER-Lung 1の安全性集団は、セミプリマブ処置を受けた患者355人および化学療法処置を受けた患者342人から構成された。セミプリマブ 対 化学療法の処置を受けた患者で、SAE関連の入院率が低いことが観察された(患者100人年あたり33.2対56.7)。化学療法処置を受けた患者3人(0.9%)と対比してセミプリマブ処置を受けた患者1人(0.3%)が≧1回の血小板輸血を有した;化学療法処置を受けた患者24人(7.0%)と対比してセミプリマブ処置を受けた患者4人(1.1%)が≧1回のPRBC輸血を有した。セミプリマブ処置を受けた患者の11例中9例のSCM利用率は、化学療法処置を受けた患者のSCM利用率よりも低かった(表12)。
【0136】
結論:EMPOWER-Lung 1では、化学療法と対比してセミプリマブで処置を受けたaNSCLCを有する患者は、より低いSAE関連入院率を有した。全身性使用向けの下痢止め薬および抗ウイルス薬を除いて、他のすべてのSCM利用率はセミプリマブでより低かった。これらの結果が裏付けるところは、EMPOWER-Lung 1において化学療法処置を受けた患者と対比してセミプリマブ処置を受けた患者で観察された順調な臨床転帰および患者報告転帰である。
【0137】
【0138】
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【0139】
本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の様々な改変形態が、前述の説明および添付の図面から当業者であれば明らかとなるであろう。かかる改変形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】