(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】動力学的生理活性足場及びCNS損傷後のその治療的使用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20240214BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240214BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20240214BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
C07K7/08
C07K14/00
A61K38/18
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550590
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 US2022017490
(87)【国際公開番号】W WO2022182737
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス・ピント,ザイダ
(72)【発明者】
【氏名】スタップ,サミュエル・アイザック
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA31
4C084DB52
4C084DB54
4C084DB59
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA02
4H045AA10
4H045AA20
4H045BA10
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA18
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本願では、ペプチド両親媒性分子(PA)、PAを含む超分子集合体、PAを含む組成物、及びその使用方法を提供する。所定の実施形態において、本願では、IKVAVPAと成長因子ミメティックPAを含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、神経系損傷の治療方法で使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種のペプチド両親媒性分子を含む超分子集合体であって、前記少なくとも2種のペプチド両親媒性分子が、
a.疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、荷電ペプチドセグメント、及びアミノ酸配列IKVAV(配列番号1)を含む生理活性ペプチドを含む少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と;
b.少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む、前記超分子集合体。
【請求項2】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、0.3未満の蛍光異方性値を含む、請求項1に記載の超分子集合体。
【請求項3】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、4s
-1未満のプロトン緩和速度(
1H-R
2)を含む、請求項1又は2に記載の超分子集合体。
【請求項4】
前記疎水性セグメントが、炭素数8~24のアルキル鎖(C
8-24)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項5】
前記疎水性セグメントが、炭素数16のアルキル鎖(C
16)を含む、請求項4に記載の超分子集合体。
【請求項6】
前記構造ペプチドセグメントが、A
2G
2を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項7】
前記荷電ペプチドセグメントが、E
2、E
3、又はE
4を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項8】
前記生理活性ペプチドが、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項9】
前記リンカーが、単一グリシン(G)残基である、請求項8に記載の超分子集合体。
【請求項10】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、C
16A
2G
2E
4GIKVAVを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項11】
前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、炭素数8~24のアルキル鎖(C
8-24)を含む疎水性セグメントと、V
2A
2又はA
2G
2を含む構造ペプチドセグメントと、E
2、E
3、又はE
4を含む荷電ペプチドセグメントと、成長因子ミメティックペプチド配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項12】
前記成長因子ミメティック配列が、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ミメティック配列、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)ミメティック配列、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ミメティック配列、脳由来神経栄養因子(BDNF)ミメティック配列、又はネトリン1ミメティック配列である、請求項11に記載の超分子集合体。
【請求項13】
前記成長因子ミメティック配列が、FGF2ミメティック配列である、請求項12に記載の超分子集合体。
【請求項14】
前記FGF2ミメティック配列が、YRSRKYSSWYVALKR(配列番号2)を含む、請求項13に記載の超分子集合体。
【請求項15】
前記成長因子ミメティック配列が、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項16】
前記リンカーが、単一グリシン(G)残基である、請求項15に記載の超分子集合体。
【請求項17】
前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、C
16V
2A
2E
4GYRSRKYSSWYVALKR又はC
16A
2G
2E
4GYRSRKYSSWYVALKRを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項18】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、C
16A
2G
2E
4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、C
16V
2A
2E
4GYRSRKYSSWYVALKR又はC
16A
2G
2E
4GYRSRKYSSWYVALKRを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の超分子集合体。
【請求項19】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、C
16A
2G
2E
4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、C
16V
2A
2E
4GYRSRKYSSWYVALKRを含む、請求項18に記載の超分子集合体。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の超分子集合体を含む組成物。
【請求項21】
a.疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、荷電ペプチドセグメント、及びアミノ酸配列IKVAV(配列番号1)を含む生理活性ペプチドを含む少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と;
b.少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む組成物であって、
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が相互作用し、前記組成物内で超分子集合体を形成する、前記組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、0.3未満の蛍光異方性値を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、4s
-1未満のプロトン緩和速度(
1H-R
2)を含む、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
前記疎水性セグメントが、炭素数8~24のアルキル鎖(C
8-24)を含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記疎水性セグメントが、炭素数16のアルキル鎖(C
16)を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記構造ペプチドセグメントが、A
2G
2を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記荷電ペプチドセグメントが、E
2、E
3、又はE
4を含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記生理活性ペプチドが、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている、請求項21~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記リンカーが、単一グリシン(G)残基である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、C
16A
2G
2E
4GIKVAVを含む、請求項21~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、炭素数8~24のアルキル鎖(C
8-24)を含む疎水性セグメントと、VVAA又はAAGGを含む構造ペプチドセグメントと、EE、EEE、又はEEEEを含む荷電ペプチドセグメントと、成長因子ミメティックペプチド配列を含む、請求項21~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記成長因子ミメティック配列が、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ミメティック配列、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)ミメティック配列、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ミメティック配列、脳由来神経栄養因子(BDNF)ミメティック配列、又はネトリン1ミメティック配列である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記成長因子ミメティック配列が、FGF2ミメティック配列である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記FGF2ミメティック配列が、YRSRKYSSWYVALKR(配列番号2)を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記成長因子ミメティック配列が、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている、請求項31~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記リンカーが、単一グリシン(G)残基である、請求項35に記載の超分子集合体。
【請求項37】
前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、C
16V
2A
2E
4GYRSRKYSSWYVALKR又はC
16A
2G
2E
4GYRSRKYSSWYVALKRを含む、請求項21~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、C
16A
2G
2E
4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、C
16V
2A
2E
4GYRSRKYSSWYVALKR又はC
16A
2G
2E
4GYRSRKYSSWYVALKRを含む、請求項21~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子が、C
16A
2G
2E
4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子が、C
16V
2A
2E
4GYRSRKYSSWYVALKRを含む、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
対象における神経系損傷の治療方法で使用するための、請求項21~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記神経系損傷が、中枢神経系損傷である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記中枢神経系損傷が、脊髄損傷である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
対象における神経系損傷の治療方法であって、請求項21~39のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に提供することを含む、前記方法。
【請求項44】
前記神経系損傷が、中枢神経系損傷である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記中枢神経系損傷が、脊髄損傷である、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府からの資金援助に関する声明
本発明は、空軍研究所から授与された契約番号FA8650-15-2-5518、国立老化研究所から授与された助成金番号R01NS104219、並びに国立神経疾患・脳卒中研究所から授与された助成金番号R21NS107761及びR21NS107761-01A1による政府支援を受けて行われた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
関連出願に関する声明
本出願は、2021年2月23日に出願された米国仮特許出願第63/152,498号の優先権を主張するものであり、その全内容はあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本願では、ペプチド両親媒性分子(PA)、PAを含む超分子集合体、PAを含む組成物、及びその使用方法を提供する。所定の実施形態において、本願では、IKVAVPAと成長因子ミメティックPAを含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、神経系損傷の治療方法で使用される。
【背景技術】
【0004】
損傷した軸索は、成人中枢神経系(CNS)で再生することができないため、外傷性損傷後のヒトにおける永久麻痺を回避するための治療法の開発は、依然として大きな課題である。治療用カーゴを送達するために特定の細胞を標的とするナノ構造や、細胞外スペースで生理活性足場として機能する材料を使用する方法が、シグナル伝達ストラテジーとして台頭しつつある。しかし、送達されるカーゴから高い生理活性が得られるようにこのようなナノ構造のデザインを最適化する方法が解明されていないため、成功が限られており、これまでのところ、非常に有効な治療法は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定の態様において、本願では、超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、本願では、少なくとも2種のペプチド両親媒性分子を含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、前記少なくとも2種のペプチド両親媒性分子は、疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、荷電ペプチドセグメント、及びアミノ酸配列IKVAVを含む生理活性ペプチドを含む少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と、少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、0.3未満の蛍光異方性値を含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、4s-1未満のプロトン緩和速度(1H-R2)を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む。所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数16のアルキル鎖(C16)を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、A2G2を含む。所定の実施形態において、前記荷電ペプチドセグメントは、E2、E3、又はE4を含む。所定の実施形態において、前記生理活性ペプチドは、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている。所定の実施形態において、前記リンカーは、単一グリシン(G)残基である。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含む。
【0007】
所定の実施形態において、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む疎水性セグメントと、V2A2、A2G2を含む構造ペプチドセグメントと、E2、E3、又はE4を含む荷電ペプチドセグメントと、成長因子ミメティックペプチド配列を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティック配列は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ミメティック配列、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)ミメティック配列、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ミメティック配列、脳由来神経栄養因子(BDNF)ミメティック配列、又はネトリン1ミメティック配列である。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティック配列は、FGF2ミメティック配列である。例えば、所定の実施形態において、前記FGF2ミメティック配列は、YRSRKYSSWYVALKR(配列番号2)を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティックペプチドは、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている。所定の実施形態において、前記リンカーは、単一グリシン(G)残基である。
【0008】
所定の実施形態において、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKR又はC16A2G2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKR又はC16A2G2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。
【0009】
所定の態様において、本願では、組成物を提供する。所定の実施形態において、本願では、本願に記載するような超分子集合体を含む組成物を提供する。所定の実施形態において、本願では、疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、荷電ペプチドセグメント、及びアミノ酸配列IKVAVを含む生理活性ペプチドを含む少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と、少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む組成物を提供する。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、相互作用し、前記組成物内に超分子集合体を形成する。
【0010】
所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、0.3未満の蛍光異方性値を含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、4s-1未満のプロトン緩和速度(1H-R2)を含む。所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む。例えば、所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数16のアルキル鎖(C16)を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、A2G2を含む。所定の実施形態において、前記荷電ペプチドセグメントは、E2、E3、又はE4を含む。所定の実施形態において、前記生理活性ペプチドは、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている。所定の実施形態において、前記リンカーは、単一グリシン(G)残基である。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含む。
【0011】
所定の実施形態において、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む疎水性セグメントと、V2A2又はA2G2を含む構造ペプチドセグメントと、E2、E3、又はE4を含む荷電ペプチドセグメントと、成長因子ミメティックペプチド配列を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティック配列は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ミメティック配列、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)ミメティック配列、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ミメティック配列、脳由来神経栄養因子(BDNF)ミメティック配列、又はネトリン1ミメティック配列である。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティック配列は、FGF2ミメティック配列である。所定の実施形態において、前記FGF2ミメティック配列は、YRSRKYSSWYVALKR(配列番号2)を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティックペプチドは、リンカーにより前記荷電ペプチドセグメントと連結されている。所定の実施形態において、前記リンカーは、単一グリシン(G)残基である。
【0012】
所定の実施形態において、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKR又はC16A2G2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKR又はC16A2G2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含み、前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。
【0013】
本願に記載する組成物は、対象における神経系損傷の治療方法で使用することができる。所定の実施形態において、前記神経系損傷は、中枢神経系損傷である。例えば、所定の実施形態において、前記中枢神経系損傷は、脊髄損傷である。
【0014】
所定の態様において、本願では、対象における神経系損傷の治療方法を提供する。所定の実施形態において、本願では、対象における神経系損傷の治療方法として、本願に記載する組成物を前記対象に提供することを含む方法を提供する。所定の実施形態において、前記神経系損傷は、中枢神経系損傷である。所定の実施形態において、前記中枢神経系損傷は、脊髄損傷である。
【0015】
添付の資料と図面を参照すると、本開示の他の態様及び実施形態にも想到されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1A~1Eは、調査したIKVAVPA分子のライブラリーを示す。(A)使用した各種IKVAVPA分子の具体的な化学構造と、IKVAV生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示。(B)前記ライブラリーにおける各種IKVAVPAのクライオTEM顕微鏡写真と、これらの写真に対応する個々のIKVAVPAフィラメントのRMSF値の色コード表示。(C)各種IKVAVPA分子の平均RMSF値の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立したシミュレーションに対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)各種IKVAVPAナノファイバーのSAXSパターン及び(E)WAXSプロファイル(散乱強度は重ならないようにするために縦方向にずらせ、1.35Å付近のβシートスペーシングに対応するブラッグピークをグレーの枠内に示す)。スケールバー:200nm。
【
図1B】
図1A~1Eは、調査したIKVAVPA分子のライブラリーを示す。(A)使用した各種IKVAVPA分子の具体的な化学構造と、IKVAV生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示。(B)前記ライブラリーにおける各種IKVAVPAのクライオTEM顕微鏡写真と、これらの写真に対応する個々のIKVAVPAフィラメントのRMSF値の色コード表示。(C)各種IKVAVPA分子の平均RMSF値の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立したシミュレーションに対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)各種IKVAVPAナノファイバーのSAXSパターン及び(E)WAXSプロファイル(散乱強度は重ならないようにするために縦方向にずらせ、1.35Å付近のβシートスペーシングに対応するブラッグピークをグレーの枠内に示す)。スケールバー:200nm。
【
図1C-1E】
図1A~1Eは、調査したIKVAVPA分子のライブラリーを示す。(A)使用した各種IKVAVPA分子の具体的な化学構造と、IKVAV生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示。(B)前記ライブラリーにおける各種IKVAVPAのクライオTEM顕微鏡写真と、これらの写真に対応する個々のIKVAVPAフィラメントのRMSF値の色コード表示。(C)各種IKVAVPA分子の平均RMSF値の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立したシミュレーションに対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)各種IKVAVPAナノファイバーのSAXSパターン及び(E)WAXSプロファイル(散乱強度は重ならないようにするために縦方向にずらせ、1.35Å付近のβシートスペーシングに対応するブラッグピークをグレーの枠内に示す)。スケールバー:200nm。
【
図2A-2B】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2C】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2D】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2E-2F】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2G-2H】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2I-2J】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図3A】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3B-3C】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3D-3F】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3G】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3H】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3I】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3J】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3K】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3L】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図4A-4B】
図4A~4Dは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、血管新生に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群における横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)。(B)Aの各群の横断面切片における血管面積分率、灌流血管長、及び分岐数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.0001vs.シャム群及び
##P<0.001、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2を注入した動物の病巣の中心におけるBrdU
+/CD31
+細胞の蛍光画像;CD31-血管(緑)、BrdU-新たに生成された細胞(赤)、及びDAPI-核(青)。(D)IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及び生理食塩水(シャム)を投与した群におけるmm
2当たりBrdU
+/CD31
+細胞数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)CD31タンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.001、
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、B及びDでは各群6匹に対応し、Eでは各群4匹に対応する。スケールバー:(A)200μm、(C)25μm。
【
図4C-4E】
図4A~4Dは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、血管新生に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群における横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)。(B)Aの各群の横断面切片における血管面積分率、灌流血管長、及び分岐数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.0001vs.シャム群及び
##P<0.001、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2を注入した動物の病巣の中心におけるBrdU
+/CD31
+細胞の蛍光画像;CD31-血管(緑)、BrdU-新たに生成された細胞(赤)、及びDAPI-核(青)。(D)IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及び生理食塩水(シャム)を投与した群におけるmm
2当たりBrdU
+/CD31
+細胞数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)CD31タンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.001、
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、B及びDでは各群6匹に対応し、Eでは各群4匹に対応する。スケールバー:(A)200μm、(C)25μm。
【
図5A-5B】
図5A~5Dは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、ニューロン生存と機能回復に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群に対応する横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)及びDAPI-核(青)を示し、破線は、灰白質(角)を示す。(B)Aの切片の前角領域の高倍率画像;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(左);ChAT-運動ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(右)。(C)横断面切片当たりのNeuN
+細胞数(左)とChAT
+細胞数(右)を示すドットプロット(データ点は、各群6匹、1匹当たり8切片の合計48切片に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)インビボ実験の実験タイムライン(上)と、歩行運動のBasso Mouse Scale(BMS)(下)(エラーバーは各群38匹に対応する;
**P<0.001、
***P<0.0001全PA群vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA2群とIKVAVPA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)200μm、(B)25μm。
【
図5C-5D】
図5A~5Dは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、ニューロン生存と機能回復に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群に対応する横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)及びDAPI-核(青)を示し、破線は、灰白質(角)を示す。(B)Aの切片の前角領域の高倍率画像;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(左);ChAT-運動ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(右)。(C)横断面切片当たりのNeuN
+細胞数(左)とChAT
+細胞数(右)を示すドットプロット(データ点は、各群6匹、1匹当たり8切片の合計48切片に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)インビボ実験の実験タイムライン(上)と、歩行運動のBasso Mouse Scale(BMS)(下)(エラーバーは各群38匹に対応する;
**P<0.001、
***P<0.0001全PA群vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA2群とIKVAVPA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)200μm、(B)25μm。
【
図6A-6C】
図6A~6Jは、異なる超分子運動を示す2種類のPA足場間の細胞シグナル伝達の差をインビトロで検証するデータを示す。(A)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECの共焦点顕微鏡写真;アクチン-サイトスケルトン(赤)、DAPI-核(青)。(B)ラミニン+FGF2、IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECにおける分岐数の棒グラフ。(C)Bの条件を使用したWB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及び活性ERK1/2(p-ERK1/2)の正規化値の棒グラフ(右)。(D)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2のコーティング上のhNPCの共焦点顕微鏡写真;EDU増殖マーカー(赤)、SOX2-神経幹細胞マーカー(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)各種コーティング上のEDU
+/SOX2
+細胞の百分率の棒グラフ。(F)WB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及びb1インテグリン(ITGB1)の正規化値の棒グラフ(右)。(G)6.81ppmのFGF2ミメティックシグナルに含まれるY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1H-NMRスピン-スピン緩和時間(実線は、単回帰最良線形フィットである)。(H)Gで測定した芳香族緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
*P<0.05、スチューデントのt検定による)。(I)Cy3色素で化学的に修飾したFGF2PAの蛍光異方性(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)FGF2PAのクラスターにおけるRMSF値の色コード表示(左)及び対応する棒グラフ(右)(IKVAVPA2分子を透明グレーで示し、分かり易くするためにイオンと水分子は除去し、シミュレーションボックスを青で示す)(エラーバーは、5回の独立したシミュレーションに対応する;
**P<0.01、スチューデントのt検定による)。エラーバーは、B及びEでは各条件3回の独立した実験に対応し、C及びFでは4回の独立した実験に対応する;
***P<0.0001vs.ラミニン+FGF2及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による。スケールバー:(A)200μm、(D)100μm。
【
図6D-6F】
図6A~6Jは、異なる超分子運動を示す2種類のPA足場間の細胞シグナル伝達の差をインビトロで検証するデータを示す。(A)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECの共焦点顕微鏡写真;アクチン-サイトスケルトン(赤)、DAPI-核(青)。(B)ラミニン+FGF2、IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECにおける分岐数の棒グラフ。(C)Bの条件を使用したWB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及び活性ERK1/2(p-ERK1/2)の正規化値の棒グラフ(右)。(D)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2のコーティング上のhNPCの共焦点顕微鏡写真;EDU増殖マーカー(赤)、SOX2-神経幹細胞マーカー(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)各種コーティング上のEDU
+/SOX2
+細胞の百分率の棒グラフ。(F)WB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及びb1インテグリン(ITGB1)の正規化値の棒グラフ(右)。(G)6.81ppmのFGF2ミメティックシグナルに含まれるY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1H-NMRスピン-スピン緩和時間(実線は、単回帰最良線形フィットである)。(H)Gで測定した芳香族緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
*P<0.05、スチューデントのt検定による)。(I)Cy3色素で化学的に修飾したFGF2PAの蛍光異方性(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)FGF2PAのクラスターにおけるRMSF値の色コード表示(左)及び対応する棒グラフ(右)(IKVAVPA2分子を透明グレーで示し、分かり易くするためにイオンと水分子は除去し、シミュレーションボックスを青で示す)(エラーバーは、5回の独立したシミュレーションに対応する;
**P<0.01、スチューデントのt検定による)。エラーバーは、B及びEでは各条件3回の独立した実験に対応し、C及びFでは4回の独立した実験に対応する;
***P<0.0001vs.ラミニン+FGF2及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による。スケールバー:(A)200μm、(D)100μm。
【
図6G-6J】
図6A~6Jは、異なる超分子運動を示す2種類のPA足場間の細胞シグナル伝達の差をインビトロで検証するデータを示す。(A)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECの共焦点顕微鏡写真;アクチン-サイトスケルトン(赤)、DAPI-核(青)。(B)ラミニン+FGF2、IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECにおける分岐数の棒グラフ。(C)Bの条件を使用したWB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及び活性ERK1/2(p-ERK1/2)の正規化値の棒グラフ(右)。(D)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2のコーティング上のhNPCの共焦点顕微鏡写真;EDU増殖マーカー(赤)、SOX2-神経幹細胞マーカー(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)各種コーティング上のEDU
+/SOX2
+細胞の百分率の棒グラフ。(F)WB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及びb1インテグリン(ITGB1)の正規化値の棒グラフ(右)。(G)6.81ppmのFGF2ミメティックシグナルに含まれるY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1H-NMRスピン-スピン緩和時間(実線は、単回帰最良線形フィットである)。(H)Gで測定した芳香族緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
*P<0.05、スチューデントのt検定による)。(I)Cy3色素で化学的に修飾したFGF2PAの蛍光異方性(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)FGF2PAのクラスターにおけるRMSF値の色コード表示(左)及び対応する棒グラフ(右)(IKVAVPA2分子を透明グレーで示し、分かり易くするためにイオンと水分子は除去し、シミュレーションボックスを青で示す)(エラーバーは、5回の独立したシミュレーションに対応する;
**P<0.01、スチューデントのt検定による)。エラーバーは、B及びEでは各条件3回の独立した実験に対応し、C及びFでは4回の独立した実験に対応する;
***P<0.0001vs.ラミニン+FGF2及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による。スケールバー:(A)200μm、(D)100μm。
【
図7】各種IKVAVPAの化学構造(左)と質量スペクトル(右)を示す。
【
図8】各種IKVAVPAの時間に対する根平均二乗偏差(RMSD)を表すプロットを示す。
【
図9】hNPCをオルニチンコーティング上で培養したものと、ラミニン及びIKVAVPAのライブラリーで処理したものにおけるITGB1、p-FAK/FAK、ILK、及びTUJ1の正規化値の棒グラフを示す(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。
【
図10A-10B】
図10A~10Cは、超分子運動とインビトロ細胞シグナル伝達に及ぼすカルシウムの影響を示す。(A)カルシウムの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)におけるIKVAVPA2溶液とIKVAVPA5溶液の異方性(エラーバーは3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(B)Aに記載した条件で培養したhNPCの代表的な蛍光顕微鏡写真。(C)カルシウム(Ca
2+)の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2又はIKVAVPA5で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK/FAK、ILK、及びTUJ1のWB結果(左)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(右)(カルシウム単独(+)を対照として使用した;エラーバーは、各条件3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。スケールバー:10mm。
【
図10C】
図10A~10Cは、超分子運動とインビトロ細胞シグナル伝達に及ぼすカルシウムの影響を示す。(A)カルシウムの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)におけるIKVAVPA2溶液とIKVAVPA5溶液の異方性(エラーバーは3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(B)Aに記載した条件で培養したhNPCの代表的な蛍光顕微鏡写真。(C)カルシウム(Ca
2+)の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2又はIKVAVPA5で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK/FAK、ILK、及びTUJ1のWB結果(左)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(右)(カルシウム単独(+)を対照として使用した;エラーバーは、各条件3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。スケールバー:10mm。
【
図11A-11B】
図11A~11Cは、種々のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリのクライオTEM画像と貯蔵弾性率を示す。(A)95:5、(B)90:10、及び(C)80:20のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PA(PA1又はPA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(左)と貯蔵弾性率(右)(データ点は、各条件3回の反復実験に対応する;n.s.は、有意差なしを表す、
*P<0.05、スチューデントの両側t検定による)。スケールバー:200nm。
【
図11C】
図11A~11Cは、種々のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリのクライオTEM画像と貯蔵弾性率を示す。(A)95:5、(B)90:10、及び(C)80:20のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PA(PA1又はPA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(左)と貯蔵弾性率(右)(データ点は、各条件3回の反復実験に対応する;n.s.は、有意差なしを表す、
*P<0.05、スチューデントの両側t検定による)。スケールバー:200nm。
【
図12A-12E】
図12A~12Fは、IKVAVPA2+FGF2PAコアセンブリシステムの特性決定を示す。IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の(A)SAXS散乱パターン、(B)WAXSプロファイル、及び(C)FT-IR。(D)IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の高倍率ネガティブTEM画像。(E)Dに記載した条件の繊維幅(エラーバーは、各条件50本の繊維に対応する;
**P<0.01vs.IKVAVPA2及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(F)種々の百分率のIKVAVPA2、FGF2PA1、FGF2PA2及びそのコアセンブリの600nmにおける光学密度(O.D.)プロット(左)と、FGF2PA(オレンジ色)及びIKVAVPA2とのそのコアセンブリ(赤)の写真(右)(エラーバーは、各条件3回の反復実験に対応する;
***P<0.0001vs.そのコアセンブリ試料、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:100nm。
【
図12F】
図12A~12Fは、IKVAVPA2+FGF2PAコアセンブリシステムの特性決定を示す。IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の(A)SAXS散乱パターン、(B)WAXSプロファイル、及び(C)FT-IR。(D)IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の高倍率ネガティブTEM画像。(E)Dに記載した条件の繊維幅(エラーバーは、各条件50本の繊維に対応する;
**P<0.01vs.IKVAVPA2及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(F)種々の百分率のIKVAVPA2、FGF2PA1、FGF2PA2及びそのコアセンブリの600nmにおける光学密度(O.D.)プロット(左)と、FGF2PA(オレンジ色)及びIKVAVPA2とのそのコアセンブリ(赤)の写真(右)(エラーバーは、各条件3回の反復実験に対応する;
***P<0.0001vs.そのコアセンブリ試料、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:100nm。
【
図13A-13D】
図13A~13Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した脊髄の透明化を示す。Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2の(A)化学構造と、(B)質量スペクトル。(C)Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2のクライオTEM画像。(D)組織を透明化する前(非透明化)及び後(透明化)にPAを注入したマウス脊髄の写真。(E)IKVAVPA2を1%のAlexa Fluor(登録商標)647で標識し、IKVAVPA2+FGF2PA1又はIKVAVPA2+FGF2PA2(いずれも赤)を注入したマウス脊髄(緑)の完全な顕微鏡写真再構成である。スケールバー:(C)100nm及び(E)1000μm。
【
図13E】
図13A~13Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した脊髄の透明化を示す。Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2の(A)化学構造と、(B)質量スペクトル。(C)Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2のクライオTEM画像。(D)組織を透明化する前(非透明化)及び後(透明化)にPAを注入したマウス脊髄の写真。(E)IKVAVPA2を1%のAlexa Fluor(登録商標)647で標識し、IKVAVPA2+FGF2PA1又はIKVAVPA2+FGF2PA2(いずれも赤)を注入したマウス脊髄(緑)の完全な顕微鏡写真再構成である。スケールバー:(C)100nm及び(E)1000μm。
【
図14A】
図14A~14Dは、CST軸索再成長に及ぼす各種IKVAVPAの影響を示す。(A)主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(B)Aの切片の代表的な拡大画像。(C)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは、各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群、
+P<0.05、
++P<0.01vs.IKVAVPA1及び
#P<0.05vs.IKVAVPA4群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(D)シャム群、主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群のGFAPのWB結果(下)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、
#P<0.05vs.主鎖PA、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)1500μm及び(B)100μm。
【
図14B】
図14A~14Dは、CST軸索再成長に及ぼす各種IKVAVPAの影響を示す。(A)主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(B)Aの切片の代表的な拡大画像。(C)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは、各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群、
+P<0.05、
++P<0.01vs.IKVAVPA1及び
#P<0.05vs.IKVAVPA4群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(D)シャム群、主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群のGFAPのWB結果(下)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、
#P<0.05vs.主鎖PA、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)1500μm及び(B)100μm。
【
図14C-14D】
図14A~14Dは、CST軸索再成長に及ぼす各種IKVAVPAの影響を示す。(A)主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(B)Aの切片の代表的な拡大画像。(C)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは、各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群、
+P<0.05、
++P<0.01vs.IKVAVPA1及び
#P<0.05vs.IKVAVPA4群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(D)シャム群、主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群のGFAPのWB結果(下)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、
#P<0.05vs.主鎖PA、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)1500μm及び(B)100μm。
【
図15A】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図15B】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図15C-15D】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図15E-15F】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図16A】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図16B】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図16C】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図16D-16E】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図17A-17B】
図17A~17Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した動物の足跡解析を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群の損傷から3箇月後の歩行時マウス後肢位置の代表的な写真。(B)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、IKVAVPA2を投与した動物の脊髄に病巣を形成するために使用した衝撃力を表す棒グラフ(データ点は、解析した38匹を示す;n.s.は、有意差なしを表す)。(C)Bにプロットした種々の条件で注入した動物の代表的な足跡。(D、E)Bに記載した種々の条件で注入した動物の(D)mmで表したストライド長と、(E)mmで表したストライド幅を表す棒グラフ(データ点は、各条件38匹に対応する;
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。
【
図17C-17E】
図17A~17Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した動物の足跡解析を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群の損傷から3箇月後の歩行時マウス後肢位置の代表的な写真。(B)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、IKVAVPA2を投与した動物の脊髄に病巣を形成するために使用した衝撃力を表す棒グラフ(データ点は、解析した38匹を示す;n.s.は、有意差なしを表す)。(C)Bにプロットした種々の条件で注入した動物の代表的な足跡。(D、E)Bに記載した種々の条件で注入した動物の(D)mmで表したストライド長と、(E)mmで表したストライド幅を表す棒グラフ(データ点は、各条件38匹に対応する;
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本願に記載する実施形態の実施又は試験には、本願に記載するものと同様又は同等のあらゆる方法及び材料を使用することができるが、本願では所定の好ましい方法、組成物、装置及び材料について記載する。しかし、本願の材料及び方法について記載する前に、当然のことながら、本願に記載する特定の分子、組成物、手法又はプロトコルは、日常的な実験及び最適化に従って変更することができるので、本発明は、これらの特定の分子等に制限されない。同じく当然のことながら、本明細書で使用する用語は、特定の態様又は実施形態のみについて説明することを目的とし、本願に記載する実施形態の範囲を制限するものではない。
【0018】
特に定義しない限り、本願で使用する全科学技術用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に広く理解されていると同一の意味である。しかし、矛盾する場合には、定義を含めて本明細書を優先する。したがって、本願に記載する実施形態については、以下の定義を適用する。
【0019】
文脈からそうでないことが明らかな場合を除き、本願及び特許請求の範囲で使用する単数形の不定冠詞と定冠詞は複数の言及を含む。したがって、例えば、「ペプチド両親媒性分子」と言う場合には、1個以上のペプチド両親媒性分子と当業者に公知のその均等物を意味し、他の用語についても同様である。
【0020】
本願で使用する「含む」なる用語とその活用形は、指定される1以上の特徴、要素、方法工程等の存在を意味し、他の1以上の特徴、要素、方法工程等の存在を排除しない。逆に、「~から構成される」なる用語とその活用形は、指定される1以上の特徴、要素、方法工程等の存在を意味し、通常付随する不純物を除き、指定外の1以上の特徴、要素、方法工程等を排除する。「~から本質的に構成される」なる用語は、指定される1以上の特徴、要素、方法工程等と、組成物、システム又は方法の基本的性質に実質的に影響を与えない他の1以上の特徴、要素、方法工程等を意味する。本願に記載する多くの実施形態は、開放的な「~を含む」なる用語を使用して記載する。このような実施形態は、複数の閉鎖的な「~から構成される」及び/又は「~から本質的に構成される」実施形態も包含し、これらの実施形態は、特許請求の範囲又は明細書で「~を含む」なる用語を使用して言い換えることもできる。
【0021】
「アミノ酸」なる用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸アナログを意味し、それらの構造から可能な場合には、特に指定しない限り、いずれもそれらのD体及びL体として存在する。
【0022】
天然アミノ酸としては、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、トレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)が挙げられる。
【0023】
非天然アミノ酸としては、限定されないが、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、ナフチルアラニン(「naph」)、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、tert-ブチルグリシン(「tBuG」)、2,4-ジアミノイソ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモプロリン(「hPro」又は「homoP」)、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン(「3Hyp」)、4-ヒドロキシプロリン(「4Hyp」)、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルアラニン(「MeAla」又は「Nime」)、N-メチルグリシンをはじめとするN-アルキルグリシン(「NAG」)、N-メチルイソロイシン、N-メチルペンチルグリシンをはじめとするN-アルキルペンチルグリシン(「NAPG」)、N-メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルバリン(「Norval」)、ノルロイシン(「Norleu」)、オクチルグリシン(「OctG」)、オルニチン(「Orn」)、ペンチルグリシン(「pG」又は「PGly」)、ピペコリン酸、チオチプロリン(「ThioP」又は「tPro」)、ホモリジン(「hLys」)、及びホモアルギニン(「hArg」)が挙げられる。
【0024】
「アミノ酸アナログ」なる用語は、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基及び側鎖生理活性基の1種以上が可逆的若しくは不可逆的に化学的にブロックされているか、又は他の方法で別の生理活性基に改変されている天然又は非天然アミノ酸を意味する。例えば、アスパラギン酸(β-メチルエステル)は、アスパラギン酸のアミノ酸アナログであり、N-エチルグリシンは、グリシンのアミノ酸アナログであり、アラニンカルボキサミドは、アラニンのアミノ酸アナログである。他のアミノ酸アナログとしては、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、S-(カルボキシメチル)システイン、S-(カルボキシメチル)システインスルホキシド及びS-(カルボキシメチル)システインスルホンが挙げられる。
【0025】
本願で使用する「ペプチド」なる用語は、ペプチド結合により相互に連結されたアミノ酸のオリゴマー~短鎖ポリマーを意味する。他のアミノ酸ポリマー(例えば、タンパク質、ポリペプチド等)とは対照的に、ペプチドは、約50アミノ酸長以下である。ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、及び/又は修飾アミノ酸を含むことができる。ペプチドは、天然に存在するタンパク質のサブ配列でもよいし、非天然(人工)配列でもよい。
【0026】
本願で使用する「人工」なる用語は、人為的に設計又は作製され、天然には存在しない組成物及びシステムを意味する。例えば、人工ペプチド、ペプトイド又は核酸は、非天然配列を含むペプチド、ペプトイド又は核酸(例えば、天然に存在するタンパク質又はその断片に対して100%の一致度をもたないペプチド)である。
【0027】
本願で使用する場合に、「保存的」アミノ酸置換とは、ペプチド又はポリペプチド中のアミノ酸を、サイズや電荷等の化学的性質が類似する別のアミノ酸で置換することを意味する。本開示の目的では、以下の8群の各々が、相互に保存的置換であるアミノ酸を含む。
1)アラニン(A)及びグリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)及びグルタミン(Q);
4)アルギニン(R)及びリジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W);
7)セリン(S)及びトレオニン(T);並びに
8)システイン(C)及びメチオニン(M)。
【0028】
天然に存在する残基は、共通の側鎖性質に基づいて、例えば、極性正荷電(又は塩基性)(ヒスチジン(H)、リジン(K)、及びアルギニン(R));極性負荷電(又は酸性)(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E));極性中性(セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q));非極性脂肪族(アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M));非極性芳香族(フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W));プロリン及びグリシン;並びにシステインに分類することができる。本願で使用する場合に、「半保存的」アミノ酸置換とは、ペプチド又はポリペプチド中のアミノ酸を同一分類内の別のアミノ酸で置換することを意味する。
【0029】
所定の実施形態において、特に指定しない限り、保存的又は半保存的アミノ酸置換は、天然残基に似た化学的性質を有する非天然アミノ酸残基も包含することができる。これらの非天然残基は、一般的に生体系における合成ではなく、化学的ペプチド合成により取り込まれる。これらの例としては、限定されないが、ペプチドミメティクス及びアミノ酸部分の他の逆転又は反転配列が挙げられる。本願に記載する実施形態は、所定の実施形態では、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び/又はアミノ酸アナログに限定することができる。
【0030】
非保存的置換は、ある分類のメンバーを別の分類のメンバーに交換することを含むことができる。
【0031】
本願で使用する「配列一致度」なる用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸等)がモノマーサブユニットの同一の連続組成を有する程度を意味する。「配列類似度」なる用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸等)が保存的及び/又は半保存的アミノ酸置換のみにおいて相違する程度を意味する。「配列一致度百分率」(又は「配列類似度百分率」)は、(1)2つの配列を最適に整列させて比較枠(例えば、長いほうの配列の長さ、短いほうの配列の長さ、指定枠等)で比較し、(2)一致する(又は類似する)モノマーを含む(例えば、両方の配列に同一のアミノ酸が存在する、両方の配列に類似するアミノ酸が存在する)位置数を求め、マッチ位置数とし、(3)マッチ位置数を比較枠(例えば、長いほうの配列の長さ、短いほうの配列の長さ、指定枠)内の合計位置数で除し、(4)結果に100を乗じて配列一致度百分率又は配列類似度百分率を得ることにより計算される。例えば、ペプチドA及びBがいずれも20アミノ酸長であり、1箇所を除く全位置のアミノ酸が同一であるならば、ペプチドAとペプチドBは、95%の配列一致度を有する。一致しない位置のアミノ酸が同一の生物物理学的特徴を有していたならば(例えば、どちらも酸性であったならば)、ペプチドAとペプチドBは、100%の配列類似度を有するであろう。別の例として、ペプチドCが20アミノ酸長であり、ペプチドDが15アミノ酸長であり、ペプチドDにおける15個のアミノ酸のうちの14個がペプチドCの一部のアミノ酸と同一であるならば、ペプチドC及びDは、70%の配列一致度を有するが、ペプチドDは、ペプチドCの最適比較枠に対して93.3%の配列一致度を有する。本願で「配列一致度百分率」(又は「配列類似度百分率」)を計算する目的では、整列させた配列にギャップがある場合には、その位置のミスマッチとみなす。
【0032】
参照配列番号に対して特定の百分率の配列一致度又は類似度(例えば、少なくとも70%)を有するとして本願に記載する全ポリペプチドは、前記参照配列に対して上限数の置換(又は末端欠失)を有するとして表すこともできる。例えば、配列番号Z(例えば、100アミノ酸)に対して少なくともY%(例えば、90%)の配列一致度を有する配列は、配列番号Zに対してX(例えば、10)箇所までの置換を有することができ、したがって、「配列番号Zに対してX(例えば、10)箇所以下の置換を有する」として表すこともできる。
【0033】
本願で使用する「ナノファイバー」なる用語は、一般的に直径100ナノメートル未満の(例えば、長さが幅又は直径よりも著しく大きい)細長形又は糸状フィラメントを意味する。
【0034】
本願で使用する「超分子」(例えば、「超分子複合体」、「超分子相互作用」、「超分子繊維」、「超分子ポリマー」等)なる用語は、分子(例えば、ポリマー、巨大分子等)間の非共有結合的相互作用と、その結果として形成される多成分集合体、複合体、システム、及び/又は繊維を意味する。
【0035】
本願で使用する「自己集合する」及び「自己集合」なる用語は、成分部分から別個の非ランダムな凝集構造が形成されることを意味し、前記集合は、成分(例えば、分子)に固有の化学的又は構造的性質と吸引力のみに起因するこれらの成分のランダムな運動により自然に生じる。
【0036】
本願で使用する「ペプチド両親媒性分子」なる用語は、最低限で疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント及び/又は荷電ペプチドセグメント(多くの場合にはその両方)を含む分子を意味する。所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、生理活性ペプチド(例えば、IKVAVペプチド、成長因子ミメティックペプチド)を含む。所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、リンカー(例えば、G)を含む。ペプチド両親媒性分子は、生理的pHで正味の正電荷又は正味の負電荷のいずれかの正味電荷を発現することができ、あるいは、両性イオン性とすることができる(即ち、正電荷と負電荷の両方をもつ)。所定のペプチド両親媒性分子は、(1)(例えば、炭素数6以上のアシル基を含む)疎水性非ペプチドセグメント、(2)構造ペプチドセグメント、(3)荷電ペプチドセグメント、及び(4)生理活性ペプチドセグメント(例えば、IKVAVペプチド、成長因子ミメティックペプチド)から構成されるか又はこれらを含む。
【0037】
本願及び添付の特許請求の範囲で使用する、「親油性部分」又は「疎水性部分」なる用語は、ペプチド両親媒性分子の一方の末端(例えば、C末端、N末端)に配置された部分(例えば、アシル、エーテル、スルホンアミド、又はホスホジエステル部分)を意味し、本願及び他の文献で親油性又は疎水性セグメント又は成分と言う場合もある。疎水性セグメントは、水又は別の極性溶媒系において両親媒性挙動と凝集体(又はナノスフェア又はナノファイバー)形成を提供するために十分な長さを有するべきである。したがって、本願に記載する実施形態に関して、疎水性成分は、式:Cn-1H2n-1C(O)-(式中、n=2~25である。)の直鎖アシル鎖1本を含むことが好ましい。所定の実施形態において、直鎖アシル鎖は、親油基(飽和又は非飽和炭素)、パルミチン酸である。他方、アシル鎖の代わりに、ステロイド、リン脂質及びフルオロカーボン等の他の親油基を使用してもよい。
【0038】
「構造ペプチド」又は「構造ペプチドセグメント」なる用語は、本願では同義に使用され、ペプチド両親媒性分子の一部であって、一般的に疎水性セグメントと荷電ペプチドセグメントの間に配置された部分を意味する。構造ペプチドは一般に、隣接する構造ペプチドセグメントの構造ペプチドセグメントと共に水素結合又は他の安定化相互作用(例えば、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用等)を形成する傾向により選択された非極性非荷電側鎖(例えば、His(H)、Val(V)、Ile(I)、Leu(L)、Ala(A)、Phe(F))を含む3~10アミノ酸残基から構成される。所定の実施形態において、構造ペプチドセグメントは、αヘリックス及び/又はβシート二次構造を形成する傾向を有する。所定の実施形態において、構造ペプチドセグメントを有するペプチド両親媒性分子の集合体は、顕微鏡により試験した場合に線状若しくは2D構造を示し、及び/又は円二色性(CD)測定により試験した場合にαヘリックス及び/若しくはβシート特徴を示す。
【0039】
所定の実施形態において、構造ペプチドセグメントは、αヘリックス及び/又はβシート二次構造を形成する傾向が低い。例えば、所定の実施形態において、構造ペプチドセグメントは、βシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下である。所定の実施形態において、βシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下の構造ペプチドセグメントを有するペプチド両親媒性分子の集合体は、低秩序特徴(例えば、低剛性βシートコンフォメーション等の低秩序二次構造)を示す。このようなPAは、内部運動の程度が比較的高く、動力学的超分子集合体を形成することができるので、有利であると思われる。所定の実施形態において、βシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下の構造ペプチドセグメント(例えば、A2G2、GGGG)を有するペプチド両親媒性分子のナノファイバーは、ランダムコイル構造を形成する傾向を示す。
【0040】
本願で使用する「ベータ(β)シート形成ペプチドセグメント」なる用語は、(例えば、CDにより分析した場合に)βシート様特徴を示す傾向を有する構造ペプチドセグメントを意味する。所定の実施形態において、ベータ(β)シート形成ペプチドセグメントにおけるアミノ酸は、ベータシート二次構造を形成するその傾向により選択される。20種の天然に存在するアミノ酸から選択される適切なアミノ酸残基の例としては、(それらのベータシートを形成する傾向の順に)Met(M)、Val(V)、Ile(I)、Cys(C)、Tyr(Y)、Phe(F)、Gln(Q)、Leu(L)、Thr(T)、Ala(A)、及びGly(G)が挙げられる。他方、同様のベータシート形成傾向の非天然アミノ酸を使用してもよい。ベータシートを形成するように相互作用することが可能なペプチドセグメント及び/又はベータシートを形成する傾向を有するペプチドセグメントは、公知である(例えば、その開示内容全体を本願に援用するMayo et al.Protein Science(1996),5:1301-1315参照)。
【0041】
本願で使用する「荷電ペプチドセグメント」なる用語は、ペプチド両親媒性分子の一部であって、荷電アミノ酸残基、又は生理的条件下で正味の正電荷若しくは負電荷を有するアミノ酸残基の含有率が高い部分(例えば、>50%、>75%等)を意味する。荷電ペプチドセグメントは、酸性(例えば、負荷電)、塩基性(例えば、正荷電)、又は両性イオン性(例えば、酸性残基と塩基性残基の両方を有する)とすることができる。
【0042】
本願で使用する「カルボキシリッチペプチドセグメント」、「酸性ペプチドセグメント」、及び「負荷電ペプチドセグメント」なる用語は、カルボン酸側鎖(例えば、Glu(E)、Asp(D)、又は非天然アミノ酸)を提示する側鎖を有する1個以上のアミノ酸残基を含むペプチド両親媒性分子のペプチド配列を意味する。カルボキシリッチペプチドセグメントは、任意に1個以上の他の(例えば、非酸性)アミノ酸残基を含むことができる。当技術分野における通常の知識を有する者に自明の通り、酸性側鎖を有する非天然アミノ酸残基、又はペプチドミメティクスを使用することもできる。このセグメントには、約2~約7アミノ酸、及び/又は約3若しくは4アミノ酸が存在することができる。
【0043】
本願で使用する「アミノリッチペプチドセグメント」、「塩基性ペプチドセグメント」、及び「正荷電ペプチドセグメント」なる用語は、正荷電酸性側鎖(例えば、Arg(R)、Lys(K)、His(H)、又は非天然アミノ酸、又はペプチドミメティクス)を提示する側鎖を有する1個以上のアミノ酸残基を含むペプチド両親媒性分子のペプチド配列を意味する。塩基性ペプチドセグメントは、任意に1個以上の他の(例えば、非塩基性)アミノ酸残基を含むことができる。当技術分野における通常の知識を有する者に自明の通り、塩基性側鎖を有する非天然アミノ酸残基を使用することもできる。このセグメントには、約2~約7アミノ酸、及び/又は約3若しくは4アミノ酸が存在することができる。
【0044】
本願で使用する「生理活性ペプチド」なる用語は、これと会合した配列、分子、又は超分子複合体の作用を仲介するアミノ酸配列を意味する。生理活性ペプチド(例えば、IKVAVペプチド)を含むペプチド両親媒性分子及び構造(例えば、ナノファイバー)は、前記生理活性ペプチドの機能を示す。所定の実施形態において、生理活性アミノ酸配列IKVAV(配列番号1)を含む「生理活性ペプチド」を本願では「IKVAVペプチド両親媒性分子」又は「IKVAVPA」と言う。所定の実施形態において、「生理活性ペプチド」は、成長因子ミメティックペプチド配列を含むペプチドである。成長因子ミメティックペプチド配列を含む生理活性ペプチドを本願では「成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子」又は「成長因子ミメティックPA」と言う。
【0045】
本願で使用する「生体適合性」なる用語は、細胞又は生体に非毒性の材料及び物質を意味する。所定の実施形態では、ある物質を細胞にインビトロで添加した場合に、細胞死が約10%以下、通常では5%未満、より一般的には1%未満であるならば、その物質を「生体適合性」とみなす。
【0046】
本願でポリマー、ハイドロゲル、及び/又は創傷被覆材について使用される「生分解性」とは、生理的条件に曝露されると、分解又は他の方法で「崩壊」する組成物を意味する。所定の実施形態において、生分解性物質は、細胞機序、酵素分解、化学的プロセス、加水分解等により崩壊する。所定の実施形態において、創傷被覆材又はコーティングは、生分解性を提供する加水分解性エステル結合を含む。
【0047】
本願で使用する「生理的条件」なる用語は、組織の細胞内液又は細胞外液中で遭遇する可能性のある範囲の化学的(例えば、pH、イオン強度)及び生化学的(例えば、酵素濃度)条件を意味する。大半の組織で、生理的pHは、約7.0~7.4である。
【0048】
本願で使用する「治療する」、「治療」及び「治療用」なる用語は、特定の病態又は疾患状態(例えば、CNS損傷)を現在発症又は発病している対象において、前記病態、疾患状態、又はその症状の量若しくは重度を軽減することを意味する。この用語は、必ずしも完全な治療(例えば、病態、疾患又はその症状の完全な解消)を意味しない。「治療」は、(例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物における)疾患の治療薬又は技術の任意の投与又は適用を包含し、疾患の抑制、その発症の阻止、疾患の緩和、退縮の誘導、機能損失、喪失若しくは低下の回復若しくは修復、又は非効率的なプロセスの刺激を含む。
【0049】
本願で使用する「予防する」、「予防」及び「予防用」なる用語は、特定の病態又は疾患状態(例えば、CNS損傷)を現在発症又は発病していない対象において、前記病態又は疾患状態が生じる確率を減らすことを意味する。この用語は、必ずしも完全又は絶対的な予防を意味しない。例えば、「CNS損傷を予防する」とは、CNS損傷を現在発症していないか又は診断されていない対象において、CNS損傷が生じる確率を減らすことを意味する。「CNS損傷を予防する」ために、組成物又は方法は、CNS損傷の確率を減らすことだけが必要とされ、その可能性を完全に阻止する必要はない。「予防」は、(例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物における)発症の確率を減らすための治療薬又は技術の任意の投与又は適用を包含する。このような確率は、集団又は個体について評価することができる。
【0050】
本願で使用する「併用投与」及び「併用投与する」なる用語は、少なくとも2種の薬剤又は療法(例えば、本願に記載する超分子集合体と、1種以上の治療剤)を対象に投与することを意味する。所定の実施形態において、2種以上の薬剤又は療法の併用投与は、同時である。他の実施形態では、第1の薬剤/療法を第2の薬剤/療法の前に投与する。当業者に自明の通り、使用される種々の薬剤又は療法の製剤化及び/又は投与経路は多種多様とすることができる。併用投与の適切な投与量は、当業者が容易に決定することができる。所定の実施形態において、薬剤又は療法を併用投与する場合には、夫々の薬剤又は療法を単独で投与するのに適した投与量よりも低い投与量で投与される。したがって、薬剤若しくは療法の併用投与により、潜在的に有害な(例えば、毒性の)薬剤の必要投与量が減るような実施形態、及び/又は2種以上の薬剤の併用投与の結果として、他の薬剤の併用投与により薬剤の1種の有益な効果に対する対象の感受性が高まる場合には、併用投与が特に望ましい。
【0051】
詳細な説明
本願では、ペプチド両親媒性分子(PA)、PAを含む組成物、PAを含む超分子集合体、及びその使用方法を提供する。
【0052】
所定の態様において、本願では、ペプチド両親媒性分子を提供する。所定の実施形態において、本願に記載する実施形態のペプチド両親媒性分子及び組成物は、(所定の実施形態では、当技術分野で従来開示又は使用されていない技術(例えば、メッシュスクリーン押出)によりナノファイバーの整列を実施するが、)当業者に周知の製造技術を使用して合成され、親油性セグメントを形成するために、ペプチドのN末端(又はC末端)に標準アミノ酸の代わりに脂肪酸を付加する以外は、標準固相ペプチド合成法により合成することが好ましい。合成は一般的にC末端から開始し、Rinkアミドレジン(レジンから切断後にペプチドのC末端に-NH2基が得られる)、又はWangレジン(C末端に-OH基が得られる)を使用してアミノ酸を順次付加する。したがって、本願に記載する所定の実施形態は、-H、-OH、-COOH、-CONH2、及び-NH2から構成される群から選択することができるC末端部分を有するペプチド両親媒性分子を包含する。
【0053】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、ペプチドに連結された疎水性セグメント(即ち、疎水性テール)を含む。所定の実施形態において、前記ペプチドは、構造ペプチドセグメントを含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、水素結合形成セグメント、又はベータシート形成セグメントである。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、ランダムコイル構造を形成する傾向を有する(例えば、βシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下である)。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、秩序二次構造を形成する傾向が低いため、内部運動レベルが比較的高い。
【0054】
所定の実施形態において、前記ペプチドは、荷電セグメント(例えば、酸性セグメント、塩基性セグメント、両性イオン性セグメント等)を含む。所定の実施形態において、前記ペプチドは更に、可溶性、フレキシビリティ、セグメント間の距離等を増すためにリンカー又はスペーサーセグメントを含む。所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、疎水性セグメントとは反対側のペプチドの末端にスペーサーセグメント(例えば、ペプチド及び/又は非ペプチドスペーサー)を含む。所定の実施形態において、前記スペーサーセグメントは、ペプチド及び/又は非ペプチドエレメントを含む。所定の実施形態において、前記スペーサーセグメントは、1個以上の生理活性基(例えば、アルケン、アルキン、アジド、チオール等)を含む。所定の実施形態では、リンカーセグメント(例えば、ペプチド(例えば、GG)又は非ペプチド(例えば、アルキル、OEG、PEG等)リンカー)により、各種セグメントを連結することができる。
【0055】
前記親油性又は疎水性セグメントは、一般的に最後のアミノ酸カップリング後にペプチドのN又はC末端に付加され、アシル結合を介してN又はC末端アミノ酸に連結される脂肪酸又は他の酸から構成される。水溶液中で、PA分子は(例えば、円筒形ミセル(別称ナノファイバー)として)自己集合し、その中心部に親油性セグメントを埋没させ、表面に生理活性ペプチドを提示する。所定の実施形態において、前記構造ペプチドは、分子間水素結合を生じ、ミセルの長軸に平行に配向するベータシートを形成する。所定の実施形態において、前記構造ペプチドは、分子間水素結合が弱いため、ナノファイバーの内側に低剛性のベータシートコンフォメーションが得られる。
【0056】
所定の実施形態では、十分な長さ(例えば、2炭素長、3炭素長、4炭素長、5炭素長、6炭素長、7炭素長、8炭素長、9炭素長、10炭素長、11炭素長、12炭素長、13炭素長、14炭素長、15炭素長、16炭素長、17炭素長、18炭素長、19炭素長、20炭素長、21炭素長、22炭素長、23炭素長、24炭素長、25炭素長、26炭素長、27炭素長、28炭素長、29炭素長、30炭素長以上、又はその間の任意範囲)の疎水性(例えば、炭化水素及び/若しくはアルキル/アルケニル/アルキニルテール、又はコレステロール等のステロイド)セグメントがペプチドセグメント(例えば、ペプチド、構造ペプチドセグメント及び荷電ペプチドセグメント)と共有結合し、ペプチド両親媒性分子となる。所定の実施形態では、複数のこのようなPAが水(又は水溶液)中で自己集合し、ナノ構造(例えば、ナノファイバー)となる。種々の実施形態では、ペプチドセグメントと疎水性セグメントの相対長の結果として、種々のPA分子形状とナノ構造アーキテクチャが得られる。例えば、ペプチドセグメントの幅が広く、疎水性セグメントの幅が狭いと、一般に円錐形分子形状となり、PAの集合体に影響を与える(例えば、その開示内容全体を本願に援用するJ.N.Israelachvili Intermolecular and surface forces;2nd ed.;Academic:London San Diego,1992参照)。他の分子形状も、集合体及びナノ構造アーキテクチャに同様の影響を与える。
【0057】
所定の実施形態では、ペプチド両親媒性分子の水溶液の自己集合を誘導するために、溶液のpHを変化(増減)させてもよいし、カルシウム等の多価イオンや、荷電ポリマー又は他の巨大分子を溶液に添加してもよい。
【0058】
所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、非ペプチドセグメント(例えば、アルキル/アルケニル/アルキニル基)である。所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数4~25(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25)の(例えば、飽和)アルキル鎖、フッ素化セグメント、フッ素化アルキルテール、複素環、芳香族セグメント、π共役セグメント、シクロアルキル、オリゴチオフェン等を含む。所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数2~30(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30)の(例えば、飽和)アシル/エーテル鎖を含む。所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む。所定の実施形態において、前記疎水性セグメントは、炭素数16のアルキル鎖(C16)を含む。
【0059】
所定の実施形態において、PAは、1個以上のペプチドセグメントを含む。ペプチドセグメントは、天然アミノ酸、修飾アミノ酸、非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、ペプチドミメティクス、又はその組み合わせを含むことができる。所定の実施形態において、ペプチドセグメントは、本願に記載するペプチド配列の1種以上に対して少なくとも50%の(例えば、保存的又は半保存的な)配列一致度又は類似度を含む。
【0060】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、荷電ペプチドセグメントを含む。前記荷電セグメントは、酸性、塩基性、又は両性イオン性とすることができる。
【0061】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、酸性ペプチドセグメントを含む。例えば、所定の実施形態において、前記酸性ペプチドは、1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個又はそれ以上)の酸性残基(D及び/又はE)を配列に含む。所定の実施形態において、前記酸性ペプチドセグメントは、7残基長までを含み、少なくとも50%の酸性残基を含む。所定の実施形態において、酸性ペプチドセグメントは、(Xa)1-7を含み、式中、各Xaは、独立してD又はEである。所定の実施形態において、酸性ペプチドセグメントは、E2-4を含む。例えば、所定の実施形態において、酸性ペプチドセグメントは、E2を含む。所定の実施形態において、酸性ペプチドセグメントは、E3を含む。他の実施形態において、酸性ペプチドセグメントは、E4を含む。
【0062】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、塩基性ペプチドセグメントを含む。例えば、所定の実施形態において、前記酸性ペプチドは、1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個又はそれ以上)の塩基性残基(R、H、及び/又はK)を配列に含む。所定の実施形態において、前記塩基性ペプチドセグメントは、7残基長までを含み、少なくとも50%の塩基性残基を含む。所定の実施形態において、酸性ペプチドセグメントは、(Xb)1-7を含み、式中、各Xbは、独立してR、H、及び/又はKである。
【0063】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、構造ペプチドセグメントを含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、ベータシート形成セグメントである。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、水素結合が弱く、二次構造をもたない。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、水素結合が弱く、剛性ベータシートコンフォメーションよりもランダムコイル構造を形成する傾向を有する。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、H、I、L、F、V、G、及びA残基の1種以上の含有率が高い。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、アラニン及びバリンリッチペプチドセグメント(例えば、V2A2、V3A3、A2V2、A3V3、又はV残基とA残基の他の組み合わせ等)を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、4個以上の連続するA及び/若しくはV残基、又はその保存的若しくは半保存的置換を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、V2A2を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、アラニン及びグリシンリッチペプチドセグメント(例えば、A2G2、A3G3、又はA残基とG残基の他の組み合わせ等)を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、A2G2を含む。所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、グリシンリッチペプチドセグメントを含む。例えば、所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、G3又はG4を含む。
【0064】
所定の実施形態において、前記構造ペプチドセグメントは、βシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下(例えば、4未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、又は1未満)である。
【0065】
βシートコンフォメーションを形成する総傾向は、構造ペプチドセグメント中の各アミノ酸のβシートコンフォメーション形成傾向の総和として計算することができる。各アミノ酸のβシートコンフォメーション形成傾向と、その計算方法は、例えば、Fujiwara,K.,Toda,H.& Ikeguchi,M.Dependence of α-helical and β-sheet amino acid propensities on the overall protein fold type.BMC Struct Biol 12,18(2012)に記載されており、その開示内容全体を本願に援用する。典型的な数値を下表1に示す。構造ペプチドセグメントのβシートコンフォメーションを形成する総傾向を計算するためには、表1の各アミノ酸の「総残基数」の列に示す数値を総和する。例えば、A2G2構造ペプチドセグメントの場合、βシートコンフォメーションを形成する総傾向は、0.75+0.75+0.67+0.67=2.84である。構造ペプチドセグメントは、βシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下となるように、任意の適切な数及び組み合わせのアミノ酸を含むことができる。
【0066】
【0067】
所定の実施形態において、構造ペプチドセグメントのβシートコンフォメーションを形成する総傾向が4以下であるならば、前記構造ペプチドセグメント内のアミノ酸は、隣接分子との相互作用が弱いと判断される。例えば、前記構造ペプチドセグメントは、弱い水素結合能を示すことができる。したがって、このような構造ペプチドセグメントと、このようなセグメントを含むペプチド両親媒性分子は、より動力学的な超分子集合体を形成することができる。例えば、A2G2構造ペプチドセグメントは、剛性ベータシートコンフォメーションではなく、ランダムコイル構造を示すことができる。
【0068】
所定の実施形態において、生理活性ペプチド両親媒性分子(例えば、IKVAVペプチド両親媒性分子)は、蛍光異方性値が比較的低い。異方性は、下式を使用して計算される。
【0069】
【0070】
所定の実施形態において、前記生理活性ペプチド両親媒性分子(例えば、IKVAVペプチド両親媒性分子)は、蛍光異方性値が0.3未満(例えば、0.3未満、0.29未満、0.25未満、0.24未満、0.23未満、0.22未満、0.21未満、又は0.2未満)である。
【0071】
所定の実施形態において、前記生理活性ペプチド両親媒性分子(例えば、IKVAVペプチド両親媒性分子)は、プロトン緩和速度(1H-R2)が比較的低い。プロトン緩和速度が低いほど、運動性が高いことを意味し、内部運動度の高い動力学的超分子集合体を形成し易くなる。例えば、IKVAV配列中のK残基のe炭素に結合したメチレンプロトンの緩和速度は、横緩和核磁気共鳴(T2-NMR)スペクトロスコピーにより測定することができる。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、プロトン緩和速度(1H-R2)が4s-1未満である。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、プロトン緩和速度(1H-R2)が3s-1未満である。
【0072】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、非ペプチドスペーサー又はリンカーセグメントを含む。所定の実施形態において、前記非ペプチドスペーサー又はリンカーセグメントは、疎水性セグメントと反対側のペプチドの末端に配置される。所定の実施形態において、前記スペーサー又はリンカーセグメントは、生理活性基の連結部位を提供する。所定の実施形態において、前記スペーサー又はリンカーセグメントは、PAの官能基化のための反応性基(例えば、アルケン、アルキン、アジド、チオール、マレイミド等)を提供する。所定の実施形態において、前記スペーサー又はリンカーは、CH2、O、(CH2)2O、O(CH2)2、NH、及びC=O基の実質的に線状鎖(例えば、CH2(O(CH2)2)2NH、CH2(O(CH2)2)2NHCO(CH2)2CCH等)である。所定の実施形態において、スペーサー又はリンカーは更に、他の生理活性基、置換基、分岐等を含む。所定の実施形態において、前記リンカーセグメントは、単一グリシン(G)残基である。
【0073】
本願に記載する材料で使用するのに適したペプチド両親媒性分子と、PA及び関連材料の作製方法、PAで使用するためのアミノ酸配列、並びにPAと共に利用される材料は、以下の特許、即ち、米国特許第9,044,514号、米国特許第9,040,626号、米国特許第9,011,914号、米国特許第8,772,228号、米国特許第8,748,569号、米国特許第8,580,923号、米国特許第8,546,338号、米国特許第8,512,693号、米国特許第8,450,271号、米国特許第8,236,800号、米国特許第8,138,140号、米国特許第8,124,583号、米国特許第8,114,835号、米国特許第8,114,834号、米国特許第8,080,262号、米国特許第8,076,295号、米国特許第8,063,014号、米国特許第7,851,445号、米国特許第7,838,491号、米国特許第7,745,708号、米国特許第7,683,025号、米国特許第7,554,021号、米国特許第7,544,661号、米国特許第7,534,761号、米国特許第7,491,690号、米国特許第7,452,679号、米国特許第7,371,719号、米国特許第7,030,167に記載されており、いずれもその開示内容全体を本願に援用する。
【0074】
PA超分子構造の特性(例えば、形状、剛性、親水性等)は、ペプチド両親媒性分子の成分の種類(例えば、親油性セグメント、酸性セグメント、構造ペプチドセグメント、生理活性セグメント等)によって異なる。例えば、PA成分部分の種類を調整することにより、ナノファイバー、ナノスフェア、中間形状、及び他の超分子構造が達成される。所定の実施形態では、集合後操作(例えば、加熱/冷却、延伸等)により、PAの超分子ナノ構造の特性を変化させる。
【0075】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、(a)炭素数8~24のアルキル鎖を含む疎水性テールと、(b)(例えば、A2G2又はG4を含む)構造ペプチドセグメントと、(c)(例えば、E2-E4を含む)荷電セグメントを含む。所定の実施形態では、本願に記載する範囲内の任意のPAであって、本願に記載する成分を含むもの、又は当業者に想到される範囲内の任意のPAを本願で利用できる。
【0076】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、生理活性部分(例えば、IKVAVペプチド)を含む。特定の実施形態において、生理活性部分は、PAのC末端又はN末端の最末端セグメントである。所定の実施形態において、前記生理活性部分は、前記荷電セグメントの末端に連結されている。所定の実施形態において、前記生理活性部分は、集合したPA構造(例えば、ナノファイバー)の表面に露出されている。生理活性部分は、一般的にペプチドであるが、これに限定されない。
【0077】
所定の実施形態において、前記生理活性部分は、細胞外マトリックス(ECM)で同定されるペプチドである。例えば、前記生理活性部分は、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、又はラミニンに存在するペプチド配列とすることができる。所定の実施形態において、前記生理活性部分は、ラミニンに存在するペプチド配列である。例えば、前記生理活性部分は、ラミニン-1、ラミニン-2、ラミニン-3、ラミニン-4、ラミニン-5、ラミニン-6、ラミニン-7、ラミニン-8、ラミニン-9、ラミニン-10、ラミニン-11、ラミニン-12、ラミニン-13、ラミニン-14、又はラミニン-15に存在することができる。所定の実施形態において、前記生理活性部分は、ラミニン-1に存在するペプチド配列である。特定の実施形態において、前記生理活性部分は、ペプチド配列IKVAV(配列番号1)である。所定の実施形態において、前記生理活性部分は、組換えペプチドである。所定の実施形態において、生理活性部分は、着目ペプチド又はポリペプチド(例えば、ECMタンパク質)と結合するペプチド配列である。
【0078】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、(例えば、C末端からN末端に向かって又はN末端からC末端に向かって)生理活性ペプチド(例えば、IKVAVペプチド)と、(例えば、E2-4等を含む)荷電セグメントと、(例えば、A2G2、G4を含む)構造ペプチドセグメントと、(例えば、炭素数8~24のアルキル鎖を含む)疎水性テールを含む。
【0079】
所定の実施形態において、ペプチド両親媒性分子は、(例えば、C末端からN末端に向かって又はN末端からC末端に向かって)生理活性ペプチド(例えば、IKVAVペプチド)と、(例えば、G等を含む)フレキシブルリンカーと、(例えば、E2-4等を含む)荷電セグメントと、(例えば、A2G2、G4を含む)構造ペプチドセグメントと、(例えば、炭素数8~24のアルキル鎖を含む)疎水性テールを含む。
【0080】
所定の実施形態において、本願では、前記生理活性ペプチドとしてIKVAVを含む生理活性PA(本願では「IKVAVペプチド両親媒性分子」とも言う)を提供する。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、(例えば、C末端からN末端に向かって又はN末端からC末端に向かって)IKVAVと、(例えば、E2-4を含む)荷電セグメントと、(例えば、A2G2、G4を含む)構造ペプチドセグメントと、(例えば、炭素数8~24のアルキル鎖を含む)疎水性テールを含む。所定の実施形態において、前記ペプチド両親媒性分子は、更にリンカーを含む。例えば、所定の実施形態において、前記ペプチド両親媒性分子は、前記生理活性ペプチド(例えば、IKVAV)を前記荷電ペプチドセグメントと連結する単一グリシン残基を含む。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、C16A2G2E4GIKVAVを含む。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、C16G4E4GIKVAVを含む。
【0081】
所定の実施形態において、前記生理活性部分は、成長因子ミメティックペプチドである。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティックペプチドは、成長因子ミメティック配列を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティック配列は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ミメティック配列、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)ミメティック配列、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ミメティック配列、脳由来神経栄養因子(BDNF)ミメティック配列、又はネトリン1ミメティック配列である。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティック配列は、FGF2ミメティック配列である。所定の実施形態において、前記FGF2ミメティック配列は、YRSRKYSSWYVALKR(配列番号2)を含む。
【0082】
所定の実施形態において、本願では、前記生理活性ペプチドとして成長因子ミメティック配列を含む生理活性PAを提供する。このようなペプチド両親媒性分子を本願では「成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子」と言う。
【0083】
所定の実施形態において、本願では、(例えば、C末端からN末端に向かって又はN末端からC末端に向かって)成長因子ミメティックペプチド配列と、(例えば、E2-4等を含む)荷電セグメントと、(例えば、A2G2、V2A2を含む)構造ペプチドセグメントと、(例えば、炭素数8~24のアルキル鎖を含む)疎水性テールを含む成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を提供する。所定の実施形態において、前記ペプチド両親媒性分子は、更にリンカーを含む。例えば、所定の実施形態において、前記ペプチド両親媒性分子は、前記成長因子ミメティックペプチド配列を前記荷電ペプチドセグメントと連結する単一グリシン残基を含む。
【0084】
所定の実施形態において、本願では、(例えば、C末端からN末端に向かって又はN末端からC末端に向かって)成長因子ミメティックペプチド配列と、(例えば、G等を含む)フレキシブルリンカーと、(例えば、E2-4等を含む)荷電セグメントと、(例えば、A2G2、V2A2を含む)構造ペプチドセグメントと、(例えば、炭素数8~24のアルキル鎖を含む)疎水性テールを含む成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を提供する。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、C16V2A2E4GYRSRKYSSWYVALKR又はC16A2G2E4GYRSRKYSSWYVALKRを含む。
【0085】
所定の実施形態において、PAは、更に前記疎水性テールを前記PAのペプチド部分と連結するための結合セグメント又は残基(例えば、G)を含む。
【0086】
所定の実施形態において、本願では、少なくとも2種の本願に記載するようなペプチド両親媒性分子を含む組成物を提供する。所定の実施形態において、本願では、少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と、少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む組成物を提供する。所定の実施形態において、本願では、疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、荷電ペプチドセグメント、及びアミノ酸配列IKVAVを含む生理活性ペプチドを含む少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と、少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む組成物を提供する。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む疎水性セグメントと、AAGGを含む構造ペプチドセグメントと、E4を含む荷電ペプチドセグメントと、リンカー(例えば、G)と、IKVAVペプチド配列を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む疎水性セグメントと、V2A2又はA2G2を含む構造ペプチドセグメントと、E2、E3又はE4を含む荷電ペプチドセグメントと、成長因子ミメティックペプチド配列を含む。所定の実施形態において、前記少なくとも1種のIKVAVペプチド両親媒性分子と前記少なくとも1種の成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は相互作用し、前記組成物内に超分子集合体を形成する。
【0087】
所定の実施形態において、本願では、少なくとも2種の本願に記載するペプチド両親媒性分子を含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、超分子集合体は、ナノファイバーである。所定の実施形態において、本願では、少なくとも2種の本願に記載するような生理活性ペプチド両親媒性分子を含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、本願では、IKVAVペプチド両親媒性分子と、成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、本願では、疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、荷電ペプチドセグメント、及びアミノ酸配列IKVAVを含む生理活性ペプチドを含むIKVAVペプチド両親媒性分子と、成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子を含む超分子集合体を提供する。所定の実施形態において、前記IKVAVペプチド両親媒性分子は、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む疎水性セグメントと、AAGGを含む構造ペプチドセグメントと、E4を含む荷電ペプチドセグメントと、リンカー(例えば、G)と、IKVAVペプチド配列を含む。所定の実施形態において、前記成長因子ミメティックペプチド両親媒性分子は、炭素数8~24のアルキル鎖(C8-24)を含む疎水性セグメントと、V2A2又はA2G2を含む構造ペプチドセグメントと、E2、E3又はE4を含む荷電ペプチドセグメントと、成長因子ミメティックペプチド配列を含む。
【0088】
所定の実施形態では、生理活性部分(例えば、IKVAVペプチド両親媒性分子)を含む第1の型のPAと、成長因子ミメティックPAから超分子集合体(例えば、ナノファイバー等のナノ構造)を集合させる。所定の実施形態において、本願に記載する組成物又は超分子集合体(例えば、ナノファイバー等のナノ構造)は、IKVAVPAと成長因子ミメティックPAのモル比が約90:10である。所定の実施形態において、IKVAVPA:成長因子ミメティックPAのモル比は、約99:1、約98:2、約97:3、約96:4、約95:5、約94:6、約93:7、約92:8、約91:9、約90:10、約89:11、約88:12、約87:13、約86:14、又は約85:15である。所定の実施形態において、IKVAVPAと成長因子ミメティックの比は、ナノファイバー材料の機械的特性(例えば、液体又はゲル)と、前記材料がどのような条件下で種々の特性を帯びるか(例えば、生理的条件に曝露するとゲル化する、生理的条件に曝露すると液化する等)を決定する。
【0089】
所定の実施形態において、本願に記載する組成物及び超分子集合体は、更に1種以上の充填剤PAを含む。「充填剤PA」又は「希釈剤PA」なる用語は、本願では同義に使用され、本願に記載するような疎水性セグメント、構造ペプチドセグメント、及び荷電ペプチドセグメントを含むが、生理活性部分を含まない(例えば、前記IKVAVペプチド配列を含まない、前記成長因子ミメティックペプチド配列を含まない等)PAを意味する。所定の実施形態において、充填剤PAは、分子の末端(例えば、表面に提示される末端)に高度に荷電したグルタミン酸残基を有する非生理活性PA分子である。これらの負荷電PAは、イオン架橋によりナノファイバー間にゲル化を生じさせることができる。所定の実施形態において、充填剤PAは、分子の末端(例えば、表面に提示される末端)に高度に荷電したリジン残基を有する非生理活性PA分子である。これらの正荷電PAは、塩基性条件下でゲル化を生じさせることができる。充填剤PAは、ナノファイバー溶液のゲル化能を維持しながら、他の生理活性PA分子をナノファイバーマトリックスに組込むことを可能にする。所定の実施形態では、前記溶液をアニールして粘度を増加させると共にゲル力学を強化する。これらの充填剤PAは、例えば、その開示内容全体を本願に援用する米国特許第8,772,228号に記載されている配列(例えば、C16-VVVAAAEEE)を有する。
【0090】
所定の実施形態において、本願に記載するPAナノファイバーは、断面径が小さい(例えば、<25nm、<20nm、<15nm、約10nm等)。所定の実施形態では、ナノファイバーの断面径が小さいため(直径約10nm)、ナノファイバーを脳実質に侵入させることができる。
【0091】
所定の実施形態において、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、対象における神経系損傷の治療又は予防に利用される。所定の実施形態において、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体(例えば、ナノファイバー)は、対象における神経系損傷の治療方法に使用することができる。例えば、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、脳と脊髄を含む中枢神経系(CNS)、又は脳と脊髄の外側の神経及び神経節を含む末梢神経系(PNS)の損傷の治療又は予防方法で使用することができる。所定の実施形態において、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、対象におけるCNS又はPNSの損傷の治療又は予防に使用することができる。所定の実施形態において、前記損傷は、脊髄損傷である。前記脊髄損傷は、頸椎、腰椎、胸椎、仙椎又は任意のその組み合わせとすることができる。
【0092】
前記損傷は、外傷性損傷とすることができる。外傷性損傷とは、外傷(例えば、自動車事故、転倒、暴力、スポーツ損傷、外科損傷等に起因するもの等の外傷)に起因する損傷を意味する。例えば、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、外傷性脊髄損傷の治療に使用することができる。別の例として、本願に記載するPA、組成物、及び超分子集合体は、外傷性脳損傷(TBI)の治療に使用することができる。あるいは、前記損傷は、非外傷性損傷でもよい。例えば、前記損傷は、例えば、がん、多発性硬化症、炎症、関節炎、脊柱管狭窄症、腫瘍、失血等に起因するCNS(例えば、脳及び/又は脊髄)又はPNSの非外傷性損傷とすることができる。
【0093】
所定の実施形態では、外傷性脊髄損傷を有する疑いのある対象に、本願に記載するようなPA及び/又は超分子集合体(例えば、ナノファイバー)を含む組成物を提供する。例えば、1箇所以上の身体領域(例えば、手、腕、脚、足等)における感覚消失及び/若しくは運動制御不能、低血圧、血圧調節不能、体温調節不能、損傷領域よりも下位の発汗不能、慢性痛、並びに/又は脊髄浮腫を含む1種以上の症状を示す対象に前記組成物を提供することができる。前記損傷を治療するために前記組成物を前記対象に提供することができる。所定の実施形態において、前記損傷の治療は、前記損傷に関連する1種以上の症状の悪化を予防することができる。所定の実施形態において、前記損傷の治療は、前記損傷の重度を軽減すること、及び/又は前記損傷に関連する1種以上の症状を解消することができる。所定の実施形態において、前記組成物は、血管新生、神経再生、機能回復を促進するため、及び/又は脊髄損傷後の障害を制限するために使用される。
【0094】
前記組成物は、損傷(例えば、外傷性脊髄損傷)後の任意の適切な時点で前記損傷を治療するために対象に提供することができる。例えば、前記組成物は、前記損傷から24時間以内(例えば、損傷から24時間以内、12時間以内、10時間以内、9時間以内、8時間以内、7時間以内、6時間以内、5時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、又は1時間以内)に前記対象に提供することができる。所定の実施形態において、前記組成物は、損傷又は損傷の診断後24時間超の時間が経過した後に前記対象に提供することができる。
【0095】
前記組成物は、対象の年齢、対象の体重、損傷の重度等を含む因子に応じて任意の適切な量を投与することができる。前記組成物は、損傷に適した他の治療又は損傷の重度の悪化を予防するための予防手段と併用して投与することができる。
【0096】
所定の実施形態において、本願に記載する組成物は、対象に送達するように製剤化される。本願に記載する組成物の適切な投与経路としては、限定されないが、局所、皮下、経皮、皮内、病巣内、関節内、腹腔内、膀胱内、経粘膜、歯肉、歯内、蝸牛内、経鼓膜、臓器内、硬膜外、髄腔内、筋肉内、静脈内、血管内、骨内、眼球周囲、腫瘍内、及び脳室内投与が挙げられる。所定の実施形態において、前記PA組成物は、非経口投与される。所定の実施形態において、非経口投与は、髄腔内投与、脳室内投与、又は実質内投与により実施される。本願に記載するPA組成物は、単独活性剤として投与することもできるし、対象における神経系損傷の治療に使用される他の薬剤等の他の医薬品と併用投与することもできる。
【実施例】
【0097】
[実施例1]生理活性足場における超分子運動は、脊髄損傷からの回復を促進する。
【0098】
概要:本実施例では、2種の異なるシグナルを含むペプチド両親媒性分子の超分子ポリマーについて記載する。これらの超分子ポリマーを重症脊髄損傷のマウスモデルで試験した。第1のシグナルは、膜貫通型受容体b1インテグリンを活性化させ、第2のシグナルは、塩基性線維芽細胞増殖因子2受容体を活性化させる。非生理活性ドメインにおける両親媒性モノマーのペプチド配列を突然変異させることにより、足場フィブリル内の分子の運動を活発にし、血管成長、軸索再生、ミエリン化、運動ニューロンの生存、神経膠症の抑制、及び機能回復に顕著な変化を生じた。したがって、分子の内部運動を調整することにより、前記分子の集合による細胞のシグナル伝達を最適化することができる。
【0099】
緒言:
細胞の薬理的シグナル伝達は、通常では特定の応答を活性化又は抑制するタンパク質と有機低分子の強い結合により進行する。治療用カーゴを送達するために特定の細胞を標的とするナノ構造や、細胞外スペースで生理活性足場として機能する材料を使用する方法が、シグナル伝達ストラテジーとして台頭しつつある。受容体のシグナルを担持する材料の分子デザインと、このようなシグナルと人工足場内の分子の運動の関係は、この分野で開発が進んでいない領域である。本実施例では、神経幹細胞からニューロンへの分化を促進して軸索を伸長させるラミニンシグナルIKVAVと、受容体FGFR1を活性化させ、細胞増殖及び生存を促進する線維芽細胞増殖因子2(FGF2)ミメティックペプチドYRSRKYSSWYVALKR(配列番号2)との2種類の異なる直交性の生物学的シグナルを統合するナノスケールフィブリルの超分子足場について記載する。水性媒体中で非共有結合的に共重合して超分子フィブリルを形成するアルキルテールを有する2種類の異なるペプチド(ペプチド両親媒性分子(PA)と呼ぶ)の末端にこれらの2種類のシグナルを配置した。本実施例では、重度脊髄損傷(SCI)のマウスモデルにおける後肢麻痺後に機能回復をインビボで復元するために潜在的足場療法の物理的性質を改変する種々のドメインについて調査した。損傷した軸索は、成人中枢神経系(CNS)で再生することができないため、外傷性損傷後のヒトにおける永久麻痺を回避するSCI療法の開発は、依然として大きな課題である。本実施例では、両方の生物学的シグナルを同一密度に維持しながら、これらのドメインのテトラペプチド配列を僅かに突然変異させると、インビトロで細胞の生物学的応答と、インビボでマウスにおけるSCIからの機能回復を劇的に変えられることが発見された。
【0100】
結果:
夫々同一の2種のシグナルを提示する種々の物理的性質を有するナノファイバー形超分子ポリマーを調査するために、物理的挙動を制御するテトラペプチドドメインをアミノ酸V、A及びGの種々の配列とした種々のIKVAVPA(IKVAVPA1~PA8)のライブラリーを合成した(使用したPAとそれらのペプチド配列の一覧については、
図1A、
図7、及び表1参照)。フィブリル内の分子がそれらの水素結合密度の結果として分子間凝集力の高いβシートを形成する傾向に影響を与えるという点に鑑み、これらのアミノ酸を選択した。これらの相互作用の結果、フィブリル内のPA分子の運動性が抑制される。例えば、V
2A
2(PA1)は、そのバリン含量によりβシート構造を形成する傾向が高いが、A
2G
2(PA2)は、潜在的に低秩序セグメントであり、二次構造を形成しない(
図1A参照)。その他の配列は、中間レベルの運動の潜在的候補として選択した。全IKVAVPAは、このセグメントと生理活性シグナルの間に高い水溶性を提供する配列E
4Gを利用した。
【0101】
【0102】
クライオ透過型電子顕微鏡法(クライオTEM)の結果、全IKVAVPAは、水中で超分子重合後にナノファイバーを形成することが分かった(
図1B)。更に、シンクロトロンX線溶液小角散乱(SAXS)法によると、フィラメントと球形ミセルの混合物を示唆するPA5(傾き=-0.2)を除き、ギニエ領域の傾きは、-1~-1.7の範囲であり、フィラメントの形成が確認された(
図1D)。MARTINI力場(13)を使用する粗視化分子動力学(CG-MD)シミュレーションにより、ライブラリーの各種集合体の物理的挙動を比較した(
図8)。これらのシミュレーションによると、各種IKVAVPA繊維内の分子は、内部動力学の程度が異なると予想された(
図1B)。シミュレーションの最後の5ms間のPA分子の平均変位の尺度である根平均二乗揺らぎ(RMSF)として定義されるパラメーターの数値をシミュレーションにより求めた処、分子が(ナノメートルのオーダーの)十分な距離にわたって内部で位置を変える能力には差があることが示唆された(
図1C)。これらのシミュレーションによると、PA2繊維中の分子は実際に、G残基のみを含むPA5と同様に内部運動度が高いと判断される。広角X線分析(WAXS)からも、RMSF値の低いもの(PA2及びPA5)を除く全IKVAVPAに内部秩序(d格子面間隔4.65Åのβシートブラッグピーク)が存在することが分かった(
図1E)。
【0103】
各種IKVAVPA間の動力学の差を精査するために、1,6-ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン(DPH)をPAナノファイバー内に封入して内部疎水性コアのミクロ粘度を測定することにより、蛍光偏光解消度(FD)を測定した。PA2とPA5は異方性値が最低であり(夫々0.21及び0.18)、最も動力学的な超分子集合体を形成したと判断され、PA4は、動力学性が中間であり(0.30)、その他のPAは、超分子運動性が低かった(0.40~0.37)(
図2A)。横緩和核磁気共鳴(T2-NMR)スペクトロスコピーを使用してIKVAVエピトープにおける分子動力学も測定した。これらの実験では、(2.69~2.99百万分率で観測される)IKVAV配列中のK残基のe炭素に結合したメチレンプロトンの緩和速度(H
ε)を測定した。IKVAVPA1は、最高の緩和速度(低運動度)を示し、IKVAVPA2及びPA5は、IKVAVPAライブラリーのうちで緩和速度が最低であり(夫々
1H-R
2=2.7±0.1及び2.6±0.003s
-1)、より高い運動度に一致した(
図2B及び表2)。FD結果に一致し、IKVAVPA4は、PA1とPA2(又はPA5)の中間レベルの超分子運動を示す。総合すると、シミュレーションと、FD、WAXS及びT2-NMR測定は、調査した分子のライブラリーにおける3レベルの超分子運動に一致する。
【0104】
【0105】
超分子運動及びインビトロ生理活性
IKVAVシグナルがIKVAVPAのライブラリーにおいて同等に生理活性であるか否かを調べるためにインビトロ実験を実施した。IKVAVPAの生理活性を立証するために、ヒト胚性幹細胞に由来する神経前駆細胞(hNPC)を溶液中の各種IKVAVPA繊維又は組換えタンパク質ラミニンで処理した(
図2C)。PAフィラメントは、細胞と密接に会合し、それらの表面がシグナルを提示すると、受容体を活性化させることができる。
【0106】
活性形特異抗体HUTS4を使用して各種IKVAVPAとラミニンの存在下で発現される膜貫通型受容体β1インテグリン(ITGB1)の活性化を評価した。受容体の細胞内シグナル伝達経路の活性化も検証した。蛍光共焦点顕微鏡法とウェスタンブロット(WB)分析の結果、IKVAVPA2及びPA5は、その他のIKVAVPA、IKVAVペプチド、及び対照としてのラミニン又はオルニチンコーティングに比較して実質的に高濃度の活性ITGB1と下流エフェクターであるインテグリン結合キナーゼ(ILK)及びリン酸化焦点接着キナーゼ(p-FAK)を誘導することが分かった(
図2D及びE、並びに
図9)。PA4では中間レベルの活性化が認められ、ライブラリーにおけるその他のPAに比較してその中間の超分子運動に相関した。VVIAKスクランブル配列を示すPAは、ITGB1の細胞活性化が最低であった。更に、ITGB1抗体で前処理すると、全IKVAVPAでhNPCの結合が阻止され、IKVAV-ITGB1相互作用がこのプロセスを仲介していることが示唆された。
【0107】
hNPCを各種IKVAVPAで処理すると、ニューロン形のβチューブリンがアップレギュレートされた(TUJ1
+)が、(ニューロン分化関与を反映する)この誘導率は、2種類の最も動力学的な超分子フィブリルであるIKVAVPA2及びPA5で特に高かった(夫々20.5±1%及び20.7±1.2%)(
図2F~H)。IKVAVPA4は中間のニューロン分化関与(PA4:14±1.2%)を示したが、それ以外のIKVAVPAは、TUJ1
+神経細胞の誘導率が低かった(PA1:8.2±0.7%、PA3:7.5±0.6%、PA6:7.9±1.3%、PA7:7.4±0.6%、及びPA8:7.5±0.5%)。ピューロマイシンに基づくタンパク質合成分析法(SUnSET法)を使用することにより、全条件で同様のタンパク質翻訳レベルとなることが検証されたので、観測された差は代謝作用に関係しないことが確認された。
【0108】
生理活性が最高のIKVAVPA(PA2及びPA5)を負荷電PA繊維と静電的に架橋する5mMのCaCl
2と混合してhNPCを処理し、インビトロ実験を実施した。Ca
2+を添加すると超分子運動が抑制されることがFD及びT2-NMR実験により確認された(
図2I)。Ca
2+イオンを媒体に添加することにより超分子運動を低下させると、ITGB1とその下流の細胞内経路(ILK、p-FAK/FAK)の活性化も低下した(
図2J及び
図10a~10c)。これらの結果から、IKVAVPAの非生理活性ドメインにおけるテトラペプチドアミノ酸配列に突然変異が導入されているので、動力学とインビトロ生理活性の間に強い正の相関があることが分かった。
【0109】
SCIモデル:軸索再成長とグリア性瘢痕の形成
次に、デュアルシグナルフィブリルがSCI後の機能回復をインビボで強化する能力について試験した。IKVAVPA1、PA3、PA4、PA6、PA7及びPA8では低レベルのインビトロ生理活性しか認められなかったので、これらのPAは、FGF2PAと併用しなかった。両方のシグナルを同時に提示するナノファイバーも試験したので、二元システムは、混和性であると共に、損傷部位に注入して生理液と接触させると、同様の機械的性質を有するハイドロゲルを形成する必要があった。IKVAVPA2のみが、FGF2PA1又はFGF2PA2と特に90:10のモル比で混合したときに、混和性であると共に、同様の機械的性質を有するハイドロゲルを形成することができた(
図3A~C、
図11A~11C、表3)。更に、どちらのFGF2PAも単独では高度に凝集した短繊維を形成し、PA1、PA4又はPA5等の他のIKVAVPAとの不混和性に更に寄与した。
【0110】
【0111】
混和性で同様の機械的性質を有するゲルを形成するIKVAVPA2とFGF2PA1又はFGF2PA2の二元システムをインビボ実験に進めた(
図3A及び
図12)。SCIの樹立マウスモデル(20)で重度挫傷から24時間後に90:10モル比のIKVAVPA2とFGF2PA1又はFGF2PA2のコアセンブリの生理食塩水溶液をマウスの脊髄に注入した。生理活性が最高の単独シグナルシステムであるIKVAVPA2を全インビボ実験で対照として使用した。全PA溶液は、脊髄に送達するとその場でゲル化し、損傷領域に局在した。生理活性足場の生分解を時間の関数として追跡・定量するために、PA分子をAlexa 647色素で蛍光標識した。損傷の24時間後に蛍光材料を脊髄に注入し、1週間後、2週間後、4週間後、6週間後及び12週間後に、スピニングディスク共焦点顕微鏡法を使用して脊髄を完全に再構成することによりそれらの体積を測定した(
図3D参照)。軟材料は、移植後1~12週間以内に徐々に生分解し、3種類の実験材料の間に生分解速度の差は認められなかった(
図3E及び
図13参照)。
【0112】
随意運動機能を仲介する皮質脊髄路(CST)を追跡するために、感覚運動皮質の損傷から10週間後にビオチン化デキストランアミン(BDA)を両側注入により投与した(
図3F)。全PA群及びシャム(生理食塩水単独注入)群で損傷から12週間後に順行性標識CST軸索再成長を評価した。この方法では、近位病巣辺縁以遠まで再成長した標識軸索数を定量することが必要であった。IKVAVPA1と、その表面に生理活性シグナルをもたないPA繊維(「主鎖PA」)を対照として注入した。
【0113】
生理食塩水を注入したマウスでは、病巣内に軸索の再成長は殆ど認められなかったが、IKVAVPA1では、軸索の若干の再成長が認められ、繊維は低い運動性を示した(
図3G及び
図14)。他方、IKVAVPA2を単独又は(IKVAVPA2と同一のA
2G
2非生理活性ドメインを有する)FGF2PA2とのコアセンブリとして注入したマウスでは、シャム条件に比較して軸索再成長の多少の増加が認められた。これに対して、(A
2G
2の代わりにV
2A
2非生理活性ドメインを含む)FGF2PA1とIKVAVPA2のコアセンブリを注入すると、病巣部位全体に強い皮質脊髄路軸索再成長を生じ、その遠位辺縁も超えるに至った(
図3G及びH、並びに
図15)。この群において、病巣内の総軸索再成長は、IKVAVPA2とFGF2PA2のコアセンブリを使用した群の2倍であり、シャム群の50倍であった(
図3I)。セロトニン軸索(5HT)も歩行運動機能に役割を果たすと思われるが、同様に病巣中心部内で再成長し、CSTと同様の傾向を示した(
図16)。
【0114】
理論に拘泥する意図はないが、CST及び5HT軸索再成長が認められたのは、軸索再生の強い障害である顕著なアストロサイト瘢痕の不在が一因であると考えられる。シャム群及び主鎖PA群では、病巣の辺縁に高レベルのGFAPを発現する反応性アストロサイトの稠密集団としてこの障害が認められたが、全生理活性PA群では、グリア性瘢痕の密度が低かった(
図3H、
図16)。これらの結果に一致し、WB分析によると、生理活性が最高のコアセンブリ(IKVAVPA2+FGF2PA1)のみでは、より高濃度の成長関連タンパク質43(GAP-43)が再生中の軸索の成長円錐に存在することが分かった(
図3J)。
【0115】
次に、損傷から3箇月後にPA足場が皮質脊髄路軸索の再ミエリン化を誘導できるか否かを調べた。IKVAVPA2+FGF2PA1では、病巣内に高レベルのミエリン塩基性タンパク質(MBP)が検出され、特に再成長した軸索に巻き付いていた(
図3J及びK)。更に、この条件下では、病巣内の多くの成長中の軸索が高レベルのラミニンと低レベルのフィブロネクチンに関連していることが認められ、線維化コアの縮小を示唆している(
図3K及びL、
図15)。これらの組織学的・生化学的所見は、2種類の生理活性シグナルを担持する2種類の超分子コアセンブリ間の物理的な差が、損傷後の神経再生アウトカムを著しく強化できることを示唆している。
【0116】
SCIモデル:血管新生、細胞生存及び機能回復
損傷部位の血管新生に及ぼす両方のデュアルシグナルコアセンブリの影響は、完全に解剖学的・機能的な再生に重要であるので、次にこの影響について調査した。未損傷組織切片に比較して、シャムマウスの横断面脊髄切片は、病巣の中心から体軸方向に2.0mm超延びる組織変性度が顕著であることが判明した。この場合には、未損傷対照に比較して血管面積分率、血管長、及び分岐の有意低下が認められた(
図4A及びB)。内皮細胞膜に取り込まれる親油性カルボシアニン色素である1,1’-ジオクタデシル-3,3,3’,3’-テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI)を含有するグルコース溶液を経心腔的に注入することにより、機能的血管網の存在を調査した(
図4A)。PA足場を投与した群では、腹部組織構造が高度に保存されており、機能的血管網が維持されていることが判明した。生理活性が最高のコアセンブリを投与すると、特に背側領域で血管面積分率、血管長、及び分岐が増加した(
図4A及びB)。これらのパラメーターは、IKVAVPA2単独群と低生理活性コアセンブリ群(IKVAVPA2+FGF2PA2)で有意な差がなく、ミメティックFGF2血管新生シグナルは、IKVAVPA2+FGF2PA2で最適に機能していないと考えられた。
【0117】
病巣内の血管の起源を突き止めるために、損傷後第1週の間にチミジンアナログである5’-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)を腹腔内に注入した。損傷から12週間後に生理活性が最高のコアセンブリ群の病巣内に新たに形成された血管が認められた。これは、他の全群の試料に比較してBrdU
+/CD31
+細胞数が有意に増加していること(
図4C及びD)と、WB分析(
図4E)により確認された。IKVAVPA2+FGF2PA2コアセンブリとIKVAVPA2単独では、非常に僅かではあるが、シャム群に比較すると有意な血管形成の増加を生じた。
【0118】
ニューロン生存、脊髄回路の維持及び局所機能に及ぼす両方のデュアルシグナルコアセンブリの影響を調査した。天然FGF2は、SCI後のニューロン生存率の上昇に関係があると思われる。生理活性が最高のコアセンブリ群の横断面脊髄切片は、未損傷対照群と同様に背側領域で新たに生成された血管の近傍にNeuN
+ニューロンを示した(
図5A)。更に、PAを利用した場合には、同時にChAT
+(運動ニューロン)でもあるニューロン(NeuN
+細胞)のみが前角で検出され、生理活性が最高のシステムでは他の群に比較して有意に多数であった(
図5B及びC)。どの群でも病巣内に二重BrdU
+/NeuN
+ニューロンは認められず、局所的な神経発生の不在が示唆された。
【0119】
観測された軸索再生、血管新生、及び局所神経細胞生存が受傷動物の行動改善に繋がったか否かを評価した。この目的では、損傷後12週間の間に全群でBasso Mouse Score(BMS)オープンフィールド歩行運動スコアと足跡解析による歩行運動回復を評価した(
図5D及び
図17)。損傷から1週間後以降に、全PA群はシャム群に比較して有意な持続的行動改善を示した。興味深いことに、損傷から3週間後に、生理活性が最高のコアセンブリを投与したマウスは、IKVAVPA2+FGF2PA2及びIKVAVPA2単独を注入したマウス(夫々4.4±0.5及び4.3±0.5)に比較して有意な機能回復(5.9±0.5)を示した(
図5D)。足跡の定量によると、生理活性が最高のコアセンブリを投与したマウスは、ストライド長及び幅が他の群に比較して有意に大きいことが判明した(
図17)。総合すると、これらのデータは、デュアルシグナルシステムで認められた神経細胞生存と機能回復が、夫々の非生理活性テトラペプチドの化学組成の差に驚くほど関係していることを示唆している。
【0120】
ヒト内皮細胞及び神経前駆細胞でのインビトロ結果
上記結果を踏まえ、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を使用して両方のコアセンブリにおけるFGF2シグナルのインビトロ生理活性を評価した。天然FGF2は、内皮細胞増殖及び網形成を強化する。生理活性が最高のコアセンブリ又はFGF2タンパク質上でHUVECを培養すると、48時間以内に血管様毛細管網の広範な分岐と形成が認められた(
図6A及びB)。WB分析も実施し、FGF2PA1とIKVAVPA2のコアセンブリで認められたインビトロ生理活性がFGF2細胞内シグナル伝達経路と関係しているか否かを検証した。生理活性が最高のコアセンブリ又は天然FGF2で処理したHUVECは、内皮細胞の増殖と移動を活性化させるp-FGFR1及び下流タンパク質p-ERK1/2の濃度が高いことが判明した(
図6C)。スクランブルFGF2ミメティック配列を含むシステムは、生理活性を全く示さなかった。
【0121】
両方のコアセンブリにおけるIKVAVシグナルとFGF2シグナルの同時生理活性を立証するために、二重陽性EdU
+/SOX2
+と、ITGB1及びpFGFR-1の誘導を定量することにより、hNPC増殖に及ぼすこれらの分子の影響をインビトロで評価した(
図6D~F)。これらの実験によると、生理活性の低いコアセンブリにおけるFGF2シグナルは、ほぼ非機能的であるが、IKVAVシグナルはどちらのコアセンブリでも機能的に維持されると思われる。これらの結果は、SCI実験における所見と一致する。
【0122】
超分子運動に関する物理的実験とコンピューターシミュレーション
FGF2PAにおいてアルキルテールに続くテトラペプチドをV
2A
2からA
2G
2に突然変異させた場合のインビトロ及びインビボ生理活性の低下の潜在的な物理的理由について調査した。これらの2種類のコアセンブリにおけるFGF2PA分子間の動力学の差をT2-NMRスペクトロスコピーとFDにより試験した(
図6G~I)。FGF2ミメティックシグナルのみに存在するY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの緩和速度を測定した。この速度は生理活性が最高のコアセンブリのほうが遅く、シグナル伝達ペプチドにおける超分子運動が活発であると判断された(
1H-R
2=生理活性が低いほうのコアセンブリの80.9±18.9s
-1に対して49.3±11s
-1)(
図6G及びH)。Cy3色素で共有結合的に標識したFGF2PA分子を使用して前記2種類のコアセンブリのFD実験を実施した(クライオTEM画像によると、色素は超分子集合体を破壊しなかった)。生理活性が最高のコアセンブリのほうが低い異方性が検出され、ナノファイバー内のFGF2シグナル分子の運動性が高いと判断された(
図6I)。
【0123】
CG-MDシミュレーションによると、生理活性が最高のコアセンブリのほうがFGF2PA分子のRMSF値が高く、上記T2-NMR及びFD結果が裏付けられた。シミュレーションによると、運動性(RMSF値)の分布からFGF2PA分子はどちらのコアセンブリでもクラスターを形成する(生理活性が最高のシステムのほうがやや大きい)ことも判明した(
図6J)。システムの一方における生理活性の低下は、シグナルを担持する2種のPA分子間のコアセンブリの程度の差に起因すると考えられる。しかし、アルキルテールにおけるメチレン単位の1D
1H-NMR、拡散整列スペクトロスコピー(DOSY)、及びT2-NMRによると、どちらのシステムでもコアセンブリが生じたと判断される(表4)。
【0124】
【0125】
IKVAVPAのみを含むシステムでは、(FGF2PA1に存在する)テトラペプチドV2A2は運動性が最低であったので、FGF2PA1分子のほうが高い運動度で得られた結果は、直感的予想に反していた。IKVAVPA2とのコアセンブリにおいてFGF2PA2分子のほうが低い運動性となったのは、両方の分子に存在する同一のテトラペプチド間の水素結合と側鎖接触による相互作用が大きいためであると思われた。一方、生理活性の高いIKVAVPA2+FGF2PA1コアセンブリの2種の分子には2種類の異なるテトラペプチドが存在するため、両種の分子間に強い相互作用が生じず、より高い超分子運動度に繋がらなかったと思われる。
【0126】
IKVAVPA2とFGF2PA2の強い相互作用と低運動性は、FGF2PA2をIKVAVPA2に付加した場合にCDスペクトルがほぼ不変であることから証明される。一方、相互作用性の低いFGF2PA1をIKVAVPA2に付加した場合には、CDスペクトルは変化したので、二次構造の破壊が示唆される。したがって、FGF2PA1分子でNMRにより検出された高い運動性は、フィブリル内のクラスターの並進運動又はフィブリルを出入りするシグナル伝達クラスターの垂直運動の自由度が高いことを示していると考えられる。
【0127】
追加結果:
コアセンブリ特性決定
IKVAVPA2を各種FGF2PA(IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2)とコアセンブリすると、どちらのシステムもモル比90:10で長いリボン状の構造を形成した(
図3B)。コアセンブリ後の形態変化は、SAXS及びWAXSプロファイルとFT-IRスペクトルにより裏付けられた。SAXSプロファイルによると、ギニエ領域の傾きは、IKVAVPA2では-1.2であり、IKVAVPA2+FGF2PA1とIKVAVPA2+FGF2PA2では-1.6であり、円筒形繊維(-1.0)からリボン(-2.0)への遷移の程度が異なると判断された。更に、PAコアセンブリ(IKVAVPA2+FGF2PA1とIKVAVPA2+FGF2PA2)は、WAXSで一貫したβシートスペーシングを示し、これは、FT-IRスペクトルにより裏付けられ、アミドI領域にIKVAVPA2と同様のβシート識別特性を示した。コアセンブリのネガティブ染色による高倍率透過型電子顕微鏡法(TEM)によると、IKVAVPA2+FGF2PA1とIKVAVPA2+FGF2PA2は、夫々13.7±0.3nm及び15.6±0.2nmの平均繊維幅であった。どちらのシステムの繊維幅もその主要部分単独(IKVAVPA2=10.6±0.1nm)よりも著しく大きく、システムにFGF2PAを付加したためであると考えられた。600nmでの光散乱強度(光学密度)(O.D.600nm)に基づいて、IKVAVPA2に取り込まれたFGF2PAの量を分析した。種々のmol%のFGF2PA(PA1及びPA2)は、同一百分率をIKVAVPA2とコアセンブリした場合よりも高い数値を示した。したがって、FGF2PAは、単独では溶解度が低いが、IKVAVPA2によりその溶解度が増加し、それらの集合に繋がる。低百分率のFGF2PA(5~10mol%)とIKVAVPA2のコアセンブリの場合、O.D.は、IKVAVPA2単独(FGF2PA0mol%)と同等の数値を示し、溶液中に遊離しているFGF2PAよりも有意に低かった。
【0128】
SCIモデルにおけるPA対照:
IKVAVPA1繊維、IKVAVPA4繊維、及びその表面に生理活性シグナルをもたないPA繊維(主鎖PA)を対照として注入した。主鎖PAを注入したマウスでは、病巣内の軸索再成長は殆ど認められなかったが、IKVAVPA1では軸索の若干の再成長が認められた。興味深いことに、IKVAVPA4は、(IKVAVPA1とIKVAVPA2の)中間の超分子運動と生理活性を有することがインビトロで判明したが、インビボでも中間レベルの軸索再成長を示した。
【0129】
コアセンブリシステム上のhNPC
PAコーティング上にhNPCを播種した処、1週間試験した全PA条件で同様に接着・生存することが判明した。播種したhNPC数は全条件で同様であったが、hNPCをIKVAVPA2+FGF2PA1上で培養した場合又は天然FGF2と共に培養した場合には、増殖するEdU
+及びSOX2
+細胞の百分率が増加し、IKVAVPA2+FGF2PA2、IKVAVPA2単独又は市販ラミニン上で細胞を培養した場合には、この百分率が有意に低下した(
図6E)。1週間後に、IKVAVPA2+FGF2PA1は、天然FGF2タンパク質と同程度までの多数のSOX2
+細胞のプールを維持した。逆に、IKVAVPA2+FGF2PA2、IKVAVPA2及びラミニン上に播種した細胞は、ニューロン前駆細胞であるPAX6
+の百分率が増加し、細胞の分化が進んでいると判断された。次に、ITGB1及びFGFR-1の発現をWBにより追跡することにより、IKVAVPA2+FGF2PA1で観測された生理活性が実際に夫々ITGB1及びFGFR-1と関係しているか否かを試験した。IKVAVPA2+FGF2PA1上に播種したhNPC又は天然FGF2で処理したhNPCではp-FGFR1が高度に発現されたが、活性ITGB1は、IKVAVPA2を含む全PA条件で培養した細胞で有意に高レベルを示した。IKVAVPA2とFGF2PA1のコアセンブリ上に播種した細胞と、IKVAVPA2とFGF2PA2のコアセンブリ上に播種した細胞の間には、表現型プロファイルの差も認められた。IKVAVPA2+FGF2PA1は、天然FGF2で処理したラミニンコーティング上に播種した細胞と同様に、神経幹細胞マーカーSOX2、ニューロンマーカーβチューブリンIII(TUJ1)、及び有糸分裂後マーカーPH3のより高度の発現を誘発した。
【0130】
コアセンブリシステムの1H-NMR、DOSY及び緩和NMR
1H-NMRスペクトルによると、どちらのコアセンブリでも、IKVAVPA2単独に比較してメチレンプロトンに由来するピークが広幅で低強度であることが判明し、これらの結果はDOSYにより確認された。T2-NMRを使用してプロトン緩和速度データも取得し、コアセンブリではIKVAVPA2に比較して著しく高い数値が検出された(IKVAVPA2+FGF2PA1:1H-R2=59.6±1.9s-1、IKVAVPA2+FGF2PA2:1H-R2=52.7±1.7s-1、及びIKVAVPA2:1H-R2=6.4±0.1s-1)。これらの結果から、どちらのシステムでも両方のシグナルのコアセンブリが生じると判断される。
【0131】
考察
本実施例では、超分子運動が活発であることが物理分析及びコンピューター解析により立証され、したがって、マウスモデルでSCIからの機能回復の向上が期待される生理活性足場について記載する。非共有結合的に重合された生理活性分子の一次元足場では、多価効果が効果的シグナル伝達のために受容体をクラスター化するのに役立つと予想された。超分子足場の内部構造が自由な運動を制限し、そのフィブリル軸に垂直な受容体に優先的にシグナルを方向付けることも予想された。しかし、この取り組みにおける驚くべき発見は、ベンチで測定した生理活性フィブリル内の分子運動の強度が、軸索再成長、ニューロン生存、血管再生、及びSCIからの機能回復の向上と相関したことである。コンピューターシミュレーションと実験データは、集合体の内部で又は集合体から受容体部位まで垂直方向にナノメートルの規模で並進することにより、生理活性が増強することを示唆している。理論に拘泥する意図はないが、高度に機敏で物理的に可塑性の超分子足場は、迅速な形状揺らぎ下の細胞膜に存在する受容体にシグナル伝達するのに有効であると考えられる。ECMのタンパク質環境と分子動力学的足場の相互作用がより有利であるという観点から、回復の原因を広義に説明することもできる。要するに、本願に記載する足場は、治療用超分子ポリマーの生理活性を最適化させるために動力学の構造デザインに絶好の機会を提供する。
【0132】
材料及び方法
ペプチド両親媒性分子ナノ構造の特性決定:
合成及び精製
PA合成及び調製:リンクアミドMBHAレジンを担体としてCEMモデルLiberty Blueマイクロ波ペプチド合成装置を使用して標準フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)固相ペプチド合成法により、各種IKVAVPA(IKVAVPA1:C16VVAAEEEEGIKVAV、IKVAVPA2:C16AAGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA3:C16VAGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA4:C16AVGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA5:C16AAAAEEEEGIKVAV、IKVAVPA6:C16GGGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA7:C16VAAAEEEEGIKVAV、IKVAVPA8:C16AVAAEEEEGIKVAV)、各種FGF2PA(FGF2PA1:C16VVAAEEEEGYRSRKYSSWYVALKR及びFGF2PA2:C16AAGGEEEEGYRSRKYSSWYVALKR)、それらのスクランブル配列として各種scr-IKVAVPA(VVIAKPA1:C16VVAAEEEEGVVIAK及びVVIAKPA2:C16AAGGEEEEGVVIAK)及び各種scr-FGF2PA(scr-FGF2PA1:C16VVAAEEEEGWRSKKYSLYYVASRR及びscr-FGF2PA2:C16AAGGEEEEGWRSKKYSLYYVASRR)、並びに主鎖PA(C16VVAAEE)を合成した(材料名と対応するペプチド配列の一覧については、表1参照;C16は、パルミトイル基である)。Fmoc保護アミノ酸4当量、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)4当量、及びシアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma pure)8当量を使用して自動カップリング反応を実施した。
【0133】
20%4-メチルピペリジンのDMF溶液でFmoc基を除去した。95%TFA、2.5%水、2.5%トリイソプロピルシラン(TIS)の標準溶液を使用してレジンからペプチドを切断し、冷エーテルで沈殿させた。次に、各種IKVAVPA、それらのスクランブル配列、及び主鎖PAについては、島津モデルProminenceモジュラーHPLCシステム、LC-20AP送液ユニット2台、SPD-M20Aダイオードアレイ検出器及びFRC-10Aフラクションコレクターで、Phenomenex Gemini NX-C18カラム(C18固定相、5μm、細孔径110Å、150×30mm)を使用し、0.1%(v/v)NH4OHを含有するH2O/CH3CNグラジエントを溶離液として流速25.0mL/分で使用して逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により塩基性条件下で精製を実施した。各種FGF2PAとそれらのスクランブル配列については、Phenomenex Kinetex C8カラム(C8固定相、5μm、細孔径100Å、150×30mm)を使用して酸性条件下(0.1%(v/v)TFAを含有する水溶液/CH3CN溶液)で精製した。Agilentモデル1200 Infinity Series二元LCグラジエントシステムで、Phenomenex Jupiter 4μm Proteo 90Åカラム(C12固定相、4μm、細孔径90Å、1×150mm)又はPhenomenex Gemini C18(C18固定相、5μm、細孔径110Å、150×1mm)を使用し、夫々0.1%(v/v)ギ酸又はNH4OHを含有するH2O/CH3CNグラジエントを溶離液として流速50μL/分で使用して液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)により、凍結乾燥した各種PAの純度を分析した。Agilentモデル6510四重極飛行時間型LC-MSでポジティブスキャンモードのエレクトロスプレーイオン化質量(ESI-質量)分析法を実施した。
【0134】
色素を共有結合した各種PAについては、上記配列のC末端に夫々システイン又はアジドリジンを付加し、Alexa Fluor(登録商標)-647で標識したIKVAVPA2と、Cy3で標識した各種FGF2PAを合成した。精製した各種IKVAVPAをトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)塩酸塩(PAに対して5当量)のpH8のトリス緩衝液溶液に溶解し、マレイミドで官能基化したAlexa Fluor(登録商標)-647(Thermo Fisher)と反応させた。精製した各種FGF2PAをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、ジベンゾシクロオクチンで官能基化したCy3-DBCO(Click Chemistry Tools)と反応させた。色素で標識した各種最終PA生成物をHPLCにより精製し、凍結乾燥し、使用時まで保管した。
【0135】
PAコアセンブリ作製
インビトロ実験では、凍結乾燥後に、PA粉末を150mMのNaClと3mMのKClの溶液で再構成し、細胞適合性と材料コンシステンシーを確保するために、1MのNaOH1μLを添加してpH7.4に調整した。種々の生理活性PAを種々のmol%で混合し(表3参照)、10秒間ずつ3回に分けて10%強度でホーン型超音波装置により超音波処理した。PA溶液を80℃で30分間アニールした後、全試料を均等且つ制御下に加熱・冷却するためのサーモサイクラー(Eppendorf PCR Thermocycler)を使用して27℃の最終温度に達するように毎分1℃の割合でゆっくりと冷却した。PAをコーティングした担体を作製するために、24ウェル、12ウェル、若しくは6ウェルポリスチレン細胞培養プレート又は12mm及び18mmガラスカバースリップ(German Glass,Chemglass Life Science)にポリ-D-リジン(0.01mg/mL,Sigma-Aldrich)を37℃で3時間コーティングした。次にプレートをMilliQ水で3回リンスし、4時間乾燥した。表面全体に薄く均等な材料コーティング(アニールした各種PA(1重量%)8~30μL)を押し出すようにピペットを移動させることにより、各種PAをカバースリップ又は組織培養プレートに塗布した。PAコーティングを室温で3時間インキュベートした。プレートをその後の使用前に培地で静かにリンスした。色素で標識した各種PAの実験では、Cy3で標識した各種FGF2PAを1mol%でそれらの対応する非標識PAとコアセンブリした(表3参照)。
【0136】
インビボ実験では、凍結乾燥後に、PA粉末を1mg/100μlの濃度となるように0.9%(w/v)滅菌等張塩化ナトリウム生理食塩水(Ricca Chemical)で再構成した。次に、得られたPA溶液に滅菌1M NaOH1μLを添加してpHを7.4に調整した後、IKVAVPA2と10mol%のFGF2PA1又はFGF2PA2のコアセンブリを加えた(表3参照)。混合後、溶液を超音波処理し、アニールした。色素で標識したPAの実験では、Alexa-647で標識したIKVAVPA2を1mol%でそれらの対応する非標識PAとコアセンブリした(表3参照)。
【0137】
透過型電子顕微鏡法(TEM)
ネガティブ染色TEM標本を作製するために、グロー放電処理済みグリッド(カーボン膜付き300メッシュ銅、Electron Microscopy Sciences)の光沢側にPA試料溶液(150mMのNaClと3mMのKClをMilliQ水で10倍に希釈した希釈液で1重量%PAに調製したもの)7μLを滴下した後、MilliQ水で3回リンスして過剰の塩を除去した。次に、濾過した2重量%酢酸ウラニル水溶液でグリッドを染色し、風乾した。Gatan 831 CCDカメラを搭載し、LaB6フィラメントを使用する加速電圧100kVのJEOL1230顕微鏡でTEMイメージングを実施した。イメージング中に試料安定化のためにコールドフィンガーを取り入れた。
【0138】
クライオ透過型電子顕微鏡法(クライオTEM)
FEIモデルVitrobot MarkIV(FEI)を使用してクライオTEM用プランジ凍結試料を作製した。プラズマ洗浄したTEMグリッド(レース状カーボン膜付き300メッシュ銅、Electron Microscopy Sciences)に試料溶液([PA]=0.05~0.1重量%水溶液)7μLを滴下し、Vitrobotに取り付けたピンセットで固定した。室温で湿度100%の環境中で標本をブロッティングし(ブロット強度:3、合計ブロット回数:1~2、待機時間:0.5~1秒、ブロット時間:3秒、ドレン時間:0~1秒)、液体窒素で冷却した液体エタンリザーバーに浸漬させた。ガラス状にした試料を液体窒素中で保存した後、Gatan 626クライオTEMホルダーに移した。Gatan 831 CCDカメラを搭載し、LaB6フィラメントにより加速電圧100kVで作動するJEOL1230電子顕微鏡を使用してクライオTEM画像を取得した。
【0139】
走査型電子顕微鏡法(SEM)
パラホルムアルデヒド(2.0%,Electron Microscopy Sciences)とグルタルアルデヒド(2.5%,Electron Microscopy Sciences)をリン酸緩衝生理食塩水(1×,Gibco)に溶解した混液で、細胞が接着している状態又は接着していない状態のPAコーティングを20分間固定した。固定液を除去し、200プルーフエタノール(Decon Laboratories,Inc)の濃度を漸増させた(30→100%)エタノール溶液のグラジエント中で試料をインキュベートすることにより、水をエタノールに交換した。臨界点乾燥(Tousimis Samdri-795)を使用して過剰の水を除去した。十分な交換が行われるように20分間のパージサイクルを使用した。カーボン粘着テープ(Electron Microscopy Sciences)、場合によってはカーボン接着剤(Electron Microscopy Sciences)を使用し、得られた脱水試料をスタブにマウントした。試料に約10nmのオスミウム(Filgen,OPC-60A)をコーティングし、イメージングのために試料表面を導電性にした。全画像は、日立SU8030SEM機器により加速電圧2kVで撮影した。
【0140】
X線散乱法
米国アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)に所在する先端放射光施設(Advanced Photon Source)のデュポン・ノースウェスタン大学・ダウ協同参入チームシンクロトロン研究センター(DuPont-Northwestern-Dow Collaborative Access Team(DND-CAT)Synchrotron Research Center)のビームライン5-ID-DでX線小角散乱(SAXS)、X線中角散乱(MAXS)、X線広角散乱(WAXS)実験を実施した。試料溶液(NaClとKClの水溶液([NaCl]=150mM及び[KCl]=3mM)中[PA]=1~3w/v%(約6~10mM))100~150μLを一定直径のキャピラリーフローセルに導入し、0.5秒、2秒、3秒又は10秒の照射時間でX線を照射した。試料測定中に試料をキャピラリー内でシリンジポンプにより10μL/sec秒の速度で振動させ、ビーム過剰照射による損傷を防いだ。トリプルエリア検出器システムにより17keV(l=0.83Å)のX線エネルギーでデータを採取した。0.002390<q<4.4578Å-1の区間で散乱強度を記録した。波数ベクトルqは、q=(4π/λ)sin(θ/2)として定義され、式中、θは、散乱角である。取得した2D散乱データを次に、GSAS-IIソフトウェアでビーム中心の周囲の方位角積分により、波数ベクトルに対する1D強度のプロットに変換した。150mMのNaClと3mMのKClを含有する試料からバックグラウンド散乱パターンを得た。次に、このバックグラウンドデータを実験データから差し引いた。IgorProソフトウェアで稼働するIrenaソフトウェアパッケージを使用して全データを解析した。
【0141】
円二色性(CD)スペクトロスコピー
H2O(塩不含試料)又は150mMのNaClと3mMのKClを含有する緩衝液(高塩濃度)で各PA試料を0.01~0.04重量%の濃度まで希釈した。光路長0.5mmの石英セルを使用してJASCOモデルJ-815分光偏光計でCDスペクトルを記録した。感度を標準モードに設定し、毎分100nmのスキャン速度で連続スキャンモードを使用した。測定が飽和しないように、各試料の高圧(HT)電圧を記録した。3回の測定の累積を使用し、緩衝液試料をバックグラウンドとして差し引き、最終スペクトルを得た。モル平均分子量を使用して最終スペクトルを各試料の最終濃度に正規化した。
【0142】
フーリエ変換赤外(FT-IR)スペクトロスコピー
Bruker Tensor 37FT-IRスペクトロメーターでFT-IRスペクトルを記録した。重水(D2O)で試料を調製し、50μmの間隔を空けた2枚のCaF2ウインドウの間に挟んだ。最終スペクトルは、1cm-1分解能で25回のスキャンの結果とし、大気中のCO2とH2Oをバックグラウンドとして差し引いた。
【0143】
蛍光偏光解消法
アニールしたPAの水溶液([PA]=6mM、[KCl]=3mM、[NaCl]=150mM)100μLを1,6-ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン(DPH;1.4mM)のTHF溶液(2μL)に加え、混合液を25℃で30分間インキュベートした。その後、混合液をKClとNaClの水溶液(1900μL、[KCl]=3mM、[NaCl]=150mM)で希釈し、25℃で10~30分間インキュベートし、DPH(1.4μM)を包埋したPA(300μM)の溶液を得た。次に、CaCl2の存在下でIKVAVPA2(A2G2)又はIKVAVPA5(G4)を得るために、PA:CaCl2のモル比が6:1となるように、DPHを包埋したPAの水溶液に5mMのCaCl2を加えた。電源18Aの300Wキセノンアークランプを搭載したISSモデルPC1スペクトロフルオロメーターでDPHを336nmで励起し、450nmで発光を記録した。励起スリット幅と発光スリット幅は1mmに設定した(帯域幅8nm)。下式を使用して異方性を計算した。
【0144】
【0145】
蛍光試験用Cy3官能基化FGF2PA試料
Cy3 DBCO色素で官能基化した各種FGF2PAを1mol%添加し、モル比90:10のIKVAV/FGF2混合物のPA水溶液([PA]total=6mM、[KCl]=3mM、[NaCl]=150mM)を調製した。この溶液100μLをKClとNaClの水溶液(1900μL、[KCl]=3mM、[NaCl]=150mM)で希釈し、システムを25℃で10分間インキュベートして平衡化させた。PAと色素の最終濃度は、夫々300μM及び0.3μMとした。Cy3を535nmで励起させ、575nmで発光を記録した。
【0146】
レオロジー
インビトロ試験について上述した方法を使用してPA材料を作製した。全レオロジー試験にMCR302レオメーター(Anton Paar)を使用した。インビトロ及びインビボ条件をシミュレーションするように、計器ステージを37℃に設定した。PA溶液(150μL)を試料ステージに滴下し、材料の上方に配置した25mmコーンプレートの下面に25mMのCaCl2溶液30μLをピペットで分注した。プレートを測定位置までゆっくりと下げ、保湿カラーを使用して試料プランジャーを取り囲み、各45分間の実験中に試料が蒸発しないようにした。実験毎に、10[rad/s]の一定の角周波数と0.1%歪で試料を30分間平衡化させた。プラトーに達した後に貯蔵弾性率と損失弾性率(G’及びG”)を記録した。
【0147】
光学密度(O.D.)
インビトロ試験について上述した方法を使用してPA材料を作製した。PA溶液を更に1×生理食塩水で総体積300μLまで希釈した。これらの懸濁液100μLを96ウェルプレートの3個のウェルにピペットで分注し、Cytation3セルイメージングマルチモードリーダー(BioTek)を使用して600nmでそれらの光学密度を記録した。
【0148】
ガラス表面へのIKVAVペプチドの固定化
ホウケイ酸ガラスカバースリップ(直径12mm;Fisher Scientific)を合成IKVAVペプチドで修飾した。ホウケイ酸ガラスカバースリップを2%(v/v)マイクロ90洗剤(Sigma-Aldrich)で60℃にて30分間洗浄し、蒸留水で6回リンスし、エタノールでリンスした後、乾燥した。カバースリップをO2で30秒間プラズマエッチング(Harrick Plasma PDC-001-HP)した後、すぐに(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(Sigma-Aldrich)の2%(v/v)エタノール溶液中で15分間インキュベートした。その後、カバースリップをエタノールで2回、水で2回リンスした後、オーブン乾燥した。次に、2%DMF(Sigma-Aldrich)を含有する1-エチル-3-(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(Acros Organics)の1.25mg/mL溶液中50nmol/mLとなるようにIKVAVペプチドを調製した。カバースリップをこの溶液の存在下に40℃で3.5時間インキュベートした。インキュベーション後、カバースリップを100%酢酸無水物(Fisher Chemical)、2M塩酸(Fisher Chemical)、及び0.2M重炭酸ナトリウムで順次洗浄した。過剰の水でリンスした後、試料を4M尿素中で10分間、次いで1M NaCl中で10分間超音波処理した後、過剰量の水でリンスし、100℃で1時間乾燥した。
【0149】
NMR実験
スイープ幅6kHz及び16kデータ点のDoty拡散プローブを使用するTecmag NMRスペクトロメーターで600MHzにて又はQCI-Fクライオプローブを搭載したBrucker Neoシステムで600MHzにてNMRスペクトルを取得した。
【0150】
9/1比のH2O/D2O(D2Oは、0.05重量%の3-(トリメチルシリル)プロピオン-2,2,3,3-d4酸ナトリウム塩を含有する)にTFA-dを添加したものを溶媒として使用して各種IKVAVPAのNMRスペクトルを25℃で記録した。化学シフトを百万分率(ppm)で報告する。1H、1H-Gcosy、1H、13C-gHSCQAD、TOCSY及びNOESYを使用して構造帰属を実施した。多重度は、一重線(s)、二重線(d)、多重線(m)、二重線の二重線(dd)、二重線の二重線の二重線(ddd)、三重線(t)、四重線(q)として表す。90°パルス幅は15μsとし、典型的なスペクトルは32回のスキャンを要した。芳香族プロトンを含むエピトープは、10mol%しか存在していなかったので、芳香族シグナル強度の正確な推定には更にスキャン(512回)が必要であった。
【0151】
最大勾配強度を53.5G/cmとして勾配強度の数値を16段階で変化させ、双極パルス対パルス系列で長手方向渦電流遅延を使用したパルス磁場勾配NMRにより拡散係数を測定した。ピーク強度Iを測定し、ステシカル・タナー(Stejskal-Tanner)の式:
【0152】
【数3】
[式中、I
0は、勾配パルスの不在下の強度であり、Dは、拡散係数であり、γは、プロトンの磁気回転比であり、gは、勾配強度であり、δは、パルス磁場勾配パルスの長さ(2ms)であり、Δは、拡散遅延(0.1秒)である。]にフィットさせた。
【0153】
ストークス・アインシュタイン(Stokes-Einstein)の式から以下のように回転半径Rgを計算した。
【0154】
【数4】
[式中、k
Bは、ボルツマン定数であり、Tは、温度であり、ηは、粘度である。]
可変ループで遅延時間を0.2msとし、カー・パーセル・ギル・メイブーム(Carr-Purcell-Gill-Meiboom)のパルス系列を使用してスピン-スピン緩和速度を測定した。ピーク強度データを以下のように指数関数にフィットさせた。
【0155】
【数5】
[式中、τは、遅延時間の長さであり、R2は、スピン-スピン緩和速度であり、bは、ベースラインである。]
【0156】
ピーク帰属
IKVAVPA1:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.83(t,3H,J=6.6Hz,Pal-CH3),0.88(t,3H,J=7.2Hz,Ile-C(δ)H3),0.92-1.01(m,24H,4xVal-C(γ)H3),1.25(m,24H,several Pal-CH2),1.49(m,9H,3xAla-C(β)H3),1.67(m,8H,4xGlu-C(β)Η2),2.1(m,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.24(m,3H,Pal-C(α)Η2),2.59(m,3H,3xVal-C(β)H),2.81(t,2H,J=7.2Hz,Lys-C(ε)-H2),3.88(m,Lys-C(α)H2,Ile-C(α)H2),3.97(m,4H,4xGlu-C(α)H2),4.01(m,3H,3xVal-C(α)H),4.38-4.5(m,6H,Gly-C(α)H2,3xAla-C(α)H,Val-C(α)H),4.62-4.75(m,Ala-C(α)H2).
IKVAVPA2:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.80(t,3H,J=6.5Hz,Pal-CH3),0.86(t,3H,J=7.4Hz,Ile-C(δ)H3),0.92-0.96(m,12H,2xVal-C(γ)H3),1.01(dd,J=10.9Hz,6.7Hz,Ile-C(γ)H3),1.21-1.33(m,24H,several Pal-CH2),1.45(d,J=7.1Hz,Ile-C(β)H3),1.49(m,9H,3xAla-C(β)H3),1.66(m,2H,Lys-C(β)H2),1.72(m,2H,Lys-C(γ)H2),1.85(m,8H,4xGlu-C(β)Η2),2.1(m,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.25(m,2H,Pal-C(α)Η2),2.52(t,2H,J=7.1Hz,Lys-C(ε)-H2),4.1-4.3(m,2H,Lys-C(α)H,Ile-C(α)H),4.4-4.5(m,2H,2xGlu-C(α)H),4.60-4.67(m,2H,2xGlu-C(α)H),4.71-4.86(m,12H,3xGly-C(α)H2,3xAla-C(α)H,3xVal-C(α)H).
IKVAVPA3:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.93(t,3H,J=6.8Hz,Pal-CH3),0.99(t,3H,J=7.1Hz,Ile-C(δ)H3),1.04-1.16(m,18H,3xVal-C(γ)H3,3H,Ile-C(β)H3),1.25-1.32(m,24H,several Pal-CH2),1.51(m,6H,2xAla-C(β)H3)1.59-1.63(m,8H,4xGlu-C(β)Η2),1.80(dq,J=12.9,1H,Val-C(β)H),2.25(m,2H,Pal-C(α)Η2,4H,2xGlu-C(β)Η2),2.39(m,4H,2xGlu-C(β)Η2),2.66(t,2H,J=7.1Hz,Lys-C(ε)-H2),3.86-4.01(m,5H,Ile-C(α)H,2xGlu-C(α)H,Lys-C(α)H,Val-C(α)H),4.55-4.62(m,2H,2xGlu-C(α)H),4.77-4.82(m,6H,3xGly-C(α)H2),4.86-4.92(m,3H,2xAla-C(α)H,Val-C(α)H),4.98-5.01(m,1H,Val-C(α)H).
IKVAVPA4:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.80(t,3H,J=6.9Hz,Pal-CH3),0.86(t,3H,J=7.2Hz,Ile-C(δ)H3),0.91-1.06(m,18H,3xVal-C(γ)H3,3H,Ile-C(β)H3),1.21-1.28(m 24H,several Pal-CH2),1.45-1.51(m,8H,4xGlu-C(β)Η2),1.56(m,6H,2xAla-C(β)H3)1.71(dq,J=12.9,1H,Val-C(β)H),1.83(m,2H,Pal-C(α)Η2,4H,2xGlu-C(β)Η2),2.13(m,4H,2xGlu-C(γ)Η2),2.7(t,2H,J=7.3Hz,Lys-C(ε)-H2),4.14-4.22(m,5H,Ile-C(α)H,2xGlu-C(α)H,Lys-C(α)H,Val-C(α)H),4.24-4.29(m,2H,2xGlu-C(α)H),4.43-4.52(m,6H,3xGly-C(α)H2),4.62-4.68(m,3H,2xAla-C(α)H,Val-C(α)H),4.73-4.86(m,1H,Val-C(α)H).
IKVAVPA5:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.78(t,3H,J=6.8Hz,Pal-CH3),0.84(t,3H,J=7.3Hz,Ile-C(δ)H3),0.90-0.94(m,12H,2xVal-C(γ)H3,3H,Ile-C(β)H3),1.19-1.29(m 24H,several Pal-CH2),1.44-1.49(m,11H,4xGlu-C(β)Η2,Ala-C(β)H3),1.88(m,2H,Pal-C(α)Η2),2.11(m,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.54(t,2H,J=6.9Hz,Lys-C(ε)-H2),4.13-4.29(m,5H,Ile-C(α)H,2xGlu-C(α)H,Lys-C(α)H,Val-C(α)H),4.41-4.47(m,2H,2xGlu-C(α)H),4.62-4.67(m,8H,4xGly-C(α)H2),4.72-4.79(m,2H,Ala-C(α)H,Gly-C(α)H2),4.73-4.86(m,1H,Val-C(α)H).
IKVAVPA6:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.82(t,3H,J=6.9Hz,Pal-CH3),0.88(t,3H,J=7.2Hz,Ile-C(δ)H3),0.93-1.06(m,18H,3xVal-C(γ)H3,3H,Ile-C(β)H3),1.23-1.21(m,24H,several Pal-CH2),1.46-1.51(m,20H,4xGlu-C(β)Η2,4xAla-C(β)H3),1.79-1.93(m,2H,Pal-C(α)Η2,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.09-2.20(m,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.62(t,2H,J=6.9Hz,Lys-C(ε)-H2),4.17(d,1H,J=17Hz,Ile-C(α)H2),4.21(d,1H,J=17Hz,Ile-C(β)H2),4.45-4,49(m,5H,4xGlu-C(α)H2,Val-C(α)H),4.55(d,J=7.33Hz,1H,Val-C(α)H),4.61-4.71(m,4H,Ala-C(α)H),4.79-4.82(m,2H,Val-C(α)H,Lys-C(α)H),4.87(m,1H,Val-C(α)H).
IKVAVPA7:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.84(t,3H,J=7.1Hz,Pal-CH3),0.89(t,3H,J=7.1Hz,Ile-C(δ)H3),0.89-1.03(m,18H,3xVal-C(γ)H3,3H,Ile-C(β)H3),1.17-1.24(m,24H,several Pal-CH2),1.38-1.54(m,20H,4xGlu-C(β)Η2,4xAla-C(β)H3),1.84-1.91(m,2H,Pal-C(α)Η2,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.01-2.11(m,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.72(t,2H,J=6.9Hz,Lys-C(ε)-H2),4.14(d,1H,J=16.7Hz,Ile-C(α)H2),4.21(d,1H,J=16.7Hz,Ile-C(β)H2),4.29-4.35(m,5H,4xGlu-C(α)H2,Val-C(α)H),4.51(d,J=7.12Hz,1H,Val-C(α)H),4.67-4.73(m,4H,Ala-C(α)H),4.72-4.81(m,2H,Val-C(α)H,Lys-C(α)H),4.88(m,1H,Val-C(α)H).
IKVAVPA8:1H-NMR(600MHz,TFA-d1):δ0.85(t,3H,J=7.2Hz,Pal-CH3),0.86(t,3H,J=7.1Hz,Ile-C(δ)H3),0.91-1.06(m,12H,2xVal-C(γ)H3,3H,Ile-C(β)H3),1.11-1.20(m,24H,several Pal-CH2),1.29-1.44(m,20H,4xGlu-C(β)Η2,4xAla-C(β)H3),1.81-1.92(m,2H,Pal-C(α)Η2,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.02-2.14(m,8H,4xGlu-C(γ)Η2),2.65(t,2H,J=7.1Hz,Lys-C(ε)-H2),4.09(d,1H,J=17.1Hz,Ile-C(α)H2),4.13(d,1H,J=17.1Hz,Ile-C(β)H2),4.21-4.30(m,4H,4xGlu-C(α)H2),4.54-4.62(m,5H,Ala-C(α)H),4.69-4.84(m,2H,Val-C(α)H,Lys-C(α)H),4.86-4.91(m,1H,Val-C(α)H).
【0157】
拡散整列スペクトロスコピー(DOSY)
PA材料を混合し(90mol%のIKVAVPA2+10mol%の各種FGF2PA)、上述したように超音波処理した後、凍結乾燥した。次に、標準5mmNMRチューブで0.25mMのトリメチルシリルプロパンスルホン酸ナトリウム(DSS)を化学シフト基準及び強度標準とし、試料をD2O水に溶解し、濃度6mMのNaOD1当量に可溶化させた。20分間超音波処理後、試料を80℃で30分間アニールした後、室温までゆっくりと冷却した。勾配パルス幅2ms及び拡散遅延時間100msとし、最大勾配強度を53G/cmとして刺激エコーパルス系列を使用したパルス磁場勾配NMRにより拡散係数を測定した。
【0158】
1.シミュレーション手順
Avogadroで各種PAを構築し、パルミトイルテールを付加するためのmartinize.pyの修正バージョンとペプチドのコイルドコイル二次構造を使用してMARTINI粗視化(CG)力場表示に変換した。(脂肪族テールから最も遠い)最後から2個のE残基とエピトープ内のK及びR残基は荷電性であり、最初から2個のE残基は過去のシミュレーションで繊維形成に理想的であることが分かっていたので、中性とみなした。最終電荷は、IKVAVPAでは-1とし、FGF2PAでは+3とする。CG水とシステムを中和するのに十分なイオンで溶媒和した21.5×21.5×21.5nm
3の立方体ボックスで2段階に分けてシミュレーションを行った。先ず、最小分子間間隙を3Åとして300のIKVAVPAをボックスにランダムに配置した。こうすると、50mMの濃度が得られる(IKVAVPAでは7.3~7.8重量%)。これは、自己集合シミュレーションを加速するために広く使用されている濃度範囲内であり、使用する実験システムよりも10倍まで高くすることができる。これらのシステムを10μs間平衡化させた(
図8)。形成された繊維をボックスの中心に置き、33のFGF2PA(10mol%)を繊維の周囲に3Åの最小間隙でランダムに付加した。次に、これらのシステムをシステム毎に5回の独立したシミュレーションで10μs間平衡化させた。
【0159】
全可視化は、ビジュアル・モレキュラー・ダイナミクス(VMD)を使用して実施した。シミュレーションの解析にも使用したGROMACS 5.0.4で粗視化分子動力学(CG-MD)シミュレーションを実施した。静電作用の比誘電率15と、レナード・ジョーンズ(Lennard-Jones)相互作用のポテンシャルシフトに基づく反応場を使用した分子間相互作用に1.1nmのカットオフを使用した。5000ステップまで又は原子間力が2000pN未満に収束するまで全システムを最小化した。温度(303K,τT=1ps)に速度リスケーリングアルゴリズムを使用し、圧力(1bar,τP=3ps)にベレンゼン法を使用するNPTアンサンブルで25fsの時間ステップを使用して自己集合シミュレーションを実施した。10μsの有効時間に対応する100,000,000ステップでシミュレーションを実施した。
【0160】
同一クラスター内のPAのカットオフ距離を0.6nmとすることにより、クラスター化を測定した(
図6J)。根平均二乗揺らぎ(RMSF)により表した場合に5μs後に平衡化されるシステムを使用し、5回のシミュレーションの最後の5μs間の根平均二乗揺らぎ(RMSF)を使用して動力学を測定した。したがって、FGF2PAによっては最後の5μsの前に繊維と結合せず、結果に遮蔽効果があったため、このようなシステムは、この分析では除外した。可視化のために、RMSFをβ係数に変換し、比較可能な色コードが得られるように全結果を正規化した。
【0161】
2.インビトロ細胞培養
ヒト臍帯静脈(HUVEC)培養
1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加した完全培地(Endo GRO-VEGF完全培地キット、Millipore)を使用してT-75細胞培養フラスコでヒト臍帯静脈(HUVEC)(ドナープール,LONZA,Allendale,New Jersey)を各実験(P2-P4)で70~80%コンフルエンスまで増殖させた。培地を3日毎に交換した。
【0162】
HUVEC処理及びコーティング
PAコアセンブリを無血清培地に溶解することにより処理液を調製した。処理液当たりのFGF2PAの総濃度は0.5μMとした。FGF2天然タンパク質(Peprotech)を再懸濁し、0.25nMで使用した。ウェスタンブロット実験では、HUVECを12ウェルプレートで約150,000個/ウェルの密度で2日間インビトロ培養した後に処理した。処理液を2時間~2日間インビトロで加えた後、細胞溶解液を回収するか又は細胞を固定した。PAコーティングでは、PAをカバースリップ(German Glass,Chemglass Life Science)又は「PAコアセンブリ作製」のセクションに記載したような組織培養プレートに塗布した。調査した全条件について各条件3枚ずつ3回の独立した実験を実施した。
【0163】
ヒト神経前駆細胞(hNPC)培養
神経前駆細胞(NPC)をヒト胚性幹細胞HUES64(Harvard University)から分化させた(
図2C参照)。要約すると、Matrigel(Thermo Fisher)をコーティングしたプレートにmTESR培地(STEMCELL Technologies)を分注し、幹細胞を70%コンフルエントまで増殖させ、二重SMAD阻害剤(SB431542,DNSK InternationalとLDN-193189,Tocris)を含有するN2B27培地(NEAA、Glutamax、N2及びB27を添加した50%DMEM:F12、50%Neurobasal;Gibco)に交換して12日間培養し、神経前駆細胞の生成を誘導した。5日目から12日目まで培地にラミニンを添加することにより、神経化を強化した。次に、神経ロゼット選択試薬(STEMCELL Technologies)で神経ロゼットを分離してNPCを得、bFGF(Millipore)を添加したN2B27(Gibco)培地で増殖させた。各種PAプラットフォームでの実験に備え、NPCをAccutase(Innovative Cell technology)で剥離させ、hycloneペニシリン-ストレプトマイシン(GE Healthcare)とアスコルビン酸(0.2μg/mL;Sigma-Aldrich)を添加したDMEM:F12+N2+B27培地を分注した個々のプラットフォームで培養した。
【0164】
ヒト神経前駆細胞(hNPC)培養物の各種IKVAVPAによる処理又はPAコアセンブリコーティングへの播種
IKVAVPA処理では、6ウェルプレートと24ウェルプレートのオルニチンコーティング(German Glass,Chemglass Life Science)上でhNPCを夫々500,000個/ウェル及び80,000個/ウェルの密度で培養した。hNPCを溶液中で60mMのIKVAVPA([PA]=6mM、[KCl]=3mM、[NaCl]=150mM)又は組換えラミニンタンパク質(10mg/mL)で処理した。PA:CaCl2比が6:1となるように、IKVAVPA2及びIKVAVPA5を5mMのCaCl2と混合し、hNPCを処理した。2D実験では、6ウェルプレートと24ウェルプレートの各種IKVAVPA又はラミニンコーティング上でhNPCを上記密度で培養した。コアセンブリ実験では、6ウェルプレートと24ウェルプレートの各種コアセンブリPAコーティング上でhNPCを夫々400,000個/ウェル及び50,000個/ウェルの密度で培養した。
【0165】
hycloneペニシリン-ストレプトマイシンとアスコルビン酸を添加したDMEM:F12+N2+B27培地をhNPCに週4回補充した。インビトロで24時間後、72時間後、1週間後又は2週間後に、夫々WB又はICC用に細胞溶解液を回収又は固定した。調査した全条件について各条件3枚ずつ少なくとも3回の独立した実験を実施した。
【0166】
翻訳の表面検知(SUnSET)
各種IKVAVPA処理液の存在下で培養したhNPCに37℃でピューロマイシン(20μM,Sigma-Aldrich)を10分間パルスした。ピューロマイシンパルスの2時間前に翻訳阻害剤対照としてシクロヘキシミド(100mg/mL,Calbiochem,Millipore)で細胞を前処理した。タンパク質抽出物30μgを取得し、Mini-PROTEAN TGXステインフリーゲル(4~20%グラジエント,BIO-RAD)にロードした。総タンパク質シグナルをChemiDocTM XRS+(Bio-Rad)で検出し、抗ピューロマイシン抗体(マウス抗ピューロマイシン1:5000,Millipore)を用いて新たに合成されたタンパク質をウェスタンブロットにより検出した。
【0167】
細胞生存率アッセイ
HUVECとhNPCを各種PAコアセンブリシステムで2日間~2週間インビトロにて処理又は培養した。培地を除去し、細胞を1×HBSS(Gibco)で1回リンスした。カルセインAM/エチジウムホモダイマー1生死アッセイ(Invitrogen)を使用し、細胞生存率を評価した。カルセインAM/エチジウムホモダイマー1のHBSS溶液を室温(RT)で20分間各ウェルに加えた。溶液を除去し、試料をHBSS(Gibco)で3回リンスした後、カバースリップをイメージングに備えて封入した。
【0168】
EdU分析
hNPC増殖アッセイでは、チミジンアナログである5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU,Thermo Fisher)2μMを培養培地に24時間取り込ませた。細胞を指定時点で室温にて4%パラホルムアルデヒド(PFA)で15分間固定した。固定後、試料をPBSで2回洗浄した後、(50mM原液から分取した)11mMのCuSO4と(0.5mg/mLのThermo Fisher製品から分取した)1μg/mLのAlexa Fluor-555アジドを含有するClick-iT(登録商標)EdU細胞増殖キットで室温にて暗所で30分間染色した。次に、染色カクテルを除去し、細胞をPBSで洗浄した。次に、下記免疫蛍光プロトコルに従う抗ウサギSOX2抗体と、5μg/mLの4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI,Thermo Fisher)のPBS溶液でhNPCを室温にて20分間対比染色した。次に、細胞をPBSで洗浄し、イメージングに備えてImmu-Mount(Fisher Scientific)で封入した。
【0169】
4.インビボ試験:
全動物飼育及び処置は、実験動物の人道的管理と使用に関する米国公衆衛生局規範(Public Health Service Policy on Humane Care and Use of Laboratory Animals)に従って実施した。全処置は、ノースウェスタン大学動物実験委員会(Northwestern University Institutional Animal Care and Use Committee)により承認された。
【0170】
外科処置
全実験は、ノースウェスタン大学のシンプソン・クエリー研究所(Simpson Querrey Institute)で実施した。CD1マウス(Charles River)182匹をこの試験の対象とした(シャム群:N=38、IKVAVPA2単独群:N=38、IKVAVPA2+FGF2PA1群:N=38、IKVAVPA2+FGF2PA2群:N=38、IKVAVPA1群:N=12、主鎖PA群:N=12、IKVAVPA4群:N=6)。試験で使用した動物の年齢は、10~16週齢とした。8回の独立したインビボ実験を実施し(損傷+PA注入)、8回の実験の各々で厳密に同齢の動物に、シャム群、IKVAVPA2単独群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群の少なくとも4群の主要処理群を注入した。2.5%イソフルランガスと酸素を使用して動物に麻酔した。椎弓切除を行い、脊髄レベルT10-T11の脊髄を露出させた。Infinite Horizon Spinal Cord Impactorシステム(IH-0400,Precision Systems and Instrumentation)を使用し、衝撃力を85kdynとし、持続時間を60秒として重度挫傷作成を実施した。受傷後、9mm創傷クリップ(BD Biosciences)を使用して皮膚を縫合し、体温を維持するように温熱パッドの上で動物を回復させた。12週間の全実験期間中、毎日手動で腹圧排尿を行った。
【0171】
動物適格・除外基準
受傷から24時間後に全マウスをオープンフィールド環境で評価し、何らかの後肢運動(BMSスコアで0よりも高いスコア)を示す動物を試験から除外した。この適格基準に合格したマウスをPA注入用実験群にランダムに割り当てた後、それらの実験条件を隠してブラインド評価した。
【0172】
注入手順
SCIから24時間後に、他の文献(19)に記載されているように表面張力を低下させるためにSigmacote(Sigma-Aldrich)をコーティングしたガラスキャピラリーマイクロピペット(Sutter Instruments,Novato,CA)(外径100μm)を使用して(NaClの0.9%滅菌溶液に1重量%を溶解した)各種PAを注入した。Micro4マイクロシリンジポンプコントローラー(World Precision Instruments)による制御下のメスルアーアダプター(World Precision Instruments)を使用してキャピラリーをHamiltonシリンジに取り付けた。イソフルラン麻酔下に、オートクリップを外し、損傷部位を露出させた。損傷から24時間後に、脊柱の椎弓切除はそのままであり、受傷により形成された傷が見えた。Kopf社の脳定位固定装置を使用し、マイクロピペットを病巣の直ぐ背側に配置した。脊髄の背側表面から測定して750μmの深さまでマイクロピペットを下降させ、希釈した両親媒性分子溶液4~6μLを1μL/分の速度で注入した。脊髄内に(腹側から背側に)PAの軌跡を残すように、マイクロピペットを250μm間隔で引き上げた。注入の終わりに、ピペットを更に2~3分間停止させて材料をゲル化させた後に引き上げ、切開部を9mm創傷クリップで閉じた。
【0173】
後肢歩行運動評価
Basso Mouse Scale(BMS)の歩行運動オープンフィールド評点スケールを使用して運動機能を評価した。熟練試験員が2人1組で各動物を5~10分間評価し、定義されたスコアを各後肢に割り当てた。足跡解析では、マウスの後肢を染料に浸した。幅の狭いランウェイ(長さ80cm及び幅4cm)を白紙で覆い、動物を歩行させた。後肢による一歩の開始から終了までの距離としてストライド長を定義した。左足つま先の最も外側から右足つま先の最も外側までの距離としてストライド幅を定義した。全測定値は各側で連続3歩について測定し、平均した。
【0174】
順行性BDA皮質脊髄路トレーシング
灌流の14日前に、各条件6匹ずつを使用して皮質脊髄路をトレーシングした。酸素中2.5%濃度のイソフルランガスを使用して動物に麻酔した。脳定位固定装置(Stoelting Co.)を使用して各マウスの頭部を固定した。外科手術用メス刃を使用して頭蓋の正中線に沿って頭皮を8mm切開した。運動皮質の領域である各半球に10%ビオチン化デキストランアミン(BDA、分子量=10,000、Thermo Fisher Scientific)0.25μLを注入した。以下の座標を使用した。ブレグマから吻側-尾側:±0.0mm、0.5mm、1.0mm;側方:±1.0mm、1.5mm;深さ:0.7mm。BDAを検出するために、ストレプトアビジンと555のコンジュゲートで標識した二次抗体(Thermofisher)で切片を処理した。
【0175】
BrdU注入
24時間後にPAを脊髄に注入し、各条件6匹ずつを使用し、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU,Sigma-Aldrich)を7日間(1日1パルス)腹腔内に(体重10g当たり5mg)注入した。PA注入から12週間後に免疫組織化学法(ラット抗BrdU、1:1000、Abcam)によりBrdU取り込みを分析した。
【0176】
DiI標識
深麻酔後で灌流の直前に、従来記載されているように(21)、5w/v%のグルコースを含有するPBS溶液に20μL/mLのDiI(Sigma-Aldrich)を溶解して各条件6匹ずつに経心腔的に注入した。その直後に、4%のパラホルムアルデヒドを含有する等張溶液(pH7.4の0.4Mリン酸緩衝液にPFAを溶解したもの)を使用して動物を経心腔的に灌流した。
【0177】
動物犠牲死及び組織処理
二酸化炭素の過剰投与を使用すると共に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)とそれに続いて4%のパラホルムアルデヒド(PFA,Sigma-Aldrich)を含有する等張溶液(pH7.4の0.4Mリン酸緩衝液)を経心腔的に灌流して全動物を犠牲死させた。脊髄を4%PFAで4~6時間固定し、30%のスクロース(Sigma-Aldrich)を含有するPBSで終夜固定した。次に、30%のスクロース(Sigma-Aldrich)と15%のゼラチン(Sigma-Aldrich)を含有するPBS中で脊髄を凍結させ、Leica CM1850クライオスタットで厚さ40μmに薄切した。
【0178】
5.インビトロ及びインビボ用バイオアッセイ
免疫蛍光法
免疫蛍光法では、0.02%Triton-X(Sigma-Aldrich)、1%NHS(Gibco)及び1×PBS(Gibco)を含有するブロッキングバッファー中で固定済みの一次培養物又はフリーフローティング組織切片(厚さ40μm)をインキュベートした。試料を一次抗体と共に4℃で終夜インキュベートした。Alexa-488、Alexa-555及び/又はAlexa-647(1:500,Thermofisher)を二次抗体として使用した。DAPI(1:500,Thermofisher)を使用して核を染色した。最後に、イメージングに備えてImmu-Mount(Fisher Scientific)溶液で試料をカバースリップに封入した。
【0179】
ウェスタンブロット(WB)
Haltプロテアーゼ・ホスファターゼ阻害剤カクテル(Thermofisher)を添加したRIPAバッファー(Thermofisher)を使用してインビトロ及びインビボ試料からタンパク質を抽出した。その後、インビボ試験では、ホーン型超音波装置(Branson)を使用して脊髄組織を超音波処理し、組織を破砕した。Pierce(登録商標)BCAタンパク質アッセイキット(Thermofisher)を使用し、使用した全試料のタンパク質含有量を求めた。細胞培養又は組織から得られたタンパク質抽出物をSDS-ポリアクリルアミドゲルにより分離し、ニトロセルロース膜(Bio-Rad)に電気泳動で転写した。5%スキムミルク溶液(Bio-Rad)を使用して膜を30分~1時間ブロックし、一次抗体と共に終夜インキュベートした。対応するHRP標識二次抗体(1:1000,ThermoFisher)を室温で1時間使用した。Radiance生物発光ECL基質(Azure Biosystems)を使用してタンパク質シグナルを検出した。Azure Biosystemsイメージャーを使用して膜をイメージングし、ImageJソフトウェアを使用してデンシトメトリー分析を実施した。
【0180】
免疫蛍光法及びウェスタンブロット用抗体
以下の一次抗体をインビトロ及び/又はインビボ試験に使用した。ウサギ抗GFAP(1:1000,Dako,Z0334)、ウサギ抗ラミニンB1(1:1000,Sigma-Aldrich)、ウサギ抗アクチン(1:2000,Sigma-Aldrich,A2066)、マウス抗GAPDH(1:2000,Cell Signaling,97166)、ヤギ抗5HT(1:1000,Abcam,mab66047)、ウサギ抗CD31(1:100,BD Pharmigen,550274)、マウス抗ニューロフィラメント(NF,1:2000,Millipore,MAB1592)、ウサギ抗GAP43(1:2000,Cell Signaling,8945)、ヤギ抗Sox2(1:1000,Abcam,ab110145)、ストレプトアビジンAlexa Fluor(登録商標)555コンジュゲート(1:500,Thermofisher,S32355)、ウサギ抗PH3(1:1000,Cell Signaling,9701)、ラット抗BrdU(1:1000,Abcam,ab6326)、ウサギ抗MBP(1:500,Abcam,ab40390)、マウス抗NeuN(1:1000,Millipore,MAB377)、ヤギ抗ChAT(1:1000,Millipore,AB144P)、ウサギ抗FGFR1(1:500,Cell signalling,3472)、p-FGFR1(1:500,Cell signalling,3471)、マウス抗ITGB1(1:250,Millipore,クローンHUTS-4,MAB2079Z)、ウサギ抗p-ERK1/2(1:1000,Abcam,ab196883)、TUJ1(1:2000,Biolegend,802001及び801213)、マウス抗Pax6(1:500,Millipore,AD2.38)、ウサギ抗Ki67(1:500,Abcam,ab15580)、ウサギ抗ネスチン(1:1000 Millipore,ABD69)、ウサギ抗ILK(1:500,Cell Signaling,3862)、ウサギ抗p-FAK(1:1000,Cell Signalling,3281S)、ウサギ抗FAK(1:1000,Cell Signaling,3285S)。
【0181】
血管分析
インビトロ管腔構造形成及びインビボ血管新生を評価するために、1)血管面積分率、2)血管長、及び3)分岐数を自動計算するようにImageJ(Fiji)スクリプトを設定した。画像を処理し、二値化し、解析した。着目領域内のCD31/BrdU二重陽性細胞の量を定量することにより、インビボで新たに形成された血管を同定した。マウス1匹当たり病巣内の8断面でDiI染色を使用して機能的血管を同定した。この解析では各投与群につき6匹を使用した。定量した断面を、DiI染色された病巣内の最初の連続断面として選択した。
【0182】
神経突起追跡
BDA(Thermofisher,N7167)を使用して標識するか又は5HT(Abcam)で染色した軸索を従来記載されているように(21)Imaris(登録商標)ソフトウェアバージョン9.3により定量した。SCI病巣の近位辺縁(PB)から遠位辺縁(DB)まで縦断面脊髄切片を横切るように一定間隔で線を引き、実験条件を知らせていない研究者により、引いた線と交差する軸索数を計数した。BDA又は5HT染色が濃い脊髄の中央を通る複数の断面を1匹毎に計数し、1匹当たり1箇所当たりの合計交差数として表した。これらの解析では、各投与群につき6匹を使用した。
【0183】
分解試験及び組織透明化
IKVAV配列をAlexa-647(click)蛍光色素で共有結合的に標識することにより、受傷脊髄に注入したPAの分解試験を実施した。PA注入後の種々の時点(2週間、4週間、6週間及び12週間)で脊髄を灌流し、抽出し、ベンジルアルコール-安息香酸ベンジル(BABB,Sigma-Aldrich)を使用して透明化した。透明化後、脊髄組織は、488nmで蛍光発光した。スピニングディスク共焦点顕微鏡法を使用して完全な再構成を行い、Imarisソフトウェアを使用して解析した。これらの試験では、各投与群及び各時点につき3本の脊髄を使用した。
【0184】
イメージング
GaAsP検出器を搭載したニコンA1R共焦点レーザー走査型顕微鏡、ニコンW1デュアルカムスピニングディスク共焦点顕微鏡及びニコンA1RMP+多光子共焦点レーザー顕微鏡を使用し、蛍光細胞、切片又は完全透明化脊髄試料を可視化・イメージングした。ニコンTi2広視野顕微鏡を使用し、脊髄のより大きな断面を取得した。
【0185】
画像定量及び解析
インビトロ細胞定量では、画像ファイルをNIH Image J(1.51)ソフトウェアにインポートし、「粒子解析」及び「セルカウンター」機能を使用し、指定領域内の合計細胞数を測定した。フリーフローティング免疫染色法を使用して連続組織切片をNeuNとChATで染色し、ニコンElementsソフトウェアを使用して定量した。灰白質の4つの角の全てでNeuN染色された最初の断面として病巣の吻側及び尾側辺縁を選択した。1匹当たり病巣内の8断面を選択し、1断面当たりのニューロン数として表した。ニコンGasP R1共焦点顕微鏡で自動マルチチャンネル画像取得、画像スティッチング、及びzスタック再構成(厚さ36~40mm)を行い、全条件についてNeuN及びChatマーカーに選択された断面全体をイメージングした。
【0186】
NIH Fijiソフトウェアを使用し、GFAPで染色された組織切片の蛍光強度を分析した。この分析には、上記各種顕微鏡で一定の露出設定でスキャンした画像を使用した。シングルチャンネル免疫蛍光画像を使用し、各画像で選択した領域に沿って蛍光陽性画素数を分析した。ImageJソフトウェアの「Plot Profile」機能を使用し、引いた線に沿う位置に関する平均画素値を得た。距離に対してGFAPをプロットするために、マウス1匹当たり脊髄の中央を通る5断面を計数した。各投与群につき6匹を画像定量に使用した。
【0187】
統計分析
GraphPad Prismソフトウェア(バージョン9.12)を使用してデータを解析した。各統計分析では、正規分布の迅速な同定のために、Q-Qプロット又は周波数分布プロット(ヒストグラム)を使用した。シャピロ・ウィルク(Shapiro Wilk)検定とダゴスティーノ・ピアソン(D’Agostino-Pearson)オムニバス正規性検定を使用し、サンプルデータがガウス分布にフィットするか否かも試験した。実験群ペア間の比較は、対応のないスチューデントのt検定を使用して実施した。3群以上の比較は、一元配置分散分析とボンフェローニ法による独立ペアワイズ事後解析を使用して実施した。二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法により、PA投与群と生理食塩水投与群又はPA群間でマウスBMS行動スコアを比較した。統計的検定法と、定義及び実験数を含むパラメーターは、対応する図面の説明で報告する。インビトロデータは、棒グラフを使用して表した。エラーバーは、実験当たり30画像と各条件3回の独立した実験に相当する。インビボデータは、ドットプロットを使用して表し、各データ点は、インビボ動物1匹又は組織切片1枚の数値を表す(全染色実験では、6匹の異なる動物に由来する組織を使用してICCを独立して繰り返し、同等の結果を得た。各群1匹当たり厚さ36~40mmの画像8枚を撮影した)。特に指定しない限り、全データは、平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
【
図1A】
図1A~1Eは、調査したIKVAVPA分子のライブラリーを示す。(A)使用した各種IKVAVPA分子の具体的な化学構造と、IKVAV生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示。(B)前記ライブラリーにおける各種IKVAVPAのクライオTEM顕微鏡写真と、これらの写真に対応する個々のIKVAVPAフィラメントのRMSF値の色コード表示。(C)各種IKVAVPA分子の平均RMSF値の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立したシミュレーションに対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)各種IKVAVPAナノファイバーのSAXSパターン及び(E)WAXSプロファイル(散乱強度は重ならないようにするために縦方向にずらせ、1.35Å付近のβシートスペーシングに対応するブラッグピークをグレーの枠内に示す)。スケールバー:200nm。
【
図1B】
図1A~1Eは、調査したIKVAVPA分子のライブラリーを示す。(A)使用した各種IKVAVPA分子の具体的な化学構造と、IKVAV生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示。(B)前記ライブラリーにおける各種IKVAVPAのクライオTEM顕微鏡写真と、これらの写真に対応する個々のIKVAVPAフィラメントのRMSF値の色コード表示。(C)各種IKVAVPA分子の平均RMSF値の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立したシミュレーションに対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)各種IKVAVPAナノファイバーのSAXSパターン及び(E)WAXSプロファイル(散乱強度は重ならないようにするために縦方向にずらせ、1.35Å付近のβシートスペーシングに対応するブラッグピークをグレーの枠内に示す)。スケールバー:200nm。
【
図1C-1E】
図1A~1Eは、調査したIKVAVPA分子のライブラリーを示す。(A)使用した各種IKVAVPA分子の具体的な化学構造と、IKVAV生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示。(B)前記ライブラリーにおける各種IKVAVPAのクライオTEM顕微鏡写真と、これらの写真に対応する個々のIKVAVPAフィラメントのRMSF値の色コード表示。(C)各種IKVAVPA分子の平均RMSF値の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立したシミュレーションに対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)各種IKVAVPAナノファイバーのSAXSパターン及び(E)WAXSプロファイル(散乱強度は重ならないようにするために縦方向にずらせ、1.35Å付近のβシートスペーシングに対応するブラッグピークをグレーの枠内に示す)。スケールバー:200nm。
【
図2A-2B】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2C】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2D】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2E-2F】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2G-2H】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図2I-2J】
図2A~2Jは、hNPCシグナル伝達にインビトロで及ぼす超分子運動の影響を示す。(A)IKVAVPAナノファイバーの分子グラフィックス表示であり、蛍光偏光解消測定でプローブとして使用したDPHの化学構造と位置を示す(上);IKVAVPA溶液の蛍光異方性の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;n.s.有意差なし、
***P<0.0001、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(B)IKVAVペプチド配列の化学構造であり、NMRにより観測したK残基を強調表示する(上);調査した各種IKVAVPAのK緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
***P<0.0001vs.IKVAVPA1、
#P<0.05、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2、及び
+P<0.05、
+++P<0.0001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)hNPCに使用した分化条件。(D)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、ITGB1-受容体(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)ラミニンと各種IKVAVPAで処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、ILK及びTUJ1のWB結果。(F)IKVAVPA1、PA2、PA4及びPA5で処理したhNPCの代表的な共焦点顕微鏡写真;ネスチン-幹細胞(赤)、SOX2-幹細胞(緑)、TUJ1-ニューロン(白)、及びDAPI-核(青)。(G、H)各種IKVAVPAで処理したSOX2
+/ネスチン
+幹細胞(G)とTUJ1
+神経細胞(H)の百分率の棒グラフ(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(I)カルシウムイオンの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)にIKVAVPA2ナノファイバーで得られた蛍光異方性(左)及びK残基緩和時間(右)(
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)Ca
2+の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK、FAK、及びILKのWB結果。スケールバー:(D)10mm、(F)100mm。
【
図3A】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3B-3C】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3D-3F】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3G】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3H】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3I】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3J】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3K】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図3L】
図3A~3Lは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、SCI後の皮質脊髄路軸索の成長に差を生じることを示す。(A)使用した2種類のPA分子の化学構造。(B)2種類の生理活性シグナルを提示する超分子ナノファイバーの分子グラフィックス表示(上);IKVAVPA2と各種FGF2PA(FGF2PA1及びFGF2PA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(下)。(C)IKVAVPA2(緑)及び各種FGF2PA(FGF2PA1(赤)及びFGF2PA2(青))との夫々のコアセンブリの貯蔵弾性率。(D)Alexa 647で共有結合的に標識したIKVAVPA2+FGF2PA1(赤)を注入した脊髄(緑)の蛍光顕微鏡写真。(E)移植後時間の関数としてのPA足場体積のドットプロット。(F)BDA及びPA注入部位を示す模式図(左);NeuN-ニューロン(緑)、BDAで標識したニューロン(赤)及びDAPI-核(青)で染色された脳皮質(右上)と、GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青)で染色された横断面脊髄切片(右下)の蛍光顕微鏡写真。(G)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(H)Gにおける切片の代表的な拡大画像。(I)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(J)シャム群、IKVAVPA2群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、及びIKVAVPA2+FGF2PA2群におけるGAP43及びMBPタンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(K)BDAで標識した軸索再成長(赤)の代表的な3D蛍光顕微鏡写真であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)(左)と、ラミニン(白)(右)も認められる。(L)Jに記載した条件下のラミニン及びフィブロネクチン発現のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
***P<0.00vs.シャム群1及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、Eでは各群3匹に対応し、J及びLでは各群4匹に対応する。スケールバー:(D、G)1500μm、(F)25μm(上)及び200μm(下)、(H)100μm、並びに(K)2μm。
【
図4A-4B】
図4A~4
Eは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、血管新生に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群における横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)。(B)Aの各群の横断面切片における血管面積分率、灌流血管長、及び分岐数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.0001vs.シャム群及び
##P<0.001、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2を注入した動物の病巣の中心におけるBrdU
+/CD31
+細胞の蛍光画像;CD31-血管(緑)、BrdU-新たに生成された細胞(赤)、及びDAPI-核(青)。(D)IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及び生理食塩水(シャム)を投与した群におけるmm
2当たりBrdU
+/CD31
+細胞数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)CD31タンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.001、
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、B及びDでは各群6匹に対応し、Eでは各群4匹に対応する。スケールバー:(A)200μm、(C)25μm。
【
図4C-4E】
図4A~4
Eは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、血管新生に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群における横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)。(B)Aの各群の横断面切片における血管面積分率、灌流血管長、及び分岐数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.0001vs.シャム群及び
##P<0.001、
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(C)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2を注入した動物の病巣の中心におけるBrdU
+/CD31
+細胞の蛍光画像;CD31-血管(緑)、BrdU-新たに生成された細胞(赤)、及びDAPI-核(青)。(D)IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及び生理食塩水(シャム)を投与した群におけるmm
2当たりBrdU
+/CD31
+細胞数のドットプロット(
*P<0.05、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)CD31タンパク質のWB結果(左)と、正規化値のドットプロット(右)(
**P<0.001、
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。データ点は、B及びDでは各群6匹に対応し、Eでは各群4匹に対応する。スケールバー:(A)200μm、(C)25μm。
【
図5A-5B】
図5A~5Dは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、ニューロン生存と機能回復に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群に対応する横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)及びDAPI-核(青)を示し、破線は、灰白質(角)を示す。(B)Aの切片の前角領域の高倍率画像;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(左);ChAT-運動ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(右)。(C)横断面切片当たりのNeuN
+細胞数(左)とChAT
+細胞数(右)を示すドットプロット(データ点は、各群6匹、1匹当たり8切片の合計48切片に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)インビボ実験の実験タイムライン(上)と、歩行運動のBasso Mouse Scale(BMS)(下)(エラーバーは各群38匹に対応する;
**P<0.001、
***P<0.0001全PA群vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA2群とIKVAVPA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)200μm、(B)25μm。
【
図5C-5D】
図5A~5Dは、夫々同一の2種の生理活性配列を有する2種類の化学的に異なるPA足場が、ニューロン生存と機能回復に差を生じることを示す。(A)未損傷群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びシャム群に対応する横断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)及びDAPI-核(青)を示し、破線は、灰白質(角)を示す。(B)Aの切片の前角領域の高倍率画像;NeuN-ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(左);ChAT-運動ニューロン(緑)、DiIで標識した血管(赤)、及びDAPI-核(青)(右)。(C)横断面切片当たりのNeuN
+細胞数(左)とChAT
+細胞数(右)を示すドットプロット(データ点は、各群6匹、1匹当たり8切片の合計48切片に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群及び
###P<0.001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(D)インビボ実験の実験タイムライン(上)と、歩行運動のBasso Mouse Scale(BMS)(下)(エラーバーは各群38匹に対応する;
**P<0.001、
***P<0.0001全PA群vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA2群とIKVAVPA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)200μm、(B)25μm。
【
図6A-6C】
図6A~6Jは、異なる超分子運動を示す2種類のPA足場間の細胞シグナル伝達の差をインビトロで検証するデータを示す。(A)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECの共焦点顕微鏡写真;アクチン-サイトスケルトン(赤)、DAPI-核(青)。(B)ラミニン+FGF2、IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECにおける分岐数の棒グラフ。(C)Bの条件を使用したWB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及び活性ERK1/2(p-ERK1/2)の正規化値の棒グラフ(右)。(D)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2のコーティング上のhNPCの共焦点顕微鏡写真;EDU増殖マーカー(赤)、SOX2-神経幹細胞マーカー(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)各種コーティング上のEDU
+/SOX2
+細胞の百分率の棒グラフ。(F)WB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及びb1インテグリン(ITGB1)の正規化値の棒グラフ(右)。(G)6.81ppmのFGF2ミメティックシグナルに含まれるY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1H-NMRスピン-スピン緩和時間(実線は、単回帰最良線形フィットである)。(H)Gで測定した芳香族緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
*P<0.05、スチューデントのt検定による)。(I)Cy3色素で化学的に修飾したFGF2PAの蛍光異方性(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)FGF2PAのクラスターにおけるRMSF値の色コード表示(左)及び対応する棒グラフ(右)(IKVAVPA2分子を透明グレーで示し、分かり易くするためにイオンと水分子は除去し、シミュレーションボックスを青で示す)(エラーバーは、5回の独立したシミュレーションに対応する;
**P<0.01、スチューデントのt検定による)。エラーバーは、B及びEでは各条件3回の独立した実験に対応し、C及びFでは4回の独立した実験に対応する;
***P<0.0001vs.ラミニン+FGF2及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による。スケールバー:(A)200μm、(D)100μm。
【
図6D-6F】
図6A~6Jは、異なる超分子運動を示す2種類のPA足場間の細胞シグナル伝達の差をインビトロで検証するデータを示す。(A)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECの共焦点顕微鏡写真;アクチン-サイトスケルトン(赤)、DAPI-核(青)。(B)ラミニン+FGF2、IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECにおける分岐数の棒グラフ。(C)Bの条件を使用したWB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及び活性ERK1/2(p-ERK1/2)の正規化値の棒グラフ(右)。(D)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2のコーティング上のhNPCの共焦点顕微鏡写真;EDU増殖マーカー(赤)、SOX2-神経幹細胞マーカー(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)各種コーティング上のEDU
+/SOX2
+細胞の百分率の棒グラフ。(F)WB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及びb1インテグリン(ITGB1)の正規化値の棒グラフ(右)。(G)6.81ppmのFGF2ミメティックシグナルに含まれるY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1H-NMRスピン-スピン緩和時間(実線は、単回帰最良線形フィットである)。(H)Gで測定した芳香族緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
*P<0.05、スチューデントのt検定による)。(I)Cy3色素で化学的に修飾したFGF2PAの蛍光異方性(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)FGF2PAのクラスターにおけるRMSF値の色コード表示(左)及び対応する棒グラフ(右)(IKVAVPA2分子を透明グレーで示し、分かり易くするためにイオンと水分子は除去し、シミュレーションボックスを青で示す)(エラーバーは、5回の独立したシミュレーションに対応する;
**P<0.01、スチューデントのt検定による)。エラーバーは、B及びEでは各条件3回の独立した実験に対応し、C及びFでは4回の独立した実験に対応する;
***P<0.0001vs.ラミニン+FGF2及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による。スケールバー:(A)200μm、(D)100μm。
【
図6G-6J】
図6A~6Jは、異なる超分子運動を示す2種類のPA足場間の細胞シグナル伝達の差をインビトロで検証するデータを示す。(A)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECの共焦点顕微鏡写真;アクチン-サイトスケルトン(赤)、DAPI-核(青)。(B)ラミニン+FGF2、IKVAVPA2単独、IKVAVPA2+FGF2PA1、及びIKVAVPA2+FGF2PA2で処理したHUVECにおける分岐数の棒グラフ。(C)Bの条件を使用したWB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及び活性ERK1/2(p-ERK1/2)の正規化値の棒グラフ(右)。(D)IKVAVPA2+FGF2PA1及びIKVAVPA2+FGF2PA2のコーティング上のhNPCの共焦点顕微鏡写真;EDU増殖マーカー(赤)、SOX2-神経幹細胞マーカー(緑)、及びDAPI-核(青)。(E)各種コーティング上のEDU
+/SOX2
+細胞の百分率の棒グラフ。(F)WB結果(左)と、全FGFR1(FGFR1)に対する活性FGFR1(p-FGFR1)及びb1インテグリン(ITGB1)の正規化値の棒グラフ(右)。(G)6.81ppmのFGF2ミメティックシグナルに含まれるY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1H-NMRスピン-スピン緩和時間(実線は、単回帰最良線形フィットである)。(H)Gで測定した芳香族緩和時間の棒グラフ(エラーバーは各条件3回の実験に対応する;
*P<0.05、スチューデントのt検定による)。(I)Cy3色素で化学的に修飾したFGF2PAの蛍光異方性(エラーバーは、3回の独立した実験に対応する;
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(J)FGF2PAのクラスターにおけるRMSF値の色コード表示(左)及び対応する棒グラフ(右)(IKVAVPA2分子を透明グレーで示し、分かり易くするためにイオンと水分子は除去し、シミュレーションボックスを青で示す)(エラーバーは、5回の独立したシミュレーションに対応する;
**P<0.01、スチューデントのt検定による)。エラーバーは、B及びEでは各条件3回の独立した実験に対応し、C及びFでは4回の独立した実験に対応する;
***P<0.0001vs.ラミニン+FGF2及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による。スケールバー:(A)200μm、(D)100μm。
【
図7】各種IKVAVPAの化学構造(左)と質量スペクトル(右)を示す。
【
図8】各種IKVAVPAの時間に対する根平均二乗偏差(RMSD)を表すプロットを示す。
【
図9】hNPCをオルニチンコーティング上で培養したものと、ラミニン及びIKVAVPAのライブラリーで処理したものにおけるITGB1、p-FAK/FAK、ILK、及びTUJ1の正規化値の棒グラフを示す(エラーバーは、3回の独立した分化に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001vs.IKVAVPA2及び
#P<0.05、
##P<0.01、
###P<0.001vs.IKVAVPA5、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。
【
図10A-10B】
図10A~10Cは、超分子運動とインビトロ細胞シグナル伝達に及ぼすカルシウムの影響を示す。(A)カルシウムの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)におけるIKVAVPA2溶液とIKVAVPA5溶液の異方性(エラーバーは3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(B)Aに記載した条件で培養したhNPCの代表的な蛍光顕微鏡写真。(C)カルシウム(Ca
2+)の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2又はIKVAVPA5で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK/FAK、ILK、及びTUJ1のWB結果(左)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(右)(カルシウム単独(+)を対照として使用した;エラーバーは、各条件3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。スケールバー:10mm。
【
図10C】
図10A~10Cは、超分子運動とインビトロ細胞シグナル伝達に及ぼすカルシウムの影響を示す。(A)カルシウムの不在下(No Ca
2+)又は存在下(Ca
2+)におけるIKVAVPA2溶液とIKVAVPA5溶液の異方性(エラーバーは3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。(B)Aに記載した条件で培養したhNPCの代表的な蛍光顕微鏡写真。(C)カルシウム(Ca
2+)の不在下(-)又は存在下(+)にIKVAVPA2又はIKVAVPA5で処理したhNPCにおけるITGB1、p-FAK/FAK、ILK、及びTUJ1のWB結果(左)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(右)(カルシウム単独(+)を対照として使用した;エラーバーは、各条件3回の独立した実験に対応する;
**P<0.01、
***P<0.001、スチューデントのt検定による)。スケールバー:10mm。
【
図11A-11B】
図11A~11Cは、種々のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリのクライオTEM画像と貯蔵弾性率を示す。(A)95:5、(B)90:10、及び(C)80:20のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PA(PA1又はPA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(左)と貯蔵弾性率(右)(データ点は、各条件3回の反復実験に対応する;n.s.は、有意差なしを表す、
*P<0.05、スチューデントの両側t検定による)。スケールバー:200nm。
【
図11C】
図11A~11Cは、種々のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリのクライオTEM画像と貯蔵弾性率を示す。(A)95:5、(B)90:10、及び(C)80:20のモル比のIKVAVPA2と各種FGF2PA(PA1又はPA2)のコアセンブリのクライオTEM顕微鏡写真(左)と貯蔵弾性率(右)(データ点は、各条件3回の反復実験に対応する;n.s.は、有意差なしを表す、
*P<0.05、スチューデントの両側t検定による)。スケールバー:200nm。
【
図12A-12E】
図12A~12Fは、IKVAVPA2+FGF2PAコアセンブリシステムの特性決定を示す。IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の(A)SAXS散乱パターン、(B)WAXSプロファイル、及び(C)FT-IR。(D)IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の高倍率ネガティブTEM画像。(E)Dに記載した条件の繊維幅(エラーバーは、各条件50本の繊維に対応する;
**P<0.01vs.IKVAVPA2及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(F)種々の百分率のIKVAVPA2、FGF2PA1、FGF2PA2及びそのコアセンブリの600nmにおける光学密度(O.D.)プロット(左)と、FGF2PA(オレンジ色)及びIKVAVPA2とのそのコアセンブリ(赤)の写真(右)(エラーバーは、各条件3回の反復実験に対応する;
***P<0.0001vs.そのコアセンブリ試料、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:100nm。
【
図12F】
図12A~12Fは、IKVAVPA2+FGF2PAコアセンブリシステムの特性決定を示す。IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の(A)SAXS散乱パターン、(B)WAXSプロファイル、及び(C)FT-IR。(D)IKVAVPA2(緑)、IKVAVPA2+FGF2PA1(赤)及びIKVAVPA2+FGF2PA2(青)の高倍率ネガティブTEM画像。(E)Dに記載した条件の繊維幅(エラーバーは、各条件50本の繊維に対応する;
**P<0.01vs.IKVAVPA2及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2+FGF2PA1、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(F)種々の百分率のIKVAVPA2、FGF2PA1、FGF2PA2及びそのコアセンブリの600nmにおける光学密度(O.D.)プロット(左)と、FGF2PA(オレンジ色)及びIKVAVPA2とのそのコアセンブリ(赤)の写真(右)(エラーバーは、各条件3回の反復実験に対応する;
***P<0.0001vs.そのコアセンブリ試料、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:100nm。
【
図13A-13D】
図13A~13Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した脊髄の透明化を示す。Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2の(A)化学構造と、(B)質量スペクトル。(C)Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2のクライオTEM画像。(D)組織を透明化する前(非透明化)及び後(透明化)にPAを注入したマウス脊髄の写真。(E)IKVAVPA2を1%のAlexa Fluor(登録商標)647で標識し、IKVAVPA2+FGF2PA1又はIKVAVPA2+FGF2PA2(いずれも赤)を注入したマウス脊髄(緑)の完全な顕微鏡写真再構成である。スケールバー:(C)100nm及び(E)1000μm。
【
図13E】
図13A~13Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した脊髄の透明化を示す。Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2の(A)化学構造と、(B)質量スペクトル。(C)Alexa Fluor(登録商標)647で標識したIKVAVPA2のクライオTEM画像。(D)組織を透明化する前(非透明化)及び後(透明化)にPAを注入したマウス脊髄の写真。(E)IKVAVPA2を1%のAlexa Fluor(登録商標)647で標識し、IKVAVPA2+FGF2PA1又はIKVAVPA2+FGF2PA2(いずれも赤)を注入したマウス脊髄(緑)の完全な顕微鏡写真再構成である。スケールバー:(C)100nm及び(E)1000μm。
【
図14A】
図14A~14Dは、CST軸索再成長に及ぼす各種IKVAVPAの影響を示す。(A)主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(B)Aの切片の代表的な拡大画像。(C)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは、各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群、
+P<0.05、
++P<0.01vs.IKVAVPA1及び
#P<0.05vs.IKVAVPA4群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(D)シャム群、主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群のGFAPのWB結果(下)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、
#P<0.05vs.主鎖PA、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)1500μm及び(B)100μm。
【
図14B】
図14A~14Dは、CST軸索再成長に及ぼす各種IKVAVPAの影響を示す。(A)主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(B)Aの切片の代表的な拡大画像。(C)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは、各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群、
+P<0.05、
++P<0.01vs.IKVAVPA1及び
#P<0.05vs.IKVAVPA4群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(D)シャム群、主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群のGFAPのWB結果(下)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、
#P<0.05vs.主鎖PA、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)1500μm及び(B)100μm。
【
図14C-14D】
図14A~14Dは、CST軸索再成長に及ぼす各種IKVAVPAの影響を示す。(A)主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;GFAP-アストロサイト(緑)、BDAで標識した軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)、遠位辺縁(DB)、及び病巣の中心部分(LC)を示す。(B)Aの切片の代表的な拡大画像。(C)病巣部位と、各指定位置で交差する軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは、各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001vs.シャム群、
+P<0.05、
++P<0.01vs.IKVAVPA1及び
#P<0.05vs.IKVAVPA4群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(D)シャム群、主鎖PA群、IKVAVPA1群、IKVAVPA2群、及びIKVAVPA4群のGFAPのWB結果(下)と、正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、
#P<0.05vs.主鎖PA、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。スケールバー:(A)1500μm及び(B)100μm。
【
図15A】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図15B】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図15C-15D】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図15E-15F】
図15A~15Fは、軸索再成長とグリア性瘢痕形成に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、及びIKVAVPA2単独を注入した動物の縦断面脊髄切片の蛍光画像;BDAで標識した下降軸索(赤)及びDAPI-核(青);白い縦破線は、近位辺縁(PB)と遠位辺縁(DB)を示す。(B)Aに記載した条件の病巣の中心におけるBDAで標識した軸索(赤)の詳細画像であり、白い縦破線は、病巣の中心部分(LC)を示す。(C)Aに記載した条件下において病巣辺縁内のGFAP-アストロサイト(緑)及びDAPI-核(青)で染色された縦断面脊髄切片の代表的な画像。(D)Aの条件を使用したWB結果(下)と、GFAPの正規化タンパク質濃度を表す対応する棒グラフ(上)(データ点は、各条件4匹に対応する;
***P<0.001vs.シャム群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。(E)BDAで標識した軸索(赤)、GFAP-アストロサイト(緑)、及びDAPI-核(青)を病巣の中心で撮影した代表的な3D蛍光顕微鏡写真。(F)IKVAVPA2群においてBDAで標識した軸索再成長の3D顕微鏡写真再構成であり、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、緑)による被覆(上)と、ラミニン(白)(下)も認められる。スケールバー:(A、C)100μm、(B)50μm、及び(E、F)2μm。
【
図16A】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図16B】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図16C】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図16D-16E】
図16A~16Eは、セロトニン作動性ニューロン再成長に及ぼすIKVAVPA2と各種FGF2PAのコアセンブリの影響を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群及びIKVAVPA2群における縦断面脊髄切片の蛍光顕微鏡写真;ラミニン-ECM(緑)、5HT-セロトニン作動性ニューロン(赤)及びDAPI-核(青)。(B、C)Aの切片の(B)近位辺縁(PB)及び(C)遠位辺縁(DB)の代表的な拡大画像であり、白い縦破線は、PB及びDBを示す。(D)病巣部位と、各指定位置で交差する5HT軸索数を計数するために使用した縦線の模式図(上);交差する軸索数のプロット(下)(エラーバーは各群6匹に対応する;
*P<0.05、
**P<0.01vs.シャム群及び
#P<0.05vs.IKVAVPA2群とIKVAVPA2+FGF2PA2群、二元配置分散分析の反復測定とボンフェローニ法による)。(E)IKVAVPA2+FGF2PA1における病巣中心(LC)の代表的な拡大画像。スケールバー:(A)1500μm及び(B、C)100μm(E)50μm。
【
図17A-17B】
図17A~17Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した動物の足跡解析を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群の損傷から3箇月後の歩行時マウス後肢位置の代表的な写真。(B)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、IKVAVPA2を投与した動物の脊髄に病巣を形成するために使用した衝撃力を表す棒グラフ(データ点は、解析した38匹を示す;n.s.は、有意差なしを表す)。(C)Bにプロットした種々の条件で注入した動物の代表的な足跡。(D、E)Bに記載した種々の条件で注入した動物の(D)mmで表したストライド長と、(E)mmで表したストライド幅を表す棒グラフ(データ点は、各条件38匹に対応する;
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。
【
図17C-17E】
図17A~17Eは、デュアルシグナルコアセンブリを注入した動物の足跡解析を示す。(A)シャム群、IKVAVPA2+FGF2PA1群、IKVAVPA2+FGF2PA2群の損傷から3箇月後の歩行時マウス後肢位置の代表的な写真。(B)生理食塩水(シャム)、IKVAVPA2+FGF2PA1、IKVAVPA2+FGF2PA2、IKVAVPA2を投与した動物の脊髄に病巣を形成するために使用した衝撃力を表す棒グラフ(データ点は、解析した38匹を示す;n.s.は、有意差なしを表す)。(C)Bにプロットした種々の条件で注入した動物の代表的な足跡。(D、E)Bに記載した種々の条件で注入した動物の(D)mmで表したストライド長と、(E)mmで表したストライド幅を表す棒グラフ(データ点は、各条件38匹に対応する;
***P<0.0001vs.シャム群及び
###P<0.0001vs.IKVAVPA2+FGF2PA1群、一元配置分散分析とボンフェローニ法による)。
【
図18】
図18は、PAコアセンブリの
1
H-NMRを示す。600MHzで記録された、IKVAV PA2+FGF2 PA1及びIKVAV PA2+FGF2 PA2システムにおけるFGF2ミメティック配列中のY及びWアミノ酸における芳香族プロトンの
1
H-NMRスペクトル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
結果:
夫々同一の2種のシグナルを提示する種々の物理的性質を有するナノファイバー形超分子ポリマーを調査するために、物理的挙動を制御するテトラペプチドドメインをアミノ酸V、A及びGの種々の配列とした種々のIKVAVPA(IKVAVPA1~PA8)のライブラリーを合成した(使用したPAとそれらのペプチド配列の一覧については、
図1A、
図7、及び表
2参照)。フィブリル内の分子がそれらの水素結合密度の結果として分子間凝集力の高いβシートを形成する傾向に影響を与えるという点に鑑み、これらのアミノ酸を選択した。これらの相互作用の結果、フィブリル内のPA分子の運動性が抑制される。例えば、V
2A
2(PA1)は、そのバリン含量によりβシート構造を形成する傾向が高いが、A
2G
2(PA2)は、潜在的に低秩序セグメントであり、二次構造を形成しない(
図1A参照)。その他の配列は、中間レベルの運動の潜在的候補として選択した。全IKVAVPAは、このセグメントと生理活性シグナルの間に高い水溶性を提供する配列E
4Gを利用した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
各種IKVAVPA間の動力学の差を精査するために、1,6-ジフェニル-1,3,5-ヘキサトリエン(DPH)をPAナノファイバー内に封入して内部疎水性コアのミクロ粘度を測定することにより、蛍光偏光解消度(FD)を測定した。PA2とPA5は異方性値が最低であり(夫々0.21及び0.18)、最も動力学的な超分子集合体を形成したと判断され、PA4は、動力学性が中間であり(0.30)、その他のPAは、超分子運動性が低かった(0.40~0.37)(
図2A)。横緩和核磁気共鳴(T2-NMR)スペクトロスコピーを使用してIKVAVエピトープにおける分子動力学も測定した。これらの実験では、(2.69~2.99百万分率で観測される)IKVAV配列中のK残基のe炭素に結合したメチレンプロトンの緩和速度(H
ε)を測定した。IKVAVPA1は、最高の緩和速度(低運動度)を示し、IKVAVPA2及びPA5は、IKVAVPAライブラリーのうちで緩和速度が最低であり(夫々
1H-R
2=2.7±0.1及び2.6±0.003s
-1)、より高い運動度に一致した(
図2B及び表
3)。FD結果に一致し、IKVAVPA4は、PA1とPA2(又はPA5)の中間レベルの超分子運動を示す。総合すると、シミュレーションと、FD、WAXS及びT2-NMR測定は、調査した分子のライブラリーにおける3レベルの超分子運動に一致する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
SCIモデル:軸索再成長とグリア性瘢痕の形成
次に、デュアルシグナルフィブリルがSCI後の機能回復をインビボで強化する能力について試験した。IKVAVPA1、PA3、PA4、PA6、PA7及びPA8では低レベルのインビトロ生理活性しか認められなかったので、これらのPAは、FGF2PAと併用しなかった。両方のシグナルを同時に提示するナノファイバーも試験したので、二元システムは、混和性であると共に、損傷部位に注入して生理液と接触させると、同様の機械的性質を有するハイドロゲルを形成する必要があった。IKVAVPA2のみが、FGF2PA1又はFGF2PA2と特に90:10のモル比で混合したときに、混和性であると共に、同様の機械的性質を有するハイドロゲルを形成することができた(
図3A~C、
図11A~11C、表
4)。更に、どちらのFGF2PAも単独では高度に凝集した短繊維を形成し、PA1、PA4又はPA5等の他のIKVAVPAとの不混和性に更に寄与した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
CG-MDシミュレーションによると、生理活性が最高のコアセンブリのほうがFGF2PA分子のRMSF値が高く、上記T2-NMR及びFD結果が裏付けられた。シミュレーションによると、運動性(RMSF値)の分布からFGF2PA分子はどちらのコアセンブリでもクラスターを形成する(生理活性が最高のシステムのほうがやや大きい)ことも判明した(
図6J)。システムの一方における生理活性の低下は、シグナルを担持する2種のPA分子間のコアセンブリの程度の差に起因すると考えられる。しかし、アルキルテールにおけるメチレン単位の1D
1H-NMR、拡散整列スペクトロスコピー(DOSY)、及びT2-NMRによると、どちらのシステムでもコアセンブリが生じたと判断される(表
5)。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
材料及び方法
ペプチド両親媒性分子ナノ構造の特性決定:
合成及び精製
PA合成及び調製:リンクアミドMBHAレジンを担体としてCEMモデルLiberty Blueマイクロ波ペプチド合成装置を使用して標準フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)固相ペプチド合成法により、各種IKVAVPA(IKVAVPA1:C16VVAAEEEEGIKVAV、IKVAVPA2:C16AAGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA3:C16VAGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA4:C16AVGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA5:C16AAAAEEEEGIKVAV、IKVAVPA6:C16GGGGEEEEGIKVAV、IKVAVPA7:C16VAAAEEEEGIKVAV、IKVAVPA8:C16AVAAEEEEGIKVAV)、各種FGF2PA(FGF2PA1:C16VVAAEEEEGYRSRKYSSWYVALKR及びFGF2PA2:C16AAGGEEEEGYRSRKYSSWYVALKR)、それらのスクランブル配列として各種scr-IKVAVPA(VVIAKPA1:C16VVAAEEEEGVVIAK及びVVIAKPA2:C16AAGGEEEEGVVIAK)及び各種scr-FGF2PA(scr-FGF2PA1:C16VVAAEEEEGWRSKKYSLYYVASRR及びscr-FGF2PA2:C16AAGGEEEEGWRSKKYSLYYVASRR)、並びに主鎖PA(C16VVAAEE)を合成した(材料名と対応するペプチド配列の一覧については、表2参照;C16は、パルミトイル基である)。Fmoc保護アミノ酸4当量、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)4当量、及びシアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma pure)8当量を使用して自動カップリング反応を実施した。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
PAコアセンブリ作製
インビトロ実験では、凍結乾燥後に、PA粉末を150mMのNaClと3mMのKClの溶液で再構成し、細胞適合性と材料コンシステンシーを確保するために、1MのNaOH1μLを添加してpH7.4に調整した。種々の生理活性PAを種々のmol%で混合し(表4参照)、10秒間ずつ3回に分けて10%強度でホーン型超音波装置により超音波処理した。PA溶液を80℃で30分間アニールした後、全試料を均等且つ制御下に加熱・冷却するためのサーモサイクラー(Eppendorf PCR Thermocycler)を使用して27℃の最終温度に達するように毎分1℃の割合でゆっくりと冷却した。PAをコーティングした担体を作製するために、24ウェル、12ウェル、若しくは6ウェルポリスチレン細胞培養プレート又は12mm及び18mmガラスカバースリップ(German Glass,Chemglass Life Science)にポリ-D-リジン(0.01mg/mL,Sigma-Aldrich)を37℃で3時間コーティングした。次にプレートをMilliQ水で3回リンスし、4時間乾燥した。表面全体に薄く均等な材料コーティング(アニールした各種PA(1重量%)8~30μL)を押し出すようにピペットを移動させることにより、各種PAをカバースリップ又は組織培養プレートに塗布した。PAコーティングを室温で3時間インキュベートした。プレートをその後の使用前に培地で静かにリンスした。色素で標識した各種PAの実験では、Cy3で標識した各種FGF2PAを1mol%でそれらの対応する非標識PAとコアセンブリした(表4参照)。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
インビボ実験では、凍結乾燥後に、PA粉末を1mg/100μlの濃度となるように0.9%(w/v)滅菌等張塩化ナトリウム生理食塩水(Ricca Chemical)で再構成した。次に、得られたPA溶液に滅菌1M NaOH1μLを添加してpHを7.4に調整した後、IKVAVPA2と10mol%のFGF2PA1又はFGF2PA2のコアセンブリを加えた(表4参照)。混合後、溶液を超音波処理し、アニールした。色素で標識したPAの実験では、Alexa-647で標識したIKVAVPA2を1mol%でそれらの対応する非標識PAとコアセンブリした(表4参照)。
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】