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特表2024-507880自己学習及び非侵襲性の膀胱監視システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】自己学習及び非侵襲性の膀胱監視システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0535 20210101AFI20240214BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240214BHJP
   A61B 5/389 20210101ALI20240214BHJP
   A61B 5/0536 20210101ALI20240214BHJP
   A61B 5/20 20060101ALI20240214BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20240214BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61B5/0535
A61B5/11 200
A61B5/389
A61B5/0536
A61B5/20
A61B8/00
A61B5/107 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550643
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2022017574
(87)【国際公開番号】W WO2022182794
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/152,689
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/157,530
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/152,715
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ファローズ、エリック エイ.
(72)【発明者】
【氏名】カンセロシ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マレシャル、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ローズ、ヨランダ
(72)【発明者】
【氏名】マン、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ファリス、アレクサンドラ エイ.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C127
4C601
【Fターム(参考)】
4C038DD06
4C038VA04
4C038VB35
4C038VC20
4C127AA04
4C127AA06
4C127DD03
4C127JJ03
4C601DD01
4C601DE17
4C601EE09
4C601FF01
4C601GA01
4C601GB04
(57)【要約】
本明細書で開示した実施形態は、自己学習の膀胱容積監視システムを対象とする。システムは、患者の膀胱領域の電気インピーダンスを測定するように構成されるとともに、インピーダンス対膀胱容積モデル(BVモデル)を使用して、膀胱内に位置する流体量を決定するように構成される膀胱容積(BV)システムを含むことができる。さらに、システムは、患者の体内総水分量(TBW)を測定し、膀胱を取り囲む組織内のTBWの変動を考慮するようにBVモデルを修正して、より正確な膀胱容積測定を提供することができる。システムは、「訓練ユニット」を含むことができる。訓練ユニットは、ユーザ入力インターフェースと、自動尿量監視システムと、超音波システムと、膀胱内の流体量または膀胱内から排出された流体量を検証し、BVモデルを訓練するように構成された膀胱内圧力システムとのうちの1つを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の膀胱内の流体量を測定するためのシステムであって、
前記患者の皮膚表面に接触するインピーダンスセンサを含む膀胱容積監視システムであって、前記膀胱容積監視システムは、前記患者の膀胱部分の電気インピーダンスを決定するように構成されるとともに、モデルを使用して前記患者の膀胱容積値を決定するように構成され、前記膀胱容積値は前記膀胱内の推定流体量である、膀胱容積監視システムと、
前記膀胱から排尿された流体量に関する尿排出量値を受信するように構成された訓練システムと、
前記膀胱容積値と前記尿排出量値との間の差を決定するように構成されるとともに、前記モデルの精度を高めるために、前記膀胱容積値と前記尿排出量値との間の差を小さくするように前記モデルを反復修正するように構成されたロジックと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記膀胱容積監視システムは、前記膀胱容積値を決定するために、生体インピーダンス分析、生体インピーダンス分光法、生体インピーダンスプレチスモグラフィ、又は生体インピーダンス断層撮影のうちの1つを使用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記膀胱容積監視システムは、前記膀胱容積値を決定するために、排尿事象前の第1の電気インピーダンス値と、排尿事象後の第2の電気インピーダンス値とを測定するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記インピーダンスセンサは、励起信号を生成するように構成された第1の電極と、前記患者の前記膀胱部分を通る前記励起信号の電気インピーダンスを測定するように構成された第2の電極とを有する第1のセンサアレイを含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記膀胱容積監視システムは、前記患者の体内総水分量値を決定するために、第2の励起信号を生成するように構成され第3の電極と、前記患者の第2の部分を通る前記第2の励起信号の第2の電気インピーダンスを測定するように構成された第4の電極とを含む第2のセンサアレイをさらに含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロジックは、前記体内総水分量値を取得し、前記モデルの精度を高めるために、前記膀胱容積値と前記尿排出量値との間の差を小さくするように前記モデルを修正する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記訓練システムは、自動尿排出量訓練システムを含み、前記自動尿排出量訓練システムは、カテーテル、ドレナージ管、又は収集容器のうちの1つと結合され且つ前記尿排出量値を決定するように構成された流量センサを含む、請求項1乃至6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記自動尿排出量訓練システムは、前記膀胱から排尿された流体の流れを制御し、前記患者の前記膀胱を自然な膀胱周期に訓練するように構成された弁を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記インピーダンスセンサは、前記患者の胴の周りに固定され且つ前記インピーダンスセンサを前記患者の前記膀胱部分と位置合わせするように構成されたベルトに配置される、請求項1乃至8の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記膀胱容積監視システムは、前記患者の動きを検出するように構成された加速度計又はジャイロスコープをさらに含み、前記ロジックは、前記加速度計又は前記ジャイロスコープの一方から信号を受信するように構成され、前記患者の前記膀胱容積値の精度を高めるために前記モデルを修正するように構成される、請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者の皮膚表面と接触するように構成されるとともに、膀胱排尿事象の発生を決定するために前記患者の排尿筋の収縮又は尿道括約筋の弛緩の一方を検出するように構成された筋電図検査センサをさらに含む請求項1乃至10の何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、ネットワーク、リモートデータベース、イントラネット、インターネット、クラウドベースのネットワーク、又は電子健康記録システムのうちの1つと通信式に結合される、請求項1乃至11の何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記インピーダンスセンサは、前記膀胱容積監視システムと無線通信し、前記膀胱容積監視システム、前記訓練システム、又は前記ロジックのうちの1つが、スタンドアロンユニット内に配置されている、請求項1乃至12の何れか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記スタンドアロンユニットは、ベースステーション、携帯型コンピュータ機器、モニター、ハンドヘルド機器、ウェアラブル機器、スマートウォッチ、ラップトップ、又はタブレット型機器のうちの1つを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記訓練システムは、超音波訓練システム及び圧力ベースの訓練システムの一方又は双方をさらに含む、請求項1乃至14の何れか一項に記載のシステム。
【請求項16】
膀胱容積測定システムであって、
患者の皮膚表面に接触する電極を含む第1のセンサアレイであって、前記患者の膀胱の電気インピーダンス値を測定するように構成された第1のセンサアレイと、
前記患者の前記皮膚表面に接触するトランスデューサを含む超音波トランスデューサシステムであって、前記患者の前記膀胱内の流体量を決定するように構成された超音波トランスデューサシステムと、
膀胱容積モデルを使用して前記電気インピーダンス値から前記膀胱内の流体量を決定するように構成されたロジックを含む膀胱容積監視システムであって、前記超音波システムによって決定されるような前記膀胱内の前記流体量によって、前記膀胱容積モデルを反復して検証するように構成された膀胱容積監視システムと
を備えるシステム。
【請求項17】
前記第1のセンサアレイ又は前記トランスデューサの一方は、前記患者の胴部分を取り囲み且つ前記第1のセンサアレイ又は前記トランスデューサの一方を前記患者の前記皮膚表面に固定するように構成されたベルトに配置される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記尿量監視システムは、前記電気インピーダンス値から前記膀胱内の前記流体量を決定するために、生体インピーダンス分析、生体インピーダンス分光法、生体インピーダンスプレチスモグラフィ、又は生体インピーダンス断層撮影のうちの1つを使用する、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のセンサアレイは、励起信号を生成するように構成された第1の電極と、前記患者の前記膀胱を通る励起信号の電気インピーダンスを測定するように構成された第2の電極とを含む、請求項16乃至18の何れか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記尿量監視システムは、前記患者の体内総水分量値を決定するために、第2の励起信号を生成するように構成された第3の電極と、前記患者の第2の部分を通る前記第2の励起信号の第2の電気インピーダンスを測定するように構成された第4の電極とを含む第2のセンサアレイをさらに含む、請求項16乃至19の何れか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記尿量監視システムのロジックは、前記体内総水分量値を取得し、前記患者の前記膀胱容積モデルの精度を高めるために、前記膀胱容積モデルを修正する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記膀胱容積測定システムは、前記患者の動き又は位置を検出するように構成された加速度計又はジャイロスコープをさらに含み、前記尿量監視システムのロジックは、前記加速度計又は前記ジャイロスコープの一方から信号を受信するように構成されるとともに、前記患者の前記膀胱容積モデルの精度を高めるために前記膀胱容積モデルを修正するように構成される、請求項16乃至21の何れか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記膀胱容積測定システムは、前記患者の皮膚表面と接触し且つ膀胱排尿事象の発生を決定するために前記患者の排尿筋の収縮又は尿道括約筋の弛緩の一方を検出するように構成された筋電図検査センサをさらに含む、請求項16乃至22の何れか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記尿量監視システムのロジックは、ネットワーク、リモートデータベース、イントラネット、インターネット、クラウドベースのネットワーク、又は電子健康記録システムのうちの1つと通信式に結合される、請求項16乃至23の何れか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1のセンサアレイは、前記尿量監視システムと無線通信し、前記尿量監視システム又は前記超音波システムの一方は、スタンドアロンユニット内に配置される、請求項16乃至24の何れか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記スタンドアロンユニットは、ベースステーション、携帯型コンピュータ機器、モニター、ハンドヘルド機器、ウェアラブル機器、スマートウォッチ、ラップトップ、及びタブレット型機器からなる群から選択される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
排尿量入力を受け取るように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項16乃至24の何れか一項に記載のシステム。
【請求項28】
患者の膀胱内の流体量の測定方法であって、
前記患者の前記膀胱の第1の電気インピーダンス値を測定することと、
膀胱容積モデルを使用して前記電気インピーダンス値から前記膀胱内の流体量を決定することと、
前記膀胱から排尿された流体量を測定することと、
前記電気インピーダンス値によって決定されるような前記膀胱内の流体量と前記膀胱から排尿される流体量との間の差を最小限にするように前記膀胱容積モデルを修正することと
を含む方法。
【請求項29】
前記膀胱内に元々あった流体量を決定するために、前記膀胱から前記流体量が排尿される前の前記第1の電気インピーダンス値を測定すること、前記膀胱から前記流体量が排尿された後の第2の電気インピーダンス値を測定することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記電気インピーダンス値から前記膀胱内の前記流体量を決定するために、生体インピーダンス分析、生体インピーダンス分光法、生体インピーダンスプレチスモグラフィ、又は生体インピーダンス断層撮影のうちの1つを使用することをさらに含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記患者の体部分の電気インピーダンス値を測定することと、前記患者の体内総水分量値を決定することと、前記膀胱内の前記流体量を決定する際の前記膀胱容積モデルの精度を高めるために、前記膀胱容積モデルを修正することとをさらに含む、請求項28乃至30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者の前記膀胱の電気インピーダンス値を測定することは、励起信号を生成するように構成された第1の電極と、前記患者の前記膀胱を通る前記励起信号の電気インピーダンスを測定するように構成された第2の電極とを含む、第1のセンサアレイを含む、請求項28乃至31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
加速度計又はジャイロスコープの一方を使用して前記患者の動き又は位置を検出することと、前記電気インピーダンス値から前記膀胱内の流体量を決定する際の前記膀胱容積モデルの精度を高めるために、前記膀胱容積モデルを修正することとをさらに含む、請求項28乃至32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者の皮膚表面と接触する筋電図検査センサを使用して、膀胱排尿事象の発生を決定するために、前記患者の排尿筋の収縮又は尿道括約筋の弛緩の一方を検出することをさらに含む、請求項28乃至33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記膀胱内の前記流体量の値、又は前記膀胱から排尿された前記流体量の値を、ネットワーク、リモートデータベース、イントラネット、インターネット、クラウドベースのネットワーク、又は電子健康記録システムのうちの1つと通信することをさらに含む、請求項28乃至34の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記膀胱容積モデルを改善するために且つ前記患者の前記膀胱を自然な膀胱周期に訓練するために、前記膀胱から排尿された流体の流れを制御することをさらに含む、請求項28乃至35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記膀胱から前記流体量が排尿される前の前記膀胱内の第1の流体量と、前記膀胱から前記流体量が排尿された後の前記膀胱内の第2の流体量を決定するように構成された訓練システムをさらに含む、請求項26乃至33の何れか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記訓練システムは、超音波訓練システム、自動尿排出量訓練システム、又は膀胱圧訓練システムのうちの1つを含む、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
簡潔に要約された、本明細書で開示した実施形態は、自己学習及び非侵襲性の膀胱容積(BV:bladder volume)監視、排尿量測定、及び体内総水分量監視システム、並びにそれに関連する方法に関する。実施形態は、生体インピーダンス分光法(BIS:bio-impedance spectroscopy)を使用でき、且つ自立型であってもよいし、又は患者によって装着されてもよい。
【0002】
心不全(HF:Heart failure)は、最も一般的な入院の原因のうちの1つであり、弱った心臓のせいで、患者が、浮腫及び体液過剰の他の症状を呈する原因となる。これらの患者に対する最も一般的な治療は、排尿によって過剰な流体を除去して心臓への流体の負担を減らすための利尿薬である。患者の尿排出量(UO:urine output)及び体内総水分量(TBW:total body water)は、利尿治療に対する患者の反応を評価するための重要な指標である。しかしながら、正確なUO及びTBWデータを集めることには、課題があり得る。
【0003】
ICUや同様の救命救急診療環境に入れられるHF及び同様の患者は、尿道留置カテーテル(フォーリーカテーテル)が挿入され得、これらからの排出量がUOの測定に使用され得る。同様に、外カテーテルシステムが使用されてもよく、これらからの排出量もUOの測定に使用され得る。一部の患者は、間欠導尿によって管理され得る。これらの患者では、提供者が、携帯型超音波機器又はスキャナーを用いて患者の膀胱容積を定期的に測定する。患者の膀胱が十分に一杯になっている場合、提供者は、間欠導尿処置を行って、膀胱をドレーンする。この処理は、尿道留置カテーテルに関連付けられる感染リスクを低減させるものの、提供者による、携帯型超音波膀胱スキャナーを用いた定期評価を必要とし、提供者にとって時間がかかるものであり、且つ患者にとって邪魔になる可能性もある。或いは、HF及び同様の患者は、準歩行可能とし得、及び一般病棟に入れられ得、そこでは、正確なUOの収集、測定、及び記録は、臨床的に大きな課題を提示する。
【0004】
準歩行可能な患者のUOの測定のための現在の技術は、様々な機器、例えば尿取りハット、ポータブル便器、目盛り付き小便器、及びベッドパンを使用する。しかしながら、これらの解決法にはいくつかの制限がある。尿取りハット及び他の収集機器は、感染対策の課題を提示し、及び患者や看護師によって頻繁にひっくり返され、これにより、数時間のUOデータを失う可能性がある。収集機器中へ直接、不正確に排尿することも、一部のUOデータの喪失及び不正確な結果につながり得る。さらに、病院職員は、患者のUOデータの収集、測定、時にはさらには記録を助けるために、患者の能力及び順守に頼る必要がある。さらに、排尿時間は、正確に得られないことが多いため、特定の時間間隔中につくられる尿の量を知りたい提供者による腎機能の評価には、限界がある。従って、患者又は訓練を受けた臨床家のいずれかによるUOデータの手動の測定及び記録は、エラーの機会、及びまた交差汚染のより大きなリスクの機会を残す。さらに、排尿された流体は、排尿事象後に流体の残量が膀胱内に残る(排尿後流体量と呼ばれる)ために、患者のUOを常に厳密に表すものではない。残っている排尿後流体量は、患者次第で大きく異なり得る。従って、排尿前膀胱容積と排尿後流体量及び排尿された流体量の比較が、患者の改良されたUOデータを提供し得る。
【0005】
正確なTBWを集めることにも課題があり得る。ほとんどのTBW測定システムは、患者に関する追加的な情報、例えば年齢、体重、身長、性別、民族性、デモグラフィックスなどを必要とし、それゆえ、これらの患者パラメータにとって「正常」であるものに基づいて、回帰ベースのアルゴリズムを応用する。しかしながら、そのようなシステムは、非定型の患者、例えばHF患者又は同様の救命救急診療状況にある患者を考慮できない。さらに、小さな変化度も、正常な健康な個人にみられるものと比べて劇的な結果を有し得るため、そのような非定型の患者に対して高いレベルの精度の必要性は、遥かに重要である。
【0006】
本明細書で説明する実施形態は、自己学習型の非侵襲性のUO及びTBW測定機器、並びにヘルスケアの専門家のワークフローに組み入れられ得るその関連の方法に関する。これらの機器は、集団特有の仮定又は回帰ベースのアルゴリズムにもっぱら頼ることなく、患者のTBW/UO値を正確に決定するために生体インピーダンス分光法(BIS)を使用し得る。実施形態は、自立型であってもよいし、又は装着可能であってもよいし、及び寝たきりの、準歩行可能な、又は歩行可能な患者に使用可能な機器を含む。
【0007】
本明細書には、患者の膀胱内の流体量を測定するためのシステムが開示されており、該システムは、患者の皮膚表面に接触するインピーダンスセンサを含む膀胱容積監視システムであって、膀胱容積監視システムは、患者の膀胱部分の電気インピーダンスを測定するように構成されるとともに、モデルを使用して患者の膀胱容積値を決定するように構成され、膀胱容積値は膀胱内の推定流体量である、膀胱容積監視システムと、膀胱から排尿された流体量に関する尿排出量値を受信するように構成された訓練システムと、排尿前膀胱容積値と排尿後の膀胱容積値及び尿排出量値との間の差を決定するように構成されるとともに、モデルの精度を高めるために、排尿前膀胱容積値と排尿後の膀胱容積値及び尿排出量値との間の差を小さくするように、モデルを反復修正するように構成されたロジックとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、膀胱容積監視システムは、膀胱容積値を決定するために、生体インピーダンス分析、生体インピーダンス分光法、生体インピーダンスプレチスモグラフィ、又は生体インピーダンス断層撮影のうちの1つを使用する。
【0009】
いくつかの実施形態では、膀胱容積監視システムは、膀胱容積値を決定するために、排尿事象前の第1の電気インピーダンス値及び排尿事象後の第2の電気インピーダンス値を測定するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、励起信号を生成するように構成された第1の電極と、患者の膀胱部分を通る励起信号の電気インピーダンスを測定するように構成された第2の電極とを有する第1のセンサアレイを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、膀胱容積監視システムは、さらに、患者の体内総水分量値を決定するために、第2の励起信号を生成するように構成され第3の電極と、患者の第2の部分を通る第2の励起信号の第2の電気インピーダンスを測定するように構成された第4の電極とを含む第2のセンサアレイを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ロジックは、体内総水分量値を取得し、且つさらに、モデルの精度を高めるために、膀胱容積値と尿排出量値との間の差を小さくするようにモデルを修正する。
【0013】
いくつかの実施形態では、自動尿排出量訓練システムは、カテーテル、ドレナージ管、又は収集容器のうちの1つと結合され且つ尿排出量値を決定するように構成された流量センサを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、訓練システムは、膀胱から排尿された流体の流れを制御し且つ患者の膀胱を自然な膀胱周期に訓練するように構成された弁を含む、自動尿排出量訓練システムを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、訓練システムは、排尿された流体量の入力を受信するように構成されたネットワーク又は電子健康記録システムへのインターフェースを含む。
いくつかの実施形態では、訓練システムは、排尿された流体量の入力を受信するように構成されたユーザインターフェースを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、患者の胴の周りに固定され且つインピーダンスセンサを患者の膀胱部分と位置合わせするように構成されたベルトに配置される。
【0017】
いくつかの実施形態では、膀胱容積監視システムは、さらに、患者の動きを検出するように構成された加速度計又はジャイロスコープを含み、ロジックは、加速度計又はジャイロスコープの一方から信号を受信し且つ患者の膀胱容積値の精度を高めるためにモデルを修正するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、膀胱容積監視システムは、さらに、患者の皮膚表面と接触し且つ膀胱排尿事象の発生を決定するために患者の排尿筋の収縮又は尿道括約筋の弛緩の一方を検出するように構成された筋電図検査センサを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムは、ネットワーク、リモートデータベース、イントラネット、インターネット、クラウドベースのネットワーク、又は電子健康記録システムのうちの1つと通信式に結合される。
【0020】
いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、膀胱容積監視システムと無線通信しており、及び膀胱容積監視システム、訓練システム、又はロジックのうちの1つが、スタンドアロンユニット内に配置されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、スタンドアロンユニットは、ベースステーション、携帯型コンピュータ機器、モニター、ハンドヘルド機器、ウェアラブル機器、スマートウォッチ、ラップトップ、又はタブレット型機器のうちの1つを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、訓練システムは、さらに、超音波訓練システム及び圧力ベースの訓練システムの一方又は双方を含む。
膀胱容積測定システムであって、患者の皮膚表面と接触する電極を含む第1のセンサアレイであって、患者の膀胱の電気インピーダンス値を決定するように構成された第1のセンサアレイ、患者の皮膚表面と接触するトランスデューサを含む超音波システムであって、患者の膀胱内の流体量を決定するように構成された超音波システム、及び膀胱容積モデルを使用して電気インピーダンス値から膀胱内の流体量を決定するように構成されたロジックを含み、且つ超音波システムによって決定されるような膀胱内の流体量によって、膀胱容積モデルを反復して検証するように構成された膀胱容積監視システムを含む、膀胱容積測定システムも開示されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のセンサアレイ又はトランスデューサの一方は、患者の胴部分を取り囲み且つ第1のセンサアレイ又はトランスデューサの一方を患者の皮膚表面に固定するように構成されたベルトに配置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、尿量監視システムは、電気インピーダンス値から膀胱内の流体量を決定するために、生体インピーダンス分析、生体インピーダンス分光法、生体インピーダンスプレチスモグラフィ、又は生体インピーダンス断層撮影のうちの1つを使用する。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のセンサアレイは、励起信号を生成するように構成された第1の電極と、患者の膀胱を通る励起信号の電気インピーダンスを測定するように構成された第2の電極とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、尿量監視システムは、さらに、患者の体内総水分量値を決定するために、第2の励起信号を生成するように構成された第3の電極と、患者の第2の部分を通る第2の励起信号の第2の電気インピーダンスを測定するように構成された第4の電極とを含む第2のセンサアレイを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、尿量監視システムロジックは、体内総水分量値を取得し、且つ患者の膀胱容積モデルの精度を高めるために、膀胱容積モデルを修正する。
いくつかの実施形態では、膀胱容積測定システムは、さらに、患者の動きを検出するように構成された加速度計又はジャイロスコープを含み、尿量監視システムロジックは、加速度計又はジャイロスコープの一方から信号を受信し且つ患者の膀胱容積モデルの精度を高めるために膀胱容積モデルを修正するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、膀胱容積測定システムは、さらに、患者の皮膚表面と接触し且つ膀胱排尿事象の発生を決定するために患者の排尿筋の収縮又は尿道括約筋の弛緩の一方を検出するように構成された筋電図検査センサを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、尿量監視システムロジックは、ネットワーク、リモートデータベース、イントラネット、インターネット、クラウドベースのネットワーク、又は電子健康記録システムのうちの1つと通信式に結合される。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のセンサアレイは、尿量監視システムと無線通信しており、及び尿量監視システム又は超音波システムの一方は、スタンドアロンユニット内に配置される。
【0031】
いくつかの実施形態では、スタンドアロンユニットは、ベースステーション、携帯型コンピュータ機器、モニター、ハンドヘルド機器、ウェアラブル機器、スマートウォッチ、ラップトップ、又はタブレット型機器のうちの1つを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、膀胱容積システムは、さらに、排尿された流体量の入力を受信するように構成されたユーザインターフェースを含む。
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ又はシステムは、膀胱容積システムの電気インピーダンス素子を十分に訓練した後、システムから除去され得る。
【0033】
患者の膀胱内の流体量の測定方法であって、患者の膀胱の第1の電気インピーダンス値を測定すること、膀胱容積モデルを使用して電気インピーダンス値から膀胱内の流体量を決定すること、膀胱から排尿された流体量を測定すること、及び電気インピーダンス値によって決定されるような膀胱内の流体量と膀胱から排尿される流体量との間の差を最小限にするように膀胱容積モデルを修正することを含む、方法も開示されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、膀胱内に元々あった流体量を決定するために、膀胱から流体量が排尿される前の第1の電気インピーダンス値を測定すること、及び膀胱から流体量が排尿された後の第2の電気インピーダンス値を測定することを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、電気インピーダンス値から膀胱内の流体量を決定するために、生体インピーダンス分析、生体インピーダンス分光法、生体インピーダンスプレチスモグラフィ、又は生体インピーダンス断層撮影のうちの1つを使用することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、患者の体部分の電気インピーダンス値を測定すること、患者の体内総水分量値を決定すること、及び膀胱内の流体量を決定する際の膀胱容積モデルの精度を高めるために、膀胱容積モデルを修正することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、患者の膀胱の電気インピーダンス値を測定することは、励起信号を生成するように構成された第1の電極と、患者の膀胱を通る励起信号の電気インピーダンスを測定するように構成された第2の電極とを含む、第1のセンサアレイを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、加速度計又はジャイロスコープの一方を使用して患者の動きを検出すること、及び電気インピーダンス値から膀胱内の流体量を決定する際の膀胱容積モデルの精度を高めるために、膀胱容積モデルを修正することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、患者の皮膚表面と接触する筋電図検査センサを使用して、膀胱排尿事象の発生を決定するために、患者の排尿筋の収縮又は尿道括約筋の弛緩の一方を検出することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、膀胱内の流体量、又は膀胱から排尿された流体量の値を、ネットワーク、リモートデータベース、イントラネット、インターネット、クラウドベースのネットワーク、又は電子健康記録システムのうちの1つと通信することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、膀胱容積モデルを改善し且つ患者の膀胱を自然な膀胱周期に訓練するために、膀胱から排尿された流体の流れを制御することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、膀胱から流体量が排尿される前の膀胱内の第1の流体量、及び膀胱から流体量が排尿された後の膀胱内の第2の流体量を決定するように構成された訓練システムを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、訓練システムは、超音波訓練システム、自動尿排出量訓練システム、又は膀胱圧訓練システム、ネットワーク若しくは電子健康記録接続訓練システム、又はユーザ入力訓練システムのうちの1つを含む。
【0044】
患者の膀胱内にある流体量を測定するための機器であって、患者の少なくとも胴部分の周りに固定される衣料品、衣料品の内側面に配置されたセンサ、及びセンサと通信式に結合され且つ患者の膀胱内にある流体量を決定するように構成されたロジックを含むコンピュータ機器を含む、機器も開示されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、衣料品は、Tシャツ、ブリーフ、使い捨て下着、又はベルトを含む。センサは、電気インピーダンスモダリティ、超音波モダリティ、又は光レーザモダリティのうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、機器は、さらに、患者の膀胱に接近して位置決めされ且つ生体インピーダンス分光法を使用して膀胱内にある流体量を決定するように構成された、第1の電極及び第2の電極を含む第1のセンサアレイを含む。いくつかの実施形態では、機器は、さらに、体内総水分量指標を決定するように構成された第2のセンサアレイを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータ機器は、ネットワーク又は電子健康記録システムの一方と通信式に結合される。
【0046】
患者の膀胱の電気インピーダンス値を検出するように構成されたセンサアレイ、及び生体インピーダンス分光法を使用して、電気インピーダンス値から、膀胱内にある流体量を決定するように構成されたBVロジックを含む、膀胱容積測定機器も開示されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、膀胱容積測定機器は、さらに、患者の体部分の第2の電気インピーダンス値を検出するように構成された第2のセンサアレイ、第2の電気インピーダンス値から体内総水分量値を決定するように構成されたBVロジックを含む。いくつかの実施形態では、第1のセンサアレイ又は第2のセンサアレイの一方は、衣料品によって支えられ、且つ患者の皮膚表面に接するように固定される。いくつかの実施形態では、衣料品は、ベルト、Tシャツ、パンツ、又は下着のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、膀胱容積測定機器は、さらに、膀胱内の流体量を測定するように構成された超音波トランスデューサ又は光レーザセンサの一方を含む。いくつかの実施形態では、膀胱容積測定機器は、さらに、それに通信式に結合されたコンピュータ機器を含み、コンピュータ機器はまた、ネットワーク又は電子健康記録システムの一方に通信式に結合される。
【0048】
患者の膀胱内の流体量の測定方法であって、内側面にセンサが配置されている衣料品を胴の周りに固定すること、センサを患者の皮膚表面と係合すること、患者の膀胱の電気インピーダンス値を測定すること、及び生体インピーダンス分光法を使用して、膀胱内にある流体量を決定することを含む、方法も開示されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、衣料品は、ベルト、Tシャツ、パンツ、又は下着のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、第1の電極であるセンサから励起信号を生成すること、及び第2の電極において励起信号を検出して電気インピーダンス値を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、患者の体部分の体内総水分量値を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、超音波モダリティ又は光レーザモダリティの一方を使用して、膀胱内にある流体量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、電気インピーダンス値又は膀胱内にある流体量の値の一方を、コンピュータ機器、ネットワーク又は電気健康記録システムのうちの1つに通信することを含む。
【0050】
立位スケール機器であって、立っている患者を支えるように構成され且つ第1の電極を含む踏板、踏板から延在する支柱によって支えられ且つ患者の両手で掴まれるように構成されたハンドルであって、第2の電極を含むハンドル、及び患者の電気インピーダンスを測定し且つ生体インピーダンス分光法を使用して患者の体内総水分量値を決定するように構成されたTBWロジックを含む、立位スケール機器も開示されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、立位スケール機器は、さらに、踏板内に配置され且つ患者の体重測定値を決定するように構成された圧力センサを含む。いくつかの実施形態では、立位スケール機器は、さらに、患者の膀胱容積値を決定するように構成された、第3の電極及び第4の電極を含む第2のセンサアレイを含む。いくつかの実施形態では、立位スケール機器は、さらに、患者の体内総水分量値をネットワーク又は電子健康記録システムの一方へ送信するように構成された通信ロジックを含む。
【0052】
体内総水分量測定機器であって、患者の足首に最も近い皮膚表面と接触するように構成された第1の電極、患者の手首に最も近い皮膚表面と接触するように構成された第2の電極、及び第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンス値を決定し且つ生体インピーダンス分光法を使用して患者のTBW値を決定するように構成されたTBWロジックを含む、体内総水分量測定機器も開示されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の電極又は第2の電極の一方は、ブレスレットによって適所に固定される。第1の電極又は第2の電極の一方は、その皮膚に対面する表面にコーティングが設けられており、コーティングは、ヒドロゲル又はウレタン物質の一方を含む。いくつかの実施形態では、体内総水分量測定機器は、さらに、患者の第2の電気インピーダンス値を検出するように構成された、第3の電極及び第4の電極を有する第2のセンサアレイを含み、TBWロジックは、第2の電気インピーダンス値から膀胱容積値を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、体内総水分量測定機器は、さらに、ネットワーク又は電子健康記録システムの一方へTBW値を通信するように構成された通信ロジックを含む。
【0054】
患者の体内総水分量値の測定方法であって、患者の第1の領域に第1の電極を結合すること、患者の第2の領域に第2の電極を結合すること、第1の電極と第2の電極との間の電気インピーダンス値を測定すること、及び生体インピーダンス分光法を使用して患者の体内総水分量値を決定することを含む、方法も開示されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の領域は、足の領域又は手の領域の一方であり、及び第2の領域は、足の領域又は手の領域の一方である。第1の電極又は第2の電極の一方は、ブレスレットによって適所に固定される。第1の電極又は第2の電極の一方は、その皮膚に対面する表面にコーティングが設けられており、コーティングは、ヒドロゲル又はウレタン物質の一方を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、ネットワーク又は電子健康記録システムの一方へTBW値を通信することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、患者の第2の電気インピーダンス値を検出すること、及び第2の電気インピーダンス値から膀胱容積値を決定することを含む。
【0057】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによってなされる。これら図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているため、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、追加の特異性および詳細とともに説明および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1A】本明細書に開示される実施形態による、例示的使用環境における膀胱容積監視(BVM)装置を示す。
図1B】本明細書に開示される実施形態による、膀胱容積監視(BVM)装置を示す。
図2】本明細書に開示される実施形態による、図1BのBVM装置の概略図を示す。
図3】本明細書に開示される実施形態による、BVM装置を装着している患者の横断面図を示す。
図4】本明細書に開示される実施形態による、ウェアラブルBVM装置を示す。
図5】本明細書に開示される実施形態による、例示的使用環境における自己学習非侵襲的膀胱監視システムの概略図を示す。
図6】本明細書に開示される実施形態による、例示的尿採取システムを示す。
図7】本明細書に開示される実施形態による、自動尿量ベースのトレーニングシステムを含む自己学習非侵襲的膀胱監視システムの概略図を示す。
図8】本明細書に開示される実施形態による、超音波ベースのトレーニングシステムを含む非侵襲的膀胱監視システムの概略図を示す。
図9】本明細書に開示される実施形態による、圧力ベースのトレーニングシステムを含む非侵襲的膀胱監視システムの概略図を示す。
図10A】本明細書に開示される実施形態による、膀胱容積モデルに対する例示的生体インピーダンスを示す。
図10B】本明細書に開示される実施形態による、膀胱容積モデルに対する例示的生体インピーダンスを示す。
図10C】本明細書に開示される実施形態による、膀胱容積モデルに対する例示的生体インピーダンスを示す。
図11A】本明細書に開示される実施形態による、非侵襲的TBW測定デバイスの斜視図を示す。
図11B】本明細書に開示される実施形態による、非侵襲性TBW測定デバイスのための例示的使用環境を示す。
図12】本明細書に開示される実施形態による、非侵襲的TBW測定デバイスの概略図を示す。
図13】本明細書に開示される実施形態による、例示的使用環境におけるウェアラブル非侵襲的TBW測定デバイスの斜視図を示す。
図14A】本明細書に開示される実施形態による、図13の非侵襲的TBW測定デバイスのセンサの断面図を示す。
図14B】本明細書に開示される実施形態による、図13の非侵襲的TBW測定デバイスのセンサおよびブレスレットアセンブリの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
用語
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、「通信」という用語は一般に、通信セッション内で受信、送信、または交換される関連データを指す。データは、複数のパケットを含むことができ、「パケット」は、規定されたフォーマットを有する一連のビットまたはバイトを概して意味する。代替として、データは、例えば、ネットワークを介して受信される単一ネットワークを介して受信される単一のウェブページのような関連ペイロードを搬送する個々のまたはいくつかのパケットを含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲についての「約」、「およそ」、または「実質的に」という用語は、構成要素の一部または集合が本明細書に記載されるその意図された目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。
【0061】
以下の説明では、本発明の特徴を説明するために特定の用語が使用される。例えば、特定の状況において、「ロジック」という用語は、1つ以上の機能を実行するように構成されたハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを表す。ハードウェアとして、ロジックは、データ処理又は記憶機能を有する回路を含んでもよい。そのような回路の例は、マイクロプロセッサ、1つまたは複数のプロセッサコア、プログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラ、コントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ワイヤレス受信機、送信機および/またはトランシーバ回路、半導体メモリ、または組合せロジックを含み得るが、これらに限定または制限されない。
【0062】
あるいは、ロジックは、実行可能アプリケーションの形態の実行可能コード、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、サブルーチン、関数、プロシージャ、アプレット、サーブレット、ルーチン、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/動的ロードライブラリ、または1つ以上の命令などのソフトウェアであってもよい。このソフトウェアは、任意のタイプの適切な非一時的記憶媒体、または一時的記憶媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、またはデジタル信号などの電気、光、音響、または他の形態の伝搬信号)に格納されてもよい。非一時的記憶媒体の例は、プログラマブル回路、半導体メモリ、揮発性メモリ(例えば、任意のタイプのランダムアクセスメモリ「RAM」)のような非一時的記憶、または不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ「ROM」、パワーバックアップ型RAM、フラッシュメモリ、相変化メモリなど)、半導体ドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブまたは持ち運び可能なメモリデバイスのような一時的記憶を含むが、それらに限定されるわけではない。ファームウェアとして、実行可能コードは永続記憶装置に格納されてもよい。一実施形態では、本明細書で説明するロジックは、ヒューリスティック、機械学習、人工知能(AI)、ニューラルネットワーク、または他のデータ処理技法に依拠して、説明する機能を実行することができる。
【0063】
「コンピューティングデバイス」という用語は、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、プライベートネットワーク(例えば、ワイヤレスデータ電気通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク「LAN」など)、パブリッククラウドネットワーク、仮想プライベートクラウドなどの物理または仮想ネットワークへのネットワーク接続性などの、データ処理能力および/またはネットワークインターフェース能力を有する電子機器として解釈され得る。コンピューティングデバイスの例は、サーバ、エンドポイントデバイス(例えば、ノートパソコン、スマートフォン、「ウェアラブル」デバイス、スマートウォッチ、タブレット、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、ネットブック、または任意の汎用もしくは専用のユーザ制御電子デバイス)、メインフレーム、ルータなどを含み得るが、これらに限定または制限されない。
【0064】
「ネットワーク」という用語は、有線または無線相互接続に基づく、集中型または分散型構成のパブリックおよび/またはプライベートネットワークを含み得る。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、イントラネット、インターネット、「クラウド」ベースのネットワーク、または同様のネットワーク構成を含み得るが、これらに限定または制限されない。「メッセージ」は、一般に、所定のフォーマットで電気的に記憶されたデータを集合的に表す1つまたは複数の電気信号で送信される情報を指す。各メッセージは、1つまたは複数のパケット、フレーム、HTTPベースの送信、または規定されたフォーマットを有する任意の他の一連のビットの形態であり得る。
【0065】
「コンピュータ化された」という用語は、概して、任意の対応する動作が、ソフトウェアおよび/またはファームウェアと組み合わせてハードウェアによって行われることを表す。
【0066】
「無線」通信という用語は、Bluetooth(登録商標)、WiFi、近距離無線通信(NFC)、GSM、赤外線、マイクロ波などを含み得る。
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0067】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0068】
膀胱容積を非侵襲的に測定するための患者ウェアラブル機器
図1A図1Bは、例示的な使用環境での膀胱容積モニター(BVM:Bladder Volume Monitor)機器100を示す。一実施形態では、BVM100は、装着可能とし得、及び「BV値」と呼ばれる、患者10の膀胱12内にある流体量を非侵襲的に監視し得る。一実施形態では、BVM100は、患者10の皮膚表面に接触し且つ有線又は無線のいずれかで回路108と通信式に結合される第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104のうちの1つ以上を含み得る。本明細書で使用されるような「センサアレイ」は、第1のモダリティで信号出力を送信及び/又は受信し且つ第2のモダリティで出力を生成するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。第1のモダリティ及び第2のモダリティは、同じであってもよいし又は異なってもよい。例示的なモダリティは、光学、電気、音響、電子-インピーダンスなどを含み得る。
【0069】
図2に示すように、回路108は、プロセッサ110、データストア112、電源114、1つ以上のロジック116、ユーザインターフェース118、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一実施形態では、BVM機器100は、第1のセンサ102のうちの1つ以上と通信式に結合され且つBV値、すなわち患者10の膀胱12内の流体量を正確に測定するように構成されたBVロジック116Aを含み得る。一実施形態では、BVM100は、さらに、ネットワーク90及び/又はリモートコンピュータ機器又はデータベース80と通信式に結合するように構成された通信ロジック116Cを含み得る。
【0070】
例示的なネットワーク90は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、病院ネットワーク、イントラネット、インターネット、「クラウド」ベースのネットワークなどを含み得る。例示的なリモートコンピュータ機器又はデータベース80は、コンピュータ機器、モバイル機器、「スマートフォン」、タブレット、ラップトップ、メインフレーム、サーバ、電子健康記録(EHR:electronic health record)システムなどを含み得る。一実施形態では、リモートコンピュータ機器80は、ハンドヘルド機器などを含み得る。ハンドヘルド機器80は、ユーザ又は臨床家が追加的な情報を入力することを可能にするように構成されたユーザインターフェース118を含み得る。例示的な追加的な情報は、患者に関する情報(身長、体重、年齢、性別など)、患者10による、膀胱排尿事象(回数、量、日付、時間など)、流体摂取量(回数、量、日付、時間など)、これらの組み合わせなどを含み得る。一実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、BVM100は、リモートデータベース80又はネットワーク90からこの追加的な情報を取得し、BVロジック116Aの精度をさらに改善できる。
【0071】
一実施形態では、第1のセンサ102は、患者10の皮膚表面に配置され、且つ粘着、接着テープなどによって、適所に固定され得る。一実施形態では、センサ102は、センサ102を患者10の皮膚表面に接するように固定するように構成されたベルト120、又は同様の衣料品に配置され得る。例示的な衣料品は、患者10の皮膚表面に接するようにセンサをしっかりと保持するように構成されたベルト、Tシャツ、パンツ、下着、又は同様の体にぴったりと合う衣類を含み得る。
【0072】
図1A図3に示すように、一実施形態では、ベルト120は、その内側面に配置されたセンサ102を含み得る。ベルト120は、患者10の胴の周りに装着され、且つセンサ102を患者10の皮膚表面に押し付けるようにして、それとの接触を維持し得る。一実施形態では、1つ又は複数のセンサ102は、下着、Tシャツ、ジョギングパンツ、これらの組み合わせなどの裏張り内に配置され、且つ本明細書でより詳細に説明するように、センサ102を患者10の皮膚表面に押し付けるように構成され得る。有利には、衣料品の弾性の性質は、センサ102と皮膚表面との間の快適な接触を保証し得る。一実施形態では、センサ102は、加圧反応型接着剤などを使用して、患者の皮膚表面に直接取り付けられ得る。
【0073】
一実施形態では、図2に示すように、回路108の構成要素の1つ以上、例えばプロセッサ110、データストア112、電源114、又はロジック116は、ベルト120とセンサ102のアセンブリとは別個のスタンドアロンユニット内に配置され、且つ例えば有線又は無線通信によって、それに通信式に結合され得る。一実施形態では、回路108又はその構成要素の1つ以上は、スタンドアロンコンピュータ機器、又は患者10に接近して配置された「ベースステーション」内に配置され得る。一実施形態では、回路108、又はその構成要素の1つ以上は、ハンドヘルド機器、「ウェアラブル」デバイス(例えばスマートウォッチ)、タブレット型機器、又はラップトップコンピュータ内に配置され得る。一実施形態では、回路108又はその構成要素の1つ以上は、ウェストバッグ又は「ファニーパック」に入れてユーザによって運ばれ、且つ本明細書で説明するように、有線又は無線のいずれかで、ベルト120や衣料品内に配置されたセンサ102と通信式に結合され得る。一実施形態では、回路108は、ベルト120とセンサ102のアセンブリから取り外し自在であってもよい。これにより、ベルト120とセンサ102のアセンブリを別々に洗うことを可能にするか、又は古いベルト120とセンサ102のアセンブリを廃棄する一方で、新しいベルト120とセンサ102のアセンブリを、その同じ患者用又は新しい患者用のBVMシステム100に結合することを可能にする。
【0074】
図3は、胴の周りに装着された、BVM機器100を装着している患者10の横断面図を示す。一実施形態では、ベルト120は、機器100の除去又は患者10の非順守を防げるために、背中に締め具がある状態で患者10の周りで締め得る。一実施形態では、ベルト120は、異なるサイズの患者10に合わせるために、調整可能であってもよい。一実施形態では、ベルト120は、1つ又は複数のセンサ102間に配置された1つ以上の調整可能な部分124を含み得る。調整可能な部分は、伸縮性を持たせられた、スリップロックバックル、ラダーロックバックルなどであってもよい。ベルト120の調整可能な部分124は、異なるサイズの患者に合うように調整される一方で、患者10の胴の周りでセンサ102の相対位置を維持するように構成され得る。
【0075】
一実施形態では、ベルト120は、患者の解剖学的特徴に位置合わせするのを容易にするための1つ以上のマーカ122を含み得る。例えば、図2に示すように、第1のマーカ122Aはへそ領域と位置合わせし得、及び/又は第2のマーカ122Bは、患者10の脊柱領域と位置合わせし得る。有利には、1つ又は複数のマーカ122は、患者10の正しい部位との1つ又は複数のセンサ102の位置合わせを容易にし得る。
【0076】
一実施形態では、第1のセンサアレイ102は、膀胱内の流体量を測定する、及び/又は膀胱12の位置を三角測量するために1つ以上のモダリティを使用し得る。有利には、BVM機器100は、膀胱12の流体測定値を、周囲組織の流体測定値と区別するのを容易にするために膀胱12の位置を三角測量し得、膀胱12内にある流体のより正確な測定値を提供し得る。例示的なモダリティは、超音波、レーザ、電気インピーダンス、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0077】
一実施形態では、BVM100は、膀胱12の位置及び/又は膀胱12内にある流体量を決定するために、電気インピーダンスモダリティを使用し得る。電気インピーダンスモダリティのBVM機器100は、励起信号を生成するように構成された第1の電極102Aと、第1の電極102Aの励起信号を検出するように構成された第2の電極102Bとを含む第1のセンサアレイ102を含み得る。BVM100は、第1の電極102Aと第2の電極102Bとの間に配置された身体組織の電気インピーダンスを決定するために、それら電極間の信号強度の低下を決定し得る。一実施形態では、ヒドロゲル、ウレタンゲル、又は同様の導電性ゲルが、電極102A、102Bと皮膚表面との間に配置されて、それらの間の電気伝導性を高め得る。一実施形態では、第1のセンサアレイ102は、励起信号を生成すること及び励起信号を検出することの双方を行うように構成された単一のセンサ102Aを含み得る。同様に、第2のセンサアレイ104は、励起信号を生成すること及び励起信号を検出することの双方を行うように構成された単一のセンサ104Aを含み得る。
【0078】
一実施形態では、第1のセンサアレイ102は、膀胱12に最も近い、患者のへそ領域に、第1の電極102Aが膀胱12の左側に配置され且つ第2の電極102Bが膀胱12の右側に配置される状態で、配置され得る。励起信号は、第1の電極102Aから第2の電極102Bまで、膀胱12を通って移動し得る。膀胱12内の流体量が異なることによって、励起信号が膀胱12を通過するときに、励起信号の電気インピーダンスに影響を与え得る。
【0079】
一実施形態では、第2のセンサアレイ104は、第3の電極104A及び第4の電極104Bを含み得、且つTBWロジック116Bと通信式に結合され得る。第2のセンサアレイ104及びTBWロジック116Bは、膀胱12の位置、及び患者10体14内の、すなわち膀胱12の外部の組織内の流体量、すなわち体内総水分量(TBW)の一方又は双方を検出及び決定するように構成され得る。第2のセンサアレイ104は、へそ領域とは異なる体の部位に位置決めされ得る。例えば、図3に示すように、第2のセンサアレイ104は、患者10の背中部分に、第3の電極104A及び第4の電極104Bが脊柱のいずれかの側に配置される状態で、位置決めされ得る。しかしながら、本発明の趣旨から逸脱することなく、第2のセンサアレイ104は、患者10の他の領域に位置決めされ得ることを認識されるであろう。一実施形態では、第2のセンサアレイ104及びTBWロジック116Bによって決定された電気インピーダンス値は、患者10の体内総水分量(TBW)値を決定し得る。
【0080】
一実施形態では、BVM100は、膀胱12内に溜まっている流体の量並びに患者10のTBWの何らかの変化の双方を検出できる。一実施形態では、BVM100は、生体インピーダンス値からBV値及びTBW値の一方又は双方を決定するために、生体インピーダンス分光法(BIS)モデルを使用し得る。BVM100は、BISモデルを修正して、個々の患者10を「学習する」ように構成され得る。BVM100は、標的患者からの追加的な情報、又は標的患者とは異なる1人以上の他の患者から集計されたデータを使用し得る。追加的な情報は、本明細書で説明するように、ユーザインターフェース118によってBVM100に入力されたUOデータ、追加的な医療システムからの自動UOデータ、追加的な医療システムからの水分摂取量などであってもよい。図10A~10Cは、本明細書でより詳細に説明するように、インピーダンス測定値からBV値を決定するように構成された例示的なBISモデル、例えば膀胱容積モデル(BVモデル)150を提供する。同様に、TBWモデルが、同様の方法で、インピーダンス値からTBW値を決定し得る。さらに肺流体量(LFV:lung fluid volume)モデルが、本明細書でより詳細に説明するように、同様の方法で、インピーダンス値からLFV値を決定し得る。一実施形態では、BVM100は、BISモデルを修正して、膀胱12を取り囲む組織のTBW値を補償し、正確なBV値を決定し得る。一実施形態では、BV値及びTBW値は、さらなる分析のために、ネットワーク80又はEHR90にリアルタイムで直ちに通信され得る。
【0081】
一実施形態では、BVM100は、リモートデータベース80又はネットワーク90の一方から追加的な情報を取得し、BVロジック116Aによって決定されたBISモデルの精度をさらに高め得る。一実施形態では、リモートデータベース又はコンピュータ機器80はハンドヘルド機器などを含み得る。ハンドヘルド機器80は、患者10、ユーザ、又は臨床家が追加的な情報を入力することを可能にするように構成されたユーザインターフェース118を含み得る。例示的な追加的な情報は、本明細書で説明するように、患者に関する情報(身長、体重、年齢、性別など)、患者10による、膀胱排尿事象(回数、量、日付、時間など)、流体摂取量(回数、量、日付、時間など)、これらの組み合わせなどを含み得る。
【0082】
有利には、BVM100は、時間が経つにつれて、患者10のBV値、TBW値、又は水分摂取量値の変化を監視及び通信し得る。そのようなデータは、例えば、利尿治療がHF又は同様の患者に効いているどうかを決定する際に、臨床家にとって必須であり得る。さらに、BVM100によって使用されるBISモデル(例えばBVモデル150)は、異なる患者10の異なる身体組成に適応し得る。これは、非定型の身体形態及び非定型の身体組成を有する可能性があるHF又は同様の患者の膀胱容積を測定するときに、特に重要としてもよい。留意すべきは、一部のBV及びTBW測定システムは、患者が「正常の」身体形態及び身体組成を有しているという予め決められた仮定を必要とする生体インピーダンス分析(BIA:bio-impedance analysis)に頼っていることである。しかしながら、これらの仮定は、救命救急診療状況にある患者にはあまり応用できないかもしれず、精度が低い結果につながる。
【0083】
一実施形態では、BVM100は、膀胱12の位置を三角測量し、且つ膀胱12内の流体量を決定するために、超音波音響モダリティを使用し得る。超音波モダリティBVM100は、患者10の体内に超音波信号を発し且つ反射した超音波信号を検出するように構成された第1のトランスデューサ102A及び第2のトランスデューサ102Bを含み得る。一実施形態では、トランスデューサ102Aは、超音波信号を発する及び反射した超音波信号を検出することの双方を行うトランスデューサアレイであってもよい。一実施形態では、ヒドロゲル、ウレタンゲル、又は同様の音響的に伝導性のゲルが、センサ102と皮膚表面との間に配置されて、それらの間の音響コンダクタンスを高め得る。
【0084】
超音波モダリティBVM100は、第1のセンサ102A及び第2のセンサ102Bに最も近い皮下組織の密度の変化を検出して、膀胱12の位置及び寸法を三角測量し得る。さらに、反射信号の変化が、さらに、膀胱12内の流体量を決定し得る。例えば、膀胱12内の流体が比較的少ない場合、反射した超音波信号は、周囲組織との差をほとんど又は全く示さないであろう。膀胱12が流体で比較的いっぱいである場合、反射信号は、周囲組織との違いをより大きく示し、膀胱容積の概算を可能にするであろう。換言すると、超音波による膀胱容積は、エッジ検出に基づき、この場合、超音波が、信号反射の変化を決定して、膀胱壁/尿の境界を決定する。その後、膀胱の流体量を推定するために三次元容積モデルが計算される。
【0085】
一実施形態では、超音波モダリティBVM100は、それぞれ超音波信号を患者10の体内へ出し且つ反射した超音波信号を検出するように構成された、第1のアレイのトランスデューサ102及び第2のアレイのトランスデューサ104を含み得る。超音波モダリティBVM100は、第1のアレイのトランスデューサ102及び第2のアレイのトランスデューサ104のそれぞれからの反射信号を測定して、膀胱12の位置の三角測量並びにその寸法及び容積の決定の精度をさらに高め得る。
【0086】
一実施形態では、1つ以上のセンサ102は、膀胱12の位置又はその内部の流体量のうちの一方を決定するために、光学モダリティを用い得る。例えば、第1のセンサアレイ102A、102Bは、レーザ光信号を患者10の体内へと方向付け、且つ反射した光信号を検出して、膀胱12の位置又はその内部の流体量の一方を決定し得る。一実施形態では、複数の光学センサアレイ102、104は、膀胱12の位置、及び膀胱12内の流体量の精度を高め得る。
【0087】
図4に示すように、一実施形態では、BVM100は、衣料品、例えばTシャツ126に含まれ得る。認識されるように、Tシャツ126は例示であり、本発明の実施形態は、第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104の一方又は双方を患者の皮膚表面にしっかりと当てるように構成された、ベルト、Tシャツ、パンツ、下着、又は同様の体にぴったりと合う衣類を含む様々な衣料品と一緒に使用され得る。第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104の一方又は双方は、Tシャツ126の裏張り内に配置され得、及びTシャツ126は、センサが患者10の皮膚表面に確実に接するように固定されるように、体にぴったりと合う材料で形成され得る。
【0088】
一実施形態では、本明細書で説明するように、Tシャツ126は、Tシャツ126の胴部分の周りに配置され且つBV値を決定するように構成された第1のセンサアレイ102を含み得る。第1のセンサアレイ102は、本明細書で説明するように、同じ又は異なるモダリティを使用し得る1つ以上のセンサを含み得る。例えば、第1のセンサアレイ102は、Tシャツ126が患者10によって着用されると、Tシャツ126の胴部分の周りに配置され且つ膀胱12の部位の辺りで患者10の皮膚表面に接触するように構成された6個のセンサを含み得る。6個のセンサのそれぞれは、BV値を決定するために、同じ又は異なるモダリティを使用し得る。
【0089】
一実施形態では、本明細書で説明するように、Tシャツ126は、同じ又は異なるモダリティを使用し得る1つ以上のセンサを含む第2のセンサアレイ104を含み得る。第2のセンサアレイ104は、Tシャツ126の異なる部分、例えば腕部分に配置され得、且つ患者10のTBW値を決定するように構成され得る。有利には、第2のセンサアレイ104は、第1のセンサアレイ102から離間して配置されて、BVデータをTBWデータと区別し得る。
【0090】
一実施形態では、Tシャツ126は、さらに、BVM100又は回路108の1つ以上の構成要素、例えば、プロセッサ110、データストア112、電源114、1つ以上のロジック116、ユーザインターフェース118、又はこれらの組み合わせを含み得る。これらの構成要素は、Tシャツの裏張りに縫い付けられ得、及び有線又は無線で、第1のセンサアレイ102又は第2のセンサアレイ104と通信式に結合され得る。
【0091】
一実施形態では、BVM100又は回路108の1つ以上の構成要素は、Tシャツ126からリモートに配置され、且つそれに無線式に結合され得る。例えば、第1のセンサアレイ102又は第2のセンサアレイ104の一方は、BVM100又は回路108の1つ以上の構成要素、すなわちプロセッサ110、データストア112、電源114、1つ以上のロジック116、ユーザインターフェース118、又はこれらの組み合わせを含み得る、コンピュータ機器、ハンドヘルド機器、「ベースステーション」、又は同様の機器に通信式に結合され得る。
【0092】
自己学習型の非侵襲性の膀胱監視システム
図5は、膀胱容積監視システム(BVM)100及び訓練システム、例えば自動尿排出量訓練システム(AUO)300を含む、例示的な自己学習型の非侵襲性の膀胱監視システム(システム)200を示す。図示の通り、AUO訓練システム300は、有線又は無線通信のいずれかによって、システム200と直接結合され得る。一実施形態では、AUO訓練システム300は、ネットワーク90及びリモートコンピュータ機器80の一方又は双方によって、システム200と間接的に結合され得る。
【0093】
システム200は、患者10の膀胱12内の流体量を非侵襲的に検出するように構成され得る。システム200は、患者10の膀胱容積(BV)指標を決定するために、1つ以上のモダリティを使用し得る。例示的なモダリティは、本明細書で説明するように、電気インピーダンス、超音波、光学モダリティ、又はこれらの組み合わせを含み得る。さらに、本明細書で説明するように、システム200は、患者10の体内総水分量(TBW)指標を決定し得る。一実施形態では、システム200は、患者10のBV値の精度を高めるために、TBW値を使用し得る。
【0094】
一実施形態では、システム200はまた、膀胱12内の流体量を独立して検証し且つBVM100を「訓練」して精度を高めるように構成された訓練システムを含み得る。一実施形態では、訓練システムは、患者10によって排尿された流体量(尿排出量値すなわち「UO」値)を自動的に決定するように構成された自動尿排出量訓練システム(AUO:automatic urine output)300を含み得る。システム200は、AUO値を使用して生体インピーダンス対膀胱容積モデル(BVモデル)150を修正して、特定の患者10を「学習」し、且つ改善されパーソナライズされたBV及び/又はTBWデータを提供し得る。他の訓練システムは、本明細書でより詳細に説明するように、超音波ベースの訓練システム400又は圧力ベースの訓練システム500を含み得る。
【0095】
一実施形態では、ひとたびBVM100が特定の患者10に対して訓練されたら、訓練システム300、400、500はシステム200から取り外され得、及びシステム200はBV及び/又はTBWデータを非侵襲的に記録する。一実施形態では、訓練システム300、400、500のうちの1つ以上は、有線又は無線通信によってシステム200と直接通信式に結合され得る。一実施形態では、訓練システム300、400、500のうちの1つ以上は、ネットワーク90及び/又はリモートコンピュータ機器80によってシステム200と間接的に通信式に結合され得る。BV及び/又はTBWデータはまた、さらなる分析のために、ネットワーク90及び/又はリモートデータベース又はリモートコンピュータ機器80(例えば電子健康記録システム、「EHR」)と通信され得る。患者特有BV又はTBWデータは、腎機能を評価し且つ問題のある患者の利尿治療の有効性を決定するために重要であり得る。例示的な問題のある患者は、様々な共存症又は非定型の身体組成を呈するHF患者を含み得る。
【0096】
図6は、カテーテル32、ドレナージ管34、及び収集容器36を含む、例示的な採尿システム30を示す。カテーテル32は、フォーリーカテーテル、尿道留置カテーテル、バルーンカテーテル、非バルーンカテーテル、恥骨上カテーテル、尿管カテーテル、腎瘻カテーテル、又は患者から流体をドレーンする、例えば患者10の膀胱12から尿をドレーンするように構成された同様の機器であってもよい。ドレナージ管34は、カテーテル32から収集容器36へ流体をドレーンするように構成され得る。
【0097】
図7は、BVM100、及びAUOベースの訓練システム300を含むシステム200の概略図を示す。一実施形態では、システム200は、プロセッサ210、データストア212、電源214、1つ以上のロジック216(例えば通信ロジック216C)、ユーザインターフェース218、又はこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、BVM100は、プロセッサ110、データストア112、電源114、又はこれらの組み合わせを含み得る。BVM100のプロセッサ110、データストア112、又は電源114は、システム200のプロセッサ210、データストア212、又は電源214に追加されてもよいし、又はその代わりであってもよい。従って、BVM100は、システム200に通信式に結合され且つ任意選択的にそれから取り外し自在なスタンドアロンユニットであってもよい。或いは、BVM100、又はその構成要素は、単一のユニットとして、システム200と一体化され得る。
【0098】
一実施形態では、BVM100は、さらに、1つ以上のロジック116、並びにそれに通信式に結合され且つ膀胱容積(BV)値、体内総水分量(TBW)値のうちの一方、又は双方を検出及び決定するように構成された1つ以上のセンサアレイ、例えば第1のセンサアレイ102、第2のセンサアレイ104を含み得る。一実施形態では、BVM100は、生体インピーダンス分析(BIA)、生体インピーダンス分光法(BIS)、生体インピーダンスプレチスモグラフィ(BIP:bio-impedance plethysmography)、又は生体インピーダンス断層撮影(BIT:bio-impedance tomography)のうちの1つを使用して、BV値又はTBW値の一方を測定し得る。しかしながら、電気インピーダンス、超音波、又は光学(例えばレーザ)モダリティを使用してBV値又はTBW値を測定する他の方法も、本発明の範囲内に入るように考慮されることが認識されるであろう。
【0099】
一実施形態では、BISは、電気インピーダンスを使用して患者10の水分量を測定する。励起信号が、第1のセンサ、例えば第1の電極102Aで出され、且つ第2のセンサ、例えば第2の電極102Bで検出される。第1の電極102A及び第2の電極102Bは、測定されるべき患者10の部分を横切って位置決めされ得る。第1の電極102Aと第2の電極102Bとの間の信号に対するインピーダンスの総量は、水分総量に相関し得る。留意すべきは、生体インピーダンス分光法は、生体インピーダンス分析(BIA)とは異なることである。BIAは、患者の体形、サイズ、組成、及びデモグラフィックにおける一般化に頼る。これらの一般化は、状態が一般集団とは既に異なる救命救急診療患者、例えばHF患者又は血液量過多の患者にはあまり応用できない可能性がある。
【0100】
一実施形態では、第1の電極102A及び第2の電極102Bを含む第1のセンサアレイ102は、患者10の腹部の、へそ部位のいずれかの側に配置され得る。第1のセンサアレイ102は、有線又は無線のいずれかで、BVロジック116Aと通信式に結合され、且つ電気信号を送信及び受信して、患者10の膀胱領域12のインピーダンスを決定するように構成され得る。従って、BVロジック116Aは、患者10の膀胱12内の流体量を決定し得る。
【0101】
一実施形態では、第2のセンサアレイ104は、第3の電極104A及び第4の電極104Bを含み得、且つ患者10の体部分14、例えば患者の背中の、脊柱のいずれかの側に配置され得る。第2のセンサアレイ104は、有線又は無線のいずれかで、TBWロジック116Bと通信式に結合され、且つ電気信号を送信及び受信して、患者10の体部分14のインピーダンスを決定するように構成され得る。従って、TBWロジック116Bは、患者10の組織内の流体量を決定し得る。
【0102】
一実施形態では、第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104の一方又は双方は、患者の皮膚と接触して、電気インピーダンスを測定し得る。一実施形態では、第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104の一方又は双方は、患者10の皮膚に接着され得る。一実施形態では、第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104の一方又は双方は、患者の胴の周りに固定され且つ第1のセンサアレイ102及び第2のセンサアレイ104の一方又は双方を皮膚表面に固定するように構成されたベルト120に配置され得る。
【0103】
患者が異なれば、皮膚表面と膀胱12との間に異なる量の生体組織が配置され得ることに留意しなくてはいけない。皮膚表面と膀胱12との間に配置された組織の水分量は、第1のセンサアレイ102のBV測定値に影響を与え得る。従って、BVM100は、2つのセンサアレイ102、104を含み得る。第1のセンサアレイ102は、膀胱12の上側を覆うように配置され、且つBV指標を測定するように構成され得る。第2のセンサアレイ104は、患者の異なる部分、例えば体部分14の上側を覆うように配置され得、且つ患者10のTBW指標を決定するように構成され得る。その後、BVM100は、皮膚表面と膀胱12との間に配置された組織のTBWを補償することによって、正確なBVを決定し得る。従って、BVM100は、患者10のBVを正確に決定し得る。
【0104】
一実施形態では、システム200は、ある期間にわたって、患者10のBV値又はTBW値の一方を監視し得る。一実施形態では、本明細書で説明するように、システム200は、さらに、システム200によって記録されるBV値、TBW値、又は尿排出量(UO)値の日/時スタンプを含み得る。従って、その後、システム200は、これらの事象を、ユーザインターフェース118によって直接、又はネットワーク90若しくはリモートデータベース80によって間接的にのいずれかで、システム200に入力された追加的なデータと連携させ得る。この情報は、ローカルに、例えばデータストア114又はデータストア214に記憶され得るか、又はネットワーク90若しくはリモートデータベース80、例えば病院ネットワーク若しくは電子健康記録(EHR)システムによって通信され得る。例示的なネットワーク90及びリモートデータベース80は、データ処理能力及び/又はネットワークインターフェース能力、例えばイントラネット、インターネット、「クラウド」ベースのネットワーク、サーバ、病院ネットワーク、EHRシステムなどを含むエレクトロニクスを含む1つ以上のコンピュータ機器を含み得ることが認識されるであろう。
【0105】
一実施形態では、システム200は、追加的な情報を受信するように構成されたユーザインターフェース218を含み得る。例示的な情報は、限定されるものではないが、患者変数、例えば性別、年齢、身長、体重、解剖学的測定値、身体組成、ボディマス指数(BMI)、測定された排尿後残尿量、排尿事象の日/時、排尿された尿排出容積、自動尿排出容積の調整などを含み得る。これらの変数は、臨床家、患者によって、又はネットワーク90(例えばEHR、「クラウド」ベースのネットワーク、イントラネット、インターネット、LANなど)によって、リモートデータベース80から質問されて自動的に、入力される。
【0106】
一実施形態では、図10A図10Cに示すように、システム200は、生体インピーダンス測定値を生体インピーダンス対膀胱容積モデル(BVモデル)150に応用して、膀胱12内の流体量、すなわちBV値を決定し得る。図10Aは、膀胱12内の流体量に対する生体インピーダンスの変化の相間を示す例示的なBVモデル150を示す。留意すべきは、図示のBVモデル150は、説明を簡単にするために、高度に単純化された例であり、及び認識されるように、BVモデルは、線形、対数、多項式、多次元、時変であり得る、及び/又は1つ以上の変曲点を含み得ることである。
【0107】
一実施形態では、患者のTBW値は、個人間でかなり変わり得、これは、同様に、第1のセンサアレイ102からのBV指標に影響を与え得る。従って、システムは、患者10のTBW値又はその変化を監視し、且つBVモデル150を修正して、これらの変化に対応し得る。有利には、システム200は、ある期間にわたって、患者10のBV値及びTBW値の一方を監視して、患者の利尿治療の有効性を決定し得る。一実施形態では、BVロジック116は、生体インピーダンスを連続的に測定して、時間が経つにつれて着実に溜まっていくか、又は膀胱容積が突然低下して膀胱排尿事象を示すかのいずれかによって、膀胱容積の変化を決定し得る。一実施形態では、BVロジック116は、膀胱容積の変化を決定し、且つこれらを他のアーチファクト、例えば患者の動き又は患者体位(座っている、立っている、歩いている、横たわっているなど)と区別し得る。
【0108】
一実施形態では、システム200は、患者10の動きの速度、方向、又は変化を検出するように構成された、加速度計222、ジャイロスコープなどを含み得る。システム200は、患者10の動きを検出して、患者の体位に起因する患者の組織若しくは器官の再分配及び向き、膀胱内での流体の動き、又は幾何学的な膀胱形状の変化に由来するインピーダンスの変化を、膀胱排尿事象に起因するインピーダンスの変化と区別し得る。例えば、女性では、子宮の位置によって、一般に、超音波膀胱走査及び/又は生体インピーダンス測定値に対する何らかの補償機構を必要とすることにつながる。
【0109】
一実施形態では、第1のセンサアレイ102は、表面筋電図検査法によって膀胱括約筋の弛緩及び/又は排尿筋の収縮を検出するように構成され得る。そのため、BVM100は、膀胱12の筋肉が排尿事象のために収縮するときを直接検出し得、且つシステム200はこれらの事象を記録し得る。従って、BVM100は、さらに、患者10の動き又は他のアーチファクト(例えばセンサ又はセンサアレイの動き)に起因して生じるBVインピーダンスの変化を、膀胱排尿事象に関連付けられるものと区別し得る。
【0110】
訓練システム
一実施形態では、システム200は、さらに、患者10が排尿した尿量を自動的に測定するように構成された自動尿排出量(AUO)ベースの訓練システム300を含み得る。尿排出容積は、BVM100、又はそこに含まれるロジック116を較正又は「訓練」して、個々の患者10のそれぞれに関する正確なBV測定値を提供するために使用され得る。
【0111】
一実施形態では、AUO300は、プロセッサ310、データストア312、電源314、又はこれらの組み合わせを含み得る。プロセッサ310、データストア312又は電源314は、システム200のプロセッサ210、データストア212、又は電源214に追加されてもよいし、又はその代わりであってもよい。従って、AUO300は、システム200に通信式に結合され且つ任意選択的にそれから取り外し自在であるスタンドアロンユニットであってもよい。或いは、AUO300又はその構成要素は、単一のユニットとして、システム200と一体化され得る。
【0112】
一実施形態では、AUO300は、さらに、1つ以上のロジック316(例えばAUOロジック316A)、及び膀胱12から排尿された流体量を検出するように構成された1つ以上のセンサ302を含み得る。一実施形態では、センサ302は、カテーテル32又はドレナージ管34と結合されて、そこを通る流体量を測定するように構成され得る。一実施形態では、センサ302は、収集容器36と結合されて、そこに受け入れられる流体量を測定するように構成され得る。
【0113】
BVモデル訓練
図10A図10Cに示すように、本明細書でより詳細に説明するように、システム200は、AUO300からの、又は実際に排尿した量から患者若しくは臨床家が入力した測定値からの、又は例えば尿流動態モニター、圧力センサ、若しくは超音波膀胱スキャナーなどの他の機器からの尿排出量測定値に基づいて、インピーダンス測定値対膀胱容積モデル(BVモデル)150を修正又は較正し得る。例えば、図10Aに示すように、初期BVモデル150は、システム200によって提供され、且つローカルに、例えばデータストア112又はデータストア212に記憶され得る。一実施形態では、初期BVモデル150は、リモートデータベース80及び/又はネットワーク90からシステム200に提供され得る。一実施形態では、初期BVモデル150は、患者からの又は同様の患者変数(例えば性別、年齢、身長、体重など)を有する異なる患者からの以前のBVモデルの寄せ集めから、システム200によって得られ得る。患者10に関する一部の情報は、ユーザインターフェース218を使用してシステム200に入力され得る。例示的な情報は、年齢、性別、身長、体重、ボディマス指数(BMI)、健康状態などを含み得る。そのため、システム200は、以前訓練したBVモデルを、患者10と同様の情報を備える他の患者から寄せ集めて、初期BVモデル150を提供し得る。その後、システム200は、第1のセンサアレイ102から生体インピーダンス値を検出し、且つ初期BVモデル150を使用して第1のBV値250Aを予測し得る。
【0114】
図10Bに示すように、その後、システム200は、第1のBV値250Aを第1の尿排出量測定値(例えば450ml)と比較し得る。その後、システム200、例えば、BVロジックは、初期BVモデル150を第2のBVモデル152へ修正し、精度を高め得る。それに続く膀胱排尿事象は、さらに、BVモデルを改良し得る。例えば、図10Cに示すように、第2の排尿事象は、第2の尿排出量測定値250B(例えば150ml)を提供したため、これを使用して、訓練済のBVモデル152を第3のBVモデル154へさらに修正することができる。システム200は、反復的にBVモデルを修正し続け、その後の膀胱排尿事象の度に、患者の特有のプロファイルを改良するために、BVモデルを改善し得る。
【0115】
一実施形態では、システム200は訓練期間を経て、特定の患者10に関して「学習する」又はシステム200を較正し、且つ生体インピーダンス測定値に基づいて患者のBV値の正確な推定値を提供することができる。一実施形態では、システム200は、予め決められた時間窓、又は予め決められた数の膀胱排尿事象の訓練期間を経ることができる。一実施形態では、システム200は、推定BV値と尿排出量(UO)指標との間の差が閾値を下回るまで、訓練期間を続け得る。一実施形態では、閾値は、予め決められた値であり得るか、又はシステム200によって得られ得る。
【0116】
一実施形態では、ひとたびシステム200が患者に対して「訓練」されたら、AUO300訓練システム及び/又は採尿システム30は取り外されて、除去され得る。従って、システム200は、訓練済のBVモデル154を使用して患者10のBV値を測定し続け得る。有利には、AUO訓練システム300及び採尿システム30の取り外しは、侵襲的な尿管理機器の必要性を減らし、且つまた、システム200の携帯性を高めて、患者10の動きの自由度を高め得る。システム200は、患者10によって装着される携帯型パック内に入れられ、且つ患者10の動きの自由度を高めることを可能にし得る。
【0117】
一実施形態では、訓練済のBVモデル154は、システム200によって使用されて、患者10のTBW値の精度を高め得る。従って、システム200は、個々の患者10のそれぞれに対して正確なTBWを決定し得る。有利には、システム200は、患者10のTBW値を監視し、且つ患者のTBWのいずれの変化も決定して、利尿治療に対する患者の反応、他の治療法に対する反応、又は患者の状態の変化を示し得る。そのような情報は、定期的な体重測定又は膀胱排尿測定の現在の方法よりも、利尿治療に対する迅速且つ正確な反応の現れを提供し得る。これは、患者が利尿治療に反応せず、代替的な治療を迅速に実施する必要がある場合に、特に重要であり得る。
【0118】
一実施形態では、BVM100又はAUO300の一方は、直接又はネットワークなどによって間接的にのいずれかで、システム200と通信式に結合される別個のスタンドアロンシステムであってもよい。一実施形態では、システム200、BVM100又はAUO300のうちの1つは、患者に接近して、例えば病室内に配置されたスタンドアロン「ベースステーション」とし、且つ患者に配置された第1のセンサアレイ102、第2のセンサアレイ104、又はAUOセンサ302のうちの1つと無線式に結合され得る。従って、患者10によって「装着され」得る器具類が少なく、患者の快適さを向上させる。一実施形態では、システム200又はその構成要素は、携帯型コンピュータデバイス、モニター、ハンドヘルド機器、ウェアラブル機器(例えばスマートウォッチなど)、ラップトップ、タブレット型機器など内に配置され得る。一実施形態では、システム200又はその構成要素は、耐水性又は防水性である内蔵ユニット内に配置され得、且つ患者10からシステム200を係合解除する必要なく、軽く水浴びしたり又はシャワーを浴びたりすることを可能にし得る。一実施形態では、システム200又はその構成要素は、パウチ、又は「ファニーパック」内に入れられ得、且つユーザによって装着されて、システム200を運ぶのを容易にし得る。
【0119】
有利には、電気インピーダンスセンサは、比較的安価で軽量であり、及び皮膚表面による圧力をほとんど必要とせずにそれらの間の導電性の接触を確立し、ユーザの動きや快適さにほとんど又は全く影響を及ぼさずに、ユーザがセンサ102、104を装着することを可能にし得る。さらに、センサは廃棄され得、及びシステム200には、新しい患者毎に新しいセンサが結合されることができ、特に短期間の救命救急診療の状況において、よりコスト効率的なシステムを提供する。
【0120】
有利には、BVM100及びAUO訓練システム300を含むシステム200は、個々の患者10のそれぞれに対する、システム200の自動化された「閉ループ」自己学習及び較正を可能にして、共存症のある「問題のある」患者における精度を高めることを可能にし得る。
【0121】
膀胱訓練
患者10に長期間カテーテルが挿入されるとき、いくつかの問題が起こり得る。例えば、膀胱12は、弾性及びコンプライアンスを失って、カテーテル32が除去された後、失禁や尿意促迫を引き起こすか、又は他の異常な膀胱及び排尿機能を引き起こす。患者は、膀胱に比較的少量の尿量しかなくても、膀胱がいっぱいになっているという感覚及び排尿する必要性を有し得ることが多い。一実施形態では、AUOロジック316Aは、弁306と通信式に結合され得、及び弁306を選択的に開放又は閉鎖して、採尿システム30を通る流体流を制御し得る。弁306は、採尿システム30内での尿流を制御するために、カテーテル32のルーメン、又はドレナージ管34のルーメン、又は任意の適切なロケーションのうちの1つに配置され得る。AUO300は、カテーテル32のドレナージルーメン又はドレナージ管34を塞いで、尿が膀胱12内に溜まることを可能にするように構成され得る。AUO300は、膀胱12が「いっぱい」になった、すなわち尿量が総膀胱容量のある割合にあるとみなされるまで、尿が溜まることを可能にし得る。システム200は、本明細書で説明するように、膀胱12のBV値を測定し得、及び弁306を開放するために、膀胱12が十分にいっぱいになった時点を決定し得る。その後、AUOロジック316Aは、弁306を閉鎖位置から開放位置へ移して、次の排尿サイクルの準備のために弁306を再び閉鎖する前に、患者10が膀胱12を空にすることを可能にする。
【0122】
弁の周期的な閉鎖及び排尿事象後の尿の蓄積は、膀胱の弾性、コンプライアンス及び自然な膀胱機能を維持又は再訓練し得る。さらに、膀胱12の周期的な充満及び排尿は、BVモデル150をさらに訓練し、膀胱12内の尿の蓄積割合、排尿が必要とされる膀胱容積割合、排泄された尿量、及び/又は排尿事象後に膀胱12内に残っている残尿量を決定し得る。一実施形態では、弁306は、圧力センサ、弁、又は弁を制御するロジックが故障した場合に、弁を開放して圧力を逃がすように構成された冗長な圧力逃がし機構を含み得る。有利には、閾値に到達する前にシステム200が弁306を開放できない場合には、弁306は、閾値に到達すると弁306を開放して流体がそこを通って流れることを可能にするフェイルセーフ機構を含み得る。これにより、弁306が起動できない場合の患者への不注意な外傷を防止し得る。
【0123】
協働システムの安全機能
有利には、BVM100及びAUO300を含むシステム200は、1つ以上の安全機能を含み得る。一実施形態では、システム200は、臨床家に1つ以上の警告を出し得、且つ警告を、システム200から臨床家へ直接、又はネットワーク90によって及び/又はリモートコンピュータ機器、例えばEHR80へ間接的に、伝達し得る。警告は、視覚的、可聴的、又は触覚的警告であってもよい。
【0124】
一実施形態では、AUO300が弁306を開放に設定し、それに続いてBVM100が膀胱容積にほとんど又は全く変化がないと決定する場合、システム200は、エラー、例えば採尿システム30の閉塞、弁306の誤動作などが起こったという警告を臨床家に出し得る。
【0125】
一実施形態では、システム200は、患者10にとって不快であり得る又は臨床的に容認できない、最大膀胱容積能力に膀胱12が近づいている時点を決定し得、及び警告を臨床家に出し得る。これは、患者が能力を奪われており、且つ不快な感覚を臨床家に示すことができず、患者10への外傷につながり得る場合に、特に重要であり得る。例えば、重大なリスクは、尿管への逆流及び腎臓への圧力の戻りであり、水腎症につながり得る。
【0126】
一実施形態では、システム200は、間欠導尿の必要性を評価するために臨床家が計画的に膀胱超音波走査を行う代わりに、膀胱12が最大又は事前決定した膀胱容積能力に近づいている時点を決定し得、且つ臨床家に警告を出し得る。これは、臨床家にとって時間がかかり且つ患者に混乱をもたらす非効率的な走査(すなわち間欠導尿の必要がない)の発生率を減らすため、特に重要であり得る。
【0127】
一実施形態では、システム200は、膀胱12が最大又は事前決定した膀胱容積能力に近づいている時点を決定し得、且つ患者に警告を出し得る。これは、実質的に自立しているが膀胱充満感を感じない特定の種類の患者、例えば、膀胱を空にするために間欠自己導尿に頼っている脊髄損傷患者には、特に重要であり得る。これは、さらに、不必要な間欠導尿の発生率並びに関連する尿道外傷及び感染のリスクを減らし得る。
【0128】
一実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、システム200は、さらに、患者の膀胱12内で患者の膀胱圧を直接測定するための、カテーテル32の遠位に配置された圧力センサ502を含み得る。一実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、圧力センサ502は、カテーテル32のルーメン、ドレナージ管34のルーメン内に、又は収集容器36内に配置され、且つ患者の膀胱圧を測定するように構成され得る。そのため、システム200は、患者の膀胱圧値を決定し、且つ膀胱圧が不快な又は臨床的に容認できないレベルに近づいている時点を決定し得る。そのため、システム200は、臨床家に警告を出し得るか、又は弁306を開放位置へ移して、圧力を解放し得る。
【0129】
超音波ベースの訓練システムによるシステム
図8に示すように、一実施形態では、システム200は、本明細書で説明したようなBVM100、及びBVモデル150を訓練するように構成された超音波ベースの訓練システム(U/Sシステム)400を含み得る。U/Sシステム400は、超音波を使用して、膀胱12内の流体量を直接測定するように構成され得る。一実施形態では、U/Sシステム400は、システム200のプロセッサ210、データストア212、又は電源214に加えて、又はその代わりに、プロセッサ410、データストア412、電源414、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0130】
一実施形態では、U/Sシステム400は、さらに、超音波トランスデューサ402と通信式に結合され且つ超音波音響信号を生成するように構成された1つ以上のロジック416(例えばU/Sロジック416A)を含み得る。U/Sロジック416Aは、反射した超音波信号を検出し且つ膀胱排尿事象前又はその後のいずれかの膀胱内の流体量(BV値)を決定するように構成され得る。一実施形態では、超音波トランスデューサ402は、スタンドアロンの携帯型膀胱スキャナーU/Sシステム400を使用して膀胱12内の流体量を定期的に測定するために、臨床家によって適所に保持され得る。これは、間欠導尿処置の前に行われても及びその後に行われてもよく、且つまた、その処置中に収集された尿量の測定を含んでも又は含まなくてもよい。一実施形態では、超音波トランスデューサ402は、接着剤などによって、腹部に、膀胱部位の周りに、又は恥骨の直ぐ上に固定され得る。一実施形態では、超音波トランスデューサ402は、ベルト120の内側面に配置され得る。ベルト120は、トランスデューサ402を腹部のへそ部位の周りに固定するように構成され得る。ベルト120は、トランスデューサ402と皮膚表面との間に十分な圧力を維持してそれらの間の十分な音響コンダクタンスを確実にするために、調整可能であってもよい。一実施形態では、ヒドロゲル、ウレタンゲル、又は同様の超音波伝導ゲルが、トランスデューサと皮膚表面との間に配置されて、それらの間の十分な音響コンダクタンスをさらに確実にし得る。
【0131】
有利には、本明細書で説明するように、U/Sシステム400は、患者10からの尿排出量を収集及び測定する必要なく、BVMシステム200を較正又は「訓練」し得る。例えば、患者10が、採尿システム30を使用してカテーテル挿入される必要がない場合でも、システム200は、依然として、BVモデル150を訓練するためにU/S訓練システム400を使用して個々の患者10に対して訓練され得る。これは、留置カテーテル法を回避し得、且つ患者10の動きの自由度を高める一方で、例えば患者が準歩行可能である場合には、依然としてシステム200を訓練することを可能にする。
【0132】
一実施形態では、U/Sシステム400及びトランスデューサ402は、システム200から取り外し自在であり得る。従って、ひとたびシステム200が特定の患者10に対して訓練されたら、U/Sシステム400は除去され得、患者の動きの自由度を高め、且つ快適さを高める。そのため、本明細書で説明するように、システム200は、高い精度でBV値を監視し続ける。
【0133】
一実施形態では、本明細書で説明するように、システム200は、1つ以上の訓練システムを使用してBVM100を訓練し得る。例えば、本明細書で説明するように、BVM200は、電気インピーダンス及びBISモデル(例えばBVモデル150)を使用してBV値を決定し得る。その後、U/Sシステム400は、超音波モダリティを使用してBV値を確認し得、及びシステム200は、必要な場合にはBISモデルを修正し得る。その後、患者10は、膀胱を空にし、且つ排尿された流体の量を記録して、その値を、例えばユーザインターフェース218又はリモートコンピュータ機器80によってシステム200に入力し得る。その後、U/Sシステム400は、排尿事象後に膀胱に残された残留流体を測定し得る。そのため、システム200は、システム200に入力された、排尿された膀胱値と、U/Sシステム400によって決定された残留膀胱容積値を組み合わせて、正確なBV値を提供し、且つBVモデル150の精度を高め得る。
【0134】
内部膀胱圧センサ較正によるシステム
図9に示すように、一実施形態では、システム200は、本明細書で説明したようなBVMシステム100、及びBVモデル150を訓練するように構成された膀胱圧訓練システム500を含み得る。膀胱圧訓練システム500は、膀胱12内の流体圧を測定することによって、膀胱12内の流体量を直接測定するように構成され得る。
【0135】
一実施形態では、膀胱圧システム500は、本明細書で説明したようなシステム200のプロセッサ210、データストア212、又は電源214に加えて、又はその代わりに、プロセッサ510、データストア512、電源514、又はこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、膀胱圧システム500は、さらに、圧力センサ502と通信式に結合された1つ以上のロジック516(例えば圧力ロジック516A)を含み得る。一実施形態では、圧力センサ502は、カテーテル32の遠位に配置され得、これは、膀胱12内に配置され得、且つ膀胱12内の圧力を直接測定して、その尿量を決定し得る。
【0136】
有利には、カテーテル挿入されることを既に必要としている患者に対し、圧力システム500は、患者10からの尿排出量を収集及び測定する必要なく、本明細書で説明するように、BVMシステム200を較正又は「訓練」し得る。例えば、尿排出量測定値は、膀胱排尿事象後に膀胱に残る残尿量次第で変わり得る。これらの変動は、訓練データに「ノイズ」を加え得、且つ精度が低いBVモデルにつながり得る。さらに、膀胱12から排尿された尿の収集及び測定は、厄介で時間がかかり得る。例えば、尿は、ドレナージ管に依存するループに捕らえられ得、これは、尿排出量測定値に影響を与え得る。
【0137】
体内圧力センサ監視によるシステム
一実施形態では、システム200は、本明細書で説明したようなBVMシステム100、及び体内圧力監視システム、例えば、BVモデル150を最適にするように構成された膀胱圧システム500を含み得る。体内圧力監視システム500は、腹腔内圧を測定し、且つ生体インピーダンス値及びシステム200によるBV値又はTBW値の決定に影響を与え得る、体内圧力の変化を決定するように構成され得る。例えば、腹部コンパートメント症候群が、腹腔内圧の変化を引き起こし得、これは、本明細書で説明したような、膀胱内に配置された圧力センサによって検出され得る。
【0138】
一実施形態では、体内圧力監視システム500は、本明細書で説明したようなシステム200のプロセッサ210、データストア212、又は電源214に加えて、又はその代わりに、プロセッサ510、データストア512、電源514、又はこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、体内圧力監視システム500は、さらに、圧力センサ502と通信式に結合された1つ以上のロジック516を含み得る。一実施形態では、圧力センサ502は、カテーテル32の遠位に配置され得、これは、膀胱12内に配置され得、且つ膀胱12内の圧力を直接測定して、その腹腔内圧を決定し得る。
【0139】
有利には、カテーテル挿入されることを既に必要としている患者に対し、圧力システム500は、BVMシステム200の較正又は「訓練」を最適にし得る。例えば、腹水、及び腹部の流体貯留につながる他の状態は、生体インピーダンス測定値に影響を与え得る。これらの変動は、訓練データに「ノイズ」を加え得、且つ精度が低いBVモデルにつながり得る。腹腔内圧測定値によって過剰な流体が存在する可能性があることに関してBVMシステム200が警告を生成することは、よりロバストなBVモデル150につながる。
【0140】
体内総水分量及び膀胱容積システム
図11A図11Bは、患者10のTBW値及び/又は患者10の膀胱12のBV値を測定するように構成された自立型の非侵襲性のTBW測定機器(機器)600を示す。一実施形態では、機器600は、踏板620及びハンドル622を含む、「立位スケール」機器600であってもよい。ハンドル622は、踏板620から延在する支柱624によって支えられ得る。踏板620は、そこに立っている患者10を支えるように構成され得る。ハンドル622は、踏板620に立っているときに患者の各手で掴まれるように構成され得る。支柱624は、患者10にとって人間工学的に快適な高さ、例えば踏板620から0.6メール~1.2メートル(2フィート~4フィート)で、ハンドル622を支え得る。一実施形態では、支柱624は、患者10の身長次第でハンドルを再位置決め可能にするように調整可能であり得る。
【0141】
一実施形態では、踏板620は、左足の電極602A及び右足の電極602Bを含む第1のセンサアレイ602を含み得る。一実施形態では、ハンドル622は、左手の電極604A及び右手の電極604Bを含む第2のセンサアレイ604を含み得る。一実施形態では、踏板620は、さらに、患者10の体重値を決定するように構成された圧力センサを含み得る。機器600は、さらに、情報を表示するか又はユーザが機器600に情報を入力することを可能にするように構成されたユーザインターフェース618を含み得る。一実施形態では、ユーザインターフェース618は、タッチスクリーン、キーパッドなどであってもよい。
【0142】
図12に示すように、一実施形態では、機器600は、さらに、回路108を含み得、これは、本明細書で説明するような、患者10のBV値又はTBW値を測定するように構成された、プロセッサ110、データストア112、電源114、1つ以上のロジック116(例えばBVロジック116A、TBWロジック116B、通信ロジック116C、肺流体量(LFV)ロジック116D)、ユーザインターフェース118、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。一実施形態では、機器600は、ネットワーク90及び/又はリモートデータベース80、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、病院ネットワーク、イントラネット、インターネット、「クラウド」ベースのネットワーク、コンピュータ機器、電子健康記録(EHR)システム、これらの組み合わせなどと通信式に結合され得る。一実施形態では、機器600は、追加的な医療システム70、例えば超音波システム、流体収集システム、自動尿排出量システム、胸腔又は他のドレナージシステム、注入システム、経腸栄養システム、ベンチレータ及びネブライザーシステムなどと通信式に結合され得る。留意すべきは、呼吸によって失われる流体の量が相当であり得ることである。これらの追加的な医療システム70は、機器600に追加的な情報を提供して、患者10へ注入される又は患者から排出される流体量を決定し得る。追加的な医療システム70は、機器600と直接結合され得るか、有線若しくは無線のいずれかで機器600と通信式に結合され得るか、又はネットワーク90若しくはリモートデータベース80の一方によって機器600と通信式に結合され得る。
【0143】
一実施形態では、機器600は、患者の電気インピーダンス値を測定し且つ生体インピーダンス分光法(BIS)を使用してTBW値を決定するように構成されたTBWロジック116Bを含み得る。本明細書で使用されるような生体インピーダンス分光法はまた、生体インピーダンスプレチスモグラフィ又は生体インピーダンス断層撮影と呼ばれ得る。留意すべきは、生体インピーダンス分光法は生体インピーダンス分析とは異なることである。生体インピーダンス分析は、患者の体形、サイズ、年齢、身長、体重、性別、民族性、及び/又はデモグラフィックの一般化に頼っている。これらの一般化は、「正常な」患者には応用可能であり得るが、そのような一般化は、救命救急診療患者には応用できない可能性がある。さらに、救命救急診療患者はまた、患者の値に遥かに高い精度を必要とする。例えば、HF患者は、過剰な体液ゆえに太りすぎで、心臓の体液過剰につながっているかもしれない。従って、BIAベースのシステムに頼る一般化は、精度が低いTBW又はBV測定値を提供する。さらに、HF患者は、利尿治療が効いていることの確認をより迅速に提供するために、TBW測定値及びBV測定値に遥かに高い精度を必要とする。利尿治療が効いていない場合、臨床家は、代替的な治療に迅速に取りかかる必要がある。
【0144】
例示的な使用方法では、本明細書で説明したような立位スケール機器600が提供される。患者10は、踏板620に立って、足の電極センサ602のそれぞれに裸足を、例えば左足の電極602Aに左足及び右足の電極602Bに右足を置き得る。一実施形態では、患者10はまた、ハンドル622を両手で掴み、素手の左手で左手の電極604Aを掴み、且つ素手の右手で右手の電極604Bを掴み得る。患者は、素肌で電極602、604に接触して、それらの間に電気接触を提供することに留意しなくてはいけない。
【0145】
そのため、例えば足の電極602又は手の電極604のうちの一方によって、励起信号が第1の電極によって提供され得る。そのため、第2の電極が励起信号を検出し得る。一実施形態では、第2の電極は、第1の電極とは異なる、足の電極602、又は手の電極604のうちの一方であり得る。例えば、励起信号は右足の電極602Bによって提供され、及び左足の電極602A、左手の電極604A、右手の電極604B、又はこれらの組み合わせのうちの1つによって、検出され得る。一実施形態では、励起信号は、左足の電極602A、右足の電極602B、左手の電極604A、右手の電極604B、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上によって、提供され得る。一実施形態では、第2の検出電極は、左足の電極602A、右足の電極602B、左手の電極604A、右手の電極604B、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。励起電極及び検出電極のこれらの及び他の組み合わせも、限定せずに考えられることが認識されるであろう。
【0146】
TBWロジック116Bは、第1の電極で提供された励起信号の測定、並びに第2の電極で受信した励起信号の検出の双方を行うように構成され得る。そのため、TBWロジック116Bは、患者10の電気インピーダンス値を決定し得る。そのため、TBWロジック116Bは、患者10のBISモデル(例えばBVモデル150又はTBWモデル)に電気インピーダンス値を応用して、患者10のTBW値を決定し得る。留意すべきは、BV値の代わりに患者のTBW値を決定するために使用されることを除いて、TBWモデルがBVモデル150に同様に使用されることである(図10A図10C参照)。モデルは、インピーダンス値をTBW値に変換でき、且つ本明細書で説明するように、個々の患者10にパーソナライズされるようにロジック116によって決定されるように、システム600によって修正され得る。
【0147】
一実施形態では、第1の対の電極は、BISを使用してTBW値を測定するように構成され得、及び第2の対の電極は、BISを使用してBV値を測定するように構成され得る。例えば、第1の対の足の電極602A、602Bは、励起信号を、患者10の膀胱12を通過するようにして、患者600のBV値を決定するように構成され得る。第2の対の手の電極604A、604Bは、励起信号を、患者10の胴領域14を通過するようにして、患者10の生体組織のTBW測定値を決定するように構成され得る。有利には、機器600は、患者10のTBW値を決定し、且つ膀胱12の周囲の組織のTBWを考慮するために、BISモデルを修正し得る。従って、機器600は、集団又はデモグラフィックスにおける仮定に頼ることなく、患者10の正確なBV測定値を決定し得る。一実施形態では、第2の対の手の電極604A、604Bは、励起信号を、胴領域14を通過するようにして、肺16内にある流体量を決定するように構成され得る。従って、機器600は、肺16内にある流体量(すなわちLFV値)を決定し得る。
【0148】
一実施形態では、踏板620は、さらに、患者10が踏板620の上に立っているときにそこに加えられる圧力を検出するように構成された圧力センサを含み得る。その結果、TBWロジック116Bは患者10の体重値を決定し得る。一実施形態では、TBW値、BV値、体重値、LFV値又はこれらの組み合わせが、ユーザインターフェース618上で臨床家に表示され得る。一実施形態では、機器600は、さらに、TBW値、BV値、体重値、又はLFV値のうちの1つをネットワーク90及び/又はリモートデータベース80、例えばEHRシステムなどに通信するように構成された通信ロジック116Cを含み得る。
【0149】
一実施形態では、追加的な情報は、ユーザインターフェース618によって機器600に入力され得るか、又はリモートデータベース80若しくはネットワーク90によって提供され得る。例示的な変数は、限定されるものではないが、患者変数、例えば性別、年齢、身長、体重、円周測定値、排尿事象の日/時、尿排出容積、自動尿排出容積に対する調整などを含み得る。これらの変数は、臨床家、患者によって、又はネットワーク90、例えば電子カルテ、「クラウド」ベースのネットワーク、イントラネット、インターネット、LANなどによって、リモートデータベース80から質問されて自動的に、入力され得る。
【0150】
図13図14Bに示すように、一実施形態では、TBW機器700は、本明細書で説明したような回路108を含んで提供され、これは、ブレスレット720に配置されたセンサ702と通信式に結合される。一実施形態では、回路108は、単一のスタンドアロンユニット、ハンドヘルドコンピュータ機器、又は「ベースステーション」に含まれ、且つ有線又は無線通信のいずれかでセンサ702と通信式に結合され得る。「ベースステーション」は、患者に接近して配置され得る、すなわち患者のベッドに結合され得るか、又は同じ室内に配置され得る。一実施形態では、回路108は、例えばバッグ又はパウチ又は「ファニーパック」に入れて患者10によって運ばれ得、回路108は、患者の胴の周りに固定されるベルトに配置され得る。
【0151】
一実施形態では、センサ702は、励起信号を生成又は検出するように構成された電極であり得る。センサ702は、患者10の手首又は足首部分を取り囲み且つ患者10の皮膚表面に接するように電極702を支えるように構成されたブレスレット720に配置され得る。一実施形態では、ブレスレット720は、異なるサイズの患者に合うように調整可能であり得るか又は伸縮性を有し得る。一実施形態では、ブレスレット720は、電極702の正しい位置合わせを容易にするために、1つ以上のマーカを含み得る。例えば、マーカは、センサを患者10と正しく位置合わせするために、距骨又は手根骨などの患者10の解剖学的な基準マークと位置合わせし得る。
【0152】
一実施形態では、TBW機器700は、左足のブレスレット720A、右足のブレスレット720B、左手のブレスレット720C、右手のブレスレット720D、又はこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、ブレスレット720A~720Dのそれぞれは、センサ702を含み得る。一実施形態では、ブレスレット720A~720Dのそれぞれは、センサ702のアレイを含み得る。
【0153】
センサ702は、有線又は無線のいずれかで、回路108と通信式に結合され得る。回路108は、本明細書で説明するように、励起信号を生成及び/又は検出し且つBISを使用して患者10のBV値、TBW値、LFV値を決定するように構成された、ロジック116、例えばBVロジック116A、TBWロジック116B、LFVロジック116Dなどを含み得る。有利には、例えば患者が寝たきりである及び/又は立つことができない場合、患者が腹臥位又は座位にある間、1つ又は複数のブレスレット720及び1つ又は複数の電極センサ702が、患者10によって装着される。
【0154】
一実施形態では、図13に示すように、機器700は、さらに、患者10の肺領域16の周りに延在し且つ本明細書で説明したような1つ以上のセンサ702を含む胸部ストラップ722を含み得る。胸部ストラップ722とセンサ702のアセンブリは、肺流体量(LFV)ロジック116Dと通信式に結合され得る。LFVロジック116Dは、患者の肺16の電気インピーダンス値を測定し且つその内部にある流体量、すなわちLFV値を決定するように構成され得る。一実施形態では、LFVロジック116Dは、肺16内の流体量を決定するために、生体インピーダンス分光法(BIS)を使用し得る。一実施形態では、機器700は、肺16の周囲の組織内にある流体を補償するためにTBW値を使用して、正確なLFV値を提供し得る。
【0155】
図14Aに示すように、一実施形態では、センサ702は、表面にコーティング708が設けられた電極を含み得る。コーティングは、電極702の表面と患者10の皮膚表面との間に配置され得る。コーティング708は、ヒドロゲル、ウレタンゲル、又はこれらの組み合わせを含み得る。コーティング708は、電極702と患者10の皮膚表面との間の電気接触を改善するように構成され得る。有利には、コーティング708を備える電極702は、電極702と皮膚表面との間の電気接触を維持するために、それらの間にあまり圧力を必要としなくてもよい。従って、電極は、不快感なく、長期間装着され得る。
【0156】
一実施形態では、コーティング708は、患者10の皮膚表面に接するように電極を保持するように構成された加圧反応型接着剤を含み得る。有利には、接着剤は、ブレスレット720を必要とせずに、電極702を患者10に固定することを可能にする。ブレスレット720からの圧力は、長期間にわたると患者にとって不快になるかもしれず、皮膚感染、皮膚炎、及び皮膚の損傷のリスクの増加につながり得る。
【0157】
有利には、機器700は、長期間、患者10によって装着され得、且つインピーダンスレベルを定期的に測定して、患者10のTBW値、BV値、又はLFV値の変化を決定し得る。従って、本明細書で説明する実施形態は、時間ベースのBV、TBW、又はLFVデータを提供し得る。そのような時間ベースのBV、TBW、又はLFVデータは、ネットワーク90又はリモートデータベース80と通信され得、且つ、例えばHF患者での利尿治療など、治療が効いているかどうかを迅速に決定するのに重要であり得る。
【0158】
有利には、本明細書で開示した実施形態は、患者のTBW値、BV値、及び/又はLFV値を決定するためにBISを使用し得る。年齢、性別、及び他のデモグラフィックスの仮定に頼る生体インピーダンス分析(BIA)システムとは対照的に、BISシステムは、各患者に適応し、「異常な」状態を考慮し、且つ正確なTBW、BV、LFVデータを提供し得る。従って、身体組成が異なる全ての患者に対して正確なTBW値を決定することができる。
【0159】
有利には、本明細書で開示した実施形態は、臨床家の既存のワークフローに組み込まれ、且つネットワーク80及び/又はリモートデータベース90、例えばEHRなどに通信式に結合され得る。従って、TBW及び/又はBV測定値は、機器によって決定され、且つ臨床家や患者に余分な仕事が全くなく又は何の不便もなく、リアルタイムでEHRへ通信され得る。これは、TBW、BV、及び/又はLFV値に関する正確な直接情報を提供し、利尿又は他の治療法の有効性を決定し得る。さらに、これは、臨床家の仕事量を減らし、且つデータ入力ミスを減らすことができる。
【0160】
本明細書でいくつかの特定の実施形態を開示し、及び特定の実施形態をある程度詳細に開示したが、特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図していない。当業者には追加的な適応例及び/又は修正例があるように思われ得、より広範な解釈では、これらの適応例及び/又は修正例も含まれる。従って、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱せずに、本明細書で開示した特定の実施形態からの逸脱がなされてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
【国際調査報告】