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特表2024-507897体液検査基盤の退行性脳疾患の診断およびモニタリング技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】体液検査基盤の退行性脳疾患の診断およびモニタリング技術
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240214BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20240214BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20240214BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20240214BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
C12Q1/6883 Z ZNA
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6837 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551136
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2022002357
(87)【国際公開番号】W WO2022182061
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0024490
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】500197682
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティチュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】イム,ウンギョン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジェウ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,スジン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビョンフン
(72)【発明者】
【氏名】カン,テジュン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,スンボム
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ソンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギュソン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジュヨン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ58
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR40
4B063QR55
4B063QS32
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、体液検査基盤の退行性脳疾患の診断およびモニタリング技術に関する。本発明による検出システムを利用する場合、ノイズなどの問題を最小化するとともに効果的なリアルタイム診断効率を示すことができる。特に、微量で存在するmiRNAを高い検出効率で検出して、これを診断することで、アルツハイマー病を含む、退行性脳疾患に対する優れた診断効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、miRNA検出用組成物。
【請求項2】
ヒドロゲルの粒子は、天然ポリマー、アクリル系モノマーまたはポリマー、ポリアクリルアミド系モノマーまたはポリマー、ホスファチジルコリン、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)系モノマーまたはポリマー、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose)、アルギン酸(Alginate)、キトサン(Chitosan)、ポリカプロラクトン(Poly(e-caprolactone))、ポリ乳酸(Poly(zlactic acid))、ポリグリコール酸(Poly(glycolic acid))、ポリエチレングリコール、ヒドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、リン酸三カルシウム(Tricalcium phosphate)およびこれらの混合物からなる群より選択された一つ以上の粒子である、請求項1に記載のmiRNA検出用組成物。
【請求項3】
リポソームを構成する脂質は、リン脂質、糖脂質、ステロール類およびカチオン性脂質からなる群より選択されるいずれか一つ以上である、請求項1に記載のmiRNA検出用組成物。
【請求項4】
5’末端にレポーターは、ALEX-350、FAM、VIC、TET、CAL Fluor(登録商標) Gold 540、JOE、HEX、CAL Fluor Orange 560、TAMRA、CAL Fluor Red 590、ROX、CAL Fluor Red 610、TEXAS RED、CAL Fluor Red 635、Quasar 670、CY3、CY5、CY5.5およびQuasar 705からなる群より選択されるいずれか一つであり、3’末端のクエンチャーは、DABCYL、BHQ、ECLIPSE、およびTAMRAからなる群より選択されるいずれか一つである、請求項1に記載のmiRNA検出用組成物。
【請求項5】
miRNA検出用組成物と別途の分離した界面活性剤を含む緩衝溶液を含む、請求項1に記載のmiRNA検出用組成物。
【請求項6】
5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項7】
ヒドロゲルの粒子は、天然ポリマー、アクリル系モノマーまたはポリマー、ポリアクリルアミド系モノマーまたはポリマー、ホスファチジルコリン、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)系モノマーまたはポリマー、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose)、アルギン酸(Alginate)、キトサン(Chitosan)、ポリカプロラクトン(Poly(e-caprolactone))、ポリ乳酸(Poly(zlactic acid))、ポリグリコール酸(Poly(glycolic acid))、ポリエチレングリコール、ヒドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、リン酸三カルシウム(Tricalcium phosphate)およびこれらの混合物からなる群より選択された一つ以上の粒子である、請求項6に記載の退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項8】
リポソームを構成する脂質は、リン脂質、糖脂質、ステロール類およびカチオン性脂質からなる群より選択されるいずれか一つ以上である、請求項6に記載の退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項9】
5’末端にレポーターは、ALEX-350、FAM、VIC、TET、CAL Fluor(登録商標) Gold 540、JOE、HEX、CAL Fluor Orange 560、TAMRA、CAL Fluor Red 590、ROX、CAL Fluor Red 610、TEXAS RED、CAL Fluor Red 635、Quasar 670、CY3、CY5、CY5.5およびQuasar 705からなる群より選択されるいずれか一つであり、3’末端のクエンチャーは、DABCYL、BHQ、ECLIPSE、およびTAMRAからなる群より選択されるいずれか一つである、請求項6に記載の退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項10】
前記第1のプローブは、mmu-miR-1187、mmu-miR-1306-3p、mmu-miR-7038-3p、mmu-miR-5113、mmu-miR-669n、mmu-miR-669c-5p、mmu-miR-365-2-5p、mmu-miR-3095-3p、mmu-miR-365-1-5p、mmu-miR-1931、mmu-miR-1306-5p、mmu-miR-7001-5p、mmu-miR-23a-5p、mmu-miR-574-5p、mmu-miR-3061-5p、mmu-miR-8117、mmu-miR-15a-3p、mmu-miR-665-5p、mmu-miR-669m-5p、mmu-miR-466m-5p、mmu-miR-668-5p、mmu-miR-6997-5p、mmu-miR-7684-5p、hsa-miR-1306-3p、hsa-miR-365b-5p、hsa-miR-365a-5p、hsa-miR-1306-5p、hsa-miR-23a-5p、hsa-miR-574-5p、hsa-miR-15a-3p、hsa-miR-665およびhsa-miR-668-5pからなる群より選択されるいずれか一つに相補的な配列を含むものである、請求項6に記載の退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項11】
前記第1のプローブは、mmu-miR-1187、hsa-miR-23a-5p、hsa-miR-365a-5pおよびhsa-miR-574-5pからなる群より選択されるいずれか一つに相補的な配列を含むものである、請求項10に記載の退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項12】
退行性脳疾患の診断用組成物と別途の分離した界面活性剤を含む緩衝溶液を含む、請求項6に記載の退行性脳疾患の診断用組成物。
【請求項13】
請求項1~5の何れか一項に記載の組成物を含む、miRNA検出用キット。
【請求項14】
請求項6~12の何れか一項に記載の組成物を含む、退行性脳疾患の診断用キット。
【請求項15】
5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを試料と反応させるステップを含む、miRNA検出方法。
【請求項16】
5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを試料と反応させるステップを含む、退行性脳疾患の診断方法。
【請求項17】
Inlet;
InletからOutletに繋がれる細管通路;
前記細管通路から分枝されて構成されるOutletの検出部;を含むマイクロ流体チップであって、前記検出部は、蛍光標識のための5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含むものである、miRNA検出用マイクロ流体チップ。
【請求項18】
前記InletからOutletに繋がれる細管通路は、inletからOutletに試料、界面活性剤またはこれらのすべてが移動することができるように繋がれるものである、請求項17に記載のmiRNA検出用マイクロ流体チップ。
【請求項19】
前記マイクロ流体チップは、分枝されて構成されるOutletの2個の検出部を含むものである、請求項17に記載のmiRNA検出用マイクロ流体チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液検査基盤の退行性脳疾患の診断およびモニタリング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
分子診断は、DNAやRNAのような核酸を検出または分析する診断方法であって、塩基配列の特異性を利用するため、他の診断方法に比べて非常に正確且つ多くの情報を得ることができる長所がある。また分子診断は、がん診断、ヒトまたは家畜の感染性疾病診断、病原菌抗生剤耐性検査、食品検査、血液検査、遺伝学的検査など、応用範囲が非常に広ため、市場規模が大きく、成長速度が速い分野である。特に、現場分子診断は、医療支援に対する接近性の強化、結果に対する即刻的な分析と処方、訪問回数および待機時間の減少などを通じて分子診断領域を拡大させることができるため、最も活発に研究されている分野である。
【0003】
特に、天然状態のまま検出し難い核酸を標識して検出する方法は、分子生物学や細胞生物学の多様な分野に応用されてきた。特異的な混成化反応(specific hybridization reaction)を利用するサザンブロッティング(Southern blotting)、ノーザンブロッティング(Northern blotting)、In situハイブリダイゼーション(in situ hybridization)、核酸マイクロアレイ(microarray)でシグナルを検出するために、標識物質が付着した核酸が広く使用されてきた。重合酵素連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)で標識された単量体(標識されたdNTP)または標識されたプライマーを使用してDNAを増幅すると同時にDNAを標識する方法が知られている。このように標識されたDNAをマイクロアレイで検出することができる。
【0004】
PCRと同時に核酸を標識する方法は、標識のための別途のステップが必要でない長所があるのに対し、蛍光染料などで標識された単量体を使用する場合、標識されていない単量体を使用する場合よりPCRの効率に劣る短所がある。また、RNAは、PCR方法で増幅することができないため、PCRで標識する方法でRNAを検出するためには、逆転写(reverse transcription)を通じてcDNAを製造するステップが必要であり、特に、マイクロRNA(microRNA、miRNA)のように長さが短い場合、cDNAの製造が煩わしい問題がある。よって、より向上した敏感度と特異度を有する核酸検出技術の開発が切実な実情である。
【0005】
先立って説明された方法の場合、多くの量の検出核酸を保有した場合にターゲットになる核酸を検出するのに容易な方法である。現在も多く使用しているにもかかわらず、少ない量のターゲット核酸が存在する際には、これを検出することが非常に難しい実情であり(敏感度が低い)、他の阻害剤によって特定ターゲットのみを検出することができず、非特定ターゲットを間違って検出する場合(特異度が低い)が頻繁である。
【0006】
一方、等温(isothermal)、非酵素(enzyme-free)シグナル増幅反応であるヘアピンアセンブリ(catalytic hairpin assembly)は、単一鎖核酸が触媒として作用して、二種の準安定したヘアピンプローブに対して鎖置換反応を繰り返して引き起こして、二種のヘアピンプローブが結合された形態である二重鎖産物を多量生成する反応として、多様な生体物質の検出技術開発に活用されてきた。
【0007】
退行性脳疾患は、確診することが難しく、さらに一次医療現場では、主に臨床様相に依存して診断的評価を施行するようになる場合が多いため、診断の困難がある。また、認知症の客観的な診断のために、構造的、機能的脳映像が試みされてきたが、これらの役割は、主に他の認知症を排除するための手段として使用される水準であり、脳映像の異常所見は、正常年寄りにおいても可能であるので、確診のための診断法ではない。
【0008】
すなわち、現在まで最も確実な診断方法は、死亡後に剖検を通じて得たアルツハイマー患者の脳(Postmortem)でバイオマーカー(アミロイドβ&リン酸化されたタウタンパク質)を確認することであるが、これは、初期/中期認知症診断マーカーではなく、末期認知症診断マーカーにさらに近い。これによって、現在、脳脊髄液検査は、体液検査の標準で主にアミロイドβペプチドを標的にする検査方法に過ぎない。
【0009】
このような背景下に、退行性脳疾患の診断用脳脊髄液検査技術改良および標準化研究と併せて、体液内に存在する診断バイオマーカーの発掘およびこれを検出することができる高感度検出技術開発研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、迅速且つ正確な退行性脳疾患の診断方法を開発するために鋭意努力して、2種のプローブをそれぞれ他のリポソーム内に入れ、界面活性剤を含む緩衝溶液(反応バッファー)によってリポソームが分解(degradation)が起きる場合、放出後に反応を遂行するようにシステムを製造した。このようなシステムを利用する場合、プローブ間の干渉によるノイズなどの問題を最小化して、少量存在するmiRNAなどを容易に検出することができる長所を有する。これによって、効果的に退行性脳疾患の診断効率を示すことができることを確認して発明を完成した。
【0011】
本発明は、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、miRNA検出用組成物を提供する。
【0012】
本発明は、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、退行性脳疾患の診断用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
よって、本発明は、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、miRNA検出用組成物を提供する。
【0014】
本発明において、「ヒドロゲル(hydrogel)」は、水を基本成分として含むゲル、水を分散枚にするゲルまたは親水性ゲルを包括する概念である。
【0015】
ヒドロゲルの粒子は、親水性モノマーまたはポリマーを含むことができる。本発明の他の一側面で、ヒドロゲル粒子は、天然ポリマー、アクリル系モノマーまたはポリマー、ポリアクリルアミド系モノマーまたはポリマー、ホスファチジルコリン(Posphatidyl choline)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)系モノマーまたはポリマー、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose)、アルギン酸(Alginate)、キトサン(Chitosan)、ポリカプロラクトン(Poly(e-caprolactone))、ポリ乳酸(Poly(lactic acid))、ポリグリコール酸(Poly(glycolic acid))、ポリエチレングリコール、ヒドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、リン酸三カルシウム(Tricalcium phosphate)およびこれらの混合物からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【0016】
天然ポリマーは、カラギーナン、アガまたはアガロースを例として挙げることができる紅藻類由来多糖類、マンナン、ガラクトマンナン、グルコマンナンまたはその誘導体を例として挙げることができるマンノース含有多糖類およびローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ゲランガムまたはカラヤガムを例として挙げることができる天然ガムからなる群より選択された一つ以上を含む。
【0017】
アクリル系モノマーまたはポリマーは、親水性アクリル系モノマーまたはポリマーを含み、具体的に、ポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethylene glycol diacrylate)、ポリエチレングリコールメタクリレート(Polyethylene glycol methacrylate)、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate、PMMA)、ヒドロキシエチルアクリレート(Hydroxyethyl acrylate、HEA)およびヒドロキシエチルメタクリレート(Hydroxyethyl Methacrylate、HEMA)からなる群より選択された一つ以上を含む。
【0018】
本発明のまた他の一側面で、ヒドロゲル粒子は、幅広い使用性を確保するために、ラジカル重合が可能なアクリル系モノマーまたはポリマーを含むことが好ましく、具体的に、ポリエチレングリコールアクリレート系モノマーまたはポリマーを含むことが好ましい。
【0019】
より好ましくは、ポリエチレングリコール、およびポリアクリルアミド系モノマーまたはポリマーを混合して使用することができる。より具体的に、ポリエチレングリコール;およびポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethylene glycol diacrylate)、ポリエチレングリコールメタクリレート(Polyethylene glycol methacrylate)、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate、PMMA)、ヒドロキシエチルアクリレート(Hydroxyethyl acrylate、HEA)およびヒドロキシエチルメタクリレート(Hydroxyethyl Methacrylate、HEMA)からなる群より選択された一つ以上を含むことができ、より一層具体的に、ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethylene glycol diacrylate)を混合して使用することができる。すなわち、ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethylene glycol diacrylate)の混合物を含むことができる。
【0020】
このようなポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethylene glycol diacrylate)の混合の割合は、1:0.5~2重量比が好ましく、より具体的に、略1:1が好ましい。より一層好ましくは、親水性水溶液内に略3:0.5~2:0.5~2(親水性水溶液:ポリエチレングリコール:ポリエチレングリコールジアクリレート)、より好ましくは、3:1:1の重量比で混合することができる。
【0021】
前記ヒドロゲルを構成することができるポリマーは、光硬化型であることが好ましく、紫外線照射による光硬化が起きることがさらに好ましい。すなわち、前記ヒドロゲルは、光硬化によって製造されたものであってよい。
【0022】
光開始剤は、光の使用で自由ラジカル重合および/または架橋を開始することができる。光開始剤の適合した、しかし、非限定的な例は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(HMPP)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、そしてDarocur(商標名)およびIrgacure(商標名)タイプを含み、好ましくは、Darocur 1173および2959である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド;およびビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドを含む。例えば、マクロマーに混入され得る、または特定モノマーとして使用され得る反応性光開始剤も適合である。
【0023】
光開始剤が含有されれば、重合は化学線放射によって、例えば、適合した波長を有する特定紫外線によって開始されることができる。スペクトル要件は、適当であれば適合した光増減剤の添加に制御されることができる。
【0024】
ヒドロゲルは、内部に細孔が開かれた空隙性構造を通じてリポソームを担持することができる特性を有する。またヒドロゲルの空隙性構造によって外部物質(診断のためのmiRNA)の拡散を通じた内部流入に有利であり、ヒドロゲル内部の多面の3次元構造によって化学的結合なしにリポソームをヒドロゲル内部に固定することができる長所を有する。
【0025】
本発明において、リポソームは、人為的で作った1個以上の脂質二重層(lipid bilayer)からなっている球形の小嚢(vesicle)構造物である。
【0026】
本発明のリポソームを構成する脂質も特に限定されず、公知になっている脂質であってよい。前記脂質としては、例えば、リン脂質、糖脂質、ステロール類、カチオン性脂質など、ポリグリセロールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、アルキルメチルグルカミド、アルキルスクロースエステル、ジアルキルポリオキシエチレンエーテル、ジアルキルポリグリセロールエーテルなど、ポリオキシエチレン-ポリ乳酸などの両親媒性ブロック共重合体など、長鎖アルキルアミン類または長鎖脂肪酸ヒドラジド類などが挙げられる。
【0027】
例えば、ホスファチジルコリン(大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリン、ウシ属ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンまたはジステアロイルホスファチジルコリンなど)、ホスファチジルエタノールアミン(ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンまたはジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンなど)、ホスファチジルセリン(ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリンまたはジステアロイルホスファチジルセリンなど)、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール(ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロールまたはジステアロイルホスファチジルグリセロールなど)、ホスファチジルイノシトール(ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトールまたはジステアロイルホスファチジルイノシトールなど)、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチンまたは水添リン脂質などの天然または合成リン脂質中で1種以上が好ましい。
【0028】
前記糖脂質としては、例えば、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質などが挙げられる。前記グリセロ糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド類(ジガラクトシルジラウロイルグリセリド、ジガラクトシルジミリストイルグリセリド、ジガラクトシルジパルミトイルグリセリドまたはジガラクトシルジステアロイルグリセリドなど)またはガラクトシルジグリセリド類(ガラクトシルジラウロイルグリセリド、ガラクトシルジミリストイルグリセリド、ガラクトシルジパルミトイルグリセリドまたはガラクトシルジステアロイルグリセリドなど)などが挙げられる。前記スフィンゴ糖脂質としては、例えば、ガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシドまたはガングリオシドなどが挙げられる。
【0029】
前記ステロール類は、コレステロール、コレステロールヘキサコハク酸、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール、エルゴステロールまたはラノステロールなどであってよい。
【0030】
前記カチオン性脂質は、ジオキタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、ジメチルジオキタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、L-a-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロミド(DOTMA)、2,3-ジオレオイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボザミド-O-エチル]-N,N-ジメチル-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、1-[2-(オレオイルオキシ)-エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DMDAP)、1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DPDAP)、1,2-ジラウロイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DLDAP)、1,2-ジステアリル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DSDAP)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、1,2-ジミリスチル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DMDAP)、1,2-ジパルミチル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DPDAP)、1,2-ジラウリル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DLDAP)、1,2-ジステアリル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DSDAP)、1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP)、1,2-ジラウロイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DLTAP)、1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP)、ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、1,2-ジミリスチル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、1,2-ジパルミチル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP)、1,2-ジラウリル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DLTAP)、1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP)、1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)などであってよい。
【0031】
前記リポソーム形成脂質は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明の一具体様態によれば、リポソームの製造は、通常の製造工程を利用するものであってよい。例えば、脂質膜水化法が利用されてよい。このような方法は、脂質膜を水化させてリポソームを形成するものであり、脂質膜を水化させるための溶液は、脂質膜を水化できるものであれば、制限なく使用可能である。
【0033】
本発明の一具体様態によれば、ホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine、PC)、ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(Dioleoyl-3-trimethylammonium propane、DOTAP)およびコレステロール(5-Cholesten-3β-ol)を混合して製造されたリポソームであってよい。ホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine、PC)、コレステロール(5-Cholesten-3β-ol)およびジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(Dioleoyl-3-trimethylammonium propane、DOTAP)を略1:0.2~0.8:0.05~0.2、好ましくは、1:0.5:0.1のモル比(PC:コレステロール:DOTAP)で混合して使用することが好ましい。
【0034】
このようなリポソームは、プローブを担持することができる脂質二重層(lipid bilayer)からなっている球形の小嚢(vesicle)であれば、如何なる形態でも利用可能である。好ましくは、カチオン性リポソームを使用することを考慮することができる。
【0035】
本発明によるリポソームは、界面活性剤によって分解され、これにより、これに担持されたプローブをヒドロゲル内に放出することができる。
【0036】
このような界面活性剤の例示は、これに限定されるものではないが、セチル臭素化トリメチルアンモニウム塩(cetyl trimethylammonium bromide)、ヘキサデシル臭素化アンモニウム塩(hexadecyl trimethyl ammonium bromide)、ドデシルベタイン(dodecyl betaine)、ドデシルジメチルアミン酸化物(dodecyl dimethylamine oxide)、ジメチルパルミトイルアムモニオプロパンスルホネート(3-(N,Ndimethylpalmitylammonio)propane sulfonate)、ツイン-20(Tween 20)、ツイン-80(Tween 80)、トリトンX-100(Triton-X-100)、ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(polyethylene glycol monooleyl ether)、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル(triethylene glycol monododecyl ether)、オクチルグルコシド(octyl glucoside)、N-ノナノイルメチルグルカミン(N-nonanoyl-N-methylglucamine)などを考慮することができる。
【0037】
本発明の一実施様態によれば、前記界面活性剤は、トリトンX-100(Triton-X-100)であってよい 。
【0038】
このような界面活性剤は、緩衝溶液内略0.5重量%~5重量%、好ましく、は0.6重量%~2重量%、より好ましくは、約1重量%で含まれることができる。
【0039】
本発明による前記リポソームは、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むか、または第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むことができる。
【0040】
すなわち、第1のプローブと第2のプローブをそれぞれ別個のリポソームに含むことで、これらのそれぞれが反応前に混合することを防止して、これらから発生可能なノイズなどを除去することができるようにする。
【0041】
本発明のプローブは、ヘアピン構造を有する。ヘアピン構造は、自然発生であるか、または人為的に導入されることができる。例えば、2個の相補的なオリゴヌクレオチド配列を検出プローブの両末端に添加して検出プローブがヘアピン構造を形成することができるようにする。このような実施例において、前記2個の相補的なオリゴヌクレオチド配列は、ヘアピン構造のアーム(幹)を形成する。ヘアピン構造の前記アーム(arm)は、任意の所望の長さを有することができ、例えば、アームの長さは、2-15nt、例えば、3-7nt、4-9nt、5-10nt、6-12ntであってよい。
【0042】
第1のプローブは、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造を有する。第1のプローブは、検出プローブに該当する。
【0043】
その5’末端に共役のレポーターグループは、独立して蛍光(fluorescent)グループを有することができる。例えば、ALEX-350、FAM、VIC、TET、CAL Fluor(登録商標) Gold 540、JOE、HEX、CAL Fluor Orange 560、TAMRA、CAL Fluor Red 590、ROX、CAL Fluor Red 610、TEXAS RED、CAL Fluor Red 635、Quasar 670、CY3、CY5、CY5.5、Quasar 705のような蛍光グループを有することができる。
【0044】
その3’末端に共役のクエンチャーグループは、蛍光(fluorescence)を吸収/クエンチングすることができる分子またはグループである。例えば、DABCYL、BHQ(e.g.BHQ-1 or BHQ-2)、ECLIPSE、および/またはTAMRAのようなグループが利用されることができる。
【0045】
第2のプローブはヘアピン構造を有し、第1のプローブに相補的なシーケンスを有することができる。
【0046】
本発明の「混成化」は、相補的な単一鎖核酸が二重-鎖核酸を形成することを意味する。混成化は、2個の核酸鎖間の相補性が完全な場合(perfect match)に起きるか、または一部不整合(mismatch)塩基が存在しても起きることができる。混成化に必要な相補性の程度は、特に温度のような混成化条件によって変わることができる。
【0047】
このような第1のプローブおよび第2のプローブは、ヘアピンアセンブリ(catalytic hairpin assembly、CHA)に利用される。これは、単一鎖核酸が触媒として作用し、二種の準安定したヘアピンプローブに対して鎖置換反応を繰り返して引き起こして、二種のヘアピンプローブが結合された形態である二重鎖産物を多量生成する反応に該当する。前記言及したように、第1のプローブは、それぞれ蛍光団(FAM)およびクエンチャー(BHQ1)に改質されており、標的mRNAは、fluorescence recoveryを始め、toehold-mediated hairpin DNA circuit(ii)を通じて第1のプローブと第2のプローブの組み立てを触媒するようになる。
【0048】
前記の反応を通じて既存技術の低い敏感度問題を解決することができる。また、追加的な温度の変化および温度調節装置なしに反応を遂行することができ、酵素またはその他の基質の添加が不要であり、複雑且つ時間所要的な実験過程を要しない状態で反応を進行することができる。
【0049】
すなわち、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルは、第1のプローブと第2のプローブをそれぞれ含むリポソームによって上記のプローブを分離して保存して、これらの相互干渉によるノイズなどを除去する。また、これらは、界面活性剤などによってリポソームの膜が破壊されるとき、リポソーム内で放出されて標的miRNAと反応を遂行するようになる。
【0050】
本発明によるヒドロゲルを含む、miRNA検出用組成物は、miRNAに特異的に結合してCHA反応を通じてmiRNAの有無に対する情報を提供する。
【0051】
マイクロRNA(MicroRNA、miRNA)は、約22個のヌクレオチドの短い単一鎖で構成されたノンコーディングRNAで植物、動物、ウイルスなどで発見される。「miRNA(microRNA)」は、短いノンコーディング(noncoding)RNAで、転写(transcription)と翻訳(translation)水準で遺伝子発現を調節することができる。miRNAは、進化を通じて保存されると共に、細胞周期、分化、発達、代謝、パターニング(patterning)および老化のような根本的な生物学的過程に関与している。
【0052】
miRNAとこれに調節される標的遺伝子は、多様な疾患の機序にmiRNAの重要な役割を予測することができる。したがって、がん、退行性疾患、糖尿病および心血管疾患のような多様な疾患によって非正常的なmiRNAの発現の増加、あるいは減少様相を見せることで、miRNAを疾患の診断および予測および予後に利用されることができるバイオマーカーとして認識されている。生物学的物質内にmiRNAは、非常に極少量存在し、これを検出するために選択的且つ高感度の分析法が必要である。
【0053】
本発明によるmiRNA検出方法は、第1のプローブと第2のプローブをそれぞれ含むリポソームによって上記のプローブを分離して保存して、これらの相互干渉によるノイズなどを除去し、CHA反応を通じてシグナルを大きく増幅させることで極微量で存在するmiRNAを高感度で検出することができる特徴を有する。極微量は、試料内のナノモル(nM)、ピコモル(pM)などの少量を意味する。
【0054】
本発明において検出対象となるmiRNAは、如何なるものであっても本発明の検出対象に含まれることができる。
【0055】
本発明は、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、退行性脳疾患の診断用組成物を提供する。
【0056】
「退行性脳疾患」は、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、軽度認知障害、老人性認知症、糖尿病性認知症、アルコール性認知症、血管性認知症、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、脊髄小脳変性症(Spinocerebellar Atrophy)、トゥレット症候群(Tourette’s Syndrome)、フリードライヒ運動失調症(Friedrich’s Ataxia)、マチャド・ジョセフ病(Machado-Joseph’s disease)、レビー小体型認知症(Lewy Body Dementia)、ジストニア(Dystonia)、進行性核上麻痺(Progressive Supranuclear Palsy)および前頭側頭型認知症(Frontotemporal Dementia)で構成された群から選択されるいずれか一つであることを特徴とすることができる。
【0057】
本発明の退行性脳疾患は、中枢神経系の神経細胞に退行性変化が示されると共に、様々な症状を誘発する疾患で大部分疾病の発病が徐々に始めて生まれた後長い期間、正常な機能をしてから症状が現れる。また一度発病したら死亡時まで数年または数十年にわたって持続的に病気が進行し、家族歴がある場合が多い。
【0058】
本発明において、前記退行性脳疾患は、好ましくは、アルツハイマー病である。
【0059】
退行性脳疾患の診断の目的は、標的miRNAの検出および/またはこれを通じた疾患の診断であってよい。「標的miRNA」は、検出しようとするすべての種類のmiRNAを意味し、混成化、アニーリング(annealing)または増幅条件下でプライマーまたはプローブとアニーリングまたは混成化される。
【0060】
本発明の一実施様態によれば、標的miRNAは、mmu-miR-1187、mmu-miR-1306-3p、mmu-miR-7038-3p、mmu-miR-5113、mmu-miR-669n、mmu-miR-669c-5p、mmu-miR-365-2-5p、mmu-miR-3095-3p、mmu-miR-365-1-5p、mmu-miR-1931、mmu-miR-1306-5p、mmu-miR-7001-5p、mmu-miR-23a-5p、mmu-miR-574-5p、mmu-miR-3061-5p、mmu-miR-8117、mmu-miR-15a-3p、mmu-miR-665-5p、mmu-miR-669m-5p、mmu-miR-466m-5p、mmu-miR-668-5p、mmu-miR-6997-5pおよびmmu-miR-7684-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上であってよい。また、前記miRに相応するヒトmiRを含むことができる。例えば、hsa-miR-1306-3p、hsa-miR-365b-5p、hsa-miR-365a-5p、hsa-miR-1306-5p、hsa-miR-23a-5p、hsa-miR-574-5p、hsa-miR-15a-3p、hsa-miR-665およびhsa-miR-668-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上であってよい。
【0061】
前記miRNAは、退行性脳疾患を有する患者群でその発現水準が増加されるものであってよい。
【0062】
より好ましくは、前記miRNAは、mmu-miR-1187、hsa-miR-23a-5p、hsa-miR-365a-5pおよびhsa-miR-574-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上である。
【0063】
本発明によるmiRNA検出用組成物および/または退行性脳疾患の診断用組成物は、生物学的試料からの任意のmiRNAを検出および/または診断することができる。用語「生物学的試料」は、任意のRNAを含む任意の試料を意味する。前記生物学的試料は、対象から修得した任意の組織または体液であってよい。
【0064】
前記生物学的試料は、対象の痰、血液、血清、血漿、血球(例えば、白血球)、組織、生検サンプル、塗抹サンプル、洗浄サンプル、綿棒サンプル、細胞含有体液、流動核酸、尿、腹膜液および胸水、海馬、脳脊髄液、大便、涙液またはこれからの細胞を含むが、これに制限されない。生物学的試料は、組織学的目的下に取られた組織切片、すなわち凍結または固定切片あるいはその微細解剖細胞または細胞外部分をさらに含むことができる。前記生物学的試料は、対象に危害を及ぼさない方法で得られることができる。
【0065】
好ましくは、試料は、界面活性剤を含む緩衝溶液に混合して提供されることができる。
【0066】
特に、本発明による組成物および/またはキットは、検出効能に非常に優れ、非常に少ない濃度のmiRNA検出が可能である。これによって、人体内に微量で存在するmiRNAを標的にして検出に利用することができる。
【0067】
前記組成物は、さらに別途の分離した界面活性剤をさらに含むことができる。すなわち、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;は、ヒドロゲル内で分離して存在するが、標的核酸配列に対する検出のために界面活性剤の処理を通じてリポソームの膜を分解して反応を遂行するようになる。これは、界面活性剤を含む緩衝溶液の形態で提供されることができる。
【0068】
5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、miRNA検出用キットを提供する。
【0069】
5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含む、退行性脳疾患の診断用キットを提供する。
【0070】
また、キットは、特定反応で使用される試薬の最適量は、本明細書に開示事項を習得した当業者によって容易に決まることができる。典型的に、本発明のキットは、先立って言及された構成成分を含む別途の包装またはコンパートメント(compartment)で製作される。
【0071】
また前記キットは、使用指針(instruction)およびその他の検出に必要な道具または装備をさらに含むことができる。例えば、前記キットは界面活性剤を別途にさらに含むことができる。
【0072】
本発明は、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを試料と反応させるステップを含む、miRNA検出方法を提供する。
【0073】
本発明によるmiRNA検出方法において、前記試料は、界面活性剤を含む緩衝溶液に含まれるものであってよい。これによって、前記界面活性剤を含む緩衝溶液がリポソームの膜を分解し、これから放出される第1のプローブと反応を通じてCHA反応を遂行して蛍光変化などを示すことができる。
【0074】
よって、本発明の検出方法は、反応物の蛍光発色変化を肉眼で確認するステップ;をさらに含むか、反応物の蛍光発色変化を測定するステップをさらに含むことができる。このような蛍光発色変化の測定は、蛍光装備の測定波長を固定して測定する通常の蛍光測定方式であってよい。具体的に、蛍光装備の測定波長を固定して確認することができる。例えば、FAM蛍光の場合、ex;495/em;520の波長での反応物の蛍光強度を測定し、1~2時間の間5~10分間隔で蛍光変化を観察する方式を利用することができる。
【0075】
本発明は、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを試料と反応させるステップを含む、退行性脳疾患の診断方法を提供する。
【0076】
本発明による診断方法は、正常群と退行性脳疾患を有する群との間に発現差を示すmiRNAに対する検出およびこれを通じた診断を目的とする。
【0077】
具体的に、 標的miRNAは、mmu-miR-1187、mmu-miR-1306-3p、mmu-miR-7038-3p、mmu-miR-5113、mmu-miR-669n、mmu-miR-669c-5p、mmu-miR-365-2-5p、mmu-miR-3095-3p、mmu-miR-365-1-5p、mmu-miR-1931、mmu-miR-1306-5p、mmu-miR-7001-5p、mmu-miR-23a-5p、mmu-miR-574-5p、mmu-miR-3061-5p、mmu-miR-8117、mmu-miR-15a-3p、mmu-miR-665-5p、mmu-miR-669m-5p、mmu-miR-466m-5p、mmu-miR-668-5p、mmu-miR-6997-5pおよびmmu-miR-7684-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上であってよい。また、前記miRに相応するヒトmiRを含むことができる。例えば、hsa-miR-1306-3p、hsa-miR-365b-5p、hsa-miR-365a-5p、hsa-miR-1306-5p、hsa-miR-23a-5p、hsa-miR-574-5p、hsa-miR-15a-3p、hsa-miR-665およびhsa-miR-668-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上であってよい。
【0078】
すなわち、本発明による前記第1のプローブは、上記に言及されたmiRNAに対して相補的配列を含む。
【0079】
前記miRNAは、正常群と対比して退行性脳疾患患者群でその発現水準が増加するmiRNAに該当する。
【0080】
すなわち、5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを試料と反応させるステップを含む、退行性脳疾患の診断方法は、下記ステップを含むことができる:
【0081】
(a)5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを試料と反応させるステップ;
【0082】
(b)前記試料との反応物の光発色変化を肉眼で確認するか、蛍光発色変化を測定するステップ;および
【0083】
(c)前記光発色変化の確認または蛍光発色変化の測定を通じて退行性脳疾患の発病を診断するステップ。
【0084】
本発明は、Inlet;
【0085】
InletからOutletに繋がれる細管通路;
【0086】
前記細管通路から分枝されて構成されるOutletの検出部;を含むマイクロ流体チップであって、前記検出部は、蛍光標識のための5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含むものである、miRNA検出用マイクロ流体チップを提供する。
【0087】
本発明は、Inlet;
【0088】
InletからOutletに繋がれる細管通路;
【0089】
前記細管通路から分枝されて構成されるOutletの検出部;を含むマイクロ流体チップであって、前記検出部は、蛍光標識のための5’末端にレポーターおよび3’末端にクエンチャーが接合された標的miRNAに相補的な配列を有するヘアピン構造の第1のプローブを含むリポソーム;および第1のプローブと相補的な配列を有するヘアピン構造の第2のプローブを含むリポソーム;を含むヒドロゲルを含むものである、退行性脳疾患の診断用マイクロ流体チップを提供する。
【0090】
マイクロ流体チップは、マイクロ流体チャンネルを通じて流体を流して様々な実験条件を同時に遂行することができる機能を有している。具体的に、プラスチック、ガラス、シリコンなどの基板(またはチップ材料)を利用して微細チャンネルを作り、このようなチャンネルを通じて流体(例えば、液体試料)を移動させた後、マイクロ流体チップ内の複数の検出部などを通じて反応と検出を進行することができる。
【0091】
前記構造を図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0092】
マイクロ流体チップ001には、Inlet002が位置し、これにinletからOutletに試料および/または界面活性剤が移動することができるように繋がれる細管通路003を含む。上記の細管通路を通じて流体(例えば、試料(標的核酸などを含む)および界面活性剤など)がOutletに移動するようになる。細管通路003は分枝004を有する。
【0093】
このような分枝は、inletからの流体流れ方向への延長線とそれぞれ略45°角を成すとともに分枝され、2個のそれぞれの検出部005に繋がれる。すなわち、分枝されて構成されるOutletの2個の検出部005を含む。
【0094】
検出部には、本発明によるヒドロゲルが配置される。このようなヒドロゲルは、投与される試料および/または界面活性剤によってリポソームが分解され、これによって、CHA反応を遂行するようになって蛍光変化を示す。
【0095】
前記検出部は、ハウスキーピング遺伝子を検出するための第1の検出部および標的遺伝子を検出するための第2の検出部で構成されることができる。第1の検出部のハウスキーピング遺伝子は、GAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)、Cypl、アルブミン、アクチン(actin)、チューブリン(tubulin)、HRPT(cyclophiiin hypoxantine phosphoribosyltransferase)、L32、28S、U6、18Sなどのように遺伝子発現パターンを標準化するのに容易に通常的に使用され得る遺伝子を意味する。このようなハウスキーピング遺伝子の使用を通じて、標的(ターゲット)遺伝子のシグナルを補正して個人ごとの定量的な遺伝子の量の差を補正することができる。
【0096】
すなわち、第1の検出部の第1のプローブおよび第2のプローブは、ハウスキーピング遺伝子検出のための配列を含むものであってよい。
【0097】
第2の検出部は、標的miRNA検出のために使用され得る。第2の検出部の第1のプローブおよび第2のプローブは、標的miRNA検出のための配列を含むものであってよい。
【0098】
本発明の一実施様態によれば、6mmのヒドロゲルの膨潤を通じて、略8mmの検出部を構成し、その高さは、略1mmに設定した。
【0099】
全チップの場合、横約65mm、縦25mmに構造体を設定した。
【0100】
これによって、マイクロ流体チップは、流体が流れる方向(横)に略50~100mmのサイズを有することが好ましく、縦方向に略15~40mmのサイズを有することが好ましい。ヒドロゲルの場合、略4mm~12mmの直径サイズを有することが好ましく、高さは、略0.5mm~2mmで構成されることが好ましい。
【0101】
本発明はまた、mmu-miR-1187、has-mirR-365a-5p、has-mirR-23a-5pおよび、has-mirR-574-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上のmiRNAの発現水準を測定することができる製剤を含む、退行性脳疾患の診断用組成物を提供する。
【0102】
「診断」は、特定疾病または疾患に対するある客体の感受性(susceptibility)を判定すること、ある客体が特定疾病または疾患を現在有しているか否かを判定すること、特定疾病または疾患にかかったある客体の予後(prognosis)を判定すること、またはテラメトリックス(therametrics)(例えば、治療効能に対する情報を提供するために客体の状態をモニタリングすること)を含む。
【0103】
miRNA発現水準を測定する前記ステップは、当業者に知られている如何なる方法でも使用可能である。具体的な例として、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅(transcription amplification)、自己維持配列複製、核酸に基づいた配列増幅(NASBA)方法などが使用され得るが、これに制限されるものではない。このとき、本発明による前記4種のmiRNAの塩基配列は、NCBIなどのデータベースに公知になっているところ、当業者であれば、前記miRNA発現水準の測定に要求される適切な手段を使用することができる。
【0104】
前記4種のマーカーのそれぞれは、退行性脳疾患を有する患者群でその発現水準が増加する特徴を有する。
【0105】
「miRNAの発現水準を測定する製剤」は、前記miRNAに特異的に結合して認識することができるようにするか、前記miRNAを増幅させることができる製剤を意味する。具体的な例として、前記miRNAに特異的に結合するプライマーまたはプローブであってよいが、これに制限されず、当業者であれば、発明の目的に合わせて適切な製剤を選択することができるはずである。
【0106】
前記製剤は、前記遺伝子の発現水準測定のために、直接または間接的に標識されることができる。具体的に、前記標識には、リガンド、ビーズ(bead)、放射性核腫、酵素、基質、補助因子、抑制剤、蛍光物質(fluorescer)、化学発光物質、磁性粒子、ハブテンおよび染料などが利用され得るが、これに制限されない。具体的な例として、前記リガンドには、ビオチン、アビジンおよびストレプトアビジンなどが含まれ、前記酵素には、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼおよびβ-ガラクトシダーゼなどが含まれ、前記蛍光物質には、フルオレセイン、クマリン、ローダミン、フィコエリスリンおよびスルホローダミン酸クロリド(テキサスレッド:Texas red)などが含まれるが、これに制限されない。このような検出可能な標識物として、公知の標識物の大部分が使用されることができ、当業者であれば、発明の目的に合わせて適切な標識物を選択することができるはずである。
【0107】
「プライマー」は、短い自由3’末端水酸化基(free 3’hydroxyl group)を有する塩基配列であって、相補的なテンプレート(template)と塩基対(base pair)を形成することができ、鋳型鎖コピーのための開始箇所として機能をする短い配列を意味する。本発明において、前記miRNA増幅に使用されるプライマーは、適切なバッファー中の適切な条件(例えば、4個の異なるヌクレオシド三リン酸およびDNA、RNAポリメラーゼまたは逆転写酵素のような重合剤)および適当な温度下で鋳型-指示DNA合成の開始点として作用することができる単一鎖オリゴヌクレオチドになり得るが、前記プライマーの適切な長さは、使用目的によって変わることができる。前記プライマー配列は、前記遺伝子のmiRNAのポリヌクレオチドまたはその相補的なポリヌクレオチドと完全に相補的である必要はなく、混成化する程度に十分に相補的であれば使用可能である。
【0108】
「プローブ」は、miRNAと特異的結合を成し得る、ラベリング(labeling)された核酸断片またはペプチドを意味する。具体的な例として、オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)プローブ、単一鎖DNA(single stranded DNA)プローブ、二重鎖DNA(double stranded DNA)プローブ、RNAプローブ、オリゴペプチド(oligonucleotide peptide)プローブ、ポリペプチドプローブ(polypeptide)などの形態で製作されることができる。
【0109】
本発明はまた、mmu-miR-1187、has-mirR-365a-5p、has-mirR-23a-5pおよび、has-mirR-574-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上のmiRNAの発現水準を測定することができる製剤を含む、退行性脳疾患の診断用キットを提供する。
【0110】
具体的な例として、RT-PCRキットであってよいが、miRNAの発現量を測定することができる限り、これに制限されるものではない。
【0111】
このとき、前記RT-PCRキットは、RT-PCRを遂行するために必要な必須要素を含むキットであってよい。例えば、RT-PCRキットは、前記遺伝子に対する特異的なそれぞれのプライマーの外にもテストチューブまたは他の適切なコンテナ、反応緩衝液(pHおよびマグネシウム濃度は多様)、デオキシヌクレオチド(dNTPs)、デデオキシヌクレオチド(ddNTPs)、Taq-ポリメラーゼおよび逆転写酵素のような酵素、DNase、RNAse抑制剤、DEPC-水(DEPC-water)、滅菌水などを含むことができる。また定量対照群として使用される遺伝子に特異的なプライマー対を含むことができる。
【0112】
本発明はまた、退行性脳疾患の診断に必要な情報を提供するために、退行性脳疾患の診断が必要な対象体由来の試料を提供するステップ;
【0113】
前記試料でmmu-miR-1187、has-mirR-365a-5p、has-mirR-23a-5pおよび、has-mirR-574-5pからなる群より選択されるいずれか一つ以上のmiRNA発現水準を測定するステップ;および
【0114】
前記検出されたマーカーの濃度を正常対照群の検査結果と比較して、検査対象者の退行性脳疾患を診断するステップを含む、退行性脳疾患の診断方法を提供する。
【発明の効果】
【0115】
本発明による検出システムを利用する場合、ノイズなどの問題を最小化するとともに効果的なリアルタイム診断効率を示すことができる。特に、微量で存在するmiRNAを高い検出効率で検出し、これを診断することで、アルツハイマー病を含む、退行性脳疾患に対する優れた診断効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1】マイクロアレイ分析を通じて退行性脳疾患モデルで発現差を示すmiRNAで上向き調節miRNA 25種、下向き調節miRNA 70種を確認した結果を示す。
【0117】
図2】mmu-miR-1187、mmu-miR-23a-5p、mmu-miR-365-1-5pおよびmmu-miR―574-5pの発現変化を確認した結果を示す。
【0118】
図3】本発明によるCHA反応の模式図を示す。
【0119】
図4】プローブ設計の反応結果を確認したことを示す。
【0120】
図5】標的配列とCHA反応に使用されるプローブによる反応を蛍光を通じて確認した結果を示す。
【0121】
図6】プローブがリポソーム内に封入されたことを確認した結果を示す。
【0122】
図7】本発明によるヒドロゲルの製造工程および製造結果を確認した結果を示す。
【0123】
図8】本発明によるマイクロ流体チップの模式図を示す。
【0124】
図9】本発明によるマイクロ流体チップの全反応のための構成および検出部の具体的構成を示す。
【0125】
図10】本発明によるリポソームに封入されたプローブが界面活性剤処理によって放出されて、反応に参加することを示す図である。
【0126】
図11】最適化されたヒドロゲルにおけるプローブの拡散変化を確認した結果を示す。
【0127】
図12】プローブが担持されたリポソームを含むヒドロゲルシステムの敏感度評価結果を示す。
【0128】
図13】5XFADマウスの海馬組織から分離したRNAから本発明において目的とするmiRNAの検出が確認されることを見せる図である。
【0129】
図14】5XFADマウスの血液から分離したRNAから本発明において目的とするmiRNAの検出が確認されることを見せる図である。
【0130】
図15】本発明によるマイクロ流体チップの構成成分を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0131】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0132】
<実施例1>バイオマーカーの発掘
【0133】
(1)実験動物モデル
【0134】
実験動物モデルとして、4ヶ月齢5XFADアルツハイマー認知症マウス(n=5)モデルを用い、対照群としては、4ヶ月齢の野生型(wild-type)マウスを用いた。5XFADアルツハイマー認知症マウスは、雌異型接合(heterozygous)5XFADトランスジェニック(transgenic)マウス(B6SJL/mice背景;4ヶ月齢)を用いた。5XFADマウスは、遺伝型分析によって確認され、5XFADマウスの野生型(WT)同腹子を対照群として用いた。
【0135】
(2)血漿採取
【0136】
アバチン(2,2,2-Tribromoethanol、Avertin、Sigma aldrich)を利用してマウスを麻酔し、以降、麻酔されたマウスの眼窩静脈叢で使い捨てマイクロヘマトクリット毛細管(Micro-Hematocrit Capillary Tube、Marienfeld Superior)を利用して血液を採取した。採取した血液は、血液凝固を防止するために、ヘパリン(heparin、0.1mg/mL)2μLを入れた後、4℃で13,000rpmで15分間遠心分離した。
【0137】
(3)マウス脳組織摘出
【0138】
血液採取を済ませたマウスから脳を摘出し、以降、摘出したマウスの脳を気を付けてブレインマトリックス(Brain matrix)とドルコのカミソリを利用して海馬(Hippocampus)、海馬移行部(Subiculum)、前頭皮質(Frontal cortex)部分を分離した。各部位は、Paxinos and Franklin’s the Mouse Brain in Stereotaxic Coordinatesを参考して決め、海馬の場合、ブレグマ(Bregma、矢状縫合と冠状縫合の接合点)から尾方向に1mm離れた箇所から3mm(-1.00mm~-3.00mm from bregma)までの部分を摘出した。海馬移行部の場合、ブレグマから尾方向に2mm離れた箇所から4mm(-2.00mm~-4.00mm from bregma)までの部分を摘出した。前頭皮質の場合、ブレグマから頭方向に2mm離れた箇所から4mm(+2.00mm~+4.00mm from bregma)までの部分を摘出した。
【0139】
(4)miRNA抽出
【0140】
抽出したマウス脳組織は、滅菌されたペッスルを装着したグラインダーを利用して粉砕して、RNeasy Miniキット(Qiagen)を利用して組織のmiRNAを抽出した。血漿RNAは、ExoRNeasy Maxiキット(Qiagen)を利用して抽出した。抽出されたRNAの濃度は、分光光度計(Nanodrop2000,Thermo)を使用して測定した。
【0141】
(5)マイクロアレイ分析
【0142】
組織から抽出されたRNAサンプルは、100ng/uLの濃度でマイクロアレイを進行し、マクロジェン(Macrogen、korea)企業を通じて分析した。以降、実験群と対照群のmiRNA発現量差を分析して疾患検出のターゲットとするmiRNA候補群を選定した。
【0143】
(6)定量的逆転写重合酵素連鎖反応(Quantitative reverse transcriptase PCR、qRT-PCR
【0144】
組織と血漿から抽出されたRNAは、miScript II RT kitを使用して逆転写させてcDNAを合成し、PCRは、miScript SYBR Green PCR Kit(Qiagen)のプロトコルに従って遂行した。mRNA分析は、CFX96(商標)Real-Time装備(Bio-rad)で進行し、すべての実験は3回繰り返し実験で遂行した。各試料は、U6(ハウスキーピング遺伝子)で正規化(normalization)して定量的な結果を獲得した。
【0145】
使用された配列情報およびmiRの情報とFold change水準を下記表1に示す。
【0146】
配列情報
【表1】
【0147】
(7)実験結果
【0148】
前記マイクロアレイ分析を通じた実験結果を図1に示した。図1において確認できるように、miRNAで上向き調節miRNA 25種、下向き調節miRNA 70種を確認した。
【0149】
前記上向きおよび下向き調節されるmiRNAのうち上向き調節されるmiRNAに対してqRT-PCRを遂行した結果を図2および表1に示した。
【0150】
前記表1においては、上向き調節される因子のFold changeとマッチングされるヒトmiRNAを示す。
【0151】
特に、図2に示したように、マイクロアレイ結果で発現量が1.5倍以上増加したmiRNA候補群のうち最も高い発現両を見せる1種であるmmu-miR-1187とヒトのmiRNA sequenceが同一の3種であるmmu-miR-23a-5p、mmu-miR-365-1-5pおよびmmu-miR―574-5pをmiR候補群として選択した。
【0152】
前記mmu-miR-23a-5p、mmu-miR-365-1-5pまたはmmu-miR―574-5pに対してそれぞれ対応するヒトmiRNAは、hsa-miR-23a-5p、hsa-miR-365a-5pまたはhsa-miR-574-5pである。
【0153】
<実施例2>mRNA検出用自己シグナル増幅DNAプローブ設計
【0154】
本発明によるCHAの反応原理を図3に示した。図3は、ヒドロゲルでシグナル増幅のためのプローブA(PA)およびプローブB(PB)で構成されたCHA回路の概略図を示す。回路のPA鎖は、各端でそれぞれ蛍光団(FAM)およびクエンチャー(BHQ1)で改質されており、標的mRNAは、fluorescence recovery(i)を始めてtoehold-mediated hairpin DNA circuit(ii)を通じてPAとPBの組み立てを触媒するようになる。
【0155】
ヘアピン構造のプローブAとBを設計した。設計されたプローブの塩基配列は、表2に表記した。
【0156】
【表2】
*Target:Target sequence、**1MS:1 base mismatched sequence、***2MS:2 base mismatched sequence
【0157】
プローブは、非酵素方式の蛍光シグナル増幅理論に従って設計された。プローブAの塩基配列5’末端には、6-カルボキシフルオレセイン(6-Carboxylfluorescein、6-FAM)を結合した。プローブAの塩基配列3’末端には、クエンチャーブラックホール(quencher blackhole)クエンチャー-1(BHQ1)を結合した。プローブは、90℃で5分間沸かし、常温でゆっくり冷却してアニーリング(annealing)した。すべてのプローブは、使用する前まで冷凍で保管した。
【0158】
設計されたプローブ群の相互間の結合性は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Polyacrylamide gel electrophoresis、PAGE)を実施して確認した。電気泳動ゲルは、アクリルアミド10%で製作し、1X TBE緩衝液と80Vの電圧下で90分間実施した。以降、ゲル-レッド(GelRed)で10分間染色してDNAの位置を表示した後、ゲル-ドック(Gel-doc、バイオ-ラッド)装備で撮影した。
【0159】
合成されたプローブセットを利用して上記反応をGel electrophoretic analysisを通じて確認した。具体的に、設計されたプローブ群の相互間の結合性は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Polyacrylamide gel electrophoresis、PAGE)を実施して確認した。電気泳動ゲルは、アクリルアミド10%で製作して、1X TBE緩衝液と80Vの電圧下で90分間実施した。以降、ゲル-レッド(GelRed)で10分間染色してDNAの位置を表示した後、ゲル-ドック(Gel-doc、バイオ-ラッド)装備で撮影した。
【0160】
その結果を図4に示した。
【0161】
図4で確認されるように、常温で上記プローブセットによって反応が順次に進行されることを確認することができた。
【0162】
このような反応の形態および結果を蛍光分析を通じてより具体的に確認して、その結果を図5に示した。
【0163】
図5のaによれば、プローブBの役割によって同一時間内にさらに多くの量の蛍光シグナルが発生すること(A+Target対比A+B+Target)を見せ、ターゲットのない条件では、安定的に維持(A+B)されることを見せた。
【0164】
また、図5のbによれば、標的miRNAで1個(1MS)-2個(2MS)の塩基配列を交替した実験群DNA(control)を使用して検出プローブの選択性を確認した結果、標的miRNAと反応時に蛍光が最も高く、control遺伝子反応の蛍光と差が大きいことを示した。
【0165】
このような結果を通じて、本発明によるCatalytic hairpin assembly(CHA)システムが標的miRNA検出に優れた効果を示すことを確認した。
【0166】
<実施例3>ポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethylene glycol diacrylate、PEGDA)製造
【0167】
ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol、PEG)60gをジクロロメタン(dichloromethane、DCM)75mLに溶解した。溶液が透明に変わることを確認した後、溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(N,N-Diisopropylethylamine、DIPEA)7mLを添加した。溶液入り硝子を4℃を維持してアクリロイルクロリド(Acryloyl chloride)6.5mLを添加した。この反応は、窒素下で還流(reflux)させて8時間~12時間の間遮光された場所で進行した。反応物にジエチルエーテル1Lを添加して沈殿物を得、この沈殿物は、真空チャンバで乾燥した。乾燥した合成物をさらにジクロロメタン75mLと2モル濃度の炭酸カリウム(Potassium carbonate、K2CO3)500mLに溶解して8時間~12時間の間反応し、ジエチルエーテルに1Lを添加して製造されたポリエチレングリコールジアクリレートを沈積して得る。以降、真空チャンバで乾燥してパウダー形態の結果物を作った。
【0168】
これをPEGDA素材のヒドロゲルとして利用することができるように準備した。
【0169】
<実施例4>プローブが担持されたリポソームの製造
【0170】
リポソームは、古典的な脂質膜水化法(lipid film hydration method)で製造した。クロロホルム溶液10mLにホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine、PC)7mg、ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(Dioleoyl-3-trimethylammonium propane、DOTAP)0.7mg、コレステロール(5-Cholesten-3β-ol)1.95mgを溶解した。常温で回転式真空蒸発器を使用して溶媒を蒸発させて薄い脂質膜を製造した。TE緩衝液に10nM濃度のオリゴヌクレオチド溶液1mLを脂質フィルムに添加した後、ボルテックスミキサーを使用して脂質膜を硝子から分離した。溶液は、4℃温度で8時間~12時間保管した。非封入オリゴヌクレオチドを除去するために、溶液を4℃で4000rpmで60分間アミコン(Amicon)遠心フィルターで濾過した。
【0171】
前記製造されたプローブがリポソーム内に封入されたことを確認しようと緑色蛍光(FAM)が付いたDNAプローブをリポソームに封入させた後、リポソーム染色ダイ(dye_赤)を使用して蛍光顕微鏡を通じて観察した。
【0172】
その結果を図6に示した。
【0173】
図6において確認できるように、2個の蛍光が同じ位置で見えることを通じて、プローブがリポソームに封入されることを確認した。
【0174】
<実施例5>プローブが担持されたリポソームを含むヒドロゲルの製造
【0175】
重量比20%のポリエチレングリコールジアクリレート、重量比20%のポリエチレングリコール、10ピコモルのプローブが封入されたリポソーム、重量比0.1%の2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(2-Hydroxy-2-methylpropiophenon、HMPP)を組み合わせた。製造された溶液は、紫外線ランプ(365nm)に約2分間露出して光重合を通じてヒドロゲルを製造した。製造されたヒドロゲルは、2時間の間滅菌水(DW)に入れて非封入リポソームを除去した。
【0176】
上記の全工程と確認結果を図7に示した。
【0177】
図7のaは、PEGDAヒドロゲル製造の全工程を示し、bおよびcは、製造されたヒドロゲルの写真を示した。
【0178】
<実施例6>マイクロ流体チップの製造
【0179】
シリコンウェハーにSU-8感光樹脂を利用した柄を図8に提示されたとおり製作して鋳造フレーム(高さ100μm)を作った。製作された鋳造フレームに3Dプリンターで製作された直径6ミリメートル、高さ1ミリメートルの構造物を付着した後、液状のポリジメチルシロキサン(PDMS)を鋳造フレームに固形化させてチップを作り、チップをスライドグラスに付着してマイクロ流体チャンネル装置を作った。
【0180】
よって、前記製造したヒドロゲルを載せてmiRNA分析に利用した。
【0181】
具体的に、上記のマイクロ流体チップを利用した分析原理に対しては、図9に示す。
【0182】
Inletを通じて投入された試料および界面活性剤は、細管通路を通じてoutletの検出部に向かうようになる。これによって、リポソームが分解されてプローブが出るようになり、このようなプローブと検出miRNAの反応によって蛍光発色変化を示す。
【0183】
図9のaは、検出部の一例示的サイズを示し、図9のb~dは、これらのサイズおよび構成を示す。
【0184】
具体的に、6mmのヒドロゲルの膨潤を通じて略8mmの検出部を構成し、その高さは略1mmに設定した。
【0185】
全チップの場合、横略65mm、縦25mmに構造体を設定した。
【0186】
<実施例7>プローブが担持されたリポソームを含むヒドロゲルの評価
【0187】
本発明によるプローブが担持されたリポソームを含むヒドロゲルを顕微鏡を通じて確認した。その結果を10に示した。図10において確認できるように、ヒドロゲルの内部にリポソームの封入を確認した。
【0188】
<実施例8>ヒドロゲルの最適化進行
【0189】
PEG(polyethylene glycol)は、ヒドロゲルの製作時に一緒に添加され、内部に細孔(pore)を作る役割ができる。よって、濃度が高いほど細孔の数が多くなるため、ヒドロゲル内部の細孔(孔)の量を調節して検出に最も適合した条件を見出す必要がある。
【0190】
これによって、本発明において製造された20%PEG条件下に蛍光変化を確認して、その結果を図11に示した。
【0191】
図11において確認できるように、2mg/mL FITC-Dextran70K(almost 12nm of diameter)および1uM Cy5modified oligonucleotides(20nt)を使用してmRNA diffusionを確認したとき、適切な拡散結果を示すことを確認した。
【0192】
<実施例9>プローブが担持されたリポソームを含むヒドロゲルシステムの敏感度評価
【0193】
プローブのヒドロゲル敏感度を評価して検出限度を測定した。具体的に、0.63pmolから10pmolまで濃度を異にして検出敏感度を測定し、その結果を図12に示した。
【0194】
図12において確認できるように、検出限度は、0.92pmolと確認された。
【0195】
<実施例10>マウス海馬組織から抽出されたmiRNA検出結果
【0196】
提供されたネズミ海馬組織(n=7)から抽出したRNA(250ng/gel)を実施例5の検出用ヒドロゲルに適用させて蛍光反応変化を確認した。
【0197】
前記結果を図13に示した。
【0198】
図13において確認できるように、5XFADマウスから分離したRNAから本発明において目的とするmiRNAの検出が確認され、野生型と対比して有意な蛍光差を示した。
【0199】
前記結果からmiRNAに対する検出能を確認した。
【0200】
<実施例11>マウス血液から抽出されたmiRNA検出結果
【0201】
提供されたネズミ血液(n=7)から抽出したRNA(100ng/gel)を実施例5の検出用ヒドロゲルに適用させて蛍光反応変化を確認した。
【0202】
前記結果を図14に示した。
【0203】
図14において確認できるように、5XFADマウスから分離したRNAから本発明において目的とするmiRNAの検出が確認され、野生型と対比して有意な蛍光差を示した。
【0204】
前記結果からmiRNAに対する検出能を確認した。
【0205】
<実施例12>マイクロ流体システムに適用
【0206】
前記実施例6のマイクロ流体チップを基礎にして、上記マウスの海馬組織または血液から抽出したRNAを利用して血液内miRNA発現変化確認を遂行した。
【0207】
具体的に、製作されたチップの出入口を塞ぎ、真空チャンバを利用して30分間チップ内部のガスを排出させて内部を真空にした。約100uLのサンプル溶液を入口に注入して2時間反応させた後、ゲル-ドック装備で蛍光度を測定した。
【0208】
以上の説明から、本発明の属する技術分野における当業者は、本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更せずに、他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができるはずである。これと関連して、以上において記述した実施例は、すべての面で例示的なものであって、限定的なものではないと理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解析されなければならない。
【符号の説明】
【0209】
001・・・マイクロ流体チップ
002・・・インレット(Inlet)
003・・・細管通路
004・・・分枝
005・・・検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
2024507897000001.app
【国際調査報告】