(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】構造物に穴を開けるためのコアリング装置
(51)【国際特許分類】
B27C 3/02 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B27C3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551147
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 CA2022050215
(87)【国際公開番号】W WO2022183275
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523318109
【氏名又は名称】デューベリー アンドリュー ティー. ケー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】デューベリー アンドリュー ティー. ケー.
(57)【要約】
コアリングユニットは、コアが切断される構造物にコアリングユニットを解放可能に取り付けるためのクランプ構成部を備える。細長い管状本体を備えるビットであって、コアを切断するために細長い管状本体がその第一の円形端部に切断面を有する、ビットが提供される。このユニットは、駆動システムがビットを回転させ、クランプ構成部に対してビットを移動させ、構造物を通してビットを前進及び後退させて、構造物からコアを切断するように、ビットを回転させ、線形並進させるように適合された駆動システムを含む。コアリングユニットを使用する方法も記載される。このユニット及び方法により、構造物に正確で信頼性が高く、安全で再現可能な穴を開けることが可能になる。このユニット及び方法は、ワイヤ及び配管などの設備に対応するために木造フレーム構造のスタッドに穴を開けることに特に応用される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアが切断される構造物にコアリングユニットを解放可能に取り付けるためのクランプ構成部と、
細長い管状本体を備えるビットであって、前記コアを切断するために前記細長い管状本体がその第一の円形端部に切断面を有する、ビットと、
前記ビットを回転させ、線形並進させるように適合された駆動システムであって、前記駆動システムは、前記ビットを回転させ、前記クランプ構成部に対して前記ビットを移動させ、前記構造物を通して前記ビットを前進及び後退させて、前記構造物から前記コアを切断する、駆動システムと
を備える、コアリングユニット。
【請求項2】
前記駆動システムが、
前記ビットを回転させるための回転アクチュエータと、
前記回転アクチュエータを線形並進させるためのリニアアクチュエータと
を備える、請求項1に記載のコアリングユニット。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータが、回転アクチュエータを線形並進させるためにネジ山を回転させるように適合されたモータを備える、請求項2に記載のコアリングユニット。
【請求項4】
前記回転アクチュエータが、前記細長い管状本体の前記第一の円形端部及び前記切断面と反対側の前記ビットの前記細長い管状本体の第二の円形端部を取り外し可能に受け入れ、保持するように適合された反転トルクモータを備え、前記細長い管状本体の一部が、前記構造物から前記コアを切断するために前記回転アクチュエータから突出している、請求項2又は3に記載のコアリングユニット。
【請求項5】
前記クランプ構成部が取り付けられるフレームワークをさらに備え、前記フレームワークが、前記フレームワークに対する移動のために前記駆動システムを支持するように適合される、請求項4に記載のコアリングユニット。
【請求項6】
前記フレームワークが少なくとも1つの支持部材を備え、前記クランプ構成部が、前記少なくとも1つの支持部材に取り付け可能な、間隔を置いて配置された第一のクランプ要素及び第二のクランプ要素を備え、前記第一のクランプ要素が前記少なくとも1つの支持部材に固定され、前記第二のクランプ要素が、前記少なくとも1つの支持部材上の前記第一のクランプ要素に対して移動可能である、請求項5に記載のコアリングユニット。
【請求項7】
前記第一のクランプ要素及び前記第二のクランプ要素が、前記コアが切断される前記構造物の周りに位置決め可能であり、前記少なくとも1つの支持部材に対して前記第二のクランプ要素の位置をロックすることが、前記コアリングユニットを、前記コアが切断される前記構造物に解放可能にクランプするように機能する、請求項6に記載のコアリングユニット。
【請求項8】
前記第二のクランプ要素が、前記コアリングユニットを、前記コアが切断される前記構造物と第二の構造物との間に解放可能に取り付けることができるように、前記少なくとも1つの支持部材の端部から反対側の端部まで移動可能であり、前記第一のクランプ要素が、前記コアが切断される前記構造物に押し付けられ、前記第二のクランプ要素が、前記第二の構造物に押し付けられるように所定の位置にロックされる、請求項6に記載のコアリングユニット。
【請求項9】
前記少なくとも1つの支持部材が、第一の端部ブラケット及び第二の端部ブラケットによって結合された、間隔を置いて配置された2つの平行なポストを備え、前記第一のクランプ要素が、前記第一の端部ブラケットから延びる、請求項6、7又は8に記載のコアリングユニット。
【請求項10】
前記回転アクチュエータの線形移動を可能にするために、前記少なくとも1つの支持部材に沿って移動可能な駆動システムアセンブリを備える、請求項6~9のいずれか一項に記載のコアリングユニット。
【請求項11】
前記駆動システムアセンブリが、前記リニアアクチュエータの作動によって移動可能である、請求項10に記載のコアリングユニット。
【請求項12】
前記駆動システムアセンブリが、前記回転アクチュエータを収容するための筐体を有する、前記少なくとも1つの支持部材に沿ってスライド可能なスリーブを備える、請求項10又は11に記載のコアリングユニット。
【請求項13】
前記ビットの前記細長い管状本体の位置合わせを制御するためのビット支持システムを備える、請求項12に記載のコアリングユニット。
【請求項14】
前記ビット支持システムが、前記回転アクチュエータによって保持される前記細長い管状本体の前記第二の円形端部に隣接して前記ビットの前記細長い管状本体を内部に支持するように適合された前記筐体に関連付けられた第一のベアリングと、前記細長い管状本体の突出部分を内部に支持するように適合された前記第一のクランプ要素に関連付けられた第二のベアリングとを備え、前記突出部分が、前記構造物の前記コアを切断するために、回転可能であり、前記第二のベアリングを通して線形前進可能及び後退可能である、請求項13に記載のコアリングユニット。
【請求項15】
前記ビットの前記細長い管状本体の前記第二の円形端部が、前記ビットに回転運動を伝達するために前記回転アクチュエータの対応する駆動歯と協働するように適合された歯を含む、請求項14に記載のコアリングユニット。
【請求項16】
前記ビットの前記細長い管状本体の前記第二の円形端部が、前記細長い管状本体の長手方向軸に対して横方向に延びるフランジを含み、前記フランジには前記歯が形成されている、請求項15に記載のコアリングユニット。
【請求項17】
異なる直径のコアを切断するための一組のビットを含み、前記一組の各ビットが、前記回転アクチュエータと協働するために所定の直径を有する前記フランジを含み、前記細長い管状本体が、切断される前記コアの直径に対応する各ビットについての異なる直径を有する前記フランジから延びる、請求項16に記載のコアリングユニット。
【請求項18】
前記第一のクランプ要素に関連付けられた前記第二のベアリングが、前記細長い管状本体の直径を収容し、支持する、請求項17に記載のコアリングユニット。
【請求項19】
前記ビットの前記細長い管状本体が、前記第一の円形端部に前部開口部を有し、前記第二の円形端部に後部開口部を有する開口中空内部を備え、前記中空内部が前記コアを受け入れる、請求項4~18のいずれか一項に記載のコアリングユニット。
【請求項20】
前記ビットの前記中空内部からの前記コアを捕捉し、保持するために、前記後部開口部と連通するレセプタクルを含む、請求項19に記載のコアリングユニット。
【請求項21】
前記ビットの前記細長い管状本体の前記切断面が、前記管状本体の長手方向軸に平行な前記第一の円形端部から延びる複数の歯を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のコアリングユニット。
【請求項22】
構造物からコアを切断する方法であって、
前記コアが切断される前記構造物にコアリングユニットを解放可能にクランプするステップであって、前記コアリングユニットが細長い管状本体を備える回転可能なビットを有し、前記コアを切断するために前記細長い管状本体がその第一の円形端部に切断面を有する、ステップと、
前記細長い管状本体の前記第一の円形端部及び前記切断面と反対側の前記ビットの前記細長い管状本体の第二の円形端部を取り外し可能に受け入れて保持するように適合された反転トルクモータを使用して前記ビットを回転させるステップであって、前記細長い管状本体の一部が、前記構造物から前記コアを切断するために回転アクチュエータから突出している、ステップと、
回転している前記ビットを、前記構造物を通して線形前進させて、前記構造物から前記コアを切断し、分離するステップであって、切断された前記コアが、前記細長い管状本体の中空内部に保持される、ステップと、
前記構造物から切断された前記コアを有する前記ビットを線形後退させるステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記構造物から前記ビットを線形後退させるステップの前に前記ビットの回転を停止させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記構造物から前記ビットを線形後退させるステップの前に前記ビットの回転を逆転させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
後続のコアリング操作において、回転している前記ビットを、前記構造物を通して線形前進させるステップが、以前のコアリング操作からの切断された前記コアを前記細長い管状本体の前記中空内部から押し出すように機能する、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、穴開け工具に関し、より詳細には、構造部材に穴を形成するためのコアリング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木造枠組構造における一般的な作業は、フレーム構造によって画定された壁の内部を通る配線及び配管などの設備の通過を可能にするために垂直フレーム部材(スタッド)に穴又はコアを形成することである。建設中、これらの穴は通常、作業員によって壁に配線又は配管を通すために必要に応じて穴を開けられる。多くの場合、手持ち式のドリルとビットの組み合わせを使用して、スタッドを通る設備の通過に適合する適切な直径の穴を形成する。大径のコアリングが必要な場合、「ドラム」タイプのビットを使用することができ、これには、オペレータが、別の切断を行う前に、切断された「スラグ」の廃棄物をドラムビットから除去する必要がある。代替手段は、切断部分を鋸屑にしてしまうビットであるが、これでは、微細な繊維が空気中及び周囲に大量に放出され、後で清掃する必要がある。
【0003】
また、上記の技術では、建築基準法に従ってスタッドに穴を適切かつ正確に配置することは保証されない。先行技術の穴を開ける方法では、時々、穴がスタッドの端に近づきすぎて、穴及びそこを通って延びる任意の配線及び配管が、壁被覆材設置(ドライウォール)などの後の仕上げ作業で使用されるネジ又は釘によって破壊されやすくなる。さらに、開いたドリルビットでは、動作中のビットとの接触、肺もしくは皮膚への空中浮遊破片の侵入、又はドリルユニットの突然の滑りにより引き起こされるオペレータ及び/又は作業現場の物理的損傷からオペレータの安全を確保する手段はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の設備及び技術に関する前述の問題に対処するために、出願人は、安全で信頼性が高く、一貫して効率的に構造部材にコアを形成することを目的としたコアリングユニット及び方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、コアが切断される構造物にコアリングユニットを解放可能に取り付けるためのクランプ構成部(clamping arrangement)と、細長い管状本体を備えるビットであって、コアを切断するために細長い管状本体がその第一の円形端部に切断面を有する、ビットと、ビットを回転させ、線形並進させるように適合された駆動システムであって、駆動システムは、ビットを回転させ、クランプ構成部に対してビットを移動させ、構造物を通してビットを前進及び後退させて、構造物からコアを切断する、駆動システムとを備える、コアリングユニットが記載される。
【0006】
構造物からコアを切断する方法であって、コアが切断される構造物にコアリングユニットを解放可能にクランプするステップであって、コアリングユニットが、細長い管状本体の第一の円形端部に切断面を有する細長い管状本体を備える回転可能なビットを有する、ステップと、細長い管状本体の第一の円形端部及び切断面と反対側のビットの細長い管状本体の第二の円形端部を取り外し可能に受け入れて保持するように適合された反転トルクモータを使用してビットを回転させるステップであって、細長い管状本体の一部が、構造物からコアを切断するために回転アクチュエータから突出している、ステップと、回転しているビットを、構造物を通して線形前進させて、構造物からコアを切断し、分離するステップであって、切断されたコアが、細長い管状本体の中空内部に保持される、ステップと、構造物から切断されたコアを有するビットを線形後退させるステップとを含む、方法も記載される。
【0007】
ユニットを切断される構造物にクランプすることによって、穴の正確な位置を事前に決定することができ、ユニットの滑りも最小限に抑えられる傾向がある。管状本体を有するビットの使用により、浮遊粉塵及び破片が最小限に抑えられる傾向もある。いくつかの実施形態では、ユニットには、ビットの中空内部と連通するレセプタクルが取り付けられ、コアを捕捉して保持し、清潔な作業現場を確保することができる。
【0008】
本開示の実施形態のこれら及び他の特徴及び利点は、以下の図面と併せて考慮して、以下の詳細な説明を参照することによって、より明らかになるであろう。図面では、同様の特徴及び構成要素を参照するために、図面全体を通じて同様の参照番号が使用される。図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】好ましい実施形態によるコアリングユニットの斜視図である。
【
図2】コアリング操作前にスタッド周囲の作業位置に設置されたコアリングユニットの平面図である。
【
図4A】
図4の線4A-4Aに沿った断面図であり、クランプシステムのクランプ面の間の間隔を調整するためのロック機構の詳細を示す。
【
図5】作業位置にクランプされ、コアを開ける準備ができている、
図2と同様のコアリングユニットの斜視図である。
【
図6】コアリング操作が完了した後のコアリングユニットを示す斜視図である。
【
図7】カセットと呼ばれるドリルビットとベアリングの組み合わせの単独での詳細な斜視図である。
【
図7A】
図7の線7A-7Aに沿った断面図である。
【
図8】異なる直径の穴を開けるように構成された代替のドリルビットとベアリングの組み合わせ(カセット)の詳細な斜視図である。
【
図9】異なる直径の穴を開けるためのドリルビットの単独での斜視図である。
【
図10】間隔を置いて配置された2つのスタッド間の代替の拡張されたクランプ位置にあるコアリングユニットの斜視図である。
【
図11】拡張されたクランプ位置にあるコアリングユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、構造部材に穴を形成するのに適したコアリングユニット及び使用方法の様々な実施形態を対象とする。本開示の様々な実施形態によるコアリングユニットは、構造部材に正確に位置決めされた穴を確実かつ再現可能に形成するように適合される。
【0011】
図1を参照すると、コアが切断される構造物にコアリングユニットを解放可能に取り付けるためのクランプ構成部12を備えるコアリングユニット10の好ましい実施形態の斜視図が示される。ユニット10はまた、コアを切断するためのビット14と、構造物に穴を形成するためにビットを回転及び線形並進させるように適合された駆動システムとを含む。駆動システムは、ビット14を回転させること、及びクランプ構成部12に対してビットを移動させることの両方の動作を行い、構造物を通してビットを前進及び後退させて構造物からコアを切断する。これら2つの動作を達成するために、駆動システムは2つの別個の構成要素である、ビット14を回転させるための回転アクチュエータ24と、ビットを直線軸に沿って前進及び後退させるためのリニアアクチュエータ25とを備える。これらのアクチュエータは、以下により詳細に説明される。
【0012】
図2は、切断される構造物上の所定の位置にクランプ構成部12を介して取り外し可能に設置されたコアリングユニット10の平面図である。
図2において、及び本説明を通じて、切断される構造物は、単なる例として、従来の2×4スタッド20を含む。しかしながら、コアリングユニットの実施形態は、コアリングユニットがクランプ構成部12の寸法及びドリルビット14の選択に関して問題の構造物に適切に適合することを条件として、他の構造物に穴を開けるために使用され得ることが、当業者には容易に明らかであろう。
【0013】
ドリルビット14は、通常、細長い管状本体18を備え、細長い管状本体18は、スタッド20においてコアを切断するために、その第一の円形端部に切断面19を有する。上述のように、ドリルビット14は、駆動システムによって回転され、クランプ構成部12に対して線形移動される。
図1及び
図2の示した実施形態では、駆動システムは、ビットを回転させるための回転アクチュエータ24と、回転アクチュエータを線形並進させるためのリニアアクチュエータ25とを備える。
【0014】
図2の線3-3に沿った断面図である
図3に最もよく示されているように、回転アクチュエータ24は、第一の円形端部及び切断面19と反対側のビット14の細長い管状本体18の第二の円形端部29を取り外し可能に受け入れて保持するように適合された反転ブラシレストルクモータ28を備えることができる。単なる例として、Allied Motion(商標) Technologies Inc.によって製造された反転ブラシレストルクモータを使用することができる。モータは、標準構成ではステータが内部にあり、ロータが外部にあるという点で「反転」と呼ばれるが、ここで使用される反転構成では、これは、ステータが外部にあり、内部ロータを囲むように逆転又は反転されている。特に、反転トルクモータ28は、固定された外側リング又はステータ28b内に中空の内部ロータ28aを含む。中央通路28cは内部ロータ28aを通って延び、ドリルビット14によって切断されたコアがモータを通って移動できるようにする。細長い管状本体18は、コアを切断するために回転アクチュエータ24から延びる。ステータ28b及びロータ28aは、ハウジング16によってビット14の回転軸に対して回転可能に相互に同心状に整列して保持される。ハウジング16は、ビットの第二の円形端部29に対してラジアルベアリング16aを支持し、ハウジングの反対側でスラストベアリング16bを支持して、ロータ28aとともに回転運動するための内部スリーブ16cを支持する。内部スリーブ16cは、以下により詳細に説明するように、ビットを回転可能に駆動するためにビット14と解放可能に係合可能である。好ましい構成では、ハウジング16はまた、ハウジング内部へのアクセスを可能にするために、ハウジングの前面から取り外し可能なネジ付きキャップ16dも含む。好ましい構成では、ベアリング16aは、キャップ16dによって所定の位置に保持される。
【0015】
図1及び
図2に最もよく示されているように、コアリングユニット10は、クランプ構成部12及び駆動システムが取り付けられるフレームワーク30をさらに備える。フレームワークは、フレームワークに対する移動のための駆動システムを支持する。フレームワーク30は、駆動システム及びドリルビット14をスライド可能に受け入れて支持するように適合された少なくとも1つの支持部材を備える。示した実施形態では、フレームワーク30は、第一の端部ブラケット32及び第二の端部ブラケット33によってそれぞれ結合された、間隔を置いて配置された2つの平行な管状部材31a及び31bを備える。回転アクチュエータ24及びリニアアクチュエータ25が取り付けられる管状部材31a及び31bに沿って移動可能な駆動システムアセンブリ34が存在する。駆動システムアセンブリ34は、回転アクチュエータハウジング16を延在させる管状部材に沿ってスライド可能なスリーブ34aと、充電式バッテリパック(図示せず)並びに回転アクチュエータ24及びリニアアクチュエータ25を制御し、電力を供給するための制御電子機器を収容する第二の筐体34bとを備えることができる。好ましくは、ハウジング16及び第二の筐体34bは、フレームワーク30の両側の重量分布のバランスをとるためにスリーブ34aの反対側から延びる。
【0016】
図1及び
図2の示した実施形態では、リニアアクチュエータ25は、一端で駆動システムアセンブリ34のスリーブ34aに取り付けられ、他端で第二の端部ブラケット33に取り付けられる。好ましい実施形態では、リニアアクチュエータ25は、例えば、Actuonix(商標) Motion Devices Inc.によって製造されたL12シリーズユニットを備える。作動時には、リニアアクチュエータ25は、雌ねじ(図示せず)を回転させるように適合された内部電気モータ(図示せず)の動作に基づいて伸縮し、その結果、リニアアクチュエータ25は、第二の端部ブラケット33に対して管状部材31a及び31b上のスリーブ34aを移動させる。このようにして、スリーブ34aに取り付けられた回転アクチュエータハウジング16は、第二の端部ブラケット33及びクランプ構成部12に対して管状部材に沿って線形移動する。
【0017】
図4は、第一の端部ブラケット32及び第二の端部ブラケット33、並びに上部管状部材31bを含む、単独で示したフレームワーク30及びクランプ構成部12の平面図である。この平面図では、下部管状部材31aは上部管状部材の下に隠れている。駆動システムアセンブリ34及びビット14を含む駆動システムは、明確にするために省略されている。クランプ構成部12は、管状部材31a及び31bに取り付け可能である、間隔を置いて配置された第一のクランプ要素40及び第二のクランプ要素42をそれぞれ備える。第一のクランプ要素40は、第一の端部ブラケット32から延び、管状部材31a及び31bに対して固定される。第二のクランプ要素42は、第一のクランプ要素40に対して移動可能であり、クランプ要素の対向面44と46の間の距離43の調整を可能にする。
【0018】
使用中、
図2に最もよく示されているように、第一及び第二のクランプ要素は、コアが切断される構造物20の両側に配置される。次に、移動可能な第二のクランプ要素42の位置が、コアリングユニットを構造物20に対して解放可能にクランプするように第一の端部ブラケット32及び第一のクランプ要素40に対してロックされる。
【0019】
図1、
図2及び
図4を参照すると、記載される実施形態では、クランプ要素の対向面44と46の間の粗い相対運動は、管状部材31a及び31bの中空内部にそれぞれスライド可能に受け入れられるロッド48a及び48bによって達成される。第二のクランプ要素42は、ロッド48a及び48b上に受け入れられる取り付けブラケット50を備える。第二のクランプ要素42はまた、矢印53で示すように、軸54の周りで枢動可能である、ユーザが操作可能なハンドル52を備え、カム作用を介して面44の位置を微調整して、固定された第一のクランプ要素40に対して第二のクランプ要素42の面44の位置をロックして、構造物20に対してコアリングユニットをクランプすることができる。この構成において、穴が開けられるスタッドを挟んで2つの面44と46の間でクランプが達成される。2つの面は、管状部材31a及び31bの内部でロッド48a及び48bをスライドさせることによってスタッドの周囲に緩く位置決めされる。コアリングユニット10をスタッドに解放可能にロックするのに必要な最大のクランプ力までの締め付けは、ハンドル52によって実行される。さらに、クランプ要素の面44及び46には、好ましくは、スタッドの側面のグリップを補助するための突起47が形成される。
【0020】
図4Aは、クランプシステムのクランプ面44と46の間の粗間隔を調整するための好ましいロック機構の詳細を示す、
図4の線4A-4Aに沿った断面図である。平行な管状部材31a及び31bは、ロッド48a及び48bを伸縮自在に受け入れる。ロッド48a及び48bは、端部ブラケット33内に収容されたバネ作動ロック機構94によって所定の位置にロックされるまで、管状部材31a及び31bの中空内部内で自由にスライド可能である。ロック機構94は、リニアアクチュエータ25の端部の取り付け点97に隣接する端部ブラケット33に形成されたスロット96内でスライド可能に動作するように取り付けられたリングプルキャッチ95によって操作される。リングプルキャッチ95は、スロット96内のデフォルトのロック位置からリングを引き離すためにユーザの指を受け入れるような寸法である。リングプルキャッチ95は、リングの片側の周りに延びる板バネ98によってデフォルトのロック位置に付勢されている。板バネ98は、各端部で円筒状の戻り止め99に接続されており、この戻り止め99は、ロッド48a及び48bに形成された複数組の穴100内に突出して、管状部材31a及び31b内でのスライド可能な移動からロッド48a及び48bの位置をロックするように適合される。
図4Aの示した実施形態では、ロック機構94がデフォルトのロック位置で示される。板バネ98の付勢力に対してリングプルキャッチ95を右方向に(矢印101で示すように)引くと、円筒状の戻り止め99が穴100から引き抜かれ、それによって管状部材31a及び31b内でスライド可能に移動するようにロッド48a及び48bが解放されるように機能する。
【0021】
複数のホール100が、クランプ面の間の一連の間隔を開けた位置を画定するようにロッドの各々に形成される。リングプルキャッチ95の操作により、クランプ面の間の距離を、コアリングされるワークピースに適合するように調整することができる。
【0022】
図10及び
図11に示すように、代替のクランプ構成部も可能である。この構成部は、切断される構造物が、
図2のクランプ構成部を使用してアクセスできない場合に2つの構造物20a及び20bの間で使用される。例えば、この代替の構成部は、交差壁を画定する別のフレームの隣接する最端部スタッドに当接する第一のフレームの最端部スタッド20bに必要であり得る。代替の構成では、コアリングユニットは、フレームの2つの隣接する構造物(スタッド)20a及び20bの間でクランプされる。これは、第二のクランプ要素42が取り付けられたロッド48a及び48bを、ブラケット32に隣接するフレームワーク30の一端からフレームワーク30の他端に移動させることによって可能になり、それによってロッド及びクランプ要素がブラケット33に隣接する反対方向に延びる。ロッド48a及び48bは、コアリングユニットがスタッド20aと20bとの間の空間に解放可能に配置された状態でスタッド20aに当接するように第二のクランプ要素42を位置決めするためにフレームワークから伸縮される。ブラケット33におけるロック機構94は、第一のクランプ構成部で上述したように、第一のクランプユニット40が、コアが切断されるスタッド20bに押し付けられるように、管状部材31a及び31b内のロッド48a、48bの位置をロックするために使用される。次に、第二のクランプ要素42が、ハンドル52を使用して調整され、スタッド20aに対して所定の位置にロックされて、ビット14を所定の位置に配置してスタッド20aと20bの間でコアリングユニットを完全にクランプしてスタッド20bに穴を開ける。
【0023】
ドリルビット14の回転及び線形運動を制御するために、コアリングユニット10は、ビットの細長い管状本体18の配置を維持するのに役立つビット支持システムを備える。
図2及び
図3を参照すると、ビット支持システムは、駆動システムアセンブリ34の回転アクチュエータハウジング16に関連付けられた第一のベアリング60と、クランプシステムの固定された第一のクランプ要素40に関連付けられた第二のベアリング62とを備える。第一のベアリング60は、回転アクチュエータ24によって保持される細長い管状本体の円形端部に隣接するビット14の細長い管状本体18をその中で支持するように適合される。第二のベアリング62は、細長い管状本体14の突出部分をその中で支持するように適合される。コアリングユニットの作動中、駆動システムアセンブリ34がフレームワーク30に対して移動すると、ビット14の突出部分が、第二のベアリング62を介して回転し、線形前進及び後退する。第二のベアリング62は、第一の端部ブラケット32によってフレームワーク30上の固定位置に保持される。
【0024】
図3の断面図に最もよく示されているように、ビット14の細長い管状本体18の第二の円形端部29は、回転アクチュエータ24の対応する駆動歯65と協働してビットに回転運動を伝達するように適合された駆動歯64を備える。ビット14の細長い管状本体18は、切断面19に前部開口部を有し、第二の円形端部29に後部開口部を有する開口中空内部66を備え、内部66を通るコアを受け入れ、コアの通過を可能にする。ビットの細長い管状本体の切断面19は、管状本体の長手方向軸に平行な第一の円形端部から延びる複数の切歯68を備える。
【0025】
図7、
図7A及び
図8は、ベアリング60及び62が軸70の周りで回転するようにビットを支持する方式をより明確に示すためにベアリング60及び62内に取り付けられたビット14を単独で示す。
【0026】
ビット14は、異なる直径の穴を開けることができるように異なるサイズで利用可能である。ビット及びベアリングの断面図である
図7Aに示すように、スタッドに開けられる穴のサイズは、切歯68の外縁の外径72によって決定される。例えば、
図9は、異なる、より小さいサイズの穴を開けるためのビット14を示す。コアリングユニットの回転アクチュエータ24及びその駆動歯65は固定されているため、その駆動歯64を備えたビット14の駆動される第二の円形端部29は、回転アクチュエータ24と嵌合するような寸法でなければならない。同時に、切歯68の外縁によって画定される外径は、開けられる穴のサイズを決定する。したがって、ビット14の歯64が、ビットを駆動係合するために回転アクチュエータ24の歯65と噛み合うことを確実にするために第二の円形端部29にフランジ74を形成する必要がある。駆動される端部でビットを支持する第一のベアリング60は、コアリングユニットに取り付けられたビットに関係なく、同じ寸法を保持する。第一のベアリング60は、より小さい直径のビット上で回転するためにフランジ74を回転可能に支持するか、又は最大直径のビット上の管状本体18に直接係合して支持する。この後者の直接支持の構成は、
図1から
図7Aのビットに示される。一方、ビットの切断端には、ビットの切断端に隣接する細長い管状本体18のより小さい外径を収容して支持するために、異なる内径を有する異なる第二のベアリング62が必要である。
【0027】
異なるサイズの穴を効率的に開けることを可能にするために、本発明のコアリングユニットの実施形態は、管状ビット18、並びにドリルカセット120を形成するために一緒に取り付けられる2つの端部ベアリング60及び62を備える組み合わせユニットを利用する。カセット120の例が
図7及び
図8に示され、
図7のカセットは
図8のカセットよりも大きな穴を開けるように適合されている。各カセット120は、支持フランジ74又はビットの駆動される端部に直接隣接する管状本体18のいずれかを回転可能に支持するように適合された端部ベアリング60を備える。他方の端部ベアリング62は、ビットの反対側の切断端に設けられ、ビットの管状本体18を回転可能に支持するのに適した内径を有する。いずれの場合も、ベアリング60及び62の外径は同じであり、
図2に最もよく示されているように、ブラケット61(駆動システムアセンブリ34から延びる)及びクランプ要素40に圧入されてカセット120をコアリングユニットに取り外し可能に取り付けるように適合される。特に、ベアリング62はクランプ要素40に圧入され、ベアリング60は、駆動システムアセンブリ34のブラケット61に圧入される。ベアリング60及び62には、クランプ要素40及びブラケット61にクリップされて保持されるラグ122が形成される。
【0028】
さらなる特徴として、
図2及び
図3に最もよく示されるように、コアリングユニット10は、クリップ81を介して駆動システムアセンブリ34に取り付けられた取り外し可能なレセプタクル80を備えてもよい。レセプタクル80は、スタッドから切断されたコアを捕捉して保持するために回転アクチュエータ24の後部開口部82と連通している。最初の切断操作からの切断されたコアは、後続の切断操作からのコアによって内部66から反転トルクモータ28の内部ロータ28aの中空内部28cを通ってレセプタクル80内に押し込まれるまで、ビットの中空内部66内に保持される。
【0029】
図5及び
図6は、切断操作中のコアリングユニット10の開始及び終了構成の図を提供する。
図5は、スタッド20上の所定の位置にクランプされたコアリングユニット10を示す。クランプ要素40及び42は、ビット14の切断面が第二のベアリング62においてスタッド20に隣接して配置された状態で、ユニットをスタッド20上の所定の位置に保持する。この切断前の構成では、駆動システムアセンブリ34は、クランプ要素40に関連付けられた第二のベアリング62及び駆動システムアセンブリに関連付けられた第一のベアリング60がビット14の長さだけ実質的に離れるようにフレームワーク30上に配置される。
【0030】
切断を開始するために、回転アクチュエータ24を起動してビット14の回転を開始し、ビット刃先19がスタッド20を通って移動するのに適した切断速度までビットを加速させる。その後、リニアアクチュエータ25が起動して、矢印90で示した方向にフレームワーク30に沿って駆動システムアセンブリ34の移動を開始し、それによってビット14の回転刃先をスタッド20へ前進させる。駆動システムアセンブリ34が矢印90の方向に移動すると、回転アクチュエータ24から突出しているビット14の部分がスタッド20内を通って前進し、ビットの中空内部でスタッドからコアを切断して分離する。切断は、
図5のスタッドの反対側から見た図である
図6に示すように、ビットの刃先19がスタッドの反対側から現れるまで継続する。この時点で、コア92がビット14の中空内部内でスタッドから分離される。切断操作の終了時に、操作全体を通してスタッド20に隣接したままであった第二のベアリング62は、ここで、フレームワークに沿って駆動システムアセンブリ34とともに移動した第一のベアリング60に近接し、ビット14の細長い本体が、第二のベアリング62及びスタッド20を通って前進する。ビット14の突出部分の長さは、貫通穴が生じることを確実にするためにビットがスタッドを左右に完全に貫通できることを確実にするために、切断されるスタッドの厚さよりも長くなければならない。
【0031】
この段階で、次に、内部にコア92を有するビット14が、駆動システムアセンブリ34の移動方向を逆転させることによって、新たに形成された穴から後退される。この後退ステップでは、1)ビット14を切断方向に回転させたままにしておくこと、2)線形後退する前にビットの回転を停止すること、又は3)線形後退する前にビットの回転を逆転させることが任意選択的である。
【0032】
好ましい構成では、コアリングユニットの切断操作は、ジョイスティックインターフェースを介して制御され得る。ジョイスティックを押すと、ビットの回転の開始及びその後の前進線形運動を含む、上記の一連の動作が開始する。切断操作の終了時に、ジョイスティックに逆方向の圧力を加えると、ビットの後退が開始される。
【0033】
上述のように、コア92はビットの内部に残されることが好ましい。後続の切断操作により新しいコアが形成され、このコアは、保管されているコアをビットの中空内部からモータ28の内部を通って、保管のためにレセプタクル80内に移動させるのに役立つ。
【0034】
図10及び
図11を参照すると、2つのスタッド20aと20bの間の代替のクランプ構成部にあるコアリングユニット10が示されており、切断操作は上記のものと同一である。
【0035】
コアリングユニット10を切断される構造物にクランプすることによって、建築基準法を満たすために切断される穴の適切な位置合わせをより効率的に調整することが可能になる。例えば、コアリングユニットのクランプ構成部は、切断される穴の位置合わせが最小サイズの2×4スタッドの中心になることを確実にするように構成され得る。直径2インチの穴の場合、この位置決めにより、各スタッド面までの最小距離が3/4インチの適正基準になる。また、2×4スタッドでは、スタッドの中心線に沿って穴を開けることも適正基準であり、これは、クランプ構成部を一貫して使用することにより、オペレータが追加の入力を行うことなく、どのような切断直径でも達成される。
【国際調査報告】