(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】原子炉炉内構造物の状態を継続的に監視するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G21C 17/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G21C17/00 050
G21C17/00 110
G21C17/00 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551263
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2022070782
(87)【国際公開番号】W WO2022183179
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】バニェイ、グレゴリー、エー
(72)【発明者】
【氏名】バーゼル、リチャード、エー
(72)【発明者】
【氏名】ディバシリオ、デヴィッド、シー
(72)【発明者】
【氏名】コータ、ジェレミー、アール
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、グレゴリー、エー
(72)【発明者】
【氏名】スミス、スティーブン、ディー
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA03
2G075CA02
2G075DA08
2G075DA13
2G075EA05
2G075EA07
(57)【要約】
原子炉の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムを開示する。このシステムは、原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、センサからの信号を受信するように構成された制御回路を含む異常検知サブシステムとを備える。異常検知サブシステムは、制御回路によって、当該信号に少なくとも部分的に基づいて原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、制御回路によって、メモリに保管された履歴情報にアクセスし、制御回路によって、突き止められた特性をメモリに保管された履歴情報と比較し、制御回路によって、突き止められた特性と履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるように構成されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムであって、当該システムは、
当該原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、
当該メモリおよびセンサに通信可能に結合されるように構成された異常検知サブシステムとを含み、当該異常検知サブシステムはセンサから信号を受信するように構成された制御回路を備え、当該信号は当該原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連付けられ、当該異常検知サブシステムは、
当該制御回路によって、当該受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、
当該制御回路によって、当該メモリに保管された当該履歴情報にアクセスし、
当該制御回路によって、当該突き止められた特性を当該メモリに保管された当該履歴情報と比較し、
当該制御回路によって、当該突き止められた特性と当該履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記異常検知サブシステムがさらに、前記制御回路によって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉のデジタルツインを生成するように構成されている、請求項1のシステム。
【請求項3】
請求項2のシステムであって、前記異常検知サブシステムおよび前記メモリに通信可能に結合された機械診断サブシステムをさらに含み、当該機械診断サブシステムが第2の制御回路を含み、当該機械診断サブシステムは、
当該第2の制御回路によって、前記原子炉の少なくとも一部のモデルを生成し、
当該第2の制御回路によって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉に関連する診断結果を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3のシステムであって、前記機械診断サブシステムがさらに、前記第2の制御回路によって、前記原子炉に関連する前記診断結果を前記異常検知サブシステムに送信するように構成され、さらに前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の前記デジタルツインが生成されるシステム。
【請求項5】
前記診断結果が機械学習により生成される、請求項3のシステム。
【請求項6】
前記診断結果がガウス過程回帰(GPR)により生成される、請求項3のシステム。
【請求項7】
請求項3のシステムであって、前記異常検知サブシステムおよび前記機械診断サブシステムに通信可能に結合された資産管理プラットフォームをさらに含み、当該資産管理プラットフォームは、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の将来の挙動に関連する予測を表示するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1のシステムであって、前記資産管理プラットフォームはさらに警告を表示するように構成され、当該警告は、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づく、前記原子炉容器内部構造物のメンテナンス計画の推奨案を含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記突き止められた特性は、振動モード周波数および振幅のうちの少なくとも一方を含む、請求項1のシステム。
【請求項10】
請求項1のシステムであって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態が、下部半径方向支持体、燃料ノズル、熱遮蔽支持体、バッフルジェット、ボルト、下部プレナム、上部プレナム、シンブル管、および棒制御クラスタ組立体のうちの少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせに関連する異常状態を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記信号を生成するように構成されたセンサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムであって、当該システムは、
当該原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、
当該メモリに通信可能に結合され、制御回路を含む機械診断サブシステムとを備え、当該機械診断サブシステムは、
当該制御回路によって、当該原子炉の少なくとも一部のモデルを生成し、
当該制御回路によって、当該原子炉容器内部構造物の突き止められた状態および当該生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉に関連する診断結果を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12のシステムであって、前記メモリおよびセンサに通信可能に結合されるように構成された異常検知サブシステムをさらに含み、当該異常検知サブシステムはセンサから信号を受信するように構成された制御回路を備え、当該信号は当該原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連付けられ、当該異常検知サブシステムは、
当該制御回路によって、当該受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、
当該制御回路によって、前記メモリに保管された前記履歴情報にアクセスし、
当該制御回路によって、当該突き止められた特性を前記メモリに保管された前記履歴情報と比較し、
当該制御回路によって、当該突き止められた特性と前記履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13のシステムであって、前記異常検知サブシステムがさらに、前記制御回路によって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態、前記診断結果、および前記モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉のデジタルツインを生成するように構成されているシステム。
【請求項15】
請求項13のシステムであって、前記異常検知サブシステムおよび前記機械診断サブシステムに通信可能に結合された資産管理プラットフォームをさらに含み、当該資産管理プラットフォームは、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の将来の挙動に関連する予測を表示するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15のシステムであって、前記資産管理プラットフォームはさらに警告を表示するように構成され、当該警告は、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づく、前記原子炉容器内部構造物のメンテナンス計画の推奨案を含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視する方法であって、
当該原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連する信号をセンサから受信するステップと、
当該受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止めるステップと、
当該原子炉の過去の性能に関連する履歴情報にアクセスするステップと、
当該突き止められた特性を当該メモリに保管された当該履歴情報と比較するステップと、
当該突き止められた特性と当該履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるステップとを含む方法。
【請求項18】
請求項17のシステムであって、
当該原子炉の少なくとも一部のモデルを生成するステップと、
前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉に関連する診断結果を生成するステップとをさらに含むシステム。
【請求項19】
請求項18のシステムであって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の将来の挙動に関連する予測を生成するステップをさらに含むシステム。
【請求項20】
請求項18のシステムであって、警告を生成するステップをさらに含み、当該警告は、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づく、前記原子炉容器内部構造物のメンテナンス計画の推奨案を含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、参照によりその全てが本願に組み込まれる2021年2月24日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTINUALLY MONITORING THE CONDITION OF NUCLEAR REACTOR INTERNALS」と題する米国特許出願第17/183,493号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して原子力発電に関し、具体的には、原子炉炉内構造物の状態を継続的に評価するための改良されたシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
以下の概要は、本願で開示する態様に特有のいくつかの革新的な特徴を理解しやすくするためのものであり、完全な記述を意図するものではない。これらの様々な態様を完全に理解するには、本願の明細書、請求項、および要約書の全体を総合的にとらえる必要がある。
【0004】
様々な態様において、原子炉の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムを開示する。このシステムは、原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、センサからの信号を受信するように構成された制御回路を含む異常検知サブシステムとを備える。異常検知サブシステムは、制御回路によって、当該信号に少なくとも部分的に基づいて原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、制御回路によって、メモリに保管された履歴情報にアクセスし、制御回路によって、突き止められた特性をメモリに保管された履歴情報と比較し、制御回路によって、突き止められた特性と履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるように構成されている。
【0005】
様々な態様において、原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムを開示する。このシステムは、原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、メモリに通信可能に結合された、制御回路を含む機械診断サブシステムとを備える。機械診断サブシステムは、制御回路によって、原子炉の少なくとも一部のモデルを生成し、制御回路によって、原子炉容器内部構造物の突き止められた状態および生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、原子炉に関連する診断結果を生成するように構成されている。
【0006】
本願では、様々な態様において、原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視する方法を開示する。本方法は、原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連する信号をセンサから受信し、受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、原子炉の過去の性能に関連する履歴情報にアクセスし、突き止められた特性をメモリに保管された履歴情報と比較し、突き止められた特性と履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、原子炉容器内部構造物の状態を突き止めることを含む。
【0007】
本発明の上記および他の目的、特徴および性質、関連する構造要素の操作方法および機能、部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、いずれも本明細書の一部を構成する添付図面を参照して以下の説明および添付の請求項を読めばより明白になるであろう。さまざまな図面の中で使用している同じ参照符号は、対応する構成要素を指している。ただし、添付図面はもっぱら例示および解説のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願に記載された態様の様々な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。しかしながら、操作の機構および方法に関する様々な態様とその利点は、下記の添付図面を参照した以下の説明によって理解が深まるであろう。
【0009】
【
図1】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、原子炉内部構造物の状態を監視するように構成されたシステムの図である。
【0010】
【
図2】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、
図1のシステムの系統的機能を示すブロック図である。
【0011】
【
図3】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、原子炉内部構造物の状態を継続的に監視する方法を示す図である。
【0012】
【
図4A】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、
図1のシステムで使用するように構成された原子炉炉心の一例の側面断面図である。
【0013】
【
図4B】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、
図1のシステムで使用するように構成された原子炉炉心の一例の上面断面図である。
【0014】
同一の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部品を指している。本願に記載された実施例は、本発明の様々な態様の一形態を示すものであり、かかる例示は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定的に解釈するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願に記載され、添付の図面に例示されているような態様の全体的構造、機能、製造、および使用について深く理解できるよう、数多くの具体的な詳細事項を記載する。本願に記載された態様が不明瞭になることを避けるため、よく知られた操作、構成部品、および要素については詳述しない。読者においては、本願で説明および図示する態様が非限定的な例であり、したがって、本願で開示する特定の構造および機能の詳細が代表的かつ例示的であり得ることを理解されたい。これらの実施形態は、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく変形・変更される可能性がある。また、前方、後方、左、右、上方へ、下方へなどの用語は便宜的に使用するものであり、限定的に解釈するものでないことを理解されたい。
【0016】
以下の説明において、同一参照記号は、いくつかの図面を通して同一のまたは対応する部品を指すものである。また、以下の説明において、前方、後方、左、右、上方へ、下方へなどの用語は便宜的に使用するものであり、限定的に解釈するものでないことを理解されたい。
【0017】
本願で開示するシステムおよび方法の様々な態様を詳細に説明するに先立って、例示する実施例は、適用または使用において、添付の図面および説明で開示した詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な実施例は、他の態様、変形例、および改造によって実装または編入されることがあり、様々な方法で実践または実施されることがあると理解されたい。さらに、特に断らない限り、本願で採用される用語および表現は、読者の便宜のために実施例を説明する目的で選択したものであり、実施例の限定を目的とするものではない。具体的には、特定の原子炉(例えば加圧水型原子炉)およびその構成機器(例えば原子炉容器内部構造物(reactor vessel internals)、すなわち「RVI」)に関する議論は、単なる例示に過ぎないことを理解されたい。したがって、本願で開示するシステムおよび方法は、あらゆる原子炉のあらゆる態様(内部または外部)の状態を継続的に監視するために適用できることが理解されよう。例えば、本願で開示するシステムおよび方法は、MAGNOX炉、CANDU炉、軽水炉(LWR)、改良型ガス冷却炉(AGR)、大出力チャンネル型原子炉(RBMK)、低濃縮ウラン(LEU)燃料炉、高濃縮ウラン(HEU)燃料炉、および/または液体金属高速炉などの任意の構成機器または部分組立体を継続的に監視するために適用することができる。さらに、本願で開示するシステムおよび方法は、より一般的に、あらゆる機械的複合システムおよび/または危険を伴うシステムの継続的な監視および検査を支援できることを理解されたい。このように、本願で開示するシステムおよび方法は、広範囲の産業用途に有用である。本願で使用する「継続的」という用語は、本願で開示するシステムおよび方法が原子炉を断続的に監視するために実装されることを排除するものではない。例えば、本願で開示するシステムおよび方法は、原子炉を継続的に監視することができるが、所定の間隔を置いて原子炉を監視するように構成することもできる。最後に、以下に説明する1つ以上の態様、態様の表現、および/または実施例は、以下に説明する他の態様、態様の表現、および/または実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせられることが理解されるであろう。
【0018】
さらに、本願で開示するシステムおよび方法は、専ら例示を目的として、複数のサブシステムによって実施されるものとして論じられる。したがって、いくつかの非限定的な態様では、異常検知サブシステムと機械診断サブシステムは、両サブシステムを合わせた機能を実行するように構成された単一のシステムとして実装できることが理解されよう。非限定的な態様には単一の統合システムを含むものがあり、当該システムは、警告の表示および/または資産管理プラットフォームの実行を行うように構成されたユーザーインターフェースをさらに含んでいる。このように、本願で開示するサブシステムのうち任意のサブシステムは、それぞれの機能を含め、任意の数以上のシステムまたはサブシステムに統合または分割できることが理解されよう。本願で開示する方法は、いかなるシステムアーキテクチャによっても制限されない。
【0019】
原子炉(加圧水型原子炉など)は、多くの統合された構成機器を含む複雑な幾何学的構成を有する。原子炉の設計は複雑であり、また放射線被曝の危険性もあるため、職員がさまざまなサブシステムや構成機器を継続的に点検・メンテナンスすることは非常に困難で、危険を伴い、実際的ではない。内部構成機器は、原子炉の圧力バウンダリや放射能のある燃料棒に近接しているため、特に継続的な監視が難しい。例えば、支持格子、制御棒、案内管、プレート、留め具、ばね、溶接、継手、および/またはノズルなどのRVIは、特に監視が難しい場合がある。しかしながら、そのような構成機器は過酷な応力を受け、原子炉の寿命期間を通じて特に劣化しやすい。RVIに加わる応力腐食割れ、サポートキーの摩耗、その他の損傷は、原子炉の運転や信頼性に悪影響を及ぼす様々な機械的異常として顕在化する。RVIの劣化の早期発生や伝播の特定は不可欠であるが、放射性環境のため、RVIの継続的な監視は極めて困難である。
【0020】
設計の複雑さと、原子炉の放射能に関連した固有の危険性のため、RVIの構造健全性の監視は、時間および/または状態に基づくポリシーに限られている。例えば、あるプラントで、RVIを、特定の期間中に所定の回数検査・整備することが要求されることがある。代替としておよび/または追加的に、検査および/または整備が、異常な状態が顕在化してから初めて要求される場合がある。したがって、RVIの構造健全性を監視する従来の方法は、予防的なものではなく、問題が発生してからしか対処できない。炉外検出器を使って原子炉を監視する方法も実施はされているが、特に米国のプラントでは、完全に否定されていないにしても積極的には採用されていない。これは、炉外検出器から得られる測定値(中性子ノイズなど)のみに基づくRVIの構造健全性の評価の信頼性が低いことが一因である。換言すれば、RVIを監視する既知の手段は、もっぱら炉外検出器に依存しており、その診断結果は、一般に文脈(context)や信頼性に欠け、重要な疑問が未解決のまま残されている。さらに、炉外検出器によってRVIを監視する既知の手段では、大規模な分析が必要であり、これは通常、高度に専門的な選りすぐりのエンジニアによって実行される。よって、RVIの構造健全性を監視する既知の手段は、往々にして非効率的で、高価で、事後対応的であり、誤診のリスクが無視できない。その結果、受け入れがたい、高価なリスクが生じてしまう。したがって、炉内構造物の状態を評価するための、より高度なシステムおよび方法が必要とされている。
【0021】
図1は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、RVIを含む原子炉の状態を継続的に監視するように構成されたシステム100を示す図である。
図1の非限定的な態様に基づき、システム100は、原子力発電所101内の原子炉102の構造健全性を監視および評価するように構成することができる。例えば、システムは、検出器などのセンサ103に通信可能に結合された異常検知サブシステム110を含むことができる。「通信可能に結合された」という用語は、センサ103と異常検知サブシステム110との間で信号を伝送できる任意の構成を含むことを理解されたい。これには、有線および/または無線通信のあらゆる手段(社会基盤的なものと一時的措置的なものの両方)が含まれる。したがって、異常検知サブシステム110およびセンサ103は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、同軸ケーブル、無線周波数(RF)伝送、赤外線、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、および/またはセルラーネットワークなどを含むがこれらに限定されない様々な接続を介して、通信可能に結合することができる。追加策および/または代替策として、接続には、センサ103と異常検知サブシステム110との間に任意の中間システム、サブシステム、および/または構成機器を含み得ることが理解されよう。
【0022】
さらに、
図1の非限定的な態様は検出器を含むセンサ103を企図しているが、他の非限定的な態様は、中性子ノイズまたは中性子束を測定するために使用できる炉内センサを企図していることを理解されたい。追加策および/または代替策として、原子炉102周辺の中性子束を測定するため、およびより一般的にはプラント101全体の中性子束を測定するために、任意の数のセンサ103を実装することができる(炉内も同様)。例えば、断続的な監視のためにシステム100が実装されるいくつかの非限定的な態様によれば、センサ103は炉内検出器を含むことができる。いくつかの非限定的な態様によれば、センサ103は、ガス入り検出器、ホウ素ライニング検出器、シンチレーションガラスファイバー検出器、および/またはデュアル検出器などの任意の構成を含むことができる。ただし、他の非限定的な態様によれば、センサ103は、プラント全体に配置された加速度計、ひずみゲージ、変位センサ、および/または速度センサのような、より従来型の振動センサを含む任意のセンサを含んでよい。センサ103は、原子炉の機械的応答(例えば振動)を測定し、それに関連する信号を生成するように構成することができる。システム100がプラント101内の非原子力装置102の構造健全性を監視するために実装される本開示の非限定的な態様によれば、センサ103は、非原子力装置102の機械的応答を測定できる任意の構成機器を含むことができる。いくつかの非限定的な態様によれば、センサ103は、異常検知サブシステム110による処理に先立って、センサ103から受信した信号を処理および/または集約するように構成されたデータ取得サブシステム108に通信可能に結合することができる。
【0023】
図1をさらに参照すると、異常検知サブシステム110は、データ取得ユニット109を含むことができる。少なくとも、異常検知サブシステム110は、センサ103からの信号を受信し、アルゴリズムに基づくスペクトル解析を実行し、当該信号に埋め込まれた情報を評価して文脈付ける(contextualize)ように構成された制御回路107を含むことができる。
図1の非限定的な態様によれば、解析は動的および/または自動的であってよい。すなわち、情報はセンサ103によって継続的に収集され、異常検知サブシステム110に伝達され、処理される。このように、
図1のシステム100が、RVIを含む原子炉の構造健全性を評価する従来の手段に対して、いかに劇的な技術的改善がなされているかが理解されよう。追加策および/または代替策として、システム100は、人間である技術者やエンジニアにとって不可能ではないにしても非現実的な方法で原子炉102の構造健全性を評価することができる。明らかに、プラント101で原子炉102の構造健全性を継続的に監視するために人員を雇用するとなれば、そのコストは膨大なものになり、しかも評価は人為的ミスの影響を受けやすい。さらに、原子炉102を継続的に評価することにより、システム100は、従来の手段では顕在化した時にしか検出できなかった原子炉102内の問題を事前に特定することができ、経済効率と安全性が高まる。換言すれば、
図1のシステム100は、原子炉とRVIの状態を評価する既知の手段を技術的に改良したものである。
【0024】
引き続き
図1を参照すると、センサ103は、原子炉102が発する中性子ノイズおよび/または中性子束のレベルに関連する信号を生成するように構成することができる。この信号は、異常検知サブシステム110に送信することができ、異常検知サブシステム110は、受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、RVIを含む原子炉の機械的応答特性を突き止めるように構成される。例えば、異常検知サブシステム110は、信号に基づいて振動モードの周波数および/または振幅を突き止めることができる。いくつかの非限定的な態様によれば、この突き止めは、事前のプラント内情報および/またはスケールモデル試験などのデータポイントにさらに基づいて行うことができる。いくつかの非限定的な態様によれば、異常検知サブシステム110は、機械的応答の特定のモード(例えば、周波数、狭帯域振幅)を統計的に推測するために、フーリエ解析、位相モード形状プロット、および/または波数解析によって信号を処理するように構成することができる。例えば、異常検知サブシステム110、より具体的には制御回路107は、機械的応答を特徴付けるために、波数スペクトル(例えば、ピーク識別、モードマッチング)、パターン認識によるクロススペクトル位相プロット、および/または他の統計的推論法を使用するように構成することができる。しかしながら、本開示の他の非限定的な態様によれば、任意の機械的応答を特徴付けるために、任意の数の他の解析方法を適用できることが理解されよう。換言すれば、異常検知サブシステム110は、センサ103から受信した信号を利用して、原子炉102およびそのRVIの具体的な挙動を特定することができ、これは、原子炉およびそのRVIについて信頼性のある構造評価を実施する上で重要なステップである。
【0025】
機械的応答の特徴付けに関して、異常検知サブシステム110によって実行される特徴付けは、任意の数の機械的異常と関連付けることができる。例えば、原子炉102は、RVIの構造的健全性を示す任意の数の状態に対して特定の様態で応答することがあり、異常検知サブシステムは、そのような挙動を継続的に監視し、特徴付けるように実装することができる。そのような状態には、例えば、半径方向支持体、燃料ノズル、熱遮蔽支持体の振動および/または劣化、バッフルジェット、バッフルフォーマーボルトの破損、音響現象、下部プレナム異常、上部プレナム異常、シンブル管の振動、棒クラスタ組立体の振動、部品の挟み込み、および/またはそのような振動および/または劣化に関連する摩耗への対処などが含まれ得る。当然ながら、システム100は、使用者の好みおよび/または意図される用途に応じて、原子炉102のような複雑な機械装置の構造健全性に関連する他の状態を監視し、特徴付けるために実装できることを理解されたい。
【0026】
さらに
図1を参照すると、システム100は、プラント101および/または原子炉102の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリ104をさらに備えることができる。メモリ104は、異常検知サブシステム110に通信可能に結合することができ、異常検知サブシステム110は、その制御回路107を介して保管された履歴情報にアクセスすることができる。したがって、異常検知サブシステム110は、原子炉102およびそのRVIの突き止められた機械的応答特性を、メモリ110に保管された履歴データと組み合わせて比較するように構成することができる。このようにして、システム100は、原子炉102の機械的応答特性を突き止めるだけでなく、それを文脈付けし、原子炉102およびそのRVI内で具体的に何が起こっているかを突き止めることができる。例えば、異常検知サブシステム110は、突き止められた振動数および/または振幅を、特定の状態(例えばバッフルの劣化)にある原子炉102の過去の振動数および/または振幅と比較することができる。このように、異常検知サブシステム110は、突き止められた特性がこれと同様の状態を反映していると結論付け、バッフルを検査するよう技術者に警告を発することができる。当然ながら、異常検知サブシステム110は、同様の方法により、原子炉102のRVI内の軌道運動、衝突、および音響励振を特定できることを理解されたい。
【0027】
したがって、
図1の異常検知サブシステム110は、原子炉102およびそのRVIの機械的応答を特徴付けることができるだけでなく、突き止められた応答をメモリ104内に保管された履歴情報と比較して、突き止められた応答を文脈付けることができる。換言すれば、異常検知サブシステム110により、システム100は、原子炉の日々の使用を通じて機械的異常を特定し、理解することができ、これは、RVIの構造健全性を評価する既知の手段に比べて技術的な改善を意味する。
【0028】
引き続き
図1を参照すると、異常検知サブシステム110はさらに、制御回路107によって、プラント101および/またはその運転技術者が通常なら入手できないRVIに関する洞察111を含む警告111を発するように構成することができる。この洞察111は、信号、突き止められた機械的応答特性、メモリ104に保管された履歴情報、突き止められたRVIの状態、および/またはセンサ103もしくは原子炉102に関する任意の追加情報に関連する任意の数の形式化されたグラフ、チャート、メッセージ、および/または警報を含むことができる。追加策および/または代替策として、警告111は、原子炉102のケアおよび/またはメンテナンスに関する指示を含むことができる。例えば、警告111は、原子炉102とそのRVI、またはその下位構成機器に関する改訂されたメンテナンス計画を含むことができる。改訂されたメンテナンス計画は、突き止められた機械的応答特性、メモリ104に保管された履歴情報、および/または突き止められたRVIの状態に少なくとも部分的に基づいて、異常検知サブシステムによって決定することができる。いくつかの非限定的な態様において、警告111を資産管理プラットフォームに送信することができ、および/または警告111を資産管理プラットフォーム116、診断情報120、および/または予測122を介して閲覧することができる。いくつかの非限定的な態様によれば、システム100を自動化し、異常検知サブシステム110が警告111の情報に少なくとも部分的に基づいて自律的に改善措置をとるように構成することができる。例えば、システム100は、圧力などの原子炉102運転の変数を減衰させるように、弁を自動調整することができる。他の非限定的な態様によれば、警告111は、光、警報音、および/または任意の形態の触覚フィードバックなどの指示器を作動させて、かかる情報を運転技術者に確実に検討させることができる。
【0029】
図1のシステム100は、このような警告111を表示するように構成されたユーザーインターフェースを含むことができる。ただし、他の非限定的な態様によれば、システム100は、異常検知サブシステム110に通信可能に結合された遠隔装置をさらに含み得ることを理解されたい。このような態様によれば、異常検知サブシステム110はさらに、警告111を、有線通信または無線通信によって遠隔装置に送信するように構成することができる。例えば、1つの非限定的な態様によれば、遠隔装置は、運転技術者のモバイル装置を含むことができ、異常検知サブシステム110は、テキストメッセージ、電話、ポケットベル、電子メール、および/または他の任意の互換性のある通信形態によって、モバイル装置に警告111を送信するように構成することができる。
【0030】
さらに
図1を参照すると、異常検知サブシステム110はさらに、原子炉102のデジタルツイン114を生成するか、デジタルツイン114に寄与するか、またはデジタルツイン114と並行して動作するように構成することができる。デジタルツイン114が検証済みの力学ベースのモデルとして機能することにより、信頼性の高い診断結果を出すことができる。いくつかの非限定的な態様によれば、デジタルツイン114は、原子炉102またはRVIの完成時のシステム、構造、または構成機器に関する、統合された、物理に基づく、適切にスケーリングされた確率論的シミュレーションを含むことができる。したがって、異常検知サブシステム110は、利用可能なリソース(例えば、物理モデル、センサ更新、運転経験など)を利用して、対応する運転ツインである原子炉102自体の寿命をミラーリングすることができる。特徴付けられた機械的応答と、原子炉102およびそのRVIの突き止められた状態とをデジタルツイン114に統合することにより、異常検知サブシステム110によって生成された文脈付けおよび洞察を改善することができ、それにより原子炉102の構造健全性の理解を高められることは明らかであろう。したがって、
図1のシステム100では、デジタルツイン114が、RVIの構造健全性に関するデータ駆動型の、物理情報に基づく、経験的に妥当な評価を提供することから、RVIを監視するために検出器を使用する既知の手段よりも技術的に改善されている。このように、デジタルツイン114はそれだけで、信頼性を向上させ、運転技術者に実行する自信を十分に与えることにより、自動化されたソリューションへの抵抗感を克服し、前述のような時間または状態に基づく事後対応型のメンテナンスへの依存を減らすことができる。
【0031】
図1のシステム100は、機械診断サブシステム112をさらに含むことができる。
図1の非限定的な態様によれば、機械診断サブシステム112は、センサ103、異常検知サブシステム110、および/またはメモリ104に通信可能に結合することができる。機械診断サブシステム112はまた、原子炉102の少なくとも一部のモデルを生成する、および/または当該モデルにアクセスするように構成された第2の制御回路115を含むことができる。いくつかの態様によれば、このモデルは、原子炉102の3次元(または代理)モデル113とすることができるが、他の非限定的な態様によれば、このモデルは、原子炉102全体に配置された1つ以上のセンサから取得された集約データを含むことができる。いくつかの非限定的な態様において、モデル112は、有限要素モデリングおよび/または動的シミュレーションをサポートするように構成されたCADベースのメッシュ構造を含むことができる。当然ながら、他の非限定的な態様には、シミュレーションやモデリングのあらゆる既知の手段が含まれる。このように、機械診断サブシステム112は、異常検知サブシステム110および/またはデジタルツイン114から受信したデータをパラメータ化し、受信したデータをモデル113に組み込み、原子炉102およびそのRVIの構造動力学に関連する動的シナリオをシミュレートすることができる。
【0032】
図1の機械診断サブシステム112は、異常検知サブシステム110および/またはデジタルツイン114から受け取った特性および状態(または劣化シナリオの候補)の感度分析を実行するように構成することができる。ほとんどの感度分析がそうであるように、機械診断サブシステム112によって、独立変数の様々な値が、所与の一連の仮定の下で特定の従属変数にどのように影響するかを突き止めることができる。換言すれば、感度分析によって、異常検知サブシステム110によって突き止められた特定の劣化シナリオ候補に関連する数学的不確実性の程度を評価することができる。
【0033】
引き続き
図1を参照すると、機械診断サブシステム112はさらに、センサ103によって感知され、異常検知サブシステム110によって処理されるプラント内データを評価し、改善を図るように構成することができる。例えば、機械診断サブシステム110は、モデル化および/またはシミュレートされた機械的情報をデジタルツイン114に送信することができ、この情報は劣化シナリオ候補を比較するベンチマークとして機能することができる。いくつかの非限定的な態様によれば、デジタルツイン114は、このような機械的情報を利用して、劣化シナリオ候補を原子炉102、より具体的にはRVIのモデル113に重ね合わせる(オーバーレイする)ことができる。
【0034】
換言すれば、
図1の機械診断サブシステム112(およびそのデジタルツイン114への寄与)により、異常検知サブシステム110によって突き止められた各劣化シナリオ候補(例えば、特性、状態)の信頼性を評価することができる。その後、機械診断サブシステム112は、評価に基づいて1つ以上の診断結果を出すことができる。さらに、システム100の監視が継続的であることから、機械診断サブシステム112はリアルタイムでシミュレーションを更新することが可能である。したがって、機械診断サブシステム112は、あり得ない劣化シナリオを迅速に切り捨て、原子炉102および/またはそのRVIの構造健全性の正確な評価に集中することができる。評価された各劣化シナリオ候補の可能性は、機械診断サブシステム110によって生成された診断結果に含めることができ、それには、最も可能性の高い劣化シナリオ候補に関連する、メモリ104からアクセスした改善履歴情報をさらに含めることができる。
【0035】
いくつかの非限定的な態様によれば、機械診断サブシステム112はさらに、異常検知サブシステム110から受け取った劣化シナリオ候補の評価を改善するために、人工知能、機械学習、深層学習、および/またはニューラルネットワーク技術を実装するように構成することができる。このように、機械診断サブシステム112によって実行されるシミュレーションと感度分析は、システム100の寿命期間を通じて精度向上を図ることができる。例えば、いくつかの非限定的な態様によれば、機械診断サブシステム112は、ガウス過程回帰(GPR)、機械学習(例えば、k-NN、相関によるグルーピングなど)、および/またはニューラルネットワーク技法によって、劣化シナリオ候補の評価を改善するようにアルゴリズムを構成することができる。当然ながら、機械診断サブシステム112を訓練および/または検証し、モデル113を改善するために、任意の人工知能、機械学習、深層学習、および/またはニューラルネットワーク技術を実装できることを理解されたい。したがって、パラメータ感度の計算と、後続の劣化シナリオ候補の感度分析は、時間と共に継続的に改善される。
【0036】
したがって、機械診断サブシステム110は、異常検知サブシステム110によって実行された分析の信頼性を継続的かつ効率的に評価することができ、さらに、RVI内の可能性の高い劣化原因を説明し、将来の検査および/またはメンテナンスのために情報を提供する診断結果を生成することができる。いくつかの非限定的な態様では、診断結果は、前述のユーザーインターフェースおよび/または遠隔装置を用いて、RVIのモデル113内の可能性の高い劣化位置を含む可能性の高い劣化原因を視覚的に強調することができる。いくつかの非限定的な態様において、診断結果は、機械診断サブシステム112によって突き止められた、可能性に基づいて等級化された劣化原因のリストを含むことができる。追加策および/または代替策として、機械診断サブシステム112は、診断結果をデジタルツイン114に統合すること、および/または診断結果を警告111に含めることができる。いずれにせよ、機械診断サブシステム112からの生成物(例えば診断結果)と異常検知サブシステム110の生成物(例えば突き止められた機械的応答特性や原子炉の状態)の統合は、パターン認識のために利用することができる。機械診断サブシステム112は、人工知能、機械学習、深層学習、および/またはニューラルネットワーク技術を利用して改善するように構成できるため、メモリ104に保管された特性、状態、および診断結果の履歴基盤が大きくなるにつれて、パターン認識はさらに強化される。例えば、1つの非限定的な態様によれば、機械診断サブシステム112は、サポートベクターマシン(SVM)に基づく機械学習の方法を採用することができる。
【0037】
追加策および/または代替策として、
図1のシステム100は、突き止められた特性、状態、および診断結果の確率論的モデルを生成することができ、これらの変数間のすべての関係を検討することができ、さらに、センサ103によって生成された利用可能な証拠およびメモリ104に保管された履歴情報に基づいてシナリオの因果確率を推論することができる。システム100はさらに全体として、原子炉102とそのRVIを診断的に評価するように構成することができる。換言すれば、システム100は、診断モデルを実証するために、診断結果を、ベイジアンビリーフネットワーク(Bayesian Belief Network)にネストされた条件付き確率表に形式化することができる。いくつかの非限定的な態様によれば、資産管理プラットフォーム116が、ベイジアンビリーフネットワークを使用して診断情報120を生成することができる。
【0038】
図1をさらに参照すると、システムは、異常検知サブシステム110の出力、メモリ104からの履歴情報、および機械診断サブシステム114の出力を集約するように構成された資産管理プラットフォーム116をさらに含むことができる。資産管理プラットフォーム116はさらに、機械診断サブシステム112および/またはデジタルツイン114、ならびに任意の集約された入力106から診断結果を直接受け取るように構成することができる。資産管理プラットフォーム116はさらに、機械診断サブシステム112、異常検知サブシステム110、および/またはデジタルツイン114から受信した入力に基づいて、RVIに関連する診断結果、警告、および/または他の有用な情報を生成するように構成することができる。
図1の非限定的な態様によれば、資産管理プラットフォーム116はさらに、確率論的な感度分析に基づいて、明らかな異常118を生成および/または表示するように構成することができる。
図1の資産管理プラットフォーム116はさらに、診断情報120を生成および/または表示するように構成することができ、この診断情報120は、診断結果およびモデル113から抽出された情報、ならびにメモリ104から抽出された関連する履歴情報を含んでよい。追加策および/または代替策として、資産管理プラットフォーム116はさらに、原子炉102およびそのRVIに関連する将来の挙動の予測122を生成および/または表示するように構成することができる。例えば、検知された異常がRVIの構造部品および/または部分組立体に関連する場合、資産管理プラットフォーム116は、RVIおよび原子炉102の潜在的な疲労損傷を予測することができる。当然ながら、
図1の資産管理プラットフォーム116は、検知された任意の異常に関連する任意の予測を表示するように構成できることを理解されたい。いくつかの非限定的な態様によれば、資産管理プラットフォームはさらに、警告111を表示するように、および/または予防措置(例えば、予防メンテナンスを実行できるようになるまで原子炉102を「安全モード」に自律的に設置するなど)を提示するように、構成することができる。
【0039】
他の非限定的な態様によれば、資産管理プラットフォーム116は拡張・縮小可能であり、したがって、標準的なデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイル機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルコンピュータ、および/または携帯情報端末を含む)を含むがこれらに限定されない任意のコンピュータおよび/またはモバイルコンピューティング装置によってアクセスされるように構成することができる。当然ながら、資産管理プラットフォーム116は、ディスプレイおよび/またはユーザーインターフェースを備えた任意の接続装置を介して遠隔的にアクセスできることを理解されたい。これは、
図1のシステム100に対するさらに別の技術的改良を意味する。なぜならば、プラント101に関連する運転技術者であれば誰でも、任意の装置および/または場所から資産管理プラットフォーム116にアクセスして、核反応102およびそのRVIの状態、推奨事項、および/または診断内容を検討することができるからである。したがって、運転技術者は、実際にプラント内に駐在しなくても、まとまりのあるチームとして活動することができる。
【0040】
図2は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に従って、
図1のシステム100の系統的機能を示したブロック図である。
図2の非限定的な態様によれば、プラント101はメモリ104とセンサ103を含むことができる。先に説明したように、メモリ104は、温態機能データ205、スケールモデル試験データ206、および/または先行の中性子ノイズデータ207などを含む非動的な履歴情報を保管するように構成することができる。さらに、プラント101は、中性子ノイズレベルなど、原子炉102(
図1)の機械的応答に関連する動的データを検出および記録するように構成されたセンサ103を含むことができる。前述のように、
図1および
図2のセンサ103は、1個のセンサであってよいが、他の非限定的な態様は、使用者の好みおよび/または意図される用途に応じて任意の数のセンサを企図する。
【0041】
さらに
図2を参照すると、システム100は、機械的応答特性217および原子炉の状態218を突き止めるために、センサ103から動的信号を受信し、メモリ104から非動的履歴情報にアクセスするように構成された異常検知サブシステム110をさらに含むことができる。これを達成するために、異常検知サブシステム110は、共分散行列計算209、波数分解210、データ正規化211、直流電圧シフト213、モード識別214、および最終的には特徴抽出215によって、センサ103および/またはメモリ104から受信した情報を処理するように構成された制御回路107を含むことができる。例えば、特徴抽出215プロセスは、振動応答の周波数および/または振幅など、原子炉102(
図1)およびそのRVIの機械的応答特性の特徴付け217を含むことができる。さらに、特徴抽出は、原子炉102(
図1)およびそのRVIの状態の突き止め219を含むことができる。
【0042】
引き続き
図2を参照すると、システムは、メモリ104に保管された履歴情報、原子炉容器内部構造物の突き止められた状態217、および/またはRVIのモデル113(
図1)に少なくとも部分的に基づいて、原子炉に関連する診断結果を生成するように構成された機械診断サブシステム112を含むことができる。
図2の非限定的な態様によれば、機械診断サブシステム112は、モデル113(
図1)の挙動を生成またはシミュレートし、モデルパラメータ化モジュール219および感度分析モジュール224を実行するように構成された制御回路115を含むことができる。モデルパラメータ化モジュール219は、原子炉102(
図1)の継続使用に関連する様々な潜在的な異常の中でも、RVI内の熱遮蔽のたわみおよび/またはボルト劣化220、バッフルフォーマのボルト劣化221、折り畳み式ばねの緩み222、および/または炉心槽ひび割れ223をモデル化するように構成することができる。感度分析モジュール224は、パラメータ空間を定義し(225)、実験サンプリングの設計を計算し(226)、代理モデルを訓練し(227)(例えばガウス過程回帰による)、および/またはパラメータ感度を計算する(228)(例えば、線形および順位相関分析、ならびに/またはグローバル分散ベースの感度分析による)ように構成することができる。感度分析モジュール224とモデルパラメータ化モジュール219はいずれも、原子炉102(
図1)とそのRVIに関連する診断結果を集合的に生成するように構成することができる。
【0043】
図2の非限定的な態様によれば、異常検知サブシステム110と機械診断サブシステム112はいずれも、原子炉102(
図1)とそのRVIのデジタルツイン114の入力を合成するように構成することができる。例えば、異常検知サブシステム110は、突き止められた特性217および状態219をデジタルツイン114に送信するように構成することができ、機械診断サブシステム112は、診断結果をデジタルツイン114に送信するように構成することができる。特性217および状態219を突き止め、診断結果を生成したのち、システム100は、異常検知サブシステム110および/または機械診断サブシステム112によって、異常検知パターン認識モジュール230を実行、および/またはベイジアンビリーフネットワークによる診断分析231を実施することができる。得られた情報を、原子炉102(
図1)とそのRVIのデジタルツイン114に統合することができる。
【0044】
図3は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、原子炉内部構造物の状態を継続的に監視する方法300を示す。
図3の非限定的な態様によれば、方法300は、検出器から信号を受信することを含むことができ、当該信号は、原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連付けられる(302)。受信後に、方法300は、受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止めることができる(304)。方法300は、原子炉の過去の性能に関連する履歴情報にアクセスすること(306)と、突き止められた特性をメモリに保管された履歴情報と比較すること(308)をさらに含むことができる。この方法は、突き止められた特性と履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、原子炉容器内部構造物の状態を突き止めること(310)をさらに含んでよい。
【0045】
本開示のいくつかの非限定的な態様によれば、方法300は、原子炉容器内部構造物の突き止められた状態および生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、原子炉の少なくとも一部のモデルを生成すること(312)と、原子炉に関連する診断結果を生成すること(314)をさらに含むことができる。さらに別の非限定的な態様では、原子炉容器内部構造物の突き止められた状態および原子炉に関連する診断結果に少なくとも部分的に基づいて、原子炉の将来の挙動に関連する予測を生成すること(316)が求められる。本開示の他の非限定的な態様は、警告を生成することを含み、当該警告は、原子炉容器内部構造物の突き止められた状態および原子炉に関連する診断結果に少なくとも部分的に基づく、原子炉容器内部構造物の推奨されるメンテナンス計画を含む(318)。
【0046】
図4Aおよび
図4Bは、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づいて、
図1のシステム100で使用するように構成された原子炉102の炉心400の一例を示している。
図4Aおよび
図4Bの炉心400は、RVIを含む、本願に開示されたシステム100(
図1)および方法300(
図3)を使用して監視することができる様々な構成機器、接続、および構成を含む1つの炉心400の形状を示している。
図4Aおよび
図4Bの非限定的な態様によれば、炉心400は、完全な原子力蒸気供給系の中に実装することができる。しかしながら、システム100(
図1)および方法300(
図3)は、あらゆる原子炉システムのあらゆる炉心の内部構造物を監視するために同様に実装できることを理解されたい。
【0047】
例えば、
図4Aは、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様による炉心400の側面断面図を示す。
図4Aの非限定的な態様によれば、炉心400は、外部加速度計402とフォーマ板406を含むことができる。炉心400はさらに、熱遮蔽体408、バッフル板410、および炉心支持槽412を含むことができる。原子炉400の下端部に計装ノズル414を配置して補助計器を支持することにより、原子炉400の監視をさらに支援することができる。機械的緩衝装置418、シールレッジ422、密閉スタッド424、および複数の制御棒機構ノズル426もまた、炉心400の様々な位置に配置される。
図4Aおよび
図4Bの炉心400はまた、所望の流動を促進するように配置された入口ノズル404および出口ノズル420を含む。特に、
図4Aは、原子炉102(
図1)の炉心400に対する1つの可能なセンサ103の位置を示している。
図4Bは、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づいて、
図4Aの炉心400の上面断面図を示している。
図4Bの非限定的な態様によれば、炉心400は、バッフル板428およびダウンカマ環状部430をさらに含むことができる。この図は、入口ノズル404の構成をより詳しく示しており、炉心400がゼロ度の出口ノズル420aと180度の出口ノズル420bの両方を含み得ることが明らかである。
【0048】
図4Aおよび
図4Bの非限定的な態様によれば、センサ構成は、炉心の外部に配置された炉外検出器103を含むことができる。しかしながら、
図4Aおよび
図4Bの非限定的な態様によれば、複数の加速度計402を炉心400に結合することもでき、前述のように、使用者の好みおよび/または意図される用途に応じて、任意の追加センサをさらに実装することができる。加速度計402も同様に、炉心400の機械的応答に関連する信号を生成するように構成することができ、システム100(
図1)は、これを利用してRVIの状態を監視および評価することができる。前述のように、他の非限定的な態様によれば、センサ403構成は、定期的監視の代替手段として、炉内検出器をさらに含むことができる。一般に、
図4Aおよび
図4Bは、
図1のセンサ103(
図1)および炉心102(
図1)の構成をわかりやすく説明するために提示するものである。
図4Aおよび
図4Bは、特定の炉心400構成の様々なRVIを監視するために、システム100(
図1)のセンサ403をどのように実装できるかを示している。しかし、本開示は、これ以外の炉心とRVIの構成も企図している。
【0049】
本願に記載された主題の様々な態様を、以下の付番した実施例にて記載する。
【0050】
[実施例1]原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムであって、当該原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、当該メモリおよびセンサに通信可能に結合された異常検知サブシステムとを含み、当該異常検知サブシステムはセンサから信号を受信するように構成された制御回路を含み、当該信号は当該原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連付けられ、当該異常検知サブシステムは、当該制御回路によって、当該受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、当該制御回路によって、当該メモリに保管された当該履歴情報にアクセスし、当該制御回路によって、当該突き止められた特性を当該メモリに保管された当該履歴情報と比較し、当該制御回路によって、当該突き止められた特性と当該履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるように構成されていることを特徴とするシステム。
【0051】
[実施例2]前記異常検知サブシステムがさらに、前記制御回路によって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉のデジタルツインを生成するように構成されている、実施例1に記載のシステム。
【0052】
[実施例3]実施例1または実施例2に記載のシステムであって、前記異常検知サブシステムおよび前記メモリに通信可能に結合された機械診断サブシステムをさらに含み、当該機械診断サブシステムは第2の制御回路を含み、当該機械診断サブシステムは、当該第2の制御回路によって、前記原子炉の少なくとも一部のモデルを生成し、当該第2の制御回路によって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉に関連する診断結果を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
【0053】
[実施例4]実施例1~3のいずれかに記載のシステムであって、前記機械診断サブシステムがさらに、前記第2の制御回路によって、前記原子炉に関連する前記診断結果を前記異常検知サブシステムに送信するように構成され、さらに前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の前記デジタルツインが生成されるシステム。
【0054】
[実施例5]前記診断結果が機械学習により生成される、実施例1~4のいずれかに記載のシステム。
【0055】
[実施例6]前記診断結果がガウス過程回帰(GPR)により生成される、実施例1~5のいずれかに記載のシステム。
【0056】
[実施例7]実施例1~6のいずれかに記載のシステムであって、前記異常検知サブシステムおよび前記機械診断サブシステムに通信可能に結合された資産管理プラットフォームをさらに含み、当該資産管理プラットフォームは、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の将来の挙動に関連する予測を表示するように構成されていることを特徴とするシステム。
【0057】
[実施例8]実施例1~7のいずれかに記載のシステムであって、前記資産管理プラットフォームはさらに警告を表示するように構成され、当該警告は、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づく、前記原子炉容器内部構造物のメンテナンス計画の推奨案を含むことを特徴とするシステム。
【0058】
[実施例9]前記突き止められた特性は、振動モード周波数および振幅のうちの少なくとも一方を含む、実施例1~8のいずれかに記載のシステム。
【0059】
[実施例10]実施例1~9のいずれかに記載のシステムであって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態が、下部半径方向支持体、燃料ノズル、熱遮蔽支持体、バッフルジェット、ボルト、下部プレナム、上部プレナム、シンブル管、および棒制御クラスタ組立体のうちの少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせに関連する異常状態を含むことを特徴とするシステム。
【0060】
[実施例11]信号を生成するように構成されたセンサをさらに含む、実施例1~10のいずれかに記載のシステム。
【0061】
[実施例12]原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視するように構成されたシステムであって、当該原子炉の過去の性能に関連する履歴情報を保管するように構成されたメモリと、当該メモリに通信可能に結合された機械診断サブシステムとを備え、当該機械診断サブシステムは制御回路を含み、当該機械診断サブシステムは、当該制御回路によって、当該原子炉の少なくとも一部のモデルを生成し、当該制御回路によって、当該原子炉容器内部構造物の突き止められた状態および当該生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉に関連する診断結果を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
【0062】
[実施例13]実施例12に記載のシステムであって、前記メモリおよびセンサに通信可能に結合された異常検知サブシステムをさらに含み、当該異常検知サブシステムはセンサから信号を受信するように構成された制御回路を含み、当該信号は前記原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連付けられ、前記異常検出サブシステムは、当該制御回路によって、当該受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止め、当該制御回路によって、前記メモリに保管された前記履歴情報にアクセスし、当該制御回路によって、当該突き止められた特性を前記メモリに保管された前記履歴情報と比較し、当該制御回路によって、当該突き止められた特性と前記履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるように構成されていることを特徴とするシステム。
【0063】
[実施例14]前記異常検知サブシステムがさらに、前記制御回路によって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態、前記診断結果、および前記モデルに少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉のデジタルツインを生成するように構成されている、実施例12または実施例13に記載のシステム。
【0064】
[実施例15]実施例12~14のいずれかに記載のシステムであって、前記異常検知サブシステムおよび前記機械診断サブシステムに通信可能に結合された資産管理プラットフォームをさらに含み、当該資産管理プラットフォームは、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の将来の挙動に関連する予測を表示するように構成されていることを特徴とするシステム。
【0065】
[実施例16]実施例12~15のいずれかに記載のシステムであって、前記資産管理プラットフォームはさらに警告を表示するように構成され、当該警告は、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づく、前記原子炉容器内部構造物のメンテナンス計画の推奨案を含むことを特徴とするシステム。
【0066】
[実施例17]原子炉内の原子炉容器内部構造物の構造健全性を監視する方法であって、当該原子炉が発する中性子ノイズレベルに関連する信号をセンサから受信するステップと、当該受信した信号に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の振動応答特性を突き止めるステップと、当該原子炉の過去の性能に関連する履歴情報にアクセスするステップと、当該突き止められた特性を当該メモリに保管された当該履歴情報と比較するステップと、当該突き止められた特性と当該履歴情報との比較に少なくとも部分的に基づいて、当該原子炉容器内部構造物の状態を突き止めるステップとを含む方法。
【0067】
[実施例18]実施例18に記載の方法であって、前記原子炉の少なくとも一部のモデルを生成するステップと、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記生成されたモデルに少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉に関連する診断結果を生成するステップとをさらに含む方法。
【0068】
[実施例19]実施例17または実施例18のいずれかに記載の方法であって、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づいて、前記原子炉の将来の挙動に関連する予測を生成するステップをさらに含む方法。
【0069】
[実施例20]実施例17~19のいずれかに記載の方法であって、警告を生成するステップをさらに含み、当該警告は、前記原子炉容器内部構造物の前記突き止められた状態および前記原子炉に関連する前記診断結果に少なくとも部分的に基づく、前記原子炉容器内部構造物のメンテナンス計画の推奨案を含むことを特徴とする方法。
【0070】
本願で言及したすべての特許、特許出願、刊行物、または他の開示資料は、各々の参考文献が参照により明示的に本願に組み込まれるように、その全体が参照により本願に組み込まれる。本願で参照により組み込まれると述べられるすべての参考文献およびあらゆる資料、またはそれらの一部分は、本願に記載された既存の定義、言明、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本願に組み込まれる。したがって、本願に記載の開示事項は、必要な範囲において、それと矛盾する、参照により本願に組み込まれた資料に取って代わり、本願に明示的に記載された開示事項が決定権をもつ。
【0071】
本発明を、様々な例示的な態様を参照して説明してきた。本願に記載の態様は、開示した発明の様々な態様の様々な詳細度の例示的な特徴を示すものとして理解されたい。したがって、特段の指定がない限り、可能な範囲において、開示した態様における1つ以上の特徴、要素、構成部品、構成要素、成分、構造物、モジュールおよび/または局面は、開示した発明の範囲から逸脱することなく、当該開示した態様における他の1つ以上の特徴、要素、構成部品、構成要素、成分、構造物、モジュールおよび/または局面との間で、複合、分割、置換えおよび/または再構成が可能であることを理解されたい。したがって、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な態様のいずれにおいても様々な置換え、変更、または組み合わせが可能であることを理解するであろう。当業者はまた、本願を検討すれば、本願に記載された本発明の様々な態様に対する多くの均等物を認識するであろう。あるいは、単に定常的な実験を用いてかかる均等物を確認できるであろう。したがって、本発明は、様々な態様の説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定される。
【0072】
通常、本願において、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、一般に「非限定的(open)」な用語として意図されていることが、当業者であればわかるであろう(例えば、用語「含めて(including)」は「含めるがそれに限定しない」と解釈し、用語「有する(having)」は「少なくとも~を有する」と解釈し、用語「含む(includes)」は「含むがそれに限定しない」と解釈すべきである等)。さらに当業者は、導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は当該請求項において明示的に記載されるものであり、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないものと理解するであろう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、請求項の記載事項を導くために、「少なくとも1つ(at least one)」および「1つ以上(one or more)」という導入句を使用する場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞によって請求項の記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」または「少なくとも1つの」といった導入句と「a」または「an」といった不定冠詞が共に含まれる場合であっても、かかる導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つだけ含む請求項に限定されることが示唆される、と解釈すべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈すべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するために定冠詞を使用している場合にも当てはまる。
【0073】
また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、通常「少なくとも記載された数」を意味すると解釈すべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載事項(two recitations)」が記載されている場合、通常少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。一般的に、2つ以上の選択的な用語を表す選言的な語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、当該用語のうちの1つ、当該用語のいずれか、または当該用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることも、当業者には理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、一般的に「A」、「B」、または「AおよびB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0074】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載された動作は一般的に任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、請求項の記載はシーケンスで示されているが、様々な動作は、記載されている順序とは別の順序で実行されてもよいし、同時に実行されてもよいことが理解されよう。そのような代替の順序付けの例として、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、重複、割り込み、中断、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、またはその他の順序付けを含んでもよい。さらに、「~に応答する(responsive to)」、「~に関連する(related to)」といった用語や他の過去時制の形容詞は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、一般にかかる変化形を除外するように意図するものではない。
【0075】
「一態様(one aspect)」、「ある態様(an aspect)」、「ある実施例(an exemplification)」、「一実施例(one exemplification)」などへの参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴物、構造、または特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することは、特記に値する。したがって、本願の全体を通じて様々な箇所に見られる句「一態様では(in one aspect)」、「ある態様では(in an aspect)」、「ある実施例では(in an exemplification)」、および「一実施例では(in one exemplification)」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。さらに、特定の特徴物、構造、または特性は、1つ以上の態様において任意の適当な様式で組み合わせることができる。
【0076】
本願に使用する「a」、「an」および「the」に先導される単数形は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、複数形をも包含する。
【0077】
非限定的な例として、本願で使用する頂部、底部、左、右、下方、上方、前、後ろ、およびそれらの変形例などの方向性を示唆する語句は、添付図面に示す要素の幾何学的配置に関連するものであり、特段の記載がない限り、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0078】
本開示で使用される「およそ(about)」または「約(approximately)」という用語は、特に指定がない限り、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差を意味し、これは値がどのように測定または決定されるかに依存する面がある。特定の態様において、用語「およそ」または「約」は、標準偏差の1、2、3、または4倍以内の範囲を意味する。特定の態様において、用語「およそ」または「約」は、所定の値から50%、200%、105%、100%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内の範囲を意味する。
【0079】
本明細書では、特に断らない限り、すべての数値パラメータは、すべての場合において「約」という用語によって前置き・修正されていると理解されたい。ここに、数値パラメータは、パラメータの数値を求めるために使用される基礎的な測定技術に特有の変動特性を有している。最低限のこととして、また均等論の適用を特許請求の範囲に限定する意図はないが、本願に記載された各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を勘案し、通常の丸め手法を適用して解釈するべきである。
【0080】
本願で記載するあらゆる数値範囲は、記載の範囲に内包されるすべての断片的部分を含むものとする。例えば、「1~100」という範囲は、記載された最小値1と最大値100との間(最小値と最大値を内包)のすべての断片的部分を含む。すなわち、最小値は1以上、最大値は100以下である。また、本願に記載された全ての範囲は、記載された範囲の端点を含むものとする。例えば、「1~100」の範囲には、端点の1と100が含まれる。本明細書に記載されている最大の限度値は、そこに包摂されるすべての下位の限度値を含むことを意図しており、本明細書に記載されている最小の限度値は、そこに包摂されるすべての上位の限度値を含むことを意図している。したがって、出願人は、特許請求の範囲を含む本明細書を修正し、明示的に記載された範囲内に包摂される任意の部分的範囲を明示的に記載する権利を有する。そのような範囲はすべて、本明細書に本源的に記載されているものである。
【0081】
本願で参照され、かつ/または任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示資料は、組み込まれる資料が本願と矛盾しない範囲で、参照により本願に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本願に明瞭に記載された開示内容は、それと矛盾のある、参照により本願に組み込まれた資料に優先するものとする。既存の定義、見解、または本願に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容またはその一部は、参照により本願に組み込まれるが、組み込まれる内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0082】
「備える、含む(comprise)」の語およびその派生語(「comprises」、「comprising」など)、「有する(have)」の語およびその派生語(「has」、「having」など)、「含む(include)」の語およびその派生語(「includes」、「including」など)、「包有する(contain)」の語およびその派生語(「contains」、「containing」など)は、非限定的な連結動詞である。すなわち、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「包有する」システムは、当該1つ以上の要素を有しているが、当該1つ以上の要素のみを有することに限定されるものではない。同様に、1つ以上の特徴物を「備える」、「有する」、「含む」、または「包有する」システム、装置、または機器の要素は、当該1つ以上の特徴物を有しているが、当該1つ以上の特徴物のみを有することに限定されるものではない。
【0083】
前述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート、および/または実施例を用いて、装置および/またはプロセスの様々な形態を示した。このようなブロック図、フローチャート、および/または実施例が1つ以上の機能および/または動作を含む限りにおいて、このようなブロック図、フローチャート、および/または実施例の中の各機能および/または動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質上それらのあらゆる組み合わせによって、個々におよび/または集合的に実装され得ることが当業者には理解されるであろう。当業者であれば、本願に開示された形態のいくつかの態様は、その全部または一部を、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、または実質上それらのあらゆる組み合わせとして、集積回路内で同等に実装できることを理解するであろう。また、かかる回路を設計すること、および/またはソフトウェアおよび/またはファームウェアのコードを記述することは、本開示に照らして当業者の技量の範囲内であろう。さらに、当業者であれば、本願で説明する主題の機構は、様々な形態の1つ以上のプログラム製品として配布可能であり、本願で説明する主題の例示的な形態は、実際に配布を行うために使用される信号記録媒体がいかなる種類かにかかわらず適用されることを理解するであろう。
【0084】
開示された様々な態様を実行するロジックをプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、または他のストレージなどの、システム内のメモリに保管することができる。さらに、命令はネットワークを介して、または他のコンピュータ可読媒体によって配布することができる。したがって、機械可読媒体には、機械(例えばコンピュータ)によって読み取り可能な形式で情報を保存または送信するためのあらゆる機構が含まれ、非限定的な例として、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク、リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、磁気カードまたは光カード、フラッシュメモリ、あるいは、電気的、光学的、音響的、または他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)によるインターネットを介した情報伝達に使用される有形の機械可読な記憶装置が挙げられる。したがって、非一時的なコンピュータ可読媒体には、機械(例えばコンピュータ)によって読み取り可能な形式で電子命令または情報を記憶または伝送するのに適した、あらゆるタイプの有形の機械可読媒体が含まれる。
【0085】
本願の任意の態様に関して使用される「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤ回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個別の命令処理コアからなるコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、ステートマシン回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、およびそれらの任意の組み合わせを指すことがある。制御回路は、集合的または個別に、例えば集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなど、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化することができる。したがって、本願で使用される用語「制御回路」に非限定的に含まれるものとして、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティングデバイスを形成する電気回路(例えば、本願に記載のプロセスおよび/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、または本願に記載のプロセスおよび/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)、記憶装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、および/または通信装置(例えば、モデム、通信スイッチ、または光学電気機器)を形成する電気回路が挙げられる。当業者であれば、本願に記載された主題は、アナログ方式、デジタル方式、またはそれらの組み合わせで実施できることを理解するであろう。
【0086】
本願のあらゆる態様で使用される「ロジック」という用語は、前述の操作のいずれかを実行するように構成されたアプリ、ソフトウェア、ファームウェア、および/または回路を指す場合がある。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令のセット、および/またはデータとして具現化することができる。ファームウェアは、記憶装置にハードコードされた(例えば不揮発性)、コード、命令、命令のセット、および/またはデータとして具現化することができる。
【0087】
本願のあらゆる態様に関して使用される「構成機器」、「システム」、「モジュール」などの用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかのコンピュータ関連の実体を指すことができる。
【0088】
本願のあらゆる態様に関して使用される用語「アルゴリズム」とは、所望の結果を導く自己矛盾のない一連のステップを指し、「ステップ」とは、必須ではないが、記憶、転送、結合、比較、およびその他の操作が可能な電気信号または磁気信号の形態をとることができる物理量および/または論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などと称するのが一般的である。これらの用語や類似の用語は、適切な物理量と関連付けられ、そのような物理量および/または状態に適用される便宜的な標識に過ぎない場合がある。
【国際調査報告】