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特表2024-507930ロボットハンド軸のための保護カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ロボットハンド軸のための保護カバー
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/32 20180101AFI20240214BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240214BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240214BHJP
   B05B 5/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B05B12/32
B25J19/00 H
B05B12/00 A
B05B5/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551671
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022051901
(87)【国際公開番号】W WO2022179793
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104378.6
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】ホイサーマン、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】マルクアルト、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】グラーザー、ラルフ
【テーマコード(参考)】
3C707
4D073
4F034
4F035
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707AS23
3C707BS10
3C707CY29
3C707DS01
3C707MT08
4D073AA01
4D073BB03
4D073CB24
4D073DB03
4D073DB08
4D073DB13
4D073DB28
4D073DB31
4F034BA22
4F034BB01
4F034BB28
4F035AA03
4F035BC02
4F035BC05
(57)【要約】
本発明は、ロボットの、特に、塗装ロボットのロボットハンド軸(2)のための保護カバー(8)に関する。本発明に係る保護カバー(8)は、ロボットハンド軸を少なくとも部分的に囲むための保護シース(9)を有する。さらに、発明に係る保護カバー(8)は、保護シース(9)をロボットハンド軸(2)の近位部品(3)上の又はロボットのロボットアーム(1)上の留め点に留めるための近位保護シース留め具(11、13、16)を有する。さらに、発明に係る保護カバー(8)は、保護シース(9)をツール(6)に留めるための遠位保護シース留め具を有する。本発明は、近位保護シース留め具(11、13、16)が、そして、好ましくは、遠位保護シース留め具(10)も、ロボットハンド軸(2)の近位部品上の又はロボットのロボットアーム(1)上の留め点に対する保護シース(9)の回転運動を可能とすることをもたらす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットのロボットハンド軸(2)のための保護カバー(8)であって、前記ロボットハンド軸(2)は、一方では、ロボットアーム(1)上に取り付けられ、他方では、ツール(6)を運ぶものであり、特に、噴霧器(6)をツール(6)として運ぶ塗装ロボット上に取り付けられ、
前記保護カバー(8)は、
a)前記ロボットハンド軸を少なくとも部分的に囲むための保護シース(9)、
b)前記保護シース(9)を前記ロボットハンド軸(2)の近位部品(3)上の又は前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上の留め点に留めるための近位保護シース留め具(11、12、13、16)、及び、
c)前記保護シース(9)を前記ツール(6)に留めるための遠位保護シース留め具(10)を有し、
d)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)は、前記ロボットハンド軸(2)の前記近位部品上の又は前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上の前記留め点に対する前記保護シース(9)の回転運動を可能とすることを特徴とする、保護カバー(8)。
【請求項2】
前記ツール(6)からの軸引張力を吸収し且つこれにより前記保護シース(9)が動作中に遠位方向に前記ハンド軸から引き剥がされることを防ぐ軸方向ストッパー(20)を前記近位保護シース留め具は形成する、請求項1に記載の保護カバー(8)。
【請求項3】
a)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)は、特にネジ固定(19)により、前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上に又は前記ロボットハンド軸(2)の近位部品(3)上に移動不能に取り付けられた又は形成された移動不能リング(16)を含み、及び/又は、
b)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)は、前記移動不能リング(16)に取り付けられ又は前記軸方向ストッパーに支えられ、且つ前記移動不能リング(16)又は前記軸方向ストッパーに対して回転可能である回転可能リング(11)を含み、及び/又は、
c)前記保護シース(9)は、前記保護シース(9)が前記ロボットアーム(1)に対して前記回転可能リング(11)とともに回転可能であるように、前記回転可能リング(11)に取り付けられている、
請求項1又は2に記載の保護カバー(8)。
【請求項4】
前記回転可能リング(11)は、前記回転可能リング(11)の外側面に、少なくともひとつの、周囲を囲む環状溝(12)を有し、前記環状溝(12)内に前記保護シース(9)が留められる、請求項3に記載の保護カバー(8)。
【請求項5】
前記保護シース(9)は留め要素(13)により前記回転可能リング(11)の前記環状溝(12)内に留められており、前記留め要素(13)は前記回転可能リング(11)の前記環状溝(12)内に前記保護シース(9)を固定する、請求項4に記載の保護カバー(8)。
【請求項6】
a)前記回転可能リング(11)は2つの半殻(14、15)から構成され、且つ、
b)前記保護シース(9)のための前記留め要素(13)は前記回転可能リング(11)の前記2つの半殻(14、15)もまとめて保持する、
請求項5に記載の保護カバー(8)。
【請求項7】
a)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)の前記留め要素(13)は、前記環状溝(12)内に張られ且つ前記保護シース(9)を前記環状溝(12)に押し込むケーブルタイ(13)であり、又は、
b)前記近位保護シース留め具の前記留め要素は、前記保護シース(9)を前記環状溝(12)に押し込む再利用可能且つ非破壊的に解除可能なクランプであり、又は、
c)前記近位保護シース留め具の前記留め要素は、少なくともひとつのフックアンドループファスナー、少なくともひとつのスナップファスナー、又は、少なくともひとつのプルストラップを含み、又は、
d)前記近位保護シース留め具の前記留め要素は、前記回転可能リング(11)の周りの外側にある2つの半殻により形成され、前記半殻と前記回転可能リング(11)との間に前記保護シース(9)が支えられる、
請求項5又は6に記載の保護カバー(8)。
【請求項8】
a)前記移動不能リング(16)は、ひとまとめに結合して前記移動不能リング(16)を形成する2つの半殻(17、18)からなり、
b)任意で、前記移動不能リング(16)の前記2つの半殻(17、18)は、ネジ接合(19)によりひとまとめにクランプ締結されて、それにより、前記移動不能リング(16)をその留め点で前記ロボットの前記ロボットアーム(1)に又は前記ロボットハンド軸(2)の近位部品(3)に固定する、
請求項3から7のいずれか1項に記載の保護カバー(8)。
【請求項9】
a)前記移動不能リング(16)は、前記移動不能リング(16)の外周面上又は前記ロボットハンド軸の外面上に、前記移動不能リング(16)の外周面上の場合は前記移動不能リング(16)に対して又は前記ロボットハンド軸の外面上の場合は前記ロボットハンド軸に対して前記回転可能リング(11)の回転移動を可能とするために前記回転可能リング(11)が摺動可能である摺動面を形成し、及び/又は、
b)前記移動不能リング(16)は、任意で、前記保護シース(9)に軸引張力が生じた場合に遠位方向に前記回転可能リング(11)が前記移動不能リング(16)から外れることを防ぐために、前記摺動面の遠位側に肩部(20)を有し、及び/又は、
c)前記ロボットハンド軸の前記外面上の前記摺動面は、摩擦低減接着テープが張られている、又は、摩擦低減用潤滑剤が塗られている、
請求項3から8のいずれか1項に記載の保護カバー(8)。
【請求項10】
a)前記遠位保護シース留め具(10)は、任意で、少なくともひとつの接着テープ、少なくともひとつの押しボタン、又は少なくともひとつのテンションバンドを含み、前記保護シース(9)はこれらで前記ツールに留められており、
b)前記保護シース(9)は、任意で、弾性であり、
c)前記保護シース(9)は、任意で、塗料不浸透性であり、
d)前記保護シース(9)は、任意で、フィルムからなる、
請求項1から9のいずれか1項に記載の保護カバー(8)。
【請求項11】
a)前記遠位保護シース留め具(10)は、前記噴霧器(6)上に、特にネジ固定により、移動不能に留められた又は一体に形成された移動不能リング(10.1)を有し、及び/又は、
b)前記遠位保護シース留め具(10)は、前記噴霧器(6)に対して回転可能な回転可能リング(10.2)を有し、前記遠位保護シース留め具(10)の前記回転可能リング(10.2)は、
b1)前記遠位保護シース留め具(10)の前記移動不能リング(10.1)に回転可能に取り付けられている、又は、
b2)軸方向ストッパーに支えられている、又は、
b3)前記噴霧器(6)の外面の環状溝内で回転可能にガイドされ、任意で、前記環状溝は楔形又は非対称であり、及び/又は、
c)前記保護シース(9)が前記噴霧器(6)に対して前記回転可能リング(10.2)とともに回転可能であるように、前記保護シース(9)は前記保護シース(9)の遠位端により前記回転可能リング(10.2)に留められている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の保護カバー(8)。
【請求項12】
a)前記保護シース(9)は外部帯電電極を通すための孔を有し、
b)任意で、前記外部帯電電極のために前記保護シース(9)にある前記孔は前記遠位保護シース留め具を形成する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の保護カバー(8)。
【請求項13】
ロボットの、特に、塗装ロボットのためのロボットハンド軸(2)であって、
a)前記ロボットハンド軸(2)は請求項1から12のいずれか1項に記載の保護カバー(8)により少なくとも部分的に囲まれ、
b)前記ロボットハンド軸(2)は、任意で、
b1)前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上に取り付けるための近位ハンド軸部(3)、
b2)前記ツールを受けるための遠位ハンド軸部(5)、及び
b3)前記近位ハンド軸部(3)と前記遠位ハンド軸部(5)との間に運動学的に配置され、前記近位ハンド軸部(3)及び前記遠位ハンド軸部(5)に対して回転可能である中央ハンド軸部(4)、
といった部品を含み、
c)前記近位保護シース留め具は、任意で、前記近位ハンド軸部に取り付けられる、
ロボットハンド軸(2)。
【請求項14】
請求項13に記載のロボットハンド軸(2)を有するロボット、特に、部品をコーティングするための塗布装置(6)を有するコーティングロボット、特に、自動車車体部品を塗装するための回転噴霧器(6)を有する塗装ロボット。
【請求項15】
複数の重ね合わされた保護シース(9)が遠位の前記ロボットアーム(1)上に摺動されており、汚れた保護シース(9)を交換するために保護シース(9)を前記ロボットハンド軸(2)上に引っ張り出すことができる保護シース供給を形成する、請求項14に記載のロボット。
【請求項16】
a)前記近位保護シース留め具(13)を緩める工程、
b)前記遠位保護シース留め具(10)を緩める工程、
c)前記ロボットハンド軸(2)から前記保護シース(9)を取り除く工程、
d)遠位の前記ロボットアーム(1)にある前記保護シース供給から前記ロボットハンド軸(2)上へと新しい保護シース(9)を引っ張り出す工程、
e)前記近位保護シース留め具(13)を固定する工程、
f)前記遠位保護シース留め具(10)を固定する工程、
といった工程を備える、
請求項15に記載のロボットのための動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、回転噴霧器を有する塗装ロボットにおける、ロボットのロボットハンド軸のための保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体部品を塗装するための現代の塗装設備では、通常、塗布装置として多軸ロボットハンド軸上に取り付けられた回転噴霧器をガイドする多軸塗装ロボットが用いられる。ここでは、回転噴霧器から噴霧された塗料によりロボットハンド軸が汚れることを防ぐことが目的となる。そのために、先行技術では、ロボットハンド軸を覆って引き出され、これにより、それを噴霧された塗料による汚染から守るいわゆる保護ストッキング(保護カバー)を用いることが知られている。これらのいわゆる保護ストッキングは、その遠位端で回転噴霧器にテープ止めされる保護シースからなる。他方、その近位端では保護シースはロボットハンド軸の近位部品に取り付けられ、この取り付けも接着テープでできる。
【0003】
ここで、弾性の保護シースがロボットハンド軸の移動への機械的抵抗性をもたらすことが問題となる。一方では、これはロボットハンド軸の移動のせいで保護シースが引き剥がされることをもたらしかねず、これは防がねばならない。他方では、動作中のロボットハンド軸の移動は保護シースのねじれももたらしかねず、これは塗料粒子が保護シースから剥がれることをもたらし得るものであり、そして塗装ロボット環境の汚染をもたらし得る。さらに、保護シースがその弾力によりロボット駆動に機械的な過負荷を与え、その結果、所望のロボット移動が実行できなくなる又は所望の位置決め精度で実行できなくなる可能性もある。
【0004】
さらに、特に、塗装材料により汚れた状態では、結果として生じる引張荷重の下でストッキングが裂ける可能性がある。引張荷重にはストッキング材料を長くすることで対抗することができるが、これはストッキングにより保護される予定のエリアの体積も増加させるので、塗装対象の物体に接触するリスクの増大ももたらす。これは、例えば自動車の内部を塗装する場合にはよくあるように移動のための空間が既に限られている場合に特に問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上を鑑み、ロボットハンド軸のための相応に改善された保護カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、主請求項に記載の発明に係る保護カバーにより解決される。
【0007】
まず、本発明に係る保護カバーは特に塗装ロボットのロボットハンド軸を保護するのに適していることは言及されるべきだろう。しかし、本発明は、数例のみを挙げれば、接着剤、絶縁材料、封止剤などの、他種のコーティング材料を塗布するコーティングロボットにも概して適用可能である。さらに、原理的には、保護カバーが回転噴霧器以外のツールを運ぶ他種のロボット用に設計されることも可能である。
【0008】
まず、冒頭に記載した既知の保護カバーと同様に、本発明に係る保護カバーは、ロボットハンド軸が汚染から守られるように少なくとも部分的にロボットハンド軸を囲むように設計された保護シースを含む。例えば、このために、保護シースは、それ自体は先行技術から知られているように、弾性を有する塗料不透過性のフィルムを含み得る。
【0009】
さらに、冒頭に記載した既知の保護カバーと同様に、本発明に係る保護カバーは、保護シースをロボットハンド軸の近位部品上又はロボットの遠位ロボットアーム(『アーム2』)上の留め点に留めるための近位保護シース留め具を含む。そこで、本発明に係る保護カバーの場合、保護シースは、任意で、ロボットハンド軸自体に、又は、隣接する遠位ロボットアームに取り付けられ得、この役割を近位保護シース留め具が果たす。
【0010】
さらに、本発明に係る保護カバーは、ロボットのツール(例えば、回転噴霧器)に保護シースを取り付けるために用いられる遠位保護シース留め具も有する。このために、例えば、先行技術でもあるように、接着テープが用いられ得る。
【0011】
ここで、本発明は、冒頭に記載の既知の保護カバーとは、近位保護シース留め具がロボットハンド軸の近位部品上又はロボットのロボットアーム上の留め点に対する保護シースの回転移動を可能とする点で区別される。そのため、ロボットハンド軸が移動させられる場合、保護シースがロボットの移動に追従し得る。一方では、これは保護シースがロボットの移動のせいでロボットハンド軸から引き剥がされる又はねじれることを防ぐ。しかし、他方では、これは保護カバーがロボット駆動に機械的な過負荷を与え得るロボット移動への過剰な抵抗性をもたらすことを防ぐ。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、近位保護シース留め具は、さらに、ツール(例えば、回転噴霧器)からの軸引張力を吸収し且つこれにより保護シースが動作中に遠位方向にロボットハンド軸から引き剥がされることを防ぐ軸方向ストッパーを形成する。近位保護シース留め具上の軸方向ストッパーは、こうして、動作中に生じるロボット移動のせいで遠位方向に近位保護シース留め具から保護シースが引き剥がされることを防ぐ。
【0013】
そのため、本発明の好ましい実施形態では、近位保護シース留め具は2つの技術的機能を達成する。一方では、近位保護シース留め具は、保護シースがロボットの移動に追従できるように保護シースが自在に回転することを可能とする。他方では、近位保護シース留め具は、保護シースがロボットハンド軸から抜け得ないような保護シースの少なくともひとつの側の軸方向固定も形成する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、近位保護シース留め具は移動不能リングを含み、これは、クランプリングとも呼ばれ得るものであり、特にネジ固定により、ロボットのロボットアームに又はロボットハンド軸の近位部品に移動不能に留められている。ここで、クランプリングに関連して本発明の文脈で用いられる『移動不能』という用語は、一方でのリングと他方でのロボットアーム上又はロボットハンド軸の近位部品上との間の相対移動に言及するものである。したがって、移動不能リングは留め点にしっかりと固定される。
【0015】
さらに、好ましい実施形態では、近位保護シース留め具は、摺動リングとも呼ばれる、回転可能リングを含み、これは、移動不能リング(クランプリング)に取り付けられており、移動不能リングに対して回転可能である。この場合、保護シースはその近位端で回転可能リングに取り付けられており、2つのリング(クランプリング及び摺動リング)が互いに回転可能であるので、保護シースはロボットアームに対して回転可能リングとともに回転可能である。
【0016】
代替的に、回転可能リング(摺動リング)に作用する引張荷重がハンド軸の外形により(例えば、構造上の肩により)吸収できる場合、クランプリングも省略できる。
【0017】
既に上で触れたが、保護シースはその近位端で回転可能リング(摺動リング)に取り付けられている。このために、回転可能リング(摺動リング)は、その外側面に、周囲を囲む環状溝を有し得、当該環状溝内に保護シースが留められる。このために、保護シースの近位端は、環状溝に押し込まれており、こうして、環状溝内に留められ得る。代替的に、摺動リングは、複数のストッキング層が上述のように独立して固定できるように複数の環状溝を有してもよい。
【0018】
回転可能リング(摺動リング)に保護シースの近位端を留めるために、留め要素が用いられ得て、回転可能リング(摺動リング)の環状溝内に保護シースが留められる。例えば、留め要素は、保護シースを環状溝に押し込み、これにより、それを環状溝内に固定するケーブルタイであり得る。代替的に、留め要素が再利用可能且つ非破壊的に解除可能なクランプであり、当該クランプも、保護シースを環状溝に押し込み、これにより、それを環状溝内に固定するものであることが可能である。
【0019】
代替的に、回転可能リング(摺動リング)に保護シース(『ストッキング』)を留めることは、ベルクロ(登録商標)ファスナー、スナップファスナー、テンションバンド、ラバーバンド、接着テープなどにより、達成できる。
【0020】
代替的に、保護シース(『ストッキング』)を回転可能リング(摺動リング)に留めるために、再利用可能なクランプ装置が用いられ得、例えば、締め付けネジにより摺動リングの溝内で支えられ得るジョイントで接続された2つの半殻で留められ、その結果、保護シース(『ストッキング』)が摺動リングとクランプ装置との間に支えられる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、回転可能リング(摺動リング)は、ひとまとめに結合して結合状態で回転可能リング(摺動リング)を形成する2つの半殻からなる。そして、保護カバーのための留め要素(例えば、ケーブルタイ、解除可能なクランプ)は2つの半殻をひとまとめに保持でき、その結果、摺動リング上での、例えばネジ固定による、2つの半殻の別々の接続が省略できる。
【0022】
さらに、移動不能リング(クランプリング)もひとまとめに結合して移動不能リングを形成する2つの半殻からなり得ることは言及されるべきだろう。移動不能リング(クランプリング)の2つの半殻はネジ接合によりひとまとめにクランプ締結でき、ここで、移動不能リング(クランプリング)は、その留め点でロボットのロボットアーム上又はロボットハンド軸の近位部品上にクランプ締結され得る。したがって、ここで、移動不能リング(クランプリング)は、その留め点に移動不能リングの2つの半殻に作用するクランプ接続により固定される。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、移動不能リング(クランプリング)は、その外周面上に、移動不能リングに対する回転可能リングの回転移動を可能とするために回転可能リング(摺動リング)が摺動可能である円筒状の摺動面を形成する。
【0024】
ここで、回転可能リングが保護シース上の軸引張力を受けて移動不能リングから遠位方向に外れることを防ぐために、摺動面に隣接する移動不能リング(クランプリング)に、肩部が設けられてもよい。そのため、前述の肩部は、保護シースがロボットハンド軸から遠位方向に引き出されることを防ぐ軸方向ストッパーを形成する。
【0025】
代替的に、ボールベアリングやローラーベアリングなどの他のベアリングの変形例も可能である。
【0026】
代替的に、上述のスライドベアリングの場合に、摩擦を低減するために追加の潤滑剤が設けられ得る。代替的に、摺動リングがハンド軸表面上に直に取り付けられてその上でハンド軸の周りで自在に回転可能であるように、クランプリングは滑走面なしで設けられ得る。
【0027】
この場合、アブレシブ摩耗を防ぐために、接着テープ表面上で摺動リングが自在に摺動するようにハンド軸上に設けられる予定の摺動面に接着テープも予め適用され得る。
【0028】
例えば、遠位保護シース留め具は、冒頭に記載の先行技術でもよくあるように、接着テープを有し得る。そして、接着テープは保護シースの遠位端をツール(例えば、回転噴霧器)に接着する役割を果たす。ただし、本発明は接着テープにより回転噴霧器に保護シースを留める方法に限られるわけではない。
【0029】
また、噴霧器への保護シース(『保護ストッキング』)の遠位取付は、好ましくは、ハンド軸のエリア内でのやり方と同様に行われる。このために、上述した2つの部品のシステムが再度用いられ、摺動リングが噴霧器軸の周りをクランプリングに取り付けられた表面上で自在に回転可能であるように、堅く固定されたクランプリングが引張荷重から摺動リングを守る。
【0030】
代替的に、ボールベアリングやローラーベアリングなどの他のベアリングの変形例も可能である。
【0031】
代替的に、摩擦を抑制するために追加の潤滑剤が設けられ得る。
【0032】
代替的に、摺動リングが噴霧器表面上に直に取り付けられてその上で噴霧器軸の周りで自在に回転可能であるように、クランプリングは滑走面なしで設けられ得る。
【0033】
代替的に、摺動リングに作用する引張荷重が噴霧器の外形により(例えば、構造上の肩により)保証される場合、クランプリングは省略できる。
【0034】
代替的に、その内で摺動リングが回転できる溝が噴霧器外形に直に設けられ得る。
【0035】
代替的に、この溝及び摺動リングは摺動エリアに特別な形状(楔形、非対称形、又は類似の形状)も有し得、その結果、両方の摺動部品(特別な噴霧器、特別な摺動リング)を用いる必要がある。
【0036】
保護シース(『ストッキング』)は、ハンド軸のエリア内と同様に、摺動リングの上側上の溝内に、好ましくは、ケーブルタイを用いて、固定される。
【0037】
代替的に、摺動リングはここで複数の溝も有し得、その結果、上述のように複数のストッキング層が互いに独立して留められ得る。
【0038】
代替的に、保護シース(『ストッキング』)は、ベルクロ(登録商標)ファスナー、スナップファスナー、ストッキングに縫い込まれた引き紐、ラバーバンド、接着テープなどにより、摺動リングに取り付けられもし得る。
【0039】
代替的に、ハンド軸のエリア内の摺動リングについて記載した再利用可能なクランプ装置は、摺動リングとクランプ装置との間に保護シース(『ストッキング』)をクランプ締結するために用いられ得る。
【0040】
代替的に、保護シース(『ストッキング』)は、摺動リングなしで上述の留めるための選択肢の全てを用いて噴霧器表面に直に留められもし得る。
【0041】
代替的に、保護シース(『ストッキング』)は、噴霧器フィンガー電極に対応する噴霧器の側上に凹みも有し得、その結果、電極フィンガーにストッキングを掛け、そして、噴霧器エリア内の遠位保護シース留め具を保証することも可能である。
【0042】
上で本発明に係る保護カバーは単一部品として既述した。しかし、本発明は、こうした保護カバーを設けられたロボットのロボットハンド軸についての権利保護も請求する。
【0043】
こうしたロボットハンド軸はそれ自体は先行技術から既知なので詳細な説明は省略する。この点で、ロボットハンド軸が二つ一組で互いに隣接し互いに対して回転可能である少なくとも3つのハンド軸部を含むことが好ましいことのみは言及されるべきだろう。
【0044】
さらに、ここで、上で既に簡単に触れたように、近位保護シース留め具がロボットハンド軸の近位ハンド軸部に取り付けられ得ることは言及されるべきだろう。
【0045】
さらに、本発明は本発明に係る保護カバーを設けられたこうしたロボットハンド軸を備えたロボット(例えば、コーティングロボット、塗装ロボット)についての権利保護も請求するものであることは言及されるべきだろう。
【0046】
この場合、重ね合わされた複数の保護シースが遠位ロボットアーム上に摺動され、使い古した保護シースを交換するためにロボットハンド軸上に保護シースを引っ張り出すことができる保護シース供給を形成することも可能である。保護シース供給の代わりに、長さが調製されていない保護シース(『エンドレスシース』)がロボットアーム上に設けられてもよい。
【0047】
そこで、本発明は、使い古した保護シースを新しい保護シースに交換する動作方法についての権利保護も請求する。このために、まず、近位側及び遠位側上の保護シース留め具が緩められる。その後、使い古した保護シースがロボットハンド軸から取り除かれる。このために、例えば、保護シースはロボットハンド軸から遠位方向に引っ張り出すことができる。その後、ロボットアーム上の保護シース供給からロボットハンド軸上へと新しい保護シースが引っ張り出される。最後に、近位及び遠位の保護シース留め具が固定される。続いて、コーティング動作が継続され得る。
【0048】
本発明の他の有利な更なる実施形態が、従属請求項に示され、また、以下で図面を参照しつつ本発明の好ましい実施形態例の記載とともに更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】回転噴霧器をガイドするロボットハンド軸の側面図を示す。
図2】本発明に係る保護カバーを備えた図1のロボットハンド軸を示す。
図3A】本発明に係る保護カバーのクランプリングの軸方向図を示す。
図3B図3Aのクランプリングの側面図を示す。
図4A】本発明に係る保護カバーの回転可能な摺動リングの軸方向図を示す。
図4B図4Aの回転可能な摺動リングの側面図を示す。
図5】本発明に係る保護カバーでの使い古した保護シースへの交換を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、自動車車体部品を塗装するための塗装システムで用いられ得る塗装ロボットの一部を示す。図では、遠位ロボットアーム1のみを示すが、これはロボット技術分野での通常の技術用語に従えば『アーム2』とも呼ばれ、一方、図示しない近位ロボットアームは『アーム1』と呼ばれる。こうした塗装ロボットはそれ自体は先行技術から既知なのでここでの詳細な説明は省略する。
【0051】
多軸ロボットハンド軸2が遠位ロボットアーム1の端に取り付けられており、遠位ロボットアーム1は互いに対して回転可能な3つのハンド軸部3、4、及び5を有する。
【0052】
ロボットハンド軸2の遠位ハンド軸部5上に塗布装置として回転噴霧器6が取り付けられており、回転噴霧器6は動作中にベルカップ7を高速で回転させ、ベルカップ7は次に塗布対象の塗料を噴霧する。回転噴霧器6の設計及び動作はそれ自体は先行技術から既知なので詳細な説明は省略する。
【0053】
図1に示した図は、本発明に係る保護カバー8が無い状態でのロボットハンド軸2を示すが、保護カバー8について図2に示し以下で説明する。
【0054】
まず、保護カバー8は保護シース9を含み、保護シース9はチューブを形成する塗料不浸透性弾性フィルムからなる。
【0055】
保護シース9は、その遠位端で、後で詳述する遠位保護シース留め具10により回転噴霧器6に取り付けられる。
【0056】
保護シース9は、その近位端で、回転可能な摺動リング11に取り付けられている。このために、回転可能な摺動リング11は周囲を囲む環状溝12を有し、保護シース9の近位端はケーブルタイ13によりこの環状溝12に押し込まれ、ここで、保護シース9の近位端は回転可能な摺動リング11に堅く接続される。したがって、保護シース9の回転は摺動リング11の対応する回転をもたらし、また、逆もまた成り立つ。
【0057】
ここで、回転可能な摺動リング11は2つの半殻14、15からなり、これらはケーブルタイ13によりひとまとめにされている。これは、回転可能な摺動リング11の2つの半殻14、15を接続するための追加の接続要素を省くことができるという利点をもたらす。
【0058】
さらに、近位保護シース留め具はクランプリング16を含み、これも2つの半殻17、18からなり、クランプリング16の2つの半殻17、18はネジ接合19によりひとまとめにされている。ここで、ネジ接合19はクランプリング16を近位ハンド軸部3上に堅くクランプ締結してそこに固定することを可能とする。したがって、クランプリング16は近位ハンド軸部3に対して移動不能である。
【0059】
この場合、摺動リング11はクランプリング16上で回転可能である。このために、摺動リング11及びクランプリング16は同軸に配置されるが、ここで、摺動リング11がその上で回転可能である摺動面をクランプリング16はその外周面上に形成している。
【0060】
さらに、クランプリング16は、その遠位端に、摺動リング11が当接する肩部20を有する。これは、摺動リング11がクランプリング16から遠位方向に向けて軸方向に外れることをクランプリング16の肩部20が防ぐことを意味する。
【0061】
遠位保護シース留め具10は上述の近位保護シース留め具と同様に作られている。このために、遠位保護シース留め具も、クランプリング10.1、摺動リング10.2、及びケーブルタイ10.3を有する。クランプリング10.1は回転噴霧器6上にクランプ締結されている。摺動リング10.2はクランプリング10.1上に回転可能に取り付けられており、ここで、摺動リング10.2が近位方向にクランプリング10.1から外れることができないように、クランプリング10.1は摺動リング10.2のための軸方向ストッパーを形成する。摺動リング10.2には周囲を囲む環状溝が存在し、その中に保護シース9の遠位端がケーブルタイ10.3により固定される。そのため、保護シース9は、クランプリング10.1に対して、ひいては、回転噴霧器6に対して、摺動リング10.2とともに回転可能である。
【0062】
上述した本発明に係る保護カバー8は、摺動リング11がクランプリング16に対して回転可能であるため保護シース9がロボットハンド軸2の移動に対していかなる著しい抵抗性ももたらさないという利点をもたらす。
【0063】
以下では、使い古した保護シース9の交換について記述する図5に記載のフローチャートについて説明する。
【0064】
ここで、複数の前述の保護シース9が遠位ロボットアーム1上に摺動可能であり、そして、これらが重なり合って保護シース供給を形成することは言及されるべきだろう。
【0065】
使い古した保護シース9を交換するために、第一の工程S1では、回転可能な摺動リング11上のケーブルタイ13がまず緩められ、その後すぐに古いケーブルタイ13は取り除かれる。
【0066】
第二の工程S2では、回転噴霧器6の摺動リング10.2上のケーブルタイ10.3が緩められ、その後すぐにケーブルタイ10.3も処分される。
【0067】
続いて、工程S3では、古い保護シース9をロボットハンド軸2から軸方向に取り除き処分することができる。
【0068】
その後、次の工程S4では、新しい保護シース9が所望の位置にありロボットハンド軸2を覆うまで、遠位ロボットアーム1上の保護シース供給から遠位方向に向けて軸方向に新しい保護シース9が引っ張り出される。
【0069】
次に、工程S5では、新しい保護シース9が新しいケーブルタイ13により摺動リング11に固定される。
【0070】
最後に、工程S6では、次に、新しい保護シース9が摺動リング10.2上の新しいケーブルタイ10.3により回転噴霧器6上に固定される。
【0071】
本発明は上述の好ましい実施形態に限定されるわけではない。むしろ、本発明の思想を用いた無数の修正例及び変形例が可能であり、これらも本発明の権利範囲に含まれる。特に、本発明は、従属請求項の主題及び特徴について、それらが参照する請求項とは独立して、特に、主請求項の特徴なしで、権利保護を請求する。したがって、本発明は互いに独立して権利保護を享受する本発明の異なる態様を含む。
【0072】
[付記]
[付記1]
ロボットのロボットハンド軸(2)のための保護カバー(8)であって、前記ロボットハンド軸(2)は、一方では、ロボットアーム(1)上に取り付けられ、他方では、ツール(6)を運ぶものであり、特に、噴霧器(6)をツール(6)として運ぶ塗装ロボット上に取り付けられ、
前記保護カバー(8)は、
a)前記ロボットハンド軸を少なくとも部分的に囲むための保護シース(9)、
b)前記保護シース(9)を前記ロボットハンド軸(2)の近位部品(3)上の又は前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上の留め点に留めるための近位保護シース留め具(11、12、13、16)、及び、
c)前記保護シース(9)を前記ツール(6)に留めるための遠位保護シース留め具(10)を有し、
d)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)は、前記ロボットハンド軸(2)の前記近位部品上の又は前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上の前記留め点に対する前記保護シース(9)の回転運動を可能とすることを特徴とする、保護カバー(8)。
【0073】
[付記2]
前記ツール(6)からの軸引張力を吸収し且つこれにより前記保護シース(9)が動作中に遠位方向に前記ハンド軸から引き剥がされることを防ぐ軸方向ストッパー(20)を前記近位保護シース留め具は形成する、付記1に記載の保護カバー(8)。
【0074】
[付記3]
a)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)は、特にネジ固定(19)により、前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上に又は前記ロボットハンド軸(2)の近位部品(3)上に移動不能に取り付けられた又は形成された移動不能リング(16)を含み、及び/又は、
b)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)は、前記移動不能リング(16)に取り付けられ又は前記軸方向ストッパーに支えられ、且つ前記移動不能リング(16)又は前記軸方向ストッパーに対して回転可能である回転可能リング(11)を含み、及び/又は、
c)前記保護シース(9)は、前記保護シース(9)が前記ロボットアーム(1)に対して前記回転可能リング(11)とともに回転可能であるように、前記回転可能リング(11)に取り付けられている、
付記1又は2に記載の保護カバー(8)。
【0075】
[付記4]
前記回転可能リング(11)は、前記回転可能リング(11)の外側面に、少なくともひとつの、周囲を囲む環状溝(12)を有し、前記環状溝(12)内に前記保護シース(9)が留められる、付記3に記載の保護カバー(8)。
【0076】
[付記5]
前記保護シース(9)は留め要素(13)により前記回転可能リング(11)の前記環状溝(12)内に留められており、前記留め要素(13)は前記回転可能リング(11)の前記環状溝(12)内に前記保護シース(9)を固定する、付記4に記載の保護カバー(8)。
【0077】
[付記6]
a)前記回転可能リング(11)は2つの半殻(14、15)から構成され、且つ、
b)前記保護シース(9)のための前記留め要素(13)は前記回転可能リング(11)の前記2つの半殻(14、15)もまとめて保持する、
付記5に記載の保護カバー(8)。
【0078】
[付記7]
a)前記近位保護シース留め具(11、12、13、16)の前記留め要素(13)は、前記環状溝(12)内に張られ且つ前記保護シース(9)を前記環状溝(12)に押し込むケーブルタイ(13)であり、又は、
b)前記近位保護シース留め具の前記留め要素は、前記保護シース(9)を前記環状溝(12)に押し込む再利用可能且つ非破壊的に解除可能なクランプであり、又は、
c)前記近位保護シース留め具の前記留め要素は、少なくともひとつのフックアンドループファスナー、少なくともひとつのスナップファスナー、又は、少なくともひとつのプルストラップを含み、又は、
d)前記近位保護シース留め具の前記留め要素は、前記回転可能リング(11)の周りの外側にある2つの半殻により形成され、前記半殻と前記回転可能リング(11)との間に前記保護シース(9)が支えられる、
付記5又は6に記載の保護カバー(8)。
【0079】
[付記8]
a)前記移動不能リング(16)は、ひとまとめに結合して前記移動不能リング(16)を形成する2つの半殻(17、18)からなり、
b)任意で、前記移動不能リング(16)の前記2つの半殻(17、18)は、ネジ接合(19)によりひとまとめにクランプ締結されて、それにより、前記移動不能リング(16)をその留め点で前記ロボットの前記ロボットアーム(1)に又は前記ロボットハンド軸(2)の近位部品(3)に固定する、
付記3から7のいずれか1つに記載の保護カバー(8)。
【0080】
[付記9]
a)前記移動不能リング(16)は、前記移動不能リング(16)の外周面上又は前記ロボットハンド軸の外面上に、前記移動不能リング(16)の外周面上の場合は前記移動不能リング(16)に対して又は前記ロボットハンド軸の外面上の場合は前記ロボットハンド軸に対して前記回転可能リング(11)の回転移動を可能とするために前記回転可能リング(11)が摺動可能である摺動面を形成し、及び/又は、
b)前記移動不能リング(16)は、任意で、前記保護シース(9)に軸引張力が生じた場合に遠位方向に前記回転可能リング(11)が前記移動不能リング(16)から外れることを防ぐために、前記摺動面の遠位側に肩部(20)を有し、及び/又は、
c)前記ロボットハンド軸の前記外面上の前記摺動面は、摩擦低減接着テープが張られている、又は、摩擦低減用潤滑剤が塗られている、
付記3から8のいずれか1つに記載の保護カバー(8)。
【0081】
[付記10]
a)前記遠位保護シース留め具(10)は、任意で、少なくともひとつの接着テープ、少なくともひとつの押しボタン、又は少なくともひとつのテンションバンドを含み、前記保護シース(9)はこれらで前記ツールに留められており、
b)前記保護シース(9)は、任意で、弾性であり、
c)前記保護シース(9)は、任意で、塗料不浸透性であり、
d)前記保護シース(9)は、任意で、フィルムからなる、
付記1から9のいずれか1つに記載の保護カバー(8)。
【0082】
[付記11]
a)前記遠位保護シース留め具(10)は、前記噴霧器(6)上に、特にネジ固定により、移動不能に留められた又は一体に形成された移動不能リング(10.1)を有し、及び/又は、
b)前記遠位保護シース留め具(10)は、前記噴霧器(6)に対して回転可能な回転可能リング(10.2)を有し、前記遠位保護シース留め具(10)の前記回転可能リング(10.2)は、
b1)前記遠位保護シース留め具(10)の前記移動不能リング(10.1)に回転可能に取り付けられている、又は、
b2)軸方向ストッパーに支えられている、又は、
b3)前記噴霧器(6)の外面の環状溝内で回転可能にガイドされ、任意で、前記環状溝は楔形又は非対称であり、及び/又は、
c)前記保護シース(9)が前記噴霧器(6)に対して前記回転可能リング(10.2)とともに回転可能であるように、前記保護シース(9)は前記保護シース(9)の遠位端により前記回転可能リング(10.2)に留められている、
付記1から9のいずれか1つに記載の保護カバー(8)。
【0083】
[付記12]
a)前記保護シース(9)は外部帯電電極を通すための孔を有し、
b)任意で、前記外部帯電電極のために前記保護シース(9)にある前記孔は前記遠位保護シース留め具を形成する、
付記1から11のいずれか1つに記載の保護カバー(8)。
【0084】
[付記13]
ロボットの、特に、塗装ロボットのためのロボットハンド軸(2)であって、
a)前記ロボットハンド軸(2)は付記1から12のいずれか1つに記載の保護カバー(8)により少なくとも部分的に囲まれ、
b)前記ロボットハンド軸(2)は、任意で、
b1)前記ロボットの前記ロボットアーム(1)上に取り付けるための近位ハンド軸部(3)、
b2)前記ツールを受けるための遠位ハンド軸部(5)、及び
b3)前記近位ハンド軸部(3)と前記遠位ハンド軸部(5)との間に運動学的に配置され、前記近位ハンド軸部(3)及び前記遠位ハンド軸部(5)に対して回転可能である中央ハンド軸部(4)、
といった部品を含み、
c)前記近位保護シース留め具は、任意で、前記近位ハンド軸部に取り付けられる、
ロボットハンド軸(2)。
【0085】
[付記14]
付記13に記載のロボットハンド軸(2)を有するロボット、特に、部品をコーティングするための塗布装置(6)を有するコーティングロボット、特に、自動車車体部品を塗装するための回転噴霧器(6)を有する塗装ロボット。
【0086】
[付記15]
複数の重ね合わされた保護シース(9)が遠位の前記ロボットアーム(1)上に摺動されており、汚れた保護シース(9)を交換するために保護シース(9)を前記ロボットハンド軸(2)上に引っ張り出すことができる保護シース供給を形成する、付記14に記載のロボット。
【0087】
[付記16]
a)前記近位保護シース留め具(13)を緩める工程、
b)前記遠位保護シース留め具(10)を緩める工程、
c)前記ロボットハンド軸(2)から前記保護シース(9)を取り除く工程、
d)遠位の前記ロボットアーム(1)にある前記保護シース供給から前記ロボットハンド軸(2)上へと新しい保護シース(9)を引っ張り出す工程、
e)前記近位保護シース留め具(13)を固定する工程、
f)前記遠位保護シース留め具(10)を固定する工程、
といった工程を備える、
付記15に記載のロボットのための動作方法。
【符号の説明】
【0088】
1 塗装ロボットの遠位ロボットアーム(『アーム2』)
2 ロボットハンド軸
3 近位ハンド軸部
4 中位ハンド軸部
5 遠位ハンド軸部
6 回転噴霧器
7 ベルカップ
8 ロボットハンド軸の保護カバー
9 保護シース
10 遠位保護シース留め具
10.1 遠位保護シース留め具のクランプリング
10.2 遠位保護シース留め具の摺動リング
10.3 遠位保護シース留め具のケーブルタイ
11 回転可能な摺動リング
12 回転可能な摺動リングの環状溝
13 回転可能な摺動リングの環状溝内に保護シースを固定するためのケーブルタイ
14、15 回転可能な摺動リングの半殻
16 クランプリング
17、18 クランプリングの半殻
19 クランプリングの2つの半殻をまとめてクランプ締結するためのネジ接合
20 回転可能な摺動リングの軸方向固定のためのクランプリングの肩部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】