(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】外科用二重バネハンマーインパクトツール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20240214BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61B17/56
A61B17/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552050
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2022017537
(87)【国際公開番号】W WO2022182772
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502427840
【氏名又は名称】ジンマー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド レビー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL03
4C160LL28
(57)【要約】
本明細書において、外科用二重バネハンマーインパクトツール及びその使用方法を開示する。外科用二重バネハンマーインパクトツールは、ハウジングの中に配置され、中間領域にインパクトフランジを含む細長駆動ロッドを含むことができる。器具は、細長駆動ロッドの第1の端部に取り付けできる。インパクトシャトルは、細長駆動ロッドに取り付けでき、インパクトフランジの対向する面に対向する第1及び第2のインパクト面を含むことができる。複数の環状歯が、インパクトシャトルの外面によって画定される。第1のバネ及び第2のバネは、インパクトシャトルの対向する端部に対して配置できる。駆動シャフトに取り付けられ、インパクトシャトルの複数の環状歯と係合するために移動可能な部分歯ピニオンを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用二重バネインパクトツールであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置され、中間領域にインパクトフランジを含む細長駆動ロッドと、
前記細長駆動ロッドの第1の端部に取り付けられた器具と、
前記細長駆動ロッドに取り付けられ、前記インパクトフランジの対向する面に対向する第1のインパクト面と第2のインパクト面とを含み、外面に複数の環状歯を含む、インパクトシャトルと、
前記インパクトシャトルの第1の端部に対して配置された第1のバネと、
前記インパクトシャトルの第2の端部に対して配置された第2のバネと、
駆動シャフトを有するモータと、
前記駆動シャフトに取り付けられ、前記インパクトシャトルの前記複数の環状歯と係合するために移動可能な部分歯ピニオンと、
を備える、外科用二重バネインパクトツール。
【請求項2】
前記ハウジングは、ハンドルを含み、さらに前記ハンドルに取り付け可能なバッテリパックを備える、請求項1に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項3】
前記駆動ロッドは、前記ハウジングの後部エンドキャップ及び前部エンドキャップによって支持される、請求項1から請求項2の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項4】
前記インパクトシャトルは、前方ベアリング及び後方ベアリングによって前記細長駆動ロッド上に支持される、請求項1から請求項3の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項5】
前記第1のバネ及び前記第2のバネは、前記インパクトシャトルと一体的に形成される、請求項1から請求項4の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項6】
前記細長駆動ロッドの後端は、その後端にストッパカラーを含む、請求項1から請求項5の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項7】
さらに、前記モータの前記駆動シャフトを支持する1対のベアリングを支持し、前記細長駆動ロッド及び前記インパクトシャトルをその中に受け入れるための開口を画定するモータブロックを備える、請求項1から請求項6の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項8】
さらに、前記ハウジング内での前記細長駆動ロッドの行程量を選択的に制限することによって、前記外科用二重バネインパクトツールの力レベルを調節するための力制御機構を備える、請求項1から請求項7の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項9】
前記力制御機構は、前記駆動ロッドの後端に固定され、回転部材内に調節可能に配置された対応する第2の螺旋面に係合する第1の螺旋面を含むシャフトヘリックス部材を含む、請求項8に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項10】
前記回転部材は、複数のデテントを含み、前記力制御機構は、複数の位置において前記回転部材を固定するために前記複数のデテントと係合するボール部材を支持するヨークを含む、請求項9に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項11】
前記シャフトヘリックス部材は、1対の第1の螺旋面を含み、前記回転部材は、前記1対の第1の螺旋面に係合する1対の第2の螺旋面を含む、請求項9に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項12】
前記デテントの半径は、前記螺旋面の半径より大きい、請求項10に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項13】
前記デテントの半径は、平均螺旋半径の半径の約2倍である、請求項10に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項14】
外科用二重バネインパクトツールであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの中に配置され、中間領域にインパクトフランジを含む、細長駆動ロッドと、
前記細長駆動ロッドの第1の端部に取り付けられた器具と、
前記細長駆動ロッドに取り付けられ、前記インパクトフランジの対向する面に対向する第1のインパクト面及び第2のインパクト面を含み、複数の歯車歯を含む、インパクトシャトルと、
前記インパクトシャトルの第1の端部に対して配置された第1のバネと、
前記インパクトシャトルの第2の端部に対して配置された第2のバネと、
駆動シャフトを含むモータと、
前記駆動シャフトに取り付けられ、前記インパクトシャトルの前記複数の歯車歯と係合するために移動可能なピニオンと、
前記ハウジング内での前記細長駆動ロッドの行程量を選択的に制限することによって、前記外科用二重バネインパクトツールの力レベルを調節するための力制御機構と、
を備える、外科用二重バネインパクトツール。
【請求項15】
前記駆動ロッドは、前記ハウジングの後部エンドキャップ及び前部エンドキャップによって支持される、請求項14に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項16】
前記インパクトシャトルは、前方ベアリング及び後方ベアリングによって前記細長駆動ロッド上に支持される、請求項14から請求項15の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項17】
前記第1のバネ及び前記第2のバネは、前記インパクトシャトルと一体的に形成される、請求項14から請求項16の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項18】
前記細長駆動ロッドの後端は、その後端にストッパカラーを含む、請求項14から請求項17の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項19】
さらに、前記モータの前記駆動シャフトを支持する1対のベアリングを支持し、前記細長駆動ロッド及び前記インパクトシャトルをその中に受け入れるための開口を含むモータブロックを備える、請求項14から請求項18の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項20】
前記力制御機構は、前記駆動ロッドの後端に固定され、回転部材内に調節可能に配置された対応する第2の螺旋面に係合する第1の螺旋面を含むシャフトヘリックス部材を含む、請求項14から請求項19の何れか1項又はその任意の組合せに記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項21】
前記回転部材は、複数のデテントを含み、前記力制御機構は、複数の位置において前記回転部材を固定するために前記複数のデテントと係合するボール部材を支持するヨークを含む、請求項20に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項22】
前記シャフトヘリックス部材は、1対の第1の螺旋面を含み、前記回転部材は、前記1対の第1の螺旋面に係合する1対の第2の螺旋面を含む、請求項20に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項23】
前記デテントの半径は、前記螺旋面の半径より大きい、請求項21に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【請求項24】
前記デテントの半径は、平均螺旋半径の半径の約2倍である、請求項23に記載の外科用二重バネインパクトツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年2月26日に提出された「力制御を有する二重バネ電動インパクトツール」と題する米国仮特許出願第63/154,219号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概略的に外科用器具及びその使用に関する。具体的には、本開示は、外科用二重バネインパクトツール及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科医は、通常、埋伏力をツールへ伝達するためにハンマー又はマレットを必要とする骨を切断する又は削るためのツールを使用する。一例では、股関節インプラントのステムを受け入れるために、大腿骨の近位端を準備するために使用されるブローチツールである。このようなブローチは、医師が使用するハンマー又は空気圧「ジャックハンマー」式のツールと一緒に使用できる。しかし、ハンマーでブローチツールを打つことは、厄介であり、医師自身の肩関節などの関節に大きなストレスを生じる可能性がある。さらに、空気圧インパクトツールは、エアホースに接続する必要があり、これは、不便であり、医師が思い通りにツールの向きを定める能力を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
以下の非限定的な実施例は、特に課題を解決し本明細書において論じる利点を与えるための本開示の内容の特定の形態を詳述する。
【0005】
実施例1は、ハウジングと、ハウジングの中に配置され中間領域の中にインパクトフランジを含む細長駆動ロッドと、細長駆動ロッドの第1の端部に取り付けられた器具と、細長駆動ロッドに取り付けられ、インパクトフランジの対向する面に対向する第1のインパクト面及び第2のインパクト面を含み、外面に複数の環状歯を含むインパクトシャトルと、インパクトシャトルの第1の端部に対して配置された第1のバネと、インパクトシャトルの第2の端部に対して配置された第2のバネと、駆動シャフトを有するモータと、駆動シャフトに取り付けられ、インパクトシャトルの複数の環状歯と係合するために移動可能な部分歯ピニオンと、を備える、外科用二重バネインパクトツールである。
【0006】
実施例2において、実施例1の内容は、任意に、ハウジングがハンドルを含み、さらにハンドルに取り付け可能なバッテリパックを備える、ことを含む。
【0007】
実施例3において、実施例1から実施例2の1つ又は複数の内容は、任意に、駆動ロッドがハウジングの後部エンドキャップ及び前部エンドキャップによって支持される、ことを含む。
【0008】
実施例4において、実施例1から実施例3の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、インパクトシャトルが、前方ベアリング及び後方ベアリングによって細長駆動ロッド上に支持される、ことを含む。
【0009】
実施例5において、実施例1から実施例4の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、第1のバネ及び第2のバネが、インパクトシャトルと一体的に形成される、ことを含む。
【0010】
実施例6において、実施例1から実施例5の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、細長駆動ロッドの後端がその後端にストッパカラーを含む、ことを含む。
【0011】
実施例7において、実施例1から実施例6の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、モータの駆動シャフトを支持する1対のベアリングを支持し、細長駆動ロッド及びインパクトシャトルをその中に受け入れるための開口を画定するモータブロックを含む。
【0012】
実施例8において、実施例1から実施例7の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、ハウジング内での細長駆動ロッドの行程量を選択的に制限することによってインパクトツールの力レベルを調節するための力制御機構を含む。
【0013】
実施例9において、実施例8の内容は、任意に、力制御機構が、駆動ロッドの後端に固定され、回転部材内に調節可能に配置された対応する第2の螺旋面に係合する第1の螺旋面を含むシャフトヘリックス部材を含む、ことを含む。
【0014】
実施例10において、実施例9の内容は、任意に、回転部材が複数のデテントを含み、力制御機構が、複数の位置で回転部材を固定するために複数のデテントと係合するボール部材を支持するヨークを含む、ことを含む。
【0015】
実施例11において、実施例9から実施例10の1つ又は複数の内容は、任意に、シャフトヘリックス部材が、1対の第1の螺旋面を含み、回転部材が、1対の第1の螺旋面に係合する1対の第2の螺旋面を含む、ことを含む。
【0016】
実施例12において、実施例10から実施例11の1つ又は複数の内容は、任意に、デテントの半径が螺旋面の半径より大きい、ことを含む。
【0017】
実施例13において、実施例10から実施例12の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、デテントの半径が平均螺旋半径の半径の約2倍である、ことを含む。
【0018】
実施例14は、ハウジングと、ハウジングの中に配置され、中間領域にインパクトフランジを含む細長駆動ロッドと、細長駆動ロッドの第1の端部に取り付けられた器具と、細長駆動ロッド上に取り付けられ、インパクトフランジの対向する面に対向する第1のインパクト面及び第2のインパクト面を含み、複数の歯車歯を含むインパクトシャトルと、インパクトシャトルの第1の端部に対して配置された第1のバネと、インパクトシャトルの第2の端部に対して配置された第2のバネと、駆動シャフトを含むモータと、駆動シャフトに取り付けられ、インパクトシャトルの複数の歯車歯と係合するために移動可能なピニオンと、ハウジング内での細長駆動ロッドの行程量を選択的に制限することによってインパクトツールの力レベルを調節するための力制御機構と、を備える外科用二重バネインパクトツールである。
【0019】
実施例15において、実施例14の内容は、任意に、駆動ロッドがハウジングの後部エンドキャップ及び前部エンドキャップによって支持される、ことを含む。
【0020】
実施例16において、実施例14から実施例15の1つ又は複数の内容は、任意に、インパクトシャトルが前方ベアリング及び後方ベアリングによって細長駆動ロッド上に支持される、ことを含む。
【0021】
実施例17において、実施例14から実施例16の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、第1のバネ及び第2のバネがインパクトシャトルと一体的に形成される、ことを含む。
【0022】
実施例18において、実施例14から実施例17の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、細長駆動ロッドの後端が、その後端にストッパカラーを含む、ことを含む。
【0023】
実施例19において、実施例14から実施例18の何れか1つ又は複数の内容は、任意に、モータの駆動シャフトを支持する1対のベアリングを支持し、細長駆動ロッド及びインパクトシャトルをその中に受け入れるための開口を含むモータブロックを含む。
【0024】
実施例20において、実施例14から実施例19の任意の1つ又は複数の内容は、任意に、力制御機構が、駆動ロッドの後端に固定され回転部材内に調節可能に配置された対応する第2の螺旋面に係合する第1の螺旋面を含むシャフトヘリックス部材を含む、ことを含む。
【0025】
実施例21において、実施例20の内容は、任意に、回転部材が複数のデテントを含み、力制御機構が、複数の位置で回転部材を固定するために複数のデテントと係合するボール部材を支持するヨークを含む、ことを含む。
【0026】
実施例22において、実施例20から実施例21の1つ又は複数の内容は、任意に、シャフトヘリックス部材が1対の第1の螺旋面を含み、回転部材が1対の第1の螺旋面に係合する1対の第2の螺旋面を含む、ことを含む。
【0027】
実施例23において、実施例21から実施例22の1つ又は複数の内容は、任意に、デテントの半径が螺旋面の半径より大きいことを含む。
【0028】
実施例24において、実施例23の内容は、任意に、デテントの半径が、平均螺旋半径の半径の約2倍である、ことを含む。
【0029】
実施例25において、実施例1から実施例24の何れか1つ又はその任意の組合せの外科用インパクトツール、システム及び/又は方法は、任意に、言及される全ての要素又は選択肢が使用可能又は選択可能であるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面(必ずしも縮尺通りではない)において、同様の数字は、異なる図面において同様のコンポーネントを示すことができる。異なる接尾部を有する同様の数字は、同様のコンポーネントの異なる例を表すことができる。図面は、限定的ではなく例として概略的に、本文献において論じる様々な実施形態を図解する。
【0031】
【
図1】
図1は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの切断斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの拡大切断斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの切断斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの拡大切断斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の少なくとも1つの実施利に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの切断斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの拡大切断斜視図である。
【
図8】
図8は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの切断斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った歯車モータハウジング部分組立体の切断斜視図である。
【
図10】
図10は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った歯車モータハウジングである。
【
図11】
図11は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った部分歯ピニオンの斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の少なくとも1つの実施例に従ったシャトルの断面斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った駆動ロッド部分組立体の断面斜視図である。
【
図14】
図14は、本開示の少なくとも1つの実施例に従ったシャトル部材の円形歯車ラックの接触半径を示す。
【
図15】
図15は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った駆動歯車歯の接触半径を示す。
【
図16A】
図16Aは、本開示の少なくとも1つの実施例に従った部分歯ピニオンとシャトル歯車歯との係合の様々な段階を示す。
【
図16B】
図16Bは、本開示の少なくとも1つの実施例に従った部分歯ピニオンとシャトル歯車歯との係合の様々な段階を示す。
【
図16C】
図16Cは、本開示の少なくとも1つの実施例に従った部分歯ピニオンとシャトル歯車歯との係合の様々な段階を示す。
【
図17】
図17は、本開示の少なくとも1つの実施例に従ったモノリシックの機械加工バネ-シャトルの斜視図である。
【
図18】
図18は、本開示の少なくとも1つの実施例に従ったモノリシックの機械加工二重バネ-シャトルの中央領域の断面図である。
【
図19】
図19は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った、外科用二重バネハンマーインパクトツールの力制御機構の切断斜視図である。
【
図20】
図20は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの力制御機構のシャフトヘリックスの斜視図である。
【
図21】
図21は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの力制御機構のハンドルの斜視図である。
【
図22】
図22は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの力制御機構のハンドルの内部透視図である。
【
図23】
図23は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツールの力制御機構のヨークの斜視図である。
【
図24】
図24は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った力制御機構に関する力分析図である。
【
図25】
図25は、本開示の少なくとも1つの実施例に従ったボールベアリングデテントの力分析図である。
【
図26】
図26は、本開示の少なくとも1つの実施例に従ったハンドルのヘリックス及びデテントの半径寸法の図である。
【0032】
対応する参照符号は、いくつかの図面を通じて対応する部品を示す。本明細書において示す例証は、本開示の好ましい実施形態を示すものであり、このような例証は、決して、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
空気圧ピストン駆動システムの代替品として、本明細書においては、ばね駆動システムを開示する。具体的には、本明細書において開示する外科用インパクトツールは、二重バネ設計を含む。本明細書において開示する外科用インパクトツールは、第1の端部と第2の端部とを有するキャビティを画定するハウジングを含むことができる。キャビティ内に配置されたシャトルは、複数の刻み目を形成できる。本明細書において開示するように、シャトルに近接して配置されたピニオンは、ピニオンの回転時に複数の刻み目と噛み合うサイズの複数の突出部を有することができる。第1のバネ及び第2のバネは、ハウジングをシャトルに機械的に結合できる。第1の方向へのピニオンの回転は、ハウジングの第1の端部へ向かって第1の方向にシャトルを並進でき、第2の方向へのピニオンの回転は、ハウジングの第2の端部へ向かって第2の方向にシャトルを並進できる。
【0034】
使用時に、突出部と刻み目が噛合い係合しなくなったとき、バネは、シャトルを駆動ロッドの周りで動かすことができる。駆動ロッドは、ハウジングの軸線に沿って方向付けをすることができ、ハウジングの第1の端部からハウジングの第2の端部まで延びるこができる。駆動ロッドカラーは、駆動ロッドに固着できる。インサートは、第1のバネに結合され、複数の突出部が複数の刻み目から外れると駆動ロッドカラーに衝突するように配列できる。駆動ロッドカラーに衝突するシャトルのインパクトによって、駆動ロッドは、外科用インパクトツールのチャックに取り付けられたやすり、ブローチ等のツールへインパクト力を伝達できる。
【0035】
上記の論証は、本特許出願の内容の概要を提示することを意図する。これは、本発明の排他的又は網羅的説明を提示することを意図しない。下の説明は、本特許出願に関する更なる情報を提供するために含まれる。
【0036】
次に図面を参照すると、
図1は、本開示の少なくとも1つの実施例に従った外科用二重バネハンマーインパクトツール1の実施例を示す。
図2は、起動を待つ中立位置にある外科用二重バネハンマーインパクトツール1の切断斜視図である。
図3は、モータ取付ブロック150の周辺領域の拡大図である。
【0037】
本明細書において開示するように、外科用二重バネハンマーインパクトツール1は、外科処置に使用するための単純で効率よくかつ丈夫な電池式手持ち外科用二重バネハンマーインパクトツールを提供できる。外科用二重バネハンマーインパクトツール1は、上側ハンドル部分149の中にグリップ182とトリガ181とを有するハンドル180を含むことができる。ハンドルのベース183は、制御回路を収容し、取外し可能充電式バッテリ184を受け入れることができる。ハンドル180の上部は、モータ取付ブロック150に接続できる。モータ取付ブロック150は、歯車モータ230(
図9及び
図10参照)用の取付け具及びバネ-シャトルチューブ110を収容できる。
【0038】
図2に示すように、バネ-シャトルチューブ110は、遠位バネ160D、近位バネ160P、シャトル170及びドライバ120を収容できる外側チューブ111を含むことができる。バネ-シャトルチューブ110の遠位端には、外側チューブ111の遠位端に接続できるエンドキャップ112Bとされ、カバーキャップ112Aはエンドキャップ112Bに接続できる。
【0039】
外側チューブ111の近位端には、エンドキャップ113とすることができる。エンドキャップ113は、開口を含むことができ、ドライバ120の近位端が開口を通過して延びる。ツールホルダ114は、ドライバ120の近位端に取り付けできる。ドライバ120は、細長駆動ロッド122を含むことができる。ストッパカラー121は、ロッド122の遠位端に取り付けできる。ストッパカラー121は、クランプ留め、スクリュー留め、クリップ留め又はその他の接続方法によって取り付けできる。インパクトフランジ123は、ロッド122の中央領域に配置できる。インパクトフランジ123は、構造上の無欠性のためにロッド122と一体的に形成できる。ツールホルダ114は、必要な場合には容易に交換できるように、例えばネジ式で、駆動ロッド122の近位端に取り付けできる。
【0040】
ソフトブロークリップ444は、駆動ロッド122にスナップ式に嵌めることができる。又は、ソフトブロークリップ444は、エンドキャップ上を滑動させて、所望のインパクト強度を得るように様々に設定するために所定の場所にカチッと嵌めることによって、いくつかの異なる変位設定を可能にできる。
【0041】
本明細書において開示するように、回転スリーブ117は、エンドキャップ113とツールホルダ114との間に配置でき、回転部の一部分に配置された内部シェルフ118を含み、エンドキャップ113の近位面に配置されたこれに噛み合う同様に制約されたシェルフ119と係合するために回転できる。シェルフ118及び119に隣接する螺旋傾斜路は、スリーブ117の回転によって同様の変位を与えることによってユーザがソフトブロークリップ444の機能性にアクセスできるようにする。
【0042】
中立状態のとき、遠位ダイバネ160D及び近位ダイバネ160Pは、その最大偏位状態の約半分(例えば、その自由長さの約45%)まで圧縮(即ち予負荷)できる。バネ160D及び160Pの端部は、それぞれシャトル170を押圧する遠位及び近位バネ端部がシャトル170及び駆動ロッド122との同軸整列を維持するために、それぞれシャトル170のカウンタボア171D及び171Pの中に置くことができる。
【0043】
バネ160D及び160Pは、「コイル」であるダイバネとすることができ、ラビング(即ち特に強く圧縮される場合、エネルギーロス)に繋がる可能性のある横に歪む可能性が小さいように、バネに側方剛性を与えるために長方形断面の材料から作ることができる。本明細書において開示するように、螺旋(即ちコイル)バネは、圧縮されたとき僅かに回転する可能性がある。したがって、2つのバネがシャトル170に対して予負荷されたとき、バネ160D又は160Pの一方は、時計回り螺旋に、160D又は160Pの他方は半時計回り螺旋に作られ、相互の回転を相殺して、ラビングによって誘発されるエネルギーロス及び摩耗を最小限に抑えることができる。
【0044】
図3を参照すると、シャトル170は、前方及び後方インパクトのために適切な前後位置を取れるようにシャトル170の中心平面に対してオフセットできる一体的環状歯車ラック駆動歯175(例えば、
図3には16のピッチで6つの歯を示す)を有することができる。部分歯ピニオン300は、駆動のためにシャトル170に係合できる。シャトル170の3つの環状歯175(例えば駆動歯175P(近位)、175M(中間)及び175D(遠位))は、シャトル170を前方へ駆動するために使用でき、3つの環状歯(例えば、後退歯175RP、175RM及び175RD)は、シャトル170を前方へ後退させるために使用できる。P/2のシャトル170中心からのオフセットは、シャトル170を移動してバネ160を変位するためのプロセスの開始時に部分歯ピニオン300の歯302Cの初期係合のために遠位駆動歯175Dを位置付けることができる。但し、部分歯ピニオン300しか使用されないので、歯302Aがラックに再係合するとき、約P/2(本明細書に開示する16ピッチ歯車の場合、プラス約1mm)の付加的なオフセットを使用して、駆動歯175M(即ち中間駆動歯)と衝突しないようにできる。
【0045】
外科用二重バネインパクトツール1は、一体的歯車ラック駆動歯175を有するシャトル170の両側に取り付けできるダイバネ160D及び160Pを使用できる。ピッチ直径は、歯175のフランクがインボリュートではなく直線であるように無限とすることができる。環状歯175は、シャトル170の円周の周りに巻き付くことができ、コイルバネが圧縮されたとき僅かに回転する可能性がある。歯車ラックの従来の区分(即ち直線的で巻き付かない)が、シャトル170に機械加工された(又は取り付けられた)場合、シャトル170がバネ(例えば、160P及び160D)を圧縮するとき、その回転は、直線歯175を回転させ駆動歯車300に端部荷重を加えて、接触応力を高め、早期に歯を摩耗させる。このタイプの応力負荷は、環状歯車歯175を有するシャトル170においては生じない。
【0046】
シャトル170は、それぞれ遠位及び近位滑り接触フランジ付きベアリング174D及び174Pによって、駆動ロッド122に対して同心に保持できる。バネが設置されてシャトル170に対して予負荷されると、バネ160D及び160Pの端部は、ベアリング174D及び174Pを所定の場所に保持できる。PEEKは、滑り接触においてドライ運転が可能であり、蒸気滅菌できるので、ベアリング材料として使用できる。ベアリング174DD及び174PPは、それぞれハウジングエンドキャップ112b及び113において駆動ロッド122を中心に定めることができる。ベアリング174D及び174Pは、コッキング中に駆動ロッド122上でシャトル170を中心に定めることができ、シャトル170がドライバ120の中央インパクトフランジ123に衝突するために高速で移動するときに、名目上駆動ロッドを中央に維持できる。
【0047】
本明細書において開示するように、外科用二重バネインパクトツール1の様々な要素は、共線的とすることができ、駆動ロッド122は、バネ160及びシャトル170の中心に嵌めるために長細くすることができる。したがって、駆動ロッド122の質量、プラスツールホルダ114及びその中に保持されたツールの質量を、シャトル170からのインパクト力によって駆動されるシステム質量と考えることができる。駆動ロッド122の質量を小さくすることは、より大きいエネルギーをツール(例えば、ブローチ)に伝達することができる。駆動ロッド122は、また、コッキングの間にシャトル170を支持でき、歯車歯分離力が駆動ロッド122をそのサイズにしては半径方向に強く押しすぎる場合、駆動ロッドを逸らせて、歯車歯をスキップできる。
【0048】
ドライバ120のインパクトフランジ123の遠位側がシャトル170の遠位フランジ173に衝突した直後などの中立状態において、バネ160は、インパクト後の数サイクルの間揺らぐものの、落ち着き得る。例えば、5サイクルから10サイクルが生じ、これは、シャトル170の固有振動数が約40Hzなので、約100から200ミリ秒程度掛かる。インパクトは、弾性インパクト及び非弾性インパクトの混合とすることができる。重すぎるシャトルは固有振動数が低い可能性があり、休止するまでに掛かる時間を含めて速度を遅くする可能性があるため、より軽いシャトル170ではなくより重いシャトル170は、必ずしもエネルギー伝達が良くない。
【0049】
医師が要求する秒あたりのブロー又はインパクトは、1から10の範囲とすることができ、医師が選択し、ベース183の中の制御回路によって制御することができる。秒あたりのインパクトは、歯車モータ230による部分歯ピニオン300の回転によって管理できる。歯車モータ230は、設定インパクト率での使用期間中に一定速度で回転することができ、部分歯ピニオン300における歯車モータ230の反射回転慣性(かなりの量になる可能性がある)は、次のストライクのためにシャトル170をコックするために寄与して、システム全体の効率及びバッテリ寿命の延長に役立つ。
【0050】
設定インパクト率として一定速度で回転するために、最終歯302Aがシャトルの近位駆動歯175Pを離れたら、シャトル170は、バネ160D及び160Pに蓄積されたエネルギーによって前方へ推進される。本明細書において開示するように、各々剛度kの2つの対向する圧縮バネは、相互に対して予負荷できるので、システムの前方エネルギーに寄与できる。バネは、相互に対して予負荷される限り、二方向剛度2kを有する1つのバネとして作用できる。一方、シャトル170が前方へ加速してその運動エネルギーを増大するとき、バネ160D及び160Pに蓄積されたポテンシャルエネルギーからシャトル170へ伝達されるため、部分歯ピニオン300は回転し続けられる。シャトル170は、ドライバ120に衝突して、部分歯ピニオンの歯302Cが回って
図2及び
図3に示すようにシャトルの遠位駆動歯175Dと接触するための時間に合わせて落ち着くことができる。
【0051】
完全強度の前方インパクトのために、ユーザは、ソフトブロークリップ444(又は別のスペーサの実施形態)がエンドキャップ113の近位面に対して押圧されるように、外科用二重バネインパクトツール1を前方へ押すことができる。これによってドライバ120のインパクトフランジ123を後方へ変位できる。その遠位面は、その後、シャトル170のインパクトフランジ173の近位面に押圧できる。この時点で、部分歯ピニオン歯302Cは、シャトルの遠位駆動歯175Dに係合して、図に示すように反時計回りの回転は、シャトル170を
図4及び
図5に示す発射準備完了位置まで戻すことができる。
図16は、初期の歯の接触(a)から、インボリュート歯の間の転がり接触の終了(b)、歯302Aがシャトルの近位駆動歯175Pとの接触から外れる最終変位位置までのステップの進行を示す。
【0052】
初期接触から最終回転時までの部分歯ピニオン300の回転は、ラックの線形運動を生じることができる。歯302Aがシャトルの駆動歯175Pとの接触から外れ、シャトル170が解放されてドライバ120のインパクトフランジ123へ向かって加速するまで、付加的運動が発生する可能性がある。この運動中に、歯302Aと歯175Pとの間に滑り接触があり得る。もっと微小な運動分解能が好ましい場合には、もっと微小なピッチを使用できるものの、これによって歯がもっと小さくなり、かつ、弱くなる可能性がある。
【0053】
歯車歯基礎原料(例えば175及び302)は、硬化して、丸みのある先端で研摩し、物理蒸着によって施された炭化タングステンなどの耐摩耗コーティングでコーティングできる。歯は接触応力の深さに比べて大きくないので、典型的には無心焼き入れできる。二硫化タングステンWS2、グラファイト/MoS2と同様の軟質層状材料などの乾燥層状ソリッド潤滑剤も、コーティングプロセスにおいて加えることができる。また、コーティングは、歯車の基礎スチールよりずっと高い弾性率及び強度を有することができるため、接触応力はスチールの応力によって制限され、スチールがコーティング層厚みより下方側で降伏する場合には、コーティングが剥がれる可能性がある。全円周歯を有する歯車が全円周歯を有する別の歯車に係合する場合、歯の先端は、高い接触応力を持たないので、概ねラウンドオーバーしないが、この場合、最終歯の先端は、発射直前にラック歯と大きい力で接触する可能性がある。この歯先端のエッジ-エッジ接触は、トリガシステムのエッジと同様であり、許容されない摩耗を防止するために注意が必要である。
【0054】
ドライバ120のインパクトフランジ123は、遠位駆動フランジ173の近位面によって対象物(例えば大腿骨又は上腕骨)の中へツール(例えば、やすり又はブローチ)を推し進めるための前方(近位)方向への力を生じるために、その遠位面にインパクトを受けることができる。遠位駆動フランジ173は、最高応力の対象となり得るのでシャトル170と一体的に作ることができる。遠位バネ160Dはドライバ120及びフランジ123と同軸とすることができるので、力は、ドライバフランジ123に衝突するフランジの反対側に直接加えることができ、それによって丈夫な設計とすることができる。
【0055】
図6及び
図7(及びシャトル170のコンポーネントについては
図2及び
図12)に示すように、ドライバ120を後退させるために、シャトル170の近位端のカウンタボア面177に対して着座することができるフランジインサート178は、内部スナップリング179で所定の場所に保持できる。後退モードのとき、力はそれほど高くする必要はない。これは、ストッパカラー121上のドライバ120のエンドクランプをインパクトフランジ123に近づけることによって(
図13参照)、組立て時に調節できる。
【0056】
ツール取出しのために後方インパクトを与えるために、ストッパエンドカラー121がエンドキャップ112Bのカウンタボアに押圧され、ドライバ120のインパクトフランジ123の近位面がシャトルのフランジインサート178の遠位面と対面するように、ユーザは、外科用二重バネインパクトツール1を後方へ引くことができる。リバースを選択し(例えば、ハンドル180のリバースボタンによって)、歯車モータ230を起動する(例えば、ハンドル180のスイッチ181によって)と、部分歯ピニオン300は、前方インパクトの方向と反対方向に回転することができる。回転は、部分歯ピニオン歯302Aをシャトル170の近位後退歯175RPに係合させることができ、図に示す時計回りに回転し、
図8に示すように、歯302Cがシャトル170の遠位後退歯175RDとの接触から外れるまで、シャトル170を発射準備完了位置まで前方へ移動できる。接触から外れたら、バネ160は、ドライバのインパクトフランジ123の近位面がシャトルのフランジインサート178の遠位面に衝突するまで、高速でシャトル170を後方へ移動できる。
【0057】
シャトル170は、後退のための3つの歯175RP、175RM及び175RD(それぞれ近位、中間及び遠位後退歯)を有することができ、各々、本実施形態において、部分歯ピニオン300の3つの歯と係合する。ツールの前方インパクトのための歯はオフセットし、部分歯ピニオン300には3つの歯しかないので、後方(引出し)エネルギーは、前方エネルギーより約30%低い可能性がある。しかし、これは、例えばブローチを骨の中へ推し進めるよりもブローチを引き出すための力の方が小さいので、妥当である。
【0058】
シャトル170の円形歯車ラック駆動歯175は、歯車モータのD字形出力シャフト233に滑り嵌めするようにD字形孔301を有することができる部分歯ピニオン300(
図11)の歯302によって駆動できる。
図3においては、歯車モータ230の前面フランジしか見えないが、これを所定の場所に保持するボルト234の1つを示す。平先端セットスクリュー313は部分歯ピニオン300を所定の場所に保持できるが、後に論じるように、部分歯ピニオン300は、歯車モータシャフト及びアウトリガー支持ベアリング(
図9参照)によって軸方向に拘束できる。本明細書において開示するように、歯車ピッチ及びピッチ直径によって決められる3つの歯302A、302B及び302Cは、ラックをいずれかの方向に所望の距離だけ駆動するために必要とされる。
【0059】
ロッド122上の後部カラー121は、固定Cクランプカラーとすることができるが、後退力を調節するために、医師がカラーを回してフランジ123に対するその軸方向の位置を調節できるようにシャフト上のネジ切りカラーとすることができる。この場合、リードキャップ112Aは、取外し可能であるか又は位置をダイアルするための突出部を有するネジ切りカラーとすることができる。
【0060】
前方及び後方インパクトにおいて、エネルギーは、フランジ123に衝突する前にシャトルが走行(即ち加速)する距離を変更することによって変更できる。したがって、バネ剛性(例えば、バネサイズ)は、これまでに必要とされたものの最大に固定でき、ブロー当たりのエネルギーは、シャトルキャビティ176内部のフランジ123の位置を変更することによって容易に調節できる。これによって、スリップクラッチ又はその他のエネルギー浪費要素ではないので、非常に丈夫な設計を得ることができる。
【0061】
モータギアボックス結合体(歯車モータ)、特に高比率を有するものは、非常に高いトルクを出力できる。多くの場合、このトルクは、結合要素によって別のシャフトへ伝達できる。ときには、歯車又は滑車は、歯車モータ出力シャフトに直接取り付けできる。しかし、本明細書において開示するように、駆動歯車(例えば部分歯ピニオン300)に対する衝撃荷重が突然に解放される可能性があり、歯車のピッチ半径で割った伝達されたトルクの等価半径荷重が、歯車モータ230の出力シャフト233に対する許容可能な半径荷重を上回る可能性がある。歯車がシャフト233に沿って離れるとき、問題は悪化する可能性がある。
【0062】
この問題の解決策は、
図9及び
図10に示すように、モノリシックのモータ取付ブロック150である。高品質の歯車モータ前面は、出力シャフト233を支持する内側ベアリングと同軸とすることができる精密ラウンド位置決めボスを有することができる。したがって、これらを取付けて、ボスは、精密アウトリガーベアリング280を配置できるモータ取付ブロック150の他方の側までシャトル170が通過する領域を横切って延びることができる精密孔153に滑り嵌めできる。位置決めボスのための孔直径は、直線孔作用が作られ、公差に合わせて孔をリーミングできるように、アウトリガーベアリング280に必要とされる孔153と同じとすることができる。したがって、整列は、あまり苦労せず10ミクロン以内の整列とすることができる。
【0063】
精密孔153が作られた構造体の中央領域において、一体的に形成された歯車シャフト構造体311上に部分歯ピニオン300を収容するキャビティを作ることができる。この歯車シャフト構造体311上で、歯車端(例えば、部分歯ピニオン300)において、直径は、カップリングの必要なくトルク伝達が得られるように、フラット、キー溝又はスプラインなどのシャフト特徴部を含む精密孔が、歯車モータシャフト233と噛み合うために充分な大きさにすることができる。シャフト構造体311の他方の端は、アウトリガーベアリング280の中へ嵌まるシャフト310を有することができる。2つのベアリング280を、付加的なモーメント支持及び剛性を与えるために使用できる。効果は、中間に歯車(例えば、部分歯ピニオン300)を有する支持されたシャフト(例えば、構造体311)であり、歯車歯(302B)接線力からの半径方向荷重並びに歯車歯分離力を、歯車モータシャフト支持ベアリングとアウトリガーベアリング280によって分担できることである。精密嵌合い及び整列は、このような配列によって得ることができ、これはモータ取付ブロック150のモノリシック構造によって可能になる。
【0064】
図9及び
図10に示すように、歯車歯の接線力及び分離力は、常に基本的に正味上向き方向に増すので、アウトリガーベアリングの孔153は、ファン形アクセス152を形成し、部分歯ピニオン300を所定の場所まで滑動できるようにするために、その下四半分を緩和することができる。孔153の中のスナップリング溝154は、孔153の中でベアリングを軸方向に保持するためにスナップリング281を保持でき、孔は、完全組立て機器においては、キャップ145によって被覆できる(
図1参照)。ボルト234を締め、歯車モータ230のギアヘッド232をハウジング149にしっかりと保持するために、上部アクセスポート155は、アクセスできるようになっている。このアクセスポートは、完全組立て機器においてキャップ146によって被覆できる(
図1参照)。孔235は、高い精密さのために一線上の孔となるように孔153と共線的かつ同じ直径とすることができる。したがって、歯車モータ前部ボス239は、上で論じたように同心的に精密に保持でき、歯車モータ230の精密な整列のために、製造者によって公差内に合わせられる。ボス239と同じ外径を有するようにアウトリガーベアリング280A及び280Bを選択することによって、10ミクロンオーダーの精密な位置合わせが可能であるため、部分歯ピニオンシャフト310がベアリング280の孔に嵌まり、部分歯ピニオンD字形孔301が歯車モータシャフト233上を滑動するときに、歯車モータ230のベアリングは、シャフト310のショルダ316に着座するアウトリガーベアリング280a及び280bによって過剰に拘束されない。その結果、歯車歯302に対する接線力及び歯車歯分離力による高い半径荷重は、歯車モータ230のベアリング及びアウトリガーベアリング280によって分担できる。
【0065】
本明細書において開示する円形歯車ラック歯175の場合、歯車ラック歯のクラウンは、不整列がないことを意味する。このクラウンは、駆動歯車と係合する従来のフラットフランク歯車ラック歯の場合より大きい接触応力を生じる可能性があるが、歯車歯強度だけではなく円形歯車歯ラック歯175との駆動歯車歯302の接触応力の計算を含むシステムの分析によって本明細書において開示するように処理できる。
【0066】
要素の長さ寸法は、機械的コイルバネに蓄積されるエネルギーを、バネの圧縮の二乗で変動できるようにする。したがって、バネの圧縮及び自由長さから開始する。繰り返しの圧縮によってバネに過度な応力が生じる可能性があるため、バネの圧縮された長さは、バネの固体高さではない。
【0067】
従って、駆動ロッド122の長さの計算によって、ユーザがツールを押したときに、駆動ロッド122の端部に取り付けられるツールホルダ114の後面は、システム外側チューブ111前部の前部エンドキャップ113と接触することができる。シャトル170がコックされたときに、その近位フランジ(例えばツールホルダ114に最も近い)内面がぴったり接触するか、又は、駆動歯車300がシャトル170を解放して発射する前に、もう少しだけ進まなければならないが、駆動ロッド122のインパクトフランジ123がすでにシャトル170の近位フランジ内面に接触している過剰拘束条件を防止するために、約1mmの公差クリアランスで、駆動ロッド120の中央インパクトフランジ123をシステム内に配置することができる。
【0068】
図17及び
図18は、2つのバネ560P及び560Dと、一体的歯車歯を有するシャトル区分570とを含むことができる、モノリシックバネ-シャトル構造体500を示す。バネは、560Pを時計回りに(CW)、560Dを反時計回りに(CCW)に機械加工できる。バネは、スチールロッド又はチューブからバネを機械加工することによって一体的にすることができる。円形ラック歯175は、シャトル区分570に機械加工できる。ツールを前方へ推し進めるための前方インパクト面は、シャトル500と一体とすることができるが、高い力容量スナップリングを使用することもできる。注文製造バネは、より大きい直径を持つことによって利点を与えることができ、多少短いバネを使用でき、バネ-シャトルチューブ110と噛み合うために必要とされるエンドキャップを組み込むこともできる。この例において、1つのバネ560を時計回りに、他方を反時計回りに加工できるため、外側チューブ111に取り付ける端部への正味トルクがあまり生じない。したがって、滑り又は摩耗を回避及び/又は減少できる。予荷重は、システムの外側チューブ111をシャトル500に被せて配置し、チューブの近位端をフランジ561に着座するときに得られる。シャトル500は、内部から(例えば拡張ツールを使用して)掴み、スナップリングが溝571の中へ嵌まるまで張力をかけて引っ張ることができる。シャトル区分570の前方(即ち、駆動)及び後方(即ち、後退)インパクト作動のための円形ラック歯車175P、175M、175D、175RP、175RM及び175RDの外径より2mmから3mm大きい直径とすることができるエンドボス562及び572によって、シャトル500は、外側ハウジングチューブ111の中で中心を維持できる。
【0069】
本明細書において開示するように、外科用二重バネインパクトツール1は、インパクト当たり最大約4ジュールの約6Hzインパクトを加えるように設計できる。
図1、
図2、
図4及び
図6に示すようなソフトブロークリップ444は、駆動バネの有効行程を減少することによって、インパクト力を下げることができる単純な力制御機構を与えることができる。
【0070】
図19を参照すると、連続的可変力制御機構600は、エンドキャップ112Aの代わりに外側チューブ111の後端に取り付けられた、ハンドル606の中に受け入れられたシャフトヘリックス602及びヨーク604を含むことができる(
図21参照)。シャフトヘリックス602は、回転しないように固定できる駆動シャフト122の後面に取り付けできる(セットスクリューなどによって)。
図20に示すように、シャフトヘリックス602は、力制御ハンドル606と相互作用する螺旋面をそれぞれ有する1対のヘリックス608を含むことができる。2つのヘリックス608を使用することによって、噛合いヘリックスによるインパクトの間における駆動シャフトへの側方負荷を排除できる。外科用二重バネインパクトツール1によって与えられるインパクト力の範囲は、ヘリックス608の勾配及びハンドル606の回転角度によって決めることができる。最大力の50%の選ばれた形状を与えるために、ヘリックスは、112度の回転で6mmのライズを有することができるが、他の設計も他のライズ量で実現できる。
【0071】
図22に示すように、ハンドル606は、シャフトヘリックス602のヘリックス608と噛み合う1対の噛合いヘリックス610をハンドル606の内部に含むことができる。ハンドル606を回すと、駆動シャフト122を前方へ変位でき、シャトル170がインパクトフランジ123に衝突するまでの駆動シャフト122の行程を減少し、それによってツール頭部へ伝達される力を減少できる。このことは、制御ハンドル606がインパクトの間に、負荷の一部を受けることができることを意味する。Oリング612は、ほぼ円周をハンドル606の前縁に沿って配置でき、高圧滅菌のために力制御機構600を密閉できる。Oリング612は、また、インパクト変位に対抗するダンピング及び摩擦トルクも与えることができる。デテント614は、外周に近接してハンドル606の内面に設けることができる。
【0072】
図19に示すように、ヨーク604は、ハンドル606を越えて延びて外側チューブ111の噛合いフランジ618に着座するフランジ616を含むことができる。
図23に示すように、ヨークは、ハンドル606の中まで延びるアーム構造体620を含むことができ、
図24に示すようにバネ式ボールベアリング624を支持するための開口622を含むことができる。ヨーク604は、外側チューブ111に対して固定でき、バネ式ボールベアリング624は、ハンドル606の内部でデテント614と相互作用できる。ヨーク604は、外側チューブ111へのハンドル606の取付けを可能にする。
【0073】
図24は、シャフトインパクト力と所望の力制御設定を維持する際に関わる変数との間の一般化された関係を示す。
図24において、ヘリックス608は、高さH及びヘリックス608円周の変位距離に等しい底πRω/180を有する二次元傾斜として処理できる。ここで、Rは、半径(ヘリックスの接触の平均半径中心まで計測)であり、ωは、角度で計測したハンドルの回転である。
【0074】
システムの他の要素は、医師が望む力設定をツールの6Hzインパクトより下に維持できるOリング612及びバネ式ボールベアリングデテント614/624を含むことができる。
【0075】
図24を参照すると、x軸方向の力の合計、即ち、シャフトインパクトによって生成された半径方向の力は、1)へリックスの内部摩擦、2)Oリングによって課された摩擦、及び、3)ボールベアリングデテント614/624を変位するために必要な力、によって対抗することができ、下記のように集約される:
Σ(x): F
shaft(x)=F
o-ring+F
helix+F
detent (式1)
【0076】
各項を別個に分析すると、
Fshaft(x).=FshaftsinΘ=Fshaft*180H/πRω (式2)
Fo-ring=μo-ringFshaft (式3)
Fhelix=(摩擦のX方向成分)=NμhelixcosΘ (式4)
【0077】
Fdetentは、デテントの評価を必要とし得る。
【0078】
図25を参照すると、F
detentを見出すために、一次的な内部変数F
ballを導入することができ、
F
ball,=ボールに加える力
=F
shaft(x)-F
o-ring-F
helix (式5)
である。
【0079】
トルク分析は、以下の場合に、ボールベアリングがキャビティから押し出されることを示す。
Fballh>Fspring rcosφ (式6)
Fballh>KX rcosφ (式7)
【0080】
ここで、Kはバネ定数であり、Xは予荷重距離である。
【0081】
一時的な内部変数Fballを消去するために式を解くと、以下の関係に従って、デテントボール624は、デテント614から押し出される。
(Fshaft 180H/πRω-μo-ring Fshaft
-Nμhelix cosΘ)h>KXr cosφ (式8)
【0082】
上記の分析は、二次元表示である。長軸に沿って見ると、4つの項が実際には3つの異なる半径において生じることは明らかである。
図26を参照すると、ヘリックス608/610の間のシャフト力及び摩擦係合はRに生じ、Oリング612の摩擦力はR
o-ringに生じ、デテントの力はR
dに生じる。この設計の態様は、Oリング及びデテント力の両方が、半径の約半分で加えられる、駆動シャフトによって加えられる力よりも顕著な機械的利点を有することができる。このことは、上記の式7に加えて、Oリング612及びデテント614/624が感じる力に対する、ドライバによってヘリックス608/610を通じて加えられる力の間の比率が、それぞれR/R
o及びR/R
dだけ減少することを意味する。
【0083】
数式
(Fshaft 180H/πRω-μo-ring Fshaft
-Nμhelix cosΘ)h>KXr cosφ (式9)は、
【0084】
設定を変更するためにインパクトが繰り返されるとしても、力設定を確実に保持するために、設計者が下記の変数を使用できることを証明する。
【0085】
直交図で示される異なる半径に関して、設計は、Oリング612及びデテント614/624を可能な限り中心から離して配置して、駆動ロッドからのインパクトがデテント614/624を解除する可能性を小さくして、Oリング612によって与えられる相対力を増加するといった機械的利点を与える。設計者は、設計目的を与えるために、いずれかの分析を単独で又は組み合わせて使用できる。
【0086】
(注記)
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を成す添付図面の参照を含む。図面は、本発明を実施できる具体的実施形態を例として示す。これらの実施形態を、本明細書においては「実施例」とも呼ぶ。これらの実施例は、図示する又は説明する要素に加えて他の要素を含むことができる。しかし、当該発明者は、図示又は説明する要素のみを含む実施例も想定する。さらに、当該発明者は、特定の実施例(又はその1つ又は複数の形態)に関してあるいは図示する又は本明細書において説明する他の実施例(又はその1つ又は複数の形態)に関して、図示又は説明する要素(又はその1つ又は複数の形態)の任意の組合せ又は置換を使用する実施例も想定する。
【0087】
本文献と参照により援用される文献との間に矛盾する使用がある場合、本文献の使用が優先する。
【0088】
本文献において、単数冠詞は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数」の他の事例又は使用とは別に、1つ又は1つを超える数を含むものとして使用する。本文献において、「又は」は、特に指示されない限り、非排他性を意味するようにすなわち「A又はB」が「BではなくA」、「AではなくB」及び「A及びB」を含むように使用される。本文献において、「含む(including)」及び「そこで(in which)」は、それぞれ「備える(comprising)」及び「そこにおいて(in which)」の平易な英語の同義語として使用する。また、以下の請求項において、「含む」及び「備える」は、制限がない、即ち、請求項においてこの用語の後に列記される要素に加えて他の要素を含むシステム、機器、品目、組成、公式又はプロセスも、その請求項の範囲内にあると見なされる。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」及び「第3」は、単なる符号として使用しており、その対象に数値的要件を課すことを意図しない。
【0089】
上記の説明は、制約的ではなく例示的であることを意図する。例えば、上述の実施例(又はその1つ又は複数の形態)は、相互に組み合わせて使用できる。他の実施形態は、上記の説明を読めば当業者などによって使用できる。「要約」は、読み手が技術的開示の性質を速やかに確認できるようにするために連邦規則集37巻§1.72(b)に準拠して提出する。要約は、請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないと言う了解のもとに提供する。又、上記の「詳細な説明(発明を実施するための形態)」において、様々な特徴は、開示を簡潔化するためにグループ化する場合がある。これは、請求せず開示する特徴が請求にとって必須であることを意図するものとして、解釈されるべきではない。むしろ、発明の内容は、特定の開示される実施形態の特徴の全てに満たないものであり得る。したがって、以下の請求項は、実施例又は実施形態として「詳細な説明」に援用され、各請求項は、別個の実施形態として独立し、このような実施形態は、様々な組合せ又は置換で相互に組み合わせることができるものと想定される。本発明の範囲は、請求が権利を有する同等物の全範囲と一緒に請求項を参照して決定すべきである。
【国際調査報告】