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特表2024-508005流体バーナヘッドおよび流体バーナヘッドの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】流体バーナヘッドおよび流体バーナヘッドの使用
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/48 20060101AFI20240214BHJP
   F23D 14/70 20060101ALI20240214BHJP
   F23D 14/22 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F23D14/48 Z
F23D14/70 Z
F23D14/22 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552341
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2022056856
(87)【国際公開番号】W WO2022200150
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21164574.2
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラース・スキュッテ・ヨルゲンセン
【テーマコード(参考)】
3K017
3K019
【Fターム(参考)】
3K017CB01
3K017DD04
3K019BA01
3K019BD05
3K019BD10
(57)【要約】
流体燃焼ユニット(1)用の流体バーナヘッド(9)、および流体燃焼ユニット(1)における流体バーナヘッド(9)の使用を提供する。流体バーナヘッド(9)は本体(11)を備え、本体は燃焼すべき流体を燃焼室(5)に運ぶための中空管(13)、管(13)の上端(25)を少なくとも部分的に閉じるキャップ(15)を備える。管(13)の壁(17)は、穴(27)の複数の列(29)を備え、列(29)は、流体バーナヘッド(9)の長手方向中心軸(C)の周りに延びる。穴(27)は、管(13)の内部(49)から外部(51)への流体の流れの燃焼を可能にする。流体バーナヘッド(9)は、流体バーナヘッド(9)の長手方向中心軸(C)の周りに延びる環状の第1の突起(39)をさらに備えることを特徴とする。第1の突起(39)は、管(13)の穴(27)の最上列(29a)の上に、流体バーナヘッド(9)の長手方向中心軸(C)に対して角度αを有して、本体(11)の外面(43)から斜め上方に突出しており、0<α<90度である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼される流体を燃焼室(5)に運ぶための中空管(13)と、前記管(13)の上端(25)を少なくとも部分的に閉じるキャップ(15)と、を含む本体(11)を含む流体燃焼ユニット(1)用の流体バーナヘッド(9)であって、前記管(13)は、前記管(13)内に前記流体を受け入れるための下端(19)と、複数の列(29)の穴(27)を含み、前記列(29)は、前記流体バーナヘッド(9)の長手方向中心軸(C)の周りに延びる前記管(13)の壁(17)と、をさらに含み、前記穴(27)は、前記管(13)の内部(49)から外部(51)への前記燃焼される流体の流れを可能にし、前記流体バーナヘッド(9)は、環状の第1の突起(39)であって、前記流体バーナヘッド(9)の前記長手方向中心軸(C)の周りに延び、前記本体(11)の外面(43)から、前記管(13)の前記下端(19)から離れる方へ、前記流体バーナヘッド(9)の前記長手方向中心軸(C)に対して角度αで、前記管(13)の穴(27)の最上列(29a)の上に斜めに突出する環状の第1の突起(39)をさらに含み、0<α<90度であり、穴(27)の前記最上列(29a)は、前記キャップ(15)の最も近くに配置されている穴(27)の列であることを特徴とする、流体バーナヘッド(9)。
【請求項2】
前記管(13)と前記キャップ(15)が別々に形成されている、請求項1に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項3】
前記キャップ(15)と前記管(13)が異なる材料で作られている、請求項1または2に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項4】
前記第1の突起(39)は、前記管(13)と前記キャップ(15)との間の境界(45)で前記本体(11)の前記外面(43)から突出している、請求項1から3のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項5】
前記管(13)と前記第1の突起(39)が別々に形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項6】
前記穴(27)を含む前記管(13)の上部(23)は、前記流体バーナヘッド(9)の前記長手方向中心軸(C)に沿って実質的に均一な断面を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項7】
前記流体バーナヘッド(9)の前記長手方向中心軸(C)の周りに延びる環状支持体(37)をさらに含み、前記支持体(37)は、前記第1の突起(39)に接続され、前記流体バーナヘッド(9)の前記本体(11)と係合して、前記第1の突起(39)を前記本体(11)に固定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項8】
前記流体バーナヘッド(9)の前記長手方向中心軸(C)の周りに延び、前記本体(11)の前記外面(43)から、前記管(13)の穴(27)の前記最上列(29a)と前記第1の突起(39)との間に突出する環状の第2の突起(41)をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項9】
前記第2の突起(41)は、前記管(13)の外面(47)から突出している、請求項8に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項10】
前記流体バーナヘッド(9)の前記長手方向中心軸(C)の周りに延びる環状支持体(37)をさらに含み、前記支持体(37)は、前記第1および第2の突起(39、41)に接続され、前記流体バーナヘッド(9)の前記本体(11)と係合して、前記第1および第2の突起(39、41)を前記本体(11)に固定する、請求項8または9に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項11】
前記支持体(37)が前記キャップ(15)と前記管(13)との間にクランプされている、請求項7または10のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項12】
前記キャップ(15)が上部(31)および底部(33)を含み、前記底部(33)が前記管(13)内に突出している、請求項1から11のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項13】
前記底部(33)は、前記キャップ(15)の前記上部(31)から離れる方向に先細になっている部分を含む、請求項12に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項14】
前記キャップ(15)の前記上部(31)の外周が前記管(13)の内周よりも大きい、請求項12または13に記載の流体バーナヘッド(9)。
【請求項15】
船に搭載された燃料タンクからのボイルオフガスを燃焼させるための流体燃焼ユニット(1)における、請求項1から14のいずれか一項に記載の流体バーナヘッド(9)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体燃焼ユニット用の流体バーナヘッド、およびその設計に関する。本発明はまた、船に搭載された燃料タンクからのボイルオフガスを燃焼させるための流体燃焼ユニットにおけるそのような流体バーナヘッドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な状況において、ガスまたはガスと液体の混合物などの流体の燃焼が必要となることがある。例えば、ガス燃焼ユニットは、典型的には、LNG運搬船、すなわち液化天然ガス(LNG)を輸送するように配置されたタンク船に搭載される。気化温度が大気圧で-160℃のLNGは、タンクに含まれている。これらのタンクが断熱されていても、LNGの蒸発が必然的に起こり、いわゆるボイルオフガスを形成する。このボイルオフガスはタンク内の圧力を増加させ、安全のためにタンクから排出する必要がある。タンクから取り出されたボイルオフガスは、再液化してタンクに戻し、LNG運搬船に搭載された燃料として使用するか、ガス燃焼ユニットによって燃焼させることができる。
【0003】
ガス燃焼ユニットは、典型的には、燃焼室内に延びるガスバーナヘッドを含み得る。燃焼されるガスは、ガスバーナヘッドを介して燃焼室に供給され、そこで点火および燃焼される。既知のガスバーナヘッドは、キャップによって閉じられた端を有する穿孔管を含む。ガスは管を通って運ばれ、管の穿孔を通して燃焼室に運ばれ、そこで燃焼が火炎の中で起こる。ガス圧力が比較的高い場合、ガスは高速で穿孔を通って供給され、ガスバーナヘッドからある程度の距離で火炎が発生する。さらに、管内のガス流はガスバーナヘッドを冷却する。その結果、ガスバーナヘッドの温度は、ガスバーナヘッドの損傷を避けるために十分に低く保たれる。しかし、ガス圧力が比較的低い場合、ガスは低速で穿孔を通って供給され、その結果、ガスバーナヘッドにより近い火炎が生じる。また、管内のガス流によるガスバーナヘッドの冷却が低減される。これにより、ガスバーナヘッド内の温度が非常に高くなり、通常は管の閉じた端に近い領域でガスバーナヘッドが損傷し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に解決する流体バーナヘッドおよび流体バーナヘッドの使用を提供することである。本発明の基本的な概念は、流体バーナヘッドに、燃焼させる流体、したがって燃焼火炎を、強制的に流体バーナヘッドからさらに離すための手段を設けることである。上記の目的を達成するための流体バーナヘッド、および流体バーナヘッドの使用は、添付の特許請求の範囲で定義され、以下で論じられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による流体燃焼ユニット用の流体バーナヘッドは、本体を備える。本体は、燃焼される流体を燃焼室に運ぶための中空の管またはパイプと、管の上端を少なくとも部分的に閉じるキャップとを備える。管は、管内、すなわち管の内部に流体を受け入れるための下端をさらに備える。管の壁は、複数の列の穴を含み、その列は、流体バーナヘッドの長手方向中心軸の周りに延びる。穴は、管の内部から外部への、すなわち管の壁を通る、燃焼される流体の流れを可能にする。流体バーナヘッドは、流体バーナヘッドの長手方向中心軸の周りに延びる環状の第1の突起または突出部をさらに備えることを特徴とする。第1の突起は、本体の外面から斜めに、管の下端から離れる方向、すなわち上方に、管の穴の最上列の上に、流体バーナヘッドの長手方向中心軸に対して角度αで突出し、ここで0<α<90度である。穴の最上列は、キャップの最も近くに配置されている穴の列である。
【0006】
第1の突起は、対向する第1および第2の縁を含み得る。第1および第2の縁は、環状であり、互いに沿って延びることができる。第1の突起は、直接的または間接的に、第1の縁で、第1の縁に沿って本体と係合することができ、第2の縁は自由であり得る。
【0007】
本明細書では、「燃焼」および「燃焼」ならびにそれらの変形が使用され、同じ意味を有することが意図されている。
【0008】
流体は、ガスまたはガスと液体の混合物であり得る。一例として、流体は、メタンまたはメタンと窒素の混合物などのLNGタンクからのボイルオフガスであり得る。
【0009】
管は、円筒形に形成されたメッシュを含むことができる。
【0010】
管は穿孔管であり、開口部は管の穿孔であり得る。
【0011】
管は、細長いものであってよく、任意の適切な壁厚を有し、円形、楕円形または多角形などの任意の適切な断面を有していてもよい。
【0012】
管は、金属、例えば炭素鋼、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの任意の適切な材料で作製することができる。
【0013】
流体バーナヘッドの長手方向中心軸は、管の長手方向中心軸と一致し得る。
【0014】
ここでの複数列とは、2つ以上の列を意味する。
【0015】
管の穴、開口部、アパーチャまたは穿孔は、すべてが同じサイズおよび/または形状を有しても有さなくともよく、それらは、円形、楕円形または多角形などの任意の適切なサイズおよび形状を有し得る。また、穴は等距離に配置されていてもいなくてもよい。
【0016】
「環状」は、円形の長手方向の広がりを意味する必要はなく、楕円形または多角形の広がりなどの任意の閉じた長手方向の広がりを意味する場合がある。
【0017】
本明細書で、「上」、「最上」、「下」、「最下」、「上方」、「下方」等は、流体バーナヘッドが通常の使用状態に向けられている場合の流体バーナヘッドに対する言及である。さらに、「最上」/「最下」とは、地面または流体バーナヘッドを含む流体燃焼ユニットが配置される表面から最も遠い/最も近い場所に配置されることを意味する。
【0018】
上記のように、キャップは管の上端を少なくとも部分的に閉じる。ここで、部分的にのみ閉じた上端は、例えば、ガスが管内からその外側に、キャップの開口部を通って、または管とキャップとの間に通過することが可能であることを意味し得る。
【0019】
第1の突起は、その長手方向の広がりに沿って、均一な断面、例えば一定の幅および/または厚さを有していてもいなくてもよい。一例として、第1の突起はスカートまたはフランジとして形成することができる。長手方向の広がりの1つまたは複数の部分に沿って幅および厚さがゼロである場合、第1の突起は不連続であると見なされることがある。
【0020】
第1の突起は、流体が比較的低速で管の穴を通って供給される場合にも、流体バーナヘッドの温度を低下させ、それにより、流体バーナヘッドが損傷するリスクを低下させるために、流体を強制的に流体バーナヘッドから遠ざけて燃焼させるように配置される。
【0021】
管とキャップとを一体的に形成してもよい。しかし、本発明の一実施形態によれば、管とキャップは別々に形成される。これにより、必要に応じて管とキャップを互いに独立して交換することができる。
【0022】
管とキャップは同じ材料で作製することができる。しかし、本発明の一実施形態によれば、キャップと管は異なる材料でできている。これにより、流体バーナヘッドのより柔軟な構造が可能になる場合がある。キャップは、耐火コンクリートまたは金属、例えば炭素鋼、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの任意の適切な材料で作製することができる。
【0023】
第1の突起は、管の穴の最上列と流体バーナヘッドの上端との間の任意の場所に配置され得る。しかし、本発明の一実施形態によれば、第1の突起は、管とキャップとの間の境界で本体の外面から突出している。第1の突起が所定の位置にない場合、管とキャップの境界の局所的な温度は比較的高くなる傾向がある。したがって、第1の突起を管キャップ境界に配置することによって、流体バーナヘッドへの損傷のリスクを最小限に抑えることができる。
【0024】
流体バーナヘッドは、管と第1の突起が別々に形成されるように構成されてもよい。これにより、第1の突起が摩耗すると、管と場合によってはキャップを廃棄することなく、新しい突起と交換できる。
【0025】
管は、その長手方向中心軸に沿って変化する断面を有し得る。しかし、本発明の一実施形態によれば、穴を含む管の上部は、流体バーナヘッドの長手方向中心軸に沿って実質的に均一な断面を有する。これにより、流体バーナヘッドの製造が容易になり得る。
【0026】
流体バーナヘッドは、流体バーナヘッドの長手方向中心軸の周りに延びる環状支持体をさらに含み得る。支持体は、第1の突起に接続され、流体バーナヘッドの本体と係合して、第1の突起を本体に固定することができる。そのような設計は、本体上の第1の突起の配置を容易にすることができる。第1の突起と同様に、支持体は、その長手方向の広がりに沿って均一な断面を有していてもいなくてもよく、また連続的であっても不連続的であってもよい。
【0027】
流体バーナヘッドは、流体バーナヘッドの長手方向中心軸の周りに延びる環状の第2の突起をさらに含み得る。第2の突起は、管の穴の最上列と第1の突起との間に本体の外面から突出することができる。第1の突起は、第2の突起を超えて突出する場合とそうでない場合がある。第2の突起は、流体が比較的低速で管の穴を通って供給される場合にも、流体バーナヘッドの温度をさらに低下させ、それにより、流体バーナヘッドが損傷するリスクをさらに低下させるために、流体を強制的に流体バーナヘッドから遠ざけて燃焼させるのに役立ち得る。
【0028】
第2の突起は、管の外面から突出して、管の温度が比較的高くなる傾向がある領域で局所的に管を遮蔽することができる。これにより、管の損傷のリスクを最小限に抑えることができる。
【0029】
上記のように、流体バーナヘッドは、流体バーナヘッドの長手方向中心軸の周りに延びる環状支持体を含み得る。支持体は、第1の突起と第2の突起の両方に接続され、流体バーナヘッドの本体と係合して、第1および第2の突起を本体に固定することができる。
【0030】
支持体が第1の突起のみに接続されているか、または第2の突起にも接続されているかに関係なく、支持体は本体とさまざまな方法で係合し得る。一例として、摩擦によって所定の位置にとどまるように、しっかりと嵌めて本体にねじ込むことができる。しかし、本発明の一実施形態によれば、支持体は、キャップと管との間にクランプされる。それにより、支持体と流体バーナヘッドの本体との間の確実な係合とともに、第1の突起の正確な位置、および場合によっては第2の突起の正確な位置も可能にすることができる。
【0031】
キャップはさまざまな方法で設計できる。本発明の一実施形態によれば、それは上部および底部を含み、底部は管内に突出している。これにより、キャップと管との間の安全で正確な係合が可能になる。
【0032】
キャップの底部は、キャップの上部から離れる方向に先細になっている部分を含み得る。例えば、底部は円錐形であり、場合によっては円錐台である。これにより、管の長手方向中心軸に垂直な管内の流れ領域が生じ得、キャップに向かう方向、すなわち管の上端に向かって減少する。次に、これにより、管内の流体流速が、キャップに向かう方向、すなわち管の上端に向かって増加し得る。その結果、この設計により、管の上部穴を通って供給される流体、ひいては燃焼火炎を強制して流体バーナヘッドからさらに離れることを可能にすることができる。これにより、特に流体が比較的低圧で管を通して供給される場合に、流体バーナヘッドの温度をさらに低下させ、流体バーナヘッドの損傷のリスクをさらに低下させることを可能にすることができる。
【0033】
流体バーナヘッドは、キャップの上部の外周が管の内周よりも大きくなるように設計することができる。これにより、キャップの上部が管内に受け取られるのを防ぎ、キャップと管との間の正確かつ安全な係合を可能にすることができる。
【0034】
本発明に係る流体バーナヘッドは、船舶に搭載された燃料タンクからのボイルオフガスを燃焼させるための流体燃焼ユニットに使用することができる。
【0035】
本発明による流体バーナヘッドの異なる実施形態の上記で論じられた利点は、本発明による使用の異なる実施形態に当然に移すことが可能である。
【0036】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明および図面から現れるであろう。
【0037】
次に、本発明を、添付の概略図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】流体燃焼ユニットの断面を概略的に示す。
図2図1の流体燃焼ユニットの流体バーナヘッドの概略斜視図である。
図3図2の流体バーナヘッドの概略側面図である。
図4図2の流体バーナヘッドの概略断面図である。
図5図4の断面の一部の拡大図である。
図6a図2の流体バーナヘッドの配置の概略側面図である。
図6b図6aの配置の概略上面図であり、
図6c図6aの配置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、流体燃焼ユニット1、より具体的にはガス燃焼ユニットが示されている。流体またはガス燃焼ユニット1は、船舶の1つまたは複数のLNGタンクからのボイルオフガスを燃焼させるために、船舶(図示せず)、より具体的にはLNG運搬船に搭載されて配置されている。流体燃焼ユニット1は、流体バーナシステム3、空気供給システム(図示せず)、燃焼室5、およびスタック7を備える。LNGタンクからのボイルオフガスは、流体バーナシステム3に供給され、さらに燃焼室5に供給され、そこで点火および燃焼される。燃焼生成物は、燃焼室5を出て、スタック7内の冷気と混合されてから、流体燃焼ユニット1を出る。流体燃焼ユニットの構造および機能は当技術分野で周知であり、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。
【0040】
流体バーナシステム3は、流体バーナヘッド9、より具体的にはガスバーナヘッドを含み、これは、図2~6にさらに詳細に示されている。流体バーナヘッド9は、本体11を含み、本体11は、中空の細長いステンレス鋼管13と耐火コンクリートの固体キャップ15とを含む。管13およびキャップ15は、流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cに沿って見られるように、円形の外周を有する別個の分離可能な要素である。
【0041】
管13は、流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cに沿って、およびその周りに均一な厚さの壁17を有する。図4を参照すると、それは、長手方向中心軸Cに沿って連続して配置された下端19、下部21、上部23および上端25を備える。管13の上部23は、管13の壁17を貫通して延びる多数の円形の穴27を備える。穴27は、列29に等距離に配置されている。穴27の列29は互いに平行であり、流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cの周りで等距離に延びる。
【0042】
図5を参照すると、キャップ15は、流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cに対して同心円状に配置された上部31および底部33を備える。キャップ15の上下部31、33の境目が破線で示されている。上部31は、長手方向中心軸Cに沿った一定の断面を有する円板の基本形状を有する。底部は、キャップ15の上部31から離れる方向に長手方向中心軸Cに沿って減少する円形断面を有する円錐台の基本形状を有する。底部33の最大断面は、上部31の断面よりも小さい。
【0043】
図面、特に図5から明らかなように、キャップ15は、管13の上端25を閉じる。キャップ15の底部33は、管13の内周よりも小さい最大の円周を有し、管13の内部に収容される。キャップ15の上部31は、管13の外周と実質的に等しく、管13の内周よりも大きい円周を有する。キャップ15の上部31は、管13の外側に配置され、管13の上端25を規定するその環状縁に隣接している。管13とキャップ15との上記規定の相対寸法により、キャップ15の底部33と管13との間に環状溝35が形成されている。
【0044】
図5および図6a~cを参照すると、流体バーナヘッド9は、ステンレス鋼の平坦な円形リングの形態の環状支持体37と、ステンレス鋼の円形に延びるスカートの形態の環状の第1の突起39と、円形の断面を有する非常に短い管の形態でステンレス鋼製の環状の第2の突起41とをさらに備える。支持体37、第1の突起39および第2の突起41は、流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cに対して同心円状に配置されている。第1の突起39は、支持体37の外縁から上方および外側に突出し、一方、第2の突起は、支持体37の外縁から下方に突出する。支持体37、第1の突起39および第2の突起41は、流体バーナヘッド9の本体11と協働するように設計された配置に一体的に形成されている。より具体的には、支持体37は、本体11の外面43から突出する第1および第2の突起39および41を用いて、管13とキャップ15との間に配置およびクランプされる(図3)。第1の突起39は、互いに延びる環状の第1および第2の長手方向の縁39aおよび39bを有する(図6a)。第1の突起39は、第2の縁39bが自由である間、第1の縁39aで、かつ第1の縁39aに沿って、間接的に、より具体的には支持体37を介して、本体11と係合する。第2の突起41は、互いに延びる環状の第1および第2の長手方向の縁41aおよび41bを有する(図6b)。第2の突起41は、本体11を取り囲み、その内側は、第1および第2の縁41aおよび41bの間で本体11の外面43に接触する。管13とキャップ15は、図面に示されていない要素によって接続されている。これにより、支持体37と第1および第2の突起39および41は、管13とキャップ15との間の境界45において流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cの周りに延び(図5)、すなわち、穴27の列29の最上列29aの上である(図3)。さらに、図5および図6cを特に参照すると、支持体37は、第1の突起39が流体バーナヘッド9の長手方向中心軸Cに対して角度α=30度で斜め上方に突出するように、管13とキャップ15との間にクランプされ、一方、第2の突起41は、管13の最上部を囲むように管13の外面47から下方に突出している。
【0045】
流体バーナヘッド9は、燃焼されるボイルオフガスを流体燃焼ユニット1の燃焼室5に運ぶように配置されている(図1)。より具体的には、図4を参照すると、ボイルオフガスは、管13の下端19を介して流体バーナヘッド9の管13の内部49に、次に、管13の下部21を通って上方に、次に管13の上部23に入り、さらに管壁17の穴27を通って管13の外部51に至り、したがって燃焼室5に入って(図1)供給されるように配置される。燃焼室5の内部では、前述のように、ボイルオフガスが点火され、火炎で燃焼される。第1および第2の突起39、41は、流体バーナヘッドの温度が管13の溶融損傷およびキャップ15の亀裂損傷を避けるのに十分低く保たれるように、ボイルオフガス、ひいては燃焼火炎を流体バーナヘッドの本体11から強制的に遠ざけるように配置され、たとえ穴27を通るボイルオフガスの圧力およびボイルオフガスの速度が比較的低い場合でも同様である。キャップ15の底部33の円錐台形状は、管13の上端25に近い穴27を通るボイルオフガスの速度を速め、本体11の温度の低下を助け、したがって本体11への損傷を最小限に抑えるように配置されている。第1および第2の突起39および41は、流体バーナヘッド9の本体11を保護および遮蔽し、過酷な環境にさらされる。第1および第2の突起39および41が損傷した場合、支持体37および第1および第2の突起39および41で構成される配置は新しいものと交換することができ、一方、管13およびキャップ15はさらに使用されてよい。
【0046】
本発明の上記の実施形態は、例としてのみ見なされるべきである。当業者は、説明された実施形態が、本発明の概念から逸脱することなく、いくつかの方法で変化することができることを認識している。
【0047】
一例として、流体バーナヘッドは、第2の突起を含む必要はなく、第1の突起のみを含むことができる。
【0048】
別の例として、流体バーナヘッドは、第1の突起、および場合によっては第2の突起を流体バーナヘッドの本体に固定するための支持体を備える必要はない。代わりに、第1の突起、および場合によっては第2の突起を、流体バーナヘッドの本体に直接固定することができる。
【0049】
さらに別の例として、支持体は、管とキャップとの間にクランプされることによって、流体バーナヘッドの本体に固定される必要はない。本発明の代替実施形態では、支持体は、摩擦によって所定の位置にとどまるようにしっかりと嵌められるように、管および/またはキャップの外側に配置することができる。したがって、第1および第2の突起は、管とキャップとの間の境界に配置される必要はない。
【0050】
第1および第2の突起は、管およびキャップから分離して形成する必要はなく、管および/またはキャップと一体的に形成することができる。このような設計は、第1および第2の突起、ならびに存在する場合は支持体のみを、これらが損傷している場合に交換する可能性を損ない得る。
【0051】
第1の突起と流体バーナヘッドの長手方向中心軸との間の角度αは、上記の値を有する必要はなく、より大きくても小さくてもよい。
【0052】
管とキャップは別々に形成して異なる材料で作る必要はなく、代わりに一体的に形成および/または同じ材料で作ることができる。
【0053】
本発明に関連しない詳細の説明は省略されており、図は単なる概略図であり、縮尺に従って描かれていないことを強調しておく必要がある。また、一部の図は他よりも簡略化されたものもあることも言っておく必要がある。したがって、一部の構成要素は1つの図で示されているが、別の図では省略されている場合がある。最後に、本明細書で使用される場合、接頭辞「第1」、「第2」などは、異なる構成要素を区別するためにのみ使用され、相対的な位置または向きに関する要件を示さない。
【符号の説明】
【0054】
1 流体燃焼ユニット
3 流体バーナシステム
5 燃焼室
13 管
15 キャップ
17 壁
19 下端
21 下部
23 上部
25 上端
27 穴
29 列
33 底部
37 支持体
39 第1の突起
39a 第1の縁
39b 第2の縁
41 第2の突起
47 外面
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
【国際調査報告】