(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】トレンチ壁切削装置及び地盤内切削トレンチ切削作成方法
(51)【国際特許分類】
E02F 5/02 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
E02F5/02 Z
E02F5/02 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553112
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022053737
(87)【国際公開番号】W WO2022184429
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンケンツェラー シュテファン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】バイクスラー レオンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ロート シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブラット アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーデンマン ウーリ
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1個の切削フレームユニット、並びにその切削フレームユニットの長手方向に沿い配置された少なくとも2個の切削輪を有し、略鉛直なトレンチを地盤内に切削作成しうるよう設計されたダイアフラム壁カッタを備え、トレンチを生成すべくダイアフラム壁カッタを切削ポジションにて懸架し略鉛直な切削方向に沿い動かす搬送構造をも備え、更に切削方向に対し横を向いている送り方向に沿いダイアフラム壁カッタを送る送り装置を備える、ダイアフラム壁切削リグに関する。本発明によれば、2個の切削輪と併せ少なくとも1個の切削フレームユニットを横向きな送りポジションにて送るよう設計された送り装置が設けられ、そのポジションではその切削フレームユニットの長手方向がその送り方向に対し平行な向きとされ、且つ、切削輪を伴う切削フレームユニットを横向きな送りポジションから略鉛直な切削ポジションへと旋回させることを可能にする旋回装置が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチ壁切削装置であり、
少なくとも1個の切削フレームユニット(32)、並びにその切削フレームユニット(32)の長手方向に沿い配置された少なくとも2個の切削輪(40)を備え、略鉛直な切削トレンチを地盤(6)内に切削作成すべく構成されているトレンチカッタ(30)と、
前記切削トレンチを生成すべく、前記トレンチカッタ(30)を切削ポジションにて懸架し略鉛直な切削方向に沿い動かす支持構造(12)と、
前記切削方向に対し横を向いている送り方向に沿い前記トレンチカッタ(30)を送る送り装置(14)と、
を備えるトレンチ壁切削装置であって、
前記送り装置(14)が、前記2個の切削輪(40)と併せ前記少なくとも1個の切削フレームユニット(32)を横向きな送りポジションにて送るよう構成されていること、その際にその切削フレームユニット(32)の長手方向がその送り方向に対し平行な向きであること、並びに
前記切削輪(40)と併せ前記切削フレームユニット(32)を前記横向きな送りポジションから略鉛直な前記切削ポジションへと旋回させうる旋回装置(20)が設けられていること、
を特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項2】
請求項1に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記送り装置(14)が少なくとも1本のレール(15)を備え、そのレールに沿って前記少なくとも1個の切削フレームユニット(32)を変位させうることを、特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項3】
請求項1又は2に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記トレンチカッタ(30)が1個の切削フレームユニット(32)により形成されており、その切削フレームユニット上に前記切削輪(40)が実装されていることを、特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項4】
請求項1~3のうち何れか一項に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記旋回装置(20)が前記送り装置(14)及び/又は前記支持構造(12)上に配置されていることを特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項5】
請求項1、2及び4のうち何れか一項に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記トレンチカッタ(30)を形成するための切削フレームユニット(32)が複数個設けられ、前記切削輪(40)がある切削フレームユニット(32)上に実装されるのに加え、その切削フレームユニットに少なくとも1個の更なる切削フレームユニット(32)が着脱自在に装着されていることを、特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項6】
請求項5に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記切削フレームユニット(32)が、少なくとも1個の旋回ジョイント(34)を介し、自身に隣り合う切削フレームユニット(32)に連結されていることを、特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項7】
請求項5又は6に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記切削輪(40)を伴う第1切削フレームユニット(32)と、駆動ユニット、ポンプユニット、供給ユニット、案内プレート及び/又は保持装置を伴う少なくとも1個の更なる切削フレームユニット(32)とが、設けられていることを特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項8】
請求項1~7のうち何れか一項に係るトレンチ壁切削装置であって、
前記トレンチカッタ(30)が二対の切削輪(40)を備えることを特徴とするトレンチ壁切削装置。
【請求項9】
トレンチ壁切削装置(10)、とりわけ請求項1~8のうち何れか一項に係るトレンチ壁切削装置により地盤内に切削トレンチを切削作成する方法であり、
支持構造(12)及び送り装置(14)を配置し、
少なくとも1個の切削フレームユニット(32)と切削輪(40)とを伴うトレンチカッタ(30)を、切削方向に対し横を向いている送り方向に沿い前記送り装置(14)により作業エリアへと送り、且つ
前記トレンチカッタ(30)を前記支持構造(12)から懸架して略鉛直な切削方向に沿い動かし、土壌物質を切り取ることで地盤(6)内に切削トレンチを生成する、
方法であって、
前記切削輪(40)を伴う前記少なくとも1個の切削フレームユニット(32)を前記送り装置(14)により横向きな送りポジションにて送ること、その際にその切削フレームユニット(32)の長手方向がその送り装置に対し平行な向きであること、並びに
前記切削輪(40)を伴う前記少なくとも1個の切削フレームユニット(32)を前記横向きな送りポジションから略鉛直な切削ポジションへと旋回装置(20)により旋回させること、
を特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に係る方法であって、
前記切削トレンチを形成すべく前記作業エリアに受容凹所(7)を予め掘り、その凹所内で前記少なくとも1個の切削フレームユニット(32)及び前記切削輪(40)を前記切削ポジションへと旋回させることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9又は10に係る方法であって、
前記トレンチカッタ(30)を前記作業エリアにて複数個の切削フレームユニット(32)から組み立てることを、特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9~11のうち何れか一項に係る方法であって、
少なくとも2個の隣り合う切削トレンチを生成し、その際に、1個目の切削トレンチの生成後に前記トレンチカッタ(30)をその1個目の切削トレンチから退却させ、必要であれば前記複数個の切削フレームユニット(32)を切り離すこと、並びに
更なる切削トレンチを生成すべく、前記切削フレームユニット(32)を前記送り装置(14)に沿い動かし再連結することで前記トレンチカッタ(30)を形成させ、土壌物質を切り取りつつそのトレンチカッタを地盤(6)内へと下降させること、
を特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9~12のうち何れか一項に係る方法であって、
地盤(6)内にトレンチ壁を生成すべく、硬化させるとトレンチ壁になる硬化性懸濁液で以て前記少なくとも1個の切削トレンチを満たすことを、特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個の切削フレームユニット、並びにその切削フレームユニットの長手方向に沿い配置された少なくとも2個の切削輪を有し、略鉛直な切削トレンチ(切り溝)を地盤内に切削作成すべく構成されているトレンチカッタと、切削トレンチを生成すべくトレンチカッタを切削ポジション(切削時姿勢)にて懸架し略鉛直な切削方向に沿い動かす支持構造と、その切削方向に対し横を向いている送り方向に沿いトレンチカッタを送る送り装置と、を備えるトレンチ壁切削装置であって、請求項1の前提部分に係るものに関する。
【0002】
更に、本発明は、トレンチ壁切削装置により地盤内に切削トレンチを切削作成する方法であり、支持構造及び送り装置を配置し、少なくとも1個の切削フレームユニットと切削輪とを有するトレンチカッタを、切削方向に対し横を向いている送り方向に沿い送り装置により作業エリアへと送り、且つトレンチカッタを支持構造から懸架して略鉛直な切削方向に沿い動かし、土壌物質を切り取ることで地盤内に切削トレンチを生成する方法であって、請求項9の前提部分に係るものに関する。
【背景技術】
【0003】
トレンチ壁切削装置を用い、100メートル以上に至る深さに達しうる個々のトレンチ、トレンチ壁又はダイアフラム壁を、生成することができる。そうしたトレンチ壁又はダイアフラム壁を用い、例えば、掘削ピットを支持することや、遮水壁を生成することができる。そうしたカッタによって鉱物資源を採掘することもできる。
【0004】
場合によっては、構造の内部又は付近、トンネル内或いは閉鎖空間条件下で、トレンチ壁法を用い壁を建造することが必要になる。この目的には、大きなマスト及び大きなトレンチカッタを有する従来型キャリア装置を用いることができない。
【0005】
特許文献1には、トレンチ生成用のコンパクトなトレンチ壁切削装置が記載されている。このトレンチ壁切削装置は、フレーム及びブームアームを有するレール案内式キャリッジを有しており、その高さがトレンチカッタの鉛直長よりも僅かしか高くないものである。支持ケーブル及び接続ケーブル用のケーブルドラムと供給ホース用のホースドラムが、地盤付近にありその支持フレーム上に実装されている。トレンチカッタが本質的な構成部材、例えば切削輪、駆動部及びポンプのみで構成され、案内フレームが小さく形成されている。
【0006】
特許文献2は別のコンパクトなトレンチ壁切削装置を開示している。この装置では、コンパクトなトレンチカッタがヨークの下方に可調実装されており、互いに隣り合わせに配置された2個のキャリアユニットによってそれが形成されている。それら2個のキャリアユニットが、鉛直な旋回軸線を有する旋回ジョイントを介し相互連結されている。
【0007】
これらの既知なトレンチ壁切削装置では、インサート高がトレンチカッタの高さにより実質的に制限される。その関係上、切削輪、駆動部、ポンプ、並びにとりわけ案内フレームをある程度のサイズにする必要があるため、トレンチカッタのサイズを任意には小さくすることができない。
【0008】
一般的な切削装置が特許文献3にて開示されている。この既知なトレンチ壁切削装置ではトレンチカッタが少なくとも2個のカッタモジュールに分割されており、それらが案内装置により櫓状支持構造に沿い作業エリアへと送られており、そこでそれら個別のカッタモジュールから組み立てることによりカッタが形成されている。それら個別のカッタモジュールは、天井エリア沿いにあるレールに沿い懸架されているので、変位させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0518297号明細書(B1)
【特許文献2】欧州特許第3208384号明細書(B1)
【特許文献3】欧州特許出願公開第3719207号明細書(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の下地をなす目的は、ひときわ閉鎖的な空間条件下でさえも効率的な切削が可能となるトレンチ壁切削装置及び地盤内切削トレンチ切削作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、一方では請求項1に係るトレンチ壁切削装置により、他方では請求項9に係る方法で以て、達成される。本発明の好適な諸実施形態が個々の従属形式請求項に示されている。
【0012】
本発明に係るトレンチ壁切削装置の特徴は、送り装置が、2個の切削輪と併せ少なくとも1個の切削フレームユニットを横向きな送りポジション(送り時姿勢)にて送るよう構成されていること、その際にその切削フレームユニットの長手方向がその送り方向に対し平行な向きであること、並びに切削輪と併せ切削フレームユニットを横向きな送りポジションから略鉛直な切削ポジションへと旋回させうる旋回装置が設けられていることにある。
【0013】
本発明の基本的な着想は、考察によれば、少なくとも2個の切削輪と併せ少なくとも1個の切削フレームユニットを横向きな送りポジション、即ち臥位にて作業エリアに送ることにある。これにより、非常に閉鎖的な条件、例えば天井高が低いトンネル内や建物内でさえもトレンチカッタを送ることが可能となる。線路、ローラキャリア、或いはその他のシャーシを、送り装置として用いることができる。好ましくも、その送り装置上に1個又は複数個の切削フレームユニットを置くことで、負荷が地盤によって容易に吸収されるようにすることができる。
【0014】
作業エリアでは、その上で、旋回装置により横向き即ち臥位の送りポジションから鉛直ポジションへと、切削輪と一体に少なくとも1個の切削フレームユニットを旋回させることができる。旋回の量は約90°とする。この場合、トレンチカッタの長手方向が、水平な向きから切削方向に対応する鉛直な向きへと旋回される。あらゆる好適な装置、例えばレバー及び/又はケーブルシステムを、その旋回装置で用いることができる。その旋回のため、少なくとも1個の切削フレームユニットがその内部へと旋回される受容凹所を、地盤内に設けることができる。
【0015】
そして、送りポジションにてトレンチカッタを支持構造上で懸架してその支持構造によりトレンチカッタを鉛直な切削方向に沿い動かすことができ、更に回転駆動される切削輪により切削トレンチを掘ることができる。切削スラリの供給、及び/又は、切削スラリ付での破砕物の汲み出しを、対応するポンプユニットの働きにより、基本的には既知な要領で実行することができる。
【0016】
本発明の更なる発展形態によれば、格別好適なことに、送り装置を、少なくとも1本のレールを有するものとし、そのレールに沿って少なくとも1個の切削フレームユニットを変位させることができる。その少なくとも1本のレールは、従って地盤上に配置することができるし、天井エリア側に配置することもできる。好ましくも複数本のレールが設けられている場合は、少なくとも1個の切削フレームユニットそれ自体を、ころ(滑材)又はローラ付で設けるか、少なくとも2本の平行なレールに沿い変位させうるよう対応するキャリア又は車両シャーシを介して実装する。
【0017】
単純なデザインにするため、本発明のある実施形態変形例によれば、好適なことに、トレンチカッタが1個の切削フレームユニットにより形成され、その切削フレームユニット上に切削輪が実装される。切削フレームユニット上に切削輪を実装することで、このように、所望の作業場所にて切削ポジションへと旋回させうるトレンチカッタが構成される。好ましくも地盤内に受容凹所が設けられている場合は、その内部で、切削輪と併せ少なくとも1個の切削フレームユニットを下向きに旋回させて鉛直な切削ポジションにすることができる。その受容凹所は、トレンチカッタの高さと同程度の深さを有するものとすることができ、好ましくは旋回進入用の弓状側部エリアを備えるものとする。
【0018】
原理的には、本発明に係る装置用の旋回装置は任意な設計のものとすることができる。本発明の更なる発展形態によれば、有利なことに、旋回装置が送り装置及び/又は支持構造上に配置される。この場合、旋回装置を、例えばケーブルウィンチ及び/又はシリンダを備える能動旋回駆動部を有するものとすることができ、それによって対応するレバー機構を介し所望の旋回運動を少なくとも1個の切削フレームユニットにもたらすことができる。旋回装置を、切削フレームユニットの制御下旋回運動を実行できる1個又は複数個の旋回ジョイント又は旋回可能な傾動手段をも備えるものと、してもよい。地盤上にある受容凹所の縁をフレーム、とりわけ旋回フレームにより補強してもよい。
【0019】
本発明の更なる好適実施形態では、トレンチカッタを形成するための切削フレームユニットが複数個設けられ、切削輪がある切削フレームユニット上に実装されるのに加え、その切削フレームユニットに少なくとも1個の更なる切削フレームユニットが着脱自在に装着される。個々の切削フレームユニットにより、言わば、互いに重ね合わせて配置し取り付けることができるモジュールが形成されるのであり、そのやり方でトレンチカッタを全体として形成することができる。トレンチカッタを複数個のモジュール型切削フレームユニットへと分割することで、閉鎖空間内での送りが単純になる。
【0020】
本発明のある変形形態によれば、格別有利なことに、切削フレームユニットが、少なくとも1個の旋回ジョイントを介し、自身に隣り合う切削フレームユニットに連結される。このやり方であれば、切削フレームユニットを、既に相互連結されている状態で送給することも、旋回ジョイントを介し作業場所にて直に相互連結させることもできる。その上で、個々の切削フレームユニットを好ましくも受容凹所内へと相次いで旋回進入させることができ、また個々の切削フレームユニットが横旋回ジョイントを介し連結されているため、ほぼ自動的に追従するようそれら切削フレームユニットを案内することができる。
【0021】
原理的には、それら切削フレームユニットを実質的に同じ設計のものとすることができる。本発明の更なる発展形態によれば、好適なことに、切削輪を伴う第1切削フレームユニットと、駆動ユニット、ポンプユニット、供給ユニット、案内プレート及び/又は保持装置を伴う少なくとも1個の更なる切削フレームユニットとが、設けられる。個々の切削フレームユニットは、従って、組立後のトレンチカッタにて特定の機能をそれぞれ有することとなる。トレンチカッタを、トレンチカッタの長手方向に沿い縦並びされている2個、3個又はより多数の切削フレームユニットから組み立てることができる。
【0022】
本発明のある実施形態によれば、格別有利なことに、トレンチカッタが二対の切削輪を有し、各対の切削輪が共通カッタ輪軸線周りで回転駆動される。その2本の切削輪軸線が、互いに平行に且つ互いにずらして配置される。切削輪は、同方向にも逆方向にも駆動されうる。好ましくは、吸引装置及び/又は懸濁液導入装置を切削輪間に設ける。
【0023】
本発明に係る方法の特徴は、切削輪を伴う少なくとも1個の切削フレームユニットを送り装置により横向きな送りポジションにて送ること、その際にその切削フレームユニットの長手方向がその送り装置に対し平行な向きであること、並びに切削輪を伴う少なくとも1個の切削フレームユニットを横向きな送りポジションから略鉛直な切削ポジションへと旋回装置により旋回させること、にある。
【0024】
本発明に係る方法は、とりわけ、前述したトレンチ壁切削装置で以て実行することができる。前述した利点を達成することができる。
【0025】
本発明に係る方法のある好適変形形態では、切削トレンチを形成すべく作業エリアに受容凹所を予め掘り、その凹所内で少なくとも1個の切削フレームユニット及び切削輪を切削ポジションへと旋回させる。その受容凹所の寸法を、とりわけ、その切削フレームユニットを旋回進入させたときに切削フレームユニットの高さが横向き臥位と比べ全く増加せず或いは顕著には増加しないよう、構成設定することができる。面取り又は弓状エリアを受容凹所の側部エリア上に設けることで、地盤内への旋回を容易化することができる。好ましくも、フレームを受容凹所に沿い形成することでその縁を硬くすることができる。そのフレームを、同時に、切削中に案内フレームとして働かせることができる。少なくとも1個の切削フレームユニットを旋回させる旋回装置の部品のうち少なくとも1個を、そのフレーム上に形成することができる。
【0026】
原理的には、トレンチカッタは1個の切削フレームユニットで形成することができる。本発明の更なる発展形態によれば、格別好適なことに、作業エリアにて複数個の切削フレームユニットからトレンチカッタが組み立てられる。このやり方であれば、天井高が非常に制限されている場合でさえも、比較的長い案内フレーム付でトレンチカッタを形成することができるので、ひときわ良好な案内が可能となり、ひいては格別な位置精度で以て切削トレンチを生成することが可能となる。
【0027】
原理的には、本方法を用い切削トレンチを1個だけ生成することもできる。本発明の更なる発展形態によれば、格別有利なことに、少なくとも2個の隣り合う切削トレンチを生成するに当たり、1個目の切削トレンチの生成後にトレンチカッタをその1個目の切削トレンチから退却させ、必要であれば複数個の切削フレームユニットを切り離し、更なる切削トレンチを生成すべく、切削フレームユニットを送り装置に沿い動かしてトレンチカッタに再連結し、土壌物質を切り取りつつそのトレンチカッタを地盤内へと下降させる。このプロセスでは、2個目たる更なる切削トレンチを、互いに直に隣り合わせにして、或いはほぼトレンチ長一つ分だけ空間的に隔てて、地盤内に生成することができる。
【0028】
本発明の格別好適な実施形態では、地盤内にトレンチ壁を生成すべく、硬化させると壁塊になる硬化性懸濁液で以て少なくとも1個の切削トレンチが満たされる。このやり方で、基礎要素又は擁壁及び/又はダイアフラム壁を、複数個の隣り合い近接する切削トレンチにより、掘削囲いとすべく地盤内に生成することができる。
【0029】
本発明について、図中に模式的に示されている好適な例示的実施形態との関連で更に後述する。図面には以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る第1のトレンチ壁切削装置の模式的側面図である。
【
図2】本発明に係る更なるトレンチ壁切削装置の作業エリア送り時の第1の模式的側面図である。
【
図3】
図2のトレンチ壁切削装置の受容凹所内旋回進入時の模式図である。
【
図4】
図2及び
図3のトレンチ壁切削装置の切削ポジションでの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る第1のトレンチ壁切削装置10は、
図1に示されている通り、天井エリア4及び地盤6を有するトンネル2内に配置されており、そのトンネル内には弓状側部エリア8を有する受容凹所7が導入されている。トンネル2に沿い、天井梁13を伴う支持構造12が配置されており、それが専ら模式的に示されている。レール15を有する送り装置14が地盤6に沿い配置されている。送り装置14が、鉛直支柱(描出せず)を介し支持構造12に連結されるのでもよいし、支持構造の一部分を構成するのでもよい。
【0032】
その送り装置14に沿い、トレンチカッタ30が、破線描写で以て示される通り横向きなポジション即ち臥位にて、水平な送り方向Zに沿い送られる。描出されている例示的実施形態では、トレンチカッタ30が、二対の切削輪40を伴う1個の切削フレームユニット32で形成されており、それら切削輪がその切削フレームユニットの下側に配置されている。吸引装置42をそれら切削輪40の上方に配置し、切り取られた土壌物質を吸い取らせてもよい。
【0033】
作業エリアに達したときに、トレンチカッタ30の切削フレームユニット32を、
図1中に明瞭に描かれている通り、旋回軸線Sが送り方向Zに対し平行且つ横向きな旋回装置20により、約90°旋回させて切削ポジションにし受容凹所7に進入させることができる。
【0034】
切削ポジションでは、トレンチカッタ30の切削輪40が下を向き、切削フレームユニット32の総体的長手方向が鉛直整列する。トレンチカッタ30は支持構造12から懸架されており、少なくとも1本の支持ケーブルを有する図示しない保持装置の働きにより、そのトレンチカッタを地盤6内へと鉛直下降させること及びそこから退却させることができる。エネルギの供給、並びに懸濁液の供給及び/又は排出を、支持構造12沿いにあるラインドラム上に装荷されているライン(描出せず)で以て実行することができる。
【0035】
図2~
図4によれば、代替的なトレンチ壁切削装置10が、図示の通り2個の切削フレームユニット32から構築される。ここでは切削輪40が第1切削フレームユニット32a上に実装されている。第1切削フレームユニット32に隣接して第2切削フレームユニット32bが設けられており、その第2切削フレームユニットが、旋回ジョイント34を介し第1切削フレームユニット32aに、旋回可能に連結されている。
【0036】
図2によれば、2個の切削フレームユニット32a,32bを伴うトレンチカッタ30の送りが、
図1の実施形態に従い構成されうる支持構造(描出せず)及び送り装置(描出せず)沿いで実行される。
【0037】
図3に示されている仕方で作業エリアに達したときに、第1切削フレームユニット32aを、旋回装置(詳細には図示せず)により受容凹所7内へと下向きに約90°、旋回ジョイント34周りで旋回させることができる。
【0038】
次いで、第2切削フレームユニット32bを、
図4中に明瞭に示されている通り、第1切削フレームユニット32aの旋回ジョイント34周りで後追い旋回させることができる。
【0039】
それら2個の切削フレームユニット32a,32bを、着脱自在な連結装置(詳細には図示せず)の働きで、組立後鉛直ポジションにて互いに堅固に連結させることができるので、その後、地盤6内へとトレンチカッタ30を下降させることで切り取りを実行することができる。このプロセスでは、トレンチカッタ30の鉛直移動を、支持構造上にあり保持装置18たる支持ケーブルの働きで実行することができる。
【0040】
最終深度に達した後には、トレンチカッタ30を再び切削トレンチから退却させた上で、個々の切削フレームユニット32を再び相互解放させ、旋回ジョイント34周りで逆旋回させて
図2に係る水平又は横向きな送りポジションにすることができる。
【0041】
図示されている2個の例示的実施形態では、トレンチカッタ10が、或いは個々の切削フレームユニット32a及び32bが、それぞれ、切削輪の回動軸線に対し平行な軸線周りで旋回される。無論、切削輪40の回動軸線に対し垂直であり好ましくは水平な旋回軸線周りで旋回を実行すること、即ち臥位にて二対の切削輪40が上下に並ばず横に並ぶようにすることも、同様に可能であり且つ本発明の技術的範囲内である。
【国際調査報告】