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特表2024-508031インピーダンス整合のための方法、インピーダンス整合装置、およびプラズマシステム
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  • 特表-インピーダンス整合のための方法、インピーダンス整合装置、およびプラズマシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】インピーダンス整合のための方法、インピーダンス整合装置、およびプラズマシステム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H05H1/46 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553127
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2022055151
(87)【国際公開番号】W WO2022184713
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102021201937.4
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505169226
【氏名又は名称】トゥルンプフ ヒュッティンガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Huettinger GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Boetzinger Strasse 80,D-79111 Freiburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ボック クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マルツィン モルコフスキ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB22
2G084HH08
2G084HH23
2G084HH27
2G084HH29
2G084HH52
2G084HH55
(57)【要約】
本発明は、インピーダンス整合ネットワーク(2)によるインピーダンス整合のための方法であって、インピーダンス整合ネットワーク(2)は、RF電力発生器(5)に接続するための入力部(3)と、負荷(6)に接続するための出力部(4)とを備え、インピーダンス整合ネットワーク(2)は、それぞれ1つの可変リアクタンス(XP,XS)を備えた少なくとも1つの第1の整合段(10)と、直列に接続された第2の整合段(12)とを有し、当該方法は、a)入力インピーダンス(Zin)を測定するステップと、b)測定された入力インピーダンス(Zin)と、整合段のうちの少なくとも1つの整合段の少なくとも1つの現在の状態値とから中間インピーダンス(Zinter)を特定するステップと、c)中間インピーダンス(Zinter)と、インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルとから、1つの整合段(10,12)の少なくとも1つのリアクタンス(XP,XS)に対する変化目標値(dXP,dXS)を特定するステップと、d)変化目標値(dXP,dXS)に基づいて、整合段(10,12)のうちの少なくとも1つの整合段の状態を変化させるステップと、e)ステップa)~d)を繰り返すステップとを備える、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピーダンス整合ネットワーク(2)によるインピーダンス整合のための方法であって、
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)は、RF電力発生器(5)に接続するための入力部(3)と、負荷(6)に、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置に接続するための出力部(4)とを備え、
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)は、それぞれ1つの可変リアクタンス(XP,XS)を備えた少なくとも1つの第1の整合段(10)と、直列に接続された第2の整合段(12)とを有し、
当該方法は、
a)入力インピーダンス(Zin)を測定するステップと、
b)測定された前記入力インピーダンス(Zin)と、前記整合段のうちの少なくとも1つの整合段の少なくとも1つの現在の状態値とから中間インピーダンス(Zinter)を特定するステップであって、前記中間インピーダンス(Zinter)は、前記整合段(10,12)間で発生するインピーダンスである、特定するステップと、
c)前記中間インピーダンス(Zinter)と、前記インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルとから、1つの整合段(10,12)の少なくとも1つのリアクタンス(XP,XS)に対する変化目標値(dXP,dXS)を特定するステップと、
d)前記変化目標値(dXP,dXS)に基づいて、前記整合段(10,12)のうちの少なくとも1つの整合段の状態を変化させるステップと、
e)前記ステップa)~d)を繰り返すステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記ステップa)~d)は、前記入力インピーダンス(Zin)が所定の値を上回るか、または下回るまで繰り返される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記状態値として、機械的に変化可能なリアクタンスの位置(XP,XS)、または電子的に変化可能なリアクタンスの切替状態が検出される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記中間インピーダンス(Zinter)は、当該中間インピーダンス(Zinter)と前記入力インピーダンス(Zin)との間の対応付けに基づいて、前記状態に依存して特定される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記変化目標値(dXP,dXS)は、中間インピーダンス目標値(Zintersoll)に基づいて特定される、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記中間インピーダンス目標値(Zintersoll)は、少なくとも1つの所定の境界条件に基づいて特定される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記整合段のうちの少なくとも1つの整合段の状態を変化させることは、前記変化目標値の分だけ実施されるか、または前記変化目標値の方向に実施される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
2つの前記整合段(10,12)の状態が同時に変化させられる、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルとして、回路モデルが使用される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルとして、透過パラメータモデル、散乱パラメータモデル、または透過パラメータモデルもしくは散乱パラメータモデルから導出可能なパラメータモデルが使用される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)として、L型、T型、逆L型、またはπ型のコンフィギュレーションが使用される、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
2つの整合段(10,12)のそれぞれ1つのリアクタンス(XP,XS)ごとに1つの変化目標値(dXP,dXS)が、前記中間インピーダンス(Zinter)と、前記整合段(10,12)の各々のモデルとから特定され、
前記2つの整合段(10,12)の状態が、前記変化目標値(dXP,dXS)に基づいて変化させられる、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記変化目標値(dXS,dXP)は、線形独立している、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
インピーダンス整合装置(1)であって、
当該インピーダンス整合装置(1)は、
a.RF電力発生器(5)に接続するための入力部(3)と、負荷(6)に、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置に接続するための出力部(4)とを備えたインピーダンス整合ネットワーク(2)であって、前記インピーダンス整合ネットワーク(2)は、それぞれ1つの可変リアクタンス(XP,XS)を備えた少なくとも2つの整合段(10,12)を有する、インピーダンス整合ネットワーク(2)と、
b.前記インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルと、
c.前記入力インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置と、
d.少なくとも1つのルックアップテーブル(16,18)であって、前記ルックアップテーブル(16,18)には、入力インピーダンス(Zin)から中間インピーダンス(Zinter)を推定することを可能にする値が含まれており、前記中間インピーダンス(Zinter)は、前記整合段(10,12)間で発生するインピーダンスである、少なくとも1つのルックアップテーブル(16,18)と、
e.測定された入力インピーダンス(Zin)に基づいて中間インピーダンス(Zinter)を特定するための、かつ前記中間インピーダンス(Zinter)と前記インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルとから、1つの整合段(10,12)の少なくとも1つのリアクタンス(XP,XS)に対する少なくとも1つの変化目標値(dXP,dXS)を特定するための特定装置(14)と、
f.特定された前記変化目標値(dXP,dXS)に基づいて、少なくとも1つの整合段(10,12)の状態を変化させるための設定装置(22)と
を備える、インピーダンス整合装置(1)。
【請求項15】
インピーダンス整合ネットワーク(2)を制御するためのコンピュータプログラム製品であって、
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)は、RF電力発生器(5)に接続するための入力部(3)と、負荷(6)に接続するための出力部(4)とを備え、
前記インピーダンス整合ネットワーク(2)は、それぞれ1つの可変リアクタンス(XP,XS)を備えた少なくとも1つの第1の整合段(10)と、直列に接続された第2の整合段(12)とを有し、
前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータによってプログラムが実行された場合に、
a)測定された入力インピーダンス(Zin)と、前記整合段(10,12)のうちの少なくとも1つの整合段の少なくとも1つの現在の状態値とから中間インピーダンス(Zinter)を特定するステップであって、前記中間インピーダンス(Zinter)は、前記整合段(10,12)間で発生するインピーダンスである、特定するステップと、
b)前記中間インピーダンス(Zinter)と、前記インピーダンス整合ネットワーク(2)のモデルとから、1つの整合段(10,12)の少なくとも1つのリアクタンス(XP,XS)に対する変化目標値(dXP,dXS)を特定するステップと、
c)前記変化目標値(dXP,dXS)に基づいて、前記整合段(10,12)のうちの少なくとも1つの整合段の状態を変化させるための信号を出力するステップと、
d)前記ステップa)~c)を繰り返すステップと
を実施する命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
請求項15記載のステップa)~d)を実施するために、プロセッサによって実行するための、またはプログラマブルロジックコンポーネントを構成するための指示が格納されている、不揮発性記憶媒体。
【請求項17】
請求項1から13までのいずれか1項記載のインピーダンス整合のための方法のために設計されており、かつ/または請求項14記載のインピーダンス整合装置を有しており、負荷(6)としてプラズマ処理装置、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置を有している、プラズマシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インピーダンス整合ネットワークによるインピーダンス整合のための方法であって、インピーダンス整合ネットワークは、RF電力発生器に接続するための入力部と、負荷に接続するための出力部とを備え、インピーダンス整合ネットワークは、それぞれ1つの可変リアクタンスを備えた少なくとも1つの第1の整合段と、直列に接続された第2の整合段とを有する、方法に関する。本発明はさらに、インピーダンス整合装置と、コンピュータプログラム製品と、不揮発性記憶媒体とに関する。本発明は、このようなインピーダンス整合装置、またはこのようなインピーダンス整合ネットワークを備えたプラズマシステムにも関する。
【0002】
本明細書における負荷とは、プラズマ処理装置、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置、すなわちプラズマ処理を実施するための装置であってよい。インピーダンス整合ネットワークは、RF励起されるプラズマ処理において使用されることが多い。インピーダンス整合のための方法のために設計されており、かつ/またはこのようなインピーダンス整合ネットワークと、このようなインピーダンス整合ネットワークに接続されたプラズマ処理装置とを有している装置は、以下ではプラズマシステムと称される。この場合の周波数は、典型的には1MHz以上であり、とりわけ1MHz~200MHzの範囲内にある。RF励起されるプラズマ処理は、例えば、建築ガラス、半導体、光起電力素子、フラットスクリーン、ディスプレイ等の製造において基板をコーティング(スパッタリング)および/またはエッチングするために使用される。このような処理のインピーダンスは、非常に高速に変化することが多いので、インピーダンス整合は、多くの場合、非常に高速に(数ミリ秒以下の範囲内)整合されるべきである。このような処理のために通常供給される電力は、数100W、例えば300W以上であるが、1キロワット以上になることも珍しくなく、10kW以上になることも多い。このような電力の場合には、インピーダンス整合装置の内部の電圧は、数100Vであることが多く、例えば300V以上であるが、1000V以上になることも珍しくない。そのような回路における電流は、数アンペア、しばしば10A以上、時には100A以上にもなる可能性がある。そのような電圧および電流においてインピーダンス整合ネットワークを実現することは、常々大きな課題であった。このようなインピーダンス整合ネットワークにおいてリアクタンスが高速に変化可能であることは、さらなる非常に大きな課題である。このようなインピーダンス整合ネットワークの例は、独国特許出願公開第102015220847号明細書、独国特許出願公開第102011076404号明細書、独国特許出願公開第102009001355号明細書、独国特許出願公開第102011007598号明細書、独国特許出願公開第102011007597号明細書、独国特許出願公開第102014209469号明細書、独国実用新案第202021100710号明細書、または独国実用新案第202020103539号明細書に開示されている。
【0003】
インピーダンス整合ネットワークは、基本的に、負荷のインピーダンスを電力発生器のインピーダンスに整合させるために使用される。通常、インピーダンス整合ネットワークは、負荷のインピーダンスを50オームに変換するために使用される。インピーダンス整合ネットワークは、例えばL型のコンフィギュレーションの、1つまたは複数の可変リアクタンス、例えばコンデンサを有することができる。コンデンサのキャパシタンスは、モータ式の駆動部によって変化可能である。測定装置によって、インピーダンス整合ネットワークの入力インピーダンスを特定することができる。整合アルゴリズムは、インピーダンス整合を達成するために正しいモータ位置またはスイッチ位置または他のコントロール手段を発見することを試みる。
【0004】
負荷が、インピーダンスが変化する負荷、とりわけ高速に変化する負荷である場合には、インピーダンス整合ネットワークによるインピーダンス整合が、しばしば困難であるということが判明している。コンデンサのための駆動部の目標位置を発見するために、入力インピーダンスの絶対値および位相を閉ループ制御することが公知である。しかしながら、これらの量は、両方ともコンデンサのキャパシタンス値に依存している。このことは、緩慢な閉ループ制御をもたらす可能性がある。インピーダンスの符号変化は、不安定性をもたらす可能性があり、また、2つのコンデンサについての関係であるdPhase/dC、d|(Z)|/dC、dRe(Z)/dC、またはdIm(Z)/dCの符号変化も同様である。なお、Cは、キャパシタンスであり、Zは、インピーダンスであり、Re()は、実部であり、Im()は、虚部であり、|()|は、括弧内の複素変数の絶対値である。
【0005】
したがって、本発明の課題は、インピーダンス整合を高速かつ確実に実施することができるインピーダンス整合のための方法を提供することである。
【0006】
本発明によれば、上記の課題は、インピーダンス整合ネットワークによるインピーダンス整合のための方法であって、インピーダンス整合ネットワークは、RF電力発生器に接続するための入力部と、負荷に、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置に接続するための出力部とを備え、インピーダンス整合ネットワークは、それぞれ1つの可変リアクタンスを備えた少なくとも1つの第1の整合段と、直列に接続された第2の整合段とを有し、当該方法は、
a.)入力インピーダンスZinを測定するステップと、
b.)測定された入力インピーダンスZinと、整合段のうちの少なくとも1つの整合段の少なくとも1つの現在の状態値とから中間インピーダンスZinterを特定するステップであって、中間インピーダンスは、とりわけ整合段間で発生するインピーダンスである、特定するステップと、
c.)中間インピーダンスZinterと、インピーダンス整合ネットワークのモデルとから、1つの整合段の少なくとも1つのリアクタンスに対する変化目標値を特定するステップと、
d.)変化目標値に基づいて、整合段のうちの少なくとも1つの整合段の状態を変化させるステップと、
e.)ステップa.)~d.)を繰り返すステップと
を備える、方法によって解決される。
【0007】
可変リアクタンスは、インダクタンスおよび/またはキャパシタンスとして構成可能である。キャパシタンスは、製造および動作の点で簡単であるので好ましい。例えば、整合段は、インダクタンスおよびキャパシタンスの直列回路を有することができる。その場合、整合段は、容量的にも誘導的にも作用する。
【0008】
入力インピーダンスZinを測定するということは、インピーダンス整合ネットワークの入力部におけるインピーダンスが測定されるということを意味し得る。インピーダンスは、絶対値および位相に従って、かつ/または実部および虚部に従って検出可能である。
【0009】
入力インピーダンスZinを測定するということは、反射係数が測定され、次いでZinが導出されるということも意味し得る。
【0010】
中間インピーダンスとは、インピーダンス整合ネットワークの出力部の上流に位置する整合段において測定されるインピーダンスである。中間インピーダンスも、絶対値および位相に従って、かつ/または実部および虚部に従って検出可能または特定可能である。
【0011】
インピーダンス整合ネットワークのモデルとは、整合段の各々ごとのモデルであるとも理解されるべきである。なぜなら、整合段のモデルは、それぞれインピーダンス整合ネットワークのモデルの一部であるからである。
【0012】
このような方法によって、機械的かつ/または電子的なインピーダンス整合ネットワークのより高速かつロバストな閉ループ制御を達成することができる。公知のアルゴリズムは、収束しないことが多く、すなわち所望の点に到達しないか、または使用されている駆動部の機械力学を利用し尽くすことができない。
【0013】
上記のステップa.)~d.)を、入力インピーダンスが所定の値を上回るか、または下回るまで繰り返すことができる。本発明による方法を用いると、従来の方法を用いた場合よりも格段に少ない反復しか必要なくなることが判明した。したがって、格段により高速なインピーダンス整合を実施することが可能となる。
【0014】
状態値として、機械的に変化可能なリアクタンスの位置、または電子的に変化可能なリアクタンスの切替状態を検出することができる。例えば、機械的に変化可能なキャパシタンスの駆動部の位置を、状態として検出することができる。
【0015】
中間インピーダンスは、当該中間インピーダンスと入力インピーダンスとの間の対応付けに基づいて、状態に依存して特定可能である。この対応付けは、較正時に、検出された状態に依存して特定可能である。とりわけ、このようにして較正中に、それぞれの整合段ごとのルックアップテーブルを作成することができる。好ましくは、それぞれの整合段ごとのルックアップテーブルの較正および作成は、それぞれ他の整合段から独立して実施される。
【0016】
変化目標値が、中間インピーダンス目標値Zintersollに基づいて特定されると有利であることが判明している。ルックアップテーブルの変動性または不正確性を補償するためには、相対的な計算を行うことが有利である。例えば、Zinterの虚部の現在の検出された値がj40オームである場合に、中間インピーダンス目標値がj45オームであることが特定された場合には、ルックアップテーブルの現在のエントリから、j5オーム以上をもたらす値を検索することができる。その場合、これは、目標位置または変化目標値であり、これによってオフセット誤差が補償され、所望の整合に近づくほどスケーリング誤差が小さくなるという利点を有する。
【0017】
入力インピーダンスの測定は、機械的なインピーダンス整合ネットワークの場合には、コンデンサの駆動部のモータ速度よりも数桁高速である。中間インピーダンスの特定は、種々の誤差(モデル、測定、可変プラズマインピーダンス)に起因して正確にはならない。しかしながら、中間インピーダンスの特定により、開始時に駆動部のおおよその目標位置が指定される。これにより、インピーダンス整合を最大限に加速させることができる。リアクタンスを変化させている間、ZinおよびZinterの特定が継続的に続けられ、これによってZintersollが補正される。
【0018】
中間インピーダンス目標値は、少なくとも1つの所定の境界条件に基づいて、例えばZinの実部=50オームに基づいて特定可能である。このような境界条件により、中間インピーダンス目標値の特定が容易になる。
【0019】
整合段のうちの少なくとも1つの整合段の状態を変化させることは、変化目標値の分だけ実施可能であるか、または変化目標値の方向に実施可能である。既述のように、相対的な整合を行うことが有利である。すなわち、変化させられた状態についての絶対値を特定する必要はない。整合が実施されるように他方の整合段の状態を変化させることができるようにするために、一方の整合段の状態をどのくらいの量だけ変化させなければならないのかを特定すれば十分である。このことは、中間インピーダンスを用いて実施される。
【0020】
2つの整合段の状態を同時に変化させることができる。これにより、インピーダンス整合を加速させることができる。
【0021】
インピーダンス整合ネットワークのモデルとして、回路モデルを使用することができる。このことは、インピーダンス整合ネットワークが簡単に構成されている場合、例えばL型のコンフィギュレーションを有する場合に、特別な利点を有する。
【0022】
これに代えて、インピーダンス整合ネットワークのモデルとして、透過パラメータモデル、散乱パラメータモデル、または透過パラメータモデルもしくは散乱パラメータモデルから導出可能なパラメータモデルを使用してもよい。散乱パラメータから、例えばZパラメータ、Yパラメータ、Mパラメータ、Xパラメータを特定することができる。
【0023】
インピーダンス整合ネットワークとして、L型、T型、逆L型、またはπ型のコンフィギュレーションを使用することができる。特に高速なインピーダンス整合は、L型のコンフィギュレーションによって達成可能である。このようなコンフィギュレーションは、比較的簡単にモデルにマッピング可能でもある。
【0024】
2つの整合段のそれぞれ1つのリアクタンスごとに1つの変化目標値を、中間インピーダンスと、整合段の各々のモデルとから特定することができる。2つの整合段の状態を、変化目標値に基づいて変化させることができる。
【0025】
変化目標値は、線形独立していてよい。これにより、それぞれの整合段における整合を互いに独立して実施することが可能となる。
【0026】
本発明の枠内にはさらに、インピーダンス整合装置であって、当該インピーダンス整合装置は、
a.)RF電力発生器に接続するための入力部と、負荷に、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置に接続するための出力部とを備えたインピーダンス整合ネットワークであって、インピーダンス整合ネットワークは、それぞれ1つの可変リアクタンスを備えた少なくとも2つの整合段を有する、インピーダンス整合ネットワークと、
b.)インピーダンス整合ネットワークのモデルと、
c.)入力インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定装置と、
d.)少なくとも1つのルックアップテーブルであって、ルックアップテーブルには、入力インピーダンスから中間インピーダンスを推定することを可能にする値が含まれており、中間インピーダンスは、とりわけ整合段間で発生するインピーダンスである、少なくとも1つのルックアップテーブルと、
f.)測定された入力インピーダンスとルックアップテーブルとに基づいて中間インピーダンスを特定するための、かつ中間インピーダンスとインピーダンス整合ネットワークのモデルとから、1つの整合段の少なくとも1つのリアクタンスに対する少なくとも1つの変化目標値を特定するための特定装置と、
g.)特定された変化目標値に基づいて、少なくとも1つの整合段の状態を変化させるための設定装置と
を備える、インピーダンス整合装置も含まれる。
【0027】
ルックアップテーブルは、好ましくはただ1つの次元を有する。最も簡単なケースでは、ルックアップテーブルは、設定可能なリアクタンスのインピーダンス値を有する。このインピーダンスからモデル、とりわけ回路モデルを用いて、分圧器計算を介して中間インピーダンスを算出することができる。
【0028】
例えばTパラメータモデルの場合には、整合段のTパラメータの少なくとも一部をルックアップテーブルに格納することができる。対称性の考慮を実施することができる場合には、Tパラメータの一部を格納すれば十分である。そうでない場合には、整合段の全てのTパラメータをルックアップテーブルに格納することも考えられる。(整合段の状態に依存する)Tパラメータと、入力インピーダンスとを用いて、中間インピーダンスを推定することができる。
【0029】
インピーダンス整合ネットワークのモデルおよび/またはルックアップテーブルは、デジタルモデルとしてメモリに格納可能である。
【0030】
本発明の枠内にはさらに、インピーダンス整合ネットワークを制御するためのコンピュータプログラム製品であって、インピーダンス整合ネットワークは、RF電力発生器に接続するための入力部と、負荷に接続するための出力部とを備え、インピーダンス整合ネットワークは、それぞれ1つの可変リアクタンスを備えた少なくとも1つの第1の整合段と、直列に接続された第2の整合段とを有し、コンピュータプログラム製品は、コンピュータによってプログラムが実行された場合に、
a.)測定された入力インピーダンスと、整合段のうちの少なくとも1つの整合段の少なくとも1つの現在の状態値とから中間インピーダンスを特定するステップであって、中間インピーダンスは、とりわけ整合段間で発生するインピーダンスである、特定するステップと、
b.)中間インピーダンスと、インピーダンス整合ネットワークのモデルとから、1つの整合段の少なくとも1つのリアクタンスに対する変化目標値を特定するステップと、
c.)変化目標値に基づいて、適合段のうちの少なくとも1つの適合段の状態を変化させるための信号を出力するステップと、
d.)ステップa.)~c.)を繰り返すステップと
を実施する命令を含む、コンピュータプログラム製品も含まれる。
【0031】
本発明の枠内にはさらに、コンピュータプログラム製品のステップa.)~d.)を実施するために、プロセッサによって実行するための、またはプログラマブルロジックコンポーネント、例えばFPGAを構成するための指示が格納されている、不揮発性記憶媒体も含まれる。
【0032】
データ処理において、自身に格納された情報が永続的に、すなわちコンピュータが動作中でない間、または電力が供給されない間であっても保持されるような種々のデータメモリを、不揮発性記憶媒体(non-volatile,non-transitory)と称する。
【0033】
本発明によれば、インピーダンス整合ネットワークのモデルを作成することが企図されている。このことは、2次元の問題を2つの1次元の(規則)問題に分割するために使用される。入力インピーダンス(測定される)と、整合段の状態とが把握されることにより、モデルの使用によって2つの整合段の間の複素負荷インピーダンス(中間インピーダンス)を特定することが可能となる。この中間インピーダンスでは、整合を達成するために、整合段のマッピング可能なインピーダンス軌道同士が交差していなければならない。この条件から、目標位置(中間インピーダンス目標値)を決定することができる。
【0034】
本発明によれば、インピーダンス整合ネットワークの入力部における整合が生じるように、特定された入力インピーダンスと、整合段の現在の状態とに基づいて整合段のリアクタンスの操作量が設定される。適切な較正方法によって、整合段の現在の状態に関する可変リアクタンスの個別インピーダンスが含まれている、それぞれの整合段ごとのルックアップテーブルを決定することができる。
【0035】
個々のリアクタンスを変化させることにより、それぞれの整合段の入力部におけるインピーダンスを起点として、インピーダンス平面、アドミタンス平面、または反射係数平面における個々の線/軌道が生じる。整合中、入力インピーダンスと、第1の整合段の可変リアクタンスの操作値とを起点として、ルックアップテーブルと、インピーダンス整合ネットワークのモデルの一部である整合段のモデルとに関連して、第2の整合段の入力部において生じたインピーダンスが特定される。このインピーダンスは、中間インピーダンスである。第1の整合段がこのインピーダンスを目標値に、例えば50オームに変換することができるようにするために、この中間インピーダンスがどのような軌道上に位置していなければならないのかは、モデルによって既知である。リアクタンスが並列コンデンサである場合には、例えば、中間インピーダンスの全ての整合可能なインピーダンスの逆数が、0.02Sの実部を有していなければならないということが成り立つ。ここで、第2の整合段の第2のリアクタンスを変化させることによって、定義された軌道上へと中間インピーダンスをシフトさせることができる。L型のトポロジの直列要素の場合には、この軌道は、中間インピーダンスの一定の実部と可変の虚部とによって記述されている。すなわち、第2の整合段のリアクタンスを変化させることによって、中間インピーダンスが第1のリアクタンスの軌道上に来るような設定を発見することができる。この新しい中間インピーダンスは、2つの軌道の交点を形成する。それと同時に、この新しい中間インピーダンスを整合させるために、第1の整合段がどのような位置(状態)を取らなければならないのかを予測することができる。
【0036】
インピーダンス整合ネットワークのL型のコンフィギュレーションでは、ルックアップテーブルの較正、とりわけ作成を、以下のようにして実施することができる。第1の整合段は、可変のコンデンサを備えた、並列に接続された共振回路であり、第2の整合段は、インピーダンス整合ネットワークの出力部に対して直列な共振回路である。ルックアップテーブルの較正のために、まず始めにインピーダンス整合ネットワークの出力部が開回路で終端させられる。次いで、インピーダンス整合ネットワークの入力部において、並列要素のインピーダンスだけが測定される。コンデンサを変化させることによってこの並列要素のインピーダンスが変化させられ、その値がテーブルに格納される。直列要素のテーブルの場合には、出力部が短絡させられ、並列要素が最小値に設定される(最高インピーダンス)。インピーダンス整合ネットワークの入力部において、並列要素と直列要素とからなる並列回路が測定される。並列要素のインピーダンスが既知であるので、直列要素を計算し、この直列要素に対するテーブルを決定することができる。
【0037】
第1の整合段の入力インピーダンスと、並列要素のルックアップテーブルとから中間インピーダンスを直接的に計算することができる。理想的なコンデンサは、インピーダンス整合ネットワークの入力部におけるアドミタンスの虚部だけを変化させる。すなわち、1/Zinterは、整合可能となるためには0.02Sの実部を有していなければならない。直列要素は、中間インピーダンスの虚部を直接的に変化させることを可能にする。アドミタンス平面には楕円が生じる。この楕円は、(コンデンサの設定範囲に応じて)潜在的に0.02S線と2つの点で交わる。対応する等式化によって二次方程式が得られ、この二次方程式から、新しい直列インピーダンスが結果的に生じる。次いで、この新しい直列インピーダンスから、新しい完全な中間インピーダンスも計算することができる。50オームの入力インピーダンスに到達するために、並列インピーダンスの現在の値と一緒に、この新しい完全な中間インピーダンスをどのくらいの量だけ変化させなければならないのかを特定することができる。
【0038】
本発明の枠内にはさらに、インピーダンス整合のための方法のために設計されており、かつ/または上記のようなインピーダンス整合装置を有しており、負荷としてプラズマ処理装置、とりわけRF励起されるプラズマ処理装置、すなわちプラズマ処理を実施するための装置を有している、プラズマシステムも含まれる。プラズマ処理装置は、好ましくは、基板をコーティング(スパッタリング)および/またはエッチングするために使用される。プラズマ処理装置は、好ましくは、建築ガラス、半導体、光起電力素子、フラットスクリーン、またはディスプレイの製造において使用するために適している。
【0039】
高周波電力信号の高周波数は、1MHz以上であってよく、とりわけ1MHz~200MHzの範囲内にあってよい。
【0040】
プラズマ処理への給電のために必要であり、かつ電力給電装置によって供給されるように設計されている電力は、300W以上、とりわけ1キロワット以上であってよい。プラズマ処理装置は、さらなる電力給電部が接続されるように設計可能であり、これらのさらなる電力給電部に関して、例えば以下のうちの1つまたは複数、すなわち、
・同じまたは異なる高周波数を有するRF電力給電部、
・DC電力給電部、とりわけパルスDC電力給電部、
・1MHz未満の周波数を有するMF電力給電部
のうちの1つまたは複数を使用することができる。
【0041】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の本質的な詳細を図示した図面に基づいた、本発明の実施例の以下の詳細な説明と、特許請求の範囲とから明らかとなる。図面に図示された特徴は、必ずしも縮尺通りであると理解されるべきでなく、本発明の独自性が明瞭に視認され得るように表現されている。複数の異なる特徴を、それぞれ自体個別に実現してもよいし、または本発明の変形例における任意の複数の組み合わせにおいて実現してもよい。
【0042】
概略図には、本発明の実施例が図示されており、以下の記載において説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】インピーダンス整合装置を示す図である。
図2】本発明による方法を説明するためのアドミタンス平面を示す図である。
図3】本発明による方法の第1の方法ステップを説明するためのアドミタンス平面を示す図である。
図4】本発明による方法の第2の方法ステップを説明するためのアドミタンス平面を示す図である。
図5】本発明による方法の第3の方法ステップを説明するためのアドミタンス平面を示す図である。
図6】本発明による方法を説明するためのブロック図である。
【0044】
図1は、入力部3と出力部4とを有するインピーダンス整合ネットワーク2を備えたインピーダンス整合装置1を示す。入力部3にはRF電力発生器5を接続することができ、出力部4には負荷6、とりわけプラズマ処理装置を接続することができる。RF電力発生器5は、1MHz以上の周波数、とりわけ1MHz~200MHzの範囲内の周波数において高周波電力を発生させることができる。
【0045】
インピーダンス整合ネットワーク2の入力部3における入力インピーダンスZinは、インピーダンス測定装置7によって検出可能である。インピーダンス測定装置7は、複素入力インピーダンスZinを測定するように設計可能である。インピーダンス測定装置7は、例えばV/Iプローブとして構成可能であり、すなわち電圧および電流を測定するように、とりわけ電圧および電流をそれらの相互の位相関係を含めて測定するように構成可能である。
【0046】
図示のインピーダンス整合ネットワーク2は、第1の整合段10と、第1の整合段10に対して直列に配置されている第2の整合段12とを備えたL型のコンフィギュレーションを有する。第1の整合段10は、図示の実施例ではコンデンサとして構成されている可変リアクタンスXPを有する。可変リアクタンスXPは、インダクタンスL1に対して直列に配置されている。
【0047】
第2の整合段12も同様に、コンデンサとして構成されている可変リアクタンスXSを有する。可変リアクタンスXSは、インダクタンスL2に対して直列に接続されている。
【0048】
中間インピーダンスZinterは、第2の整合段12の入力部におけるインピーダンスである。
【0049】
インピーダンス測定装置7によって、インピーダンス整合ネットワーク2の入力インピーダンスZinを測定することができる。測定された入力インピーダンスZinは、この測定された入力インピーダンスZinと、少なくとも1つのルックアップテーブル16,18とに基づいて中間インピーダンスZinterを特定するために、特定装置14によって使用可能である。ルックアップテーブル16,18は、較正方法において作成されたものである。ルックアップテーブル16,18は、リアクタンスXP,XSの種々異なる状態に対する、ひいては整合段10,12の種々異なる状態に対する、設定可能なリアクタンスXP,XSのインピーダンス値を有することができる。
【0050】
特定装置14は、中間インピーダンスZinterと、インピーダンス整合ネットワーク2のモデル20とから、1つの整合段10,12の少なくとも1つのリアクタンスXP,XSに対する少なくとも1つの変化目標値を特定するようにさらに構成されている。
【0051】
設定装置22は、特定された変化目標値に基づいて、少なくとも1つの整合段10,12の状態を変化させるように構成されている。
【0052】
図2は、入力アドミタンス、すなわち1/Zinのアドミタンス平面を示す。Zinは、インピーダンス整合ネットワーク2の入力部において測定されたインピーダンスZinを表す。Zintargetは、インピーダンス整合によって達成されるべきアドミタンスを表す。第1の整合段10のリアクタンスXPを変化させることにより、入力アドミタンスの虚部のみを変化させることができ、このことは、垂直方向の双方向矢印30によって示されている。
【0053】
第2の整合段12のリアクタンスXSによって入力アドミタンスは、楕円形の軌道上で移動させられ、このことは、矢印32によって示されている。
【0054】
入力アドミタンス(Zinの逆数)が既知であって、かつXPの値が既知である場合には、ルックアップテーブル16に基づいて(第2の整合段12の現在の状態、すなわち、とりわけリアクタンスXPの駆動部のモータ位置が分かっている)中間インピーダンスZinterを特定することができるということが、図3に基づいて見て取れる。ここから、リアクタンスXSを変化させることによってアドミタンス変化がどのような楕円上で実施されるのかが分かる。
【0055】
ここで、楕円または軌道Tを目標線ZLと交差させるために、すなわちZinterの実部が0.02Sの値を取るために、リアクタンスXSをどのくらいの量だけ変化させなければならないのかを特定することができる。ここから、変化目標値dXSが分かる。
【0056】
ここで、図4に基づいて説明するさらなるステップでは、Zintargetに到着するために、XPをどのくらいの量だけ変化させなければならないのかを特定することができる。これにより、さらなる変化目標値dXPが分かる。
【0057】
本発明による方法を、図6のブロック図に基づいてさらに説明する。ステップ100では、インピーダンス整合ネットワークの入力インピーダンスZinが測定される。続いてステップ101では、測定された入力インピーダンスZinと、インピーダンス整合ネットワークの整合段のうちの少なくとも1つの整合段の少なくとも1つの現在の状態値とから中間インピーダンスが特定される。
【0058】
ステップ102では、中間インピーダンスと、インピーダンス整合ネットワークのモデルとから、1つの整合段の少なくとも1つのリアクタンスに対する変化目標値が特定される。
【0059】
ステップ103では、変化目標値に基づいて、整合段のうちの少なくとも1つの整合段の状態が変化させられる。ステップ104では、ここで特定された入力インピーダンスが、所定の値を上回っているかどうか、または下回っているかどうかがチェックされる。所定の値を上回っていないか、または下回っていない場合には、ステップ100に戻る。そうでない場合には、整合が達成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】