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2024-508043重合を阻害し、かつ、乳化を破壊する組成物及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】重合を阻害し、かつ、乳化を破壊する組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 15/20 20060101AFI20240214BHJP
   C10G 33/04 20060101ALI20240214BHJP
   C09K 15/02 20060101ALI20240214BHJP
   B01D 17/05 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C09K15/20
C10G33/04
C09K15/02
B01D17/05 501H
B01D17/05 501J
B01D17/05 501G
B01D17/05 501A
B01D17/05 501E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023567088
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 IB2022050021
(87)【国際公開番号】W WO2022157586
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202121002790
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509270317
【氏名又は名称】ドルフ ケタール ケミカルズ (インディア)プライヴェート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニヤム,マヘシュ
【テーマコード(参考)】
4H025
4H129
【Fターム(参考)】
4H025AA01
4H025AA36
4H025AB01
4H025AC07
4H129AA03
4H129CA01
4H129CA03
4H129CA25
4H129DA08
4H129HB01
4H129HB10
4H129NA21
4H129NA45
(57)【要約】
本発明は、重合を阻害すると同時に炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化を破壊する組成物であって、アミノ酸及び水素化ホウ素を含み、アミノ酸が好ましくは6-アミノヘキサン酸であり、水素化ホウ素が好ましくは水素化ホウ素ナトリウムである組成物に関する。一実施形態では、本発明は、重合性材料を本発明の添加剤組成物で処理することによって、重合を阻害し、同時に乳化を破壊する方法に関する。一実施形態では、本発明は、添加剤組成物を重合性材料に添加することによって重合を阻害すると同時に乳化を破壊するための本発明の添加剤組成物の使用に関する。一実施形態では、本発明は、塩基性溶液中での重合によって引き起こされる汚染を防止するための添加剤組成物の使用であって、重合性材料が本発明の添加剤組成物で処理される、使用に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、乳化破壊添加剤組成物。
【請求項2】
アミノヘキサン酸は6-アミノヘキサン酸である、請求項1に記載の乳化破壊添加剤組成物。
【請求項3】
ホウ化水素は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である、請求項1又は2に記載の乳化破壊添加剤組成物。
【請求項4】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の乳化破壊添加剤組成物。
【請求項5】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の乳化破壊添加剤組成物。
【請求項6】
水素化ホウ素のアンモニウム塩は、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム又は水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の乳化破壊添加剤組成物。
【請求項7】
乳化を破壊すると同時に重合性材料の重合を阻害及び制御するための方法であって、前記方法は、重合性材料を添加剤組成物で処理することを含み、ここで、前記添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、方法。
【請求項8】
アミノヘキサン酸は6-アミノヘキサン酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ホウ化水素は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
乳化を破壊すると同時に重合性材料の重合を阻害及び制御するための添加剤組成物の使用であって、前記使用は、前記添加剤組成物を重合性材料に添加することを含み、ここで、前記添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、使用。
【請求項15】
アミノヘキサン酸は6-アミノヘキサン酸である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
ホウ化水素は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である、請求項14又は15に記載の使用。
【請求項17】
アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される、請求項14~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される、請求項14~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項14~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項14~19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
汚染を防止するための添加剤組成物の使用であって、前記使用は、前記添加剤組成物を重合性材料に添加することを含み、ここで、前記添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、使用。
【請求項22】
アミノヘキサン酸は6-アミノヘキサン酸である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
ホウ化水素は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である、請求項21又は22に記載の使用。
【請求項24】
乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される、請求項21~23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項21~24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項21~25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
汚染は塩基性溶液中での重合性材料の重合によって形成される、請求項21~26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
塩基性溶液は気体流又は液体炭化水素流と接触する、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
気体流及び液体炭化水素流は、炭化水素クラッキング操作からの流出物である、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される、請求項21~29のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
まず、本発明は防御を目的とするものではない。
本発明は、重合を阻害し、かつ、乳化を破壊する組成物及びその使用方法に関する。
特に、本発明は、重合を阻害し、かつ、乳化を破壊する組成物、並びに、重合を阻害すると同時に炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化を破壊するための、その使用方法に関する。
より具体的には、本発明は、重合を阻害すると同時に炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化を破壊するための、アミノ酸及び水素化ホウ素を含む、重合を阻害し、かつ、乳化を破壊する組成物に関する。
より具体的には、本発明はまた、重合を阻害すると同時に炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化を破壊するための、アミノ酸及び水素化ホウ素を含む添加剤組成物の使用に関する。
本発明はまた、炭化水素クラッキング操作からの流出物である気体又は液体炭化水素流と接触している塩基性溶液中での重合により引き起こされる汚染を防止するための、アミノ酸及び水素化ホウ素を含む添加剤組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱分解操作において、エタン、プロパン、ナフサ、灯油、軽油、燃料油等の供給原料は、「分解」、すなわち水素の除去を受けて、不飽和炭化水素を形成する。熱分解はまた、アセトアルデヒド等のカルボニル化合物を含む酸素化炭化水素を生成する傾向がある。通常操作では、分解された流出流は、急冷され、分留され、圧縮される。硫化水素、二酸化炭素、二酸化炭素及びメルカプタン等の酸性汚染物質は、通常、苛性スクラバー中で洗浄することによって流出炭化水素流から除去される。
苛性スクラバーは、酸素化炭化水素を部分的に除去する。しかしながら、同時に、スクラバー中の塩基性条件は、特にアルデヒド(例えば、アセトアルデヒド)及び/又はケトンを含むカルボニル化合物の塩基誘導縮合反応を引き起こす傾向があり、これは次にポリマーの形成をもたらす。
【0003】
塩基性溶液中のカルボニル含有有機物等の酸素化化合物の重合は、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、カルボヒドラジド等のアミン化合物を添加することによって停止されてきた。いくつかの特許は、カルボニル汚染を抑制する方法に関する。
本発明者は、特許文献1にて重合を阻害する方法を先に報告しており、これはまた、重合時に形成される堆積物を溶解するのに有利であることが見出されている。特許文献1では、本発明者は、重合を阻害し、重合時に形成される堆積物を可溶化するために、ラクタム又はアミノ酸の使用を提案した。特許文献1の開示によれば、6-アミノヘキサン酸、タウリン、NH(CH)xYOzOH(式中、xは1~12の整数であり、YはS又はCであることができ、z=1~2である)、それらの異性体、塩、及び組み合わせ、ならびにβアラニン及びその塩からなる群から選択される添加剤は、重合を阻害し、重合時に形成される沈着物を溶解するのに有効である。
本発明者らはまた、特許文献1にて、6-アミノヘキサン酸と、塩酸、硫酸、過塩素酸及び有機酸からなる群から選択される酸との酸性塩からなる群から選択される添加剤が、重合を阻害し、重合時に形成される堆積物を溶解するのに有効であることを報告した。
本発明者はまた、特許文献1にて、6-アミノヘキサン酸及び6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩からなる群から選択される添加剤もまた、供給流中の成分がカルボニル化合物であり、カルボニル化合物と6-アミノヘキサン酸又は6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩とのモル比が1:10~1:0.01である場合に、重合を阻害し、重合時に形成される堆積物を溶解するのに有効であることを報告した。
【0004】
しかしながら、本発明者らは、特許文献1に開示されている添加剤が以下の:
a)6-アミノヘキサン酸
b)又は6-アミノヘキサン酸の酸性塩
c)又は6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩
であることを見出した。
これらは、重合を阻害する(ポリマー形成を制御する)のに有効であり得るが、これらは、炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化の問題を克服せず、したがって、特許文献1の添加剤は、乳化の形成を回避し、形成された乳化を破壊するのに有効ではない。
本発明者は、特許文献1明細書の添加剤が用いられる場合、形成された乳化を破壊する時間が実質的により長いことを見出した。本発明の表1に示される実験データによれば、本発明者は以下の:
i)0.25ml(0.29g)の用量では、トルエン抽出後に乳化が破壊するまでの時間は約4分である。
ii)0.30ml(0.34g)の用量では、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は約5分に増加する。
iii)0.35ml(0.40g)の用量では、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は約7分に増加する。
iv)0.40ml(0.46g)の用量では、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は約12分に増加する。
v)0.50ml(0.57g)の用量では、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は約14分に増加する
ことを見出した。
【0005】
先行技術である特許文献1明細書の表1の上記の実験データから、乳化を破壊する時間は、各用量で実質的により高く、特許文献1の添加剤の0.25ml(0.29g)から0.50ml(0.57g)への用量の増加とともに、約4分から約14分へとさらに実質的に増加し、そのような組成物及び方法は非常に不経済であることが明らかに理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,986,839号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、重合を阻害及び制御するのに有効であるだけでなく、乳化を形成する傾向を低減又はほぼ排除するのに有効であり、乳化が形成された場合、乳化を破壊する傾向を有する添加剤又は添加剤組成物が必要とされている。
したがって、重合を阻害及び制御するのに有効であるだけでなく、乳化を形成する傾向を低減又はほぼ排除するのに有効であり、乳化が形成される場合には、形成された乳化を破壊するのに有効であり、形成された乳化を破壊する時間は、添加剤組成物のより低い用量であっても実質的に低減又は低下し、さらに、形成された乳化を破壊する時間は、添加剤組成物の用量の増加に伴って実質的に増加せず、したがって経済的である添加剤組成物が必要とされている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、重合を阻害及び制御するのに有効であるだけでなく、乳化を形成する傾向を減少させるか又はほとんど排除するのに有効であり、乳化が形成された場合、乳化を破壊する傾向を有する添加剤組成物を提供することである。
したがって、本発明の目的は、重合を抑制及び制御するのに有効であるだけでなく、乳化を形成する傾向を低減又はほぼ排除するのに有効であるべきであり、乳化が形成される場合、形成された乳化を破壊するのに有効であるべきであり、形成された乳化を破壊する時間は、添加剤組成物のより低い用量であっても実質的に低減又は低下されるべきであり;さらに、形成された乳化を破壊する時間は、添加剤組成物の用量の増加に伴って実質的に増加すべきではなく、したがって経済的であるべきである添加剤組成物を提供することによって、先行技術の問題を解決することである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、重合を阻害及び制御するのに有効であるだけでなく、乳化を形成する傾向を減少させるか又はほとんど排除するのに有効であり、乳化が形成される場合、形成された乳化を破壊するのに有効であり、形成された乳化を破壊する時間は、添加剤組成物のより低い用量であっても実質的に減少又は低下し;さらに、形成された乳化を破壊する時間は、添加剤組成物の用量の増加に伴って実質的に増加せず、したがって経済的である添加剤組成物を提供することである。
これはまた、重合性材料を本発明の添加剤組成物で処理することによって、重合を阻害及び制御し、同時に乳化を破壊するための方法を提供することである。
これはまた、重合性材料を本発明の添加剤組成物で処理することによって形成される重合を阻害及び制御し、同時に乳化を破壊するための添加剤組成物の使用を提供することも本発明の目的である。
また、本発明の目的は、炭化水素クラッキング操作からの流出物である気体又は液体炭化水素流と接触している塩基性溶液中での重合を阻害することによって汚染を防止するための添加剤組成物の使用を提供することである。
本発明のさらなる目的は、以下の本発明の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先行技術の上記課題を解決することを目的として、本発明者は、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素を含む組成物が重合性材料又は重合性材料の流れに添加される場合、驚くべきことにかつ予想外に、乳化を形成する傾向を低減又はほぼ排除するのに有効であり、乳化が形成される場合、形成された乳化を破壊するのに有効であり、また重合を阻害及び制御するのに有効であることによって相乗効果を示すことを見出した。
本発明者らは、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素を含む組成物が、驚くべきことにかつ予想外に、添加剤組成物のより低い用量であっても、形成された乳化を破壊する時間を実質的に減少させるのに好適であることを見出し、さらに、形成された乳化を破壊する時間が、本発明の添加剤組成物の用量の増加とともに実質的に増加しないことも驚くべきことにかつ予想外に見出した。
【0011】
したがって、第一の実施形態では、本発明は、重合を阻害及び制御し、同時に乳化を形成する傾向を低減又はほぼ排除し、乳化が形成された場合、形成された乳化を破壊するための添加剤組成物であって、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素を含む添加剤組成物に関する。
したがって、第二の実施形態では、本発明は、重合を阻害及び制御し、同時に乳化の形成を低減又はほぼ排除し、乳化が形成された場合、重合性材料を本発明の添加剤組成物で処理することによって形成された乳化を破壊する方法に関する。
したがって、第三の実施形態では、本発明は、重合を阻害及び制御し、同時に乳化の形成を低減又はほぼ排除し、乳化が形成された場合、重合性材料の流れにおいて本発明の添加剤組成物を用いることによって形成された乳化を破壊するための、添加剤組成物の使用に関する。
したがって、一態様において、本発明は、重合を阻害及び制御し、同時に形成された乳化を破壊するための、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素を含む添加剤組成物に関する。
【0012】
本発明の一実施形態では、アミノヘキサン酸は、6-アミノヘキサン酸であるか、又は6-アミノヘキサン酸の酸性塩もしくは6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、又は6-アミノヘキサン酸のいかなる他の塩として用いられうる。
本発明の好ましい実施形態では、アミノヘキサン酸は、好ましくは6-アミノヘキサン酸である。
【0013】
本発明の一実施形態では、水素化ホウ素は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素アンモニウム塩、又は水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウムであってもよい。水素化ホウ素のアンモニウム塩は、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム、又は水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムであってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、水素化ホウ素は、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である。
したがって、第一の実施形態では、本発明は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む破壊添加剤組成物である。
【0014】
したがって、第二の実施形態では、本発明はまた、乳化を破壊すると同時に重合を阻害及び制御するための以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、又はそれらの混合物を含む群から選択されるアミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素アンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、又はこれらの混合物を含む群から選択される水素化ホウ素化合物[化合物B]。
を含む添加剤組成物である。
本発明の第一及び第二の実施形態では、アミノヘキサン酸は、好ましくは6-アミノヘキサン酸である。
本発明の第一及び第二の実施形態では、水素化ホウ素は、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である。
【0015】
本発明の第一及び第二の実施形態では、重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される。
本発明の第一及び第二の実施形態では、重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである。
本発明の第一及び第二の実施形態では、水素化ホウ素のアンモニウム塩は、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム又は水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムである。
【0016】
したがって、第三の実施形態では、本発明は、乳化を破壊し、同時に重合性材料の重合を阻害及び制御するための方法であって、重合性材料を添加剤組成物で処理する工程を含み、添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む。
本発明の第三の実施形態では、アミノヘキサン酸は、好ましくは6-アミノヘキサン酸である。
本発明の第三の実施形態では、水素化ホウ素は、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である。
本発明の第三の実施形態では、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される。
本発明の第三の実施形態では、乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される。
本発明の第三の実施形態では、重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される。
本発明の第三の実施形態では、重合性材料は、アルドール縮合で、好ましくはアセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである。
【0017】
したがって、第四の実施形態では、本発明は、乳化を破壊し、同時に重合性材料の重合を阻害及び制御するための添加剤組成物の使用であって、方法が、添加剤組成物を重合性材料に添加する工程を含み、添加剤組成物は以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、又はそれらの混合物を含む群から選択されるアミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素アンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、又はこれらの混合物を含む群から選択される水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む。
本発明の第四の実施形態では、アミノヘキサン酸は、好ましくは6-アミノヘキサン酸である。
本発明の第四の実施形態では、水素化ホウ素は、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である。
本発明の第四の実施形態では、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される。
本発明の第四の実施形態では、乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される。
本発明の第四の実施形態では、重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される。
本発明の第四の実施形態では、重合性材料は、アルドール縮合で、好ましくはアセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである。
【0018】
したがって、第五の実施形態では、本発明は、汚染を防止するための添加剤組成物の使用であって、方法が、添加剤組成物を重合性材料に添加する工程を含み、添加剤組成物が
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む。
本発明の第五の実施形態では、アミノヘキサン酸は、好ましくは6-アミノヘキサン酸である。
本発明の第五の実施形態では、水素化ホウ素は、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)である。
本発明の第五の実施形態では、乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される。
本発明の第五の実施形態では、重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される。
本発明の第五の実施形態では、重合性材料は、アルドール縮合で、好ましくはアセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである。
本発明の第五の実施形態では、汚染は塩基性溶液中での重合性材料の重合によって起こるか又は形成される。
本発明の第五の実施形態では、塩基性溶液は気体流又は液体炭化水素流と接触する。
本発明の第五の実施形態では、気体流及び液体炭化水素流は、炭化水素クラッキング操作からの流出物である。
本発明の第五の実施形態では、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される。
本発明の第五の実施形態では、汚染は、炭化水素クラッキング操作からの流出物である気体又は液体炭化水素流と接触している塩基性溶液中での重合によって引き起こされる。
【0019】
本発明の一実施形態では、本明細書の添加剤組成物の成分であるアミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にいかなる順序で添加されてもよい。
しかしながら、本明細書の添加剤組成物の成分であるアミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、ブレンド又は混合物として重合性材料中にともに添加される場合、驚くべきことに、かつ予想外に、形成された乳化を破壊する時間が、本明細書の添加剤組成物の成分であるアミノヘキサン酸及び水素化ホウ素を別々に添加する場合と比較して実質的に短縮されることが見出された。
したがって、本発明のより好ましい一実施形態では、本発明は、重合性材料を添加剤組成物で処理することによって重合を阻害及び制御し、乳化を破壊するための方法であって、当該添加剤組成物は、
(a)アミノヘキサン酸;及び
(b)ホウ化水素;を含み、
ここで、アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一緒に添加される。
本発明の好ましい一実施形態では、驚くべきことに、かつ予想外に、以下の:
(i)約98%の6-アミノヘキサン酸及び約2%の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を含む本組成物の0.25ml(0.29g)の用量に関して、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は、先行技術の添加剤を使用した場合の約4分に対して即時である。
(ii)同様に、約98%の6-アミノヘキサン酸及び約2%の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を含む本発明の組成物の0.30ml(0.34g)の用量について、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は、従来技術の添加剤を使用した場合の約5分に対して約1分である。
(iii)同様に、約98%の6-アミノヘキサン酸及び約2%の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を含む本組成物の0.35ml(0.40g)の用量について、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は、従来技術の添加剤を使用した場合の約7分に対して約3分である。
(iv)同様に、約98%の6-アミノヘキサン酸及び約2%の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を含む本発明の組成物の0.40ml(0.46g)の用量について、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は、従来技術の添加剤を使用した場合の約12分に対して約4分である。
(v)同様に、約98%の6-アミノヘキサン酸及び約2%の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を含む本組成物の0.50ml(0.57g)の用量について、トルエン抽出後に乳化を破壊する時間は、従来技術の添加剤を使用した場合の約14分に対して約4分である
ことが見出された。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態では、6-アミノヘキサン酸は、特許文献1の実施例3、4又は10に記載されている方法を含むがこれらに限定されない、当業界で公知のいかなる方法によって調製することができる。
好ましい一実施形態では、ポリマー対照は、いかなる公知の方法によって測定することができる。本発明の実施例では、ポリマー対照はトルエン可溶性の読みによって測定され、乳化破壊傾向はトルエン相と苛性相が分離するのにかかる時間によって測定される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実験的知見の上記議論から理解され得るように、先行技術の課題は解決され、本発明の添加剤組成物は、驚くべきことにかつ予想外に、重合を阻害及び制御する際に有効であるだけでなく、乳化を形成する傾向を減少させるか又はほとんど排除する際にも有効であり、乳化が形成される場合、実質的に短縮された時間内に乳化を破壊するという技術的利点を有することが見出された。
本発明の実験結果に基づいて、本発明者は、理論又は機構に束縛されることなく、従来技術の添加剤:6-アミノヘキサン酸を重合性材料に添加すると乳化が形成されることを見出し、これが、本発明の二工程プロセスにおいて乳化を破壊する時間が実質的に増加する理由であると考えた。しかしながら、6-アミノヘキサン酸をNaBHと組み合わせると、すなわち、本発明の添加剤組成物をブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加すると、形成された乳化は、先行技術の添加剤、すなわち、特許文献1の6-アミノヘキサン酸添加剤及び米国特許第5582808号(米国特許第808号)のNaBH添加剤を個々に用いる場合よりもはるかに速く破壊し、これは本発明の相乗効果を裏付ける。
したがって、本発明には、以下の技術的利点:
(a) 重合を阻害及び制御すること;及び
(b) 乳化が形成される場合、従来技術の添加剤(すなわち、特許文献1及び米国特許第808号明細書)よりも速く乳化を破壊する傾向がある
の両方があることが見出された。
特許文献1も米国特許第808号も炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化の問題を論じておらず、この問題に対する解決策を提供するという疑問が特許文献1及び米国特許第808号において生じていないことが本明細書において留意され得る。
したがって、本発明によれば、形成された乳化を破壊する時間は、本発明の添加剤組成物のより低い用量であっても実質的に短縮され、さらに、形成された乳化を破壊する時間もまた、本発明の添加剤組成物の用量の増加に伴って実質的に増加しない。
本発明はまた、先行技術の米国特許第808号において用いられるような水素化ホウ素の問題を克服し、ここで、実質的により高い量の水素化ホウ素が、特に約4:1::カルボニル:水素化ホウ素のモル比又は少なくとも約25%で必要とされた。さらに、乳化を破壊するための時間は、水素化ホウ素を用いると短縮され得るが、重合は依然として高い。添付の実験データから分かるように、本発明によれば、水素化ホウ素の量は一般に非常に低く、これは乳化のより速い破壊をもたらすだけでなく、重合の阻害及び制御ももたらす。
本発明の実施形態では、本組成物は、以下の:
a)約99.9重量%~90重量%の前記アミノヘキサン酸及び約0.1重量%~10重量%の前記水素化ホウ素
b)好ましくは、約99.9重量%~95重量%のアミノヘキサン酸及び約0.1重量%~5重量%の水素化ホウ素
c)より好ましくは、約99.9重量%~97重量%のアミノヘキサン酸及び約0.1重量%~3重量%の水素化ホウ素
d)さらにより好ましくは、約99.9重量%~97.5重量%のアミノヘキサン酸及び約0.1重量%~2.5重量%の水素化ホウ素;
e)さらにより好ましくは、約99.9重量%~98.5重量%のアミノヘキサン酸及び約0.1重量%~1.5重量%の水素化ホウ素;
を含んでもよい。
【0022】
本発明の目的は、水素化ホウ素の量を低減することである。
本発明の実施形態では、重合性材料に添加され得る本発明の組成物の量は、以下の
i)約5ppm~3000ppm;
ii)好ましくは約5ppm~2000ppm;
iii)より好ましくは約5ppm~1000ppm;
iv)さらにより好ましくは約5ppm~500ppmである
ように変化してよい。
【0023】
本発明の目的は、添加剤組成物の量を減少させることである。
本明細書で言及される重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時のいずれかで重合する傾向がある材料である。本発明の一実施形態では、本明細書で言及される重合性材料は、アルドール縮合に起因して、好ましくはアセトアルデヒドのアルドール縮合に起因して形成されるポリマーであり、このポリマーは、業界ではアルドール又はレッドタイドポリマーと呼ばれることもあり、酢酸ビニル(VA)がアセトアルデヒドの供給源である。
本明細書で言及される乳化は、炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化であり、炭化水素と苛性アルカリとの分離プロセスを妨げる。本発明で提供される添加剤組成物は、重合、すなわちポリマー形成を低下させるだけでなく、乳化を形成する傾向、及び乳化が形成される場合、炭化水素と苛性アルカリとの間で形成された乳化を破壊する傾向を減少させるか又はほとんど排除するという技術的利点がある。
【実施例1】
【0024】
本発明の添加剤組成物は、いかなる方法で調製することができ、重合を阻害すると同時に炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される乳化を破壊するためのいかなる方法で用いることができる。
本発明の一実施形態では、本実施例で用いられる6-アミノヘキサン酸は、特許文献1の実施例3、4又は10に記載されている方法を含むがこれらに限定されない、当業界で公知のいかなる方法によって調製することができ、本実施例で用いられる水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)は市販されている。
実験結果については、以下の表に示される実験データを参照することができる。表I及び表IIは、本発明の範囲を限定することを意図しない。
本実施例では、ポリマー対照はトルエン可溶性読み取り値によって測定され、乳化破壊傾向はトルエン相と苛性相とが分離するのにかかる時間によって測定される。乳化が密であるほど、乳化を破壊するのにより多くの時間がかかり、乳化を形成する傾向が高いほど、破壊時間が長くなることに留意されたい。
添付の実験結果から分かるように、先行技術の添加剤:NaBHは、トルエン(炭化水素)及び苛性相が分離するのにより短い時間を要するが、形成されるポリマーの量がより多く、したがって、それは、産業の好ましい選択ではない。
添付の実験結果からも観察され得るように、先行技術の添加剤:6-アミノヘキサン酸は、トルエン(炭化水素)及び苛性相が分離するためにより長い時間を要し、したがって、これもまた、産業の好ましい選択ではない。
添付の実験結果からも分かるように、(a)6-アミノヘキサン酸及び(b)塩化ヒドロキシルアミン、又は亜ジチオン酸ナトリウム、又はエチレンジアミンを含む比較添加剤組成物は、トルエン(炭化水素)及び苛性相が分離するのにより長い時間を要し、したがって、これらもまた、工業的に好ましい選択ではない。
しかしながら、(a)6-アミノヘキサン酸及び(b)NaBHを含む本発明の組成物は、トルエン(炭化水素)及び苛性相が分離するのにより短い時間を要し、形成されるポリマーの量もより少なく、したがって、それは産業の好ましい選択である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A]、及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]、
を含む、乳化を破壊すると同時に重合を阻害及び制御するための添加剤組成物。
【請求項2】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項1又は2に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
水素化ホウ素のアンモニウム塩は、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム又は水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
重合性材料の、乳化を破壊すると同時に重合を阻害及び制御するための方法であって、前記方法は、重合性材料を添加剤組成物で処理することを含み、ここで、前記添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、方法。
【請求項6】
アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
重合性材料の、乳化を破壊すると同時に重合を阻害及び制御するための添加剤組成物の使用であって、前記使用は、前記添加剤組成物を重合性材料に添加することを含み、ここで、前記添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、使用。
【請求項11】
アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される、請求項10又は11に記載の使用。
【請求項13】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項10~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項10~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
汚染を防止するための添加剤組成物の使用であって、前記使用は、前記添加剤組成物を重合性材料に添加することを含み、ここで、前記添加剤組成物は、以下の:
(a)6-アミノヘキサン酸、6-アミノヘキサン酸の酸性塩、6-アミノヘキサン酸のナトリウム塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される、アミノヘキサン酸[化合物-A];及び
(b)水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素のアンモニウム塩、水素化ホウ素トリイソプロポキシナトリウム、及びこれらの混合物を含む群から選択される、水素化ホウ素化合物[化合物B]
を含む、使用。
【請求項16】
乳化は炭化水素と苛性アルカリとの間で形成される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
重合性材料は、加熱時、凝縮時、又はクラッキング時に重合する傾向がある材料から選択される、請求項15又は16に記載の使用。
【請求項18】
重合性材料は、アルドール縮合、又は、アセトアルデヒドのアルドール縮合で形成されるポリマーである、請求項15~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
汚染は塩基性溶液中での重合性材料の重合によって形成される、請求項15~18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
塩基性溶液は気体流又は液体炭化水素流と接触している、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
気体流及び液体炭化水素流は、炭化水素クラッキング操作からの流出物である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
アミノヘキサン酸及び水素化ホウ素は、重合性材料中にブレンド又は混合物として一工程プロセスで添加される、請求項15~21のいずれか一項に記載の使用。
【国際調査報告】