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特表2024-508059電池加熱制御方法、装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電池加熱制御方法、装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/657 20140101AFI20240215BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240215BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240215BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240215BHJP
   H01M 10/637 20140101ALI20240215BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20240215BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20240215BHJP
   B60L 58/21 20190101ALI20240215BHJP
【FI】
H01M10/657
H02J7/00 P
H02J7/00 302C
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/637
H01M10/633
B60L58/27
B60L58/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548744
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2022089795
(87)【国際公開番号】W WO2023123775
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111616541.3
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳偉
(72)【発明者】
【氏名】黄孝鍵
(72)【発明者】
【氏名】趙元▲ミャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】但志敏
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA08
5G503CB11
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5G503HA02
5H031HH06
5H125AA01
5H125AC11
5H125BC01
5H125BC19
5H125BC28
5H125CD09
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE27
5H125FF03
(57)【要約】
本出願は、電池加熱制御方法、装置及び電子機器を開示した。この方法は、電池モジュールの電池パラメータを収集することと、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することで、前記電池モジュールを、前記動力電池と給電電池との相互充放電により加熱することと、車両のモータに給電するように前記電池モジュールにおける動力電池を制御して車両を走行させることとを含む。それにより、現在で低温環境において車両を使用するために電池を予め加熱する必要があることに起因して利便性が悪い問題を解決し、低温環境において車両の使用の安全性を確保するだけでなく、車両の使用の利便性を向上させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールの電池パラメータを収集するステップと、
電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することにより、前記電池モジュールを、前記動力電池と給電電池との相互充放電により加熱するステップと、
車両のモータに給電するように前記電池モジュールにおける動力電池を制御して車両を走行させるステップとを含む、ことを特徴とする電池加熱制御方法。
【請求項2】
前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御するステップは、
前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池のうちの一方がエネルギー蓄積素子に放電して前記エネルギー蓄積素子を充電するように制御するステップと、
前記動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するように前記エネルギー蓄積素子を制御するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前述した、前記動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するように前記エネルギー蓄積素子を制御するステップは、
前記エネルギー蓄積素子の充電が完了した後、前記動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するように前記エネルギー蓄積素子を制御するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両のモータは、第一のモータと第二のモータとを含み、前記動力電池は、前記第二のモータに給電して車両を走行させ、且つ前記第一のモータの固定子インダクタンスは、前記エネルギー蓄積素子である、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御するステップは、
動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値を取得するステップと、
前記動力電池の放電実効値及び前記給電電池の放電実効値に基づいて、動力電池に対応する動力放電時間長及び給電電池に対応する給電放電時間長を計算するステップと、
前記動力電池が放電するとき、前記動力放電時間長の電気エネルギーを放出するように前記動力電池を制御するステップと、
前記給電電池が放電するとき、前記給電放電時間長の電気エネルギーを放出するように前記給電電池を制御するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御するステップは、
モータ給電電流及び給電電池の初期放電実効値を取得するステップと、
前記モータ給電電流と前記給電電池の初期放電実効値に基づいて、給電電池の放電調整値を計算するステップと、
給電電池が放電するとき、前記放電調整値に基づいて前記給電電池の放電電流を調整するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御するステップの後、前記方法は、
前記電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前述した、充放電を停止するように電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御するステップの後、前記方法は、
前記動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にない場合、前記動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、前記動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御するステップと、
放電プロセスにおいて、前記動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にないとリアルタイムに判断された場合、前記放電プロセスを実行し続けるステップと、
放電プロセスにおいて、前記動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあるとリアルタイムに判断された場合、前記放電プロセスを停止するステップとをさらに含む、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前述した、前記放電プロセスを停止するステップの後、前記方法は、
車両のモータが始動を要求すると、前記動力電池と前記給電電池を並列に接続して前記車両のモータに給電するように制御するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電池パラメータは、電池温度を含み、前記予め設定された加熱条件は、前記電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低いことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電池パラメータは、電池温度と電池の電力量を含み、前記予め設定された加熱条件は、前記電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低いことと、前記電池の電力量が予め設定された電力量よりも高いこととを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御するステップの前に、前記方法は、
前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を逆直列に接続するように制御するステップをさらに含み、そのうち、前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池は、非加熱条件で並列に接続されて前記モータに給電する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電池モジュールの電池パラメータを収集するための収集モジュールと、
前記電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することで、前記電池モジュールを、前記動力電池と給電電池との相互充放電により加熱し、車両のモータに給電するように前記電池モジュールにおける動力電池を制御して車両を走行させるための制御モジュールとを含む、ことを特徴とする電池加熱制御装置。
【請求項14】
コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、プロセッサとを含む電子機器であって、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実現させる、ことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実現させる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、具体的に電池加熱制御方法、装置及び電子機器に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月27日に提出された、名称が「電池加熱制御方法、装置及び電子機器」である中国特許出願番号202111616541.3の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
省エネ・排出削減は、自動車産業の持続的な発展の鍵である。電気自動車は、その省エネや環境に優しい利点により、自動車産業の持続的な発展の重要な構成要素となっている。電気自動車にとって、電池技術は、その発展にかかわる重要な要素となっている。
【0004】
電気自動車の電池では、低温環境において放電性能が劣る問題がある。この問題を解決するために、現在では、低温環境において車両の電池を予め加熱し、車両の電池の加熱が完了した後、車両を走行させることが一般的である。しかしながら、このような方式では、車両を使用するために、電池を予め加熱する必要があり、使用利便性が悪い問題があり、ユーザの使用体験を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
上記問題点に鑑みて、本出願は、現在で低温環境において車両を使用するために電池を予め加熱する必要があることに起因して利便性が悪いという問題を解決できる電池加熱制御方法、装置及び電子機器を提供する。
【0006】
第一の方面によれば、本出願は、電池モジュールの電池パラメータを収集することと、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することで、前記電池モジュールを、前記動力電池と給電電池との相互充放電により加熱することと、車両のモータに給電するように前記電池モジュールにおける動力電池を制御して車両を走行させることとを含む電池加熱制御方法を提供する。
【0007】
本出願の実施例の技術案では、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、本態様は、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御する。動力電池と給電電池はいずれも内部抵抗を有するため、動力電池と給電電池が相互充放電し、内部抵抗に熱エネルギーを発生させることにより、電池モジュールの加熱を実現する。本態様は、電池を加熱する場合、動力電池により車両のモータに給電して車両を走行可能にする。つまり、本態様は、車両走行中における電池の自己加熱の態様と効果を実現する。それにより、現在で低温環境において車両を使用するために電池を予め加熱する必要があることに起因して利便性が悪いという問題を解決する。特に低温環境において車両の使用の安全性を確保するとともに、車両の使用の利便性を向上させる。
【0008】
いくつかの実施例では、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することは、電池モジュールにおける動力電池と給電電池のうちの一方がエネルギー蓄積素子に放電してエネルギー蓄積素子を充電するように制御することと、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御することとを含む。本出願の実施例は、エネルギー蓄積素子を充放電プロセスにおける中間素子として利用することで、動力電池と給電電池の相互充放電を実現する。それにより、既存のデバイスと簡単で操作し易い技術案に基づいて電池モジュールの自己加熱を実現することができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前述した、前記動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するように前記エネルギー蓄積素子を制御することは、前記エネルギー蓄積素子の充電が完了した後、前記動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するように前記エネルギー蓄積素子を制御することを含む。本出願の実施例では、エネルギー蓄積素子の充電が完了した場合にのみ、電池へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御する。それにより、エネルギー蓄積素子を制御することにより、電池の充電タイミングと電力量を制御することができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記車両のモータは、第一のモータと第二のモータとを含み、前記動力電池は、前記第二のモータに給電して車両を走行させ、且つ前記第一のモータの固定子インダクタンスは、前記エネルギー蓄積素子である。本出願の実施例は、車両がダブルモータモードである場合にも適用でき、そのうちの一つのモータの固定子インダクタンスをエネルギー蓄積素子とし、もう1つのモータを車両の動力とする。それにより、車両走行中における電池の自己加熱を確保する態様で、既存のモータの固定子インダクタンスをエネルギー蓄積素子として利用して、単独のエネルギー蓄積素子を節約する設計を実現し、さらに、回路構造設計及びエネルギー蓄積素子によるコストを低減する。
【0011】
いくつかの実施例では、前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することは、動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値を取得することと、前記動力電池の放電実効値及び前記給電電池の放電実効値に基づいて、動力電池に対応する動力放電時間長及び給電電池に対応する給電放電時間長を計算することと、前記動力電池が放電するとき、前記動力放電時間長の電気エネルギーを放出するように前記動力電池を制御することと、前記給電電池が放電するとき、前記給電放電時間長の電気エネルギーを放出するように前記給電電池を制御することとを含む。本出願の実施例は、動力電池と給電電池の放電時間長を制御することにより、動力電池と給電電池の電流均等化を達成する。
【0012】
いくつかの実施例では、前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することは、モータ給電電流及び給電電池の初期放電実効値を取得することと、前記モータ給電電流及び前記給電電池の初期放電実効値に基づいて、給電電池の放電調整値を計算することと、給電電池が放電するとき、前記放電調整値に基づいて前記給電電池の放電電流を調整することとを含む。本出願の実施例は、給電電池の放電量を調節することにより、動力電池と給電電池の電流均等化を達成する。
【0013】
いくつかの実施例では、前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することの後、前記方法は、前記電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御することをさらに含む。本出願の実施例では、電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御する。それにより、電池モジュールの温度が上昇し続けることに起因する安全上の懸念を無くす。
【0014】
いくつかの実施例では、前述した、充放電を停止するように電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御することの後、前記方法は、前記動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にない場合、前記動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、前記動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御することと、放電プロセスにおいて、前記動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にないとリアルタイムに判断された場合、前記放電プロセスを実行し続けることと、放電プロセスにおいて、前記動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあるとリアルタイムに判断された場合、前記放電プロセスを停止することとをさらに含む。本出願の実施例は、相互充放電が完了した後、電池の電圧差をさらに判断する。それにより、放電の方式で、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲にあることを確保し、動力電池と給電電池との電圧均等化を実現し、さらに、動力電池と給電電池が並列に接続された後、電池の損傷を招くことがないことを確保する。
【0015】
いくつかの実施例では、前述した、前記放電プロセスを停止することの後、前記方法は、車両のモータが始動を要求すると、前記動力電池と前記給電電池を並列に接続して前記車両のモータに給電するように制御することをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施例では、前記電池パラメータは、電池温度を含み、前記予め設定された加熱条件は、前記電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低いことを含む。
【0017】
いくつかの実施例では、前記電池パラメータは、電池温度と電池の電力量を含み、前記予め設定された加熱条件は、前記電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低いことと、前記電池の電力量が予め設定された電力量よりも高いこととを含む。本出願の実施例は、温度が予め設定された温度よりも低く、且つ電池の電力量が予め設定された電力量より高い場合にのみ、電池モジュールを加熱する。それにより、電池の自己加熱を維持するのに十分な電気エネルギーがあることを確保する。
【0018】
いくつかの実施例では、前述した、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することの前に、前記方法は、前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を逆直列に接続するように制御することをさらに含み、そのうち、前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池は、非加熱条件で並列に接続して前記モータに給電する。本出願の実施例は、電池モジュールが自己加熱する場合、動力電池と給電電池を逆直列に接続するように制御する。それにより、動力電池と給電電池が自己加熱回路トポロジーを形成することで、自己加熱を効率よく行う。
【0019】
第二の方面によれば、本出願は、電池モジュールの電池パラメータを収集するための収集モジュールと、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することで、前記電池モジュールを、前記動力電池と給電電池との相互充放電により加熱することと、車両のモータに給電するように前記電池モジュールにおける動力電池を制御して車両を走行させるための制御モジュールとを含む電池加熱制御装置を提供する。
【0020】
本出願の実施例の技術案では、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、本態様は、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御する。動力電池と給電電池はいずれも内部抵抗を有するため、動力電池と給電電池が相互充放電し、内部抵抗に熱エネルギーを発生させることにより、電池モジュールの加熱を実現する。本態様は、電池を加熱する場合、動力電池により車両のモータに給電して車両を走行可能にする。つまり、本態様は、車両走行中における電池の自己加熱の態様と効果を実現する。それにより、現在で低温環境において車両を使用するために電池を予め加熱する必要があることに起因して利便性が悪いという問題を解決する。特に低温環境において車両の使用の安全性を確保するだけでなく、車両の使用の利便性を向上させる。
【0021】
いくつかの実施例では、この制御モジュールは、具体的には、電池モジュールにおける動力電池と給電電池のうちの一方がエネルギー蓄積素子に放電してエネルギー蓄積素子を充電するように制御することと、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御することに用いられる。本出願の実施例は、エネルギー蓄積素子を充放電プロセスにおける中間素子として利用することで、動力電池と給電電池の相互充放電を実現する。それにより、既存のデバイスと簡単で操作し易い技術案で電池モジュールの自己加熱を実現することができる。
【0022】
いくつかの実施例では、この制御モジュールは、具体的には、さらに、動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値を取得することと、前記動力電池の放電実効値及び前記給電電池の放電実効値に基づいて、動力電池に対応する動力放電時間長及び給電電池に対応する給電放電時間長を計算することと、前記動力電池が放電するとき、前記動力放電時間長の電気エネルギーを放出するように前記動力電池を制御することと、前記給電電池が放電するとき、前記給電放電時間長の電気エネルギーを放出するように前記給電電池を制御することとに用いられる。本出願の実施例は、動力電池と給電電池の放電時間長を制御することにより、動力電池と給電電池の電流均等化を達成する。
【0023】
いくつかの実施例では、この制御モジュールは、具体的には、さらに、モータ給電電流及び給電電池の初期放電実効値を取得することと、前記モータ給電電流及び前記給電電池の初期放電実効値に基づいて、給電電池の放電調整値を計算することと、給電電池が放電するとき、前記放電調整値に基づいて前記給電電池の放電電流を調整することとに用いられる。本出願の実施例は、給電電池の放電量を調節することにより、動力電池と給電電池の電流均等化を達成する。
【0024】
いくつかの実施例では、この制御モジュールは、さらに、電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御することに用いられる。
【0025】
いくつかの実施例では、この制御モジュールは、さらに、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内になくなったら、前記動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、前記動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御することに用いられる。この制御モジュールは、さらに、動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にないとリアルタイムに判断された場合、この放電プロセスを制御し続けることと、動力電池と前記給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲にあるとリアルタイムに判断された場合、この放電プロセスを停止することとに用いられる。
【0026】
いくつかの実施例では、この制御モジュールは、さらに、前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を逆直列に接続するように制御することに用いられ、そのうち、前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池は、非加熱条件で並列に接続して前記モータに給電する。
【0027】
第三の方面によれば、本出願は、コンピュータプログラムが記憶されたメモリと、プロセッサとを含む電子機器を提供する。前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、第一の方面、第一の方面の中から選択可能ないずれかの実現形態に記載の方法を実行する。
【0028】
第四の方面によれば、本出願は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。このコンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、第一の方面、第一の方面の中から選択可能ないずれかの実現形態に記載の方法を実行する。
【0029】
第五の方面によれば、本出願は、コンピュータプログラム製品を提供する。前記コンピュータプログラム製品がコンピュータで運行すると、コンピュータに、第一の方面、第一の方面の中から選択可能ないずれかの実現形態に記載の方法を実行させる。
【0030】
上記の説明は、本発明の実施例の技術案の概要に過ぎない。本発明の実施例の技術的手段をより明確に理解し、明細書の内容に基づいて実施できるようにし、本発明の実施例の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明らかで理解しやすいようにするために、以下、本発明の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下の好ましい実施形態の詳細な記述を読むことによって、当業者にとって、様々な他の利点及び有益点が明らかになる。添付図面は、好ましい実施形態を示すためにのみ用いられ、本出願を制限するものとはみなされない。そして、添付図面全体において、同じ部品は、同じ符号で表されている。添付図面において、
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第一のフローチャートである。
図3】本出願のいくつかの実施例によるシングルモータ給電トポロジー回路図である。
図4】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第二のフローチャートである。
図5】本出願のいくつかの実施例によるダブルモータ給電トポロジー回路図である。
図6】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第三のフローチャートである。
図7】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第四のフローチャートである。
図8】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第五のフローチャートである。
図9】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第六のフローチャートである。
図10】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の第七のフローチャートである。
図11】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御装置の構造概略図である。
図12】本出願のいくつかの実施例による電子機器の構造概略図である。
図13】本出願のいくつかの実施例による電池加熱制御方法の好ましい実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳しく説明する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためのものであり、例示に過ぎず、これによって本出願の保護範囲が制限されるものではない。
【0033】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求の範囲及び上記の図面の説明における用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0034】
本出願の実施例の説明では、用語「第一の」、「第二の」などは、異なる対象を区別するためにのみ用いられ、相対的な重要性を明示又は示唆する、又は対象となる技術的特徴の数、特定の順序又は主副関係を非明示的に示すと理解されない。本出願の実施例の説明では、特に具体的な限定が明確化されない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0035】
本明細書に言及される「実施例」は、実施例を結び付けながら説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書における各箇所に記載されたこのフェーズは、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的かつ非明示的に理解できる。
【0036】
本出願の実施例の説明において、用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、A、AとBとの組み合わせ、Bの三つのケースを含むことを表してもよい。また、本明細書におけるキャラクタである「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0037】
本出願の実施例の説明では、用語「複数」は、2つ以上(2つを含む)を意味する。同じ理由により、「複数のグループ」は、2つのグループ以上(2つのグループを含む)を意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0038】
本出願の実施例の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などによって示された方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本出願の実施例の説明の便宜又は説明の簡略化を図るためのものであり、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作される必要があることを指示又は示唆するものではなく、本出願の実施例を限定するものと理解されるべきでない。
【0039】
本出願の実施例の説明において、特に明確に規定、限定されていない限り、用語「取り付け」、「繋がる」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続されていてもよいし、着脱可能に接続されていてもよいし、又は一体化されてもよい。機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよい。直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、両素子の内部の連通又は両素子の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0040】
現在では、市場情勢の発展の観点から、電池の応用が益々拡大している。電池は、水力、火力、風力、太陽光発電所などのエネルギー蓄積電源システムのみならず、電気自転車、電動バイク、電気自動車などの電動交通手段、軍事用装備、航空宇宙などの複数の分野に広く用いられる。動力電池の応用分野の拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず拡大している。
【0041】
本発明者は、現在市販されている電気自動車は、低温環境において車両の電池をまず自己加熱する必要があり、電池の自己加熱が完了した場合にのみ車両を始動させることができ、これは車両のユーザに大きな不便をもたらし、特に、急いで車両を使用する必要があるが電池を予め加熱していない場合、不便の問題が深刻化することに気付いた。
【0042】
上記問題を解決するために、出願人は検討した結果、現在で車両を走行させるために加熱を完了させる必要がある理由は、現在の車両のモータの給電回路トポロジー及び対応する給電制御ストラテジが、車両が電池を加熱しながら走行することをサポートしないためであることを見出した。この発見に基づき、出願人は、鋭意研究を行った結果、合理的な給電回路トポロジー設計及びこのトポロジー設計に合わせて合理的な制御ストラテジを設計すれば、車両走行中にも電池の自己加熱プロセスを実現できると考える。
【0043】
発明者は、鋭意研究を行った結果、電池モジュールを設計し、この電池モジュールは、給電電池と動力電池を有し、電池の自己加熱を必要としない場合、給電電池と動力電池を並列に接続して車両のモータに給電し、車両に動力を提供する。電池が自己加熱する場合、給電電池と動力電池は逆直列方式に変換され、中間エネルギー蓄積素子を介して相互充放電を実現して電池モジュールの自己加熱を実現し、且つ動力電池が車両のモータに給電しながら、車両に動力を提供して、車両走行中における電池の自己加熱プロセスを実現できる。
【0044】
本出願の実施例に開示された電池自己加熱制御方法は、電池を動力源として用いる動力装置に応用することができ、当該動力装置は、車両、船舶又は航空機などの電気使用装置を含むが、それらに限らない。
【0045】
説明の便宜上、以下の実施例は、本出願の一実施例に係る電気使用装置が車両10である場合を例にして説明する。
【0046】
図1を参照されたい。図1は、本出願のいくつかの実施例による車両10の構造概略図である。車両10は、燃料自動車、ガス自動車、又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車、又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両10の内部には、電池100が設けられており、電池100は、車両10の底部又は頭部又は尾部に設けられていてもよい。電池100は、車両10への給電に用いられてもよい。例えば、電池100を車両10の動作電源とすることができる。車両10は、コントローラ200と、モータ300とをさらに含んでもよく、コントローラ200は、モータ300に給電するように電池100を制御するためのものであり、例えば、車両10の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要のためのものである。
【0047】
本出願のいくつかの実施例では、電池100は、車両10の動作電源として用いることができるだけでなく、車両10の駆動電源として、燃料又は天然ガス又はその一部に代えて又はその一部に代えて車両10に駆動動力を提供することもできる。
【0048】
なお、本出願では、電池100を車両10の駆動電源として、車両10に提供される駆動動力とする。
【0049】
本出願のいくつかの実施例によれば、本出願の一実施例に係る電池加熱制御方法は、車両のコントローラに応用することができ、この電池加熱制御方法は、車両走行中における電池の自己加熱プロセスを実現でき、図2に示すように、この電池加熱制御方法は、
ステップS200:電池モジュールの電池パラメータを収集する。
【0050】
ステップS210:電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御する。
【0051】
ステップS220:車両のモータに給電するように電池モジュールにおける動力電池を制御する。
【0052】
ステップS200において、本態様は、電池管理システム(Battery management system、BMS)によって電池モジュールの電池パラメータを収集してもよく、そのうち、電池モジュールの電池パラメータは、電池モジュールの電池温度、電池モジュールの電力量、電池モジュールの電圧などを含んでもよい。
【0053】
上記に基づき、本態様は、ステップS210を実行し、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御する。そのうち、この予め設定された加熱条件は、電池モジュールの電池パラメータが電池モジュールの自己加熱を行う必要がある条件を満たすことを示す。電池モジュールは、動力電池と給電電池を含み、この動力電池と給電電池は、電池モジュールが加熱する条件で相互充放電し、それぞれの内部抵抗に熱エネルギーを発生させることにより、電池モジュールの加熱を実現する。
【0054】
ステップS220において、本態様は、車両のモータに給電するように電池モジュールにおける動力電池を制御する。それにより、動力電池と給電電池が相互充放電して自己加熱を実現するだけでなく、車両のモータに給電して、電池の自己加熱中に車両を走行させることができる。なお、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御するステップS210とステップS220は、前後に実行されてもよいし、順を分けずに同時に実行されてもよく、本出願では両者の実行順序を限定しない。
【0055】
一可能な例として、図3は、本出願による電池加熱制御方法が応用可能なシングルモータ給電回路のトポロジー構成図である。図3を参照すると、Bat1は給電電池であり、動力電池Bat2は動力電池である。電池モジュールの加熱が行われていない場合、スイッチK1が閉じる。K1が閉じる状態で、給電電池Bat1と動力電池Bat2が並列に接続されてモータMに給電する。具体的に、図3において、K1が閉じる状態で、給電電池Bat1と動力電池Bat2は、可制御スイッチチューブS1、S2、S3、S4、S5、S6を介して車両のモータに給電し、電流経路は、給電電池Bat1と動力電池Bat2の正極→スイッチS1、S3、S5→モータM→スイッチS2、S4、S6→給電電池Bat1と動力電池Bat2の負極である。
【0056】
電池モジュールの電池パラメータが前記予め設定された加熱条件を満たすと、本出願による電池加熱制御方法は、スイッチK1が切断されるように制御することができる。K1が切断される状態で、給電電池Bat1と動力電池Bat2を逆直列に接続することで、給電電池Bat1と動力電池Bat2が逆直列接続トポロジーにより相互充放電を実現する。それにより、給電電池Bat1と動力電池Bat2が充放電プロセスにおいて熱エネルギーを発生し、電池モジュール全体を加熱することを実現する。また、K1が切断される状態で、給電電池Bat1はモータMに電気エネルギーを提供しなくなり、動力電池Bat2からモータMに電気エネルギーを提供するので、電池の自己加熱中に車両を走行させることができる。
【0057】
上記のように設計された電池加熱制御方法によれば、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、本態様は、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御する。動力電池と給電電池はいずれも内部抵抗を有するため、動力電池と給電電池が相互充放電して内部抵抗に熱エネルギーを発生させることにより、電池モジュールの加熱を実現する。且つ、本態様は、電池を加熱する場合、動力電池から車両のモータに給電することにより、車両を走行させることができる。即ち、本態様は、車両走行中における電池の自己加熱を実現することにより、現在で低温環境において車両を使用するために電池を予め加熱する必要があることに起因して利便性が悪い問題を解決し、低温環境において車両の使用の安全性を確保するだけでなく、車両の使用の利便性を向上させる。
【0058】
本出願のいくつかの実施例によれば、図4に示すように、前述したステップS210における電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することは、以下のステップを含む方法によって実現されてもよい。
【0059】
ステップS400:電池モジュールにおける動力電池と給電電池のうちの一方がエネルギー蓄積素子に放電してエネルギー蓄積素子を充電するように制御する。
【0060】
ステップS410:動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御する。
【0061】
上記実施例において、本態様は、エネルギー蓄積素子を中間素子として用いて、動力電池と給電電池の相互充放電を実現する。そのうち、このエネルギー蓄積素子は、インダクタンス、キャパシタなどの部品を含むが、それらに限らない。
【0062】
また、上記実施例において、本態様は、最初に放電又は最初に充電する電池を限定しなく、即ち、初期状態において動力電池又は給電電池のうちのどの電池がエネルギー蓄積素子に放電するかを限定しない。これに基づき、本方法は、以下の複数の状況を含む。一可能な形態として、初期状態において、動力電池はまずエネルギー蓄積素子に放電してエネルギー蓄積素子を充電し、その後、エネルギー蓄積素子は、給電電池に放電して給電電池を充電してもよい。別の可能な形態として、初期状態において、給電電池は、まずエネルギー蓄積素子に放電してエネルギー蓄積素子を充電し、その後、エネルギー蓄積素子は、動力電池に放電して動力電池を充電してもよい。
【0063】
初期状態において動力電池がまず放電する場合を例にして、引き続き図3を参照する。K1が切断される状態において、本態様では、スイッチS9、スイッチS8が閉じるように制御し、スイッチS10、スイッチS7が切断されるように制御してもよい。それにより、動力電池Bat2がインダクタンスLを充電することを実現する。このとき、電流経路は、動力電池Bat2の正極→スイッチS9→インダクタンスL→スイッチS8→動力電池Bat2の負極である。
【0064】
次に、スイッチS8を切断し、スイッチS7を閉じることで、インダクタンスLが給電電池Bat1を充電するように制御する。このとき、電流経路は、動力電池Bat2の正極→スイッチS9→インダクタンスL→スイッチS7→給電電池Bat1の正極→給電電池Bat1の負極→動力電池Bat2の負極である。
【0065】
本出願の実施例は、エネルギー蓄積素子を充放電プロセスにおける中間素子として利用することで、動力電池と給電電池の相互充放電を実現し、簡単なデバイスで電池モジュールの自己加熱を実現することができる。
【0066】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、ステップS410において、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御することは、以下の複数の状況を含み得る。一可能な実施形態として、本態様は、エネルギー蓄積素子の充電が完了した後、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御してもよい。
【0067】
別の可能な実施形態として、本態様は、エネルギー蓄積素子が充電している間に、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御してもよい。
【0068】
上記実施例において、前述の例によれば、本態様は、インダクタンスLの充電が完了した場合にのみ、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにインダクタンスLを制御してもよい。例えば、動力電池Bat2によるインダクタンスLに対する充電が完了した場合にのみ、スイッチS8が切断され、スイッチS7が閉じるように制御する。これにより、インダクタンスLに給電電池を充電させる。
【0069】
別の可能な実施形態として、本態様は、インダクタンスLが充電している間に、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにインダクタンスLを制御してもよい。例えば、動力電池Bat2がインダクタンスLを充電している間に、即ち、インダクタンスLの充電が完了していない場合、スイッチS8が切断され、スイッチS7が閉じるように制御することにより、インダクタンスLに給電電池を充電させる。
【0070】
本出願の実施例は、エネルギー蓄積素子の充電が完了し又は充電している間に、電池へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御する。それにより、様々な制御方式を採用して、動力電池と給電電池の相互充放電を制御することができる。
【0071】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、本態様は、車両がシングルモータ駆動である場合だけでなく、車両がダブルモータ駆動である場合にも適用可能である。図5を参照されたい。図5は、本出願による電池加熱制御方法が応用可能な別のダブルモータ給電回路のトポロジー構成図である。回路構成図は、第一のモータM1と第二のモータM2とを含む。そのうち、加熱しなく、即ち、K1が閉じる状態において、給電電池Bat1と動力電池Bat2が並列に接続されて第一のモータM1と第二のモータM2に給電する。
【0072】
加熱する場合、本態様は、K1が切断されるように制御する。このとき、動力電池Bat2は第二のモータM2に給電し、且つ動力電池Bat2と給電電池Bat1が逆直列に接続される。また、このとき、エネルギー蓄積素子は、第一のモータM1における固定子インダクタンスである。即ち、動力電池Bat2と給電電池Bat1は、第一のモータM1における固定子インダクタンスを中間要素として、相互充放電を実現する。
【0073】
そのうち、第一のモータM1における固定子インダクタンスをエネルギー蓄積素子とする場合、動力電池Bat2と給電電池Bat1の充放電プロセスは、前記エネルギー蓄積素子がインダクタンスLである充放電プロセスと一致するため、ここではこれ以上説明しない。
【0074】
本出願の実施例では、車両がダブルモータモードである場合、そのうちの一つのモータの固定子インダクタンスをエネルギー蓄積素子とし、もう1つのモータを車両の動力とする。それにより、車両走行中における電池の自己加熱を確保する技術案で、既存のモータの固定子インダクタンスをエネルギー蓄積素子として利用して、単独のエネルギー蓄積素子を節約する設計を実現し、さらに、回路構成設計及びエネルギー蓄積素子によるコストを低減する。
【0075】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、ステップS210において、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することは、図6に示すように、具体的には以下のステップを含んでもよい。
【0076】
ステップS600:動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値を取得する。
【0077】
ステップS610:動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値に基づいて、動力電池に対応する動力放電時間長及び給電電池に対応する給電放電時間長を計算する。
【0078】
ステップS620:動力電池が放電するとき、動力放電時間長の電気エネルギーを放出するように動力電池を制御し、給電電池が放電するとき、給電放電時間長の電気エネルギーを放出するように給電電池を制御する。
【0079】
ステップS600において、放電実効値は、放電プロセスにおける電流実効値を示す。図3を参照して分かるように、動力電池Bat2は、給電電池Bat1との相互充放電を行い、熱エネルギーを発生するだけでなく、モータMに動力を提供する。このように、動力電池Bat2は、エネルギー損失が大きく、且つ、加熱速度が給電電池Bat1よりも速い。このため、給電電池Bat1と動力電池Bat2が自己加熱する時とモータと連携して動作する時における実効値が等しいことを確保し、その加熱速度が等しいことを確保するために、給電電池Bat1と動力電池Bat2との放電差を制御する必要がある。
【0080】
このため、上記実施例において、本態様は、動力電池と給電電池の放電実効値に基づいて、動力電池と給電電池のそれぞれの放電時間長を計算する。それにより、給電電池Bat1が動力電池Bat2に放電するエネルギーがその逆充電エネルギーよりも多いように制御することで、動力電池Bat2が失うエネルギーを補償し、給電電池Bat1と動力電池Bat2の電流均等化を実現し、動力電池と給電電池の充電状態(State of charge、SOC)の均等化を確保する。
【0081】
一可能な実施形態として、本態様は、動力電池と給電電池の放電実効値に基づいて、給電電池の放電デューティ比を計算することにより、給電電池の放電時間を制御してもよい。具体的には、給電電池Bat1の放電デューティ比はD=Irms2/(Irms1+Irms2)であり、ただし、Irms1は給電電池の放電実効値であり、Irms2は動力電池の放電実効値である。動力電池の放電実効値が比較的大きいため、給電電池Bat1の放電デューティ比が比較的大きい。具体的には、図3における給電電池Bat1が放電する際のスイッチが閉じる時間を増加させることで、給電電池Bat1の放電時間を増加させる。それにより、給電電池Bat1が動力電池Bat2に放電するエネルギーをその逆充電エネルギーよりも多くすることで、動力電池Bat2が失うエネルギーを補償し、給電電池Bat1と動力電池Bat2の電流均等化を実現し、動力電池と給電電池のSOC均等化を確保する。
【0082】
本出願の実施例は、動力電池と給電電池の放電時間長を制御することで、給電電池が動力電池に放電するエネルギーをその逆充電エネルギーよりも多くすることにより、動力電池が失うエネルギーを補償し、給電電池と動力電池の電流均等化を実現し、動力電池と給電電池のSOC均等化を確保する。それにより、走行・加熱プロセスにおける異なる動作状態の要求を満たす。
【0083】
本出願のいくつかの実施例によれば、前述した、給電電池の放電時間長を増加させることに加え、ステップS220において、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することは、図7に示すように、本態様は、さらに以下のステップにより給電電池と動力電池の電流均等化を実現してもよい。
【0084】
ステップS700:モータ給電電流及び給電電池の初期放電実効値を取得する。
【0085】
ステップS710:モータ給電電流と給電電池の初期放電実効値に基づいて、給電電池の放電調整値を計算する。
【0086】
ステップS720:給電電池が放電するとき、放電調整値に基づいて給電電池の放電電流を調整する。
【0087】
ステップS700において、モータ給電電流は、モータ要求電流であり、このモータ要求電流は、車両走行中に踏込まれたアクセルペダルに対応するモータ回転数から算出されることができる。この給電電池の初期放電実効値は、初期状態における給電電池の放電実効値である。
【0088】
モータ給電電流と給電電池の初期放電実効値を得た後、本態様は、モータ給電電流と給電電池の初期放電実効値に基づいて、給電電池の放電調整値を計算する。具体的には、モータ給電電流と給電電池の初期放電実効値との和を計算し、この放電調整値を得てもよい。それにより、給電電池の放電電流を増大させて、動力電池からモータへのエネルギーを取り戻し、給電電池と動力電池の電流均等化を実現し、動力電池と給電電池のSOC均等化を確保する。
【0089】
具体的に、インダクタンスを中間素子として動力電池と給電電池の相互充放電を実現する上で、本態様は、給電電池がインダクタンスを充電する時間を増加させることにより、インダクタンスが放電する電流を増大させ、給電電池が動力電池に放電するときの放電電流を増大させてもよい。
【0090】
本出願の実施例は、給電電池の放電量を調節することで、動力電池がモータに与えたエネルギーを取り戻し、給電電池と動力電池の電流均等化を実現し、動力電池と給電電池のSOC均等化を確保する。
【0091】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、ステップS210において、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御した後、図8に示すように、本態様は、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0092】
ステップS800:電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御する。
【0093】
本実施例において、電池モジュールを動力電池と給電電池との相互充放電により加熱した後、本態様は、電池モジュールの温度が温度要求に達したか否かを判断する。温度要求に達した場合、本態様は、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電を停止するように制御して、電池モジュールが加熱を停止するようにすることができる。ここで、この温度要求は、電池の具体的な使用状況に応じて設定されてもよい。
【0094】
本実施例では、電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御することにより、電池モジュールの温度が上昇し続けることに起因する安全上の懸念を無くす。
【0095】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、電池モジュールが加熱を停止した後、本態様は、さらに、給電電池と動力電池との電圧差を判断することによって、給電電池と動力電池が並列に接続された後、電圧差が大きすぎることによる電池の損傷を防止することができる。図9に示すように、以下のステップを含んでもよい。
【0096】
ステップS900:動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にある場合、動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御する。
【0097】
ステップS910:放電プロセスにおいて、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にない場合、この放電プロセスを停止する。
【0098】
ステップS920:放電プロセスにおいて、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にある場合、この放電プロセスを実行し続ける。
【0099】
ステップS900において、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあるか否かを判断する方式は複数ある。一可能な実施形態として、本態様は、動力電池の電圧と給電電池の電圧を取得し、動力電池の電圧と給電電池の電圧との差を計算し、動力電池と給電電池との電圧差を取得し、電圧差が予め設定された閾値範囲にあるか否かを判断してもよい。
【0100】
別の可能な実施形態として、例えば、電圧差を間接的に反映するパラメータを用いて判定してもよい。例えば、三元系リチウム電池のSOC差が電圧差を正確に反映することができる。従って、動力電池と給電電池がいずれも三元系リチウム電池である場合、本態様は、動力電池と給電電池のSOCをさらに取得し、動力電池と給電電池とのSOC差が予め設定された閾値範囲内にあるか否かを判断してもよい。
【0101】
動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあると判断された場合、動力電池と給電電池との電圧差が要求を満たすことを示し、並列接続後に電池の損傷を招くことがなく、後続の放電動作を実行する必要がない。
【0102】
電圧差が予め設定された閾値範囲内にないと判断された場合、動力電池と給電電池との電圧差が要求を満たさないことを示す。この場合、動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御する。給電電池の電圧が動力電池の電圧よりも高いと仮定すると、給電電池がエネルギー蓄積素子に放電するように制御して、エネルギー蓄積素子が動力電池を充電するようにする。
【0103】
上記放電プロセスにおいて、本態様は、給電電池と動力電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあるか否かをリアルタイムに判断し、予め設定された閾値範囲内にある場合、動力電池と給電電池との電圧差が要求を満たすことを示し、上記放電プロセスを直ちに停止する。依然として予め設定された閾値範囲内にない場合、何ら処理も行わず、上記放電プロセスを実行し続ける。
【0104】
本出願の実施例は、相互充放電が完了した後、電池の電圧差をさらに判断する。それにより、放電の方式で、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲にあることを確保し、動力電池と給電電池との電圧均等化を実現し、さらに、動力電池と給電電池が並列に接続された後、電池の損傷を招くことがないことを確保する。
【0105】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、図10に示すように、ステップS910を実行して放電プロセスを停止した後、本態様は、以下のステップをさらに実行してもよい。
【0106】
ステップS1000:車両のモータが始動を要求すると、動力電池と給電電池を並列に接続して車両のモータに給電するように制御する。
【0107】
ステップS1100:車両のモータが始動を要求していない場合、車両全体が待機状態にある。
【0108】
上記ステップにおいて、本態様は、動力電池と給電電池の電圧を均等化した後、車両のモータが始動を要求するか否かを判断し、始動を要求する場合、動力電池と給電電池を並列に接続して車両のモータに給電するように制御し、始動を要求しない場合、車両全体が待機状態にある。
【0109】
そのうち、始動を要求する場合、引き続き図3を参照して、本態様は、スイッチK1が閉じるように制御することで、動力電池Bat2と給電電池Bat1を並列に接続して車両のモータMに給電するように制御することができる。それにより、加熱しない場合での車両走行を実現する。
【0110】
一可能な実施形態として、この予め設定された加熱条件は、電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低いことであってもよい。即ち、ステップS110において、電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低い場合、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たすことを示す。
【0111】
別の可能な実施形態として、電池モジュールが自己加熱する中に電池モジュールの電力量を消費するので、この場合、設計された予め設定された加熱条件は、電池モジュールの電池温度が予め設定された温度よりも低いことに加え、電池の電力量が予め設定された電力量よりも高いことを含んでもよい。即ち、ステップS110において、電池温度が予め設定された温度よりも低く、且つ電力量が予め設定された電力量よりも高い場合、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たすことを示す。
【0112】
本出願の実施例は、温度が予め設定された温度よりも低く、且つ電池の電力量が予め設定された電力量より高い場合にのみ、電池モジュールを加熱する。それにより、電池の自己加熱を維持するのに十分な電気エネルギーがあることを確保し、且つ、自己加熱後の電池の電力量が低すぎることに起因する電圧不足という問題を招くことはない。
【0113】
図11は、本出願による電池加熱制御装置の概略構成ブロック図である。なお、この装置は、図2乃至図10で実行される方法実施例に対応し、前述した方法に係るステップを実行することができ、この装置の具体的な機能については、上記の説明を参照することができるため、説明の繰り返しを回避するために、ここで詳細な説明を適宜省略する。この装置は、少なくとも1つの、ソフトウェア又はファームウェア(firmware)の形態でメモリに記憶されるか、又は装置のオペレーティングシステム(operating system、OS)に組み込まれたソフトウェア機能モジュールを含む。具体的に、この装置は、電池モジュールの電池パラメータを収集するための収集モジュール1100と、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御することで、電池モジュールを、前記動力電池と給電電池との相互充放電により加熱することと、電池モジュールにおける動力電池が車両のモータに給電するように制御して車両を走行させるための制御モジュール1110とを含む。
【0114】
本出願の実施例の技術案において、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、本態様は、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御する。動力電池と給電電池はいずれも内部抵抗を有するため、動力電池と給電電池が相互充放電して内部抵抗に熱エネルギーを発生させることにより、電池モジュールの加熱を実現する。且つ、本態様は、電池を加熱する場合、動力電池から車両のモータに給電することにより、車両を走行させることができる。即ち、本態様は、車両走行中における電池の自己加熱を実現することにより、現在で低温環境において車両を使用するために電池を予め加熱する必要があることに起因して利便性が悪い問題を解決し、低温環境において車両の使用の安全性を確保するだけでなく、車両の使用の利便性を向上させる。
【0115】
本出願のいくつかの実施例では、選択的には、この制御モジュール1110は、具体的には、電池モジュールにおける動力電池と給電電池のうちの一方がエネルギー蓄積素子に放電してエネルギー蓄積素子を充電するように制御することと、動力電池と給電電池のうちの他方へ充電するようにエネルギー蓄積素子を制御することとに用いられる。
【0116】
本出願のいくつかの実施例では、選択的に、この制御モジュール1110は、具体的には、さらに、動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値を取得することと、動力電池の放電実効値及び給電電池の放電実効値に基づいて、動力電池に対応する動力放電時間長及び給電電池に対応する給電放電時間長を計算することと、動力電池が放電するとき、動力放電時間長の電気エネルギーを放出するように動力電池を制御することと、給電電池が放電するとき、給電放電時間長の電気エネルギーを放出するように給電電池を制御することとに用いられる。
【0117】
本出願のいくつかの実施例では、選択的に、この制御モジュール1110は、具体的には、さらに、モータ給電電流及び給電電池の初期放電実効値を取得することと、モータ給電電流と前記給電電池の初期放電実効値に基づいて、給電電池の放電調整値を計算することと、給電電池が放電するとき、放電調整値に基づいて給電電池の放電電流を調整することとに用いられる。
【0118】
本出願のいくつかの実施例では、この制御モジュール1110は、さらに、前記電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように前記電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御することに用いられる。
【0119】
本出願のいくつかの実施例では、この制御モジュール1110は、さらに、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にない場合、動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御することに用いられる。この制御モジュール1110は、さらに、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にないとリアルタイムに判断された場合、この放電プロセスを制御し続けることと、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあるとリアルタイムに判断された場合、この放電プロセスを停止することとに用いられる。
【0120】
本出願のいくつかの実施例では、この制御モジュール1110は、さらに、電池モジュールにおける動力電池と給電電池を逆直列に接続するように制御することに用いられ、そのうち、電池モジュールにおける動力電池と給電電池は、非加熱条件で並列に接続してモータに給電する。
【0121】
本出願のいくつかの実施例によれば、図12に示すように、本出願は、プロセッサ1201とメモリ1202を含む電子機器12を提供し、プロセッサ1201とメモリ1202は、通信バス1203及び/又は他の形式の接続機構(図示せず)によって相互に接続され、相互に通信し、メモリ1202には、プロセッサ1201によって実行可能なコンピュータプログラムが記憶され、コンピューティングデバイスが運行すると、プロセッサ1201は、このコンピュータプログラムを実行することで、選択可能ないずれかの実施形態における外部マシンによって実行される方法、例えば、ステップS200~ステップS220を実行する。即ち、電池モジュールの電池パラメータを取得し、電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御し、車両のモータに給電するように電池モジュールにおける動力電池を制御する。
【0122】
本出願は、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。このコンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、このコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、選択可能ないずれかの実現形態に記載の方法を実行する。
【0123】
そのうち、記憶媒体は、任意の種類の揮発性又は不揮発性記憶装置、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory、略称:SRAM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、略称:EEPROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、略称:EPROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(Programmable Read-Only Memory、略称:PROM)、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、略称:ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク、光ディスク、又はそれらの組み合わせで実現されることができる。
【0124】
本出願は、コンピュータプログラム製品を提供する。このコンピュータプログラム製品がコンピュータで運行すると、コンピュータに、選択可能ないずれかの実現形態に記載の方法を実行させる。
【0125】
本出願のいくつかの実施例によれば、図13を参照すると、図13は、本態様の好ましい実施例として、車両走行中に電池の自己加熱を行うことができ、且つ、自己加熱プロセスにおいて電池の電流均等化と電圧均等化を実現することができ、以下のステップを含む。
【0126】
ステップS1300:電池モジュールの電池パラメータを収集する。
【0127】
ステップS1310:電池モジュールの電池パラメータが予め設定された加熱条件を満たす場合、電流均等化ストラテジに基づいて、電池モジュールにおける動力電池と給電電池が相互充放電するように制御し、車両のモータに給電するように電池モジュールにおける動力電池を制御する。
【0128】
ステップS1320:電池モジュールの温度が温度要求に達すると、充放電を停止するように電池モジュールにおける動力電池と給電電池を制御する。
【0129】
ステップS1330:動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にない場合、動力電池と給電電池のうちの電圧が高い電池が、動力電池と給電電池のうちの電圧が低い電池に放電するように制御する。
【0130】
ステップS1340:放電プロセスにおいて、動力電池と給電電池との電圧差が予め設定された閾値範囲内にあるとリアルタイムに判断された場合、この放電プロセスを停止し、ステップS1350へ移行する。
【0131】
ステップS1350:車両のモータが始動を要求すると、動力電池と給電電池を並列に接続して車両のモータに給電するように制御する。
【0132】
上記のプロセスについては、前述の実施形態の説明で既に説明したので、ここではこれ以上説明しない。なお、ステップS1320における電流均等化ストラテジとは、前述した、給電電池の放電時間長を増加させ、又は放電電流を増大させることにより給電電池と動力電池の電流均等化を実現する方式を指し、ここではこれ以上説明しない。
【0133】
最後に、上述の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではない。前述した各実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載の技術案を依然として変更し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴を同等に置換することが可能であり、これらの変更又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないものであり、本出願の請求の範囲及び明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構成の矛盾が生じない限り、各実施例で言及された各技術的特徴は、任意の方式で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0134】
発明を実施するための形態における符号は次の通りである。
10:車両
100:電池
200:コントローラ
300:モータ
Bat1:給電電池
Bat2:動力電池
M:モータ
M1:第一のモータ
M2:第二のモータ
1100:収集モジュール
1110:判断モジュール
1120:制御モジュール
12:電子機器
1201:プロセッサ
1202:メモリ
1203:通信バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】