(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電池エネルギー回収方法、装置、電池管理システム及び電池
(51)【国際特許分類】
B60L 58/10 20190101AFI20240215BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240215BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240215BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B60L58/10
B60L3/00 S
H02J7/00 P
H02J7/00 B
H01M10/44 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558303
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2022089620
(87)【国際公開番号】W WO2023134059
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210044608.9
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】周 翔
(72)【発明者】
【氏名】劉 江
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA07
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS20
5H030BB06
5H125AA01
5H125AC10
5H125AC11
5H125BC02
5H125BC05
5H125CB02
5H125EE52
(57)【要約】
本出願は、電池技術分野に関し、電池エネルギー回収方法、装置、電池管理システム及び電池を開示する。この方法は、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることと、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うこととを含む。本出願の電池エネルギー回収方法、装置、電池管理システム及び電池が、充電信号と放電信号を交互に出力することによって、充電信号に対応する場合に電池エネルギー回収を行うため、車両の航続距離を効果的に向上させており、且つ電池の減衰速度を低減できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池エネルギー回収方法であって、
充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることと、
前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うこととを含む、ことを特徴とする電池エネルギー回収方法。
【請求項2】
前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、
パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含み、
前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、
前記パルス充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、
車両走行中の速度情報を取得し、前記速度情報に基づいてパルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前述した、電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、
前記速度情報が、前記車両が加速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも大きいように制御することと、
前記速度情報が、前記車両が減速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも小さいように制御することと、
前記速度情報が、前記車両が定速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することとを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車両が加速状態又は減速状態である場合、前記方法は、
前記車両の速度がターゲット速度に達すると、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することをさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、
パルス充電とパルス放電、及び/又は
パルス充電、パルス放電と静置に基づき、少なくとも一組の充電放電交互モードを決定することと、
前記少なくとも一組の充電放電交互モードを電池パックに送信して、前記電池パックに前記少なくとも一組の充電放電交互モードに基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を出力させることとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、
定電流充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記定電流充放電命令に基づいて車両走行中に定電流充電信号と定電流放電信号を交互に出力させることを含み、
前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、
前記定電流充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
電池エネルギー回収装置であって、
充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させるための命令送信モジュールと、
前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うための電池エネルギー回収モジュールとを含む、ことを特徴とする電池エネルギー回収装置。
【請求項9】
電池管理システムであって、
少なくとも一つのプロセッサ、及び、
前記少なくとも一つのプロセッサと通信して接続するメモリを含み、そのうち、
前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されて、前記少なくとも一つのプロセッサに請求項1から7のいずれか1項に記載の方法を実行させることができる、ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項10】
電池コアと、請求項9に記載の電池管理システムとを含む電池であって、前記電池管理システムは、前記電池コアの充電と放電を管理し、且つ前記充電に対応する段階で車両の電池エネルギー回収を制御するために用いられる、ことを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池エネルギー回収方法、装置、電池管理システム及び電池に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年01月14日に提出された名称が「電池エネルギー回収方法、装置、電池管理システム及び電池」である中国特許出願202210044608.9の優先権を主張しており、この出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車は、制動時にエネルギー回収ポリシーを起動し、制動条件の状況、電池パック状態によって、エネルギー回収の最大充電能力を計算することによって、電池エネルギー回収を行う。現在のこのような電池エネルギー回収ポリシーは、制動信号を必要とし、且つ電池の充電能力を最大限に利用する。
【0004】
関連技術では、長期にわたって電池の最大能力に近い状態でエネルギー回収を行い、電池の減衰を加速させるおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施の形態は、少なくとも部分的に上記問題を改善しており、電池エネルギーの回収を効果的に行い、且つ電池の減衰速度を低減する。
【0006】
上記技術課題を解決するために、本出願の実施の形態が採用する一つの技術案は、以下の通りである。第一の局面によれば、本出願の実施例は、電池エネルギー回収方法を提供する。前記方法は、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることと、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うこととを含む。本出願の実施例は、充電信号と放電信号を交互に出力し、充電信号に対応する場合に電池エネルギー回収を行うことによって、電動車両の航続距離を効果的に向上させるだけでなく、電池の減衰速度を低減することができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含み、前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、前記パルス充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む。そのうち、異なる倍率のパルスで段階的に充電又は放電を行う方法によれば、電池の持続的な充放電過程における累積分極を効果的に解消するとともに、パルス充電能力を向上させ、電池の使用寿命を向上させるとともにエネルギー回収効率を向上させることができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、車両走行中の速度情報を取得し、前記速度情報に基づいてパルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含む。そのうち、パルス充電信号とパルス放電信号の出力状況は、車両の走行速度に基づいて決定されてもよく、これによれば、電池エネルギーの回収を実現し、電池の減衰を低減することができるだけでなく、車両の現在の電気エネルギーの消費を車両の走行状態にマッチングさせることができ、車両の性能を向上させるとともにユーザの運転体験を確保できる。
【0009】
いくつかの実施例では、前述した、電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、前記速度情報が、前記車両が加速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも大きいように制御することと、前記速度情報が、前記車両が減速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも小さいように制御することと、前記速度情報が、前記車両が定速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することとを含む。本出願の実施例は、車両加速、減速と定速の状態でいずれも電池エネルギーの回収を行うことができ、適応範囲が広く、柔軟性が高い。
【0010】
いくつかの実施例では、前記車両が加速状態又は減速状態である場合、前記方法は、前記車両の速度がターゲット速度に達すると、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することをさらに含む。本出願の実施例は、車両がターゲット速度に達した後、車両の定速形式を制御することができ、前記ターゲット速度に基づいて車両の充電と放電が一つのターゲット状態に保たれるように維持することができ、このターゲット状態は、定電流放電の電力量にちょうど車両の需要を満たすことができ、これによって、電動車両の航続距離を効果的に向上させることができるだけでなく、電池パックの使用寿命を著しく改善できる。
【0011】
いくつかの実施例では、前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、パルス充電とパルス放電、及び/又は
パルス充電、パルス放電と静置に基づき、少なくとも一組の充電放電交互モードを決定することと、前記少なくとも一組の充電放電交互モードを電池パックに送信して、前記電池パックに前記少なくとも一組の充電放電交互モードに基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を出力させることとを含む。本出願の実施例において、パルス充放電の過程は、多様化であってもよく、パルスは、異なる倍率で段階的に充電又は放電を行うことができ、それによって電池の持続的な充放電過程における累積分極を効果的に解消するとともに、パルス充電能力を向上させ、電池の使用寿命を向上させるとともにエネルギー回収効率を向上させることができ、且つ異なるアプリケーションシナリオに柔軟にマッチングすることができる。
【0012】
いくつかの実施例では、前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、定電流充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記定電流充放電命令に基づいて車両走行中に定電流充電信号と定電流放電信号を交互に出力させることを含み、前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、前記定電流充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む。定電流充電信号と定電流放電信号を交互に出力することによって、電動車両の航続距離を効果的に向上させるだけでなく、電池の減衰速度を低減することができる。
【0013】
第二の局面によれば、本出願の実施例は、電池エネルギー回収装置を提供する。前記装置は、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させるための命令送信モジュールと、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うための電池エネルギー回収モジュールとを含む。本出願の実施例は、充電信号と放電信号を交互に出力し、充電信号に対応する場合に電池エネルギー回収を行うことによって、電動車両の航続距離を効果的に向上させるだけでなく、電池の減衰速度を低減することができる。
【0014】
第三の局面によれば、本出願の実施例は、電池管理システムを提供する。前記電池管理システムは、少なくとも一つのプロセッサ、及び、
前記少なくとも一つのプロセッサと通信して接続するメモリを含み、そのうち、
前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されて、前記少なくとも一つのプロセッサに上述した方法を実行させることができる。本出願の実施例は、充電信号と放電信号を交互に出力し、充電信号に対応する場合に電池エネルギー回収を行うことによって、電動車両の航続距離を効果的に向上させるだけでなく、電池の減衰速度を低減することができる。
【0015】
第四の局面によれば、本出願の実施例は、電池を提供する。前記電池は、電池コアと、上述した電池管理システムとを含み、前記電池管理システムは、前記電池コアの充電と放電を管理し、且つ前記充電に対応する段階で車両の電池エネルギー回収を制御するために用いられる。前記電池は、エネルギー回収能力を備えており、電動車両の航続距離を効果的に向上させることができ、且つその自体の減衰速度を低減することができる。
【0016】
本出願の実施例による電池エネルギー回収方法、装置、電池管理システム及び電池は、電気自動車の航続距離を効果的に向上させることができるだけでなく、充放電が交互に行われる方式によって、電池の持続的な充放電過程における累積分極を効果的に解消し、電池パックの使用寿命を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
一つ又は複数の実施例は、それに対応する添付図面によって例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例に対する限定を構成しない。添付図面において、同じ参照符号を有する要素は、類似している要素として表され、特に説明がない限り、添付図面における図は、比率の制限を構成しない。
【
図1】本出願の実施例によるアプリケーションシナリオ概略図である。
【
図2】本出願の実施例による電池管理システムの構造概略図である。
【
図3】本出願の実施例による電池エネルギー回収方法のフローチャートである。
【
図4】本出願の実施例によるパルス加速電池パック電流概略図である。
【
図5】本出願の実施例によるパルス減速電池パック電流概略図である。
【
図6】本出願の実施例による別のパルス加速電池パック電流概略図である。
【
図7】本出願の実施例による電池エネルギー回収装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面と結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用されるため、例示として使用されるだけであり、これによって本出願の保護範囲を制限することはできない。
【0019】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術と科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じであり、本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ使用され、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求項及び上記添付図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。
【0020】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「第一の」「第二の」などは、異なる対象を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を示し又は示唆し、又は指示された技術特徴の数、特定の順序又は主従関係を非明示的に示すと理解すべきものではない。本出願の実施例の記述において、「複数」とは、明確かつ具体的に限定されない限り、二つ以上を意味する。
【0021】
本明細書で「実施例」に言及することは、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置にこのフレーズが現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した実施例又は代替の実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と結び付けられる可能であると明示的や非明示的に理解している。
【0022】
本出願の実施例の記述において、用語である「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、Aのみが存在するケース、AとBとが同時に存在するケース、Bのみが存在するケースの3つのケースを表してもよい。また、本明細書における記号である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0023】
図1を参照すると、
図1は、本出願の実施例によるアプリケーションシナリオ概略図である。本出願の実施例による電池エネルギー回収方法と装置は、いずれもこのアプリケーションシナリオに用いられてもよい。前記アプリケーションシナリオは、電池管理システム(Battery Management System、BMS)10と、電池パック20と、モータ30と、発電機40と、自動車とを含む。前記電池管理システム10、前記電池パック20、前記モータ30と前記発電機40は、前記自動車の部品として前記自動車に搭載されている。前記電池パック20は、外部電力消費機器に電気エネルギーを提供することができ、外部機器の機械エネルギーを電気エネルギーに変換する時、前記電気エネルギーは、前記電池パック20を充電することができる。前記電池パック20は、前記電池管理システムに接続されている電池モジュールを含む。前記電池モジュールは、少なくとも一つの電池コアを含み、電池モジュールが複数の電池コアを含む場合、複数の電池コア間は、直列及び/又は並列に接続されている。前記電池管理システム10は、電池モジュールの作動パラメータ、例えば、充電/放電電流、電圧、温度などのデータを収集し、収集された作動パラメータに基づいて電池モジュールの充電/放電を制御するために用いられ、収集された作動パラメータに基づき、電池の状態パラメータを検出し、例えば、電池モジュールの荷電状態を検出することができる。前記モータ30は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するために用いられる。前記発電機40は、他の形式のエネルギーを電気エネルギーに変換し、例えば機械エネルギーを電気エネルギーに変換するために用いられる。
【0024】
本出願の実施例では、自動車運行の全過程において、電池管理システム10は、電池パック20に充放電命令を送信することができ、電池パック20は、この充放電命令に基づいて車両走行中にモータ30に充電信号と放電信号を交互に出力し、モータ30は、放電信号に基づいて電気エネルギーを機械エネルギーに変換して自動車に伝達して、自動車の走行を駆動し、さらに充電信号に基づき、機械エネルギーを発電機40に伝達し、発電機40は、機械エネルギーを電気エネルギーに変換してから、この電気エネルギーを電池パック20に蓄えることによって、電池エネルギーの回収を実現する。充放電が交互に行われるモードによって、且つ充電段階で電池エネルギーの回収を実現することによって、自動車の航続距離を向上させることができるだけでなく、電池の持続的な充放電過程における累積分極を解消することができ、電池パック20の使用寿命を効果的に改善することができる。そのうち、前記充電放電が交互に行われるモードは、定電流充電と定電流放電が交互に行われることを含み、パルス信号形式で充放電することをさらに含む。前記パルス信号の出力状況は、自動車の走行速度に基づいて決定されてもよい。
【0025】
当業者が理解できるように、
図1に示す機器の構造は、電池エネルギー回収方法と装置のアプリケーションシナリオに対する限定を構成するものではなく、図示された部品の数よりも多く又は少ない部品、又はなんらかの部品の組み合わせ、又は異なる部品の配置を含んでもよい。
【0026】
以下の電池エネルギー回収方法と装置は、上記アプリケーションシナリオに用いられてもよく、具体的に、前記電池管理システムによって前記電池エネルギー回収方法が実行されてもよい。前記電池エネルギー回収装置は、前記電池管理システムの機能モジュールとして、電池エネルギーの回収を実現することができる。
【0027】
本出願の一実施例は、
図2に示すように、
図2は、本出願の実施例による電池管理システムの構造概略図である。前記電池管理システム10は、一つ又は複数のプロセッサ101及びメモリ102を含む。
図2においては、一つのプロセッサ101を例にする。プロセッサ101とメモリ102は、バス又は他の方法で接続されてもよく、
図2において、バスによって接続されることを例にする。メモリ102は、非揮発性コンピュータ可読記憶媒体として、非揮発性ソフトウェアプログラム、非揮発性コンピュータ実行可能プログラム及びモジュール、例えば、本出願の実施例における電池エネルギー回収方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、
図7に示される各モジュール)を記憶するために用いられてもよい。プロセッサ101は、メモリ102に記憶された非揮発性ソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することによって、前記電池管理システムの様々な機能応用及びデータ処理を実行し、即ち、以下の方法の実施例の電池エネルギー回収方法を実現する。前記一つ又は複数のモジュールは、前記メモリ102に記憶され、前記一つ又は複数のプロセッサ101によって実行される時、以下の任意の方法の実施例における電池エネルギー回収方法を実行し、例えば、以下に記述されている
図3における方法ステップを実行し、
図7におけるモジュールの機能を実現する。
【0028】
本出願の一実施例では、前記電池管理システム10は、表示モジュール、無線通信モジュール、収集モジュール及び電気機器などをさらに含んでもよい。この電池管理システム10は、スマート管理と電池モジュールの維持に用いられ、電池モジュールに過充電と過放電が発生することを防止し、電池モジュールの状態をモニタリングし、及び電池モジュールの使用寿命を延長し、センサによって前記電池モジュールにおける電池の電圧、電流、温度を検出するとともに、漏電監視、残り容量の計算、警報注意などを行う。
【0029】
前記電池管理システム10は、前記電池エネルギー回収方法を実行することによって、自動車の航続距離を効果的に向上させており、電池の持続的な充放電過程における累積分極を解消することができ、電池パック20の使用寿命を効果的に改善する。
【0030】
上記製品は、本出願の実施例による方法を実行し、実行方法に該当する機能モジュールと有益な効果を備えることができ、本出願の実施例による方法を参照すればよい。
【0031】
上記アプリケーションシナリオに基づき、以下の実施例は、本出願の電池エネルギー回収方法を具体的に記述する。
【0032】
図3を参照すると、
図3は、本出願の実施例による電池エネルギー回収方法のフローチャートである。この方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0033】
S11:充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させる。
【0034】
S12:前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行う。
【0035】
前記充放電命令に関しては、車両が起動された後、車両のマスター機器が命令を電池管理システムに送信し、前記電池管理システムがこの命令に基づいて電池パックに前記充放電命令を配信し、この充放電命令が具体的に電池モジュールにおける電池に与えられるものとしてもよい。そのうち、前記命令は、電池エネルギー回収機能の起動を指示するために用いられ、前記充放電命令は、電流信号を出力するよう電池に指示するために用いられる。この電流信号は、直流又はパルス電流であってもよい。
【0036】
前記充電信号と前記放電信号は、それぞれ定電流充電信号と定電流放電信号であってもよく、パルス電気信号であってもよい。前述した、充電信号と放電信号を交互に出力することは、予め設定される第一の時間帯内に充電信号を出力し、予め設定される第二の時間帯内に放電信号を出力し、且つ予め設定される第一の時間帯と予め設定される第二の時間帯が予め設定されるルールで順繰りに行われることを指す。前述した、予め設定されるルールで順繰りに行われるということには、まず、予め設定される第一の時間帯内に充電信号を出力し、それから、予め設定される第二の時間帯内に放電信号を出力してから、予め設定される第一の時間帯内に充電信号を出力し・・・ということが順繰りに行われることであってもよい。また、まず、予め設定される第二の時間帯内に放電信号を出力し、それから、予め設定される第一の時間帯内に充電信号を出力してから、予め設定される第二の時間帯内に放電信号を出力し・・・ということが順繰りに行われることであってもよい。さらに、まず、予め設定される第一の時間帯内に充電信号を出力し、次に予め設定される第一の時間帯内に充電信号を出力し、それから、予め設定される第二の時間帯内に放電信号を出力し、次に予め設定される第二の時間帯内に放電信号を出力し・・・ということが順繰りに行われること、などであってもよい。
【0037】
充電信号と放電信号を交互に出力する形式は、現在のアプリケーションシナリオに応じて設定されてもよく、上記は、単なる例示として前述した充電信号と放電信号を交互に出力することを解釈するための説明にすぎない。
【0038】
前述した交互に出力される充電信号と放電信号は、電池パックによってモータに出力され、モータが、放電信号に基づいて電気エネルギーを機械エネルギーに変換して車両に伝達して、車両の走行を駆動し、モータが、さらに充電信号に基づいて車両の機械エネルギーを発電機に伝達し、発電機が、機械エネルギーを電気エネルギーに変換してから、この電気エネルギーを電池パックに蓄えることによって、電池エネルギーの回収を実現する。
【0039】
車両起動時、車両走行中と車両制動中でいずれも充電信号と放電信号を交互に出力することができ、それによって、車両の任意の状態で電池エネルギーの回収を実現することができる。本出願の実施例による電池エネルギーの回収方法は、車両の航続能力を向上させるとともに、電池の減衰を低減することができ、電池の寿命を延長することができる。
【0040】
いくつかの実施例では、上記ステップS11、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、具体的に、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含む。前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、前記パルス充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む。
【0041】
本実施例では、車両電池パックは、パルスの形式で充放電を行い、放電段階では、電池パックが電気エネルギーを出力し、電機動作を駆動し、車両の動力に変換し、充電段階では、車両の回転機械エネルギーを発電機に伝達して電気エネルギーに変換し、前記電気エネルギーが、電池パックに蓄えられることによって、電池エネルギーを回収する。
【0042】
そのうち、パルス充放電の過程において及んでいるパルス電流信号の大きさは、固定され、且つ予め設定されるものとしてもよい。例えば、電池パックの充電ウィンドウによって、電池パックのパルス充放電ロジックを設定する。前記充電ウィンドウは、パルス充放電計を含み、このパルス充放電計は、電池メーカーによって提供されてもよく、このパルス充放電計は、ある温度で電池が使用できる電流、電池の充電能力などの情報を記録する。そのうち、前記充電ウィンドウによって電池パックの最小パルス充電能力をパルス充電過程におけるエネルギーを回収する一定の充電電流として選択することができ、電池パックがどのような荷電状態にあるかにかかわらず、いずれも一つの充電ポリシーにて電池エネルギー回収を行うことができる。前記充電ウィンドウに記録される電池充電能力は、電池の能力上限に近いものであり、設定されるパルス電流は、できるだけウィンドウ値に近づくことによって、電池エネルギーを最大限で回収することができる。選択的に、比較的に大きい能力の電池エネルギー回収を行う必要がない場合、パルス電流を小さくし、ウィンドウ値にあまり近づかないように設定することができ、このように電池エネルギーの回収を比較的に穏やかに実現することにより、電池の減衰速度を効果的に低減することができる。
【0043】
いくつかの実施例では、パルス充放電の過程において及んでいるパルス電流信号の大きさは、固定されないものであってもよく、例えば、車両の走行速度に基づいて出力されるパルス電流信号を決定してもよい。本実施例において、前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、車両走行中の速度情報を取得し、前記速度情報に基づいてパルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含む。
【0044】
そのうち、前述した、電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、前記速度情報が、前記車両が加速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも大きいように制御することと、前記速度情報が、前記車両が減速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも小さいように制御することと、前記速度情報が、前記車両が定速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することとを含む。
【0045】
車両の加速状態、減速状態と定速状態に基づいてパルス放電信号とパルス充電信号の出力状況をそれぞれ設定し、出力されるパルス放電信号とパルス充電信号を車両の現在の走行状態にマッチングさせる。これによって、電池エネルギーの回収を実現し、電池の減衰を低減することができるだけでなく、車両の現在の電気エネルギーの消費を車両の走行状態にマッチングさせることができ、車両の性能を向上させるとともにユーザの運転体験を確保することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、前記車両が加速状態又は減速状態である場合、前記車両の速度がターゲット速度に達すると、前記電池管理システムはさらに、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することができる。車両がターゲット速度まで加速され、又は減少された後、車両が定速走行を維持し、このとき、出力されるパルス信号は、現在の車両の定速走行状態に一致する。前記ターゲット速度は、車両が一定時間内に維持する相対的に安定している走行速度であってもよい。本出願の実施例は、車両がターゲット速度に達した後、車両を制御し、定速走行を行わせ、前記ターゲット速度に基づいて車両の充電と放電が一つのターゲット状態に保たれるように維持することができ、このターゲット状態は、定電流放電の電力量にちょうど車両の需要を充足させることができ、これによって、電動車両の航続距離を効果的に向上させることができるだけでなく、電池パックの使用寿命を著しく改善する。
【0047】
例えば、電気自動車が加速を必要とする場合、加速ペダルの状態を検出し、加速ペダルの加速命令に基づき、電気自動車の加速需要を決定し、ターゲット状況での電池パックのパルス充放電方法を取得し、パルス充放電動力を出力するように電池パックに要求し、そのうち電池パックの放電パワーは、電池パックの充電パワーよりも大きく、一つのパルス周期において、電気自動車の走行加速度は、電池パックエネルギー回収過程における減速加速度よりも大きく、電気自動車の加速を実現する。電気自動車が加速しターゲット速度に達した後、電気自動車の電池パックの充放電方法を切り替え、そのうち、新しいパルス充放電方法において、パルス放電パワーは、パルス充電パワーに等しく、電気自動車は、等価定速走行状態にある。例えば、電気自動車が減速を必要とする場合、制動ペダル状態を検出し、制動ペダルの減速命令に基づき、電気自動車の減速需要を決定し、ターゲット状況での電池パックのパルス充放電方法を取得し、パルス充放電動力を出力するように電池パックに要求し、そのうち電池パックの充電パワーは、電池パックの放電パワーよりも大きく、一つのパルス周期において、電池パックエネルギー回収過程における減速加速度は、電気自動車の加速加速度よりも大きく、電気自動車の減速を実現する。電気自動車が減速しターゲット速度に達した後、電気自動車の電池パックの充放電方法を切り替え、そのうち新しいパルス充放電方法において、パルス充電パワーは、パルス放電パワーに等しく、電気自動車は、等価定速走行状態にある。
【0048】
上述した、パルス信号形式によって充放電を行い、充放電を交互に行うことによって、車両の航続距離を向上させるとともに、電池の持続的な充放電過程における電池への減衰を効果的に解消しており、電池の使用寿命を著しく改善することができる。そのうち、電池パックの最小充電能力を採用してエネルギー回収の充電ポリシーを制定することで、電池が充電使用ウィンドウを超えて充電されるリスクを大幅に低減しており、電池寿命の減衰が加速されるリスクを低減しており、電池の使用寿命を効果的に延長した。
【0049】
上記パルス充電信号とパルス放電信号の出力形式は、交互であり、具体的に、パルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力することには、
パルス充電とパルス放電、及び/又は
パルス充電、パルス放電と静置に基づき、少なくとも一組の充電放電交互モードを決定することと、
前記少なくとも一組の充電放電交互モードを電池パックに送信して、前記電池パックに前記少なくとも一組の充電放電交互モードに基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を出力させることとを含んでもよい。
【0050】
例えば、パルス充放電の過程は、(1)パルス充電→パルス放電→パルス充電→パルス放電・・・の循環であってもよく、それに限定されなく、(2)パルス充電→パルス放電→静置→パルス充電→パルス放電→静置・・・の循環であってもよく、(3)パルス電流1充電→パルス電流2充電→パルス電流1放電→パルス電流2放電→・・・の循環であってもよく、(4)パルス電流1充電→静置→パルス電流2充電→静置→パルス電流1放電→静置→パルス電流2放電→静置→・・・の循環であってもよい。例えば、
図4から
図6を参照すると、
図4は、パルス加速電池パック電流概略図であり、横軸は時間を示し、縦軸は電流値を示し、充電パワーは、放電パワーよりも大きく、充電後に静置されてから放電する。
図5は、パルス減速電池パック電流概略図であり、横軸は時間を示し、縦軸は電流値を示し、放電パワーは、充電パワーよりも大きく、放電後に静置されてから充電する。
図6は、パルス加速電池パック電流概略図であり、横軸は時間を示し、縦軸は電流値を示し、充放電中に静置されない。
【0051】
本出願の実施例では、パルス充放電の過程は、多様化であってもよく、パルスは、異なる倍率で段階的に充電又は放電を行うことができ、それによって電池の持続的な充放電過程における累積分極を効果的に解消するとともに、パルス充電能力を向上させ、電池の使用寿命を向上させるとともにエネルギー回収効率を向上させることができ、且つ異なるアプリケーションシナリオに柔軟にマッチングすることができる。
【0052】
いくつかの実施例では、上述した、パルス充放電モードで電池エネルギー回収を行うほか、定電流充電と定電流放電のモードを採用して電池エネルギーの回収を実現することもできる。前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、具体的に、定電流充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記定電流充放電命令に基づいて車両走行中に定電流充電信号と定電流放電信号を交互に出力させることを含む。前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、前記定電流充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む。定電流充電と定電流放電が交互に行われるモードによって、車両の航続距離を向上させるとともに、電池の減衰速度を低減し、電池の使用寿命を向上させることもできる。
【0053】
図7を参照すると、
図7は、本出願の実施例による電池エネルギー回収装置の構造概略図である。この電池エネルギー回収装置50は、命令送信モジュール51と、電池エネルギー回収モジュール52とを含む。前記命令送信モジュール51は、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させるために用いられ、前記電池エネルギー回収モジュール52は、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うために用いられる。
【0054】
そのうち、前記命令送信モジュール51は、具体的に、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させるために用いられる。前記電池エネルギー回収モジュール52は、具体的に、前記パルス充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うために用いられる。
【0055】
いくつかの実施例では、前記命令送信モジュール51は、具体的に、車両走行中の速度情報を取得し、前記速度情報に基づいてパルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させるために用いられる。そのうち、前記電池パックが前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力することには、前記速度情報が、前記車両が加速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも大きいように制御することと、前記速度情報が、前記車両が減速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも小さいように制御することと、前記速度情報が、前記車両が定速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することとを含む。前記車両が加速状態又は減速状態である場合、前記車両の速度がターゲット速度に達すると、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御する。
【0056】
いくつかの実施例では、前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、パルス充電とパルス放電、及び/又はパルス充電、パルス放電と静置に基づき、少なくとも一組の充電放電交互モードを決定することと、前記少なくとも一組の充電放電交互モードを電池パックに送信して、前記電池パックに前記少なくとも一組の充電放電交互モードに基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を出力させることとを含む。
【0057】
いくつかの実施例では、前記命令送信モジュール51は、具体的に、定電流充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記定電流充放電命令に基づいて車両走行中に定電流充電信号と定電流放電信号を交互に出力させるために用いられる。前記電池エネルギー回収モジュール52は、具体的に、前記定電流充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うために用いられる。
【0058】
なお、上記電池エネルギー回収装置は、本出願の実施例による電池エネルギー回収方法を実行でき、実行方法に該当する機能モジュールと有益な効果を備える。電池エネルギー回収装置の実施例に詳細に記述されていない技術の詳細は、本発明の実施例による電池エネルギー回収方法を参照すればよい。
【0059】
本出願の実施例は、非揮発性コンピュータ可読記憶媒体を提供する。前記コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータ実行可能命令が記憶されており、このコンピュータ実行可能命令が一つ又は複数のプロセッサ、例えば
図2における一つのプロセッサ101によって実行され、上記一つ又は複数のプロセッサに上記任意の方法の実施例における電池エネルギー回収方法を実行させることができる。
【0060】
本出願の実施例は、コンピュータプログラム製品を提供する。前記コンピュータプログラム製品は、非揮発性コンピュータ可読記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令が前記電池管理システムによって実行される時、前記電池管理システムに上記任意の方法の実施例における電池エネルギー回収方法を実行させることができる。
【0061】
以上の実施の形態の記述によって、当業者であれば明瞭に分かるように、各実施の形態は、ソフトウェアと汎用ハードウェアプラットフォームの方式によって実現されてもよく、無論、ハードウェアによって実現されてもよい。当業者が理解できるように、上記実施例の方法における全て又は一部のフローを実現することは、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアが命令されて完了されてもよく、前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、このプログラムが実行される時、上記各方法の実施例のようなフローを含んでもよい。そのうち、前記記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)又はランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)などであってもよい。
【0062】
最後に説明すべきことは、以上の実施例が、本出願の技術案を説明するためにのみ使用されるが、それを制限するものでないことである。本出願の構想では、以上の実施例どうし又は異なる実施例における技術特徴どうしを組み合わせられてもよく、ステップは、任意の順序で実現され、上述した本出願の各局面での多くの他の変形が存在してもよく、説明の簡略化のために、それらは詳細に提示していない。前記各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案を修正し、又はその一部又は全ての技術特徴について同等の置き換えを行うことができるが、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではないと理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池エネルギー回収方法であって、
充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることと、
前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うこととを含む、ことを特徴とする電池エネルギー回収方法。
【請求項2】
前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、
パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含み、
前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、
前記パルス充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、
車両走行中の速度情報を取得し、前記速度情報に基づいてパルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前述した、電池パックに前記速度情報に基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、
前記速度情報が、前記車両が加速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも大きいように制御することと、
前記速度情報が、前記車両が減速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーよりも小さいように制御することと、
前記速度情報が、前記車両が定速状態であることを指示する場合、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することとを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車両が加速状態又は減速状態である場合、前記方法は、
前記車両の速度がターゲット速度に達すると、前記電池パックにより出力される前記パルス放電信号の放電パワーを前記パルス充電信号の充電パワーに等しいように制御することをさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前述した、パルス充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記パルス充放電命令に基づいて車両走行中にパルス充電信号とパルス放電信号を交互に出力させることには、
パルス充電とパルス放電、及び/又は
パルス充電、パルス放電と静置に基づき、少なくとも一組の充電放電交互モードを決定することと、
前記少なくとも一組の充電放電交互モードを電池パックに送信して、前記電池パックに前記少なくとも一組の充電放電交互モードに基づいてパルス充電信号とパルス放電信号を出力させることとを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前述した、充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させることには、
定電流充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記定電流充放電命令に基づいて車両走行中に定電流充電信号と定電流放電信号を交互に出力させることを含み、
前述した、前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことには、
前記定電流充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うことを含む、ことを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
電池エネルギー回収装置であって、
充放電命令を電池パックに送信して、前記電池パックに前記充放電命令に基づいて車両走行中に充電信号と放電信号を交互に出力させるための命令送信モジュールと、
前記充電信号に基づいて前記車両の電池エネルギー回収を行うための電池エネルギー回収モジュールとを含む、ことを特徴とする電池エネルギー回収装置。
【請求項9】
電池管理システムであって、
少なくとも一つのプロセッサ、及び、
前記少なくとも一つのプロセッサと通信して接続するメモリを含み、そのうち、
前記メモリには、前記少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも一つのプロセッサによって実行されて、前記少なくとも一つのプロセッサに請求項1から7のいずれか1項に記載の方法を実行させることができる、ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項10】
電池コアと、請求項9に記載の電池管理システムとを含む電池であって、前記電池管理システムは、前記電池コアの充電と放電を管理し、且つ前記充電に対応する段階で車両の電池エネルギー回収を制御するために用いられる、ことを特徴とする電池。
【国際調査報告】