(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】電気自動車、熱管理システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20240215BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240215BHJP
B60H 1/08 20060101ALI20240215BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240215BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240215BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240215BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240215BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240215BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B60H1/22 671
B60H1/22 651Z
B60H1/22 651C
F25B1/00 399Y
B60H1/08 621C
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/625
B60K11/04 G
B60K1/04 Z
B60H3/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570381
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2022091139
(87)【国際公開番号】W WO2023115783
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202123215232.3
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 宇
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 耀
(72)【発明者】
【氏名】周 正柱
(72)【発明者】
【氏名】姜 利文
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
3L211
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC12
3D235CC15
3D235FF25
3D235FF38
3L211AA11
3L211BA34
3L211CA04
3L211CA17
3L211DA42
3L211DA43
3L211EA56
3L211FB05
3L211GA26
3L211GA42
3L211GA43
5H031KK08
(57)【要約】
電気自動車、熱管理システム(100)及びその制御方法であって、熱管理システム(100)は、圧縮機(11)、第1スロットル部材(12)及び乗員室冷房用の蒸発器(13)を含む乗員室の熱管理サブシステム(10)と、放熱部材及び放熱部材の散熱に用いられる冷却水タンク(22)を含む放熱部材の熱管理サブシステムと、乗員室の熱管理サブシステム(10)及び放熱部材の熱管理サブシステムを接続する制御弁システムと、を含み、圧縮機(11)、第1スロットル部材(12)及び蒸発器(13)が順に連通され第1冷媒回路を形成するように制御され、乗員室の熱管理サブシステム(10)は、圧縮機(11)と第1スロットル部材(12)との間に設けられ、第1冷媒回路と熱交換できる凝縮器(14)を更に含み、制御弁システムは、冷却水タンク(22)と凝縮器(14)とが連通され第1冷却水回路を形成するように制御することができ、第1冷却水回路は放熱部材の散熱に用いられる。熱管理システム全体の統合性が高く、熱の無駄を減少する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員室を備える電気自動車に用いられる熱管理システムであって、
圧縮機、第1スロットル部材及び前記乗員室の冷房用の蒸発器を含む乗員室の熱管理サブシステムと、
放熱部材及び前記放熱部材の散熱に用いられる冷却水タンクを含む放熱部材の熱管理サブシステムと、
前記乗員室の熱管理サブシステム及び前記放熱部材の熱管理サブシステムを接続する制御弁システムと、
を含み、
前記圧縮機、前記第1スロットル部材及び前記蒸発器が順に連通されて第1冷媒回路を形成するように制御され、
前記乗員室の熱管理サブシステムは、前記圧縮機と前記第1スロットル部材との間に設けられ、前記第1冷媒回路と熱交換できる凝縮器を更に含み、
前記制御弁システムは、前記冷却水タンクと前記凝縮器が連通して前記放熱部材の散熱に用いられる第1冷却水回路を形成するように制御することができる、熱管理システム。
【請求項2】
前記放熱部材の熱管理サブシステムは電動機熱管理サブシステムを含み、前記放熱部材は電動機を含み、及び/又は、
前記放熱部材の熱管理サブシステムは動力電池の熱管理サブシステムを含み、前記放熱部材は動力電池を含み、
前記制御弁システムは、前記第1冷却水回路を制御して、前記電動機熱管理サブシステム及び/又は前記動力電池の熱管理サブシステムのために選択的に散熱させることができる、請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記電動機熱管理サブシステムは、前記第1冷却水回路に設けられ、前記第1冷却水回路を流れる水に第1流動力を提供するための第1水ポンプを更に含む、請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記放熱部材の熱管理サブシステムは、前記電動機を制御するための電気制御装置を更に含み、前記制御弁システムは、前記第1冷却水回路によって前記電気制御装置の散熱を可能にする、請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記乗員室の熱管理サブシステムは、第2スロットル部材及び冷却器を更に含み、前記圧縮機と前記第2スロットル部材とは、連通されて第2冷媒回路を形成するように制御され、前記圧縮機には、互いに接続された排気ポートと還気ポートとが有り、前記凝縮器は、前記排気ポートと前記第2スロットル部材との間に設けられ、前記第2冷媒回路と熱交換でき、前記冷却器は、前記還気ポートと前記第2スロットル部材との間に設けられ、前記第2冷媒回路と熱交換でき、
前記乗員室の熱管理サブシステム及び前記動力電池の熱管理サブシステムは、前記制御弁システムを介して接続され、前記冷却器の両端は、連通されて第2冷却水回路を形成するように制御され、前記第1冷却水回路は前記電動機の散熱に用いられ、前記第2冷却水回路は前記動力電池の散熱に用いられる、請求項2~4のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項6】
前記動力電池の熱管理サブシステムは、前記第2冷却水回路に設けられ、前記第2冷却水回路を流れる水に第2流動力を提供するための第2水ポンプを含む、請求項5に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記乗員室の熱管理サブシステム、前記動力電池の熱管理サブシステム及び前記電動機熱管理サブシステムの3つは、前記制御弁システムを介して接続され、
前記制御弁システムは、前記冷却水タンク、前記凝縮器及び前記冷却器を連通させて第3冷却水回路を形成し、前記第3冷却水回路によって前記電動機及び前記動力電池の散熱を可能にする、請求項5に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記電動機熱管理サブシステムは第1管路を更に含み、前記動力電池の熱管理サブシステムは第2管路を更に含み、
前記制御弁システムは、前記第1管路と前記第2管路とを連通させて第1加熱水回路を形成することができ、前記第1加熱水回路は、前記電動機で熱伝導を行い、吸収された前記電動機の熱で前記動力電池を加熱し、前記冷却器と前記冷却水タンクとを連通させて、前記冷却水タンクの散熱に用いられる第4冷却水回路を形成することができる、請求項5~7のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項9】
前記凝縮器には、第1端と第2端が互いに接続されており、前記冷却水タンクには、第3端と第4端が互いに接続されており、前記第3端は前記第1端に連通し、前記冷却器には、第5端と第6端が互いに接続されており、前記第1管路には、第7端と第8端が互いに接続されており、前記第2管路には、第9端と第10端が互いに接続されており、
前記制御弁システムは、第1制御弁コンポーネントと第2制御弁コンポーネントとを含み、前記第1制御弁コンポーネントには、連通するように制御可能な第1ポートが5つ有り、5つの前記第1ポートは、前記第1端、前記第2端、前記第7端、第5端及び第9端にそれぞれ接続され、前記第2制御弁コンポーネントには、連通するように制御可能な第2ポートが5つ有り、5つの前記第2ポートは、前記第3端、前記第4端、前記第6端、前記第8端及び前記第10端にそれぞれ連通する、請求項8に記載の熱管理システム。
【請求項10】
前記第1制御弁コンポーネントは、第1の三方弁及び第1の四方弁を含み、前記第1の三方弁中の1つの弁口は、前記第1の四方弁中の1つの弁口に連通し、前記第1端及び前記第2端に接続された2つの前記第1ポートと前記第1の三方弁に設けられ、残りの3つの前記第1ポートは、前記第1の四方弁に設けられ、又は、
前記第1制御弁コンポーネントは第1の五方弁を含み、5つの前記第1ポートは、前記第1の五方弁に設けられる、請求項9に記載の熱管理システム。
【請求項11】
前記第2制御弁コンポーネントは、第2の三方弁及び第2の四方弁を含み、前記第2の三方弁中の1つの弁口は、前記第2の四方弁中の1つの弁口に連通し、前記第3端及び前記第4端に接続された2つの前記第2ポートと前記第2の三方弁に設けられ、残りの3つの前記第2ポートは、前記第2の四方弁に設けられ、又は、
前記第2制御弁コンポーネントは第2の五方弁を含み、5つの前記第2ポートは、前記第2の五方弁に設けられる、請求項9に記載の熱管理システム。
【請求項12】
前記乗員室の熱管理サブシステムは、前記乗員室を温めるヒーターコアを更に含み、前記制御弁システムは、前記凝縮器と前記ヒーターコアとを連通させて第2加熱水回路を形成する、請求項5に記載の熱管理システム。
【請求項13】
前記乗員室の熱管理サブシステムは、前記第2加熱水回路に設けられ、前記凝縮器から前記ヒーターコアへの水流の流路上に位置する加熱器を更に含む、請求項12に記載の熱管理システム。
【請求項14】
前記制御弁システムは、前記第2加熱水回路に設けられ、前記凝縮器から前記ヒーターコアへの水流の流路上に位置する第3の三方弁を含み、
前記第3の三方弁の3つの弁口は、前記凝縮器、前記冷却水タンク及び前記ヒーターコアにそれぞれ接続される、請求項12に記載の熱管理システム。
【請求項15】
前記制御弁システムにより、前記第2加熱水回路が前記動力電池を加熱する、請求項12~14のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項16】
前記動力電池の熱管理サブシステムは、前記動力電池と熱交換できる第2管路を含み、前記制御弁システムは、前記第2加熱水回路に設けられ、前記ヒーターコアから前記第2管路への水流の流路上に位置する第4の三方弁を含み、
前記第4の三方弁の3つの弁口は、前記ヒーターコア、前記凝縮器及び前記第2管路の一端にそれぞれ接続され、前記第2管路の他端は前記凝縮器に接続される、請求項15に記載の熱管理システム。
【請求項17】
前記乗員室の熱管理サブシステムは、前記第2加熱水回路に設けられ、前記第2加熱水回路を流れる水に第3流動力を提供するための第3水ポンプを更に含む、請求項12に記載の熱管理システム。
【請求項18】
前記乗員室の熱管理サブシステムは、前記第1冷媒回路に設けられ、前記圧縮機と前記第1スロットル部材との間に位置し、冷媒を乾燥するための液体貯蔵乾燥器を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項19】
前記放熱部材の熱管理サブシステムは、前記冷却水タンクの横に設けられ、前記冷却水タンクの散熱に用いられる放熱ファンを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の熱管理システム。
【請求項20】
乗員室及び請求項1~19のいずれか一項に記載の熱管理システムを含む電気自動車であって、
前記熱管理システムの前記蒸発器は、前記乗員室の冷房に用いられる、電気自動車。
【請求項21】
熱管理システムの制御方法であって、
周囲温度が第1プリセット閾値より低い場合、圧縮機、第1スロットル部材及び蒸発器が順に連通されて、電気自動車内の乗員室を冷却するための第1冷媒回路を形成するように制御するステップと、
冷却水タンクと凝縮器とが連通されて、放熱部材及び前記第1冷媒回路の散熱に用いられる第1冷却水回路を形成するように制御するステップと、
を含み、
前記冷却水タンクは、前記放熱部材の散熱に用いられ、前記凝縮器は、前記圧縮機と前記第1スロットル部材との間に設けられ、前記第1冷媒回路と熱交換できる、熱管理システムの制御方法。
【請求項22】
前記第1冷却水回路は、電動機及び/又は動力電池を冷却するために用いられる、請求項21に記載の熱管理システムの制御方法。
【請求項23】
周囲温度が第2プリセット閾値より高い場合、前記圧縮機と第2スロットル部材とが連通され、第2冷媒回路を形成するように制御するステップと、
動力電池を散熱させるために、冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成するステップ、又は、
電動機及び前記動力電池を散熱させるために、前記冷却器、前記凝縮器及び前記冷却水タンクが連通されて、第3冷却水回路を形成するように制御するステップと、
を含み、
前記第1冷却水回路によって電動機を散熱させ、
前記第2プリセット閾値は、前記第1プリセット閾値より大きく、前記圧縮機には、互いに接続された排気ポートと還気ポートとが有り、前記凝縮器は、前記排気ポートと前記第2スロットル部材との間に設けられ、前記第2冷媒回路と熱交換でき、前記冷却器は、前記還気ポートと前記第2スロットル部材との間に設けられ、前記第2冷媒回路と熱交換できる、請求項21又は22に記載の熱管理システムの制御方法。
【請求項24】
周囲温度が第3プリセット閾値より低い場合、前記第1冷媒回路が切断されるように制御し、前記凝縮器及びヒーターコアが連通して第2加熱水回路を形成するように制御するステップと、
動力電池を散熱させるために、冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成する、ステップ、又は、
前記動力電池及び前記電動機を散熱させるために、冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成するステップと、
を含み、
前記ヒーターコアは、前記乗員室を温めるために用いられ、
前記冷却水タンクは前記電動機を散熱させ、
前記第3プリセット閾値は、前記第1プリセット閾値より小さい、請求項23に記載の熱管理システムの制御方法。
【請求項25】
前記熱管理システムは、第1管路と第2管路とを含み、前記第2加熱水回路は、動力電池の加熱に用いられ、
第1管路と第2管路とが連通されて第1加熱水回路を形成し、前記冷却水タンクと前記冷却器とが連通されて水回路を形成するように制御する、請求項24に記載の熱管理システムの制御方法。
【請求項26】
前記第1冷媒回路は連通されるように制御され、前記蒸発器は前記乗員室の除湿に用いられる、請求項24又は25に記載の熱管理システムの制御方法。
【請求項27】
動力電池を散熱させるために、冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成し、前記第1冷却水回路は電動機を散熱させ、又は、
前記電動機及び前記動力電池を散熱させるために、前記冷却器、前記凝縮器及び前記冷却水タンクが連通され、第3冷却水回路を形成するように制御し、
前記凝縮器は、前記冷却水タンクの除霜に用いられる、請求項24に記載の熱管理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本願は、2021年12月20日に提出され、名称が「熱管理システム及び新エネルギー自動車」で、出願番号が第202123215232.3号である中国特許出願を参照し、その全てが参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電気自動車技術分野に関し、特に電気自動車、熱管理システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
省エネルギーと排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵であり、電気自動車は、省エネルギーと環境保護の利点により、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分になっている。電気自動車の広い普及に伴い、車両全体の熱管理に対する要求もますます高まっている。
【0004】
しかし、従来の電気自動車では、その熱管理システムが適切に設置されておらず、その結果、車両全体の深刻な熱の無駄が生じ、電気自動車の省エネルギーに役立たない。
【発明の概要】
【0005】
これに基づいて、本願は、深刻な熱の無駄の問題が解決できる電気自動車、熱管理システム、及びその制御方法を提供する。
【0006】
第1態様によれば、本願は、乗員室を備える電気自動車に用いられる熱管理システムを提供しており、熱管理システムは以下を含む。
【0007】
乗員室の熱管理サブシステムは、圧縮機、第1スロットル部材及び乗員室冷房用の蒸発器を含み、圧縮機、第1スロットル部材及び蒸発器が順に連通され第1冷媒回路を形成するように制御され、乗員室の熱管理サブシステムは、圧縮機と第1スロットル部材との間に設けられ、第1冷媒回路と熱交換できる凝縮器を更に含む。
【0008】
放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材及び放熱部材の散熱に用いられる冷却水タンクを含む。
【0009】
制御弁システムは、乗員室の熱管理サブシステムと放熱部材の熱管理サブシステムとを接続する。制御弁システムは、冷却水タンクと凝縮器とを連通させ、第1冷却水回路を形成するように制御することができる。第1冷却水回路は、放熱部材の散熱に用いられる。
【0010】
本願の実施例の技術的解決策において、制御弁システムは、放熱部材の熱管理サブシステムの冷却水タンクと乗員室の熱管理サブシステムの凝縮器とを連通して第1冷却水回路を形成することができる。このようにして、第1冷却水回路は、放熱部材の散熱を実現すると共に、第1冷却水回路に水が循環して流れるため、凝縮器には交換温度の低い水が循環し、凝縮器と第1冷媒回路との熱交換する際に吸熱しやすい。即ち、冷却水タンクは放熱部材の放熱器として機能すると共に、凝縮器の放熱器としても機能するため、凝縮器を散熱させる放熱器を追加設置することを回避し、熱管理システム全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。また、従来技術において、凝縮器を一部の第1冷媒回路とする設置方法に対して、凝縮器は水冷の方法によって冷却されるため、冷媒回路を簡素化し、更に冷媒の充填量を減らし、省エネルギー効果が達成される。
【0011】
幾つかの実施例において、放熱部材の熱管理サブシステムは電動機熱管理サブシステムを含み、放熱部材は電動機を含む。及び/又は、
放熱部材の熱管理サブシステムは、動力電池の熱管理サブシステムを含み、放熱部材は動力電池を含む。
【0012】
ここで、制御弁システムは、第1冷却水回路を制御して、電動機の熱管理サブシステム及び/又は動力電池の熱管理サブシステムのために熱を選択的に散熱することができる。
【0013】
第1冷却水回路により電動機及び/又は動力電池を散熱させることによって、電動機及び/又は動力電池の温度を低下させ、それにより、電動機及び/又は動力電池が通常の動作温度範囲内にあることが保証できる。
【0014】
幾つかの実施例において、電動機熱管理サブシステムは、第1冷却水回路に設けられ、第1冷却水回路に流れる水に第1流動力を提供するための第1水ポンプを更に含む。第1水ポンプは、水を搬送したり、水を加圧したりする機械であり、第1水ポンプにより提供される第1流動力は、第1冷却水回路に水を循環させ、放熱部材の散熱及び凝縮器の冷却を容易にすることができる。
【0015】
幾つかの実施例において、放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機を制御するための電気制御装置を更に含み、制御弁システムは、第1冷却水回路に電気制御装置を散熱させることができる。第1冷却水回路が電気制御装置を散熱させることによって、電気制御装置が通常の動作温度範囲内にあるように保証し、電気制御装置の動作温度が高すぎることを回避する。
【0016】
幾つかの実施例において、乗員室の熱管理サブシステムは、第2スロットル部材及び冷却器を更に含み、圧縮機と第2スロットル部材とは、連通されて第2冷媒回路を形成するように制御され、圧縮機には、互いに接続された排気ポートと還気ポートとが有り、凝縮器は、排気ポートと第2スロットル部材との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換でき、冷却器は、還気ポートと第2スロットル部材との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換できる。
【0017】
ここで、乗員室の熱管理サブシステム及び動力電池の熱管理サブシステムは、制御弁システムを介して接続され、冷却器の両端が連通されて第2冷却水回路を形成するように制御し、第1冷却水回路は電動機の散熱に用いられ、第2冷却水回路は動力電池の散熱に用いられる。上記の設置において、乗員室の熱管理サブシステムは、凝縮器を介して電動機の熱管理サブシステムと統合され、且つ冷却器を介して動力電池の熱管理サブシステムと統合され、熱管理システム全体の統合性を更に改善し、熱の無駄を減少する。
【0018】
幾つかの実施例において、動力電池の熱管理サブシステムは、第2冷却水回路に設けられ、第2冷却水回路を流れる水に第2流動力を提供する第2水ポンプを含む。第2水ポンプは、水を搬送したり水を加圧したりする機械であり、第2水ポンプにより提供される第2流動力は、第2冷却水回路に水を循環させ、動力電池の散熱を容易にする。
【0019】
幾つかの実施例において、乗員室の熱管理サブシステム、動力電池の熱管理サブシステム及び電動機の熱管理サブシステムの3つは、制御弁システムを介して接続される。
【0020】
制御弁システムは、冷却水タンク、凝縮器及び冷却器を連通して、電動機及び動力電池の散熱に用いられる第3冷却水回路を形成することができる。このようにして、乗員室の熱管理サブシステム、電動機の熱管理サブシステム及び動力電池の熱管理サブシステムが統合され、熱管理システムの熱の無駄を減少する。
【0021】
幾つかの実施例において、電動機の熱管理サブシステムは第1管路を更に含み、動力電池の熱管理サブシステムは第2管路を更に含む。
【0022】
制御弁システムは、第1管路と第2管路とを連通して第1加熱水回路を形成することができ、第1加熱水回路は、電動機で熱伝導を行い、吸収された電動機の熱で電池を加熱し、冷却器と冷却水タンクを連通して、冷却水タンクの散熱に用いられる第4冷却水回路を形成することができる。上記の設置において、電動機によって生成された熱で動力電池を加熱することができ、それにより熱の無駄を減少させる。同時に、冷却器が冷却水タンクを散熱させることによって、熱の無駄を更に減少する。
【0023】
幾つかの実施例において、凝縮器には、互いに接続された第1端と第2端とが有り、冷却水タンクには、互いに接続された第3端と第4端とが有り、第3端は第1端に連通する。冷却器には、互いに接続された第5端と第6端とが有り、第1管路には、互いに接続された第7端と第8端とが有り、第2管路には、互いに接続された第9端と第10端とが有る。
【0024】
制御弁システムは、第1制御弁コンポーネントと第2制御弁コンポーネントを含み、第1制御弁コンポーネントには、連通するように制御可能な第1ポートが5つ有り、5つの第1ポートは、第1端、第2端、第7端、第5端及び第9端にそれぞれ接続される。第2制御弁コンポーネントには、連通するように制御可能な第2ポートが5つ有り、5つの第2ポートは、第3端、第4端、第6端、第8端及び第10端にそれぞれ連通する。制御弁システムは、第1制御弁コンポーネントと第2制御弁コンポーネントとを含み、第1制御弁コンポーネントには、連通するように制御可能な第1ポートが5つ含まれ、第2制御弁コンポーネントには、連通するように制御可能な第2ポートが5つ含まれ、よって、上記第1冷却水回路、第2冷却水回路、第3冷却水回路、第4冷却水回路及び第1加熱水回路の形成が容易になる。
【0025】
幾つかの実施例において、第1制御弁コンポーネントは、第1の三方弁及び第1の四方弁を含み、第1の三方弁中の1つの弁口は、第1の四方弁中の1つの弁口に連通され、第1端及び第2端に接続された2つの第1ポートは、第1の三方弁に設けられ、残りの3つの第1ポートは、第1の四方弁に設けられる。又は、
第1制御弁コンポーネントは第1の五方弁を含み、5つの第1ポートは第1の五方弁に設けられる。
【0026】
幾つかの実施例において、第2制御弁コンポーネントは、第2の三方弁及び第2の四方弁を含み、第2の三方弁中の1つの弁口は、第2の四方弁中の1つの弁口に連通され、第3端及び第4端に接続された2つの第2ポートは、第2の三方弁に設けられ、残りの3つの第2ポートは、第2四方弁に設けられる。又は、
第2制御弁コンポーネントは第2の五方弁を含み、5つの第2ポートは第2の五方弁に設けられる。
【0027】
幾つかの実施例において、乗員室の熱管理サブシステムは、乗員室を温めるためのヒーターコアを更に含み、制御弁システムは、凝縮器とヒーターコアとを連通して第2加熱水回路を形成する。制御弁システムが、凝縮器とヒーターコアとを連通して第2加熱水回路を形成する場合、第2加熱水回路は、乗員室を加熱することができ、乗員室の快適性を向上させると共に、凝縮器とヒーターコアの中で水が循環して流れるため、ヒーターコアが乗員室を加熱する際に、その内部を流れる水の温度が低下し、それに応じて、凝縮器を散熱させる効果に達する。
【0028】
幾つかの実施例において、乗員室の熱管理サブシステムは、第2加熱水回路に設けられ、凝縮器からヒーターコアへの水流の流路上に位置する加熱器を更に含む。加熱器の設置により、凝縮器からヒーターコアへ流れる水の温度を上昇させ、それにより暖房効果を保証する。
【0029】
幾つかの実施例において、制御弁システムは、第2加熱水回路に設けられ、凝縮器からヒーターコアへの水流の流路上に位置する第3の三方弁を含む。
【0030】
第3の三方弁の3つの弁口は、凝縮器、冷却水タンク及びヒーターコアにそれぞれ接続される。このようにして、第3の三方弁の3つの弁口のスイッチを制御することによって、凝縮器と冷却水タンクとを連通又は切断し、又は凝縮器とヒーターコアを連通又は切断するように制御することができる。
【0031】
幾つかの実施例において、制御弁システムは、第2加熱水回路で動力電池を加熱させる。即ち、低温シーンにおいて、制御弁システムは、第2加熱水回路に動力電池を加熱させることによって、動力電池の温度を通常の動作温度範囲内に維持し、熱を十分に利用する効果が達成される。
【0032】
幾つかの実施例において、動力電池の熱管理サブシステムは、動力電池と熱交換できる第2管路を含み、制御弁システムは、第2加熱水回路に設けられ、ヒーターコアから第2管路への水流の流路上に位置する第4の三方弁を含む。
【0033】
第4の三方弁の3つの弁口は、ヒーターコア、凝縮器及び第2管路の一端にそれぞれ接続され、第2管路の他端は凝縮器に接続される。このようにして、第4の三方弁の3つの弁口のスイッチを制御することによって、第2加熱水回路は、動力電池を加熱したり、動力電池を加熱しなかったりすることが可能である。
【0034】
幾つかの実施例において、乗員室の熱管理サブシステムは、第2加熱水回路に設けられ、第2加熱水回路を流れる水に第3流動力を提供するための第3水ポンプを更に含む。第3水ポンプは、水を搬送したり水を加圧したりする機械であり、第3水ポンプにより提供される第3流動力は、第2加熱水回路に水を循環させることで、乗員室の加熱を容易にする。
【0035】
幾つかの実施例において、乗員室の熱管理サブシステムは、第1冷媒回路に設けられ、圧縮機と第1スロットル部材との間に位置し、冷媒を乾燥するための液体貯蔵乾燥器を更に含む。液体貯蔵乾燥器は、冷媒を乾燥する役割を果たし、且つ冷媒回路内の微小な不純物を濾過することで、冷媒の流動が容易になり、乗員室の熱管理サブシステムの使用性能を向上させる。
【0036】
幾つかの実施例において、放熱部材の熱管理サブシステムは、冷却水タンクの横に設けられ、冷却水タンクの散熱に用いられる放熱ファンを更に含む。このようにして、放熱ファンは、気流の流動を促進して冷却水タンクの熱を空気中に散熱することで、冷却水タンクの散熱が容易になる。
【0037】
第2態様によれば、本願は、乗員室及び上記実施例における熱管理システムを含む電気自動車を提供しており、熱管理システムの蒸発器は、乗員室の冷房に用いられる。
【0038】
第3態様によれば、本願は、以下のステップを含む熱管理システムの制御方法を提供する。
【0039】
周囲温度が第1プリセット閾値より低い場合、圧縮機、第1スロットル部材及び蒸発器が順に連通され、電気自動車内の乗員室を冷却するための第1冷媒回路を形成するように制御する。
【0040】
冷却水タンクと凝縮器とを連通して、放熱部材及び第1冷媒回路の散熱に用いられる第1冷却水回路を形成するように制御する。
【0041】
ここで、冷却水タンクは放熱部材の散熱に用いられ、凝縮器は圧縮機と第1スロットル部材との間に設けられ、第1冷媒回路と熱交換できる。
【0042】
本願の実施例の技術的解決策において、第1冷却水回路は、放熱部材の散熱を実現すると共に、第1冷却水回路に水が循環して流れるため、凝縮器には交換温度の低い水が循環し、凝縮器と第1冷媒回路との熱交換する際に吸熱しやすい。即ち、冷却水タンクは、放熱部材の放熱器として機能すると共に、凝縮器の放熱器としても機能するため、凝縮器を散熱させる放熱器を追加設置することを回避し、熱管理システム全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。また、従来技術において、凝縮器を一部の第1冷媒回路とする設置方法に対して、凝縮器は、水冷の方法により冷却されるため、冷媒回路を簡素化し、更に冷媒の充填量を減らし、省エネルギー効果に達する。
【0043】
幾つかの実施例において、第1冷却水回路は、電動機及び/又は動力電池の散熱に用いられる。第1冷却水回路により電動機及び/又は動力電池を散熱させることによって、電動機及び/又は動力電池の温度を低下させ、それにより、電動機及び/又は動力電池が通常の動作温度範囲内にあることが保証できる。
【0044】
幾つかの実施例において、以下のステップを更に含む。
【0045】
周囲温度が第2プリセット閾値より高い場合、圧縮機及び第2スロットル部材が連通されて、第2冷媒回路を形成するように制御する。
【0046】
動力電池を散熱させるために、冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成し、第1冷却水回路は電動機を散熱させる。又は、
電動機及び動力電池を散熱させるために、冷却器、凝縮器及び冷却水タンクが連通され第3冷却水回路を形成するように制御する。
【0047】
ここで、第2プリセット閾値が第1プリセット閾値より大きく、圧縮機には、互いに接続された排気ポートと還気ポートとが有る。凝縮器は、排気ポートと第2スロットル部材との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換できる。冷却器は、還気ポートと第2スロットル部材との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換できる。このように設置することにより、熱管理システムの統合性を高め、熱管理システム全体の統合性を更に向上させ、熱の無駄を減少する。
【0048】
幾つかの実施例において、以下のステップを更に含む。
【0049】
周囲温度が第3プリセット閾値より低い場合、第1冷媒回路が切断されるように制御し、凝縮器及びヒーターコアが連通され第2加熱水回路を形成するように制御し、ヒーターコアは、乗員室の暖房に用いられる。
【0050】
冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池を散熱させ、冷却水タンクによって電動機を散熱させる。又は、
冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池及び電動機を散熱させる。
【0051】
ここで、第3プリセット閾値が第1プリセット閾値より小さい。上記の方法において、乗員室の熱管理サブシステムは、凝縮器を介して電動機の熱管理サブシステムと統合し、且つ冷却器を介して動力電池の熱管理サブシステムと統合し、これにより、熱管理システム全体の統合性が更に改善され、熱の無駄を減少する。
【0052】
幾つかの実施例において、熱管理システムは第1管路と第2管路とを含み、第2加熱水回路は動力電池の加熱に用いられる。
【0053】
第1管路と第2管路とが連通され第1加熱水回路を形成するように制御し、冷却水タンクと冷却器とが連通され水回路を形成する。上記の方法において、電動機により生成された熱で動力電池を加熱することによって、熱の無駄を減少する。同時に、冷却器で冷却水タンクを散熱させることで、熱の無駄を更に減少する。
【0054】
幾つかの実施例において、第1冷媒回路が連通されるように制御し、蒸発器は乗員室の除湿に用いられる。このようにして、第2冷媒回路で乗員室を加熱する場合、第1冷媒回路が乗員室の除湿に用いられることによって、乗員室の快適性を向上させる。
【0055】
幾つかの実施例において、冷却器の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池を散熱させ、第1冷却水回路は電動機を散熱させる。又は、
冷却器、凝縮器及び冷却水タンクが連通されて、第3冷却水回路を形成するように制御することによって、電動機及び動力電池を散熱させる。
【0056】
ここで、凝縮器は冷却水タンクの除霜に用いられる。
【0057】
乗員室で暖房を行い、且つ冷却器が冷却水タンクを介して周囲から熱を吸収する場合、冷却水タンクの表面に結霜が発生しやすい。上記の設置において、凝縮器内のお湯を冷却水タンクに通すことによって、冷却水タンクを除霜することができる。
【0058】
上記の説明は、本願の技術的解決策の概要に過ぎず、本願の技術的手段をより明確に理解できるようにするために、明細書の内容に従って実施することができる。また、本願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下に本願の具体的な実施形態を列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
以下の実施形態の詳しい説明を読むことによって、他の様々な利点やメリットは、当業者にとって明らかになる。図面は、実施形態を示す目的のみに用いられ、本願を制限するものではない。また、同じ構成要素は、図面全体を通して、同じ符号で示す。図面において、
【
図1】本願の一実施例にかかる熱管理システムの原理図である。
【
図2】本願の別の実施例により提供される熱管理システムの原理図である。
【
図3】第1冷房モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図4】第2冷房モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図5】第1暖房モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図6】第2暖房モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図7】第1除湿モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図8】第2除湿モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図9】第3除湿モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図10】冷却水タンク除霜モードにおける
図1に示される熱管理システムの原理図である。
【
図11】第1冷房モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図12】第2冷房モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図13】第1暖房モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図14】第2暖房モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図15】第1除湿モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図16】第2除湿モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図17】第3除湿モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図18】冷却水タンク除霜モードにおける
図2に示される熱管理システムの原理図である。
【
図19】本願の一実施例により提供される熱管理システムの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本願の技術的解決策の実施例は、添付の図面にを参照して以下で詳しく説明する。以下の実施例は、本願の技術的解決策をより明確に説明するためにのみ使用され、従って、例示としてのみ使用され、本願の保護範囲を限定することができない。
【0061】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語と科学用語は、当業者に一般的に理解される意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明することのみを目的としており、本願を制限することを意図しない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記添付の図面の説明における「含む」及び「有する」という用語並びにそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0062】
本願の実施例の説明において、「第1」「第2」などの技術用語は、異なるオブジェクトを違いするためにのみ使用され、相対的な重要性を指示又は暗示するか、もしくは、指示された技術的特徴の数、特定の順序又は優先順位を暗黙的に示すと理解すべきではない。本願の実施例の説明において、別段の明確かつ具体的な限定がない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0063】
本明細書で「実施例」に言及することは、実施例に説明される特定の特徴、構造又は特性に合わせて、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な場所で当該フレーズの出現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と相互排除する個別又は代替の実施例でもない。本明細書に記載される実施例が他の実施例と組み合わせることができることは、当業者によって明示的及び暗黙的に理解されている。
【0064】
本願の実施例の説明において、「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクトを説明するための関連関係に過ぎず、A及び/又はBなどの3種類の関係が存在できることを示し、Aが単独で存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独で存在するという3つのケースを示すことができる。また、本明細書の文字「/」は、一般的に、前後に関連するオブジェクトが「又は」の関係であることを示す。
【0065】
本願の実施例の説明において、「複数」という用語は、2つ以上(2つを含む)を指し、同様に「複数のグループ」は、2つ以上のグループ(2つのグループを含む)を指し、「複数のシート」は、2つ以上のシート(2つのシートを含む)を指す。
【0066】
本願の実施例の説明において、技術用語「中央」、「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」及び「円周方向」などにより指示される方向又は位置関係は、図面により示される方向又は位置関係に基づいており、本願の実施例の説明を便利にするのみであって、指摘される装置又は素子が必ずしも特定の方向を有したり、特定の方向で構造又は操作されたりしなければならないことを明示又は示唆しておらず、よって、本願の実施例を制限すると理解されては行けない。
【0067】
本願の実施例の説明において、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」及び「固定」などの技術用語は、広い意味で理解されるべきである。例えば、固定接続でもよく、取り外し可能接続でもよく、又は一体なってもよい。機械的接続でもよく、電気的接続でもよい。直接連結でもよく、中間媒体を介して間接的に連結してもよい。2つの要素内部の連通又は2つの要素の相互作用関係であり得る。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0068】
電気自動車の広い普及に伴い、研究者は、常にその省エネルギーと排出削減性能に取り組んでいる。例えば、熱を最適に利用するための熱管理システムなどである。熱を最適に利用することで、電気自動車の省エネルギー性能を向上させることができる。
【0069】
本出願者は、熱管理システムが一般的に、乗員室の熱管理サブシステム及び放熱部材の熱管理サブシステムを含み、放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機の熱管理サブシステム及び動力電池の熱管理サブシステムを含むことに気付いた。一般的に、乗員室の熱管理サブシステムと放熱部材の熱管理サブシステムは独立して設置され、即ち、熱管理システム全体の統合性が低いため、車両全体の深刻な熱の無駄を招き、それにより、電気自動車の省エネルギーと排出削減に不利である。
【0070】
出願人の研究により、熱の無駄を減少するために、熱管理システムに含まれる乗員室の熱管理サブシステムと放熱部材の熱管理サブシステムを統合できることに気付いた。例えば、電動機の熱管理サブシステムを動力電池の熱管理サブシステムと統合するか、又は電動機熱管理サブシステムを乗員室の熱管理サブシステムと統合するか、又は乗員室の熱管理サブシステムを動力電池の熱管理サブシステムと統合するか、更に電動機の熱管理サブシステム、動力電池の熱管理サブシステム及び乗員室の熱管理サブシステムの3つを統合することもできる。
【0071】
上記の考えに基づいて、電気自動車の熱の無駄が深刻な問題を解決するために、発明者は綿密な研究により、乗員室を備える電気自動車に適用される熱管理システムを設計した。熱管理システムは、乗員室の熱管理サブシステムと放熱部材の熱管理サブシステムとを含む。乗員室の熱管理サブシステムの凝縮器は、その第1冷媒回路と熱交換でき、それにより、第1冷媒回路内の冷媒の温度を低下させ、第1冷媒回路内で冷媒が循環して流れ乗員室の冷房を実現する。制御弁システムは、放熱部材の熱管理サブシステムの冷却水タンクと乗員室の熱管理サブシステムの凝縮器とを連通して、第1冷却水回路を形成することによって、第1冷却水回路は放熱部材の散熱を実現するだけでなく、同時に、第1冷却水回路に水が循環して流れるため、凝縮器には交換温度の低いがを循環し、凝縮器と第1冷媒回路との熱交換する際に吸熱しやすい。
【0072】
このような熱管理システムにおいて、乗員室を冷却する際に、冷却水タンクは放熱部材の放熱器として機能すると共に、凝縮器の放熱器としても機能するため、凝縮器を散熱させる放熱器を追加設置することを回避し、熱管理システム全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。同時に、従来技術において、凝縮器を一部の第1冷媒回路とする設置方法に対して、凝縮器は水冷の方法によって冷却されるため、冷媒回路を簡素化し、それにより冷媒の充填量を減らす。
【0073】
図1及び
図2を参照すると、本願は、乗員室の熱管理サブシステム10、放熱部材の熱管理サブシステム及び制御弁システムを含み、制御弁システムが乗員室の熱管理サブシステム10及び放熱部材の熱管理サブシステムに接続される熱管理システム100を提供する。乗員室の熱管理サブシステム10は圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13を含み、蒸発器13は乗員室200冷房用であり、圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13が順に連通して第1冷媒回路を形成するように制御される。乗員室の熱管理サブシステム10は、圧縮機11と第1スロットル部材12との間に設けられ、第1冷媒回路と熱交換できる凝縮器14を更に含む。放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材及び放熱部材の散熱に用いられる冷却水タンク22を含む。制御弁システムは、冷却水タンク22と凝縮器14が連通して第1冷却水回路を形成するように制御することができ、第1冷却水回路は放熱部材の散熱に用いられる。
【0074】
乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200の熱を管理するために用いられ、乗員室の熱管理サブシステム10により乗員室200の冷房及び/又は暖房を実現することができる。1つの場合では、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200の冷房のみを実現することができる。即ち、当乗員室200内の温度が高い場合、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200内の温度を低下することができる。他の場合では、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200の暖房のみを実現することができる。即ち、乗員室200内の温度が低い場合、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200内の温度を上昇することができる。更なる場合では、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200の冷房を実現するだけでなく、乗員室200の暖房を実現することもできる。乗員室200内の温度が高い場合、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200内の温度を低下することができ、乗員室200内の温度が低い場合、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200内の温度を上昇することができる。
【0075】
放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材の熱を管理することができる。例えば、放熱部材を散熱する及び/又は放熱部材を加熱することができる。1つの場合では、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材だけを散熱することができる。即ち、放熱部材の温度が高い場合、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材の温度を低下することができる。他の場合では、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材だけを加熱することができる。即ち、放熱部材の温度が低い場合、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材の温度を上昇することができる。更なる場合では、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材を散熱することもでき、放熱部材を加熱することもできる。放熱部材の温度が高い場合、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材の温度を低下することができ、放熱部材の温度が低い場合、放熱部材の熱管理サブシステムは、放熱部材の温度を上昇することができる。
【0076】
制御弁システムは、乗員室の熱管理サブシステム10と放熱部材の熱管理サブシステムとの接続に用いられることで、乗員室の熱管理サブシステム10と放熱部材の熱管理サブシステムを統合し、車両全体の熱の無駄を減少する。
【0077】
圧縮機11は冷房循環の動力であり、モーターの駆動により回転し続け、蒸発器13内の蒸気を適時に抽出し、低温低圧を維持するほか、圧縮作用によって冷媒蒸気の圧力と温度を上昇させ、冷媒蒸気の熱を外部の環境媒体に伝達する条件を創造する。低温低圧の冷媒蒸気を高温高圧の状態に圧縮することができる。
【0078】
凝縮器14は、冷却媒体(空気又は水)を使用して、圧縮機11からの高温高圧の冷房蒸気の熱を持ち去り、高温高圧の冷媒蒸気を冷却し、高圧常温の冷媒液体に凝縮する熱交換デバイスである。一具体的な実施例において、凝縮器14はプレート式熱交換器であり、プレート式熱交換器は熱交換効率が高く、熱損失が小さく、構造がコンパクトで軽量で、敷地面積が小さく、応用が広く、使用寿命が長いなどの特徴がある。
【0079】
第1スロットル部材12は、高圧常温の蒸気を降圧して低温低圧の冷媒を得、凝縮器14に送り込んで蒸発させる。
【0080】
蒸発器13も熱交換デバイスであり、スロットル後に形成された低温低圧の冷媒はその内部で蒸発し、被冷却物質の熱を吸収する。即ち、蒸発器13における低温低圧の冷媒は、乗員室200内の熱を吸収することができ、乗員室200内の空気の温度を下げる効果が達成される。
【0081】
乗員室200を冷却する場合、上記圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13が順に連通されて、第1冷媒回路を形成するように制御する。このように、冷媒は、圧縮機11によって圧縮されて高温高圧状態になり、第1冷媒回路に高温高圧の冷媒が流れると、凝縮器14と熱交換し、凝縮器14が高温高圧冷媒の熱を持ち去り、高温高圧の冷媒蒸気は冷却されて、高圧常温の冷媒液体に凝縮される。高圧常温の冷媒は、第1スロットル部材12によりスロットルされた後、低温低圧の冷媒になり、低温低圧の冷媒は蒸発器13内で蒸発し、乗員室200内の空気の熱を吸収した後、圧縮機11に還流し、乗員室200内の温度を下げる効果を達成する。
【0082】
ここで説明すべきことは、設置を容易にするために、上記の圧縮機11と第1スロットル部材12、第1スロットル部材12と蒸発器13、蒸発器13と圧縮機11との間には、通常、冷媒管路が設けられており、上記両者の間は冷媒管路を介して連通されており、この時、第1冷媒回路は冷媒管路を更に含む。凝縮器14は、圧縮機11と第1スロットル部材12との間に設けられた冷媒管路と熱交換できる。即ち、凝縮器14を流れる冷却媒体は、冷媒管路を流れる冷媒と熱交換できる。
【0083】
放熱部材とは、その動作時に発熱して熱を発生することができる部材を指す。冷却水タンク22内には水が充填され、冷却水タンク22内の水は放熱部材と熱交換できることによって、放熱部材の温度を低下させ、放熱部材の温度が高すぎて通常動作に影響を与えることを回避する。
【0084】
第1冷却水回路は、制御弁システムによって冷却水タンク22と凝縮器14とが連通されて形成するように制御される。一般的には、冷却水タンク22は、水管を介して凝縮器14に連通しており、この時、第1冷却水回路は水管を更に含む。放熱部材は、水管と熱交換でき、即ち、放熱部材は、水管内を流れる冷却媒体(水)と熱交換できる。
【0085】
上記の熱管理システム100は、制御弁システムによって放熱部材の熱管理サブシステムの冷却水タンク22と、乗員室の熱管理サブシステム10の凝縮器14とが連通されて、第1冷却水回路を形成することができる。このように、第1冷却水回路は、放熱部材の散熱を実現すると共に、第1冷却水回路に水が循環して流れるため、凝縮器14には交換温度の低い水が循環し、凝縮器14と第1冷媒回路とが熱交換する際に吸熱しやすい。即ち、冷却水タンク22は放熱部材の放熱器として機能すると共に、凝縮器14の放熱器としても機能するため、凝縮器14を散熱させる放熱器を追加設置ことを回避し、熱管理システム100全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。また、従来技術において凝縮器14を一部の第1冷媒回路とする設置方法に対して、凝縮器14は水冷の方法によって冷却されるため、冷媒回路を簡素化し、更に冷媒の充填量を減らし、省エネルギー効果が達成される。
【0086】
本願の幾つかの実施例によれば、放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機熱管理サブシステム20を含み、この時に放熱部材は電動機21を含み、第1冷却水回路は電動機21を散熱させることができる。他の幾つかの実施例において、放熱部材の熱管理サブシステムは、動力電池の熱管理サブシステム30を含み、この時に放熱部材は動力電池31を含み、第1冷却水回路は電動機21を散熱させることができる。更なる幾つかの実施例において、放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機熱管理サブシステム20と動力電池の熱管理サブシステム30とを含み、放熱部材は電動機21と動力電池31を含み、第1冷却水回路は、電動機21及び/又は動力電池31のために選択的に散熱させることができる。
【0087】
上記の動力電池31は電気自動車の動力源であり、電動機21は電気自動車の車輪を駆動して走行することができる。具体的には、動作時に動力電池31は電動機21に電気エネルギーを提供し、電動機21は電気自動車の伝動システムを介して車輪を駆動して走行する。
【0088】
第1冷却水回路が電動機21及び/又は動力電池31を散熱させることによって、電動機21及び/又は動力電池31の温度を低下することができ、それにより電動機21及び/又は動力電池31が通常の動作温度範囲内にあることを保証する。
【0089】
ここで説明すべきことは、上記の冷却水タンク22は、電動機熱管理サブシステム20の一部に属する。他の幾つかの実施例において、冷却水タンク22は、動力電池の熱管理サブシステム30の一部としてもよいことを理解すべきである。
【0090】
電動機の熱管理サブシステム20は、第1冷却水回路に設けられ、第1冷却水回路に流れる水に第1流動力を提供するための第1水ポンプ23を更に含む。具体的には、第1水ポンプ23は、第1冷却水回路に含まれる水管に取り付けられている。
【0091】
第1水ポンプ23は、水を搬送したり水を加圧したりする機械であり、第1水ポンプ23により提供される第1流動力は、第1冷却水回路に水を循環させ、放熱部材の散熱及び凝縮器14の冷却が容易になる。
【0092】
放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機21を制御するための電気制御装置24を更に含む。即ち、放熱部材は電気制御装置24を更に含む。制御弁システムは、第1冷却水回路に電気制御装置24を散熱させることができる。具体的には、電気制御装置24は、電動機熱管理サブシステム20の一部に属し、電気制御装置24は、電動機21の動作を制御することに用いられる。
【0093】
第1冷却水回路により電気制御装置24を散熱させることで、電気制御装置24が通常の動作温度範囲内にあることを保証し、電気制御装置24の動作温度が高すぎることを回避する。
【0094】
本願の幾つかの実施例によれば、乗員室の熱管理サブシステム10は、第2スロットル部材15及び冷却器32を更に含み、圧縮機11と第2スロットル部材15は、連通されて第2冷媒回路を形成するように制御される。圧縮機11には、互いに接続された排気ポートと還気ポートとが有り、高温高圧の冷媒が圧縮機11の排気ポートから圧縮機11に流出し、低温低圧の冷媒は還気ポートから圧縮機11に還流する。凝縮器14は、排気ポートと第2スロットル部材15との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換でき、冷却器32は、還気ポートと第2スロットル部材15との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換できる。ここで、乗員室の熱管理サブシステム10及び動力電池の熱管理サブシステム30は、制御弁システムにより接続され、冷却器32の両端は連通されて第2冷却水回路を形成するように制御され、第1冷却水回路は電動機21の散熱に用いられ、第2冷却水回路は動力電池31の散熱に用いられる。
【0095】
第2スロットル部材15は、高圧常温の蒸気を降圧して、低温低圧の冷媒を得、冷却器32に流れて蒸発させる。
【0096】
冷却器32も熱交換デバイスであり、スロットル後に形成された低温低圧の冷媒は、それと熱交換して蒸発し、被冷却物質の熱を吸収する。即ち、冷却器32と熱交換する冷媒は、冷却器32における水の熱を吸収することができ、冷却器32における水の温度を低下させる効果が達成される。具体的には、冷却器32はプレート式熱交換器である。
【0097】
動力電池31を冷却する必要がある場合、上記圧縮機11、第2スロットル部材15は、連通されて第2冷媒回路を形成するように制御される。このように、冷媒は圧縮機11の圧縮により高温高圧状態になり、高温高圧の冷媒は、第2冷媒回路を流れる時に凝縮器14と熱交換され、凝縮器14は高温高圧の冷媒の熱を持ち去り、高温高圧の冷媒蒸気を冷却し、高圧常温の冷媒液体に凝縮する。高圧常温の冷媒は、第2スロットル部材15を介してスロットルされた後、低温低圧の冷媒になり、低温低圧の冷媒は、冷却器32を通過すると、冷却器32内の水の熱を吸収した後に圧縮機11に還流して、冷却器32内の水の温度を低下させる効果を達成する。
【0098】
第1冷媒回路と同様に、通常、圧縮機11と第2スロットル部材15との間に冷媒管路が設けられ、両者は冷媒管路を介して連通され、この時、第2冷媒回路は冷媒管路を更に含む。凝縮器14は、圧縮機11の排気ポートと第2スロットル部材15との間に設けられた冷媒管路と熱交換できる。即ち、凝縮器14に流れる冷却媒体は、冷媒管路に流れる冷媒と熱交換できる。冷却器32は、圧縮機11の還気ポートと第2スロットル部材15との間に設けられた冷媒管路と熱交換できる。即ち、冷却器32内に流れる冷却媒体は、冷媒管路内に流れる冷媒と熱交換できる。
【0099】
同様に、冷却器32の両端は水管を介して連通する。この時、第2冷却水回路は水管を更に含む。電動機21は第1冷却水回路の水管と熱交換でき、動力電池31は第2冷却水回路の水管と熱交換できる。
【0100】
上記の設置により、乗員室の熱管理サブシステム10は、凝縮器14を介して電動機熱管理サブシステム20と統合し、且つ冷却器32を介して動力電池の熱管理サブシステム30と統合することによって、熱管理システム100全体の統合性を更に向上させ、熱の無駄を減少させる。
【0101】
動力電池の熱管理サブシステム30は、第2冷却水回路に設けられ、第2冷却水回路に流れる水に第2流動力を提供するための第2水ポンプ33を含む。具体的には、第2水ポンプ33は、第2冷却水回路に含まれる水管に取り付けられている。
【0102】
第2水ポンプ33は、水を搬送したり水を加圧したりする機械であり、第2水ポンプ33により提供される第2流動力は、第2冷却水回路に水を循環させ、動力電池の散熱を容易にする。
【0103】
本願の幾つかの実施例によれば、乗員室の熱管理サブシステム10、動力電池の熱管理サブシステム30及び電動機熱管理サブシステム20の3つは、制御弁システムを介して接続される。制御弁システムは、冷却水タンク22、凝縮器14及び冷却器32を連通して第3冷却水回路を形成することができる。第3冷却水回路は、電動機21と動力電池31の散熱に用いられる。このように、乗員室の熱管理サブシステム10、電動機の熱管理サブシステム20及び動力電池の熱管理サブシステム30が統合し、熱管理システム100の熱の無駄を減少する。
【0104】
ここで説明すべきことは、冷却水タンク22、凝縮器14及び冷却器32の3つが連通して第3冷却水回路を形成する場合、第1冷却水回路及び第2冷却水回路が切断される。また、冷却水タンク22、凝縮器14及び冷却器32の3つが連通して第3冷却水回路を形成する場合、第1冷媒回路が連通され、第2冷媒回路が切断されるように制御する。
【0105】
本願の幾つかの実施例によれば、電動機の熱管理サブシステム20は第1管路25を更に含み、動力電池の熱管理サブシステム30は第2管路34を更に含む。制御弁システムは、第1管路25と第2管路34を連通して第1加熱水回路を形成することができる。第1加熱水回路は電動機21と熱伝導でき、電動機21の熱を吸収して動力電池31を加熱する。この時、制御弁システムは、冷却器32と冷却水タンク22とを連通して、冷却水タンク22の散熱に用いられる第4冷却水回路を形成することができる。
【0106】
ここで説明すべきことは、上記第1管路25及び第2管路34はいずれも水管である。
【0107】
上記の設置において、電動機21により生成される熱で動力電池31を加熱することができ、熱の無駄を減少する。同時に、冷却器32は、冷却水タンク22を散熱させることによって、熱の無駄を更に減少する。
【0108】
本願の幾つかの実施例によれば、凝縮器14、冷却水タンク22、冷却器32、第1管路14及び第2管路34は、互いに接続された両端をそれぞれを有する。凝縮器14の両端をそれぞれ第1端と第2端、冷却水タンク22の両端をそれぞれ第3端と第4端、冷却器32の両端をそれぞれ第5端と第6端、第1管路25の両端をそれぞれ第7端と第8端、第2管路34の両端をそれぞれ第9端と第10端と定義する。
【0109】
ここで、冷却水タンク22の第3端は凝縮器14の第1端と連通する。
【0110】
制御弁システムは、連通するように制御可能な第1ポートを5つ備える第1制御弁コンポーネントを含み、5つの第1ポートは、それぞれ第1端、第2端、第7端、第5端及び第9端と連通する。制御弁システムは、連通するように制御可能な第2ポートを5つ備える第2制御弁コンポーネントを更に含み、5つの第2ポートは、それぞれ第3端、第4端、第6端、第8端及び第10端と連通する。
【0111】
上記の凝縮器14、冷却水タンク22、冷却器32、第1管路25及び第2管路34は、いずれも両端を有し、各部材中の一端は水入口端とし、他端は水出口端とする。どの一端が水入口端とし、どの一端が水入口端とするかは、水回路の流れ方向によって決定される。
【0112】
第1制御弁コンポーネントは、連通するように制御可能な第1ポートを5つ有するとは、第1制御弁コンポーネントが5つの第1ポートを有し、5つの第1ポートのうちの任意の2つ又は任意の複数は、制御可能に連通させることができるのを意味する。第2制御弁コンポーネントが、連通するように制御可能な第2ポートを5つ有するとは、第2制御弁コンポーネントが5つの第2ポートを有し、5つの第2ポートのうちの任意の2つ又は任意の複数は、制御可能に連通させることができるのを意味する。第1制御弁コンポーネントの5つの第1ポートが、どのように連通されるかに関しては、動作モードによって異なる。また、第2制御弁コンポーネントの5つの第2ポートが、どのように連通されるかに関しても、動作モードによって異なる。
【0113】
制御弁システムが、第1制御弁コンポーネントと第2制御弁コンポーネントとを含むように設置することによって、第1制御弁コンポーネントは、連通するように制御可能な第1ポートを5つ含み、第2制御弁コンポーネントは、連通するように制御可能な第2ポートを5つ含むように設置されることによって、上記の第1冷却水回路、第2冷却水回路、第3冷却水回路、第4冷却水回路及び第1加熱水回路の形成を容易にする。
【0114】
引き続き
図1を参照すると、本願の幾つかの実施例によれば、第1制御弁コンポーネントは、第1の三方弁41と第1の四方弁42を含み、第1の三方弁41のうちの1つの弁口は、第1の四方弁42のうちの1つの弁口と連通し、第1端及び第2端に接続された2つの第1ポートは、第1の三方弁41に設けられ、残りの3つの第1ポートは、第1の四方弁42に設けられる。第2制御弁コンポーネントは、第2の三方弁51及び第2の四方弁52を含み、第2の三方弁51のうちの1つの弁口は、第2の四方弁52のうちの1つの弁口と連通し、第3端及び第4端に接続された2つの第2ポートは、第2三方弁51に設けられ、残りの3つの第2ポートは、第2の四方弁52に設けられる。このように、構造が相対的に簡単である2つの三方弁及び構造が相対的に簡単である2つの四方弁によって、上記の第1冷却水回路、第2冷却水回路、第3冷却水回路、第4冷却水回路及び第1加熱水回路を形成することができる。
【0115】
引き続き
図2を参照すると、本願の幾つかの実施例によれば、第1制御弁コンポーネントは、第1の五方弁43を含み、5つの第1ポートは、第1の五方弁43に設けられる。第2制御弁コンポーネントは第2五方弁53を含み、5つの第2ポートは第2の五方弁53に設けられる。このように、数の少ない制御弁を使用することで、上記の第1冷却水回路、第2冷却水回路、第3冷却水回路、第4冷却水回路及び第1加熱水回路を形成することができ、熱管理システム100の構造を簡素化することができる。
【0116】
他の幾つかの実施例において、第1制御弁コンポーネントと第2制御弁コンポーネントは、ここでは限定されない他の方法によって設置されてもよいことが考えられる。
【0117】
本願の幾つかの実施例によれば、乗員室の熱管理サブシステム10は、乗員室200を温めるヒーターコア18を更に含む。制御弁システムは、凝縮器14とヒーターコア18とを連通して第2加熱水回路を形成する。
【0118】
ヒーターコア18は、乗員室200に熱を伝送するために用いられ、それにより乗員室200内の温度を上昇させ、低温環境下で乗員室200の快適性を向上させる。
【0119】
制御弁システムにより凝縮器14とヒーターコア18とを連通して第2加熱水回路を形成する場合、第2加熱水回路は、乗員室200を加熱することができ、乗員室200の快適性を向上させると同時に、水が凝縮器14とヒーターコア18とに水が循環して流れるため、ヒーターコア18は乗員室200を温める際に、その内部を流れる水の温度が低下し、したがって、凝縮器14を散熱させる効果が達成される。
【0120】
引き続き
図1及び
図2を参照すると、本願の幾つかの実施例によれば、乗員室の熱管理サブシステム10は、第2加熱水回路に設けられ、凝縮器14からヒーターコア18への水流の流路上に位置する加熱器17を更に含む。加熱器17の設置を容易にするために、第2加熱水回路における凝縮器14とヒーターコア18も水管を介して連通する。この時、第2加熱水回路は水管を含み、加熱器17は第2加熱水回路の水管に設けられる。
【0121】
加熱器17は、それを流れる水流の温度を上昇させることができる加熱デバイスである。例えば、加熱器17はPTC加熱器17であり、PTC加熱器17はPTC放熱体とも呼ばれ、PTCセラミック放熱部材を用いてアルミニウム管と自称する。このタイプのPTC放熱体は、熱抵抗が小さく、熱交換効率が高いという利点が有り、自動定温、省電力の加熱器17である。他の実施例において、加熱器17のタイプは限定されず、水流の温度を上昇させることができる加熱器17あれば、考慮の範囲内であることが考えられる。
【0122】
制御弁システムは、第2加熱水回路に設けられ、凝縮器14からヒーターコア18への水流の流路上に位置する第3三方弁60を更に含む。第3の三方弁60の3つの弁口は、凝縮器14、冷却水タンク22及びヒーターコア18にそれぞれ接続される。このように、第3の三方弁60の3つの弁口のスイッチを制御することによって、凝縮器14と冷却水タンク22とを連通又は切断することができ、又は凝縮器14とヒーターコア18とを連通又は切断するように制御できる。
【0123】
更に、乗員室の熱管理サブシステム10が加熱器17を含む場合、第3の三方弁60は、凝縮器14から加熱器17への水流の流路上に設けられ、第3の三方弁60は、凝縮器14と加熱器17に位置する第2加熱水回路の水管に取り付けられている。
【0124】
他の幾つかの実施例において、制御弁システムは、第3の三方弁60を省略してもよいことを理解されたい。制御弁システムで第3の三方弁60を省略する場合、乗員室の熱管理サブシステム10が乗員室200を冷却すると、凝縮器14内の水がヒーターコア18に流れ、ヒーターコア18から放出される熱が乗員室200の冷房効果に影響を与えることを回避する。通常、ヒーターコア18と乗員室200との間には、開閉可能な開閉扉が設置されており、この時、開閉扉を閉じると、ヒーターコア18が放出する熱が乗員室200に流れず、乗員室200の冷房効果にも影響を与えない。
【0125】
また、制御弁システムは、凝縮器14、冷却水タンク22及びヒーターコア18との間の水の流れを制御するために、第3の三方弁60を設置しなくて、他の弁構造によって制御することもでき、ここで限定しないことが理解できる。
【0126】
本願の幾つかの実施例によれば、制御弁システムは、第2加熱水回路に動力電池31を加熱させる。即ち、低温シーン場合、制御弁システムは、第2加熱水回路に動力電池31を加熱させることができ、よって、動力電池31の温度が通常の動作温度範囲内に維持され、熱を十分に利用する効果が達成させる。
【0127】
本願の幾つかの実施例によれば、制御弁システムは、第2加熱水回路に設けられ、ヒーターコア18から第2管路34への水流の流路上に位置する第4の三方弁70を含む。第4の三方弁70の3つの弁口は、ヒーターコア18、凝縮器14及び第2管路34の一端にそれぞれ接続され、第2管路34の他端は凝縮器14に接続される。このように、第4の三方弁70の3つの弁口のスイッチを制御することによって、第2加熱水回路は、動力電池31を加熱することも、動力電池31を加熱しないことも可能である。
【0128】
他の幾つかの実施例では、制御弁システムは、第1加熱水回路が動力電池31を加熱することを実現するための他の設置方法を採用してもよく、ここで限定しないことが理解できる。
【0129】
本願の幾つかの実施例によれば、乗員室の熱管理サブシステム10は、第2加熱水回路に設けられ、第2加熱水回路に流れる水に第3流動力を提供するための第3水ポンプ16を更に含む。
【0130】
第3水ポンプ16は、水を搬送したり水を加圧したりする機械であり、第3水ポンプ16により提供される第3流動力は、第2加熱水回路に水を循環させ、乗員室200の暖房を容易にすることができる。
【0131】
本願の幾つかの実施例によれば、乗員室の熱管理サブシステム10は、第1冷媒回路上に設けられ、圧縮機11と第1スロットル部材12との間に位置し、冷媒を乾燥するための液体貯蔵乾燥器19を更に含む。液体貯蔵乾燥器19は、冷媒を乾燥させる役割を果たし、且つ冷媒回路内の微小な不純物を濾過することによって、冷媒の流れを容易にし、乗員室の熱管理サブシステム10の使用性能を向上させることができる。
【0132】
本願の幾つかの実施例によれば、放熱部材の熱管理サブシステムは、冷却水タンク22の横に設けられ、冷却水タンク22の散熱に用いられる放熱ファン26を更に含む。このように、放熱ファン26は、冷却水タンク22の熱を空気に放散するように気流の流れを促進し、それにより、冷却水タンク22の散熱を容易にすることができる。
【0133】
本願の幾つかの実施例によれば、本願は、乗員室200及び上記の熱管理システム100を備える電気自動車を更に提供する。
【0134】
引き続き
図1を参照すると、本願の第1の具体的な実施例において、熱管理システム100は、乗員室の熱管理サブシステム10と放熱部材の熱管理サブシステムを含み、放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機熱管理サブシステム20と動力電池の熱管理サブシステム30を含む。熱管理システム100は、制御弁システムを更に含み、制御弁システムは、乗員室の熱管理サブシステム10、電動機の熱管理サブシステム20及び動力電池の熱管理サブシステム30を接続させる。
【0135】
乗員室の熱管理サブシステム10は、圧縮機11、凝縮器14、液体貯蔵乾燥器19、第1スロットル部材12、蒸発器13、第2スロットル部材15及び冷却器32を含む。圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13が連通されて第1冷媒回路を形成するように制御し、圧縮機11と第2スロットル部材15が連通されて第2冷媒回路を形成するように制御する。圧縮機11には排気ポートと還気ポートとが有り、凝縮器14には、排気ポートと液体貯蔵乾燥器19との間に位置し、第1冷媒回路及び第2冷媒回路と熱交換を行う。冷却器32は、液体貯蔵乾燥器19と還気ポートとの間に位置し、第2冷媒回路と熱交換を行う。液体貯蔵乾燥器19は、冷媒を乾燥するために用いられる。
【0136】
乗員室の熱管理サブシステム10は、加熱器17及びヒーターコア18を更に含む。電動機の熱管理サブシステム20は、電動機21、電気制御装置24、冷却水タンク22、放熱ファン26、第1管路25及びバイパス管路80を含む。動力電池の熱管理サブシステム30は、動力電池31及び第2管路34を含む。制御弁システムは、第1の三方弁41、第2の三方弁51、第3の三方弁60、第4の三方弁70、第1の四方弁42及び第2の四方弁52を含む。
【0137】
第1の三方弁41の3つの弁口は、それぞれA1、A2及びA3であり、第1の四方弁42の4つの弁口は、それぞれB1、B2、B3及びB4である。A1は凝縮器14の第1端に連通し、A2はB1に連通し、A3は凝縮器14の第2端に連通する。B2は冷却器32の第5端に連通し、B3は第2管路34の第9端に連通し、B4は第1管路25の第7端に連通する。ここで、A1、A3、B2、B3及びB4は、それぞれ第1制御コンポーネントの5つの第1ポートを形成する。
【0138】
第2の三方弁51の3つの弁口は、それぞれC1、C2及びC3であり、第2の四方弁52の4つの弁口は、それぞれD1、D2、D3及びD4である。C2は冷却水タンク22の第3端に連通し、C1は冷却水タンク22の第4端に連通し、C3はD1に連通する。D2は冷却器32の第6端に連通し、D3は第2管路34の第10端に連通し、D4は第1管路25の第8端に連通する。ここで、C1、C2、D2、D3及びD4は、それぞれ第2制御コンポーネントの5つの第2ポートを形成する。具体的には、C2はバイパス管路80を介して冷却水タンク22の第3端に連通する。
【0139】
第3の三方弁60の3つの弁口は、それぞれE1、E2及びE3である。E1は凝縮器14の第1端に連通し、E2は冷却水タンク22の第3端及びA1に連通し、E3は加熱器17に連通する。
【0140】
第4の三方弁70の3つの弁口は、それぞれF1、F2及びF3である。F1はヒーターコア18に連通し、F2は冷却器32の第2端に連通し、F3は第2管路34の第9端に連通し、第2管路34の第10端も凝縮器14の第2端に連通する。
【0141】
電動機の熱管理サブシステム20は、第1水ポンプ23を更に含み、動力電池の熱管理サブシステム30は、第2水ポンプ33を更に含み、乗員室の熱管理サブシステム10は、第3水ポンプ16を更に含む。第1水ポンプ23、第2水ポンプ33及び第3水ポンプ16は、いずれも水回路を流れる水に流れ動力を提供するために用いられる。
【0142】
以下、第1の具体的な実施例により提供される熱管理システム100については、具体的な応用シーンと合わせて詳しく説明する。
【0143】
ここで説明すべきことは、図中の点線は管路が切断状態にあることを示し、実線は管路が連通状態にあることを示し、図中の矢印は冷媒又は水の流れ方向を示す。
【0144】
シーン1(
図3を参照):高温環境において、乗員室200は冷却する必要があり、動力電池31は強制的に冷却する必要がある。具体的には、周囲温度が第2プリセット閾値より高い場合、熱管理システム100は第1冷房モードを実行する。
【0145】
圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13は、連通されて第1冷媒回路を形成し、圧縮機11及び第2スロットル部材15は連通されて第2冷媒回路を形成する。
【0146】
第1の三方弁41のA2とA3は連通し、A1とA2及びA3は連通を切断する。第1の四方弁42のB1とB4は連通し、B2とB3は連通する。第2の三方弁51のC1とC3は連通し、C2とC1及びC3は連通を切断する。第2の四方弁52のD1とD4は連通し、D2とD3は連通する。
【0147】
第3の三方弁60のE1とE2は連通し、E3とE1及びE2は連通を切断する。この時、第1冷却水回路及び第2冷却水回路が形成され、第1水ポンプ23及び第2水ポンプ33は動作する。第3水ポンプ16は停止し、凝縮器14から動力電池31に水が流れてはならない。
【0148】
このように、第1冷房モードでは、圧縮機11の排気端からの高温及び高電圧冷媒は、凝縮器14を経て熱を第1冷却水回路に散熱し、冷却水タンク22を経て、冷却水タンク22の横に設置された放熱ファン26を介して空気中に熱を放散し、電動機21及び電気制御装置24の熱は、冷却水タンク22を介して空気中に放散することもできる。第1冷媒回路の蒸発器13は、乗員室200を冷房するために用られ、第2冷却水回路は動力電池31の冷却に用いられる。
【0149】
シーン2(
図4を参照):高温環境において、乗員室200は冷却する必要があり、動力電池31は受動的に冷却される。具体的には、周囲温度が第1プリセット閾値より低い場合、熱管理システム100は、第2冷房モードを実行する。ここで、第1プリセット閾値は第2プリセット閾値よりも小さい。
【0150】
圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13は、連通して第1冷媒回路を形成する。
【0151】
第1の三方弁41のA2とA3は連通し、A1とA2及びA3は連通を切断する。第1の四方弁42のB1とB4は連通し、B2とB3は連通する。第2の三方弁51のC1とC3は連通し、C2とC1及びC3は連通を切断する。第2の四方弁52のD3とD4は連通し、D2とD1は連通する。
【0152】
第3の三方弁60のE1とE2は連通し、E3とE1及びE2は連通を切断する。この時、第3冷却水回路が形成され、第1水ポンプ23及び第2水ポンプ33は動作し、第3水ポンプ16は停止し、凝縮器14から動力電池31に水が流れてはならない。
【0153】
このように、第2冷房モードでは、圧縮機11の排気端からの高温及び高電圧冷媒は、凝縮器14を経て熱を第3冷却水回路に散熱し、冷却水タンク22を経て、冷却水タンク22と横の放熱ファン26を設置することにより空気中に熱を放散し、電動機21、電気制御装置24及び動力電池31の熱も冷却水タンク22を介して空気中に散熱することができる。第1冷媒回路における蒸発器13は、乗員室200の冷房に用いられる。
【0154】
シーン3(
図5を参照):低温環境において、乗員室200を温める必要があり、動力電池31は加熱する必要がある。この時、熱管理システム100は第1暖房モードを実行する。
【0155】
圧縮機11は、第2スロットル部材15と連通して第2冷媒回路を形成する。
【0156】
第1の三方弁41のA1とA2は連通し、A3とA1及びA2は連通を切断する。第1の四方弁42のB1とB2は連通し、B3とB4は連通する。第2の三方弁51のC1とC3は連通し、C2とC1及びC3は連通を切断する。第2の四方弁52のD3とD4は連通し、D2とD1は連通する。
【0157】
第3の三方弁60のE1とE3は連通し、E2とE1及びE3は連通を切断する。第4の三方弁70のF1、F2及びF3はいずれも連通する。この時、第4冷却水回路が形成され、第1水ポンプ23及び第2水ポンプ33が動作する。第2加熱水回路が形成され、動力電池31を経て、第3水ポンプ16が動作する。
【0158】
このように、第1暖房モードでは、圧縮機11の排気端からの高温及び高電圧冷媒は、乗員室200の暖房及び動力電池31の加熱に用いられるために、凝縮器14を介して第2加熱水回路に熱を放散する。同時に、電動機21の熱は、動力電池31を加熱するためにも用いられる。この時、冷却器32は冷却水タンク22を介して周囲から熱を吸収することができる。
【0159】
ここで説明すべきことは、該モードでは、第2加熱水回路が動力電池31を加熱しないように、第4の三方弁70を調節することによって、動力電池31は、電動機21及び電気制御装置24で生成された熱のみによって加熱されてもよい。
【0160】
シーン4(
図6を参照):低温環境において、乗員室200は温める必要があり、動力電池31は加熱する必要がない。この時、熱管理システム100は第2暖房モードを実行する。
【0161】
第1の三方弁41のA1とA2は連通し、A3とA1及びA2は連通を切断する。第1の四方弁42のB1とB4は連通し、B2とB3は連通する。第2の三方弁51のC2とC3は連通し、C1とC2及びC3は連通を切断する。第2の四方弁52のD3とD4は連通し、D2とD1は連通する。
【0162】
第3の三方弁60のE1とE3は連通し、E2とE1及びE3は連通を切断する。第4の三方弁70のF1とF2は連通し、F3とF1及びF2は連通を切断する。この時、冷却器32の両端は第2冷却水回路を形成し、第1ポンプ23及び第2水ポンプ33が動作する。第2加熱水回路が形成され、第3水ポンプ16が動作する。
【0163】
このように、第2暖房モードでは、圧縮機11の排気端からの高温及び高電圧冷媒は、凝縮器14を介して第2加熱水回路に熱を散熱し、乗員室200の暖房に用いられる。この時に冷却器32は電動機21、電気制御装置24及び動力電池31の熱を回収し、冷却水タンク22をバイパスして、熱が外部環境に放散されないことを確保し、熱の回収を実現する。
【0164】
シーン5(
図7を参照):低温環境において、乗員室200は冷却及び除湿する必要があり、動力電池31は加熱する必要がある。この時、熱管理システム100は、周囲温度が低い場合に適用される第1除湿モードを実行する。一般的には、周囲温度が10℃より低いシーンに適用される。
【0165】
第1除湿モードと第1暖房モードとの違いは、第1冷媒回路が形成され、低温冷媒が蒸発器13に入り、冷房及び除湿の効果を実現することである。
【0166】
シーン6(
図8を参照):低温環境において、乗員室200は暖房及び除湿する必要があり、動力電池31は散熱する必要がある。この時、熱管理システム100は、周囲温度が低い場合に適用される第2除湿モードを実行する。一般的には、周囲温度が10℃より低いシーンに適用される。
【0167】
第2除湿モードと第2暖房モードとの違いは、第1冷媒回路が形成され、低温冷媒が蒸発器13に入り、冷房及び除湿の効果を実現することである。
【0168】
シーン7(
図9を参照):低温環境において、乗員室200は暖房及び除湿する必要があり、動力電池31は散熱する必要がある。この時、熱管理システム100は第3除湿モードを実行し、該モードに適用される周囲温度は、第1除湿モード及び第2除湿モードに適用される周囲温度より高い。一般的には、周囲温度が10℃より高いシーンに適用される。
【0169】
第1除湿モードと比較して、違いは以下のとおりである。第1の三方弁41のA1とA2は連通し、A3とA1及びA2はいずれも連通を切断し、第1の四方弁42のB1とB4は連通し、B2とB3は連通する。第2の三方弁51のC1とC3は連通し、C2とC1及びC3はいずれも連通を切断し、第1の四方弁42のD1とD4は連通し、D2とD3は連通する。
【0170】
第3の三方弁60のE1とE3は連通し、E2とE1及びE3はいずれも連通を切断する。第4の四方弁のF1とF2は連通し、F3とF1及びF2はいずれも連通を切断する。
【0171】
このように、第3除湿モードでは、第1冷媒回路が形成され、低温冷媒が蒸発器13に入り、冷房及び除湿の効果が得られる。第2冷却水回路は動力電池31を散熱させ、冷却水タンク22は電動機21及び電気制御装置24を散熱させる。
【0172】
シーン8(
図10を参照):第1暖房モードを実行すると、冷却水タンク22は周囲から熱を吸収するため、冷却水タンク22の表面に結霜が発生する可能性がある。該モードは、冷却水タンク22の霜を取るための、冷却水タンク22の霜取りモードである。
【0173】
該モードでは、第1暖房モードと比較して、第1の三方弁41のA2とA3は連通し、A1とA2及びA3はいずれも連通を切断する。第1の四方弁42のB1とB4は連通し、B2とB3は連通する。第2の四方弁52のD1とD4は連通し、D2とD3は連通する。
【0174】
第3の三方弁60のE1、E2及びE3はいずれも連通する。第4の四方弁のF1とF2は連通し、F3とF1及びF2はいずれも連通を切断する。
【0175】
このように、冷却水タンク22の霜取りモードでは、凝縮器14から流出した水は第3の三方弁60を介して、一部が第1水ポンプ23を介して冷却水タンク22に流れ霜取りし、他の一部は加熱器17を介してヒーターコア18に流れ、乗員室200の暖房に用いられる。これと同時に、第2冷却水回路は動力電池31を冷却し、第1冷却水回路は電動機21及び電気制御装置24を冷却する。
【0176】
ここで説明すべきことは、上記の8つの運転モードは、第1の具体的な実施例により提供される熱管理システム100の主な運転モードであり、熱管理システム100は、制御弁システムの調節によって、より多くの運転モードを実現することもできる。
【0177】
引き続き
図2を参照すると、本願の第2の具体的な実施例において、第1の具体的な実施例との違いは以下のとおりである。
【0178】
制御弁システムの第1の三方弁41と第1の四方弁42とを第1の五方弁43に置き換え、第2の三方弁51と第2の四方弁52とを第2の五方弁53に置き換える。第1の五方弁43の5つの弁口は、それぞれG1、G2、G3、G4及びG5であり、それぞれ第1制御弁コンポーネントの5つの第1ポートである。第2の五方弁53の5つの弁口は、それぞれH1、H2、H3、H4及びH5であり、それぞれ第2制御弁コンポーネントの5つの第2ポートである。
【0179】
G2は冷却器32の第1端に連通し、G1は凝縮器14の第2端に連通し、G3は第1管路25の第7端に連通し、G4は冷却器32の第5端に連通し、G5は第2管路34の第9端に連通する。H1は冷却水タンク22の第4端に連通し、H2は冷却水タンク22の第3端に連通し、H3は第1管路25の第8端に連通し、H4は冷却器32の第6端に連通し、H5は第2管路34の第10端に連通する。
【0180】
第2の具体的な実施例は、第1の具体的な実施例の適用シーンと同様に、いずれも8つの主な適用シーンを含む。その主な違いは、第1の五方弁43と第2の五方弁53の各弁口間の連通が変化していることである。以下に違いのみを紹介し、同じ連通関係については詳しく説明しない。
【0181】
【0182】
第1冷房モードでは、第1の具体的な実施例との違いは、以下のとおりである。第1の五方弁43のG1とG3は連通し、G4とG5は連通し、G2とG1、G3、G4及びG5はいずれも連通を切断する。第2の五方弁53のH1とH3は連通し、H4とH5は連通し、H2とH1、H3、H4及びH5はいずれも連通を切断する。
【0183】
【0184】
第2冷房モードでは、第1の五方弁43のG1とG3は連通し、G4とG5は連通し、G2とG1、G3、G4及びG5はいずれも連通を切断する。第2の五方弁53のH1とH4は連通し、H3とH5は連通し、H2とH1、H3、H4及びH5はいずれも連通を切断する。
【0185】
【0186】
第1暖房モードでは、第1の五方弁43のG2とG4は連通し、G3とG5は連通し、G1とG2、G3、G4及びG5はいずれも連通を切断する。第2の五方弁53のH1とH4は連通し、H3とH5は連通し、H2とH1、H3、H4及びH5はいずれも連通を切断する。
【0187】
【0188】
第2暖房モードでは、第1の五方弁43のG2とG3は連通し、G4とG5は連通し、G1とG2、G3、G4及びG5はいずれも連通を切断する。第2の五方弁53のH2とH4は連通し、H3とH5は連通し、H1とH2、H3、H4及びH5はいずれも連通を切断する。
【0189】
【0190】
第2の具体的な実施例における第1除湿モードと第1暖房モードとの違いは、第1冷媒回路が形成され、低温冷媒が蒸発器13に入り、冷房及び除湿の効果を実現することである。
【0191】
【0192】
第2の具体的な実施例における第2除湿モードと第2暖房モードとの違いは、第1冷媒回路が形成され、低温冷媒が蒸発器13に入り、冷房及び除湿の効果を実現することである。
【0193】
【0194】
第3除湿モードと第1除湿モードとの違いは、以下のとおりである。
【0195】
第2暖房モードでは、第1の五方弁43のG2とG3が連通し、G4とG5が連通し、G1とG2、G3、G4及びG5はいずれも連通を切断する。第2の五方弁53のH1とH3は連通し、H4とH5は連通し、H2とH1、H3、H4及びH5はいずれも連通を切断する。
【0196】
【0197】
冷却水タンク22の霜取りモードにおいて、該モードと第1暖房モードとの違いは以下のとおりである。
【0198】
第1の五方弁43のG1とG3は連通し、G4とG5は連通し、G2とG1、G3、G4及びG5はいずれも連通を切断する。第2の五方弁53のH1とH3は連通し、H4とH5は連通し、H2とH1、H3、H4及びH5はいずれも連通を切断する。
【0199】
ここで更に説明すべきことは、8つの主な運転モードでは、第2の具体的な実施例と第1の具体的な実施例との違いは、弁口の制御であるが、2つの具体的な実施例が対応するモードで実現する機能は同じである。
【0200】
図19を参照すると、本願は、以下のステップを含む熱管理システム100の制御方法を更に提供する。
【0201】
S110:周囲温度が第1プリセット閾値より低い場合、圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13が順に連通されて、電気自動車の乗員室200を冷却するための第1冷媒回路を形成するように制御する。
【0202】
S120:冷却水タンク22と凝縮器14が連通されて、放熱部材及び第1冷媒回路の散熱に用いられる第1冷却水回路を形成するように制御する。
【0203】
ここで、冷却水タンク22は放熱部材の散熱に用いられ、凝縮器14は、圧縮機11と第1スロットル部材12との間に設けられ、第1冷媒回路と熱交換できる。
【0204】
圧縮機11、第1スロットル部材12、蒸発器13、冷却水タンク22及び放熱部材に関しては、上記に説明しており、ここで、詳しく説明しない。
【0205】
第1プリセット閾値は、必要に応じて設定することができる。周囲温度が高く、且つ第1プリセット閾値より低い場合、圧縮機11、第1スロットル部材12及び蒸発器13が順に連通されて第1冷媒回路を形成するように制御することによって、乗員室200を冷却する。また、冷却水タンク22と凝縮器14とが連通されて第1冷却水回路を形成するように制御し、第1冷却水回路は凝縮器14と放熱部材とを冷却することができる。
【0206】
上記の熱管理システム100の制御方法において、第1冷却水回路は、放熱部材の散熱を実現すると共に、第1冷却水回路に水が循環して流れるため、凝縮器14には、交換温度の低い水が循環し、凝縮器14と第1冷媒回路との熱交換する際に吸熱しやすい。即ち、冷却水タンク22は、放熱部材の放熱器として機能すると共にに、凝縮器14の放熱器としても機能するため、凝縮器14を散熱させる放熱器を追加設置することを回避し、熱管理システム100全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。また、従来技術において、凝縮器14を一部の第1冷媒回路とする設置方法に対して、凝縮器14は水冷の方法によって冷却されるため、冷媒回路を簡素化し、更に冷媒の充填量を減らし、省エネルギー効果に達する。
【0207】
本願の幾つかの実施例によれば、放熱部材の熱管理サブシステムは、電動機の熱管理サブシステム20及び動力電池の熱管理サブシステム30を含み、放熱部材は電動機21と動力電池31とを含み、第1冷却水回路は、電動機21及び/又は動力電池31を選択的に散熱することができる。第1冷却水回路で電動機21及び/又は動力電池31を散熱させることによって、電動機21及び/又は動力電池31の温度を低下させることができ、それにより電動機21及び/又は動力電池31が通常の動作温度範囲内にあるように保証する。
【0208】
本願の幾つかの実施例によれば、熱管理システム100の制御方法は、以下のステップを更に含む。
【0209】
周囲温度が第2プリセット閾値より高い場合、圧縮機11及び第2スロットル部材15が連通されて第2冷媒回路を形成するように制御する。
【0210】
冷却器32の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池31を散熱させ、第1冷却水回路は電動機21を散熱させる。
【0211】
ここで、第2プリセット閾値が第1プリセット閾値より大きく、圧縮機11には、互いに接続された排気ポートと還気ポートとが有り、凝縮器14は、排気ポートと第2スロットル部材15との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換でき、冷却器32は、還気ポートと第2スロットル部材15との間に設けられ、第2冷媒回路と熱交換できる。
【0212】
第2スロットル部材15及び冷却器32に関しては、上記に説明しており、ここで、詳しく説明しない。
【0213】
第2プリセット閾値は、必要に応じて設定することができる。周囲温度が高く、且つ第2プリセット閾値より高い場合、第1冷媒回路は乗員室200を冷却し、電動機21は第1冷却水回路を介して散熱し、動力電池31は第2冷却水回路を通じて散熱する。
【0214】
このように設置することにより、熱管理システム100の統合性が高くなり、更に熱管理システム100全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。
【0215】
別の実施例において、周囲温度が第2プリセット閾値より高い場合、圧縮機11及び第2スロットル部材15が連通されて第2冷媒回路を形成するようにを制御する。
【0216】
冷却器32、凝縮器14及び冷却水タンク22が連通されて第3冷却水回路を形成するように制御することによって、電動機21及び動力電池31を散熱させる。
【0217】
このように設置することにより、熱管理システム100の統合性が高くなり、更に熱管理システム100全体の統合性を向上させ、熱の無駄を減少する。
【0218】
本願の幾つかの実施例によれば、熱管理システム100の制御方法は、以下のステップを更に含む。
【0219】
周囲温度が第3プリセット閾値より低い場合、第1冷媒回路が切断されるように制御し、凝縮器14及びヒーターコア18が連通して第2加熱水回路を形成するように制御し、ヒーターコア18は乗員室200暖房に用いられる。
【0220】
冷却器32の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池31を散熱させ、冷却水タンク22で電動機21を散熱させる。
【0221】
ここで、第3プリセット閾値は、第1プリセット閾値より小さい。
【0222】
ヒーターコア18に関しては、上記に説明しており、ここでは、詳しく説明しない。
【0223】
第3プリセット閾値は、必要に応じて設定することができる。周囲温度が低く、且つ第3プリセット閾値より低い場合、この時に第2加熱水回路で乗員室200を温め、同時に、凝縮器14とヒーターコア18に水が循環して流れるため、ヒーターコア18で乗員室200を温める際に、その内部で流れる水の温度が低下し、対応的に、凝縮器14を散熱させる効果に達する。
【0224】
別の実施例において、周囲温度が第3プリセット閾値より低い場合、第1冷媒回路が切断されるように制御し、凝縮器14及びヒーターコア18が連通されて第2加熱水回路を形成するように制御し、ヒーターコア18は乗員室200の暖房に用いられる。
【0225】
冷却器32の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池31及び電動機21を散熱させる。
【0226】
上記の方法において、乗員室の熱管理サブシステム10が、凝縮器14を介して電動機熱管理サブシステム20と統合し、且つ冷却器32を介して動力電池の熱管理サブシステム30と統合することによって、熱管理システム100全体の統合性を更に向上させ、熱の無駄を減少させる。
【0227】
本願の幾つかの実施例によれば、熱管理システム100は第1管路25と第2管路34とを含み、上記第2加熱水回路は動力電池31の加熱に用いられる。
【0228】
第1管路25と第2管路34とが連通されて第1加熱水回路を形成し、冷却水タンク22と上記冷却器32とが連通されて水回路を形成するように制御する。
【0229】
上記の方法において、電動機21により生成された熱で動力電池31を加熱することによって、熱の無駄を減少することができる。同時に、冷却器32が冷却水タンク22を散熱することによって、熱の無駄を更に減少させる。
【0230】
本願の幾つかの実施例によれば、第1冷媒回路は連通するように制御され、蒸発器13は乗員室200の除湿に用いられる。
【0231】
このようにして、第2冷媒回路で乗員室200を加熱する際に、第1冷媒回路は、乗員室200の除湿に用いられることによって、乗員室200の快適性を向上させる。
【0232】
本願の幾つかの実施例によれば、冷却器32の両端を制御して第2冷却水回路を形成することによって、動力電池31を散熱させ、第1冷却水回路は電動機21を散熱させる。又は
【0233】
冷却器32、凝縮器14及び冷却水タンク22が連通されて第3冷却水回路を形成するように制御することによって、電動機21及び動力電池31を散熱させる。
【0234】
ここで、凝縮器14は冷却水タンク22の除霜に用いられる。
【0235】
乗員室200で暖房を行い、且つ冷却器32が冷却水タンク22を介して周囲から熱を吸収する場合、冷却水タンク22の表面に結霜が発生しやすい。上記の設置において、凝縮器14内のお湯を冷却水タンク22に通すことによって、冷却水タンク22を除霜することができる。
【0236】
最後に説明すべきことは、上記の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するものに過ぎず、それらを制限するものではない。前述の各実施例を参照して本願を詳しく説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載された技術的解決手段を修正するか、又はその一部又は全ての技術的特徴に対して同等置換を行うことができ、これらの修正や置換により対応する技術的解決手段の本質が本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱することなく、いずれも本願の特許請求の範囲及び明細書の範囲に含まれると理解すべきである。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及された各技術的特徴はいずれも、任意の方式で組み合わせることができる。本願は、明細書で開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内のすべての技術的解決手段が含まれる。
【符号の説明】
【0237】
100:熱管理システム
10:乗員室の熱管理サブシステム
11:圧縮機
12:第1スロットル部材
13:蒸発器
14:凝縮器
15:第2スロットル部材
16:第3水ポンプ
17:加熱器
18:ヒーターコア
19:液体貯蔵乾燥器
20:電動機の熱管理サブシステム
21:電動機
22:冷却水タンク
23:第1水ポンプ
24:電気制御装置
25:第1管路
26:放熱ファン
30:動力電池の熱管理サブシステム
31:動力電池
32:冷却器
33:第2水ポンプ
34:第2管路
41:第1の三方弁
42:第1の四方弁
43:第1の五方弁
51:第2の三方弁
52:第2の四方弁
53:第2の五方弁
60:第3の三方弁
70:第4の三方弁
80:バイパス管路
200:乗員室
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
上記の凝縮器14、冷却水タンク22、冷却器32、第1管路25及び第2管路34は、いずれも両端を有し、各部材中の一端は水入口端とし、他端は水出口端とする。どの一端が水入口端とし、どの一端が水出口端とするかは、水回路の流れ方向によって決定される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
加熱器17は、それを流れる水流の温度を上昇させることができる加熱デバイスである。例えば、加熱器17はPTC加熱器17であり、PTC加熱器17はPTC放熱体とも呼ばれ、PTCセラミック放熱部材とアルミニウム管で製造される。このタイプのPTC放熱体は、熱抵抗が小さく、熱交換効率が高いという利点が有り、自動定温、省電力の加熱器17である。他の実施例において、加熱器17のタイプは限定されず、水流の温度を上昇させることができる加熱器17あれば、考慮の範囲内であることが考えられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0153
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0153】
このように、第2冷房モードでは、圧縮機11の排気端からの高温及び高電圧冷媒は、凝縮器14を経て熱を第3冷却水回路に散熱し、冷却水タンク22を経て、冷却水タンク22の横に設置された放熱ファン26を介して空気中に熱を放散し、電動機21、電気制御装置24及び動力電池31の熱も冷却水タンク22を介して空気中に散熱することができる。第1冷媒回路における蒸発器13は、乗員室200の冷房に用いられる。
【国際調査報告】