(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】確率的プロセスウィンドウの検出
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240215BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240215BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/66 J
H01J37/22 502G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539333
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022043101
(87)【国際公開番号】W WO2023039186
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523237969
【氏名又は名称】フラクティリア,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FRACTILIA,LLC
【住所又は居所原語表記】1605 Watchhill Road,Austin,Texas 78703 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マック,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ヤヌッツィ,ジョナサン
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB08
2H197DB10
2H197DB11
2H197DB18
2H197DB33
2H197HA03
2H197JA22
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA38
4M106DB05
4M106DH24
4M106DH33
4M106DJ20
5C101AA03
5C101BB11
5C101FF02
5C101GG04
5C101GG05
5C101HH17
5C101HH22
5C101HH44
(57)【要約】
【構成】
半導体デバイスを製造するためにリソグラフィツールを構成するための方法、システム、及びコンピュータ可読媒体。方法は、第1の変数を選択することと、第2の変数を選択することと、第1の変数及び第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数を選択することと、各応答変数の測定不確実性を決定することと、応答変数の測定値、及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、各応答変数の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定することであって、この決定において複数の確率が、プロセスウィンドウを表すことと、プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するためにリソグラフィツールを構成することを含む。
【選択図】
図38
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
第1の変数を選択することと、
第2の変数を選択することと、
前記第1の変数及び前記第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数を選択することと、
各応答変数の測定不確実性を決定することと、
前記応答変数の測定値、及び前記応答変数の前記測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、各応答変数の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定し、この決定において前記複数の確率がプロセスウィンドウを表すことと、
前記プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成すること
を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記構成することが、制御信号を前記リソグラフィツールに伝送して、前記第1の変数に基づいて第1の動作パラメータを設定し、前記第2の変数に基づいて第2の動作パラメータを設定することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記複数の確率をコンピューティングデバイスのユーザインターフェース上にグラフのグラフィック要素として提示することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記複数の確率の提示が、前記ユーザインターフェース上のヒートマップ、三次元プロット、又は輪郭プロットである、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記応答変数の前記測定不確実性が、ガウス正規確率分布によって表される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記第1の変数がグラフの第1の軸上に表され、前記第2の変数が前記グラフの第2の軸上に表される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記第1の変数が露光量を含み、前記第2の変数が走査リソグラフィプロセスの焦点を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
ユーザが前記第1の変数、前記第2の変数、又はその両方の特性を変化させて前記複数の確率をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正することを可能にするように構成された1つ以上のグラフィック要素を提示することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
ユーザが前記第1の変数、前記第2の変数、又はその両方の特性を変化させて前記複数の確率をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正することを可能にするように構成された1つ以上のグラフィック要素を提示することを更に含み、前記複数の確率を修正することが、前記半導体デバイスを製造することの所望のコスト最適化に関連付けられている、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
システムであって、
リソグラフィツールと、
命令を記憶するメモリデバイスと、
前記メモリデバイス及び前記リソグラフィツールに結合された処理デバイスと、
を備え、
前記処理デバイスが、前記命令を実行して、
第1の変数を選択することと、
第2の変数を選択することと、
前記第1の変数及び前記第2の変数に依存する応答変数を選択することと、
前記応答変数の測定不確実性を決定することと、
前記応答変数の測定値、及び前記応答変数の前記測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、各応答変数の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定し、この決定において前記複数の確率がプロセスウィンドウを表すことと、
前記プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、前記リソグラフィツールを構成すること
を行うことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記構成することが、制御信号を前記リソグラフィツールに伝送して、前記第1の変数に基づいて第1の動作パラメータを設定し、前記第2の変数に基づいて第2の動作パラメータを設定することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理デバイスが、前記複数の確率をコンピューティングデバイスのユーザインターフェース上にグラフのグラフィック要素として提示するように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の確率の提示が、前記ユーザインターフェース上のヒートマップである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記応答変数の前記測定不確実性が、ガウス正規確率分布である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の変数が、グラフの第1の軸上に表され、前記第2の変数が、前記グラフの第2の軸上に表される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の変数が露光量を含み、前記第2の変数が走査リソグラフィプロセスの焦点を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理デバイスが、
前記第1の変数及び前記第2の変数に対するプロセス範囲のばらつきを選択することと、
前記第1の変数及び前記第2の変数の各々の設定及びプロセス範囲を所与とする仕様要件を満たす特徴の画分を決定することと、
仕様要件を満たす特徴の前記画分に基づいて、仕様を満たす特徴の最大画分を生成する前記第1の変数及び前記第2の変数の前記設定を決定することと、
を行うように更に構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
命令を記憶する有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記命令が、実行されるときに、処理デバイスに、
第1の変数を選択することと、
第2の変数を選択することと、
前記第1の変数及び前記第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数を選択することと、
各応答変数の測定不確実性を決定することと、
前記応答変数の測定値、及び前記応答変数の前記測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、各応答変数の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定し、この決定において前記複数の確率が、プロセスウィンドウを表すことと、
前記プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成すること
を行わせることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記構成することが、制御信号を前記リソグラフィツールに伝送して、前記第1の変数に基づいて第1の動作パラメータを設定し、前記第2の変数に基づいて第2の動作パラメータを設定することを含む、請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記処理デバイスが、前記複数の確率を、コンピューティングデバイスのユーザインターフェース上にグラフのグラフィック要素として提示するように更に構成されている請求項18に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月10日に出願された「Detection of Probabilistic Process Windows」と題する米国出願第17/472,335号の優先権及び利益を主張し、その開示全体は、以下に完全に複製されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、2018年2月8日に出願された「Edge Detection System」と題する米国出願第15/892,080号(現米国特許第10,176,966号)の一部継続であり、その優先権を主張する、2018年12月12日に出願された「System and Method for Generating and Analyzing Roughness Measurements」と題する米国出願第16/218,346号(現米国特許第10,522,322号)の継続である、2019年12月30日に出願された「System and Method for Generating and Analyzing Roughness Measurements」と題する米国出願第16/730,393号の継続である、2021年5月10日に出願された「System and Method for Generating and Analyzing Roughness Measurements」と題する米国出願第17/316,154号の一部継続に関連する。本出願は、更に、2018年10月1日に出願された「System and Method for Generating and Analyzing Roughness Measurements」と題する米国仮特許出願第62/739,721号、及び2018年5月31日に出願された「System and Method for Removing Noise From Roughness Measurements」と題する米国仮特許出願第62/678,866号の優先権を主張する。更に、米国出願第16/218,346号の継続として、本特許出願は、2017年4月13日に出願された「Edge Detection System」と題する米国仮特許出願第62/602,152号の優先権を主張する。これらの全ての出願は、以下に完全に複製されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、概して、パターン構造のエッジ検出に関連し、より具体的には、望ましくないノイズを含む画像を生成する走査電子顕微鏡(SEM)又は他の撮像装置を使用するときに形成される画像などの、ノイズが発生しやすい画像におけるパターン構造のエッジ検出に関連し、更により具体的には、そのような粗さ測定値をプロセスばらつきの関数として分析し、この分析を使用してプロセスを最適化し、プロセスツールを制御することに関連する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、概して、測定不確実性を説明する確率的プロセスウィンドウを生成するための方法、システム、及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【0005】
本開示の態様は、コンピュータ実装方法を含む。この方法は、グラフの第1の軸上に表される第1のプロセス変数を選択することを含んでもよい。この方法はまた、グラフの第2の軸上に表される第2のプロセス変数を選択することを含んでもよい。この方法はまた、第1の変数及び第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数を選択することを含んでもよい。この方法はまた、各応答変数の測定不確実性を決定してもよい。この方法はまた、応答変数の測定値及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、各応答変数の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定することを含んでもよく、複数の確率は、プロセスウィンドウを表す。本方法は、プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成することを更に含む。
【0006】
本開示の別の態様は、一実施態様では、リソグラフィツール、命令を記憶するメモリデバイス、及び処理デバイスを含むシステムを含む。処理デバイスは、メモリデバイス及びリソグラフィツールに結合されている。処理デバイスは、命令を実行して、グラフの第1の軸上に表され得る第1の変数を選択してもよい。処理デバイスはまた、命令を実行して、グラフの第2の軸上に表され得る第2の変数を選択してもよい。処理デバイスはまた、命令を実行して、第1の変数及び第2の変数の関数として応答変数を選択してもよい。処理デバイスはまた、命令を実行して、応答変数の測定不確実性を決定してもよい。処理デバイスはまた、命令を実行して、応答変数の測定値及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定してもよい。複数の確率は、プロセスウィンドウを表してもよい。処理デバイスはまた、命令を実行して、プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成してもよい。
【0007】
本開示の更なる態様は、命令を記憶する有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令は、実行されるときに、処理デバイスに、グラフの第1の軸上に表される第1の変数を選択させる。命令はまた、処理デバイスに、グラフの第2の軸上に表される第2の変数を選択させてもよい。命令はまた、処理デバイスに、第1の変数及び第2の変数の関数として応答変数を選択させてもよい。命令はまた、処理デバイスに、出力応答変数の測定不確実性を決定させてもよい。命令はまた、処理デバイスに、応答変数の測定値及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定させてもよい。複数の確率は、プロセスウィンドウを表す。命令は、更に、処理デバイスに、プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成してもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chris A.Mack and Benjamin D.Bunday,“Analytical Linescan Model for SEM Metrology”,Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XXIX,Proc.,SPIE Vol.9424,94240F(2015)
【非特許文献2】Chris A.Mack and Benjamin D.Bunday,“Improvements to the Analytical Linescan Model for SEM Metrology”,Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XXX,Proc.,SPIE Vol.9778,97780A(2016)
【非特許文献3】Chris A.Mack,Fundamental Principles of Optical Lithography:The Science of Microfabrication,John Wiley&Sons,(London:2007)
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、本開示の例示的な実施態様のみを例示し、したがって、本発明の概念は、それ自体を等しく効果的な他の実施態様に与えるため、その範囲を限定するものではない。
【0010】
【
図1A】ライン間に空間を有する平行線の特徴を示すパターン構造の表現である。
【
図1B】コンタクトホール特徴を含むパターン構造の表現である。
【
図2】全て同じ標準偏差を有する4つの異なる粗いエッジを示す。
【
図3】両対数スケールでのパワースペクトル密度(PSD)対周波数の表現である。
【
図4】プロットされたパワースペクトル密度(PSD)対周波数のグラフ表現であり、粗さパラメータPSD(0)、相関長、及び粗さ指数を描く。
【
図5】パターン構造上の特徴のそれぞれのエッジに対応する2つのパワースペクトル密度(PSD)を示す。
【
図6】ライン長さの関数としての特徴内ばらつき及び特徴間ばらつきのトレードオフのグラフ表現である。
【
図7】ともに開示されたエッジ検出装置の1つの実施態様を一緒に形成する情報ハンドリングシステム(IHS)に結合された走査電子顕微鏡(SEM)のブロック図である。
【
図8A】特徴の中心に衝突する電子ビームを描く、基板上に配設された特徴の表現である。
【
図8B】特徴のエッジの近くで特徴に衝突する電子ビームを描く、基板上に配設された特徴の表現である。
【
図9】1つの水平カットに沿った対応するグレースケールのライン走査が、すぐ下にプロットされている上部のグレースケールの画像表現を示す。
【
図10】電子ビームがパターン構造に衝突する場所に応じて、ばらつく数の電子がパターン構造から脱出する、基板の上に位置する特徴を含むパターン構造の一例を示す。
【
図11】シリコンウェハなどのパターン構造上のレジストステップの予測ライン走査を示す。
【
図12】シリコンウェハ上のレジストライン及び空間のパターンの別の代表的な予測ライン走査を示す。
【
図13A】開示されたエッジ検出装置及び方法を使用しない、パターン構造の元のSEM画像である。
【
図13B】開示されたエッジ検出装置及び方法を使用することを除いて、
図13Aと同じSEM画像である。
【
図14】(従来の閾値エッジ検出を伴うフィルタを使用した)先行技術の結果、及びフィルタなしの逆ライン走査モデル(ILM)を使用した結果の両方を示す、未加工(バイアス)ライン幅粗さプロット対閾値設定である。
【
図15A】ノイズ減算前に示される特徴の左右のエッジのパワースペクトル密度(PSD)対周波数プロットである。
【
図15B】ノイズ減算後に示される特徴の左右のエッジのパワースペクトル密度(PSD)対周波数プロットである。
【
図16】異なるSEM電子線量で撮影された、公称上同じリソグラフィ特徴の3つのSEM画像の部分を示す。
【
図17A】画素ノイズが無視できるように、非常に多数の電子が存在する場合のウェハ上のライン特徴に対する典型的なライン走査を示す。
【
図17B】3つの異なるX画素サイズについての、グレースケールノイズの存在下での完全に滑らかな特徴に対するエッジ検出位置における1シグマの不確実性を示す。
【
図17C】右画像において画像フィルタリングを伴う単純な閾値エッジ検出アルゴリズム、及び左画像において画像フィルタリングを伴わない単純な閾値エッジ検出アルゴリズムを使用する一例として、グレースケール画像を示す。
【
図18】30画像のコレクションに対する2つの異なる画像フィルタの影響を示すライン幅粗さ(LWR)PSD対周波数のプロットである。
【
図19】開示されたエッジ検出装置及び方法のノイズ減算プロセスを示すパワースペクトル密度プロット対周波数である。
【
図20】SEMにおける異なる統合フレームで測定される、所与のウェハ上の特定のレジスト特徴タイプのPSDを示す。
【
図21】SEMにおける統合フレームの数の関数として測定された3σ直線ライン幅粗さ(LWR)のバイアス及び非バイアス値を示す。
【
図22A】SEMによって用いられる異なる画素サイズ及び倍率の関数としてのバイアスライン幅粗さ(LWR)パワースペクトル密度(PSD)を示す。
【
図22B】SEMによって用いられる異なる画素サイズ及び倍率の関数としての非バイアスライン幅粗さ(LWR)パワースペクトル密度(PSD)を示す。
【
図23】開示されたSEMエッジ検出システムがパターン構造のエッジを検出するために用いる代表的な全体プロセスフローを描くフローチャートである。
【
図24A】開示された計測ツールが分析する垂直ライン及び空間のパターン構造のグレースケール表現である。
【
図24B】1つのY画素位置での単一のライン走査を示す。
【
図24C】全てのY画素にわたって平均化することによって生成される平均化されたライン走査を示す。
【
図25A】高周波スパイクアーチファクトを含むPSDを示す。
【
図25B】スパイクアーチファクトが除去されたPSDを示す。
【
図26】中周波スパイクアーチファクト及びハーモニクスを含むPSDを示す。
【
図27A】PSDのモデリング及び解釈に対する中周波スパイクアーチファクトの影響を示す。
【
図27B】PSDのモデリング及び解釈に対する中周波スパイクアーチファクトの除去の影響を示す。
【
図28A】あるタイプのバンプ挙動を呈するPSDデータセットを示す。
【
図28B】あるタイプのバンプ挙動を呈する追加のPSDデータセットを示す。
【
図29A】タイプIの低周波バンプのモデリング及び分析を示す。
【
図29B】タイプIIの低周波バンプのモデリング及び分析を示す。
【
図30】PSDデータセット内の望ましくないスパイクを検出し、PSDデータセットからスパイクを除去し、特徴に対する粗さパラメータを取得する代表的なプロセスフローを描くフローチャートである。
【
図31】PSDデータセット内のバンプをモデル化し、特徴に対する非バイアス粗さパラメータを取得する別の代表的なプロセスフローを描くフローチャートである。
【
図32】平均値のガウス分布の一例のプロットである。
【
図33】複数のポイントが仕様内にある確率を例示するヒートマップの一例の図である。
【
図35】仕様内特徴の画分を例示するヒートマップの一例の図である。
【
図37】焦点エラー及び露光エラーについての曲線の一例のプロットである。
【
図38】測定不確実性を考慮する確率的プロセスウィンドウを生成する代表的なプロセスフローを描くフローチャートである。
【
図39A】CDについての焦点及び露光量の影響を組み合わせたBossungプロットの一例の図である。
【
図39B】一定のライン幅対焦点及び露光の輪郭を有する寸法データセットを含む輪郭プロットの一例の図である。
【
図39C】焦点(x軸)及び露光量(y軸)の関数として、CD(公称+/-10%)、80度の側壁角度、及び10%のレジスト損失の輪郭を全て同じグラフ上にプロットする一例である。
【
図40A】プロセスウィンドウ内に収まる2つの最大矩形を示すプロセスウィンドウの例示的な図である。
【
図40B】プロセスウィンドウ内に収まる1つの最大矩形及び1つの最大楕円形を示すプロセスウィンドウの例示的な図である。
【
図41】露光寛容度対焦点深度を与えるプロセスウィンドウの例示的な分析である。
【
図42】2つの異なるピッチのライン/空間パターンに対するプロセスウィンドウのオーバーラップの一例である。
【
図43】プロセスウィンドウサイズの幾何学的分析に対する測定エラーの潜在的な影響を描く。
【発明を実施するための形態】
【0011】
パターンの粗さを測定することは、測定システムのノイズが、測定される粗さと区別することが困難であるという事実によって複雑化されている。顕微鏡などの撮像ツールを使用して、測定される物体の詳細な画像を作成し、次いでその画像上の情報を分析して、物体の1つ以上の特徴の粗さを測定及び特徴付けることが通常である。この場合、獲得された画像のノイズは、画像内の特徴の粗さであるように見えることがある。以下に、とりわけ、特徴の粗さのより正確な測定を生成するために、画像のノイズを特徴の実際の粗さから分離するのに有用な技術が説明される。
【0012】
一例として、走査電子顕微鏡(SEM)は、例えば半導体デバイスのようなパターン構造の特徴を研究するのに非常に有用である。残念ながら、これらの構造の特徴の粗さを測定することは、SEM画像に固有のノイズのためにしばしば困難である。SEM画像のフィルタリング(平滑化)は、典型的には、正確なエッジ検出を達成するために必要であるが、このようなフィルタリングは、測定される特徴の粗さを望ましくないように変化させる。画像フィルタリングを使用することなく(又は少なくとも、測定される特徴の粗さを変化させる任意のフィルタリングを使用することなく)、非常にノイズの多いSEM画像内のエッジを確実に検出するエッジ検出アプローチが必要とされる。
【0013】
パターン粗さは多くの分野で主要な問題である。様々な形状のパターンを作成するための全てではないにしても多くの技術は、少なくとも、より大きなスケールではないにしても、近い分子スケールで、それらのパターンのエッジに粗さを生成する。例えば、半導体製造のための高度なリソグラフィ、特に極紫外線(EUV)リソグラフィのためのリソグラフィ、また他のリソグラフィ方法の場合、印刷及びエッチングされたパターンの粗さは、多くの悪影響を引き起こす可能性がある。粗さの減少は、確率的ばらつきの発生源をよりよく理解することを必要とし、確率的ばらつきの発生源をよりよく理解するには、粗い特徴のより良い測定及び特性評価を必要する。従来技術の粗さ測定アプローチは、画像のノイズがウェハ上の粗さを増加させるため、重度のバイアスに悩まされる。本開示は、物理学ベースの逆ライン走査モデルの使用を介した非バイアス粗さ測定を行うための実用的なアプローチを提供する。これにより、幅広いSEM計測条件にわたって粗さパラメータの正確かつ堅牢な測定が可能となる。
【0014】
SEM画像ノイズの問題に対処する開示技術の実施態様を論じる前に、本開示は、まず、パターン構造のリソグラフィ及び粗さの周波数依存性を論じる。
【0015】
1.リソグラフィにおける確率的効果
リソグラフィ及びパターニングの進歩は、集積回路内のトランジスタによって消費されるシリコンの面積を費用対効果的に縮小することによって、ムーアの法則を推進し続けている。改善された解像度の必要性に加えて、これらのリソグラフィの進歩はまた、製造されているより小さい特徴の改善された制御を可能にするべきである。歴史的に、リソグラファーは、これらのばらつきの発生源を最小限に抑えることを試みることによって、かつこれらのばらつきに対して最小限の感度でプロセスを開発することによって、パターニング忠実度に影響を与える「グローバル」ばらつき発生源(例えば、露光量及び焦点ばらつき、ホットプレート温度の不均一性、スキャナ収差)に焦点を当てている。しかしながら、今日の小さな特徴は、分子スケールに近いパターニングの基本的な確率論によって引き起こされる「ローカル」ばらつきにも悩まされている。
【0016】
リソグラフィでは、光はフォトレジストと呼ばれる感光性材料を露光するために使用される。得られる化学反応(露光後の焼成中に発生するものを含む)は、レジストの溶解性を変化させ、パターンが開発され、所望の臨界寸法(CD)を生成することを可能にする。「大きい」体積のレジスト(すなわち、非常に多くのレジスト分子を含む体積)について、その体積にわたって平均化された光エネルギーの量は、パターンを作成するために特定の(平均)量の溶解を生成する特定の量の化学変化を(平均して)生成する。光エネルギー、化学濃度、及び溶解速度の関係は、所与の入力セットに対する出力を予測する決定論的方程式で説明され得る。これらのリソグラフィモデルは非常に有用であり、半導体製造のためのリソグラフィプロセスを理解し、制御するために一般に使用される。
【0017】
リソグラフィプロセスのこの決定論的見解(特定の入力は常に特定の出力を生成する)は、ほぼ真のみである。リソグラフィの「平均場理論」は、決定論的モデルが平均してリソグラフィ結果を正確に予測すると述べている。多数の光子を平均する場合、光エネルギーの単一の数(平均)は光エネルギーを説明するのに十分である。大きい体積のレジストの場合、化学種の平均濃度はその化学状態を十分に説明する。しかしながら、非常に小さな体積の場合、体積中の原子又は分子の数は、固定の「平均」濃度でもランダムになる。この小さい体積内でのランダム性(すなわち、少ない数の光子若しくは分子又はイベントの数)は、一般に「ショットノイズ」と呼ばれ、関心領域が分子スケールに近づくときに発生するリソグラフィの確率的ばらつきの一例である。
【0018】
確率的プロセスは、プロセスの結果がランダムに決定されるプロセスである。原子/分子レベルでは、本質的に全てのプロセスが確率的である。20nm以下のノード(最小特徴サイズが40nm未満)での半導体パターニングの場合、関心の寸法は十分に小さく、確率的効果が重要になり、製造されるパターンの寸法、形状、及び配置に影響を与える全てのばらつきで支配的となることさえある。これらの確率的効果は、状況によっては、より大きな特徴サイズにとっても重要である可能性がある。
【0019】
リソグラフィ(また、エッチング及びパターニングプロセスの他の部分)における確率的ばらつきの最も顕著な顕現は、生成されるパターンが滑らかではなく粗いことである(
図1A)。
図1Aに示すパターン構造では、公称上平行な垂直ラインは明るい垂直領域として現れ、空間はライン間の暗い垂直領域として現れている。特徴のエッジの粗さはラインエッジ粗さ(LER)と呼ばれ、特徴の幅の粗さはライン幅粗さ(LWR)と呼ばれる。特徴の中心線(左右のエッジの中間点)の粗さは、パターン配置粗さ(PPR)と呼ばれる。これらの確率的ばらつきの別の重要な結果は、コンタクトホール特徴(
図1B)について特に顕著である、特徴のサイズ、形状、及び配置のランダムなばらつきである。
【0020】
パターニングにおける確率的効果は、いくつかの方法で半導体デバイスの歩留まり及び性能を低下させる可能性がある。すなわち、a)特徴内の粗さは、金属ライン抵抗及びトランジスタゲートリークなどのデバイスの電気的特性に影響を及ぼす可能性がある。b)確率論によって引き起こされる特徴間サイズばらつき(ローカルCD均一性、LCDUとも呼ばれる)は、CDばらつきの総バジェットに追加され、時には支配的な発生源になる。c)確率論によって引き起こされる特徴間パターン配置ばらつき(ローカルパターン配置エラー、LPPEとも称される)は、PPEの総バジェットに追加され、時には支配的な発生源になる。d)予想したよりも壊滅的なブリッジ又は壊れの発生につながる稀なイベントは、エラー分布がファットテールを有する場合、より可能性が高い。e)計測結果(プロセスの監視及び制御、また光学近接効果補正(OPC)モデルの較正を含む)に基づいた判断が確率的ばらつきに適切に考慮されない場合、これらの結果に基づく判断が乏しくなる可能性がある。これらの理由により、確率的誘発性粗さの適切な測定及び特性評価が肝要である。
【0021】
他の多くの種類のデバイスも、特徴の粗さに敏感である。例えば、光導波路のエッジに沿った粗さは、散乱による光の損失を引き起こす可能性がある。無線周波数微小電気機械システム(MEMS)スイッチにおける特徴の粗さは、他のMEMSデバイスと同様に、性能及び信頼性に影響を及ぼす可能性がある。特徴の粗さは発光ダイオードの出力を低下させる可能性がある。エッジの粗さはまた、マイクロ流体デバイスにおける特徴の機械的特性及び濡れ特性に影響を及ぼす可能性がある。ワイヤーグリッド偏光子における特徴の粗さは、偏光子の効率及び透過率に影響を及ぼす可能性がある。
【0022】
残念ながら、従来技術の粗さ測定(臨界寸法走査電子顕微鏡(CD-SEM)を使用したライン幅粗さ、又はラインエッジ粗さなどの測定)は、測定ツールによって引き起こされる測定ノイズによって汚染される。これにより、バイアス測定がもたらされ、測定ノイズが真の粗さに追加されて、真の粗さを過大評価する見かけの粗さが生成する。更に、これらのバイアスは、使用される特定の測定ツール及びその設定に依存する。これらのバイアスは、測定されるパターンの関数でもある。SEMノイズのより小さい特徴サイズ及びより高いレベルにより、非バイアス粗さ推定を提供する従来技術の試みは、今日の用途の多くで苦慮することが多い。
【0023】
したがって、従来技術の試みの問題を回避し、正確かつ精密な両方の特徴の粗さの非バイアス推定を提供する、非バイアス粗さ測定を行うための新しいアプローチが必要である。更に、良好なパターン粗さ測定方法は、計測ツールの設定への依存を最小限に抑えるべきである。倍率、画素サイズ、平均化のフレーム数(SEMの全電子線量に相当する)、電圧、及び電流などのCD-SEM設定は、測定されるバイアス粗さにかなり大きな変化を引き起こすことがある。理想的には、非バイアス粗さ測定が、これらの設定から大きく独立している。
【0024】
2.ラインエッジ粗さ(LER)、ライン幅粗さ(LWR)、及びパターン配置粗さ(PPR)の周波数依存性
粗い特徴は、エッジ位置(LERの場合)、ライン幅(LWRの場合)、又は特徴中心線(PPRの場合)の標準偏差によって最も一般的に特性評価される。しかしながら、標準偏差を説明するだけでは、粗さを完全に説明するには十分ではない。
図2は、全て同じ標準偏差を有する4つの異なる粗いエッジを示す。エッジに見られる顕著な違いは、標準偏差が粗さを完全に特性評価するには十分ではないことを明らかにしている。代わりに、粗さの周波数分析が必要とされる。
図2に描く4つのランダムな粗さのエッジは、全て粗さの同じ標準偏差を有しているが、相関長さ(ξ)及び粗さ指数(H)の周波数パラメータにおいて異なる。より具体的には、
図2に関して、a)ξ=10の場合、H=0.5、b)ξ=10の場合、H=1.0、c)ξ=100の場合、H=0.5、d)ξ=0.1の場合、H=0.5である。
【0025】
粗いエッジの標準偏差は、理想的な直線に対して垂直なそのばらつきを説明する。
図2では、標準偏差は、エッジの垂直方向のばらつきを説明している。しかしながら、ばらつきは、ラインの長さに沿って(
図2の水平方向に)異なるように広がる可能性がある。このライン長依存性は、自己相関関数又は高さ間相関関数などの相関関数を使用して説明され得る。
【0026】
代替的には、周波数fは、ラインに沿った長さにわたって1として定義され得る(
図3)。周波数に対する粗さの依存性は、周知のパワースペクトル密度(PSD)を使用して特性評価され得る。PSDは、単位周波数当たりのエッジの分散(
図3)であり、エッジ偏差のフーリエ変換の係数の二乗として計算される。PSD曲線の低周波領域は、長い長さのスケールにわたって生じるエッジ偏差を説明するが、高周波領域は、短い長さのスケールにわたるエッジ偏差を説明する。一般的に、PSDは、
図3で使用されるように、両対数スケールでプロットされる。
【0027】
リソグラフィ的に定義された特徴のPSDは、一般に、
図3に示す形状と類似の形状を有する。PSDの低周波領域はフラット(いわゆる「ホワイトノイズ」挙動)であり、特定の周波数を超えると周波数のパワーとして低下する(統計的にはフラクタル挙動)。これら2つの領域の違いは、特徴の長さに沿った相関に関係する。遠く離れたエッジに沿った点は互いに相関せず(統計的には独立)、相関していないノイズはフラットなパワースペクトル密度を有する。しかしながら、短い長さのスケールでは、エッジ偏差が相関し、化学的に増幅されたレジストの酸反応拡散など、粗さの生成における相関メカニズムを反映する。相関しない挙動と相関する挙動との間の遷移は、相関長さと呼ばれる距離で発生する。
【0028】
図4は、典型的なPSD曲線が3つのパラメータで説明され得ることを示す。PSD(0)は、PSDのゼロ周波数値である。このPSDの値は決して直接測定されないが(ゼロ周波数は無限に長いラインに対応する)、PSD(0)はフラットな低周波領域におけるPSDの値と考えられ得る。PSDは1/(2πξ)の周波数近くで低下し始め、式中、ξは、相関長さである。フラクタル領域では、「1/f」ノイズと呼ばれる場合があるものを有し、PSDは1/fのパワーに対応する(両対数プロット上での)傾きを有する。傾きは、2H+1として定義され、式中、Hは、粗さ指数(又はハースト指数)と呼ばれる。Hの典型的な値は0.5~1.0である。例えば、単純な拡散プロセスが相関を引き起こすときに、H=0.5である。PSD曲線のパラメータの各々は、以下でより詳細に論じられるように、リソグラフィで定義された特徴に対して重要な物理的意味を有する。粗さの分散は、PSD曲線の下の面積であり、他の3つのPSDパラメータから導出され得る。分散と他の3つのPSDパラメータとの間の正確な関係は、(相関長さによって定義される)中間周波領域におけるPSD曲線の正確な形状に依存するが、以下の式1の通り、一般的な傾向を示すために近似の関係が使用され得る。
【数1】
【0029】
図2のそれぞれの4つの粗いエッジで観察された差は、特徴のPSD挙動の差として容易に分かる。
図5は、
図2のエッジa)及びエッジc)に対応する2つのPSDを示す。これらの2つのエッジは同じ分散を有するが(PSD曲線の下の同じ面積)、それらはPSD(0)及び相関長さの異なる値を有する(この場合、粗さ指数は一定に保たれる)。エッジa)及びエッジc)の粗さの標準偏差は同じであるが、これらのエッジは異なるPSD挙動を呈する。以下で論じるように、異なるPSD曲線は、有限長さのリソグラフィ特徴に対して異なる粗さ挙動をもたらす。
【0030】
3.粗さの周波数挙動の影響
パターン構造のライン及び空間の粗さは、PSDのフラット領域が明らかになるのに十分な長さの非常に長いライン及び空間を測定することによって特性評価される。十分な長い特徴の場合、測定されたLWR(すなわち、ラインに沿って測定されたライン幅の標準偏差σ)は、無限に長い特徴のLWR、σLWR(∞)と考えることができる。しかしながら、半導体デバイスなどのパターン構造は、様々な長さLを有する特徴から作製される。これらのより短い特徴の場合、確率論は、特徴内粗さσLWR(L)及び特徴の平均ライン幅の標準偏差によって説明される特徴間ばらつきσCDU(L)を引き起こす。この特徴間ばらつきは、周知の「グローバル」なエラー発生源(スキャナ収差、マスク照明の不均一性、ホットプレート温度ばらつきなど)によって引き起こされないCD(臨界寸法)ばらつきを表すので、ローカル臨界寸法均一性LCDUと呼ばれる。
【0031】
長さLのラインの場合、特徴内ばらつき及び特徴間ばらつきは、以下の式2で与えられる粗さの保存原理によって(同じ公称CD及びピッチの)無限に長いラインのLWRに関連することができる。
【数2】
【0032】
粗さの保存原理は、非常に長いラインの分散は、より短いラインに対して特徴内ばらつき及び特徴間ばらつきにパーティショニングされると述べている。このパーティショニングがどのように発生するかは、相関長さ、より具体的には、L/ξによって決定される。PSDの形状の基本モデルを例として使用して、以下のことが分かる。
【数3】
【0033】
したがって、式1~式3は、長いラインに対するPSDの測定と、パラメータPSD(0)、ξ、及びHによるその説明が、任意の長さLのラインに対する確率的影響を予測することを可能にすることを示している。LCDUは、粗さ指数に依存せず、Hを、PSD(0)及びξよりも重要ではないようにしていることに留意する。このため、σLWR(∞)、PSD(0)、及びξというパラメータの代替的なトリプレットを使用して、粗さの周波数依存性を説明することが有用である。これらの同じ関係はまた、LER及びPPRに適用されることに留意する。
【0034】
また、式3を調べると、相関長さは、長さLのラインが「長く」作用するか、「短く」作用するかを決定する長さスケールであることに留意する。長いラインの場合、L>>ξであり、ローカルCDUは以下の式4の通りに挙動する。
【数4】
【0035】
この長いラインの結果は、PSD(0)に対して有用な解釈を提供する。これは、所与のラインに対するLCDUの二乗×そのラインの長さである。PSD(0)を4の係数で減少させると、LCDUを2の係数で減少させ、他のPSDパラメータは、(L>>ξである限り)影響を与えない。典型的には、レジストは、それらのリソグラフィ生成の最小ハーフピッチの4分の1~2分の1程度の相関長さをもたらしている。したがって、特徴がテクノロジーノードの最小ハーフピッチの約5倍よりも長いときに、一般的にはこの長いラインの長さのレジームにある。短いラインの長さの場合、相関長さがまた重要になり始める。
【0036】
式1~式3は、ラインの長さの関数として、特徴内ばらつき及び特徴間ばらつきのトレードオフを示す。
図6は、この関係の一例を示している。非常に長いラインの場合、LCDUは小さく、特徴内粗さはその最大値に近づく。非常に短いラインの場合、LCDUが支配的である。しかしながら、粗さの保存の二次的性質のために、σ
LWR(L)はLが増加するにつれて非常に速く上昇するが、LCDUはLが増加するにつれて非常にゆっくりと低下する。したがって、特徴の粗さ及びLCDUの両方が有意である、ラインの長さの広い範囲がある。
【0037】
粗さの保存原理はまたPPRに適用されるため、短い特徴はローカルCDUの問題からだけではなく、ローカルパターン配置エラー(LPPE)からも悩まされる。特徴の相関のない左右のエッジの場合、LWRに対するPSD(0)は、典型的には、LERのPSD(0)の2倍である。同様に、LERのPSD(0)は、典型的にはPPRのPSD(0)の2倍である。したがって、一般に、LPPEはLCDUの約半分である。左右の特徴エッジが有意に相関しているときに、これらの単純な関係はもはや成り立たなくなる。
【0038】
4.走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたパターン構造の粗さの測定
小さな特徴に対する特徴の粗さを測定する一般的な方法は、トップダウン臨界寸法走査電子顕微鏡(CD-SEM)である。典型的な光学顕微鏡は、1000倍までの倍率、及び数百ナノメートルまでの解像度を有する。走査電子顕微鏡は、電子を使用して非常に小さなスポット(幅1nm近く)を作成し、このスポットは、20,000倍を超える倍率を用いて高解像度画像を作成するために使用され得る。CD-SEMは、半導体ウェハに見られる幅広い特徴の寸法を測定するために最適化されたSEMである。これらは、粗い特徴の平均臨界寸法を非常に精密に測定することができるが、LER、LWR、PPR、またそれらのPSDの測定に非常に有用であることも証明されている。しかしながら、SEM画像には、平均CDの測定にほとんど影響を与えない一方で、測定された粗さ及び粗さPSDに大きな影響を与える可能性があるエラーがある。このため、PSD測定に必要な計測アプローチは、平均CD測定に一般的に使用されるアプローチとはかなり異なることがある。
【0039】
図7は、特徴の粗さを決定する開示されたエッジ検出システム700の一実施態様のブロック図を示す。パターン構造800及び電子撮像光学系(710、715、720、及び725)は、真空ポンプ702によって真空される真空チャンバ703内に位置する。電子は、電子ビーム707を形成する電子銃705などの発生源から生成される。一般的な電子ビーム発生源は、加熱されたタングステンフィラメント、熱放出銃に形成された六ホウ化ランタン(LaB6)結晶、又は電界放出銃を作製するために形成された鋭い先端の金属ワイヤを含む。放出された電子は、電磁コンデンサレンズ710、715、及び720を使用して加速され、焦点が合わせられる。パターン構造800に衝突する電子のエネルギーは、一般に、SEMにおいて200eV~40keVの範囲であるが、より典型的には、CD-SEMの場合、300eV~800eVである。最終コンデンサレンズ720は、電子ビーム707をパターン構造800に向かって焦点スポットとして偏向させる電場を提供する走査コイル725を用いる。走査コイル725は、パターン構造800上の特定の視野を露光するために、ラスター走査方式で最終レンズアパーチャ735を通ってパターン構造800にわたって焦点が合わせられたスポットを走査する。SEM701は、パターン構造800から後方に散乱する後方散乱電子を検出する後方散乱電子検出器740を含む。SEM701はまた、
図7に示すように、二次電子検出器745を含む。パターン構造800を撮像する前に、ユーザは、SEM701内でパターン構造800を支持し位置決めするパターン構造レシーバ732上にパターン構造800を配置する。SEM701は、撮像中のパターン構造800のラスター走査を制御するコントローラ(図示せず)を含む。
【0040】
ここで、
図8A及び
図8Bを参照すると、パターン構造サンプル800に衝突する電子ビーム707の電子は、電子のエネルギー及びサンプルの材料特性に依存するいくつかのプロセスを受ける。電子はサンプル材料の原子を散乱し、エネルギーを放出し、方向を変化させ、しばしばサンプル原子をイオン化することによって二次電子のカスケードを生成する。これらの二次電子805のいくつかは、パターン構造800から脱出してもよく、他のものは、パターン構造内に残ってもよい。パターン構造800は、半導体ウェハなどの基板810を含む。特徴815は、
図8Aに示されるように、基板810の上に配設される。特徴815は、基板810上の金属ライン、半導体ライン、フォトレジストライン、又は他の構造であってもよい。特徴815は、ピラー又はホールなどの他の形状、又はより複雑な形状を有してもよい。特徴815は、パターン構造上の他の特徴に関して繰り返し又は孤立してもよい。特徴815を取り囲む空間は、空であっても(真空又は空気)であってもよいし、異なる材料で充填されてもよい。パターン構造800は、液晶若しくは他のフラットパネルディスプレイ、又は他のパターン半導体若しくは非半導体デバイスであってもよい。特徴815は、エッジ815-1及びエッジ815-2を含む。電子ビーム707が特徴815と相互作用する特徴815の領域は、例えば、
図8Aに描くような涙珠状の形状を呈する相互作用体積820である。
【0041】
時折、電子は原子核から後方に跳ね返り、サンプルから出る(後方散乱電子と呼ばれる)。低エネルギー二次電子805のいくつかはまた、サンプル800から脱出する可能性がある(頻繁に特徴のエッジを通して、
図8Bを参照のこと)。SEMが画像を形成する方法は、各ビーム位置に対してサンプルから脱出する二次電子及び/又は後方散乱電子の数を検出することによる。
【0042】
電子ビームは、1つのライン走査中にパターン構造800にわたって走査されるので、特定の時間の間、特定のスポットに「滞留」する。この滞留時間中、後方散乱電子検出器740又は二次電子検出器745のいずれか、又はその両方によって検出された電子の数が記録される。次いで、スポットが次の「画素」ロケーションに移動され、プロセスが繰り返される。その結果、各画素に対してデジタルに記録された検出された電子カウントを有する画素の二次元配列(サンプルの表面に沿ったロケーション)が得られる。通常、カウントは正規化され、0~255の8ビットのグレースケール値として表現される。これにより、検出された電子カウントを、
図1に示すそれらの画像のようなグレースケールの「画像」としてプロットすることが可能になる。SEMからの画像は、眼を通して知覚される光学画像を視聴者に想起させるが、これらのグレースケール画像は実際には収集されたデータの便利なプロットであることに留意することが重要である。
【0043】
CD-SEMは、SEM画像を使用して特徴の幅を測定する。特徴幅を測定する最初のステップは、特徴のエッジを検出することである。特徴のエッジの近くの画素の場合、より多くの数の二次電子が特徴エッジを通って脱出し、「エッジブルーム」と呼ばれる明るい画素を生成する(
図8B及び
図9を参照)。特徴エッジを検出することを可能にするのは、この明るいエッジブルームである。例えば、
図9の上部分のグレースケール画像表現では、そのようなエッジブルームが特徴915のエッジ905及び910において観察される。ライン走査は、本質的に、
図9の下半分に示されるグラフのように、特徴上の水平画素位置の関数としてグレースケール値を提供する、2D SEM画像の水平カットである。
【0044】
サンプル全体の画素の単一の水平行からのデータは、「ライン走査」と呼ばれる。本明細書では、ライン走査という用語は、走査を使用することなく画像が形成される場合を含むのに十分なほど広義に使用されていることに留意する。特徴のエッジの位置は、
図9の上部分に示されるように、単一のライン走査から、又は画像全体を表すライン走査の集合から検出され得る。これらの同じエッジは、
図9の下部分のグレースケール値対画素位置グラフのピーク905’及び910’として現れる。特定の特徴のエッジが決定されると、特定の特徴の幅は、これらの2つのエッジの位置間の差である。
【0045】
5.ライン走査モデル
画像は、構造の画像を獲得するために使用される顕微鏡又は他の撮像ツールに基づいて物理プロセスを通じて作成される。多くの場合、これらの画像はデータの二次元配列であり、画像は構造から導出されたデータセットと考えることができる。単一の画像の一次元カットがライン走査と呼ばれる。撮像ツールのモデルは、撮像される所与の構造の画像を予測することができる。例えば、走査型電子顕微鏡を説明するモデルは、所与の構造を撮像するときにSEMによって取得される画像を予測することができる。
【0046】
CD-SEMは、測定されたライン走査又は一連の測定されたライン走査を単一の次元数、測定されたCDに変換する。ライン走査が測定される特徴の実際の寸法とどのように関連するかをよりよく理解するためには、パターン構造に対するSEM測定ツールの系統的応答が、得られるライン走査の形状にどのように影響するかを理解することが重要である。SEMライン走査の厳密な3Dモンテカルロシミュレーションは、この目的のために非常に価値がある可能性があるが、多くの場合、日常的な使用には計算コストが高すぎる。したがって、1つのアプローチは、ライン走査を迅速に予測するタスクにより計算上適切な簡略化された分析ライン走査モデル(ALM)を開発することである。ALMは電子散乱及び二次電子生成の物理学を用いており、モデル内の各用語は物理的重要性を有する。この分析ライン走査表現は、厳密なモンテカルロシミュレーションにフィッティングされ、その使用を検証及び較正することができる。
【0047】
ALMの一般的な用途は、典型的なフォワードモデリングの問題であった。すなわち、(特徴及び基板の)材料特性及び特徴の幾何学的説明(幅、ピッチ、側壁の角度、上部角丸み、フッティングなど)を所与として、ALMは結果として生じるライン走査を予測する。ALMの数学的な詳細は、出版物Chris A.Mack and Benjamin D.Bunday,“Analytical Linescan Model for SEM Metrology”,Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XXIX,Proc.,SPIE Vol.9424,94240F(2015)、及びChris A.Mack and Benjamin D.Bunday,“Improvements to the Analytical Linescan Model for SEM Metrology”,Metrology,Inspection,and Process Control for Microlithography XXX,Proc.,SPIE Vol.9778,97780A(2016)に見られ、その両方の出版物の開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。類似の入力及び出力を有する他のモデルも使用され得る。
【0048】
分析ライン走査モデル(ALM)を以下に簡単にレビューする。数学的モデリングは、電子ビームと所与の物質の平坦なサンプルとの相互作用が、前方散乱幅及び前方散乱エネルギーの画分、並びに後方散乱幅及びそれらの後方散乱電子によって堆積されるエネルギーの画分を有する、二重ガウス分散の形態を取るエネルギー堆積プロファイルを生成すると仮定することから始まる。このモデルはまた、材料内で生成される二次電子の数は、単位体積当たりに堆積されるエネルギーに正比例し、ウェハから脱出する(そのため、SEMによって検出される)二次電子の数は、ウェハの最上部近くの二次電子の数に正比例すると仮定する。
【0049】
検出器に到達する二次電子は、入射ビームの位置からある程度離れた距離rから出現する。上記の仮定から、検出される二次電子の数は、以下の式5で与えられる関数となる。
【数5】
式中、σ
f及びσ
bはそれぞれ前方散乱及び後方散乱の範囲であり、a及びbはそれぞれ前方散乱及び後方散乱の量である。
【0050】
SEMは、ビームが特徴の上部にあるときと比較して、ビームが特徴間の空間にあるときに脱出する二次電子の数が異なるため、地形を検出する。
図10は、二次電子が空間(特に小さい場合)からの脱出に問題があり、空間が比較的暗く現れることを示している。電子ビームがライン間の空間内のスポットに焦点を合わせられるときに、散乱電子は、脱出する二次電子のいくつかを吸収する特徴815と相互作用する。検出された二次電子信号は、ビームが空間内の特徴エッジに近づくにつれて減少する。
【0051】
ステップ(すなわち、特徴815)による吸収は、空間領域におけるライン走査の形状の予測を生成するようにモデル化され得る。大きな特徴がx=0において左エッジ815-1を有し、特徴815が右(正のx)にある場合、位置(SE(x))の関数として検出される二次電子信号は、以下の式6によって与えられる。
【数6】
式中、α
fは、ステップによって吸収される前方散乱二次電子の画分であり、α
bは、ステップによって吸収される後方散乱二次電子の画分である。
【0052】
しかしながら、ビームが特徴815の上部にあるときに、散乱電子と特徴との相互作用は、以下の式7で説明されるように、非常に異なる。
図8に例示するように、ビームがエッジからより遠く離れているときに比べてより近いときに2つの現象が発生する。第一に、前方及び後方散乱電子の両方からの二次電子は、エッジ815-1からより容易に脱出することができる。これは、上ですでに論じたエッジブルームを引き起こす。この効果を説明するために、前方散乱二次電子の増強された脱出を説明するために、正の項
が追加され、σ
eがステップ材料の前方散乱の範囲と非常に類似している。更に、相互作用体積自体は、ビームがエッジ815-1の近くにあるときに減少するため、生成される二次電子が少なくなる。したがって、項
であり、σ
v<σ
eが減算され、大きな特徴815の上部のライン走査式である以下の式7を与える:
【数7】
【0053】
図11は、このモデルの結果の一例を示す。より具体的には、
図11は、シリコンウェハなどの基板上の左向きレジストステップ815(x=0で左エッジ815-1を有する大きな特徴)の予測ライン走査を示す。較正されたモデル1105は、厳密なモンテカルロシミュレーション結果1110に重ね合わされる。較正されたモデル1105は、モンテカルロシミュレーション結果1110と非常に密接に一致するため、2つの曲線は、ほぼ1本のラインとして一緒に現れる。
【0054】
上記の議論は、孤立した左向きのエッジ815-1をモデリングすることを伴う。右向きのエッジを含むようにモデルを適応させることは、エッジを並進及び反転させ、結果として生じる二次のもの(すなわち、二次電子)を加えることを伴う。2つのエッジが相互作用するのに十分近い場合、いくつかの複雑さが生じ、結果として追加の項が得られる。追加的に、特徴エッジの上部及び下部の非垂直側壁及び丸みを帯びた角の影響がモデルに含まれてもよい(
図12)。
【0055】
図12は、シリコンウェハ上のレジストライン及び空間のパターンの代表的な予測ライン走査を示す。較正されたモデル1205は、厳密なモンテカルロシミュレーション結果1210に重ね合わされる。再び、較正されたモデル1205は、モンテカルロシミュレーション結果1110と非常に密接に一致するため、2つの曲線は、ほぼ1本のラインとして一緒に現れる。最終モデル(ALM)は、ウェハ及び特徴の材料の特性、並びにビーム電圧に依存する15のパラメータが含む。モデルを検証し、これらのパラメータを較正するために、厳格な第一原理モンテカルロシミュレーションを使用して、異なる材料及び特徴の幾何学的形状に対するライン走査を生成することができる。その後、ALMがモンテカルロの結果にフィッティングされ、15の未知のパラメータの最良のフィット値を生成することができる。
【0056】
6.逆ライン走査モデル
上に論じた分析ライン走査モデル(ALM)などのライン走査又は画像モデルは、特定のパターン構造(ウェハ上の特徴など)に対する画像又は画像ライン走査の形状を予測する。ALMは、モデルが特定の特徴の幾何学的形状情報を入力として受け、特定の特徴のそれぞれのSEMライン走査の予測された形状を出力として提供するフォワードモデリング問題を解決する。
【0057】
ALMとは対照的に、開示されるエッジ検出システム700は、ウェハ上の特定の特徴を説明するSEM701からの入力「測定されたライン走査情報」として受信する逆モデルを含む。特定の特徴を説明する測定されたライン走査情報に応答して、エッジ検出システム700は、その逆モデルを用いて、測定されたライン走査を生成する特徴の幾何学的形状を説明する出力「特徴幾何学的形状情報」として生成する。有利には、SEM701からの測定されたライン走査情報が有意の量の画像ノイズを含むときでも、エッジ検出システム700が有効であることが見出された。一実施態様では、出力される特徴幾何学的形状情報は、少なくとも特徴幅を含む。別の実施態様では、出力される特徴情報は、特徴幅及び/又は側壁角度、特徴厚さ、上部角丸み、若しくは底部フッティングなどの、特定の特徴の幾何学的形状情報に対する他の幾何学的記述子を含む。半導体ウェハ上に配設された特徴は、開示された技術が適用される特定のタイプのパターン構造の一例であることに留意する。
【0058】
撮像システムの多くのモデルと同様に、ALMは本質的に非線形である。ALMの非線形の性質に対処するために、エッジ検出システム700は、ALM又は類似のフォワードモデルを数値的に反転させ、得られる逆ライン走査モデルを測定されたライン走査にフィッティングさせて、特徴エッジを検出する(例えば、ウェハ上の特徴の幾何学的形状を推定する)。開示されるエッジ検出システム装置及びエッジ検出プロセスは、特徴の粗さを検出及び測定する能力を含む。開示される装置及び方法論はまた、特徴幅(CD)及びエッジ位置又は配置の精密な測定など、1D又は2D特徴の一般的なCD計測における他の用途に適用されてもよい。
【0059】
最初に、ALM(また、類似のモデル)には、材料依存パラメータ及び幾何学的パラメータの2つのタイプの入力パラメータを有することに留意する。材料依存パラメータは、前方散乱距離、及び後方散乱距離などのパラメータを含み、幾何学的パラメータは、特徴幅、及びピッチなどのパラメータを含む。一実施態様では、繰り返しのエッジ検出用途の場合、材料パラメータは固定であり、幾何学的パラメータのみがばらつく。最も単純なケース(すなわち、単純なエッジ検出の場合)では、特徴のエッジ位置のみが変化していると仮定され、側壁角度、角丸みなどが一定であると仮定されるようにする。したがって、エッジ検出システム700におけるエッジ検出のためのライン走査モデルの使用は、2つのステップを伴う。すなわち、1)画像全体にわたって一定であると仮定されるパラメータを較正し、次いで、2)各測定値のライン走査モデルに対する測定されたライン走査の最良のフィット提供する特徴エッジ位置を見つける。
【0060】
一実施態様では、第1のステップでは、ライン走査モデルを厳密なモンテカルロシミュレーションと比較することによって較正が達成される。このステップの目標は、必要な範囲の用途にわたる材料パラメータを見つけ、フィッティングが必要な範囲の特徴の幾何学的形状に適切であることを確実にすることである。終了するときに、この較正されたライン走査モデルは、逆ライン走査モデルの生成の開始点として機能することができる。逆ライン走査モデル(ILM)は、測定される特定のSEM画像に較正されるべきである。画像グレースケール値は二次電子信号に比例するだけであるため、少なくともグレースケール値へのマッピングが必要とされる。実際の用途では、実験測定における材料特性はモンテカルロシミュレーションで想定されているものと同一ではないため、これらのパラメータのいくらかの較正も必要とされる。
【0061】
7.逆ライン走査モデルの較正
エッジ検出のためにILMを使用する前に、ILMを最初に較正する。モデルのいくつかのパラメータ(材料依存パラメータなど)は、画像全体に対して一定であると仮定される。しかしながら、エッジの位置、特徴の幅、及びピッチなどの幾何学的パラメータは、全てのライン走査に対してばらつくと仮定される。ILM較正の目標は、特徴エッジの正確な位置に関係なく、画像全体に対して一定であるパラメータを決定することである。画像ノイズの存在下でこれらのパラメータを正確に決定することが、ILM較正の更なる目標である。これらの目標は、測定される特徴の対称性軸に沿って平均化することによって達成され、したがって、画像ノイズ及び実際の特徴の粗さの両方を平均化する。
【0062】
対称軸(長いライン、又は空間特徴に平行な方向など)に沿ってライン走査を平均化することによって、実際のエッジ位置に関する情報は失われるが、ライン走査モデルの材料パラメータに関する情報は残る。更に、画像のノイズは、主にこの方法で平均化される。平均ライン走査にILMを較正することは、この画像に固有の材料パラメータのセット(又は画像全体で一定と仮定される任意のパラメータ)を生成する。
【0063】
測定される多くの特徴は、ILM較正に適切な対称軸を呈する。例えば、垂直エッジは、垂直対称軸を有する。画像からの画素の垂直列の全ての画素を平均化すると、特徴のエッジに垂直な方向に、水平情報のみを残して、全ての垂直のばらつきが平均化される。この平均化の結果は、平均ライン走査と呼ばれる一次元ライン走査である。同様に、公称円形コンタクトホール又はピラーは、理想的には半径方向に対称である。特徴の中心周辺の極性角度を平均化すると、画像からノイズ及び粗さを除去する平均ライン走査が生成される。楕円ホール形状は、楕円の長軸と短軸の比に比例して、画素サイズを一方向に圧縮又は拡大することによっても平均化され得る。他の対称軸はまた、他の特徴に存在する。
【0064】
1つの測定された画像(例えば、1つのSEM画像)は、画像内に1つ以上の特徴を含有してもよい。例えば、
図1Aは、複数の垂直ライン特徴及び複数の垂直空間特徴を示す。
図1Bは、複数のコンタクトホールを示す。そのようなケースの場合、各特徴は、その特徴の平均ライン走査を形成するために、対称性軸に沿って別個に平均化され得る。
図1Aの例の場合、SEM画像を垂直ストライプにパーティショニングすることができ、各ストライプは1つのライン特徴のみを含有し、ストライプは、1つの空間のほぼ中心から次の空間のほぼ中心まで水平に延びる。
図1Bの例の場合、画像を別個の矩形領域にパーティショニングすることができ、各々は、矩形領域の中心とほぼ一致するコンタクトホールの中心を有するちょうど1つのコンタクトホールを含有する。次いで、そのコンタクトホールの平均化されたライン走査は、画像のその矩形領域から決定される。代替的に、画像内の各特徴からの平均化されたライン走査の各々は、それ自体を一緒に平均化して、画像全体に適用可能な単一の平均化されたライン走査を形成することができる。
【0065】
繰り返しエッジ検出用途(単一のSEM画像上の全てのエッジの検出など)の場合、材料パラメータが固定され、幾何学的パラメータのみがばらつく。最も単純なケース(すなわち、単純なエッジ検出の場合)では、特徴のエッジ位置のみが変化していると仮定し、特徴厚さ、側壁角度、角丸みなどが一定であると仮定されるようにすることができる。したがって、エッジ検出のためのILMの使用は、平均ライン走査を使用して一定であると仮定されるパラメータ(すなわち、材料及び固定の幾何学的特性)について1回較正し、次いで、各ライン走査のライン走査モデルへの測定されたライン走査の最良のフィッティングを提供する特徴エッジ位置を見つけることの2つのステップを伴う。任意選択で、較正は、先に説明したように、ライン走査モデルを厳密なモンテカルロシミュレーションと比較することによって最初に達成される。この初期ステップの目標は、必要な範囲の用途にわたる材料パラメータを見つけ、モデルが必要な範囲の特徴の幾何学的形状に適切であることを確実にすることである。終了するときに、この部分的に較正されたライン走査モデルは、依然として平均ライン走査を使用して測定される特定のSEM画像に完全に較正されなければならない。
【0066】
ILMが所与のSEM画像又は画像セットに較正されると、これは、次いで、エッジを検出するために使用される。ALMモデルなどのライン走査モデルの非線形性のため、例えば、非線形最小二乗回帰を使用して、モデルをデータに最良にフィッティングする左右のエッジ位置の値を見つけるなど、数値反転が必要とされる。より単純なライン走査モデルの場合、線形最小二乗フィッティングが可能であってもよい。「最良のフィッティング」の他の手段も当業者に知られている。エッジ検出器としてのILMは、フィルタを使用することなく、高ノイズ環境におけるエッジの検出を可能にする。
図13A及び
図13Bは、任意のフィルタリング又は画像平滑化を使用することなく、非常にノイズの多い画像のエッジの信頼性の高い検出を示す。より具体的には、
図13Aは、ILMによるエッジ検出の前に18nmのライン及び空間を呈するパターン構造の元のSEM画像である。
図13Bは、ILMを使用したエッジ検出後の画像である。
【0067】
ガウスフィルタは、画像のノイズを低減するために設計された一般的な画像平滑化フィルタである。この目的のために、ボックスフィルタ及び中央値フィルタなどの他のフィルタも一般的に使用される。粗さ測定に対する画像フィルタリングの影響を例示するために、以下の表1は、ガウスフィルタのx幅及びy幅(画素単位)の関数としての測定された3σライン幅粗さ(LWR)を示す。各ケースでは、ILMエッジ検出法が使用され、得られるLWRの差は、画像フィルタパラメータの関数に過ぎないようにした。範囲はほぼ2倍であり、フィルタパラメータの任意の選択に基づいて多くの異なる粗さ測定値が取得され得ることを示す。あらゆるケースで、ILMエッジ検出が使用された。従来の閾値エッジ検出方法が使用される場合、得られる3σの粗さ値の範囲ははるかに大きい(表2)。他のフィルタタイプ(例えば、ボックス又は中央値)が使用される場合、類似の結果が取得される。
表1
ILMエッジ検出を使用した、ガウスフィルタのx幅及びy幅(画素単位)の関数としての未加工(バイアス)3σ LWR(nm)。
表2
従来の閾値エッジ検出を使用した、ガウスフィルタのx幅及びy幅(画素単位)の関数としての未加工(バイアス)3σ LWR(nm)。
【0068】
画像フィルタパラメータの任意の選択は、パターン構造の粗さの測定に大きな影響を及ぼすが、閾値の影響は、使用される特定のエッジ検出方法に依存する。画像フィルタリング後の単純な閾値エッジ検出のケースの場合、測定された3σ粗さを最小限に抑える1つの閾値があり、他の値は粗さを非常に劇的に変化させる(
図14を参照のこと)。ILMのケースの場合、閾値の選択は、測定されたLWRにほとんど影響を及ぼさない(
図14では、閾値が0.25から0.75に変化するにつれて、LWRは5.00nmから4.95nmまでばらつく)。したがって、エッジを検出する従来技術の方法の場合、閾値の任意の選択は、測定された粗さに大きなばらつきを引き起こす可能性がある。ILMの場合、粗さの測定に影響を与える任意の選択は本質的にない。
【0069】
開示されたILMシステムは、高レベルのノイズの存在下でエッジの正確な検出を達成するが、ノイズは依然として測定された粗さに追加される。所与のエッジ傾きのライン走査の場合、ラインエッジ近くのグレースケール値の不確実性は、エッジ位置の不確実性に直接変換される。しかしながら、大きな違いは、フィルタリングせずにケースのノイズの影響を測定できることである。フィルタリングされていない画像のノイズフロアは、PSD(パワースペクトル密度)から減算され、PSD(したがって粗さ)の非バイアス推定を生成することができる。フィルタリングされた画像のケースの場合、ノイズフロアはほとんど消去され、検出、測定、又は除去することができないようにする。
【0070】
図15A及び
図15Bは、左右のエッジが別個に組み合わされた多くの粗い特徴からのLERパワースペクトル密度を示す。より具体的には、
図15Aは、開示されたILM技術を使用したエッジ検出後の未加工PSDを示し、
図15Bは、ノイズ減算後のPSDを示す。
【0071】
図15Aに示す結果を考慮し、ここで、パターン構造上の特徴の左右のエッジのラインエッジ粗さ(LER)が比較される。未加工PSDは、2つのエッジが異なって挙動をすることを示す。しかしながら、これらの差は、右側のライン走査傾きを左側のライン走査傾きよりも低くする走査方向の非対称性(帯電など)によって引き起こされる、SEMのアーチファクトである。実際、このサンプルの場合のウェハの右エッジと左エッジとの間に差はない。各エッジのノイズフロアを別個に測定することにより、ノイズを減算すると、真のPSDの非バイアス推定である共通の左/右LER(
図15B)が生成される。
【0072】
ノイズが減算されると、PSDの信頼性の高い分析は、ゼロ周波数PSD(0)、相関長さξ、及び粗さ指数Hなどの重要な粗さパラメータの信頼性の高い推定につながることができ、非バイアス3σ粗さも取得され得る。ノイズを除去することなく、経験的PSDからこれらのパラメータを抽出することは、問題であり、系統的エラーを生じやすい。
【0073】
8.PSDの非バイアス測定
正確な粗さ測定の最大の障害は、CD-SEM画像のノイズである。他のノイズ発生源の中でも、SEM画像は、所与の画素に対して検出される電子の数がランダムにばらつくショットノイズに悩まされる。予期されるポアソン分布の場合、画像の所与の画素に対して検出される電子の数の分散は、その画素に対して検出される電子の予想される数に等しい。検出された電子の数は、その画素によって表されるサンプルロケーションに衝突する電子の数に比例するため、サンプルが受ける電子線量を増加させることによって相対的なノイズ量を低減することができる。いくつかのタイプのサンプルの場合、電子線量は、わずかな結果で増加する可能性がある。しかしながら、他のタイプのサンプル(フォトレジストなど)の場合、高い電子線量はサンプル損傷(例えば、レジストラインスリミング)につながる。生体試料などの他のタイプのサンプルも、電子損傷を受ける可能性がある。したがって、サンプル損傷を防止するために、電子線量は、可能な限り低く保たれ、可能な最小線量は、得られる画像のノイズによって制限される。
【0074】
図16は、異なる電子線量で撮影された、公称上同じリソグラフィ特徴の3つのSEM画像の部分を示す。より具体的には、
図16は、(それぞれ左から右へ)2、8、及び32フレームの統合を有する公称上同一のレジスト特徴のSEM画像の部分を示す。統合のフレームを2倍にすると、1画素当たりの電子線量が2倍になる。線量が各ケースで4倍に増加するため、ノイズは2分の1に減少する。
【0075】
SEM画像ノイズは、ウェハ上のパターンの実際の粗さに追加されて、より高いバイアスで測定された粗さを生成する。典型的には、式8Aによって与えられるように、バイアス粗さを取得する。
【数8A】
式中、σ
biasedは、SEM画像から直接測定された粗さであり、σ
unbiasedは、非バイアス粗さ(すなわち、ウェハ特徴の真の粗さ)であり、σ
noiseは、SEM撮像及びエッジ検出におけるノイズによる検出されたエッジ位置(又はライン幅)のランダムエラーである。式8Aは、ノイズが、測定される特徴の粗さと統計的に独立していると仮定する。そうでない場合、以下で更に説明されるように、より複雑なノイズモデルが使用され得る。特徴の粗さの非バイアス推定が望まれるので、測定された粗さは、ノイズ項の推定値を減算することによって補正され得る。
【0076】
SEMの画素ノイズは、特徴の予想されるライン走査の形状に依存するエッジ検出ノイズを作成する。例えば、
図17Aは、画素ノイズが無視できるように、極めて多数の電子があるときのウェハ上のライン特徴に対する典型的なライン走査(グレースケール値対水平位置、g(x))を示す。結果は、「予想される」ライン走査、すなわち、統計的観点からのライン走査信号の予想値である。閾値グレースケールレベルを定義することによって、エッジ位置が決定され得る。しかしながら、グレースケール値のノイズは、検出されたエッジ位置にノイズをもたらす。所与のグレースケールのノイズσ
grayの場合、エッジ位置の不確実性σ
noiseは、エッジでのライン走査の傾きdg/dxに依存する。小さいレベルのノイズの場合、
【数8B】
である。
【0077】
したがって、エッジ検出ノイズのレベルは、画素グレースケールノイズ及び特徴エッジでのライン走査の傾きの関数である。
【0078】
この式8Bは、小さいレベルのノイズ及び無限に小さい画素サイズに対してのみ厳密には有効である。より多いノイズ量及び非ゼロ画素サイズの影響を探るために、SEM画像のシミュレーションが用いられた。合成SEM画像を作成するために、完全な平滑ライン及び空間(25nm幅、50nmピッチ)が分析ライン走査モデルへの入力として使用された。次いで、各画素の得られたグレースケール値(0~255の範囲)が、所与の標準偏差(σ
gray)を有する正規分布の平均として扱われ、この正規分布から得られた各画素にランダムなグレースケール数が割り当てられた。次いで、これらのSEM画像が実験的SEM画像として扱われ、逆ライン走査モデルを使用して測定されて、各特徴のエッジ位置を検出した。これらの画像から測定された1シグマLERは、グレースケール画素ノイズによる検出されたエッジ位置の不確実性である。
図17Bは、グレースケールノイズの存在下でのこれらの完全に平滑な特徴のエッジ検出位置における1シグマ不確実性を示す。このグラフでは、3つの異なるX画素サイズに対して、エッジ検出ノイズが、シミュレートされた合成SEM画像(各々幅25nm及びピッチ50nmの20の高密度ライン/空間特徴を有する100の画像の平均)のグレースケールノイズの関数としてプロットされる。エッジ検出は逆ライン走査モデルを使用し、得られる特徴のラインエッジ粗さはエッジ検出ノイズと考えられた。この結果、いくらか非線形であり、より高いレベルの画素ノイズは、より大きなエッジ検出ノイズを生成する。更に、より小さいX画素サイズは、より低いレベルのエッジ検出ノイズを生成する。実際、エッジ検出分散
は、低レベルのグレースケールノイズの場合、X画素サイズに正比例する。
【0079】
画素ノイズが、エッジ検出ノイズの唯一の発生源ではない。動作中、ビームステアリングエレクトロニクスを使用して、電子ビームが左から右に走査される。ビームステアリングのエラーは、ビームを誤った位置に配置する可能性があり、エッジエラーが生成される。電子露光中のサンプルの帯電は、ビームを誤った位置に偏向させる。帯電効果の一部は系統的であるが、検出されたエッジ位置にランダムなばらつきとして現れるランダム又は擬似ランダムなコンポーネントもある。
【0080】
従来技術では、SEMエッジ位置ノイズを推定し、それを差し引くためのいくつかのアプローチが提案されているが、これらのアプローチは、今日の小さい特徴サイズ及び高レベルのSEM画像ノイズに対して成功していないことが証明されている。問題は、高い画像ノイズの存在下でのエッジ検出の堅牢性の欠如である。より具体的には、ノイズレベルが高いときに、エッジ検出アルゴリズムは、多くの場合、エッジが見つからない。この問題に対する解決策は、典型的には、画像をフィルタリングし、高周波ノイズを平滑化することである。例えば、ガウス7x3フィルタが画像に適用される場合、幅7画素で高さ3画素の画像の各矩形領域に対して、各画素のグレースケール値がガウスの重みで乗算され、次いで一緒に平均化される。結果は、矩形の中心画素に割り当てられる。ボックス(平均)フィルタ及び中央値フィルタも使用でき、類似の結果を生成する。この平滑化により、画像ノイズが高いときにエッジ検出が有意に堅牢になる。
図17Cは、右画像において画像フィルタリングを伴う単純な閾値エッジ検出アルゴリズム、及び左画像において画像フィルタリングを伴わない単純な閾値エッジ検出アルゴリズムを使用する一例を示す。画像フィルタリングがなければ、エッジ検出アルゴリズムは主に画像のノイズを検出するが、エッジが確実には見つからない。
【0081】
画像フィルタリングの使用は、得られたPSD及び測定された粗さに大きな影響を与える可能性がある。
図18は、各々が12の特徴を含む、30の画像のコレクションから取得されたPSDに対する2つの異なる画像フィルタの影響を示す。全ての画像が、エッジ検出のための逆ライン走査モデルを使用して測定された。パワースペクトル密度が、図面にラベル付けされているように、7x2又は7x3ガウスフィルタを使用して前処理された画像を用いて、これらの360の粗い特徴から平均化されたか、又はまったくフィルタリングされなかった。理解され得るように、高周波領域は、フィルタリングによって大きく影響を受ける。しかしながら、PSDの低周波領域でさえ、平滑化フィルタを使用するときに顕著な変化を示す。Y方向のフィルタリングは、高周波粗さが平滑化される。X方向のフィルタリングは、ライン走査の傾きを低下させ、これは、測定された低周波粗さに影響を与える可能性がある。次に説明されるように、画像フィルタリングを使用すると、画像ノイズの測定及び減算が不可能になる。
【0082】
画像フィルタリングなしでエッジ検出が達成され得る場合、ノイズのPSD挙動と実際のウェハ特徴のPSD挙動とを対比させることで、ノイズの測定及び減算が達成され得る。
図19に示すように、レジスト特徴(また、エッチング後特徴)が、(
図4にも前述のように示される)「真のPSD」としてのPSD挙動を有することを予想する。特徴エッジの長さに沿った相関は、高周波粗さを低減し、粗さは非常に短い長さのスケールで非常に小さくなる。一方、SEM画像ノイズは、多くの場合、ホワイトノイズであると仮定され得、ノイズPSDは、全ての周波数にわたってフラットであるようにする。以下で更に説明されるように、SEM画像ノイズの他のモデルも可能であり、例えば、ノイズを説明するためにライン走査間相関を使用する。したがって、十分に高周波で測定されたPSDは、実際の特徴の粗さ(いわゆる「ノイズフロア」)ではなく、画像ノイズによって支配される。ラインの長さに沿ったグリッドサイズ(Δy)を所与として、SEMエッジ検出ホワイトノイズは、以下の式9に従ってPSDに影響を与える。
【数9】
【0083】
したがって、(任意の画像フィルタリングの不在での)高周波PSDの測定が、SEMエッジ検出ノイズの測定を提供する。
図19は、ホワイトSEMノイズモデルのケースの場合のこのアプローチを例示する。明らかに、このようなフィルタリングは高周波ノイズフロアを除去するため、このノイズ減算へのアプローチは、フィルタリングされた画像に由来するPSDに対して使用することができない(
図18を参照のこと)。
【0084】
式9は、画像の任意の画素で見つかるノイズが他の画素で見つかるノイズとは独立であるホワイトノイズモデルを仮定する。これが常に当てはまるとは限らない。例えば、各画素のノイズは、その最も近い近傍といくらか相関し、式8Bのσ
grayに影響を与え得る。代替的に、式8Bのグレースケール傾きは、
図8に示されるような電子の相互作用体積によって引き起こされる可能性がある、画素のうちの1つの行から次の行に相関されることがある。相関モデルが仮定又は測定される場合、以下に更に説明されるように、PSDの好適なノイズ表現を使用して式9を置き替えることができる。
【0085】
図19は、開示されたエッジ検出装置及び方法のノイズ減算プロセスの一実施態様を示す。開示されたエッジ検出方法では、本方法は、最初に、任意の画像フィルタリングを使用せずに(例えば、逆ライン走査法を使用して)ILMを使用してエッジの位置を検出する。これらの検出されたエッジから、実際のウェハ粗さPSDとSEMノイズPSDとの合計である、バイアスPSDが取得される。SEM画像ノイズ(一定ホワイトノイズPSDなど)のモデルを使用して、ノイズの量は、測定されたPSDの高周波部分のノイズフロアを測定することによって決定される。真の(非バイアス)PSDは、測定された(バイアス)PSDからノイズレベルを減算することによって取得される。ノイズ減算の上記のアプローチを使用して、非バイアスPSD(したがって、パラメータσ
LWR(∞)、PSD(0)、及びξの非バイアス推定値)を取得するための鍵は、画像フィルタリングを使用せずにエッジを堅牢に検出することである。これは、逆ライン走査モデルを使用して達成され得る。逆ライン走査モデルを使用して、
図18に示されるフィルタなしPSDデータを生成した。
【0086】
ここで、ホワイトノイズを減算するための例示的な方法について説明する。最初に、画像フィルタリングを使用せずに(例えば、逆ライン走査モデルを使用して)SEM画像からエッジが検出される。1つ以上のエッジのパワースペクトル密度は、通常の方法で計算される。単一のエッジのPSDはかなりノイズが多いので、多くのエッジを測定し、PSDを平均化することは非常に価値がある。多くの場合、数百又は数千のエッジが測定され、それらのPSDが平均化される。この平均化されたPSDは、バイアスPSDと呼ばれる。平均バイアスPSDから、最も高い周波数が検査され、フラットなノイズフロアが観測されるかどうかを決定する。このようなノイズフロアは、y画素サイズが真の粗さの相関長さよりも十分に小さいときにはいつでも観察される。典型的には、相関長さの20%以下のy画素サイズであれば適切である。ノイズフロアが観測される場合、フラット領域の平均PSD値が計算される。これはノイズフロアである。次いで、この数は、全ての周波数でバイアスPSDから減算されて、非バイアスPSDを生成する。バイアスPSDは、ウェハ上の粗さの真のPSDの最良の推定値である。
【0087】
他のSEMエラーはまた、粗さPSDの測定に影響する可能性がある。例えば、SEMフィールド歪みは、LER及びPPRのための低周波PSDを人工的に増加させることができるが、それはLWRにほとんど影響を及ぼさない。SEMにおける背景強度のばらつきはまた、LWR並びにLER及びPPRを含む測定された低周波PSDの増加を引き起こす可能性がある。これらのばらつきを測定できる場合、それらを潜在的に減算することができ、PSD及びそのパラメータの可能な限り最良の非バイアス推定値を生成する。測定の唯一の共通の側面が使用されるSEMである多くのSEM画像の結果を平均化することによって、SEM画像の歪み及び背景強度のばらつきの決定を行うことができる。
【0088】
9.計測ツールの設定に対する感度
測定されたPSDの全てのノイズがホワイトノイズであるわけではない。ホワイトノイズは、各ライン走査からのエッジ位置の測定ノイズが、他の全てのライン走査(特に、その最も近傍のもの)から完全に独立している場合に発生する。ホワイトノイズは、1つのライン走査のエラーを近傍のライン走査のエラーに接続する相関の不在で発生する。ラインの長さに沿ったエッジエラーの小さな相関は、周波数領域全体にわたって完全にはフラットではないノイズサインである「ピンクノイズ」を引き起こす。
【0089】
SEM計測ツールの設定は、パターン構造内の特徴の測定された粗さに影響を及ぼす可能性がある。これらの設定には、SEM701の倍率及び画素サイズが含まれる。これらの2つのパラメータは、画像の画素数(例えば、512×512から2048×2048)を変化させることによって独立して変化させることができる。追加的に、SEM画像を捕捉するときの統合フレームの数(電子線量)が調整され得る。この設定の影響を研究するために、統合フレームの数は、例えば、電子線量の16倍のばらつきを表す、2から32までばらつくことができる。
【0090】
総電子線量は、統合フレームの数に正比例する。したがって、ショットノイズ及びそのエッジ検出ノイズへの影響は、統合フレームの数の平方根に比例すると予想される。
図20は、異なる数の統合フレームで測定された、所与のウェハ上の特定のレジスト特徴タイプのPSDを示す。この場合、PSDは、統合フレームの数のみがばらついた18nmのレジストライン及び空間に対応する。使用されたSEM条件は、500eV、1条件当たり49画像、1画像当たり21特徴、画素サイズ=0.8平方nm、及び画像サイズ=1024×1024画素であった。8フレーム以上の統合のケースは、かなり平坦な高周波ノイズ領域を呈するPSDを生成する。2フレーム及び4フレームの統合では、ノイズ領域は顕著に傾いている。したがって、ホワイトSEMノイズの仮定は、ほぼ真のみであり、統合フレームの数が増加し、ノイズレベルが減少するにつれて、より正確な仮定になる。この観察は、他の状況でも裏付けられている。高ノイズケースは、非フラットのノイズフロアを呈する可能性がより高い。
【0091】
図21は、統合フレームの数の関数として測定された3σライン幅粗さのバイアス値及び非バイアス値を示す。全ての条件は、
図20に説明されたものと同じであり、エラー境界は、95%信頼区間推定値を表す。バイアス粗さは、2フレームの統合での8.83nmから、8フレームでは5.68nm、また32フレームでは3.98nmまでばらつく。一方、非バイアス粗さは、6フレームの統合の後でかなり安定しており、2フレームの統合での5.25nmから、8フレームで3.25nm、また32フレームで3.11nmまでばらつく。バイアス粗さは、32フレームと比較して8フレームで43%高いが、非バイアスの粗さは、32フレームと比較して8フレームで4%高いだけである。ホワイトSEMノイズの仮定は、2フレームの統合及び4フレームの統合ではあまり正確ではないので、ホワイトノイズモデルを使用する非バイアス測定のノイズ減算は、これらの非常に少ないフレームの統合では完全には成功しない。相関ノイズモデルは、以下により完全に説明されるように、特に統合フレームが少ない場合により良いノイズ減算を生成することができる。示される結果は、LWRに対するものであるが、ラインエッジ粗さ(LER)及びパターン配置粗さ(PPR)の測定に対して類似の結果が得られる。
【0092】
エッジノイズの相関の1つの可能性のある原因は、画素ノイズの相関である。この可能性をテストするために、孤立したエッジをCD-SEMで測定した。エッジは、SEMが典型的な方法でその撮像機能を実行することを可能にするが、エッジから左又は右のある距離では、フィールドはフラットで特徴がない。この領域では、画素グレースケール値の唯一のばらつきは、画像ノイズに由来する。次いで、近傍の画素間の相関係数が計算され得る。これらの計算を実行すると、x方向の近傍の画素間の平均相関は0.12であったが、y方向の平均相関はわずか0.01であり、本質的にゼロであった。これらの相関係数は、2~32フレームの統合で測定されたエッジに対して決定された。統合フレームの数の関数としての画素間相関にはほとんどばらつきがなかった。したがって、相関画素ノイズは、統合フレームが少ないときに観察されるピンクノイズに関与しない。しかしながら、式8Bのライン走査傾きがノイズ相関に関与する可能性がある。
【0093】
ライン走査傾きにおけるノイズ相関の考えられる原因は、ビームとサンプルとの相互作用に由来する。サンプルに衝突する電子は、電子のエネルギー及びサンプルの材料特性に依存する多くのプロセスを受ける。電子はサンプル材料の原子を散乱し、エネルギーを放出し、方向を変化させ、しばしばサンプル原子をイオン化することによって二次電子のカスケードを生成する。時折、電子は原子核から後方に跳ね返り、サンプルから出る(後方散乱電子と呼ばれる)。低エネルギー二次電子のいくつかはまた、サンプルから脱出する可能性がある(頻繁に特徴のエッジを通して、
図8A及び
図8Bを参照のこと)。SEMが画像を形成する方法は、各ビーム位置に対してサンプルから脱出する二次電子及び/又は後方散乱電子の数を検出することによる。
【0094】
SEMを使用して画像を形成する場合、二次電子検出器によって脱出する二次電子の数がカウントされている間、サンプル上の特定の点(すなわち、画素)に電子の小さなスポットが滞留する。
図8Aのように、スポットが特徴エッジから遠く離れているときに、検出される二次電子805の数は少ない(及び画素が暗い)。
図8Bのように、スポットが特徴エッジに近いときに、相互作用体積からの二次電子805は特徴エッジから容易に脱出し、明るい画素を生成する。
【0095】
電子の相互作用体積は、ビーム電圧及びサンプル材料の特性に応じて、直径1~数十ナノメートルであり得る。この相互作用体積は、サンプル上の1つのスポットに衝突する電子が、相互作用体積によって決定される範囲にわたってサンプル形状によって影響されることを意味する。したがって、相互作用体積半径がy画素サイズよりも大きいときはいつでも、画素のうちの1つの行におけるライン走査の傾きは、近傍の画素におけるライン走査の傾きから独立していない。この依存性は、電子ビーム相互作用体積によって影響を受けるノイズ相関長さを伴う、ノイズの相関の原因となり得る。
【0096】
10.パワースペクトル密度からのスパイクの検出及び除去
粗い特徴の典型的な画像における信号へのノイズ干渉に加えて、ホワイトノイズ又はピンクノイズと比較して、及び測定される粗さと比較して、非常に異なる周波数挙動を有する他のエラーが画像に存在し得る。そのようなエラーのいくつかは、PSDにおいて大きくても狭いスパイクを生成する。
図25Aは、データセットに断続的に見つかる高周波「スパイク」の一例を示す。このようなスパイクの1つの原因は、撮像ツールの走査エレクトロニクスにおける電気的干渉であり得る。干渉が、画像のフル走査内の1つ以上の干渉イベントを可能にする範囲内の周波数にある場合、この干渉は、走査ビーム位置のわずかではあるが規則的な「ジッタ」をもたらす可能性がある。非常に精密な走査の場合、サブナノメートルジッタでさえ、測定されたPSDにおいて1つ以上の大きなスパイクをもたらす可能性がある。メカニズムに応じて、そのような干渉スパイクは、ラインエッジ粗さ(LER)及びパターン配置粗さ(PPR)に存在することがあるが、ライン幅粗さ(LWR)PSDに存在しないことがある。代替的には、干渉は、3つのPSD全てにおいて同じ周波数でスパイクを引き起こすことがある。
【0097】
例えば、50Hz又は60Hzの周波数での電気的干渉は、測定ツールが、標準の「TV」走査レート又はこのレートの小さな倍数で画像を捕捉するときに、測定されたPSDにおいて顕著なスパイクを引き起こす可能性がある。追加的に、通常のオーディオ周波数での電気的干渉は、典型的な測定ツール画像においてより高いPSD周波数で可視であるスパイクを引き起こす可能性がある。
【0098】
PSD内のスパイクの存在は、それらの量、それらの振幅、及びそれらの周波数に応じて、いくつかの理由のために望ましくない可能性がある。
図25Aに見られる高周波スパイクのケースの場合、スパイクは上述のノイズ除去プロセスに影響を及ぼし、画像のホワイト又はピンクノイズの量の過大評価をもたらす可能性がある。
【0099】
PSDスパイクは、撮像ツール内の電気的干渉以外の現象によって引き起こされる可能性がある。測定される物体は、測定される粗い特徴以外の周期的又は半周期的構造を含んでもよい。例えば、物体の垂直方向に配向する粗い特徴のセットは、周期的な水平特徴のセットの上にあってもよく、画像内でわずかに可視である粗い特徴の下の地形をもたらす。そのような基礎となる地形は、PSDへの中周波スパイクをもたらす可能性がある(また、より高い周波数の高調波も可能性がある)。
図26は、この現象の一例を示す。
【0100】
PSDにスパイクを生じさせることができる別の現象は、測定される物体上の特徴の材料内に小さなサイズの範囲の粒子が存在することである。類似のサイズの粒子が密集していると、ほぼ周期的な外観を生成し、測定されるPSDにスパイクをもたらす可能性がある。
【0101】
粗さ測定はまた、フォトマスク特徴の撮影された画像に対して実行することもでき、上記のフォトマスクは、リソグラフィプロセスで使用される。フォトマスクは、典型的には、非ゼロアドレスグリッド及び矩形ショットなどの制限のある直接書き込みリソグラフィツールを使用して製造され、画像を構成する。フォトマスクを印刷するために使用されるツールの書き込みグリッドの方向に45度方向に配向されたラインなど、いくつかの特徴の場合、結果は、フォトマスク特徴のエッジに沿って小さく、規則的に間隔をあけられたジョグになる。これらのジョグは、測定されたフォトマスクの粗さのPSDにスパイク(又はメインスパイクと高調波スパイク)を生成する。
【0102】
図26に見つかるようなスパイクは、バイアス又は非バイアスPSDからの粗さパラメータの測定に非常に不利であり得る。
図27Aは、スパイクを有するPSDが、PSD(0)、相関長さ、及び粗さ指数などのモデリングパラメータを含む、非バイアスPSDにフィッティングするモデルをどのように変えることができるかを示す。対照的に、
図27Bは、スパイクが除去されたPSDが、PSD(0)、相関長さ、及び粗さ指数などのモデリングパラメータを含む、非バイアスPSDにフィッティングするモデルにどのように影響を与え得るかを示す。
【0103】
これらの理由及び他の理由により、これらのスパイクの原因が、測定される特徴の粗さを生じさせるメカニズムとは異なるメカニズムからであると考えられるときに、PSDのスパイクを除去することが望ましい。言い換えれば、1つのメカニズムによって引き起こされるPSDアーチファクト(電気的干渉によって引き起こされるスパイクなど)を、他のメカニズムによって引き起こされるPSDアーチファクト(粗さを生じさせる確率的効果など)から分離することが望ましい。これは、異なるメカニズムの異なる周波数シグネチャを認識することによって、上述のノイズ除去と同様に行われ得る。
【0104】
前述のように、ホワイトノイズ(又はピンクノイズ)は、ノイズ周波数シグネチャ(高周波ではフラット又はフラットに近い)は、真の粗さの周波数シグネチャ(高周波では減少するパワーロー)とは非常に異なるため、真の(非バイアス)粗さPSDから分離され得る。同様に、PSDにおけるこれらのいわゆるスパイクは、特徴の粗さ自体の周波数シグネチャとは非常に異なる周波数シグネチャを有する。特に、いわゆるスパイクは、非常に狭い周波数範囲にわたって高い振幅を有する。
【0105】
ここで、スパイクの検出及び除去の手順について説明する。最初に、「スパイク」の定義は、閾値(「閾値範囲」)よりも小さい周波数範囲で上昇及び下落し、閾値(「閾値高さ」)よりも大きい高さを有する周波数応答であると確立され得る。
【0106】
次に、ベースラインは、スパイクなしのPSDの最良の推定値であると確立され得る。例えば、スパイク検出のための閾値範囲は、PSDデータの3つの周波数増分(典型的には、一定の周波数増分でサンプリングされる)に設定され得る。他の閾値範囲も可能である。ベースラインは、閾値範囲+1の増分で分離されたPSD値を平滑に接続すること(例えば、線形又は対数スケールで直線を使用するか、又は予想されるPSD挙動のモデルを使用することによって)によって決定され得る。次いで、このベースラインは、この閾値範囲内の実際のPSDデータから減算されて、この周波数範囲内の非ベースラインPSD挙動の推定値に到達する。非ベースラインPSD挙動が閾値高さより大きい値(絶対項又はベースラインPSD値の倍数として表現される)に上昇する場合、スパイクが識別されている。スパイクを除去するために、計算されたベースラインの挙動を使用して、閾値範囲内の実際のPSD値を置き換えることができる。スパイクの検索は、必要に応じてPSD周波数範囲全体をカバーすることができる。
【0107】
閾値範囲は、特定のタイプのメカニズムによって発生するスパイクのみを検出(及び場合によっては除去)するような方法で選択され得る。例えば、正確に単一の周波数での干渉は、最大2つの周波数増分幅であるPSDのスパイクを引き起こす可能性が最も高い(スパイクがPSDのサンプリング周波数と正確に一致する周波数である可能性が低いので)。2~3の周波数増分幅の閾値範囲は、そのような「単一の周波数」干渉イベントを検出するのに有効である。より広い閾値範囲は、他のより広い帯域の干渉イベントを検出する。
【0108】
閾値高さはまた、検出することが望ましいメカニズムに基づいて調整され得る。しかしながら、最小閾値高さは、PSDの全体的なノイズの関数でもある。PSDは、定義上、ランダムラフサンプル内のランダム性を測定するので、PSD測定は本質的にノイズが多い。単一の測定された特徴のPSDが100%(1シグマ)の統計的不確実性を有することは周知である。すなわち、任意の所与の周波数での任意の所与のPSD値における統計的不確実性は、単一の特徴の測定に対して100%である。そのため、多くの特徴は、典型的には、PSDにおける不確実性が、測定される特徴の数の平方根の上で1減少され得るように、一緒に測定され、平均化される。
【0109】
しかしながら、測定及び平均化された任意の所与の数の特徴について、PSDは、サンプルサイズに固有の統計的不確実性を有する。スパイク検出のための閾値の高さは、PSDの固有のノイズレベルよりも有意に高いように選択されるべきである。さもなければ、スパイクの検出は、物理的なスパイクによってではなく、PSDデータのノイズによって頻繁にトリガされる。代替的には、閾値高さは、測定又は計算されたPSDノイズ(例えば、5倍)の倍数であるように選択され得る。
【0110】
図25Aは、いくつかの高周波スパイク(スパイクアーチファクト2507)を呈するいくつかのPSD(ライン幅粗さ(LWR PSD2502)、ラインエッジ粗さ(LER PSD2504)、及びパターン配置粗さPPR PSD2506)を示す。
図25Bは、前の段落で概説された手順を使用して、スパイクを除去した同じPSD(例えば、LWR PSD2508としてのLWR PSD2502、LER PSD2510としてのLER PSD2504、及びPPR PSD2512としてのPPR PSD2506)を示す。この除去のために、閾値範囲を3つの周波数増分に設定し、閾値高さをベースラインPSD値の3倍に設定した。スパイクの効果的な除去は、これらの設定を使用して達成された。
【0111】
図27A及び
図27Bは、今回は中周波スパイクの場合のスパイク除去の別のケースを示す。左側のグラフ、
図27Aは、スパイク除去前のPSD(バイアス及び非バイアス)を示す。スパイクの存在は、PSDのモデリング及びPSD測定値の抽出に対して有害な効果を有する。右側のグラフ、
図27Bは、前の段落で概説された手順を使用して、スパイクを除去した同じPSDを示す。この除去のために、閾値範囲を3つの周波数増分に設定し、閾値高さをベースラインPSD値の3倍に設定した。スパイクの効果的な除去は、これらの設定を使用して達成された。得られたPSDモデリング及びPSD測定は、スパイクを生じさせたメカニズムを除いた特徴の粗さPSD挙動をより正確に反映する。
【0112】
ここで、スパイクを除去する代替的な手順について説明する。PSDをローパスフィルタに通すことで、スパイクをPSDから除去することができる。周知技術を使用して、PSDはフーリエ変換され、ローパス周波数フィルタで乗算され、次いで、逆フーリエ変換され得る。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、設定された制限よりも狭いスパイクのみをフィルタリングするように設定され得る。本分野で既知のローパスフィルタリングへの他のアプローチも適用され得る。
【0113】
よりゆっくりとばらつく真の粗さPSDと比較して、スパイクの異なる周波数特性に基づいてスパイクを検出及び除去するための他の方法は、当業者に既知である。
【0114】
図7を参照すると、情報取り扱いシステム(IHS750)は、本明細書に説明される例示的な方法のうちの1つを使用して、スパイクの検出及び/又は除去を含むように修正され得る。その中心周波数、振幅、面積、及び/又は幅など、検出された各スパイクに関する情報が記録され、出力デバイス770に出力され得る。この情報は、スパイク形成の根本原因を識別するのに有用であり得、したがって、そのような根本原因メカニズムを低減又は排除するプロセスを支援することができる。
【0115】
11.PSDバンプの検出及び測定
他の現象は、なければ、
図3に示される典型的な形状を有する、PSDの「バンプ」として現れるPSD挙動を生じさせる可能性がある。このようなバンプは、一般に、相対的に低い周波数で発生する。これらのバンプは、スパイクの狭い周波数制限とは対照的に、相対的に広い範囲の周波数をカバーすることによってスパイクと区別される。
図28A及び
図28Bは、バンプタイプI及びバンプタイプIIとしてラベル付けされた、PSDのこのいわゆるバンプ挙動の2つの例を示す。
【0116】
バンプタイプI(
図28A)は、PSD(0)によって特性評価されるフラットな低周波レジームと通常考えられるものを上回る低周波PSD挙動の大幅な上昇である。フォトマスク粗さの存在など、いくつかのメカニズムがこのバンプを生じさせる可能性があり、このフォトマスク粗さは、次いで、フォトリソグラフィステップ中にウェハに転写される。測定される画像を捕捉するために使用される撮像ツールの非補償フィールド歪みも、この種のバンプを生じさせる可能性がある。他のメカニズムがまた、可能である。
【0117】
バンプタイプII(
図28B)は、バンプよりも高く、低い周波数でのPSD挙動が(例えば、
図3に見られるように)予想される挙動に従うように、低~中間周波数で生じる。このタイプのPSDバンプが、ラインエッジ粗さPSDで見つかるが、ライン幅粗さPSDで見つからないときに、画像の特徴中でウィグルとして顕著であり得るので、効果は時に「ウィグル」と呼ばれる。このようなウィグルは、例えば、特徴を作製するために使用されるフィルムのストレス又は張力から引き起こされ得る。特徴を形成するためのフォトリソグラフィ及びフィルムの減算エッチングは、ストレスを和らげ、緩和された残りのフィルムがウィグルすることを許容する可能性がある。ウィグルを引き起こす他のメカニズムも可能性がある。
【0118】
ホワイトノイズ及びスパイクのように、PSDのバンプは、PSDの残りの部分を生じさせる確率的メカニズムとは別個のメカニズムを通じて生じると考えられる。したがって、PSDの残りの部分からバンプの効果を分離することが望ましい。バンプ検出及び除去のために、スパイク検出及び除去と類似の手順を使用することが可能である。しかしながら、このアプローチは、大きな周波数範囲にわたるベースラインPSD挙動を定義することが難しいため、バンプの幅が大きいときに問題になる。バンプの周波数範囲が大きくなるときに、スパイクからバンプを区別することができるが、バンプを検出及び測定するための異なる手順が必要とされる可能性が高いことも意味する。
【0119】
バンプの検出、測定、及び除去の別個の技術は、バンプのモデルの使用を伴う。ホワイトノイズ及びピンクノイズのように、バンプモデルは特徴の粗さの典型的なPSDに直接追加される。したがって、バンプモデルは、バンプ挙動を含まない典型的なPSDモデルと同時にPSDにフィッティングすることができる。
【0120】
バンプモデルの有用な形態は、以下の式10で与えられる。
【数10】
式中、Aはバンプの振幅、f
cはバンプの中心周波数、σ
wはバンプの幅である。タイプIバンプ(
図28A)の場合、中心周波数はゼロとすることができる。他のモデルも使用されてもよい。バンプの面積及び中心周波数など、モデルの代替パラメータ化も使用され得る。
【0121】
例えば、最良のフィットモデルから決定されるように、ベースラインPSDの上のバンプの面積は、バンプを生じさせた現象の大きさの有用な尺度である。例えば、ウィグルのケースの場合(バンプタイプIIの例、
図28B)、面積は、確率的な粗さによって引き起こされる分散に追加されるウィグルの分散を表す。言い換えれば、バンプ検出及び測定のためのこのアプローチは、特徴の総分散を、ウィグル分散と確率的粗さ分散に分離することを可能にする。
【0122】
図7を参照すると、IHS750は、本明細書に説明される例示的な方法のうちの1つを使用して、バンプの検出及び/又は除去を含むように修正され得る。その中心周波数、振幅、面積、及び/又は幅など、検出された各バンプに関する情報が記録され、出力デバイス770に出力され得る。この情報は、バンプ形成の根本原因を識別するのに有用であり得、したがって、そのような根本原因メカニズムを低減又は排除するプロセスを支援することができる。総PSDからバンプ挙動を減算することによって、残りのPSDを特性評価することができ(例えば、PSD(0)、相関長さ、及び粗さ指数などのパラメータを使用して)、この残りのPSDが、バンプメカニズムを排したPSDを生じさせたメカニズムをより正確に反映するようにする。
【0123】
ここで、
図30を参照すると、PSDデータセットの望ましくないスパイクを検出し、PSDデータセットのスパイクを除去するための例示的な方法3000が例示される。方法3000は、開始し(ブロック3002)、撮像デバイスを使用して、1つ以上の画像のセットを生成し、セットの各画像は、それぞれのパターン構造内の特徴のインスタンスを含み、各画像は、ノイズを含むパターン構造に対応する測定されたライン走査情報を含む(ブロック3004)。次に、方法は、画像をフィルタリングすることなく、セットの各画像のパターン構造内の特徴のエッジを検出し(ブロック3006)、画像のセットのエッジ検出測定値に対応する特徴の幾何学的形状情報を表すパワースペクトル密度(PSD)データセットを生成する(ブロック3008)ことに進む。必要に応じて、SEMノイズを減算することによって、バイアスPSDデータセットから非バイアスPSDデータセットが生成され得る。次に、本方法は、閾値範囲及び閾値高さを定義し(ブロック3010)、PSDデータセットの一部の第1のPSD値を第2のPSD値に平滑に接続することによって、PSDデータセットの一部のベースラインを生成することであって、第1のPSD値及び第2のPSD値は、閾値範囲によって分離される、生成することを行い(ブロック3012)、PSDデータセットの一部の第3のPSD値とベースラインとの差が閾値高さよりも大きいと決定し(ブロック3014)、PSDデータセットの一部をPSDデータセットの一部のベースラインに置き換える(ブロック3016)。その後、本方法は終了する(ブロック3018)。
【0124】
ここで、
図31を参照すると、PSDデータセットのバンプをモデル化するための例示的な方法3100が例示される。方法3100は、開始し(ブロック3102)、撮像デバイスを使用して、1つ以上の画像のセットを生成し、セットの各画像は、それぞれのパターン構造内の特徴のインスタンスを含み、各画像は、ノイズを含むパターン構造に対応する測定されたライン走査情報を含む(ブロック3104)。次に、方法は、画像をフィルタリングすることなく、セットの各画像のパターン構造内の特徴のエッジを検出し(ブロック3106)、画像のセットのエッジ検出測定値に対応する特徴の幾何学的形状情報を表すバイアスパワースペクトル密度(PSD)データセットを生成する(ブロック3108)ことに進む。必要に応じて、SEMノイズを減算することによって、バイアスPSDデータセットから非バイアスPSDデータセットが生成され得る。第1のバンプは、PSDデータセットにおいて評価されて、バンプモデルを作成し(ブロック3110)、典型的なPSDモデル及びバンプモデルをPSDデータセットにフィッティングして、最良のフィットモデルを作成する(ブロック3112)。その後、本方法は終了する(ブロック3114)。
【0125】
図30及び
図31のフローチャートは、本明細書で詳細に説明されるように両方とも、SEM701によって実行され得る特定のステップ、及びIHS750及びそれに含まれるプロセッサ755及び記憶装置760によって実行され得る特定の他のステップを含む、
図7に描くエッジ検出システム700を使用して実行され得るステップを含む。命令は、記憶装置760に記憶され得、命令は、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、本明細書に開示され、
図30及び
図31のフローチャートによって説明される方法を、本明細書に説明される逆ライン走査モデル計測ツール765を実装する、記憶装置760に記憶された他の命令と類似的な方式で実行させる。
【0126】
12.画素サイズ及び倍率の影響
SEM701によって用いられる画素サイズ及び倍率に関して、
図22A及び
図22Bは、ホワイトノイズモデルを仮定して、異なる倍率及び画素サイズに対する16nmのライン及び空間のパターンについて、バイアス及び非バイアスパワースペクトル密度(PSD)をそれぞれ示す。統合フレームの所与の数の場合、画素サイズを変化させると、単位ウェハ面積当たりの電子線量及びSEM画像におけるノイズを変化させる。この範囲の条件下では、バイアスLWRは0.63nm(14%)でばらつくが、非バイアスLWRは0.07nm(2%)だけばらつく。非バイアスLWRは、これらの計測ツール設定によって本質的に影響されない。LER及びPPRの測定についても類似の結果が取得される。
【0127】
図22A及び
図22Bは、画素サイズ及び倍率の関数としての電力スペクトル密度を示す。より具体的には、
図22Aは、バイアスLWR PSDを示し、
図22Bは、ノイズが測定され、減算された後の非バイアスLWR PSDを示す。これらの結果のためのSEM条件は、500eVの入射電圧、条件ごとに3画像、及び16nmのレジストライン及び空間を使用した。
【0128】
以下の表3は、
図22A及び
図22Bに示すPSDの測定されたPSDパラメータを示す。
表3
画素サイズ及び倍率の関数としてのバイアス及び非バイアス3σ LWR(nm)測定値。
【0129】
バイアスLWRと非バイアスLWRとの差は一定ではないが、計測ツールの設定、特徴サイズ、及びプロセスによってばらつくことが見出された。同様に、バイアスLWRと非バイアスLWRとの比は、計測ツールの設定、特徴サイズ、及びプロセスによってばらつく。以下の表4は、様々な条件に対してバイアスLWRと非バイアスLWRとの差及び比を示す。これらの条件では、バイアスLWRと非バイアスLWRとの比は、1.09から1.66までばらつく。この特定の例では、バイアスLWRと非バイアスLWRとの差は、0.32nmから2.19nmまでばらつく。
表4
様々なプロセスに対するバイアスLWRと非バイアスLWRとの関係
【0130】
13.エッジ検出の実施態様
図23は、開示されたSEMエッジ検出システムがパターン構造のエッジを検出するために用いる代表的な全体プロセスフローを描くフローチャートである。議論を目的として、
図23のフローチャートに説明されるプロセスが、
図24Aのサンプル2400に適用される。サンプル2400は、パターン構造2400とも呼ばれ得るパターン構造である。
図23のフローチャートは、パターン構造のエッジを決定するために、逆ライン走査モデル計測ツール765によって実行されるステップを含む。
【0131】
プロセスフローは、
図23の開始ブロック2300で開始する。
図7に見られるように、IHS750は、SEM701からSEMライン走査画像情報を受信するためにSEM701に結合される。IHS750は、プロセッサ755と、それに結合された記憶装置760とを含む。記憶装置760は、揮発性システムメモリ、並びにアプリケーション及び他の情報を永続的に記憶するハードドライブ、ソリッドステートストレージデバイス(SSD)などの不揮発性永続性メモリを含んでもよい。記憶装置760は、本明細書に開示され、
図23のフローチャートによって説明される逆ライン走査モデル(ILM)計測ツール765を記憶する。SEM701は、IHS750がパターン構造800に対して画像獲得を実行するように命令し、SEM701からIHS750までのライン走査情報を提供するコントローラ(図示せず)を含む。
【0132】
ブロック2305の通り、SEM701は、パターン構造800のSEM画像をIHS750に送信し、それに応答して、IHS750は、このSEM画像を記憶装置760内のシステムメモリにロードする。IHS750は、ブロック2310の通り、SEM701からのパターン構造画像を前処理する。例えば、ロードされたSEM画像のこの前処理は、グレースケール値を調整することと、強度レベルの背景傾斜を減算することと、を含んでもよい。任意選択で、ブロック2315の通り、IHS750は、ロードされた画像のフィルタリングを実行し得るが、これは一般に好ましくない。
【0133】
図24Aのパターン構造2400に見られる垂直ライン及び空間などのパターン構造のケースでは、ブロック2320の通り、平均ライン走査を生成するために、逆ライン走査モデル計測ツール765は、対称軸にわたって垂直方向に平均化する。平均ライン走査は、全ての垂直画素が一緒に平均化されている水平位置の関数としてのグレースケール値であってもよい。これにより、SEM画像に含まれるSEMノイズの大部分が平均化され、ノイズのないライン走査を生成する物理的プロセスをより代表するライン走査が生成される。
図24Bは、1つのY画素位置での単一のライン走査を示す。
図24Cは、全てのY画素にわたって平均化することによって生成される平均化されたライン走査を示す。
【0134】
ここに示す例は、垂直ライン及び空間のためのものであるが、対称軸を有するパターンは、平均ライン走査を生成するように処理され得る。例えば、長いライン、長い空間、又は長い孤立したエッジは、ラインの長さが適切な平均化を可能にするのに十分であるときはいつでも、そのように処理され得る。円形又は楕円形の対称性を有するコンタクトホール又はピラーも、半径方向に平均化して平均ライン走査を生成することができる。
【0135】
ブロック2325の通り、ツール765は、逆ライン走査モデルを、上述の方式で取得された平均化されたライン走査に較正する。ライン走査モデルは、2種類のパラメータ、すなわち、1)SEMの材料及び特性に依存するパラメータ、及び2)サンプル上の特徴の幾何学的形状に依存するパラメータを含むことに留意する。ツール765は、これらのパラメータの全てを較正することができる。ツール765は、ブロック2325の通り、
図24Cの平均ライン走査に対するモデルの最良のフィットを見つける。次いで、モデルの最良のフィットパラメータの値は、較正された値である。
【0136】
その較正されたモデルは、
図24Bに示されるように、単一のライン走査に適用される。
図24Bの単一のライン走査へのモデルの最良のフィットが見つかるが、この場合、逆ライン走査モデル計測ツール765は、材料及びSEM撮像ツールに関連する全てのパラメータを固定する。このシナリオでは、ツール765は、較正されたモデルの単一のライン走査への最良なフィットを見つけるために、パターン構造の特徴の幾何学的形状に関連するパラメータのみをばらつかせる。
【0137】
簡略化されたシナリオでは、ブロック2330でばらつく唯一のパラメータは、特徴のエッジの位置である。一実施態様では、特徴の垂直方向の寸法は所定の厚さを呈し、特徴のエッジ位置のみがばらつくと仮定する。次に、較正された逆ライン走査モデルは、ブロック2330の通り、特徴の2D画像を通る全ての単一の水平カットにフィットされる。画素の上部の水平行を撮影し、次いで、1画素下の次の画素の行、そして下の次の画素の水平行などを撮影する。そのような単一のライン走査の一例を、
図24Bに示す。得られる最良のフィットのエッジ位置は、検出されたエッジである。
【0138】
特徴のエッジが上述の方式で検出された後、ツール765は、サンプルが画像獲得中にわずかに回転し、平行な傾斜ライン(すなわち、完全に垂直ではないライン)をもたらしたことを検出してもよい。このような傾斜又は回転は、平均ライン走査、したがって、較正されたILMを変化させることによって、検出されたエッジの不正確さに寄与することがある。画像回転は、画像内の全てのエッジを平行ラインのセットにフィットさせ、垂直方向と比較してその傾きを決定することによって検出され得る。傾きが垂直ケースと十分に異なる場合は、回転は除去されるべきである。1つの可能な基準は、画像の上部にある最良のフィットラインの画素位置を、画像の下部にある最良のフィットラインの画素位置と比較することである。これらの画素位置が、2画素などのいくらかの閾値で異なる場合、画像回転は、その除去が必要とされるのには十分に大きいと考えられる。
【0139】
そのような傾斜/回転が検出される場合、ブロック2335の通り、先の較正は、第1のパス較正であると考えられ、較正が繰り返される。より具体的には、そのような傾斜/回転が検出される場合、ブロック2345の通り、いくつかの画素の行をシフトしてエッジを垂直方向に位置合わせし、新しい平均ライン走査を計算することによって、回転が減算される。次いで、ブロック2350及びブロック2325の通り、モデルの較正が繰り返される。ブロック2330の通り、別のフィッティングも実行される。最終的に、ツール765は、ツール765に提供されるライン走査画像情報に対応する特徴の幾何学的形状を説明する幾何学的形状特徴情報(エッジ位置など)を出力する。
【0140】
画像回転と同様に、特徴自体の粗さは、ILMの較正の不正確さに寄与する。任意選択で、第1のパスエッジ検出の後、画素の各行は、画像回転を減算するだけでなく、特徴の粗さも減算するようにシフトされ得る。画素の各行のシフト後の最終結果は、エッジ位置が完全な垂直ラインから1画素未満でばらつく垂直エッジである。次いで、画素のこれらのシフトされた行を垂直方向に平均化して、ILM較正で使用するためのより正確な平均ライン走査を生成することができる。
【0141】
実際には、IHS750は、プロセッサ755とディスプレイ、プリンタ、又は他のユーザインターフェースなどの出力デバイス770との間に結合されたインターフェース757を含んでもよく、ユーザは、逆ライン走査モデル計測ツール765によって決定された特徴エッジを観察してもよい。インターフェース757は、グラフィックインターフェース、プリンタインターフェース、ネットワークインターフェース、又は特定のタイプの出力デバイス770に適切な他のハードウェアインターフェースであってもよい。
【0142】
上述の実施態様は、半導体デバイスの製造に使用されるように、半導体ウェハ上で見つかる構造の測定を参照するが、本発明はこれらの用途に限定されない。本開示は、フラットパネルディスプレイ、マイクロ電気機械システム、マイクロ流体システム、光導波路、フォトニックデバイス、及び他の電子、光学、又は機械デバイスで見つかる特徴エッジの粗さを測定するために有用に用いられ得る。更に、本発明は、結晶又は鉱物などの自然発生構造、又はナノ粒子又は他のナノ構造などの人工構造の特徴エッジ特性を測定するために使用され得る。更に、本発明は、同様に生物学的サンプルの特徴エッジ特性を測定するために使用され得る。
【0143】
上述の実施態様は、走査電子顕微鏡を使用した測定を参照するが、本発明は、その撮像ツールに限定されない。光学顕微鏡、誘導放出抑制(STED)顕微鏡、X線顕微鏡、透過電子顕微鏡(TEM)、集束イオンビーム顕微鏡、及びヘリウムイオン顕微鏡などの他の撮像ツールも使用され得る。例えば、走査プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)(AFM)及び走査近接場光学顕微鏡(SNOM)など)の他の形態の顕微鏡も同様に使用され得る。
【0144】
14.プロセスウィンドウ決定のための従来技術の方法
リソグラフィでは、最終的な印刷された特徴の制御を維持するために2つの主要な変数が頻繁に調整される。すなわち、露光量(露光エネルギー、光強度及び露光時間の積とも呼ばれる)及び焦点(しばしば、ウェハ上にコーティングされるようなフォトレジストの上面に対する投影画像の最良の焦点の平面の位置として説明される)である。これらのプロセス変数の両方は、特徴を印刷するために使用されるリソグラフィ投影撮像ツール(ステッパー、スキャナ、又はステップアンド走査ツールなど)を使用して変化され得る。直接書き込みパターニング、近接印刷、及び電子ビームリソグラフィなどの他のリソグラフィ技術も、露光量及び焦点又はそれらの等価物を調整することができる。
【0145】
最良のリソグラフィ結果を取得するために、リソグラフィツールの露光量及び焦点を、時には最良の線量及び最良の焦点と呼ばれる最適な値に設定することが望ましい。「最良」の意味は、リソグラフィプロセスの目的に応じてばらつき得る。1つの共通の目標は、ウェハ又は複数のウェハ上の特定された印刷パターンのコレクションの平均特徴サイズが、その特徴サイズの目標値とある程度の許容値内で一致することである。別の目標は、いくつかの特徴のコレクションにわたる特徴サイズのばらつきを最小にすることである。別の目標は、印刷パターンのパターン忠実度を改善することである。別の目標は、印刷された特徴サイズ又は忠実度の感度を最小限に抑えて、いくつかの特徴のコレクションにわたるばらつきを処理することである。
【0146】
検討された特徴のコレクションは、撮像フィールドの異なる点(又は走査リソグラフィの場合はスキャナスリットエリア内の異なる点)、製造されるチップ全体の異なる点、ウェハ全体の異なる点、及び異なるウェハ又は異なるウェハのロットにわたって印刷される特徴を含むことができる。検討された特徴のコレクションはまた、異なる時間に印刷された特徴を含むことができる。検討された特徴のコレクションはまた、異なる特徴タイプ、他の特徴に異なる近接性を有する特徴、及び異なるターゲット特徴サイズを有する特徴を含むことができる。
【0147】
多くのリソグラフィプロセスでは、露光量に応じて特徴サイズが単調にばらつく。例えば、小さな線量範囲では、特徴サイズは、線量とほぼ直線的にばらつき得る。いくつかのプロセスの場合、特徴サイズは、露光量にわたって1にほぼ比例していてもよい。焦点の場合、特徴サイズは焦点とほぼ二次的にばらつくことが多い。更に、焦点及び線量は、一般的に相互作用して、印刷パターンのばらつきを引き起こす。特徴に対する線量の影響は、露光ツールの焦点設定に依存し、特徴に対する焦点の影響は、露光ツールの露光量設定に依存する。
【0148】
焦点及び露光量の両方が印刷パターンに及ぼす影響を特性評価することは、一般に、焦点露光マトリックス(FEM)の使用を介して達成される。FEMの説明は、従来技術、例えば教科書Chris A.Mack,Fundamental Principles of Optical Lithography:The Science of Microfabrication,John Wiley&Sons,(London:2007)に見ることができる。
【0149】
一般に、焦点深度(DOF)は、プロセスが許容することができ、依然として許容可能なリソグラフィ結果を与えることができる焦点エラーの範囲と考えることができる。焦点の変化は、最終的なリソグラフィ結果に2つの大きな変化をもたらす。すなわち、フォトレジストプロファイル(その寸法を含む)が変化し、他の処理エラーに対するプロセスの感度が変化する。典型的には、フォトレジストプロファイルは、ライン幅(又は臨界寸法、CD)、エッジ配置エラー、プロファイルの側壁角度、特徴の最終的な高さ、ラインエッジ又はライン幅の粗さ、及び当該技術分野で既知の他の測定基準などのパラメータを使用して説明される。様々な測定方法を使用して、任意の所与の条件のセットに対して、焦点を伴うこれらのパラメータのばらつきが決定され得る。例えば、CDは、走査電子顕微鏡を使用して測定され得る。
【0150】
追加的に、画像が焦点から外れるにつれて、露光量、露光後の焼成時間及び温度、現像時間、現像剤濃度及び温度、基礎となるフィルムスタック特性などの他の処理変数の変化に、プロセスはより感度が高くなる。露光量は、一般的に、これらの他のプロセス応答を表すために選択される。パターニングの露光量に対する感度に対する焦点の影響は、各々ある範囲の設定にわたって露光量及び焦点の両方をばらつかせること、CD、ライン幅の粗さなどの印刷パターンの特性を測定することによって特性評価され得る。
【0151】
CDに対する焦点及び露光量の組み合わせた影響を表示する1つの方法は、
図39Aに示すように、Bossungプロットと呼ばれるものを使用することである。
図39Aに示されていないのは、実験データに常に存在する実験エラー(又は実験不確実性)である。実験エラー/不確実性(多くの場合、標準エラーの2倍など、測定値の標準エラーの倍数として表現される)は、最良の焦点及び露光でCDの1~数パーセントになる可能性があるが、焦点から外れるときに、エラーははるかに高くなる可能性がある。焦点露光CDデータをよりよく分析するために、当技術分野での一般的な1つのアプローチは、データノイズを低減し、フライヤ(外れ値とも呼ばれる)を排除するために、データを合理的な経験式にフィットさせることである。このアプローチの欠点は、経験式の選択が、得られる分析に恣意性のレベルを追加することである。
【0152】
2つの入力の関数としての1つの出力は、いくつかの異なる方法でプロットされ得る。例えば、Bossung曲線はまた、異なる焦点設定の露光寛容度曲線(ライン幅対露光量)としてプロットされ得る。この二次元データセットをプロットする別の非常に有用な方法は、輪郭プロット、すなわち一定ライン幅対焦点及び露光の輪郭である(
図39B)。ノイズの多い実験データの場合、これらの輪郭プロットにデータの平滑化されたバージョンをプロットすることも一般的である。例えば、前述のように、曲線フィッティング関数を使用してデータを平滑化し、次いで、未加工データからの輪郭の代わりに曲線フィットに基づいた輪郭がプロットされ得る。
【0153】
データ可視化の輪郭プロット形態は、最終画像が特定の仕様を満たすことを可能にする露光及び焦点の限界を確立するために特に有用である。一定CDの全ての輪郭をプロットするのではなく、許容性の外側限界に対応する2つのCDのみ、すなわちCD仕様に基づいて可能にされる最小CD及び最大CDをプロットすることができる。輪郭プロットの性質により、他の変数を同じグラフにプロットすることもできる。
図39Cは、CD(公称+/-10%)、80度の側壁角度、及び10%のレジスト損失の輪郭を全て同じグラフ上にプロットする一例を示す。結果は、プロセスウィンドウ、すなわち適用された全ての仕様内に最終的な印刷パターンを保つ焦点及び露光の領域である。
【0154】
多くの異なる測定結果がプロセスウィンドウに組み合わされ得る。確率的ばらつきが有意である特徴サイズ及びリソグラフィプロセスの場合、確率的関連結果をプロセスウィンドウの輪郭にプロットされ得る。例えば、ライン幅の粗さは、単一の仕様、すなわち最大可能LWRを使用してプロットされ得る。欠陥は、確率的測定基準としても使用されてもよい。
【0155】
焦点露光プロセスウィンドウは、露光及びフォーカスが連携してライン幅及び/又は印刷結果を判断するために使用される他の測定基準に影響をどのように与えるかを示すため有用である。プロセスウィンドウは、プロセス能力、すなわちプロセスが焦点及び露光の変化にどのように反応するかのものと考えることができる。所与のプロセスにおける焦点及び露光のエラー発生源の分析は、プロセス要件を与える。プロセス能力がプロセス要件を超える場合、製造されるデバイスの歩留まりが高くなる。しかしながら、プロセス要件がプロセス能力内に収まるには大きすぎる場合、歩留まり又はデバイス性能が損なわれることがある。
【0156】
多くの場合、プロセスウィンドウ内に収まることができる最大の焦点範囲及び露光(すなわち、最大プロセス要件)を評価することが有用である。この問題を調査する簡単な方法は、プロセスウィンドウと同じプロット上の矩形として焦点及び露光のエラーをグラフィックで表すことである。矩形の幅はプロセスの組み込み焦点エラーを表し、高さは組み込み線量エラーを表す。次いで、プロセスウィンドウ内に収まる最大の矩形を見つけるというものである。
【0157】
「最大」である異なる幅及び高さの多くの可能な矩形があってもよく、すなわち、それらは、プロセスウィンドウを越えて延びることなく、いずれの方向にも大きくすることができない(
図40A)。各最大矩形は、焦点エラーに対する許容値と露光エラーに対する許容値との間の1つの可能性のあるトレードオフを表す。露光エラーが最小限に抑えられる場合、より大きなDOFが取得され得る。同様に、焦点エラーが小さい場合、露光寛容度が改善され得る。結果、露光寛容度とDOFとの間のトレードオフである。
【0158】
全ての焦点エラー及び露光エラーが系統的である場合、それらのエラーのグラフィック(又は幾何学的)表現は矩形になる。幅及び高さは、それぞれのエラーの合計範囲を表す。しかしながら、エラーがランダムに分布する場合、それらを記述する確率分布関数が必要となる。露光及び焦点のランダムなエラーは、多くの小さなエラー発生源の合計によって引き起こされると仮定するのが一般的であるため、中心極限定理によって、焦点及び線量の全体的な確率分布は近似ガウス分布(正規分布)になる。
【0159】
焦点及び露光のエラーをグラフィックで表すために、一定の発生確率の表面を説明すべきである。表面内の焦点及び露光の全てのエラーは、確立されたカットオフを超える発生確率を有する。Bi-Gaussian分布(2つの独立変数のガウス分布)の場合、一定確率の表面は楕円である(
図40B)。
【0160】
系統的エラーに対する矩形又はランダムエラーに対する楕円のいずれかを使用して、所与のプロセスウィンドウに対して許容され得るエラーのサイズは、この幾何学的アプローチを使用して推定され得る。矩形を一例として、プロセスウィンドウ内に収まる最大矩形を見つけることができる。
図41は、全ての最大矩形が決定され、その幅(焦点深度)に対してその高さ(露光寛容度)がプロットされるプロセスウィンドウの分析を示す。同様に、焦点及び露光のガウスエラーを仮定すると、プロセスウィンドウ内に収まる全ての最大楕円が決定され得る。楕円の水平方向の幅は、焦点の6シグマエラー(最良の焦点についての±3シグマのばらつき)を表すことができるが、楕円の垂直方向の高さは露光の6シグマエラーを与える。全ての最大楕円の幅に対する高さをプロットすると、
図41のDOFに対する露光寛容度の第2の曲線が与えられる。
【0161】
焦点深度の定義は、最良の焦点及び最良の露光を決定することにも自然につながる。露光寛容度対DOF曲線の1点に対応するDOF値は、プロセスウィンドウ内に収まる1つの最大矩形又は楕円に対応する。この矩形又は楕円形の中心は、この所望の動作点の最良の焦点及び露光に対応する。最良の焦点及び線量値を知ることは、完全なプロセスウィンドウを使用することを可能にするために不可欠である。プロセス焦点及び線量設定がこの最適値から逸脱する場合、許容され得る焦点及び線量エラーの範囲はそれに応じて低減される。
【0162】
上記の全ての結果は、1つの重要な特徴の焦点及び露光応答を説明しているが、現実には、いくつかのマスク特徴を同時に印刷しなくてはならない。例えば、異なる公称サイズ及びピッチの特徴、又は他の特徴に対する異なる近接性の特徴は、同じ設計内に存在することができる。そのようなケースの場合、全体のプロセスウィンドウは、検討中の各特徴サイズ又はタイプのプロセスウィンドウのオーバーラップである。オーバーラップするプロセスウィンドウ内の焦点及び線量の設定により、各特徴のタイプ及び/又はサイズが仕様を満たすことを可能にする。各個々の特徴のDOFよりも重要な性能の尺度は、複数の重要な特徴のオーバーラップするDOFである。
【0163】
図39Cでは、複数のプロファイル測定基準がオーバーラップして1つのオーバーラップするプロセスウィンドウを形成するように、異なる特徴からのプロセスウィンドウがオーバーラップして、それらの複数の特徴を同時に印刷するためのDOFを決定することができる。
図42は、2つの異なるピッチのライン/空間パターンのそのような例を示す。理想的には、全ての重要な特徴サイズ及びピッチのプロセスウィンドウがオーバーラップする。
【0164】
フィールド位置の関数としてのパターニングの系統的ばらつきも、オーバーラップするプロセスウィンドウで説明され得る。同じ特徴がリソグラフィツール画像フィールドの異なる点で印刷された場合(典型的には、フィールドの中心及び4つのコーナーで十分である)、プロセスウィンドウをオーバーラップさせて、その特徴の使用可能なプロセスウィンドウを作成することができる。得られる焦点深度は、時として使用可能焦点深度(UDOF)と呼ばれる。
【0165】
FEM分析は他の方法でも使用され得る。プロセスウィンドウ分析の可能な出力の1つは、アイソフォーカルバイアスである。一般に、印刷特徴が焦点変化に対する最小感度を有するようにする1つの露光量がある。この線量はアイソフォーカル線量と呼ばれる。この線量では、印刷されたCDは、一般に、標的又は所望のCDとは異なる。この差は、アイソフォーカルバイアスと呼ばれる。プロセスウィンドウは、アイソフォーカルバイアスを評価するために使用され得る。
【0166】
上述のようなプロセスウィンドウの決定及び分析のための従来技術の幾何学的方法は、いくつかの問題を有する。最初に、計測エラー又は計測の不確実性は考慮されない。
図39C又は
図40Aにプロットされた輪郭は、プロセスウィンドウ内の領域をプロセスウィンドウ外の領域とは別個に描写する鋭い境界を描く。このような鋭い境界は、「良好」と見なされる領域(プロセスウィンドウ内の領域)と「不良」と見なされる領域(プロセスウィンドウ外の領域)との間にハードカットオフを生成する。現実には、計測の不確実性のために、良好と不良との境界はあいまいである。
【0167】
従来技術の幾何学的方法の第2の問題は、プロセスウィンドウを構築する前に、測定データの曲線フィッティング又は平滑化の必要性である。プロセスウィンドウのエッジに近い1つの異常なデータポイントだけで、輪郭位置に大きな偏差を生成する可能性がある(
図43)。結果は、このプロセスウィンドウから決定されるDOFの非常に顕著な差、及び/又は最良の焦点及び露光の大きな差であり得る。
【0168】
元のデータの平滑化又は曲線フィッティングの使用は、データの分析に恣意性のレベルを追加する。使用すべき先験的に正しい平滑化の量又は正しいフィッティング関数がなく、異なる選択は異なる結果を生成する。
【0169】
3つ目の問題は、最良の焦点及び線量値に関する焦点及び露光量エラーの確率を表すための、矩形、楕円形、又は他の幾何学的形状の使用の選択である。
図41が示すように、異なる選択は異なる結果を生成する。更に、幾何学的形状を使用してこれらの確率を表し、次いで、プロセスウィンドウ内に収まる最大形状を見つけることは、プロセスウィンドウ形状のほんの一握りの点が結果に影響を与えることを意味する。
図40Bに示すように、内接した楕円及び矩形は、ほんの数点でプロセスウィンドウに接触する。これにより、内接した形状のサイズは、輪郭ベースのプロセスウィンドウのわずかな点に影響を及ぼすかもしれない計測エラーに特に感度が高くなる。
【0170】
上記の問題の全ては、パターンサイズ、又は忠実度、又は粗さのより多くの測定基準をオーバーラップさせるとき、又は異なる特徴からプロセスウィンドウをオーバーラップさせるときに高まる。
【0171】
幾何学的プロセスウィンドウ分析の問題の結果は、露光寛容度及び焦点深度の正確でない及び/又は精密ではない測定である。露光寛容度又は焦点深度の正確ではない、又は精密ではない測定の結果は、パターニングプロセスの不十分な最適化である。多くの場合、材料の選択(異なるフォトレジスト、フォトレジストの下の異なる下層など)は、例えば、どの材料が最大の焦点深度を提供するかに基づいて(又は考慮に入れて)行われる。更に、光学投影ツールによって使用される照明のサイズ及び形状などのプロセスツール設定は、得られる焦点深度を考慮に入れる。
【0172】
光学近接補正(OPC)は、最終的な印刷パターンの忠実度を向上させるために、フォトマスク上に表されるようにチップ設計を修正するために使用される。時として、このOPCは、プロセスウィンドウに対するこれらのフォトマスク修正の影響を考慮に入れる。したがって、プロセスウィンドウの正確ではない、又は精密ではない決定又は分析は、OPCの結果に有害な影響を与える可能性がある。
【0173】
幾何学的プロセスウィンドウ分析の問題の別の結果は、最良の焦点及び最良の露光の正確ではない及び/又は精密ではない測定である。プロセスウィンドウ分析からの最良の焦点及び最良の露光の出力を使用して、製造中にリソグラフィ露光ツールを制御することができる。最良の焦点及び線量の測定された値は、リソグラフィツールに送信され、製品ウェハの製造における後続の使用のために、そのツールの線量及び焦点設定を調整するために使用される。結果として、最良の焦点及び最良の露光の正確ではない及び/又は精密ではない測定は、デバイスの歩留まり又はデバイスの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0174】
更に、リソグラフィツールの露光設定は、そのツールのスループットに影響を及ぼす可能性がある。一般に、より低い露光量は、露光ツールのより高いスループットを生成する。このため、プロセスウィンドウ分析によって決定されるように、十分な露光寛容度及び焦点深度を維持しながら、できるだけ露光量を低下させることが望ましい可能性がある。プロセスウィンドウの正確ではない及び/又は精密ではない測定は、デバイスの歩留まり又はデバイスの性能を危険にさらすことなく、スループットのそのような改善を達成することを難しくする。
【0175】
プロセスウィンドウ分析の更なる使用は、プロセス監視のためである。最良の焦点、最良の露光、露光寛容度、及び焦点深度は全て、トレンドチャート、又は統計プロセス制御(SPC)などの標準的な統計的技術を使用して経時的に監視され得る。チャート化された変数の現在の挙動の過去の挙動からの偏差は、更なる調査又は他のアクションのためにフラグを立てることができる。プロセスウィンドウの正確ではない及び/又は精密ではない測定及びその関連する測定は、トレンドチャート又は他の形態のプロセス制御の有効性を低下させる。
【0176】
更に、従来技術の幾何学的プロセスウィンドウアプローチは、最良の焦点、最良の露光、焦点深度、及び露光寛容度などの様々な分析出力の不確実性推定値を生成しない。不確実性推定値がなければ、これらの出力の有用性は低下する。例えば、プロセスウィンドウ分析から決定された最良の線量及び焦点の値を使用して、製造中のスキャナの線量及び焦点設定を制御することは、その変化がプロセスウィンドウの最良の線量及び/又は焦点の不確実性推定値よりも大きい場合にのみ、スキャナ設定の変化をもたらすべきである。
【0177】
これら及び他の理由により、従来技術のプロセスウィンドウアプローチを有する問題のうちの1つ以上に対処するプロセスウィンドウ測定及び分析のための異なる方法を見つけることが望ましい。
【0178】
15.確率的プロセスウィンドウ
ここで、プロセスウィンドウの測定及び分析のための新しい方法の実施形態、並びにプロセスの最適化及び制御のためのその使用について説明する。確率的プロセスウィンドウ(PPW)と呼ばれるこの新しい方法の実施形態は、上述のように、従来技術の方法(幾何学的プロセスウィンドウなど)の問題の多くを解決することができる。このPPWアプローチは、1つ以上の出力結果に対するそれらの影響を決定するために、2つ以上の相互作用するプロセス変数がばらつくときに使用され得る。以下、使用される主な例では、2つのプロセス変数について論じる。更に、以下の主な例は、リソグラフィパターニングのプロセスステップ中に、露光量及び焦点の2つのプロセス変数を使用する。しかしながら、PPWアプローチは、一般に、リソグラフィ、エッチング、堆積、又は他の処理ステップを扱う3つ以上のプロセス変数を取り扱うのに十分である。
【0179】
いくつかの実施態様では、とりわけ、リソグラフィプロセス内の関連付けの指示の確率が仕様要件を満たすと決定するために、測定の不確実性を説明するために、確率的プロセスウィンドウが使用される。例えば、ILM計測ツール765の代わりに(又はそれに加えて)、システム700は、確率的なプロセスウィンドウツール(図示せず)を含んでもよい。実験(DoE)の二次元(2D)設計は、昇順で第1のDoE因子を表すX値(おそらく不規則に間隔を置いた)のリストを含んでもよい。この第1のDoE因子は、いくつかの出力又は複数の出力への影響を決定するために意図的に変化させられたプロセス変数である。2D DoEはまた、昇順で第2のDoE因子を表すY値(おそらく不規則に間隔を置いた)のリストを含んでもよい。この第2のDoE因子は、その出力又は複数の出力への影響を決定するために意図的に変化させられたプロセス変数でもある。
【0180】
2D DoEはまた、いくつかのプロセス応答又は出力に適用される(最小及び/又は最大許容値を有する)仕様sのセットを含んでもよい。例えば、リソグラフィプロセスでは、1つの出力は、印刷された特徴の臨界寸法(CD)であり得る。その出力の仕様は、その出力の最小許容値、及び/又はその出力の最大許容値を説明する。一例として、CDの仕様は、目標(所望の)値+/-10%であり得る。CDの目標値が20nmの場合、仕様(それぞれ最小値及び最大値)を18nm及び22nmに設定することができる。
【0181】
いくつかの点(x∈X、y∈Y)に対して、2D DoEはまた、各仕様s∈Sに対して、z値(測定結果)及びそのz値に対応する標準エラー(測定不確実性の表現)を含んでもよい。言い換えれば、測定データは、z値に対するものと、(x、y、s)でインデックス付けされる標準エラーに対するものの2つの三次元配列によって表され得る。ある点(x、y)が仕様内にある確率を決定するために、プロセスを使用して確率的プロセスウィンドウを生成することができる。いくつかの実装態様では、プロセスは、2つの主なステップを含んでもよい。第1のステップでは、以下に更に説明されるように、各所与のz値が実際に仕様sにある確率は、その点の標準エラー(又は不確実性の他の尺度)を使用して決定される。第2のステップでは、以下に更に説明されるように、第1のステップで生成されたフィールドにわたるいくつかのテスト点(x、y値)を中心とする二変量確率分布が適用されて、テスト点が、x及びyにおけるいくつかのエラーを所与とした仕様内にある確率を決定する。
【0182】
PPW決定の実験部分は、マトリックス内の2つ以上のプロセス変数をばらつかせる。露光量及び焦点などの2つのプロセス変数(ここではx入力とy入力と呼ばれ)を考える。露光量及び焦点の各々は、例えば、線量における一定のステップサイズ及び焦点における一定のステップサイズを使用して、ある範囲にわたってばらつく。線量及び焦点の可変ステップサイズも使用され得る。パターンは、1つ以上のウェハ上の入力値のこの二次元行列を使用して印刷される。次いで、これらのウェハが測定されて、1つ以上の測定出力(ここではz出力と呼ばれる)を決定する。例えば、CD、非バイアス粗さ、欠陥、ローカルCDU、パターン形状若しくは忠実度の測定基準、又はプロセスの出力の他の測定基準が測定され得る。
【0183】
ほとんどの場合、CDなどの出力の測定は、その出力の測定不確実性の推定を含む。例えば、ウェハの単一のSEM画像は、例えば、20ライン及び空間を含んでもよい。そのような場合、測定出力として、所望の出力としての平均CD、すなわち、画像上の各々の個々のラインのCDの平均値を生成することが一般的である。次いで、平均の標準エラーを、その平均CDの測定不確実性の推定値として使用することができる。統計学の分野で既知のように、平均の不確実性の他の測定基準も使用され得る。不確実性の推定値として、時には標準エラーの倍数(例えば、2倍)が使用される。総測定不確実性の他の推定値も使用され得る。
【0184】
時には、様々な理由で、入力値の関数としての出力の配列内の1つ以上のデータ点が欠落する可能性がある。したがって、PPW決定における第1のステップの前に、欠落データ点が、例えば補間によって充填されてもよい(それらの値は近似されてもよい)。例えば、以下に含まれる表5及び表6は、欠損データ点を有する測定値である。欠落データ点を取り扱うための他の方法も用いられてもよい。
表5
平均ラインCD(仕様1)。
表6
非バイアスLER平均(仕様2)。
【0185】
例えば、補間によって決定されることができる数の値を含む各仕様のグリッドでは、プロセスの第1のステップでは、出力値がその仕様を満たすかどうか(すなわち、値が「仕様内」又は「仕様内」であると言われる)が決定される。プロセスの第1のステップの第1の部分では、測定された各出力(平均z値)及びその出力の不確実性(σzなど、平均z値の標準エラー)に対して、及び各仕様sに対して、出力が実際に仕様内にある確率が決定される。例えば、出力の分布は正規分布(すなわち、ガウス分布)に従うと仮定してもよいかもしれない。他の確率分布も可能である。ここで、出力が実際に仕様内にある確率の計算について説明する。
【0186】
平均出力値z、その平均σ
zの標準エラー、及び仕様s(最小及び最大仕様値、例えば、s
min及びs
max)を所与として、測定された平均値zが仕様内にある確率を決定したい。例えば、平均値zに対するガウス分布を仮定すると、正規曲線の下の面積は、zの真の値が[s
min、s
max]にある確率を決定するために、s
minからs
maxまでμ=z及びσ=σ
zを用いて計算され得る。例示的な正規分布累積分布関数(CDF)が、以下の式11で与えられる。
【数11】
式中、erfは周知のエラー関数である。エラー関数の定義は、以下の式12で与えられる。
【数12】
【0187】
Z値が仕様内にある確率は、以下の式13を使用して決定されてもよい。
【数13】
【0188】
最大仕様値がない場合、第1の項は1に等しい。更に、最小仕様値がない場合、第2の項は0に等しい。
図32は、測定値が仕様内にある確率を確率密度曲線の下の適切なエリアとして解釈する一例を例示する。
【0189】
計測の不確実性を考慮することなく、従来のプロセスウィンドウアプローチでは、出力値が仕様内にあるかどうかのいずれかである。言い換えれば、1の確率は、仕様内の出力に効果的に起因し、0の確率は、仕様外の出力に効果的に起因する。
【0190】
第1のステップの第2の部分では、出力が全ての仕様内にある確率が決定される。第1のステップの出力は、「確率的プロセスウィンドウ」と呼ばれてもよい。各点(入力値のペア)(x、y)に対して
を所与として、各点が全ての仕様内にある確率が決定される。例えば、各Pが独立であるという仮定(すなわち、1つの出力応答の測定不確実性は、第2の出力応答の測定不確実性とは独立である)に基づいて、以下の式14で与えられるように、全ての仕様の全ての確率が一緒に乗算される。
【数14】
【0191】
仕様内の確率の|s|グリッドで開始した後、第1のステップの最終結果は仕様内の確率の1つのグリッドである。いくつかの実施態様では、システム700のプロセッサ755は、複数の確率を、(例えば、出力デバイス770上の)ユーザインターフェースに表示されるグラフの1つ以上のグラフィック要素として提示するように構成されている。例えば、
図33は、第1のステップの最終結果を表すヒートマップの一例である。
図33に例示されるヒートマップに含まれる輪郭ラインは、従来の(幾何学的)プロセスウィンドウを表し、比較目的で描画されている。三次元最終結果ヒートマップの代替的なビューが
図34に例示されている。
【0192】
プロセスの第2のステップでは、第1のステップからの確率のグリッドを使用して、いくつかの平均μx、μy及びいくつかのエラーσx、σyを使用して、入力値の二変量確率分布がグリッドに適用される。平均μx、μyは、プロセス設定点、すなわち、プロセスによって使用される入力変数x及びyの公称値を表す。エラーσx、σyは、スキャナフィールド全体、チップ全体、ウェハ全体、又はウェハ間にわたるばらつきなど、プロセスに存在する入力変数のばらつきを表す。多くの場合、二変量確率分布を生成する目的で、2つの入力変数x及びy(焦点及び露光量など)を独立変数と考えることができるが、これは要件ではない。いくつかの平均μx、μy及びいくつかのエラーσx、σyを使用した二変量分布は、2つの入力変数x及びyが特定の値を有する確率密度を表す。
【0193】
第2のステップの第1の部分では、点間の各グリッドセルに対して、いくつかのエラーσ
x、σ
yを伴ういくつかの平均μ
x、μ
yにおける二変量分布中心の下の体積が決定される。次に、決定された体積は、プロセスの第1のステップで生成された現在のグリッドセルのコーナー点の確率にフィットする関数の出力によって重み付けされる。例えば、ガウス分布を使用して、体積は、以下の式14を使用して決定されてもよい。
【数15】
【0194】
次に、グリッド内の全ての値が合計されて、σ
x、σ
yを伴うこの平均μ
x、μ
yの全体的な確率を決定する。例えば、グリッド内の全ての値は、以下の式15を使用して合計されてもよい。
【数16】
【0195】
第2のステップの第2の部分では、第2のステップの第1の部分は、μ
x、μ
yの異なる値に対して繰り返され、その点を中心とする平均を用いて仕様内の確率を決定する。例えば、
図33及び
図34に例示される第1のステップの元のグリッドを使用して、μ
x、μ
yの各値が決定されるが、元の入力データグリッドの値にμ
x、μ
yが設定されることは要件ではない。
図35は、
回繰り返される第2のステップの第1の部分の一例のチャートである。
図35に例示される各正方形は、その点を中心とする二変量ガウス分布を表す。
図35に例示されるチャートの代替的なチャートビューが
図36に例示される。
【0196】
このプロセスの第3のステップでは、標準的な非線形最適化アルゴリズム(例えば、Nelder-Mead又はGauss-Newton)を使用して、いくらかのエラーσx、σyの最も高い確率でμx、μyを決定する。これは、入力変数x及びyのプロセス設定の「最良」の値を表す。ここで、「最良」とは、プロセスに組み込まれたエラーσx、σyを所与とする仕様内特徴の最高の画分を生成するプロセス設定(値μx、μy)を意味する。FEMプロセスウィンドウのケースの場合、これは最良の焦点及び最良の露光である。この焦点及び露光量を使用するようにリソグラフィツールを設定すると、最良の印刷結果が生成されてもよい。
【0197】
プロセスの第4のステップでは、σ
y対σ
x曲線が生成される。σ
xのステップサイズが選択される。σ
xが増分されるにつれて、σ
yが調整され、第3のステップの検索方法が繰り返し使用されて、σ
yの最良の値を決定する(「最良の値」は、例えば、いくつかのカットオフ、例えば、99.73%を上回る最も低い確率の点を示す)。σ
xの増分は、σ
yがカットオフ基準を満たさないときに停止される。決定された点は、σ
y対σ
x曲線を生成するためにプロットされる。いくつかの実施態様では、σ
xは焦点深度であり、σ
yは露光寛容度である。
図37は、σ
y曲線対σ
x曲線の一例である。従来のプロセスウィンドウ分析は、プロセスウィンドウ内に収まる最大の矩形又は楕円を見つける幾何学的形状に基づくことがある。類似するがより厳密な曲線は、上に概説されたステップを使用して確率的プロセスウィンドウを使用して生成され得る。
【0198】
確率的プロセスウィンドウが特定の仕様を有する特定のデータセットに対して決定されると、確率的プロセスウィンドウは、2つ以上の入力プロセス変数が同じであり、類似の境界を有する限り、任意の数の他の確率的プロセスウィンドウと組み合わされてもよい。他の確率的プロセスウィンドウは、異なる基礎となる出力値、特徴タイプ、及び仕様を有し、確率の単位がない性質により、依然として組み合わされてもよい。確率的なプロセスウィンドウを組み合わせるために、それぞれのもののテスト点が評価されてもよく、得られた確率が一緒に乗算されて、確率的なプロセスウィンドウにわたって組み合わされた確率を決定する。
【0199】
ここで、
図38を参照すると、測定不確実性を説明する確率的プロセスウィンドウを生成するために、例示的な方法3800が提供される。方法3800は、開始し(ブロック3802)、グラフの第1の軸上に表される第1の変数を選択する(3804)。次に、方法3800は、グラフの第2の軸上に表される第2の変数を選択する(ブロック3806)。いくつかの実施態様では、第1の変数及び第2の変数は、確率的プロセスウィンドウに関連付けられている。いくつかの実施態様では、第1の変数は、露光量を含み、第2の変数は、走査リソグラフィプロセスの焦点を含む。代替的な実施態様では、第1の変数は、エッチング時間を含み、第2の変数は、ウェハ温度を含む。プロセス変数の他の多くの組み合わせが可能である。
【0200】
次に、方法3800は、第1の変数及び第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数(又は出力応答変数)を選択するために進む(ブロック3808)。これらの出力応答変数は、第1の変数及び第2の変数の関数として測定される。各出力応答変数は、第1の変数及び第2の変数の関数としてグラフ化され得る。各出力応答変数に対して、許容可能と見なされる出力応答の値に対して仕様が設定される。
【0201】
次に、方法3800は、出力応答変数の各々の測定不確実性を決定するために進む(ブロック3810)。次に、方法3800は、1つ以上の出力応答変数の測定値、及び少なくとも1つの出力応答変数の測定不確実性に基づいて(ブロック3810)、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が各出力応答変数の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定するために進む(ブロック3812)。複数の確率は、プロセスウィンドウを表す。次に、方法3800は、プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成するように進む。
【0202】
いくつかの実施態様では、第3の入力変数が選択される。いくつかの実施態様では、第3の変数は、温度である。更に、第1の変数及び第2の変数のばらつきと組み合わせて、第3の変数の関数としての出力応答の測定値に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた第2の複数の点が仕様要件を満たすかどうかの第2の複数の指示を表す第2の複数の確率が決定される。第2の複数の確率は、第2のプロセスウィンドウを表す。
【0203】
複数の確率は、半導体デバイスの製造の所望のコスト最適化を達成するように修正されてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、ユーザが第1の変数及び/又は第2の変数を変化させて、複数の確率をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正することを可能にするように構成された1つ以上のグラフィック要素が提示される。リアルタイムとは、2秒以下を指してもよい。ほぼリアルタイムとは、2人の個人がそのようなユーザインターフェースを介して対話に参加することを可能にするのに十分に短い時間の任意の相互作用を指してもよく、一般に10秒未満(又は2つの異なる時間間の任意の好適な近接差)であるが、2秒を超える。
【0204】
いくつかの実施形態では、プロセス範囲のばらつきは、第1の変数及び第2の変数に対して選択される。第1の変数及び第2の変数の各々の設定及びプロセス範囲を所与とする仕様要件を満たす特徴の画分が決定される。仕様要件を満たす特徴の画分に基づいて、仕様を満たす特徴の最大画分を生成する第1の変数及び第2の変数の設定の決定が行われてもよい。
【0205】
16.プロセス制御のための確率的プロセスウィンドウの使用
焦点及び線量を制御することは、半導体製造中に印刷されたパターンの臨界寸法を管理する重要な部分である。焦点及び線量を制御する方法を理解する際の第1のステップは、上で論じられたように、焦点露光プロセスウィンドウを使用して、ばらつきに対する臨界特徴の応答を特性評価することである。CD(及び他の出力応答)対焦点及び線量データの適切な分析は、プロセスウィンドウの計算、露光寛容度DOFプロットを生成するプロセスウィンドウサイズの測定、及び焦点深度の単一値の決定を可能にする。上で論じられたように、最良の分析方法は確率的プロセスウィンドウを使用する。
【0206】
最良の焦点及び線量はまた、PPWに基づいて焦点及び線量エラーに対する許容を最大化するプロセス設定として、この分析で決定される。最良の焦点及び線量が決定されると、次の目的は、製造ウェハがリソグラフィセルを通過するときに、この最良の焦点及び線量条件でプロセスを真ん中に保つことである。リソグラフィで発生するほぼ全てのエラーは、有効線量エラー又は有効焦点エラーのいずれかのように作用するため、適切な間隔の後に線量及び焦点を適切に調整することは、はるかに厳しいパターニング制御を提供することができる。そして、パターニング制御の改善は、より高い製造歩留まり及び製造されるデバイスのより良い性能をもたらすことができる。
【0207】
多くの場合、線量及び焦点の変数、並びに確率的プロセスウィンドウ分析で使用され得る他のプロセス変数は、周知の高度なプロセス制御(APC)方法論を使用して監視及び制御される。これらのAPC方法は、プロセスツールを制御するためのフィードフォワードループ及びフィードバックループを含む。これらのプロセス制御方法は、従来のプロセスウィンドウ分析を上述のより厳しく正確なPPW分析に置き換えることによって強化される。
【0208】
プロセスウィンドウ分析は、ウェハ処分目的にも使用することができる。ウェハ処分は、プロセスウィンドウ分析の出力を取得し、プロセスウィンドウによって表されるウェハを後続のプロセスに進めるべきか、又は予想される不十分な印刷パターンのために拒否すべきかを判断する。拒否される場合、これらのウェハは再加工又は廃棄される可能性がある。ウェハ処分中の誤った判断は、後続の処理に対して悪いウェハを渡すか、又は良いウェハを拒否し、非常にコストがかかる可能性がある。例えば、上述のPPWプロセスを使用して、プロセスウィンドウ分析の正確性の改善は、ウェハ処分精度を改善することができる。
【0209】
プロセス制御の1つのアプローチは、機械学習を使用する。機械学習アルゴリズムは、例えば、デバイスの製造に使用される多くのプロセス変数に基づいて、歩留まり又はデバイスの性能に関連する予測を行うことを模索する。予測機械学習モデルは、最初に、測定された出力(予測されるもの)を測定された入力(プロセス変数及び中間結果、製造プロセスの特定のステップにおける特定の特徴のCDなど)の関数として使用して訓練される。機械学習アルゴリズムは、プロセスウィンドウ情報を訓練及び予測の両方に使用することができる。このように、PPWアプローチの正確性及び精密性の改善は、機械学習予測の改善につながる可能性がある。
【0210】
上述の実施態様は、エッジ粗さを測定するために、公称平面パターン構造のトップダウン画像を参照するが、本開示は、そのようなパターン構造幾何学的形状に限定されるものではない。三次元構造、非フラット構造、曲面、又は傾斜構造が、本発明を使用して測定され得る。エッジ粗さに加えて、表面粗さが、本開示に説明されているような類似の技術を使用して測定及び分析され得る。
【0211】
上述の実施態様は、粗さの測定を参照するが、本開示はまた、他の測定を行うために使用され得る。例えば、パターン構造のエッジの非常に正確な決定は、特徴の幅、特徴の配置、エッジの配置、及び他の類似の測定値の測定で使用され得る。測定された特徴の輪郭は、測定されたデバイスのモデリング又は性能の制御など、多くの目的に使用され得る。多くのサンプルの測定を収集して統計的に平均することにより、更に高い正確性(より低い不確実性)が取得され得る。
【0212】
上記の開示と一致して、以下の条項で列挙されるシステム及び方法の例は、具体的に企図されており、例の非限定的なセットとして意図されている。
【0213】
条項1.コンピュータ実装方法であって、
グラフの第1の軸上に表される第1の変数を選択することと、
グラフの第2の軸上に表される第2の変数を選択することと、
第1の変数及び第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数を選択することと、
各応答変数の測定不確実性を決定することと、
応答変数の測定値、及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、各出力の仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定することであって、複数の確率が、プロセスウィンドウを表す、決定することと、
プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【0214】
条項2.構成することが、制御信号をリソグラフィツールに伝送して、第1の変数に基づいて第1の動作パラメータを設定し、第2の変数に基づいて第2の動作パラメータを設定することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【0215】
条項3.複数の確率を、コンピューティングデバイスのユーザインターフェース上にグラフのグラフィック要素として提示することを更に含む、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0216】
条項4.複数の確率の提示が、ユーザインターフェース上のヒートマップ、3Dプロット、又は輪郭プロットである、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0217】
条項5.1つ以上の応答変数の測定不確実性が、ガウス正規確率分布によって表される、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0218】
条項6.第1の変数及び第2の変数が確率的プロセスウィンドウに関連付けられている、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0219】
条項7.第1の変数が、露光量を含み、第2の変数が、走査リソグラフィプロセスの焦点を含む、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0220】
条項8.ユーザが第1の変数、第2の変数、又はその両方の特性を変化させて複数の確率をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正することを可能にするように構成された1つ以上のグラフィック要素を提示することを更に含む、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0221】
条項9.ユーザが第1の変数、第2の変数、又はその両方の特性を変化させて複数の確率をリアルタイム又はほぼリアルタイムで修正することを可能にするように構成された1つ以上のグラフィック要素を提示することを更に含み、複数の確率を修正することは、半導体デバイスを製造することの所望のコスト最適化に関連付けられている、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ実装方法。
【0222】
条項10.システムであって、
リソグラフィツールと、
命令を記憶するメモリデバイスと、
メモリデバイス及びリソグラフィツールに結合された処理デバイスと、を備え、処理デバイスが、命令を実行して、
グラフの第1の軸上に表される第1の変数を選択することと、
グラフの第2の軸上に表される第2の変数を選択することと、
第1の変数及び第2の変数に依存する応答変数を選択することと、
応答変数の測定不確実性を決定することと、
応答変数の測定値、及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定することであって、複数の確率が、プロセスウィンドウを表す、決定することと、
プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成することと、を行う、システム。
【0223】
条項11.構成することが、制御信号をリソグラフィツールに伝送して、第1の変数に基づいて第1の動作パラメータを設定し、第2の変数に基づいて第2の動作パラメータを設定することを含む、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0224】
条項12.処理デバイスが、複数の確率を、コンピューティングデバイスのユーザインターフェース上にグラフのグラフィック要素として提示するように更に構成されている、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0225】
条項13.複数の確率の提示が、ユーザインターフェース上のヒートマップである、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0226】
条項14.応答変数の測定不確実性が、ガウス正規確率分布である、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0227】
条項15.第1の変数及び第2の変数が確率的プロセスウィンドウに関連付けられている、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0228】
条項16.第1の変数が、露光量を含み、第2の変数が、走査リソグラフィプロセスの焦点を含む、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0229】
条項17.処理デバイスが、
第1の変数及び第2の変数に対するプロセス範囲のばらつきを選択することと、
第1の変数及び第2の変数の各々の設定及びプロセス範囲を所与とする仕様要件を満たす特徴の画分を決定することと、
仕様要件を満たす特徴の画分に基づいて、仕様を満たす特徴の最大画分を生成する第1の変数及び第2の変数を決定することと、を行うように更に構成されている、本明細書の任意の条項に記載のシステム。
【0230】
条項18.命令を記憶する有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、命令が、実行されるときに、処理デバイスに、
グラフの第1の軸上に表される第1の変数を選択することと;
グラフの第2の軸上に表される第2の変数を選択することと;
第1の変数及び第2の変数の関数である少なくとも1つの応答変数を選択することと、
各応答変数の測定不確実性を決定することと、
応答変数の測定値、及び応答変数の測定不確実性に基づいて、リソグラフィプロセスに関連付けられた複数の点が、仕様要件を満たすかどうかの複数の指示を表す複数の確率を決定することであって、複数の確率が、プロセスウィンドウを表す、決定することと、
プロセスウィンドウに基づいて、半導体デバイスを製造するために、リソグラフィツールを構成することと、を行わせる、コンピュータ可読媒体。
【0231】
条項19.構成することが、制御信号をリソグラフィツールに伝送して、第1の変数に基づいて第1の動作パラメータを設定し、第2の変数に基づいて第2の動作パラメータを設定することを含む、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ可読媒体。
【0232】
条項20.処理デバイスが、複数の確率を、コンピューティングデバイスのユーザインターフェース上にグラフのグラフィック要素として提示するように更に構成されている、本明細書の任意の条項に記載のコンピュータ可読媒体。
【0233】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施態様を説明する目的のためであり、本開示を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」はまた、文脈が明らかに別様に示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用されるときに、「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが更に理解される。
【0234】
一般的な説明又は実施例で上述されるアクティビティの全てが必要とされるわけではなく、特定のアクティビティの一部が必要とされなくてもよく、説明されるアクティビティに加えて1つ以上の更なるアクティビティを実行され得ることに留意する。また更に、アクティビティがリストされる順序は、必ずしもアクティビティが実行される順序ではない。
【0235】
本特許文献全体で使用される特定の単語及びフレーズの定義を定めることが有利であり得る。「通信する」という用語及びその派生形は、直接的及び間接的な通信の両方を包含する。「含む(include)」及び「備える(comprise)」という用語並びにそれらの派生形、限定されない包含を意味する。「又は」という用語は、包括的であり、及び/又はを意味する。「~に関連付けられた」というフレーズ及びその派生形は、含むこと、~に含まれること、相互接続すること、含有すること、~に含有されること、~に接続すること又は~と接続すること、~に結合すること又は~と結合すること、~と通信可能であること、~と協力すること、インターリーブすること、並置すること、~に近接すること、~に密接すること又は~と密接すること、有すること、~の特性を有すること、~に関係を有すること又は~と関係を有することなどを意味することができる。「~のうちの少なくとも1つの」というフレーズは、項目のリストとともに使用されるときに、リストされた項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用され得、リスト内の1つの項目のみが必要とされ得ることを意味する。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B及びCの組み合わせのうちのいずれかを含む。
【0236】
本開示の説明は、任意の特定の要素、ステップ、又は機能が、特許請求の範囲に含まれなければならない必須又は重要な要素であると示唆していると読まれるべきではない。特許を受けた主題の範囲は、許可された請求項によってのみ定義される。更に、請求項のいずれも、添付の請求項又は請求項の要素のいずれに関しても、機能を識別する特定のフレーズの後に「~のための手段」又は「~のためのステップ」という正確な単語が特定の請求項で明示的に使用されない限り、米国特許法第112条(f)項は適用されない。請求項内の「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「コンポーネント」、「要素」、「メンバ」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」など(これらに限定されない)の用語の使用は、請求項自体の特徴によって更に修正又は強化されるように、当業者に知られている構造を指すことが理解され、かつ意図されており、米国特許法第112条(f)項を適用することは意図されていない。
【0237】
利益、他の利点、及び課題に対する解決策が、具体的な実施態様に関して上述されている。しかしながら、利益、利点、課題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策が生じるか、又はより顕著することができる任意の特徴は、請求項のいずれか又は全てに重要であるか、必要であるか、又は本質的であるとして解釈されるべきではない。
【0238】
本明細書を読めば、当業者は、別個の実施態様の文脈で明確にするために本明細書で説明されている特定の特徴がまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解するであろう。逆に、単一の実施形態の文脈で簡潔にするために説明されている様々な特徴がまた、個別に、又は任意のサブコンビネーションで提供され得る。更に、範囲に記載された値への参照は、その範囲内の各値及び全ての値を含む。
【0239】
以下の請求項における全ての手段又はステッププラスファンクション要素の対応する構造、材料、行為、及び等価物は、具体的に請求項に記載された他の請求項の要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、又は行為を含むことが意図される。本開示の説明は、例示及び説明の目的で提示されているが、網羅的であること、又は開示された形態の本発明に限定されることを意図していない。多くの修正及び変形は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかである。実施態様は、本開示の原理及び実際の用途を最もよく説明するために、また、当業者が、企図される特定の用途に適するように、様々な修正を伴う様々な実施態様について本開示を理解することを可能にするために、選択及び説明されている。
【符号の説明】
【0240】
700 エッジ検出システム
701 SEM
702 真空ポンプ
703 真空チャンバ
705 電子銃
707 電子ビーム
710、715、720 電磁コンデンサレンズ
710、715、720、725 電子撮像光学系
725 走査コイル
732 パターン構造レシーバ
735 最終レンズアパーチャ
740 後方散乱電子検出器
745 二次電子検出器
750 情報取り扱いシステム(IHS)
755 プロセッサ
757 インターフェース
760 記憶装置
765 逆ライン走査モデル計測ツール
770 出力デバイス
800 パターン構造
805 二次電子
810 基板
815 特徴
815-1 エッジ
815-2 エッジ
820 相互作用体積
905、910 エッジ
905’、910’ ピーク
915 特徴
1105 モデル
1110 モンテカルロシミュレーション結果
1205 モデル
1210 モンテカルロシミュレーション結果
2305 ブロック
2310 ブロック
2315 ブロック
2320 ブロック
2325 ブロック
2330 ブロック
2335 ブロック
2350 ブロック
2400 サンプル/パターン構造
2502 ライン幅粗さ(LWR PSD
2504 ラインエッジ粗さ(LER PSD)
2506 パターン配置粗さ(PPR PSD)
2507 スパイクアーチファクト
2508 LWR PSD
2510 LER PSD
2512 PPR PSD
3000 方法
3002 ブロック
3004 ブロック
3006 ブロック
3008 ブロック
3010 ブロック
3014 ブロック
3016 ブロック
3018 ブロック
3100 方法
3102 ブロック
3104 ブロック
3106 ブロック
3108 ブロック
3110 ブロック
3112 ブロック
3114 ブロック
3800 方法
3802 ブロック
3804 第1の変数を選択
3806 ブロック
3808 ブロック
3810 ブロック
3812 ブロック
【国際調査報告】