IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グーグル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-508089気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理
<>
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図1
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図2
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図3
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図4
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図5
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図6
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図7
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図8
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図9
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図10
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図11
  • 特表-気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/18 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
G01W1/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541102
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2021012297
(87)【国際公開番号】W WO2022150035
(87)【国際公開日】2022-07-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル,ウィリアム・ビィ
(57)【要約】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイスシステム(720)が提供される。基準デバイスシステム(720)は複数の基準デバイスを含み、複数の基準デバイスのうちの基準デバイス(110)は、測候所(115)に対して較正されるように、かつ、コミュニティデバイス(130)の較正基準となるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイスシステム(720)であって、前記基準デバイスシステム(720)は、
複数の基準デバイスを備え、前記複数の基準デバイスのうちの基準デバイス(110)は、測候所(115)に対して較正されるように、かつ、コミュニティデバイス(130)の較正基準となるように構成されている、基準デバイスシステム(720)。
【請求項2】
前記複数の基準デバイスのうちの前記基準デバイス(110)は、移動基準デバイス(110m)および定置基準デバイス(110s)のうちの一方である、請求項1に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項3】
前記複数の基準デバイスのうちの前記基準デバイス(110)は、前記測候所(115)からの気象関連パラメータのオフセット値および測定値のうちの一方を受信するように構成されている、請求項1に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項4】
前記複数の基準デバイスのうちの前記基準デバイス(110)は、前記基準デバイス(110)の位置情報の送信および前記測候所(115)の位置情報の受信のうちの一方を実行して、前記基準デバイス(110)を前記測候所(115)に対して較正できるか否かを判断するように構成されている、請求項1に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項5】
前記複数の基準デバイスのうちの前記基準デバイス(110)は、前記基準デバイス(110)の位置情報の送信および前記コミュニティデバイス(130)の位置情報の受信のうちの一方を実行して、前記コミュニティデバイス(130)を前記基準デバイス(110)に対して較正できるか否かを判断するように構成されている、請求項1に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項6】
較正サーバ(120)をさらに備え、前記較正サーバ(120)は、トリガアルゴリズムおよび較正アルゴリズムのうちの少なくとも一方を実行するように構成されている、請求項1に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項7】
前記較正サーバ(120)がトリガアルゴリズムを実行するように構成されていることは、前記較正サーバ(120)が、前記基準デバイス(110)の位置情報を受信し、前記コミュニティデバイス(130)の位置情報を受信し、前記基準デバイス(110)および前記コミュニティデバイス(130)が較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成されていることを含む、請求項6に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項8】
前記較正サーバ(120)が較正アルゴリズムを実行するように構成されていることは、前記較正サーバ(120)が、
気象関連パラメータを測定する前記基準デバイス(110)によって求められた測定値を取得し、
前記気象関連パラメータを測定する前記コミュニティデバイス(130)によって求められた測定値を取得し、
前記基準デバイスによって求められた前記測定値と前記コミュニティデバイス(130)によって求められた前記測定値との比較に基づいてオフセット値を求めるように構成されていることを含む、請求項6に記載の基準デバイスシステム(720)。
【請求項9】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイス方法であって、前記基準デバイス方法は、
1つ以上の基準デバイスを提供することと、
前記1つ以上の基準デバイスを測候所に対して較正することと、
前記1つ以上の基準デバイスをコミュニティデバイスの較正基準となるように構成することとを備える、基準デバイス方法。
【請求項10】
前記1つ以上の基準デバイスを提供することは、移動基準デバイスおよび定置基準デバイスのうちの少なくとも一方を提供することを含む、請求項9に記載の基準デバイス方法。
【請求項11】
前記測候所によって測定された気象関連パラメータのオフセット値および測定値のうちの一方を受信することをさらに備える、請求項9に記載の基準デバイス方法。
【請求項12】
前記1つ以上の基準デバイスの位置情報の送信および前記測候所の位置情報の受信のうちの少なくとも一方を実行して、前記1つ以上の基準デバイスを前記測候所に対して較正できるか否かを判断することをさらに備える、請求項9に記載の基準デバイス方法。
【請求項13】
前記基準デバイスの位置情報の送信および前記コミュニティデバイスの位置情報の受信のうちの少なくとも一方を実行して、前記コミュニティデバイスを前記基準デバイスに対して較正できるか否かを判断することをさらに備える、請求項9に記載の基準デバイス方法。
【請求項14】
較正サーバを提供し、前記較正サーバを、トリガアルゴリズムおよび較正アルゴリズムのうちの少なくとも一方を実行して前記コミュニティデバイスを前記1つ以上の基準デバイスに対して較正するように構成することをさらに備える、請求項9に記載の基準デバイス方法。
【請求項15】
トリガアルゴリズムを実行するように前記較正サーバを構成することは、前記較正サーバを、前記基準デバイスの位置情報を受信し、前記コミュニティデバイスの位置情報を受信し、前記基準デバイスおよび前記コミュニティデバイスが較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成することを含む、請求項14に記載の基準デバイス方法。
【請求項16】
較正アルゴリズムを実行するように前記較正サーバを構成することは、前記較正サーバを、
気象関連パラメータを測定する前記基準デバイスによって求められた測定値を取得し、
前記気象関連パラメータを測定する前記コミュニティデバイスによって求められた測定値を取得し、
前記基準デバイスによって求められた前記測定値と前記コミュニティデバイスによって求められた前記測定値との比較に基づいてオフセット値を求めるように構成することを含む、請求項14に記載の基準デバイス方法。
【請求項17】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データシステム(740)であって、前記較正データシステム(740)は、
測候所(115)と、前記測候所(115)に対して較正されるように構成された基準デバイス(110)と、前記基準デバイス(110)に対して較正されるように構成されたコミュニティデバイス(130)との較正階層位置を求めるように構成された較正サーバ(120)を備える、較正データシステム(740)。
【請求項18】
前記較正サーバ(120)はさらに、前記基準デバイス(110)を前記測候所(115)に対して較正すること、および前記コミュニティデバイスを前記基準デバイス(110)に対して較正すること、のうちの少なくとも一方を実行するように構成されている、請求項17に記載の較正データシステム(740)。
【請求項19】
前記較正サーバ(120)はさらに、前記測候所(115)、前記基準デバイス(110)、および前記コミュニティデバイス(130)のセンサ較正階層(500)を格納するように構成されている、請求項17に記載の較正データシステム(740)。
【請求項20】
前記センサ較正階層(500)はさらに、固定測候所(510)、基準デバイス(520)、およびコミュニティデバイス(530)のうちの少なくとも1つの較正サブ階層を含む、請求項19に記載の較正データシステム(740)。
【請求項21】
前記較正サーバ(120)はさらに、前記基準デバイス(110)内のセンサのセンサスキーマを格納および処理するように構成されている、請求項17に記載の較正データシステム(740)。
【請求項22】
前記較正サーバ(120)が前記基準デバイス(110)内のセンサのセンサスキーマを処理するように構成されていることは、前記基準デバイス(110)を前記測候所(115)に対して較正することによって求められた較正データを前記センサスキーマに格納することを含む、請求項21に記載の較正データシステム(740)。
【請求項23】
前記較正サーバ(120)はさらに、前記コミュニティデバイス(130)内のセンサのセンサスキーマを格納および処理するように構成されている、請求項17に記載の較正データシステム(740)。
【請求項24】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データ方法であって、前記較正データ方法は、
測候所と、前記測候所に対して較正されるように構成された基準デバイスとの較正階層位置、および前記基準デバイスに対して較正されるように構成されたコミュニティデバイスの較正階層位置を求めることを備える、較正データ方法。
【請求項25】
前記基準デバイスを前記測候所に対して較正し、前記コミュニティデバイスを前記基準デバイスに対して較正することをさらに備える、請求項24に記載の較正データ方法。
【請求項26】
前記測候所、前記基準デバイス、および前記コミュニティデバイスの較正階層を有するセンサ較正階層を格納することをさらに備える、請求項24に記載の較正データ方法。
【請求項27】
前記センサ較正階層はさらに、測候所、基準デバイス、およびコミュニティデバイスのうちの少なくとも1つの較正サブ階層を含む、請求項26に記載の較正データ方法。
【請求項28】
前記基準デバイス内のセンサのセンサスキーマを格納および処理することをさらに備える、請求項24に記載の較正データ方法。
【請求項29】
前記基準デバイス内のセンサのセンサスキーマを処理することは、前記基準デバイスを前記測候所に対して較正することによって求められた較正データを前記センサスキーマに格納することを含む、請求項28に記載の較正データ方法。
【請求項30】
前記コミュニティデバイス内のセンサのセンサスキーマを格納および処理することをさらに備える、請求項24に記載の較正データ方法。
【請求項31】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガシステム(750)であって、前記較正トリガシステム(750)は、
基準デバイス(110)とコミュニティデバイス(130)との間の距離を求め、前記距離を、前記基準デバイス(110)と前記コミュニティデバイス(130)との間の較正距離しきい値と比較するように構成された較正サーバ(120)を備え、前記基準デバイス(110)は測候所(115)に対して較正される、較正トリガシステム(750)。
【請求項32】
前記較正サーバ(120)はさらに、前記基準デバイス(110)および前記コミュニティデバイス(130)が予め定められた時間間隔の間、前記較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成されている、請求項31に記載の較正トリガシステム(750)。
【請求項33】
前記較正サーバ(120)が基準デバイス(110)とコミュニティデバイス(130)との間の距離を求めるように構成されていることは、前記較正サーバ(120)が、前記基準デバイス(110)の位置情報および前記コミュニティデバイス(130)の位置情報を受信および比較するように構成されていることを含む、請求項31に記載の較正トリガシステム(750)。
【請求項34】
前記基準デバイス(110)の前記位置情報は前記基準デバイスによって提供され、前記コミュニティデバイス(130)の前記位置情報は前記コミュニティデバイス(130)によって提供される、請求項33に記載の較正トリガシステム(750)。
【請求項35】
前記較正サーバ(120)はさらに、前記基準デバイス(110)のセンサが前記コミュニティデバイス(130)のセンサに対する較正基準であるか否かを判断するように構成されている、請求項31に記載の較正トリガシステム(750)。
【請求項36】
前記較正サーバ(120)はさらに、較正トリガアルゴリズムを格納および処理して、前記基準デバイス(110)と前記コミュニティデバイス(130)との間の前記距離を求めるように構成されている、請求項31に記載の較正トリガシステム(750)。
【請求項37】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガ方法であって、前記較正トリガ方法は、
基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることと、
前記距離を、前記基準デバイスと前記コミュニティデバイスとの間の較正距離しきい値と比較することとを備え、
前記基準デバイスは測候所に対して較正される、較正トリガ方法。
【請求項38】
前記基準デバイスおよび前記コミュニティデバイスが予め定められた時間間隔の間、前記較正距離しきい値内にあるか否かを判断することをさらに備える、請求項37に記載の較正トリガ方法。
【請求項39】
前記基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることは、前記基準デバイスの位置情報および前記コミュニティデバイスの位置情報を受信および比較することを含む、請求項37に記載の較正トリガ方法。
【請求項40】
前記基準デバイスの前記位置情報は前記基準デバイスによって提供され、前記コミュニティデバイスの前記位置情報は前記コミュニティデバイスによって提供される、請求項39に記載の較正トリガ方法。
【請求項41】
前記基準デバイスのセンサが前記コミュニティデバイスのセンサに対する較正基準であるか否かを判断することをさらに備える、請求項37に記載の較正トリガ方法。
【請求項42】
較正トリガアルゴリズムを格納および処理して、前記基準デバイスと前記コミュニティデバイスとの間の前記距離を求めることをさらに備える、請求項37に記載の較正トリガ方法。
【請求項43】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム(700)であって、前記較正システム(700)は、
測候所(710)と、
前述の請求項1~8のいずれか1項に記載の基準デバイスシステム(720)とを備える、較正システム(700)。
【請求項44】
前述の請求項17~23のいずれか1項に記載の較正データシステム(740)をさらに備える、請求項43に記載の較正システム(700)。
【請求項45】
前述の請求項31~36のいずれか1項に記載の較正トリガシステム(750)をさらに備える、請求項43および請求項44のいずれか1項に記載の較正システム(700)。
【請求項46】
複数のコミュニティデバイス(730)をさらに備え、前記複数のコミュニティデバイス(730)のうちの少なくとも1つは、前記基準デバイスシステム(720)の基準デバイスに対して較正されるように構成されている、前述の請求項43~45のいずれか1項に記載の較正システム(700)。
【請求項47】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正方法であって、前記較正方法は、
測候所を用いて気象関連パラメータの測定値を取得することと、
前述の請求項9~16のいずれか1項に記載の基準デバイス方法とを備える、較正方法。
【請求項48】
前述の請求項24~30のいずれか1項に記載の較正データ方法をさらに備える、請求項47に記載の較正方法。
【請求項49】
前述の請求項37~42のいずれか1項に記載の較正トリガ方法をさらに備える、請求項47および請求項48のいずれか1項に記載の較正方法。
【請求項50】
複数のコミュニティデバイスのうちの少なくとも1つを基準デバイスに対して較正することをさらに備える、前述の請求項47~49のいずれか1項に記載の較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する実施形態は、気象情報に関し、より具体的には、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データの生成および管理に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
広く利用可能なモバイルデバイスには、気温、気圧、降水、および風などの気象状態を測定可能なセンサが搭載されるようになってきている。このようなデバイスの例としては、携帯電話、自動車およびトラック、ならびにドローンが挙げられる。ほとんどの場合、センサの主な目的は、気象判断/予報に使用する観測を行うことではなく、むしろデバイス自体の動作を補助することである。
【0003】
これらのデバイスは「小型測候所」に相当すること、およびその観測結果は高品質の測候所からのデータと同様に使用できることがしばしば期待される。重大な課題は、これらのセンサは一般的に品質が低いため、信頼できる気象観測を行うのに望ましい精度よりも典型的に精度が低いことである。これらのセンサの不正確さのため、一般的に、高精度を必要とする動作には、気象関連データを基本的な形で使用できない。
【0004】
よって、現在の気象状態の判断および将来の気象状態の予報に使用する観測データをより価値のあるものにするために、地理的に包括的なシステムの範囲でこのようなセンサを較正するための手段が望ましい。したがって、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
概要
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイスシステムが提供される。ある実施形態によれば、上記基準デバイスシステムは複数の基準デバイスを含み、上記複数の基準デバイスのうちの基準デバイスは、測候所に対して較正されるように、かつ、コミュニティデバイスの較正基準となるように構成されている。
【0006】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイス方法が提供される。ある実施形態によれば、上記基準デバイス方法は、1つ以上の基準デバイスを提供することと、上記1つ以上の基準デバイスを測候所に対して較正することと、上記1つ以上の基準デバイスをコミュニティデバイスの較正基準となるように構成することとを含む。
【0007】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データシステムが提供される。ある実施形態によれば、上記較正データシステムは、測候所と、上記測候所に対して較正されるように構成された基準デバイスと、上記基準デバイスに対して較正されるように構成されたコミュニティデバイスとの較正階層位置を求めるように構成された較正サーバを含む。
【0008】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データ方法が提供される。ある実施形態によれば、上記較正データ方法は、測候所と、上記測候所に対して較正されるように構成された基準デバイスとの較正階層位置、および上記基準デバイスに対して較正されるように構成されたコミュニティデバイスの較正階層位置を求めることを含む。
【0009】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガシステムが提供される。ある実施形態によれば、上記較正トリガシステムは、基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求め、上記距離を、上記基準デバイスと上記コミュニティデバイスとの間の較正距離しきい値と比較するように構成された較正サーバを含み、上記基準デバイスは測候所に対して較正される。
【0010】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガ方法が提供される。ある実施形態によれば、上記較正トリガ方法は、基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることと、上記距離を、上記基準デバイスと上記コミュニティデバイスとの間の較正距離しきい値と比較することとを含み、上記基準デバイスは測候所に対して較正される。
【0011】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム(700)が提供される。ある実施形態によれば、上記較正システムは、測候所(710)および基準デバイスシステム(720)を含む。
【0012】
気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正方法が提供される。ある実施形態によれば、上記較正方法は、測候所を用いて気象関連パラメータの測定値を取得することと、基準デバイス方法とを含む。
【0013】
局面
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイスシステム(720)は、複数の基準デバイスを含み、上記複数の基準デバイスのうちの基準デバイス(110)は、測候所(115)に対して較正されるように、かつ、コミュニティデバイス(130)の較正基準となるように構成されている。
【0014】
好ましくは、上記複数の基準デバイスのうちの上記基準デバイス(110)は、移動基準デバイス(110m)および定置基準デバイス(110s)のうちの一方である。
【0015】
好ましくは、上記複数の基準デバイスのうちの上記基準デバイス(110)は、上記測候所(115)からの気象関連パラメータのオフセット値および測定値のうちの一方を受信するように構成されている。
【0016】
好ましくは、上記複数の基準デバイスのうちの上記基準デバイス(110)は、上記基準デバイス(110)の位置情報の送信および上記測候所(115)の位置情報の受信のうちの一方を実行して、上記基準デバイス(110)を上記測候所(115)に対して較正できるか否かを判断するように構成されている。
【0017】
好ましくは、上記複数の基準デバイスのうちの上記基準デバイス(110)は、上記基準デバイス(110)の位置情報の送信および上記コミュニティデバイス(130)の位置情報の受信のうちの一方を実行して、上記コミュニティデバイス(130)を上記基準デバイス(110)に対して較正できるか否かを判断するように構成されている。
【0018】
好ましくは、上記基準デバイスシステム(720)は較正サーバ(120)をさらに含み、上記較正サーバ(120)は、トリガアルゴリズムおよび較正アルゴリズムのうちの少なくとも一方を実行するように構成されている。
【0019】
好ましくは、上記較正サーバ(120)がトリガアルゴリズムを実行するように構成されていることは、上記較正サーバ(120)が、上記基準デバイス(110)の位置情報を受信し、上記コミュニティデバイス(130)の位置情報を受信し、上記基準デバイス(110)および上記コミュニティデバイス(130)が較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成されていることを含む。
【0020】
好ましくは、上記較正サーバ(120)が較正アルゴリズムを実行するように構成されていることは、上記較正サーバ(120)が、気象関連パラメータを測定する上記基準デバイス(110)によって求められた測定値を取得し、上記気象関連パラメータを測定する上記コミュニティデバイス(130)によって求められた測定値を取得し、上記基準デバイスによって求められた上記測定値と上記コミュニティデバイス(130)によって求められた上記測定値との比較に基づいてオフセット値を求めるように構成されていることを含む。
【0021】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイス方法は、1つ以上の基準デバイスを提供することと、上記1つ以上の基準デバイスを測候所に対して較正することと、上記1つ以上の基準デバイスをコミュニティデバイスの較正基準となるように構成することとを含む。
【0022】
好ましくは、上記1つ以上の基準デバイスを提供することは、移動基準デバイスおよび定置基準デバイスのうちの少なくとも一方を提供することを含む。
【0023】
好ましくは、上記基準デバイス方法は、上記測候所によって測定された気象関連パラメータのオフセット値および測定値のうちの一方を受信することをさらに含む。
【0024】
好ましくは、上記基準デバイス方法は、上記1つ以上の基準デバイスの位置情報の送信および上記測候所の位置情報の受信のうちの少なくとも一方を実行して、上記1つ以上の基準デバイスを上記測候所に対して較正できるか否かを判断することをさらに含む。
【0025】
好ましくは、上記基準デバイス方法は、上記基準デバイスの位置情報の送信および上記コミュニティデバイスの位置情報の受信のうちの少なくとも一方を実行して、上記コミュニティデバイスを上記基準デバイスに対して較正できるか否かを判断することをさらに含む。
【0026】
好ましくは、上記基準デバイス方法は、較正サーバを提供し、上記較正サーバを、トリガアルゴリズムおよび較正アルゴリズムのうちの少なくとも一方を実行して上記コミュニティデバイスを上記1つ以上の基準デバイスに対して較正するように構成することをさらに含む。
【0027】
好ましくは、トリガアルゴリズムを実行するように上記較正サーバを構成することは、上記較正サーバを、上記基準デバイスの位置情報を受信し、上記コミュニティデバイスの位置情報を受信し、上記基準デバイスおよび上記コミュニティデバイスが較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成することを含む。
【0028】
好ましくは、較正アルゴリズムを実行するように上記較正サーバを構成することは、上記較正サーバを、気象関連パラメータを測定する上記基準デバイスによって求められた測定値を取得し、上記気象関連パラメータを測定する上記コミュニティデバイスによって求められた測定値を取得し、上記基準デバイスによって求められた上記測定値と上記コミュニティデバイスによって求められた上記測定値との比較に基づいてオフセット値を求めるように構成することを含む。
【0029】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データシステム(740)は、測候所(115)と、上記測候所(115)に対して較正されるように構成された基準デバイス(110)と、上記基準デバイス(110)に対して較正されるように構成されたコミュニティデバイス(130)との較正階層位置を求めるように構成された較正サーバ(120)を含む。
【0030】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、上記基準デバイス(110)を上記測候所(115)に対して較正すること、および上記コミュニティデバイスを上記基準デバイス(110)に対して較正すること、のうちの少なくとも一方を実行するように構成されている。
【0031】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、上記測候所(115)、上記基準デバイス(110)、および上記コミュニティデバイス(130)のセンサ較正階層(500)を格納するように構成されている。
【0032】
好ましくは、上記センサ較正階層(500)はさらに、固定測候所(510)、基準デバイス(520)、およびコミュニティデバイス(530)のうちの少なくとも1つの較正サブ階層を含む。
【0033】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、上記基準デバイス(110)内のセンサのセンサスキーマを格納および処理するように構成されている。
【0034】
好ましくは、上記較正サーバ(120)が上記基準デバイス(110)内のセンサのセンサスキーマを処理するように構成されていることは、上記基準デバイス(110)を上記測候所(115)に対して較正することによって求められた較正データを上記センサスキーマに格納することを含む。
【0035】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、上記コミュニティデバイス(130)内のセンサのセンサスキーマを格納および処理するように構成されている。
【0036】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データ方法は、測候所と、上記測候所に対して較正されるように構成された基準デバイスとの較正階層位置、および上記基準デバイスに対して較正されるように構成されたコミュニティデバイスの較正階層位置を求めることを含む。
【0037】
好ましくは、上記較正データ方法は、上記基準デバイスを上記測候所に対して較正し、上記コミュニティデバイスを上記基準デバイスに対して較正することをさらに含む。
【0038】
好ましくは、上記較正データ方法は、上記測候所、上記基準デバイス、および上記コミュニティデバイスの較正階層を有するセンサ較正階層を格納することをさらに含む。
【0039】
好ましくは、上記センサ較正階層はさらに、測候所、基準デバイス、およびコミュニティデバイスのうちの少なくとも1つの較正サブ階層を含む。
【0040】
好ましくは、上記較正データ方法は、上記基準デバイス内のセンサのセンサスキーマを格納および処理することをさらに含む。
【0041】
好ましくは、上記基準デバイス内のセンサのセンサスキーマを処理することは、上記基準デバイスを上記測候所に対して較正することによって求められた較正データを上記センサスキーマに格納することを含む。
【0042】
好ましくは、上記較正データ方法は、上記コミュニティデバイス内のセンサのセンサスキーマを格納および処理することをさらに含む。
【0043】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガシステム(750)は、基準デバイス(110)とコミュニティデバイス(130)との間の距離を求め、上記距離を、上記基準デバイス(110)と上記コミュニティデバイス(130)との間の較正距離しきい値と比較するように構成された較正サーバ(120)を含み、上記基準デバイス(110)は測候所(115)に対して較正される。
【0044】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、上記基準デバイス(110)および上記コミュニティデバイス(130)が予め定められた時間間隔の間、上記較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成されている。
【0045】
好ましくは、上記較正サーバ(120)が基準デバイス(110)とコミュニティデバイス(130)との間の距離を求めるように構成されていることは、上記較正サーバ(120)が、上記基準デバイス(110)の位置情報および上記コミュニティデバイス(130)の位置情報を受信および比較するように構成されていることを含む。
【0046】
好ましくは、上記基準デバイス(110)の上記位置情報は上記基準デバイスによって提供され、上記コミュニティデバイス(130)の上記位置情報は上記コミュニティデバイス(130)によって提供される。
【0047】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、上記基準デバイス(110)のセンサが上記コミュニティデバイス(130)のセンサに対する較正基準であるか否かを判断するように構成されている。
【0048】
好ましくは、上記較正サーバ(120)はさらに、較正トリガアルゴリズムを格納および処理して、上記基準デバイス(110)と上記コミュニティデバイス(130)との間の上記距離を求めるように構成されている。
【0049】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガ方法は、基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることと、上記距離を、上記基準デバイスと上記コミュニティデバイスとの間の較正距離しきい値と比較することとを含み、上記基準デバイスは測候所に対して較正される。
【0050】
好ましくは、上記較正トリガ方法は、上記基準デバイスおよび上記コミュニティデバイスが予め定められた時間間隔の間、上記較正距離しきい値内にあるか否かを判断することをさらに含む。
【0051】
好ましくは、上記基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることは、上記基準デバイスの位置情報および上記コミュニティデバイスの位置情報を受信および比較することを含む。
【0052】
好ましくは、上記基準デバイスの上記位置情報は上記基準デバイスによって提供され、上記コミュニティデバイスの上記位置情報は上記コミュニティデバイスによって提供される。
【0053】
好ましくは、上記較正トリガ方法は、上記基準デバイスのセンサが上記コミュニティデバイスのセンサに対する較正基準であるか否かを判断することをさらに含む。
【0054】
好ましくは、上記較正トリガ方法は、較正トリガアルゴリズムを格納および処理して、上記基準デバイスと上記コミュニティデバイスとの間の上記距離を求めることをさらに含む。
【0055】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム(700)は、測候所(710)および基準デバイスシステム(720)を含む。
【0056】
好ましくは、上記較正システム(700)は較正データシステム(740)をさらに含む。
【0057】
好ましくは、上記較正システム(700)は較正トリガシステム(750)をさらに含む。
【0058】
好ましくは、上記較正システム(700)は複数のコミュニティデバイス(730)をさらに含み、上記複数のコミュニティデバイス(730)のうちの少なくとも1つは、上記基準デバイスシステム(720)の基準デバイスに対して較正されるように構成されている。
【0059】
ある局面によれば、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正方法は、測候所を用いて気象関連パラメータの測定値を取得することと、基準デバイス方法とを含む。
【0060】
好ましくは、上記較正方法は較正データ方法をさらに含む。
好ましくは、上記較正方法は較正トリガ方法をさらに含む。
【0061】
好ましくは、上記較正方法は、複数のコミュニティデバイスのうちの少なくとも1つを基準デバイスに対して較正することをさらに含む。
【0062】
すべての図において、同一の参照番号は同一の要素を表す。図面は必ずしも正確な縮尺ではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム100を示す図である。
図2】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム100を示す図である。
図3】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム300を示す図である。
図4】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム400を示す図である。
図5】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するためのセンサ較正階層500を示す図である。
図6】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するためのセンサスキーマ600を示す図である。
図7】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム700を示す図である。
図8】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイス方法800を示す図である。
図9】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データ方法900を示す図である。
図10】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガ方法1000を示す図である。
図11】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正方法1100を示す図である。
図12】気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正サーバ120を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
詳細な説明
図1図12および以下の説明は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理する実施形態の最良の形態をどのように構成して使用するかを当業者に教示するための具体例を示している。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の局面は簡略化または省略されている。当業者は、本説明の範囲内にあるこれらの例から変形例を理解するであろう。当業者は、以下に説明する特徴をさまざまな形で組み合わせて、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理する複数の変形例を形成できることを理解するであろう。その結果、以下に説明する実施形態は、以下に説明する具体例に限定されず、請求項およびその均等物によってのみ限定される。
【0065】
図1は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム100を示す。図1に示されるように、較正システム100は、基準デバイス110、測候所115、および較正サーバ120を含む。基準デバイス110は、定置基準デバイス110sおよび移動基準デバイス110mを含む。図1に示されるように、基準デバイス110および較正サーバ120は互いに通信可能に結合されている。また、較正サーバ120に通信可能に結合されているコミュニティデバイス130も示されている。コミュニティデバイス130は車両として示されており、当該車両は気象センサまたは気象推論センサを有し得る。
【0066】
基準デバイス110は、定置基準デバイス110sおよび移動基準デバイス110mを含む。定置基準デバイス110sおよび移動基準デバイス110mは、測候所115に較正され得る。より具体的には、基準デバイス110は、基準デバイス110および測候所115によって提供される気象データが同じであると予想されるように、測候所115に時空間的に近接しているまたは近接していた可能性がある。たとえば、移動基準デバイス110mは、移動基準デバイス110mによる気象測定値が測候所115による気象測定値と同じはずであると仮定するのに十分な基準デバイス較正時間しきい値の間、基準デバイス較正距離しきい値内にあった可能性がある。したがって、移動基準デバイス110mによって提供される気象測定値が測候所115によって提供される気象測定値と同じであることを確実にするように、オフセット値が移動基準デバイス110mにおいて設定され得る。同様に、定置基準デバイス110sは、定置基準デバイス110sの同様の基準デバイス較正が実行され得るように、測候所115に空間的に近接している可能性がある。以下により詳細に説明するように、基準デバイス110はコミュニティデバイス130を較正するように構成され得る。
【0067】
移動基準デバイス110mは、基準または非基準デバイス機能を果たすことを主な目的とする車両であり得る。たとえば、移動基準デバイス110mは、荷物の配達を主な目的とする配達トラック群であり得る。配達トラック群には、コミュニティデバイスを較正するために使用できる商業用の気象測定システムが後付けされ得る。たとえば、移動基準デバイス110mは、道路の温度、周囲空気、湿度、または降水率などを正確かつ精密に測定できる温度センサを含み得る。
【0068】
ライドシェアリング車両、マッピングまたは配送ドローン、公共サービス車両などの、別の主な目的を有する他の移動デバイスが使用されてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、移動基準デバイス110mは、コミュニティデバイス130の基準デバイスとして機能することを主な目的とするデバイスを含み得る。たとえば、移動基準デバイス110mは、気象関連パラメータを正確に測定できる商業用の気象測定システムを用いて構成されている自律車両またはドローンなどであり得る。
【0069】
定置基準デバイス110sは道路測候所(RWS)であってもよいが、任意の好適な定置基準デバイスが採用されてもよい。定置基準デバイス110sは、道路脇など、道路に近接した電柱に設置され得る。定置基準デバイス110sは、複数の気象関連パラメータを測定するように構成されている複数のセンサを用いて構成され得る。たとえば、定置基準デバイス110sは、道路上の水、氷、雪の堆積を検出できる光学センサ、道路の温度、周囲空気、湿度、降水率を測定できる温度センサなどを含み得る。
【0070】
測候所115は空港に設置された気象観測所であってもよいが、商業的消費に適した正確さおよび精度で気象関連パラメータの測定値を提供できる任意の好適な測候所が採用されてもよい。たとえば、測候所115は、気温、露点、風向および風速、ならびに気圧を提供する空港の定時飛行場実況気象通報式(METAR)箇所であってもよい。測候所115は、急に変わる気象状態などの特別な条件のために要求に応じて、および/または予め定められた時間に、気象通報を提供するように構成され得る。
【0071】
測候所115は、気象関連パラメータの正確な測定値を提供しているとして、制度的に検証され得る。たとえば、測候所115は、較正システム100の一部ではない標準に対して較正され得る。例として、米国連邦航空局(FAA)は、METARステーションを、併置された米国国立標準技術研究所(NIST)の追跡可能な較正済み機器に対して較正することを要求する場合がある。したがって、測候所115は標準の追跡可能な機器に対して較正されてもよいが、任意の好適な品質標準が採用されてもよい。たとえば、測候所115は、気象業界または他の気象情報に依存する業界では、基準デバイス110によって提供される測定値よりも高品質の気象関連パラメータの測定値を提供していると認識され得る。
【0072】
較正サーバ120は、較正関連情報をホスト、管理、処理、または送受信などするように構成され得る。たとえば、較正サーバ120は、基準デバイス110のうちの1つのセンサに関連付けられ得るセンサ較正スキーマをホストするように構成され得る。これに加えてまたはこれに代えて、較正サーバ120は、基準デバイス110のうちの1つ以上に格納されているセンサ較正スキーマを管理するように構成され得る。たとえば、基準デバイス110は、センサの1つ以上の較正スキーマを基準デバイスに格納できる分散ストレージを用いて構成され得る。
【0073】
較正サーバ120はまた、較正トリガアルゴリズムをホスト、管理、処理、または送受信などするように構成され得る。たとえば、較正サーバ120は、基準デバイス110および/またはコミュニティデバイス130の座標などの位置情報を受信し、基準デバイス110およびコミュニティデバイス130が較正距離しきい値内にあると判断し、基準デバイス110に対するコミュニティデバイス130の較正をもたらすコマンドを発行するように構成され得る。
【0074】
コミュニティデバイス130は車両として示されているが、任意の好適なデバイスが採用されてもよい。たとえば、他のコミュニティデバイスは、携帯電話、携帯情報端末、家庭用気象観測装置、商用無線機などを含み得る。上記のように、コミュニティデバイス130は、気象センサおよび/または気象推論センサで構成され得るセンサを含み得る。気象センサは、気象関連パラメータを測定するように構成され得る。たとえば、コミュニティデバイス130は、コミュニティデバイス130の外部の温度を測定する温度センサを含み得る。湿度センサ、降水センサ、光センサなど、他の気象センサが採用されてもよい。
【0075】
気象推論センサは、推論によって気象関連パラメータの測定値を提供する任意のセンサであってもよい。たとえば、車両のフロントガラスのワイパー回数から降水量が推論され得る。理解され得るように、気象センサまたは気象推論センサから取得されたデータは、任意の好適な方法で取得、処理、結合、および/または分析されて、気象関連データが取得され得る。たとえば、光センサからの気象関連データがフロントガラスのワイパーから推論された気象関連データとともに分析されて、たとえば雲量データが取得され得る。
【0076】
コミュニティデバイスは、気象関連パラメータを測定しないが気象関連パラメータの測定を改善するために使用できる他のセンサも含み得る。たとえば、コミュニティデバイスは、測定の文脈を判断するために使用できる近接センサ、加速度計、または磁力計などを含み得る。例示として、近接センサを使用して、コミュニティデバイスがポケットに入っていると判断することができ、したがって、光センサの測定値は、気象関連パラメータを測定していないとしてフラグ付けされ得る。
【0077】
【数1】
【0078】
【数2】
【0079】
【数3】
【0080】
理解され得るように、各コミュニティデバイス130は、コミュニティデバイス130のネットワーク上のノードであってもよい。ゴシップアルゴリズムを使用して、分散平均化によってネットワーク内の値が推定され得る。
【0081】
【数4】
【0082】
上記では例示的な較正方法を示しているが、任意の好適な較正方法が採用されてもよい。
【0083】
図2は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム100を示す。図2に示されるように、較正システム100は基準デバイス110を含み、基準デバイス110は移動基準デバイス110mおよび定置基準デバイス110sを含むとして示されている。また、移動基準デバイス110mおよび定置基準デバイス110sのうちの1つを較正するために使用される測候所115も示されている。移動基準デバイス110m、定置基準デバイス110s、および測候所115は、較正サーバ120に通信可能に結合されている。また、車両として図示されるコミュニティデバイス130も示されている。コミュニティデバイス130は較正サーバ120と通信している。
【0084】
基準デバイス110は、測候所115から基準デバイス較正距離dRCにあるものと示されており、距離dRCは矢印で示されている。基準デバイス較正距離dRCは基準デバイス較正距離しきい値未満であり得、したがって基準デバイス110は測候所115に対して相対的に較正され得る。たとえば、図に見られるように、移動基準デバイス110mのうちの1つは測候所115に近接しており、したがって測候所115に対して相対的に較正され得る。図に示されるように、測候所115に対して相対的に較正されている移動基準デバイス110mは、たとえば空港にあり得る駐車場に配置されている。したがって、測候所115は空港の気象観測所であってもよく、したがって気象関連パラメータを正確に測定するように構成され得る。
【0085】
コミュニティデバイス130は、コミュニティデバイス較正距離しきい値未満であり得るコミュニティデバイス較正距離dCCにあるものと示されている。したがって、コミュニティデバイス130は基準デバイス110に対して相対的に較正され得る。コミュニティデバイス130のうちの1つは定置基準デバイス110sに近接しており、別のコミュニティデバイス130は移動基準デバイス110mのうちの1つに近接している。図に見られるように、定置基準デバイス110sに近接しているコミュニティデバイス130は、定置基準デバイス110sのそばを通っているので、比較的短いコミュニティデバイス較正時間を有し得るが、当該較正時間はそれにもかかわらずコミュニティデバイス較正時間しきい値未満であり得る。
【0086】
また、図に見られるように、移動基準デバイス110mに近接したコミュニティデバイス130は、移動基準デバイス110mと同じ道を反対方向に進んでいる。移動基準デバイス110mは、「x」と印を付けられた位置で気象関連パラメータを測定し得る。測定値は、全地球測位システム(GPS)座標およびタイムスタンプなどの位置データによってタグ付けされ得る。コミュニティデバイス130のコミュニティデバイス較正距離dCCがコミュニティデバイス較正時間しきい値未満の間、コミュニティデバイス較正距離しきい値内にある場合、「x」と印を付けられた位置で取得されたこの測定値を用いて、移動基準デバイス110mに近接したコミュニティデバイス130が較正され得る。しかしながら、移動基準デバイス110mがコミュニティデバイス130に時空間的に近接しているか否かを判断する任意の好適な手段が採用されてもよい。
【0087】
図2にも見られるように、第2の定置基準デバイス110sが、コミュニティデバイス130に近接している移動基準デバイス110mに近接している。第2の定置基準デバイス110sは、測候所115の基準デバイス較正距離しきい値内にないとして示されているが、移動基準デバイス110mに時空間的に近接している。したがって、移動基準デバイス110mが定置基準デバイス110sよりもセンサ較正階層において上位である場合、定置基準デバイス110sは移動基準デバイス110mに対して較正され得る。
【0088】
較正デバイス対は、基準デバイス110とコミュニティデバイス130、2つの基準デバイス110、または時空間的に近接している基準デバイス110とコミュニティデバイス、によって形成され得る。較正デバイス対の間の較正距離および較正時間がそれぞれの較正距離しきい値および較正継続時間しきい値未満である場合、較正デバイス対は時空間的に近接し得る。較正距離しきい値および較正継続時間しきい値は、まとめて較正しきい値または時空間しきい値と呼ばれることがある。
【0089】
この時空間しきい値は、変数に依存し得る。たとえば、降水と比較して異なる時空間しきい値を気温に使用することを選択することがある。この違いは、気温はある期間にわたって一般的に降水ほど変化しない傾向があるためと考えられる。しきい値は気象関連データから求められ得る。言い換えれば、空間的な相関距離および時間的な相関時間を求める分析を完了することができる。時空間値は、位置、時間、またはその双方に依存し得る。たとえば、降水の時間しきい値は、冬(たとえば30分)よりも夏(たとえば15分)の方が短い場合がある。これは、夏の間は降水の時間的変化が大きくなる可能性があり、雷雨などの疑似事象が多く含まれ得るからである。時空間しきい値を求めることは、較正アルゴリズムの一部であってもよい。実際には、このような分析が利用できない場合は仮定を立てることができる。まず、時空間しきい値を+/-2kmおよび+/-15分と仮定してもよい。
【0090】
以下により詳細に説明するように、本明細書に記載されているシステムおよび方法はネットワークベースの較正システムを含み得、当該較正システムは、基準デバイス110およびコミュニティデバイス130が互いに近接しているときに、低品質の測定値を提供し得るコミュニティデバイス130のセンサを、高品質のセンサを有し得る基準デバイス110のセンサに対して日和見的に較正する。当該システムおよび方法は、較正品質を追跡および管理して、プロセスが個々のデバイスの較正を劣化させるのではなく改善することを確実にし得る。当該システムおよび方法は、(1)較正システム階層、(2)センサ較正スキーマ、(3)較正トリガ、(4)較正アルゴリズム、および(5)較正情報管理、という5つの要素を含み得る。
【0091】
図3は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム300を示す。図3に示されるように、較正システム300は、較正データシステム310および較正実行システム320で構成されている。また、較正情報管理システム330も示されている。較正データシステム310は、センサ較正階層310aおよびセンサ較正スキーマ310bで構成されている。較正実行システム320は、較正トリガアルゴリズム320aおよび較正アルゴリズム320bで構成されている。
【0092】
較正システム300は1つのブロックとして示されており、当該ブロックは、サーバ、デバイス、ネットワークルータなどのコンピューティングリソースを表し得る。たとえば、較正システム300は、上記の基準デバイス110またはコミュニティデバイス130などのデバイス上で動作する、たとえば、クラウドコンピューティングリソース、ファイルおよびプロセス共有、セキュリティ保護された仮想マシンなどの仮想オペレーティングシステムを使用することによって、1つのハードウェアプラットフォーム上で、および/またはさまざまなハードウェアプラットフォームにわたって実装され得る。
【0093】
例示として、図1および図2を参照して上記に説明した較正サーバ120は、センサ較正階層310aおよびセンサ較正スキーマ310bのみを含むクラウドサービスを使用して実装され得るが、較正トリガアルゴリズム320aおよび較正アルゴリズム320bは、基準デバイス110上で動作する分散仮想マシンによって実装され得る。この例では、較正情報管理システム330は、センサ較正階層310aおよびセンサ較正スキーマ310bとともにクラウドでホストされ得る。しかしながら、較正システム300の任意の好適な構成、ならびに本明細書に記載されている他のシステムおよび方法が採用されてもよい。例示的な較正サーバ120を、図11を参照して以下により詳細に説明する。
【0094】
センサ較正階層310aは、上記の測候所115、基準デバイス110、および/またはコミュニティデバイス130の較正階層位置を含む較正階層を含み得る。たとえば、センサ較正階層310aは、たとえば基準デバイス110が測候所115に対して較正され得ることを示すデータを含み得る。例示的なセンサ較正階層310aを、図5を参照して以下に説明する。
【0095】
センサ較正スキーマ310bは、較正関連データを格納できるデータスキーマまたは構造を含み得る。たとえば、センサ較正スキーマ310bは、たとえば測候所115および/または基準デバイス110から取得されたオフセット値および/または測定値を格納するように構成され得る。ベースライン誤差データ、センサ誤差特徴付け、較正持続性、および/または較正履歴などの他のデータが格納され得る。例示的なセンサ較正を、図6を参照して以下に説明する。
【0096】
較正実行システム320は、コミュニティデバイス130を基準デバイス110に対して較正できると判断し、基準デバイス110に対するコミュニティデバイス130の較正を実行するように構成され得る。たとえば、較正トリガアルゴリズム320aは、コミュニティデバイス130が基準デバイス110の較正距離しきい値内にあることに起因して、コミュニティデバイス130についての較正を実行させ得る。較正トリガアルゴリズム320aは、較正アルゴリズム320bを呼び出し得るか、または実行させ得る。
【0097】
較正アルゴリズム320bは、標準デバイスと測定デバイスとの間の較正を実行し得る。標準デバイスは上記の基準デバイス110のうちの基準デバイス110であってもよく、測定デバイスはコミュニティデバイス130であってもよい。較正アルゴリズム320bは、基準デバイス110に気象関連パラメータを測定させて測定値を取得させ得る。
【0098】
較正アルゴリズム320bはまた、基準デバイス110に、基準デバイス110のセンサから取得された測定値を格納、提供、または他の方法で処理させ得る。たとえば、較正アルゴリズム320bは、基準デバイス110に、基準デバイス110上に格納されたセンサ較正スキーマ310bに測定値を標準値として格納させ得る。これに加えてまたはこれに代えて、較正アルゴリズム320bは、基準デバイス110に、気象関連パラメータの測定値をたとえば較正サーバ120および/またはコミュニティデバイス130に提供させ得る。
【0099】
較正アルゴリズム320bは、たとえば、コミュニティデバイス130のセンサから取得された測定値を調整するために使用できるオフセット値を求め得る。たとえば、コミュニティデバイス130は、基準デバイス110のセンサによって測定された同じ気象関連パラメータを測定し得る。例示として、基準デバイス110およびコミュニティデバイス130は上記のように較正距離しきい値内にあり得、したがって、本質的に同じ気象現象の測定を実行し得る。
【0100】
較正アルゴリズム320bは、コミュニティデバイス130のセンサによって取得された測定値を、基準デバイス110のセンサによって取得された測定値と比較し得る。次に較正アルゴリズム320bは、コミュニティデバイス130のセンサによって取得された測定値が基準デバイス110のセンサによって取得された測定値と同じであることを確実にするために必要なオフセットを求め得る。
【0101】
図4は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム400を示す。図4に示されるように、較正システム400は、非リアルタイムシステムであり得るシステム定義410、およびシステム定義410と通信しているリアルタイム較正システム420を含む。較正システム400はまた、リアルタイム較正システム420と通信しているデバイス較正状態430、および較正されたモバイルデバイス気象データ440を含む。較正されたモバイルデバイス気象データ440は、ユーザ管理システム450およびユーザへの配信機能460と通信している。システム定義410は、階層アーキテクチャおよび定義412、センサスキーマ定義414、および較正アルゴリズム416を含むとして示されている。リアルタイム較正システム420は、モバイルデバイスメタデータおよび気象データ422、品質管理424、較正トリガ426、およびデバイス較正428を含む。
【0102】
階層アーキテクチャおよび定義412は、較正が結果として改善される場合にのみ、較正調整が1つのセンサまたは1つのセンサセットから別のセンサまたは別のセンサセットに渡されることを確実にし得る。階層アーキテクチャおよび定義412はさまざまな方法で実装することができる。例として、図5に示されるように、階層アーキテクチャおよび定義412は、ネストされたセンサ較正階層500であってもよい。
【0103】
図5は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するためのセンサ較正階層500を示す。ネストされたセンサ較正階層500の最上位レベルにおいて、デバイスは、固定測候所510、基準デバイス520、およびコミュニティデバイス530、という3つのカテゴリのうちの1つで特徴付けられ得る。
【0104】
固定測候所510は、空港に設置されたMETAR測候所など、上記の測候所115であってもよい。METAR測候所は、利用可能な最高品質の測候所のうちの1つと見なされてもよく、それ自体が独立して較正される。高品質は、気象データの高度な正確さおよび高精度、ならびに高解像度および高ダイナミックレンジを含み得る。
【0105】
基準デバイス520は、較正システムを有効にするためにフィールド化され維持される専用デバイスであってもよい。たとえば、上記の移動基準デバイス110mなどの商用車両群が、プロ品質の気象センサを含むように構成され得る。この群は、較正が必要なコミュニティデバイスの数よりもかなり少ない可能性があるが、固定測候所510からコミュニティデバイス530に較正を転送する際に重要な役割を果たし得る。
【0106】
コミュニティデバイス530は上記のコミュニティデバイス130であってもよく、これらは上記のように、天候の何らかの局面を測定可能なセンサを有する車両または携帯電話であってもよい。コミュニティデバイス530内のセンサは、気象センサまたは推論気象センサを含み得る。
【0107】
較正システムは、階層要素を適切に定義する必要があり得、較正システム内の各デバイスは、適切な階層レベルに割り当てられる必要がある。これら3つのカテゴリの各々において、図5に示すサブ階層などのさらなる階層が可能である。たとえば、固定測候所カテゴリは、ほとんどの空港および気象サービス測候所を含む第1の測候所510aなどの最高品質と、質の高い観測を維持することに特化した組織によって設立された他の測候所を含む第2の測候所510bなどの高品質とに細分化されたサブ階層を有し得る。このような細分化は、すべてのデバイスが固有の階層順位を有するように、各デバイスの品質を他のすべてのデバイスに対して順位付けすることにまで拡張できるが、これはシステムの適切な動作には必要ないかもしれない。基準デバイス520の第1の基準デバイス520aおよび第2の基準デバイス520b、ならびにコミュニティデバイス530の第1のコミュニティデバイス530aおよび第2のコミュニティデバイス530bなど、センサ較正階層500の同様の細分化が使用され得る。
【0108】
再び図4を参照して、センサスキーマ定義414は、システム内で理解および共有される必要がある各センサの特性を定義し得る。センサスキーマ定義414は柔軟であり得るが、図6に従って実装され得る。
【0109】
図6は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するためのセンサスキーマ600を示す。図6に示されるように、センサスキーマ600は、ベースラインセンサ誤差特徴付け610、計算されたセンサ誤差特徴付け620、較正持続性630、および較正履歴640を含み得る。
【0110】
ベースラインセンサ誤差特徴付け610は、センサの精度の標準推定値であり、場合によってはセンサもしくはデバイス製造業者によって提供される得か、またはより信頼できる情報が利用できないときの初期仮定として本システム内で確立され得る。ベースラインセンサ誤差特徴付け610の特定のメトリクスは、バイアスおよび標準偏差などを含み得る。
【0111】
計算されたセンサ誤差特徴付け620は、センサ誤差の較正システム推定値であり得る。特定のメトリクスは、バイアスおよび標準偏差などを含み得る。
【0112】
較正持続性630は、較正推定値が有効であり続ける継続時間の推定値であり得る。たとえば、過去1時間以内に行われたセンサバイアスの信頼できる推定値は役立つ場合があるが、6ヶ月前の推定値は古くなっている場合があり得る。一般に、センサの現在の較正は、持続時間にわたってその最新の計算値からベースライン値に向かって推移するはずである。持続時間はセンサの固定特性であり得るか、または較正履歴から計算され得る。較正履歴640は、センサ較正の履歴であり得る。実際には、最近の履歴のみを含み得る。
【0113】
再び図4を参照して、較正アルゴリズム416は、較正をトリガするためのアルゴリズムおよび較正を実行するためのアルゴリズムを含み得る。図4に示されるように、較正トリガ426およびデバイス較正428は、リアルタイム較正システム420によって実行され得る。較正トリガ426は、較正アルゴリズム416の較正トリガアルゴリズムを実装することによって、デバイス上のセンサによって行われたすべての可能な気象測定の中から、較正が開始されるべきか否か、およびいつ較正が開始されるべきかを判断し得る。たとえば、2つ以上のデバイスが予め定められた間隔中に互いに予め定められた距離内に位置しており、一方のデバイスが他方のデバイスよりも十分に優れた較正を有する(たとえば、階層がより高い)ため、較正が有効となる場合に、較正がトリガされ得る。より複雑なアルゴリズムは、前回の較正からの時間とそのセンサの較正持続性値との比較に基づく、較正の必要性を含み得る。このような情報は、デバイス較正状態430によって提供され得る。また、較正が階層のかなり上位のデバイス/センサとの比較を伴う場合などは、較正の利点を考慮する場合もある。
【0114】
トリガされると、デバイス較正428が実行され得る。デバイス較正428は、a)デバイス対、b)局所的なデバイス群、およびc)システム全体、によって例示され得るが、これらに限定されない。これらの問題に適切に対処する望ましいアプローチがあり得る。たとえば、較正システム400は、個々のセンサの較正が収束して較正が確実に改善するように設計され得る。慎重に行わなければ、たとえば、特定のセンサのバイアス調整を計算する可能性があり、このバイアス調整をセンサ観測結果の調整に適用すると、調整後の観測結果の精度が低下してしまう。その全内容が引用により援用されるLoven L. Karsisto, et al., Mobile Road Weather Sensor Calibration by Sensor Fusion and Linear Mixed Models, PLoS ONE 14(2) e0211702(2019年2月7日公開)およびJane Louie Fresco Zamora, et al., Calibration of Smartphone-Based Weather Measurements Using Pairwise Gossip, Hindwai Publishing Corporation, vol. 2105, art. id. 494687(2015年1月28日受理)には、個別のペアワイズ較正のための効果的な方法が実現可能であることが示されている。
【0115】
使用される特定の較正アルゴリズムは、所望の較正状況の詳細に依存するので、異なる状況に対応するために複数の較正アルゴリズムが採用され得る。当該アルゴリズムは、各デバイスの最近の較正履歴を採用する勾配降下法およびカルマンフィルタリングなどの計算方法を使用することによって、実世界の状況で収束し安定し得る。このため、スキーマは、較正履歴および較正持続時間などの重要な情報を維持するように構造化され得る。
【0116】
第5の局面は、較正に関する情報がどのようにどこで維持および伝達され得るかである。2つの選択肢は、a)集中(あるいは部分的に分散)情報システム内、およびb)デバイス内である。実際には、較正情報を格納または使用するように設計されていないデバイスは、較正情報を格納または使用するように変更できない場合がある。集中情報は、経済的および/または技術的観点から最も実現可能であり得る。この集中情報システムは、(a)階層管理/操作、b)スキーマ管理/操作、c)トリガ管理、d)処理管理/操作、およびe)通信管理/操作、という較正プロセスに必要なすべての管理/操作機能を実行する。この最後の通信ステップは、参加デバイスからの較正された気象情報を適切な相手と共有したいという要望と、その通信を適切に管理する必要性とを反映している。
【0117】
図7は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正システム700を示す。図7に示されるように、較正システム700は、測候所710、基準デバイスシステム720、およびコミュニティデバイス730を含む。較正システム700はまた、較正データシステム740および較正トリガシステム750を含む。較正システム700は、測候所710と、基準デバイスシステム720と、コミュニティデバイス730と、較正データシステム740と、較正トリガシステム750との間のデータの関係および/または流れを示すために、データ関係の形態として示されている。より具体的には、可能なデータの流れは実線で示され、データ関係は破線および/または点線で示されている。
【0118】
測候所710は、通信回線によって基準デバイスシステム720に通信可能に結合されるとして示されている。また、測候所710と基準デバイスシステム720の基準デバイスとの間の較正しきい値を示す測候所-基準デバイス時空間線712も示されている。これに加えて、測候所-基準デバイスシステム較正階層関係線714は、測候所710と基準デバイスシステム720との間の階層関係を示している。理解され得るように、測候所-基準デバイスシステム較正階層関係線714は、測候所710が較正階層スキームにおいて上位にあり、したがって基準デバイスシステム720の基準デバイスが測候所710に対して較正され得ることを示している。
【0119】
また、基準デバイスシステム720は、通信回線によってコミュニティデバイス730に通信可能に結合されるとして示されている。また、基準デバイスシステム720とコミュニティデバイス730との間の較正しきい値を示す基準デバイスシステム-コミュニティデバイス時空間線722、および基準デバイスシステム720とコミュニティデバイス730との間の階層関係を示す基準デバイスシステム-コミュニティデバイス較正階層関係線724も示されている。理解され得るように、基準デバイスシステム-コミュニティデバイス較正階層関係線724は、基準デバイスシステム720が較正階層スキームにおいて上位にあり、したがってコミュニティデバイス730のうちのコミュニティデバイスが基準デバイスシステム720に対して較正され得ることを示している。
【0120】
測候所710は上記の測候所115と同じであってもよいが、任意の好適な測候所が採用されてもよい。測候所710は、測候所710における地域の、および測候所710の周辺の地域の気象関連パラメータを測定するように構成され得る。
【0121】
基準デバイスシステム720は、上記の基準デバイス110などの1つ以上の基準デバイスを測候所710に対して較正するように構成され得る。基準デバイス110は、ランデブー法を使用することによって測候所710に対して較正され得る。より具体的には、基準デバイス110は、基準デバイス110のセンサが測候所710と実質的に同じ気象関連パラメータを測定し得るように、基準デバイス較正距離内にあり得る。
【0122】
基準デバイスシステム720はまた、基準デバイス110を最適に展開し得る。たとえば、基準デバイスシステム720は、基準デバイス110の位置情報および較正データを取得し、上記の移動基準デバイス110mをどこに展開すべきかを決定し得る。これに加えてまたはこれに代えて、基準デバイスシステム720は、基準デバイス110がコミュニティデバイス130のトラフィックパターンと一致することを確実にし得る。例示として、基準デバイスシステム720は、基準デバイスが、未較正のコミュニティデバイスのクラスタの速度および進行方向と一致していることを確実にし得る。
【0123】
コミュニティデバイス730は上記のコミュニティデバイス130と同じであってもよいが、任意の好適なコミュニティデバイスが採用されてもよい。たとえば、コミュニティデバイス730は、携帯電話、タブレット、車両、または家庭用気象観測装置などで構成され得る。以下により詳細に述べるように、コミュニティデバイス730は基準デバイスシステム720に対して較正され得る。
【0124】
較正データシステム740は、測候所710、基準デバイスシステム720、および/またはコミュニティデバイス730に関連する較正データおよび/または較正データ処理アルゴリズムを格納、維持、および/または実行するように構成され得る。たとえば、較正データシステム740は、上記のセンサ較正階層500および/またはセンサスキーマ600を含み得る。
【0125】
較正トリガシステム750は、較正トリガアルゴリズムおよび/またはデータを格納、維持、および/または実行するように構成され得る。たとえば、較正トリガシステム750は、測候所710のうちの測候所および基準デバイスシステム720の基準デバイスのGPS座標を取得して比較し、測候所と基準デバイスとの間の距離が測候所-基準デバイス時空間線712によって表される距離未満である否かを判断するように構成され得る。
【0126】
当該比較は、較正継続時間を考慮し得る。たとえば、測候所-基準デバイス時空間線712は、測候所と基準デバイスとの間の距離が較正継続時間中にこれ未満でなければならない距離であり得る。すなわち、基準デバイスの較正は、較正継続時間中の測候所と基準デバイスとの間の距離が測候所-基準デバイス時空間線712未満である間に実行される必要があり得る。したがって、基準デバイスシステム-コミュニティデバイス時空間線722は、較正時間しきい値を考慮し得る。
【0127】
これらの比較は、測候所115と基準デバイス110とが、および基準デバイス110とコミュニティデバイス130とが時空間的に近接しているか否かを判断し得る。例として、より具体的には、基準デバイス110を測候所115に対して正確に較正できる場合、測候所115と、測候所115に対して較正されている基準デバイス110との較正ペアリングは時空間的に近接している。同様に、コミュニティデバイス130が基準デバイスシステム-コミュニティデバイス時空間線722内にあり、コミュニティデバイス130を基準デバイス110に対して正確に較正できる場合、基準デバイス110とコミュニティデバイス130との較正ペアリングは時空間的に近接し得る。
【0128】
較正ペアリングは、以前に求めた測定値に基づいて時空間的に近接させることができる。たとえば、図2を参照して、コミュニティデバイス130に近接している移動基準デバイス110mは、測定値有効期間の間、測定値を維持する位置で測定値を取得し得る。すなわち、それに対してコミュニティデバイス130が較正され得る測定値は、測定値有効期間中、将来の較正のために格納され依拠され得る。この測定値は、関連付けられたGPS座標を有し得る。当該GPS座標を用いることで、移動基準デバイス110mとコミュニティデバイス130との間の距離が移動基準デバイス110mの以前の位置から測定された場合でも、当該距離が較正継続時間中に基準デバイスシステム-コミュニティデバイス時空間線722未満であるか否かを判断できる。その結果、移動基準デバイス110mとコミュニティデバイス130との間の物理的距離は基準デバイスシステム-コミュニティデバイス時空間線722未満になることはないが、較正距離は基準デバイスシステム-コミュニティデバイス時空間線722未満になることがある。
【0129】
図8は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための基準デバイス方法800を示す。図8に示されるように、基準デバイス方法800は、ステップ810において1つ以上の基準デバイスを提供し得る。1つ以上の基準デバイスは上記の基準デバイス110であってもよいが、任意の好適な基準デバイスが採用されてもよい。ステップ820において、基準デバイス方法800は、1つ以上の基準デバイスを測候所に対して較正し得る。測候所は上記の測候所115であってもよいが、任意の好適な測候所が採用されてもよい。基準デバイス方法800はまた、ステップ830において、1つ以上の基準デバイスをコミュニティデバイスの較正基準となるように構成し得る。コミュニティデバイスは上記のコミュニティデバイス130のうちの1つであってもよいが、任意の好適なコミュニティデバイスが採用されてもよい。
【0130】
1つ以上の基準デバイスを提供するステップ810は、上記の移動基準デバイス110mおよび/または定置基準デバイス110sなどの移動基準デバイスおよび定置基準デバイスのうちの少なくとも一方を提供することを含み得る。可変かつ適応可能な較正範囲が望まれる場合は、移動基準デバイス110mが好まれ得る。基準デバイス110の予測可能な位置データが、たとえばより単純な較正トリガアルゴリズムに望まれ得る場合は、定置基準デバイス110sが望まれ得る。
【0131】
基準デバイス方法800はさらに、測候所によって測定された気象関連パラメータのオフセット値および測定値のうちの一方を受信することを含み得る。たとえば、基準デバイス方法800は、基準デバイスシステム720の1つ以上の基準デバイス110の較正データを維持するように構成されている較正において実行され得る。したがって、オフセット値および/または測定値は較正サーバによって格納され得る。その結果、1つ以上の基準デバイス110のうちの基準デバイスのセンサによって提供される測定値は、より正確な値に補正され得る。このより正確な値はその後、コミュニティデバイスを較正するために使用できる。
【0132】
基準デバイス方法800はまた、1つ以上の基準デバイスの位置情報の送信および測候所の位置情報の受信のうちの少なくとも一方を実行して、1つ以上の基準デバイスを測候所に対して較正できるか否かを判断することを含み得る。たとえば、基準デバイスシステム720の較正サーバは、1つ以上の基準デバイス110のうちの基準デバイスが測候所の基準デバイス較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成され得る。基準デバイスを測候所に対して較正している間、気象関連パラメータのオフセット値および/または測定値が測候所から取得され得る。
【0133】
基準デバイス方法800はさらに、基準デバイスの位置情報を送信し、コミュニティデバイスの位置情報を受信して、コミュニティデバイスを基準デバイスに対して較正できるか否かを判断することを含み得る。たとえば、上記のように測候所に対して較正された基準デバイスは、気象関連パラメータの測定値の位置情報などの位置情報を較正サーバに送信して、基準デバイスがコミュニティデバイスの較正距離しきい値内および較正時間しきい値内にあるか否かを判断し得る。
【0134】
したがって、基準デバイス方法800はさらに、較正サーバを提供し、較正サーバを、較正トリガアルゴリズムおよび較正アルゴリズムのうちの少なくとも一方を実行してコミュニティデバイスを1つ以上の基準デバイスに対して較正するように構成することを含み得る。較正サーバは、図2および図11を参照して述べた較正サーバ120であってもよい。トリガアルゴリズムを実行するように較正サーバを構成することは、較正サーバを、基準デバイスの位置情報を受信し、コミュニティデバイスの位置情報を受信し、基準デバイスおよびコミュニティデバイスが較正距離しきい値内にあるか否かを判断するように構成することを含み得る。
【0135】
較正アルゴリズムを実行するように較正サーバを構成することは、較正サーバを、気象関連パラメータを測定する基準デバイスによって求められた測定値を取得し、気象関連パラメータを測定するコミュニティデバイスによって求められた測定値を取得し、基準デバイスによって求められた測定値とコミュニティデバイスによって求められた測定値との比較に基づいてオフセット値を求めるように構成することを含み得る。
【0136】
図9は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正データ方法900を示す。図9に示されるように、較正データ方法900は、ステップ910において測候所の較正階層位置を求める。測候所は上記の測候所115であってもよいが、任意の好適な測候所が採用されてもよい。ステップ920において、較正データ方法900はまた、基準デバイスの較正階層位置を求め得る。基準デバイスは図2を参照した上記に述べた基準デバイス110のうちの1つであってもよいが、任意の好適な基準デバイスが採用されてもよい。ステップ930において、較正データ方法900は、コミュニティデバイスの較正階層位置を求め得る。コミュニティデバイスは図2を参照した上記に述べたコミュニティデバイスのうちの1つであってもよいが、任意の好適なコミュニティデバイスが採用されてもよい。
【0137】
較正データ方法900はさらに、基準デバイスを測候所に対して較正し、コミュニティデバイスを基準デバイスに対して較正することを含み得る。これに加えてまたはこれに代えて、較正データ方法900は、測候所、基準デバイス、およびコミュニティデバイスの較正階層を有するセンサ較正階層を格納し得る。センサ較正階層はさらに、測候所、基準デバイス、およびコミュニティデバイスのうちの少なくとも1つの較正サブ階層を含み得る。
【0138】
較正データ方法900はまた、基準デバイス内のセンサのセンサスキーマを格納および処理し得る。たとえば、較正データ方法900は、図6を参照して説明したセンサスキーマ600を格納および処理し得る。例として、較正データ方法900は、基準デバイスを測候所に対して較正することによって求められた較正データをスキーマに格納し得る。上記のように、較正データは、測候所から取得されたオフセット値または測定値のうちの一方を含み得る。
【0139】
較正データ方法900はまた、コミュニティデバイス内のセンサのセンサスキーマを格納および処理し得る。コミュニティデバイスのセンサのセンサスキーマは上記のセンサスキーマ600であってもよいが、任意の好適なセンサスキーマが採用されてもよい。基準デバイスのセンサのセンサスキーマと同様に、較正データ方法900は、コミュニティデバイスのセンサのセンサスキーマに較正データを格納し得、較正データは、測候所から取得されたオフセット値または測定値のうちの一方を含み得る。
【0140】
図10は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正トリガ方法1000を示す。図10に示されるように、較正トリガ方法1000は、ステップ1010において基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求める。ステップ1020において、較正トリガ方法1000は、当該距離を、基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の較正距離しきい値と比較する。基準デバイスは上記の基準デバイス110であってもよく、コミュニティデバイスは上記のコミュニティデバイス130であってもよいが、任意の好適な基準デバイスおよびコミュニティデバイスが採用されてもよい。上記のように、基準デバイスは測候所に対して較正され得る。
【0141】
較正トリガ方法1000はさらに、基準デバイスおよびコミュニティデバイスが較正時間しきい値の間、較正距離しきい値内にあるか否かを判断することを含み得る。たとえば、上記の較正アルゴリズム320bなどの較正アルゴリズムは、コミュニティデバイスを正しく較正するために較正時間しきい値を必要とし得る。言い換えれば、基準デバイスおよびコミュニティデバイスは、較正時間しきい値未満の間、較正距離しきい値内になければならない。較正時間しきい値は、基準デバイス較正時間しきい値と呼ばれることがある。
【0142】
較正トリガ方法1000はまた、基準デバイスの位置情報とコミュニティデバイスの位置情報とを受信および比較し得る。たとえば、較正トリガ方法1000は、基準デバイスの位置情報とコミュニティデバイスの位置情報とを受信および比較するように構成されている較正トリガシステム750の較正サーバであってもよい。基準デバイスの位置情報は基準デバイスによって提供されてもよく、コミュニティデバイスの位置情報はコミュニティデバイスによって提供されてもよいが、基準デバイスの位置情報およびコミュニティデバイスの位置情報を求める任意の好適な手段が採用されてもよい。
【0143】
較正トリガ方法1000はさらに、基準デバイスのセンサがコミュニティデバイスのセンサに対する較正基準であるか否かを判断し得る。たとえば、較正トリガ方法1000は、基準デバイスのセンサおよびコミュニティデバイスのセンサが同じ気象関連パラメータを測定するように構成されているか否かを判断し得る。例示として、較正トリガ方法1000は、基準デバイスおよびコミュニティデバイスの双方が降水量を測定するように構成されているセンサを含むか否かを判断するように構成され得る。較正トリガ方法1000はまた、較正トリガアルゴリズムを格納および処理して、基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の時空間的近接性を求め得る。
【0144】
図11は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正方法1100を示す。図11に示されるように、方法1100は、ステップ1110において測候所から気象関連パラメータの測定値を取得し得る。方法1100によって採用される測候所は本明細書に記載されている測候所115であってもよいが、任意の好適な測候所が採用されてもよい。ステップ1120において、方法1100は、図8を参照して上記に説明した基準デバイス方法800などの基準デバイス方法を実行し得る。例として、ステップ1120は、1つ以上の基準デバイスを測候所に対して較正し得る。ステップ1120はまた、1つ以上の基準デバイスをコミュニティデバイスの較正基準となるように構成し得る。方法1100は他のステップをさらに含み得る。
【0145】
たとえば、較正方法1100は、図9を参照して上記に説明した較正データ方法900などの較正データ方法を実行し得る。これに加えてまたはこれに代えて、較正方法1100はさらに、図10を参照して上記に説明した較正トリガ方法1000などの較正トリガ方法を含み得る。これに加えてまたはこれに代えて、較正方法1100はまた、複数のコミュニティデバイスのうちの少なくとも1つを基準デバイスに対して較正し得る。
【0146】
上記の較正方法800~1100は、図2を参照して説明した較正サーバ120上で実行され得る。較正サーバ120は、1つのプロセスまたは1つのメモリなどで構成された1つのサーバであってもよい。これに加えてまたはこれに代えて、較正サーバ120は、マルチコンポーネントまたは分散リソースなどで構成され得る。例として、基準デバイス110および/またはコミュニティデバイス130内のプロセッサおよび/またはメモリは、以下により詳細に述べるように、上記の較正方法800~1000を実行するために採用され得る。
【0147】
図12は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを生成および管理するための較正サーバ120を示す。また、図12には、較正サーバ120に通信可能に結合されている測候所710およびコミュニティデバイス730も示されている。測候所710は2つの測候所115で構成されるとして示されているが、これよりも多いまたは少ない測候所115が採用されてもよい。測候所115は、気象関連パラメータを測定するように構成されたセンサを含む。コミュニティデバイス730は2つのコミュニティデバイス130で構成されるとして示されているが、これよりも多いまたは少ないコミュニティデバイス130が採用されてもよい。コミュニティデバイス130は、気象関連パラメータおよび/または気象関連パラメータ値が推論され得る元のパラメータを測定するように構成されたセンサ131を含むとして示されている。較正サーバ120は、メモリ124に通信可能に結合されているプロセッサ122で構成されるとして示されている。
【0148】
プロセッサ122は、1つ以上のプロセッサで構成され得る。たとえば、プロセッサ122は、サーバ内の1つのプロセッサであり得る。これに代えて、プロセッサ122は、互いに通信可能に結合されている複数のプロセッサまたはその一部で構成され得る。たとえば、プロセッサ122は、測候所710、コミュニティデバイス730、基準デバイスシステム720の1つ以上の基準デバイス110、較正データシステム740、および/または較正トリガシステム750内のプロセッサの処理リソースで構成され得る。例示として、較正トリガシステム750のサーバとして動作するように構成されているクラウドサービスが、コミュニティデバイス730のうちのコミュニティデバイスの位置情報および基準デバイスシステム720の基準デバイス110の位置情報を受信し、コミュニティデバイスが較正しきい値内にあるか否かを判断するように構成され得る。
【0149】
メモリ124は、1つ以上のメモリで構成され得る。たとえば、メモリ124は、サーバ内の1つのボードであり得る。これに代えて、メモリ124は、較正関連情報を格納するように構成されている複数のメモリまたはその一部で構成され得る。たとえば、メモリ124は、基準デバイスシステム720の1つ以上の基準デバイス110のメモリで構成され得、較正データシステム740のための較正サーバ120によって使用され得る。したがって、メモリ124は、たとえば、較正アルゴリズム320bおよび/または較正トリガアルゴリズム320aを格納するように構成され得る。
【0150】
較正システム100~400,700および較正方法800~1100は、気象情報を取得するために使用されるセンサの較正データを管理することができる。たとえば、較正システム100は、測候所115に対して較正され、かつコミュニティデバイス130を較正するために使用される、基準デバイス110を含み得る。正確で精密な測候所115に対して較正されるので、基準デバイス110も正確で精密であり得る。基準デバイス110は、コミュニティデバイス130にとって、測候所115よりも空間的にも時間的にもはるかに広く利用可能であり得る。例として、空港のある都市には、測候所115が400平方マイルにわたって数カ所しかないかもしれないが、同じ都市には、何百もの基準デバイスが市内の至る所に分散しているかもしれない。
【0151】
較正システム700は、較正データを管理するための基準デバイスシステム720、較正データシステム740、および較正トリガシステム750を含み得る。たとえば、基準デバイスシステム720は、たとえばコミュニティデバイス130の密度および分布を考慮することによって、基準デバイス110の移動基準デバイス110mが地理的位置全体にわたって最適な位置にあることを確実にすることができる。これにより、較正時間の頻度を高めることができる。基準デバイスシステム720はまた、たとえば、トラフィックパターンを一致させて較正時間を最適化し得る。
【0152】
較正データシステム740は、基準デバイス110およびコミュニティデバイス130の較正データを維持して、たとえば、較正持続時間を超えたので期限切れのコミュニティデバイスからのデータが使用されないことを確実にすることができる。したがって、較正されていないコミュニティデバイス130からの測定値は、たとえば天気予報に使用され得ない。
【0153】
較正トリガシステム750は、たとえば、基準デバイス110およびコミュニティデバイスが較正アルゴリズムに適しており、かつ時空間的に近接していることを確実にすることができる。たとえば、較正トリガシステム750は、基準デバイス110のセンサがコミュニティデバイス130内のセンサを較正するのに適しているか否かを判断し得る。これに加えてまたはこれに代えて、較正トリガシステム750は、基準デバイス110およびコミュニティデバイス130が較正距離しきい値および較正時間しきい値内にあることを確実にすることができる。較正トリガシステム750によって実行されるこれらのステップおよび他のステップは、コミュニティデバイスが気象関連パラメータの正確な測定値を提供するように正しく較正されることを確実にすることができる。
【0154】
上記の実施形態の詳細な説明は、本説明の範囲内であると発明者が考えるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者は、上記の実施形態の特定の要素をさまざまに組み合わせてまたは排除してさらなる実施形態を作成してもよく、このようなさらなる実施形態は本説明の範囲および教示の範囲内にあることを認識するであろう。また、上記の実施形態の全部または一部を組み合わせて、本説明の範囲および教示の範囲内で追加の実施形態を作成してもよいことも当業者には明らかであろう。
【0155】
したがって、具体的な実施形態が例示目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本説明の範囲内でさまざまな等価の変更が可能である。本明細書に提供されている教示は、上述した、添付の図面に示されている実施形態だけでなく、気象情報を改善するために気象データを使用する他のシステムおよび方法にも適用することができる。したがって、上記の実施形態の範囲は以下の請求項から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されると前記システムに動作を実行させる命令を格納したメモリとを備え、前記動作は、
基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることと、
前記距離が較正距離しきい値未満であると判断すると、前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することとを含み、前記較正済み基準デバイス測定値は、測候所から受信した測候所測定値に対して較正される、システム。
【請求項2】
前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することは、前記基準デバイスおよび前記コミュニティデバイスが予め定められた時間間隔の間、前記較正距離しきい値内にあると判断することをさらに含む、請求項1に記載のシステム
【請求項3】
前記基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることは、前記基準デバイスから位置情報を受信することと、前記コミュニティデバイスから位置情報を受信することとを含む、請求項1または2に記載のシステム
【請求項4】
前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することは、前記基準デバイスのセンサが前記コミュニティデバイスのセンサに対する較正基準であると判断することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサおよび命令を格納したメモリは、前記コミュニティデバイスおよび前記基準デバイスから遠隔に位置する較正サーバの一部である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
方法であって、
基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることと、
前記距離較正距離しきい値未満であると判断すると、前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することとを備え、
前記較正済み基準デバイス測定値は、測候所から受信した測候所測定値に対して較正される、方法。
【請求項7】
前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することは、前記基準デバイスおよび前記コミュニティデバイスが予め定められた時間間隔の間、前記較正距離しきい値内にあると判断することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記基準デバイスとコミュニティデバイスとの間の距離を求めることは、前記基準デバイスから位置情報を受信することと、前記コミュニティデバイスから位置情報を受信することとを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することは、前記基準デバイスのセンサが前記コミュニティデバイスのセンサに対する較正基準であると判断することをさらに含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基準デバイスから受信した較正済み基準デバイス測定値に基づいて前記コミュニティデバイスを較正することは、
気象関連パラメータについて前記基準デバイスから受信した基準測定値と測候所-基準デバイスオフセット値とを用いて求められた、前記較正済み基準デバイス測定値を受信することと、
前記較正済み基準デバイス測定値と、前記気象関連パラメータを測定する前記コミュニティデバイスから受信したコミュニティ測定値とを比較することによって、基準-コミュニティデバイスオフセット値を求めることとをさらに含み、前記基準-コミュニティデバイスオフセット値は、前記コミュニティ測定値に基づいて較正済みコミュニティデバイス値を求めるように動作可能である、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
較正サーバを備え、前記較正サーバは、
気象関連パラメータについて、基準デバイスから受信した第1の基準測定値を測候所から受信した測候所測定値と比較することによって求められた測候所-基準デバイスオフセット値を受信し、
前記測候所-基準デバイスオフセット値と、前記気象関連パラメータについて前記基準デバイスから受信した第2の基準デバイス測定値とを用いて求められた、較正済み基準デバイス測定値を受信し、
前記較正済み基準デバイス測定値と、前記気象関連パラメータを測定するコミュニティデバイスから受信した第1のコミュニティ測定値とを比較することによって求められた、基準-コミュニティデバイスオフセット値を受信し、
前記基準-コミュニティデバイスオフセット値と、前記コミュニティデバイスから受信した第2のコミュニティ測定値とに基づいて、較正済みコミュニティデバイス値を計算し、
前記較正済みコミュニティデバイス値を前記コミュニティデバイスに与えるように構成され、前記コミュニティデバイスは前記較正済みコミュニティデバイス値に従って動作を実行する、システム。
【請求項12】
前記測候所測定値を前記較正サーバに送信するように構成された前記測候所をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の基準測定値および前記第2の基準デバイス測定値を前記較正サーバに送信するように構成された前記基準デバイスをさらに備える、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のコミュニティ測定値および前記第2のコミュニティ測定値を前記較正サーバに送信するように構成された前記コミュニティデバイスをさらに備える、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記基準-コミュニティデバイスオフセット値または前記測候所-基準デバイスオフセット値のうちの少なくとも一方は較正持続時間に関連付けられている、請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
方法であって、
基準デバイスから受信した第1の基準測定値を気象関連パラメータについての測候所から受信した第1の測候所測定値と比較することによって求められた、測候所-基準デバイスオフセット値を受信することと、
前記気象関連パラメータについて前記基準デバイスから受信した第2の基準デバイス測定値と、前記測候所-基準デバイスオフセット値とを用いて求められた、較正済み基準測定値を受信することと、
前記較正済み基準測定値と、前記気象関連パラメータを測定するコミュニティデバイスから受信した第1のコミュニティ測定値とを比較することによって求められた、基準-コミュニティデバイスオフセット値を受信することと、
前記基準-コミュニティデバイスオフセット値と、前記コミュニティデバイスから受信した第2のコミュニティ測定値とに基づいて、較正済みコミュニティデバイス値を計算することとを備える、方法。
【請求項17】
前記測候所-基準デバイスオフセット値または前記基準-コミュニティデバイスオフセット値のうちの少なくとも一方は較正持続時間に関連付けられている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項6~10および請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【国際調査報告】