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特表2024-508097共晶混合物を用いるゴム加硫プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】共晶混合物を用いるゴム加硫プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20240215BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20240215BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240215BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240215BHJP
   C08K 5/19 20060101ALI20240215BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20240215BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20240215BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/06
C08K3/22
C08K3/36
C08K5/19
C08K9/04
B29C35/02
B29C33/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541866
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022012112
(87)【国際公開番号】W WO2022155197
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/136,337
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シープウォッシュ,エリン
(72)【発明者】
【氏名】コフマン,アンソニー エム.
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
4J002
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AB03A
4F202AB16A
4F202AB17
4F202AH20
4F202CA21
4F202CB01
4F203AA45
4F203AB03
4F203AB16
4F203AB17
4F203AH20
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F203DF01
4F203DF02
4F203DL10
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002BB151
4J002BC092
4J002BG041
4J002BK002
4J002CE002
4J002CH041
4J002CK021
4J002DA036
4J002DA049
4J002DE108
4J002DE237
4J002DJ006
4J002DJ007
4J002DJ016
4J002DJ017
4J002EN137
4J002ET017
4J002FB087
4J002FD016
4J002FD149
4J002FD150
4J002FD207
4J002FD208
4J002GN01
(57)【要約】
【解決手段】 ゴム加硫物を調製するためのプロセスであって、(i)硫黄系硬化剤及び共晶組成物ブレンドを含む加硫性組成物を提供することであって、共晶組成物ブレンドが共晶組成物及び不活性担体を含む、提供することと、(ii)加硫性組成物を加熱し、それによって加硫を生じさせることと、を含む、プロセス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム加硫物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
(i)硫黄系硬化剤及び共晶組成物ブレンドを含む加硫性組成物を提供することであって、前記共晶組成物ブレンドが共晶組成物及び不活性担体を含む、提供することと、
(ii)前記加硫性組成物を加熱し、それによって加硫を生じさせることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記加硫性組成物が金属化合物を含み、前記金属化合物が酸化亜鉛である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記加硫性組成物が、加硫性ゴムを提供し、硫黄系硬化剤及び共晶組成物ブレンドを前記加硫性組成物に導入することによって形成される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記酸化亜鉛及び前記共晶組成物ブレンドが、別々にかつ個別に前記加硫性ゴムに導入される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記酸化亜鉛及び前記共晶組成物ブレンドが、前記加硫性組成物に導入される前に予め化合される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記加硫性組成物が、ゴム100pbw当たり2pbw未満の酸化亜鉛を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記共晶組成物が、コリンクロリドと尿素とを化合させることによって形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記加硫性組成物が、ゴム100pbw当たり約0.005~約3pbwの前記共晶組成物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記加硫性組成物が、補強充填剤、樹脂、及び油を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記樹脂が、フェノール樹脂及び炭化水素樹脂、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記樹脂が、脂環式樹脂、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、及びテルペン樹脂、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記樹脂が、ゴム100重量部当たり15重量部の樹脂より多い量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記樹脂が、ゴム100重量部当たり25重量部の樹脂より多い量で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記樹脂が、ゴム100重量部当たり35重量部の樹脂より多い量で存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記補強充填剤がシリカである、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記シリカが、ゴム100重量部当たり少なくとも25重量部のシリカの量で存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記シリカが、ゴム100重量部当たり少なくとも50重量部のシリカの量で存在する、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記シリカが、ゴム100重量部当たり少なくとも70重量部のシリカの量で存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記油が、芳香族油、パラフィン系油、ナフテン系油、ヒマシ油以外の植物油、及び重ナフテン系油を含む低PCA油からなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記油が植物起源の油である、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記共晶組成物が、式Cat+X-zYによって定義され、式中、Cat+がカチオンであり、X-が対アニオン(例えば、ルイス塩基)であり、zが、前記対アニオンと相互作用するY分子(例えば、ルイス酸又はブレンステッド酸)の数を表す、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
Cat+が、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、又はスルホニウムカチオンであり、Xが、ハロゲン化物イオンである、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記共晶組成物が、I型、II型、III型、及びIV型共晶組成物からなる群から選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記共晶組成物が、アンモニウム化合物を、金属ハロゲン化物、金属ハロゲン化物水和物、又は水素結合供与体と化合させることによって形成される、請求項1~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記アンモニウム化合物が、式IIによって定義されてもよく、
【数1】
式中、各R、R、R、及びRが、個別に水素又は一価有機基であるか、あるいは代替として、R、R、R、及びRのうちの2つが結合して二価有機基を形成し、Φが対アニオンである、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記アンモニウム化合物が、N-エチル-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチルエタンアミニウムクロリド、2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(コリンクロリドとしても知られる)、及びN-ベンジル-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチルエタンアミニウムクロリドからなる群から選択される、請求項1~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記アンモニウム化合物が、2-クロロ-N,N,N-トリメチルエタンアミニウム(クロルコリンクロリドとも呼ばれる)、及び2-(クロロカルボニルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリドからなる群から選択される、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記水素結合供与体が、アミン、アミド、カルボン酸、及びアルコールからなる群から選択される、請求項1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記水素結合供与体が、脂肪族アミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルピペラジン、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、N,N’-ビス-(2アミノエチル)ピペラジン、ピペラジノエチルエチレンジアミン、及びテトラエチレンペンタアミン、プロピレンアミン、アニリン、置換アニリン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記水素結合供与体が、尿素、1-メチル尿素、1,1-ジメチル尿素、1,3-ジメチル尿素、チオ尿素、尿素、ベンズアミド、アセトアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記水素結合供与体が、フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、トリカルバリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記水素結合供与体が、脂肪族アルコール、フェノール、置換フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、レゾルシノール、置換レゾルシノール、グリセロール、ベンゼントリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記金属ハロゲン化物が、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
共晶組成物が担体と共に提供される、請求項1~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記担体が固体である、請求項1~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記担体が酸化亜鉛である、請求項1~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記担体が共晶部材である、請求項1~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記共晶組成物が、標準条件下で共晶溶媒である、請求項1~37のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記共晶組成物が、深共晶溶媒である、請求項1~38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
前記不活性担体が、炭酸カルシウム、珪灰石、二酸化ケイ素、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~39のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項41】
前記不活性担体の中位径が、200nm未満である、請求項1~40のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項42】
共晶組成物と担体との重量比が、約0.05:1~約5:1である、請求項1~41のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか一項に記載のプロセスから調製された、加硫物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不活性担体を介して共晶組成物を導入することによって加硫性組成物を調製するためのプロセスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛は、典型的にはステアリン酸と組み合わせて、ゴムの硫黄加硫に一般的に使用される。亜鉛種及び/又は酸化亜鉛は、硫黄架橋の活性化物質として機能すると考えられている。酸化亜鉛及びステアリン酸は、その場で亜鉛種を形成し、かつ亜鉛種が酸化亜鉛と組み合わされて、硫黄加硫プロセスの速度及び品質に影響を及ぼすとも考えられている。
【0003】
硫黄加硫プロセスにおいて従来用いられている酸化亜鉛は、10m/g未満のBET表面積によって特徴付けられ、そのような酸化亜鉛は、マイクロ酸化亜鉛と称され得る。一般に、ゴム加硫は、特にタイヤ技術において、所望の硬化をもたらすために、ゴム100重量部(parts by weight、pbw)当たり少なくとも約2pbwの酸化亜鉛を必要とする。10m/gを超えるBET表面積を有するナノ酸化亜鉛も提案されており、ナノ酸化亜鉛の使用は、最終的に、より少ない酸化亜鉛又は他の亜鉛種の投入しか必要としない改善されたプロセスを提供できることが示唆されている。しかしながら、ナノ酸化亜鉛の使用は、製造上の問題、並びに粒子の凝集を含むいくつかの困難を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤの構成部材の製造に使用される亜鉛、特に酸化亜鉛の濃度を低減することが依然として望まれている。
【0005】
本発明の1つ以上の実施形態は、ゴム加硫物を調製するためのプロセスであって、(i)硫黄系硬化剤及び共晶組成物ブレンドを含む加硫性組成物を提供することであって、共晶組成物ブレンドが共晶組成物及び不活性担体を含む、提供することと、(ii)加硫性組成物を加熱し、それによって加硫を生じさせることと、を含む、プロセス、を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施形態は、少なくとも部分的には、共晶組成物を含む加硫性組成物を調製するためのプロセスの発見に基づく。本発明の実施形態によれば、本共晶組成物は、不活性担体と併せて導入される。そうすることで、本共晶組成物は、固体であるブレンドとして組成物に有利に導入することができ、これにより、液体の取り扱い及び供給の必要性がなくなる。従来技術は、共晶組成物を酸化亜鉛などの加硫性組成物の構成成分と組み合わせて供給することを企図しているが、本発明は担体として不活性材料を用いる。その結果、本発明は、別様には組成物に加えられる成分を変える必要なしに、共晶組成物を、担体と共晶組成物とのストックブレンドから様々な加硫性組成物に可変量で供給することができる機構を提供する。本発明の態様によれば、本共晶成分は、不活性材料と予め化合させ、固体ブレンドとして組成物に導入することができる。特定の実施形態において、不活性材料は、加硫性組成物、特にタイヤの製造に使用されるものに従来含まれていない材料を含む。
【0007】
加硫性組成物
上記のように、共晶組成物と担体との組み合わせを含む共晶組成物ブレンドは、硫黄硬化加硫物の生成のために加硫性組成物に導入される。共晶組成物ブレンドに加えて、1つ以上の実施形態の加硫性組成物は、加硫性ゴム、充填剤、硫黄系硬化剤、ステアリン酸、及び金属化合物、例えば、酸化亜鉛又は酸化亜鉛誘導体を含む。また他の任意選択の成分が含まれていてもよく、そうした成分としては、プロセス油及び/又はエクステンダー油、樹脂、蝋類、硬化促進剤、スコーチ抑制剤、劣化防止剤、酸化防止剤、及び当該技術分野で既知の他のゴム配合添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
共晶混合物
1つ以上の実施形態において、共晶組成物は、化合されるそれぞれの化合物の融点よりも低い融点を有する、生成化合物を提供する、2つ以上の化合物を化合させることによって形成される組成物を含む。本明細書の目的のために、共晶組成物は、共晶混合物、共晶錯体、又は共晶対と称されてもよい。化合される化合物の各々は、それぞれ、共晶成分、共晶構成成分、共晶部材、又は共晶組成物を形成するための化合物(例えば、第1の化合物及び第2の化合物)と称されてもよい。それぞれの共晶成分の相対量、及び観察が行われる温度に応じて、本共晶組成物は、共晶液体又は共晶溶媒と称されてもよい液体の形態であってもよい。所定の組成物については、それぞれの成分の相対量が共晶混合物の最低融点にあるか又はそれに近接している場合には、本組成物は深共晶溶媒と称されてもよいが、これはDES(deep eutectic solvent)と称される場合もある。
【0009】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、本共晶成分は化合し、あるいはそれ以外の形で反応又は相互作用して錯体を形成すると考えられる。したがって、共晶混合物、又は共晶化合物、共晶対、又は共晶錯体に対していかなる言及がなされる場合も、構成成分どうしが化合されてできる化合物及び反応生成物、又は複合体であり、それぞれの構成成分よりも低い融点をもたらすものを含む。例えば、1つ以上の実施形態において、有用な共晶組成物は、以下の式Iにより定義することができ、
【数1】
式中、Catはカチオンであり、Xは対アニオン(例えば、ルイス塩基)であり、zは、対アニオン(例えば、ルイス酸又はブレンステッド酸)と相互作用するY分子の数を指す。例えば、Catには、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、又はスルホニウムカチオンが含まれ得る。Xには、例えばハロゲン化物イオンが含まれてもよい。Yには、例えば、水素結合供与体、金属ハロゲン化物、又は金属ハロゲン化物水和物が含まれてもよい。1つ以上の実施形態において、zは、深共晶溶媒を実現する数であるが、他の実施形態においては、zは、それぞれの共晶構成成分よりも低い融点を有する錯体を別様に実現する数である。
【0010】
1つ以上の実施形態において、有用な共晶組成物としては、酸と塩基との化合物が挙げられるが、その酸及び塩基としては、ルイス酸及び塩基、又はブレンステッド酸及び塩基を挙げることができる。1つ以上の実施形態において、有用な共晶組成物としては、第四級アンモニウム塩と金属ハロゲン化物との化合物(I型共晶組成物と称される)、第四級アンモニウム塩と金属ハロゲン化物水和物との化合物(II型共晶組成物と称される)、第四級アンモニウム塩と水素結合供与体との化合物(III型共晶組成物と称される)、又は金属ハロゲン化物水和物と水素結合供与体との化合物(IV型共晶組成物と称される)が挙げられる。アンモニウム化合物の代わりに、スルホニウム又はホスホニウムの類似の化合物を用いることもでき、これらは、当業者であれば容易に想定することができる。
【0011】
第四級アンモニウム塩
1つ以上の実施形態において、第四級アンモニウム塩は、20℃で固体である。これら又は他の実施形態において、金属ハロゲン化物及び水素結合供与体は、20℃で固体である。
【0012】
1つ以上の実施形態において、アンモニウム化合物とも称されてもよい有用な第四級アンモニウム塩は、以下の式IIによって定義されてもよく、
【数2】
式中、各R、R、R、及びRは、個別に水素又は一価の有機基であるか、あるいは代替として、R、R、R、及びRのうちの2つが結合して二価有機基を形成し、Φは対アニオンである。1つ以上の実施形態において、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つ、他の実施形態においては少なくとも2つ、他の実施形態においては少なくとも3つは、水素ではない。
【0013】
1つ以上の実施形態において、対アニオン(例えば、Φ)は、ハロゲン化物(X)、硝酸塩(NO )、テトラフルオロホウ酸塩(BF )、過塩素酸塩(ClO )、トリフレート(SOCF )、トリフルオロ酢酸塩(COOCF )からなる群から選択される。1つ以上の実施形態において、Φは、ハロゲン化物イオンであり、ある特定の実施形態では、塩化物イオンである。
【0014】
1つ以上の実施形態において、一価の有機基はヒドロカルビル基を含み、二価の有機基はヒドロカルビレン基を含む。1つ以上の実施形態において、一価及び二価の有機基は、ヘテロ原子を含み、そのようなヘテロ原子は、例えば、酸素及び窒素、並びに/又はハロゲン原子などであるが、これらに限定されない。したがって、一価の有機基としては、アルコキシ基、シロキシ基、エーテル基、及びエステル基、並びにカルボニル基又はアセチル置換基を挙げることができる。1つ以上の実施形態において、ヒドロカルビル基及びヒドロカルビレン基は、1個(又は適切な最小数)~約18個の炭素原子、他の実施形態においては1~約12個の炭素原子、また他の実施形態においては1~約6個の炭素原子を含む。ヒドロカルビル基及びヒドロカルビレン基は、分枝状、環状、又は直鎖状であってもよい。例示的な種類のヒドロカルビル基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアルキルアリール基が挙げられる。例示的な種類のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、及びアルキルアリーレン基が挙げられる。特定の実施形態において、ヒドロカルビル基は、メチル基、エチル基、オクタデシル基、フェニル基、及びベンジル基からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、ヒドロカルビル基はメチル基であり、ヒドロカルビレン基は、エチレン又はプロピレン基である。
【0015】
有用な種類のアンモニウム化合物としては、第二級アンモニウム化合物、第三級アンモニウム化合物、及び第四級アンモニウム化合物が挙げられる。これらの又は他の実施形態において、アンモニウム化合物としては、ハロゲン化アンモニウムが挙げられ、その例としては、塩化アンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、アンモニウム化合物は、第四級アンモニウム塩化物である。ある特定の実施形態において、R、R、R、及びRは、水素であり、アンモニウム化合物は、塩化アンモニウムである。1つ以上の実施形態において、アンモニウム化合物は非対称である。
【0016】
1つ以上の実施形態において、アンモニウム化合物は、アルコキシ基を含み、以下の式IIIによって定義することができ、
【数3】
式中、各R、R、及びRは、個々に水素又は一価有機基であるか、あるいは代替として、R、R、及びRのうちの2つが結合して二価有機基を形成し、Rは二価有機基であり、Φは対アニオンである。1つ以上の実施形態において、R、R、R及びうちの少なくとも1つ、他の実施形態においては少なくとも2つ、他の実施形態においては少なくとも3つは、水素ではない。
【0017】
式IIIによって定義されるアンモニウム化合物の例としては、N-エチル-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチルエタンアミニウムクロリド、2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(コリンクロリドとしても知られる)、及びN-ベンジル-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチルエタンアミニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
1つ以上の実施形態において、アンモニウム化合物は、ハロゲン含有置換基を含み、以下の式IVによって定義することができ、
【数4】
式中、各R、R、及びRは、個々に水素又は一価有機基であるか、あるいは代替として、R、R、及びRのうちの2つが結合して二価有機基を形成し、Rは二価有機基であり、Xはハロゲン原子であり、Φは対アニオンである。1つ以上の実施形態において、R、R、R及びうちの少なくとも1つ、他の実施形態においては少なくとも2つ、他の実施形態においては少なくとも3つは、水素ではない。1つ以上の実施形態において、Xは塩素である。
【0019】
式IIIによって定義されるアンモニウム化合物の例としては、2-クロロ-N,N,N-トリメチルエタンアミニウム(クロルコリンクロリドとも呼ばれる)、及び2-(クロロカルボニルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
水素結合供与体化合物
1つ以上の実施形態において、HBD(hydrogen-bond donor)化合物とも称され得る水素結合供与体化合物としては、アミン、アミド、カルボン酸、及びアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態において、水素結合供与体化合物は、炭化水素鎖構成成分を含む。炭化水素鎖構成成分は、炭素鎖長が、少なくとも2個、他の実施形態においては少なくとも3個、また他の実施形態においては少なくとも5個の炭素原子であってもよい。これらの又は他の実施形態において、炭化水素鎖構成成分は、炭素鎖長が、30個未満の、他の実施形態においては20個未満の、他の実施形態においては10個未満の炭素原子を有する。
【0021】
1つ以上の実施形態において、有用なアミンには、以下の式で定義される化合物が挙げられ、
【数5】
式中、R及びRは、-NH、-NHR、又は-NRであり、xは、少なくとも2の整数である。1つ以上の実施形態において、xは、2~約10であり、他の実施形態においては約2~約8であり、他の実施形態においては約2~約6である。
【0022】
有用なアミンの具体例としては、脂肪族アミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルピペラジン、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、N,N’-ビス-(2アミノエチル)ピペラジン、ピペラジノエチルエチレンジアミン、及びテトラエチレンペンタアミン、プロピレンアミン、アニリン、置換アニリン、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
1つ以上の実施形態において、有用なアミドとしては、以下の式で定義される化合物が挙げられ、
【数6】
式中、Rは、H、NH、CH、又はCFである。
【0024】
有用なアミドの具体例としては、尿素、1-メチル尿素、1,1-ジメチル尿素、1,3-ジメチル尿素、チオ尿素、尿素、ベンズアミド、アセトアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
1つ以上の実施形態において、有用なカルボン酸としては、単官能性、二官能性、及び三官能性有機酸が挙げられる。これらの有機酸としては、アルキル酸、アリール酸、及び混合アルキル-アリール酸を挙げることができる。
【0026】
有用な単官能性カルボン酸の具体例としては、脂肪族酸、フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、安息香酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。二官能性カルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。三官能性カルボン酸の具体例としては、クエン酸、トリカルバリル酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
アルコールの種類としては、モノオール、ジオール、及びトリオールが挙げられるが、これらに限定されない。モノオールの具体例としては、脂肪族アルコール、フェノール、置換フェノール、及びこれらの混合物が挙げられる。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、レゾルシノール、置換レゾルシノール、及びこれらの混合物が挙げられる。トリオールの具体例としては、グリセロール、ベンゼントリオール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
金属ハロゲン化物
金属ハロゲン化物の種類としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、及びフッ化物が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態において、これらの金属ハロゲン化物としては、遷移金属ハロゲン化物が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、対応する金属ハロゲン化物水和物を容易に想定することができる。
【0029】
有用な金属ハロゲン化物の具体例としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、対応する金属ハロゲン化物水和物を容易に想定することができる。例えば、塩化アルミニウム六水和物及び塩化銅二水和物は、上記のハロゲン化物に対応する。
【0030】
共晶錯体の形成
当業者であれば、適切なモル比で適切な共晶部材を選択して、所望の共晶組成物を提供することができる。当業者であれば、対に含まれる第1の化合物(例えば、ルイス塩基)と、対に含まれる第2の化合物(例えば、ルイス酸)とのモル比は、選択される化合物に基づいて変化することを理解するであろう。当業者には理解されるように、共晶溶媒の融点抑制には、最小融点抑制(すなわち深共晶溶媒)をもたらす、第1の化合物と第2の化合物とのモル比である共晶点が含まれる。しかしながら、第1の化合物と第2の化合物とのモル比は、様々に変化させることができ、それでもなお、最低融点ではないとはいえ、共晶溶媒の融点の、第1及び第2の化合物の個々の融点に対する抑制をもたらすことができる。したがって、本発明の1つ以上の実施形態の実施には、共晶点外のモル比で共晶溶媒を形成することが含まれる。
【0031】
1つ以上の実施形態において、共晶対の化合物、及び対の第1の化合物と第2の化合物とのモル比は、融点が、130℃未満、他の実施形態においては、110℃未満、他の実施形態においては100℃未満、他の実施形態においては80℃未満、他の実施形態においては60℃未満、他の実施形態においては40℃未満、他の実施形態においては30℃未満である混合物を産出するように選択される。これらの又は他の実施形態において、共晶対の化合物、及び化合物どうしのモル比は、融点が、0℃超、他の実施形態においては10℃超、他の実施形態においては20℃超、他の実施形態においては30℃超、他の実施形態においては40℃超である混合物を産出するように選択される。
【0032】
1つ以上の実施形態において、共晶対の化合物、及び対の第1の化合物と第2の化合物とのモル比は、溶解度又は溶解力と称されてもよい、所望の金属化合物を溶解する能力又は性能を有する共晶溶媒を産出するように選択される。当業者には理解されるように、この溶解度は、飽和溶液を調製する場合に、所与の重量の共晶溶媒内に、指定された温度及び圧力の下で指定の時間をかけて溶解された金属化合物の重量に基づいて定量化することができる。1つ以上の実施形態において、本発明の共晶溶媒は、温度50℃、大気圧下で、24時間にわたって酸化亜鉛を溶解させた場合に、100ppm超の溶解度、他の実施形態においては500ppm超、他の実施形態においては1000ppm超、他の実施形態においては1200ppm超、他の実施形態においては1400ppm超、他の実施形態においては1600ppm超の溶解度を達成するように選択される。ここで、ppmは溶質重量対溶媒重量基準で測定される。
【0033】
1つ以上の実施形態において、共晶溶媒は、第1の化合物を第2の化合物と適切なモル比で化合させることによって形成され、溶媒組成物(すなわち、所望の温度で液体の組成物)が提供される。混合物は、様々な技術を使用することによって機械的に撹拌することができ、そのような技術には、固体状態混合技術又はブレンド技術が含まれるが、これらに限定されない。一般的に言えば、混合物は、視覚的に均質である液体が形成されるまで混合されるか、又は別様に撹拌される。また、混合物は、高温で形成されてもよい。例えば、本共晶溶媒は、混合物を、50℃超、他の実施形態においては70℃超、他の実施形態においては90℃超の温度に加熱することによって形成されてもよい。混合物の加熱中、混合を継続してもよい。所望の混合物が形成されたら、共晶溶媒を室温まで冷却することができる。1つ以上の実施形態において、本共晶溶媒の冷却は、1℃/分未満など、制御された速度で行われてもよい。
【0034】
1つ以上の実施形態において、有用な共晶組成物を市場で入手することができる。例えば、深共晶溶媒は、Scionixから、商品名Ionic Liquidsで市販されている。有用な共晶組成物はまた、米国特許出願公開第2004/0097755(A1)号及び同第2011/0207633(A1)号に記載されているように一般に知られており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
不活性担体
1つ以上の実施形態において、不活性材料とも称され得る不活性担体は、本加硫性組成物の任意の他の構成成分と反応しないか、又は別様にそれに対して感知可能な影響を有しない固体の粒状材料である。共晶組成物の形成において使用されてもよい有用な不活性材料の例としては、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)、珪灰石(CaSiO)、二酸化ケイ素(SiO)、及びそれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられる。1つ以上の実施形態において、不活性担体は、酸化亜鉛を含まないか、又は実質的に含まない。これら又は他の実施形態において、不活性担体は、酸化マグネシウムを含まないか、又は実質的に含まない。これら又は他の実施形態において、不活性担体はいかなる金属酸化物も含まない。
【0036】
1つ以上の実施形態において、不活性材料は、200nm未満、他の実施形態においては150nm未満、他の実施形態においては100nm未満の一次粒径中央径(d50)によって特徴付けられる粒子状材料である。
【0037】
加硫性ゴム
1つ以上の実施形態において、加硫性ゴムは、単にゴム又は加硫性エラストマーとも称され得、加硫されて、ゴム特性又はエラストマー特性を有する組成物を形成することができるポリマーを含んでもよい。これらのエラストマーには、天然ゴム及び合成ゴムが含まれてもよい。合成ゴムは、典型的には、共役ジエンモノマーの重合、共役ジエンモノマーと他のモノマー、例えばビニル置換芳香族モノマーとの共重合、又はエチレンと1つ以上のα-オレフィン及び任意選択の1つ以上のジエンモノマーとの共重合から得られる。
【0038】
例示的なエラストマーとしては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン-コ-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、及びこれらの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、無数の巨大分子構造、例えば、直鎖状、分枝状、及び星形構造を有することができる。これらのエラストマーにはまた、1つ以上の官能単位が含まれてもよく、これには、典型的にヘテロ原子が含まれる。
【0039】
充填材
上述のように、本発明の加硫性組成物は、1つ以上の充填剤を含んでもよい。これらの充填剤材料には、補強充填剤及び非補強充填剤が含まれてもよい。例示的な充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、及び種々の無機充填剤が挙げられる。
【0040】
有用なカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、及びランプブラックが挙げられる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超摩耗ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、高摩耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。
【0041】
特定の実施形態において、カーボンブラックは、表面積(EMSA)が、少なくとも20m/g、他の実施形態においては、少なくとも35m/gであってもよく、表面積値は、ASTM規格D-1765によって、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(cetyltrimethylammonium bromide、CTAB)技法を使用して決定することができる。カーボンブラックは、ペレット化された形態であっても、ペレット化されていない綿状形態であってもよい。カーボンブラックの好ましい形態は、ゴム化合物を混合するために使用される混合機器の種類に左右され得る。
【0042】
好適なシリカ充填剤の例としては、沈殿非晶質シリカ、湿潤シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0043】
1つ以上の実施形態において、シリカは、その表面積によって特徴付けることができるが、表面積は、その補強特性の尺度となるものである。Brunauer,Emmet and Teller(Brunauer,Emmet and Teller、「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載されている)は、表面積を決定する方法として認知されている。シリカのBET表面積は、概して450m/g未満である。表面積の有用な範囲としては、約32~約400m/g、約100~約250m/g、及び約150~約220m/gが挙げられる。
【0044】
1つ以上のシリカを用いる場合には、シリカのpHは、概して、約5~約7、又はわずかに7より高い値とするが、他の実施形態においては、約5.5~約6.8である。
【0045】
1つ以上の実施形態において、シリカを充填剤として(単独で又は他の充填剤と組み合わせて)用いる場合、混合中にカップリング剤及び/又は遮蔽剤をゴム組成物に加えて、シリカとエラストマーとの相互作用を高めてもよい。有用なカップリング剤及び遮蔽剤は、米国特許第3,842,111号、同第3,873,489号、同第3,978,103号、同第3,997,581号、同第4,002,594号、同第5,580,919号、同第5,583,245号、同第5,663,396号、同第5,674,932号、同第5,684,171号、同第5,684,172号、同第5,696,197号、同第6,608,145号、同第6,667,362号、同第6,579,949号、同第6,590,017号、同第6,525,118号、同第6,342,552号、及び同第6,683,135号に開示されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。硫黄含有シリカカップリング剤の例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィド又はメルカプト-オルガノアルコキシシランが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの種類としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。
【0046】
他の有用な充填剤材料としては、種々の無機充填剤及び有機充填剤が挙げられる。有機充填剤の例としては、デンプンが挙げられる。無機充填剤の例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化ホウ素、酸化鉄、マイカ、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、及びクレイ(含水ケイ酸アルミニウム)が挙げられる。
【0047】
樹脂
上述のように、本発明の加硫性組成物は、1つ以上の樹脂を含んでもよい。これらの樹脂としては、フェノール樹脂、並びに例えば、脂環式樹脂、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、及びテルペン樹脂などの炭化水素樹脂、更にはこれらの組み合わせを挙げることができる。有用な樹脂が、様々な商標名で、様々な企業から市販されており、そうした企業には、例えば、Chemfax、Dow Chemical Company、Eastman Chemical Company、Idemitsu、Neville Chemical Company、Nippon、Polysat Inc.、Resinall Corp.、Pinova Inc.、Yasuhara Chemical Co.、Ltd.、Arizona Chemical、and SI Group Inc.、及びZeonが挙げられる。
【0048】
1つ以上の実施形態において、有用な炭化水素樹脂は、約30~約160℃、他の実施形態においては約35~約60℃、他の実施形態においては約70~約110℃のガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられてもよい。1つ以上の実施形態において、有用な炭化水素樹脂はまた、その軟化点がそのガラス転移温度(Tg)よりも高いことによって特徴付けられてもよい。ある特定の実施形態において、有用な炭化水素樹脂は、約70~約160℃、他の実施形態においては約75~約120℃、他の実施形態においては約120~約160℃の軟化点を有する。
【0049】
ある特定の実施形態において、1つ以上の脂環式樹脂が、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、及びテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて使用される。1つ以上の実施形態において、1つ以上の脂環式樹脂が、樹脂の総量に対して、主重量成分(例えば、50重量%を超える成分)として用いられる。例えば、用いられる樹脂は、少なくとも55重量%、他の実施形態においては少なくとも80重量%、他の実施形態においては少なくとも99重量%の1つ以上の脂環式樹脂を含む。
【0050】
1つ以上の実施形態において、脂環式樹脂は、脂環式ホモポリマー樹脂と脂環式コポリマー樹脂との両方を含み、脂環式コポリマー樹脂には、任意選択で1つ以上の他の(非脂環式)モノマーと組み合わせた脂環式モノマー由来のものが含まれる(ただし、全てのモノマーの量の大部分を占めるのは脂環式である)。好適で有用な脂環式樹脂の非限定的な例としては、シクロペンタジエン(「cyclopentadiene、CPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びジシクロペンタジエン(「dicyclopentadiene、DCPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。脂環式コポリマー樹脂の非限定例としては、CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、DCPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、CPD/テルペンコポリマー樹脂、DCPD/テルペンコポリマー樹脂、CPD/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/C5留分コポリマー樹脂)、DCPD/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/C5留分コポリマー樹脂)、CPD/芳香族コポリマー樹脂(例えば、CPD/C9留分コポリマー樹脂)、DCPD/芳香族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/C9留分コポリマー樹脂)、CPD/芳香族-脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/C5及びC9留分コポリマー樹脂)、DCPD/芳香族-脂肪族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/C5及びC9留分コポリマー樹脂)、CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂(例えば、CPD/スチレンコポリマー樹脂)、DCPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂(例えば、DCPD/スチレンコポリマー樹脂)、CPD/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/CPDコポリマー樹脂)、及びDCPD/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/DCPDコポリマー樹脂)が挙げられる。ある特定の実施形態において、脂環式樹脂は、上記の脂環式樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加脂環式樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、脂環式樹脂は、いずれの水素添加脂環式樹脂も除外する。言い換えれば、脂環式樹脂は水素添加されていない。
【0051】
ある特定の実施形態において、1つ以上の芳香族樹脂が、脂肪族樹脂、脂環式樹脂、及びテルペン樹脂のうちの1種以上と組み合わせて使用される。1つ以上の実施形態において、1つ以上の芳香族樹脂が、樹脂の総量に対して、主重量成分(例えば、50重量%を超える成分)として用いられる。例えば、用いられる樹脂は、少なくとも55重量%、他の実施形態においては少なくとも80重量%、他の実施形態においては少なくとも99重量%の1つ以上の芳香族樹脂を含む。
【0052】
1つ以上の実施形態において、芳香族樹脂は、芳香族ホモポリマー樹脂と芳香族コポリマー樹脂との両方を含み、芳香族コポリマー樹脂には、1つ以上の芳香族モノマーに、1つ以上の他の(非芳香族)モノマーを組み合わせたもの(ただし、いかなる種類のモノマーもその最大量を占めるのは芳香族である)に由来のものが含まれる。有用な芳香族樹脂の非限定例としては、クマロン-インデン樹脂及びアルキル-フェノール樹脂、並びにビニル芳香族ホモポリマー又はコポリマー樹脂を含み、例えば、これらの樹脂は、アルファ-メチルスチレン、スチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はC9留分若しくはC8~C10留分から得られるビニル芳香族モノマーのうちの1つ以上に由来するものである。ビニル芳香族コポリマー樹脂の非限定例としては、ビニル芳香族/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/C5留分樹脂(例えば、C5留分/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/スチレンコポリマー樹脂、及びDCPD/スチレンコポリマー樹脂)が挙げられる。アルキル-フェノール樹脂の非限定例としては、p-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(例えば、低重合度を有する樹脂などのアルキルフェノール-アセチレン樹脂が挙げられる。ある特定の実施形態において、芳香族樹脂は、上記の芳香族樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加芳香族樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、芳香族樹脂は、いずれの水素添加芳香族樹脂も除外する。言い換えれば、芳香族樹脂は水素添加されていない。
【0053】
ある特定の実施形態において、1つ以上の脂肪族樹脂が、脂環式樹脂、芳香族樹脂、及びテルペン樹脂のうちの1つ以上と組み合わせて使用される。1つ以上の実施形態において、1つ以上の脂肪族樹脂が、樹脂の総量に対して、主重量成分(例えば、50重量%を超える成分)として用いられる。例えば、用いられる樹脂は、少なくとも55重量、他の実施形態においては少なくとも80重量%、他の実施形態においては少なくとも99重量%の1つ以上の脂肪族樹脂を含む。
【0054】
1つ以上の実施形態において、脂肪族樹脂は、脂肪族ホモポリマー樹脂と脂肪族コポリマー樹脂との両方を含み、脂肪族コポリマー樹脂には、1つ以上の脂肪族モノマーに、1つ以上の他の(非脂肪族)モノマーを組み合わせたもの(ただし、いかなる種類のモノマーもその最大量を占めるのは脂肪族である)に由来のものが含まれる。有用な脂肪族樹脂の非限定的な例としては、C5留分のホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂(例えば、C5留分/スチレンコポリマー樹脂)、C5留分/脂環式コポリマー樹脂、及びC5留分/C9留分/脂環式コポリマー樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。環式脂肪族モノマーの非限定例としては、シクロペンタジエン(「CPD」)及びジシクロペンタジエン(「DCPD」)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、脂肪族樹脂は、上記の脂肪族樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加脂肪族樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、脂肪族樹脂は、いずれの水素添加脂肪族樹脂も除外する。言い換えれば、このような実施形態では、脂肪族樹脂は水素添加されていない。
【0055】
1つ以上の実施形態において、テルペン樹脂は、テルペンホモポリマー樹脂とテルペンコポリマー樹脂との両方を含み、テルペンコポリマー樹脂には、1つ以上のテルペンモノマーに、1つ以上の他の(非テルペン)モノマーを組み合わせたもの(ただし、いかなる種類のモノマーもその最大量を占めるのはテルペンである)に由来のものが含まれる。有用なテルペン樹脂の非限定的な例としては、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂(例えば、L-リモネン、D-リモネン、更にはL-異性体及びD-異性体のラセミ混合物であるジペンテン)、β-フェランドレン、δ-3-カレン、δ-2-カレン、ピネン-リモネンコポリマー樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び芳香族変性テルペン樹脂、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。ある特定の実施形態において、テルペン樹脂は、上記のテルペン樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加テルペン樹脂)を含んでもよい。他の実施形態において、テルペン樹脂は、いずれの水素添加テルペン樹脂も除外する。言い換えれば、このような実施形態では、テルペン樹脂は水素添加されていない。
【0056】
硬化剤
ゴム硬化剤(加硫剤とも呼ばれる)としては、硫黄系硬化系が挙げられる。硬化剤は、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.20,pgs.365-468,(3rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390-402、及びA.Y.Coran,Vulcanization,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,(2nd Ed.1989)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。1つ以上の実施形態において、硬化剤は硫黄である。好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker’s)」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性加硫剤、及び不溶性ポリマー性硫黄が挙げられる。加硫剤は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。当業者であれば、所望の硬化レベルを達成するために、加硫剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0057】
1つ以上の実施形態において、硬化剤は、硬化促進剤と組み合わせて用いられる。1つ以上の実施形態において、促進剤を使用して、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫ゴムの特性を改善する。促進剤の例としては、チアゾール加硫促進剤(例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、及びN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル-スルフェンアミド(N-cyclohexyl-2-benzothiazyl-sulfenamide、CBS)など)、及びグアニジン加硫促進剤(例えば、ジフェニルグアニジン(diphenylguanidine、DPG)など)が挙げられる。当業者であれば、所望の硬化レベルを達成するために、硬化促進剤の量を容易に選択することができるであろう。
【0058】
他の成分
ゴム配合において典型的に用いられる他の構成成分も、ゴム組成物に加えることができる。これらには、促進剤、促進活性剤、油、添加可塑剤、蝋類、スコーチ抑制剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化用樹脂、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、解膠剤、並びに劣化防止剤、例えば、酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤が含まれる。特定の実施形態において、用いられる油としては、従来から展延剤オイルとして用いられるものが挙げられる。使用してもよい有用な油類又は展延剤としては、芳香族油、パラフィン系油、ナフテン系油、植物油(ヒマシ油以外)、低PCA油(例えば、MES、TDAE、及びSRAEなど)、及び重ナフテン系油が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物起源の油も挙げられる。非限定的な例としては、ダイズ油、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、ヘンプ油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
金属活性化剤及び有機酸
上述のように、本発明の加硫性組成物は、金属化合物を含む。1つ以上の実施形態において、金属化合物は活性化剤(すなわち、ゴムの加硫又は硬化を補助するもの)である。他の実施形態において、金属活性化剤は金属酸化物である。特定の実施形態において、金属活性化剤は酸化亜鉛である。他の実施形態において、金属活性化剤は、酸化亜鉛と有機酸(例えばステアリン酸)との間の反応又は相互作用を通じてその場で形成される亜鉛種である。他の実施形態において、金属化合物は、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物である。他の実施形態において、金属化合物は、酸化鉄などの鉄化合物である。他の実施形態において、金属化合物は、カルボン酸コバルトなどのコバルト化合物である。
【0060】
1つ以上の実施形態において、酸化亜鉛は、10m/g未満、他の実施形態においては9m/g未満、他の実施形態においては8m/g未満のBET表面積によって特徴付けられる非官能化酸化亜鉛である。他の実施形態において、10m/gを超えるBET表面積によって特徴付けられる酸化亜鉛粒子を含む、ナノ酸化亜鉛が用いられる。
【0061】
1つ以上の実施形態において、有機酸はカルボン酸である。特定の実施形態において、カルボン酸は、飽和及び不飽和脂肪酸を含む脂肪酸である。特定の実施形態において、ステアリン酸などの飽和脂肪酸が用いられる。他の有用な酸としては、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、及びアラキドン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
成分量
ゴム
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、本組成物の全重量に基づいて、少なくとも20重量%、他の実施形態においては少なくとも30重量%、他の実施形態においては少なくとも40重量%のゴム成分を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、本組成物の全重量に基づいて、最大90重量%、他の実施形態においては最大70重量%、他の実施形態においては最大60重量%のゴム成分を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、本組成物の全重量に基づいて、約20~約90重量%、他の実施形態においては約30~約70重量%、他の実施形態においては約40~約60重量%のゴム成分を含む。
【0063】
共晶組成物
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、0.005重量部(pbw)より多くの、他の実施形態においては0.01重量部より多くの、他の実施形態においては0.02重量部より多くの共晶組成物を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで3pbw未満の、他の実施形態においては1pbw未満、他の実施形態においては0.1pbw未満の共晶組成物を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約0.005~約3pbwの、他の実施形態においては約0.01~約1pbw、他の実施形態においては約0.02~約0.1pbwの共晶組成物を含む。
【0064】
1つ以上の実施形態において、共晶溶媒の量は、金属活性化剤(酸化亜鉛など)の投入量を基準にして説明することができる。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、本加硫性組成物中に存在する共晶溶媒及び金属活性化剤(例えば酸化亜鉛)の総重量に基づいて、2重量%超、他の実施形態においては3重量%超、他の実施形態においては5重量%超の共晶溶媒を含む。これらの又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、本加硫性組成物中に存在する共晶溶媒及び金属活性化剤(例えば酸化亜鉛)の総重量に基づいて、15重量%未満、他の実施形態においては12重量%未満、他の実施形態においては10重量%未満の共晶溶媒を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、本加硫性組成物中に存在する共晶溶媒及び金属活性化剤(例えば酸化亜鉛)の総重量に基づいて、約2~約15重量%、他の実施形態においては約3~約12重量%、他の実施形態においては約5~約10重量%の共晶溶媒を含む。
【0065】
担体材料
1つ以上の実施形態では、共晶組成物(すなわち、共晶組成物ブレンド)と併せて導入される担体材料の量は、共晶組成物の重量に対して記載され得る。1つ以上の実施形態において、共晶組成物と担体との重量比は、少なくとも0.05:1を超え、他の実施形態においては少なくとも0.01:1を超え、他の実施形態では少なくとも0.2:1を超える。これらの又は他の実施形態において、本共晶組成物と担体との重量比は、5:1未満、他の実施形態においては3:1未満、他の実施形態においては1:1未満である。これらの又は他の実施形態において、本共晶組成物と担体との重量比は、約0.05:1~約5:1、他の実施形態においては約0.1:1~約3:1、他の実施形態においては約0.2:1~1:1である。
【0066】
金属化合物
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、0.05重量部(pbw)超、他の実施形態においては0.1重量部超、他の実施形態においては0.15重量部超の金属活性化剤(例えば酸化亜鉛)を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで2pbw未満、他の実施形態においては1pbw未満、他の実施形態においては0.75pbw未満の金属活性化剤(例えば酸化亜鉛)を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約0.05~約2pbw、他の実施形態においては約0.1~約1pbw、他の実施形態においては約0.15~約0.75pbwの金属活性化剤(例えば酸化亜鉛)を含む。
【0067】
有機酸
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、0.5重量部(pbw)より多い、他の実施形態においては0.7重量部より多い、他の実施形態においては1.0重量部より多い有機酸(例えばステアリン酸)を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで5pbw未満、他の実施形態においては3pbw未満、他の実施形態においては2pbw未満の有機酸(例えばステアリン酸)を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約0.5~約5pbwを含み、他の実施形態においては約0.7~約3pbw、他の実施形態においては約1.0~約2pbwの有機酸(例えばステアリン酸)を含む。
【0068】
充填材
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、少なくとも0重量部(pbw)、他の実施形態においては少なくとも10重量部、他の実施形態においては少なくとも20重量部の充填剤を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで最大200pbw、他の実施形態においては最大100pbw、他の実施形態においては最大70pbwの充填剤を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約0~約200pbw、他の実施形態においては約10~約100pbw、他の実施形態においては約20~約70pbwの充填剤を含む。
【0069】
カーボンブラック
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、少なくとも0重量部(pbw)、他の実施形態においては少なくとも10重量部、他の実施形態においては少なくとも20重量部のカーボンブラックを含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで最大200pbw、他の実施形態においては最大100pbw、他の実施形態においては最大70pbwのカーボンブラックを含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約0~約200pbw、他の実施形態においては約10~約100pbw、他の実施形態においては約20~約70pbwのカーボンブラックを含む。
【0070】
シリカ
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、少なくとも5重量部(pbw)、他の実施形態においては少なくとも25重量部、他の実施形態においては少なくとも50重量部、他の実施形態においては少なくとも70重量部のシリカを含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで最大200pbw、他の実施形態においては最大130pbw、他の実施形態においては最大80pbwのシリカを含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約5~約200pbw、他の実施形態においては約25~約130pbw、他の実施形態においては約50~約80pbwのシリカを含む。
【0071】
充填剤比
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、第1の充填剤の量と第2の充填剤の量との比によって特徴付けることができる。1つ以上の実施形態において、カーボンブラックシリカとシリカとの量の比は、約1:1、他の実施形態においては約10:1、他の実施形態においては約14:1、他の実施形態においては約20:1である。1つ以上の実施形態において、カーボンブラックとシリカとの量の比は、約1:5、他の実施形態においては約1:10、他の実施形態においては約1:14、他の実施形態においては約1:20である。
【0072】
シリカカップリング剤
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、シリカ100重量部当たり、少なくとも1重量部(pbw)、他の実施形態においては少なくとも2重量部、他の実施形態においては少なくとも5重量部のシリカカップリング剤を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、シリカ100重量部当たり、最大20pbw、他の実施形態においては最大15pbw、他の実施形態においては最大10pbwのシリカカップリング剤を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、シリカ100重量部当たり、約1~約20pbw、他の実施形態においては約2~約15pbw、他の実施形態においては約5~約10pbwのシリカカップリング剤を含む。
【0073】
樹脂
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、1重量部(pbw)より多い、他の実施形態においては15重量部より多い、他の実施形態においては25重量部より多い、他の実施形態においては35重量部より多い樹脂(例えば炭化水素樹脂)を含む。これら又は他の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで150pbw未満、他の実施形態においては120pbw未満、他の実施形態においては90pbw未満の樹脂(例えば炭化水素樹脂)を含む。1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、phrで約1~約150pbw、他の実施形態においては約15~約120pbw、他の実施形態においては約25~約90pbwの樹脂(例えば炭化水素樹脂)を含む。
【0074】
プロセスの概要
本発明の態様によれば、共晶組成物を不活性担体と予め混合して、共晶組成物ブレンドを形成する。次いで、このブレンドを加硫性組成物に加える。1つ以上の実施形態において、本共晶組成物は、本共晶組成物を加硫性ゴムと化合させる前に調製される。他の実施形態において、本共晶組成物の構成成分(すなわち、共晶成分)は、不活性担体の存在下で導入される。言い換えると、共晶成分の各々は、不活性担体と共に、直接かつ別々に導入される。
【0075】
1つ以上の実施形態において、本加硫性組成物は、加硫性ゴムと共晶組成物ブレンドとを混合してマスターバッチを形成させた後、続いて硬化剤をマスターバッチに加えることによって調製される。マスターバッチの調製は、1つ以上の補助的な混合工程を用いて行われてもよく、その混合工程では、例えば、2つ以上の成分を混合することによって最初の混合物を調製した後で、1つ以上の成分を順次、組成物に加えてもよい。また、従来技術を使用して、本加硫性組成物の調整に追加的な成分を加えることもでき、そのような追加的な成分としては、カーボンブラック、追加の充填剤、化学的に処理された無機酸化物、シリカ、シリカカップリング剤、シリカ分散剤、加工油、加工助剤(例えば酸化亜鉛及び脂肪酸など)、及び劣化防止剤(又は抗酸化剤又はオゾン劣化防止剤など)が挙げられるが、これらに限られない。
【0076】
1つ以上の実施形態において、本共晶組成物ブレンドは、ゴムマスターバッチの形成における開始成分として加硫性ゴムに導入される。その結果、共晶組成物ブレンドが、ゴムと、高剪断、高温で混合される。1つ以上の実施形態において、共晶組成物ブレンドは、110℃を超える、他の実施形態においては130℃を超える、他の実施形態においては150℃を超える最低温度でゴムと混合される。1つ以上の実施形態において、高剪断、高温での混合は、約110℃~約170℃の温度で行われる。
【0077】
他の実施形態において、共晶組成物ブレンドは、硫黄系硬化剤と共に、順次又は一度のいずれかで、加硫性ゴムに導入される。その後、共晶組成物ブレンドは、110℃未満、他の実施形態においては105℃未満、他の実施形態においては100℃未満の最大温度で加硫性ゴムと混合される。1つ以上の実施形態において、硬化剤との混合は、約70~約110℃の温度で行われる。
【0078】
共晶組成物ブレンドと同様に、酸化亜鉛及びステアリン酸は、ゴムマスターバッチに開始成分として加えることができ、したがって、これらの成分は、高温、高剪断の混合を受けることになる。あるいは、酸化亜鉛及びステアリン酸は、硫黄系硬化剤と共に加えることができ、それによって、低温での混合のみを受けることになる。
【0079】
1つ以上の実施形態において、酸化亜鉛は、共晶組成物ブレンドとは別々かつ個々に、加硫性ゴムに導入される。他の実施形態において、酸化亜鉛及び共晶組成物ブレンドは予め化合されて酸化亜鉛マスターバッチを形成するが、この酸化亜鉛マスターバッチは、酸化亜鉛が共晶組成物ブレンド中に溶解又は別様に分散する溶液を含んでもよい。その後、酸化亜鉛マスターバッチを加硫性ゴムに導入することができる。
【0080】
混合条件
1つ以上の実施形態において、加硫性組成物は、まず、加硫性ゴムと共晶組成物ブレンドとを、約140~約180℃、他の実施形態においては約150~約170℃の温度で混合することによって調製される。ある特定の実施形態においては、最初の混合の後、組成物(すなわち、マスターバッチ)を、100℃未満、他の実施形態においては80℃未満の温度まで冷却してから、硬化剤を加える。ある特定の実施形態においては、約90~約110℃、他の実施形態においては約95~約105℃の温度で混合を続け、最終的な加硫性組成物を調製する。
【0081】
1つ以上の実施形態において、マスターバッチ混合工程、又はマスターバッチ混合工程の1つ若しくは2つ以上の副工程は、混合中に組成物が到達するピーク温度によって特徴付けることができる。このピーク温度は、落下温度とも称され得る。1つ以上の実施形態において、マスターバッチ混合工程中の組成物のピーク温度は、少なくとも140℃、他の実施形態においては少なくとも150℃、他の実施形態においては少なくとも160℃であってもよい。これら又は他の実施形態において、マスターバッチ混合工程中の組成物のピーク温度は、約140~約200℃、他の実施形態においては約150~約190℃、他の実施形態においては約160~約180℃であってもよい。
【0082】
最終混合工程
マスターバッチ混合工程に続いて、硬化剤又は硬化剤系を組成物に導入し、混合を継続して、最終的に加硫性組成物を形成させる。この混合工程は、最終混合工程、硬化剤混合工程、又は産物混合工程と称されてもよい。この混合工程から得られる産物は、加硫性組成物と称されてもよい。
【0083】
1つ以上の実施形態において、最終混合工程は、最終混合中に組成物が到達するピーク温度によって特徴付けることができる。当業者であれば認識するように、この温度は、最終落下温度とも称され得る。1つ以上の実施形態において、最終混合中の組成物のピーク温度は、最高で130℃、他の実施形態においては最高で110℃、他の実施形態においては最高で100℃であってもよい。これら又は他の実施形態において、最終混合中の組成物のピーク温度は、約80~約130℃、他の実施形態においては約90~約115℃、他の実施形態においては約95~約105℃であってもよい。
【0084】
混合機器
加硫性組成物の全ての成分は、標準的な混合機器、例えば内蔵混合機(例えば、Banbury又はBrabender混合機)、押出機、捏和機、及び2ロールミルを用いて、混合可能である。混合は、単独で又は並行して行うことができる。上述のように、成分は、単一の段階、他の実施形態においては2段階以上の多段階で混合することができる。例えば、典型的にはゴム成分及び充填剤を含む第1の段階(すなわち、混合段階)において、マスターバッチが調製される。マスターバッチが調製されると、最終混合段階において、加硫剤をマスターバッチ内に導入して混合してもよく、この最終混合段階は、典型的には、比較的低温で実施され、それにより加硫のタイミングが早くなりすぎる可能性を減少させる。リミル(remill)と呼ばれることもある追加の混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終混合段階の間に採用することも可能である。
【0085】
タイヤの調製
本加硫性組成物は、標準的なゴムの成形、成型、及び硬化技術を含む、通常のタイヤ製造技術に従って、タイヤ部品に加工され得る。典型的には、加硫は、本加硫性組成物を成形型内で加熱することによって行われ、例えば、これは、約140℃~約180℃に加熱され得る。硬化又は架橋されたゴム組成物は、加硫物と称されてもよく、この加硫物は、概して、熱硬化性の三次元ポリマー網状組織を含有する。充填剤及び加工助剤などの他の成分は、架橋された網状組織全体にわたって一様に分散してもよい。空気入りタイヤは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,866,171号、同第5,876,527号、同第5,931,211号、及び同第5,971,046号に記載されるように作製され得る。
【0086】
加硫物の特性
上記のように、本発明の加硫性組成物を硬化させて、様々なタイヤ部品を調製することができる。これらのタイヤ部品としては、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、ベルトスキム、インナーライナ、及びビード頂点が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本発明の態様によれば、加硫物とも称され得るタイヤ部品は、有利な硬化特性によって特徴付けられ、その一方で、亜鉛種などの金属活性化剤を、比較的低濃度でしか含まない。
【0088】
1つ以上の実施形態において、本加硫物は、ゴム100重量部当たり、2pbw未満、他の実施形態においては1phr未満、他の実施形態においては0.7pbw未満の亜鉛しか含まないことによって特徴付けられる。
【0089】
1つ以上の実施形態において、タイヤ部品は、タイヤトレッドである。本明細書に概説されるように、トレッドは、亜鉛種などの金属活性化剤を限定された濃度のみでしか含まないが、そのトレッドはそれでもなお、室温でASTM規格のD-412に従って測定したときに、3MPaより大きい、他の実施形態においては5MPaより大きい、他の実施形態においては7MPaより大きい300%弾性率によって特徴付けられる。
【0090】
本発明の実施を実証するために、以下の実施例を調製し、試験した。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとしてみなされるべきではない。特許請求の範囲が本発明を定義するものとする。
【実施例
【0091】
いくつかの加硫性組成物を、以下の表に示される成分及び混合順序を使用することによって調製した。全ての量は、特に明記しない限り、ゴム100重量部当たりの重量部で提示される。以下の表はまた、組成物及び/又は組成物から調製された加硫物に対して実施したいくつかの分析試験の結果も提供する。
【0092】
共晶溶媒の形成
コリンクロリドと尿素との共晶組成物を、1モルのコリンクロリドを2モルの尿素と100℃で混合して共晶溶媒を形成することによって調製した。この共晶溶媒は、DESと称されてもよい深共晶溶媒であると考えられた。DESを標準条件下で室温まで冷却させた。
【0093】
加硫性組成物の形成
表Iに提供されるゴム配合物及び混合順序を使用して、加硫性組成物を調製した。このゴム配合物は、タイヤトレッドの製造に有用なゴム配合物を示すものであった。表Iに示すように、混合手順は、マスターバッチ混合工程、「リミル混合工程」、及び最終混合工程を含む、3工程混合手順であった。種々の混合工程をBanburyミキサー内で行った。マスターバッチの調製中、ミキサーを75rpmで動作させ、160℃の組成物ピーク温度に到達させた。その時点で、組成物をミキサーから落とし、約85℃未満まで冷却させた。この時点で、組成物を、「リミル段階」用として特定された成分と共に、ミキサーに再導入し、混合を75rpmで継続し、約160℃の組成物ピーク温度を達成した。組成物を再びミキサーから落とし、約50℃未満の温度まで冷却させた。次に、組成物を、「最終混合段階」用に特定された成分と共に、再度ミキサーに再導入した。これらの成分には、表IIに提供するとおり、DES、DESブレンド、又は担体が含まれていた。表IIから明らかなように、ある特定の試料では、DESと不活性担体とを別々に導入した。これらの試料を比較として標識する。他の試料では、ブレンドを加硫性組成物に導入する前にDESと不活性担体とを混合した本発明に従って、プレブレンドを作製した。これらのサンプルを発明として標識する。対照試料は、不活性担体を加えずに単にDESを含んでいた。
【表1】
【0094】
表に指定された温度で動作するMDR2000を使用して、レオメーター測定を行った。加硫物の引張機械特性(最大応力、弾性率、伸び量、及び強靭性)を、ASTM-D412に記載される標準的な手順を使用することによって測定した。加硫物の動的レオロジー特性(例えばtanδ)は、約-80℃~約80℃の範囲にわたって、10Hzで実施した温度スイープ試験から得られた。
【表2】
【0095】
表IIのデータは、不活性担体の存在が、硬化特性、レオロジー特性、又は引張特性に感知可能な影響を与えなかったことを示している。
【0096】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム加硫物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
(i)硫黄系硬化剤及び共晶組成物ブレンドを含む加硫性組成物を提供することであって、前記共晶組成物ブレンドが共晶組成物及び不活性担体を含み、前記加硫性組成物が、加硫性ゴムを提供し、前記硫黄系硬化剤及び前記共晶組成物ブレンドを前記加硫性ゴムに導入することによって形成される、提供することと、
(ii)前記加硫性組成物を加熱し、それによって加硫を生じさせることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記加硫性組成物が金属化合物を含み、前記金属化合物が酸化亜鉛であり、前記加硫性組成物が、ゴム100pbw当たり2pbw未満の酸化亜鉛を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記加硫性組成物が、補強充填剤、樹脂、及び油を更に含み、前記樹脂が、ゴム100重量部当たり15重量部の樹脂より多い量で存在し、前記補強充填剤がシリカであり、前記シリカが、ゴム100重量部当たり少なくとも25重量部のシリカの量で存在する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記共晶組成物が式Cat+X-zYによって定義され、式中、Cat+がカチオンであり、X-が対アニオン(例えば、ルイス塩基)であり、zが、前記対アニオンと相互作用するY分子(例えば、ルイス酸又はブレンステッド酸)の数を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記共晶組成物が、アンモニウム化合物を、金属ハロゲン化物、金属ハロゲン化物水和物、又は水素結合供与体と化合させることによって形成され、前記アンモニウム化合物が、式IIによって定義されてもよく、
【数1】
式中、各R、R、R、及びRが、個別に水素又は一価有機基であるか、あるいは代替として、R、R、R、及びRのうちの2つが結合して二価有機基を形成し、Φが対アニオンであり、前記水素結合供与体が、アミン、アミド、カルボン酸、及びアルコールからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
共晶組成物が前記不活性担体と共に提供され、前記不活性担体が固体である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記担体が共晶部材である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記担体が、炭酸カルシウム、珪灰石、二酸化ケイ素、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記不活性担体の中位径が、200nm未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスから調製された、加硫物。

【国際調査報告】