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特表2024-508100テッククリーン(TECHCLEAN)(登録商標)直接熱交換型充填材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】テッククリーン(TECHCLEAN)(登録商標)直接熱交換型充填材
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/00 20060101AFI20240215BHJP
   F28C 1/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
F28F25/00
F28C1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544045
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2022015472
(87)【国際公開番号】W WO2022170183
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,179
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/146,579
(32)【優先日】2021-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/666,085
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】リベール,ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】カール,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,アーロン
(57)【要約】
冷却塔内の冷却媒体を冷却するための充填材シートおよび複数の充填材シートから製造される充填材パックであって、各充填材シートは、充填材シートの上部から下部へ斜めに延在する複数の溝を備え、溝の斜めの配向は、交互に並ぶ複数の長めの斜め溝セグメントおよび短めの垂直溝セグメントによって生じており、複数の溝のそれぞれは微細構造を備え、微細構造は、溝の平坦なリッジ部の縁および平坦な谷部の縁の間に延在する、丸みを帯びたマウンドと丸みを帯びた窪みとを交互に複数備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発冷却塔の冷却媒体を冷却するための充填材パックに組み立てるための充填材シートであって、
前記充填材シートは、
第1端部および第2端部であって、前記第2端部は、前記第1端部に実質的に平行に、かつ、(空気および水の移動を基準とする)垂直軸に概ね垂直に延在し、前記第1端部および前記第2端部は、前記充填材シートの横軸に実質的に平行に延在する、第1端部および第2端部と、
17度より大きい第1の溝角度で、概ね前記第2端部に向かって延在する複数の溝と、
前記複数の溝上に規定された微細構造と、を備え、
前記複数の溝は、斜め溝セグメント長を有する斜め溝セグメントと、垂直溝セグメント長を有する垂直溝セグメントとを交互に複数備え、
前記斜め溝セグメント長を有する前記斜め溝セグメントは、前記第1の溝角度に平行に整列され、前記垂直溝セグメントは、前記垂直軸に平行に整列され、
前記斜め溝セグメント長は、前記垂直溝セグメント長の6.1倍であり、
前記微細構造は、前記溝の平坦なリッジ部の縁と平坦な谷部の縁との間に延在する、丸みを帯びたマウンドと丸みを帯びた窪みとを交互に複数備える、充填材シート。
【請求項2】
前記微細構造は、前記横軸に実質的に平行に延在している、請求項1に記載の充填材シート。
【請求項3】
前記第1の溝角度は、約12~22度である、請求項1に記載の充填材シート。
【請求項4】
前記複数の溝は溝高さを規定し、前記溝高さは約1.44インチである、請求項1に記載の充填材シート。
【請求項5】
前記丸みを帯びたマウンドの微細構造は、0.05インチの高さを有し、前記溝に沿って0.11~0.12インチの間隔で配置されている、請求項1に記載の充填材シート。
【請求項6】
パックを流れる流体を、実質的に反対方向に前記パックを流れる気体で冷却するための交差波形の充填材パックアセンブリであって、
前記充填材パックアセンブリは、複数の同一の充填材シートを備え、前記充填材シートは、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填材シートであり、
複数の前記充填材シートは、隣接する充電材シートが互いに180度の向きになるように配置され、隣接する充填材シートの溝のリッジ部に位置する対応する取り付けノッチで互いに取り付けられている、充填材パックアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接熱交換型充填材および充填材パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
直接熱交換型充填材および充填材パックの例は、米国特許第8,985,559号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
熱交換器は、産業界でよく知られており、ある媒体から別の媒体へ効率的に熱を伝達するように設計されている。熱交換器には多くの種類およびサイズがあり、特定のタイプの熱交換器は、通常、冷凍、空調、化学プラント、石油精製、発電所などの用途に応じて選択される。
【0004】
発電所では、廃熱を大気中に移動させるために、水冷却塔が使用される。これらの冷却塔は、水の蒸発を引き起こして廃熱を除去し、水を湿球の空気温度近くまで冷却する。発電所に用いられる冷却塔の一種として、図1に示す現場設置型(field-erected)の双曲面冷却塔10がある。加熱された水12hは、双曲面冷却塔10において、従来の充填材パックアセンブリ14に分配される。図1に表されるように、周囲空気AAは、双曲面冷却塔10の底部に入り、充填材パックアセンブリ14を通って上方に流れ、加熱空気HAとして双曲面冷却塔10を出る。一方、加熱された水12hは、充填材パックアセンブリ14を通って下方に流れ、すなわち滴りまたは雨となって、冷却水12cとして充填材パックアセンブリ14から出る。この配置は、当業界では一般に「向流」として知られている。
【0005】
従来の充填材パックアセンブリ14は、複数の従来の充填材パック13を備える。充填材パック13は、双曲面冷却塔10の内部で互いに並んで配置されている。各充填材パック13は、図2及び図3に最も良く示されているように、複数の熱交換器用シート16を含む。充填材パック13は、カンザス州エドワーズビルにあるEvapTech社の商標であるVertiClean(登録商標)フィルム充填材と称される。各熱交換器用シート16は、垂直方向に延在する波形15の繰り返し列(repetitive series)で構成された、ポリ塩化ビニルPVC材料の波形シートであり、垂直方向に延在する波形15の間に形成される垂直方向に延在する溝17を画定している。これらの熱交換器用シート16は、真空下でPVCのシートを熱成形することによって製造される。
【0006】
図4において、部分上面図で示される3つの熱交換器用シート16は、面対向する接着点20の間に配置される接着剤18によって互いに貼り合わされている。接着点20は、波形15のそれぞれの稜線RLと同一平面上にあることに留意されたい。充填材パック13を構成する熱交換器用シート16の全ては、互いに同一である。当該技術分野で知られているように、同一の熱交換器用シート16の間に空気-水流路19を形成するために、2つの面対向する熱交換器用シート16の一方を中心垂直軸に対して180°回転させて、2つの面に対向する熱交換器用シート16の前側同士のみが互いに貼り合わされ、2つの面対向する熱交換器用シート16の背側同士のみが互いに貼り合わされる。これは、各充填材パック13を製造する技術分野において一般的に知られている製造技術である。
【0007】
別の従来の充填材パックアセンブリ24は、図5図7に最もよく示されているように、充填材パックアセンブリ24が、異なる構成の熱交換器用シート26から作製される複数の充填材パック23を含むことを除いて、上述の充填材パックアセンブリ14と同様である。充填材パック23は、カンザス州エドワーズビルにあるEvapTech社の商標であるTechClean(登録商標)フィルム充填材と称される。熱交換器用シート26は、短縮され、かつ、オフセットされた垂直方向に延在する波形25a、25bの2つの繰り返し列から構成されたPVC材料の波形シートである。
【0008】
熱交換器用シート26は、上縁28と、上縁28から離れて配置され、上縁28と平行に延在する下縁30と、一対の側縁32と、を有する。側縁32は、互いに離れて配置され、互いに平行に延在している。一対の側縁32は、上縁28と下縁30との間において、上縁28および下縁30に接続され、図7に最もよく示されるように、概ね長方形の構成を形成している。一方の繰り返し列である短縮された垂直方向に延在する上部波形25aの繰り返し列は、上縁28に隣接して始まり、そこから下方に、図7における熱交換器用シート26の少なくともほぼ水平中点線HMPLまで延在する。残りの、短縮された垂直方向に延在する下部波形25bの繰り返し列は、下縁30に隣接して始まり、そこから上方に、熱交換器用シート26の少なくともほぼ水平中点線HMPLまで延在する。なお、上部波形25aおよび下部波形25bは、図7に最もよく示されるように、互いに幅方向に水平にオフセットされている。図8は、上から下に接続された2つの先行技術の充填材シートの例であり、溝(flutes)は、その上部および下部に短い斜めのセグメントを有し、溝上に特徴的な(feature)微細構造を備えている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、前述の充填材構造および設計を改善したものである(ただし、基本構造、製造およびアセンブリは取り入れている)。本発明では、シートの数を減らし、より高い溝によってシート間の間隔を広げつつ、接続点の追加によって充填材パックの強度と剛性が維持され、新規な表面形状により熱伝達を改善しつつ、実質的にコストが低減される。
【0010】
従って、本発明によれば、蒸発冷却塔の冷却媒体を冷却するための充填材パックに組み立てるための充填材シートが提供される。前記充填材シートは、第1端部および第2端部であって、前記第2端部は、前記第1端部に実質的に平行に、かつ、(空気および水の移動を基準とする)垂直軸に概ね垂直に延在し、前記第1端部および前記第2端部は、前記充填材シートの横軸に実質的に平行に延在する、第1端部および第2端部と、17度より大きい第1の溝角度で、概ね前記第2端部に向かって延在する複数の溝(flutes)と、前記複数の溝に規定された微細構造と、を備え、前記複数の溝は、斜め溝セグメント長を有する斜め溝セグメントと、垂直溝セグメント長を有する垂直溝セグメントとを交互に複数備え、前記斜め溝セグメント長を有する前記斜め溝セグメントは、前記第1の溝角度に平行に整列され、前記垂直溝セグメントは、前記垂直軸に平行に整列され、前記斜め溝セグメント長は、前記垂直溝セグメント長の6.1倍であり、前記微細構造は、前記溝の平坦なリッジ部のエッジと平坦な谷部のエッジとの間に延在する、丸みを帯びたマウンド(mounds)と丸みを帯びた窪みとを交互に複数備える。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、前記微細構造は、前記横軸に実質的に平行に延在し、および/または、前記第1の溝角度は、約12度~22度であり、および/または、前記複数の溝は溝高さを規定し、および/または、前記溝高さは約1.44インチであり、および/または、前記丸みを帯びたマウンドの微細構造は、0.05インチの高さを有し、前記溝に沿って0.11~0.12インチの間隔で配置されている。
【0012】
本発明の他の実施形態によると、パックを流れる流体を、実質的に反対方向に前記パックを流れる気体で冷却するための交差波形の充填材パックアセンブリが提供される。前記充填材パックアセンブリは、複数の同一の充填材シートを備え、前記充填材シートは、上述され、以下により詳細に記述される充填材シートであり、複数の前記充填材シートは、隣接する充電材シートが互いに180度の向きになるように配置され、隣接する充填材シートの溝のリッジ部に位置する対応する取り付けノッチで互いに取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の充填材パックアセンブリが内部に配置された先行技術の双曲面水冷却塔の一部を破断して示す斜視図である。
図2図1に示す先行技術の充填材パックアセンブリの1つのタイプの部分斜視図である。
図3図2に示す先行技術の充填材パックアセンブリの分解斜視図である。
図4図2及び図3に示す先行技術の充填材パックアセンブリの部分上面図である。
図5】先行技術の充填材パックアセンブリの別のタイプの部分斜視図である。
図6図5に示す先行技術の充填材パックアセンブリの分解斜視図である。
図7図5及び図6に示す従来の充填材パックアセンブリの正面立面図である。
図8】上下に接続された2つの先行技術の波状充填材シートの正面図であり、溝(flutes)は主に垂直に配向されている。溝は、短い斜め部分および特徴的な微細構造を有する。
図9】本発明の一実施形態による高さ2フィート、幅1フィートの充填材シートの斜視図である。
図10図9に示す充填材シートセットから組み立てられた高さ2フィート、幅1フィート、深さ1フィートの充填材パックの斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る充填材シート溝の横断面を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による充填材シート溝の12インチ長さの縦断面表示図であり、溝形状の詳細をより明確に示すために微細構造は示されていない。
図13】本発明の一実施形態による充填材シート溝の12インチ長の三次元表示図であり、溝形状の詳細をより明確に示すために微細構造を除いている。
図14】本発明の一実施形態による特定の微細構造の相対的な位置及び大きさを示す、充填材シートの単一の溝の部分表示図である。
図15】本発明の一実施形態によるリブ付き微細構造を有する充填材シート溝の三次元表示図である。
図16】本発明の一実施形態によるリブ付き微細構造を有する充填材シートの上面斜視写真である。
図17】本発明の一実施形態によるダイヤモンド形状の微細構造を有する充填材シートの上面斜視写真である。
図18】本発明の一実施形態による、ダイヤモンド形状の微細構造を有する充填材シートにリブ付き微細構造を有する充填材シートが取り付けられた状態の上面斜視写真である。
図19図18に示す実施形態のクローズアップを示す図である。
図20図17に示す実施形態の端面斜視写真である。
図21図18図20の実施形態のより近接したクローズアップ図である。
図22図16の斜視クローズアップの実施形態のクローズアップ斜視図である。
図23図9の実施形態の上面図である。
図24図9の実施形態の左側面図である。
図25図9の実施形態の右側面図である。
図26図9の実施形態の正面図である。
図27図9の実施形態の背面図である。
図28図10の実施形態の上面図である。
図29図10の実施形態の底面図である。
図30図10の実施形態の正面図および背面図である。
図31図10の実施形態の左側面図および右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例えば、図9及び図10を参照すると、本発明は、積層され係合された複数の同一の充填材シート202を備える交差波形(cross corrugated)媒体、充填材パック又はアセンブリ200に向けられている。最も好ましい実施形態では、1フィート(F)の幅を有する交差波形媒体または充填材パック200は、積層され係合された10枚の充填材シートを有する。充填材パック200の幅は、充填材パックの最前部の充填材シートから最後部の充填材シートまで測定される。交差波形媒体又は充填材200及び各シート202は、充填材シート202に対して概ね垂直に(空気の移動方向に)延在する垂直軸204と、充填材シート202に対して概ね横方向に延在する横軸206とを規定する。充填材パック200を通る空気および水の流れは、シート202の第1端部208aおよび第2端部208bの間において、概ね垂直軸204に沿っている。充填材シート202の第1端部208aおよび第2端部208bは、第1側部208cおよび第2側部208dで繋がっている。第1端部208aは、第2端部208bに実質的に平行であり、かつ、長手方向軸204に対して概ね垂直に延在する。第1端部208aおよび第2端部208bは、横軸206に対して実質的に平行に延在している。各充填材シートは、好ましくはポリ塩化ビニル(PVC)から製造され、好ましくは0.010~0.025インチ(10ミル~20ミル)、より好ましくは0.015~0.020インチ(15ミル~20ミル)の厚さを有している。
【0015】
パック200内の各連続シート202は、隣接するシート202に対して180度(180°)回転されることで、パック200の交差波形を画定している。したがって、好ましい充填材パック200では、その厚さにわたって第1端部208aおよび第2端部208bが交互に配置されて、充填材パック200の交差波形を画定している。
【0016】
各充填材シート202は、波形または「溝(フルート)」210の集まりによって特徴付けられる。波形または溝210は、垂直軸204に対して概ね斜め方向に第1端部208aから延在し、シートを横切る空気および水の流れを案内する。図11に表される各溝210の断面形状は、上部にある平坦なリッジ部212と、傾斜した側面214とを有する概ね台形状である。平坦な谷部216によって、隣接する溝210が分離されている。各充填材シート202の対向する面は互いに鏡像であり、充填材シート202の一方の面の平坦なリッジ部212が充填材シートの対向する面の平坦な谷部216を構成し、その逆も同様である。
【0017】
充填材シート202の各溝210の溝高さHfは、好ましくは約1.44インチであるが、約1.72~1.15インチの範囲内であってもよい。好ましい溝幅(平坦な谷部から平坦な谷部、また平坦なリッジ部から隣接する平坦なリッジ部)は、2.0インチであるが、2.4~1.6インチの範囲であってもよい。各平坦なリッジ部212(および対応する谷部)の幅は、好ましくは0.19インチであるが、0.23~0.15インチの範囲であってもよい。
【0018】
垂直軸204に対する溝210の角度(溝角度Af)は、好ましくは約17度であるが、12~22度の範囲内であってもよい。溝210が斜めに配向しているため、より中央に位置する溝のみが充填材シート202の全長にわたって延在している。充填材シート202の外側の方に配置された溝210は、側部208cまたは側部208dで始端または終端してもよい(例えば、図9および図10参照)。
【0019】
概ね斜め方向に沿った各溝210の全長は、より詳細には、図12及び図13に示すように、短い垂直溝セグメント220が散在する一連の長い斜め溝セグメント218によって規定される。シートの側部208c又は側部208dによって中断されない場合、長めの斜めの溝セグメント218は、好ましくは3.42インチの長さを有し、短めの垂直溝セグメント220は0.56インチの長さを有し、長めの斜めの溝セグメントの短めの垂直溝セグメントに対する好ましい比率は6.1である。
【0020】
単一の充填材シート202上の溝の平坦なリッジ部212のそれぞれは、各シートが隣接するシートに接合される平坦なリッジ部212に沿って、一定間隔で接続ノッチ222を有する。最も好ましい実施形態によれば、溝の平坦なリッジ部212のそれぞれは、シート202の上部208a、下部208b、および、上部208aと下部208bとの間の中間点に接続ノッチ222を有し、かつ、シートの上部208aと下部208bとの間のリッジ部212に沿って等間隔に設けられた4つの追加の接続ノッチ222を有しており、各平坦なリッジ部212に合計8つ(図9および図10で示したように2つにまたがる)の接続ノッチ222を有する。上述したように、充填材シート202の対向する面は互いに鏡像である。したがって、充填材シート202の一方の側の平坦なリッジ部212上の各接続ノッチ222は、充填材シートの裏側の平坦な谷部216内の同一形状の隆起したプラトー(高平部)(plateau)224と対応している。このため、各平坦なリッジ部212が一連の接続ノッチ222を有するように、各平坦な谷部216は一連のプラトー224を有する。充填材シート202の各溝210の接続ノッチ222およびプラトー224は、好ましくは、図9および図10に示すように、側部208cおよび側部208dの間で充填材シート202を横切る列(横列)226に並ぶことが好ましい。列226としては、第1端部208aに1つの列226a、第2端部208bに1つの列226b、第1端部208aと第2端部208bとの間の中間点に2つの隣接する列226eおよび226f(これらは互いに結合している(merged together))、および、第1端部208aおよび第2端部208bの間に等間隔に4つの追加の列226cおよび226dが配置され、充填材シート202を横切る合計8つの列226となっている。
【0021】
接続ノッチ222は、クラッシュロック、締結、クランプ、接着結合又は他の接続機構又はアプローチなどによって、隣接するシート202の対応するノッチと位置合わせされてその中に入り込んで、シート202を充填材パック200に接続するように設計及び構成されている。
【0022】
各充填材シート202の各溝210は、充填材パック200を通る水の分布の改善および完全な混合のために、使用中に水がシート202の幅全体又は横軸206全体を広がるようにするための微細構造を備える。第1の「リブ付き」微細構造の実施形態によれば、規則的な間隔で配置された一連の細長く丸みを帯びたマウンド228および窪み230(変形していないまたは平坦な溝側面セクション232によって分離されている)が、各溝210の側面214を横断している。各溝210および互いに相対する微細構造の位置および間隔を示す図14と、単一の(反転した)溝の三次元表示を示す図15とを参照されたい。これらの図には、2つの溝側面214の好ましい微細構造が示されている。細長く丸みを帯びたマウンド(盛り上がり)228のそれぞれの最も好ましい高さ(および各細長く丸みを帯びた窪み230の最も好ましい深さ)は、0.05インチである。隣接するマウンドおよび窪みの間の最も好ましい間隔(形が変えられていない/溝側面の平坦部分232)は、0.11~0.12インチの範囲である。細長く丸みを帯びたマウンド228および窪み230のそれぞれの最も好ましい曲率半径は、0.12インチである。図15に示すように、細長く丸みを帯びたマウンドおよび窪みは、接続ノッチ222またはプラトー224があるところを除き、隣接する平坦な谷部216および隣接する平坦なリッジ部212における隣接する縁の間の全体にわたって延在している。接続ノッチ222またはプラトー224がある場合、丸みを帯びたマウンドおよび窪みは、隣接する接続ノッチの間および隣接するプラトーの間に設けられているものの、その全長にわたって延在していない。細長く丸みを帯びたマウンド228および窪み230は、例えば図9図10および図22に示すように、充填材シート202のすべての溝210に設けられており、各溝210の全長に広がっている。図16は、リブ付き微細構造の実施形態を有する充填材シートの上面斜視写真である。
【0023】
図17は、溝210の側面にエンボス加工されたダイヤモンド形状のプラトー234および窪み236を有する第2の微細構造を示す。リブ付き微細構造の実施形態と同様に、ダイヤモンド微細構造の実施形態は、溝210の平坦なリッジ部212または平坦な谷部216には設けられていない。
【0024】
図18は、充填材シート202の半分にリブ付き微細構造の実施形態を有する本発明による充填材シートを示し、充填材シート202の残りの半分にダイヤモンド微細構造の実施形態を有する本発明による充填材シートを示す。図19は、図18に示す実施形態のクローズアップを示す図である。
【0025】
図20及び図21は、互いに接続された、図18に示すタイプの2つの充填材シート202を示す。第1の充填材シートの平坦なリッジ部212上の接続ノッチ222が、第2の充填材シート202の平坦なリッジ部212上の接続ノッチ222とかみ合い、その内部に収まっている。
【0026】
本発明の最も好ましい充填材パック、すなわち、1立方フィートの充填材あたり10枚の充填材シートであって、開示された微細構造の実施形態および8列の接続ノッチ/プラトーと組み合わせて、開示された溝構成(短めの垂直セグメントによって分離された長めの斜めセグメントによって得られる全体的に斜めの配向)を備える充填材パックは、先行技術の充填材パックに対する改善性能対コスト比を予想外に向上させた。
【0027】
これらの理由から、好ましい交差波形媒体又は充填材シート202及び組み立てられた充填材パック200の設計は、新規であり、進歩性があり、市場で提供されている既存の商品製品よりも大きな商業的価値を有している。
【0028】
上記の好ましい実施形態に、その発明概念から逸脱することなく変更を加えることができることは、当業者には理解されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示において概説され、本明細書に照らして読み取られる、後に続く請求項の最も広範な合理的解釈に従って定義される本発明の精神および範囲内の変更を対象とするものであると理解される。
【符号の説明】
【0029】
添付図面中の主要な要素には、以下の参照数字が付されている。
200 充填材パック
202 充填材シート
204 長手方向軸
206 横軸
208a 第1端部
208b 第2端部
208c 第1側部
208d 第2側部
210 溝(フルート)
212 平坦なリッジ部
214 平坦な側面
216 平坦な谷部
218 長めの斜め溝セグメント
220 短めの垂直溝セグメント
222 接続ノッチ
224 隆起したプラトー
226 接続ポイントの列
228 丸みを帯びたマウンドの微細構造
230 丸みを帯びた窪みの微細構造
232 平坦な溝側面セグメント
234 ダイヤモンド形状のプラトーの微細構造
236 ダイヤモンド形状の窪みの微細構造
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【国際調査報告】