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特表2024-508126拡張現実を使用して整形外科手術用の脊椎ロッドを提案するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】拡張現実を使用して整形外科手術用の脊椎ロッドを提案するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240215BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550605
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 IB2022051805
(87)【国際公開番号】W WO2022185210
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/051694
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/056242
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515314867
【氏名又は名称】ネオ・メディカル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レファウコニアー, ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL63
4C160LL70
(57)【要約】
整形外科手術を支援する方法であって、視野が複数のスクリューエクステンダの画像を撮像するように画像のシーケンスを撮像することであって、各スクリューエクステンダが椎弓根スクリューを保持し、複数のスクリューエクステンダが整形外科手術の外科的切開部に配列される、ことと、撮像された画像のうちの画像を表示してライブビデオフィードを提供することと、撮像された画像のシーケンスに基づいて複数のスクリューエクステンダを検出することと、検出された複数のスクリューエクステンダの向きおよび位置を計算することと、向きおよび位置に基づいて各椎弓根スクリューのスクリューヘッドの3D位置を計算する第2ことと、表示装置上でグラフィック要素を用いて、ライブビデオフィードの現在表示されている画像に投影されたスクリューヘッドの位置に対応する位置に、複数のスクリューヘッドの各計算された3D位置を投影して表示することとを含む、方法。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と画像撮像装置とを含むデータ処理装置を用いて実施される、脊柱の整形外科手術を支援するための方法であって、
前記画像撮像装置の視野が複数のスクリューエクステンダの画像を撮像するように、前記画像撮像装置を用いて画像のシーケンスを撮像するステップであって、各スクリューエクステンダが椎弓根スクリューを保持し、前記複数のスクリューエクステンダが、整形外科手術を受けている生体の身体の外科的切開部に配列される、ステップと、
前記撮像された画像のうちの少なくとも一部の画像を表示すること、または透明な表示装置を用いて直接見ることのいずれかによって、前記表示装置にライブビデオフィードを提供するステップと、
前記撮像された画像のシーケンスに基づいて、前記データ処理装置を用いて前記複数のスクリューエクステンダを検出するステップと、
前記検出された複数のスクリューエクステンダの向きおよび位置を計算する第1の計算するステップと、
前記第1の計算するステップの前記向きおよび前記位置に基づいて、各椎弓根スクリューのスクリューヘッドの三次元(3D)位置を計算する第2の計算するステップと、
前記表示装置上でグラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記ライブビデオフィードの現在提供されている画像に投影された前記スクリューヘッドの前記位置に対応する位置に、前記複数のスクリューヘッドの各計算された3D位置を、グラフィック要素を用いて投影して表示するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記表示装置の前記グラフィカルユーザインターフェース上にグラフィック要素として複数の固定ロッドテンプレートを表示するステップであって、前記複数の固定ロッドが異なる形状を有する、ステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スクリューヘッドの前記複数の3D位置によって表される点に曲線を適合させるステップと、
前記表示装置上にグラフィック要素として固定ロッドのテンプレートを表示するステップであって、前記固定ロッドが、前記適合された曲線と少なくとも部分的に一致するように成形される、ステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の固定ロッドテンプレートのうちの1つをグラフィカルに選択するステップと、
前記スクリューヘッドの前記3D位置のうちの1つの位置に、前記複数の固定ロッドテンプレートのうちの前記選択された1つを表すグラフィック要素を配置するステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記検出された複数のスクリューエクステンダを視覚的に強調表示するステップと、
前記データ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記複数のスクリューエクステンダのうちの少なくとも1つの選択または選択解除を可能にするステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データ処理装置が距離測定センサをさらに備え、前記方法が、
前記距離測定センサを用いて距離情報を取得するステップ
をさらに含み、
前記第1の計算するステップが前記距離情報にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記距離測定センサが、直接飛行時間(dToF)、LiDARセンサ、またはFaceIDなどの構造物光センサを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つの椎骨についての姿勢データ情報を、前記第1の計算するステップによる前記椎骨に取り付けられた前記検出された複数のスクリューエクステンダのうちの少なくとも1つの前記向きおよび前記位置に基づいて計算する第3の計算するステップと、
前記表示装置上で前記グラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記椎骨を表すグラフィック基本要素を投影して表示するステップであって、前記グラフィック基本要素が、前記ライブビデオフィードの現在提供されている画像に投影された前記椎骨の前記位置に対応する位置に表示される、表示するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の計算するステップによる前記椎骨に取り付けられた前記検出された複数のスクリューエクステンダの前記向きおよび前記位置に基づいて、前記脊柱の脊椎曲率データを計算する第4の計算するステップと、
前記第1の計算するステップによる前記椎骨に取り付けられた前記検出された複数のスクリューエクステンダの前記向きおよび前記位置に基づいて、前記脊柱の脊椎パラメータを計算する第5の計算するステップと、
前記表示装置上で前記グラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記脊柱の曲率を表すグラフィック基本要素を投影して表示するステップであって、前記グラフィック基本要素が、前記ライブビデオフィードの現在提供されている画像に投影された前記脊柱の前記位置に対応する位置に表示される、表示するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
表示装置と、データプロセッサと、画像撮像装置とを備える、脊柱の整形外科手術を支援するように構成されたデータ処理装置であって、前記データプロセッサが、
前記画像撮像装置の視野が複数のスクリューエクステンダの画像を撮像するように、前記画像撮像装置を用いた画像のシーケンスの撮像を命令することであって、各スクリューエクステンダが椎弓根スクリューを保持し、前記複数のスクリューエクステンダが、整形外科手術を受けている生体の身体の外科的切開部に配列される、ことと、
前記撮像された画像のうちの少なくとも一部の画像を表示して、前記表示装置にライブビデオフィードを提供するように命令することと、
前記撮像された画像のシーケンスに基づいて、前記データ処理装置を用いて前記複数のスクリューエクステンダを検出するための検出アルゴリズムを実施することと、
前記検出された複数のスクリューエクステンダの向きおよび位置を計算する第1の計算を行うことと、
前記第1の計算の前記向きおよび前記位置に基づいて、各椎弓根スクリューのスクリューヘッドの三次元(3D)位置を計算する第2の計算を行うことと、
前記表示装置上でグラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記ライブビデオフィードの現在提供されている画像に投影された前記スクリューヘッドの前記位置に対応する位置に、前記複数のスクリューヘッドの各計算された3D位置を、グラフィック要素を用いて投影して表示することと
を行うように構成される、データ処理装置。
【請求項11】
コンピュータ命令コードが記録された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ命令コードが、表示装置および画像撮像装置に動作可能に接続されたデータ処理装置上で前記コンピュータ命令が実行されたときに、脊柱の整形外科手術をコンピュータ支援するための方法を実施するように構成され、前記方法が、
前記画像撮像装置の視野が複数のスクリューエクステンダの画像を撮像するように、前記画像撮像装置を用いて画像のシーケンスを撮像するステップであって、各スクリューエクステンダが椎弓根スクリューを保持し、前記複数のスクリューエクステンダが、整形外科手術を受けている生体の身体の外科的切開部に配列される、ステップと、
前記撮像された画像のうちの少なくとも一部の画像を表示すること、または透明な装置を用いて直接見ることのいずれかによって、前記表示装置にライブビデオフィードを提供するステップと、
前記撮像された画像のシーケンスに基づいて、前記データ処理装置を用いて前記複数のスクリューエクステンダを検出するステップと、
前記検出された複数のスクリューエクステンダの向きおよび位置を計算する第1の計算するステップと、
前記第1の計算するステップの前記向きおよび前記位置に基づいて、各椎弓根スクリューのスクリューヘッドの三次元(3D)位置を計算する第2の計算するステップと、
前記表示装置上でグラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記ライブビデオフィードの現在提供されている画像に投影された前記スクリューヘッドの前記位置に対応する位置に、前記複数のスクリューヘッドの各計算された3D位置を、グラフィック要素を用いて投影して表示するステップと
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
データ処理装置を用いて実施される、固定ロッドに基づく脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するための方法であって、
画像撮像装置を用いて固定ロッドを走査して、前記固定ロッドの走査データを取得するステップであって、前記脊椎補正ロッドが脊椎補正のために曲げられている、ステップと、
前記走査データに基づいて前記固定ロッドの曲率データを計算する第1の計算するステップと、
前記脊柱への前記固定ロッドの取付点の位置のデータを受信するステップであって、前記取付点の前記位置が、前記脊柱の少なくとも2つの椎骨に取り付けられた椎弓根スクリューのスクリューヘッドの位置データに基づいて決定されている、ステップと、
前記取付点の補正された位置のデータを計算する第2の計算するステップであって、前記取付点の前記補正された位置が、前記第1の計算するステップによる前記固定ロッドの前記曲率データを考慮に入れることによって、前記固定ロッドが補正された脊柱の前記取付点に取り付けられた場合に前記取付点の前記位置に付与される補正に基づく、第2の計算するステップと、
前記補正された脊柱の前記取付点の前記補正された位置の前記データに基づいて、前記補正された脊柱の脊椎パラメータを計算する第3の計算するステップと、
前記補正された脊柱の前記脊椎パラメータを表示装置に表示するステップと
を含む、脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するための方法。
【請求項13】
前記補正された脊柱の前記取付点の前記補正された位置の前記データに基づいて、前記補正された脊柱の椎骨についての姿勢データ情報を計算する第4の計算するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するための方法。
【請求項14】
前記表示装置上で前記グラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記椎骨を表すグラフィック基本要素を表示するステップであって、前記グラフィック基本要素が、前記椎骨の前記位置に対応する位置に表示される、ステップ
をさらに含む、請求項13に記載の脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するための方法。
【請求項15】
表示装置と画像撮像装置とを含むデータ処理装置を用いて実施される、脊柱の整形外科手術を支援するための方法であって、
前記画像撮像装置の視野が、複数のガイドワイヤ上にそれぞれ配置された複数の椎弓根マーカ、または複数のガイドワイヤのうちの少なくとも1つの画像を撮像するように、前記画像撮像装置を用いて画像のシーケンスを撮像するステップであって、前記複数の椎弓根マーカまたは前記複数のガイドワイヤが、整形外科手術を受けている生体の身体の外科的切開部に配列される、ステップと、
前記撮像された画像のうちの少なくとも一部の画像を表示すること、または透明な表示装置を用いて直接見ることのいずれかによって、前記表示装置にライブビデオフィードを提供するステップと、
前記撮像された画像のシーケンスに基づいて、前記データ処理装置を用いて前記複数の椎弓根マーカまたは前記複数のガイドワイヤを検出するステップと、
前記検出された複数の椎弓根マーカまたは前記検出された複数のガイドワイヤの向きおよび位置を計算する第1の計算するステップと、
少なくとも2つの椎骨についての姿勢データ情報を、前記第1の計算するステップによる前記椎骨に取り付けられた前記検出された複数の椎弓根マーカまたは前記検出された複数のガイドワイヤのうちの少なくとも1つの前記向きおよび位置に基づいて計算する第2の計算するステップと
を含む、脊柱の整形外科手術を支援するための方法。
【請求項16】
前記第2の計算するステップによる前記姿勢データ情報から前記脊柱を特徴付けるパラメータを計算する第3の計算するステップと、
前記脊柱を特徴付ける前記パラメータを前記表示装置に表示するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の計算するステップの前記向きおよび前記位置に基づいて、各椎弓根スクリューのスクリューヘッドの位置の仮想三次元(3D)位置を計算する第4の計算するステップと、
前記表示装置上でグラフィカルユーザインターフェースを用いて、前記ライブビデオフィードの現在提供されている画像に投影された前記スクリューヘッドの前記位置に対応する位置に、前記複数のスクリューヘッドの各計算された仮想3D位置を、グラフィック要素を用いて投影して表示するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本発明は、2021年3月1日に出願された国際特許出願第PCT/IB2021/051694号明細書および2021年7月12日に出願された国際特許出願第PCT/IB2021/056242号明細書の優先権を主張し、参照により完全に組み込む。
【0002】
[0002]本発明は、拡張現実または複合現実を使用する整形外科手術の分野に関し、より詳細には、拡張現実または複合現実を使用して、外科医が整形外科手術を実施するのを支援または容易にするための、具体的には、脊椎固定術および他の種類の整形外科手術のために異なる種類および形状の安定化ロッドを提案するための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]整形外科の分野、ならびに整形外科手術、より具体的には脊柱の脊椎固定術用のインプラントのツールおよびシステムの分野では、椎弓根スクリューを使用して、患者の背中の切開位置を通して骨アンカーで椎骨に取り付ける。いくつかの椎弓根スクリューが異なる椎骨に取り付けられた後、これらの椎弓根スクリューのヘッドはロッド型またはバー型装置を介して互いに接続され、ロッド型またはバー型装置は、脊椎ロッドとも呼ばれるが、セットスクリューを用いて椎弓根スクリューのヘッドに取り付けられる。一例として、椎骨固定のためのいくつかの隣接する椎骨について、各椎骨に対して、椎弓根スクリューが椎弓根スクリューの骨アンカーによってねじ式に取り付けられ、その後、これらの椎弓根スクリューは、椎弓根スクリューヘッドによって形成された溝またはU字形の開口部に配置された脊椎ロッドを使用して互いに向かって機械的に締結され、脊椎に沿って椎弓根スクリューの列を形成する。これにより、患者または生体における脊椎固定のための脊椎安定化に必要な機械的支持を提供することが可能になる。
【0004】
[0004]切開位置によりよく到達し、椎弓根スクリューを椎骨にねじ式に取り付けるために、椎弓根スクリュー、具体的には椎弓根スクリューのヘッドは、通常、スクリューエクステンダ、または同様の装置、例えば拡張タップスクリューヘッドもしくはブレードに取り外し可能に取り付けられる。スクリューエクステンダおよび同様の装置は、椎弓根スクリューのヘッドに追加の長さを追加する目的を有し、オペレータまたは外科医が外科的切開部の外側に作用することを可能にし、外科的切開部を開いたままにするだけでなく、異なるツールおよび脊椎ロッドを椎弓根スクリューのヘッドに案内するのを助ける。椎弓根スクリューを保持するように構成されたスクリューエクステンダは、通常、椎弓根スクリューのヘッドよりもかなり大きい管状の長手方向装置であり、スクリューエクステンダ自体はその側面に沿って長手方向形状のスロットを有する。椎弓根スクリューヘッドがスクリューエクステンダに接続されると、長手方向形状のスロットは、椎弓根スクリューのスクリューヘッドのU字形の開口部と一致し、したがって、長手方向形状のスロットを通してU字形の開口部に脊椎ロッドを案内することを可能にする。スクリューエクステンダの長手方向に成形されたスロット内の脊椎ロッドを、椎弓根スクリューのヘッドに向かって、かつ椎弓根スクリューのヘッド内に押し下げるプロセスは、ロッド縮小とも呼ばれる。
【0005】
[0005]例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,058,355号明細書は、椎弓根スクリュー、対応するセットスクリュー、ロッド、およびこれらを操作するためのツールを提供する整形外科用インプラントキットを記載しており、椎弓根スクリューを保持するためのスクリューエクステンダと、椎弓根スクリューのスクリューヘッドに対してセットスクリューをねじ込むためのセットスクリュードライバとを含む。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,160,300号明細書は、中間ガイドツールが骨スクリューに取り付けられ、中間ガイドツールは、ガイドツールからガイドツールに取り付けられた骨スクリューまでロッドを案内することができる長手方向形状のチャネルを有する管状形状を有するロッド縮小方法を記載している。別の例として、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,795,283号明細書は、ロッドを受け入れるためのヘッドを有する椎弓根スクリューと、外科的介入に必要なツールとを含む、脊椎安定化のための外科的介入のための別の種類のキット整形外科手術システムを記載している。スクリューエクステンダは、管状を形成することができるように保持リングによって一緒に保持された2つの分離可能なハーフシェルを有するチューブから作製される。さらに別の例では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,262,662号明細書は、脊柱内の脊椎アンカー部位に脊椎コネクタを送達するためのシステムおよび方法を提供する。一実施形態では、U字形の受け部材と、骨係合部材と、延長部材と、脊椎ロッドと、セットスクリューとを含む脊椎インプラントおよびアクセス装置が提供される。拡張部材は、管状である。
【0006】
[0006]セットスクリューを介してロッドを椎弓根スクリューに取り付けるための同様の整形外科的脊椎手術の概念、ツールおよび装置が上述のように提案されており、例えば、米国特許第5,129,388号明細書、米国特許第5,520,689号明細書、米国特許第5,536,268号明細書、米国特許第5,720,751号明細書、米国特許第5,984,923号明細書、米国特許第6,056,753号明細書、米国特許第6,183,472号明細書、米国特許第6,258,090号明細書、米国特許第6,454,768号明細書、米国特許第6,648,888号明細書、米国特許第6,740,086号明細書、米国特許第7,618,442号明細書、米国特許第8,308,782号明細書、米国特許第8,876,868号明細書、米国特許出願公開第2006/0025771号明細書、および米国特許出願公開第2018/0289397号明細書であり、これらの参考文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0007】
[0007]しかしながら、椎弓根スクリューが脊椎の椎骨に取り付けられると、外科医またはオペレータは、それぞれの椎弓根スクリューのスクリューヘッドに取り外し可能に取り付けられたスクリューエクステンダしか見ることができず、スクリューエクステンダは、一般に、椎弓根スクリューを椎骨に取り付けるために必要であった外科的切開部を指し、外科的切開部から離れている。一般に、外科医が切開部を開かない限り、スクリューヘッドは切開部の周囲組織に埋め込まれている。この点において、ロッド縮小およびロッド固定プロセスの前に、外科医またはオペレータは、通常、椎弓根スクリューのヘッドのU字形溝に配置するために、適切な長さを有するロッドを選択するか、脊椎ロッドを予め曲げるか、または予め曲げられた脊椎ロッドを選択する必要がある。しかしながら、椎弓根スクリュー、および脊椎ロッドを収容するための溝を有する椎弓根スクリューのスクリューヘッドの正確な配置を見ることができないため、これは、椎弓根スクリューの各スクリューヘッドに経皮的に挿入することができるように、脊椎ロッドの適切な長さおよび形状および曲げを決定する試行錯誤の手順につながり得る困難な作業である。これは、手術中の時間の大幅な損失、スクリューの緩みまたはインプラントの欠損のリスクの増加、および追加のコストにつながる可能性がある。
【0008】
[0008]畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた機械学習に基づいて、観視可能な椎弓根スクリューヘッドを検出するという整形外科手術における解決策が提案されている。例えば、Von Atzigen et al.,「HoloYolo:A proof-of-concept study for marker-less surgical navigation of spinal rod implants with augmented reality and on-device machine learning」The International Journal of Medical Robotics and Computer Assisted Surgery,year 2020,e2184を参照されたい。しかしながら、この方法は、椎骨に取り付けられた椎弓根スクリューの異なるスクリューヘッドの直接の視覚的視野に依存し、したがって、創傷内を直接見るための完全に開いた手術位置および切開部の最大開放を必要とし、検出のために比較的長いデータ処理時間および遅い追跡リフレッシュ速度を必要とし、実質的な検出の不確実性を有するため、多くの欠点を抱えている。
【0009】
[0009]カメラビューベースの画像化解決策の欠点を回避するために、いくつかの方法では、X線投影を用いたCアーム蛍光透視法を使用して椎弓根スクリューの配置を評価し、二平面X線、および反射マーカを使用した蛍光透視画像に基づいてスクリューの姿勢推定を計算することができる。Esfandiari et al.,「A deep learning framework for segmentation and pose estimation of pedicle screw implants based on C-arm fluoroscopy,」International journal of computer assisted radiology and surgery,Vol.13,No.8,year 2018,pp.1269-1282を参照、また、Fu et al.,「Computer-Assisted Fluoroscopic Navigation of Pedicle Screw Insertion An In Vivo Feasibility Study,」Acta Orthopaedica Scandinavica,Vol.75,No.6,year 2004,pp.730-735も参照されたい。しかしながら、これらの方法論は、複雑で高価なコンピュータ断層撮影機器を必要とし、実施する必要がある追加の操作ステップのために、整形外科医の直接使用にも適していない。
【0010】
[0010]したがって、手術中の脊椎ロッドの使用、具体的には特定の手術条件に対する脊椎ロッドの配置、埋め込み、事前選択および一致を改善し、ユーザの使用を単純化し、ユーザを支援するために必要なコストを実質的に少なくするシステム、方法、および装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
[0011]本発明の一態様によれば、整形外科手術を支援するための方法が提供される。本方法は、データ処理装置を用いて実施することができ、データ処理装置は、表示装置および画像撮像装置を含む。好ましくは、本方法は、画像化装置の視野が複数のスクリューエクステンダの画像を撮像するように、画像化装置を用いて画像のシーケンスを撮像するステップであって、各スクリューエクステンダが椎弓根スクリューを保持し、複数のスクリューエクステンダが、整形外科手術を受けている生体の身体の外科的切開部に配列される、ステップと、撮像された画像のうちの少なくとも一部の画像を表示して、表示装置にライブビデオフィードを提供するステップと、撮像された画像のシーケンスに基づいて、データ処理装置を用いて複数のスクリューエクステンダを検出するステップと、検出された複数のスクリューエクステンダの向きおよび位置を計算する第1の計算するステップと、第1の計算するステップの向きおよび位置に基づいて、各椎弓根スクリューのスクリューヘッドの三次元(3D)位置を計算する第2の計算するステップと、表示装置上でグラフィカルユーザインターフェースを用いて、ライブビデオフィードの現在表示されている画像に投影されたスクリューヘッドの位置に対応する位置に、複数のスクリューヘッドの各計算された3D位置を、グラフィック要素を用いて投影して表示するステップとを含む。
【0012】
[0012]本発明の別の態様によれば、コンピュータ命令が記録された非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ命令は、コンピュータ装置上で実行されると、整形外科手術を支援するための方法を実施するように構成され、コンピュータ装置は、表示装置および画像撮像装置と動作可能に接続される。
【0013】
[0013]本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータシステムが提供され、コンピュータシステムは、画像撮像装置と、表示装置と、データ処理装置とを含み、データ処理装置は、画像撮像装置および表示装置と動作可能に接続される。好ましくは、データ処理装置は、拡張現実を使用して整形外科手術を支援するための方法を実施するように構成される。
【0014】
[0014]本発明の別の態様によれば、曲げられた固定ロッドに基づく脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するための方法が提供される。好ましくは、本方法は、データ処理装置を用いて実施される。さらに、好ましくは、本方法は、画像撮像装置を用いて固定ロッドを走査して、脊椎補正のために曲げられた固定ロッドの走査データを取得するステップと、走査データに基づいて固定ロッドの曲率データを計算する第1の計算するステップと、脊柱への固定ロッドの取付点の位置のデータを受信するステップであって、取付点の位置が、脊柱の椎骨に取り付けられた椎弓根スクリューのスクリューヘッドの位置データに基づいて決定されている、ステップと、取付点の補正された位置のデータを計算する第2の計算するステップであって、取付点の補正された位置が、第1の計算するステップによる固定ロッドの曲率データを考慮に入れることによって、固定ロッドが補正された脊柱の取付点に取り付けられた場合に取付点の位置に付与される補正に基づく、第2の計算するステップと、補正された脊柱の取付点の補正された位置のデータに基づいて、補正された脊柱の脊椎パラメータを計算する第3の計算するステップと、補正された脊柱の脊椎パラメータを表示装置に表示するステップとを含む。
【0015】
[0015]本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータ命令が記録された非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ命令は、表示装置および画像撮像装置と動作可能に接続されたコンピュータ装置によって実行されると、曲げられた固定ロッドに基づく脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するため方法を実施するように構成される。
【0016】
[0016]本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータシステムが提供され、コンピュータシステムは、画像撮像装置と、表示装置と、データ処理装置とを含み、データ処理装置は、画像撮像装置および表示装置と動作可能に接続される。好ましくは、データ処理装置は、曲げられた固定ロッドに基づく脊柱の補正を決定する、整形外科手術を支援するための方法を実施するように構成される。
【0017】
[0017]本発明の別の態様によれば、脊柱の整形外科手術を支援するための方法が提供される。好ましくは、本方法は、データ処理装置を用いて実施され、データ処理装置は、表示装置および画像撮像装置を含む。さらに、好ましくは、本方法は、画像撮像装置の視野が、複数のガイドワイヤ上にそれぞれ配置された複数の椎弓根マーカ、または複数のガイドワイヤのうちの少なくとも1つの画像を撮像するように、画像撮像装置を用いて画像のシーケンスを撮像するステップであって、複数の椎弓根マーカまたは複数のガイドワイヤが、整形外科手術を受けている生体の身体の外科的切開部に配列される、ステップと、撮像された画像のうちの少なくとも一部の画像を表示すること、または透明な表示装置を用いて直接見ることのいずれかによって、表示装置にライブビデオフィードを提供するステップと、撮像された画像のシーケンスに基づいて、データ処理装置を用いて複数の椎弓根マーカまたは複数のガイドワイヤを検出するステップと、検出された複数の椎弓根マーカまたは検出された複数のガイドワイヤの向きおよび位置を計算する第1の計算するステップと、第1の計算するステップによる椎骨に取り付けられた検出された複数の椎弓根マーカまたは検出された複数のガイドワイヤのうちの少なくとも1つの向きおよび位置に基づいて、少なくとも2つの椎骨についての姿勢データ情報を計算する第2の計算するステップとを含む。
【0018】
[0018]本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照し、以下の説明および添付の特許請求の範囲を研究することで、本発明の上記および他の目的、特徴および利点ならびにそれらを実現する方法がより明らかになり、本発明自体は最もよく理解されるであろう。
【0019】
[0019]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現在好ましい実施形態を示し、上記の一般的な説明および以下の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】整形外科手術が実施される例示的かつ簡略化された位置または施設の斜視図を示し、外科的切開部SIを有する手術台上の生体または患者Lと、整形外科手術用の異なる種類の脊椎ロッドを提案するための方法を実施するための例示的なデータ処理装置100を保持するユーザ、オペレータ、外科医、医療助手Oとを示す。
図1B】本発明の一態様による、拡張現実を使用することによって整形外科手術用の異なる種類の脊椎ロッドを提案するための方法の異なるステップを描写する例示的かつ簡略化されたフローチャートを示す。
図1C】本明細書の本方法およびシステムのためのスクリューエクステンダおよび椎弓根スクリューの非限定的な例として、例示的なスクリューエクステンダSE、および骨アンカーBAおよびスクリューヘッドSHを有する椎弓根スクリューアセンブリの側面図を示し、この例示的なアセンブリの異なる要素を視覚化している。
図1D】6つの例示的な数のスクリューエクステンダSE1~SE6が突出している外科的切開部SIの簡略化された概略斜視図を示し、各スクリューエクステンダSEは、スクリューエクステンダを検出および追跡するための光学マーカOM1~OM6を装備している。
図1E】スクリューエクステンダSEの遠位端60上に取り外し可能に配置することができる例示的なマーカ装置50の簡略斜視図を示し、マーカ装置50は、光学マーカコードOMと、スクリューエクステンダSEに取り外し可能に取り付けるための取付装置55とを有する。
図2A】本方法の一段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の一態様を示す。
図2B】本方法の図2Aとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2Aとは異なる態様を示す。
図2C】本方法のさらに図2A図2Bとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Bとは異なる態様を示す。
図2D】本方法の図2A図2Cとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Cとは異なる態様を示す。
図2E】本方法の図2A図2Dとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Dとは異なる態様を示す。
図2F】本方法の図2A図2Eとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Eとは異なる態様を示す。
図2G】本方法の図2A図2Fとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Fとは異なる態様を示す。
図2H】本方法の図2A図2Gとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Gとは異なる態様を示す。
図2I】本方法の図2A図2Hとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Hとは異なる態様を示す。
図2J】本方法の図2A図2Iとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Iとは異なる態様を示す。
図2K】本方法の図2A図2Jとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Jとは異なる態様を示す。
図2L】本方法の図2A図2Kとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Kとは異なる態様を示す。
図2M】本方法の図2A図2Lとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Lとは異なる態様を示す。
図2N】本方法の図2A図2Mとは異なる段階の例示的なスクリーンショットを示し、スクリーンショットは、好ましくはデータ処理装置のグラフィカルユーザインターフェースに表示され、整形外科手術支援のための表示画面上で使用される拡張現実の図2A図2Mとは異なる態様を示す。
図3A】背面から見るように示された7つの例示的な椎骨V1~V7を有する脊椎または脊柱SCの概略的かつ簡略化された表現を示し、各椎骨Vに対する2つの取付点APが本明細書に記載の方法で決定されており、方法に対するいくつかのステップ、例えばステップC70、C75、D70、D80によって計算および表示することができる異なるパラメータを視覚化し、異なるパラメータは、各椎骨V1~V7の位置および姿勢情報PDI_V、現在補正されていない脊椎または脊柱の曲率データSCD、および補正された脊椎または脊柱についての補正された脊椎曲線CSC上のデータを含む。
図3B】外科的切開部SIの内部に配置され、ツールSDが取り付けられたスクリューエクステンダSEの例示的な斜視図を示し、ツールSDは、例えば椎弓根スクリューを椎骨Vに取り付けるためのスクリュードライバSDであり、ツールSDは、その上に配列された2つの例示的な光学検出マーカOMを有する。
図3C】スクリューエクステンダSE1~SE3とスクリューヘッドSH1~SH3の骨アンカーBA1~BA3との間の固定された幾何学的関係に基づいて、椎骨および脊柱SCの位置の計算の精度を高めるために、スクリューヘッドSHおよび骨アンカーBAに対して最も外側の角度位置にあるように、1つの所定の側に移動された3つのスクリューエクステンダSEの側面図を示す。
図4】本発明の別の態様による、実際の脊椎安定化ロッドRのロッドデータRDを走査、計算、および表示し、そして、ロッドデータRDに基づいて仮想脊椎補正を計算して脊柱SCに対する仮想補正を視覚化するための方法500の例示的なフローチャートを示す。
図5】外科的切開部SIから見えるガイドワイヤGWまたは椎弓根マーカPMの検出によって、椎弓根スクリューPSの配置が行われる前に脊柱SCを特徴付ける異なる種類の情報を決定するための方法600の例示的なフローチャートを示す。
図6】本発明の一態様による、2つのドリル孔DH1、DH2と、ドリル孔DH1、DH2にそれぞれ配置された2つのガイドワイヤGW1、GW2と、ガイドワイヤGW1、GW2にそれぞれ取り付けられた2つの椎弓根マーカPM1、PM2とを有する椎骨の例示的かつ簡略化された断面図を示し、光学マーカOMは、取り外し可能または固定的に取り付けられた光学マーカ部品50を備える。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0032]本明細書では、可能であれば、図に共通する同一の要素を指名するために同一の参照番号が使用される。また、図面の画像は、例示の目的で簡略化されており、縮尺通りに描写されていない場合がある。
【0022】
[0033]図1Aは、整形外科手術が実施される場所の斜視図を示し、外科的切開部SIを有する手術台上の生体または患者Lと、整形外科手術のための異なる種類の脊椎ロッドを提案するための方法を実施するための例示的なデータ処理装置100を保持するユーザ、オペレータ、外科医、医療助手Oとを示し、図1Bは、本発明の一態様による、生体または患者Lの脊柱SCの椎骨を安定させて固定するための異なる種類の脊椎安定化ロッドを提案するための方法の異なるステップを描写する例示的かつ簡略化されたフローチャートを示し、方法は、画像撮像装置および表示画面を有するコンピューティング装置によって、外科的切開部SIでの脊椎整形外科手術中に拡張現実を使用することによって実施される。例示的な実施形態として、整形外科脊椎手術が示され説明されており、本方法は、ユーザ、オペレータ、外科医、医療助手Oが2つ以上の椎弓根スクリューに取り付けるための適切な安定化ロッドを選択するのを支援するために実施および使用される。例えば、本方法は、異なる曲げ形状を有する複数のロッドの中から、特定の予め曲げられた形状を有する特定のロッドを提案することができ、またはロッドの特定の曲率もしくは曲げ曲線を提案することができ、その後ロッドは外科医Oによって手術のために曲げることができる。
【0023】
[0034]脊椎整形外科手術は本質的に例示的なものにすぎず、拡張現実を使用する同じ方法は、検出可能なスクリューエクステンダが取り付けられた異なる種類の予め配置された骨スクリューへの取付けのために安定化ロッドまたは別の種類の安定化装置が必要とされる他の種類の整形外科手術、例えば、これらに限定されないが、ロッドによる安定化を必要とする骨折修復手術、または外部固定器を使用する他の種類の骨折もしくは再建手術に使用することができることに留意されたい。
【0024】
[0035]方法200を実施する前に、整形外科手術が実施され、外科医Oは、例えば通常の外科的ワークフローに基づいて整形外科手術を開始して実施する。これにより、外科的切開部SIは、生体または患者Lに対して行われ、例示および説明の目的で、少なくとも2つの椎弓根スクリューPS1、PS2が、生体Lの脊柱SCのそれぞれの椎骨に配置されると仮定され、この変形例では、3つの椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3が示されている。この数は例示的なものにすぎず、例示目的のために選択され、異なる数のスクリューエクステンダSEおよび対応する椎弓根スクリューを用いて方法200を実施することが可能である。通常、各椎骨は、両側に2つの椎弓根スクリューを必要とする。これにより、各1つの椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3は、それぞれのスクリューヘッドSH1、SH2、SH3を用いてそれぞれのスクリューエクステンダSE1、SE2、SE3に取り付けられる。そのような手術の少なくとも一部の例は、米国特許第10,058,355号明細書(図18図38を参照)に示されており、この参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
[0036]複数の椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3が、米国特許第10,058,355号明細書に示されているように、スクリューエクステンダSE1、SE2、SE3およびスクリュードライバを使用することによって、例えば椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3の骨固定要素で個々の椎骨にねじ込まれることによって、それぞれの椎骨V1、V2、V3に対する最終位置に配置されると、外科医またはオペレータOは、複数の椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3のスクリューヘッドSH1、SH2、SH3の各収容開口内に配置され得るように曲げられた、またはそのような形状を有する脊椎安定化ロッドRを選択または提供する必要がある。好ましくは、椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3の各スクリューヘッドは、ロッドRを受け入れるためのU字状の溝を有し、ロッドRをセットスクリューによってスクリューヘッドに取り付けることができるようにねじ山を有する。椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3のスクリューヘッドSH1、SH2、SH3内に配置されるロッドRの形状または曲率を決定するために、スクリューヘッドSH1、SH2、SH3への配置および接続前のロッドRの形状、曲率、または長さの少なくとも1つを決定することができるように、スクリューヘッドSH1、SH2、SH3の互いに対する位置および向きの情報を有することが望ましい。
【0026】
[0037]手術のこの段階で、外科医Oは、データ処理装置100を使用して、生体または患者Lの脊柱SCの椎骨の安定化および固定のための異なる種類の脊椎安定化ロッドを提案するための方法200を開始することができる。方法200のステップは、コンピュータ命令を含む専用のアプリケーションソフトウェアによって実施することができ、コンピュータ命令は、本明細書に記載の方法の態様を実施するためにデータ処理装置100のデータプロセッサで実行可能であり、方法200は、例えば、データ処理装置100の表示装置120に表示することができるライブビデオフィード上のグラフィックオーバーレイとして、ユーザコマンドによりグラフィカルユーザインターフェースGUIを操作および表示するように構成される。表示装置120は、例えばタッチスクリーンなど、情報入力のためのタッチ感知特性も含む表示画面とすることができる。好ましくは、データ処理装置100は、例えば、これらに限定されないが、スマートフォン、携帯電話、もしくはタブレットなどのポータブル装置、または別の種類のハンドヘルドデータ処理装置とすることができる。さらに、データ処理装置100はまた、画像データ処理、ならびにライブビデオフィードおよびGUIだけでなくGUIに表示される他のグラフィック要素の生成をサポートするグラフィックプロセッサを含むことができる。
【0027】
[0038]方法200は、図1Aおよび図1Bに例示的に示すように、それぞれのスクリューエクステンダSE1、SE2、SE3を有するすべての椎弓根スクリューPS1、PS2、PS3が配置されると開始することができる。最初のステップU10が実施され、方法200は、例えば外科医またはオペレータOによってアプリケーションを起動することによって開始される。次に、方法200はステップD10に進み、ライブビデオフィードが生成され、表示装置120のGUI、例えばスマートフォンのタッチスクリーンに表示される。これは、アプリケーションの1つに表示される、ライブビデオフィードを開始するためのGUIのボタンまたはアクティブなグラフィック要素にタッチすることによって行うことができ、またはステップU10でアプリケーションを起動すると自動的に開始することができる。これにより、データ処理装置100は、画像撮像装置110、例えばスマートフォン内蔵カメラユニットを用いて画像のシーケンスの撮像を開始し、表示画面120、例えばグラフィカルユーザインターフェースGUIのウィンドウを用いて、または表示装置もしくは画面120の全画面に、そのような画像をリアルタイムで同時に表示する。ライブビデオフィードは、画像撮像装置110の撮像画像に基づいており、拡張現実表現のための追加のグラフィック要素、アニメーション、および他のオブジェクトをオーバーレイすることを可能にするために、リアルタイムのビデオシーケンスとして表示される。ステップD10は任意選択のステップであることに留意されたく、なぜならば、透明または半透明のディスプレイ画面または装置を用いて、例えば、外科的切開部SIを直接見ることができるウェアラブル拡張現実(AR)眼鏡、透明もしくは半透明の表示画面もしくは装置を有するヘッドマウントディスプレイ、またはヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いて方法を実施することも可能であるからである。
【0028】
[0039]次に、任意選択で、方法200はステップD20に進み、ここで、命令またはコマンドCMDを外科医またはオペレータOに表示または他の方法で提供することができ、例えば、外科医もしくはオペレータOによる手動データ入力のための較正情報、向き情報、または次の走査ステップU30を可能にする他の種類の情報を要求することによって、例えば方法を開始するための基本情報を要求する。さらに、このステップD20はまた、ユーザが方法200のデータ、具体的には、命令またはコマンドCMDに関連するデータを入力することを可能にするグラフィック要素を提供することもできる。これは、例えば、テキストプロンプト、グラフィカルプロンプト、または1つもしくは複数の選択ボタンを用いて、ライブビデオフィード上にオーバーレイされたグラフィック要素を用いて行うことができる。また、ステップD20が音声コマンドの形態のオーディオ情報を提供して、外科医またはオペレータOが命令またはコマンドCMDを提供するのを支援することも可能である。また、ステップU20を実施することができ、ここで、図2Aのスクリーンショットで例示的に示されるように、外科医またはオペレータOは命令またはコマンドCMDに応答するためのデータを入力することができる。これらのステップは、外科医またはオペレータOがステップD10のライブビデオフィードを生成するために外科的切開部SIを連続的に撮影しながら少なくとも部分的に同時に実施することができ、コマンドおよびボタンCMDの表示を可能にする。例えば、図示の変形例では、ステップD20は、ライブビデオフィードビューに対する生体Lの向きに関する情報を要求する外科医またはオペレータOのためのテキストボックスを表示し、ステップD20では、テキストボックスがGUIに表示され、情報要求に関連する追加情報を外科医またはオペレータOに提供する。また、ステップD20は、GUIの左側および乗車側にグラフィカルアイコンを有する2つの記号化された頭部を表示およびオーバーレイすることができ、その結果、外科医またはオペレータOは、これらの2つのグラフィカルアイコンのうちの一方を選択して、データ処理装置100の位置に対して、生体の頭部Lがどの側に位置するかを示すことができる。頭部を表す1つのグラフィックアイコンが選択されると、頭部を強調表示することができ、要求された情報は、図2Aに示すように、GUIのライブビデオフィード上にオーバーレイされた確認ボタンで確認することができる。
【0029】
[0040]一般に、本明細書の文脈では、外科医またはオペレータOが方法200または本明細書に記載の他の方法にデータを入力するステップ、例えば、これに限定されないが、ステップU20では、要求されたデータは、タッチスクリーン操作でGUI上のボタンなどのグラフィック要素にタッチすることによって手動でデータを入力する代わりに、データ処理装置100のマイクロフォン130を使用して、データ処理装置100上で動作する音声または発話認識ソフトウェアを使用することによって入力することができる。これにより、外科医またはオペレータOは、音声コマンドによって命令またはコマンドCMDに応答するためのデータまたは情報を提供することができ、音声および速度認識のそのような実装は、外科医またはオペレータOが方法200の間に表示画面120にタッチすることを少なくとも部分的に回避することを可能にする。その後、データの入力は、オーディオによって、例えば音声プロンプトを用いて、または表示される異なるグラフィック要素を用いて、データ処理装置100の一部であるかまたはデータ処理装置100に動作可能に接続された1つ以上のスピーカを使用して確認することができる。
【0030】
[0041]しかしながら、このステップU20が、コンピュータベースのプロセスによって、例えばデータプロセッサを用いた画像データ処理アルゴリズムによって自動化されること、およびデータ処理装置100のメモリが、ライブビデオフィードのための画像データを提供する画像の撮像されたシーケンスに対する生体Lの向きを検出するために実施されることも可能である。一例として、これは、例えば、訓練データに基づいて生体Lの向きを検出することができる訓練されたニューラルネットワークの使用によって、またはスクリューエクステンダSEに取り付けられた光学マーカOMに関して以下でさらに説明するように、生体Lもしくは医療用もしくは手術台もしくは手術テーブルに取り付けられた光学マーカの使用によって、またはパターンマッチングアルゴリズムによって検出することができる医療用もしくは手術台もしくは手術テーブルの向きを検出することによることができ、生体Lの向きに関する情報を提供することができる。
【0031】
[0042]ステップU20およびD20で上述したように、GUIを用いたステップD10のライブビデオフィードの表示と同時に、ユーザ指示を提供し、ユーザ情報および命令を受信するために、方法200の実施中の異なる時点で異なるユーザコマンドおよび情報をGUIに表示することができる。例えば、異なるテキストプロンプト、またはテキスト情報を有するテキストボックスを、ライブビデオフィード上のオーバーレイとして表示することができ、外科医またはオペレータOに、実施される処理の種類に関する情報または方法200のステータス情報を外科医またはオペレータOへのフィードバックとして与える、またはアイコンもしくはボタンを介してユーザ入力を要求する。異なる情報および命令がオーディオ、例えば音声プロンプトによって要求されることも可能である。また、画質および画像撮像パラメータおよび特徴、例えば、これらに限定されないが、ズームまたは画像クリッピング、自動画像補正設定、自動カラーおよびホワイトバランス調整、広角設定をロックすることによって、方法200を構成するためのメニューを開くまたはプルダウンすることを可能にするグラフィック要素またはアイコンが表示されることが可能である。また、方法200の前のステップに戻るために、外科医またはオペレータOによってタッチまたは他の方法で選択され得るグラフィカルアイコンを提供することが可能である。
【0032】
[0043]次に、スクリューエクステンダSEを走査するステップU30において、外科医またはオペレータOは、ステップD10の連続的な実施によってライブビデオフィードバックがGUIに表示されている間に、例えばテキストプロンプトによって、外科的切開部SIを指し示すスクリューエクステンダSEの画像シーケンスを撮影および撮像するように通知または促される。このステップの例示的なスクリーンショットが図2Bに示されており、テキストボックスはユーザまたはオペレータOに、データ処理装置100を移動させてスクリューエクステンダSEのすべてを走査するように要求している。次に、ステップD10で、外科医またはオペレータOは、すべてのスクリューエクステンダSE、例えば3つの例示的なスクリューエクステンダSE1、SE2、SE3をGUIのライブビデオフィードで見ることができるように、画像撮像装置110の視野角および視野を生体Lおよび外科的切開部SIに向けて、外科的切開部SIおよびその周囲の画像シーケンスを撮像する。これは、図2Cに、スクリーンショットと共に例示的に示されており、スクリューエクステンダの走査が進行中であることを示すテキストボックスを表示することができる。図2Cでは、GUIを用いて表示される画像撮像装置110の視野は、5つのスクリューエクステンダSE、脊柱の後方の椎弓根骨の右側に、椎体内に取り付けられた前方の3つ、および左側の2つを示すことも分かる。
【0033】
[0044]走査ステップU30が開始されるのと同時にまたはその後に、外科医またはオペレータOが依然として外科的切開部SIおよびスクリューエクステンダSEを撮影している間に、異なるスクリューエクステンダSEを検出するステップである画像データ処理ステップC10が実施される。これは、撮像された画像に対して実施される異なる種類の画像処理アルゴリズムによって行うことができる。例えば、これは、第1の1つのスクリューエクステンダSEが検索され、検出され、そして、そのデータが例えば三次元座標データモデルによって保存される段階的な方法によって行うことができる。その後、次のスクリューエクステンダSEが検索され、検出されて、そのデータが保存され、画像撮像装置110の視野内のすべてのスクリューエクステンダSEが検出されて保存されるまで、これらのサブステップが繰り返される。好ましくは、検出ステップC10は、データ処理装置100が移動している間に実施され、これは、スクリューエクステンダSEおよび外科的切開部SIの視野角および観察窓が可変で変化することを意味する。
【0034】
[0045]一例として、検出ステップC10は、スクリューエクステンダSEの形状を検出して追跡し、その後、スクリューエクステンダSEの姿勢を抽出して姿勢データ情報PDIのデータセットを提供するために、剛体モデルベースの三次元(3D)姿勢、位置決め推定アルゴリズムおよび追跡アルゴリズムを使用して実施することができる。スクリューエクステンダSEの形状はすべて既知であり、すべて同じ形状および寸法であるため、三次元モデル、例えばコンピュータ支援設計(CAD)データモデルをこの検出ステップに使用することができる。複数のスクリューエクステンダSEのうちの1つを検出した後、ステップは、記憶および更新することができる姿勢データ情報PDIを生成し、姿勢データ情報PDIは、スクリューエクステンダSEの座標基準位置、角度および回転方向、例えば座標系、例えばユークリッド空間などの現実世界座標系を基準とする異なるベクトルを含むことができる。姿勢データ情報PDIは、計算を簡単にするために、異なるスクリューエクステンダSEの座標位置のみを含むことも可能である。姿勢データ情報PDIは、様々な形態および座標空間で計算することができるが、好ましい実施形態では、座標データは、ユークリッド座標空間を参照する三次元データである。すべてのスクリューエクステンダSEのすべての姿勢データ情報PDIが生成されると、収集されたすべての姿勢データ情報PDIのデータセットを用いてデータセットまたはテーブルを生成することができる。スクリューエクステンダSEの本体形状は既知であるが、スクリューエクステンダSEの前端は、図2Cの例示的なスクリーンショットに見られるように、外科的切開部の内側で椎弓根スクリューPSのヘッドと相互接続されているため、スクリューエクステンダSEは画像シーケンスでは部分的にしか見えない。このため、身体の部分的な形状も検出することができ、姿勢データ情報PDIを生成することができる、コンピュータビジョン追跡のためのロバストなアルゴリズムを実施する必要がある。すべての外科的切開部は、先験的には知られておらず、異なる切開位置、生体L、外科用ツールの配列の間で大きく異なり得るので、好ましくは、追跡されるシーンの事前知識を必要としないビジョン追跡アルゴリズムが使用される。
【0035】
[0046]使用することができるモデルベースの追跡アルゴリズムの一例は、訓練されたニューラルネットワークが物体検出に使用される米国特許出願公開第2019/0355150号明細書に記載されており、この参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。訓練されたニューラルネットワーク、例えば、これらに限定されないが、既知の姿勢データ情報PDIを有するスクリューエクステンダの画像に基づいたCNNおよび深層学習を用いて、スクリューエクステンダSEの部分ビューをその姿勢データ情報PDIに直接リンクすることを可能にする訓練データを確立することができる。別の例として、Visometry GmbHのvisionLib(商標)社のロバストでモデルベースの拡張現実追跡アルゴリズムを使用することができる。
【0036】
[0047]別の例として、検出ステップC10は輪郭検出アルゴリズムを使用して実施することができ、輪郭検出アルゴリズムは、最初にスクリューエクステンダSEの各々の輪郭を検出し、その後、検出された各輪郭をスクリューエクステンダの三次元(3D)モデルの二次元(2D)投影にマッピングし、その後、姿勢データ情報PDIのデータセットを決定することを可能にする。
【0037】
[0048]検出ステップC10では、検出されたスクリューエクステンダSEはまた、画像の撮像およびライブビデオフィード上での表示中に追跡および更新することができる。これは、外科医またはオペレータOが走査のステップU30でスクリューエクステンダSEの撮影の位置および方向を移動させ、それによって姿勢データ情報PDIのデータセットをさらに改良するためにより多くの情報が収集されるので、必要であり得る。しかしながら、スクリューエクステンダSE自体が互いに対してわずかに移動することも可能であり、それによってスクリューエクステンダSEの座標および向きデータを変更することができる。この点で、姿勢データ情報PDIのデータセットは時間の関数として変化してもよく、姿勢データ情報PDIのデータセットを含むデータ構造またはテーブルは、検出ステップC10中に定期的に更新することができる。
【0038】
[0049]一変形例では、ステップC10は、椎弓根スクリューPSへのスクリューエクステンダSEの配置を必要とせず、椎骨Vに取り付けられた椎弓根スクリューPSで簡単に実施される。例えば、各椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHは、追跡アルゴリズムによる各椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHのよりロバストな検出のために、印刷、エッチング、彫刻、パターン化、または他の方法で提供される光学マーカOMを有することができる。例えば、光学マーカOMは、マーカOMが外科的切開部SIの肉、筋肉、脂肪、または他の身体部分で覆われていても依然として検出できるように、何らかの冗長情報を有するようなものとすることができる。例えば、Kohler et al.,「Robust Detection and Identification of Partially Occluded Circular Markers,」In International Conference on Computer Vision Theory and Applications(VISAPP),Vol.1,pp.387-392,year 2010を参照されたい。ARTag基準光学マーカも参照のこと。一変形例では、スクリューエクステンダSEの代わりにスクリューヘッドSHを走査するステップC10の前に、各スクリューヘッドSHには、図1Eに示すように、光学マーカOMが配列された取り外し可能な光学マーカ部品50が装備されるが、今回はスクリューエクステンダSE上に配置されず、椎弓根スクリューPSの各スクリューヘッドSH上に直接配置される。光学マーカ部品50とスクリューヘッドSHとの間の相互接続は、光学マーカ部品50の端部を、椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHの一方と相補的または対応する相互接続要素、例えば、米国特許第10,058,355号明細書に記載されているような圧入係合部、またはスナップロック、または光学マーカ部品50とスクリューヘッドSHとの間の他の種類の幾何学的に画定されたロックと共に構成することによって行うことができ、これにより、光学マーカ部品50を正確に画定された位置でスクリューヘッドSHに接続することができ、しかも検出にのみ使用されるため、依然として容易に取り外すことができる。これにより、相互接続された状態または位置における光学マーカOM、光学マーカ部品50、および椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHの間の幾何学的関係が定義され、可変ではない。これにより、椎弓根スクリューPSの検出信頼性の問題が低減されるか、またはさらには完全になくなる。しかしながら、方法の少なくとも一部が、追加の光学的検出補助を必要とせずに、画像処理アルゴリズムを用いた椎弓根スクリューPSの検出に依存することも可能である。
【0039】
[0050]ステップC10の別の変形例として、各椎弓根スクリューPSは、異なる検出技術およびRFID検出アンテナの使用に基づいて、空間内の三次元位置の検出を可能にする1つ以上の無線周波数識別タグ(RFID)、好ましくはパッシブ型RFIDタグを装備することができる。例えば、これは、椎弓根スクリューPS、例えばスクリューヘッドSHに取り付けられ、互いに異なる向きを有する異なるRFIDタグ、例えば三次元座標空間の異なる軸線で向きされた複数のRFIDタグを有するRFIDタグアレイを使用し、位置精度を向上させるために椎弓根スクリューPSのRFIDタグに対して移動することができるRFID検出アンテナを使用することによって行うことができる。例えば、Zhang et al.,「3-Dimensional Localization via RFID Tag Array,」In 2017 IEEE 14th International Conference on mobile ad hoc and sensor systems(MASS),pp.353-361.IEEE,year 2017を参照されたい。例えばマトリックスに配列された異なる既知の基準位置を提供するために、椎弓根スクリューPSに取り付けられていない複数の基準RFIDタグが使用されること、および椎弓根スクリューPS、例えばスクリューヘッドSHに1つ以上のRFIDタグが取り付けられることも想定することができ、例えば、Liu et al.,「A Three-Dimensional Localization Algorithm for Passive Radio-Fequency Identification Device Tag,」International Journal of Distributed Sensor Networks,Vol.13,No.10,year 2017,ref.1550147717736176を参照されたい。
【0040】
[0051]別の変形例として、超広帯域RFIDタグを使用することができ、超広帯域RFIDタグは、複数のリーダアンテナを使用して、異なる種類の検出アルゴリズム、例えば後方散乱変調またはUHFおよびUWB変調によって検出することができ、例えば、「Ultrawide Bandwidth RFID:The Next Generation?,」Proceedings of the IEEE Vol.98,No.9,year 2010,pp.1570-1582を参照されたい。そのような場合、基準RFIDタグ、1つ以上のリーダアンテナ、およびRFIDタグからの読み取り信号に対してデータ処理アルゴリズムを実施するためのデータ処理装置などの異なる要素は、図1Aに示すシステムの一部であり、そして、基準フレーム情報または方法200によるさらなる処理のために、データ処理装置100に相互接続されて、スクリューヘッドSHおよび取付位置APの座標データを配信し、特定の基準フレーム内のスクリューヘッドSHおよび取付位置APを見つけることを可能にする他のデータを配信することができる。しかしながら、ネットワークを介してリーダアンテナの生データをデータ処理装置100に提供して、装置100におけるスクリューヘッドSHおよび取付点APの座標位置を決定することも可能である。
【0041】
[0052]さらに別の変形例として、椎弓根スクリューのスクリューヘッドSHが、具体的には金属製スクリューヘッドおよび外科的切開部SIの周囲組織から放射される異なる熱放射により、外科的切開部SI内の環境よりも低温になるという前提に基づいて、スクリューヘッドSHは熱画像化によって検出することができる。例えば、赤外線サーモグラフィは、外科的切開部SIの露出した組織および骨、ならびに椎弓根スクリューPSおよびそれらのスクリューヘッドSHなどのインプラントから発生する赤外線エネルギーを測定するために使用することができ、この赤外線エネルギーは、表面温度の分布を示す放射熱画像に変換することができる。そのような画像は、スクリューヘッドSHを検出するための、またはさらにはスクリューエクステンダSEを検出するための画像データ処理アルゴリズムを受けることができる。この目的のために使用することができる例示的な熱画像化カメラは、FLIR Systems Inc社の赤外線(IR)サーモグラフィカメラFLIR T335である。これはまた、座標の基準位置、例えば定規、マーカなどを提供するために、熱画像化カメラ(図示せず)によって、および可視光範囲で動作する画像撮像装置110によって見ることができる基準マーカまたは基準フレームの使用を必要とする。画像処理アルゴリズムに基づいて、スクリューヘッドSHまたはスクリューエクステンダSEは、それにより、例えばモデルベースのパターンマッチングアルゴリズムによって、または他の種類の人工知能ベースの検出アルゴリズムによって、熱画像から位置特定および検出することができる。この目的のために、図1Aに示すシステムは、ネットワークを介してデータ処理装置、例えばデータプロセッサ100に熱画像化データを提供することができる熱画像化カメラをさらに含む。
【0042】
[0053]スクリューエクステンダSEの位置またはスクリューヘッドSHの位置のいずれかに関するこの情報は、ステップD25、D30、およびU40によって使用することができ、ライブビデオフィード上にオーバーレイすることができるグラフィック基本要素GPを提供して、異なるスクリューエクステンダSEを強調表示する、または一変形例ではグラフィック基本要素GPを提供して椎弓根スクリューPSの異なる検出されたスクリューヘッドSHを強調表示し、スクリューエクステンダSEが配置されていない場合、ステップC20、C30の幾何学的形状およびロッドテンプレート計算のために考慮する必要がある異なる椎弓根スクリューPSを選択および選択解除する。
【0043】
[0054]さらに、一変形例では、走査ステップU30、検出ステップC10、および基本要素を表示するステップD25は、反復的に実施することができ、それにより、例えば検出されたスクリューエクステンダSEごとに繰り返すことができる。この変形例は、図2Lおよび図2Mの表現で示されており、ここでは、例示的な数の4つのスクリューエクステンダSE1~SE4が追跡および検出されている。例えば、走査ステップU30では、スクリューエクステンダSEの検索および走査は、ライブビデオフィード上に表示およびオーバーレイされるグラフィカルロケータ要素GLEを使用することによってさらに支援することができ、例えば、図2Mを参照されたい。例えば、スクリューエクステンダのグラフィカル表現、例えば、画面上のスクリューエクステンダSEのレンダリングまたは投影のグラフィカル表現、スクリューエクステンダSEの外形、例えば、スクリューエクステンダSEの半透明のグラフィカル表現を表す、表示されるグラフィカルロケータ要素GLE、またはスクリューエクステンダSEを走査および検出するためのロケータとして使用することができる他の種類のグラフィカルロケータ要素GLE、例えば十字線、レチクル、カーソル、矢印、インジケータを画面上に示すことができる。例えば、このグラフィカルロケータ要素GLEは、画面に対して固定された位置、例えば表示された視野の実質的に中心に画面上に提示することができる。これにより、外科医またはオペレータOは、ステップU30で装置100を移動させることができ、それにより、データ処理装置100の画像撮像装置110によって撮影されたグラフィカルロケータ要素に対して、外科的切開部SIで撮像または撮像されたシーンを移動させることもできる。
【0044】
[0055]図2Mに示す変形例では、グラフィカルロケータ要素GLEは、GUIの画面の中央の直立位置に固定的に表され、ライブビデオフィード上のスクリューエクステンダSEの外形として半透明要素としてレンダリングされ、グラフィカルロケータ要素GLEが外科的切開部SIから突出しているスクリューエクステンダSE1~SE2のうちの1つと一致することができるように、オペレータOが装置100を移動させることを可能にする位置および向きを有する。図示の変形例では、スクリューエクステンダの長手方向溝は、グラフィカルロケータ要素GLEにも表され、それにより、スクリューエクステンダSE1~SE4を検出するために装置100を保持して移動させるための向き角に関してオペレータOに対する向き補助として機能する。
【0045】
[0056]ビデオフィードによって撮像されたスクリューエクステンダSE1~SE4のうちの1つとグラフィカルロケータ要素GLEが部分的または完全に視覚的に接触またはタッチすると、それによって接触したスクリューエクステンダSEをステップC10で検出することができ、その後、例えばステップD25で検出されたスクリューエクステンダSEの基本要素を表示することによって強調表示することができる。例えば、検出ステップC10は、走査ステップU30と同時に実施されるコース検出ステップC12に分割することができ、ここで、スクリューエクステンダSEとのグラフィカルロケータ要素GLEのタッチまたは接触を検出することができる。このコース検出ステップC12は、スクリューエクステンダSEが位置する現在の画像内の表面または領域を検出することを可能にするパターンマッチングアルゴリズムまたは他の種類の検出アルゴリズムに基づくことができ、その後、グラフィカルロケータ要素GLEの座標または領域がスクリューエクステンダSEを表す画像の領域に接触、近接、またはタッチしている場合、精密検出ステップC14を実施することができ、ここでスクリューエクステンダSEの正確な位置および座標が検出され、例えば姿勢データ情報PDIが検出される。ステップC14でスクリューエクステンダSEが完全に検出されると、図2Lに示すように、拡張現実グラフィック基本要素GP1~GP4を検出されたスクリューエクステンダSE上に表示することができ、例えばプロンプト、テキストボックス、確認ボタンを用いて、スクリューエクステンダSEの検出を承諾し、それによって、検出された姿勢データ情報PDIも承諾するように外科医またはオペレータを促すことができる。図2Mの例示的な図では、スクリューエクステンダのうちの左側に配列された2つであるSE1およびSE2が既に検出されており、グラフィック基本要素GP1およびGP2とオーバーレイされて表示され、画像の中央にグラフィカルロケータ要素GLEが表示され、グラフィカルロケータ要素GLEは半透明のスクリューエクステンダSEのレンダリングを示している。
【0046】
[0057]一変形例では、検出のために、図2Lおよび図2Mに視覚化されているように、位置および向きに関する特定の姿勢情報を有するグラフィカルロケータ要素GLEと、画面120または装置100に対して固定された座標とのおおよその一致時に、外科的切開部SIのスクリューエクステンダSE1~SE4のうちの追跡された1つの姿勢データ情報を用いて、一致するスクリューエクステンダを選択のために強調表示することができる。この点において、スクリューエクステンダSE1~SE4のうちの1つの姿勢データ情報PDIの正確なまたはおおよその一致時に、図2Lに示すように、検出されたものをグラフィック基本要素GPとオーバーレイすることができ、確認プロンプトをオペレータOに提示することができる。オペレータOが、スクリューエクステンダSE1~SE4のうちの1つとグラフィカルロケータ要素GLEのPDIとの間のPDIの一致を引き起こすために、オペレータは、表示されたグラフィカルロケータ要素GLEがスクリューエクステンダSEのうちの1つ、図2MではSE3とほぼ一致するまで、例えば旋回、傾斜、移動によって装置100を移動させなければならない。このステップでは、例えばパターンマッチングアルゴリズムによって、選択のための異なるスクリューエクステンダ候補の粗いPDI情報を、グラフィカルロケータ要素GLEのPDIとの一致が見つかるまで繰り返し計算することができる。
【0047】
[0058]次に、走査ステップU30、検出ステップC10、および基本要素を表示するステップD25を次のスクリューエクステンダSEについて繰り返すことができ、図2Dに示すように、所望のスクリューエクステンダSEがすべて検出されるまで、スクリューエクステンダSE1~SE4が順次1つずつ、検出されて基本要素によって強調表示される。この変形例は、各スクリューエクステンダSEの検出のために外科医またはオペレータに直接的な視覚的かつ直感的なフィードバックを提供することを可能にする段階的走査である。SEのPDTが撮像されて追跡されるスクリューエクステンダごとのステップS14の検出時点または瞬間は、信号、例えば聴覚信号もしくは振動信号、またはその両方によってさらに強調表示することもできる。
【0048】
[0059]一変形例では、スクリューエクステンダSEは、上述のように形状、輪郭、またはパターンを検出するコンピュータビジョンアルゴリズムによって検出されないが、各スクリューエクステンダSEは、検出ステップで検出および追跡することができる光学マーカOMを装備し、光学マーカOMは、観視風景の基準マーカとしても機能することができる。外科的切開部SIを伴うそのような観視風景の一例が図1Dに示されており、椎弓根スクリューPS(図示せず)に取り付けられた2列のスクリューエクステンダSE1~SE6を示している。図示の例では、各スクリューエクステンダSEは、スクリューエクステンダのよりロバストな検出を提供するために、異なる位置に2つの光学マーカOMを装備することができ、第1のマーカOMはスクリューエクステンダSEの本体の遠位端に位置し、第2のマーカはスクリューエクステンダSEの本体の中間部に位置する。例えばスクリューエクステンダSE4、SE6で示されるように、2つのマーカのうちの1つがカメラ視野から覆われる場合、他の可視光学マーカOMによって提供される検出および追跡の冗長性がある。
【0049】
[0060]各スクリューエクステンダSEは、冗長性の目的のために複数の光学マーカOMを装備することができ、いくつかのマーカOMは、外科的切開部の内側に隠されるか、他のスクリューエクステンダSEによって覆われるか、そうでなければ画像撮像装置110の視野の外側にあるように配置されてもよい。また、外科医またはオペレータOが、スクリューエクステンダSEが検出されているかどうかを視覚的に検査し、少なくとも1つのマーカOMが検出されて追跡されるように、カメラまたは画像化装置110の撮影および視野位置を移動させることができる。図1Dの例では、ステップC10によるスクリューエクステンダの検出および追跡のために、少なくとも1つの光学マーカOM5を検出するために異なるカメラビューが必要とされ得る。
【0050】
[0061]光学マーカOMは、例えば特定の向きで特定の位置に配置されることによって、スクリューエクステンダSEに対して固定された幾何学的関係を有するグラフィックパターンまたは設計で作製することができる。光学マーカに使用することができるパターンの一例として、パターンは、市松模様パターン、マトリックスコードもしくはQRコード(登録商標)、または同様の設計、例えばロボットの追跡に使用される設計とすることができる。異なる追跡マーカ、例えば、これらに限定されないが、ARToolKit、ARTag、AprilTag、およびArUco基準追跡マーカは、スクリューエクステンダSEをラベル付けするために使用することができる光学マーカOMの一例であり、識別および姿勢推定の両方の目的に有用である。例えば、各スクリューエクステンダSEは、例えば、そのような光学マーカOMを有する層の印刷、貼り付け、エッチング、エンボス加工、格子、または堆積によって、1つ以上の光学マーカOMを固定して装備することができる。これらの光学マーカは、例えばUV可視インク、NIR可視インクを使用することによって、人間の目には見えないようにすることもできる。例えば、光学マーカOMは、取り外し可能または固定的に取り付けられた層またはステッカーとして作製することができる。
【0051】
[0062]代替として、図1Eに示すように、光学マーカが、各スクリューエクステンダSEから分離された部品50であり、例えば、スクリューエクステンダSEの遠位端のハンドル取付部品60上に光学マーカ部品50を配置することによって、スクリューエクステンダSEに対して所定の幾何学的関係で配置することができることも可能である。また、光学マーカ部品50は光学マーカOMを含み、そして、方法100が実施されて終了すると、例えば単純な手動操作によってスクリューエクステンダ50から容易に取り外すことができる。この目的のために、光学マーカ部品50は、スクリューエクステンダ60のハンドル取付部品60と相補的な取付装置55を有することができる。好ましくは、取付装置55およびハンドル取付部品60は、取付装置55がスクリューエクステンダSEに対して1つの位置しかとることができないように形成され、その結果、スクリューエクステンダSEの正しい向きを考慮に入れて、スクリューエクステンダSEの正しい姿勢データ情報PDIを計算することができる。ステップC10による検出および追跡のために、スクリューエクステンダSEを走査するステップU30を実施する前に、光学マーカ部品50をすべてのスクリューエクステンダSE上に配置することができる。上記で説明したように、部分的に遮蔽されたマーカOMの検出が可能であるように、冗長な情報を有する光学マーカOM、例えばARTag、TriCode、ARToolkit+、Kohler円形マーカを使用することも可能である。
【0052】
[0063]各スクリューエクステンダSEについて、光学マーカOMに含まれるパターンまたは他のグラフィック要素が異なり、任意選択の識別ステップC15で読み取って識別することができる情報を含むことも可能である。この情報は、正しい外科手術のための正しいスクリューエクステンダSEが使用されているかどうかを確認するための検証目的に使用することができる。例えば、データベースを用いて、各スクリューエクステンダSEの識別情報を読み取ることができ、スクリューエクステンダSEの異なる態様、例えばスクリューエクステンダSEがその寿命またはライフサイクルを超えたかどうか、正しい種類のスクリューエクステンダSEが特定の手術に使用されているかどうかを確認することができる。さらに、各光学マーカOMに含まれる識別情報を使用して、手術風景から撮像されたいくつかの画像にわたってそれぞれのスクリューエクステンダSEを識別することができ、それにより、撮像された画像のシーケンス内の検出されたスクリューエクステンダSEの対応関係の高速計算が可能になる。これにより、いくつかの撮像画像にわたって個々のスクリューエクステンダSEのよりロバストで高速な識別を提供することができる。
【0053】
[0064]スクリューエクステンダSEのうちの少なくとも1つが検出されると、図2Dのスクリーンショットに例示的に示すように、スクリューエクステンダの基本要素を計算して表示するステップD25で、グラフィック基本要素GPを生成し、GUIのライブビデオフィード内の実際に表示されたスクリューエクステンダ上にオーバーレイすることができる。この図では、スクリューエクステンダSEの可視部分の外形を示すグラフィック基本要素が示されており、グラフィック要素はコーナー点を強調表示または指示している。グラフィック基本要素GPは、スクリューエクステンダSE用のコンピュータ生成グラフィック要素の拡張現実、および現実世界を提供するために、ライブビデオフィード中にそれぞれのスクリューエクステンダSEの位置を覆うか、または他の方法でグラフィカルに指示するように表示することができる。これは、スクリューエクステンダSEに対して、現在撮像されて表示されている画像のカメラ位置および向きを表すデータを計算することによって、ならびに姿勢データ情報PDIのデータセットに基づいて、グラフィック基本要素GPのグラフィック要素としてのスクリューエクステンダSEの投影を計算して表示することによって行うことができる。しかしながら、スクリューエクステンダのグラフィック基本要素GPを計算して表示するステップD25は、検出ステップC10によって収集された姿勢データ情報PDIとは完全に別個に行うこともでき、そして、スクリューエクステンダSEの外形を検出する輪郭検出アルゴリズムに基づくことができ、その後、要素、例えば、これらに限定されないが、線、シェーディング、ドット、点、ボックスをグラフィカルに表示する。
【0054】
[0065]一般に、ステップD25は、スクリューに関するコンピュータ生成情報を提供することを可能にする。このステップは、好ましくは2つのサブステップを含み、第1のサブステップは、ライブビデオフィードの撮像画像上の固定された関心点、基準マーカ、または光学フローを検出する。カメラ画像内の関心点、基準マーカ、または光学フローを検出する。これにより、第1のサブステップは、現在のカメラビューの向きデータモデルを作成することができる。このステップは、コーナー検出、ブロブ検出、エッジ検出または閾値処理、および他の種類の画像処理方法などの特徴検出方法を使用することができる。第2のサブステップは、外科的切開部SIおよびスクリューエクステンダSEである、現在撮影されている環境の現実世界座標系を復元する。外科的切開部SIおよび身体を伴う観視風景の少なくとも一部が未知であるので、同時位置特定およびマッピング(SLAM)は、姿勢データ情報SPIの相対位置を画面位置座標データSLCDにマッピングすることができ、ライブビデオフィード上の正しい位置にグラフィック基本要素GPを表示するために計算することができる。この点において、スクリューエクステンダSEのグラフィカル表現は、画面位置座標データSLCDに投影されたスクリューエクステンダの幾何学的モデルの投影図とすることができる。加えて、または代替として、観視シーンの構造は、バンドル調整が使用されるような運動方法から導出することができ、使用される数学的方法は、射影(エピポーラ)幾何学、幾何学的代数、指数写像による回転表現、カルマンおよび粒子フィルタ、非線形最適化、およびロバスト統計の場合の使用を含むことができる。このステップD25により、現実の単語オブジェクトのグラフィカル表現、この場合はスクリューエクステンダSEのグラフィック基本要素GPが、スクリューエクステンダSEの現実の単語ビューまたはシーンと関連付けられる。三次元情報に基づいて、例えば、直接飛行時間(dToF)、LiDARセンサ、または構造光センサを含む距離測定センサからのデータ、2つの画像センサによるステレオ画像化に基づいて、マッピングのために観視風景がさらに分析されることも可能である。グラフィック基本要素GPは、スクリューエクステンダSEの仮想再構成投影モデルと考えることができる。そのようなステップD25の実装の一例は、米国特許第10,824,310号明細書および米国特許第9,824,495号明細書を用いて見出すことができ、これらの参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
[0066]このステップD25により、視覚フィードバックを外科医またはオペレータOに与えて、すべてのスクリューエクステンダSEが検出されたかどうかを確認し、そして、スクリューエクステンダSEを強調表示するための動的に移動するグラフィック要素によって外科的切開部SIのライブビデオフィードがさらに拡張されるので、拡張現実概念の一態様を提供することができる。一変形例では、最初にすべてのスクリューエクステンダSEが検出され、姿勢データ情報PDIが抽出されてテーブルまたはデータ構造に記憶され、その後、グラフィック基本要素GPがスクリューエクステンダ上にオーバーレイされる。このステップは、走査ステップU30および検出ステップC10と同時に実施することができる。例えば、グラフィック基本要素GPは、検出されたそれぞれのスクリューエクステンダSEを覆う不透明、透明、または半透明のシェーディングとすることができる。
【0056】
[0067]次に、方法200は、ステップD30を実施することができ、ここで、セレクタ要素SFが生成され、検出されたスクリューエクステンダSEごとにライブビデオフィード上に表示され、そして、セレクタ要素SFによってスクリューエクステンダSEを選択または選択解除するステップU40が実施され、外科医またはオペレータOが、好ましくはタッチスクリーン操作によってスクリューエクステンダの個々のものを手動で選択することを可能にする。それにより、ステップD30は拡張現実概念の別の態様を提供し、外科医またはオペレータOとの容易な対話を可能にして、考慮されるスクリューエクステンダSEを選択または選択解除し、そして、ステップU40で、例えば、外科医またはオペレータOが、選択/選択解除を切り替えるためのセレクタ要素SFを指でタッチすることよって、ライブビデオフィード上に配置されたスクリューエクステンダの選択/選択解除のためのGUI上のグラフィック要素SFの使用を可能にする。また、視野角が変化した場合でも、セレクタ要素SFのグラフィカル表現がそれぞれのスクリューエクステンダSEに位置する、またはそれぞれのスクリューエクステンダSEを向くように移動させることができる。セレクタ要素SFを表示するステップD30は、セレクタ要素SFの表示座標をステップD25によって生成されたそれぞれのグラフィック基本要素GPの表示座標とリンクさせることによって、またはスクリューエクステンダSEの姿勢データ情報PDIからの投影を計算することによって、図2Eのスクリーンショットに例示的に示されるように、ライブビデオフィード上に動的にオーバーレイされたグラフィック要素、例えば、これらに限定されないが、スクリューエクステンダSEのそれぞれについてのフィールド、ボックス、矢印、アイコン、ラベル、または他の種類のグラフィカルに選択可能なラベルもしくは要素をGUIに表示することができる。ライブビデオフィード上のセレクタ要素SFのこのグラフィックオーバーレイにより、外科医またはオペレータOは、以下でさらに説明するように、ロッドテンプレートRTを提案するために、または複数のロッドテンプレートの中からロッドテンプレートを選択するために、スクリューエクステンダSEのうちのアクティブなものを選択することができる。例えば、外科医またはオペレータOは、ロッド決定のために3つのスクリューエクステンダSEを有する前列を選択したい場合がある。
【0057】
[0068]ステップU40で外科医またはオペレータOによって行われた選択は、タッチスクリーン操作によってアクセスすることができるグラフィッカルに表示された確認ボタンによって確認することができ、また、図2Fに例示的に示されているように、いくつのスクリューエクステンダSEが検出されたかに関する情報を有するテキストボックスによって案内することもでき、いくつのスクリューエクステンダが選択されたかに関する情報を有し、3つのスクリューエクステンダの前列が選択されている。SFを有するスクリューエクステンダの選択または選択解除はまた、選択されたSEの状態に関して外科医またはオペレータOに視覚フィードバックが提供されるように、グラフィック要素によって強調表示または非強調表示することができる。
【0058】
[0069]ステップU40でスクリューエクステンダの選択を確認すると、方法200は、椎弓根スクリューPSのロッド取付位置の幾何学的形状の計算が実施されるステップC20に進む。例えば、このステップでは、幾何学的形状は、脊椎安定化または固定ロッドRのすべての取付中心点APの座標データを含むことができ、これらは、ステップC10およびU40からの検出および選択されたスクリューエクステンダSEのデータに基づいて計算することができる。本明細書に記載の変形例では、このステップは、図1Cの例示的な実施形態に示すように、脊椎安定化または固定ロッドRが縮小され、脊椎安定化のためにその最終位置でスクリューヘッドSHに配置されることを考慮して、選択されたスクリューエクステンダSEごとの架空的に配置された、または仮想ロッドRの各椎弓根スクリューPSの取付中心点APを決定し、各椎弓根スクリューPSは対応するスクリューエクステンダSEに取り付けられる。このロッドは、外科的切開部の椎弓根スクリューPSにまだ配置されていないので、架空または仮想的であると考えられる。図示の変形例では、ロッドRの取付中心点APは、ロッドRがスクリューヘッドSHのU字形溝UG内に完全に配置されたときの、椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHおよびスクリューエクステンダSEアセンブリの中心軸線CAと、ロッドRの回転中心軸線との間の交点として定義される。しかしながら、スクリューヘッドの種類および他の考慮事項について保留すると、取付中心点APは異なって定義することができる。ステップU40での幾何学的空間、例えば三次元ユークリッド空間内のすべての取付中心点APを決定することにより、その後、椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHへの配置および取付けのためのロッド形状またはテンプレートRTの提案を行うことが可能である。
【0059】
[0070]ステップC20は、スクリューエクステンダSEを検出するステップC10によって計算された姿勢データ情報PDIのデータセットに基づいて幾何学的計算を実施することができる。スクリューヘッドSHが通常完全に挿入されるか、またはスクリューエクステンダSEに対して固定された取付位置を有するため、椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHは、椎弓根スクリューPSが取り外し可能に取り付けられる対応するスクリューエクステンダSEに対して固定位置を有すると仮定することができる。これにより、選択されたスクリューヘッドごとの姿勢データ情報PDIからの座標および向きデータを用いて、取付中心点APの三次元座標位置を計算することができる。椎弓根スクリューPSは、外科的切開部SI内に配置されているため、生体外Lからは見えないか、または部分的にしか見えないが、配置されたスクリューエクステンダSEの検出に基づいて、依然として取付中心点APを計算することが可能であることに留意されたい。例えば、これは、デカルト座標、線形方程式、距離計算、および表面方程式を使用して、異なる取付中心点APの座標を決定することによって行うことができる。例えば、これは、対応するスクリューエクステンダSEの中心軸線CAの線形方程式を最初に決定し、スクリューエクステンダSEの姿勢情報を使用し、そして、すべてのスクリューエクステンダSEと同じ固定位置から固定距離にある取付中心点APを計算して、取付中心点APの位置を計算することによって行うことができる。
【0060】
[0071]取付中心点AP以外の、提案されたロッドテンプレートRTを決定するために関連する追加の情報を計算することができる。例えば、3つのスクリューエクステンダSE1、SE2、SE3のロッドテンプレートRTが決定されている図1Aおよび図2Fの変形例では、APの3つの座標点を幾何学的形状に使用することができるだけでなく、ロッド取付位置の幾何学的形状は、例えば、U字形溝に配置された仮想ロッドRの中心軸線の方向DCAまたは軸線によって表される、座標空間内のスクリューヘッドSHの向きをさらに含むことができる。スクリューエクステンダSEの姿勢データ情報PDIに基づいて、取付中心点APごとに、仮想ロッドRの中心軸線の方向DCAを表すデータを計算することができる。スクリューヘッドSHの中心軸線がスクリューエクステンダSEの中心軸線CAと一致するように、一般に、スクリューヘッドSHが対応するスクリューエクステンダSEにしっかりと取り付けられているので、この方向は、スクリューヘッドSHのU字形溝の溝延長の方向に対応し、椎弓根スクリューPSの骨アンカー部品は、その多軸性のために異なる向きを有することができる。
【0061】
[0072]一変形例では、幾何学的形状の計算はまた、別のステップの一部であり得、そして、事前に計算され得、例えば、スクリューエクステンダの位置決めまたは姿勢に関するデータが利用可能になった後の、ステップC10によるスクリューエクステンダSEの検出の一部であり得、方法200のステップの本明細書で提案される順序は単なる例示である。
【0062】
[0073]次に、ステップC30において、ステップC20によって決定されたロッド取付位置の幾何学的形状に基づいて、1つ以上のロッドテンプレートRTの幾何学的形状を表すデータセットを計算することができ、データセットは本明細書ではロッドテンプレートデータRTDと呼ばれ、ロッド取付位置の幾何学的形状は、例えば、決定された取付中心点APおよび/または中心軸線の方向DCAを含む。例えば、取付中心点APの座標データおよび中心軸線の方向DCAを考慮すると、ロッドテンプレートRTの適切な幾何学的形状は、例えば、カーブフィッティングアルゴリズム、例えば取付中心点APへの幾何学的適合を提供するカーブフィッティングを使用することによって、または、ステップC20からの中心軸線の方向DCAも考慮することによって、または、例えば、これらに限定されないが、曲げられたロッドRの最小可能もしくは許容される曲げ半径、最大曲率、最大横方向寸法を考慮する実際の物理的脊椎安定化ロッドRの曲げ制限およびその物理的制限を考慮する適合アルゴリズムを使用することによって、例えば、取付中心点APの現在の位置に対する最良の適合と考えることができるものに決定することができる。ロッドテンプレートデータRTDを、三次元座標空間において、隣接する取付中心点APの間に位置する一連の補間された離散的な三次元点として決定することも可能である。このステップC30では、ロッドテンプレートRTの全長を計算し、計算した長さをロッドテンプレートデータRTDに記憶することもできる。
【0063】
[0074]別の態様によれば、ステップD42において、選択されたロッドテンプレートRTをロッドの実際の物理的実施形態の1対1のスケールで示すために、ウィンドウまたは他のグラフィック要素がディスプレイのグラフィカルユーザインターフェース上に表示されることも可能である。これは、ロッドテンプレートRT、または最良の機械的適合のために計算されたもの、例えば、グラフィカルボタン、コンテキストメニュー項目、またはグラフィカルユーザインターフェースを用いた他の選択操作によるリストからのロッドテンプレートRTをダブルクリックまたは他の方法で選択することによって行うことができる。これにより、外科医またはオペレータは、実際の物理的ロッドRを表示画面上に保持するだけで、実際の物理的ロッドRを縮尺通りに表示されるロッドテンプレートRTと直接比較することができ、オペレータまたはユーザは、異なる予め計算されたまたは決定されたロッドテンプレートRTを切り替えて、それらの適合性および適切性をグラフィカルに検証することができる。また、一変形例では、ロッドテンプレートRTのロッド形状は、タッチスクリーン操作によって、例えば、タッチスクリーン上での指操作によってロッドテンプレートRTを示すグラフィック要素の部分を横方向に移動させることによって、曲げられ、引き伸ばされ、または他の方法で変形され、または形状が変更され得る。修正された仮想ロッドテンプレートRTは、選択された基準またはゼロ点、例えば、取付点AP1、AP2、AP3のうちの1つに関して再び表示することができ、それぞれの取付点からのオフセット距離を再計算することができる。オペレータまたは外科医Oが使用のためのロッドテンプレートRTに満足するまで、表示ステップD42およびロッドテンプレートRTに関連するパラメータの再計算を繰り返すことができる。
【0064】
[0075]複数の異なる予め曲げられたロッドテンプレートRTの座標または他の記述データのリストが、データセットまたは構造、例えばデータ処理装置100のメモリまたはデータ処理装置100によってアクセス可能なサーバに予め記憶され、次いで、このデータセットが、例えば決定された取付中心点APおよび/または中心軸線の方向DCAを含むロッド取付位置の幾何学的形状と最適に適合するように比較されることも可能である。これにより、外科医またはオペレータOへの提示のために1つ以上のロッドテンプレートを識別することができる。ステップC30の性能はまた、図2Gに例示的に示すように、例えばプログレスバーまたは円、アニメーション化された待機シンボルによって、データ処理装置100上で外科医またはオペレータOに表示することもできる。
【0065】
[0076]次に、方法200は、ステップD40に続くことができ、異なるパラメータを変更して視覚化するために、ロッドテンプレートRT、取付中心点AP、中心軸線の方向DCAに関する異なる情報を表示することができ、この情報に関連するユーザインターフェースをGUIに表示することができる。例示的なスクリーンショットが図2H図2Iに提供される。これは、アプリケーションの拡張現実機能を提供し、それによってロッドテンプレートの椎弓根スクリューPSに対する正確さおよび適合についての視覚フィードバックを提供するために、ライブビデオフィードが依然としてデータ処理装置100の表示装置120に表示されている間に行うことができる。図2Iに例示的に示すように、各スクリューエクステンダSEの中心軸線CAの投影である選択された各スクリューエクステンダSEの線、取付中心点APの投影位置に配置された、ロッド取付位置の幾何学的形状を表す計算された取付中心点APを視覚化するグラフィック要素を含む異なる情報を、ライブビデオフィード上にグラフィックオーバーレイとして表示することができる。この拡張現実の態様では、取付中心点APの座標データをディスプレイの座標空間にマッピングまたは投影することができる。さらに、特性データ、例えば、これらに限定されないが、厚さ、長さ、曲げ半径、曲げパターンを含む、ステップC30によって選択または決定されたロッドテンプレートRTのグラフィック表現を表示することができる。図示の変形例では、曲げられたロッドテンプレートRTが、その長さと共にミリメートル単位でボックス内に表示されている。
【0066】
[0077]さらに、図2Iに示すように、ステップD40はまた、ボックスの同じ曲げられたロッドテンプレートRTを表示することができるが、3つの例示的な椎弓根スクリューPSと共に設置されたロッドテンプレートRTのグラフィカル表現を示すために、取付中心点APの少なくとも1つと一致するように配置される。図示の変形例では、ロッドテンプレートRTは、中心軸線が取付中心点APの中央の1つのAP2と一致するように表示され、それによってAP2はゼロ点または基準点として機能し、椎弓根スクリューPS2のスクリューヘッドSH2への取付けを表す。次に、他の取付中心点APおよび椎弓根スクリューPS1、PS3について、ロッドテンプレートRTから取付点PS1、PS3までの距離を表示することができ、その結果、外科医またはオペレータOは、現在選択されているロッドテンプレートRTが基準点に隣接する椎弓根スクリューPS1、PS3にどれだけ適合しているかまたは適合していないかを検証することができる。
【0067】
[0078]例えば、ロッドテンプレートRTが直線であると仮定すると、三次元(3D)空間における幾何学的計算は、直線であるロッドテンプレートRTから取付中心点AP1、AP3までの距離を決定するために、取付中心点AP1が一方の表面にあり、取付中心点AP3が他方の表面にある、直線に垂直な2つの幾何学的表面GS1、GS2を配置することによって行うことができる。次に、隣接する取付中心点AP1、AP3と、それぞれの表面と直線との交差によって定義される点との間の距離は、表示され得るこれら2つの距離の定義を提供する。ロッドテンプレートRTが湾曲している場合、各々がそれぞれの表面GS1、GS2の交点の場所に位置する接線に垂直で、取付中心点AP1、AP3も表面GS1、GS2の1つの中にある2つの表面GS1、GS2を決定することによって、同じ手法を使用することができる。これにより、取付中心点AP1、AP3からロッドテンプレートRTまでの距離を決定することができる。図2I図1J図2Kに例示的に示すように、これらの距離は、スクリューエクステンダSEの長手方向の延長を示す中心線CAに関連付けられて、強調表示または容易に読むためにボックス内にミリメートル単位で表示することができ、矢印、ポインタ、または他の方向を示すグラフィック要素を距離値に関連付けて、ロッドテンプレートRTからのオフセット距離の方向を示すことができる。距離が非常に小さい場合、インジケータは、オフセット距離方向を識別するのに役立つことができる。これらの距離値は、グラフィカルユーザインターフェースで表示することができ、またはスクリューエクステンダSEおよび椎弓根スクリューPSアセンブリのそれぞれと、例えばスクリューエクステンダSEについて表示される各中心線CAとのグラフィカルな関連付けを用いて可動テキスト画面として表示することもできる。
【0068】
[0079]図2Iに示す変形例では、オフセットの測定のための基準点または位置は、異なるゼロ点または基準点を決定するために、例えばステップU55で変更することができる。例えば、ステップU55では、オペレータまたは外科医Oは、GUIで取付中心点AP1、AP2、AP3のうちの1つを表すグラフィック要素を単にタッチ、押す、または他の方法で選択することによって、異なる基準点またはゼロ点を選択することができ、それによってゼロ点または基準点をリセットし、オフセット値を新しい基準点について再計算することができる。別の例として、ユーザは、図2Hに例示的に示すように、スクリューエクステンダSE1、SE2、SE3のうちの1つをゼロ点または基準点のうちの1つとして選択することができる。また、すべてのオフセット値の再計算は、自動で得、または図2H図2I、および図2Jに例示的に示すように、オペレータまたは外科医Oによる確認もしくは要求時に、仮想ボタン「再測定」として示すように、ボタンを押すかまたはタッチすることによって行われ得る。
【0069】
[0080]図2Nは、ステップD40から生じ得る画面の一変形例を示し、例示的な3つの異なる取付点AP1、AP2、AP3が示され、選択され配置されたロッドテンプレートRTからのそれらの距離の関数として、配置されたロッドテンプレートRTに対する取付点AP1からAP3のオフセットに関してオペレータまたは外科医Oに視覚フィードバックが提供される。例えば、取付けAP3は、計算されたオフセット距離が約8mmで、ロッドテンプレートRTから最も遠いことが示され、それにより、取付点AP3は、赤色、例えば赤色ドット、または選択されたロッドテンプレートRTが対応する椎弓根スクリューPS3の配置および取付けに適していないことを示す他の種類のハイライトで強調表示される。対照的に、取付点AP2は、ロッドテンプレートRTに、またはロッドテンプレートRTに許容可能な近接範囲に位置することが示されており、したがって、緑色、例えば緑色ドット、または他の種類のハイライトで強調表示することができる。オフセットは0mmとして測定されている。これは、選択されたロッドテンプレートRTがこの特定の取付点AP2での配置に適していたことを示している。同様に、図2Nに示すように、取付点AP1はオレンジ色で強調表示され、4mmのオフセット距離を有する、理想的ではないがやや適切な位置を示す。この点において、取付点AP1、AP2、AP3のうちの1つに接続されるように配置されたロッドテンプレートRTからの取付点APの距離の増加は、着色または他の種類の視覚フィードバックによって示すことができる。図2Nの図示された変形例では、ヒートマップ着色方式が使用され、緑色はAPのうちの1つとロッドテンプレートRTとの良好な一致を表し、緑色からオレンジ色、赤色に変化すると、ロッドテンプレートの不良一致、例えばロッドを曲げることができる範囲外のオフセット値を表す。
【0070】
[0081]さらに、方法200は、オペレータまたは外科医Oによって選択され得るロッドテンプレートRTのリストLLを表示するためのステップD50を実施して、ライブビデオフィードを用いて外科的切開部SIで視覚化し、オペレータまたは外科医Oが拡張現実によってロッド配置の目視検査を行うことを可能にすることができる。例えば、このステップは、ロッドテンプレートRTが計算されるステップC30に基づいて発見されたロッドテンプレートRTのリスト、例えばロッド取付位置の幾何学的形状に最も一致するもの、または予め記憶された選択からのロッドテンプレートRTのリストを表示することができる。表示されたリストLLによって、データ処理装置100は、オペレータまたは外科医OがステップU50によってロッドテンプレートRTのうちの1つをグラフィカルに選択することを可能にするように構成され、その後、選択されたロッドテンプレートRTは、ステップD40によって、図2Jに示すように、取付中心点APのうちの少なくとも1つに仮想的に接続または配置されるように表示することができる。また、ロッドテンプレートRDを選択して椎弓根スクリューPSに仮想的に配置する際に、オフセット値を計算して表示することができる。
【0071】
[0082]この点で、ステップD55が実施され、ロッドテンプレートRTのうちの選択された1つが、表示画面またはグラフィカルユーザインターフェースGUIの1対1(1:1)スケールのグラフィック要素として表示されることも可能である。これは、ユーザまたはオペレータOが対応するロッドを製造するための補助として、2つの1:1の図、例えば、矢状面または長手方向の平面図および冠状面または正面の平面図で行うことができる。ロッドテンプレートRTが長すぎる、例えば典型的なタブレットの画面よりも長いために画面に収まらない場合、1:1のビュースケールを維持することが可能であるが、GUIでスクロールオプションが使用される。
【0072】
[0083]方法200の任意選択のステップでは、別の椎弓根スクリューPS、例えば、図2Dから図2Kに示す手術風景の画像を参照した場合の第4の椎弓根スクリューPS4を、選択されて配置されたロッドテンプレートRTの座標に一致するようにどのように配置または調整するかについてのヒントを外科医またはオペレータOに提供することができる。例えば、選択されたロッドテンプレートRTから延伸し、次の椎弓根スクリューPS4の取付位置の潜在的な位置を示すグラフィック要素を有するグラフィック要素を表示することができる。例えば、図2Jを参照すると、3つの異なる椎弓根スクリューPS1~PS3の取付中心点AP1~AP3に配置された湾曲ロッドテンプレートRTが示されており、潜在的な椎弓根スクリューPS4の次の取付位置を示すためのドット、十字形、または他のグラフィック要素を示す線形グラフィック要素または三角形グラフィック要素を表示することができる。三角形のグラフィック要素は、椎弓根スクリューPS4の取付けの様々な可能性を示すために、ロッドテンプレートRTの端部にコーナーを有することができる。
【0073】
[0084]方法200の別の任意選択のステップでは、特定のスクリューエクステンダSEおよび椎弓根スクリューPSアセンブリを選択して、補正前、補正動作中および補正後の位置を比較し、以下でさらに説明するように、例えば補正前、補正動作中および補正後の異なる取付中心点AP1~AP3を計算、表示、および処理することによって、互いに対する幾何学的位置の変化に関するデータを収集することが可能である。
【0074】
[0085]次に、ステップC60において、ステップU50でオペレータまたは外科医Oによって選択されたロッドテンプレートRTに基づいて、選択されたロッドテンプレートRTからのロッドテンプレートデータRTDを処理してCADデータ、または物理的固定ロッドRを製造するために使用することができる、ロッドテンプレートRTから生じるロッドRを特徴付けることができる他のデータを生成することができ、CADデータは、ステップF10で製造された実際の物理的ロッドを製造するためのロッド曲げ機械または別の種類のロッド加工装置に送信することができる。ロッドテンプレートデータRTDは、ステップU20によって、またはステップD55で1対1の表現で表示されている後に間接的に、または同時に提供されることが可能である。このステップでは、ロッドRを製造するためのデータは、ステップC30からのRTDに基づき、ステップU50でオペレータまたは外科医Oによって選択されている。次に、選択されたロッドの幾何学的データをRFTデータから抽出することができ、異なるデータフォーマット、例えば、CADデータフォーマット規格、例えば、これらに限定されないが、STEP、IGES、Parasolid、STL、VRML、X3D、DXF、COLLADAなどに変換することができる。例えば、RDTからの1つのロッドに対する少なくとも1つのデータセットは、ロッド曲げまたは加工機械、例えば、米国特許第6,755,064号明細書、米国特許第10.405,908号明細書に記載されているようなロッド曲げ装置、または米国特許出願公開第2005/0262911号明細書に記載されているようなロッド曲げ装置に送信することができ、これらの参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
[0086]方法200の別の任意選択のステップは、椎弓根スクリューPSに取り付けられた各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vの推定値を計算するステップC70と、拡張現実でライブビデオフィードバックを提供して、脊柱SCの実際の椎骨Vの推定または計算された位置決めを示すために、ライブビデオフィードまたは各椎骨Vの表示画像上にグラフィック基本要素を表示する任意選択の表示ステップD70と、脊椎曲率データSCDまたは脊柱SCの他の脊椎特徴付けパラメータまたはパラメータ化PAR、例えば、これらに限定されないが、Cobb角、矢状面の角度、および脊椎の他のパラメータを計算し、それにより、侵襲的な医療画像化、例えばX線画像化を必要とせずに、手術中の生体Lの脊椎曲率の推定値を計算する別の任意選択のステップC75とである。異なるスクリューエクステンダSEを検出するステップC10、および検出されたスクリューエクステンダSEごとの姿勢データ情報PDIを提供することにより、たとえ脊柱SCがライブビデオフィードの画像内で見えなくても、椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vを少なくとも推定することができる。通常、2つの椎弓根スクリュー対PSが各椎骨Vに取り付けられるため、このステップは、図1Dに示すように、2つの異なるスクリューエクステンダSE、例えば、両方とも同じ椎骨Vに取り付けられている2つの隣接して配列されたスクリューエクステンダSE1、SE4の2つの異なる姿勢データ情報PDIに基づいて、位置の推定を計算することを可能にする。
【0076】
[0087]スクリューエクステンダSEと椎骨Vとの間の正確な幾何学的関係は知られていない可能性があるが、近似推定に使用することができる確率範囲があり、1つの椎骨Vに取り付けられた2つのスクリューエクステンダSEに関する2つの姿勢データ情報PDIデータセットを使用して、例えば2つのスクリューエクステンダ姿勢PDIの平均値を使用することによって、各椎骨Vの推定姿勢PDI_Vを提供することができる。さらに、スクリューエクステンダSEに対して固定された位置を有するスクリューエクステンダSEの位置または姿勢と椎骨Vの位置または姿勢との間の幾何学的関係の履歴データに基づいて、2つのスクリューエクステンダが取り付けられた、検出されたPDIを考慮して、脊柱SCの椎骨が取る可能性が最も高い位置を使用するために知識データベースを生成することができる。例えば、ステップC70では、計算および推定の目的のために、各対の椎弓根スクリューPSが所与の椎骨Vの椎骨V内に理想的な所定の配置を有すると仮定することができ、位置および向きに関する穿孔中心軸線に関する椎弓根スクリューPSの取付位置が、椎骨Vの規範的サイズに基づいて、そのような理想的な所定の配置位置になるように選択されたと仮定することができる。一対のスクリューエクステンダSEについてステップS10から姿勢データ情報PDIを検出し、一対のスクリューエクステンダSEが、椎弓根スクリューPSを介して、そのような理想的な位置の近似に取り付けられていると仮定すると、対応する椎骨Vの位置および向きを近似することができ、そして、対応する椎骨Vの姿勢データ情報は座標の幾何学的変換によって計算して、姿勢データ情報PDI_Vを取得することができる。
【0077】
[0088]ステップC70およびC75は、知識データベースを使用した推定、計算、または決定に基づくことができ、知識データベースは、異なる椎弓根スクリューPSの取付点AP間の対応もしくはマッピングに関する履歴情報、または異なるスクリューエクステンダSEの姿勢データ情報PDI、ならびにPDI_Vとしての対応する椎骨の位置および向き情報、脊椎曲率データSCD、脊椎特徴付けパラメータPAR、またはそれらの組み合わせを有する。それにより、椎骨の姿勢データ情報PDI_V、脊椎曲率データSCD、Cobb角および矢状面の角度を含む脊椎特徴付けパラメータPAR、またはそれらの組み合わせを、検出された取付点AP、姿勢データ情報PDI、またはそれらの組み合わせから決定するための人工知能ネットワーク、例えば、知識データベースで訓練された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、決定フォレスト、または他の種類のネットワークが作成または確立されることが可能である。姿勢データ情報PDIおよび取付点APが決定論的かつ計算可能な幾何学的関係を有するので、PDI_V、SCD、またはPARは、検出されたスクリューエクステンダSEのPDIから直接決定することができる。しかしながら、一変形例では、椎骨の姿勢データ情報PDI_V、または脊椎曲率データSCDの計算が省略され、異なる椎弓根スクリューPSの取付点AP、異なるスクリューエクステンダSEの姿勢データ情報PDIのいずれか、またはその両方に基づいて、脊椎自体の姿勢または他の種類の位置決めまたは曲率データPDI_V、SCDを計算することなく、脊椎特徴付けパラメータPARが直接計算または推定されることも可能であり、最終的にユーザまたはオペレータOは、脊椎補正を決定するための、脊椎補正手術のためのこれらのパラメータPARに特に関心がある。
【0078】
[0089]また、このようにして得られたステップC70の推定姿勢データ情報PDI_Vに基づいて、脊椎曲率データSCDを計算して、それにより、手術中の生体Lの脊椎曲率の推定値を計算するステップC75を実施することができる。これもやはり知識データベースに基づくことができ、例えば患者の年齢、体重、身長に基づく患者固有のパラメータおよび値を考慮に入れることができ、脊椎曲率データSCDとして可能性のある脊椎曲線を計算することができる。また、ステップC75は、椎骨VのステップC70からの姿勢データ情報PDI_Vに基づいて、またはステップC10のスクリューエクステンダSEの姿勢データ情報PDIに基づいて、またはステップC10、C70からのPDIおよびPDI_Vの両方に基づいて、そのような決定のための典型的なアルゴリズム、例えば、これに限定されないが、ユークリッド座標空間内のPDI、PDI_Vのベクトル表現に基づく幾何学的変換に基づいて、脊椎特徴付けパラメータPARを計算することもできる。このデータは、自動化されたプロセスによって生体の脊椎の曲率を少なくとも部分的に補正するために、自動化された脊柱または脊柱の矯正(rectification)または補正(correction)装置またはシステムに使用することができる。脊柱矯正システムは、例えば自動脊椎補正のために、電動アクチュエータ、ロボット装置、または拡張可能なチャンバを有する枕を有する手術台の形態であり得、中国特許出願CN108143582号明細書またはCN110279554号明細書に記載されているようなシステム、または同様の機械を使用することができる。
【0079】
[0090]これらの態様では、方法200は、生体Lの脊椎または脊柱の異なる姿勢および位置情報を計算することが可能である。例えば、異なる種類の脊椎特徴付けパラメータまたはパラメータ化PARを計算することが可能であり、例えば、これらに限定されないが、腰椎の矢状面アライメントまたは腰椎前湾であって、これらに限定されないが、前湾傾斜角、全体的な前湾、仙骨傾斜、前湾分布指数、腰椎の頂部位置、上部円弧角、相対的な脊椎-骨盤アライメント、胸椎または頸椎の矢状面アライメント、Cobb角などの後湾、矢状面バランスのパラメータ、および他のパラメータを含む。また、脊椎または脊柱が嚢胞症に罹患していることに関連する異なる幾何学的パラメータを計算することが可能である。
【0080】
[0091]例えば、図3Aは、7つの例示的な椎骨V1~V7を有する脊椎または脊柱の概略的かつ簡略化された表現を示し、各椎骨Vについて、2つの取付点対AP1.1およびAP1.2が計算ステップC20で決定されている。計算された取付点APのセットに基づいて、7対の取付点APn.1およびAPn.2が示された変形例では、この例ではnは1から7であり、脊椎または脊柱の姿勢および向きに関連する異なるパラメータを、本方法の追加のステップで計算することができる。
【0081】
[0092]例えば、ステップC70では、三次元(3D)位置および向き情報VP1~VP7を含むことができる各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vを、各椎骨V1~V7について、取付点APn.1およびAPn.2の対からの幾何学的位置データに基づいて計算することができる。スクリューエクステンダSEを有する2つの椎弓根スクリューPSが各椎骨Vに取り付けられ、椎骨に対する各APの正確な位置が100%定義されていない場合、各椎骨Vに対して2つの異なる幾何学的点APが利用可能であるため、両方の取付点APn.1およびAPn.2の平均値または幾何学的中間位置を使用して、より正確な位置で各椎骨に関連するVPnを計算することができる。この計算は、例えば取付点位置APの履歴データおよび統計的変動に基づいた統計をさらに考慮に入れることができ、上記で説明したように、訓練された人工ネットワークを使用することができる。各椎骨の三次元(3D)位置および向き情報VP1~VP7は、表示ステップU70に関して上述したように、各椎骨のグラフィック基本要素をライブビデオフィードに表示するために使用することもできる。
【0082】
[0093]次に、脊椎曲率データSCDを計算する別のステップC75では、各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_V、例えば各椎骨V1~V7について計算された3D位置および向き情報VP1~VP7に基づいて、脊椎曲線の幾何学的モデルまたは座標データを計算することができる。例えば、脊椎曲率データSCDは、幾何学的点VP1~VP7とのカーブフィッティングによって、または3D空間内の一連の幾何学的位置で特徴付けることによって決定された曲線とすることができる。しかしながら、脊椎および椎骨V1~V7に関連する他のデータまたはパラメータは、このステップC75で計算することができる。例えば、D12、D23、D34、D45、D56、D67などの各椎骨間の距離を、例えば隣接する椎骨の幾何学的点間の距離に基づいて計算することが可能であり、隣接する椎骨V間の向き角β、例えば異なる方向から見たとき、例えば後方から見たとき、前方から見たとき、またはいずれかの側から見たときの2つの隣接する椎骨Vの向き角を計算することも可能である。
【0083】
[0094]また、ステップC75では、上記で説明したように、脊椎特徴付けパラメータまたはパラメータ化PARが計算されることも可能である。一般に、例えば計算された3D位置および向き情報VP1~VP7を含む各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vに基づいて、脊椎または脊柱の異なる幾何学的および向きパラメータPARを計算して、記憶、表示、アーカイブ、および外科医またはオペレータOによってレビューすることができる。一例として、異なる種類の脊椎手術について、脊椎特徴付けパラメータPAR、例えば、これらに限定されないが、前湾傾斜角、全体的な前湾、仙骨傾斜、前湾分布指数、腰椎の頂部位置、上部円弧角、相対的な脊椎-骨盤アライメント、胸椎または頸椎の矢状面アライメント、Cobb角などのパラメータを含む後湾、矢状面バランス、および他のパラメータを計算することができる。別の例として、各椎骨Vの向きに関するデータを含むことができる各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vに基づいて、隣接して位置する椎骨の互いに向かう回転向きを計算することが可能である。
【0084】
[0095]グラフィカルユーザインターフェースGUIを、外科医またはオペレータOが、例えばディスプレイ上のグラフィック基本要素をクリックまたは他の方法で選択することによって2つの椎骨を選択することができ、その後、これらの2つの選択された椎骨に関する異なるパラメータ、例えば距離、互いに対する回転方向、および姿勢情報を表示して、例えば角度方向を比較することができるように構成することも可能である。
【0085】
[0096]表示ステップD70を実施することができ、ここでは、異なる椎骨Vを表すグラフィック基本要素を表示することができ、直線状または湾曲したグラフィック要素としての脊椎曲率は、例えばステップC75によって計算された脊椎曲率データSCDに基づいて、ヘッドアップディスプレイを用いて、手術のライブビデオフィードまたは直接の視界とオーバーレイされる。また、表示ステップD70では、補正された脊椎曲線CSC、および脊椎を特徴付けるすべての異なる計算されたパラメータを表示することができる。図3Aの変形例では、これは、背面から見た理想的な脊椎曲線が直線であるため、直線であり得る。
【0086】
[0097]別の態様によれば、方法200では、手術中の異なる時点でスクリューエクステンダSEを介して脊椎または脊柱の測定を行うことが可能である。例えば、外科医またはオペレータOは、最初にステップU30、C10でスクリューエクステンダSEを撮像および検出することができ、その後、ステップC20、C40、C70、C75に基づいて異なるパラメータを計算することができる。ロッドRを選択して配置した後、ユーザまたはオペレータOは、ロッドをスクリューエクステンダSEの開いたスリットに挿入し、次いで、ロッドRがスクリューエクステンダSEの溝内に下方に移動して、ロッドRをスクリューヘッドのU字形溝内に配置し、各椎弓根スクリューPSのセットスクリューによって保持することができるように、ロッドRのロッド縮小に関与することができる。縮小プロセスの間、ロッドRは椎骨を新しい位置に押し込む。これは、一旦測定されると、新しい配列および新しい脊椎曲率データSCDへの脊椎曲線の補正または変更、例えば、冠状面、矢状面、および軸方向の補正をもたらす。この段階で、または縮小プロセス中の他の任意の時点で、椎弓根スクリューPSからスクリューエクステンダSEを取り外す前に、オペレータまたは外科医Oは、ステップU30、C10に再び関与して、すべてのスクリューエクステンダSEを再検出し、取付点AP、例えば計算された3D位置および向き情報VP1~VP7を含む各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vを再決定することができる。
【0087】
[0098]その後、ステップC10、C70、およびC75の繰り返しに基づいて補正前および補正後に決定された脊椎曲率データSCDを使用して、例えばグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を使用して、表示ステップD80で異なるパラメータおよびデータを表示して、ロッドの取り付け前後の補正または変更を示すことが可能である。ステップD80は、例えば比較表現として、例えば異なるSCDまたはPARの術前および術後の2つのテーブルの行または列を用いて、術前、術後、またはその両方の異なる脊椎パラメータPARまたは脊椎曲率データSCDを表示することができる。これにより、オペレータOは、GUIまたは画面上の他の表現上のデータを視覚的に比較することができる。補正が不十分であるかまたは好ましい範囲外である場合、スクリューヘッドSHに接続されているロッドRを取り外しまたはロック解除することができ、そして、異なる曲率または形状を有するロッドRをスクリューヘッドSHに配置することができる。ロッドRの曲率または形状は、セットスクリューまたはスクリューエクステンダSEに配置された器具によって変更することができ、その後、セットスクリューによってロッドRをスクリューヘッドSHに再び締め付ける。異なる脊椎特徴付けパラメータPARをグラフィカルユーザインターフェースGUIを用いて表示および視覚化して、例えば、ロッド配置の前後のデータ、例えば、これに限定されないが、Cobb角、矢状面の角度、前湾傾斜角を含む最も適切な脊椎特徴付けパラメータPARを比較することが可能である。
【0088】
[0099]ステップU30、C10における検出および追跡のためにスクリューエクステンダSEが使用されるだけでなく、図3Bに示すように、スクリューエクステンダSE SCに動作可能に取り付けられたツールSDが使用されることも可能である。例えば、ツールSDは、ロッド縮小のためのセットスクリュードライバもしくはロッド縮小ツール、または椎弓根スクリューPSの骨アンカーを椎骨と螺合するためのスクリュードライバとすることができる。これにより、ツールSDは、スクリューエクステンダSEと椎弓根スクリューPSの骨アンカーBAとの間の軸線を固定して、定義された向き関係を有することができる。この目的のために、ツールSDの形状を追跡および検出することができ、またはツールSDに光学マーカOMを装備することもでき、図3Bに示す変形例では、2つの光学マーカOMがツールSDのハンドルの上部および下部に配置されている。
【0089】
[0100]ロッド補正前、ロッド補正中、およびロッド補正後の脊椎または脊柱の変化を視覚化することにより、オペレータまたは外科医Oは、上述の測定および表示を通じて脊椎の補正にどの程度の影響を与えるかを直接確認する。適切であると決定されたロッドテンプレートRTは、その後に生体Lの内部に配置される実際の物理的な実施形態として作成することができる。ロッドテンプレートRTのデータ、脊椎姿勢情報、および取付点APの位置に基づいて、補正が行われる前、すなわち、ロッドが椎弓根スクリューPSに取り付けられる前に、選択されたロッドテンプレートRTから得られる可能性が最も高い脊椎姿勢を計算することが可能である。
【0090】
[0101]また、手術を記録している異なる装置100からアクセスすることができるデータベースを用いて、例えば畳み込みニューラルネットワークを訓練するための、異なる種類の人工知能(AI)による将来の手術および深層学習のための訓練データを作成することができる。例えば、各手術について、スクリューエクステンダの姿勢情報、取付点AP、ロッドテンプレート、椎骨位置を含むビデオデータならびに計算および検出されたメタデータをデータベースに記憶し、インデックス付けし、データベースの訓練データおよびアーカイブとして使用することができる。
【0091】
[0102]特定の状況下では、骨アンカーBAと椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHとの間の角度向きは固定されず、例えば±27°などの特定の角度向き範囲、または他の角度範囲を有する複数軸または多軸椎弓根スクリューPSの使用によって、特定の角度範囲に制限される。そのような場合、スクリューエクステンダSEは椎弓根スクリューPSのスクリューヘッドSHに取り付けられているため、骨アンカーBAに対するスクリューエクステンダSEの向きは知られていないかまたは見えない可能性がある。方法200は、スクリューエクステンダSEの位置および向きに依存して、スクリューヘッドSHの取付点APを計算し、その後、例えば、各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vを計算して、VP1~VP7を計算することができるので、スクリューエクステンダSEまたはスクリューヘッドSHと骨アンカーBAとの間の向きが知られておらず、外科的切開部SIの外側から見ることができない場合、脊椎の姿勢データ情報PDI_Vの計算は、この不確実性のために、比較的高い誤差マージンを有することができる。そのような状況下では、オペレータまたは外科医Oは、スクリューヘッドSHと骨アンカーBAとの間に形成された関節接合部が最大角度点にあるように、角度範囲の端部に移動するようにすべてのスクリューエクステンダSEを移動させるように指示することができ、それによって、スクリューエクステンダSEとスクリューヘッドSHおよび骨アンカーBAとの間の向き関係が一定程度固定され、知られることになる。
【0092】
[0103]例えば、図3Cに示すように、3つすべての例示的な視覚化されたスクリューエクステンダSEは、同じ方向に移動され、多軸または複数軸椎弓根スクリューPSの最大向き角27°だけ傾斜され、変形例では、脊椎または脊柱の延伸方向に沿って示されている。このステップは、方法200のステップD25において、グラフィカルユーザインターフェースまたは他の種類の命令によって、例えば音声命令、アニメーションなどによって、オペレータまたは外科医Oが外科的切開部SIおよびスクリューエクステンダSEを走査するステップU30に関与する前に、オペレータまたは外科医Oに命令することができる。命令は、スクリューエクステンダSEをスクリューヘッドSHに対して外側角度位置に配置するための移動方向を示すために、ライブビデオストリーム上に示される矢印またはポインタの表示を含むことができる。一変形例では、骨アンカーBAと係合し、スクリューエクステンダSEに挿入されるツールを使用して、スクリューエクステンダSEと骨アンカーBAとの間の固定された角度関係を提供し、ステップC10、C20、C70による測定および計算のために椎弓根スクリューPSの一時的な単軸性を提供することが可能である。このツールは、図3Bに例示的に示すように、スクリューエクステンダSEを介して骨アンカーBAの一部に係合することができるスクリュードライバSD自体であり得、例えば、骨アンカーBAのトルク駆動機構または骨アンカーBAの他の要素と係合し、それにより、スクリューヘッドSHを骨アンカーBAの同じ延長軸線に再向きさせ、それにより、単軸スクリュー構成の向きになる。このようなツールは、スクリューエクステンダSEを使用せずに、またはスクリューエクステンダSEが取り外されたときに、スクリューヘッドSHの向き目的のために骨アンカーBAに取り付けられることも可能である。また、このようなツールは、図3Bに示すように、検出効率のための光学マーカOMを装備することが可能である。
【0093】
[0104]方法200は、携帯型データ処理装置100を用いた実施に限定されず、非携帯型システム、例えば、固定設置カメラを有するマルチカメラシステム、データ処理装置またはサーバ、および対話型画面を用いて実施することもできる。そのような変形例では、外科的切開部SIの異なる視野角を提供する複数のカメラを使用することが可能であり、それによって三次元決定のための画像データを提供し、ライブビデオフィードおよびGUIが外科手術室に配置された表示画面に表示される。カメラビューが遮られているかどうかに応じて、カメラビューを切り替えることができるアルゴリズムをデータ処理装置上で動作させることができる。また、タッチスクリーンの代わりに、別の種類の入力装置、例えばマウス、対応する画面を有するレーザポインタ、またはオペレータもしくは外科医Oの手の動きもしくは指示を読み取ることができる他の入力装置を使用することができる。
【0094】
[0105]別の実施形態として、データ処理装置100は、装着型拡張現実(AR)眼鏡、透明もしくは半透明の表示画面を有するヘッドマウントディスプレイ、またはヘッドアップディスプレイ(HUD)を含むことも可能であり、眼鏡またはディスプレイは、スクリューエクステンダの追跡および検出のために画像シーケンスを撮像するためのカメラも含む。例えば、米国特許第10,854,098号明細書に記載されているようなシステムを使用することができ、この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これにより、シースルー型の拡張現実システムを提供することが可能になり、ライブビデオフィードは透明な表示画面を介して直接見られるため、ステップD10のライブビデオフィードを表示する必要はない場合がある。グラフィック要素、例えば、スクリューエクステンダSE用のグラフィック基本要素GP、セレクタ要素SF、テキストボックス、ロッドテンプレートRT、およびグラフィカルユーザインターフェースの他の要素は、依然として透明な表示画面に表示することができる。
【0095】
[0106]別の態様によれば、異なる放射線不透過性マーカROM、またはX線もしくはCT走査によって検出することができるか、もしくは他の種類の医療画像化によって検出することができる他の種類のマーカが、手術中の生体Lの皮膚上に配置されることが可能である。例えば、ROMマーカは、QRコードまたは他の種類の光学コードを表すことができる。これにより、例えばCアームを用いたX線、またはOアームもしくは3DのCアームを介したCT走査によって、術中患者画像間の接続を行うための位置にあるマーカROMを用いて術中画像化を行い、骨アンカーBAおよびスクリューヘッドSHの位置および向きを決定し、その後、これらの位置を、画像センサからの画像データとの3D形状マッチングまたはQRコードマッチングのいずれかによって、スクリューエクステンダSEの姿勢情報と一致させることができる。
【0096】
[0107]本明細書に提示される方法の別の態様として、ロッド挿入を容易にするためのスクリューエクステンダSEの位置決めのための案内をオペレータまたは外科医Oに提供することが可能である。椎弓根スクリューPSがすべて整列されていない可能性があるため、比較的多数のスクリューエクステンダSEおよび椎弓根スクリューPSを有する長い構造物にロッドを経皮的に挿入することが困難な場合がある。例えば、一方はより横方向に配置される場合があり、他方はより内側に配置場合がある。しかしながら、各椎弓根スクリューPSの既知の空間位置に基づいて、例えば取付中心点APによって、外科医またはオペレータOは、異なるスクリューエクステンダSEを、スクリューが他方に対して誤って配置されるかまたは位置ずれしているのと反対側に傾けることができる。横方向に配置された椎弓根スクリューPSの場合、外科医またはオペレータOは、スクリューエクステンダSEを内側に傾斜させ、内側に配置された椎弓根スクリューPSのためにスクリューエクステンダSEを横方向に傾斜させることができる。スクリューエクステンダSEのこの再位置決め、および結果としてのスクリューヘッドSHの再向きにより、スクリューエクステンダSEのすべてのスロットまたは開口部のより良好な位置合わせを提供することができ、それによってロッドRの挿入を容易にする。
【0097】
[0108]本発明の別の態様は、取付点APに取り付けるために曲げられた脊椎ロッドRを走査、表示、および検証するための方法500を含む。図4に例示的に示す方法500の例示的なフローチャートでは、例えば、脊柱SCに取り付けられた椎弓根スクリューPSによって定義された異なる取付点APに関連して、脊柱ロッドRをテンプレートRTとして、拡張現実を使用するライブビデオフィードを用いて外科的切開部のライブビデオを使用することによって、実際の脊椎ロッドRを走査および視覚化することができる。
【0098】
[0109]方法500では、外科医、オペレータ、またはユーザOによって曲げられた脊髄ロッドRを、例えば走査ステップU100を用いて、データ処理装置100または320による計算ステップの対象となる走査、撮影、または画像取得することができる。実際のロッドRが、例えば選択されたロッドテンプレートRTに基づいて、上記で説明したようにステップF10によって製造されていることも可能である。例えば、このステップは、飛行時間型センサ、例えばLidarセンサからの三次元データまたは深度データによって支援または補完することもできる。次に、ステップC110を実施することができ、撮像された画像データ、例えば、ロッドRの異なる角度からのビューを有するビデオシーケンスもしくは画像シーケンス、または三次元もしくは深さデータに基づいて、ロッドRを表す幾何学的データをロッドデータセットRDとして計算することができる。次に、ステップD40で、図2H図2I図2J図2K、および図2Nに示すように、ロッドテンプレートとしての実際のロッドRの投影またはレンダリングを行うことができ、読み出されたロッドテンプレートRRTを表示し、例えば、取付点APの1つに取り付けるように選択することができる。上記で説明したステップU55では、ゼロオフセット点としての基準取付点APを変更することができ、その結果、実際のロッドテンプレートRRTの異なる配置をオペレータOによって視覚的に検証することができる。次に、ステップC120を実施することができ、実際のロッドテンプレートRRT、および最初に提案または選択された基準取付点APに基づいて、残りの取付点APは、実際のロッドテンプレートRRTと一致するように移動または補正される。
【0099】
[0110]ステップC120では、ステップC10およびC75に由来する補正前状態の脊椎曲線SCDの元のデータに基づいて、ステップC110からの走査および計算された実際のロッドテンプレートRRTの提案されたロッドRおよびロッドデータセットRDに基づいて、およびステップC120から補正された脊椎曲線SCの近似を計算することができ、ここで、補正された取付点APの位置は、実際のロッドテンプレートRRTの最初に提案されたまたは選択された基準位置、例えば、補正された取付点APのうちの選択された1つと一致するRRTの配置に基づいて計算することができる。これにより、ステップC120で、実際の脊椎ロッドRが椎弓根スクリューPSに取り付けられる場合に取付点APに対して逸脱するように、仮想的に移動された取付点APの新しいデータセットが計算される。次に、方法500はまた、上記で説明したステップC70を用いて、新たに計算された仮想取付点に基づいて、関与するすべての椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vを計算するステップと、仮想的に補正された脊柱SCを視覚化するために、椎骨Vのグラフィック基本要素を表示するステップ、または上記で説明したステップD70を用いて脊柱SCをレンダリングするステップとを含むことができる。
【0100】
[0111]ステップD70による表示は、曲げられたロッドRに基づく仮想または拡張現実グラフィック基本要素として脊柱SCを示し、その結果、外科医、オペレータ、またはユーザOは、曲げられたロッドRが脊柱SCに及ぼす効果を仮想的に検証することができる。これにより、ロッドRを椎弓根スクリューPSの取付点APに取り付ける必要が生じる前に、曲げられたロッドRが所望の効果を有するかどうかを検証することができる。また、ステップC75およびD80を実施することができ、ここで、脊柱曲線データSCDおよび脊椎パラメータが計算され、その後ステップD80で表示される。ステップD80はまた、取付点APの補正前の位置について以前に実施されたステップC75およびD80に基づいて、補正ごとの脊柱曲線データSCDおよび脊椎パラメータの表示を含むことができる。実際の脊椎曲率データSCDの事前補正および仮想脊椎曲率データSCDの表示は、オペレータOが、曲げられたロッドRが脊柱SCに対する所望の補正効果を有するか、または少なくとも近似するかどうかを検証することを可能にする。
【0101】
[0112]本発明の別の態様によれば、図5のフローチャートで例示的かつ概略的に示すように、各椎骨への椎弓根スクリューPSの配置および固定が行われる前に、脊柱SCを特徴付ける異なる種類の情報を決定するための方法600が提供される。したがって、方法600は、例えば脊椎パラメータPARまたは脊椎曲率データSCDを決定することによって、椎弓根スクリューPSに取り付けられた固定ロッドRによって任意の脊椎補正を実施する前に異なる脊椎データおよびパラメータを計算することを可能にし、そして、ガイドワイヤまたは別の同等の装置を介して、異なる椎骨Vに挿入または他の方法で取り付けることができる異なる椎弓根マーカPMを最初に検出することによって、異なる椎骨の姿勢データ情報PDI_Vを計算することを可能にする。これにより、椎弓根スクリューPSが固定ロッドRの取付点APを定義する椎骨Vに取り付けられる前であっても、脊椎補正手術用の固定ロッドRを定義または示唆するステップを実施することが可能になる。
【0102】
[0113]例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2021/0169506号明細書に記載されているように、外科的切開部SIを介して初期ドリル孔DHまたはボアに挿入されて配置されるガイドワイヤGW、例えば、これらに限定されないが、Kirschner線、K線、ガイドピン、Schanzピン、Denhamピン、Steinmannピン、ガイドロッド、およびガイドシャフトに取り付けることができる椎弓根マーカPMが記載されており、ドリル孔は脊柱SCの異なる椎骨Vに穿孔されており、椎弓マーカをガイドワイヤに取り付けることができる。椎弓根スクリューPSを椎弓根または椎骨Vに挿入するためにドリル孔またはボアに案内するために、ガイドワイヤGWを各ドリル孔DHに配置することができる。椎弓根スクリューPSの骨アンカーBAは、典型的には、ガイドワイヤが通される貫通ボアを含み、椎弓根スクリューPSを椎弓根に形成されたドリル孔またはボアに案内することを可能にする。椎弓根マーカPMは、ガイドワイヤまたはそれらの同等物、例えば、これに限定されないが、米国特許出願公開第2021/0169506号明細書に記載されているものに取り付けるために使用することができ、ガイドワイヤへの椎弓根スクリューPSの挿入および配置を容易にすることを可能にし、また、ガイドワイヤGWの配置およびドリル孔からのガイドワイヤの取り外しを助けることによって、外科医またはオペレータOの手術を容易にするためにも使用することができる。
【0103】
[0114]図6は椎骨Vの例示的かつ簡略化された断面図を示し、2つのドリル孔DH1、DH2が椎骨Vに穿孔または他の方法で作製され、2つのガイドワイヤGW1、GW2がそれぞれドリル孔DH1、DH2に配置され、2つの椎弓根マーカPM1、PM2がそれぞれガイドワイヤGW1、GW2に取り付けられており、光学マーカOMには光学マーカ部品50が取り外し可能にまたは固定して取り付けて設けられ、光学マーカOMは追跡アルゴリズムを用いたコンピュータ画像データ処理を使用して、椎弓根マーカPM1、PM2、ガイドワイヤGW1、GW2、またはその両方のロバストな検出に使用可能である。図示の変形例では、光学マーカ部品50は、例示的には、図1Eに示す装置50と同様に、それぞれが冗長性のために光学マーカOMを配置するための2つの平坦面を有する取り外し可能なキャップ、クリップ、チューブ、クランプ、フラグ、タブ、または他の装置として作製されるが、光学マーカOMが、例えば、エッチングされたパターン、印刷されたパターン、打ち抜きもしくはエンボス加工されたパターン、機械加工された三次元表面もしくは構造、または椎弓根マーカPMに対する他のマーキングとして、椎弓根マーカPM上に直接配列されることも可能である。また、光学マーカOMは、例えば、これらに限定されないが、タブ、フラグ、ガイドワイヤGWを形成するシャフトに沿った長手方向コード、コードを直接表す三次元構造など、椎弓根マーカPM上の光学マーカOMの有無にかかわらず、ガイドワイヤGWに直接配置することもできる。
【0104】
[0115]方法600は、上述した方法200といくつかの同様の態様を有するが、ステップC10において光学マーカOMを使用してまたは使用せずにスクリューエクステンダSEを検出する代わりに、脊柱SCを特徴付ける情報を決定するために、椎弓根マーカPMを検出することができるステップが実施される。ステップU10、D10、U20、およびD20は、ディスプレイ120上にライブビデオフィードを提供し、ユーザ操作のためのGUIを提供し、較正情報を入力するための方法200と実質的に同じであり得る。ステップU230は、異なる椎弓根マーカPMの画像を撮像することを目的として、外科医またはオペレータOがデータ処理装置100の画像撮像装置110を用いて外科的切開部SIを走査する場合に実施することができる。次に、データ処理装置100は、ステップC210を実施して、例えば、光学マーカOMを備えた椎弓根マーカPMによって、または光学マーカを使用せずに画像形状もしくはパターン認識によって椎弓根マーカPMの形状を検出することによって、またはガイドワイヤGW自体に直接取り付けられた、もしくはガイドワイヤGWの一体部分である光学マーカOMを検出することによって、画像データ処理によって椎弓根マーカPMを検出する。また、本ステップにおいて、ガイドワイヤGW自体を検出するようにしてもよい。結果として得られるステップC210の情報は、椎弓根マーカPMの姿勢データ情報PDI_PMもしくはガイドワイヤGWの姿勢データ情報、またはそれぞれのガイドワイヤGWの位置および向きを特徴付けることができる他の種類の座標データとすることができる。2つのガイドワイヤGWまたは椎弓根マーカPMが1つの椎骨Vに取り付けられていると仮定すると、この情報は、脊柱SCの個々の椎骨Vの位置および向きを決定するために使用することができる。
【0105】
[0116]その後、ステップD25、D30、U40と同様に、選択を行うためのグラフィック要素を示すためのステップD230、および検出された異なる椎弓根マーカPMまたはガイドワイヤGWを実際に選択する外科医またはオペレータOからの入力データを受信するステップU240と共に、任意選択のステップD225を実施してライブビデオフィード上にグラフィック基本要素をオーバーレイし、椎弓根マーカPM、ガイドワイヤGW、またはその両方を強調表示し、外科医またはオペレータOがさらなる計算のために関心のある椎弓根マーカPMまたはガイドワイヤGWを選択または選択解除するのを支援することができる。次に、幾何学的形状を計算する任意選択のステップC220をデータ処理装置100によって実施することができ、ここで、仮想取付点AP_Vを計算することができ、仮想取付点AP_Vは、対応する椎弓根スクリューPSに対して固定ロッドRが位置する可能性が最も高い特定の幾何学的位置であり、椎弓根スクリューPSはまだ椎骨Vに取り付けられていないか、または固定されていない。ここで、取付点AP_Vは、そのような取付点APが現在存在していないため、仮想であると考えられる。これにより、ステップC220では、特定の固定ロッドRがこれらの仮想取付点AP_Vに配置されて取り付けられ、それにより、実際の取付点APに関する直接的な情報をまだ有していない場合に、現在操作されている脊柱SCの異なる曲率または脊椎パラメータ化、および脊柱SCに対して逸脱する曲率または脊椎パラメータ化を推定するために使用することができる仮想取付点AP_Vとして、取付点APの幾何学的位置の推定値を提供することができる。この計算は、画像データからの所与のドリル孔およびドリル孔に配置された所与のガイドワイヤGWの取付点APの位置に関する履歴データを使用して、過去の医療画像化データ、例えば、これに限定されないが、X線画像に基づいて、または取付点APの位置を定義する、ガイドワイヤGWの位置および向き、椎弓根マーカPMの位置および向き、ならびに椎骨Vに取り付けられた椎弓根スクリューPSの位置および向きの間の幾何学的関係の統計データに関するテーブルまたは他の予め記憶された情報を使用して、訓練されたネットワークを用いて人工知能を使用することによって行うことができる。
【0106】
[0117]次に、方法200のステップC70と同様のステップC270を実施することができ、このステップは、ガイドワイヤGW、またはガイドワイヤGWおよび椎弓根マーカPMに関連する各椎骨Vの姿勢データ情報PDI_Vを計算するように構成され、そして、方法200の同じステップと同様の任意選択の表示ステップD70を実施して、ライブビデオフィードまたは各椎骨Vの表示画像上にグラフィック基本要素を表示し、拡張現実でライブビデオフィードバックを提供して、ライブビデオフィードに投影された脊柱SCの実際の椎骨Vの推定または計算された位置決めを示すことができる。ステップC270は、2つ以上の椎骨Vについて、椎弓根マーカPMの姿勢データ情報PDI_PMもしくはガイドワイヤGWの姿勢データ情報を使用することができ、またはステップC220からの2つ以上の椎骨V、もしくはデータセットAP_VおよびPDI_PMの両方についての一対の仮想取付点AP_Vのデータを使用することもできる。
【0107】
[0118]また、方法20と同様に、別の任意選択のステップC75を実施することができ、ここで、脊柱SCの脊椎曲率データSCDまたは他の脊椎特徴付けパラメータまたはパラメータ化PAR、例えば、現在の脊椎曲線の近似を幾何学的に特徴付ける曲率データSCD、例えば、脊柱SCのCobb角、矢状面の角度、軸角、隣接する椎骨間の距離、および他のパラメータなどの脊椎パラメータ化データを計算することができ、それにより、例えばX線画像化などの侵襲的な医療画像化を必要とせず、椎弓根スクリューPSが配置または固定される前であっても、手術中の生体Lの脊椎曲率の推定値を計算することができる。このデータSCDおよびPARは、その後、外科医またはオペレータOにフィードバックを提供するために、データ処理装置100のディスプレイ120に表示することができる。
【0108】
[0119]上記のように、方法600では、椎弓根スクリューPSを取り付ける前に、推定によって脊柱SCに対して逸脱する補正を検証することができる。例えば、方法600を一度実施した後、外科医またはオペレータOは、ステップD80で表示することができるSCDおよびPARに関するデータを有する脊柱SCに関する何らかの第1の推定情報を有し、ステップD270で脊柱の曲率および位置の視覚フィードバックを有することさえでき、ライブビデオフィードに投影されたオーバーレイされた基本要素を表示する。それにより、外科医またはオペレータOは、脊柱SCの2つの例示的な隣接する椎骨V1、V2の間に脊椎ケージ、固定装置、または他の種類の椎間インプラントを選択して配置することができ、それにより、例えばその厚さを選択することによって、または脊椎固定術のために特定の角度、例えば矢状面の角度を選択して調整することによって、椎間インプラントの種類および構成を選択することもできる。椎間インプラントの配置は、2つの隣接する椎骨V1、V2の位置および向きの間の特定の再向きおよび変位を逸脱することができ、それにより、オペレータまたは外科医Oは、方法600を再び実施して、椎間インプラントの配置に基づくものの、椎弓根スクリュー対PS1、PS2の配置なしに、かつ固定ロッドRの取り付けなしに、部分的に補正された脊柱SCのSCDおよびPARの新しい値を決定することができる。
【0109】
[0120]新たに表示されたパラメータPARおよびSCDの値、またはその両方に基づいて、方法600のステップD80は、椎間インプラントの挿入前および挿入後のPARおよびSCDのテーブル、曲線、または他の種類の視覚化を提供して、任意のロッドRが配置される前の脊柱に対する第1の補正の比較データを提供することができる。これにより、例えば異なる厚さまたは角度で、方法600によって計算された、第1の椎間インプラントが逸脱している新しいPARおよび/またはSCDにオペレータまたは外科医Oが満足しない場合、オペレータまたは外科医Oは、異なる構成を有する異なる椎間インプラントと椎間インプラントを交換することができる。また、一変形例では、オペレータまたは外科医Oは、椎間インプラントが構成可能な種類である場合、椎間インプラントのパラメータ化を変更して、上部骨係合面と下部骨係合面との間の厚さもしくは距離、または上部骨係合面と下部骨係合面との間の角度を変更することができる。その後、方法600は、椎間インプラントの寸法および特性の変化の結果を検証するステップを再び実施することができる。
【0110】
[0121]さらに、方法600は、ステップC220で、孔DH1、DH2を穿孔するために潜在的に配置された椎弓根スクリューPS1、PS2の対の仮想取付点AP_Vを任意選択的に計算することができるので、例えば方法200のステップC30、D40、D50、U50、U55、D55、C60で、オペレータまたは外科医Oに提案することができる1つ以上のロッドテンプレートRTを計算することによって潜在的なロッドRの決定を行うことが可能であり、それによって、ステップD50での1つ以上のロッドテンプレートRT、およびステップD55、C60での製造データまたは情報の作成を用いて、脊椎補正のための異なる提案されたロッドテンプレートRTを提案し、仮想的に試験する。
【0111】
[0122]また、方法600および方法200の態様は、方法500のステップと組み合わせることもでき、物理的固定ロッドRが実際に任意の椎弓根スクリューPSに取り付けられる前に、脊柱SCに対するロッドテンプレートRTまたはロッドデータRDの影響を計算によって仮想的に試験することができる。例えば、例えばステップU50で、または方法200によってロッドテンプレートRTが計算され提案されるステップC30でロッドテンプレートRTを選択するステップを実施した後、このデータは、方法600のステップC220から生じた仮想取付点AP_Vに基づいて新しい取付点APが計算されるステップC120によって処理することができ、それによって、提案された仮想ロッドテンプレートRTまたはロッドデータRDに基づいて、仮想的に補正された脊柱SCの椎骨の位置および向きに関する情報PDI_Vを計算する。この態様は、椎弓根スクリューPSがまだ配置されていないので、取付点APに関するデータは単に仮想的であり、本明細書ではAP_Vと呼ばれるため、方法500とは異なる。ステップC70、D70、C75、およびD80も実施して、脊椎曲率SCDおよび脊椎パラメータPARに関するデータを計算し(ステップC75)、脊椎曲率SCDおよび脊椎パラメータPARに関する異なるデータ、例えば補正後および補正前データを表示し(ステップD80)、そして、ステップD70で、椎骨Vをそれらの新しい仮想位置および向きに基本要素として、例えばライブビデオフィードへの拡張現実投影で表示することができる。
【0112】
[0123]ロッドテンプレートRTの仮想決定に満足すると、例えばステップD55、C60の助けを借りて、または方法500の助けを借りて、物理的固定ロッドRを製造することができ、外科医またはオペレータOは、椎弓根スクリューPSを椎骨Vのドリル孔DHに取り付けることができ、その後、外科医またはオペレータOはまた、固定ロッドRを椎弓根スクリューPSに取り付けることができる。方法200の助けを借りて、脊椎補正は、椎弓根スクリューPSおよび固定ロッドRの配置後に検証することができる。代替的に、第1の外科医またはオペレータOは、実際にロッドRを製造する前に椎弓根スクリューPSを椎骨Vのドリル孔DHに取り付けることができ、次いで、方法200を実施して、椎弓根スクリューPSの取り付けによって正確に定義される取付点APを検証し、物理的固定ロッドRの別のまたは補正されたロッドテンプレートRTまたはロッドデータRDを決定することができる。この段階で、方法200を実施して、手術中に物理的固定ロッドRによって付与される脊椎補正を検証することができる。
【0113】
[0124]上述したように、本明細書に記載の方法200、500、および600、ならびにこれらの方法のステップおよびその一部の組み合わせは、異なる種類のデータ処理装置100に実装することができるが、非一時的コンピュータ可読媒体、例えば任意の種類のデータメモリ装置またはデータ記憶装置に記憶することができるコンピュータ可読コードとしてプログラムすることもでき、コンピュータ可読コードは、データ処理装置100上で実行されるか、または他の種類のコンピュータシステム、例えばネットワークおよび/またはクラウドアクセスを有する分散コンピュータシステムのデータプロセッサ上で実行されると、方法200、500、600またはそのステップを実施するように構成される。例えば、画像の視覚化および画像撮像にタブレット型装置を使用することが可能であるが、実際の計算ステップは、分散コンピューティングの変形例として、ネットワークを介してタブレットと動作可能に接続されているサーバまたはパーソナルコンピュータでリモートで実施される。
【0114】
[0125]本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して開示されているが、添付の特許請求の範囲およびその均等物に定義される本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多くの修正、代替例、および変更が可能である。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲の文言によって定義される全範囲を有することが意図される。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図2N
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
【国際調査報告】