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特表2024-508145抽出されたタバコ材料を含有する高強度包装材料
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  • 特表-抽出されたタバコ材料を含有する高強度包装材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】抽出されたタバコ材料を含有する高強度包装材料
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20240215BHJP
   A24B 3/14 20060101ALI20240215BHJP
   A24B 15/12 20060101ALI20240215BHJP
   A24B 15/14 20060101ALI20240215BHJP
   A24B 15/28 20060101ALI20240215BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20240215BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20240215BHJP
【FI】
A24D1/02
A24B3/14
A24B15/12
A24B15/14
A24B15/28
A24B15/30
A24B15/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553064
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 IB2022051812
(87)【国際公開番号】W WO2022185217
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,518
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190440
【氏名又は名称】エスダブリュエム ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァレス、ユーグ
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
【Fターム(参考)】
4B043BB02
4B043BB22
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC07
4B043BC11
4B043BC20
4B043BC22
4B043BC24
4B045AA21
4B045AA50
4B045AB11
(57)【要約】
本開示によれば、抽出されたタバコ材料と補強繊維とを組み合わせた、エアロゾル生成製品用の包装材料が提供される。補強繊維は、叩解され、任意選択で漂白された靭皮繊維である。一態様では、靭皮繊維は、麻繊維であり得る。本開示の包装材料は、抽出されたタバコ材料を、40重量%超の量で含有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成充填材料用の包装材料であって、
抽出されたタバコ材料を少なくとも約40重量%の量で含有するウェブを含み、
前記抽出されたタバコ材料は、補強繊維と混合され、
前記補強繊維は、約4mm未満の平均繊維長を有する叩解された靭皮繊維を含み、かつ、
当該包装材料は、約15~45gsmの坪量を有する、包装材料。
【請求項2】
請求項1に記載の包装材料であって、
前記ウェブは、前記抽出されたタバコ材料を、約50重量%超、約60重量%超量、約70重量%超、または約80重量%超の量で含有する、包装材料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装材料であって、
前記ウェブは、ASTM規格D828-97試験法に従って試験して、約2,100cN/30mm超、約2,200cN/30mm超、約2,300cN/30mm超、または約2,400cN/30mm超の引張強さを有する、包装材料。
【請求項4】
請求項1に記載の包装材料であって、
前記叩解された靭皮繊維は、前記ウェブ中に、約10重量%超、約12重量%超、約14重量%超、または約16重量%超の量で含有される、包装材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の包装材料であって、
前記叩解された靭皮繊維は、叩解された麻繊維を含む、包装材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の包装材料であって、
約10重量%以下の量の木材パルプ繊維をさらに含む、包装材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の包装材料であって、
前記叩解された靭皮繊維は、漂白されている、包装材料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の包装材料であって、
前記抽出されたタバコ材料は、叩解されているがパルプ化されていない、包装材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の包装材料であって、
前記抽出されたタバコ材料は、水溶性成分を、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、または約8重量%未満の量で含有している、包装材料。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の包装材料であって、
約25~38gsmの坪量を有する、包装材料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の包装材料であって、
約1%超の伸張率を有する、包装材料。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の包装材料であって、
約5~80コレスタ、または約8~38コレスタの通気度を有する、包装材料。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、充填材料粒子を、約0.5~30重量%、または約1~12重量%の量でさらに含有する、包装材料。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載の包装材料であって、
前記ウェブは、充填材料粒子を含有しない、包装材料。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の包装材料であって、
燃焼制御剤で処理されている、包装材料。
【請求項16】
請求項15に記載の包装材料であって、
前記燃焼制御剤は、カルボン酸塩、クエン酸塩、またはコハク酸塩を含み、
前記燃焼制御剤は、前記ウェブ中に、約0.3~3重量%、または約1~2重量%の量で含有される、包装材料。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の包装材料であって、
ガムで処理されている、包装材料。
【請求項18】
請求項17に記載の包装材料であって、
前記ガムは、グアーガム、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの任意の組み合わせを含む、包装材料。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載の包装材料であって、
23°Cで約0.5cm/s未満の拡散率を有する、包装材料。
【請求項20】
請求項19に記載の包装材料であって、
前記ウェブに低延焼性組成物を適用することによって形成した複数の低延焼性領域を有する、包装材料。
【請求項21】
エアロゾル生成製品であって、
請求項1~20のいずれかの記載の包装材料で包まれた、円筒ロッド状のエアロゾル生成充填材料を含む、エアロゾル生成製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年3月2日出願の米国特許仮出願第63/155,518号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
使用者が楽しむためのエアロゾルを生成する様々なエアロゾル生成製品が存在する。そのような製品としては、例えば、喫煙物品や非燃焼加熱式スティックなどが挙げられる。エアロゾル生成製品は、一般に、包装材料で包まれたロッド状のエアロゾル生成充填材料を含む。
【0003】
従来、エアロゾル生成製品の包装材料は、パルプ繊維などの製紙用繊維から作られていた。製紙用繊維を使用することにより、エアロゾル生成製品の製造に使用される高速機械に供給するのに十分な強度を有する包装材料を提供することができる。
【0004】
製紙用繊維は、喫煙物品などのエアロゾル生成製品の包装材料を製造する際に様々な利点を提供するが、エアロゾル生成製品全体の味に悪影響を与える。したがって、従来、当業者は、包装材料にタバコ材料を組み込むことを試みてきた。しかしながら、多量のタバコ材料を包装材料に組み込むと、エアロゾル生成製品の強度に悪影響を与える。特に、多量のタバコ材料を組み込んで製造した従来の包装材料は、シガレット製造機などの高速機械で使用するのに十分な強度を有さなかった。
【0005】
上記の観点から、多量のタバコ材料を組み込んだ包装材料であって、エアロゾル生成製品の製造に使用するのに十分な強度を有する包装材料が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、本開示は、タバコ材料から作られるエアロゾル生成製品の包装材料に関する。より具体的には、本開示は、多量のタバコ材料を含有する高強度包装材料に関する。本開示の包装材料は、紙巻きたばこなどの喫煙物品や非燃焼加熱式スティックなどを含むあらゆる種類の製品を製造するために使用することができる。
【0007】
一実施形態では、例えば、本開示は、エアロゾル生成充填材料を包むための包装材料に関する。本開示の包装材料は、抽出されたタバコ材料を少なくとも約40重量%の量で含有するウェブを含む。抽出されたタバコ材料は、補強繊維と混合される。補強繊維は、叩解された靭皮繊維を含む。叩解された靭皮繊維は、約4mm未満の平均繊維長を有する。本開示の包装材料は、約15~45gsmの坪量を有する。
【0008】
特定の態様では、ウェブは、抽出されたタバコ材料を、約50重量%超、例えば約60重量%超量、例えば約70重量%超、または例えば約80重量%超の量で含有する。タバコ材料は、タバコ材料及び/またはウェブが、水溶性成分を、約20重量%未満、例えば約17重量%未満、例えば約15重量%未満、例えば約12重量%未満、例えば約10重量%未満、または例えば約8重量%未満の量で含有するように抽出される。叩解された靭皮繊維は、麻繊維を含み得る。叩解された靭皮繊維は、ウェブ中に、約10重量%超、例えば約12重量%超、例えば約14重量%超、または例えば約16重量%超の量で含有される。一態様では、叩解された靭皮繊維は、漂白されている。
【0009】
本開示の包装材料は、ASTM規格D828-97試験法に従って測定して、約2,100cN/30mm超、例えば約2,200cN/30mm超、例えば約2,300cN/30mm超、または例えば約2,400cN/30mm超、かつ、一般に、約3,400cN/30mm未満の引張強さを有する。また、本開示の包装材料は、ISO規格1924試験法(2008)に従って測定して、約1%超、例えば約1.2%超、または例えば約1.5%超の伸張率を有する。
【0010】
任意選択で、本開示の包装材料は、木材パルプ繊維をさらに含む。木材パルプ繊維は、例えば、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせであり得る。木材パルプ繊維は、ウェブ中に、約10重量%以下、一般に、約8重量%未満、例えば約6重量%未満の量で含有される。
【0011】
一態様では、本開示の包装材料に含有されるタバコ材料は、水溶性成分を除去するための抽出プロセスを経て供給され、かつ、叩解されている。しかしながら、一実施形態では、タバコ材料は、タバコ材料を水酸化ナトリウムなどの塩基と結合させ蒸解釜で蒸解することを指すパルプ化プロセスを経て供給されない。特に有利な点として、叩解された靭皮繊維を使用することにより、十分な強度及び形成特性を提供しながら、抽出されたがパルプ化されていないタバコ繊維の使用を可能にする。
【0012】
一態様では、本開示の包装材料は、約25~38gsmの坪量を有する。また、本開示の包装材料は、約5~80コレスタ、または約8~38コレスタの通気度を有する。本開示の包装材料は、任意選択で、充填材料粒子を含有することができる。例えば、一実施形態では、本開示の包装材料は、充填剤粒子を含有しない。あるいは、本開示の包装材料は、充填材料粒子を、約0.5~30重量%、例えば約1~12重量%の量で含有することができる。
【0013】
一態様では、本開示の包装材料は、燃焼性をより良く制御するために燃焼制御剤で処理することができる。例えば、燃焼制御剤は、クエン酸塩やコハク酸塩などのカルボン酸塩を含み得る。燃焼制御剤は、約0.3~3重量%、例えば約1~2重量%の量で本開示の包装材料に含有される。
【0014】
また、本開示の包装材料は、保湿剤やガムで処理することができる。例えば、保湿剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含み得る。一方、ガムは、グアーガム、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの組み合わせを含み得る。ガムは、約0.1~2重量%の量で、本開示の包装材料に含有される。
【0015】
喫煙物品に使用される場合、本開示の包装材料は、任意選択で、該材料の第1の方向に沿って間隔を隔てて形成された複数の低延焼性領域を有することができる。低延焼性領域は、23°Cで約0.5cm/s未満の拡散率を有し得る。低延焼性領域は、ウェブに低延焼性組成物を適用することによって形成することができる。例えば、低延焼性組成物は、セルロース繊維、フィルム形成材料、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0016】
本開示の他の特徴及び態様は、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の完全かつ実現可能な開示が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0018】
図1】本開示の包装材料を組み込んだ喫煙物品の一実施形態の斜視図である。
図2図1に示した喫煙物品の分解図である。
【0019】
本明細書及び図面において繰り返し用いられる参照符号は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(定義)
【0021】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル生成材料」とは、喫煙物品内で燃焼される可燃性材料と、加熱されるが燃焼せずに吸入可能エアロゾルを生成するエアロゾル生成材料との両方を含むことを意味する。可燃性の喫煙物品としては、シガレット、シガリロ、シガー、プレロールコーンなどが挙げられる。シガレットでは、エアロゾル生成材料は、喫煙可能なロッドを形成するために包装材料によって包装される。エアロゾルを生成するためのエアロゾル生成装置としては、例えば、電気的加熱、または可燃性燃料要素もしくは熱源からの熱の伝達によってエアロゾル生成材料を燃焼させることなく加熱し、それにより、該材料から揮発性化合物を放出させることによってエアロゾルを生成する装置が挙げられる。エアロゾル生成材料から放出された揮発性化合物は、冷却されると凝縮してエアロゾルとなり、喫煙者に吸入される。
【0022】
本明細書で使用するとき、「抽出されたタバコ繊維」とは、タバコ繊維に含まれている水溶性成分の40重量%超、例えば50重量%超、例えば60重量%超、例えば70重量%超、または例えば75重量%超を除去するために、タバコ繊維を水溶液と接触させる抽出プロセスを経たタバコ繊維を指す。この抽出プロセスは、脱リグニンプロセスや漂白処理とは異なるプロセスである。
【0023】
本明細書で使用するとき、「脱リグニン化された」セルロース繊維とは、化学的手段、機械的手段、または化学的手段と機械的手段との組み合わせによってセルロース繊維を植物材料から分離するパルプ化や脱リグニンプロセスを経た繊維を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、「叩解(refine)」という用語は、植物材料が繊維状のシートまたは基材を形成するのに適した状態になるように、植物材料にその繊維を改質する機械的処理を施したことを意味するために使用される。叩解は、円錐リファイナ、ディスクリファイナ、またはバレービーターなどを使用して行うことができる。この機械的プロセスは、植物材料を研削または叩解することによって、植物材料を解繊する(defibrillated)。叩解は、脱リグニンプロセスやパルプ化とは異なるプロセスである。
【0025】
本明細書で使用するとき、基材もしくは再構成植物材料またはエアロゾル生成材料に含まれる「水溶性抽出物の量」は、5グラムのサンプルを沸騰蒸留水中に10分間入れ、水溶性成分を含む抽出物を得ることによって求められる。溶媒に溶解した抽出物の乾燥重量は、元のサンプルの乾燥重量と抽出後のサンプルの乾燥重量との差から算出される。乾燥重量の差は、サンプル中の水溶性抽出物の割合を求めるのに使用される。
【0026】
(詳細な説明)
【0027】
本開示は、例示的な実施形態の説明のみを目的としており、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことは、当業者には理解できるであろう。
【0028】
本開示は、一般に、補強繊維と組み合わせた抽出されたタバコ繊維を含有するウェブから形成されたエアロゾル生成製品のための包装材料に関する。補強繊維は、麻繊維などの叩解された靭皮繊維を含む。本開示の包装材料は、40重量%超の量のタバコ材料を含有することができ、かつ、喫煙用品や非燃焼加熱式スティックなどのエアロゾル生成製品を大量生産するために必要な十分な強度及び他の特性を依然として有することができる。
【0029】
本開示の包装材料に含まれる多量のタバコ繊維は、エアロゾル生成製品で消費されたときに、自然で心地よいタバコの味を作り出す。加えて、タバコ材料は、水溶性成分を除去して抽出される。水溶性成分を除去することにより、望ましくない成分を除去することができる。一態様では、任意選択で、水溶性成分を濃縮及び/または濾過して再適用することができる。別の態様では、香料を、本開示の包装材料に適用することができる。機械的性質に起因して、本開示の包装材料は、従来のタバコ製造機上で優れた走行性特性を有する。本開示の包装材料は、タバコやシガリロなどのあらゆる種類のエアロゾル生成製品を製造するために使用することができる。また、本開示の包装材料は、非燃焼加熱の用途に使用するために、相当量の保湿剤と組み合わせることもできる。
【0030】
上記の利点に加えて、本開示の包装材料は、優れた美的特性も有する。例えば、本開示の包装材料は、製品に含有される多量のタバコ材料により、タバコの同一性を視覚的に連想させることができる。加えて、本開示の包装材料は、染料などの着色剤で処理することにより、自然なタバコの外観をより高めることができる。
【0031】
上述したように、本開示の包装材料は、抽出されたタバコ材料と補強繊維との混合物を含有する。任意選択で、本開示の包装材料は、パルプ繊維及び/または充填剤粒子も含有し得る。
【0032】
本開示の包装材料の作製に使用することができるタバコ材料には、任意の適切な種類のタバコ材料が含まれる。例えば、タバコ材料には、タバコの茎(例えば、煙道乾燥した茎)、葉、微粉、及び/または他のタバコ副産物などが含まれる。本開示によれば、タバコ材料は、水溶性成分を除去するための抽出プロセスに供することができる。具体的には、水などの溶媒に溶解させたタバコ材料中に天然に存在する化合物は、本開示の包装材料の作製中または作製後や、エアロゾル生成製品の製造中に、問題を引き起こす可能性がある。したがって、本開示の包装材料に含有されるタバコ材料は、抽出プロセスに供することが望ましい。抽出プロセスは、タバコ材料を水に溶解させ、該材料の水溶性部分を水中に抽出することを含み得る。別の実施形態では、アルコール(例えば、エタノール)や適切な油または脂肪などの水混和性を有する様々な溶媒を水と組み合わせて水性溶媒を形成する。水性溶媒の含水率は、いくつかの例では、溶媒の約50重量%超、例えば約90重量%超であり得る。脱イオン水、蒸留水、または水道水を使用してもよい。タバコ材料の懸濁液中の溶媒の量は幅広い範囲をとることができるが、一般に、懸濁液の約50~99重量%、例えば約60~95重量%、一態様では約75~90重量%の量であり得る。一実施形態では、溶媒は、タバコ材料との接触前または接触中に加熱してもよい。例えば、一態様では、抽出溶液は、熱水溶液であってもよい。
【0033】
タバコ材料及び溶媒は、任意選択で、タバコ材料の溶解速度を高めるために、撹拌、振盪、または他の混合方法を用いてかき混ぜられる。一般に、このプロセスは、約10分~約6時間行われる。プロセス温度は、約10~100°C、例えば約23~80°Cの範囲であり得る。一態様では、懸濁液の温度は、約40~80°Cであり得る。
【0034】
タバコ材料を溶媒に浸漬させ、任意選択で攪拌した後、プレス機または遠心分離機を使用して、タバコ材料の不溶性画分からタバコ材料の可溶性画分を機械的に分離する。不溶性画分から可溶性画分を分離した後、可溶性画分は廃棄するか、または濃縮などの処理を施す。可溶性画分は、真空蒸発器などの任意の既知の種類の濃縮器を使用して濃縮することができる。いくつかの用途では、可溶性画分を破棄したり、他のプロセスで使用したりしてもよい。なお、所望であれば、可溶性画分の一部または全部を濃縮し、抽出されたタバコ材料から形成されたウェブに再適用してもよい。
【0035】
タバコ材料に対して行った抽出プロセスにより可溶性化合物は除去され、これにより、ウェブへのタバコ材料の組み込みが容易になる。また、抽出プロセスは、望ましくない化合物を除去するために使用することもできる。例えば、抽出プロセスを通じて、ニトロソアミンなどの様々な成分をタバコ材料から除去することができる。また、所望であれば、抽出プロセスによって、ニコチンを除去することもできる。
【0036】
得られた不溶性画分は、一般に、未叩解の状態にある。タバコ材料は、粒子及び繊維を含み得る。一実施形態では、不溶性の抽出されたタバコ材料は、任意選択で、叩解プロセスに供される。例えば、抽出されたタバコ材料は、円錐リファイナやディスクリファイナなどの任意の適切なリファイニングデバイスを使用して叩解される。使用することができる他の叩解装置としては、バレービーターなどのビーターが挙げられる。叩解は、タバコ材料を湿らせた状態で、または、タバコ材料を水と混合した後に行うことができる。例えば、一実施形態では、タバコ材料は、そのコンシステンシーが約10%未満、例えば約5%未満、または例えば約3%未満の状態で叩解される。
【0037】
叩解された抽出されたタバコ材料は、一態様では、比較的少量の水溶性成分を含有し得る。例えば、抽出されたタバコ材料は、水溶性成分を、約30重量%未満、例えば約20重量%未満、例えば約17重量%未満、例えば約15重量%未満、例えば約12重量%未満、例えば約10%未満、例えば約8%未満、例えば約6%未満、かつ、一般に、約2重量%超の量で含有し得る。上述したように、任意選択で、水溶性成分を濃縮するかまたは他の方法で処理し、タバコ材料から形成されたウェブに再適用してもよい。しかしながら、或る好ましい実施形態では、水溶性成分は抽出されたタバコ材料に再適用されない。
【0038】
本開示によれば、抽出されたタバコ材料またはタバコ繊維は、補強繊維、特に、叩解された靭皮繊維と組み合わされる。抽出されたタバコ繊維はパルプ化しなくてもよく、これは、抽出されたタバコ繊維をアルカリ性材料(クラフトプロセス)または酸性材料(亜硫酸プロセス)と組み合わせて蒸解釜で蒸解するパルプ化プロセスを経て供給されないことを意味する。一方、補強繊維は、パルプ化したり、脱リグニン化したりしてもよい。一態様では、抽出されたタバコ材料を水または水溶液と組み合わせてスラリーを形成してもよい。脱リグニン化したセルロース系靭皮繊維などの補強繊維は、スラリーの形成時に、タバコ材料と組み合わされる。そして、この繊維スラリーを使用して、紙の特性を有する連続ウェブを形成することができる。例えば、一実施形態では、繊維スラリーは、成形ワイヤ、重力ドレイン、吸引ドレイン、フェルトプレス、及び乾燥機(ヤンキー乾燥機やドラム乾燥機など)などを含む製紙プロセスに供される。一実施形態では、繊維スラリーは、フォードリニア・テーブル上で連続シートに形成される。
【0039】
例えば、抽出されたタバコ材料及び補強繊維を含む繊維スラリーを多孔質成形面上に堆積させてシートを形成することができる。余分な水は、重力ドレイン及び/または吸引ドレインによって除去される。加えて、水の除去を容易にするために、様々なプレスを用いることができる。形成されたシートを乾燥させた後、さらなる処理を施してもよい。
【0040】
上述したように、補強繊維は、叩解された靭皮繊維である。また、靭皮繊維は、パルプ化または脱リグニン化、及び/または漂白してもよい。本開示で使用できる靭皮繊維の例としては、麻繊維、亜麻繊維、アバカ繊維、ラミー繊維、綿繊維、竹繊維、エスパルト繊維、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。靭皮繊維は、例えばダッチバレービータを使用して、高度に叩解することができる。或る特定の実施形態では、靭皮繊維は、麻繊維単独であるか、または他の靭皮繊維との組み合わせである。
【0041】
上述したように、靭皮繊維は、高度に叩解することができる。靭皮繊維は、一般に、約0.5mm超、例えば約0.8mm超、例えば約1mm超、例えば約1.2mm超、または例えば約1.5mm超の平均繊維長を有し得る。叩解された靭皮繊維の平均繊維長は、一般に、約4mm未満、例えば約3.6mm未満、例えば約3.3mm未満、例えば約3mm未満、例えば約2.8mm未満、例えば約2.5mm未満、例えば約2.3mm未満、または例えば約2.1mm未満であり得る。或る特定の態様では、靭皮繊維は、約1.5~2mmの平均繊維長を有する脱リグニン化麻繊維であり得る。
【0042】
任意選択で、本開示に従って形成されるウェブは、木材パルプ繊維及び/または植物繊維をさらに含み得る。木材パルプ繊維は、例えば、針葉樹繊維、広葉樹繊維、またはそれらの組み合わせなどの脱リグニン化繊維を含み得る。
【0043】
抽出されたタバコ材料、補強繊維、及び任意選択で木材パルプ繊維を組み合わせて、ウェブを形成することができる。一態様では、繊維はすべて水性懸濁液中で混合され、ウェットレイド法を用いてウェブを形成するために使用される。このようにして、実質的に均質な繊維分布が達成される。形成されたウェブに含有される各繊維の量は様々であり得る。一般に、本開示に従って形成されたウェブは、抽出されたタバコ材料を、約40重量%超、かつ、約90重量%以下の量(その間の1重量%のすべての増分を含む)で含有し得る。例えば、抽出されたタバコ材料は、約45重量%超、例えば約50重量%超、例えば約55重量%超、例えば約60重量%超、例えば約65重量%超、例えば約70重量%超、例えば約75重量%超、例えば約80重量%超、例えば約85重量%超の量でウェブに含有され得る。また、抽出されたタバコ材料は、約80重量%未満、例えば約75重量%未満、または約70重量%未満の量でウェブに含有され得る。
【0044】
補強繊維は、一般に、ウェブ中に約50重量%以下の量で含有され得る。補強繊維は、一般に、ウェブ中に、約5重量%超、例えば約10重量%超、例えば約15重量%超、例えば約17重量%超、例えば約20重量%超、例えば約23重量%超、例えば約25重量%超、例えば約28重量%超、または例えば約30重量%超の量で含有され得る。また、補強繊維は、一般に、約35重量%未満、例えば約30重量%未満、例えば約25重量%未満、または例えば約20重量%未満の量で含有され得る。上述したように、一実施形態では、補強繊維は、叩解された麻繊維である。
【0045】
木材パルプ繊維は、任意選択で、ウェブに含めることができる。一態様では、例えば、ウェブは、木材パルプ繊維を含まずに形成することができる。また一方、他の実施形態では、木材パルプ繊維は、約12重量%以下、例えば約10重量%以下、または例えば約8重量%以下の量でウェブに含有され得る。また、木材パルプ繊維は、一般に、約2重量%超、例えば約5重量%超、または例えば約7重量%超の量でウェブに含有され得る。或る特定の態様では、木材パルプ繊維及び抽出タバコ繊維を混合した後に、その混合物に補強繊維が組み合わされる。例えば、抽出されたタバコ材料及び木材パルプ繊維は、約85:15~95:5の重量比で混合され、その混合物に補強繊維が組み合わされる。
【0046】
一態様では、ウェブを形成する前に、抽出されたタバコ材料、補強繊維、及び任意選択で木材パルプ繊維を混合し、その混合物を叩解してもよい。あるいは、各繊維を別々に叩解してもよい。さらに別の実施形態では、各繊維を別々に叩解した後に混合し、その混合物を叩解してもよい。
【0047】
任意選択で、ウェブは、充填剤粒子をさらに含有し得る。充填剤粒子としては、炭酸塩粒子、酸化物粒子、及びそれらの組み合わせを使用することができる。特定の充填剤粒子としては、例えば、炭酸カルシウム粒子、酸化マグネシウム粒子、及びそれらの組み合わせが挙げられる。充填剤粒子は、一般に、約0.5~30重量%の量(その間の0.5重量%のすべての増分を含む)でウェブ中に含有され得る。例えば、充填剤粒子は、約1重量%超、例えば約2重量%超、または例えば約5重量%超、かつ、一般に、約25%未満、例えば約20%未満、例えば約15%未満、例えば約12%未満、または例えば約8%未満の量でウェブ中に含有され得る。一態様では、ウェブが抽出されたタバコ材料を約50重量%以上の量で含む場合、充填剤粒子は、約0.5~5重量%、例えば約0.5~2重量%の量でウェブ中に含有され得る。別の態様では、ウェブは、充填剤粒子、特にアルミナ粒子または他のアルミニウム含有充填剤粒子を全く含まない。
【0048】
ウェブは充填剤粒子を含んでもよいが、一態様では、ウェブは主に、繊維、例えばタバコ繊維、補強繊維、及び任意選択でパルプ繊維から形成される。例えば、ウェブの繊維含有量は、約90重量%超、例えば約92重量%超、または例えば約95重量%超、かつ、一般に、約99重量%未満、例えば約98重量%未満、例えば約97重量%未満であり得る。
【0049】
上述したように、抽出されたタバコ材料は補強繊維と混合され、一態様では、ウェットレイド法を用いてウェブに形成される。本開示に従って作製されたウェブは、良好な強度を有し、滑らかであり、かつ、最適な坪量及び通気度(permeability)を有するように形成される。したがって、本開示に従って作製された包装材料は、製紙工程だけでなく、喫煙物品の大量生産の機械的ストレスにも耐えることができ、かつ、改善された官能特性及び燃焼特性を有する。
【0050】
例えば、本開示に従って作製された包装材料は、優れた機械的特性を有し、かつ、非常に望ましい審美的な外観を有する。一般に、包装材料は、約15gsm超、例えば約18gsm超、例えば約20gsm超、例えば約23gsm超、または例えば約25gsm超の坪量を有する。また、一般に、包装材料は、約100gsm未満、例えば約50gsm未満、例えば約45gsm未満、例えば約43gsm未満、例えば約40gsm未満、例えば約38gsm未満の、またはそれらの間の任意の範囲の坪量を有する。上記の坪量の範囲内では、包装材料は非常に高い引張強さを有し、約2,100cN/30mm超、例えば約2,200cN/30mm超、約2,300cN/30mm超、例えば約2,400cN/30mm超、かつ、一般に、約4000cN/30mm未満の引張強さを示し得る。引張強さは、ASTM規格D828-97試験法を用いて測定することができる。
【0051】
比較的高い引張強さに加えて、包装材料は、優れた伸縮特性を有する。例えば、包装材料は、約1%超、例えば約1.2%超、または例えば約1.4%超の伸張率を有する。また、包装材料の伸張率は、一般に、約4%未満、例えば約2%未満である。
【0052】
また、本開示の包装材料は、良好な主流煙制御や良好な喫煙快適性などの好適な喫煙特性を促進する通気度を有し得る。例えば、本開示の包装材料は、検出限界(すなわち、0コレスタ)~約100コレスタ、例えば約5~80コレスタ、例えば約8~38コレスタ、またはそれらの間の任意の範囲の、コレスタ単位で測定された通気度を有し得る。通気度は、約8コレスタ超、例えば約10コレスタ超、例えば約15コレスタ超、例えば約20コレスタ超、または例えば約25コレスタ超、かつ、一般に、約65コレスタ未満、例えば約55コレスタ未満、または例えば約45コレスタ未満であり得る。上記の通気度とは、通気度特性を変化させる穿孔などの処理が紙に施されていない状態における、紙の固有の通気度を意味する。
【0053】
本開示の包装材料は、自然にまたは本質的に所望の通気度を有するが、一実施形態では、包装材料に穿孔を形成することが望ましい場合もある。穿孔は、当該技術分野で知られている方法によって実施することができ、穿孔の数や寸法は、所望の用途に応じて選択され得る。
【0054】
上記の物理的特性に加えて、本開示に従って作製された包装材料は、1以上のタバコ繊維または粒子による天然の斑点及び/または着色を有する、独特の自然な外観を呈し得る。任意選択で、包装材料に顔料(天然または合成)を配合して、最終的な色調を調整してもよい。例えば、染料などの着色剤を水溶液中のヘッドボックス内の繊維に適用したり、ウェブの形成中及び乾燥前にサイズプレスを使用してウェブに適用したりしてもよい。一態様では、例えば、1種以上の着色剤を使用して、ウェブに、茶色などの自然なタバコの色を付けてもよい。
【0055】
さらに、本開示の包装材料は、天然の外観を有することに加えて、心地良い質感も有し得る。また、自然な外観を強調するために包装材料の表面を比較的粗くしたり、手触り感をより滑らかにするために包装材料をカレンダ処理したりしてもよい。
【0056】
また、本開示の包装材料は、より優れた味や知覚特性を有する喫煙物品を作製するために使用することができる。例えば、本開示の包装材料は、従来のシガレットペーパーと比べて、紙のような味があまりしない。その代わりに、包装材料がセルロース系補強繊維を含む場合でも、心地よいニュートラルなまたは独特の自然なタバコの味を呈する。一態様では、ウェブの形成中または形成後に、1種以上の香料を繊維及び/またはウェブに適用してもよい。香料としては、甘味剤やテルペン類などが挙げられる。
【0057】
本開示に従って作製された包装材料は、あらゆる種類の喫煙用品及びエアロゾル生成製品に組み込むことができる。例示目的のためだけに、そのような喫煙物品の1つを図1及び図2に示す。図示のように、喫煙物品10は、喫煙可能なカラム12を含む。例えば、喫煙可能なカラム12は、エアロゾル生成充填剤を含有する円筒ロッド状の形状を有し得る。また、喫煙物品10は、喫煙可能なカラム12を取り囲み外周面16を画定する包装材料100を含み得る。包装材料100は、互いに重ね合わせて結合される縁部114及び縁部116を有する。喫煙物品10は、ティッピングペーパーで取り囲むことができるフィルタ26を含むこともできるが、喫煙可能なカラムの材料によっては、フィルタは任意選択であってもよいし、または省略してもよい。
【0058】
図1及び図2に示す喫煙物品は、シガレット、シガリロ、リトルシガーなどであり得る。あるいは、図1及び図2に示す喫煙物品は、非燃焼加熱式スティックであり得る。
【0059】
さらに別の態様では、本開示の包装材料は、個々の包装材料を互いに接着して構成された冊子体として構成され得る。個々の包装材料は、例えば、喫煙可能なまたは食用の接着剤を使用して、互いに接着され得る。包装材料の冊子体は、使用者が包装材料を使用して自分自身の喫煙品または非燃焼加熱式スティックを作る手巻き用途に使用することができる。
【0060】
一態様では、本開示の包装材料は、ガムで処理される。一態様では、ガムは、接着剤として機能する。一実施形態では、ガムとしては、アルギン酸塩、アラビアガム、グアーガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体などが挙げられる。
【0061】
或る特定の実施形態では、接着剤としては、アラビアガム、セルロース、及び/またはセルロース誘導体が挙げられる。一実施形態では、セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられる。
【0062】
使用するガムの種類に関係なく、ガムは、包装材料またはウェブに、約0.1~15重量%、例えば約2~5重量%の量で含まれ得る。一実施形態では、ガムは、直接的または間接的なコーティング方法を用いて適用され得る。ガムは、マイクロスプレーなどのスプレーを介して適用してもよいし、または、例えばグラビア印刷を使用して、目的の領域に薄いコーティングを形成するように適用してもよい。
【0063】
一実施形態では、本開示に従って作製された喫煙物品は、低延焼性を有する。例えば、本開示の包装材料は、喫煙物品の外側の包装材料として使用することができ、また、固有の低延焼性を有することができる。また、本開示の包装材料は、任意選択で、喫煙物品の軸方向に間隔を隔てて形成された複数の低延焼性領域を有することができる。例えば、一実施形態では、個々の低延焼性領域は、輪状帯(circular band)の形態を有し得る。輪状帯は、喫煙物品が静的燃焼状態に放置された場合にコール(coal)を消火するのに十分な時間長さにわたって、酸素を燃焼中のコールに制限することができるような幅を有し得る。例えば、輪状帯は、約3mm超、例えば約4mm超、または例えば約5mm超、かつ、一般に、約10mm未満、例えば約8mm未満、または例えば約7mm未満の幅を有し得る。
【0064】
低延焼性領域間の間隔は、様々な要因に応じて異なり得る。この間隔は、コールが燃焼して低延焼性領域に達する前に、タバコが、基材に点火するのに十分な時間長さにわたって燃焼するほど大きくすべきではない。また、この間隔は、燃焼中のコールの熱慣性、すなわち、コールが自己消火せずに低延焼性領域を燃焼するコールの能力にも影響する。一般に、輪状帯の間隔は、約5mm超、例えば約10mm超、または例えば約15mm超、かつ、一般に、約50mm未満、例えば約40mm未満、または例えば約30mm未満にするべきである。各喫煙物品は、約1~3個の輪状帯を有し得る。
【0065】
一般に、任意の適切な低延焼性組成物を、喫煙物品の包装材料に適用することができる。一実施形態では、例えば、低延焼性組成物は、膜形成材料を含む。例えば、本発明に従って使用することができる膜形成材料としては、アルギン酸塩、グアーガム、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、デンプン、デンプン誘導体などが挙げられる。
【0066】
特定の一実施形態では、膜形成材料は、アルギン酸塩を単独で、またはデンプンと組み合わせて含み得る。一般に、アルギン酸塩は、褐藻類褐色海藻中にカルシウム、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムの不溶性混合塩として存在する、酸性多糖またはガムの誘導体である。一般的に言えば、これらの誘導体は、様々な割合のD-マンヌロン酸及びL-グルロン酸からなる高分子量多糖類のカルシウム、ナトリウム、カリウム、及び/またはマグネシウム塩である。アルギン酸の塩または誘導体の例としては、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0067】
一実施形態では、比較的低分子量のアルギン酸塩が使用され得る。例えば、アルギン酸塩は、25°Cの3重量%の水溶液中に含まれる場合、約500cP未満の粘度を有する。より詳細には、アルギン酸塩は、上記の条件で、250cP未満、特に100cP未満の粘度を有し、一実施形態では、約20~60cPの粘度を有し得る。本明細書で使用するとき、粘度とは、粘度に応じて適切なスピンドルを備えたBrookfield LVF粘度計によって測定したものである。上記の低粘度レベルでは、アルギン酸塩組成物は、固形分含有量が高いが、それでも、従来の技術を用いて該組成物を紙製包装材料に適用するのに十分な低い溶液粘度で形成することができる。例えば、本発明に従って調製されるアルギン酸塩溶液の固形分含有量は、約6重量%超、特に約10重量%超、より具体的には、約10~20重量%の範囲であり得る。
【0068】
上記の固形分含有量では、本発明に従って使用されるアルギン酸塩組成物は、約250cP超、特に約500cP超、とりわけ約800cP超の溶液粘度を有し、一実施形態では、25°Cで約1,000cP超の粘度を有し得る。一般に、アルギン酸塩膜形成組成物の溶液粘度は、膜形成組成物を包装材料に適用する方法に応じて調節することができる。例えば、膜形成組成物の溶液粘度は、該組成物を包装材料上にスプレーするか、または包装材料上に印刷するかに応じて調節される。
【0069】
他の実施形態では、用途に応じて、比較的高分子量のアルギン酸塩を使用してもよいことも理解されたい。例えば、アルギン酸塩は、25°Cの3重量%水溶液中に含まれる場合、約500cPを超える粘度を有し得る。
【0070】
膜形成材料に加えて、包装材料に適用される低延焼性組成物は、他の様々な成分を含み得る。
【0071】
例えば、一実施形態では、低延焼性組成物は、充填材料を含み得る。充填材料の例としては、例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムなどが挙げられる。カルシウム化合物に加えて、酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物や、粘土粒子などの他の様々な粒子を使用してもよい。
【0072】
低延焼性組成物は、一実施形態では、水性であり得る。特に、低延焼性組成物は、水性分散液または水溶液を含み得る。あるいは、紙製包装材料に適用される前の低延焼性組成物は、非水溶液または非水性分散液を含み得る。この実施形態では、例えば、低延焼性組成物は、包装材料に適用するために、アルコールを含み得る。
【0073】
また、膜形成組成物とは異なり、低延焼性組成物は、セルローススラリー(分散液の一種)を含んでもよい。本明細書で使用するとき、製紙材料を含むスラリーは、膜形成組成物ではない。紙製基材に適用されるセルローススラリーは、繊維状セルロース、1種類以上の充填材料、及び/またはセルロース粒子を含み得る。本明細書で使用するとき、セルロース繊維及びセルロース粒子は、カルボキシメチルセルロースなどの誘導体化セルロースと区別されるべきである。例えば、セルロース繊維及びセルロース粒子は、水溶性ではない。一実施形態では、包装材料に適用されるセルローススラリーは、微結晶セルロースを含み得る。
【0074】
調製された低延焼性組成物は、包装材料の別個の領域に適用することができる。低延焼性組成物を包装材料に適用する方法は様々であり得る。例えば、低延焼性組成物は、包装材料上に、スプレーされるか、ブラシで塗布されるか、可動オリフィスで適用されるか、または、印刷される。処理領域を形成するために、低延焼性組成物は、単一パスまたは複数パスの操作で適用され得る。例えば、低延焼性組成物は、低延焼性を有する包装材料上に低延焼性領域を形成するために、連続的なステップで包装材料に適用することができる。一般に、複数パスのプロセスでは、約2~8回のパスで低延焼性組成物を適用することによって、処理領域を形成することができる。
【0075】
包装材料に適用される低延焼性組成物の量は、様々であり得る。例えば、低延焼性組成物は、約15重量%未満、例えば約10重量%未満、または例えば約8重量%未満の量で包装材料に適用される。また、一般に、低延焼性組成物は、低延焼性領域に含まれる低延焼性組成物の重量に基づいて1重量%超の量で適用される。
【0076】
本明細書で使用するとき、上記の重量パーセントは、化学成分で処理された面積に基づくものである。言い換えれば、低延焼性組成物についての上記の重量パーセントは、包装材料の全表面に適用される総量ではなく、処理領域内に適用される量である。
【0077】
本開示の方法により、比較的高い通気度を有し、かつ比較的低い拡散率を有する、低延焼性領域を形成することができる。例えば、低延焼性領域は、10 CORESTAよりも高い通気度を有し、かつ、ASTM規格E2187-09試験に少なくとも75%の確率で合格する喫煙物品を作製することができる。
【0078】
一般に、低延焼性領域は、比較的低い拡散率を有する。拡散率は、室温(23°C)で測定される。一般に、低延焼性領域の23°Cでの拡散率は、約0.5cm/s未満、例えば0.4cm/s未満、例えば0.3cm/s未満、または例えば0.1cm/s未満、または例えば0.08cm/s未満であり得る。一実施形態では、低延焼性領域は、所望の低延焼性を依然として有しながら、約0.01cm/s超、例えば約0.03cm/s超、例えば0.05cm/s超、または例えば0.1cm/s超の拡散率を有し得る。拡散率は、Sodim社製のCO拡散率テスタを使用して測定される。
【0079】
本開示の包装材料は、良好な製造特性(例えば、引張強さ)及び知覚特性を有するため、添加剤を必要としないが、一般に、本開示の包装材料は、1種以上の添加剤を含んでもよい。包装材料の作製に添加物を使用することにより、例えば、化学的特性、光学的特性、知覚特性、または機械的特性(例えば、引裂強度、耐折性)などの新しい特性を、包装材料に付与することができる。一実施形態では、添加剤は、保湿剤、燃焼制御添加剤、湿潤紙力増強剤、オイルバリア剤、脂肪バリア剤、ブロッキング防止剤、乾燥紙力増強剤、軟化剤、香料、湿潤剤、またはラティス(lattice)であり得る。
【0080】
一実施形態では、ウェブ材料は、保湿剤をさらに含有し得る。保湿剤は、様々な利益及び利点を提供するために、様々な理由で包装材料に組み込むことができる。例えば、一実施形態では、得られる繊維基材の加工性及び取り扱いを改善するために、保湿剤を包装材料に組み込むことができる。
【0081】
様々な保湿剤を本開示の包装材料に組み込むことができる。保湿剤には、ポリオール、非ポリオール、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。一般に、ポリオール系保湿剤は、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。一般に、非ポリオール系保湿剤は、乳酸、二酢酸グリセリン、三酢酸グリセリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。一実施形態では、保湿剤は、グリセロール、プロピレングリコール、またはグリセロールとプロピレングリコールとの組み合わせであり得る。グリセロールは、好ましくは、グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。選択された保湿剤の種類に関係なく、保湿剤は、本開示の包装材料に0.1~約30重量%、例えば約1~10重量%、例えば約2~8重量%、またはそれらの間の任意の範囲の量で含有され得る。
【0082】
燃焼制御剤は、例えば、カルボン酸の塩を含み得る。例えば、燃焼制御剤は、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。使用可能な燃焼制御剤の例としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、炭酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、硝酸、リン酸、またはそれらの任意の組み合わせの塩が挙げられる。使用可能な特定の燃焼制御剤としては、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。存在する場合、燃焼制御剤は、本開示の包装材料に、一般に、約0.1重量%超、例えば約0.5重量%超、または例えば約1重量%超、かつ、一般に、約5重量%未満、例えば約4重量%未満、例えば約3重量%未満、または例えば約2重量%未満の量で含有され得る。
【0083】
完成したウェブまたは包装材料を乾燥させ、巻いてロールにする。例えば、一実施形態では、乾燥シートは、約15~80mm、例えば約19~28mmの幅を有するボビンに巻かれる。ウェブをボビンに巻く前に、ウェブをカレンダ処理することにより、材料の滑らかさ及び走行性を高めることができる。一実施形態では、例えば、マルチニップカレンダ装置を使用することができる。
【0084】
本発明は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載した本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変更または変形が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。加えて、様々な実施形態の態様は、その全体またはその一部を相互に交換できることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上記の詳細な説明は単なる例示であって、添付の特許請求の範囲に記載した本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図していないことを理解できるであろう。
図1
図2
【国際調査報告】