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特表2024-508151自己免疫疾患治療のためのDMDを使用する改善された治療法、並びに該治療法を予測及び/又は最適化するためのバイオマーカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】自己免疫疾患治療のためのDMDを使用する改善された治療法、並びに該治療法を予測及び/又は最適化するためのバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240215BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240215BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240215BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240215BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240215BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240215BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G01N33/68
A61P25/00
A61P37/06
A61K45/00
A61K31/7076
C12Q1/04
G01N33/50 K
G01N33/48 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553318
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022055484
(87)【国際公開番号】W WO2022184867
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/156,196
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/174,949
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504104899
【氏名又は名称】アレス トレーディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ウルズラ ボシェルト シャファーティアン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045CB03
2G045CB04
2G045CB07
2G045CB11
2G045CB12
2G045CB14
2G045CB30
2G045DA36
2G045FB03
2G045FB12
2G045FB13
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QS31
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZB081
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA02
4C086ZB08
(57)【要約】
本発明は、自己免疫疾患、特に多発性硬化症の治療に関する、DMD、特にクラドリビンを使用する、改善された治療方法、並びに該治療方法を予測及び/又は最適化するための、バイオマーカー、特に免疫細胞亜型に関する。記載された方法は、多発性硬化症の治療におけるクラドリビンの使用を予測及び/又は最適化するために、免疫細胞亜型、特にT細胞、B細胞、NK細胞の亜型の使用、並びに患者由来の血液試料中に存在するそれらの比に頼っている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療に関する、クラドリビンで治療された患者の反応を予測する方法であって:
a)ここで下記細胞集団の偏差:
- 少なくとも70%のCD19B細胞、
- 少なくとも70%のメモリーCD19B細胞、
- 少なくとも70%のナイーブB細胞、
- 少なくとも70%のメモリーB細胞、
- 活性化B細胞、及び/もしくは、
- 少なくとも45%の活性化CD69B細胞、
並びに/又は、それらの組合せ;
が、該クラドリビン治療の早期有効性の指標であり;
ここで
- 細胞集団は、好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料において決定され、
- 該偏差は、ベースラインレベルからの減少として供されるか;
b)ここで下記細胞集団の偏差:
- 少なくとも70%のCD19B細胞、
- 少なくとも50%のCD38形質細胞、
- 少なくとも50%の短命な形質細胞、
- 少なくとも70%のBreg、
- 少なくとも70%の移行期B細胞、
- 少なくとも10%のナイーブT細胞、
- 少なくとも40%のセントラルメモリーT細胞、
- 少なくとも30%のセントラルエフェクターT細胞、
- 少なくとも35%のTH1細胞、
- 少なくとも35%のTH17細胞、
及び/又は、それらの組合せ;
が、1年目での該クラドリビン治療の耐久有効性の指標であり;
ここで
- 細胞集団は、好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料において決定され、
- 該偏差は、ベースラインレベルからの減少として供されるか;
c)ここで:
- -40%を上回るレベルへのメモリーB細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへの形質細胞の細胞集団の偏差、
- -40%を上回るレベルへのナイーブT細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへのCD4セントラルメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- -10%を上回るレベルへのCD4エフェクターメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Treg/Teff細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Breg/メモリーB細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、NKreg/NKeff細胞比の細胞集団の偏差、
及び/又は、それらの組合せ:
が、多発性硬化症の再燃のリスクの指標であり、
ここで:
- 細胞集団は、好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料において決定され、
- 該偏差は、ベースラインレベルからである:方法。
【請求項2】
それを必要とする患者の疾患修飾薬(DMD)による、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療を適応させる必要性をモニタリングするための方法であって、
- ここで患者は、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療のために、クラドリビンであるDMDにより治療されており、
- ここで好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料中で決定された細胞集団の偏差が:
- -40%を上回るレベルへのメモリーB細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルの形質細胞の細胞集団の偏差、
- -40%を上回るレベルへのナイーブT細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへのCD4セントラルメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- -10%を上回るレベルへのCD4エフェクターメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Treg/Teff細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Breg/メモリーB細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、NKreg/NKeff細胞比の細胞集団の偏差、
- 及び/又は、それらの組合せ;からなるリストから選択され、
ここで、該偏差が、クラドリビンによる該患者の再治療の必要性の指標である、方法。
【請求項3】
多発性硬化症の再燃のリスクのある患者の疾患修飾薬(DMD)による、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療のための方法であって:
- ここで患者は、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療のために、クラドリビンであるDMDにより治療されており、
- ここで好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料中で決定された細胞集団の偏差が:
- -40%を上回るレベルへのメモリーB細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルの形質細胞の細胞集団の偏差、
- -40%を上回るレベルへのナイーブT細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへのCD4セントラルメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- -10%を上回るレベルへのCD4エフェクターメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Treg/Teff細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Breg/メモリーB細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、NKreg/NKeff細胞比の細胞集団の偏差、
- 及び/又は、それらの組合せ;からなるリストから選択され、
これが、その患者が、多発性硬化症の再燃のリスクがある患者であることの指標であり、
ここで、該治療が、クラドリビンによる再治療、クラドリビンの追加量及び/もしくはより高い投与量の投与、又は異なるDMDの投与を、患者へ投与することを含む、方法。
【請求項4】
疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンによる治療に対する、好ましくは自己免疫性神経疾患及び神経炎症疾患から選択された、自己免疫疾患を有する患者の反応をモニタリングする方法であって、該方法が:
e)患者の第1及び第二の生物学的試料中の:
- 総PBMC;
- CD19B細胞;
- CD19メモリーB細胞;
- ナイーブB細胞;
- CD4セントラルメモリーT細胞;
- CD4エフェクターメモリーT細胞;
- Treg;
- Teff;
- Breg;
- メモリーB細胞;
- CD16dimCD56brightNK細胞;
- CD16brightCD56dimNK細胞;
- 移行期B細胞:のいずれかの絶対数を得ること、
ここで、
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19B細胞の絶対数の増加又はCD19B細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19メモリーB細胞の絶対数の増加又はCD19メモリーB細胞の絶対数の30%以下の減少;及び/もしくは
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のナイーブB細胞の絶対数の増加又はナイーブB細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の増加又はCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の20%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の増加又はCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の10%以下の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のTeffの絶対数に対するTregの絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のメモリーB細胞の絶対数に対するBreg細胞の絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のCD16brightCD56dimNK細胞の絶対数に対するCD16dimCD56brightNK細胞の絶対数の比の減少;
- 第二の生物学的試料中の、0.05%~1%の、総PBMCに対するメモリーB細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の、3%~14%、好ましくは1%~10%の、総PBMCに対するBreg細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の、1より大きい又は等しい、好ましくは1~3から成る、移行期B細胞:メモリーB細胞の比:
のいずれかが、治療に対する患者の準最適な反応の指標である、方法。
【請求項5】
疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンによる治療に対する、好ましくは自己免疫性神経疾患及び神経炎症疾患から選択された、自己免疫疾患を有する患者を治療する方法であって、該方法が:
e. 患者から第一の生物学的試料を得ること;
f. その患者へ治療を投与すること;
g. その患者から第二の生物学的試料を得ること;
h. 第1及び第二の生物学的試料中の:
- 総PBMC;
- CD19B細胞;
- CD19メモリーB細胞;
- ナイーブB細胞;
- CD4セントラルメモリーT細胞;
- CD4エフェクターメモリーT細胞;
- Treg;
- Teff;
- Breg;
- メモリーB細胞;
- CD16dimCD56brightNK細胞;
- CD16brightCD56dimNK細胞;
- 移行期B細胞:のいずれかの絶対数を決定すること:を含み、
ここで、
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19B細胞の絶対数の増加又はCD19B細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19メモリーB細胞の絶対数の増加又はCD19メモリーB細胞の絶対数の30%以下の減少;及び/もしくは
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のナイーブB細胞の絶対数の増加又はナイーブB細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の増加又はCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の20%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の増加又はCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の10%以下の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のTeffの絶対数に対するTregの絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のメモリーB細胞の絶対数に対するBreg細胞の絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のCD16brightCD56dimNK細胞の絶対数に対するCD16dimCD56brightNK細胞の絶対数の比の減少;
- 第二の生物学的試料中の、0.05%~1%の、総PBMCに対するメモリーB細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の、3%~14%、好ましくは1%~10%の、総PBMCに対するBreg細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の、1より大きい又は等しい、好ましくは1~3から成る、移行期B細胞:メモリーB細胞の比:
のいずれかが、治療に対する患者の準最適な反応の指標であること。
i. クラドリビンによる再治療、クラドリビンの追加量及び/もしくはより高い投与量の投与、又は異なるDMDの投与を、その治療に対し準最適な反応を伴う患者へ、投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記クラドリビンによる再治療が、クラドリビンを含有する製剤の経口投与を含む又はこれからなり、ここで該製剤は、以下の連続工程:
(i)該クラドリビン製剤が投与される導入期間であって、ここでこの導入期間の最後に到達したクラドリビンの総投与量は、約1.7mg/kg~約3.5mg/kgである、導入期間;
(ii)クラドリビン製剤が投与されない、約8~約10ヶ月間のクラドリビン-フリー期間;
(iii)該クラドリビン製剤が投与される維持期間であって、ここでこの維持期間の終了時に到達したクラドリビンの総投与量は、導入期間(i)の終了時に到達したクラドリビンの総投与量よりも少ない、維持期間;並びに
(iv)クラドリビン製剤が投与されない、クラドリビン-フリー期間
に従い経口投与される、請求項3記載の方法又は請求項5記載の方法。
【請求項7】
自己免疫疾患の治療を必要とする患者における自己免疫疾患を治療する方法であって、該方法が、好ましくは、クラドリビンを該患者へ経口投与すること、好ましくは該患者の体重1kg当たり0.5~1.25mgの量でクラドリビンを該患者へ経口投与すること、好ましくは4~12週間の期間、該患者の体重1kg当たり0.5~1.25mgの量でクラドリビンを該患者へ経口投与することを含み、ここで該投与後、該患者は、以下からなる群から選択される、1又は複数の細胞集団に関する、1又は複数の偏差を有する:
a)ここで、以下の偏差は、ベースラインレベルからの%減少として供される、バイオマーカーであり/該クラドリビン治療の早期有効性に対応する:
- CD19B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- メモリーCD19B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- ナイーブB細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- メモリーB細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- 活性化B細胞、及び/もしくは、
- 活性化CD69B細胞(>45、好ましくは±10%)、
並びに/又は、それらの組合せ;
b)1年後の耐久有効性(ベースラインからの%減少)、
- メモリーCD19B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- CD38+形質細胞(>50%、好ましくは±10%)、
- 短命な形質細胞(>50%、好ましくは±10%)、
- Breg(>70%、好ましくは±10%)、
- 移行期B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- ナイーブT細胞(>10%、好ましくは±5%)、
- セントラルメモリーT細胞(>40%、好ましくは±10%)、
- セントラルエフェクターT細胞(>30%、好ましくは±10%)、
- TH1細胞(>35、好ましくは±10%)、
- TH17細胞(>35、好ましくは+±0%)、
及び/又はそれらの組合せ;
c)耐久有効性:
- NKreg/NKeff細胞比(>1.5倍)、
- Breg/Beff細胞比(>/<倍)、
- Treg/Teff細胞比(>/<倍)、並びに/又は
d)疾患の再燃:
- ベースラインからのメモリーB細胞の減少(<30%、好ましくは±10%)、
- メモリーB細胞(好ましくはPBMCの0.05~1%まで)、
- 好ましくは総PBMC中の、移行期B細胞比(>/< ????)、
- 好ましくは活動型又は再燃型MS患者由来の、好ましくは全血又はPBMC中の、Breg(好ましくは3~14%、更により好ましくは1~10%)、並びに/又は
e)疾患の再燃
- メモリーB細胞(好ましくはベースラインから-40%を上回るレベルまで再増殖)、
- 形質細胞(好ましくはベースラインから-20%を上回るレベルまで再増殖)、
- ナイーブT細胞(好ましくはベースラインから-40%を上回るレベルまで再増殖)、
- CD4セントラルメモリーT細胞(好ましくはベースラインから-20%を上回るレベルまで再増殖)、
- CD4エフェクターメモリーT細胞(好ましくはベースラインから-10%を上回るレベルまで再増殖)、
- Treg/Teff細胞比(好ましくはベースラインから減少)、及び/もしくは
- Breg/メモリーB細胞比(好ましくはベースラインと比べ減少)、及び/もしくは
- NKreg/NKeff細胞比(好ましくはベースラインと比べ減少);
- 並びに/又は、それらの組合せ:
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
緒言/発明の背景/発明の簡単な概要
多発性硬化症(MS)は、CNSにおける病巣性及び広汎性の炎症並びに退行性病変の存在により特徴付けられる。例えばDMD(疾患修飾薬)による、免疫系の連続調節は、潜在的に疾患活動を修飾することができ、且つまた特に初期相において、疾患経過に潜在的に影響を及ぼすこともできる。医療装備(therapeutic armamentarium)が、実質的に過去20年にわたり開発されており、現在16種以下の異なる薬物、好ましくは疾患修飾薬を含んでいる。2017年、欧州医薬品局(EMA)は、高活動型MSの治療のための、経口投与される免疫抑制薬として、クラドリビン、又はより具体的に経口クラドリビン又はクラドリビン錠の承認を勧告した。クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠の開発は、アデノシンデアミナーゼ(ADA)-プリン代謝に関与した酵素-の遺伝的欠損は、具体的にはリンパ球内の毒性のあるデオキシアデノシンヌクレオチドの細胞内蓄積のために、ヒトにおいてリンパ球減少症を引き起こし、且つ他の組織には影響しないという知見以降に始まった。リンパ球は、高レベルのデオキシシチジンキナーゼ活性、及び低レベルのヌクレオチダーゼ活性を示し、このことは、これらは過剰に三リン酸化されたヌクレオチドの除去をADA活性に頼ることを意味している。結果的に、クラドリビンなどの、ADA-抵抗性プリンヌクレオシドアナログは、ADA欠損症のリンパ球減少作用を再現することができる。リンパ球への進入時に、ADA-抵抗性クラドリビンは、デオキシシチジンキナーゼにより三リン酸化され、そのリンパ球毒性型を生成し、結果的にリンパ球集団の選択的減少を生じる。
【背景技術】
【0002】
いくつかのDMDは、疾患活動の最適化された軽減に到達するために薬物が連続して投与される、長期治療として投与される。例えばクラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠などの、いくつかの別のDMDは、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠に関するEUのEMAのSmPC及び/又はUS/FDAのUSPIの用法用量の項目に記載されたように、1及び2年目の2週間の短期治療コース、又はその同等の様式で供され、クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠により、それに応じて治療された患者における免疫リセットの(一過性又は永続的な)誘導を可能にし、潜在的に長期間持続する薬物-フリー寛解をもたらす、免疫再構成を可能にする。この重要な情報は、初期のCLARITY治験の後に、クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠の持続した有効性を調べたCLARITY延長試験から得られた。この試験において、CLARITY治験からプラセボで治療された患者は、延長相において、累積投与量3.5mg/kgのクラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠を受けとった。当初、累積投与量3.5mg/kg又は5.25mg/kgのクラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠を受け取った患者は、2:1の比で、3.5mg/kgのクラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠、もしくはプラセボを受け取るよう、無作為に再度割り当てられ、合計5つの患者群を作製した。興味深いことに、再発率及び身体障害は、全ての群間で有意差はなく、このことは、クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠の有効性は、治療、好ましくはクラドリビン、経口クラドリビン又はクラドリビン錠による治療を受け取った順番に関わりなく、長期間維持されることを指摘している。これらの結果は、2サイクルで送達されるクラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠の短い「パルス様」コースは、長期間持続するリンパ球減少及び/又は反応/有効性を生じ、並びに潜在的に非常に耐久性のある薬物-フリー寛解を維持することを明らかにした。
【0003】
MS、並びに好ましくはまた他の炎症性及び/又は脱髄性自己免疫疾患の治療において、クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠は、短い断続的期間で使用される場合、有利なことに、そのような障害の非常に有効な免疫再構成療法を提供することが可能であり、これにより好ましくは免疫リセットを誘導し、且つ該患者への治療-フリー期間、好ましくは延長された治療-フリー期間、クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠の最終投与から数えて、2~5年間又は3~4年間、及び潜在的にそれ以降も続く、潜在的に延長された治療-フリー期間を可能にすることがわかった。長期のリンパ球動態は、CLARITY試験、CLARITY延長試験、及びPREMIERE試験について、評価されており、クラドリビン錠による治療後の、免疫細胞再増殖(repopulation)のいくつかの種類を潜在的に指摘している。
【0004】
MAGNIFY-MS試験のデザインは、高活動性再発型MSの患者における、クラドリビン錠(2年間にわたる累積投与量3.5mg/kg)の作用発現を決定することを目的としている。驚くべきことに、クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠の、免疫細胞に対する作用は、MS患者、並びに好ましくはまた他の炎症性及び/もしくは脱髄性自己免疫疾患の患者におけるその作用の発現及び耐久性の両方にとって重要であり得ることが現時点でわかった。クラドリビン、好ましくは経口クラドリビン又はクラドリビン錠は、免疫系を再度釣り合わせ、再度形作り、及び永久に再プログラムさえするかどうか及びどのようにそれを為すかは、これまで理解されていないか又は不完全に理解されている。本発明者らは好ましくは、本発明におけるこの理解の欠如に対処している。
【0005】
自己免疫状態における疾患修飾療法の使用は、臨床上の関心が大きいが;しかしこれらの療法は、患者の免疫系が治療に対し適切に反応するか否かにかかわらず、例えば検査又は好ましくは血液検査を使用するなどの妥当な方式で決定することができないことに悩まされる。本発明において、本発明者らは、好ましくは、様々な免疫亜型ベースの有効性又は再治療のバイオマーカー、好ましくは予後判定及び/又は予測のバイオマーカーの、単独又は組合せのいずれかでの使用を提唱している。好ましくは、これらのバイオマーカーは、該個体及び/又は患者の体液試料、好ましくは非限定的にクラドリビン、好ましくは経口クラドリビン及び/又はクラドリビン錠を含む1又は複数のDMDにより好ましくは潜在的に治療もしくは再治療される個体又は患者の体液試料において、容易に利用可能である。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要/発明の詳細な説明
一方で世界的保健機関は、EUのEMAのSmPC及び/又はUS/FDAのUSPIに概説されるように、クラドリビン錠の使用を承認しつつ、独自の用法用量に従い、これはクラドリビン錠治療が開始される最初の月(第1治療月)の第1週内に個別の患者の体重1kg当たり約0.875mgが投与され、その後クラドリビン錠治療が開始されて二ヶ月目(第2治療月)の第1週内に個別の患者の体重1kg当たり約0.875mgが追加投与され、その後約10ヶ月間クラドリビン錠又は他のDMDが該患者に投与されず(この期間は、好ましくは第1治療年と称される)、その後クラドリビン錠治療が開始されている該患者へのクラドリビン錠又は他のDMDが投与されない約10ヶ月に続く月の第1週内に(例えば、第13治療月又は第2治療年の第1治療月)、該患者の体重1kg当たり約0.875mgが更に投与され、その後最後に第13治療月/第2治療年の第1治療月に続く月の第1週内に体重1kg当たり約0.875mgが別に投与される。この独自の治療レジメンは、MS、好ましくは再発寛解型MS(RRMS)の治療において高い有効性、すなわち再発率及び/又は治療された患者のCNSにおけるMRI活性の両方の劇的低下が証明されている。更に、先に概説したクラドリビン錠のこの治療レジメン/用法用量の高い有効性は、該第2治療年の最終治療後10ヶ月以内は維持され、並びに第2治療年後1年間(すなわち、クラドリビン錠治療の開始から数えて3年目)、及び翌年においても(すなわち、クラドリビン錠治療の開始から数えて4(far)年目)、及びそれよりも長く、持続されることが明らかにされている。従って1年目(第1治療年)及びここで2年目(to)(第2治療年)にクラドリビン錠治療を受け取っている複数の患者は、初回クラドリビン錠治療の開始後3~6年目(及び潜在的にそれよりも長く)、そのように軽減されたMS疾患活動を有し、クラドリビン錠及び(are)任意の他のDMDによる再治療を必要としない、
【0007】
しかし、たとえ治療レジメン/用法用量及び/又はこれに関連した高い有効性の両方が、他のDMDに関連したものよりも、より良くではないとしても、同等であったら、治療された患者集団における有効性の詳細な分析は、作用の発現又は早期有効性及び有効性もしくは長期有効性の両方の期間に関して、先に説明されたクラドリビン錠による治療に対する恩恵がより多い又はより少ない患者が存在することを示している。一方でこれは、例えばクラドリビン錠による早期の又は比較的早期の再治療(先に説明された治療レジメン/用法用量に従うよりもより早期)、又は異なるDMDへの早期のスイッチ、例えば先に説明されたクラドリビン錠治療の第1及び/又は第2治療年内のクラドリビン錠再治療、又は異なるものへのスイッチなどの、クラドリビン錠による強化された治療から潜在的に恩恵を受ける患者が存在し得ることを暗示している。他方でこれは更に、クラドリビン錠治療に関して第2治療年の終了時に向けて、又は例えばクラドリビン錠治療に関する第2治療年に続く次の1~6年間、潜在的にMS疾患が再燃し易い患者が存在し得ることを暗示しており、これもまた、クラドリビン錠による比較的早期の再治療又は異なるDMDへの比較的早期のスイッチから強い恩恵がある。同様に、医師及び/又は患者は、そのような再治療を実際に必要としない該患者へ投与される各DMDにより再治療又は早期再治療される患者に対する、潜在的疾患再燃、それによる潜在的有害性のリスクを防ぐために、クラドリビン錠による比較的早期の再治療又は別のDMDへの比較的早期のスイッチを考慮する。例えば患者データは、先に供された用法用量/投薬レジメンに従い1又は2年間クラドリビン錠により一旦治療されたら、将来、少なくとも予測できる将来、クラドリビン錠及び/又は他のDMD治療が必要でないように見える患者が存在することを示している。
【0008】
従って、これは、特に第2治療年の終了時、並びに該第2治療年の終了に続く年に向けて、早期から中間期の有効性、及び長期有効性を含む、全般的有効性の両方に関して、クラドリビン錠による治療に反応する患者を予測する方法が存在する場合は、高度に利点があるであろう。
【0009】
この高い医学的必要性は、好ましくは本発明により巧く対処される。本発明に従い、1又は複数の細胞集団、好ましくは1又は複数のリンパ球細胞集団、好ましくは本明細書においてより詳細に説明される細胞集団に関する特定の偏差は、好ましくは疾患修飾薬(DMD)による治療開始前に少なくとも1回、及び該DMDによる治療時又は治療後のより遅い時点で少なくとも1回該細胞集団を決定することを含む、治療の異なる段階での罹患したヒト又は患者の1又は複数の体液において決定され、ここで異なる時点で決定された該細胞集団の差異又は偏差は、好ましくは有効性の早期発現、中期有効性、長期有効性及び/もしくは持続した有効性を含む、治療の有効性の指標である。しかし異なる時点で決定された該細胞集団の該差異又は偏差はまた好ましくは、好ましくは(早期)有効性の発現の欠如、(早期)有効性の喪失、中期有効性の欠如、中期有効性の喪失、長期有効性の欠如及び/もしくは長期有効性の喪失を含む、治療の無効性の指標でもある。
【0010】
従って該方法は好ましくは、該DMDによる治療開始前で、並びに例えば該DMDによる治療時、該DMDによる治療後、該DMDによる再治療前、該DMDによる再治療時、及び再治療後から選択される少なくとも1つの更なる時点で、該細胞集団を決定することを含む。典型的には、少なくとも1つの更なる時点で、好ましくは疾患修飾薬(DMD)による該自己免疫疾患の該治療の早期治療段階で、該細胞集団を(再度)決定することは、好ましくは該DMDによる該自己免疫疾患治療の早期有効性及び/又は有効性の早期発現、或いはこれらの条件下での早期有効性及び/又は有効性の早期発現の欠如の、予測又はエビデンスを提供する。典型的には、本発明の方法は、該1又は複数の細胞集団が該DMDによる治療の開始前に決定される場合(すなわち、ベースライン時又はベースラインレベル)、並びに該DMDによる該治療時及び治療後に、好ましくは該DMDによる該治療開始から1~12ヶ月以内、より好ましくは該DMDによる該治療開始から1~9ヶ月以内、及びなお更に好ましくは該DMDによる該治療開始から1~6ヶ月以内に再度決定される場合、例えば1ヶ月、3ヶ月、又は6ヶ月内に、該1又は複数の細胞集団を(再度)を決定する場合、好ましくはDMDによる該治療に対する患者の反応、好ましくは早期反応を予測する方法を提供する。以下により詳細に概説するように、異なる時点での該1又は複数の細胞集団の間の偏差、又は異なる時点でのそれら決定の間の偏差は、有効性又は有効性の欠如の指標、好ましくは早期有効性又は早期有効性の欠如の指標である。有効性の指標の場合、医師は、同じDMDによる該患者の再治療の、同じDMDの追加量及び/もしくはより高い投与量の投与の必要性がないこと、或いは異なるDMDへスイッチする必要性がないことを理解するであろう。しかし、有効性の欠如の指標が存在する場合は、医師は、同じDMDの追加量及び/もしくはより高い投与量、異なるDMDへのスイッチ、並びに/又は更なるDMDの追加は、該患者にとって恩恵があるという、(早期)情報を理解するであろう。
【0011】
同様に本発明の方法は、該1又は複数の細胞集団が該DMDによる治療の開始前に決定され(すなわち、ベースライン時又はベースラインレベル)、並びに該DMDによる該治療時及び治療後に、好ましくは該DMDによる該治療後、好ましくは該DMDによる初回治療開始後12~60ヶ月もしくは14~16ヶ月以内に、又は好ましくは該DMDによる最終治療からもしくはより具体的には該患者への該DMDの最終投与日から好ましくは1~48ヶ月以内に、再度決定される場合、DMDによる該治療に対する患者の反応、好ましくは長期反応を予測する方法を提供することが好ましい。該1又は複数の細胞集団の更なる決定は、一定の間隔で、例えば6~24ヶ月間隔で、より好ましくは9~18ヶ月、例えばほぼ1年に1回で、繰り返すことができる。先に及び/又は以下に概説したような該1又は複数の細胞集団の該決定(再度)によるか、以下により詳細に概説した該治療の中期及び/又は長期有効性により、該1又は複数の細胞集団の間の偏差、又はそれらの決定の間の偏差は、有効性又は有効性の欠如の指標、好ましくは早期有効性又は早期有効性の欠如の指標である。有効性、好ましくは中期有効性及び/又は長期有効性の指標の場合、医師は、同じDMDによる該患者の再治療、同じDMDの追加量及び/もしくはより高い投与量の投与の必要性がないこと、或いは異なるDMDへスイッチする必要性がないことを理解するであろう。しかし有効性の欠如の指標が存在する場合は、医師は、同じDMDの追加量及び/もしくはより高い投与量、異なるDMDへのスイッチ、並びに/又は更なるDMDの追加、及び特に同じDMDによる再治療は、該患者にとって恩恵があるという、(早期)情報を理解するであろう。例えば、クラドリビンによる治療開始から各約1ヶ月の2回の短い治療期間(第1治療年)、クラドリビン又はクラドリビン錠による治療開始のほぼ一年後に始まる各約1ヶ月の2回の更なる短い治療期間(第2治療年)という、保健機関が承認した治療スキーム(2017年から現在(2021)まで施行中のEMAのSmPC;2019年から現在(2021)まで施行中のFDAのUSPI)に従う、DMDクラドリビン又はクラドリビン錠によるMSの治療において、ほとんどの患者は、クラドリビン錠による治療開始の4又は5年後に始まる4年目の終了時前、及び時にはそれ以降の、錠剤のクラドリビンによる再治療を必要としない。しかし一部の患者は、クラドリビン又はクラドリビン錠による比較的早期の再治療の恩恵がある。従って本発明の方法は、再治療が、疾患の活動又は再発が依然検出できない時点で恩恵があることの早期情報を医師に提供するであろう。これは、該DMD治療開始から最初の12ヶ月以内、又は該DMD治療開始から12~60ヶ月、24~60ヶ月及び特に36~60ヶ月以内などの、1又は複数の時点で、本発明の方法を実施することにより達成され得る。
【0012】
従って、本発明の好ましい局面は、以下を含むが、これに限定されるものではない:
A. 該自己免疫疾患、好ましくは自己免疫性神経系疾患の、早期反応(好ましくは1~3ヶ月)及び長期反応(好ましくは6~12~24ヶ月及びそれ以降、例えば3~15年間、好ましくは最大3、4、5、6、7、8、9又は10年間)、更により好ましくはクラドリビン治療の状況で、モニタリングすることを含むことが好ましい、該自己免疫疾患、好ましくは自己免疫性神経疾患及び神経炎症疾患の疾患管理のためのバイオマーカー(免疫シグネチャー)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に更に定義されるように、本発明の免疫シグネチャーは、患者における、より特定すると患者の生物学的試料から同定および/または定量される、免疫細胞の特定の亜集団の存在及び/又は相対量により規定される。
【0014】
「生物学的試料」により、これは本明細書において、ヒト対象から得られた試料を指す。生物学的試料は、組織及び/又は生物学的液体を含んでよい。非限定的例として、生物学的試料は、ヒト対象の組織、臓器、細胞、又は任意の単離された画分、例えば血液、血漿、リンパ液、唾液、尿、糞便、涙液、汗、精液、又は脳脊髄液、滑液、胸膜、腹膜、もしくは心膜、及びそれらの任意の画分もしくは抽出物などから選択されてよい。好ましくは、生物学的試料は、免疫細胞、好ましくは循環免疫細胞を含む、生物学的液体である。より好ましくは、生物学的試料は、血液、血漿又は血清である。生物学的試料は、関心対象の細胞の完全性を保持し及び/又はそれらを更なる分析のためによりアクセス可能にするために、前処理されてよい。生物学的試料は、関心対象の細胞へのアクセスを促進するか又は濃度を増大するために、例えば、遠心分離、精製、又は他の処理工程にかけられてよい。血液試料は、末梢血単核細胞(PBMC)を濃縮又は単離するために、例えば通常の技術を使用する密度勾配遠心分離プロセスの使用を通じて、又は白血球除去により、前処理されてよい。
【0015】
免疫細胞又は免疫細胞の集団を同定及び計数する方法は、フェノタイピング又は免疫フェノタイピングとして、当業者には周知であり、且つ典型的には、本明細書においてはFACs又はFACs分析とも称される、フラックスサイトメトリーを基にしている。免疫フェノタイピングは、関心対象の様々な集団の存在、絶対数及び/又は比率を同定することを目的とした、細胞の不均一集団の分析である。発蛍光団-複合型抗体は、これらの細胞により発現された本明細書においてバイオマーカーとも称される特異的抗原(通常、細胞の連絡、接着、又は代謝に関与した機能性膜タンパク質)を検出することにより、不均一な単独の細胞集団内の細胞の個別の亜集団の同定、特徴決定及び定量に使用される。簡単に述べると、生物学的試料などの、免疫細胞を含むと予想される試料が、細胞表面に存在するか又は細胞により分泌されると予想されるバイオマーカーに特異的な発蛍光団-複合型抗体と接触させられる。次に、細胞は装置を通って流れるので、実時間で懸濁液中の細胞の物理特性及び蛍光特性を分析する光学、レーザーベースの装置を用いて、試料が分析される。そのような方法は、当該技術分野において常法であり、且つPitoisetら(Deep phenotyping of immune cell populations by optimized and standardized flow cytometry analyses. Cytometry A. 2018 Aug;93(8):793-802. doi: 10.1002/cyto.a.23570. Epub 2018 Aug 31. PMID: 3016889)、Streitzら(Standardization of whole blood immune phenotype monitoring for clinical trials: panels and methods from the ONE study. Transplant Res. 2013 Oct 25;2(1):17. doi: 10.1186/2047-1440-2-17. PMID: 24160259; PMCID: PMC3827923.)、又はHasanら(Milieu Interieur Consortium. Semi-automated and standardized cytometric procedures for multi-panel and multi-parametric whole blood immunophenotyping. Clin Immunol. 2015 Apr;157(2):261-76. doi: 10.1016/j.clim.2014.12.008. Epub 2015 Jan 6. PMID: 25572534)により公表された記事など、当業者が参照することができる様々な刊行物において、様々な発蛍光団を使用し、詳細に説明されている。
【0016】
本発明の状況において、用語「末梢血単核細胞」、同じく「PBMSc」又は「総PBMCs」は、当該技術分野において一般に理解されるように解釈され、これは円形核を有する任意の及び全ての末梢血細胞、すなわちリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単球を言う。PBMCを単離する方法は、当該技術分野において周知であり、且つこれらの細胞は、全血から、PBSにより希釈し、ファルコンチューブ内で等容積のフィコール上に静かに重ね、ブレーキを使わず400~500gで30~40分間遠心分離し、入手することができる。4つの層が形成され、各々異なる細胞型を含み-最上層は、血漿を含み、これはピペッティングにより除去することができる。単離されたPBMCの生存度、濃度比及び/又は絶対数は、血球計を使用しトリパンブルー(TB)により手動計数するか、或いは自動細胞計数機を使用し、測定することができる。
【0017】
本発明の状況において、用語「B細胞」は、当該技術分野において一般に理解されるように解釈され、これは骨髄において生成され及び体液性反応に関与した免疫系の細胞を言う。当該技術分野において公知のように、B細胞は、これらの細胞により分泌された特異的表現型のバイオマーカーの存在により、同定することができる。本発明の状況において、用語「B細胞」は、細胞が従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有する細胞集団を称する。好ましくは、この用語は、循環B細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するB細胞を指す。
【0018】
本発明の状況において、用語「CD19B細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD19を有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環CD19B細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD19B細胞を指す。
【0019】
本発明の状況において、用語「CD20B細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD20を有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環CD20B細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD20B細胞を指す。
【0020】
本発明の状況において、用語「活性化B細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD20、CD19、CD69を有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環活性化B細胞とも称される、患者の循環血液中に存在する活性化B細胞を指す。
【0021】
本発明の状況において、用語「ナイーブB細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD20、CD19、IgD、CD27を有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環ナイーブB細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するナイーブB細胞を指す。
【0022】
本発明の状況において、用語「メモリーB細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD20、CD19、CD27を有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環メモリーB細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するメモリーB細胞を指す。
【0023】
本発明の状況において、用語「CD19メモリーB細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD19を有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環CD19メモリーB細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD19メモリーB細胞を指す。
【0024】
本発明の状況において、用語「短命な形質細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD19dim、CD20-/dim、CD27brightを有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環する短命な形質細胞とも称される、患者の循環血液中に存在する短命な形質細胞を指す。
【0025】
本発明の状況において、用語「Breg」又は「Breg細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD19、CD24bright、CD38brightを有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環Breg細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するBreg細胞を指す。
【0026】
本発明の状況において、用語「CD38bright形質細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD19dim、CD20、CD38brightを有する細胞を指す。好ましくは、この用語は、循環CD38bright形質細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD38bright形質細胞を指す。
【0027】
本発明の状況において、用語「移行期B細胞」は、本明細書に規定されたようなB細胞、すなわち従来のFACS分析により規定される、表現型CD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56を有し;並びに更に表現型CD19、CD20、IgD、CD10、CD27を有する細胞を指す。循環ヒト移行期B細胞を同定する方法は、当該技術分野において周知であり、且つ特にSimsらにより詳述されている(Identification and characterization of circulating human transitional B cells. Blood. 2005;105(11):4390-4398. doi:10.1182/blood-2004-11-4284)。好ましくは、この用語は、循環移行期B細胞とも称される、患者の循環血液中に存在する移行期B細胞を指す。
【0028】
本発明の状況において、用語「CD4ナイーブ」又は「CD4ナイーブT細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD4ナイーブT細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD4ナイーブを指す。
【0029】
本発明の状況において、用語「CD4セントラルメモリー」又は「CD4セントラルメモリーT細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD4セントラルメモリーT細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD4セントラルメモリーT細胞を指す。
【0030】
本発明の状況において、用語「CD4エフェクターメモリー」又は「CD4エフェクターメモリーT細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD4エフェクターメモリーT細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD4エフェクターメモリーT細胞を指す。
【0031】
本発明の状況において、用語「CD8ナイーブ」又は「CD8ナイーブT細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD4、CD8、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD8ナイーブT細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD8ナイーブT細胞を指す。
【0032】
本発明の状況において、用語「CD8セントラルメモリー」又は「CD8セントラルメモリーT細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD4、CD8、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD8セントラルメモリーT細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD8セントラルメモリーT細胞を指す。
【0033】
本発明の状況において、用語「CD8エフェクターメモリー」又は「CD8エフェクターメモリーT細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD4、CD8、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD8エフェクターメモリーT細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD8エフェクターメモリーT細胞を指す。
【0034】
本発明の状況において、用語「CD8 TEMRA」又は「CD8 TEMRA T細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD4、CD8、CD45RA、CCR7を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD8 TEMRA T細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD8 TEMRA T細胞を指す。
【0035】
本発明の状況において、用語「Th1」又は「Th1細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CCR7-/+、CXCR3を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環Th1細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するTh1細胞を指す。
【0036】
本発明の状況において、用語「Treg」又は「Treg細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CD25bright、CD127dim/-を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環Treg細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するTreg細胞を指す。
【0037】
本発明の状況において、用語「Th17」又は「Th17細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CD45RA、CCR7-/dim、CCR6、CD146を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環Th17細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するTh17細胞を指す。
【0038】
本発明の状況において、用語「Th2」又は「Th2細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型CD3、CD8、CD4、CXCR3、CCR6を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環Th2細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するTh2細胞を指す。
【0039】
本発明の状況において、用語「NKp46 NK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19、CD3、CD16CD56、CD335を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環NKp46 NK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するNKp46 NK細胞を指す。
【0040】
本発明の状況において、用語「CD16 NK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19-、CD3、CD16CD56を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD16 NK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD16 NK細胞を指す。
【0041】
本発明の状況において、用語「CD16brightCD56dimNK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19、CD3、CD56dim、CD16brightを有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD16brightCD56dimNK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD16brightCD56dimNK細胞を指す。
【0042】
本発明の状況において、用語「CD16dimCD56brightNK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19、CD3、CD56bright、CD16-/+を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD16dimCD56brightNK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD16dimCD56brightNK細胞を指す。
【0043】
本発明の状況において、用語「CD16CD56dimNK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19、CD3、CD56dim、CD16を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD16CD56dimNK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD16CD56dimNK細胞を指す。
【0044】
本発明の状況において、用語「CD16CD56NK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19、CD3、CD56、CD16+-を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD16CD56NK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD16CD56NK細胞を指す。
【0045】
本発明の状況において、用語「CD16CD56NK細胞」は、従来のFACS分析により規定される、表現型SSClow、CD45、CD19、CD3、CD56、CD16+-を有するリンパ球を指す。好ましくは、この用語は、循環CD16CD56NK細胞とも称される、患者の循環血液中に存在するCD16CD56NK細胞を指す。
【0046】
B. クラドリビン再治療の決定又はDMDスイッチを支援するバイオマーカー(免疫シグネチャー)
自己免疫疾患、好ましくは自己免疫性神経系疾患及び神経炎症疾患の最新療法は、患者が、いつ治療するか及びどの治療薬又は医薬品でいつ治療するかの決定を含む、特定の治療又は治療スケジュールに適しているかどうかを決定することが不可能である点で悩まされている。従って患者の免疫系が、特定の治療薬、医薬品、治療及び/又は治療スケジュールに対し適切に反応する(又はしない)かどうかを、決定する、好ましくは予め決定又は予測する高い医学的必要性が存在する。この状況において、臨床医が、治療/再治療するかしないか、及び治療する場合は、いつ治療するか、いつ再治療するか及び/又はどの治療薬もしくは医薬品を使用するかについて、妥当な決断を下すことを可能にする、疾患活動化又は疾患再燃の予測を可能にするバイオマーカーについても、高い必要性が存在する。本発明は好ましくは、1又は複数のこれらの医学的必要性に対処している。
【0047】
好ましくは、組成物及び/又は方法は、自己免疫疾患、好ましくは自己免疫性神経系疾患、好ましくは自己免疫性脱髄疾患、神経炎症疾患、自己免疫性筋肉障害(RMS及びPMS、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)、マリー-トゥース病(CMT)、副腎白質ジストロフィー(ALD)、急性散在性脳炎(ADEM)、巨細胞性動脈炎、多病巣性運動ニューロパチー、多発性筋炎、糖尿病性ニューロパチー)から選択される1又は複数の疾患を含むものに罹患した個体のために提供される。
【0048】
より好ましくは、組成物及び/又は方法は、自己免疫疾患、好ましくは自己免疫性神経系疾患、神経炎症疾患、好ましくは自己免疫性脱髄疾患、自己免疫性神経系疾患及び/又は自己免疫性脱髄疾患を含むもの、好ましくは多発性硬化症(MS)及び/又は多発性硬化症スペクトラム障害(MSSD)、視神経脊髄炎及び/又は視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、重症筋無力症(MG)、マリー-トゥース病(CMT)、副腎白質ジストロフィー(ALD)、急性散在性脳炎(ADEM)、巨細胞性動脈炎、多病巣性運動ニューロパチー、多発性筋炎、糖尿病性ニューロパチーから選択される1又は複数の疾患を含むものに罹患した個体のために提供される。
【0049】
組成物及び/又は方法は、以下の個体の情報及び/又は予測をもたらす群に分割される、MS(又は他の脱髄疾患及びAI神経学適応症)に罹患した個体のために提供される:
・治療に対し反応性、好ましくは1又は複数のDMD(疾患修飾薬)による治療に対し反応性、及び特にクラドリビンによる治療に対し反応性;
・(今後の)治療に対する反応性の欠如、好ましくは1又は複数のDMD(疾患修飾薬)による(今後の)治療に対する反応性の欠如、及び特にクラドリビンによる(今後の)治療に対する反応性の欠如;
・(過去の)治療に対する反応の喪失、好ましくは1又は複数のDMD(疾患修飾薬)による(過去の)治療に対する反応の喪失、及び特にクラドリビンによる(過去の)治療に対する反応の喪失:
並びに/又は
・(過去の)治療に対する反応の時期尚早な又は早期の喪失、好ましくは1又は複数のDMD(疾患修飾薬)による(過去の)治療に対する反応の時期尚早な又は早期の喪失、及び特にクラドリビンによる(過去の)治療に対する反応の時期尚早な又は早期の喪失;
・クラドリビン治療後3及び4年目の長期寛解後の、反応喪失及び疾患再燃。
【0050】
特に好ましくは、個別の個体における、個別の治療薬又は医薬品の効果的な免疫修飾治療作用、好ましくは個別のDMDの効果的な免疫修飾治療作用、及び特にクラドリビンの効果的な免疫修飾治療作用は、RMS集団における特異的B細胞、特異的T細胞及び/又はNK細胞亜型の持続された減少及び/又は再構成の特異的パターンを通じて媒介されることが示される。
【0051】
これらの特異的B細胞、T細胞及び/又はNK細胞亜型は、炎症促進性並びに疾患誘導及び増悪の可能性を伴う病理学的亜型、並びにMS及び他の自己免疫疾患、特に自己免疫性炎症疾患における免疫調節及び寛容の誘導において役割を果たす、抗炎症性表現型を伴う制御性亜型のいずれかに分割されることができる。免疫亜型は、当該技術分野において公知であり理解された方法により、好ましくは例えば、特異的CDマーカーを使用する蛍光-活性化細胞選別(FACS)、マスサイトメトリー(CyTOF、飛行時間型サイトメトリー)、抗体が蛍光色素ではなく重金属イオンタグにより標識されるフローサイトメトリーの変形、バイオインフォマティクスアルゴリズムを使用する免疫デコンボルーション法、又は当業者に公知であり理解された他の方法を使用する、当該技術分野において公知且つ理解された特異的細胞表面マーカーにより、同定され得る。患者の全血又は血液から単離されたPBMC(末梢血単核細胞)が、免疫細胞サブセットの同定に使用される。
【0052】
免疫サブセットの増加又は減少は、絶対レベルで、総末梢血単核細胞の百分率として、B細胞又はT細胞、例えばCD19もしくはCD20B細胞、CD4もしくはCD8T細胞に対する割合として測定されてよい。加えて増加は、健常対照に対して、治療前の同じ患者(ベースライン値)に対して、予め決定された標準に対して測定されてよい。
【0053】
驚くべきことに、本発明の状況において、単独の免疫細胞型又は複数の免疫亜型の組合せを含む「免疫シグネチャー」は、好ましくは以下のバイオマーカーとして役立つことがわかった:
・(今後及び/又は過去の)治療、好ましくは本明細書記載の治療に対する反応;
・治療、好ましくは本明細書記載の治療に対する(今後の)無反応;
並びに/又は
・(過去及び/又は今後)の治療、好ましくは本明細書記載の治療に対する有効性、反応及び/又は反応性の(早期の又は時期尚早な、後期の)喪失。
【0054】
例えば、反応又は有効性の欠如は好ましくは、特異的免疫亜型のそれぞれ増加した又は減少した数を測定することにより、又は病的、対、制御性のB、TもしくはNK亜型の変更された比により、又は該特異的免疫亜型のそれぞれ増加もしくは減少した枯渇により、又は予め決定された標準に対する病的、対、制御性のB、TもしくはNK亜型の変更された比により、モニタリングすることができる。
【0055】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは、該DMDによるMSの治療、及び特にクラドリビンによるMSの治療は:
i)個別のDMD治療の開始から数えて、該個体におけるメモリーB細胞の早期の持続した減少、好ましくは1ヶ月目及び/又は2ヶ月目の最急降下又は大きい減少を誘導し、その減少又は増加したレベルは、該個別のDMD治療の開始から数えて数ヶ月間、好ましくは1月目から12及び24月目まで持続されるか;
ii)該個体における制御性B細胞の持続した増加、好ましくは該治療の開始前のベースラインレベルを超える制御性B細胞の持続した増加を誘導し、ここで該持続した増加は好ましくは、個別のDMD治療の開始から数えて、2月目から14月目、及び特に3月目から12月目であるか;
並びに/又は
iii)該個体における移行期B細胞の持続した増加、好ましくは該治療の開始前のベースラインレベルを超える移行期B細胞の持続した増加を誘導し、ここで該持続した増加は好ましくは、個別のDMD治療の開始から数えて、2月目から14月目、及び特に3月目から12月目である。この特徴的パターン/免疫シグネチャーは、好ましくは、該DMD治療に対する耐久有効性反応の発現と相関するか又はこれを示しており、有効性反応は、好ましくは、クラドリビンの2回目の毎月の治療コース後2もしくは3ヶ月目に組み込まれ、並びに好ましくは少なくとも12ヶ月間留まる。従ってこの特徴的パターン/免疫シグネチャーは、最大12ヶ月持続し且つ該個体における該DMDによる治療の耐久作用の指標又は予測である。この特徴的パターン/免疫シグネチャーは、好ましくは、MRIにより測定された、延長された(6~12月目)DMD有効性が続くか又はこれの指標である:ことが示される。
【0056】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは該DMDによるMSの治療及び特にクラドリビンによるMSの治療は、2~12月目からの形質芽細胞/形質細胞(AB産生及びコンパートメント化された炎症の形成に関与した短命な形質芽細胞及びCD38形質細胞)の持続された減少を示すことが示される。従ってこの特徴的パターンは、長期反応の予測のための指標である。
【0057】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは該DMDによるMSの治療及び特にクラドリビンによるMSの治療は、CLARITY第3相における、初回クラドリビン治療後96週目、対、未治療対照で、免疫デコンボルーション法により確定された形質細胞シグネチャーの減少した比を誘導し、これはクラドリビン後96週目での長期反応の予測の指標である、MRI活性パラメータと相関することが示される。
【0058】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは該DMDによるMSの治療及び特にクラドリビンによるMSの治療は、好ましくは個別のDMD治療の開始から数えて、好ましくは3~12ヶ月間を通じて、抗炎症性制御性NK細胞(CD16lowCD56bright)の数には影響を及ぼさないか又は有意に影響を及ぼさないが、前炎症性NKエフェクター細胞(CD16brightCD56dim)を減少し、これは増大したNKCD56bright/NKCD56dimのNK細胞比(0.8対1.4)に繋がることが示される。この比のおよそ1.5~2.5倍の増大は、治療に対する反応を裏付けている。
【0059】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは該DMDによるMSの治療及び特にクラドリビンによるMSの治療は、CD4及びCD8ナイーブ、セントラル及びエフェクターメモリーT細胞の、3及び6月目での最下点値を減少し、並びにMAGNIFY治験における12ヶ月目及びマベンクラッドCLARITY治験における96週目の再増殖を制限した。2年目のクラドリビン治療後10ヶ月以降の耐久性反応をモニタリングする新規バイオマーカーとして、ナイーブT細胞は、CLARITY治験の96週におけるT細胞亜型を同定するために免疫デコンボルーションシグネチャーを使用するMRIパラメータと、有意な正の相関関係を示した。
【0060】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは該DMDによるMSの治療及び特にクラドリビンによるMSの治療は、各々、1~12月目及び3-12月目からの、病的メモリーB細胞及び形質芽/細胞(plasmablast/cells)の持続された減少を誘導する(各々ベースラインから>-70%及び>-50%)ことが示される。メモリーB細胞及び形質細胞の数の各々<-40%及び-20%への増加を生じるこれらの細胞の再増殖は、再治療マーカーとして役立つ有効性の喪失を例示するであろう。従って本発明はまた、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンによる治療に対する、好ましくは自己免疫性神経疾患及び神経炎症疾患から選択される、自己免疫疾患を有する患者の反応をモニタリングする方法にも関し、該方法は、以下を含む:
a. 患者由来の第一及び第二の生物学的試料中の:
- 総PBMC;
- CD19B細胞;
- CD19メモリーB細胞;
- ナイーブB細胞;
- CD4セントラルメモリーT細胞;
- CD4エフェクターメモリーT細胞;
- Treg;
- Teff;
- Breg;
- メモリーB細胞;
- CD16dimCD56brightNK細胞;
- CD16brightCD56dimNK細胞;
- 移行期B細胞:
のいずれかの絶対数を得ることであって、ここで:
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19B細胞の絶対数の増加、又はCD19B細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19メモリーB細胞の絶対数の増加、又はCD19メモリーB細胞の絶対数の30%以下の減少;並びに/又は
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のナイーブB細胞の絶対数の増加、又はナイーブB細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の増加、又はCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の20%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の増加、又はCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の10%以下の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のTeff絶対数に対するTreg絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ第二の生物学的試料中の、メモリーB細胞の絶対数に対するBreg細胞の絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ第二の生物学的試料中の、CD16brightCD56dimNK細胞の絶対数に対するCD16dimCD56brightNK細胞の絶対数の比の減少;
- 第二の生物学的試料中の0.05%~1%の総PBMCに対するメモリーB細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の3%~14%、好ましくは1%~10%の、総PBMCに対するBreg細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の1よりも大きい又は等しい、好ましくは1~3から成る、移行期B細胞:メモリーB細胞の比:
のいずれかは、治療に対する患者の準最適な反応の指標である。
【0061】
好ましくは、この第一の生物学的試料は、個別のDMDに関して、初回投与又は投与期間の前に収集された試料である。
【0062】
好ましくは、この第二の生物学的試料は、治療の初回投与の開始後、及び(i)治療コース時、又は(ii)治療の最終投与後に収集された試料である。より好ましくは、第二の生物学的試料は、個別のDMDに関して、初回投与又は投与期間の開始から、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも2ヶ月で収集された試料である。
【0063】
実施態様において、第二の生物学的試料は、個別のDMDに関して、初回投与又は投与期間の開始から1~12ヶ月内に収集された試料である。別の実施態様において、第二の生物学的試料は、個別のDMDに関して、初回投与又は投与期間の開始から13~24ヶ月内に収集された試料である。
【0064】
本発明の方法の状況において、絶対数を得る工程a)は、別の方法により該第一及び第二の試料のインビトロ分析により先に作製されたデータを得ることにより実行されるか、又は本方法の能動的工程として該絶対数を決定することにより実行されることができる。
【0065】
従って本発明はまた、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンによる治療に対する、好ましくは自己免疫性神経疾患及び神経炎症疾患から選択される、自己免疫疾患を有する患者の反応をモニタリングする方法にも関し、該方法は、以下を含む:
b. 患者から第一の生物学的試料を得ること;
c. 患者から第二の生物学的試料を得ること;
d. 第1及び第二の生物学的試料中の:
- 総PBMC;
- CD19B細胞;
- CD19メモリーB細胞;
- ナイーブB細胞;
- CD4セントラルメモリーT細胞;
- CD4エフェクターメモリーT細胞;
- Treg;
- Teff;
- Breg;
- メモリーB細胞;
- CD16dimCD56brightNK細胞;
- CD16brightCD56dimNK細胞;
- 移行期B細胞:
のいずれかの絶対数を決定することであって、ここで:
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19B細胞の絶対数の増加、又はCD19B細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19メモリーB細胞の絶対数の増加、又はCD19メモリーB細胞の絶対数の30%以下の減少;並びに/又は
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のナイーブB細胞の絶対数の増加、又はナイーブB細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の増加、又はCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の20%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の増加、又はCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の10%以下の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のTeffの絶対数に対するTregの絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ第二の生物学的試料中の、メモリーB細胞の絶対数に対するBreg細胞の絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ第二の生物学的試料中の、CD16brightCD56dimNK細胞の絶対数に対するCD16dimCD56brightNK細胞の絶対数の比の減少;
- 第二の生物学的試料中の0.05%~1%の総PBMCに対するメモリーB細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の、3%~14%、好ましくは1%~10%の総PBMCに対するBreg細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の1よりも大きい又は等しい、好ましくは1~3から成る移行期B細胞:メモリーB細胞の比:
のいずれかは、治療に対する患者の準最適な反応の指標である。
【0066】
本発明に従い患者の反応をモニタリングする方法は、治療の過程において有益に統合されてよい。
【0067】
従って本発明はまた、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンによる治療に対する、好ましくは自己免疫性神経疾患及び神経炎症疾患から選択される、自己免疫疾患を有する患者の反応を治療する方法にも関し、該方法は、以下を含む:
a. 患者から第一の生物学的試料を得ること;
b. 患者へ治療を投与すること;
c. 患者から第二の生物学的試料を得ること;
d. 第1及び第二の生物学的試料中の:
- 総PBMC;
- CD19B細胞;
- CD19メモリーB細胞;
- ナイーブB細胞;
- CD4セントラルメモリーT細胞;
- CD4エフェクターメモリーT細胞;
- Treg;
- Teff;
- Breg;
- メモリーB細胞;
- CD16dimCD56brightNK細胞;
- CD16brightCD56dimNK細胞;
- 移行期B細胞:
のいずれかの絶対数を決定することであって、ここで:
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19B細胞の絶対数の増加、又はCD19B細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD19メモリーB細胞の絶対数の増加、又はCD19メモリーB細胞の絶対数の30%以下の減少;並びに/又は
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のナイーブB細胞の絶対数の増加、又はナイーブB細胞の絶対数の30%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の増加、又はCD4セントラルメモリーT細胞の絶対数の20%以下の減少;
- 第一の生物学的試料と比べ、第二の生物学的試料中のCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の増加、又はCD4エフェクターメモリーT細胞の絶対数の10%以下の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ、第二の生物学的試料中のTeffの絶対数に対するTregの絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ第二の生物学的試料中の、メモリーB細胞の絶対数に対するBreg細胞の絶対数の比の減少;
- 第一の生物学的試料のその比と比べ第二の生物学的試料中の、CD16brightCD56dimNK細胞の絶対数に対するCD16dimCD56brightNK細胞の絶対数の比の減少;
- 第二の生物学的試料中の0.05%~1%の総PBMCに対するメモリーB細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の、3%~14%、好ましくは1%~10%の総PBMCに対するBreg細胞の百分率;
- 第二の生物学的試料中の1よりも大きい又は等しい、好ましくは1~3から成る、移行期B細胞:メモリーB細胞の比:
のいずれかは、治療に対する患者の準最適な反応の指標である。
【0068】
本発明の状況において、この治療に対する患者の準最適な反応の指標は、治療の短期有効性及び/又は長期有効性の欠如などの、治療の有効性の欠如を示し、並びに治療に対する患者の準最適な反応の指標の欠如は、例えば治療の短期有効性及び/又は長期有効性などの、治療の有効性を示す。
【0069】
好ましくは、本発明の方法により決定された治療の有効性の欠如の指標は、好ましくは該有効性の欠如の該指標の決定後、1~12ヶ月以内の、該患者に関する該DMDによる追加投与期間、別のDMDへのスイッチ、及び/又は1又は複数の追加の治療選択肢の適用を正当化し、且つ短期有効性の指標は、該患者に関する該DMDの追加投与期間、又は別のDMDもしくは他の治療選択肢へのスイッチを必要としない。細胞ではなく、クラドリビンの初回投与量後3又は6ヶ月でのCD4及びCD8(CD4TH1細胞及びCD8TH17細胞を含む)は、12ヶ月目(M12)に、年内に完全クラドリビン有効性に達するような再治療の必要性の指標であることがわかるレベルへ回復する。
【0070】
従って先に説明された方法は更に、クラドリビンによる再治療、クラドリビンの追加量及び/又はより高い投与量、又は異なるDMDの投与を、その治療に対し準最適な反応を伴う患者へ投与する工程を含んでよい。
【0071】
本発明の状況において、クラドリビンによる再治療は、好ましくは、クラドリビンを含有する製剤の経口投与を含むか又はこれからなり、ここでこの製剤は、以下の連続工程:
(i)該クラドリビン製剤が投与される導入期間であって、ここでこの導入期間の最後に到達したクラドリビンの総投与量は、約1.7mg/kg~約3.5mg/kgである、導入期間;
(ii)クラドリビン製剤が投与されない、約8~約10ヶ月間のクラドリビン-フリー期間;
(iii)該クラドリビン製剤が投与される維持期間であって、ここでこの維持期間の終了時に到達したクラドリビンの総投与量は、導入期間(i)の終了時に到達したクラドリビンの総投与量よりも少ない、維持期間;並びに
(iv)クラドリビン製剤が投与されない、クラドリビン-フリー期間
に従い、経口投与される。
【0072】
本発明に従い、好ましくは、個体における、DMDによる該自己免疫疾患の治療、好ましくは該DMDによるMSの治療及び特にクラドリビンによるMSの治療は、CD4及びCD8エフェクター細胞と比べ、CD4Treg細胞及びCD8TEMRA細胞に及ぼす影響が少なく、このことは増大したTreg/Teff比は、長期有効性に関連した耐性誘導を示唆していることが示される。
【0073】
C. 形質芽/細胞が関与した特異的MS集団及び他のAI/神経炎症疾患におけるクラドリビンの使用
MSは、治療に余り良く反応しない不均一な疾患及び特異的集団である。最新のDMDは、直接及び間接に、より重度のMS疾患の指標である、形質芽細胞及び形質細胞の亜型を標的化しない(Tellesfordら、2020)。本発明は、この必要性に対処する。
【0074】
本発明に従い、好ましくは、個体における、クラドリビンによるMS治療は、短命な形質芽細胞及びCD38形質細胞を減少することが示され、並びにこれらの形質細胞亜集団への直接作用は、DMDクラドリビンによる治療開始前に、シングリックスワクチンを2回接種したMS患者からの血液データにより、更に裏付けられる。該クラドリビン治療の開始1週間前に与えられた2回目のシングリックス投与量の後、この患者は、急性の形質細胞反応を生じ、並びにMS患者に対する血液中の増大した形質細胞数は、クラドリビン治療により減少された(ワクチン特許を引用)。これらの知見は、クラドリビンは、特に脳脊髄液内に生じる場合、自己抗体産生及び直接の細胞毒性により、疾患病理に関連している、形質芽細胞及びCD38形質細胞に直接影響を及ぼし且つ減少することができることを指摘している。
【0075】
MSにおいて本発明者らが発見したことはまた、他の疾患についても重要である。潜在的に形質細胞/形質芽細胞が、本発明者らが形質細胞に直接影響を及ぼす治療、好ましくはクラドリビン治療から恩恵があると判断する、疾患活動及び疾患経過に関与する、様々なAI及び神経炎症疾患が存在する。前述の形質芽細胞及びクラドリビン使用の可能性に関与した好ましい疾患のリストは、多病巣性運動ニューロパチー(MMN)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、ギラン-バレー症候群(GBS)、封入体筋炎(IBM)、重症筋無力症(MG)、及び/又は視神経脊髄炎(NMO)を含むが、これらに限定されるものではない。更に、形質芽細胞に潜在的に関与し、結果的にクラドリビン使用の可能性もある疾患のリストは、巨細胞性動脈炎(GCA)、多発性筋炎、顕微鏡的多発脈管炎(MPA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及び/又はCNS血管炎(CNSV)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0076】
本発明者らは更に、B細胞及び自己抗体が役割を果たす多くの疾患において、形質芽/細胞は、価値のある治療標的であることのエビデンスを発見し、その理由はこれらの細胞集団は、自己抗体産生に関係づけられ、並びにクラドリビンは、短命な及びCD38形質細胞に対するその直接の枯渇作用のためにDMDの選択肢となるからである。自己-抗体及びその結果クラドリビンの使用の可能性が関与する好ましい疾患のリストは、急性散在性脳炎(ADEM)、巨細胞性動脈炎(GCA)、多病巣性運動ニューロパチー(MMN)、多発性筋炎、副腎白質ジストロフィー(ALD)、抗-MAG末梢性ニューロパチー、シャルコー・マリー・ツース病(CMT)、糖尿病性ニューロパチー、前頭側頭型認知症(FTD)、ギラン-バレー症候群(GBS)、橋本脳障害(HE)、グレーヴス病(GD)、ハンチントン病(HD)、封入体筋炎(IBM)、顕微鏡的多発脈管炎(MPA)、重症筋無力症(MG)、及び/又は視神経脊髄炎(NMO)を含むが、これらに限定されるものではない。更に、B細胞に関与した疾患、又はB細胞枯渇療法が治療を示し、それにより同じくクラドリビン使用の可能性のある疾患のリストは、好ましくは巨細胞性動脈炎(GCA)、多病巣性運動ニューロパチー(MMN)、多発性筋炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、抗-MAG末梢性ニューロパチー、封入体筋炎(IBM)、顕微鏡的多発脈管炎(MPA)、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)、神経サルコイドーシス、及び/又はCNS血管炎(CNSV)を含むが、これらに限定されるものではない。従って本発明は、短期形質芽細胞及び/又はCD38形質芽細胞の減少を必要とする患者、好ましくは自己免疫疾患を有する患者において、短期形質芽細胞及び/又はCD38形質芽細胞を減少する方法に関与しており、該方法は、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンを、該患者へ投与することを含む。別の表現では、本発明は、短期形質芽細胞及び/又はCD38形質芽細胞の減少を必要とする患者、好ましくは自己免疫疾患を有する患者において、短期形質芽細胞及び/又はCD38形質芽細胞の減少において使用するための、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンにも関与している。
【0077】
本発明の状況において、短期形質芽細胞及び/又はCD38形質芽細胞を減少する必要性のある患者は、自己免疫疾患、更に好ましくは多発性硬化症(MS)及び/もしくは多発性硬化症スペクトラム障害(MSSD)、視神経脊髄炎及び/もしくは視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、重症筋無力症(MG)、マリー-トゥース病(CMT)、副腎白質ジストロフィー(ALD)、急性散在性脳炎(ADEM)、巨細胞性動脈炎、多病巣性運動ニューロパチー、多発性筋炎、糖尿病性ニューロパチー、前頭側頭型認知症(FTD)、ギラン-バレー症候群(GBS)、橋本脳障害(HE)、グレーヴス病(GD)、ハンチントン病(HD)、封入体筋炎(IBM)、顕微鏡的多発脈管炎(MPA)からなるリストから選択される自己免疫疾患を有する患者である。
【0078】
本発明の好ましい態様は、MS及び他のAI/神経炎症疾患、好ましくは炎症性及び/又は脱髄性自己免疫疾患、及び特にMSにおける、病的及び制御性B細胞及びT細胞亜型の新たにわかった役割である。
【0079】
MSは、ミエリンの喪失、同時に軸索及び神経の変性に繋がる、CNSの慢性炎症性脱髄性疾患と考えられる。歴史的に、MSを誘導すると考えられた因子は、遺伝因子及び環境因子、並びに感染症に加え、病原性Th1、Th17、及びCD8ミエリン自己-反応性T細胞の活性化を含む。
【0080】
免疫応答フィードバックは、免疫平衡を維持する重要な機序であると考えられる。非限定的に多発性硬化症(MS)を含む多くの炎症疾患は、免疫不均衡の顕著な例である。免疫系の主要成分として、B細胞は、抗体及びサイトカインなどのエフェクター分子を通じて、並びに抗原-提示を通じて、先天性免疫及び獲得免疫における正及び負の両方の役割を果たす。他方で、B細胞は、いくつかの潜在的に負のプロセス、例えば免疫応答の増幅などを媒介する。機構的に、これらは、エフェクター抗体を分泌する形質芽細胞に分化し、並びに抗原提示及び/又は炎症性サイトカインの産生を通じて、エフェクターT細胞反応を調節することができる。加えて病原体及び自己抗原に対する免疫応答を制御するB細胞のサブセットも存在する。これらの制御性B細胞は、自己免疫疾患及び感染症、並びに癌における治療的処置の中心的標的である。
【0081】
最近、B細胞及びB細胞サイトカインを標的化する抗-CD20療法(リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、及びタバルマブ)、並びにB細胞及びT細胞を選択的に標的化するクラドリビンは、MS疾患活動を抑制することが示されている。更にMSにおけるB細胞枯渇は、B細胞により産生される自己-抗体及び炎症促進性サイトカインを減少し、並びに抗原提示を損なうことができる。B細胞及び形質芽/細胞の浸潤は、MS患者の脳組織において認められ、並びに少クローン性バンド(クローン性IgG)及び抗体-分泌する形質細胞が、脳脊髄液中に発見された。髄膜の異所性B細胞濾胞は、二次進行型MSの進行に関与し、及びそれにおいて増加することは明らかである。B細胞は、自己免疫の病原性に中心的に関与し、抗体産生及び抗原提示を通じたT細胞活性化への貢献など、多様な作用を発揮する。抗体分泌細胞(ASC)は、形質芽細胞及び成熟形質細胞への分化を通じ、抗体産生への代謝及びタンパク質プロセッシング機序に専念する一連の抗原-活性化されたB細胞を表す。実際、抗原-経験したB細胞由来のASCとしての、形質芽細胞及び形質細胞は、MS病態形成の炎症及び神経変性の両局面、並びに好ましくは他の炎症性及び/又は脱髄性自己免疫疾患の重要な駆動者であるように見える。ASCは、活性ガドリニウム-増強性疾患時に、CSF内でエンリッチされ、ASC-由来の髄腔内IgGは、CNS萎縮と相関し、且つIgM-産生するASCは、攻撃性の疾患経過に関連している。ASCスペクトルにわたる不均一性にもかかわらず、これらの細胞は、CD27及びCD38について明るく陽性であるとして集合的に同定され得る。
【0082】
B細胞及びT細胞は、複数の炎症促進性作用を発揮するが、MS及び他のAI疾患の病態形成をより複雑にするそれらの役割をもたらす制御性機能も有する。B細胞は、抗原提示及び抗体産生に加え、IL-10-依存型及び-非依存型の機序を通じて、免疫制御及び免疫寛容の誘導において役割を果たすこともわかっている。様々なB細胞サブセットが、制御性B細胞(Breg)として明らかにされており、CD19CD24hiCD38hi発現B細胞及び/又はCD45bright、SSClow、CD3、CD14、CD56、CD19、CD24bright、CD38brightは、主要なIL-10-発現するサブセットとして同定されている(「bright」及び「hi」は、別に明確に指定されない場合は、好ましくは同義語として使用される)。Bregは通常、炎症に対する反応において誘導され且つ維持され、並びに免疫調節及び増強された免疫応答の抑制に参画する。Bregの制御性作用は、炎症、自己免疫疾患、移植反応、及び抗-腫瘍免疫などの様々なモデルにおいて説明された。しかし1990年代後期に2つの独立した研究が、B細胞-欠損群において悪化された自己免疫疾患(実験的自己免疫型脳脊髄炎(EAE)及び慢性大腸炎)を明らかにし、Bregの更なるエビデンスを提供し、炎症を抑制するそれらの機能を示唆するまでは、これは説明されなかった。Bregは、異なる機序により、免疫系を制御する。主要な機序は、抗炎症性サイトカインであるインターロイキン10(IL-10)の産生である。IL-10は、強力な抗炎症作用を有し、且つこれは、T細胞により媒介された炎症反応、特にTh1又はTH17型免疫反応を阻害又は抑制する。このことは、例えば、MS(EAE、実験的脳脊髄炎)、RA、CIA(コラーゲン誘導性関節炎)又は接触性過敏症のモデルにおいて示された。
【0083】
別の抑制性Breg機序は、トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)の産生、並びに標的細胞の死滅を引き起こすFasL及び/又はPD-L1を含む細胞表面分子の制御を含む。
【0084】
移行期B細胞(TrB細胞)は、骨髄由来の、未熟なB細胞であり、これはまた、成熟B細胞の前駆体であると考えられる。TrB細胞は、健常個体における制御性B細胞亜集団の一つを表すが、循環中のCD24hiCD38hiTrB細胞の頻度は、多発性硬化症、視神経脊髄炎スペクトラム障害及び全身性紅斑性狼瘡などの、自己免疫疾患の個体において変更され得る。TrB細胞は、IL-10を産生し、且つCD4T細胞の増殖及びTへルパー(Th)エフェクター細胞への分化を制御する。本発明者らの最新の理解に従い、現時点のヒトCD19CD24hiCD38hiTrB細胞の主要機能は、以下である:第1に、TrB細胞により産生されたIL-10は、自己反応性のCD4T細胞増殖を抑制する。第2に、TrB細胞は、CD4Th1細胞の拡大(expansion)(IFN-γ及びTNF-α産生)並びにCD4Th17細胞の拡大(IL-17産生)を制限することにより、炎症促進性サイトカインの産生を抑制し、これは、IL-10、プログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)、CD80、及びCD86に依存するが、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)には依存しない。第三に、TrB細胞は、CD4T細胞が、Th1及びTh17細胞へ分化することを妨げ、並びにエフェクターCD4T細胞のCD4FoxP3Tregへの転換を促進する一方で、過剰な炎症促進性サイトカインの産生を制限する。最後に、TrB細胞は、CD8T細胞反応を阻害し、且つインバリアントナチュラルキラーT(iNKT細胞を維持する。
【0085】
更に健常対照と比べ有意に少ないTrB細胞が、MS/臨床孤立症候群(CIS)を伴う個体又は患者、好ましくは個体又は患者の体液試料において検出された。TrB細胞同様に、MS/CIS症例の末梢血中の他の循環B細胞サブセット(ナイーブ、MZ様、及びメモリーB細胞)の頻度は、健常対照のそれと同等であった。NMOSDは、CNSを冒す特発性炎症性脱髄疾患であり、並びにアジア型MSの変種と従来考えられた、長軸に長い横断性脊髄炎(LETM)及び重度の視神経炎(ON)により臨床的に特徴付けられる。現在までに、NMOSDにおけるTrB細胞の役割を探求する、ごく少数の研究が実施されている。具体的には、MSを伴う個体よりもより少ないCD19CD24hiCD38hiTrB細胞が、NMOSDを伴う個体又は患者、好ましくは個体又は患者の体液試料において検出された。CD19CD27メモリーB細胞及び成熟B細胞の頻度は、NMOSD患者とHC患者の間で有意差はないが、CD19CD5CD1dhiBregの割合は、NMOSD患者において減少した。TrB細胞の比率は、AQP4-陽性群において、AQP4-陰性群よりもより低いことが明らかにされている。更に、全てのリンパ球の中でIL-10を発現する細胞の頻度は、MS患者及び健常個体におけるよりも、NMOSDを伴う個体又は患者、好ましくは個体又は患者の体液試料においてより低いことが報告された。このことは、TrB細胞及び/又はIL-10の減少に起因した、NMOSDにおけるTrB細胞の免疫調節機能の障害を、間接的に示している。
【0086】
従って循環血中のTrB細胞の数の変化により、特に健常対象と比較した循環血中のTrB細胞の数の減少により特徴付けられる自己免疫疾患、特に多発性硬化症(MS)を呈している対象への、疾患修飾薬(DMD)、特にクラドリビンの投与は、移行期B細胞及び/又は制御性B細胞の増加を提供する。
【0087】
従って本発明の別の局面は、患者における免疫寛容を調節するため、好ましくはそれを必要とする患者における免疫寛容を改善するための、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンの使用である。
【0088】
本発明は更に、移行期B細胞及び/又は制御性B細胞の増加を必要とする患者、好ましくは自己免疫疾患を有する患者において、移行期B細胞及び/又は制御性B細胞を増加させるための方法に関し、該方法は、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンを、該患者へ投与することを含む。本発明は、免疫寛容の改善を必要とする患者、好ましくは自己免疫疾患に罹患した患者において、好ましくは移行期B細胞及び/又は制御性B細胞を増加することにより、免疫寛容を改善するための方法に関し、該方法は、疾患修飾薬(DMD)、好ましくはクラドリビンを、該患者へ投与することを含む。
【0089】
本発明の状況において、移行期B細胞及び/又は制御性B細胞を増加する必要のある患者は、好ましくは多発性硬化症(MS)及び/又は多発性硬化症スペクトラム障害(MSSD)、視神経脊髄炎及び/又は視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)からなるリストから選択される、本明細書に規定されたような自己免疫疾患を有する患者である。
【0090】
Tregは当初、Sakaguchiらにより1995年に、抑制性活性を伴うCD4CD25T細胞サブセットとして同定された。これらは、自己免疫寛容の維持に必須であり、並びにそれらの障害は、自己免疫に結びつけられ、且つ数の減少、機能欠損及び炎症性エフェクター細胞への転換を含む。高発現CD25及び低発現CD127は、真正のヒトTregを特徴付ける主要な表現型マーカーである。胸腺における制御性CD4CD25T細胞の発達のための基本の転写因子としてのフォークヘッドボックスP3(FoxP3)の発見は、研究者達が、ほとんどのTregを正確に表現型決定することを助けた。現在、Tregは、CD4CD25FoxP3T細胞として又は(細胞表面CD127発現と逆相関したFoxP3として)CD4CD25CD127lo/-T細胞として、正確に同定されている。Tregは、エフェクター細胞の数及び機能を調節することにより、免疫系の制御において、中心的機能を果たすことがわかっている。従ってこれらは、自己免疫の症例などにおける、望ましくない自己反応性の免疫応答の抑制において、主要な役割を果たす。興味深いことに、Tregは、獲得免疫系及び先天性免疫系の両方を調節することができ、一旦活性化されたならば、これらは複数のレベルで及び様々な機序により、免疫応答を特異的に制御することが指摘されている。これらの抑制性機序は、細胞-細胞接触依存型抑制、阻害性サイトカイン(IL-10及びTGF-βなど)の放出、APC機能の調節、細胞溶解、代謝破壊、及びサプレッサー細胞の誘導もしくは「感染耐性」を含む、大きい群に組織化することができる。最新の研究は、先天性免疫系は、T細胞及びB細胞のエフェクター機能に影響を及ぼすことにより、MSの発症及び進行の両方において重要な役割を果たすことを示唆している。
【0091】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、細胞傷害活性及びそれらの炎症促進性及び抗‐炎症性サイトカイン及び増殖因子を分泌する能力を介して、先天性免疫のエフェクター機能及び制御機能の両方に寄与することがわかっている。それによりNK細胞が自己免疫応答に対する影響を有する機序は、自己反応性T細胞分化前の迅速なサイトカイン放出、並びに自己反応性T及びBリンパ球と抗原-提示細胞の間の相互作用の調節を含む。異なる機能の原因となるいくつかのNKサブセットが、同定されている。CD56の表面発現を基に、NK細胞は、エフェクター細胞(CD56 dim 又は制御性細胞(CD56 bright に分類されている。エフェクターNK細胞は、パーフォリン及びグランザイムの細胞内発現により特徴付けられ、これらは、標的細胞死に関与したタンパク質分解酵素である。これらは更に、CD56CD16(細胞傷害性エフェクター細胞)及びCD56CD3(NK T細胞)に細分され、これらは様々なサイトカインを産生し、且つ他の免疫細胞を制御する。逆に、CD56brightNK制御性細胞は、末梢血NK細胞の10%以下を占め、低レベルのパーフォリンを発現し、大量のサイトカインを分泌することができる。加えて、CD56CD16NK細胞は、ウイルス血症性のHIV及びC型肝炎ウイルス(HCV)に感染した個体において増加する、損なわれた細胞溶解機能を伴う欠損型NKサブセットである。NK細胞は、自己免疫疾患における先天性反応及び獲得反応の境界で、重要な役割を果たすことが示唆されている。細胞亜型及び環境に応じた、中枢神経系(CNS)の病原性及び防御性の両方の役割は、MS及びその動物モデルの実験的自己免疫型脳脊髄炎(EAE)における様々なNK亜集団が原因となっている。これを踏まえて、NK細胞株は、オリゴデンドロサイトの溶解を誘導することができる。加えてCNSに常在するNK細胞は、ミクログリア細胞と相互作用することにより、EAEにおけるTヘルパー型17(Th17)の分化を阻害することができる。MS患者は、他の神経系疾患(IND)と比べ、制御性/エフェクター(CD56bright/CD56dim)NK比の著しい増加を示すことがわかっている。CSF中のbright/dim比は、IND患者[0.43(0.25-1.28)、P=0.019]と比べた場合に、活動型MSにおいて比較的高く維持される[1.0(0.57-1.89)、中央値(25-75%四分位範囲)]。別の研究は、MS患者のCSF中のNK細胞の割合の変化を説明した。更に、IL-2Rα鎖上の結合部位(CD25)をブロックするヒト化されたモノクローナル抗体(mAb)であるダクリツマブの有益な作用は、CD56bright細胞の拡大に結びつけられている。制御性CD56brightNK細胞の拡大は、ダクリツマブ及びIFN‐βに対する良好な反応に結びつけられる一方で、CD56dim細胞は、免疫調節療法後に減少した。
【0092】
移行期B細胞及びBreg
B細胞は、自己免疫の病態形成に中心的に関与しており、抗体産生及び抗原提示を通じたT細胞活性化への寄与など、多様な作用を発揮する。B細胞はまた、T細胞増殖の抑制、並びにインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、及びインターロイキン(IL)-17などの、炎症促進性サイトカインの産生により、免疫学的機能も制御する。
【0093】
B細胞は、プレ-B細胞から、BM中の未熟細胞を通じて、末梢中の移行期細胞へ発達し、その後直線的経路(linear pathway)で末梢ナイーブ細胞へ発達する。移行期B細胞(TrB細胞)は、骨髄中の未熟B細胞と末梢の成熟B細胞の間の極めて重要な結びつきを表す。TrB細胞は、健常個体における制御性B細胞亜集団の一つを表すが、循環中のCD24hiCD38hiTrB細胞の頻度は、多発性硬化症、視神経脊髄炎スペクトラム障害、全身性紅斑性狼瘡、シェーグレン症候群、関節リウマチ、全身性硬化症、及び若年性皮膚筋炎などの、自己免疫疾患の個体において、変更されることがある。TrB細胞は、炎症状態下で制御的役割を果たすが、それらの機能障害の結果は、自己免疫疾患によって変わる。
【0094】
ヒトにおけるB細胞発達のプロセスは、マウスにおけるそれに類似している(HSCに起源のあるB細胞は、骨髄において処理され、そこでこれらは、重鎖及び軽鎖の再編成を受け、その後末梢コンパートメントに侵入する。HSCは最初に、共通のリンパ系前駆体に由来し、次にDJHエレメントにより可変(VH)遺伝子の隣接部位に続くD及びJセグメントの再編成を介して、プロ-B細胞へ発達する。プロ-B細胞は、μ-H-鎖遺伝子セグメントの再編成を介して、プレ-B細胞へ成熟し、これは代替軽鎖とカップリングする。軽鎖(V-L)の最初の再編成後、ヒトプレ-B細胞は、1又は2回の細胞分裂を受け、未熟B細胞へと発達し、これは最初にμ/κ又はκ/λ表面IgM受容体を発現する。これらの未熟T1 B細胞は、骨髄から遊出し、引き続き末梢においてT2 B細胞へ分化し、最終的にT3 B細胞を生じると考えられる。しかし、このプロセスに関する、いくつかの不一致も存在する。TrB細胞は、T1又はT2 B細胞段階のいずれかで、骨髄から離れることが可能であり、並びに一部のT1 B細胞は、骨髄においてT2 B細胞へ分化することができ、T1及びT2 B細胞サブセットの類似の比率が、正常なヒト骨髄において注記されると考えられる。マウスにおける先の知見と一致して、陽性及び陰性選択はまた、ヒトTrB細胞の発達も制御することができる。正常なヒト末梢血において、TrB細胞のおよそ40%は、自己反応性挙動を示し;それらが成熟ナイーブB細胞へ分化された場合には、その頻度は、20%まで低下される。TrB細胞成熟は、Btkを必要とし、このことは、B細胞受容体結合(BCR engagement)の可能性を明らかにし、且つこれは改善された生存を伴う。B細胞活性化因子(BAFF)は、未熟B細胞の選択及び非-自己反応性未熟B細胞のTrB細胞への分化を促進するが、ヒトTrB細胞発達におけるBAFFの役割は、議論の的である。一部の先行するデータは、BAFFは、ヒトTrB細胞に対する作用を有さないことを示しているが、これはマウスTrB細胞については効率的プロ生存因子として働く。一部のデータは、ヒトT1 B細胞増殖は、BAFFにより明らかに誘導されるが、ヒトT2 B細胞のそれよりも程度はより少ないことを指摘している。従って成熟ナイーブB細胞へのTrB細胞分化のプロセス時に、移行期B細胞(TrB細胞)の選択は、骨髄-由来の未熟B細胞であり、これはまた成熟B細胞の前駆体とも考えられる。TrB細胞は、健常個体における全てのCD19Bリンパ球のおよそ4%を占める。これらは、ヒト骨髄、末梢血、臍帯血、及び二次リンパ組織(すなわち、脾臓、扁桃腺、リンパ節、及び腸管関連リンパ組織[GALT]に存在する。)。
【0095】
CD24hiCD38hiTrB細胞は、表現型及び機能の類似性に関して、IL-10-産生する制御性B細胞(Breg)と密接に関連している。TrB細胞はまた、IL-10を産生し、並びにCD4T細胞の増殖及びTヘルパー(Th)エフェクター細胞への分化を制御することもできる。低頻度のTrB細胞は、多発性硬化症(MS)及び視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)を含む、神経免疫疾患を伴う患者において注目されている。これらは、いくつかの炎症疾患に関連し、且つ健常個体の循環並びに組織においても認められるので、TrB細胞は、免疫-防御機構において際立った機能を発揮すると考えられる。
【0096】
ヒトにおける移行期B細胞及びBregとの関係
ヒトTrB細胞は、2005年に最初に詳細に説明され、CD24hiCD38hi表現型により特徴付けられることが多い。ヒトCD24hiCD38hiTrB細胞は、末梢血中の全てのCD19B細胞のおよそ4%に当たり、並びに臍帯血中のB細胞のほぼ50%を構成し、及びそれらの比率は、幼年期に次第に減少する。ヒトTrB細胞はまた、GALTにおいても認められる。ヒトTrB細胞は、T1 B細胞、T2 B細胞、及びT3 B細胞を含む、3つのサブセットへ分けられる。
【0097】
2016年にSimonは、ヒトCD24hiCD38hiTrB細胞は、ただ1種のサブセットのみではなく、むしろCD27、IgM、IgD、CD10、CD21、及びCD32発現を基に4種のサブセットをも含むことを、最初に提唱した。T1-T3 B細胞は、低レベルのCD27を発現するのに対し、CD27TrB細胞は、CD27、CD24、及びCD38を高レベルで発現する。T1 B細胞において、IgM、CD10、及びCD32の発現は高いのに対し、IgD及びCD21のそれは低い。T2 B細胞は、中程度のIgM、IgD、CD10、及びCD32発現、並びに低いCD21発現を示す。しかしT3 B細胞は、IgM、IgD、CD10、CD21、及びCD32を低レベルで発現する。
【0098】
一部の研究は、CD27TrB細胞は、Breg型として働き、並びに単に移行期B細胞としてのみではないことを指摘した。Bregは、免疫寛容の維持及び免疫応答の調節に寄与する。現在、ヒトBregは、B細胞発達の異なる段階で注目されており、並びに様々なB細胞サブセット、すなわち、CD24hiCD38hi未熟TrB細胞、CD24hiCD38loCD27メモリーB細胞、及びCD24CD38CD27intIL-10を分泌する形質芽細胞からなる。ヒトIL-10を産生するBregは、CD24hiCD38hi未熟TrB細胞サブセット内でエンリッチされる。これらの知見は、ヒトTrB細胞とBregの間の関係を明らかにしている。
【0099】
移行期B細胞の主要機能
ヒトTrB細胞は、少量のIgを産生し、且つインビトロにおいて成熟B細胞よりも少ない分化、増殖、及び走化性を発揮する。移行期CD19CD24hiCD38hi表現型を伴うヒトIL-10+B細胞は、健常個体の末梢血中に認められる。この時点で発見されたヒトCD19CD24hiCD38hiTrB細胞の主要機能は、図2にまとめられている。第1に、TrB細胞により産生されたIL-10は、自己反応性CD4T細胞増殖を抑制する。第2に、TrB細胞は、CD4Th1細胞(IFN-γ及びTNF-α産生)並びにCD4Th17細胞(IL-17産生)の拡大を制限することにより、炎症促進性サイトカインの産生を抑制し、これは、IL-10、プログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)、CD80、及びCD86により左右されるが、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)により左右されない。第三に、TrB細胞は、CD4T細胞が、Th1及びTh17細胞に分化するのを防ぎ、並びにエフェクターCD4T細胞の、CD4FoxP3Tregへの転換を促進する一方で、過剰な炎症促進性サイトカインの生成を制限する。最後に、TrB細胞は、CD8T細胞反応を阻害し、且つインバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞を維持する。
【0100】
最新の知見は、異なる機能を有するTrB細胞の異なる亜集団を明らかにしている。例えば、T2/T3 B細胞は、CD4T細胞増殖を減少する著しい能力を有し(他の亜集団とは対照的に)、並びにCD27TrB細胞のみ、CD4T細胞によるTNF-α及びIFN-γ産生を有意に減少する。抗炎症性因子の産生に加え、TrB細胞は、IL-6及びTNF-αなどの、炎症促進性サイトカインを分泌することもできる。先行する研究からのデータは、SLE、SS、及び他の免疫疾患において上昇されるIL-6を産生するTrB細胞の頻度を示している。IL-6は、CD4T細胞のTregへの分化を制限し、且つ自己反応性のTh1/Th17 T細胞反応を誘導する。従って、TrB細胞により産生される炎症促進性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインは、それらの機能の安定性に影響を及ぼし得る。
【0101】
1)TrB細胞は、自己反応性のCD4T細胞の増殖を抑制する。
2)TrB細胞は、CD4T細胞のTh1及びTh17細胞への分化を妨げ、その結果過剰な炎症促進性サイトカイン(TNF-α、IFN-γ、及びIL-17)の産生を制限する。
3)TrB細胞は、エフェクターCD4T細胞のCD4FoxP3Tregへの転換を促進する。
4)TrB細胞は、CD8T細胞反応を阻害する。TrB細胞の抑制性機能は、IL-10の分泌に部分的に左右され、これはオートクリン様式で、CD86発現をダウンレギュレートすることができる。TrB細胞は、IL-6及びTNF-αなどの、炎症促進性サイトカインを分泌することもできる。TrB細胞における炎症促進性サイトカイン産生と抗炎症性サイトカイン産生の間の不均衡は、それらの機能の安定性に影響を及ぼすことがあり、従って免疫疾患の発症に参画する。
【0102】
MS及びEAEにおけるTrB細胞及びTrB-関連分子
MSは、CNSの慢性炎症性脱髄疾患と考えられ、軸索及び神経の変性を伴う、ミエリン喪失に繋がる。MSの病理学的特徴は、典型的には、時間的及び空間的散在性により特徴付けられる。組織学的に、MSを誘導すると考えられる因子は、遺伝因子、及び環境因子、並びに感染症に加え、病原性Th1、Th17、及びCD8ミエリン自己反応性T細胞を含む。
【0103】
この動物モデルの支援において、EAEもまた、ミエリン-特異的CD4T細胞及びCD8T細胞により誘導され得る。最近B細胞及びB細胞サイトカインを標的化する療法(リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、及びタバルマブ)は、MS疾患活動を抑制することが示された。更にMSにおけるB細胞枯渇は、B細胞により産生される自己-抗体及び炎症促進性サイトカインを減少し、並びに抗原提示を損ない得る。B細胞浸潤は、MS患者の脳組織において認められ、並びに少クローン性バンド(クローン性IgG)及び抗体-分泌する形質細胞が、脳脊髄液中に発見された。髄膜の異所性B細胞濾胞は、二次進行型MSにおいてフォーマット化された。まとめると、これらの知見は、MS病態形成におけるB細胞の関与明らかにしている。最新の研究は、EAEの抗-CD20治療後に事実上枯渇されたB細胞を示し、その後6~8週間後に、これらは次第に骨髄、脾臓、リンパ節、及び血液中に再び現れた。驚くべきことに、脾臓TrB及び濾胞性B細胞は、抗-CD20で治療されたEAEにおいては、治療後8週間にはほとんど存在しないことがわかった。
【0104】
MS病態形成とのそれらの関わりに加え、B細胞はまた、直接又は間接に、抗炎症性サイトカインを産生することによっても、免疫制御作用を発揮する。Bregは、免疫寛容の維持を補助することにより、MSにおいて制御性の役割を果たす。マウスにおいて、IL-10-産生するCD1dhiCD5B細胞は、EAEの開始及び発症の抑制において、他のB細胞よりも、より実質的な役割を果たす。TrB細胞は、機能性Breg細胞のかなりの割合を占める。有意により少ないTrB細胞が、MS/臨床孤立症候群(CIS)の患者において検出された。TrB細胞のそれと同様に、MS/CIS症例の末梢血中の他の循環B細胞サブセット(ナイーブ、MZ-様、及びメモリーB細胞)の頻度は、健常対照のそれと同等であった。
【0105】
一部のデータは更に、TrB細胞は、MSの初期相の間に、α4及びβ1インテグリン発現のアップレギュレーションにより、CNS中の炎症部位へのホーミングが可能であることを明らかにしている。フィンゴリモドで治療されたMS患者の末梢血中のTrB細胞は、メモリーB細胞及び成熟ナイーブB細胞よりも、より多くのIL-10及びより少ないTNF-αを産生し、並びに低レベルのCD80を発現した。関連研究は、IL-10、IL-35、TGF-β及びPD-L1の産生を通じて部分的に媒介されるBregの免疫制御性の役割を示している。EAEにおいて、CD40シグナル伝達は、IL-10コンピテンスの誘導に必要とされる。引き続き、IL-21は、IL-10を産生するB細胞の拡大並びにエフェクター細胞の生成を駆動する。IL-6を産生するB細胞は、EAE/MSの病態形成に関与している。IL-6の65%以上は、主にB細胞により産生され、これはEAEを増悪し、Th1及びTh17型の自己反応性T細胞反応を増強し、並びにTregの生成を阻害する。Breg同様、TrB細胞は、MS/EAEにおいて免疫制御性の役割を果たす。
【0106】
視神経脊髄炎スペクトラム障害におけるTrB細胞及びTrB-関連分子
NMOSDは、CNSを冒す特発性炎症性脱髄疾患であり、並びにアジア型MSの変種と従来考えられた、長軸に長い横断性脊髄炎(LETM)及び重度の視神経炎(ON)により臨床的に特徴付けられる。Lennonらは、MSと無関係のNMOを生じる、アクアポリン-4抗体(AQP4-Ab)又はNMO-IgGとして公知の、視神経脊髄炎(NMO)の血清マーカーを、最初に発見した。AQP4-Abの同定は、NMOスペクトラムを広げた。AQP4-Abは、NMOSDの病態形成に関与し、B細胞、T細胞、及び補体の存在に左右され、これらは恐らくNMOSDは液性免疫により主に媒介されることを示唆している。NMOSD症例は、SLE、SS、及び甲状腺炎などの他の自己免疫疾患と関連付けることができ、これは、NMOSDは、自己免疫疾患の機序に似ている機序に関与し得ることを暗示している。SLE及び他の自己抗体-媒介性免疫疾患のように、NMOSD症例は、中枢及び末梢のB細胞耐性チェックポイントの完全性の欠如を有する。加えて、損なわれた末梢B細胞耐性チェックポイントは、自己反応性B細胞の除去と干渉し、リザーバー自己-反応性の新規移住/移行期及び成熟ナイーブB細胞の増加に繋がり、並びにこのプロセスは、病原性抗-AQP4自己抗体の産生との関係がある。
【0107】
現在、ごくわずかな研究が、NMOSDにおけるTrB細胞及びTrB-関連分子の役割の探求を実施している。具体的には、より少ないCD19CD24hiCD38hiTrB細胞が、MS患者においてよりも、NMOSD患者において認められた。CD19CD27メモリーB細胞及び成熟B細胞の頻度は、NMOSDとHCの症例間では有意に異ならないが、NMOSD症例において、CD19 CD5 CD1 dhi Bregの割合は減少した。TrB細胞の比率は、AQP4-陰性群よりも、AQP4-陽性群においてより低いことが明らかにされた。更に、全てのリンパ球中のIL-10-発現するB細胞の頻度は、MS症例における及び健常個体における頻度よりも、NMOSD症例においてより低いことが報告されている。このことは間接的に、NMOSDにおけるTrB細胞の免疫調節機能の障害は、TrB細胞及び/又はIL-10の減少に起因することを示し;TrB細胞におけるIL-10産生は、ほとんどの研究において測定されなかった。NMOSD患者におけるリツキシマブ治療は、CD27メモリーB細胞の数を低下し、CD24hiCD38hiTrB細胞の数を増加した。関連研究はまた、NMOSD症例の血清及びCSFの両方における、BAFF、IL-6、及びIL-21の上昇も示したが、TrB細胞におけるこれらの分子の発現は、依然明らかではない。AQP4-Abは、B細胞亜型のCD27hiCD38hiCD180-B細胞に主に由来し、その生存は、IL-6受容体を介したシグナル伝達に左右され、従ってこれは、IL-6-依存型B細胞は、恐らくNMOSDの病態形成に関連していることを指摘している。Korn及びその同僚達は、CD4Th17細胞からのIL-17の分泌を誘導するにもかかわらず、Treg産生を抑制するIL-6及びIL-21のエビデンスを提供した。NMOSD症例におけるTrB細胞のIL-6産生を駆動する機序を探求する更なる研究が必要であろう。NMOSD症例において、IL-6を産生するTrB細胞の比率が上昇されるならば、IL-6分泌は、TrB細胞の免疫-制御機能を損ない得る。
【0108】
クラドリビン治療、好ましくはクラドリビン治療の最初の12ヶ月間の末梢免疫細胞の動態及び再増殖パターンの特徴:
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後(例えば、1及び/又は2月目)の早期有効性のマーカー:
ベースラインからの減少%
・CD19B細胞の減少(>70%)、
・メモリーCD19B細胞の減少(>70%)、及び/もしくは
・ナイーブ及びメモリーB細胞の両方の減少(>70%);
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0109】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の(例えば、3-6-12月目、及び好ましくはこれを超える、例えば最大4年間、最大6年間、最大8年間又は最大10年間、及び好ましくはこれを超える)長期有効性のマーカー:
ベースラインからの減少%
・メモリーCD19B細胞(>70%)及び/もしくは形質細胞(>50%)の持続した減少、
・Breg及び移行期B細胞の増加したレベル(>70%)、及び/もしくは
・ナイーブT細胞、セントラルメモリー及びエフェクターT細胞(TBD)の減少;
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0110】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の耐久有効性のマーカー:制御性/エフェクター細胞比:
該当する場合、好ましくはベースラインからの増加又は減少
・ベースラインと比べ、増加したNKreg/NKeff比、好ましくはベースラインと比べ>1.5倍、
・ベースラインと比べ、増加したBreg/Beff細胞比、及び/もしくは
・ベースラインと比べ、増加したTreg/Teff細胞比;
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0111】
例えば1及び/又は2月目の、DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の無反応のマーカー:
ベースラインからの減少%
・CD19B細胞の<30%の減少、
・メモリーCD19B細胞の<30%の減少、及び/もしくは
・ナイーブの<30%;
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0112】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の疾患再燃のマーカー:
ベースラインからの偏差%
・ベースラインから-40%を上回るレベルまで再増殖するメモリーB細胞、及び/もしくはベースラインから-20%を上回るレベルまで再増殖する形質細胞、
・各々、-40%、-20%、及び-10%を上回るレベルまで再増殖するTナイーブ、TCM及び/もしくはTEM
・ベースラインと比べ減少したTreg/Teff及び/もしくはBreg/Bmem比、
・ベースラインと比べ減少したNKreg/NKeff比;
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0113】
クラドリビン治療、好ましくはクラドリビン治療の最初の12ヶ月の末梢免疫細胞の動態及び再増殖パターンの好ましい特徴:
【0114】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後(例えば、1及び/又は2月目)の早期有効性の好ましいマーカー:
ベースラインからの減少%
・CD19B細胞の減少(>70%)、
・メモリーCD19B細胞(>70%)の減少、及び/もしくは
・ナイーブ及びメモリーB細胞の両方の減少(>70%);
・活性化B細胞の減少(CD69+;>45%)
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0115】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の(例えば、3-6-12月目、及び好ましくはこれを超える、例えば最大4年間、最大6年間、最大8年間又は最大10年間、及び好ましくはこれを超える)長期有効性の好ましいマーカー:
ベースラインからの減少%
・メモリーCD19B細胞(>70%)及び/もしくは形質細胞(>50%)の持続した減少、
・Breg及び移行期B細胞の増加したレベル(>70%)、及び/もしくは
・ナイーブT細胞、セントラルメモリー及びエフェクターT細胞の減少(>10%、>40%、>30%);
・TH1細胞及びRH17細胞の減少(各35%)、
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0116】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の耐久有効性の好ましいマーカー:制御性/エフェクター細胞比、全血又はPBMCの%、該当する場合、好ましくはベースラインからの増加又は減少、
・ベースラインと比べ、増加したNKreg/NKeff比、好ましくはベースラインと比べ>1.5倍、
・ベースラインと比べ、増加したBreg/Beff細胞比、及び/もしくは
・ベースラインと比べ、増加したTreg/Teff細胞比;
・安定型MSの%Breg(好ましくは14~20%、更により好ましくは10~30%)、
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0117】
例えば1及び/又は2月目の、DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の無反応のマーカー:
ベースラインからの減少%
・CD19B細胞の<30%の減少、
・メモリーCD19B細胞の<30%の減少、及び/もしくは
・ナイーブの<30%;
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0118】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の疾患再燃の好ましいマーカー:
・総PBMC中の増加した移行期B細胞比と組合せた、メモリーB細胞の増加(好ましくは総PBMCの0.05~1%まで)
・活動型MS又は再燃型MS患者からの全血中のBreg%(好ましくは3~14%、更により好ましくは1~10%)、
・移行期B細胞のメモリーB細胞に対する増加(絶対細胞数の比:好ましくは>1、より好ましくは1~3)。
【0119】
DMD治療時及び/又は治療後、並びに好ましくはクラドリビン治療時及び/又は治療後の疾患再燃の好ましいマーカー:
ベースラインからの偏差%
・ベースラインから-40%を上回るレベルまで再増殖するメモリーB細胞、及び/もしくはベースラインから-20%を上回るレベルまで再増殖する形質細胞、
・各々、-40%、-20%、及び-10%を上回るレベルまで再増殖するTナイーブ、TCM及び/もしくはTEM
・ベースラインと比べ減少したTreg/Teff及び/もしくはBreg/Bmem比、
・ベースラインと比べ減少したNKreg/NKeff比;
・並びに/又は、それらの組合せ。
【0120】
好ましくは、バイオマーカー-活性細胞及び/又は細胞集団の更なる定量的例が、以下に供される:
【表1】
【表2】
【0121】
従ってある局面において、本発明は、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療に関する、クラドリビンで治療された患者の反応を予測する方法に関し:
a)ここで下記細胞集団の偏差:
- 少なくとも70%のCD19B細胞、
- 少なくとも70%のメモリーCD19B細胞、
- 少なくとも70%のナイーブB細胞、
- 少なくとも70%のメモリーB細胞、
- 活性化B細胞、及び/もしくは、
- 少なくとも45%の活性化CD69B細胞、
並びに/又は、それらの組合せ;
は、該クラドリビン治療の早期有効性の指標であり;
ここで
- 細胞集団は、好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料において決定され、
- 該偏差は、ベースラインレベルからの減少として供されるか;
b)ここで下記細胞集団の偏差:
- 少なくとも70%のCD19B細胞、
- 少なくとも50%のCD38形質細胞、
- 少なくとも50%の短命な形質細胞、
- 少なくとも70%のBreg、
- 少なくとも70%の移行期B細胞、
- 少なくとも10%のナイーブT細胞、
- 少なくとも40%のセントラルメモリーT細胞、
- 少なくとも30%のセントラルエフェクターT細胞、
- 少なくとも35%のTH1細胞、
- 少なくとも35%のTH17細胞、
及び/又は、それらの組合せ;
は、1年目での該クラドリビン治療の耐久有効性の指標であり;
ここで
- 細胞集団は、好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料において決定され、
- 該偏差は、ベースラインレベルからの減少として供されるか;
c)ここで:
- -40%を上回るレベルへのメモリーB細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへの形質細胞の細胞集団の偏差、
- -40%を上回るレベルへのナイーブT細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへのCD4セントラルメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- -10%を上回るレベルへのCD4エフェクターメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Treg/Teff細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Breg/メモリーB細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、NKreg/NKeff細胞比の細胞集団の偏差、
及び/又は、それらの組合せ:
は、多発性硬化症の再燃のリスクの指標であり、
ここで:
-細胞集団は、好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料において決定され、
-該偏差は、ベースラインレベルからである。
【0122】
従ってある局面において、本発明は、それを必要とする患者の疾患修飾薬(DMD)による、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療を適応させる必要性をモニタリングするための方法に関し、
-ここで患者は、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療のために、クラドリビンであるDMDにより治療されており、
-ここで好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料中で決定された細胞集団の偏差は:
- -40%を上回るレベルへのメモリーB細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへの形質細胞の細胞集団の偏差、
- -40%を上回るレベルへのナイーブT細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへのCD4セントラルメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- -10%を上回るレベルへのCD4エフェクターメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Treg/Teff細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Breg/メモリーB細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、NKreg/NKeff細胞比の細胞集団の偏差、
- 及び/又は、それらの組合せ;からなるリストから選択され、
ここで、該偏差は、クラドリビンによる該患者の再治療の必要性の指標である。
【0123】
従ってある局面において、本発明は、多発性硬化症の再燃のリスクのある患者の、疾患修飾薬(DMD)による、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療のための方法に関し、
-ここで患者は、自己免疫疾患、好ましくは多発性硬化症の治療のために、クラドリビンであるDMDにより治療されており、
-ここで好ましくは、クラドリビンによる治療開始前に収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定すること、及びクラドリビン治療時又は治療後の少なくともより遅い時点で収集された患者由来の体液試料中の該細胞集団を決定することを含む、該クラドリビン治療の異なる段階での該患者の1又は複数の体液試料中で決定された細胞集団の偏差は:
- -40%を上回るレベルへのメモリーB細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルの形質細胞の細胞集団の偏差、
- -40%を上回るレベルへのナイーブT細胞の細胞集団の偏差、
- -20%を上回るレベルへのCD4セントラルメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- -10%を上回るレベルへのCD4エフェクターメモリーT細胞の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Treg/Teff細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、Breg/メモリーB細胞比の細胞集団の偏差、
- その偏差が減少である、NKreg/NKeff細胞比の細胞集団の偏差、
- 及び/又は、それらの組合せ;からなるリストから選択され、
これは、その患者が、多発性硬化症の再燃のリスクがある患者であることの指標であり、
ここで、該治療は、クラドリビンによる再治療、クラドリビンの追加量及び/又はより高い投与量の投与、又は異なるDMDの投与を、患者へ投与することを含む。
【0124】
従って一つの局面において、自己免疫疾患の治療を必要とする患者において自己免疫疾患を治療する方法が好ましく、該方法は、好ましくはクラドリビンを該患者へ経口投与すること、好ましくは該患者の体重1kg当たり0.5~1.25mgの量のクラドリビンを該患者へ経口投与すること、好ましくは4~12週の期間に、該患者の体重1kg当たり0.5~1.25mgの量のクラドリビンを該患者へ経口投与することを含み、ここで、該投与後、該患者は、以下からなる群から選択される1又は複数の細胞集団に関する1又は複数の偏差を有する:
a)ここで以下の偏差は、ベースラインレベルからの%減少として供された、バイオマーカーであり/該クラドリビン治療の早期有効性に対応する:
- CD19B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- メモリーCD19B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- ナイーブB細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- メモリーB細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- 活性化B細胞、及び/もしくは、
- 活性化CD69B細胞(>45、好ましくは±10%)、
並びに/又は、それらの組合せ;
b)1年後の耐久有効性(ベースラインからの%減少)、
- メモリーCD19B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- CD38形質細胞(>50%、好ましくは±10%)、
- 短命な形質細胞(>50%、好ましくは±10%)、
- Breg(>70%、好ましくは±10%)、
- 移行期B細胞(>70%、好ましくは±10%)、
- ナイーブT細胞(>10%、好ましくは±5%)、
- セントラルメモリーT細胞(>40%、好ましくは±10%)、
- セントラルエフェクターT細胞(>30%、好ましくは±10%)、
- TH1細胞(>35、好ましくは±10%)、
- TH17細胞(>35、好ましくは±10%)、
及び/又はそれらの組合せ;
c)耐久有効性:
- NKreg/NKeff細胞比(>1.5倍)、
- Breg/Beff細胞比(>/<倍)、
- Treg/Teff細胞比(>/<倍)、並びに/又は
d)疾患の再燃:
- ベースラインからのメモリーB細胞の減少(<30%、好ましくは±10%)、
- メモリーB細胞(好ましくはPBMCの0.05~1%まで)、
- 好ましくは総PBMC中の、移行期B細胞比(>/< ????)、
- 好ましくは活動型又は再燃型MS患者由来の、好ましくは全血又はPBMC中の、Breg(好ましくは3~14%、更により好ましくは1~10%)、並びに/又は
e)疾患の再燃
- メモリーB細胞(好ましくはベースラインから-40%を上回るレベルまで再増殖)、
- 形質細胞(好ましくはベースラインから-20%を上回るレベルまで再増殖)、
- ナイーブT細胞(好ましくはベースラインから-40%を上回るレベルまで再増殖)、
- CD4+セントラルメモリーT細胞(好ましくはベースラインから-20%を上回るレベルまで再増殖)、
- CD4+エフェクターメモリーT細胞(好ましくはベースラインから-10%を上回るレベルまで再増殖)、
- Treg/Teff細胞比(好ましくはベースラインから減少)、及び/もしくは
- Breg/メモリーB細胞比(好ましくはベースラインと比べ減少)、及び/もしくは
- NKreg/NKeff細胞の比(好ましくはベースラインと比べ減少);
- 並びに/又は、それらの組合せ。
【0125】
EU及び世界中の80ヶ国を超える多くにおいて、MAVENCLAD(登録商標)(クラドリビン錠)は、臨床的特徴又は画像特徴により規定される再発性多発性硬化症(MS)、好ましくは高度に活動型の再発性多発性硬化症(MS)の成人患者の治療に適応されている。1.75mg/kg/年の1治療コースとして投与される、MAVENCLAD(登録商標)の推奨累積投与量は、2年間にわたり3.5mg/kg体重である。
【0126】
USにおいて、MAVENCLAD(登録商標)(クラドリビン錠)、MAVENCLAD(登録商標)(クラドリビン)錠剤は、成人における、再発-寛解型疾患及び活動性二次進行型疾患を含む、多発性硬化症(MS)の再発型の治療に適応される。マベンクラッドは、およそ1年の間隔をあけ2治療コースで投与され、ここで経口投与される、マベンクラッドの推奨累積投与量は、3.5mg/kg体重であり、好ましくは以下であるような2つの年間治療コースに分けられる(1治療コースにつき1.75mg/kg):
1年目の治療コース:
第1サイクル(1ヶ月目):任意の時点で開始、
第2サイクル(2ヶ月目):最終投与量後、23~27日(第1サイクルの開始後およそ1ヶ月)で開始、
2年目の治療コース:
第1サイクル(1ヶ月目):第1コースの開始後およそ1年、最終投与量後少なくとも43週で、開始、
第2サイクル(2ヶ月目):最終投与量後、23~27日(第1サイクルの開始後およそ1ヶ月)で開始。
【0127】
各治療サイクルは、4又は5連続日からなり;4又は5連続日にわたり、1日1回、1又は2錠として、サイクル用量を投与する。
【0128】
本明細書記載の時期及び/又は期間の状況において「ヶ月(複数可)」(又は「月目(複数可)」に関して、それらの時期及び/又は期間は、好ましくは該患者が、該DMD、好ましくはクラドリビン、より好ましくは経口クラドリビンもしくはクラドリビン錠(例えばMavenclad(登録商標))の初回投与量を受け取った日からカウントされ、並びにより好ましくは、約1年間の個別の治療期間、個別の治療年又は(年ごと)治療コースにおいて、該患者が、該DMD、好ましくはクラドリビン、より好ましくは経口クラドリビンもしくはクラドリビン錠(例えばMavenclad(登録商標))の初回投与量を受け取った日からカウントされる。
【0129】
本明細書において使用される用語「ベースライン」は、当該技術分野において公知であり理解されている。本発明の状況において、これは、好ましくは、それについて該バイオマーカー、又は本発明に従いバイオマーカーとして使用される細胞が決定されるべき個別のDMDによる初回治療開始前の、個体又は患者の状態を指す。従って用語ベースラインは、好ましくは、その後の(すなわちDMD治療後)、本発明に従いバイオマーカーとして使用されるべき、しかしそのようなDMD治療/過去のDMD治療が存在しない、個体又は患者及び個別の細胞の「正常」状態又はレベルを反映する。個体が予めDMDを既に受け取っている場合は、好ましくは、該細胞が正常となる、すなわち未治療レベルに又は十分に未治療レベルに近くなるよう、少なくとも1~10ヶ月、好ましくは少なくとも1~4ヶ月のウォッシュアウト期間が推奨される。
【0130】
本明細書において使用される用語「mg/kg」は、好ましくは「体重1kg当たりのmg」を意味する。
【0131】
より好ましくは、クラドリビンが患者へ経口投与される本明細書において使用される用語「mg/kg」、及びより好ましくは固定用量に関連して使用される用語「mg/kg」は、好ましくは該患者の「体重1kg当たり」(経口)投与されるクラドリビンの「ミリグラム数」を意味する。
【0132】
「総投与量」又は「累積投与量」は、好ましくは、治療時に投与されるクラドリビンの総投与量、すなわち1日量の加算により算出される治療終了時に達した投与量を指す。例えば、1日あたりクラドリビン0.7mg/kgの5日間の治療に相当するクラドリビンの総投与量は、3.5mg/kgであるか、又は1日あたりクラドリビン0.35mg/kgの5日間の治療に相当するクラドリビンの総投与量は、1.7mg/kgである。
【0133】
「総有効投与量」又は「累積有効投与量」は、好ましくは、所定の投与期間後の、クラドリビンの生体利用可能な投与量、すなわち生物学的利用能係数により減算された1日量の加算により算出される、治療終了時に達した生体利用可能な投与量を指す。例えば、クラドリビンの生物学的利用能が約40%である場合の、1日あたりクラドリビン0.7mg/kgの5日間の治療に相当するクラドリビンの総有効投与量は、1.4mg/kgであり、又はクラドリビンの生物学的利用能が約40%である場合の、1日あたりクラドリビン0.35mg/kgの5日間の治療に相当するクラドリビンの総有効投与量は、0.7mg/kgである。
【0134】
典型的には、本発明の状況で使用されるクラドリビン又はクラドリビン製剤の生物学的利用能は、約20%~約90%、好ましくは約25%~約80%、より好ましくは約30%~約70%、更により好ましくは約35%~約60%、及び特に約40%~約50%、例えば約35%、約40%、約45%、約50%もしくは約55%などである。特に好ましくはクラドリビン錠の生物学的利用能は、好ましくは本発明に従う方法及び/又は治療スキームにおいて使用されるクラドリビン含有製剤、好ましくはクラドリビン含有経口製剤中の活性成分クラドリビン(2-CdA)の総含量を基に、好ましくは45%±25%、より好ましくは45%±20%、更により好ましくは45%±15%、更により好ましくは45%±10%、及び特に45%±5%である。
【0135】
非限定的に錠剤を含む医薬剤形に関して本明細書において使用される用語「生物学的利用能」は、当該技術分野において公知であり理解されている。同じく該生物学的利用能を信頼できるよう決定する方法及び/又は手順も、当該技術分野において公知であり理解され、且つ説明されている。これらの公知の方法及び/又は手順は典型的には、FDA及び/又はEMAなど並びにその他の保健機関により必要とされる程度に、「医薬品製造管理及び品質管理基準(GMP)」の必要要件及び/又は「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」の必要要件と一致している。
【0136】
しかし、生物学的利用能は、好ましくは以下の方法論を使用し評価され得る:
【0137】
全身循環に到達する投与量の画分として通常規定される生物学的利用能は、マベンクラッドの単回10mg錠剤の経口投与後、及び1時間のIV点滴として投与されるクラドリビン(ロイスタチン1mg/mL)3mgの後に、多発性硬化症患者における無作為化された2期2シークエンスクロスオーバー試験において、評価され、ここでクラドリビン血漿濃度は、バリデートされたLC/MS/MS法を用いて測定された。生物学的利用能は、非線形混合効果モデル(ソフトウェアNONMEM、バージョンVI[より新しいバージョンも適用される])により、様々な条件(例えば摂食/絶食)及び変動する期間でマベンクラッドを使用するいくつかの試験を統合して開発された、統合された薬物動態モデルのパラメータとしてロジット変換の形でこれを組み込む(これを0-1範囲内に拘束するため)ことにより、概算される(RM Savic 2017 (DOI 10.1007/s40262-017-0516-6)参照)。このモデル化は、薬物投与に関連して、食物摂取量などいくつかの共変量を考慮した。パラメータ推定に加え、その精度及び被験者間変動も、医薬統計モデルに含まれ、且つ計算される。連続モデル開発、精緻化及びバリデーションに続けて、マベンクラッド10mg錠投与後のクラドリビンの生物学的利用能は、より好ましくは精度7.03%及び/又は分散(ロジットスケールで)22.3%で、45.6%、好ましくは約45.6%と推定された。
【0138】
しかし例えば以下に説明されたような、他の方法及び方法論も、巧く適用されることができ:「Population Pharmacokinetics of Cladribine in Patients with Multiple Sclerosis」、Radojka M. Savic、Ana M. Novakovic、Marianne Ekblom、Alain Munafo及びMats O. Karlsson;Clinical Pharmacokinetics、第56巻、1245-1253頁(2017)、並びに/又は「The Clinical Pharmacology of Cladribine Tablets for the Treatment of Relapsing Multiple Sclerosis」、Robert Hermann、Mats O. Karlsson、Ana M. Novakovic、Nadia Terranova、Markus Fluck及びAlain Munafo;Clinical Pharmacokinetics、第58巻、283-297頁(2019)、これらは、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0139】
より具体的には、例えばクラドリビン錠(MAVENCLAD(登録商標))に関して承認された添付文書に従い、且つクラドリビン錠の生物学的利用能を約45%とみなす使用に関して、クラドリビン錠(MAVENCLAD(登録商標))の投与により好ましくは患者の体内で到達されるべき推奨累積有効投与量は、2年間にわたり好ましくは約1.58mg/kg体重(先に概説されたように投与された錠剤の約45%の生物学的利用能を基に、約3.5mg/kg体重の量でクラドリビン錠(MAVENCLAD(登録商標))を投与することにより達成される)であり、好ましくは1年につき、1治療コースとして0.79mg/kg体重(先に概説されたように投与された錠剤の約45%の生物学的利用能を基に、約1.75mg/kg体重の量でクラドリビン錠(MAVENCLAD(登録商標)を投与することにより達成される)が投与される。承認された添付文書に従い、各治療コースは好ましくは、2つの治療週間からなり、1つは好ましくは最初の月の開始時に始まり、及び1つは好ましくは個別の治療年の2番目の月の開始時に始まる。各治療週間は、好ましくは4又は5日間からなり、その時患者は、好ましくは10mg又は20mg(1又は2錠)を、好ましくは単回の1日量として、好ましくは体重に応じて、受け取る。
【0140】
用語「米国添付文書」は「USPI」と略され、当該技術分野において公知であり理解されている。好ましくは、USPIは、保健機関が同意した用法、好ましくは米国食品医薬品局(FDA)が同意した用法、好ましくはより具体的には米国食品医薬品局のマーケティング部が同意した薬物の用法を提示している。これは、医療専門家のための用法に関する情報を提供し、且つ米国における新規薬物及び医薬品の販売承認(MA)の申請書の本質的部分である。好ましくは、欧州連合のUSPIの同等部分は、欧州製品概要(SmPC)である。
【0141】
本発明の状況におけるUSPIの言及は、好ましくは商品名MAVENCLAD(登録商標)、Mavenclad(登録商標)又はただマベンクラッドで市販される、経口クラドリビン又はクラドリビン錠のUSPIを指す。好ましくは、クラドリビン錠に関する本発明の状況におけるUSPIの言及は、2020年まで有効なクラドリビン錠/MAVENCLAD(登録商標)のUSPIの言及を意味する。好ましくは、クラドリビン錠/MAVENCLAD(登録商標)のUSPIの言及は、感染症に対する免疫化及び/又はワクチン接種に関する、好ましくは本発明の状況において本明細書に説明される免疫化、ワクチン接種及び/又は感染症に関する内容以外の、そのUSPIの全ての内容を包含している。好ましくは本発明は、好ましくは該感染症に対する免疫化及び/又はワクチン接種に関するUSPIの内容よりも有利に改善された治療方法を提供する。
【0142】
用語「欧州製品概要」は、「EU SmPC」又は「SmPC」と略され、当該技術分野において公知であり理解されている。好ましくは、これは、医薬品の所有権及び公的に承認された使用条件を説明する文書を指す。製品概要は、どのようにその医薬品を安全且つ有効に使用するかの医療専門家のための情報の基礎を形成する。より具体的には、SmPCは、好ましくは保健機関が同意した用法、好ましくは欧州機関(又は複数の機関)が同意した用法、好ましくはより具体的には欧州医薬品庁(EMA)のマーケティング部が同意した薬物の用法を提示する。これは、医療専門家のための用法に関する情報を提供し、且つ欧州連合内での新規薬物及び医薬品の販売承認(MA)の申請書の本質的部分である。好ましくは、米国におけるSmPCの同等部分は、「米国添付文書」、略して「USPI」である。
【0143】
本発明の状況におけるEU SmPC、又は好ましくはSmPCの言及は、好ましくは商品名MAVENCLAD(登録商標)、Mavenclad(登録商標)又はただマベンクラッドで市販される、経口クラドリビン又はクラドリビン錠のEU SmPC、又は好ましくはSmPCを指す。好ましくは、クラドリビン錠に関する本発明の状況におけるEU SmPC、又は好ましくはSmPCの言及は、2020年まで有効なクラドリビン錠/MAVENCLAD(登録商標)のEU SmPC、又は好ましくはSmPCの言及を意味する。好ましくは、クラドリビン錠/MAVENCLAD(登録商標)のEU SmPC、又は好ましくはSmPCの言及は、感染症に対する免疫化及び/又はワクチン接種に関する、好ましくは本発明の状況において本明細書に説明される免疫化、ワクチン接種及び/又は感染症に関する内容以外の、そのEU SmPC、又は好ましくはSmPCの全ての内容を包含している。好ましくは、本発明は、好ましくは該感染症に対する免疫化及び/又はワクチン接種に関するEU SmPC、又は好ましくはSmPCの内容よりも有利に改善された治療方法を提供する。
【0144】
「ある週間」は、好ましくは、ある日数の期間、又は約5、約6もしくは約7日間を指す。
【0145】
「ある月」は、好ましくは、ある日数の期間、又は約28、約29、約30もしくは約31日間を指す。
【0146】
用語「治療」は、当該技術分野において公知であり理解されている。特定の状況において、この用語は、好ましくは「導入治療」及び少なくとも「維持治療」の逐次継続も意味するかもしくは包含する。この特定の状況において、治療は、「導入治療」及び約1又は約2又は約3回の維持治療を含んでよい。
【0147】
典型的には、本発明に従う治療は、約2年間(約24ヶ月)又は約3年間(約36ヶ月)又は約4年間(約48ヶ月)であり、好ましくは約2年間である。
【0148】
好ましくは、本発明に従う治療は、約2年間(約24ヶ月)又は約3年間(約36ヶ月)又は約4年間(約48ヶ月)であり、好ましくは約2年間(約24ヶ月)である。本発明に従う治療が約2年間(約24ヶ月)である場合、これは好ましくは、2つの治療期間又は2つの治療コースを含む。本発明に従う治療が約3年間(約36ヶ月)又は約4年間(約48ヶ月)である場合、これは好ましくは、3つの治療期間/治療コース又は4つの治療期間/治療コースを含む。
【0149】
好ましくは、本発明に従う治療期間又は治療コースは、1ヶ月、2ヶ月又は3ヶ月を含み、そこではクラドリビン又は好ましくはクラドリビン錠が、対象、好ましくはそれを必要とする対象へ投与される。好ましくは、本発明に従う治療期間又は治療コース(causes)は、2ヶ月を含み、そこではクラドリビン、好ましくはクラドリビン錠が、該対象へ投与される。特に好ましくは、各治療コースは、2つの治療週間からなり、1つは好ましくは該治療コースの最初の月の開始時であり、及び1つの週は好ましくは、該治療コースの第2の月の開始時である。好ましくは、同じことが治療期間について言え、それらの用語は、好ましくは本発明の状況において互換性がある。
【0150】
好ましくは、各該治療週間は、4又は5日間を含み、その時本明細書記載のmg/kg体重でのクラドリビンの投薬を達成するために、対象は、クラドリビン、好ましくはクラドリビン錠を、好ましくは患者の体重に応じて1日量10又は20mgを受け取る。
【0151】
番号、数字、範囲、及び/又は量に関し本明細書において使用される用語「約」は、好ましくは「およそ(circa)」及び/又は「ほぼ」を意味すること指す。これらの用語の意味は、当該技術分野において周知であり、且つ好ましくは個別の番号、数字、範囲、及び/又は量の、プラス/マイナス15%、及び特にプラス/マイナス10%の分散、偏差及び/又は変動を包含している。
【0152】
どのような場合においても、番号、数字、範囲、及び/又は量に関して本明細書において使用される用語「約」は、好ましくは「およそ」及び/又は「ほぼ」を意味することを指す。それらの用語の意味は、当該技術分野において周知であり、且つ好ましくは個別の番号、数字、範囲、及び/又は量の、少なくともプラス/マイナス5%の分散、偏差及び/又は変動を包含している。
【0153】
好ましくは本明細書の以下に言及される任意の範囲は、その範囲の最低限界と最高限界の間の、全ての値及びサブ値を包含している。
【0154】
本明細書において使用される用語「障害(複数可)」及び「疾患(複数可)」は、当該技術分野において周知であり理解されている。本発明の状況において、これらは好ましくは同義語として使用され、従って本明細書においてそれらが使用される状況がそうではないことを強力に暗示しない限りは、好ましくは互換性がある。
【0155】
患者、医療従事者及び/又は医師による使用の簡便さ及び/又は容易さ、並びに結果の信頼性及び/又は再現性などのために、非限定的に治療レジメン、投薬スケジュール及び臨床試験デザインを含む医学的状況において、用語「週」/「ある週」、「月」/「ある月」及び/又は「年」/「ある年」は、グレゴリオ暦の規定からわずかな偏差を伴い使用されることができる。例えば、該医学的状況において、ある月は、28日間を指すことが多く、及びある年は、48週間を指すことが多い。
【0156】
従って本発明の状況において、用語「週」又は「ある週」は、好ましくは約5、約6又は約7日の期間、より好ましくは約7日間を指す。
【0157】
医学的状況において、用語「月」又は「ある月」は、好ましくは、約28、約29、約30又は約31日の期間、より好ましくは約28、約30又は約31日間を指す。
【0158】
医学的状況において、用語「年」又は「ある年」は、好ましくは、約12ヶ月の期間、又は約48、約50、もしくは約52週の期間、より好ましくは12ヶ月間、もしくは約48もしくは約52週間を指す。
【0159】
クラドリビン(2-CdA)
2-CdA及びその医薬として許容し得る塩は、本発明の実践において使用されてよい。
【0160】
クラドリビンは、経口投与に適した任意の医薬調製品で処方されることができる。2-CdAの代表的経口製剤は、(WO 96/19230;WO 96/19229;US 6,194,395;US 5,506,214;WO 2004/087100;WO 2004/087101)に説明されており、それらの内容は、引用により本明細書中に組み込まれている。経口製剤の成分の例は、以下に示されている。
【0161】
2-CdAを調製するプロセスは、当該技術分野において周知である。例えば、2-CdAの調製は、(EP 173,059;WO 04/028462;WO 04/028462;US 5,208,327;WO 00/64918)、及びRobinsらの文献、J. Am. Chem. Soc., 1984, 106: 6379に説明されている。或いは、2-CdAの医薬調製品は、Bedford Laboratories(Bedford, Ohio)から購入されてよい。
【0162】
クラドリビンの経口投与は、カプセル剤、錠剤、経口懸濁剤、又はシロップ剤の形状であってよい。錠剤又はカプセル剤は、クラドリビン約3~500mgを含有してよい。好ましくはこれらは、クラドリビン約3~約10mg、より好ましくはクラドリビン約3、約5又は約10mgを含有してよい。カプセル剤は、ゼラチンカプセル剤であってよく、先に指摘した量のクラドリビンに加え、少量の、例えば5重量%未満のステアリン酸マグネシウム又は他の賦形剤を含有してよい。錠剤は、前述の量の化合物及び結合剤を含有してよく、これはゼラチン液、水中のデンプン糊、水中のポリビニル、ポリビニルアルコールなどであってよく、典型的な糖衣を伴う。
【0163】
好ましくは、本発明の状況において使用される用語「クラドリビン」は、そうではないことが明確に規定されない限りは、好ましくは「経口クラドリビン」、すなわち本発明に従い経口投与される活性成分クラドリビンを意味する。好ましくは、本発明に従い経口投与されるクラドリビンは、例えばクラドリビン溶液が充填されたカプセル、クラドリビン散剤が充填されたカプセルなどのカプセル剤、クラドリビン含有錠剤、及び特に名称Mavenclad(登録商標)で市販されているクラドリビン-シクロデキストリン複合体を含有する錠剤などの、経口剤形の形で投与される。
【0164】
特に好ましくは、本発明に従う使用のための該クラドリビン又は経口クラドリビンは、クラドリビン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの混合物、及びクラドリビン-2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン-複合体の形で、クラドリビン10mgを含有する錠剤として、経口投与され、ここでクラドリビンの2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンに対する重量比は、約1:10~約1:16、好ましくは1:13~1:15である。
【0165】
この錠剤の形状の中の好ましい経口剤形は、以下に直接説明されている:
【0166】
本発明に従う経口使用のためのクラドリビンの好ましい組成物は、以下の所定量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む、好ましくはクラドリビン-シクロデキストリン複合体として、クラドリビン(2-CdA)10mg、並びに賦形剤を含有する錠剤である:
【表3】
【0167】
しかし、好ましくはクラドリビン-シクロデキストリン複合体を含有する、並びに好ましくは同一もしくは非常に類似した生物学的利用能を有する、類似の組成物もまた、好ましくは本発明に従い使用することができる。
【0168】
別に明確に規定しない場合は、それらの活性成分、医薬品有効成分(API)、医薬品又は国際一般的名称(INN)の命名は、好ましくはそれらのプロドラッグ、塩及び溶媒和物の全て、特に機能的に同等であるもの及び/もしくは臨床の観点から好適な代替品と考えられるものを包含している。
【0169】
別に明確に規定しない場合は、用語個体、ヒト、人間、ヒト患者又は患者は、好ましくは本明細書において互換的に、又は同義語として使用される。
【0170】
別に明確に規定しない場合は、用語個体、ヒト(人間)、ヒト患者又は(単に)患者は、好ましくは本明細書において互換的に、又は同義語として使用される。
【0171】
好ましくは保健機関が承認した添付文書/販売承認における表現と合致して、その間にクラドリビン、好ましくはクラドリビン錠、より好ましくは(Mavenclad(登録商標))が、対象、好ましくはヒト対象、より好ましくは患者、及び特にそれを必要とする患者へ投与される時間枠について本明細書において使用されるような、用語「治療期間」は、用語「治療コース」及び/又は「治療サイクル」とも互換性があることができる。従って用語「治療期間」、「治療コース」及び/又は「治療サイクル」は、好ましくは本発明の状況内では互換的に使用されることができる。好ましくは同じことが、用語「治療期間」、「治療コース」及び/又は「治療サイクル」に当てはまる。好ましくは、別に明確に規定しない場合、用語「治療期間」、「治療コース」及び/又は「治療サイクル」は、各々、「期間」、「コース」及び/又は「サイクル」と省略して、本発明に従い使用されることもできる。しかし、USPIと合致して、用語「第1サイクル」は、好ましくは、「1年目の治療コース」及び/又は「2年目の治療コース」における「1月目」を意味し;同様に、「第2サイクル」は、好ましくは、「1年目の治療コース」及び/又は「2年目の治療コース」における「2月目」を意味する。
【0172】
しかし、クラドリビンの投与、好ましくは経口クラドリビンの投与、及び特にクラドリビン錠(例えばマベングラッド)の投与が、EU SmPC/承認された欧州の添付文書に記載された用法用量に従うか又はこれと実質的に合致して行われるような本明細書記載の治療方法において、該クラドリビン、経口クラドリビン又はクラドリビン錠の投与の開始時での、2つ以上の約1年続く期間(同じく約12ヶ月、46~54週間、48~52週間、48週間又は52週間などとも称される)は、好ましくは「治療年」又は「複数の治療年」、例えば「第1治療年」、「第2治療年」又は「後続の治療年」と称される。同様に、この状況において、その月にクラドリビン、経口クラドリビン及びクラドリビン錠が患者へ投与される、「治療年」の開始時での、その月の各々、好ましくは2つの月の各々は、好ましくは「治療コース」又は「複数の治療コース」、例えば「第1の治療コース」、「第2の治療コース」又は「後続の治療コース」と称される。
【0173】
これとは対照的に、クラドリビンの投与、好ましくは経口クラドリビンの投与、及び特にクラドリビン錠(例えばマベンクラッド)の投与が、USPI/承認されたUSの添付文書に記載された用法用量に従うか又はこれと実質的に合致して行われるような本明細書記載の治療方法において、該クラドリビン、経口クラドリビン又はクラドリビン錠の投与の開始時での、2つ以上の約1年続く期間(同じく約12ヶ月、46~54週間、48~52週間、48週間又は52週間などとも称される)は、好ましくは「治療コース」又は「複数の治療コース」、例えば「第1の治療コース」、「第2の治療コース」又は「後続の治療コース」と称される。同様に、この状況において、その約1月続く期間にクラドリビン、経口クラドリビン及びクラドリビン錠が患者へ投与される、「治療コース」の開始時での、約1月続く期間の各々、好ましくは2つの約1月続く期間の各々は、好ましくは「治療サイクル」又は「複数の治療サイクル」、例えば「第1の治療サイクル治療コース」、「第2の治療サイクル」又は「後続の治療サイクル」と称される。
【0174】
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Cladribine - an old newcomer for pulsed immune reconstitution in MS
Heinz Wiendl
NATURE REVIEWS | NEUROLOGY VOLUME 13 | OCTOBER 2017 | 573
【0175】
本明細書に引用された全ての参考文献は、好ましくはそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0176】
本発明は、実施例により以下により詳細に説明される。本発明は好ましくは、特許請求された範囲を通じて実行されることができ、且つ本明細書に与えられた実施例に限定されない。
【0177】
更に、下記実施例は、例示による当業者の本発明のより良い理解を支援するために、与えられる。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することは意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0178】
図面の凡例
図1図1:B細胞分化経路及びTrB-関連分子の発現。
【0179】
図2図2:発見されたヒトCD19CD24hiCD38hiTrB細胞の主な機能。
【0180】
図3図3:このサブスタディの一部として実行される免疫細胞亜型分析を含む、MAGNIFY-MSの試験デザイン。9HPT、9-ホールペグ試験;BL、ベースライン;CUA、組合せた特異活性;DMT、疾患修飾療法;EDSS、総合障害度評価尺度;HIV、ヒト免疫不全ウイルス;KFS、クルツケ機能システム;MRI、磁気共鳴画像;MS、多発性硬化症;SDMT、符合数字モダリティテスト;T25FW、時限25-フィート歩行;TB、結核。
【0181】
図4図4:クラドリビン錠で治療された患者のB細胞及びT細胞カウントの絶対値の中央値。クラドリビン錠の第1の治療コースは、ベースライン時及び1月目に投与された。BL、ベースライン;Q、四分位数;TEMRA、最終分化したエフェクターメモリーRA+;Th、ヘルパーT細胞。
【0182】
図5図5:クラドリビン錠で治療された患者のNK細胞カウントの絶対値の中央値。クラドリビン錠の第1の治療コースは、ベースライン時及び1月目に投与された。BL、ベースライン;Q、四分位数。
【0183】
図6図6:クラドリビン錠で治療された患者の免疫グロブリンの血清濃度中央値。クラドリビン錠の第1の治療コースは、ベースライン時及び1月目に投与された。BL、ベースライン;Ig、免疫グロブリン;Q、四分位数。
【0184】
図7図7:免疫細胞パネルMAGNIFY-MS:細胞サブセット同定のためのバイオマーカー。
【0185】
図8図8:数値の臨床属性とB細胞デコンボルーションスコアの間の相関マトリクス。円形の面積は、ピアソン相関係数に対応する値を示す。正の相関は、青色で示し、負の相関は、赤色で示す。色の強度(明から暗)及び円形のサイズ(小から大)は、相関係数に比例している。有意性のない相関(p値<0.01)は、空欄で表した。ベースライン時のEDDSSスコアのみ示している。
【0186】
図9図9:数値の臨床属性とCD8T細胞デコンボルーションスコアの間の相関マトリクス。円形の面積は、ピアソン相関係数に対応する値を示す。正の相関は、青色で示し、負の相関は、赤色で示す。色の強度(明から暗)及び円形のサイズ(小から大)は、相関係数に比例している。有意性のない相関(p値<0.01)は、空欄で表した。ベースライン時のEDDSSスコアのみ示している。
【0187】
図10図10:数値の臨床属性とCD4T細胞デコンボルーションスコアの間の相関マトリクス。円形の面積は、ピアソン相関係数に対応する値を示す。正の相関は、青色で示し、負の相関は、赤色で示す。色の強度(明から暗)及び円形のサイズ(小から大)は、相関係数に比例している。有意性のない相関(p値<0.01)は、空欄で表した。ベースライン時のEDDSSスコアのみ示している。
【0188】
図11図11:B細胞亜型-細胞数/μLとして示された絶対値。
【0189】
図12図12:免疫グロブリン-g/Lとして示された絶対値。
【0190】
図13図13:T細胞亜型-細胞数/μLとして示された絶対値。
【実施例
【0191】
実施例
実施例1:MAGNIFY-MS試験におけるクラドリビン錠による治療後の末梢免疫細胞の動態及び再増殖パターンの特徴
導入
●多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の慢性炎症性疾患であり、これは多くの免疫細胞亜型が、病態形成において役割を果たし、Bリンパ球及びTリンパ球が、脱髄及び軸索損傷に関与している(Hoglund及びMaghazachi、2014;Pianconeら、2016)。
【0192】
●クラドリビン錠10mg(2年間にわたる累積投与量3.5mg/kg)は、MSの免疫再構成療法(IRT)のためであり、これはB細胞及びT細胞カウントの選択的及び一過性の減少を引き起こし、それに再構築期間が続く(Giovannoni、2017;Wiendl、2017)。
○クラドリビンは、デオキシシチジンキナーゼ(DCK)及びデオキシグアノシンキナーゼにより順次リン酸化され、その生物活性型2-クロロデオキシアデノシン三リン酸塩(Cd-ATP)となる、デオキシアデノシンアナログのプロドラッグである。Cd-ATPの脱リン酸化及び失活は、5’-NT-アーゼにより触媒される。
◇Bリンパ球及びTリンパ球は、比較的高いDCK/5’-NT-アーゼ比を有し、このことはそれらをクラドリビンに対し特に選択性にしている(Giovannoni、2017)。
◇これらの免疫細胞内のクラドリビンの蓄積は、DNAポリメラーゼの阻害を通じて、アポトーシスに繋がる。このB細胞及びT細胞に対する作用は、MSの進行にとって中心をなす免疫事象のカスケードを妨害する(Deeks、2018)。
【0193】
●クラドリビン錠による治療後の長期免疫細胞動態は、CLARITY、CLARITYExtension、PREMIERE及びORACLE-MS試験により評価される(Comiら、2019;Stuveら、2019)。しかし、これは、免疫細胞亜型が、MSのヒトにおけるクラドリビン錠の治療効果の発現及び耐久性の両方にとって重要である作用に関して完全に確立され続けている。
○このバックグラウンドに対し、MAGNIFY-MS(NCT03364036)は、高活動性再発型MSを伴う患者において、デザインされ且つ開始された。ここで本発明者らは、患者が治療開始した後最初の12ヶ月間の、末梢免疫細胞サブセット動態及び免疫グロブリンレベルのサブスタディに関する知見を報告する。
【0194】
材料及び方法
試験デザイン及び参加者
●MAGNIFY-MSは、2年の期間で進行中の第IV相オープンラベル単アーム試験である(図3)。
○年齢≧18歳、総合障害度評価尺度(EDSS)スコア≦5であり、高活動性再発型MSである患者が、2018年5月28日から2019年4月23日の間に登録された。
○この試験において、高活動性再発型MSは、前年中の1回の再発、及び少なくとも1つのT1ガドリニウム増強(Gd+)病変、又は他の疾患修飾療法(DMT)による治療時の9以上のT2病変、又はDMTの有無にかかわらず前年中の2回以上の再発として規定された。
○患者が、DMT(フィンゴリモド、ナタリズマブ、アレムツズマブ、ミトキサントロン、又はオクレリズマブ)に先に曝露されている場合、リンパ球カウントが正常な臨床検査値の限界内でない場合、進行性多病巣性白質脳症の徴候がある場合、ヒト免疫不全ウイルス、BもしくはC型肝炎、もしくは活動性/潜在性結核について試験して陽性である場合、活動性悪性腫瘍を有する場合、又はガドリニウムに対するアレルギーもしくは過敏症である場合、並びに/又は磁気共鳴画像法(MRI)の実行に対し他の禁忌である場合、これらの患者は除外した。
【0195】
●登録した患者は、1コースにつき2週間の積極的治療(各年1週目及び5週目)で、2年間にわたり累積投与量3.5mg/kgのクラドリビン錠を受け取るように、スケジュールした。
【0196】
末梢血採取
●このMAGNIFY-MSの探索的解析は、クラドリビン錠を受け取る患者の亜群における、末梢血免疫細胞亜型の縦断的評価に関与した。
○免疫フェノタイピングは、ベースライン時(投与前)並びに3月目、6月目及び12月目の終了時に収集した血液試料について行った。
◇更なる免疫フェノタイピングを、TBNK細胞及びB細胞パネルについて、1月目及び2月目に完了した。
◇免疫細胞亜型は、フローサイトメトリーにより分析した。
◇絶対細胞カウント及びベースラインからの変化率%を、評価した(表1)。
【0197】
●平行して、免疫グロブリン(Ig)G及びIgMの血清レベルを、比濁アッセイにより分析した。
【0198】
統計解析
●免疫細胞亜型の分析は、MAGNIFY-MS試験の探索的エンドポイントであり、従って記述的に分析した。クラドリビン錠の少なくとも1投与量を受け取った患者は全て、この分析に含まれる。
【0199】
結果
●2018年5月28日から2019年4月23日の間に、合計70名の患者が、このMAGNIFY-MSサブスタディに登録し、これらの患者のうち57名は、クラドリビン錠による治療を受け取った(13名の患者は、治療開始前に、本サブスタディから離脱した)。
【0200】
●評価可能な患者集団は、主に女性(61.4%)であり、年齢≦40歳(61.4%)で、ベースライン時に中央EDSSスコア2.5を有した。
○MAGNIFY-MSにエントリーした患者の患者背景及び特徴は、表2に示している。
【0201】
B細胞亜型
●CD19、メモリー及びナイーブB細胞のカウントの中央値の変化は、比較的迅速であり、各々、ベースラインから1月目までの変化率(%)、-77%、-74%、及び-80%が示された(図4、表3)。
【0202】
●ほとんどのB細胞亜型は、治療後2月目に最下点に達し、CD38形質芽細胞及び短命な形質細胞は、3月目に最下点に達した。
○その後、メモリーB細胞の減少は、12月目まで続いた。
○制御性B細胞及び移行期B細胞は、3月目までに回復し、ベースラインレベルを超えて増加した。
○ナイーブB細胞も、治療開始後12ヶ月で、ほぼベースラインレベルまで回復した。
【0203】
T細胞亜型
●CD4及びCD8T細胞は、細胞カウントの中央値のゆるやかな減少を示し、各々、ベースラインから1月目までの変化率(%)、-22%及び-18%が示された(図4、表3)。
○最下点に、2月目に達し、その後ベースラインまでわずかに回復した。
【0204】
●他のT細胞亜型は、3月目と6月目の間に最下点に達し、その後それらはベースラインへ向けてゆっくり回復し始めた。
【0205】
●Th17及びTEMRA T細胞カウントの中央値は、より遅い時点で減少を示し、Th17は、6月目に最下点に達した(図4)。
【0206】
ナチュラルキラー細胞
●CD16/CD56ナチュラルキラー(NK)細胞カウントは、治療後1月目に減少を示し、2月目には最下点に達し、ベースラインから-40%の変化を表した(表3、図5)。
○これらの亜型のベースラインへ向けた回復は、3~12月目に生じた。
【0207】
●CD16brightCD56dimNK細胞カウントは、治療後3月目に最低レベルまで減少したが、CD16lowCD56brightNK細胞カウントへの作用は、注目されなかった。
【0208】
免疫グロブリン
●MAGNIFY-MSの最初の年にメモリーB細胞は持続して減少し及びCD38形質細胞は減少したにもかかわらず、IgG及びIgMレベルは、正常範囲内に留まり続けた(図6)。
【0209】
細胞内サイトカイン
【0210】
考察
●疾患修飾治療(DMT)に対する反応における免疫細胞動態の特徴は、MS病態形成のより良い理解を提供し、並びにそのような療法の作用機序に関する重要な情報を提供する。
○このMAGNIFY-MS集団のサブスタディは、クラドリビン錠による治療後最初の1年にわたる免疫細胞動態を評価し、その結果CD19B細胞、CD4及びCD8T細胞、並びにCD16NK細胞亜型に特定の焦点を当て、リンパ球減少の発現及び再増殖の動態の評価を可能にした。
【0211】
●リンパ球減少の動態は、B細胞及びNK細胞は、最も迅速に最下点に到達し、ほとんど全ての亜型は、2月目に最下点に到達することを指摘している。
○ほとんどのT細胞亜型は、3月目に最下点に到達し、CD8セントラルメモリー、CD8エフェクターメモリー、CD4及びCD8ナイーブ、並びにCD4制御性細胞は、6月目に最下点に到達した。
○NK細胞に関して、CD16lowCD56bright細胞亜型は、12月目に最下点に到達した。
【0212】
●再増殖に関して、CD16lowCD56brightNK細胞を除いて、ほとんどの細胞亜型は、12月目までに、ベースラインへ回復した。
○メモリーB細胞における減少を考えると、恐らく驚くべきことは、12月目でのベースラインからのそれらの持続した変化であり、2月目には-93%の最下点値からの6%の絶対百分率の変化が存在した。
○しかし、メモリーB細胞カウントの中央値は、依然低いにもかかわらず、ナイーブB細胞の数は、ベースラインへと回復した。これは、インターロイキン-10の主要な生産者であるこれらのナイーブB細胞は、望ましくない免疫応答を抑制するように作用することができるので、重要である(Dubbyら、2007)。
【0213】
●CD56brightNK細胞表現型は、制御性である(NK細胞集団の10%を構成する)が、CD56dim(NK細胞集団の90%を構成する)は、エフェクターである。制御性細胞の増加と平行した、エフェクター細胞数の減少は、抗炎症環境へと駆り立て、その結果クラドリビン錠の治療的有効性に寄与するであろう。
○本発明者らの結果は、CD56bright細胞カウントは維持されるにもかかわらず、CD56dimの減少が存在し、3月目に最下点に達することを指摘している。この3ヶ月時点で、抗炎症環境が達成されると推定することができるが、更なる分析が、このことを確認するために実施される必要があるであろう。
【0214】
●本発明者らの知見は、治療後の最初の年にわたり、高活動性再発型MS患者におけるB細胞、T細胞、及びNK細胞への、クラドリビン錠の作用は、臨床孤立症候群の患者、及び再発-寛解型MSの患者において観察されたものと同等であることを示している(Comiら、2019;Stuveら、2019)。
【0215】
●本発明者らは、12ヶ月の試験期間にわたり、IgG及びIgMの濃度には、臨床的に明らかな変化がないことを認めた。
【0216】
●本試験の結果は、他のDMTと比べどのようであるか?
○アレムツズマブは、B細胞、CD4及びCD8T細胞カウントを減少し、それに再増殖期間が続くことが示されている(Wiendlら、2020)。
○アレムツズマブ及びクラドリビンの作用は、Bakerらにより比較され、B細胞減少に関して同等であることがわかった(Bakerら、2017)。
○フィンゴリモドにより、総B細胞カウントは、治療により減少したことが認められ;ナイーブB細胞カウントに対する作用は、余り明らかではなかった(Claesら、2014)。
○オクレリズマブによる治療後のB細胞減少は、迅速であり、CD19細胞カウントの減少が、治療後2週間と早期に生じた(Montalbenら、2016)。
◇複数の試験にわたる末梢免疫細胞サブセット動態及びIgレベルの直接比較は、評価スケジュール及びベースラインの患者特徴の差のため慎重でなければならないことに注意。
【0217】
●試験強度及び限界:
○対照群を伴わない、小さい試料サイズ及び単アーム試験。
○免疫細胞カウントの測定は、末梢血のみを用いて行い、クラドリビンが、投与後短時間でCNS中のそれらのように、組織へ分布されていることは未だ不明である(Hermannら、2019)。このことは、この物質が、CNS内のリンパ球数を減少し、及び/又はCNSへのそれらの動員並びに末梢におけるそれらの循環を制限するように作用することができる可能性を増し、更なる試験の正当な理由となる。
◇MRI知見に関する有効性の早期の発現に平行して、免疫細胞亜型動態が、どのように個別に報告されるかに注意。
【0218】
結論
●クラドリビン錠の早期発現及びその後の持続した治療作用は、B細胞及びT細胞亜型の減少及び再構成の特異的パターンを通じて、媒介されてよい。
○クラドリビン錠治療の開始後最初の2ヶ月のB細胞、特にメモリーB細胞に対する顕著な作用は、早期有効性発現への貢献を示唆している。
○メモリーB細胞の持続した枯渇及びT細胞亜型にわたる中等度の減少は、クラドリビン錠の長期治療効果に寄与し得る。
【0219】
【表4】
【0220】
【表5】
【0221】
【表6】
【0222】
MAGNIFY-MSの血液バイオマーカー1年サブスタディ:方法
MAGNIFY-MSは、進行中の第IV相(NCT03364036、図3参照)のオープンラベル単アーム多施設2年試験である。高活動性再発型MSの患者は、クラドリビン錠を、1コースにつき2つの週の積極的治療(各年1週目及び5週目)を受け取った。ベースライン(治療の1日目)の最大3ヶ月前のベースライン前スクリーニング期間中に適格基準に合致する対象は、1年目に最初の治療コース及び2年目に再治療コースを受け取るであろう。対象は、各々、ベースライン(治療の1日目)後の1、2、3、6、12月目の最後に、並びに、第2の治療コース(2年目の1月目)の15、18、24月目の最後に、評価のために来院する。対象は、ベースライン前、並びに2、6、12、14、18及び24月目に、強制的モニタリングに従い、血液採取のために来院する。主要エンドポイント(複数)は、最初の6ヶ月の間に評価され、第2及び第3のエンドポイントは、最大24月目までに評価される。対象は、探索的解析のための任意のサブスタディに参加する機会を提示される。
【0223】
血液中のバイオマーカーに対するMavenclad(登録商標)の作用を評価するために、探索的サブスタディが、サブセット患者において完了されるように、計画される。血液バイオマーカーサブスタディの目標は、クラドリビン錠療法の最初の12ヶ月間の、末梢免疫細胞サブセット動態及び免疫グロブリンレベルを報告することであった。MSにおけるクラドリビン治療の反応のマーカーの探索的研究を行う重要な目的は、療法に対する応答者及び非応答者を規定し、並びに疾患病理をより良く理解することである。バリデートされたバイオマーカーは、MSにおける最適なクラドリビン治療反応を規定することを補助し、その結果治療を決定し及びクラドリビン療法からの継続的な恩恵を確かにするためにかなりの価値がある。MSにおけるクラドリビン治療反応の信頼できるマーカーは、クラドリビン生体活性と相関し、MS病理に関与し、従って疾患の活性又は重症度と相関する。対象間の変動性及びMS病理の不均一性を考えると、いくつかの異なるマーカーの組合せた分析が最も意味がある。
【0224】
このMAGNIFY-MSの血液バイオマーカーサブスタディは、クラドリビン錠を受け取る患者における末梢血免疫細胞の縦断的評価に関与した。57名の患者は、登録した70名の患者から治療した。全血及び末梢単核細胞(PBMC)を、1、2、3、6、及び12ヶ月目に収集し、免疫フェノタイピングを、FACS(蛍光-活性化細胞選別)技術を用いて行った。絶対細胞カウント及びベースラインからの変化率(%)を、各免疫細胞亜型について評価した。追加の第一及び第二治験の読み取りを、図3に例示している。経時的なバイオマーカーの説明された変化に加え、バイオマーカーの「従来の」MS関連評価(例えば、再発、MRI、EDSS)との相関を、行った。免疫細胞に対するクラドリビン錠の作用は、MSのヒトにおけるその作用の発現及び耐久性の両方にとって重要であろう。
【0225】
血液分析
血液は、FACS技術を使用し、免疫細胞亜型及び細胞内サイトカインについて分析する。血液試料は、具体的には可能性のある免疫学的代理バイオマーカーの評価のために採血される(図8も参照)。異なる免疫亜型を識別するために、以下のFACSマーカーパネルを、バリデートし且つCovanceにより適用した。
【0226】
T細胞パネル:
・CD4ナイーブ、CD4セントラルメモリー、CD4エフェクターメモリー、CD8ナイーブ、CD8セントラルメモリー、CD8エフェクターメモリー、CD8最終分化した、Th1、Treg、Th17、Th2、
B細胞パネル:
・CD19 B細胞、CD20 B細胞、活性化B細胞、ナイーブB細胞、メモリーB細胞、短命な形質細胞、Breg、CD38bright形質細胞、移行期B細胞、
NK細胞パネル:
・NKp46 NK細胞、CD16 NK細胞、CD16brightCD56dimNK細胞、CD16lowCD56brightNK細胞、CD16-CD56dimNK細胞、CD16CD56NK細胞、
TBNKパネル:
・T細胞(CD45bright、SCClow、CD3)、CD4 T細胞(CD45bright、SCClow、CD3,CD4)、CD8 T細胞(CD45bright、SCClow、CD3、CD8)、B細胞(CD45bright、SCClow、CD3、CD19)、NK細胞(CD45bright、SCClow、CD3、CD16/CD56)。
【0227】
以下の細胞内サイトカインが、分析/測定されてよい。
・T細胞サイトカイン:IL-10、IL-17、GM-CSF、TNF-α、IFN-γ、IL-22、IL-4、
・B細胞サイトカイン:IL-10、IL-6、GM-CSF。
【0228】
実施例2:Clarityの2年時点での形質細胞及びT細胞のMRI有効性との相関(CLARITY 96週間試験から新規に決定される)
MRIとの形質細胞の相関
形質細胞シグネチャーは、弱い陽性を有するが、以下とは有意な相関を有した:MACT2(平均活動性T2病変)、CACT2(累積活動性T2病変)、MRCULES(平均CU病変)、MNT1GEL(平均新規T1 Gd+病変)。結果は、図9に図示している。
【0229】
MRIとのCD8 T細胞の相関
・ナイーブCD8T細胞、CD8T細胞、及びCD8Temシグネチャーは、以下とは正の相関を有する:CNT1GEL(累積新規T1 Gd+病変)、MNT1GEL(平均新規T1 Gd+病変)、CRCULES(累積CU病変)、MRCULES(平均CU病変)、CACT2(累積活動性T2病変)、MACT2(平均活動性T2病変)。結果は、図10に図示している。
【0230】
ナイーブCD4 及びCD4 セントラルメモリーT細胞シグネチャーはMRIと正の相関を有する:
・ほとんどのCD4細胞関連したシグネチャーは、MRI属性と良く相関している-特にCD4ナイーブT細胞。
・REL(再発数)は、CIBERSORT解析由来のナイーブCD4T細胞シグネチャー及びCD4Tcm(xCell由来)に関連している。結果は、図11に図示している。
【0231】
【表7】
【0232】
【表8】
【0233】
【表9】
【0234】
表の凡例
ベースラインからの変化率(%)を、B細胞(1a)、T細胞(1b)及びNK細胞の亜型について測定した。
・作用の早期発現が存在し、ほとんどのB細胞亜型は、2月目までに最下点レベルに達した。CD19B細胞、メモリーB細胞及びナイーブB細胞は、1月目に早期発現を示した。短命な形質細胞及びC38形質細胞は、2月目に減少し、3月目に最下点に達した。対照的に移行期B細胞及び制御性B細胞は、1ヶ月で61%及び45%まで減少し、並びにその後は測定された基本値よりもより高いレベルに達するよう増加した。
・T細胞亜型は、概して、減少において類似したプロファイルを示し、CD4及びCD8亜型について最下点は、各々、3月目及び6月目であった。興味深いことに、制御性CD4(Treg)及びCD8(TEMRA)は、38%及び26%の余り顕著でない減少を示した。
・NK細胞亜型。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13-1】
図13-2】
【国際調査報告】