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特表2024-508156複数のナノワイヤをガルバニック成長させる、使い易く且つ確実な装置及び方法
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  • 特表-複数のナノワイヤをガルバニック成長させる、使い易く且つ確実な装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】複数のナノワイヤをガルバニック成長させる、使い易く且つ確実な装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
H05K3/18 N
H05K3/18 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553551
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022054382
(87)【国際公開番号】W WO2022184504
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102021105128.2
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519323089
【氏名又は名称】ナノワイヤード ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NanoWired GmbH
【住所又は居所原語表記】Emanuel-Merck-Strasse 99, 64579 Gernsheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビヨレム,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ダッシンガー,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ケドナウ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルステイエ,ファラフ
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA22
5E343AA35
5E343BB23
5E343BB24
5E343BB25
5E343BB34
5E343BB44
5E343BB49
5E343DD43
5E343ER11
5E343ER18
5E343FF16
5E343FF30
5E343GG11
(57)【要約】
複数のナノワイヤ(2)を基板(3)上にガルバニック成長させる装置(1)である。装置(1)は、基板ホルダ(4)と、ハウジング(34)とを備える。ハウジング(34)内には、チャンバ(18)と、制御ユニット(8)と、電解液用の貯蔵タンク(35)とが配置されている。装置(1)は、基板ホルダ(4)が基板(3)と共にチャンバ(18)に挿入されているときに、複数のナノワイヤ(2)を電解液から基板(3)の上に成長させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノワイヤ(2)を基板(3)上にガルバニック成長させる装置(1)であって、
基板ホルダ(4)と、ハウジング(34)とを備え、
前記ハウジング(34)内には、チャンバ(18)と、制御ユニット(8)と、電解液用の貯蔵タンク(35)とが配置されており、
前記装置(1)は、前記基板ホルダ(4)が前記基板(3)と共に前記チャンバ(18)に挿入されているときに、前記複数のナノワイヤ(2)を前記電解液から前記基板(3)の上に成長させるように構成されている、
装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、
前記チャンバ(18)の内面(45)は、耐電解液性材料から形成されている、
装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(1)であって、
前記制御ユニット(8)は、前記貯蔵タンク(35)に割り当てられた少なくとも1つのパラメータを判定するように構成されている、
装置(1)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の装置(1)であって、
前記制御ユニット(8)は、前記電解液の流量又は圧力又はその両方を判定するように構成されている、
装置(1)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の装置(1)であって、
前記装置(1)は、前記電解液を前記貯蔵タンク(35)から前記チャンバ(18)に汲み出すためのポンプ(41)をさらに有し、
前記ポンプ(41)は、制動される態様で支持体(42)の上に保持されており、
前記支持体(42)は、制動される態様で前記ハウジング(34)内に保持されている、
装置(1)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の装置(1)であって、
前記ハウジング(34)内には、前記電解液用のフィルタ(44)が、さらに配置されている、
装置(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の装置(1)であって、
前記チャンバ(18)内には、前記基板(3)に載っている弾性要素(19)を除去するためのグリッパ(38)が配置されている、
装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(1)であって、
前記弾性要素(19)を前記グリッパ(38)によって移動台(15)の上に載置できるように、該移動台(15)を前記チャンバ(18)の中に配置することができる、
装置(1)。
【請求項9】
基板ホルダ(4)と、ハウジング(34)であって、チャンバ(18)と、制御ユニット(8)と、電解液用の貯蔵タンク(35)とを有するハウジング(34)とを有する装置(1)によって、
複数のナノワイヤ(2)を基板(3)の上にガルバニック成長させる方法であって、
a)前記基板(3)を前記基板ホルダ(4)に載置するステップと、
b)前記基板ホルダ(4)を前記チャンバ(18)に挿入するステップと、
c)前記電解液から前記ナノワイヤ(2)を前記基板(3)の上にガルバニック成長させるステップと、
を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
ステップa)の前に、弾性要素(19)が前記基板(3)の上に載置され、
ステップc)は、第1の成長期間中に行われ、
前記方法は、
d)グリッパ(38)によって前記弾性要素(19)を除去するステップと、
e)第2の成長期間中に、前記複数のナノワイヤ(2)を前記電解液からガルバニック成長させることを継続するステップと、
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のナノワイヤを基板上にガルバニック成長させるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤを生成することが可能な装置及び方法が知られている。例えば、ガルバニックプロセスにより、又は、薄膜技術から知られている方法にを用いて、ナノワイヤを得ることができる。公知の方法の多くは、複雑な機械を必要とするのが一般的であり、特に、実験室及びクリーンルーム内でしか使用されない(使用できない)。特に、公知の方法のほとんどは工業用には適さない。
【0003】
また、公知の装置及び方法の多くは、得られる各ナノワイヤが特性の点でばらつきが大きく、特に品質に関してばらつきが大きいという欠点を有する。一般的に、異なる成長プロセスから得られたナノワイヤは、同一又は同じ機械や出発材料や作り方を用いたとしても、部分的に非常に異なっている。しばしばナノワイヤの品質は、特に対応する装置のユーザ又は対応する方法のユーザの技能や、環境的な影響や、単なる偶然に依存する。これらは全て、ナノワイヤが光学顕微鏡でも可視化できないことがある構造体であるということから、さらに悪化する。そのため、前述の特性(及び特にそのばらつき)をそもそも検出できるようにするために、手間のかかる試験が必要となることがある。
【0004】
上記に基づき、本発明の目的は、特にユーザに分かり易い方法で、複数のナノワイヤを確実に製造するための装置及び方法を提供することである。
【0005】
前記の目的は、独立請求項に記載の装置及び方法によって達成される。従属請求項はそれぞれ、さらに有利な構成を示している。特許請求の範囲及び明細書に詳述する特徴は、技術的に有意な任意の態様で互いに組み合わせ可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、複数のナノワイヤを基板上にガルバニック成長させる装置を提供する。本装置は、基板ホルダと、ハウジングとを備え、ハウジング内には、チャンバと、制御ユニットと、電解液用の貯蔵タンクとが配置されており、装置は、基板ホルダが基板と共にチャンバに挿入されているときに、複数のナノワイヤを電解液から基板の上に成長させるように構成されている。
【0007】
前述の装置は、ナノワイヤを自動的に成長させるように構成されていることが好ましい。本装置は、特に工業用に設計されていてもよい。
【0008】
本装置により、ナノワイヤを生成できる。本明細書におけるナノワイヤとは、数ナノメートルから数マイクロメートルの範囲のサイズをワイヤ状の任意の材料体を意味するものと理解されるべきである。ナノワイヤは、例えば円形状、楕円形状、多角形状の底面を有してもよい。特に、ナノワイヤは六角形状の底面を有してもよい。
【0009】
ナノワイヤは、100nm[ナノメートル]~100μm[マイクロメートル]の範囲の長さ、特に500nm~60μmの範囲の長さを有することが好ましい。ナノワイヤの長さは、5~20%の範囲の標準偏差で分布していることが好ましい。さらに、ナノワイヤは、10nm~10μmの範囲の直径、特に30nm~4μmの範囲の直径を有することが好ましい。本明細書における「直径」という表現は円形の底面に関するものであり、これから逸脱する底面の場合には、同様の直径の定義を用いるものとする。使用される全てのナノワイヤが同じ長さ及び同じ直径を有することが特に好ましい。
【0010】
本装置は、様々な種類のナノワイヤ材料に使用可能である。ナノワイヤの材料としては、導電性材料が好ましく、特に、銅、銀、金、ニッケル、スズ、白金等の金属が好ましい。この中では、特に、銅が好ましい。しかし、金属酸化物等の非導電性材料も好ましい。全てのナノワイヤは、同じ材料から形成されていることが好ましい。
【0011】
ナノワイヤは、本装置の基板の表面上で成長させてもよい。基板の表面は、導電性に構成されていることが好ましい。そうではなくて基板の表面が非導電性の基板の一部である場合は、金属被覆等によって導電性を実現してもよい。例えば、非導電性の基板を金属の薄膜で被覆することが可能である。金属被覆によって、特に電極層を生成することが可能である。基板の表面又は電極層又はその両方の材料によっては、好適には、基板の表面と電極層との間に接着層を提供してもよく、この接着層は基板の表面と電極層との接着を促進する。
【0012】
基板の表面は導電性であるため、ナノワイヤのガルバニック成長用の電極として使用できる。この基板は、特に、シリコン基板を使用することができる。この基板は、特に、導電性の構造体を備えた本体とすることができる。この本体には、特に、シリコンチップ又はいわゆるプリント回路基板(PCB:printed circuit board)使用することができる。ただし、ガラス、セラミック、ポリマー等他の様々な表面上にナノワイヤを成長させることもできる。この基板は、剛性であっても可撓性であってもよい。好適には、本装置は、成長させる表面に平行な各方向に最大80cmの広がりを有するか又は成長させる表面を横断する方向に1μm~100mmの広がりを有するか又はその両方である基板に適している。例えば、12インチのウエハが基板として使用してもよい。あるいは、この基板は、成長させる表面に平行なある平面に、例えば、30×40cmの広がりを有してもよい。
【0013】
前述の装置によって、基板の表面上のホイルの孔の中にナノワイヤをガルバニック成長させることができる。このために、電解液が使用される。例えば、12インチのウエハ全体にわたってナノワイヤを成長させるには、600mlの電解液があれば十分である。電解液は、貯蔵タンクによって供給される。この貯蔵タンクに電解液が充填されていることが好ましい。本装置は、接続部を少なくとも1つさらに有することが好ましく、この接続部は、ナノワイヤを成長させるために電解液を使用できるように、電解液用の貯蔵タンクを接続できるものである。この接続部は、貯蔵タンクが接続されているときこの接続部によって貯蔵タンクが開かれ、且つ、貯蔵タンクがこの接続部から切り離されているときこの接続部によって貯蔵タンクが閉じられるように、構成されていることが好ましい。したがって、貯蔵タンクの開閉は、自動的に行われる。このように、タンクは、弁によって閉じられる開口部を有してもよく、この弁は、接続部が接続されているときは接続部によって開かれており、且つ、貯蔵タンクが接続部から切り離されると再び閉じられる。したがって、貯蔵タンクが接続部に接続されていない場合は、貯蔵タンクは閉じられている。このように、ユーザが電解液に接触することなく貯蔵タンクを交換することができる。この点に関して、前述の装置は特に安全である。この構成において、貯蔵タンクは、カートリッジとも称され得る。
【0014】
ナノワイヤの成長中、基板の当該表面にホイルが密接し且つこのホイル全体に電解液が均一に広がっていると、ナノワイヤを特に一定品質で設けることができる。このようにするために、電解液に対して透過性を有する弾性要素をホイル上に載置してもよい。この弾性要素を通して電解液をホイルの上に供給でき、ホイルは、基板の表面の上に保持されることができる。第1の成長段階の後、ホイルがナノワイヤによって基板の表面に保持される程度にナノワイヤが成長したら、弾性要素を除去することができる。第2の成長段階では、弾性要素が一切使用されないので、電解液を基板の表面全体により一層均一に広げることができる。
【0015】
ホイルは、好ましくは、プラスチック材料で形成されており、特にポリマー材料で形成されている。ホイルは、複数の貫通孔を有し、その孔でナノワイヤを成長させることができる。孔がホイルの中を通って延在していることにより、ホイルの上側からホイルの下側に続く流路が孔によって形成される態様が実現することが好ましい。特に、孔が円筒形状であることが好ましい。しかし、孔が湾曲した輪郭を有する流路として形成されていてもよい。孔は、例えば円形状、楕円形状、多角形状の底面を有してもよい。特に、孔は六角形状の底面を有してもよい。孔は、均一に構成されていることが好ましい(つまり、孔は、サイズ、形状、配置、及び間隔の少なくとも1つに関して隣接する孔と異なっていないことが好ましい)。ナノワイヤが成長しているとき、孔にはガルバニック堆積した材料が(特に完全に)充填されていることが好ましい。このようにして、ナノワイヤは、孔のサイズ、形状、及び配置のものとなる。このようにホイル又はその中の孔を選択することによって、成長させるナノワイヤの特性が決まる、又は、成長させるナノワイヤの特性に影響を与えることができる。したがって、ホイルは「テンプレート」、「テンプレートホイル」、又は「パターン」とも呼ばれることがある。ホイル中の各孔は、ホイルを高エネルギーの重イオンで照射することによって形成することができる。イオンは、MeVからGeVのオーダーのエネルギーを有してもよい。
【0016】
ナノワイヤがホイルの孔の中まで成長したら、プラズマや溶剤等によって、ホイルを除去することができる。これにより、ナノワイヤが露出する。
【0017】
本装置はハウジングを有し、このハウジング内に、本装置のその他の全要素が配置されていることが好ましい。この点に関して、本装置は、コンパクトな機械とみなすことができる。ハウジングは、最大1m(平方メートル)の底面領域を有することが好ましい。これが可能であるのは、特に、チャンバと、制御ユニットと、電解液用の貯蔵タンクとがハウジング内に一緒に配置されているからである。ハウジングは、矩形の底面領域を有することが好ましい。ハウジングは、1~3m(メートル)の高さ、特に1.5~2.5mの高さを有することが好ましい。ハウジングは、金属から形成されている、特に高級鋼から形成されていることが好ましい。ハウジングの材料は被覆を有することが好ましく、特にハウジングの外側面に、被覆を有することが好ましい。例えば、ハウジングは、被覆された高級鋼から形成されていてもよい。被覆によってハウジングを化学物質から保護してもよい。
【0018】
ハウジングはチャンバを取り囲んでおり、このチャンバ内に基板ホルダを挿入することができる。チャンバは、基板ホルダ用の収容部を有することが好ましい。基板ホルダは、ナノワイヤをその上で成長させる基板を保持するように構成されている。基板ホルダが基板と共にチャンバに挿入されると、ナノワイヤを基板の上に成長させることができる。これは、ナノワイヤを基板の表面に電解液からガルバニック成長させることによって行われる。
【0019】
基板ホルダは、引き出しとして構成されていることが好ましい。このことは、基板ホルダを収容部に押し込むことができることを意味し、例えば、チャンバ内の側方に配置された複数のガイドレールに載せて押し込むことができる。この引き出しは、装置の残余の部分から完全に分離可能であることが好ましい。あるいは、最大延伸長を超えて引き出しを引き出せないように、引き出しを引き出せる量を最大延伸長に限定してもよい。
【0020】
本装置は、基板ホルダを移動させるための駆動部を有することが好ましい。例えば、基板ホルダを手動で装填位置に移動させることができ、その位置から、駆動部によって自動的に収容部に引き込まれることができる。ナノワイヤの成長が完了した後、基板ホルダは収容部から自動的に移動可能であり、特に除去位置に移動可能である。この除去位置は、装填位置と同じであることが好ましい。この除去位置から、基板ホルダを手動で取り出すことができる。あるいは、本装置は、基板ホルダを完全に手動で収容部から且つ収容部に移動させるように構成されていてもよい。自動的に移動する基板ホルダであるか又は手動で移動させる基板ホルダであるかの選択に応じて、基板ホルダ用の駆動部を有する本装置を作動させることも考えられる。
【0021】
本装置は、基板ホルダを収容部内に拘束するための拘束機構を有することが好ましい。拘束機構は、動作状態と停止状態とを有するように構成されていることが好ましい。したがって、拘束機構は、オンオフを切り換えることが可能である。このようにするために、例えば、オンに切り換えられている状態で基板ホルダを収容部内に保持する電磁石が設けられていてもよい。このように、ナノワイヤを成長させる間、基板ホルダを収容部内に拘束機構によって固定することができる。ナノワイヤの成長が完了した後、拘束機構を停止することができ、基板ホルダを収容部から取り出すことができる。
【0022】
チャンバは、閉鎖可能であることが好ましい。例えば、チャンバは、ハウジング壁に設けられた開口部を介してアクセス可能であってもよく、それにより、この開口部を通して、基板ホルダをチャンバへ挿入したり、収容部へ挿入したりすることができる。開口部は、例えばフラップによって、閉鎖可能であってもよい。閉鎖された状態において、チャンバは、液密且つ気密であることが好ましい。そうすれば、ナノワイヤの成長に望ましい雰囲気をチャンバ内に生じさせることができる。さらに、チャンバからの化学物質の漏出を防止することができる。チャンバはロック可能であることが好ましい。そうすれば、開口部は、例えばフラップによって閉じることができ、フラップは、ロック機構によってその位置に保持されることができる。その結果、成長プロセス中にチャンバが不意に開放されてしまうことを防止できる。チャンバは、ナノワイヤを成長させるときに使用される化学物質に耐えられる材料、例えば鋼鉄製又はプラスチック製の、境界囲壁の中に形成されていることが好ましい。
【0023】
チャンバは、少なくとも1つの化学物質用の個別の供給口を有することが好ましい。例えば、これにより、ナノワイヤを成長させるために使用される電解液を供給してもよい。この電解液は、対応する供給口から基板ホルダの凹部に導入されてもよく、これにより、例えば、基板ホルダの凹部に配置された基板に電解液が接触する。さらに、水用の供給口、特に脱イオン水(DI水)用の供給口が設けられてもよい。これは、ナノワイヤの成長が完了した後に、基板を濯ぐために使用することができる。これにより、電解液の残留分が基板と共に本装置から出でしまうことを防止することができる。さらに、チャンバは、少なくとも1つの出口を有することが好ましい。このように、例えば、ナノワイヤの成長が完了した後に電解液をチャンバから出すことができる出口を設けることができる。濯ぎに使用される水用の出口も設けることができる。電解液及び水は、同じ出口を介して又はそれぞれ異なる出口を介して、チャンバから出すことができる。さらに、チャンバは、通気口を有することが好ましい。これにより、チャンバ内のガスをチャンバから出すことができる。したがって、チャンバを開いたときチャンバから漏出する有害ガスからユーザを保護することができる。これらのガスは、通気口を介してチャンバから吸い出すことができ、新鮮な空気又は不活性雰囲気等と置換することができる。吸い出されたガスを、例えば洗浄してもよい。さらに、ナノワイヤの成長用に構成された電極がチャンバ内に配置されていることが好ましい。したがって、ナノワイヤを成長させるために、基板の成長させる表面と電極との間に、電圧が印加され得る。電極は、ラムに接して保持されていることが好ましい。ラムは、自動的に移動可能であることが好ましい。したがって、ナノワイヤを成長させるために、ラムを使用して電極を電解液に接触させることができる。これは、ホイルの上に載置されたスポンジ等の弾性要素を、ラムによってホイルに押し当ててもよい。このように、ホイルをその位置に保持することができる。ラムは、電解液分配部をさらに有してもよい。したがって、基板の成長させる表面に、ラムを介して電解液を供給できる。電解液分配部は、出口側に、複数の出口を有してもよく、これにより、基板の成長させる表面に電解液分配部を介して均一に電解液を供給することができる。電極は、電解液分配部の出口側に形成されてもよい。したがって、これら出口は、電極内の対応する貫通開口部に繋げることができ、これにより、電解液が各貫通開口部を介して電極を通過することができる。
【0024】
ハウジング内には制御ユニットも配置されている。制御ユニットは、ナノワイヤの成長を制御するように構成されていることが好ましい。このようにするために、制御ユニットは、例えば、ナノワイヤの成長に使用される電圧又は電流を設定してもよい。さらに、制御ユニットは、電解液の投与量、圧力、及び流量のうちの少なくとも1つを設定してもよい。制御ユニットにより、ナノワイヤの成長を自動的に行うことができる。制御ユニットは、成長させるナノワイヤの長さ及び成長速度の少なくとも一方を設定するように構成されていることが好ましい。
【0025】
貯蔵タンクは、制御ユニットが貯蔵タンクを識別できるようにする識別情報を有することが好ましい。このようにするために、制御ユニットは、識別センサに接続されていてもよい。例えば、識別情報は、識別センサとしてのバーコードスキャナによって検出可能なバーコードであってもよい。また、識別情報は、識別センサとしての対応する読み取り機によって検出可能なRFIDチップであってもよい。貯蔵タンクの識別情報によって、例えば、正しい電解液が供給されたかどうかを検出することができる。
【0026】
基板ホルダは、ナノワイヤの成長に影響を及ぼすように構成されている電子部品を有することが好ましい。制御ユニットは、基板ホルダがチャンバに挿入されているとき、インタフェースを介して基板ホルダに接続されていることが好ましい。インタフェースは、例えば、1つ又は複数のプラグイン接続部を備えてもよい。プラグイン接続部は、基板ホルダが収容部に挿入されたときに基板ホルダの電子部品が制御ユニットに接続されるように形成されていることが好ましい。この場合、オペレータによる別個の操作、例えばケーブルの接続が不要となる。
【0027】
制御ユニットは、基板ホルダの電子部品によって出力された信号の処理、又は、基板ホルダの電子部品への制御信号の出力、又はその両方を行うように構成されていることが好ましい。制御ユニットは、データベースを有するか、又は、外部データベースにアクセスするように構成されているか、又は、その両方であることが好ましい。例えば、制御ユニットは、インターネット接続を介して、外部データベースと通信してもよい。基板ホルダの電子部品から制御ユニットに送出された各パラメータを、データベースからの対応する期待値と比較することができる。一致しなかった場合は、警告信号の発出や、プロセスの中断や、修正等を、対応する制御信号を介して自動的に行うことができる。さらに、対応する制御信号を介して、基板ホルダのヒータを、制御ユニットによって制御することができる。ヒータによって、基板の温度を設定することができる。
【0028】
さらに、本装置は、表示手段又は操作手段又はその両方を有することが好ましく、これらの手段は特に制御ユニットに接続されている。表示手段又は操作手段又はその両方は、ユーザがアクセスできるように、ハウジング内又はハウジング上に保持されていることが好ましい。表示手段によって、成長プロセスに関する情報をユーザに表示することができ、操作手段によって、ユーザはプロセスを制御することができる。表示手段及び操作手段は、例えばタッチスクリーン等の表示及び操作手段として構成されてもよい。
【0029】
本装置が基板ホルダを収容部内に拘束するための拘束機構を有する場合は、制御ユニットは、拘束機構の監視又は制御又はその両方を行うように構成されていることが好ましい。本装置が基板ホルダを移動させるための駆動部を有する場合は、制御ユニットは、駆動部の監視又は制御又はその両方を行うように構成されていることが好ましい。本装置が、ロック機構によってロック可能なフラップによって閉鎖可能なチャンバを有する場合は、制御ユニットは、ロック機構の又は制御又はその両方を行うように構成されていることが好ましい。例えば、制御ユニットは、基板ホルダが装填位置に載置されたことを検出することができ、且つ、これに応じて、制御ユニットは、対応する制御信号を介して、基板ホルダを収容部に自動的に引き込み、拘束機構によってそこに拘束し、チャンバの開口部をフラップによって閉じ、フラップをロックすることを開始させることができる。ナノワイヤを成長させている際に、制御ユニットは、拘束機構及びロック機構が動作中であり且つ動作し続けていることを監視することができる。ナノワイヤの成長が完了した後、制御ユニットは、対応する制御信号を介して、フラップのロック機構を解除させてフラップを開放し、拘束機構を解除させて基板ホルダを除去位置へ自動的に移動させることを開始させることができる。
【0030】
基板は、クリーンルーム内で作成されることが好ましい。このようにするために、複数の隙間が導入される構造化層を、例えばリソグラフ法を用いて、基板に付着させてもよい。構造化層の種類によっては、ナノワイヤを隙間内でのみ成長させることができたり、隙間の外側でのみ成長させることもできたりする。したがって、ナノワイヤを、基板上において、局所的に選択的に成長させることができる。例えば、金属パッド上でのみナノワイヤを得ようとする場合は、最初にこれらのパッドをリソグラフ法によって形成してもよい。パッドの外側の基板の表面が非導電性である場合は、ナノワイヤをガルバニック成長させるためのパッドは、例えば、100nmの金又は銅層を20nmのクロム又はタングステン-チタン層の上に成長させることによって接続してもよい。成長後、これらの層を、その上に位置する望ましくないナノワイヤと共に、リフトオフ又は選択的エッチングによって除去することができる。パッドは、例えば、端縁長が3μm、ピッチが3μmであってもよい。基板の作成のさらなる一部として、ナノワイヤを成長させる表面が、例えば酸素プラズマによって、洗浄され且つ活性化されてもよい。酸素プラズマは、例えば350mbarで、100W、1分間、使用することができる。基板の作成のさらなる一部として、基板自体に、又は、構造化層が使用される場合は構造化層に、ホイルが載置されてもよい。基板の作成の一部として、弾性要素もホイルの上に載置されてもよい。
【0031】
基板が作成されてしまえば、基板をクリーンルーム条件下に維持する必要はなくなる。作成後、基板をクリーンルームから取り出して前述の装置に供給できる。本装置は、クリーンルームの外で使用することができる。したがって、本装置は、クリーンルーム要件に準拠する必要はない。そうではあるが、本装置は、クリーンルーム要件に準拠して構成されていることが好ましい。本装置がクリーンルーム内で使用される場合は、本装置によって成長させたナノワイヤを、チャンバから基板ホルダを取り出した後も保護することができる。
【0032】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、各電解液用の各貯蔵タンクのための複数の収容空間を有する。
【0033】
これらの収容空間は、ハウジング内に、特にチャンバの外側に、形成されていることが好ましい。本装置は、対応する電解液をナノワイヤを成長させるために使用できるように、電解液用の貯蔵タンクを接続できる接続部を少なくとも1つ有することがさらに好ましい。いくつかの貯蔵タンクがハウジング内の対応する収容空間に配置されている場合、この接続部は、これら貯蔵タンクのうちの1つに選択的に接続されてもよい。接続部が複数存在する場合は、いくつかの貯蔵タンクが同時に接続されてもよい。この場合、対応する電解液のうちのどれをナノワイヤを成長させるために使用するかを選択するために、制御ユニットを使用できる。本装置は、これら収容空間それぞれに対して、対応する接続部を有してもよい。
【0034】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、各電解液のそれぞれのための複数の貯蔵タンクを有する。これら貯蔵タンクには、それぞれの電解液が充填されていることが特に好ましい。この場合、これら貯蔵タンクは、同じ電解液で充填されてもよく、又は、異なる電解液で充填されてもよい。これら貯蔵タンクは、制御ユニットが各貯蔵タンクを識別するための識別情報を有することが好ましい。
【0035】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、電解液処理装置を備える。電解液処理装置は、ハウジング内に配置されていることが好ましい。電解液処理装置は、ナノワイヤを成長させるために使用される電解液を処理するように構成されている。こうして処理された電解液は、さらなる成長プロセスで使用可能である。電解液は、各成長プロセスの後に、又は、一定数の成長プロセスが終了する毎に、電解液処理装置によって処理されてもよい。電解液処理装置は、電解液の様々な処理のために構成されてもよい。例えば、第1の処理は、各成長プロセスの後に行われてもよく、第2の処理は、第1の処理の代わりに、一定数の成長プロセスが終了する毎に行われてもよい。これは、第2の処理が第1の処理より入念である場合に特に有意である。電解液処理装置は、電解液を洗浄するように構成されていることが好ましい。これの代わりに又はこれに加えて、電解液処理装置は、物質を電解液に添加するように構成されている。これにより、電解液の化学的組成を変化させることができる。このために、電解液処理装置は、当該物質が用意されている対応するタンクに接続されていてもよい。
【0036】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、作動中に電解液に接触する領域を自動的に洗浄するように構成されている。
【0037】
本装置は、チャンバを洗浄するように、特にチャンバの内面を洗浄するように、特に構成されていてもよい。加えて、本装置は、電解液流路を洗浄するように構成されていてもよい。この洗浄は、例えば、チャンバの内面に洗浄液を噴射したり、洗浄液を電解液流路に通したりすることによって、自動的に行われることが好ましい。洗浄液は水でもよい。特に複数の成長プロセスがそれぞれ異なる電解液で実施される場合は、1つの成長プロセスの後に後続の成長プロセスのために本装置を洗浄してもよい。
【0038】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、チャンバは、圧縮空気供給部を有する。
【0039】
例えば、成長プロセスが完了した後、基板から液体を除去するために、圧縮空気供給部を使用して圧縮空気をチャンバ内に導入することができる。このようにするために、ノズルを通して又は自動的に移動する圧縮空気用ホースを通して又はその両方で、圧縮空気をチャンバ内で基板に向けるようにしてもよい。これの代わりに又はこれに加えて、圧縮空気を、チャンバを洗浄するために使用してもよい。
【0040】
本装置のさらに好適な実施形態においては、チャンバの内面は、耐電解液性材料から形成されており、好ましくは、プラスチック製である。
【0041】
本装置のさらに好適な実施形態においては、制御ユニットは、貯蔵タンクに割り当てられた少なくとも1つのパラメータを判定するように構成されている。
【0042】
貯蔵タンクは、識別情報を有してもよい。この場合、制御ユニットは、貯蔵タンクに割り当てられた少なくとも1つのパラメータを判定することができ、この判定は、貯蔵タンクを識別した後に制御ユニットが少なくとも1つのパラメータをデータベースから取り出すことによって行われる。あるいは、本装置は、1つ又は複数のセンサを備えてもよく、これらのセンサによって、少なくとも1つのパラメータを判定し、制御ユニットに送出することができる。
【0043】
貯蔵タンクに割り当てられたパラメータとして特に考慮されるのは、貯蔵タンク内の電解液の古さと、貯蔵タンク内の電解液の化学的組成と、貯蔵タンク内の電解液の充填レベルと、貯蔵タンク内の電解液の温度である。
【0044】
本装置のさらに好適な実施形態においては、制御ユニットは、電解液の流量又は圧力又はその両方を判定するように構成されている。これは、「両方」において行われることが好ましい。
【0045】
電解液の流量又は圧力又はその両方を測定することによって、ナノワイヤを成長させるために利用可能な電解液の量を判定することができる。電解液の流量又は圧力又はその両方の測定は、電解液を貯蔵タンクからチャンバに流すことができる電解液流路において行われることが好ましい。電解液の流量又は圧力又はその両方は、制御ユニットによって所定の設定値に制御されることが好ましい。
【0046】
さらに好適な実施形態においては、装置は、電解液を貯蔵タンクからチャンバに汲み出すためのポンプ)をさらに有し、ポンプは、制動される態様で支持体の上に保持されており、支持体は、制動される態様でハウジング内に保持されている。
【0047】
ポンプは、接続部を介して、貯蔵タンクに接続されていることが好ましい。電解液を貯蔵タンクからチャンバに、電解液流路を介して流すことができる。チャンバ内の基板ホルダの凹部に電解液を導入できるように、電解液流路はチャンバ内に突出していてもよい。基板が凹部に載置されると、基板を電解液に接触させることができる。
【0048】
ポンプは、振動を引き起こす可能性がある。このような振動は、ナノワイヤの成長プロセスを損ねる可能性がある。したがって、ポンプは制動される態様で保持されている。本実施形態において、ハウジング内に制動される態様で保持されている支持体の上に、ポンプが制動される態様で保持されているという点で、ポンプは二重に制動されている。
【0049】
本装置のさらに好適な実施形態においては、ハウジング内には、電解液用のフィルタが、さらに配置されている。
【0050】
このフィルタは、微粒子フィルタ又は活性炭フィルタであることが好ましい。電解液用の2つのフィルタがハウジング内に配置されていることが特に好ましい。この場合、一方のフィルタを微粒子フィルタにしてもよく、且つ、もう一方のフィルタを活性炭フィルタにしてもよい。微粒子フィルタは、各成長プロセス後に使用することができ、その一方で、活性炭フィルタは、一定数の成長プロセスが終了する毎に、微粒子フィルタの代わりに使用される。
【0051】
これらのフィルタの少なくとも一方が電解液処理装置の一部であることが好ましい。微粒子フィルタは、第1の処理のために使用されことができ、その一方で、活性炭フィルタは、第2の処理のために使用される。
【0052】
本装置の好適な実施形態においては、チャンバ内には、基板に載っている弾性要素を除去するためのグリッパが配置されている。
【0053】
このグリッパによって、弾性要素をホイルから自動的に除去することができる。これにより、本方法の全体を自動的に行うことができるので、エラーを回避することができる。グリッパは、例えば、ニードルグリッパとして構成されていてもよい。
【0054】
この実施形態においては、ナノワイヤを2つの成長期間において成長させることができる。したがって、第1の成長期間において、弾性要素はホイルに密接してもよい。これにより、弾性要素は、ホイルを基板上に保持することができる。その後、弾性要素を、グリッパによって、ホイルから持ち上げることができる。第2の成長処理では、弾性要素なしで、ナノワイヤを成長させることができる。これが可能であるのは、ホイルがナノワイヤによって基板上に既に保持されているからである。弾性要素がないことにより、電解液をより良好に広げることができるので、ナノワイヤをより一様に成長させることを実現できる。
【0055】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、(特に電動)マングルをさらに備えており、このマングルは、弾性要素がグリッパによってホイルから除去された状態のときに弾性要素から電解液を絞り出すためのものである。
【0056】
マングルは、2つのローラを有してもよく、これらローラの間に弾性要素を通り抜けさせる。この場合、弾性要素内に存在する電解液を弾性要素が放出するように、これらのローラによって弾性要素に圧力を加えることができる。これにより、電解液のかなりの部分を弾性要素から除去することができて、再使用可能となる。
【0057】
本装置のさらに好適な実施形態においては、弾性要素をグリッパによって移動台の上に載置できるように、移動台をチャンバの中に配置することができる。
【0058】
弾性要素は、グリッパによって把持されて基板の表面から持ち上げることができる。その後、移動台を、基板の表面と弾性要素との間に押し込むことができる。弾性要素は、グリッパによって、移動台の上に載置されて、解放されることができる。その後、弾性要素を、移動台によって搬出すことができる。その後、弾性要素を、移動台から除去することができる。これは自動的に行われてもよく、例えば、分離点からは弾性要素が移動台の移動に追従できないように移動台を移動させることによって、行ってもよい。この分離点は、例えば、弾性要用の空間が全くない移動台収容部に移動台を案内することから生じるようにしてもよい。この場合、弾性要素は、移動台収容部の端縁にぶら下がっている。弾性要素は、コンパートメント内に置かれてもよくそこから、弾性要素を手動で取り出すことができる。
【0059】
移動台は、モータ等によって、自動的に移動されてもよい。移動台は、可撓性材料、例えばプラスチックから形成されていることが好ましい。したがって、移動台が不要なときは、移動台を省スペースで収納できる。例えば、移動台を偏向ローラによって案内してもよく、これにより、移動台が不要なとき、基板の表面に対して90°回転した位置に移動台を収納できる。
【0060】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、移動台を洗浄するための洗浄デバイスをさらに備える。
【0061】
洗浄デバイスは、移動台に洗浄液を噴射するように構成されていることが好ましい。洗浄は、例えば、弾性要素が移動台によって搬出された後、又は、移動台から除去された後、行うことができる。弾性要素が移動台から除去されたら移動台が洗浄デバイスを通って案内されるように、洗浄デバイスが配置されていることが好ましい。
【0062】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、電圧源をさらに備えており、この電圧源は、ナノワイヤを成長させるための電圧を印加するために、電極と基板とに接続されている。
【0063】
電圧源は、ガルバニック成長のために必要な電流を供給する役割を担う。このようにするために、電圧源は、基板に接続されており、特に基板の成長させる表面に接続されている。電圧源は、パルス電圧を発生させるように、特にパルス周波数が0.1~10msの範囲のパルス電圧を発生させるように構成されていることが好ましい。パルス電圧によってナノワイヤの品質を向上できることが試験によって証明されている。
【0064】
さらに好適な実施形態の一つにおいて、本装置は、基準電極をさらに備え、基準電極は、基板の表面に接続されている。
【0065】
基準電極によって、ナノワイヤの成長を監視することができる。このために、電極と基準電極との間の電圧を基準電極によって測定できる。本装置は、1つ又は複数の基準電極を備えてもよい。
【0066】
電極は、第1のケーブルを介して、電圧源に接続されていることが好ましい。基板の成長させる表面は、第2のケーブルを介して、電圧源に接続されていることが好ましい。基準電極は、第3のケーブルを介して、電圧計に接続されていることが好ましい。基板の当該表面は、特に第2のケーブルとは独立に、第4のケーブルによって、電圧計に接続されていることが好ましい。第2のケーブル及び第4のケーブルはそれぞれ、基板の表面に直接接続されていることが好ましい。このために、基板の当該表面は、対応する接触パッドを有ししてもよく、この接触パッドを介して、第2のケーブル及び第4のケーブルは、例えば対応する導電テープによって、基板の表面に接続されている。したがって、基準電極は、第2のケーブルの分岐により基準電極を接続することによって基板の当該表面に接続されているだけではない。基板の当該表面に基準電極を直接接続させることでより正確な結果が得られることが、比較から分かっている。
【0067】
ナノワイヤを基板上に成長させるとき、基板と基準電極とは、基板ホルダによって一緒に保持されていることが好ましい。
【0068】
第1のケーブル、第2のケーブル、第3のケーブル、及び第4のケーブルはそれぞれ、いくつかの部分に分割されてもよく、これらの部分は、プラグイン接続部等を介して、互いに接続されている。第2のケーブル、第3のケーブル、及び第4のケーブルのうちの少なくとも1つは、それぞれ複数の部分に分割されてもよく、これにより、対応するケーブルの隣接し合う2つの部分の間の境目は、引き出しとして形成されている基板ホルダの端縁に配置されるようになっている。この引き出しは、これら3本の各ケーブル用の対応するコネクタを有してもよい。したがって、引き出しが収容部に押し込まれたとき、3つのプラグイン接続部が形成されることによって、基板の当該表面と基準電極との間が電気的に接触することができる。電圧計及び電圧源は、ハウジング内で且つチャンバの外側に、配置されていることが好ましい。
【0069】
本発明のさらなる態様として、基板ホルダと、ハウジングであって、チャンバと、制御ユニットと、電解液用の貯蔵タンクとを有するハウジングとを有する装置によって、複数のナノワイヤを基板の上にガルバニック成長させる方法を記載する。本方法は、
a)基板を基板ホルダに載置するステップと、
b)基板ホルダをチャンバに挿入するステップと、
c)電解液からナノワイヤを基板の上にガルバニック成長させるステップと、
を含む。
【0070】
本装置の特別な利点及び特徴は、本方法に適用可能且つ転用可能であり、その逆も同様である。本装置は、本方法に従って動作させるように構成されていることが好ましい。本方法は、前述の装置によって実施されることが好ましい。
【0071】
ステップc)において、基板は加熱されることが好ましい。ステップc)において、基板の温度は15℃と100℃の間であることが好ましい。
【0072】
本方法のさらに好適な実施形態においては、ステップa)の前に、弾性要素が基板の上に載置され、ステップc)は、第1の成長期間中に行われ、本方法は、
d)グリッパによって弾性要素を除去するステップと、
e)第2の成長期間中に、複数のナノワイヤ(2)を電解液からガルバニック成長させることを継続するステップと、
をさらに含む。
【0073】
本発明は、図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面には、特に好ましい例示的実施形態を示す。しかし、本発明はそれに制限されない。特に、図面、特に図示されるサイズ比は、模式的なものにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明における装置であって、複数のナノワイヤを基板上にガルバニック成長させる装置を示している。
図2図1の装置の一部の概略図を示している。
図3図1及び図2に対して、本装置用の基準電極の接続を示している。
図4図4a及び図4bは、図1及び図2に対して、構成のさらなる要素を、2つの異なる状態で示している。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、複数のナノワイヤ2(図2に図示)を基板3の表面27にガルバニック成長させる装置1を示す。装置1は、引き出しとして形成された基板ホルダ4と、チャンバ18の中に形成された、基板ホルダ4用の収容部5とを備える。収容部5はガイドレール25を複数有し、このガイドレール25に基板ホルダ4を載せて、収容部5に押し込んだり、収容部5から引き出したりすることができる。拘束機構26によって、基板ホルダ4を収容部5の中に拘束できる。
【0076】
図1に示されている状況において、基板ホルダ4は、収容部5に収容されている。装置1は、図に示したように、基板ホルダ4が基板3と共に収容部5に収容されているときに、複数のナノワイヤ2を基板3の上に成長させるように、構成されている。基板ホルダ4は電子部品6を有し、この電子部品6は、ナノワイヤ2の成長に影響を及ぼすように構成されている。基板ホルダ4は、インタフェース7を有し、このインタフェース7はプラグイン接続部として形成されている。基板ホルダ4が図に示したように収容部5に収容されているとき、この接続部を介して、電子部品6は装置1の制御ユニット8に接続されている。制御ユニット8は、表示及び操作手段23であるタッチスクリーンにも接続されている。制御ユニット8は、特に、電解液の流量又は圧力又はその両方を判定するように構成されている。
【0077】
装置1によって、基板3の上に複数のナノワイヤ2をガルバニック成長させる方法を実施することができる。本方法は、
a)基板3を基板ホルダ4に載置するステップと、
b)基板ホルダ4をチャンバ18に挿入するステップと、
c)基板3の上にナノワイヤ2をガルバニック成長させるステップと、
を含む。
【0078】
複数の貫通孔29(図2に図示)を有するホイル28が基板3の上に載っている(図1では詳細は不図示)。ホイル28の上に、弾性要素19としてスポンジが載っている。この弾性要素19を介して、電解液をホイル28に供給することができる。弾性要素19の上に電極12が載っている。基板3の表面27と電極12との間に電圧を印加することによって、ナノワイヤ2を成長させることができる。電極12はラム20によって保持されているので、このラム20を介して、駆動部21は電極12を移動することができる。
【0079】
基板ホルダ4の電子部品6は、ステップc)におけるナノワイヤ2の成長に影響を及ぼす。基板ホルダ4の電子部品6は、デジタル化ユニット9を備えており、このデジタル化ユニット9は、デジタル通信のために制御ユニット8に接続されている。さらに、基板ホルダ4の電子部品6は、感知部10を備えており、この感知部10は、図示された実施形態においては2つのセンサから構成されている。さらに、基板ホルダ4の電子部品6は、メモリ24を備える。メモリ24には、例えば、複数の成長パラメータを記憶することができ、この成長パラメータは、ナノワイヤ2の成長時に考慮されるものである。加えて、基板ホルダ4の電子部品6は、ナノワイヤ2を成長させるための電圧又は電流を制御するように構成されている。電子部品6は、ヒータ14にも接続されており、このヒータ14によって、基板3を加熱することができる。
【0080】
装置1は、ハウジング3を有し、このハウジング3の中にチャンバ18が形成されている。チャンバ18の内面45は、耐電解液性材料から形成されている。基板ホルダ4用の収容部5は、チャンバ18の中に形成されているので、基板ホルダ4をチャンバ18に収容することができる。チャンバ18は、開口部17を有し、この開口部17を通して、基板ホルダ4をチャンバ18に挿入したり、チャンバ18から取り出したりすることができる。開口部17は、フラップ16によって閉じることができる。フラップ16は、ロック機構22によってロックすることができる。装置1は、基板ホルダ4が基板3と共にチャンバ18に挿入されているときに、複数のナノワイヤ2を電解液から基板3の上に成長させるように構成されている。
【0081】
ハウジング34の中には、各電解液用の3つの貯蔵タンク35も配置されている。貯蔵タンク35のうちの1つは、接続部36とポンプ41とを介して、電解液流路37に接続されている。電解液流路37を通して、電解液を基板ホルダ4に導くことができ、ナノワイヤ2を成長させるのに使用することができる。ポンプ41は、電解液を貯蔵タンク25からチャンバ18に汲み出すように構成されている。ポンプ41は、ダンパ43によって制動される態様で支持体42上に保持されており、この支持体42は、別のダンパ43によって制動される態様でハウジング34内に保持されている。接続部36は、センサ(詳細は不図示)を有し、このセンサによって、制御ユニット8は貯蔵タンク35を識別でき、貯蔵タンク35に割り当てられた少なくとも1つのパラメータを判定できる。また、ハウジング24内には、電解液用のフィルタ44と電解液処理装置46が配置されている。図示された実施形態において、フィルタ44と電解液処理装置46とは、電解液流路37に組み込まれている。全体を明瞭にするために、電解液処理装置46の詳細は図示していない。したがって、電解液処理装置46は、例えば、ラ流路を介してタンクに接続してもよく、この流路を介して、電解液の処理に使用可能な物質が電解液処理装置46に供給される。
【0082】
図2は、図1の装置1の一部を概略図で示している。基板3がその表面27と共に示されており、この基板3の表面27にナノワイヤ2を成長させる。基板3の表面27上にホイル28が載置されており、このホイル28は、複数の貫通孔29を有し、これら貫通孔29の中でナノワイヤ2を電解液から成長させることができる。基板3の表面27は、隙間32のある構造化層31を有する。隙間32の中でのみ、ナノワイヤ2を成長させることができる。したがって、ナノワイヤ2の成長を局所的に選択的に行うことができる。さらに、電解液に対して透過性である弾性要素19がホイル28の上に載置されている。弾性要素19を介して、電解液をホイル28に接触させることができる。図2には、電圧源30(全体を明瞭にするために図1には不図示)も示されており、この電圧源30は、ナノワイヤ2を成長させるための電圧を印加するために、電極12と、基板3の表面27とに接続されている。電圧源30は、制御ユニット8にも接続されている。ラム20によって、電極12を弾性要素19に押し当てることができる。
【0083】
図3は、図1及び図2に対して、装置1のさらなる要素を示す。全体を明瞭にするために、図3に示されているのは、図1及び図2の要素の全てではなく、この逆もそうである。したがって、図3には、電圧源30に加えて、電極12と、表面27を有する基板3と、基準電極11が示されている。基準電極11は、電圧計33を介して、基板3の表面27に接続されている。電圧源30及び基準電極11は、互いに独立に基板3の表面27に接続されている。
【0084】
図4a及び図4bは、図1及び図2に対して、装置1のさらなる要素を示す。全体を明瞭にするために、図4a及び図4bに示されているのは、図1及び図2の要素の全てではなく、この逆もそうである。特に図4a及び図4bから分かるのは、装置1は、弾性要素19をホイル28から除去するためのグリッパ38を有することである。図4aに示されているのは、ホイル28の上の弾性要素19が基板3の表面27に載っている状態である。弾性要素19は、グリッパ38によって把持されて、基板3の表面27から持ち上げることができる。これは、図4bに示されている。装置1は、グリッパ38を自動的に作動させるための駆動部39を備える。さらに、装置1は、弾性要素19のための移動台15を備える。図4aでは、移動台15は、基板3の表面27に対して90°回転した位置に収納されている。その理由は、移動台15は図に示した状態では不要であるからである。図4bでは、移動台15は、基板3の表面27と弾性要素19との間に押し込まれている。このようにして、弾性要素19を移動台15の上に載置できる。その後、移動台15を図4aに示されている状態に戻すことによって、弾性要素19を移動台15によって搬出することができる。したがって、例えば弾性要素19を移動台15の下への移動に追従させないことによって、弾性要素19を移動台15から離すことができる。弾性要素19が移動台15から離れたら直ちに、洗浄デバイス40によって移動台15を洗浄することができる。このために、洗浄デバイス40によって移動台15に洗浄液を噴射することができる。装置1は、電動マングル13をさらに有し、このマングル13は、弾性要素19がグリッパ38によってホイル28から除去された状態のときに、弾性要素19から電解液を絞り出すためのものである。マングル13は、2つのローラを有し、その間に弾性要素19を、力を作用させて通り抜けさせることができる。
【0085】
グリッパ38によれば、ステップa)の前に弾性要素19が基板3の上に載置され、第1の成長期間中にステップc)が実施されるように、図1に関して説明した方法を実施することができる。本方法は、
d)グリッパ38によって弾性要素19を除去するステップと、
e)第2の成長期間中に、複数のナノワイヤ2を電解液からガルバニック成長させることを継続するステップと、
をさらに含む。
【符号の説明】
【0086】
1 装置
2 ナノワイヤ
3 基板
4 基板ホルダ
5 収容部
6 電子部品
7 インタフェース
8 制御ユニット
9 デジタル化ユニット
10 感知部
11 基準電極
12 電極
13 マングル
14 ヒータ
15 移動台
16 フラップ
17 開口部
18 チャンバ
19 弾性要素
20 ラム
21 駆動部
22 ロック機構
23 表示及び操作手段
24 メモリ
25 ガイドレール
26 拘束機構
27 表面
28 ホイル
29 孔
30 電圧源
31 構造化層
32 隙間
33 電圧計
34 ハウジング
35 貯蔵タンク
36 接続部
37 電解液流路
38 グリッパ
39 駆動部
40 洗浄デバイス
41 ポンプ
42 支持体
43 ダンパ
44 フィルタ
45 内面
46 電解液処理装置
図1
図2
図3
図4a
図4b
【国際調査報告】