(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】紙管の乾燥のための乾燥機および乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 15/00 20060101AFI20240215BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240215BHJP
B65G 51/02 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
F26B15/00 D
F26B15/00 B
F26B21/00 B
B65G51/02 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553572
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 IB2022051823
(87)【国際公開番号】W WO2022185225
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510011101
【氏名又は名称】インターナショナル トバコ マシーネリー ポーランド エスピー.ゼット オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】ロドスロー オフチャレク
(72)【発明者】
【氏名】タデウス コワルシック
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AA08
3L113AB02
3L113AC01
3L113AC48
3L113AC51
3L113AC67
3L113BA12
3L113BA30
3L113CA08
3L113CA09
3L113CB01
3L113DA04
3L113DA24
(57)【要約】
紙管(4)の軸線に対して横方向に多層流(W)として搬送される紙管(4)を乾燥させるための乾燥機(2)であって、多層流(W)のコンベヤ(3)を通過させるように適合化された入口(6)と、多層流(W)のコンベヤ(3)を通過させるように適合化された出口(7)と、入口(6)と出口(7)の間に位置し、多層流(W)のコンベヤ(3)を受け入れるように適合化された少なくとも1つの乾燥室(5)と、空気を加熱するための少なくとも1つのヒータ(8)と、加熱された空気を乾燥室(5)に吹き込むための少なくとも1つのファン(9)とを備える。乾燥機(2)の少なくとも1つの壁(13、14)には、加熱された空気のための少なくとも1つの吹き込み要素(15)が設けられており、また吹き込み要素(15)を通る加熱された空気の吹き込み方向(R)は、乾燥機(2)の乾燥室(5)の長手方向軸線(k)に対してほぼ横方向になっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙管(4)の軸線に対して横方向に多層流(W)として搬送される、該紙管(4)を乾燥させるための乾燥機(2)であって、
前記多層流(W)のコンベヤ(3)を受け入れて、前記コンベヤを通過させるように適合化された入口(6)と、
前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)を受け入れて、前記コンベヤを通過させるように適合化された出口(7)と、
前記入口(6)と前記出口(7)の間に位置し、前記多層流(W)のコンベヤ(3)を受け入れるように適合化された少なくとも1つの乾燥室(5)と、
空気を加熱するための少なくとも1つのヒータ(8)と、
加熱された空気を前記乾燥室(5)に吹き込むための少なくとも1つのファン(9)と
を備え、
前記乾燥機(2)の少なくとも1つの壁(13、14)には、加熱された空気のための少なくとも1つの吹き込み要素(15)が設けられており、また前記吹き込み要素(15)を通る加熱された空気の吹き込み方向(R)は、前記乾燥機(2)の乾燥室(5)の長手方向軸線(k)に対してほぼ横方向になっている、乾燥機。
【請求項2】
前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)が、支持面(33、34)によって多層流(W)を両側から保持するように適合化されていることを特徴とする、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
加熱空気用の前記吹き込み口(15)が、前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)の支持面(33、34)に対してほぼ平行な吹き込み方向(R)に加熱空気を吹き出すよう適合化されていることを特徴とする、請求項2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記乾燥室5の対向する前記2つの壁(13、14)のうち少なくとも一方に、加熱された空気を吹き出すための前記吹き込み要素(15)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項5】
少なくとも部分的に互いに分離された少なくとも2つの乾燥ゾーン(H1、H2)が設けられ、前記乾燥ゾーン(H1、H2)にはファン(9)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項6】
順次の前記乾燥ゾーン(H1、H2)には、前記吹き込み要素(15)が前記乾燥室(5)の異なる側面にそれぞれ配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記乾燥ゾーン(H1、H2、H3)の前記加熱室(16)が壁(23)によって互いに分離されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の乾燥機。
【請求項8】
前記乾燥ゾーン(H1、H2、H3)において、空気循環(C1、C2、C3)が前記乾燥室(5)、前壁の開口(12)、チャンネル(22)、前記ファン(9)、前記加熱室(16)および前記側壁(13、14)の前記吹き込み要素15を通過することを特徴とする、請求項5から7のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項9】
前記乾燥室(5)が垂直に位置決めされていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項10】
前記入口(6)および前記出口(7)が、2つの支持要素(31、32)を備えた前記コンベヤ(3)に適合化されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項11】
前記多層流(W)として搬送される前記紙管(4)を乾燥するための、請求項1から10のいずれかに記載の乾燥機(2)と前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)とを備える乾燥装置(1)であって、前記多層流(W)のコンベヤ(3)には、前記多層流(W)を両側から保持するように適合化された前記2つの支持面(33、34)が設けられ、前記吹き込み要素(15)を通る加熱空気の吹き込み方向(R)は、前記紙管(4)の多層流(V)の搬送方向に対して横方向である。
【請求項12】
加熱空気用の前記吹き込み要素(15)が、前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)の前記支持面(33、34)に対してほぼ平行な前記吹き込み方向(R)に加熱空気を吹き出すように適合化されていることを特徴とする、請求項11に記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記加熱空気の吹き込み方向(R)が、前記多層流(W)で搬送される前記紙管(4)の軸線(t)と一致していることを特徴とする、請求項12に記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記支持面(33、34)がチェーンコンベヤ上に形成されていることを特徴とする、請求項11から13のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項15】
前記支持面(33、34)において、前記コンベヤ(3)の前記搬送方向(V)に対して横方向に位置するこぶ(41、42)が設けられていることを特徴とする、請求項11から14に記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、紙管を乾燥させるための乾燥機および乾燥装置である。
【0002】
本発明は食品産業用の紙製品、特に紙製飲料用ストローなどの飲料用付属品の製造に関する。
【0003】
特許文献1(GB1088745)には、管がホイールの外周を循環し、個別に乾燥機に送り込まれ、乾燥機から搬出される回転式管乾燥機が開示されている。
【0004】
特許文献2(GB291102)には、ボール紙管が個別に乾燥され、乾燥プロセス中に各管が個別に回転される乾燥機が開示されている。
【0005】
特許文献3(WO2017/080067A1)には、3つの乾燥ゾーンを有し、第1区域では熱い空気で乾燥が行われ、第2区域ではマイクロ波放射で乾燥が行われ、第3区域では冷たい空気で乾燥が行われる乾燥機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許第1088745号明細書
【特許文献2】英国特許第291102号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/080067号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
照射器のような加熱要素が使用される乾燥装置が知られているが、このような解決策では乾燥物が片側加熱となり、乾燥物の変形につながる。このようなタイプの乾燥装置では、水平な支持面上に配置された乾燥物の単層配列を使用する必要がある。コンベヤに沿って水平に移動する乾燥物に加熱空気流が上方から向けられる乾燥装置も知られている。
【発明を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、紙管の軸線に対して横方向に多層流として搬送される紙管を乾燥させるための乾燥機であって、多層流のコンベヤを通過させるように適合化された入口と、多層流のコンベヤを通過させるように適合化された出口と、入口と出口の間に位置し、多層流のコンベヤを受け入れるように適合化された少なくとも1つの乾燥室と、空気を加熱するための少なくとも1つのヒータと、加熱された空気を乾燥室に吹き込むための少なくとも1つのファンとを備える乾燥機である。乾燥機の少なくとも1つの壁には、加熱された空気のための少なくとも1つの吹き込み要素が設けられており、吹き込み要素を通る加熱された空気の吹き込み方向は、乾燥機の乾燥室の長手方向軸線に対してほぼ横方向になっている。
【0009】
本発明にかかる乾燥機は、多層流のコンベヤが、支持面によって多層流を両側から保持するように適合化されていることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる乾燥機は、加熱空気用の吹き込み口が、多層流のコンベヤの支持面に対してほぼ平行な吹き込み方向に加熱空気を吹き出すように適合化されていることを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる乾燥機は、乾燥室の対向する2つの壁のうち少なくとも一方に、加熱された空気を吹き出すための吹き込み要素が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる乾燥機は、少なくとも部分的に互いに分離された少なくとも2つの乾燥ゾーンが設けられ、乾燥ゾーンにはファンが設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる乾燥機は、順次の乾燥ゾーンには、吹き込み要素が乾燥室の異なる側面にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる乾燥機は、乾燥ゾーンの加熱室が壁によって互いに分離されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる乾燥機は、乾燥ゾーンで、空気循環が乾燥室、前壁の開口、チャンネル、ファン、加熱室および側壁の吹き込み要素を通過することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる乾燥機は、乾燥室が垂直に位置決めされていることを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる乾燥機は、入口および出口が、2つの支持要素を設けたコンベヤに適合化されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の目的はまた、多層流として搬送される紙管を乾燥するため、本発明にかかる乾燥機と多層流のコンベヤとを備える乾燥装置である。多層流のコンベヤには、多層流を両側から保持するように適合化された2つの支持面が設けられ、吹き込み要素を通る加熱空気の吹き込み方向は、紙管の多層流の搬送方向に対して横方向である。
【0019】
本発明にかかる乾燥装置は、加熱空気用の吹き込み要素が、多層流のコンベヤの支持面に対してほぼ平行な吹き込み方向に加熱空気を吹き出すように適合化されていることを特徴とする。
【0020】
本発明にかかる乾燥装置は、加熱空気の吹き込み方向が、多層流として搬送される紙管の軸線に整列していることを特徴とする。
【0021】
本発明にかかる乾燥装置は、支持面がチェーンコンベヤ上に形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明にかかる乾燥装置は、支持面において、コンベヤの搬送方向に対して横方向に位置するこぶが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる乾燥装置は、搬送される紙管の形状を維持したまま、その含水率を効果的に低下させる。2つの支持面によって保持されたマスフローとして搬送される紙管を乾燥させることにより、互いに支持し合う、またはコンベヤの支持面に支持を見出して紙管の曲がりを回避することができる。さらに、紙管の流れは乾燥中に任意の角度に指向させることができるため、乾燥装置全体を任意の角度に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の目的は以下の図面によって好ましい実施形態が詳細に示される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示す乾燥装置1は、紙管4を多層流Wとして搬送する間に乾燥させるように適合化されている。乾燥装置1は、乾燥機2と、紙管4の多層流Wを搬送するように適合化されたコンベヤ3とを備えている。多層流W内の紙管4は、規則的(
図1のような図ではハニカムに似た配列)に配置されてもよく、不規則的に配置されてもよい。
図1に示す乾燥機2は、乾燥室5、入口6、出口7、ヒータ8、ファン9を備える。管4の多層流Wを搬送するように適合化されたコンベヤ3は、入口6を通過し、出口7を通過する。入口6および出口7には、加熱された空気の無秩序な流出および環境からの冷たい空気の吸入を防止するための、コンベヤ3の支持要素および流れWの幅に適合化されたシールが設けられてもよい。コンベヤ3、すなわち多層流Wの搬送方向Vは、水平面に対して任意の角度でもよく、
図1に示す実施形態では、コンベヤ3は垂直方向に位置決めされ、乾燥室は長手方向のものとして具現化され、コンベヤ3は入口6から出口7まで、乾燥室5の長手方向軸線kに整列して走行する。
図2では、乾燥装置1の断面A-Aが示されている。乾燥室5と前室11との間に位置する乾燥室5の前壁10は部分的に透かし加工のものとして具現化されており、前壁10に設けられた開口12は乾燥室5から前室11への空気の流れを可能にする。前壁10の一部が格子状であってもよい。前壁10に単一の開口12を設けて空気の流れを確保することも可能である。側壁13、14には吹き込み要素15が設けられているが、側壁13、14が部分的に透かし加工のものとして具現化されるように設けられることによって吹き込み可能としてもよく、例えば格子の形態とすることができる。吹き込み要素は、加熱室16から乾燥室5への加熱空気の流れを可能にする吹き込み開口15の形態とすることができる。空気流を供給する単一の吹き込み開口15にすることも可能である。吹き込み要素15は、多層流Wにおける管4の搬送方向V(この方向Vはコンベヤ3の搬送方向である)に対して横方向である吹き込み方向Rへの加熱空気の送給、すなわち吹き込みを確実にする。
【0026】
図2aは、
図2の断面図の拡大図であり、乾燥室5およびコンベヤ3を通る断面のみで構成されている。多層流Wのコンベヤ3には、乾燥される管4を搬送するための2つの支持要素31および32、例えばベルトまたはチェーンを設ける。支持要素31には支持面33が設けられ、支持要素32には支持面34が設けられている。支持面33および支持面34は互いに平行に配列されている。支持面33、34間には、多層流Wの搬送される管4が存在する。乾燥室5は、支持要素31、32を収容するのに十分な広さがある。支持要素31、32は、ベルトまたはチェーンの形態であってもよい。支持面33、34は、コンベヤ3の搬送方向Vに対して横方向に位置決めされたこぶ41、42(
図3)を設けることができ、こぶ41、42は、支持面31、32の幅に等しい、または幅より短い長さを有していてもよい。吹き込み開口15は、多層流Wの搬送方向Vに対して横方向である吹き込み方向Rに、図示の実施形態では、支持面33、34に平行で、かつ同時に管4の軸線tに平行な吹き出し方向Rに、加熱空気を送給することを可能にする。このような加熱空気の吹き込み方向Rの位置決めにより、熱風が管内部に浸透し、効率的な乾燥が可能となる。乾燥中、管4は隣接する管4のみによって、または隣接する管4および支持面33もしくは34によって保持される。管4の多層流が乾燥機2を通過することにより、少なくとも部分的に不均一な含水率の変化に伴う管4の潜在的な変形が確実に排除される。
【0027】
図2に示す断面において、加熱室16はC字形であり、加熱室16は乾燥室5を囲み、ヒータ8は加熱室16の角部17、18に位置している。乾燥室5と加熱室16とを隔てる乾燥室5の後壁19は、中実壁、すなわち開口のない壁である。加熱室16の外側の後壁20には開口21があり、そこからファン9によって空気が加熱室16に供給される。ファン9は、乾燥室5の前壁10に作成された開口12を通して乾燥室5に連通する前室11から、チャンネル22を通して空気を引き込む。空気は、乾燥室の外部から直接乾燥室5またはファン9に供給してもよい。
【0028】
乾燥機2には乾燥機の下部に空気の流入チャンネル(図示せず)および乾燥機の上部に空気の流出チャンネル35を設けることができ、乾燥室5の下面は透かし加工の形態とすることができる。乾燥機2は、ヒータ8の周囲および乾燥室5内への空気の移動を促す単一のファン9を設けることができる。好ましくは、乾燥機2は少なくとも2つのファン9を設け、また乾燥機2は少なくとも2つの乾燥ゾーンに分割することができ、乾燥機2の乾燥ゾーンへの分割は、縦型形態、水平形態、または任意の他の形態に適用することができる。縦型形態の場合、上方に位置する乾燥ゾーン用の空気は、下方の乾燥ゾーンから吸引することができる。図示の実施形態の乾燥機2は、3つの乾燥ゾーンH1、H2、H3に位置する3つのファン9を備えている。乾燥ゾーンH1、H2、H3は部分的に別々の空気循環を有し、乾燥ゾーンH1、H2、H3は壁23によって分離されている。各ゾーンにおけるファン9は、チャンネル22によって前室11にフロー接続されている。さらに、順次の乾燥ゾーンH1、H2またはH3において、吹き込み要素15を乾燥室5の異なる側面にそれぞれ配置して、順次の乾燥ゾーンH1、H2またはH3における空気流の方向が変わるようにすることができ、このことは乾燥効率に影響を与える。さらに、乾燥ゾーンにおける空気流の交互方向のシーケンスは、空気流の方向が所与のタイプの製品を乾燥するプロセスの技術的要件に応じて選択されるため、一例に過ぎない。
【0029】
特定の乾燥ゾーンH1、H2、H3において、乾燥プロセスの技術的要件に応じて乾燥温度を独立して調節することが可能である。好ましくは、乾燥温度は約100℃である。乾燥機には温度センサが設けられ、乾燥ゾーンH1には温度センサ27が、乾燥ゾーンH2にはセンサ28が、乾燥ゾーンH3にはセンサ29が設けられている。空気温度センサ36および空気湿度センサ37は、乾燥ゾーンH3の上方の空気出口チャンネル35に設置されている。本発明にかかる乾燥機は、空気温度センサおよび空気湿度センサの両方が設けられ、これらのパラメータに関する情報を外部から受け取ることができるため、技術的柔軟性を特徴とし、湿度パラメータが異なる紙管の乾燥ならびに乾燥感受性の異なる紙管を乾燥するのに使用することができる。
【0030】
乾燥装置1(
図2)の動作中、ファン9によって強制送気された空気は加熱室16に流入し、ヒータ8によって加熱され、加熱された空気は側壁13および14における吹き込み開口15を通って乾燥室5に流入する。加熱された空気は、管4の多層流Wの周囲を流れて部分的に管4内に流入し、その後空気は前壁10における開口12を通って前室11に流入し、前室11から空気はファン9によってチャンネル22を通って引き込まれる。乾燥室5、前室11、チャンネル22、ファン9のフロー接続により乾燥が行われ、部分的に閉じた空気循環が形成される。断面A-Aにおいて、乾燥ゾーンH2の空気循環C2は矢印で示されており、乾燥ゾーンH1の空気循環C1および乾燥ゾーンH3の空気循環C3も同様の形状である。加熱ゾーンH1、H2、H3における空気循環C1、C2、C3は、隣接する加熱室16-1、16-2、16-3相互間の壁23によって隣接する循環から部分的に分離されている。隣接する乾燥ゾーンH1、H2、H3の空気循環C1、C2、C3は、乾燥室5および前室11内で接続している。乾燥機に複数の乾燥ゾーンを装備することは、高い乾燥効率をもたらし、入口から出口までの順次の各ゾーンにおける空気温度が次第に高くなるようにすることができる。
【0031】
効果的な乾燥のためには、管に空気を吹き付ける方向Rは紙管4の軸線tに整列させることが不可欠であり、その場合空気は管に容易に流入することができる。吹き込み方向Rは、紙管4の幾何学的中心Mが移動する平面mに対してほぼ垂直であるように規定することができる。一方、乾燥室5からの空気を受け入れる方向Pは、紙管4の軸線tに対して横方向またはほぼ垂直である。
【0032】
一方の壁のみに開口15が設けられ、そこから加熱空気が乾燥室5に落下するように加熱室16をL字形断面にすることも可能である。
【0033】
図4では乾燥機2の出口7が示されているが、乾燥機2の上部壁24にはコンベヤ3が通過する出口開口25が設けられている。出口開口25(同様に、反対側の壁の入口開口)には、コンベヤ3と管4との隙間をできるだけ小さく保つためにシール26を設けることができる。出口開口25の形状は、支持要素31、32の形状および多層流Wの断面に適合化される。
【0034】
管はコンベヤ38によって乾燥装置1に送給され、コンベヤ39によって受け取られるが、これらコンベヤは管の多層流に適合化したコンベヤとすることができる。
【0035】
図5に示す第2の実施形態の乾燥装置1′は水平形態として構築されている。コンベヤ3は多層流Wの管4を入口6から出口7まで搬送する。乾燥機2は第1の実施形態と同様に構築される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙管(4)の軸線に対して横方向に多層流(W)として搬送される、該紙管(4)を乾燥させるための乾燥機(2)であって、
前記多層流(W)のコンベヤ(3)を受け入れて、前記コンベヤを通過させるように適合化された入口(6)と、
前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)を受け入れて、前記コンベヤを通過させるように適合化された出口(7)と、
前記入口(6)と前記出口(7)の間に位置し、前記多層流(W)のコンベヤ(3)を受け入れるように適合化された少なくとも1つの乾燥室(5)と、
空気を加熱するための少なくとも1つのヒータ(8)と、
加熱された空気を前記乾燥室(5)に吹き込むための少なくとも1つのファン(9)と
を備え、
前記乾燥機(2)の少なくとも1つの壁(13、14)には、加熱された空気のための少なくとも1つの吹き込み要素(15)が設けられており、また前記吹き込み要素(15)を通る加熱された空気の吹き込み方向(R)は、前記乾燥機(2)の乾燥室(5)の長手方向軸線(k)に対してほぼ横方向になって
おり、前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)が、支持面(33、34)によって多層流(W)を両側から保持するように適合化されていることを特徴とする、乾燥機。
【請求項2】
加熱空気用の前記吹き込み口(15)が、前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)の支持面(33、34)に対してほぼ平行な吹き込み方向(R)に加熱空気を吹き出すよう適合化されていることを特徴とする、請求項
1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥室5の対向する前記2つの壁(13、14)のうち少なくとも一方に、加熱された空気を吹き出すための前記吹き込み要素(15)が設けられていることを特徴とする、請求項1
または2に記載の乾燥機。
【請求項4】
少なくとも部分的に互いに分離された少なくとも2つの乾燥ゾーン(H1、H2)が設けられ、前記乾燥ゾーン(H1、H2)にはファン(9)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項5】
順次の前記乾燥ゾーン(H1、H2)には、前記吹き込み要素(15)が前記乾燥室(5)の異なる側面にそれぞれ配置されていることを特徴とする、請求項
4に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記乾燥ゾーン(H1、H2、H3)の加熱室(16)が壁(23)によって互いに分離されていることを特徴とする、請求項
4に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記乾燥ゾーン(H1、H2、H3)において、空気循環(C1、C2、C3)が前記乾燥室(5)、前壁の開口(12)、チャンネル(22)、前記ファン(9)、加熱室(16)および側壁(13、14)の前記吹き込み要素15を通過することを特徴とする、請求項
4に記載の乾燥機。
【請求項8】
前記乾燥室(5)が垂直に位置決めされていることを特徴とする、請求項
1に記載の乾燥機。
【請求項9】
前記入口(6)および前記出口(7)が、2つの支持要素(31、32)を備えた前記コンベヤ(3)に適合化されていることを特徴とする、請求項
1に記載の乾燥機。
【請求項10】
前記多層流(W)として搬送される前記紙管(4)を乾燥するための、請求項1に記載の乾燥機(2)と前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)とを備える乾燥装置(1)であって、前記多層流(W)のコンベヤ(3)には、前記多層流(W)を両側から保持するように適合化された前記2つの支持面(33、34)が設けられ、前記吹き込み要素(15)を通る加熱空気の吹き込み方向(R)は、前記紙管(4)の多層流(V)の搬送方向に対して横方向である
乾燥装置。
【請求項11】
加熱空気用の前記吹き込み要素(15)が、前記多層流(W)の前記コンベヤ(3)の前記支持面(33、34)に対してほぼ平行な前記吹き込み方向(R)に加熱空気を吹き出すように適合化されていることを特徴とする、請求項1
0に記載の乾燥装置。
【請求項12】
前記加熱空気の吹き込み方向(R)が、前記多層流(W)で搬送される前記紙管(4)の軸線(t)と一致していることを特徴とする、請求項1
1に記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記支持面(33、34)がチェーンコンベヤ上に形成されていることを特徴とする、請求項1
0から1
2のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記支持面(33、34)において、前記コンベヤ(3)の前記搬送方向(V)に対して横方向に位置するこぶ(41、42)が設けられていることを特徴とする、請求項1
0に記載の乾燥装置。
【国際調査報告】