(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】テレケリックフッ化物系ポリマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 14/18 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
C08F14/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553590
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2022055189
(87)【国際公開番号】W WO2022184730
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(71)【出願人】
【識別番号】514255523
【氏名又は名称】サントレ ナティオナル ド ラ ルシェルシェ シアンティフィク
(71)【出願人】
【識別番号】515031137
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ドュ モンペリエ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE MONTPELLIER
(71)【出願人】
【識別番号】520307757
【氏名又は名称】エコール ナシオナル シュペリウール ドゥ シミ ドゥ モンペリエ
【氏名又は名称原語表記】ECOLE NATIONALE SUPERIEURE DE CHIMIE DE MONTPELLIER
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デヴィスム, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ボネ, アントニー
(72)【発明者】
【氏名】アメドゥリ, ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】エイド, ナディム
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AB01Q
4J100AB02Q
4J100AB03Q
4J100AB07Q
4J100AB08Q
4J100AB09Q
4J100AB10Q
4J100AC21P
4J100AC22P
4J100AC23P
4J100AC24P
4J100AC25P
4J100AC26P
4J100AC27P
4J100AC28P
4J100AC30P
4J100AC31P
4J100AC37P
4J100AC43P
4J100AE09P
4J100AF01Q
4J100AG04Q
4J100AG08Q
4J100AJ03P
4J100AL03Q
4J100AL04Q
4J100AL08Q
4J100AL10Q
4J100AL24P
4J100AL26P
4J100AL66Q
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4J100AP01Q
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4J100AQ01Q
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4J100BC41Q
4J100BC43Q
4J100BC45Q
4J100BC65Q
4J100BC73Q
4J100BC75Q
4J100CA01
4J100CA04
4J100CA27
4J100DA01
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA28
4J100JA15
4J100JA44
(57)【要約】
本発明は、エチレン結合を含む少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合する方法に関し、この方法は、少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合開始剤および連鎖移動剤と接触させることを含み、該連鎖移動剤はポリスルフィド化合物、好ましくはジスルフィド化合物である。本発明はまた、上記方法で得られるテレケリックフッ化物系のポリマーに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン結合を含む少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合する方法であって、該方法は、該少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合開始剤および連鎖移動剤と接触させることを含み、該連鎖移動剤は式(I)を有する、方法:
(I)R-X-(S)
w-X'-R'
ここで
- wは2~8の範囲の数である;
- RおよびR'は、独立して、水素原子、ペルフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アジド基、尿素基、カーボネート基、チオカーボネート基、シクロカーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、シリル基および芳香族基から選択され;そして
- XおよびX'は独立して以下から選択される:
- 1~10個の炭素原子を含む、2価の、直鎖状または分枝状のアルキル基;
- -[C
yH
2y)Z]
p-、ここで、Zは、(S)
wまたはRまたはR'に連結しており、そして
ここで
- yは1~5の数である;
- Zは、-O-、-S-、-COO-、-Si(R''R''')-および-CONH-から選択され、ここでR''およびR'''は、独立して、1~10個の炭素原子を含むアルキル基またはアルコキシ基から選択される;
- pは1~10の数である;
- 芳香族二価基。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ここで:
- RおよびR'は、独立して、水素原子、ヒドロキシ基、少なくとも5個のフッ素原子を含むペルフルオロアルキル基、アミン基、酸基、アジド基、シアノ基、シリル基、尿素基、チオ尿素基、およびエステル基から選択され;そして/または
- XおよびX'は、独立して、-(CH
2)
2-、-[(CH
2)
2O]
p-、-[(CH
2)
2S]
p-またはフェニル2価基から選択され;そして/または
- wは2である、
上記の方法。
【請求項3】
上記少なくとも1種のフッ素化モノマーが、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-トリフルオロメタクリル酸、2-トリフルオロメタクリル酸アルキル、α-フルオロアクリル酸、α-フルオロアクリル酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β,β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキル、1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-プロペ-2-エン、ペルフルオロブタジエンおよびこれらの組み合わせから選ばれ、ここで、該少なくとも1種のフッ素化モノマーは、好ましくはフッ化ビニリデンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記重合開始剤が過酸化物、過硫酸塩、過炭酸塩、過酸、過炭酸塩、ペルスターから選択され、好ましくは該重合開始剤がtert-ブチルペルオキシピバレートおよびtert-アミルペルオキシピバレートから選択されるペルスターである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
スチレン系コモノマー、(アルキル)アクリル系コモノマー、アクリル系コモノマーおよびそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種のさらなるコモノマーを、上記少なくとも1種のフッ素化モノマー、上記重合開始剤および上記連鎖移動剤と接触させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記連鎖移動剤を上記重合開始剤と接触させて混合物を形成する第1ステップと、この混合物を少なくとも1種のフッ素化モノマーと接触させる第2ステップとを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記重合が、30~150℃、より好ましくは60~120℃、さらに好ましくは65~110℃の温度で実施される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記重合が界面活性剤の非存在下で実施される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種のフッ素化モノマーの単位を含み、そして少なくとも部分的にR-X-S
q-および-S
w-q-X'-R'末端基を含むポリマーであって、ここで
- wは2~8の数である;
- qは1~7の数であり、w-qは少なくとも1である;
- RおよびR'は、独立して、水素原子、ペルフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アジド基、尿素基、カーボネート基、チオカーボネート基、シクロカーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、シリル基および芳香族基から選択され;そして
- XおよびX'は独立して以下から選択される:
- 1~10個の炭素原子を含む、2価の、直鎖状または分枝状の、アルキル基;
- -[C
yH
2y)Z]
p-、ここで、Zは、S
q、S
w-q、RまたはR'に連結され、そしてここで、
- yは1~5の数である;
- Zは、-O-、-S-、-COO-、-Si(R''R''')-および-CONH-から選択され、ここで、R''およびR'''は、独立して、1~10個の炭素原子を含むアルキル若しくはアルコキシ基から選択される;
- pは1~10の数である;
- 芳香族二価基。
【請求項10】
平均分子量Mnが300g/モル以上、好ましくは300~50,000g/モル、より好ましくは500~10,000g/モルである、請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
RまたはR'が、独立して、水素原子、少なくとも5個のフッ素原子を含むペルフルオロアルキル基、アジド基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、シリル基、尿素基、チオ尿素基、およびエステル基から選択される、請求項9または10に記載のポリマー。
【請求項12】
XまたはX'が独立して、-(CH
2)
2-、-[(CH
2)
2O]
p-、-[(CH
2)
2S]
p-またはフェニル2価基から選択される、請求項9から11のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項13】
上記少なくとも1種のフッ素化モノマーが、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-トリフルオロメタアクリル酸、2-トリフルオロメタクリル酸アルキル、α-フルオロアクリル酸、α-フルオロアクリル酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β,β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキル、1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-プロペ-2-エン、ペルフルオロブタジエンおよびそれらの組み合わせから選ばれ、ここで少なくとも1種のフッ素化モノマーは、好ましくはフッ化ビニリデンを含む、請求項9から12のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項14】
末端基R-X-S
q-または-S
w-q-X'-R'の全末端基に対するモル比が40~100%、好ましくは70~100%である、請求項9から13のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか1項に記載のポリマーであって、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって得られるポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖移動剤の存在下で、エチレン結合を含む少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合する方法に関する。本方法はまた、前記方法により得られるテレケリックフッ化物系ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素化ポリマーは、熱安定性、化学的不活性(酸素及び種々の薬品に対する耐性)、低屈折率、低誘電率、低散逸率、及び疎水性などの性質や優れた耐久性が要求される用途に使用される高性能材料である。したがって、それらは航空、マイクロエレクトロニクス、エンジニアリング、化学工業、光学、繊維仕上げ、自動車工業及び配線絶縁などの多くの分野に応用できる。例えば、このようなポリマーは、電気活性ポリマー、燃料電池、光ファイバー、コーティング、膜、セパレーター、及びリチウムイオン電池のバインダーとして使用することができる。
【0003】
これらのポリマーの中でも、フッ化ビニリデンを含むポリマーは、圧電材料から水処理、コーティング及びリチウムイオン電池までの幅広い用途に使用できるため、特に重要である。
【0004】
一般に、フッ素化ポリマーは、対応する不飽和モノマーから、フッ素化または非フッ素化界面活性剤と、過硫酸塩、過酸化物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシジカーボネート及びペルオキシエステルなどの幅広い有機および無機開始剤とを用いて、水性重合(乳化、懸濁、沈殿)を経て調製することができる。
【0005】
テレケリックまたはα,ω-二官能性フッ素化ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン及びポリカーボネートのような広範の樹脂(または重縮合物)を調製するためのマクロモノマー(またはオリゴマー)として役立つ。このようなビルディング・ブロック(構成要素)は、疎水性、耐久性、熱安定性及び耐薬品性などの特定の性質を示すので、重要である。
【0006】
さらに、テレケリックフッ素化ポリマーは、テレケリック開始剤または二官能性連鎖移動剤、例えばテレケリックジヨードペルフルオロアルカン、の存在下でのフッ素化モノマーの直接重合によって調製することができ、アルコール、酸、(メタ)アクリレートなどにさらに変性することができるヨウ素末端フルオロポリマーを生じる。
【0007】
特許文献1は、クロロトリフルオロエチレンと元素状ヨウ素またはICF2CFClIとの間の光化学的開始反応によって調製されたクロロトリフルオロエチレンのヨウ素末端テレケリックテロマーに関する。
【0008】
特許文献2は、テレケリックジアクリレートフルオロポリマーを開示している。
【0009】
非特許文献1は、官能性ジベンゾイルペルオキシドによって開始されるVDFモノマーなどのフッ素化モノマーのオリゴマー化について記載している。
【0010】
非特許文献2は、α,ω-ジヨードペルフルオロアルカンからのフッ素化テレケリックの調製を報告している。
【0011】
非特許文献3は、シリコーンおよびボラン含有開始剤を用いたフッ素化モノマーのラジカル重合に関する。
【0012】
非特許文献4は、VDFと過酸化水素との光化学開始重合によるテレケリックフッ素化アルコールの調製に関する。
【0013】
非特許文献5は、テレケリックカルボキシル低分子量フルオロポリマーから出発する還元反応によるテレケリックヒドロキシル低分子量フルオロポリマーの調製に関する。
【0014】
非特許文献6は、ヨウ素移動重合によるポリ(VDF-co-HFP)テレケリックコポリマーの調製に関する。
【0015】
非特許文献7は、ジヨードポリ(フッ化ビニリデン-コ-ペルフルオロメチルビニルエーテル)コポリマーの化学修飾による、フッ化ビニリデンおよびペルフルオロメチルビニルエーテルをベースとするテレケリック一級ジヒドロキシルおよびジアクリレートコオリゴマーの調製に関する。
【0016】
非特許文献8は、連鎖移動剤としてビス(4-アミノフェニル)ジスルフィドを使用するアクリル酸tert-ブチルおよびアクリル酸のテロマーの合成に関する。
【0017】
非特許文献9は、ビス(トリフルオロメチル)ジスルフィドを用いたフッ素化モノマーの光化学的テロマー化に関する。
【0018】
非特許文献10は、ビス(トリフルオロメチル)ジスルフィドを用いたフッ素化モノマーの光化学的テロメリゼーションに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5481046号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0072635号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Synthesis of telechelic fluoropolymers with well-defined functional end groups for cross-linked networks and nanocomposites(Macromolecules, 2007年, 40, 4121-4123頁)
【非特許文献2】Use of telechelic fluorinated diiodides to obtain well-defined fluoropolymers(Journal of Fluorine Chemistry, 1999年, 100, 97-116頁)
【非特許文献3】Synthesis of chain end functionalized fluoropolymers by functional borane initiators and application in the exfoliated fluoropolymer/clay nanocomposites(Macromolecules, 2007年, 40, 15, 5235-5240頁)
【非特許文献4】Photochemical induced polymerization of vinylidene fluoride (VDF) with hydrogen peroxide to obtain original telechelic PVDF(Journal of Fluorine Chemistry, 2002年, 116巻, 第1発行, 27-34頁)
【非特許文献5】Preparation of telechelic hydroxyl low molecular weight fluoropolymers(Key Engineering Materials, 753巻, Trans Tech Publications, Ltd., 2017年8月, 93-98頁)
【非特許文献6】Synthesis of novel telechelic fluoropolyols based on vinylidene fluoride/hexafluoropropylene copolymers by iodine transfer polymerization(Macromolecular Research, 2017年, 25巻, 1028-1034頁)
【非特許文献7】Synthesis and characterizations of photo-cross-linkable telechelic diacrylate poly(vinylidene fluoride-co-perfluoromethyl vinyl ether) copolymers(Macromolecules 2012年, 45, 18、 7375-7387頁)
【非特許文献8】Free-radical telomerization of tert-butyl acrylate in the presence of bis(4-aminophenyl) disulfide as a useful route to amino-terminated telomers of poly(acrylic acid(Macromolecules,1993年,26,2240-2245頁)
【非特許文献9】Telomerization of bis(trifluoromethyl)disulfide with polyfluoro-olefins(Journal of Fluorine Chemistry, 1974年, 4巻, 第1発行, 107-110頁)
【非特許文献10】Photochemically initiated reactions of bistrifluoromethyl disulphide with olefins(Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1, 1972年, 34-38頁)
【0021】
高い鎖末端機能含量を有するこのようなポリマーを得ることを可能にするテレケリックフッ素化ポリマーの調製方法に対する必要性が依然として存在する。また、後官能基化を必要とせずに、種々の末端官能を有する多様なポリマーを得ることを可能にする、テレケリックフッ素化ポリマーの調製方法の必要性も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の第1の目的は、エチレン結合を含む少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この方法は、少なくとも1種のフッ素化モノマーを重合開始剤および連鎖移動剤と接触させることを含み、該連鎖移動剤は式(I)を有する:
(I)R-X-(S)w-X'-R'
ここで
- wは2~8の範囲の数である;
- RおよびR'は、独立して、水素原子、ペルフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アジド基、尿素基、カーボネート基、チオカーボネート基、シクロカーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、シリル基および芳香族基から選択され;そして
- XおよびX'は独立して以下から選択される:
- 1~10個の炭素原子を含む、2価の直鎖状または分枝状のアルキル基;
- -[CyH2y)Z]p-、ここでZは、(S)wまたはRもしくはR'に連結され、そしてここで、
- yは1から5の数である;
- Zは、-O-、-S-、-COO-、-Si(R''R''')-および-CONH-から選択され、ここで、R''およびR'''は、独立して、1から10個の炭素原子を含むアルキル基またはアルコキシ基から選択される;
- pは1~10の数である;
- 芳香族二価基。
【0024】
いくつかの変形例において、RおよびR'は独立して、水素原子、ヒドロキシ基、少なくとも5個のフッ素原子を含むペルフルオロアルキル基、アミン基、酸基、アジド基、シアノ基、シリル基、尿素基、チオ尿素基、およびエステル基から選択される。
【0025】
いくつかの変形例において、XおよびX'は、独立して、-(CH2)2-、-[(CH2)2O]p-、-[(CH2)2S]p-またはフェニル2価基から選択される。
【0026】
いくつかの変形例において、wは2である。
【0027】
いくつかの変形例において、上記少なくとも1つのフッ素化モノマーは、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-トリフルオロメタアクリル酸、2-トリフルオロメタアクリル酸アルキル、α-フルオロアクリル酸、α-フルオロアクリル酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β,β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキル、1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-プロペ-2-エン、ペルフルオロブタジエンおよびそれらの組み合わせから選ばれ、そして該少なくとも1種のフッ素化モノマーは、好ましくはフッ化ビニリデンを含む。
【0028】
いくつかの変形例において、重合開始剤は、過酸化物、過硫酸塩、過炭酸塩、過酸、ペルオキシ炭酸塩、ペルスター(perester)から選ばれ、好ましくは重合開始剤はtert-ブチルペルオキシピバレートおよびtert-アミルペルオキシピバレートから選ばれるペルスターである。
【0029】
いくつかの変形例において、スチレンコモノマー、(アルキル)アクリルコモノマー、アクリルコモノマーおよびそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種のさらなるコモノマーを、上記少なくとも1種のフッ素化モノマー、重合開始剤および連鎖移動剤と接触させる。
【0030】
いくつかの変形例において、この方法は、連鎖移動剤を重合開始剤と接触させて混合物を形成する第一ステップと、この混合物を上記少なくとも1種のフッ素化モノマーと接触させる第二ステップとを含む。
【0031】
いくつかの変形例において、重合は30~150℃、より好ましくは60~120℃、さらに好ましくは65~110℃の温度で行われる。
【0032】
いくつかの変形例において、重合は界面活性剤の非存在下で実施される。
【0033】
本発明はまた、少なくとも1種のフッ素化モノマーから誘導された単位を含み、そしてR-X-Sq-および-Sw-q-X'-R'末端基を少なくとも部分的に含むポリマーに関し、ここで
-wは2~8の数である;
-qは1から7の数であり、ここでw-qは少なくとも1である(したがってw-qも1から7の数である);
-RおよびR'は、独立して、水素原子、ペルフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アジド基、尿素基、カーボネート基、チオカーボネート基、シクロカーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、シリル基および芳香族基から選択され;そして
-XおよびX'は独立して以下から選択される:
-1~10個の炭素原子を含む、2価の、直鎖状または分枝状の、アルキル基;
-[CyH2y)Z]p-、ここでZは、Sq、Sw-q、RまたはR'に連結され、そしてここで
-yは1~5の数である;
-Zは、-O-、-S-、-COO-、-Si(R''R''')-および-CONH-から選択され、ここで、R''およびR'''は、独立して、1から10個の炭素原子を含むアルキル基またはアルコキシ基から選択される;
-pは1~10の数である;
-芳香族二価基。
【0034】
いくつかの変形例において、上記ポリマーは、300g/モルに等しいかまたはそれ以上、好ましくは300~50,000、より好ましくは500~10,000g/モルの平均分子量Mnを有する。
【0035】
いくつかの変形例において、RまたはR'は、独立して、水素原子、少なくとも5個のフッ素原子を含むペルフルオロアルキル基、アジド基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、シリル基、尿素基、チオ尿素基、およびエステル基から選択される。
【0036】
いくつかの変形例において、XまたはX'は、独立して、-(CH2)2-、-[(CH2)2O]p-、-[(CH2)2S]p-またはフェニル2価基から選択される。
【0037】
いくつかの変形例では、少なくとも1つのフッ素化モノマーは、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-トリフルオロメタクリル酸、2-トリフルオロメタクリル酸アルキル、α-フルオロアクリル酸、α-フルオロアクリル酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β,β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキル、1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-プロペ-2-エン、ペルフルオロブタジエンおよびそれらの組み合わせから選ばれ、そしてここで、少なくとも1種のフッ素化モノマーは、好ましくはフッ化ビニリデンを含む。
【0038】
いくつかの変形において、ポリマーは、全末端基に対する末端基R-X-Sq-または-Sw-q-X'-R'のモル比が40~100%、好ましくは70~100%である。
【0039】
いくつかの変形例では、ポリマーは上述の方法によって得ることができる。
【0040】
本発明は、従来技術の欠点を克服することを可能にする。特に、本発明は、高い鎖末端官能基含量を有するようなポリマーを得ることを可能にする、テレケリックフッ素化ポリマーの調製方法を提供する。本発明はまた、後官能化を必要とせずに、種々の末端官能基を有する多様のポリマーを得ることを可能にする、テレケリックフッ素化ポリマーの調製方法を提供する。
【0041】
これは、本発明による方法によって達成される。より詳細には、これは式(I)のポリスルフィド連鎖移動剤を使用することにより達成され、該ポリスルフィド連鎖移動剤はS-S結合により、官能基末端基の高いモル比、特に40%より高いモル比を得ることを可能にする。この重合プロセスは、官能性末端基を提供する官能性ポリスルフィドの存在によって制御され、得られるポリマーの分子量を制御することが可能になる。したがって、このようなテレケリックポリマー(またはオリゴマー)を使用して、ポリマー樹脂を効率的に調製することが可能である。
【0042】
さらに、連鎖移動剤中の基RおよびR'の存在および性質により、後官能化を必要とせず、種々の末端機能を含む多様なポリマーを得ることが可能になる。
【0043】
有利には、界面活性剤を使用しないため、最終生成物の高い残留性、毒性、および時間とエネルギーを消費する精製工程を回避することが可能である。
【0044】
さらに有利なことに、本発明による方法は、光化学的条件とは対照的に、オートクレーブでの合成を可能にする熱的条件下で実施される。言い換えれば、これらの条件は、この方法をより大規模に、高いモノマー圧力で実施することを可能にし、プロセスの工業化を容易にする。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を、以下の説明に限定することなく、より詳細に説明する。
【0046】
重合方法
本発明による方法は、エチレン結合を含む少なくとも1種のフッ素化モノマーの重合に使用される。“フッ素化モノマー”とは、少なくとも1個のフッ素原子を含むモノマーを意味する。
【0047】
本発明による方法は、テレケリックフルオロポリマーを調製することを可能にする。“テレケリックポリマー”とは、α,ω-二官能性ポリマー、言い換えれば、両末端が同じ官能性を有する二末端官能性ポリマーである。
【0048】
フッ素化モノマーは、フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロブタジエン、3,3,3-トリフルオロプロペンなどのトリフルオロプロペン類、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)などのテトラフルオロプロペン類、1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-プロペ-2-エン(ヘキサフルオロイソブチレン、HFIB)、ペルフルオロブチルエチレン、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン又は1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペンなどのペンタフルオロプロペン類、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)及びペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)などのペルフルオロアルキルビニルエーテル類、2-トリフルオロメタクリル酸(MAF)、2-トリフルオロメタクリル酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β,β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキル、3,3-ジフルオロ-2-(トリフルオロメチル)アクリレートのエステル類、3,3-ジフルオロ-2-(トリフルオロメチル)アクリレートのフルオロエステル、(Z/E)-3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)アクリレートのエステル類、(Z/E)-3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)アクリレートのフルオロエステル類、α-フルオロアクリレート類、α-フルオロアクリレートのエステルおよびそれらの組み合わせから選び得る。
【0049】
場合によっては、フッ素化モノマーは、塩素、臭素及びヨウ素などの他のハロゲン(フッ素以外)を含むこともできる。このようなフッ素化モノマーは、ヨードトリフルオロエチレン(ITFE)、ブロモトリフルオロエチレン(BrTFE)、クロロフルオロエチレン(CFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)およびクロロトリフルオロプロペンから選択することができる。クロロフルオロエチレンは、1-クロロ-1-フルオロエチレンまたは1-クロロ-2-フルオロエチレン(ZおよびE)のいずれかであることができる。クロロトリフルオロプロペンは、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン若しくは2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペン、2-ヨード-3,3,3-トリフルオロプロペンのいずれかであることができる。
【0050】
より好ましくは、フッ素化モノマーは、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル、1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-プロペ-2-エン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-トリフルオロメタクリル酸、2-トリフルオロメタクリル酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β、β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキル、ペルフルオロブタジエン、およびそれらの組み合わせから選ぶことができる。
【0051】
好ましい実施態様によれば、少なくとも1種のフッ素化モノマーはフッ化ビニリデンである。
【0052】
他の実施態様によれば、少なくとも1種のフッ素化モノマーは、フッ化ビニリデンと、例えばヘキサフルオロプロピレンおよび/またはペルフルオロメチルビニルエーテルのような少なくとも1種の他のフッ素化モノマーとの混合物である。
【0053】
さらに、重合法の間に少なくとも1種のコモノマーが存在してもよい。そのようなコモノマーは、スチレンコモノマー、(アルキル)アクリルコモノマー、およびそれらの組み合わせのような非フッ素化コモノマーから選択することができる。“(アルキル)アクリル”の用語は、アクリルおよびアルキルアクリルという用語を含む。好ましくは、アルキルアクリルモノマーはメタクリルモノマーである。
【0054】
非フッ素化スチレンコモノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン(2または3または4およびそれらの組み合わせ)、アセトキシスチレン、ベンズヒドリルスチレン、ハロゲン(ヨード、クロロ、ブロモ、フルオロ)化スチレン、アルコキシスチレン、(アルキル/アリールホスフィノ)スチレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニル安息香酸塩から選択することができる。
【0055】
非フッ素化(アルキル)アクリル系コモノマーは、例えば、(アルキル)アクリル酸、(アルキル)アクリルアミド、(アルキル)アクリロニトリル、(アルキル)アクリレート、およびそれらの組み合わせから選択することができる。このようなモノマーは、好ましくは炭素原子数1~22の、飽和または不飽和の、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を有し、少なくとも1つのヘテロ原子(O、S)を含むことができる(アルキル)アクリル酸、(アルキル)アクリレートモノマーから選択することができる。
【0056】
非フッ素化(アルキル)アクリル系コモノマーの例としては、(アルキル)アクリル酸、(アルキル)アクリル酸メチル、(アルキル)アクリル酸エチル、(アルキル)アクリル酸n-プロピル、(アルキル)アクリル酸イソプロピル、(アルキル)アクリル酸アリル、(アルキル)アクリル酸n-ブチル、(アルキル)アクリル酸イソブチル、(アルキル)アクリル酸t-ブチル、(アルキル)アクリル酸n-ヘキシル、(アルキル)アクリル酸n-オクチル、(アルキル)アクリル酸イソオクチル、(アルキル)アクリル酸2-エチルヘキシル、(アルキル)アクリル酸n-デシル、(アルキル)アクリル酸イソデシル、(アルキル)アクリル酸ラウリル、(アルキル)アクリル酸トリデシル、(アルキル)アクリル酸C12-C14アルキル、(アルキル)アクリル酸n-オクタデシル、(アルキル)アクリル酸C16-C18アルキル、(アルキル)アクリル酸シクロヘキシル、(アルキル)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(アルキル)アクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、(アルキル)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸3-スルホプロピルカリウム塩、塩化メタクロイルコリン、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸2,2,6,6-テトラメチル4-ピペリジル、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)-エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、コハク酸モノ-ビス(2-アクリロイルオキシエチル)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0057】
特に好ましい化合物は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0058】
さらに可能な他のコモノマーとしては、ビニルホスホン酸アルキル、ビニルホスホン酸、ビニルケトン、イソプレン、ブタジエン、テルペン類、ビニルイミダゾール類、アルキルビニルアンモニウムハライド類、ビニルカルバゾール類、ビニルピロリドン類、ビニルスルホン酸塩類、ビニルフェロセン類、ビニルフタルイミド類、ビニルカプロラクタム類、ビニルピリジン類、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
いくつかの態様によれば、本発明による方法は、テレケリックホモポリマー、好ましくはテレケリックPVDFホモポリマーを得るために、1種だけのフッ素化モノマー、好ましくはフッ化ビニリデンモノマー、のみを重合させるために使用される。
【0060】
他の態様によれば、本発明は、コポリマーを形成するために、少なくとも2つの異なるフッ素化モノマーを重合するために使用される。“コポリマー”とは、少なくとも2つの異なるモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味する。従って、ターポリマーも上記の定義に含まれる。
【0061】
上記の場合、少なくとも2つの異なるフッ素化モノマーのうちの1つはVDFモノマーであり、少なくとも1つの他のフッ素化モノマー及び任意に上記のリストからの少なくとも1つのコモノマーを用いるのが好ましい。
【0062】
重合法を用いて少なくとも1種のフッ素化モノマーを少なくとも1種のコモノマーと重合させる場合、フッ素化モノマーのコモノマーに対するモル比は0.01~99%、好ましくは50~99%とすることができる。例えば、この比率は0.01~1%;または1~5%;または5~10%;または10~20%;または20~30%;または30~40%;または40~50%;または50~60%;または60~70%;または70~80%;または80~90%;または90~99%であってもよい。
【0063】
重合法がVDFと少なくとも1種の第2のフッ素化モノマーとを重合するために使用される場合、他のモノマーに対するVDFモノマーのモル比は、0.01~99%、好ましくは0.1~50%であることができる。例えば、この比率は、0.01~1%または1~5%;または5~10%;または10~20%;または20~30%;または30~40%;または40~50%;または50~60%;または60~70%;または70~80%;または80~90%;または90~99%であり得る。
【0064】
上記のモノマーを重合開始剤、連鎖移動剤、および任意に溶媒と接触させる。
【0065】
重合開始剤は、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過硫酸塩、過炭酸塩、ペルオキシカーボネート、過酸、ペルスター、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0066】
好ましい態様によれば、重合開始剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化水素/アスコルビン酸、過酸化水素/尿素付加物、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-アミルヒドロペルオキシド、ビス(tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、クミルペルオキシド、クミルヒドロキシペルオキシド、ジ-イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-アミルペルオキシピバレートtert-ブチルペルオキシド、過酢酸、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸アンモニウムから選び得る。より好ましくは、重合開始剤は、tert-ブチルペルオキシピバレートおよびtert-アミルペルオキシピバレートから選択される。
【0067】
いくつかの態様によれば、EDTA、ポリアミン及びポリピリジンなどの配位子を有する鉄、マンガン、銅、亜鉛などの金属触媒を、上記の重合開始剤のいずれかに添加することができる。
【0068】
重合開始剤は、重合しようとするモノマー(フッ素化モノマーおよび/またはコモノマー)の合計に対して0.03~5モル%、好ましくは0.1~2モル%の含有量で添加することができる。この含有量は、0.03~0.1モル%;または0.1~0.5モル%;または0.5~1モル%;または1~1.5モル%;または1.5~2モル%;または2~2.5モル%;または2.5~3モル%;または3~3.5モル%;または3.5~4モル%;または4~4.5モル%;または4.5~5モル%であり得る。
【0069】
本発明の場合、重合は、フッ素化モノマーと反応する重合開始剤によって開始される。形成されたラジカル種は、他のモノマーと反応してマクロラジカルを生成するであろう。この後者は次に連鎖移動剤と反応し、さらに官能性鎖末端と新しいラジカルとを生成する。このように、本発明の場合、重合は重合開始剤によって開始され、照射(光化学的条件)によって開始されるのではない。従って、好ましい態様において、反応混合物は照射に付されない。
【0070】
連鎖移動剤は、式(I)を有する:
(I)R-X-(S)w-X'-R'
【0071】
言い換えると、連鎖移動剤はポリスルフィド化合物である。S-S結合は弱く、転移定数が高いためラジカルと強く相互作用する。このため、溶媒からの水素移動反応を減少させ、又はバックバイトにより水素移動反応を減少させ、鎖末端官能性をかなり増加させるであろう。
【0072】
wは整数である。wは、2~10の範囲で変化する。好ましくは、wは2であり、従って連鎖移動剤がジスルフィドである。
【0073】
RおよびR'は、独立して、水素原子、好ましくは少なくとも5個のフッ素原子を含むペルフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、エステル基、チオエステル基、アミド基、アジド基、尿素基、カーボネート基、チオカーボネート基、シクロカーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、シリル基および芳香族基から選択される。
【0074】
“ペルフルオロアルキル基”とは、-CmF2m+1基を意味し、mは好ましくは2~10である。
【0075】
“ヒドロキシ基”とは、-OH基を意味する。
【0076】
“アミン基”とは、-NR1R2R3基を意味し、ここで、R1、R2およびR3は、独立して、水素原子または1~10個の炭素原子を含むアルキル基から選択できる。該アルキル基は直鎖状であっても分枝状であってもよい。言い換えると、アミン基は、第一級アミン、第二級アミン、または第三級アミンから選択され得る。
【0077】
“酸基”とは、-COOH基を意味する。
【0078】
“エステル基”とは、-COOR4基を意味し、ここでR4は、1~10個の炭素原子を含むアルキル基から選択できる。該アルキル基は直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0079】
“チオエステル基”とは、-COSR4基を意味する。
【0080】
“アミド基”とは、-CONR1R2R3基を意味する。
【0081】
“アジド基”とは、-N3基を意味する。
【0082】
“ウレア基”とは、-NR1CONR2R3基を意味する。
【0083】
“シアノ基”とは、-CN基を意味する。
【0084】
“カーボネート基”とは、-OCOOR5基を意味し、ここでR5は、1~10個の炭素原子を含むアルキル基から選択できる。該アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。R5は、カルボン酸アニオンの対イオンに関する一価、二価または三価のカチオンであり、例えばLi、Na、K、Cs、Mg、ZnおよびFeであることができる。
【0085】
“チオカーボネート基”とは、-OCOSR5および-OCSSR5から選択される基を意味する。
【0086】
“シクロカーボネート基”とは、式(II)の基を意味する:
【0087】
ここで、R6は、エーテルまたはチオエーテルのようなヘテロ原子の連結を有するかまたは有さない2~7個の炭素原子、好ましくは2~5個の炭素原子を含む二官能性アルキル基であり、シクロカーボネート基は、R6基を介して-X-に連結される。
【0088】
“芳香族基”は、1つ以上の環を含むことができ、そして任意に、酸素、硫黄または窒素のようなヘテロ原子を1つ以上含むことができる。該芳香族環または各芳香族環は、5員環または6員環または7員環または8員環であってもよく、好ましくは5員環または6員環である。該芳香族基は、独立して、ハロゲン、または1~10個の炭素原子を含むアルキル基、又はシアノ基又はアルコキシ基又はスルホキシ基から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよい。好ましい態様によれば、該芳香族基は、イミダゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、またはベンゾトリアゾールであってもよい。
【0089】
“シリル基”とは、-SiR7R8R9基を意味し、ここで、R7、R8およびR9は、独立して、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキルおよびアルコキシ基から選択される。いくつかの態様において、R7、R8およびR9はアルキル基である。他の態様において、R7、R8およびR9はアルコキシ基である。
【0090】
好ましい態様によれば、RおよびR'は、独立して、水素原子、ヒドロキシ基、アミン基、酸基、フルオロアルキル基、シリル基、尿素基、チオ尿素基、アジド基、シアノ基、およびエステル基から選択され得る。
【0091】
いくつかの態様によれば、RおよびR'は異なる。
【0092】
好ましい態様によれば、RおよびR'は同一である。
【0093】
XおよびX'は、独立して、1~10個の炭素原子を含む、2価の、直鎖状または分枝状のアルキル基、-[(CH2)y)Z]p-または芳香族2価基から選択される2価基であり得る。“二価基”とは、本発明の文脈において、2つの化学結合を介して他の基(この場合、一方ではRに接続され、他方ではSに接続される)に接続される基を意味する。
【0094】
より詳細には、好ましい態様によれば、2価のアルキル基は直鎖状であり、好ましくは-(CH2)n-基である。この場合、nは1~10、好ましくは1~5の数であってよい。いくつかの好ましい態様によれば、nは2であってもよく、従ってXおよび/またはX'は-(CH2)2-であり得る。
【0095】
yは、1~5、好ましくは1~4の数である。
【0096】
Zは、-O-、-S-、-COO-、-Si(R''R''')-および-CONH-から選択される。R''およびR'''は同一であっても異なっていてもよい。これらは独立して、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルコキシ基から選択される。いくつかの態様において、R''およびR'''はアルキル基である。他の態様において、R''およびR'''は、アルコキシ基である。
【0097】
好ましい態様によれば、Zは-O-である。
【0098】
いくつかの態様によれば、Zは、-(S)w-基に連結される。
【0099】
他の態様では、Zは-RまたはR'基に連結している。
【0100】
pは1~10、好ましくは1~5の数である。
【0101】
いくつかの好ましい態様によれば、yは2であり、Zは-O-であるので、Xは-[(CH2)2O]p-である。
【0102】
いくつかの態様によれば、-[(CH2)y)Z]p-は、分枝していてもよい。
【0103】
“芳香族二価基”とは、1つ以上の環を含み、任意に酸素、硫黄または窒素などの1つ以上のヘテロ原子を含む芳香族基を意味する。芳香環は、5員環もしくは6員環、または7員環もしくは8員環であってよい。それは好ましくは、5員環または6員環である。該芳香族二価の二官能基は、独立して、ハロゲン、または1~10個の炭素原子を含むアルキル基から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよい。好ましい態様によれば、該芳香族二価基は、オルト、メタ、パラまたは任意の可能な組み合わせで置換された又は置換されていないフェニル二価基であってもよい。該置換基は、アミン基、エステル基、エーテル基、シアノ基、チオエーテル基、尿素基、チオ尿素基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、カルボン酸基、またはヒドロキシル基であり得る。
【0104】
芳香族二価基がフェニル二価基の場合、RおよびSは、互いに対してオルト位、メタ位またはパラ位に連結していてもよい。
【0105】
好ましい態様によれば、Xおよび/またはX'は、独立して、-(CH2)2-、-[(CH2)2O]p-、-[(CH2)2S]p-またはフェニル2価基から選択され得る。
【0106】
いくつかの態様によれば、XおよびX'は異なる。
【0107】
好ましい態様によれば、XおよびX'は同一である。
【0108】
いくつかの好ましい態様においては、X=X'そしてR=R'であるので、連鎖移動剤は対称分子である。
【0109】
好ましい態様によれば、連鎖移動剤は、二硫化プロピル、3,3′-ジチオジプロピオン酸およびシスタミン二塩酸塩から選択され得る。
【0110】
連鎖移動剤は、重合されるモノマー(フッ素化モノマーおよび/またはコモノマー)の合計に対して、0.1~30モル%、好ましくは1~10モル%の含量で添加することができる。この含有量は、0.1~1モル%;または1~5モル%;または5~10モル%;または10~15モル%;または15~20モル%;または20~25モル%;または25~30モル%であってよい。
【0111】
第一ステップは、溶媒の存在下で実施することができる。該溶媒は、水、メタノール、エタノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、イソペンタノール、ペンタノール、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、プロピオニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-ホルミルモルホリン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、N,N′-ジメチルプロピレン尿素、酢酸、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、1. 2ジクロロエタン、またはフッ素化溶媒、例えば1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1-クロロ-2,2-ジフルオロエタン、トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン及びペルフルオロシクロヘキサン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン、超臨界CO2から選ぶことができる。
【0112】
他の化合物、例えば単相若しくは二相重合の場合は共溶媒、ワックス、非フッ素化界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム又はSDS、ハロゲン化セチルアンモニウム、ポリ(アクリル酸)、芳香族ポリエチレンオキシド界面活性剤、例えばTriton(商標)X-100, Triton(商標)N-101, Triton(商標)X-114, Triton(商標)X-405, Triton(商標)X-45など、ポリエチレンオキシドフラン系界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)60、TWEEN(登録商標)65、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)85など、糖系界面活性剤、例えばSpan(登録商標)20、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、Span(登録商標)85など、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン界面活性、例えばBrij(登録商標)58、 Brij(登録商標)O10、BRIJ(登録商標)O20、Brij(登録商標)L4、Brij(登録商標)S 100、Brij(登録商標)L23、Brij(登録商標)93、Brij(登録商標)C10、Brij(登録商標)S20)などを、ラテックス安定性を増加させるか又はpHを制御するために使用することができる。
【0113】
いくつかの態様では、重合開始剤を反応器に移し(好ましくは上記のような溶媒と一緒に)、次いでモノマー(フッ素化モノマーおよびコモノマー)を導入し(すべて一緒に、または各タイプのモノマーを別々に)、次いで反応器を所望の温度に加熱した後に連鎖移動剤を徐々に導入することができる。
【0114】
あるいは、すべての反応物を反応器に移し、該反応器を所望の温度でさらに加熱することができる。
【0115】
再び或いは、重合開始剤と連鎖移動剤とを反応器に移し、次にフッ素化モノマーを連続的にまたは1回のバッチで反応媒体に、例えば特定の温度で、添加することもできる。
【0116】
あるいは、1種より多くのフッ素化モノマー(および/またはコモノマー)を使用する場合には、各タイプのモノマーを、連鎖移動剤および重合開始剤を含む混合物中に別々に添加する。例えば、まず第一のタイプのフッ素化モノマーを該混合物に添加し、続いて第二のタイプのフッ素化モノマーを添加することができる。あるいは、ある種のタイプのフッ素化モノマーを連鎖移動剤と重合開始剤を含む混合物に同時に添加し、次いで第二のタイプのフッ素化モノマーを添加し、次に加熱することもできる。
【0117】
あるいは、所定のフッ素化モノマーを、2つ以上の時点で該混合物に添加してもよいし、或いはある期間にわたって連続的に添加してもよい。
【0118】
本発明の方法は、好ましくは、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、4,8-ジオキサ-3H-ペルフルオロノナン酸アンモニウムADONA(登録商標)(ヂュネオン(Dyneon)社により商品化)、POLYFOX(登録商標)(オムノバ(Omnova)社により製造)、TIVADA(登録商標)(メルク(Merck)社により販売)、およびGenX(式C3F7OCF(CF3)CO2Hを有し、ケモース(Chemours)社により商品化)が挙げられる。より好ましくは、この方法は、界面活性剤の非存在下で実施される。
【0119】
重合反応は、好ましくは30~150℃、より好ましくは60~120℃、さらに好ましくは65~110℃の範囲の温度で行うことができる。この温度は、重合開始剤の半減期にも依存し得る。温度は、重合反応を完了させるために、1分~24時間、好ましくは30分~5時間の範囲の時間、一定のままであってもよい。いくつかの態様において、モノマーは、周囲温度で反応器に導入してもよい。他の態様では、モノマーは例えば-196℃から0℃のような低温で導入してもよい。異なるモノマーに対して異なる導入温度を使用してもよい。2回目の添加時の温度は、1回目の添加時の温度よりも高くてもよく、低くてもよい(好ましくは低くてもよい)。例えば、1回目の添加を-50℃から0℃の温度で行い、次に温度を下げて-196℃から-50℃の温度になるようにすることができる。2回より多くの添加を行う場合も同様であることは言うまでもない。その後、温度を所望の重合反応温度まで上げることができる。
【0120】
重合は、一定または可変の圧力下で達成することができる。従って、本発明による方法は、5~100バール、より好ましくは10~70バールの範囲の圧力下で実施することができる。
【0121】
好ましくは、本発明による方法は、酸素を含まない雰囲気下、例えば窒素、アルゴンまたは二フッ化ビニリデン雰囲気下で実施することができる。“二フッ化ビニリデン雰囲気”とは、オートクレーブがVDFガスで飽和されていることを意味する。
【0122】
さらに、本発明による方法は、溶液、懸濁液またはエマルジョン中、従来の溶媒中または超臨界流体中で実施することができる。
【0123】
本発明による方法は、オートクレーブ中で実施することができる。あるいは、ラジカル重合は、厚いホウケイ酸カリウス(Carius)チューブ(例示的な寸法:長さ=130mm、内径=10mm、厚さ=2.5mm、総容量=8mL)中で実施することができる。例えば、連鎖移動剤、重合開始剤および任意に溶媒を含む様々な反応物を該チューブ中に添加することができる。次いで、該チューブを少なくとも4回の解凍-凍結サイクルによって脱気し、次に必要量のモノマーを、圧力降下がガス状モノマーの量(g単位)で予め校正された中間シリンダーから、特殊な連結管を介して移送することができる。該チューブは、液体窒素の温度で動的減圧下に密封することができる。その後、該チューブを所望の温度に調節された加熱振とう装置に挿入し得る。次いで、重合反応を一定温度で所望の期間実施し得る。
【0124】
いくつかの態様によれば、本発明による方法は、1つ以上の精製ステップを含んでもよい。そのようなステップには、洗浄、沈殿、濾過、乾燥などのような、当業者にとって一般的な精製方法が含まれる。
【0125】
フッ素化ポリマー
上記の方法に従って得られるフッ素化ポリマーは、テレケリックポリマー(上記で定義)である。
【0126】
本発明によるフッ素化ポリマーは、好ましくはオリゴマーである。“オリゴマー”とは、70以下、好ましくは30以下、の単位数を含むポリマーを意味する。
【0127】
フッ素化ポリマーは、フッ素化モノマーから誘導される単位と、任意に1種以上の他のコモノマーから誘導される単位を含む(そして上記のとおり)。さらに、本発明のフッ素化ポリマーは、少なくとも部分的に官能性末端基(この基は、連鎖移動剤から誘導され、上記のとおりである)を含む。より詳細には、上記の方法に従って得られる官能性ポリマーは、統計分布のポリマーの少なくとも一部が少なくとも1つの官能性末端基を含む統計分布を有する。個々のポリマー分子は、例えば、1つの官能性末端基-Sq-X-R(ここで、qは1~7の数である)および第2の官能性末端基-Sw-q-X'-R'(wおよびw-qは上記で定義したとおりである)、または、-Sq-X-Rおよび-Sw-q-X'-R'から選択される第1の官能性末端基と、例えば媒体(例えば溶媒から)からフッ素化ポリマーへの水素移動の後に、またはポリマー鎖からのバックバイト(分岐を誘導し得るポリマー鎖からの水素移動)および誘導された分岐および3Dネットワーク形成によって形成される第2の官能性末端基とを含み得る。
【0128】
官能基-Sq-X-Rおよび-Sw-q-X'-R'は、同一であっても異なっていてもよい。
【0129】
フッ素化ポリマーは、全末端基に対する末端官能基(-Sq-X-Rおよび/または-Sw-q-X'-R')のモル比が40~100%、好ましくは70~100%であってもよい。この比率は、NMR分光法によって算出される。
【0130】
フッ素化ポリマーは、300g/モル以上、好ましくは300~50,000g/モル、より好ましくは500~10,000g/モルの数平均分子量Mnを有していてもよい。例えば、フッ素化ポリマーは、300~500g/モル;または500~1500g/モル;または1,500~15,000g/モル;または15,000~30,000g/モル;または30,000~35,000g/モル;または35,000~40,000g/モル;または40,000~45,000g/モル;または45,000~50,000g/モル;または50,000~55,000g/モル;または55,000g/モルを超える分子量を有し得る。
【0131】
フッ素化ポリマーの分子量は、19Fまたは1HNMR分光法によって測定される。これは、フッ素化(または特徴的な水素化)単位および末端基の特異的シグナルの積分から、またはMALDI-TOF分光分析(モル質量が8,000未満の場合)、並びにサイズ排除クロマトグラフィーおよび粘度のような物理的分析によって算出することができる。
【0132】
いくつかの態様によれば、本発明のフッ素化ポリマーは、好ましくはVDF、VF、TrFE、TFE、TFP、CTFE、BrTFE、ITFE、HFO-1234yf、およびCFEモノマーから選択される単一のフッ素化モノマー、より好ましくはVDFモノマー、から誘導される単位を含むホモポリマーである。
【0133】
他の態様によれば、本発明のフッ素化ポリマーは、少なくとも2つの異なるフッ素化モノマー(および任意に1つ以上のコモノマー)から誘導される単位を含むコポリマーであり、該フッ素化モノマーは、好ましくは、VDF、VF、HFP、PMVE、TrFE、TFE、TFP、CTFE、BrTFE、ITFE、 HFO-1234yf、HFO-1234ze、PPVE、CFE、MAF、MAF-エステル、ヘキサフルオロブタジエン、α-フルオロアクリル酸、α-フルオロアクリ酸アルキル、α,β-ジフルオロアクリル酸、α,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、β,β-ジフルオロアクリル酸、β,β-ジフルオロアクリル酸アルキル、α,β,β-トリフルオロアクリル酸、α,β,β-トリフルオロアクリル酸アルキルおよびHFIBモノマーから選ばれる。好ましくは、少なくとも2つの異なるフッ素化モノマーのうちの1つは、VDFモノマーである。
【0134】
好ましい態様によれば、フッ素化ポリマーがコポリマーである場合:それは、ポリ(VDF-co-HFP)コポリマー、またはポリ(VDF-co-VF)コポリマー、またはポリ(VDF-co-PMVE)コポリマー、またはポリ(VDF-ter-HFP-ter-PMVE)コポリマー、またはポリ(VDF-co-TFE)コポリマー、またはポリ(VDF-co-TrFE)コポリマー、またはポリ(VDF-co-CTFE)コポリマー、またはポリ(VDF-co-BrTFE)コポリマー、またはポリ(VDF-co-ITFE)コポリマー、またはポリ(VDF-co-HFIB)コポリマー、ポリ(VDF-co-PPVE)コポリマー、ポリ(VDF-ter-HFP-ter-CTFE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-HFP-ter-TrFE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-CTFE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-CFE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-HFP-ter-BrTFE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-PPVE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-PMVE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-MAF)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-MAF-エステル)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-HFIB)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-1234ze)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-1234yf)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-HFP-ter-1234ze)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-HFP-ter-1234yf)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-CTFE-ter-1234ze)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-CTFE-ter-1234yf)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-BrTFE-ter-1234yf)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-BrTFE-ter-1234ze)ターポリマー、又はポリ(VDF-ter-HFP-ter-CFE)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-HFP-ter-HFIB)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-TrFE-ter-HFIB)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-CTFE-ter-HFIB)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-HFP-ter-MAF)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-CTFE-ter-MAF)ターポリマー、またはポリ(VDF-ter-BrTFE-ter-MAF)ターポリマー、および他のすべての可能な組み合わせであることができる。
【0135】
フッ素化ポリマーがVDFコポリマーである場合、VDFモノマーに由来する単位の含有量は、ポリマーの総重量に対して10~99重量%、好ましくは20~90重量%であってよい。例えば、この含有量は、ポリマーの総重量に対して10~15重量%;または15~30重量%;または30~50重量%;または50~65重量%;または65~85重量%;または85~90重量%;または90~95重量%;または95~99重量%であってよい。この含有量は、19F NMR分光法によって測定することができる。
【0136】
その結果、フッ素化ポリマーがVDFコポリマーである場合、VDFモノマー以外のモノマー(フッ素化モノマーおよび任意にコモノマー)に由来する単位の含有量は、ポリマーの総重量に対して1~90重量%、好ましくは10~80重量%であってよい。例えば、この含有量は、ポリマーの総重量に対して1~5重量%;または5~10重量%;または10~20重量%;または20~30重量%;または30~40重量%;または40~50重量%;または50~60重量%;または60~70重量%;または70~80重量%;または80~90重量%であってよい。この含有量は、VDFモノマー以外の1種または2種以上のタイプのモノマーに関し得る。
【0137】
いくつかの態様によれば、本発明によるフッ素化ポリマーは、10%以上、好ましくは10~65%、より好ましくは30~65%の結晶化度を有することができる。結晶化度は、ネッツ(Netzsch)社のDSC200 F3 マイア(Maia)システムを用いた示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。これはパーセンテージ比ΔHm/ΔHcに相当し、ここでΔHc=104.5J.g-1は100%結晶性PVDFの融解エンタルピーに相当し、ΔHmはDSCによって決定された融解エンタルピー(J.g-1)である。
【0138】
他の態様によれば、特にポリ(VDF-co-VDF以外のフッ素化モノマー)コポリマーの場合、非晶質材料を得ることができる。これは、例えば、ポリ(VDF-co-HFP)コポリマー中のHFP(またはPMVEまたはPPVE)の含有量が18~20モル%より高い場合である。
【0139】
本発明によるフッ素化官能性ポリマーは、100℃に等しいか又はそれより高い、好ましくは150℃に等しいか又はそれより高い、より好ましくは250℃に等しいか又はそれより高い分解温度を有し得る。“分解温度”とは、ポリマーが分解によりその重量の5%を失う温度を意味する。分解温度は、空気および窒素雰囲気下、TAインスツルメンツ社のQ50装置を用いた熱重量分析(TGA)によって測定することができる。
【実施例】
【0140】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するものである。
【0141】
ペルオキシピバル酸tert-ブチル(TBPPI)を重合開始剤として使用した。プロピルジスルフィド(A)および3,3′-ジチオジプロピオン酸(B)を連鎖移動剤として使用した。全ての実施例は窒素雰囲気下で行った。
【0142】
実施例1
VDFの重合を、減圧オートクレーブに移した溶媒としてのジメチルカーボネート(炭酸ジメチル)中のAおよびTBPPIを含むパージ溶液から行なった。その後、反応器を約-100℃に冷却し、VDFガスを移送した(nA/nVDF=0.056(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.006(0.6モル%))。その後、オートクレーブを室温まで温め、徐々に75℃まで加熱しながら、反応溶液を機械的に激しく攪拌した。8時間後、オートクレーブ内の圧力は30バールから27バールに低下した。その後、オートクレーブを冷却し、水-氷浴中に浸し、次に減圧し、そして大気に開放した。VDF転化率は15%であった。反応生成物を丸底フラスコに移し、減圧下で凝縮させた。生成物をペンタンで洗浄し、次に減圧(10-3バール)下、60℃で一晩放置して乾燥させた。最終生成物を白色粉末として回収した(収率10%、官能性末端鎖92%)。このポリマーの平均分子量Mnは630g/モルであった。
【0143】
実施例2:
実施例1と同じ手順に従って、A、TBPPIおよび溶媒としての1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンを含むパージ溶液から、減圧オートクレーブに移してVDFの重合を行った。その後、反応器を冷却し、次に温度-100℃でVDFを添加した(nA/nVDF=0.056(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.032(3.2モル%))。その後、オートクレーブを室温まで、次いで60℃まで温め、その間、反応器を機械的に激しく攪拌した。60時間後、オートクレーブ内の圧力は16バールから12バールに低下した。次にオートクレーブを水-氷浴中で冷却し、通気により減圧し、そして大気に開放した(VDFの転化率は33%であった)。反応生成物を丸底フラスコに移し、減圧下で凝縮させ、次にペンタンで洗浄し、次に減圧(10-3バール)下、60℃で一晩放置して乾燥させた。最終生成物を白色粉末として回収した(収率30%、官能性末端鎖は19F NMR分光法で測定して82%)。このポリマーの平均分子量Mnは570g/モルであった。
【0144】
実施例3:
前の実施例と同様に、VDFの重合を、B、TBPPIおよび溶媒としてのメタノールを含むパージ溶液から、減圧オートクレーブに移して行った。次に反応器を冷却し、そして次に温度-100℃でVDFを添加した。nB/nVDF=0.056(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.032(3.2モル%)。その後、オートクレーブを室温まで、次いで75℃まで温め、その間、反応器を機械的に激しく攪拌した。4時間後、オートクレーブ内の圧力は29バールから20バールに低下した。その後、オートクレーブを水-氷浴で冷却し、通気により減圧し、そして大気に開放した(VDFの転化率=29%)。溶媒を減圧下で除去した。得られた生成物をエタノール中に沈殿させ、そして該生成物を減圧(10-3バール)下、60℃で一晩乾燥させた。最終生成物を白色粉末として回収した(収率23%、官能性末端鎖は19FNMR分光法で測定して47%)。このポリマーの平均分子量Mnは780g/モルであった。
【0145】
実施例4:
VDFの重合を、B、TBPPIおよびtert-ブタノールを含むパージ溶液から、減圧オートクレーブに移して行った。次に反応器を冷却し、次にVDFを約-100℃で導入した(nB/nVDF=0.056(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.032(3.2モル%))。オートクレーブを室温まで温めた後、徐々に95℃まで加熱し、その間、反応溶液を機械的に激しく攪拌した。2時間後、オートクレーブ内の圧力を24バールから20バールに下げた。次にオートクレーブを冷却し、水-氷浴に浸し、通気により減圧し、そして大気に開放した。(VDF転換率=40%)。溶媒を減圧下で除去した。得られた生成物をエタノールから沈殿させ、該生成物を減圧(10-3バール)下、60℃で一晩乾燥させた。最終生成物を白色粉末として回収した(収率32%、官能性末端鎖は19F NMRで測定して93%)。このポリマーは、19F NMRを用いて測定して平均分子量Mnが500g/モルであった。
【0146】
実施例5:
前の実施例と同様に、VDFの重合を、B、TBPPIおよびtert-ブタノールを含むパージ溶液から、減圧オートクレーブに移して行った。その後、反応器を冷却し、VDFガスを移送した(nB/nVDF=0.11(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.006(0.6モル%))。その後、オートクレーブを室温まで温め、徐々に95℃まで加熱したが、その間、反応溶液を機械的に激しく攪拌した。4時間後、圧力は24から20バールに下がった。VDF転化率は20%であった。その後、オートクレーブを冷却し、水-氷浴に浸し、次に減圧しそして大気に開放した。反応生成物を丸底フラスコに移し、減圧下で凝縮させ、エタノールから沈殿させ、濾過し、生成物を減圧下(10-3 バール)60℃で一晩放置して乾燥させた。最終生成物は白色粉末として回収され(収率15%)、平均分子量Mnは320g/モル、官能性末端鎖は97%であった。
【0147】
実施例6:
前の実施例のように、VDFとヘキサフルオロプロペン(HFP)の共重合を、減圧オートクレーブに移したB、TBPPI、およびtert-ブタノールを含むパージ溶液から行った。次に反応器を冷却し、HFPガスおよびVDFガスを移送した(nB/nVDF=0.11(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.006(0.6モル%)、nVDF:nHFP=75:25モル)。その後、該オートクレーブを室温まで温め、次に徐々に95℃まで加熱し、その間、反応溶液を機械的に激しく撹拌した。4時間後、圧力は31バールから24バールに低下した。次に該オートクレーブを冷却し、水-氷浴に浸し、次に減圧し、そして大気に開放した。反応生成物を丸底フラスコに移し、減圧下で濃縮し、次にエタノール中に沈殿させ、濾過し、そして生成物を減圧(10-3バール)下で60℃にて一晩放置して乾燥させた。最終生成物は白色ワックスとして回収され(収率51%)、平均分子量Mnは500g/モル、官能性末端鎖は84%であった。
【0148】
実施例7:
前の実施例のように、VDFとペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)の共重合を、減圧オートクレーブに移したB、TBPPI、およびtert-ブタノールを含むパージ溶液から行った。次に反応器を冷却し、PMVEガスおよびVDFガスをその中に移した(nB/nVDF=0.11(5.6 モル%)、nTBPPI/nVDF=0.006(0.6モル %)、nVDF:nPMVE=80:20モル)。引き続き、該オートクレーブを室温まで温め、次に徐々に95℃まで加熱し、その間、反応溶液を機械的に激しく撹拌した。4時間後、圧力は33バールから26バールに低下した。次に該オートクレーブを冷却し、水-氷浴に浸し、次に減圧し、そして大気に開放した。反応生成物を丸底フラスコに移し、減圧下で凝縮させ、次にメタノールから沈殿させ、濾過し、そして生成物を減圧(10-3バール)下、60℃で一晩放置して乾燥させた。最終生成物は白色ワックスとして回収され(収率52%)、平均分子量Mnは500g/モル、官能性鎖末端は84%であった。
【0149】
実施例8(600mlオートクレーブ中でのスケールアップ試験):
前の実施例のように、VDFの重合を、減圧オートクレーブに移したB、TBPPIおよびtert-ブタノールを含むパージ溶液から行った。その後、600mL反応器を冷却し、88gのVDFガスを移送した(nB/nVDF=0.11(5.6モル%)、nTBPPI/nVDF=0.006(0.6モル%))。その後、該オートクレーブを室温まで温め、次に徐々に95℃まで加熱し、その間、反応溶液を機械的に激しく攪拌した。わずかな発熱により、該オートクレーブは110℃まで温まった。2時間後、圧力は35バールから25バールに下がった。VDF転化率は20%であった。次に該オートクレーブを冷却し、水-氷浴に浸し、次に減圧し、そして大気に開放した。反応生成物を丸底フラスコに移し、減圧下で凝縮させた。次に700mlのメタノールを加え、溶液を2時間攪拌した。得られた懸濁液を硫酸で酸性化した水(脱イオン水150mlに対して硫酸5ml)1容量を加えて凝固させた。沈殿物を濾過し、白色生成物を減圧(10-3バール)下、60℃で一晩放置乾燥させた。最終生成物は白色粉末として回収され(収率40%)、平均分子量Mnは700g/モル、官能性末端鎖は86%であった。
【0150】
実施例9:
テレケリックPVDF二酸のエーテル化反応を以下のように行った:15.0gのテレケリックPVDFを、H2SO4 5mlを含む500mlのメタノール溶液に加え、80℃で24時間撹拌した。その後、16mlのH2SO4で酸性化した500mlの脱イオン水を懸濁液に加えて、生成物を凝固させた。次に生成物を濾過し、減圧(10-3バール)下、60℃で一晩放置乾燥させて、白色粉末を得た(収率100%)。
【国際調査報告】