IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チボ ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-508169生物学的に分解可能なポーションカプセル
<>
  • 特表-生物学的に分解可能なポーションカプセル 図1
  • 特表-生物学的に分解可能なポーションカプセル 図2
  • 特表-生物学的に分解可能なポーションカプセル 図3
  • 特表-生物学的に分解可能なポーションカプセル 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】生物学的に分解可能なポーションカプセル
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20240215BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A47J31/06 323
A47J31/36 328
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553634
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2022055614
(87)【国際公開番号】W WO2022184914
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】21161097.7
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507163714
【氏名又は名称】チボ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クール,ノルベルト
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104AA20
4B104BA40
4B104BA53
4B104EA39
4B104EA40
(57)【要約】
本発明は、コーヒーカプセルの使用中に飲料、特にコーヒーを調製するための装置および方法の分野にあり、ポーションカプセル、ポーションカプセルに適合した飲料調製機、ならびにポーションカプセルの使用中に飲料調製機を動作させるための方法に関する。本発明によるポーションカプセルは、周囲側壁3、第1のカバー要素4および第2のカバー要素8を備え、周囲側壁3、第1のカバー要素4および第2のカバー要素8は、閉じた内部7を形成する。第1のカバー要素4および/または第2のカバー要素8は、内部7に向けられたアーチ15を備える。少なくとも、アーチ15を備えるカバー要素は、生物学的に分解可能な材料で製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲側壁(3)、第1のカバー要素(4)および第2のカバー要素(8)を備えるポーションカプセル(1)であって、前記周囲側壁(3)、前記第1のカバー要素(4)および前記第2のカバー要素(8)は、閉じた内部(7)を形成し、前記第1のカバー要素(4)および/または前記第2のカバー要素(8)は、前記内部(7)に向けられたアーチ(15)を備え、前記アーチ(15)を備える前記カバー要素は、生物学的に分解可能な材料で製造され、
前記ポーションカプセルは、前記内部(7)に配置され、抽出材料領域(6)を前記第1のカバー要素(4)からまたは前記第2のカバー要素(8)から分離するフィルタ要素(11)を備え、前記フィルタ要素(11)によって前記抽出材料領域(6)から分離される前記カバー要素は、前記内部(7)に向けられた前記アーチ(15)を備え、
前記ポーションカプセル(1)は、前記フィルタ要素(11)のための位置決め装置(13)を備え、前記位置決め装置(13)は、前記フィルタ要素(11)によって前記抽出材料領域(6)から分離される前記カバー要素の方向への前記フィルタ要素(11)の移動が妨げられないように、前記フィルタ要素(11)に対して配置されることを特徴とする、ポーションカプセル(1)。
【請求項2】
前記位置決め装置(13)は、前記フィルタ要素(11)によって前記抽出材料領域(6)から分離されていない前記カバー要素の方向への前記フィルタ要素(11)の移動が妨げられるように、前記フィルタ要素(11)に対して配置される、請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項3】
前記周囲側壁(3)と前記2つのカバー要素のうちの一方とを備える基部要素(2)を備え、前記2つのカバー要素のうちの他方は、前記基部要素(2)に固定され、前記基部要素(2)とともに前記内部(7)を形成する、請求項1または2に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項4】
前記基部要素(2)は周辺フランジ(5)を形成し、前記2つのカバー要素のうちの前記他方は、前記周辺フランジ(5)に沿って前記基部要素(2)に固定される、請求項3に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項5】
前記ポーションカプセルは、長方形の基部形状、特に正方形の基部形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項6】
飲料調製機を動作させるための方法であって、
先行する請求項のいずれか1項に記載のポーションカプセル(1)を提供するステップを含む、方法。
【請求項7】
前記ポーションカプセル(1)を前記飲料調製機の調合チャンバに挿入するステップであって、前記調合チャンバは、第1の調合モジュール部分(25)と、前記第1の調合モジュール部分(25)に対して移動可能な第2の調合モジュール部分(26)とによって形成される、挿入するステップと、
前記第2の調合モジュール部分(26)が前記第1の調合モジュール部分(25)に対して移動されることによって前記調合チャンバを閉じるステップと、
調合流体を前記ポーションカプセルの前記内部(7)に導入するステップと
を含み、
前記調合流体の前記導入は、前記内部(7)に向けられた前記アーチ(15)を平坦化する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アーチの前記平坦化は、
前記内部(7)における圧力の増大、
前記内部に配置され、前記アーチ(15)を備える前記カバー要素から抽出材料領域(6)を分離するフィルタ要素の相対移動であって、前記相対移動は、前記アーチ(15)を備える前記カバー要素の方向にある、相対移動
のうちの少なくとも1つによって引き起こされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記平坦化によって伴われる前記カバー要素またはその一部の前記移動は、前記カバー要素または前記その一部と、抽出側穿刺装置(24)との間の相対移動をもたらし、前記相対移動は、前記内部(7)の方向における前記抽出側穿刺装置(24)の移動に対応する、請求項7または8の1項に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出側穿刺装置(24)は、前記カバー要素または前記その一部が前記穿刺装置に向かって移動することにより前記内部の方向において相対的に移動する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載のポーションカプセルから飲料を調製するための飲料調製機であって、前記飲料調製機は、第1の調合モジュール部分(25)と、前記第1の調合モジュール部分(25)に対して移動可能な第2の調合モジュール部分(26)とを有する調合モジュールを備え、調合チャンバが、前記第1および前記第2の調合モジュール部分によって形成可能であり、前記調合チャンバは、前記調合手順中に調合位置に位置する前記ポーションカプセルを少なくとも部分的に取り囲み、前記第1および/または第2の調合モジュール部分の壁によって形成され、前記調合モジュールは、調合流体を前記ポーションカプセルに導入することによって調合飲料を調合し、抽出側穿刺装置を介して前記調合モジュールから前記調合飲料を排出するように構成され、
前記抽出側穿刺装置の抽出側穿刺先端部(24)は、前記壁のくぼみに配置されることを特徴とする、飲料調製機。
【請求項12】
前記抽出側穿刺先端部は、前記くぼみの縁部を越えて前記調合チャンバ内に突出する、請求項11に記載の飲料調製機。
【請求項13】
前記壁の前記くぼみは、前記抽出側穿刺先端部(24)の軸方向軸に対して横方向に、前記抽出側穿刺先端部の幅を超えて延びる、請求項11または12に記載の飲料調製機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料カプセルに導入される流体によって飲料を調製するための装置および方法の分野にあり、飲料カプセルは可溶性食品物質を含み、それから飲料または飲料成分が水を注入することによって調製されることができる。本発明は、特に、コーヒーカプセルの使用の最中にコーヒーを調製する分野にある。本発明は特に、ポーションカプセル、本発明によるポーションカプセルに適合された飲料調製機、ならびに本発明によるポーションカプセルの使用の最中に飲料調製機を作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を調製するためのシステムのうちで、一般に、抽出によってコーヒー飲料またはティー飲料を調製するために、温水が概ね加圧下でカプセル内に導入されるいわゆるコーヒーカプセルシステムが知られている(これらは、ティーの調製のための変形形態でも利用可能である)。温水を導入するために、カプセルは、その一方の側(注入側)に穿刺されることが多い。調合飲料を、一般にカプセルの他方の側(抽出側)で導出するための様々な可能性が知られている。一方では、適切な穿孔スパイクによる穿刺も抽出側で想定されるシステムがある。他の例として、カプセルの抽出側境界が調合プロセス中に内圧下で穿刺または引き裂かれ、カプセルの外部の手段(それぞれのコーヒーマシンの調合チャンバ内に存在する)またはカプセルの内部の手段が存在し得るシステムが知られている。
【0003】
最後に、既に開封されているカプセルもあり、それに関しては、したがって、飲料を排出するためにカプセル壁/膜を穿刺または引き裂く必要はない。
【0004】
最も広く行き渡っているのは、生物学的に分解可能ではなく、再生可能な原材料からなるのでもない材料のカプセルである。カプセルは、大部分が例えばアルミニウムまたはプラスチック、例えばポリプロピレン(PP)からなる。そのようなカプセルは、貯蔵(例えば、密封性、特に空気/酸素不透過性)ならびに使用(例えば、熱的形状安定性、穿刺挙動など)にとって有利な特性を有することができる。これらのカプセルの大きな欠点は、使用後に生じる廃棄物、またはカプセルに使用される材料の再利用に必要な多大な労力である。後者は、概して家庭で使用されるカプセルの収集、これらのリサイクル施設への輸送およびリサイクルプロセス自体を伴う。換言すれば、リサイクルのためであっても、相当量の資源(時間、エネルギーだけでなく輸送コスト)を消費する必要があり、環境(例えば、輸送時およびリサイクルに必要なエネルギーを得るためのCO排出量)に負担をかける可能性がある。さらに、概して、カプセルに含まれる抽出材料もリサイクルに伴って失われる。
【0005】
ポーションカプセルのための資源集約性の低い材料の使用は、それ自体既知である。特に、バイオプラスチックの用途が議論されている。一方では、再生可能な原材料で製造されたプラスチック(いわゆるバイオ系プラスチック)は、そのようなものとして示される。他方では、バイオプラスチックは、生物学的に分解可能なプラスチック(いわゆる生分解性プラスチック)である。
【0006】
本明細書において、「生分解性」は規格EN13432(ステータス:2019年末)に従って生物学的に分解性であることを意味し、「バイオ系」は「化石燃料系ではなく再生可能な原材料からの」を意味する。
【0007】
生分解性および/またはバイオ系プラスチックの用途とは別に、生分解性および/またはバイオ系であり、バイオ系添加剤の部分を含む複合材料が開発され、包装産業において開発されている。本明細書では、生分解性および/またはバイオ系プラスチックがプラスチック成分(プラスチックマトリックスとも呼ばれる)を形成し、バイオ系添加剤が充填剤を形成する。
【0008】
米国特許出願公開第2018/0127554号明細書、米国特許出願公開第2012/0071591号明細書およびJ Mater Sci(2018)53:10920-10932は、とりわけ食品産業における包装における用途のために考慮されるそのような複合材料の概要を提供する。概して、様々なバイオ系充填剤が議論される中で、例えばポリラクチド(PLA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)およびポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)(PBSA)などのバイオプラスチックが、プラスチック成分を形成する。
【0009】
バイオプラスチックおよび上述の複合材料の代わりに、バイオプラスチックが例えばバイオ系充填剤と組み合わせて使用され、それに関して、バイオ系材料から完全にまたは大部分が構成される包装の適用が提案されている。例えば、国際公開第2015/170358A2号は、木材から得られた材料の容器およびカプセルへの適用を教示している。
【0010】
前述のバイオプラスチック、複合材料およびバイオ系材料は、ポーションカプセルに限られた範囲で適用することしか考慮することができないことがわかっている。上述のバイオプラスチック、複合材料およびバイオ系材料の欠点は、これらがポーションカプセルへの適用およびこれに伴う調製プロセスに適さない物理的特性、例えば密封性、特に空気/酸素不透過性、熱的形状安定性、剛性または脆性(穿刺挙動)を有することにある。特に、それらは、物理的特性に関して、ならびにポーションカプセルにおける使用およびこれが伴う調製プロセスを考慮すると、他の材料よりも劣る。バイオプラスチック、複合材料、およびバイオ系材料の物理的特性をポーションカプセルにおける用途に適合させることは、実際にそのような適合が可能であっても、ポーションカプセルの基材、すなわち、適用されたバイオプラスチック、適用された複合材料、または適用されたバイオ系材料は、製造に多大な労力を必要とし、高価になる。
【0011】
例えば、国際公開第2017/186743号は、とりわけコーヒーおよびティーカプセルのためのバイオ材料の使用を教示しており、バイオ材料は、生物学的に分解可能なプラスチックおよびヒマワリ種子外皮またはヒマワリ種子皮を含む。ヒマワリ種子殻またはヒマワリ種子皮は、生物学的に分解可能なプラスチックと配合する前に加工しなければならない。特に、ヒマワリ種子外皮またはヒマワリ皮の実際の抽出とは別に、サイズの縮小、乾燥および脱油が必要である。国際公開第2017/186743号の教示によれば、言及されたバイオ材料は、特にコーヒーカプセルまたはティーカプセルにおける用途のために、これらを他の生物学的に分解可能なプラスチックよりも適したものにする物理的特性を有する。
【0012】
最新技術による他のアプローチは、バイオプラスチック、複合材料およびバイオ系材料の物理的特性に起因する上述の欠点を別の方法で改善することに向けられており、すなわち、これにもかかわらず、これらの材料をポーションカプセルに使用することができるようにするために、特性を適合させることによるものではない。概して、そのようなアプローチは、ポーションカプセルを製造する際の費用を著しく増加させる。
【0013】
独国実用新案第202016104950号明細書は、生物学的に分解可能なカプセルまたは生物学的に分解可能なパッドを有する気密に閉鎖可能な部分パッケージまたは気密に閉鎖可能な部分袋を教示しており、ポーションパッケージまたはポーションサシェは、完全に、生物学的に分解可能な材料からなる。パッケージまたはサシェは、ポーションカプセルに関する要件に物理的特性を近づけるために、互いに接続された2つの箔を備える。換言すれば、ポーションカプセルへの適用に関してバイオプラスチック、複合材料およびバイオ系材料に固有の欠点は、ポーションカプセルを多層パッケージ、例えば多層サシェに入れることによって幾分改善され、層は「パッケージ/サシェおよびポーションカプセル」の全システムが飲料調製の分野での適用を可能にする特性を有することを保証する。
【0014】
国際公開第2011/015973号は、完全に、生物学的に分解可能な材料からなるカプセルを教示しており、カプセルを閉じる膜の実現は、国際公開第2011/015937号の教示の最前にある。飲料調製の分野で適用された生物学的に分解可能な材料の適用を可能にするために、膜は追加の要素によって補強される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、最新技術によるポーションカプセルに関する前述の欠点の1つまたは複数を改善することである。
【0016】
特に、本発明の目的は、物理的特性ならびに製造に関して、他の材料のポーションカプセルと改善された程度まで競合することができる生物学的に分解可能な基材のポーションカプセルを提供することである。特に「他の」材料は、以下の通りであり得る。
【0017】
● 非生物分解性または大部分が生物分解性でない、および/または
● 材料の製造に関してさらなる努力を必要とする、および/または
● ポーションカプセルへの適用のために、不利な特性がポーションカプセルの追加要素を介して、またはポーションカプセルに追加の要素を介して補償されるような性質のものである。これは、「他の」材料が、カプセル製造がより多くの労力を必要とするような性質のものであり得ることを意味する。
【0018】
特に、物理的特性を含む全体的な考慮が与えられ、製造費用が最新技術による生物学的に分解可能な材料のポーションカプセルよりも優れている基材のポーションカプセルを提供することが本発明の目的である。
【0019】
さらに、本発明の目的は、本発明によるポーションカプセルに適合された飲料調製機、並びに本発明によるポーションカプセルの使用の最中に飲料調製機を作動させるための方法を提供することである。
【0020】
飲料調製のためのポーションカプセルにおける多くの生物学的に分解可能な材料、例えば上述のバイオプラスチック、複合材料およびバイオ系材料の適用を妨げる欠点は、調製プロセス中の穿刺挙動である。本発明によるポーションカプセルによって低減されるのは、特にこの欠点である。
【0021】
多くの生物学的に分解可能な材料は、例えばアルミニウムなどのポーションカプセルとともに使用される他の材料と比較して脆い。これにより、ポーションカプセルは、注入側穿刺装置および/または抽出側穿刺装置によって時期尚早に穿刺されることになり、これはすなわち、調製プロセスの中で、特に所望の抽出に必要な水圧および/または所望の抽出に必要な温度が存在する前に早すぎる。
【0022】
ポーションカプセルに関連しない最新技術、例えば国際公開第2017/186743号または米国特許出願公開第2018/0127554号明細書の文献によるアプローチとは対照的に、本発明による穿刺挙動に関して問題となる多くの生物学的に分解可能な材料の物理的特性は、それらの組成を介した材料の適切な適合によって扱われないか、またはその適合によって扱われるだけではなく、調製プロセス中のポーションカプセルの部分の形状および挙動を介して材料の適切な適合によって扱われる。換言すれば、本発明によるポーションカプセルは、ポーションカプセルのための生物学的に分解可能な材料の使用の欠点を軽減する構造的特徴を有する。
【0023】
ポーションカプセルに特定の特徴を与えるための構造的特徴の使用は、それ自体は新しいものではなく、特に生物学的に分解可能でも再生可能な原料を含まないポーションカプセルに適用される。例えば、米国特許出願公開第2020/0180856号明細書、国際公開第2005/066040号、独国実用新案第202005021174号明細書、および独国特許出願公開第102012105282号明細書は、特定の構造的特徴を有するポーションカプセルを開示している。しかしながら、最新技術に開示されている構造的特徴に関して、これらは、使用される生物学的に分解可能な材料の問題のある特徴を補償することを考慮して設計された特徴ではない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によるポーションカプセルは、周囲側壁、第1のカバー要素および第2のカバー要素を備え、周囲側壁、第1のカバー要素および第2のカバー要素は、閉じた内部が形成されるように互いに配置される。
【0025】
第1のカバー要素または第2のカバー要素は、内部に向けられたアーチを備え、アーチを備えるカバー要素は、生物学的に分解可能な材料で製造される。
【0026】
一実施形態では、両方のカバー要素は、後述する実施形態のうちの1つにおいてアーチを備える。したがって、両方のカバー要素を生物学的に分解可能な材料で製造することもできる。
【0027】
一実施形態では、アーチおよび周囲側壁を備えるカバー要素は、生物学的に分解可能な材料で製造される。
【0028】
特に、アーチおよび周囲側壁を備えるカバー要素は、同じ生物学的に分解可能な材料で製造されることができる。特に、これは、上述のカバー要素および周囲側壁が後述する基部要素を形成する場合に当てはまる可能性がある。
【0029】
一実施形態では、第1のカバー要素、第2のカバー要素および周囲側壁は、生物学的に分解可能な材料、特に同じ生物学的に分解可能な材料で製造される。任意選択的に、ポーションカプセルのさらなる要素、例えば後述するフィルタ要素は、生物学的に分解可能な材料で製造されることができる。
【0030】
一実施形態では、ポーションカプセル全体が、生物学的に分解可能な材料で製造される。任意選択的に、ポーションカプセル全体が、同じ生物学的に分解可能な材料で製造されることができる。
【0031】
概して、第1のカバー要素は底部要素であり、第2のカバー要素はポーションカプセルの蓋要素であり、またはその逆である。
【0032】
多くの実施形態では、周囲側壁および2つのカバー要素のうちの一方、例えば特にそれが底部要素である場合、第1のカバー要素は、ポーションカプセルの基部要素である。換言すれば、ポーションカプセルは、周囲側壁と2つのカバー要素のうちの一方とを備える基部要素を有する。
【0033】
その場合、2つのカバー要素のうちの他方、例えば特にそれが蓋要素である場合、第2のカバー要素は、基部要素および2つのカバー要素のうちの他方が内部を形成するように基部要素に固定される。
【0034】
例えば、基部要素は、周辺フランジを形成することができ、2つのカバー要素のうちの他方、すなわち、基部要素の一部ではないカバー要素は、周辺フランジに沿って基部要素に固定されることができる。
【0035】
基部要素の一部ではないカバー要素とは対照的に、概して基部要素の一部であるカバー要素は、形成時に既に周囲側壁に接続されている。特に、基部要素は、一体部品から形成されることができる。
【0036】
一実施形態では、基部要素はアーチを備える。これは、基部要素の一部であるカバー要素がアーチを備えることを意味する。
【0037】
アーチを備えるカバー要素または基部要素は、アーチを備えるカバー要素が基部要素の一部である場合、ポーションカプセルの製造について知られているやり方および様態で、特に射出成形または深絞りによって成形されることができる。そのような製造方法の適用を考慮すると、本発明によるポーションカプセルの製造は、生物学的に分解可能でない最新技術によるポーションカプセルの製造よりも多くの労力または費用を必要としないか、少なくとも著しく必要とせず、ポーションカプセルを用いた用途に不利な物理的特性が本発明に従って補償されない生物学的に分解可能なポーションカプセルの製造よりも単純で安価になる。
【0038】
特に、アーチは、外側からカプセルを見ると見えるアーチである。
特に、アーチは、アーチを備えるカバー要素から周囲側壁への周辺移行領域によって画定される平面から内部の方向に延びるアーチである。
【0039】
本発明によるポーションカプセルの使用中の調合飲料の調製は、調合モジュールを備える飲料調製機で行われる。調合モジュールは、第1の調合モジュール部分と、これに対して移動可能な第2の調合モジュール部分とを備え、調合チャンバが、第1および第2の調合モジュール部分によって形成されることができ、前記調合チャンバは、調合手順中、調合位置に位置するポーションカプセルを少なくとも部分的に取り囲む。調合モジュールは、調合流体をポーションカプセルに導入することによって調合飲料を調合し、これを調合モジュールから排出するように構成される。このために、調合モジュールは、注入側穿刺装置および抽出側穿刺装置を備える。
【0040】
このタイプの飲料調製機に関して、開放調合チャンバに挿入されたポーションカプセルは、第2の調合モジュール部分が調合チャンバの軸に沿って第1の調合モジュール部分に向かって移動することによって調合位置に入る。最新技術による飲料調製機に関して、これにより、注入側穿刺装置は、それを介して調合流体がポーションカプセルに導入されるカバー要素と、それを介して調合飲料が排出される、そのカバー要素を有する抽出側穿刺装置と接触する。接触すると、注入側穿刺装置は、それぞれのカバー要素に力を及ぼし、これにより、1つ(または複数)の注入側穿刺先端部がカバー要素を貫通する。抽出側穿刺装置の少なくとも1つの抽出側穿刺先端部は、それぞれのカバー要素に同時に力を及ぼし、前記力は、カバー要素の変形をもたらすが貫通されない。貫通自体は、少なくとも高品質の飲料調製システムおよびこれらに適合したポーションカプセルの場合、調合プロセスに適した圧力が内部に広がるまで生じない。そうでなければ、例えば、調製プロセスの第1の段階では、調合プロセスに必要なパラメータ、特に圧力、温度、および処理量が内部で優勢ではなく、この調合飲料がポーションカプセルから導出されるにもかかわらず、質的に不十分な調合飲料が調製される。
【0041】
ここで、調合飲料がそれを介して排出されるカバー要素が生物学的に分解可能な材料からなる場合、調合モジュールを閉じる際に生じる力、すなわちポーションカプセルを調合位置に運ぶ際に生じる力は、調合飲料がそれを介して排出されるカバー要素を貫通させることになる。これは、生物学的に分解可能な材料の物理的特性、特にその脆性がカバー要素の引き裂き開きを助長することに起因する。
【0042】
これらの事実のために、ポーションカプセルの使用の最中に調合飲料を調製する際に、本発明によるポーションカプセルのアーチは、特に内部まで延在することができ、すなわち前述の平面から遠くまで延在することができ、抽出側穿刺装置、特にこの穿刺先端部は、アーチの領域のカバー要素を穿刺することができず、または調合飲料の排出に必要な程度まで貫通することができない。換言すれば、調合位置への移行時に、カバー要素は、調合チャンバ内に突出する穿刺装置の端部領域と、例えば調合チャンバ内に突出する穿刺先端部の端部領域とのみ接触するか、またはカバー要素は、穿刺装置とは全く接触しないが、この穿刺装置はアーチ内にあるだけである。
【0043】
飲料調製物を操作するための方法に関し、前記方法は、本発明によるポーションカプセルに適合され、抽出側穿刺装置、特にこの装置の穿刺先端部は、調合プロセスに最低限必要な圧力がポーションカプセルの内部に存在するときに、アーチが確実に平坦化するように、ポーションカプセルから調合飲料を排出するのに適した様態で、それぞれのカバー要素を貫通するだけである。換言すれば、ポーションカプセル、およびそれに適合された飲料調製機、特にその調合モジュールは、最初にアーチを有するカバー要素の貫通が行われないように構成され、前記貫通は、ポーションカプセルからの調合飲料の排出に適しており、この圧力によって調合プロセスに必要最小限の圧力がポーションカプセルの内部に存在してアーチが確実に平坦化するまで行われない。
【0044】
アーチの平坦化は、ポーションカプセルを調合チャンバに挿入する前に最初のアーチを有するカバー要素の変形を表す。変形は、アーチの単純な平坦化を超えることができ、例えば、カバー要素またはその一部の折り返し、および/または収集領域の形成、および/または調合飲料がカプセル内部から排出される場所への調合飲料の誘導に役立つトポグラフィの形成を含むことができる。
【0045】
ポーションカプセルが調合位置に設置され、調合プロセスがまだ開始されていないときに、アーチを備えるカバー要素が貫通されるかどうか、およびどの程度まで貫通されるかに関しては、調合飲料がポーションカプセルから排出される選択されたやり方および様態に依存することができる:
● 抽出側排出装置が、内部に位置するチャネルと、調合飲料が底部にあるチャネルに入ることができる1つまたは複数のチャネル開口部とを有する1つまたは複数の抽出側穿刺先端部を介して調合飲料を排出するように構成されている場合、抽出側穿刺先端部はカバー要素を貫通することができ、穿刺先端部は、チャネル開口部がカプセルの内側に位置するようになるほどにカプセルの内側に突出しない。
【0046】
当然ながら、底部にチャネルがあり、チャネル開口部を有する抽出側穿刺装置が与えられたとしても、カバー要素を貫通することなく完全に対応することができる。
【0047】
● 抽出側排出装置が穿刺先端部または穿刺先端部の周りに調合飲料を排出するように構成されている場合、抽出側穿刺先端部がカバー要素を貫通しないか、または痕跡的にのみ貫通するように、アーチと抽出側穿刺先端部とは互いに一致するべきである。
【0048】
● 抽出側穿刺先端部がカプセルを開封するのに役立つだけであり、そうでなければ調合飲料の排出に直接寄与しない場合、抽出側穿刺先端部がカバー要素を貫通しないように、アーチと抽出側穿刺先端部とを互いに一致させるべきである。
【0049】
ポーションカプセルが調合位置に位置し、調合プロセスがまだ開始されていないときに、抽出側穿刺先端部がアーチを備えるカバー要素を貫通するかどうかおよびどの程度まで貫通するかに関しては、概して、アーチおよび抽出側穿刺装置の設計、特に抽出側穿刺先端部が調合チャンバ内に突出する程度に依存する。
【0050】
特に、アーチを構成するカバー要素の領域が、アーチを備えるカバー要素から周囲側壁への周辺移行領域によって画定される平面の方向に移動すると、アーチは平坦化する。換言すれば、アーチは、特に、アーチを構成するカバー要素の領域が穿刺装置の方向に移動するときに平坦化する。
【0051】
カバー要素は、一定の圧力が内部に広がるまで平坦化が起こらないように構成することができる。これは、例えば、以下の手段のうちの少なくとも1つによって実現することができる:アーチの曲率;カバー要素の厚さ;カバー要素の材料;特定の力の作用が与えられると第1の状態から第2の状態に移行する要素、特にカバー要素の要素。
【0052】
初期アーチの少なくとも一部の領域における平坦化は、初期アーチの折り返しで終了することができる。これは、初期アーチの一部であったカバー要素の少なくとも一部の領域が、平坦化後に外側にアーチ状に、すなわち内部から離れるようにアーチ状にできることを意味する。
【0053】
平坦化は、内部に配置され、カバー要素に力を加えることができるポーションカプセルの要素によって部分的または完全に達成することができる。
【0054】
一実施形態では、ポーションカプセルは、内部に配置され、抽出材料領域を第1のカバー要素または第2のカバー要素から分離するフィルタ要素を備え、フィルタ要素によって抽出材料領域から分離されるそのカバー要素は、内部に向けられたアーチを備える。
【0055】
フィルタ要素は、アーチを備えるカバー要素の方向に移動し、このカバー要素に力を加えることができるように、内部に配置されることができる。
【0056】
フィルタ要素を有するポーションカプセルの一実施形態では、ポーションカプセルは、フィルタ要素のための位置決め装置を備え、前記位置決め装置は、フィルタ要素によって抽出材料領域から分離されるカバー要素の方向、すなわちアーチを備えるカバー要素の方向へのフィルタ要素の移動が妨げられないように、フィルタ要素に対して配置される。
【0057】
換言すれば、位置決め装置は、アーチを備えるカバー要素に向かうフィルタ要素の移動を可能にする。
【0058】
位置決め装置は、フィルタ要素によって抽出材料領域から分離されていないカバー要素の方向へのフィルタ要素の移動が妨げられるように、フィルタ要素に対してさらに配置されることができる。
【0059】
フィルタ要素および任意選択的にフィルタ要素のための位置決め装置を有するポーションカプセルの実施形態は、以下の特徴のうちの少なくとも1つをさらに備えることができる:
● フィルタ要素は、抽出材料が望ましくない様態で排出された調合飲料に入るのを防ぐために、抽出材料領域を収集領域から分離する。
【0060】
収集領域は、調製プロセスの開始時に初期アーチを有するカバー要素と、このカバー要素に向けられたフィルタ要素の表面とによって境界付けられることができる。
【0061】
調製プロセスの開始時に初期アーチを有するカバー要素は、任意選択的にフィルタ要素の上述のカバー要素の方向への移動を伴い、引き起こされ、または寄与したアーチの平坦化後であっても、フィルタ要素とカバー要素との間にある収集領域を境界付ける形状を有することができる。
【0062】
● フィルタ要素は、中央要素を備えることができる。これは、例えば、抽出材料領域に向かうフィルタ要素の突起部を備えることができる。
【0063】
ポーションカプセルは、調合飲料が中央要素を介してのみ導かれるように設計することができる。
【0064】
調製プロセスの開始時に最初のアーチを有するカバー要素は、フィルタ要素とカバー要素との間に位置し、フィルタ要素を通過する調合飲料の中央要素への供給を可能にする収集領域を生成する形状を有することができ、これは、任意選択的にフィルタ要素の上述のカバー要素の方向への移動に伴って、引き起こされ、または寄与したアーチの平坦化の後であってもよい。
【0065】
例えば、平坦化後のカバー要素は、中央要素の領域において、外側に、すなわち隣接する調合モジュール部分の方向にアーチ状にすることができる。
【0066】
代替的または補足的に、平坦化後のカバー要素は、フィルタ要素がカバー要素上に広範に位置しないトポグラフィを有することができ、および/またはフィルタ要素を通過する調合飲料の中央要素への供給が、例えばフィルタ要素を通過する調合飲料を介して中央要素に導かれることによって促進される。
【0067】
フィルタ要素が中央要素を含む実施形態では、中央要素は、アーチの平坦化が与えられた場合に抽出側穿刺先端部が中央要素内に位置するように配置することができる。
【0068】
例えば、ポーションカプセルは、第1および第2のカバー要素を通って延び、その周りでポーションカプセルが本質的に回転対称である長手方向軸を有することができる。
【0069】
次いで、アーチおよび中央要素の頂点を、上述の長手方向軸に平行に延びる軸に沿って配置することができる。
【0070】
さらに、ポーションカプセルを調合チャンバ内に運んだ後、穿刺先端部は、長手方向軸に平行に延びる前記軸に沿って配置することができる。
【0071】
特に、ポーションカプセルが1つのアーチのみを有する実施形態では、長手方向軸に平行に延びる上述の軸は、長手方向軸自体であり得る。
【0072】
● 複数のスペーサを収集領域に配置することができ、前記スペーサは、最初にアーチを有するカバー要素の方向へのフィルタ要素の移動を制限する。
【0073】
● ポーションカプセルは分配要素を含むことができる。この要素は、内部に配置され、分配領域が画定されるように、注入側に向かって抽出材料領域を境界付ける。
【0074】
既に述べたように、ポーションカプセルは、ポーションカプセルの対称軸である長手方向軸に沿って延びることができる。概して、長手方向軸は、第1および第2のカバー要素を通って、または底部要素および蓋要素を通って、または抽出および注入の目的で貫通される表面を通って延びる。
【0075】
ポーションカプセルは、長手方向軸を中心にあらゆる回転角度で回転対称であるように成形することができる。
【0076】
しかしながら、ポーションカプセルは、特定の回転角度、例えば90度または180度の回転角度でのみ回転対称であるように成形することもできる。
【0077】
一実施形態では、ポーションカプセルは、長方形、特に正方形の基部形状を有する。
ポーションカプセルの前述および後述の実施形態の各々は、上述の基部形状のうちの1つを有することができる。
【0078】
実施形態のいずれか1つによるポーションカプセルは、後述の飲料調製機および/または後述の方法の特徴に対応する、またはこれらと一致する特徴を含むことができる。
【0079】
本発明はさらに、実施形態のいずれか1つにおける本発明によるポーションカプセルの適用のために最適化された飲料調製機に関する。
【0080】
前述のものから導き出すことができるように、飲料調製機は、第1の調合モジュール部分と、これに対して移動可能な第2の調合モジュール部分とを備える調合モジュールを有し、調合プロセスが与えられると、調合位置に位置するポーションカプセルを少なくとも部分的に取り囲む調合チャンバは、第1および第2の調合モジュール部分によって形成されることができる。調合モジュールは、調合流体をポーションカプセルに導入することによって調合飲料を調合し、抽出側穿刺装置を介して調合モジュールから調合飲料を排出するように構成される。
【0081】
調合チャンバは、第1および/または第2の調合モジュール部分の壁によって形成され、抽出側穿刺装置の抽出側穿刺先端部は、壁のくぼみに配置される。
【0082】
壁のくぼみは、特に、抽出側穿刺先端部の軸方向軸に対して横方向に、抽出側穿刺先端部の幅を超えて延び、抽出側穿刺先端部の幅は、抽出側穿刺先端部の軸方向軸に対して横方向に延びる方向における抽出側穿刺先端部の延長である。
【0083】
換言すれば、くぼみは、調合チャンバ側にあるボアの端部によって形成されるだけでなく、抽出側穿刺先端部を通って調合チャンバ内に導き、抽出側穿刺先端部の幅に一致するように機能するが、くぼみは、壁にへこみを形成し、前記へこみは、抽出側穿刺先端部を通って導くのに必要なボア上に延びる。
【0084】
抽出側穿刺装置の領域内の調合チャンバのこの形状のために、調製プロセスの開始時に初期アーチを有するポーションカプセルのカバー要素のアーチは、ポーションカプセルを排除するやり方および様態で、調製プロセス中に、初期アーチを有するその初期形状または同等の形状に再び戻るように変形することができ、前記変形はアーチの平坦化を含むことが保証される。
【0085】
特に、調合チャンバの上述の形状は、内部に向けられたアーチからくぼみに突出するアーチへのアーチの折り返しを可能にする。
【0086】
さらに、調合チャンバの上述の形状は、その変形後のカバー要素が穿刺先端部の領域内で外側に突出することを確実にし、これにより、調製プロセスの開始時に初期アーチを有するカバー要素の方向に移動することができるフィルタ要素を有するポーションカプセルの実施形態であっても収集領域が形成される。
【0087】
実施形態では、飲料調製機は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを含む:
● 挿入されたポーションカプセルが与えられた調合チャンバの壁は、調製プロセスの開始時にアーチを有するカバー要素に面し、カバー要素が形状変化後にこのトポグラフィをとる場合に調合飲料の排出を促進するトポグラフィを有することができる。
【0088】
特に、トポグラフィは、フィルタ要素がカバー要素上に広範囲に位置せず、および/またはフィルタ要素を通過してフィルタ要素の中央要素に向かう調合飲料の供給が、例えばフィルタ要素を通過して中央要素に向かって導かれる調合飲料によって促進されるような性質のものであり得る。
【0089】
● 抽出側穿刺先端部は、くぼみの縁部を越えて調合チャンバ内に突出する。これは、抽出側穿刺先端部がくぼみに沈まず、これから突出していることを意味する。
【0090】
実施形態のいずれか1つによる飲料調製機は、ポーションカプセルおよび/または後述する方法の特徴に対応する、またはこれらに適合する特徴を含むことができる。
【0091】
本発明はさらに、本発明によるポーションカプセルの使用の最中に飲料調製機を動作させるための方法に関する。
【0092】
前述のものから導き出すことができるように、本方法は、実施形態のいずれか1つにおいて、本発明によるポーションカプセルを提供するステップを含む。
【0093】
同様に先に開示されたものから導出することができるように、本方法は、以下のステップのうちの1つまたは複数をさらに含むことができる:
● ポーションカプセルを飲料調製機の調合チャンバに挿入するステップであって、調合チャンバは、第1の調合モジュール部分と、これに対して移動可能な第2の調合モジュール部分とによって形成される、ステップ。
【0094】
● 第2の調合モジュール部分が第1の調合モジュール部分に対して移動されることによって調合チャンバを閉じるステップ。
【0095】
このステップは、既に述べた「第2の調合モジュール部分が調合チャンバの軸に沿って第1の調合モジュール部分に移動されることによって、挿入されたポーションカプセルを調合位置にもたらすこと」に対応する。
【0096】
結果として、調合チャンバを閉じるステップは、以下のステップのうちの1つまたは複数を作動させることができる:
○ 注入側穿刺装置をそのカバー要素と接触させ、それを介して調合流体をポーションカプセル内に導入するステップ。
【0097】
補足的に、注入側穿刺装置、特にこれの穿刺先端部は、上述のカバー要素を貫通することができる。
【0098】
注入側穿刺装置、特にこれの穿刺先端部は、注入側穿刺装置を介して調合流体を内部に導入することができるように、上述のカバー要素を貫通することができる。
【0099】
あるいは、カバー要素はまた、挿入されたポーションカプセルの使用中に調合飲料が製造されることが確認された後にのみ、貫通され、または調合流体を導入するのに適した様態で貫通されることができる。これは、例えば、ユーザによる操作を前提とすることができる。
【0100】
○ 外側からアクセス可能なアーチの領域に抽出側穿刺先端部を配置するステップ。
このステップは、任意選択的に、抽出側穿刺先端部を、最初に初期アーチを有するカバー要素と接触させることを含むことができ、これは、それを介して調合飲料がポーションカプセルから排出されるカバー要素との接触を意味する。
【0101】
ステップは、カバー要素の穿刺を任意選択的にさらに含むことができる。しかしながら、既に述べたように、ステップは、さらなるステップなしに、特にアーチの変形なしに液体をポーションカプセルから効率的に排出することができるようなやり方および様態でのカバー要素の穿孔を含まない。これに関連して、排出は、例えば、排出が調合飲料の調製中の排出と同等である場合、および/または排出が内部での十分な圧力上昇を防ぐような性質のものである場合、および/または調合プロセスに必要な条件が内部でまだ優勢ではない調製プロセスの第1段階における液体の量が、この量が最終的に製造された調合飲料のかなりの部分を占めるようなものである場合に、効率的である。概して、2~3滴が、最終的に製造される調合飲料のかなりの部分を既に形成している。
【0102】
一実施形態では、抽出側穿刺先端部は、カバー要素が穿刺されることなく、外側からアクセス可能なアーチの領域に配置される。
【0103】
補足的に、抽出側穿刺先端部の位置決めに起因してカバー要素が変形しないようにすることも可能である。
【0104】
補足的または代替的に、カバー要素は、外側からアクセス可能なアーチの領域内に抽出側穿刺先端部を位置決めするステップの間、抽出側穿刺装置、特にその穿刺先端部と接触しない。
【0105】
● 調合流体をポーションカプセルの内部に導入するステップであって、調合流体の導入は、内部に向けられたアーチの平坦化を引き起こす、ステップ。
【0106】
アーチおよびその平坦化は、ポーションカプセルおよび飲料機の文脈で説明した通りであり得る。
【0107】
調合流体の導入は、特に注入側穿刺装置を介して行われる。
調合流体を内部に導入するステップは、アーチの平坦化を引き起こすことができる以下の効果のうちの1つまたは複数を活性化することができる:
○ 内部における圧力の増大。
【0108】
○ 内部に配置され、初期アーチを備えるカバー要素から抽出材料領域を分離するフィルタ要素の相対移動であって、相対移動は、アーチを備えるカバー要素の方向にある、相対移動。
【0109】
上述の相対移動を含む方法の実施形態に関して、特に提供されるポーションカプセルは、内部に配置されたフィルタ要素を有する前述のポーションカプセルのうちの1つである。
【0110】
アーチの平坦化によって伴われるカバー要素またはその一部の移動または変形は、多くの実施形態において、言及されたカバー要素または言及されたその一部と、抽出側穿刺装置、特に抽出側穿刺先端部との間の相対移動をもたらす。この相対移動は、内部の方向における抽出側穿刺装置の移動に対応する。
【0111】
概して、移動するのはカバー要素またはその一部である一方、抽出側穿刺装置、特にその穿刺先端部は、例えば飲料調製機の他の部分に対して移動しない。
【0112】
特に、相対移動は、前述のカバー要素または前述のその一部が穿刺装置に向かって移動するため、内部の方向における抽出側穿刺装置の移動に対応することができる。換言すれば、内部は穿刺装置の方向に拡張するため、相対移動は、抽出側穿刺装置の内部の方向における移動に対応することができる。
【0113】
一実施形態では、本方法は、ポーションカプセルを調合チャンバに挿入する前述のステップと、調合チャンバを閉じるステップと、調合流体をポーションカプセルの内部に導入するステップとを含み、調合流体の導入は、内部に向けられたアーチの平坦化をもたらす。
【0114】
この実施形態による方法に関して、平坦化は、例えば上述したように、内部の圧力の増大によって、または、最初に初期アーチを有するカバー要素の方向への、内部に配置されたフィルタ要素の相対移動と組み合わせて、内部の圧力の増大によってのみ引き起こされ得る。
【0115】
補足的または代替的に、前述の実施形態による方法に関して、アーチの平坦化は、方法の開始時に初期アーチを有するカバー要素またはその一部と、抽出側穿刺装置、特に抽出側穿刺先端部との間の前述の相対移動をもたらすことができる。
【0116】
実施形態のいずれか1つによる方法は、ポーションカプセルおよび/または飲料調製機の特徴に対応する、またはこれらの特徴に適合する特徴を含むことができる。
【0117】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1】調合チャンバへの導入および調合チャンバの閉鎖後の例示的なポーションカプセルを示す断面図である。
図2】調合プロセス中の図1によるポーションカプセルを示す図である。
図3】ポーションカプセルを前述の調合モジュール部分に導入した後の、例示的なポーションカプセルと、ポーションカプセルに適合された調合モジュール部分とを示す断面図である。
図4】調合プロセス中の図3によるポーションカプセルおよび調合モジュール部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
同じ参照番号は、図中の等しいまたは類似の要素を示す。
図1による例示的なポーションカプセル1は、ビーカーの形態の基部要素2を備える。基部要素は、周囲側壁3と、図示の実施形態ではカプセル底部4を形成する第1のカバー要素とによって成形される。
【0120】
図示の実施形態では、基部要素は、周囲側壁3およびカプセル底部4からの一体部品で形成される。
【0121】
基部要素2は、周辺フランジ5と、それに固定される第2のカバー要素とを備える。図示の実施形態では、第2のカバー要素は蓋要素8である。
【0122】
基部要素は、蓋要素8によって形成される蓋9とともに、カプセル内部7を画定する外側カプセル壁を形成する。
【0123】
蓋要素8の基部要素2への固定は、それ自体既知の様態で、例えば超音波溶接、熱的方法によって、または場合によっては接合によって行うことができる。
【0124】
図示の実施形態では、カプセル内部7で調製された調合飲料は、カプセル底部を介して引き出される。したがって、カプセル底部4は、内部7に向けられたアーチ15を備え、したがって、少なくともカプセル底部は、生物学的に分解可能な材料、例えば、Terrablend、Arboblend若しくはPLAなどのバイオプラスチック、または他の脆いプラスチックからなる。
【0125】
調合流体がカプセル底部4を介して導入され、カプセル内部7に調製された調合飲料が蓋要素8を介して排出される場合、カバー要素8は、カプセル底部4の位置におけるアーチ15と、生物学的に分解可能な材料とを備える。それに応じて、調合飲料の排出に関する後述する特徴が変化し、特にこれらはポーションカプセル1および/または調合モジュールの特徴であり得る。
【0126】
図示の実施形態では、ポーションカプセル1全体が、生物学的に分解可能な材料で製造される。
【0127】
図1に示すポーションカプセルは、第1の調合モジュール部分25と、これに対して移動可能な第2の調合モジュール部分26とによって形成された調合チャンバ内に示されている。調合チャンバは閉状態で示されており、すなわちポーションカプセル1はその調合位置をとる。しかしながら、図1に示す構成では、調合プロセスはまだ始まっていない。これは、調合流体がまだ内部7に導入されていないことを意味する。
【0128】
図示の実施形態では、調合チャンバは、ポーションカプセルが調合位置に位置し、調合プロセスがまだ開始されていないときに、自由空間27、すなわち充填されていない空間(空洞)が生じるように、アーチ15の領域内で変形される。この自由空間27のおかげで、調合流体が内部7に導入されると、アーチは平坦化し得る。
【0129】
特に、第2の調合モジュール部分26は、自由空間27が生じるように成形されている。
【0130】
抽出側穿刺先端部24は、自由空間27に配置されている。これにより、抽出側穿刺先端部21は、アーチ15が平坦化するとすぐに内部7に貫通する。
【0131】
図示の実施形態では、第1の調合モジュール部分25は、少なくとも1つの注入側穿刺先端部22を有する注入側穿刺装置21を備え、第2の調合モジュール部分26は、少なくとも1つの抽出側穿刺先端部24を有する抽出側穿刺装置23を備える。
【0132】
特に、図1に示すように、内部7に配置されたフィルタ要素11を有する実施形態では、抽出側穿刺装置23は、正確に1つの抽出側穿刺先端部23を備えることができる。概して、これはポーションカプセル1の長手方向軸20に沿って配置される。
【0133】
図1に示す実施形態では、注入側穿刺装置21は、2つの注入側穿刺先端部22を備える。しかしながら、より多くの、例えば3つまたは4つの、注入側穿刺先端部22も考えられる。注入側穿刺先端部22の数は、基部形状に一致させることができる。しかしながら、注入側穿刺先端部22は1つだけであることも考えられる。特に、これは、ポーションカプセルが、内部に配置された、導入された調合流体のための分配要素を備える場合に起こり得る。
【0134】
図1に示す実施形態では、第1の調合モジュール部分25、特にその注入側穿刺装置21、および第2の調合モジュール部分26、特に抽出側穿刺装置23は、注入側穿刺先端部22がカバー要素8を貫通するようにポーションカプセル1の形状に適合され、抽出側穿刺先端部24はカプセル底部4のアーチ15内に位置するようになるが、ポーションカプセル1が調合位置に位置し、調合プロセスがまだ開始されていないときには、カプセル底部を最も穿刺するが、カプセル底部を貫通しない。
【0135】
抽出側穿刺先端部24がカプセル底部4またはカバー要素を貫通せず、それを介して調合飲料がポーションカプセルから排出される構成は、抽出側穿刺装置23で特に有利であり、それに関して調合飲料は穿刺先端部24を越えて引き出される。これはすなわち、穿刺先端部または複数の穿刺先端部22が主に穿刺機能を有するが、それらの内部に配置された導管を介した排出機能を有さないことに関する所与の構成である。特にこのような構成では、以下に説明するように、中央要素12なしで任意に行うことができる。
【0136】
抽出側穿刺先端部24がカプセル底部4またはカバー要素を貫通せず、それを介して調合飲料がポーションカプセルから排出される構成は、抽出側穿刺装置23でも有利であり、それに関して、穿刺先端部または複数の穿刺先端部22は、抽出側でポーションカプセルを開放するために、または調合プロセス中にこれの開放を開始するために、主にスクライブし、穿刺先端部は、例えば表面に沿った排出によって、または内部に配置された導管を介して、調合流体の排出に直接関連する機能を有さない。そのような構成が与えられると、以下に記載されるような中央要素は、一般に、取り除かれ得る。
【0137】
既に述べたように、図1に示されているポーションカプセル1は、フィルタ要素11を備える。これは、図示の実施形態では中央要素12を備える。これは、ポーションカプセル1の長手方向軸20に沿って配置され、長手方向軸20に対して回転対称な基部形状を有する。
【0138】
例えば図1に示されるポーションカプセル1は、アーチ15に向かうフィルタ要素11の動きがアーチの平坦化に少なくとも寄与するポーションカプセルである。このため、ポーションカプセル1は、その内部7に、カプセル底部4の方向へのフィルタ要素11の移動を防止する構造を有さない。
【0139】
しかしながら、フィルタ要素11の移動後に収集領域16も形成することを確実にする手段を、調合モジュール、特にカプセル底部に面するその壁に設けることができる。
【0140】
図示の実施形態では、蓋要素8に対するフィルタ要素11の望ましくない移動は、内部7に突出する周辺突起部の形態の位置決め装置13によって防止される。
【0141】
調合プロセス中、すなわちこれが開始された後の状況を図2に示す。
注入側穿刺先端部22を介した調合流体の導入は、内部7で増大する圧力の作用と、フィルタ要素11によってアーチ15に加えられる力の作用との間に、変形したカプセル底部4をもたらしている。特に、アーチは抽出側穿刺先端部24の方向に平坦化されており、これは抽出側穿刺先端部24が内部に侵入していることを意味し、より正確にはフィルタ要素11の中央要素12に表される。これにより、調合飲料は、ここで、中央要素12および抽出側穿刺先端部24を介して、例えば穿刺先端部24の内側または穿刺先端部24に沿って位置するチャネルを介して、ポーションカプセル1から排出され得る。
【0142】
図2には示されていないのは、調合飲料がフィルタ要素11を通過した後に収集され、中央要素15に供給される収集領域16である。
【0143】
図3および図4は、調合チャンバにもたらされるポーションカプセル1と、ポーションカプセル1に適合され、後述する図1および図2による構成とは異なる調合モジュール部分26とを示す。
【0144】
調合チャンバの注入側部分(すなわち、図示の実施形態では第1の調合モジュール部分25)は、図3および図4では省略されている。
【0145】
ポーションカプセル1は、やはり調合位置に位置して示されており、図3に示される構成では、調合プロセスはまだ開始されておらず、調合プロセスは図4に示される構成で実行されている。
【0146】
図3および図4に示す構成は、特に以下の点で図1および図2に示す構成とは異なる。
● 抽出側穿刺先端部24は、調合チャンバの壁のくぼみに配置される。これにより、アーチ15を平坦化することができるだけでなく、内部7への突出(図3)から内部7からの突出(図4)まで折り畳むことができる。これにより、収集領域16は、図4に示すように、カプセル底部4の変形およびカプセル底部4の方向へのフィルタ要素11の移動の後にも形成される。
【0147】
● 抽出側穿刺装置23は、内在チャネル28を有する抽出側穿刺先端部24と、穿刺先端部24の先端の領域内のチャネル開口部29とを備える。
【0148】
抽出側穿刺先端部24が、内在チャネル28内で終わる多数のチャネル開口部を備えることができることは自明である。
【0149】
抽出側穿刺装置23のこの構造、およびこれに伴う穿刺先端部24のチャネル28を通じた調合飲料の排出のために、穿刺先端部24は、ポーションカプセル1が調合位置にあり、調合プロセスがまだ開始されていないときに、カプセル底部4を既に貫通することができる(図3)。穿刺先端部24は、調合プロセスに必要な条件、特に圧力および温度が内部に広がる前に、チャネル開口部29が内部に位置するようになるまで、単に内部7に貫通してはならない。
【0150】
● 抽出側穿刺先端部24、特にチャネル開口部29の位置は、カプセル底部の変形後、すなわち調合プロセス中に、チャネル開口部29がチャネル基部側にある中央要素12の端部領域に位置するように、ポーションカプセル1および調合チャンバの形状、特にその変形後のカプセル底部4の形状に適合される(図4)。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】