(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車両が走行した距離を測定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B60W 20/00 20160101AFI20240215BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20240215BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20240215BHJP
B60W 10/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B60W20/00 900
B60K6/48 ZHV
B60K6/54
B60W10/00 900
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553746
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022054418
(87)【国際公開番号】W WO2022184508
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コム, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャッコーン, ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ランセリカ, ローラン
【テーマコード(参考)】
3D202
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202AA10
3D202DD20
3D202DD24
3D202EE24
3D202FF04
3D202FF13
(57)【要約】
ハイブリッド自動車両が走行した距離を測定するための方法であって、車両の内燃機関が作動している時のみ第1の走行計を移動距離値だけ増分すること、および/または、車両の少なくとも1つの電気モータが非ゼロトルクを伝えている時のみ第2の走行計を上記の移動距離値だけ増分することを行う、方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド自動車両が走行した距離の測定方法(1)であって、
測定手段(11)によって前記車両の移動距離値(d
n;n+1)を測定するステップ(E1)と、
測定された前記移動距離値(d
n;n+1)を処理部(12)に送信するステップ(E2)と、
前記車両の少なくとも1つの内燃機関(101)が作動している時のみ実施される、前記移動距離値(d
n;n+1)だけ第1の走行距離計(13)を増分するステップ(E3)と、
前記車両の少なくとも1つの電気モータ(102)が非ゼロトルクを伝えている時のみ実施される、前記移動距離値(d
n;n+1)だけ少なくとも1つの第2の走行距離計(14)を増分するステップ(E4)と、を含む、測定方法(1)。
【請求項2】
前記第1の走行距離計(13)を増分する前記ステップ(E3)は、前記車両の前記少なくとも1つの内燃機関(101)が前記車両の変速機(103)に結合されている時のみ実施される、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記車両の前記少なくとも1つの内燃機関(101)が前記車両の変速機(103)から切り離されている、且つ
それと同時に、前記車両の前記少なくとも1つの電気モータ(102)がゼロトルクを伝えている
時のみ実施される、前記移動距離値(d
n;n+1)だけ第3の走行距離計(18)を増分するステップ(E5)を含む、請求項1または2に記載の測定方法。
【請求項4】
前記第1の走行距離計(13)を増分する前記ステップ(E3)が実行されるとすぐに実施され、第1の代替の走行距離計(13’)が、前記少なくとも1つの内燃機関(101)が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分される、前記第1の走行距離計(13)を増分する前記ステップ(E3)の複製ステップ(E6)と、
第2の走行距離計(14)を増分する前記ステップ(E4)が実行されるとすぐに実施され、第2の代替の走行距離計(14’)が、前記少なくとも1つの電気モータ(102)が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分される、前記第2の走行距離計(14)を増分する前記ステップ(E4)の複製ステップ(E7)と、を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項5】
ハイブリッド自動車両の監視方法(2)であって、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定方法を実行する段階と、前記第1の走行距離計(13)および/または前記第2の走行距離計(14)が少なくとも1つの所定の閾値距離(D
s、D
s’)を超えているかどうかを検出するステップ(E21)と、前記閾値を超えていることを示す視覚的および/または聴覚的および/または触覚的警告メッセージを発するステップ(E22)と、を含む監視方法(2)。
【請求項6】
ハイブリッド自動車両が走行した距離を測定するためのシステム(10)であって、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定方法を実施するハードウェア要素(11、12、13、14)および/またはソフトウェア要素を含む、測定システム(10)。
【請求項7】
少なくとも1つの処理部(12)と、前記少なくとも1つの処理部(12)に向けて移動距離の値に応じた信号を送信することが可能である、前記車両の前記移動距離(d
n;n+1)を測定するための少なくとも1つの手段(11)と、を備え、
前記車両の少なくとも1つの内燃機関(101)が作動している時のみ前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分されるように構成される第1の走行距離計(13)と、
前記車両の少なくとも1つの電気モータ(102)が非ゼロトルクを伝えている時のみ前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分されるように構成される少なくとも1つの第2の走行距離計(14)と、を備える、請求項6に記載の測定システム(10)。
【請求項8】
前記第1の走行距離計(13)は、前記車両の前記少なくとも1つの内燃機関(101)が前記車両の変速機(103)に結合されている時のみ増分されるように構成される、請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
前記第1の走行距離計(13)に特有の前記車両が走行した第1の距離(D
1;n、D
1;n+1)、および/または前記第2の走行距離計(14)に特有の前記車両が走行した第2の距離(D
2;n、D
2;n+1)を表示するための表示部(16)をさらに備える、請求項7または8に記載の測定システム(10)。
【請求項10】
前記車両の前記少なくとも1つの内燃機関(101)が前記車両の変速機(103)から切り離されている、且つ
前記車両の前記少なくとも1つの電気モータ(102)がゼロトルクを伝えている
時のみ前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分されるように構成される第3の走行距離計(18)をさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の測定システム(10)。
【請求項11】
前記第1の走行距離計(13)が増分される時のみ前記少なくとも1つの内燃機関(101)が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分されるように構成される第1の代替の走行距離計(13’)と、
前記第2の走行距離計(14)が増分される時のみ前記少なくとも1つの電気モータ(101)が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた前記移動距離値(d
n;n+1)だけ増分されるように構成される第2の代替の走行距離計(14’)と、をさらに備える、請求項7から10のいずれか一項に記載の測定システム(10)。
【請求項12】
内燃機関(101)、少なくとも1つの電気モータ(102)、および変速機(103)を備えるハイブリッド自動車両(100)であって、請求項6から11のいずれか一項に記載の車両が走行した距離を測定するためのシステム(10)をさらに備える、ハイブリッド自動車両(100)。
【請求項13】
コンピュータプログラム製品であって、1つまたは複数のプログラムが、コンピュータ上で、または通信ネットワークからダウンロード可能である、および/もしくはコンピュータ可読データ媒体上に記録可能である、および/もしくはコンピュータによって実行可能であるコンピュータプログラム製品上で実行している時に、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定方法(1)および/または請求項5に記載の監視方法(2)のステップを実施するための、コンピュータ可読媒体上に記録されたプログラムコード命令を含み、前記プログラムが前記コンピュータによって実行される時、前記コンピュータに、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定方法(1)および/または請求項5に記載の監視方法(2)を実施させる命令を含むことを特徴とする、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車両、特に、ハイブリッド電気自動車または差し込み充電式のハイブリッド電気自動車が走行した距離を測定するための方法およびシステムに関する。本発明はまた、ハイブリッド自動車両を監視するための方法に関する。本発明はさらに、測定システムを備えた車両に関する。
【0002】
従来、自動車両は、燃焼式、ハイブリッド式、または電動式であろうと、車両が走行し始めた時から、車両が走行した、とりわけ前進走行した総距離を測定するための、走行距離計とも呼ばれるシステムを備えている。
【0003】
現在、車両の保守業務、製造業者の保証、またはさらには、中古車両の市場再販価値は、そのような測定システムによって示される合計値に基づいて定められ得る。しかしながら、走行した総距離を測定するそのような原理はハイブリッド車両には適していない。
【0004】
ハイブリッド自動車両の数の増大と共に、測定方法およびシステムは、車両のさまざまな構成部品の摩耗をより十分に表すように適応される必要がある。
【0005】
本発明は、この文脈の範囲内で記載されており、上述した不利点に対処することを目的とする。換言すれば、本発明は、特に、車両の実際の使用、ひいては車両の摩耗をより十分に表すさまざまな走行距離計を実装する測定システムおよび測定方法を提案することで、車両のさまざまな保守業務、車両の保証、またはさらには、再販売時の車両の市場価値の推定を最適化することを目的とする。
【0006】
本発明は、ハイブリッド自動車両が走行した距離を測定するための方法であって、
- 測定手段によって車両の移動の距離値を測定するステップと、
- 上記の測定された移動距離値を処理部に送信するステップと、
- 車両の少なくとも1つの内燃機関が作動している時のみ実施される、第1の走行距離計を移動距離値だけ増分するステップ、および車両の少なくとも1つの電気モータが非ゼロトルクを伝えている時のみ実施される、少なくとも1つの第2の走行距離計を移動距離値だけ増分するステップと、を含む方法に関する。
【0007】
とりわけ、第1の走行距離計を増分するステップは、車両の内燃機関が車両の変速機に結合されている時のみ実施可能である。
【0008】
測定方法は、
- 車両の内燃機関が車両の変速機から切り離されている、および
- それと同時に、車両の電気モータがゼロトルクを伝えている
時のみ実施される移動距離値だけ第3の走行距離計を増分するステップを含むことができる。
【0009】
オプションとして、測定方法は、
- 上記の増分するステップが実行されるとすぐに実施され、第1の代替の走行距離計は、内燃機関が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値だけ増分される、第1の走行距離計を増分するステップの複製ステップと、
- 上記の増分するステップが実行されるとすぐに実施され、第2の代替の走行距離計は、少なくとも1つの電気モータが伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値だけ増分される、第2の走行距離計を増分するステップの複製ステップと、
を含むことができる。
【0010】
本発明はまた、ハイブリッド自動車両を監視するための方法であって、監視方法は、上記に開示されるような測定方法を実行する段階と、第1の走行距離計および/または第2の走行距離計が少なくとも1つの所定の閾値距離を超えているかどうかを検出するステップと、上記の閾値を超えていることを示す視覚的および/または聴覚的および/または触覚的警告メッセージを発するステップと、を含む監視方法に関する。
【0011】
本発明は、さらに、ハイブリッド自動車両が走行した距離を測定するためのシステムであって、上述されるような測定方法および/または監視方法を実施するハードウェア要素および/またはソフトウェア要素を備えるシステムに関する。
【0012】
特に、測定システムは、少なくとも1つの処理部と、少なくとも1つの処理部に向けて移動距離の値に応じた信号を送信することが可能である車両の移動距離を測定するための少なくとも1つの手段とを備え、
- 車両の内燃機関が作動している時のみ移動距離値だけ増分されるように構成される第1の走行距離計と、
- 車両の少なくとも1つの電気モータが非ゼロトルクを伝えている時のみ移動距離値だけ増分されるように構成される少なくとも1つの第2の走行距離計と、
を含むことができる。
【0013】
とりわけ、第1の走行距離計は、車両の内燃機関が車両の変速機に結合されている時のみ増分されるように構成可能である。
【0014】
さらに、測定システムは、第1の走行距離計に特有の車両が走行した第1の距離、および/または第2の走行距離計に特有の車両が走行した第2の距離を表示するための表示部を備えることができる。
【0015】
オプションとして、測定システムは、
- 車両の内燃機関が上記の車両の変速機から切り離されている、および
- 車両の電気モータがゼロトルクを伝えている
時のみ移動距離値だけ増分されるように構成される第3の走行距離計をさらに備えることができる。
【0016】
オプションとして、測定システムは、
- 第1の走行距離計が増分される時のみ内燃機関が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値だけ増分されるように構成される第1の代替の走行距離計と、
- 第2の走行距離計が増分される時のみ少なくとも1つの電気モータが伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値だけ増分されるように構成される第2の代替の走行距離計と、
をさらに備えることができる。
【0017】
本発明は、監視方法を実施するのに必要な手段を含むハイブリッド自動車両を監視するための設備であって、特に本発明による、走行した距離を測定するためのシステムと、データ記憶部と、第1の走行距離計および/または第2の走行距離計が、記憶部に記憶されるおよび/またはデータベースから生じる少なくとも所定の閾値距離を超える時、視覚的および/または聴覚的および/または触覚的警告メッセージを発するように構成される警告モジュールを備える設備にまで及ぶ可能性がある。
【0018】
特に、そのような設備では、少なくとも1つの定められた閾値距離は、警告メッセージが関連する構成部品の少なくとも1つの指示を含むように車両の少なくとも1つの構成部品に特有である。
【0019】
本発明はまた、内燃機関、少なくとも1つの電気モータ、および変速機を備えるハイブリッド自動車両であって、本発明による車両が走行した距離を測定するためのシステムをさらに備える、ハイブリッド自動車両に関する。
【0020】
特に、車両は、測定システム、特に処理部が、少なくとも1つの走行距離計を車両の移動距離値だけ増分するために、内燃機関のトルク、および変速機上の電気モータのトルクを制御しかつ検出することが可能であるように構成される。
【0021】
本発明はまた、コンピュータプログラム製品であって、1つまたは複数の上記のプログラムが、コンピュータ、または、通信ネットワークからダウンロード可能である、および/もしくはコンピュータ可読データ媒体上に記録可能である、および/もしくはコンピュータによって実行可能であるコンピュータプログラム製品上で実行している時に、測定方法および/または監視方法のステップを実施するための、コンピュータ可読媒体上に記録されたプログラムコード命令を含み、プログラムがコンピュータによって実行される時、上記のコンピュータに測定方法および/または監視方法を実施させる命令を含むことを特徴とする、コンピュータプログラム製品に関し得る。
【0022】
本発明はまた、測定方法および/または監視方法を実施するためのプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムが記録されるコンピュータ可読データ記録媒体に関し得る、またはコンピュータによって実行される時、上記のコンピュータに測定方法および/または監視方法を実施させる命令を含むコンピュータ可読記録媒体に関し得る。
【0023】
最後に、本発明は、上述されるようなコンピュータプログラム製品を伝送するデータ媒体の信号にまで及ぶ可能性がある。
【0024】
さらなる詳細、特徴、および利点については、以下の図に示されるさまざまな実施形態に関して非限定的な指示によって提供される以下の詳細な説明を読むことでより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】1つの実施形態によるハイブリッド自動車両の概略図である。
【
図2】車両が走行した距離を測定するための方法、および車両を監視するための方法の概略図である。
【
図3】代替的な実施形態によるハイブリッド自動車両の概略図である。
【
図4】車両が走行した距離を測定するための方法、および代替的な実施形態による車両を監視するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ハイブリッド自動車両100、とりわけ、ハイブリッド電気自動車または充電式のハイブリッド電気自動車の一実施形態を概略的に示す。車両100は、内燃機関101、少なくとも1つの電気モータ102、および変速機103を備える。以下の説明全体を通して、車両100は電気モータ102を備えるが、本発明は、複数の電気モータ102を備える車両にまで及ぶ可能性がある。
【0027】
車両100はまた、車両100が走行した距離を測定するためのシステム10、および/またはそのような測定システム10を含む監視設備20を備えている。車両はまた、電気エネルギー蓄積デバイス104、または、特に、電気エネルギーを電気モータ102に供給するために少なくとも1つの電気モータ102と協働することが可能なバッテリを備えている。
【0028】
一般的に、本発明による測定システム10は、車両の移動距離を、例えばキロメートルで測定するための少なくとも1つの手段11と、処理部12と、第1の走行距離計13および少なくとも1つの第2の走行距離計14とを備える。
【0029】
測定手段11は、車両の移動を検出するおよび/または測定することが可能であり、かつ、移動距離の値dn;n+1に応じた信号を、特に処理部12に送信することが可能である。用語「移動」は車両の前進または後進を意味すると理解されたい。測定手段11はこれらのさまざまな移動の距離値を表す信号を送信することが可能である。例えば、測定手段11は、特に、車両のシャシ上に配置された走行距離計を含むことができる。代替的にはまたは組み合わせて、測定手段11は、定められた基準系に対する車輪の移動に応じて車両の移動を検出するおよび/または測定することが可能な少なくとも1つのセンサを含むことができる。
【0030】
処理部12は、ハードウェアリソースおよびソフトウェアリソースを含む少なくとも1つの計算部またはコンピュータ、より具体的には、記憶素子と協働する少なくとも1つのプロセッサまたはマイクロプロセッサを備える。少なくとも1つのコンピュータは、特に、以降に説明されるような方法のステップを実行するために、コンピュータプログラムを実施するための命令を実行することが可能である。処理部12は、特に、測定手段11から生じる信号を受信することが可能である。
【0031】
処理部12は、内燃機関101のトルク、および変速機103上の電気モータ102のトルクをリアルタイムで検出するおよび/または制御することも可能である。例えば、処理部12の少なくとも1つのコンピュータは、内燃機関101のトルクおよび電気モータ102のトルクを検出しかつ制御することが可能であり得、すなわち、要求に応じて、または車両によって実施される運転モードに従って適用されるトルクを規定することが可能であり得る。代替的には、処理部12の第1のコンピュータは、内燃機関101のトルクおよび電気モータ102のトルクを制御し、かつそのような制御に関するデータを第2のコンピュータに送ることができる。その上、処理部12は、第1の走行距離計13および/または第2の走行距離計14に信号を、特に、測定手段11によって測定された実際の移動の距離値に応じた信号を選択的に送信することが可能である。
【0032】
第1の走行距離計13は、内燃機関101が作動している時のみ測定された移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される。用語「作動している」は、内燃機関が動力供給されている、すなわち、内燃機関101がオフにされてもいないし遮断されてもいないことを意味すると理解されたい。内燃機関101のそのような状態は、特に、処理部12のコンピュータによって検出可能である。換言すれば、第1の走行距離計13は、内燃機関101が動作している時に車両が走行した第1の距離を示す。
【0033】
以降に説明される特定の実施形態によると、第1の走行距離計13は、内燃機関101が車両の変速機103に結合されている時のみ測定された移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される。換言すれば、内燃機関101はその時、作動し変速機103に結合される。
【0034】
明確にするために、D1;nは以降、瞬時tnにおける第1の距離の値を指すこととする。瞬時tnは、例えば、第1の距離の値がリアルタイムでまたは所定の規則的な時間間隔で調節される時、車両の移動より前、または第1の距離の値の調節より前とすることができる。D1;n+1は、車両の移動の後にまたは第1の距離の値の調節の後で瞬時tn+1において取得された第1の距離の値を指す。そのような第1の距離の値D1;nおよびD1;n+1は、例えば、処理部12の記憶素子に記憶され得る。よって、処理部12は、内燃機関101が変速機103に結合されていること、すなわち、内燃機関101が非ゼロトルクを伝えていることを検出し、かつ第1の走行距離計13が増分されるように、すなわち、第1の走行距離計13が、車両が完了した移動の測定された距離値dn;n+1を第1の記録された距離の値D1;nに追加することで、第1の距離の更新された値D1;n+1を取得するように制御する。
【0035】
内燃機関101とは違って、電気モータ102は常に変速機に結合されている。それにもかかわらず、規定される設定点に従って、電気モータ102は車両の加速または減速には影響がないゼロトルクを伝えなければならない場合がある。その結果、電気モータ102がゼロトルクを伝えている時、結果として生じる上記のモータの摩耗は小さくなり、またはさらには電気モータ102が非ゼロトルクを伝えている時、とりわけ、車両100の寿命にわたって観察される摩耗と比較してごくわずかである。「非ゼロトルク」は、正のトルクまたは負のトルクを意味すると理解されたい。処理部12は特に、例えば、電気モータ102が加速を可能にするために使用される場合、電気モータ102が回生ブレーキとして動作する場合、または電気モータ102がゼロトルク、すなわち、以降にさらに詳細に開示されるように0nmに等しいトルクを伝えている場合、コンピュータによって、電気モータ102によるトルクおよび使用を検出する。
【0036】
説明されない代替的な実施形態によると、正のトルクは、電気モータ102が伝えることができる最大トルクに応じた既定の閾値より大きい、すなわち、0Nmおよび上記の閾値の和より大きいトルクであるとして定められ得、負のトルクは、電気モータが伝えることができる最大トルクに応じた既定の閾値より小さい、すなわち、上記の0Nmにおける閾値を減じた値より小さいトルクであるとして定められ得る。換言すれば、そのような代替的な実施形態では、電気モータは、このトルクがごくわずかではない時またはこのトルクの絶対値が定められた閾値より大きい時、非ゼロトルクを伝えるとみなされる。逆に言うと、電気モータは、その他の場合、すなわち、このトルクがごくわずかである時、ゼロトルクを伝えるとみなされる。
【0037】
この点において、第2の走行距離計14は、それ故に、とりわけ、車両の電気モータ102が非ゼロトルクを伝えている時のみ、測定された移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される。第2の走行距離計14は、よって、電気モータ102が著しく摩耗させられる条件下で動作する時の車両が走行した第2の距離を示す。
【0038】
本明細書において、D2;nは、例えば、上記に開示されるように、車両の移動より前、または第2の距離の値の調節より前の、瞬時tnにおける第2の距離の値を指す。D2;n+1は、車両の移動の後の、または第2の距離の値の調節の後である瞬時tn+1において取得される第2の距離の値を指す。以前と同様に、これらの値D2;nおよびD2;n+1は記憶素子上に記憶可能である。処理部12は、電気モータ102が非ゼロトルクを伝えていることを検出する時、第2の走行距離計14が増分されるように、すなわち、車両が完了した移動の測定された距離値dn-n+1が第2の記録された距離値D2;nに追加されることで、第2の距離の更新された値D2;n+1を取得するように制御する。
【0039】
車両100が上記に開示されるように複数の電気モータ102を含む時、本発明によるシステムは、車両の電気モータ102のうちの少なくとも1つが非ゼロトルクを伝えている時のみ測定された移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される単一の第2の走行距離計14を備えることができることに留意すべきである。代替的には、測定システムは、複数の第2の走行距離計14を備えることができ、上記の第2の走行距離計14のそれぞれは、測定システム自体の電気モータ102、すなわち、測定システムに関連付けられている電気モータ102が非ゼロトルクを伝えている時のみ測定された移動距離値dn-n+1だけ増分されるように構成される。そのような原理は本発明による測定方法にまで及ぶ。
【0040】
よって、本発明によるシステムは、以降にさらに詳細に開示されるように、車両によって実施される運転モードに応じて第1の走行距離計13および/または第2の走行距離計14の増分を有利に制御することができる。その結果として、本発明はまた、ハイブリッド自動車両のタイプ、特に簡易なまたは充電式の車両を考慮に入れることを可能し、上記のモードは車両のタイプに応じて変えやすくなる。
【0041】
測定システム10は、第1の走行距離計13および/または第2の走行距離計14の表示部16をさらに備えることができる。非限定的なやり方では、そのような表示部16は、車両の計器パネルに、またはさらには、車両に既に統合されている車両のヒューマンマシンインターフェースに統合されることで、走行した第1の距離および/または走行した第2の距離を示すことができる。
【0042】
オプションとして、本発明による測定システム10は、車両が走行した総距離Dtotを測定するためのデバイス17、換言すれば、走行距離計を備えることもできる。そのような総距離Dtotは、車両が前方にのみ移動している時、または代替的には、車両が前方または後方に移動している時に、測定可能である。測定デバイス17は、車両の移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される。その上、第1の走行距離計および第2の走行距離計とは違って、測定デバイス17は、電気モータ102、または変速機103上の内燃機関101のトルク、ひいては、車両の運転モードまたは車両のタイプを考慮に入れていない。そのようなデバイスは、先行技術から既知であるように、従来車両に付けられており、またさらに詳細に説明されることはない走行距離計に対応する。車両の前進のみを考慮に入れているようなデバイスでは、総距Dtotの値は、第1の距離および第2の距離の和に等しいものではなく、さらには第1の距離、すなわち、とりわけ、非差し込み充電式の電気ハイブリッド車両用の内燃機関101を使用して走行した距離を下回る可能性があることに留意するべきである。
【0043】
本発明はまた、ハイブリッド自動車両が走行した距離を測定するための方法1に関する。そのような方法は特に、上記に開示されるような測定システム10を動作させるまたは使用するための方法に融合され得、同様に、システムは、本発明による測定方法1を実施するために必要な手段を含む測定システムであるとみなされ得る。
【0044】
方法は、
図2に示されるように、測定手段11によって車両の移動距離値d
n;n+1を測定するステップE1と、上記の測定された値を処理部12に送信するステップE2とを含む。そのようなステップは、順々に連続して実行され得、繰り返され得、またはさらには、例えば、移動距離値がリアルタイムで推定されるまたは周期的に更新される時に少なくとも部分的に伴う可能性がある。
【0045】
方法は、さらにまた、第1の走行距離計13において移動値だけ増分するステップE3であって、車両の内燃機関101が車両の変速機103に結合されている時のみ実施されるステップE3、および/または、車両の電気モータ102が非ゼロトルクを伝えている時のみ第2の走行距離計14を移動距離値だけ増分するステップE4を含む。換言すれば、実施される運転モードに応じて、方法は、第1の走行距離計13を増分するステップE3もしくは第2の走行距離計14を増分するステップE4、またはこれら2つのステップE3、E4を含むことができる。方法は、表示部16によって第1の走行距離計および第2の走行距離計14に特有の第1の距離および/または第2の距離それぞれを表示する、示されない追加のステップを含むことができる。
【0046】
特に、簡易なまたは充電式のハイブリッド自動車両は、従来、以下の動作モードの全てまたはいくつか、特に「電気駆動」運転モードを「回生制動」モード付またはなしで、および、
- 「電気加速補助」モード、
- 「作動段階再充電」モード、
- 「回生制動」モード
などのさまざまな「燃焼駆動」モードの全てまたはいくつかを実施可能である。
【0047】
ハイブリッド車両が車両の「電気駆動」モード、加速段階、または運転段階で動作する時、電気モータ102のみが車両の駆動力に関与している。換言すれば、内燃機関101は変速機103から切り離され、電気モータ102は正のトルク、すなわち、厳密には0Nmより大きいトルクを伝えている。その結果、本発明による測定システム10において、第1の走行距離計13は増分されないが、第2の走行距離計14は測定手段11によって測定された移動距離値だけ増分される。
【0048】
とりわけ、特に充電式のハイブリッド自動車両について、車両が「電気駆動」モードで使用される時、「回生制動」モードを稼働させることができ、それによってエネルギーが回復されることで、車両が制動している時に蓄積デバイス104が再充電されることを保証する。このモードが稼働される時、内燃機関101は変速機103から切り離され、かつ作動していてもしていなくもよく、電気モータ102は、負のトルク、厳密には0Nmより小さいトルクを伝えている。本明細書に説明される特定の例では、第1の走行距離計13はその時増分されないが、第2の走行距離計14は移動距離値だけ増分される。
【0049】
有利には、蓄積デバイス104が十分に再充電される時、電気モータ102は、ゼロトルク、すなわち、0Nmに等しいまたはほぼ等しいトルクを伝えるように制御可能である。その結果、第2の走行距離計14の増分は、蓄積デバイス104がその最大容量まで充電されるとすぐに中断されるため、ジュール効果によるいかなるエネルギーも放散させる必要はない。従って、第2の走行距離計14は、ゼロトルク情報に基づき、この情報自体は、蓄積デバイス104が既に十分に充電されている場合を考慮に入れる。換言すれば、本発明によるシステムは、さらにまた、蓄積デバイス104に直接依存していないが、電気モータ102のトルクに依存しており、第2の走行距離計13の増分は自動的に中断される。第1の走行距離計13も第2の走行距離計14もその時に増分されない。制動段階において、車両が「電気駆動」運転を実施し、「回生制動」モードを停止状態にする時に、同様の原理が適用する。
【0050】
非差し込み充電式のハイブリッド電気自動車両が、そのようなモードを実施するために充電式のハイブリッド自動車両より自律性が低くなることは、留意されるべきである。また、一部の非差し込み充電式のハイブリッド電気自動車両は、電気モータ102が単独で動作できず、内燃機関101の同時動作を、換言すれば、内燃機関101を変速機103に結合することで駆動力を作用させることを必然的に必要とするという意味では「電気駆動」モードを有さない場合がある。
【0051】
車両が加速段階にあり、かつ「電気加速補助」モードが稼働している時、電気モータ102によって補助される内燃機関101によって駆動力が生じる。内燃機関101は、その時、変速機103に結合され、電気モータ102は正のトルクを伝えると、処理部12は特に、コンピュータによって電気モータ102のトルクに関する情報を受信する。第1の走行距離計13は、測定手段11によって加速中に測定された移動距離値dn;n+1だけ増分され、第2の走行距離計14はこの同じ距離値だけ増分される。
【0052】
逆に言えば、「電気加速補助」モードが加速段階において停止状態にある場合、駆動力は完全に、内燃機関101によって生じる。内燃機関101は変速機103に結合され、電気モータ102はゼロトルクを伝えている。そのようなモードでは、第1の走行距離計13は、測定手段11によって測定された移動距離値dn;n+1だけ増分されるが、第2の走行距離計14ではそうではない。
【0053】
車両の作動段階において、「作動段階再充電」モードは、電気エネルギー蓄積デバイス104が電気モータ102を介して再充電されることを可能にするために稼働させることができる。内燃機関101は、車両のための駆動力を提供するために変速機103に結合されている間、電気モータ102は負のトルクを伝えている。第1の走行距離計13は、測定手段11によって測定された移動距離値dn;n+1だけ増分され、第2のデバイスはこの同じ値だけ増分される。有利には、蓄積デバイス104が十分に再充電される時、電気モータ102は、ゼロトルク、すなわち、0Nmに等しいまたはほぼ等しいトルクを伝えるように制御可能である。第2の走行距離計の増分はその時、自動的に中断される。
【0054】
逆に言えば、このモードが作動段階において停止状態にある場合、車両は「電気加速補助」モードが停止状態にある時に提供された説明と同様のやり方で動作し、すなわち、内燃機関101は変速機103に結合され、電気モータ102はゼロトルクを伝えている。従って、第1の走行距離計13は増分されるが、第2はそうではない。
【0055】
車両の制動段階において、「回生制動」モードが稼働している場合、内燃機関101は、車両のための駆動力を提供するために変速機103に結合されている間、電気モータ102は、電気エネルギー蓄積デバイス104の再充電を可能にするように負のトルクを伝えている。第1の走行距離計13および第2の走行距離計は、制動段階において測定された移動距離値dn;n+1だけ増分される。
【0056】
有利には、蓄積デバイス104が十分に再充電される時、電気モータ102はゼロトルクを伝えるように制御される。その結果、上述されるように、蓄積デバイス104がその最大容量まで充電されるとすぐに第2の走行距離計14の増分は自動的に中断される。
【0057】
「回生制動」モードが停止状態にある時、「加速補助」モードまたは「作動段階再充電」モードの停止状態についてのように、内燃機関101は変速機103に結合され、電気モータ102はゼロトルクを伝えている。測定システム10は第1の走行距離計13を増分するが、第2の走行距離計を増分しない。
【0058】
本発明による測定システム10はそのように、内燃機関101および電気モータ102の実際の使用、ひいては、間接的に、上述されたものの中からの車両の動作モードを考慮に入れて車両が完了した走行距離のより精密な測定を可能にする。
【0059】
上記に開示されるようなさまざまなモードにおいて、システムが、車両が走行した総距離Dtotを測定するためのデバイス17を備えている時、そのようなデバイスでは、第1の走行距離計13および/または第2の走行距離計14に加えて、車両が前進する時の移動距離値dn;n+1だけ増分することができる。
【0060】
とりわけ、ハイブリッドの簡易なまたは充電式の自動車両はまた、「帆走(sailing)」または「惰走」とも呼ばれる「フリーホイール」モードを実施するように構成可能であり、この場合、内燃機関101は変速機103から切り離され、それと同時に電気モータ102はゼロトルクを伝えている。そのような動作モードは特に、車両が坂を上がる時または信号機に近づく時、実施可能である。
【0061】
車両の使用をより精確に評価するために、測定システム10はまた、オプションとして、車両の内燃機関101が変速機103から切り離され、それと同時に車両の電気モータ102がゼロトルクを伝えている時のみ、移動距離値dn;n+1だけ車両が走行した第3の距離D3を増分するように構成される第3の走行距離計18を備えることができる。車両が前進している間にそのような原理が実施されることで、測定手段11が車両の非ゼロの移動距離を判断することは理解されたい。そのような原理は特に、製造業者が彼らの車両をそれぞれの運転者がどのように使用するかをより良く理解可能にすることができる。
【0062】
この意味では、上記に開示されるような測定方法1は、車両の内燃機関101が車両の変速機103から切り離され、車両の電気モータ102がそれに伴ってゼロトルクを伝えている時のみ、第3の走行距離計18を増分するステップE5をさらに含むことができる。よって、車両が「フリーホイール」モードを実施する時、第3の走行距離計18および測定デバイス17のみが増分されるが、第1の走行距離計13も第2の走行距離計14も増分されない。
【0063】
図3は、上記に開示されるような実施形態とほぼ同様の代替的な実施形態による車両100を示し、また、
図1を参照して提供される先の説明が準用される。同様に、
図4は、上記の代替的な実施形態に特有の実施方法を示し、これについて、
図2を参照して上記に提供される説明が準用される。
【0064】
そのような代替的な実施形態において、測定システム10は、第1の代替の走行距離計13’および/または第2の代替の走行距離計14’をさらに備える。
【0065】
第1の代替の走行距離計13’は、第1の走行距離計13が増分される時のみ内燃機関101が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される。換言すれば、第1の代替の走行距離計13’は第1の走行距離計13と重複して動作し、また、特に使用されるモードを表す内燃機関101の使用を表す重み付けを積分する。
【0066】
同様に、第2の代替の走行距離計14’は、第2の走行距離計14が増分される時のみ少なくとも1つの電気モータ101が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値dn;n+1だけ増分されるように構成される。換言すれば、第2の代替の走行距離計14’は第2の走行距離計14と重複して動作し、また、特に使用されるモードを表す電気モータ102の使用を表す重み付けを積分する。
【0067】
特に、1つの実施形態によると、第1の代替の走行距離計13’および/または第2の代替の走行距離計14’によって適用されるデューティサイクルは、1kmにわたって、考慮されるエンジン、すなわち、内燃機関101または電気モータ102に対して求められるおよび/または検出されるトルクの平均を計算することによって定められ得る。
【0068】
例えば、非限定的なやり方では、最大動力が120kWの電気モータについて、車両100が60kWのトルクで1km走行する場合、第2の走行距離計14は1の移動距離値だけ増分され、第2の代替の走行距離計14’は、電気モータ102の使用に応じて重み付けされた移動距離値に対応する0.5だけ増分される。
【0069】
そのような配置構成は特に、平均デューティサイクルが、車両のそれぞれのエンジン/モータに対して、それらの寿命にわたってそれらの最大トルクおよび/またはそれらの最大動力に応じて定められることを可能にし、従って保守要件の改良が可能になる。
【0070】
よって、本発明による測定方法が本実施形態に従って実施される時、方法は、増分するステップE3が実行されるとすぐに実施される第1の走行距離計13を増分するステップE3の複製ステップE6をさらに含む。そのような複製ステップE6において、第1の代替の走行距離計13’は、内燃機関101が伝えることができる最大トルクおよび/または最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値dn;n+1だけ増分される。そのようなステップは特に、増分するステップE3に伴って実行可能である。
【0071】
方法は、増分するステップE4が実行されるとすぐに実施される第2の走行距離計14を増分するステップE4の複製ステップE7をさらに含む。そのような複製ステップE7において、第2の代替の走行距離計14’は、少なくとも1つの電気モータ102が伝えることができる最大トルクまたは最大動力に応じて定められるデューティサイクルによって重み付けされた移動距離値dn;n+1だけ増分される。
【0072】
本発明はまた、ハイブリッド自動車両100を監視するための設備20に関する。設備は、上述されるような測定システム10、ならびに、データ記憶部21および警告モジュール22を備えることができる。
【0073】
記憶部21は、少なくとも1つの所定の閾値距離Dsを記憶することが可能である。記憶部21およびシステムの記憶素子は、別個のものとすることができる、または同じセットに含まれ得る。代替的には、少なくとも1つの閾値距離Dsはデータベースに記憶可能であり、車両は、無線接続、例えば、3G、4G、「Wi-Fi」、または「Bluetooth」(登録商標)によって上記のデータベースからデータを抽出することが可能である、示されない少なくとも1つの通信モジュールを備えることができる。
【0074】
警告モジュール22は、第1の走行距離計13および/または第2の走行距離計14が、記憶部21に記録されるおよび/またはデータベースから生じる少なくとも所定の閾値距離Dsを超える時に、視覚的および/または聴覚的および/または触覚的警告メッセージを発するように構成される。換言すれば、警告モジュール22は、走行した第1の距離および/または走行した第2の距離が、厳密に、少なくとも1つの所定の閾値距離Dsより大きい時に稼働させるように構成される。
【0075】
警告メッセージは、例えば、車両の構成部品の摩耗をチェックする、および/または車両の構成部品を取り替える、および/または車両の調節を行う必要性を示すことができる。この意味では、少なくとも1つの閾値距離Dsは、警告メッセージが関連する構成部品の少なくとも1つの指示を含むように車両の少なくとも1つの構成部品に特有とすることができる。例えば、そのようなメッセージは、関連する構成部品と関連付けられ、かつ既に車両の計器パネルに統合されている1つまたは複数の表示灯の稼働を含むことができる。
【0076】
本発明はまた、ハイブリッド自動車両を監視するための方法2であって、監視設備20を動作させるまたは使用するための方法に類似し得る方法2に関し、逆に言えば、上記の設備は、監視方法2を実施するために必要とされる手段を含む。そのような方法は、上記に開示されるような測定方法1を実行する段階、ならびに、第1の走行距離計13および/または第2の走行距離計14が少なくとも所定の閾値距離Dsを超えているかどうかを検出するステップE21、および上記の閾値を超えていることを示す視覚的および/または聴覚的および/または触覚的警告メッセージを発するステップE22を含む。
【0077】
有利には、本発明による設備および方法はまた、少なくとも1つの閾値距離Ds’を超えていることを検出するステップE21’を可能にすることであって、この距離は好ましくは、前進して走行した総距離Dtotを測定するためのデバイス17によってあらかじめ定められる閾値距離Dsの値とは異なるものである、検出するステップE21’を可能にするように、および、上記の閾値を超えていることを示す視覚的および/または聴覚的および/または触覚的警告メッセージを発するステップE22’を可能にするように構成可能である。
【0078】
そのような設備およびそのような方法は、車両の実際の使用に応じて、すなわち、実施される運転モードに応じて、車両の構成部品の摩耗のより適したおよびより精確な監視を可能にする。例えば、タイヤ、ダンパー、またはさらには、車両のシャシの構成部品のいずれの摩耗も推定するために、測定デバイス17の総距離Dtotを考慮に入れることができる。電気駆動システムに関連する構成部品について、第2の走行距離計14に特有の第2の距離を考慮に入れることができ、燃料噴射器または分配ベルトなどの内燃機関に関連する構成部品について、第1の走行距離計13に特有の第1の距離を考慮に入れることができる。
【0079】
よって、本発明では、車両の摩耗をより精確に、かつその実際の使用に応じたより典型的なやり方で評価できるようにする方法および測定システムを提案する。実際は、そのような車両の使用は車両のタイプ、車両のモデル、およびユーザに従って著しく変化する。例えば、同じ総距離を走行した2台の充電式のハイブリッド車両のうち、1台は主に内燃機関を使用して動作させ得るが、もう1台は主に電気モータを使用して動作させ得る。本発明は特に、車両の内燃機関が車両の変速機に結合されている時のみ移動値だけ第1の走行距離計の増分を実施する、および/または、車両の電気モータが非ゼロトルクを伝えている時のみ上記の移動距離値だけ第2の走行距離計の増分を実施する。
【0080】
しかしながら、本発明は、本明細書に説明されかつ示される手段および構成に限定されず、本発明はまた、本明細書に説明されかつ示される機能性を最終的に果たす限りにおいて、任意の同等の手段または構成、およびそのような手段の任意の技術的に動作可能な組み合わせにまで及ぶ。
【国際調査報告】