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特表2024-508191空間内の物体用のモーメンタムホイールとリアクションホイール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】空間内の物体用のモーメンタムホイールとリアクションホイール
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/24 20060101AFI20240215BHJP
   B64G 1/28 20060101ALI20240215BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20240215BHJP
   B64G 1/40 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
B64G1/24 400
B64G1/28 500
B64G1/24 200
B64G1/66 C
B64G1/28 300
B64G1/40 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556881
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2022020542
(87)【国際公開番号】W WO2022197797
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/161,677
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517362118
【氏名又は名称】エーエスティー アンド サイエンス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AST & Science, LLC
【住所又は居所原語表記】100 SE 2nd St,Suite 3500 Miami, Florida 33131, U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】フィリピ ダルコ
(72)【発明者】
【氏名】アヴェラン アーベル
(72)【発明者】
【氏名】ビアレク ウィリアム イー.
(72)【発明者】
【氏名】アダリ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ザノン ダレン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハルペリン アダム エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ フイウェン
(57)【要約】
宇宙機は、エッジ部と中央部とを含む平坦なアンテナアレイを有する。再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールがアンテナアレイに結合され、アンテナアレイを小程度にロールおよび/またはピッチさせる。再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、リアクション動作状態またはモード(高トルク、低モーメンタム)とモーメンタム動作状態またはモード(低トルク、高モーメンタム)とを有する。スラスターはアンテナアレイに結合され、アンテナアレイを移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦なアンテナ素子と、
前記アンテナ素子に結合され、前記アンテナ素子を小程度にロールおよび/またはピッチさせるための再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールと、
前記アンテナ素子に結合され、前記アンテナ素子を移動させるためのスラスターとを有する、宇宙機。
【請求項2】
請求項1において、
前記平坦なアンテナ素子はエッジ部を含み、さらに、
前記アンテナ素子のエッジ部に結合されたハウジングであって、前記再構成可能なリアクションモ-メンタムホイールを囲むハウジングを有する、宇宙機。
【請求項3】
請求項2において、
前記スラスターは前記ハウジングに結合されている、宇宙機。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記スラスターは大きな推力を提供し、前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは小さな推力を提供する、宇宙機。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
複数の平坦なアンテナ素子を含むアンテナアセンブリを有する、宇宙機。
【請求項6】
請求項1または4において、
中間部分を備えたアンテナアレイを形成する複数の平坦アンテナ素子と、
前記アンテナアレイの中間部分に結合されたハウジングであって、前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールを囲むハウジングとをさらに有する、宇宙機。
【請求項7】
薄い平面構造を備えた複数の共通アンテナ素子が相互に結合されたフェーズドアレイであって、外側部分を含むフェーズドアレイと、
前記フェーズドアレイの前記外側部分に結合されたハウジングを含む制御装置と、
前記ハウジング内に格納され、前記フェーズドアレイの構造体をロールおよび/またはピッチさせる複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールと、
前記ハウジングに結合され、前記フェーズドアレイの構造体を複数の方向に移動させる複数のスラスターとを有する、通信システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御装置は人工衛星を含む、システム。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記ハウジング内に制御プロセッサーをさらに有し、
前記制御プロセッサーは、前記複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールおよび前記複数のスラスターを操作する、システム。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかにおいて、
前記フェーズドアレイの構造体の位置または向きを検出する1つまたは複数のセンサーをさらに有する、システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記制御プロセッサーは、前記フェーズドアレイの構造体の検出された位置または向きに基づいて、前記複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールおよび前記複数のスラスターを操作する、システム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかにおいて、
前記制御装置は、大きな姿勢変化と精密な姿勢制御の両方のために、宇宙空間に展開された大きな構造物を制御する、システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかにおいて、
前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、高精度の姿勢制御を提供する高トルクモードを含む、システム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかにおいて、
前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、高トルクモードよりも大きな中程度の大きさの姿勢変化をもたらす高運動量モードを含む、システム。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかにおいて、
4つの化学スラスターを使用した大きな姿勢オフセットの回復能力を含む、システム。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかにおいて、
前記ホイールは、ミッションフェーズの必要性に基づいて、高トルクで運動量のキャンセルを行う、システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2021年3月16日に出願された米国出願第63/161,677号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、宇宙機(宇宙船、衛星)のような空間(宇宙空間)にある物体(対象物)に使用されるホイール(車輪)に関するものである。ウィリアム・ビアルケに対する米国特許公開第2008/0099626号は、宇宙機用の再構成可能なリアクションホイールを開示しており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
米国特許第9,973,266号および第10,979,133号は、宇宙空間で多数の小型衛星アンテナアセンブリを組み立て、大型アレイを形成するシステムを示している。上記266号特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。上記266号特許に開示されているように、図1(a)、図1(b)は、複数の共通衛星または小型衛星32のアレイ30と、1つの中央衛星または制御衛星20を有する衛星通信システム10とを示している。これら複数の小型衛星32は、地球上のフットプリント40内の複数のエンドユーザー50と通信し、また、制御衛星20とも通信し、その制御衛星20は、基地局のゲートウェイ60と通信する。これらの小型衛星32は、それぞれ、例えば、処理装置(例えば、プロセッサーまたはコントローラー)および少なくとも1つのアンテナ素子を含むことができる。また、制御衛星20は、処理装置と、少なくとも1つのアンテナまたはアンテナ素子とを含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
エッジ部と中間部とを含む平坦なアンテナアレイを有する宇宙機が提供される。再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールがアンテナアレイに結合され、アンテナアレイを小さな程度で(軽度に、微量に)ロールおよび/またはピッチさせる。再構成可能なリアクション-モーメンタムは、リアクション動作状態またはモード(高トルク、低モーメンタム)とモーメンタム動作状態またはモード(低トルク、高モーメンタム)とを有する。スラスターはアンテナアレイに結合され、アンテナアレイを移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示のいくつかの実施例のみを示しており、図に具体的に図示されていない他の実施例または様々な実施例の組み合わせは、依然として本開示の範囲内に含まれ得ることを理解されたい。次に、実施例について、図面を用いてさらに詳細に説明する。
【0006】
図1(a)】図1(a)は、大型アレイを示す。
図1(b)】図1(b)は、大型アレイを示す。
【0007】
図2図2は、制御衛星と、複数の共通衛星の大規模なアレイとの斜視図である。
【0008】
図3図3は、モーメンタムモードとリアクションモードを持つ再構成可能なホイールを示す。
【0009】
図4(a)】図4(a)は、衛星の構成部品を示す。
図4(b)】図4(b)は、衛星の構成部品を示す。
図5図5は、衛星の構成部品を示す。
【0010】
図6図6は、化学スラスター、リアクションホイールモード、モーメンタムホイールモードのトルクとモーメンタムとの蓄積量をプロットしたものである。
【詳細な説明】
【0011】
図面に図示された例示的で非限定的な実施形態を説明する際に、明確さのために特定の用語に頼る。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の用語は、同様の目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的等価物を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態が例示の目的で記載されているが、本明細書および特許請求の範囲は図示された実施形態に限定されるものではなく、図面に具体的に示されていない他の実施形態も本開示の範囲内にあり得ることが理解される。
【0012】
本明細書で紹介するシステムは、慣性モーメントが大きい宇宙機の方位(姿勢)アライメントを維持する最適化されたシステムであり、従来では分離された複数の機能を、コンポーネントに結合して使用するためのものである。米国特許公開第2008/0099626号に記載されているように、再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、実施形態の他の要素と組み合わされると、本開示の1つの例示を提供するシステムに利用される。しかしながら、本開示の精神および範囲内で、他の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールを利用できる。本明細書において、再構成リアクション-モーメンタムホイールは、1つのハウジングに収容された1つまたは複数のディスクまたはホイールであり、リアクション動作状態またはモード(高トルク、低モーメンタム(角運動量))およびモーメンタム動作状態またはモード(低トルク、高モーメンタム(角運動量))にしたがって選択的に動作させることができるものである。
【0013】
図面に目を転じると、図2は、宇宙空間の大型で平板状の物体を制御する衛星通信システム100を示している。このシステム100は、大型のフェーズドアレイ(フェーズアレイ、位相アレイ)300と、制御衛星200(図5)とを含む。図2に示されるように、制御衛星200は、フェーズドアレイ300の一側面のエッジ部(端部)に結合され、その側面に沿った中央に配置されてもよい。本開示の他の実施形態では、制御衛星200は、例えばフェーズドアレイ300の中央部など、フェーズドアレイ300の内側の部分に結合されてもよい。
【0014】
図2図4(a)、図4(b)を参照すると、アレイ300は、1つまたは複数のコネクターまたは結合装置などによって互いに結合されている複数(数百、場合によっては数千)の離散的な(独立した)共通衛星302を含む。これらの共通衛星302は平坦であり、すなわち、アレイ300のX寸法(X方向の長さ)およびY寸法(Y方向の長さ)はZ寸法(Z方向の長さ)よりも著しく大きく、大きな慣性モーメントを生じさせる。一実施形態では、これらの共通衛星302はアンテナ素子であり、アレイ300はフェーズドアンテナアレイである。
【0015】
各共通衛星302は、アンテナ構造を含む。図4(b)に示す例示的な実施形態では、共通衛星302は、共通衛星処理装置304、フロントエンドモジュール(FEM)310、フライトコンピューター306、1つまたは複数の共通衛星センサー308、1つまたは複数の共通衛星フライトアクチュエーター314、ソーラーコレクター(太陽電池)、および外部システムへのリンクを含む多数の電子部品を含むことができる。ソーラーコレクター/太陽電池は太陽からエネルギーを生成する。太陽電池からの余剰電力はバッテリーを充電し、バッテリーからも電子部品に電力を供給することができる。各FEM310は、信号を送受信するためにそれぞれのアンテナ312と関連している。共通衛星302には、任意でスラスターも設けることができる。
【0016】
処理装置304は、FEM310を介した信号の受信/送信を含む電子部品の全体的な動作を制御する。フライトコンピューター306は、センサー308からアンテナ構造302の向き(方位、姿勢)と位置に関する信号を受信する。これらのセンサーから受信した信号に応じて、フライトコンピューター306は、現在の方位および位置を決定し、アンテナ構造体302を適切な位置にするための制御信号をアクチュエーター314に送信する。複数の共通衛星302が結合されると、それらは宇宙空間で大きなアレイ300を形成する。
【0017】
図5に示すように、制御衛星200は、処理装置204、フライトコンピューター206、1つまたは複数の制御衛星センサー208、1つまたは複数の制御衛星アクチュエーター216、および1つまたは複数の制御衛星スラスター218を含む。制御処理装置204は、これらの制御衛星センサー208、制御衛星アクチュエーター216、およびジャイロコンポーネント212を含めて、制御衛星200の動作を制御することができる。制御衛星センサー208は、例えば、スタートラッカー(星追跡装置)、太陽センサー、慣性計測ユニット、およびグローバルポジションシステムユニットを含むことができる。
【0018】
制御衛星200のフライトコンピューター206は、制御衛星200とフェーズドアレイ300の位置と向き(方位、姿勢)を制御する。フライトコンピューター206は、制御衛星センサー208および共通衛星センサー308等の他のセンサーからセンサーデータを受け取り、フェーズドアレイ300の向き(姿勢)を決定する。フェーズドアレイ300の判明した向きと所望の向きとに基づいて、フライトコンピューター206は、フェーズドアレイ300が確実に適切な向きになっているように、必要に応じて、複数の制御衛星アクチュエーター216および共通衛星302の共通衛星アクチュエーター314に命令する。一実施形態では、制御衛星センサー208は、位置データを提供するGPSセンサーであってもよい。別の実施形態では、制御衛星センサー208は、位置データを決定することができる加速度データを提供する加速度計などのIMU(慣性測定装置)とすることができる。
【0019】
図3に示すように、制御アクチュエーター216は、制御アクチュエーターアセンブリ215を含んでもよい。アクチュエーターアセンブリ215は、例えば、支持部材214と、1つまたは複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイール216a、216b、216c、216d、および/またはオプションの電磁トルクロッドとを含み、低地球軌道においてホイールが飽和するのを防ぐ。どの軌道においても、外乱は最終的に宇宙機のトルクに影響を与える。例えば、重力勾配はピッチダウン(沈むような縦揺れ)を生じさせるかもしれないが、リアクションホイールが逆回転することによってそれを防ぐ。重力勾配は継続的なトルクを励起するので、ホイールは最大速度に達するまで、つまり飽和するまで、ますます速く回転し続ける。トルクロッドは、それ自体が力/トルクを発生させることによって、ホイールのモーメンタム(角運動量)、つまり速度(回転速度)を落とす。トルクロッドは通常、X座標、Y座標、Z座標に整列され、一実施形態ではホイールに(直接または間接的に)接続することができる。
【0020】
ホイール216は、例えば、米国特許公開第2008/0099626号に記載のあるような、制御衛星200の位置および/または方位(向き、姿勢)を制御することができる任意の適切なホイールとすることができる。ジャイロコンポーネント212は、例えば、慣性測定ユニット(IMU)とすることができる。
【0021】
―実施形態では、制御衛星200は、複数の制御衛星センサー208および/または共通衛星センサー308からの全てのセンサーデータ、並びに複数の制御衛星アクチュエーター216および/または共通衛星アクチュエーター314へアクセスする、およびその権限を有し、フェーズドアレイ300およびシステム100の全体的な向き(方位)を制御する。制御衛星フライトコンピューター206は、複数のセンサー208、308から全てのセンサーデータを読み込み、全てのアクチュエーター216、314に命令する(コマンドを送る)。小型の共通衛星302のそれぞれの共通衛星フライトコンピューター206は、その共通衛星センサー308から、それ自身のセンサーデータのみを読み込んで、その共通衛星アクチュエーター314を制御し、フェーズドアレイ300内のそれ自身の向き(方位、姿勢)を修正する。
【0022】
図2に戻って、制御衛星200の本体ハウジング201は、大型フェーズドアレイ300に固定されるように取り付けられている。制御衛星200は、立方体形状の制御衛星本体201を備えていてもよい。制御衛星本体201は、アクチュエーターアセンブリ215(図3)を含む、図5に示す制御衛星構成要素を格納(収容)する。
【0023】
複数の共通衛星302は、所望の形状を有するフェーズドアレイ300を形成するために相互に接続され、ここでは平坦な長方形または正方形として示されているが、円形などの他の適切な形状を利用することができる。これらの共通衛星302は、平らで薄い本体303を有し、これにより、アレイ300の構造は、平らで薄いが、非常に大きく、重く、剛性または半剛性にすることができる。典型的な衛星のそれぞれは矩形立方体(三次元直方体)の形状を有するが、フェーズドアレイ300は矩形板(矩形の板状、高さがゼロに近い立方体)であり、その質量は制御点である宇宙機200から大きく広がり、慣性モーメントを2~3倍に増加させる。これらの慣性モーメントは、公転している惑星体、例えば地球、の重力勾配の作用を受けて、次のような一連の問題を引き起こす。A)システム100の精密な姿勢制御のために、通常よりも大きなトルクを提供するアクチュエーターが必要であること、B)システム100の通常よりも大きなモーメンタム(運動量、角運動量)を蓄えるためのアクチュエーターが必要であること、C)システム100のノミナル姿勢(予定された姿勢)からの大きな偏差を回復するためのアクチュエーターが必要であること。
【0024】
アレイ300は、複数の共通衛星302のうち周辺に位置する衛星により形成(構成)される少なくとも1つのエッジ部(エッジ、縁部、端部)を備えていてもよい。制御衛星200は、アレイ300の1つのエッジ部において、複数の共通衛星302の1つに接続されてもよい。エッジ部では、制御衛星200の複数のスラスター218は、より大きな角トルクを発揮し、アレイ構造体300のピッチングおよびヨー(縦揺れおよび横揺れ、偏揺れ角度)をより容易に制御することができる。他の実施形態では、制御衛星200は、アレイ300の中央部または中間部で接続されてもよい。エッジ部では、慣性モーメントが中央に取り付けられた構成よりも高くなり、問題は深刻になる。
【0025】
本開示の一例示的実施形態では、制御衛星本体201は、4つの化学スラスター(ケミカルスラスター)218(図2)を格納するハウジングを提供する。一実施形態例において、ハウジング201は、図5に示されるものを含む他の構成要素と同様に、スラスター218を完全に囲む。これらのスラスター208は、ヨー(横揺れ、Z軸回り)、ピッチ(縦揺れ、Y軸回り)およびロール(横揺れ、X軸回り)を含む姿勢制御を提供する。4つの化学スラスター218は、上下左右の側(面)に、プラスまたは十字のパターンを成すように配置される(+/-Z軸および+/-Y軸に並ぶように)。上側および下側の化学スラスター218は、制御衛星200のハウジングに対して上方および下方に放出される(発射する)推力を生成し、これにより、フェーズドアレイ300のそのエッジ部をそれぞれ下方および上方に付勢する。したがって、上下のスラスター218は、フェーズドアレイ構造300のピッチ(縦揺れ)を制御する。左側および右側の化学スラスター218はそれぞれ、制御衛星ハウジングに対して左側および右側に放出される(発射する)推力を発生させ、これにより、フェーズドアレイ構造300をそれぞれ右側および左側に回転させる。このように、左右のスラスター218は、フェーズドアレイ構造300のヨー(横揺れ)を制御して、フェーズドアレイ構造体300をその平面内で回転させる。ロールは、まず「左右」スラスターを用いてヨーイングし、次に「上下」スラスターを用いて制御される。
【0026】
図2、3を参照すると、制御衛星本体201は、1つまたは複数(少なくとも1つ)の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイール(リアクション/モーメンタムホイール)216を含む少なくとも1つのアクチュエーターアセンブリ215を格納する。図示された実施形態例では、本体201は、再構成可能なリアクション-モーメンタムホイール216を完全に覆う(または、少なくとも部分的に覆う)。図示のように、複数のホイールは平らで丸く、それぞれの平面内に延びている。本明細書で使用されるように、モーメンタムモードの複数のリアクション-モーメンタムホイール216は、より高い速度で回転し、モーメンタムを蓄積することができ、一方、リアクションモードの複数のリアクション-モーメンタムホイール216は、より低い速度で回転し、より大きなトルクを提供することができる。したがって、リアクションモードは、より微細な制御を可能にし、例えば、アレイ300の精密なポインティング(位置制御)および傾斜(角度制御)を提供するために使用されてもよく、モーメンタムモードは、例えば、アレイ300の粗いポインティング(位置制御)および傾斜または傾斜回復のための粗い制御を提供するために使用できる。
【0027】
大型で平坦な薄型アレイ300では、衛星のジャイロトルクと重力勾配を打ち消すジャイロトルクとを発生させることが望まれる。展開する構造が小さく、慣性モーメンタムが小さい古典的な衛星では、モーメンタム(角運動量)蓄積機能は、外乱トルクによって最も影響を受ける軸に応じて、主要な回転軸、ヨー、ピッチ、および/またはロールの軸に整列する(並んだ、直線になる)ホイールによって担われる。この原理をシステム100に適用した場合、重力勾配はX軸とY軸に最も作用するため、ホイールはモーメンタム管理のためにロール軸とピッチ軸に整列する必要がある。このような構成では、必要なモーメンタム蓄積能力を達成するために多数のホイールが必要となる。代わりに複数のホイールをヨー軸に配置し、ジャイロトルクを発生させてモーメンタムを蓄えるようにすれば、衛星はピラミッド型のホイール配置を採用することにより、より少ない数のホイールで所望の効果を得ることができる。ロール軸にジャイロトルク(ジャイロスコピックトルク、ジャイロ作用のトルク)を発生させ、衛星の自然なピッチ軸の回転速度を利用するため、衛星は天頂ベクトル(Z)周りのモーメンタムを保持する。衛星がモーメンタムホイールを天頂に向けると、衛星は左右に傾く。衛星が左に傾くこともあれば右に傾くこともあることを考えると、モーメンタムベクトル(運動量ベクトル)をアレイの法線方向に向けることが、衛星のモーメンタムを天頂に向けるための最良の選択肢となる。
【0028】
複数のホイール216は支持部材214に取り付けられ、この支持部材214は次に制御衛星ハウジング201に結合される。図示の実施形態例では、支持部材214は、三角形の側面と四角形の底面とを有するピラミッド形状を有することができる。それらの側面は互いに直交している。ホイール216が4つの三角形の平らな側面のそれぞれに配置されている。例えば、支持部材214の基部をハウジング201の底部に取り付けることができ、例えば、締結部材(例えば、ボルト)を支持部材214の基部の開口部を通って延びるように取り付けることができる。これらのホイール216は、図示のように露出させることもできるし、ホイール216を部分的または完全に囲うハウジング(図示せず)内にそれぞれ格納することもできる。複数のホイール216は、リアクション動作モードまたはモーメンタム動作モードで作動するように、個別に、または同時に制御することができる。全てのホイール216が単一の一体型支持部材214に取り付けられて示されているが、他の実施形態では、1つのホイール216のための1つの支持部材214を個別に設けたり、または複数の別個の支持部材214のそれぞれに複数のホイール216が取り付けられていてもよく、それらが制御ハウジング201内の異なる位置に取り付けられていてもよい。
【0029】
このように、図示された実施形態例では、4つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイール216が提供される。これらは4輪のピラミッド構成で配置されている。ピラミッド構成では、ホイール216をX-Y平面に向かって傾斜させることができ、X-Y平面でリアクショントルクまたはモーメンタム蓄積能力を向上できる一方、1つのフォールトトレラント(耐故障性)な冗長性で、衛星100全体の3軸制御を維持することができ、傾けて離すことにより反転効果を得ることができる。一実施形態例では、傾斜は、飛行の慣性モーメントに基づいて30~70度とすることができる。ピラミッド構成で配置された複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールを使用して、Z軸の周りに蓄積されたモーメンタム(それ自身のトルクを生成する)により、衛星のジャイロトルク(ジャイロ効果トルク)と、重力勾配トルクとを制御することは、本発明の重要な側面である。もちろん、より少ない、またはより多くのホイール216を設けることもできる。支持体213は、座標系が整列(一致)するように、例えば201の底部に取り付けられる。また、リアクション-モーメンタムホイールの制御用の電子機器も含まれていてもよい。
【0030】
したがって、システム100は、化学スラスター218と組み合わされた両用のホイール216を有し、特にシステム100は衛星システムを含む。このシステムは、+X方向が速度ベクトルになるように配向される。図示されるように、特定の実施形態では、アレイ300は、平面的で、相対的(比較的)に平坦であり、大きく、薄く、重くすることができる。この宇宙システムの全体は、大きな質量と慣性モーメントとを有し、衛星アレイ300の制御を困難にする。
【0031】
姿勢操縦には、複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイール216(図3)、および複数の化学スラスター218(図2)が利用される。これらのホイールは、X-Y-Z座標系を介してリンクされた特定の向きに設定されている。衛星内の位置配置は問題ではなく、任意の適切な位置を利用することができ、これらのホイールはX-Y-Z平面にある必要はない。図6に示されるように、リアクションホイールモードは、正確な操縦能力のために高いトルク能力を発揮する機能を提供する。モーメンタムホイールモードは、より高いモーメンタム(角運動量)を蓄える機能を提供し、宇宙機が地球を追跡(周回)できるようにするために必要な姿勢速度(姿勢レート、姿勢変化量)によって誘発されるモーメンタムを打ち消すことを可能にする。モーメンタム動作モードのホイールは、トルクを犠牲にしてより多くのモーメンタムを蓄えるが、リアクションモードのホイールは、モーメンタムホイールに比べてより大きなトルクを発生させることができる。
【0032】
一実施形態では、システム100は、リアクション動作モードをモーメンタム動作モードと組み合わせて、巻線を並列動作から直列動作に動的に変更することによって、これらのホイール216が高トルク能力からモーメンタム蓄積能力に切り替わることを可能にする。これは、制御プロセッサー204および/または共通プロセッサー304によって制御することができる。
【0033】
Y軸とZ軸とに沿って(揃って)配置された4つの化学推進スラスター(図2)は、ピッチ軸とヨー軸の高トルク制御を可能にし、異常発生時の回復や、リアクションホイールで誘導されるトルクでは不可能な高速(ハイレート)の操縦を可能にする。Y軸に揃うように配置されたスラスターが推力を発生させると、ヨー制御が可能となる。Z軸に揃うように配置されたスラスターが推力を発生させると、ピッチ制御が可能となる。モーメントアーム(重心からの距離)が大きいと、これらのスラスターの効果は大きくなる。リアクションホイールはヨー、ピッチ、ロールを制御するために使用されるが、そのためのトルクはリアクションホイールによって付与されるトルクの数分の一である。さらに、リアクションホイールは高トルク、短時間の操作中に飽和する可能性がある。リアクションホイールはノミナルオペレーション時に3軸制御を提供し、スラスターは高トルク、高レートの制御や操作を提供する。
【0034】
この実施形態は、宇宙空間で展開された大型の構造物を制御し、大きな姿勢の乱れや異常な事象が発生した場合の回復を提供し、過度に大型のリアクションホイールの必要性を回避できるように最適化を図り、ミッションフェーズ(目的段階)の必要性に基づいて、リアクションホイールとモーメンタムホイールとを組み合わせて、高トルクでモーメンタムのキャンセルを可能にする。化学スラスターのみを使用することは、加圧タンクに大量の推進剤を貯蔵する必要があるため好ましくなく、この問題は多数年にわたるミッションにおいて深刻化する。リアクションホイールだけを使用することは、必要なモーメンタムを蓄積するためには大き過ぎるサイズのホイールを使用することになる。モーメンタムホイールのみを使用することは、必要なトルクを提供するために過大なサイズのホイールを使用することになる。個別のリアクションホイールと個別のモーメンタムホイールとの組み合わせを使用することは、質量と体積とが倍増することになり法外なパッケージングの問題が生じ、すでにあるリアクション-モーメンタムホイールが必要とされる。リアクションホイールモードとモーメンタムホイールモードとの両方を提供するために再構成可能なホイールを利用する実施形態例では、必要なスペースが削減される。
【0035】
なお、少なくとも1つ(1つ以上)の制御衛星200を設けることができる。また、1つまたは複数の制御衛星200は、処理装置204、フライトコンピューター206、センサー208、ジャイロコンポーネント212、ソーラーコレクター、バッテリー、またはリンクを備えていなくてもよい。むしろ、これらのホイール216は、物体の向きを制御するために、宇宙空間の構造物または他の物体に結合されるハウジングに設けることができる。
【0036】
図示の実施形態では、小型衛星302および/または中央衛星200は、本開示に従って様々な機能および動作を実行するための処理装置を含むことができる。処理装置は、例えば、コンピューティング装置、プロセッサー、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはコントローラーであってもよい。処理装置は、例えば、有線もしくは無線通信リンク、および/またはアナログもしくはデジタルメモリーもしくはデータベースなどの記憶装置(複数可)を含む、多種多様なコンポーネントもしくはサブシステムのうちの1つ以上を備えることができる。本発明で利用されるシステム、プロセス、および/またはデータの全てまたは一部は、記憶装置上に格納されるか、または記憶装置から読み出されてもよい。処理装置は、記憶装置上に記憶され得るソフトウェアを実行することができる。別段の指示がない限り、プロセスは、好ましくは、プロセッサーによって実質的にリアルタイムで遅延なく自動的に実施される。
【0037】
本開示のさらに別の実施形態では、データ(位置および姿勢など)は、衛星200から(例えば、処理装置204によって)地上局に送信することができる。次いで、地上局の処理装置は、必要な調整および/または他の飛行情報を決定し、飛行パターンを制御するための(例えば、アクチュエーター216、218、212の使用によって)制御信号を衛星200(例えば、処理装置204)に送信することができる。
【0038】
構造体100がアンテナアレイとして構成される場合、それ(例えば、アンテナ312またはアンテナ素子)は、例えばユーザー機器(例えば、携帯電話、タブレット、コンピューターなどのユーザー機器)および/または地上局などの地球上の処理装置と通信する。本開示はまた、構造体100を利用して地球上の処理装置と通信する(すなわち、信号を送信および/または受信する)方法も含む。また、本開示は、地球上の処理装置が構造体100と通信する(すなわち、構造体100との間で信号を送信および/または受信する)方法も含む。加えて、構造体100は、開示された実施例では低軌道(LEO)で使用されているが、他の軌道または他の用途に利用することができる。さらに、本システムは、アンテナアセンブリのアレイ用として説明されてきたが、例えば、データセンター、望遠鏡、反射鏡、および、宇宙または地上のいずれかで実施される他の構造物などの他の用途に利用することができる。
【0039】
さらに、複数のホイール216およびスラスター218がプロセッサー200を有する制御衛星200の一部として示されているが、これらのホイール216および/またはスラスター218は、別個の装置とすることができる。例えば、制御衛星200は、それ自身のハウジングを有することができ、ホイールおよび/またはスラスターは、制御衛星のハウジングとは別個のそれ自身のハウジングを有することができる。さらに、これらのホイールおよびスラスターは、ハウジングの内部に設けられていてもよく、および/またはハウジングの外部に設けられていてもよい。
【0040】
本開示の精神または範囲から逸脱することなく、修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、および変形を行うことができることは、前述の説明および関連する図面に示された教示の利益を有する当業者には明らかであろう。同様に、記載された様々な実施例は、個々に、または他の実施例と組み合わせて使用することができる。当業者であれば、本明細書に具体的に記載または図示されていない実施例の様々な組み合わせであっても、依然として本開示の範囲内であることを理解するであろう。この点で、本開示は、規定された特定の実施例に限定されるものではなく、本開示の実施例は、限定的なものではなく、例示的なものであることが意図されていることを理解されたい。
【0041】
加えて、上記の方法または下記の方法クレームが、そのステップに従うべき順序を明示的に要求していない場合、または説明若しくはクレームの文言に基づき順序が要求されていない場合、特定の順序が推論されることは意図されていない。同様に、以下の方法クレームが上記の説明で言及されているステップを明示的に記載していない場合、そのステップがクレームで要求されていると仮定すべきではない。
【0042】
なお、図面には、平面、ホイール、薄い、上部、下部、右側、左側、側面、長方形、正方形などの幾何学的用語または関係用語が例示され、説明および特許請求の範囲には、幾何学的用語または関係用語が使用される場合がある。これらの用語は、本開示を限定することを意図するものではなく、一般に、図に示される実施例に基づく説明を容易にするために便宜的に使用される。また、幾何学的用語や関係用語は厳密でない場合がある。
図1(a)】
図1(b)】
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
さらに、複数のホイール216およびスラスター218がプロセッサー200を有する制御衛星200の一部として示されているが、これらのホイール216および/またはスラスター218は、別個の装置とすることができる。例えば、制御衛星200は、それ自身のハウジングを有することができ、ホイールおよび/またはスラスターは、制御衛星のハウジングとは別個のそれ自身のハウジングを有することができる。さらに、これらのホイールおよびスラスターは、ハウジングの内部に設けられていてもよく、および/またはハウジングの外部に設けられていてもよい。
本出願には、平坦なアンテナ素子と、前記アンテナ素子に結合され、前記アンテナ素子を小程度にロールおよび/またはピッチさせるための再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールと、前記アンテナ素子に結合され、前記アンテナ素子を移動させるためのスラスターとを有する宇宙機が開示されている。前記平坦なアンテナ素子はエッジ部を含み、さらに、前記アンテナ素子のエッジ部に結合されたハウジングであって、前記再構成可能なリアクションモ-メンタムホイールを囲むハウジングを有してもよい。前記スラスターは前記ハウジングに結合されていてもよい。前記スラスターは大きな推力を提供し、前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは小さな推力を提供してもよい。複数の平坦なアンテナ素子を含むアンテナアセンブリを有してもよい。宇宙機は、中間部分を備えたアンテナアレイを形成する複数の平坦アンテナ素子と、前記アンテナアレイの中間部分に結合されたハウジングであって、前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールを囲むハウジングとをさらに有してもよい。
また、薄い平面構造を備えた複数の共通アンテナ素子が相互に結合されたフェーズドアレイであって、外側部分を含むフェーズドアレイと、前記フェーズドアレイの前記外側部分に結合されたハウジングを含む制御装置と、前記ハウジング内に格納され、前記フェーズドアレイの構造体をロールおよび/またはピッチさせる複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールと、前記ハウジングに結合され、前記フェーズドアレイの構造体を複数の方向に移動させる複数のスラスターとを有する、通信システムが開示されている。前記制御装置は人工衛星を含んでもよい。システムは、前記ハウジング内に制御プロセッサーをさらに有し、前記制御プロセッサーは、前記複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールおよび前記複数のスラスターを操作してもよい。システムは、前記フェーズドアレイの構造体の位置または向きを検出する1つまたは複数のセンサーをさらに有してもよい。前記制御プロセッサーは、前記フェーズドアレイの構造体の検出された位置または向きに基づいて、前記複数の再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールおよび前記複数のスラスターを操作してもよい。前記制御装置は、大きな姿勢変化と精密な姿勢制御の両方のために、宇宙空間に展開された大きな構造物を制御してもよい。前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、高精度の姿勢制御を提供する高トルクモードを含んでもよい。前記再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、高トルクモードよりも大きな中程度の大きさの姿勢変化をもたらす高運動量モードを含んでもよい。システムは、4つの化学スラスターを使用した大きな姿勢オフセットの回復能力を含んでもよい。前記ホイールは、ミッションフェーズの必要性に基づいて、高トルクで運動量のキャンセルを行ってもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子と、
前記アンテナ素子に結合され、前記アンテナ素子をロールまたはピッチ可能な少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールであって、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールのそれぞれの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは3次元の面の少なくとも2つの面に対し傾斜している再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールと、
前記アンテナ素子に結合され、前記アンテナ素子を移動可能なスラスターとを有する、宇宙機。
【請求項2】
請求項1において、
前記平坦なアンテナ素子はエッジ部を含み、さらに、
前記アンテナ素子のエッジ部に結合されたハウジングであって、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクションモ-メンタムホイールを囲むハウジングを有する、宇宙機。
【請求項3】
請求項2において、
前記スラスターは前記ハウジングに結合されている、宇宙機。
【請求項4】
請求項において、
前記スラスターは第1の大きさの推力を提供可能であり、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールのそれぞれの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは前記第1の大きさの推力より小さい第2の大きさの推力を提供可能である、宇宙機。
【請求項5】
請求項において、
前記アンテナ素子は、複数の平坦なアンテナ素子を含むアンテナアセンブリに含まれる平坦なアンテナ素子を有する、宇宙機。
【請求項6】
請求項において、
中間部分を備えたアンテナアレイを形成する複数の平坦アンテナ素子と、
前記アンテナアレイの中間部分に結合されたハウジングであって、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールを囲むハウジングとをさらに有する、宇宙機。
【請求項7】
薄い平面構造を備えた複数の共通アンテナ素子が相互に結合されたフェーズドアレイであって、外側部分を含むフェーズドアレイと、
前記フェーズドアレイの前記外側部分に結合されたハウジングを含む制御装置と、
前記ハウジング内に格納され、前記フェーズドアレイの構造体をロールまたはピッチ可能な少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールであって、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールのそれぞれの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは3次元の面の少なくとも2つの面に対し傾いているリアクション-モーメンタムホイールと、
前記ハウジングに結合され、前記フェーズドアレイの構造体を複数の方向に移動可能な少なくとも1つのスラスターとを有する、通信システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御装置は人工衛星を含む、システム。
【請求項9】
請求項において、
前記ハウジング内に制御プロセッサーをさらに有し、
前記制御プロセッサーは、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールおよび前記少なくとも1つのスラスターを操作する、システム。
【請求項10】
請求項において、
前記フェーズドアレイの構造体の位置または向きを検出可能な少なくとも1つのセンサーをさらに有する、システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記制御プロセッサーは、前記フェーズドアレイの構造体の検出された位置または向きに基づいて、前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールおよび前記少なくとも1つのスラスターを操作する、システム。
【請求項12】
請求項において、
前記制御装置は、姿勢変化と精密な姿勢制御ために、宇宙空間に展開された構造物を制御可能である、システム。
【請求項13】
請求項において、
前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、姿勢制御を提供する第1のモードを含む、システム。
【請求項14】
請求項13において、
前記少なくとも1つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールは、前記第1のモードよりも大きな姿勢変化をもたらす第2のモードを含む、システム。
【請求項15】
請求項において、
4つの化学スラスターを使用した姿勢オフセットの回復能力を含む、システム。
【請求項16】
請求項において、
少なくとも1つのリアクション-モーメンタムホイールは、ミッションフェーズの必要性に基づいて、トルクにより運動量のキャンセルを行うことが可能である、システム。
【請求項17】
請求項1において、
前記少なくとも1つのリアクション-モーメンタムホイールのそれぞれのリアクション-モーメンタムホイールは、当該宇宙機の飛行経路の慣性モーメントに基づいた角度で傾いている、宇宙機。
【請求項18】
請求項1において、
前記少なくとも1つのリアクション-モーメンタムホイールのそれぞれのリアクション-モーメンタムホイールは、30度から70度で傾いている、宇宙機。
【請求項19】
請求項1において、
前記少なくとも1つのリアクション-モーメンタムホイールは、ピラミッドを構成するように配置されている、宇宙機。
【請求項20】
請求項1において、
前記少なくとも1つのリアクション-モーメンタムホイールは、ピラミッドを構成するように配置された少なくとも4つの再構成可能なリアクション-モーメンタムホイールを含む、宇宙機。
【請求項21】
請求項1において、
前記3次元の面は、ロール軸に相当するX面と、ピッチ軸に相当するY面と、ヨー軸に相当するZ面とを含み、
前記少なくとも1つのリアクション-モーメンタムホイールのそれぞれのリアクション-モーメンタムホイールは、前記X面および前記Y面に対し傾いている、宇宙機。
【国際調査報告】