IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特表2024-508192真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド
<>
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図1
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図2
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図3
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図4
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図5
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図6
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図7
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図8
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図9
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図10
  • 特表-真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-22
(54)【発明の名称】真空掃除機における適用のための吸い込みヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20240215BHJP
【FI】
A47L9/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557023
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022055993
(87)【国際公開番号】W WO2022194631
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21163038.9
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】エスピン フランコ フェルミン
(72)【発明者】
【氏名】ブラダ イペ ベルナルドゥス
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA04
3B061AA06
3B061AD03
3B061AD05
3B061AD06
(57)【要約】
真空掃除機において適用され、面10に対して清掃動作を実施するように構成され、筐体30と、筐体30において実質的に並列構成にある2つの回転可能なブラシ20とを備える種類の吸い込みヘッド101において、ブラシ20に対向する筐体30の面32は、2つの隣り合う凹面状湾曲領域34、35を備え、これらの領域34、35の各々は、ブラシ20のそれぞれのブラシ20a、20bの一部分を覆う。更に、面32は、吸い込みヘッド101の結合領域33と流体連通する出口開口31を具備し、出口開口31は、凹面状湾曲領域34、35の界面の位置にあり、ブラシ20の長さの一部分だけを覆うような寸法を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機において適用され、面に対して清掃動作を実施する吸い込みヘッドであって、前記吸い込みヘッドは、
筐体であって、前記筐体は前記真空掃除機の空気吸い込み源との前記筐体の結合を可能とする結合領域を含む、筐体と、
前記筐体において実質的に並列構成にある2つのブラシであって、前記ブラシの各々は回転軸の周りで回転可能であり、清掃されるべき前記面と相互作用し、前記ブラシの各々は、前記面から液体をピックアップ可能である、2つのブラシと
を備え、
前記ブラシに対向する前記筐体の面は2つの隣り合う凹面状湾曲領域を備え、
前記凹面状湾曲領域の各々は、前記2つのブラシのそれぞれのブラシの一部分を覆い、
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面は、前記結合領域と流体連通する出口開口を具備し、
前記出口開口は、前記凹面状湾曲領域の界面の位置にあり、前記ブラシの前記回転軸が延在する方向である長手方向において前記ブラシの寸法の一部分だけを覆うような寸法を有する、吸い込みヘッド。
【請求項2】
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の各々は、前記2つのブラシの前記それぞれのブラシの前記一部分の動作輪郭に、最大10mmの距離で追随する、請求項1に記載の吸い込みヘッド。
【請求項3】
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の各々は、前記ブラシの前記それぞれのものの前記一部分の前記動作輪郭に、0mmから2mmの範囲の距離で追随する、請求項2に記載の吸い込みヘッド。
【請求項4】
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の各々は、前記ブラシの上半分である前記2つのブラシの前記それぞれのブラシの少なくとも一部分を覆う、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項5】
それぞれの前記回転軸の周りの前記ブラシの各々の寸法の少なくとも65%が、0mmから2mmの範囲の距離で覆われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項6】
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の各々は、前記長手方向において前記ブラシの全体的な寸法に沿って前記2つのブラシの前記それぞれのブラシを覆う、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項7】
前記ブラシの各々の動作形状は、円形状の外周縁を有する全体的に円筒の形状であり、前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の各々は、湾曲した前記動作輪郭の一部分の位置において前記2つのブラシの前記それぞれのブラシを覆い、前記ブラシに対向する前記筐体の前記面は、前記ブラシの端部を覆う領域も備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項8】
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面における前記出口開口と流体連通するとともに前記結合領域に向かって延在する筒形状要素を含む気流方向付けコンポーネントを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項9】
前記気流方向付けコンポーネントは、牙状部であって、前記牙状部は、前記筐体の前記面における前記出口開口と流体連通するとともに前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の前記界面の位置において前記筒形状要素の長手方向に垂直な方向において対向する側部である前記筒形状要素の側部に延在する、牙状部を備える、請求項8に記載の吸い込みヘッド。
【請求項10】
前記ブラシに対向する前記筐体の前記面における前記出口開口の上方の位置にある前記筒形状要素の壁部の一部が、清掃されるべき前記面から前記出口開口を通って前記ブラシの間を上向きに向かう方向である流動方向に対して非垂直に向けられている、請求項8又は9に記載の吸い込みヘッド。
【請求項11】
前記筒形状要素の前記壁部の前記一部は、前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の前記界面の位置において前記筒形状要素の断面において見たときに全体的に円弧形状である、請求項10に記載の吸い込みヘッド。
【請求項12】
前記ブラシの間の領域に位置するとともに、前記ブラシの部分を覆う2つの凹面状湾曲部分を備える長細状中間コンポーネントを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項13】
前記長細状中間コンポーネントは、前記ブラシに対向する前記筐体の前記面の前記凹面状湾曲領域の位置において前記吸い込みヘッドの前記筐体の一部分から吊り下げられる、請求項12に記載の吸い込みヘッド。
【請求項14】
清掃されるべき前記面の少なくとも1つの領域及び/又は前記吸い込みヘッドにおける少なくとも1つの領域への液体の供給を可能とする湿り気付与構成部を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の吸い込みヘッド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の吸い込みヘッドを備えるコードレス真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機において適用され、面に対して清掃動作を実施するように構成された吸い込みヘッドであって、吸い込みヘッドは、筐体であって、筐体は真空掃除機の空気吸い込み源との筐体の結合を可能とするように構成された結合領域を含む、筐体と、筐体において実質的に並列構成にある2つのブラシであって、ブラシの各々は回転軸の周りで回転可能であり、清掃されるべき面と相互作用するように構成され、ブラシの各々は、面から液体をピックアップ可能であるように設計されている、2つのブラシとを備える吸い込みヘッドに関する。
【0002】
更に、本発明は、上述の吸い込みヘッドを備えるコードレス真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0003】
清掃されるべき面から埃を除去するための真空掃除機が知られている。本文書において使用されるとき、「埃」という語は、面上に存在し、おそらくは拭き取りなど別の清掃動作と組み合わされた真空清掃動作の影響下において除去され得る任意の汚れを含むものとして理解されたい。この点における実際的な例としては、任意の種類の塵埃及び小粒子、並びにこぼれた飲み物などの湿った種類の汚れなどがある。清掃されるべき面の実際的な例としては床があり、この床は、木の床、カーペットの床、タイルの床などの任意の種類の床であってよい。
【0004】
一般に、真空掃除機は、真空掃除機ヘッド又は吸い込みヘッドを有し、これは、清掃されるべき面から埃をピックアップする実際のプロセスが行われる真空掃除機の一部であり、従って、面の上に置かれるべきであり、又は、少なくとも面に接近しているべきである。更に、真空掃除機は、通常、埃蓄積領域と、真空掃除機の動作中に吸い込みヘッドにおいて吸い込み力が有効になるように吸い込みヘッドに働きかけるように構成された構成部とを含む本体部分を備える。吸い込み力は、真空掃除機の動作中に面からピックアップされた埃の埃蓄積領域に向けた搬送を容易にするように働き、埃は吸い込みヘッドの筐体の出口開口を通過する。吸い込み力は、埃を面からピックアップする実際のプロセスにおける機能も有する。その一方で、吸い込みヘッドは、埃の攪拌器として働いて、特には面から埃を取り除いて出口開口に向かって送ることを補助するように構成された少なくとも1つの回転可能ブラシなど、埃をピックアップするために面と相互作用するための少なくとも1つの可動コンポーネントを具備する。
【0005】
WO2011/083373A1は、面から粒子を除去するための清掃デバイスを開示しており、この清掃デバイスは、作動流体の液滴をスプレーするスプレー手段と、柔軟性ブラシ要素を有する回転可能ブラシと、粒子を運ぶ空気などの汚れた空気を受け入れるための入口と、クレンジングユニットとを備える。クレンジングユニットは、作動流体の液滴の少なくとも一部分を空気から分離するために適している。動作中に、回転可能ブラシは作動流体によって湿らされる。ブラシは、作動流体の液滴が、柔軟性ブラシ要素からデバイスの融合空間内に液滴のミストとして放り出されるような寸法であり、そのような回転速度で回転する。入口によって受け入れられた汚れた空気は、融合空間によって受け入れ可能であり、ブラシ要素から放り出された液滴と汚れた空気における粒子との融合粒子を形成し、融合粒子は、融合空間からクレンジングユニットへと移送可能である。
【0006】
WO2012/107876A1は、清掃されるべき面に対向する開放側を有するヘッドと、回転可能にヘッドに配置された、清掃されるべき面に接触する少なくとも1つのブラシとを備える清掃デバイスを開示している。少なくとも1つのブラシは、複数のブラシ毛を具備し、これらのブラシ毛は非常に柔らかく、柔軟であることが可能である。このような場合において、面の清掃動作は、面をこすることによって実施されるのではなく、ブラシの回転中にブラシ毛を面に接触させることと面から離すこととを交互に行うことによって実施される。特には、ブラシの一回り中に、ブラシ毛は、粒子及び/又は液滴を汚濁された面から除去し、ブラシ毛が面との接触から離れて完全に広がり得る位置にブラシ毛が到達したときに粒子及び/又は液滴を振り飛ばす。ブラシが配置されている清掃デバイスのヘッドにおいて、粒子及び/又は液滴を受け入れるための、及びおそらくは粒子及び/又は液滴が収集される空間に向かって粒子及び/又は液滴を搬送するための手段が存在する。清掃デバイスは、粒子及び/又は液滴がブラシ毛から解放されたときに粒子及び/又は液滴を所望の方向に送るためにヘッドにおいて吸い込み力を実現するための手段を具備する。更に、ブラシ毛への粒子の固着を促進するために、及び/又は清掃されるべき面に対する追加的な清掃効果を実現するために、清掃デバイスは回転ブラシに清掃液を供給するように構成されることも可能である。
【0007】
WO2017/071727A1は、真空抽出ゾーンを有する筐体と、清掃されるべき面に対して位置するように構成された第1及び第2のローラとを備える真空掃除機ヘッドを開示しており、第1及び第2のローラの各々は、動作中に面の上で回転及び移動しているときに面から埃をピックアップし、真空掃除機ヘッドの筐体における真空抽出ゾーンに埃を運ぶように構成される。真空抽出ゾーンは、出口開口と第1及び第2のローラとの間に画定される。真空掃除機において真空掃除機ヘッドが使用され、真空掃除機が動作しているとき、真空抽出ゾーンを通って出口開口へと気流が生成される。真空掃除機ヘッドは、清掃されるべき面上に液体を送出する液体ディスペンサを更に備え、真空掃除機ヘッドは、第1及び第2のローラのうちの少なくとも一方に液体を送出する液体ディスペンサを更に備える。従って、清掃されるべき面を湿らせて、面からの砕屑物の除去を促進することができる。
【0008】
湿式真空清掃のために使用される吸い込みヘッドの分野において、これらの吸い込みヘッドの表面の汚染が問題である。液体と細片との組み合わせが、吸い込みヘッドの表面への埃の付着に対するよい処方であり、この表面はブラシに対向する面を含み、以後、これは内部面と称される。このような種類の汚染は除去するのが非常に難しい。完全に乾いていない付着物は、微生物が成長し、匂いを生むのに適した環境である。吸い込みヘッドのユーザは、これらを両方とも非衛生的であると感知するであろう。いくつかの場合において、吸い込みヘッドは、使用後に、又は何回もの使用の後に、清掃動作を受ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
概して、面に対して実施される真空清掃動作の良好な清掃結果を達成することを目的とする手段を提供することが本発明の目的である。更に、吸い込みヘッドの汚染を防止することを目的とする手段を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述のことに鑑みて、本発明は、真空掃除機において適用され、面に対して清掃動作を実施するように構成された吸い込みヘッドであって、吸い込みヘッドは、筐体であって、筐体は真空掃除機の空気吸い込み源との筐体の結合を可能とするように構成された結合領域を含む、筐体と、筐体において実質的に並列構成にある2つのブラシであって、ブラシの各々は回転軸の周りで回転可能であり、清掃されるべき面と相互作用するように構成され、ブラシの各々は、面から液体をピックアップ可能であるように設計された、2つのブラシとを備え、ブラシに対向する筐体の面は2つの隣り合う凹面状湾曲領域を備え、凹面状湾曲領域の各々は、ブラシのそれぞれのブラシの一部分を覆い、ブラシに対向する筐体の面は、結合領域と流体連通する出口開口を具備し、出口開口は、凹面状湾曲領域の界面の位置にあり、ブラシの回転軸が延在する方向である長手方向においてブラシの寸法の一部分だけを覆うような寸法を有する、吸い込みヘッドを提供する。
【0011】
本発明による吸い込みヘッドの前述の定義からすると、様々な特徴が吸い込みヘッドに適用可能になる。以下において、これらの特徴の背景が説明される。本発明の背後にある洞察によると、吸い込みヘッドの使用中に吸い込みヘッドの内部面をできる限り清潔に保つために、面に沿った空気速度をできる限り高速に保つと有益である。空気速度を増すための3つのやり方、すなわち、i)周囲と空気吸い込み源との間に抵抗を生むことによって高い圧力を受けるようにすること、ii)狭いギャップを通して気流を流すこと、及びiii)高吸い込み力を適用すること、が知られている。後者の選択肢は、バッテリ駆動される真空掃除機のコンテキストにおいては興味をひかない。
【0012】
前述のことに鑑みて、本発明の手法の第1の態様は、狭いギャップを作って、それによって空気速度及び受ける圧力を増すことである。従って、本発明は、清掃されるべき面に対向すると意図されていない、又はブラシに対向する筐体の面における出口開口に露出されると意図されていないブラシの領域におけるブラシの封入を伴う。この態様は、ブラシに対向する筐体の面が2つの隣り合う凹面状湾曲領域を備えるという特徴の基礎にあり、凹面状湾曲領域の各々は、ブラシのそれぞれのブラシの一部分を覆う。
【0013】
本発明の手法の第2の態様は、吸い込みヘッドにおける有利な位置においてブラシに対向する筐体の面に出口開口を有し、出口開口の大きさを限定的な大きさに保つことである。この態様は、出口開口が、凹面状湾曲領域の界面の位置にあり、ブラシの長さの一部分だけ、すなわち、ブラシの回転軸が延在する方向である長手方向においてブラシの寸法の一部分だけを覆うような寸法を有するという特徴の基礎にある。これは、従来技術における解決策とは異なっており、従来技術においては、出口開口は、しばしば、ブラシの(ほとんど)全体的な長さ、すなわち、ブラシの長手軸の方向におけるブラシの全体的な寸法に沿って延伸されている。
【0014】
好ましくは、ブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の各々は、ブラシのそれぞれのブラシの一部分の動作輪郭に、最大10mmの距離で追随する。筐体の面に対する実際の清掃効果を伴う空気速度を筐体の面に沿って得るように、上述の距離が0mmから2mmの範囲であると好ましい。こうして得られた狭いギャップは、事実上、埃が積もり得る余地が存在しないという事実に基づく清掃効果も伴う。
【0015】
更に、ブラシのできる限り多くの部分に沿って狭いギャップが生み出されると有益である。このことに鑑みて、ブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の各々が、ブラシの上半分であるブラシのそれぞれのものの少なくとも一部分を覆うと有利である。好ましくは、それぞれの回転軸の周りのブラシの各々の寸法の少なくとも65%が、0mmから2mmの範囲の距離で覆われる。更に、ブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の各々は、ブラシの全体的な長さに沿ってブラシのそれぞれのものを覆ってもよい。
【0016】
本発明による吸い込みヘッドの実際的な実施形態において、ブラシの各々の動作形状は、円形状の外周縁を有する全体的に円筒の形状であり、換言すれば、ブラシの動作形状は全体的にローラの形状であり、このローラは長細状のローラである。この場合、ブラシのできるだけ多くの部分が所望されたように封入されるために、ブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の各々が、湾曲した動作輪郭の一部分の位置においてブラシのそれぞれのものを覆うと有利であり、ブラシに対向する筐体の面が、ブラシの端部を覆う領域も備えると有利である。
【0017】
吸い込みヘッドが、ブラシに対向する筐体の面における出口開口と流体連通するとともに結合領域に向かって延在する筒形状要素を含む気流方向付けコンポーネントを備えることも実際的である。本発明によると、特には、気流方向付けコンポーネントは、牙状部であって、牙状部は、筐体の面における出口開口と流体連通するとともにブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の界面の位置において筒形状要素の長手方向に垂直な方向において対向する側部である筒形状要素の側部に延在する、牙状部を備える。とりわけ、牙を有することは、筒形状要素における空気の円滑な導入を実現し、他の場合には予期される埃の付着を回避することを補助する。
【0018】
筒形状要素の壁部の汚染を防止することを目的とする手段が、ブラシに対向する筐体の面における出口開口の上方の位置にある筒形状要素の壁部の一部が、清掃されるべき面から出口開口を通ってブラシの間を上向きに向かう方向である流動方向に対して非垂直に向けられている構成において存在する。急激な遷移を回避し、気流を徐々に屈曲させて筒形状要素の向きに追随させることは、埃の付着の回避がそれに基づく設計に関連した態様である。更に、この点において、筒形状要素の壁部の一部が、ブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の界面の位置において筒形状要素の断面において見たときに全体的に円弧形状であると有益である。
【0019】
ブラシの周りに狭いギャップを有することを目的とする更なる手段は、ブラシの間の領域に位置するとともに、吸い込みヘッドにおいてブラシの部分を覆うように構成された2つの凹面状湾曲部分を備える長細状中間コンポーネントを適用することを伴う。特には、長細状中間コンポーネントは、ブラシに対向する筐体の面の凹面状湾曲領域の位置において吸い込みヘッドの筐体の一部分から吊り下げられる。長細状中間コンポーネントは、筐体と一体的な部品であってもよく、又は、例えば手入れ又は清掃を可能とするように、筐体の別のコンポーネントに取り外し可能に結合され得る別個のコンポーネントとして提供されてもよい。
【0020】
本発明は、清掃されるべき面に対する清掃効果、及びおそらくは吸い込みヘッドの内部面に対する清掃効果をも実現する更なる選択肢を含む。例えば、吸い込みヘッドは、清掃されるべき面の少なくとも1つの領域及び/又は吸い込みヘッドにおける少なくとも1つの領域への液体の供給を可能とするように構成された湿り気付与構成部を備える。吸い込みヘッドが、吸い込みヘッドに回転可能に配置されるとともに清掃されるべき面と接触するように構成された少なくとも1つのホイールを備えると仮定すると、湿り気付与構成部が少なくとも1つのホイールへの液体の直接的な供給を可能とするように更に構成されることが可能である。湿り気付与構成部は、程度の差はあるが、吸い込みヘッドの既存の設計に対するアドオンとして提供され得るが、湿り気付与構成部が一体的なやり方で提供されることも可能である。液体の実際的な例は水又は水と清掃剤との混合物である。湿り気付与構成部が、液体を搬送し、1つ又は複数の適切な位置において液体を放出するように構成された管路システムを備えると実際的である。吸い込みヘッドが上述された長細状中間コンポーネントを備える場合、管路システムは、長細状中間コンポーネントを通って延在する少なくとも1つの管路を備える。
【0021】
清掃されるべき面からブラシに対向する筐体の面における出口開口に向かってブラシによってピックアップされた埃の移動を促進するために、ブラシに対向する筐体の面が、複数の溝であって、この目的のために、ブラシが回転するときに埃の粒子を出口開口に向けて送る機能を有するように特に設計された複数の溝を具備すると有利である。
【0022】
本発明のコンテキストにおいて、ブラシは、清掃されるべき面から埃をピックアップするために使用されるのに適した任意の種類のものであり、複数のブラシは、同一のものであるように選択されてもよく又は異なったものであるように選択されてもよい。特には、ブラシの各々は、例えば、面上に存在する埃の粒子を攪拌する攪拌器として働くように設計される。本発明による吸い込みヘッドの実際的な実施形態において、ブラシのうちの少なくとも1つは、コア要素と、コア要素に配置された柔軟性マイクロファイバ要素とを備える。このようなブラシにおいて、10kmあたり150gよりも小さい線形質量密度がマイクロファイバ要素に、又は少なくともその先端部分に適用可能であり、それによってマイクロファイバ要素は現実に非常に柔軟になり得る。上述された線形質量密度は、10kmあたり10g、10kmあたり5g、10kmあたり1gよりも小さくてもよい。このようなマイクロファイバ要素は、吸い込みヘッドの動作中に、清掃されるべき面と非常に効果的に相互作用するように密な配置でコア要素に設置され得る。更に、このようなマイクロファイバ要素はコア要素に房状で配置されると実際的である。
【0023】
本発明は、真空掃除機、特にはコードレス真空掃除機に更に関し、真空掃除機は、前述のように定められ、説明された吸い込みヘッドを備え、とりわけ、ブラシに対向する筐体の面は2つの隣り合う凹面状湾曲領域を備え、出口開口はブラシの長さの一部分だけを覆うような寸法を有する。
【0024】
本発明の上に説明された及び他の態様は、前述のように定められ、説明された吸い込みヘッドの実際的な実施形態の以下における詳細な説明から明らかであろうし、これを参照することによって明瞭にされよう。
【0025】
次に、本発明が図面を参照してより詳細に説明される。図面において、同等の又は類似の部分は同一の参照符号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態による湿式真空掃除機のコンポーネント及び清掃されるべき面を有する床の一部を模式的に示す。
図2】筐体と、筐体において実質的に並列構成にある2つのブラシ、すなわち前方ブラシ及び後方ブラシとを備える、本発明の実施形態による吸い込みヘッドの底面図を模式的に示す。
図3】吸い込みヘッドの異なる長手方向位置における吸い込みヘッドの断面を模式的に示す図のうちの1つである。
図4】吸い込みヘッドの異なる長手方向位置における吸い込みヘッドの断面を模式的に示す図のうちの1つである。
図5】前方ブラシを通る中心線の位置における吸い込みヘッドの長手方向断面の図を模式的に示す図であって、前方ブラシが省略され、前方から後方に向かって見た図である。
図6】2つのブラシの間の位置における吸い込みヘッドの長手方向断面の図を模式的に示す図であって、後方ブラシが省略され、前方から後方に向かって見た図である。
図7】後方ブラシを通る中心線の位置における吸い込みヘッドの長手方向断面の図を模式的に示す図であって、後方ブラシが省略され、前方から後方に向かって見た図である。
図8図2の吸い込みヘッドの底面図を模式的に示す図であって、ブラシが省略された図である。
図9図2の吸い込みヘッドの底面図を模式的に示す図であって、両方のブラシ及び長細状中間コンポーネントが省略された図である。
図10】吸い込みヘッドのコンポーネントの上部斜視図を模式的に示す図であって、筐体の一部分が透明に図示された図である。
図11】吸い込みヘッドのコンポーネントの上部斜視図を模式的に示す図であって、筐体の一部分が透明に図示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の実施形態による湿式真空掃除機100の設計を示す。図1において図示され、以下において説明される特定の真空掃除機は、本発明のフレームワークにおいて可能な多くの種類の真空掃除機の一例にすぎない。この点において、本発明は湿式真空掃除機にだけ関するのではなく、乾式清掃機能だけを有する乾式真空掃除機及び湿式清掃機能の他に乾式清掃機能も有する湿式/乾式真空掃除機などの他の種類の真空掃除機にも関することが留意される。
【0028】
湿式真空掃除機100は、床面などの面10に湿式清掃動作を受けさせる目的のために使用されるように構成される。図1は、清掃されるべき面10に対して通常の動作方向にある真空掃除機100を図示する。向きに関する見方を有する語の本文書における使用は、清掃されるべき面10に対する真空掃除機100のこの通常の動作方向に関連して理解されるべきであり、面10は底部位置にあり、真空掃除機100は面10の上に置かれていると想定される。
【0029】
真空掃除機100の動作中に面10に対向すると思われる側において、真空掃除機100は、真空掃除機100の動作中に面10と相互作用するように構成された2つのブラシ20を収納する吸い込みヘッド101を備える。以下において、ブラシ20の各々は、ローラであって、ローラの中央長手軸によって定められる回転軸21の周りで回転可能なローラの形態で提供され、ブラシ20の各々は、コア要素22とコア要素22に配置された柔軟性マイクロファイバ要素23とを備えることが想定されるが、これは、ブラシ20の他の実施形態も同様に可能であるという事実を変更するものではない。ブラシ20が柔軟性マイクロファイバ要素23を備える場合、ブラシ20の動作輪郭は、柔軟性マイクロファイバ要素23が完全に伸長された状態のブラシ20の輪郭である。2つのブラシ20は同一のものであってよいが、これは本発明のコンテキストにおいて必須ではない。図1においてブラシ20の位置に描かれた湾曲した矢印によって示されるように、ブラシ20は、それぞれの回転軸21の周りで互いに反対方向に回転可能であるように配置される。吸い込みヘッド101は、ブラシ20を部分的に覆うように構成された筐体30を備える。筐体30は、例えば、プラスチック材料で作成され得る。
【0030】
吸い込みヘッド101の他に、真空掃除機100は、真空掃除機100のユーザによって掴まれるように構成された本体部分102を備える。好ましくは、吸い込みヘッド101及び本体部分102は、互いに対して取り外し可能に結合可能である。本体部分102は、任意の適切なやり方で形づくられ得る。図1において図示される本体部分102の輪郭は、単なる模式的な性質のものである。ユーザが容易に本体部分102を掴んで、所望に応じて真空掃除機100を清掃されるべき面10を横断して移動させることができるように、本体部分102がハンドルを備えると実際的である。
【0031】
真空掃除機100の動作中にブラシ20を駆動する目的のために、真空掃除機100は、適切な電気駆動機構(図示されず)を具備する。駆動機構に及びおそらくは真空掃除機100のその他のコンポーネントにも電力を供給する目的のために、真空掃除機100は、主電源に接続可能であり、及び/又は、適切なバッテリ構成部を具備する。好ましくは、真空掃除機100は、再充電可能バッテリ構成部を備えるコードレスデバイスであり、この場合、真空掃除機100が、真空掃除機100の他に充電ドックを含むセットの一部であると更に実際的である。このようなセットは、ブラシ20を洗う目的のために使用され得る洗浄トレイも含む。真空掃除機100がバッテリを具備しない場合、真空掃除機100が動作していないときに真空掃除機100を受け入れて保持するために、充電機能を有さない単純なドックが提供されてもよい。
【0032】
真空掃除機100の本体部分102は、水又は水と清掃剤との混合物などの液体を収容するために働く液体リザーバ40と、真空掃除機100の動作中に吸い込みヘッド101の湿り気付与構成部42に液体を供給するために働く液体供給機構41とを含む。液体供給機構41は、例えば、任意の適切な種類のポンプ構成部を備え、又は、重力の影響下での液体の所望の変位を可能とするように構成される。図示された実施例において、以下においてより詳細に説明されるように、吸い込みヘッド101の湿り気付与構成部42は、清掃されるべき面10の領域への液体の直接的な供給及び吸い込みヘッド101の2つのホイール90への液体の直接的な供給の両方を可能とするように構成される。更に、図示された実施例において、吸い込みヘッド101は、ブラシ20の間の領域24に位置するとともにブラシ20の部分を覆うように構成された2つの凹面状湾曲部分を備える長細状中間コンポーネント25を備え、湿り気付与構成部42は、部分的に長細状中間コンポーネント25に配置されるとともに液体を搬送して面10の領域及び2つのホイール90に液体を放出するように構成された管路システム43を備える。図1において、液体リザーバ40、液体供給機構41及び吸い込みヘッド101の湿り気付与構成部42は点線で示されている。液体リザーバ40に液体を充填する場所に液体リザーバ40を置くことが所望されるときに、ユーザが本体部分102から液体リザーバ40を分離することができるように、液体リザーバ40が本体部分102に取り外し可能に結合されると実際的である。
【0033】
真空掃除機100の本体部分102は、真空掃除機100の動作中にブラシ20によって面10からピックアップされた湿った埃11を受け入れて蓄積するために働く埃リザーバ50を更に含む。埃リザーバ50は、例えばサイクロン構成又はチューブ-イン-カップ構成など、面10からピックアップされた到来する埃11から湿った埃を蓄積するための従来から利用可能な多くのやり方で構成され得る。本体部分102は、ブラシ20が位置する領域から、ブラシ20に対向する筐体30の面32の出口開口31及び出口開口31から埃リザーバ50に延在する吸い込みチャンネル51を通って、本体部102の埃リザーバ50へと埃11を搬送することを可能とするように機能する圧力を受けることを生むように構成された真空機構60を含む。図10及び図11における吸い込みヘッド101のコンポーネントの上部斜視図において特に分かるように、筐体30は、真空掃除機100の本体部分102の吸い込みチャンネル51、埃リザーバ50及び真空機構60のアセンブリとの筐体30の結合を可能とするように構成された結合領域33を含む。出口開口31はこの結合領域33と流体連通する。
【0034】
湿式真空掃除機100が動作するやり方の基本的な態様は以下のようである。動作中に、ブラシ20が回転するように駆動され、吸い込みヘッド101の湿り気付与構成部42に液体を供給して、清掃されるべき面10及び2つのホイール90へと液体が放出されるように液体供給機構41が作動される。このプロセスにおいて、ブラシ20が届く範囲内の面10の領域に存在する汚損が液体及びブラシ20による攪拌の影響下で分離され、面10の領域に存在する埃の粒子及び塵埃が液体とともに除去されて、出口開口31及び吸い込みチャンネル51を通過して埃リザーバ50へと移送される。埃11は、ブラシ20のマイクロファイバ要素23の先端部分によって面10からピックアップされ、ブラシ20が回転するにつれて、先端部分が面10との接触から離れる位置において、先端部分から振り飛ばされる。
【0035】
図1において示されるように、真空掃除機100は、ユーザインタフェース70を具備し、このユーザインタフェース70は、例えば、オン/オフボタン71を含む。真空掃除機100は、ブラシ20を動作状態にするとともに液体供給機構41及び真空機構60の両方を作動させるためにユーザインタフェース70を通じてユーザから受信された入力に反応するようにプログラムされたマイクロコントローラを含む制御システム80を更に備える。
【0036】
図2から図11は、本発明の実施形態による吸い込みヘッド101の態様を示すように働く。概して、吸い込みヘッド101の設計において、ブラシ20が、ブラシ20と清掃されるべき面10との間で必要とされる相互作用を損ねることなく、できる限り封入されるようになっており、高加圧を受けること及び高速の空気速度の影響下において、埃を出口開口31に向かって及びそれを越えて効果的に搬送することが可能とされている。
【0037】
図2及び図3は、吸い込みヘッド101に長細状中間コンポーネント25を有することによる有利な設計態様を示す。有利には、図示されるように、長細状中間コンポーネント25はブラシ20に対向する筐体30の面32の凹面状湾曲領域34、35の位置において筐体30の一部分から吊り下げられる。どのような場合においても、長細状中間コンポーネント25は、2つのブラシ20の間の空間24を閉塞し、空気の進入を、事実上、ブラシ20の底側においてだけ発生させるように機能する。図2において及び図3においても分かるように、ブラシ20は吸い込みヘッド101の底側の全体的な開口を充填している。ブラシ20のこの配置は、長細状中間コンポーネント25の存在によってだけでなく、スポイラ、空洞を有する縁部、及びブラシ20に対向する筐体30の面32がブラシ20の端部を覆う領域36を備える位置の側壁などの他の構造的な詳細の存在によっても支援される。故に、吸い込みヘッド101の動作中に、空気が、主に柔軟性マイクロファイバ要素23の位置においてブラシ20を通り、封入部とブラシ20との間のギャップを通って進入することが達成される。
【0038】
図3において、図示された吸い込みヘッド101の実施形態において、ブラシ20の上側のおよそ75%が、およそ1mmの距離などのほんのわずかな距離で封入されていることが分かる。既に説明されたように、このことは、空気速度が比較的高速になり得る狭いギャップが実現されるので有益であり、それによって、吸い込みヘッド101における、結合領域33へと最終的に向けられる埃搬送の機能性が支援される。好ましくは、ブラシ20に対向する長細状中間コンポーネント25の面は凸凹面ではなく滑らかであり、長細状中間コンポーネント25とほぼ同一のレベル(これは、ブラシ20の回転軸21のレベルかそれよりも低いレベルである)に位置する筐体部37の位置におけるブラシ20に対向する筐体30の面32にも同じことが適用可能である。別の筐体部38、特には、より高い位置にある筐体部38において、ブラシ20に対向する筐体30の面32は2つの隣り合う凹面状湾曲領域34、35を備え、凹面状湾曲領域34、35のうちの一方のもの34は前方ブラシ20aの一部分を覆い、凹面状湾曲領域34、35のうちの他方のもの35は後方ブラシ20bの一部分を覆う。「前方」及び「後方」という語は、吸い込みヘッド101を含む真空掃除機100を取り扱うユーザの通常の位置に関連するものとして理解されたい。このユーザの通常位置とは後方ブラシ20b側の位置である。動作中に、ユーザは、前方ブラシ20aを前に後方ブラシ20bを後ろにして、吸い込みヘッド101を行ったり来たり移動させる。
【0039】
好ましくは、図8から図11において最も良好に分かるようにブラシ20に対向する筐体30の面32は、2つの隣り合う凹面状湾曲領域34、35の位置に、複数の溝39を具備する。溝39は、ブラシ20が回転したときに、ブラシ20に固着した埃の面32の出口開口31に向かった移動を促進するような形状を有する。この有利な効果は、以下の態様に互いに独立的に又は互いに相互作用しながら依存する。
【0040】
ブラシ20のマイクロファイバ要素によって液体が搬送され得ること。液体の滴は回転するブラシ20からブラシ20に対向する筐体30の面32へと突出し、次いで、溝の幾何学的形状によって誘導される。ブラシ20の回転によってブラシ20と筐体30との間の空間に生み出された気流が、溝39における液体の移動の実現に寄与する。
【0041】
粗い粒子は、ブラシ20の回転によって誘起された力の影響下において搬送され、溝の幾何学的形状によって誘導される。
【0042】
小さい粒子は、マイクロファイバ要素によって搬送される。小さい粒子は、他の粒子との相互作用、ブラシ20の回転によってブラシ20と筐体30との間の空間に生み出された気流、及び液体との相互作用によっても搬送され得る。
【0043】
清掃されるべき面10に露出されるべきブラシ20の部分を除いてブラシ20を近距離で覆うように働く筐体部37、38は、1つの封入部を機能的に構成するが、実際的な理由、特には製造性の理由のために、吸い込みヘッド101の製造プロセス中に一緒に接合される個別の部品として提供されてもよい。
【0044】
図4は、ブラシ20の回転軸21が延在する方向である長手方向lにおいて見た中央位置である吸い込みヘッド101の位置における吸い込みヘッド101の断面の図を図示する。出口開口31の位置において、ブラシ20は、気流方向付けコンポーネント28の筒形状要素27に露出され、筒形状要素27は結合領域33まで繋がり、結合領域33の位置において前述の吸い込みチャンネル51に結合されること、及び、後述されるように、気流方向付けコンポーネント28の牙状部29にも結合されることが意図される。図4において矢印で示されるように、出口開口31の上方の位置にある筒形状要素27の壁部の一部は、ブラシ20の間の領域24から受け入れられた液体、埃及び空気の上向きの流れに対して非垂直な方向に向けられている。このようにして、流れが結合領域33に向かって後方向に円滑に屈曲されること、及び筒形状要素27の壁部への埃の付着が回避されることが達成される。
【0045】
上記において説明されたように、高速の空気速度を有し、それによって吸い込みヘッド101を通った埃の搬送を促進するように、ブラシ20の大部分が封入されている。高速の空気速度の別の有利な効果は、吸い込みヘッド101の内部面が清潔に保たれ得ることである。本発明による吸い込みヘッド101において、出口開口31は、ブラシ20の長手方向lにおける寸法の一部分だけ、すなわち、ブラシ20の長さの一部分だけを覆うような寸法を有する。この点において、多くの知られた吸い込みヘッドにおいて、出口開口31は、ブラシ20の全体的な長さに沿って埃を受け入れる目的のために長手方向lにおいて伸長された外観を有することが留意される。出口開口31のこのような従来の形状の欠点は、空気速度がより低速になること、及び内部面が気流に対して垂直な向きになる傾向がより強く、内部面の汚染のリスクがより高くなることである。出口開口31及び筒形状要素27を狭めることによって、空気速度が増加されるだけでなく、筒形状要素における液体の濃度も増加され、このことは、筒形状要素27から埃を洗い流すことを補助する。その一方で、出口開口31の大きさと出口開口31がアクセスを提供する筒形状要素27の断面の大きさとが、許容できる抵抗を実現するのに十分なくらい大きいと実際的である。更に、説明されたように、筒形状要素27の壁部は、好ましくは、どの場所においても液体、埃及び空気の流れの方向に垂直ではなく(又は垂直に近くなく)、壁部の1つ又は複数の領域における埃の付着が防止され得る。
【0046】
効果的な埃の搬送及び内部面への埃の付着の防止の観点における吸い込みヘッド101の適切な機能は、以下の要件が順守されることで得ることができる。これらの要件は、決して、本発明に不可欠なものとして理解されてはならない。i)出口開口31を通じて筒形状要素27に露出される前方ブラシ20aの部分の高さが、ブラシの直径の0.3から0.5倍の間であること。ii)出口開口31を通じて筒形状要素27に露出される前方ブラシ20aの部分の長さが、ブラシ直径の0.8から1.3倍の間であること。iii)長手方向lに垂直な水平方向において、出口開口31を通じて筒形状要素27に露出される2つのブラシ20の部分の寸法Qが、2つのブラシ20の軸21の間の距離Pの0.6から1.1倍の間であること。iv)図6において分かるように、ブラシ20の間、すなわちブラシ20に対向する筐体30の面32の凹面状湾曲領域34、35の界面における垂直方向に沿った筒形状要素27の断面が、円弧形状と実質的に真っすぐなベース部とを有すること。この円弧形状は、例えば円形状でもよく、又は上部が丸まった三角形状でもよい。v)水平方向と円弧形状の根部との間の角度αが少なくとも60°であり、内部面への埃の付着を効果的に防止するためには、およそ67.5°が好ましい値であること。筒形状要素27の断面の円弧形状は、筒形状要素27の下流部分に円滑に接続する。図5及び図7は、他の位置における筒形状要素27の断面を図示し、同じように円弧形状を示している。明瞭さのために、これらの図の両方において、ブラシ20の支承/駆動構造の断面が図示されていることが留意される。
【0047】
図8及び図9は、底から見た、すなわちブラシ20が配置されている側から見た出口開口31の概要の図を提供する。図10及び図11は、気流方向付けコンポーネント28との筐体30の交差部分の図を提供し、気流方向付けコンポーネント28の牙状部29が、ブラシ20の回転軸21のレベルまでの全体にわたって延在することが留意される。牙状部29は、筒形状要素27の長手方向に垂直な方向において対向する側部である筒形状要素27の側部に延在し、出口開口31が存在する筐体30の面32の凹面状湾曲領域34、35の界面の位置においてブラシ20の回転軸21のレベルに届くまで下降する。
【0048】
吸い込みヘッド101の湿り気付与構成部42の詳細は、図6において最も良好に分かる。湿り気付与構成部42の管路システム43は、長手方向lにおいて見たときに吸い込みヘッド101の異なる半分部分に位置する2つの主管路44、45を備える。主管路44、45は液体供給機構41に結合可能である。更に、管路システム43は、主管路44、45ごとに2つの分岐管路46、47、48、49、すなわち、ホイール90へと液体を放出するように構成された1つの分岐管路46、49と清掃されるべき面10の領域へと液体を放出するように構成された別の分岐管路47、48とを備える。清掃されるべき面10へと液体を放出するように構成された分岐管路47、48は、長細状中間コンポーネント25を部分的に通って延在するように配置され、面10へと液体が放出される液体供給位置は、長細状中間コンポーネント25の底側であり、すなわち、清掃されるべき面10に対向するように構成された長細状中間コンポーネント25の底面部分26である。
【0049】
ここで示された湿り気付与構成部42は、本発明のコンテキストにおいて可能な、ブラシ20のうちの少なくとも1つを直接的に湿らせることと、ブラシ20のうちの少なくとも1つを間接的に湿らせることとのうちの1つを少なくとも含む任意の所望の湿り気付与機能を有する多くの実施例のうちの1つにすぎない。吸い込みヘッド101の図示された実施形態の場合のように、吸い込みヘッド101が、吸い込みヘッド101の底側からブラシ20の一部を覆う長細状中間要素25を備えるとき、湿り気付与構成部42の管路システム43の1つ又は複数の管路の少なくとも一部分を収納するために長細状中間要素25を使用することが有益であるが、このことは、本発明が他の選択肢も含むという事実を変更するものではない。
【0050】
長細状中間コンポーネント25の底面部分26が、比較的低いレベルにあると有利であり、このレベルは、吸い込みヘッド101が面10の上で動作位置にあるときに、清掃されるべき面10のレベルよりも少なくとも2mm、最大6mm上方のレベルである。清掃されるべき面10と長細状中間コンポーネント25の底面部分26との間にこのような狭い空間を有することの有利な側面には以下のようなものがある。
【0051】
底面部分26の下の液体が、面10とブリッジし、表面張力によって底面部分26を洗浄し、底面部分26に固着する可能性のある小さな埃の粒子を捕捉する。
【0052】
液体が放出された異なる位置からの清浄な液体の流れが、底面部分26に対して直接的な洗浄効果を有する。
【0053】
吸い込みヘッド101の移動が、底面部分26の下の領域が常にブラシ20と相互作用することをもたらす。
【0054】
本発明の範囲は、前に論じられた実施例に限定されるものでなく、そのいくつかの改善及び修正が、添付の特許請求の範囲において定められた本発明の範囲から逸脱することなく可能であることが当業者には明らかであろう。本発明は、このような改善及び修正が特許請求の範囲内又はその同等物の範囲内にある限り、全てのこのような改善及び修正を含むものと解釈されることが意図される。図面及び説明において、本発明が詳細に図示され、説明されたが、このような図示及び説明は、単に解説的又は例示的なものであって、制限的なものではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面は概略的なものであり、本発明を理解するために必要とされない詳細は省略されており、必ずしも縮尺通りでもない。
【0055】
開示された実施形態に対する変形が、特許請求された本発明を実践するにあたり、図面、説明及び添付の特許請求の範囲を検討することによって、当業者によって理解され得、実施され得る。特許請求の範囲において、「備える」という語は、他のステップ又は要素を排除するものではなく、単数形の要素は複数性を排除するものではない。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0056】
特定の実施形態について又はそれに関連して論じられた要素及び態様は、そうでないことが明示的に述べられない限り、他の実施形態の要素及び態様と好適に組み合わされる。故に、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0057】
本文書において使用されるとき、「備える」及び「含む」という語は、「から成る」という語をカバーするものとして当業者に理解されよう。従って、「備える」又は「含む」という語は、ある実施形態に関しては、「から成る」ことを意味し得るが、別の実施形態においては、「少なくとも定められた種のもの及び任意選択的に1つ又は複数の他の種のものを含有する/有する/具備する」ことを意味し得る。
【0058】
本発明の顕著な態様は以下のように要約される。真空掃除機100において適用され、面10に対して清掃動作を実施するように構成され、筐体30と、筐体30において実質的に並列構成にある2つの回転可能なブラシ20とを備える種類の吸い込みヘッド101において、ブラシ20に対向する筐体30の面32は、2つの隣り合う凹面状湾曲領域34、35を備え、凹面状湾曲領域34、35の各々は、ブラシ20のそれぞれのブラシ20a、20bの一部分を覆う。更に、ブラシ20に対向する筐体30の面32は、吸い込みヘッド101の結合領域33と流体連通する出口開口31を具備し、出口開口31は、凹面状湾曲領域34、35の界面の位置にあり、ブラシ20の長さの一部分だけを覆うような寸法を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】