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特表2024-508201RFIDトランスポンダと読み取り配置を備えるジュエリーリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】RFIDトランスポンダと読み取り配置を備えるジュエリーリング
(51)【国際特許分類】
   A44C 9/00 20060101AFI20240216BHJP
   H01Q 1/44 20060101ALI20240216BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240216BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A44C9/00
H01Q1/44
G06K19/077 228
G06K7/10 256
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505738
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022051076
(87)【国際公開番号】W WO2022175005
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202021100768.0
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521329394
【氏名又は名称】エーゲーエフ-エドゥアルト ゲー.フィーデル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シファー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】バインダー,カイ-エフ.
【テーマコード(参考)】
3B114
5J046
【Fターム(参考)】
3B114AA02
3B114AA03
3B114CC04
3B114GG07
5J046AA12
5J046SA02
(57)【要約】
本発明は、特に指(F)につける宝飾指輪のようなジュエリーリング(2)に関し、このジュエリーリングは取付け部(6)を形成する金属本体(4)と、読み取り可能なデータを保存しているRFIDトランスポンダ(12)と、信号を読み取り装置(32)に伝送可能なアンテナ構造(22)とを備えている。このとき、RFIDトランスポンダ(12)は、金属本体(4)の内側に配置されているようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に指(F)につける宝飾指輪のようなジュエリーリング(2)であり、
取付け部(6)を形成する金属本体(4)と、
読み取り可能なデータを保存しているRFIDトランスポンダ(12)と、信号を読み取り装置(32)に伝送可能なアンテナ構造(22)とを備えるジュエリーリング(2)であって、
前記RFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)の内側に配置されていることを特徴とするジュエリーリング。
【請求項2】
前記金属本体(4)は、前記RFIDトランスポンダ(12)を外部に対して保護していることを特徴とする、請求項1に記載のジュエリーリング。
【請求項3】
前記RFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)の内側(8)に埋め込まれているトランスポンダ収納部(10)内に収納されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のジュエリーリング。
【請求項4】
前記トランスポンダ収納部(10)は、穴(14)によって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のジュエリーリング。
【請求項5】
前記トランスポンダ収納部(10)は、溝形に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のジュエリーリング。
【請求項6】
少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)の内側に収納されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項7】
前記少なくとも1つのRFIDトランスポンダ(12)は、パッシブトランスポンダとして形成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項8】
前記RFIDトランスポンダ(12)は、チップハウジング(18)に組み込まれた近接場アンテナを有していることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項9】
前記RFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)から離されて非接触状態で保持されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項10】
前記RFIDトランスポンダ(12)の前記取付け部(6)に向く側は、前記トランスポンダ収納部(10)を少なくとも部分的に閉じている非金属材料(M)によって覆われていることを特徴とする、請求項3から9のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項11】
前記非金属材料(M)は、少なくとも部分的に炭素繊維構造、エナメル又はセラミックによって形成されていることを特徴とする、請求項10に記載のジュエリーリング。
【請求項12】
前記非金属材料(M)は、少なくとも部分的に宝石(26)によって形成されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載のジュエリーリング。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項によるジュエリーリングと、前記ジュエリーリングの前記RFIDトランスポンダとデータ交換するための読み取り装置とを備える読み取り配置であって、前記読み取り装置(32)は、前記取付け部(6)に挿入可能な読み取り領域(34)と共に、前記RFIDトランスポンダ(12)のデータを読み取るための受信手段(36)を有していることを特徴とする、読み取り配置。
【請求項14】
前記ジュエリーリング(2)は、前記読み取り領域(34)の上に取付け可能であることを特徴とする、請求項13に記載の読み取り配置。
【請求項15】
取付け方向(R)において前記読み取り領域(34)の上流にテーパー部分(38)が設けられていることを特徴とする、請求項14に記載の読み取り配置。
【請求項16】
前記ジュエリーリング(3)及び前記読取り装置(32)に位置合わせ配置が設けられており、前記位置合わせ配置によって前記ジュエリーリング(2)は前記読み取り領域(34)の規定の回転位置に位置決め可能であり、前記回転位置では前記RFIDトランスポンダ(12)が前記読み取り領域(34)の前記受信手段(36)に隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の読み取り配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば宝飾指輪又は結婚指輪のような、請求項1に記載のジュエリーリングに関する。この場合、ジュエリーリングは、特に金合金、銀合金及び/又はプラチナ合金などの貴金属から形成されている金属本体と、装着者の指にジュエリーリングを固定するための取付け部とを有している。さらに、このジュエリーリングには、読み取り可能なデータを保存しているRFIDトランスポンダが装備されており、そうしたデータは、例えばドアを開けるため、又はコンピュータシステムにアクセスするためにユーザーを識別するものとして使用されるか、あるいは出入りやアクセスの権限を含んでいる。このために、RFIDトランスポンダはアンテナ構造に接続されているか、もしくはそれ自体にアンテナ構造が組み込まれており、そのアンテナ構造を介して読み取り装置の信号を交換することができる。
【0002】
EP2597723A1から、外側に埋め込まれている金属本体の凹部にRFIDトランスポンダを収納したジュエリーリングが周知である。この場合、RFIDトランスポンダの外側は、少なくともその一部が、金属本体に配置されている非晶質装飾要素によって覆われている。
【0003】
RFIDトランスポンダのこのような配置により、RFIDトランスポンダのチップと、ジュエリーリングの外部に配置されている起動装置/リーダーとの間で簡単なデータ伝送ができるため、該当データのチップへの保存及び/又は保存済みデータの読み取りが可能になる。これにより、RFIDトランスポンダを使って、例えば電子キーを開けるためのコードをジュエリーリングに保存しておき、外部から読み取り装置によって読み取ることができる。このように、指につけたジュエリーリングを建物や自動車のドアなどの鍵にかざすことで、ドアを開くことが可能になる。
【0004】
簡単に読み取り可能なRFIDトランスポンダを備えるジュエリーリングのこのような用途以外にも、市場には、例えば銀行口座や暗号通貨へのアクセスを許可するコードなど、データやコードを特に安全に保存できるジュエリーリングの需要がある。しかし、周知のジュエリーリングは、快適かつ簡単に入口を開くことを第一に設計されており、そのためには保存データを比較的簡単に読み取り可能にする必要があるため、そのような用途に対しては適していない。ここで特に危険なのは、ユーザーが身につけている装身具にリーダーがむき出しで位置決めされているため、権限のない人物によって保存データが読み取られ、該当する口座又は暗号通過へのアクセスを可能にしてしまうことである。
【0005】
本発明の課題は、一般的なジュエリーリングにおいて前述の欠点を回避し、保存データへの不正なアクセスを確実に防止することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を持つジュエリーリングによって解決される。この場合、RFIDトランスポンダは、金属本体の内側に配置されている。これにより、RFIDトランスポンダの内側からしか読み取りできないようにジュエリーリングを形成することが可能になる。従って、ジュエリーリングを指につけている間はRFIDトランスポンダに保存されているデータは確実に保護され、読み取ることはできない。
【0007】
特に有利な実施形態では、金属本体がRFIDトランスポンダを外部に対して閉鎖的に保護しているため、RFIDトランスポンダからリング外に配置されている読み取り装置へのデータ伝送、及び逆にリング外に配置されている送信装置からRFIDトランスポンダへの伝送を完全にブロックすることができる。このようにして、ジュエリーリングをつけている間は、RFIDトランスポンダに保存されているデータの読み取りと操作の両方を確実に防止することが可能である。
【0008】
このとき、RFIDトランスポンダが、金属本体の内側に埋め込まれているトランスポンダ収納部内に収納されている場合は有利である。これにより、RFIDトランスポンダの安定した固定と、外部に対するより安全な保護が可能になる。このとき、トランスポンダ収納部は、ジュエリーリング又は金属本体の製造時にあらかじめ設けるか、又は必要に応じて既存のジュエリーリングに組み込むこともできる。
【0009】
有利には、このとき、トランスポンダ収納部は穴によって形成されている。これにより、特に安定した固定と、外部に対する特に優れた保護を確保することができる。さらに、このようにRFIDトランスポンダを内側に配置することは比較的容易に実現可能であり、またジュエリーリングに後付けで実施することもできる。
【0010】
これに加え、トランスポンダ収納部が溝形に形成されている場合は有利であり、これによりRFIDトランスポンダをリング内側の任意の周方向位置に固定することが可能になる。さらに、トランスポンダ収納部を溝形に形成することにより、必要に応じて少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダを収納することも可能である。
【0011】
有利には、少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダが金属本体の内側に収納されている。このようにして、ジュエリーリングの内側で確実なデータ伝送が可能な領域を拡張することで、保存データを安全に読み取ることができるようになる。ここでは特に、トランスポンダ収納部を溝形に形成することにより、少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダを内側に固定したり、トランスポンダアレイを周方向に配置したりすることが可能になる。このとき有利であるのは、設けられているRFIDトランスポンダに読み取り可能なデータが重複して保存されているため、1個のRFIDトランスポンダで読み取りできない場合でも、少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダ、又はトランスポンダアレイの残りのRFIDトランスポンダによって該当するデータを提供できることである。
【0012】
また、少なくとも1つのRFIDトランスポンダがパッシブトランスポンダとして形成されており、このトランスポンダが専用の電源なしに、従って時間的にほぼ無制限に使用可能である場合はさらに有利である。従って、外部リーダーの電磁場によってパッシブRFIDトランスポンダをいつでも起動できるため、読み取り可能なデータを伝送又は提供することが可能になる。
【0013】
さらに、少なくとも1つのRFIDトランスポンダが、チップハウジングに組み込まれた近接場アンテナを有している場合は有利である。この種のアンテナは比較的小さいサイズで提供されているため、特に簡単にジュエリーリングの中に組み込むことができる。さらに、RFIDトランスポンダと読み取り装置との通信が最大2cmの間隔でしか実現できない近接場アンテナを使用することで、権限のない第三者による読み取り可能なデータの読み取りや、意図しないデータの提供を効果的に防止できる。
【0014】
さらに、RFIDトランスポンダが金属本体から離されて非接触状態で保持されている場合は有利であり、これによって障害のないデータ伝送を確保することができる。
【0015】
特に有利な実施形態では、RFIDトランスポンダの取付け部に向く側が、トランスポンダ収納部を少なくとも部分的に閉じている非金属材料によって覆われている。これにより、RFIDトランスポンダ又はそのアンテナ構造を、少なくともその大部分が見えないように、トランスポンダ収納部に保護された状態で収納することが可能であり、保存データの読み取り時に大きな障害を生じることもない。このとき、非金属材料は、ジュエリーリングの内側で追加のデザイン要素として使用できるため、少なくとも1つのRFIDトランスポンダを収納していてもジュエリーリングのデザインと価値の高い全体の印象を維持することができる。
【0016】
この場合、非金属材料が少なくとも部分的に炭素繊維構造、エナメル又はセラミックによって形成されている場合は有利である。これにより、被覆材料によってRFIDトランスポンダの送受信性能の低下を最小限に抑制することができる。さらに、これらの材料の使用により、例えば衝突、ねじれ又は液体の流入などによって引き起こされる機械的又は化学的作用を持つ衝撃に対し、特に効果的なRFIDトランスポンダの保護を提供することが可能になる。
【0017】
これの代替又は追加として、有利には、この非金属材料が少なくとも部分的に、結晶性又は非晶質材料から形成されている宝石によって形成されていてもよい。特に、宝石は単結晶性材料、詳細にはジルコニアによって形成されていてよい。結晶石又は非晶質石もしくはジルコニア石を用いることにより、例えば宝石をちりばめた貴金属リングのような高級装身具にも、少なくとも1つのRFIDトランスポンダを特に目立たないように隠して組み込むことが可能である。
【0018】
さらに、上記の課題は、前に説明した実施形態のいずれかによるジュエリーリングと、ジュエリーリングのRFIDトランスポンダとデータ交換するための読み取り装置とを備える読み取り配置によって解決され、この読み取り装置は、取付け部に挿入可能な読み取り領域と共に、RFIDトランスポンダのデータを読み取るための受信手段を有している。外部に対する保護及び内部の近接場アンテナの受信範囲制限によって、RFIDトランスポンダに保存されているデータは権限のない第三者のアクセスから安全に保護されており、ジュエリーリングを指につけている場合は、データを読み出すために、ジュエリーリングを指から外して読み取り装置の読み取り領域の上に取り付ければよい。この読み取り装置では、障害のないデータ伝送を可能にするため、ジュエリーリングを取り付けた状態で少なくとも1つのRFIDトランスポンダが受信手段の十分近くに位置決めされるように受信手段が配置されている。パッシブRFIDトランスポンダでは、このとき、読み取り装置の起動手段によって作動周波数及び受信周波数を持つ起動信号が装身具に送信され、交流電磁場が発生する。この交流電磁場の周波数エネルギーは、パッシブRFIDチップの電源として働き、このチップに保存されたデータが読み取り装置の受信手段に伝達される通信プロセスで用いられる。
【0019】
別の有利な実施形態では、ジュエリーリングが読み取り領域の上に取付け可能になっており、読み取り装置の起動手段と受信手段に対して少なくとも1つのRFIDトランスポンダをより確実に位置決めすることができる。
【0020】
また、取付け方向において読み取り領域の上流にテーパー部分が設けられており、読み取り装置へのより簡単な取付けが可能になっている場合はさらに有利である。
【0021】
このとき、ジュエリーリング及び読み取り装置に位置合わせ配置が設けられている場合は特に好ましく、これによってジュエリーリングは、読み取り領域の規定の回転位置に位置決めされ、そこではRFIDトランスポンダが読み取り領域の受信手段に隣接して配置されている。この場合、位置合わせ配置は、例えばジュエリーリングの内部輪郭及び/又は外部輪郭によって、あるいはジュエリーリングの金属本体によって形成されている位置合わせ手段を有していてよい。この位置合わせ手段は、これに対応する、詳細には相補的な、読み取り装置に形成された位置合わせ対応側手段と一緒に作用する。このとき、これらの位置合わせ手段及び位置合わせ対応側手段は、ジュエリーリングが取付け動作にかけて向きを変え、読み取り装置の終端位置又はストップ位置に達したときに読み取り領域の規定の回転位置を取るように配置されており、その位置ではRFIDトランスポンダが受信手段に隣接して配置されている。
【0022】
本発明に基づく対象物の上述したすべての特徴は、技術的理由からその交換又は組み合わせが排除されない限り、相互に交換又は組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図には、本発明の実施形態が例として示されている。
図1】RFIDトランスポンダを備える本発明に基づくジュエリーリングの斜視図である。
図2図1によるジュエリーリングを面II-IIで切断した場合の断面図である。
図3】ジュエリーリングの代替の実施例の斜視図である。
図4図3によるジュエリーリングを面IV-IVで切断した場合の断面図である。
図5】ジュエリーリングと読み取り装置が別々に離された状態にある読み取り配置の斜視図である。
図6】取り付けた状態の読み取り配置の斜視図である。
【0024】
図1及び2は、宝飾指輪としてのジュエリーリング2を示しており、このジュエリーリング2は、指Fに取り付けることのできる取付け部6を形成する金属本体4を備えている。このとき、金属本体4は、特に金合金、銀合金及び/又はプラチナ合金などの貴金属から形成されている。
【0025】
金属本体4は、取付け部6を境界する内側8に、RFIDトランスポンダ12を固定するためのトランスポンダ収納部10を有している。トランスポンダ収納部10は、図示されているように、内側8に埋め込まれている止り穴の形をした穴14によって形成されていてよい。これによって、その中に収納されたRFIDトランスポンダ12は、金属本体4の閉じた外側16によって外部に対して保護されている。
【0026】
このとき、RFIDトランスポンダ12は、メモリーチップ20とアンテナ構造22が収納されているチップハウジング18を備えるパッシブトランスポンダとして形成されている。このメモリーチップ20は、データを保存するために用いられ、その例としては特に識別データやアクセスデータ、あるいは銀行口座や暗号通貨のアクセスコードなどのコードが挙げられる。アンテナ構造22は、好ましくは近接場アンテナであり、その受信範囲は取付け部6の方向にのみ延び、最大2cmである。
【0027】
特に図2から分かるように、RFIDトランスポンダ12は、例えば接着剤24によって金属本体4から離されてトランスポンダ収納部10内に保持されている。さらに、RFIDトランスポンダ12の取付け部6を向く側は、トランスポンダ収納部10を閉じている非金属材料Mによって覆われている。この場合、非金属材料Mは、少なくとも部分的に炭素繊維構造、エナメル又はセラミックによって形成されていてよい。これの代替又は追加として、トランスポンダ収納部を閉じている非金属材料Mは、宝石26によって形成されていてよい。
【0028】
図3及び4は、ジュエリーリング2の代替の実施形態を示し、ここではトランスポンダ収納部10が、内側8に埋め込まれた、特に周方向の溝28によって形成されている。これにより、少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダ12、又は例えば周方向に配置されたトランスポンダアレイの収納が可能になる。少なくとも2つのRFIDトランスポンダ12を共通の溝28に収納する代わりに、2つ以上の穴14を内側8に埋め込むこともできる。
【0029】
このとき、少なくとも1つの穴14及び溝28は、どちらもジュエリーリング2の製造時にあらかじめ設けておくか、又は既存のジュエリーリング2にドリル加工又はフライス加工によって後付けで取り付けることもできる。
【0030】
図5及び6は、ジュエリーリング2と、RFIDトランスポンダ12との通信用に設けられている読み取り装置32とを備える読み取り配置30を示している。
【0031】
このとき、読み取り装置32の一部は、ジュエリーリング2が取付け方向Rに沿って取り付けられ、読み取り領域34に隣接して形成されているエンドストッパEに当たるように形成されている。この読み取り領域34には、RFIDトランスポンダ12を読み取ることのできる受信手段36が収容されている。
【0032】
取付け方向Rにジュエリーリング2をより簡単に取り付けられるように、読み取り装置32にはさらに読み取り領域の上流にテーパー部分38が設けられている。
【0033】
これに加え、ジュエリーリング2には、例えば輪郭形成領域のような位置合わせ手段40が外側16に設けられていてもよく、この位置合わせ手段40は、ジュエリーリング2の所定の回転位置において、読み取り装置32に対し、例えば相補的に形成されている位置合わせ対応側手段42と相互作用することができる。位置合わせ手段40と位置合わせ対応側手段42が相互作用している場合、ジュエリーリング2は、エンドストップEに達したときに規定の回転位置になるか、又はそこに保持されることができ、図6に示されているように、その回転位置では少なくとも1つのRFIDトランスポンダ12が受信手段36に隣接して配置されている。
【0034】
この規定のエンドストップ位置では、読み取り装置32の起動手段46を介して、RFIDトランスポンダ12を起動させる交流電磁場が発生するため、そこに保存されているデータを、隣接する読み取り装置32の受信手段36に伝送することが可能である。これらのデータは、この読み取り装置32を介して、例えば銀行口座や暗号通貨などへの該当するアクセスをユーザーに与えるため、さらに利用することができる。
【0035】
本発明に基づく対象物のさまざまな実施形態における上述したすべての要素及び特徴は、技術的理由からその交換又は組み合わせが排除されない限り、相互に交換又は組み合わせが可能であることを指摘しておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に指(F)につける宝飾指輪のようなジュエリーリング(2)であり、
取付け部(6)を形成する金属本体(4)と、
読み取り可能なデータを保存しているRFIDトランスポンダ(12)と、信号を読み取り装置(32)に伝送可能なアンテナ構造(22)とを備えるジュエリーリング(2)であって、
前記RFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)の内側に配置されており、
このとき前記金属本体(4)は、前記RFIDトランスポンダ(12)を外部に対して保護していることを特徴とするジュエリーリング。
【請求項2】
前記RFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)の内側(8)に埋め込まれているトランスポンダ収納部(10)内に収納されていることを特徴とする、請求項1に記載のジュエリーリング。
【請求項3】
前記トランスポンダ収納部(10)は、穴(14)によって形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のジュエリーリング。
【請求項4】
前記トランスポンダ収納部(10)は、溝形に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のジュエリーリング。
【請求項5】
少なくとも1つの別のRFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)の内側に収納されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項6】
前記少なくとも1つのRFIDトランスポンダ(12)は、パッシブトランスポンダとして形成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項7】
前記RFIDトランスポンダ(12)は、チップハウジング(18)に組み込まれた近接場アンテナを有していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項8】
前記RFIDトランスポンダ(12)は、前記金属本体(4)から離されて非接触状態で保持されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項9】
前記RFIDトランスポンダ(12)の前記取付け部(6)に向く側は、前記トランスポンダ収納部(10)を少なくとも部分的に閉じている非金属材料(M)によって覆われていることを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載のジュエリーリング。
【請求項10】
前記非金属材料(M)は、少なくとも部分的に炭素繊維構造、エナメル又はセラミックによって形成されていることを特徴とする、請求項9に記載のジュエリーリング。
【請求項11】
前記非金属材料(M)は、少なくとも部分的に宝石(26)によって形成されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のジュエリーリング。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項によるジュエリーリングと、前記ジュエリーリングの前記RFIDトランスポンダとデータ交換するための読み取り装置とを備える読み取り配置であって、前記読み取り装置(32)は、前記取付け部(6)に挿入可能な読み取り領域(34)と共に、前記RFIDトランスポンダ(12)のデータを読み取るための受信手段(36)を有していることを特徴とする、読み取り配置。
【請求項13】
前記ジュエリーリング(2)は、前記読み取り領域(34)の上に取付け可能であることを特徴とする、請求項12に記載の読み取り配置。
【請求項14】
取付け方向(R)において前記読み取り領域(34)の上流にテーパー部分(38)が設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の読み取り配置。
【請求項15】
前記ジュエリーリング(3)及び前記読取り装置(32)に位置合わせ配置が設けられており、前記位置合わせ配置によって前記ジュエリーリング(2)は前記読み取り領域(34)の規定の回転位置に位置決め可能であり、前記回転位置では前記RFIDトランスポンダ(12)が前記読み取り領域(34)の前記受信手段(36)に隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の読み取り配置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を持つジュエリーリングによって解決される。この場合、RFIDトランスポンダは金属本体の内側に配置されており、金属本体はRFIDトランスポンダを外部に対して閉鎖的に保護しているため、RFIDトランスポンダからリング外に配置されている読み取り装置へのデータ伝送、及び逆にリング外に配置されている送信装置からRFIDトランスポンダへの伝送を完全にブロックすることができる。これにより、RFIDトランスポンダの内側からしか読み取りできないようにジュエリーリングを形成することが可能になる。従って、ジュエリーリングを指につけている間はRFIDトランスポンダに保存されているデータは確実に保護され、読み取ることはできない。この場合、ジュエリーリングをつけている間は、RFIDトランスポンダに保存されているデータの読み取り及び操作の両方を確実に防止することが可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【国際調査報告】