(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】電力システムのための二相制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/10 20060101AFI20240216BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240216BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240216BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20240216BHJP
F16K 31/18 20060101ALI20240216BHJP
F16K 31/20 20060101ALI20240216BHJP
F16K 31/34 20060101ALI20240216BHJP
F16K 31/365 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F16K11/10 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6567
F16K31/18 C
F16K31/20
F16K31/34
F16K31/365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542756
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 IL2022050082
(87)【国際公開番号】W WO2022157769
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512145550
【氏名又は名称】ラヴァル エー.シー.エス. リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルカン オメール
(72)【発明者】
【氏名】クレイマン デニス
(72)【発明者】
【氏名】フーバーマン ガディ
(72)【発明者】
【氏名】イーデルソン ナーション
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン エイタム
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ホリン バル
【テーマコード(参考)】
3H056
3H067
3H068
5H031
【Fターム(参考)】
3H056AA03
3H056BB24
3H056CA02
3H056CA03
3H056CB02
3H056CC02
3H056CC11
3H056DD02
3H056DD03
3H056DD08
3H056GG04
3H067AA01
3H067AA33
3H067BB03
3H067BB13
3H067CC60
3H067DD07
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3H067FF11
3H067GG12
3H068AA01
3H068DD12
3H068EE02
3H068EE28
3H068EE36
3H068FF06
5H031AA09
5H031CC01
5H031KK08
(57)【要約】
作動流体の液相に少なくとも部分的に浸漬可能であるように構成された弁本体を含む二相弁が提供される。弁本体は、第1の弁配列及び第2の弁配列を含む。第1の弁配列は、第1の弁配列が開いているときに作動流体の気相をそこを通って排出することを可能にするための第1の流路を画定しており、第1の弁配列は、作動流体の液相が第1の閾値以上の液面を有するときに第1の流路を選択的に閉じるように構成されている。第2の弁配列は、第2の弁配列が開いているときに作動流体の液相をそこを通って通過させることを可能にするための第2の流路を画定しており、第2の弁配列は、前記作動流体の液相の液面が第2の閾値以上であるときに第2の流路を選択的に閉じるように構成されている。第2の閾値は、第1の閾値よりも低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体の液相に少なくとも部分的に浸漬可能であるように構成された弁本体を備える二相弁であって、前記弁本体が、
第1の弁配列であって、前記第1の弁配列が開いているときに前記作動流体の気相をそこを通って排出することを可能にするための第1の流路を画定しており、前記第1の弁配列が、前記作動流体の前記液相が第1の閾値以上の液面を有するときに前記第1の流路を選択的に閉じるように構成されている、第1の弁配列と、
第2の弁配列であって、前記第2の弁配列が開いているときに前記作動流体の前記液相をそこを通って通過させることを可能にするための第2の流路を画定しており、前記作動流体の前記液相の前記液面が第2の閾値以上であるときに前記第2の流路を選択的に閉じるように構成されている、第2の弁配列と、を備え、
前記第2の閾値が、前記第1の閾値よりも低い、二相弁。
【請求項2】
弁ハウジングが、前記第1の弁配列に関連付けられた第1のチャンバと、前記第2の弁配列に関連付けられた第2のチャンバとを画定している、請求項1に記載の二相弁。
【請求項3】
前記弁ハウジングが、前記第1の流路を画定する弁入口ポート配列及び出口ポートを備え、前記第1の弁配列が、前記出口ポートに対して選択的に完全封止係合し、前記第1の弁配列のための閉じた構成を提供し、かつ前記出口ポートに対して少なくとも部分的に係合解除され、前記第1の弁配列のための開放構成を提供するように構成された、出口ポート封止部材を備える、請求項2に記載の二相弁。
【請求項4】
前記第1の弁配列が、前記第1のチャンバに収容された第1のフロート部材を備え、前記第1のフロート部材が、第1の弁最上位置と第1の弁最下位置との間で前記第1のチャンバ内で往復移動可能であり、前記第1の弁最上位置と前記第1の弁最下位置との間の中間で複数の第1の弁中間位置を画定しており、前記第1のフロート部材が、前記作動流体の前記液相に対して浮遊するように構成されている、請求項3に記載の二相弁。
【請求項5】
前記第1のフロート部材が、前記作動流体の密度よりも小さい密度を有し、前記第1のフロート部材が、前記作動流体の前記密度よりも小さい密度を有する材料から作製されている、請求項4に記載の二相弁。
【請求項6】
前記第1のフロート部材が、前記作動流体の密度よりも小さい密度を有し、前記第1のフロート部材が、少なくとも部分的に中空であり、ガスのポケットを封入している、請求項4又は5に記載の二相弁。
【請求項7】
前記第1のフロート部材が、前記出口ポート封止部材が取り付けられた傾斜した上壁を備え、前記出口ポート封止部材が、第1のストリップ端部及び第2のストリップ端部を有する細長い可撓性の閉鎖膜ストリップの形態であり、前記細長い可撓性閉鎖膜ストリップが、前記第1のストリップ端部において上面の上側部分に固定されており、前記第2のストリップ端部は自由であり、
上側弁ポートが、前記上壁部分の傾斜に対して概して相補的な傾斜を有するスリット状開口の形態である、請求項4~6のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項8】
前記第1のフロート部材を前記出口ポートに向かう方向に付勢するばねを有さない、請求項4~7のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項9】
前記第1の弁配列の動作において、前記出口ポート封止部材と前記出口ポートとの間の完全な封止係合を保証するように前記液面が前記第1の閾値にあるとき、正味の上向きの力が、前記第1のフロート部材の重量と前記第1のフロート部材に作用する浮力とのベクトル和によって生じる、請求項8に記載の二相弁。
【請求項10】
前記第1のフロート部材を前記出口ポートに向かう方向に付勢する第1のばねを有する、請求項4~7のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項11】
前記第1の弁配列の動作において、前記出口ポート封止部材と前記出口ポートとの間の完全な封止係合を保証するように前記液面が前記第1の閾値にあるとき、正味の上向きの力が、前記第1のフロート部材の重量と、前記第1のばねによって生じるばね力と、前記第1のフロート部材に作用する浮力とのベクトル和によって生じる、請求項10に記載の二相弁。
【請求項12】
前記弁ハウジングが、前記第2の流路を画定する弁出口ポート配列及び入口ポートを備え、前記第2の弁配列が、前記入口ポートに対して選択的に完全封止係合し、前記第2の弁配列のための閉じた構成を提供し、かつ前記入口ポートに対して少なくとも部分的に係合解除され、前記第2の弁配列のための開放構成を提供するように構成された、入口ポート封止部材を備える、請求項2~11のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項13】
前記第2の弁配列が、前記第2のチャンバ内に収容された弁部材を備え、前記弁部材が、第2の弁最上位置と第2の弁最下位置との間で前記第2のチャンバ内で往復移動可能であり、前記第2の弁最上位置と前記第2の弁最下位置との間の中間において複数の第2の弁中間位置を画定している、請求項12に記載の二相弁。
【請求項14】
前記第2の弁配列が常閉位置を有する、請求項13に記載の二相弁。
【請求項15】
弁部材を前記入口ポートに向かう方向に付勢する第2のばねを有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項16】
前記第2の弁配列の動作において、前記入口ポートに対して封止係合するように前記入口ポート封止部材を付勢するように、前記液面が少なくとも前記第2の閾値よりも上にあるとき、正味の上向きの力が、前記弁部材の重量と、前記第2のばねによって生じる第2のばね力と、前記弁部材に作用する第2の浮力とのベクトル和によって生じる、請求項15に記載の二相弁。
【請求項17】
前記作動流体の前記液相に対して浮遊するように構成された第2のフロート部材を備え、前記第2の弁配列が、前記液面が前記第2の閾値レベル未満であるのと同時に、前記第2のフロート部材によって前記第2の弁配列に加えられる作動力に応答して前記第2の流体経路を開くように構成されている、請求項12~16のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項18】
前記第2のフロート部材は、前記弁部材に固定されていない、請求項17に記載の二相弁。
【請求項19】
前記第2のフロート部材及び前記弁部材のうちの少なくとも一方は、前記液面が前記第2の閾値よりも低いとき、前記第2のフロート部材が前記弁部材に前記作動力を加えることを可能にし、かつ前記液面が前記第2の閾値レベルよりも高いとき、前記作動力を加えることを停止するように構成されている、請求項17又は18に記載の二相弁。
【請求項20】
前記第2のフロート部材及び前記弁部材のうちの一方に固定された作動部材を備え、前記作動部材が、前記液面が前記第2の閾値以下であることに応答して、前記第2のフロート部材及び前記弁部材のうちの他方に対して当接可能である、請求項19に記載の二相弁。
【請求項21】
前記作動部材が、前記弁部材から前記第2のフロート部材に向かって突出したロッド要素の形態である、請求項20に記載の二相弁。
【請求項22】
前記作動力が、前記弁部材の重量と前記液面における前記弁部材の浮力とのベクトル和である、請求項17~21のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項23】
前記作動力が、前記正味の上向きの力より大きい大きさを有する、請求項22に記載の二相弁。
【請求項24】
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバは、垂直方向に積み重ねられた関係にある、請求項2~23のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項25】
前記第1のフロート部材が前記第2のフロート部材を含む、請求項24に記載の二相弁。
【請求項26】
前記第1のフロート部材及び前記第2のフロート部材が、1つの同じフロート部材である、請求項24に記載の二相弁。
【請求項27】
前記作動部材が、前記弁部材からほぼ垂直方向に突出している、請求項24~26のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項28】
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバは、横方向に積み重ねられた関係にある、請求項2~23のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項29】
前記第1のフロート部材及び前記第2のフロート部材が、1つの同じフロート部材である、請求項28に記載の二相弁。
【請求項30】
前記作動部材が、前記弁部材からほぼ横方向に突出している、請求項27~29のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項31】
前記第1のフロート部材が、前記第2のフロート部材とは異なる、請求項28に記載の二相弁。
【請求項32】
前記作動部材が、前記第2のフロート部材からほぼ垂直方向に突出している、請求項31に記載の二相弁。
【請求項33】
前記第1の弁配列及び前記第2の弁配列の動作が機械的に結合されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項34】
前記弁ハウジングが、前記第2の流路を画定する弁出口ポート配列及び入口ポートを備え、前記第2の弁配列が、前記第2の弁配列のための閉じた構成を選択的に提供し、かつ前記第2の弁配列のための開放構成を選択的に提供するように構成された、弁ユニットを備える、請求項2~11のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項35】
前記第2の弁配列が、前記弁ユニットに結合されたフロートユニットを備える、請求項34に記載の二相弁。
【請求項36】
前記弁ユニットが、可動なダイヤフラム部材を介して第2の弁ユニットチャンバから分離された第1の弁ユニットチャンバを備え、前記ダイヤフラム部材が、前記第1の弁ユニットチャンバと前記第2の弁ユニットチャンバとの間に流体連通を提供するダイヤフラム開口を備え、前記第1の弁ユニットチャンバが前記入口ポートと開放流体連通しており、前記第2の弁ユニットチャンバが、前記フロートユニットと結合されたパイロットオリフィスを介して前記第2の弁チャンバと選択的に流体連通している、請求項35に記載の二相弁。
【請求項37】
前記フロートユニットが、最上位置と最下位置との間で可逆的に移動可能であり、前記最上位置が、前記第2の閾値以上である前記作動流体の前記液相の前記液面に対応し、前記最下位置が、前記第2の閾値よりも低い前記作動流体の前記液相の前記液面に対応する、請求項35又は36に記載の二相弁。
【請求項38】
前記フロートユニットが、前記フロートユニットが前記最上位置にあるときに前記パイロットオリフィスを介して前記第2の弁チャンバと前記第2の弁との間の流体連通を閉鎖し、かつ前記フロートユニットが前記最下位置にあるときに前記パイロットオリフィスを介して前記第2の弁チャンバと前記第2の弁との間の流体連通を開放するように構成されている、請求項37に記載の二相弁。
【請求項39】
前記フロートユニットが、ロッド要素を介して第2のフロート部材の下方に間隔を空けられてパイロットオリフィスシール部材に堅固に接続された第2のフロート部材を備え、前記パイロットオリフィス封止部材が、前記フロートユニットが前記最上位置にあるときに前記パイロットオリフィスを封止閉鎖し、かつ前記フロートユニットが前記最下位置にあるときに前記パイロットオリフィスから係合解除するように構成されている、請求項37又は38に記載の二相弁。
【請求項40】
前記第1の弁ユニットチャンバが、その中に、前記ダイヤフラム部材に向かって突出する下側弁ポートを収容しており、前記下側弁ポートが、前記弁出口ポート配列と流体連通している、請求項36~39のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項41】
前記ダイヤフラム部材が、前記フロートユニットが前記最上位置にあることに応答して、前記下側弁ポートを選択的に密閉し、それによって前記第2の流路を閉鎖するように構成されており、前記ダイヤフラム部材が、前記フロートユニットが前記最下位置にあることに応答して、前記下側弁ポートを選択的に封止解除し、それによって前記第2の流路を開放するように構成されている、請求項36~40のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項42】
前記弁ユニットが、第1のハウジング部分及び第2のハウジング部分を備え、前記ダイヤフラム部材が、前記第1のハウジング部分と前記第2のハウジング部分との間に締め付けられている、請求項36~41のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項43】
前記ダイヤフラム部材の中央部分が、前記第2の弁配列の長手方向軸に対して直交する弁ユニット軸に沿って選択的に移動可能である、請求項36~42のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項44】
前記第2の弁ユニットチャンバが、ダイヤフラム付勢配列を収容している、請求項43に記載の二相弁。
【請求項45】
前記ダイヤフラム付勢装置が、ばね及びピストン部材を備える、請求項44に記載の二相弁。
【請求項46】
前記ばねが、前記第2のハウジング部分に固定されたその一方の長手方向端部と、前記ピストン部材に取り付けられたその反対側の長手方向端部とを有し、前記ピストン部材が前記ダイヤフラム部材に当接し、前記ばねが、前記ピストン部材を介して前記ダイヤフラム部材を前記下側弁ポートに対して付勢する、請求項45に記載の二相弁。
【請求項47】
前記第2のハウジング部分が、前記第2の弁ユニットチャンバと前記パイロットオリフィスとの間に流体連通を提供するパイロット内腔を備える、請求項42~46のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項48】
前記第1の弁配列及び前記第2の弁配列の動作が機械的に切り離されている、請求項34~47のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項49】
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバが、垂直方向に積み重ねられた関係にある、請求項34~48のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項50】
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバが、横方向に積み重ねられた関係にある、請求項34~49のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項51】
前記第1のフロート部材が、前記第2のフロート部材とは異なる、請求項34~50のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項52】
前記ダイヤフラム開口が、前記パイロットオリフィスに対してサイズが小さいか又は等しい、請求項36~51のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項53】
前記ダイヤフラム開口が、約0.1mm~約0.2mmの直径を有する、請求項36~52のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項54】
前記パイロットオリフィスが、約0.2mm~約0.3mmの直径を有する、請求項36~53のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項55】
前記作動流体が、前記流体の蒸発の潜熱に相当する熱エネルギーを吸収することによって気化する二相流体である、請求項1~54のいずれか一項に記載の二相弁。
【請求項56】
冷却再循環回路と、請求項1~55のいずれか一項に記載の少なくとも1つの二相弁とを備える、少なくとも1つの電池モジュールのための冷却システム。
【請求項57】
前記冷却再循環回路が、圧縮機を含む気相ラインと、液体ポンプを含む液相戻りラインと、凝縮器とを備える、請求項56に記載の冷却システム。
【請求項58】
少なくとも1つの圧力逆止弁及び少なくとも1つの圧力保持機能弁を備える、請求項56又は57に記載の冷却システム。
【請求項59】
前記気相ラインが、各前記二相弁のそれぞれの出口ポートに接続されており、前記液相ラインが、各前記二相弁のそれぞれの入口ポートに接続されている、請求項56~58のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項60】
複数の電池を収容するモジュールチャンバを画定するハウジングを備え、請求項1~55のいずれか一項に記載の少なくとも1つの二相弁を更に備える、電池モジュール。
【請求項61】
前記電池が、前記モジュールチャンバ内の作動流体の液相中に浸漬されている、請求項60に記載の電池モジュール。
【請求項62】
前記少なくとも1つの二相弁が、冷却システムに動作可能に接続可能である、請求項60又は61に記載の電池モジュール。
【請求項63】
電力システムであって、
複数の電池を収容するモジュールチャンバを画定するハウジングを備え、請求項1~55のいずれか一項に記載の少なくとも1つの二相弁を更に備える、少なくとも1つの電池モジュールと、
前記少なくとも1つの電池モジュールに動作可能に接続された冷却再循環回路と、を備える、電力システム。
【請求項64】
前記冷却再循環回路が、圧縮機を含む気相ラインと、液体ポンプを含む液相戻りラインと、凝縮器とを備える、請求項63に記載の電力システム。
【請求項65】
少なくとも1つの圧力逆止弁及び少なくとも1つの圧力保持機能弁を備える、請求項63又は64に記載の電力システム。
【請求項66】
前記気相ラインが、各前記二相弁のそれぞれの出口ポートに接続されており、前記液相ラインが、各前記二相弁のそれぞれの入口ポートに接続されている、請求項63~65のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項67】
各前記電池モジュールについて、それぞれの前記電池が、前記モジュールチャンバ内の作動流体の液相に浸漬されている、請求項63~66のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項68】
各前記電池モジュールが、2つの前記二相弁を備える、請求項63~67のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項69】
各前記電池モジュールについて、それぞれの前記2つの二相弁が、互いに長手方向に間隔を空けられている、請求項68に記載の電力システム。
【請求項70】
複数の前記電池モジュールを備える、請求項63~69のいずれか一項に記載の電力システム。
【請求項71】
電気推進システム及び請求項63~70のいずれか一項に記載の電力システムを備える車両。
【請求項72】
前記車両が道路車両である、請求項71に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、電力システムに関し、具体的には、電池と、電池の冷却を可能にするための冷却システムとを備える電力システム、より具体的には、電動車両において使用するためのそのような電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両、特に自動車は、次第に普及してきており、化石燃料の世界的な消費を削減し、温室効果ガスの世界的な排出を削減するという要求に対処すると考えられている。
【0003】
そのような車両は、従来は電池の形態の、より最近では複数の電池を備える電池モジュールの形態の電源を必要とする。
【0004】
そのような電池の冷却は課題を提示し、1つの提案される解決策は、電池と直接接触する作動流体の蒸発の潜熱に基づく浸漬冷却システムである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の主題の第1の態様によれば、作動流体の液相に少なくとも部分的に浸漬可能であるように構成された弁本体を備える二相弁が提供され、前記弁本体が、
第1の弁配列であって、前記第1の弁配列が開いているときに作動流体の気相をそこを通って排出することを可能にするための第1の流路を画定しており、前記第1の弁配列が、前記作動流体の前記液相が第1の閾値以上の液面を有するときに前記第1の流路を選択的に閉じるように構成されている、第1の弁配列と、
第2の弁配列であって、前記第2の弁配列が開いているときに前記作動流体の前記液相をそこを通って通過させることを可能にするための第2の流路を画定しており、第2の弁配列が、前記作動流体の前記液相の前記液面が第2の閾値以上であるときに前記第2の流路を選択的に閉じるように構成されている、第2の弁配列と、を備え、
前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも低い。
【0006】
例えば、弁ハウジングが、前記第1の弁配列に関連付けられた第1のチャンバと、前記第2の弁配列に関連付けられた第2のチャンバとを画定している。例えば、前記弁ハウジングが、前記第1の流路を画定する弁入口ポート配列及び出口ポートを備え、前記第1の弁配列が、前記出口ポートに対して選択的に完全封止係合し、前記第1の弁配列のための閉じた構成を提供し、かつ前記出口ポートに対して少なくとも部分的に係合解除され、前記第1の弁配列のための開放構成を提供するように構成された、出口ポート封止部材を備える。例えば、第1の弁配列が、前記第1のチャンバに収容された第1のフロート部材を備え、前記第1のフロート部材が、第1の弁最上位置と第1の弁最下位置との間で前記第1のチャンバ内で往復移動可能であり、前記第1の弁最上位置と前記第1の弁最下位置との間の中間で複数の第1の弁中間位置を画定しており、前記第1のフロート部材が、前記作動流体の前記液相に対して浮遊するように構成されている。例えば、前記第1のフロート部材が、前記作動流体の密度よりも小さい密度を有し、前記第1のフロート部材が、前記作動流体の密度よりも小さい密度を有する材料から作製されている。追加的又は代替的に、例えば、前記第1のフロート部材が、前記作動流体の密度よりも小さい密度を有し、前記第1のフロート部材が、少なくとも部分的に中空であり、ガスのポケットを封入している。
【0007】
少なくともいくつかの例では、追加的又は代替的に、例えば、
-前記第1のフロート部材が、出口ポート封止部材が取り付けられた傾斜した上壁部分を備え、前記出口ポート封止部材が、第1のストリップ端部及び第2のストリップ端部を有する細長い可撓性の閉鎖膜ストリップの形態であり、前記細長い可撓性閉鎖膜ストリップが、前記第1のストリップ端部において前記上面の上側部分に固定されており、前記第2のストリップ端部は自由であり、
-前記上側弁ポートが、前記上壁部分の傾斜に対して概して相補的な傾斜を有するスリット状開口の形態である。
【0008】
追加的又は代替的に、例えば、二相弁は、前記第1のフロート部材を前記出口ポートに向かう方向に付勢するばねを有さない。例えば、前記第1の弁配列の動作において、前記出口ポート封止部材と前記出口ポートとの間の完全な封止係合を保証するように前記液面が前記第1の閾値にあるとき、正味の上向きの力が、前記第1のフロート部材の重量と前記第1のフロート部材に作用する浮力とのベクトル和によって生じる。
【0009】
代替的に、二相弁は、前記第1のフロート部材を前記出口ポートに向かう方向に付勢する第1のばねを有する。例えば、前記第1の弁配列の動作において、前記出口ポート封止部材と前記出口ポートとの間の完全な封止係合を保証するように前記液面が前記第1の閾値にあるとき、正味の上向きの力が、前記第1のフロート部材の重量と、前記第1のばねによって生じるばね力と、前記第1のフロート部材に作用する浮力とのベクトル和によって生じる。
【0010】
追加的又は代替的に、例えば、前記弁ハウジングが、前記第2の流路を画定する弁出口ポート配列及び入口ポートを備え、前記第2の弁配列が、前記入口ポートに対して選択的に完全封止係合し、前記第2の弁配列のための閉じた構成を提供し、かつ前記入口ポートに対して少なくとも部分的に係合解除され、前記第2の弁配列のための開放構成を提供するように構成された、入口ポート封止部材を備える。例えば、前記第2の弁配列が、前記第2のチャンバ内に収容された弁部材を備え、前記弁部材が、第2の弁最上位置と第2の弁最下位置との間で前記第2のチャンバ内で往復移動可能であり、前記第2の弁最上位置と前記第2の弁最下位置との間の中間において複数の第2の弁中間位置を画定している。例えば、前記第2の弁配列は、常閉位置を有する。追加的又は代替的に、例えば、二相弁は、前記弁部材を前記入口ポートに向かう方向に付勢する第2のばねを有する。例えば、前記第2の弁配列の動作において、前記入口ポートに対して封止係合するように前記入口ポート封止部材を付勢するように、前記液面が少なくとも前記第2の閾値よりも上にあるとき、正味の上向きの力が、前記弁部材の重量と、前記第2のばねによって生じる第2のばね力と、前記弁部材に作用する第2の浮力とのベクトル和によって生じる。追加的又は代替的に、例えば、二相弁は、前記作動流体の前記液相に対して浮遊するように構成された第2のフロート部材を備え、前記第2の弁配列が、前記液面が前記第2の閾値レベル未満であるのと同時に、前記第2のフロート部材によって前記第2の弁配列に加えられる作動力に応答して前記第2の流体経路を開くように構成されている。例えば、前記第2のフロート部材は、前記弁部材に固定されていない。追加的又は代替的に、例えば、前記第2のフロート部材及び前記弁部材のうちの少なくとも一方は、前記液面が前記第2の閾値よりも低いとき、前記第2のフロート部材が前記弁部材に前記作動力を加えることを可能にし、かつ前記液面が前記第2の閾値レベルよりも高いとき、前記作動力を加えることを停止するように構成されている。例えば、二相弁は、前記第2のフロート部材及び前記弁部材のうちの一方に固定された作動部材を備え、前記作動部材は、前記液面が前記第2の閾値以下であることに応答して、前記第2のフロート部材及び前記弁部材のうちの他方に対して当接可能である。例えば、前記作動部材が、前記弁部材から前記第2のフロート部材に向かって突出するロッド要素の形態である。追加的又は代替的に、例えば、前記作動力が、前記弁部材の重量と前記液面における前記弁部材の浮力とのベクトル和である。例えば、前記作動力が、前記正味の上向きの力よりも大きい大きさを有する。
【0011】
追加的又は代替的に、例えば、少なくともいくつかの例では、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバは、垂直に積み重ねられた関係にある。例えば、前記第1のフロート部材が前記第2のフロート部材を備える。代替的に、例えば、前記第1フロート部材と前記第2フロート部材が1つの同じフロート部材である。追加的又は代替的に、例えば、前記作動部材が、前記弁部材からほぼ垂直方向に突出している。
【0012】
追加的又は代替的に、例えば、少なくともいくつかの例では、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバは、横方向に積み重ねられた関係にある。例えば、前記第1フロート部材と前記第2フロート部材が1つの同じフロート部材である。追加的又は代替的に、例えば、前記作動部材が、前記弁部材からほぼ横方向に突出している。代替的に、例えば、前記第1のフロート部材が前記第2のフロート部材とは異なる。例えば、前記作動部材が、第2のフロート部材からほぼ垂直方向に突出している。
【0013】
例えば、前記第1の弁配列及び前記第2の弁配列の動作が機械的に結合されている。
【0014】
少なくともいくつかの他の例において、前記弁ハウジングが、前記第2の流路を画定する弁出口ポート配列及び入口ポートを備え、前記第2の弁配列が、前記第2の弁配列のための閉じた構成を選択的に提供し、かつ前記第2の弁配列のための開放構成を選択的に提供するように構成された、弁ユニットを備える。例えば、前記第2の弁配列が、前記弁ユニットに結合されたフロートユニットを備える。例えば、前記弁ユニットが、可動なダイヤフラム部材を介して第2の弁ユニットチャンバから分離された第1の弁ユニットチャンバを備え、前記ダイヤフラム部材が、前記第1の弁ユニットチャンバと前記第2の弁ユニットチャンバとの間に流体連通を提供するダイヤフラム開口を備え、前記第1の弁ユニットチャンバが前記入口ポートと開放流体連通しており、前記第2の弁ユニットチャンバが、前記フロートユニットと結合されたパイロットオリフィスを介して前記第2の弁チャンバと選択的に流体連通している。
【0015】
追加的又は代替的に、例えば、前記フロートユニットが、最上位置と最下位置との間で可逆的に移動可能であり、前記最上位置が、前記第2の閾値以上である前記作動流体の前記液相の前記液面に対応し、前記最下位置が、前記第2の閾値よりも低い前記作動流体の前記液相の前記液面に対応する。例えば、前記フロートユニットが、前記フロートユニットが前記最上位置にあるときに前記パイロットオリフィスを介して前記第2の弁チャンバと前記第2の弁との間の流体連通を閉鎖し、かつ前記フロートユニットが前記最下位置にあるときに前記パイロットオリフィスを介して前記第2の弁チャンバと前記第2の弁との間の流体連通を開放するように構成されている。追加的又は代替的に、例えば、前記フロートユニットが、ロッド要素を介して第2のフロート部材の下方に間隔を空けられてパイロットオリフィスシール部材に堅固に接続された第2のフロート部材を備え、前記パイロットオリフィス封止部材が、前記フロートユニットが前記最上位置にあるときに前記パイロットオリフィスを封止閉鎖し、かつ前記フロートユニットが前記最下位置にあるときに前記パイロットオリフィスから係合解除するように構成されている。
【0016】
追加的又は代替的に、例えば、前記第1の弁ユニットチャンバが、その中に、前記ダイヤフラム部材に向かって突出する下側弁ポートを収容しており、前記下側弁ポートが、前記弁出口ポート配列と流体連通している。
【0017】
追加的又は代替的に、例えば、前記ダイヤフラム部材が、前記フロートユニットが前記最上位置にあることに応答して、前記下側弁ポートを選択的に封止し、それによって前記第2の流路を閉鎖するように構成されており、前記ダイヤフラム部材が、前記フロートユニットが前記最下位置にあることに応答して、前記下側弁ポートを選択的に封止解除し、それによって前記第2の流路を開放するように構成されている。
【0018】
追加的又は代替的に、例えば、前記弁ユニットが、第1のハウジング部分及び第2のハウジング部分を備え、前記ダイヤフラム部材が、前記第1のハウジング部分と前記第2のハウジング部分との間に締め付けられている。
【0019】
追加的又は代替的に、例えば、前記ダイヤフラム部材の中央部分は、前記第2の弁配列の長手方向軸に対して直交する弁ユニット軸に沿って選択的に移動可能である。例えば、前記第2の弁ユニットチャンバが、ダイヤフラム付勢配列を収容している。例えば、前記ダイヤフラム付勢配列が、ばね及びピストン部材を含む。例えば、前記ばねが、前記第2のハウジング部分に固定されたその一方の長手方向端部と、前記ピストン部材に取り付けられたその反対側の長手方向端部とを有し、前記ピストン部材が前記ダイヤフラム部材に当接し、前記ばねが、前記ピストン部材を介して前記ダイヤフラム部材を前記下側弁ポートに対して付勢する。
【0020】
追加的又は代替的に、例えば、前記第2のハウジング部分が、前記第2の弁ユニットチャンバと前記パイロットオリフィスとの間の流体連通を提供するパイロットオリフィスを備える。
【0021】
追加的又は代替的に、例えば、前記第1の弁配列及び前記第2の弁配列の動作が、機械的に分離されている。
【0022】
追加的又は代替的に、例えば、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバが、垂直に積み重ねられた関係にある。
【0023】
追加的又は代替的に、例えば、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバが、横方向に積み重ねられた関係にある。
【0024】
追加的又は代替的に、例えば、前記第1のフロート部材が、前記第2のフロート部材とは異なる。
【0025】
追加的又は代替的に、例えば、前記ダイヤフラム開口は、前記パイロットオリフィスに対してサイズが小さいか又は等しい。
【0026】
追加的又は代替的に、例えば、前記ダイヤフラム開口は、約0.1mm~約0.2mmの直径を有する。
【0027】
追加的又は代替的に、例えば、前記パイロットオリフィスが、約0.2mm~約0.3mmの直径を有する。
【0028】
例えば、前記作動流体が、前記流体の蒸発の潜熱に相当する熱エネルギーを吸収することによって気化する二相流体である。
【0029】
本開示の主題の第2の態様によれば、冷却再循環回路と、本開示の主題の第1の態様に関して本明細書で定義される少なくとも1つの二相弁とを備える、少なくとも1つの電池モジュールのための冷却システムが提供される。
【0030】
例えば、前記冷却再循環回路が、圧縮機を含む気相ラインと、液体ポンプを含む液相戻りラインと、凝縮器とを備える。
【0031】
追加的又は代替的に、例えば、冷却システムは、少なくとも1つの圧力逆止弁及び少なくとも1つの圧力保持機能弁を備える。
【0032】
追加的に又は代替的に、例えば、前記気相ラインが、前記各二相弁のそれぞれの出口ポートに接続されており、前記液相ラインが、前記各二相弁のそれぞれの入口ポートに接続されている。
【0033】
本開示の主題の第3の態様によれば、複数の電池を収容するモジュールチャンバを画定するハウジングを備え、本開示の主題の第1の態様に関して本明細書で定義される少なくとも1つの二相弁を更に備える電池モジュールが提供される。
【0034】
例えば、前記電池は、前記モジュールチャンバ内の作動流体の液相中に浸漬される。
【0035】
追加的又は代替的に、例えば、前記少なくとも1つの二相弁が、冷却システムに動作可能に接続可能である。
【0036】
本開示の主題の第4の態様によれば、
-複数の電池を収容する少なくとも1つの電池モジュールモジュールチャンバを備え、本開示の主題の第1の態様に関して本明細書で定義される少なくとも1つの二相弁を更に備え、
-前記少なくとも1つの電池モジュールに動作可能に接続された冷却再循環回路を備える、電力システムが提供される。
【0037】
例えば、前記冷却再循環回路は、圧縮機を含む気相ラインと、液体ポンプを含む液相戻りラインと、凝縮器とを備える。
【0038】
追加的又は代替的に、例えば、電力システムは、少なくとも1つの圧力逆止弁及び少なくとも1つの圧力保持機能弁を備える。
【0039】
追加的に又は代替的に、例えば、前記気相ラインが、前記各二相弁のそれぞれの出口ポートに接続されており、前記液相ラインは、前記各二相弁のそれぞれの入口ポートに接続されている。
【0040】
追加的又は代替的に、例えば、各前記電池モジュールについて、それぞれの前記電池が、前記モジュールチャンバ内の作動流体の液相に浸漬されている。
【0041】
追加的又は代替的に、例えば、各前記電池モジュールが、2つの前記二相弁を備える。例えば、各前記電池モジュールについて、それぞれの前記2つの二相弁が、互いに長手方向に間隔を空けられている。
【0042】
例えば、電力システムは、複数の前記電池モジュールを備える。
【0043】
本開示の主題の第5の態様によれば、本開示の主題の第4の態様に関して本明細書で定義された電気推進システム及び電力システムを備える車両が提供される。
【0044】
例えば、前記車両は道路車両である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例証するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【
図1】本開示の主題の第1の例による電力システムの概略図である。
【
図3】例えば
図2の
図1の電力システムの例において使用するための、本開示の主題の第1の例による二相弁の断面図である。
【
図6】通気/充填モードにおける
図3の例の弁を示す。
【
図7a】
図1又は
図2の例の電池モジュールにおける電池構成及び配列の一例を等角図で示す。
【
図7b】
図1又は
図2の例の電池モジュールにおける電池構成及び配列の別の例を等角図で示す。
【
図7c】
図1又は
図2の例の電池モジュールにおける電池構成及び配列の別の例を等角図で示す。
【
図8a】電池モジュールが水平の向きにある、2つの長手方向に間隔を空けられた弁を備える電池モジュールの一例を側面図で示す。
【
図8b】電池モジュールが一方向に角度αだけ傾斜している
図8(a)の例を側面図で概略的に示す。
【
図8c】電池モジュールが
図8(b)の傾斜位置の後に水平位置に戻された
図8(b)の例を側面図で概略的に示す。
【
図8d】電池モジュールが他方の方向に角度-αだけ傾斜している
図8(c)の例を側面図で概略的に示す。
【
図9】
図3の二相弁の例の代替変形例の断面図である。
【
図10】
図3の二相弁の例の別の代替変形例の断面図である。
【
図11】例えば
図2の
図1の電力システムの例において使用するための、本開示の主題の第2の例による二相弁の断面正面図である。
【
図12a】
図11の例の第1の弁配列の側断面図であり、第1の弁配列を通る第1の流路を示す。
【
図12b】
図11の例の第2の弁配列の断面正面図であり、第2の弁配列を通る第2の流路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1を参照すると、本開示の主題の第1の例による電力システムは、概して参照番号1で示されており、電池モジュール10及び冷却システム50を備える。
【0047】
本開示の主題のこの態様によれば、例えば地上車両などの車両は、電気推進システムを備え、電力システム1は、電気推進システムと電気通信している、すなわち電気的に結合されている。電気推進は、1つ以上の電気モータを含み、電気推進は、車両の主推進システム又は唯一の推進システムを形成する。この例の代替的な変形例では、車両はハイブリッド推進システムを有することができ、電気推進システムはハイブリッド推進システムの一部を形成する。
【0048】
電池モジュール10は、複数の電池20を収容するチャンバ11を画定したハウジング12を備える。電池20は、チャンバ11内で横方向に積み重ねられ、すなわち、横方向に隣接して間隔を置いて配置され、典型的には2mm未満、例えば約1.7mmの、作動流体WFの液相が電池20の外面の全て又はほとんどに接触し、作動流体WFの一部が蒸気相に蒸発するのと同時であってもそのような接触を一般に維持するのに十分な適切な電池間間隔だけ互いに横方向に間隔を置かれている。
【0049】
例えば、このような電池20は、当該技術分野において知られたリチウムイオン電池であることができる。
【0050】
少なくともこの例では、ハウジング12及びチャンバ11はそれぞれ、形状が概ね平行六面体であり、特に直方体の形態である。
【0051】
電池20は、例えば角柱形状(
図7(a)参照)、パウチ形状(
図7(b)参照)、又は円筒形状(
図7(c)参照)のあらゆる適切な形態であることができる。電池20は、それぞれのチャンバ11内に存在する作動流体WF中に浸漬されており、作動流体WFの液相のレベルLVとハウジング12の上壁14の内側との間、すなわちチャンバ11内にヘッドスペースHSを残している。
【0052】
作動流体WFは、冷却システム50の一部と考えることができる。
【0053】
作動流体WFは、作動流体WLの潜熱に対応する過剰な熱を電池20から抽出することによって液相から気相に相変化するように構成されている。
【0054】
このような作動流体WFの例は、例えば、3Mによって提供されるNovec7000、Versatillによって提供されるHTF-24、Chemoursによって提供されるOptein MZのうちのいずれか1つを含むことができる。
【0055】
例えば、液体から蒸気への相変化は、特定の温度及び圧力において生じることができ、作動流体WFは、電力システム1の動作中に電池に最適な作動温度を提供するように選択することができる。例えば、そのような最適作業温度は、約10℃~約40℃の範囲内であることができる。
【0056】
冷却システム50は、圧縮機55を含む気相ライン54を含む冷却再循環回路52と、液体ポンプ57を含む液相戻りライン56と、凝縮器59とを含む。
【0057】
例えば、圧縮機55は、作動流体WFの気相をポンピングするように構成されたあらゆる適切な真空ポンプ若しくはあらゆる適切なガス又は蒸気ポンプ、例えば、適切な低圧真空発生器又は適切な2相直接接触ヒートポンプを含むことができる。
【0058】
例えば、液体ポンプ57は、作動流体WFの液相をポンピングするように構成されたあらゆる適切な液体ポンプを含むことができる。
【0059】
電池モジュール10は、本明細書においてより明確になるように、それ自体が新規でありかつ冷却システム50に結合された二相弁を更に備える。
【0060】
本明細書においてより明確になるように、
図3は、参照番号100で示された二相弁の第1の例を示すのに対し、
図11は、参照番号1100で示された二相弁の第2の例を示す。
【0061】
また、本明細書においてより明確になるように、それぞれの二相弁100又は1100は、チャンバ11のヘッドスペースHSにおける作動流体WFの気相が(気相ライン54及び圧縮機55を介して)凝縮器59へポンピングされることを選択的に許容するように動作し、これにより、作動流体WFの気相は、その液相に凝縮させられ、凝縮した液相は、液相戻りライン56、液体ポンプ57及び弁100又は1100を介してチャンバ11へ戻される。
【0062】
電池モジュール10は、出口ポート15及び入口ポート16を備える。
【0063】
出口ポート15は、ハウジング12に配置されており、ヘッドスペースHS内へ開口している。出口ポート15は、気相ライン54に連結されている。
【0064】
入口ポート16は、ハウジング12、例えばその底部に配置されており、チャンバ11内の作動流体WFの液相内に開口している。入口ポート16は、液相ライン56に連結されている。
【0065】
本明細書においてより明確になるように、第1の例に関して、入口ポート16は、弁100の液相入口ポート160に結合されており、出口ポート15は、弁100の気相出口ポート150に結合されている。前述したように、弁100は、出口ポート15に結合されるように構成された気相出口ポート150と、入口ポート16に結合されるように構成された液相入口ポート160とを備える。
【0066】
また、本明細書においてより明確になるように、第2の例に関して、入口ポート16は、弁1100の液相入口ポート1160に連結されており、出口ポート15は、弁1100の気相出口ポート1150に連結されている。前述したように、弁1100は、出口ポート15に結合されるように構成された気相出口ポート1150と、入口ポート16に結合されるように構成された液相入口ポート1160とを備える。
【0067】
選択的に、ハウジング12は、上壁14に又はその近くに、ヘッドスペースHSと流体連通した、ヘッドスペースHS内のあらゆる過剰圧力を所定の値において解放する1つ以上の圧力逆止弁51(例えば全圧逃がし機能弁)を含むことができる。
【0068】
冷却再循環回路52、特に気相ライン54は、ヘッドスペースHS内の圧力が所定の値よりも低下したときに再循環回路50への気相の再循環がないことを確実にするために、圧力保持機能弁58を更に備えることができる。例えば、そのような圧力保持機能弁58は、外部環境温度が10℃未満であるとき、それを通る流れ連通を防止することができる。
【0069】
上記の例の代替的な変形例において、
図2を参照すると、概して参照番号1’で示された電力システムは、複数の電池モジュール10と、共通の冷却システム50’とを備える。本開示の主題のこの態様によれば、例えば地上車両などの車両は、車両の主推進システムを形成する1つ以上の電気モータと電気的に通信する電力システム1’を備えることに留意されたい。
【0070】
この例における共通の冷却システム50’は、準用される
図1の例の冷却システム50と同様であり、上述の準用される回路52、気相ライン54、圧縮機55、液相戻りライン56、液体ポンプ57及び凝縮器と同様の、圧縮機55’を含む気相ライン54’と、液体ポンプ57’を含む液相戻りライン56’と、凝縮器59’とを含む冷却再循環回路52’を含む。しかしながら、
図2の例では、冷却システム50’は、ただ1つの電池モジュール10の代わりに、共通の出口マニホールド61’及び入口マニホールド63’を介して、前述の複数の電池モジュール10の全てに働く。
【0071】
各電池モジュール10’は、それぞれ上述の準用される電池モジュール10、ハウジング12、及び1つ以上の圧力逆止弁51と同様に、1つ以上の圧力逆止弁51’を含むことができるハウジング12’を備える。
【0072】
出口マニホールド61’は、気相ライン54’に連結されたマニホールド出口65’と、複数のマニホールド入口66’とを備え、各マニホールド入口66’は、異なる電池モジュール10のそれぞれの出口ポート15に連結されている。
【0073】
入口マニホールド63’は、液相ライン56’に連結されたマニホールド入口67’と、複数のマニホールド出口68’とを備え、各マニホールド出口68’は、異なる電池モジュール10のそれぞれの入口ポート16に連結されている。
【0074】
冷却再循環回路52’、特に気相ライン54’は、各それぞれの電池モジュール10におけるヘッドスペースHS内の圧力が所定の値よりも低下したときに再循環回路50’への気相の再循環がないことを確実にするために、異なる電池モジュール10の各それぞれのマニホールド入口66’に設けられた圧力保持機能弁58’を更に備えることができる。例えば、そのような圧力保持機能弁58’は、外部環境温度が10℃未満であるとき、それを通る流れ連通を防止することができる。
【0075】
図3を参照すると、概して参照番号100で示される、本開示の主題の第1の例による二相弁は、第1の弁配列200及び第2の弁配列300を備える。
【0076】
少なくともこの例では、第1の弁配列200及び第2の弁配列300は単一の装置に一体化されているが、この例の代替変形例では、第1の弁配列200及び第2の弁配列300は、互いに独立して動作することもできる別個の装置として提供することができる。
【0077】
いずれにしても、弁100は、以下のことを保証するように構成されている:
-作動流体WFの液相が、それぞれの気相ライン54(又は54’)を介して凝縮器59(又は59’)に再循環することが防止される、
-そこの液面LVが第1の閾値TV1よりも低下したとき、作動流体WFの気相のみが、それぞれの気相ライン54(又は54’)を介して凝縮器59(又は59’)に選択的に再循環する、
-チャンバ11内の液面LVが第2の閾値TV2よりも低下したときにのみ、作動流体WFの液相が選択的にチャンバ11内に進入させられる、
-作動液体WFの気相は、チャンバ11がフラッディングされた(多すぎる)とき、それぞれの気相ライン54(又は54’)を介して凝縮器59(又は59’)に再循環することが防止される。
【0078】
弁100は、作動流体WFの液相中に少なくとも部分的に浸漬されるように構成された弁ハウジング110(本明細書では互換的に弁本体とも称される)を備える。弁ハウジング110は、第1の弁配列200に関連付けられた第1のチャンバ120と、第2の弁配列300に関連付けられた第2のチャンバ130とを画定する。
【0079】
少なくともこの例では、第1のチャンバ120及び第2のチャンバ130は、垂直に積み重ねられた関係にある。
【0080】
本明細書においてより明確になるように、第1の弁配列200は、第1の弁配列200が開いているときに第1の弁配列200を通って排出するために、作動流体WFの気相を排出することを可能にするための第1の流路Aを画定しており、第1の弁配列200は、作動流体WFの液相の液面LVが第1の閾値TV1よりも低くないときに流路Aを選択的に閉じるように構成されている。
【0081】
また、本明細書においてより明確になるように、第2の弁配列300は、第2の弁配列300が開いているときに作動流体WFの液相の第2配列300の通過を可能にするための第2の流路Bを画定しており、第2の弁配列300は、作動流体WFの液相の液面LVが第2の閾値TV2よりも低くないときに流路Bを選択的に閉じるように構成されている。本開示の主題のこの態様によれば、第2の閾値TV2は、第1の閾値TV1よりも低い。
【0082】
本明細書でより明確になるように、第2の弁配列300の動作は、第1の弁配列200に機械的に結合されている。
【0083】
少なくともこの例では、弁ハウジング110は、第1のチャンバ120を画定する上壁290、上側側壁壁292、及び隔壁135を備える。また、少なくともこの例では、弁ハウジング110はまた、下側側壁391及び底壁390を含み、これらは、隔壁135と共に第2のチャンバ130を画定している。
【0084】
弁ハウジング110は、電池モジュール10に対して固定して取り付けられるように構成されている。
【0085】
弁ハウジング110は、作動流体の液相が第1のチャンバ120及び第2のチャンバ130に容易に出入りできるように構成されており、これにより、弁100の内部、特に弁ハウジング110の内部の作動流体の液相のレベル、並びに第1のチャンバ120及び/又は第2のチャンバ130内の液面が、チャンバ11内の液面LVに対応するようになっていることに留意されたい。
【0086】
前述したように、弁100は、出口ポート15に結合されるように構成された気相出口ポート150と、入口ポート16に結合されるように構成された液相入口ポート160とを備える。
【0087】
気相出口ポート150は、出口導管158を介して上側弁ポート(本明細書では互換的に出口ポートと称される)155と流体連通している。少なくともこの例では、出口導管158は、第1の弁配列200の長手方向軸LA2に対して概ね横方向に延びる管の形態である。
【0088】
第1の弁配列200は第1のチャンバ120内に収容されたフロート部材180を備える。フロート部材180は、本明細書においてより明確になるように、最上位置PS1と最下位置PS2との間を第1のチャンバ120内で(長手方向軸LA2に沿って)往復移動可能であり、最上位置PS1と最下位置PS2との間の中間において複数の中間位置PS3を画定している。
【0089】
フロート部材180は、互いに接合された、一体的に又は他の形式で互いに接続された、上側フロート部分182及び下側フロート部分184を備える。
【0090】
少なくともこの例では、フロート部材180は、作動流体WFの密度よりも低い密度を有し、したがって、そのような作動流体WF上に浮くように構成されている。例えば、フロート部材は、作動流体WFの密度よりも低い密度を有する材料から作製することができ、及び/又は少なくとも部分的に中空でガスのポケットを封入していることができる。
【0091】
例えば、作動流体は、1.28の比重を有することができるのに対し、フロート部材180は、1.28未満、例えば1.1の比重を有することができる。
【0092】
例えば、フロート部材180はナイロンから作製することができ、作動流体WFは、Versatillによって提供されるHTF-24である。
【0093】
フロート180、特に上側フロート部分182は、その上端に出口ポート封止部材195を備える。出口ポート封止部材195は、本明細書においてより明確になるように、上部弁ポート155を選択的に封止するように構成されている。
【0094】
少なくともこの例では、上側フロート部分182は、その上端に、この例では細長い可撓性の閉鎖膜ストリップ188の形態である出口ポート封止部材195が取り付けられた、傾斜した上壁部分186が形成されている。細長い可撓性の閉鎖膜ストリップ188は、その一端190において上側フロート部分182の上面の上部に固定され、閉鎖膜ストリップ188の他端192は自由である。
【0095】
少なくともこの例では、上側弁ポート155は、壁部分186の傾斜に対して概ね相補的な、長手方向軸LA2に対して傾斜したスリット状開口の形態である。
【0096】
弁100が少なくとも部分的に作動流体WFの液相に浸漬され、液面LV(弁100の内側及びチャンバ11内の弁100の外側の両方)が閾値TV1以上であるとき、フロート部材182に作用する浮力は、出口ポート155と封止係合するように膜ストリップ188を押し付ける傾向があることが容易に理解されるべきである。一方、閾値TV1よりも低い液面LVでは、フロート部材180に作用する重力は、フロート部材180が下降する液面上に浮くにつれて、出口ポート155から離れるようにフロート部材180を変位させる傾向があり、それにより、出口ポート155との密封係合からストリップ膜188が徐々に取り外される。
【0097】
少なくともこの例では、フロート部材180を上側弁ポート155に向かって上向きに付勢するばねが存在しないことに留意されたい。この場合、フロート部材180の重量は、浮力(これは、フロート部材180の体積に依存する)が上向きに作用しながら下向きに作用し、したがって、液面LVが第1の閾値TV1にあるとき、フロートに作用する重量及び浮力のベクトル和に対応する正味上向き力が存在し、フロート部材180が、例えば第2の閾値TV2において、もはや液体上に浮いていないように、液面LVが低下したとき、正味下向き力が存在する。
【0098】
しかしながら、この例の代替変形例では、フロート部材を上側弁ポート155に向かって、又はそれから離れるように付勢するために、適切なばねを提供することができ、更に選択的に、フロート部材180は、作動流体WFの液相の密度以上である全体密度を有することができる。ばねがフロート部材を上側弁ポート155に向かって付勢する1つのそのような場合、フロート部材180の重量は下向き方向に作用するのに対し、浮力(フロート部材180の体積に依存する)にばね力を加えたものは上向き方向に作用し、したがって、液面LVが第1の閾値TV1にあるとき、フロートに作用する重量力、浮力、及びばね力のベクトル和に対応する正味上向き力が存在し、フロート部材180が、例えば、第2の閾値TV2において、もはや液体上に浮いていないように液面LVが低下したとき、正味下向き力が存在する。
【0099】
少なくともこの例では、少なくとも上側フロート部分182が弁ハウジング110、特に第1のチャンバ120内で軸方向に整列させられること、及び少なくとも上側フロート部分182が第1のチャンバ120内で長手方向軸LA2を中心に回転しないことが保証され、それによって出口ポート155の適切な封止が保証される。この目的のために、第1のチャンバ120及びフロート部材180には、そのような回転を防止するために、好適な整列構成、例えば、嵌合する半径方向に突出するリブ(図示せず)を設けることができる。
【0100】
この例の代替変形例では、上側弁ポート155及び出口ポート封止部材195は、
図3に示すものとは異なる構成を有することができることに留意されたい。また、これらの代替例では、フロート部材182に作用する浮力は、出口ポート155と封止係合するようにそれぞれの出口ポート封止部材195を押し付ける傾向があるのに対し、フロート部材180に作用する重力は、フロート部材180を出口ポート155から離れるように変位させる傾向があることに留意されたい。したがって、
図3の例及びその上述のその他の代替変形例では、弁100に対する流体LVのレベルが低下するにつれて、フロート180もチャンバ120に対して下方向に変位し、それによって、フロート部材180が下降する液面において浮きながら、出口ポート封止部材195を出口ポート155との封止係合から係合解除する。
【0101】
フロート180の下端部、特に第2のフロート部分184の下端部は、当接領域189を備え、その目的は、以下で更に明らかにされる。
【0102】
第1の弁配列200は、弁100の作動中にチャンバ11、特にヘッドスペースHSと常に開放流体連通している弁入口ポート配列210を更に備える。少なくともこの例では、弁入口ポート配列210は、上壁290に形成された単一の入口ポート210Aを含むが、この例の代替的な変形例では、弁入口ポート配列210は、代替的に、上壁290に設けられた複数の入口ポート210Aを含む。この例の更に他の代替的な変形形態では、弁入口ポート構成210は、追加的に又は代替的に、上部側壁292の上部に形成された1つ以上の入口ポートを含む。
【0103】
弁100の作動において、流体、特に作動流体WFの気相は、チャンバ11、特にヘッドスペースHSから第1の弁配列200を通って、特に弁入口ポート配列210及び出口ポート155を介して、すなわち流路Aに沿って、出口ポート封止部材195が出口ポート155と完全に封止係合していない場合にのみ通過することができる。
【0104】
液相入口ポート160は、入口導管168を介して下側弁ポート(本明細書では互換的に入口ポートとも呼ばれる)165と流体連通している。少なくともこの例では、入口導管168は、第2の弁配列300の長手方向軸LA3に対して概ね横方向に延びる管の形態である。
【0105】
第2の弁配列300は、第2のチャンバ130に収容された弁部材380を備える。本明細書においてより明確になるように、弁部材380は、最上位置PL1と最下位置PL2との間を第2のチャンバ130内で往復移動可能であり、最上位置PL1と最下位置PL2との間の中間において複数の中間位置PL3を画定している。
【0106】
この例における弁部材380は、作動流体WFの密度よりも低い密度を有し、したがって、そのような作動流体WF上で浮遊するように構成されている。代替的に、弁部材380は、作動流体WFの密度以上の密度を有することができる。弁部材380に作用する浮力は、もちろん、弁部材380の体積に依存する。
【0107】
弁部材380は、その上端に入口ポート封止部材395を備える。入口ポート封止部材395は、本明細書においてより明確になるように、下側弁ポート165を選択的に封止するように構成されている。
【0108】
少なくともこの例では、下側弁ポート165は、第2の弁配列300の長手方向軸線LA3に対して直交する円形開口の形態であり、入口ポート封止部材395に対して封止可能な環状周縁部を有する。
【0109】
弁部材380は、ばね350によって下側弁ポート165に向かって上向きに付勢されている。ばね350は、第2の弁チャンバ130の底壁390に固定されたその一方の長手方向端部と、弁部材380の底側に形成された溝388に固定されたその反対側の長手方向端部とを有する。
【0110】
弁部材380に作用する浮力は、ばね350における弾性力と共に、弁部材380、特に入口ポート封止部材395を下側弁ポート165と封止係合するように押し付ける傾向があるのに対し、重力及び液相ラインからの流体圧力は、反対方向に弁部材380に作用することが容易に理解されるべきである。
【0111】
弁部材380が常に作動流体WFの液相中に浸漬される第2の弁配列300の動作中、弁部材380の重量は、弁部材380に作用する液相ラインからの流体圧力と共に、常に、上向き方向に作用するばね力及び浮力よりも小さく、したがって、弁部材380は、下側弁ポート165に対して常閉位置にある。したがって、弁部材380及びばね350の重量、体積及び密度は、作動流体WFの液相に対してこの関係を維持するように選択される。
【0112】
したがって、弁部材380に作用するいかなるその他の外力も存在しない場合、弁部材380は、作動流体WFの液相に完全に浸漬されている場合であっても、常閉位置に留まる。本明細書でより明確になるように、そのような外力は、弁部材380が第2の弁300を開放することを可能にするように、所定の条件下でフロート部材180の重量によって選択的に提供される。
【0113】
この例の代替的な変形例では、下側弁ポート165及び出口ポート封止部材395は、
図3に示されるものとは異なる構成を有することができることに留意されたい。
【0114】
いずれの場合も、弁部材380は、第1のチャンバ120と第2のチャンバ130との間の隔壁135に形成された開口125を通って、弁部材380から上方向に第1の弁チャンバ120内に突出するロッド要素370の形態の作動部材を更に備える。少なくとも本実施例の代替変形例では、作動部材は、フロート部材180から弁部材380に向かって、すなわち、下向き方向に、開口125を通って第2の弁チャンバ130の中へ突出することができる。少なくともこの例の更に他の代替変形例では、弁は、2つの作動要素を備えることができ、一方は、フロート部材180から弁部材380に向かって突出し、他方は、弁部材380からフロート部材180に向かって突出し、それぞれ、隔壁135に設けられた1つ以上の開口を通る。
【0115】
ロッド要素370は、第1の弁チャンバ120内に突出し、フロート部材180によって選択的に提供される外部作動力を受け取るように構成された自由端375を有する。少なくともこの例では、自由端375は、フロート180の下端、具体的には第2のフロート部分184の下端、より具体的には当接領域189に当接するように構成されている。本明細書でより明確になるように、そのような当接は、液体のレベルLVが第2の閾値TV2よりも低下するにつれてフロート180、特に第2のフロート部分184が下降する所定の条件下で生じる。少なくともこの例では、ロッド要素370、特にその自由端375は、第1の弁チャンバ120内にほぼ垂直方向に突出している。
【0116】
また、本明細書でより明確になるように、液相作動流体WFのレベルが第2の閾値TV2未満に低下すると、第2のフロート部分184の重量(この場合、フロート部材180の重量)が、当接面189と自由端375との間の当接接触を介してロッド部材370に作用し、弁部材380を下方向に押圧し、それによって、入口ポート封止部材395を下側弁ポート165から係合解除させて封止解除する。
【0117】
フロート部材180の重量は、弁部材380に作用する浮力及びばね力に打ち勝つことができるように選択され、同時に、フロート部材180の体積及び/又は構成は、作動流体WFの液相の密度よりも小さい密度を提供するのに十分である。
【0118】
第2の弁配列300は、弁100の作動時に、チャンバ11、特に液面LVよりも下、したがってヘッドスペースHSよりもの下の液相作動流体WFと常に開放流体連通している弁出口ポート配列310を更に備える。少なくともこの例では、弁出口ポート配列310は、底壁390に形成された複数の出口ポート310Aを備えるが、この例の代替的な変形形態では、弁出口ポート配列310は、追加的に又は代替的に、側壁391に形成された1つ以上の出口ポートを備える。この例の更に他の代替的な変形形態では、弁出口ポート配列310は、追加的に又は代替的に、側壁391及び底壁390のうちの1つ以上に形成された単一の出口ポートを含む。
【0119】
弁100の作動において、流体、特に作動流体WFの液相は、チャンバ11から、特に液面LVよりも下から、又はヘッドスペースHSよりも下から、第2の弁配列300を通って、特に入口ポート165及び弁出口ポート配列310を介して、すなわち流路Bに沿って、入口ポート封止部材395が入口ポート165と封止係合していないときのみ通過することができる。
【0120】
したがって、フロート部材180、特に下側フロート部材182は、第1の弁配列200の一部であり、第2の弁配列300の一部でもあることが容易に認められる。
【0121】
図4、
図5、及び
図6を参照すると、弁100は、それぞれ、少なくとも3つの動作モード、すなわち、浸水モード、通気モード、及び通気/充填モードを有する。
【0122】
特に
図4を参照すると、浸水モードにおいて、液面LVは、第1の閾値TV1以上である。下側フロート部材182及びフロート部材180に作用する浮力は、膜ストリップ188を上側弁ポート155と密封係合するように押圧する傾向がある。したがって、ヘッドスペースHSと上側弁ポート155との間の流体連通が防止され、これにより、弁100は、冷却再循環回路52又は52’への作動流体WFの蒸気相の流れを防止する。
【0123】
同時に、液面LVは、第1の閾値TV1以上であり、したがって、フロート部材180は第1のフロート位置PS1にあり、フロート部材180はロッド部材370と当接しておらず、したがって、第2の弁配列300は閉じたままであり、冷却再循環回路52又は52’から下側弁ポート165を介したチャンバ11内への作動流体WFの液相の流れを防止する。
【0124】
特に
図5を参照すると、通気モードでは、液面LVは、第1の閾値TV1よりも低いが、第2の閾値TV2よりも高い特定の中間フロート位置PS3にある。液面LVが下降すると、フロート部材180(ひいては下側フロート部材182)は、液面LVによって上側弁ポート155から引き離され、これにより、上側弁ポート155に対して膜ストリップ188を次第に封止解除及び係合解除させる。したがって、ヘッドスペースHSと上側弁ポート155との間の流体連通がここで可能になり、したがって、弁100は、冷却再循環回路52又は52’への作動流体WFの気相の流れを可能にする。
【0125】
同時に、液面LVは、依然として第2の閾値TV1よりも高いので、フロート部材180は中間フロート位置PS3にあり、フロート部材180はロッド部材370と当接しておらず、したがって、第2の弁配列300は閉じたままであり、冷却再循環回路52又は52’から下側弁ポート165を介したチャンバ11内への作動流体WFの液相の流れを防止する。
【0126】
特に
図6を参照すると、通気/充填モード(本明細書では互換的に「通気及び充填モード」とも呼ばれる)では、液面LVは、第2の閾値TV2よりも低い特定の中間フロート位置PS3にあり、したがって、第1の閾値TV1よりも十分に低い。この時点で、フロート部材180(ひいては下側フロート部材182)は、液面LVによって上側弁ポート155から十分に引き離され、これにより、上側弁ポート155に対して膜ストリップ188を完全に係合解除させる。したがって、ヘッドスペースHSと上側弁ポート155との間の流体連通がここで最大になり、したがって、弁100は、冷却再循環回路52又は52’への作動流体WFの気相の完全な流れを可能にする。
【0127】
同時に、液面LVが今や第2の閾値TV2よりも低いので、フロート部材180は、フロート部材180がロッド部材370と当接し、フロート部材180が更に弁部材380を下側弁ポート165から離れるように押している、対応する中間フロート位置PS3にあるか、又はその近くにある。このようにして、第2の弁配列300が開かれ、冷却再循環回路52又は52’から下側弁ポート165を介してチャンバ11内への作動流体WFの液相の流れを可能にし、それによってチャンバ11が作動流体WFの液相で充填されることを可能にする。
【0128】
充填プロセスが継続するにつれて、チャンバ11内の作動流体WFの液面LVが第2の閾値TV2まで上昇すると、フロート部材180がロッド要素370を徐々に押圧しなくなり、弁部材380がこのレベルにおいて下側弁ポート165に密封当接することを可能にし、それによって第2の弁配列300を遮断する。
【0129】
上記の例では、第1の弁配列200の長手方向軸LA2は、第2の弁配列300の長手方向軸LA3と同軸である。更に、上記の例では、第1の弁配列200及び第2の弁配列300は、垂直に積み重ねられた関係にあり、第1の弁配列200は、第2の弁配列300の垂直方向上方にある。
【0130】
しかしながら、この例の少なくともいくつかの代替的な変形例において、第1の弁配列200の長手方向軸LA2は、第2の弁配列300の長手方向軸LA3と非同軸である。例えば、
図9を参照すると、1つのそのような例では、長手方向軸LA2及びLA3は、第1の弁配列200及び第2の弁配列300が横方向に積み重ねられた関係にあり、第1の弁配列200が第2の弁配列300に横方向に隣接するように、互いに平行であるが横方向にずれていることができる。
【0131】
したがって、
図9の例の二相弁は、準用される本明細書に開示された
図3の例の二相弁の全ての特徴及び要素を有するが、以下の相違点を有する。
【0132】
第1のそのような違いは、
図9の例では、
図1の例の隔壁135が2つの別個の壁、すなわち第1の壁135A及び第2の壁135Bに分割されており、それにより、
図9の例のそれぞれの弁ハウジング110が、
-第1のチャンバ120を画定する上壁290、上側側壁292、及び第1の壁135Aと、
-第2のチャンバ130を画定する下側側壁391、底壁390、及び第2の壁135と、を備える。
【0133】
第2のそのような違いは、
図9の例では、
図3の例のロッド要素370の形態の作動部材も、第1の弁チャンバ120内に突出し、フロート部材180によって選択的に提供される外部作動力を受けるように構成された自由端375を有することである。
図9の例においても、自由端375は、フロート180の下端、具体的には第2のフロート部分184の下端、より具体的には当接領域189に当接するように構成されている。しかしながら、
図9の例では、ロッド要素370、特にその自由端375は、
図3の例における隔壁135に形成された開口125ではなく、側壁391及び292にそれぞれ形成された開口125A,125Bを通って、第1の弁チャンバ120内にほぼ横方向に突出している。そのような当接は、準用される
図3の例について本明細書に開示されるものと同様の形式で、すなわち、フロート180、特に第2のフロート部分184が、液面LVが第2の閾値TV2よりも下降するにつれて下降する、所定の条件下で生じる。少なくとも
図9のこの例では、弁100の垂直方向寸法は、
図3の例の弁のものよりも小さくすることができ、これは、例えば、電池モジュール10内の垂直方向空間が制限されている例において有用である可能性がある。
【0134】
上記の例の少なくともいくつかの他の代替変形例では、第1の弁配列200の長手方向軸LA2はまた、第2の弁配列300の長手方向軸LA3と非同軸であり、特に互いに平行であるが横方向にずれているが、第1の弁配列200及び第2の弁配列300は、互いに本質的に独立して動作する。例えば、
図10を参照すると、第1の弁配列200及び第2の弁配列300は、横方向に積み重ねられた関係にあり、準用される
図9の例の配列と同様に、第1の弁配列200は、第2の弁配列300に横方向に隣接している。
【0135】
したがって、
図10の例の二相弁は、準用される本明細書に開示された
図3の例又は
図9の例の二相弁の全ての特徴及び要素を有するが、以下の相違点を有する。
【0136】
図3の例に対する第1のそのような相違点は、準用される
図9の例と同様の形式で、
図9の例では、
図1の例の隔壁135は、2つの別個の壁、すなわち第1の壁135A及び第2の壁135Bに分割されており、それにより、
図9の例のそれぞれの弁ハウジング110は、
-第1のチャンバ120を画定する上壁290、上側側壁292、及び第1の壁135Aと、
-第2のチャンバ130を画定する下側側壁391、底壁390、及び第2の壁135と、を備える。
【0137】
第2のそのような違いは、
図10の例では、それぞれの二相弁、特に第2の弁配列300が、第2のチャンバ130の上に追加のチャンバ360を備えることである。追加のチャンバ360は、チャンバ362内で往復移動可能であり、準用されるフロート部材180と同様である第2の弁フロート部材362を備えるが、主な違いは、第2の弁フロート部材362が、通気/充填モードに対応する状態でそれぞれのロッド部材370を押圧するためだけに構成されていることである。
図10では、それぞれの作動部材もロッド要素370の形態である。しかしながら、図示の例では、それぞれのロッド要素370は、第2のフロート部材362から弁部材380に向かって突出するように示されているが、この例の代替変形例では、それぞれのロッド要素370は、代わりに、弁部材380から第2のフロート部材362に向かって突出することができる。
図10の例の他の代替変形例では、それぞれの二相弁は、2つの作動要素を備えることができ、一方は、第2のフロート部材362から弁部材380に向かって突出しており、他方は、弁部材380から第2のフロート部材362に向かって突出しており、それぞれ、第2のチャンバ130と追加のチャンバ360との間の隔壁235に設けられた1つ以上の開口225を通っている。
【0138】
したがって、
図10の例では、それぞれの第1の弁配列200及び第2の弁配列300は、互いに独立して動作することもできる別個の装置として提供することができ、別個の装置は、互いに接合することができるか(例えば、連結器365を介して)、又は電池モジュール10内に別々に設置することができる。
【0139】
図10の例では、第2のフロート部材362と第1のフロート部材180との間の相対位置は、第1のフロート部材180が第1の閾値を下回らない液面LVに浮いているときに第1のフロート部材180が出口ポート155に封止係合することを確実にするようなものであり、液面LVが第2の閾値TV2にあるときに第2のフロート部材362とそれぞれの弁部材380とが相互に当接接触し、液面が第2の閾値TV2から低下すると、第2の弁配列300が開くようなものであることに留意されたい。
【0140】
したがって、
図9の弁の実施例及び
図10の弁の実施例の動作は、
図3の実施例の動作と同様であり、準用して本明細書で開示される(特に、少なくとも3つの動作モード、それぞれ、浸水モード、通気モード、及び通気/充填モードに関して、
図4、
図5、及び
図6を参照する)。
【0141】
図11、
図11(a)及び
図11(b)を参照すると、概して参照番号1100で示された本開示の主題の第2の例による二相弁は、第1の弁配列1200及び第2の弁配列1300を備える。
【0142】
少なくともこの例でも、第1の弁配列1200及び第2の弁配列1300は単一の装置に一体化されているが、この例の代替変形例では、第1の弁配列1200及び第2の弁配列1300は、互いに独立して動作することもできる別個の装置として提供することができる。
【0143】
また、この例の更に他の代替的な変形形態では、第1の弁配列に代替的な構成を設けることができることに留意されたい。
【0144】
いずれにしても、弁1100は、準用される第1の例と同様の形式で、以下のことを保証するように構成されている:
-作動流体WFの液相が、それぞれの気相ライン54(又は54’)を介して凝縮器59(又は59’)に再循環することが防止される、
-液面LVがそれぞれの第1の閾値TV1よりも低下したとき、作動流体WFの気相のみが、それぞれの気相ライン54(又は54’)を介して凝縮器59(又は59’)に選択的に再循環する、
-チャンバ11内の液面LVがそれぞれの第2の閾値TV2よりも低下したときにのみ、作動流体WFの液相が選択的にチャンバ11内に進入させられる、
-作動液体WFの気相は、チャンバ11がフラッディングされた(多すぎる)とき、それぞれの気相ライン54(又は54’)を介して凝縮器59(又は59’)に再循環することが防止される。
【0145】
弁1100は、作動流体WFの液相中に少なくとも部分的に浸漬されるように構成された弁ハウジング1110(本明細書では互換的に弁本体とも称される)を備える。弁ハウジング1110は、第1の弁配列1200に関連付けられた第1のチャンバ1120と、第2の弁配列1300に関連付けられた第2のチャンバ1130とを画定する。
【0146】
少なくともこの例では、第1のチャンバ1120及び第2のチャンバ1130は、垂直に積み重ねられた関係にある。更に、少なくともこの例では、第1のチャンバ1120及び第2のチャンバ1130は、互いに開放流体連通している。
【0147】
本明細書においてより明確になるように、特に
図12(a)を参照すると、第1の弁配列1200は、第1の弁配列1200が開いているときに第1の弁配列1200を通って排出するために、作動流体WFの気相を排出することを可能にするためのそれぞれの第1の流路A’を画定しており、第1の弁配列1200は、作動流体WFの液相の液面LVがそれぞれの第1の閾値TV1よりも低くないときに流路A’を選択的に閉じるように構成されている。
【0148】
また、本明細書においてより明確になるように、
図12(b)を参照すると、第2の弁配列1300は、第2の弁配列1300が開いているときに第2の弁配列1300を通る作動流体WFの液相の通過を可能にするための第2の流路B’を画定しており、第2の弁配列1300は、作動流体WFの液相の液面LVがそれぞれの第2の閾値TV2よりも低くないときに第2の流路B’を選択的に閉じるように構成されている。本開示の主題のこの態様によれば、第2の閾値TV2は、第1の閾値TV1よりも低い。
【0149】
少なくともこの例では、弁ハウジング1110は、第1のチャンバ1120を画定する上壁1290、上側側壁1292を備える。また、少なくともこの例では、弁ハウジング1110はまた、第2のチャンバ1130を画定する下側側壁1391及び底壁1390を備える。
【0150】
更に、少なくともこの例では、上側側壁1292及び下側側壁1391は、互いに連続している。
【0151】
弁ハウジング1110は、電池モジュール10に対して固定して取り付けられるように構成されている。
【0152】
弁ハウジング1110は、作動流体の液相が第1のチャンバ1120及び第2のチャンバ1130に容易に出入りできるように構成されており、これにより、弁1100の内部、特に弁ハウジング1110の内部の作動流体の液相のレベル、並びに第1のチャンバ1120及び/又は第2のチャンバ1130内の液面が、チャンバ11内の液面LVに対応するようになっていることに留意されたい。
【0153】
準用される第1の例におけるように、第2の例において、弁1100は、出口ポート15に結合されるように構成された気相出口ポート1150と、入口ポート16に結合されるように構成された液相入口ポート1160とを備える。
【0154】
特に
図11及び
図11(a)を参照すると、気相出口ポート1150は、出口導管1158を介して上側弁ポート(本明細書では互換的に出口ポートとも称される)1155と流体連通している。少なくともこの例では、出口導管1158は、第1の弁配列1200の長手方向軸LA2’に対して概ね横方向に延びる管の形態である。
【0155】
第1の弁配列1200は、第1のチャンバ1120内に収容された第1のフロート部材1180を備える。第1のフロート部材1180は、本明細書においてより明確になるように、最上位置PS1’と最下位置PS2’との間を第1のチャンバ1120内で(長手方向軸LA2’に沿って)往復移動可能であり、最上位置PS1’と最下位置PS2’との間の中間において複数の中間位置PS3’を画定している。
【0156】
第1のフロート部材1180は、下側側壁1391によって提供される機械的停止部1281に当接する側方突出部1181を備え、第1のフロート部材1180の下方への変位を最下位置PS2’に制限している。
【0157】
少なくともこの例では、第1のフロート部材1180は、作動流体WFの密度よりも低い密度を有し、したがって、そのような作動流体WF上に浮くように構成されている。例えば、第1のフロート部材1180は、ガスのポケットを封入する空洞1184を備える。加えて、又は代替的に、第1のフロート部材1180は、作動流体WFの密度よりも低い密度を有する材料から作製することができる。
【0158】
例えば、作動流体は、1.28の比重を有することができるのに対し、第1のフロート部材1180(ガスのポケットを含む)は、1.28未満、例えば1.1の比重を有することができる。
【0159】
例えば、第1のフロート部材1180はナイロンから作製することができ、作動流体WFは、Versatillによって提供されるHTF-24である。
【0160】
第1のフロート部材1180は、その上端に出口ポート封止部材1195を備える。出口ポート封止部材1195は、本明細書においてより明確になるように、上側弁ポート1155を選択的に封止するように構成されている。
【0161】
少なくともこの例では、第1のフロート部材1180は、その上端に、この例では細長い可撓性の閉鎖膜ストリップ1188の形態である出口ポート封止部材1195が取り付けられた、傾斜した上壁部分1186が形成されている。細長い可撓性の閉鎖膜ストリップ1188は、その一端1190において第1のフロート部材1180の上面の上部に固定され、閉鎖膜ストリップ1188の他端1192は自由である。
【0162】
少なくともこの例では、上側弁ポート1155は、壁部分1186の傾斜に対して概ね相補的な、長手方向軸LA2’に対して傾斜したスリット状開口の形態である。
【0163】
弁1100が少なくとも部分的に作動流体WFの液相に浸漬され、液面LV(弁1100の内側及びチャンバ11内の弁1100の外側の両方)が閾値TV1以上であるとき、第1のフロート部材1180に作用する浮力は、出口ポート1155と封止係合するように膜ストリップ1188を押し付ける傾向があることが容易に理解されるべきである。一方、閾値TV1よりも低い液面LVでは、第1のフロート部材1180に作用する重力は、第1のフロート部材1180が下降する液面上に浮くにつれて、出口ポート1155から離れるように第1のフロート部材1180を変位させる傾向があり、それにより、出口ポート1155との密封係合からストリップ膜1188が徐々に取り外される。
【0164】
少なくともこの例では、第1のフロート部材1180を上側弁ポート1155に向かって上向きに付勢するばねが存在しないことに留意されたい。この場合、第1のフロート部材1180の重量は、浮力(これは、第1のフロート部材1180の体積に依存する)が上向きに作用しながら下向きに作用し、したがって、液面LVが第1の閾値TV1にあるとき、第1のフロート部材1180に作用する重量及び浮力のベクトル和に対応する正味上向き力が存在し、第1のフロート部材1180が、例えば第2の閾値TV2において、もはや液体上に浮いていないように、液面LVが低下したとき、正味下向き力が存在する。
【0165】
しかしながら、この例の代替変形例では、第1のフロート部材1180を上側弁ポート1155に向かって、又はそれから離れるように付勢するために、適切なばねを提供することができ、更に選択的に、第1のフロート部材1180は、作動流体WFの液相の密度以上である全体密度を有することができる。ばねが第1のフロート部材を上側弁ポート1155に向かって付勢する1つのそのような場合、第1のフロート部材1180の重量は下向き方向に作用するのに対し、浮力(第1のフロート部材1180の体積に依存する)にばね力を加えたものは上向き方向に作用し、したがって、液面LVが第1の閾値TV1にあるとき、第1のフロート部材1180に作用する重量力、浮力、及びばね力のベクトル和に対応する正味上向き力が存在し、第1のフロート部材1180が、例えば、第2の閾値TV2において、もはや液体上に浮いていないように液面LVが低下したとき、正味下向き力が存在する。
【0166】
少なくともこの例では、第1のフロート部材1180は、弁ハウジング1110内、特に第1のチャンバ1120内で軸方向に整列させられ、かつ第1のフロート部材1180は、第1のチャンバ1120内で長手方向軸LA2’を中心に回転せず、それによって出口ポート1155の適切な封止を確実にすることが保証される。この目的のために、第1のチャンバ1120及び第1のフロート部材1180には、そのような回転を防止するために、好適な整列構成、例えば、嵌合する半径方向に突出するリブ(図示せず)を設けることができる。
【0167】
この例の代替変形例では、上側弁ポート1155及び出口ポート封止部材1195は、
図11及び
図11(a)に示すものとは異なる構成を有することができることに留意されたい。また、これらの代替例では、第1のフロート部材1180に作用する浮力は、出口ポート1155と封止係合するようにそれぞれの出口ポート封止部材1195を押し付ける傾向があるのに対し、第1のフロート部材1180に作用する重力は、第1のフロート部材1180を出口ポート1155から離れるように変位させる傾向があることに留意されたい。したがって、
図11、
図11(a)、
図11(b)の例及びその上述のその他の代替変形例では、弁1100に対する流体のレベルLVが低下するにつれて、第1のフロート部材1180もチャンバ1120に対して下方向に変位し、それによって、第1のフロート部材1180が下降する液面において浮きながら、出口ポート封止部材1195を出口ポート1155との封止係合から係合解除する。
【0168】
第1の弁配列1200は、弁1100の作動中にチャンバ11、特にヘッドスペースHSと常に開放流体連通している弁入口ポート配列1210を更に備える。少なくともこの例では、弁入口ポート配列1210は、上壁1290に形成された単一の入口ポート1210Aと、側壁1292に形成された単一の入口ポート1210Aとを備えるが、この例の代替的な変形例では、弁入口ポート配列1210は、代替的に、上壁1290に設けられた複数の入口ポート1210A及び/又は側壁1292に設けられた複数の入口ポート1210Aを備える。この例の更に他の代替的な変形例では、弁入口ポート配列1210は、上壁1290のみに形成された1つ以上の入口ポート1210A、又は上側側壁1292のみに形成された1つ以上の入口ポート1210Aを備える。
【0169】
弁1100の作動において、流体、特に作動流体WFの気相は、チャンバ11、特にヘッドスペースHSから第1の弁配列1200を通って、特に弁入口ポート配列1210及び出口ポート1155を介して、すなわち流路A’に沿って、出口ポート封止部材1195が出口ポート1155と完全に封止係合していない場合にのみ通過することができる。
【0170】
特に
図11及び
図11(b)を参照すると、液相入口ポート1160は、入口導管1168を介して下側弁ポート(本明細書では互換的に入口ポートとも称される)1165と流体連通している。少なくともこの例では、入口導管1168は、第2の弁配列1300の長手方向軸LA3’に対して概ね平行に延びる管の形態である。
【0171】
第2の弁配列1300は、弁1100の作動時に、チャンバ11、特に液面LVよりも下、したがってヘッドスペースHSよりもの下の液相作動流体WFと常に開放流体連通している弁出口ポート配列1310を更に備える。少なくともこの例では、弁出口ポート配列1310は、底壁1390に形成された単一の出口ポート1310Aを備えるが、この例の代替的な変形形態では、弁出口ポート配列1310は、追加的に又は代替的に、側壁1391に形成された1つ以上の出口ポートを備える。この例の更に他の代替的な変形形態では、弁出口ポート配列1310は、追加的に又は代替的に、側壁1391及び底壁1390のうちの1つ以上に形成された複数の出口ポート1310Aを含む。
【0172】
第2の弁配列1300は、第2のチャンバ1130に収容された第2のフロート部材1380を備える。本明細書においてより明確になるように、第2のフロート部材1380は、最上位置PL1’と最下位置PL2’との間を第2のチャンバ1130内で往復移動可能であり、最上位置PL1’と最下位置PL2’との間の中間において複数の中間位置PL3’を画定している。
【0173】
この例における第2のフロート部材1380は、作動流体WFの密度よりも低い密度を有し、したがって、そのような作動流体WF上で浮遊するように構成されている。
【0174】
第2のフロート部材1380は、ロッド要素1370を介して、第2のフロート部材1380の下に離間されたパイロットオリフィス封止部材1382に堅固に接続されている。ロッド要素1370は、第2のフロート部材1380からその側部において下向きに突出しており、第2のフロート部材1380、ロッド要素1370及びパイロットオリフィス封止部材1382を含むフロートユニット1381は、
図11(b)におけるように側方から見たとき、「C」の形状である。第2の弁配列の動作中、フロートユニット1381は、第2のチャンバ1130内で往復移動可能である。
【0175】
第2の弁配列1300は、フロートユニット1381と結合され、液相入口ポート1160と弁出口ポート配列1310との間の流体流を選択的に可能にするか又は遮断するように構成された弁ユニット1400を更に備える。
【0176】
弁ユニット1400は、弁ハウジング1110に取り付けられた弁ユニットハウジング1410を備える。弁ユニットハウジング1410は、第1のハウジング部分1412及び第2のハウジング部分1414を備える。弁ユニットハウジング1410は、第1のハウジング部分1412と第2のハウジング部分1414との間でその周囲1452において締め付けられたダイヤフラム部材1450をその中に収容している。
【0177】
ダイヤフラム部材1450の中央部分1451は、本明細書においてより明確になるように、所定の条件下で、第2の弁配列1300の長手方向軸LA3’に対して直交する弁ユニット軸VAに沿って移動可能である。
【0178】
第1のハウジング部分1412は、この例では一体的な形式で底壁1390に取り付けられており、入口導管1168及び液相入口ポート1160と開放流体連通した第1の弁ユニットチャンバ1411を含む。第1の弁ユニットチャンバ1411は、第1のハウジング部分1412からダイヤフラム部材1450に向かって突出した下側弁ポート1165をその中に収容する。
【0179】
ダイヤフラム部材1450は、本明細書においてより明確になるように、第1のダイヤフラム面1450aを介して下側弁ポート1165を選択的に封止するように構成されている。
【0180】
少なくともこの例では、下側弁ポート1165は、弁ユニット軸線VAと同軸の中心軸線を有する円形開口の形態であり、ダイヤフラム部材1450に対して封止可能な環状周縁を有する。
【0181】
第2のハウジング部分1414は、ダイヤフラム付勢配列1356を収容する第2の弁ユニットチャンバ1413を含む。ダイヤフラム付勢配列1356は、ばね1350及びピストン部材1355を備える。ばね1350は、第2のハウジング部分1414に固定されたその一方の長手方向端部と、ピストン部材1355に取り付けられたその反対側の長手方向端部とを有する。ピストン部材1355は第2のダイヤフラム面1450bに当接し、ばね1350は、ピストン部材1355を介してダイヤフラム部材1450を下側弁ポート1165に対して付勢する。
【0182】
ダイヤフラム部材1450は、第1の弁ユニットチャンバ1411と第2の弁ユニットチャンバ1413との間の流体連通を提供するダイヤフラム開口1459を備える。
【0183】
第2のハウジング部分1414は、第2の弁ユニットチャンバ1413とパイロットオリフィス1460との間の流体連通を提供するパイロット内腔1465を備える。パイロットオリフィス1460は、パイロットオリフィス封止部材1382によって可逆的に封止可能である。フロートユニット1381が最上位置PL1’にあるとき、パイロットオリフィス封止部材1382がパイロットオリフィス1460に封止当接する。フロートユニット1381が最上位置PL1’よりも下にあるとき、特にフロートユニット1381が最下位置PL2’にあるとき、パイロットオリフィス封止部材1382はパイロットオリフィス1460から離間させられ、第2の弁ユニットチャンバ1413と第2のチャンバ1130との間に流体連通を提供する。
【0184】
少なくともこの例では、パイロットオリフィス1460及びパイロット内腔1465はそれぞれ、概して、可能な限り小さく、(開いているときに)作動流体WFの液相がそれを通って流れることを可能にすることと一致する。少なくともこの例では、パイロットオリフィス1460は、パイロット内腔1465と同じ直径を有する。例えば、パイロットオリフィス1460及びパイロット内腔1465はそれぞれ、約0.2mm~約0.3mmの直径を有することができる。例えば、パイロット内腔1465は、約3mm~約4mmの長さを有することができる。
【0185】
更に、少なくともこの例では、ダイヤフラム開口1459は、パイロットオリフィス1460よりも小さいか又はパイロットオリフィス1460と等しいサイズである。少なくともこの例では、ダイヤフラム開口1459はまた、パイロット内腔1465よりも小さいか又はパイロット内腔1465と等しいサイズである。例えば、ダイヤフラム開口1459は、例えば、約0.1mm~約0.2mmの直径を有する。
【0186】
本明細書においてより明確になるように、液相作動流体WFのレベルが第2の閾値TV2以上であるとき、第2のフロート部材1380は、その最上位置PL1’にあり、それによって、パイロットオリフィス封止部材1382をパイロットオリフィス1460に対して封止係合させる。パイロットオリフィス封止部材1382のパイロットオリフィス1460に対するこの当接はまた、フロートユニット1381、特に第2のフロート部材1380が最上位置PL1’を越えて上向き方向に変位することを防止する。これらの条件下では、パイロットオリフィス1460は、パイロットオリフィス封止部材1382によって密閉され、第1の弁ユニットチャンバ1411及び第2の弁ユニットチャンバ1413内の流体圧力は、ダイヤフラム開口1459を介して平衡させられ、ダイヤフラム付勢配列1356は、ダイヤフラム部材1450を付勢して、下側弁ポート1165に対して密閉係合させる。このようにして、第2の弁配列1300は、弁1100の液相入口ポート1160と弁出口ポート配列1310との間の流体連通を閉じる、すなわち、第2の流路B’を閉じる。
【0187】
逆に、また本明細書においてより明確になるように、液相作動流体WFのレベルが第2の閾値TV2よりも低下すると、第2のフロート部材1380もパイロットオリフィス封止部材1382と共に下方に変位し、それによってパイロットオリフィス封止部材1382をパイロットオリフィス1460から係合解除して封止解除する。パイロットオリフィス1460がパイロットオリフィス封止部材1382に対して開いているこれらの条件下で、第1の弁ユニットチャンバ1411は、比較的高い圧力にあることができ、液相戻りライン56の液体圧力に曝されている。同時に、第2の弁ユニットチャンバ1413は、比較的低い圧力にあり、開いているパイロットオリフィス1460を介して液相作動流体WFの液圧に曝されている。このような状況下では、第1のダイヤフラム面1450aと第2のダイヤフラム面1450bとの間に差圧が存在し、この差圧は、ばね1350のばね力に打ち勝つように十分に大きい。これは、次に、ダイヤフラム部材1450、特にその中央部分1451を下側弁ポート1165から離れるように弁ユニット軸線VAに沿って移動させ、これにより、下側弁ポート1165を開放させ、第2の流路B’を介して弁1100の液相入口ポート1160と弁出口ポート配列1310との間の流体連通を可能にする。
【0188】
したがって、フロートユニット1381は、本質的に、弁ユニット1400のための作動部材として動作する。第2のフロート部材1380の重量は、パイロットオリフィス封止部材1382に作用する浮力に打ち勝つことができるように選択されており、同時に、第2のフロート部材1380の体積及び/又は構成は、作動流体WFの液相の密度よりも小さい密度を提供するのに十分である。
【0189】
弁ユニット軸VAをほぼ水平にすることによって、弁ユニット1400に作用する浮力及び重力は、弁ユニット1400の動作に著しく影響を及ぼさないことが容易に理解されるべきである。
【0190】
また、第2の弁配列1300の動作中、弁ユニット1400は常に作動流体WFの液相中に浸漬されることも容易に理解されるべきである。
【0191】
第2の弁配列1300の動作は、第1の弁配列1200に機械的に結合されていないことが容易に理解されるべきである。
【0192】
弁1100の作動において、流体、特に作動流体WFの液相は、チャンバ11から、特に液面LVよりも下から、又はヘッドスペースHSよりも下から、第2の弁配列1300を通って、特に入口ポート1165及び弁出口ポート配列1310を介して、すなわち流路B’に沿って、パイロットオリフィス封止部材1382がパイロットオリフィス1460と封止係合していないときのみ通過することができる。
【0193】
図13~
図15(a)を参照すると、弁1100は、準用される第1の実施例と同様の形式で、少なくとも3つの動作モード、すなわち、浸水モード、通気モード、及び通気/充填モードをそれぞれ有する。
【0194】
特に
図13及び
図13(a)を参照すると、浸水モードでは、液面LVは第1の閾値TV1以上であり、したがって、第1のフロート部材1180は第1のフロート位置PS1’にある。第1の部材1180に作用する浮力は、膜ストリップ1188を押して上部弁ポート1155と密封係合させる傾向がある。したがって、第1の弁配列1200は閉じたままであり、ヘッドスペースHSと上側弁ポート1155との間の流体連通が防止され、したがって、弁1100は、作動流体WFの気相が冷却再循環回路52又は52’に流れるのを防止する。
【0195】
同時に、液面LVも第2の閾値TV2よりも高いので、第2のフロート部材1380(したがってフロートユニット1381)は最上位置PL1’にあり、したがってパイロットオリフィス封止部材1382はパイロットオリフィス1460と封止係合している。したがって、第2の弁配列1300は閉じたままであり、冷却再循環回路52又は52’から下側弁ポート1165を介してチャンバ11内への作動流体WFの液相の流れを防止する。
【0196】
特に
図14及び
図14(a)を参照すると、通気モードにおいて、液面LVは、第1の閾値TV1よりも下であるが、第2の閾値TV2よりも上の位置にある。液面LVが低下すると、第1のフロート部材1180は、液面LVによって上側弁ポート1155から引き離され、これにより、上側弁ポート1155に対して膜ストリップ1188を次第に封止解除及び係合解除させる。したがって、第1の弁配列1200が開き、ヘッドスペースHSと上側弁ポート1155との間の流体連通がここで可能になり、したがって、弁1100は、作動流体WFの気相の冷却再循環回路52又は52’への流れを可能にする。
【0197】
同時に、液面LVは依然として第2の閾値TV2よりも高いので、第2のフロート部材1380(したがってフロートユニット1381)は最上位置PL1’にあり、したがってパイロットオリフィス封止部材1382はパイロットオリフィス1460と封止係合している。したがって、第2の弁配列1300は閉じたままであり、冷却再循環回路52又は52’から下側弁ポート1165を介してチャンバ11内への作動流体WFの液相の流れを防止する。
【0198】
特に
図15及び
図15(a)を参照すると、通気/充填モード(本明細書では互換的に「通気及び充填モード」とも呼ばれる)において、液面LVは、第1の閾値TV1よりも低いが、また第2の閾値TV2よりも低い。この時点で、第1のフロート部材1180は、液面LVによって上側弁ポート1155から十分に引き離され、これにより、上側弁ポート1155に対して膜ストリップ1188を完全に係合解除させる。したがって、第1の弁配列1200が開き、ヘッドスペースHSと上側弁ポート1155との間の流体連通がここで最大になり、したがって、弁1100は、作動流体WFの気相の冷却再循環回路52又は52’への流れを可能にする。
【0199】
同時に、液面LVは今では第2の閾値TV2よりも低いので、第2のフロート部材1380(したがってフロートユニット1381)は最下位置PL2’にあり、したがってパイロットオリフィス封止部材1382はパイロットオリフィス1460ともはや封止係合しない。したがって、第2の弁配列1300が開き、下側弁ポート1165を介して冷却再循環回路52又は52’からチャンバ11内への作動流体WFの液相の流れを可能にし、それによってチャンバ11が作動流体WFの液相で充填されることを可能にする。
【0200】
充填プロセスが継続するにつれて、チャンバ11内の作動流体WFの液面LVは第2の閾値TV2へ上昇し、第1のフロート部材180がロッド要素370を徐々に押圧しなくなり、パイロットオリフィス封止部材1382がパイロットオリフィス1460に密封当接することを可能にし、その結果、ダイヤフラム部材1450のそれぞれの側における圧力の平衡を生じ、下側弁ポート1165を閉鎖し、それにより、第2の弁配列1300を遮断する。
【0201】
上記の例の代替的な変形形態では、電池モジュール10は、弁対、すなわち:
A.本開示の主題の第1の例(又はその代替的な変形例)による2つのそのような弁100、又は、
B.本開示の主題の第2の例による2つのそのような弁1100、又は、
C.本開示の主題の第1の例(又はその代替的な変形例)による1つの弁100及び本開示の主題の第2の例による1つの弁1100、を備えることができることに留意されたい。
【0202】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)に示す以下の例は、上記のオプション(A)に関連して開示されているが、準用される上記のオプション(B)にも適用され、準用される上記のオプション(C)にも適用される。
【0203】
したがって、再び
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)を参照すると、前述の弁対の各弁100は、独立して再循環回路50(又は50’)に接続されている。
【0204】
2つの弁100は、(電池モジュール10を設置することが意図された車両の長手方向に対して)電池モジュールの対向する長手方向端部に配置することができる。そのような例では、弁100の各々についての第1の閾値TV1は、例えば、最大20°の上り勾配又は下り勾配を考慮するように選択することができる。
【0205】
車両も水平面上にあるときに対の2つの弁100が同じ水平レベルにあると仮定すると、車両(したがってこの対の各弁100)が、傾斜面、例えば20°の勾配上にあるとき、一方の弁100は、対の他方の弁100よりも高い垂直位置に位置する。したがって、それぞれの電池モジュール10における液面LVは、当然ながら名目上水平であるが、対の2つの弁100の各々のこの液面LV(本明細書では、各弁100のためのそれぞれの局所的液面と呼ばれる)は、互いに異なる。そのような場合、そのような傾斜した状況においてより低い垂直位置にある弁100は、相対的により高い垂直位置にある他方の弁100よりも相対的により多く沈められる。
【0206】
図8(a)~
図8(d)の理解を容易にするために、電池モジュールの弁100の1つのそのような対の2つの弁100はまた、電池モジュール10の一方の長手方向端部の弁100Aとして、及び電池モジュール10の他方の長手方向端部の弁100Bとして指定される。
【0207】
図8(a)を参照すると、電池モジュール10は、水平のときに2つの弁100(すなわち、弁100A及び弁100B)の各々に関する液面LVが第2の閾値TV2にあり、したがって、各弁100の第2の弁配列300が閉じられ、作動流体WFのあらゆる更なる液相が電池モジュール10に入ることを防止するような液相作動流体WFの体積V1を有する。
【0208】
図8(b)を参照すると、車両(したがって、この対の各弁100)が斜面上、例えば、角度α、例えば、20°の勾配上にあるとき、一方の弁100(弁100A)は、対の他方の弁100(弁100B)よりも高い垂直位置に位置する。この時の低い方の弁100(弁100B)は、車両が水平であったときの以前の液面LVよりも高く、したがってそのそれぞれの第2の閾値TV2よりも高い、それ自体に対する局所的液面LLVに曝される。しかしながら、対のうちのこの時の高い方の弁100(弁100A)は、車両が水平であったときの以前の液面よりも低く、したがってそのそれぞれの第2の閾値TV2よりも低い、それ自体に対する局所的液面LLVに曝される。したがって、この時の低い方の弁100(弁100B)の第2の弁配列300は閉じられたままであるのに対し、この時の高い方の弁100(弁100A)の第2の弁配列300はこの時には開いている。なぜならば、局所的液面LLVがこの時第2の閾値TV2よりも低く、電池モジュール10がこの時作動流体WFの液相の第2の体積V2を保持するまで作動液体WFの液相の体積ΔV
12が電池モジュール10に入り込むからである。この第2の容積V2は、この車両傾斜において、この時の高い方の弁100(弁100A)に対する局所液面LLVが、そのそれぞれの第2の閾値TV2に達するようなものである。この時点で、この時に高い方の弁100(弁100A)の第2の弁配列300が閉じ、それによって、作動流体WFの液相のより大きな体積V2を電池モジュール10内に閉じ込める。
【0209】
ここで
図8(c)を参照すると、車両が水平位置に戻るとき、作動流体WFの液相のこのより大きな体積V2は、対の弁100の一方又は両方について第2の閾値TV2であった以前の液面LVよりも高い新たな液面LVをここで提供する。
【0210】
ここで
図8(d)を参照すると、車両が今度は反対方向に(例えば、角度-α、例えば-20°で)傾斜させられると、以前の低い方の弁100(弁100B)が今度は垂直方向でより高い位置になり、局所的液面LLV(このより大きな体積V2における)が、この弁100(弁100B)のための第2の閾値TV2以上であるならば、もはや作動流体WFの液相は電池モジュール10に進入しない。そのような場合、体積V2は、2つの弁100を介して進入するときに電池モジュール10内に収容され得る作動流体WFの液相の最大体積である。
【0211】
しかしながら、局所的液面LLV(このより大きい体積V2における)が、この弁100(弁100B)についての第2の閾値TV2よりも依然として低い場合、そのそれぞれの第2の弁配列300がここで開き、電池モジュール10がここで作動流体WFの液相の第3の体積を保持するまで、更なる作動流体WFの液相が電池モジュール10に入ることを可能にする。したがって、この第3の容積は、この車両傾斜において、以前のより低い方の弁100(弁100B)に対する局所液面LLVが、そのそれぞれの第2の閾値TV2に達するようなものである。この時点で、以前の低い方の弁100(弁100B)の第2の弁配列300が閉じ、それによって、作動流体WFの液相のより大きな体積V3を電池モジュール10内に閉じ込める。そのような場合、体積V3は、2つの弁100を介して進入するときに電池モジュール10内に収容され得る作動流体WFの液相の最大体積である。
【0212】
電池モジュール10における対の2つの弁100(弁100A及び弁100B)の位置は、±α、つまりそれぞれの方向に20°の所望の最大傾斜の場合に、電池モジュール10に収容される最大体積(V2又はV3)が、水平位置において弁の液面LVが第1の閾値TV1になるように選択され得る。
【0213】
電池モジュール10の振動運動はまた、例えば、車両が滑らかでない表面上を走行しているときに生じる可能性があるように、対の2つの弁100の間で異なる局所的液面LLVを生じる可能性があり、したがって、作動流体WFの液相の体積が、準用される上述の傾斜におけるのと同様の形式で、体積V1から増大することを可能にすることに留意されたい。
【0214】
最後に、添付の特許請求の範囲全体で使用される「含む」という用語は、「含むがこれに限定されない」を意味すると解釈されるべきであることに留意されたい。
【0215】
本開示の主題にしたがって例が示され、開示されているが、請求項に示された本開示の主題の範囲から逸脱することなく、そこに多くの変更を加えることができることが認められるであろう。
【国際調査報告】