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▶ リキッドスタック ホールディング ベー.フェー.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(54)【発明の名称】浸漬冷却用バスバーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20240216BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20240216BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240216BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/06 C
H05K7/20 M
G06F1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542997
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2021069381
(87)【国際公開番号】W WO2022152411
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】17/148,776
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521443276
【氏名又は名称】リキッドスタック ホールディング ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カル-ウィン・ラウ
【テーマコード(参考)】
5B011
5E322
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DB20
5B011DB21
5B011EA01
5E322AA09
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
浸漬冷却用のバスバーアセンブリの実施形態が本明細書に記載される。一実施形態では、バスバーアセンブリ(100)は、絶縁体ブロック(10)およびバスバー(20)を含むことができる。絶縁体ブロックは、絶縁体ブロックの第1の端部から絶縁体ブロックの第2の端部まで延びる第1の障壁を含むことができる。絶縁体ブロック(10)は、第1の端部から第2の端部まで延びる第2の障壁を含むことができる。第1の障壁は、第1の支持面を含むことができる。第2の障壁は、第2の支持面を含むことができる。絶縁体ブロック(10)は、第1の障壁と第2の障壁との間にチャネルを含むことができる。チャネルは、第1の端部から第2の端部まで延びることができる。バスバー(20)はチャネル内に配置することができる。バスバーは、第1の支持面および第2の支持面の下に凹んだ上面を有してもよい。他の例が説明され、特許請求され得る。発行時には、図面の図3Aが添付される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬冷却装置用のバスバーアセンブリであって、前記バスバーアセンブリは、
第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有する絶縁体ブロックであって、
前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる第1の障壁であって、第1の支持面および第1の障壁幅を含む、第1の障壁と、
前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる第2の障壁であって、第2の支持面および第2の障壁幅を含む、第2の障壁と、
前記第1の障壁と前記第2の障壁との間にあるチャネルであって、前記第1の端部から前記第2の端部まで延び、チャネル幅を有する、チャネルと、
を含む、絶縁体ブロックと、
前記チャネルの底面に形成されたスロットと、
前記スロット内に配置可能なバスバーであって、前記第1の支持面および前記第2の支持面よりも下に凹んだ上面を有する、バスバーと、
を備える、バスバーアセンブリ。
【請求項2】
前記バスバーは、前記チャネルの実質的に中央に配置される、請求項1に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項3】
第1の隙間が前記バスバーと前記第1の障壁との間に形成され、第2の隙間が前記バスバーと前記第2の障壁との間に形成され、前記バスバーはバスバー幅を有し、前記第1の隙間の少なくとも1つが前記バスバー幅より大きいか、または前記第2の隙間が前記バスバー幅より大きい、請求項1または請求項2に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項4】
第1の隙間が前記バスバーと前記第1の障壁との間に形成され、第2の隙間が前記バスバーと前記第2の障壁との間に形成され、前記バスバーの前記上面は、前記第1の隙間または前記第2の隙間のうちの少なくとも一方よりも大きい距離だけ、前記第1の支持面および前記第2の支持面の下に凹んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項5】
前記絶縁体ブロックは、フェノール材料、マイラー材料、ポリイミド材料、およびエポキシ材料からなる群から選択される1つまたは複数の誘電材料を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項6】
前記チャネルは、前記絶縁体ブロック内に形成された複数のチャネルのうちの1つであり、前記複数のチャネルは並列構成で配置され、前記バスバーは、複数のバスバーのうちの1つであり、前記複数のチャネルの各チャネルは、前記複数のバスバーのうちの1つを収容する、請求項1から5のいずれか一項に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項7】
前記複数のバスバーは、単相電力または三相電力を伝送するように適合されている、請求項6に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項8】
前記複数のバスバーは、三相電力を伝送するように構成された第1のセットのバスバーと、三相電力を伝送するように構成された第2のセットのバスバーと、を含み、前記第1のセットのバスバーおよび前記第2のセットのバスバーは対称構成に配置され、電気デバイスが第1の向きまたは第2の向きのうちの少なくとも一方で前記複数のバスバーに電気的に接続できるようにする、請求項6または請求項7に記載のバスバーアセンブリ。
【請求項9】
浸漬冷却装置であって、
上部と下部とを有し、前記上部と前記下部との間に目標液面を画定し、底部および複数の側壁によって画定される内部容積を含む浸漬タンクと、
前記浸漬タンクの前記内部容積内に配置されたバスバーアセンブリと、
を備え、前記バスバーアセンブリは、
ベース部分と直立部分とを含む絶縁体ブロックであって、前記ベース部分は前記底部の内面に隣接し、前記直立部分は前記複数の側壁のうちの側壁の内面に隣接する、絶縁体ブロックと、
前記ベース部分の第1の端部から前記ベース部分の第2の端部まで延びるベースチャネルと、
前記直立部分の第1の端部から前記直立部分の第2の端部まで延びる直立チャネルと、
前記ベースチャネルに沿って延びる第1の障壁であって、第1の支持面および第1の障壁幅を有する、第1の障壁と、
前記ベースチャネルに沿って延びる第2の障壁であって、第2の支持面および第2の障壁幅を有する、第2の障壁と、
直立セクションに電気的に接続されたベースセクションを含むバスバーであって、前記ベースセクションは前記ベースチャネル内に配置され、前記直立セクションは前記直立チャネル内に配置される、バスバーと、
を含み、
前記ベースセクションの上面は、前記第1の支持面または前記第2の支持面のうちの少なくとも一方の下に配置可能である、浸漬冷却装置。
【請求項10】
前記浸漬冷却装置が、通過接続アセンブリをさらに備え、前記通過接続アセンブリが、
前記目標液面の上の前記浸漬タンクの外面に取り付け可能である接続ブロックと、
前記接続ブロックを通って延びる電気コネクタと、
前記接続ブロックの底面と前記浸漬タンクの外面との間に流体密封シールを提供するように構成されたシールと、
を含み、
前記バスバーの前記直立セクションは、前記浸漬タンクの開口部を通過し、前記電気コネクタに電気的に接続するように適合されている、請求項9に記載の浸漬冷却装置。
【請求項11】
前記ベースチャネルおよび前記直立チャネルはL字形チャネルを形成し、前記ベースセクションおよび前記直立セクションは、前記L字形チャネル内に配置可能なL字形バスバーを形成する、請求項9または10に記載の浸漬冷却装置。
【請求項12】
前記ベースチャネル内のベーススロットであって、前記バスバーの前記ベースセクションは前記ベーススロット内に配置可能である、ベーススロットと、
前記ベースチャネル内の直立スロットであって、前記バスバーの前記直立セクションは前記ベーススロット内に配置可能である、直立スロットと、
をさらに備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の浸漬冷却装置。
【請求項13】
前記浸漬タンクの前記内部容積内で前記目標液面より上に配置された凝縮器をさらに備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の浸漬冷却装置。
【請求項14】
浸漬冷却タンク用のバスバーアセンブリキットであって、前記バスバーアセンブリキットは、
絶縁体ブロックであって、
L字形絶縁体ブロックを形成するように適合されたベース部分および直立部分と、
前記ベース部分の第1の端部から前記ベース部分の第2の端部まで延びるベースチャネルと、
前記直立部分の第1の端部から前記直立部分の第2の端部まで延びる直立チャネルであって、前記直立チャネルおよび前記ベースチャネルは共にL字形チャネルを形成するように構造化および配置される、直立チャネルと、
前記ベースチャネルに沿って延びる第1の障壁であって、第1の支持面を有する、第1の障壁と、
前記ベースチャネルに沿って延びる第2の障壁であって、第2の支持面を有する、第2の障壁と、
を含む絶縁体ブロックと、
ベースセクションと直立セクションとを含むL字形バスバーと、
を備え、
前記ベースチャネルは前記ベースセクションを受け入れるように構成され、前記直立チャネルは前記直立セクションを受け入れるように構成され、
前記ベースセクションが前記ベースチャネル内に配置されると、前記ベースセクションは前記第1の支持面および前記第2の支持面のうちの少なくとも一方の下に凹む、バスバーアセンブリキット。
【請求項15】
前記バスバーアセンブリキットが、通過接続アセンブリをさらに備え、前記通過接続アセンブリは、
接続ブロックと、
前記接続ブロックを通って延び、前記L字形バスバーの前記直立セクションに接続するように構成される電気コネクタと、
前記接続ブロックの底面と浸漬タンクの外面との間に流体密封シールを提供するように構成されるシールと、
を含む、請求項14に記載のバスバーアセンブリキット。
【請求項16】
前記バスバーアセンブリキットが、前記接続ブロックの前記底面に形成された溝をさらに備え、前記シールは前記溝内に配置可能である、請求項15に記載のバスバーアセンブリキット。
【請求項17】
前記バスバーアセンブリキットが、前記ベースチャネル内にベーススロットをさらに備え、前記ベーススロットは、前記L字形バスバーの前記ベースセクションを受け入れるように構成される、請求項14または15に記載のバスバーアセンブリキット。
【請求項18】
前記バスバーアセンブリキットが、前記直立チャネル内に直立スロットをさらに備え、前記直立スロットは、前記L字形バスバーの前記直立セクションを受け入れるように構成される、請求項14から17のいずれか一項に記載のバスバーアセンブリキット。
【請求項19】
前記L字形バスバーの前記ベースセクションを前記L字形バスバーの前記直立セクションに結合するように構造化および配置されたプレートコネクタをさらに備える、請求項14から18のいずれか一項に記載のバスバーアセンブリキット。
【請求項20】
前記絶縁体ブロックは、
前記直立チャネルに沿って延びる第3の障壁であって、第3の支持面を有する、第3の障壁と、
前記直立チャネルに沿って延びる第4の障壁であって、第4の支持面を有する、第4の障壁と、
をさらに含み、
前記直立セクションが、前記直立チャネル内に設置されると、前記直立セクションは、前記第3の支持面および前記第4の支持面の下に凹む、請求項14から19のいずれか一項に記載のバスバーアセンブリキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浸漬冷却装置に関し、より詳細には浸漬冷却装置用のバスバーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
データセンターには、データおよびアプリケーションを保存、処理、配布する目的で情報技術(IT)機器が収容されている。IT機器には、サーバ、ストレージシステム、配電ユニット、ルーター、スイッチ、およびファイアウォールなどの電子デバイスが含まれ得る。
【0003】
IT機器は電力を消費し、副産物として廃熱を生成する。数千台のサーバが稼動しているデータセンターには、廃熱を管理するための専用のIT冷却システムが必要である。廃熱はデータセンターから捕捉して排除される必要がある。廃熱が除去されないと、データセンター内の周囲温度が許容閾値を超えて上昇する場合があり、電子デバイス(マイクロプロセッサなど)の、温度によって引き起こされる性能低下が発生し得、これは望ましくないことである。
【0004】
直接液体冷却システムは、IT機器を冷却するために使用することができる。直接液体冷却の1つの形式は浸漬冷却である。浸漬冷却システムでは、電子デバイスが誘電流体に浸漬される。電子デバイスからの廃熱は流体に伝達され、その後流体から捕捉され、適切な排熱デバイスを通じてデータセンターの外に排熱される。
【0005】
図14Aから図14Cは、基本的な二相浸漬冷却装置1400の従来技術の例を示す。装置1400は、液相の、ハイドロフルオロエーテルなどの誘電流体620で部分的に満たされた浸漬タンク201を含む。装置1400は、浸漬タンク201のヘッドスペースに取り付けられた凝縮器235を含む。電子デバイス800は、誘電流体620に浸漬される。電子デバイス800は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ801を含むサーバであってもよい。浸漬タンク201は蓋225で囲まれている。
【0006】
動作中、電子デバイス800は廃熱を生成する。廃熱は誘電流体620に伝達され、これにより誘電流体620の一部が沸騰し、誘電蒸気615が形成される。誘電蒸気615は、誘電液体620の容器を通って上昇し、浸漬タンク201のヘッドスペース206に入る。誘電蒸気615が凝縮器235と接触すると、誘電液体620に凝縮して戻り、受動的に液体容器に再循環して戻り、それによって蒸発、凝縮、沈殿、および収集のサイクル1401が完了する。
【0007】
二相浸漬冷却システムでは、外部電源から浸漬冷却タンク内の電子デバイスに電力を伝送するためにケーブルまたはバスバーが一般に使用される。しかし、電力を伝送するためにケーブルを使用することには、いくつかの欠点がある。まず、ケーブルにより日常の保守が複雑になる。例えば、電子デバイスは通常、浸漬タンクに鉛直に挿入される。ケーブルは電子デバイスの上面に接続される。電子デバイスを浸漬タンクから取り外す場合は、電子デバイスを取り外し得る前にケーブルを取り外して収納する必要がある。多くの場合、保守担当者はケーブルを外すために高温の誘電液体に手を入れなければならない。高温の誘電液体は体温を大幅に超えるため、断熱手袋を着用していても不快である。第2に、特定のケーブルはシステム内の誘電流体と適合しない可能性がある。ケーブルは、プラスチック材料で作られる得る絶縁体を含む。材料の種類によっては、ケーブルの劣化や流体の汚染を引き起こす化学的適合性の問題が発生し得る。
【0008】
その結果、ケーブルを使用する代わりに、電子デバイス800は、浸漬タンクの底部に位置するバスバーと嵌合するように設計され得る。一例として、電子デバイス800は、浸漬タンク201の底部のバスバーに係合して電気的に接続するように設計されたバスバークリップを備えることができる。バスバーには通常絶縁がないため、誘電流体との化学的適合性の問題は発生し得ない。
【0009】
図14Aに示す従来技術の浸漬タンク201は、浸漬タンク201の側壁を貫通するバスバー1405を含む。バスバー1405は、浸漬タンク201内の電子デバイス800に電力を供給する。この構成は、使用中に最小限の振動または動きを受ける特定の固定タンク201に適し得る。しかし、モバイルデータセンター1500(図15)において使用される浸漬冷却タンク201の場合、この構成は受け入れられない。図15に示されるようなモバイルデータセンター1500は、輸送コンテナ1005内に配置された浸漬冷却タンク201を含むことができる。モバイルデータセンター1500は、例えば平台トレーラーに乗せて道路上で輸送することができる。輸送および設置に起因する振動により、バスバー1405が浸漬タンク201の側壁を貫通する箇所で流体の漏れが発生し得る。
【0010】
浸漬タンク201から流体が漏れると、タンク201内の液面が低下し、電子デバイス800が周囲空気にさらされる可能性がある。その時点で、システムは電子デバイス800を効果的に冷却できない可能性がある。電子デバイス800は、過熱してシャットダウンするか、性能低下が発生し得る。
【0011】
図12に示される例などの特定の従来技術のバスバーは、絶縁されていない金属バー20’が露出しており、データセンターのスタッフに安全上のリスクをもたらす。人が、露出したバスバー20’に誤って接触し、感電死し得る。別の例では、人がレンチなどの金属工具をタンク201内に誤って落としてバスバーアセンブリ100’を短絡させ、システムのダウンタイムや電子ハードウェア800の損傷を引き起こし得る。
【0012】
図13に示す例などの特定の従来技術のバスバーアセンブリ100”は、バスバー20”を絶縁し、偶発的な感電死を防ぐために注型樹脂でコーティングされている。注型樹脂は、誘電液体620がバスバー20”を効果的に冷却することを妨げる熱抵抗を生成し得る。過度の熱の蓄積により抵抗が増加し、伝達効率が低下し得る。また、注型樹脂は誘電液体620と化学的に適合しない可能性があり、時間の経過とともに劣化して誘電液体620を汚染し得、流体の濾過または交換が必要となる。
【0013】
図13に示される例のような特定の従来技術のバスバーアセンブリ100”は、密集した水平バスバー20”を有することができる。使用中、バスバー20”が熱くなり得るため、冷却する必要がある。2相冷却システムでは、バスバー20”の表面に蒸気の泡が形成され、液体容器内で上向きに浮く可能性がある。電力使用率が増加すると、バスバー20”はより多くの廃熱を生成し、その結果、より激しい沸騰が発生する。ある時点で、水平方向のバスバー20”間の隙間が狭いため、蒸気泡が隙間から逃げるよりも早く生成される。蒸気の蓄積が発生し、蒸気の泡が断熱層として機能し、乾燥として知られる状態が生じることがある。乾燥は、蒸気が表面から逃げることができず、過冷却された流体が電子デバイス800の表面に到達することが妨げられ、それによって電子デバイス800の表面を冷却することが妨げられるときに発生する。乾燥は熱抵抗の増加と過熱とを引き起こし得る。極端な場合、乾燥は熱暴走やデバイスの故障につながり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様では、本発明は浸漬冷却装置用のバスバーアセンブリに関する。いくつかの実施形態では、バスバーアセンブリは、第1の端部および第1の端部ブロックの反対側の第2の端部を有する絶縁体ブロックと、スロットと、バスバーと、を含む。いくつかの実施形態では、絶縁体ブロックは、1つまたは複数の誘電材料(例えば、フェノール材料、マイラー材料、ポリイミド材料、およびエポキシ材料)で作られ、第1の端部から第2の端部まで延びる第1の障壁であって、第1の支持面および第1の障壁幅を備える、第1の障壁と、第1の端部から第2の端部まで延びる第2の障壁であって、第2の支持面および第2の障壁幅を備える、第2の障壁と、第1の障壁と第2の障壁との間のチャネルであって、第1の端部から第2の端部まで延び、チャネル幅を有する、チャネルと、を含む。いくつかの変形例では、スロットはチャネルの底面に形成され得、バスバーはスロット内に配置され得る。有利には、バスバーは、第1の支持面および/または第2の支持面よりも下に凹んだ上面を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、バスバーはチャネルの実質的に中央に配置され得る。例えば、第1の隙間がチャネルにおいてバスバーと第1の障壁との間に形成され得、第2の隙間がチャネルにおいてバスバーと第2の障壁との間に形成され得、第1の隙間がバスバー幅よりも大きく、第2の隙間がバスバー幅よりも大きくなるようにし、かつ/またはバスバーの上面は、第1の支持面および第2の支持面のうちの少なくとも一方の下に、第1の隙間または第2の隙間のうちの少なくとも一方よりも大きい距離だけ凹んでいる。
【0016】
いくつかの実施形態では、チャネルは、絶縁体ブロック内に形成された複数のチャネルのうちの1つであり、バスバーは、複数のバスバーのうちの1つであり、複数のチャネルが並列構成で配置され、各チャネルがバスバーのうちの1つを収容するようにする。いくつかの変形例では、バスバーは、単相電力または三相電力を伝送するように適合される。例えば、バスバーは、三相電力を伝送するように構成された第1のセットのバスバーと、三相電力を伝送するように構成された第2のセットのバスバーと、を含んでもよく、第1のセットのバスバーおよび第2のセットのバスバーが対称構成に配置され、電気デバイスが第1の向きまたは第2の向きのうちの少なくとも一方においてバスバーに電気的に接続できるようにする。
【0017】
第2の態様では、本発明は浸漬冷却装置に関する。いくつかの実施形態では、浸漬冷却装置は、上部および下部を有し、上部と下部との間に目標液面を画定し、底部および複数の側壁によって画定される内部容積を備える浸漬タンクと、浸漬タンクの内部容積内に配置されたバスバーアセンブリと、を含む。いくつかの用途では、バスバーアセンブリは、ベース部分が底部の内面に隣接し、直立部分が複数の側壁のうちの側壁の内面に隣接するように、ベース部分と直立部分とを有する絶縁体ブロックと、ベース部分の第1の端部からベース部分の第2の端部まで延びるベースチャネルと、直立部分の第1の端部から直立部分の第2の端部まで延びる直立チャネルと、ベースチャネルに沿って延び、第1の支持面および第1の障壁幅を有する第1の障壁と、ベースチャネルに沿って延び、第2の支持面および第2の障壁幅を有する第2の障壁と、ベースセクションがベースチャネル内に配置され、直立セクションが直立チャネル内に配置されるように、直立セクションに電気的に接続されたベースセクションを有するバスバーと、を含む。いくつかの変形例では、ベースセクションの上面は、第1の支持面または第2の支持面のうちの少なくとも一方の下に配置可能である。
【0018】
いくつかの用途では、浸漬冷却装置は、浸漬タンクの内部容積内で目標液面より上に配置された凝縮器および/または通過接続アセンブリをさらに含む。いくつかの実施形態では、通過接続アセンブリは、目標液面より上の浸漬タンクの外面に取り付け可能な接続ブロックと、接続ブロックを通って延びる電気コネクタと、接続ブロックの底面と浸漬タンクの外面との間に流体密封シールを提供するように構成されるシールと、を含み得る。いくつかの実施形態では、バスバーの直立セクションは、浸漬タンクの開口部を通過し、電気コネクタに電気的に接続するように適合されている。
【0019】
別の実施形態では、ベースチャネルおよび直立チャネルはL字形チャネルを形成することができ、ベースセクションおよび直立セクションはL字形バスバーを形成するため、L字形バスバーはL字形チャネル内に配置可能である。
【0020】
さらに別の実装では、浸漬冷却装置にはまた、ベースチャネル内に形成されたベーススロットであって、バスバーのベースセクションはベーススロット内に配置可能である、ベーススロットと、ベースチャネルに形成された直立スロットであって、バスバーの直立セクションがベーススロット内に配置可能になる、直立スロットと、のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0021】
第3の態様では、本発明は浸漬冷却タンク用のバスバーアセンブリキットに関する。いくつかの実施形態では、バスバーアセンブリキットは、絶縁体ブロックおよびL字形バスバーを含む。いくつかの変形例では、L字形バスバーは、ベースセクションおよび直立セクションを含んでもよく、絶縁体ブロックは、L字形の絶縁体ブロックを形成するように適合されたベース部分および直立部分と、ベース部分の第1の端部からベース部分の第2の端部まで延びるベースチャネルと、直立チャネルとベースチャネルとが一緒にL字形のチャネルを形成するように、直立部分の第1の端部から直立部分の第2の端部まで延びる直立チャネルと、第1の支持面を有し、ベースチャネルに沿って延びる、第1の障壁と、第2の支持面を有し、ベースチャネルに沿って延びる、第2の障壁と、を含んでもよい。有利には、ベースチャネルはベースセクションを受け入れるように構成され得、直立チャネルは直立セクションを受け入れるように構成され、ベースセクションは、ベースセクションがベースチャネル内に配置されると、第1の支持面および/または第2の支持面の下に凹んでいてもよい。
【0022】
いくつかの用途では、バスバーアセンブリキットは、通過接続アセンブリも含むことができる。いくつかの実装形態では、通過接続アセンブリは、接続ブロックと、接続ブロックを通って延び、L字形バスバーの直立セクションに接続するように構成される電気コネクタと、接続ブロックの底面と浸漬タンクの外面との間に流体密封シールを提供するように構成されるシールと、を含むことができる。いくつかの変形例では、接続ブロックの底面に溝が形成されてもよく、シールが溝内に配置されてもよい。
【0023】
別の用途では、バスバーアセンブリキットは、L字形バスバーのベースセクションを受け入れるように構成されるような、ベースチャネルのベーススロット、L字形バスバーの直立セクションを受け入れるように構成されるような、直立チャネル内の直立スロット、および/またはL字形バスバーのベースセクションをL字形バスバーの直立セクションに結合するように構造化および配置されたプレートコネクタのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0024】
さらに別の用途では、絶縁体ブロックは、直立チャネルに沿って延び、第3の支持面を有する第3の障壁と、直立チャネルに沿って延び、第4の支持面を有する第4の障壁と、を含んでもよく、直立セクションが直立チャネル内に設置されると、直立セクションは第3の支持面および第4の支持面よりも下に凹むようにする。
【0025】
図面において、同様の参照文字は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、一般的に本発明の原理を説明することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明のさまざまな実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、浸漬冷却タンクの斜視図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、データセンター内に配置された複数の浸漬冷却タンクを示す図である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、浸漬冷却タンクアセンブリの部分断面図で配置された例示的なバスバーアセンブリを示す図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、図3Aに示されるバスバーアセンブリのベース部分と直立部分との間の例示的な接続の詳細を示す図である。
図4A】本発明のいくつかの実施形態による、通過接続アセンブリおよび浸漬タンクの取り付け面の分解図である。
図4B】本発明のいくつかの実施形態による、図4Aの接続アセンブリの電気接続ブロックの底面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なバスバーアセンブリのベース部分の側面斜視図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、誘電流体に浸漬された浸漬冷却タンクアセンブリおよび例示的なバスバーアセンブリのベースの側断面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、例示的な三相バスバーアセンブリの正面図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、単一の保護アースバスバーを有する例示的な単相バスバーアセンブリの正面図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態による、一対の保護アースバスバーを有する例示的な単相バスバーアセンブリの正面図である。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、中性バスバーを有しない例示的な三相バスバーアセンブリの正面図である。
図11】本発明のいくつかの実施形態による、一対の中性バスバーを有する例示的な三相バスバーアセンブリの正面図である。
図12】従来技術による例示的なバスバーアセンブリを示す図である。
図13】従来技術による、例示的な水平配向バスバーアセンブリを示す図である。
図14A】従来技術による、凝縮器を備えた例示的な浸漬冷却システムを示す図である。
図14B】従来技術による、凝縮器を備えた例示的な浸漬冷却システムを示す図である。
図14C】従来技術による、凝縮器を備えた例示的な浸漬冷却システムを示す図である。
図15】従来技術による、輸送コンテナ内の複数の浸漬冷却タンクアセンブリを露出させたモジュール式データセンターの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
二相浸漬冷却システムは相変化熱伝達を採用しており、これにより、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)およびグラフィックス処理装置(GPU)を含む高性能コンピューティングサーバなど、高い熱流束密度を生成する電子デバイスを冷却することができる。
【0028】
浸漬タンク201からの流体漏れのリスクを回避するために、いくつかの実施形態では、バスバーアセンブリ100は、図6に示すように、液面206より上で浸漬タンク201を貫通することができる。液面206は、浸漬タンク201の下部210内の液相の誘電流体620と、浸漬タンク201のヘッドスペース206内の気体(例えば、空気、水蒸気、および/または誘電蒸気)と、の間の界面として画定され得る。バスバーアセンブリ100は、浸漬冷却システム200での使用を安全かつ便利にする特徴を含んでもよい。
【0029】
図12および図13に示される従来技術のバスバーアセンブリとは異なり、図3Aに示されるバスバーアセンブリ100が、データセンターおよび輸送用途を含むさまざまな浸漬冷却用途に安全かつ効果的である。データセンター用途には、例えば、従来のデータセンター、モバイルデータセンター1500(図15)、またはエッジデータセンターが含まれ得る。輸送用途には、例えば、かなりのコンピューティング能力を必要とする自律走行車が含まれ得る。
【0030】
バスバーアセンブリ100は、偶発的な短絡または感電死を防止するために、1つまたは複数の通電バスバー20を安全に隠すことができる。バスバーアセンブリ100は、単相浸漬冷却または二相浸漬冷却に適し得る。
【0031】
乾燥の危険性なしに二相浸漬冷却を可能にするために、いくつかの実施形態では、バスバーアセンブリ100は、図6に示すように、バスバー20の両側に十分な隙間30、31を有するチャネル13を含んでもよい。バスバー20は、鉛直にかつ離間して配置することができる。各バスバー20は、蒸気の逃がしを促進するために、両側に適切なサイズの隙間30、31を有することができる。隙間30、31は、アンダーカットまたは他の蒸気捕捉機構のない実質的に鉛直な側壁を有してもよい。隙間30、31により、蒸気泡616がバスバー表面24から自由に抜け出し、流体容器内で妨げられずに上昇することが可能になる。蒸気泡616がチャネル13から出ると、過冷却された流体620が隙間30、31に突入し、出てくる蒸気泡616によって空いた空間を占有し、バスバー表面24への過冷却された流体620の連続供給を生成することができる。この構成により、断熱層として機能し、臨界熱流束状態を引き起こし得る蒸気の捕捉を回避することができる。それにより、バスバーアセンブリ100は、バスバー表面の乾燥の開始を遅らせることによって、特定の従来技術のバスバーアセンブリの冷却限界を緩和する。
【0032】
二相浸漬冷却装置200は、図3Aに示すように、浸漬タンク201を含んでもよい。浸漬タンク201は、上部205および下部210を有することができる(図6)。上部205は、液面206の上に位置する浸漬タンク201の一部であってもよい。下部210は、液面206の下に位置する浸漬タンク201の一部であってもよい。
【0033】
浸漬タンク201は、開口部220を有してもよい。開口部220は、図3Aに示すように、浸漬タンク201の上部に位置することができる。開口部220は、浸漬タンク201の内部容積へのアクセスを提供し、電子デバイス800(例えば、サーバ、スイッチ、またはパワーエレクトロニクス)の挿入および取り外しを容易にすることができる。浸漬タンク201の内部容積は、底面および複数の側面によって画定され得る。開口部220をシールして誘電蒸気615が周囲環境に失われるのを防ぐために、浸漬タンク201は、図1に示すように蓋225を有してもよい。開いたとき、蓋225は浸漬タンク201の内部容積へのアクセスを提供し得る。蓋225は、閉じると開口部220を囲み、蒸気の損失を防ぐことができる。図1に示される実施形態は、実質的に長方形の形状を有する浸漬タンク201を示すが、これは例示のみを目的として示されている。浸漬タンク201は、経済的に製造でき、効率的に使用できる所望の任意の形状を有することができる。
【0034】
浸漬タンク201は、図6に示すように、液体誘電流体620で部分的に満たされてもよい。液体誘電流体620は、冷却される電子デバイス800の動作温度よりも低い沸点を有し得る。電子デバイス800が動作しているとき、デバイス800と接触している液体誘電流体620は局所的に沸騰し、誘電蒸気615を生成し得る。誘電蒸気615は、流体容器内で上昇して浸漬タンク201のヘッドスペース206内に入る蒸気泡616を形成し得る。
【0035】
二相浸漬冷却装置200は、図3Aに示すように、凝縮器(例えば、冷却コイル)235を含んでもよい。いくつかの実施形態では、凝縮器235は、浸漬タンク201のヘッドスペース206内に配置され得る。凝縮器235は、ヘッドスペース206内に存在する誘電蒸気615を凝縮するように構造化および配置されている。いくつかの用途では、凝縮器235は、蒸発冷却塔、ドライクーラー、または冷水ループなどの排熱システムから冷水、水とグリコールとの混合物、または冷媒などの冷却剤を受け取る冷却コイルを含んでもよい。冷却剤は、ヘッドスペース206を占める蒸気615の露点以下の温度で凝縮器235に供給され得る。
【0036】
二相浸漬冷却装置200は、図3Aに示すように、バスバーアセンブリ100を含むことができる。バスバーアセンブリ100により、浸漬タンク201を開けることなく、かつ蒸気615を失うことなく、電力を都合よく接続および切断することができる。バスバーアセンブリ100は、浸漬タンク201の内部容積に設置されてもよい。例えば、バスバーアセンブリ100は、浸漬タンク201の1つまたは複数の内壁に当接してもよく、かつ/または浸漬タンク201の1つまたは複数の内面に取り付けられるか、もしくは置かれてもよい。バスバーアセンブリ100は、図5から図11に示すように、任意の数のバスバー20を含むことができる。各バスバー20は、例えば、銅、真鍮、アルミニウム、または鋼強化アルミニウムなどの適切な導電性材料で作製することができる。
【0037】
バスバーアセンブリ100は、図4Aに示すように、通過接続アセンブリ40を含むことができる。通過接続アセンブリ40は、接続ブロック41を含むことができる。接続ブロック41は、図4Aに示すように、浸漬タンク201の上部205の外面222に取り付けることができる。接続ブロック41は、図4Aに示すように、浸漬タンク201の上部の開口部240の上に取り付けることができる。接続ブロック41は、液面206よりも上に取り付けることができる。接続ブロック41は、耐薬品性材料(例えば、フェノール樹脂、マイラー、ポリイミド、エポキシ、誘電流体620と適合性のある他の任意の誘電性材料、およびそれらの組合せ)で作製され得る。
【0038】
接続ブロック41は、接続ブロック41および開口部240を通って延び、浸漬タンク201内の対応するバスバー20に電気的に接続するように構造化および配置された複数の電気コネクタ45を含んでもよい。電気コネクタ45は、例えば、バスバー部分、電気接続ピン、または電気ケーブルであり得る。各電気コネクタ45は、外部電源を複数のバスバー20のうちの1つに電気的に接続するように構成され得る。一例として、電気コネクタ45は、電源コンセントまたは電源からの電力をバスバー20に供給できるようにする端子ラグ48を含んでもよい。
【0039】
動作中、電子デバイス800によって生成される廃熱は、電子デバイス800から液体誘電流体620に伝達され、液体誘電流体620の一部が加熱、沸騰、蒸発して誘電蒸気615を形成し得る。誘電蒸気615は、誘電液体620を通って浸漬タンク201のヘッドスペース206内に上昇し得る。ヘッドスペース206からの蒸気615の損失を防ぐために、通過接続アセンブリ40は、外面222に接触して液面206より上に流体密封シールを提供してもよい。
【0040】
通過接続アセンブリ40は、図4Bに示すように、接続ブロック41の底面と浸漬タンク201の外面222との間にシール(例えば、ガスケット、Oリングなどのシールデバイス)42を含んでもよい。シール42は、接続ブロック41の底面の溝47に配置されてもよい。通過接続アセンブリ40は、複数の締結具43を含んでもよい。締結具43を締めてシール42を圧縮し、開口部240の周りに蒸気密封シールを提供することができる。図4Aに示す例では、複数のスタッド46が開口部240の近くの外面222から突出することができ、締結具43をスタッド46にねじ込んで接続ブロック41を外面222に固定することができる。
【0041】
バスバーアセンブリ100の底部は、図5に示すように、(例えば、耐薬品性の)絶縁体ブロック10を含むことができる。絶縁体ブロック10は、第1の端部16から第2の端部17まで水平に延びることができる。絶縁体ブロック10は、ハイドロフルオロエーテルなどの液体誘電流体の存在下で化学的に安定な材料で作ることができ、かつ/またはフェノール材料などの電気絶縁材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、絶縁体ブロック10は、液体誘電流体620と適合するフェノール、マイラー、ポリイミド、エポキシ、または他の誘電性材料のうちの1つまたは複数で作製され得る。
【0042】
図3Aに示されるように、絶縁体ブロック10は、浸漬タンク201の底部内面に接触して配置されるベース部分14を含むことができる。絶縁体ブロック10はまた、浸漬タンク201の内側側壁に接触して配置される直立部分15を含んでもよい。ベース部分14および直立部分15は一緒になって、浸漬タンク201内に嵌合するように構造化および配置されたL字形の絶縁体ブロック10を形成することができる。直立部分15は、ベース部分14からタンクアセンブリ201の上部205に位置する通過接続アセンブリ40まで延びることができる。
【0043】
絶縁体ブロック10は、図3A図5、および図6に示すように、複数の障壁12を含んでもよい。障壁12は、絶縁体ブロックの第1の端部16から第2の端部17まで(例えば、長手方向に)延びることができる。図3A図5および図6に示されるように、隣接する障壁対12a、12bは、それらの間に対応するチャネル13を形成する。チャネル13はまた、絶縁体ブロック10の第1の端部16から第2の端部17まで(例えば、長手方向に)延び得る。図3Aに示されるように、障壁12およびチャネル13は、絶縁体ブロック10のベース部分14に沿って延びることができる。障壁12およびチャネル13はまた、絶縁体ブロック10の直立部分15に沿って延びてもよい。ベース部分14のベースチャネル33と直立部分15の対応する直立チャネル19とは一緒に、整列し、L字形バスバー20を受け入れるように構成された連続的なL字形チャネルを提供することができる。
【0044】
図3Aは、L字形チャネル内に配置されたL字形バスバー20を示す。設置されると、導電性バスバー20の上面29は障壁12の上面18よりも下に凹み、それによって偶発的な感電死が防止される。バスバー20を障壁12の上面18よりも下に凹ませることにより、バスバー20を物理的損傷から保護し、短絡の危険性を低減することもできる。
【0045】
図3Bに示されるように、L字形バスバー20は、ベースセクション24および直立セクション25を含むことができる。いくつかの変形例では、ベースセクション24は、例えば、プレートコネクタ22および締結具23によって直立セクション25に結合され得る。別の例では、ベースセクション24および直立セクション25は一体部品であってもよい。設置されると、バスバー20の直立セクション25は、通過接続アセンブリ40から絶縁体ブロック10のベース部分14まで延びることができる。バスバー20は、通過接続アセンブリ40から浸漬タンク201内に配置された1つまたは複数の電子デバイス800に電流を伝導することができる。
【0046】
図5および図6を参照すると、L字形バスバー20のベースセクション24の上面29は、障壁12の上面18よりもある距離(d凹み)だけ下に凹んでいてもよい。バスバー20を上面18よりも下に凹ませることにより、バスバー20を保護し、偶発的な感電死を防止することができる。例えば、上面18は、置き忘れた手工具または電子デバイスのシャーシが誤ってバスバー20に接触して短絡することを防止することができる。障壁12の上面18はまた、電子デバイス800を支持し、バスバー20から物理的負荷を軽減することができる。例えば、浸漬タンク201内に設置された電子デバイス800は、1つまたは複数の上面18に載置され、チャネル13内に下方に延びてバスバー20のベースセクション24に電気的に接続する電気接続部を含んでもよい。
【0047】
図6に示す例では、バスバー20は、チャネル13の底部に形成されたスロット35内に配置され得る。スロット35は、バスバー20を直立方向に支持し、保持することができる。有効バスバー高さ(hバスバー)は、チャネル13の底面から上向きに測定することができる。有効バスバー高さ(hバスバー)は障壁高さ(h障壁)よりも低い場合がある。障壁12、チャネル13、およびバスバー20の寸法は、沿面を増加させ、クリアランスを増加させるように選択され得る。沿面距離は、絶縁体ブロック10の外面に沿って測定された、2つのバスバー20間の最短経路として画定され得る。クリアランス距離は、空気または液体を通して測定される、2つのバスバー20間の最短経路として画定され得る。
【0048】
第1の隙間30は、バスバー20と第1の隣接する障壁12aとの間に設けることができる。第2の隙間31は、バスバー20と第2の隣接する障壁12bとの間に設けることができる。二相冷却中、隙間30、31は、図6に示すように、蒸気泡616がチャネル13から逃げることを可能にし、過冷却された液体620がチャネル13に戻ることを可能にし得る。過冷却された流体620のチャネル13内へのこの連続循環は、バスバー20からの効果的な熱放散を保証し、バスバー20の表面の乾燥を防止することができる。
【0049】
第1の隙間30および第2の隙間31は、サイズがほぼ等しくてもよく、その結果、バスバー20がチャネル13の実質的に中央に配置されることになる。第1の隙間30は、バスバー20の幅(wバスバー)よりも大きく(例えば、少なくとも2倍)することができる。第2の隙間31(w隙間)は、バスバー幅よりも大きく(例えば、少なくとも2倍)することができる。
【0050】
第1の障壁12aは、チャネル13の幅(wチャネル)より大きい(例えば、少なくとも2倍の)幅(w障壁)を有してもよい。第2の障壁12bは、チャネル幅(wチャネル)よりも大きい幅(例えば、少なくとも2倍)を有することができる。
【0051】
バスバー20の上面29は、第1の上面18aの下に凹んでいてもよく、かつ/または第2の上面18bの下に凹んでいてもよい。いくつかの実施形態では、バスバー20の上面29は、バスバー幅に少なくとも等しい距離において第1の上面18aと第2の上面18bとの両方の下に凹んでいてもよい。例えば、バスバー20の上面29は、第1の隙間30または第2の隙間31の幅に少なくとも等しい距離、第1の上面18aおよび第2の上面18bの両方の下に凹んでいてもよい。
【0052】
バスバーアセンブリ100は、1つまたは複数のバスバー20を含み得る。一実施形態では、バスバーアセンブリ100は、三相電力伝送を支持するために、任意の数のバスバー20(例えば、第1のバスバー(L1)、第2のバスバー(L2)、および第3のバスバー(L3))を含むことができる。バスバーアセンブリ100はまた、保護アースバスバー(PE)および/または中性バスバー(N)を含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、バスバー20は、図7図11に示すように、対称構成で配置され得る。したがって、電子デバイス800は、電子デバイス800のそれぞれのコネクタが目的のバスバー20に接続できるようにしながら、2つの方向のいずれかに取り付けることができる。図7は、電子デバイス800を、デバイス800のそれぞれのコネクタを目的のバスバー20に接続できるようにしながら、2つの向きのいずれかに取り付けることができるようにする、三相用途のためのバスバーの対称配置を示す。バスバー20の対称的な配置が示され説明されているが、バスバー20の1つまたは複数の非対称的な配置を使用することも可能である。
【0054】
より具体的には、図7は、一対の中性バスバー(N)および保護アースバスバー(PE)とともに一対の三相電圧バスバー(L1、L2、L3)を支持するバスバーアセンブリ100の対称実装を示す。図8は、一対の中性バスバー(N)および単一の保護アースバスバー(PE)とともに一対の単相電圧バスバー(L)を支持するバスバーアセンブリ100の対称実装を示す。図9は、一対の中性バスバー(N)および一対の保護アースバスバー(PE)とともに一対の単相電圧バスバー(L)を支持するバスバーアセンブリ100の対称実装を示す。図10は、中性バスバーを有しないが、一対の保護アースバスバー(PE)とともに一対の三相電圧バスバー(L1、L2、L3)を支持するバスバーアセンブリ100の対称実装を示す。図11は、一対の中性バスバー(N)およびまた一対の保護アースバスバー(PE)とともに一対の三相電圧バスバー(L1、L2、L3)を支持するバスバーアセンブリ100の対称実装を示す。
【0055】
いくつかの実施形態では、バスバーアセンブリ20は、既存の浸漬タンク201に取り付けることができる構成要素のキットであってもよい。キットには、絶縁体ブロック10、1つまたは複数のバスバー20、および通過接続アセンブリ40が含まれ得る。
【0056】
本明細書で使用される「流体」という用語は、気体の形態、液体の形態、または気体と液体との二相混合物の物質を指し得る。流体は、液体から蒸気へ、またはその逆に相変化を起こすことができる場合がある。液体は、それが存在する容器によって作成されない自由表面を形成し得るが、気体は形成し得ない。
【0057】
本明細書で使用される場合、「蒸気」という用語は、物質の臨界温度よりも低い温度で気相にある物質を指し得る。したがって、温度を下げることなく圧力を高めることにより、蒸気は液体に凝縮し得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「二相」という用語は、物質の液相と共存する物質の蒸気相を指し得る。これが起こると、気体の分圧は液体の蒸気圧と等しくなり得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、「目標液面」は、浸漬タンク内の所望の液面を指し得る。一例では、目標液面は浸漬タンクの内側壁にマークされてもよい。使用前に、浸漬タンクに誘電流体を目標液面まで満たすことができる。
【0060】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)またはハイドロフルオロエーテル(HFE)などの液体誘電流体620を、浸漬冷却装置200内の流体として使用することができる。水とは異なり、誘電流体は、電気接続を短絡させる危険なしに、マイクロプロセッサ801、メモリモジュール、およびパワーインバータなどの電子デバイス800と直接接触して使用することができる。液体誘電流体の非限定的な例には、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(R-245faとして知られている)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、1-メトキシヘプタフルオロプロパン(HFE-7000として知られている)、メトキシ-ノナフルオロブタン(HFE-7100として知られている)が含まれる。HFE-7000、HFE-7100、HFE-7200、HFE-7300、HFE-7500、およびHFE-7600を含むハイドロフルオロエーテルは、ミネソタ州メイプルトンに本社を置く3M社からNOVEC Engineered Fluidsとして市販されている。FC-40、FC-43、FC-72、FC-84、FC-770、FC-3283、およびFC-3284は、同じく3M社からFLUOROINERT Electronic Liquidsとして市販されている。
【0061】
本明細書に記載される要素および方法ステップは、明示的に記載されているか否かにかかわらず、任意の組合せで使用することができる。本明細書に記載される方法ステップのすべての組合せは、特に指定されない限り、または参照される組合せが行われる文脈によって反対のことが明確に暗示されない限り、任意の順序で実行することができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。
【0063】
本発明の方法および組成物は、本明細書に記載の必須の要素および制限、ならびに本明細書に記載のまたは当技術分野で有用な任意の追加または任意選択のステップ、構成要素、もしくは制限を含む、それらからなる、あるいは本質的にそれらからなり得る。
【0064】
本発明は、本明細書に図示および説明した特定の構成および部品の配置に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれるそのような変更形態を包含することが理解される。
【0065】
前述の説明は、例示および説明を目的として提示されたものである。前述の説明は、網羅的であること、または特許請求の範囲を開示された実施形態に限定することを意図したものではない。上記の教示を考慮して、他の変更および変形も可能であり得る。実施形態は、本発明の原理とその実際の応用とを説明するために選択され、記載され、他の当業者が、企図される特定の使用に適したさまざまな実施形態およびさまざまな変更において本発明を最大限に利用できるようにする。従来技術によって制限される場合を除き、特許請求の範囲は本発明の他の代替実施形態を含むものと解釈されることが意図されている。
【符号の説明】
【0066】
200 浸漬冷却システム、二相浸漬冷却装置、浸漬冷却装置
1400 二相浸漬冷却装置
201 浸漬タンク、固定タンク、浸漬冷却タンク、タンクアセンブリ
800 電子デバイス、電子ハードウェア
801 マイクロプロセッサ
206 液面
210 下部
225 蓋
620 誘電流体、誘電液体、液体誘電流体
615 誘電蒸気
1405 バスバー
1500 モバイルデータセンター
1005 輸送コンテナ
100 バスバーアセンブリ
100’ バスバーアセンブリ
100” バスバーアセンブリ
20 バスバー
20” バスバー
40 通過接続アセンブリ
41 接続ブロック
222 外面
42 シール
43 締結具
45 電気コネクタ
46 スタッド
47 溝
48 端子ラグ
220 開口部
240 開口部
10 絶縁体ブロック
14 ベース部分
15 直立部分
12 障壁
12a 第1の障壁
12b 第2の障壁
16 第1の端部
17 第2の端部
18 上面
18a 第1の上面
18b 第2の上面
205 上部
22 プレートコネクタ
24 ベースセクション
25 直立セクション
33 ベースチャネル
35 スロット
616 蒸気泡
13 チャネル
19 直立チャネル
30 隙間、第1の隙間
31 隙間、第2の隙間
33 ベースチャネル
206 ヘッドスペース
235 凝縮器
L1 第1のバスバー
L2 第2のバスバー
L3 第3のバスバー
PE 保護アースバスバー
N 中性バスバー
L 単相電圧バスバー
図1
図2
図3A-3B】
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A-14C】
図15
【国際調査報告】